JP2002541791A - 異種タンパク質を精製する方法 - Google Patents

異種タンパク質を精製する方法

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JP2002541791A
JP2002541791A JP2000611650A JP2000611650A JP2002541791A JP 2002541791 A JP2002541791 A JP 2002541791A JP 2000611650 A JP2000611650 A JP 2000611650A JP 2000611650 A JP2000611650 A JP 2000611650A JP 2002541791 A JP2002541791 A JP 2002541791A
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transgenic mammal
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JP2000611650A
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ミード,ハリー
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ジェンジム トランスジェニックス コーポレイション
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione

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Abstract

(57)【要約】 宿主細胞によって発現された(例えばトランスジェニック哺乳動物における細胞によって発現される)異種タンパク質と、その宿主細胞によって自然に発現される対応タンパク質とを分離する方法に関して開示する。本方法は、異種ポリペプチドをコードする配列を包含し、かつその細胞(例えばトランスジェニック哺乳動物における細胞)によって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現する細胞(例えばトランスジェニック哺乳動物における細胞)を提供することを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、1999年4月14日に出願された仮特許出願第60/129,2
99号に基づく利益を主張し、その内容の全てが完全に組み込まれる。
【0002】 発明の背景 家畜からの乳は、長年の間、食品産業および製薬産業において、タンパク質お
よび他の産物の供給源として用いられてきた。反芻動物および実験動物の間で、
その種に依存して、乳はリットル当たり平均30−140グラム、または約4−
17重量%のタンパク質を含有する。それらタンパク質の大部分はカゼインであ
り、それは、ミセルとして知られている超分子構造においてカルシウムおよびリ
ン酸と複合体を形成する。乳タンパク質の他の主な種類は、乳漿タンパク質であ
り、それは、主に、β-ラクトグロブリンおよびα-ラクトアルブミンを含むが、
ラクトフェリン、イムノグロブリンおよび血清アルブミンも含む。
【0003】 かなり最近、トランスジェニック動物の乳中に商業的に実現できるレベルで外
因性タンパク質を発現させる方法が当業界で公知となった。外因性タンパク質の
発現レベルは、通常、そのタンパク質および種に依存して、リットル当たり1グ
ラム未満−10グラム以上の範囲に亘る。トランスジェニック家畜における広範
囲のタンパク質の量産に関して現在開発中である(A.J.Clark, et al., Trends i
n Biotechnology, 5: 20-24, 1987, A.J.Clark, Journal of Cellular Biochemi
stry, 49: 121-127, 1992; W.Bawden et al., Biotechnology and Genetic Engi
neering Reviews,12: 89-137, 1994; N.S.Rudolph, Genetic Engineering News,
15: 8-9, 1995)。外因性ペプチド、特にヒトペプチドを、比較的高濃度かつ大
容量で乳中に産生させることができ、正常にプロセッシングを受けたペプチドの
高レベルでの連続的産出を提供する。哺乳類の乳腺中に高レベルの外因性タンパ
ク質を産生させることは可能であるが、その乳はその動物自身のかなりのレベル
の血清タンパク質も含有する。血清タンパク質は、その血清レベルの2%で乳中
に存在することが分かっている。従って、トランスジェニック動物の乳中に分泌
された組換えタンパク質を動物自身の血清タンパク質から分離する方法が必要で
ある。
【0004】 発明の概要 本発明は、部分的に、例えば、ヒトタンパク質とトランスジェニック宿主(例
えば乳動物)の宿主細胞のタンパク質のように、ほとんど同じ2つのタンパク質
を区別し得る分離方法の発見に基づく。宿主内因性タンパク質を改変することに
よって、動物の乳中に産生された異種タンパク質から宿主タンパク質を分離でき
ることを発見した。
【0005】 しばしば、その動物由来の同じタンパク質を含まない異種タンパク質を精製す
ることが必要である。通常、宿主血清タンパク質は、その血清レベルの2%で乳
中に存在すると推定される。多くの他のタンパク質に関して、そのレベルはマイ
クログラムの範囲である。例えば、乳中のヤギアンチトロンビンIII(ATIII)の
レベルは3μg/ml未満である。しかしながら、そのレベルより遥かに低いレ
ベルまで宿主動物のタンパク質を除去する必要がある。さらには、多くのタンパ
ク質が種の壁を越える高レベルの相同性を有し、宿主動物のタンパク質とその動
物によって発現される異種タンパク質とを分離する方法を妨害する、例えば、ヒ
ト血清アルブミン(HSA)は、ウシ血清アルブミン(BSA)に非常に類似す
る。宿主動物のタンパク質を改変することによって、例えばその動物の乳中に分
泌された異種タンパク質のような異種タンパク質をその動物の内因性タンパク質
から区別および分離できることを発見した。
【0006】 従って、1つの態様において、本発明は、トランスジェニック哺乳動物におい
て発現された異種ポリペプチドを提供する方法に関する。本方法は:異種ポリペ
プチドをコードするトランスジェニック配列を包含し、かつトランスジェニック
哺乳動物によって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現するトランスジ
ェニック哺乳動物を提供し;さらにそのトランスジェニック哺乳動物から異種ポ
リペプチドおよび改変タンパク質を含有する試料を得て、それによって異種ポリ
ペプチドを提供する:各工程を含む。
【0007】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば組織または体液(例えば乳、血
液、尿)のような試料から、改変タンパク質を分離する工程をさらに含んでいて
差し支えない。
【0008】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、改変タンパク質
をコードする遺伝子に関してホモ接合性である。別の好ましい実施形態において
、トランスジェニック動物は、改変タンパク質をコードする遺伝子に関してヘテ
ロ接合性であり、例えば、改変タンパク質は優性的に発現されるタンパク質であ
る。
【0009】 好ましい実施形態において、例えば異種ポリペプチドをコードするcDNA配
列またはゲノム配列のような、異種ポリペプチドをコードするDNA配列で、ト
ランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質をコードする遺
伝子を置換することによって、そのタンパク質を改変する。好ましい実施形態に
おいて、自然に発現されるタンパク質をコードする配列をゲノムから除去しまた
は除去しないで、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の開始コドン
の前に異種ポリペプチドをコードするcDNAを挿入する。自然に発現されるタ
ンパク質をコードする配列が除去されない場合は、そのタンパク質のシグナル配
列を除去しおよび/または異種ポリペプチドをコードするcDNAの3’末端に
終止配列を挿入して差し支えない。従って、置換とは、「発現の置換」を意味し
、ゲノム内でのある遺伝子と別の遺伝子との「交換」とは関連しない。
【0010】 別の好ましい実施形態において、例えば異種ポリペプチドをコードするゲノム
配列等のDNA配列で、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子を置換
し、例えば、自然に発現されるタンパク質を除去しかつ異種ポリペプチドをコー
ドするゲノム配列で置換する。好ましい実施形態において、異種ポリペプチドを
コードする配列を:自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5’非翻
訳領域(UTR)の後に;自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の3
’UTRの前に;自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5’UTR
と3’UTRの間に:挿入する。
【0011】 好ましい実施形態において、タンパク質が変化するように、例えばヌクレオチ
ドを付加、欠失または置換することによってその遺伝子発現を変化させて、トラ
ンスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変する。例え
ば、1つ以上のアミノ酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付加し、または1つ
以上のアミノ酸を置換することによって、タンパク質を改変することができる。
例えば、タンパク質における改変を達成するために、その遺伝子のC末端、N末
端または内部に、ヌクレオチドを付加して差し支えない。好ましい実施形態にお
いて、例えば6xHISリガンド、セルロース結合領域(CBD)リガンド、マ
ルトース結合タンパク質(MBP)リガンド等の予め選択されたリガンドに結合
し得る1つ以上のアミノ酸をタンパク質に付加することによって、トランスジェ
ニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変する。好ましい実施
形態において、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子に親和性タグを
付加することによって、トランスジェニック哺乳動物において自然に発現される
タンパク質を改変する。好ましい実施形態において、1−100、5−50、1
0−30より多くのアミノ酸残基をタンパク質に付加して差し支えない。その残
基は、改変タンパク質とトランスジェニック産物との間に物理的相違をもたらし
、例えば精製において有用である。
【0012】 好ましい実施形態において、例えば終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチ
ドの置換によって終止コドンを変化させる等、タンパク質の終止コドンが変化す
るようにタンパク質をコードする遺伝子を変化させて、トランスジェニック哺乳
動物において自然に発現されるタンパク質を改変する。別の好ましい実施形態に
おいて、終止コドンをコードする配列中の1つ以上のヌクレオチドを欠失させる
ことによって、または終止コドンをコードする配列中に1つ以上のヌクレオチド
を付加することによって、終止コドンを変化させる。
【0013】 好ましい実施形態において、例えば1つ以上のアミノ酸の付加によって終止コ
ドンを変化させる等、タンパク質の終止コドンが変化するようにタンパク質のア
ミノ酸配列を変化させて、トランスジェニック哺乳動物において自然に発現され
るタンパク質を改変する。好ましい実施形態において、サプレッサーtRNAお
よびトランスフェラーゼ酵素を用いてアミノ酸を付加する。好ましい実施形態に
おいて、トランスジェニック動物は:サプレッサーtRNAをコードするトラン
スジェニック配列;トランスフェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック配
列;サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列およびトランス
フェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック配列;組織特異的プロモーター
の制御下にある、サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列;
組織特異的プロモーターの制御下にある、トランスフェラーゼをコードするトラ
ンスジェニック配列:の1つ以上を包含する。
【0014】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、ヤギ、ウシ、ヒ
ツジ、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択される。好ましくは
、トランスジェニック哺乳動物はウシまたはヤギである。
【0015】 好ましい実施形態において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。好
ましい実施形態において、異種ポリペプチドは、血清タンパク質、乳タンパク質
、グルコシル化または非グリコシル化タンパク質である。異種ポリペプチドとし
て、限定はされないが、α-プロテイナーゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ、
アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン、グル
コセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト血清アルブミン、
ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性CD4、ラクトフェリン、
ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エリスロポエチン、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチトロンビンIII、インシ
ュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンが挙げられる。
【0016】 好ましい実施形態において、異種配列は、例えば組織特異的プロモーター(例
えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または尿特異的プロモ
ーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロモーターは、カ
ゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸タンパク質(whe
y acid protein)プロモーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかで
あって差し支えない。
【0017】 別の態様において、本発明は、トランスジェニック哺乳動物によって発現され
た異種ポリペプチドを提供する方法に関する。本方法は:異種ポリペプチドをコ
ードするトランスジェニック配列を包含し、かつトランスジェニック哺乳動物に
よって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現するトランスジェニック哺
乳動物を提供し、ここで、自然に発現されるタンパク質をコードする配列が、異
種ポリペプチドをコードする配列で置換されており;さらに、トランスジェニッ
ク哺乳動物から異種ポリペプチドおよび改変タンパク質を含有する試料を得て、
それによって異種ポリペプチドを提供する:各工程を含む。
【0018】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば組織または体液(例えば乳、血
液、尿)のような試料から、改変タンパク質を分離する工程をさらに含む。
【0019】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、改変タンパク質
をコードする遺伝子に関してホモ接合性である。
【0020】 好ましい実施形態において、例えば異種ポリペプチドをコードするcDNA配
列またはゲノム配列のような、異種ポリペプチドをコードするDNA配列で、ト
ランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を置換すること
によって、そのタンパク質を改変する。好ましい実施形態において、自然に発現
されるタンパク質をコードする配列をゲノムから除去しまたは除去しないで、自
然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の開始コドンの前に、異種ポリペ
プチドをコードするcDNAを挿入する。自然に発現されるタンパク質をコード
する配列が宿主ゲノムから除去されない場合は、そのタンパク質のシグナル配列
を除去しおよび/または異種ポリペプチドをコードするcDNAの3’末端に、
終止配列を挿入して差し支えない。従って、置換とは、「発現の置換」を意味し
、ゲノム内でのある遺伝子と別の遺伝子との「交換」とは関連しない。
【0021】 別の好ましい実施形態において、異種ポリペプチドをコードする例えばゲノム
配列等のDNA配列で、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子を置換
し、例えば、自然に発現されるタンパク質を除去し、かつ異種ポリペプチドのゲ
ノム配列等で置換する。好ましい実施形態において、異種ポリペプチドをコード
する配列を:自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5’非翻訳領域
(UTR)の後に;自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の3’UT
Rの前に;および/または自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5
’UTRと3’UTRの間に:挿入する。
【0022】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、ヤギ、ウシ、ヒ
ツジ、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択される。好ましくは
、トランスジェニック哺乳動物はウシまたはヤギである。
【0023】 好ましい実施形態において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。好
ましい実施形態において、異種ポリペプチドは、血清タンパク質、乳タンパク質
、グルコシル化または非グリコシル化タンパク質である。異種ポリペプチドとし
て、限定はされないが、α-プロテイナーゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ、
アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン、グル
コセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト血清アルブミン、
ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性CD4、ラクトフェリン、
ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エリスロポエチン、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチトロンビンIII、インシ
ュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンが挙げられる。
【0024】 好ましい実施形態において、異種配列は、例えば組織特異的プロモーター(例
えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または尿特異的プロモ
ーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロモーターは、カ
ゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸タンパク質プロ
モーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかであって差し支えない。
【0025】 別の態様において、本発明は、トランスジェニック哺乳動物によって発現され
た異種ポリペプチドを提供する方法に関する。本方法は:異種ポリペプチドをコ
ードするトランスジェニック配列を包含し、かつトランスジェニック哺乳動物に
よって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現するトランスジェニック哺
乳動物を提供し、ここで、例えば1つ以上のアミノ酸の付加、欠失または置換に
よってアミノ酸配列が変化するように、例えば1つ以上のヌクレオチドの付加欠
失または置換によって自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子が修飾さ
れており;さらに、トランスジェニック哺乳動物から異種ポリペプチドおよび改
変タンパク質を含有する試料を得て、それによって異種ポリペプチドを提供する
:各工程を含む。
【0026】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば組織または体液(例えば乳、血
液、尿)のような試料から、改変タンパク質を分離する工程をさらに含んでいて
差し支えない。
【0027】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、改変タンパク質
をコードする遺伝子に関してホモ接合性である。
【0028】 好ましい実施形態において、タンパク質が変化するように、例えばヌクレオチ
ドを付加、欠失または置換することによってその遺伝子の配列を変化させて、ト
ランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変する。例
えば、1つ以上のアミノ酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付加し、または1
つ以上のアミノ酸を置換することによって、自然に発現されるタンパク質を改変
することができる。例えば、自然に発現されるタンパク質における改変を達成す
るために、その遺伝子のC末端、N末端または内部に、ヌクレオチドを付加して
差し支えない。好ましい実施形態において、例えば6xHISリガンド、CBD
リガンド、MBPリガンド等の予め選択されたリガンドに結合し得る1つ以上の
アミノ酸をタンパク質に付加することによって、トランスジェニック哺乳動物に
おいて自然に発現されるタンパク質を改変する。好ましい実施形態において、6
xHISリガンド(金属キレートカラム)、CBDリガンド(例えばセルロース
)、MBPリガンド等の予め選択されたリガンドに対する改変タンパク質の結合
によって、改変タンパク質を試料から分離する。
【0029】 好ましい実施形態において、1−100、5−50、10−30より多くのア
ミノ酸残基を付加して差し支えない。その残基は、改変タンパク質とトランスジ
ェニック産物との間に物理的相違をもたらし、例えば精製において有用である。
【0030】 好ましい実施形態において、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子
に親和性タグを付加することによって、トランスジェニック哺乳動物において自
然に発現されるタンパク質を改変する。
【0031】 好ましい実施形態において、例えば終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチ
ドの置換によって終止コドンを変化させる等、タンパク質の終止コドンが変化す
るようにタンパク質をコードする遺伝子を変化させて、トランスジェニック哺乳
動物において自然に発現されるタンパク質を改変する。別の好ましい実施形態に
おいて、終止コドンをコードする配列中の1つ以上のヌクレオチドを欠失させる
ことによって、または終止コドンをコードする配列中に1つ以上のヌクレオチド
を付加することによって、終止コドンを変化させる。
【0032】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、ヤギ、ウシ、ヒ
ツジ、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択される。好ましくは
、トランスジェニック哺乳動物はウシまたはヤギである。
【0033】 好ましい実施形態において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。好
ましい実施形態において、異種ポリペプチドは、血清タンパク質、乳タンパク質
、グルコシル化または非グリコシル化タンパク質である。異種ポリペプチドとし
て、限定はされないが、α-プロテイナーゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ、
アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン、グル
コセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト血清アルブミン、
ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性CD4、ラクトフェリン、
ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エリスロポエチン、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチトロンビンIII、インシ
ュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンが挙げられる。
【0034】 好ましい実施形態において、異種配列は、例えば組織特異的プロモーター(例
えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または尿特異的プロモ
ーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロモーターは、カ
ゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸タンパク質プロ
モーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかであって差し支えない。
【0035】 別の態様において、本発明は、トランスジェニック哺乳動物によって発現され
た異種ポリペプチドを提供する方法に関する。本方法は:異種ポリペプチドをコ
ードするトランスジェニック配列を包含し、かつトランスジェニック哺乳動物に
よって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現するトランスジェニック哺
乳動物を提供し、ここで、例えば終止コドンに対するアミノ酸の付加、欠失また
は置換等によって終止コドンが変化するように、自然に発現されるタンパク質を
コードする遺伝子が変化しており;さらに、トランスジェニック哺乳動物から異
種ポリペプチドおよび改変タンパク質を含有する試料を得て、それによって異種
ポリペプチドを提供する:各工程を含む。
【0036】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、改変タンパク質
をコードする遺伝子に関してホモ接合性である。別の好ましい実施形態において
、トランスジェニック動物は、改変タンパク質をコードする遺伝子に関してヘテ
ロ接合性であり、例えば、改変タンパク質は優性的に発現されるタンパク質であ
る。
【0037】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば組織または体液(例えば乳、血
液、尿)のような試料から、改変タンパク質を分離する工程をさらに含んでいて
差し支えない。
【0038】 好ましい実施形態において、終止コドンへの1つ以上のアミノ酸の付加によっ
て終止コドンを変化させる。好ましい実施形態において、サプレッサーtRNA
およびトランスフェラーゼ酵素を用いてアミノ酸を付加する。好ましい実施形態
において、トランスジェニック動物は:サプレッサーtRNAをコードするトラ
ンスジェニック配列;トランスフェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック
配列;サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列およびトラン
スフェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック配列;組織特異的プロモータ
ーの制御下にある、サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列
;組織特異的プロモーターの制御下にある、トランスフェラーゼをコードするト
ランスジェニック配列:の1つ以上を包含する。
【0039】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、ヤギ、ウシ、ヒ
ツジ、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択される。好ましくは
