JP2003032779A - 音処理装置、音処理方法及び音処理プログラム - Google Patents

音処理装置、音処理方法及び音処理プログラム

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JP2003032779A
JP2003032779A JP2001216733A JP2001216733A JP2003032779A JP 2003032779 A JP2003032779 A JP 2003032779A JP 2001216733 A JP2001216733 A JP 2001216733A JP 2001216733 A JP2001216733 A JP 2001216733A JP 2003032779 A JP2003032779 A JP 2003032779A
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signal
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Takeshi Kojima
毅 小島
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音源からの対象音をSN比を高めて高品質抽
出することが可能な音処理装置を提供する。 【解決手段】 ターゲット音源の音が入力される第1の
マイクロホン10から出力される第1の電気信号は、増
幅器14で増幅されAD変換器18でAD変換され、第
2のマイクロホン12から出力される第2の電気信号
は、増幅器16で増幅されAD変換器20でAD変換さ
れ、遅延器22では、AD変換器18、20からの出力
信号に対して、マイクロホン10、12への音声の入力
時間差が補償されて位相が揃えられ、差分器24により
強さの差を示す信号が作成され、ターゲット音源がマイ
クロホン10、12の近傍に存在する条件下で、ターゲ
ット音源の音の近距離感度が向上され、高SN比の差信
号により、後段回路28から適用電子装置のフォーマッ
トの高品質の出力信号の出力が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音処理装置、音処
理方法及び音処理プログラムに係り、特に高感度で抽出
処理したい音の音源が集音部の近傍に存在する場合に好
適な音処理装置、音処理方法及び音処理プログラムに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年の情報処理技術の発展に伴って、音
声認識や音声認証の技術が注目され、これらの技術が各
種の電子装置に適用されている。この場合、音声認識や
音声認証の技術を高精度で実現させるためには、対象と
なる音源からの入力音からノイズを低減させてSN比を
高めて、高品質の音抽出を行なう音抽出技術が必要にな
る。特に、携帯電話などのモバイル機器の普及に伴っ
て、騒々しい場所から音入力を行なうケースが増加して
いることを考えると、この種の音抽出技術の必要性は今
後益々増大して行くと考えられる。
【0003】従来のこの種の音抽出技術としては、例え
ば、一定強度以下の音をノイズとしてカットする方法が
基本的に提案されているが、この方法では、一定強度以
上のノイズが発生した場合には高品質の音抽出を行なう
ことは不可能である。また例えば、複数の集音部を散在
配置して、これらの集音部にターゲット音源からの対象
音を入力し、各集音部に入力される対象音とノイズとの
和信号を生成することにより、高品質の対象音を抽出す
る方法等も提案されている。この方法によると、生成さ
れる和信号において、各集音部に入力される一定パター
ンの対象音は、リニアに増幅されて高強度となり、各集
音部に入力される異なるパターンのノイズには、相殺成
分が存在するために和信号において低減され、全体とし
てSN比の高い高品質の対象音を抽出することが可能に
なる。
【0004】しかし、従来提案されている前述の方法で
は、複数の集音部を散在配置することが必要で、装置の
構成が大型化するために、携帯電話機や携帯情報端末
(PDA;Personal Digital Ass
istant)などの小型の電子装置への適用が難し
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した技
術に基づくこの種の音処理技術の現状に鑑み、従来の音
処理技術の問題を解決することを目標としてなされたも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、音処理装置であって、入力
音を第1の信号に変換する第1の集音部と、前記入力音
を第2の信号に変換する第2の集音部と、前記第1の信
号及び前記第2の信号に対して、前記入力音の前記第1
の集音部への入力時間と、前記入力音の前記第2の集音
部への入力時間との時間差を補償する時間差補償手段
と、該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の
信号及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の
入力音及び前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す
差信号を作成する差信号作成手段とを有することを特徴
とするものである。
【0007】このような手段によると、入力音が第1の
集音部で第1の信号に、第2の集音部で第2の信号にそ
れぞれ変換され、時間差補償手段によって、第1の信号
及び第2の信号に対して、入力音の第1の集音部への入
力時間と第2の集音部への入力時間との時間差が補償さ
れ、時間差補償手段で時間差が補償された第1の信号及
び第2の信号に対して、第1の集音部の入力音及び第2
の集音部の入力音の強さの差を示す差信号が差信号作成
手段で作成され、差信号において近傍に配置された入力
音源からの入力音に対しSN比が大幅に高められる。
【0008】同様に前記目的を達成するために、請求項
2記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1の
信号と第2の信号とが同種類の信号であることを特徴と
するものである。
【0009】このような手段によると、第1の信号と第
2の信号とを、例えば、光信号、電気信号、音信号など
の同種類の信号として、請求項1記載の発明での作用が
実行される。
【0010】同様に前記目的を達成するために、請求項
3記載の発明は、請求項1記載の発明において、第1の
信号と第2の信号とが、それぞれ第1の電気信号と第2
の電気信号であることを特徴とするものである。
【0011】このような手段によると、第1の信号と第
2の信号とを電気信号として、請求項1記載の発明での
作用が実行される。
【0012】同様に前記目的を達成するために、請求項
