JP2003038475A - X線診断装置およびx線治療装置 - Google Patents

X線診断装置およびx線治療装置

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JP2003038475A
JP2003038475A JP2001233772A JP2001233772A JP2003038475A JP 2003038475 A JP2003038475 A JP 2003038475A JP 2001233772 A JP2001233772 A JP 2001233772A JP 2001233772 A JP2001233772 A JP 2001233772A JP 2003038475 A JP2003038475 A JP 2003038475A
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rays
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Minoru Yokoyama
横山  稔
Akira Iwata
章 岩田
Tsutomu Kawai
努 川合
Yasunari Oku
康成 奥
Hidenori Miura
秀徳 三浦
Masanori Kuroda
雅教 黒田
Fumihiko Oda
史彦 小田
Masao Sobashima
正朗 傍島
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな患部でも検出治療できる安全なX線治
療診断装置であって、病院でも設備することができる程
度に小型で経済的な装置を提供する。 【解決手段】 被験者7に摂取させたX線遮断性金属錯
体を患部に選択的に蓄積させて、X線発生装置1,2か
らのX線を照射してX線撮像装置6で患部のX線画像を
形成するX線診断装置であって、X線撮像装置6に到達
するX線のSN比がほぼ50以上になり、患部に蓄積し
た金属錯体と被験者7を透過するX線のコントラストが
ほぼ2%以上になり、かつX線エネルギーが40keV以
上であるようなエネルギー範囲に属する特性X線を発生
する金属ターゲット3を用いて、電子発生器1で発生し
電子加速器2で加速した電子ビームを金属ターゲット3
にぶつけて発生した特性X線を照射用X線として利用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属の錯体を患
部に蓄積させてX線を照射することにより患部の発見や
治療を行うX線治療診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線による診断は医学分野において無く
てはならないものになっている。特に腫瘍の発見にはX
線診断装置が有効であるが、従来は5mm程度より小さ
い腫瘍を確実に検出することは難かった。しかし、早期
発見により治療効果を高めるためには、0.5mm以下
の腫瘍を検出するX線診断装置が求められていた。小さ
な腫瘍などの患部を確実に検出することを目的として、
X線を遮断する重金属錯体を投与して患部に集中的に蓄
積させた上でX線を照射することにより、撮影時のコン
トラストを向上させ、小さな患部を見落とすことなく確
実に検出するようにしたX線診断方法が開発されてい
る。
【0003】たとえばPCT/JP99/0375に
は、モノ−L−アスパルチルクロリンe6のX線遮断性
金錯体を用いることにより、腫瘍組織や動脈硬化症病変
部の鮮明はX線画像を造影することが開示されている。
この金錯体はX線をよく遮断し、毒性が低い上、投与後
1〜3時間で腫瘍組織などに選択的に蓄積し、その後速
やかに排泄されるので、X線造影剤として利用すること
ができる。なお、0.153オングストロームの波長の
X線を照射すると励起されて腫瘍組織や動脈硬化病変部
に蓄積したコレステロールに対して細胞殺細胞作用ある
いは破壊作用を及ぼす可能性も有する。このため、X線
治療診断のために投与する造影剤および治療剤として利
用することができる。なお、この金錯体を動物に用い
て、大型シンクロトロン放射装置(SPring−8)
で生成した25keV線を照射することにより、腫瘍の撮
影に成功している。
【0004】しかし、大型シンクロトロン放射装置を病
院ごとに設備することは、装置の運転に特別の専門技術
が必要となることからもまた経済的にも実際的でないか
