JP2002529418A - アンスラサイクリン抗生物質を用いる処置による、新形成物を有する患者の治療法 - Google Patents

アンスラサイクリン抗生物質を用いる処置による、新形成物を有する患者の治療法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アンスラサイクリン抗生物質による治療を含む補助薬療法による、新形成物を有する患者の治療法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
癌治療に今日使用されている多くの抗新生物薬の事実上全てがきわめて重大で有
害な副作用を有する。これは、癌治療が、急速に分裂している細胞の増殖を妨げ
る薬物によって通常なされるからである。そのような薬物は癌細胞の増殖を阻害
することができるが、それらは生体内で急速に分裂する 正常細胞 の増殖をもほ
とんど常に阻害する。きわめて急速に分裂する正常組織には、骨髄(これは血球
を産生する)、毛胞、および腸管上皮などが含まれる。事実上全ての抗新生物薬
の有用性は、これら正常組織にそれらがもたらす傷害によって大きく限定される
。 本発明は、アンスラサイクリン抗生物質(通常の化学療法剤)およびサイクリッ
クGMP(cGMP)特異性ホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビターの双方を用いて
副作用を軽減するかアンスラサイクリン抗生物質の治療効果を高める、新形成物
の治療法に関する。現行の療法では、アンスラサイクリン抗生物質(例えば、ド
キソルビシン)は、ある種の癌、とくに白血病ならびに軟組織および骨の肉腫な
どの多発性新生物性異常の治療に通常は用いられる。
【0002】 ドキソルビシンは、アンスラサイクリン抗生物質類の一つで、カビ(放線菌)St
reptomyces peucetius var. caesiusの培養物から分離される。現在、ドキソル
ビシンはルベックス(Rubex)およびアドリアマイシン(Adriamycin)の商品名
で用いられている。 ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、ヴィルムス
腫瘍、神経芽細胞腫、軟組織および骨の肉腫、胸部、卵巣、膀胱および甲状腺の
癌腫、ならびにホジキン病型および非ホジキン病型のリンパ腫などの、新生物性
異常における退化を誘導するために用いられてきた。 ドキソルビシンは、おそらくその環構造のDNA二重ラセンへの挿入によって、核
酸に結合する。この挿入は、DNA合成およびDNA依存性RNA合成を妨げる。ドキソ
ルビシンは、新油性、かつ親水性要素を有し、分子は酸および塩基の両官能基を
有する両性である。ドキソルビシンの構造は、細胞膜および血漿タンパク質への
結合を可能にしており、それは多数の細胞機能に影響を及ぼすと考えられる。
【0003】 ドキソルビシンの還元は、水酸遊離基を含む多数の反応性化学種を生じ、これは
ドキソルビシンの心臓毒性活性に関わるとされてきた。心筋毒性はドキソルビシ
ンの最も重大な副作用で、その最も重篤なかたちは潜在致死性鬱血性心不全(CH
F)として現れる。CHFの危険性は、ドキソルビシンの総蓄積投与量に基づいて投
与量依存的に増加する。生命を脅かす急性不整脈がドキソルビシン投与後まもな
く起きることが報告されている。その他の心臓学的影響は、ドキソルビシン治療
を中止してから数ヶ月から数年後に起き得る。 重症の骨髄抑制もまた、ドキソルビシン治療の結果として起き得る。白血球は感
染防御に必要であるが、これが主として影響を受ける。しかし、赤血球および血
小板レベルもまた下がり得る。ドキソルビシンは、尿酸過剰血症、すなわち血液
中の尿酸濃度の増加を起こし得る。これは、新生物細胞、とくに白血病患者の新
生物細胞の急速な溶解の影響である。 他の副作用には、通常は完全で一時的である禿髪症、すなわち脱毛、および吐き
気や嘔吐などの胃腸管症候群がある。
【0004】 アンスラサイクリン抗生物質の臨床的価値は、その心筋毒性によって著しく制限
される。多くの誘導体が、心臓毒性の少ない有効な抗腫瘍剤を求めて作り出され
た。一つの天然由来の類似体は、核酸合成を阻害するダウノルビシン(セルビジ
ン(Cerubidine))である。通常、ダウノルビシンは他の化学療法と組合わせて
、成人の急性非リンパ性白血病ならびに成人および子供の急性リンパ性白血病の
緩解誘導のために用いられる。 ダウノキソムはダウノルビシンのリポソーム調製物で、もとの場所で充実性腫瘍
への選択性を最大にするために使用される。これは、進行したHIV関連カポジ肉
腫のための最初にとるべき療法として用いられる。 ダウノルビシンの副作用は、ドキソルビシンの副作用と同様である。それには骨
髄抑制が含まれ、これはダウノルビシンの治療的投与量を受けた全患者に起き得
るとPhysicians' Desk Reference (医者用デスク・リファレンス)は警告してい
る。副作用にはさらに心臓毒性が含まれる。
【0005】 イダルビシンは合成類似体で、シタラビンと組合わせて、これも主として急性白
血病の治療に用いられる。臨床研究で用いられてきた他の合成類似体には、エピ
ルビシンおよびミトキサントロンが含まれる。 本発明はまた、抗新生物性cGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビターの、哺
乳類の前癌性および癌性病変の治療および予防に使用されるアンスラサイクリン
抗生物質との組み合わせ使用をもたらす方法に関する。 新規の作用機序が公に発表されると、競争者らは、二次標的に作用し得る化合物
(例えば、COX標的を攻撃するスリンダク)を有する競争者でさえも、彼らの化
合物が全体または部分的に同一新規機序で作用すると医療界に示唆することによ
って、開発者のおかげで利益を得ることができる。そのような行為によるそのよ
うな競争者への利益は、薬品開発事業に携わる当業者にはきわめて明白である。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、アンスラサイクリン抗生物質(例えばドキソルビシン)およびサイク
リックGMP特異性ホスホジエステラーゼ (PDE) インヒビターの双方での患者治療
に関与する癌治療の改善された方法に関する。本発明に有用な特異的PDE インヒ
ビターは、後記するPDE5 および PDE2型の双方を阻害する化合物である。ここに
開示する新規型の PDE2 は、Liuらによって共係属中 米国 特許出願シリアル No
. 09/173,375「A Novel Cyclic GMP-Specific Phosphodiesterase And Methods
For Using Same In Pharmaceutical Screening For Identifying Compounds For
Inhibition Of Neoplastic Lesions(新規サイクリック GMP特異性ホスホジエ
ステラーゼおよび新生物病変の阻害のための化合物同定のための薬物スクリーニ
ングにおけるその使用方法)」に詳細に記載されている。(一般的PDE の背景に
関しては、Beavo, J. A. (1995) Cyclic nucleotide phsphodiesterases: funct
ional implications of multiple isoforms (サイクリックヌクレオチドホスホ
ジエステラーゼ:複数イソフォームの機能的関与)Physiological Reviews 75:7
25-747; ウェブサイト <http://weber.u.washington.edu/~pde/pde.html> (1998
年11月) を参照されたい。)
【0007】 本発明において、cGMP特異性 PDE インヒビターは、アンスラサイクリン抗生物
質と二つのやり方で組み合わせて用いることができる。第一の方法は低投薬量を
用いる方法で、アンスラサイクリン抗生物質の治療効果を維持して副作用を軽減
しながら、その従来推奨投与量の範囲を減らすものである。第二の方法はより高
い投与量を用いる方法で、アンスラサイクリン抗生物質の従来推奨投与量の範囲
を採用して、その副作用を増強せずにその活性を改善するものである。 それぞれの方法で、アンスラサイクリン抗生物質は適切なcGMP特異性ホスホジエ
ステラーゼインヒビターと同時にまたはそれに続いて投与される。 低投与量による方法では、アンスラサイクリン抗生物質は約40 mg/m2 以下の薬
量で投与される。高投与量による方法では、アンスラサイクリン抗生物質は約40
