JP2003052368A - ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産法 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産法

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JP2003052368A
JP2003052368A JP2001245361A JP2001245361A JP2003052368A JP 2003052368 A JP2003052368 A JP 2003052368A JP 2001245361 A JP2001245361 A JP 2001245361A JP 2001245361 A JP2001245361 A JP 2001245361A JP 2003052368 A JP2003052368 A JP 2003052368A
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polyhydroxyalkanoic acid
culture
acid
pha
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Katsutoshi Hori
克敏 堀
Hajime Unno
肇 海野
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PHAとラムノリピッドの生産コストを大幅に
削減できる手段を提供する。 【解決手段】 以下の(1)〜(4)の工程を含むポリ
ヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産法。 (1)シュードモナス属に属し、ポリヒドロキシアルカ
ン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有する微生
物、又は前記微生物から単離されたラムノリピッド生合
成関連遺伝子若しくはポリヒドロキシアルカン酸生合成
関連遺伝子を組み込んだ微生物を培地中で培養する工程 (2)(1)の培養で得られた培養液を菌体細胞と培養
上清とに分ける工程 (3)(2)で得られた菌体細胞からポリヒドロキシア
ルカン酸を採取する工程 (4)(2)で得られた培養上清からラムノリピッドを
採取する工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリヒドロキシア
ルカン酸(PHA)とラムノリピッドを同時に生産する方
法に関する。この方法では、一つの微生物から二つの物
質を同時に生産するので、両物質の生産コストを大幅に
低減させることができる。
【0002】
【従来の技術】PHAは生分解性プラスチックとして期待
されており、これまでに多くの研究がなされてきたとと
もに、試験生産もされてきた。しかしながら、従来の石
油を原料としたプラスチックと比べて、生産コストが数
倍から10倍もかかり、これが本格的な実用化の妨げと
なっている。PHAの発酵生産にかかるコストを削減しよ
うと、これまでにも多くの研究がなされてきた。その研
究戦略としては、PHAの細胞内含率の向上、安価な炭素
源の使用、有機系廃棄物の有効利用、微生物の高濃度培
養、遺伝子組換え微生物の利用、回収プロセスの改良な
どが挙げられる。しかしながら、これまでのような研究
手法では、コストダウンには限界があると言われ始めて
いる。例えば、PHAの中では構造が最も単純で、物性面
からも実用化が困難であるとされるポリヒドロキシ酪酸
(PHB)を年間3000トンの規模で生産することを想定し
ても、石油を原料とする汎用プラスチックの4倍以下に
下げるのは困難であると試算されている。さらなるコス
トダウンを達成するには、技術のブレークスルーか新し
い発想が必要である。
【0003】微生物界面活性剤、バイオサーファクタン
トも、化学合成によって得られる界面活性剤よりも環境
にやさしい天然界面活性剤として注目を集めている。特
に、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeru
ginosa)によって生産されるラムノリピッドは、様々な
分野での応用が研究されてきた。例えば、油で汚染され
た環境の浄化、土壌中からの有毒重金属の吸着除去、原
油の三次回収、化粧品やヘルスケア用品、農薬、医薬品
などの分野で具体的な応用が検討されている。さらにラ
ムノリピッドはラムノースの原料にもなる。ラムノース
は化学工業でファインケミカルとして使用されたり、一
連の化学反応の中で主要な中間物になったり、有機化合
物合成の出発原料として使用されている。ラムノースは
工業的には現在、樫の樹皮から取れるクエルシトリン
や、シトラスの果皮から得られるナリンギン、種々の植
物中に存在するルチンといった天然物から生産されてい
る。しかしながら、これら物質からラムノースを得る工
程は、他の糖類からの分離の必要性、潜在的に有害な芳
香族化合物を含む廃棄物、抽出工程での有害かつ腐食性
の薬品の使用など、いくつかの問題を抱えている。こう
した中、ラムノースのもう一つの供給源としてシュード
モナス・エルジノーサによって生産されるラムノリピッ
ドが注目されている。このような有望な応用例が検討さ
れているにもかかわらず、シュードモナス・エルジノー
サによるラムノリピッド生産の商業化は、PHAと同様、
生産コストの問題により阻まれている。20〜100 m3の発