ら、この方法を実用化することは困難である。一方、従
来の小型管球を用いたX線源では、最大級のものを使用
しても満足できる分解能を得るためには1000分の1
程度の線量しかないため、よいX線画像を得ることは難
しい。また、25keVの低ネルギーX線は人体に吸収さ
れ易く、人体に障害を与える可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、小さな患部でも検出あるいは治療
できる安全なX線治療診断装置であって、病院でも設備
することができる程度に小型で経済的な装置を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、X線遮断性金属錯体を患部に選択的に蓄積させてX
線を照射してX線撮像装置で患部のX線画像を形成する
本発明のX線診断装置は、特性X線を発生する金属ター
ゲットと該金属ターゲットに照射する電子ビームを発生
する電子ビーム発生器とにより特性X線を発生させて前
記照射するX線として利用するX線発生装置を備えたこ
とを特徴とする。本発明のX線診断装置は、重金属の特
性X線を利用するため、簡単に極めて強力なX線を得る
ことができ、鮮明なX線画像を形成することができる。
【0007】本発明のX線診断装置は、さらに、X線撮
像装置に到達するX線のSN比がほぼ50以上になり、
患部に蓄積した金属錯体と被験者を透過するX線のコン
トラストがほぼ2%以上になり、かつX線エネルギーが
40keV以上であるようなエネルギー範囲に属する特性
X線を発生する金属ターゲットと該金属ターゲットに照
射する電子ビームを発生する電子ビーム発生器とにより
照射用X線を発生させるX線発生装置を備えることを特
徴とする。
【0008】40keV以下のX線は人体に吸収し易く、
長時間の照射は障害をもたらす危険があるが、40keV
以上のX線は人体を容易に通過して大きな影響を残さな
い。また、鮮明なX線画像を得るためには、画像のSN
比が50以上で、かつ対象が存在するときと存在しない
ときを比較した画像のコントラストが2%以上あること
が好ましい。SN比は、1個の測定画素(ピクセル)に
入射する光子数の平方根に等しくなる。したがって、測
定画素の面積が等しければ、X線の強度が大きいほどS
N比は大きくなる。SN比を50以上にするためには、
1画素当たり測定時間中に2500個以上の光子が入射
するようにすればよい。
【0009】また、コントラストは、金属錯体に吸収さ
れるX線量と透過するX線量の比が大きいほど大きくな
る。金属錯体に吸収されるX線量はK吸収端やL吸収端
などの吸収端を無視すればX線エネルギーが小さいほど
増大する。コントラストは金属錯体の密度に比例する
が、金属錯体が患部に蓄積されるときの濃度には限界が
あるので、検出可能な患部の大きさに制約が生じる。本
発明のX線診断装置は、重金属の特性X線を利用して、
画像のSN比を50以上、画像のコントラストを2%以
上あるようにし、かつ人体が吸収しやすい40keV以下
のX線を減少させるので、被験者に悪い影響を与えるこ
となく、極く小さな初期の癌細胞など患部の明瞭なX線
画像を取得することができる。
【0010】また、本発明のX線診断装置は、40keV
から55keVの範囲で特性X線を発生する金属ターゲッ
トを用いて照射用X線を発生させるようにすることが好
ましい。本発明の発明者等の知見によれば、人体内の患
部に金属錯体を0.1%から1%程度堆積させることが
できるので、X線エネルギーと人体のX線吸収と金属錯
体のX線吸収の関係から、患部を測定するときにはX線
エネルギーが55keV以下であれば、ほぼ満足できるコ
ントラストを得ることができる。そこで、40keVから
55keVの範囲で特性X線を発生する金属ターゲットを
用い、これに加速電子ビームを照射してSN比を確保で
きる程度に強い特性X線を発生させて利用するようにし
た。したがって、本発明装置により取得されるX線画像
は、十分なコントラストと高いSN比を有する。
【0011】本発明のX線診断装置を用いるときには、
40keVから55keVの範囲に吸収帯を有する重金属を含
むX線遮断性金属錯体を被験者に投与する。すると、被
験者の体内に存在する腫瘍や動脈硬化症病変部に金錯体
が蓄積されるので、X線を照射すると、腫瘍などの形状
が鮮明なX線画像として現れる。本発明のX線診断装置
によると、視認すべき患部の大きさより十分小さい、た
とえば径50μm程度の画素を用いることにより、0.
