JP2003057478A - ポリマ材料を出発材にした導波路の製造方法 - Google Patents

ポリマ材料を出発材にした導波路の製造方法

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JP2003057478A
JP2003057478A JP2001250373A JP2001250373A JP2003057478A JP 2003057478 A JP2003057478 A JP 2003057478A JP 2001250373 A JP2001250373 A JP 2001250373A JP 2001250373 A JP2001250373 A JP 2001250373A JP 2003057478 A JP2003057478 A JP 2003057478A
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polymer
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Katsuyuki Imoto
克之 井本
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス導波路並の特性を有すると共に、超低
コストで得ることができる新規なポリマ材料を出発材に
した導波路の製造方法の提供。 【解決手段】 基板1上の低屈折率層2上にポリシラン
化合物のポリマ層3を形成し、このポリマ層3を紫外線
露光した後、露光された領域を除去して高屈折率コアパ
ターン5を形成し、次いでそのコアパターン5を350
℃以上の温度で熱処理して無機化し、このコアパターン
6上に低屈折率の上部クラッド層7を被覆形成する。こ
れによって、ポリマ材料固有の吸収基が無くなってガラ
ス導波路並の低損失化が達成できると共に、超低コスト
で得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報通信分野に
おいて次世代の光伝送路として期待されているポリマ材
料を用いた導波路の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の光インターコネクションの技術の
進展により、装置間をファイバで並列伝送する方式が実
用段階に入ってきており、さらに次の方式としてボード
内やLSIチップ間を光信号により並列伝送する方式が
本格的に検討されるようになってきた。
【0003】この方式を実現するためには光伝送路とし
てファイバの代わりに導波路が用いられ、さらにこの導
波路としてポリマ材料を用いたものが有力視されてい
る。すなわち、ポリマ材料を用いた導波路は低温プロセ
スで簡単に作製できるためガラス材料を用いた導波路に
比べて低コスト化、大型サイズ化の点で優位性が期待で
きるからである。
【0004】そして、このようなポリマ材料を用いた導
波路(以下、ポリマ導波路という)は、種々の基板の上
に有機溶媒に溶けたポリマ溶液をスピンコーティング
法、押出しコーティング法等で塗布し、その後300℃
以下の低温で加熱してポリマ膜とした後、次でフォトリ
ソグラフィやエッチングプロセスを用いて略矩形断面形
状の高屈折率のコア用パターンを得、しかる後そのコア
パターンを覆うように低屈折率のポリマ膜を形成するこ
とで比較的容易に製造されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
現在提案されているポリマ導波路には以下に示すような
大きな課題が存在しており、これが実用化の障害になっ
ている。
【0006】(1)一般にポリマ材料には固有の吸収基
(CH基,OH基)に依存する吸収損失が存在してお
り、これが存在するゆえにガラス導波路並の0.1dB
/cm以下の低損失化が極めて難しい。
【0007】(2)導波路表面、あるいは裏面,更には
内部に電子部品,電子回路,光部品,光回路等をハイブ
リッド実装する際にはハンダを用いることになるが、現
状である程度の低損失特性(0.2dB/cm程度)を
期待できるポリマ材料を用いた導波路は耐熱性が悪く、
上記ハンダリフロー温度(Au/Snハンダのリフロー
温度:>280℃)に耐えることが難しく、また、上記
