JP2003020526A - 調湿性複合繊維 - Google Patents

調湿性複合繊維

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JP2003020526A
JP2003020526A JP2001210339A JP2001210339A JP2003020526A JP 2003020526 A JP2003020526 A JP 2003020526A JP 2001210339 A JP2001210339 A JP 2001210339A JP 2001210339 A JP2001210339 A JP 2001210339A JP 2003020526 A JP2003020526 A JP 2003020526A
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fiber
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JP2001210339A
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Joji Iizuka
丈二 飯塚
Takahiro Okubo
隆弘 大久保
Eizo Goto
栄三 後藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、優れた吸放質性能、充分な機械的強
度を有し、かつ、製糸製が良好であり、使用後において
は自然環境下において徐々に分解消滅するので、焼却に
よる大気汚染の心配がなく、万が一放置された場合に
も、環境汚染や環境破壊を引き起こすことのない、優れ
た調湿性複合繊維を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の調湿性複合繊維は、芯鞘型調湿性
複合繊維において、芯部及び鞘部ともに融点が130℃
以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリマーからな
り、該鞘成分の比率が全体の30〜80重量%であり、
該芯部または該鞘部に、平均粒径0.1〜4.0μmの
珪藻土を20〜70重量%含有し、かつ、該複合繊維の
破断強度が2.0cN/dtex以上であることを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調湿性複合繊維に
関する。さらに詳しくは、カーテン、カーペット、壁布
素材等に充分な強度を有しており、室内の結露を防ぐの
に適した調湿機能を有し、製糸性や製織、製編等の後加
工性にも優れ、使用後廃棄された場合において、生分解
性を有する調湿性複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の住宅の建築様式は高断熱、高気密
化の趨勢であるが、一般に使用される室内装飾用の合成
繊維製素材には調湿機能がなく、結露およびカビやダニ
の発生が居住環境の悪化を招く重大問題となっており、
調湿機能を持った素材が待望されている。
【0003】また、一般的な合成繊維から得られた製品
は、用済み後の処分において生分解性を有さないため、
最終的に焼却、または埋め立てにするしか処分の手段が
なく、大気汚染や埋め立て地確保の問題があったほか、
不法に廃棄された場合には環境汚染、環境破壊を引き起
こす等の問題があった。
【0004】従来、優れた調湿機能を持った素材として
木材、ゼオライト、セラミックス等が知られている。こ
れら素材については次のような問題点を有している。
【0005】木材で調湿を行う場合、その使用量を多く
する必要があり、経済性に劣ると共に、森林資源確保の
面からも長期的、安定的に確保することは困難である。
【0006】ゼオライトはその細孔構造から吸湿機能に
は非常に優れているが、放湿機能はあまり期待できず、
調湿の面では十分とは言えない。
【0007】また、セラミックス材料では調湿機能を発
現させるために、その材料に開気孔かつ特定の大きさの
細孔を多量に含ませる必要があり、材料設計が非常に難
しく、安定的かつ経済的に生産することは困難である。
【0008】上記素材は加工性に乏しく、一度設置する
と変更する際のコストが高くなるという問題を有してい
る。更に室内で特に結露し易い場所として外気と接する
ガラス窓が挙げられるが、木材、ゼオライト、セラミッ
クをガラス窓に接近して用いることはできず、前記素材
