JP2002542836A - 滅菌の生物学的指標のための方法、組成物およびキット - Google Patents

滅菌の生物学的指標のための方法、組成物およびキット

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JP2002542836A JP2000615785A JP2000615785A JP2002542836A JP 2002542836 A JP2002542836 A JP 2002542836A JP 2000615785 A JP2000615785 A JP 2000615785A JP 2000615785 A JP2000615785 A JP 2000615785A JP 2002542836 A JP2002542836 A JP 2002542836A
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アイラ シー. フェルクナー,
ジョセフ ピー. ライコ,
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アイシーエフ テクノロジーズ, インコーポレーテッド
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/02Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms
    • C12Q1/22Testing for sterility conditions

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Abstract

(57)【要約】 滅菌または消毒法に曝された細菌の芽胞の生存度および/または変化を多角光散乱によって測定し、この芽胞の変化を芽胞生存度と滅菌または消毒法の効力の指標として検出する、滅菌処理の有効性を検出するための新しい生物学的指標システムならびにその方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
本発明は、滅菌および消毒の生物学的指標に関する。
【0002】 主として保健医療産業において、またそれ以外の多くの産業上での適用におい
ても、医療用具、非医療用具、装置ならびにその他の物品および材料などの設備
機器を滅菌するために使用されるプロセスの有効性をモニターすることが、ほぼ
必ずと言ってよいほど必要とされる。これらの設置条件では、滅菌は通常、ウイ
ルスおよび芽胞などの構造を含めて生存可能な微生物を、完全に破壊するプロセ
スとして定義されるものである。これらの保健医療施設での標準的な実務では、
滅菌すべき物品のバッチに滅菌指標を包含させる。滅菌指標の使用によって、滅
菌プロセスの致死率を評価する直接的且つ高感度のアプローチが許容される。
【0003】 生物学的滅菌指標の標準的なタイプには、概ね既知量の被験微生物芽胞が包含
される。この指標は、滅菌チャンバ内に入れられて、滅菌されるべき対象物と一
緒に滅菌プロセスに曝される。被験微生物、たとえばBacillus stearothermophi
lus(バシラス・ステアロサーモフィラス)またはB.subtilis(バシラス・ズブ
チリス、枯草菌)芽胞は、次いで生育培地に接触せしめられて、増殖に有利に働
く条件下に所定時間インキュベートされ、そして特定の代謝産物の有無によって
判定されるような生存微生物の何れについても、成長の可能性についての検査が
行われる。成長が陽性であることは、その滅菌プロセスが微生物をすべて破壊す
るには不充分であったことを示すのである。芽胞を含有させることに対する装置
には広く種々のものが開発されているものの、一般的な滅菌検出プロセスにおけ
るバリエーションはほとんどない。
【0004】 既存の特許に開示されている、先行技術における生物学的指標には、特定の細
菌株に由来する培養物から製造され、そして滅菌に対する予測可能な耐性につい
て特徴付けがなされた生存可能な芽胞の調製物が含まれる。細菌の芽胞は他のほ
とんどの生物体よりも滅菌プロセスに対して格段に耐性であるので、これが従来
の生物学的指標における被験微生物であることが多い。先行技術における生物学
的指標の多くは内蔵式であり、これはかかる指標が芽胞とインキュベーション媒
体とを単一の容器内(ただし、典型的には別の区画)に保有していることを意味
する。滅菌後に、芽胞が生育培地と接触せしめられこととなるるように、容器が
処理される。容器全体を所定時間インキュベートし、その結果が定量および記録
される。 あるいは、生物学的指標のいくつかは、パッケージ内のキャリア上の芽胞を含
んでなる。滅菌プロセスに曝された後に、芽胞を有するキャリアは、パッケージ
から滅菌媒体に移されてインキュベートされる。
【0005】 これら滅菌指標のすべてが有する主たる欠点は、滅菌性試験の結果を得る際の
時間の遅延である。生存している何れの微生物の適切な検出をも確実にするには
、これらの滅菌指標では通常、微生物が少なくとも2日、多くの場合最長7日間培
養されることを必要とする。この間、芽胞生存度試験の結果が判定されるまでは
、滅菌プロセスを経た物品は使用されるべきでない。芽胞が生存可能であるとの
結果は、適切な滅菌条件を満たしていないことを示す。 多くの保健医療施設が有する資源は限られており、そこでそれらの「滅菌され
た」装置は24〜48時間以内、多くの場合は直ちに再使用されねばならない。この
ような環境下に、滅菌性の実証のための3乃至7日間にわたる保持期間は非実用的
であり、費用がかかる上に非効率的である。 技術者が訓練されなければならず、また標準的な微生物学的技術を用いて生物
学的指標の生存度を判定するために、無菌室の施設を利用可能としなければなら
ないので、これらの従来市販されている生物学的指標によると、さらに時間の遅
延と費用が必要になる。 さらに、従来の成長試験のほとんどは、診療所または歯科医院の外部の、無菌
装置が使用および調製される試験施設で実施されるので、それにより試験結果を
得る際の費用や時間の遅延がさらに増大することとなる。
【0006】 無菌性を検出する際の時間の遅延を解消するための試みにおいて、指標として
酵素とそれにより生じる活性を使用することも、これまでに報告されている。複
雑な試料の取扱いの必要性が回避され、生物学的指標により要求される処理時間
が短縮されるものの、一種の酵素、または複数の酵素の使用にも不都合がある。
たとえば、一種の酵素によって製造される産物を検出するのに、特殊な装置が必
要である場合が多い。さらに、一種または複数の酵素を使用することが、生存し
ている複雑な生物体の滅菌プロセスに対する応答を効率的に再現するわけではな
い。このように、滅菌処理に対する一種の酵素または複数の酵素の応答は、生物
学的有機体に関する滅菌の効力を適切に反映しないかもしれない。すなわち、滅
菌プロセスの有効性を判定するのに、熱安定性酵素は有用であるかもしれないが
、生物学的指標としての生存細菌芽胞の場合におけると同程度の滅菌の保証が提
供されるのではない。熱安定性酵素の活性は芽胞の死に関連する可能性があるに
すぎないので、かかる酵素の不活性化の程度によって、すべての場合で生存生物
体に対する滅菌プロセスの効果が正確に測定されうるのではない。生存生物体の
数が少ないと、色の変化または比色読取値が記録される程度に、指標基質を崩壊
するに足る酵素が生産されないかもしれず、これにより偽陰性を与えることとな
る。さらに、酵素アッセイは低温滅菌処理に対しては機能しない。
【0007】 したがって、滅菌処理の効力を正確に検出するための生物学的指標およびその
使用のための方法であって、当該指標は複雑な処理を必要とせず、且つ迅速な結
果をもたらす、すなわち、結果が数日でなく数時間足らずで得られるものが要請
されている。本発明はかかる要求を満たすものである。
【0008】
【発明の簡単なサマリー】
本発明は、滅菌処理の有効性を検出するためのシステムを包含する。当該シス
テムは、生物学的指標、固体支持体、液状媒体、および多角光散乱装置を含む。 一の態様において、生物学的指標は、B.subtilis芽胞、およびB.stearothermo
philus芽胞からなる群より選択される芽胞である。 別の態様において、固体支持体は、吸収性フィルター、膜、マトリックス、ガ
ラス、プラスチック、および金属からなる群より選択される。 また別の態様において、多角光散乱装置は、DAWN Model B MALS光度計、およ
びDAWN Model F MALS光度計からなる群より選択される。 別の態様において、滅菌処理は、化学的滅菌処理、および物理的滅菌処理から
なる群より選択される。 また別の態様において、液状媒体が、水、ブレイン・ハート・インフージョン
ブロス培地、栄養ブロス、およびトリプチカーゼ・ソイブロスからなる群より選
択される。
【0009】 本発明はまた、滅菌処理後の芽胞の生存度を評価する方法をも包含する。当該
方法は、 (a)芽胞を滅菌処理に曝し、 (b)処理された芽胞を、多角光散乱を用いて検査し、そして (c)処理された芽胞の多角光散乱と、滅菌処理に曝されなかった類似芽胞の
多角光散乱との間の差異を評定して、処理された芽胞が生存可能であるか否かを
判定する、工程を含む。 一の態様において、芽胞および類似芽胞は、B.subtilis芽胞、およびB.stearo
thermophilus芽胞からなる群より選択される。 別の態様において、滅菌処理は、化学的滅菌処理、および物理的滅菌処理から
なる群より選択される。 また別の態様において、化学的滅菌処理は、エチレンオキシド滅菌処理、過酸
化水素滅菌処理、四銀四酸化物滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からなる群より
選択される。 さらなる態様において、物理的滅菌処理は、放射線滅菌処理、ガスプラズマ滅
菌処理、蒸気滅菌処理、および乾熱滅菌処理からなる群より選択される。
【0010】 別の態様において、当該方法はさらに、工程(a)において芽胞の滅菌処理の
前に多角光散乱を用いて類似芽胞を検査して、工程(c)における類似芽胞の多
角光散乱として使用するための、標準多角光散乱データのセットを提供する工程
を含む。 また別の態様において、当該方法はさらに、標準多角光散乱データを保存し、
工程(a)の滅菌処理を用いて第2の類似芽胞を滅菌した後の第2の類似芽胞の
生存度を評価する工程を含む。 別の態様において、当該方法はさらに、工程(b)の前に、処理された芽胞を
生育培地でインキュベートする工程を含む。 また別の態様において、生育培地は、トリプチカーゼ・ソイブロス、栄養ブロ
ス、およびブレイン・ハート・インフージョンブロスからなる群より選択される
。 別の態様において、当該方法はさらに、工程(b)の前に、芽胞を最長約24時
間インキュベートする工程を含む。 また別の態様において、当該方法はさらに、処理された芽胞を生育培地でイン
キュベートする前に、当該処理された芽胞に熱ショックを付す工程を含む。 別の態様において、滅菌処理は、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
る群より選択され、且つ、当該方法はさらに、処理された芽胞を滅菌処理後直接
に検査する工程を含む。
【0011】 本発明は、滅菌処理の効力を評価する方法を含む。当該方法は、 (a)生物学的指標を滅菌処理に曝し、 (b)類似生物学的指標を、多角光散乱を用いて検査して標準プロファイルを
作製し、 (c)処理された生物学的指標を、多角光散乱を用いて検査して滅菌後プロフ
ァイルを作製し、そして (d)処理された生物学的指標の滅菌後プロファイルを、類似生物学的指標の
標準プロファイルと比較する、工程を含み、処理された生物学的指標の滅菌後プ
ロファイルと、類似生物学的指標の標準プロファイルとの間の差異が、滅菌処理
の効力を示す。 一の態様において、生物学的指標および類似生物学的指標は、B.subtilis芽胞
である。 別の態様において、当該方法はさらに、DAWN Model B MALS光度計、およびDAW
N Model F MALS光度計からなる群より選択される光度計を、多角光散乱に使用す
る工程を含む。 また別の態様において、滅菌処理は、物理的滅菌処理、および化学的滅菌処理
からなる群より選択される。 別の態様において、滅菌処理は、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
る群より選択され、且つ、当該方法はさらに、処理された芽胞を滅菌処理後直接
に検査する工程を含む。
【0012】 本発明は、滅菌処理に曝された生物学的指標における変化を検出する方法を包
含する。当該方法は、生物学的指標を滅菌処理に曝し、そして、処理された生物
学的指標の多角光散乱を、滅菌処理に曝されなかった類似生物学的指標の多角光
散乱と比較する、工程を含み、処理された生物学的指標の多角光散乱と、類似生
物学的指標の多角光散乱との間の差異が、処理された生物学的指標における変化
を示す。 一の態様において、当該方法はさらに、生物学的指標の多角光散乱を検査する
前に、処理された生物学的指標を最長約24時間、生育培地でインキュベートする
工程を含む。
【0013】 別の態様において、当該方法はさらに、生物学的指標を生育培地でインキュベ
ートするに先駆けて、当該生物学的指標に熱ショックを付す工程を含む。 また別の態様において、当該方法はさらに、比濁計、および光度計からなる群
より選択される装置を使用して、生物学的指標の多角光散乱を検査する工程を含
む。 別の態様において、滅菌処理は、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
る群より選択され、且つ、当該方法はさらに、処理された芽胞を滅菌処理後直接
に検査する工程を含む。 本発明はまた、滅菌処理後の芽胞の生存度を評価するためのキットも包含する
。当該キットは、固体支持体上に吸着された約2×108の芽胞、多角光散乱光度計
、および液状媒体を含む。 一の態様において、当該キットはさらに、そのキットの使用のための説明書を
含む。 以上の要旨と以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と合わせ読むとさらによ
く理解されるはずである。本発明を例証することを目的として、現在のところ好
ましい実施態様を図面に示す。しかしながら、示されている配列や手段のまさし
くそのものに本発明が限定されるものでないことは理解されるべきである。
【0014】 [発明の詳細な説明] 本発明は、B.subtilis芽胞が、発芽および成長につれて、ならびに/または様
々な滅菌プロセスの後に、検出可能な変化を遂げて多角光散乱(MALS)を用いて
測定、同定、および標準化することができる変化を遂げうるとの発見に基づくも
のである。本出願人らはさらに、微生物による光散乱は滅菌処理による影響を受
け、滅菌処理の光散乱に対する効果を処理後数分以内にMALSを用いて検出できる
ことを発見した。加うるに、本出願人らは光散乱の変化が微生物の生存度に相関
することを発見している。 したがって、本発明は、滅菌処理の有効性を検出するためのシステムを包含す
る。当該システムは、生物学的指標、固体支持体、液状媒体、および多角光散乱
光度計を含み、これらの用語は本明細書において定義付けられ例示されたとおり
である。当該システムは、ここにおいて開示しているとおりに使用されるもので
ある。簡単に説明すると、生物学的指標は滅菌処理に曝され、そしてその生物学
的指標は次いで、本明細書の別の箇所において開示したとおりにMALSを用いて検
査される。処理された生物学的指標のMALSデータは、未処理の類似生物学的指標
をMALSを用いて検査することによって得られる標準プロファイルまたは対照プロ
ファイルのMALSデータと比較することができる。
【0015】 さらに、本発明は、生育培地(たとえば、ブレイン・ハート・インフージョン
ブロス、栄養ブロス、トリプチカーゼ・ソイブロス、等)での微生物のインキュ
ベーションと共に、またはかかるインキュベーションを伴わずに実施された滅菌
処置の直ぐ後に、様々な滅菌法の効力を評価すべく、多角光散乱分析を用いて微
生物を含む生物学的指標における変化を評価するアッセイを包含する。したがっ
て本発明は、滅菌処理の効力を判定して、それにより熟達した技術者、広範な試
料の取扱い、および冗長なインキュベーション時間を要する複雑な培養方法の必
要性を回避するための、迅速、高感度且つ正確な生物学的指標を提供するもので
ある。 本発明のシステムおよび方法は、滅菌処理の完了後に生存可能な微生物を検出
するものであり、ここで微生物の供給源(すなわち生物学的指標、BI)は滅菌処
理に曝されまたは供され、そして処理後のその生存度が、好ましくは、微生物に
おける変化を評価する多角光散乱デバイスなどの装置を用いて判定される。
【0016】 微生物が検出可能な成長(数の増加)を呈することができるか、且つ/または
本明細書の別の箇所で開示した新規の方法(たとえば、多角光散乱)のみならず
微生物学の当該技術分野にてよく知られた方法(たとえば、トリプチカーゼ・ソ
イ寒天プレート培養、アクリジンオレンジ直接計数、細菌代謝物/酵素の検出、
ブレイン・ハート・インフージョンブロスでのインキュベーション、等)を含め
た種々の方法によって検出した場合に形態の変化を呈することができる(たとえ
ば、微生物が発芽できる、芽胞から増殖性細胞(vegetative cell)もしくは桿
状体に変化する、等)のであれば、微生物は「生存可能」である。 「インキュベーション」は、微生物が成長する、すなわち、発芽、増殖および
分裂することが見込まれる条件下に適切な生育培地と微生物を接触させることを
包含する。分裂は、細胞の分割または鎖の形成に関わるものでありうる。インキ
ュベーションは、静置、または振動(たとえば、振盪、回転、ローリング、等)
を伴うものの何れかであることができ、そしてインキュベーション温度は細菌の
種に依存し、たとえばB.subtilisは約35〜37℃でインキュベートされるが、B.st
earothermophilusは約55〜60℃で成長する。
【0017】 本発明の滅菌処理として使用される滅菌法は、四銀四酸化物、エチレンオキシ
ド、過酸化水素、およびオゾンなど、これらに限定されない化学的滅菌法、なら
びに乾熱、蒸気、ガスプラズマ、および放射線など、これらに限定されない物理
的滅菌法、または既知の、もしくは今後開発されるであろう物理的および/もし
くは化学的方法の組み合わせの何れをも含めた、容認されうる滅菌方法の何れで
あってもよく、何ら限定されることはない。 本明細書において使用される場合、別途に明記しない限り「滅菌」には、利用
可能であるかまたは今後開発されるであろう滅菌または消毒方法の何れのものを
も含めることとする。 加えて本発明は、塩素、アルコール、オゾン、銀化合物などの消毒剤、または
他の処理の効果(1またはそれ以上)によって微生物が死滅するように設計され
た消毒処理の後での生存可能な微生物の存在の検出を含むと解釈されるべきであ
る。オゾンは滅菌剤または消毒剤の何れとしても使用することができる。すなわ
ち、そのプロセスによって実質的にすべての、好ましくはすべての存在する生物
体を死滅させることが意図されるのであれば、その場合は「滅菌される」と称さ
れる。しかしながら、感染を起こすのに必要とされる数よりも生物体の数が下回
るように減じられるのであれば、その場合は「消毒される」と称される。たとえ
ば、医療用具は滅菌されるが、飲料水またはプール水は消毒されるのである。本
明細書に開示した方法によって、必要レベルの消毒が成し遂げられているかを判
定することが許容されるようになる。
【0018】 本発明の一の態様において、生物学的指標は滅菌プロセスで使用される。引用
することによって本明細書に組み入れることとする米国薬局方XXII、公式モノグ
ラフ、1990年、第1625〜1626頁(以下、USP XII、1990)では、生物学的指標(B
I)を以下のように定義している。 「特定の滅菌プロセスに耐性な特定の微生物の、特徴付けがなされた調製物。 これは特定の物品のための確証済の滅菌プロセス、ならびに無菌操作用の設備 備品、材料、および包装材成分の滅菌の開発ならびに確立において滅菌装置の 物理的取扱いの適格性を補助するために使用される。またこれは、滅菌サイク ルをモニターするために、そして予め確立され実証された滅菌サイクルを再度 確証するためのプログラムにおいて一旦確立されれば定期的に使用されてもよ い。BIは典型的には、微生物の既知の種の生存可能な培養物を組み入れたもの である。」 生物学的指標は生物体であり、さらに詳細には、滅菌または消毒プロセスに最も
耐性な特定の形態にある生物体で、特定のプロセスの効力(有効性)を評価する
ために使用することができるものである。すなわち、たとえば消毒剤によって水
が安全に飲用できるものになっているか、および/または存在する微生物のすべ
てがオートクレービングで死滅しているか、についての評価が生物学的指標によ
って許容されるが、これらの使用に限定されることはない。
【0019】 滅菌処理が充分であるかどうかを判定するために本発明の生物学的指標として
使用される微生物、好ましくは細菌のタイプには、B.subtilis、B.stearothermo
philus、B.pumilus、Clostridium sporogenes、等などといったBacillusおよびC
lostridia種が包含される。たとえば、USP XII、1990を参照されたい。好ましく
は、微生物はバシラス科の細菌であり、そしてより好ましくは、細菌の供給源は
芽胞の形態にあるが、これはかかる形態が滅菌方法に対して最も耐性な細菌のラ
イフサイクルにある段階であることによる。さらにより好ましくは、微生物はB.
