JP2003037000A - 超電導高周波加速空胴の製造方法 - Google Patents

超電導高周波加速空胴の製造方法

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JP2003037000A
JP2003037000A JP2001220159A JP2001220159A JP2003037000A JP 2003037000 A JP2003037000 A JP 2003037000A JP 2001220159 A JP2001220159 A JP 2001220159A JP 2001220159 A JP2001220159 A JP 2001220159A JP 2003037000 A JP2003037000 A JP 2003037000A
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cavity
high frequency
cavity body
superconducting
manufacturing
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Sumiichi Shibuya
純市 澁谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作業環境、廃液処理また作業管理面等での煩雑
な作業を簡略し、しかもコストがかからず品質的に安定
したものを得ること。 【解決手段】超電導材からなる空胴本体と、当該空胴本
体の両端に取付けられたフランジとから構成され、空胴
本体の空胴内に高周波電力を入力して電界を発生させ、
当該電界により荷電粒子を加速させる超電導高周波加速
空胴の製造方法において、軸方向の両端に開口を有する
複数のセルを軸方向に配列して互いの開口どうしを接触
させ、当該接触部を溶接接合することにより一体化して
一つの空胴本体を形成し、次に空胴本体を形成した後に
当該空洞本体の内面を粗研磨し、しかる後に後仕上げ研
磨としてセラミックス系研磨材を含有させた研磨材また
は研磨液で機械的研磨により鏡面に仕上げる表面処理を
行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超電導材からなる
空胴本体と、この空胴本体の両端に取付けられたフラン
ジとから構成され、空胴本体の空胴内に高周波電力を入
力して電界を発生させ、この電界により荷電粒子を加速
させる超電導高周波加速空胴の製造方法に係り、特に作
業環境、廃液処理また作業管理面等での煩雑な作業を簡
略し、しかもコストがかからず品質的に安定した超電導
高周波加速空胴が得られるようにした超電導高周波加速
空胴の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えばLSI製造工程における
X線リソグラフィに使用することを目的として、電子、
陽電子等の荷電粒子を高周波加速空胴を用いて加速する
場合がある。
【0003】このように、高周波加速空胴は高周波電力
を荷電粒子に供給するものであり、高周波加速空胴内で
は、荷電粒子の速度に同期した数十MHzから数GHz
程度の高周波の高電界を発生させ、荷電粒子にはこの高
周波電界により電力が供給される。
【0004】この場合、荷電粒子ビームを効率良く加速
するため、高周波加速空胴にはより高い加速電界が求め
られ、この点超電導高周波加速空胴は、従来の常電導高
周波加速空胴よりも高い加速電界が得られることから、
次世代の粒子加速器に適用される。
【0005】図5は、この種の超電導高周波加速空胴が
組込まれた超電導高周波加速空胴クライオシステムの全
体構成例を示す断面模式図である。
【0006】図5において、超電導高周波加速空胴は、
超電導材からなる空胴本体1と、この空胴本体1の両端
に取付けられたフランジ2a,2bとから構成されてい
る。
【0007】フランジ2a,2bには、荷電粒子ビーム
4a,4bを空胴本体1内へ入出力させるためのビーム
パイプ3a,3bが取付けられている。
【0008】この超電導高周波加速空胴は、図示のよう
に、液体ヘリウム5が充満された液体ヘリウム槽6内に
