JP2002530649A - 哺乳類における伝染性海綿状脳症を決定するためのイムノアッセイ - Google Patents

哺乳類における伝染性海綿状脳症を決定するためのイムノアッセイ

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JP2002530649A
JP2002530649A JP2000582801A JP2000582801A JP2002530649A JP 2002530649 A JP2002530649 A JP 2002530649A JP 2000582801 A JP2000582801 A JP 2000582801A JP 2000582801 A JP2000582801 A JP 2000582801A JP 2002530649 A JP2002530649 A JP 2002530649A
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blood
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mammal
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JP2000582801A
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ホープ,ジェイムス
ジョン ラッセル バーナード,ジョフリー
ロビン バーケット,クリストファー
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ワラック オサケユイチア
ビービーエスアールシー オフィス
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    • G01N2800/2828Prion diseases

Abstract

(57)【要約】 本発明は、非−ウシ哺乳類由来の体組織又は体液検体中のプリオンタンパク質(PrP)を測定するための免疫測定学的方法に関し、該方法は、その抽出及び抗体への結合を促進するために、PrPに処理を施す工程;及び前記工程から得たPrPに、a)固相に結合した又は結合可能な捕獲用抗体、及びb)検出用抗体を施す工程;並びに、固相に結合した検出用抗体からのシグナルを定量する工程を含む。更に、本発明は、哺乳類における伝染性海綿状納脳症(TSE)を診断する方法に関し、該方法は血液検体、特にヒト血液ドナーからの血液検体を、検体が伝染性海綿状脳症(TSE)に感染しているかどうかを調べるためにスクリーニングする方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、ウシ以外の哺乳類における伝染性海綿状脳症を決定するイムノアッ
セイに関する。より詳細に述べると、本発明は、プリオンタンパク質を検出する
新規方法に関し、その形は伝染性海綿状脳症(TSE)の診断マーカーである。
【0002】 (発明の背景) 本発明の背景を解明するため、特に実践に関する更なる詳細を提供する場合に
、本願明細書において使用される出版物及びその他のものは、参照として組入れ
られている。
【0003】 疾患のTSEファミリー スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイ
スラー・シャインカー(GSS)症候群及びミンク関連疾患(伝染性ミンク脳症)、ミ
ュールジカ及びヘラジカ関連疾患(慢性消耗症)は、伝染性変性(又は海綿状)脳症
(TSE)に分類されている。近年、ウシ(ウシ海綿状脳症)、ネコ(ネコ海綿状脳症)
及び様々な捕獲された動物園のネコ科の動物、及びアンテロープを含む新たな種
が冒されており、並びにヒトにおける新たな形のCJDが最近明らかになってきて
いる。ヒトにおけるCJDの医原性感染が発生しており、これらの疾患は、罹患し
た動物から健康な動物への組織の接種又は摂食により伝染し得る。これらの疾患
について説明している下記本文は、Hopeの論文、1998年(参考文献31参照)から引
用している。
【0004】 スクレイピー ヒツジのスクレイピーは、数百年間にわたりヨーロッパにおいて知られており
、かつヒト及びその家畜の移動により、オーストラリアとアルゼンチンを除く世
界中のほとんどの地域に広がっている。これは、異常行動(altered behavior)、
音又は触覚に対する過敏、条件付けの喪失(loss of condition)、そう痒及び関
連する羊毛の脱落及び皮膚剥離並びに後肢の協調不能を特徴とする。診断は、脳
組織剖検時の、空胞形成、神経喪失及びグリオーシスの組織病理学的三つ組の関
係により確認される(1)。
【0005】 スクレイピーは、大抵はヒツジの繁殖において、及びヒツジ群れにおいて報告
されており、これが関連した動物において発生するように思われる。天然の臨床
疾患では、群れの動物において発生ピークの中央値は3.5年であり、症例の大半
は2.5〜4.5年の範囲内に生じる(2)。この期間の大半は、感染した動物は臨床的
に正常であり、その非感染の群れ仲間と区別することができない。臨床疾患のヒ
ツジ群れ中の発生率は、通常年間にヒツジ100頭当たり1〜2例であるが、いくつ
かの例では1年以内に本疾患により死亡する群れの動物は40〜50%に及んでいる
。近年リスク要因として、多くの遺伝的マーカーが同定されており、かつ天然及
び実験的疾患の発生に関する現地調査における遺伝子型決定の導入が解明を大き
く促進している(3)。
【0006】 クロイツフェルト・ヤコブ病 クロイツフェルト・ヤコブ病は、小脳、基底核及び下位運動ニューロンの機能