酵規模でラムノリピッドを生産する場合のコストは1キ
ログラムあたり20〜5米ドル程度であり、化学合成の界
面活性剤が1キログラムあたり1〜3米ドルであるのと
比べるとかなり高いと言わざるを得ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、PH
Aとラムノリピッドは有用性の高い物質であるにもかか
わらず、コストの問題から商業的な生産が進んでいなか
った。本発明は、PHAとラムノリピッドの生産コストを
大幅に削減できる手段を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】シュードモナス・エルジ
ノーサは、中鎖長のPHA(mcl-PHA)を菌体内に蓄積し、
ラムノリピッドを菌体外に分泌生産する。本発明者は、
この点に着目し、菌体細胞と培養上清を遠心分離などで
分ければ、その両方をこれら二つの物質を生産するため
に有効に使用できるのではと考えた。この試みは、菌体
内に蓄えられるPHAの生産コストは菌体細胞自体の生産
コストを下回ることはあり得ないという既成概念をも崩
すものである。菌体細胞は発酵によって生産される高価
な生体触媒であり、同時生産プロセスは、従来の単一生
産プロセスよりも、この生体触媒を有効に活用しようと
いうものである。
【0006】本発明は、以上のような着想に基づき、完
成されたものである。
【0007】即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)の
工程を含むPHAとラムノリピッドの同時生産法である。 (1)シュードモナス属に属し、PHA及びラムノリピッ
ドを生産する能力を有する微生物、又は前記微生物から
単離されたラムノリピッド生合成関連遺伝子若しくはポ
リヒドロキシアルカン酸生合成関連遺伝子を組み込んだ
微生物を培地中で培養する工程 (2)(1)の培養で得られた培養液を菌体細胞と培養
上清とに分ける工程 (3)(2)で得られた菌体細胞からPHAを採取する工
程 (4)(2)で得られた培養上清からラムノリピッドを
採取する工程 また、本発明は、以下の(1)〜(6)の工程を含み、
(3)及び(4)及び(6)の工程を二回以上行ってよ
い、ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時
生産法である。 (1)シュードモナス属に属し、ポリヒドロキシアルカ
ン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有する微生
物、又は前記微生物から単離されたラムノリピッド生合
成関連遺伝子若しくはポリヒドロキシアルカン酸生合成
関連遺伝子を組み込んだ微生物を培養し、増殖させると
同時にラムノリピッドを生産させる工程 (2)(1)で得られた培養液を菌体細胞と培養上清と
に分ける工程 (3)(1)で増殖させ(2)で分離した菌体細胞又は
(4)で得られた菌体細胞を増殖を抑制しながら培養
し、ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドを生産
させる工程 (4)(3)の培養で得られた培養液を菌体細胞と培養
上清とに分ける工程 (5)(4)で得られた菌体細胞からポリヒドロキシア
ルカン酸を採取する工程 (6)(2)及び(4)で得られた培養上清からラムノ
リピッドを採取する工程
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明のPHAとラムノリピッドの同時生産
法は、以下の(1)〜(4)の工程を含むものである。
【0009】工程(1)では、PHA及びラムノリピッド
を生産する能力を有する微生物を培地中で培養する。
【0010】使用する微生物は、シュードモナス属に属
し、PHA及びラムノリピッドを生産する能力を有するも
のが好ましく、シュードモナス・エルジノーサ又はシュ
ードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)に属するも
のが更に好ましい。使用可能な菌株としては、シュード
モナス・エルジノーサIFO3924(財団法人発酵研究所に
おいて保存)、シュードモナス・エルジノーサPAO1(ワ
シントン大学ゲノムセンターにおいて保存)、シュード
モナス・エルジノーサIFO3755(財団法人発酵研究所に
おいて保存)、シュードモナス・プチダ IFO14164(財
団法人発酵研究所において保存)などを挙げることがで
き、これらの菌株の中でもシュードモナス・エルジノー
サPAO1又はシュードモナス・エルジノーサIFO3924を使
用するのが好ましく、シュードモナス・エルジノーサIF
O3924を使用するのが特に好ましい。また、以上の菌株
のほか、これらの菌株の変異株を使用してもよい。更
に、前述した菌株などから単離したラムノリピッド生合
成関連遺伝子またはPHA生合成関連遺伝子を組み込ん
で、PHA及びラムノリピッドの同時生産能力を付与した
遺伝子改変株を使用することもできる。この際、使用す
る宿主微生物は、シュードモナス属の微生物であっても
よく、それ以外の微生物、例えば、大腸菌、水素細菌
Ralstonia eutropha)、藍藻類などであってもよい。
【0011】PHAとしては、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ
ヒドロキシヘキサン酸、ポリヒドロキシオクタン酸、ポ
リヒドロキシデカン酸、ポリヒドロキシ吉草酸、および
