JP2002538812A - 昆虫p53ガン抑制遺伝子及びタンパク質 - Google Patents

昆虫p53ガン抑制遺伝子及びタンパク質

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Abstract

(57)【要約】 幾つかの昆虫種から単離されたp53ガン抑制因子核酸及びタンパク質のファミリーが記載される。p53核酸及びタンパク質は後生脊椎動物生物体、例えば、昆虫及び虫、あるいは培養細胞を遺伝的に変更するために使用することができ、p53の発現又は誤発現を生じる。遺伝的に変更された生物又は細胞はp53タンパク質と相互作用をする潜在的な殺虫剤又は治療薬である候補化合物を同定するスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。それらはまたp53活性を研究し、p53遺伝子の機能を変調し又は該遺伝子と相互作用をする他の遺伝子を同定するための方法において使用することもできる。ショウジョウバエp33及びRbガン抑制因子の核酸及びタンパク質配列がまた記述される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願の表示) この出願は、1999年3月16日に出願された米国特許出願第09/268
969号;及び2000年2月23日に出願された同一名称の米国特許出願第6
0/184373号の一部継続出願である。両出願の全内容を出典明示によりこ
こに取り込むものとする。
【0002】 (発明の背景) p53遺伝子は、家族性及び自然発生的なガンを含む、50以上の異なるタイ
プのヒトのガンにおいて変異しており、ヒトのガンにおいて最も普遍的に変異が
生じている遺伝子であると考えられている(Zambetti及びLevine, FASEB(1993)7
:855-865;Hollstein等、Nucleic Acids Res. (1994)22:3551-3555)。p53遺
伝子における変異のうち90%以上がp53の機能を不活性化させる一アミノ酸
を変更するミスセンス突然変異である。ヒトp53の異常な形態は、予後の悪さ
、より悪性度の高い腫瘍、転移及び生存率が5年以下であることに関連がある(
Koshland、Science (1993)262:1953)。 ヒトp53タンパク質は、DNA損傷、低酸素血症、ガン遺伝子の活性化を含
む様々な形の細胞ストレスに起因するシグナルの中心的な統合因子として通常は
機能している(Prives、Cell(1998)95:5-8)。これらのシグナル応答において、
蓄積されたp53が細胞周期の停止経路もしくはシグナルの性質及び強さに依存
したアポトーシスを活性化するという結果を伴いながら、p53タンパク質レベ
ルが多大に増加する。実際に、多数の実験的証拠によりガン抑制因子としてp5
3に対する重要な役割が指摘されてきた(Levine、Cell(1997)88:323-331)。例
えば、ホモ接合性のp53「ノックアウト」マウスは発生の段階では正常である
が、生後1年以内にほぼ100%の腫瘍な発症率を示す(Donehower等、Nature(
1992)356:215-221)。p53が正常及びガン性の細胞において機能している生化
学的な機構及び経路は、充分に理解されていないが、p53の機能において一つ
の明らかに重要な点は遺伝子特異的な転写活性化因子としての活性である。既知
のp53応答配列を持つ遺伝子の中で、細胞周期もしくはアポトーシスの制御に
おいてよく特徴付けされているものがいくつかあるが、GADD45、p21/
Waf1/Cip1、cyclinG、Bax、IGF-BP3、及びMDM2が
含まれる(Levine、Cell(1997)88:323-331)。
【0003】 ヒトp53は393アミノ酸を有するリン酸化タンパク質で、N末端からC末端
にかけて以下に示す順番で結合された構造的及び機能的に異なるドメインに分割
されている:(a)転写活性化ドメイン;(b)配列特異的DNA結合ドメイン;
(c)リンカードメイン;(d)オリゴマー化ドメイン;及び(e)塩基性制御
ドメイン。p53タンパク質の他の構造的な詳細な部分が、様々なストレスに応
答する配列特異的な遺伝子活性化因子としての機能機能との調和を保っている。
例えば、p53タンパク質のN末端側の最端は酸性残基に富んでおり、他の転写
活性化因子の特徴と一致している(Fields及びJang、Science(1990)249:1046-49
)。これに対して、p53の最もC端側のドメインは、塩基性残基に富んでおり
、一本鎖DNA、二重鎖DNAの末端および分子内欠失ループと結合する能力を持つ(
Jayaraman及びPrives、Cell(1995)81:1021-1029)。このようなDNA修復の間に生
成されるDNAの形体とp53のC末端側塩基性制御ドメインとの相互作用が、不活
性な状態から標的遺伝子に対し部位特異的にDNAへ結合することができるような
活性化状態への変換を誘起し(Hupp及びLane、Curr. Biol.(1994)4:865-875)、
これによりDNA損傷に応答してp53の機能を制御する一つメカニズムを提供し
ている可能性がある。重要なことには、p53のN末端側活性化ドメインとC末端
側塩基性制御ドメインの双方が、ストレス誘導シグナルと相関する多くの共有結
合的な修飾を受けている(Prives、Cell(1998)95:5-8)。例えば、N末端側活性
化ドメインはDNA活性化プロテインキナーゼ、ATMキナーゼ及びサイクリン活性化
キナーゼ複合体によるリン酸化の標的となる残基を含んでいる。C末端側塩基性
制御ドメインには、PCAF及びp300アセチル基転移酵素によるアセチル化の標
的となる残基の他、プロテインキナーゼC、サイクリン依存性キナーゼ、カゼイ
ンキナーゼIIによるリン酸化の標的となる残基が含まれている。また、p53の
活性は、特異的な非共有結合的なタンパク質-タンパク質相互作用によっても調
節されている(Ko及びPrives、Genes Dev.(1996)10:1054-1072)。最も明白なこ
とには、MDM2タンパク質は、短く、高度に保存されたタンパク質配列モチー
フであるp53のN末端側活性化ドメインの13番目から29番目までの残基と
結合する(Kussie等、Science(1996)274:948-953)。p53が結合する結果とし
て、MDM2はp53の転写活性化を抑制し、さらにp53の分解を促進する。p
53ガン抑制因子に対する一群の哺乳動物及び脊椎動物のホモログについては記
述されているが、これまでに、二種類の無脊椎動物ホモログだけが軟体動物とヤ
リイカにおいて同定されている。しかし、例えばショウジョウバエ(Drosophila
)のような他の無脊椎動物においてp53ホモログの存在をほのめかすような証
拠はほとんど得られていない。実際、クロスハイブリダイゼーションやPCR法に
よるショウジョウバエp53の単離を試みる多くの直接的な試みは、この種にお
いてp53様遺伝子を同定するには至っていない(Soussi等、Oncogene(1990)5:
945-952)。しかしながら、昆虫細胞において、核クロスハイブリダイゼーショ
ン及び抗体の交差性を用いたDNA損傷に対する応答の他の研究により、p53-、
p21-、及びMDM2様遺伝子が存在するとの示唆的な証拠が得られてきた(Bae
等、Exp Cell Res(1995)375:105-106;Yakes、1994、博士論文、ウェイン州立大
学)。それにも関わらず、これまでに昆虫のp53遺伝子もしくはタンパク質が
単離されたとの報告はされていなかった。 ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)及びその他の昆虫種のような
モデル生物における新規p53オーソロガス遺伝子の同定により、遺伝学的、分
子学的研究及び潜在的な製薬的、殺虫剤的な標的としてのこれら分子の妥当性確
認のための重要で有用な手立てが提供される。本発明は、多種多様な昆虫種由来
の昆虫p53遺伝子及びタンパク質を開示する。さらに、ガン抑制に関与してい
るp33及びRb遺伝子のショウジョウバエホモログについても記述する。
【0004】 (発明の概要) 相互に影響しあう遺伝学的な経路と伴にp53が関与しているような経路を解
析するための遺伝学的スクリーニング方法において使用される昆虫p53核酸及
びタンパク質を提供することが、本発明の目的である。また、治療上有用性を持
ち、p53と相互作用する化合物をスクリーニングするための方法を提供するこ
とも本発明の目的である。 上記及び他の目的は、多様な昆虫種におけるp53遺伝子及びタンパク質の同
定と機能解析に関する本発明により提供される。p53ポリペプチド及びその誘
導体をコードする核酸配列を含む単離された核酸分子が提供される。また、p5
3タンパク質を発現もしくは誤った発現をさせるために遺伝学的に修飾した後生
動物の無脊椎動物(例えば、昆虫、体腔動物及び偽体腔動物)のみならず、p5
3核酸分子を含むベクター及び宿主細胞について記述する。 昆虫p53核酸及びタンパク質の重要な有用性は、それらが潜在的な治療上の
候補化合物もしくはp53タンパク質と相互作用する殺虫剤を同定するためのス
クリーニングアッセイにおいて使用することができるという点である。そのよう
なアッセイは、典型的にはp53ポリペプチドを一又は複数の候補分子に接触さ
せ、候補化合物とp53ポリペプチドとの間になんらかの相互作用を検出するこ
とを含む。このアッセイは、候補化合物をp53タンパク質を発現するように遺
伝学的に操作した培養細胞に添加すること、場合によってはp53タンパク質を
発現するように遺伝学的に操作した後生動物の無脊椎動物に候補化合物を投与す
ることを含んでもよい。 遺伝学的に操作した本発明の後生動物の無脊椎動物は、p53活性を研究し、
p53経路の操作に基づいた治療上、殺虫上の戦略を確証するための手法におい
ても使用することができる。これらの方法は典型的にはp53タンパク質の発現
、誤発現により引き起こされるフェノタイプを検出することに関与している。さ
らに、本方法は同様な遺伝学的修飾を有し、また、対象の遺伝子において変異を
有している第二の動物を観察することを含んでいてもよい。二個体の動物のフェ
ノタイプ間におけるなんらかの相違により、p53タンパク質をコードする遺伝
子の機能を修飾することが可能な対象遺伝子を同定することができる。
【0005】 (発明の詳細な記述) 無脊椎モデル生物の遺伝学的及び関連技術の使用により、生物学的な経路の解
明を多大に促進し得る(Scangos、Nal. Biotechol. (1997)15:1220-1221;Margo
lis及びDuyk、Nature Biotech. (1998)16:311)。昆虫モデル生物であるドロソ
フィラメラノガスター(Drosophila meranogaster)(ここでは通常「ショウジ
ョウバエ」と称する)を特に使用する。ショウジョウバエにおけるp53核酸及
びそれがコードするタンパク質に対する大規模なサーチが、p53遺伝子の機能
及び制御を探索、及び薬剤発見過程における標的としての使用のための新規かつ
有用な手段を同定しようとして行われた。また、p53核酸は以下に示すさらな
る昆虫種において同定された:レプチノタルサデセミィネアータ(Leptinotarsa
decemilineata)(コロラドポテト甲虫、以下ここでは「レプチノタルサ」と称
する)、トリポリウムカスタニューム(Tribolium castaneum)(花甲虫、以下
ここでは「トリボリウム」と称する)、ヘリオティスビレセンス(Heliothis vi
rescens)(タバコ青虫、以下ここでは「ヘリオティス」と称する)。 新たに同定された昆虫p53核酸は、動物モデルにおける、もしくはp53の
制御、及び薬物又は殺虫剤の標的としてのp53の使用を研究することが可能な
生細胞における変異体フェノタイプの産出のために使用可能である。大規模かつ
系統的な遺伝学的スクリーニングを迅速に行い得ることにより、ショウジョウバ
エのような無脊椎モデル生物の使用は、p53タンパク質の発現及び誤発現を解
析するのに非常に有用である。従って、本発明はp53タンパク質の合成、活性
及び制御に関わる他の構成成分を同定するための優れたアプローチを提供する。
無脊椎モデル生物を使用したp53の体系的な遺伝学的な解析により、p53の
経路の構成成分に対する標的化合物の同定及びその妥当性の確認へと通じ得る。
p53を発現するように遺伝学的に操作されたモデル生物もしくは培養細胞は、
p53の発現もしくはその活性を調節する能力に対しての候補化合物をスクリー
ンするために使用することができ、その結果、新たな薬物標的、治療薬剤の同定
に有用であり、細胞周期、DNA修復及びアポトーシスに関連した疾患の治療にお
ける診断及び予後予想において有用である。昆虫p53核酸及びタンパク質の同
定及び/又は単離に使用された条件の詳細は、以下の実施例の項にて記述する。
本発明の様々な非限定実施例、p53遺伝子及びタンパク質の適用及び使用につ
いては、以下の項で議論されている。ここで挙げた、特許出願を含む全ての参考
文献の全内容は、あらゆる目的のためにそっくりそのまま参考として取り込まれ
ている。さらに、前述の背景の項における文献の引用は、ここに添付される請求
項に対する先行技術のとして承認するということではない。
【0006】 p53核酸 昆虫p53をコードする次の配列は、ここに記述する:配列番号1、ショウジ
ョウバエから単離されたもので、ここではDMp53と称する;配列番号3、レプ
チノタルサから単離されたもので、ここではCPBp53と称する;配列番号7、
トリボリウムから単離されたもので、ここではTRIB-Ap53及びTRIB-Bp53と
それぞれ称する;及び配列番号9、ヘリオティスから単離されたもので、ここで
はHELIOp53と称する。DMp53遺伝子のゲノム配列は、配列番号18におい
て提示されている。 配列番号1、3、5、7、9及び18の断片及び誘導体の他、以下に詳細に記
述するように、本発明は、それらの逆相補鎖を含む。また、対象の核酸配列、そ
の誘導体及び断片は、塩基U(ウラシル)をT(チミン)に置換した配列番号1、
3、5、7、9及び18(又はその誘導体又は断片)の核酸配列を含むRNA分子
でもよい。本発明のDNA及びRNA配列は一本鎖もしくは二本鎖で有り得る。従って
、他に示さない限り、ここで用いられるような「単離した核酸配列」又は「単離
された核酸分子」という言葉は、逆相補鎖、RNA等価物、DNAもしくはRNAの一本
鎖又は二本鎖配列、及び記述される配列のDNA/RNAハイブリッドを含む。
【0007】 p53核酸配列の断片は様々な目的に対して用いることができる。干渉RNA(R
NAi)断片、特に二重鎖(ds)RNAiは、機能欠失フェノタイプの産出に使用す
ることができる。p53核酸断片は核酸ハイブリダイゼーションのプローブ及び
複製/増幅プライマーとしても有用である。ある種の「アンチセンス」断片、即
ち配列番号1、3、5、7、9、及び18のいずれかをコードする配列部分の逆
相補鎖である断片は、p53タンパク質の機能を阻害する点において有用である
。その断片は対応する配列番号1、3、5、7、9、及び18と特異的にハイブ
リダイズするのに十分な長さである。この断片は、配列番号1、3、5、7、9
、及び18のいずれか一つの少なくとも12、好ましくは少なくとも24、より
好ましくは少なくとも36及び、より好ましくは少なくとも96の連続するヌク
レオチドからなり、もしくは含む。この断片が他の核酸配列と隣接するとき、連
結された核酸配列の全長は15kb以下、好ましくは10kb又は5kb以下、
さらに好ましくは2kb以下、及びある場合には、好ましくは500b以下であ
る。好適なp53核酸断片は、5'UTRを備える制御因子を含み、及び/又は一又
は複数の以下のドメインをコードする:活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、リ
ンカードメイン、オリゴマー化ドメイン、及び塩基性制御ドメインである。配列
番号1、3、5、及び配列番号2、4、及び6、8、に対応するアミノ酸配列に
おけるこれらの領域のおおよその位置は、表1に示されている。
【0008】 さらに好ましくは、少なくとも12、好ましくは少なくとも24、さらに好ま
しくは少なくとも36及び最も好ましくは少なくとも96の連続したヌクレオチ
ドから成る配列番号7の354から495ベース及び配列番号9の315から4
14ベースの断片である。 対象の核酸配列は、もっぱら配列番号1、3、5、7、9、及び18又はその断
片のいずれか一つのから構成されていてよい。場合によっては、対象の核酸配列
及びその断片は標識、ペプチド、細胞膜の透過輸送を促進する薬剤、ハイブリダ
イゼーション誘起切断薬剤もしくはインターカレート剤のような他の構成成分と
結合されていてもよい。対象の核酸配列及びその断片は、他の核酸配列(即ち、
それらは長い配列の部分を含んでもよい)に結合されてもよく、合成/非天然配
列であり、及び/又は単離され、及び/又は精製されており、即ち少なくとも天然
の状態では付随していない物質が伴わない。好ましくは、単離された核酸は、所
定の画分に存在する全核酸重量の少なくとも約0.5%、及びより好ましくは少
なくとも約5%を構成し、好適には組換体つまりそれらは天然の染色体上に結合
されたもの以外のヌクレオチド(s)と結合された非天然配列又は天然配列を含
むものである。 p53の誘導体核酸配列は、ハイブリダイズする誘導体の核酸がある程度の配
列同一性により、対象の核酸と関連付けられるような緊縮性の条件において、配
列番号1、3、5、7、9、及び18の核酸配列とハイブリダイズする配列を含
む。核酸分子の一本鎖型が他の核酸分子とアニールできる場合、核酸分子は、c
DNA、ゲノムDNA又はRNAのような他の核酸分子と「ハイブリ可能」である。ハイ
ブリダイゼーションの緊縮性は、核酸がハイブリ可能な条件を問題にしている。
緊縮性の程度は、温度、イオン強度、pH及びハイブリダイゼーション、洗浄の
中におけるホルムアミドのような変性剤の存在により調節される。ここで使用さ
れているような、「緊縮性のハイブリダーゼーション条件」という言葉は、DNA
の相補的部分又はDNAとRNAとの間に少なくとも約90%の配列同一性を確立する
ために、当該技術分野における当業者により通常用いられる言葉である。「中程
度の緊縮性でのハイブリダイゼーション条件」とは、少なくとも約70%の配列
同一性を有する誘導体を見出すために使用される条件である。最後に、「低い緊
縮性のハイブリダイゼーション条件」は、少なくとも約50%の配列同一性を共
有する誘導体核酸分子を単離するために使用される。
【0009】 最良のハイブリダイゼーションの緊縮性は、実際のハイブリダイゼーション条
件においてはもちろんのこと、ハイブリダイゼーションに続く洗浄の条件におい
ても反映され、所望の結果を得るために条件を変化させる方法は当該技術分野に
おいて周知である。ごく普通に用いられる条件は、容易に利用可能な手順書に詳
細に記されている(例えば、Current Protocol in Molecular Biology, 第1巻
、2.10章、John Wiley&Sons出版社(1994);Sambrook等、Molecular cloning
、Cold Spring Harbor(1989))。好適な誘導体核酸は、以下に示す緊縮性のハイ
ブリダイゼーション条件下で配列番号1、3、5、7、9、及び18のいずれか
一つとハイブリダイズすることができる:6x単強度クエン酸塩(SSC)(1xS
SCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム;pH7)、5xデンハード溶液、0.