4記載の発明は、入力音を第1の信号に変換する第1の
集音部と、入力音を第2の信号に変換する第2の集音部
とを備えた電子装置に使用される音処理装置であって、
前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償手
段と、該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1
の信号及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部
の入力音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す
差信号を作成する差信号作成手段とを有することを特徴
とするものである。
【0013】このような手段によると、時間差補償手段
によって、第1の信号及び第2の信号に対して、入力音
の第1の集音部への入力時間と、入力音の第2の集音部
への入力時間との時間差が補償され、時間差補償手段で
時間差が補償された第1の信号及び第2の信号に対し
て、第1の集音部の入力音及び第2の集音部の入力音の
強さの差を示す差信号が差信号作成手段によって作成さ
れ、差信号において、近傍に配置された入力音源からの
入力音に対してSN比が大幅に高められ、使用される電
子装置の音信号特性が向上する。
【0014】同様に前記目的を達成するために、請求項
5記載の発明は、音処理方法であって、入力音を第1の
信号に変換する第1の集音部により受音する第1の受音
ステップと、入力音を第2の信号に変換する第2の集音
部により受音する第2の受音ステップと、前記第1の信
号及び前記第2の信号に対して、入力音の前記第1の集
音部への入力時間と、入力音の前記第2の集音部への入
力時間との時間差を補償する時間差補償ステップと、該
時間差補償ステップで時間差が補償された前記第1の信
号及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の入
力音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信
号を作成する差信号作成ステップとを有することを特徴
とするものである。
【0015】このような方法によると、第1の受音ステ
ップで、入力音を第1の信号に変換する第1の集音部に
よって入力音が受音され、第2の受音ステップで、入力
音を第2の信号に変換する第2の集音部によって入力音
が受音され、時間差補償ステップで、第1の信号及び第
2の信号に対して、入力音の第1の集音部への入力時間
と、入力音の第2の集音部への入力時間との時間差が補
償され、時間差補償ステップで時間差が補償された第1
の信号及び第2の信号に対して、差信号作成ステップ
で、第1の集音部の入力音と第2の集音部の入力音の強
さの差を示す差信号が作成され、差信号において、近傍
に配置された入力音源からの入力音に対してSN比が大
幅に高められる。
【0016】同様に前記目的を達成するために、請求項
6記載の発明は、入力音を第1の信号に変換する第1の
集音部と、入力音を第2の信号に変換する第2の集音部
とを備えた電子装置に適用される音処理方法であって、
前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償ス
テップと、該時間差補償ステップで時間差が補償された
前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、前記第1
の集音部の入力音と前記第2の集音部の入力音の強さの
差を示す差信号を作成する差信号作成ステップとを有す
ることを特徴とするものである。
【0017】このような方法によると、入力音を第1の
信号に変換する第1の集音部と、入力音を第2の信号に
変換する第2の集音部とを備えた電子装置では、時間差
補償ステップで、第1の信号及び第2の信号に対して、
入力音の第1の集音部への入力時間と、入力音の第2の
集音部への入力時間との時間差が補償され、時間差補償
ステップで時間差が補償された第1の信号及び第2の信
号に対して、第1の集音部の入力音と第2の集音部の入
力音の強さの差を示す差信号が作成され、差信号におい
て、近傍に配置された入力音源からの入力音のSN比が
高められる。
【0018】同様に前記目的を達成するために、請求項
7記載の発明は、音処理プログラムであって、入力音が
第1の集音部で変換される第1の信号、及び入力音が第
2の集音部で変換される第2の信号に対して、コンピュ
ータを、入力音の前記第1の集音部への入力時間と、入
力音の前記第2の集音部への入力時間との時間差を補償
する時間差補償手段として機能させ、該時間差補償手段
で時間差が補償された前記第1の信号及び前記第2の信
号に対して、前記第1の集音部の入力音及び前記第2の
集音部の入力音の強さの差を示す差信号を作成する差信
号作成手段として機能させることを特徴とするものであ
る。
【0019】このような音処理ブログラムによると、入
力音が第1の集音部で変換される第1の信号、及び入力
音が第2の集音部で変換される第2の信号に対して、コ
ンピュータが、入力音の第1の集音部への入力時間と、
入力音の第2の集音部への入力時間との時間差を補償す
る時間差補償手段として機能し、さらに、時間差補償手
段で時間差が補償された第1の信号及び第2の信号に対
して、第1の集音部の入力音と第2の集音部の入力音の
強さの差を示す差信号を作成する差信号作成手段として
機能するので、コンピュータの差信号作成において、近
傍に配置された入力音源からの入力音に対してSN比が
大幅に高められ、コンピュータを備えた電子装置の音信
号特性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態をそ
れぞれ図面を参照して説明する。なお、以下に説明する
それぞれの実施の形態においては、本発明の構成の好適
な実施例を例示するが、特許請求の範囲の記載に規準す
る本発明は、それらに限定されるものではない。
【0021】[第1の実施の形態]本発明の第1の実施
の形態を、図1、図2及び図5を参照して説明する。図
1は本実施の形態の構成を示すブロック図、図2は本実
施の形態に対応する第1の音処理方法を示すフローチャ
ート、図5は本実施の形態の入力音源と集音部との配列
構成を示す説明図である。
【0022】本実施の形態では、図1に示すように第1
のマイクロホン10と第2のマイクロホン12とが設け
られ、第1のマイクロホン10、第2のマイクロホン1
2には、図示せぬ共通のターゲット音源からの音、或い
は特定の条件下ではターゲット方向からの音が入力さ
れ、第1のマイクロホン10は入力音を第1の電気信号
に変換出力し、第2のマイクロホン12は入力音を第2
の電気信号に変換出力する機能を有している。また、第
1のマイクロホン10には、第1のマイクロホン10か
