JP2002537531A - 圧電式アクチュエータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、圧電式アクチュエータ、特に自動車の制御弁又は噴射弁を操作するための圧電式アクチュエータであって、圧電材料の互いに積層された層とその間に位置している金属製のもしくは導電性の、電極として働く層とから、多層のラミネートの形で形成されたアクチュエータ本体（１０）が設けられており、該アクチュエータ本体（１０）がその両端面で、弁側の底プレート（１１）と反対側に位置するヘッドプレート（１２）との間において、アクチュエータ本体を挟んで互いに向かい合っている側にそれぞれ長手方向に位置している２つのばね板（１３，１４）によって、弾性的に予負荷されており、該ばね板の予負荷力が調節手段によって調節可能である形式のものにおいて、調節手段が、ヘッドプレート（１２）の中心において軸方向に延びる延長ピン（１８）に設けられた雄ねじ山（１５）に、螺動可能に係合する調節ナット（１６）を有しており、該調節ナット（１６）がその螺動位置に関連して、ばね板（１３，１４）の予負荷力を調節することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 従来技術 本発明は、圧電式アクチュエータ、特に自動車の制御弁又は噴射弁を操作する
ための圧電式アクチュエータであって、圧電材料の互いに積層された層とその間
に位置している金属製のもしくは導電性の、電極として働く層とから、多層のラ
ミネートの形で形成されたアクチュエータ本体が設けられており、該アクチュエ
ータ本体がその両端面で、弁側の底プレートと反対側に位置するヘッドプレート
との間において、アクチュエータ本体の互いに向かい合っている側にそれぞれ長
手方向に位置している２つのばね板によって、弾性的に予負荷されており、該ば
ね板の予負荷力が調節手段によって調節可能である形式のものに関する。

【０００２】 このような圧電式アクチュエータは例えば、Robert Bosch GmbHのドイツ連邦
共和国特許出願公開第１９６５０９００号明細書に基づいて公知である。圧電層
とその間に位置する電極層とから、ラミネートされた積層体の形で形成されたこ
のような形式の圧電式多層アクチュエータは、予負荷をかけられて組み立てられ
ねばならない。それというのはさもないと、このような圧電式アクチュエータは
操作時に互いに裂けて離反してしまうからである。負荷されるこの予負荷力の大
きさは、制御速度とアクチュエータ本体における質量とによって左右される。圧
電式アクチュエータの構成に応じて、予負荷力は５００〜１０００Ｎである。

【０００３】 図１には、上記刊行物に基づいて公知の、多層のアクチュエータ本体３を備え
た圧電式アクチュエータが示されている。公知の圧電式アクチュエータの製造時
にアクチュエータ本体３は端面側でそれぞれ底プレート７とカバープレートとに
接着される。必要な予負荷は、アクチュエータ本体３の両側において長手方向に
位置する板ばね４ａ，４ｂによってもたらされる。製造の不正確さによってアク
チュエータ本体の製造時に生じる許容誤差を補償するためには、極めて正確な高
精度の補償プレート１，２，５が必要である。このような補償プレートをストッ
クしておくこと及びこのような補償プレートを取り付けることは、圧電式アクチ
ュエータの製造コストを高騰させることになる。

【０００４】 本発明の課題及び利点 ゆえに本発明の課題は、ばね板からアクチュエータ本体に加えられる予負荷力
を任意に調節又は後調整することができる、改善された調節兼補償エレメントを
備えていて、製造コストが安価な圧電式多層アクチュエータを提供することであ
る。

【０００５】 公知の解決策におけるように、アクチュエータ本体はその側部に位置するばね
板を介して弾性的に予負荷される。公知の解決策とは異なり、ばね力はしかしな
がら調節ナットの回動によって調節される。

【０００６】 許容誤差を有するばね板による偏った力導入を回避するために、中心において
調節ナットの皿状の凹部に係合作用する補償揺動体が働き、この補償揺動体は軸
方向で突出するセンタリングピンを有しており、このセンタリングピンの球面状
の輪郭は、調節ナットの皿状の凹部において運動することができる。これによっ
て調節ナットの回動時に予負荷が均一にもたらされる、つまりセンタリングされ
る。ばね強さにおける許容誤差は補償揺動体の旋回もしくは傾倒によって補償さ
れる。このようになっていると、任意の予負荷力を所望の力範囲において無段階
式に調節すること、又は圧電式アクチュエータもしくは圧電式アクチュエータを
備えた弁の耐用寿命にわたって後調節することができる。同時に組立てが簡単化
され、かつ安価になる。それというのは、ただ１箇所において調節ナットを用い
て修正を行うだけでよいからである。

【０００７】 圧電式アクチュエータの本発明による構成によって以下に記載の利点が得られ
る： −偏った力導入が補償揺動体の使用によって回避される。これは、亀裂形成の可
能性が減じられることに基づいて、圧電式アクチュエータがより長い耐用寿命を
有することを意味する。