障害を示す臨床徴候を伴う進行性痴呆である。これは、痴呆及び錯乱、並びに運
動機能の進行性障害へとつながる、漸進性神経荒廃に関連している。ほとんどの
患者は、臨床徴候の顕在化から6ヶ月以内に死亡し、回復が証明された症例はな
い。病理的に、脳病巣は、様々な神経網の空胞形成、星状膠細胞、及びCJD症例
の約10%においてアミロイド斑が認められる。ゲルストマン・ストロイスラー症
候群は、長期化した臨床の時間経過を伴う、CJDの家族性の変形である。
【0007】 ヒトにおけるCJD-関連疾患の発生率は、驚くべきことに世界中で1年間に100万
人当たり0.5〜1症例で一定しており、そのためいかなる動物疾患の発生とも連係
していない。この低い発生率は、集団内のその伝播における感染の果たす役割に
疑念を抱かせる(しかし下記参照)。7症例中約1例が家族性であり、PrP (プリオ
ンタンパク質)遺伝子のオープンリーディングフレームにおける突然変異に関連
している。これらのPrP遺伝子の稀な突然変異に関連していると思われる神経疾
患のヒト症例については多くの臨床的及び病理学的研究がなされている (検証の
ために、参照(4))。
【0008】 いくつかの家族において、表現型の完全な浸透度が存在し、そのためこの突然
変異は、本疾患の原因とみなされる。感染組織の移植又は汚染したヒト給源の医
薬品の接種により誘発された医原性の症例を除けば、本疾患の水平伝播の疫学的
証拠はない。PrPタンパク質のその疾患-関連イソフォームへの転換に関する確率
論的な事象又は良性遍在性ウイルス様物質の突然変異の機会は、散在的疾患発生
率を説明するために示されている2種のメカニズムである(原因物質の性質に関す
る項を参照のこと)。遺伝のカウンセリングが適用できる場合に、これはある世
代から次の世代への疾患伝播を効果的に防止することができるが、臨床状態の治
癒はない。
【0009】 ヒトのプリオン疾患に関してかなりの臨床的及び病理学的不均質性があり、Pr
P ORF(ORE =オープンリーディングフレーム)の遺伝子型決定及び塩基配列決定が
いくつかの統一されつつある概念を提供するにも拘らず、PrPタンパク質突然変
異は完全な説明であるとは思えない。ApoE遺伝子のE4対立遺伝子への連関を含む
別の遺伝的要因は、CJD発生のリスク要因としての意味がある。
【0010】 明らかになりつつあるヒトTSE 致死性家族性不眠症(FFI)が、ヒト伝染性脳症の新たなメンバーとして問題と
なってきている。これは、通常不眠症を呈する自律神経系の障害、並びに摂食、
体温及び血圧調節の問題を特徴としている。剖検時の脳の病理は、神経網の空胞
形成をほとんど又は全く伴わない神経欠落及び視床変性が大半である。そのプリ
オン疾患としての分類は、当初、PrP遺伝子のコドン178でのアスパラギン(N)か
らアスパラギン酸(D)への突然変異とそれとの関係を基にしており、この突然変
異はCJDの従来型にも関連している。これら2種の表現型のいずれが勝っているか
は、同じPrP対立遺伝子のコドン129にコードされているアミノ酸により左右され
るように見える:FFIにおいてはコドン129はメチオニンをコードしているのに対
し、CJDではコドン129はバリンをコードしている。コドン129のホモ接合体も、
散在性CJD発症のリスク要因であるように見えるが、このコドンでの各々の多型
は、かなり共通しており、それ自身病原性があるとは思われない。FFIの分類は
、実験用マウスへの疾患の伝播により確認されている(5)。
【0011】 1996年3月、英国政府は、CJDの新たな変種に関する懸念を発表し、これらの症
例の詳細が次第に明らかになってきている(6)。今日までに英国において新たな
神経病理学的及び臨床的プロフィール−広範囲のPrP付着、小脳アミロイド斑、
基底核及び視床で最も顕著である海綿状の変化、長期化(最大2年)、非定型性EEG
、早期運動失調、行動及び精神の障害を伴う CJDが、28例同定されている。同様
の症例は、保管された患者ファイルやヨーロッパの他の地域においては同定され
ておらず(フランスにおける1症例を除く(7))、かつこの変種のリスク要因は英国
独自のもののように見える。英国内に大きく限定された新たなウシTSE(BSE)とそ
れの同時発生は、この新たなCJD型は畜牛からの種を越えた(cross-species)伝播
を示しているという推定につながるが、これは証明されていない。
【0012】 ウシ海綿状脳症 ウシ海綿状脳症(BSE)は、過去10年間英国の畜牛産業を混乱させてきた(8)。19
86年に最初に報告された孤発症例及び1985年5月に過去を振り返ってみて同定さ
れたいくつかの症例から、大きい流行が1988年まで進行中であり、この時点でイ
ギリス諸島内で180000頭を超える畜牛の命がその時点で奪われていた。他国にお
いても症例が確認された:スイス(450+)、アイルランド(700+)、ポルトガル(300
+)、フランス及びドイツ1例又はイタリア、デンマーク、カナダ、オランダ、オ
マーン及びフォークランド諸島の2例。
【0013】 本疾患は、中枢神経系の進行性変性を生じ、かつ光学顕微鏡下での観察でBSE-
脳組織が海綿状外観を呈するためにそう呼ばれている(9)。本疾患の警告徴候は
、畜牛の挙動及び体温の変化を含む。冒された動物は、運動及び姿勢について、
特にその後肢の懸念が増大し始めかつ問題を有するようになる。雌ウシ(又は雄
ウシ)は、触覚及び音に対する感度が増し、体重が減少し、その神経系が疾患に
冒されるにつれて、よろよろ麻痺を生じる。BSEのこの臨床相は、2週間から6ヶ
月以上続く。罹患した動物の大部分は乳牛であるが、この神経疾患は、発症年齢
の最頻値4〜4.5歳で(1.8〜18歳の範囲)両性で生じ得る。BSEのほとんどの症例は