、トランスジェニック哺乳動物はウシまたはヤギである。
【0040】 好ましい実施形態において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。好
ましい実施形態において、異種ポリペプチドは、血清タンパク質、乳タンパク質
、グルコシル化または非グリコシル化タンパク質である。異種ポリペプチドとし
て、限定はされないが、α-プロテイナーゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ、
アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン、グル
コセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト血清アルブミン、
ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性CD4、ラクトフェリン、
ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エリスロポエチン、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチトロンビンIII、インシ
ュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンが挙げられる。
【0041】 好ましい実施形態において、異種配列は、例えば組織特異的プロモーター(
例えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または尿特異的プロ
モーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロモーターは、
カゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸タンパク質プ
ロモーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかであって差し支えない
【0042】 別の態様において、本発明は、トランスジェニック哺乳動物によって発現され
たヒト血清アルブミンを提供する方法に関する。本方法は:ヒト血清アルブミン
をコードする導入遺伝子を包含し、かつトランスジェニック哺乳動物によって自
然に発現される血清アルブミンの改変形態を発現するトランスジェニック哺乳動
物を提供し;さらに、トランスジェニック哺乳動物からヒト血清アルブミンおよ
び改変血清アルブミンを含有する試料を得て、それによってヒト血清アルブミン
を提供する:各工程を含む。
【0043】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば乳、血液、尿のような試料から
、改変血清アルブミンを分離する工程をさらに含んでいて差し支えない。
【0044】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、改変血清アルブ
ミンをコードする遺伝子に関してホモ接合性である。別の好ましい実施形態にお
いて、トランスジェニック動物は、改変血清アルブミンをコードする遺伝子に関
してヘテロ接合性であり、例えば、改変血清アルブミン質は優性的に発現される
タンパク質である。
【0045】 好ましい実施形態において、例えばヒト血清アルブミンをコードするcDNA
配列またはゲノム配列のような、ヒト血清アルブミンをコードするDNA配列で
、血清アルブミンをコードする遺伝子を置換することによって、トランスジェニ
ック哺乳動物において自然に発現される血清アルブミンを改変する。好ましい実
施形態において、自然に発現される血清アルブミンをコードする配列をゲノムか
ら除去しまたは除去しないで、自然に発現される血清アルブミンをコードする遺
伝子の開始コドンの前にヒト血清アルブミンをコードするcDNAを挿入する。
自然に発現される血清アルブミンをコードする配列が除去されない場合は、血清
アルブミンのシグナル配列を除去しおよび/またはヒト血清アルブミンをコード
するcDNAの3’末端に終止配列を挿入して差し支えない。従って、置換とは
、「発現の置換」を意味し、ゲノム内でのある遺伝子と別の遺伝子との「交換」
とは関連しない。
【0046】 別の好ましい実施形態において、例えばヒト血清アルブミンをコードするゲノ
ム配列等のDNA配列で、自然に発現される血清アルブミンをコードする遺伝子
を置換し、例えば、自然に発現される血清アルブミンをコードする配列を除去し
かつヒト血清アルブミンをコードするゲノム配列で置換する。好ましい実施形態
において、ヒト血清アルブミンをコードする配列を:自然に発現される血清アル
ブミンをコードする遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)の後に;自然に発現され
る血清アルブミンをコードする遺伝子の3’UTRの前に;自然に発現される血
清アルブミンをコードする遺伝子の5’UTRと3’UTRの間に:挿入する。
【0047】 好ましい実施形態において、血清アルブミンが変化するように、例えばヌクレ
オチドを付加、欠失または置換することによってその遺伝子の配列を変化させて
、トランスジェニック哺乳動物において自然に発現される血清アルブミンを改変
する。例えば、1つ以上のアミノ酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付加し、
または1つ以上のアミノ酸を置換することによって、血清アルブミンを改変する
ことができる。例えば、タンパク質における改変を達成するために、その遺伝子
のC末端、N末端または内部に、ヌクレオチドを付加して差し支えない。好まし
い実施形態において、例えば6xHISリガンド、セルロース結合領域(CBD
)リガンド、マルトース結合タンパク質(MBP)リガンド等の予め選択された
リガンドに結合し得る1つ以上のアミノ酸をタンパク質に付加することによって
、トランスジェニック哺乳動物において自然に発現される血清アルブミンを改変
する。例えば、6xHISリガンド(金属キレートカラム)、CBDリガンド(
例えばセルロース)、MBPリガンド等の予め選択されたリガンドに対する改変
血清アルブミンの結合によって、改変血清アルブミンを試料から分離することが
できる。
【0048】 好ましい実施形態において、1−100、5−50、10−30より多くのア
ミノ酸残基を付加して差し支えない。その残基は、改変血清アルブミンとトラン
スジェニック産物との間に物理的相違をもたらし、例えば精製において有用であ
る。
【0049】 好ましい実施形態において、自然に発現される血清アルブミンをコードする遺
伝子に親和性タグを付加することによって、トランスジェニック哺乳動物におい
て自然に発現される血清アルブミンを改変する。
【0050】 好ましい実施形態において、例えば終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチ
ドの置換によって終止コドンを変化させる等、血清アルブミンの終止コドンが変
化するように血清アルブミンをコードする遺伝子を変化させて、トランスジェニ
ック哺乳動物において自然に発現される血清アルブミンを改変する。別の好まし
い実施形態において、終止コドンをコードする配列中の1つ以上のヌクレオチド
を欠失させることによって、または終止コドンをコードする配列中に1つ以上の
ヌクレオチドを付加することによって、終止コドンを変化させる。
【0051】 好ましい実施形態において、例えば1つ以上のアミノ酸の付加によって終止コ
ドンを変化させる等、血清アルブミンの終止コドンが変化するように血清アルブ
ミンのアミノ酸配列を変化させて、トランスジェニック哺乳動物において自然に
発現される血清アルブミンを改変する。好ましい実施形態において、サプレッサ
ーtRNAおよびトランスフェラーゼ酵素を用いてアミノ酸を付加する。好まし
い実施形態において、トランスジェニック動物は:サプレッサーtRNAをコー
ドするトランスジェニック配列;トランスフェラーゼ酵素をコードするトランス
ジェニック配列;サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列お
よびトランスフェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック配列;例えば肝臓
特異的プロモーター等の組織特異的プロモーターの制御下にあるサプレッサーt
RNAをコードするトランスジェニック配列;例えば肝臓特異的プロモーター等
の組織特異的プロモーターの制御下にあるトランスフェラーゼをコードするトラ
ンスジェニック配列:の1つ以上を包含する。
【0052】 好ましい実施形態において、トランスジェニック哺乳動物は、ヤギ、ウシ、ヒ
ツジ、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択される。好ましくは
、トランスジェニック哺乳動物はウシまたはヤギである。
【0053】 好ましい実施形態において、ヒト血清アルブミン配列は、例えば組織特異的プ
ロモーター(例えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または
尿特異的プロモーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロ
モーターは、カゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸
タンパク質プロモーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかであって
差し支えない。
【0054】 別の態様において、本発明は、トランスジェニックウシによって発現されたヒ
ト血清アルブミンを提供する方法に関する。
【0055】 本方法は:ヒト血清アルブミンをコードする導入遺伝子を包含し、かつトラン
スジェニックウシによって自然に発現されるウシ血清アルブミンの改変形態を発
現するトランスジェニックウシを提供し;さらに、トランスジェニックウシから
ヒト血清アルブミンおよび改変ウシ血清アルブミンを含有する試料を得て、それ
によってヒト血清アルブミンを提供する:各工程を含む。
【0056】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば乳、血液、尿のような試料から
、改変ウシ血清アルブミンを分離する工程をさらに含んでいて差し支えない。
【0057】 好ましい実施形態において、トランスジェニックウシは、改変ウシ血清アルブ
ミンをコードする遺伝子に関してホモ接合性である。別の好ましい実施形態にお
いて、トランスジェニックウシは、改変ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子
に関してヘテロ接合性であり、例えば、改変ウシ血清アルブミン質は優性的に発
現されるタンパク質である。
【0058】 好ましい実施形態において、例えばヒト血清アルブミンをコードするcDNA
配列またはゲノム配列のような、ヒト血清アルブミンをコードするDNA配列で
、ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子を置換することによって、トランスジ
ェニックウシにおいて自然に発現されるウシ血清アルブミンを改変する。好まし
い実施形態において、自然に発現される血清アルブミンをコードする配列をゲノ
ムから除去しまたは除去しないで、ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子の開
始コドンの前にヒト血清アルブミンをコードするcDNAを挿入する。好ましい
実施形態において、ウシ血清アルブミン遺伝子のエキソン2に、ヒト血清アルブ
ミンをコードするcDNAを挿入する。別の好ましい実施形態において、ウシ血
清アルブミンのシグナル配列を除去しおよび/またはヒト血清アルブミンをコー
ドするcDNAの3’末端に、例えばウシポリA終止配列等の終止配列を挿入し
て差し支えない。従って、置換とは、「発現の置換」を意味し、ゲノム内でのあ
る遺伝子と別の遺伝子との「交換」とは関連しない。
【0059】 別の好ましい実施形態において、例えばヒト血清アルブミンをコードするゲノ
ム配列等のDNA配列で、ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子を置換し、例
えば、ウシ血清アルブミンをコードする配列を除去しかつヒト血清アルブミンを
コードするゲノム配列で置換する。好ましい実施形態において、ヒト血清アルブ
ミンをコードするゲノム配列を:ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子の5’
非翻訳領域(UTR)の後に;ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子の3’U
TRの前に;ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子の5’UTRと3’UTR
の間に:挿入する。
【0060】 好ましい実施形態において、ウシ血清アルブミンが変化するように、例えばヌ
クレオチドを付加、欠失または置換することによってその遺伝子の配列を変化さ
せて、ウシ血清アルブミンを改変する。例えば、1つ以上のアミノ酸を欠失させ
、1つ以上のアミノ酸を付加し、または1つ以上のアミノ酸を置換することによ
って、ウシ血清アルブミンを改変することができる。例えば、ウシ血清アルブミ
ンにおける改変を達成するために、その遺伝子のC末端、N末端または内部に、
ヌクレオチドを付加して差し支えない。好ましい実施形態において、例えば6x
HISリガンド、セルロース結合領域(CBD)リガンド、マルトース結合タン
パク質(MBP)リガンド等の予め選択されたリガンドに結合し得る1つ以上の
アミノ酸をウシ血清アルブミンに付加することによって、ウシ血清アルブミンを
改変する。例えば、6xHISリガンド(金属キレートカラム)、CBDリガン
ド(例えばセルロース)、MBPリガンド(例えばマルトース)等の予め選択さ
れたリガンドに対する改変ウシ血清アルブミンの結合によって、改変ウシ血清ア
ルブミンを試料から分離することができる。
【0061】 好ましい実施形態において、1−100、5−50、10−30より多くのア
ミノ酸残基を付加して差し支えない。その残基は、改変ウシ血清アルブミンとヒ
ト血清アルブミンとの間に物理的相違をもたらし、例えば精製において有用であ
る。
【0062】 好ましい実施形態において、ウシ血清アルブミンをコードする遺伝子に親和性
タグを付加することによって、ウシ血清アルブミンを改変する。
【0063】 好ましい実施形態において、例えば終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチ
ドの置換によって終止コドンを変化させる等、ウシ血清アルブミンの終止コドン
が変化するようにウシ血清アルブミンをコードする遺伝子を変化させて、ウシ血