で結露を防ぐためには使用量を多くする必要がある。
【0009】一方、ゼオライトやセラミックスは、マト
リクス樹脂として合成樹脂を用いた場合、使用後の廃棄
時に産廃問題を発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、優れた吸放湿性能、充分な機械的強
度を有し、かつ、製糸性が良好であり、使用後において
は自然環境下において徐々に分解消滅するので、焼却に
よる大気汚染の心配がなく、万が一放置された場合に
も、環境汚染や環境破壊を引き起こすことのない、優れ
た調湿性複合繊維を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の調湿性複合繊維は、芯鞘型調湿
性複合繊維において、芯部及び鞘部ともに融点が130
℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリマーから
なり、該鞘成分の比率が全体の30〜80重量%であ
り、該芯部または該鞘部に、平均粒径0.1〜4.0μ
mの珪藻土を20〜70重量%含有し、かつ、該複合繊
維の破断強度が2.0cN/dtex以上であることを
特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり優れ
た吸放湿性能、充分な機械的強度を有し、かつ、製糸性
が良好であり、使用後においては自然環境下において徐
々に分解消滅するので、焼却による大気汚染の心配がな
く、万が一放置された場合にも、環境汚染や環境破壊を
引き起こすことのない、優れた調湿性複合繊維につい
て、鋭意検討し、芯鞘型複合繊維を脂肪族ポリエステル
という特定なポリマーで構成し、かつ、その芯部または
鞘部のいずれかに、特定な粒径の珪藻土を含有させてみ
たところ、かかる課題を一挙に解決することを究明した
ものである。
【0013】本発明で用いる脂肪族ポリエステルとして
は、たとえばポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオ
ネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−
ヒドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレ
ンド物、変性物等を用いることができる。これらの脂肪
族ポリエステルの中でも、融点が130℃以上、好まし
くは150℃以上、特に好ましくは170℃以上である
ものであることが重要である。かかる融点が130℃よ
りも低い脂肪族ポリエステルの場合には、製糸時、特に
紡糸時に単糸間の融着が著しくなり、更に延伸不良が発
生するなど製品の品位が著しく損なわれる。
【0014】なお、本発明において、融点とは、差動走
査熱量計(DSC)で測定して得られる溶融ピークの温
度をいう。
【0015】なお、本発明において、「脂肪族ポリエス
テルを主体とする」とは、単独重合体でもよく、あるい
は、ブレンド体であっても差し支えないが、80重量%
以上が脂肪族ポリエステルであって、他の樹脂が全体の
20重量%まで含まれていても構わない。
【0016】これらの脂肪族ポリエステルを主体として
構成された繊維を用いることにより、優れた機械的特
性、耐候性を兼備することができる。また、これらの脂
肪族ポリエステルは、生分解性が高く、使用後は自然環
境中で容易に分解されるという利点を有する。更に、使
用する繊維の繊度や繊維構造、あるいは編み構造等で、
生分解性の速度を抑制することができるという利点もあ
る。
【0017】かかる脂肪族ポリエステルの中でも、特に
ポリ乳酸が好適に用いられる。かかるポリ乳酸の製造方
法には、L−乳酸、D−乳酸(乳酸のラセミ体)を原料
として、一旦、環状2量体であるラクチドを生成せし
め、その後、開環重合を行う2段階のラクチド法と、当
該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う1段階の直接重合
法が知られている。
【0018】本発明で好ましく用いられるポリ乳酸は、
いずれの製法によって得られたものであっても良い。
【0019】ラクチド法によって得られるポリマーの場
合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸
時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段
階でポリマー中に含まれる環状2量体の含有量を、0.
