JP2002543117A - 2r,4s−ヒドロキシイトラコナゾール異性体 - Google Patents

2r,4s−ヒドロキシイトラコナゾール異性体

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JP2002543117A JP2000614985A JP2000614985A JP2002543117A JP 2002543117 A JP2002543117 A JP 2002543117A JP 2000614985 A JP2000614985 A JP 2000614985A JP 2000614985 A JP2000614985 A JP 2000614985A JP 2002543117 A JP2002543117 A JP 2002543117A
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itraconazole
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コッホ,パトリック
ロッシ,リチャード,エフ.ジューニア
セナナヤケ,クリス,ヒュー
ウォールド,スティーブン,アラン
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セプラコール, インク.
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗真菌薬であるイトラコナゾールが比較的非−極性で溶解性が低いことから、有効血中レベルを速やかに得ることが困難であり、またCNSへのアクセスを必要とする多数の治療に使用することができないという欠点を有する。このような欠点を持たない抗真菌薬を開発する。 【解決手段】予想外の水溶解性を有する2R,4S−ヒドロキシイトラコナゾール及びそのリン酸塩誘導体及び硫酸塩誘導体の4個の異性体の二つ以上の任意の組合せの混合物を抗真菌症治療薬として提供する。これらの化合物を含む医薬組成物をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は2R,4S−ヒドロキシイトラコナゾール及びそのリン酸塩誘導体及
び硫酸塩誘導体の4個の異性体の二つ以上の任意の組合せを用いる真菌感染症を
治療する方法に関する。
【0002】 発明の背景 良く知られた抗真菌薬であるイトラコナゾールは、4−〔4−〔4−〔4−〔
〔2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール
−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル〕メトキシ〕フェニル〕
−1−ピペラジニル〕フェニル〕−2,4−ジヒドロ−2−(1−メチルプロピ
ル)−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンとして、または(±)−1−
sec −ブチル−4−〔p−〔4−〔p−〔〔(2R* , 4S* )−2−(2,4
−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチ
ル)−1,3−ジオキソラン−4−イル〕メトキシ〕フェニル〕−1−ピペラジ
ニル〕フェニル〕−Δ2 −1,2,4−トリアゾリン−5−オンとして、ユーエ
スエイエヌ(USAN)およびユーエスピー・ディクショナリ・オブ・ドラッグ
・ネームズに定義されている。市販されている物質はジオキソラン環がシスの異
性体であり、構造式Iで表される。
【0003】
【化3】
【0004】 式Iには、3個の不斉炭素(星印を付けられたもの)、すなわち、ジオキソラ
ン環の二つとトリアゾロン上の sec−ブチル側鎖にある一つ、が存在することに
注目される。3個の不斉炭素を持つ構造には8個の異性体が可能である。すなわ
ち、(R,R,R)、(R,R,S)、(R,S,S)、(S,S,S)、(R
,S,R)、(S,R,S)、(S,R,R)および(S,S,R)である。市
販のイトラコナゾールはシス異性体であるから、それはジオキソラン環がシスの
関係を持つ異性体のみの混合物を含んでいる。キラル中心の第1がジオキソラン
環のC−2にあり、第2がジオキソランのC−4にあり、そして第3が sec−ブ
チル基にあると記述する慣習を採用すると、市販のイトラコナゾールは(R,S
,S)、(R,S,R)、(S,R,S)および(S,R,R)異性体の混合物
である。本発明の化合物はジオキソラン環が(2R,4S)のコンフィギュレー
ションを持っており、実質的にSR異性体を含んでいない。
【0005】 sec−ブチル側鎖のメチレン炭素の水酸化は更に一つのキラル中心を創りだし
、更に8個の立体異性体の可能性を生ずる。本発明の方法はブチル鎖にある二つ
の不斉中心の4個異性体のうちの少なくとも二つの混合物を用いる。即ち、RS
RR、RSRS、RSSR及びRSSSの混合物であり、又はRSRR、RSR
S及びRSSRの混合物であり、又はRSRR及びRSSRの混合物、などであ
る。
【0006】
【化4】
【0007】 本明細書で用いられるラセミ化合物、アンビスカレミ (ambiscalemic) および
スカレミ (scalemic) 化合物または鏡像異性体的に純粋な化合物の図形表示はメ
ール J. Chem. Ed. 62, 114-120 (1985)から採られている。実線および破線のく
さびはキラル要素の絶対コンフィギュレーションを記すために用いられ、波線は
それが表している結合が作ることができる立体化学的意味が分からないことを示
し、太い実線および破線は相対的コンフィギュレーションを示すがラセミ性を記
す幾何学的記述子であり、そしてくさびの輪郭図および点線または破線は不確定
な絶対コンフィギュレーションを持つ鏡像異性体的に純粋な化合物を示す。こう
して、下記の構造の中で、白抜きくさびを持つものはその対の純粋な鏡像異性体
の双方を含むことを意図し、黒色のくさびを持つものは表された絶対立体化学を
持つ1個の純粋な鏡像異性体を含むことを意図する。
【0008】 イトラコナゾールは経口的に活性な広域スペクトルを持つ抗真菌薬であり、そ
して構造的にはミコナゾールおよびクロトリマゾールと類縁である。それは真菌
の細胞膜の主要ステロールである、エルゴステロールの合成を害する。これはお
そらく透過性を増加させそして細胞内容物の漏出を生ずる。高濃度では、細胞内
の器官が丸く巻き、ペルオキシソームが増加し、そして壊死的変化が生ずる。
【0009】 経口投与の後、イトラコナゾールは徐々に吸収される。血漿レベルのピークは
毎日投与の15日後に得られ、そしてイトラコナゾールの薬物動態学的挙動は非
線形である。この化合物は生物学的に活性なヒドロキシイトラコナゾールを経て
幾つかの不活性な代謝物に最終的には代謝される。代謝は肝臓メカニズムによる
ように見え、そして多くの主体では代謝物は尿中には排泄されない。〔ハーディ
ンら、Antimicro. Agents and Chemotherapy 32, 1310-1313 (1988) を参照] 。
【0010】 イトラコナゾールのラセミ混合物は、ブラストミセス症およびヒストプラスマ
症用の抗真菌薬としての使用が承認されてきた。この化合物はアスペルギルス症
、コクシジオイデス真菌症、クリプトコックス症、爪真菌症、皮膚糸状菌症およ
びカンジダ症の感染症における使用についても現在研究されている。
【0011】 全身性真菌症(全身性真菌症)は、通常、正常の場合は病原性を持たない日和
見性の原因真菌により誘発される慢性的な、非常にゆっくりと進行する病態であ
る。しかしながら、これらの真菌はHIVに感染した宿主、イオン化照射、コル
チコステロイド、免疫抑制剤、その他を受けた宿主、あるいは気腫、気管支拡張
症、真正糖尿病、白血病、火傷および同種のものなどの状態を持つ宿主に入ると
、病原性になり得る。このような真菌症の症状は、熱、悪寒、食欲不振や体重減
