JP2002531066A - イカロス(ikaros)アイソフォームおよび突然変異体 - Google Patents

イカロス(ikaros)アイソフォームおよび突然変異体

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JP2002531066A JP2000579634A JP2000579634A JP2002531066A JP 2002531066 A JP2002531066 A JP 2002531066A JP 2000579634 A JP2000579634 A JP 2000579634A JP 2000579634 A JP2000579634 A JP 2000579634A JP 2002531066 A JP2002531066 A JP 2002531066A
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ウックン、ファティ、エム.
エル. クロッティー、マヤ
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パーカー ヒューズ インスティテュート
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、特定のイカロス突然変異体、ならびに上記特定のイカロス突然変異体および他の野生型非DNA結合性イカロスアイソフォームとリンパ球系細胞異常との相関を提供するものである。本発明はさらに、血液系悪性腫瘍を含むリンパ球系細胞異常の検出および治療方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の分野] 本発明は、血液系悪性腫瘍、特に、幹細胞性白血病やT細胞性およびB細胞性
の急性リンパ芽球性白血病(ALL)を含むリンパ系悪性腫瘍(lymphoid malig
nancy)の診断および治療に有用な、イカロスの野生型アイソフォームおよび突
然変異体、ならびにイカロスをコードする核酸シークエンスに関する。
【0002】 [発明の背景] 急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、ALL患者の小児性白血病クローンに
おける最も一般的な癌形態である。小児性白血病クローンは、Tリンパ球または
Bリンパ球の発達過程における種々の段階で停止した正常なリンパ球前駆体より
分化すると考えられており、したがって、正常なリンパ球の発達を制御する決定
的な(critical)調節ネットワークが、白血病誘発性事象の潜在的な標的である
【0003】 正常なリンパ球生成に不可欠なこのような調節ネットワークの一つに、クルッ
ペルファミリー(Kruppel family)の「ジンクフィンガー」DNA結合性タンパ
ク質であるイカロス(Ikaros)が関与している。イカロスは、造血を起こさせる
進化論的に保存された「マスタースイッチ(master switch)」として働き、リ
ンパ球の個体発生および分化の最も初期段階における転写調節を左右する(Geor
gopolous et al., 1994, Cell, 79:143-156; Georgopolous et al., 1992, Scie
nce, 258:808-812; Hahm et al., 1994, Mol. Cell Biol., 14:7111-7123; Mol
nar and Georgopolous, 1994, Mol. Cell Biol., 14: 8292-8303; Wang et al
., 1996, Immunity, 5:537-549; Winandy et al., 1995, Cell, 83:289-299; Mo
lnar et al., 1996, J. of Immunol., 156:585-592; Sun et al., 1996, EMBO
J., 15:5358-5369; Hansen et al., 1997, Eur. J. Immunol, 27:3049-3058;
Georgopolous et al., 1997, Ann. Rev. Immunol., 15:155-176; Brown et al
., 1997, Cell, 91:845-854; and Klug et al., 1998, Proc. Natl. Acad. S
ci. USA, 95:657-662)。イカロス遺伝子のプログラムされた発現と機能は、イ
カロスのプレmRNA(pre-mRNA)の選択的スプライシングによって厳密に制御
されており、これにより8種の異なるイカロスアイソフォームが生成される。8
種のイカロスアイソフォーム(Ik−1、Ik−2、Ik−3、Ik−4、Ik
−5、Ik−6、Ik−7、およびIk−8)は、全て共通のカルボキシ(C)
末端ドメインを有しており、このC末端ドメインには転写活性化モチーフと、イ
カロスアイソフォーム同士でのホモ二量体またはヘテロ二量体の形成や他のタン
パク質との相互作用に必要な2個のジンクフィンガーモチーフとが含まれる。
【0004】 しかしながら、標的遺伝子のプロモーターにおけるイカロス特異性コアDNA
シークエンスモチーフへの高親和性結合に必須な3〜4個のアミノ(N)末端ジ
ンクフィンガーを含有している(Sun et al., 1996, EMBO J., 15:5358-5369)
のは、8種のイカロスアイソフォームのうち3種(Ik−1、Ik−2、および
Ik−3)のみである。これらのDNA結合性アイソフォーム間でホモ二量体お
よびヘテロ二量体を形成するとDNAに対する親和力が増すが、DNA結合性ア
イソフォーム(Ik−1、Ik−2、およびIk−3)と非DNA結合性アイソ
フォーム(Ik−4、Ik−5、Ik−6、Ik−7、およびIk−8)とで形
成したヘテロ二量体はDNAに結合することができない。したがって、N末端ジ
ンクフィンガーが3個未満である非DNA結合性イカロスタンパク質は、DNA
と結合し得るイカロスアイソフォームの活性を妨害することができる(Molnar e
t al., 1996, J. Immunol., 156:585-592; and Sun et al., 1996, EMBO J., 15
:5358-5369)。
【0005】 マウスにおいて、正常なイカロス遺伝子が存在しない場合、胎児期および成年
期の両方における造血の際に、あらゆるリンパ球系の発達が初期段階で完全に停
止してしまう(Georgopolous et al., 1994, Cell, 79:143-156)。また、イカ
ロスが不足したマウスには胸腺の未発達や抹消リンパ節の欠乏が見られ、成熟し
たBリンパ球、Tリンパ球、およびナチュラルキラー細胞はもちろん、リンパ球
前駆細胞も全く存在しないことを特徴としている。イカロスはまた、そのDNA
結合能に依存した、非常に重要な白血病抑制機能を有している。イカロスの決定
的なジンクフィンガーを喪失させる生殖系列の突然変異体に対してヘテロ接合性
(heterozygous)であるマウスは、生後3ヶ月から6ヶ月の間に、これに伴いヘ
テロ接合性が喪失した、非常に攻撃的なリンパ芽球性白血病を発達させる(Wina
ndy et al., 1995, Cell, 83:289-299)。さらに、イカロスは、未成熟リンパ球
前駆体中の動原体性ヘテロクロマチンに局在しており、イカロスは潜在的に「白
血病誘発性」である成長調節遺伝子の動員(recruitment)と動原体関与性サイ
レンシングにおいて、重要な役割を果たしているのかもしれないとの提唱がなさ
れている(Brown et al., 1997, Cell, 91:845-854; and Klug et al., 1998, P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:657-662)。
【0006】 イカロス遺伝子における特定の分子欠陥(defects)およびそれにコードされ
るタンパク質はこれまでに同定されておらず、また、イカロスまたはそのアイソ
フォームはヒトの疾患と関連付けられていない。このような欠陥や、特定の欠陥
とヒト白血病性疾患との相関が判定できれば、特に有用な診断用および治療用の
ツールを提供できる。
【0007】 [発明の概要] 本発明は、非DNA結合性イカロスアイソフォームおよび/または特定のイカ
ロス遺伝子突然変異体および突然変異タンパク質と、リンパ系疾患との直接的相
関、特に白血病のような癌との直接的相関の発見に基づき、診断用および治療用
のツールを提供するものである。スプライスバリアントにより、転写活性化ドメ
インの上流側の、カルボキシ末端ジンクフィンガーに近接する10個のアミノ酸
(ΔKSSMPQKFLG[SEQ ID NO: 13])のフレーム内欠失(in-frame deletion)が
生じた特定のイカロス突然変異体が、機能障害性のドミナントネガティブなイカ
ロスアイソフォームが高レベルで発現している急性リンパ芽球性白血病(ALL
)の小児および乳児おいて同定されている。さらに、20個のアミノ酸TYGADDFR
DFHAIIPKSFSR[SEQ ID NO: 11]がフレーム内挿入(in-frame insertion)され
た第二の特定のイカロス突然変異体もまた、白血病細胞中で同定されている。
【0008】 これら特定の欠陥およびこれら欠陥とALLとの関連、ならびにドミナントネ
ガティブなイカロスアイソフォームと血液系悪性腫瘍との相関を同定することに
より、癌および、特にリンパ系悪性腫瘍やリンパ腫を含む血液系悪性腫瘍の診断
および監視に有用なツールが提供される。このような診断用ツールは、多数のド
ミナントネガティブなイカロスアイソフォーム(非DNA結合性アイソフォーム
)および/または特定のイカロス突然変異体の存在を、悪性腫瘍を含む血液系細
胞異常と関連付ける。白血病細胞のような異常細胞中のイカロス発現におけるこ
れら欠陥の相関により、欠陥を修復し、かつ正常な血液系細胞機能を回復させる
ための治療ツールがさらに提供される。
【0009】 したがって、本発明は、特定のイカロス突然変異体の核酸シークエンスおよび
タンパク質シークエンスを提供する。さらに本発明は、イカロスタンパク質を分
析する方法、ならびにDNA結合性アイソフォームと非DNA結合性アイソフォ
ームとの区別はもちろん、野生型と突然変異体とをも区別する方法を提供する。
【0010】 本発明の診断方法は、多数のイカロスの非DNA結合性形態、例えば1を超え
る比率で存在する場合を、疾患、特に癌と関連付ける。多数の非DNA結合性ア
イソフォームおよび/または突然変異体は、リンパ系疾患と相関し、AML、A
LL、および二次性白血病を含む白血病と最も著しく相関する。アイソフォーム
と突然変異体を含めたイカロスタンパク質、およびこれらをコードする核酸シー
クエンスは、以下に示す詳細な説明と実施例とに記載されている1以上の方法に
より分析することができる。
【0011】 さらに本発明は、疾患の治療、例えば、DNA結合性形態が減少しているかま
たは存在していない白血病等の癌の治療において、イカロスのDNA結合性形態
の補充(replacement)にも対応する。
【0012】 [図面の簡単な説明] 図1A〜1Iは、正常な細胞と白血病細胞におけるイカロスタンパク質アイソ
フォームの発現を示すウエスタンブロット図である。図1A.1〜1A.2は、
ジャーカット(Jurkat)T細胞系ALL細胞ならびに正常な胎児肝臓由来のヒト
リンパ球前駆体株化細胞FL8.2+およびFL8.2-に発現したイカロスタン
パク質を示している。図1Bは、正常な胸腺細胞(NTHY−5)および6種の
異なるB細胞系ALL株化細胞に発現したイカロスタンパク質を示している。図
1Cは、正常な胸腺細胞(NTHY−4)および非乳児性B細胞系ALLの8名
の小児より得た白血病細胞に発現したイカロスタンパク質を示している。図1D
は、正常な骨髄細胞(NBM−1)、正常な乳児胸腺細胞(NTHY)、および
胎児胸腺細胞(FT)に発現したイカロスタンパク質を示している。図1E〜1
Gは、JK−E6−1およびMOLT−3白血病株化細胞、正常骨髄単核細胞(
NBM−2)、ならびにT−ALLの小児より得た白血病細胞に発現したイカロ
スタンパク質を示している。図1Hは、正常な乳児骨髄細胞(NBM−1)、正
常な乳児胸腺細胞(NTHY)、および胎児胸腺細胞(FT)における発現を示
している。図1Iは、正常な乳児骨髄単核細胞(NBM−2)および新たにAL
Lと診断された6名の乳児における発現を示している。
【0013】 図2A〜2Rは、イカロスの発現と細胞下局在(subcellular localization)
を示す、白血病細胞の共焦画像である。図2A〜2Jは、B細胞系ALL患者よ
り得た白血病細胞を示している。図2Kおよび2Lは、正常な胎児肝臓由来のリ
ンパ球前駆体株化細胞FL8.2+(プロB/T(Pro-B/T))およびFL8.2 - (プロB(Pro-B))をそれぞれ示している。図2Mは、正常な胸腺細胞を示し
ている。図2Nおよび2Oは、白血病T細胞であるMOLT−3細胞およびJK
−E6−1細胞をそれぞれ示している。図2P〜2Rは、T−ALL患者より得
た原発性白血病細胞を示している。
【0014】 図3Aおよび3Bは、正常な胸腺細胞(NTHY)、T−ALL患者より得た
白血病T細胞、および株化細胞MOLT−3より抽出した核タンパク質のイカロ
ス特異性DNA結合活性を示している。
【0015】 図4は、エクソン(E)1〜7にコードされた特定の成分ドメイン(composit
ion domain)と、記載のPCRプライマーとを有するイカロスアイソフォーム1
〜8を模式的に表した図である。
【0016】 図5A〜5Cは、胎児胸腺細胞(FT)、正常な骨髄単核細胞(NBM−2)
、Molt−3細胞、ジャーカット(Jurkat)細胞(JK−E6−1)、T−A
LL患者より得た原発性白血病細胞(T−ALL)、およびB−ALL患者より
得た原発性白血病細胞(INF)を増幅して得たPCR産物を示す臭化エチジウ
ム(ethiduim bromide)で染色した代表的なゲルである。
【0017】 図6は、エクソン2〜4に野生型Ik−2をコードするシークエンスを有する
対照用クローン(T−ALL#5)およびIk−2の挿入型突然変異体を示すT
−ALL患者の細胞(T−ALL#5)におけるエクソン2およびエクソン4間
の接合部全体に対するシークエンストレーシングである。図6は、エクソン2お
よびエクソン4間の接合部にわたる野生型Ik−2のcDNAシークエンス[SE
Q ID NO: 27]とこれに対応して誘導されるアミノ酸シークエンス[SEQ ID NO:
28]、ならびにエクソン2およびエクソン4間の接合部にわたるIk−2の挿入
型突然変異体のcDNAシークエンス[SEQ ID NO: 29]とこれに対応して誘導
されるアミノ酸シークエンス[SEQ ID NO: 30]を示している。
【0018】 図7は、DNA二本鎖の主要な溝と相互作用する、Ik−2における最初の3
つのジンクフィンガー(F2、F3、およびF4)の相互作用を示したリボン図
である。
【0019】 図8A〜8Fは、野生型イカロス2のアイソフォームを発現している白血病細
胞および欠失型突然変異体を発現している白血病細胞におけるエクソン6および
エクソン7間の接合部全体に対するシークエンストレーシングである。図8A〜
8Cは、T−ALL患者およびMOLT−3株化細胞より得た野生型イカロスア
イソフォームおよび欠失型突然変異体イカロスアイソフォームのシークエンスト
レーシングを示している。図8D〜8Fは、B−ALL患者およびMOLT−3
株化細胞より得た野生型イカロスアイソフォームおよび欠失型突然変異体イカロ
スアイソフォームのシークエンストレーシングを示している。Ik−2と欠失型
突然変異体、Ik−4、Ik−8、およびIk−7に関するエクソン6およびエ
クソン7間の接合部にわたるcDNAシークエンスとこれに対応して誘導される
アミノ酸シークエンスを図示している。
【0020】 図9Aおよび9Bは、イカロスcDNAにおける一塩基多型(single nucleot
ide polymorphism)を示し、正常および異常なイカロスアイソフォームの2対立
遺伝子性の発現を表している。図9Aは、イカロスcDNAの模式図である。ジ
ンクフィンガーをF1〜F6で表し、イカロスエクソンをE1〜E7で表し、P
CRプライマー(矢印)をF1、F2(進行方向)およびR1、R2(逆行方向
)で表した。二連活性化ドメイン(bipartite activation domain)における一
塩基多型部位(1002位置のCまたはA)の位置も図示している。
【0021】 図9Bは、NAIL−6B株化細胞ALL細胞における7個のRT−PCRク
ローンの一塩基多型部位全体に対するシークエンスデータを示している。100
2位置におけるAまたはCの何れかに下線を付している。2個のIk4(非DN
A結合性アイソフォーム[WT])クローン、1個のIk4+欠失(非DNA結
合性アイソフォーム(ΔKSSMPQKFLG))クローン、2個のIk2+欠失(DNA
結合性アイソフォーム[WT])クローン、および2個のIk2+欠失(DNA
結合性アイソフォーム(ΔKSSMPQKFLG)クローンにおけるタイプ分けの結果とc
DNAシークエンスの結果とを図示している。また、これに対応して誘導される
アミノ酸シークエンスも図示している。
【0022】 図10A〜10Eは、実施例4に記載のように、エクソン6/7のスプライシ
ング接合部を覆っているシークエンスを判定するために用いられたPCR産物を
明らかにする、臭化エチジウムによって染色した代表的なゲルの写真である。図
10Aは、エクソン6の供与部位領域を増幅して生成した、ネステッドPCR産
物(nested PCR products)を示している。
【0023】 図10Bは、エクソン7のスプライシング受容部位(slice acceptor site)
を取り囲むネステッドPCR産物を示している。
【0024】 図10Cは、プライマーセットP1aおよびP4、またはP1bおよびP4を
用いて得た、エクソン6の供与部位のゲノムPCR増幅産物を示している。
【0025】 図10Dは、対照用細胞および原発性白血病細胞より得たエクソン6供与部位
のゲノムPCR増幅産物を示している。
【0026】 図10Eは、対照用細胞および患者の原発性白血病細胞より得たエクソン7の
受容部位のゲノムPCR増幅産物を示している。陰性対照例(Neg.Con.