温度で実装、処理されると、導波路に用いているポリマ
の屈折率が変化してしまい、導波路の光学特性が大幅に
変わって使用不可になってしまう。逆に耐熱特性を期待
できるポリマ材料を用いた導波路では損失が大きかった
り、偏波依存性があったりして実用上問題がある。
【0008】そこで、本発明はこのような課題を有効に
解決するために案出されたものであり、その目的は、ガ
ラス導波路並の低損失化が可能であると共に、超低コス
トで得ることができる新規なポリマ材料を出発材にした
導波路の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、少なくとも350℃以上の耐熱温度を有す
る基板の表面に形成された低屈折率層上にポリシラン化
合物のポリマ層を形成し、このポリマ層上に所望の光伝
搬層パターンの描かれたフォトマスクを置いてその上か
ら紫外線を照射してそのポリマ層を露光した後、露光さ
れた領域をアルカリ現像により除去して略矩形断面形状
の高屈折率コアパターンを形成し、次いでそのコアパタ
ーンを350℃よりも高い温度で熱処理して無機化し、
その後、このコアパターン上に低屈折率の上部クラッド
層を被覆形成するようにしたものである。
【0010】これによって、ガラス導波路並の0.1d
B/cm以下の低損失化が期待できると共に、ガラス導
波路に比べて容易に低コスト化、大型サイズ化を図るこ
とで可能となる。
【0011】すなわち、本発明方法は、有機溶媒に溶け
たポリシラン化合物の溶液を基板上に塗布工程により塗
布して形成したポリシラン化合物の膜を350℃以上の
温度で加熱すると、無機化が進行して非常に均一でクラ
ックのない膜となり、かつ超低損失な膜になることを見
出し、本発明に至ったものである。例えば、ポリシラン
化合物にフェニルメチルポリシランを用いた例で説明す
ると、通常は250℃以内の温度で熱処理を行ってポリ
マ膜化を行っているが、これを350℃以上の温度で加
熱することにより、側鎖のフェニル基やメチル基が脱離
を起こし、無機化が起こる。そして、このような無機化
が起こった膜の伝搬損失を評価したところ、無機化が進
行すればするほど、つまり熱処理温度が高くなるほど、
従来のポリマ膜の伝搬損失よりも大幅に低い超低損失値
が実現されることを見出し、これを新規な製造方法とし
て利用したものである。
【0012】尚、ポリシラン化合物以外の従来のポリマ
膜を用い、これに上記のような高温熱処理を行うと、膜
にクラックが入ったり剥がれが生じたりするために高温
処理を行うことができなかった。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施する好適一形
態を添付図面を参照しながら説明する。
【0014】図1は本発明に係るポリマ材料を出発材に
した導波路の製造方法の実施の一形態を示したものであ
る。
【0015】本発明方法は、先ず図1(1)に示すよう
に基板1上に低屈折率層2を形成した後、この低屈折率
層2上にポリシラン化合物からなるポリマ層3を順次形
成する。
【0016】ここで、本発明で適用できる基板1として
は、少なくとも350℃の温度に耐える材質のものを用
いる必要があり、例えば、ガラス基板,セラミックス基
板,Si,GaAsのような半導体基板の他に,ポリイ
ミド等の耐熱性プラスチック基板やガラス充填プラスチ
ック基板等を用いることができる。
【0017】一方、この基板1上に形成される低屈折率
層2としては、SiO2やSiO2に対してTi,Ge,
P,B,F,Ta等の屈折率制御用ドーパンドを添加し
たものを用いることができるが、これらの無機材料の他
に耐熱性のポリマを用いることができる。
【0018】すなわち、このポリマとしては、例えば、
ポリシラン化合物にシリコーン化合物を80〜130w
t%添加したポリシラン化合物のポリマか、上記ポリシ
ラン化合物を予め紫外線を照射して感光化させて屈折率
を低くしたポリマを用いることができる。この時、ポリ
シラン化合物中のシリコーン化合物の添加量が多いほど
屈折率は低下するので、このシリコーン化合物の添加量
を調節することでその低屈折率層2の屈折率を容易にコ
ントロール可能である。
【0019】そして、このようなポリマ製の低屈折率層
2を得る方法としては、例えば、分岐度が20%の分岐