少、倦怠感、および鬱病などを含みうる。真菌症はしばしば典型的な解剖学的分
布に限られ、多くは肺に主要な病巣を有し、その真菌が主要な病巣から拡がると
特定の真菌感染症の多くの特徴的発現が生ずる。例えば、コクシジオイデス真菌
症は主要な型では急性かつ良性の自己限定性呼吸疾患として現れ、皮膚、リンパ
腺、脾臓および肝臓の慢性的な、しばしば致死的な感染症としてこの主要型から
発展する進行性疾患を伴う。同様に、ブラストミセス症は主として肺に生じ、と
きには皮膚に拡がる。カンジダ症やパラコクシジオイドミコーシスなどの他の感
染性疾患は別のコースをとり、病因に応じて皮膚、粘膜、リンパ節、および内部
器官に関わる幾つかの型を示す。
【0012】 表面の真菌感染症は皮膚、毛髪または爪の外層に関わる真菌またはカビにより
引き起こされる。この感染症は軽度の炎症を生じ、そして断続的な回復および悪
化を惹起して病巣は次第に進展し、積み重なり盛り上がった病巣となる。カンジ
ダ症を含む酵母の感染症、および口のカンジダ症(鵞口瘡)は通常皮膚、および
粘膜に限定され、そして症状は感染の部位により変化する。
【0013】 イトラコナゾールの投与に関連する害作用としては、肝毒性および肝臓におけ
る薬物代謝の阻害が挙げられ、これらは多くの臨床的に重要な有害薬物相互作用
をもたらす。〔ガスコンおよびデイヤー、Eur. J. Clin. Pharmacol. 41, 573-5
78 (1991)(ミダゾラムとの相互作用)、ホーニッグら、J. Clin. Pharmacol. 33 , 1201-1206 (1993)( テルフェナジンとの相互作用) 、およびニューボーネンら
、Clin. Pharmacol. Therap. 60, 54-61 (1996)(ロバスタチン) を参照] 。蕁麻
疹および肝酵素の血清レベルの上昇を含む過敏症反応もこの薬物の投与と関連す
る。肝毒性は頻度はより低いがより深刻な害作用である。実際、第1選択の抗真
菌薬として経口コナゾール類を使用することは、低頻度の肝毒性の深刻な結果の
おそれがあるため、通常思い止まることになる。〔ラブリーセンら、Lancet 340 , 251-252 (1992)を参照] 。
【0014】 モルモット又はウサギの単離された心臓を用いる本発明者ら自身の研究におい
て、本発明者らはコナゾールラセミ体の投与が心不整脈の危険の増大と関連し得
るという証拠を発見した。不整脈の特殊なサブタイプである、トルサード・ド・
ポアントがイトラコナゾールラセミ体とテルフェナジンとを同時投与したときに
報告された〔ポージョラら、Eur. J. Clin. Pharmacol. 45, 191-193 (1993)]が
、不整脈は全身的イトラコナゾール投与の副作用としてこれまで報告されたこと
はなかった。不整脈またはQT異常の臨床報告がないということは今日まで対象
となった母集団が比較的小さいという事実の単なる反映に過ぎないということも
ある。
【0015】 イトラコナゾールが比較的非−極性で溶解性が低いことは二つの他の欠点を生
ずる。すなわち、それは非経口用の溶液に容易に製剤化することができないこと
、およびそれは血液−脳関門を透過しないことである。その結果として、有効血
中レベルの迅速な達成またはCNSへのアクセスを必要とする多数の治療上の適
応症はイトラコナゾールでの治療の対象外となる。特に、中枢カンジダ症(cent
ral candidiasis)は、エイズ関連の痴呆の原因でありうるが、イトラコナゾール
で治療することはできない。
【0016】 こうして、上記の不利益を持たずイトラコナゾールの長所を有する化合物を発
見することが特に望まれている。
【0017】 発明の概要 2R,4Sヒドロキシイトラコナゾールの種々のブチル側鎖異性体及びそれら
の混合物は、カビ、酵母および真菌の局部的および全身的感染症を治療する場合
に強力な活性を有する一方、イトラコナゾールの投与に関連する害作用を回避す
る。2R,4Sヒドロキシイトラコナゾールのブチル側鎖異性体及びそれらの混
合物は生理学的に適合性のある溶液にイトラコナゾールよりもはるかに良く溶解
するという特別な長所をも有する。さらに、本発明者らは、全く驚くべきことに
、2R,4Sヒドロキシイトラコナゾールのこの側鎖の異性体がラセミのイトラ
コナゾール((R,S,S)、(R,S,R)、(S,R,S)及び(S,R,
R)異性体の混合物)の投与から得られ得るヒドロキシイトラコナゾール及びイ
トラコナゾールの血中レベルよりも有意に高いヒドロキシイトラコナゾールの血
中レベルを生ずることを見出した。
【0018】 一つの側面では、本発明は、次式で表される異性体の混合物の治療上有効量を
該真菌症に罹患している哺乳動物に投与する工程を含む真菌感染症を治療する方
法に関する。
【0019】
【化5】
【0020】 上式中、Rは水素、−P(O)(OH)2 、−SO3 H又はそれらの塩である。
【0021】 別の一側面では、本発明は上記の異性体混合物に関する。
【0022】 別の側面では、本発明は、上記の混合物および薬学的に許容され得る担体を含
む医薬組成物に関する。
【0023】 発明の詳細な説明 シス−イトラコナゾールの4個の異性体(5〜8)は以下に示す。
【0024】
【化6】
【0025】 シス−ヒドロキシイトラコナゾールの8個の異性体は以下に示す。
【0026】
【化7】
【0027】 シスヒドロキシイトラコナゾールの異性体は以下のスキーム1に従って6種の
形で作成された。即ち、2R,4S及び2S,4Rの純粋なR,S及びS,Rブ
チル鎖異性体、及び2R,4S及び2S,4Rジオキソランのそれぞれのブチル
鎖異性体のR,R/S,S混合物である。その合成方法はスキーム1で一つの鏡
像異性体2について詳細に示す。異性体1、9及び10は出発原料として他の鏡
像異性体を用いて同じ合成法により作成した。同様に、ブチル側鎖におけるRR
/SS異性体の混合物、即ち3/4及び11/12の混合物は、キラル・トラン
ス環状硫酸塩25に対応するプロキラルなシス環状硫酸塩から製造される。
【0028】
【化8】
【0029】 スキーム1に示すように、キラルジオキソラン(23)は、R−3−トシルオ
キシ−1,2−プロパンジオール又はS−3−トシルオキシ−1,2−プロパン
ジオールのいずれかから、酸触媒ケタール化により鏡像異性体的に純粋なR,S
−又はS,R−(3)をそれぞれ生ずる立体特異的な文献の方法により調製する
。このジオキソチオラン(25)は、適当なコンフィギュレーションのブタンジ
オールから、塩化チオニル処理の後、得られる環状スルファイトのルテニウムト
リクロリドの存在下における過ヨウ素酸ナトリウムでのインサイチュ酸化により
調製される。以下に述べる米国特許第4,267,179号の実施例XVIIの
方法により調製される2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔4−(4−メトキシフェ
ニル)−ピペラジニル〕フェニル〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オ
ン(26)を、ガオ及びシャープレス〔J. Am. Chem. Soc. 110, 7538 (1988)〕
の方法により、クラウンエーテルの存在下にDMF中の水素化カリウムを用いて
調製されるジオキソチオラン(25)と反応させる。得られるメトキシ硫酸塩を
48%HBrと共に100〜110℃に加熱することにより、フェノール−アル
コール(28)に開裂させる。トシルエステル(23)とフェノール−アルコー
ル(28)をDMF中の水酸化カリウムの存在下に反応させて実質的に鏡像異性
体的に純粋な生産物(2)を得る。異性体1、9、10、3+4、及び11+1
2は類似の方法で調製する。これらの旋光度を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】 個々の異性体3、4、11、及び12が望まれるときは、当分野で周知のクロ
マトグラフィー法により、又はPCT出願WO98/21204及びWO98/