収納されている。
【0009】この液体ヘリウム槽6は輻射熱シールド材
7で覆われ、さらにその外側が真空容器8で覆われてい
る。
【0010】さらに、液体ヘリウム槽5には、ヘリウム
供給ポート9が取付けられ、空胴本体1のフランジ近傍
位置には、空胴本体1内へ高周波電力を供給するための
入力カプラーポート10が取付けられている。
【0011】以上のように構成された超電導高周波加速
空胴クライオシステムにおいて、液体ヘリウム5中で冷
却された超電導高周波加速空胴に、入力カプラーポート
10から高周波電力を入力した状態で、ビームパイプ3
aから荷電粒子ビーム4aを空胴本体1内へ供給する
と、この荷電粒子は高周波電力の速度に同期して、ビー
ムパイプ3bから加速された荷電粒子ビーム4bとして
出力される。
【0012】図6は、このような荷電粒子を加速させる
超電導高周波加速空胴の製造方法の一例を示す製造工程
図である。
【0013】まず、図6(a)に示すように、軸方向の
両端に開口11a,11bを有する半割セル11を多数
個製造する。
【0014】具体的に言えば、例えばNb等の超電導材
料を、型を用いた絞り加工等で成型し、他の半割セル1
1との接合部(接触部)となる開口11a,11bを、
機械加工で規程寸法に仕上げる。
【0015】次に、図6(b)に示すように、2個の半
割セル11における互いの開口11aどうしを接触さ
せ、この接触部を、半割セル11の外周面側より電子ビ
ーム溶接(EBW)等で溶接して一体化して、一つのユ
ニットを製作する。
【0016】このようにして製造された複数個のユニッ
トを、互いの開口11bが接触するように軸方向に配列
し、また両端側にそれぞれに同じくNb等の超電導材料
で円筒状に形成されたビームポート13を接触するよう
に配列する。そして、各接触部を、ユニットの外側より
電子ビーム溶接等で溶接して一体化して、一つの空胴本
体1を製作する。
【0017】次に、このようにして製作された空胴本体
1の両端の開口1a,1bに、図5に示したフランジ2
a,2bを取付ける。
【0018】ところで、超電導高周波加速空胴は、空胴
内の表面状態が空胴の性能に大きく作用するため、空胴
本体1を形成した後に、空胴本体1の内面の表面処理を
行ない、表面欠陥を除去して清浄な表面を得ることが必
要である。
【0019】すなわち、製造工程において、不純物、有
害な酸化物、数ミクロンオーダーの傷の発生を皆無にす
ることは困難であり、これらの欠陥は、欠陥部から電界
放出や高周波損失の増大を伴なって、空洞性能を低下さ
せるからである。
【0020】そのため、超電導高周波加速空胴の表面処
理方法として、まず粗研磨であるバレル研磨等による機
械的な研磨を行なった後に、電解液中で空胴本体1を陽
極として電流を流して研磨する電解研磨、あるいは研磨
液で化学的に溶解して研磨する化学研磨による仕上げ研
磨を行なって、所定の表面粗さを出し、純水をノズル等
により圧力100kgf/cm2の高圧で空胴内面に噴射させ
ることで、研磨液等の残留物を取り除くようにしてい
る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示したような超電導高周波加速空胴の製造方法において
も、未だ解消すべき次のような課題がある。
【0022】すなわち、空胴本体1の内面の表面処理と
して、Nbの場合、沸酸(HF)以外のほとんどの酸に
対して化学的に安定であることから、電解研磨あるいは
化学研磨のいずれにおいても、沸酸(HF)を使用する
研磨方法であるため、作業環境、廃液処理また作業管理
面でも、特別な措置が必要とされる。
【0023】また、純水による高圧洗浄だけでは、空胴
内面の表面粗さが0.5μm以下の表面状態の微細な隙
間に侵入した研磨液を完全に除去するのは困難であり、
化学的残留物が残留して超電導特性が損なわれることか
ら、性能を劣化させる原因となる。
【0024】以上のような点から、従来の超電導高周波
加速空胴の製造方法では、品質的に十分安定したものを
得ることは困難である。
【0025】本発明の目的は、作業環境、廃液処理また
作業管理面等での煩雑な作業を簡略し、しかもコストが