2mm程度の患部を検出することができる。このよう
に、本発明を用いることにより、患部の検出可能サイズ
を従来の5mm程度と比較して1桁小さくすることがで
きるので、癌などの早期発見に大きく役立つ。さらに、
本装置を組み込んだコンピュータトモグラフィ装置(C
T)を用いれば、腫瘍、固定癌などの患部の3次元的位
置を容易に知ることができるので、より的確な治療を行
うことができる。
【0012】また、本発明のX線診断装置は、40keV
から55keVの範囲で特性X線を発生する金属ターゲッ
トを用いる代わりに、X線遮断性金属錯体に含まれる金
属が有する40keV以上のK吸収端エネルギーからその
K吸収端エネルギーよりほぼ20keV高いエネルギーま
でのエネルギー範囲に特性X線を有する金属ターゲット
を用いるようにしても良い。重金属は、K殻電子の結合
エネルギーであるK吸収端エネルギーを持った電子を吸
収してK殻電子を放出すると、この電子の空席に外側の
たとえばN殻軌道から電子が落ち込んできて、K殻電子
とN殻電子とのエネルギー差に対応する特性X線を発生
する。一般にX線の吸収はX線のエネルギーが高くなる
ほど減少するが、K吸収端では質量吸収係数が不連続的
に変化し、吸収量が著しく増加する。
【0013】そこで、患部に選択的に蓄積させる錯体金
属を40keV以上のK吸収端を持つものからが適当に選
択して、そのK吸収端に近い特性X線を発生する金属を
ターゲットとして利用すると、錯体に吸収される光子数
が増加してコントラストが向上する。なお、K吸収端付
近の質量吸収係数はK吸収端の下縁で急激に増加し吸収
端よりエネルギーの高い方で徐減するので、K吸収端よ
り僅かに高い領域、たとえばK吸収端以上であって、K
吸収端より20keV程度高いエネルギー以下のエネルギ
ー範囲内に、特性X線を有するような金属をX線発生用
ターゲットとすることが好ましい。
【0014】なお、X線発生装置において、電子ビーム
に代えてレーザを金属ターゲットに照射することにより
金属プラズマを発生させ、そこから特性X線を取り出す
方法を用いることもできる。また、X線発生装置にモノ
クロメータなどのフィルタ手段を備えて、患部の測定に
必要な領域のX線以外はできるだけ人体に照射しないよ
うにすることが好ましい。無意味なX線被曝を排除する
ためである。なお、フィルタ手段として各種のX線用フ
ィルタが使用できる。
【0015】K吸収端が40keV付近より高いエネルギ
ー位置にあり、低毒性で安定同位体を有する金属を含む
X線遮断性金属錯体を使用することができる。ランタノ
イド元素は、安定同位体を有し、原子量が増加するにつ
れて40keVから65keV付近までのK吸収端を有するの
で、造影剤として使用することができるが、特に、40
keVから55keV付近までのK吸収端を有するセリウム、
プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、
ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムが最適であ
る。なお、プロメチウムは安定同位体を持たないので、
造影剤として使うことは好ましくない。
【0016】なお、金のK吸収端は80.7keVにあ
り、40keVから55keVの範囲から外れているが、金錯
体は使用する上に有用な情報が豊富でありかつ安全性が
高いので、安心して造影剤として使用することができ
る。そこで、被験者に金錯体を投与して、K吸収端に近
い領域に特性X線を有する金属をターゲットとして発生
させたX線を照射して撮像することにより、患部の鮮明
なX線画像を効率的に得ることができる。
【0017】また、ランタノイド元素は、35keVから
55keV付近までのエネルギー範囲に特性X線を持つの
で、特性X線発生用のターゲットとして使用することが
できる。特に、40keV付近から55keV付近までの特性
X線を有するサマリウム、ユウロピウム、ガドリニウ
ム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビ
ウム、ツリウム、イッテルビウム、ハフニウムが最適で
ある。特に、43.6keVにK吸収端を持つネオジムを
造影剤とし、44.1keVの特性X線を発生するテルビ
ウムをX線発生用ターゲットとすると、安全性と経済性
に優れた組合せとなる。
【0018】また、患部に蓄積された金属錯体がX線を
良く吸収するため、その周囲の患部に集中的にX線を照
射したと同じ効果が得られる。従って、本発明のX線治
療装置は、上に説明したX線診断装置と同じ構成を有す
る装置であって、X線照射による治療行為が有効な疾患
