JP2002544291A - Fabiの使用方法 - Google Patents

Fabiの使用方法

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JP2002544291A JP2000618423A JP2000618423A JP2002544291A JP 2002544291 A JP2002544291 A JP 2002544291A JP 2000618423 A JP2000618423 A JP 2000618423A JP 2000618423 A JP2000618423 A JP 2000618423A JP 2002544291 A JP2002544291 A JP 2002544291A
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    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
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    • C12N9/001Oxidoreductases (1.) acting on the CH-CH group of donors (1.3)
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Abstract

(57)【要約】 原核生物FAB IポリペプチドおよびかかるFAB IをコードするDNA(RNA)ならびに組換え技法によりかかるポリペプチドを産生する方法を開示する。さらに、感染、例えば細菌感染の治療にかかるFAB Iを用いる方法を開示する。かかるFAB Iに対するアンタゴニストおよび感染、例えばスタフィロコッカス感染を治療するためのその治療薬としての使用も開示する。さらには、宿主中におけるFAB I核酸配列およびそのポリペプチドの存在と関連する疾患を検出するための診断検定法も開示する。また、宿主中のFAB Iをコードするポリヌクレオチドを検出するための、およびポリペプチドを検出するための診断検定法も開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、一つには、新たに同定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド
、これらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変種および誘導体、これらの
ポリヌクレオチドおよびこれらのポリペプチドおよびそれらの変種および誘導体
の製造方法、ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト、ならびにこれら
のポリヌクレオチド、ポリペプチド、変種、誘導体、アゴニストおよびアンタゴ
ニストの使用に関するものである。特に、これらおよび他の点について、本発明
は、以後「FAB I」と称される、スタフィロコッカスFab Iエノイル−A
CPレダクターゼのポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関するものである。
【0002】 (従来技術) 飽和脂肪酸を生合成する経路全体はどの生物でも同様であるが、脂肪酸シンタ
ーゼ(FAS)系は、その構造組織でかなり異なる。脊椎動物および酵母に見ら
れるI型FAS系においては、脂肪酸合成に必要とされる不可欠な酵素は、各々
、1または2本のポリペプチド鎖に存在する。反対に、大部分の細菌および植物
に見られるII型FAS系においては、その経路の工程は、各々、異なる単一機
能酵素により触媒工程に付される。従って、細菌と哺乳類の酵素の阻害を有意に
選択することは可能であると思われる。
【0003】 Fab I(以前はEnvMと呼ばれた)は、細菌による脂肪酸生合成の各サ
イクルに関与する4工程の反応の最終工程でエノイル−アシルキャリア蛋白(A
CP)レダクターゼ(バーグラーら、(1994)、「ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー」(J.Biol.Chem.)、269、5493−5496)
として機能する。
【0004】 第一工程はβ−ケトアシル−ACPシンターゼにより触媒作用に付され、それ
はマロニル−ACPをアセチル−CoAと縮合させる(FabH、シンターゼI
II)。その後のラウンドにて、マロニル−ACPを成長鎖アシル−ACPと縮
合させる(FabBおよびFabF、各々、シンターゼIおよびII)。 その延長サイクルの第二工程は、NADPH−依存性β−ケトアシル−ACP
レダクターゼ(FabG)によるケトエステル還元である。β−ヒドロキシアシ
ル−ACPデヒドラーゼ(FabAまたはFabZのいずれか)によるその後の
脱水はトランス−2−エノイル−ACPをもたらし、それは順次NADH−依存
性エノイル−ACPレダクターゼ(FabI)によりアシル−ACPに変換され
る。このサイクルのさらなるラウンドでは、1サイクルにつき2個の炭素原子が
付加されて、結局はパルミトイル−ACP(16C)が誘導され、そこでこのサ
イクルは、大きくはパルミトイル−ACPがFabIをフィードバック阻害する
が故に止められる(ヒースら、(1996)、「ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー」(J.Biol.Chem.)、271、1833−1836)。従っ
て、Fab Iは、全体的合成経路において重要な調節点でもある主要な生合成
酵素である。
【0005】 初期のデータは、エシェリヒア・コリ(E.coli)には2種のエノイル−ACP
レダクターゼが存在し、一方はNADPH依存性であり、他方はNADH依存性
であることを示唆していた。しかしながら、最近の研究からは、NADPH依存
性酵素については根拠がないことが明らかにされ、Fab Iがエシェリヒア・
コリから同定された唯一のエノイルACPレダクターゼである(ヒースら、(1
995)、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」(J.Biol.Che
m.)、270、26538−26542、バーグラーら、(1994)、「ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」(J.Biol.Chem.)、269、5
493−5496)。
【0006】 ジアザボリン抗生物質が、脂肪酸、燐脂質およびリポ多糖類(LPS)の生合
成を阻害し、また、これらの化合物の抗菌性標的がFab Iであることもわか
った。例えばグラスバーガーら、(1984)「ジャーナル・オブ・メディシナ
ル・ケミストリー」(J.Med.Chem)、27 947−953による誘導体2b1
8は、Kiが0.2ミリモルのFab Iの非拮抗阻害剤であることがわかった(
バーグラーら、(1994)、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー」(J.Biol.Chem.)、269、5493−5496)。グラム陰性およびグ
ラム陽性菌に対するジアザボリン誘導体の抗菌活性は、文献で詳細に報告されて
いる(グラスバーガーら、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」
(J.Med.Chem.) 1984 27、947−953;グロノヴィッツら、「アク
タ・ファルム・スエシカ」(Acta Pharm Suecica)、1971 8 377;ワー
シュら、米国特許第2533918号;ラムら、「ジャーナル・オブ・アンチミ
クロバイアル・ケモセラピー」(J.Antimirob.Chemother.)1987 20 37
−45)。
【0007】 条件的致死Fab I変異体をエシェリヒア・コリで構築し、サルモネラ・テ
ィフィムリウム(Salmonella typhimurium)から由来のFab I遺伝子はこの
変異に相補的である。加えて、ジアザボリン耐性サルモネラ・ティフィムリウム
からのFab I遺伝子を含むプラスミドが、エシェリヒア・コリにおいてジア
ザボリン耐性を付与し(ツルノブスキーら、(1989)、「ジャーナル・オブ
・バクテリオロジー」(J.Bacteriol.)、171、6555−6565)、Fa
b Iがジアザボリンの抗菌性標的として確認された。 ジアザボリンによる、またはFab I温度感受性変異体の温度を非許容条件
まで昇温させるかのいずれかによるFab Iの阻害は致命的であり、このこと
はFab Iが生物の生存にとって不可欠であることを証明している(バーグラ
ーら、(1994)、「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」(
J.Biol.Chem.)、269、5493−5496)。実験室形成のFab I遺伝
子における点突然変異は、ジアザボリン耐性イー・コリを誘発する。
【0008】 Fab Iは、グラム陰性菌中に、イー・コリおよびサルモネラ・ティフィム
リウム(S.typhimurium)Fab I間で98%の同一性(バーグラーら、(1992),
「ジャーナル・オブ・ジェネラル・マイクロバイオロジー」(J.Gen.Microbiol.)
138,2093-2100)ならびにこれらの蛋白およびヘモフィルス・インフルエンゼ(H
.influenzae)Fab I間で75%の同一性を有して保存されている。本発明の
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)FAB Iは、マイコバクテリウ
ム・ツベルクロシス(M.tuberculosis)を含むマイコバクテリア全体に高度保存
されているマイコバクテリア性蛋白、InhAと54%の類似性を示す。イー・
コリFab Iは、ブラッシカ・ナプス(Brassica napus)(菜種)エノイル−
ACPレダクターゼとは34%の同一性、57%の類似性を示すことが見いださ
れ、本発明のスタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)FAB Iもまた34
%の同一性、57%の類似性を示した。さらに、本発明のFAB Iは、イー・
コリとは252アミノ酸にわたって44%の同一性、64%の類似性を有するこ
とが見いだされた。本発明のFAB Iは、哺乳類2,4−ジエノイル−補酵素A
レダクターゼとの同一性は27%に過ぎず、類似性は48%である。この哺乳類
相同体は、それが多不飽和エノイル−CoAのβ−酸化に関与し、補因子として
NADHではなくNADPHを利用するという点でFAB Iとは異なる。従っ
て、FABIの選択的阻害には重要な可能性がある。脂肪酸生合成に対して標的
とされる抗生物質は市販されていないため、FAB Iの阻害剤は、現在の抗生
物質耐性機構に対して感受的でないと思われる。さらに、これは潜在的な広域ス
ペクトル標的である。
【0009】 新規な一連の抗生物質である化合物を開発する必要がある。また、抗生物質活
性について化合物をスクリーニングすることのできる、例えばFASの阻害剤を
スクリーニングするための単純な高スループット検定に使用され得る因子、例え
ばFABIが必要なことも明らかである。また上記因子を用いることにより、感
染、機能不全および疾病の発病におけるそれらの役割が決定され得る。感染、機
能不全または疾病の予防、改善および治療においてある役割を果たし得るかかる
因子の同定および特性検定は、ヒトの健康を改善するための重要な発見を為す際
の臨界的工程である。
【0010】 (発明の開示) 本発明の目的はFAB Iアゴニストを提供することである。そのうち、好ま
しいアゴニストは、FAB Iを真似る、すなわち、FAB I−結合分子または
結合分子に結合して、FAB I−誘発応答を惹起または強化する分子である。
また、そのうち好ましいアゴニストは、FAB Iと相互作用し、またはFAB
I活性の他の調節物質と相互作用し、そうしてFAB Iの一の作用もしくはF
AB Iの一以上の作用を亢進または強化する、殺菌または静菌剤である、分子
である。 本発明のさらなる態様によれば、FAB Iアンタゴニストが提供される。そ
のうち、好ましいアンタゴニストは、FAB I結合分子に結合するようにFA
B Iを模倣するが、一のFAB I誘発応答もしくは一以上のFAB I誘発応
答を亢進しない、分子である。そのうちの好ましいアンタゴニストはまた、FA
B Iの一の作用またはFAB Iの一以上の作用を阻害あるいはFAB Iの発
現を防止するようにFAB Iに結合またはFAB Iと相互作用する分子である
。FAB Iのさらに特に好ましいアンタゴニストはFAB I酵素活性を低下も
しくは阻止する。
【0011】 本発明のさらなる態様において、インビトロにて細胞に、エクスビボにて細胞
に、およびインビボにて細胞に、あるいは多細胞生物に投与するための、FAB
IポリヌクレオチドまたはFAB Iポリペプチドを含む、組成物が提供される
。本発明のこの態様の特定の特に好ましい具体例において、該組成物は、宿主生
物にてFAB Iポリペプチドを発現し、免疫学的応答を生じさせ、好ましくは
かかる宿主にて細菌、好ましくはスタフィロコッカスまたは遺伝学的に密接に関
連する生物に対する免疫性を惹起するためのFAB Iポリヌクレオチドを含む
【0012】 本発明は、以下のさらなる具体例を提供する: 配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるア
ミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4に示されるアミノ
酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドの活性を阻害
するアンタゴニストまたは活性化するアゴニストであって、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介するパルミトイルCo
A対クロトノイルCoA調節による拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、アンタゴニストまたはアゴニスト;
【0013】 FabIポリペプチドの阻害または活性化を必要とする個体の治療方法であっ
て、抗菌的に有効な量の、配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なく
とも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2ま
たは4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポ
リペプチドの活性を阻害するアンタゴニストまたは活性化するアゴニストを該個
体に投与することを含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法;
【0014】 細菌感染した個体の治療方法であって、抗菌的に有効な量の、配列番号:2ま
たは4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む
ポリペプチド、および配列番号:2または4に示されるアミノ酸配列を含むポリ
ペプチドからなる群より選択されるポリペプチドの活性を阻害するアンタゴニス
トまたは活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む、ここでその活性
が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法;
【0015】 FabIポリペプチドの阻害または活性化を必要とする個体の治療方法であっ
て、抗菌的に有効な量の、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、FabIの活性を阻害するアンタゴニスト、または
その活性を活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む、治療方法;
【0016】 細菌感染した個体の治療方法であって、抗菌的に有効な量の、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、FabIの活性を阻害するアンタゴニスト、または
その活性を活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む、治療方法;
【0017】 ストレプトコッカス・ニューモニアエ感染した個体の治療方法であって、抗菌
的に有効な量の、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、ストレプトコッカス・ニューモニアエFabIの活
性を阻害するアンタゴニスト、またはその活性を活性化するアゴニストを該個体
に投与することを含む、治療方法;
【0018】 配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるア
ミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4に示されるアミノ
酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドの活性を阻害
するアンタゴニストであって、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、アンタゴニスト;
【0019】 FabIポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法であって、抗菌的に
有効な量の、配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同
一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4に示さ
れるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドの
活性を阻害するアンタゴニストを該個体に投与することを含む、ここでその活性
が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法;
【0020】 FabIポリペプチドの活性を阻害する方法であって、該ポリペプチドを含む
組成物を、FabIの活性を阻害する有効量のアンタゴニストと接触させること
を含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法;
【0021】 FabIの活性を阻害する方法であって、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法;
【0022】 細菌の増殖を阻害する方法であって、細菌を含む組成物を、FabIの活性を
阻害する抗菌的に有効な量のアンタゴニストと接触させることを含む、ここでそ
の活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法;
【0023】 FabIポリペプチドを阻害する方法であって、細菌を含む組成物を、Fab
Iの活性を阻害する抗菌的に有効な量のアンタゴニストと接触させることを含む
、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法;
【0024】 本発明の方法においては、細菌はスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコ
ッカス・アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス
・ニューモニアエからなる群より選択されることが好ましい。 本発明の他の目的、特徴、利点および態様は、下記の記載事項から当業者にと
っては明白なものとなるであろう。しかしながら、以下の記載および実施態様は
本発明の好ましい具体例を示すものであって、単なる説明にすぎないものと理解
すべきである。開示された発明の精神および範囲内での様々な変化および修正に
ついては、当業者であれば、以下の記載を読み、本明細書の他の部分を読むこと
により容易に理解できるであろう。
【0025】 用語 以下、本明細書、特に実施例において頻繁に使用されている若干の用語を理解
し易くするために説明を行う。それらの説明は、都合上記載されたもので、本発
明を制限するものではない。
【0026】 本明細書で使用されている「結合性分子(複数でも可)」は、例えば酵素基質
および基質および補因子模擬物質ならびに古典的受容体を含む、本発明のFAB
Iポリペプチドまたはポリヌクレオチドと特異的に結合または相互作用する分
子またはイオンを包含する(これらはまた、それぞれ「結合性分子」および「相
互作用分子」と、および「FAB I結合性分子」および「FAB I相互作用分
子」と称することができる)。本発明のポリペプチドおよび結合性または結合性
または相互作用分子を含む上記分子間の結合は、本発明ポリペプチドに限定的で
あり得るか(これは極めて好ましい)、または本発明ポリペプチドに対して高特
異的であり得るか(これは非常に好ましい)、または本発明のポリペプチドを含
む一群の蛋白に高特異的であり得るか(これは好ましい)、または幾つかの群の
蛋白に特異的であって、そのうちの少なくとも1種に本発明ポリペプチドが含ま
れる場合があり得る。
【0027】 結合性分子はまた、自然には存在しないもの、例えば本発明のポリペプチドに
特異的に結合する抗体および抗体誘導試薬であってもよい。 「DNAの消化」とは、DNAにおける一定の配列でのみ作用する制限酵素に
よるDNAの開裂をいう。ここに示されている様々な制限酵素は市販されており
、それらの反応条件、補因子および他の使用必要事項は公知であり、当業者に周
知なものである。
【0028】 分析を目的とする場合、典型的には、1μgのプラスミドまたはDNAフラグ
メントを、約20μlの反応緩衝液中約2単位の酵素で消化する。プラスミド構
築用のDNAフラグメントを単離することを目的とする場合、典型的には5〜5
0μgのDNAを、20〜250単位の酵素により比例的に大きな容量で消化す
る。 特定制限酵素に適した緩衝液および基質量は、標準実験室マニュアル、例えば
下記に引用されているものに記載されており、それらは販売業者により指定され
ている。 37℃で約1時間のインキュベーション時間が一般に使用されるが、条件は標
準的操作、製造業者の指示および個々の反応に従って変化する。消化後、当業者
に慣用的な周知手段を用いて、反応物を分析し、フラグメントをアガロースまた
はポリアクリルアミドゲルによる電気泳動により精製することができる。
【0029】 「疾患(複数でも可)」は、(i)上気道感染(例えば、中耳炎、細菌性気管
炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道感染(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓
感染(例えば、感染性心内膜炎)、胃腸感染(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、
腹膜後膿瘍)、CNS感染(例えば、大脳膿瘍)、眼感染(例えば、眼瞼炎、結
膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管感染
(例えば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮
膚感染(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)
、ならびに骨および関節感染(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を含むが、こ
れらに限定されない、スタフィロコッカス感染などの精勤感染、および/または
(ii)Streptococcus、Staphylococcus、Bordetella、Corynebacterium、Myco
bacterium、Neisseia、Haemophilus、Actinomyces、Streptomyces、Nocardia、E
nterobacter、Yersinia、Fancisella、Pasturella、Moraxella、Acinetobacter
、Erysipelothrix、Branhamella、Actinobacillus、Streptobacillus、Listeria
、Calymmatobacterium、Brucella、Bacillus、Closterdium、Treponema、Escher
ichia、Salmonella、Kleibsiella、Vibrio、Proteus、Erwinia、Borrelia、Lept
ospira、Spirillum、Campylobacter、Shigella、Legionella、Pseudomonas、Aer
omonas、Rickettsia、Chlamydia、BorreliaおよびMycoplasmaである属の細菌、
さらには以下の種または群の細菌を含むがこれに限定されない、グループAのSt
reptococcus、グループBのStreptococcus、グループCのStreptococcus、グル
ープDのStreptococcus、グループGのStreptococcus、Streptococcus pneumoni
ae、Streptococcus pyrogenes、Streptoxoxxus agalactiae、Streptococcus fae
calis、Streptococcus faecium、Streptococcus durans、Neisseria gonorrheae
、Neisseria meningitidis、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermi
dis、Corynebacterium diptheriae、Garnella vaginalis、Mycobacterium tuber
culosis、Mycobacterium bovis、Mycobacterium ulcerans、Mycobacterium lepr
ae、Actinomyces israelli、Listeria monocytogenes、Bordetella pretusis、B
ordetella parapretusis、Bordetella bronchiseptica、Esherichia coli、Shig
ella dysenteriae、Haemophilus influenzae、Haemophilus aegyptius、Haemoph
ilus parainfluenzae、Haemophilus ducreyi、Bordetella、Salmonella typhi、
Citrobacter freundii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Yersinia pest
is、Klebsiella pneumoniae、Serratia marcessens、Serratia liquefaciens、V
ibrio cholera、Shigella dysenterii、Shigella flexneri、Pseudomonas aerug
inosa、Franscisella tularensis、Brucella abortis、Bacillus anthracis、Ba
cillus cereus、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Clostridium
botulinum、Treponema pallidum、Rickettsia rickettsiiおよびChlamydia trac
homitis;により引き起こされる感染またはかかる細菌に関連する感染を意味す
る。
【0030】 「遺伝エレメント」は、ポリペプチドをコードする領域または宿主細胞におけ
るポリペプチドの発現に重要な転写または翻訳または他のプロセスを調節する領
域を含むポリヌクレオチド、またはポリペプチドをコードする領域およびそこに
機能し得るように連結された発現調節領域の両方を含むポリヌクレオチドを包含
する。 遺伝エレメントは、エピソーム成分として、すなわち宿主細胞ゲノムとは物理
的に独立した分子として複製するベクター内に含まれ得る。それらはプラスミド
内に含まれ得る。遺伝エレメントはまた、それらの自然の状態ではなく、特に、
例えば宿主細胞への単離、クローニングおよび導入といった操作が加えられた後
の精製DNA形態またはベクターで宿主細胞ゲノム内にも含まれ得る。 「宿主細胞」とは、外来性ポリヌクレオチド配列により、形質転換、トランス
フェクション、感染または導入されている、あるいは形質転換、トランスフェク
ションまたは導入することのできる細胞を意味する。
【0031】 当該分野にて周知であるように「同一性」は、配列を比較して測定されるよう
な、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリ
ヌクレオチド配列の間の関係を意味する。当該分野において、同一性とはまた、
かかる配列の2つの鎖の間の合致により決定されるような2つのポリペプチドま
たはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。同一性および類似性
は、以下に記載される既知方法により容易に算出できる(Computational Molecu
lar Biology,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニ
ューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,S
mith,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer An
alysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒ
ューマナ・プレス、ニュージャージー、1994年;Sequence Analysis in Mol
ecular Biology,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987年;およびS
equence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux,J.編、Mストックトン
・プレス、ニューヨーク、1991年;およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM
J., Applied Math.,48:1073(1988)があるが、これらに限定され
ない)。2配列間の同一性または類似性の測定に一般的に使用される方法は、Ca
rillo,H.,およびLipman,D.,SIAM J., Applied Math.,48:1073(198
8)に開示されたものを含むが、それらに限定されるわけではない。同一性を決
定するための好ましい方法は、試験する2つの配列間で最も良く適合するように
設計される。その上、同一性および類似性を測定する方法はコンピュータープロ
グラムに集成されている。二つの配列間の同一性および類似性を測定する好まし
いコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.
ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLAST
NおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol. 215:403(1990))
)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0032】 「単離されている」とは、その自然のままの状態から「人工的に」改変された
、すなわち、天然に存在するならば、それがその本来の環境から変えられたかま
たは移転されたか、またはその両方であることを意味する。例えば、生存してい
る生物中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離されて
いない」が、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドでも、その自然のままの
状態の共存体から分離されていれば、この語が本明細書で使用されているところ
の「単離されている」ということになる。その上、形質転換、遺伝的操作により
、あるいは他の組換え方法により生物中に導入されるポリヌクレオチドまたはポ
リペプチドは、たとえ、それがその生物中にあり、その生物が生存あるいは死亡
しているとしても、「単離」されている。
【0033】 単離の一部としてまたは単離後、前記ポリヌクレオチドは、例えば宿主におけ
る突然変異誘発、融合蛋白の形成、および増殖または発現を目的として他のポリ
ヌクレオチド、例えばDNAに結合にされ得る。単離されたポリヌクレオチドは
、単独または他のポリヌクレオチド、例えばベクターに結合されて、培養または
総体生物における宿主細胞中に導入され得る。培養または総体生物における宿主
細胞中へ導入される場合、前記DNAは、それらが自然に見いだされる形態また
は環境にはないことから、前記の語が本明細書で使用されているところの、単離
されていることになる。同様に、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例え
ば細胞中へポリヌクレオチドまたはポリペプチドを導入するための組成物、例え
ば培地製剤、溶液、化学または酵素反応用の組成物または溶液に見いだされ得、
例えばそれらは天然にみられる組成物ではなく、そこには単離されたポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドが残存していることから、この場合この語は本明細書
で使用されている前記した用語の意味の範囲内に含まれる。
【0034】 「ライゲーション」は、2個またはそれ以上のポリヌクレオチド間でリン酸ジ
エステル結合を形成するプロセスを意味し、2本鎖DNAであることが最も多い
。ライゲーション技術は当業界では周知であり、ライゲーションプロトコルは標
準実験室マニュアルおよび参考文献、例えばサムブルックら、「モレキュラー・
クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル」(MOLECULAR CLONING, A LABOR
ATORY MANUAL)、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プ
レス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)およびマニ
アチスら、146頁(後記で引用されている)に記載されている。
【0035】 「オリゴヌクレオチド(複数も可)」は、比較的短いポリヌクレオチドをいう
。この語は、1本鎖デオキシリボヌクレオチドをいうことが多いが、特に1本ま
たは2本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッドおよび2本鎖DNA
をいうこともある。 オリゴヌクレオチド、例えば1本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチドは、化
学的方法、例えば自動式オリゴヌクレオチド合成装置で行われる方法により合成
されることが多い。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、インビトロ組換えD
NA−伝達技術および細胞および生物体におけるDNAの発現を含む様々な他の
方法により製造され得る。
【0036】 最初、化学合成されたDNAは、典型的には5’ホスフェートなしで得られる
。前記したオリゴヌクレオチドの5’末端は、典型的には、組換えDNA分子の
形成に使用されるDNAリガーゼを用いるライゲーション反応によるホスホジエ
ステル結合形成用の基質ではない。前記のオリゴヌクレオチドのライゲーション
が望ましい場合、標準技術、例えばキナーゼおよびATPを用いる技術により付
加され得る。
【0037】 化学合成されたオリゴヌクレオチドの3’末端は、一般に、遊離ヒドロキシル
基を有し、リガーゼ、例えばT4 DNAリガーゼの存在下で、別のポリヌクレ
オチド、例えば別のオリゴヌクレオチドの5’ホスフェートとホスホジエステル
結合を容易に形成する。よく知られているように、この反応は、要すれば、ライ
ゲーション前に他のポリヌクレオチド(複数も可)の5’リン酸を除去すること
により選択的に阻止され得る。
【0038】 本明細書中、クローニングするのに使用される生活形態に言及して用いられる
、または疾患を引き起こす(または引き起こすと考えられる)「生物(複数でも
可)」は、(i)Streptococcus、Staphylococcus、Bordetella、Corynebacteri
um、Mycobacterium、Neisseia、Haemophilus、Actinomyces、Streptomyces、Noc
ardia、Enterobacter、Yersinia、Fancisella、Pasturella、Moraxella、Acinet
obacter、Erysipelothrix、Branhamella、Actinobacillus、Streptobacillus、L
isteria、Calymmatobacterium、Brucella、Bacillus、Closterdium、Treponema
、Escherichia、Salmonella、Kleibsiella、Vibrio、Proteus、Erwinia、Borrel
ia、Leptospira、Spirillum、Campylobacter、Shigella、Legionella、Pseudomo
nas、Aeromonas、Rickettsia、Chlamydia、BorreliaおよびMycoplasma属の細菌
を含むが、これらに限定されない原核生物、さらにはグループAのStreptococcu
s、グループBのStreptococcus、グループCのStreptococcus、グループDのStr
eptococcus、グループGのStreptococcus、Streptococcus pneumoniae、Strepto
coccus pyrogenes、Streptoxoxxus agalactiae、Streptococcus faecalis、Stre
ptococcus faecium、Streptococcus durans、Neisseria gonorrheae、Neisseria
meningitidis、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Coryne
bacterium diptheriae、Garnella vaginalis、Mycobacterium tuberculosis、My
cobacterium bovis、Mycobacterium ulcerans、Mycobacterium leprae、Actinom
yces israelli、Listeria monocytogenes、Bordetella pretusis、Bordetella p
arapretusis、Bordetella bronchiseptica、Esherichia coli、Shigella dysent
eriae、Haemophilus influenzae、Haemophilus aegyptius、Haemophilus parain
fluenzae、Haemophilus ducreyi、Bordetella、Salmonella typhi、Citrobacter
freundii、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、Yersinia pestis、Klebsie
lla pneumoniae、Serratia marcessens、Serratia liquefaciens、Vibrio chole
ra、Shigella dysenterii、Shigella flexneri、Pseudomonas aeruginosa、Fran
scisella tularensis、Brucella abortis、Bacillus anthracis、Bacillus cere
us、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Clostridium butulinum、
Treponema pallidum、Rickettsia rickettsiiおよびChlamydia trachomitisであ
る種または群の細菌を含むが、これらに限定されない、原核生物、(ii)Arch
aebacterを含むが、これに限定されない、古細菌を意味する。
【0039】 「プラスミド」は、一般に、当業者が使いなれた標準的な命名操作に従い、本
明細書では、小文字pを前置し、および/またはつづいて大文字および/または
数字で示す。 本明細書に開示されている出発プラスミドは、市販され、自由原則で公的に入
手可能であるか、または公知の公開された方法を常用的に適用することにより利
用可能なプラスミドから構築され得る。本発明に従い使用され得る多くのプラス
ミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターは、よく知られており、当業者
に容易に利用され得る。その上、当業者は、本発明での使用に適した大多数の他
のプラスミドを容易に構築することができる。本発明における上記プラスミドお
よび他のベクターの特性、構築および用途は、当業者であれば本明細書から容易
に理解できるであろう。
【0040】 「ポリヌクレオチド(複数も可)」はポリリボヌクレオチドまたはポリデオキ
シリボヌクレオチドを意味し、それらは非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾
RNAもしくはDNAとすることができる。すなわち、例えば、ここで使用され
ているポリヌクレオチドは、特に、1本および2本鎖DNA、1本および2本鎖
領域または1本、2本および3本鎖領域の混合物であるDNA、1本または2本
鎖RNA、および1本および2本鎖領域の混合物であるRNA、1本鎖またはよ
り一般的には2本鎖、または3本鎖、または1本および2本鎖領域の混合物であ
り得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を包含する。 加えて、本明細書で使用されているポリヌクレオチドは、RNAまたはDNA
またはRNAおよびDNAの両方を含む3本鎖領域を包含する。前記した領域の
鎖は同じ分子または異なる分子に由来し得る。これらの領域は1個またはそれ以
上の分子の全てを含み得るが、より一般的には幾つかの分子の一領域のみを含み
得る。3重らせん領域の分子の一つは、多くの場合オリゴヌクレオチドである。
【0041】 本明細書で使用されている、「ポリヌクレオチド」の語は、1個またはそれ以
上の修飾塩基を含む上記のDNAまたはRNAを包含する。すなわち、バックボ
ーンが安定性またはその他の理由で修飾されたDNAまたはRNAも、上記で定
義されているところの「ポリヌクレオチド」である。さらに、普通でない塩基、
例えばイノシンまたは修飾塩基、例えばトリチル化塩基を含むDNAまたはRN
Aは、2例しか挙げていないが、ここで使用されているところのポリヌクレオチ
ドである。 DNAおよびRNAに対しては、当業者に周知の多くの有用な目的に役立つ非
常に多様な修飾が加えられているものとする。ここで使用されているポリヌクレ
オチドの語は、ポリヌクレオチドのそうした化学的、酵素的または代謝的に修飾
された形態、ならびにウイルスおよび特に単純型および複雑型細胞などの細胞に
特有のDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。
【0042】 本明細書で使用されている「ポリペプチド」は、下記のポリペプチド全てを包
含する。ポリペプチドの基本的構造はよく知られており、当技術分野における無
数の教科書および他の出版物に既に記載されている。この明細書において、この
語は、ペプチド結合により直鎖で互いに結合された2個またはそれ以上のアミノ
酸を含むペプチドまたは蛋白を包含するものとして使用されている。本明細書に
使用されているとおり、この語は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプ
チドおよびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの型があり、当該分野で一
般的に蛋白と称する長鎖の両方を意味する。
【0043】 ポリペプチドは、20種の天然アミノ酸として一般に称される20種のアミノ
酸以外のアミノ酸を含むことが多く、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、所
定のポリペプチドにおいて、自然の工程、例えばプロセッシングおよび他の翻訳
後修飾、ならびに当業界で周知の化学的修飾技術によるものを包含する。ポリペ
プチドから本来見いだされる一般的修飾でさえ、多すぎるためここで余すところ
無く列挙することはできないが、それらは基本的なテキストおよび詳細な研究論
文並びに多量の研究文献に詳述されており、当業者にはよく知られている。
【0044】 本発明のポリペプチドに含まれる既知修飾には、2、3の代表例として、アセ
チル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム
部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質また
は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、閉環、
ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピ
ログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、糖鎖形成、GP
Iアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化
、蛋白分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、
硫酸化、転移RNA媒介による蛋白へのアミノ酸付加、例えばアルギニル化、お
よびユビキチネーションが挙げられる。
【0045】 かかる修飾は当業者に周知であり、科学文献に非常に詳細に記載されている。
幾つかの特に一般的な修飾、例えば糖鎖形成、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸
残基のガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP−リボシル化につ
いては、全く基本的なテキスト、例えば「プロテインズ−ストラクチャー・アン
ド・モレキュラー・プロパティーズ」(PROTEINS-STRUCTURE AND MOLECULAR PROP
ERTIES)、第2版、T.E.クレイトン、W.H.フリーマン・アンド・カンパニ
ー、ニューヨーク(1993)に記載されている。この題目に関する多くの詳細
な報文が入手可能であり、例えばウォールド、F.による「ポストトランスレー
ショナル・コバレント・モディフィケーション・オブ・プロテインズ」(POSTTRA
NSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS)中、「翻訳後蛋白修飾:展望
および予想」、1−12頁、B.C.ジョンソン編、アカデミック・プレス、ニ
ューヨーク(1983)、ザイフターら(1990)、「メソッズ・イン・エン
ザイモロジー」(Meth.Enzymol.)182:626−646およびラッタンら、(
1992)Protein Synthesis: Posttranslational Modifications and Aging、
「アンルズ・オブ・ザ・ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンス」(Ann.N
.Y.Acad.Sci.)663:48−62がある。
【0046】 公知のことであり、また上記のとおり、ポリペプチドは必ずしも完全に線状と
は限らないものとする。例えば、ポリペプチドは、ユビキチネーションの結果と
して分枝状であり得、一般的に自然プロセッシング事象および自然では見られな
い人為的事象を含む翻訳後事象の結果として、分枝部分を伴う場合も伴わない場
合も環状であり得る。環状、分枝状および分枝環状ポリペプチドは、非翻訳自然
プロセスおよび完全な合成方法によっても合成され得る。 ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を
含む、ポリペプチドのあらゆる場所で修飾は行われ得る。事実、共有結合修飾に
よる、ポリペプチドでのアミノまたはカルボキシル基または両方の遮断は、天然
および合成ポリペプチドに共通しており、上記修飾は本発明のポリペプチドにも
存在し得る。例えば、蛋白分解プロセッシングの前に、エシェリヒア・コリまた
は他の細胞で生成されたポリペプチドのアミノ末端残基は、ほぼ必ずN−ホルミ
ルメチオニンである。ペプチドの翻訳後修飾中、NH−末端のメチオニン残基
は欠失されていてもよい。従って、本発明は、本発明蛋白のメチオニン含有およ
びメチオニン不含有アミノ末端変異体の使用を意図したものである。
【0047】 ポリペプチドに見られる修飾は、それがいかにして生成されるかの関数である
ことが多い。例えば、宿主においてクローン化遺伝子を発現させることにより生
成されたポリペプチドの場合、大きな部分における修飾の性質および範囲は、宿
主細胞翻訳後修飾能力およびポリペプチドアミノ酸配列に存在する修飾シグナル
により決定される。例えば、よく知られているところでは、糖鎖形成は、多くの
場合、細菌宿主、例えばエシェリヒア・コリでは行われない。従って、糖鎖形成
が望ましい場合、ポリペプチドは糖鎖形成性宿主、一般に真核細胞で発現される
べきである。
【0048】 同じ型の修飾は、所定のポリペプチドにおける幾つかの部位で同じかまたは異
なる程度に存在し得るものとする。また、所定のポリペプチドは多くの型の修飾
を含み得る。 一般に、ここで使用されているところでは、ポリペプチドの語は、上記の修飾
を全て、特に宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現させることにより合成さ
れたポリペプチドに存在するものを包含する。
【0049】 「形質転換」は、外来性DNAが細胞膜内側に導入されたとき、細胞が上記外
来性DNAにより形質転換されるプロセスを意味する。外来性DNAは、細胞の
ゲノムを構成する染色体DNA中に組み込まれている(共有結合されている)こ
ともあれば、組み込まれていないこともあり得る。例えば原核細胞および酵母で
は、外来性DNAは、エピソーム成分、例えばプラスミドで維持され得る。真核
細胞に関して述べると、安定して形質転換またはトランスフェクションされた細
胞は、外生DNAが染色体中に組み込まれることにより、それが染色体複製を通
して娘細胞により受け継がれているものであることが多い。この安定性は、真核
細胞が、外生DNAを含む娘細胞の集団からなる細胞系またはクローンを確立す
る能力により証明される。
【0050】 ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの「変種(複数も可)」は、この語がこ
こで使用されているところによると、それぞれレファレンス(標準)ポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドとは異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドであ
る。この意味での変種は、非常に詳細に下記および本明細書の他の場所に記載さ
れている。
【0051】 (1)別のレファレンスポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なるポリ
ヌクレオチド。一般に、差異は限られているため、レファレンスおよび変種のヌ
クレオチド配列は全体的に密接に類似しており、多くの領域では同一である。 後記に示されているとおり、変種のヌクレオチド配列の変化はサイレントであ
り得る。すなわち、それらはポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸を改
変し得ない。改変がこのタイプのサイレント変化に限られている場合、変種は、
レファレンスと同じアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードする。また下記に
示されているとおり、変種のヌクレオチド配列が変化すると、レファレンスポリ
ペプチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列が改変され得る。この
ヌクレオチドの変化の結果、下記で検討されている、レファレンス配列によりコ
ードされるポリペプチドにおいてアミノ酸置換、付加、欠失、融合および末端切
断が行われ得る。
【0052】 (2)別のレファレンスポリペプチドとはアミノ酸配列が異なるポリペプチド
。一般に、差異は限られているため、レファレンスおよび変種のヌクレオチド配
列は全体的に密接に類似しており、多くの領域では同一である。 変種およびレファレンスポリペプチドは、アミノ酸配列に1つまたはそれ以上
の置換、付加、欠失、融合および末端切断が存在する点で異なっていてもよく、
それらはいかなる組み合わせでも存在し得る。
【0053】 (発明を実施するための最良の形態) FabIは細菌性脂肪酸生合成の延長サイクルの最終工程として機能する。エ
ス・アウレウスからの酵素をイー・コリ中でクローンして過剰発現させ、純度を
>95%に精製した。速度実験は約5.0ないし7.0またはその値の広い最適
pH範囲にわたって基質クロトノイルCoAとNADHの逐次付加を明らかにし
た。説明しうる逆反応または生成物阻害の欠如は秩序のある機構と無秩序な機構
の差別化を妨げた。クロトノイルCoAについてのKmは実質的にはイーコリF
abIの値と同じである(約2.5mMまたはその値)が、NADHのKmは略
30倍であった(イー・コリの13μMに対して約410μM)。重水素処理し
た基質を用いる実験で、FabI反応の立体化学経路がイー・コリ酵素について
報告されている経路と同じであることが明らかにされた:水素化物がNADHの
ニコチンアミド環のB−面から移動し、プロ−2Rおよびプロ−3S位置のクロ
トノイルCoAの二重結合がsyn水素付加されることで還元が起こる。アセチ
ルからパルミトイルまでの一連の8種の脂肪性アシルCoAによるエス・アウレ
ウスFabIの阻害はアシル基の鎖長を伸ばし、それはイ・コリFabIと同様
、エス・アウレウスFabIにおいても、長鎖アシル−ACPによるフィードバ
ック阻害に付されることを示唆する。このことが、おそろく、インビボにおいて
調節的役割を果たす。
【0054】 本発明は、特に、後記で詳述されているところの新規FAB Iポリペプチド
