JP2002535071A - 段付き室を有する分配カートリッジ - Google Patents

段付き室を有する分配カートリッジ

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Abstract

(57)【要約】 ハンドヘルド型アプリケータと共に使用するための分配カートリッジは、第１部分と第２部分とを有する室を有する。第２部分は、第１部分よりも小さな断面積を有し、それにより室が段付き構造を有するようになっている。ピストンは、室内に摺動自在に収容され、また第２部分に収容される頭部と第１部分に収容される尾部とを有する。力が尾部に加えられるに従い、頭部は前進して、材料を出口開口部を通して押し出す。カートリッジは、歯科用ペースト等の、比較的高粘度の組成物を分配するために特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 発明の背景 １．発明の分野 本発明は、可動式プランジャを有するハンドヘルド型アプリケータに取り外し
可能に収容されるようになっている種類の、使い捨て可能な分配カートリッジに
関する。
【０００２】 ２．関連技術の説明 種々の種類の材料を分配するために、多くのハンドヘルド型分配装置が入手可
能である。多くの例では、分配装置は再使用可能なディスペンサまたはアプリケ
ータおよび使い捨て可能なカートリッジを含む組立体である。カートリッジは、
分配される任意量の組成物または材料を含み、アプリケータのレセプタクル内に
着脱自在に収容される。
【０００３】 アプリケータとカートリッジを含む分配組立体では、アプリケータが分配操作
中にユーザによって前進させられるプランジャを有するものがある。大抵は、プ
ランジャはカートリッジの開口端部内に収容され、カートリッジ内のピストンを
支承する。プランジャが前進させられてピストンを移動するとき、ピストンはカ
ートリッジの前部出口開口部を通してある量の材料を押し出す。
【０００４】 再使用可能なアプリケータおよび使い捨て可能なカートリッジを含む分配装置
は、特にカートリッジのコストと比較してアプリケータがかなり高価である場合
には、多く好まれている。例えば、多くのアプリケータは、プランジャの前進を
促進するために移動可能なレバーまたはアームを有する。あるアプリケータは、
プランジャの運動の制御を強化するためのアームまたはレバーに結合されたラチ
ェット機構を有する。明らかに、コストを低減しまた処分の問題を回避するため
に、このようなアプリケータを再利用することが望ましい。
【０００５】 使い捨て可能なカートリッジを有する分配装置は、修復材、接着剤、セメント
、エッチングゲル、シーラント等のような歯科用組成物を分配するために、歯科
医術の分野でしばしば使用される。ある場合には、カートリッジおよびカートリ
ッジを収容するアプリケータの前部部分は、分配操作中に口腔内でカートリッジ
を容易に操作できるように、かなり小さい。その方法では、カートリッジ内に含
まれる歯科用材料は、必要に応じて、好便に歯構造の上に直接分配することが可
能である。
【０００６】 歯科医術で用いられているハンドヘルド型アプリケータの例（ディスペンサま
たはエジェクタ型ガンとも呼ばれる）は、米国特許第４，１９８，７５６号、第
４，３９１，５９０号および第４，４７２，１４１号に記述されている。これら
のアプリケータと共に使用されるカートリッジ（カプセルとしても公知）の例は
、例えば、米国特許第４，３９１，５９０号、第４，７６７，３２６号、第５，
１００，３２０号および第５，６２４，２６０号に記述されている。
【０００７】 歯科医術の分野では、分配カートリッジはしばしばかなり小さく、一人のみの
患者が使用するように適合されている。カートリッジは処置の終了後に処分され
、アプリケータは次の患者に使用する前に殺菌される。このようにして、１人の
患者から他の患者への伝染病の伝染の危険が実質的に低減される。
【０００８】 しかし、現在商業的に入手可能な歯科用のアプリケータおよび使い捨て可能な
カートリッジの多くは、かなり高い粘度を有するペースト状の組成物を分配する
際の使用には十分ではない。このような場合、ユーザはカートリッジから組成物
を放出するために、アプリケータのレバーにかなり大きな力を加えなければなら
ない。理解できるように、ユーザが無理な力を加えて、組成物をカートリッジか
ら押し出そうとするならば、常に、放出された組成物を口腔内に配置する際の正
確なコントロールが妨げられる可能性がある。