それらの共重合体などを例示することができる。
【0012】使用する培地は、微生物にPHAとラムノリ
ピッドを生産させることのできるような培地であればど
のようなものでもよい。炭素源としては、微生物が資化
できるものであれば特に限定されないが、PHA等の生産
効率の面から脂肪酸又は油脂を豊富に含む動植物油を炭
素源とすることが好ましい。脂肪酸としては、デカン
酸、オクタン酸、ノナン酸、ドデカン酸、リノール酸、
ステアリン酸、リノレン酸、パルミチン酸などを例示す
ることができ、油脂を豊富に含む動植物油としては、パ
ームオイル、オリーブオイル、コーンオイルなどを例示
することができる。窒素源としては、燐酸水素二アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどを例
示できる。炭素源及び窒素源の量は特に限定されず、炭
素源としてデカン酸、窒素源として燐酸水素二アンモニ
ウムを使用した場合、それぞれ5〜10g/L、1〜3g/Lと
するのが好ましい。但し、窒素源については、微生物の
増殖を目的としないのであれば含んでいなくてもよい。
使用可能な培地の具体例としては、デカン酸を添加した
BSM培地、MBSM培地などを例示することができる。
【0013】培養時の温度は25℃〜40℃に維持すること
が好ましい。また、培地中のpHは6〜8に維持すること
が好ましい。
【0014】PHAは、培地中の炭素源が消費され尽くし
た時期に最大量に達する。一方、ラムノリピッドは、PH
Aが最大量に達した時期からおよそ10時間後に最大量に
達する。従って、効率的にPHAとラムノリピッドを得る
ためには、培地中の炭素源が消費され尽くした時期から
10時間の間に培養を終了させることが好ましい。
【0015】工程(2)では、工程(1)の培養で得ら
れた培養液を菌体細胞と培養上清とに分ける。菌体細胞
と培養上清は、既知の方法、例えば、遠心分離などによ
って分けることができる。遠心分離の条件は特に限定さ
れないが、7000〜10000gで10〜20分ぐらいが適当であ
る。
【0016】工程(3)では、工程(2)で得られた菌
体細胞からPHAを採取する。採取方法は特に限定され
ず、例えば、菌体細胞を凍結乾燥した後、クロロホルム
などの有機溶媒で抽出する方法、次亜塩素酸等の薬品を
作用させる方法、細胞壁分解酵素や蛋白質分解酵素など
の酵素カクテルを作用させる方法、熱処理により細胞を
破砕する方法、マイクロろ過による分離、あるいはこれ
らのいくつかを有効に組合わせた方法などをあげること
ができる。
【0017】工程(4)では、工程(2)で得られた培
養上清からラムノリピッドを採取する。ラムノリピッド
の採取方法も特に限定されず、例えば、エーテルなどの
有機溶媒で抽出することができる。さらに抽出液をクロ
マトグラフィー等によって精製することにより、純度の
高いラムノリピッドを得ることができる。
【0018】以上述べた生産法の一部を改良した方法と
して、微生物の培養を増殖と生産とに分ける方法、回分
培養を反復して行う方法(反復回分法)、回分培養中に
培地に炭素源を添加する方法(半回分法)、前述の反復
回分法と半回分法を組み合わせた方法(反復半回分法)
などを例示できる。
【0019】微生物の培養を増殖と生産とに分ける方法
は、最初に微生物を培養し、増殖させ、次に増殖を抑制
しながら培養する方法である。微生物によるPHAとラム
ノリピッドの生産は、増殖が停止した後に開始されるの
で(図1及び図2)、PHAとラムノリピッドの生産を目
的とするのであれば増殖を抑制しながら培養する方がよ
い。しかし、十分な微生物量を確保するためには、微生
物を増殖させることが必要なので、微生物の培養を増殖
と生産の二段階に分け、これにより効率的なPHAとラム
ノリピッドの生産が可能になる。微生物の増殖を抑制す
る方法としては、菌体の増殖に必須な窒素やリンなどの
栄養源を制限した培地を使用する方法、酸素供給量を抑
えた条件で培養する方法などがある。
【0020】微生物の増殖に使用する培地は、微生物の
増殖に必要な炭素源及び窒素源を含む培地であれば特に
限定されない。炭素源としては、微生物が資化できるも
のであれば特に限定されず、デカン酸等の脂肪酸、油脂
を多く含む動植物油、エタノール、グルコースなどが使
用可能であるが、これらの中でも増殖効率の面からグル
コースや油脂、脂肪酸を使用するのが好ましい。窒素源
としては、燐酸水素二アンモニウム、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウムなどを例示できる。炭素源及び窒
素源の量は特に限定されず、炭素源としてグルコース、
窒素源として燐酸水素二アンモニウムを使用した場合、
それぞれ7〜30g/L、1〜2g/Lとするのが好ましい。使
用可能な培地の具体例としては、グルコースを添加した
BSM培地、MBSM培地などを例示することができる。増殖
時における培養温度は25〜40℃に維持することが好まし
い。また、培地中のpHは6〜8に維持することが好まし
い。
【0021】増殖抑制時に使用する培地は、増殖時に使
用する培地と同様のものを使用してもよいが、窒素源を
含まず、PHAとラムノリピッドの生産に必要な炭素源を
含む培地を使用するのが好ましい。このような培地を使
用すると、微生物の増殖が抑制されるので、PHAとラム
ノリピッドの効率的な生産が可能となる。炭素源として
は、微生物が資化できるものであれば特に限定されない
が、PHA等の生産効率の面から脂肪酸又は油脂を多く含