かからず品質的に安定した超電導高周波加速空胴を得る
ことが可能な超電導高周波加速空胴の製造方法を提供す
ることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に対応する発明では、超電導材からなる
空胴本体と、当該空胴本体の両端に取付けられたフラン
ジとから構成され、空胴本体の空胴内に高周波電力を入
力して電界を発生させ、当該電界により荷電粒子を加速
させる超電導高周波加速空胴の製造方法において、軸方
向の両端に開口を有する複数のセルを軸方向に配列して
互いの開口どうしを接触させ、当該接触部を溶接接合す
ることにより一体化して一つの空胴本体を形成し、次に
空胴本体を形成した後に当該空洞本体の内面を粗研磨
し、しかる後に後仕上げ研磨としてセラミックス系研磨
材を含有させた研磨材または研磨液で機械的研磨により
鏡面に仕上げる表面処理を行なうようにしている。
【0027】また、請求項2に対応する発明では、上記
請求項1に対応する発明の超電導高周波加速空胴の製造
方法において、セラミックス系研磨材の成分としては、
Al 23あるいはSiO2を用いるようにしている。
【0028】従って、請求項1および請求項2に対応す
る発明の超電導高周波加速空胴の製造方法においては、
空胴本体を形成した後に当該空洞本体の内面を粗研磨
し、しかる後に仕上げ研磨として、沸酸(HF)を使用
しないAl23あるいはSiO 2を成分とするセラミッ
クス系研磨材を含有させた研磨材または研磨液で機械的
研磨により鏡面に仕上げる表面処理を行なうことによ
り、機械的研磨で鏡面に仕上げることによって、電解研
磨あるいは化学研磨処理を行なったものと同等の効果が
得られるため、作業環境、廃液処理また作業管理面等で
の煩雑な作業を簡略することができる。
【0029】さらに、請求項3に対応する発明では、前
記請求項1または請求項2に対応する発明の超電導高周
波加速空胴の製造方法において、表面処理を行なった後
の空胴本体の内面に付着した汚染物質を、洗浄流体とし
て超臨界流体を用いて洗浄するようにしている。
【0030】従って、請求項3に対応する発明の超電導
高周波加速空胴の製造方法においては、表面処理を行な
った後の空胴本体の内面に付着した汚染物質を、洗浄流
体として超臨界流体を用いて洗浄することにより、純水
による高圧洗浄だけでは研磨液が完全には除去されない
ものが、表面処理後の空胴本体の内面に付着した汚染物
質を完全に除去することができるため、性能の劣化の原
因が排除されて、荷電粒子に対する良好な加速性能を確
保することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0032】(第1の実施の形態)図1は、本実施の形
態による超電導高周波加速空胴の製造方法の一例を示す
製造工程図であり、図5および図6と同一要素には同一
符号を付して示している。
【0033】本実施の形態では、超電導高周波加速空胴
を、以下のようにして製造する。
【0034】まず、図1(a)に示すように、軸方向の
両端に開口11a,11bを有する半割セル11を多数
個製造する。
【0035】具体的に言えば、例えばNb等の超電導材
料を、型を用いた絞り加工等で成型し、他の半割セル1
1との接合部(接触部)となる開口11a,11bを、
機械加工で規程寸法に仕上げる。
【0036】次に、図1(b)に示すように、2個の半
割セル11における互いの開口11aどうしを接触さ
せ、この接触部を、半割セル11の外周面側より電子ビ
ーム溶接(EBW)等で溶接して一体化して、一つのユ
ニットを製作する。
【0037】次に、このようにして製造された複数個の
ユニットを、互いの開口11bが接触するように軸方向
に配列し、また両端側にそれぞれに同じくNb等の超電
導材料で円筒状に形成されたビームポート13を接触す
るように配列する。そして、各接触部を、ユニットの外
側より電子ビーム溶接等で溶接して一体化して、一つの
空胴本体1を製作する。
【0038】次に、このようにして空胴本体1を形成し
た後に、当該空洞本体1の内面を粗研磨する。
【0039】次に、仕上げ研磨として、純水あるいは弱
酸性の組成液にセラミックス系研磨材を混合含有させた