状ポリメチルフェニルシラン化合物にシリコーン樹脂を
50wt%添加したポリマを有機溶媒トルエンに溶かし
てフォトブリーチング用ポリマ溶液とし、この溶液に予
め紫外線(150w水銀キセノンランプからの光を直径
20mmのイメージファイババンドル内を伝搬させて出
力させた光を約10cm離して照射、その出力は120
0mw/cm2)を135分間照射することによって屈
折率を低下(波長632.8nmにおける屈折率を紫外
線照射前の1.645から1.62に低下)させ、この
溶液をSi基板上に塗布し、150℃,20分のプリベ
ークの後に、250℃,20分のポストベークを行って
低屈折率層2用のポリマ膜を得ることができる。
【0020】他方、この低屈折率層2上に形成されるポ
リシラン化合物からなるポリマ層3としては、後述する
ように分岐型ポリシラン化合物にシリコーン化合物を2
0〜80wt%添加したものを用いる。そして、このポ
リシラン化合物からなるポリマ層3を得る方法として
は、例えば、分岐度が20%の分岐状ポリメチルフェニ
ルシラン化合物にシリコーン化合物を50wt%添加し
たポリマを有機溶媒トルエンに溶かして作ったフォトブ
リーチング用ポリマ溶液を塗布し、150℃,20分間
のプリベークの後に、250℃,20分のポストベーク
を行うことで例えば、波長632.8nmにおける屈折
率1.645のポリマ層3を得ることができる。
【0021】次に、このようにして基板1上に低屈折率
層2とポリマ層3を順次形成したならば、図1(2)に
示すように、このポリシラン化合物からなるポリマ層3
上に所望のパターンが描かれたフォトマスク4を置き、
そのフォトマスク4上から紫外線を照射してそのポリマ
層3に屈折率変化パターンを形成し、その後、アルカリ
現像処理を行って紫外線の照射された領域、すなわち、
屈折率の低下した領域を除去して図1(3)に示すよう
な断面矩形状のポリシラン化合物からなるコア層5を形
成する。
【0022】その後、図1(4)に示すように、この基
板1に対して350℃以上の高温で熱処理を施してこの
コア層5を無機化することになるが、この時、後述する
ようにこの熱処理温度が高いほどコア層5の無機化が進
行するため、より低損失で、クラックの全く発生しない
均質な無機化コア層6を得ることができる。尚、実験の
結果、500℃でも非常に均一な膜になることが分か
り、上記温度がプロセス上で許容できる温度であれば5
00℃近傍で熱処理を行ったほうが超低損失化の点で有
利である。また、この熱処理温度を高くする程、コア層
6の側面を均一にすることができるのも分かった。
【0023】このようにしてコア層5の無機処理が終了
したならば、最後に、図1(5)に示すように、この無
機化コア層6を覆うようにその上に低屈折率の上部クラ
ッド層7を形成することで目的とするポリマ導波路を得
ることができる。尚、この上部クラッド層7は、上記低
屈折率層2と同じ材料、同じ方法で形成することができ
る。
【0024】そして、このようにして得られたポリマ導
波路にあっては、上述したようにポリマ層3としてポリ
シラン化合物を用い、これを350℃以上の高い温度で
熱処理を施して無機化したことから、吸収損失を招くC
H基を殆ど無くすことが可能となり、従来のガラス導波
路並の超低損失値を実現することが可能となる。
【0025】また、このようなポリマ導波路にあって
は、従来のハンダリフロー温度に耐えることができるた
め、導波路の表面、あるいは裏面,更には内部に電子部
品,電子回路,光部品,光回路等を確実にハイブリッド
実装でき、かつ屈折率の温度変動も少ないので、光学特
性の安定した導波路を実現することができる。
【0026】さらに、このポリマ層3は、上記の如くポ
リマ溶液の塗布工程によって容易に形成することができ
るため、超低コストで、かつ高性能光部品及び光デバイ
スを実現することが可能である。
【0027】次に、図2,図3は本発明方法の他の実施
の形態を示したものである。
【0028】先ず、本発明の係る第二の実施の形態は、
図2(a)に示すように、基板1上に低屈折率層2を形
成した後、この低屈折率層2上にポリシラン化合物から
なるポリマ層3を順次形成する。尚、これら基板1,低
屈折率層2,ポリマ層3は上記実施の形態と同じ材料、