subtilis芽胞である。しかしながら、本発明は滅菌および/または消毒処理の効
力を評価するための、Escherichia coli、Legionella種、Campylobacter種など
の水系感染性細菌、および他の腸内細菌、さらにはStaphylococcusおよびStrept
ococcus種ならびにCryptosporidiumなどの他のヒト病原性微生物に対する滅菌剤
または消毒剤の致死性の検査を包含すると解釈されるべきである。加えて、1種
以上のタイプの微生物を、本発明においてBIとして使用することができる。
【0020】 生物学的指標としての使用のために好ましい被験菌株は、滅菌のために使用さ
れるプロセスに最も耐性なものである。最も耐性な生物体は、内生胞子すなわち
、細菌芽胞を形成するものである。Bacillus subtilis、Bacillus stearothermo
philus、Bacillus coagulans、およびClostridium sporogenesなどの生物体が、
湿潤加熱滅菌(オートクレービング)の効力を立証するために使用されてきた。
生物学的指標は、産物内または産物上にある天然微生物の積載量での負荷(chal
lenge)を超える、滅菌プロセスへの負荷をもたらさなければならない(Agalloc
o et al., 1998, PDA J.Pharmaceutical Sci.& Tech.52: 346-350)。
【0021】 本明細書の開示に基づいて、滅菌処理に対する耐性が、同処理によって破壊さ
れなければならない他の微生物の耐性を超える何れの微生物であっても、生物学
的指標に包含されることが当業者によって理解されるはずである。さらに本明細
書の開示に基づいて、生物学的指標として使用される微生物(1または複数種)
のタイプは、評価される滅菌処理のタイプに限定されないが、これを含めた種々
の因子に依存することが理解されるはずである。たとえば、8%加湿オゾン滅菌
でのB.subtilisに対するD121値(D121値は、1ログ(すなわち、90%)まで細菌
(たとえば芽胞)の数を減少させるのに必要とされる時間である)は5分である
が、B.stearothermophilusに対するD121値は4.3分である。B.subtilisはエチレ
ンオキシド、たとえばBI-OK(商標、Propper Manufacturing Co., Inc.)および
過酸化水素滅菌処理に対しても使用される(たとえば、B.subtilisはSTERRAD*
酸化水素滅菌器での使用のための検出器において、Johnson & Johnsonによって
使用される)ので、B.subtilisは低温滅菌処理用に選択すべき生物体であると考
えられる。
【0022】 生物学的指標を含む微生物は、吸収性フィルター、膜、マトリックス、または
好適な不活性材料の何れかで作られた他の固体支持体などの、非多孔質または多
孔質支持体上に配することができる。固体支持体は、反応剤または成分を分解す
るべきでない。このように、芽胞が接種される固体支持体は、選択された数の指
標生物体がBI内に保持されて配置される単なる媒介物である。 固体支持体は、この機能が果たされる限りにおいて、材料および形状の選択を
広範囲に変更することができる。キャリアは濾紙などの材料で形成されるとよく
、これは保存安定性に優れるが、STERRAD*滅菌に使用できないという欠点を有し
、また処理後の生物すべての完全な回収を妨げうる。たとえば場合によっては、
濾紙の多孔性によって、滅菌剤への芽胞の再現可能且つ一貫した曝露が許容され
ないことがある。固体支持体はまた、アルミニウムまたはステンレス鋼などの金
属、ガラス、セラミック、プラスチック、膜、およびこれらの組み合わせで製造
されていてもよい。 固体支持体は1ミリリットルあたり約2×106から約2×108芽胞数までの範囲の
、所望される芽胞濃度にて芽胞を含む水性溶液を調製することによって、芽胞を
接種されることができる。芽胞混合液の一定分量が、固体支持体上に配される。
このような操作は、USP XII、1990、Bacteriostasis Test Methodにしたがって
実施することができる。簡単に説明すると、濾紙、またはより好ましくはガラス
スライドもしくはガラスバイアルなどの固体支持体に接種するために、一定分量
あたり所望の芽胞数をもたらすよう、B.subtilis芽胞の水中懸濁液または分散液
を調製する。
【0023】 芽胞は支持体上に乾燥させられる。乾燥プロセスを迅速化するために層流フー
ド内に支持体を入れる(これに限定されるものではない)などして、支持体上へ
芽胞を乾燥させるべく空気流を使用することができるが、本発明を実施するのに
かかる手順が必要なわけではない。当業者であれば本明細書の開示に基づいて、
支持体上へ芽胞を乾燥させる方法には、なかんずく芽胞を静置することにより単
に風乾させること、塩化カルシウム(これに限定されるものではない)などの乾
燥剤を含むデシケーター内に芽胞を入れること、層流フード内に芽胞を入れるこ
と、等が包含されることを理解するはずである。特定の理論の何れにも拘束され
ることを望まないが、熱乾燥は熱ショックと同等たりうるもので、これは処理、
少なくとも熱に基づく滅菌処理(たとえば、乾熱および蒸気)に対する芽胞の耐
性を低下させる可能性があるので、支持体上に芽胞を乾燥させるのに好ましくは
熱は使用されないことが、本明細書の開示に基づき当業者には理解されるであろ
う。しかしながら、本発明は加熱をしない乾燥に限定されると考えられるべきで
はない。
【0024】 一の実施態様において、1ミリリットルあたり約1.7×108の芽胞を含む市販の
芽胞懸濁液を、テフロンが被覆されたスライド上に置いて、その後風乾した。別
の実施態様において、芽胞懸濁液をポリプロピレンチューブに入れ、次いでその
試料を風乾した。さらに別の実施態様において、芽胞をガラスシンチレーション
バイアルに加え、そして試料を層流フード内で乾燥させた。しかしながら、本発
明がこれらに、または、固体支持体上に芽胞を吸着させる如何なる特定の方法に
も限定されると解釈されるべきではない。そうではなく、生存度を保持しつつ固
体支持体上に芽胞が乾燥される如何なる方法であっても本発明において使用され
うるのである。 原則として実施の際、生物学的指標は、滅菌条件が求められる器具および/ま
たは他の物品に対すると同様の滅菌または消毒処理に供される。熱が付され、且
つ/またはガス、蒸気、もしくは化学的および/もしくは物理的薬剤が、芽胞が
位置する区画内を通過して、それにより器具または他の物品の何れかと同じ滅菌
もしくは消毒プロセスまたは薬剤に芽胞が曝されるか、またはそれらで芽胞が処
理されるのである。
【0025】 滅菌または消毒処理の後、栄養供給源が芽胞に接触せしめられる。一の実施態
様において、芽胞は固体支持体から取り出されて液体培地へ接種される。シンチ
レーションバイアル内の乾燥された芽胞に栄養液が添加され、そして芽胞が懸濁
化される。しかしながら、本発明は固体支持体から芽胞を取り出してそれらを液
体培地に移すことに限定されるものと解釈されるべきではない。そうではなく、
本発明は、芽胞をその生育が許容される条件下に液体または固体生育培地に接触
せしめる方法の如何なるものをも包含することを意図している。たとえば、本発
明は閉鎖容器内のチャンバに入れられている芽胞を包含し、ここでたとえば米国
特許第5,167,923号に記載された用具などの、アンプルまたは他の分離区画内に
液体培地が芽胞から分離されている。処理後に、芽胞を含むチャンバを開ける必
要なしに、アンプルを破壊することによって、生育培地は芽胞と接触せしめられ
る。あるいは、生育培地は粉末または錠剤の形態にて容器の中に存在してもよく
、そして滅菌処理前または滅菌処理中には、芽胞と乾燥生育培地とが接触しない
ようにしておくための、当該技術分野でよく知られた方法を用いて、滅菌処理後
に芽胞が水性生育培地と接触することとなるように滅菌水が容器に添加されても
よい(たとえば、約1〜2ミリリットルの水が添加される場合、約108の芽胞およ
び5%のBHIブロスが得られる量の乾燥BHI粉末)。
【0026】 本発明は、たとえば多角光散乱アッセイを用いて、滅菌処理後に直ちにまたは
少し後に、たとえば、処理後約1分から約4時間以内、に生物学的指標を検査する
システムおよび/または方法を包含する。すなわち、他の点では同じである未処
理のBIと比較した場合の生物学的指標における何らかの変化を、先行技術にかか
るBI(たとえば、3M Attest(商標)、Propper BI-OK(商標)、SURGICOT(商標
)、およびSTERIS(登録商標)、等)による場合に必要とされる標準的な細菌培
養方法(たとえば、トリプチカーゼ・ソイ寒天プレーティング、少なくとも約24
時間乃至7日間の、BHI中での生育)に対する必要性なしに評価することができる
。このように、当業者であれば本明細書により提供される開示に基づいて、生物
学的指標を生育培地に接触させ、そしてMALSを用いて直ぐに分析するか、または
しばらくしてから(好ましくは、滅菌または消毒処理の後、約0から約4時間まで
)MALSを用いて分析するまで生育培地でのインキュベートを許容するか、の何れ
かとすることができることを理解するであろう。
【0027】 当業者は、本明細書において提供された開示に基づいて、支持体として作用し
、且つ内包される芽胞および/または付加的な支持体を含む容器は、滅菌剤が芽
胞に接触することを許容するが、芽胞が滅菌チャンバの内容物を汚染するのは防
止されるべきであることを理解するであろう。さらに、容器は滅菌器チャンバへ
と芽胞が放出されることを許容せずに、滅菌剤または消毒剤と芽胞との接触を許
容するべきものである。好ましくは、液体または固体の生育培地を含む別のチャ
ンバを含む容器については、かかる生育培地を含むチャンバが好ましくは滅菌剤
または消毒剤に対して不透過性でありそして芽胞と分離されていて、芽胞と生育
培地とを分かつバリアを壊すのに充分な力が付されるまで両者が接触することの
ないようになっている。このような容器の多くの例や、生育培地を含まないその
他のものの例がこれまでに報告されており、当該技術分野でよく知られている。
【0028】 本明細書の別の箇所に記載するとおり、芽胞は好ましくは、テフロン(登録商 標)が被覆されたスライド上に乾燥させられる。より好ましくは、芽胞はキュベ ットまたはガラスシンチレーションバイアル内に乾燥させられる。次いで芽胞は 、滅菌または消毒処理に供される。その後芽胞は、水、または栄養素を含む生育 培地(これらに限定されることはない)を包含する液状媒体に接触せしめられる 。芽胞はその後、液状媒体の添加後、直ちに、またはその後しばらくしてからMA LSを用いて検査することができる。すなわち、キュベットまたはバイアルをMALS 装置(たとえば、DAWN-B)に直接入れて、キュベットまたはバイアルから芽胞を 移す必要なしに芽胞を検査することができる。あるいは、芽胞を含む液状媒体を 、芽胞を検査すべくMALS装置(たとえば、DAWN-F)に通すこともできる。典型的 には、芽胞を液状媒体に接触させた後約0から約4時間までに、MALSを用いて芽胞 を検査する。より好ましくは、芽胞は液状媒体と接触させた後約0から約2時間ま でに検査する。さらにより好ましくは、芽胞は液状媒体と接触させた後約0から 約1時間までに検査する。最も好ましくは、蒸気およびオゾンを用いて処理され た芽胞については、芽胞を液状媒体と接触させた後、直ちに検査する。
【0029】 別の態様において、芽胞の懸濁液または分散液は、プラスチックまたはガラス
容器(たとえば、キュベット、シンチレーションバイアル、等)の内部を好まし
くは被覆するように風乾され、そして生育培地の乾燥体を容器に入れることがで
きる。この乾燥生育培地は、当該技術分野でよく知られた方法を用いて、本明細
書の別の箇所で前記したように芽胞から分離されたままにしておくことができる
。滅菌または消毒の後、滅菌水を添加して、水を添加することにより形成された
時点で水性生育培地となったものに、芽胞が接触せしめられる。 好ましくは、芽胞はスライド上または容器内で乾燥され、そして滅菌または消
毒処理の後に、水、栄養素を含む生育培地等(これらに限定されることはない)
を包含する液状媒体に芽胞が接触せしめられる。当業者は、この開示に基づいて
、使用される液状媒体は検査されるべき芽胞のタイプに依存することを理解する
であろう。種々の芽胞タイプでの使用のための多種多様な生育培地が当該技術分
野でよく知られており、使用される芽胞に対する適切な生育培地の選択は、当業
者の知識に充分含まれるものである。
【0030】 スライド上の芽胞が使用される場合、芽胞は滅菌または消毒処理の後に液状媒
体を用いてスライドから取り除かれる。芽胞は次いで容器に移されて生育培地に
接触させられ、そして本明細書の別の箇所に前記したとおりMALSを用いて検査さ
れる。すなわち、芽胞は容器に入れられ、これが次いでMALS装置に入れられて検
査でき、または、試料が装置内の容器の中に入れられる必要のないModel Fなど
のMALS装置に芽胞を通すこともできる。このように、当業者であれば本明細書で
の開示に基づいて、本発明はMALS装置に入れることができる容器内にて芽胞をイ
ンキュベートし、一の容器の中で成長させた後MALS装置に入れることができる容
器へ移すか、または一の容器の中で成長させた後容器から取り出して内部に容器
を入れる必要がないMALS装置を用いて検査する工程を含むことを理解するであろ
う。かかるMALS装置は、本明細書の別の箇所に記載されているか、且つ/または
当該技術分野でよく知られている。
【0031】 スライドまたはその他の支持体に代わるものとして、バイアルまたはグラスの
形状にてホウケイ酸塩で形成されたチューブ、またはたとえばDAWN Model Bおよ
び/またはDAWN Model F光度計などの好ましい多角光散乱装置における使用に好
適なプラスチックキュベットを使用することができる。このように、一のアッセ
イシステムにおいて同じ閉止チューブを使用して、芽胞を滅菌処理に曝し、液状
生育培地に接触させ、そしてさらなる試料の取扱いをすることなくMALSを用いて
直ぐに試料全体を検査してそれにより試料の取扱いを最小限にして細菌汚染およ
び/または試料の損失の可能性を減じるように培養することができる。加うるに
、このような方法およびシステムによって、処理の効力を判定するために使用さ
れる先行技術における生物学的指標に伴う費用および遅延が低減される。