)は、鋳型(ライブラリダイジェストまたはゲノムDNAサンプル)を用いない
複製反応物であった。陽性対照例(Pos.Con)は、組織型プラスミノーゲ
ン活性化因子(tPA)、1.5kbの予測バンドを有するネステッドプライマ
ーセット(nested primer set)、AP2およびPCP2であった。
【0027】 図11A〜11Bは、エクソン6に欠失を発現している白血病患者におけるイ
カロスエクソン6のスプライシング供与部位のゲノムシークエンスを示している
。図11Aは、エクソン6のスプライシング供与部位を取り囲み、エクソン6お
よび7間をつなぐイントロン内のEcoRV部位で終止する野生型シークエンス
を示している。このシークエンスの判定に使用するPCRプライマーの位置を図
示している。コードシーケンスを大文字で、イントロンシークエンスを小文字で
示している。2個の選択的スプライシング供与部位(供与部位1および供与部位
2)を図示している。
【0028】 図11Bは、対照用EBV形質転換Bリンパ芽球株化細胞(LCL)と、2個
のT細胞ALL株化細胞であるジャーカットとMolt−3、および2名のAL
L患者であるUPN1とUPN2より得た白血病細胞におけるイカロスエクソン
6の供与部位のシークエンスアラインメント(sequence alignment)と同一度(
identity)を示している。
【0029】 図12A〜12Bは、エクソン6に30塩基対の欠失が見られる異常型イカロ
スアイソフォームを発現している白血病細胞における、イカロスエクソン6〜7
のスプライシング受容部位のゲノムシークエンスを示している。図12Aは、エ
クソン6のスプライシング供与部位を取り囲み、重複するDraIおよびSsp
Iの部位で終止する野生型シークエンスを示している。このシークエンスの判定
に使用するPCRプライマー(P5、P6、およびP7)の位置を図示している
。コードシーケンスを大文字で、非コードシークエンスを小文字で示している。
【0030】 図12Bは、対照用EVB形質転換Bリンパ芽球株化細胞LCL、2個のT細
胞ALL株化細胞であるジャーカットとMolt−3、および2名のALL患者
であるUPN1とUPN2の白血病細胞におけるエクソン6〜7のスプライシン
グ受容部位のシークエンスアラインメントと同一度を示している。
【0031】 [発明の詳細な説明] 本発明は、イカロスの突然変異体および/またはドミナントネガティブなアイ
ソフォームの発現は、癌ならびに乳児性幹細胞性白血病や小児性T−ALLとい
ったリンパ系悪性腫瘍を含む血液系異常のようなヒトの疾患と相関するとの発見
に関する。このため、試料中の突然変異体やドミナントネガティブなアイソフォ
ームの存在を測定することにより、異常な血液系細胞、特に悪性リンパ球系細胞
等の存在はもちろん、癌を含む疾患も検出する診断アッセイを行うことができる
【0032】 ジンクフィンガーDAN結合性タンパク質であるイカロスは、決定的な(crit
ical)転写調節因子である。リンパ球の発達過程におけるイカロス遺伝子発現の
調節(Regulation)は、選択的プレmRNAスプライシングに部分的に媒介され
ている。Ik−1からIk8までの特定のIkアイソフォームが同定されている
。これらのアイソフォームは、アミノ末端ジンクフィンガー組成、さらにDNA
結合特性および転写活性化特性がそれぞれ異なっている。
【0033】 既知の8種のアイソフォーム中、3種(Ik−1、Ik−2、Ik−3)のみ
が、イカロスDNA結合性シークエンスであるGGGAAT[SEQ ID NO: 1]への高親
和性結合に必要な3〜4個のN末端ジンクフィンガーを含有している。これらの
DNA結合性アイソフォームは、結合活性のため核に局在できる。残りのアイソ
フォーム(Ik−4〜8)は、必要数である3〜4個未満のジンクフィンガーを
含有し、細胞質に局在する。
【0034】 C末端ジンクフィンガーは、ホモ二量体およびヘテロ二量体Ik複合体の形成
を調整(coordinate)する。DNA結合性アイソフォームであるIk−1、2、
および3間でホモ二量体およびヘテロ二量体を形成すると、これらアイソフォー
ムのDNAに対する親和力が増す。これに対し、DNA結合性アイソフォームと
非DNA結合性アイソフォームであるIk−4〜8とで形成したヘテロ二量体は
DNAに結合することができない。
【0035】 多数のドミナントネガティブなアイソフォーム(Ik−4〜8)は、血液系悪
性腫瘍、例えば、リンパ腫や白血病といったリンパ系悪性腫瘍と関連付けられる
。リンパ球系細胞の細胞質中におけるこれらのアイソフォームの存在ならびに野
生型DNA結合性アイソフォームであるIk−1、2、および3の不在は、通常
のプログラム細胞死、すなわちアポトーシスに逆らって細胞を安定化させるもの
と考えられる。さらに、突然変異体アイソフォームの存在もまた、血液系悪性腫
瘍と関連付けられる。
【0036】 [定義付け] 本出願中に使用されるあらゆる特定および技術的な用語は、特に記載がない限
り、当該技術分野で一般的に用いられている意味を有する。本出願中で使用され
ている以下の単語または語句は、以下に特定する意味を有する。
【0037】 本出願中で使用される「突然変異体」は、対応する野生型のDNA、RNA、
またはポリペプチドを基準にした、DNA、RNA、またはポリペプチドにおけ
る交互変化(alteration)を意味する。
【0038】 本出願中で使用される「イカロスアイソフォーム」は、イカロス遺伝子の選択
的なスプライスバリアントを意味し、これによりサイズやシークエンスが変異す
るイカロスmRNA、cDNA、およびタンパク質が生じる。
【0039】 本出願中で使用される「突然変異体」は、エクソン2に挿入部分を有するか、
またはエクソン6〜7のスプライシング接合部に欠失部分が見られるDNA結合
性イカロスアイソフォーム(イカロス1〜3)および非DNA結合性イカロスア
イソフォーム(Ik4〜8)の両方を含む。
【0040】 本出願中で使用される「機能障害性」または「ドミナントネガティブ」のイカ
ロスアイソフォームは、イカロス結合部位におけるDNAとの結合を妨げ、およ
び/またはイカロスの核への局在化を妨げる、野生型の非DNA結合性イカロス
アイソフォームおよび突然変異体イカロスアイソフォームを意味する。
【0041】 本出願中で使用される「DNA結合性イカロスアイソフォーム」は、Ik−1
、Ik−2、およびIk−3を含め、イカロスDNA結合性部位への高親和性結
合に必要な3以上のN末端ジンクフィンガーを有するアイソフォームを含む。
【0042】 本出願中で使用される「非DNA結合性イカロスアイソフォーム」は、Ik−
4、Ik−5、Ik−6、Ik−7、およびIk−8を含め、イカロスDNA結
合性部位への高親和性結合に必要な3以上のN末端ジンクフィンガーを欠いたア
イソフォームを含む。
【0043】 本出願中で使用される「治療」は、疾患の誘発または進行の予防、および/ま
たは、例えば、癌または患部細胞(diseasedt cell)の数を減少させることを含
む病状の緩和を意味する。
【0044】 本出願中で使用される「リンパ系異常」または「リンパ系疾患」は、T細胞ま
たはB細胞が関与する疾患を意味し、悪性腫瘍または幹細胞性白血病、T細胞性
およびB細胞性ALL、ならびに二次性白血病のような白血病を含む。
【0045】発明の組成および方法 A.突然変異体イカロスポリペプチドをコードする核酸シークエンス 本発明は、エクソン6および7間のイントロン−エクソンスプライシング部位
における新規なゲノムイカロスDNAシークエンスを含む、イカロスアイソフォ
ームをコードする新規に同定された単離された(isolated)核酸シークエンスを
提供する。上記核酸シークエンスは、エクソン6に隣接するイントロンの5’末
端に、下記および図11A、11Bに示すような254の塩基対の新規なゲノム
シークエンスを有し、
【化1】 さらに、下記および図12A、12Bに示すような、エクソン7に隣接する34
0塩基対の新規なゲノムイントロンシークエンスを有している。
【化2】
【0046】 さらに、新規な突然変異体イカロスcDNA分子も同定された。突然変異体イ
カロスcDNA分子には、エクソン6〜7のスプライシング部位にフレーム内欠
失(in-frame deletions)を有するものや、エクソン2にフレーム内挿入(in-f
rame insertion)を有するものが含まれる。具体的な突然変異体としては、エク
ソン6〜7において、10個のアミノ酸シークエンスKSSMPQKFLG[SEQ ID NO: 1
3]をコードする30塩基対が欠失したもの、および/またはエクソン2におい
て、20個のアミノ酸シークエンスTYGADDFRDFHAIIPKSFSR[SEQ ID NO: 11]を
コードする60塩基対が欠失したものが挙げられる。
【0047】 B.抗突然変異体イカロス抗体 本発明は、さらに突然変異体イカロスポリペプチドを特異的に識別して結合す
る抗突然変異体イカロス抗体を提供する。典型的な抗体としては、ポリクローナ
ル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体(humanized)、二重特異性抗体、お
よびヘテロ共役抗体が挙げられる。本発明の抗体は、モノクローナル抗体である
ことが好ましい。また、本発明の抗体は、突然変異体に固有な領域(unique reg
ion)(例えば、挿入部分または欠失によって発生した固有な領域)においてイ
カロスポリペプチドと結合することが好ましい。さらに、本発明の抗体は、ある
特定の突然変異体を欠失させるようにイカロスポリペプチドに結合することが最
も好ましい。突然変異体イカロスポリペプチド、またはそのタンパク質を、抗原
としても使用し、突然変異体イカロスアイソフォームと選択的に結合する抗体を
生成することが可能である。
【0048】 モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,1975, Nature, 256:495に記載
されているようなハイブリドーマ法や、米国特許第4,816,567号に記載
されているような組換えDNA法(recombinant DNA methods)、またはその他
の方法を用いて調製できる。また、DNAは、例えば、同種マウスのシークエン
スの代わりに、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメイン(human heavy and light chai
n constant domains)のコードシークエンスを用いることによって(米国特許第
4,816,567号)、または免疫グロブリンコードシークエンスを、非免疫
グロブリンポリペプチドのシコードークエンスの全体または一部に共有接合し、
キメラ抗体を生成することによって行える。抗体は、一価の抗体であってもよい
。抗体を分解してその断片、特にFabフラグメントを生成することは、当該技
術分野では公知な日常的技術を用いることによって達成できる。
【0049】 本発明の抗体は、例えば、リンパ球系細胞試料中における突然変異体イカロス
アイソフォームの発現または細胞下局在を検出する、突然変異体イカロスの診断
アッセイに用いることができる。
【0050】 C.診断方法 イカロスの細胞下局在 突然変異体イカロス核酸シークエンス、突然変異体イカロスポリペプチド、お
よび抗突然変異体イカロス抗体を含む抗イカロス抗体により、有用な診断用ツー
ルが提供される。例えば、イカロスタンパク質の細胞下局在によってドミナント
ネガティブなイカロスアイソフォームを同定する診断方法を用い、リンパ系異常
を診断することができる。イカロスタンパク質の核区画化(nuclear compartmen
talization)は、IK−1、2、および3といった活性で正常なイカロスDNA
結合性アイソフォームと相関する。これに対し、イカロスタンパク質の細胞質内
の局在は、Ik−4〜Ik−8といった非DNA結合性のドミナントネガティブ
なアイソフォームが多数存在することおよび単にこれらが存在することと相関し
、癌等の疾患と相関する。
【0051】 イカロスタンパク質の散在性で非点状な核内の局在(Diffuse, non-punctate
nuclear localization)、散在性の核内および/または細胞質内の局在、および
/または細胞質内の局在は、癌およびリンパ系疾患と相関し、特に、ヒト血液系
悪性腫瘍と相関する。正常な細胞においては、イカロスは点状に核内に局在する
。したがって、イカロスアイソフォームの細胞下局在におけるこのような差異を
用いて癌および/またはリンパ系疾患を診断することが可能である。
【0052】 タンパク質の局在分析に用いられる公知の方法を使用し、患者試料中のイカロ
スの細胞下局在を判定することができる。免疫蛍光染色を用いた免疫学的アッセ
イによりイカロスの検出を行うことが好ましい。
【0053】 イカロス発現に関する免疫学的アッセイ 特定のイカロスアイソフォームは、例えば、ウエスタンブロット分析により同
定することができ、また、癌およびリンパ球系細胞異常の診断に使用することが
可能である。多数のドミナントネガティブなアイソフォーム、例えば、1以上の
Ik4〜8は血液系細胞異常と相関する。一般に、DNA結合性アイソフォーム
に対する非DNA結合性アイソフォームの比率が1以上であれば、リンパ系の疾