む動植物油を炭素源とすることが好ましい。脂肪酸とし
ては、デカン酸、オクタン酸、ノナン酸、ドデカン酸、
リノール酸、ステアリン酸、リノレン酸、パルミチン酸
などを例示することができ、油脂を豊富に含む動植物油
としては、パームオイル、オリーブオイル、コーンオイ
ルなどを例示することができる。炭素源の量は特に限定
されず、炭素源としてデカン酸を使用した場合、3〜10
g/Lとするのが好ましい。使用可能な培地の具体例とし
ては、デカン酸を添加し、窒素源を除いたBSM培地、MBS
M培地などを例示することができる。増殖抑制時におけ
る培養温度は25〜40℃に維持することが好ましい。ま
た、培地中のpHは6〜8に維持することが好ましい。
【0022】反復回分法は、工程(2)で得られた菌体
細胞から直ちにPHAを採取するのではなく、ラムノリピ
ッドのみを培養上清から回収し、菌体細胞の方は再度培
養し、PHAとラムノリピッドを生産させる方法である。
このような再培養を行うことにより、微生物を有効に利
用することができ、PHAとラムノリピッドの生産量を増
大させることができる。なお、再培養は一回だけでな
く、二回以上繰り返して行ってももよい。
【0023】半回分法は、工程(1)で培地に炭素源を
添加し、不足分の炭素源を補充して、微生物にPHAとラ
ムノリピッドを生産させる方法である。培地中の炭素源
が枯渇すると菌体中のPHAが分解するなどの問題が起き
るが、この方法では、枯渇する前に炭素源を補充するの
で、効率的なPHAとラムノリピッドの生産を行うことが
できる。炭素源の添加は連続的に行ってもよいし、ま
た、非連続的に行ってもよい。非連続的に添加する場合
は、培養期間中に1回だけ炭素源を添加してもよいし、
2回以上に分けて添加してもよい。
【0024】反復半回分法は、反復回分法の微生物培養
工程において、半回分法と同様に、培地に炭素源を連続
的又は非連続的に添加して培養を行う方法である。半回
分法では、培地中のラムノリピッド濃度が高くなり、発
泡や溶菌といった種々のトラブルが生じることがある
が、反復半回分法では、ラムノリピッド濃度が高くなっ
た段階で、培養上清を回収するので、このようなトラブ
ルを未然に防ぐことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説
明する。
【0026】最初に本実施例で用いた微生物及び実験方
法について説明する。微生物 本実施例に用いた微生物株は、シュードモナス・エルジ
ノーサIFO3924、シュードモナス・エルジノーサPAO1、
シュードモナス・エルジノーサIFO3755、シュードモナ
ス・プチダIFO14164である。これらの菌株は、植え継ぎ
と種培養のため、IFO培地802(ポリペプトン 10 g/L、
酵母エキス 2 g/L、硫酸マグネシウム・7水和物 1 g/
L)で培養した。フラスコ中での回分培養 微生物株を100 mlの無機塩培地(BSM)に炭素源として
脂肪酸、グルコース、またはエタノールを添加して培養
した。BSMは1Lあたり、燐酸水素二アンモニウム 1.1
g、燐酸水素二カリウム 5.8 g、燐酸二水素カリウム 3.
7 g、硫酸マグネシウム 0.12 g、微量元素溶液 1 mlを
含む。窒素源の消費速度が速すぎて経時的解析が困難な
場合には、窒素源濃度を1.5倍に調節した改良BSM(MBS
M)を使用した。MBSMは1Lあたり燐酸水素二アンモニウ
ム 1.65 g、燐酸水素二カリウム 5.4g、燐酸二水素カリ
ウム 3.4 g、硫酸マグネシウム 0.12 g、微量元素溶液
1 mlを含む。微量元素溶液は、1規定の塩酸1Lに、FeS
O4・7H2O, 2.8 g; MnSO4・5H 2O, 2.4 g; CoCl2・6H2O,
2.4 g; CaCl2・2H2O, 1.7 g; CuCl2・2H2O, 0.2 g; ZnS
O4・7H2O, 0.3 g; NaMoO4, 0.25 gを溶解した水溶液で
ある。培地に添加した炭素源の濃度は、最大量のラムノ
リピッドを得るのに最適と報告されている炭素/窒素比
(C/N)である18を基本に、その前後になるように決定
した。その結果、具体的には、グルコースは9 g/L (C/N
=18)、エタノールは7 g/L (C/N=18)、脂肪酸の一種であ
るデカン酸は7 g/L (C/N=16)に調製した。こうして調製
した培地に培地量の50分の1量の種菌を植菌し、3日間
培養した。培養はバッフル付きの500 ml三角フラスコを
用いて、28℃、回転振とう速度140rpmの条件で行った。
3日間の培養後、菌体細胞と培養上清を遠心分離した。
培養上清はラムノリピッドの分析と抽出に供した。細胞
は凍結乾燥後、PHAの分析に供した。ファーメンターによる回分培養 9 g/Lのグルコースを添加した2 LのBSM、または7 g/Lの
デカン酸を添加した2LのMBSMに、培地量の50分の1量の
シュードモナス・エルジノーサIFO3924を植菌した。培
養は3Lのファーメンターを用いて30℃の条件で好気的に
行った。培養中、20〜100 mlの培地を定期的にサンプリ
ングし、遠心分離により培養上清と菌体細胞を得た。前
者は炭素源、窒素源およびラムノリピッドの分析に供
し、後者は凍結乾燥後、PHAの分析と抽出に使用した。ラムノリピッドの抽出と分析 10 mlの培養上清に3モル/Lの硫酸を添加しpHを2に調整
した後、10 mlのクロロホルム/メタノール(2:1)混合
液を加え、ボルテックスにより激しく攪拌した。10000