【0032】 芽胞が培養液に接種された後、望ましくは熱ショック工程が実施されるが、必
ずしもこの工程を要するわけではない。熱ショックは芽胞懸濁液に付される亜致
死的な熱処理であり、発芽のための調製物中の酵素を活性化するものである。し
かして、好ましい配列は、熱ショック工程、冷却、芽胞懸濁液の希釈、および芽
胞のインキュベーションである。バイアルでの好ましい熱ショック法は、70℃に
て10分間芽胞を加熱して発芽を誘導する工程を含む。芽胞を5% BHIブロス中に
懸濁させ、70℃にて10分間加熱ブロックに入れ、そして4℃にて約5分間冷蔵する
ことにより約37℃に冷却する。しかしながら本発明は、当該技術分野でよく知ら
れた熱ショック法も含むものであり、本明細書における開示に基づき当業者によ
って理解されるであろうように、正確なパラメータはその芽胞が熱ショックに付
される生物体の独自性に左右される。これらの熱ショックパラメータには、約8
分から約12分の間約60℃から約80℃の範囲の温度にて加熱し、その後約5から15
分間冷却することを包含する。 あるいは、熱に基づく処理やオゾン処理が行われる場合には、熱ショック工程
とその後の冷却および芽胞の希釈は省略できる。また、熱ショックが不要となる
ように芽胞に影響を及ぼす他の滅菌剤がありうる。さらに、当業者であれば本明
細書における開示に基づいて、芽胞が短時間のうちに発芽するように対照の未処
理標準試料を熱ショックに付すことで、処理の効力の評価が約0乃至4時間のうち
にできるようになることを理解するであろう。
【0033】 芽胞の成長を支持する生育培地であれば液体でも固体でも、如何なるものも本
発明で使用することができ、したがって本発明が何れか特定の生育培地に限定さ
れることはない。好ましい生育培地には、B.subtilis細菌の成長用のブレイン・
ハート・インフージョンブロス(BHI)が包含されるがこれに限定されることは
ない。 熱ショックと生育培地での芽胞のインキュベーションの後、MALSを用いて芽胞
を検査する。一の実施態様において、DAWN Model B光度計を用いて様々な時点で
の各試料に対するデータのセットを得た。別の実施態様においては、Model F光
度計をMALS分析のために使用した。しかしながら、本発明は特定の光度計、比濁
計、またはその他の光散乱装置の上記のものや他のものの何れにも限定されるも
のとして解釈されるべきではない。そうでなく、様々な芽胞形態の光散乱プロフ
ァイルに基づきそれらを識別することができる光散乱装置であれば何れでも、生
物学的指標の生存度を評価するために使用することができる。
【0034】 MALS光度計(Wyatt, 1968, Appl. Optics 7: 1879、Wyatt et al., 1976, Ana
lysis of Foods and Beverages, Modern Techniquesの第225頁、Charalambous編
、Academic Press, NY)は、Felkner et al.(1989, Sci.Technol.Lett.1: 79-9
2)およびAnderson et al.(1993, J.A.O.A.C.Int.76: 682-689)に記載のごと
き、MW直線偏光He-Neレーザーを光源として使用していた。簡単に説明すると、
レーザーは試料が照射される点で高出力密度を提供し、しかして狭いビーム径に
よって試料を照射する(ガウス(Gaussian)ビームプロファイルの1/e2直径は0.
39 mmである)。非常に小さい粒子または分子で、その屈折率が懸濁培地の屈折
率に近似しているものは、Rayleigh-Debye-Gans(RDG)理論にしたがって、すな
わちsin(θ/2)の関数として光を散乱する。
【0035】 レーザー入射ビームは粒子、たとえば細菌細胞の懸濁液を通過して、その結果
光の散乱が起こる(たとえば、Anderson et al., 1993, J.A.O.A.C.Int.76: 682
-689)。散乱した光は、15のトランスインピーダンスの光ダイオード(検出器)
によって同時に集光される。検出器は、sin(θ/2)の単位で増分的に変位する
離散角度で、入射レーザービームに対して位置する。細菌などの粒子の回折/散
乱パターンは、RDG理論を満たすことができ、そしてsin(θ/2)に対してプロッ
トした場合に散乱パターンのピークと谷はほぼ等距離になる。このようにレーザ
ービームシステムによって様々な角度で強度を測定し、そして散乱角に対して相
対強度をプロットすることで、細菌のサイズ範囲(1〜3μm)にある粒子に特有
のプロファイルが作製される。こうして得られたデータは散乱角に対する相対強
度の対数としてグラフ上に表示される。全体の強度プロファイルの高さ(y軸)
は、懸濁液中の粒子および/または微生物の数を特定するものであり、大小の散
乱角の間の曲線の変位(x軸)はサイズおよび分布をそれぞれ特定するのである
。これが、溶液中の粒子に対する差動光散乱(DLS)プロファイルである。
【0036】 一つの試料につき一つの読み取り値が得られると、15の検出器のアレイが同時
に散乱光を集光し、そして各検出器での強度を、散乱角(度の単位)に対してグ
ラフ上にプロットすることができる。これらの読み取り値をまとめて「セット」
と称し、コンピューターで作製される曲線として表示することができる。このよ
うにして、一のセット読み取り値が0時からさらにその後の一つまたはそれ以上
の時点で得られる。2つの試料に対する曲線(各々2セットずつ)が、コンピュ
ーターに保存される。コンピューターは固有数のもとでの各セットからのデータ
を保存し、そしてセットの番号はグラフまたは表の形式の何れかにてデータが示
される場合に表示されることとなる。 一のセットの平均対数重み付き強度(すなわち、15の検出器すべてからの平均
)は、粒子の数に直接的に相関し、その結果0時での細菌数(N0)およびその後
の時間での細菌数(N)を、市販のソフトウェアプログラムのアルゴリズム(Wy
att Technology Corp., Santa Barbara, CAおよびTechnical Assessment System
s, Inc., Washington D.C.)を用いて算出することができる。こうして、N/N0 を用いて全時間にわたる粒子数の変化を示し、世代時間、すなわちセット読み取
りの間に経過した時間をN/N0のlnxによって算出することができ、これは細菌
培養の対数倍加時間(TAU)に等しい。
【0037】 本明細書にて立証されたとおり、MALSシステムは細胞の形状と分解した細胞の
サイズ/形状の間との差を、Wyatt(1968、前出)によるとおよそ5%の差まで容
易に識別する。滅菌処理に対する応答は、正常細胞数の減少および/または対照
(未処理の)細胞懸濁液と比較した場合の細胞形状の変化を通して検出される。
これらの変化はオートクレーブにかけた芽胞およびオゾン化された芽胞の場合に
は直後(2〜6分)に検出され、または形状変化は、本明細書の別の箇所にあるよ
うにエチレンオキシドおよび過酸化水素を用いて滅菌された芽胞で認められるよ
うな細胞発芽の間に現れる。理論に拘束されることを望まないが、EOで処理され
た芽胞は発芽体の形態変化を呈するものの細胞分裂が起こる様子はなく、これに
より芽胞の不活性化が示されるのである。このように形態変化および/またはそ
のタイミングは、滅菌処理の性質に依存するものであろう。本明細書に記載した
種々の滅菌条件を用いた、曝露および未曝露の細胞集団から得られたデータの比
較によって、滅菌に対する特異的な応答の検出および定量分析が許容された。N
/N0値については、対照での変動は10%以下と見積もられ、そしてN/N0から得
られたTAU値は、対照と10%以上相違する場合に有意とされる。
【0038】 DAWN Model B多角光散乱光度計を使用した一の実施態様において、装置は15の
光ダイオードを含む。しかしながら出願人らは、芽胞の生存度、成長、数および
/または形態の変化を検出するために15の光ダイオードが必要であるわけではな
いことを確認している。代わって、約23から約120度θ(θ(シータ)は溶液中
の粒子の光散乱を検出するためにダイオードが配される角度のこと)に配置され
た少なくとも5の検出器、または最高約18もの検出器を使用して、滅菌または消
毒処理後の微生物の生存度または数および/もしくは形態の変化を検出すること
ができる。最も好ましくは、5または6の検出器が使用される。 したがって、本明細書に提供される実施例は、MALS用のDAWN Model BまたはF
光度計を使用することを開示しているが、数多くの光散乱光度計装置のバリエー
ションが本発明に含まれるものである。様々な粒子の検査のためのMALSの使用に
関わる様々な原理が、たとえば米国特許第4,907,884号、4,710,025号、4,693,60
2号、4,616,927号、4,548,500号、4,541,719号、4,173,415号、4,101,383号、3,
815,000号、3,770,351号、3,730,842号に記載されており、これらを引用するこ
とにより本明細書に組み入れることとする。したがって、胞子形成細菌の様々な
形態を識別することができる光散乱装置であれば何れのものでも使用することが
できる。好ましい光受容体数および/またはそれらが配置される角度は、約20°
から約160°までの範囲の角度で、少なくとも4から約8の光受容体数である。
【0039】 未処理の芽胞(すなわち、滅菌または消毒処理に供されていないことを除き、
他の点では処理された芽胞と同じである「類似」芽胞)の光散乱プロファイルは
、インキュベーションに先駆けて、もしくはインキュベーションなしで、または
生育培地でのインキュベーション後に、様々な時点で測定され、そして各時点(
発芽の様々な段階を含む)に対する標準プロファイルまたは対照を作製するため
に使用することができる。かかる標準プロファイルは、光散乱光度計ユニットと
共に提供されるデータ分析ソフトウェアを用いて、同じようにプロセスに付され
ている処理芽胞の対応するプロファイルと比較することができる。 あるいは、処理された芽胞に対して未処理の芽胞の光散乱プロファイルを1ま
たはそれ以上の時点で比較できるように、照会対象である処理された芽胞試料と
平行し且つ同時に対照の未処理試料について実行することができる。異なる時間
の間隔で処理された芽胞の光散乱プロファイルをとって、全時間にわたって比較
をしてもよく、この場合たとえば、全時間にわたりプロファイルに検出可能な変
化がなければ、形態および/または成長の変化が起こっていないことが示され、
これにより滅菌処理後に芽胞が生存可能でないことが示されるのである。
【0040】 要約すると本発明には、前もって得られた標準プロファイルと比較した処理試
料のプロファイルの比較だけでなく、対照試料が処理試料と平行して実行される
、処理と未処理の(対照)試料のプロファイルの比較、そしてインキュベーショ
ンの後の時点で同じ試料から得られたプロファイルと処理された試料のプロファ
イル、またはこれらのプロファイルのあらゆる順列組み合わせとの比較が含まれ
る。 好ましくは、処理試料のプロファイルと参照プロファイル(たとえば、未処理
の芽胞を用いて前もって実行された標準プロファイル、またはアッセイ対象であ
る試料と平行してプロセスに付された未処理芽胞を用いて得られた対照プロファ
イル)とを、熱ショックに付した芽胞もしくは熱ショックに付していない芽胞の
滅菌または消毒処理0分の時点で比較してもよい(すなわち、芽胞は処理後に「
直ちに」検査される)。より好ましくは、処理後30分または約30分で、さらによ
り好ましくは処理後1時間または約1時間で、一層好ましくは2時間で、そしてさ
らに一層好ましくは滅菌または消毒処理後の3時間のインキュベーション後に、
なお一層好ましくは4時間のインキュベーション後に、そして最も好ましくは24
時間のインキュベーション後に、プロファイルを比較する。
【0041】 特定の理論に一切拘束されることを望まないが、MALSを用いて検出されるよう
な、滅菌処理された芽胞の光散乱プロファイルにおける変化は、処理によって、
および/または処理に起因する発芽の欠如もしくは発芽の変化によって、および
/または滅菌もしくは消毒によって引き起こされる芽胞の分解に起因するMALS装
置によって検出されるべき正常粒子の数の減少によって、および/または装置の
検出限界を超えた芽胞の収縮によって引き起こされた形態の変化に起因しうるも
ので、すべて滅菌または消毒処理が原因となっている。当業者は本明細書におけ
る開示に基づいて、滅菌処理によって微生物のMALSプロファイルが影響を受ける
正確な機構は本発明にとって重大なわけではないことを理解するであろう。たと
え異なる滅菌剤に対しては機構が異なっていたりまたは充分に理解されていない
としても、本発明の重要な特徴は、滅菌および消毒が、多角光散乱分析を用いて
検出されるような微生物の光散乱プロファイルに影響を及ぼすことにある。
【0042】 本発明は、様々な細菌および/またはCryptosporidiumの芽胞などの生物学的
指標を含む様々なキットを包含し、そこでは既知数の芽胞、好ましくは約2×108 細胞数の芽胞が固体支持体上に吸着されている。当該キットはさらに、未処理の
対照芽胞および滅菌または消毒処理に供された芽胞の双方の光散乱を検査するた
めの多角光散乱光度計、ならびに本発明の方法を実施するためのキットの使用に
ついて記載している説明書を含む。例示的なキットを以下に記載するが、他の有
用なキットの内容も、本明細書における開示に鑑みれば当業者にとって明らかな
はずである。これらのキットの各々が本発明に包含されるものである。
【0043】 一の態様において、本発明は滅菌処理後の細菌芽胞の生存度を評価するための
キットを包含する。当該キットは、本発明にかかる方法にしたがって使用される
。簡単に説明すると、当該キットは、熱(たとえば、乾熱もしくは飽和加熱)滅
菌処理または低温(たとえば、ガスプラズマ、エチレンオキシド、過酸化水素、
オゾン、等)滅菌処理での生存度を評価するために使用されうる。 キットは多角光散乱光度計を包含する。MALS光度計は、デバイスと共に提供さ
れる使用説明書にしたがって使用され、これを使用して滅菌処理後の生物体の成
長、生物体数の変化、または生物体の形態変化の何れもが検出される。 さらに、キットは好ましくは、キットを使用するための説明書を含む。これら
の使用説明書は、本明細書にて提供される実施例を単に具体化したものである。
【0044】 本発明はまた、消毒処理後の細菌芽胞の生存度を評価するためのキットも包含