、年齢3〜5歳の畜牛において生じ、かつその発症時点のほとんどは、その存在の
証拠となる徴候を示さない(10)。
【0014】 BSEに冒されたウシ脳の神経病変は、スクレイピーに冒されたヒツジにおいて
認められるものと事実上同じであり、BSEの名称の原因となる海綿状の変化を含
む。BSEは、その臨床及び神経病理学的徴候から、伝染性海綿状脳症のスクレイ
ピーファミリーに属することが容易に推測される。これは、生化学的研究(11)、
並びに他の種の中でもマウス(12)、ヒツジ及びヤギ(13)へのBSEの実験的伝播に
より確認されている。
【0015】 プリオンタンパク質(PrP) 正常な膜の糖タンパク質である細胞プリオンタンパク質又はPrPCの凝集した不
溶性イソフォームPrPScへの転換は、BSE、スクレイピー及び他の伝染性海綿状脳
症(TSE)の発生病理の重要な過程である。具体的なPrPScの検出は、これらの疾患
の生化学的診断の基本を形成する。プリオンタンパク質(PrPSc)の異常なイソフ
ォームの折畳みの差異は、SDS-PAGE/イムノブロット又はELISA技術により検出す
る前に、正常タンパク質は破壊されるか又は劇的に量が減少されるかであるよう
ないずれかの条件下でのタンパク質分解により、疾患組織におけるこのタンパク
質の立体配置を探索し調べることができる。
【0016】 PrPの一次構造 マウス、ヒト及びウシのPrPのアミノ酸配列を、IUPACのアミノ酸1文字表記を
用い、下記に示す:
【0017】
【表1】
【0018】
【外1】
【0019】 プリオンタンパク質は、多くの異なる細胞において発現されるが、中秋神経系
のニューロンに関連し最大の豊富さが認められる。従って、PrPの異常な形は、
優先的に脳に蓄積するが、これは発症初期には扁桃腺及び脾臓のような神経外組
織においても検出される。従って、PrP総濃度は健常組織と比較して罹患した組
織においてより大きいという表現は正しい。
【0020】 細胞培養において、PrPタンパク質は、エンドソーム−ライソソームシステム
を介して、細胞表面へ及び細胞表面から循環される;この過程の間に、該タンパ
ク質は、残基109及び112の間でタンパク質分解的切断を受けるように見える。こ
の切断がin vivoにおいて発生する程度は不明であるが、このペプチド結合の分
解から生じると予想されるものに類似したPrPのC-末端断片が、マウス及びヒトP
rPScの付着で認められる。切断の正確な位置は、疾患の表現型又は感染性物質の
系統に関連しており;これは現在の研究の範囲である。
【0021】 PrP検出に関する先行技術 プリオンタンパク質(PrP)は発見されているので、プリオン及びPrPの測定は、
1個の感染性粒子当たりのタンパク質分子の数に関連して行うことができた。こ
れは、同種げっ歯類のバイオアッセイにおいて;たとえば、ハムスターにおいて
263K系統の剤またはマウスにおいてME7 系統を用いて、脳内接種により測定され
る場合、通常1個の感染性粒子当たり100000個のPrP分子と見積もられる。フィブ
リルとしてのPrPScの検出(14,15)又は免疫化学的方法(16-22)を、剖検又は生存
動物のいずれかにおける、TSE診断試験として使用することができる。畜牛にお
けるBSEの経口の発生病理を追跡するためのフィブリル又はPrPのICC(ICC =免疫
細胞化学)を用いるこの方法の予備的バリデーションが最近公表された(23)。ウ
ェスタンブロット又はドットブロットは現在、10〜100pg (108〜109モル)のPrPS c を検出することができ、これらの方法はマウスのBSE感染力に対するウシ又はヒ
ト組織の異種バイオアッセイとほぼ同じ感度である。例えば、典型的には、BSE-
罹患した脳1gは、PrPSc を1μg含有し(11)、かつ感染力は1O3.5LD50ユニット/g
である(24)。これは、1感染性粒子/109分子の特異的感染力と同等である。より
高い特異的感染力は、同種間の伝播において認められる(25,26)が、これらの計
算から、マウスのバイオアッセイはBSE感染力の検出に関するPrP免疫化学アッセ
イよりもより大きい感度を提供しないことは明らかである。このアッセイシステ
ムの感度を向上することは、BSEの水平伝播又は垂直伝播が、BSEに感染したウシ
の牛乳(27)、血液、胎盤及び他の抹消組織における感染力 (及びPrPSc)が(明ら
かに)存在しない状況で生じるのはなぜか(26)という科学的難問に光を当てるこ
とができる(28)。
【0022】 FH11及び3F4モノクローナル抗体の特異性 FH11及び3F4のエピトープ特異性は下記のようにマッピングされている (Birke
ttら、未発表;(29))。ヒツジ脳組織切片中の PrPの免疫細胞化学的検出のため
のFH11の使用が報告されている(30);この論文は、そのN-末端特異性及びPrPSc
の検出を増強するためのトリプシンの使用を含んでいる。
【0023】 FH11 (同じくBG4)
【表2】 これらのエピトープの本質的と思われる部分は大文字で示している。これらの
エピトープの「コア」はイタリックで示している。
【0024】 (発明の概要) 本発明は、ひとつの態様において、非−ウシ哺乳類から得た体組織又は体液検
体中のプリオンタンパク質(PrP)を測定するための免疫測定学的方法に関する。
本発明において、この方法は、その抽出及び抗体との結合を促進するためにPrP
に処理を施す工程、並びに前述の工程から得たPrPに、 a)固相に結合した又は結合可能な捕獲用抗体、及び b)検出用抗体を施す工程、並びに 固相に結合した検出用抗体からのシグナルを定量する工程を含む。
【0025】 別の態様において、本発明は非−ウシ哺乳類における伝染性海綿状脳症(TSE)
の診断方法に関し、該方法は、本発明の新規免疫測定学的方法により、該哺乳類