清アルブミンを改変する。別の好ましい実施形態において、例えばウシ血清アル
ブミンのTAA終止コドンの1つ以上のヌクレオチドを除去する等、終止コドン
をコードする配列中の1つ以上のヌクレオチドを欠失させることによって、また
は終止コドンをコードする配列中に1つ以上のヌクレオチドを付加することによ
って、終止コドンを変化させる。
【0064】 好ましい実施形態において、例えば1つ以上のアミノ酸の付加によって終止コ
ドンを変化させる等、終止コドンが変化するようにウシ血清アルブミンのアミノ
酸配列を変化させて、ウシ血清アルブミンを改変する。好ましい実施形態におい
て、サプレッサーtRNAおよびトランスフェラーゼ酵素を用いてアミノ酸を付
加する。好ましい実施形態において、トランスジェニックウシは:サプレッサー
tRNAをコードするトランスジェニック配列;トランスフェラーゼ酵素をコー
ドするトランスジェニック配列;サプレッサーtRNAをコードするトランスジ
ェニック配列およびトランスフェラーゼ酵素をコードするトランスジェニック配
列;例えば肝臓特異的プロモーター等の組織特異的プロモーターの制御下にある
サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列;例えば肝臓特異的
プロモーター等の組織特異的プロモーターの制御下にあるトランスフェラーゼを
コードするトランスジェニック配列:の1つ以上を包含する。好ましい実施形態
において、サプレッサーtRNAは、少なくとも2、3、4、5、6塩基コドン
を認識し、例えば、サプレッサーtRNAは、ウシ血清アルブミンコード領域の
末端にあるTAAAC配列を認識する。
【0065】 好ましい実施形態において、ヒト血清アルブミン配列は、例えば組織特異的プ
ロモーター(例えば、乳特異的プロモーター、血液特異的プロモーター、または
尿特異的プロモーター等)のようなプロモーターの制御下にある。乳特異的プロ
モーターは、カゼインプロモーター、βラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸
タンパク質プロモーターおよびラクトアルブミンプロモーターの何れかであって
差し支えない。
【0066】 別の態様において、本発明は、宿主細胞によって発現された異種ポリペプチド
を提供する方法に関する。本方法は:異種ポリペプチドをコードするヌクレオチ
ド配列を包含し、かつその細胞によって自然に発現されるタンパク質の改変形態
を発現する細胞を提供し;さらに、異種ポリペプチドおよび改変タンパク質を含
有する試料を細胞から得て、それによって異種ポリペプチドを提供する:各工程
を含む。
【0067】 好ましい実施形態において、本方法は、例えば培養液から改変タンパク質を分
離する等、試料から改変タンパク質を分離する工程をさらに含んでいて差し支え
ない。
【0068】 好ましい実施形態において、細胞は、改変タンパク質をコードする遺伝子に関
してホモ接合性である。別の好ましい実施形態において、細胞は、改変タンパク
質をコードする遺伝子に関してヘテロ接合性であり、例えば、改変タンパク質は
優性的に発現されるタンパク質である。
【0069】 好ましい実施形態において、例えば異種ポリペプチドをコードするcDNA配
列またはゲノム配列のような、異種ポリペプチドをコードするDNA配列で、タ
ンパク質をコードする遺伝子を置換することによって、細胞において自然に発現
されるタンパク質を改変する。好ましい実施形態において、自然に発現されるタ
ンパク質をコードする配列をゲノムから除去しまたは除去しないで、自然に発現
されるタンパク質をコードする遺伝子の開始コドンの前に異種ポリペプチドをコ
ードするcDNAを挿入する。自然に発現されるタンパク質をコードする配列が
除去されない場合は、タンパク質のシグナル配列を除去しおよび/または異種ポ
リペプチドをコードするcDNAの3’末端に終止配列を挿入して差し支えない
。従って、置換とは、「発現の置換」を意味し、ゲノム内でのある遺伝子と別の
遺伝子との「交換」とは関連しない。
【0070】 別の好ましい実施形態において、例えば異種ポリペプチドをコードするゲノム
配列等のDNA配列で、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子を置換
し、例えば、自然に発現されるタンパク質を除去しかつ異種ポリペプチドをコー
ドするゲノム配列で置換する。好ましい実施形態において、異種ポリペプチドを
コードする配列を:自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5’非翻
訳領域(UTR)の後に;自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の3
’UTRの前に;自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の5’UTR
と3’UTRの間に:挿入する。
【0071】 好ましい実施形態において、タンパク質が変化するように、例えばヌクレオチ
ドを付加、欠失または置換することによってその遺伝子の配列を変化させて、細
胞において自然に発現されるタンパク質を改変する。例えば、1つ以上のアミノ
酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付加し、または1つ以上のアミノ酸を置換
することによって、タンパク質を改変することができる。例えば、タンパク質に
おける改変を達成するために、その遺伝子のC末端、N末端または内部に、ヌク
レオチドを付加して差し支えない。好ましい実施形態において、例えば6xHI
Sリガンド、セルロース結合領域(CBD)リガンド、マルトース結合タンパク
質(MBP)リガンド等の予め選択されたリガンドに結合し得る1つ以上のアミ
ノ酸をタンパク質に付加することによって、細胞において自然に発現されるタン
パク質を改変する。好ましい実施形態において、自然に発現されるタンパク質を
コードする遺伝子に親和性タグを付加することによって、細胞において自然に発
現されるタンパク質を改変する。好ましい実施形態において、1−100、5−
50、10−30より多くのアミノ酸残基を付加して差し支えない。その残基は
、改変タンパク質と異種産物との間に物理的相違をもたらし、例えば精製におい
て有用である。
【0072】 好ましい実施形態において、例えば終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチ
ドの置換によって終止コドンを変化させる等、タンパク質の終止コドンが変化す
るようにタンパク質をコードする遺伝子を変化させて、細胞において自然に発現
されるタンパク質を改変する。別の好ましい実施形態において、終止コドンをコ
ードする配列中の1つ以上のヌクレオチドを欠失させることによって、または終
止コドンをコードする配列中に1つ以上のヌクレオチドを付加することによって
、終止コドンを変化させる。
【0073】 好ましい実施形態において、例えば1つ以上のアミノ酸の付加によって終止コ
ドンを変化させる等、タンパク質の終止コドンが変化するようにタンパク質のア
ミノ酸配列を変化させて、細胞において自然に発現されるタンパク質を改変する
。好ましい実施形態において、サプレッサーtRNAおよびトランスフェラーゼ
酵素を用いてアミノ酸を付加する。好ましい実施形態において、細胞は:サプレ
ッサーtRNAをコードする配列;トランスフェラーゼ酵素をコードする配列;
サプレッサーtRNAをコードする配列およびトランスフェラーゼ酵素をコード
する配列;プロモーターの制御下にあるサプレッサーtRNAをコードする配列
;例えばプロモーターの制御下にあるトランスフェラーゼをコードする配列:の
1つ以上を包含する。
【0074】 好ましい実施形態において、細胞は真核細胞である。好ましい実施形態におい
て、細胞は、真菌、植物または動物由来であり、例えば脊椎動物由来である。好
ましい実施形態において、細胞は、例えば一次または二次哺乳類細胞(例えば線
維芽細胞、造血幹細胞、筋芽細胞、ケラチノサイト、上皮細胞、内皮細胞、グリ
ア細胞、神経細胞、形成血液成分(formed element of the blood)を含む細胞、
筋肉細胞およびそれら体細胞の前駆体)等の哺乳類細胞;形質転換細胞株または
不滅化細胞株:である。好ましくは、細胞はヒト細胞である。別の実施形態にお
いて、細胞株は、例えばCHO細胞株、COS細胞株等のヒト細胞株以外の細胞
株であって差し支えない。
【0075】 好ましい実施形態において、異種ポリペプチドはヒトポリペプチドである。好
ましい実施形態において、異種ポリペプチドは、血清タンパク質、乳タンパク質
、グルコシル化または非グリコシル化タンパク質である。異種ポリペプチドとし
て、限定はされないが、α-プロテイナーゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ、
アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン、グル
コセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト血清アルブミン、
ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性CD4、ラクトフェリン、
ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エリスロポエチン、組織プ
ラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチトロンビンIII、インシ
ュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンが挙げられる。
【0076】 また、本発明は、この中に記載の自然に発現された改変タンパク質を包含する
動物、精子、卵母細胞、胚または胎児を含む。さらに、本発明は、この中に記載
の細胞株およびDNA構成物を含む。
【0077】 本発明の別の態様は、異種ポリペプチドとトランスジェニック動物において自
然に発現されるタンパク質との分離における有用性に関して、親和性タグを評価
する方法に関する。インビボまたはインビトロで評価を実施することができる。
インビトロ法は:標準的組換え法によって、親和性タグを包含する遺伝子を操作
し;組み換え的にタグ付けされたタンパク質を得て;例えば体液(例えば乳、血
液、尿)等の試料中にタグ付きタンパク質および異種ポリペプチドの両方を加え
;さらに、試料から分離され得るタグ付きタンパク質のレベルを評価して、それ
によってそのタグの有用性を評価する:各工程を含む。
【0078】 「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」の用語は、この中で互
換的に用いられている。
【0079】 この中で用いられている「トランスジェニック配列」の用語は、技術によって
細胞に導入された核酸配列(例えば1つ以上のヒトタンパク質をコードする)を
称する。また、トランスジェニック配列は、この中で導入遺伝子としても称され
ているが、その導入された細胞から全部または一部が発生する動物のゲノムの一
部となる。本発明の実施形態において、トランスジェニック配列は染色体ゲノム
中に一体化される。トランスジェニック配列がゲノム中に一体化される場合、単
にその挿入の効果によって、結果としてその配列が挿入されているゲノムの核酸
配列に変化をもたらす。トランスジェニック配列は、部分的にまたは完全に、種
が異なっていて差し支えなく、すなわち、トランスジェニック配列またはその一
部は、それが導入される細胞と異なる種に由来していて差し支えない。トランス
ジェニック配列は、部分的にまたは完全に、種が同じであって差し支えなく、す
なわち、トランスジェニック配列またはその一部は、それが導入される細胞と同
じ種に由来していて差し支えない。トランスジェニック配列が、それが導入され
る細胞の内因性遺伝子と同種(配列の意味においてまたは種が同じであるという
意味において)である場合、好ましくは、トランスジェニック配列は1つ以上の
以下の特徴を有する:それが挿入される細胞ゲノムの配列を変化させるように(
例えば内因性遺伝子の位置と異なる位置に挿入され、またはその挿入が結果とし
て内因性遺伝子の配列に変化をもたらすように)、細胞ゲノム中に挿入するため
に設計され、または細胞ゲノム中に挿入され;例えばトランスジェニック配列の
異常発現(misexpression)をもたらす変異のような変異を含み;その挿入の効果
として、それが挿入されている遺伝子の異常発現をもたらすことができ、例えば
、その挿入が結果として、それが挿入された遺伝子のノックアウトをもたらす。
トランスジェニック配列は、選択された核酸の所望のレベルまたはパターンの発
現のために必要でありかつその選択された核酸に作動可能に連結された、1つ以
上の転写調節配列および例えばイントロンのような任意の他の核酸配列を含む。
トランスジェニック配列は、エンハンサー配列および/または分泌を可能とする
配列を含んでいて差し支えない。
【0080】 この中で用いられている「トランスジェニック動物」は、その動物の1つ以上
の、好ましくはほとんど全ての細胞が導入遺伝子を包含する、例えばウシ、ヤギ
、ウマ、ヒツジ、ラクダ、ラマ、マウスまたはラット等、ヒト以外の哺乳動物の
ような動物である。例えばマイクロインジェクション、トランスフェクション、
例えば組換えウィルスの感染等の感染、または核移植によって、直接的に、また
は細胞の前駆体に導入することによって間接的に、導入遺伝子を細胞に導入する
ことができる。遺伝子操作の用語は、組換えDNA分子の導入を意味する。その
分子は、染色体内に一体化されて差し支えなく、あるいは染色体外で複製するD
NAであっても差し支えない。トランスジェニック動物は、導入遺伝子に関して
、例えばヘテロ接合性またはホモ接合性であって差し支えない。
【0081】 本発明の他の特徴および利点は、以下の説明および請求項から明らかになるで
あろう。
【0082】 発明の詳細な説明 動物において自然に発現されるタンパク質を改変する方法 トランスジェニック動物によって自然に発現されるタンパク質の改変形態を包
含するトランスジェニック動物を作ることができる。宿主動物の内因性タンパク
質から分離され得る異種ポリペプチドを作成するのにそのような動物を用いるこ
とができる。
【0083】 「改変タンパク質」または「自然に発現されるタンパク質を改変する」の用語は
、そのタンパク質をコードする遺伝子および/またはそのタンパク質のアミノ酸
配列における修飾を称する。改変は、例えば、遺伝子配列における改変、あるい
は転写または翻訳における改変を含んでいて差し支えない。この中で用いられて
いる「自然に発現されるタンパク質」の用語は、宿主動物の内因性タンパク質を
称する。例えば、ウシ血清アルブミンは、ウシにおいて発現される内因性タンパ
ク質である。
【0084】 宿主内因性遺伝子の改変は、分子生物技術を用いてまず遺伝子をクローン化し
、次に宿主動物の細胞に導入され得るDNA分子を構築して成される。
【0085】 それは、異種ポリペプチドをコードする配列で、内因性宿主遺伝子を置換する