【０００９】 この結果、過去の歯科医は、高粘度のペースト状の組成物（修復材料のような
）を口腔内に配置するために、しばしばスパチュラまたは他の同様の道具を使用
してきた。この作業には、少量の材料をスパチュラの上に配置し、次に、必要に
応じてスパチュラを操作して、患者の歯構造の上に材料を配置して、移すことが
含まれる。理解できるように、このような作業には若干時間がかかり、カートリ
ッジから直接歯構造の上に歯科用組成物を分配することを含む分配方法に較べて
便利ではない。
【００１０】 ある場合には、粘着性の歯科用組成物を分配するために、つまみねじによって
前進させられるプランジャを有する注射器が使用されてきた。過度の努力なしに
かなり粘着性の組成物を分配できるように、つまみねじは相当機械的な利点を提
供する。しかし、このような分配は、歯科医の両方の手の使用を典型的に含み、
一方の手は注射器の本体を保持するために使用され、他方の手はつまみねじを回
すために使用される。さらに、このような装置は、一般的に、患者の歯構造に直
接組成物を分配するために使用されない。
【００１１】 したがって、関連技術において、高粘度の組成物を片手で分配するための用途
に特に適合されたカートリッジに対する必要性がある。好ましくは、特別に造ら
れたアプリケータが不必要であるように、このようなカートリッジは商業的に入
手可能なアプリケータと共に使用し得ることが好ましい。さらに、関連技術にお
いて、過度の努力なしに、正確な量のこのような組成物を歯表面に直接、所望の
正確な位置に分配するために、歯科医が使用するために特に適した、高粘度の組
成物と共に使用するための分配カートリッジを提供する必要性がある。
【００１２】 発明の要旨 本発明は、１つの観点では、ハンドヘルド型アプリケータと共に使用するため
の分配カートリッジに関する。カートリッジは、アプリケータのプランジャを収
容するための開口端部を有する本体を具備する。本体はまた、出口開口部と、開
口端部と出口開口部との間に延在する細長い室とを含む。室は、開口端部に隣接
した第１部分と、出口開口部に隣接した第２部分とを有する。第１部分は、出口
開口部に接近する方向へ、室の長手方向軸線を横断する略一定の断面積を有する
。第２部分は、出口開口部に接近する方向へ、室の長手方向軸線を横断する略一
定の断面積を有し、この断面積は、第１部分の略一定の断面積よりも小さい。カ
ートリッジはまた、室内に摺動自在に収容された細長いピストンを含む。ピスト
ンは、頭部と尾部とを有する。尾部は第１部分に収容され、頭部は第２部分に収
容される。
【００１３】 他の観点では、本発明はまた、ハンドヘルド型アプリケータと共に使用するた
めの分配カートリッジに関する。この観点において、カートリッジは、アプリケ
ータのプランジャを収容するための開口端部を有する本体を含む。本体はまた、
出口と、開口端部と出口との間に延在する細長い室とを含む。室は、ある直径を
有する略円筒状の第１部分と、第１部分の直径よりも小さな直径を有する略円筒
状の第２部分とを有する。カートリッジはまた、室内に摺動自在に収容された細
長いピストンを含む。ピストンは、室の第２部分に収容された頭部と、室の第１
部分に収容された尾部とを有する。頭部は、本体の第２部分の直径とほぼ同一の
直径を有するセグメントを含む。カートリッジはまた、ピストンの頭部と出口と
の間で室内に収容された任意量の組成物を含む。ピストンがプランジャによって
開口端部から離れた方向に移動されるに従い、頭部は組成物を出口に向かって導
く。
【００１４】 本発明の他の観点は、歯科用組成物を分配する方法に関する。本方法は、略円
筒状の第１部分と略円筒状の第２部分とを有する室を備えるカートリッジを用意
する行為であって、第２部分が、第１部分の直径よりも小さな直径を有する、行
為を含む。本方法はまた、第２の室部分に配置されたピストンの頭部が、第２の
室部分の歯科用組成物を出口開口部を通して押し出すように、第１の室部分に配
置されたピストンの尾部を支承することによってピストンを室内で前進させる行
為を含む。
【００１５】 上述のような種々の観点における本発明は、室の第２部分から組成物を分配す
るために、より小さな力で済むという点で、重要な利点である。この結果、本発
明は、高充填の歯科用修復組成物のようなかなり高粘度のペースト状材料を分配
するために特に有用である。このような材料をユーザは片手で過度の努力なしに
容易に分配でき、この結果分配操作が容易になり、材料を思うように正確な位置