同じ方法で形成する。次に、この基板1に対して350
℃以上の高温で熱処理を行い、ポリマ層3を無機化した
後、図2(2)に示すように、その無機化したポリマ層
3上にフォトマスク4を置いてその上から紫外線を照射
する。その後、図2(3)に示すようにこのポリマ3に
対してアルカリ現像処理を行って紫外線の照射された領
域を除去し、断面矩形状の無機化コア層6を形成する。
その後、図2(4)に示すように、上記低屈折率層2と
同じ材料、同じ方法によってこの無機化コア層6を覆う
ようにその上に低屈折率の上部クラッド層7を形成する
ことで上記実施の形態と同様な特性を有するポリマ導波
路を低コストで容易に得ることができる。尚、本実施の
形態において、ポリマ層3の熱処理温度をあまり高くす
ると、アルカリ現像処理で紫外線が照射された領域が除
去し難くなる場合があることから、最初の熱処理の段階
では350℃をやや超える程度の比較的低い温度で熱処
理を行い、無機化コア層6を形成した後、再度さらに高
い温度で熱処理を施してコア層6の無機化を完全にする
ようにしても良い。
【0029】次に、本発明に係る第三の実施の形態は、
先ず、図3(a)に示すように、上記実施の形態と同様
な材料・方法によって、基板1上に低屈折率層2とポリ
シラン化合物からなるポリマ層3を順次形成し、この基
板1を350℃以上の高温で熱処理を行い、ポリマ層3
を無機化する。図3(2)に示すように、この無機化さ
れたポリマ層3上にフォトレジスト膜8を塗布すると共
に、図3(3)に示すように、そのフォトレジスト膜8
上にコアパターンが形成されたフォトマスク4をおいて
その上から紫外線を照射してフォトレジスト膜8をフォ
トマスクパターンに露光する。その後、図3(4)に示
すようにこのフォトレジストパターンをマスクにして無
機化したポリマ層3をエッチングして断面矩形状の無機
化コア層を形成する。尚、このエッチングはドライエッ
チングあるいはウェットエッチングにて行う。そして、
最後に、図3(5)に示すように、上記低屈折率層2と
同じ材料、同じ方法によってこの無機化コア層6を覆う
ようにその上に低屈折率の上部クラッド層7を形成する
ことで上記各実施の形態と同様な特性を有するポリマ導
波路を低コストで容易に得ることができる。
【0030】
【実施例】次に、本発明方法で得られたポリマ導波路の
具体的実施例を説明する。
【0031】先ず、図4は、本発明のポリシラン化合物
のポリマ層のポストベーク時の温度を変えて作製した層
の伝搬損失を評価した結果の実施例を示したものであ
る。測定波長は1300nmと1550nmである。こ
の層はバイコールガラス基板上に、分岐度が20%の分
岐状ポリメチルフェニルシラン化合物にシリコーン化合
物を50wt%添加したポリマを有機溶媒トルエンに溶
かして作ったフォトブリーチング用ポリマ溶液を塗布
し、150℃,20分のプリベークの後に、ポストベー
ク温度を種々変えて作製した層について伝搬損失を評価
したものである。尚、ポストベーク時間は約30分であ
る。
【0032】同図から分かるようにポストベーク温度が
高くなるほど低損失になり、350℃以上の高温、すな
わちポリマ層の無機化が進行してくるとより一層の低損
失値が得られ、しかもクラックが全く発生せず、より一
層に均一になることが分かった。また、400℃以上の
高温になると、0.1dB/cm以下の超低損失値が得
られることも分かった。そして、本発明方法で得られた
導波路にあっては、この高温熱処理により、Au/Sn
半田リフロー温度に十分に耐え、かつ、より一層の低損
失特性を実現することを示している。すなわち、ポリシ
ラン化合物を熱処理によって無機化することによりCH
基を殆ど無くすことができ、これにより超低損失値が実
現することが分かった。尚、さらに500℃で熱処理を
行っても膜の剥離やクラックなどは生じなかった。
【0033】次に、図1に示したようなポリマ導波路に
おいて、分岐度が20%の分岐状ポリメチルフェニルシ
ラン化合物に添加するシリコーン化合物の添加量をそれ
ぞれ25wt%,80wt%,130wt%と変えたポ
リマを用い、これらをそれぞれの有機溶媒トルエンに溶
かしてフォトブリーチング用ポリマ溶液とし、これらを
用いて導波路を作製した。その結果、シリコーン化合物