から得た体組織又は体液検体中のプリオンタンパク質(PrP)を測定することを含
む。PrPの存在は、該哺乳類におけるTSEの指標として使用される。
【0026】 更に別の態様において、本発明は、検体が伝染性海綿状脳症(TSE)に感染して
いるかどうかを調べるために血液検体、特にヒト血液ドナーから得られた血液検
体をスクリーニングする方法に関し、該方法は、本発明の新規免疫測定学的方法
により、該血液ドナーから得た全血又は血液分画検体中のプリオンタンパク質(P
rP)を測定することを含む。PrPの存在は、TSE感染の指標として使用される。
【0027】 (発明の詳細な説明) 本発明は、プリオンタンパク質(PrP)を測定するための新規のツーサイト(two-
site)免疫測定学的アッセイに関する。この方法は、エピトープを、好ましくは
分子のN-末端領域のエピトープを認識する捕獲用抗体の使用に関する。検出用抗
体は、PrPが凝集した状態では閉塞された(occuluded)PrP分子のプロテアーゼ抵
抗性コア中のエピトープを認識することが好ましい。タンパク質分解性酵素の限
定された濃度での使用は、PrPの脱凝集を促進する。このことは、検出用抗体の
結合の増加につながる。 「N-末端領域」は、特にPrP分子のアミノ酸55〜95で定義された領域を意味す
る。
【0028】 しかし、捕獲用及び検出用抗体の一方又は両方が、PrP分子のN-末端領域、プ
ロテアーゼ抵抗性コア、又はC-末端領域のエピトープに向けられることは注意し
なければならない。 PrPの処理は、例えば下記のいずれかを含むことができる:(i)制限されたタン
パク質分解;(ii)界面活性剤の添加;(iii)カオトロピック試薬及び/又は溶媒
の添加;(iv)温度の変動;並びに(v)音波処理。これらの処理は、個別に又は組
合せ使用することができる。
【0029】 「PrP分子のプロテアーゼ抵抗性コア」とは、タンパク質分解では分解されな
いようなPrP分子の部分である。この分子の通常の代謝的切断は、アミノ酸領域1
09〜112内にある。この切断は、例えば、組織、細胞型、哺乳類などに応じて変
動するタンパク質分解酵素により引き起こされる。プロテイナーゼKに関して、
切断は、LVGハムスターの263K系の90位領域で生じる。 捕獲用抗体に加え検出用抗体が両方共モノクローナル抗体であることが好まし
い。
【0030】 検出用抗体は、いずれかの検出可能な標識物で標識することができる。しかし
好ましい態様において、この標識物は、ランタニドキレートであり、ここで検出
は時間−分解蛍光測定を基にしている。
【0031】 検体は、例えば、脳組織、脊髄、リンパ組織、脾臓、扁桃腺、全血又は血液分
画である。剖検後の分析については、脳組織が特に好ましい検体である。生きて
いる個体の研究のためには、侵襲性の低い組織検体又は体液検体を使用すべきで
ある。体液検体の例は、全血又はその分画を意味することができる。 哺乳類はあらゆる哺乳類、すなわち、霊長目の動物(ヒト個体又はさる)また
は非−霊長目の動物であり得る。
【0032】 捕獲用試薬としての抗体FH11の使用は、プロテイナーゼK(PK)を使用するPrPSc の検出のあらゆるアッセイシステムにおいて新規であり明らかでないものである
。従来のアッセイシステム(例えばウェスタンブロット分析)は、PrPをそのプロ
テアーゼ抵抗性コアまで消化するのに十分なPKを使用する。このプロテアーゼ-
抵抗性コアは、該分子のN-末端領域においてFH11又はいずれか他の抗体に対する
一次エピトープを有しない。
【0033】 3F4抗体は、ハムスター及びヒトの組織検体中のPrPを検出するために広く使用
されている。しかし、ウェスタンブロット分析におけるヒツジ又はウシPrPの交
差反応性は示されていない。従って、ヒツジ又はウシ組織におけるPrPの測定の
ためのアッセイにおけるその用途は、新規であり明らかでない。ヒツジ及びウシ
エピトープのための3F4の低い交差反応性を説明することができるDELFIAにおい
て得ることが可能な増大した感度のために、それは非常に有用な試薬であること
が証明されている。
【0034】 この抗体の使用のその他の新規態様は、3F4エピトープは、凝集工程において
関連している該分子の「コア」領域内にあるという所見である。PrPが凝集した
状態である場合、3F4エピトープは閉塞され、かつ抗体結合に利用できない。PrP
が限定的PK消化により脱凝集している場合、カオトロピック試薬(例えば>2Mの
塩化グアニジニウム)による処置及び/又は界面活性剤の添加は、3F4エピトープ
を露出し、抗体が結合しシグナルが増大する。
【0035】 低用量のPKは、下記の理由により高度に凝集したPrPの測定を促進することが
できる: 1. 該分子を細胞膜に結合しているそのGPIアンカーからのPrPのタンパク質分
解的切断により達成されるPrPの可溶化。 2. 凝集したPrPに会合した限定的タンパク質分解及びタンパク質除去。これら
のタンパク質は、PrPそれ自身、及びまだ同定されていない非-PrP結合タンパク
質を含む。 3. 結合タンパク質の除去は、PrPの脱凝集を理想的に促進するが、該分子のコ
ア領域内のエピトープの同時露出を伴う界面活性剤が存在する必要はない。
【0036】 PK作用は、限定された濃度のPKの添加により達成することができる。酵素濃度
の増大は、PrPの切断を生じ、一次FR11エピトープの最終的な喪失をもたらすで
あろう。 本発明の免疫測定的方法の結果は、多くの異なった目的に使用することができ
る。これらは、生存している個体又は死亡した個体であることができる、哺乳類
における伝染性海綿状脳症(TSE)の診断に使用することができる。