gで10分間、遠心し、有機層を回収した。この抽出操作
をもう一度繰り返した。回収した有機層をエバポレータ
で蒸発させることより、黄色状の物質を得た。これをメ
タノールに再溶解し、孔径0.45μmのフィルターにより
濾過した。濾液を再びロータリーエバポレーターを使っ
て濃縮することにより、ラムノリピッド粗精製サンプル
を得た。これをシリカゲルプレートを用いた薄層クロマ
トグラフィーにより解析した。プレートの展開溶媒の組
成はクロロホルム65%、メタノール15%、酢酸2%であっ
た。ラムノリピッドのスポットはアントロン試薬によっ
て検出した。ファーメンターによる反復回分培養 7 g/Lのデカン酸を添加した2.5 LのMBSMに、培地量の50
分の1量のシュードモナス・エルジノーサIFO3924を植
菌した。培養は5 Lのファーメンターを用いて30℃の条
件で好気的に行った。培養は定期的にサンプリングを行
いながら42時間続けた(一段目)。42時間後、ファーメ
ンター中に残存した2 Lの培養液を全て回収し、遠心分
離により培養上清と菌体細胞を得た。培養上清は一段目
終了後に得られるラムノリピッドの分析に用いた。菌体
細胞は、窒素源を除いた2 LのBSMに再懸濁し、そこに終
濃度5 g/Lになるようにデカン酸ナトリウムを加えた。
その後直ちに(一段目から通算して45時間目)二段目の
培養を開始し、通算160時間までさらに培養を続けた
(二段目)。分析方法 ラムノリピッドの濃度はオルシノールアッセイにより求
めたラムノース濃度に2.5をかけることにより換算して
求めた。
【0027】菌体内のPHA含率とPHAのモノマー組成は、
凍結乾燥菌体15 mgをメタノリシス後、ガスクロマトグ
ラフィーで分析して求めた。
【0028】PHAの分子量は、凍結乾燥菌体からクロロ
ホルムで抽出し、メタノールで洗浄することにより得た
粗精製状態のPHAをGPCで測定することにより求めた。
【0029】培養液中のデカン酸の濃度は、培養上清を
塩酸で酸性にした後、クロロホルムでデカン酸を抽出
し、これをガスクロマトグラフィーで分析することによ
り求めた。
【0030】培養液中のアンモニウムイオンの定量はイ
ンドフェノール法により求めた。 〔実施例1〕 PHAとラムノリピッドの同時生産能力の
細菌株間での比較検討 PHAとラムノリピッドとの同時生産が可能であるかどう
かを調べるため、シュードモナス・エルジノーサに属す
る細菌3株、シュードモナス・プチダに属する細菌1株
について、フラスコを用いた回分培養により同時生産能
力を調べた。この4種の供試菌株のうち、シュードモナ
ス・エルジノーサIFO3924はラムノリピッドをエタノー
ルから高生産する株として報告されているが、PHA生産
に関する情報は全くなかったので選定した。一方、シュ
ードモナス・エルジノーサに近縁のシュードモナス・プ
チダは、シュードモナス・エルジノーサやシュードモナ
ス・オレオヴォランス(Pseudomonas oleovorans)とと
もに、優れたPHA生産菌として研究されてきたが、ラム
ノリピッド生産に関する報告はなかった。本研究で使用
したシュードモナス・プチダ IFO14164株もそのような
菌株の一つであった。シュードモナス・エルジノーサPA
O1は、PHAの生産菌としてもラムノリピッドの生産菌と
しても知られていた。また、同菌株において、PHA代謝
とラムノリピッド代謝がリンクしている可能性が指摘さ
れている。しかしながら、両方の生産物を同時に生産さ
せようという試みは皆無であった。シュードモナス・エ
ルジノーサIFO3755については、PHA生産とラムノリピッ
ド生産に関する情報は全くなかった。
【0031】炭素源については、シュードモナス属細菌
が好む中鎖長から長鎖長の脂肪酸を選定対象とした。そ
の中の一例として、ラムノリピッドの脂肪ユニットであ
る3-ヒドロキシデカン酸と同じ炭素数であるデカン酸を
実験に用いることにした。結果を表1に示す。全ての供
試菌株がPHAを生産した。
【0032】
【表1】 表1に示すように、最もPHA菌体内含率が低かったシュ
ードモナス・エルジノーサPAO1以外の3株は、本実験条
件で20%強のPHAを菌体内に蓄積した。一方ラムノリピッ
ドは、シュードモナス・エルジノーサIFO3755株とシュ
ードモナス・プチダIFO14164株によってごく微量しか生
産されなかった。結局供試菌株のうち、シュードモナス
・エルジノーサIFO3924とシュードモナス・エルジノー
サPAO1の2株がPHAとラムノリピッドの同時生産能力を
有していた。特に前者は後者よりも優れた同時生産能を
示したので、以降の実施例では前者を用いて実験を進め
ることとした。 〔実施例2〕 炭素源が同時生産に及ぼす影響 同時生産に適した炭素源を見いだすため、デカン酸、グ
ルコース、エタノールの3つの炭素源を用いてシュード
モナス・エルジノーサIFO3924のフラスコ回分培養を行
い、菌の増殖と両生産物の生産効率を比較した。デカン
酸は脂肪酸の一例として、前項で述べた理由により選定
した。エタノールは同菌株によるエタノールからのラム
ノリピッドの高生産が既に報告されていることから選定
した。グルコースは発酵生産の基質として最もよく使わ
れる糖類として、評価に加えた。実際、グルコースを使
ったラムノリピッドの生産については、他の菌株におい
ていくつかの報告例がある。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】 表2に示すように、デカン酸が3つの中で最も同時生産