の添加量が多いほど導波路の伝搬損失が低下することが
分かり、また、より高温に耐える導波路を実現すること
が分かった。
【0034】次に、他の実施例として、ポリシラン化合
物の分岐度を2〜48%まで変えたポリマ層を用いて導
波路を作製し、損失を評価した結果、分岐度が高くなる
ほど長波長帯(1300nm帯、1550nm帯)で超
低損失値(0.06dB)を実現することができる。
【0035】さらに別の実施例として、上記シリコーン
化合物を添加したポリシラン化合物に光酸発生剤(融点
192℃、最大吸収波長177nmのパラメトキシスチ
ルトリアジン)を2%〜5%添加したポリマ層を用いて
導波路を検討した。損失は多少増加傾向にあったが、紫
外線照射によるコアパターンの深さ方向の均一性が良く
なり、より寸法精度の良い矩形状コア層を実現すること
ができた。さらに上記光酸発生剤としては、トリアジン
系のものが良いことも分かった。
【0036】そして、本発明は上記実施例に限定される
ものでなく、ポリシラン化合物,シリコーン化合物,ト
リアジン化合物,光酸発生剤等はその他種々のものも適
用可能である。例えば、ポリシラン化合物には分岐度が
2%以上の分岐状ポリシラン化合物が光透明度の点から
好ましい。光酸発生剤にはトリアジン系が好ましく、そ
の中でも長波長での光透明度の高いもの、融点の高いも
のが好ましい。シリコーン化合物も光透明度の高いも
の、融点の高いものなどが好ましい。
【0037】また、本発明に用いる有機溶媒としては、
炭素数5〜12の炭化水素系,ハロゲン化炭化水素系及
びエーテル系等である。炭化水素の例としては、ペンタ
ン,ヘキサン,ヘプタン,シクロヘキサン,n−デカ
ン,n−ドデカン,ベンゼン,トルエン,キシレン,メ
トキシベンゼン等を用いることができる。ハロゲン化炭
化水素系の例としては、四塩化炭素,クロロホルム,
1,2−ジクロロエタン,ジクロロメタン,クロロベン
ゼン等を用いることができる。エーテル系の例として
は、ジエチルエーテル,ジブチルエーテル,テトラハイ
ドロフラン等を用いることができる。また、フォトブリ
ーチング用ポリマ材料として、ニトロン化合物を含んだ
シリコーン化合物用の有機溶媒として前述したようにペ
グミアを用いても良い。
【0038】フォトブリーチング用ポリマ材料には、上
記有機溶媒に溶ける材料でなければならない。本発明に
用いるポリシラン化合物としては、直鎖型と分岐型を用
いることができる。分岐型と直鎖型は、ポリシラン中に
含まれるSi原子の結合状態によって区別される。すな
わち、分岐型ポリシランとは、隣接するSi原子と結合
している数(結合数)が3又は4であるSi原子を含む
ポリシランである。これに対して、直鎖型のポリシラン
は、Si原子の隣接するSi原子との結合数は2であ
る。通常Si原子以外に、炭化水素基,アルコキシ基又
は水素原子と結合している。このような炭化水素基とし
ては、炭素数1〜10のハロゲンで置換されていても良
い脂肪族炭化水素基,炭素数61〜14の芳香族炭化水
素基が好ましい。脂肪族炭化水素基の具体例として、メ
チル基,プロピル基,ブチル基,ヘキシル基,オクチル
基,デシル基,トリフルオロプロピル基及びノナフルオ
ロヘキシル基等の鎖状のもの、及びシクロヘキシル基,
メチルシクロヘキシル基のような脂環式のものが挙げら
れる。また、芳香族炭化水素基の具体例としては、フェ
ニル基,p−トリル基及びアントラシル基等が挙げられ
る。アルコキシ基としては、炭素数1〜8のものが挙げ
られる。具体例としては、メトキシ基,エトキシ基,フ
ェノキシ基,オクチルオキシ基等が挙げられる。合成の
容易さを考慮すると、これらの中でメチル基及びフェニ
ル基が特に好ましい。
【0039】分岐型ポリシランの場合には、隣接するS
i原子との結合数が3又は4であるSi原子は、分岐型
ポリシラン中の全体のSi原子数の2%以上であること
が好ましい。2%未満のものや直鎖型のポリシランは結
晶性が高く、膜中で微結晶が生成しやすいことにより光
散乱の原因となり、光透明性が低下し易い。
【0040】本発明に用いるポリシランはハロゲン化シ
ラン化合物をナトリウムのようなアルカリ金属の存在
下、n−デカンやトルエンのような有機溶媒中において
80℃以上に加熱することによる重縮合反応によって製