ことによって成される。この中で用いられている「置換する」の用語は、「発現
の置換」を称し、ゲノム内でのある遺伝子と別の遺伝子との「交換」とは関連し
ない。従って、自然に発現されるタンパク質をコードする配列をゲノムから除去
しまたは除去しないで、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の開始
コドンの前に、異種ポリペプチドをコードする例えばcDNA等のDNA配列を
挿入する。例えば、トランスジェニックウシにおける発現のために、ウシ血清ア
ルブミンをコードする配列を除去しないで、ウシ血清アルブミン遺伝子のエキソ
ン2に、ヒト血清アルブミンをコードするcDNAを挿入して差し支えない。別
の好ましい実施形態において、異種ポリペプチドをコードする例えばゲノム配列
のようなDNA配列で、自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子を置換
し、例えば、自然に発現されるタンパク質をコードする配列を除去しかつ例えば
異種ポリペプチドのゲノム配列で置換する 異種ポリペプチドをコードする配列を:自然に発現されるタンパク質をコード
する遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)の後に;自然に発現されるタンパク質を
コードする遺伝子の3’UTRの前に;および/または自然に発現されるタンパ
ク質をコードする遺伝子の5’UTRと3’UTRの間に:挿入する。
【0086】 さらには、自然に発現されるタンパク質をコードする配列が宿主ゲノムから除
去されない場合は、他の修飾が宿主のゲノムに成される。例えば、宿主内因性タ
ンパク質が分泌される場合は、タンパク質からシグナル配列を除去し、さらに、
異種ポリペプチドをコードするcDNAの3’末端に、例えばウシポリA終止配
列等の終止配列を挿入して差し支えない。
【0087】 自然に発現されるタンパク質を改変する別のアプローチは、トランスジェニッ
ク産物、すなわち異種ポリペプチドから内因性タンパク質をさらに容易に除去精
製することを可能とするタグを内因性タンパク質に付加することである。タンパ
ク質が変化するように、例えばヌクレオチドを付加、欠失または置換することに
よってその遺伝子の配列を変化させて、内因性タンパク質を改変することができ
る。例えば、1つ以上のアミノ酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付加し、ま
たは1つ以上のアミノ酸を置換することによって、自然に発現されるタンパク質
を改変することができる。例えば、自然に発現されるタンパク質における改変を
達成するために、その遺伝子のC末端、N末端または内部に、ヌクレオチドを付
加して差し支えない。
【0088】 内因性タンパク質を改変する1つのアプローチは、予め選択されたリガンドに
結合し得る1つ以上のアミノ酸をタンパク質に付加することである。例えば、内
因性タンパク質をコードする親和性タグを付加することによって、内因性タンパ
ク質を改変することができる。好ましくは、1−100、5−50、10−30
より多くのアミノ酸残基を付加して差し支えない。その残基は、改変タンパク質
と異種ポリペプチドとの間に物理的相違をもたらす。親和性タグの例として、6
xHISタグ、セルロース結合領域(CBD)タグ、マルトース結合タンパク質
(MBP)タグ、ならびに、宿主動物に最小の影響を及ぼすであろう任意の他の
ペプチドが挙げられる。試料から改変タンパク質を分離するために、予め選択さ
れたリガンドに結合し得る付加アミノ酸を包含する改変タンパク質を用いること
ができる。例えば、6xHISリガンド(金属キレートカラム)、CBDリガン
ド(例えばセルロース)、MBPリガンド(例えばマルトース)等の予め選択さ
れたリガンドに対する改変タンパク質の結合によって、試料から改変タンパク質
を分離することができる。
【0089】 内因性タンパク質を改変する別のアプローチは、例えば終止コドンにおける1
つ以上のヌクレオチドの置換によって終止コドンを変化させる等、ウシ血清アル
ブミンの終止コドンが変化するようにウシ血清アルブミンをコードする遺伝子を
修飾する。別の好ましい実施形態において、例えばウシ血清アルブミンをコード
する配列のTAA終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチドを除去する等、終
止コドンをコードする配列中の1つ以上のヌクレオチドを欠失させることによっ
て、または終止コドンをコードする配列中に1つ以上のヌクレオチドを付加する
ことによって、終止コドンを変化させる。例えば1つ以上のアミノ酸の付加によ
って終止コドンを変化させる等、タンパク質のアミノ酸配列を変化させて、タン
パク質レベルで終止コドンを変化させて差し支えない。例えば、サプレッサーt
RNAおよびトランスフェラーゼ酵素を用いてアミノ酸を付加して差し支えない
。サプレッサーtRNAをコードするトランスジェニック配列をトランスジェニ
ック動物において発現させて差し支えない。さらには、トランスフェラーゼ酵素
をコードするトランスジェニック配列をトランスジェニック動物において発現さ
せて差し支えない。好ましくは、サプレッサーtRNAまたはトランスフェラー
ゼ酵素の何れかをコードするトランスジェニック配列は、組織特異的プロモータ
ーの制御下にある。従って、サプレッサーtRNAが用いられた場合に、特定塩
基コドンを有する全てのタンパク質を抑制する効果を限定するために、tRNA
およびトランスフェラーゼ酵素の発現を所望の組織にほとんど限定するために組
織特異的プロモーターを用いることができる。例えば、内因性タンパク質が、肝
臓で産生されるウシ血清アルブミンである場合、tRNAの発現を肝臓に限定す
るために、肝臓特異的プロモーターを用いることができる。
【0090】 好ましくは、サプレッサーtRNAは、少なくとも2、3、4、5、6塩基コ
ドンを認識し、例えば、サプレッサーtRNAは、ウシ血清アルブミンコード領
域の末端にあるTAAAC配列を認識する。
【0091】 自然に発現されるタンパク質を改変する方法は、内因性遺伝子の1コピーを操
作することによって成され、続いて、核移植によって胚、胎児または成動物(adu
lt animal)を得て、胎児線維芽細胞株等の細胞株を作るためにそれを用いること
ができる。改変ポリペプチドをコードする遺伝子と異種であるトランスジェニッ
ク動物を作成するために、そのような細胞を用いることができる。また、内因性
遺伝子の他の野生型コピーを操作するために、それら細胞株を用いても差し支え
ない。得られた細胞株は、両方の対立遺伝子において改変された内因性遺伝子を
運ぶであろう。改変タンパク質をコードする遺伝子に関してホモ接合性であるト
ランスジェニック動物を作るために、そのような細胞を用いることができる。
【0092】 導入遺伝子によってコードされた異種ポリペプチドを例えば乳中に産生するの
みならず、改変された自然に発現されるタンパク質を例えばその循環中に運ぶ、
ラクダまたはヤギ等の動物の生産群を作るための核移植工程においてそれら細胞
株を用いることができる。
【0093】 トランスフェクト細胞株 例えばタンパク質をコードする核酸等の関心のある核酸が導入された細胞株か
ら、トランスジェニック哺乳動物を作るための遺伝子組換え細胞を得ることがで
きる。
【0094】 従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって、構成物を細胞に導
入することができる。この中で用いられている「トランスフェクション」および
「形質転換」の用語は、宿主細胞にトランスジェニック配列を導入するための種
々の技術を含み、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈法、DEAE-デ
キストラン法、リポフェクション、あるいはエレクトロポレーション等が挙げら
れる。さらには、以下に記載のように、例えばウィルスベクターのような生物ベ
クターを用いて差し支えない。宿主を形質転換またはトランスフェクションする
ための適切な方法は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Man
ual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, (Cold Spring Harbor Laborat
ory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、および他の適切な実験マニュアル
に記載されている。
【0095】 2つの有用な方法は、エレクトロポレーションとリポフェクションである。各
方法の簡単な例を以下に記載する。
【0096】 以下のプロトコルを用いて、エレクトロポレーションによって、例えば胚性体
細胞株等の胚性細胞のようなドナー細胞株に、DNA構成物を安定に導入するこ
とができる。約4x106細胞/mlの濃度でPBS中に細胞を再懸濁液させる。線状
化DNA(50μg)を細胞懸濁液(0.5ml)に添加し、その懸濁液を0.4cmの電極間隙
キュベット(Biorad)に設置する。Biorad Gene Pulserエレクトロポレーター(25m
A、1000マイクロファラッドおよび無限抵抗で330ボルトパルス)を用いてエレク
トロポレーションを実施する。選択のためにDNA構成物がネオマイシン耐性遺
伝子を包含する場合は、350μg/mlのG418(GibcoBRL)と共に15日間インキ
ュベートした後、ネオマイシン耐性クローンを選択する。
【0097】 以下のようなプロトコルを用いて、リポフェクションによってドナー体細胞に
DNA構成物を安定に導入することができる:約2x105の細胞を3.5シミアメー
ター(cmiameter)に設置し、さらにLipfectAMINETM(GibcoBRL)を用いて線状化D
NA(2μg)でトランスフェクションする;トランスフェクションの48時間後、細
胞を1:1000および1:5000に希釈し、選択のためにDNA構成物がネオマイシン
耐性遺伝子を包含する場合は、G418を最終濃度0.35mg/mlとなるように添加
する;ネオマイシン耐性クローンを単離し、さらに低温保存ならびに核移植のた
めに増殖させる。
【0098】 トランスジェニック哺乳動物 ヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を作る方法は当業界で公知である。そ
のような方法は、哺乳動物の生殖細胞系にDNA構成物を導入してトランスジェ
ニック動物を作ることを含む。例えば、標準的なトランスジェニック技術によっ
て、DNA構成物の1以上のコピーを哺乳動物の胚のゲノムに組み込んで差し支
えない。
【0099】 ウシおよびヤギは好ましい細胞供給源であるが、他のヒト以外の哺乳動物を用
いても差し支えない。好ましいヒト以外の哺乳動物は、例えばウシ、ヒツジ、ラ
クダまたはヤギのような反芻動物である。好ましいヒト以外の動物の別の例示と
して、雄ウシ、ウマ、ラマ、ブタ、マウスおよびラットが挙げられる。例えば遺
伝子組換え細胞等の細胞の供給源として用いられる哺乳動物は、得られるべきト
ランスジェニック哺乳動物に依存するであろう。例えば、ウシ卵母細胞を用いた
核移植のためにウシ由来のゲノムを用いる。
【0100】 様々なトランスジェニック動物を作る方法は当業界で公知である。トランスジ
ェニックヤギを作るプロトコルは当業界で公知である。例えば、マイクロインジ
ェクションによってヤギの生殖細胞に導入遺伝子を導入して差し支えない(例え
ば、参照によってこの中に組み込まれるEbert et al. (1994) Bio/Technology 1
2: 699を参照)。
【0101】 トランスジェニックブタを作るプロトコルは、White and Yannoutsos, Curren
t Topics in Complement Research: 64th Forum in Immunology, pp.88-94;米国
特許第5,523,226号;米国特許第5,573,933号;国際特許公開第WO93/25071号;
および国際特許公開第WO95/04744号に記載されている。トランスジェニックラ
ットを作成するプロトコルは、Bader and Ganten, Clinical and Experimental
Pharmacology and Physiology, Supp. 3: S81-87, 1996に記載されている。トラ
ンスジェニックウシを作るプロトコルは、米国特許第5,741,957号およびTransge
nic Animal Technology,A Handbook, 1994, ed., Carl A.Pinkert, Academic
Press, Inc.に記載されている。トランスジェニックヒツジを作るプロトコルは
、国際特許公開第WO97/07669号およびTransgenic Animal Technology,A Han
dbook, 1994, ed., Carl A.Pinkert, Academic Press, Inc.に記載されている。
【0102】 タンパク質の組織特異的発現 例えば異種タンパク質のようなタンパク質をトランスジェニック哺乳動物の特
定組織または体液(例えば乳)中に発現させることが望ましい場合が多い。異種
タンパク質が発現されている組織または体液からそれらタンパク質を回収するこ
とができる。例えば、乳中に異種タンパク質を発現させるのが望ましい場合が多
い。乳特異的プロモーターの制御下において、異種タンパク質を産生させる方法
が以下に記載されている。さらには、他の組織特異的プロモーターならびに他の
制御要素(例えばシグナル配列および非分泌タンパク質の分泌を高める配列)を
以下に記載する。
【0103】 乳特異的プロモーター 有用な転写プロモーターは、好ましくは哺乳類の上皮細胞において活性化され
るプロモーターであり、カゼイン、βラクトグロブリン(Clark et al., (1989)
Bio/Technology 7: 487-492)、乳漿酸タンパク質(Gordonet al. (1987) Bio/Tec
hnology 5: 1183-1187)およびラクトアルブミン(Soulier et al., (1992) FEBS
Letts. 297: 13) のような乳タンパク質をコードする遺伝子を制御するようなプ
ロモーターが挙げられる。カゼインプロモーターは、任意の哺乳類のα、β、γ
またはκカゼイン遺伝子に由来していて差し支えなく;好ましいプロモーターは
ヤギβカゼイン遺伝子に由来する(DiTullio, (1992) Bio/Technology 10: 74-77
)。乳特異的タンパク質プロモーターまたは乳腺組織において特異的に活性化さ
れるプロモーターは、cDNAに由来していてもまたはゲノム配列に由来してい
ても差し支えない。好ましくは、ゲノム配列に由来する。
【0104】 1つ以上、およびしばしばいくつかの生物における上に挙げた乳腺特異的遺伝
子のDNA配列情報を利用できる。例えば、Richards et al., J. Biol. Chem.