05% ピロリン酸ナトリウム及び100μg/mlのニシン精子DNAを含む溶液中、65℃
にて8時間から一晩、核酸を含むフィルターのプレハイブリダイゼーション;6
xSSC、1xデンハード溶液、100μg/mlの酵母tRNA及び0.05% ピロリン酸ナトリ
ウムを含む溶液中、65℃にて18から20時間ハイブリダイゼーション;及び
0.2xSSC及び0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む溶液中、65℃にて1
時間、フィルターの洗浄。
【0010】 配列番号1、3、5、7、9、及び18のいずれか一つ少なくとも70%の配
列同一性を有する誘導体の核酸配列は、以下に示すような中程度の緊縮性条件下
にて配列番号1、3、5、7、9、及び18のいずれか一つとハイブリダイズ化
することができる:35% ホルムアミド、5xSSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM E
DTA、0.1% PVP、0.1% フィコール、1% BSA 及び500μg/mlの変性サケ精子DNAを
含む溶液中、40℃にて6時間、核酸を含むフィルターの前処理;35% ホルムア
ミド、5xSSC、50mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% フィコー
ル、0.2% BSA、100μg/mlのサケ精子DNA及び10%(重量/容量)硫酸デキストラン
を含む溶液中、40℃にて18から20時間ハイブリダイゼーション;引き続き
2xSSC及び0.1%SDSを含む溶液中、55℃にて1時間の洗浄を2回行う。 他の好適な核酸の誘導体は、以下に示すような低い緊縮性条件下にて配列番号
1、3、5、7、9、及び18のいずれか一つとハイブリダイズ化することがで
きる: 20% ホルムアミド、5xSSC、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハード
溶液、10% 硫酸デキストラン及び20μg/mlの断片化サケ精子DNAを含む溶液中、
37℃にて8時間から一晩インキュベーション;同じ緩衝液中、18から20時
間ハイブリダイゼーション;及び1xSSC中、37℃にて1時間、フィルターの
洗浄。
【0011】 ここで用いるように、対象の配列もしくは対象の配列の特定部分に対する「パ
ーセント(%)核酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列
同一性を得るために必要ならば、すべてサーチパラメータは初期設定値に対して
セットしたプログラムWU-BLAST-2.0a19(Altschul等, J.Mol.Biol. (1997)215:
403-410;http://blast.wustl/edu/blast/README.html,;以下「Blast」と通常
は称する)により算出される、間隙を導入した後、対象の核酸配列(もしくはそ
の特定の部分)と同一である候補誘導体核酸配列のパーセントとして定義される
。HSP S及びHSP S2パラメータ値はダイナミック値であり、特定配列の構成及び
対象の配列がサーチされている特定のデータベースの構成に依存するプログラム
自体によって確立される。パーセント(%)核酸配列同一性値は、パーセント同
一性が報告されている配列の長さにより除されるマッチした同一ヌクレオチドの
数により決定される。 誘導体p53核酸配列は通常は配列番号:1、3、5、7、9又は18、ある
いはそのドメインコード化領域の何れか一つと少なくとも50%の配列同一性、
好ましくは少なくとも60%、70%又は80%の配列同一性、より好ましくは
少なくとも85%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも90%の配列同
一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。 好適な一実施態様では、誘導体核酸は、配列番号:2、4、6、8又は10、
あるいは「p53タンパク質」という小見出しの下に以下に記載するその断片又
は誘導体の何れか一つのp53アミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコード
する。誘導体p53核酸配列又はその断片は、配列番号:1、3、5、7、9又
は18の何れか一つと100%の配列同一性を有しうるが、塩基又は糖部分ある
いはリン酸骨格に一又は複数の修飾を有しているという意味でその誘導体であり
うる。修飾の例は当該分野においてよく知られている(Bailey, Ullmann's Ency
clopedia of Industrial Chemistry (1998), 6版, Wiley and Sons)。かかる
誘導体は変更された安定性又は任意の他の所望の性質をもたらすために使用され
うる。
【0012】 主題の核酸配列の他のタイプの誘導体は対応するヒト化配列を含む。ヒト化核
酸配列は一又は複数のコドンが、ヒト遺伝子においてより共通に見出されるコド
ンで置換されたものである。好ましくは、置換がない場合に達成されるものより
もより高レベルの発現が哺乳動物において達成されるように十分な数のコドンが
置換されている。次のリストは、各アミノ酸に対して、1000のコドンに対し
てヒト遺伝子における計算したコドン頻度を示している(Wada等, Nucleic Acid
s Research (1990) 18(Suppl.):2367-2411): よって、グルタミン酸コドンGAAが、ヒト遺伝子においてより一般的であるコ
ドンGAGで置換されたp53核酸配列はヒト化p53核酸配列の一例である。
核酸配列のヒト化の詳細な検討はZolotukhin等の米国特許第5874304号に
提供されている。同様に、各生物中の高度に発現される遺伝子に置いて使用され
る好適なコドンに従って選択される特定のコドンを用いてp53タンパク質の発
現を操作することが望まれる酵母菌、細菌及び植物のような他の生物中での発現
に最適化されたコドンを使用した他の核酸誘導体を産生することができる。好適
なp53タンパク質、断片及び誘導体のより特定の実施態様は小見出し「p53
タンパク質」として以下において更に検討する。
【0013】 配列番号:2、4、6、8及び10、又はその断片あるいは誘導体の何れかの
アミノ酸配列をコードする核酸は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物(例えば、霊
長類、ブタ、ウシ、ネコ、及びイヌ種等々)及び無脊椎動物、例えば節足動物、
特に昆虫種(好ましくは、ショウジョウバエ、Tribolium、Leptinotarsa及びHel
iothis)、acarids、crustacea、molluscs、nematodes、及び他の虫のような、
p53タンパク質をコードする任意の真核生物種から調製された適当なcDNA
ライブラリーから得ることができる。発現ライブラリーは既知の方法を使用して
構築することができる。例えば、mRNAを単離して、導入された宿主細胞中で
の発現のための適切な発現ベクターに結合させるcDNAをつくる。ついで、遺
伝子又は遺伝子産物(例えば、対象の遺伝子を同定するために設計された少なく
とも約20〜80の塩基のオリゴヌクレオチド、又は遺伝子産物に特異的に結合
する標識された抗体)を選択するように様々なスクリーニングアッセイを使用す
ることができる。遺伝子及び/又は遺伝子産物をついで既知の方法を使用して宿
主細胞から回収することができる。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)をまた使用してp53遺伝子の核酸を単離す
ることができ、そこでは、(上掲のSambrook等により記載されたように)対象の
断片的配列を表すオリゴヌクレオチドプライマーがゲノム又はcDNAライブラ
リーのような供給源からのRNA又はDNA配列を増幅する。また、対象の任意
の種からの相同体を増幅するための変性プライマーを使用してもよい。適当な長
さと配列のPCR産物が得られたならば、それを標準的な方法によりクローニン
グし配列決定し、完全なcDNA又はゲノムクローンを単離するプローブとして
利用することができる。
【0014】 p53核酸と誘導体の断片的配列は既知の方法によって合成することができる
。例えば、商業的供給者(例えば、Biosearch, Novato, CA; Perkin-Elmer Appl
ied Biosystems, Foster City, CA)から入手可能な自動DNA合成機を使用し
てオリゴヌクレオチドを合成することができる。アンチセンスRNA配列は、例
えばアンチセンスp53核酸配列を含むベクターからの外因性配列からの転写に
より細胞内に産生させることができる。新たに産生された配列は標準的な方法を
使用して同定し単離することができる。 単離されたp53核酸は任意の適当なクローニングベクター、例えばラムダ誘
導体のようなバクテリオファージ、又はプラスミド、例えばPBR322、pU
Cプラスミド誘導体及びBluescriptベクター(Stratagene, San Diego, CA)中
に挿入することができる。組換え分子は形質転換、形質移入、感染、電気穿孔法
等々を介してハエのような遺伝子組換え動物中に導入することができる。主題の
核酸配列を単離し製造するために好適な方法は当該分野においてよく知られてい
る(上掲のSambrook等; DNA Cloning: A Practical Approach, Vol. 1, 2, 3, 4
(1995) Glover編, MRL Press, Ltd., Oxford, U.K.)。 p53タンパク質をコードするヌクレオチド配列又はその断片あるいは誘導体
は、挿入タンパク質コード配列の転写と翻訳のために任意の適切な発現ベクター
中に挿入することができる。あるいは、必要な転写及び翻訳シグナルは天然p5
3遺伝子及び/又はその隣接領域により供給されうる。例えばウイルス(例えば
、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等々)に感染させた哺乳動物細胞系;ウ
イルス(例えばバキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;酵母ベクターを含
む酵母、あるいはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコ
スミドDNAで形質転換した細菌のような微生物のような様々な宿主-ベクター
系を利用してタンパク質コード配列を発現させるのに利用することができる。植
物における発現が望まれるならば、様々な形質転換作成物、ベクター及び方法が
当該分野で知られている(レビューには米国特許第6002068を参照)。p
53タンパク質の発現は適切なプロモーター/エンハンサーエレメントによって
制御することができる。また、挿入配列の発現を編著凹するか、特定の所望の態
様で遺伝し産物を修飾し加工する宿主細胞株を選択してもよい。
【0015】 p53遺伝子産物の発現を検出するためには、発現ベクターはp53遺伝子核
酸に作用可能に結合したプロモーター、一又は複数の複製起点及び一又は複数の
選択マーカー(例えばチミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性等々)を含みうる。
あるいは、組換え発現ベクターは、インビトロアッセイ系(例えばイムノアッセ
イ又は細胞分裂周期アッセイ)におけるp53タンパク質の物理的又は機能的性
質に基づくp53遺伝子産物の発現のアッセイによって同定することができる。
p53タンパク質、断片又は誘導体は場合によっては上述のような融合体、又は
キメラタンパク産物として発現されてもよい。 p53遺伝子配列を発現する組換え体が同定されたならば、遺伝子産物は標準
的な方法(例えばイオン交換、アフィニティ及びゲル排除クロマトグラフィー;
遠心分離;溶解度差;電気泳動法)を使用して単離し精製することができる。タ
ンパク質のアミノ酸配列は組換え体に含まれるキメラ遺伝子のヌクレオチド配列
から演繹することができ、よって標準的な化学的方法(Hunkapiller等, Nature
(1984) 310:105-111)により合成することができる。あるいは、天然p53タン
パク質は天然源から、標準的な方法(例えば免疫親和性精製法)により精製する
ことができる。
【0016】 p33及びRb核酸 本発明はまたショウジョウバエp33(配列番号:19)及びRb(配列番号
:21)ガン抑制因子の核酸配列を提供する。これらの配列の誘導体及び断片は
p53核酸配列に対して上述したのと同じ数の近接ヌクレオチド又は同じ程度の
パーセント同一性を有する。p53ガン抑制因子核酸及びタンパク質の様々な用
途(例えば遺伝子組換え動物、ガン抑制因子アッセイ等々)に関する以下の開示
はここに開示されるp33及びRbガン抑制因子配列にもまた適用される。
【0017】 p53タンパク質 CLUSTALWプログラム(Thompson等, Nucleic Acids Research (1994) 22(22):4
673-4680)を用いて、ここに記載された昆虫p53タンパク質を、ヒト(Zakut-
Houri等, EMBO J. (1985) 4:1251-1255; GenBank gi:129369)、アフリカツメガ
エル(Sousi等, Oncogene (1987) 1:71-78; GenBank gi:129374)、及びヤリイ
カ(GenBank gi:1244762)とアラインメントさせた。得られたアラインメントは
図1に示され、過去に同定されたp53タンパク質の特徴である昆虫p53タン
パク質の多くの特徴を明らかにしている。構造類似性の一般的な領域については
、DMp53、CPBp53及びTRIB-Ap53タンパク質が大まかに言っ
て3つの領域に分割できる:他の既知のp53ファミリータンパク質と高度の配
列相同性を示しこのタンパク質ファミリーのDNA結合ドメインに大まかに対応
する中央領域と、かなり少ない相同性を示すが他のp53ファミリータンパク質
と全体長が対応する隣接N末端及びC末端領域である。TRIB-Bp53及び
HELIOp53cDNAによりコードされる断片的ポリペプチド配列は中央領
域−保存DNA結合ドメインから誘導される多重配列アラインメントにより示さ
れる。有意には、タンパク質配列アラインメントにより、ヒトp53の過去に特
徴付けられたドメインとの配列相同性に基づいて(Sousi及びMay, J. Mol Biol
(1996) 260:623-637; 上掲のLevine; Prives, Cell (1998) 95:5-8)、上記の表
1に列挙されたDMp53、CPBp53及びTRIB-Ap53タンパク質中
のドメインのアラインメントが可能になった。
【0018】 重要なことには、DMp53、CPBp53及びTRIB-Ap53タンパク
質の最も保存された中央領域はヒトp53のDNA結合ドメインの既知の機能的
境界にほぼ精確に対応しており、これらのタンパク質がヒトp53のものと類似
したDNA結合性を示すことが見込まれることを示している。このドメイン中の
保存残基の詳細な検査はヒトp53と昆虫p53タンパク質間の可能な構造的及
び機能的類似性を更に強調する。先ず、直接のDNA接触に関与することが知ら
れているヒトp53の残基(K120、S241、R248、R273、C27
7及びR280)はDMp53タンパク質中の同一又は類似の残基(K113、
S230、R234、K257、C263及びR266)、及びCPBp53タ
ンパク質(K92、S216、R224、R249、C253及びR256)、
及びTRIB-Ap53タンパク質(K88、S213、R220、R245、
C249及びR252)の同一の残基に対応する。また、このドメインの全体の
折り畳みについては、ヒトp53(C176、H179、C238及びC242
)のDNA結合ドメイン中の亜鉛リガンドを配位する4つの重要な残基が、DM
p53タンパク質(C156、H159、C227及びC231)、CPBp5
3タンパク質(C147、H150、C213及びC217)、及びTRIB-
Ap53タンパク質(C144、H147、C210、C214)において正確
に保存されていることが分かった。更に、驚いたことに、癌において最も頻繁に
変更されるヒトp53の突然変異ホットスポット(R175、G245、R24
8、R249、R273及びR282)は、DMp53タンパク質(R155、
G233、R234、K235、K259及びR268)、CPBp53タンパ
ク質(R146、G221、R224、R225、R249及びK258)、及
びTRIB-Ap53タンパク質(R143、G217、R220、R221、
R245及びK254)の対応位置における同一か保存されたアミノ酸残基であ
った。
【0019】 興味深いことに、昆虫p53はまたヒト、アフリカツメガエル及びヤリイカp
53とは明確な差異を有している。すなわち、昆虫p53は、次の配列:(R又
はK)(I又はV)C(S又はT)CPKRDを有する独特のアミノ酸配列をD
NA認識ドメイン内に含む。特に、DMp53のアミノ酸残基259から267
は配列:KICTCPKRDを有しており、CPBp53の残基249から25
7は配列:RICSCPKRDを有しており;TRIB-Ap53の残基245
−253は配列:RVCSCPKRDを有している。これは、次の配列:R(I
又はV)CACPGRDを有するヒト、アフリカツメガエル及び ヤリイカp53とは対照的である。 過去に同定されたp53とは明確に異なる昆虫p53の他の領域はDNA結合
ドメインの亜鉛配位領域にある。次の配列が昆虫p53内に保存されている:F
XC(K又はQ)NSC(ここでX=任意のアミノ酸)。特に、DMp53の残
基225−231は配列:FVCQNSCを有しており;CPBp53の残基2
11−217とTRIB−Ap53の残基208−214は配列FVCKNSC
を有しており;図1に示すようにHelio−p53の対応する残基は配列:F
SCKNSCを有している。これに対して、ヒト及びアフリカツメガエルp53
の対応する配列はYMCNSSCであり、ヤリイカではFMCLGSCである。
【0020】 昆虫p53タンパク質の推定DNA結合ドメインにおける高度の構造的相同性
は、インビトロ及びインビボでの機能の試験のために、及び遺伝子組換え昆虫又
は昆虫細胞株中におけるp53経路の遺伝的精査又は操作のためにこれらのp5
3遺伝子の誘導体(例えば変異体)型を操作するため重要な意味を持っている。
ヒトp53のドミナントネガティブな形態が、欠陥DNA結合ドメインを持つが
機能的オリゴマー形成ドメインを保持している変更タンパク質をつくり出すこと
によって産生された(Brachman等, Proc Natl Acad Sci USA (1996) 93:4091-40
95)。そのようなドミナントネガティブ突然変異型は対象のアッセイにおいてp
53の機能喪失の効果を測定するために極めて有用である。しかして、ヒトp5
3の構造及び絹にとって重要であることが知られている残基(例えばヒトp53
のR175H、H179N及びR280T)に対応する昆虫p53タンパク質の
DNA結合ドメイン内の高度に保存された位置での突然変異が昆虫p53タンパ
ク質のドミナントネガティブ型を生じるようである。例えば、DMp53タンパ
ク質においてタンパク質のドミナントネガティブ型を作り出す特異的突然変異は
R155H、H159N及びR266Tを含み、TRIB-Ap53タンパク質
に対してはR143H、H147N及びR252Tを含む。 DNA結合ドメインとは別に、昆虫p53タンパク質の他のドメインは既知の
p53ファミリータンパク質と比較してかなり低い相同性を示すが、配列アライ
ンメントにより、その構造と潜在的な機能についての重要な情報が提供される。
特に、丁度ヒトp53タンパク質におけるように、タンパク質のC末端の20−
25アミノ酸はオリゴマー形成ドメインを越えて伸長する推定上領域を含み、昆
虫p53タンパク質のこの領域に対してタンパク質の活性の調節における類似の
機能を示唆している。ヒトp53のC末端調節ドメインの欠失はタンパク質の構
成的に活性化された形態を産生することが示されているので(Hupp及びLane, Cu
rr. Biol. (1994) 4:865-875)、昆虫p53タンパク質由来の対応する調節ドメ
インの殆ど又は全ての除去により、活性化されたタンパク質形態が産生されるこ
とが予想される。しかして、昆虫p53タンパク質の好適な切断型は少なくとも
10のC末端アミノ酸、より好ましくは少なくとも15のアミノ酸、最も好まし
くは少なくとも20のC末端アミノ酸を欠く。例えば、DMp53の好適な切断
形は配列番号:2のアミノ酸残基1−376、より好ましくは残基1−371、
最も好ましくは残基1−366を含んでなる。タンパク質のこのような構成的に
活性化された突然変異型はインビボ及びインビトロアッセイを使用するタンパク
質の機能の試験、並びに遺伝子解析のために非常に有用である。
【0021】 昆虫p53タンパク質のオリゴマー形成ドメインは、この領域の長さは他のp
53ファミリータンパク質のものと類似しているけれども、他のp53ファミリ
ータンパク質と非常に限られた骨格配列相同性を示す。昆虫タンパク質のこの領
域における配列の相違の度合いは、昆虫p53タンパク質が脊椎動物又はヤリイ
カ由来のp53タンパク質とヘテロオリゴマーを形成できないであろうという可
能性を生じさせる。そして、DNA結合及びオリゴマー形成ドメイン間に位置す
るリンカードメインがまた比較的僅かな配列保存性を示すが、DMp53、CP
Bp53及びTRIB-Ap53タンパク質の何れかのこの領域はヒトp53に