21205に記載された方法によりこれらを得ることができる。その関連部分を
以下に述べる。
【0032】 リン酸塩を調製したい場合には、(28)を、フェノールを保護するためまず
t−ブチルジメチルシリルクロリド及びジイソプロピルエチルアミンで処理し、
次いでPCT出願WO95/17407(これは参照により本明細書にインコー
ポレートされる)の手順に従って、ジベンジル・ジイソプロピルホスホルアミダ
イト及びt−ブチルヒドロペルオキサイドで処理する。このシリル保護基は無水
テトラブチルアンモニウムフルオライドで除去し、スキーム1に記すように、ベ
ンジル保護リン酸塩をドキソラントシレートと結合させる。このベンジル保護基
をパラジウム触媒の存在下に水素化分解により切断してリン酸塩生産物を得る。
【0033】 (2R,4S)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,
4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−トシルオキシメチル−1,3−ジオ
キソラン・トシレートDTTT(23トシレート塩)は次のようにして調製する
。即ち、トルエン中の(R)−トシルオキシ−1,2−プロパンジオール(10
.0g、40ミリモル)及び1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−
1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノン(10.0g、39ミリモル)
を5℃まで冷却する。その温度が15℃以下に留まるように徐々にトリフリック
酸(トリフルオロメタンスルホン酸)(15mL、4当量)を添加する。完全に
添加した後、反応混合物(2相)を25℃で60時間攪拌する。この混合物を酢
酸エチル(200mL)で希釈し、5℃で水(400mL)中のK2 CO3 (5
0g)の溶液に徐々に滴下する。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(150m
L)で洗浄する。有機層抽出液を合わせ、Na2 SO4 (10g)で乾燥し、濾
過する。酢酸エチル(50mL)中のトルエンスルホン酸(TsOH)(7.6
g、モノハイドレート)を25℃で徐々に添加する。30分後に白色の固体の生
産物を濾過し、洗浄し、乾燥すると、5%のトランス体を含むシスDTTTが得
られる。アセトニトリル(400mL)からの2回の結晶化により、13.5g
の純粋な(2R,4S)−DTTT(50%収率)が得られる。〔α〕D 25=+
16.6°(c=1、メタノール)、ee=99.6%。この2S,4R異性体
は(S)−トシルオキシ−1,2−プロパンジオール(14.8g、60ミリモ
ル)と1−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾ
ール−1−イル)エタノンから類似の方法で調製される。(44%収率)〔α〕 D 25 =−16.6°(c=1、メタノール)、ee=99.6%。
【0034】 (4R,5R)−4,5−ジメチル−1,2,3−ジオキサチオラン2,2−
ジオキシド(25)は次のようにして調製される。即ち、還流用凝縮器及び塩化
カルシウム乾燥管を備えた500mLの三つ口丸底フラスコに、(2R,3R)
−(+)−2,3−ブタンジオール(10.0g、10.1mL、0.11モル
)と四塩化炭素(120mL)を入れた。塩化チオニル(16.0g、9.8m
L、0.13モル)を室温で滴下して加えた。急速にガス発生が始まる。この反
応混合物を室温で10分間攪拌し、次いで、HClガスを完全に除去するため、
還流しながら30分間加熱した。反応混合物を氷水浴中で0℃まで冷却し、アセ
トニトリル(120mL)、RuCl3 ・H2 O(14mg、0.07ミリモル
)、NaIO4 (35.6g、0.17モル)及び水(180mL)をそれぞれ
添加した。この反応混合物を室温まで温め、1.5時間攪拌した。この混合物を
メチルt−ブチルエーテル(900mL)中に注ぎ、残っているNaIO4 (約
600mL)を溶解するため、水を添加した。二相を分離させ、水相をメチルt
−ブチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を水(1×5
0mL)、飽和重炭酸ナトリウム水(2×50mL)及び飽和重炭酸塩(2×5
0mL)及び飽和食塩水(1×50mL)で洗浄した。この有機溶液を無水硫酸
マグネシウム上で乾燥し、シリカゲルの床を通して濾過して澄明な無色の溶液を
得た。真空下に溶媒を除去して表題の化合物を16.01g(95%収率)得た
【0035】 ヘキサン(2×10mL)で予備洗浄し、ジメチルホルムアミド(37mL)
に懸濁させた水素化カリウム(530mg、4.6ミリモル、油中35重量%分
散液)に、18−クラウン−6(980mg、3.7ミリモル)及び2,4−ジ
ヒドロ−4−〔4−〔4−(4−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル〕フェ
ニル〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(6)(1.091g、3
.3ミリモル)を室温で添加した。この溶液を80〜85℃まで2時間温め、次
いで氷水浴中で0℃まで冷却した。この溶液に、(4R,5R)−4,5−ジメ
チル−1,2,3−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(5)(500mg、
3.3ミリモル)を添加した。この反応混合物を4℃まで温めた。0℃まで再度
冷却した後、反応混合物を室温まで温め、21時間攪拌した。この反応混合物に
150mLのトルエンと400mLのメチルt−ブチルエーテルを添加し、この
混合物から白色の沈殿生産物を濾取した。この固体を真空下に乾燥して、表題の
化合物であるカリウム(2R,3S)−3−〔2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔
4−(4−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル〕フェニル〕−3H−1,2
,4−トリアゾール−3−オン−2−イル〕ブト−2−イル硫酸塩(27)とト
リアゾロン出発原料の比が87:13の混合物(HPLCによる)として1.7
0g(定量的収率)を得た。この混合物の一部をフラッシュクロマトグラフィー
(95:5クロロホルム:メタノールの勾配)で精製して特性決定を行った。
【0036】 カリウム(2R,3S)−3−〔2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔4−(4−
メトキシフェニル)−1−ピペラジニル〕フェニル〕−3H−1,2,4−トリ
アゾール−3−オン−2−イル〕ブト−2−イル〔硫酸塩(7)(1.50g、
2.98ミリモル)及び亜硫酸ナトリウム(84mg、0.67ミリモル)に4
8%臭化水素(6.0mL)を添加した。この溶液を110〜115℃で7時間
加熱し、室温に冷却した。この反応混合物を広口ビーカーに注ぎ、固体の炭酸カ
リウムを徐々に添加してpHを7まで上げた。水(100mL)を添加し、生産
物を濾過により集め、真空下で乾燥した。クロロホルム〜95:5クロロホルム
:メタノールの勾配で溶出する粗生産物のフラッシュクロマトグラフィーにより
、2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペ
ラジニル〕フェニル〕−2−〔(1S,2R)−(2−ヒドロキシ−1−メチル
プロピル)〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(28)をSO3
加物として1.03g(70%収率)得た。