研磨液(または研磨材)41で、機械的研磨により鏡面
に仕上げる表面処理を行なう。
【0040】次に、このようにして形成された空胴本体
1の両端の開口1a,1bに、前記図5に示したと同様
にフランジ2a,2bを取付けて、最終の超電導高周波
加速空胴の製造する。
【0041】以上のようにして製造された空胴本体1
を、前記図5に示すようにクライオスタット内に組み込
んで、超電導高周波加速空胴クライオシステムを製作す
る。
【0042】なお、上記において、空洞本体1の内面の
表面処理方法としては、具体的には、まずバレル研磨等
により約100μm程度機械的に研磨した後、図2に示
すように、例えばセラミックス系研磨材として粒径が約
2.5μmのものを入れた研磨液41を、空胴本体1の
内部に50%程度注入させ、蓋42等により密封し、固
定治具を回転治具の軸心回りに、図示しない回転機構に
て回転駆動して、空胴本体1の内面を研磨する。
【0043】回転速度は、研磨液41が遠心力により空
胴本体1の内面にはりつき、空胴と共に回転しない適当
な摩擦が得られて円滑に研磨できる100rpm程度で
約48時間程度研磨する。
【0044】次に、研磨材41の粒径を約1.5μmの
粒径とした細かくしたものと入替えて、上記と同様にし
て研磨する。
【0045】このように、粒径を段階的に細かくしてい
き、Nb等の微細な組織を持った材料においても鮮明な
研磨面が得られる。
【0046】最終仕上げとして、研磨材41の粒径を約
0.05μmのものに入れ替えて研磨することで、表面
粗さが0.5μm以下の鏡面状態が得られ、荷電粒子に
対する良好な加速性能を確保される表面状態が得られ
る。
【0047】また、セラミックス系研磨材の成分として
は、Al23あるいはSiO2を用いる。
【0048】以上のようにして製造された空胴本体1
を、前記図5に示すようにクライオスタット内に組み込
んで、超電導高周波加速空胴クライオシステムを製作す
る。
【0049】空胴本体1の内面の表面処理として、Nb
の場合、沸酸(HF)以外のほとんどの酸に対して化学
的に安定であることから、電解研磨あるいは化学研磨の
場合、沸酸(HF)を使用するため、作業環境、廃液処
理また作業管理面でも特別な措置が必要となる。
【0050】この点、本実施の形態の超電導高周波加速
空胴の製造方法においては、セラミックス系研磨材を含
有させた研磨液(研磨材)41で、機械的研磨により鏡
面に仕上げることにより、電解研磨あるいは化学研磨処
理を行なったものと同等の効果が得られ、作業環境、廃
液処理また作業管理面等での煩雑な作業を簡略すること
ができる。
【0051】上述したように、本実施の形態による超電
導高周波加速空胴の製造方法では、空胴本体1を形成し
た後に当該空洞本体1の内面を粗研磨し、しかる後に後
仕上げ研磨として、沸酸(HF)を使用しないAl23
あるいはSiO2を成分とするセラミックス系研磨材を
含有させた研磨液(または研磨材)41で機械的研磨に
より鏡面に仕上げる表面処理を行なうようにしているの
で、機械的研磨で鏡面に仕上げることによって、電解研
磨あるいは化学研磨処理を行なったものと同等の効果が
得られるため、作業環境、廃液処理また作業管理面等で
の煩雑な作業を簡略することが可能となる。
【0052】(第2の実施の形態)図3は、本実施の形
態による超電導高周波加速空胴の製造方法を実現するた
めの超臨界流体洗浄装置の構成例を示す概要図であり、
図1および図2と同一要素には同一符号を付してその説
明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0053】図3おいて、超臨界流体洗浄装置51は、
加圧ポンプ52と、熱交換器53と、フィルター54
と、貯蔵タンク55と、バルブ56と、廃液用バルブ5
7と、洗浄槽59と、これらの各要素を相互に接続する
配管58とから構成されている。
【0054】貯蔵タンク55は、洗浄流体(溶媒)とし
ての超臨界流体を貯蔵する。
【0055】ここで、超臨界流体としては、例えば水を
374℃以上、220気圧以上にすると、超臨界流体の
状態になり、液体と気体の両方の性質を持つことで、液
体の時の大きな分子のまま、気体のように活発に動くこ