1wt%以下とすることが望ましい。
【0020】また、L体/D体のモル比は50/50〜
98/2であるポリ乳酸が好適である。L体/D体が5
0/50未満では、軟らかすぎ、耐用性に欠けたものと
なる。また、98/2を越える場合は、硬くなりすぎ
て、生分解性に乏しくなる。特に好ましいL体/D体の
モル比は60/40〜95/5の範囲である。
【0021】また、かかるポリ乳酸の平均分子量は、高
いほど物性に優れたものを提供するので好ましいが、好
ましくは少なくとも5万、より好ましくは少なくとも1
0万、特に好ましくは10〜50万である。平均分子量
が5万未満の場合には、繊維の強度物性に劣るものしか
提供できないので好ましくない。上限については、特に
制限はなく、紡糸可能な範囲で適宜選択して使用するの
がよいが、好ましくは80万程度であるのがよい。
【0022】また、本発明において好ましく用いられる
ポリ乳酸は、乳酸の他にエステル形成能を有するその他
の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。か
かる共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒ
ドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉
草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカル
ボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリ
エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類、また
はそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等
の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類、ま
たはそれらの誘導体を使用することができる。
【0023】また、溶融粘度を低減させるため、ポリカ
プロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレ
ンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを
内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いるこ
とができる。
【0024】本発明の調湿性複合繊維は、芯部または鞘
部に珪藻土を含有させるところに特徴を有する。かかる
芯鞘型構造とする目的は、該珪藻土の添加により、原糸
強度が低下するものであるが、芯鞘のいずれかを該珪藻
土を含まないポリマーで構成することにより、原糸強度
を一定以上に保つことができるからである。
【0025】この珪藻土による充分な吸放湿性能を発現
できるためには、該鞘部の比率は30〜80重量%、好
ましくは40〜70重量%、より好ましくは50〜60
重量%であることが重要である。すなわち、かかる特定
範囲に制御することで、吸放湿性を維持しつつ、機械特
性や製糸性に優れた繊維とすることができる。また、該
鞘部の比率を下げすぎると、鞘割れを起こし、芯鞘形態
が維持できなくなる。
【0026】また、本発明に用いる珪藻土は、その平均
粒径としては、0.1〜4.0μm、好ましくは0.3
〜3.0μm、より好ましくは、0.3〜1.5μmで
あるものを使用することが重要である。かかる平均粒径
が4.0μmを超えるものでは、製糸性が低下し、安定
的な製造は困難となり、また、0.1μm未満のもので
は、凝集性が高まり、結局は、凝集粒子として大粒径化
し易く、安定的な製造は困難である。かかる平均粒径を
特定な範囲に制御したものを使用することによって、熱
可塑性樹脂への加工性が良好で、また、得られる複合繊
維の繊維径のバラツキも小さく、しかも吸放湿性能に優
れ、また、製糸性も良好で品質のようものを提供するこ
とができるものである。
【0027】この珪藻土の含有量は、20〜70重量
%、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは30
〜50重量%であることが、吸放湿性能と製糸安定性の
バランスの上から重要である。すなわち、含有量が20
重量%未満のように少な過ぎる場合は、吸放湿性能が不
十分となり、70重量%を越えて多すぎる場合は、繊維
化が困難となる。
【0028】また、珪藻土の種類としては、特に制限は
ないが、例えば、稚内層珪藻土、秋田珪藻土、石川珪藻
土が使用される。これらの中では、吸放湿性能に優れた
稚内層珪藻土を用いることが好ましく、その使用量とし
ては、珪藻土の全量に対して好ましくは80重量%以
上、より好ましくは90重量%以上である。
【0029】この稚内層珪藻土は堆積した珪藻泥岩が地
圧と熱的地質変化を受けてできた結晶性珪酸鉱物のペー