mg/m2ないし 60 mg/m2の薬量で投与される。 本発明はまた、癌および前癌性病変の治療のためのcGMP特異性PDE インヒビター
のアンスラサイクリン抗生物質との組み合わせ使用を記載した記述物 を合わせ
て提供する包装された薬剤組成物に関する。
【0008】
【好ましい実施態様の詳細な説明】
以下により詳細に検討するように、cGMP特異性PDEの阻害は、新生物細胞におい
てアポトーシスを誘発し得る。アンスラサイクリン抗生物質は、新形成物、とく
に白血病ならびに軟組織および骨肉腫の治療に現在用いられる。これら二つのタ
イプの療法を組み合わせることによって、いずれも個々では生じ得ない効果を生
み出すことができる。
【0009】 I. 総論 上記説明したように、本発明は、ここに記述する系路によってアンスラサイクリ
ン抗生物質誘導体と協同して作用する特定クラスの抗新生物性cGMP PDE インヒ
ビターの使用をもたらす方法である。この方法は、ここに記載する一つ以上の特
性を有するそのようなインヒビターを含む薬剤組成物を得ること、医師および患
者にこれら特性に関して情報提供すること、該薬剤組成物を医師および治療を要
する患者に提供すること、そして該薬剤組成物をアンスラサイクリン抗生物質治
療と合わせて患者に与えることを含む。本発明はまた、アンスラサイクリン抗生
物質を含む薬剤組成物を得ること、該薬剤組成物を医師および治療を要する患者
に提供すること、そして該薬剤組成物を抗新生物cGMP PDEインヒビターと合わせ
て患者に与えることを含む。
【0010】 「医師および患者に情報提供する」という表現で我々の意味するところは、全範
囲の直接的または間接的医療教育的活動であって、それによって薬剤は(基本的
には)医師に、それによって患者に売られる。単なる例であるが、例えば、製造
者が要求される(以下に記述するタイプの)規定された研究を実施して、彼の化
合物がここに記述される特性を有するかどうかを確認して、次いで、これら研究
の結果を一つ以上の出版物に公表すること、または、そのような情報を薬剤に付
する包装挿入物に含めることなどがあげられる。あるいはまた、製薬会社がその
ような規定された研究を第三者によってなされるように支援または開始すること
ができ、そして、そのような第三者の研究結果が公表される。
【0011】 次いで、これら報告は製薬会社によって医療教育および販売活動において使用さ
れる。例えば、公表報告物のコピーは会社またはその代行者によって集会または
オフィスで医師に直接配布され、薬剤がその使用の正当性を保証する特性を確か
に有することを医師に納得させることができる。あるいはまた、これら報告物は
会社またはその代行者によって直接または間接的にインターネットで発表するこ
とができる。また、会社は継続的医療教育担体を準備(または既に準備されたも
のを利用)して、そのようなデータを医師に提供するイベントを組織する。これ
らおよび同様の活動努力は、医師、そして患者への情報提供のために製薬会社に
よって用いられ、それによって、そのような薬剤の処方者および使用者は、製造
者によって販売される薬剤がここに記述される特性の一つ以上を有することを理
解するに至る。
【0012】 「包装薬剤」という表現で我々の意味するものは、薬剤(抗新生物cGMP PDEイン
ヒビターまたはアンスラサイクリン抗生物質のいずれかで患者に投与されるよう
に調剤されたもの)を、瓶またはブリスター包装(これは次いで他の瓶やブリス
ター包装とともに箱に入れても入れなくてもよい)、IV(点滴用)袋、エアゾル
吸入器、注射器、軟膏用チューブなどに包装したものである。「記述物」とは、
ここに記載の特性の一つ以上を有することを特徴とする該化合物の記述、および
本発明の教示による使用法を通常は含むものである。一つの、しかしそれには制
限されないタイプの記述物としては包装挿入物があるが、パンフレットなどの他
のタイプもある。記述物としてはまた(しかし、これには限定されないが)、電
子形式のものも含まれる。 包装物のそのような記述物は、容器の外側に付したり(取り外し可、ないしは他
のやり方で)、または容器自体の内側(例えば、錠剤の場合は錠剤を入れた瓶の
内部に)に供することができる。あるいはまた、瓶詰め薬剤が輸送容器(例えば
、箱)中に複数個の瓶で包装される場合は、記述物の一つ以上のコピーを外箱内
に配置することができる。瓶詰め薬剤が個々の箱に入れられる場合は、記述物は
箱の内側または箱の上に配置することができる。
【0013】 II. 新規のcGMP特異性ホスホジエステラーゼおよび 新生物細胞からのPDE2
A. 総論 本発明に含まれる系路の一局面は、環境によって、新規構造を示すPDE2 および
従来のものの阻害である。 PDE5の阻害に加えて、アポトーシス誘発性PDE5阻害
剤はこの PDE2様酵素を阻害し、アポトーシスを誘導しないPDE5 阻害剤がこのは
PDE2様酵素を阻害することは見出されていない。
【0014】 B. 新規 PDE 構造物の分離 ここに記述する系路の一局面において、分離された cGMP特異性ホスホジエステ
ラーゼ(PDE2の新規構造物と思われる)は、American Tissue Type Collection
(Rockville、Maryland、U.S.A)から入手可能な一般にSW480と称されるヒト癌
腫細胞系から最初に調製された。SW480 は、中程度に分化した上皮腺癌に由来す
るヒト結腸癌細胞系である。以下に述べるように、同様の構造物はまた、乳房(
すなわち、HTB-26 細胞系)および前立腺(すなわち、LNCAP 細胞系)の新形成
物から分離されている。
【0015】 「分離された」という表現で我々の意味するところは(当業者に理解されるよう
に)、新生物細胞からの分離だけではなく、組換法(例えば細胞または他の非ヒ
ト宿主ベクター細胞系中で発現される)によって作出されることも含む。 しか
し、我々は現在、ヒト新生物細胞系から分離された標的タンパク質は、それが新
生物細胞中の天然の構造物の一つと同一、さもなければより近い構成(例えば構
造または構造的特徴)を有すると考えることから、ヒト新生物細胞系からの分離
が好ましいと考える。この構造は、インビボで標的細胞を阻害するであろう抗新
生物化合物の選択において助けとなる。
【0016】 新規PDE活性は、SW480結腸癌細胞系において最初に見出された。SW480から新規
ホスホジエステラーゼを分離するために、約4億個のSW480 細胞をコンフルエン
トになるまで増殖させて、150 cm2 の組織培養皿から掻きとって、10 mLの冷PBS
で2回洗浄後に、遠心分離によってペレットとした。細胞を均質化用緩衝液(20
mL TMPI-EDTA-トリトン pH 7.4: 20 mM トリス-HOAc、5 mM MgAc2、0.1 mM EDT
A、0.8% トリトン-100、10μM ベンズアミジン、10μM TLCK、2000 U/mL アプロ
チニン、2 μM ロイペプチン、2 μM ペプスタチン A)に再懸濁させて、ポリト
ロン・ティッシュマイザー(tissumizer)を用いて氷浴上で均質化処理した(3
回、 20秒/パルス)。均質化物を、ベックマンL8超遠心機で 105,000 g 、4℃
で60 分間遠心分離して、上清をTMPI-EDTA (60 mL) で希釈して、TMPI-EDTA 緩
衝液で予め平衡にしておいた10-mL DEAEトリスアクリル M カラムに供した。そ
のカラムを60 mL の TM-EDTAで洗浄して、TM-EDTA 中のNaOAC (0-0.5 M) の120
mL直線勾配を用いて、流速0.95 mL/秒、1.4 mL/フラクションで、PDE 活性を
溶出した。80フラクションを集めて、直ちに(すなわち、数分内)cGMP 加水分
解についてアッセイした。図1は、カラムの溶出プロフィールを示すが、cGMP P
DE活性の二つの最初のピークAおよびBが見られ、これらはそれぞれNaOAC の40-5
0 mM および70-80 mMで溶出された。以下に説明するように、ピークAはPDE5であ
り、一方のピークBは新規のcGMP特異性ホスホジエステラーゼ活性である。
【0017】 各フラクションのサイクリックヌクレオチドPDE活性を、以下にさらに記述する
ように、Thompsonら(Thompson W.J., et al., Adv. Cyclonucreotide Res. 10:
69-92, 1979)の改変二ステップ放射線同位元素法を用いて決定した。反応は ト
リス-HCl (40mM、pH 8.0)、 MgCl2 (5mM)、2-メルカプトエタノール(4 mM)、ウ