する。当該キットは本発明で開示される方法にしたがって使用される。簡単に説
明すると、キットは熱(たとえば、乾熱もしくは飽和加熱)消毒処理または低温
(たとえば、ガスプラズマ、エチレンオキシド、過酸化水素、オゾン、等)消毒
処理での生存度を評価するために使用されうる。 キットは多角光散乱光度計を包含する。MALS光度計は、デバイスと共に提供さ
れる使用説明書にしたがって使用され、これを使用して消毒処理後の生物体の成
長、生物体数の変化、または生物体の形態変化の何れもが検出される。 さらに、キットは好ましくは、キットを使用するための説明書を含む。これら
の使用説明書は、本明細書にて提供される実施例を単に具体化したものである。 本発明を、以下の非限定的な実施例を参照することによってさらに詳細に説明
する。かくして本発明には、本明細書に提供された教示の結果明らかとなる如何
なる変更もすべて含まれると解釈されるべきである。
【0045】
【実施例】
実施例1 生物学的指標(BI)を用いた滅菌の効力の判定: 本実施例で提示した実験を以下に要約する。 ここに提示したデータは、「熱」滅菌または「低温」滅菌(すなわち非加熱、
たとえば化学的滅菌もしくは放射線滅菌)の効力をモニターするための、新規な
生物学的指標(BI)システムを開示する。BIシステムは、既知量の精製および標
準化された、ガラススライド上に乾燥されたBacillus.subtilis芽胞からなり、
これを次いで、容器(すなわち、蒸気処理の場合はガラスペトリ皿、そして低温
滅菌の場合はプラスチックペトリ皿)に入れて、滅菌処理に供した。その後、芽
胞の生存度を、滅菌処理に対する芽胞の応答をモニターする多角光散乱(MALS)
デバイス(DAWN Model B、またはDAWN Model F 光度計、Wyatt Technology Corp
., Santa Barbara, CA)を用いて迅速に判定した。以下のようにMALSを使用して
、芽胞を検査した。
【0046】 滅菌された(処理された)および対照(未処理)芽胞は、別々にスライドから
溶出して、5%のブレイン・ハート・インフージョン(BHI)ブロスを含むキュベ
ットまたはホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアルの中に入れた。未処理の
対照芽胞または過酸化水素で処理された芽胞およびエチレンオキシドで処理され
た芽胞は次いで、発芽を誘導するために70℃で10分間の熱ショックに付した。外
界温度にまで冷却した後、熱ショックに付された芽胞の懸濁液を、開始時間0分
にMALSを使用して検査して、その後試料を、様々な時間の間隔にて、BHI中で37
℃にてインキュベートした。MALS測定値は、30分、2時間、および4時間の間隔で
取り、芽胞の発芽および生存可能な増殖性細胞の形成の離散的段階を記録した。
滅菌された生物学的指標(BI)が評価されるべき場合には、遅くてもとにかく何
らかの成長の存在が検出されたかを裏付けるために、処理後24時間でさらなる測
定を行った。発芽段階は、MALS分析から作製した特有のプロファイルと試料を比
較することによって検出し、このプロファイルはコンピューターで作製および/
または分析した。
【0047】 グラフ表示およびデータ評点は、MALSデータを分析するために特別に開発され
たコンピュータープログラムを用い、製造業者の使用説明書にしたがって実施し
た。データ処理および記憶プログラムによって、過去、現在、もしくは将来、ま
たはこれらの組み合わせの何れかにて得られるプロファイルの何れの比較をも許
容される。 コンピューター処理されたMALSデータの結果は、芽胞および/または増殖性桿
菌のアクリジンオレンジ直接計数(AODC)の使用を含めた、様々なB.subtilisの
成長段階および/または形態の検出および同定のためのいくつかの標準技術(Sh
arma and Prasad, 1992, Biotech.Histochem.67: 27-29、Bruno and Mayo, 1995
, Biotech.Histochem.70: 175-184)によって、ならびに対照または処理された
芽胞試料をトリプチカーゼ・ソイ寒天(TSA)プレートへ播いて生存可能な芽胞
を検出および算出することによって立証した。また、TSAブロスでも接種および
インキュベートして、成長または成長の欠如が起こっていることの裏付けを行っ
た。AODC染色法は、紫外線顕微鏡によって可視化した場合に芽胞発芽の様々な継
続的段階を識別することができる。これらの継続的段階に含まれるのは(それら
の出現の順に)、緑色染色芽胞、円形または長円形の赤色−橙色体、明確な赤色
−橙色単一棒状桿菌、および4時間以内で分裂している大型赤色−橙色桿菌であ
る。各AODC段階は、MALSモニタリングシステムによって作製された特有のプロフ
ァイルに対応していた。特有のプロファイルは、各光検出器の角度θ(x軸)に
対して相対光強度(y軸)がプロットされた各グラフ表示に認めることができる
【0048】 ここに開示したデータは、蒸気オートクレーブ、エチレンオキシド、オゾン、
および過酸化水素滅菌によって作製し、そしてMALS装置(たとえば、DAWN-Bおよ
びDAWN-F)によってモニターしたB.subtilis生物学的指標(BI)を用いることに
より、滅菌処理後約2時間以内に芽胞の生存/死滅を実証するものである。さら
に、ここに開示したデータによって、処理後30分までで直ちに、そして直接的に
も、滅菌の成功を立証するための決定因子となる検出可能な形態変化が起こって
いることが立証されている。成功および失敗する滅菌条件の双方が、このシステ
ムを用いて容易に判定され、この検出法の感度は少なくとも、通常使用される先
行技術にかかる生物学的指標および方法と同等であり、ほとんどの場合はそれら
よりも高感度である。
【0049】 次に本実施例に示す実験において使用される材料および方法を記載する。 生物学的指標の調製 信頼できる商用供給元から、既知の細菌芽胞形成株の無菌芽胞懸濁液を得た。
先行技術に、蒸気滅菌または化学的滅菌の何れかでの滅菌の生物学的指標として
、B.subtilisおよびB.stearothermophilusなどの種からの細菌芽胞を使用するこ
とが教示されている。本実施例において、B.subtilis芽胞はDifco Laboratories
(Detroit, MI)から入手したが、これは使用に先駆けて浄化および洗浄され芽
胞を精製および標準化されているためである。芽胞は、およそ1.6乃至1.8×108
芽胞数/mlにて安定化および標準化された。 芽胞調製 約300 mlのA K寒天#2(Becton-Dickinson Microbiology Systems, Cockeysvil
le, MD)を含有するRouxボトルの表面に、B.subtilis ATCC 6633を播種し、そし
て芽胞を37℃にて5日間インキュベートした。成長体を擦取して、約50 mlの0.1
Mトリスクロライド(pH 8.0)に懸濁した。芽胞懸濁液は次いで、0.1 mg/mlのリ
ゾチームで37℃にて処理し、その後さらに、1%ドデシル硫酸ナトリウムで室温
にて30分間処理して芽胞を浄化した。懸濁液を低速で遠心分離して細片および低
密度の芽胞の何れをも除去し、デカントの後に脱イオンおよび蒸留水で10回芽胞
を洗浄した。芽胞を0.3の光学密度(OD625 nm)で蒸留水に再懸濁して、約1.7×
108芽胞数/mlの濃度のものを得た。この懸濁液は、MALS DAWN-BまたはDAWN-F装
置(Wyatt Technology Corp., Santa Barbara, CA)を用いるとより正確に標準
化できる。実際の芽胞濃度と適切な芽胞の形態を実証するために、AODCスライド
を使用した。
【0050】 BIスライド調製 Difcoから入手したB.subtilis芽胞懸濁液(1.7×108芽胞数/ml/バイアルの推
定濃度)を用い、内容物すべて(1 ml)を8ウェルのテフロン被覆スライドに加
えて、その懸濁液を無菌条件下に最低1時間、層流フード内で風乾させた。さら
に長い乾燥時間を用いたが、スライド上のBIの乾燥度または安定性が向上するこ
とはなかった。このスライドをペトリ皿に入れて、滅菌負荷用に使用した。 滅菌負荷用のBIの代替形態 ポリプロピレンチューブの底部を、1.7×108の濃度にてB.subtilis芽胞で被覆
し、そして試料を無菌条件下に風乾した。10 mlの滅菌蒸留水を添加すると5%濃
度となるのに足る量の、乾燥・滅菌BHIを含有するカプセル(または丸剤の形態
)を、ポリエチレンチューブの中のカップ(密封された小型粉砕可能バイアル内
)に取り付けた。滅菌後に、BHIを含有する小型バイアルを粉砕し、シリンジを
用いてポリプロピレンチューブの中に蒸留水(dH2O)を注入した。芽胞、BHI、
および水を有する内容物を充分に混合し、その試料を次いで、必要とあれば70℃
にて10分間、熱ショックに付した。試料を37℃に冷却させ、その後試料をキュベ
ット/シンチレーションバイアルに導入して、MALSデバイスによって直ちに、お
よびしばらくしてから読み取るか、または流入デバイスを通過させるように導入
した。
【0051】 MALSデータ収集およびB.subtilis BIの処理 生物学的指標の成績についてのデータを集めて分析するために使用した装置は
、Wyatt Technology Corporation(Wyatt, Santa Barbara, CA)によって設計お
よび製造されたWyatt Technology DAWN Model BまたはModel F光散乱光度計(DA
WN-BおよびDAWN-F)であった。DAWNの装置は、垂直方向に偏光した632.8 nmのヘ
リウムネオン(HeNe)レーザー光源、15の光ダイオード検出器(すなわち、23.0
7から128.32度までの範囲にある15の角度の測定検出器)および180度でのレーザ
ーモニターを備えた「読み取りヘッド」、ならびに出力のアナログシグナルを提
供する増幅ボードを含んでいた。増幅ブースタPCボードによって、シグナルの強
さまたは強度を加減するような調整能を伴う1×、20×、および100×のゲイン設
定が可能となる。
【0052】 DAWN-B光度計は、単一のホウケイ酸ガラスシンチレーションバイアル(Fisher
Scientific, Co.を通じて市販されている)内の一の粒子懸濁液から各々の測定
が行われるような、バッチ式の測定システムである。測定は「読み取りヘッド」
のほぼ周囲で5°に傾斜した水平面にて行い、これは読み取り時間の間隔設定の
潜在性を伴う特定の要求に合わせて調整することができる。ここに開示したデー
タにおけるすべての測定について、4秒間で400測定値/秒が存在し、このうち最
も代表的な10%のものを計算を目的としてサンプリングした。各日に測定を行う
に先駆けて、製造業者の使用説明書にしたがってDAWN-Bを較正および標準化した
。 ここに示したデータを分析するために使用したソフトウェアは、Wyattによっ
て開発されて著作権が取得されたものである。データを収集するために使用した
ソフトウェアは、データ収集のために使用されるDAWN-B87サブファイルおよび細
菌の培養集団について得られた結果を分析するためのSKOR-B87サブファイルを含
むサブファイルを有する「SPORE」と称されているプログラムを包含したもので
ある。装置から得られるデータは、典型的には、各検出器およびその角度からの
情報、各角度での光散乱の強度およびそれらの対数重み付き平均強度、標準偏差
、ゲイン、保存値の番号、溶媒調整波長、溶媒の屈折率、ならびにレーザー波長
を包含する様々なパラメータについての結果を含めたプリントアウト形式になっ
ている。デバイスによって収集されたデータは次いで、演算デバイスによって各
ファイル内に固有のセット番号が各試料に割り当てるよう、試料分析のデータに
したがって索引付けされた、独自の再取り出し可能で読み取り可能なデータファ
イルへと入力される。
【0053】 前記のグラフ表示は、B.subtilis芽胞、発芽細胞、および増殖性細胞形態を初
めとして、正常な発芽のもとに生じるかもしれない付加的な識別可能の亜集団お
よび/またはBI負荷のために使用される滅菌処理の結果として生じた識別可能の
亜集団を同定するために検出器角度が最も重大である判定を可能とするのに充分
完全なものであった。前記のごとき芽胞調製物を使用して、20 mlの溶出液から9
00μlを5%BHIの15 mlへ添加することにより、熱ショックに付したB.subtilis芽
胞培養物または熱ショックに付していないものから非常に再現性の良い数値が得
られることが確かめられた。芽胞の濃度をさらに高くした結果、1またはそれ以
上の検出器につき飽和数値(2ログ・スケールプロットに対してスケールを超え
てプロットされる数値)が得られた。
【0054】 形態学的な芽胞の発芽形態の評価および総数の評価のためのアクリジンオレン
ジ染色 アクリジンオレンジ(AO)染色によって、微生物形態の蛍光発色による画像分
析のための手段が提供される。AO染色は、色素と核酸(RNAまたはDNA)との相互
作用に基づくもので、紫外線顕微鏡により可視化すると赤色−橙色の発色が起こ
る。AOで染色して紫外線顕微鏡を用いて観察したB.subtilis芽胞は、薄緑色の卵
形体とて現れる。発芽の第一段階で、長円形の赤色−橙色細胞が出現し、その赤
色−橙色細胞に続いて赤色−橙色単一棒状(桿菌)細胞が出現した。最後に、赤
色−橙色棒状細胞の後に、鎖を形成する大型分裂性赤色−橙色細胞が出現した。 芽胞の発芽に関わる形態学的データを提供するに加えて、アクリジンオレンジ
染色と組み合わせた較正顕微鏡グリッドの使用によって、各試料につき実施され
るべきAO直接計数(AODC)が可能になり、これにより試料中に存在する芽胞また
は増殖性細胞または破壊された粒子の数を調べることができる。対照および滅菌
処理されたBIの測定により得られたDAWN-B測定で得られた結果を確かめるために
、AODCスライドを調製した。
【0055】 AODCスライド調製および実験 計数すべき培養物の試料1 mlを小型のコニカルバイアルに入れて、36.5〜38.0
%のホルマリン溶液30μlを添加することによって固定した。少なくとも約30分
間ホルマリンで培養物を固定した後、試料を冷蔵するか、またはAO染色手順を行
って完遂した。染色のため、1.0 ml芽胞試料に0.1%アクリジンオレンジ溶液100
μlを添加し、およそ5乃至8分間、色素を芽胞と反応させた。直径25 mm、孔隙0.