患であることを示している。
【0054】 ウエスタンブロット分析によるドミナントネガティブなイカロスアイソフォー
ムの同定は、試料中に存在するイカロスアイソフォームの相対的なサイズを測定
することによっても達成できる。ドミナントネガティブなアイソフォームである
Ik4〜8の分子量は、約47kDaであるIk2またはIk3の分子量よりも
明らかに小さい。したがって、野生型アイソフォーム全8種または突然変異体イ
カロスアイソフォームを識別するポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロッ
ト分析におけるイカロスタンパク質の分析結果を使用し、DNA結合性アイソフ
ォーム(分子量約47kDa)に対するドミナントネガティブなアイソフォーム
(分子量約47kDa未満)の相対比を測定することができる。
【0055】 DNA結合性アイソフォームと非DNA結合性アイソフォームとを区別する特
定の抗体を使用することもできる。例えば、Ik4〜8に欠けているエピトープ
と反応する抗体との反応性(reactivity)を利用し、DNA結合性アイソフォー
ムを選別することができる。
【0056】 核酸分析 突然変異体イカロス核酸シークエンスの分析結果もまた、突然変異体イカロス
タンパク質、cDNA、RNA、または突然変異タンパク質をコードする遺伝子
の存在を同定する診断方法において使用可能である。イカロスの突然変異形は、
癌およびヒト血液系悪性腫瘍を含む血液系細胞異常といった疾患と相関している
ため、このような突然変異タンパク質、cDNA、RNA、または遺伝子の存在
を診断に用いることができる。直接的なシーケンシング、結合、または、PCR
法、RT−PCR法、ノーザンブロット、ザザンブロット、およびRNAseプ
ロテクション(RNAse protection)を含むハイブリダイゼーションアッセイを使
用することが可能である。例えば、エクソン2またはエクソン6〜7のような既
知のイカロス核酸変異領域のPCR増幅またはRT−PCR増幅を行うことがで
きる。エクソン2における21個のアミノ酸挿入部分の存在は、血液系細胞異常
と相関する。
【0057】 別の実施形態においては、逆転写反応を、10個のアミノ酸欠失(30個の核
酸欠失)が同定されることがわかっているエクソン6〜7の領域のPCR増幅と
組み合わせて用い、イカロス欠失突然変異体の存在と共に血液系細胞異常のアッ
セイを行うことができる。
【0058】 同様に、逆転写反応をPCR増幅と組み合わせて用い、非DNA結合性イカロ
スアイソフォームであるIk4〜8を同定することができる。突然変異体ではな
い非DNA結合性イカロスアイソフォームのIk4〜8の存在は、血液系細胞異
常、癌、および、特にリンパ系疾患と相関する。
【0059】 これらの診断方法はいずれも、疾患の検出、疾患の進行および/または症候緩
和の監視、および治療効果の評価に使用することができる。
【0060】 D.治療方法 イカロス補充療法 DNA結合性イカロスアイソフォームの不在または欠如は、リンパ系疾患と関
連付けられる。よって、DNA結合性イカロスアイソフォームであるIk−1〜
3、好ましくはIk−1またはIk−2を、治療目的で補充することが所望され
る。このような補充は、IKタンパク質のDNA結合形態を直接投与すること、
および/またはこれらのタンパク質が生体内で生産されるよう、これらのタンパ
ク質をコードする核酸を投与することを含む公知の方法によって達成できる。
【0061】 以下に示す非制限的な実施例を参照することにより、本発明のさらなる理解が
得られるであろう。
【0062】 実施例1 ALLの小児におけるイカロス発現の特徴付け A.患者および株化細胞 患者の母集団には、新たにALLと診断された64名の小児(21歳未満)が
含まれていた。これらの患者は、小児癌グループ(Children's Cancer Group)
(CCG)のプロトコル、CCG−1882およびCCG−1961(白血球数
(WBC)が50,000μl以上である1〜9歳のALL患者または10歳以
上のALL患者)、CCG−1901(T−ALLを含む、リンパ腫の特徴が見
られるALL患者)、またはCCG−107、CCG−1883、およびCCG
−1953(ALLの乳児)に記載されている。15名の患者がT細胞系ALL
(T-lineage ALL)であり、49名の患者がB細胞系ALL(B-lineage ALL)で
あった。8名のB細胞系ALL患者を除く全ての患者(87.5%)が、NCI
リスク分類(NCI risk classification)(Smith et al., 1996, J. Clin. Onco
l., 14:18-24)によるとハイリスクなALLであった。初回骨髄再発の5名の患
者についても調査を行った。
【0063】 病床記録は全て国立癌研究所(National Cancer Institute)ならびに参与す
るCCG加入機関(participating CCG-affiliated institutions)の機関内再
審理委員会(Institutional Review Boards)が認めたものである。保険福祉省
のガイドライン(Department of Health and Human Services guidelines)に従
い、治療と臨床調査(laboratory studies)の両方に関して両親、患者本人、ま
たはその両者を適切に選択してインフォームド・コンセントを得た。
【0064】 ALLの診断は、ライトギザム染色(Wright-Giemsa staining)、末端デオキ
シヌクレオチジル転移酵素の陽性核染色、ミエロペルオキシダーゼの陰性染色、
および先に述べたリンパ球分化抗原に対するモノクローナル抗体との反応性 (U
ckun et al., 1996, Leuk. Lymphoma, 24:57-70; Uckun et al., 1997, Blood,
90:28-35; and Uckun et al., 1997, J. Clin. Oncol., 15:2214-2221)によっ
て測定された、リンパ芽球の形態(morphology)を含む、白血病細胞の構造的、
生化学的、免疫学特徴に基づいて行なわれた。T細胞系ALLは全て、隔離白血
病細胞の30%以上がパンT細胞マーカー(pan-T cell marker)CD7に対し
て陽性であり、かつ30%未満がパンB細胞マーカー(pan-T cell marker)C
D19に対して陽性であることからT細胞系ALLと分類された。同様に、B細
胞系ALL患者は全て、白血病細胞の30%以上がCD19に対して陽性であり
、かつ30%未満がCD7に対して陽性であることからT細胞系ALLと分類さ
れた。診断用の骨髄検体より得た余剰細胞を、分子遺伝学的な調査に用いた。新
たに診断された64名の患者に見られる臨床的な特徴を表1に示している。新た
にT細胞系ALLと診断された15名の患者のうち、15名全員がNCIリスク
分類(NCI risk classification)(Smith et al., 1996, J. Clin. Oncol., 14
:18-24)によるとハイリスクのALLであり、うち9名(60%)が男児であり
、14名(97%)は白血球数が高く、12名(80%)に肝脾腫(hepatosple
nomegaly)が見られ、11名(73%)に縦隔腫瘤(mediastinal mass)が見ら
れた(表1)。また、新たにB細胞系ALLと診断された49名の患者のうち、
41名(乳児30名と小児11名)(84%)がハイリスクのALLであり、2
8名(57%)が男児で、27名(55%)は白血球数が高く、34名(69%
)に肝脾腫が見られた。
【0065】 正常な骨髄検体を、骨髄ドナーである2名の小児より同胞間骨髄移植の際に得
た。正常な胸腺を、心臓疾患の胸部手術を受けている5名の小児より得た。胎児
胸腺を1個、胎生週齢21週のプロスタグランジン誘発性ヒト流産児より得た。
これらの組織を、ヒューズインスティテュートのヒト被験者の使用に関する委員
会(Hughes Institute Committee on the Use of Human Subjects)のガイドラ
インに従って使用した。さらに、ヒトT−ALL株化細胞のMOLT−3および
JK−E6−1(ATCC TIB−152)と、B細胞系ALL株化細胞LC
1;19(E2A−PBX1+)、KM−3、HPB−NULL、NAIM−6
、ALL−1(BCR−ABL+)、およびRS4;11(MLL−AF4+)
に関しても分析を行った。また、胎児肝臓由来の未成熟リンパ球前駆体株化細胞
FL8.2+(B細胞系表面抗原CD19とT細胞系表面抗原CD2とを共発現
する生殖系列IgH遺伝子とTCRα/β遺伝子とを有するCD2+、CD19+ 、CD10+、CD34+のプロB/T細胞系)およびFL8.2-(生殖細胞系
IgH遺伝子を有するCD2-CD19+CD10+CD34+Cμ-sIg-のプロ
B/T細胞系)に関しても分析を行った。これら正常なリンパ球前駆体株化細胞
に関しては、Uckun et al., 1989, Blood, 73: 1000-1015および Uckun et al.,
1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:3589-3593に報告されているよう
な立証と特徴付けがなされている。
【0066】
【表1】
【0067】 B.細胞遺伝学的分析 白血病細胞に対し、治療開始に先立って、現地機関による細胞遺伝学的分析を
行った。結合染色体を、Heerema et.al., 1985, Cancer, Genet, Cytogenet., 1
7:165-179に記載されているように、非刺激の末梢血から調製するか、あるいは
採取したばかりの骨髄を直接24時間培養して得た培養物より調製した。そして
、ヒト細胞遺伝学的命名法に関する1995国際システム(1995 International
System for Human Cytogenetics Nomenclature)(Mitelman, 1995, IN: ISCN:
An International System for Human Cytogenetic Nomenclature, (Karger)
)を用い、染色体異常を選定した。同一構造の染色体異常が見られる中期細胞が
2個以上存在する場合、または同一の染色体欠如が見られる細胞が3個以上存在
する場合を異常クローンと定義した。
【0068】 C.ウエスタンブロットによるイカロスタンパク質発現分析 イカロス発現に関する調査を、異なる8個の株化細胞、正常組織、および59
名のALL小児より得た原発性白血病細胞中において、アイソフォーム全8種を
識別するポリクローナル抗イカロス抗体を用いて全細胞溶解物中に含まれるタン
パク質を分析するウエスタンブロット分析によって行った。
【0069】方法 全細胞溶解物を、Uckun et al., 1996, Science, 273:1096-1100およびSun et
al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):680-685に記載のように、1
%のノニデット−P40(Nonidet-P40)の溶解緩衝液を用いて調製した。イカ
ロス発現に関する全細胞溶解物のウエスタンブロット分析は、Sun et al., 1996
, EMBO J, 15:5358-5369に記載されているポリクローナル抗イカロス抗体を用い
て行った。この抗体は、Uckun et al., 1996, Science, 273:1096-1100および S
un et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):680-685に記載されてい
るように、イカロスアイソフォーム全8種に反応する。簡潔に説明すると、全細
胞溶解物の試料30μgを、12%のSDS−PAGEゲルに添加し、サイズ分
画タンパク質をPVDF膜(Millipore)に移した。PVDF膜を、5%のミル
ク中で室温下にて少なくとも1時間ブロッキングし、次にミルクを5%含んだP
BS中で、ポリクローナル抗イカロス抗体(希釈度1:1000)(Sun et al.
, 1996, EMBO J., 15:5358-5369)により4℃で一晩インキュベートした。次に
、PVDF膜を、室温下にてPBST(150mMのNaCl、16mMのNa 2 HPO、4mMのNaH2PO4、0.1%のトゥイーン(Tween)、pH7.3
)で3回洗浄し、ペルオキシダーゼを共役させたヤギ抗ウサギIgG(希釈度1
:2000)(Jackson Lab.)により室温下にて2時間インキュベートした。そ
して、免疫反応性タンパク質を、Uckun et al., 1996, Science, 273:1096-1100
および Sun et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 96(2):680-685に記載
のように、化学発光(ECL)システム(Amersham)により検出した。
【0070】結果 調査の結果を、図1A〜1Iおよび表2に示している。正常な胎児肝臓由来の
リンパ球前駆体株化細胞FL8.2+(プロB/T(Pro-B/T))およびFL8.