【０００８】 −圧電式アクチュエータの組立ては、ただ１つの箇所つまり調節ナットにおける
力調節と予め製造された部材の使用によって、簡単化され、ひいては安価になる
。

【０００９】 −予負荷力は圧電式アクチュエータの耐用寿命にわたって後調節することができ
る。この場合有利には、予負荷力を生ぜしめるばね板の疲労が考慮される。

【００１０】 実施例 次に図面を参照しながら本発明の有利な実施例を説明する。

【００１１】 本発明による圧電式アクチュエータの有利な１実施例が縦断面図で示されてい
る図２Ａから分かるように、多層のアクチュエータ本体１０は、圧電材料の互い
に積層された層とその間に位置している金属製のもしくは導電性の、電極として
働く層とから成る多層のラミネートから成っており、両端面側において、軸方向
で弁（図示せず）に向かって突出している中央の圧力突き棒１９を備えた底プレ
ート１１と、反対側に位置しているヘッドプレート１２との間において、アクチ
ュエータ本体の長手方向に位置している２つの個別のばね板１３，１４によって
弾性的に予負荷（vorspannen）されている。

【００１２】 脈動する電圧がアクチュエータ本体１０の電極（図示せず）に印加されると、
アクチュエータ本体１０は、ばね板１３，１４によって予負荷された両端面の間
の間隔を変化させながら、同様に脈動する行程を実施する。この場合圧力突き棒
１９を備えた底プレート１１は、ばね板１３，１４によって加えられるばね力に
抗して軸方向で運動する。ヘッドプレート１２は、雄ねじ山１５を備えた軸方向
の延長ピン１８を有している。延長ピン１８の雄ねじ山１５には、調節ナット１
６の雌ねじ山が螺合している。調節ナット１６の回転によって、両ばね板１３，
１４のばね力を調節することができる。

【００１３】 図２Ａに示された実施例では、このばね力調節は、調節ナット１６が、補償揺
動体（Ausgleichswippe）として構成された結合エレメントに作用することによ
って行われ、そしてこの場合結合エレメントは、両ばね板１３，１４の上端部に
おいて孔を貫通している固定ピン２３，２４を用いて、両ばね板１３，１４を結
合していて、補償揺動体の旋回もしくは傾倒のためにある程度の遊びが残される
ようになっている。調節ナット１６によって調節された、両ばね板１３，１４に
対する予負荷力（Vorspannkraft）を補償するため及びセンタリングするために
、補償揺動体２０は、中心において軸方向で調節ナット１６に向かって突出して
いて球形の端部を備えたセンタリングピン２１を有しており、このセンタリング
ピン２１は、中心で調節ナット１６の球面状のセンタリング凹部１７において可
動である。このセンタリング凹部１７の半径は、補償揺動体２０のセンタリング
ピン２１の端部における半径よりも著しく大きい。このような構成とセンタリン
グピン２１の選択された軸方向長さとによって、調節ナット１６の上側の外縁部
と補償揺動体の下側面との間には、空間が残されているので、補償揺動体２０は
幾分旋回もしくは傾倒することができる。このようにしてばね板１３，１４のば
ね強さにおける許容誤差が、補償揺動体の旋回もしくは傾倒によって補償され、
その結果調節ナット１６の回動時に予負荷は均一かつ軸方向においてアクチュエ
ータ本体１０の端面に作用する。このようにして、任意の予負荷力を無段階式に
調節すること、もしくは圧電式アクチュエータ及びそれに設けられた弁の耐用寿
命にわたって後調節することが可能である。同時に組立ても簡単になる。それと
いうのは、１箇所でつまり調節ナット１６において、修正を行うだけでよく、予
負荷力を調節するために高精度の補償プレート（Ausgleichsscheibe）を必要と
しないからである。

【００１４】 特に、図２Ａに示された圧電式アクチュエータを上から見た平面図である図２
Ｂから分かるように、補償揺動体２０に設けられた孔２７，２８は、ばね板１３
，１４がその中に遊びをもって位置するように構成されている。ばね板１３，１
４の固定は、取付け時に固定ピン２３，２４によって行われ、これらの固定ピン
２３，２４はばね板１３，１４の上端部区分における孔を通して差し込まれてい
る。固定ピン２３，２４は切欠き又はリング溝を備えていることができ、これに
よってピン２３，２４はばね板１３，１４の孔内に確実に位置することができ、
かつ圧電式アクチュエータの運転時における脱落を確実に回避することができる
。