おいて同定されたものと類似した予想核局在化シグナルを含む(Shaulsky等, Mo
l Cell Biol (1990) 10:6565-6577)。 昆虫p53タンパク質のN末端の活性化ドメインもまた、この領域の長さはヒ
トp53のものと大まかに言って同じであるが、他のp53ファミリータンパク
質と少ししか配列同一性を示さない。しかし、このドメインの重要な特徴は昆虫
p53タンパク質中の酸性残基の相対濃度である。従って、DMp53、CPB
p53及びTRIB-Ap53タンパク質のこのN末端ドメインはヒトp53ド
メインのものに転写活性化ドメインの機能的活性を同様に作用させる可能性があ
る(Thut等, Science (1995) 267:100-104)。興味深いことに、DMp53、C
PBp53及びTRIB-Ap53タンパク質は脊椎動物及びヤリイカのp53
ファミリータンパク質のN末端に見出される高度に保存された配列モチーフFx
xLWxxLを保有していないようである。ヒトp53遺伝子では、このモチー
フ中のこれらの保存残基がヒトp53タンパク質とmdm2の間の特異的な相互
作用に関与する(Kussie等, Science (1996) 274:948-953)。
【0022】 C末端及びN末端において昆虫p53と他のp53ファミリーメンバーの間に
配列類似性はないが、p53のこれらの領域はp53関連タンパク質の二次的な
構造的特徴を含むことに留意することは重要である。例えば、ヒトp53はホモ
四量体としてDNAに結合し、自己会合がタンパク質のC末端に位置するβシー
トと両親媒性のαヘリックスにより媒介される。類似のβシート・ターン・αヘ
リックスがDMp53のC末端に予想される。更に、ヒトp53のN末端はmd
m-2タンパク質も結合するのに重要な残基及びトランス活性化ドメインを含む
領域である。DMp53のN末端はまた酸性アミノ酸を含み、トランス活性化ド
メインとして機能する可能性が高い。 本発明のp53タンパク質は配列番号:2、4、6、8及び10又はその断片
もしくは誘導体の何れか一つのアミノ酸配列を含むか、該アミノ酸配列からなる
。これらのタンパク質を含んでなる組成物は、p53タンパク質、断片、又は誘
導体から本質的になるか、あるいは更なる成分(例えば製薬的に許容可能な担体
又は賦形剤、培地等々)を含みうる。p53タンパク質は典型的には配列番号:
2、4、6、8及び10又はその断片の何れか一つと所定の度合いの配列同一性
又は配列類似性を共有する。ここで用いられるところでは、主題の配列又は主題
の配列の特定の部分に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列
を整列させ最大のパーセント配列同一性を得るために必要なら間隙を導入した後
の、主題の配列のアミノ酸と同一である候補誘導体アミノ酸配列中のアミノ酸の
パーセントとして定義され、誘導体核酸配列に対して上で検討したものと同じパ
ラメータを用いてBLAST(上掲のAltschul等)により生成される。%アミノ
酸配列同一性の値はパーセント同一性が報告されている配列長により一致した同
一のアミノ酸の数を除することにより決定される。「パーセント(%)アミノ酸
配列類似性」は、%アミノ酸配列同一性と同じ計算を行って決定されるが、計算
において同一のアミノ酸に加えて、保存的アミノ酸置換を含む。保存的アミノ酸
置換とは、アミノ酸を、タンパク質の折り畳み又は活性が有意に影響を受けない
ように類似の性質を持つ他のアミノ酸に置換するものである。互いに置換できる
芳香族アミノ酸はフェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンであり;可
換な疎水性アミノ酸はロイシン、イソロイシン、メチオニン及びバリンであり;
可換な極性アミノ酸はグルタミン及びアスパラギンであり;可換な塩基性アミノ
酸はアルギニン、リジン及びヒスチジンであり;可換な酸性アミノ酸はアスパラ
ギン酸及びグルタミン酸であり;可換な小アミノ酸はアラニン、セリン、シスチ
ン、スレオニン及びグリシンである。
【0023】 好適な一実施態様では、p53タンパク質誘導体は配列番号:2、4、6、8
又は10の何れかの少なくとも10のアミノ酸、好ましくは少なくとも25のア
ミノ酸、より好ましくは少なくとも40のアミノ酸、更により好ましくは少なく
とも50のアミノ酸、より好ましくは少なくとも100のアミノ酸の近接ひと配
列、そしてある場合には全長と、少なくとも50%の配列同一性又は類似性、好
ましくは少なくとも60%、70%又は80%の配列同一性又は類似性、より好
ましくは少なくとも85%の配列同一性又は類似性、更により好ましくは少なく
とも90%の配列同一性又は類似性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同
一性又は類似性を共有する。更に好適な誘導体は上記の表Iに列挙された配列番
号:2、4及び6のドメインとこれらの%配列同一性を共有する。更に好適な誘
導体は、配列番号:2、4、6、8又は10、及び好ましくはその機能的ドメイ
ンの何れかの少なくとも10のアミノ酸、好ましくは少なくとも12、より好ま
しくは少なくとも15、最も好ましくは少なくとも20のアミノ酸を共有する配
列を含んでなる。更に好適な断片は、配列番号:2、4、6、8又は10、及び
好ましくはその機能的ドメインの何れかの少なくとも7の近接アミノ酸、好まし
くは少なくとも9、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも
17の近接アミノ酸を含んでなる。 他の好適なp53ポリペプチド、断片又は誘導体は、RICSCPKRD、K
ICSCPKRD、RVCSCPKRD、KVCSCPKRD、RICTCPK
RD、KICTCPKRD、RVCTCPKRD、及びKVCTCPKRD(す
なわち、式:(R又はK)(I又はV)C(S又はT)CPKRDの配列)から
なる群から選択される配列からなるか該配列を含む。更に好適なp53ポリペプ
チド、断片又は誘導体は、FXCKNSC及びFXCQNSC(ここで、Xは任
意のアミノ酸)からなる群から選択される配列からなるか該配列を含む。
【0024】 p53タンパク質の何れかの断片又は誘導体は好ましくは、p53タンパク質
誘導体又は断片が、配列番号:2、4、6、8又は10の何れかのアミノ酸配列
を含んでなる全長野生型p53タンパク質に伴う一又は複数の機能的活性を示す
という意味で「機能的に活性」である。一例として、断片又は誘導体は、p53
タンパク質に対する抗体の産生に関して以下に検討するように、免疫化、p53
活性の阻害等々のためにイムノアッセイにおいて使用することができるように抗
原性を有しうる。好ましくは、機能的に活性なp53断片又は誘導体は、細胞分
裂周期の調節又は転写調節のようなp53タンパク質に関連する一又は複数の生
物活性を示すものである。p53タンパク質、誘導体及び断片の機能的活性は当
業者に知られた様々な方法によってアッセイすることができる(Current Protoc
ols in Protein Science (1998) Coligan等編, John Wiley & Sons, Inc., Some
rset, New Jersey)。以下の実施例12はp53の機能を評価するための様々な
好適なアッセイを記述する。 p53誘導体は当該分野で散られた様々な方法により製造することができる。
その生産を生じる操作は遺伝子又はタンパク質レベルで生じうる。例えば、クロ
ーン化p53遺伝子配列は制限エンドヌクレアーゼ(類)によって適切な部位で
切断でき(Well等, Philos. Trans. R. Soc. London SerA (1986) 317:415)、
これに所望されるならば更に酵素的修飾が続き、単離されインビトロで結合され
、発現されて所望の誘導体を産生する。あるいは、p53遺伝子がインビトロ又
はインビボで突然変異されて、翻訳、開始及び/又は集結配列を作り及び/又は
破壊し、あるいはコード領域に変動を生じさせ、及び/又は新しい制限エンドヌ
クレアーゼ部位を形成するか先に存在しているものを破壊して、更なるインビト
ロでの修飾を容易にすることができる。化学的突然変異誘発、インビトロ部位特
異的突然変異誘発(Carter等, Nucl. Acids Res. (1986) 13:4331)、TAB(
登録商標)リンカー(Parmachia and Upjohn, kalamazoo, MIから入手可能)の
使用等々のような様々な突然変異誘発法が当該分野において知られている。
【0025】 タンパク質レベルでは、操作は翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化
、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク分解
性切断、抗体分子又は他の細胞性リガンドへの結合等々を含む。数多くの化学的
修飾の何れも既知の方法(例えば、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、
パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH、アセチル化、ホルミル化、酸化、還
元、ツニカマイシンの存在下での代謝合成等々)によって実施することができる
。誘導体タンパク質はまた、例えばp53タンパク質中へ置換又は付加として非
古典的アミノ酸又は化学アミノ酸類似体を導入するためにペプチド合成機を使用
して化学的に合成することもできる。 異なったタンパク質のアミノ酸配列にペプチド結合を介してそのN末端又はC
末端が結合した(好ましくはp53タンパク質の一又は複数の構造的又は機能的
ドメインを含む)p53タンパク質又はその断片を含んでなるキメラ又は融合タ
ンパク質を作成することができる。キメラ産物は標準的な方法を使用して適切な
コード読み枠で所望のアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を互いに結合さ
せ、キメラ産物を発現させることにより作成することができる。キメラ産物はま
た例えばペプチド合成機を使用するタンパク質合成法によって作成されうる。
【0026】 p33及びRbタンパク質 本発明はまたショウジョウバエp33(配列番号:20)及びRb(配列番号
:22)ガン抑制因子のアミノ酸配列を提供する。これらの配列の誘導体及び断
片はp53タンパク質配列について上述したようにして調製することができる。
好適な断片及び誘導体はp53アミノ酸配列に対して上述したものと同じ数の近
接アミノ酸又は同じ程度のパーセント同一性又は類似性を有する。
【0027】 p53遺伝子調節エレメント p53遺伝子調節DNAエレメント、例えば配列番号:18のヌクレオチド1
−1225内に、又は上記の表Iに示されるような配列番号:1、3及び5の5
'UTR内に存在するエンハンサー又はプロモーターを用いて、p53タンパク
質産生を特異的に制御する組織、細胞、遺伝子及び因子を同定することができる
。好ましくは、5'UTR内の少なくとも20、より好ましくは少なくとも25
、もっとも好ましくは少なくとも50の近接ヌクレオチドが使用される。p53
タンパク質の機能に特異的な成分を分析することから、殺虫剤又は治療用途の何
れかに対してこれらの調節過程を如何にして操作するかの理解、並びにこれらの
過程における機能不全をいかに診断するかの理解を得ることができる。 p53調節エレメントとの遺伝子融合体を作成できる。ショウジョウバエに対
してここに記載されるもののように、比較的少なく小さい介在配列を持つ緻密な
遺伝子に対しては、典型的には空間的かつ時間的発現パターンを制御する調節エ
レメントが最も近接した遺伝子まで延びるコード領域の直ぐ上流のDNAに見い
だされるものである。調節領域は、発現が容易に検出されるレポータータンパク
質のコード領域に調節DNAが作用可能に融合している遺伝子融合体を作成する
ために使用することができ、これらの作成物は選択される動物中に導入遺伝子と
して導入される。全調節DNA領域を用いるか、調節領域をより小さなセグメン
トに分割して、与えられた細胞タイプ又は発達段階の発現を制御するのに特異的
であるかもしれないサブエレメントを同定することができる。調節配列を含む領
域を解読するための一つの好適な方法はインビトロCATアッセイ(Mercer, Cr
it. Rev. Euk. Gene Exp.(1992) 2:251-263;上揚のSambrook等;及びGorman等,
Mol. Cell. Biol. (1992) 2:1044-1051)によるものである。これらの遺伝子融
合体の作成に使用することができる更なるレポータータンパク質には大腸菌βガ
ラクトシダーゼと緑色蛍光タンパク質(GFP)が含まれる。これらはインサイ
ツにて直ぐに検出することができ、よって組織学的研究に有用であり、p53タ
ンパク質を発現する細胞を選別するために使用することができる(O'Kane及びGe
hring PNAS (1987)84(24):9123-9127; Chalfie等, Science (1994) 263:802-805
; 及びCumberledge及びKrasnow (1994) Methods in Cell Biology 44:143-159)
。リコンビナーゼタンパク質、例えばFLP又はcreは、部位特異的組換え(
Golic及びLindquist (1989) Cell 59(3):499-509; White等, Science (1996) 27
1:805-807)を通して遺伝子発現を制御するのに使用することができる。リーパ
ータンパク質及び隠れた細胞死タンパク質のような毒性タンパク質は、細胞ある
いはp53タンパク質を合成する細胞においてこの特定のタンパク質の機能を特
異的に調べることが望まれる任意の他のタンパク質の生理機能を評価するために
(Kingston, In Current Protcols in Molecular Biology (1998) Ausubel等, J
ohn Wiley & Sons, Inc. sections 12.0.3-12.10)p53タンパク質を正常には
発現する細胞を特異的に除去するのに有用である
【0028】 あるいは、更に以下に記載されるものと同様に、p53調節エレメントが、p
53調節エレメント「ドライバー遺伝子」を作り出すために、以下に記載される
GAL4又はtTAのような外因性転写活性化因子タンパク質のコード領域に作
用可能に融合したバイナリーレポーター系を用いることができる。バイナリー系
の他の半分については、外因性活性化因子が、それぞれ例えばUAS又はtT
A-応答エレメントのような外因性活性化因子タンパク質の同系の調節エレメン
トに作用可能に融合したレポータータンパク質のコード領域を含む別個の「標的
遺伝子」制御する。バイナリー系の利点は、単一のドライバー遺伝子作成物が、
それぞれが上述したそれ自信の用途を持つ異なったレポータータンパク質をコー
ドする予め作成された標的遺伝子からの転写を活性化するために使用することが
できることである。 p53調節エレメント-レポーター遺伝子融合体はまた遺伝的相互作用の試験
に有用であり、そこでの目的は、p53遺伝子の発現を制御し、あるいはp53
タンパク質を発現する組織の成長と分化を促進するのに特定の役割を有する遺伝
子を同定することである。p53遺伝子調節DNAエレメントはまたp53遺伝
子の発現を制御する遺伝子調節タンパク質を同定するためのタンパク質-DNA
結合アッセイにおいても有用である。遺伝子調節タンパク質は、生細胞又は透過
化細胞内における化学的及び酵素的修飾からのDNA配列の保護に基づいたイン
ビボフットプリントアッセイ;及びタンパク質抽出物を使用する化学的又は酵素
的修飾からのDNA配列の保護に基づいたインビトロフットプリントアッセイ、
ニトロセルロースフィルター結合アッセイ及びタンパク質抽出物と混合した放射
性標識調節DNAエレメントを使用するゲル電気泳動度シフトアッセイを含む、
当業者によく知られている特異的なタンパク質-DNA相互作用をプローブする
様々な方法(上掲のKingston)を使用して検出することができる。候補p53遺
伝子調節タンパク質は一般的な方法とDNA-アフィニティー精製法を併用して
精製することができる。分子クローニング方策もまたp53遺伝子調節DNAエ
レメントに特異的に結合するタンパク質を同定するために使用することができる
。例えば、発現ベクター中のショウジョウバエcDNAライブラリーを用いて、
p53遺伝子調節エレメントDNA-結合活性をコードするcDNAをスクリー
ニングすることができる。同様に、酵母菌「ワン-ハイブリッド」系を用いるこ
とができる(Li及びHerskowitz, Science (1993) 262:1870-1874; Luo等, Biote
chniques (1996) 20(4):564-568; Vidal等, PNAS (1996) 93(19):10315-10320)
【0029】 ガン抑制遺伝子アッセイ p53ガン抑制遺伝子は、細胞増殖の調節、細胞分裂周期の制御、及びアポト
ーシスの誘導に関与する転写因子をコードしている。これらの領域の各々におい
て昆虫p53遺伝子の役割を評価するために使用されうる。 転写活性アッセイ その酸性領域のために、野生型p53はその機能を媒介するためにDNAに特
異的にも非特異的にも結合する(上掲のZambetti及びLevine)。p53タンパク
質又はその断片による転写の調節は当該分野で知られている任意の方法によって
調べることができる。電気泳動度シフトアッセイを使用してp53が結合するD
NA配列を特徴付けることができ、よってp53により調節される遺伝子の道程
に役立つ。簡単に述べると、細胞を増殖させ、様々な量の野生型又は突然変異さ
れた対象転写因子(この場合はp53)を形質移入し、形質移入後48時間で収
集し、溶解させて核抽出物を調製する。泳動度シフトアッセイに使用されるショ
ウジョウバエ核抽出物の調製はDignam等, Nucleic Acids Res. (1983) 11:1475-
1489に記載されているようにして行ってもよい。また、結合の標的配列に対応す
る相補一本鎖オリゴヌクレオチドを合成し、セルフアニールして10−15ng
/μlの最終濃度にする。二本鎖DNAを(当該分野で知られた方法により、例
えば7%ポリアクリルアミドゲルで)ゲル電気泳動分析により検証して、20μ
Ci[32P]γ-dATPで末端標識する。結合を助長する条件下で二本鎖標的
配列と核抽出物を混合して、結果物をポリアクリルアミドゲル電気泳動法により
分析する。 p53が結合するDNA配列を決定する他の好適な方法はDNAフットプリン
トによる(Schmitz等, Nucleic Acids Research (1978)5:3157-3170)。
【0030】 アポトーシスアッセイ 様々な方法をアポトーシスを調べるために使用することができる。一つの方法
はアポトーシスの核DNA断片化特性を測定する末端デオキシヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ媒介ジゴキシゲニン-11-dUTPニック末端標識(TUNE
L)アッセイである(Lazebnik等, nature (1994) 371-:346-347; White等, Sci
ence (1994) 264:677-683)。また、市販のキットをアポトーシスの検出に使用
することができる(クローンテック(Palo Alto, CA)から入手可能なApoAlert(登
録商標))。 アポトーシスはまた様々な染色方法によりアッセイすることもできる。アクリ
ジンオレンジを使用して、培養細胞中(Lucas等, Blood (1998) 15:4730-41)及
び無傷のショウジョウバエ組織のアポトーシスを検出することができ、これはま
たナイルブルーで染色することもできる(Abrams等, Development (1993) 117:2
9-43)。DNAラダーを検出するために使用することができる他のアッセイはア
ガロースゲル上でのDNAの電気泳動と臭化エチジウム染色を用いる(Civielli
等, Int. J. Cancer (1995) 27:673-679;Young, J. Biol. Chem. (1998) 273:2
5198-25202)。
【0031】 増殖及び細胞分裂周期アッセイ 増殖性細胞はDNA合成を受けている細胞中へのブロモデオキシウリジン(B
RDU)取り込みと抗BRDU抗体による検出により同定することができる(Ho
shino等, Int. J. Cancer (1986) 38:369; Campana等, J. Immunol. Meth. (198
7) 107:79)。このアッセイはショウジョウバエ胚(Edgar及びO'Farrell, Cell (
1990) 62:469-480)及び成虫原基(Secombe等, Genetics (1998) 149:1867-1882
)におけるS相細胞を再現可能に同定するために使用することができる。S相D
NA合成はまたシンチレーションカウンターを使用して[H]-チミジン取り込
みを測定することにより定量することもできる(Cgen, Oncogene (1996) 13:139
5-403; Jeoung, J. Biol. Chem. (1995) 270:18367-73)。細胞増殖は経時的に
細胞集団の試料を、例えば血球計とトリパンブルー染色を用いてカウントするこ
とにより測定することができる。 細胞のDNAコンテンツ及び/又は分裂指数は、ヨウ化プロピジウムアッセイ
(Turner等, Prostate (1998) 34:175-81)又はコンピュータ化マイクロデンシ
メーター染色システムを用いたフォイルゲン染色反応(Bacus, Am. J. Pathol.