シ血清アルブミン (30 μg)、cGMP (0.25μM-5μM) 、さらにコンスタント・トリ
チウム化基質 (200,000 cpm)を含む 400 μl 中で行った。 インキュベーション
時間は15% 以下の加水分解となるように調整した。混合物を30℃でインキュベー
トした後、45秒間煮沸して反応を止めた。次いで、混合物を冷却して、ヘビ毒(5
0μg)を加えて、混合物を30℃で10分間インキュベートした。MeOH (1 mL) を加
えて反応を止め、混合物を陰イオン交換カラム (Dowex 1-X8、0.25 mL 樹脂)に
移した。溶離液に再び1mL のMeOHを加えて、樹脂に供し、6 mL のシンチレーシ
ョン液を添加した後、トリチウム活性をBeckman LS 6500を用いて1分間測定し
た。
【0018】 ピークA および B のcGMP 加水分解活性をさらに分画するために、オリジナルの
80フラクションの15 から 30 までをDEAEトリスアクリル M カラムに再び供して
、TM-EDTA中のNaOAC (0-0.5 M)の直線勾配を用いて溶出した。フラクションを、
再び直ちにcGMP 加水分解について(上記の方法で0.2、 2、5μM 基質を用いて
)アッセイした。その結果をグラフにして図2に示す。図2に示したピークBで
は、ピークAと比較した場合、cGMP の基質濃度増加を上げると活性がめざましく
促進されることが注目される。この知見はPDE2で見られるものと一致するが、図
2で特徴付けられる酵素がcGMP特異性(下記を参照)であるという事実はそれが
文献で報告された典型PDE 2と比べると新規の構造を有することを示唆している
。ピークA活性は、高親和性触媒部位の明らかな基質飽和を示す。
【0019】 C. SW480からの典型PDE2 の分離 酵素が典型PDE2活性(すなわちcGMP特異性ではないがcGMP作用性)を有するよう
にピークBを SW480から分離できる、二つの方法が見出された。第一の方法では
、SW480を、150 cm2 の組織培養フラスコの代わりに850 cm2 のコーニングロー
ラーボトル中で増殖させた。SW480 を、200 mL のRPMI 1640、2 mM グルタミン
および25 mM HEPESを含む各ローラーボトル中で0.5 rpmで 回転して増殖させた
。細胞を次の方法で集めた。 PBS 培地を37 ℃まで少なくとも15分間加温した。200 mL の5% FBS/RPMI 1640
完全培地を調製して、5 mL のグルタミンを加えた。5 mL の抗生物質/抗真菌物
質をさらに加えた。
【0020】 70 mL の PBS 溶液を10 mL の 4X パンクレアチンに加えた。 混合物を室温に
保持した。培地を除去して、フラスコを底が覆われているのを確認しながら4 mL
の PBSでフラスコをリンスした。ピペットを用いて全溶液を除去した。4 mL の
希釈パンクレアチンをフラスコに加えて、その底を覆うようにフラスコをさっ
と振った。フラスコを37℃で 8-10 分間インキュベートした。インキュベーショ
ンの後、フラスコを倒立顕微鏡下で速やかに調べて、全細胞が円くなったのを確
認した。フラスコの側面を注意しながら数回叩いて、細胞の剥離を容易にした。
10 mL の冷完全培地をフラスコに加えて、パンクレアチンタンパク分解を止めた
。溶液を底を旋回させるように動かして、細胞を集めた。培地を25 mLピペット
を用いて除去して、細胞を氷上の50 mL 遠沈管に移した。遠沈管を臨床用遠心分
離機で1000 rpm 、4℃で5 分間回転させて、細胞をペレットとして得た。上清を
注ぎ出して、各ペレットを液体窒素上で15 秒間凍結させた。集めた細胞は -70
℃のフリーザー中に保存することができる。
【0021】 集めたSW480細胞からのPDEを、FPLC 法を用いて分離した。ファルマシアAKTA FP
LC を用いて、18 mL DEAE トリスアクリルM カラム上でのサンプル供給および溶
出を制御した。約6億個のSW480細胞をプロフィールに用いた。 細胞を均質化用
緩衝液 (20 mL TMPI-EDTA-トリトン pH 7.4: 20 mM トリス-HOAc、5 mM MgAc2
0.1 mM EDTA、0.8% トリトン-100、10μM ベンズアミジン、10μM TLCK、2000
U/mL アプロチニン、2 μM ロイペプチン、2 μM ペプスタチンA)に再懸濁させ
た後、サンプルを手動で均質化した。FPLC 緩衝液A は、8 mM TRIS-酢酸塩、 5
mM Mg 酢酸塩、0.1 mM EDTA、pH 7.5 を用い、緩衝液 B は、8 mM TRIS-酢酸塩
、5 mM Mg 酢酸塩、0.1 mM EDTA、1 M Na 酢酸塩、pH 7.5を用いた。上清を1 mL
/分の速度でカラムに供し、次いで、60 mL の緩衝液 A で1 mL/分で洗浄した
。勾配は、 0-15% 緩衝液 B 60 mLから15-50% 緩衝液 B 60 mLおよび50-100% 緩
衝液 B 16 mLで行った。勾配の間、1.5 mLずつのフラクションを集めた。
【0022】 得られたプロフィール(図26)は、上記で得られた新規 PDE 活性のプロフィー
ル(例えば、図1を参照)と同様であった。ただし、このようにして得られたピ
ーク B は、5 μM cGMP によって2-3倍活性化され得る0.25 μM基質でcAMP 加水
分解活性を示した。 SW480 からの典型PDE2の分離に使用される第二の方法は、上記した非-FPLC DEAE
カラム法 (セクションIIBを参照)を用いるものであるが、緩衝液は30% エチ
レングリコール、10 mM TLCK および 3.6 mM β-メルカプトエタノールを含むよ
うに改変された。これら試薬の緩衝液への添加によって溶出プロフィール(図 2
5を参照) に低から高への酢酸ナトリウムの移動が生じ、ピークA は40 から150
mMに、ピークB は75から 280 mM に、そしてピークC は 200 から500 mM Na 酢
酸塩濃度に、それぞれ移動した(図 25を参照)。 図25のピークB を、2 μM cA
MP 基質を用いてアッセイした結果、5 μM cGMPによる2倍の活性化が示された
(図 26を参照)。 選択的 PDE2 インヒビター EHNA は、ピークBにおける2 μM c
GMP PDE 活性を IC50 1.6 μM で阻害し、ピークBにおける 2.0 μM cAMP PDE
活性を3.8 μMの IC50で阻害した(さらに、10 μM ロリプラムの添加で2.5 μM
の IC50で阻害した)。
【0023】 D. PDE ピークA のcGMP特異性および新規ピーク B 活性 セクションIIB からのDEAE カラムからの各フラクションもまた、Ca++またはCa+ + -CaM および/または EGTAの存在下または非存在下でのcGMP加水分解活性 (0.2
5μM cGMP)、および5μM cGMPの存在下または非存在下でのcAMP (0.25μM cAMP)
加水分解活性についてアッセイした。PDEピークAおよびピークB(フラクション5
-22、図1を参照)のいずれもcAMP を有意に加水分解せず、これによっていずれ
もPDEの典型cAMP-加水分解 ファミリー(すなわち PDE 1、2、3)の活性を有しな
いことが確立された。 Ca++ (カルモジュリンを含むあるいは含まない) は、ピークA または B のいず
れのcAMP またはcGMP加水分解活性のいずれをも活性化せず、cGMP はcAMP 加水
分解を活性化も阻害もしなかった。このような結果は、ピークA および B は cG
MP特異性 PDE 活性を構成するが、典型すなわち既知のPDE1、PDE2、PDE3 または
PDE4 活性は構成しないことを証明する。 新規のPDE ピークBに関して、以下に検討するように、サイクリックGMPは酵素の
cGMP 加水分解活性を活性化したが、いずれのcAMP 加水分解活性も活性化しな
かった(上記 セクション IICからのピークBと対照的)。これによって、新規 P
DE ピーク B、すなわち本発明の新規ホスホジエステラーゼは、cGMP-刺激 cAMP
加水分解 (「cGS」)ではなく、公知のPDE2はcGMP および cAMPの双方を加水分解
することから典型すなわち既知PDE2 ファミリー活性にも属しない。
【0024】 E. ピーク A は典型PDE5であるが、新規ピークBすなわち新cGMP特異性 PDEは
そうではない PDEイソフォームを特徴付けするために、動力学的挙動および基質優先性を評価
しなければならない。 ピークAは、典型的な「PDE5」特性を示した。例えば、cGMPについての酵素のKm