【0037】 特に重要な用途分野は、検体が伝染性海綿状脳症(TSE)に感染しているかどう
かを調べるために、血液検体、特にヒト血液ドナーから得た血液検体のスクリー
ニングである。この方法は、該血液ドナーからの全血または血液分画検体中のプ
リオンタンパク質(PrP)を測定することを含む。PrPにおける異常性の存在(TSE感
染を示す)を示す血液は破壊する。
【0038】 用途に関する特に重要な分野は、屠殺場における動物体の日常的管理に言及す
ることができる。検体を、各屠殺体から得、かつ分析することができる。TSE感
染を示す体は処分されるであろう。これは、感染した肉及び他の動物ベースの製
品の販売を防止する上で効果的方法である。他方で、健康体の不必要な処分は避
けることができる。従って、この管理法は経済的価値が大きい。
【0039】 本発明は下記の限定されない実施例により詳細に説明されている。 (実験の項) 材料及び方法 1. DELFIA (登録商標)試薬は、EQ & Gウォラック社(20 Vincent Avenue、Cr
ownhill Business Centre、Crownhill、Milton Keynes MK8 OAB)から入手できる
。 1.1 アッセイ用緩衝液 カタログ番号No. 1244-106 ウシ血清アルブミン、ウシグロブリン、Tween 40、不活性赤色色素、及び保存
剤として<0.8%アジ化ナトリウムを含むトリス-HCl緩衝(pH7.8)塩溶液は用時調
製した。バイアルのラベルに記された使用期限まで、2〜8℃で貯蔵した。
【0040】 1.2 洗浄濃縮液 カタログ番号No. B117-100 トリス-HCl緩衝(pH7.8)塩溶液の25-倍濃縮液は、Tween 20及び保存剤としてGe
nnall IIを含有した。使用期限まで、2〜8℃で貯蔵した。洗浄液は、蒸留水で25
倍洗浄濃縮液を希釈することにより調製した(すなわち、濃縮液40mLを1リットル
に希釈)。 1.3 増強液 カタログ番号No. 1244-105 Triton X-100、酢酸及びキレート剤で用時調製した。使用期限まで、2〜25℃
で貯蔵した。直接光を避けた。
【0041】 1.4 ユーロビウム-標識試薬キット カタログ番号No. 1244-302 各キットは、標識試薬0.2mgと、Eu-標準品、増強液、標識したタンパク質の安
定性を増すための安定剤(精製BSA)、コートしていない微量滴定ストリッププレ
ート、アッセイ用緩衝液及び洗浄濃縮液を含む。キット内容物は、タンパク質最
大1mgを標識するのに十分であった。使用期限まで、2〜8℃で貯蔵した。 1.5 低蛍光バックグラウンドのコートしていない微量滴定プレート カタログ番号No. 1244-550 DELFIAプレートは、ストリップ形8 x 12であり、かつ低蛍光バックグラウンド
のプラスチックからNUNCにより製造された。これらは高免疫グロブリン結合表面
を有した(MAXISORB)。
【0042】 2. 他の試薬 2.1 ImmunoPure(A)IgG精製キット 入手先:ピアース・ウォリナー社(英国)(44 Upper Northgate Street、Cheste
r、Cheshire CHL 4EF)、カタログ番号No. 44667 内容物: 1. 最高品質の緩衝塩から、超純粋試薬級水を用い、濾過することにより(0.2
ミクロン)調製した、ImmunoPure IgG結合用緩衝液(1000mL;pH8.0)。この緩衝液
は、保存剤としてEDTAを含有する。 2. ImmunoPure IgG溶離用緩衝液(500ml;pH2.8)。この緩衝液は、窒素で掃流
し酸素を除去した。酸素が存在しない低いpHが、保存剤を使用することなく安定
性が良好な試薬をもたらした。 3. プロテインAアフィニティーパックカラム、5 x 1 mlカラム
【0043】 2.2 アミコン微量濃縮装置(Microcon 30) Microcon濃縮装置は、アミコン社の低結合性、不均等性の親水性YM膜を使用し
た。Microcon-30は、分子量カットオフ値が30,000 KDaの膜を使用した。この装
置は、いずれかのエッペンドルフ遠心装置において使用することができ(例えば
、MSE Micro-Centaur Microfuge)、かつランタニドキレート(又はビオチン)で標
識する前又は後の、簡単で効率的なタンパク質の濃縮、脱塩、及び精製の手段を
提供している。
【0044】 YM膜の低吸収特性、及びこの装置の構成部品は、反転した回収スピンと共に組
合せられ、通常でない高回収率−典型的には検体の95%を、100xと高い濃縮係数
で得る。 入手先:英国ミリポア社(The Boulevard、Blackmore Lane、Watford WD1 SYW)
、カタログ番号No. 42409
【0045】 2.3 標識用緩衝液 炭酸水素ナトリウム緩衝生理食塩水(50mmol/L)を、4.2g NaHCO3 (シグマ社S-8
875)及び9.0g NaCl(シグマ社S-9625)を1リットルの超純水(Milli-Q又は等価物)
中に溶解することにより調製した。得られる溶液のpHを、NaOH(2N;アルドリッ
チ社22,146-5)で、8.5〜9.0の間に調製した。この溶液は2〜8℃で貯蔵した。
【0046】 2.4 コート用緩衝液 サシェ内容物を蒸留水1リットルに溶解することにより調製したリン酸緩衝生
理食塩水(シグマ社1000-3)は、NaCl(120mmol/L)、KCl(2.7mmol/L)及びリン酸緩
衝液(10mmol/L)を含有し、25℃でpH7.4であった。この溶液にアジ化ナトリウム(
シグマ社S-2002、0.1%)を添加した。この溶液は2〜8℃で貯蔵した。 2.5 ブロック用緩衝液 アジ化ナトリウム(シグマ社S-2002;0.1%)及びウシ血清アルブミン(シグマ社