【0037】 2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペ
ラジニル〕フェニル〕−2−〔(1S,2R)−(2−ヒドロキシ−1−メチル
プロピル)〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンのSO3 付加物(2
8)(420mg、0.86ミリモル)及び(1)−(2S,4S)−2−(2
,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル
メチル−4−トシルオキシメチル−1,3−ジオキソラントシレート(23トシ
レート)(637mg、0.97ミリモル)に、粉末の水酸化カリウム(277
mg、4.94ミリモル)及びN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)を添
加した。この反応混合物を50〜55℃で8時間温め、室温に冷却した。水(1
50mL)を添加し、粗生産物を濾過により集め、真空下で乾燥した。酢酸エチ
ルで溶出し、次いでクロロホルム、98:2クロロホルム:メタノール、次いで
95:5クロロホルム:メタノールで溶出する粗生産物のフラッシュクロマトグ
ラフィーにより、320mg(52%収率)の(2S,4R)−4−〔4−〔4
−〔4−〔〔2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾ
ール−1−イルメチル)−1,3−ジオキソラン−4−イル〕メトキシ〕フェニ
ル〕−1−ピペラジニル〕−2,4−ジヒドロ−2−〔(1S,2R)−(2−
ヒドロキシ−1−メチルプロピル)〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−
オン(2)が得られた。〔α〕D 25=−22.0°(c=0.1、メタノール)
【0038】 単一異性体3及び4が望まれるときは、スキーム2及びスキーム3に示す、ス
キーム1の二つの異なる修正により製造できる。即ち
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】 2,4−ジヒドロ−4−〔4−〔4−(4−メトキシフェニル)−1−ピペラ
ジニル〕フェニル〕−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(26)はス
キーム1に記述したようにジオキソチオラン(25)と反応させる。ただし、反
応の結果得られるメトキシ−硫酸塩の硫酸塩エステルは、45〜50℃で48%
臭化水素と共に加熱することにより、フェノールからメチルを切断することなく
加水分解してアルコール(31)を形成させる。スキーム2に示すように、アル
コール(31)は、ミツノブ(Synthesis 1981, 1-27) の方法に従ってジイソプ
ロピルアゾジカルボキシレート、トリフェニルホスフィン及び安息香酸で処理し
、メタノール中水酸化カリウムで加水分解し、48%HBrと共に還流して、(
28)に類似の単一のR,R鏡像異性体である(33)を得る。S,S鏡像異性
体が望まれるときは、(25)の反対の鏡像異性体で始める。または、スキーム
3で示すように、アルコール(31)をジメチルアミノピリジン及びジイソプロ
ピルエチルアミンの存在下に塩化メタンスルホニルで処理し、得られる(34)
のメシレートエステルをセナナヤケら(Tet. Lett. 34, 2425 (1993)) の方法に
従ってプロピオン酸セシウムで処理することにより反転させて、プロピオン酸エ
ステル(36)を得る。メトキシエステル(36)は前述のように水酸化カリウ
ムで切断し、次いでHBrで処理して(33)を得る。
【0042】 イトラコナゾールの光学的に純粋な鏡像異性体、及びラセミ混合物の、多数の
かび、酵母、及び真菌類に対する広範囲スペクトルを持つ抗真菌薬としての相対
的能力及び特異性の側面を決定するために、微生物学的及び薬理学的研究を用い
ることができる。
【0043】 上記の化合物の抗微生物活性に関しては、選択された実験により例示される。
これらの実験は有用な抗微生物活性の概要を示しはするが、感受性のある微生物
の範囲を含め、本発明を如何なる意味でも限定するものではない。抗真菌薬コナ
ゾール類は幾つかのカビおよび細菌に対して幾つかの濃度(μg/mL)で、イ
ン・ビトロで評価することができる。〔バン・カットゼム、Chemotherapy 38, S uppl 1 , 3-11 (1992) 、およびバン・カットゼムら、Rev. Infec. Dis. 9, Supp l 1, S15-S32 (1987) を参照〕。真菌生育抑止検定は16×160mm試験管中
のサブロー液(Sabouraud's liquid)(100mL蒸留水に対しネオペプトンDifc
o 1g、およびグルコースDifco 2g)中で行われる。各試験管には液体培地4
.5mLを分注し、120℃で5分間オートクレーブする。試験すべき化合物は
初期濃度20mg/mLで50%アルコール中に溶解する。この溶液を次に10
mg/mLの濃度になるように滅菌蒸留水で希釈する。蒸留水で連続して10倍
希釈を行う。サブロー液体培地4.5mLを含む試験管に薬物の溶液0.5mL
を添加することにより、培地のmL当たり、1000、500、100、10お
よび1μgの濃度のものを得る。対照の試験管は培地4.5mLに蒸留水0.5
mLを添加し、薬物1000および500μgを含む試験管と同一濃度となるよ
うにアルコールを添加することにより調製する。糸状菌はサブロー寒天中、25
℃で2〜3週間インキュベートする。次いで、2×2×2mmのブロックを上記
培地中に接種する。培養はすべて2連で行い、25℃で14日間インキュベート
する。イトラコナゾールの抗カビ活性は不活性化された牛血清を10%含むサブ
ロー・ブロス中でイン・ビトロで増強され、そして使用するテスト培地に左右さ
れる。14日インキュベーションの後、サブロー・ブロス中での生育の完全なま
たは顕著な阻害がミクロスポルム・カニス、トリコフィートン・メンタグロフィ
ーテス、カンジダ・アルビカンス、スポロトリクス・シェンキアイ、パラコクシ
ジオイデス・ブラジリエンシス、ブラストミセス・デルマチチデス、ヒストプラ
スマ・スピーシーズ、アスペルギルス・スピーシーズおよび他のカビや細菌で観
察される。
【0044】 ヒドロキシイトラコナゾール異性体は、3種の異なる検定法により生物学的活
性を試験した。表2は3種の活発に生育している培養物、即ち、カンジダ・アル
ビカンス、クリプトコッカス・ネオフォルメンス、及びサッカロミセス・セレビ
シエーに対するカービー−バウアー・テストの結果の概要を示す。
【0045】
【表2】
【0046】 カービ−バウアー・テスト 4mmのサブロー・デキストロースブロスを含む10mLの試験管に、純粋培
養プレートから切り取った1コロニーのカンジダ・アルビカンスを接種した。こ
の株はアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクション(ATCC)に注文して
入手した。この微生物を150RPMで振盪しながら30℃で4時間生育させた
。この微生物を生育させながら、ヒドロキシ−イトラコナゾールの試料をDMS
O中10mg/mLの濃度まで溶解した。次いで、各試料を1:10に希釈して
1mg/mL試料又は1000mg/mL試料とした。次いで、これらの試料を
連続2倍希釈により希釈して1000、500、250、125、62.5、3
1.25、15.6μg/mLを含む試料を作成した。96穴ミクロタイター皿
の各テストウェルに、1μlのヒドロキシイトラコナゾール溶液と共に液体生育
培地98μlをセットした。4時間生育時間で、カンジダ・アルビカンスを約1
5 〜106 細胞/mLを表す0.5マックファーランド標準まで希釈し、この
接種源の1μlをミクロタイター皿の各テストウェル中に接種した。次いで、こ
の皿をカバーし、30℃で16時間インキュベートした。