とができるので、洗浄能力が高まる。
【0056】また、メタノールでは、239℃以上、7
9気圧以上で、超臨界流体になる。
【0057】以上のような超臨界流体を用いることがで
きる。
【0058】加圧ポンプ52は、バルブ56を介して導
入される貯蔵タンク55の洗浄流体を加圧する。
【0059】熱交換器53は、加圧ポンプ52により加
圧された洗浄流体を加熱する。
【0060】フィルター54は、熱交換器53により加
熱された洗浄流体をフィルター処理してその清浄度を維
持する。
【0061】そして、フィルター54によりフィルター
処理された洗浄流体を、バルブ56を介して洗浄槽59
へ供給するようにしている。
【0062】洗浄槽59は、バルブ56を介して供給さ
れる洗浄流体を用いて、前記表面処理を行なった後の空
胴本体1の内面に付着した汚染物質を洗浄する。
【0063】そして、洗浄槽59で洗浄に使用された後
の洗浄流体を、廃液用バルブ57を介して外部へ排出す
るようにしている。
【0064】以上のようにして製造された空胴本体1
を、前記図5に示すようにクライオスタット内に組み込
んで、超電導高周波加速空胴クライオシステムを製作す
る。
【0065】本実施の形態の超電導高周波加速空胴の製
造方法においては、表面処理を行なった後の空胴本体1
の内面に付着した汚染物質を、洗浄流体として超臨界流
体を用いて洗浄することにより、純水による高圧洗浄だ
けでは研磨材または研磨液41が完全には除去されない
ものが、表面処理後の空胴本体1の内面に付着した汚染
物質を完全に除去することができるため、性能の劣化の
原因が排除されて、荷電粒子に対する良好な加速性能を
確保することができる。
【0066】すなわち、純水をノズル等により圧力10
0kgf/cm2の高圧で空胴本体1の内面に噴射させて洗浄
しても、水の分子は非常に大きいため、表面粗さが0.
5μm以下の表面状態の微細な隙間に侵入した研磨液を
完全に除去するのは困難であるのに対して、超臨界流体
は、微細な隙間においても入り込んで洗浄できる特長が
あることから、純水による高圧洗浄よりも空胴本体1の
内面に付着した不純物である研磨材41を除去すること
ができる。
【0067】図4は、本実施の形態の製造方法で製造さ
れた空胴本体1における性能特性結果を示すQ値特性図
である。
【0068】図4において、縦軸は超電導加速空胴体の
代表的特性である無負荷Q値で、理想的な空胴内面を持
つと仮定した場合の理論値を100%とした幾つかの共
振モードの結果をプロットしたものである。
【0069】一般に、Q値は、同じモード系列では共振
周波数が高いほど表面状態が敏感になり、理論値に対し
て低下する。
【0070】この点、本実施の形態を適用することによ
り、2〜3%程度Q値が向上して、効果がより一層顕著
になる。
【0071】上述したように、本実施の形態による超電
導高周波加速空胴の製造方法では、表面処理を行なった
後の空胴本体1の内面に付着した汚染物質を、洗浄流体
として超臨界流体を用いて洗浄するようにしているの
で、純水による高圧洗浄だけでは研磨材または研磨液4
1が完全には除去されないものが、表面処理後の空胴本
体1の内面に付着した汚染物質を完全に除去することが
できるため、性能の劣化の原因が排除されて、荷電粒子
に対する良好な加速性能を確保して、品質的に安定した
ものを得ることが可能となる。
【0072】(その他の実施の形態)前記各実施の形態
では、セラミックス系研磨材の成分として、Al23
るいはSiO2を用いる場合について説明したが、これ
に限らず、例えばAl23+3%TiO2,ZrSi
4,TiO2,Cr23,ZrO2+5CaO,ZrO2
+8Y23等、その他の成分を用いるようにしてもよ
い。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超電導高
周波加速空胴の製造方法によれば、超電導材からなる空
胴本体と、当該空胴本体の両端に取付けられたフランジ
とから構成され、空胴本体の空胴内に高周波電力を入力
して電界を発生させ、当該電界により荷電粒子を加速さ
せる超電導高周波加速空胴の製造方法において、軸方向
の両端に開口を有する複数のセルを軸方向に配列して互