2μmで黒色のポリカーボネート膜(Poretics(登録商標)、Osmonics, Livermor
e CA)を滅菌蒸留水中に約5乃至10分間浸した。その後膜をミリポア・フィルタ
ー装置に載せた。AOで染色しておいた対照または処理された試料の1 ml分量をフ
ィルター上に載せて真空を付した。液体が除去されるまで試料を濾過した。次い
で、液体が除去されたフィルター装置容器を蒸留水で濯いでフィルター表面上に
すべての細胞または芽胞が入り込んだことを確証した。フィルターを無菌の顕微
鏡スライドに被せて膜の表面に鉱油を1滴加え、そして無菌のカバーガラスを膜
の上に被せた。 AODCスライドは、紫外線光学を用いた顕微鏡(光、位相差、および紫外線−蛍
光顕微鏡鏡検用に装備されたOlympus VANOX-T)下に鏡検したが、この顕微鏡に
は写真およびテレビモニター設備も取り付けられていた。顕微鏡の接眼部内のス
ケールグリッドによって、細菌芽胞、桿菌、または色素で染色されて紫外線光の
下に蛍光を発するその他の菌体の直接計数が可能となった。試料中の細胞/芽胞
の数を判定するために、全グリッドにおいて計数される数と3.3×104を、そして
試料の希釈計数を掛け合わせた。
【0056】 トリプチカーゼ・ソイ寒天(TSA)での直接計数 滅菌蒸留水20 mlへBIスライドまたはシンチレーションバイアルから芽胞を溶
出させて、試料のうち0.1 mlをTSAプレート上に展開した。TSAプレートは生存可
能なコロニー形成単位(CFU)を概算する際の栄養寒天として好ましいことが見
出され、そしてAODCを用いて評価した芽胞の数に非常に似ているものであった。
たとえば、対照試料中約1.7×108の総芽胞数のAODC計数のものでは、それぞれ10 -5 および10-6の希釈率でTSAに塗播した三重試料から1.64×108 CFUの平均値が得
られた。加えて、TSAプレーティングからの結果では、BI被験試料中に含まれる
実質的にすべての芽胞が生存可能であることが示された。
【0057】 電子顕微鏡鏡検 オートクレービング、エチレンオキシド、または過酸化水素による処理が、芽
胞の形態に対して如何なる効果を有していたかを、何かあれば判定するために、
選択した試料を電子顕微鏡鏡検用に固定した。25%グルタルアルデヒド25μlを
細胞懸濁液1 mlに添加して、電子顕微鏡鏡検用に試料を固定した。固定された細
胞をその後、Nucleoporeフィルター上に集め、グルタルアルデヒドがない状態に
て緩衝液(カコジル酸塩、リン酸塩緩衝性生理食塩水)で10分間ずつ3回洗浄し
、そして1%OsO4を含む緩衝液中で細胞を30乃至90分間固定した。濃度を段階的
に高めた(100%まで)エタノールまたはアセトン中において細胞を脱水し、絶
対エタノール下に乾燥させ、そして標本にして被覆(カーボンまたは銀)してス
タブを金パラジウム合金で被覆した。その後細胞調製物を走査電子顕微鏡鏡検に
よって検査した。20,000乃至30,000の範囲の倍率を使用した。 DAWN-B装置が、未処理の芽胞に対する異なる滅菌法の結果としての芽胞表面の
相違を識別することができるかどうかを立証するために、走査電子顕微鏡鏡検を
実施した。
【0058】 本実施例で提示した実験の結果を以下に記載する。 以下のセクションに記載の実験において、4種の異なるタイプの滅菌器を使用
した。それらは、オートクレーブ(蒸気)滅菌器、エチレンオキシド(EO)滅菌
器、STERRAD*H2O2滅菌器、およびオゾン滅菌器であった。EO、オゾン、およびH2 O2滅菌器は、熱感応性の医療装置および用品の「低温」滅菌を完遂するために使
用した。蒸気滅菌器(AMSCO Scientific Series 3031-S (Gravity), Steris Cor
p., Mentor, OH)は、時間、温度、圧力を包含するサイクルパラメータについて
、さらには緩徐(液体用)および迅速(液体以外)排気についてもプログラム可
能であった。オートクレーブのプログラム可能性により、滅菌の成功または不成
功の何れかの結果を生じさせることができる条件に対して滅菌器をプログラムす
る自由度が許容された。 ここにおいて使用したエチレンオキシド滅菌器は、Department of Veterans A
ffairs, Processing & Distribution Section, VAHMCS Baltimore Division(Ba
ltimore, MD)において操作した。滅菌サイクルは、エチレンオキシドに2.5時間
暴露し、続いて14.5時間の脱気サイクルを包含するように固定した。また滅菌を
モニターするために、非生物学的指標を用いた。この目的のために、正しくプロ
セスが完遂した後に色の変化が残される、サージコット2(Surgicot, Research
Triangle Park, NC)積層 EO Gas Indicator(Propper Manufacturing Co., Lon
g Island, NY)を使用した。
【0059】 ここにおいて使用されるH2O2滅菌器(STERRAD* 100 # 930349)は、Universi
ty of Maryland Medical System's Central Sterile Processing facility(Bal
timore, MD)で操作した。STERRAD*は、低温、プラズマ発生滅菌器であり、その
滅菌サイクルがそれぞれ、真空、注入(H2O2)、拡散、プラズマ、および通気段
階からなる滅菌器である。滅菌サイクルを完了するには約70分を要する。STERRA
D* H2O2滅菌器は、液体(またはごく少量の水分)またはリネンおよび紙のよう
なセルロースベースの製品に適応するように設計されておらず、またサイクルは
固定されている。STERRAD*では、製造業者によって供給されたChemical Indicat
or ストリップを含む非生物学的指標が用いられ、これはプロセスのサイクルの
間にH2O2に暴露されるとストリップ上のカラーバーで比べた場合に赤色から黄色
(または淡黄色)に変化するものであった。また、BI(B.subtilis芽胞ストリッ
プ)を栄養ブロスにて7日間インキュベートして、滅菌の成功を判定した。
【0060】 滅菌に対する対照培養 すべての対照(未処理)培養について、処理に対してどのように負荷を実施す
るかに無関係に、およそ1.7×108芽胞数/mlのB.subtilis芽胞1 mlを開始時点で
の負荷量とした。培養物を滅菌蒸留水で約1対20の比に希釈して、この懸濁液900
μlを5%BHIブロス15 mlに添加した。この懸濁液を70℃にて10分間、熱ショック
に付して、実験時間(典型的には、4または5時間)だけ37℃にてインキュベート
した。すべての実験について、DAWN-B(MALS)読み取り値を検証するためにTSA
およびAODCスライドでのプレート計数を実施した。対照培養に対する典型的なMA
LSデータには、AODCスライドと、TSAでのプレート計数を添えた。滅菌実験は、
平行対照MALSデータファイルを作製するために、処理されていなかった試料を用
いて平行対照にて実施した。たとえば、対照のファイルは、全STERRAD*サイクル
と平行して実行した。同様に、対照のファイルを全エチレンオキシド滅菌サイク
ルと平行して実行し、そして対照のファイルをオートクレーブ滅菌データと平行
して実行した。これらのデータについての分析を実施することで、特異的検出器
が芽胞発芽サイクルの様々な段階を判定するのにより高感度であることが判明し
た。
【0061】 オートクレーブ滅菌培養 すべてのオートクレーブ滅菌された培養物について、本明細書の別の箇所で既
に記載したと同様におよそ1.7×108芽胞数/mlのB.subtilis芽胞1 mlをスライド
上に乾燥させ、そして負荷用量として使用した。滅菌サイクルの終了後に、前記
と同様に培養物を希釈して5%BHIに懸濁させた。オートクレーブ温度(121℃)
は、発芽を開始させるか、または発芽が起こらないように、すなわち無菌性が得
られるように芽胞を不活性化するかの何れかに充分であるので、熱ショック工程
は省略した。 オートクレービングは、プログラム可能なオートクレーブ(AMSCO Scientific Series 3031-Gravity)を使用して、1、2、3、4、5、15および30分間にわたっ
て121℃にて15 psiで実施した。各試料につき0分、30分、1時間、2時間、3時間
、4時間、および24時間の時間間隔でAODCおよびDAWN-B測定を行い、発芽および
成長が起こっているかどうかを判定した。蒸気滅菌(成功および不成功の両方)
に関するデータを、図1〜4に示している。100 mlから300 mlの範囲の容積の水
の中に浸漬したBIについてのデータも収集し、そしてこれらのデータから今回、
液体中に浸漬したBIはオートクレーブサイクルが30分以上でない限り不活性化さ
れないことが立証された。これらの結果は単に、滅菌されるべきロードサイズお
よび容積が増大するにつれて滅菌サイクルの長さを比例的に増加させなければな
らないという定着した事実を強調するものである。
【0062】 多角光散乱光度計 生物学的指標を検査するために、MALS光度計Model B(Wyatt Technologies Co
rp., Santa Barbara, CA)を使用した。 未処理対照芽胞に対するMALSプロファイルは、細胞形態および生物体の生活環
段階に相関する特異的なプロファイルを示す ここに開示したデータは、未処理の熱ショックを付されたB.subtilis芽胞に対
する典型的なMALSプロファイルを示す(図1)。MALS分析は、熱ショック処理(
すなわち、70℃、10分間)後、0分(セット1)、30分(セット6)、2時間(セッ
ト16)、および4時間(セット21)の間隔での、選択された培養物における、未
処理の対照芽胞に対して実施した。発芽培養物は5%ブレイン・ハート・インフ
ージョン(BHI)ブロスにおいて、37℃にて静的に生育した。25°から125°まで
のθ角の範囲にわたり、30分から2時間の間で、生存可能細胞(芽胞/増殖性細
胞)の数の有意な変化なしに各々の角度における強度は変化した。アクリジンオ
レンジ直接計数(AODC)によって、およびトリプチカーゼ・ソイ寒天プレート(
TSA)への平行した試料プレーティングによって、細胞数の増加はないことを確
認した。しかしながら、この期間中、芽胞は桿菌の増殖性形の生成へと導く形態
学的段階を迎えていた(すなわち、細胞は30分で芽胞から「明色体(bright bod
y)」へと、その後「明色体」から棒状桿菌へと変化した)。4時間までに、細菌
の成長が起こり、そして桿菌の鎖が形成された。AODC計数値は、2時間で1.77×1
08細胞数から4時間で約2.98×108に増加し、そしてDAWN-B N/N0値は1.0から2.
3に変化した。
【0063】 これらのデータは、MALS測定によって生存可能な生物体の数の意義深い増加が
検出されたことを示すものであり、かかる増加はAODCおよびTSAによって鏡検的
に測定した数と直接的に相関していた。これらのデータはさらに、MALS測定が生
物学的指標と相関しうることを示している。DAWN-Bデータファイルおよび関連し
た平行AODCおよびTSAプレート計数は同時に実施した。 ここに開示したデータをさらに、熱ショック後の各時点で作製した様々なプロ
ファイルを評定することによって分析した。本明細書の別の箇所に既に記載した
とおり、図1は0分(セット1)および30分(セット6)の間隔で取ったMALS測定
値に対する、熱ショックに付され未処理の対照B.subtilis芽胞の発芽/移行/成
長のMALS判定の結果を示している。開示したデータは、セット1(0分)のプロフ
ァイルは芽胞のものであり、一方「明色体」プロファイルがセット6(30分)に
よって示されることを表す。30分でのMALSプロファイルの変化は、芽胞が生存し
、栄養寒天またはTSAなどの固形生育培地上にコロニーを形成することができる
増殖性細胞を形成する能力を有することの最初の指標であった。
【0064】 ここに開示したデータはさらに、様々なMALS検出器について評定し、そしてさ
らに、芽胞から「明色体」への移行の間の0分から30分までには細胞数は増加し
なかったが、その時間の間に細胞形態は変化したことを示している。加えて、こ
こに開示したデータによって、特定のMALS検出器は、30分の間に細胞に起こる形
態変化の、より高感度な指標であったことが立証されるものである。すなわち、
セット1乃至セット6(それぞれ0分および30分)に対するN/N0値(すべての検
出器についての対数重み付き強度の比)は有意な差を呈さず、細胞数は増加して
いないことが示されたものの、特定の散乱角ではN/N0値に有意な差があった。
これらは検出器1〜3で顕著に異なっており(2倍の差)、検出器5および6で曲線
プロットが交叉し、検出器7および8での差は小さく、検出器11〜13で20%の差、
そして検出器13、14ではわずかな差となっている。理論に拘束されることを望ま
ないが、これらの結果は、芽胞と「明色体」との間のMALSプロファイルにおける
特有の差異は検出器1〜3(23乃至35°のθ散乱角を表す)、検出器5および6(47
.2および53.5°のθ角を表す:芽胞に対する数値をより大きく示す検出器5と、
「明色体」に対する数値をより大きく示す検出器6との交叉がここにあることが
注目される)、ならびに検出器11〜13(89乃至106°のθ散乱角を表す)で際立
っていることを示するものである。
【0065】 未処理対照芽胞のMALS分析を実施し、5%BHIブロスにおいて37℃にてインキュ
ベートした、熱ショックに付された後の培養物につき、0分(セット1)と2時間
(セット16)とでDAWN-B測定値の比較を行った(図1)。やはり、生存可能な生
物体の数の増加はなく、セット1および16に対するMALS測定によって1.0のN/N0 比が得られる。プレート計数およびAODCでもやはり、この時間の間での生存可能
な生物体数の増加はないことが確認された。しかしながら、2つのセットのMALS
プロファイルは有意に異なっており、芽胞(セット1)と、増殖状態にある桿菌
(セット16)とに対応している(図1)。これらの差異は検出器1〜3、検出器5
および6、ならびに検出器11〜13で特に際立っている。セット21(BHIブロス中、
37℃にて4時間の成長を現す)はセット1と、そしてセット16と比較すると2.3の
N/N0比を呈していた。この結果は、2時間(セット16)での数を超えた、桿菌
(増殖性細胞)の数の実質的な増加を示すものである。芽胞は発芽して2時間ま
でに桿菌を作っており、その桿菌は4時間までに増殖していたので細菌は生存可
能であった。これらの結果は、TSAプレートでのコロニーの形成によって、そし
てAODC直接計数により観察される細胞数の対応する増加によって実証された。
【0066】 ここに開示したデータは、15 psiの圧力下に121℃にて5分間芽胞をオートクレ
ーブにかけることによる有効な蒸気滅菌が、MALS分析によって検出されたことを
立証するものである。さらにデータは、MALS分析が蒸気滅菌処理の有効性を検出
できることを立証するものである。図2は、121℃/15 psiで5分間オートクレー
ブにかけた後の生物学的指標(ガラススライド上で乾燥させた、およそ1.7×108 のB.subtilis芽胞)について測定が行われた光散乱を示す。24時間の間にわたっ
て観察したDAWN-Bプロファイルに変化はなく、すべての生物体が死滅したことを
示している。オートクレーブにかけたBIでは、未処理芽胞が呈した移行期の形態
はまったく検出されず、やはりこの処理によって無菌性が達成されていることを
示している。これらの結果は、TSAおよびAODCスライドでの両プレート計数によ
って検証されており、これらはBHIでのインキュベーションの24時間またはそれ
以上の後になってからでさえコロニーがまったく形成されていないことと、典型
的な発芽形態がまったくBIに出現しないことを示していた。
【0067】 蒸気で死滅させた芽胞によって作製されたMALSプロファイルの、0分の試料と
、30分、2時間、および24時間の測定値と比較する、さらなる分析を実施した。
これらの比較によって、正常な発芽の特徴を形成する形態移行が、オートクレー
ブにて滅菌したBIでは現れないことが示された。さらに、特有の角度にある最も
高感度な検出器での変化(図2)は起こっていなかった。これらのデータは、芽
胞が滅菌法によって死滅した証拠を構成するものであり、このことは10回反復し
て行ったTSAプレート計数によって検証された。加うるに、第2のBIに対する二
重のデータによって、DAWN-B測定および10のTSA反復プレートの双方に対して同
じ結果が得られた。 このように、ここに開示したアッセイによって、AODCおよびTSAプレーティン
グなどの複雑で時間を浪費する試料処理を要する方法を必要とすることなく、わ
ずかな短時間以内に蒸気オートクレーブ滅菌の効力を迅速且つ効率的に判定する
ことが可能となった。
【0068】 不充分な滅菌のMALS検出 無菌性をもたらすのに不充分であることがわかっている条件の下に処理された
芽胞も、MALS分析によって検査した。すなわち、ここに開示したデータは、生物
学的指標を121℃および15 psiで3分間オートクレーブにかけた結果を示すもので
ある(図3)。3種のインキュベーション間隔の試料を処理後に、すなわち、0分