【0047】 活発に生育しているカンジダ・アルビカンス、クリプトコッカス・ネオフォル
メンス、及びサッカロミセス・セレビシエーを上記のように調製した。この培養
物を0.5マックファーランド標準まで希釈し、150mmサブロー・デキスト
ローズ寒天プレート上に塗布した。次に、各試料ヒドロキシイトラコナゾールの
10mg/mL溶液の10μlを別別のペーパーディスク(7mm)上にピペッ
トで塗布した。このプレートを次に30℃で16時間インキュベートした。阻止
ゾーンを次にmmで測定した。
【0048】 表3は、カンジダ・アルビカンスの6株、クリプトコッカス・ネオフォルメン
ス、サッカロミセス・セレビシエー及びA.フミガティスの各1株に対して試験
されたときのヒドロキシイトラコナゾール異性体のMICのデータをリストする
。ほとんど全ての株がカンジダ・アルビカンス28815株及び44203株に
対し良好な効力、0.125μg/mL(0.17μM)又はそれ以下、を示し
た。良好な効力は、A.フミガティスについても観察された。即ち、0.137
μg/mL(0.19μM)。これらの数は、カンジダ・アルビカンス4420
3株に対して試験されたときのイトラコナゾール(表4)のMICと比較される
。ヒドロキシイトラコナゾール異性体の全てがイトラコナゾールの2S,4R−
異性体の混合物(7及び8)と等しい効力であり、2R,4S−異性体(5及び
6)よりも大きな効力を有していた。さらに、イトラコナゾール異性体の効力は
ジオキソランの立体化学に関連したが、抗真菌効力はヒドロキシイトラコナゾー
ル異性体ではジオキソラン環の立体化学に関連するようには見えなかった。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】 表5はチトクロームP4503A4の阻害についてのIC50を示す。このIC 50 値はテストステロンとインキュベートした後の6β−ヒドロキシテストステロ
ンの出現により測定された。試験した化合物は全てテストステロン6β−ヒドロ
キシラーゼ活性の顕著な阻害剤であった。異性体1、2及び3+4、即ちジオキ
ソラン環における2R,4S立体化学を持つもの、は2S,4R異性体よりもP
4503A4酵素の阻害が顕著に弱かった。3A4に対するIC50とカンジダ・
アルビカンス44203に対するMICの比は、臨床的により大きな意味がある
。この値は各異性体の「治療係数」を示す。即ち、3A4の弱い阻害剤(大きな
IC50)であり且つカンジダ・アルビカンス44203に対して強い抗真菌活性
を持つ化合物は大きなIC50/MIC比を示すであろう。表5に見られるように
、異性体1、2及び3+4は素晴らしい結果を示した。
【0052】
【表5】
【0053】 ヒドロキシイトラコナゾールおよび誘導体のイン・ビボ活性は、モルモットに
おける実験的皮膚カンジダ症およびラットの膣カンジダ症にと比較することがで
きる。膣カンジダ症におけるこれらの化合物のイン・ビボ活性は、ゴマ油に溶か
したウンデカン酸エストラジオール100μgで毎週皮下に処置されている卵巣
摘出および子宮摘出ウイスターラット(100g)にカンジダ・アルビカンスで
膣感染を誘発させることにより評価される。食塩水中のカンジダ・アルビカンス
の固定濃度でシュードエストラス(in pseudooestrus) の動物の膣内に感染させ
る。感染または治癒の対照は感染後の固定日における膣スミアを採ることにより
評価される。評価対象の薬物は、mg/kg基準で比較され、予防的または治療
的に投与され、そしてその有効性は各薬物群中の総数に対する陰性の動物の割合
を比較することにより判断される。同様の研究で、モルモットの皮膚カンジダ症
に対する活性〔バン・カットゼムら、Chemotherapy 17, 392 (1972)]も比較の基
準となる。
【0054】 本発明の化合物は、イトラコナゾールと関連する害作用を回避しつつ、真菌感
染症の治療を可能とする。「害作用」という用語には不整脈惹起性、肝毒性およ
び血清肝酵素の上昇、薬物相互作用、および蕁麻疹、悪心、嘔吐、腹痛、頭痛、
目眩および同種のものなどの過敏症反応が含まれるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0055】 不整脈を亢進させる力は、ヒト、イヌおよびウサギの心臓における心臓活動電
位および収縮性に及ぼすヒドロキシイトラコナゾールの異性体の効果を調べるこ
とにより評価される。トルサード・ド・ポアントはキニディン、ソタロール(so
talol)およびアセチル−プロカインアミドなどの抗不整脈薬の良く知られた副作
用であり、これらは心臓の再分極の延長を惹き起こす。これらの薬物はすべて共
通して遅延調整器(delayed rectifier)(IK )と呼ばれる細胞のカリウム・チャ
ンネルをブロックする能力を有し、これがトルサード・ド・ポアントの症候を誘
発するこれらの能力に機械的にリンクしていると一般に仮定されている。〔ゼー
エンダーら、Cardiovascular Drugs Ther., 5, 515-530 (1991) を参照 ]。従っ
て、モルモットまたはウサギの単離された心臓におけるQT期間および活動電位
期間の増加は不整脈惹起効果を示すために用いることができる。心臓を0.0、
1.0、5.0、10.0または30.0μMのイトラコナゾール・ラセミ体を
含む酸素化されたタイロード溶液(Tyrode's solution)で灌流する。QT期間お
よび活動電位期間(APD)は心臓電極から測定する。
【0056】 イン・ビボの効果を観察するため、5〜20kgのいずれかの性の雑種犬に麻
酔をかけ、血圧およびEKGのための器具を標準的手法により取り付ける。dP
/dTのための半導体変換器を左心室に置き、そして心外膜電極を設置する。テ
スト化合物は15〜30分間1μg/kg/分で開始し、次第に高い投与量で灌
流する、そして心臓血管の崩壊が結果として起こるまで徐々に増加する。測定す
るパラメータは、血圧、心拍数、dP/dT、およびQT−間隔である。テスト
化合物に対する応答としてのQTc間隔を含む血流力学および電気活動の測定を
行いそして比較する。
【0057】 肝毒性を増進する能力はヒト肝ミクロソーム、ヒトリンパ球および他の細胞培
養システム中でイン・ビトロで評価する。肝ミクロソームはヒト肝臓から調製す
る。組織を融解しついでポリトロン・ホモジナイザー中、0.15MのKCl中
でホモジナイズする。このホモジネートを遠心分離し、ペレットを0.15Mの
KClに再懸濁し、ホモジナイズする。その一部を凍結し、−70℃で貯蔵する
。ヒトリンパ球は新鮮なヘパリン化したヒト血液から無菌的に単離する。血液は
イーグル最小必須培地で希釈し、そしてフィコル−パク(Ficoll-Paque) 上に層
を作らせる。この試料を遠心分離し、次いで水性フィコル界面からリンパ球を取
得し、培地(15mMのヘペス(HEPES)、pH7.4)に懸濁する。次に
、この細胞を遠心分離し、ヘペス培地中で洗浄し、そして再懸濁する。
【0058】 細胞毒性は3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェ
ニルテトラゾリウム・ブロミド(MTT)の紫色ホルマザンへの転換により評価
する。MTTの色素への転換は多穴プレート中で行う。調製後、肝ミクロソーム
またはリンパ球は、単独で、または1〜400μMの濃度範囲のテスト化合物と
共に、37℃で、加湿インキュベータ中でインキュベートする。インキュベーシ
ョン後、ミクロソーム/細胞をヘペス緩衝化培地中の5%アルブミンで洗浄し、
再懸濁する。ついで、このミクロソーム/細胞を加湿インキュベータ中37℃で
インキュベートする。インキュベーション後、MTTの125μgを各ウエルに
添加する。このプレートを37℃でインキュベートし、遠心分離する。遠心分離
後、イソプロパノール100μlを添加し、そしてインキュベートした後、光学
密度を自動プレート・リーダーを用いて測定する。