ら出力される第1の電気信号を増幅する第1の増幅器1
4が接続され、第2のマイクロホン12には、第2のマ
イクロホン12から出力される第2の電気信号を増幅す
る第2の増幅器16が接続されている。さらに、第1の
増幅器14には、第1の増幅器14の出力信号をAD変
換する第1のAD変換器18が接続され、第2の増幅器
16には、第2の増幅器16の出力信号をAD変換する
第2のAD変換器20が接続され、第1のAD変換器1
8には、ターゲット音源からの音の第1のマイクロホン
10と第2のマイクロホン12への入力時間の時間差を
補償する遅延器22(時間差補償手段に相当)が接続さ
れている。
【0023】そして、遅延器22の出力端子と第2のA
D変換器20の出力端子とが、遅延器22の出力信号と
AD変換器20の出力信号との強さの差の信号を作成す
る差分器24に入力され、差分器24の出力端子には、
差分器26の出力信号を増幅する第3の増幅器26が接
続され、第3の増幅器26には第3の増幅器26の出力
信号から、音処理装置1にアプリケーションに対応して
接続される電子装置への出力信号を作成する後段回路2
8が接続されている。
【0024】第1のマイクロホン10及び第2のマイク
ロホン12としては、振動膜と振動膜の振動を電気信号
に変換するソレノイドを備えた通常のマイクロホンが使
用されるが、第1のマイクロホン10及び第2のマイク
ロホン12に代えて、他の集音装置、例えば、振動膜や
空気の振動を光学的に検出し、検出信号が電気信号に変
換される光マイクロホンを使用することも可能である。
また、遅延器22としては、ディジタル信号を所定時間
遅延するディジタルバッファなどが使用される。
【0025】ところで、本実施の形態において、ターゲ
ット音源の位置をS、第1のマイクロホンの位置をM
1、第2のマイクロホンの位置をM2で表すと、これら
の間には図5に示すような相互の位置関係があり、ここ
で、Cは第1のマイクロホンの位置M1と第2のマイク
ロホンの位置M2との中点位置を示し、L1は第1のマ
イクロホンの位置M1と第2のマイクロホンの位置M2
間の距離を示し、L2はターゲット音源の位置Sと中点
位置C間の距離、Aは直線S−Cと直線M1−M2のな
す角である。以下においては、説明を簡単にするため
に、次の二つの条件が成立するものとして説明を進め
る。これらの条件とは、(1)ターゲット音源で発生し
た音が、第1のマイクロホン10及び第2のマイクロホ
ン12に到達するまでに考えられる伝搬媒質の流れや障
害物の存在などの外的要因は無視できるほど小さいこ
と、(2)第1のマイクロホン10に音が到達してから
第1のAD変換器18からディジタル信号が出力される
までの時間と、第2のマイクロホン12に音が到達して
から第2のAD変換器20からディジタル信号が出力さ
れるまでの時間とが実質的に同一であるということであ
る。
【0026】ターゲット音源で発生した音は、図5にお
いて、条件(1)により位置Sを中心に等方的に拡がる
ので、或る時刻に位置Sで発生した音が第1のマイクロ
ホン10、第2のマイクロホン12にそれぞれ到達する
までの時間T1、T2は、媒体中の音の伝搬速度をVS
として、それぞれ数1、数2で表される。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】数1及び数2から、ターゲット音源からの
音が第1のマイクロホン10に入力されるまでの時間T
1と、ターゲット音源からの音が第2のマイクロホン1
2に入力されるまでの時間T2との時間差T2−T1
は、数3に示すようになる。
【0030】
【数3】
【0031】以上から、遅延器22により補償する時間
差を(T2−T1)に設定することによって、ターゲッ
ト音源で発生した音については、第1のマイクロホン1
0と第2のマイクロホン12への入力時間の差を補償
し、ターゲット音源で発生した音の位相を一致させるこ
とができる。これに対し遅延器22による補償時間差を
(T2−T1)とすると、ターゲット音源以外で発生し
た音については遅延器22による時間差補償は不十分と
なる。この結果、後述の差分器24による処理で、ター
ゲット音源以外で発生した音は、位相の不一致により減
衰することとなる。
【0032】ここで、前述の第1の条件及び第2の条件
に加えて、第3の条件として、(3)第1のマイクロホ
ン10と第2のマイクロホン12間の距離L1が充分に
小さいという条件があり、L2 L1が成立するものと
して説明を進めると、この場合には数4が近似的に成立
する。
【0033】
【数4】
【0034】この場合には、図5において距離L2に関
係なく第1のマイクロホン10と第2のマイクロホンを
基準にして、角度Aで指定されるターゲット方向に存在
する音源からの音について、遅延器22により時間差補
償が行なわれる結果として、この条件下では音処理装置
1は指向性を有する音処理を行なう機能を有することに
なる。
【0035】前述したようにターゲット音源で発生した
音について互いに同一位相に設定された遅延器22から
の第1の信号と、AD変換器20からの第2の信号とが
入力される差分器24は、これらの第1の信号と第2の
信号との強さの差を演算し、差信号を出力する機能を有
している。図5において、ターゲット音源で発生した音
の強さをIoとすると、この音は媒体中を伝搬する間に
減衰し、第1のマイクロホン10、第2のマイクロホン
12への入力時の強さを、それぞれIM1、IM2とす
ると、これらは数5、数6でそれぞれ表される。
【0036】
【数5】
【0037】
【数6】
【0038】数5及び数6から、第1のマイクロホン1
0への入力音の強さIM1と、第2のマイクロホン12
への入力音の強さIM2との強度差△I=IM1−IM
2は数7で表される。
【0039】
【数7】
【0040】数7からL2が一定の同一音源では、入力
音強度IM1、IM2の強さの差△Iは、ターゲット音
源の音の強さIoに比例し、差分器24はターゲット音
源での音情報を出力する機能を有することが明らかであ
る。また、数7において、右辺の分子はL2に比例する
が、右辺の分母はL2の4乗のオーダとなり、第1のマ
イクロホン10と第2のマイクロホン12に入力する音
の強度差△Iは、ターゲット音源が、第1のマイクロホ
ン10及び第2のマイクロホン12から遠くなると急激
に小さくなり、音処理装置1では、近くの音源で発生し
た音に対する感度が、遠くの音源で発生した音に対する
感度よりも相対的に向上している。
【0041】このことは、第1のマイクロホン10と第
2のマイクロホン12間距離L1が充分に小さい、前述
の第3の条件が成立する場合を想定するとより明確にな
り、この場合にはL1の2次以上の項は無視でき、数7
は数8のように近似され、音処理装置1の音感度は、音
源からの距離の3乗のオーダで急激に小さくなる。
【0042】
【数8】
【0043】増幅器26は、差分器26から出力される