造することができる。また、電解重合法や金属マグネシ
ウムと金属塩化物を用いた方法でも合成可能である。
【0041】分岐型ポリシランの場合には、オルガノト
リハロシラン化合物,テトラハロシラン化合物,及びオ
ルガノジハロシラン化合物からなり、オルガノトリハロ
シラン化合物及びテトラハロシラン化合物が全体量の2
モル%以上であるハロシラン混合物を加熱して縮重合す
ることにより、目的とする分岐型ポリシランが得られ
る。ここで、オルガノトリハロシラン化合物は、隣接す
るSi原子との結合数が3であるSi原子源となり、一
方のテトラハロシラン化合物は、隣接するSi原子との
結合数が4であるSi原子源となる。尚、ネットワーク
構造の確認は、紫外線吸収スペクトルや珪素の核磁気共
鳴スペクトルの測定により確認することができる。
【0042】ポリシランの原料として用いられるオルガ
ノトリハロシラン化合物,テトラハロシラン化合物,及
びジオルガノジハロシラン化合物がそれぞれ有するハロ
ゲン原子は、塩素原子であることが好ましい。オルガノ
トリハロシラン化合物及びジオルガノハロシラン化合物
が有するハロゲン原子以外の置換基としては、上記炭化
水素基,アルコキシ基又は水素原子が挙げられる。
【0043】本発明のポリシラン化合物に添加するシリ
コーン化合物としては、以下の式で示されるものを用い
る。
【0044】
【化1】
【0045】但し、式中R1からR12は、炭素数1〜
10のハロゲンまたはグリシジルオキシ基で置換されて
いても良い脂肪族炭化水素基,炭素数6〜12の芳香族
炭化水素基,炭素数1〜8のアルコキシ基からなる群か
ら選択される基であり、同一でも異なっていても良い。
また、a,b,c及びdは0を含む正数であり、a+b
+c+d≧1を満たすものである。このシリコーン化合
物が有する脂肪族炭化水素基の具体例として、メチル
基,プロピル基,ブチル基,ヘキシル基,オクチル基,
デシル基,トリフルオロプロピル基,グリシジルオキシ
プロピル基等のような脂環式のものが挙げられる。ま
た、アルコシキ基の具体例としては、メトキシ基,エト
キシ基,フェノキシ基,オクチルオキシ基,ter−プ
トキシ基等が挙げられる。上記R1からR12の種類及
びa,b,c,dの値は特に重要でなく、ポリシラン及
び有機溶媒と相溶し、膜が透明なものであれば、特に限
定されない。相溶性を考慮した場合には、使用するポリ
シランが有する炭化水素基と同じ基を有していることが
好ましい。例えば、ポリシランとしてフェニルメチル系
のものを使用する場合には、同じフェニルメチル系又は
ジフェニル系のシリコーン化合物を使用することが好ま
しい。また、R1からR12のうち、少なくとも2つが
炭素数1〜8のアルコキシ系であるような、1分子中に
アルコキシ基を2つ以上有するシリコーン化合物は、架
橋材として利用可能である。そのようなものとしては、
アルコキシ基を15〜35重量%含んだメチルフェニル
メトキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーン等を
挙げることができる。分子量としては、10000以
下,好ましくは3000以下のものが好適である。
【0046】尚、膜中のCH基やOH基による光吸収を
低減するために、ポリシラン化合物やシリコーン化合物
に重水素化,あるいは一部又は全てがハロゲン化,特に
フッ素化したものを用いれば上記吸収基による光損失を
大幅に低減することができる。
【0047】これにより、波長依存性の少ない低光損失
のポリマ材料及びそれを用いたポリマ膜を実現すること
が可能となり、光学用材料及び部品として幅広い範囲に
用途を拡大することが可能となる。
【0048】また、シリコーン化合物に架橋性、あるい
はアルコキシ基からなるものを用いることによって分岐
型ポリシラン化合物の中に均一に添加することができ、
しかもトルエンのような有機溶媒中に容易に可溶してナ
ノメータレベルの超微粒子状溶液となり、上記ポリマ溶
液を用いることによって光散乱中心のない均一な構造体
や膜を形成することができる。
【0049】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、以下に示
すような優れた効果を発揮する。
【0050】(1)ポリシラン化合物を出発材として塗