(1989) 135:783-92)のような当該分野で使用された様々な方法を使用する細胞
のDNA倍数値に基づいて測定することができる。 ショウジョウバエ細胞増殖に対するp53過剰発現又は機能喪失の効果は、変
更された遺伝子発現を持つ細胞のクローンがショウジョウバエの発達中の羽ディ
スクに産生されるアッセイを使用してインビボでアッセイすることができる(Ne
ufeld等, Cell (1998) 93:1183-93)。クローンはGFPを同時発現し、それに
より分離されたディスクからの突然変異及び野生型細胞のサイズ及びDNAコン
テンツをFACS解析により比較することが可能になる。
【0032】 腫瘍形成及び形質転換アッセイ p53タンパク質をアッセイするために使用できる様々なインビボ及びインビ
トロの腫瘍形成アッセイが当該分野で知られている。そのようなアッセイは、病
巣形成(Beenken, J. Surg. Res. (1992) 52:401-5)、インビトロ形質転換(Gi
nsberg, Oncogene. (1991) 6:669-72)、ヌードマウス中の腫瘍形成(Endlich,
Int. J. Radiat. Biol. (1993) 64:715-26)、ショウジョウバエにおける腫瘍形
成(Taotou、Nat.Genet. (1999) 21:177-181)、及び軟観点中での足場非依存
性成長(上掲のEndlich)を検出するために使用することができる。分化の印の
喪失は、分化マーカーの喪失、細胞ラウンディング、付着性の喪失、極性の喪失
、接触阻害性の喪失、足場依存性の喪失、プロテアーゼ放出、糖輸送の増加、血
清要求の減少及び胎児抗原の発現の現れでありうる。
【0033】 p53遺伝子の変更された発現を伴う動物及び細胞株の産生と遺伝的分析 線虫及びショウジョウバエのような遺伝的に変更された動物モデル(すなわち
インビボモデル)とp53遺伝子を発現又は誤発現する遺伝子操作された細胞株
のようなインビトロモデルの双方がこれらのタンパク質の機能分析のために有用
である。検出可能なフェノタイプを表すモデル系はp53遺伝子又は他の対象の
遺伝子及び/又はp53の突然変異又は誤発現に関連するフェノタイプの同定と
特徴付けに使用することができる。ここで用いられる「誤発現」という用語は遺
伝子の突然変異による誤発現を包含する。よって、誤発現されたp53タンパク
質は野生型とは異なるアミノ酸配列を有するものでありうる(すなわち、それは
通常のタンパク質の誘導体である)。誤発現されたp53タンパク質はまた一又
は複数のN末端又はC末端アミノ酸が欠失されたものであり得、よって通常のタ
ンパク質の「断片」である。ここで用いられる「誤発現」はまた異所性発現(例
えば通常の空間的又は時間的発現を変更することによる)、過剰発現(例えば多
重遺伝子コピーによる)、発現不足、非発現(例えば、遺伝子ノックアウト又は
そのままでは正常に起こるであろう発現を阻止することによる)、更に異所性組
織での発現を含む。 インビボ及びインビトロモデルは、それらが、1)p53遺伝子の欠失及び/
又は挿入を有し、2)p53遺伝子から由来する干渉RNA配列を持ち、3)突
然変異した内在性p53遺伝子を有しており(例えばp53遺伝子における欠失
、挿入、再配列、又は点突然変異を含む)、及び/又は4)p53遺伝子の野生
型又は突然変異型の導入遺伝子を含むように、遺伝子操作又は変更されうる。そ
のような遺伝的に変更されたインビボ及びインビトロモデルはp53の合成、活
性化、制御等々に関与する遺伝子及びタンパク質、またp53機能の下流エフェ
クター、p53により調節される遺伝子等々の同定に有用である。モデル系は、
例えば任意の好適な方法(例えば、直接接触、消化、注入等々)を使用してモデ
ル系に化合物を投与し、フェノタイプにおける任意の変化、例えば運動の欠陥、
致死率等々を観察することにより、p53と相互作用する潜在的な製薬及び殺虫
化合物を試験するために使用することができる。化学的突然変異誘発、トランス
ポゾン変異、アンチセンスTNAi、dsRNAi、及び導入遺伝子媒介誤発現
を含む当該分野で良く知られた様々な遺伝子操作及び発現変更方法を使用するこ
とができる。
【0034】 突然変異誘発による機能喪失突然変異の発生 昆虫p53遺伝子における機能喪失突然変異は当該分野で知られている幾つか
の変異誘発法の任意のものにより発生させることができる(Ashburner, In Dros
ophila melanogaster: A Laboratory Manual (1989), Cold Spring Harbor, NY,
Cold Spring Harbor Laboratory Press; pp.299-418; Fly pushing: The Theor
y and Practice of Drosophila melanogaster Genetics (1997) Cold Spring Ha
rbor Press, Plainview, NY, 以下「Fly Pushing」)。遺伝子又はゲノムにおい
て突然変異を作り出す方法は照射(例えばX線、UV、又はガンマ線);薬品(
例えばEMS、MMS、ENU、ホルムアルデヒド等々);及びトランスポゾン
挿入、又はトランスポゾン媒介欠失、例えば以下に記載されるような雄組換えに
より誘発される異形成を含む移動エレメントによる挿入突然変異の使用を含む。
遺伝子の発現を変える他の方法はトランズポゾン(例えばP因子、EP型「過剰
発現トラップ」因子、マリナー因子、piggyBacトランスポゾン、ヘルメス、マイ
ノス、スリーピングビュティ等々)を使用して遺伝子;アンチセンス;二本鎖R
NA干渉;ペプチド及びRNAアプタマー;定方向欠失;相同的組換え;ドミナ
ントネガティブな対立遺伝子;及びイントラボディを誤発現する。 p53遺伝子に隣接して位置するトランスポゾンの挿入は、生殖系列において
誘導されれば、次の世代に安定に伝播される隣接ゲノムDNAの欠失を生じさせ
るために使用することができる。欠失を生じさせるこの方法の有用性は実証され
ており当該分野でよく知られている。P因子トランスポゾン誘発劣性致死突然変
異(P致死体)の収集物を用いる形態の一方法が特にショウジョウバエにおける
新規で必須の遺伝子の迅速な同定のために適している((Cooley等, Science (1
988) 239:1121-1128; Spralding等, PNAS (1995) 92:0824-10830)。P因子の配
列は知られているので、各トランスポゾン挿入物に隣接するゲノム配列はプラス
ミドレスキュー(Hamilton等, PNAS (1991) 88:2731-2735)又はインバースポリ
メラーゼ連鎖反応(Rehm, http://www.fruitfly.org/methods/)の何れかにより
決定される。P因子を用いる雄ショウジョウバエにおけるトランスポゾン挿入法
のより最近のバージョンはP媒介雄組換えとして知られている(Preston及びEng
els, Genetics (1996) 144:1611-1638)。
【0035】 RNAベース法を使用する機能喪失フェノタイプの発生 p53遺伝子は、例えばアンチセンスRNAのようなRNA-ベース法によっ
て相性の動物に機能喪失フェノタイプを生じさせることにより、同定され及び/
又は特徴づけられうる(Schubiger及びEdgar, methods in Cell Biology (1994)
44:697-713)。アンチセンスRNA法の一形態は対象の遺伝子(この場合はp
53遺伝子)に部分的に相同的なアンチセンスRNAでの胚の注入を含む。アン
チセンスRNA法の他の形態は、一般に動物全体か特定の組織の何れかに多量の
アンチセンスRNAを発現させることができる強力なプロモーターにアンチセン
ス配向に対象の遺伝子の一部を作用可能に結合させることによる対象の遺伝子に
部分的に相同的なアンチセンスRNAの発現を含む。アンチセンスRNAにより
生じせしめられた機能喪失フェノタイプはcactus、pecanex、及びKruppelを含む
幾つかのショウジョウバエ遺伝子に対して過去に報告されている(LaBonne等, D
ev. Biol. (1989) 136(1):1-16; Schuh及びJackle, Genome (1989) 31(1):422-4
25; Geisler等, Cell (1992) 71(4):613-621)。 機能喪失フェノタイプはまた同時抑制法により発生させることもできる(Bing
ham, Cell (1997) 90(3):385-387; Smyth, Curr. Biol. (1997)7(12):793-795;
Que及びJorgensen, Dev. Genet. (1998) 22(1):100-109)。同時抑制は対象遺伝
子の部分的セグメントに対応する有意鎖RNAの発現又は注入により作り出され
る遺伝子発現低下の現象である。同時抑制効果は植物及び線虫において機能喪失
フェノタイプを発生させるために広範に用いられている。ショウジョウバエにお
ける同時抑制は示されており、そこではAdh遺伝子の発現の低下がホワイト-
Adh導入遺伝子から誘発されている(Pal-Bhadra等, Cell (1997)90(3):479-4
90)。
【0036】 機能喪失フェノタイプを発生させる他の方法は、二本鎖RNA干渉(dsRN
Ai)による。この方法は遺伝子のコード領域から取り出された二本鎖RNAの
干渉性に基づいており、線虫の遺伝的研究(Fire等, Nature (1998) 391:806-81
1)において非常に有用性があることが証明されており、またショウジョウバエ
において機能喪失フェノタイプを発生させるために使用することもできる(Kenn
erdell及びCarthew, Cell (1998) 95:1017-1026; Misquitta及びPatterson PNAS
(1999)96:1451-1456)。p53遺伝子のような対象遺伝子の実質的な部分から
取り出された相補的センス及びアンチセンスRNAsがインビトロで合成され、
注入バッファーにてアニールされ、注入又は他の好適な方法、例えば給餌、RN
Aを含むバッファー中に動物を浸漬する等々により動物中に導入される。ついで
、dsRNA処理動物の子孫について対象のフェノタイプを検査する(PCT公
開番号WO99/32619)。 dsRNAiはまたp53配列に作用可能に融合した適切に位置せしめられた
プロモーターからセンスRNAとアンチセンスRNAの双方をインビボで同時に
発現させることにより達成することもできる。あるいは、動物の生きた食物をセ
ンス及びアンチセンスRNAを発現するように操作し、動物に給餌することがで
きる。例えば、線虫に操作した大腸菌を給餌し、ショウジョウバエに操作したパ
ン酵母を休止し、例えばLeptinotarsa及びHeliothisのような昆虫及び他の草食
動物にはdsRNAを生じるように操作された遺伝子組換え植物を給餌すること
ができる。 RNAiはまた標的タンパク質の発現を阻害するために培養ショウジョウバエ
細胞において成功裏に使用されている(http://dixonlab.biochem.med.umich.ed
u/protocols/RNAiExperiments.html)。よって、培養物中の細胞株をRNAiを
用いて操作して、p53経路の成分の機能を乱し、研究し、この経路の操作を含
む治療又は殺虫方策の効能を実証することができる。好適なプロトコールは実施
例13に記載している。
【0037】 ペプチド及びRNAアプタマーを使用する機能喪失フェノタイプの発生 機能喪失フェノタイプの発生のための他の方法は、タンパク質機能のドミナン
トな阻害剤として作用するペプチド又は小分子であるペプチドアプタマーを使用
するものである。ペプチドアプタマーは標的タンパク質に特異的に結合し、その
機能能力を阻止する(Kolonin及びFinley, PNAS (1998)95:14266-14271)。ペプ
チドアプタマーの高度に選択的な性質のために、それらは特異的なタンパク質を
ターゲティングするためばかりでなく任意のタンパク質の特異的な機能(例えば
転写機能)をターゲティングするために使用することができる。更に、ペプチド
アプタマーは、時間的、空間的又は誘発可能な形で発現を調節するプロモーター
の使用により制御された形で発現されうる。ペプチドアプタマーは優位に作用す
る;従って、それらは機能喪失変異体が利用できないタンパク質を分析するため
に使用することができる。 標的タンパク質に高い親和性と特異性をもって結合するペプチドアプタマーは
当該分野で知られている様々な方法によって単離することができる。一方法では
、それらは酵母のツーハイブリッドスクリーニングによって無作為なペプチドラ
イブラリーから単離される(Xu等, PNAS (1997) 94:12473-12478)。それらはま
たファージライブラリー(Hoogenboom等, Immunotechnology (1998) 4:1-20)又
は化学的に産生されたペプチド/ライブラリーから単離することができる。 RNAアプタマーは、遺伝子のタンパク質機能を特異的に阻害することができ
るタンパク質の特異的RNAリガンドである(Good等, Gene Therapy (1997) 4:
45-54; Ellington等, Biotechnol. Annu. Rev. (1995) 1:185-214)。インビト
ロ選択方法を用いて選択された特性を持つRNAアプタマーを同定することがで
きる(Bell等, J. Biol. Chem. (1998) 273:14309-14314)。RNAアプタマー
はショウジョウバエにおけるタンパク質機能を阻害可能であることが実証されて
いる(Shi等, Proc. Natl. Acad. Sci USA (1999) 96:10033-10038)。従って、
RNAアプタマーはp53タンパク質又はその誘導体、あるいはp53タンパク
質と相互作用するタンパク質の発現を減少させるために使用することができる。 遺伝子導入動物を産生してペプチド又はRNAアプタマーをインビボで試験す
ることができる(上掲のKolonin及びFinley)。例えば、所望のアプタマーを発
現する遺伝子導入ショウジョウバエをP因子媒介形質転換により産生することが
できる(以下で検討)。ついで、アプタマーを発現する子孫のフェノタイプを特
徴づけることができる。
【0038】 イントラボディを使用する機能喪失フェノタイプの発生 細胞内に発現された抗体、又はイントラボディは細胞内の標的分子に特異的に
結合してそれを不活性化させるように設計された単鎖抗体分子である。イントラ
ボディは細胞アッセイ及び全生物、例えばショウジョウバエにおいて使用されて
いる(Chen等, Hum. Gen. Ther. (1994) 5:595-601; Hassanzadeh等, Febs Lett
. (1998) 16(1,2):75-80及び81-86)。p53タンパク質と特異的に反応するイ
ントラボディで誘発可能な発現ベクターが作成されうる。これらのベクターはモ
デル生物中に導入され、アプタマーに対して記載されたものと同じようにして研
究される。 トランスジェネシス 典型的には、(ゲノムDNA又はcDNAの何れかからの)p53遺伝子のコ
ード領域の遺伝子融合体又はアンチセンスRNAs、同時抑制RNAs、干渉d
sRNA、RNAアプタマー、ペプチドアプタマー、又は調節が十分に特徴づけ
られている特異的プロモーター及び転写エンハンサー、好ましくは異種性プロモ
ーター/エンハンサー(すなわち、発現されているp53遺伝子に対して非天然
であるプロモーター/エンハンサー)に作用可能に結合したイントラボディをコ
ードするように操作された遺伝子を含むトランスジェニック動物が作られる。 動物のゲノム又は培養細胞中に外因性核酸配列を導入してトランスジェニック
動物又は組換え細胞株をつくる方法はよく知られている。無脊椎動物モデルに対
しては、最も一般的な方法は転移因子の使用を含む。モデル生物のゲノム中に核
酸配列を導入するために使用することができる幾つかの好適な転移因子が存在す
る。転移因子はまたコードされたタンパク質が正しく発現されないように対象遺
伝子に配列を挿入するのに特に有用であり、機能喪失フェノタイプを持つ「ノッ
クアウト」動物を作り出す。ショウジョウバエにおけるP因子の使用については
方法がよく確立されている(Rubin及びSpradling, Science (1982) 218:348-53;
米国特許第4670388号)。また、PiggyBac、hobo、及びhermesのような
様々な種において機能する転移因子が同定されている(Thibault等, Insect Mol
Biol (1999) 8(1):119-23)。
【0039】 P因子又は標識P因子は、局在化されたトランスポゾン源としての使用のため
に前もって存在するP因子挿入物の利用性と近接性に依存して、これらの遺伝子
の正確な分子マッピングのため、ショウジョウバエp53遺伝子における機能喪
失突然変異の単離に好適である(Hamilton及びZinn, Methods in Cell Biology
(1994) 44:81-94;及びWolfner及びGoldberg, Methods in Cell Biology (1994)
44:33-80)。典型的には、P因子を含む動物の検出を可能にする一又は複数の因
子を含む修飾P因子が使用される。最も頻繁には、例えばショウジョウバエwhit
e又はrosy遺伝子の誘導体のような、ショウジョウバエの目の色に影響を及ぼす
マーカー遺伝子が使用される(上掲のRubin及びSpradling;及びKlemenz等, Nuc
leic Acids Res. (1987) 15810):3947-3959)。しかし、原理的には、任意の遺
伝子をトランスジェニック動物において信頼できかつ容易にスコアがつけられる
フェノタイプ変化を生じさせるマーカーとして使用することができる。様々な他
のマーカーは、アンピシリン耐性のような選択マーカーを持つ細菌プラスミド配
列(Steller及びPirrotta, EMBO. J. (1985) 4:167-171);及び対象の発生的発
現パターンを持つエンハンサーの存在を検出する弱い普遍的プロモーターに融合
したlacZ配列(Bellen等, Genes Dev. (1989) 3(9):1288-1300)を含む。突
然変異誘発に有用な他の標識P因子の例が報告されている(Nucleic Acids rese
arch (1998) 26:85-88; 及びhttp://flybase.bio.indiana.edu)。 ショウジョウバエにおけるトランスポゾン突然変異誘発の好適な方法は、「局
所ホッピング」法を用いる(Tower等(Genetics (1993)133:347-359)。それぞ
れの新しいP挿入株を、PCRに基づくアッセイによって、対象の遺伝子(例え
ばp53)内へのP因子の転移について分子的に試験することができる。各反応
に対して、P因子内に含まれる配列に相同的な一つのPCRプライマーが使用さ
れ、第2のプライマーは対象遺伝子のコード領域又は隣接領域に相同である。P
CR反応の産物はアガロースゲル電気泳動法により検出される。得られるDNA
断片の長さは対象の遺伝子に相対的なP因子挿入部位を明らかにする。あるいは
、対象遺伝子のゲノムDNA又はcDNAから誘導されたDNAプローブを使用
するサザンブロット及び制限酵素マッピングを用いて遺伝子のゲノムDNAを再
配列させる転移事象を検出することができる。対象の遺伝子をマップするP転移
事象はヘテロ接合性又はホモ接合性突然変異ショウジョウバエにおけるフェノタ
イプ効果のために評価することができる。
【0040】 他の実施態様では、対象の遺伝子にP挿入を有するショウジョウバエ株を用い
て、既知の方法を使用して局在化された欠失を発生させることができる(Kaiser
, Bioassays (1990) 12(6):297-301; Harnessing the power of Drosophila gen
etics, In Drosophila melanogaster: Practical Uses in Cells and Molecular
Biology, Goldstein及びFyrberg編, Academic Press, Inc. San Diego, Califo
rnia)。これは、対象の遺伝子を破壊するP因子転移が見いだせない場合には特
に有用である。簡単に述べると、対象遺伝子の近くに挿入されたP因子を含むハ
エが該因子の切除を誘発するために更なるラウンドの転移にさらされる。トラン
スポゾンが切除した子孫は転位因子に関連する目の色のマーカーの喪失によって
典型的に同定される。得られた子孫はP因子の正確な又は不正確な切除の何れか
を持つハエを含み、ここで、不正確な切除事象はしばしばP挿入部位に隣接する
ゲノムDNAの欠失を生じる。このような子孫をモレキュラー法によってスクリ
ーニングして、対象の遺伝子からゲノム配列を除く欠失事象を同定し、ヘテロ接
合性及びホモ接合性突然変異ショウジョウバエにおけるフェノタイプ効果が評価
される。 砂金、全ての目を持つ動物に普遍的に利用でき、多様な昆虫種に導入遺伝子を
送達するのに効果的であることが証明された遺伝子導入系が記載されている(Be
rghammer等, Nature (1999) 402:370-371)。この系は、TATAボックス(3
xP3;Sheng等, Genes Devel. (1997) 11:1122-1131)の上流に位置して3つ
のPax6結合部位を好ましくは含む、全ての動物種の目の組織において活性な
人工的プロモーター;例えばGFP又は他の自己蛍光タンパク質遺伝子のような
強く可視的に検出可能なマーカー遺伝子(Pasher等, Gene (1992) 111:229-233;
米国特許第5491084号);及び広い範囲の動物種に導入遺伝子を送達可能
な乱交雑ベクター、例えばHermes、PiggyBac、又はmarinerから誘導されたトラ
ンスポゾン系ベクター、あるいは汎親和性VSV-シュードタイプレトロウイ
ルスに基づくベクター(Burns等, In Vitro Cell Dev Biol Anim (1996) 32:78-
84; Jordan等, Insect Mol Biol (1998) 7:215-222;米国特許第5670345
号)を含む。同じトランスジェネシス系を様々な系統学的に広範な動物において
使用できるので、比較機能研究が極めて容易になり、害虫管理への新規な利用を
評価するのに特に役に立つ。
【0041】 機能喪失フェノタイプの作成に加えて、転移因子は遺伝子の(過剰発現を含む
)誤発現を生じる動物のゲノムの任意の領域に更なる遺伝子としてp53、又は
その断片もしくは誘導体を導入するために使用することができる。トランスジェ
ニックショウジョウバエでの遺伝子の誤発現のために特に設計された好適なベク
ターは9Kb長であり、大腸菌のための複製起点;アンピシリン耐性遺伝子;挿
入された配列を移動させるためのP因子転移3'及び5'末端;Whiteマーカー遺
伝子;αチューブリン遺伝子の3'未翻訳領域とhsp70エンハンサーのTA
TA領域を含む発現ユニットを含む。発現ユニットはエンハンサーの挿入のため
に設計された第1の多重クローニング部位(MCS)と対象遺伝子の挿入のため
に設計された500塩基下流に位置する第2のMCSを含む。転移因子の代わり
に、相同的組換え又は標的遺伝子導入法を用いて、異種性p53遺伝子又は断片
又は誘導体を動物の相同な遺伝子の一方又は両方のコピーに置き換えることがで
きる。導入遺伝子は外因性又は内因性プロモーター因子の何れかの調節の下にあ
り、ミニ遺伝子又は大きなゲノム断片の何れかとして挿入されうる。遺伝子機能
は例えばショウジョウバエを用いて、異所性発現により分析することができる(
Brand等, Methods in Cell Biology (1994) 44:635-654)。 トランスジェニックショウジョウバエの作成のために使用することができるよ
く特徴づけられた異種性プロモーターの例はhsp70及びhsp83遺伝子のような
熱ショックプロモーター/エンハンサーを含む。目の組織に特異的なプロモータ
ー/エンハンサーにはeyeless(Mozer及びBenzer, Development (1994) 120:104
9-1058)、sevebless(Bowtell等, PNAS (1991) 88(15):6853-6857)及びglass
応答プロモーター/エンハンサー(Quiring等, Science (1994) 265:785-789)
が含まれる。羽組織に特異的なエンハンサー/プロモーターはdpp又はvestigal
遺伝子から誘導することができる(Staehling-Hampton等, Cell Grwoth Differ.