およびポリヌクレオチドに関するものである。特に、本発明は、マイコバクテリ
ア(InhA)、エッチ・インフルエンゼ、ブラッシカ・ナプス(Brassica nap
us)(菜種)エノイル−ACPレダクターゼからのFab I酵素、およびイー
・コリFab I蛋白とのアミノ酸配列相同性という点で関連性がある、スタフ
ィロコッカス・アウレウスの新規FAB I遺伝子のポリペプチドおよびポリヌ
クレオチドに関するものである。
【0055】 本発明は、特に図17[配列番号1]および図16[配列番号2]にそれぞれ
示されたヌクレオチドおよびアミノ酸配列を有するFAB I、およびNCIM
B寄託番号40771におけるFAB Iヌクレオチド配列およびそこからコー
ドされたアミノ酸配列(本明細書中、「寄託されたクローン」または「寄託され
たクローンのDNA」と称する)に関するものである。図16[配列番号2]お
よび図17[配列番号1]に示されたヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、寄託
されたクローンのFAB I DNAを配列決定することにより得られたものとす
る。このため、寄託されたクローンの配列は、それ(およびそれがコードする配
列)および図16[配列番号2]または図17[配列番号1]の配列間に不一致
があればそれに関して制御性を示す。
【0056】 ポリヌクレオチド 本発明の一態様によると、図16[配列番号2]の推定アミノ酸配列を有する
FAB Iポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される
。 本明細書中に提供された情報、例えば図17[配列番号1]に示されたポリヌ
クレオチド配列を用いると、FAB Iポリペプチドをコードする本発明のポリ
ヌクレオチドは、標準的クローニングおよびスクリーニング方法、例えば出発材
料としてスタフィロコッカス・アウレウスWCUH29細胞を用いて細菌からゲ
ノムDNAをクローニングする方法を用いることにより得られる。本発明の例示
としての、図17に示されたポリヌクレオチドは、スタフィロコッカス・アウレ
ウスWCUH29から誘導されたゲノムDNAライブラリーで発見された。
【0057】 寄託されたクローンにおいてFAB IをコードするゲノムDNAの配列決定
をした結果が示すところによると、本発明のFAB Iは、エノイル−ACPレ
ダクターゼ群の他の蛋白と構造的に関連性がある。こうして得られたDNA配列
は図17[配列番号1]に示されている。それは、推定分子量が約27.99k
Daである約256アミノ酸残基の蛋白をコードする読み取り枠を含む。この蛋
白は、既知蛋白の中でもイー・コリFab I蛋白と最大の相同性を呈する。図
16[配列番号2]のFAB Iは、イー・コリエノイル(ACP)レダクター
ゼ(Fab I)、スイスプロット受入れ番号P29132のアミノ酸配列とは
約44%の同一性および約64%の類似性を有する。
【0058】 本発明のポリヌクレオチドは、RNA、例えばmRNAの形態またはDNA、
例えば、クローニングにより得られるかまたは化学合成技術によりまたはその組
み合わせにより生成されるcDNAおよびゲノムDNAの形態であってもよい。
DNAは2本鎖または1本鎖であってもよい。1本鎖DNAはセンス鎖としても
知られているコーディング鎖であってもよく、またはそれはアンチセンス鎖とも
呼ばれる非コーディング鎖であってもよい。 ポリペプチドをコードする暗号化配列は、図17[配列番号1]に示されたポ
リヌクレオチドのコーディング配列と同一であってもよい。それはまた、異なる
配列をもつポリヌクレオチドであってもよく、遺伝コードの重複性(縮重)の結
果として、図16[配列番号2]のDNAのポリペプチドをコードする。
【0059】 図16[配列番号2]のポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチド
には、単独での成熟ポリペプチドの暗号化配列、成熟ポリペプチドの暗号化配列
および追加の暗号化配列、例えばリーダーまたは分泌配列、例えばプレまたはプ
ロまたはプレプロ蛋白配列をコードする上記配列、前述の追加暗号化配列を伴う
場合も伴わない場合もあるが、例えば非暗号化5'および3'配列、例えば転写(
例えば終結シグナルを含む)、リボソーム結合、mRNA安定性成分においてあ
る一定の役割を演じる転写非翻訳配列を含む(ただし、これらに限定されるわけ
ではない)追加の非暗号化配列、および追加アミノ酸、例えば追加的機能性を提
供する追加アミノ酸をコードする追加の暗号化配列と共存する成熟ポリペプチド
の暗号化配列があり得るが、これらに限定されるわけではない。すなわち、例え
ばポリペプチドは、マーカー配列、例えばペプチドに融合され得、それによって
融合ポリペプチドの精製は容易になる。本発明のこの態様の特定の具体例におい
て、マーカー配列は検討されていようなヘキサ−ヒスチジンであり、これは他の
標識方法、ペプチド、例えば特にpQEベクター(キアゲン、インコーポレイテ
ッド)で提供された標識を含むべきであり、それらの多くは市販されている。例
えば、ゲンツら、(1989)「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ
」(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA)86:821−824に記載されているとおり、
ヘキサ−ヒスチジンを用いると、融合蛋白の好都合な精製が可能となる。HA標
識はまた、融合蛋白生成に使用され得、例えばウィルソンら、(1984)「セ
ル」(Cell)37:767により報告されたインフルエンザ血球凝集素蛋白に由来
するエピトープに相当する。
【0060】 前記したことによると、本明細書で使用されている「ポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド」の語は、本発明のポリペプチド、特に図16[配列番号2
]に示されたアミノ酸配列を有するスタフィロコッカスFAB Iをコードする
配列を含むポリヌクレオチドを包含する。この語は、ポリペプチドをコードする
単一連続領域または非連続領域(例えば組み込まれたファージ、挿入配列、組換
えまたは校正により中断されている)を、同じく暗号化および/または非暗号化
配列を含み得る追加領域と共存した形で含むポリヌクレオチドを包含する。
【0061】 さらに本発明は、図16[配列番号2]の推定アミノ酸配列を有するポリペプ
チドのフラグメント、類似体および誘導体をコードする上記ポリヌクレオチドの
変種に関するものである。ポリヌクレオチドの変種は、天然変種、例えば天然に
存在する対立遺伝子変種であってもよく、またはそれは天然に存在することが知
られていない変種であってもよい。ポリヌクレオチドの前記した非天然変種は、
ポリヌクレオチド、細胞または生物に適用されるものを含む変異誘発技術により
生成することができる。
【0062】 この点に関し変種の中には、ヌクレオチドの置換、欠失または付加により前述
のポリヌクレオチドとは異なる変種がある。置換、欠失または付加には、1個ま
たはそれ以上のヌクレオチドが関与し得る。変種は、暗号化または非暗号化領域
またはその両方で改変されていてもよい。暗号化領域における改変が、保存また
は非保存アミノ酸置換、欠失または付加を産生することができる。 この点に関し本発明の特に好ましい態様の中には、図16[配列番号2]に示
されたFAB Iのアミノ酸配列を有するポリペプチド、その変種、類似体、誘
導体およびフラグメント、および変種、類似体および誘導体のフラグメントをコ
ードするポリヌクレオチドがある。
【0063】 さらにこの点に関し特に好ましいのは、FAB I変種、類似体、誘導体およ
びフラグメント、およびフラグメントの変種、類似体および誘導体をコードする
ポリヌクレオチドであり、これらは図16[配列番号2]のFAB Iポリペプ
チドのアミノ酸配列を有するが、いくつか、少しの、5ないし10、1ないし5
、1ないし3、2、1または0個のアミノ酸残基が関与する置換、欠失または付
加が組み合わされて存在する。これらの中で特に好ましいのは、FAB Iの特
性および活性を改変しないサイレント置換、付加または欠失である。またこの点
に関し特に好ましいのは、同類置換である。最も好ましいのは、置換を伴わない
図16[配列番号2]のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドである。
【0064】 本発明のさらに好ましい具体例は、図16[配列番号2]に示されたアミノ酸
配列を有するFAB Iポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくと
も70%同一のポリヌクレオチド、および上記ポリヌクレオチドに相補的なポリ
ヌクレオチドである。別法として、最も好ましいのは、寄託されたクローンのス
タフィロコッカス・アウレウスDNAによりコードされるFAB Iポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも80%同一の領域を含むポリヌク
レオチドおよびそれに相補的であるかまたは図17[配列番号1]に示されたポ
リヌクレオチドである。この点について、上記のものと少なくとも90%同一の
ポリペプチドが特に好ましく、これらの特に好ましいポリヌクレオチドの中で、
少なくとも95%の場合が特に好ましい。さらに、少なくとも95%のものの中
でも少なくとも97%の場合が非常に好ましく、これらの中でも少なくとも98
%および少なくとも99%の場合が特に好ましく、さらには少なくとも99%の
場合がより好ましい。
【0065】 さらに、この点に関し特に好ましい具体例は、図17[配列番号1]のDNA
によりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物機能または活性を保持
するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。 さらに、本発明は、上記配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する
ものである。この点について、本発明は、特に、ストリンジェントな条件下で上
記ポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチドに関するものである
。ここで使用されている、「ストリンジェントな条件」の語は、配列間に少なく
とも95%および好ましくは少なくとも97%の相同性がある場合にのみハイブ
リダイゼーションが行われることを意味する。
【0066】 本発明のポリヌクレオチド検定に関してここでさらに検討されているところに
よると、例えば上記で検討されている本発明ポリヌクレオチドを、RNA、cD
NAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼーションプローブとして使用するこ
とにより、FAB Iをコードする完全長cDNAおよびゲノムクローンが単離
され、FAB I遺伝子と高度配列類似性を有する他の遺伝子のcDNAおよび
ゲノムクローンが単離され得る。上記プローブは一般に少なくとも15塩基を有
する。好ましくは、上記プローブは、少なくとも30塩基を有し、少なくとも5
0塩基を有し得る。特に好ましいプローブは、少なくとも30塩基を有し、50
またはそれ未満の塩基を有する。
【0067】 例えば、FAB I遺伝子の暗号化領域は、既知DNA配列を用いてオリゴヌ
クレオチドプローブを合成させるスクリーニングにより単離することができる。
次いで、本発明遺伝子の配列と相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドを
用いることにより、cDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーがス
クリーニングされ、ライブラリーのどの成分にプローブがハイブリダイズするか
が決定される。
【0068】 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、特に本明細書でポリヌクレ
オチド検定に関してさらに検討されているところによると、疾患、特にヒトの疾
患に関する治療および診断の発見用研究試薬および材料として使用することがで
きる。 配列番号1の配列から誘導された配列番号3および4を含むオリゴヌクレオチ
ドである本発明のポリヌクレオチドを、本明細書に記載した方法におけるPCR
プライマーとして使用することにより、全体または部分的にここで同定されたス
タフィロコッカス・アウレウス遺伝子が感染組織で転写されているか否かを決定
することができる。また本発明は、前記の配列がまた、病原体が獲得した感染の
段階および感染の型の診断において有用性のあることを示している。
【0069】 ポリヌクレオチドは、成熟蛋白+追加アミノまたはカルボキシ末端アミノ酸、
または成熟ポリペプチドにとって内部(例えば、成熟形態が複数のポリペプチド
鎖を有するとき)アミノ酸であるポリペプチドをコードし得る。上記配列は、特
に、前駆体から成熟形態への蛋白の工程においてある役割を果たし、蛋白輸送を
可能とし、蛋白の半減期を延長または短縮し、または検定または製造のための蛋
白の操作を容易にすることができる。インビボでは一般的なことであるが、追加
アミノ酸は、細胞酵素により成熟蛋白からプロセッシングされ得る。
【0070】 1つまたはそれ以上のプロ配列に融合されたポリペプチドの成熟形態を有する
前駆体蛋白は、ポリペプチドの不活性形態であってもよい。プロ配列が除去され
ると、前記不活性前駆体は一般に活性化される。プロ配列の一部または全部が活
性化前に除去することができる。一般に、前記前駆体がプロ蛋白と呼ばれる。
【0071】 要するに、本発明のポリヌクレオチドは、成熟蛋白、成熟蛋白+リーダー配列
(プレ蛋白と称され得る)、プレ蛋白のリーダー配列ではない1つまたはそれ以
上のプロ配列を有する成熟蛋白の前駆体、または一般にポリペプチドの活性およ
び成熟形態を生成するプロセッシング段階中に除去される、リーダー配列および
1つまたはそれ以上のプロ配列を有する、プロ蛋白にとって前駆体であるプレプ
ロ蛋白をコードし得る。
【0072】 寄託材料 スタフィロコッカス・アウレウスWCUH29株を含む寄託物は、1995年
9月11日に23セント・マチャー・ドライブ、アバディーンAB2 1RY、
スコットランドのナショナル・コレクションズ・オブ・インダストリアル・アン
ド・マリン・バクテリア・リミテッド(NCIMB)に寄託され、NCIMB受
託番号40771が付与された。FAB Iクローン寄託物を、本明細書中、「
寄託されたクローン」または「寄託されたクローンのDNA」という。
【0073】 寄託された材料は、完全長FAB I DNAを含む株であり、寄託時「NCI
MB40771」と名付けられた。 寄託株中に含まれるポリヌクレオチド配列ならびにそれによりコードされるポ
リペプチドのアミノ酸配列は、本明細書の配列に関する任意の記載に矛盾する事
象において支配的である。
【0074】 この寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の
条件下で為された。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、最終的に
株は分譲される。寄託物は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U.S.C.
112条の下で要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承認するも
のではない。 寄託材料の製造、使用または販売にはライセンスが必要であうるが、ここでは
かかるライセンスは付与されるものではない。
【0075】 ポリペプチド さらに本発明は、図16[配列番号2]の推定アミノ酸配列を有する原核生物
FAB Iポリペプチドに関するものである。 また本発明は、これらのポリペプチドのフラグメント、類似体および誘導体に
関するものである。「フラグメント」、「誘導体」および「類似体」の語は、図
16[配列番号2]のポリペプチドに関する場合、前記ポリペプチドと同じ生物
機能または活性を保持しているポリペプチドを意味する。すなわち、類似体は、
プロ蛋白部分の開裂により活性化され、活性成熟ポリペプチドを生成し得るプロ
蛋白を包含する。
【0076】 本発明のポリペプチドは、組換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成
ポリペプチドであってもよい。ある好ましい具体例では、それは組換えポリペプ
チドである。 図16[配列番号2]のポリペプチドのフラグメント、誘導体または類似体は
、(i)1個またはそれ以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基(
好ましくは保存アミノ酸残基)により置換されており、前記置換アミノ酸残基が
遺伝コードによりコードされるものであってもよくまたはされていなくてもよい
もの、または(ii)1個またはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、
または(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えばポリペプチドの半減期
を延ばす化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合されているもの、ま
たは(iv)追加アミノ酸が成熟ポリペプチド、例えばリーダーまたは分泌配列
または成熟ポリペプチドの精製に使用される配列またはプロ蛋白配列に融合され
ているものであってもよい。前記フラグメント、誘導体および類似体は、本明細
書に示された内容から当業者の範囲内に含まれるものとする。
【0077】 この点に関し本発明の特に好ましい具体例には、図16[配列番号2]に示さ
れたFAB Iのアミノ酸配列を有するポリペプチド、それらの変種、類似体、
誘導体およびフラグメント、並びに前記フラグメントの変種、類似体および誘導
体がある。別法として、この点に関し本発明の特に好ましい具体例は、FAB
Iのアミノ酸配列を有するポリペプチド、それらの変種、類似体、誘導体および
フラグメント、ならびに前記フラグメントの変種、類似体および誘導体である。
【0078】 好ましい変種には、同類アミノ酸置換によりレファレンスから変化したものが
ある。前記置換は、ポリペプチド中の所定アミノ酸を同様の特性をもつ別のアミ
ノ酸により置換したものである。一般的に同類置換として見られるのは、脂肪族
アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの中での互いの置換、ヒドロキシ
ル残基SerおよびThrの相互交換、酸性残基AspおよびGluの交換、ア
ミド残基AsnおよびGln間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換並
びに芳香族残基Phe、Tyr間の置換である。
【0079】 さらにこの点に関し特に好ましいのは、いくつか、少しの、5ないし10、1
ないし5、1ないし3、2、1または0個のアミノ酸残基が関与する置換、欠失
または付加が任意に組み合わされて存在する図16[配列番号2]のFAB I
ポリペプチドのアミノ酸配列を有する変種、類似体、誘導体およびフラグメント
、並びにフラグメントの変種、類似体および誘導体である。これらの中で特に好
ましいのは、サイレント置換、付加および欠失であり、これらはFAB Iの特
性および活性を改変することはない。また、この点に関し特に好ましいのは、同
類置換である。最も好ましいのは、置換を伴わない図16[配列番号2]のアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0080】 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離形態で提供
され、好ましくは均等に精製されている。 本発明のポリペプチドは、配列番号2のポリペプチド(特に成熟ポリペプチド
)並びに配列番号2のポリペプチドと少なくとも80%の同一性およびさらに好
ましくは配列番号2のポリペプチドと少なくとも90%の類似性(さらに好まし
くは少なくとも90%の同一性)、さらに好ましくは配列番号2のポリペプチド
と少なくとも95%の類似性(より好ましくは少なくとも95%の同一性)を有
するポリペプチドを含み、また、前記ポリペプチドの一部分を一般に少なくとも
30アミノ酸およびさらに好ましくは少なくとも50アミノ酸を含むポリペプチ
ドの前記部分と共に含む。
【0081】 本発明のフラグメントまたは一部分は、ペプチド合成により対応する完全長ポ
リペプチドを製造するのに使用することができる。従って、フラグメントは、完
全長ポリペプチド製造用の中間体として使用することができる。本発明のポリヌ
クレオチドのフラグメントまたは一部分は、本発明の完全長ポリヌクレオチドの
合成に使用することができる。
【0082】 フラグメント また、本発明のこの態様の好ましい具体例には、FAB Iのフラグメント、
特に図16[配列番号2]に示されたアミノ酸を有するFAB Iのフラグメン
トおよび図16[配列番号2]のFAB Iの変種および誘導体のフラグメント
を有してなるポリペプチドがある。 この点に関し、フラグメントは、前述のFAB Iポリペプチドおよびその変
種または誘導体のアミノ酸配列の全部ではなく一部と全く同じであるアミノ酸配
列を有するポリペプチドである。
【0083】 かかるフラグメントは、「独立して存在(free standing)」しているか、ま
たは一部分もしくは領域を形成することにより、より大きなポリペプチド内に含
まれていてもよく、最も好ましくは単一の連続した領域、すなわち大型の単一ポ
リペプチドとして含まれる。大きい方のポリペプチド内に含まれる場合、ここで
検討されているフラグメントは最も好ましくは単一連続領域を形成する。しかし
ながら、数個のフラグメントは、大きい方の単一ポリペプチド内に含まれ得る。
例えば、ある好ましい具体例は、FAB Iフラグメントのアミノ末端に融合し
た異種プレおよびプロ−ポリペプチド領域およびフラグメントのカルボキシル末
端に融合した追加領域を有する宿主での発現用に設計された前駆体ポリペプチド
内に含まれる本発明FAB Iポリペプチドのフラグメントに関するものである
。従って、ここで意図された意味の一面でのフラグメントは、FAB Iから誘
導された融合ポリペプチドまたは融合蛋白の一部分(複数も可)をいう。
【0084】 特に好ましいフラグメントは、アミノ酸1−20、21−40、41−60、
61−80、81−100、101−120、121−140、141−160
、161−180、181−200、201−220、221−240、241
−256によりコードされるものおよびその同一範囲内の組み合わせを含む。 さらに特に好ましいフラグメントには、例えば他の配列決定された構造的に関
連した成分に対して高い相同性を示すものがある。これらには、例えば、約13
〜約25、約32〜約39、約112〜約125、約156〜約196および約
231〜約252を含むイー・コリfabIのフラグメントに相同的な領域があ
る。本発明の特に好ましいフラグメントには、FAB Iの末端切断変異体があ
る。末端切断変異体は、図16[配列番号2]のアミノ酸配列を有するFAB
Iポリペプチドまたはそれらの変種または誘導体を包含するが、ただし、アミノ
末端を含む一連の残基(すなわち、連続した領域、一部または部分)またはカル
ボキシル末端を含む一連の残基の欠失または、二重末端切断変異体の場合と同様
、一つはアミノ末端を含み、一つはカルボキシル末端を含む残基の2連続領域の
欠失は例外である。また、前記に示されたサイズ範囲を有するフラグメントも末
端切断フラグメントの好ましい具体例であり、全般的にフラグメントの中でも特
に好ましい。宿主細胞、特にスタフィロコッカスにおける本発明ポリペプチドの
分解産物もまた、好ましいポリペプチドである。
【0085】 また、本発明のこの態様で好ましいのは、FAB Iの構造的または機能的特