-(プロB(Pro-B))(図1A)、ならびに正常な骨髄細胞および胸腺細胞(
図1B、C、D、H、および表2)は、Ik−1のサイズに相当する57kDa
の免疫反応性タンパク質と、Ik−2またはIk−3の何れかに相当する47k
Daの免疫反応性タンパク質を発現していた。これに対し、T細胞系ALL株化
細胞MOLT−3細胞およびJK−E6−1(図1E、表2の説明文)、B細胞
系ALL株化細胞LC1;19、KM−3、HPB−NULL、NAIM−6、
ALL−1、およびRS4;11(図1B)、ならびにT細胞系ALL患者17
名のうち16名(94%)より得た原発性白血病細胞(図1E〜1D、表2)お
よびB細胞系ALL患者42名のうち42名(100%)より得た原発性白血病
細胞(表2、図1Cおよび1I)は、サイズと電気泳動の移動度が、小型の非D
NA結合性イカロスアイソフォームIk−4、Ik−5、Ik−6、Ik−7、
および/またはIk−8の1以上に対応した、約37〜40kDaのより小型の
免疫反応性タンパク質バンドを発現していた。
【0071】 要約すると、正常な細胞においては、大型(約47KD以上)のDNA結合性
イカロスアイソフォーム、Ik−1〜3が発現したのに対し、TおよびB細胞系
の白血病細胞においては、より小型(47KD未満)の非DNA結合性アイソフ
ォーム(Ik4〜8)が多数発現していた。
【0072】 異常な細胞下の区画化(Compartmentalization) 正常な胎児組織におけるイカロスタンパク質の細胞下の区画化と、49名のA
LL小児(11名のT細胞系ALL患者と38名のB細胞系ALL患者)より得
た白血病細胞、2つのALL株化細胞、および2つの正常な胎児肝臓リンパ球前
駆体株化細胞(FL8.2+およびFL8.2-)における区画化とを、共焦レー
ザ走査顕微鏡検査(confocal laser scanning microscopy)によって比較した。
【0073】方法 イカロスタンパク質の細胞下局在を、Uckun et al., 1996, Science, 273:109
6-1100および Sun et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):680-685
に記載のように、免疫螢光法(immunofluorescence)および共焦レーザ走査顕微
鏡検査により調べた。細胞(200×103)を、室温下での30分のインキュ
ベーションによりポリ−L−リシンでコーティングしたカバーグラスに付着させ
、PBSで2回洗浄し、氷冷(−20℃)メタノール中で15分間固定した。細
胞を透過性にし、かつ非特異性抗体の結合部位をブロッキングするため、細胞を
PBS中にて0.1%のトリトンX−100および10%のヤギ血清で処理した
【0074】 イカロスタンパク質を検出するため、細胞を、Sun et al., 1996, EMBO J., 1
5:5358-5369および Sun et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):68
0-685に記載されている親和性精製ポリクローナルウサギ抗イカロス抗体(希釈
度1:300)で室温下にて1時間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し
、FITCを共役させたヤギ抗ウサギIgG(Amersham Corp., Arlington Heig
hts, IL)(最終希釈度1:1000)で室温下にて1時間インキュベートした
。細胞をPBSで洗浄し、DNA特異性核染料toto−3(Molecular Probes
, Inc.、希釈度1:1000)により室温下で10分間対比染色してから、再度
PBSで洗浄した。光退色を防止するため、カバーグラスを反転させてVectashi
eld(Vector Labs, Burlinghame, CA)のスライドに取り付け、Sun et al., 199
9, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):680-685に記載のように、爪つや出し(
nail varnish)でシールした。そして、Uckun et al., 1996, Science, 273:109
6-1100およびSun et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(2):680-685
に記載のように、落射蛍光用に開口率の高い対物レンズを装備したニコンエクリ
プスE−800アップライト顕微鏡(Nikon Eclipse E-800 upright microscope
)に搭載したバイオラッドMRC 1024レーザー走査共焦顕微鏡(Bio-Rad M
RC 1024 Laser Scanning Confocal Microscope)を用いてスライドを観察した。
光学切片を得て、レーザーシャープソフトウエア(Lasersharp software)(Bio
-Rad, Hercules, CA)を用いてこれを立体顕微鏡写真にした。次に、代表的なデ
ジタル画像をアドーブフォトショップソフトウエア(Adobe Photoshop software
)(Adobe Systems, Mountain View CA)を用いて加工した。そして、フジピク
トグラフィー熱転写プリンター(Fuji Pictography thermal transfer printer
)(Fuji Photo, Elmsford, NY)で画像を印刷した。
【0075】結果 FL8.2+およびFL8.2-株化細胞(図2KおよびL)の核(細胞質では
ない)、胎児胸腺細胞、正常な胸腺細胞(図2M)、および正常な骨髄分子細胞
(表2)は、toto−3に標識されたブルーの核内の明瞭な点状の緑色蛍光染
色パターンより明らかなように、抗イカロス抗体によって明るく染色されており
、焦点が分離した高レベルな発現が見られた。
【0076】 これに対し、T細胞系ALL小児11名のうち7名(64%)の白血病細胞(
図2P〜R)の細胞質、B細胞系ALL小児38名のうち20名(53%)の白
血病細胞(図2A〜J)の細胞質、ならびにALL株化細胞JK−E6−1(図
2O)およびMOLT−3(図2N)の細胞質においては、toto−3に標識
されたブルーの核を取り囲む明るい緑色蛍光染色の縁より明らかなように、イカ
ロスタンパク質の発現が優勢であった。T細胞系ALL患者11名のうち4名(
36%)の白血病細胞とB細胞系ALL患者38名のうち18名(47%)の白
血病細胞において、異常に散在した「切れ切れの(patchy)」核染色が、細胞質
染色を伴って、あるいは細胞質染色を伴わずに観察された(表2)。
【0077】 要約すると、これらのデータは、正常な細胞においてはイカロスタンパク質は
核に局在するが、白血病細胞においてはイカロスタンパク質の散在および/また
は細胞質染色が見られることを示している。
【0078】 E.白血病T細胞におけるイカロス特異性DNA結合活性の喪失 正常な胸腺細胞および白血病T細胞より得た核抽出タンパク質が呈するイカロ
ス特異性の高親和性DNA結合活性に対する能力を、高親和性のイカロス結合部
位を1つ備えたIk−BS1オリゴヌクレオチドプローブを用いたゲル移動度シ
フトアッセイ(gel mobility shift assays)(EMSA)により評価した。デ
ータを図3に示している。
【0079】方法 核抽出物を、Dignam et. al.,1983, Nucleic Acid Res., 11:1475-1489の方
法によって調製した。Ik−BS1オリゴヌクレオチドを、イカロス結合部位を
太字にして下記に示す。 5'TCAGCTTTTGGGAATACCCTGTCA3' [SEQ ID NO: 2] 上記プローブを、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた32Pおよびγ32P−A
TP(3,000Ci/mmol)で端部を標識し、ヌクトラッププローブ精製
カラム(Nuctrap probe purification column)(Stratagene)を用いて精製し
た。標識プローブの添加前に、上記核抽出物(3μg)を、10mM HEPE
S、pH7.9、50mM KCL、2mM DTT、0.2mM EDTA、1
0%グリセリン、2ng ポリdI−dC/dI−dCを含有する20μlの反
応性混合物(reaction mixture)中で、室温下にて10分間プレインキュベート
した。標識プローブ(1ng;1×105cpm/ng)を添加し、混合物をさ
らに20分間室温にてインキュベートした。そして、ゲル添加液(gel loading
buffer)を添加することにより、反応を終了させた。競合反応を起こさせるため
、上記プレインキュベーションを行う前に、60フォールドを超過する(60-fol
d excess)非標識特異性プローブまたは非特異性プローブを添加した。Ik−B
S1オリゴヌクレオチドを、特定の競争者(competitor)およびIk−BS1M
オリゴヌクレオチドとしても使用した。このオリゴヌクレオチドにおいては、イ
カロス結合部位に2塩基対の突然変異が見られた。 5'TCAGCTTTTGGGggTACCCTGTCA3' [SEQ ID NO: 3]
【0080】 次に、グリセリンを4%含有する、7%のアクリルアミド:ビスアクリルアミ
ド(37.5:1)(pH8.3)トリス−グリシン−EDTAゲルを用いて電
気泳動を行った。ゲルに対し、150Vでのプレランを4℃で2時間行った。反
応性混合物(15μm)を添加し、さらに4時間の電気泳動を行った。電気泳動
を行った後、ゲルを乾燥させ、フィルム上でオートラジオグラフィーを行った。
【0081】結果 移動度シフトアッセイの結果を、図3Aおよび3Bに示している。正常な胸腺
細胞(NTHY)より得た核タンパク質には、著しいイカロス特異性DNA結合
活性と一致した移動度シフトが見られた(図3A)。イカロス単量体、二量体、
およびより高い次数の多重結合複合体を含有するタンパク質−DNA複合体に対
応した3つの主要なシフトバンドが検出された。この3重構造の結合パターンは
特異なものである。というのも、60フォールドを超過する標識されていない野
生型Ik−BS1オリゴヌクレオチドは移動度シフトを阻害でき、一方、2つの
塩基対の突然変異をイカロス結合部位(それぞれ、レーン3対4)に有する突然
変異体Ik−BSMオリゴヌクレオチドプローブは移動度シフトを阻害しないか
らである。
【0082】 正常な胸腺細胞より得た抽出物とは対照的に、MOLT−3株化細胞またはT
−ALL患者の白血病T細胞より得た抽出物においては、検出可能なIk−BS
1プローブの移動度シフトは見られなかった(図3B)。
【0083】 これらの結果は、白血病細胞より得た核タンパク質は、イカロス特異性の高親
和性のDNA結合活性を欠くという、先例のない証拠を提示するものである。こ
れらの結果は、イカロスの発現が細胞質内には見られるものの、核内には見られ
ない白血病細胞の共焦画像とも一致している。さらに点状または斑状となる代わ
りに、異常に切れ切れに散在した核内のイカロス染色パターンを有する白血病細
胞内におけるイカロス活性の不在は、何人かのALL患者におけるイカロス含有
複合体のDNA特性が変化したことを示している。
【0084】
【表2】
【0085】 実施例2 白血病細胞におけるイカロス転写物の分子の特徴付け ネステッドRT−PCR(nested RT-PCR)およびヌクレオチドによるシーケ
ンシングを用い、正常な胸腺細胞、正常な骨髄細胞、およびALLの小児より得
た白血病細胞における、PCRによって増幅可能なイカロス転写体の発現を調べ
た。精製したPCR産物をヌクレオチドのシーケンシングによって特徴付けた。
図4は、イカロスアイソフォーム1〜8を示す模式図であり、エクソン(E)1
〜7によってコードされたドメインの組成およびPCRプライマーの位置を特に
示している。
【0086】方法 イカロスmRNA発現に関するRT−PCRアッセイは、何れもCCG AL
L生物学関連研究室(CCG ALL Biology Reference Laboratory)において、Ucku
n et al., 1998, Blood, 92:810-821に詳細に記載されているように、偽陽性な
結果(false positive results)を得ることがないよう必要な予防措置をすべて
行った上で実施された。簡潔に説明すると、全細胞のRNAを、リネージィ(商
標)全RNA単離キット(RNeasyTM total RNA isolation kit)(Qiagen, Sant
a Clarita, CA)を使用して抽出し、この全RNA試料の20%を用い、dNT
Pの存在下で、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(GIBCO-
BRL, Gaithersburg, MD)を用いてcDNAを合成した。得られた産物をアンプ
リタックDNAポリメラーゼ(Amplitaq DNA polymerase)(Perkin Elmer Cetu
s Corp., Norwalk, CT)で増幅し、上記文献に記載のように、DNA熱サイクラ
ー(DNA thermal cycler)中で35サイクルの処理を行った。感度を向上させる
ため、PCR産物をネステッドPCRによってさらに増幅した。イカロス(Ik
)cDNAを増幅するプライマーとして、下記のものを使用した。 F1: 5'ATGGATGCTGACGAGGGTCAAGAC3' [SEQ ID NO: 4];および R1: 5'TTAGCTCATGTGGAAGCGGTGCTC3' [SEQ ID NO: 5] ネステッドPCRには、下記のプライマーを使用した。 F2: 5'CTCATCAGGGAAGGAAAGCC3' [SEQ ID NO: 6];および R2: 5'GGTGTACATGACGTGATCCAGG3' [SEQ ID NO: 7]
【0087】 Ik1のcDNAに基づく開始部位に対するプライマーの5’末端の位置は、
F1に関しては+1、F2に関しては+32、R1に関しては+1570、R2
に関しては+1444である。PCR産物の予測サイズは、Ik1に関しては1
.5kb、Ik2とIk3に関しては1.28kb、Ik4に関しては1.17
kb、Ik5に関しては1.1kb、Ik6に関しては0.86kb、Ik7に
関しては1.1kb、Ik8に関しては1.0kbである。
【0088】 RNAの整合性(integrity)は、ヒト造血細胞に偏在的に発現するcABL
mRNAを、下記のプライマーを用いてPCR増幅することによって確認できる
。 5'-TTCAGCGGCCAGTAGCATCTGACTT-3' [SEQ ID NO: 8];および 5'-TGTGATTATAGCCTAAGACCCGGAG-3' [SEQ ID NO: 9].