【0059】 シスヒドロキシイトラコナゾールの異性体の水溶解性を、ヒドロキシイトラコ
ナゾールの0.5M標準溶液と比べ試験した。表6は各異性体のλmax =260
nmにおける吸光度及びその対応する溶解度をリストする。(3+4)及び(1
1+12)を除き、全ての異性体が、5000μVsecであり、オーダー程度
の精度しか与えない機械の検出限界(LOD)以下の吸光度を示した(2及び1
0は検出さえされなかった)。(3+4)及び(11+12)の値はLODより
も辛うじて上であり、±10%の精度を与える。全ての場合に、溶解度は101 〜102 ng/mLの範囲であった。イトラコナゾール自体はこの方法では測定
できないこのような低い水溶解性を持っている。
【0060】
【表6】
【0061】 シスヒドロキシイトラコナゾール異性体のリン酸エステル及び硫酸エステルの
合成及び3種の真菌株に対するそれらの対応するMICを以下に示す。
【0062】
【化11】
【0063】
【化12】
【0064】
【表7】
【0065】 最大のIC50/MIC比を持つ異性体、(1、2及び3+4)のリン酸塩類似
体を、結晶及び組織における加水分解についてさらに研究した。ナトリウム、カ
リウム及びカルシウム塩を調製したが、ビス−NMG塩が最も安定であった。リ
ン酸エステルのヒドロキシ化合物へのA%転換(HPLCのA%分析により測定
されたもの)を三つの系で測定した。即ち、ヒト血漿、ウマ膵臓、及びブタ脳で
ある。その結果は、2R4SSR異性体(2)(遊離の酸としてもビス(N−N
メチルグルカミン)塩としても)が三つの系全てで最も容易に加水分解された化
合物であり、そしてこのビス−NMG塩が、遊離の酸の対応物と比べより急速に
若しくは同等の速さで加水分解された。加水分解は膵臓及び脳で37℃で一晩に
>10%まで進行し、ヒト血漿では3%まで進行した。(1)、(2)及び(3
+4)の3種のリン酸塩の加水分解も種々のラット組織及び血漿で研究した。全
てのケースで、空腸及び肝臓はヒドロキシイトラコナゾールへの最大の転換を示
し、遊離の酸で20%から40%の範囲であった。
【0066】 異性体(1)、(2)及び(3+4)のリン酸エステルのNMG塩の水溶解性
を研究し対応するヒドロキシイトラコナゾール異性体(1)、(2)及び(3+
4)と比べた。これらのリン酸エステルは対応するヒドロキシイトラコナゾール
異性体よりも107 倍もの大きな水溶解性を有していた。
【0067】
【表8】
【0068】 上に示した生物学的検定は、ヒドロキシイトラコナゾール異性体がそれらのイ
トラコナゾール対応物に等しいか若しくはより大きな効力を持つことを確立する
。ヒドロキシイトラコナゾール異性体は全てCYP3A4を阻害し、その阻害は
ジオキソラン部分の絶対立体化学の関数である。さらに、ヒドロキシイトラコナ
ゾールの2R,4S異性体は、ラセミのイトラコナゾールと比較した場合、IC 50 /MIC比を劇的に改善した。ヒドロキシイトラコナゾール異性体の硫酸エス
テル及びリン酸エステルは、高度に水溶性であるが、抗真菌活性は減少した。そ
れにもかかわらず、リン酸エステルのヒドロキシイトラコナゾールへの加水分解
により、これらの化合物は有用な効力を持つプロドラッグとなる。
【0069】 血漿、CSF、及び脳組織におけるヒドロキシイトラコナゾールの濃度をラッ
トで検討した。チャールズ・リバー・ラボラトリーズからのCrl:CD(登録
商標)(SD)IGS・BR株の断食させた雄ラットに、経口投与で20mg/
kgのテスト化合物を与えた。このラットを投与後さらに4時間断食させ、下表
に示す時間にハロセン麻酔の下に心臓穿刺により犠牲にした。血液、CSF、及
び脳組織を集め、これらの試料をヒドロキシイトラコナゾール濃度についてHP
LCにより分析した。次の異性体が投与された
【0070】
【外1】
【0071】 ビークル中の医薬の低溶解性のため、この化合物は、0.5%カルボキシメチ
ルセルロース及び0.1% Tween (登録商標) 80を含む水性ビークル中、mL
当たりテスト化合物10mgの懸濁液/溶液として投与された。この懸濁液を遠
心分離し、懸濁液中の医薬の実際の量(不溶性部分)を測定した。容量濃度及び
溶解性分析からのデータは、用量の濃度が通常の用量に極めて近いこと、そして
混合した異性体(R,S,R,R/R,S,S,S)用量だけが水溶媒中0.5
%CMC/0.1% Tween (登録商標) 80に高い溶解性を示すことを明らかに
する。
【0072】
【表9】
【0073】
【表10】
【0074】* BLQ=定量の検出限界以下1 元の値は検量線を越えた。部分容積で再検定した。2 報告された推定値、検量線を越えた。
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】 血漿中では、表2のデータは、異性体(3+4)(グループ3)の1:1混合
物でで処理されたラットでヒドロキシイトラコナゾールの濃度が最高であり、投
与後6時間で、濃度は10,800ng/mLに達したことを示す。(R,S,
R,R)の単一異性体(3)ヒドロキシイトラコナゾール又は(R,S,S,S
)の単一異性体(4)ヒドロキシイトラコナゾール(それぞれグループ4及び5
)で処理されたラットは、異性体(3+4)の1:1混合物を与えられたラット
よりも約5倍低いCmax 値を示した。(R,S,R,S)−ヒドロキシイトラコ
ナゾール異性体(2)(グループ2)を与えられたラットは異性体(3+4)の
1:1混合物を与えられたラットよりも約10倍低いCmax 値を示しが、異性体
(1)(R,S,S,R)−ヒドロキシイトラコナゾールを与えられたラットは
異性体(3+4)の1:1混合物を与えられたラットよりも約40倍低いCmax 値を示した。五つの処理群全てについて、Tmax は投与後4時間か又は6時間で
あった。
【0078】 髄液(表3)では、ヒドロキシイトラコナゾールの検出濃度は、ほとんど全て
の試料においてほぼ検出限界か又はそれ以下であった。経時的にヒドロキシイト
ラコナゾールの最も高い濃度及び最も広い出現が、グループ3(異性体(3+4
)の1:1混合物)からの試料で、投与後2時間から12時間の間で見られた。
【0079】 脳組織(表4)では、ヒドロキシイトラコナゾールの濃度は、グループ3(異
性体(3+4)の1:1混合物)を除き、全ての処理群でほとんど全ての試料で
ほぼ検出限界か検出限界以下であり、これはヒドロキシイトラコナゾールの定量
可能レベルを含んでいたCSF試料と合致した。
【0080】 この研究の結果は、異性体混合物の投与が、血漿、CSF及び脳組織で、単一
異性体で見られたレベルよりも予想外に高い医薬レベルを生ずることを証明する
。抗真菌の効力は薬物濃度の関数であるからとりわけ、これまでイトラコナゾー
ル治療が実施不可能であった感染症を治療する場合に、異性体の混合物が改善さ
れた効力を示すであろうことがこれらの研究から結論される。
【0081】 疾病の急性的または慢性的管理におけるヒドロキシイトラコナゾールまたは誘
導体の予防的または治療的な投与量の大きさは治療すべき状態の重篤度および投
与経路により変動する。投与量そしておそらく投与頻度も、個々の患者の年齢、
体重、および応答によって変動する。一般に、ヒドロキシイトラコナゾールまた
は誘導体の本明細書に記載された状態に対する一日の総投与量範囲は1回投与ま
たは分割投与で約50mgから約1200mgまでである。一日の投与量範囲は
1回投与または分割投与で約100mgと約800mgの間であることが好まし
く、そして一日の投与量範囲は分割投与で約200mgと400mgの間である
ことが最も好ましい。患者を管理する場合に、その治療は低投与量、おそらく約
100mg〜約200mgで開始し、そして患者の全体的応答に従って約400
mgまたはそれ以上に増加させるべきである。子供、および65歳を越える患者
、および腎機能または肝機能の障害を有する患者は最初低い投与量を受け、そし
て個体の応答(単数または複数)および血液レベル(単数または複数)に基づい