に適した炭素源であった。エタノールはラムノリピッド
生産のための基質としては優れていることが確認できた
が、PHA含率は低く、また増殖が基質阻害を受けること
がわかった。グルコースでは増殖が阻害され、PHAは合
成されなかった。ある種の細菌をグルコースで培養する
と、グルコースが酸性物質に転換され、培地が酸性にな
って、結果として増殖が阻害されることがしばしばあ
る。そこで、培養後に培地のpHを測定したところその値
が5.5になっており、培地の酸性化が増殖とPHAの合成を
阻害したことが示唆された。 〔実施例3〕 デカン酸での回分培養による同時生産過
程の解析 デカン酸での回分培養による同時生産過程を詳細に解析
するため、ファーメンターを用いて回分培養を行った。
その結果を図1に示す。窒素源が消費され尽くして菌体
の増殖が止まると、PHAとラムノリピッドの合成が始ま
った。PHAの菌体内含率は、炭素源がなくなる時点で最
高となり、乾燥菌体の27%にまで達した。その後、PHA含
率は急速に低下した。これは、細胞内貯蔵物質であるPH
Aが炭素源、エネルギー源として利用されたことによ
る。一方、ラムノリピッドの合成は、細胞増殖の停止
後、PHAの合成よりも長い誘導期を有した。誘導期の後
ラムノリピッドの合成速度は上昇し、炭素源の枯渇前に
最大速度に達した。PHAとは対照的に、ラムノリピッド
の合成は、速度は低下しながらも、炭素源の枯渇後10時
間ほど続いた。培養開始後50時間で、培養上清中のラム
ノリピッドの濃度は最高値に達し、その値は240 mg/Lを
超えた。このように、ラムノリピッドはPHAの合成を追
うように合成され、両者が最高値を示す時間に差がある
ことが明らかとなった。PHAは炭素源が枯渇すると速や
かに消費されるため、培養終了のタイミングの見極めが
重要である。 〔実施例4〕 グルコースでの回分培養による同時生産
過程の解析 先に述べたように、この菌株をグルコースで培養する
と、培地の酸性化により菌体活性が阻害されることが示
された。そこで、ファーメンターを用いて、培地のpHを
中性に保ちながらグルコースで培養を行った。その結果
を図2に示す。菌体細胞の増殖はデカン酸での培養と同
程度にまで向上した。すなわち、どちらの炭素源でも、
増殖停止時の乾燥菌体重量はおおよそ1.5 g/Lであっ
た。さらにデカン酸では12時間あった菌体増殖の誘導期
が、グルコースでは全く見られなかった。したがって、
グルコースの方がむしろ菌体の増殖には適していると言
えよう。PHAとラムノリピドについては、両者とも合成
された。しかしながらその生産量はデカン酸の時と比べ
て極端に低かった。また、注目すべきことに、PHAとラ
ムノリピッドの合成は菌体が対数増殖を開始すると同時
に開始された。グルコースとアンモニアは15時間で消費
され尽くされ、その直後に両物質の合成速度は急上昇し
た。PHAの蓄積は36時間続き、乾燥菌体重量の10%に達し
た後、減少に転じた。この結果は、36時間の時点まで、
培地中に菌体に利用されうる炭素源が存在していたこと
を示す。実際、グルコースが消費された時点で、培地中
の総有機炭素(TOC)は培養開始時の3分の2も残存し
ていた。これは培地中のグルコースが酸性物質に転換し
て残っており、それが炭素源として利用されたことを意
味する。実際に、データには示していないが、培養上清
中に、グルコースが転換されて生じたグルコン酸が検出
された。TOCはその後も徐々に低下し、最終的に0.5 g/L
にまでなった。この細菌株はラムノリピッドはもちろ
ん、その他多くの有機物を菌体外に分泌生産していると
思われる。そのため、TOCは培養中完全に0にはならなか
ったものと思われる。なお、ラムノリピッドがPHA合成
を追うように合成された点は、デカン酸による培養と同
じである。
【0034】以上より、pHを制御することにより、グル
コースは有機酸よりも増殖を早めることがわかったが、
PHAとラムノリピッドの生産性は有機酸よりも大きく劣
ることが判明した。増殖時期と両物質の生産時期はずれ
るので、はじめ菌体をグルコースで増殖させておいた
後、炭素源を有機酸に切り替えPHAとラムノリピッドの
生産を行うのが効率的であることが示唆された。 〔実施例5〕 炭素源がPHAとラムノリピッドの特性に
及ぼす影響 グルコースとエタノールの場合は効率は悪いにせよ、シ
ュードモナス・エルジノーサIFO3924はデカン酸、グル
コース、エタノールからPHAとラムノリピッドを同時生
産する能力を有していることが明らかとなった。そこ
で、これらの炭素源から生産されるPHAとラムノリピッ
ドの特性を比較した。デカン酸とグルコースから生産さ
れたPHAの分子量分析の結果については、図1と図2に
それぞれ示してある。デカン酸においてもグルコースに
おいても、数平均分子量(Mn)は培養期間中わずかに増
大した。また数平均分子量は、総じてデカン酸から得ら
れたPHAよりもグルコースから得られたPHAの方が若干大
きかった。しかしながらこれらの値は、シュードモナス
属細菌によって合成されるPHAのこれまでの報告例と比
較して標準的な範囲に入るものであった。分子量分散度
(Mw/Mn)も培養を通じて2.0付近で推移しており、通常
の値であった。他方、デカン酸を炭素源とする場合とグ
ルコースまたはエタノールを炭素源とする場合では、PH
Aのモノマー組成が大きく異なることが明らかとなった
(表3)。
【0035】
【表3】 デカン酸の場合、3-ヒドロキシオクタン酸(C8)と3-ヒド