【0089】 正常な胎児胸腺細胞/乳児骨髄の単核細胞より単離したRNAによる反応を、
イカロス転写物の陽性対照例として使用した。陰性対照例には、RNAを介さな
いcDNAの合成および増幅反応(RNA-free cDNA synthesis and amplificatio
n reaction)、ならびにDNAポリメラーゼを介さない反応(DNA polymerase-f
ree reaction)によって得られたPCR産物が含まれる。
【0090】 ネステッドRT−PCR反応混合物より精製したイカロスcDNA(QIAquick
TM PCR purification kit; Qiagen, Santa Clarita, CA)を、TAクローン化キ
ット(TA Cloning kit)(Invitrogen, San Diego, CA)を用いてクローン化し
、pCR IIベクターを得た。クローン化したPCR産物を、キアゲンプラス
ミド単離キット(Qiagen plasmid isolation kit)を用いて精製し、サーモシー
クエナーゼシークエンシングキット(Thermosequenase sequencing kit)(Amer
sham, Arlington Heights, IL)とALFシークエンサー(ALF Sequencer)(Ph
armacia, LKB Biotech, Piscataway, NJ)とを用いて自動的にシークエンシング
した(Uckun et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:3589-3593)。ま
た、ジデオキシヌクレオチド鎖終結法(dideoxynucleotide chain termination
method)による手動のシークエンシングを、T7シークエナーゼ急速変性プラス
ミドシークエンシングキット(T7 Sequenase Quick-denature Plasmid Sequenci
ng kit)(Amersham)を製造業者の指示に従って用いて行った。得られたシーク
エンスを、GenBank(アソシエーションコードS80876およびU40462
)より得た、公表されているヒトイカロスcDNAシークエンスと比較した。
【0091】結果 PCR増幅とシークエンスの結果を、図5〜8に示している(As results of
the PCR amplification and sequencing, are shown in Figures 5-8)。正常な
胎児胸腺細胞において、およそ1.4KbのPCR増幅産物が一つだけ観察され
、10/10の異なるPCRクローンが野生型Ik−1のコードシークエンスを
有していた(図5A、表2)。同様に、健康な小児より得た正常な骨髄細胞(N
BM−2)において、およそ1.2KbのPCR増幅産物が一つだけ観察され、
3/3の異なるPCRクローンが野生型Ik−2のコードシークエンスを有して
いた(図5A、表2)。比較を行った結果、21名のALL小児のうち、20名
の白血病細胞において、優勢なPCR増幅産物はIK−2よりも小型であった(
図5Bおよび5C、表2)。
【0092】 21例全てにおいて、シークエンス分析は首尾よく行われた。21名のALL
患者のうち、1名(T−ALL患者)の白血病細胞、ならびにT−ALL株化細
胞のMOLT−3とJK−E6−1とにおいて、エクソン2/エクソン4の接合
部におけるエクソン4のすぐ上流側に60塩基対が挿入されたことにより、20
個のアミノ酸の挿入(エクソン2a)が見られる異常型Ik−2アイソフォーム
(Ik−2(挿入型))が発現していた(図6)。これらの細胞は、挿入による
突然変異体を単独で、またはエクソン6の3’末端における30の塩基対が欠失
したことによる、フレーム内の10個のアミノ酸の欠失を伴って発現していた(
図8A〜8C、表2)。
【化3】
【化4】 図8A〜8Cに示すように、これによって得られる欠失型突然変異体には、下記
の突然変異シークエンスが見られた。
【化5】
【0093】 10名のT細胞系ALL患者のうち8名(80%)および11名のB細胞系A
LL患者のうち5名(45%)より得た白血病細胞を分析した結果、非DNA結
合性イカロスアイソフォームIk−4が発現していた(表2)。2名のT細胞系
ALL患者においては、野生型Ik−4のみが発現していた。別の2名のT細胞
系ALL患者においては、野生型Ik−4と共に、野生型Ik−2またはフレー
ム内での10個のアミノ酸欠失が見られる異常型が発現していた。1名のT細胞
系ALL患者においては、エクソン6の3’末端に同様の30bp(10個のア
ミノ酸)の欠失が見られる異常型Ik−4のみが発現していた。これに対し、別
の1名のT細胞系ALL患者および4名のB細胞系ALL患者においては、この
欠失による突然変異体が、野生型Ik−1および/またはIk−2と共に発現し
ていた。2名のT細胞系ALL患者および1名のB細胞系ALL患者においては
、野生型Ik−1および/またはIk−2と共に、野生型Ik−4と欠失型のI
k−4の両方が発現していた。
【0094】 Ik−4とは対照的に、他のドミナントネガティブなイカロスのアイソフォー
ムは、ALLの小児より得た原発性白血病細胞において、頻繁には発現していな
かった。Ik−6は、1名のB細胞系ALL患者より得た5個のPCTクローン
中の5個において、野生型で発見された(表2)。Ik−7は、1名のB細胞系
ALL患者より得た2個のPCTクローンのうち2個において、野生型で発見さ
れ、1名のT細胞系ALL患者および1名のB細胞系ALL患者より得たPCR
クローンの少なくとも半数において、突然変異体で発見された。Ik−8は、1
1名のB細胞系ALL患者のうち3名のPCRクローンにおいては発見されたが
、10名のT細胞系ALL患者のいずれにも発見されなかった(表2)。
【0095】 したがって、RT−PCRおよびシークエンシングにより、共焦顕微鏡検査お
よびウエスタンブロット分析により得た結果がさらに拡大され、ALLの各小児
より得た原発性白血病細胞は、小型の非DNA結合性の野生型および/または変
異型イカロスアイソフォームを発現することが確認された。分析された21の事
例のうち、19例(90.5%)がドミナントネガティブなイカロスアイソフォ
ームを発現していたが、その内訳は、Ik−4(21患者中の12名)、Ik−
6(21患者中の1名)、Ik−7(21患者中の3名)、およびIk−8(2
1患者中の3名)であった。さらに、21例中15例(71.4%)においては
、Ik−2、Ik−4、Ik−7、およびIk−8のコードシークエンスを有す
るPCRクローンに、エクソン6の3’末端に同一の30塩基対の欠失が見られ
た。観察されたN末端の挿入およびC末端の欠失は、フレームシフトを引き起こ
すものではなく、よって下流側のアミノ酸シークエンスは変化しなかった。
【0096】 要約すると、アイソフォームIK4〜8および30個のアミノ酸の挿入や10
個のアミノ酸の欠失が見られる突然変異体を含むイカロスの非DNA結合性形態
の発現は、リンパ系疾患、特に白血病と相関する。
【0097】 実施例3 イカロスの2対立遺伝子性および多形性発現 白血病細胞中での異常型イカロスアイソフォームの発現は、シークエンス変化
または白血病が関与するトランス作用性因子の変化によるシスを引き起こすこと
がある。異常型発現のシス活性化が異常型アイソフォームの1対立遺伝子発現を
もたらすのに対し、トランス活性化は2対立遺伝子発現をもたらす可能性が高い
。25名のALL患者より得た128個のイカロスRT−PCRクローンのシー
クエンスを、上述したRT−PCR法および核酸シークエンス分析により注意深
く検査して、多型シークエンス変異(polymorphic sequence variations)の存
在を調べ、( KSSMPQKFLGの欠失が見られる異常型アイソフォームが一対立遺伝子
性で発現しているのか、2対立遺伝子性で発現しているのかを調べた。
【0098】結果 イカロスクローン内のヌクレオチド位置1002(Ik−1−Genbank
#U40462ヒトイカロス/LYF−1相同体(hIK−1)mRNAの翻訳
開始部位より番号付け)における単一ヌクレオチドの多型は、高度に保存された
二連活性化領域(bipartite activation region)のエクソン7内で、プロリン
(CCCまたはCCA)を決定する三重コドン(triplet codon)の第3番目の
塩基に影響を与えるサイレント変異として同定されている(図9A)。この領域
は、種々のイカロススプライスバリアント中に保存されており、これによりあら
ゆるイカロスアイソフォームの分類が可能となっている。C対立遺伝子が最も優
勢(prevalent)であることが観察された(図9B、表3)。25例中の8例に
おいて、イカロスの2つの多型変異形態(CまたはA)が、同様の発現レベルで
観察された。これに対し、残る17例においては、対立遺伝子性の変異体(C(
N=15)またはA(N=2))は一つしか観察されなかった。
【0099】 全体的に見ると、1002C対立遺伝子の発現率は77%(99/128クロ
ーン)であり、1002A対立遺伝子の発現率は23%(29/128クローン
)であった。これら対立遺伝子の変異体は、いずれも野生型および異常型のΔKS
SMPQKFLG DNA IK1〜3アイソフォーム、ならびに野生型および異常型のΔ
KSSMPQKFLG IK4〜8アイソフォームにおいて観察された(図9B、表3)。
種々のイカロスアイソフォームの、この2対立遺伝子性の発現パターンは、おそ
らくはスプライシング部位の識別に影響を与えるトランス作用性因子が、非DN
A結合性アイソフォーム(IK4〜8)および異常型(IK(欠失型))ΔKSSM
PQKFLGイカロスアイソフォームの発生に関与していることを示唆している。2対
立遺伝子性発現は、IK(欠失型)突然変異体のみを発現している個々の患者お
よびIK(欠失型)突然変異体と野生型イカロスの両方を発現している患者より
得た異常型イカロスΔKSSMPQKFLG RT-PCRクローンのシークエンス分析の際に観
察された(図9B)。この発見により、観察された欠失が、イカロス遺伝子内ま
たはその周辺におけるシス作用性の突然変異体によって起こるとは考えにくくな
った。しかしながら、A対立遺伝子(42%C/58%A)における異常型非D
NA結合性アイソフォーム(IK1〜3(欠失型))を発現するクローンの過剰
が、C対立遺伝子における異常型非DNA結合性アイソフォーム(ΔKSSMPQKFLG
)(IK4〜8(欠失型))(91%C/9%A)の過剰な発現と共に観察され
ており、スプライシング部位の識別に対するシス作用の影響がわずかであること
を示唆している。
【0100】
【表3】
【0101】 実施例4スプライシング供与部位領域および受容部位領域のゲノムシークエンス分析 ΔKSSMPQKFLGの欠失に含まれる10個のアミノ酸は、転写活性ドメインの上流
に位置するエクソン6の3’末端にコードされている。ΔKSSMPQKFLGを有するイ
カロスの選択的スプライスバリアントを過剰発現している白血病細胞のスプライ
シング供与および受容領域の整合性を調べるため、エクソン6および7間のイン
トロン−エクソン接合部のゲノムウォーキング(genome walking)を行った。
【0102】方法 ピュアジーン(登録商標)DNA単離キット(PuregeneR DNA isolation kit
)(Gentra Systems, Inc., Plymouth, MN)を製造業者の指示に従って用い、ゲ
ノムDNAを患者細胞および株化細胞の両方から単離させた。イカロスのエクソ
ン6のイントロン−エクソン接合部における優勢なスプライシング供与および受
容部位を取り囲むゲノムシークエンスを、ゲノムウォーカー(商標)キット(Ge
nomeWalkerTM Kit)(Clontech, Palo Alto, CA)を使用して特徴付けた。この
キットは非常に高品質なヒト胎盤ゲノムDNAを利用しており、このヒト胎盤ゲ
ノムDNAは個々の制限酵素によって分解された後、特異的に設計された受容体
に結合して5個の別個の分解DNA「ライブラリ」を作製する。これにより、末
端が未知であるゲノムシークエンスの増幅が、1個の遺伝子特異性プライマー(
P1)および1個のアダプター特異性プライマー(AP1)を用いることで可能
となる。第二の遺伝子特異性プライマー(P2)および第2のアダプター特異性
プライマー(AP2)によるネステッドPCR増幅を続けて行い、クローン化と
シークエンス分析に使用するのに十分な量の領域特異性産物を生成した。第1回
目の増幅において、イカロスのエクソン6より得た遺伝子特異性PCRプライマ
ー(P1)は、イカロスイカロスシークエンス+732〜+759と対応してい
た。 P1a: 5'-TAA TCA CAG TGA ATG GCA GAA GAC CTG-3' [SEQ ID NO: 14 ]
【0103】 第2回目の増幅において、ネステッド遺伝子特異性イカロスプライマー(nest
ed gene-specific Ikaros primer)は、イカロスシークエンス+747〜+77
4と対応していた。 P2: 5'-GGC AGA AGA CCT GTG CAA GAT AGG ATC A-3' [SEQ ID NO: 15] .