差信号を増幅する機能を有し、後段回路28は、音処理
装置1が適用されるアプリケーションに応じて、音処理
装置1に接続される電子装置に供給する出力信号を作成
する機能を有している。
【0044】以上のようにして、本実施の形態では音処
理装置1は、遅延器22による入力時間差の補償処理と
差分器24による差信号の作成とによって、(ターゲッ
ト音源で発生した音に対する感度)/(ターゲット音源
以外で発生した音に対する感度)の比であるSN比を向
上させて、増幅器26から高SN比の高品質の出力信号
を出力し、この出力信号に基づいて後段回路28から、
適用される電子装置に対して対応するホーマットの高品
質の出力信号を供給する機能を有し、ハードウェア的に
時間差補償と強度差信号作成とが実行されるので、音処
理動作を高速に行なう構成が実現される。なお、第1の
実施の形態から、第1のAD変換器18及び第2のAD
変換器20を省いて、アナログ信号のままで遅延処理や
差信号作成処理を行なう構成にすることも可能である
が、ディジタル信号に変換して遅延処理や差信号作成処
理を行なった方が、処理過程で発生するノイズを低減す
ることができる。
【0045】このような構成の本実施の形態の動作を、
本実施の形態を使用する第1の音処理方法3を示す図2
のフローチャートに基づいて説明する。ステップS10
では、第1のマイクロホン10に、ターゲット音源から
の音が入力され第1の電気信号に変換され、ステップS
12では、第2のマイクロホン12に、ターゲット音源
からの音が入力され第2の電気信号に変換される。ま
た、ステップS10からステップS14に進んで、第1
のマイクロホン10から出力される第1の電気信号が、
増幅器S14によって増幅され、ステップS18に進ん
で、増幅器14の出力信号がAD変換器18によつてA
D変換される。同様にして、ステップS12からステッ
プS16に進んで、第2のマイクロホン12から出力さ
れる第2の電気信号が、増幅器S16によって増幅さ
れ、ステップS20に進んで、増幅器16の出力信号が
AD変換器20によつてAD変換される。
【0046】ステップS22では、ステップS18でA
D変換された第1の電気信号と、ステップS20でAD
変換された第2の電気信号に対して、数3に基づいて得
られる第1の電気信号と第2の電気信号との時間差の補
償が、遅延器22によって行なわれ、次いでステップS
24に進んで、時間差が補償された第1の電気信号と第
2の電気信号との強度差信号が差分器24によって作成
される。そして、ステップS26では、差分器24で作
成された強度差信号が増幅器26で増幅され、ステップ
S28に進んで、後段回路28から適用される電子装置
のフォーマットの高品質の出力信号が出力される。
【0047】以上に説明したように、本実施の形態によ
るとターゲット音源からのユーザの音声が、第1のマイ
クロホン10と第2のマイクロホン12とに入力され、
第1のマイクロホン10から出力される第1の電気信号
は、第1の増幅器14で増幅され、第1のAD変換器1
8でAD変換され、第2のマイクロホン12から出力さ
れる第2の電気信号は、第2の増幅器16で増幅され、
第2のAD変換器20でAD変換される。そして、遅延
器22によって、第1のAD変換器18から出力される
第1の電気信号と第2のAD変換器20から出力される
第2の電気信号に対して、第1のマイクロホン10と第
2のマイクロホン12への音声の入力時間差が補償され
て両信号の位相が一致され、差分器24によって位相が
揃えられた第1の電気信号と第2の電気信号との強度差
信号が作成される。このために、ユーザの音声源が第1
のマイクロホン10及び第2のマイクロホン12の近傍
において一定方向に存在する条件下で、指向感度が高め
られたユーザの音声の近距離感度が向上され、さらに、
ユーザの音声のバックグランドノイズが除去され、SN
比が高められた高品質の強度差信号に基づき、後段回路
28から、適用される電子装置のフォーマットの高品質
の出力信号を出力することが可能になる。
【0048】[第2の実施の形態]本発明の第2の実施
の形態を、図3、図4及び図5を参照して説明する。図
3は本実施の形態の構成を示すブロック図、図4は本実
施の形態に対応する第2の音処理方法を示すフローチャ
ート、図5は本実施の形態の入力音源と集音部との配列
構成を示す説明図である。
【0049】本実施の形態は、図3に示すような構成を
有しており、第1のマイクロホン40、第2のマイクロ
ホン42、第1の増幅器44、第2の増幅器46、第1
のAD変換器48及び第2のAD変換器50部分の構成
は、第1の実施の形態での第1のマイクロホン10、第
2のマイクロホン12、第1の増幅器14、第2の増幅
器16、第1のAD変換器18及び第2のAD変換器2
0部分の構成と同一なので、重複する説明は行なわな
い。本実施の形態では、第1のAD変換器48の出力端
子と、第2のAD変換器50の出力端子がコンピュータ
62に接続されており、このコンピュータ62には、イ
ンタフェース動作を行なうインタフェース回路52が設
けられ、インタフェース回路52は、外部から入力され
る信号を、所定のプロトコルに基づき、コンピュータ6
2内部での処理に適したフォーマットに変換する機能を
有している。
【0050】コンピュータ62内部においては、インタ
フェース回路52に、バス60を介して、コンピュータ
62の実行プログラムと必要なファイルデータとが格納
されたROM(Read Only Memory)5
4、プログラムの実行時に必要なデータが一時的に格納
されるRAM(Random Access Memo
ry)56、及びROM54に格納された実行プログラ
ムに基づき、コンピュータが行なう種々の処理を実行す
る対応処理回路58が接続されている。
【0051】本実施の形態では、ROM54に音処理プ
ログラムが格納されており、この音処理プログラムによ
って、コンピュータ62は、先ず、時間差補償手段とし
て機能するように構成されている。この場合、時間差補
償手段としてのコンピュータ62で補償される時間差
は、第1のマイクロホン40と第2のマイクロホン42
に入力される音の時間差であり、対応処理回路58は、
この時間差補償によって、第1のAD変換器48のディ
ジタル出力信号と第2のAD変換器50のディジタル出
力信号との位相を揃える機能を有している。
【0052】本実施の形態においては、時間差補償にお
ける時間差については、コンピュータ62に対して、タ
ーゲット音源の方向、ターゲット音源の位置、ターゲッ
ト音源と第1のマイクロホン40及び第2のマイクロホ
ン42間に存在し、音の伝搬時間に影響を与える外部要
因などを検出し、検出データに基づいて、対応処理回路
58で時間差を演算する機能を持たせることもできる。
この機能を実現のためには、ターゲット音源位置を特定
する位置特定ユニット、ターゲット音源と第1のマイク