ジ状岩石であり、大部分が1μm以下のサブミクロンの
粒子で構成され、極めて微細な粉体であると共に、一般
的な珪藻土に比べて数ミクロンの微粒子の細孔を無数に
持っている。この細孔は調湿機能を発現する重要な細孔
半径である24〜62Åの細孔容量を多く占めている。
【0030】かかる特定な稚内層珪藻土を本発明の複合
繊維に用いたとき、一般的な珪藻土より5倍以上の卓越
した調湿機能を発現し、かつ、自律性自然呼吸調湿機能
材料として適した特性を有しており、湿度が60%RH
以上になると急速に湿気を吸湿し、湿度が下がってくる
と保持していた湿気を放湿して、室内の相対湿度を60
%RH前後に調整する機能を発現するため、極めて好ま
しく採用される。
【0031】また、芯部あるいは鞘部の熱可塑性樹脂に
は、酸化チタン、炭化カルシウム等に代表される艶消し
剤や分散剤、可塑剤、劣化防止剤、着色顔料等の添加剤
が、本発明の目的を損なわない範囲において、含有され
ていても差し支えないが、好ましくは5重量%以下の範
囲で含有されているのがよい。
【0032】本発明の調湿性複合繊維は、破断強度が
2.0cN/dtex以上とすることが必要である。破
断強度が2.0cN/dtex未満では製糸あるいは製
織、製編等の繊維加工時に糸切れが多発し、実質的に生
産が困難になる。このため本発明の繊維の破断強度は、
2.5cN/dtex以上であることがより好ましく、
3.0cN/dtex以上であることがさらに好まし
い。
【0033】本発明の調湿性複合繊維には、着色顔料、
紫外線安定剤、艶消し剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤等を
必要に応じて添加することができる。
【0034】本発明の調湿性複合繊維は、意匠性の観
点、および繊維の耐候性を向上できる点から下記顔料を
含有せしめた原着糸とすることが好ましい。この着色顔
料としては無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フ
タロシアニン系、アントラキノン系、イソインドリノン
系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ
系等のものを使用することができる。
【0035】原着剤は通常、固相重合する前の脂肪族ポ
リエステルチップを溶融したものにブレンド混合し、着
色した脂肪族ポリエステルチップを得、該チップを高温
減圧化で乾燥し、着色マスターチップを得る。該着色マ
スターチップと未着色脂肪族ポリエステルチップを所望
の割合でブレンド混合し、溶融紡糸する方法が一般に用
いられる。
【0036】本発明の調湿性複合繊維の単繊維繊度は、
目的に応じて任意に設定できるが、例えばレース用のカ
ーテン生地のような薄い生地とする場合は、0.5〜5
dtexと細く設定し、ドレープカーテンのように厚手
のものでは、5〜20dtexと太く設定することがで
きる。また、単糸の断面形状は、芯鞘構造であれば特に
限定されるものではなく、丸型、Y型、T型、扁平型、
十字型など種々の形態であっても差し支えない。
【0037】本発明の調湿性複合繊維は、織物、編物、
あるいは植毛などいかなる形態に加工して用いてもよい
が、調湿機能を発揮させるためには、カーテン地のよう
な織物や編物の形で用いるのが好ましい。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0039】本実施例において採用した測定方法を以下
に示す。 [破断強度(cN/dtex)、破断伸度(%)](株)
オリエンテック社製“テンシロン”引張試験機タイプを
用い、試料長25cm、引張速度30cm/分の条件で
測定した。 [調湿性能]得られた糸を用いて平織物を製織し、目付1
000g/m2 の織物を1辺が2m幅の正方形の織物と
した。室内の温度を25℃一定に保った状態で湿度50
%とし、24時間後の織物重量W0を測定し、その後湿
度を90%に変更して24時間後の織物重量W1を測
定、さらに湿度50%に変更して24時間後の織物重量
W2を測定し、次式により織物の吸湿量、放湿量を求め
た。
【0040】吸湿量=(W1−W0)×100 放湿量=(W1−W2)×100 [生分解性]調湿性複合繊維を土壌中に6ヶ月埋めてお
き、取り出し後の強力を前記のテンシロン引っ張り試験
機で測定し、同様の方法で測定した埋設前の強力に対す
る強力保持率として求めた。
【0041】実施例1〜3、比較例1〜2 Dien−Starkトラップを設置した100L反応
器に、90%L体−乳酸10kgを160℃/50mm
Hgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫末6.
2gを加え、160℃/50mmHgでさらに2時間攪
拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末28.