いの開口どうしを接触させ、当該接触部を溶接接合する
ことにより一体化して一つの空胴本体を形成し、次に空
胴本体を形成した後に当該空洞本体の内面を粗研磨し、
しかる後に後仕上げ研磨として、沸酸(HF)を使用し
ないAl23あるいはSiO2を成分とするセラミック
ス系研磨材を含有させた研磨材または研磨液で機械的研
磨により鏡面に仕上げる表面処理を行なうようにしてい
るので、機械的研磨で鏡面に仕上げることによって、電
解研磨あるいは化学研磨処理を行なったものと同等の効
果が得られるため、沸酸(HF)を使用することに伴な
う廃液処理また作業管理面等での煩雑な作業を簡略する
ことが可能となる。
【0074】さらに、表面処理を行なった後の空胴本体
の内面に付着した汚染物質を、洗浄流体として超臨界流
体を用いて洗浄するようにしているので、純水による高
圧洗浄だけでは研磨材または研磨液が完全には除去され
ないものが、表面処理後の空胴本体の内面に付着した汚
染物質を完全に除去することができるため、性能の劣化
の原因が排除されて、荷電粒子に対する良好な加速性能
を確保して、品質的に安定したものを得ることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
の第1の実施の形態を示す製造工程図。
【図2】本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
の第1の実施の形態を示す概要図。
【図3】本発明による超電導高周波加速空胴の製造方法
の第2の実施の形態を示す概要図。
【図4】同第2の実施の形態の超電導高周波加速空胴の
製造方法で製造された空胴本体におけるQ値特性図。
【図5】超電導高周波加速空胴が組込まれた超電導高周
波加速空胴クライオシステムの全体構成構成例を示す断
面模式図。
【図6】従来の超電導高周波加速空胴の製造方法の一例
を示す製造工程図。
【符号の説明】
1…空胴本体 11…半割セル 12…ビームポート 41…研磨液(または研磨材) 42…蓋 51…超臨界流体洗浄装置 52…加圧ポンプ 53…熱交換器 54…フィルター 55…貯蔵タンク 56…バルブ 57…廃液用バルブ 58…配管 59…洗浄槽。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導材からなる空胴本体と、当該空胴
    本体の両端に取付けられたフランジとから構成され、前
    記空胴本体の空胴内に高周波電力を入力して電界を発生
    させ、当該電界により荷電粒子を加速させる超電導高周
    波加速空胴の製造方法において、 軸方向の両端に開口を有する複数のセルを軸方向に配列
    して互いの開口どうしを接触させ、当該接触部を溶接接
    合することにより一体化して前記一つの空胴本体を形成
    し、 次に、前記空胴本体を形成した後に当該空洞本体の内面
    を粗研磨し、 しかる後に、後仕上げ研磨としてセラミックス系研磨材
    を含有させた研磨材または研磨液で機械的研磨により鏡
    面に仕上げる表面処理を行なうようにしたことを特徴と
    する超電導高周波加速空胴の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の超電導高周波加速
    空胴の製造方法において、 前記セラミックス系研磨材の成分としては、Al23
    るいはSiO2を用いるようにしたことを特徴とする超
    電導高周波加速空胴の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の超
    電導高周波加速空胴の製造方法において、 前記表面処理を行なった後の空胴本体の内面に付着した
    汚染物質を、洗浄流体として超臨界流体を用いて洗浄す
    るようにしたことを特徴とする超電導高周波加速空胴の
    製造方法。
JP2001220159A 2001-07-19 2001-07-19 超電導高周波加速空胴の製造方法 Pending JP2003037000A (ja)

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