、1時間、および終夜プラスさらに6時間(合計24時間)のインキュベーションに
ついて検査した。さらなる6時間のインキュベーションは、別の5% BHIを添加し
て10%の濃度(何らかの「損傷を受けた」細胞の成長に必須である)とした後に
実施した。 平行した24時間のTSAプレート計数も実施し、そしてここに開示したデータは
、不完全なオートクレーブ滅菌によって生存可能な芽胞集団が1.79×108コロニ
ー形成単位(CFU)から2.12×105 CFUに低下したことを示している。プレートで
は様々なサイズのコロニーも呈示されており、これらのオートクレーブ条件下で
の細胞損傷および回復の程度が変動していることを示している。二重のデータで
、これらの結果を確認した。
【0069】 121℃/15 psiで3分間オートクレーブにかけて5% BHIにてインキュベートし
た後0分、30分、および1時間の間隔での光散乱データの比較も行った(図4)。
30分のインキュベーションで細胞形態に変化があったが、1時間のインキュベー
ション後には、芽胞から桿菌の形態への変化を示すプロファイルの変化があった
ため不完全な滅菌の証拠が観察された。ここに開示したデータは、また、予測さ
れた形態の変化がインキュベーションの間に起こった、すなわち検出器5、6と検
出器11〜13で強度の増加が観察されたことも示すものである。これらの結果は、
TSAプレート計数およびAODCによって検証されており、これらは3分のオートクレ
ービングでわずか3ログの死滅が成し遂げられるのみであることを示していた。
【0070】 エチレンオキシド滅菌培養 すべてのエチレンオキシド(EO)滅菌培養物に対して、BI負荷は、本明細書の
別の箇所にて既に記載したとおり、ガラススライド上で風乾させたおよそ1.7×1
08芽胞数/mlの濃度のB.subtilis芽胞の1 mlで行った。EO滅菌サイクル完遂後に
、前記のとおりBI培養物を希釈して、芽胞を5% BHIに懸濁した。培養物は本明
細書にて前記したとおり対照(未処理)BIと同じ濃度に希釈し、そして試料を70
℃にて10分間の熱ショックに付した。熱ショックの後に、存在するのであれば生
存可能な細胞が検出されうることを保証すべく、試料を37℃にて24時間インキュ
ベートした。MALS分析は、0分、30分、1時間、2時間、3時間、および4時間で実
施し、そしてそれらと同じ時点でAODCスライド用に、平行して試料を採取した。
また、生存可能な細胞の存在をさらに判定するために、TSAへの直接プレーティ
ングも実施した。
【0071】 ここに開示したデータ(図5)は、固体支持体上に乾燥させられEO滅菌に供さ
れた芽胞に対するEOの効果を例証する、4の別々のBIと、平行した対照BIのデー
タを示すものである。これらのデータを、10、50、および100 mlの水の中に浸漬
されたEO試料(細菌成長に対してすべて陽性である)に対して収集したデータと
比較することによって、ガスがマトリックスに浸透できなければ正常なEOサイク
ルの間の死滅は不完全となりうること、したがって、水で遮蔽されたBIはすべて
陽性の成長を呈したためにEO滅菌に対して液体試料が適切であるとは考えられな
いことが示された。要するに、ここに開示したデータは、固体支持体上で乾燥さ
せたBIは死滅したものの、水で遮蔽されたBIはなおも存在する生存生物体を有し
ていたことを立証するものである。
【0072】 図5には、エチレンオキシド(EO)によって滅菌されたB.subtilis BIから得
られたMALS測定の結果を開示する。形態学的プロファイルでは変化が示されたが
、4の別々のBIから得た生存可能な芽胞を検出すべく各々実施したAODCスライド
および10のTSAプレートの双方により証明すると、成長は決して起こっていなか
った。この図は、4時間にわたる間の光散乱パターンを比較するものであり、こ
の間30分で形態の初期変化があり、さらなる変化はなかった。4時間中ずっと、
芽胞/発芽体の数が増加することはなかった。
【0073】 EOで処理され熱ショック後0分間インキュベートした芽胞に対するMALSプロフ
ァイル(セット9)を、熱ショック後30分間インキュベートしたBIのもの(セッ
ト20)と比較した。30分で検出器5、6および11〜13での強度の増加が起こり、そ
して2時間までに検出器1〜3、5、6および11〜13での形態学的差異が格段に明白
なものとなった。ここに開示したデータはさらに、検出器1〜3、検出器5および6
、検出器7および8、ならびに検出器11〜13は、図5に示すようにEO滅菌後0分と2
時間のインキュベーションの間の選択された検出器でのMALSプロファイルにおけ
る差異を示すことを示すものである。これらの初期形態変化は、細胞数の増加を
随伴するものでなかったし、そしてMALS測定で成長についての何らの証拠も示し
ていない。さらに、30分から4時間になるまで呈していた形態は、未処理(対照
、セット12)培養によって呈されるものと正確には相関しておらず、理論によっ
て拘束されることを望まないが、EO処理の結果損傷を受けた発芽体が生じること
を示している。TSAプレートは生存可能なコロニーをまったく呈さず、そしてAOD
Cスライドは直接計数の増加がないことを示していた。
【0074】 H2O2(STERRAD*)滅菌培養 すべてのH2O2滅菌培養物に対して、BI負荷は、本明細書の別の箇所にて既に記
載したとおり、ガラススライド上で風乾させたおよそ1.7×108芽胞数/mlの濃度
のB.subtilis芽胞の1 mlで行った。およそ70分間のSTERRADサイクル完遂後に、
前記のとおりBI培養物を希釈して、細胞を5% BHIに懸濁した。培養物は対照BI
と同じ濃度に希釈して、試料を70℃にて10分間の熱ショックに付し、そして、存
在する何れの生存可能な細胞も検出するために試料を37℃にて24時間インキュベ
ートした。MALS測定値は、0分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間および4.75
時間で得、そしてAODC直接計数による分析用に、平行して試料を得た。また、生
存可能な細胞の存在を判定するために、TSAへの直接プレーティングも実施した
。芽胞および/または増殖性細胞の総数ならびにそれらの様々な生活段階を検出
するAODCと、コロニーを形成することができる細胞(生細胞)の数を与えるTSA
でのプレート計数との組み合わせは、選択された検出器でのMALSと相関しており
、無菌性が成し遂げられたかどうかが判定された。
【0075】 MALS測定値は、STERRAD*(H2O2)での滅菌および5% BHIにおける37℃での2
2時間にわたる試料のインキュベーションの後のB.subtilis BIから得た(図6)
。ここに開示したデータは、成長はまったく起こらなかったことを明瞭に示して
おり、そしてTSA(三重の試料の各々につき10のプレート)での直接計数は、何
れのプレートにもまったく成長が見られなかったので、この結果を支持するもの
であった。AODCスライドにより、続けて行ったインキュベーションの間に滅菌さ
れた芽胞が劣化することが立証された。唯一の形態変化すなわち、初期発芽が起
こっているようであった(0分と30分の間の時間)が、その後細胞は劣化し、さ
らなる成長は起こらなかった。 滅菌がされていなかったBI(0分の対照)のMALSプロファイルを、3時間のイン
キュベーション後の、H2O2で滅菌されたBIのプロファイルと比較した(図6)。
ここに開示したデータは、成長していないにも関わらずH2O2滅菌後に形態変化が
起こったことを示すものである。N/N0値(元の試料中の細胞数に対する細胞数
の比)は1.0のままで、粒子の数が増加しないことを示唆している。この形態の
変化は、細胞数がさらに変化することなくそしてこれらの細胞が生存可能となる
ことなく、すなわち、滅菌されたと推定される試料をTSA培地上に塗播した場合
にコロニーはまったく検出されず、4時間にわたり異なるBIについて行った三重
の測定によって再現可能であることが示された。
【0076】 未処理、対照芽胞のMALSプロファイル(熱ショック後0分および30分)を、H2O 2 で滅菌し、そして熱ショックを付した後に様々な間隔でインキュベートした芽
胞から得られたプロファイルと比較した(図7)。ここに開示したデータは、滅
菌されていないが熱ショックに付された芽胞の形態が特徴的な初期発芽プロファ
イルを呈したことを示すものである。この発芽形態の後には、図1に示すような
、桿菌形態、そして最終的には細菌成長へと導かれる継続的な変化が続いた。処
理された芽胞の形態もまた、滅菌後0分に開始する変化したMALSプロファイルを
呈したが、芽胞は4時間のインキュベーション時間全体にわたって、さらなる変
化または発芽の進行を何らも示さなかった。しかしながら、インキュベーション
を継続してより大きな角度で検出すると、わずかながら漸進的な強度の増加があ
った。理論によって拘束されることを望まないが、より大きな角度での増加は生
物体の細胞の崩壊に起因するかもしれず、そして細胞断片の出現を表しているの
かもしれない。平行試料から取ったAODCスライドによって、それらの細片が存在
し、それは細胞の破壊に起因するようであること、よって4時間のインキュベー
ション後に存在する小粒子(細胞断片)を説明することが示された。
【0077】 MALS BI滅菌検出器の他の方法との相関性 4時間にわたって、未処理の熱ショックに付されたB.subtilisの芽胞を、芽胞
段階、発芽体状態、様々な中間体、成熟桿菌段階、および分裂を呈する細胞の段
階を含めた様々な移行段階を経るように発芽および進行させた。本明細書の別の
箇所に記載したアクリジンオレンジ染色法(AODC)は、これらの形態学的段階の
何れが発芽プロセス途中の何れの所定時間に存在するかを示す能力を有する(Br
uno and Mayo, 1995, Biotech. Histochem. 70: 175-84; Sharma and Prasad, 1
992, Biochem. Histochem. 67: 27-29)。ここに開示したデータは、初期芽胞段
階(小さく緑色の卵形形状として最初に可視化される)、その後「明色体」(明
赤色−橙色または単なる明黄色−緑色)、その後中間体(橙色)、成熟桿菌(大
型且つ橙色)、そしてその後は分裂桿菌(赤色−橙色)と順に続いて桿菌の鎖の
発生に至ることが、AODCによって検出されることを示すものである。 多角光散乱(MALS)測定を、これらの発芽の段階すべてについて行い、そして
走査電子顕微鏡鏡検も、選択された試料につきMALSおよびAODCと平行して実施し
た。ここに開示したデータは、MALS測定が芽胞からの発芽および成長に関わる段
階に相関することを示すものである。ここに開示したデータはさらに、処理され
た芽胞の形態に対する滅菌の効果ならびにそれら芽胞の後に続く発芽および発芽
後の形態に対する効果を、もし何かあれば判定するためにMALS測定を用いうるこ
とを立証するものである。
【0078】 ここに開示したデータは、MALS測定が、細胞の生存度の尺度として、および種
々の滅菌法による細胞死滅の効力の指標として、B.subtilis芽胞における形態変
化および/または成長を検出するために有用であることを立証するものである。 図1に開示したデータは、未処理であるが発芽を誘導するために熱ショック(
70℃にて10分間)に付したB.subtilis芽胞(対照)に対する15の光受容体につい
てのMALS測定を示すものである。BHI培養物に同数の未処理対照芽胞を接種した
後種々の時間、すなわち、セット1(0分)、セット6(30分)、セット16(2時間
)、およびセット21(4時間)でMALS測定値を取った。 0分、30分、1時間、および2時間で行ったMALS測定と、AODCおよび走査電子顕
微鏡を用いた正常な発芽培養において観察することができた形態変化との間には
良好な相関があった。芽胞段階から成熟桿菌への移行をMALSによって検出し、こ
こで0分、30分および2時間でMALSプロファイルに有意な差異が検出された。芽胞
、初期発芽体、および成熟桿菌形態を表す固有のプロファイルが、0分、30分お
よび2時間にそれぞれ存在していた。4時間までに、AODCによって証明されたとお
り有意な細胞分裂および鎖形性が起こっており、やはりMALSプロファイルにおけ
る変化は細胞数の増加に相関していた。これらの差異は特に、検出器1〜3(23°
のθから35°のθ)、5および6(47°のθから53.5°のθ)、ならびに検出器11
から13(89°のθから106°のθ)での強度の変化によって検出された。
【0079】 オートクレーブにて、過酸化水素によって、およびエチレンオキシドによって
生物学的指標培養物を滅菌すると、形態の差異は30分以内で明らかであり、そし
て細胞は2時間まで生存不可能であることを確認することができた。オートクレ
ーブに付された芽胞のプロファイルは、蒸気滅菌、オゾンにより、そして過酸化
水素により0分で変化し、また走査電子顕微鏡鏡検でも、芽胞が損傷を受けてい
たこと、および相関する差異を外観に有していたこと、すなわち芽胞が崩壊して
いるらしく、そして未処理細胞よりも概して伸長していることが示された。この
ように、ここに開示したデータは、蒸気、およびオゾン滅菌処理について、まっ
たくインキュベーションをする必要なく、滅菌処理の効力を評価するために処理
後直接にMALSを用いたBIの検査を使用することができることを立証するものであ
る。これは滅菌および消毒処理の効力を評価するための先行技術にかかる方法お
よびシステムに比べて、劇的且つ決定的な改良である。
【0080】 エチレンオキシド滅菌の場合、芽胞は未処理芽胞と比較して大きな差異を示さ
なかったが、初期発芽体のMALSプロファイルは正常な発芽体のものと明瞭に識別
可能であった。エチレンオキシドの作用は、DNAと反応して変異を起こす能力に
関わるものである。理論に拘束されることを望まないが、EOの細胞破壊的な効果
に対する機構で、なぜ芽胞段階におけるよりむしろ発芽段階の間に形態変化が起
こるのかが説明されるかもしれない。すなわち、EOによって引き起こされる核酸
修飾がmRNA発現の変更を導き、この結果タンパク質構造の変化が惹起し、これが
順次、初期発芽体の形態変化を起こすのかもしれない。何れにしても、ここに開
示したデータは、エチレンオキシド滅菌処理については処理の効力の評価が蒸気
、オゾンおよび過酸化水素に対するよりも迅速ではないが、本発明の方法によれ
ば4時間以内で結果が得られ、これは先行技術にかかる方法に対しての大いなる
改良点である。
【0081】 実施例2 本実施例で提示した実験を以下に要約する。 ここに開示したデータは、蒸気滅菌またはオゾン消毒/死滅の効力をモニター
するために多角光散乱(MALS)を使用できること、そして処理の効力を判定でき
るより前に必要なインキュベーション時間の必要性を回避し、処理後直接に試料
についてMALS測定を行うことができることを立証するものである。DAWN-Fは、こ
こに記述した実験に用いた光度計である。ここに開示したMALSデータは、アクリ
ジンオレンジ(AODC)での染色によって行われる直接計数によって、およびトリ
プチカーゼ・ソイ寒天培地でのコロニー形成単位(CFU)により測定されるよう
な生存体によって支持された。 加えて、最長7日間までインキュベートされたブロスの培養物は、不完全に滅
菌された試料では成長があることを一貫して示し、そして滅菌が完全な場合には
成長がないことも示された。これらのデータはまた、B.stearothermophilusを含
有する芽胞ストリップを少なくとも24乃至48時間インキュベートした場合の3M A
ttest(商標)(Test Kit 1296(商標))によっても支持された。B.subtilis芽
胞が好ましい生物学的指標であることもデータによって示されるものであり、ま
た生物体が迅速に成長するので無菌性を直接的に評価することができ、その結果
はMALS測定によって検出されるブレイン・ハート・インフージョン(BHI)ブロ
スでの成長がないことを示すことによって2乃至4時間以内に確認することができ
る。
【0082】 次に本実施例に示す実験において使用された材料および方法を記載する。 被験細菌株 B.subtilis菌株の芽胞は蒸気および低温滅菌の双方に対する耐性が高いので、
好ましい菌株としてB.subtilisを選択した。ここに記載した試験において、使用
した芽胞懸濁液は、B.subtilisのDifco菌株0981-50、B.subtilis菌株168野生型
(168WT)、およびB.stearothermophilusであった。B.subtilisのDifco菌株調製
芽胞(B.subtilis芽胞懸濁液 No.2、L-00537-02、ロット128078、Difco)を、1
ミリリットルあたり2×108芽胞数の濃度で標準被験生物体として用い、そしてB.
subtilis 168WTおよびB.stearothermophilusを被験比較体を提供するために使用
した。 すべての芽胞懸濁液は、蒸留水中、1ミリリットルあたりおよそ2×108芽胞数
の名目上の濃度に調整し、そして懸濁液のうち1ミリリットルを層流フード内で
無菌条件下にガラスバイアルの底で24時間風乾させた。 B.stearothermophilusは蒸気滅菌を評価するために通常使用されるので、BIと
してこの桿菌菌株を使用する3M Test Kit 1296(商標)(3M Health Care, St.