て投与されることがさらに推奨される。当技術分野で熟練した者には明らかなよ
うに、場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用することが必要であるこ
とがある。さらに、臨床医または治療医は個々の患者の応答と関連して治療を如
何にして何時中断し、調整しまたは終了すべきかを知っていることに注意すべき
である。感染を緩和しまたは防止するのに十分な量であって害作用を惹起するに
は不十分な量は上記の投与量および投与頻度スケジュールによりカバーされてい
る。
【0082】 ヒドロキシイトラコナゾールまたは誘導体の有効な投与量を患者に与えるため
には、どのような適当な投与経路をも使用することができる。例えば、経口、経
直腸、非経口(皮下、筋肉内、静脈内)、経皮、局所、肺および同種の投与形態
を採用することができる。投与剤形としては、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁液
、溶液、カプセル、パッチ、軟膏剤、クリーム、シャンプー、吸入用のエアロゾ
ルおよび同種のものが挙げられる。
【0083】 本発明の医薬組成物は活性成分としてヒドロキシイトラコナゾールまたは誘導
体または薬学的に許容され得るそれらの塩を含んでおり、そして薬学的に許容さ
れ得る担体、および必要に応じて他の治療効果を有する成分をも含むことができ
る。
【0084】 「薬学的に許容され得る塩」または「薬学的に許容され得るその塩」という用
語は、無機の酸および塩基および有機の酸および塩基を含む薬学的に許容され得
る非毒性の酸または塩基から調製される塩を指す。本発明のヒドロキシ化合物は
塩基であるから、塩は無機および有機の酸を含む薬学的に許容され得る非毒性の
酸から調製することができる。本発明の化合物に対する適当な薬学的に許容され
得る酸付加塩としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸(ベシレート)、安息香酸、
ショウノウスルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、
グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リ
ンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシレート)、ムチン酸、硝酸、パモ
酸(pamoic acid)、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トル
エンスルホン酸、および同種のものが挙げられる。リン酸塩は、酸性であり、内
部塩と同様に塩基の塩の調製も可能である。本発明の化合物に対する薬学的に許
容され得る塩基付加塩の適当なものとしては、アルミニウム、カルシウム、リチ
ウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られる金属塩、ま
たはリシン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリ
ン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミ
ン)およびプロカインから作られる有機塩が挙げられる。N−メチルグルカミン
塩は、非経口製剤及び経口製剤中で優れた長期間安定性を示すので、特に好まし
い。
【0085】 本発明の組成物は懸濁液、溶液、エリキシル、エアロゾル、および固形投与剤
形などの組成物を含む。経口の固形調製物(粉末、カプセル、錠剤など)の場合
には、スターチ、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒剤、潤滑剤、バインダー
、崩壊剤、および同種のものなどの担体が普通に使用される。経口固形調製物は
経口液状調製物よりも好ましい。最も好ましい経口固形調製物は錠剤である。
【0086】 投与の容易さの故に、錠剤とカプセルは最も有利な経口投与単位剤形であり、
これらの場合には固形の薬学的担体が用いられる。所望であれば、錠剤は標準的
水性または非水性技法により被覆することができる。
【0087】 第2番目に好ましい投与経路は局所的なものである。これには、クリーム、軟
膏、シャンプー、および同種のものが特に適している。
【0088】 上記の普通の投与剤形に加えて、本発明の化合物は放出制御手段および/また
は送達装置により投与することもできる。そしてその溶解性のため静脈注射投与
用などの非経口用溶液として用いることもできる。
【0089】 経口投与に適する本発明の医薬組成物はカプセル、カシェー、または錠剤、ま
たはエアロゾルスプレーなどの離散した単位として提供することができる。その
単位のそれぞれは活性成分の予め定められた量を、粉末または顆粒、または溶液
または水性液体中の懸濁液、非−水性液体、水中油乳剤、または油中水乳剤とし
て含んでいる。このような組成物は薬学的手法のいずれかにより調製することが
できるが、すべての方法が活性成分を一つ以上の必要成分を構成する担体と混ぜ
合わせる工程を含んでいる。一般に、この組成物は活性成分を液体担体または微
細に粉砕された固形担体またはその両者と均一にかつ完全に混合することにより
、そして、必要なときは、更に望みの剤形にその産物を成型することにより調製
される。
【0090】 例えば、錠剤は必要に応じ一つ以上のアクセサリ成分と共に圧縮または成型加
工により調製することができる。圧縮された錠剤は、必要ならばバインダー、潤
滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤などと混合した粉末または顆粒
などの自由に流動する形の活性成分を、適当な機械で圧縮することにより調製す
ることができる。成型加工された錠剤は、加湿された粉末の化合物と不活性液体
希釈剤との混合物を、適当な機械で成型加工することにより製造される。各錠剤
は約100mgから約300mgまでの活性成分を含むことが望ましい。錠剤、
カシェーまたはカプセルは3種の投与量、活性成分の約50mg、約100mg
または約200mgのいずれか一つを含むことが最も好ましい。
【0091】 同様に、持続放出又は制御放出製剤も当分野で周知である。標準的薬学の教科
書、レミントン:薬学の科学と応用、第19版、第94章、表題「持続放出薬物
送達システム」はごく普通のタイプの経口及び非経口の制御放出投与剤形(16
60−1675頁)を記述している。放出制御手段及び送達装置は、米国特許番
号第3,845,770、3,916,899、3,536,809、3,59
8,123、及び4,008,719号に、そしてPCT出願WO92/203
77にも記述されている。前記教科書及び特許文書の関連部分は参照により本明
細書にインコーポレートされる。
【0092】 局所的適用のためには、局所適用に適合しそして好ましくは水よりも大きな動
粘度を持つ担体を含む、粘稠から半固体または固体の剤形がスプレー不可能な剤
形、として用いられる。適当な剤形としては、溶液、懸濁液、乳剤、クリーム、
軟膏、粉末、リニメント(塗布剤)、膏薬、エアロゾルなどが挙げられるがこれ
らに限定されない。これらは所望により、滅菌されまたは防腐剤、安定剤、加湿
剤、緩衝液または浸透圧を調整するための塩類などの付加的物質と混合される。
局所適用のためには、スプレー可能なエアロゾル製剤も適当である。ここでは、
活性成分は、好ましくは固形または液状の不活性担体物質と混合して、絞り出し
ボトル中に、または加圧された揮発性の、通常気体のプロペラント(推進体)、
例えばフレオンとの混合物として包装される。
【0093】 非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤及び意図された患者の血
液と該製剤を等張にする溶質を含む水性及び非水性の滅菌注射溶液が含まれる。
非経口投与用の製剤には、懸濁している薬物及び濃化剤を含む水性及び非水性の