(1994) 5(6):585-593; Kim等, Nature (1996) 382:133-138)。最後に、p53
が通常活性である領域にドミナント活性又はドミナントネガティブな導入遺伝子
の活性を制限する必要がある場合には、内因性p53プロモーターを使用するこ
とが有用でありうる。glass応答性エンハンサー因子を使用するショウジョウバ
エの幼生の目におけるDMp53の異所性発現は以下の実施例12に記載されて
いる。
【0042】 ショウジョウバエにおいて、外因性DNAを用いるバイナリー調節系が、広範
な発生段階特異的及び組織特異的パターンでの遺伝子の誤発現を試験する場合に
有用である。バイナリー外因性調節系の二つの例には、酵母菌由来のUAS/G
AL4系(Hay等, PNAS (1997)94(10):5195-5200; Ellis等, Development (1993
) 119(3):855-865)、及び大腸菌由来の「Tet系」(Bello等, Development (199
8) 125:2193-2202)が含まれる。UAS/GAL4系は酵母GAL4転写活性化
因子タンパク質によるプロモーターの調節のためにUAS上流調節配列を用い
る誤発現の十分に確立された強力な方法である(Brand及びPerrimon, Developme
nt (1993) 118(2):401-15)。このアプローチ法では、誤発現される対象の遺伝
子がUASにより調節された適切なプロモーターに作用可能に融合した「targ
et」株と命名されたトランスジェニックショウジョウバエが産生される。特定の
組織、例えば目、羽、神経系、腸、又は筋系においてGAL4活性化因子タンパ
ク質の発現を指示するプロモーター/エンハンサーにGAL4コード領域が作用
可能に融合した「ドライバー」株と命名された他のトランスジェニックショウジ
ョウバエ株が産生される。対象の遺伝子は対象の遺伝子に結合したプロモーター
からの転写を推進する転写活性化因子が欠落しているために標的株に発現されな
い。しかし、UAS標的株がGAL4ドライバー株と交雑されると、対象の遺伝
子の誤発現がそのGAL4株に特徴的な特定のパターンで生じる子孫に誘発され
る。このアプローチ法の技術的な単純さにより、対象の遺伝子を持つ一つのトラ
ンスジェニック標的株を産生し、前に存在するドライバー株のパネルとその標的
株を交雑させることにより、非常に広範な組織において対象の遺伝子の定方向誤
発現の効果を採取することが可能になる。
【0043】 「Tet」バイナリー調節系では、テトラサイクリン調節転写活性化因子(tT
A)のコード領域が組織特異的及び/又は発生段階特異的な形でtTAの発現を
指示するプロモーター/エンハンサーに作用可能に融合したトランスジェニック
ショウジョウバエドライバー株が産生される。ドライバー株はトランスジェニッ
クショウジョウバエ標的株に交雑され、そこでは誤発現される対象の遺伝子のコ
ード領域がtTA応答性調節因子を有するプロモーターに作用可能に融合される
。得られた子孫に十分な量のテトラサイクリンを補填した食物が供給されると、
対象の遺伝子の発現が阻止される。対象の遺伝子の発現は食物からのテトラサイ
クリンの除去により簡単に自在に誘発することができる。また、対象の遺伝子の
発現のレベルは、食物中のテトラサイクリンのレベルを変えることにより調節す
ることができる。よって、誤発現のためのバイナリー調節機構としてのTet系の
使用は、空間的な制御に加えて、対象遺伝子の誤発現の大きさとタイミングを制
御する手段を提供するという利点を有する。従って、例えば胚又は幼生段階のよ
うに発達の初期段階において誤発現されるときにp53遺伝子が致死的な又は有
害な効果を有するならば、成体における遺伝子の機能はなお発達の初期段階の間
に食物にテトラサイクリンを加え、成体段階でのに誤発現を誘発するように後で
テトラサイクリンを除去することにより評価することができる。 突然変異によりタンパク質がタンパク質の野生型コピーの正常な機能に干渉し
、遺伝子の正常なコピーの存在下において機能喪失又は機能減少フェノタイプが
生じうるドミナントネガティブな突然変異は既知の方法を使用して作成すること
ができる(Hershkowitz, nature (1987) 329:219-222)。活性なモノマータンパ
ク質の場合には、例えば高度に活性なプロモーターに突然変異遺伝子を結合させ
ることにより達成される不活性形態の過剰発現が、正常なタンパク質の正味の活
性を有意に低減させるのに十分な天然の基質又はリガンドに対して競合を生じさ
せうる。あるいは、活性な部位の残基への変化がなされ、実際に不可逆な標的と
の会合を生じる。
【0044】 遺伝子発現の変化のアッセイ 様々な発現分析法を用いて、突然変異p53遺伝子を発現する他の細胞株又は
動物と比較して野生型p53遺伝子を発現する細胞株又は動物の間に差次的に発
現される遺伝子を同定することができる。そのような発現プロフィール化法はデ
ィファレンシャルディスプレイ、遺伝子発現の段階分析(SAGE)、遺伝子デ
ータベースクエリーに連結された転写物プロフィール化、核酸アレイ法、サブト
ラクティブハイブリダイゼーション、及びプロテオーム分析(例えば、質量分析
及び二次元タンパク質ゲル)を含む。核酸アレイ法はp53遺伝子に突然変異を
持つ動物と資格して正常な動物におけるゲノム幅発現パターンを決定するために
使用することができる。遺伝子発現プロフィール化はまたp53に機能的な関連
を有しうる他の遺伝子又はタンパク質を同定するために使用することができる。
遺伝子は、p53遺伝子の突然変異、過剰発現、発現不足、誤発現又はノックア
ウトに続くその発現レベルの変化を検出することによって同定される。
【0045】 p53遺伝子突然変異に関連するフェノタイプ 突然変異した又は誤発現したp53遺伝子又は阻害性RNAsを持つモデル動
物の単離後に、動物について対象のフェノタイプを注意深く調べる。突然変異し
たp53遺伝子の分析に対しては、変更されたp53遺伝子に対してホモ接合性
でありヘテロ接合性である動物モデルを分析する。研究される特定のフェノタイ
プの例は、致死率;繁殖不能性;採食行動、腫瘍形成、運動性の変更及び医薬へ
の感応性を含む神経筋機能の混乱を含む。ハエにより特異的な幾つかのフェノタ
イプは、成体行動、例えば飛行能力、歩行、毛づくろい、走光性、交尾又は産卵
における変化;感覚器官の応答の変化、成体組織、例えば目、羽、脚、剛毛、触
覚、腸、脂肪体、生殖腺及び筋系の形態、サイズ又は数の変化;幼生組織、例え
ば口部、角皮、内部組織又は成虫原基;又は幼生挙動、例えば採食、脱皮、這う
動き、又は蛹殻形成;あるいは任意の生殖系列又は胚組織における発達欠陥を含
む。 p53遺伝子を含むゲノム配列は、突然変異がp53遺伝子にあるかどうかを
決定するために、過去に記載されたトランスジェネシス法を使用して、現存する
突然変異昆虫株を操作するために使用することができる。簡単に言えば、生殖系
列形質転換体を、その突然変異が対象の遺伝子の近傍にマップされている昆虫株
の現存する又は新たに作成したパネルに対する相補性試験のために交雑させる(
上掲のFly Pushing)。突然変異フェノタイプの相補性によって判断して、突然
変異株がゲノム断片によりレスキューされていることが発見された場合には、突
然変異株はp53遺伝子に突然変異を有している可能性が高い。この予想は、p
53遺伝子の損傷を同定するために突然変異株からp53遺伝子を配列化させる
ことにより更に確認できる。
【0046】 p53遺伝子を変更する遺伝子の同定 p53遺伝子における突然変異型は後発現により作られた新しいフェノタイプ
の特徴付けにより、p53遺伝子と、同じ、関連した、又は相互作用する遺伝的
又は生化学的経路に関与しうる他の遺伝子との間の遺伝的相互作用を試験するこ
とができる。個々の遺伝子を、以下に更に詳細に記載するような大規模な遺伝子
変更スクリーンにおける出発点として使用することができる。あるいは、RNA
i法を用いて分析される遺伝子中の機能喪失突然変異をシミュレートすることが
できる。他のよく特徴づけられた遺伝子、特に細胞分裂周期又はアポトーシスの
調節に関与する遺伝子とp53遺伝子に何らかの相互作用があるかどうかを調べ
ることは特に興味深い。 遺伝子変更スクリーニング 無脊椎動物モデル生物を使用する遺伝子変更スクリーニングは、多くの数の動
物を系統的にスクリーニングし、相互作用する遺伝子を同定することが可能にな
るので、p53遺伝子と相互作用する遺伝子を同定するための特に好適な方法で
ある。ショウジョウバエにおいては、約10000までの動物のスクリーニング
がパイロットスケールのスクリーニングであると考えられる。中程度のスケール
のスクリーニングは通常約10000から約50000のハエを用い、大規模な
スクリーニングは約50000を越えるハエを用いる。遺伝子変更スクリーニン
グにおいて、p53遺伝子における突然変異のためにあるいはその誤発現のため
に突然変異フェノタイプを持つ動物は、例えば化学的突然変異誘発又はトランス
ポゾン突然変異誘発によって、更に突然変異誘発される。
【0047】 典型的なショウジョウバエ遺伝子変更スクリーニングに含まれる手順は当該分
野においてよく知られている(Wolfner及びGoldberg, Methods in Cell Biology
(1994) 44:33-80;及びKarim等, Genetics (1996) 143:315-329)。使用される
手順は変更されうる突然変異誘発遺伝子の正確な性質に応じて異なる。一般的に
機能喪失対立遺伝子の場合のように、突然変異誘発遺伝子が遺伝的に劣性であれ
ば、突然変異誘発遺伝子の一コピーを有する最も典型的には雄、又はある場合に
は雌が、例えばEMS、MMS、ENU、トリエチルアミン、ジエポキシアルカ
ン類、ICR-170、ホルムアルデヒド、X線、ガンマ線、又は紫外線照射の
ような効果的な突然変異原に暴露される。突然変異誘発された動物は変更される
突然変異遺伝子をまた有する反対の性の動物に交雑される。異所的に発現された
遺伝子の場合に一般的であるように、変更されている突然変異誘発遺伝子が遺伝
的に優性である場合には、野生型雄が突然変異誘発され、変更される突然変異誘
発遺伝子を有する雌に交雑される。 元のフェノタイプの増強か抑制の何れかを示す突然変異誘発され交雑されたハ
エの子孫は、同じフェノタイプ発生経路に関与する「変更遺伝子」と呼ばれる他
の遺伝子に突然変異を有していると思われる。これらの子孫は直ぐにバランサー
染色体を含む成体に交雑され安定な遺伝子系統のファウンダーとして使用される
。また、ファウンダー成体の子孫はフェノタイプの安定性と再現性を確保するた
めに元のスクリーニング条件で再試験される。更なる二次スクリーニングを適切
に用いて、更なる分析のためにそれぞれの新しい変更突然変異系統の適合性を確
認する。
【0048】 ショウジョウバエにおける遺伝子スクリーニングから生じる変更因子のマッピ
ングに使用される標準的な方法は、可視又は分子遺伝マーカーでの減数分裂マッ
ピング;P因子挿入に対する雄特異的組換えマッピング;欠陥、複製、及び致死
的P因子挿入での相補性分析;及び染色体異常の細胞学的分析(上掲のFly Push
ing)を含む。致死的P因子を補完できない変更突然変異に対応する遺伝子はP
因子を囲むゲノム配列のプラスミドレスキューによりクローニングされうる。あ
るいは、変更遺伝子はフェノタイプレスキューと位置クローニングによってマッ
プされうる(上掲のSambrook等)。 新たに同定された変更因子突然変異について、上述の方法を使用してp53遺
伝子に関与する又は関連することが知られている他の対象遺伝子との相互作用を
直接試験することができる。また、新しい変更因子突然変異は細胞分裂周期又は
アポトーシスの調節に関連しているとは信じられていない他の経路における遺伝
子との相互作用について試験することができる。細胞分裂周期又はアポトーシス
に関連している他の遺伝子とで、未関連の経路の遺伝子とではない特定の遺伝的
相互作用を示す新しい変更因子突然変異が特に興味深い。 変更因子突然変異はまた「相補性グループ」を同定するために使用することが
できる。二つの変更因子突然変異は、トランスで双方の突然変異を有する動物が
それぞれの突然変異に個々にホモ接合性である動物と本質的に同じフェノタイプ
を示し、互いにトランスの時に一般に致命的であるならば、同じ相補性グループ
に入ると考えられる(上掲のFly Pishing)。一般に、このようにして定義され
た個々の相補性グループは個々の遺伝子に対応する。
【0049】 p53変更遺伝子が同定されると、他の種の相同的な遺伝子が、変更遺伝子D
NAプローブでのクロスハイブリダイゼーションに基づく手順、変更遺伝子から
誘導されたプライマー配列でのPCRベース方策、及び/又は配列データベース
のコンピューター検索を使用して単離することができる。p53遺伝子の機能に
関する治療的応用に対しては変更遺伝子のヒト及び齧歯類騒動体が特に興味深い
。 上述したショウジョウバエ遺伝子変更スクリーニングはかなり強力で感度がよ
いが、p53遺伝子と相互作用する幾つかの遺伝子が、特にその遺伝子の機能の
重複がある場合にはこのアプローチ法において見逃されうる。これは、標準的な
突然変異誘発法において発生させられた突然変異の大部分は機能喪失突然変異で
あるが、機能重複を伴う遺伝子を明らかにしうる機能獲得突然変異が比較的希で
あるためである。系統的な機能獲得遺伝子スクリーニングに特に焦点を当ててい
るショウジョウバエにおける遺伝子スクリーニングの他の方法が開発されている
(Rorth等, Development (1998) 125:1049-1057)。この方法は、(上述した)
GAL4/UAS系の成分を利用するモジュラー誤発現系に基づいており、「強
化P」(EP)因子と命名された変更P因子が遺伝的に操作されてGAL4-応
答性UAS因子及びプロモーターを含む。得られるトランスポゾンは挿入突然変
異誘発により遺伝子に無作為にタギングするために使用される(上述したP因子
突然変異誘発の方法と同様)。それぞれが特異的UASタグ遺伝子を含む、EP
株と命名された何千ものトランスジェニックショウジョウバエ株が産生される。
このアプローチ法は遺伝子の5'末端で挿入されるP遺伝子の優先度を利用して
いる。従って、EP因子の挿入によってタギングされる遺伝子の多くはGAL4
-調節プロモーターに作用可能に融合し、無作為にタギングされた遺伝子の発現
又は誤発現の増加がGAL4ドライバー遺伝子での交雑により誘発されうる。
【0050】 p53遺伝子の突然変異又は誤発現により誘発されるフェノタイプの変更因子の
系統的な機能獲得遺伝子スクリーニングは、突然変異又は誤発現p53遺伝子を
含み、更に適当なGAL4ドライバー導入遺伝子を含む遺伝的バックグラウンド
中に個々に幾千ものショウジョウバエEP株を交雑させることにより実施するこ
とができる。新規な挿入を得るためにEP因子を再び移動させることも可能であ
る。ついで、これらの交雑の子孫について上述のような元の突然変異フェノタイ
プの増強又は抑制を分析する。p53遺伝子と相互作用する突然変異を持つとし
て同定されたものは、更に、この遺伝的相互作用の再現性と特異性を実証するた
めに試験することができる。突然変異又は誤発現されたp53遺伝子との特異的
な遺伝的相互作用を実証するEP挿入は、PCR又はハイブリダイゼーションス
クリーニング法を用いて同定され配列決定されうる物理的にタギングされた新し
い遺伝子を有しており、EP因子挿入の位置に隣接するゲノムDNAの単離を可
能にする。
【0051】 p53と相互作用する分子の同定 53タンパク質、又はその誘導体もしくは断片と相互作用するタンパク質又は
他の分子のような分子を同定又はスクリーニングするために様々な方法を使用す
ることができる。該アッセイは、精製されたp53タンパク質、又は細胞株又は
モデル生物、例えばp53タンパク質を発現するように遺伝的に操作されたショ
ウジョウバエを使用しうる。対象の遺伝子/タンパク質と相互作用するタンパク
質及び他の分子を試験する好適なスクリーニング法は当該分野においてよく知ら
れている(例えばPCT国際公開番号WO96/34099を参照のこと)。新
たに同定される相互作用する分子は製薬用薬剤の新しい標的を提供しうる。天然
に生じるもの及び/又は合成のものの双方の様々な外因性分子の任意のもの(例
えば小分子又はペプチドのライブラリー、又はファージディスプレイライブラリ
ー)を結合能力についてスクリーニングすることができる。典型的な結合実験で
は、p53タンパク質又は断片は結合を誘発する条件下で候補分子と混合され、
結合が起こるように十分な時間が確保され、結合した複合体を試験するアッセイ
が実施される。相互作用するタンパク質を見いだすための様々なアッセイが当該
分野において知られている、例えば複合体中のタンパク質に結合する抗体での免
疫沈降に続く、免疫沈降したタンパク質のサイズ分画による分析(例えば変性又
は非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、ウエスタン分析、非変性ゲル電
気泳動法等々である。
【0052】 ツーハイブリッドアッセイ系 相互作用するタンパク質を同定するための好適な方法はツーハイブリッドアッ
セイ系又はその変形である(Fields及びSong, Nature (1989) 340:245-246;米国
特許第5283173号;レビューにはBrent及びFinley, Annu. Rev. Genet. (
1997) 31:663-704を参照のこと)。最も一般的に使用されるツーハイブリッドス
クリーニング系は酵母菌を使用して実施される。全ての系は3つの因子を共有す
る:1)DNA結合ドメインに融合した「ベイト」タンパク質の合成を指示する
遺伝子;2)ベイトに対して上流の結合部位を有する一又は複数の「レポーター
」遺伝子、及び3)レポーター遺伝子の転写を活性化する活性化ドメインに融合
した「プレイ」タンパク質の合成を指示する遺伝子である。p53タンパク質と
相互作用するタンパク質のスクリーニングに対して、「ベイト」は好ましくはD
NA結合ドメインへの融合タンパク質として発現されるp53タンパク質であり
;「プレイ」タンパク質はベイトと相互作用する能力を試験され、転写活性化ド
メインへの融合タンパク質として発現されるタンパク質である。プレイタンパク
質は無作為のペプチドを発現する組換え生物学的ライブラリーから得ることがで
きる。
【0053】 ベイト融合タンパク質は任意の好適なDNA結合ドメイン、例えば大腸菌LexA
リプレッサータンパク質、又は酵母GAL4タンパク質(Bartel等, BioTechniq
ues (1993)14:920-924, Chasman等, Mol. Cell. Biol. (1989)9:4746-4749; Ma
等, Cell (1987) 48:847-853; Ptashne等, Nature (1990) 346:329-331)を使用
して作成することができる。プレイ融合タンパク質は、GAL4、VP-16等
々のような任意の好適な活性化ドメインを使用して作成することができる。プレ
イは、コードされたタンパク質の単離を容易にするために、核局在化シグナル(
Ylikomi等, EMBO J. (1992) 11:3681-3694; Dingwall及びLaskey, Trends Bioch
em. Sci. Trends Biochem. Sci. (1991)16:479-481)又はエピトープタグ(Alle
n等, Trends Biochem. Sci. Trends Biochem. Sci. (1995) 20:511-516)のよう
な有用な部分を含んでいてもよい。適切な培地上での成長によりそれらを発現す
る細胞を選択できるようにするレポーター遺伝子のような検出可能なフェノタイ
プを有する任意のレポーター遺伝子を使用することができる(例えば、Chien等,
PNAS (1991)88:9572-9582により記載されているLEU2、HIS3;及びGyuris等, Ce
ll (1993) 75:791-803)。他のレポーター遺伝子、例えばLacZ及びGFPはそれら
を発現する細胞を可視的にスクリーニングできるようにする(上掲のChien等)
。 ツーハイブリッドスクリーニングのために好適な宿主は酵母菌であるが、レポ
ーター遺伝子の転写と相互作用アッセイが生じる宿主細胞は任意の細胞、例えば
哺乳動物(例えば、サル、マウス、ラット、ヒト、ウシ)、ニワトリ、細菌、又
は昆虫細胞でありうる。酵母菌中での二つの融合タンパク質集団の発現のための
様々なベクターと宿主株が使用できる(米国特許第5468614;Bartel等,
Cellular Interactions in Development (1993) Hartley編, Practical Approac
h Series xviii, IRL Press at Oxford University Press, New York, NY, pp.1
53-179;及びFields及びSternglanz, Trends In Genetics (1994) 10:286-292)
。哺乳動物系の例として、GAL4推進ベイトとの活性化タギングVP16誘導
体の相互作用が、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、クロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ、又はCD細胞表面抗原の合成を指示する
レポーターの発現を推進する(Fearon等,PNAS (1992) 89:7958-7962)。他の例
として、GAL4-誘導ベイトとのVP16タギング誘導体の相互作用はSV4
0T抗原の合成を推進し、それが次にプレイプラスミドの複製を促進し、それが
SV40起点を有している(Vasavada等, PNAS (1991)88:10686-10690)。
【0054】 典型的には、ベイトp53遺伝子とキメラ遺伝子のプレイライブラリーがおよ
そ6−8時間かけて固体又は液体培地上での二つの酵母菌株の交配により組み合
わされる。得られた複相は両方の種類のキメラ遺伝子、すなわちDNA結合ドメ
イン融合体と活性化ドメイン融合体を含む。レポーター遺伝子の転写はSV40
T抗原の場合には結合複製アッセイによって(上掲のVasavada等)、あるいはイ
ッムノアッセイ法を使用して(Alam及びCook, Anal. Biochem. (1990)188:245-2
54)検出できる。URA3、HIS3、LYS2又はLEU2のような他のレポ
ーター遺伝子の活性化により、それぞれウラシル、ヒスチジン、リジン又はロイ
シンの不存在下で細胞が成長し、よって選択マーカーとなる。例えば、GFP及
びlacZはそれぞれ蛍光性で色素生産性である遺伝子産物を有している。 相互作用タンパク質が同定された後に、該タンパク質をコードするDNA配列
が単離できる。一方法では、活性化ドメイン配列又はDNA結合ドメイン配列(
使用するプレイハイブリッドに依存する)が例えば、DNA結合ドメイン又は活
性化ドメインのコード領域に特異的なオリグヌクレオチドプライマーついを使用
してPCRにより増幅される。シャトル(大腸菌への酵母菌)ベクターが融合タ
ンパク質を発現させるために使用される場合は、タンパク質をコードするDNA
配列は酵母菌DNAを使用する大腸菌の形質転換と大腸菌からのプラスミドの回
収により単離できる。あるいは、酵母ベクターを単離し、融合タンパク質をコー
ドする挿入物を、大腸菌中でのプラスミドの成長のために、細菌発現ベクター中
にサブクローニングできる。
【0055】 抗体とイッムノアッセイ 配列番号:2、4、6、8又は10及びその誘導体と断片、例えば上で検討し
たものの何れかによりコードされるp53タンパク質はモノクローナル又はポリ
クローナル抗体及び抗体断片又は誘導体(例えば、キメラ、単鎖、Fab断片)
を産生するための免疫源として使用できる。例えば、53タンパク質の断片、好