は1.07 μMで、Vmax は0.16 nmol/分/mgであった。加えて、以下に検討するよう
に、ザプリナスト(IC50=1.37μM) および E4021 (IC50=3 nM) およびシルデナフ
ィルがピークAの活性を阻害した。さらに、ザプリナストはピークAのcGMP 加水
分解活性について阻害を示し、これは文献に報告された結果と一致した。 セクションIIBからのPDE ピーク B は、PDE ピーク A と比較してかなり異なる
動力学的性質を示した。例えば、ピークAの イーディー・ホフステー- プロット
において、サイクリック GMP 加水分解は基質濃度の増加につれて負の勾配とな
る単一直線を示し、これはミカエリス・メンテンの動力学的挙動を示すものであ
る。しかし、ピークBは、cAMPの非存在下で cGMP加水分解について新規の性質を
示す。すなわち、イーディー・ホフステー- プロットすると cGMP 基質増加とと
もに減少勾配 (見かけの Km = 8.4)、次いで増加勾配 (Km < 1)が得られる (図
3を参照)。したがって、これはcGMPについてのピークBのマイクロモル以下の
親和性を確立する(すなわちKm < 1で)。
【0025】 濃度増加するcGMP基質の存在下での増加したcGMP 加水分解活性は、cGMP基質存
在下での動力学的研究(すなわち図3)および正の協同的動力学的挙動と一致し
た。これは、cAMP 加水分解を除外し、この新酵素が既に同定されたPDE5である
ことを考慮から外すための第二のDEAE 分離後に、PDE ピーク B の存在下でcGMP
濃度0.25 μM、2 μM および5 μM を比較することによって見出された。図2
で示されるように、より高濃度のcGMP は、PDE ピークB で不均衡により著しいc
GMP加水分解を誘起した。 これらの観察結果は、ピークB酵素に結合しているcGMPが酵素内に構造変化を起
こさせることを示唆する。これによって新生物細胞からの天然酵素の使用の有利
性が確認されるが、本発明は上記に記載の特性を有する天然型の酵素には限定さ
れない。
【0026】 F. ピークAと比較したPDE ピーク Bのザプリナスト-およびシルデナフィル-
非感受性、および他の PDEインヒビターに及ぼすそれらの影響 異なる PDE インヒビターを、0.01 から 100 μM の12の薬剤濃度および0.25
μM 3H-cGMPの基質濃度を用いて調べた。IC50 値を、可変勾配、プリズム 2.01
(GraphPad)を用いるS字曲線適合を用いて算出した。結果を表1に示す。化合物E
4021およびザプリナストはピークA(高親和性で)を阻害したが、ピークB(セクシ
ョンIIB)の新規PDE 活性に対して算出された IC50 値は有意に増加する (>50
倍)。これによって、ピークAはPDE5であることが確認される。これらデータはさ
らに、本発明の新規PDE 活性が、全ての実用目的で、ザプリナスト非感受性およ
びE4021非感受性であることを示す。
【0027】
【表1】 ピークAおよびセクションIA ピークBに対する、PDE インヒビターの比較 (cGMP 加水分解)
【0028】 対照的に、硫化スリンダクおよび化合物Eは、ピークAおよびBホスホジエステラ
ーゼの双方を同じ効力で拮抗的に阻害した(PDE ピーク Aの IC50=0.38 μM、PDE
ピークB のIC50=0.37 μM)。 新形成物の治療およびそのような治療のための有用な化合物の選択のための有意
性が、ピークAおよびBの双方が硫化スリンダクおよび化合物Eに感受性であるの
に対してピークB(いずれの型でも)がザプリナスト非感受性であるという事実
に見出される。我々は、ザプリナスト、E4021およびシルデナフィルを試験して
、これらがアポトーシスを誘発するか、新生物細胞の増殖を阻害するかを確認し
た。同じ試験を化合物Eについて行った。以下に説明するように、ザプリナスト
はそれ自体では有意なアポトーシス誘発性や増殖阻害的性質を有しないが、硫酸
スリンダクおよび化合物Eは、全くその逆である。すなわち、ある化合物のPDE
ピーク AおよびB の双方に対する阻害能は、新生物細胞中でのそのアポトーシス
誘発能と相関し、一方、化合物(例えば、ザプリナスト)がPDEピークAへの特異
性のみを有する場合はその化合物はそれだけではアポトーシスを誘発しないであ
ろう。
【0029】 G. cGMP依存性プロテインキナーゼ Gとのインキュベーションに対する、新規
PDE ピークB の非感受性 PDE ピーク A と新規ピーク B (セクションIIB)とのさらなる違いが、種々の濃
度のcGMP-依存性プロテインキナーゼG (これは典型PDE5を燐酸化する)の存在下
でのそれぞれの cGMP加水分解活性に見られた。詳細には、 セクションIIBから
のピークA およびピーク B フラクションを、種々の濃度のプロテインキナーゼG
とともに30℃ で 30 分間インキュベートした。燐酸化を試みた後で、両ピーク
のサイクリック GMP 加水分解 をアッセイした。 既に公開された PDE5に関する
情報と一致して、ピーク Aはプロテインキナーゼ G インキュベーションに応答
してcGMP 加水分解活性の増加を示し、これはピーク A が燐酸化されたことを示
した。しかし、ピーク B は変わらなかった (すなわち燐酸化 されず、cGMP-依
存性 プロテインキナーゼ G との インキュベーションに非感受性だった) 。こ
れらの データは、ピーク A が公知のPDE5 ファミリーと一致するイソフォーム
であることおよび セクション IIBからのピーク Bが 新規 cGMP特異性 PDE 活性
であることと一致する。
【0030】 H. 前立腺癌および乳癌細胞系における新規 ピーク B 新規 ピーク B はまた、二つの他の 新生物細胞系、すなわち乳癌 細胞系の HTB
-26および 前立腺癌細胞系のLnCAPから、SW480からのその分離に用いた上記のも
のと同様の方法で分離される。プロトコールは種々の点で変更された。異なる細
胞系の比較ができるようなより高い再現性を得るために、ファルマシア AKTA FP
LC を用いて、18 mL DEAE トリスアクリルM カラム上でのサンプル供給および溶
出を制御した。 SW840 を同じ方法で複数回処理して、ピーク Bのレファランス
を得た。2-4億個のSW480細胞 をプロフィールに用いた。7千万個のLnCAP細胞
を プロフィール (図 22 および 23を参照)に用い、別の 実験 では3.2千万個
のHTB-26細胞 をプロフィール(図 20 および 21を参照)に用いた。細胞 を均質
化用緩衝液に再懸濁させた後、サンプルを手動で均質化した。FPLC 緩衝液A は
、8 mM TRIS-酢酸塩、 5 mM Mg 酢酸塩, 0.1 mM EDTA、pH 7.5 を用い、緩衝液
B は、8 mM TRIS-酢酸塩、5 mM Mg 酢酸塩、0.1 mM EDTA、1 M Na 酢酸塩、pH 7
.5を用いた。上清を1 mL/分の速度でカラムに供し、次いで、60 mL の緩衝液 A
で1 mL/分で洗浄した。
【0031】 勾配は、 0-15% 緩衝液 B 60 mLから15-50% 緩衝液 B 60 mLおよび50-100% 緩衝
液 B 16 mLで行った。勾配の間、1.5 mLずつのフラクションを集めた。cGMP PDE
活性のピークは400 mM Na 酢酸塩でフラクション65 付近で溶出された(図20-23
を参照)。この活性は0.25 μM cGMP で測定された(cGMPに関してマイクロモル
以下の親和性を示す)。PDE4特異性薬剤であるロリプラムは、cAMP PDE 活性のほ
とんどを阻害し(すなわち cAMP 活性はPDE4によった)、これはピーク Bの cGMP
活性がcAMPに優先して cGMPに特異性であったことを示す。三つのピーク B (SW4
80、HTB-26、および LnCAPからの) のいずれもカルシウム/カルモジュリンとの
反応を示さず、全ては100 nM E4021、ザプリナストのような特異的 PDE5特異性
インヒビター、に抵抗性であった(図 20 および22を参照)。ピーク Bはまた、基
質を 0.25 μM から5 μM cGMPに増加したときに活性の劇的な増加を示した (正
の協同的動力学を示唆する) (図 21 および 23を参照)。また、三つのピークは
、エキシスリンドおよび以下の化合物 Iによるものと同様な阻害を示す。
【0032】 III. プロテインキナーゼ G および β-カテニンの関与 概論 一連の 実験行って、エキシスリンドのような抗新生物cGMP特異性 PDE インヒビ