ロキシデカン酸(C10)が主要なモノマーユニットであ
り、前者の方が若干含率が高かった。これに対しグルコ
ースとエタノールの場合は、3-ヒドロキシデカン酸がも
っぱら主たるモノマーユニットであり、90%以上を占め
ていた。モノマー組成はPHAの物性に大きく左右するた
め、炭素源を選択することで物性の異なるPHAを、ラム
ノリピッドと同時生産できる可能性が示された。
【0036】上記3つの炭素源から生産されたラムノリ
ピッドについては、薄層クロマトグラフィーにより、組
成物の解析を行った。図3にその結果を示す。3種の炭素
源から得た全てのサンプルにおいて、共通の2つのスポ
ットが検出された。それら二つのスポットの移動度(Rf)
値は0.68と0.25であり、文献値と比較することにより、
前者はラムノースユニットが一つであるモノラムノリピ
ッド、後者はラムノースユニットが二つであるジラムノ
リピッドであることがわかった。これらの生成比は、炭
素源によらず同様であった。 〔実施例6〕 反復回分培養によるPHAとラムノリピッ
ドの同時生産 いったんラムノリピッドの生産に使われた微生物細胞を
PHAとラムノリピッドの同時生産に再使用できるかどう
かを検討するため、シュードモナス・エルジノーサIFO3
924の反復回分培養を試みた。同菌株を、まず、7 g/Lの
デカン酸を添加したMBSMで培養し、ラムノリピッドを生
産させた(バッチ一段目)。続いて遠心分離により集菌
し、回収した培養上清からはラムノリピッドを得た。一
方、集菌した菌体細胞は先に回収した培養上清と同量の
MBSMに再懸濁した。その際、MBSMからはPHAとラムノリ
ピッドの合成を促進するために窒素源を除くと同時に5
g/Lのデカン酸ナトリウムを加えた。それからさらなる
ラムノリピッドの合成と再使用の微生物細胞にPHAを蓄
積させるため、2回目の培養を開始した(バッチ二段
目)。その結果を図4に示す。バッチ一段目では、デカ
ン酸は38時間で消費尽くされ、その時、PHA含率は乾燥
菌体重量の24%に達した。その後、PHAは分解に転じた。
これは前述のバッチ培養の時と同様なパターンである。
そこでバッチ一段目を42時間目に終了した。一段目終了
時に回収した培養上清から得られたラムノリピッドは、
350 mg/Lに達した。バッチ二段目では、PHAは培養開始
直後から合成され始め、培地中のデカン酸がなくなった
104.5時間目に、乾燥重量の55%という高いPHA含率を達
成した。ラムノリピッドは、誘導期の後、PHA合成に続
くかたちで急速に合成され、培養終了時には600 mg/Lに
までなった。PHA合成とラムノリピッド合成のタイムラ
グは、バッチ培養の時と同様に見られたが、PHAの蓄積
量が最大になった時点で培養を止めたとしても、420 mg
/Lのラムノリピッドが得られたことになる。この結果
は、菌体細胞をラムノリピッドの生産のために繰り返し
使用できることと、最終的には高含率で細胞内に蓄えら
れたPHAを回収することが可能であることを実証した。 〔実施例7〕 パームオイル及びオクタン酸が同時生産
に及ぼす影響 同時生産に適した炭素源を見つける目的で、油脂の一種
であるパームオイル及び脂肪酸の一種であるオクタン酸
を炭素源として微生物の培養を行った。培養は前述した
「フラスコ中での回分培養」に準じて行った。
【0037】シュードモナス・エルジノーサIFO3924を
パームオイルを5 g/L含むBSMまたはオクタン酸を5 g/L
含むBSMで4日間培養した。培養は28℃、500 ml三角フラ
スコ中で行った。培養終了後、菌体細胞と培養上清を遠
心分離した。培養上清はラムノリピッドの抽出と分析に
供し、菌体細胞は凍結乾燥後、PHAの分析に供した。結
果を表4に示す。
【0038】
【表4】 表4に示すように、パームオイル、オクタン酸のいずれ
もPHAとラムノリピッドの同時生産に適した炭素源であ
った。
【0039】
【発明の効果】本発明は、PHAとラムノリピッドを同時
に生産する新規な方法を提供する。この方法では、一つ
の微生物から二つの物質を同時に生産するので、両物質
の生産コストを大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シュードモナス・エルジノーサIFO3924による
デカン酸からのPHAとラムノリピッドの同時生産プロセ
スにおける経時変化を示す図である。
【図2】シュードモナス・エルジノーサIFO3924による
グルコースからのPHAとラムノリピッドの同時生産プロ
セスにおける経時変化を示す図である。
【図3】シュードモナス・エルジノーサIFO3924によっ
てグルコース、エタノール、デカン酸から生産されたラ
ムノリピッドの薄層クロマトグラムを示す図である。
【図4】シュードモナス・エルジノーサIFO3924の反復
回分培養によるPHAとラムノリピッドの同時生産プロセ
スにおける経時変化を示す図である(矢印はバッチ二段
目の培養開始時間を示す。)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12P 19/44 C12R 1:385) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 BA80 DA05 DA20 GA11 HA01 4B064 AD32 AF41 CA02 CC03 CC24 CD07 CD30 DA11 DA16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(1)〜(4)の工程を含むポリ
    ヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産法。 (1)シュードモナス属に属し、ポリヒドロキシアルカ
    ン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有する微生
    物、又は前記微生物から単離されたラムノリピッド生合
    成関連遺伝子若しくはポリヒドロキシアルカン酸生合成
    関連遺伝子を組み込んだ微生物を培地中で培養する工程 (2)(1)の培養で得られた培養液を菌体細胞と培養
    上清とに分ける工程 (3)(2)で得られた菌体細胞からポリヒドロキシア
    ルカン酸を採取する工程 (4)(2)で得られた培養上清からラムノリピッドを
    採取する工程
  2. 【請求項2】 シュードモナス属に属し、ポリヒドロキ
    シアルカン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有す
    る微生物が、シュードモナス・エルジノーサIFO3924又
    はその変異株である請求項1記載のポリヒドロキシアル
    カン酸とラムノリピッドの同時生産法。
  3. 【請求項3】 微生物を培養する培地が、脂肪酸又は油
    脂を炭素源として含む培地である請求項1又は2記載の
    ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産
    法。
  4. 【請求項4】 微生物を培養し、増殖させた後、増殖を
    抑制しながら培養し、ポリヒドロキシアルカン酸とラム
    ノリピッドを生産させる請求項1乃至3のいずれか一項
    に記載のポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの
    同時生産法。
  5. 【請求項5】 培地に炭素源を連続的又は非連続的に添
    加して培養を行う請求項1乃至4のいずれか一項に記載
    のポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生
    産法。
  6. 【請求項6】 以下の(1)〜(6)の工程を含み、
    (3)及び(4)及び(6)の工程を二回以上行ってよ
    い、ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時
    生産法。 (1)シュードモナス属に属し、ポリヒドロキシアルカ
    ン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有する微生
    物、又は前記微生物から単離されたラムノリピッド生合
    成関連遺伝子若しくはポリヒドロキシアルカン酸生合成
    関連遺伝子を組み込んだ微生物を培養し、増殖させると
    同時にラムノリピッドを生産させる工程 (2)(1)で得られた培養液を菌体細胞と培養上清と
    に分ける工程 (3)(1)で増殖させ(2)で分離した菌体細胞又は
    (4)で得られた菌体細胞を増殖を抑制しながら培養
    し、ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピッドを生産
    させる工程 (4)(3)の培養で得られた培養液を菌体細胞と培養
    上清とに分ける工程 (5)(4)で得られた菌体細胞からポリヒドロキシア
    ルカン酸を採取する工程 (6)(2)及び(4)で得られた培養上清からラムノ
    リピッドを採取する工程
  7. 【請求項7】 シュードモナス属に属し、ポリヒドロキ
    シアルカン酸及びラムノリピッドを生産する能力を有す
    る微生物が、シュードモナス・エルジノーサIFO3924又
    はその変異株である請求項6記載のポリヒドロキシアル
    カン酸とラムノリピッドの同時生産法。
  8. 【請求項8】 ポリヒドロキシアルカン酸とラムノリピ
    ッドを生産させるための培地が、脂肪酸又は油脂を炭素
    源として含む培地である請求項6又は7記載のポリヒド
    ロキシアルカン酸とラムノリピッドの同時生産法。
  9. 【請求項9】 工程(1)又は(3)において、培地に
    炭素源を連続的又は非連続的に添加して培養を行う請求
    項6乃至8のいずれか一項に記載のポリヒドロキシアル
    カン酸とラムノリピッドの同時生産法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008047658A1 (fr) * 2006-10-17 2008-04-24 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Additif pour aliments pour animaux et aliments pour animaux
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JP2018514222A (ja) * 2015-05-05 2018-06-07 ロゴス テクノロジーズ, エルエルシー.Logos Technologies, Llc. 高収量および高力価でラムノリピッドを生産するための半連続方法
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