A-7888;2%)を添加したリン酸緩衝生理食塩水(Sigma 1000-3)。2〜8℃で貯蔵し
た。
【0047】 3. 動物の健康に関する機関(IAH)により提供された材料 3.1 モノクローナル抗体 本発明の時点で、入手できる最も有用なモノクローナル抗体は以下のものであ
る: (i)捕獲用抗体−FH11 おおよその濃度:3.9 mg/mL (精製IgG) (ii)検出用抗体−3F4 およその濃度:1 mg/mL (精製IgG)
【0048】 3.2 組換えPrP標準品 3.2.1. GST−ハムスターPrP融合タンパク質 このストック液は、0.48 mg/mLと推定され、かつ4M塩酸グアニジニウムを含有
するカオトロピック緩衝液中で-20℃で貯蔵した。 標準品の調製 保存用PrP-GST融合タンパク質は、アッセイ用緩衝液中に連続的に10倍に希釈
し、下記の一連の希釈標準品を得た:(i)緩衝ブランク;(ii) 0.48 ng/mL;(iii
) 4.8 ng/mL;(iv) 48 ng/mL;(v) 480 ng/mL;及び、(vi) 4800 ng/mL。 これらの標準品は、各実験の前に新たに調製した。
【0049】 3.2.2 ヒスチジン−標識したハムスターPrPタンパク質 引き続きの組換えハムスターPrPタンパク質は、カオトロピック緩衝液中にヒ
スチジン−標識したハムスターPrPタンパク質の抽出物を含んだ。これらの抽出
物のタンパク質濃度は、0.78〜8 mg/mLの範囲であった。保存液は-20℃で貯蔵し
た。
【0050】 3.2.3 組換えウシPrP 組換えウシPrP(4 mg/mL)保存液は、-20℃で貯蔵した。保存液は、アッセイ用
緩衝液中に連続的に希釈し、下記の一連の希釈標準品を得た:(i)緩衝ブランク
;(ii) 4 ng/mL;(iii) 40 ng/mL;(iv) 400 ng/mL;(v) 4000 ng/mL;及び、(v
i) 40,000 ng/mL。これらの標準品は、各実験の前に新たに調製した。
【0051】 ImmunoPure(A) IgG キットを用いる抗体の精製 以下のおよそ0.5mLのアリコート:(i)マウス腹水(3F4);又は(ii)培養上澄み
液(FH11)を、ImmunoPure IgG結合用緩衝液1mLで希釈し、予め結合用緩衝液で平
衡化された固定したプロテインAを予め充填したAffinityPakの1mLカラムに流し
た。クロマトグラフィーを室温で行い、かつ溶離液をフラットベッド記録装置に
連結したUVICORDフロー検出モニターを用いて280nmで追跡した。
【0052】 全てのタンパク質をAffinityPakカラムから流出した時点で、特異的IgGを溶離
し、その後溶離用緩衝液を流した。溶離液中のタンパク質の存在は、モニターに
より検出し、かつ緩衝液はガラスバイアル中に収集した。溶離されたタンパク質
の濃度は、分光光度計を用いて280nmで吸光度を測定することにより推定される
。 カラムを、0.1Mクエン酸の4カラム容量で洗浄することにより再生し、6 N NaO
HでpH3.0に調節した。貯蔵のために、カラムを更に0.02%アジ化ナトリウムを含
有する水5mlで洗浄した。
【0053】 ユーロピウムによる選択された抗体の標識 緩衝液交換 プロテインA上で精製した3F4検出用モノクローナル抗体の500μLアリコートを
、Microcon-30検体保存容器に添加し、エッペンドルフバイアルホルダーに挿入
した。これらのチューブに栓をし、6000rpmで15分間遠心した。その後、溶離液
を取り除き破棄し、更に標識用緩衝液の400μLアリコートを検体容器に添加した
。チューブを先に記したように回転し、更に標識用緩衝液を400μL添加した後こ
の手順を2回以上反復した。
【0054】 最終の調製的遠心分離後、バイアルを検体容器から分離し、これを新たなバイ
アル中に倒立して配置した。この装置に蓋をし、短くパルスすることにより回転
し、濃縮物をバイアルに移した。精製3F4 IgGの濃縮溶液を、標識用緩衝液で希
釈し、およその濃度2〜3mg/mL IgGを得た。
【0055】 標識手順 およそ1mgの濃縮し精製した特異的3F4 IgG調製物を、凍結乾燥した標識試薬(0
.2mg)を含むバイアルに添加した。バイアルにストッパーをつけて、内容物を渦
巻流により穏やかに攪拌し、室温で一晩放置した。
【0056】 精製 未反応の標識試薬からのユーロピウム-標識した3F4モノクローナル抗体を分離
し、前述と同様の手順でMicrocon-30ミクロ濃縮装置を用いて作用させた。しか
しこの精製において使用した緩衝液は、トリス緩衝生理食塩水(TBS;50 nmol/L
トリス-HCl緩衝液、pH7.75、NaCl(0.9%)及びNaN3(<0.1%)を含有)であった。
精製したユーロピウム-標識した抗体はガラスバイアル中に保存した。
【0057】 より精巧な分離のために、結合した標識物をSephadex G-50カラム上でゲル濾
過により除去した。TBS (前述)で溶離を行い、かつカラムを0.001%DTPAを含有
するリン酸緩衝液10 mmol/L(pH4)で洗浄することにより夾雑物を取り除いた。該
タンパク質画分に存在するか、又はしばしば標識時に形成された可能性のある凝
集物は、固相アッセイにおけるバックグラウンドの上昇を引き起こすことが多い
。これらの凝集物は、適当なゲル濾過媒体(例えばSepharose 6B又はSephaczyl S
400)を用いて除去することができる。
【0058】 標識タンパク質の特徴決定 標識した抗体のユーロピウム含量は、増強液中に標識生成物を希釈し(1:10,00
0 v/v)、かつ得られたシグナルを時間分解蛍光光度計で測定することにより決定
した。このカウント数を増強液中のユーロピウム標準品の1:100希釈物から発生