に分配することができる。
【００１６】 本発明のさらなる詳細が請求の範囲の特徴に規定されている。
【００１７】 好適な実施形態の詳細な説明 本発明の原理に従って組み立てられた分配カートリッジの実施例が、図１〜図
４に示され、総括的に数字１０によって示されている。カートリッジ１０は室１
４を有する本体１２を備える。カートリッジ１０はまた、必要なときに室から組
成物１８を分配するために室１４内で移動可能なピストン１６を備える。
【００１８】 より詳細には、本体１２は開口入口端部２０と、開口端部２０から離れた出口
または出口開口部２２とを有する。出口開口部２２は、本体１２に一体的に接続
される放出ノズル２４を通って延びる通路の一部分である。室１４は細長く、開
口端部２０から出口開口部２２に隣接した位置まで延在する。
【００１９】 室１４は、後部の円筒状第１部分２６と前部の円筒状第２部分２８とを含む。
第１部分２６は開口端部２０に隣接し、第２部分２８は出口開口部２２に隣接し
ている。両部分２６、２８の中心長手方向軸線は、室１４の長手方向軸線と同一
直線上にある。図２と図３では、室１４の長手方向軸線は数字３０によって示さ
れている。
【００２０】 第２室部分２８の直径は、第１室部分２６の直径よりも小さい。したがって、
第２室部分２８の断面積は、長手方向軸線３０を横断する基準面で考えると、第
１室部分２６の断面積よりも小さい。したがって、室１４は、出口開口部２２に
接近するにつれて断面積が小さくなる段付き構造を有する。
【００２１】 本体１２の外面も、段付きの外観を呈することが好ましく、その利点について
は以下の項目で記述する。図面に示したように、第２室部分２８に隣接した本体
１２の外径は、第１室部分２６に隣接した本体１２の外径よりも小さい。選択的
構成として、切頭円錐形状を有する先細りの移行壁部が、第１室部分２６を囲む
外壁の主要延長部と第２室部分２８を囲む外壁の主要延長部との間に延在する。
【００２２】 カートリッジ本体１２はさらに、開口端部２０を取り囲む後部フランジ３２を
有することが好ましい。後部フランジ３２は、以下に述べるように、カートリッ
ジ１０をアプリケータ内に保持するために有効である。選択的構成として、後部
フランジ３２の後部外壁は、例えば図２と図３を参考にして理解できるように面
取りされているが、その代わりに、所望により、フランジ３２は９０°の後部外
面角部を有することができる。
【００２３】 他の選択的構成として、開口端部２０は室１４に通じる面取りされた部分を有
する。開口端部２０の近くの面取りは、カートリッジ１０の組立中にピストン１
６の挿入を容易にする。さらに、本体１２内の応力集中の低減を助けるために、
小さな面取りが両部分２６、２８の間で室１４に選択的に設けられる。
【００２４】 ピストン１６は細長く、頭部３４と尾部３６とを有する。ピストン１６はまた
、頭部３４と尾部３６とを相互に一体的に接続する細長いシャンク３８を有する
。
【００２５】 ピストン１６の頭部３４は、円筒状部分４０と、円筒状部分４０に一体的に接
続される先細りの好ましくは円錐台状の部分４２とを有する。円錐台状部分４２
は平坦な前端を有する。円筒状部分４０は、第２室部分２８の内径とほぼ同一の
外径を有する。好ましくは、部分４０はピストン１６の他の部分と一体化される
が、他の構造も可能である。例えば、代替的構造では、部分４０は、ピストンヘ
ッドに接続された本来は別々のシールまたはＯリングである。
【００２６】 ピストン１６の尾部３６はまた、円筒状の形状を有し、また好ましくは第１室
部分２６の直径とほぼ同一あるいはそれよりもわずかに小さな外径を有する。好
ましくは、シャンク３８は、ピストン１６の長手方向軸線を横断する部分におい
て、ピストン１６の長手方向軸線を横断する部分における頭部３４および尾部３
６の断面積よりも小さい断面積を有する。シャンク３８の断面積の減少は、ピス
トン１６の前進に対する摩擦抵抗の減少に役立つ。選択的に、シャンク３８は、
円筒状部分４０と尾部３６の中心軸線と同一直線上にある中心軸線を有する円筒
状構造も有する。
【００２７】 ピストン１６のための適切な材料は、ポリプロピレンのようなプラスチックを
含む。適切なポリプロピレン材料の例はＦｉｎａからのＮｏ．３４６７である。
【００２８】 本体１２のための適切な材料はまた、可塑性材料を含む。本体１２のための適
切な可塑性材料の例は、デュポンからのＺｙｔｅｌブランドナイロン樹脂、Ｎｏ
．１０１Ｌのようなナイロン樹脂である。カートリッジ本体１２のための適切な