性を特徴とするフラグメントである。この点に関して本発明の好ましい具体例に
は、FAB Iのアルファ−らせんおよびアルファ−らせん形成領域(「アルフ
ァ領域」)、ベータ−シートおよびベータ−シート形成領域(「ベータ領域」)
、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領
域(「コイル領域」)、親水性領域、疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベー
タ両親媒性領域、可変領域、表面形成領域および高抗原指数領域を含むフラグメ
ントがある。
【0086】 この点に関して好ましいフラグメントには、構造的特徴、例えば前記に示され
た特徴を含むFAB Iの領域を含むものがある。この点に関し、残基1〜約8
、約26〜約34、約39〜約61、約70〜約80、約95〜約107、約1
27〜約139、約162〜約173および約207〜約220により限定され
る領域は、アルファらせん形成領域を含むと考えられるアミノ酸により特徴付け
られる。さらに、残基約9〜約13、約19〜約25、約62〜約69、約85
〜約95、約141〜約156、約173〜約188、約220〜約226、約
232〜約240により限定される領域は、ベータ−シート領域を含むと考えら
れる残基により特徴付けられる。また、残基約80〜約85、約108〜約11
2、約120〜約125、約178〜約183および約198〜約203により
限定される領域は、ターン領域を含むと考えられる領域により特徴付けられる。
また、残基約80〜約85、約105〜約110、約120〜約125、約13
8〜約143、約145〜約153、約175〜約180、約187〜約192
および約240〜約245により限定される領域は、コイル領域を含むと考えら
れるアミノ酸組成により特徴付けられる。残基約9〜約14、約20〜約36、
約86〜約98、約115〜約129、約138〜約152、約161〜約17
9、約185〜約195、約226〜約240、約249〜約256により限定
される領域は、疎水性アミノ酸により特徴付けられる。さらに、残基約2〜約8
、約14〜約19、約36〜約86、98〜約115、約130〜約138、約
152〜約161、約180〜約186、約206〜約226および約239〜
約249により限定される領域は、親水性アミノ酸により特徴付けられる。また
、残基約20〜約40、約43〜約62、約72〜約93、約102〜約117
、約128〜約140、約180〜約220および約228〜約240により限
定される領域は、アルファ両親媒性領域を含むと考えられるアミノ酸残基により
特徴付けられ、約1〜約10、約27〜約50、約60〜約72、約97〜約1
10、約158〜約191、約208〜約220および約240〜約252によ
り限定される領域は、ベータ両親媒性領域を含むと考えられるアミノ酸残基によ
り特徴付けられる。さらに、残基約38〜58、約77〜約89、約98〜約1
14、約130〜約142、約190〜約204、約208〜約230、および
約234〜約246により限定される領域は、可変領域を含むと考えられるアミ
ノ酸残基により特徴付けられる。残基約34〜約62、約98〜約112および
約206〜約222により限定される領域は、表面形成領域を含むと考えられる
。さらに、残基約3〜約9、約14〜約20、約25〜約33、約38〜約60
、約65〜約88、約98〜約114、約120〜約124、約130〜約14
0、約178〜約185、約195〜約228および約236〜約247により
限定される領域は、高抗原性領域を含むと考えられる。かかる領域は、上記した
ように、より大きいポリペプチドに含まれていてもよく、またはそれ自体が本発
明の好ましいフラグメントであってもよい。この段落で使用されている「約」の
語は、一般にフラグメントに関して前記で示された意味を有するものとする。
【0087】 さらに好ましい領域は、FAB Iの活性を媒介するものである。この点に関
して最も好ましいのは、FAB Iの化学的、生物学的または他の活性を有する
フラグメント、例えば類似活性または改善された活性をもつか、または望ましく
ない活性を低下させたものである。この点に関して非常に好ましいのは、関連ポ
リペプチド、例えばイー・コリエノイル(ACP)レダクターゼ、FabIを含
む、図16[配列番号2]に示された関連ポリペプチドの活性領域に対して配列
または位置があるいは両配列が相同的である領域を含むフラグメントである。こ
れらの点に関して特に好ましいフラグメントには、前記で検討されている末端切
断変異体がある。さらに好ましいポリヌクレオチドフラグメントは、動物、特に
ヒトにおいて抗原性または免疫原性を示すものである。
【0088】 本発明はまた、特に、前述のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、フ
ラグメントをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズするポリヌクレオチ
ド、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするもの、およびフラグメ
ントをコードするポリヌクレオチドを増幅するためのポリヌクレオチド、例えば
PCRプライマーに関するものとする。この点に関して、好ましいポリヌクレオ
チドは、前記で検討されているとおり、好ましいフラグメントに対応するもので
ある。
【0089】 ベクター、宿主細胞、発現 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド(複数も可)を含むベクター、本発
明のベクターによる遺伝子操作が行われる宿主細胞および組換え技術による本発
明のポリペプチドの製造に関するものである。 宿主細胞は、遺伝子工学技術によりポリヌクレオチドを組み込みれ、本発明の
ポリペプチドを発現することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、感染、形
質導入、トランスフェクション、トランスベクションおよび形質転換の公知技術
を用いて宿主細胞中に導入することができる。ポリヌクレオチドは、単独または
他のポリヌクレオチドと共に導入してもよい。かかる他のポリヌクレオチドは、
独立して導入しても、本発明のポリヌクレオチドと共同導入または結合させて導
入してもよい。
【0090】 かくして、例えば、ポリヌクレオチドは、宿主で増殖させるため選択可能なマ
ーカーを含むベクターに結合することができる。ベクター構築物は、前述の技術
により宿主細胞中に導入することができる。一般に、プラスミドベクターは、沈
澱物、例えばリン酸カルシウム沈澱物中または荷電脂質との複合体中におけるD
NAとして導入される。また電気穿孔法を用いて、ポリヌクレオチドを宿主中に
導入してもよい。ベクターがウイルスである場合、それをインビトロで封入する
かまたは封入用細胞中に導入し、封入されたウイルスを細胞中に形質導入しても
よい。本発明のこの態様によるポリヌクレオチドの製造および細胞へのポリヌク
レオチドの導入に適した多種の技術は公知であり、当業者に慣用的な操作である
。かかる技術は、前掲のサムブルックらにより詳細に報告されており、これはこ
れらの技術について詳述している多くの実験用マニュアルの代表的なものである
。本発明のこの態様によると、ベクターは、例えばプラスミドベクター、1本ま
たは2本鎖ファージベクター、1本または2本鎖RNAまたはDNAウイルスベ
クターとすることができる。かかるベクターは、細胞へのDNAおよびRNA導
入に関する公知技術により、ポリヌクレオチド、好ましくはDNAとして細胞中
に導入することができる。また、ファージおよびウイルスベクターの場合、ベク
ターは、感染および形質導入に関する公知技術により封入または包膜ウイルスで
あってもよく、かかるウイルスとして細胞中へ導入されることが好ましい。ウイ
ルスベクターは、複製能を有していても複製能を欠いていてもよい。後者の場合
、ウイルス増殖は一般に相補性宿主細胞でのみ行われる。
【0091】 特定の態様において、ベクターの中で好ましいのは、本発明のポリヌクレオチ
ドおよびポリペプチドの発現に用いられるものである。一般に、かかるベクター
は、発現されるポリヌクレオチドに機能し得るように結合された宿主での発現に
有効なシス作用制御領域を含む。適当なトランス作用因子は、宿主への導入時に
宿主により供給されるか、相補性ベクターにより供給されるかまたはベクター自
体により供給される。 この点の特定の好ましい具体例においては、ベクターが特異発現を提供する。
かかる特異発現は、誘導性発現または特定の型の細胞のみでの発現または誘導可
能かつ細胞特異的なものであってもよい。誘導性ベクターの中で特に好ましいの
は、操作を容易にする環境因子、例えば温度および栄養素添加剤により発現に関
して誘導され得るベクターである。原核生物および真核生物宿主で使用される構
成および誘導発現ベクターを含む、本発明のこの態様に適した種々のベクターは
公知であり、当業者により慣用的に使用される。
【0092】 遺伝子操作が加えられた宿主細胞は、特にプロモーターを活性化し、形質転換
体を選択し、または遺伝子を増幅するため適当に修飾され得る慣用的栄養培地で
培養され得る。発現用に選択された宿主細胞で以前に使用された培養条件、例え
ば温度、pHなどは、当業者に明らかなとおり、一般に本発明のポリペプチドの
発現に適したものである。
【0093】 多種の発現ベクターが、本発明ポリペプチドの発現に使用することができる。
かかるベクターとして、特に、染色体、エピソームおよびウイルス誘導ベクター
、例えば細菌性プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソ
ーム、挿入成分、酵母染色体成分、ウイルス、例えばバクロウイルス、パポーバ
ウイルス、例えばSV40、ワクニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス
、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスから誘導されたベクター、およびそ
れらの組み合わせから誘導されたベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオ
ファージ遺伝子成分、例えばコスミドおよびファージミドから誘導されたものが
挙げられ、全て本発明のこの態様による発現に使用され得る。一般に、ポリヌク
レオチドを維持、増殖または発現させ、宿主でポリペプチドを発現させるのに適
したベクターであれば全て、この点に関する発現に使用され得る。
【0094】 適当なDNA配列は、種々の公知で慣用的技術のいずれかによりベクター中へ
挿入され得る。一般に、発現させるDNA配列は、1種またはそれ以上の制限エ
ンドヌクレアーゼでDNA配列および発現ベクターを開裂し、次いでT4 DN
Aリガーゼを用いて制限フラグメントを一緒に結合することにより発現ベクター
に結合される。この目的に使用され得る制限およびライゲーション方法は、当業
者に周知であり慣用的なものである。この点に関して、および代替技術を用いて
発現ベクターを構築するのに適当な方法もまた、当業者に周知であり、慣用的な
ものであるが、サムブルックら、(1989)「モレキュラー・クローニング、
ア・ラボラトリー・マニュアル」(MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL)、
第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・
スプリング・ハーバー、ニューヨーク)で非常に詳細に示されている。
【0095】 発現ベクターにおけるDNA配列を、例えばmRNA転写を指令するプロモー
ターを含む、適当な発現制御配列(複数も可)に機能し得るように結合する。か
かるプロモーターの代表的なものとしては、2、3の周知プロモーターを列挙す
ると、ファージ・ラムダPLプロモーター、エシェリヒア・コリlac、trp
およびtacプロモーター、SV40初期および後記プロモーターおよびレトロ
ウイルスLTRのプロモーターがある。列挙されていないプロモーターでも本発
明のこの態様での使用に適したものが多く知られており、本明細書に記載および
例示された方法で当業者であれば容易に使用することができる。
【0096】 一般に、発現構築物は、転写開始および終結のための部位、および転写領域に
は翻訳用のリボソーム結合部位を含む。構築物により発現される成熟転写物の暗
号化部分は、翻訳されるポリペプチドの端部に適宜位置する開始および終止コド
ンに翻訳開始AUGを含む。 加えて、構築物は発現を調節および発生させる制御領域を含んでいてもよい。
一般に、多くの普通に実践されている方法によると、かかる領域は、特に、転写
、例えば転写因子、リプレッサー結合部位および終結を制御することにより機能
する。
【0097】 増殖および発現用ベクターは、一般に選択可能なマーカーを含む。前記マーカ
ーはまた増幅にも適当であり得るか、またはベクターはこの目的のために追加マ
ーカーを含み得る。この点に関し、発現ベクターは、好ましくは1種またはそれ
以上の選択可能なマーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞を選択するた
めの表現型特性が提供される。好ましいマーカーには、真核生物細胞培養の場合
ジヒドロ葉酸レダクターゼおよびネオマイシン耐性、およびエシェリヒア・コリ
および他の原核生物培養の場合テトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子
がある。
【0098】 本明細書の他の場所に記載された適当なDNA配列を含むベクター、並びに適
当なプロモーター、および他の適当な制御配列は、所望のポリペプチドの宿主で
の発現に適した種々の公知技術を用いて適当な宿主に導入することができる。適
当な宿主の代表例には、細菌細胞、例えばストレプロコッカス、スタフィロコッ
カス、エシェリヒア・コリ、ストレプトマイシスおよびサルモネラ・ティフィム
リウム細胞、真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス細胞、昆虫細胞、
例えばドロソフィラS2およびスポドプテラSf9細胞、動物細胞、例えばCH
O、COSおよびボウウェズメラノーマ細胞、および植物細胞がある。多種の発
現構築物用の宿主は公知であり、当業者であれば本明細書に従い本発明のこの態
様によるポリペプチド発現用宿主を容易に選択することができる。
【0099】 さらに詳細には、本発明はまた、1つまたはそれ以上の前記配列を含む組換え
構築物、例えば発現構築物を包含する。これらの構築物は、本発明の前記配列が
挿入されたベクター、例えばプラスミドまたはウイルス性ベクターを含む。この
配列は、順方向または逆方向で挿入され得る。この点における特定の好ましい具
体例では、構築物はさらに、例えば配列に機能し得るように結合されたプロモー
ターを含む調節配列を含む。多数の適当なベクターおよびプロモーターは、当業
者には周知であり、本発明での使用に適した多くの市販ベクターが存在する。
【0100】 市販されている次のベクターを例示的に挙げる。細菌での使用に好ましいベク
ターには、キアゲンから入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9、
ストラタジーンから入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Blues
criptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、お
よびファーマシアから入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233
−3、pDR540、pRIT5がある。好ましい真核生物ベクターには、スト
ラタジーンから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT
1およびpSG、およびファーマシアから入手可能なpSVK3、pBPV、p
MSGおよびpSVLがある。これらのベクターは、本発明のこの態様による使
用を目的として当業者に利用可能である多くの市販されている公知ベクターの実
例として列挙されているに過ぎない。宿主における本発明ポリヌクレオチドまた
はポリペプチドの例えば導入、維持、増殖または発現に適した他のプラスミドま
たはベクターがあれば、それらも本発明のこの態様で使用され得るものとする。
【0101】 プロモーター領域は、候補プロモーターフラグメント、すなわちプロモーター
を含み得るフラグメントを導入するための制限部位(複数も可)の下流に、プロ
モーター領域を欠くリポーター転写単位、例えばクロラムフェニコールアセチル
トランスフェラーゼ(「CAT」)転写単位を含むベクターを用いて所望の遺伝
子から選択され得る。公知のことであるが、cat遺伝子の上流の制限部位での
プロモーター含有フラグメントをベクターへ導入すると、CAT活性の発生が誘
発され、これは標準CAT検定により検出され得る。この目的に適したベクター
は、公知であり、容易に入手され得る。これら2つのベクターは、pKK232
−8およびpCM7である。すなわち、本発明のポリヌクレオチドの発現用プロ
モーターは、公知の容易に利用可能なプロモーターだけでなく、リポーター遺伝
子を用いて前述の技術により容易に得られるプロモーターをも包含する。
【0102】 本発明によるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現に適した既知原核生
物プロモーターは、イー・コリlacIおよびlacZおよびプロモーター、T
3およびT7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPR,PLプロモータ
ーおよびtrpプロモーターである。 この点に関して適当な既知真核生物プロモーターの中には、CMV即時型プロ
モーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロ
モーター、レトロウイルスLTRのプロモーター、例えばラウス肉腫ウイルス(
「RSV」)のプロモーター、およびメタロチオネインプロモーター、例えばマ
ウスメタロチオネイン−Iプロモーターがある。
【0103】 宿主細胞での発現に適当なベクターおよびプロモーターの選択はよく知られた
方法であり、発現ベクター構築、宿主へのベクターの導入および宿主における発
現に必要な技術は、当該分野における慣用的技術である。 本発明はまた、前記で検討された前記構築物を含む宿主細胞に関するものであ
る。宿主細胞は、高等真核生物細胞、例えば哺乳類細胞または下等真核生物細胞
、例えば酵母細胞であってもよく、あるいは宿主細胞は原核生物細胞、例えば細
菌細胞であってもよい。
【0104】 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストランによるトランスフェクション、カチオン性脂質によるトラン
スフェクション、電気穿孔、形質導入、切屑ローディング、弾道導入、感染また
は他の方法により行われ得る。かかる方法は、多くの標準実験マニュアル、例え
ばデービスら(1986)「ベーシック・メソッズ・イン・モレキュラー・バイ
オロジー」(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY)、およびサムブルックら、(
1989)「モレキュラー・クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル」(
MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL)、第2版(コールド・スプリング・
ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨ
ーク)に記載されている。
【0105】 宿主細胞における構築物を慣用的方法で用いることにより、組換え配列により
コードされた遺伝子産物が製造され得る。別法として、本発明のポリペプチドは
、慣用的ペプチド合成装置により合成的に製造され得る。 成熟蛋白は、適当なプロモーターの制御下で哺乳類細胞、酵母、細菌または他
の細胞において発現され得る。また、細胞不含有翻訳系を使用することにより、
本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いて前記蛋白が製造され得る。
原核生物および真核生物宿主での使用に適したクローニングおよび発現ベクター
は、サムブルックら、(1989)「モレキュラー・クローニング、ア・ラボラ
トリー・マニュアル」(MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL)、第2版(
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリン
グ・ハーバー、ニューヨーク)に記載されている。
【0106】 一般に、組換え発現ベクターは、複製起点、下流構造遺伝子の転写を指令する
高度発現遺伝子から誘導されたプロモーター、およびベクターに曝した後にベク
ター含有細胞の単離を可能にする選択可能なマーカーを含む。適当なプロモータ
ーには、解糖酵素、例えば、特に、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(「PGK
」)、α因子、酸性ホスファターゼおよび熱ショック蛋白をコードする遺伝子か
ら誘導されたものがある。選択可能なマーカーには、イー・コリのアンピシリン
耐性遺伝子およびスタフィロコッカス・セレビシエ(S.cerevisiae)のtrp1
遺伝子がある。
【0107】 高等真核生物による本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベク
ターにエンハンサー配列を挿入することにより高めることができる。エンハンサ
ーはDNAのシス作用性成分であり、通常約10〜300bpで、所定の宿主細
胞型におけるプロモーターの転写活性を高める作用がある。エンハンサーとして
、例えば、bp100〜270で複製起点の後側に位置するSV40エンハンサ
ー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側にあ
るポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーがある。
【0108】 本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの異種構造配列をコード
するもので、一般に、それが発現用プロモーターに機能的に結合するように標準
技術を用いてベクター中に挿入される。ポリヌクレオチドは、転写開始部位がリ
ボソーム結合部位に対して略5’末端に存在するように位置決定される。リボソ
ーム結合部位は、発現されるポリペプチドの翻訳を開始させるAUGに対して5
’である。一般に、開始コドン、通常AUGで始まる他の読み取り枠は存在せず
、リボソーム結合部位および開始AUG間に存在する。また、一般に、ポリペプ
チド端部に翻訳停止コドンが存在し、ポリアデニル化シグナルおよび転写終結シ
グナルが転写領域の3’末端に適当に配置されている。 翻訳された蛋白を小胞体のルーメン、周辺腔または細胞外環境へ分泌させるた
めに、適当な分泌シグナルが発現されたポリペプチド中に組み込まれ得る。これ
らのシグナルはポリペプチドにとっては内在性であり得るか、またはそれらは異
種シグナルであり得る。
【0109】 ポリペプチドは、修飾形態、例えば融合蛋白で発現され、分泌シグナルだけで
なく追加的異種機能性領域を含んでいてもよい。すなわち、例えば、追加アミノ
酸、特に荷電アミノ酸の領域をポリペプチドのN−末端に付加することにより、
精製中またはその後の操作および貯蔵中での宿主細胞における安定性および持続
性を改善することができる。また、領域をポリペプチドに加えることにより、精