したシグナルと比較した(1nmol/L Eu3+と等量)。 標識抗体のタンパク質濃度は、分光光度計を用いて280nmで決定した。この濃
度は、チオ尿素結合により生じた吸光度を補正することにより調節しなければな
らない(20 Eu/IgG未満のレベルで0.008A/1μmol/Eu L)。
【0059】 貯蔵 良好な安定性のために、標識抗体は、高濃度で、緩衝液中競合金属(又はキレ
ート剤)の不存在下で貯蔵した。濃縮溶液(0.050mg/mL)は+4℃で貯蔵した。重金
属夾雑物を含まないように精製されたBSAからなる標識キット中に入った安定剤
を少量(約0.1%)添加し、安定性を増した。
【0060】 捕獲用抗体として精製モノクローナル抗体FH11及び検出剤としてユーロピウム -標識した3F4を用いるプリオンタンパク質の測定 捕獲用抗体のコーティング DELFIAアッセイの前日、必要数の微量滴定プレートを、コーティング緩衝液で
希釈した(1:1000 v/v)精製したモノクローナル抗体FH11でコーティングした。希
釈した抗体溶液200μLを、マルチチャネルピペットを用いて各ウェルに添加した
。これらのプレートを被覆し、かつ一晩4℃でインキュベーションした。翌日、
プレートをWALLACプレート洗浄装置を用いて 3回洗浄した。 プレートのブロック 各ウェルにブロック用緩衝液200μLを、マルチチャネルピペットを用いて添加
した。これらのプレートを、プレート振盪器上で室温で1時間インキュベーショ
ンした。
【0061】 標準品又は検体の添加 希釈した組換え標準品又は組織抽出物200μLを、適当な微量滴定ウェルにピペ
ットで注入した。これらのプレートを、プレート振盪器上で室温で1時間インキ
ュベーションした。その後、プレートを、プレート洗浄液により3回洗浄し、か
つろ紙上で軽くたたいて乾燥した。
【0062】 ユーロピウム-標識した検出用抗体の添加 アッセイ緩衝液中に希釈した(1:5000 v/v)ユーロピウム-標識した3F4検出用モ
ノクローナル抗体200μLを、エッペンドルフ反復ピペットを用いて各ウェルに添
加した。プレートは、プレート振盪器上で室温で1時間インキュベーションした
。プレートを6回洗浄し、かつろ紙上で軽くたたいて乾燥した。
【0063】 増強液の添加 増強液200μLを、所定のSocorexディスペンサーを用いて各ウェルに添加した
。プレートを、プレート振盪器上で室温で5分間インキュベーションし、かつ123
4プレート蛍光光度計に移した。 検量線 ハムスターの検量線を図1に示した。ウシ検量線は図2に示した。
【0064】 脳組織抽出プロトコール 組織のホモジネート 脳組織を慎重に秤量し、滅菌したDounceホモジナイザーに移した。脳組織1g当
たりホモジネート用緩衝液1.5mLを添加した。 ホモジネート用緩衝液A:PBS (界面活性剤を含まず)又はB:0.5%スルファベ
タインを含有する50mMトリス-HCl(pH7.5)中の1M GdnCL(3-14)。 脳組織は、「loose」ペストルを用いて10〜15パス、ホモジネートした。 ホモジネート用緩衝液1.5mLを添加し、かつ脳組織を更に「tight」ペストルを
用いて、10〜15回ホモジネートした。得られた混合物は、クリーム状乳液であり
、これは脳組織1gは1mLに相当するという仮定を基に、脳ホモジネート25%に相
当した。 この乳液のアリコートをポリカーボネート製超遠心チューブ(ベックマン社)に
移した。
【0065】 タンパク質分解性消化 プロテイナーゼK(シグマ社又はベーリンガー社)を慎重に秤量し、かつPBS中に
溶解し、適当な貯蔵液を得た。PK溶液のアリコートをポリカーボネート製チュー
ブ内の乳液に添加し、PKの最終濃度範囲を0〜100μg/mLとした。これらのチュー
ブをPVCテープで密封し、37℃で30分間穏やかに攪拌しながらインキュベーショ
ンした。10μL Pefabloc SC (PBS中0.5M溶液)を添加し、消化を停止した。
【0066】 初回超遠心 ポリカーボネート製チューブを、ベックマンTL100.3ローターに移し、かつTL1
00超遠心装置において100,000rpmで8分間22℃で遠心した。上清を取り除き、保
存した(一次上清)。抽出用緩衝液を、除去した上清の量と等量添加した。抽出用
緩衝液:0.5%スルファベタインを含有する50mMトリス-HCl(pH7.5)中の6M GdnHC
l(3-14)。ペレットをプラスチック製使い捨てパスツールピペットを用い粉砕し
、再懸濁した。検体を室温で5分間インキュベーションした。 2回目の超遠心 ポリカーボネート製チューブを、TL100超遠心装置において100,000rpmで更に8
分間22℃で遠心した。上清を二次上清と称した。
【0067】 結果 スクレイピー-感染した及び正常ハムスターから得た脳組織抽出物中の PrPの
時間分解蛍光イムノアッセイは、図3に示し、BSE-感染した及び正常畜牛から得
た脳組織抽出物中の PrPの時間分解蛍光イムノアッセイは、図4に示し、かつス
クレイピー-感染した及び正常ヒツジから得た脳組織抽出物中の PrPの時間分解
蛍光イムノアッセイは、図5に示した。
【0068】 典型的PK滴定実験は、脳ホモジネート総量10mLの生成に関連していた。これは
、脳組織2.5gと同等であった(およそ2.5脳)。10アリコート(0.8mL)を、個別のポ
リカーボネートチューブに移し、かつ同容量のPKを10個の異なる濃度で加え、各
チューブの同等性を確実にした。この完全な実験は、正常及びスクレイピーハム
スター脳について4回繰り返し、かつ濃度及びPK滴定プロファイルに関する本質
的に同じ結果を得た。この方法は、ウシ及びヒツジの脳組織についても適合させ
、かつ同様の結果を得た。