材料の他の例は、米国特許第５，６２４，２６０号および第５，１００，３２０
号に記述されている。
【００２９】 好ましくは、ピストン頭部３４の円筒状部分４０は、ピストン頭部３４と第２
部分２８を囲む本体１２の内壁部分との間のシールを提供する程度に十分に大き
い外径を有し、この結果、組成物１８は、ピストン１６が前進させられるに従い
、出口開口部２２を通して有効に放出される。好ましくは、円筒状部分４０は、
第２室部分２８を囲む室壁部分との小さな締りばめを有し、有効なシールを提供
する。一例として、カートリッジ本体１２が上述のナイロン樹脂から造られ、ま
たピストン１６が上述のようなポリプロピレン材料から一体的に造られる場合、
円筒状部分４０は０．１３２インチ（３．３５ｍｍ）の外径を有することが可能
であり、他方、第２室部分２８を囲む本体１２の内壁部分は０．１３０インチ（
３．３ｍｍ）の内径を有し得る。
【００３０】 好ましくは、尾部３６の直径は、ピストン１６の長手方向軸線と室１４の長手
方向軸線３０とを実質的に整列保持するために十分である。しかし、尾部３６の
外径が室１４のピストン１６の前進に大きな摩擦抵抗を与えないように、尾部の
外径は過度に大きくないことが好ましい。一例として、尾部３６は０．１６６イ
ンチ（４．２ｍｍ）の外径を有することが可能であり、他方、第１室部分２６は
０．１７０インチ（４．３ｍｍ）の直径を有する。
【００３１】 図面に示した実施形態では、放出ノズル２４は本体１２に一体的に接続され、
また室１４の長手方向軸線３０に対して鋭角に延在する長手方向中心軸線を有す
る。しかし、他の構造も可能である。例えば、放出ノズル２４は室１４の長手方
向軸線３０と同一線上の軸線に沿って延在できるであろう。他の選択として、放
出ノズル２４は、手における分配操作に最善に役立つように適合されたいくつか
の構造の任意の１つに手で曲げることが可能であり得る。選択的に、放出ノズル
２４は、一旦曲げられたその形状を保持する、手で成形可能な金属カニューレか
ら造られる。
【００３２】 好ましくは、図２に示したように、組成物１８は、放出ノズル２４を通して延
在する通路と、ピストン頭部３４の前方領域にある第２室部分２８とを最初に充
填する。このようにして、室１４内の無効空間は小さくなり、組成物１８はピス
トン１６の初期の前進と本質的に同時にカートリッジ１０から押し出される。
【００３３】 カートリッジ１０から組成物１８を分配するために有用な分配装置の例は、図
４と図５に示したアプリケータ５０のようなハンドヘルド型アプリケータである
。例示したアプリケータ５０は、歯科分野で用いられる周知のアプリケータ（ス
リーエムの歯科用アプリケータｎｏ．５７０６ＳＤ等）と同一であり、垂れ下が
りハンドル５４を有するハウジング５２を備える。アプリケータ５０の後部レバ
ー５６は、ハンドル５４が鉛直方向に延在したときに水平基準軸を中心とした揺
動運動のために、枢着部５８を介してハウジング５２に接続される。
【００３４】 ハウジング５２の前部は、カートリッジ１０を取り外し可能に収容するための
内部円筒状レセプタクル６０を有する管状突出部を備える。カートリッジ１０が
レセプタクル６０内に収容されると、カートリッジ１０はハウジング５２の前端
に配置された円形開口部を通して延在する。円形開口部は、第１室部分２６を囲
む領域における本体１２の外径よりも幾分大きな直径を有する。しかし、ハウジ
ング５２の円形の前部開口部は、カートリッジ１０をレセプタクル６０に保持す
るために、後部フランジ３２の外径よりも幾分小さな直径を有する。
【００３５】 ハウジング５２の前部管状突出部は、必要なときにカートリッジ１０をレセプ
タクル６０に挿入するための上部開口部６２（図４）を、レセプタクル６０に隣
接して備える。閉じ込め開口部６２は、レセプタクル６０の横方向に配置されて
いる。アプリケータ５０は、時に「後装式の」アプリケータとして公知である。
【００３６】 好ましくは、ハウジング５２の前部管状突出部は、図５に示した下方の細長ス
ロット６４を有する。スロット６４は、ハウジング５２の前端から延在し、レセ
プタクル６０に隣接している。スロット６４は、カートリッジ１０がレセプタク
ル６０の中に挿入されるか、あるいはそれから取り外されるとき、ノズル２４を
含むカートリッジ１０の前部に追加の遊びを提供する。
【００３７】 アプリケータ５０は、後部の幾分半球形の拡大ヘッド６８を有する細長いプラ
ンジャ６６を備える。プランジャ６６はまた、ステンレス鋼のようなかなり強度