布工程で導波路用の各層を形成し、その途中の導波路作
製工程で上記ポリシラン化合物を無機化することにより
CH基を殆ど無くすことができるため、このCH基によ
る吸収損失の殆どない超低損失の導波路を得ることがで
きる。
【0051】(2)Au/Sn半田のリフロー温度に耐
えることができ、かつ屈折率の温度変動も少ないので、
光学特性の安定した導波路を実現することができ、ま
た、電子部品,電子回路,光部品,光回路等を実装した
光・電気複合デバイス用の導波路及び導波路型光回路用
として適用することができる。
【0052】(3)製造工程が簡易プロセスであるた
め、超低コストで高性能光部品及び光デバイスを実現す
ることができる。
【0053】(4)特にポリシラン化合物にシリコーン
化合物を40wt%以上添加することにより、非常に高
温に耐え、かつ温度が高くなるほど低損失になり、膜自
身も剥離やクラックの入り難い安定した構造に改質する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施の一形態を示す工程図であ
る。
【図2】本発明方法の他の実施の形態を示す工程図であ
る。
【図3】本発明方法の他の実施の形態を示す工程図であ
る。
【図4】本実施例で説明したポリマ膜の伝搬損失とポス
トベーグ温度との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 基板 2 低屈折率層 3 ポリマ層 4 フォトマスク 5 コア層(コアパターン) 6 無機化されたコア層(コアパターン) 7 上部クラッド層 8 フォトレジスト膜

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも350℃以上の耐熱温度を有
    する基板の表面に形成された低屈折率層上にポリシラン
    化合物のポリマ層を形成し、このポリマ層上に所望の光
    伝搬層パターンの描かれたフォトマスクを置いてその上
    から紫外線を照射してそのポリマ層を露光した後、露光
    された領域をアルカリ現像により除去して略矩形断面形
    状の高屈折率コアパターンを形成し、次いでそのコアパ
    ターンを350℃よりも高い温度で熱処理して無機化
    し、その後、このコアパターン上に低屈折率の上部クラ
    ッド層を被覆形成するようにしたことを特徴とするポリ
    マ材料を出発材にした導波路の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも350℃以上の耐熱温度を有
    する基板の表面に形成された低屈折率層上にポリシラン
    化合物のポリマ層を形成した後、このポリマ層を350
    ℃よりも高い温度で熱処理して無機化し、その後、この
    無機化されたポリマ層上に所望の光伝搬層パターンの描
    かれたフォトマスクを置いてその上から紫外線を照射し
    てそのポリマ層を露光してから露光された領域をアルカ
    リ現像により除去して略矩形断面形状の高屈折率コアパ
    ターンを形成し、しかる後、このコアパターン上に低屈
    折率の上部クラッド層を被覆形成するようにしたことを
    特徴とするポリマ材料を出発材にした導波路の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 少なくとも350℃以上の耐熱温度を有
    する基板の表面に形成された低屈折率層上にポリシラン
    化合物のポリマ層を形成した後、このポリマ層を350
    ℃よりも高い温度で熱処理して無機化し、その後、この
    無機化されたポリマ層上にフォトレジスト膜を形成する
    と共に、そのフォトレジスト膜上に所望の光伝搬層パタ
    ーンの描かれたフォトマスクを置いてその上から紫外線
    を照射してフォトレジストパターンを形成した後、この
    フォトレジストパターンをマスクにして無機化したポリ
    マ層を略矩形断面形状の高屈折率コアパターンにエッチ
    ング加工を施し、しかる後、このコアパターン上に低屈
    折率の上部クラッド層を被覆形成するようにしたことを