ロホン40及び第2のマイクロホン42間に存在する障
害物を検出する障害物検出ユニット、ターゲット音源と
第1のマイクロホン40及び第2のマイクロホン42間
で発生する雰囲気の物理的変化を検出する物理的変化検
出ユニットを具備することが必要で、これらのユニット
は、イメージセンサ、赤外線センサ、超音波センサなど
の各種センサと信号処理手段とを組み合わせて構成され
る。
【0053】また、本実施の形態では、ROM54に格
納される音処理プログラムによって、コンピュータ62
は、次いで、差信号生成手段として機能するように構成
されている。この差信号生成手段は、時間差補償後のデ
ィジタル信号に基づき、第1のマイクロホン40、第2
のマイクロホン42に入力される音の強さの差信号を作
成する機能を有している。この強さの差の信号の作成時
に、差信号生成手段が、時間差補償後のディジタル信号
に対して、ターゲット音源の移動、ターゲット音源から
第1のマイクロホン40及び第2のマイクロホン42間
に存在し、伝搬による音の減衰に影響を与える外部要因
などを検出し、検出結果に基づいて補正を行なう構成に
することも可能である。この場合には、ターゲット音源
の移動を検出する移動検出ユニット、ターゲット音源と
第1のマイクロホン40及び第2のマイクロホン42間
に存在する障害物を検出する障害物検出ユニット、ター
ゲット音源と第1のマイクロホン40及び第2のマイク
ロホン42間で発生する雰囲気の物理的変化を検出する
物理的変化検出ユニットをを具備することが必要で、こ
れらのユニットは、イメージセンサ、赤外線センサ、超
音波センサなどの各種センサと信号処理手段とを組み合
わせて構成される。
【0054】さらに、本実施の形態では、ROM54に
格納される音処理プログラムによって、コンピュータ6
2は、次いで、生成された強さの差の信号に基づいて対
応するアプリケーションの電子装置への入力信号を作成
する入力信号作成手段として機能するように構成されて
いる。
【0055】このようにして、本実施の形態によると、
音処理プログラムによって、ソフトウェア的に時間差補
償、強度差信号作成及び電子装置への入力信号作成が実
行されるので、各種の環境条件の変化やアプリケーショ
ンの電子装置の性能に適確に対応して音処理を行なう構
成が実現される。
【0056】このような構成の本実施の形態の動作を、
本実施の形態を使用する第2の音処理方法7を示す図4
のフローチャートに基づいて説明する。ステップS40
では、第1のマイクロホン40に、ターゲット音源から
の音が入力され第1の電気信号に変換され、ステップS
42では、第2のマイクロホン42に、ターゲット音源
からの音が入力され第2の電気信号に変換される。ま
た、ステップS40からステップS44に進んで、第1
のマイクロホン40から出力される第1の電気信号が、
増幅器S44によって増幅され、ステップS48に進ん
で、増幅器44の出力信号がAD変換器48によつてA
D変換される。同様にして、ステップS42からステッ
プS46に進んで、第2のマイクロホン42から出力さ
れる第2の電気信号が、増幅器S46によって増幅さ
れ、ステップS50に進んで、増幅器46の出力信号が
AD変換器50によつてAD変換される。
【0057】このようにして、ステップS48でAD変
換された第1の電気信号と、ステップS50でAD変換
された第2の電気信号とは、インタフェース回路52を
介してコンピュータ62に入力され、インタフェース回
路52によって、外部から入力される第1の電気信号と
第2の電気信号とは、所定のプロトコルに基づき、コン
ピュータ62内部での処理に適したフォーマットに変換
される。次いでステップS52に進んで、コンピュータ
62が、時間差補償手段として作動し、対応処理回路5
8によって、ROM54から読み出された音処理プログ
ラムに基づいて、第1のAD変換器48から出力される
第1の電気信号と、第2のAD変換器50から出力され
る第2の電気信号に対して、ターゲット音源からの音の
第1のマイクロホン40への入力時間と第2のマイクロ
ホン42への入力時間との時間差が補償される。
【0058】また、ステップS54では、コンピュータ
62が、強度差信号作成手段として作動し、対応処理回
路58によって、ROM54から読み出された音処理プ
ログラムに基づいて、時間差が補償された第1の電気信
号と第2の電気信号との強度差信号が作成され、ステッ
プS56では、コンピュータ62が、対応するアプリケ
ーションの電子装置への出力信号を作成する出力信号作
成手段として作動し、対応処理回路58によって、RO
M54から読み出された音処理プログラムに基づいて、
差信号に対して適用されるアプリケーションの電子装置
のフォーマットの高品質の出力信号が出力される。
【0059】以上に説明したように、本実施の形態によ
ると、すでに説明した第1の実施の形態で得られる効果
に加えて、音処理プログラムが格納されるROM54を
備えたコンピュータ62を備えているので、ソフトウェ
ア的に時間差補償、強度差信号作成、及びアプリケーシ
ョンに対応する各種の電子装置への出力信号作成を実行
することにより、各種の環境条件の変化や電子装置の性
能に適確に対応した高精度の音処理を行なうことが可能
になる。
【0060】(第1のアプリケーション)本発明が適用
される第1のアプリケーションを図6を参照して説明す
る。図6は本発明が適用される携帯電話機の構成を示す
ブロック図である。
【0061】第1のアプリケーションでは、図6に示す
ように、携帯電話機102にすでに説明した第1の実施
の形態、或いは第2の形態に係る音処理装置106が組
み込まれており、音処理装置106の出力端子には、増
幅回路108と逆位相信号作成回路114とが互いに並
列に接続され、増幅回路108にはアンテナ110が接
続され、逆位相信号作成回路114には増幅器116が
接続され、増幅器116にはスピーカ118が接続され
ている。
【0062】このような構成の携帯電話機102では、
音処理装置106からSN比を高める音処理が施された
信号が出力され、音処理装置106からの出力信号が、
増幅回路108で増幅されてアンテナ110から通信用
の高品質の無線信号112として送信される。同時に、
音処理装置106では、キャンセレーション信号が作成
され、このキャンセレーション信号は逆位相信号作成回
路114に入力され、キャンセレーション信号に基づい
て逆位相信号が作成され、作成された逆位相信号は増幅
回路116で増幅さた後にスピーカ118からキャンセ
レーションサウンド120として出力される。
【0063】このようにして、第1のアプリケーション
によると、携帯電話機102を使用するユーザは、ター
ゲット音源となる口を、携帯電話器102の近傍におい
て、方向を一定にして発声を行なうので、ユーザの音声
104に対して、音処理装置106においては、すでに