256, 526-532 (1981)(ラットα-ラクトアルブミン);Campbell et al., Nucleic
Acids Res. 12, 8685-8697 (1984)(ラットWAP);Junes et al., J. Biol. Ch
em. 260, 7042-7050 (1985)(ラットβ-カゼイン);Yu-Lee & Rosen, J. Biol
. Chem. 258, 10794-10804 (1983)(ラットγ-カゼイン);Hall, Biochem. J.
242, 735-742 (1987)(ヒトα-ラクトアルブミン);Stewart, Nucleic Acids R
es. 12, 389 (1984)(ウシαs1およびκカゼインcDNA);Gorodetsky et al., G
ene 66, 87-96 (1988)(ウシβカゼイン);Alexander et al., Eur. J. Bioche
m. 178, 395-401 (1988)(ウシκカゼイン);Brignon et al., FEBS Lett. 188
, 48-55 (1977)(ウシαS2カゼイン);Jamieson et al., Gene 61, 85-90 (198
7), Ivanov et al., Biol. Chem. Hoppe-Seyler 369, 425-429 (1988), Alexand
er et al., Nucleic Acids Res. 17, 6739 (1989)(ウシβラクトグロブリン)
;Vilotte et al., Biochimie 69, 609-620 (1987)(ウシαラクトアルブミン
)を参照。種々の乳タンパク質遺伝子の構造および機能がMercier & Vilotte,
J. Dairy Sci. 76, 3079-3098 (1993)(全ての目的のため、参照によってその全
てが組み込まれる)。追加のフランキング配列が異種タンパク質の発現を最適化
するのに有用である場合、既存の配列をプローブとして用いて、そのような配列
をクローン化することができる。公知の同起源のヌクレオチド配列または同起源
のタンパク質に対する抗体をプローブとして用いて、そのような生物からのライ
ブラリーをスクリーニングすることによって、異なる生物由来の乳腺特異的制御
配列を得ることができる。
【0105】 シグナル配列 有用なシグナル配列は乳特異的シグナル配列、あるいは真核生物または原核生
物のタンパク質の分泌をもたらすような他のシグナル配列である。好ましくは、
シグナル配列は、乳特異的シグナル配列から選択され、すなわち、乳中に分泌さ
れる産物をコードする遺伝子に由来する。最も好ましくは、乳特異的シグナル配
列はそのDNA構成物において用いられている乳特異的プロモーター(以下に記
載されている)に関連する。シグナル配列のサイズは重要でない。要求されるこ
とは、その配列が、例えば乳腺組織に所望の組換えタンパク質の分泌をもたらす
のに充分なサイズであることでのみである。例えばα、β、γまたはκカゼイン
のようなカゼイン、βラクトグロブリン、乳漿酸タンパク質およびラクトアルブ
ミンをコードする遺伝子からのシグナル配列を用いて差し支えない。好ましいシ
グナル配列は、ヤギのβ―カゼインシグナル配列である。
【0106】 例えば腎細胞、膵細胞または肝細胞によって分泌されるタンパク質のような他
の分泌タンパク質からのシグナル配列を用いても差し支えない。好ましくは、シ
グナル配列は、例えば尿または血液中にタンパク質の分泌をもたらす。
【0107】 分泌タンパク質のアミノ末端領域 非分泌タンパク質が分泌されるようなやり方で(例えば、分泌されるべきタン
パク質中に、通常分泌されるタンパク質のコード配列の全てまたは一部を挿入す
ることによって)、非分泌タンパク質を改変して差し支えない。好ましくは、通
常分泌されるタンパク質の全配列がそのタンパク質の配列中に含まれるのではな
く、通常分泌されるタンパク質のアミノ末端の、タンパク質の分泌をもたらすの
に充分な部分のみが含まれる。例えば、通常分泌されるタンパク質のアミノ末端
部分に、通常分泌されないタンパク質を融合させる(通常そのアミノ末端におい
て)。
【0108】 1つの態様において、通常分泌されるタンパク質は、通常乳中に分泌されるタ
ンパク質である。そのようなタンパク質として、乳腺上皮細胞によって分泌され
るタンパク質、例えば、カゼイン、ラクトグロブリン、乳漿酸タンパク質、およ
びラクトアルブミンのような乳タンパク質が挙げられる。カゼインタンパク質は
、任意の哺乳類のα、β、γまたはκカゼイン遺伝子を含む。好ましいタンパク
質は例えばヤギβカゼインのようなβカゼインである。分泌タンパク質をコード
する配列は、cDNAまたはゲノム配列の何れに由来しても差し支えない。好ま
しくは、その配列はゲノムに由来し、1つ以上のイントロンを包含する。
【0109】 他の組織特異的プロモーター 特定組織における発現をもたらす他の組織特異的プロモーターを用いても差し
支えない。組織特異的プロモーターは、他の組織におけるよりも特定組織におい
てより強く発現されるプロモーターである。組織特異的プロモーターは実質的に
特定組織においてのみ発現されることが多い。例えば、改変タンパク質が通常肝
臓において発現される場合は、肝臓特異的プロモーターを用いることができる。
例えば、血清アルブミンを改変するのにサプレッサーtRNAを用いる場合、肝
臓特異的プロモーターを用いる。その場合、サプレッサーtRNAをコードする
トランスジェニック配列を肝臓特異的プロモーターの制御下において差し支えな
い。
【0110】 用い得る組織特異的プロモーターとして:神経特異的プロモーター(例えばネ
スティン、Wnt-1、Pax-1、Engrailed-1、Engrailed-2、Sonic hedgehog);肝臓
特異的プロモーター(例えばアルブミン、α-1抗トリプシン);筋肉特異的プロ
モーター(例えばミオゲニン、アクチン、MyoD、ミオシン);卵母細胞特異的プ
ロモーター(例えばZP1、ZP2、ZP3);精巣特異的プロモーター(例えばプロタ
ミン、ファーチリン、対合複合体タンパク質-1)血液特異的プロモーター(例え
ばグロブリン、GATA-1、ポルホビリノゲンデアミナーゼ);肺特異的プロモータ
ー(例えば界面活性プロテインC);皮膚または毛特異的プロモーター(例えば
ケラチン、エラスチン);内皮特異的プロモーター(例えばTie-1、Tie-2);お
よび骨特異的プロモーター(例えばBMP)が挙げられる。
【0111】 さらには、いくつかの組織における発現のために一般的プロモーターを用いて
も差し支えない。一般的プロモーターとして、β-アクチン、ROSA-21、PGK、FOS
、c-myc、Jun-A、およびJun-Bが挙げられる。
【0112】 インシュレーター配列 トランスジェニック動物を作るのに用いられるDNA構成物は、1つ以上のイ
ンシュレーター配列を包含していて差し支えない。「インシュレーター」、「イ
ンシュレーター配列」および「インシュレーター要素」の用語は、この中で互換
的に用いられている。インシュレーター要素は、その作用範囲内に位置する遺伝
子の転写を分離するが、正にも負にも遺伝子発現を変動させない制御要素である
。好ましくは、転写されるDNA配列のどちらかの末端にインシュレーター配列
を挿入する。例えば、インシュレーターは、プロモーターから5’側約200b
p−約1kb、または、関心遺伝子の3’末端で、プロモーターから少なくとも
約1kb−5kbに位置していて差し支えない。当業者は、その構成物中におい
て用いられる関心遺伝子、プロモーターおよびエンハンサーの相対的サイズに基
づき、プロモーターおよび関心遺伝子3’末端からのインシュレーターの距離を
特定することができる。さらに、1つ以上のインシュレーター配列が、プロモー
ターの5’側または導入遺伝子の3’末端に位置していて差し支えない。例えば
、2つ以上のインシュレーター配列が、プロモーターの5’側に位置していて差
し支えない。導入遺伝子の3’末端にあるインシュレーターは、関心遺伝子の3
’末端、または、例えば3’非転写領域(UTR)または3’フランキング配列
等の3’制御配列の3’末端に位置していて差し支えない。
【0113】 好ましいインシュレーターは、ニワトリβ-グロビン遺伝子座の5’末端を包
含し、かつニワトリ5’構成性過敏性部位(constitutive hypersensitive site)
(国際特許公開第94/23046号に記載されており、その内容は参照によってこの中
に組み込まれる)に対応するDNA断片である。
【0114】 DNA構成物 例えば乳腺上皮細胞のような特定組織のためのプロモーター(例えばカゼイン
プロモーター、例えばヤギβカゼインプロモーター)、乳特異的シグナル配列(
例えばカゼインシグナル配列、例えばβカゼインシグナル配列)、および異種タ
ンパク質をコードするDNAを包含する構成物として、異種タンパク質をコード
するカセットを組み立てることができる。
【0115】 また、その構成物は非分泌タンパク質をコードするDNA配列の下流にある3
’非翻訳領域を含んでいて差し支えない。そのような領域は、発現系のRNA転
写を安定化させ、従ってその発現系からの所望のタンパク質の収率を高める。本
発明で用いるための構成物において有用な3’非翻訳領域は、ポリAシグナルを
もたらす配列である。そのような配列は、例えばSV40スモールt抗原、カゼイン
3’非翻訳領域または当業界で周知の他の非翻訳領域に由来していて差し支えな
い。1つの態様において、3’非翻訳領域は乳特異的タンパク質に由来する。3
’非翻訳領域の長さは重要ではないが、そのポリA転写の安定化効果は発現配列
のRNAを安定化させるのに重要であろう。
【0116】 必要に応じて、構成物は、プロモーターとシグナル配列をコードするDNA配
列との間に5’非翻訳領域を包含する。そのような非翻訳領域は、プロモーター
と同じ制御領域に由来して差し支えなく、あるいは例えば他の合成の、半合成の
または天然の供給源に由来する等、異なる遺伝子に由来していて差し支えない。
この場合も、その特定の長さは重要でないが、それら非翻訳領域は発現のレベル
を改善するのに重要であろう。
【0117】 また、構成物は、好ましくは乳腺上皮細胞において発現される遺伝子のN末端
コード領域の約10%、20%、30%またはそれ以上を包含していて差し支え
ない。例えば、N末端コード領域は、用いられるプロモーターに対応させること
ができ、例えばヤギβカゼインN末端コード領域である。
【0118】 当業界で公知の方法を用いて構成物を調製できる。大きなプラスミドの一部と
して構成物を調製できる。そのような調製物は、効率的な方法で正確な構成物の
クローニングおよび選択を可能とする。所望の哺乳動物に組み込むために残りの
プラスミド配列から容易に単離できるように、プラスミド上の都合のよい制限酵
素部位の間に構成物を位置させて差し支えない。
【0119】 異種タンパク質 上記のように、異種タンパク質をコードするトランスジェニック配列をヒト以
外の哺乳動物の生殖細胞に導入し、あるいは細胞株にトランスフェクションする
ことができる。タンパク質は、複合または多重結合タンパク質(例えば、ホモ-
またはヘテロ-多重結合体、例えばホモ-またはヘテロ-多重結合体として自然に
生じたタンパク質、例えばホモ-またはヘテロ-ニ量体、三量体または四量体)で
あって差し支えない。タンパク質は、例えばN末端、C末端または内部の断片の
除去(例えば切断)によって処理されたタンパク質であって差し支えない。複合
タンパク質であっても活性形態で発現させることができる。例えばウシまたはヤ
ギのような哺乳動物のゲノム中に導入され得る配列によってコードされるタンパ
ク質として、血清タンパク質、乳タンパク質、グリコシル化または非グリコシル
化タンパクが挙げられる。タンパク質はヒトに由来していてもヒト以外に由来し
ていても差し支えない。異種タンパク質は、限定はされないが、以下のような潜
在的な治療薬または診断薬であって差し支えない:α-1プロテイナーゼ阻害剤
、α-1抗トリプシン、アルカリホスファターゼ、アンギオジェニン、アンチトロ
ンビンIII、任意の血液凝固因子(VIII因子、IX因子およびX因子等)、キチナー
ゼ、エリスロポイエチン、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ、フィブロゲン
、グルコセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒト成長因子、
ヒト血清アルブミン、イムノグロブリン、インスリン、ミエリン塩基性タンパク
質、プロインスリン、プロラクチン、可溶性CD4またはその成分又は複合体、
ラクトフェリン、ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、組織プラ
スミノーゲンアクチベーター、あるいはそれらの変異体。
【0120】 1つ以上、およびしばしばいくつかの生物における上に挙げた異種タンパク質