    特徴とするポリマ材料を出発材にした導波路の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記ポリマ層が、有機溶媒に溶けたポリ
    シラン化合物の溶液を低屈折率層上に塗布して形成され
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リマ材料を出発材にした導波路の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ポリシラン化合物中には、シリコー
    ン化合物が所定配合比で添加されていることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のポリマ材料を出発材
    にした導波路の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ポリシラン化合物として、Si原子
    以外に炭化水素基,アルコール基,又は水素原子と結合
    しているものを用いることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載のポリマ材料を出発材にした導波路の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 上記ポリシラン化合物として、その一部
    又は全てが重水素化されたものを用いることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載のポリマ材料を出発材
    にした導波路の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記ポリシラン化合物として、その一部
    又は全てがフッ素化されたものを用いることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれかに記載のポリマ材料を出発材
    にした導波路の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記シリコーン化合物として、架橋性,
    あるいはアルコキシ基からなるものを用いたことを特徴
    とする請求項5に記載のポリマ材料を出発材にした導波
    路の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記シリコーン化合物として、その一
    部又は全てが重水素化されたものを用いたことを特徴と
    する請求項5又は9に記載のポリマ材料を出発材にした
    導波路の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記シリコーン化合物として、その一
    部又は全てがフッ素化されたものを用いたことを特徴と
    する請求項5又は9に記載のポリマ材料を出発材にした
    導波路の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記基板として、ガラス基板,プラス
    チック基板,サファイア基板、フレキシブルなプラスチ
    ックフィルムのいずれかかであって少なくとも350℃
    以上の耐熱温度を有するものを用いることを特徴とする
    請求項1〜11のいずれかに記載のポリマ材料を出発材
    にした導波路の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003100486A1 (fr) * 2002-05-28 2003-12-04 Matsushita Electric Works, Ltd. Materiau pour le montage mixte de substrat de circuit optique/circuit electrique et montage mixte de substrat de circuit optique/circuit electrique
JP2004287396A (ja) * 2003-03-03 2004-10-14 Hitachi Chem Co Ltd 光導波路フィルム

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