に対して有効な治療を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下実施例を用いて本発明を詳細
に説明する。本実施例のX線治療診断装置は、被験者に
金属錯体からなる造影剤を投与して患部に堆積させ、特
定のエネルギーを有するX線を照射してX線画像を得
て、患部を観察するものである。また、患部に堆積した
金属に吸収させたX線エネルギーにより患部の変容を図
り、軽癒させることもできる。
【0020】
【実施例1】図1は本実施例のX線治療診断装置を示す
概念構成図である。図2は人体にX線を照射したときに
得られるX線画像のコントラストとSN比をX線エネル
ギーに対してプロットした図面、図3は金属ターゲット
に電子ビームを入射させたときに特性X線が多量に発生
することを示した線図、図4はランタノイド元素のK吸
収端と特性X線のエネルギー値を示した表、図5はX線
防護用にフィルターを設けた場合に有効となるX線エネ
ルギー領域を説明するグラフである。
【0021】本実施例のX線治療診断装置は、被験者7
が仰臥する寝台5の上方に電子発生部1と電子加速部2
を備えるX線発生装置を設け、寝台5の下にX線撮像部
6を設けたものである。X線撮像部6は、小さな画素を
平面に配列した光電変換装置を備えて、画素ごとに入射
した光子エネルギーに対応する電気信号を発生してX線
画像情報を形成する。また、X線発生装置と被験者7の
間にフィルター装置4を設けて不要なX線をカットし、
被験者7のX線被曝量をできるだけ抑えるようにしてい
る。
【0022】電子発生部1で発生する電子は電子加速部
2で加速され、加速部2の内に設けられた金属ターゲッ
ト3に照射する。ターゲットに電子がぶつかると、X線
が発生する。被験者7は、X線を良く吸収して遮断する
重金属が含まれた造影剤を予め与えられている。被験者
に投与される造影剤は、X線遮断性が大きく患部に選択
的に堆積すると共に、毒性が小さく速やかに排泄される
ものである必要がある。このような造影剤として、PC
T/JP99/03752に開示されたクロリン誘導体
の金錯体あるいは白金錯体を使用することができる。
【0023】シンクロトロン放射光は、従来の線源に比
べると非常に強く、通常の回転対陰極で得られるX線強
度の約1000倍以上ある。上記金錯体を固形癌部に蓄
積させて大型のシンクロトロン放射装置からの25keV
シンクロトロン放射X線を照射し、撮影時のコントラス
トを向上させて小さな癌を撮影することに成功してい
る。また、金錯体がよく吸収する波長を持ったX線を照
射すれば、金錯体が蓄積した癌部を破壊することがで
き、この方法は固形癌や腫瘍の発見のみならずそれらを
治療するためにも有効であることが分かっている。しか
し、大型のシンクロトロン放射装置は一般の病院で利用
することができるようなものではないので、実用化する
ことは困難であった。
【0024】本実施例のX線治療診断装置は、従来の管
球等で加速した電子ビームをターゲットに照射してX線
を発生させる従来のX線源を用いて、大型のシンクロト
ロン放射装置で得たものと変わらない精細で鮮明な患部
X線画像を得られるようにしたものである。鮮明な画像
を得るためには、SN比が50以上でコントラストが2
%以上必要とされている。図2は、本実施例のX線治療
診断装置におけるSN比とコントラストの波長依存性を
表したグラフである。評価の前提条件として、被験者7
に投与した金錯体が患部細胞に1%の濃度で含まれると
した。X線光子が被験者7に照射するときの密度を1c
2に対して1秒当たり7×109個とし、光子が被験者
7の体を透過する距離を水に換算して16cmとし、照
射時間を1秒としている。また、0.2mmの癌細胞を
検出するため画素の大きさを50μmとした。
【0025】X線エネルギーが増加すると、人体を透過
するX線光子数が増加するので、体の下に設けた画素に
到達する光子数が増加し、X線画像のSN比が向上す
る。上記条件の下では40keV近くでSN比50を越え
るようになる。また、金錯体に吸収されるX線光子数は
高エネルギーになるにつれて減少するが、K吸収端があ
るとそこで急増し、その後また徐々に減少する。水換算
16cm厚の人体に吸収される光子数もエネルギーが高
くなるにつれて減少するが、金錯体と人体ではX線光子
エネルギーに対する変化量が異なる。
【0026】画像のコントラストは、金錯体が含まれる
患部を透過する光子数と人体を透過する光子数の比に基
づいて決まるが、高エネルギーになるにつれて減少し、
55keV付近で2%を割ってしまう。しかし、80.7
2keVにある金のK吸収端の位置では急激に回復して2
%を超え、K吸収端より20keV大きな100keVの付近