8gとジフェニールエーテル20.1kgを加え、16
0℃/35mmHgで共沸脱水反応を行い、留出した水
と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみ分離器に戻した。
2時間後、反応器に戻した有機溶媒を4.6kgモレキ
ュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器に
戻るようにして、150℃/35mmHgで50時間反
応を行い、平均分子量18万のポリ乳酸溶液を得た。こ
の溶液に脱水したジフェニールエーテル44kgを加
え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶を濾
過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄して60℃/
50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−HCl
12kgとエタノール12kgを加え、35℃で1時間攪
拌した後濾過し、60℃/50mmHgで乾燥して、ポ
リ乳酸6.1kgを得た。この粉末を押出機で溶融ペレ
ット化し、L体−乳酸ポリマーを得た。このポリマーの
平均分子量は20万であった。
【0042】L体−乳酸100部をD体−乳酸100部
に変えた以外は、上記と同様にしてペレット化し、D体
−乳酸を得た。このポリマーに平均分子量は20万であ
った。
【0043】得られたL体−乳酸とD体−乳酸を85:
15の割合で混合し、ベースチップとした。
【0044】得られたベースチップに、平均粒径0.5
μmの稚内層珪藻土を40重量%含むように添加し、溶
融混練した後、3.0mmφの口金から吐出し、冷却カ
ットした。該チップを高温減圧化で乾燥し、調湿用チッ
プとした。
【0045】同様に得られたベースチップに、市販のス
チレン系イエローとシアニン系ブルーとカーボンを1:
1.5:0.1重量比の割合で調整した着色剤0.3重
量%を添加し溶融混練した後、3.0mmφの口金から
吐出し冷却カットした。該チップを高温減圧化で乾燥
し、着色マスターチップとした。
【0046】鞘成分として、ベースチップ中に着色マス
ターチップを2重量%添加したものを、芯成分として、
稚内層珪藻土を40重量%含んだ調湿用チップを用意
し、それぞれのチップを乾燥後、240℃で別々のエク
ストルーダで溶融して、複合紡糸パック中に導き、芯鞘
複合紡糸口金より、芯/鞘複合比率が重量比で50/5
0の芯鞘型2成分複合繊維として紡出した。
【0047】紡糸口金には、孔径0.6mmφの吐出孔
が90個設けられており、口金直下には、長さ300m
mの非加熱の断熱筒を設置し、その下に長さ100cm
のユニフロー型チムニーを取り付け、25℃の冷風を糸
条に直角に、30m/minの速度で吹き付け冷却し
た。
【0048】引き続いて油剤を付与した後、1200m
/minの速度で回転する引き取りローラーにより、糸
条速度を制御した後、連続して3.5倍に延伸した。延
伸は5対のネルソン型ロール(引き取りロール、供給ロ
ール、第1延伸ロール、第2延伸ロール、リラックスロ
ール)により2段階で延伸し、5%リラックスさせた
後、実施例1の延伸糸を巻き取った。
【0049】このとき、各ロール温度は順に室温、90
℃、100℃、140℃、室温とした。リラックスロー
ルから巻き取り機までの間で、0.5MPaの圧縮空気
を用いてエア交絡を付与した。得られた延伸糸の糸条繊
度が1100dtexとなるようポリマー吐出量を調整
した。
【0050】得られた調湿用繊維を用いて平織物を製織
し、目付1000g/m2 の織物を得た。
【0051】実施例2、実施例3として、芯/鞘複合比
率のみを60/40、30/70に変更した以外は、実
施例1と同じ条件で延伸糸を得た。
【0052】また、比較例1、比較例2として、芯/鞘
複合比率のみを10/90、80/20に変更した以外
は、実施例1と同じ条件で延伸糸を得た。
【0053】表1からわかるように、芯鞘複合率を変更
した実施例1〜3の複合糸は強度に優れ、製糸性、製織
性も良好であり、吸放湿の調湿特性も優れたものであっ
た。一方、比較例1の複合糸は、強度は十分であった
が、調湿性能が低い結果であった。また、比較例2の複
合糸は、調湿機能は十分であったが強度が低い結果であ
った。
【0054】実施例4、5、比較例3、4 実施例4、実施例5として、鞘部ポリマーの稚内層珪藻
土含有量を30重量%、60重量%に変更した以外は、
実施例1と同じ条件で延伸糸を得た。
【0055】また、比較例3、比較例4として、鞘部ポ
リマーの稚内層珪藻土含有量を10重量%、80重量%
に変更した以外は、実施例1と同じ条件で延伸糸を得
た。
【0056】表1からわかるように、稚内層珪藻土の含
有量を変更した実施例4、5の複合糸は強度、製糸性、
製織性も良好であり、吸放湿の調湿特性も優れたもので