のある耐摩耗性の材料から好ましくは製造された細長い円筒状シャフト７０を有
する。図４に示したように、コイル状の圧縮スプリング７２はプランジャ６６を
囲み、またヘッド６８と、レセプタクル６０に通じるハウジング５２の管状突出
部を通る通路の後部開口部との間に配置されている。
【００３８】 アプリケータ５０の駆動手段は、１対の湾曲したカム面７４を有し、その１つ
が図４に示されている。カム面７４はレバー５６の上方内部部分に形成され、プ
ランジャヘッド６８の湾曲面と摺動係合するように方向付けられている。レバー
５６が、図４に示した矢印の方向に枢着部５８を中心にした円弧で移動されるに
つれて、ヘッド６８はカム面７４に沿って回り、またカートリッジ１０がレセプ
タクル６０の中に収容されるとき、カートリッジ１０に向かってプランジャ６６
を前方方向に移動させる。
【００３９】 シャフト７０の外径はカートリッジ１０の第１室部分２６の直径よりも幾分小
さい。レバー５６が矢印の方向に枢着され、プランジャ６６がカートリッジ１０
に向かって前進させられるにつれ、シャフト７０はカートリッジ１０の開口端部
２０に入り、ピストン１６の尾部３６を支承する。矢印の方向のレバー５６の連
続的な前進運動は、ピストン１６を前方に移動させ、その結果ピストン１６の頭
部３４は組成物１８に圧力を及ぼし、出口開口部２２を通して組成物１８を導く
。
【００４０】 好ましい選択として、尾部３６の前部環状壁部が、第１部分２６と第２部分２
８との間の室１４に配置された肩部に接触したときに、ピストン１６が前方方向
の行程のその限界に達するように、ピストンシャンク３８の長さは選択される。
ピストン１６がその前方の行程限界に達したとき、実質的にすべての組成物１８
が第２室部分２８から放出されたことを保証するために、ピストン頭部３４は室
１４の前端に非常に近いことが好ましい。しかし、他の選択として、頭部３４が
第２室部分２８の前端またはその近くにおける室１４の内壁部分に接触するとき
、ピストン１６がその前方の行程限界に到達するように、ピストンシャンク３８
の長さは選択される。
【００４１】 第２室部分２８のかなり小さな直径は、歯科用ペーストのようなかなり高い粘
度の材料の分配を容易にする。第２室部分２８のかなり小さな直径は、ピストン
１６の前進の単位長さ当たりカートリッジ１０から放出される組成物１８の体積
を低減し、また結果として、ピストン１６を前進させるために、より大きな内径
を有する室についてさもなければ必要とされるよりも、単位長さ当たりで一層小
さな力で済む。より詳しくは、ピストン１６を前進させて、組成物１８を放出す
るために必要とされる圧力（単位面積当たりの力の単位で）が、組成物１８の粘
度増加のために増加するとしても、ピストン１６の断面積が低減されるならば、
必要とされる力の量は同じままである。さらに、第２室部分２８の内径の断面積
は、出口開口部２２と放出ノズル２４とを通した通路の近くでより小さくなり、
この結果室１４からの組成物１８の流動に対する抵抗が小さくなる。
【００４２】 室１４の段付き構造は、カートリッジ１０と、アプリケータ５０のような従来
のアプリケータとの着脱自在な接続を好適に可能にする。比較すると、従来のカ
ートリッジの内径を単純に小さくすることは、このようなカートリッジから得ら
れる内径が従来のアプリケータのプランジャシャフト７０の外径よりも小さい可
能性があり、この結果ユーザは、より小さな直径のプランジャシャフトを有する
新しいアプリケータの購入を本質的に必要とするので、本発明ほど有利ではない
であろう。本発明のカートリッジ１０の第１室部分２６は、アプリケータ５０の
ような従来のアプリケータのプランジャシャフト７０を収容するために十分に大
きいので、カートリッジ１０は、歯科医院および市場ですでに利用可能なアプリ
ケータと共に使用可能である。
【００４３】 カートリッジ本体１２の段付き構造はまた、レセプタクル６０からのカートリ
ッジ１０の挿入と取外しが容易になるという点で有利である。例えば、ユーザは
、ハウジング前端の円形開口部に向かって後部フランジ３２を可能な限り前方に
移動して、カートリッジを完全挿入または着座位置により容易に移動するために
、カートリッジ１０の挿入中にカートリッジをレセプタクル６０に対して傾けよ
うとするかもしれない。本体１２の段付き構造は、このような傾斜および前進運
動を促進するための遊びを提供する。
【００４４】 さらに、本体１２およびピストン１６の細長い構造は、分配対象の組成物１８