製を容易にすることができる。かかる領域は、ポリペプチドの最終生成段階前に
除去することができる。ポリペプチドにペプチド部分を付加すると、特に、分泌
または排出が誘発され、安定性が改善され、または精製が容易になるが、これら
は当該分野における慣用的常套手段である。好ましい融合蛋白は、ポリペプチド
の可溶化または精製に有用な免疫グロブリンからの異種領域を含む。例えば、E
P−A−O 464533(カナダ国対応出願2045869)は、免疫グロブ
リン分子の不変領域の種々の部分を別のヒト蛋白またはその一部と共に含む融合
蛋白について開示している。多くの場合、融合蛋白におけるFc部分は、治療お
よび診断での使用に非常に有利であることから、例えば薬物動態特性が改善され
る(EP−A0232262参照)。他方、用途によっては、融合蛋白が記載さ
れた有利な方法で発現され、検出され、精製された後にFc部分を欠失すること
ができれば望ましい場合もある。これは、Fc蛋白が検定、治療または診断での
使用にとって障害となることが判った場合、例えば融合蛋白が免疫化用の抗原と
して使用される場合である。薬剤の発見では、hIL−5のアンタゴニストを同
定するためのハイスループットスクリーニング検定を目的として、例えばshI
L−5などのヒト蛋白をFc部分と融合させた。デイ・ベネットら、(1995
)「ジャーナル・オブ・モレキュラー・レコグニション」(Journal of Molecula
r Recognition)、8巻、52−58およびK.ヨハンソンら(1995)「ザ・
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」(The Journal of Biologi
cal Chemistry)、270巻、16号、9459−9471頁参照。
【0110】 本発明によるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの増殖、維持または発現に
適当な原核動物宿主には、ストレプトコッカス、エシェリヒア・コリ(Escheric
hia coli)、バシルス・スブチリス(Bacillus subtilis)およびサルモネラ・
チフィムリウム(Salmonella typhimurium)がある。種々の種類のシュードモナ
ス(Pseudomonas)、ストレプトマイシス(Streptomyces)およびスタフィロコ
ッカス(Staphylococcus)もまたこのことに関して適当な宿主である。その上、
当業者にも知られている多くの他の宿主をこのことに関して使用することができ
る。
【0111】 代表的ではあるが非限定的な例として、細菌使用に有用な発現ベクターは、選
択可能なマーカーおよび公知クローニングベクターpBR322(ATCC37
017)の遺伝成分を含む市販のプラスミドから誘導された細菌性複製起点を含
み得る。前記の市販ベクターには、例えばpKK223−3(ファーマシア・フ
ァイン・ケミカルズ、ウプサラ、スエーデン)およびGEM1(プロメガ・バイ
オテック、マディソン、ウィスコンシン、アメリカ合衆国)がある。これらのp
BR322「バックボーン」部分を、適当なプロモーターおよび発現される構造
配列と組合わせる。
【0112】 適当な宿主株を形質転換し、宿主株を適当な細胞密度まで生長させた後、選択
されたプロモーターが誘導可能な場合、それを適当な手段(例、温度シフトまた
は化学的誘導物質に暴露)により誘導し、細胞をさらにある期間培養する。 次いで、一般的には細胞を、遠心分離により採取し、物理的または化学的手段
により破壊し、生成した粗抽出物をさらなる精製用に確保しておく。 蛋白発現で使用される微生物細胞は、凍結解凍循環処理、音波処理、機械的破
壊または細胞溶解剤の使用を含む好都合な方法により破壊され得、それらの方法
は当業者によく知られたものである。
【0113】 種々の哺乳類細胞培養系も同じく発現に使用することができる。哺乳類発現系
として、例えば、グルツマンら(1981)「セル」(Cell)23:175に記載
されたさる腎臓線維芽細胞のCOS−7ラインが挙げられる。和合性ベクターを
発現し得る他の細胞系には、例えばC127、3T3、CHO、ヒーラ、ヒト腎
臓293およびBHK細胞系がある。 哺乳類発現ベクターは、複製起点、適当なプロモーターおよびエンハンサー、
およびまた必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与お
よび受容部位、転写終結配列、および発現に必要な5’フランキング−非転写配
列を含み得る。この点における特定の好ましい具体例において、SV40スプラ
イス部位から誘導されたDNA配列およびSV40ポリアデニル化部位は、これ
らの型の必要とされる非転写遺伝成分に使用される。
【0114】 FAB Iポリペプチドは、公知方法、例えば硫酸アンモニウムまたはエタノ
ール沈澱、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセ
ルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニテ
ィー・クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよび
レクチンクロマトグラフィーにより、組換え細胞培養物から回収および精製する
ことができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)
を精製に使用する。単離中および/または精製中にポリペプチドに変性が起こっ
た場合、再生蛋白に関する周知技術を用いることにより、活性立体配座を再生す
ることができる。本発明はまた、精製中におけるFAB I検出に関する抗FA
B I抗体の用途を提供する。
【0115】 本発明のポリペプチドは、天然精製産物、化学的合成方法による生成物、およ
び例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳類細胞を含む原核生物または真
核生物宿主からの組換え技術により製造される生成物を包含する。組換え製造方
法で使用される宿主に応じて、本発明のポリペプチドは、糖鎖形成されてもよく
、糖鎖形成されなくてもよい。加えて、本発明のポリペプチドはまた、宿主仲介
方法の結果として、ある場合には、開始修飾メチオニン残基を含み得る。 FAB Iポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、種々の適用法、特にFA
B Iの化学および生物特性を利用する場合に本発明に従い使用され得る。追加
的適用法は、細胞、組織および生物体の疾病の診断および処置に関するものであ
る。本発明のこれらの態様は、さらに下記検討事項により説明されている。
【0116】 ポリヌクレオチド検定 本発明はまた、例えば診断試薬として相補的ポリヌクレオチドを検出するFA
B Iポリヌクレオチドの用途に関するものである。真核生物、特に哺乳類およ
び特にヒトにおけるFAB Iの検出により、疾病の診断に加わるか、これを明
確にするか可能にし得る診断方法が提供される。FAB I遺伝子をもつ真核生
物(ここでは「個体(複数も可)」とも言う)、特に哺乳類、および特にヒトは
、種々の技術によりDNAレベルで検出され得る。診断用の核酸は、個体の細胞
および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟骨および皮膚から得られる。組織生検お
よび剖検材料はまた、個体からの試料に関して診断的検定で使用するのに好まし
い。ゲノムDNAは、検出用に直接使用され得るか、または分析前にPCRを用
いることにより酵素的に増幅され得る。PCR(サイキら、(1986)「ネイ
チャー」(Nature)、324:163−166)。RNAまたはcDNAもまた、
同じ方法で使用され得る。一例として、FAB Iをコードする核酸に相補的な
PCRプライマーを用いることにより、FAB Iの存在および発現が同定およ
び分析され得る。PCRを用いると、真核生物、特に哺乳類、および特にヒトに
存在する原核生物株の特性確認が、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により行わ
れ得る。例えば、欠失および挿入は、レファレンス配列の遺伝子型と比較した増
幅産物の大きさの変化により検出され得る。点突然変異は、増幅DNAを放射性
標識FAB I RNAまたは別法として放射性標識FAB IアンチセンスDN
A配列とハイブリダイズさせることにより確認され得る。完全に対合した配列は
、リボヌクレアーゼA消化または融解温度差異により誤対合二重らせんから区別
することができる。
【0117】 レファレンス遺伝子および突然変異をもつ遺伝子間の配列の差異はまた、直接
DNA配列決定により明らかにすることができる。加えて、クローン化DNA切
片は、特異的DNA切片を検出するためのプローブとして使用することができる
。かかる方法の感度は、PCRの適当な使用または別の増幅方法により大幅に高
められ得る。例えば、配列決定プライマーは、2本鎖PCR産物または修飾PC
Rにより生成される1本鎖鋳型分子と共に使用される。配列決定は、放射性標識
ヌクレオチドでの慣用的方法または蛍光標識による自動配列決定方法により行わ
れる。
【0118】 DNA配列差異に基づく遺伝子試験は、変性剤の存在または非存在下、ゲルに
おけるDNAフラグメントの電気泳動移動度の改変を検出することにより達成す
ることができる。小さな配列欠失および挿入でも、高分離度ゲル電気泳動により
視覚化され得る。配列の異なるDNAフラグメントは、異なるDNAフラグメン
トの移動度が、それらの特異的な融解または部分融解温度により異なる位置のゲ
ルにおいて保持される変性ホルムアミド勾配ゲルで区別され得る(例えば、マイ
アーズら、(1985)「サイエンス」(Science)、230:1242参照)。
【0119】 また、特定位置における配列変化は、ヌクレアーゼ防御検定、例えばリボヌク
レアーゼおよびS1防御または化学的開裂方法(例えば、コットンら、(198
5)「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」(Proc.Natl.Acad.Sci.,
USA)、85:4397−4401)により明らかにされ得る。 すなわち、特定DNA配列の検出は、例えばハイブリダイゼーション、リボヌ
クレアーゼ防御、化学的開裂、直接DNA配列決定または制限酵素(例、制限断
片長多型(「RFLP」))の使用およびゲノムDNAのサザーンブロッティン
グ方法により達成され得る。 さらに慣用的なゲル電気泳動およびDNA配列決定法に加えて、突然変異はま
たイン・サイチュ分析により検出され得る。
【0120】 変異は、例えばDNA配列決定法により確認され得る。当該分野に公知の方法
で試料を処理することにより、RNAを捕獲する。mRNAにおける一領域とハ
イブリダイズする配列から成るオリゴヌクレオチドプライマーを加えることによ
り、RNA試料から第1鎖cDNAを合成する。逆転写酵素およびデオキシヌク
レオチドを加えることにより、第1鎖cDNAが合成され得る。プライマー配列
は、本発明のFAB I蛋白のDNA配列に基づいて合成される。プライマー配
列は、一般に少なくとも15連続塩基から成り、少なくとも30またはちょうど
50連続塩基を含み得る。
【0121】 本発明の遺伝子における突然変異をもつ細胞はまた、種々の技術によりDNA
レベルで検出され得、例えば血清型決定が行われる。診断用核酸は、血液、尿、
唾液、組織生検および剖検材料を含む(これらに限定はされない)個体の細胞ま
たは体液から得られる。ゲノムDNAは、検出用に直接使用され得るか、または
分析前にPCRを用いることにより(サイキら、(1986)「ネイチャー」(N
ature)、324:163−166)酵素的に増幅され得る。RT−PCRはまた
、変異の検出にも使用され得る。自動検出システム、例えばジーンスキャンと共
にRT−PCRを使用するのが特に好ましい。RNAまたはcDNAはまた、同
じ目的、PCRまたはRT−PCRに使用され得る。一例として、FAB Iを
コードする核酸に相補的なPCRプライマーを用いることにより、変異を同定お
よび分析することができる。代表的プライマーの例を下記表1に示す。例えば、
欠失および挿入は、正常遺伝子型と比較した増幅産物の大きさの変化により検出
され得る。点突然変異は、増幅されたDNAを放射性標識RNAまたは別法とし
て放射性標識アンチセンスDNA配列とハイブリダイズすることにより同定され
得る。完全対合配列は、リボヌクレアーゼA消化または融解温度差により誤対合
二重らせんと区別することができる。
【0122】 表1 FAB I遺伝子における突然変異の検出に使用されるプライマー 配列番号: 配列 3 5'-CGCCTCGAGATGTTAAATCTTGAAAACAAAACATATGTC-3' 4 5'-CGCGGATCCAATCAAGTCAGGTTGAAATATCCA-3'
【0123】 上記プライマーは、個体から誘導された試料から単離されたFAB I DNA
の増幅に使用することができる。本発明はまた、1、2、3または4個のヌクレ
オチドをその5’および/または3’末端から除去した表1のプライマーも提供
する。プライマーを使用して、個体から単離された遺伝子を増幅し、そうして遺
伝子をDNA配列を解明するための種々の技術に付すことができる。この方法で
、DNA配列における変異を測定することにより、例えば生物体の血清型を確認
することができる。
【0124】 レファレンス遺伝子および変異を有する遺伝子間の配列の差異は、直接DNA
配列決定方法により明らかにすることができる。加えて、クローン化DNAセグ
メントは、特異的DNAセグメントを検出するためのプローブとして用いること
ができる。この方法の感度は、PCRと組み合わせると大きく高められる。例え
ば、配列決定プライマーは、2本鎖PCR産物または修飾PCRにより生成され
た1本鎖鋳型分子と共に使用される。配列決定は、放射性標識ヌクレオチドによ
る慣用的方法または蛍光性標識による自動的配列決定方法により行われる。
【0125】 DNA配列差異に基づく遺伝子型決定は、変性剤の存在または非存在下、ゲル
におけるDNAフラグメントの電気泳動移動度の改変を検出することにより達成
され得る。小さな配列欠失および挿入でも、高分離度ゲル電気泳動により視覚化
され得る。配列が異なるDNAフラグメントは、異なるDNAフラグメントの移
動度が、それらの特異的融解または部分融解温度により異なる位置でのゲルにお
いて保持される変性ホルムアミド勾配ゲルにおいて区別され得る(例えば、マイ
アーズら、(1985)「サイエンス」(Science)、230:1242参照)。 また、特定位置における配列変化は、ヌクレアーゼ防御検定、例えばリボヌク
レアーゼおよびS1防御または化学的開裂方法(例えば、コットンら、(198
5)「プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」(PNAS,USA)、85:43
97−4401)により明らかにされ得る。
【0126】 すなわち、特定DNA配列の検出および/または配列レベルの定量は、例えば
ハイブリダイゼーション、リボヌクレアーゼ防御、化学的開裂、直接DNA配列
決定または制限酵素(例、制限断片長多型(「RFLP」))の使用およびゲノ
ムDNAのサザーンブロッティング方法により行うことができる。本発明は、疾
病、特に細菌感染症、さらに特定すればスタフィロコッカス感染症の診断方法で
あって、図17[配列番号1]の配列を有するポリヌクレオチドの増加した発現
レベルを個体から誘導された試料から測定することを含む方法を提供する。ポリ
ヌクレオチドの発現増加は、ポリヌクレオチドの定量に関する当該分野にて公知
の方法のいずれか一つ、例えばPCR、RT−PCR、リボヌクレアーゼ防御、
ノーザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法を用いて測定す
ることができる。 より慣用的なゲル電気泳動およびDNA配列決定法に加えて、変異はまたイン
・サイチュ分析により検出することができる。
【0127】 ポリペプチド検定 本発明はまた、診断的検定法、例えば正常および異常レベルの測定を含む、細
胞および組織におけるFAB I蛋白のレベルを検出する定量的および診断的検
定法に関するものである。すなわち、例えば、正常対照組織試料と比較したFA
B I蛋白の病的発現レベルを検出するための本発明による診断的検定法を、例
えば細菌感染の存在の検出に使用することができる。宿主から誘導された試料に
おける蛋白、例えば本発明のFAB I蛋白のレベル測定に使用され得る検定技
術は、当業者に周知である。かかる検定方法には、ラジオイムノ検定、競合的結
合検定、ウエスタンブロット分析およびELISA検定法がある。これらの中で
はELISAが好ましい場合が多い。ELISA検定では、まずFAB Iに特
異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を製造する。加えて、一般に、その
モノクローナル抗体に結合するリポーター抗体を製造する。リポーター抗体は、
検出可能な試薬、例えば放射性、蛍光性または酵素試薬、例えば、西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ酵素に結合させる。
【0128】 ELISAを実施するため、試料を宿主から除き、試料中の蛋白と結合する固
体支持体、例えばポリスチレン皿でインキュベーションする。次いで、皿に遊離
蛋白結合部位があれば、非特異的蛋白、例えばウシ血清アルブミンと一緒にイン
キュベーションすることによりそれらを覆う。次に、モノクローナル抗体を皿に
おいてインキュベーションすると、その間にポリスチレン皿に結合されたFAB
I蛋白があればそれにモノクローナル抗体が結合する。非結合モノクローナル
抗体を緩衝液により洗浄する。西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたリポー
ター抗体を皿に入れると、FAB Iに結合したモノクローナル抗体があればそ
れにリポーター抗体が結合する。次いで非結合リポーター抗体を洗浄する。次い
で、比色用基質を含むペルオキシダーゼ活性に関する試薬を皿に加える。一次お
よび二次抗体を通じてFAB Iに結合された固定化ペルオキシダーゼにより、
着色した反応産物が生成される。所定の期間における発色量は、試料中に存在す
るFABI蛋白の量を示す。定量的結果は、一般に標準曲線を参照することによ
り得られる。
【0129】 競合検定法は、固体支持体に結合させたFAB Iに特異的な抗体および標識
FAB Iおよび個体から誘導された試料を固体支持体上に通すと、固体支持体
に結合した検出された標識の量が試料中のFAB Iの量に相関し得る場合に使
用され得る。
【0130】 抗体 ポリペプチド、それらのフラグメントまたは他の誘導体、またはその類似体あ
るいはそれらを発現する細胞を、免疫原として使用し、それに対して抗体を産生
することができる。これらの抗体は、例えばポリクローナルまたはモノクローナ
ル抗体とすることができる。本発明はまた、キメラ、1本鎖およびヒト化抗体、
ならびにFabフラグメント、またはFab発現ライブラリーの生成物を包含す
る。当該分野で公知の種々の方法が、かかる抗体およびフラグメントの製造に用
いることができる。 本発明の配列に対応するポリペプチドに対して産生された抗体は、ポリペプチ
ドを個体に直接注射するかまたは好ましくはヒト以外の個体にポリペプチドを投
与することにより得られる。次いで、こうして得られた抗体は、ポリペプチド自
体に結合する。この方法では、ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配
列であっても、未変性ポリペプチド全体に結合する抗体を生成するのに用いるこ
とができる。ついで、かかる抗体をそのポリペプチドを発現する組織からポリペ
プチドを単離するのに使用することができる。
【0131】 モノクローナル抗体を製造する場合、連続細胞系培養物により産生される抗体
を提供するものであれば、いかなる技術でも使用され得る。例えば、ハイブリド
ーマ技術(コーラー、ジイら、(1975)「ネイチャー」(Nature)256:4
95−497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(コツバーら
、(1983)「イムノロジー・トゥデー」(Immunology Today)4:72)お
よびヒトモノクローナル抗体を製造するためのEBV−ハイブリドーマ技術(コ
ールら、(1985)、「モノクローナル・アンティボディーズ・アンド・キャ
ンサー・セラピー」(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)中、アラン
アール,リス、インコーポレイテッド、77−96頁)が挙げられる。
【0132】 1本鎖抗体の製造に関して報告された技術(米国特許第4946778号)は
、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対して1本鎖抗体を産生するのに適用す
ることができる。また、トランスジェニックマウスまたは他の生物体、例えば他
の哺乳類は、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対してヒト化抗体を発現させ
るのに用いることができる。 ポリペプチド誘導体は、本発明の特定態様を形成する抗原的または免疫学的に
均等な誘導体を包含する。 本明細書で使用されている「抗原的に均等な誘導体」なる語は、本発明による
蛋白またはポリペプチドに対して産生されると、病原体および哺乳類宿主間の即
時物理的相互作用を妨げる特定の抗体により特異的に認識されるポリペプチドま
たはその均等物を包含する。
【0133】 本明細書中に使用されている「免疫学的に均等な誘導体」なる語は、脊椎動物
において抗体が産生させるために適当な製剤中で使用されると、抗体が病原体お
よび哺乳類宿主間の即時物理的相互作用を妨げるべく作用するペプチドまたはそ
の均等物を包含する。 ポリペプチド、例えば抗原的または免疫学的に均等な誘導体またはその融合蛋
白は、マウスまたは他の動物、例えばラットまたはにわとりを免疫化するための
抗原として使用される。融合蛋白は、ポリペプチドに安定性を付与する可能性が
ある。抗原は、例えばコンジュゲーションにより免疫原性キャリア蛋白、例えば
ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KL
H)と会合され得る。別法として、多数コピーの蛋白またはポリペプチドを含む
多重抗原性ペプチドまたはその抗原的または免疫学的に均等なポリペプチドは、
抗原性を改良するのに十分に免疫原性であり、担体の使用を回避できる。
【0134】 コーラーら、(1975)「ネイチャー」(Nature)256、495−497)
の方法を用いると、免疫化された哺乳類からの抗体含有細胞を骨髄腫細胞と融合
することにより、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞が生成され
る。 1種またはそれ以上の本来のポリペプチドおよび/または融合蛋白を用いて、
他の種類のスタフィロコッカスとの高い結合親和力および好ましい交差反応性を
有する細胞系を選択するため、ハイブリドーマをスクリーニングに付す。選択さ
れた細胞系を培養することにより、所望のMabが得られる。 モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系は、本発明のさらに別の
態様を形成する。
【0135】 別法として、ファージディスプレー技術を利用して、抗Fbpを有することに
ついてスクリーニングされたヒトからのリンパ球のPCR増幅v−遺伝子のレパ
ートリーまたは特定の実験を受けたことがないライブラリーからポリペプチドに
対して結合活性をもつ抗体遺伝子を選択することができる(マッカファーティー
、J.ら、(1990)、「ネイチャー」(Nature)348、552−554、マ