ター が、腺腫性ポリープ症コリ遺伝子(「APC 遺伝子」)欠損あるいはβ-カテニ
ンをコードする遺伝子の欠損のいずれかを含む新生物細胞中のcGMP依存性 プロ
テインキナーゼ G (「PKG」) に及ぼす影響は、あるとすれば、何であるかが確
認された。 以下に説明するように、そのようなインヒビターは、そのような新
生物細胞中でPKG 活性の増加を起こす。その活性増加は、どちらかの欠損を含む
細胞中のPKG の活性化の増加だけでなく、APC欠損を含む細胞のPKG 発現の増加
にもよる。加えて、いずれかの欠損を有する新生物細胞からのPKG が免疫沈降す
るとき、それはβ-カテニンと共に沈殿する。 β-カテニンは、 APC 腫瘍抑制遺伝子中の突然変異を含む新形成物を有する患
者でそれが高レベルであることが研究者によって見出されたことから、種々の異
なる癌と関係づけられてきた。出生時にこの遺伝子に突然変異を有するヒトでは
、結腸の内壁に何千という小腫瘍ができることがしばしばある。それが正しく機
能する場合は、APC 遺伝子 は、β-カテニンと結合してそれを制御すると考えら
れている正常APC タンパク質をコードする。したがって、APC 遺伝子 欠損また
は β-カテニン欠損のいずれかを含む新生物細胞中のPKG がβ-カテニンと結合
しているという発見は、癌につながる重要な細胞性系路の一つにおいてPKG を確
かに強く関係づける。加えて、cGMP特異性 阻害と SAAND (selective apoptotic
anti-neoplastic drugs、選択的アポトーシス性抗新生物薬物として知られてい
る新しいクラスの抗新生物剤) による治療時のPKG 増加との関係は、cGMP をそ
のような細胞における PKG/ β-カテニン/APC 欠損と結びつける。
【0033】 後者の結びつきは、APC 欠損 または β-カテニン 欠損を含む新生物細胞がSAAN
Dに暴露された場合に β-カテニン自体が減少するという観察によってさらに支
持される。 この β-カテニンの減少はPKG自体が引き金となる。 PKG はβ-カテ
ニンを燐酸化するが、これは本発明に関係する別の新規観察である。β-カテニ
ンの燐酸化によって、β-カテニンはユビキチン-プロテアゾーム系によって分解
されるようになる。 このPKGによるβ-カテニンの燐酸化 は、それによってAPCおよびβ-カテニンの
突然変異の影響が妨げられることから新生物細胞において重要である。 突然変
異したAPC タンパク質 は、突然変異 APC タンパク質と結合したβ-カテニンの
結合に影響し、この結合の変化は GSK-3bキナーゼによるβ-カテニンの燐酸化を
妨げると今まで考えられてきた。突然変異 β-カテニンの場合、PKG 活性の増加
もまた、突然変異 β-カテニンの 燐酸化をもたらす。新形成物中の PKG 活性
は cGMP-PDE阻害とともに、いずれかのタイプの 突然変異を含む新生物細胞にお
いてβ-カテニンの燐酸化をもたらす (その分解に導く) 。 要約すれば、これらの結果は、さらなる SAAND 候補 化合物の確認のための新た
な薬剤スクリーニング法をもたらすだけでなく、新形成物への治療的アプローチ
におけるcGMP特異性 PDE 阻害の役割を支持する。この観察はまた、上記に説明
したように、APC 欠損性および非欠損性の両新形成物を治療し得ることから、予
想外に広範囲の 新形成物 をSAANDが阻害できることを説明し得る。
【0034】 IV. PDE を用いての薬剤組成物のスクリーニング A. 概論 本発明の新規 PDE および PDE2 は、PDE5とともにあるいはそれなしで、新形成
物の治療または予防に使用が可能で、かつ重大な副作用で特徴づけられない化合
物を確認するのに有用である。 癌および前癌は、異常な細胞増殖を伴なう疾患と考えられる。細胞増殖には、多
くの異なる要因が関わる。一つの要因は、いかに速く細胞が増えるかであり、一
つはいかに速く細胞が死ぬかということが関わる。細胞は、環境的刺激のタイプ
によって壊死またはアポトーシスのいずれかによって死ぬ。細胞分化もまた、腫
瘍増殖動力学に影響する別の要因である。細胞増殖の多くの要因のどれが化合物
によって影響されるかを見出すことは、薬物療法のための適切な標的の発見に重
要である。この技術に基づくスクリーニングアッセイは他の試験と組み合わせて
、増殖阻害および親アポトーシス活性を有する 化合物 を選択することができる
【0035】 本発明は、いくつかの重要な発見の成果である。第一に本発明者らは、望ましい
腫瘍細胞増殖インヒビターはアポトーシスによる癌細胞の若死を誘発することを
発見した (Piazza, G.A., et al., Cancer Research, 55(14), 3110-16, 1995)
。 第二に、本発明者の何人かは、実質的なCOX阻害なしでアポトーシスを選択的
に誘発する化合物はまた、PDE5を阻害することを予期せずに発見した。とくに、
そして先導的科学研究結果に反して、新生物病変治療のための望ましい化合物
が PDE5(EC 3.1.4.17)を阻害する。PDE5 は、ホスホジエステラーゼの少なくと
も10の 遺伝子ファミリーの一つである。PDEの他のファミリーがcAMPを選択的に
分解/加水分解してcGMP を分解/加水分解しないかcGMP および cAMP の双方を
非選択的に分解するのに対して、PDE5 および本発明の 新規 PDE はサイクリッ
クGMPを選択的に分解してcAMPを分解しないという固有な特性を有する。好まし
くは、新形成物の治療に用いられる望ましい化合物 は、非選択的またはcAMP 分
解 ホスホジエステラーゼ 型を実質的に阻害しない。
【0036】 B. COX スクリーニング 本発明の好ましい実施態様は、任意の化合物のシクロオキシゲナーゼ活性の測定
および化合物の cGMP特異性 PDE 阻害活性 の測定を含む。試験化合物は直接的
あるいは間接的な新生物病変治療能に関して評価され、それは新生物病変治療に
有用な既知化合物の活性と比較してなされる。胃炎症を起こさずに新生物病変治
療に有効であることが公知の標準化合物 は、5−フルオロ-2-メチル-1-(p-メチ
ルスルホニルベンジリデン)-3-インデニル酢酸 (「エキシスリンド」)である。
比較目的のための他の有用な化合物 としては、COXを阻害することが公知の、例
えば、インドメタシンおよびスリンダクの硫化物代謝物である5フルオロ-2-メチ
ル-1-(p-メチルスルフィニルベンジリデン)-3-インデニル酢酸 (「硫化スリンダ
ク」)があげられる。 比較目的のための他の有用な 化合物 としては、 cGMP特
異性 PDEを阻害することが知られているもの、例えば1-(3-クロロアニリノ)-4-
フェニフタラジン(「MY5445」)があげられる。
【0037】 ここで用いる用語「前癌性病変」には、形成異常を含む異常な新生物性の組織変
化で代表される症候群を含む。その例としては、結腸、乳房、前立腺または肺の
組織における形成異常性増殖、または皮膚悪性黒色腫の前兆である形成異常性母
斑症候群などの状態があげられる。例としてはまた、形成異常性母斑症候群に加
えて、ポリープ症症候群、結腸ポリープ、子宮頸部の前癌性病変 (すなわち、子
宮頸部形成異常)、食道、肺、前立腺形成異常、前立腺内部新形成物、乳房およ
び/または皮膚および関連の状態 (例えば化学線角皮症)などが含まれ、これら
の病変は臨床的な確認の有無を問わない。 ここで用いる用語「癌腫」または「癌」は、癌性である病変を意味する。例とし
ては、 悪性黒色腫、乳癌、 前立腺癌 および結腸癌が含まれる。ここで用いる
「新形成物」および「新生物」とは、癌性および前癌性病変の双方を意味する。
【0038】 ここで用いる略語は、PGはプロスタグランジン、PS はプロスタグランジンシン
テターゼ、PGE2 はプロスタグランジンE2、PDE は ホスホジエステラーゼ、COX
はシクロオキシゲナーゼ、はサイクリック ヌクレオチド、 RIAは ラジオイムノ
アッセイをそれぞれ意味する。 化合物によるCOX 阻害は、二つの方法のいずれかで測定できる。一つの方法は、
スクリ―ニングされる化合物への曝露の後で、未処理HL-60 細胞によるPGE2
泌を測定する。もう一つの方法では、化合物の存在下で精製 シクロオキシゲナ
ーゼ(COX) の活性を測定する。両方法ともに文献に既述のプロトコールに関わる
が、以下に述べるプロトコールが好ましい。
【0039】 PGE2を測定することによって、化合物 はそれらがプロスタグランジンE2 (「PGE 2 」)の産生を阻害するどうかを決定して評価される。測定には、PGE2のための酵