をその意図する位置に配置するのを補助する。例えば、カートリッジ１０が歯科
治療で用いられるならば、カートリッジ１０の長さの増大は、患者の臼歯の領域
を含む後部領域のような口腔の限定領域における放出ノズル２４の配置を容易に
する。相対的に長いカートリッジ１０は、アプリケータ５０の上のユーザの手が
、分配される組成１８を収容するために放出ノズル２４と意図する領域とから幾
分離れて配置されるので、分配操作中のユーザの見えやすさを改善する。
【００４５】 本発明のカートリッジ１０はまた、かなり長いボディ１２が、従来のカートリ
ッジと比較して把持かつ操作がより容易である点でも利点である。カートリッジ
１０の長さは、特にアプリケータ５０のような後装式のアプリケータが使用され
る場合には、アプリケータからのカートリッジ１０の挿入と取外しを容易にする
。
【００４６】 カートリッジ１０は、修復材料のような高粘度の歯科用組成物を分配するため
に特に有用である。第２室部分２８の直径は第１室部分２６よりも小さいが、第
２部分２８の体積は、十分な組成物１８を収容して（放出ノズル２４に含まれる
組成物の量と共に）、歯科医の期待（例えば、第２室部分２８が０．１３インチ
の直径を有する場合、約０．２ｇの修復材料）に応えるためには十分である。し
かし、セメント（例えば、封泥セメントおよび歯科矯正セメント）、エッチング
ゲル、ガラスイオノマーセメント、シーラント等のような他の歯科用材料を代わ
りに使用することが可能である。カートリッジ１０は、家庭、工業、医学または
他の用途のための接着剤または他の材料のような非歯科用組成物を分配するため
にも使用可能である。
【００４７】 さらに、カートリッジ１０は、図４と図５に示したアプリケータ５０以外のア
プリケータと共に使用可能である。例えば、側方装填式のレセプタクルを有する
種類のアプリケータが使用可能である。適切な代替的アプリケータの実例は、米
国特許第４，１９８，７５６号、第４，３９１，５９０号、第４，４７２，１４
１号および第５，７４３，４３６号に示されている。
【００４８】 実施例 押出試験が、従来の歯科用カートリッジおよび本発明に従って構成された歯科
用カートリッジの両方について行われた。各試験では、カートリッジ本体はＺｙ
ｔｅｌブランド１０１Ｌナイロン樹脂製であり、ピストンはポリプロピレン製で
あった。従来のカートリッジでは、カートリッジ室の内径は０．１５７５インチ
（４ｍｍ）であった。本発明のカートリッジでは、第２室部分の内径（上述のよ
うな室部分２８に対応する）は、０．１２８インチ（３．２５ｍｍ）であった。
インストロン万能試験機が利用され、５０．８ｍｍ／分のクロスヘッド速度を用
いて、カートリッジピストンを前進させるために必要な圧縮力が決定された。試
験は、温度と湿度が一定に保持された部屋で実施された。
【００４９】 従来の構造の５つの空のカートリッジが試験され、室の中に組成物がない場合
にピストンを前進させるために必要な力が決定された。その結果は平均され、０
．０８の標準偏差で０．２０ｋｇであることが確認された。試験は本発明のカー
トリッジで繰り返され、その平均した結果は０．３の標準偏差で３．５１ｋｇで
あった。
【００５０】 従来の構造の１０個のカートリッジおよび本発明の１０個のカートリッジが、
ある量のＺ１００歯科用修復ペースト（スリーエム社から）を含んでいた。ペー
ストは充填管を用いてカートリッジ内に配置され、次に、手で詰められ、次に、
ピストンが各カートリッジ内に配置され、開口端部内に押入された。
【００５１】 充填された１０個の従来のカートリッジのピストンを前進させるために必要な
力が確認され、平均は２．２の標準偏差で２６．９７ｋｇであった。０．２０ｋ
ｇの摩擦力（すなわち、同様の空のカートリッジのピストンを前進させるために
必要な力）が差し引かれ、２６．７７ｋｇの結果が得られた。試験は、本発明の
充填された１０個のカートリッジについて繰り返され、またピストンを前進させ
るために必要な力は、２．２の標準偏差で平均１９．３４ｋｇであると決定され
た。次に、３．５の摩擦力を差し引いて、１５．８２ｋｇの結果が得られ、これ
は４０．９％の力の量の低減である。
【００５２】 データは、歯科用組成物を分配するために必要な押出力の相当な（すなわち、
４０．９％）低減が、カプセル室の内径の縮小はかなり小さな値にすぎなかった
が（すなわち、４ｍｍから３．２５ｍｍに）、本発明によって提供されたことを
示している。
【００５３】 当業者は、本発明の精神から逸脱することなしに、上に詳細に記述した本発明