あった。一方、比較例3の複合糸は、強度は十分であっ
たが、調湿機能が低い結果であった。また、比較例4の
複合糸は、糸切れが多発し、品位が悪く製織布に加工す
ることができなかった。
【0057】実施例6、7,比較例5 実施例6および比較例5として、添加する稚内層珪藻土
の平均粒径を2.2μmおよび5.5μmに変更した以
外は、実施例1と同様の方法で複合糸を得た。
【0058】また、実施例7として、稚内層珪藻土を平
均粒径を0.5μmの秋田珪藻土に変更した以外は、実
施例1と同様の方法で複合糸を得た。
【0059】表1からわかるように、稚内層珪藻土の平
均粒径を2.2μmに変更した実施例6の複合糸は、強
度、製糸性、製織性も良好であり、吸放湿の調湿特性も
優れたものであった。一方、比較例5の複合糸は、製糸
時の糸切れが著しく、破断強度も低く製織布に加工する
ことができなかった。また秋田珪藻土を使用した実施例
7は、強度、製糸性、製織性が良好で、調湿性能は稚内
層珪藻土より低いものの、調湿特性を有するものであっ
た。
【0060】実施例8 実施例8として、芯部ポリマーと鞘部ポリマーを入れ替
えて、鞘部に稚内珪藻土を40重量%含むようにし、芯
部は稚内珪藻土を除いた以外は、実施例1と同じ条件で
複合糸を得た。
【0061】表1からわかるように、実施例8の複合糸
は、実施例1と遜色なく、強度に優れ、製糸性、製織性
も良好であり、吸放湿の調湿特性も優れたものであっ
た。
【0062】比較例6 比較例6として、芯部ポリマーと鞘部ポリマーをポリエ
チレンテレフタレートに変更し、実施例1と同様に複合
糸を得た。
【0063】表1からわかるように、比較例6の複合糸
は、強度、製糸性、製織性も良好で、吸放湿の調湿特性
も優れたものであった。
【0064】一方生分解性について、ポリ乳酸を使用し
た実施例1〜7,および比較例1〜5は優れた生分解性
を得たが、ポリエチレンテレフタレートを使用した比較
例6は、ほとんど分解されなかった。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、珪藻土を含有した繊維
を用いることにより、室内の湿度が高い場合では速やか
に吸湿し、湿度が低下した場合は、吸湿した湿気を速や
かに放湿することが可能な、自律性自然呼吸調湿機能を
持った調湿性複合繊維を提供することができ、かつ生分
解性も有しており、製品処分を行う際、土中に埋めるこ
とで地球環境に影響を与えることなく、廃棄することが
簡便に行えるため極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 AA18 AA19 AA20 AA22 AA25 BA02 BA05 BA21 BC01 BC02 BC20 BD09 BD14 BD20 CA05 CB21 CB25 CB28 DD01 DD21 DD24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯鞘型調湿性複合繊維において、芯部及
    び鞘部ともに融点が130℃以上の脂肪族ポリエステル
    を主体とするポリマーからなり、該鞘成分の比率が全体
    の30〜80重量%であり、該芯部または該鞘部に、平
    均粒径0.1〜4.0μmの珪藻土を20〜70重量%
    含有し、かつ、該複合繊維の破断強度が2.0cN/d
    tex以上であることを特徴とする調湿性複合繊維。
  2. 【請求項2】 該脂肪族ポリエステルが、乳酸を主たる
    繰り返し単位とするポリエステル繊維であることを特徴
    とする請求項1に記載の調湿性複合繊維。
  3. 【請求項3】 該複合繊維が、原着化された繊維である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の調湿性複合
    繊維。
  4. 【請求項4】 該珪藻土の80重量%以上が稚内層珪藻
    土であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の調湿性複合繊維。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011062690A (ja) * 2009-09-03 2011-03-31 Weimeng Ind Co Ltd 生物分解可能な乾燥剤及びその製造方法
US20170058451A1 (en) * 2014-08-29 2017-03-02 The North Face Apparel Corp. Fibers and other constructs treated with diatomite particles
JP2019108651A (ja) * 2017-12-15 2019-07-04 日本エステル株式会社 潜在捲縮性を有する複合繊維

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