素イムノアッセイ (EIA) キット、例えば、Amersham(Arlington Heights、 IL
、 U.S.A.) からの市販のものを使用する。適切な細胞 は大量のPGを産生する
もので、例えばHL-60 細胞があげられる。HL-60 細胞 は、DMSOを用いて成熟顆
粒球に分化させたヒト前骨髄球 である(Collins, S.J., Ruscetti, F.W., Galla
gher, R.E. and Gallo, R.C., "Normal Functional Characteristics of Cultur
ed Human Promyelocytic Leukemia Cells (HL60) After Induction of Differen
tiation By Dimethylsulfoxide", J. Exp. Med., 149:969974, 1979を参照)。
これら分化細胞 は、カルシウムイオノフォアA23187で刺激後にPGE2 を産生する
(Kargman, S., Prasit, P. and Evans, J.F., "Translocation of HL60 Cell 5
Lipoxygenase", J. Biol. Chem., 266: 23745-23752, 1991を参照)。HL-60 細胞
は ATCC (ATCC:CCL240)から入手可能である。これら細胞は、20%熱不活化胎児
ウシ血清、50 U/mL ペニシリンおよび 50 μg/mL ストレプトマイシンを添加し
た RPMI 1640 培地中で 5% CO2 雰囲気下で37℃で増殖できる。骨髄分化を誘発
するために、 細胞を1.3% DMSO に 9 日間曝露して、次いで、洗浄してから、3x
106 細胞/mLの濃度でダルベッコの燐酸塩緩衝生理的食塩水に再懸濁させる。
【0040】 分化させたHL-60 細胞 (3x106 細胞/mL) を、所望の濃度で試験した化合物の存
在下で37℃で15分間培養する。次いで、細胞を A23187 (5x10-6 M) で15分間刺
激する。 外部培地に分泌された PGE2 を上記のようにして測定する。 上記のように、化合物のCOX 阻害を評価する第二の方法は、試験化合物の存在
下でCOX 活性を測定するものである。二つの異なる型のシクロオキシゲナーゼ (
COX-I および COX-2) がプロスタグランジン合成を調節することが文献で報告さ
れている。COX-2 は誘導型のCOX を表し、COX-I は構成型を表す。COX-I 活性
は、Mitchell ら ("Selectivity of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs as
Inhibitors of Constitutive and Inducible Cyclooxygenase," Proc. Natl. A
cad. Sci. USA., 90:11693-11697, 1993;これはここに参考文献として添付する
) の方法で、Boopathy & Balasubramanian(Purification And Characterizatio
n Of Sheep Platelet Cyclooxygenase" Biochem. J., 239:371-377, 1988;これ
はここに参考文献として添付する)に記載の方法で雄ヒツジ精嚢から精製された
COX-I を用いて測定することができる。COX-2 活性 は、Mitchell ら(1993、上
記)に記載の方法でヒツジ胎盤から精製した COX-2 を用いて測定することがで
きる。
【0041】 薬剤のシクロオキシゲナーゼ阻害活性は、当業者に公知の方法で測定できる。例
えば、Boopathy & Balasubramanian(1988、上記)の記載による方法では、プロ
スタグランジン H シンターゼ1 (Cayman Chemical、Nucleotide Arbor、Michig
an) を、100 μM アラキドン酸 (Sigma Chemical Co.)、コファクター(例えば,
1.0 mM グルタチオン、1.0 mM ヒドロキノン、0.625 μM ヘモグロビンおよび
1.25 mM CaCl2 の100mM トリス-HCl溶液、pH 7.4) および被験薬剤とともに37
℃で20 分間インキュベートする。インキュベーションの後、トリクロロ酢酸で
反応を終結させることができる。チオバルビツール酸およびマロンアルデヒドを
加えて反応を止めた後で、酵素活性を分光光度計で530 nmで測定することができ
る。 明らかに、そのより大きいPDE5/新規 PDE/PDE2 阻害 活性に比して、より低いCO
X-I またはCOX-2 阻害 活性を示す化合物 が望ましい化合物であり得る。 COX 阻害の量は、試験化合物の存在下または非存在下でのシクロオキシゲナーゼ
の活性を比較することによって決定される。約100μM濃度での残りの(すなわち
、約 25%以下)またはゼロのCOX 阻害活性 は、化合物の新形成物治療への有用性
をさらに評価すべきであることを示すものである。
【0042】 C. ホスホジエステラーゼ 阻害活性を測定する 化合物は、上記のようにして分離された酵素または組換による酵素のいずれかを
用いて、あるいはPDE5とともに新規 PDE および/または PDE2を用いて、本発明
の新規 ホスホジエステラーゼ の活性に及ぼす阻害的影響に関してスクリーニン
グできる。あるいはまた、全細胞のサイクリック ヌクレオチドレベルを RIA に
よって測定して、未処理およびザプリナスト処理細胞と比較する。 ホスホジエステラーゼ活性 は、PDE 酵素の基質として放射線活性3H サイクリッ
ク GMP (cGMP)(サイクリック 3',5'-グアノシン一燐酸)を用いる方法などの、当
業者に公知の方法を用いて測定することができる。 (Thompson, W.J., Teraski,
W.L., Epstein, P.M., Strada, S.J., Advances in Cyclic Nuclotide Researc
h, 10:69-92, 1979、これは参考文献としてここに添付される)。簡略に述べると
、 明確にされた 3H-cGMP特異性活性の溶液(0.2μM、100,000 cpm、40 mM トリ
ス-HCl (pH 8.0)、5 mM MgCl2 および1 mg/mL BSAを含む) を全量 400μlで被験
薬剤と混合する。混合物を本発明の分離されたPDE とともに30℃で10 分間イン
キュベートする。反応は、例えば、反応混合物を75 秒間煮沸することによって
終結させる。氷上で冷却後、100 μl の 0.5 mg/mL ヘビ毒 (O. Hannah ヘビ毒
、シグマ社から入手可能) を加えて、 30℃で10 分間インキュベートする。次い
で、この反応を、例えば1 mL の100% メタノールなどのアルコールを加えること
によって終結させる。アッセイ用サンプルを1 mL Dowex 1-X8 カラムに供して、
1 mL の100% メタノールで洗浄する。カラムからの流下液および洗浄液の放射能
活性をあわせて、シンチレーションカウンターで測定する。ホスホジエステラー
ゼの程度を、薬剤処理した反応物中の放射能量を計算し、対照サンプル (試験化
合物の代わりに薬剤溶媒を有する反応混合物) と比較して決定する。
【0043】 あるいはまた、望ましい化合物の本発明のホスホジエステラーゼを阻害する能力
は、スクリーニングされる化合物に曝露された新生物細胞中のcGMP の増加によ
ってもたらされる。PDE 活性量は、処理細胞の抽出物中のサイクリックGMPの量
をラジオイムノアッセイ(RIA) を用いてアッセイすることによって測定すること
ができる。 この方法において、HT-29 またはSW-480 細胞はプレート上で、コン
フルエントになるまで増殖される。上記したように、SW-480は PDE5 および本発
明の PDE の双方を含むので、PDE 活性をこのようにして評価すると、合わさっ
たcGMP加水分解活性が同時にアッセイされる。次いで、試験化合物を、約200 μ
M から約 200 pMの化合物濃度で細胞培養物とともに培養する。約24 ないし 48
時間後、培養培地を細胞から除去して、細胞を可溶化する。反応を 0.2N HCl/50
% MeOHを用いて止める。タンパク質アッセイのためにサンプルを除去する。サイ
クリックGMPを、細胞の酸/アルコール抽出物からDowexカラムなどの陰イオン交