【００１５】 図３には本発明による圧電式アクチュエータの第２実施例が縦断面図で示され
ている。この実施例では個別のばね板１３，１４は設けられておらず、予負荷エ
レメントはＵ字形に曲げられたただ１つのＵ字形ばね３０である。このＵ字形ば
ね３０の長い脚は、アクチュエータ本体１０を挟んで向かい合って位置している
２つのばね板３３，３４を形成している。予負荷力の調節は、図２Ａに示された
第１実施例におけるとまったく同じに、調節ナット１６を用いて行われ、この調
節ナット１６の雌ねじ山はヘッドプレート１２の軸方向に突出する延長ピン１８
の雄ねじ山１５に螺合しており、これによって、アクチュエータ本体１０の端面
に作用する予負荷力の調節を、ただ１つの調節部材によって、つまり調節ナット
１６の螺動もしくは回動によって行うことができる。Ｕ字形ばね３０の平らな底
部分３１は補償揺動体２０を跨ぐように案内されており、補償揺動体２０は、セ
ンタリングピン２１を含めて、図２Ａに示された補償揺動体２０と同じ形状を有
することができる。図３に示された補償揺動体２０はその上側面に付加的に、図
３に示されていない凹設部又は溝を有することができ、この凹設部又は溝にはＵ
字形ばね３０の平らな底部分３１が位置している。

【００１６】 図３に示された実施例においても調節ナット１６は有利には、中央に球面状の
センタリング凹部１７を有しており、このセンタリング凹部１７において補償揺
動体２０のセンタリングピン２１は可動である。

【００１７】 さらに付言すれば、本発明による両実施例は基本的には、円形、方形又は正方
形の横断面形状をもつアクチュエータ本体にも適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】 公知の圧電式アクチュエータを示す縦断面図である。

【図２】 本発明による圧電式アクチュエータの第１実施例を示す図面であって、図２Ａ
は縦断面図であり、図２Ｂは上から見た平面図である。

【図３】 本発明による圧電式アクチュエータの第２実施例を示す縦断面図である。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電式アクチュエータ、特に自動車の制御弁又は噴射弁を操
   作するための圧電式アクチュエータであって、圧電材料の互いに積層された層と
   その間に位置している金属製のもしくは導電性の、電極として働く層とから、多
   層のラミネートの形で形成されたアクチュエータ本体（１０）が設けられており
   、該アクチュエータ本体（１０）がその両端面で、弁側の底プレート（１１）と
   反対側に位置するヘッドプレート（１２）との間において、アクチュエータ本体
   を挟んで互いに向かい合っている側にそれぞれ長手方向に位置している２つのば
   ね板（１３，１４；３３，３４）によって、弾性的に予負荷されており、該ばね
   板の予負荷力が調節手段によって調節可能である形式のものにおいて、 調節手段が、ヘッドプレート（１２）の中心において軸方向に延びる延長ピン
   （１８）に設けられた雄ねじ山（１５）に、螺動可能に係合する調節ナット（１
   ６）を有しており、該調節ナット（１６）がその螺動位置に関連して、ばね板（
   １３，１４；３３，３４）の予負荷力を調節することを特徴とする圧電式アクチ
   ュエータ。
2. 【請求項２】 ばね板（３３，３４）が、ほぼＵ字形のただ１つのＵ字形ば
   ね（３０）の互いに平行な脚であり、該Ｕ字形ばね（３０）の底部に調節ナット
   （１６）が係合している、請求項１記載の圧電式アクチュエータ。
3. 【請求項３】 ばね板（１３，１４）が個別の２つのばね板であり、両ばね
   板が、調節ナット（１６）の外側に位置していて調節ナット（１６）によって予
   負荷される結合エレメントによって、摩擦力結合式に結合されている、請求項１
   記載の圧電式アクチュエータ。
4. 【請求項４】 結合エレメントが揺動可能な補償揺動体（２０）を形成して
   おり、該補償揺動体（２０）が、ばね板（１３，１４）によって加えられかつ調
   節ナットによって調節される予負荷力を、アクチュエータ本体（１０）の長手方
   向軸線（Ａ）へとセンタリングする、請求項３記載の圧電式アクチュエータ。
5. 【請求項５】 補償揺動体（２０）が、調節ナット（１６）に向かって軸方
   向に延びるセンタリングピン（２１）を中心に有しており、該センタリングピン
   （２１）が、調節ナット（１６）の外側の端壁に接触していて、その端部が球面
   状の輪郭を有している、請求項４記載の圧電式アクチュエータ。
6. 【請求項６】 調節ナット（１６）の外側の端壁が中心において、球面状の
   センタリング凹部（１７）を形成しており、該センタリング凹部（１７）の半径
   が、そこに位置している補償揺動体（２０）のセンタリングピン（２１）の半径
   よりも著しく大きい、請求項５記載の圧電式アクチュエータ。
7. 【請求項７】 ばね板（１３，１４）がその端部区分に孔を有していて、そ
   こで該孔を貫いて差し込まれた固定ピン（２３，２４，２５，２６）によって、
   それぞれ結合エレメントもしくは補償揺動体（２０）及び底プレート（１１）に
   固定されている、請求項３から６までのいずれか１項記載の圧電式アクチュエー
   タ。
8. 【請求項８】 固定ピン（２３〜２６）が切欠き又は環状溝を備えており、
   該切欠き又は環状溝に、ばね板（１３，１４）の端部区分が形状結合式に係合し
   ている、請求項７記載の圧電式アクチュエータ。