で再び2%を下回るようになることが分かる。
【0027】一方、人体は40keV以下のX線を良く吸
収するので、X線被曝による悪影響を避けるため40ke
V以下のX線を照射しないようにすることが好ましい。
なお、図2は金を含む造影剤を使用することを前提とし
て求めた特性図であるが、他の重金属を用いた場合も吸
収端の位置が異なるがその他の領域では同様の傾向を有
し、40〜55keVの領域が利用に最適な領域であるこ
とは変わらない。
【0028】そこで、図2の下欄に示すように、X線撮
影には40〜55keVの範囲のX線を用いることによ
り、被験者に対する危険なX線被曝を抑制しながら、小
さな患部についてSN比が大きくコントラストが大きい
鮮明なX線画像を得ることができる。また、金錯体を造
影剤に使用するときは80〜100keV、その他の金属
を用いた場合でもK吸収端と吸収端からほぼ20keV上
のエネルギー位置まで範囲のX線を照射して撮影するこ
とにより、同様に鮮明なX線画像を得ることができる。
【0029】本実施例のX線治療診断装置は、癌部や腫
瘍部、動脈硬化症病変部などに金属錯体を選択的に集積
させてX線撮影をするものであって、上記X線エネルギ
ー領域に特性X線を有する金属をターゲットとして用い
るX線発生装置を使用することにより、さらに効率よく
鮮明なX線画像を得るようにしたものである。
【0030】ターゲットに電子がぶつかって発生するX
線には連続X線と特性X線がある。連続X線はいわゆる
制動放射により発生するもので、その強度は、電子の加
速電圧の2乗と電流と原子番号に比例して増加する。一
方、特性X線は、ターゲット物質を構成する元素の原子
殻を回る電子の結合エネルギーより大きい運動エネルギ
ーを有する入射電子が衝突することにより発生するもの
で、元素について固有の波長を有し、その強度は印加電
圧と励起電圧の差のn乗とX線管の電流に比例する。印
加電圧が励起電圧の2〜3倍のときにnはほぼ2であ
り、励起電圧の3倍以上ではnはほぼ1になり強度増加
の割合は減少する。
【0031】図3に、金をターゲットとして、0.5Me
Vの電子ビームを45度の角度で入射させた結果得られ
るX線のエネルギー分布を示す。図3には、80.72
keVの特性X線がその周辺の連続X線と比較すると10
倍程度の強度に達することが示されている。金以外の金
属であっても、一般に、特性X線は連続X線に対して1
桁から3桁程度高い強度を持っている。
【0032】そこで、このように強度の高い特性X線を
利用するため、特性X線が上記の目標領域に存在するよ
うな重金属をターゲットとし、電子加速装置で高エネル
ギー化した電子ビームを衝突させて発生したX線を被験
者に照射するようにした。40〜55keVの範囲に特性
X線を有する元素として、ランタノイド元素が挙げられ
る。図4は、ランタノイド元素のうち40〜55keVの
範囲にK吸収端または特性X線を有するものをリストし
たものである。特性X線に注目すると、原子番号63の
ユーロピウムEuから原子番号71のルテチウムLuま
でがこの範囲に特性X線を有するので、X線源用ターゲ
ットとして利用することができる。原子番号62から7
0の元素を列挙すると、ガドリニウムGd、テルビウム
Tb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エリビウ
ムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYbである。
【0033】なお、ターゲット金属から特性X線を発生
させる方法として、電子ビームの照射に限らず、レーザ
ビームの照射により金属をプラズマ化して特性X線を得
るレーザプラズマX線法を使用してもよい。
【0034】なお、哺乳類宿主に生じた腫瘍や癌、ある
いは動脈硬化症病変部などに選択的に蓄積される光感受
性の金属錯体として、ヘマトポリフィリン誘導体やクロ
リン誘導体が知られている。これら金属錯体を経口的に
あるいは注射などにより投与して紫外線やレーザを照射
する方法で癌等の発見や治療を行うことができる。さら
に、X線遮断性の高い重金属を含む金属錯体を投与して
患部に蓄積させ、透過力の強いX線を照射することによ
り、深部の患部に作用して診断あるいは治療することが
できる。
【0035】本実施例のX線診断装置では、40〜55
keVの範囲にある強い特性X線を使用するので、この範
囲にK吸収端を有する元素を造影剤として投与して、患
部に蓄積させてさらに有効にX線遮断を行うようにする
ことにより、X線画像のコントラストを向上させること
ができる。なお、造影剤としては、患部に対する選択性
が高く、排泄が速く、安全性が高いことが好ましい。