ましくは親水性として同定されたものは、当該分野で既知の方法、例えばハイブ
リドーマ法;無菌動物中でのモノクローナル抗体生産(PCT/US90/02
545);ヒトハイブリドーマの使用(Cole等, PNAS (1983) 80:2026-2030; Co
le等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy (1985) Alan R. Liss, pp.7
7-96);及びヒト化抗体の生産(Jones等, Nature (1986) 321:522-525;米国特
許第5530101号)を使用する抗体生産のための免疫源として使用される。
特定の実施態様では、p53ポリペプチド断片は、特に担体タンパク質に結合さ
れたときに特異的抗原及び/又は免疫源をもたらす。例えば、ペプチドはキーホ
ールリンペット抗原(KLH)に共有結合的に結合され、コンジュゲートがフロ
イント完全アジュバントに乳化される。実験用ウサギが一般的なプロトコルに従
って免疫化され、採血される。特異的抗体の存在は固定化された対応のポリペプ
チドを使用する固相免疫吸着アッセイによりアッセイされる。得られた抗体の特
異的活性又は機能は簡便なインビトロ、細胞ベース、又はインビボアッセイ、例
えばインビトロ結合アッセイ等々によって決定できる。結合親和性は抗原抗体会
合の平衡定数(通常は少なくとも約10−1、好ましくは少なくとも約10 −1、より好ましくは少なくとも約10−1)の決定によりアッセイで
きる。以下の実施例11は更に抗DMp53抗体の産生を記述する。 イムノアッセイはp53タンパク質と相互作用するかそれに結合するタンパク
質を同定するために使用できる。野生型p53タンパク質に結合し、あるいはそ
れへの結合について競合するタンパク質の能力、又は抗p53タンパク質抗体に
結合するタンパク質の能力を試験するために様々なアッセイが利用できる。好適
なアッセイは、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫測定法)、免
疫放射線測定法、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散測定法、インサイツイムノアッ
セイ(例えばコロイド状金、酵素又は放射性同位元素標識を使用)、ウエスタン
ブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えばゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセ
イ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、疫電気泳
動アッセイ等々を含む。
【0056】 潜在的な薬物標的の同定 新規なp53遺伝子又はp53相互作用遺伝子が同定されたら、それらはショ
ウジョウバエ又は他の昆虫のような動物モデルを使用するか、あるいは内因性p
53を発現するかp53を発現するように操作された細胞を使用して、潜在的な
薬物又は殺虫剤の標的として評価できる。 昆虫への化合物のアッセイ 潜在的な殺虫性化合物は、経口的(合成食餌への添加、植物又は試験生物によ
り消費される餌食への適用を含む)、局所適用(スプレー、動物への化合物の直
接の塗布、動物の処置表面への接触を含む)又は注射によるものを含む様々な形
で昆虫に投与することができる。殺虫剤は典型的には非常に疎水性の分子であり
、通常は、メタノール又はアセトンの場合は蒸発する有機溶媒に溶解されなけれ
ばならず、あるいは低濃度で摂取を容易にするように含められる(エタノール、
ジメチルスルホキシド)。 昆虫アッセイにおける最初の工程は、通常は、化合物への長期の暴露後の昆虫
の最小致死量(MLD)の決定である。化合物は通常DMSOに希釈され0−4
8時齢の胚及び幼生を受けている食物表面に適用する。MLDに加えて、この工
程により、孵化する卵の割合、幼生の行動、例えば未処置の幼生と比較してそれ
らがどのように動き/餌を食べるか、生存して蛹化する割合、及び孵化する割合
(蛹殻からの成体昆虫の出現)の決定が可能になる。これらの結果に基づいて、
より短い暴露時間での更に詳細なアッセイが設計され、幼生は明らかな形態学的
欠陥を調べるために解剖されるかもしれない。MLDが決定されれば、より特定
の急性及び慢性アッセイを設計することができる。 典型的な急性アッセイでは、化合物が胚、幼生又は成体の食物表面に塗布し、
2時間及び終夜のインキュベーション後に動物を観察する。胚への塗布では、発
意機の欠陥及び生存して成体になるパーセントが決定される。幼生に対しては、
行動、移動運動、及び脱皮の欠陥が観察されうる。成体への塗布では、行動及び
神経学的欠陥が観察され、繁殖性についての影響に着目される。昆虫の生存、脱
皮及び繁殖性への有害な効果は何れも化合物が防除に有用性を有していることを
示す。 慢性的な暴露アッセイに対しては、成体を化合物を含むバイアル上に48時間
置き、ついで清浄な容器に移し、繁殖性、神経学的欠陥及び死を観察する。
【0057】 細胞培養物を用いる化合物のアッセイ p53活性を変調(例えば阻止又は亢進)する化合物は、内因性の正常な又は
突然変異p53を発現する細胞、及び/又はp53、又はp53の誘導体もしく
は断片を発現するベクターが形質移入された細胞によって試験できる。化合物は
様々な濃度で添加され、p53遺伝子を変調するその能力が、上述したガン抑制
遺伝子のアッセイの何れかを使用して(例えば、転写活性、アポトーシス、増殖
/細胞分裂周期、及び/又は形質転換を測定することにより)決定される。p5
3を選択的に変調する化合物はp53特異性を有する潜在的な薬物候補として同
定される。 大きな化学ライブラリーからの潜在的な製薬化合物としての小分子及び化合物
の同定には高スループットスクリーニング(HTS)法が必要となる(Bolger,
Drug Discovery Today (1999) 4:251-253)。ここに述べるアッセイの幾つかは
それ自身がそのようなスクリーニング法に役立つ。例えば、野生型又は突然変異
p53タンパク質又はその断片を発現する細胞又は細胞株及びレポーター遺伝子
を対象の化合物に当て、レポーター遺伝子に応じて、相互作用を様々な方法、例
えば色検出、蛍光検出(例えばGFP)、オートラジオグラフィー、シンチレー
ション分析等々を使用して測定することができる。
【0058】 昆虫p53配列の農業上の用途 昆虫p53遺伝子は農業上重要な害虫種を管理するのに使用できる。例えば、
ここに開示したタンパク質、遺伝子及びRNAs、又はその断片は、農作物に損
害を与える昆虫、又は農場の動物又は他の動物の害虫の成長、給餌及び/又は繁
殖を変調させる活性を有しうる。一般に、効果的な殺虫剤は、例えば致死性、繁
殖不能性、麻痺、発育阻害、又は給餌中止のように、標的害虫に無力化する活性
を作用させる。そのような害虫は、ハエ、カ、ノミ、蛾、カブトムシ、セミ、バ
ッタ、アブラムシ及びコオロギの卵、幼生、幼虫及び成体形態を含む。ここに記
載された昆虫p53遺伝子の機能解析により、アポトーシス、DNA損傷剤への
反応、及び生殖系列の細胞の保護の制御におけるこれらの遺伝子及びタンパク質
の役割が明らかになった。DMp53の過剰発現がショウジョウバエにおいてア
ポトーシスを誘発するので、活性化形態の昆虫p53遺伝子とタンパク質は、例
えば腸、神経系又は生殖腺のような特定の標的組織に送達されるか発現された場
合に害虫を制御する用途を持つ「細胞死」遺伝子として応用される。あるいは、
DMp53はX線のようなDNA損傷剤に応答してある役割を果たすので、昆虫
におけるp53機能との干渉は、繁殖不能化のためにDNA損傷剤に昆虫を感作
させる用途を有している。例えば、照射した昆虫を環境中に放出することによっ
て害虫群を制御する現在の方法(Knipling, J Econ Ent (1995) 48:459-462; Kn
ipling (1979) U.S. Dept. Agric. Handbook No. 512)は、p53遺伝子、タン
パク質又はRNAsのドミナントネガティブな形態を昆虫、最も好ましくは昆虫
の生殖系列組織に発現させることにより、あるいはp53機能を阻止する化学物
質に昆虫を暴露することにより、改善することができる。
【0059】 昆虫p53タンパク質の突然変異解析はまた農業上重要な害虫の制御に関連し
て使用できる。この点について、昆虫p53遺伝子の突然変異解析は、無脊椎動
物におけるこのクラスのタンパク質の正確な生物学的機能を決定するための合理
的なアプローチ法を提供する。更に、大規模な系統的遺伝子変更因子スクリーニ
ングと併用する突然変異解析は、p53シグナル伝達経路の構成要素かもしれな
い他の潜在的な殺虫剤標的を同定し確認する手段を提供する。殺虫剤の活性の試
験は当該分野で知られている任意の方法とできる。昆虫p53タンパク質の核酸
を含んでなる殺虫剤は植物又は動物への送達に好適なベクターにて調製できる。
そのようなベクターは、トランスジェニック植物の産生のためのアグロバクテリ
ウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)Tiプラスミドベース
ベクター(Horsch等, Proc Natl Acad Sci USA. (1986) 83(8):2571-2572;Frale
y等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80:4803)又は植物細胞又は植物の播
種のための組換えカリフラワーモザイクウイルス(米国特許第4407956号
);脊椎動物中への遺伝子の導入のためのオロウイルスベースベクター(Burns
等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1993) 90:8033-37);及び既に上述したベク
ターと方法を使用する無脊椎動物へ導入するための転移因子ベースのベクターを
含む。例えば、トランスジェニック昆虫は、昆虫の生活環の適切な時にガン抑制
因子タンパク質の発現を指示するために、例えばtTA応答性プロモーターのよ
うな適切な誘導プロモーターに作用可能に融合したp53遺伝子を含む導入遺伝
子を使用して産生することができる。このようにして、例えば生活環の幼生段階
において(例えば給餌が作物に最も大きなダメージを与えるとき)殺虫剤として
の効能を試験することができる。 野生型又は突然変異型の組換え又は合成p53タンパク質、RNAs又はその
断片は、昆虫幼生の血リンパ中へのp53タンパク質又はRNAsの溶液の注入
により殺虫剤活性についてアッセイすることができる(Blackburn等, Appl. Env
iron. Microbiol. (1998) 64(8):3036-41;Bowen及びEnsign, Appl. Environ. Mi
crobiol. (1998) 64(8):3029-35)。更に、p53タンパク質又はRNAs又は
その断片を発現するトランスジェニック植物は害虫に対する活性について試験す
ることができる(Estruch等, Nat. Biotechnol. (1997) 15(2):137-41)。
【0060】 昆虫p53遺伝子は標的害虫においてガン抑制遺伝子の発現を指示する組換え
ウイルスの形態の昆虫制御剤剤として使用できる。感染昆虫細胞におけるタンパ
ク質の発現のために様々の好適な組換えウイルス系が当該分野においてよく知ら
れている。好適な系は組換えバキュロウイルスを使用する。昆虫における毒性タ
ンパク質の発現を操作する手段として、及び昆虫制御剤としての組換えバキュロ
ウイルスの使用は、宿主特異性、環境安全性、ベクター系の利用性、及びガン抑
制因子タンパク質の精製又は製剤の必要のない殺虫剤として直接的な組換えウイ
ルスの潜在的使用を含む多くの特定の利点を有している(Cory及びBishop, Mol.
Biotechnol. (1997) 7(3):303-13;及び米国特許第5470735号;同第53
52451号;同第5770192号;同第5759809号;同第56653
49号;及び同第5554592号)。よって、昆虫p53遺伝子の発現を指示
する組換えバキュロウイルスは制御された実験室条件下でガン抑制因子タンパク
質の殺虫活性を試験するためと農場での昆虫制御剤としての双方に使用すること
ができる。昆虫制御剤としての野生型バキュロウイルスの一つの不具合は、ウイ
ルスの適用と標的昆虫の死の間の時間量が典型的には1から2週であることであ
る。この期間の間に昆虫の幼生は作物を食べ損害をもたらし続ける。従って、感
染した標的昆虫の摂食を迅速に停止させる改善されたバキュロウイルス誘導昆虫
制御剤を開発する必要がある。脊椎動物におけるp53の細胞分裂周期及びアポ
トーシス調節の役割は、感染した昆虫の組換えバキュロウイルスからのガン抑制
因子タンパク質の発現が害虫の代謝を制御し、摂食を制限するのに所望の効果を
持ちうるという可能性を生じる。 昆虫p53遺伝子、RNAs、タンパク質又は断片は、農業用の使用に適した
任意の担体、例えば水、有機溶媒及び/又は無機溶媒を用いて製剤化されうる。
殺虫剤組成物は固体又は液体組成物の形態を取りえ、溶解、根号、粉砕、造粒、
及び分散のような基本的な製剤プロセスによって調製されうる。組成物は、昆虫
p53タンパク質又は遺伝子を、農業的に許容可能な賦形剤、例えばビヒクル、
担体、バインダー、UVブロッカー、接着剤、ヘメカント(hemecants)、増粘
剤、分散剤、防腐剤及び昆虫誘引剤と混合されて含みうる。よって、本発明の組
成物は、例えば活性剤と細かく粉砕された固体担体を含有する固体として製剤化
されうる。あるいは、活性剤は、その分散液、エマルション及び懸濁液を含む液
体組成物に含まれうる。例えば、顆粒、粉末、餌ペレット(活性剤と昆虫誘引剤
又は食物物質を含む固体組成物)、マイクロカプセル、水分散性顆粒、エマルシ
ョン及び乳化濃縮物を含む、任意の好適な最終製剤を使用することができる。本
発明における使用に適したアジュバント又は担体の例は、水、有機溶媒、無機溶
媒、タルク、葉蝋石、合成微粒シリカ、アタピュガス(attapugus)クレー、珪
藻土チョーク、珪藻土、炭酸カルシウム、ボントナイト(bontonite)、フラー
土、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、トリポリ石、木粉、クルミ殻粉、アメリカ
スギ粉、及びリグニンを含む。組成物はまた一般的な殺虫剤を含んでいてもよく
、及び/又は一般的な殺虫剤と組み合わせて適用されてもよい。
【0061】 (実施例) 次の実施例は配列番号:1、3、5、7、9及び18の核酸配列の単離及びク
ローニングを記述し、これらの配列、その誘導体及び断片、及び遺伝子産物がp
53経路の機構を明らかにする遺伝子研究に如何に使用できるか、並びにその経
路と相互作用する潜在的な製薬薬剤の発見を記述する。 これらの実施例は単に本発明の様々な側面を例示するために提供されるもので
決して発明を限定するものとみなされるべきではない。
【0062】 実施例1:ショウジョウバエcDNAライブラリーの調製 ショウジョウバエで発現された配列タグ(EST)cDNAライブラリーを以
下のようにして調製した。混合期(mixed stage)の幼虫(0−20時間)の組
織,成虫原基及び成体ハエ頭部が集められ、全RNAが調製された。ミトコンド
リアrRNAは、ビオチン化rRNA特異的オリゴヌクレオチドを伴うハイブリ
ッド形成によって取り除かれ、その残存RNAからポリアデニル化mRNAが選
択された。そして、その生成物は、ランダムプライマー化ライブラリーを構築す
るために使用された。最初のcDNA鎖の合成は、6ヌクレオチドランダムプラ
イマーを使用によってプライムされた。そして、最初のcDNA鎖は、およそ1
5dGTP分子を付加するためにターミナルトランスフェラーゼによって尾が付
けられた。2番目の鎖は、13ヌクレオチドC尾が続くNot1部位を含むプラ
イマーを使用して、G-尾部化された最初のcDNA鎖へハイブリッド形成する
ためにプライム化された。二重鎖cDNAは、BstX1アダプターによって連
結され、Not1によって消化された。そして,cDNAは、大きさによってア
ガロースゲル上での電気永動によって分画され、700bpより大きなcDNA
は精製された。cDNAは、Not1、BstX1消化pCDNA-sk+ベク
ター(pBluescriptの誘導体、ストラタジーン)と連結され、大腸菌(XL1b
lue)の形質転換に用いられた。ライブラリーの最終コンプレクシティは,6
X10 独立性クローンであった。 cDNAライブラリーは、Bonaldoらによって記載された方法の改良法
を使用して標準化された(Genome Research (1996) 6:791-806)。ビオチン化
ドライバーは、挿入物のPCR増幅によってcDNAから調製され、同じライブ
ラリーの一本鎖プラスミドとハイブリッド形成された。生成二重鎖プラスミドは
、ストレパヴィデンマグネチックビーズ(strepavidin magnetic beads)を使用
して取り除かれ、残存一本鎖プラスミドは、シークエナーゼ(Sequenase)(Ame
rsham,Arlington Hills, IL)を用いて二重鎖分子へ変換され、そしてプラスミ
ドDNAは、形質転換の前に−20℃に 保管された。標準化プラスミドライブ
ラリーの等分量は、中程度の密度にプレートされた大腸菌(XL1blue又は
DH10B)を形質転換するために使用され、コロニーはキュウボットロボット
(Qbot robot)(Genetix, Christchurch, UK)を使用した細菌成長培地を含む
384-ウェルマスタープレートへ摘み取り入れられた。クローンは、24時間
、37℃で生育され、そしてマスタープレートは−80℃で 保存のために凍結
された。標準化ライブラリーよりシーケンシングのために精選されたコロニーの
総数は、240000であった。マスタープレートは、シーケンシング反応のテ
ンプレートとして使用するDNAの生育と調製の為に、培地を接種するのに使用
された。反応は、最初に、cDNA挿入部の5'末端から開始するプライマーに
よって実行される。しかし、数パーセントのクローンは、やはり3' 末端からシ
ーケンスされる。クローンは、さらなる生物学的興味又は以下に論じる連続配列
(「contigs」)の集合を伸張できるクローンの選択、のいずれかに基づく3'末
端のために選択された。DNAシーケンシングは、ABI377自動化シーケン
サーを使用して実行され、そしてABIFS、ジローダミン(dirhodamine)又
はBigDyeケミストリー(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)のいず
れかを使用した。
【0063】 配列の分析は,次のようになされた:自動化配列によって生じた形跡は、プロ
グラム「Phred」(Gordon, Genome Res. (1998)8:195-202)を使用した塩
基着呼であり、さらに質的価値を各塩基へ割り当てた。生成配列は、割り当てら
れたスコアの見地から、質のために切り取られた。ベクター配列も同じく取り除
かれた。各配列は、100%近い同一性の領域を同定するためのBLASTプロ
グラム及びフィルターを使用して、全ての他のEST配列と比較された。重なり
の可能性のある配列は、プログラム「Phrap」、「Phred」及び「Co
nsed」(Phil Green, University of Washington, Seattle, Washington; h
ttp://bozeman.mbt.washington.edu/phrap.docs/phrap.html)を使用して連続配
列(contigs)へ組み立てられた。この生成組み立て物は、そして既存の公的デ
ーターベースと比較され、次に既知のタンパク質との相同性は、コンセンサス配
列の翻訳を方向づけるために使用された。BLASTによる相同性が得られない
場合は、コドンとヘキサヌクレオチド優先度に基づく統計的に最も可能性のある
翻訳が使用された。タンパク質ドメインのPfam(Bateman等, Nucleic Acids
Res. (1999) 27:260-262)及びProsite(Hofmann等, Nucleic Acids Re
s. (1999) 27(1):215-219)の収集物は、翻訳産物のモチーフの同定に使用され
た。連続配列は、Oracle-ベースリレーショナルデーターベース(FlyTag(
商標), Exelixis Pharmaceuticals, Inc., South San Francisco, CA)に保存さ
れた。
【0064】 実施例2:他のcDNAライブラリー レプチノターサ(Leptinotarsa)(コロラドポテトカブト虫)ライブラリーは
、ストラタジーン(Stratagene)のLambda ZAPcDNAクローニングキット(Strata
gene, La Jolla, CA, カタログ番号200450)を使用し、製品手順書に従っ
て調製された。ライブラリーの構築のための最初のcDNAは、混合期(mixed
stage)の幼生レプチノターサ(Leptinotarsa)のmRNAを使用してオリゴ-d
tプライム化された。 トリボリウム(Tribolium)ライブラリーは、pSPORT cDNAライブラリー構築シ
ステム(Life Technologies, Gaithersburg, MD)を使用し、製品手順書に従っ
て作製された。ライブラリーの構築のために使用した最初のcDNAは、成体ト
リボリウム(Tribolium)mRNAを使用してオリゴ-dtプライム化された。
【0065】 実施例3:ショウジョウバエ(DMp53)のp53核酸のクローニング TBLASTINプログラム(Altschulら,上掲)が、Fly Tag(商標)デー
ターベースへヤリイカp53タンパク質配列(GenBank gi:1244762)の真偽を問
うために使用され、イカp53タンパク質は、以前、無脊椎動物から同定された
p53ファミリーのたった二つのメンバーのうちの一つだから選ばれた。結果は
、単一配列コンティグを明らかにし、それは960bpの長さ及びイカp53(
スコア=192、P=5.1x10−12 )に対してかなり顕著な相同性を示
した。さらなるGenBankタンパク質配列に対するBLASTXプログラム
を用いたこの配列の分析は、このコンディグは、脊椎動物のp53-様配列の全
ての既知のファミリーに対して顕著な相同性を示し、基本的に全てのDNA結合
ドメインを包含するp53ファミリーに対するコード化配列相同体を含み、それ
はp53タンパク質ファミリーの最も保存された領域である。このコンディグの
検査は、それが、mRNAの3'非翻訳領域はもとより推定上のDNA結合ドメ
インに対してC-末端のコード化領域を欠いている、不完全なcDNAであるこ
とを示した。 全長cDNAクローンは、cDNA末端のラピッドアンプリフィケーションに
よって作製された(RACE; Frohman等, PNAS (1988) 85:8998-9002)。RACE-
レディーライブラリーは、クローンテックマラソンcDNA増幅キット(Cat#K1802
)を使用し、製品の手順書に従って、クローンテック(Palo Alto, CA)ショウ
ジョウバエ幼虫ポリARNA(Ca#694-1)から作製された。以下のプライマ
ーを、全長クローンを回収するためにライブラリーにおいて使用された: 3'373 CCATGCTGAAGCAATAACCACCGATG 配列番号:11 3'510 GGAACACACGCAAATTAAGTGGTTGGATGG 配列番号:12 3'566 TGATTTTGACAGCGGACCACGGG 配列番号:13 3'799 GGAAGTTTCTTTTCGCCCGATACACGAG 配列番号:14 5'164 GGCACAAAGAAAGCACTGATTCCGAGG 配列番号:15 5'300 GGAATCTGATGCAGTTCAGCCAGCAATC 配列番号:16 5'932 GGATCGCATCCAAGACGAACGCC 配列番号:17