第1の実施の形態及び第2の形態で説明したように、指
向性が設定された音声104に対して、近距離感度の向
上とバックグランドノイズの除去が行なわれ、SN比が
高められた高品質の出力信号が、増幅回路108で増幅
され、アンテナ110から高品質の送話信号が送信され
る。同時に、ユーザの音声104に基づき作成されるキ
ャンセレーション信号から、逆位相信号が作成されて増
幅器116で増幅後にスピーカ118からキャンセレー
ションサウンド120として出力される。このために、
ユーザの音声104と、スピーカ118から出力される
キャンセレーションサウンド120との相殺効果によっ
て、ユーザが大声で送話を行なっても、ユーザの音声1
04のレベルが低減されるので、周囲に迷惑をかけるこ
とが防止可能になる。
【0064】(第2のアプリケーション)本発明が適用
される第2のアプリケーションを図7を参照して説明す
る。図7は本発明が適用される携帯情報端末の構成を示
すブロック図である。
【0065】第2のアプリケーションでは、図7に示す
ように、携帯情報端末(PDA)202にすでに説明し
た第1の実施の形態、或いは第2の形態に係る音処理装
置206が組み込まれており、音処理装置206の出力
端子には、増幅回路208と逆位相信号作成回路214
とが互いに並列に接続され、増幅回路208にはアンテ
ナ210が接続され、逆位相信号作成回路214には、
増幅器216が接続され、増幅器216にはスピーカ2
18が接続されている。
【0066】このような構成の携帯情報端末202で
は、音処理装置206からSN比を高める音処理が施さ
れた信号が出力され、音処理装置206からの出力信号
が、増幅回路208で増幅されてアンテナ210から通
信用の高品質の無線信号212として送信される。同時
に、音処理装置206では、キャンセレーション信号が
作成され、このキャンセレーション信号は逆位相信号作
成回路214に入力され、逆位相信号作成回路214で
は、キャンセレーション信号に基づいて逆位相信号が作
成され、作成された逆位相信号は増幅器216で増幅さ
れた後にスピーカ218からキャンセレーションサウン
ド220として出力される。
【0067】このようにして、第2のアプリケーション
によると、携帯情報端末202を使用するユーザは、タ
ーゲット音源となる口を、携帯情報端末202の近傍に
おいて方向を一定にして発声を行なうので、音処理装置
206においては、すでに第1の実施の形態及び第2の
形態で説明したように、指向性が設定された音声204
に対して、近距離感度の向上とバックグランドノイズの
除去が行なわれ、SN比が高められた高品質の出力信号
が、増幅回路208で増幅され、アンテナ210から高
品質の送話信号が送信される。同時に、ユーザの音声2
04に基づき作成されるキャンセレーション信号から、
逆位相信号作成回路214により逆位相信号が作成され
て増幅器216で増幅後にスピーカ218からキャンセ
レーションサウンド220として出力される。このため
に、ユーザの音声204と、スピーカ218から出力さ
れるキャンセレーションサウンド220との相殺効果に
よって、ユーザが大声で音声信号による入力を行なって
も、ユーザの音声204のレベルが低減されるので、周
囲に迷惑をかけることが防止可能になる。
【0068】(第3のアプリケーション)本実施が適用
される第3のアプリケーションを図8を参照して説明す
る。図8は本発明が適用されるヘッドセット付パーソナ
ルコンビュータの構成を示すブロックである。
【0069】第3のアプリケーションでは、図8に示す
ように、ヘッドセット付パーソナルコンビュータ302
にすでに説明した第1の実施の形態、或いは第2の形態
に係る音処理装置306が組み込まれており、音処理装
置306の出力端子には、増幅回路308と逆位相信号
作成回路314とが互いに並列に接続され、増幅回路3
08には音声認識回路310が接続され、逆位相信号作
成回路314には、増幅回路316が接続され、増幅回
路316にはスピーカ318が接続されている。
【0070】このような構成のヘッドセット付パーソナ
ルコンビュータ302では、音処理装置306からSN
比を高める音処理が施された音声認識用の信号が出力さ
れ、音処理装置306からの出力信号が、増幅回路30
8で増幅されて音声認識回路310に入力され、音声認
識回路310では、ユーザ音声の音声認識が実行され、
音声認識回路310から音声認識信号が出力される。同
時に、音処理装置306では、キャンセレーション信号
が作成され、このキャンセレーション信号は逆位相信号
作成回路314に入力され、逆位相信号作成回路314
では、キャンセレーション信号に基づいて逆位相信号が
作成され、作成された逆位相信号は増幅回路316で増
幅さた後にスピーカ318からキャンセレーションサウ
ンド320として出力される。
【0071】このようにして、第3のアプリケーション
によると、ヘッドセット付パーソナルコンピュータ30
2を使用するユーザは、ターゲット音源となる口を、ハ
ンドセット付コンピュータ302の近傍において、方向
を一定にして発声を行なうので、ユーザの音声304に
対して、音処理装置306においては、すでに第1の実
施の形態及び第2の形態で説明したように、指向性が設
定された音声304に対して、近距離感度の向上とバッ
クグランドノイズの除去が行なわれ、SN比が高められ
た高品質の出力信号が、増幅回路308で増幅され音声
認識回路310に入力され、音声認識回路310におい
て、高精度で高感度の音声認識が行なわれ、音声認識回
路310からは高品質の音声認識信号が出力される。同
時に、ユーザの音声304に基づき作成されるキャンセ
レーション信号から、逆位相信号作成回路314で逆位
相信号が作成されて増幅器316で増幅後にスピーカ3
18からキャンセレーションサウンド320として出力
される。このために、ユーザの音声304と、スピーカ
318から出力されるキャンセレーションサウンド32
0との相殺効果によって、ユーザが、ハンドセット付パ
ーソナルコンピュータ302に対して大声で音声指令を
入力しても、ユーザの音声304のレベルが低減される
ので、ハンドセット付パーソナルコンピュータ302を
使用するオフィスにおいて、周囲に迷惑をかけることが
防止可能になる。
【0072】なお、第3のアプリケーションにおいて、
音処理装置306が第2の実施の形態のソフトウェア方
式である場合には、音処理装置306の全てをヘッドセ
ット側に設置することもでき、また、図3を流用して説
明すると、第1のマイクロホン40、第2のマイクホン
42、第1の増幅器44、第2の増幅器46、第1のA
D変換器48及び第2のAD変換器50までを、ヘッド
セット側に設置し、コンピュータ62に対応する部分を
パーソナルコンピュータに設置することもできる。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の音処理装置に係る発明に