換クロマトグラフィーを用いて精製する。cGMP を乾燥して、トリエチルアミン
中の無水酢酸を用いるなどの公知の方法 (Steiner, A.L., Parker, C.W., Kipni
s, D.M., J. Biol. Chem., 247(4):1106-13, 1971;これはここに参考文献とし
て添付する)によってアセチル化する。アセチル化された cGMP を、ラジオイム
ノアッセイ法(Harper, J., Brooker, G., Advances in Nucleotide Research, 1
0:1-33, 1979;これはここに参考文献として添付する) を用いて定量する。誘導
体化サイクリックGMPのヨード化したリガンド (チロシンメチルエステル) を、
抗血清および適切な緩衝液の存在下で標準物質または未知物質とともにインキュ
ベートする。抗血清は、サイクリックヌクレオチド-ヘプテン特異的技法を用い
て産生することができる。抗血清は、スクシニル-cGMP-アルブミン抱合体を注射
したヒツジからのものを、1/20,000に希釈する。 標準曲線からの用量内挿法 お
よび誤差分析を既述のようにして適用する (Seibert, A.F., Thompson, W.J., T
aylor, A., Wilbourn, W.H., Barnard, J. and Haynes, J., J. Applied Physio
l., 72:389-395, 1992;これはここに参考文献として添付する)。
【0044】 加えて、培養培地を酸性にして、凍結(-70℃) して、これもcGMP および cAMPに
関して分析することができる。 望ましい化合物によってもたらされる新生物細胞中のcGMP含量増加の観察に加え
て、cAMP 含量の減少もまた観察されている。とくに望ましい化合物 (すなわち
、アポトーシスを新生物細胞で選択的に誘発するが、正常細胞では実質的に誘発
しないもの) は、結果的に数分内にcGMP 含量が増加する一初期反応として、cGM
P特異性 PDE 阻害と一致する時間経過をたどることが観察されている。従属的に
、望ましい抗新生物化合物による新生物細胞の処理は、cAMP含量の減少を24時間
内にもたらす。 薬物作用の細胞内標的はさらに研究されているが、最近のデー
タは、cGMP含量の初期増加およびcAMP含量の続いての低下は望ましい化合物に曝
露された新生物細胞におけるアポトーシスに先行するという概念を支持している
【0045】 cGMPの絶対値のみ、cGMP特異性ホスホジエステラーゼ阻害のみ、またはcGMP加水
分解レベルのみの測定よりも、二つのサイクリックヌクレオチドの比の変化は、
試験化合物の望ましいcGMP特異性ホスホジエステラーゼ阻害活性 の評価のため
のより正確なツールとなり得る。抗新生物化合物で処理されていない新生物細胞
において、 cGMP 含量/cAMP 含量の比は、0.03-0.05 の範囲 (すなわち 300-500
fmol/mg タンパク質 cGMP 含量割る 6000-8000 fmol/mg タンパク質 cAMP 含量
)である。望ましい抗新生物化合物への曝露後、サイクリックGMP の初期増加お
よびサイクリックAMPの後期減少の結果として、この比は数倍に増加する(好まし
くは、少なくとも約3倍の増加)。 具体的には、とくに望ましい化合物は、処理した新生物細胞におけるcGMPを約50
0 fmol/mg タンパク質を超えるレベルまでcGMP含量を初期増加させることが観察
されている。 加えて、とくに望ましい化合物は、処理した新生物細胞におけるc
AMPを約4000 fmol/mgタンパク質以下のレベルまでcAMP含量を後期減少させる。
【0046】 サイクリックAMPの含量を測定するために、上記の cGMPに関して用いたものと同
様のラジオイムノアッセイ技法を用いる。基本的には、サイクリックヌクレオチ
ドを、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて細胞の酸/アルコール抽出物か
ら精製し、乾燥し、公表された方法でアセチル化して、ラジオイムノアッセイ法
を用いて定量する。誘導化サイクリックAMP およびサイクリック GMPのヨード化
したリガンドを、特異的抗血清および適切な緩衝液の存在下で標準物質または未
知物質とともにインキュベートする。 サイクリックヌクレオチド含量の確認を、未処理細胞におけるサイクリックヌク
レオチドの代謝回転または蓄積を測定することによって得ることができる。未処
理細胞cAMPを測定するために、公知の方法(Whalin, M.E., Garrett Jr., R.L.,
Thompson, W.J., and Strada, S.J. "Correlation of cell-free brain cyclic
nucleotide phosphodiesterase activities to cyclic AMP decay in intact br
ain slices", Sec. Mess. and Phos. Protein Research, 12:311-325, 1989;こ
れはここに参考文献として添付する)に従って3H-アデニン前標識を用いる。この
方法は標識されたATP のサイクリックAMPへの流れを測定し、特定のプロトコー
ルによって、未処理細胞アデニレートサイクラーゼまたはサイクリックヌクレオ
チドホスホジエステラーゼ活性を評価することができる。サイクリックGMP 蓄積
は、未処理細胞前標識では低すぎて公表された方法 (Reynolds, P.E., S.J. Str
ada and W.J. Thompson, "Cyclic GMP Accumulation In Pulmonary Microvascul
ar Endothelial Cells Measured By Intact Cell Prelabeling," Life Sci., 60
:909-918, 1997;これはここに参考文献として添付する)では調べられなかった
【0047】 化合物のPDE阻害活性効果はまた、組織サンプルからも測定することができる。
ヒトからの組織バイオプシーまたは麻酔動物からの組織を、試験化合物に曝露し
た対象から集める。簡略に説明すると、組織サンプルを500 μl の 6% TCA中で
均質化する。均質化物の既知量を、タンパク質分析のために除去する。残りの均
質化物を氷上で20分間保持して、タンパク質を沈殿させる。次いで、均質化物を
15,000g 、4℃で30分間遠心分離する。上清を回収して、ペレットを回収する。
上清を、ジエチルエーテルで飽和した4倍量の水で4回洗浄する。上部エーテル
層を各洗浄間で除去する。水性エーテル抽出物をスピードバク(Speed-Vac)中
で乾燥させる。いったん乾燥したら、サンプルは将来の使用のために冷凍するか
、直ちに使用することができる。乾燥した抽出物を500 μl のアッセイ緩衝液に
溶解する。cGMP特異性阻害の程度は、サイクリックヌクレオチドの量を上記のRI
A法を用いてアッセイすることによって測定される。
【0048】 阻害の程度は、化合物の存在および非存在下における新規PDE (または PDE2)の
活性を比較することによって測定される。新規 PDE 活性(または PDE2) の阻害
は、化合物が新形成物の治療に有用であることを示す。評価基準のエキシスリン
ドよりも大きく、好ましくは10μMまたはそれ以下の濃度で 50% よりも大きい、
有意な阻害活性は、化合物を抗新生物的性質に関してさらに評価されるべきであ
ることを示す。新規PDE阻害の IC50 値は、使用可能性をさらに考慮すべき化合
物では50μM 以下であることが好ましい。
【0049】 D. 化合物が腫瘍細胞増殖を低減するかどうかを決定する 別の実施態様において、本発明の方法は、化合物が腫瘍細胞の増殖を低減するか
どうかをさらに決定することを要件とする。試験される組織によって種々の細胞
系がサンプル中で使用できる。例えば、これら細胞系には、SW-480 結腸腺癌腫
、 HT-29 結腸腺癌腫、A-427 肺腺癌腫 、 MCF-7 乳腺癌腫および UACC-375
黒色腫系および DU145 前立腺癌腫がある。これら細胞系を用いて得られた細
胞毒性データは、新生物病変への阻害効果を示す。これら細胞系は特徴がよくわ
かっており、米国国立癌研究所(United States National Cancer Institute)
によって新抗癌剤に関するスクリーニングプログラムで使用される。
【0050】 化合物の腫瘍細胞増殖阻害能は、ATCCから得られるHT-29ヒト結腸癌腫細胞系を