【0036】原子番号58のセリウムCeから原子番号
66のジスプロシウムDyまでのランタノイド元素はX
線を有効に遮断する重金属で、図4に示したリストのK
吸収端の欄から明らかなように、40〜55keVの範囲
にK吸収端を有する。したがって、これら重金属を含む
造影剤を使用し、そのK吸収端近くのエネルギーを有す
るX線を照射するようにすれば、患部の鮮明なX線画像
を得ることができる。
【0037】ただし、造影剤は体内の摂取するものであ
るため、放射化するものを避けることが好ましい。この
ため、安定同位体を持たないプロメチウムPmを除外し
て、セリウムCe、プラセオジムPr、ネオジムNd、
サマリウムSm、ユーロピウムEu、ガドリニウムG
d、テルビウムTb、ジスプロシウムDyのいずれかを
含む金属錯体を造影剤として利用することが好ましい。
たとえば、K吸収端が43.57keVのネオジムを含む
金属錯体を投与して、テルビウムの44.12keV特性
X線を照射すると、X線吸収領域と照射X線がよく整合
して、質の高いX線画像を形成することができる。
【0038】なお、金錯体は比較的入手しやすく安全性
も高く臨床データもよく蓄積されているので、造影剤と
して利用しやすい。金は40〜55keVの範囲では特に
強いX線吸収特性を示さないが、本実施例のX線診断装
置により強い特性X線を照射することにより比較的明瞭
なX線画像を得ることができる。さらに、金のK吸収端
が80.72keVにあるので、この領域の近所に特性X
線を有する金属をターゲットとして発生させたX線を照
射することによっても、明瞭なX線画像を得ることがで
きる。
【0039】また、強いX線を使用するため、無意味な
X線被曝をできるだけ避けて、患部の測定に必要な領域
のX線以外はできるだけ被験者に照射しないようにする
ことが好ましい。このため、X線発生装置と被験者7の
間にフィルター装置4を設けて不要なX線をカットして
いる。波長選択性を有するX線濾過方法には、モノクロ
メータを利用したフィルタなど、各種のX線用フィルタ
がある。
【0040】図5は、X線透過領域を示す図面である。
第1の透過領域は40〜55keVの範囲で、人体の吸収
が問題となる40keV以下の領域を除き、さらにコント
ラストが不足して鮮明なX線画像を形成するためには役
立たない55keV以上の領域を除いたものである。第2
の領域は、図中では金錯体を造影剤としたときを代表的
に表して80〜100keVの領域としているが、使用す
る重金属のK吸収端を下端として20keV高いエネルギ
ー位置を上端とする窓である。第2のフィルタ領域は、
K吸収端の後でコントラストが減少してほぼ2%以下に
なるまでの領域である。
【0041】第1のフィルタと第2のフィルタは、使用
する特性X線に従って選択して用いればよい。また、第
1と第2の領域が両方とも透過するようなフィルタを構
成して使用しても良い。このようなフィルタ手段によ
り、発生したX線のうち診断に直接貢献しない部分を除
去して、被験者7のX線被曝をできるだけ小さくするこ
とができる。
【0042】
【実施例2】また、PCT/JP99/03752にも
記載されているように、重金属錯体を患部に蓄積させて
適当な時間X線ビームを照射すると、患部に蓄積された
重金属錯体が励起されて電子を放出し、ガン細胞あるい
は動脈硬化症病変部のコレステロールに殺細胞作用ある
いは破壊作用を及ぼして、治療することができる可能性
があることが知られている。したがって、本発明のX線
診断装置は、そのままの構成でX線治療装置として使用
することができる可能性がある。
【0043】
【発明の効果】本発明のX線治療診断装置によれば、従
来、癌などの患部は大きさ5mm程度までが検出限界と
されてきたのに対して、1桁以上小さな患部の鮮明なX
線画像を得ることができるので、病変部を治療が容易な
極く早期のうちに発見して、早期治療を施すことが可能
になる。また、癌や動脈硬化症などに対して効果的なX
線治療が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例のX線治療診断装置を示す概
念構成図である。
【図2】本実施例において得られるX線画像のコントラ
ストとSN比をX線エネルギーに対してプロットした図
面である。
【図3】金属ターゲットに電子ビームを入射させたとき
に発生するX線のエネルギー分布図である。
【図4】ランタノイド元素のK吸収端と特性X線のエネ
ルギー値を示した表である。
【図5】X線防護用フィルターを設けたときに使用する
X線を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 電子発生部 2 電子加速部 3 金属ターゲット 4 フィルター装置 5 寝台 6 X線撮像部 7 被験者