ークス、J.ら、(1992)「バイオテクノロジー」(Biotechnology)10、7
79−783)。これらの抗体の親和力はまた、鎖シャッフリングにより改善さ
れ得る(クラックソン、T.ら、(1991)「ネイチャー」(Nature)352、
624−628)。 抗体は、ポリペプチドおよび/または融合蛋白に対する高い親和力について再
びスクリーニングに付すべきである。 前記抗体は、アフィニティー・クロマトグラフィーにより単離および精製する
ため固体支持体に抗体を結合させることにより、ポリペプチドを発現するクロー
ンの単離または同定または本発明ポリペプチドの精製に使用され得る。
【0136】 ポリペプチドを宿主の予防接種用抗原として使用して、例えば損傷組織への細
菌の付着を遮断することにより細菌の侵入を防御する特異抗体を産生することが
できる。組織損傷の例には、機械的、外傷的、化学的または熱損傷または留置装
置の内植により誘発された皮膚または結合組織における傷、または粘膜、例えば
口、乳腺、尿道または膣における傷がある。 ポリペプチドまたはそれらを発現する細胞を免疫原として使用し、それに対す
る抗体を産生することができる。これらの抗体は、例えばポリクローナルまたは
モノクローナル抗体とすることができる。抗体という語はまた、キメラ、1本鎖
およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメント、またはFab発現ライブラリ
ーの生成物を包含する。当該分野で公知の種々の方法をかかる抗体およびフラグ
メントの製造に用いてもよい。
【0137】 本発明の配列に対応するポリペプチドに対して産生された抗体は、ポリペプチ
ドを個体に直接注射するかまたは好ましくはヒト以外の個体にポリペプチドを投
与することにより得られる。次いで、こうして得られた抗体は、ポリペプチド自
体に結合する。この方法では、ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配
列でさえ、未変性ポリペプチド全体に結合する抗体を生成するのに使用され得る
。次に、前記抗体は、そのポリペプチドを発現する組織からポリペプチドを単離
するのに使用され得る。
【0138】 前記したとおり、最終抗体のフラグメントを製造することができる。 抗体は、Mr約150000の無傷の抗体またはそれの誘導体、例えばFab
フラグメントまたはFvフラグメントであり得、これらはスケラ、エイおよびプ
ルックツン、エイ(1988)「サイエンス」(Science)240、1038−
1040に記載されている。二つの抗原結合ドメインがある場合、各ドメインは
異なるエピトープに指向し、「二特異性」抗体と称される。 本発明の抗体は、慣用的手段により、例えば確立されたモノクローナル抗体テ
クノロジー(コーラー、ジイ.ら、(1975)、「ネイチャー」(Nature)2
56、495−497)または組換え手段、例えば組み合わせライブラリー、例
えばヒューズ、ダブリュ・デイら、(1989)「サイエンス」(Science)2
46、1275−1281に記載された方法を用いることにより製造され得る。
【0139】 好ましくは、抗体は、本発明のポリペプチドを発現させるための適当な発現系
、例えば前記のものの抗体をコードするDNAポリマーの発現により製造される
。発現系に関するベクターの選択は、一つには原核生物細胞、例えばイー・コリ
(好ましくはB株)またはストレプトマイシス類、または真核生物細胞、例えば
マウスC127、マウス骨髄腫、ヒトヒーラ、チャイニーズハムスター卵巣、糸
状菌または単細胞真菌または昆虫細胞であり得る宿主により決定される。宿主は
また、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物、例えばヒアット
、エイら、(1989)「ネイチャー」(Nature)34、76−78に記載された
ものであり得る。適当なベクターには、例えばバキュロウイルス類およびワクシ
ニアから誘導されたプラスミド、バクテリオファージ、コスミドおよび組換えウ
イルスがある。
【0140】 Fabフラグメントはまた、例えばパパインを用いる酵素処理によってFc部
分からFab部分を開裂することにより、その親モノクローナル抗体から製造す
ることができる。 好ましくは、抗体またはその誘導体は、個体における免疫原性を低くするよう
に修飾される。例えば、個体がヒトであるならば、ハイブリドーマ誘導抗体の相
補性決定性領域(複数も可)がヒトモノクローナル抗体、例えばジョーンズ、ピ
イら(1986)、「ネイチャー」(Nature)321、522−525またはテ
ンペストら、(1991)「バイオテクノロジー」(Biotechnology)9、266
−273記載のものに移植された場合、抗体は最も好ましく「ヒト化」され得る
。 修飾は「ヒト化操作」の一つに限定される必要はない。他の霊長類配列(例え
ばニューマン、アールら、1992、「バイオテクノロジー」(Biotechnology
)10、1455−1460)も用いることができる。 ヒト化モノクローナル抗体、または結合活性を有するそのフラグメントは、本
発明の個々の態様を形成する。
【0141】 本発明は、哺乳類細胞に対するFABI蛋白または活性フラグメントの相互作
用を妨げるものを同定する薬剤のスクリーニング方法であって、薬剤の存在下で
標識ポリペプチドと哺乳類細胞または膜標本をインキュベーションし、この相互
作用を薬剤が遮断する能力を測定することを含む方法を提供する。 遺伝的免疫化における本発明のポリヌクレオチドの使用は、好ましくは適当な
送達方法、例えば筋肉へのプラスミドDNAの直接注射(ウォルフら、(199
2)ハム・モル・ジェネット(Hum Mol Genet)、1:363、マントルペら、
(1963)ハム・ジン・セル(Hum. Gene Ther.)4、419)、特異的蛋白
担体とDNAによる複合体のデリバリー(ウーら、(1989)「ジャーナル・
オブ・バイオロジカル・ケミストリー」(J Biol Chem)264、16985)
、リン酸カルシウムとDNAの共沈澱(ベンヴェニスティーおよびレシェフ、P
NAS、1986:83、9551)、種々の形態のリポソームでのDNAの封
入(カネダら、(1989)「サイエンス」(Science)243、375)、粒
子衝撃(タングら、(1992)「ネイチャー」(Nature)356:152、ア
イゼンブラウンら、(1993)「DNA セル・バイオロジー」(DNA Cell B
iol)12:791)およびクローン化レトロウイルス性ベクターを用いるイン
ビボ感染(シーガーら、(1984)PNAS 81、5849)を使用する。
筋肉トランスフェクションに適したプロモーターには、CMV、RSV、SRa
、アクチン、MCK、アルファグロビン、アデノウイルスおよびジヒドロ葉酸レ
ダクターゼがある。
【0142】 すなわち、特に、FAB Iに対する抗体が、FASまたはFAB I酵素活性
またはFAB I発現の阻害に使用され得る。 FAB Iはまた、上気道感染(例えば、中耳炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋
炎、甲状腺炎)、下気道感染(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓感染(例えば、
感染性心内膜炎)、胃腸感染(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、
CNS感染(例えば、大脳膿瘍)、眼感染(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、
眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管感染(例えば、副睾
丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚感染(例えば
、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、ならびに骨お
よび関節感染(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を含む感染の阻害に用いるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
【0143】 FAB Iはまた、上気道感染(例えば、中耳炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋
炎、甲状腺炎)、下気道感染(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓感染(例えば、
感染性心内膜炎)、胃腸感染(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、
CNS感染(例えば、大脳膿瘍)、眼感染(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、
眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管感染(例えば、副睾
丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚感染(例えば
、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、ならびに骨お
よび関節感染(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を含む細菌感染の治療に用い
ることができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】 FAB I結合性分子および検定 本発明はまた、FAB Iに結合する分子、例えば結合性分子の同定方法を提
供する。FAB Iに結合する蛋白、例えば結合性蛋白をコードする遺伝子は、
当業者に知られている種々の方法により同定することができる。かかる方法は、
例えば、多くの実験マニュアル、例えばコリガンら、(1991)「カレント・
プロトコルズ・イン・イムノロジー」(Current Protocols in Immunology)1(
2):第5章に記載されている。
【0145】 例えば、発現クローニングは、この目的のために使用され得る。このために、
FAB Iに反応する遺伝子を個体において単離するため、ポリアデニル化RN
AをFAB Iに応答する細胞から製造し、cDNAライブラリーをこのRNA
から作製し、ライブラリーを複数のプールに分割し、プールをFAB Iには応
答しない細胞へ個々にトランスフェクションする。次いで、トランスフェクショ
ンされた細胞を標識FAB Iに曝す。(FAB Iは、放射性ヨウ素化または部
位特異的蛋白キナーゼに関する認識部位の封入の標準的方法を含む種々の公知技
術により標識され得る。)曝露した後、細胞を固定し、FAB Iの結合を測定
する。これらの処理はガラス製スライドで行なうのが都合がよい。
【0146】 別法として、標識リガンドを、細胞抽出物、例えばそれが結合する分子、例え
ば結合性分子を発現する細胞から製造した、膜または膜抽出物に光学親和性結合
させることができる。架橋材料を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAG
E」)により分割し、X線フィルムに曝す。リガンド結合を含む標識複合体は、
切除され、ペプチドフラグメントに分割され、蛋白ミクロシークエンシングに付
すことができる。ミクロシークエンシングから得られたアミノ酸配列を用いて、
cDNAライブラリーをスクリーニングし、推定的結合性分子をコードする遺伝
子を同定するための特有または変性オリゴヌクレオチドプローブを設計すること
ができる。 本発明のポリペプチドはまた、細胞または細胞不含製品における結合性分子、
例えばFAB I結合性分子のFAB I結合能力の評価に用いることができる。
【0147】 アンタゴニストおよびアゴニスト−検定および分子 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを用いて、例えば、細胞、無細
胞調製物、化学ライブラリー、および天然産物混合物中における小型分子基質お
よびリガンドの結合を評価してもよい。これらの基質およびリガンドは天然基質
およびリガンドであってもよく、構造上または機能上の模倣物であってもよい。
例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology 1(2):第5章(1
991)を参照のこと。 本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、多くの病態、特に上述した
疾患を含め、多数の生物学的機能に関与している。したがって、ポリペプチドま
たはポリヌクレオチドの機能を刺激または阻害する化合物を同定するためのスク
リーニング手段を創製することが望ましい。したがって、さらなる態様において
、本発明は、化合物のスクリーニング手段であって、本発明のポリペプチドまた
はポリヌクレオチドならびに関連するポリペプチドおよびポリヌクレオチドの機
能を刺激または阻害する化合物を同定するための手段を提供する。一般に、アゴ
ニストまたはアンタゴニストを上述した疾患を治療する、および予防する目的で
用いることができる。化合物は、種々の供給源、例えば、細胞、無細胞調製物、
化学ライブラリー、および天然産物混合物から同定することができる。かかるア
ゴニスト、アンタゴニストまたはいわゆる阻害剤は、場合によっては、FAB
Iポリペプチドおよびポリヌクレオチドの天然のまたは修飾した基質、リガンド
、受容体、酵素などであってもよく;あるいはその構造的または機能的模倣物で
あってもよい(例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology 1(2
):第5章(1991)を参照のこと)。
【0148】 スクリーニング方法は、候補化合物と、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド
との、または該ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドを担持する細胞もしくは
細胞膜との、または該ポリペプチドの融合蛋白との結合を、候補化合物と直接ま
たは間接的に結合した標識により、簡単に測定することができる。別法として、
該スクリーニング方法は標識操作した競合体との競合性を利用するものであって
もよい。さらには、これらのスクリーニング方法は、ポリペプチドまたはポリヌ
クレオチドを含む細胞に適する検出系を用いて、候補化合物がポリペプチドまた
はポリヌクレオチドを活性化または阻害することで得られるシグナルを発生する
かどうかを試験することもできる。活性化の阻害剤は、一般に、既知のアゴニス
トの存在下にて検定され、候補化合物の存在がアゴニストによる活性化に及ぼす
効果を観察する。本質的に活性なポリペプチドおよび/または本質的に発現され
たポリペプチドおよびポリヌクレオチドを、場合によっては、アゴニストまたは
阻害剤の不存在の下、候補化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性
化の阻害をもたらすかどうかを試験することにより、反アゴニストまたは阻害剤
についてスクリーニングする方法に利用してもよい。さらには、スクリーニング
方法は、簡単には、候補化合物と本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
を含有する溶液を混合して混合物を形成し、その混合物中のFAB Iポリペプ
チドおよび/またはポリヌクレオチド活性を測定し、その混合物中のFAB I
ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド活性を標体と比較する工程を含ん
でいてもよい。上記した、融合蛋白、例えば、Fc部分およびFAB Iポリペ
プチドから調製される蛋白をまた、ハイスループットスクリーニング検定に用い
、本発明のポリペプチドのアンタゴニスト、ならびに系統発生学的および/また
は機能的に関係したポリペプチドを同定することができる(デイ・ベネットら、
J.Mol.Recognition、8:52−58(1995);およびケイ・ジョンソンら
、J.Biol.Chem.、270(16):9459−9471(1995)を参照のこ
と)。
【0149】 さらに、本発明のポリペプチドと結合し、および/または相互作用する、ポリ
ヌクレオチド、ポリペプチドおよび抗体を用い、細胞中のmRNAおよび/また
はポリペプチドの産生に対する付加化合物の効果を検出するためのスクリーニン
グ方法を形成することもできる。例えば、当該分野にて知られている標準方法に
よりモノクローナルおよびポリクローナル抗体を用いてポリペプチドの分泌また
は細胞結合レベルを測定するためのELISA検定を構成することもできる。こ
の検定を用いて、適宜操作した細胞または組織からポリペプチドの産生を阻害ま
たは亢進する薬物(各々、アンタゴニストまたはアゴニストとも称される物質)
を見つけることもできる。
【0150】 また本発明は、FAB Iポリペプチドまたはポリヌクレオチドの作用を亢進
(アゴニスト)または遮断(アンタゴニスト)する化合物、詳細には、静菌性お
よび/または殺菌性化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法をも
提供する。該スクリーニング方法はハイスループット方法を包含する。例えば、
アゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、FAB Iポリ
ペプチドおよびかかるポリペプチドの標識基質もしくはリガンドを含む、合成反
応混合物、膜、細胞エンベロープもしくは細胞壁などの細胞コンパートメント、
またはそれらの調製物を、FAB Iアゴニストまたはアンタゴニストである可
能性のある候補分子の不存在下または存在下でインキュベーションする。候補分
子のFAB Iポリペプチドに亢進または拮抗する能力は、標識化リガンドの結
合の低下またはこのような基質からの生成物の産生の低下に反映される。結合し
ても影響を及ぼさない分子、すなわちFAB Iポリペプチドの効果を誘発しな
い分子は、良好なアンタゴニストである可能性が高い。結合性が良好で、場合に
よっては、基質からの生成物の生成速度を高め、シグナル変換を強め、または化
学チャネル活性を強める分子はアゴニストである。場合によっては、基質からの
生成物の生成、シグナル変換または化学チャネル活性の速度またはレベルの検出
は、リポーターシステムを用いることにより強調できる。この点に関して有用な
リポーターシステムには、生成物に転換される比色測定用標識化基質、FAB
Iポリヌクレオチドまたはポリペプチド活性の変化に応答するリポーター遺伝子
、および当該分野で既知の結合検定等があるが、これらに限定されるものではな
い。
【0151】 本発明のポリペプチドを用い、当該分野において公知の標準的な受容体結合法
により、膜結合または可溶性受容体を同定してもよい。これらの方法は、リガン
ド結合および架橋検定を包含するが、これらに限らない。これらの方法において
、ポリペプチドは放射活性標識(例えば125I)され、化学修飾(例えばビオ
チニル化)され、または検出および精製に適したペプチド配列に融合され、推定
上の受容体源(例えば細胞、細胞膜、細胞上清、組織抽出物、身体材料)ととも
にインキュベーションされる。他の方法は表面プラスモン共鳴および分光学的法
を包含する。これらのスクリーニング方法を用いて、ポリペプチドのその受容体
への結合と競合するポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを同定して
もよい。かかる検定を行うための標準的方法は当該分野において周知である。
【0152】 蛍光−タグ化分子の蛍光分極値は、回転相関時間またはタンブリング速度に依
存する。他のFAB Iポリペプチドまたは他のポリペプチドと結合したFAB
Iポリペプチドにより形成し、蛍光的に標識化された分子を含むように標識化さ
れた蛋白複合体は、蛍光的に標識化されたモノマー蛋白よりも高い分極値を有す
るであろう。この方法を用いてポリペプチド複合体を破壊する小分子の解析を行
うことが好ましい。 蛍光エネルギー移動を、FAB Iポリペプチド二量体、三量体、四量体また
はより高い種類の構造、または他のポリペプチドに結合したFAB Iポリペプ
チドにより形成される構造の形成を阻害する、小分子の解析に用いてもよい。F
AB Iポリペプチドをドナーおよびアクセプター発蛍光団の両方で標識化でき
る。2つの標識化種を混合し、ドナー発蛍光団が励起されると、蛍光エネルギー
移動をアクセプターの蛍光の観察により検出できる。二量化を遮断する化合物は
、蛍光エネルギー移動を阻害するだろう。
【0153】 表面プラスモン共鳴をFAB Iポリペプチドの自己結合ならびにFAB Iポ
リペプチドおよび他のポリペプチドまたは小型分子の結合における小型分子の作
用をモニターするのに用いることができる。FAB Iポリペプチドを、共有的
に結合した分子が一量体であるように低部位密度でセンサーチップに結合させる
ことができる。ついで、溶液蛋白をFAB I被覆表面上に通し、特異的結合を
局所屈折率の変化により引き起こされる共鳴角度における変化をモニターするこ
とによりリアルタイムで検出することができる。この方法をFAB Iポリペプ
チド自己結合ならびにFAB Iポリペプチドおよび他のポリペプチドまたは小
型分子の結合の運動速度および平衡結合定数における小型分子の作用を解析する
のに用いることができる。
【0154】 シンチレーション近接検定をFAB Iポリペプチドと他のFAB Iポリペプ
チドまたは異なるポリペプチドとの結合間の相互作用を解析するのに用いてもよ
い。FAB Iポリペプチドをシンチレーション充填ビーズと結合させることが
できる。放射性標識FAB Iポリペプチドの添加は、放射活性源分子がシンチ
レーション流体にきわめて近接している場合に結合を生じさせる。それゆえ、F
AB Iポリペプチド結合でシグナルが発生し、FAB Iポリペプチド自己結合
またはFAB Iポリペプチドおよび他のポリペプチドまたは小型分子の結合を
妨げる化合物は、シグナルを減少させるであろう。 ICSバイオセンサーはAMBRI(Australian Membrane Biotechnology Re
search Institute)により記載されている。これらは、懸濁膜二重層中で、マク
ロ分子の自己結合をグラマシジン−促進イオンチャンネルの閉鎖と関連付け、そ
れゆえバイオセンサーのアドミッタンス(インピーダンスと類似する)における
測定可能な変化と関連付ける。この方法は、60年間のアドミッタンス変化にお
いて直線的であり、理想的には、小型分子のコンビナトリアルライブラリーの大
規模なハイスループットスクリーニングに適している。
【0155】 本発明の他の具体例において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌク
レオチドと結合あるいは相互作用して、その活性または発現を阻害または活性化
する化合物を同定する方法であって、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオ
チドへの結合、あるいはポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと化合物
との他の相互作用を可能にする条件下で、本発明のポリペプチドおよび/または
ポリヌクレオチドをスクリーニングすべき化合物と接触させて、アゴニストとの
結合あるいは他の相互作用を評価し(該方法において、好ましくは、かかる結合
または相互作用はポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと化合物との結
合あるいは相互作用に応答した検出可能シグナルを提供しうる第2の成分に関連