よると、入力音が第1の集音部で第1の信号に、第2の
集音部で第2の信号にそれぞれ変換され、時間差補償手
段によって、第1の信号及び第2の信号に対して、入力
音の第1の集音部への入力時間と第2の集音部への入力
時間との時間差が補償され、時間差補償手段で時間差が
補償された第1の信号及び第2の信号に対して、第1の
集音部の入力音と第2の集音部の入力音の強さの差を示
す差信号が差信号作成手段で作成されるので、差信号に
よって、近傍に配置された入力音源からの入力音に対し
てSN比を大幅に高めることが可能になる。
【0074】請求項2記載の音処理装置に係る発明によ
ると、入力音が第1の集音部で第1の信号に、第2の集
音部で第1の信号と同種類の第2の信号にそれぞれ変換
されるが、この場合第1の信号及び第2の信号は、音信
号、電気信号、光信号など各種の同種類の信号に変換さ
れ、時間差補償手段によって、第1の信号及び第2の信
号に対して、入力音の第1の集音部への入力時間と、入
力音の第2の集音部への入力時間との時間差が補償さ
れ、時間差補償手段で時間差が補償された第1の信号及
び第2の信号に対して、第1の集音部の入力音と第2の
集音部の入力音の強さの差を示す差信号が差信号作成手
段で作成されるので、同種類の第1の信号及び第2の信
号に基づいて、差信号によって、近傍に配置された入力
音源からの入力音に対してSN比を大幅に高めることが
可能になる。
【0075】請求項3記載の音処理装置に係る発明によ
ると、入力音が第1の集音部で第1の電気信号に、第2
の集音部で第2の電気信号にそれぞれ変換され、時間差
補償手段によって、第1の電気信号及び第2の電気信号
に対して、入力音の第1の集音部への入力時間と、入力
音の第2の集音部への入力時間との時間差が補償され、
時間差補償手段で時間差が補償された第1の電気信号及
び第2の電気信号に対して、第1の集音部の入力音と第
2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号が差信号作
成手段で作成されるので、差信号によって、近傍に配置
された入力音源からの入力音に対してSN比を大幅に高
めることが可能になる。
【0076】請求項4記載の音処理装置に係る発明は、
入力音を第1の信号に変換する第1の集音部と、入力音
を第2の信号に変換する第2の集音部とを備えた電子装
置に使用されるが、時間差補償手段によって、第1の信
号及び第2の信号に対して、入力音の第1の集音部への
入力時間と、入力音の第2の集音部への入力時間との時
間差が補償され、時間差補償手段で時間差が補償された
第1の信号及び第2の信号に対して、第1の集音部の入
力音と第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号が
差信号作成手段によって作成されるので、差信号によっ
て、近傍に配置された入力音源からの入力音に対してS
N比を大幅に高めることが可能になり、使用される電子
装置の音信号特性を向上させることが可能になる。
【0077】請求項5記載の音処理方法に係る発明によ
ると、第1の受音ステップで、入力音を第1の信号に変
換する第1の集音部によって入力音が受音され、第2の
受音ステップで、入力音を第2の信号に変換する第2の
集音部によって入力音が受音され、時間差補償ステップ
で、第1の信号及び第2の信号に対して、入力音の第1
の集音部への入力時間と、入力音の第2の集音部への入
力時間との時間差が補償され、時間差補償ステップで時
間差が補償された第1の信号及び第2の信号に対して、
第1の集音部の入力音と第2の集音部の入力音の強さの
差を示す差信号が差信号作成ステップで作成されるの
で、差信号によって、近傍に配置された入力音源からの
入力音に対してSN比を大幅に高めることが可能にな
る。
【0078】請求項6記載の音処理方法に係る発明は、
入力音を第1の信号に変換する第1の集音部と、入力音
を第2の信号に変換する第2の集音部とを備えた電子装
置に適用されるが、時間差補償ステップで、第1の信号
及び第2の信号に対して、入力音の第1の集音部への入
力時間と、入力音の第2の集音部への入力時間との時間
差が補償され、時間差補償ステップで時間差が補償され
た第1の信号及び第2の信号に対して、第1の集音部の
入力音と第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号
が、差信号作成ステップで作成されるので、差信号によ
って、近傍に配置された入力音源からの入力音に対して
SN比を大幅に高め、適用される電子装置の音信号特性
を向上させることが可能になる。
【0079】請求項7記載の音処理プログラムに係る発
明によると、入力音が第1の集音部で変換される第1の
信号、及び入力音が第2の集音部で変換される第2の信
号に対して、コンピュータを、入力音の第1の集音部へ
の入力時間と、入力音の第2の集音部への入力時間との
時間差を補償する時間差補償手段として機能させ、さら
に、時間差補償手段で時間差が補償された第1の信号及
び第2の信号に対して、第1の集音部の入力音と第2の
集音部の入力音の強さの差を示す差信号を作成する差信
号作成手段として機能させるので、コンピュータの差信
号作成によって、近傍に配置された入力音源からの入力
音に対してSN比を大幅に高め、コンピュータを備えた
電子装置の音信号特性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】同実施の形態に対応する第1の音処理方法を示
すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態の構成を示すブロッ
ク図である。
【図4】同実施の形態に対応する第2の音処理方法を示
すフローチャートである。
【図5】各実施の形態の入力音源と集音部との配列構成
を示す説明図である。
【図6】本発明が適用される携帯電話機の構成を示すブ
ロック図である。
【図7】本発明が適用される携帯情報端末の構成を示す
ブロック図である。
【図8】本発明が適用されるヘッドセット付パーソナル
コンビュータの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10、40・・第1のマイクロホン、12、42・・第
2のマイクロホン、14、44・・第1の増幅器、1
6、46・・第2の増幅器、18、48・・第1のAD
変換器、20、50・・第2のAD変換器、22・・遅
延器、24・・差分器、26・・増幅器、28・・後段
回路、52・・インタフェース回路、54・・ROM、
56・・RAM、58・・対応処理回路。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音処理装置であって、 入力音を第1の信号に変換する第1の集音部と、 入力音を第2の信号に変換する第2の集音部と、 前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