Paul, MN)を、蒸気滅菌の効力を試験するためのさらなる対照として使用した。
B.stearothermophilusは、この好熱性細菌が熱に基づく滅菌に対して他の細菌よ
りもずっと耐性であると考えられるので、蒸気滅菌に対する断定材料となる。
【0083】 蒸気滅菌試験方法 蒸気滅菌は、AMSCOプログラム可能オートクレーブ(AMSCO Scientific Series 3021-SおよびSeries 3031-S、Steris Corp., Mentor, OH)を使用して、約121
℃にて平方インチあたり15ポンドで実施した。0、2、5、10および15分間の曝露
間隔を先ず用いて、多角光散乱(MALS)、アクリジンオレンジ染色計数(AODC)
による直接計数、トリプチカーゼ・ソイ寒天(TSA)上のコロニー形成単位(CFU
)、および液体ブロスでの3乃至7日間の成長によって判定される、滅菌の成功に
ついての判定を行った。ここに開示したデータは、2分間のオートクレービング
では一貫して不完全な滅菌となり、そして完全な滅菌、すなわち15分間との比較
用に最適であることを示すものである。 使用したMALS装置は、DAWN Model F(Wyatt Technology Corp., Santa Barbar
a, CA)であり、これは試料由来の液体がフローセルを通過することを許容する
流通装置であって、この間粒子がセルを通過する際に粒子についての測定を連続
的に行うものである。その他の点では、この装置は本明細書の別の箇所に前記し
たDAWN Model Bと実質的に同じである。
【0084】 オゾン滅菌/消毒試験方法 加湿オゾンガスを滅菌剤として用いたオゾン滅菌を、その「死滅」効力にした
がって定量することができる低温滅菌の一形態として選択した。使用したOzone
Generatorは、Model CD-1B(AQUA-FLO, Inc., Baltimore, MD)であった。オゾ
ンは酸素から発生させ、約99.9%を超えるO2純度の酸素タンクから供給した。所
望濃度のO3を連続的に維持するように、酸素フローおよび電圧パラメータの正確
な設定を可能とする電圧レギュレータおよび酸素フローレギュレータが、発生器
に取り付けられている。発生器はまた、所望レベルのO3が得られ、そしてその後
オゾンがその半減期に基づいてO2に復帰することを許容することも可能とする。
酸素が発生器を貫流する際に高電圧がこれをオゾンに変換して、水中にバブルさ
れる。過剰(先頭)のオゾンは、それを酸素に戻すように変換する白金触媒を通
過し、ここで通気式化学的安全フードへと放出される。 トグルスイッチの使用によって、オゾンはガラススパージャを通って、1リッ
トルの蒸留水を含有する、2つの特別に設計された2-リットルのエルレンマイヤ
ーフラスコの何れかへと導入される。被験化学薬品の溶液または微生物の懸濁液
の何れか、または両者を、システムを密封するゴム栓を通ってフラスコ内へと入
るチューブを介してフラスコ内上部に導入した。試料は活栓を開くことによりフ
ラスコの底部で回収することができる。製造業者(HACH, Inc., Loveland, CO)
の使用説明書にしたがってOzone Pocket Colorimeter(商標)を使用し、インデ
ィゴ色素の化学酸化を用いてオゾン濃度を測定した。
【0085】 本実施例で提示した実験の結果を以下に記載する。 蒸気滅菌 B.subtilis(Difco)、B.subtilis 168WT、またはB.stearothermophilusの乾
燥芽胞を含有するバイアルを2分間もしくは15分間の何れかオートクレーブにか
け、またはオートクレーブにかけなかった(対照)。バイアルの各々に処理後、
1ミリリットルあたりおよそ2×106芽胞数の最終の芽胞懸濁液を得るのに充分な5
%ブレイン・ハート・インフージョン(BHI)ブロスを添加した。 対照芽胞懸濁液を70℃にて10分間熱ショックに付して、その後各々の種/菌株
に対して適切なインキュベーション温度まで冷却した。2種のB.subtilis菌株に
対するインキュベーション温度は37℃であり、好熱性のB.stearothermophilusに
対するインキュベーション温度は55℃であった。もしあれば発芽を開始させるの
にオートクレービング温度で充分であるので、オートクレーブに付した芽胞懸濁
液は、熱ショックには付さなかった。
【0086】 MALS測定は、処理後直ちに、およびインキュベーション後1時間間隔で行った
。試料をTSAでのプレート計数を行うために0時間で取り出し、そしてさらなる試
料を、アクリジンオレンジ染色用にホルマリンで固定した。処理後直ちに採取し
た試料について行った測定に対して得られたデータを、Bacillus subtilis(Dif
co)芽胞については表1Aに、Bacillus subtilis 168WT芽胞については表1B
に、およびBacillus stearothermophilus芽胞については表1Cに開示する。
【0087】
【表1A】
【0088】
【表1B】
【0089】
【表1C】
【0090】 注釈:平均強度は、すべての検出器での強度の対数重み付き平均値である。コ
ロニー形成単位(CFU)は、24時間インキュベーション後に判定した。「‡」に
よって示される結果は、希釈していない試料における25のプレートのうち20がイ
ンキュベーション後に成長を呈さなかったことを反映するものである。
【0091】 これらのデータは、MALS強度測定値がオートクレーブ処理後に直ちに低下する
ことを示すものである。さらにこれらのデータは、図8にグラフ表示しているが
、AODC直後計数およびコロニー形成単位(生存度計数)の数もまた、B.subtilis
-Difco(図8A)、B.subtilis 168WT(図8B)、およびB.stearothermophilus
(図8C)について呼応するように低下することを示している。 図8A、8Bおよび8Cは、不完全(2分)および完全(15分)のオートクレ
ーブ滅菌の後の、各散乱角における強度の相対的な低下を示す代表的なMALSグラ
フデータである。これらのデータは、表1A〜1Cで「MALS平均強度」と題した
カラムにまとめた平均MALS測定値の代表的なものである。 ここに開示したデータ(図9A〜C)は、5%(質量/容積)BHIブロスでの4
時間のインキュベーションの間でのB.subtilis(Difco)(図9A)、B.subtili
s 168WT(図9B)、およびB.stearothermophilus(図9C)の成長を示すもの
である。B.subtilis菌株の対照の成長は、この同じインキュベーション時間にお
いて旺盛であったものの、B.stearothermophilusの場合は、陽性ではあるが緩徐
であった。2分のオートクレーブに付されたB.subtilis培養物の細菌計数もまた
、4時間のインキュベーションの間に増加し、芽胞が死滅していなかったことが
示され、一方15分のオートクレーブに付された芽胞を接種した培養物は細胞成長
に増加を示すことはなかった。しかしながら、オートクレーブに付された(すな
わち、2または15分)B.stearothermophilus芽胞の培養物の何れも、4時間中にわ
たって成長を呈さなかった(図9C)。
【0092】 図10は、B.subtilis-Difco未処理対照を用いて得た代表的なMALSグラフを示
すもので、2時間のインキュベーションでの芽胞から増殖性細胞(たとえば、桿
菌)への移行と、その後の3時間の間にわたる連続的な成長との両方を示してい
る。これらのデータは、図9Aでのグラフ形状において開示した対照培養物に対
するMALSデータの代表的なものである。 図11は、図9Aでのグラフ形状において開示したと同じデータファイルから
の代表的なMALSデータセットを示すものである。すなわち図11は、2分間オー
トクレーブに付され、0、2、または4時間インキュベートされたB.subtilis-Difc
o芽胞に対するMALSデータを図示するものである。開示したデータは、2分間オー
トクレーブに付された培養物の移行および成長を示している。これらのデータを
図9Aにまとめている。
【0093】 図12は、図9Aでのグラフ形状において開示したと同じデータファイルから
の代表的なMALSデータセットである。すなわち図12は、15分間オートクレーブ
に付され、0、2、または4時間インキュベートされたB.subtilis-Difco芽胞の培
養物から得たMALSデータを図示するものである。ここに開示したデータは、15分
間オートクレーブに付された芽胞の培養物が芽胞からの移行をすることなく、そ
の結果成長もしなかったことを示している。これらのデータを図9Aにまとめて
いる。 図9Bには、B.subtilis 168WT芽胞の成長に対する蒸気滅菌の効果について得
たデータをまとめている。B.subtilis 168WT芽胞を用いて得たデータは、B.subt
ilis Difco芽胞を用いて得たもの(図9A)と類似している。処理されなかった
B.subtilis 168WT芽胞(対照、◆)と、その後0、2、または3時間、培養液でイ
ンキュベートされたB.subtilis 168WT芽胞について、ここに開示したデータは、
芽胞から増殖性型への2時間での移行と、その後の3時間の間にわたる連続的な成
長とを示すものである(図9B、◆)。
【0094】 ここに開示したデータは、2分のオートクレーブに付され、次いで処理後0、2
、または4時間インキュベートされたB.subtilis 168WT芽胞の成長を示すもので
ある。ここに開示したデータは、2分のオートクレーブに付された培養物の移行
および成長を示すものである(図9B、)。 ここに開示したデータはさらに、15分(すなわち、完全な)蒸気滅菌のB.subt
ilis 168WT芽胞に対する効果を示すものである(図9B、▲)。ここに開示した
データは、15分オートクレーブした培養物は芽胞からの移行を行わず、その結果
成長することもなかったことを示している(図9B、▲)。 図9Cは、B.stearothermophilus芽胞に対する蒸気滅菌の効果を図示するもの
である。ここに開示したデータは、対照の未処理B.stearothermophilus芽胞が非
常に緩徐に成長することを図示しており、4時間のインキュベーションにわたっ
て平均強度はほとんど変化していないことを示すものである(図9C、◆)。さ
らにデータは、2分のオートクレーブに付されたB.stearothermophilus芽胞(▲
)は、15分のオートクレーブに付された芽胞とほぼ同じような成長特徴を呈した
()。さらに詳細には、4時間の間にわたって、いずれの培養物でも実質的に
成長はなかった(図9C、および▲ならびに表1C)。
【0095】 特定の理論に一切拘束されることは望まないが、B.stearothermophilusが好熱
性細菌であり、そしてその芽胞は、熱に基づく滅菌法に対する耐性がB.subtilis
などの非好熱性細菌の芽胞よりも強いはずであると考えられるのなら、これらの
結果は意外なものである。それどころか、ここに開示したデータは、B.stearoth
ermophilus芽胞は2分のオートクレービングで、同じ時間だけB.subtilis芽胞を
オートクレーブに付した場合よりも芽胞の成長に大きな効果がもたらされたので
、B.stearothermophilus芽胞は蒸気滅菌に対して感受性がより高いことを示して
いる。すなわち、CFUデータによって、2分のオートクレーブによりおよそ50%の
B.subtilis(Difco)芽胞(表1A)、76%のB.subtilis 168WT芽胞(表1B)
、および99%を超えるB.stearothermophilus芽胞(表1C)が死滅したことが示
されている。これらのデータはさらに、図9A、B、およびCに示すMALSデータ
によって確認された。 これらのデータは、熱に基づく滅菌処理に対する「産業上の標準」たる生物学
的指標としてB.stearothermophilusが当該技術分野で認識されて受け入れられて
いることに鑑みて意外なものである。したがって、ここに開示したデータは、MA
LS検出システムと組み合わせてB.subtilisを用いた本発明のBIが、蒸気滅菌のBI
としてB.stearothermophilusを用いた従来技術にかかる方法よりも優れているこ
とを初めて示唆するものである。
【0096】 オゾン滅菌 微生物のオゾン処理は、低温滅菌および消毒の代表的なものである。ここに開
示したデータ(表2)は、処理後のインキュベーションなしで処理の後直接にMA
LS、AODC、およびCFUを用いる、低温(すなわち、オゾン)滅菌の評価を示すも
のである。ここに開示したデータは、0、5、10、15、20、および30分の処理時間
の、0.3の100万分の1(ppm)のオゾンによるB.subtilis-Difco芽胞の処理の効果
を示すものである。
【0097】
【表2】
【0098】 注釈:平均強度は、すべての検出器での強度の対数重み付き平均値である。コ
ロニー形成単位(CFU)は、24時間インキュベーション後に判定した。
【0099】 MALS、AODC、およびCFUデータは、本明細書の別の箇所において既に開示した
、蒸気滅菌に対して行ったとまさしく同じように評定した。1 mlあたり約2×106 芽胞数の芽胞懸濁液を、およそ0.35 ppmの用量にてオゾン化し、その後MALS測定
を実施した。AODCスライドおよびTSAプレート計数を、処理された懸濁液および
対照懸濁液の各々について行った。すべての測定の結果は平行して実施して得ら
れたものであり、オゾンへの暴露を増大するにつれて芽胞濃度の低下が一貫して
促進されることを示している。図13に開示したMALSデータは、表2にまとめた
データに対するMALSプリントアウトの代表的なものである。ここに開示したデー
タは、オートクレービング、エチレンオキシドおよび過酸化水素滅菌処理につい
て本明細書の別の箇所で既に開示したデータに加えて、本発明のBIは、オゾン滅
菌/消毒処理の効力を確認するのに有効であることを示すものである。本明細書
の別の箇所で既に開示したデータと同様に、冗長なインキュベーション時間を要
する培養法を待つことを必要とせずに、様々な滅菌処理の効力を立証する迅速な
結果を提供するものである。
【0100】 本明細書の別の箇所で既に開示したとおり、蒸気滅菌の効力を評価するために
B.stearothermophilusを用いて得られる意外な結果の故に、芽胞に対するオゾン
化の効果はMALS検出を用いて評価した。 図14は、約0.3 ppmのオゾンで、B.subtilis(Difco)芽胞での場合に用いた
と同様のオゾン処理プルトコルをB.stearothermophilus芽胞で用いて得た結果を
示す。B.subtilis芽胞についての場合と同様に、ここに開示したデータは、オゾ
ンへの暴露を増大するにつれて芽胞濃度が低下していくことを示すものである。
【0101】 本明細書において引用した特許、特許出願、及び公開の各々そしてすべての開
示は、引用することによりその全体を本明細書に組み入れることとする。 以上の本発明の実施態様に、その広い発明概念から逸脱することなく変更を加
えうることは、当業者によって認識されるはずである。したがって、本発明は開
示された特定の実施態様に限定されるものでなく、特許請求の範囲によって定義
された本発明の精神および範囲に含まれる修飾を包含することを意図しているこ
とは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、熱ショック処理(すなわち、70℃、10分間)後、0分(セット1)、30
分(セット6)、2時間(セット16)、および4時間(セット21)の間隔での、選
択されたブレイン・ハート・インフージョン(BHI)培養インキュベーションに
おける、B.subtilisの未処理であるが熱ショックを付された芽胞(対照)の多角
光散乱(MALS)によって行った測定を示すグラフである。
【図2】 図2は、121℃/15 psiで5分間オートクレーブにかけ、続いてBHI中で静置培
養インキュベーションした後の生物学的指標(BI)(ガラススライド上で乾燥さ
せた、およそ1.7×108のB.subtilis芽胞)から得られたMALSを示すグラフである
。MALSデータのセットは、処理された芽胞を培養液に接種した後、以下の時点で
得た:セット6(0分)、セット11(30分)、セット16(1時間)、セット21(2時
間)、セット26(3時間)、セット31(4時間)、およびセット1(24時間)。
【図3】 図3は、121℃/15 psiで3分間オートクレーブにかけた後の生物学的指標(BI
)(ガラススライド上で乾燥させた、およそ1.79×108のB.subtilis芽胞)から
得られたMALS測定を示すグラフである。MALSデータのセットは、処理された芽胞
を培養液に接種した後、以下の時点で得た:セット1(終夜プラス6時間)、セッ
ト3(0分)、およびセット13(1時間)。
【図4】 図4は、選択された培養間隔での、3分間のオートクレーブによって処理され
たB.subtilisのMALS測定の結果を示すグラフである。グラフは、セット3(0分)
、セット8(30分)、およびセット13(1時間)から得られた測定値を比較するも
のである。また、すべての15の角度での測定を、グラフを作製すべく分析した記
録済MALS入力データを示すために本明細書中に開示している。
【図5】 図5は、エチレンオキシド(EO)滅菌後の生物学的指標(BI)(ガラススライ
ド上で乾燥させたB.subtilis芽胞)を用いて得られたMALS測定を示すグラフであ
る。MALSデータのセットは、以下のとおり4時間の間に6の間隔にて得た:セット
9(0分)、セット20(30分)、セット30(1時間)、セット35(2時間)、セット
40(3時間)、およびセット45(4時間)。熱ショック後0分で検査した未処理対
照試料を、セット12として示す。
【図6】 図6は、STERRAD*(H2O2、過酸化水素)滅菌後の生物学的指標(BI)(B.subt
ilis芽胞)を用いて得られたMALS測定を示すグラフである。MALSデータのセット
は、以下のとおり5% BHIにおいて24時間のインキュベーション時間の間に8の時