滅菌懸濁液も含まれる。該製剤は単位用量の複数用量袋、例えば密封されたアン
プル及びバイアルの形で提供され、使用直前に滅菌液体担体、例えば食塩水、リ
ン酸緩衝化食塩水(PBS)などの添加だけを必要とする凍結乾燥(ライオフィ
ライズド)状態で貯蔵されうる。即時注射溶液及び即時懸濁液は前述したような
滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製されうる。
【0094】 本発明はさらに、本発明の組成物の調製ならびにその有用性を詳細に記述する
下記の実施例を参照することにより明確にされる。本発明の目的および利益から
逸脱することなく物質および方法の両方に対し多くの改良がなされうることは当
技術分野の熟練者には明らかなことである。
【0095】 実施例1 経口用製剤−カプセル
【0096】
【外2】
【0097】 活性成分であるヒドロキシイトラコナゾールまたは誘導体は篩にかけ、そして
賦形剤と混合される。この混合物を適当な機械を用いて適当なサイズのツーピー
スの硬いゼラチンカプセル中に充填する。他の投与量は充填量を変えることによ
り、そして必要ならば、カプセルのサイズを適当なものに変更することにより調
製される。
【0098】 実施例2 経口用製剤−錠剤
【0099】
【外3】
【0100】 活性成分は乳糖と混合し、均一な混合物が得られるまで混ぜる。コーンスター
チの少量を水と混ぜてコーンスターチペーストを作る。ついで、これを上記の均
一な混合物と混ぜ、均一な湿った固まりができるまで混ぜ、残りのコーンスター
チを添加して均一な顆粒が得られるまで混合する。この顆粒を1/4インチのス
テンレススチールのスクリーンを用いる適当な製粉機を通して篩にかける。製粉
された顆粒を適当な乾燥用オーブン中で乾燥し、そして再度適当な製粉機を通し
て製粉する。次に、ステアリン酸マグネシウムを混合し、得られる混合物を望み
の形、厚さ、硬さそして崩壊し易さの錠剤に圧縮する。
【0101】 実施例3 注射用水性懸濁液 懸濁するビークルは下記の材料から調製する。
【0102】
【外4】
【0103】 水の主要部分にパラベンを加え、65℃まで加熱し攪拌することにより溶解さ
せる。得られる溶液を室温まで冷却し、成分の残りを添加しそして溶解させる。
次いで、望みの容量になるまで残りの水を添加し、濾過によりこの溶液を滅菌す
る。こうして調製された滅菌ビークルを次に予め約10ミクロン未満の粒子サイ
ズまで小さくしエチレンオキシドガスで滅菌した3mgの2R,4S−イトラコ
ナゾール又はそのリン酸塩と混合する。この混合物を滅菌したコロイドミルを通
し、滅菌容器中に無菌的条件下で充填し、次いで密封する。
【0104】 実施例4 経口用製剤−放出制御
【0105】
【外5】
【0106】 実施例4 ステアリン酸マグネシウムを除き、成分は全て10分間混合する。この混合物
を30メッシュ(500μm)スクリーンを通して篩にかけ、さらに10分間再
混合する。ステアリン酸マグネシウムを30メッシュ(500μm)スクリーン
を通して篩にかけ、これを該混合物に加え、5分間混合する。得られる混合物を
回転式打錠機によりそれぞれが414mgの重量の錠剤に仕上げる。他の強度の
錠剤は活性成分の賦形剤又は錠剤の最終重量に対する割合を変えることにより調
製しうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 405/10 C07D 405/10 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 セナナヤケ,クリス,ヒュー アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 01545、シュリューズベリ、オールド フ ァーム サークル 11番地 (72)発明者 ウォールド,スティーブン,アラン アメリカ合衆国、マサチューセッツ州 01776、サドベリー、サイダー ミル ロ ード 71番地 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB06 CC81 DD41 EE01 4C086 AA01 AA02 BA12 BC50 BC60 DA37 DA38 GA02 GA07 GA16 MA02 MA03 MA04 MA52 MA55 MA65 NA05 NA12 NA14 ZB35 4H050 AA01 AA03 AB20 AB29

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真菌類、酵母及び皮膚糸状菌の感染症を治療する方法であっ
    て、該感染症を患う哺乳動物に、下記式 【化1】 で表され、Rが水素、−P(O)(OH)2 、−SO3 H又はその塩である異性
    体混合物であって、該混合物が異性体3及び4の1:1混合物を含まないことを
    条件とする異性体混合物の治療上有効量を投与する工程を含む方法。
  2. 【請求項2】 該感染症が中枢カンジダ症(central candidiasis)である請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 異性体1、2、3及び4の1:1:1:1混合物を用いるも
    のである請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 異性体1及び異性体2の1:1混合物を用いるものである請
    求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 二つの異性体の任意の混合物を用いるものである請求項1記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 Rが水素である、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 Rがリン酸塩である、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 該異性体混合物が経口投与されるものである、請求項1記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 該異性体混合物が非経口的に投与されるものである、請求項
    1記載の方法。
  10. 【請求項10】 該異性体混合物が静脈内に投与されるものである、請求項
    9記載の方法。
  11. 【請求項11】 下記式の異性体混合物であって、 【化2】 上式中、Rが水素、−P(O)(OH)2 、−SO3 H又はその塩である式で表
    されるが、該混合物が異性体3及び4の1:1混合物を含まないことを条件とす
    る異性体混合物。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の1:1:1:1混合物。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の、異性体1及び異性体2の1:1混合物
  14. 【請求項14】 請求項11記載の、任意の二つの異性体の混合物。
  15. 【請求項15】 Rが水素である、請求項11記載の混合物。
  16. 【請求項16】 Rがリン酸塩である、請求項11記載の混合物。
  17. 【請求項17】 N−メチルグルカミン塩の形である、請求項16記載の混
    合物。
  18. 【請求項18】 請求項11又は請求項16記載の混合物及び薬学的に許容
    されうる担体を含む医薬組成物。
  19. 【請求項19】 該薬学的に許容されうる担体が非経口投与用の担体である
    、請求項18記載の医薬組成物。
  20. 【請求項20】 該薬学的に許容されうる担体が放出制御用の担体を含む、
    請求項18記載の放出制御医薬組成物。
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