【0066】 ショウジョウバエのp53cDNAの付加的5'及び3'配列を得るためのRA
CE反応は,以下のように行われた。各RACE反応は、40μlのHO、5
μlの10XAdvantage PCR buffer(クローンテック)、1μlの10μM 特
異的p53RACEプライマー, 1μlの10μM AP1プライマー(クローン
テックマラソンキット)、1μlのcDNA、1μlの5mM dNTP、1μ
lのAdvantage DNAポリメラーゼ(クローンテック)を含んだ。5'のRAC
Eのために、反応は、3'373,3'510,3'566,又は3'799プライ
マーの何れかを含んだ。3'のRACEのために、反応は、5'164,又は5'
300プライマーの何れかを含んだ。反応混合物は、以下のタッチダウンPCR
のサーモサイクリングプログラム段階にさらされた:(1)94℃を1分、(2
)94℃を0.5分、(3)72℃を4分、(4)段階2-3を4回繰り返す、
(5)94℃を0.5分、(6)70℃を4分、(7)段階5-6を4回繰り返
す、(8)94℃を0.33分、(9)68℃を4分、(10)段階8-9を2
4回繰り返す、(11)68℃を4分、(12)4℃に止まる。 RACE反応の産物は、ゲル電気泳動によって分析された。以下のサイズの個
々のDNA種が、以下の各プライマーによって作製されたRACE産物の中に見
出された:3'373、およそ400bp;3'510、およそ550bp、3'
566、およそ600bp;3'799、およそ850bp;5'164、およそ
1400bp、5'300およそ1300bp。RACE DNA産物はTOPO
TAクローニングキットを使用し(Invtrogen Corp., Carlsbad, California)
、製品手順書に従って直接にベクターpCR2.1へクローンされた。形質転換
された大腸菌のコロニーは、各作製物、及びQIAGEN tip 20 kit
(QIAGEN, Valencia, California)を使用して調製されたプラスミドDNAのた
めに選び出された。各クローン内のRACEcDNA挿入部の配列は、BigD
yeシーケンシング試薬(Applied Biosystems, Inc. Foster City, California
)の標準手順書、及びM13リバース又はフランギングベクター配列からのプラ
イミングのためのBigT7プライマーの何れか、或いはショウジョウバエのp
53cDNA配列からの内部からのプライミングの為の5'932又は3'373
プライマー(上記に記載)、を使用して決定される。産物は、ABI377DN
Aシーケンサーを使用して分析された。配列は、Sequencherプログラム(Gene C
odes Corporation)を使用してコンディグへと組み立てられ、385個のアミノ
酸の予測タンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレームを含み、
このタンパク質は、好意的に363から396個のアミノ酸の長さが知られた脊
椎動物p53タンパク質と比較された(Soussi等, Oncogene (1990) 5:945-952
)。予測ショウジョウバエのp53タンパク質のBLASTP相同性検索プログ
ラム及びGenBank databaseを使用した分析は、全ての既知のp53関連タンパク
質ファミリーと顕著な相同性を示すが、他のタンパク質ファミリーと顕著な相同
性を示さないことから、このタンパク質がp53ファミリーのメンバーであるこ
とを確かにした。
【0067】 実施例4:他の昆虫からのp53核酸配列のクローニング p53核酸配列のクローニングに用いたPCR条件は94℃、5分;続いての
94℃1分、55℃1分、72℃1分の35サイクル;そして72℃10分の最
後の延長の変性工程であった。全てのDNA配列化反応はBigDye配列化試薬(Ap
plied Biosystems, Inc.)の標準的なプロトコルを使用して実施し、生成物をA
BI377DNAシーケンサーを使用して分析した。ABI377DNAシーケ
ンサーから得たトレースデータを分析しPhred-Phrapプログラムを用いてコンテ
ィグを構築した。 DMp53DNA及びタンパク質配列を、BLASTコンピュータプログラムを使
用してTribolium、Leptinotarsa、及びHeliothiscDNAライブラリから配列を
クエリーするのに使用し、その結果、p53関連配列をコードしているかもしれ
ない幾つかの候補cDNAクローンが明らかになった。各候補p53cDNAク
ローンに対して、よく分離された単一のコロニーをプレートに画線し、末端配列
決定をしてクローンを確認した。単一のコロニーを取り上げ、Qiagen REAL Prep
s (Qiagen, Inc., Valencia, CA)を使用して精製した。ついで、試料を適当な酵
素で消化させて、ベクターから挿入物を切除し、サイズを決定した。例えば、ベ
クターpOT2(www.fruitfly.org/EST/pOT2vector.html)はXho1/EcoRIで切除する
ことができ;又はpBluescript(Stratagene)はBssH IIで切除することができる
。ついで、プライマー歩行及びインビトロトランスポゾンタッギング法の組み合
わせを使用して配列決定した。
【0068】 プライマー歩行にはPrimer-3ソフトウェア(Steve Rozen, Helen J. Skalets
ky (1998) Primer3. Codeで、http://www-genome.wi.mit.edu/genome_software/
other/primer3.htmlで入手可能)を用いてクローン中の既知のDNA配列に対し
てプライマーを設計した。ついで、これらのプライマーを配列化反応において使
用して、挿入物の全配列が決まるまで配列を伸展させた。 GPS-1 Genome Priming Systemインビトロトランスポゾンキット(New Eng
land Biolabs, Inc., Beverly, MA)を、製造者のプロトコルに従って、トラン
スポゾンベース配列化のために使用した。簡単に言えば、無作為に散らばったプ
ライマー結合部位を持つ複数のDNA鋳型を作成した。これらのクローンは、2
4コロニー/クローンをQiagen REAL Prep中に取り込んでDNAを精製すること
により調製し、供給されたプライマーを使用して配列決定して、トランスポゾン
挿入の両末端から双方向的に配列化を実施した。 ついで、配列をPhred/Phrapを使用して構築し、Consedを使用して解析した。
配列中の多義性は幾つかのクローンを再配列化することにより解決した。この努
力の結果、幾つかの近接ヌクレオチド配列を得た。Leptinotarsaに対しては、コ
ンティグは2601の塩基長から構築され、353のアミノ酸の予想タンパク質
をコードしている1059のヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(O
RF)を包含していた。ORFは配列番号:3の塩基121−1180まで伸び
る。Triboliumでは、コンティグは1292の塩基長から構築され、配列番号:
5の塩基95−1145まで伸び、350のアミノ酸の予想タンパク質をコード
している1050のヌクレオチドのORFを包含していた。他の候補Tribolium
p53クローンの解析もまた509塩基長の第2のコンティグを作成し、509
のヌクレオチドの部分ORFを包含し(配列番号:7)、170のアミノ酸の部
分タンパク質をコードしている。Heliothisでは、コンティグは434の塩基長
から構築され、434のヌクレオチドの部分ORFを包含し(配列番号:9)、
145のアミノ酸の部分タンパク質をコードしている。
【0069】 実施例5:DMp53のノーザンブロット分析 標準的な方法を使用するノーザンブロット分析を、3つの異なったポリ(A)+
mRNA調製物、0−12h胚、12−24h胚及び成体を用いて実施し、それ
をサイズ標準に沿ってアガロースゲル上で分画し、ナイロン膜にブロットした。
全ショウジョウバエp53コード領域を含むDNA断片をHincII消化により切除
し、アガロースゲルでの電気泳動により分離し、ゲルから抽出し、Rediprime標
識システム(Amersham, Piscataway, NJ)を使用するランダムプライミングによ
って32P標識した。mRNAブロットへの標識プローブのハイブリダイゼーシ
ョンを終夜実施した。高緊縮性(0.2x SSC/0.1% SDS, 65℃)にて洗浄し、プロ
ーブに特異的にハイブリダイズしたmRNA種をX線フィルムを使用するオート
ラジオグラフィーにより検出した。結果は、3種全てのmRNA源においておよ
そ1.6キロベースの単一のクロスハイブリダイズmRNA種を示した。このデ
ータは上述の5'及び3'RACE産物の観察されたサイズと一致していた。
【0070】 実施例6:DMp53遺伝子の細胞遺伝学的マッピング 任意の実存するショウジョウバエ突然変異がDMp53遺伝子の突然変異に相
当するかどうかを決定するために、並びにこの遺伝子内での新しい突然変異を走
査するために、DMp53遺伝子のマップ位置を特定することは興味深い。DM
p53遺伝子の細胞遺伝学的位置は以下に概説するプロトコル(工程A-C)に
従って、多糸染色体へのインサイツハイブリダイゼーション(Pardue, Meth Cel
l Biol (1994) 44:333-351)により決定した。 (A)多糸染色体押しつぶし標本の調製:切除した唾液腺を45%の酢酸の液
滴中に入れた。唾液腺を乳酸:水:酢酸の1:2:3混合物の液滴に移した。つ
いで、唾液腺をカバーガラスとスライドの間に押しつぶし、4℃で終夜インキュ
ベートした。押しつぶし試料を液体N中で凍らして、カバーガラスを取り除い
た。ついで、スライドを70%のエタノール中に10分間直ぐに浸漬し、ついで
空気乾燥させた。ついでスライドを2xSSCバッファー中にて30分間68℃
で熱処理した。ついで、押しつぶし試料を70%エタノールで10分間、続いて
95%エタノールで5分間処理して脱水した。 (B)ビオチン化ハイブリダイゼーションプローブの調製:溶液を、50μl
の1Mトシス-HCl pH7.5、6.35μlの1MのMgCl、0.85
μlのβ-メルカプトエタノール、0.625μlの100mMのdATP、0
.625μlの100mMのdCTP、0.625μlの100mMのdGTP
、125μlの2MのHEPES pH6.6、及び75μlの10mg/ml
のpd(N)(Pharmacia, Kalamazoo, MI)を混合することにより調製した。1
0μlのこの溶液をついで2μlの10mg/mlウシ血清アルブミン、急速な
煮沸により変性させた(0.5μg)DMp53cDNA断片を含む33μl、
5μlの1mMビオチン-16-dUTP(Boehringer Mannheim, Indianapolis,
IN)、及び1μlのクレノーDNAポリメラーゼ(2U)(Boehringer Mannhe
im)と混合した。混合物を室温で終夜インキュベートし、ついで次の成分を添加
した:1μlの1mg/mlの超音波処理変性サケ精液DNA、5.5μlの3
M酢酸ナトリウムpH5.2及び150μlのエタノール(100%)。混合後
に溶液を1−2時間−70℃で保存した。DNA沈殿物をマイクロ遠心分離機で
の遠心分離により収集し、ペレットを70%エタノール中で一度洗浄し、真空乾
燥させ、50μlのTEバッファーに溶解し、−20℃で貯蔵した。
【0071】 (C)ハイブリダイゼーションと染色は次のようにして実施した:ハイブリダ
イゼーション液(112.5μlのホルムアミド;25μlの20xSSC、p
H7.0;50μlの50%デキストラン流酸;62.5μlの蒸留HO)に
添加した20μlのプローブを押しつぶし試料上に置いた。カバーガラス(22
mm)を押しつぶし試料上に配して、ゴム接着剤で密封し、42℃で終夜気密
の湿室に配した。ゴム接着剤を剥がして除去し、37℃にて2xSSCバッファ
ー中でカバーガラスを除去した。スライドをそれぞれ2xSSCバッファー中で
37℃にて15分で2回洗浄した。ついでスライドをそれぞれPBSバッファー
中で室温にて15分で2回洗浄した。次の「エリート(Elite)」溶液の混合物を
、1mlのPBTバッファー(0.1%Tween20を含むPBSバッファー)、
10μlのベクタステインA(Vector Laboratories, Burlingame, CA)及び1
0μlのベクタステインB(Vector Laboratories)を混合して調製した。つい
で混合物を30分インキュベートした。50μlのエリート溶液をスライドに加
え、ついで水分を切った。75μlのエリート溶液をスライドに添加し、カバー
ガラスをスライドに配した。スライドを湿室において1.5−2時間37℃にて
インキュベートした。ついでカバーガラスをPBSバッファー中に取り除き、ス
ライドをそれぞれPBSバッファー中で10分間で2回洗浄した。 PBTバッファーにDAB(ジアミノベンジジン)を入れた新鮮な溶液を、1
μlの0.3%過酸化水素を40μlの0.5mg/mlDAB溶液と混合する
ことにより調製した。ついで、40μlのDAB/過酸化物溶液を画スライドに
配した。カバーガラスをスライドに配し、2分インキュベートした。ついで、ス
ライドを位相差顕微鏡で調べ、シグナルが十分であると決定されたときに、PB
Sバッファー中で反応を停止させた。ついで、スライドを10分間流れるH
で洗浄し、空気乾燥させた。最後に、スライドを複合顕微鏡によって検査し、ハ
イブリダイゼーションシグナルに染色体位置をあてがった。ハイブリダイゼーシ
ョンの一つの明確な領域が、細胞遺伝帯域94D2−6に割り当てられた多糸染
色体押しつぶし試料上に観察された。
【0072】 実施例7:DMp53遺伝子のゲノムクローンの単離と配列解析 PCRを用いてDMp53遺伝子を含むゲノムクローンの同定のためのDNA
プローブを生成した。各反応(全容量50μl)は100ngのショウジョウバ
エゲノムDNA、それぞれ2.5μMのdNTP、1.5mMのMgCl、2
μMの各プライマー、及び1μlのTAKARAexTaq DNAポリメラーゼ(Pan Vera Co
rp., Madison, WI)を含んでいた。反応はプライマー対5'164及び3'510
(上述)で始められ、使用された熱サイクル条件は次の通りであった(ここで、
0:00は分:秒で時間を示す):94℃の初期変性、2:00;次に94℃、
0:30、58℃、0:30、68℃、4:00の10サイクル;次に94℃、
0:30、55℃、0:30、68℃、4:00+サイクルあたり0:20の2
0サイクル。ついで、PCR産物をアガロースゲル電気泳動により分画し、ニッ
クトランスレーションにより32P標識し、Berkeley Drosophila Genome Proje
ct (University of California, Berkeley, 及びGenome Systems, Inc., St.Lo
ius, MOより購入)からの高密度配列P1クローンを含むナイロン膜にハイブリダ
イズさせた。4つの陽性のP1クローン:DS01201、DS02942、D
S0510及びDS06254を同定し、各クローンを上述のプライマー対での
PCRアッセイを使用して確認した。配列決定のためのDNAを調製するために
、各P1クローンを含む大腸菌を25μg/mlカナマイシンを含むLB寒天プ
レート上で単一コロニーに画線し、37℃で終夜成長させた。各P1クローンに
対してよく分離したコロニーを取り上げ、25μg/mlのカナマイシンを含む
250mlのLB培地に播種するのに使用し、培養物を振りながら37℃で16
時間成長させた。遠心分離により細菌細胞を収集し、Qiagen Maxi-Prep System
キット(QIAGEN, Inc., Valencia, Califormia)でDNAを精製した。P1クロ
ーンDNAsから誘導した小挿入プラスミドDNAライブラリーのショットガン
及び定方向配列決定を組み合わせた方策を使用してP1クローンからゲノムDN
A配列を得た(Ruddy等, Genome Research (1997) 7:441-456)。全てのDNA
配列決定と解析は上述した用にして実施し、P1配列コンティグを、DMp53
遺伝子又は他のコード領域を含むものを同定するためのBLAST配列相同性サーチ
プログラムを使用して解析した。この解析により、DMp53遺伝子が8のエキ
ソンと7のイントロンに分割されていることが証明された。また、BLAST解析に
より、DMp53遺伝子に隣接する二つの更なる遺伝子の存在が示された;一つ
は腎障害シスチン蓄積症に関連するヒト遺伝子と相同性を示し(標識されたCT
NS様遺伝子)、第2の遺伝子はオキシドレダクターゼの大きなファミリーと相
同性を示した。よって、我々は、推定CTNS様及びオキシドレダクターゼ様遺
伝子の間に存在するDNA領域に対応して、8805bpとDMp53遺伝子の
限界を操作的に定義する。
【0073】 実施例8:p53核酸配列の解析 クローニングの完了時にPfam及びPrositeプログラムを使用し、他のp53配
列との比較と目での分析により配列を解析した。配列番号:1−6の様々なドメ
インをコードしているcDNAの領域は上記の表Iに示している。また、Pfamは
、ヌクレオチド354−495(配列番号:7)によりコードされたアミノ酸残
基118−165(配列番号:8)に部分的TRIB-Bp53に対して、ヌク
レオチド315−414(配列番号:9)によりコードされたアミノ酸残基10
5−138(配列番号:10)に部分的HELIOp53に対してp53類似性領域
を予想した。 p53核酸配列の各々とそのコード化タンパク質に対してヌクレオチド及びア
ミノ酸配列を、BLAST(上掲のAltschul等)を使用して、公的データベースの全
ての入手可能なヌクレオチドとアミノ酸配列に対してサーチした。以下の表2−
6はその結果をまとめたものである。5つの最も類似した配列が各p53遺伝子
に対して列挙されている。
【0074】 発表された配列に対して新規の最も短い近接アミノ酸としてアミノ酸残基の数
を見いだすためのp53アミノ酸配列の各々を使用したBLAST解析は、次のもの
を示している:DMp53及びTRIB-Ap53に対する7つのアミノ酸残基
、CPBp53に対する6つのアミノ酸残基、及びTRIB-Bp53及びHE
LIOp53に対する5つのアミノ酸残基。 公的データベース内に100%配列類似性を共有する配列が含まれていない最
も短い伸展の近接アミノ酸としてアミノ酸残基の数を見いだすためのp53アミ
ノ酸配列の各々に対するBLASTの結果は、次のものを示している:DMp53、
CPBp53、TRIB-Ap53及びTRIB-Bp53に対する9つのアミノ
酸残基と、HELIOp53に対する6つのアミノ酸残基。
【0075】 実施例9:ショウジョウバエ遺伝学 ハエの培養と交雑を22−25℃にて標準的な手順に従って実施した(上掲の
Ashburner)。G1-DMp53過剰発現作成物を最小熱ショックプロモーターの
上流にglass多重レピートを含むBcIIをクローニングすることにより作成した。p
ExPressベクターは、タンパク質の安定化の増加のためのαチューブリン3'UT
Rと変更された多重クローニング部位を含むGMRベクターの適応化形態であ
る(Hay等, Development (1994) 120:2121-2129)。標準的なP因子媒介生殖系
列形質転換を使用して、これらの作成物を含むトランスジェニック株を産生した
(上掲のRubin及びSpradling)。X線照射事件では、バイアル中の3齢の幼虫を
FaxitronX線キャビネットシステム(Wheeling, IL)を使用して4000ラドの
X線に暴露した。
【0076】 実施例10:ホールマウントRNAインサイツハイブリダイゼーション、TUN
EL及び免疫細胞化学 インサイツハイブリダイゼーションを標準的な方法を使用して実施した(Taut
z及びPfeifle, Chromosoma (1989)98:81-85)。DMp53アンチセンスRNA
プローブをEcoR1でDMp53cDNAを消化させ、T7RNAポリメラーゼで
転写することにより産生した。免疫細胞化学に対しては、3齢の幼虫の目と羽デ
ィスクをPBS中で切除し、2%のホルムアルデヒドに室温で30分固定し、P
BS+0.5%トリトン中で透過化し、PBS+5%ヤギ血清で阻止し、一次抗
体と共に室温で2時間又は4℃で終夜インキュベートした。抗ホスホ-ヒストン
染色には1:500の希釈で抗ホスホ-ヒストンH3Mitosis Marker(Upstate B
iotechnology, Lake Placid, NY)を用いた。抗DMp53モノクローナル抗体
染色には1:2に希釈したハイブリドーマ上清を使用した。FITC又はテキサ
スレッドに結合させたヤギ抗マウス又は抗ウサギ二次抗体(Jackson Immunorese
arch, West Grove, PA)が1:200の希釈で使用された。抗体はPBS+5%
ヤギ血清中に希釈した。TUNELアッセイは、0.5%トリトン/PBS透過
化工程と共に製造者のプロトコルに従ってApotag Directキット(Oncor, Gaithe
rsburg, MD)を使用して実施した。ディスクは抗フェード(fade)試薬(Molecula
r Probes, Eugene, OR)に取り付け、ライカ共焦点顕微鏡でイメージを得た。B
rDU染色を記載されているようにして(de Nooij等, Cell. (1996)87(7):1237
-1247)実施して、Axioplan顕微鏡(Zeiss, Thornwood, NY)でイメージを得た
【0077】 実施例11:抗DMp53抗体の産生 抗DMp53ウサギポリクローナル(Josman Labs, Napa, CA)及びマウスモ
ノクローナル抗体(Antibody Solutions Inc., Palo Alto, CA)を、抗原として
グルタチオン-S-トランスフェラーゼに融合した全長DMp53タンパク質(G
ST-DMp53)を使用して標準的な方法によって産生した。GST-DMp5
3の封入体をB-PERバッファー(Pierce, Rockford, IL)を使用して遠心分
離により精製し、免疫化のためにウサギとマウスに皮下注射した。マウスモノク
ローナル抗体の生産のための最終の追加免疫には、6MのGuHClへのGST
-DMp53の可溶化と1MのNaClを含むリン酸バッファー中への透析によ
り得られた可溶性GST-DMp53の静脈内注射を用いた。ハイブルドーマ上
清を、Ni-NTAコートプレートに結合した可溶性6XHIS-タギングDMp
53タンパク質(Qiagen, Valencia, CA)と抗マウスIgG Fc断片特異的二
次抗体を用いてELISAによってスクリーニングした。
【0078】 実施例12:機能分析 この一連の実験の目標は昆虫p53の機能をヒトp53のものと比較し対照す
ることであった。DMp53をこの一連の実験を実施するために選択したが、他
の昆虫p53の何れもまた用いることができる。 細胞死経路へのp53の関与 DMp53がヒトp53とインビボで同じく脳を呈することができるかどうか
を決定するために、DMp53を、glass応答性エンハンサー因子を使用してシ
ョウジョウバエの幼虫の目のディスクに異所的に発現させた。glass-DMp53
(gl-DMp53)導入遺伝子は形態形成溝の後ろの全ての細胞にDMp53を
発現する。目の発達の間、形態形成溝は目のディスクの後ろから前まで通過する
。よって、gl-DMp53幼虫は幼虫の発育の間に目のディスクの後ろから前に
広がる細胞のフィールドにDMp53を発現する。 gl-DMp53導入遺伝子を有する成虫ハエは生存可能であったが、融合した