点で得た:セット2(0分)、セット6(30分)、セット10(1時間)、セット18(
2時間)、セット22(3時間)、セット26(4時間)、セット30(4.75時間)、お
よびセット1(22時間)。
【図7】 図7は、STERRAD*(H2O2、過酸化水素)滅菌後の生物学的指標(BI)(B.subt
ilis芽胞)を用い、そしてその測定値を未処理の対照芽胞を用いて得られた測定
値と比較して得られたMALS測定を示すグラフである。MALSデータのセットは、熱
ショックを付した後BHI培養液にてインキュベートされた、H2O2で滅菌された芽
胞について様々な時点で採取された試料を検査することによって得たものであり
、そのデータのセットは以下のとおりである:セット2(0分)、セット6(30分
)、セット10(1時間)、セット14(2時間)、セット18(3時間)、およびセッ
ト22(4時間)。未処理(対照)の芽胞は、熱ショック後に以下の時点で検査し
たものである:セット1(0分対照)およびセット5(30分対照)。
【図8A】 図8Aは、121℃にて15ポンド/平方インチで様々な時間オートクレーブにか
けた後に生物学的指標(BI)(ガラスバイアル中で乾燥させた、およそ2.6×106 のB.subtilis (Difco)芽胞)から得られたMALS測定を示す図面である。芽胞は、
処理後に直ちに、MALSを用いて検査した。MALSデータのセットは、以下のオート
クレーブ時間の後に得た:セット13および14(2分間オートクレーブにかけた芽
胞)、ならびにセット22および23(15分間オートクレーブにかけた芽胞)。セッ
ト2は未加工の(天然の)未処理芽胞対照であり、そしてセット3は熱ショックを
付された未処理芽胞対照である。
【図8B】 図8Bは、121℃にて15ポンド/平方インチで様々な時間オートクレーブにか
けた後に生物学的指標(BI)(ガラスバイアル中で乾燥させた、およそ2.0×106 のB.subtilis WT168芽胞)から得られたMALS測定を示す図面である。芽胞は、処
理後に直ちに、MALSを用いて検査した。MALSデータのセットは、以下のオートク
レーブ時間の後に得た:セット15および16(2分間オートクレーブにかけた芽胞
)、ならびにセット26および27(15分間オートクレーブにかけた芽胞)。セット
6は熱ショックを付された未処理芽胞対照である。
【図8C】 図8Cは、121℃にて15ポンド/平方インチで様々な時間オートクレーブにか
けた後に生物学的指標(BI)(ガラスバイアル中で乾燥させた、およそ2.6×106 のB.stearothermophilus芽胞)から得られたMALS測定を示す図面である。芽胞は
、処理後に直ちに、MALSを用いて検査した。MALSデータのセットは、以下のオー
トクレーブ時間の後に得た:セット17および18(2分間オートクレーブにかけた
芽胞)、ならびにセット27および28(15分間オートクレーブにかけた芽胞)。セ
ット8は熱ショックを付された未処理芽胞対照である。
【図9A】 図9Aは、2または15分間オートクレーブにかけて、処理後0乃至4時間培養液
にてインキュベートしたB.subtilis (Difco)芽胞の、平均対数重み付き強度(平
均強度)を示すグラフである。さらに詳細には、B.subtilis-Difco芽胞は、未処
理(◆)か、または2分間()もしくは15分間(▲)オートクレーブにかけた
ものである。MALS分析は、芽胞を生育培地に接種した後0、2、および4時間で実
施した。
【図9B】 図9Bは、2または15分間オートクレーブにかけて、処理後0乃至4時間培養液
にてインキュベートしたB.subtilis (168WT)芽胞の、平均対数重み付き強度(平
均強度)を示すグラフである。さらに詳細には、B.subtilis 168WT芽胞は、未処
理(◆)か、または2分間()もしくは15分間(▲)オートクレーブにかけた
ものである。MALS分析は、芽胞を生育培地に接種した後0、2、および4時間で実
施した。
【図9C】 図9Cは、2または15分間オートクレーブにかけて、処理後0乃至4時間培養液
にてインキュベートしたB.stearothermophilus芽胞の、平均対数重み付き強度(
平均強度)を示すグラフである。さらに詳細には、B.stearothermophilus芽胞は
、未処理(◆)か、または2分間()もしくは15分間(▲)オートクレーブに
かけたものである。MALS分析は、芽胞を生育培地に接種した後0、2、および4時
間で実施した。
【図10】 図10は、様々なインキュベーション時間の後の、熱ショックを付された未処
理B.subtilis Difcoから得られたMALS測定を示す図面である。以下のMALSデータ
のセットが示されている:セット3(熱ショックを付されて熱ショック後0時間で
検査した芽胞)、セット32および33(熱ショック後2時間で検査した芽胞)なら
びにセット60および61(熱ショック後3時間で分析した芽胞)。
【図11】 図11は、121℃/15 psiで2分間オートクレーブにかけた後の生物学的指標(
BI)(ガラスバイアル中で乾燥させたB.subtilis (Difco)芽胞)から得られたMA
LS測定を示すグラフである。MALSデータのセットは、処理された芽胞を培養液に
接種した後、以下の時点で得た:セット13(0時間)、セット41および42(処理
後2時間)、ならびにセット78および79(処理後4時間)。
【図12】 図12は、オートクレーブにかけた後の生物学的指標(BI)(ガラスバイアル
中で乾燥させたB.subtilis (Difco)芽胞)から得られたMALS測定を示すグラフで
ある。MALSデータのセットは、処理された芽胞を培養液に接種した後、以下の時
点で得た:セット22(0時間)、セット51および52(処理後2時間)、ならびにセ
ット97および98(処理後4時間)。
【図13】 図13は、0.3 ppmでオゾンを用いた処理の後の生物学的指標(BI)(ガラス
バイアル中で乾燥させたB.subtilis (Difco)芽胞)から得られたMALS測定を示す
グラフである。MALSデータのセットは、処理の時間を以下のように変えて、処理
後0時間に得た:セット10(対照、未処理芽胞)、セット39(5分間オゾン処理)
、セット44(10分間)、セット49(15分間)、セット53(20分間)およびセット
58(30分間)。
【図14】 図14は、0.3 ppmでオゾンを用いた処理の後の生物学的指標(BI)(ガラス
バイアル中で乾燥させたB.stearothermophilus芽胞)から得られたMALS測定を示
すグラフである。MALSデータのセットは、処理の時間を以下のように変えて、処
理後0時間に得た:セット18(対照、未処理芽胞)、セット23(5分間オゾン処理
)、セット28(10分間)、セット48(15分間)、セット35(20分間)。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/22 C12Q 1/22 4C058 G01N 15/14 G01N 15/14 P 21/47 21/47 B 33/48 33/48 Z 33/483 33/483 C // A61L 2/04 A61L 2/04 G 2/06 2/06 A 2/08 2/08 2/14 2/14 2/20 2/20 J K (C12M 1/34 C12R 1:07 C12R 1:07) 1:125 (C12M 1/34 C12R 1:125) (C12N 1/20 C12R 1:07) (C12N 1/20 C12R 1:125) (C12Q 1/22 C12R 1:07) (C12Q 1/22 C12R 1:125) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ライコ, ジョセフ ピー. アメリカ合衆国, ニューヨーク州 10956 ニューシティ, サウス マウン テン ロード 75 Fターム(参考) 2G045 CB25 GC11 2G059 AA05 BB06 BB11 BB12 CC16 EE02 EE05 FF04 GG01 GG04 JJ19 KK01 KK03 MM01 MM10 4B029 AA07 BB02 BB20 CC01 CC03 FA01 FA15 4B063 QA01 QA05 QA20 QQ06 QR69 QR84 QS11 QS24 QS39 QX01 4B065 AA15X AA19X AC13 BD22 BD26 BD50 CA46 4C058 AA01 BB02 BB04 BB05 BB06 BB07 CC05 DD15 EE26 JJ07 JJ14 JJ15 JJ28 KK03 KK06

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 滅菌処理の有効性を検出するためのシステムであって、生物
    学的指標、固体支持体、液状媒体、および多角光散乱装置を含むシステム。
  2. 【請求項2】 生物学的指標が、B.subtilis芽胞、およびB.stearothermoph
    ilus芽胞からなる群より選択される芽胞である請求項1記載のシステム。
  3. 【請求項3】 生物学的指標が、B.subtilis芽胞である請求項2記載のシス
    テム。
  4. 【請求項4】 固体支持体が、吸収性フィルター、膜、マトリックス、ガラ
    ス、プラスチック、および金属からなる群より選択される請求項1記載のシステ
    ム。
  5. 【請求項5】 支持体が、ガラススライドまたはガラスバイアルの形態にあ
    るガラスである請求項4記載のシステム。
  6. 【請求項6】 多角光散乱装置が、DAWN Model B MALS光度計、およびDAWN
    Model F MALS光度計からなる群より選択される請求項1記載のシステム。
  7. 【請求項7】 滅菌処理が、化学的滅菌処理、および物理的滅菌処理からな
    る群より選択される請求項1記載のシステム。
  8. 【請求項8】 化学的滅菌処理が、エチレンオキシド滅菌処理、過酸化水素
    滅菌処理、四銀四酸化物滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からなる群より選択さ
    れる請求項7記載のシステム。
  9. 【請求項9】 物理的滅菌処理が、放射線滅菌処理、ガスプラズマ滅菌処理
    、蒸気滅菌処理、および乾熱滅菌処理からなる群より選択される請求項7記載の
    システム。
  10. 【請求項10】 液状媒体が、水、ブレイン・ハート・インフージョンブロ
    ス培地、栄養ブロス、およびトリプチカーゼ・ソイブロスからなる群より選択さ
    れる請求項1記載のシステム。
  11. 【請求項11】 滅菌処理後の芽胞の生存度を評価する方法であって、 (a)芽胞を滅菌処理に曝し、 (b)処理された芽胞を、多角光散乱を用いて検査し、そして (c)処理された芽胞の多角光散乱と、滅菌処理に曝されなかった類似芽胞の
    多角光散乱との間の差異を評定して、処理された芽胞が生存可能であるか否かを
    判定する、 工程を含む方法。
  12. 【請求項12】 芽胞および類似芽胞が、B.subtilis芽胞、およびB.stearo
    thermophilus芽胞からなる群より選択される請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 芽胞および類似芽胞が、B.subtilisである請求項12記載
    の芽胞。
  14. 【請求項14】 芽胞および類似芽胞が、B.stearothermophilusである請求
    項12記載の芽胞。
  15. 【請求項15】 滅菌処理が、化学的滅菌処理、および物理的滅菌処理から
    なる群より選択される請求項11記載の方法。
  16. 【請求項16】 化学的滅菌処理が、エチレンオキシド滅菌処理、過酸化水
    素滅菌処理、四銀四酸化物滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からなる群より選択
    される請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 物理的滅菌処理が、放射線滅菌処理、ガスプラズマ滅菌処
    理、蒸気滅菌処理、および乾熱滅菌処理からなる群より選択される請求項15記
    載の方法。
  18. 【請求項18】 工程(a)において芽胞の滅菌処理の前に多角光散乱を用
    いて類似芽胞を検査して、工程(c)における類似芽胞の多角光散乱として使用
    するための、標準多角光散乱データのセットを提供する工程をさらに含む請求項
    11記載の方法。
  19. 【請求項19】 標準多角光散乱データを保存して、工程(a)の滅菌処理
    を用いて第2の類似芽胞を滅菌した後の第2の類似芽胞の生存度を評価する工程
    をさらに含む請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 工程(b)の前に、処理された芽胞を生育培地でインキュ
    ベートする工程をさらに含む請求項11記載の方法。
  21. 【請求項21】 生育培地が、トリプチカーゼ・ソイブロス、栄養ブロス、
    およびブレイン・ハート・インフージョンブロスからなる群より選択される請求
    項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 工程(b)の前に、芽胞を最長約24時間インキュベートす
    る工程をさらに含む請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 処理された芽胞を生育培地でインキュベートする前に、該
    処理された芽胞に熱ショックを付す工程をさらに含む請求項20記載の方法。
  24. 【請求項24】 滅菌処理が、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
    る群より選択され、且つ、処理された芽胞を滅菌処理後直接に検査する工程をさ
    らに含む方法である請求項11記載の方法。
  25. 【請求項25】 滅菌処理の効力を評価する方法であって、 (a)生物学的指標を滅菌処理に曝し、 (b)類似生物学的指標を、多角光散乱を用いて検査して標準プロファイルを
    作製し、 (c)処理された生物学的指標を、多角光散乱を用いて検査して滅菌後プロフ
    ァイルを作製し、そして (d)処理された生物学的指標の滅菌後プロファイルを、類似生物学的指標の
    標準プロファイルと比較する、 工程を含み、 処理された生物学的指標の滅菌後プロファイルと、類似生物学的指標の標準プ
    ロファイルとの間の差異が、滅菌処理の効力を示す方法。
  26. 【請求項26】 生物学的指標および類似生物学的指標が、B.subtilis芽胞
    である請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 DAWN Model B MALS光度計、およびDAWN Model F MALS光度
    計からなる群より選択される光度計を、多角光散乱に対して使用する工程をさら
    に含む請求項25記載の方法。
  28. 【請求項28】 滅菌処理が、物理的滅菌処理、および化学的滅菌処理から
    なる群より選択される請求項25記載の方法。
  29. 【請求項29】 化学的滅菌処理が、四銀四酸化物滅菌処理、エチレンオキ
    シド滅菌処理、過酸化水素滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からなる群より選択
    される請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 物理的滅菌処理が、放射線滅菌処理、ガスプラズマ滅菌処
    理、乾熱滅菌処理、および蒸気滅菌処理からなる群より選択される請求項28記
    載の方法。
  31. 【請求項31】 滅菌処理が、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
    る群より選択され、且つ、処理された芽胞を滅菌処理後直接に検査する工程をさ
    らに含む方法である請求項25記載の方法。
  32. 【請求項32】 滅菌処理に曝された生物学的指標における変化を検出する
    方法であって、生物学的指標を滅菌処理に曝し、そして、処理された生物学的指
    標の多角光散乱を、滅菌処理に曝されなかった類似生物学的指標の多角光散乱と
    比較する、工程を含み、処理された生物学的指標の多角光散乱と、類似生物学的
    指標の多角光散乱との間の差異が、処理された生物学的指標における変化を示す
    方法。
  33. 【請求項33】 生物学的指標の多角光散乱を検査する前に、処理された生
    物学的指標を最長約24時間、生育培地でインキュベートする工程をさらに含む請
    求項32記載の方法。
  34. 【請求項34】 生物学的指標を生育培地でインキュベートするに先駆けて
    、該生物学的指標に熱ショックを付す工程をさらに含む請求項33記載の方法。
  35. 【請求項35】 比濁計、および光度計からなる群より選択される装置を使
    用して、生物学的指標の多角光散乱を検査する工程をさらに含む請求項32記載
    の方法。
  36. 【請求項36】 滅菌処理が、蒸気滅菌処理、およびオゾン滅菌処理からな
    る群より選択され、且つ、処理された芽胞を滅菌処理後直接に検査する工程をさ
    らに含む方法である請求項32記載の方法。
  37. 【請求項37】 滅菌処理後の芽胞の生存度を評価するためのキットであっ
    て、該キットは、固体支持体上に吸着された約2×108の芽胞、多角光散乱光度計
    、および液状媒体を含むキット。
  38. 【請求項38】 キットの使用のための説明書をさらに含む請求項37記載
    のキット。
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