【0104】 PCRプロトコルを、ゲノムウォーカー(商標)マニュアル(GenomeWalkerTM manual)に推奨されている通りに行った。簡潔に説明すると、長範囲にわたる
PCRを、アドバンテージ(登録商標)ゲノムPCRポリメラーゼミックス(Ad
vanTAgeR genomic PCR polymerase mix)を用いて遂行した。アドバンテージゲ
ノムPCRポリメラーゼミックスは、主要なポリメラーゼであるTthと、3’
→5’のエキソヌクレアーゼ活性を有する二次的な校正ポリメラーゼと、ホット
スタートPCRを効果的に生成するTthスタート(商標)抗体(TthStartTM a
ntibody)とを含有する製剤である。第1回目の増幅に関しては、二段階のサイ
クリングパラメータは以下の通りであった。94℃で25秒、72℃で4分を7
サイクル;94℃で25秒、67℃で4分を32サイクル;続いて、67℃で4
分間の最終伸長処理。ネステッド増幅反応(nested amplification reaction)
において、サイクリングパラメータは以下の通りであった。94℃で25秒、7
2℃で4分を5サイクル;94℃で25秒、67℃で4分を20サイクル;続い
て、67℃で4分間の最終伸長処理。
【0105】 3’スプライシング部位の増幅においては、アドバンテージ(登録商標)PC
Rポリメラーゼミックスの代わりに、TaqポリメラーゼとPwoポリメラーゼ
とを配合物を校正酵素として含有するエクスパンド(商標)ロングテンプレート
PCRシステム(ExpandTM Long Template PCR system)(Roche Molecular Bio
chemicals)を、正確な試薬緩衝液製剤(precise reagent buffer formulations
)と共に製造業者のプロトコルに従って使用した。異なる鋳型で調剤された、界
面活性剤(detergents)を含有する緩衝液3を、推奨されている希釈度で用いた
。第1回目の増幅において、イカロスエクソン7(+989〜973)より得た
遺伝子特異性PCRプライマーは下記の通りであった。 P7: 5'-AGC GGG CGC AGG GAC TC-3' [SEQ ID NO: 16]
【0106】 第2回目の増幅においては、ネステッドプライマー(+977〜957)は下
記の通りであった。 P6: 5'-GAC TCG GCC CCC AGG TAG TTG-3' [SEQ ID NO: 17]. 製造業者によって提供されたアダプター特異性プライマーAP1およびAP2を
、上記のように用いた。AP1を第1回目のPCR増幅に用い、上述のプライマ
ーAP2を第2回目のネステッドPCR増幅に用いた。
【0107】 PCRプロトコルを、基本的にゲノムウォーカー(商標)マニュアル(Geno
meWalkerTM manual)の推奨に従い、上述のように実行した。ヒト組織型プラス
ミノーゲン活性化因子(tPA)PCRプライマーは、陽性対照例プライマー(
PCP1、PCP2)であり、ゲノムウォーカーキット(GenomeWalker kit)を
用いて用意したものである。tPA対照用のサイクリングパラメータは、ゲノム
ライブラリダイジェストPvuIIを用いた製造業者のプロトコルに記載されて
いる通りであった。
【0108】 ネステッドPCR産物を、トポ(商標)TAクローニング(登録商標)キット
(TOPOTM TA CloningR Kit)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてクローン化
した。クローン化したDNAのプラスミドミニプレップを、ハイピュア(商標)
プラスミド単離キット(High PureTM Plasmid Isolation Kit)(Roche Molecul
ar Biochemicals, Indianapolis, IN)を用いて行った。挿入部分を含有するク
ローンのシークエンシングを、サーモシークエンス(商標)プライマーサイクル
シークエンシングキット(Thermo SequenaseTM primer cycle sequencing kit)
(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)およびALF高速自動化DN
Aシークエンサー(ALFexpress automated DNA sequencer)(Amersham Pharmac
ia)を用いて行った。3’スプライシング接合部の増幅において、DMSOを、
最終濃度が5%v/vになるように、サイクルシークエンシング反応物(cycle
sequencing reaction)に添加した。GenBankアソシエーション番号HSU404
62(ヒトイカロスmRNA、hIk[SEQ ID NO: 18])およびS80876
(ヒトイカロスmRNA、選択的にスプライシングされた形態、ジャーカット[
SEQ ID NO: 19])のイカロスcDNAを、シークエンスの比較とマッピングに
用いた。
【0109】 ゲノムウォーカー(商標)キットを用いて得たシークエンスを使用し、患者お
よび株化細胞のゲノムDNAのイカロスエクソン6および7の5’スプライシン
グ接合部を取り囲む領域を直接増幅するプライマーを設計した。5’スプライシ
ング部位に関しては、イントロンの(アンチセンスな)プライマーの配置が異な
る2つのプライマーセットを用いてPCRを行い、342bpおよび211bp
の断片を増幅した。これら産物の両方を増幅するのに用いたエクソン6のセンス
プライマーは下記の通りであった。 P1a: 5'-TAA TCA CAG TGA ATG GCA GAA GAC CTG-3' [SEQ ID NO: 14] (+732-7
59);または P1b: 5'-TAA GCA CAG TGA AAT GGC AGA AGA CCT G-3' [SEQ ID NO: 20] (+732
-759). 長さの異なる2つの断片、324および211bpを増幅するのに使用したアン
チセンスなプライマーのシークエンスは、それぞれ下記の通りであった。 P4: 5'-ATG CTG CAA AAT CAA ATC TAG GAA AAA C-3' [SEQ ID NO: 21] (+223-
196);および P3: 5'-TTT CCC TTT CTT CCA CCC TCA ACT CAT-3' [SEQ ID NO: 22] (+92
-65)
【0110】 500ngのゲノムDNAを50μLの反応体積中で使用し、エクスパンド(
商標)ロングテンプレートPCRシステム(ExpandTM Long Template PCR syste
m)(Roche Molecular Biochemicals)を用いてPCRを行った。緩衝液および
成分濃度はゲノムウォーカー(商標)キットの製造業者が推奨する通りであり、
異なる鋳型に対して緩衝液システム3を用いた。長範囲にわたるPCRサイクリ
ングパラメータは、以下の通りであった。95℃で2分(完全変性);続いて、
94℃で25秒、65℃で30秒、68℃で2分の伸長処理を10サイクル;さ
らに、サイクル毎に伸長処理工程に20秒を追加しながら、94℃で25秒、6
5℃で30秒、68℃で2分(伸長処理)を20サイクル;最後に68℃で10
分の最終伸長処理。
【0111】 この結果得られた産物を、トポ(商標)TAクローニング(登録商標)キット
(TOPOTM TA Cloning(R)Kit)(Invitrogen)を用いてクローン化した。クロー
ン化したDNAのプラスミドミニプレップを、ハイピュア(商標)プラスミド単
離キット(High PureTM Plasmid Isolation Kit)(Roche Molecular Biochemic
als, Indianapolis, IN)を用いて行った。挿入部分を含有するクローンのシー
クエンシングを、サーモシークエンス(商標)プライマーサイクルシークエンシ
ングキット(Thermo SequenaseTM primer cycle sequencing kit)(Amersham P
harmacia Biotech, Piscataway, NJ)およびALF高速自動化シークエンサー(
ALFexpress automated sequencer)(Amersham Pharmacia)を用いて行った。
【0112】 3’スプライシング部位に関しては、エクスパンド(商標)ロングテンプレー
トPCRシステム(ExpandTM Long Template PCR system)(Roche Molecular B
iochemicals)を用い、緩衝液システム1および5%v/vのDMSOを使用す
る以外は上記と同様にしてゲノムPCRを行った。3’スプライシング部位に対
するセンスプライマーはP5であり、スプライシング受容部位より−244〜−
223のイントロン部分を有している。アンチセンスプライマーはP6であり、
cDNA部分の+977〜+957を有している。 P5: 5'-GTA GGT CCT GGC TCG GTG TCC C-3' [SEQ ID NO: 23] (スプラ イシング受容部位より−244〜−223のイントロン部分);および P6: 5'-GAC TCG GCC CCC AGG TAG TTG-3' [SEQ ID NO: 17] (cDNA +977〜957の部分)
【0113】 この場合、長範囲にわたるPCRサイクリングパラメータは、1×95℃で3
分;、10×95℃で30秒、66℃で45秒、68℃で2分、68℃で2分;
20×95℃で30秒、66℃で45秒、68℃で2分+10秒/サイクル;1
×68℃で5分であった。この3’断片の分析に関しては、DMSOを、ゲノム
PCRおよびサイクルシークエンシング反応物の両方に、最終濃度が5%v/v
になるように添加した。
【0114】 結果 エクソン6および7間のイントロン−エクソン接合部のゲノムウォーキングに
より、野生型のシークエンスが明らかになった。5’スプライシング部位の分析
に関し、ゲノムウォーカー(商標)キットによって提供された5個のDNAライ
ブラリのうちの2個より得られたネステッドPCRの結果、単一バンドが首尾よ
く得られた(図10A)。これらの各ライブラリより4個のクローンを選択し、
シークエンス分析を行った。この初回シークエンス比較(図11A)の結果は、
イカロスmRNA(アソシエーション番号HSU40462、100%一致)の
エクソン6の3’末端と完全に一致していた。
【0115】 図10A〜10Eは、エクソン6/7のスプライシング接合部を覆うシークエ
ンスの判定に用いられるPCR産物を明らかにする臭化エチジウムによって染色
した代表的なゲルの写真である。図10Aは、ゲノムウォーカー(商標)キット
によって、遺伝子特異性プライマーP2およびゲノムウォーカー(商標)接着体
プライマーAP2を使用し、制限酵素(EcoRVまたはSspI)によって分
解された、アダプター結合DNAを増幅ことによって、エクソン6の供与部位領
域を増幅して発生させたネステッドPCR産物を示している。
【0116】 図10Bは、DraIまたはSspIによって分解されたアダプター結合DN
AのAP2および遺伝子特異性プライマー6、P6によって増幅して得たエクソ
ン7のスプライシング受容部位(slice acceptor site)を取り囲むネステッド
PCR産物を示している。
【0117】 図10Cは、対照用細胞(LCL、EBV−形質転換Bリンパ芽球対照用株化
細胞)、白血病株化細胞(ジャーカット、Molt−3)、および患者(UPN
1およびUPN2)の原発性白血病細胞より得たエクソン6の供与部位を、プラ
イマーセット[P1aおよびP4]または[P1bおよびP4]を使用して増幅
して得たゲノムPCR増幅産物を示している。
【0118】 図10Dは、対照用細胞および患者の原発性白血病細胞より得たエクソン6の
供与部位を、プライマーセットP1bおよびP3を使用して増幅して得たゲノム
PCR増幅産物を示している。
【0119】 図10Eは、対照用細胞および患者の原発性白血病細胞より得たエクソン7の
受容部位を、プライマーセットP5(SEQ ID NO: 23)およびP6(SEQ ID NO:
17)を使用して増幅して得たゲノムPCR増幅産物を示している。分子量マーカ
ー(M):1kbDNAラダー。陰性対照例(Neg.Con)は、鋳型(ライ
ブラリダイジェストまたはゲノムDNAサンプル)を用いない複製反応物であっ
た。陽性対照例(Pos.Con)は、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t
PA)、1.5kbの予測バンドを有するネステッドプライマーセット、AP2
およびPCP2であった。エクソン6の5’末端に隣接するイントロンへの25
4塩基対の新規なゲノムシークエンスを[SEQ ID NO: 24]と特徴付けた。
【0120】 3’スプライシング部位に関し、ゲノムウォーカー(商標)キットによって提
供された5個のゲノムDNAライブラリ中の2個より、ネステッドPCRの結果
、単一バンド(両ライブラリより503bp)が首尾よく得られた(図10B)
。各ライブラリより平均的なクローンを4個選択し、シークエンス分析を行った
。ここでも、分析結果はイカロスmRNA(アソシエーション番号HSU404
62)のエクソン7のシークエンスとの完全に一致していた(図12A)。この
領域に関し、エクソン7より上流に位置する340塩基対の新規なイントロンシ
ークエンスを[SEQ ID NO: 25]と特徴付けた。そして、このシークエンスを用
い、患者および株化細胞のゲノムDNAにおけるスプライシング接合部のこの領
域およびイントロンシークエンスを直接増幅するためのプライマーを発達させた
【0121】 欠失型の変異を発現している白血病患者および株化細胞において、対応するエ
クソン6〜エクソン7のスプライシング接合領域に対するその後の増幅およびシ
ークエンス分析においては、優勢な5’(供与)または3’(受容)スプライシ
ング部位においてはもちろん、不顕性(cryptic)スプライシング部位領域にお
いても突然変異体は見受けられなかった。また、選択的スプライスバリアントを
発現している患者およびこれら試料の株化細胞より得たDNAのゲノムPCRに
より、予想サイズのバンドが得られた。図10Cおよび10Dは、5’スプライ
シング部位に関するデータを示している。図10Eは、3’スプライシング部位
に関するデータを示している。5’および3’スプライシング部位の両方を覆う
多数のクローン単離体を制限解析(restriction analysis)したところ、サイズ
の違いは検出されなかった。
【0122】 各試料あたり最低6個のクローンをシークエンシングし、突然変異体を分析し
た。シークエンシングの結果、調査を行った全てのゲノムDNAにおいて、選択
的なスプライシング部位間の領域の存在が確認された。正常なスプライシング供
与部位または欠失したシークエンスを直接取り囲む領域、すなわち、不顕性スプ
ライシング供与部位における284塩基対内には、突然変異体は存在しなかった
(図11Aおよび11B)。同様に、3’スプライシング受容部位における32
8塩基対内においても、突然変異体は発見されなかった(図12)。
【0123】 要約すると、これらのデータは、IK−欠失型選択的スプライスバリアントを
発現している白血病細胞におけるエクソン6および7間のイントロン−エクソン
接合部にわたるスプライシング供与および受容領域の保存と整合性を示している
【0124】 本明細書中に記載したあらゆる刊行物および特許出願は、本発明が関連する技
術分野における通常の技術者の水準を示すものである。全ての刊行物および特許
出願は、引照により、それぞれの刊行物または特許出願を参考として特記および
別記した場合と同程度に本明細書に組み込まれる。
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1A〜1I】 図1A〜1Iは、正常な細胞と白血病細胞におけるイカロスタンパク質アイソ
フォームの発現を示すウエスタンブロット図である。図1A.1〜1A.2は、
ジャーカットT細胞系ALL細胞ならびに正常な胎児肝臓由来のヒトリンパ球前
駆体株化細胞FL8.2+およびFL8.2-に発現したイカロスタンパク質を示
している。図1Bは、正常な胸腺細胞(NTHY−5)および6種の異なるB細
胞系ALL株化細胞に発現したイカロスタンパク質を示している。図1Cは、正
常な胸腺細胞(NTHY−4)および非乳児性B細胞系ALLの8名の小児より
得た白血病細胞に発現したイカロスタンパク質を示している。図1Dは、正常な
骨髄細胞(NBM−1)、正常な乳児胸腺細胞(NTHY)、および胎児胸腺細
胞(FT)に発現したイカロスタンパク質を示している。図1E〜1Gは、JK
−E6−1およびMOLT−3白血病株化細胞、正常骨髄単核細胞(NBM−2
)、ならびにT−ALLの小児より得た白血病細胞に発現したイカロスタンパク
質を示している。図1Hは、正常な乳児骨髄細胞(NBM−1)、正常な乳児胸
腺細胞(NTHY)、および胎児胸腺細胞(FT)における発現を示している。
図1Iは、正常な乳児骨髄単核細胞(NBM−2)および新たにALLと診断さ
れた6名の乳児における発現を示している。
【図2A〜2R】 図2A〜2Rは、イカロスの発現と細胞下の局在を示す、白血病細胞の共焦画
像である。図2A〜2Jは、B細胞系ALL患者より得た白血病細胞を示してい
る。図2Kおよび2Lは、正常な胎児肝臓由来のリンパ球前駆体株化細胞FL8
.2+(プロB/T)およびFL8.2-(プロB)をそれぞれ示している。図2M
は、正常な胸腺細胞を示している。図2Nおよび2Oは、白血病T細胞であるM
OLT−3細胞およびJK−E6−1細胞をそれぞれ示している。図2P〜2R
は、T−ALL患者より得た原発性白血病細胞を示している。
【図3A〜3B】 図3Aおよび3Bは、正常な胸腺細胞(NTHY)、T−ALL患者より得た
白血病T細胞、および株化細胞MOLT−3より抽出した核タンパク質のイカロ
ス特異性DNA結合活性を示している。
【図4】 図4は、エクソン(E)1〜7にコードされた特定の成分ドメインと、記載の
PCRプライマーとを有するイカロスアイソフォーム1〜8を模式的に表した図
である。
【図5A〜5C】 図5A〜5Cは、胎児胸腺細胞(FT)、正常な骨髄単核細胞(NBM−2)
、Molt−3細胞、ジャーカット細胞(JK−E6−1)、T−ALL患者よ
り得た原発性白血病細胞(T−ALL)、およびB−ALL患者より得た原発性
白血病細胞(INF)を増幅して得たPCR産物を示す臭化エチジウム(ethidu