したものである)、ついで、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと化
合物との結合あるいは相互作用から生じるシグナルの存在または不存在を検出す
ることにより、化合物がポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドと結合あ
るいは相互作用し、その活性または発現を活性化または阻害するかどうかを決定
する方法が提供される。
【0156】 FAB Iアゴニストの検定の別の例は、拮抗阻害検定に適した条件下で、F
AB Iおよび可能性のあるアンタゴニストを、FAB I結合分子、組換えFA
B I結合分子、天然基質もしくはリガンド、または基質もしくはリガンド模倣
物と組み合わせる、競合検定である。FAB Iを例えば放射活性または比色化
合物により標識し、結合分子に結合した、あるいは生成物に変換したFAB I
分子の数を正確に決定して、可能性のあるアンタゴニストの効果を評価できる。
【0157】 スクリーニングのさらなる一例として、NADHの消費を測定することによる
クロトニル−CoAの減少を検出することがある。かかるスクリーニングにおい
ては、クロトニル−CoAの代わりにクロトニル−ACPを用いることもできる
。試験化合物を反応混合物に加えて、クロトニル−CoAまたはクロトニル−A
CPの減少に関する効果を測定する。減少のレベルが上昇しておれば、アゴニス
トであると同定することができ、減少のレベルが減っておれば、アンタゴニスト
と同定することができる。ジアザボリンまたはパルミトイルCoAを拮抗作用の
正の対照として用いることができる。これらのスクリーニングをマイクロタイタ
ープレートフォーマットおよびプレートリーダーを用いるハイスループット検定
に用いることが好ましい。
【0158】 FabI酵素運動に関連する以下の観察が、本発明の方法および本発明の他の
態様において有用である: 1.Apo−ACPはNADHに対して不拮抗阻害的である(Ki(app)
であり、[CCA]の面積と比例の関係にある); 2.Apo−ACPはクロトノイルCoAに対して拮抗阻害的であり、CCA
結合に関して負の協同性を誘発する; 3.立体化学および定常状態の速度研究を精製されたエス・アウレウスFab
Iについて行った; 4.エス・アウレウスFabIについての立体化学経路は、イー・コリ酵素に
ついて報告されているのと同じである; 5.基質としてNADHだけを用いるイ・コリ酵素とは対照的に、エス・アウ
レウスFabIはNADHおよびNADPHの両方を使用する。しかしながら、
NADHについてのKmappはNADPHに関するよりも約30倍大きかった
; 6.基質としてNADHおよびクロトノイルCoAを用いると、FabIは逐
次速度機構を示す; 7.速度変数は5.0−7.0の範囲のpHにわたってほとんど変化しない; 8.鎖長を長くした飽和脂肪性アシルCoAでは阻害の増加が観察される。こ
のことはインビボにおけるフィードバック調節機構の可能性を示唆する。 9.パルミトイルCoAはクロトノイルCoAとの拮抗阻害剤であると思われ
る。スロープリプロットは[I]濃度に比例し、このことは阻害が複数のパル
ミトイルCoA分子のFabIへの結合を介してなされていることを示唆する。 10.apo−ACPはNADHに対して不拮抗阻害的であり、クロトノイル
CoAに対して拮抗阻害的であるのに対して、CCAの結合において負の協同性
を誘発する。このことはオリゴマー四次構造、特に、限定されるものではないが
、二量体または三量体四次構造の形成を示すものである。 11.apo−ACPおよび擬似生成物阻害剤β−NADPおよびパルミト
イルCoAを用いる実験は、基質の秩序付けられた付加を示す(第1のNADH
結合)。 12.apo−ACP対NADHの不拮抗阻害は、ACP結合にはピリジンヌ
セロイドの前結合が必要であることを示唆する。 13.クロトノイルCoA基質に対してエス・アウレウス酵素はイー・コリ酵
素と同様のアフィニティを有したが、意外なことに、イ・コリ酵素はNADHに
対して70倍までより大きなアフィニティを有した。 14.His10タグ化エス・アウレウスFabIは負のFab酵素と比べて
異なる運動特性を示す。 15.エス・アウレウスFabIは脂肪性アシルCoAにより阻害される。こ
のことはこの酵素がインビボにて長鎖アシル−アシルキャリア蛋白によりフィー
ドバック阻害に付されることを示すものである。
【0159】 本発明の可能性のあるアンタゴニストは、とりわけ、本発明のポリヌクレオチ
ドおよび/またはポリペプチドと結合し、それによりその活性または発現を阻害
または消滅させる小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体を包含する
。可能性のあるアンタゴニストはまた、FAB I誘発活性を誘導しない結合分
子のような、結合分子の同一部位に結合し、FAB Iポリペプチドおよび/ま
たはポリヌクレオチドを結合より排除することによりFAB Iポリペプチドお
よび/またはポリヌクレオチドの作用または発現を妨げる、密接に関連した蛋白
または抗体のような小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよい。
【0160】 可能性のあるアンタゴニストは、ポリペプチドの結合部位に結合してその部位
を占領し、それにより細胞性結合分子との結合を妨害して、正常な生物学的活性
を防御する小型分子を包含する。小型分子の例は、小型有機分子、ペプチド、ペ
プチド様分子を包含するが、これらに限定されるものではない。その他の可能性
のあるアンタゴニストはアンチセンス分子を包含する(これらの分子についての
記載に関しては、Okano, J., Neurochem. 56:560(1991); OLIGODEOXYNUCLEOTIDE
S AS ANTISENSE INHIBTORS OF GENE EXPRESSION, CRC Press, Boca Raton, FL (
1988)を参照のこと)。好ましい可能性のあるアンタゴニストは、FAB Iに関
連する化合物およびその変種を包含する。
【0161】 本発明の小型有機分子は、好ましくは2000ダルトンより下の、より好まし
くは300と1000ダルトンの間の、最も好ましくは400と700ダルトン
の間の分子量を有する。一の具体例は、本願の出願前に公開されていない化合物
を提供する。可能性のあるポリペプチドアンタゴニストの他の例は、抗体、また
はある場合には、場合によってはポリペプチドのリガンド、基質、受容体、酵素
などと密接に関連するオリゴヌクレオチドまたは蛋白、例えば、リガンド、基質
、受容体、酵素などのフラグメント;あるいは本発明のポリペプチドに結合する
が、応答を惹起せず、したがって該ポリペプチドの活性が阻害されない、小型分
子を包含する。
【0162】 本発明の特定のポリペプチドは、天然のFAB Iポリペプチドの生体模倣物
、機能模倣物である。これらの機能模倣物は、とりわけ、FAB Iポリペプチ
ドの活性を拮抗するのに、あるいは本明細書のいずれかの個所に記載されている
ように抗原または免疫原として用いることができる。本発明のポリペプチドの機
能模倣物は、末端切断ポリペプチドを包含するが、これに限定されるものではな
い。例えば、好ましい機能模倣物は、20、30、40、50、60、70また
は80個のアミノ−またはカルボキシ−末端アミノ酸残基を欠く、配列番号:2
に示されるポリペプチド配列を含むポリペプチドを包含し、1またはそれ以上の
これらの末端切断配列を含む融合蛋白を含む。これらの各機能模倣物をコードす
るポリヌクレオチドは発現カセットとして用い、各模倣ポリペプチドを発現する
ことができる。これらのカセットは5’および3’制限部位を含み、必要な時に
、都合のよい手段でカセットを一緒にライゲートさせることが好ましい。これら
のカセットは、さらには、当該分野にて公知の、あるいは本明細書のいずれかの
個所に記載の遺伝子発現シグナルを含むことが好ましい。
【0163】 かくして、もう一つ別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドおよ
び/またはポリヌクレオチドについての、アゴニスト、アンタゴニスト、リガン
ド、受容体、基質、酵素など;またはかかるポリペプチドおよび/またはポリヌ
クレオチドの産生を増進または亢進する化合物を同定するためのスクリーニング
キットであって、(a)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド
;(b)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現する組換
え細胞;(c)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現す
る細胞膜;または(d)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド
に対する抗体を含み、ここでポリペプチドは、好ましくは配列番号:2のポリペ
プチドであり、ポリヌクレオチドは、好ましくは配列番号:1のポリヌクレオチ
ドである、スクリーニングキットに関する。 かかるキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は実質的成分を
含んでいてもよいことが理解されよう。
【0164】 本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを、ポリペプチドおよ
び/またはポリヌクレオチドのアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤の構造
に基づく設計に用いてもよいことが、当業者に理解されよう。該方法は:(a)
最初にポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、またはそれらの複合体の
3次元構造を決定し;(b)アゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤の反応部
位、結合部位またはモチーフである可能性のある部位の3次元構造を推定し;(
c)推定された結合部位、反応部位および/またはモチーフと結合または反応す
ると予想される候補化合物を合成し;ついで(d)候補化合物が実際にアゴニス
ト、アンタゴニストまたは阻害剤であるかどうかを試験する ことを含む。 これが通常、繰り返しプロセスであり、自動およびコンピューター制御工程を
用いてこの繰り返しプロセスを行ってもよいことが、さらに理解されよう。
【0165】 さらなる態様において、本発明は、例えばFAB Iポリペプチドおよび/ま
たはポリヌクレオチドの過剰発現、発現不足、高活性または低活性に関連した疾
患のごとき異常な状態の治療方法を提供する。 ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの発現および/または活性が過
剰な場合、いくつかの方法を用いることができる。1の方法は、例えば、リガン
ド、基質、受容体、酵素等の結合を遮断することにより、あるいは第二シグナル
を阻害することによるような、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの
機能および/または発現を阻害するに有効な量の上記した阻害化合物(アンタゴ
ニスト)を所望により医薬上許容される担体とともに個体に投与し、そのことに
より異常なな症状を改善することを含む。もう1つの方法において、内在性ポリ
ペプチドおよび/またはポリヌクレオチドとの競争において、リガンド、基質、
酵素、受容体等に結合することができる可溶性形態のポリペプチドを投与しても
よい。かかる競合物質の典型例はFAB Iポリペプチドおよび/またはポリヌ
クレオチドのフラグメントを含む。
【0166】 さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメ
ントおよび種々のサブクラス(IgG、IgM、IgA、IgE)の免疫グロブ
リンの重鎖または軽鎖の不変領域の種々の部分を含んでなる、遺伝子工学により
得られる可溶性融合蛋白に関する。免疫グロブリンとしては、ヒトIgG(特に
IgG1)の重鎖の不変部分であり、融合はヒンジ領域で起こっているものが好
ましい。特定の具体例において、血液凝固因子Xaを用いて開裂できる開裂配列
を導入することによりFc部分を簡単に除去することができる。そのうえ、本発
明は、遺伝子工学によるこれらの融合蛋白の製造方法、ならびに薬剤スクリーニ
ング、診断および治療におけるそれらの使用に関する。本発明のさらなる態様は
かかる融合蛋白をコードするポリヌクレオチドにも関する。融合蛋白法の例は国
際特許出願WO94/29458およびWO94/22914に見ることができ
る。
【0167】 さらに別の方法において、発現ブロッキング法を用いて内在性FAB Iポリ
ペプチドをコードしている遺伝子の発現を阻害することができる。このブロッキ
ングは遺伝子発現のいずれの工程を標的としてもよいが、好ましくは、転写およ
び/または翻訳を標的とする。この種の既知方法の例は、体内で生じるかまたは
別個に投与されるアンチセンス配列の使用を包含する(例えば、O'Connor, J Ne
urochem(1991)56:560 in Oligodeoxynucleotides as Antisense In
hibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL(1988)参照)
。別法として、遺伝子とともに三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドを提供
することもできる(例えば、Leeら、Nucleic Acids Res(1979)6:307
3;Cooneyら、Science(1988)241:456;Dervanら、Science(19
91)251:1360参照)。これらのオリゴマーはそれ自体投与することが
でき、あるいは関連するオリゴマーをインビボで発現させることもできる。
【0168】 本明細書で得られるポリヌクレオチド配列は、各々、抗菌化合物の発見および
開発に用いることができる。コードされた蛋白は、発現されると、抗菌薬物をス
クリーニングするための標的として用いることができる。加えて、コードされた
蛋白のアミノ末端領域をコードするポリヌクレオチド配列あるいはシャイン・ダ
ルガーノまたは他の個々のmRNAの翻訳容易化配列を用いて、目的とする暗号
化配列の発現を調節するアンチセンス配列を構築することができる。
【0169】 本発明はまた、感染の続発症に関与する、病原体または複数の病原体および真
核生物、特に哺乳動物宿主間の最初の身体的相互作用を妨害するための、本発明
のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニストの使用を
提供する。特に本発明の分子は;細菌、特にグラム陽性菌および/またはグラム
陰性菌が内在装置上の真核生物、特に哺乳動物細胞外マトリックス蛋白、または
創傷部の細胞外マトリックス蛋白に付着することを防御するのに;真核生物、特
に哺乳動物細胞外マトリックス蛋白と組織損傷を媒介する細菌性FAB I蛋白
との間の細菌付着を遮断するためにおよび/または;内在装置の埋め込みまたは
他の外科的手技以外により開始した感染における病因の通常の進行を遮断するた
めに使用することができる。
【0170】 本発明のさらに別の態様によれば、FAB Iのアゴニストおよびアンタゴニ
スト、好ましくは静菌性または殺菌性アゴニストおよびアンタゴニストが提供さ
れる。 本発明のアンタゴニストおよびアゴニストを用いて、例えば、疾患を阻害しお
よび/または治療することができる。 アンタゴニストは、後述するように、医薬上許容される担体と一緒に組成物に
用いることができる。
【0171】 アゴニストを用いて、例えば、上気道感染(例えば、中耳炎、細菌性気管炎、
急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道感染(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓感染
(例えば、感染性心内膜炎)、胃腸感染(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜
後膿瘍)、CNS感染(例えば、大脳膿瘍)、眼感染(例えば、眼瞼炎、結膜炎
、角膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管感染(例
えば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚感
染(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、な
らびに骨および関節感染(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を含む疾患を阻害
することができるが、これらに限定されるものではない。
【0172】 アンタゴニストは、例えば、後述するように、医薬上許容される担体と一緒に
組成物で使用され得る。 本明細書に提供されたDNA配列の各々は、抗菌性化合物の発見および開発に
用いることができる。発現後のコード化蛋白は、抗菌剤のスクリーニング用の標
的として使用され得る。加えて、コード化蛋白のアミノ末端領域をコードするD
NA配列またはシャイン−デルガルノまたは各mRNAの他の翻訳促進性配列を
用いることにより、目的とする暗号化配列の発現を制御するアンチセンス配列が
構築され得る。
【0173】 エッチ・インフルエンゼ、イー・コリおよびサルモネラ・ティフィムリウム(
S.typhimurium)において既知酵素によりFAB Iのアミノ酸配列が保存されて
いることから、本発明により提供されるFAB Iが標的とされる抗菌剤、アゴ
ニストおよびアンタゴニスト化合物は、広い範囲のグラム陰性および陽性菌に対
して活性を示すと考えられている。加えて、Fab I相同体(InhA)が、
マイコバクテリウム・ツベロクロシス(Mycobacterium tuberculosis)で同定さ
れた。従って、FAB Iが標的とされる本発明により提供される抗菌剤はまた
、抗マイコバクテリア活性を有し得る。さらに、ジアザボリン誘導体がLPS生
合成を阻害し(ラムら(1987)(J.Antimicrob.Chemother.)20 37−4
5)、LPSは既知病原性因子であることから、本発明は、インビボで活性を強
化したFAB Iが標的とされる抗菌性化合物を提供する。
【0174】 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(本明細書中、「エイチ・
ピロリ(H.pylori)」という)菌は、胃癌、潰瘍、胃炎を発病している世界中の
人々の3分の1以上の胃に感染している(国際癌研究機関(International Agen
cy for Research on Cancer)(1994)Schistomoses, Liver Flukes and Helico
bacter Pylori(International Agency for Research on Cancer,Lyon,France
;http://www.uicc.ch/ecp/ecp2904.htm))。さらに、この国際癌研究
機関は、最近になって、エイチ・ピロリと胃腺癌の間の因果関係を認識し、その
細菌をグループI(限定的)発癌物質と分類した。本発明により提供されるスク
リーン法を用いて見出された本発明の好ましい抗菌化合物(FAB Iポリペプ
チドおよび/またはポリヌクレオチドのアゴニストおよびアンタゴニスト)、特
に広域スペクトルの抗生物質は、エイチ・ピロリ感染の治療にて有用である。こ
のような治療はエイチ・ピロリ誘発性癌、例えば胃腸癌の出現を減少させる。か
かる治療はまた胃潰瘍および胃炎も防御し、阻害しおよび/または治癒する。
【0175】 組成物 本発明はまた、前記で検討されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたは
アゴニストまたはアンタゴニストを含む組成物に関するものである。すなわち、
本発明のポリペプチドは、細胞、組織または生物体の場合に使用される非滅菌ま
たは滅菌担体(複数も可)、例えば対象への投与に適した医薬用担体と組み合わ
せて使用され得る。前記組成物は、例えば媒質添加剤または治療有効量の本発明
ポリペプチドおよび医薬的に許容し得る担体または賦形剤を含む。前記担体は、
食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセリン、エタノールおよびそれ
らの組み合わせを含み得るが、限定されるわけではない。製剤は投与方法に適合
すべきである。
【0176】 キット さらに本発明は、前述の本発明組成物の1種またはそれ以上の成分で充填され
た1つまたはそれ以上の容器を含む医薬パックおよびキットに関するものである
。人体投与用製品の製造、使用または販売機関による承認を表す、医薬または生
物学的製品の製造、使用または販売を統制する政府機関により規定された形態で
の通告が、前記容器(複数も可)に添付され得る。 また、FAB I指向性抗菌剤の直接治療を可能にするFAB I遺伝子および
相同体に関する診断用キットも本発明により提供される。FabIおよび異なる
種類からのFAB Iの相同体を同定するためのDNAハイブリダイゼーション
または蛋白(モノクローナル抗体)に基づくキットも提供される。前記キットは
、FAB I遺伝子/蛋白およびその相同体における突然変異を検出することが
できる。
【0177】 投与 本発明のポリペプチドおよび他の化合物は、単独または他の化合物、例えば治
療用化合物と共に使用され得る。 医薬組成物は、特に例えば局所、経口、肛門、膣、静脈内、腹膜内、筋肉内、
皮下、鼻腔内または皮内経路による投与を含む、有効で好都合な方法により投与
され得る。
【0178】 医薬組成物は、一般に特定適応症(複数も可)の処置または予防に有効な量で
投与される。一般に、組成物は、少なくとも約10μg/kg(体重)の量で投
与される。ほとんどの場合、それらは、1日に約8mg/kg(体重)を越えな
い量で投与される。好ましくは、ほとんどの場合、用量は、1日に約10μg/
kg〜約1mg/kg(体重)である。最適用量は、適応症、その重症度、投与
経路、悪化状態などを考慮して、各処置の様相および適応症に関する標準的方法
により決定されるものとする。
【0179】 治療において、または予防として、有効成分は、注射用組成物として、例えば
好ましくは等張性の滅菌水性分散液として個体に投与され得る。 別法として、組成物は、局所適用、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼用
軟膏、点眼薬、点耳薬、口内洗浄剤、含浸包帯および縫合糸およびエーロゾルの
形態で製剤化され得、例えば保存剤、薬剤浸透を促進する溶媒、および軟膏およ
びクリームにおける緩和薬を含む、適当な慣用的添加剤を含み得る。前記局所製
剤はまた、融和性の慣用的担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、およびローシ
ョン用のエタノールまたはオレイルアルコールを含み得る。前記担体は、製剤の
重量にして約1%〜約98%を構成し得る。さらに通常は、それらは製剤の約8
0重量%以下を構成する。
【0180】 人体に投与する場合、有効成分の1日用量レベルは、0.01〜10mg/k
g、典型的には1mg/kg前後であることが予想される。いずれにしても医師
が、個体に最適であり、特定個体の年齢、体重および応答により異なる実際の用
量を決定する。前記用量は、平均症例の具体例である。勿論、これより高いかま
たは低い用量範囲が妥当である個々の場合もあり得、それらも本発明の範囲内に
含まれる。
【0181】 内在デバイスには、外科的インプラント、補綴装置およびカテーテル、すなわ
ち個体の体内に導入され、ある程度長期間その位置に残されるデバイスがある。