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川合 努 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 奥 康成 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 三浦 秀徳 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 黒田 雅教 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 小田 史彦 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 傍島 正朗 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 Fターム(参考) 4C082 AA01 AA03 AC02 AE01 AG02 AG32 AG42 AJ07 AL04 MA01 4C093 AA24 EA01 EA02 EA11 EA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線遮断性金属錯体を被験者に摂取させ
    ることにより患部に選択的に蓄積させてからX線を照射
    しX線撮像装置で患部のX線画像を形成するX線診断装
    置であって、特性X線を発生する金属ターゲットと該金
    属ターゲットに照射する電子ビームを発生する電子ビー
    ム発生器とにより特性X線を発生させて前記照射するX
    線として利用するX線発生装置を備えたことを特徴とす
    るX線診断装置。
  2. 【請求項2】 前記特性X線が、前記X線撮像装置の測
    定素子に到達するX線のSN比がほぼ50以上になり、
    患部に蓄積した前記金属錯体と被験者を透過するX線の
    コントラストがほぼ2%以上になり、かつX線エネルギ
    ーが40keV以上であるようなエネルギー範囲に属する
    ことを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー範囲が、40keVから5
    5keVの範囲であることを特徴とする請求項1または2
    記載のX線診断装置。
  4. 【請求項4】 前記エネルギー範囲が、前記X線遮断性
    金属錯体に含まれる金属が有する40keV以上のK吸収
    端エネルギーから該エネルギーよりほぼ20keV高いエ
    ネルギーまでのエネルギー範囲であることを特徴とする
    請求項1または2記載のX線診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載のX線
    診断装置において、前記電子ビーム発生器に代えて、前
    記金属ターゲットに照射するレーザを発生するレーザ発
    生器を備えることを特徴とするX線診断装置。
  6. 【請求項6】 前記X線発生装置が、さらにフィルター
    手段を備えて、前記エネルギー範囲以外のX線を減衰さ
    せて照射することを特徴とする請求項1から5のいずれ
    かに記載のX線診断装置。
  7. 【請求項7】 前記X線遮断性金属錯体が、金、セリウ
    ム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウ
    ム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウムのいず
    れかの金属を含むことを特徴とする請求項1から6のい
    ずれかに記載のX線診断装置。
  8. 【請求項8】 前記金属ターゲットが、サマリウム、ユ
    ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
    ム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウ
    ム、ハフニウムのいずれかであることを特徴とする請求
    項1から7のいずれかに記載のX線診断装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれかに記載の構成
    を備えて、X線遮断性金属錯体を患部に選択的に蓄積さ
    せてX線を照射することにより患部の治療を行うX線治
    療装置。
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