im bromide)で染色した代表的なゲルである。
【図6】 図6は、エクソン2〜4に野生型Ik−2をコードするシークエンスを有する
対照用クローン(T−ALL#5)およびIk−2の挿入型突然変異体を示すT
−ALL患者の細胞(T−ALL#5)におけるエクソン2およびエクソン4間
の接合部全体に対するシークエンストレーシングである。図6は、エクソン2お
よびエクソン4間の接合部にわたる野生型Ik−2のcDNAシークエンス[SE
Q ID NO: 27]とこれに対応して誘導されるアミノ酸シークエンス[SEQ ID NO:
28]、ならびにエクソン2およびエクソン4間の接合部にわたるIk−2の挿入
型突然変異体のcDNAシークエンス[SEQ ID NO: 29]とこれに対応して誘導
されるアミノ酸シークエンス[SEQ ID NO: 30]を示している。
【図7】 図7は、DNA二本鎖の主要な溝と相互作用する、Ik−2における最初の3
つのジンクフィンガー(F2、F3、およびF4)の相互作用を示したリボン図
である。
【図8A〜8F】 図8A〜8Fは、野生型イカロス2のアイソフォームを発現している白血病細
胞および欠失型突然変異体を発現している白血病細胞におけるエクソン6および
エクソン7間の接合部全体に対するシークエンストレーシングである。図8A〜
8Cは、T−ALL患者およびMOLT−3株化細胞より得た野生型イカロスア
イソフォームおよび欠失型突然変異体イカロスアイソフォームのシークエンスト
レーシングを示している。図8D〜8Fは、B−ALL患者およびMOLT−3
株化細胞より得た野生型イカロスアイソフォームおよび欠失型突然変異体イカロ
スアイソフォームのシークエンストレーシングを示している。Ik−2と欠失型
突然変異体、Ik−4、Ik−8、およびIk−7に関するエクソン6およびエ
クソン7間の接合部にわたるcDNAシークエンスとこれに対応して誘導される
アミノ酸シークエンスを図示している。
【図9A〜9B】 図9Aおよび9Bは、イカロスcDNAにおける一塩基多型を示し、正常およ
び異常なイカロスアイソフォームの2対立遺伝子性の発現を表している。図9A
は、イカロスcDNAの模式図である。ジンクフィンガーをF1〜F6で表し、
イカロスエクソンをE1〜E7で表し、PCRプライマー(矢印)をF1、F2
(進行方向)およびR1、R2(逆行方向)で表した。二連活性化ドメインにお
ける一塩基多型部位(1002位置のCまたはA)の位置も図示されている。図
9Bは、NAIL−6B株化細胞ALL細胞における7個のRT−PCRクロー
ンの一塩基多型部位全体に対するシークエンスデータを示している。1002位
置におけるAまたはCの何れかに下線を付している。2個のIk4(非DNA結
合性アイソフォーム[WT])クローン、1個のIk4+欠失(非DNA結合性
アイソフォーム(ΔKSSMPQKFLG))クローン、2個のIk2+欠失(DNA結合
性アイソフォーム[WT])クローン、および2個のIk2+欠失(DNA結合
性アイソフォーム(ΔKSSMPQKFLG)クローンにおけるタイプ分けの結果とcDN
Aシークエンスの結果とを図示している。また、これに対応して誘導されるアミ
ノ酸シークエンスも図示している。
【図10A〜10E】 図10A〜10Eは、実施例4に記載のように、エクソン6/7のスプライシ
ング接合部を覆っているシークエンスを判定するために用いられたPCR産物を
明らかにする臭化エチジウムによって染色した代表的なゲルの写真である。図1
0Aは、エクソン6の供与部位領域を増幅して生成した、ネステッドPCR産物
を示している。図10Bは、エクソン7のスプライシング受容部位(slice acce
ptor site)を取り囲むネステッドPCR産物を示している。図10Cは、プラ
イマーセットP1aおよびP4、またはP1bおよびP4を用いて得た、エクソ
ン6の供与部位のゲノムPCR増幅産物を示している。図10Dは、対照用細胞
および原発性白血病細胞より得たエクソン6供与部位に関するゲノムPCR増幅
産物を示している。図10Eは、対照用細胞および患者の原発性白血病細胞より
得たエクソン7の受容部位に関するゲノムPCR増幅産物を示している。陰性対
照例(Neg.Con.)は、鋳型(ライブラリダイジェストまたはゲノムDN
Aサンプル)を用いない複製反応物であった。陽性対照例(Pos.Con)は
、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、1.5kbの予測バンドを有
するネステッドプライマーセット、AP2およびPCP2であった。
【図11A〜11B】 図11A〜11Bは、エクソン6に欠失を発現している白血病患者におけるイ
カロスエクソン6のスプライシング供与部位のゲノムシークエンスを示している
。図11Aは、エクソン6のスプライシング供与部位を取り囲み、エクソン6お
よび7間をつなぐイントロン内のEcoRV部位で終止する野生型シークエンス
を示している。このシークエンスの判定に使用するPCRプライマーに位置も図
示している。コードシーケンスは大文字で、イントロンシークエンスは小文字で
示している。2個の選択的スプライシング供与部位(供与部位1および供与部位
2)を図示している。図11Bは、対照用EBV形質転換Bリンパ芽球株化細胞
(LCL)と、2個のT細胞ALL株化細胞であるジャーカットとMolt−3
、および2名のALL患者であるUPN1とUPN2より得た白血病細胞におけ
るイカロスエクソン6の供与部位のシークエンスアラインメントと同一度を示し
ている。
【図12A〜12B】 図12A〜12Bは、エクソン6に30塩基対の欠失が見られる異常型イカロ
スアイソフォームを発現している白血病細胞における、イカロスエクソン6〜7
のスプライシング受容部位のゲノムシークエンスを示している。図12Aは、エ
クソン6のスプライシング供与部位を取り囲み、重複するDraIおよびSsp
Iの部位で終止する野生型シークエンスを示している。このシークエンスの判定
に使用するPCRプライマー(P5、P6、およびP7)の位置を図示している
。コードシーケンスを大文字で、非コードシークエンスを小文字で示している。
図12Bは、対照用EVB形質転換Bリンパ芽球株化細胞LCL、2個のT細胞
ALL株化細胞であるジャーカットとMolt−3、および2名のALL患者で
あるUPN1とUPN2の白血病細胞におけるエクソン6〜7のスプライシング
受容部位のシークエンスアラインメントと同一度を示している。 SEQUENCE LISTING <110> Parker Hughes Institute <120> IKAROS ISOFORMS AND MUTANTS <130> 12152.35WO02 <140> PCT/US99/26274 <141> 1999-11-05 <150> 60/107,229 <151> 1998-11-05 <150> 09/435,327 <151> 1999-11-05 <160> 27 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 6 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 gggaat 6 <210> 2 <211> 24 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 tcagcttttg ggaataccct gtca 24 <210> 3 <211> 24 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 tcagcttttg ggggtaccct gtca 24 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 4 atggatgctg acgagggtca agac 24 <210> 5 <211> 24 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 5 ttagctcatg tggaagcggt gctc 24 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 6 ctcatcaggg aaggaaagcc 20 <210> 7 <211> 22 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 7 ggtgtacatg acgtgatcca gg 22 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 8 ttcagcggcc agtagcatct gactt 25 <210> 9 <211> 25 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 9 tgtgattata gcctaagacc cggag 25 <210> 10 <211> 63 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 10 gttacatatg gggctgatga ctttagggat ttccatgcaa taattcccaa atctttctct 60 cga 63 <210> 11 <211> 21 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 11 Val Thr Tyr Gly Ala Asp Asp Phe Arg Asp Phe His Ala Ile Ile Pro 1 5 10 15 Lys Ser Phe Ser Arg 20 <210> 12 <211> 30 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 12 taagagctct atgcctcaga aatttcttgg 30 <210> 13 <211> 10 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 13 Lys Ser Ser Met Pro Gln Lys Phe Leu Gly 1 5 10 <210> 14 <211> 27 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 14 taatcacagt gaatggcaga agacctg 27 <210> 15 <211> 28 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 15 ggcagaagac ctgtgcaaga taggatca 28 <210> 16 <211> 17 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 16 agcgggcgca gggactc 17 <210> 17 <211> 21 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 17 gactcggccc ccaggtagtt g 21 <210> 18 <211> 3629 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 18 gaattccggc gtcgcggacg catcccagtc tgggcgggac gctcggccgc ggcgaggcgg 60 gcaagcctgg cagggcagag ggagccccgg ctccgaggtt gctcttcgcc cccgaggatc 120 agtcttggcc ccaaagcgcg acgcacaaat ccacataacc tgaggaccat ggatgctgat 180 gagggtcaag acatgtccca agtttcaggg aaggaaagcc cccctgtaag cgatactcca 240 gatgagggcg atgagcccat gccgatcccc gaggacctct ccaccacctc gggaggacag 300 caaagctcca agagtgacag agtcgtggcc agtaatgtta aagtagagac tcagagtgat 360 gaagagaatg ggcgtgcctg tgaaatgaat ggggaagaat gtgcggagga tttacgaatg 420 cttgatgcct cgggagagaa aatgaatggc tcccacaggg accaaggcag ctcggctttg 480 tcgggagttg gaggcattcg acttcctaac ggaaaactaa agtgtgatat ctgtgggatc 540 atttgcatcg ggcccaatgt gctcatggtt cacaaaagaa gccacactgg agaacggccc 600 ttccagtgca atcagtgcgg ggcctcattc acccagaagg gcaacctgct ccggcacatc 660 aagctgcatt ccggggagaa gcccttcaaa tgccacctct gcaactacgc ctgccgccgg 720 agggacgccc tcactggcca cctgaggacg cactccgttg gtaaacctca caaatgtgga 780 tattgtggcc gaagctataa acagcgaagc tctttagagg aacataaaga gcgctgccac 840 aactacttgg aaagcatggg ccttccgggc acactgtacc cagtcattaa agaagaaact 900 aatcacagtg aaatggcaga agacctgtgc aagataggat cagagagatc tctcgtgctg 960 gacagactag caagtaacgt cgccaaacgt aagagctcta tgcctcagaa atttcttggg 1020 gacaagggcc tgtccgacac gccctacgac agcagcgcca gctacgagaa ggagaacgaa 1080 atgatgaagt cccacgtgat ggaccaagcc atcaacaacg ccatcaacta cctgggggcc 1140 gagtccctgc gcccgctggt gcagacgccc ccgggcggtt ccgaggtggt cccggtcatc 1200 agcccgatgt accagctgca caagccgctc gcggagggca ccccgcgctc caaccactcg 1260 gcccaggaca gcgccgtgga gaacctgctg ctgctctcca aggccaagtt ggtgccctcg 1320 gagcgcgagg cgtccccgag caacagctgt caagactcca cggacaccga gagcaacaac 1380 gaggagcagc gcagcggtct catctacctg accaaccaca tcgccccgca cgcgcgcaac 1440 ggcttgtcgc tcaaggagga gcaccgcgcc tacgacctgc tgcgcgccgc ctccgagaac 1500 tcgcaggacg cgctccgcgt ggtcagcacc agcggggagc agatgaaggt gtacaagtgc 1560 gaacactgcc gggtgctctt cctggatcac gtcatgtaca ccatccacat gggctgccac 1620 ggcttccgtg atccttttga gtgcaacatg tgcggctacc acagccagga ccggtacgag 1680 ttctcgtcgc acataacgcg aggggagcac cgcttccaca tgagctaaag ccctcccgcg 1740 cccccacccc agaccccgag ccaccccagg aaaagcacaa ggactgccgc cttctcgctc 1800 ccgccagcag catagactgg actggaccag acaatgttgt gtttggattt gtaactgttt 1860 tttgtttttt gtttgagttg gttgattggg gtttgatttg cttttgaaaa gatttttatt 1920 tttagaggca gggctgcatt gggagcatcc agaactgcta ccttcctaga tgtttcccca 1980 gacgctggct gagattccct cacctgtcgc ttcctagaat ccccttctcc aaacgattag 2040 tctaaatttt cagagagaaa tagataaaac acgccacagc ctgggaagga gcgtgctcta 2100 ccctgtgcta agcacggggt tcgcgcacca ggtgtctttt tccagtcccc agaagcagag 2160 agcacagccc ctgctgtgtg ggtctgcagg tgagcagaca ggacaggtgt gccgccaccc 2220 aagtgccaag acacagcagg gccaacaacc tgtgcccagg ccagcttcga gctacatgca 2280 tctagggcgg agaggctgca cttgtgagag aaaatactta tttcaagtca tattctgcgg 2340 taggaaaatg attgggttgg ggaaagtcgg tgtctgtcag actgccctgg gtggagggag 2400 acgccgggtt agagcctttg ggatcgtcct ggattcactg gcttggggga ggctgttcag 2460 atggcctgag cctcccgagg cttgctgccc cgtaggagga gactgtcttc ccgtgggcat 2520 atctggggag ccctgttccc cgctttttca ctcccatacc tttaatggcc cccaaaatct 2580 gtcactacaa tttaaacacc agtcccgaaa tttggatctt ctttcttttt gaatctctca 2640 aacggcaaca ttcctcagaa accaaagctt tatttcaaat ctcttccttc cctggctggt 2700 tccatctagt accagaggcc tcttttcctg aagaaatcca atcctagccc tcattttaat 