をコードする遺伝子のいくつかのヌクレオチド配列情報を利用できる。例えば、
Long et al. (1984) Biochem. 23(21): 4828-4837(α-1抗トリプシン);Mitch
ell et al. (1986) Prot. Natl. Acad. Sci USA 83: 7182-7186(アルカリホス
ファターゼ);Schneider et al. (1988) EMBO J. 7(13): 4151-4156(アンギオ
ジェニン);Bock et al. (1988) Biochem. 27(16): 6171-6178(アンチトロン
ビンIII);Olds et al. (1991) Br. J. Haematol. 78(3): 408-413(アンチト
ロンビンIII);Lin et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82(22): 7580
-7584(エリスロポイエチン);米国特許第5,614,184号(エリスロポイエチン)
;Horowitz et al. (1989) Genomics 4(1): 87-96(グルコセレブロシダーゼ)
;Kelly et al. (1992) Ann. Hum. Genet. 56(3): 255-265(グルタミン酸デカ
ルボキシラーゼ);米国特許第5,707,828号(ヒト血清アルブミン);米国特許
第5,652,352号(ヒト血清アルブミン);Lawn et al. (1981) Nucleic Acid Res
. 9(22): 6103-6114(ヒト血清アルブミン);Kamholz et al. (1986) Prot. Na
tl. Acad. Sci. USA 83(13): 4962-4966(ミエリン塩基性タンパク質);Hiraok
a et al. (1991) Mol. Cell Endocrinol. 75(1): 71-80(プロラクチン);米国
特許第5,571,896号(ラクトフェリン);Pennica et al. (1983) Nature 301 (5
897): 214-221(組織プラスミノーゲンアクチベーター);Sarafanov et al. (1
995) Mol. Biol. 29: 161-165を参照(参照によってその内容がこの中に組み込
まれる)。
【0121】 実施例 ヒト血清アルブミン(HSA)によるウシ血清アルブミン(BSA)の置換 乳中の汚染BSAを減らす1つの方法は、ヒトの対応タンパク質、すなわちH
SAでBSAを置換することである。ヒトとウシの血清アルブミンタンパク質は
非常に類似し、かつそれらは酵素的機能を果たさないため、ウシにおいて、ヒト
血清アルブミンはBSAに置き換わることができる。
【0122】 血清アルブミンは、通常肝臓において産生され、血清において高レベルで認め
られる。この一連の実験において、BSAをコードするウシ遺伝子をヒトの血清
アルブミンをコードする遺伝子で置換する。得られた動物は、その血流中に、高
レベルのHSAを産生する。乳腺に漏れる任意の血清アルブミンはHSAである
。血清アルブミンはグリコシル化部位を持たないため、肝臓で産生されて血清中
に認められるHSAは、乳特異的プロモーターによって乳腺において産生される
HSAと同一である。本工程は、ヒトおよびウシの血清アルブミンの遺伝子をク
ローニングすることを必要とする。次に、ウシ自身の遺伝子を置換するやり方で
、ヒト遺伝子をウシゲノム中に導入する。本工程は、培養で増殖する細胞中にお
いて生じ、その細胞は核移植工程によって最終的に生きた蓄牛を作るのに用いら
れる。
【0123】 BSAのcDNA配列のクローニング BSAのmRNAの配列は、2035bpの配列を包含するM73993としてGenB
ankにおいて公開されている。そのmRNAは、蓄牛の異なる系統において同一
であると思われる。市販のウシライブラリーからのcDNAをクローン化および
配列決定して、それが正しいことを確認することができる。次に、タグ付きBS
Aの作成および置換工程において、そのcDNAを用いることができる。
【0124】 BSAゲノム配列のクローニング BSAのゲノム配列をクローン化するために、cDNA配列をプローブとして
用いることができる。BSAタンパク質をコードする配列は同一のはずであるが
、イントロンおよびフランキング領域の相同性のレベルを特定して、相同組換え
のための標的配列として用いることができる。好ましくは、細胞株は、乳中にH
SAを産生する動物に既に発生したことがある細胞株である。導入遺伝子のマイ
クロインジェクションによって生じ、その乳中にHSAを産生するのを可能とす
る構成物を運ぶ初代動物に由来する遺伝子を用いて差し支えない。
【0125】 BSAのエキソン2へのHSA cDNAの構築 BSAを置換する1つの方法として、BSA遺伝子のエキソン2において認め
られるBSAの開始コドンのちょうど5’の位置にHSAをコードするcDNA
配列を配列させる。オリゴ突然変異誘発によって、XhoI部位をエキソン2に
導入して差し支えない。さらには、BSAのシグナル配列を除去して差し支えな
い。例えば、最適化コザック配列を運びかつ1.5kb XhoI断片中にHS
AのcDNAを包含する構成物を用いて差し支えない。初期の研究は、そのcD
NA配列がトランスジェニック動物において高レベルで発現され得ることを示し
ている。そのハイブリッド遺伝子に亘り転写が生じ、HSAが分泌されるが、破
壊されたBSAコード配列は発現されない。
【0126】 BSA遺伝子が発現されないことをさらに確実にするため、挿入されたHSA
cDNAの3’末端に、ウシbghポリA終止配列を挿入して差し支えない。
HSA遺伝子の末端で転写を終結するであろう。BSAの残りの部分は転写され
ず、従ってサイレントである。
【0127】 BSAコード配列のHSA置換 BSAのHSA置換の別の方法は、HSAのゲノム配列で、ゲノムBSAのコ
ード領域を置換する。本方法は、ゲノムHSAとゲノムBSAの両方の非翻訳領
域(UTR)中に、同じ独自のクローニング部位を導入することを含む。従って
、得られたベクターは、BSAのUTRに隣接するHSAのコード領域を包含す
る。BSAのゲノムコード領域がHSAのもので置換される組換えを達成するた
めの相同性のためにそれらBSA URTを用いることができる。内因性ウシプ
ロモーターによる高レベルでの発現のためにその遺伝子構成物を用いることがで
きる。
【0128】 BSAに対する親和性タグの付加 しばしば、かなり低レベルまでその工程からBSAを除去する必要があるため
、HSAの存在下において強固な結合をもたらす親和性タグをそのタンパク質に
付加して差し支えない。そのような親和性タグは、ナノグラムレベルでタンパク
質を結合させるのに用いることができる6xHISタグである。そのタグを有す
るタンパク質は、金属キレートカラムに結合する能力によって単離され得る。他
の親和性タグも同様に利用できる。そのようなタグの例として、セルロース結合
領域(CBD)、マルトース結合タンパク質(MBP)、または宿主動物に最小
の影響を及ぼすであろう任意のペプチドが挙げられる。
【0129】 BSA 6xHIS融合 BSAの配列は公知であるから、BSAコード領域のC末端に6xHISタグ
を付加するのに用い得るオリゴヌクレオチドを設計することができる。BSAの
cDNAがクローン化されると、標準技術を用いて、6xHISタグをC末端に
連結させる。
【0130】 BSAタグの発現 培養組織およびトランスジェニックマウスの両方において、BSAタグを発現
させることができる。このことは、その新しいBSAが、試験される金属キレー
トカラムに結合することを可能とする。また、BSA 6xHISタグが哺乳類
細胞から分泌され得ることを示すのに用いることができる。
【0131】 キレートカラムに結合するHSAタンパク質に関する試験 金属キレートカラムに対する結合能に関して、ヒト血清アルブミンタンパク質
を試験することができる。
【0132】 HSAとBSAタグの比較 精製工程において、その2つのタンパク質の相対的結合を比較するために本実
験を用いることができる。6xHISタグは、FDAの標準物質(1ppm)に必要と
されるレベルまで、HSAの溶液からBSAを除去することを可能とする。詳細
には、牛乳に、10g/Lの濃度でHSAを添加する。その混合物に、0.2g
/Lまで、BSAタグを添加する。HSA精製に関して既に記載されている方法
に類似する模擬精製を実施する。そのような方法を用いて、BSAタグが1ppm
レベル未満まで除去され得るか否か特定するために、BSAタグのレベルを評価
する。
【0133】 CBD融合タグの付加 BSAに付加できる別のタグは、セルロース結合のための親和性タンパク質、
CBDである。セルロース分解のための酵素の15kd部分は、その酵素のセル
ロースに特異的に結合する領域を含む。
【0134】 CBD BSA cDNA構成物 BSAのcDNAを用いて、CBDタンパク質断片のコード領域をフレーム単
位で、BSA遺伝子に連結させることができる。乳腺のコドン選択を利用するC
BDタンパク質を設計した。さらには、グリコシル化部位を除去し、それによっ
てセルロースにさらに効率的に結合することが可能となる。そのペプチドのCB
D融合物は、培養組織およびトランスジェニックマウスのミルク中の両方におい
て上手く発現された。標準技術を用いて、融合タンパク質が産生されるように、
CBD遺伝子をフレーム単位で、BSAのコード領域に連結させることができる
【0135】 BSA-CBD融合の発現 培養組織およびトランスジェニックマウスの乳の両方において本タンパク質を
発現させることができる。本タンパク質は、セルロースに特異的に結合し得るこ
とが期待される。セルロースビーズの使用によって、融合タンパク質に特異的に
結合することを試験できる。セルロース工程によって、高レベルのHSAを含有
する乳溶液から全てのBSA-CBDが除去され得ることが重要である。融合タ
ンパク質が高レベルで発現され得ることを示すことも必要である。その融合タン
パク質は、その動物の正常血清アルブミンに置き換わるため、BSAと同様に容
易に発現されることが必要である。
【0136】 結合の効率 組織および乳中の両方において、BSA-CBDタンパク質を産生させること
ができる。高レベルのHSAの存在下において、セルロースに結合する能力に関
して、そのタンパク質を試験することができる。その試験は、低レベルのBSA
-CBDを用いた試験スケールで行うことができる。HSAの存在下において、
ppmレベルのBSAを検出する測定法を用いることができる。セルロースが、
それらレベルまでBSA-CBDを除去する必要がある。
【0137】 BSAタンパク質(BSA)の改変 HSAからさらに容易に分離または精製するためにBSAの特性を変化させる
別の方法は、ペプチドテイルを付加することである。相同組換えにおいて用いる
ことができるDNAの部位制限のために、非常に小さなDNA断片がBSA分子
における改変をもたらす必要がある。BSAの配列およびその3’UTRは公知
であるため、終止コドンTAAを除去することによってそのような改変を達成で
きる。それによって、次の終止コドンに達するまで翻訳された、伸長BSAが生
じる。どのリーディングフレームが選択されるかに依存して、下流の融合ペプチ
ドは3つの異なる型となり得る。それらは、サイズにおいて、11、20または
45の付加的アミノ酸の範囲である。それら形態のBSAは物理的特性において
変化して、HSAからさらに容易に精製される。
【0138】 伸長BSAを試験する BSA配列のcDNAは公開されており、そのクローンを得ることができる。
オリゴ突然変異誘発を用いて、3つのリーディングフレームのそれぞれに、下流
の配列を入れるために、そのbp数と共にTAA終止コドンを削除して差し支え
ない。それら3つの伸長BSA分子を、培養組織において発現させることができ
る。
【0139】 分離特性 その精製特性に関して、各種類を試験することができる。その分離工程の間に
、新しいBSAがHSAから分離され、それによって、BSAを特異的に除去す
る工程の必要性を除くことが望ましい。
【0140】 宿主動物に対する影響 別の重要な態様は、BSAが容易にスクリーニングされるか否かである。その
種類のBSAは、動物が運ぶ唯一のBSAであるから、正常BSAと同じレベル
で発現され得ることが重要である。
【0141】 まず、1つの改変対立遺伝子を運ぶであろう動物を作ることができる。それら
動物をモニターして、改変BSAによる任意の影響を試験することができる。さ
らには、その肝臓中にタンパク質を過剰発現するトランスジェニックマウスを作
るために、その遺伝子を用いることができる。また、改変BSAによる影響に関
して、それら動物を試験することができる。
【0142】 BSAにおける優性変化 ホモ接合性ラクダを作るには時間がかかるため、BSA発現を変化させるため
に機能するであろう付加的遺伝子の導入によってBSAを改変する別の方法を試