の好適な実施態様に種々の追加と修正を行い得ることが認識できる。この結果、
本発明は、上に説明した特定の実施態様に限定されるとみなされるべきでなく、
それらの等価物と共に従う請求の公正な範囲のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の１つの実施形態に従って構成される分配カートリッジの斜視図である
。
【図２】 図１に示した分配カートリッジの拡大側断面図であり、カートリッジの外部本
体とカートリッジの内部ピストンとを示している。
【図３】 カートリッジから組成物を放出するためにピストンが前進させられる点以外、
図２と同様の図面である。
【図４】 図１〜図３の分配カートリッジが装着されたハンドヘルド型アプリケータの縮
小側断面図であり、分配カートリッジは、分配操作で使用するためのアプリケー
タのレセプタクル内に収容されている。
【図５】 図４に示したアプリケータのみの前部部分の拡大部分断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ， ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，Ｇ Ｅ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ， ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，Ｚ Ｗ (72)発明者 マーティン，トーマス ダブリュ． アメリカ合衆国，ミネソタ 55133−3427， セント ポール，ピー．オー．ボックス 33427 Ｆターム(参考） 4C052 AA06 AA17 HH07 HH08

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ハンドヘルド型アプリケータと共に使用するための分配カー
    トリッジであって、 アプリケータのプランジャを受容するための開口端部を有する本体であって、
    該本体が、出口開口部と、該開口端部と該出口開口部との間に延在する細長い室
    とをさらに有し、該室が、該開口端部に隣接した第１部分と、該出口開口部に隣
    接した第２部分とを有し、該第１部分が、該出口開口部に接近する方向へ、該室
    の長手方向軸線を横断する略一定の断面積を有し、該第２部分が、該出口開口部
    に接近する方向へ、該室の長手方向軸線を横断する略一定の断面積を有し、該第
    ２部分の該断面積が、該第１部分の略一定の断面積よりも小さくなっている本体
    と、 前記室内に摺動自在に収容される細長いピストンであって、該ピストンが頭部
    と尾部とを有し、該尾部が前記第１部分に収容され、該頭部が前記第２部分に収
    容される細長いピストンと、 を具備する分配カートリッジ。
  2. 【請求項２】 前記頭部が、前記ピストンの長手方向軸線を横断する断面に
    おいて、前記室の前記第２部分の略一定の断面積とほぼ同一の断面積を有するセ
    グメントを含む、請求項１に記載の分配カートリッジ。
  3. 【請求項３】 前記尾部が、前記ピストンの長手方向軸線を横断する断面に
    おいて、前記室の前記第１部分の略一定の断面積とほぼ同一の断面積を有する、
    請求項１に記載の分配カートリッジ。
  4. 【請求項４】 前記ピストンが、前記頭部と前記尾部との間に位置する細長
    いシャンクを有する、請求項１に記載の分配カートリッジ。
  5. 【請求項５】 前記シャンクが、前記ピストンの長手方向軸線を横断する断
    面において、該ピストンの長手方向軸線を横断する断面における前記頭部の断面
    積よりも小さな断面積を有する、請求項４に記載の分配カートリッジ。
  6. 【請求項６】 前記カートリッジが、前記本体に接続されて前記出口開口部
    を囲む放出ノズルを有する、請求項１に記載の分配カートリッジ。
  7. 【請求項７】 前記ノズルが、前記本体の長手方向軸線に対し鋭角に延びる
    長手方向軸線を有する通路を備える、請求項６に記載の分配カートリッジ。
  8. 【請求項８】 前記本体が、前記開口端部を取り囲むフランジを有し、該フ
    ランジが、前記カートリッジをアプリケータ内に取り外し可能に保持する、請求
    項６に記載の分配カートリッジ。
  9. 【請求項９】 前記本体が、前記開口端部を取り囲むフランジを有し、該フ
    ランジが、前記カートリッジをアプリケータ内に取り外し可能に保持する、請求