2760 tatgtacatc tgtttgtagc cacaagcctg aatttctcag tgttggtaag tttctttacc 2820 taccctcact atatattatt ctcgttttaa aacccataaa ggagtgattt agaacatcat 2880 taattttcca actcaatgaa aatatgtgaa gcccagcatc tctgttgcta acacacagag 2940 ctcacctgtt gaaacccaag ctttcaaaca tgttgaagct ctttactgta aaggcaagcc 3000 agcatgtgtg tccacacata cataggatgg ctggctctgc acctgtagga tattggaatg 3060 cacagggcaa ttgagggnct gagccagacc ttcggagagt aatgccacca gatcccctag 3120 gaaagaggag gcaaatggca ctgcaggtga gaaccccgcc catccgtgct atgacatgga 3180 ggcactgaag cccgaggaag gtgtgtggag attctaatcc caacaagcaa gggtctcctt 3240 caagattaat gctatcaatc attaaggtca ttactctcaa ccacctaggc aatgaagaat 3300 ataccatttc aaatatttac agtacttgtc ttcaccaaca ctgtcccaag gtgaaatgaa 3360 gcaacagaga ggaaattgta cataagtacc tcagcattta atccaaacag gggttcttag 3420 tctcagcact atgacatttt gggctgacta cttatttgtt aggcgggagc tctcctgtgc 3480 attgtaggat aattagcagt atccctggtg gctacccaat agacgccagt agcaccccga 3540 attgacaacc caaactctcc agacatcacc aactgtcccc tgcgaggaga aatcactcct 3600 gggggagaac cactgaccca aatgaattc 3629 <210> 19 <211> 1788 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 19 agtgatttag agtgcagtgt ctggtatagg tgtgtattct tcccttttcg gtctatgttc 60 tctcatttgt attgtgtggg gagaagtgac tttttttata aaaagaaaaa ggtatatgca 120 tcccagcaga gaagcactgg ctccacccag tacctgcctc ctcatgccac cctctcaagc 180 caaaagccgg gggaagccca ggcaccttga ccatgaccgc ccgagactca cacttctatg 240 gatgctgacg agggtcaaga catgtctttc tcatcaggga aggaaagccc ccctgtaagc 300 gatactccag atgagggcga tgagcccatg ccgatccccg aggacctctc caccacctcg 360 ggaggacagc aaagctccaa gagtgacaga gtcgtggcca gtaatgttaa agtagagact 420 cagagtgatg aagagaatgg gcgtgcctgt gaaatgaatg gggaagaatg tgcggaggat 480 ttacgaatgc ttgatgcctc gggagagaaa atgaatggct cccacaggga ccaaggcagc 540 tcggctttgt cgggagttgg aggcattcga cttcctaacg gaaaactaaa gtgtgatatc 600 tgtgggatca tttgcatcgg gcccaatgtg ctcatggttc acaaaagaag ccacactgga 660 gaacggccct tccagtgcaa tcagtgcggg gcctcattca cccagaaggg caacctgctc 720 cggcacatca agctgcattc cggggagaag cccttcaaat gccacctctg caactacgcc 780 tgccgccgga gggacgccct cactggccac ctgaggacgc actccgttgg taaacctcac 840 aaatgtggat attgtggccg aagctataaa cagcgaacgt ctttagagga acataaagag 900 cgctgccaca actacttgga aagcatgggc cttccgggca cactgtaccc agtcattaaa 960 gaagaaacta agcacagtga aatggcagaa gacctgtgca agataggatc agagagatct 1020 ctcgtgctgg acagactagc aagtaatgtc gccaaacgta agagctctat gcctcagaaa 1080 tttcttgggg acaagggcct gtccgacacg ccctacgaca gtgccacgta cgagaaggag 1140 aacgaaatga tgaagtccca cgtgatggac caagccatca acaacgccat caactacctg 1200 ggggccgagt ccctgcgccc gctggtgcag acgcccccgg gcggttccga ggtggtcccg 1260 gtcatcagcc cgatgtacca gctgcacagg cgctcggagg gcaccccgcg ctccaaccac 1320 tcggcccagg acagcgccgt ggagtacctg ctgctgctct ccaaggccaa gttggtgccc 1380 tcggagcgcg aggcgtcccc gagcaacagc tgccaagact ccacggacac cgagagcaac 1440 aacgaggagc agcgcagcgg tcttatctac ctgaccaacc acatcgcccg acgcgcgcaa 1500 cgcgtgtcgc tcaaggagga gcaccgcgcc tacgacctgc tgcgcgccgc ctccgagaac 1560 tcgcaggacg cgctccgcgt ggtcagcacc agcggggagc agatgaaggt gtacaagtgc 1620 gaacactgcc gggtgctctt cctggatcac gtcatgtaca ccatccacat gggctgccac 1680 ggcttccgtg atccttttga gtgcaacatg tgcggctacc acagccagga ccggtacgag 1740 ttctcgtcgc acataacgcg aggggagcac cgcttccaca tgagctaa 1788 <210> 20 <211> 28 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 20 taagcacagt gaaatggcag aagacctg 28 <210> 21 <211> 28 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 21 atgctgcaaa atcaaatcta ggaaaaac 28 <210> 22 <211> 27 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 22 tttccctttc ttccaccctc aactcat 27 <210> 23 <211> 22 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 23 gtaggtcctg gctcggtgtc cc 22 <210> 24 <211> 467 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 24 attaaatgaa atacaataac ataattaaac taatctttgg ttcccctatt tatgtattca 60 tttatccaac aaaatctcct taagtgctta taatgggtag gtcctggctc ggtgtcccct 120 agacagacgc atgggccttc ccccagcccg tcagtatggt gcaggtgtga tgtgtccgca 180 ggtgtgtgtg tatgtgtgca ggtgtggggt ccgcaggcgt gctgggcccc caggccgtgt 240 tccccttccc ctccccggtt gtagatttca gctgttgctg ccagacctga ccggttccgg 300 aggtggccgc gccccactca ctgtcgcctg ctttccacag gggacaaggg cctgtccgac 360 acgccctacg acagcagcgc cagctacgag aaggagaacg aaatgatgaa gtcccacgtg 420 atggaccaag ccatcaacaa cgccatcaac tacctggggg ccgagtc 467 <210> 25 <211> 373 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 25 taagcacagt gaaatggcag aagacctgtg caagatagga tcagagagat ctctcgtgct 60 ggacagacta gcaagtaacg tcgccaaacg taagagctct atgcctcaga aatttcttgg 120 taagagttaa atgtttgctg tctcttaaaa aaaaactatg tgggtgtttt agatgcaagt 180 agaaatgagt tgagggtgga agaaagggaa aaaaatctta ttttttcaaa aggaaaaatt 240 ggtaagctta acattcctta aatatcttag aattttttcc aataagtatc ttaaaaataa 300 caaacctccc atcagttttt cctagatttg attttgcagc atctggggcc tgccctgtga 360 tctgcctgtg gac 373 <210> 26 <211> 24 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 26 ctcgccaaac gggacaaggg cctg 24 <210> 27 <211> 8 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 27 Val Ala Lys Arg Asp Lys Gly Leu 1 5
【手続補正書】
【提出日】平成13年8月8日(2001.8.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正内容】
【0092】 21例全てにおいて、シークエンス分析は首尾よく行われた。21名のALL
患者のうち、1名(T−ALL患者)の白血病細胞、ならびにT−ALL株化細
胞のMOLT−3とJK−E6−1とにおいて、エクソン2/エクソン4の接合
部におけるエクソン4のすぐ上流側に63塩基対が挿入されたことにより、21 個のアミノ酸の挿入(エクソン2a)が見られる異常型Ik−2アイソフォーム
(Ik−2(挿入型))が発現していた(図6)。これらの細胞は、挿入による
突然変異体を単独で、またはエクソン6の3’末端における30の塩基対が欠失
したことによる、フレーム内の10個のアミノ酸の欠失を伴って発現していた(
図8A〜8C、表2)。
【化3】
【化4】 図8A〜8Cに示すように、これによって得られる欠失型突然変異体には、下記
の突然変異シークエンスが見られた。
【化5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/82 G01N 33/48 M C12N 15/01 33/53 D C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/48 X 33/53 A61K 37/10 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA24 AA26 BA14 BB24 CB01 DA12 DA13 DA14 DA36 FA16 FB02 FB03 FB07 4B024 AA12 BA36 CA04 CA12 HA01 HA19 4B063 QA08 QA19 QQ08 QQ53 QQ58 QQ79 QR32 QR36 QR48 QR62 QR77 QS25 4C084 AA02 AA03 AA13 BA35 CA53 NA14 ZB272 ZC412 4H045 AA10 AA30 BA10 CA41 EA51 FA74

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イカロス(IKAROS)タンパク質の少なくとも一部をコー
    ドし、[SEQ ID NO: 24]、[SEQ ID NO: 25]、[SEQ ID NO: 10]、および[S
    EQ ID NO: 26]の1以上を含む核酸シークエンス。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の核酸シークエンスの発現により生成されるイ
    カロスペプチド。
  3. 【請求項3】 リンパ球系細胞(lymphoid cells)の試料を分析し、異常型に
    スプライシングされたイカロスアイソフォームの存在を検出することを含む、異
    常なリンパ系造血細胞(lymphohematopoietic cells)の検出方法。
  4. 【請求項4】 前記細胞を分析し、分子量が約47kDa未満であるイカロス
    アイソフォームを検出することをさらに含む請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記細胞を分析し、エクソン6〜7に少なくとも部分的にコー
    ドされ、かつ下記のイカロスアミノ酸シークエンスを欠いているイカロスアイソ
    フォームを検出することをさらに含む請求項3に記載の方法: KSSMPQKFLG。
  6. 【請求項6】 前記細胞を分析し、下記のアミノ酸シークエンスが挿入された
    イカロスアイソフォームを検出することをさらに含む請求項3に記載の方法: VTVGADDFRDFHAIIPKSFSR。
  7. 【請求項7】 前記リンパ系造血細胞が悪性細胞である請求項3に記載の方法
  8. 【請求項8】 前記分析がウエスタンブロット検出であり、約42kDa未満
    の小型アイソフォームが多数存在することをリンパ系造血細胞異常と診断する請
    求項3に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記分析が共焦光顕微鏡法(confocal light microscopy)で
    あり、イカロスタンパク質が散在した状態で細胞質内に局在していることをリン
    パ系造血細胞異常と診断する請求項3に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記細胞を分析してイカロスアイソフォームの発現を検出し
    、ドミナントネガティブなアイソフォームが多数存在することをリンパ系造血細
    胞異常と診断する請求項3に記載の方法。
  11. 【請求項11】 イカロスアイソフォームIk−4、Ik−6、Ik−7、I
    k−8、またはこれらの組合せの発現をリンパ系造血細胞異常と関連付ける請求
    項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記分析に、イカロスをコードするシークエンスを増幅する
    ことが含まれる請求項3に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記分析に、抗イカロス抗体と免疫反応させることが含まれ
    る請求項3に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記異常が白血病またはリンパ腫である請求項3に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 血液系悪性腫瘍(hematologic malignancy)を検出する方法 であって、 血液系細胞試料を分析してイカロスタンパク質アイソフォームの発現を検出す
    ることと、 ドミナントネガティブなイカロスアイソフォームの発現を血液系悪性腫瘍と関
    連付けることとを含む方法。
  16. 【請求項16】 前記悪性腫瘍がリンパ腫である請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記悪性腫瘍が非ホジキンリンパ腫である請求項15に記載
    の方法。
  18. 【請求項18】 前記悪性腫瘍がホジキンリンパ腫である請求項15に記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 前記悪性腫瘍が一般的なALL、T−ALL、乳児ALL、
    またはAMLのいずれかである請求項15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 血液系悪性腫瘍を治療する方法であって、Ik−1またはI k−2を血液系細胞中に量を増加させて発現させることを含み、前記発現が非 処理の対照例と比べて増加している方法。
  21. 【請求項21】 癌細胞の診断方法であって、細胞試料を分析して非DNA結
    合性イカロスタンパク質アイソフォームを検出することと、 ドミナントネガティブなイカロスアイソフォームの発現を血液系悪性腫瘍と関
    連付けることを含む方法。
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