みて差し支えない。その優性表現型は時系列を顕著に変化させることができ、そ
の時系列において、産生を開始するためにヘテロ接合性動物のみが必要とされる
。サプレッサーtRNAを用いて、TAA終止コドンを変化させることができる
【0143】 サプレッサーtRNA サプレッサーtRNA分子は、終止コドンにアミノ酸を導入することによって
機能する。それらは細菌遺伝学において広く研究されており、哺乳類細胞におい
て機能するように開発された。また、tRNAは、tRNAにアミノ酸を付加す
る相補的アミノ酸トランスフェラーゼ酵素を必要とする。そのタンパク質は哺乳
類細胞には存在しないため、サプレッサーtRNAを機能させるために、その遺
伝子を導入しなければならない。
【0144】 伸長BSAを産生するためのサプレッサーtRNA 終止コドンがBSA遺伝子から除去されると、伸長BSAが産生され得る。そ
のTAA終止コドンに特異的なサプレッサーtRNAは、その部位にアミノ酸を
導入することによってそれを達成できる。tRNAサプレッサーおよびそれに対
応するトランスフェラーゼが動物の肝臓中に高レベルで発現される場合、産生さ
れるBSAは伸長された形態のBSAである。そのためには、肝臓において産生
されるBSA mRNAの全てがサプレッサーtRNAに従うように、それら新
しい遺伝子の優性発現を必要とする。生物における終止コドンの抑制は不利な効
果を有するであろう。要求される臓器にのみサプレッサーtRNAの発現を制限
することによってそのような不利な効果を避けることができる。BSAは肝臓に
おいて産生されるため、付加遺伝子は、例えばBSAプロモーター等の肝臓特異
的プロモーターから発現される。
【0145】 サプレッサーtRNAの修飾 肝臓において発現される多くのタンパク質があり、かなり多くがその終止コド
ンとしてTAAを有するであろう。全てのTAA終止コドンが抑制される効果を
制限するため、サプレッサーtRNAを改変して差し支えない。tRNAが2ま
たは4塩基コドンを認識するように(通常三塩基であるが)tRNAを変化させ
得ることは知られている。BSAコード領域の末端にある並列はTAAACであ
るため、TAAACを認識し得るtRNAを設計して差し支えない。このことは
、BSAに対してさらに特異的な抑制をもたらす。
【0146】 tRNA抑制に関しての試験モデル モデル系において、サプレッサーの効果に関して試験する必要がある。これを
行うため、マウスの乳腺において遺伝子を発現させて差し支えない。それら遺伝
子を乳プロモーターに結合させて差し支えない。BSA、サプレッサーtRNA
およびそのトランスフェラーゼ酵素を運ぶトランスジェニックマウスを作ること
ができる。それら3つの遺伝子が発現された場合、BSAの抑制の効果を特定す
ることができる。各遺伝子の相対的発現、ならびに産生された伸長BSAの割合
を測定し、正常BSAと比較することができる。
【0147】 この中において挙げられた全ての特許および他の引例は、参照によって組み込
まれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスジェニック哺乳動物によって発現された異種ポリペ
    プチドを提供する方法であって: 異種ポリペプチドをコードするトランスジェニック配列を包含し、かつトラン
    スジェニック哺乳動物によって自然に発現されるタンパク質の改変形態を発現す
    るトランスジェニック哺乳動物を提供し;さらに 前記トランスジェニック哺乳動物から、前記異種ポリペプチドおよび改変タン
    パク質を含有する試料を得て、それによって該異種ポリペプチドを提供する: 各工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記改変タンパク質を前記試料から分離する工程をさらに含
    むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記試料が乳であることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記トランスジェニック哺乳動物が、前記改変タンパク質を
    コードする遺伝子に関してホモ接合性であることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記トランスジェニック哺乳動物が、前記改変タンパク質を
    コードする遺伝子に関してヘテロ接合性であることを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 異種ポリペプチドをコードするDNA配列で、トランスジェ
    ニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子を置換
    することによって、該トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタ
    ンパク質を改変することを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 自然に発現されるタンパク質をコードする配列をゲノムから
    除去しまたは除去しないで、該自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子
    の開始コドンの前に、異種ポリペプチドをコードするDNA配列を挿入すること
    を特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 自然に発現されるタンパク質のシグナル配列を除去すること
    を特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 異種ポリペプチドをコードするDNA配列の3’末端に、終
    止配列を挿入することを特徴とする請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 自然に発現されるタンパク質をコードする配列を除去し、
    かつ異種ポリペプチドをコードするDNA配列で置換することを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタ
    ンパク質が変化するようにヌクレオチドを付加、欠失または置換することによっ
    て、該トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変
    することを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 1つ以上のアミノ酸を欠失させ、1つ以上のアミノ酸を付
    加し、または1つ以上のアミノ酸を置換することによって、トランスジェニック
    哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変することを特徴とする請求
    項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 予め選択されたリガンドに結合し得る1つ以上のアミノ酸
    を付加することを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記予め選択されたリガンドが:6xHISリガンド、セ
    ルロース結合領域(CBD)リガンド、マルトース結合タンパク質(MBP)リ
    ガンド:より成る群から選択されることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 自然に発現されるタンパク質をコードする遺伝子に親和性
    タグを付加することによって、該トランスジェニック哺乳動物において自然に発
    現されるタンパク質を改変することを特徴とする請求項12記載の方法。
  16. 【請求項16】 トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタ
    ンパク質の終止コドンが変化するように該タンパク質をコードする遺伝子を変化
    させて、該トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を
    改変することを特徴とする請求項1記載の方法。
  17. 【請求項17】 終止コドンにおける1つ以上のヌクレオチドを置換するこ
    とによって、終止コドンを変化させることを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 終止コドンをコードする配列中の1つ以上のヌクレオチド
    を欠失させることによって、または終止コドンをコードする配列中に1つ以上の
    ヌクレオチドを付加することによって、終止コドンを変化させることを特徴とす
    る請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】 終止コドンが変化するようにトランスジェニック哺乳動物
    において自然に発現されるタンパク質のアミノ酸配列を変化させることによって
    、該トランスジェニック哺乳動物において自然に発現されるタンパク質を改変す
    ることを特徴とする請求項12記載の方法。
  20. 【請求項20】 1つ以上のアミノ酸の付加によって終止コドンを変化させ
    ることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 サプレッサーtRNAおよびトランスフェラーゼ酵素を用
    いてアミノ酸を付加することを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記トランスジェニック哺乳動物が、サプレッサーtRN
    Aをコードするトランスジェニック配列を包含することを特徴とする請求項21
    記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記トランスジェニック哺乳動物が、トランスフェラーゼ
    酵素をコードするトランスジェニック配列を包含することを特徴とする請求項2
    1記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記トランスジェニック哺乳動物が、ヤギ、ウシ、ヒツジ
    、ブタ、ウマ、マウスおよびラットより成る群から選択されることを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記トランスジェニック哺乳動物が、ウシであることを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記トランスジェニック哺乳動物が、ヤギであることを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記異種ポリペプチドが、ヒトポリペプチドであることを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記異種ポリペプチドが、α-プロテイナーゼ阻害剤、ア
    ルカリホスファターゼ、アンギオジェニン、細胞外スーパーオキシドジスムター
    ゼ、フィブロゲン、グルコセレブロシダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ
    、ヒト血清アルブミン、ミエリン塩基性タンパク質、プロインスリン、可溶性C
    D4、ラクトフェリン、ラクトグロブリン、リゾチーム、ラクトアルブミン、エ
    リスロポエチン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ヒト成長因子、アンチ
    トロンビンIII、インシュリン、プロラクチンおよびα-抗トリプシンより成る群
    から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記異種ポリペプチドが、ヒト血清アルブミンであること
    を特徴とする請求項1記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記異種ポリペプチドをコードする配列が、組織特異的プ
    ロモーターの制御下にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記プロモーターが、乳特異的プロモーターであることを
    特徴とする請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記乳特異的プロモーターが、カゼインプロモーター、β
    ラクトグロブリンプロモーター、乳漿酸タンパク質プロモーターおよびラクトア
    ルブミンプロモーターより成る群から選択されることを特徴とする請求項31記
    載の方法。
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