かかるデバイスには、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、
血管カテーテル、髄液シャント、泌尿器カテーテル、持続的外来腹膜透析(CA
PD)カテーテルなどがある。 本発明の組成物は、内在デバイスの挿入直前に関連した細菌に対する全身効果
を達成するため注射により投与され得る。手術後デバイスが体内にある間は処置
が続行され得る。加えて、前記組成物を外科技術用の手術周囲カバーを広げるの
に使用することにより、スタフィロコッカス外傷感染が阻止され得る。
【0182】 多くの整形外科医は、補綴接合された個体の場合、菌血症を生じ得る歯科処置
前に抗生物質予防について考えるべきであるとしている。末期の重度の感染は、
補綴接合が失われることもある危険な合併症であり、重大な病的状態および死亡
を伴う。従って、この状況で予防的抗生物質に代わるものとして活性成分の用途
を拡大することが可能であり得る。 前記治療に加えて、本発明の組成物は、外傷組織で暴露されたマトリックス蛋
白への細菌接着を阻止するための外傷処置剤として、および抗生物質予防法に代
わるものとしてまたはそれと共に歯科処置での予防用に一般に使用され得る。別
法として、本発明組成物は、挿入直前に留置装置を浸すのに使用され得る。活性
成分は、好ましくは外傷または留置装置を浸す場合1μg/ml〜10mg/m
lの濃度で存在する。 ワクチン組成物は、好都合には注射可能形態である。慣用的アジュバントは、
免疫応答を強化するのに使用され得る。
【0183】 予防接種に関する適当な単位用量は、0.5−5μg/kg(抗原)であり、
前記用量は好ましくは1−3回および1−3週間隔で投与される。 指示された用量範囲では、本発明化合物の場合、適当な個体へのそれらの投与
を阻む有害な毒性作用は全く観察されない。 前記抗体はまた、FAB I蛋白を含む細菌の存在を検出するための診断試薬
として使用され得る。 下記の実施例を理解し易くするため、特定の頻出する方法および/または語に
ついて記載する。
【0184】 (実施例) 以下、実施例によりさらに詳しく本発明の記載を行う。与えられた実施例は、
特定具体例を挙げて本発明を説明しているに過ぎない。これらの実例は、本発明
の若干の実施態様を説明しており、開示された発明の範囲の限定を表したり、限
界を画するものではない。
【0185】 ここで使用されている若干の語については、前記用語解説で説明されている。 実施例は全て、特に詳述されていない場合は、当業者には公知かつ常用的な標
準技術を用いて行われた。下記実施例の常用的分子生物学的技術は、標準的実験
マニュアル、例えばサムブルックら、(1989)「モレキュラー・クローニン
グ:ア・ラボラトリー・マニュアル」(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANU
AL、第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドス
プリングハーバー、ニューヨーク)の記載に従い実施され得る。
【0186】 下記実施例に示された部または量は全て、特記されていない限り、重量による
ものである。 特記されていない限り、下記実施例におけるフラグメントのサイズ分離は、サ
ムブルックら、(1989)「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー
・マニュアル」(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL、第2版、コールド
スプリングハーバー・ラボラトリー・プレス、コールドスプリングハーバー、ニ
ューヨーク)および多くの他の参考文献、例えばゲッデルらによる、(1980
)「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ」(Nucleic Acids Res.)8:4057に
おけるアガロースおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAGE」)の標
準的技術を用いて行われた。 特記されていない限り、ライゲーションは、標準的な緩衝液、インキュベーシ
ョン温度および時間、ほぼ当モル量のライゲーションされるDNAフラグメント
および0.5μgのDNAにつき約10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ
」)を用いて行われた。
【0187】 実施例1 スタフィロコッカス・アウレウスFAB I遺伝子の単離および配列決定 配列番号:1で与えられたDNA配列を有するポリヌクレオチドは、イー・コ
リにおけるスタフィロコッカス・アウレウスWCUH29の染色体DNAのクロ
ーンのライブラリーの配列決定から得られた。ここに記載された方法により、そ
れは、マウス感染モデルでのスタフィロコッカス・アウレウスWCUH29の確
立した感染においてインビボで転写されることが立証された。
【0188】 配列番号1で与えられたDNA配列を用いてFAB I蛋白をコードするポリ
ヌクレオチドを得るため、一般的にはイー・コリまたは他の適当な宿主における
スタフィロコッカス・アウレウスWCUH29の染色体DNAのクローンのライ
ブラリーを、部分配列から誘導された放射性標識オリゴヌクレオチド、好ましく
は17量体またはそれより長いものでプローブする。次に、プローブと同一のD
NAをもつクローンは、高ストリンジェンシー洗浄液を用いて識別され得る。原
配列から設計された配列決定プライマーによりこうして同定された個々のクロー
ンを配列決定することにより、次に、両方向に配列を伸ばして、完全な遺伝子配
列を決定することが可能である。好都合には、前記配列決定は、プラスミドクロ
ーンから製造された変性2本鎖DNAを用いて行われる。適当な技術は、マニア
チス、T.、フリッチ、E.F.およびサムブルックら、(1989)「モレキュ
ラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル」(MOLECULAR CLONING: A
LABORATORY MANUAL、第2版、コールドスプリングハーバー・ラボラトリー・プ
レス、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク)に記載されている。(ハイ
ブリダイゼーションによるスクリーニング1.90および変性2本鎖DNA鋳型
の配列決定13.70参照)。
【0189】 場合によっては、重複するスタフィロコッカス・アウレウスWCUH29 D
NAを含む2つまたはそれ以上のクローンから得られた配列決定データを用いる
ことにより、配列番号:1における近接DNA配列を構築した。ライブラリーは
、常用的方法、例えば方法1および2により製造され得る。 全細胞DNAは、標準的方法に従いスタフィロコッカス・アウレウス株WCU
H29(NCIMB40771)から単離され、2方法のいずれかによりサイズ
分画される。
【0190】 方法1 全細胞DNAを針に通して機械的に剪断することにより、標準方法に従ってサ
イズ分画する。エキソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することに
より大きさ11kbp以下のDNAフラグメントを平滑にし、EcoRIリンカ
ーを加える。EcoRIで切断されたベクターラムダZapIIへフラグメント
をライゲーションし、ライブラリーを標準的方法によりパッケージし、パッケー
ジされたライブラリーでイー・コリを感染させる。ライブラリーを標準的方法に
より増幅する。
【0191】 方法2 全細胞DNAを4種の制限酵素(RsaI、PalI、AluIおよびBsh
1235I)の組み合わせにより部分的に加水分解し、標準的方法に従いサイズ
分画する。EcoRIリンカーをDNAにライゲーションし、次いでフラグメン
トをEcoRIで切断されたベクターラムダZapIIにライゲーションし、ラ
イブラリーを標準的方法によりパッケージし、パッケージされたライブラリーで
イー・コリを感染させる。ライブラリーを標準的方法により増幅する。
【0192】 実施例2 FAB I酵素活性分析 FAB I蛋白の活性は、基質としてクロトノイル−CoAまたはクロトノイ
ル−ACPを用い(バーグラーら、(1994)、「ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカル・ケミストリー」(J.Biol.Chem.)269、5493−5496)、NA
DHの消費による340nmでの吸光度の減少をモニターすることにより測定さ
れ得る。クロトノイル−ACP(Km 22μM)の方が、クロトノイル−Co
A(Km 2.7mM)よりも優れた基質であり、クロトノイル−CoAはシグマ
から入手可能である(C6146)。ジアザボリン誘導体は、陽性対照として使
用され得、これは、当業界公知の方法を用いて市販されている出発材料による2
段階合成により容易に入手できる。試験化合物をこの検定に加えることにより、
それらが酵素活性を活性化するかそれに拮抗するかが測定され得る。
【0193】 実施例3 FabIの動的特徴化 FabIに対する基質としてクロトノイルCoAを用い、あらゆる活性をNA
DHの利用による340nmにおける吸光度の減少に基づいて測定した(図1)
。すべての検定を100mM NaADA、pH6.5緩衝液を用いて行った。
アシル−CoA阻害実験を0.1mMクロトノイルCoAおよび1mM NAD
Hの存在下で行った。
【0194】 実施例4 エス・アウレウスから由来のFabIの動的特徴化 His10タグ化酵素の詳細な速度論的分析は、pH6.5と6.25の間で
、基質阻害(両方の基質による)および逐次機構から見かけ上のピンポン機構へ
の劇的な変化についての有意な証拠を示した。しかしながら、原始酵素を用いて
pH6.0−7.0で行った実験は逐次機構のパターンを示し、これらの実験か
ら得られる速度変数は大きさまたは速度論的機構のいずれにおいても何ら明白な
変化を示さなかった。すなわち、His10タグ化FabIは原始FabI酵素
とは異なる行動を示した。
【0195】 原始エス・アウレウスFabIについての速度変数を表2に示す。 表2;エス・アウレウスFabIについての速度定数 FabI KNADHCCA KiNADH エス・アウレウス 0.7mM 2.5mM 0.2mM イー・コリ 0.01mM 2.7mM* *:Bergler,Hら(1994)J.Biol.Chem. 269、5493−6
【0196】 原始エス・アウレウスFabIは5ないし7のフラットなpH最適値を示し、
その間で基質クロトノイルCoA(CCA)およびNADHについてのVmおよ
びVm/Kmは相対的に一定であった。 原始エス・アウレウスFabIは脂肪性アシルCoAによる阻害に対して感受
的であった。阻害強度は鎖長と共に増加した(表3)。
【0197】 表3.非Hisタグ化FabIの飽和脂肪性アシルCoAによる阻害 脂肪酸 結果 平均IC50(μM)(n=2) アセチル >>1000 n−ブチリル >>1000 n−ヘキサノイル 576 n−オクタノイル 248 n−デカノイル 226 ラウロイル 48.4 ミリストイル 23.1 パルミトイル 10.7
【0198】 上述した説明および実施例に特に記載されている以外でも本発明を実施しうる
ことは明らかであろう。 上述した方法を考慮して本発明を大きく修飾および変更することも可能であり
、したがって、それらも本発明の範囲内にある。 本明細書に引用した参考文献を出典明示により本明細書の一部とする。その上
、本願が優先権を主張するいずれの特許出願も出典を明示することでその内容を
本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 細菌における脂肪酸延長のサイクルを示す。
【図2】 重水素化ピリジンヌクレオチドの化学合成を示す。
【図3】 イー・コリFabIに基づいて推定および観察された生成物の構
造および(M+H)を示す。
【図4】 図4のA、BおよびCにおいて、図3の反応3の成分の質量スペ
クトルを示す。
【図5】 エス・アウレウスFabIの立体化学経路を示す。
【図6】 エス・アウレウスFabIが基質としてNADPHおよびNAD
Hの両方を使用するグラフを示す。
【図7】 エス・アウレウスFabIが逐次反応機構を示すグラフを示す。
【図8】 エス・アウレウスFabIのpHプロフィールを示す。
【図9】 パルミトイルCoAによる阻害を示す。
【図10】 β−NADPによる阻害を示す。
【図11】 β−NADPによる阻害についての速度論的モデルを示す。
【図12】 apo−ACP対NADHによる阻害のグラフを示す。
【図13】 apo−ACP対CCAによる阻害のグラフを示す。
【図14】 apo−ACPによる阻害についての最小速度論的機構を示す
【図15】 apo−ACPによる誘発性協同阻害を示す。
【図16】 配列番号:2において、図17(配列番号:1)のポリヌクレ
オチドから推定されるスタフィロコッカス・アウレウスFAB Iのポリペプチ
ドを示す。
【図17】 配列番号:1において、スタフィロコッカス・アウレウスFA
B Iのポリヌクレオチド配列を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 スミスクライン ビーチャム パブリック リミテッド カンパニー SmithKline Beecham p.l.c. イギリス国 ティダブリュ8 9ジーエ ス,ミドルセックス,ブレントフォード, グレート ウェスト ロード 980 (72)発明者 ウォルター・イー・デウルフ アメリカ合衆国19343ペンシルベニア州グ レンムーア、グレン・マナー・レイン64番 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA07 CA03 4B050 CC01 DD02 LL01 LL05 4C084 AA17 DC01 DC32 MA52 MA55 NA14 ZB351 ZC201

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも9
    0%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4
    に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプ
    チドの活性を阻害するアンタゴニストまたは活性化するアゴニストであって、こ
    こでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介するパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoA調節による拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、アンタゴニストまたはアゴニスト。
  2. 【請求項2】 FabIポリペプチドの阻害または活性化を必要とする個体
    の治療方法であって、抗菌的に有効な量の、配列番号:2または4のアミノ酸配
    列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、およ
    び配列番号:2または4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群
    より選択されるポリペプチドの活性を阻害するアンタゴニストまたは活性化する
    アゴニストを該個体に投与することを含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法。
  3. 【請求項3】 細菌感染した個体の治療方法であって、抗菌的に有効な量の
    、配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるア
    ミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4に示されるアミノ
    酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドの活性を阻害
    するアンタゴニストまたは活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む
    、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法。
  4. 【請求項4】 細菌がスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコッカス・
    アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス・ニュー
    モニアエからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 FabIポリペプチドの阻害または活性化を必要とする個体
    の治療方法であって、抗菌的に有効な量の、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、FabIの活性を阻害するアンタゴニスト、または
    その活性を活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む、治療方法。
  6. 【請求項6】 細菌感染した個体の治療方法であって、抗菌的に有効な量の
    、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、FabIの活性を阻害するアンタゴニスト、または
    その活性を活性化するアゴニストを該個体に投与することを含む、治療方法。
  7. 【請求項7】 細菌がスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコッカス・
    アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス・ニュー
    モニアエからなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 ストレプトコッカス・ニューモニアエ感染した個体の治療方
    法であって、抗菌的に有効な量の、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、ストレプトコッカス・ニューモニアエFabIの活
    性を阻害するアンタゴニスト、またはその活性を活性化するアゴニストを該個体
    に投与することを含む、治療方法。
  9. 【請求項9】 配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも9
    0%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号:2または4
    に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択されるポリペプ
    チドの活性を阻害するアンタゴニストであって、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、アンタゴニスト。
  10. 【請求項10】 FabIポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法
    であって、抗菌的に有効な量の、配列番号:2または4のアミノ酸配列に対して
    少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、および配列番号
    :2または4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群より選択さ
    れるポリペプチドの活性を阻害するアンタゴニストを該個体に投与することを含
    む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、治療方法。
  11. 【請求項11】 FabIポリペプチドの活性を阻害する方法であって、該
    ポリペプチドを含む組成物を、FabIの活性を阻害する有効量のアンタゴニス
    トと接触させることを含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法。
  12. 【請求項12】 FabIの活性を阻害する方法であって、ここでその活性
    が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法。
  13. 【請求項13】 細菌がスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコッカス
    ・アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス・ニュ
    ーモニアエからなる群より選択される、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 細菌の増殖を阻害する方法であって、細菌を含む組成物を
    、FabIの活性を阻害する抗菌的に有効な量のアンタゴニストと接触させるこ
    とを含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法。
  15. 【請求項15】 細菌がスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコッカス
    ・アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス・ニュ
    ーモニアエからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 FabIポリペプチドを阻害する方法であって、細菌を含
    む組成物を、FabIの活性を阻害する抗菌的に有効な量のアンタゴニストと接
    触させることを含む、ここでその活性が、 Apo−ACP対NADHによる不拮抗阻害(Ki(app)); Apo−ACP対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; CCA結合についての負の協同性の誘発; NADHおよびNADPHのFabIによる基質としての使用; NADHおよびNADPHのFabIによる結合; NADHおよびNADPHのFabIによる酸化; KmappのNADPHと比較した場合のNADHに対する割合; 逐次速度機構におけるNADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる基
    質としての使用; NADHおよびクロトノイルCoAのFabIによる逐次結合; 鎖長の増加した飽和脂肪性アシルCoAによる増加するFabIの阻害; FabIの飽和脂肪性アシルCoAによるフィードバック調節機構; パルミトイルCoA対クロトノイルCoAによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合を介してパルミトイルCo
    A対クロトノイルCoAを調節することによる拮抗阻害; 複数のパルミトイルCoA分子とFabIとの結合; CCAの結合における負の協同性; 二量体四次構造の形成; 三量体四次構造の形成; オリゴマー四次構造の形成; FabIの擬似生成物阻害剤β−NADPまたはパルミトイルCoAによる
    結合;および ACP結合の前の、またはその結合と同時のFabIへのNADH結合 からなる群より選択される、阻害方法。
  17. 【請求項17】 細菌がスタフィロコッカス属の細菌、スタフィロコッカス
    ・アウレウス、ストレプトコッカス属の細菌、およびストレプトコッカス・ニュ
    ーモニアエからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
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