個眼(複眼の多くの要素の何れか)を持つ小さく粗い目を持っていた。gl-DM
p53眼ディスクのTUNEL染色は、このフェノタイプが少なくとも部分的に
はDMp53を発現する細胞の広範なアポトーシスによるものであったことを示
している。結果は、アクリジンオレンジとナイルブルーでのアポトーシス細胞の
検出により確認された。TUNEL陽性細胞は溝の15−25細胞直径内に現れ
た。溝が1時間におよそ10細胞直径移動するとすると、これは、DMp53が
発現された後2−3時間でアポトーシスになることを示している。驚いたことに
、バキュロウイルス細胞死阻害剤p35の同時発現はDMp53により誘発され
る細胞死を阻止しなかった(Miller, J Cell Physiol (1997) 173(2):178-182;O
htsubo等, Nippon Rinsho (1996)54(7):1907-1911)。しかし、gl-DMp53ハ
エにおけるDMp53誘発アポトーシスと粗い眼のフェノタイプはヒトサイクリ
ン依存性キナーゼインヒビターp21の同時発現により抑制される。p21の過
剰発現は細胞分裂周期のG1相の細胞を阻止するので、この知見は細胞周期の通
過が細胞をDMp53誘発アポトーシスに感作させることを示唆している。ヒト
p53誘発アポトーシスに対するp21箇条発現の同様の効果が記載されている
【0079】 細胞分裂周期へのp53の関与 細胞死経路に影響を及ぼすその能力に加えて、哺乳動物のp53はG1及びG
2/Mチェックポイントで細胞分裂周期の停止を誘発可能である。ショウジョウ
バエの眼のディスクでは、分裂波は形態形成溝の後の細胞分割の同期した最終波
である。この発達の独特の側面は細胞に対するDMp53の同様の効果に対する
アッセイ手段を提供する。G1からS相への細胞の移行はBrdU取り込みによ
り検出することができる。野生型3齢幼虫から切除した眼のディスクは第二の分
裂波の細胞におけるDNA複製に対応するBrdU染色細胞の密な帯域を示して
いた。G1からS相へのこの移行はgl-DMp53導入遺伝子からのDMp53
の過剰発現により影響を受けなかった。対照的に、ヒトp21又はショウジョウ
バエ騒動対decapo(de Nooij等, Cell (1996)87(7):1237-1247;Lane等, Cell (1
996) 87(7):1225-1235)の発現は、glass応答性エンハンサー因子の制御下にお
いて第2の分裂波におけるDNA複製を完全に阻止した。哺乳動物細胞では、p
53は21遺伝子の転写活性化を通じてG1における細胞周期の阻止を誘発する
。これらの結果は、この機能がDMp53において保存されていないことを示唆
している。 野生型の眼のディスクでは、第2の分裂波が典型的には抗ホスホ-ヒストン抗
体での染色する細胞の明確な帯域を形成する。gl-DMp53幼虫の眼のディス
クでは、この細胞の帯域は顕著に広く、より拡散しており、DMp53がM相へ
の入り及び/又は期間を変更することが示唆される。
【0080】 DNA損傷に対するp53の応答 次の実験は、DNA損傷に応答してDMp53機能の喪失がアポトーシス又は
細胞周期停止に影響を与えたかどうかを決定するために実施した。 DMp53機能を欠く組織のフェノタイプを調べるために、DMp53のドミ
ナントネガティブな対立遺伝子を作成した。これらの突然変異はヒトp53にお
けるR175H(DMp53のR155H)及びH179N(DMp53のH1
59N)突然変異に類似している。ヒトp53におけるこれらの突然変異は、お
そらくはそれらがDNAに結合できないが機能的な四量体化ドメインを保持して
いるのでドミナントネガティブな対立遺伝子として作用する。野生型DMp53
と一緒のDMp53R155Hの同時発現は野生型DMp53過剰発現から通常
生じる粗い眼のフェノタイプを抑制しており、これはこの突然変異体がインビボ
においてドミナントネガティブな対立遺伝子として作用することを確認している
。野生型DMp53とは異なり、glassエンハンサーを用いるDMp53 R15
5H又はH159Nの過剰発現は、走査型電子顕微鏡により眼の剛毛の微妙な変
化が明らかにされたけれども、目に見えるフェノタイプを作り出さなかった。 哺乳動物系では、p53誘発アポトーシスが損傷を受けたDNAの伝播を防止
するのに重要な役割を担っている。DNA損傷はまたショウジョウバエにおいて
アポトーシスに導く。この応答がDMp53の作用を必要とするかどうかを決定
するために、羽のディスクの後の区画にドミナントネガティブなDMp53を発
現させた。X線照射に続いて、羽のディスクを切除した。TUNEL染色により
アポトーシス細胞が明らかになり、抗DMp53抗体によりドミナントネガティ
ブなDMp53の発現パターンが明らかになった。X線照射後4時間で、野生型
の3齢幼虫の羽ディスクは広範なアポトーシスを示した。羽のディスクの後の区
画にドミナントネガティブなDMp53を発現させられたとき、アポトーシスは
DMp53を発現する細胞では阻止された。よって、X線照射に続くアポトーシ
スの誘発にはDMp53の機能を必要とする。このDMp53のアポトーシス促
進の役割は、眼と他の組織において発生的にプログラムされた細胞死はドミナン
トネガティブなDMp53対立遺伝子の何れかの発現によっても影響を受けない
ので、細胞性損傷に対する特異的な応答に限られているようである。X線照射に
対するアポトーシス応答におけるDMp53に対する要求は、DMp53がDN
A損傷により活性化されうることを示唆している。哺乳動物では、p53は主に
p53タンパク質の安定化により活性化される。
【0081】 DMp53機能はX線誘発アポトーシスには必要とされるが、同じ量の照射に
よって誘発される細胞分裂周期の停止には必要であるとは思われない。照射のな
い場合には、分裂の無作為パターンがショウジョウバエの3齢の羽ディスクで観
察された。照射時に、細胞周期阻止が、抗ホスホ-ヒストン染色の有意な減少に
よって証明されるように野生型ディスク内で生じた。細胞分裂周期阻止は羽のデ
ィスクの後におけるドミナントネガティブなDMp53の発現によっては影響を
受けなかった。X戦照射後の幾つかの時点を調べたが、全てが同様な結果を与え
、X線誘発細胞分裂周期停止の開始と維持がDMp53に依存しないことを示唆
している。 正常な発達におけるp53 マウス中のp53と同様に、ショウジョウバエにおけるドミナントネガティブ
なDMp53の広範な発現が外観、生存性、又は繁殖性に有意な影響を持たない
ので、DMp53は発達に必要とされないように思われる。興味深いことに、発
達中の胚のインサイツハイブリダイゼーションは、後の胚性段階で始原的な生殖
系列に限られるようになった広範な早期の胚性発現を明らかにした。この発現パ
ターンは、催奇形因子に対する保護における哺乳動物のp53の提案された役割
と同様に、生殖系列を保護するDMp53の重要な役割を示している。
【0082】 実施例13:細胞培養物中でのp53RNAi実験 誘導性メタロチオネンプロモーターの下でベクターコントロール又はヘムアグ
ルチニンエピトープ(HA)タギングp53を発現する安定なショウジョウバエ
S2細胞株を、pMT/V5-His(Invtrogen, Carlsbad, CA)を使用する形質
移入によって作成した。培地への銅の添加によるDMp53発現の誘発はアポト
ーシスを経由しての細胞死の結果となった。アポトーシスを3つの異なった方法
:細胞増殖アッセイ;死亡細胞が収縮核により検出される細胞集団のFACS分
析;及びDNAラダーアッセイによって測定した。S2細胞株においてRNAi
を使用する能力により、この誘導性細胞ベースp53発現系を使用してp53の
忠節と機能を探求することが可能になった。 dsRNA鋳型の調製:上流のT7 RNAポリメラーゼ結合部位と顆粒のD
Mp53遺伝子配列を含むPCRプライマーを、DMp53cDNA配列(配列
番号:1)のヌクレオチド128から1138まで伸びる配列がDMp53誘導
dsRNAの産生を可能にするように増幅されるように設計した。PCR反応は
EXPAND High Fidelity(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を使用して
実施され、ついで生成物が精製された。 DMp53RNAを、Promega Large Scale RNA Production System (Madison
, WI)を使用して製造者のプロトコルに従ってPCR鋳型から作成した。RNA
のエタノール沈降を実施し、RNAを、68℃10分の第一のインキュベーショ
ンと、続いての37℃30分の第二のインキュベーションによってアニールした
。得られたdsRNAを−80℃で貯蔵した。
【0083】 組織培養物中でのRNAi実験:RNAiを本質的に過去に記載されているよ
うにして実施した(http://dixonlab.biochem.med.umich.edu/protocols/RNAiEx
periments.html)。一日目に、pMT-HA-DMp53発現プラスミドを発現し
たショウジョウバエS2細胞の培養物を得て、15μgのDMp53dsRNA
を培地に添加するかRNAを添加しなかった。二日目に、CuSOを0、7、
70又は700μMの最終濃度になるまで全ての培養物に添加した。四日目に、
アラマーブルー(Alamar Biosciences Inc., Sacramento, CA)染色アッセイを
実施して、590nmでの蛍光を測定することにより、各培養物中の生細胞の数
を測定した。 7μMのCuSOでは、RNAi処理又は未処理細胞に対して、0μMのC
uSOの場合と細胞数に変化はなかった。70μMのCuSOでは、RNA
i処理カテゴリーに対して、0μMのCuSOの場合と細胞数に変化はなかっ
た。しかし、RNAiで処理されなかった細胞の数は30%低下した。700μ
MのCuSOでは、RNAiで処理されなかった細胞の数は30%低下する一
方(0μMのCuSOの場合と比較)、RNAiで処理されなかった細胞の数
は70%低下した。 これらの実験は、ある程度の細胞の喪失は銅の毒性のためであるかもしれない
ので、p53dsRNAがp53誘導性カテゴリーの細胞の少なくとも70%を
救出したことを示している。これらの実験の結果は、DMp53dsRNAがD
Mp53過剰発現を誘発することにより引き起こされたアポトーシスから細胞を
救出することを証明している。よって、この実験細胞ベース系はp53機能の機
構と調節を研究するための明確で独自の方法を提供する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A−1Bは、ヒト、アフリカツメガエル及びヤリイカにおい
て過去に同定されたp53配列との、ショウジョウバエ、Leptinotarsa、Tribol
ium及びHeliothisから同定された昆虫p53タンパク質のアミノ酸配列のCLUSTA
LWアラインメントを示している。アラインメント内の同一アミノ酸残基は実線内
にグループ分けされ、類似のアミノ酸残基は破線内にグループ分けされている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 4H045 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 Z C12Q 1/02 G01N 33/566 1/68 33/15 Z G01N 33/566 33/50 Z // G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 オルマン,マイケル,マーチン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94025, メンロ パーク,アシュル アヴェニュー 1805 (72)発明者 ヤング,リン,マリー アメリカ合衆国 カリフォルニア 94401, サン マテオ,ボールドウィン アヴェニ ュー 250 4号室 (72)発明者 デンスキー,マデリン,ロビン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94109, サンフランシスコ,パイン ストリート, 1770 3203号室 (72)発明者 キーガン,ケビン,パトリック アメリカ合衆国 カルフォルニア 94580, サン ロレンゾ,ビア エステレラ 17311 (72)発明者 フリードマン,ロリ アメリカ合衆国 カルフォルニア 94107, サンフランシスコ,ワン ベイサイド ヴ ィッレジ プレイス,ユニット212 (72)発明者 コプツィンスキー,ケーシー アメリカ合衆国 カルフォルニア 94002, ベルモント,ジェームス ロード 2769 (72)発明者 ラーソン,ジェフリー,エス. アメリカ合衆国 カルフォルニア 94010, バーリンゲーム,エル カミノ リアル 1220 305号室 (72)発明者 ロバートソン,ステファニー,エー. アメリカ合衆国 カルフォルニア 94127, サンフランシスコ,ファウラー アヴェニ ュー 255 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB10 BB20 CB17 FA16 FB02 FB03 4B024 AA07 AA11 BA80 CA04 GA11 HA11 4B063 QA01 QA05 QA18 QQ05 QQ13 QQ20 QQ43 QR32 QR48 QR74 QR80 QS24 QS36 QX02 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA13 4B065 AA90X AA90Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA46 4H045 AA10 BA10 CA51 EA50 FA72 FA73 FA74

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号:4、6、8及び10の何れか一つの少なく
    とも7の連続アミノ酸を含んでなるポリペプチドをコードする核酸配列; (b)配列番号:2の少なくとも7の連続アミノ酸を含んでなるポリペプチドを
    コードする核酸配列であって、単離された核酸分子が全長15kb未満のもの; (c)配列番号:4、6、8及び10の何れか一つの9の連続アミノ酸と100
    %の配列類似性を共有する少なくとも9の連続アミノ酸を含んでなるポリペプチ
    ドをコードする核酸配列; (d)配列番号:2の9の連続アミノ酸と100%の配列類似性を共有する少な
    くとも9の連続アミノ酸を含んでなるポリペプチドをコードする核酸配列であっ
    て、単離された核酸分子が全長15kb未満のもの; (e)配列番号:1のヌクレオチド1−111、配列番号:3のヌクレオチド1
    −120、配列番号:5のヌクレオチド1−93及び配列番号:18のヌクレオ
    チド1−1225の何れかの少なくとも20の連続ヌクレオチド; (f)配列番号:20及び配列番号22からなる群から選択される配列と少なく
    とも80%の配列類似性を有するアミノ酸を含んでなるポリペプチドをコードす
    る核酸配列;及び (g)(a)−(f)の核酸の相補鎖; からなる群から選択される核酸配列を含んでなる単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 RNAである請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 核酸配列が、配列番号:1、3、5、7、9、18、19及
    び21の何れかからなる群から選択される配列と少なくとも50%の配列同一性
    を有する請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 核酸配列が、RICSCPKRD、KICSCPKRD、R
    VCSCPKRD、KVCSCPKRD、RICTCPKRD、KICTCPK
    RD、RVCTCPKRD、KVCTCPKRD、FXCKNSC及びFXCQ
    NSC(ここで、Xは任意のアミノ酸)からなる群から選択されるアミノ酸配列
    を含んでなるポリペプチドをコードする請求項1に記載された単離された核酸分
    子。
  5. 【請求項5】 核酸配列が、配列番号:2、4、6、8及び10の何れかの
    少なくとも17の連続アミノ酸をコードする請求項1に記載の単離された核酸分
    子。
  6. 【請求項6】 核酸配列が、配列番号:2、4、6、8及び10の何れかの
    19のアミノ酸と100%の配列類似性を共有する少なくとも19のアミノ酸を
    含んでなるポリペプチドをコードする請求項1に記載の単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 核酸配列が、配列番号:2、4、6、8及び10の何れかと
    少なくとも50%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする請求項1に記
    載の単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 核酸配列が、活性化ドメイン、DNA結合ドメイン、リンカ
    ードメイン、オリゴマー形成ドメイン、及び塩基性調節ドメインからなる群から
    選択される少なくとも一つのp53ドメインをコードする請求項1に記載の単離
    された核酸分子。
  9. 【請求項9】 核酸配列が活性なp53を構成的にコードする請求項1に記
    載の単離された核酸分子。
  10. 【請求項10】 核酸配列が、ドミナントネガティブp53をコードする請
    求項1に記載の単離された核酸分子。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の核酸分子を含んでなるベクター。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
  13. 【請求項13】 p53ポリペプチドの発現に適した条件下で請求項8に記
    載の宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することを含んでなるp53ポリ
    ペプチドの製造方法。
  14. 【請求項14】 a)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少
    なくとも7の連続アミノ酸; b)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少なくとも9の連続アミ
    ノ酸と100%の配列類似性を共有する少なくとも9の連続アミノ酸; c)配列番号:20及び配列番号:22からなる群から選択される配列の少なく
    とも10の連続アミノ酸; からなる群から選択されるアミノ酸を含んでなる精製されたポリペプチド。
  15. 【請求項15】 アミノ酸配列が、RICSCPKRD、KICSCPKR
    D、RVCSCPKRD、KVCSCPKRD、RICTCPKRD、KICT
    CPKRD、RVCTCPKRD、KVCTCPKRD、FXCKNSC及びF
    XCQNSC(ここで、Xは任意のアミノ酸)からなる群から選択される請求項
    14に記載の精製されたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 配列番号:2、4、6、8及び10からなる群から選択さ
    れる配列と少なくとも50%の配列類似性を有する請求項14に記載の精製され
    たポリペプチド。
  17. 【請求項17】 p53活性を変調する候補化合物又は分子を検出する方法
    であって、p53ポリペプチド又はp53ポリペプチドをコードする核酸を一又
    は複数の候補化合物又は分子に接触させ、候補化合物又は分子とp53ポリペプ
    チド又は核酸との間の相互作用を検出することを含んでなり、p53ポリペプチ
    ドが、 a)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少なくとも7の連続アミ
    ノ酸と、 b)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少なくとも9の連続アミ
    ノ酸と100%の配列類似性を共有する少なくとも9の連続アミノ酸と、 からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる方法。
  18. 【請求項18】 候補化合物又は分子が推定される製薬用薬剤である請求項
    17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 接触工程が、p53タンパク質を発現するように遺伝子操
    作された培養宿主細胞に候補化合物又は分子を投与することを含んでなる請求項
    17に記載の方法。
  20. 【請求項20】 接触工程が、p53タンパク質を発現するように遺伝子操
    作された昆虫に候補化合物又は分子を投与することを含んでなる請求項17に記
    載の方法。
  21. 【請求項21】 候補化合物が推定殺虫剤である請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 p53タンパク質を発現又は誤発現するように遺伝的に改
    変された初代昆虫又はp53タンパク質発現又は誤発現を受け継いだ昆虫の子孫
    であって、p53タンパク質が、 a)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少なくとも7の連続アミ
    ノ酸と、 b)配列番号:2、4、6、8及び10の何れか一つの少なくとも9の連続アミ
    ノ酸と100%の配列類似性を共有する少なくとも9の連続アミノ酸と、 からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる昆虫。
  23. 【請求項23】 上記昆虫が、R155H、H159N及びR266Tから
    なる群から選択される突然変異を持つドミナントネガティブp53を発現するよ
    うに遺伝子改変がなされたショウジョウバエである請求項22に記載の昆虫。
  24. 【請求項24】 請求項22に記載の初代昆虫におけるp53タンパク質の
    発現又は誤発現により生じるフェノタイプを検出することを含んでなるp53活
    性の実験方法。
  25. 【請求項25】 p53タンパク質の発現又は誤発現を生じる初代昆虫と同
    じ遺伝子改変を有する第2世代昆虫を観察し、第2世代動物が対象遺伝子の突然
    変異を更に含み、存在する場合には初代動物のフェノタイプと第2世代動物のフ
    ェノタイプの間の差異が、p53タンパク質をコードする遺伝子の機能を変調可
    能なものとして対象遺伝子を特定する請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 一又は複数の候補化合物又は分子を昆虫又はその子孫に投
    与し、昆虫又はその子孫にp53活性の変化を観察することを更に含んでなる請
    求項24に記載の方法。
  27. 【請求項27】 請求項1に記載の単離された核酸分子に昆虫細胞を接触さ
    せることを含み、単離された核酸分子が配列番号:1、3、5、7及び9からな
    る群から選択される核酸配列のコード下領域から由来するdsRNAである、p
    53活性を変調する方法。
  28. 【請求項28】 培養された昆虫細胞をdsRNAに接触させ、培養された
    細胞のアポトーシスをアッセイする請求項27に記載の方法。
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