    前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
    集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償手
    段と、 該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の信号
    及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の入力
    音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号
    を作成する差信号作成手段とを有することを特徴とする
    音処理装置。
  2. 【請求項2】 音処理装置であって、 入力音を第1の信号に変換する第1の集音部と、 入力音を第2の信号に変換する第2の集音部と、 前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
    前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
    集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償手
    段と、 該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の信号
    及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の入力
    音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号
    を作成する差信号作成手段とを備え、前記第1の信号と
    前記第2の信号とが同種類の信号であることを特徴とす
    る音処理装置。
  3. 【請求項3】 音処理装置であって、 入力音を第1の電気信号に変換する第1の集音部と、 入力音を第2の電気信号に変換する第2の集音部と、 前記第1の電気信号及び前記第2の電気信号に対して、
    入力音の前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前
    記第2の集音部への入力時間との時間差を補償する時間
    差補償手段と、 該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の電気
    信号及び前記第2の電気信号に対して、前記第1の集音
    部の入力音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示
    す差信号を作成する差信号作成手段とを有することを特
    徴とする音処理装置。
  4. 【請求項4】 入力音を第1の信号に変換する第1の集
    音部と、入力音を第2の信号に変換する第2の集音部と
    を備えた電子装置に使用される音処理装置であって、 前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
    前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
    集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償手
    段と、 該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の信号
    及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の入力
    音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号
    を作成する差信号作成手段とを有することを特徴とする
    音処理装置。
  5. 【請求項5】 音処理方法であって、 入力音を第1の信号に変換する第1の集音部により受音
    する第1の受音ステップと、 入力音を第2の信号に変換する第2の集音部により受音
    する第2の受音ステップと、 前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
    前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
    集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償ス
    テップと、 該時間差補償ステップで時間差が補償された前記第1の
    信号及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の
    入力音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差
    信号を作成する差信号作成ステップとを有することを特
    徴とする音処理方法。
  6. 【請求項6】 入力音を第1の信号に変換する第1の集
    音部と、入力音を第2の信号に変換する第2の集音部と
    を備えた電子装置に適用される音処理装方法であって、 前記第1の信号及び前記第2の信号に対して、入力音の
    前記第1の集音部への入力時間と、入力音の前記第2の
    集音部への入力時間との時間差を補償する時間差補償ス
    テップと、 該時間差補償ステップで時間差が補償された前記第1の
    信号及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の
    入力音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差
    信号を作成する差信号作成ステップとを有することを特
    徴とする音処理方法。
  7. 【請求項7】 音処理プログラムであって、 入力音が第1の集音部で変換される第1の信号、及び入
    力音が第2の集音部で変換される第2の信号に対して、
    コンピュータを、入力音の前記第1の集音部への入力時
    間と、入力音の前記第2の集音部への入力時間との時間
    差を補償する時間差補償手段として機能させ、 該時間差補償手段で時間差が補償された前記第1の信号
    及び前記第2の信号に対して、前記第1の集音部の入力
    音と前記第2の集音部の入力音の強さの差を示す差信号
    を作成する差信号作成手段として機能させることを特徴
    とする音処理プログラム。
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