【0069】 この抽出法において、PKは二重作用を有した。これはPrPcを消化するのみなら
ず、一次及び二次抽出物中のPrPの測定を容易にした。 例えばPKの5μg/mLは、ハムスター脳組織において、PKなし又はPK 100μg/mL
の存在下で処理された検体よりも最大100倍多くPrPを「放出する」。
【0070】 本発明の方法は、本明細書において単にそのいくつかのみが説明され、様々な
態様の形を組入れることができることは理解されるであろう。当業者には、本発
明の精神から逸脱しない他の実施態様が存在することは明らかであろう。従って
説明された実施態様は、例証のためであり、限定として構成されたものではない
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ハムスターPrPの検量線を示す。
【図2】 図2は、ウシPrPの検量線を示す。
【図3】 図3は、ハムスター脳組織におけるPrPアッセイを示し、この実験では、検出さ
れたPrP濃度を、プロテイナーゼK濃度に対してプロットしている (黒棒:スクレ
イピー、及び斜線付き棒:正常)。
【図4】 図4は、ウシ脳組織におけるPrPアッセイを示し、この実験では、検出されたPr
P濃度を、プロテイナーゼK濃度に対してプロットしている (黒棒:BSE、及び斜
線付き棒:正常)。
【図5】 図5は、ヒツジ脳組織におけるPrPアッセイを示し、この実験では、検出された
PrP濃度を、プロテイナーゼK濃度に対してプロットしている (黒棒:スクレイピ
ー、及び斜線付き棒:正常)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 バーナード,ジョフリー ジョン ラッセ ル イギリス国,ドーセット ビーエイチ22 0エーアール,ウエスト ムーアズ,パイ ンハースト ロード 88 (72)発明者 バーケット,クリストファー ロビン イギリス国,バークシャー オーエックス 10 0キューワイ,オクソン,ウォーリン グフォード,ブライトウェル−クム−ソッ トウェル,キングス オーチャード 9 Fターム(参考) 4B064 AG27 DA13 4H045 AA11 AA30 DA76 EA54

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程を含む、非−ウシ哺乳類から得た体組織又は体液検
    体中のプリオンタンパク質(PrP)を測定する免疫測定学的方法: −その抽出及び抗体との結合を促進するために、PrPに処理を施す工程、及び −前記工程から得たPrPに a)固相に結合した又は結合可能な捕獲用抗体、及び b)検出用抗体を施す工程;並びに、 −固相に結合した検出用抗体からのシグナルを定量する工程。
  2. 【請求項2】 前記処理が限定的タンパク質分解である、請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 PrPがタンパク質分解性酵素がプロテイナーゼKである、請求
    項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記捕獲用抗体及び検出用抗体が、モノクローナル抗体であ
    る、請求項1、2又は3記載の方法。
  5. 【請求項5】 捕獲用抗体が、FH11であり、かつ検出用抗体が3F4である、
    請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 検出用抗体がランタニドキレートで標識されている、請求項
    1〜5項のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記検体が、脳組織、脊髄、リンパ組織、脾臓、扁桃腺、全
    血又は血液画分である、請求項1〜6項のいずれか1項記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記哺乳類が霊長目の動物、特にヒト個体である請求項1〜
    7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記検体が全血又は血液分画である請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 非−ウシ哺乳類において、伝染性海綿状脳症(TSE)を診断
    する方法であって、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法により、該哺乳類の
    体組織又は体液検体中のプリオンタンパク質(PrP)を調べ、ここでPrPの存在を該
    哺乳類のTSEの指標として使用することを含む前記方法。
  11. 【請求項11】 前記TSEがヒツジにおけるスクレイピー、クロイツフェル
    ト・ヤコブ病(CJD)または他の出現するヒトTSE、たとえば、致死性家族性不眠症
    (FFI)である請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 検体が伝染性海綿状脳症(TSE)に感染しているかどうかを
    調べるために、血液検体、特にヒト血液ドナーから得られた血液検体をスクリー
    ニングする方法であって、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法により、前記
    血液ドナーからの全血または血液分画の検体中のプリオンタンパク質(PrP)を測
    定することを含み、ここでPrPの異常性の存在を、TSE感染の指標として使用する
    前記方法。
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