    項１に記載の分配カートリッジ。
  10. 【請求項１０】 前記ピストンの前記頭部が、先細りの前部セグメントを有
    する、請求項１に記載の分配カートリッジ。
  11. 【請求項１１】 前記ピストンの前記頭部と前記出口開口部との間で、前記
    室の前記第２部分に、任意量の歯科用組成物を有する、請求項１に記載の分配カ
    ートリッジ。
  12. 【請求項１２】 前記本体が外側段付き構造を有する、請求項１に記載の分
    配カートリッジ。
  13. 【請求項１３】 前記第１部分と前記第２部分とが各々、略円筒形の構造を
    有する、請求項１に記載の分配カートリッジ。
  14. 【請求項１４】 ハンドヘルド型アプリケータと共に使用するための分配カ
    ートリッジであって、 前記アプリケータのプランジャを受容するための開口端部を有する本体であっ
    て、該本体が、出口と、該開口端部と該出口との間に延在する細長い室とをさら
    に有し、該室が、任意直径を有する略円筒形の第１部分と、該第１部分の直径よ
    りも小さな直径を有する略円筒形の第２部分とを備える本体と、 前記室内に摺動自在に収容される細長いピストンであって、該ピストンが、該
    室の前記第２部分に収容される頭部と、該室の前記第１部分に収容される尾部と
    を有し、該頭部が、該室の該第２部分の直径とほぼ同一の直径を有するセグメン
    トを含む、細長いピストンと、 前記ピストンの前記頭部と前記出口との間で前記室内に収容された任意量の組
    成物であって、該ピストンが前記プランジャによって前記開口端部から離れる方
    向に移動されるに従い、該頭部が該組成物を該出口に向かって導くようになって
    いる任意量の組成物と、 を具備する分配カートリッジ。
  15. 【請求項１５】 前記ピストンが前記開口端部から離れる方向に移動される
    に従い、前記頭部の前記セグメントの直径が、前記室の前記第２部分における前
    記本体とのシールを確定するために十分である、請求項１４に記載の分配カート
    リッジ。
  16. 【請求項１６】 前記ピストンが、前記頭部と前記尾部とを一体的に連結す
    る細長いシャンクを含む、請求項１４に記載の分配カートリッジ。
  17. 【請求項１７】 前記シャンクが、前記頭部の直径よりも小さな直径を有す
    る略円筒形の構造を有する、請求項１６に記載の分配カートリッジ。
  18. 【請求項１８】 前記カートリッジが、前記室の前記第２部分に隣接した前
    記本体に接続されて、前記出口を囲む放出ノズルを有する、請求項１４に記載の
    分配カートリッジ。
  19. 【請求項１９】 前記放出ノズルが、前記室の長手方向軸線に対し鋭角に延
    びる長手方向軸線を有する、請求項１８に記載の分配カートリッジ。
  20. 【請求項２０】 前記本体が、前記開口端部を取り囲むフランジを有し、該
    フランジが、前記カートリッジをアプリケータ内に取り外し可能に保持する、請
    求項１４に記載の分配カートリッジ。
  21. 【請求項２１】 前記任意量の組成物が歯科用組成物を含む、請求項１４に
    記載の分配カートリッジ。
  22. 【請求項２２】 前記本体が外側段付き構造を有する、請求項１４に記載の
    分配カートリッジ。
  23. 【請求項２３】 歯科用組成物を分配する方法であって、 略円筒形の第１部分と略円筒形の第２部分とを有し、該第２部分が該第１部分
    の直径よりも小さな直径を有する室を備えるカートリッジを用意する行為と、 前記室内でピストンを、該室の前記第２部分に位置する該ピストンの頭部が、
    該第２部分にある歯科用組成物を出口開口部を通して押し出すように、該室の前
    記第１部分に位置する該ピストンの尾部を支承することによって前進させる行為
    と、 を含む方法。
  24. 【請求項２４】 ピストンを前進させる前記行為が、ハンドヘルド型アプリ
    ケータのプランジャを移動することによって実施される、請求項２３に記載の方
    法。
  25. 【請求項２５】 前記歯科用組成物を口腔構造の上に直接分配するために前
    記ピストンが前進させられるときに、前記カートリッジの少なくとも一部分を口
    腔内に配置する行為を含む、請求項２３に記載の方法。
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