用いて測定できる。HT-29 細胞は、適切な結腸腫瘍細胞カルチャーモデルとして
既に特徴づけられている (Fogh, J., and Trempe, G. In: Human Tumor Cells
in Vitro, J. Fogh (eds.), Plenum Press, New York, pp. 115-159, 1975)。HT
-29 細胞は、5% ウシ胎児血清(Gemini Bioproducts, Inc.、Carlsbad、CA)、2 m
m グルタミンおよび1% 抗生物質-抗真菌物質を添加した RPMI 培地中で95% 空気
および 5% CO2 の加湿雰囲気下で37℃で保持する。簡単に説明すれば、HT-29 細
胞を500 細胞/ウェルの密度で96穴マイクロタイタープレートにプレートして、
化合物添加に先だって24時間 37℃で培養する。各細胞数カウントは、6回繰り
返して行う。培養6日後、冷トリクロロ酢酸を最終濃度10%になるように加えて
細胞を固定して、タンパク質レベルをスルホロダミンB (SRB) 比色タンパク質染
色アッセイを用いて既述のようにして測定する(Skehan, P., Storeng, R., Scu
diero, D., Monks, A., McMahon, J., Vistica, D., Warren, J.T., Bokesch, H
., Kenney, S., and Boyd, M.R., "New Colorimetric Assay For Anticancer-Dr
ug Screening," J. Natl. Cancer Inst. 82: 1107-1112, 1990;これはここに参
考文献として添付する)。
【0051】 SRB アッセイに加えて、多数の他の方法が増殖阻害の測定に使用でき、SRB アッ
セイに代えることができる。これらの方法には、トリパンブルー染色後の生細胞
の計数、BrdU または放射能標識したチミジンを用いてのDNA 合成能のある細胞
の標識、生細胞のニュートラルレッド染色または生細胞のMTT染色が含まれる。
100μM またはそれ以下の濃度での約50% を超える有意な腫瘍細胞増殖阻害は、
化合物が新生物病変の治療に有用であることをさらに示す。好ましくは、IC50
値を比較目的のために決定して、使用する。この値は、対照と比較して 50% の
腫瘍細胞の増殖の阻害に必要な薬剤の濃度である。新生物病変の治療のための使
用可能性をさらに考慮すべき化合物としては、IC50 値は100 μM 以下であるの
が好ましい。
【0052】 E. 化合物がアポトーシスを誘発するかどうかを決定する 第二の別の実施態様では、本発明のスクリーニング法はさらに、化合物が腫瘍細
胞の培養物中でアポトーシスを誘発するかどうかの決定を要件とする。 細胞死の二つの異なる型が形態学的および生化学的基準で記述できる。すなわち
、壊死とアポトーシスである。壊死は、原形質膜の透過性増加を伴ない、細胞は
膨張して、原形質膜が数分内に破れる。アポトーシスは、膜の小気(水)胞、細胞
質の凝縮および内生性エンドヌクレオチドの活性化によって特徴づけられる。
【0053】 アポトーシスは、正常な組織代謝回転中ならびに器官および肢の胎児期発達中に
自然に起きる。アポトーシスはまた、 細胞傷害性T-リンパ球およびナチュラル
キラー細胞によって、電離放射線によって、およびある種の化学療法薬剤によっ
て誘発される。アポトーシスの不適切な調節は、癌、AIDS、アルツハイマー病な
どの多くの病理状態において重要な役割を果たすと考えられる。化合物は、上記
の条件で保持された腫瘍細胞の培養物を用いてアポトーシスの誘発に関してスク
リーニングすることができる。試験化合物による細胞処理には、コンフルエント
前または後の培養物のいずれか、および2ないし7日間の種々の濃度での処理が
含まれる。アポトーシス細胞は、培養物の付着したまたは「浮遊」画分の双方
において測定される。両画分を、上清を除去して、付着した細胞をトリプシン処
理して、両調製物を合わせた後で遠心分離洗浄 (10 分間、 2000 rpm)すること
によって集める。アポトーシスの有意量を得るためにスリンダクおよび関連化合
物によって腫瘍細胞培養物を処理するプロトコールは、文献中に記載がある (P
iazza, G.A., et al., Cancer Research, 55:3110-16, 1995 を参照。これはこ
こに参考文献として添付する)。新規要点としては、付着細胞と浮遊細胞の双方
を用いること、最適処理時間およびアポトーシス観察のための用量範囲の確認な
らびに最適細胞培養条件の確認が含まれる。
【0054】 化合物での処理の後、培養物はアポトーシスおよび壊死に関して、アクリジンオ
レンジおよび臭化エチジウムで標識してから、蛍光顕微鏡によってアッセイされ
る。アポトーシス細胞数の測定法は Duke & Cohenによって既述されたものであ
る("Morphological And Biochemical Assays Of Apoptosis," Current Protoco
ls In Immunology, Coligan et al., eds., 3.17.1-3.17.16 (1992);これはこ
こに参考文献として添付する)。 例えば、浮遊および付着細胞は、トリプシン処理によって集められ、PBSによっ
て3回洗浄される。得られる細胞を遠心分離できる。次いで、ペレットを、培地
ならびにアクリジンオレンジおよび臭化エチジウムを含む染料混合物 のPBS溶液
中に再懸濁させて、ゆっくりと混合させることができる。次いで、混合物を 顕
微鏡スライドに載せて、アポトーシスの形態学的特徴を調べることができる。 アポトーシスはまた、試験化合物で処理された細胞のDNA 断片化の増加を測定す
ることによって定量できる。細胞質ヒストン結合-DNA断片 (モノ- およびオリゴ
ヌクレオソーム) の定量的インビトロ測定のための市販の光度測定 EIA が使用
可能である (Cell Death Detection ELISAokys、 カタログ番号 1,774,425, ベ
ーリンガー・マンハイム社)。このベーリンガー・マンハイムアッセイは、それぞ
れDNA およびヒストンに対するマウスモノクローナル抗体を用いるサンドイッチ
酵素イムノアッセイ原理に基づく。これによって、細胞溶解物の細胞質画分にお
けるモノ-およびオリゴ-ヌクレオソームの特異的測定ができる。
【0055】 製造者によると、アポトーシスは次のような方式で測定される。サンプル(細胞
溶解物)を、ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート (「MTP」)に供
する。次に、抗-ヒストン-ビオチンおよび抗-DNA ペルオキシダーゼ抱合体の混
合物を加えて、2時間インキュベートする。インキュベーションの間、抗ヒスト
ン抗体がヌクレオソームのヒストン画分に結合して、同時に、イムノ複合体をス
トレプトアビジン被覆MTP にそのビオチン化を介して固定する。加えて、抗-DNA
ペルオキシダーゼ抗体がヌクレオソームの DNA画 分と反応する。未結合抗体を
洗浄によって除去した後、ヌクレオソーム量をイムノ複合体中に保持されたペル
オキシダーゼによって定量する。ペルオキシダーゼは、ABTS7 (2,2'-アジド-[3-
エチルベンズチアゾリン-スルホナート]) を基質として用いる光度測定によって
測定する。
【0056】 例えば、SW480 結腸腺癌細胞を 96-穴 MTP にウェル当たり10,000 細胞の密度で
プレートする。次いで、細胞を試験化合物で処理して、37℃で48 時間培養する
。培養後、MTPを遠心分離して上清を除去する。次いで、各ウェル中の細胞ペレ
ットを溶解用緩衝液中に30分間再懸濁する。次いで溶解物を遠心分離して、上清
区分(すなわち、細胞質画分) をストレプトアビジン被覆したMTPに移す。MTP中
の溶解ペレット(すなわち、高分子量の未断片化DNAを含む細胞核)を振らないよ
うに留意する。次いで、サンプルを分析する。 アポトーシス性応答の指標である刺激倍率(fold stimulation )(FS = ODmax/O
Dveh)を、任意の濃度で試験した各化合物に関して決定する。EC50 値もまた、一
連の濃度の試験化合物を評価することによって決定できる。 アポトーシスの統計的に有意な増加 (すなわち、100μMの濃度で2倍刺激を超え
る) は、化合物が新生物病変の治療に有用であることをさらに示す。新生物病変
の治療のための使用可能性がさらに考慮される化合物のアポトーシス性活性の E
C50 値は、100μM未満であることが好ましい。ここでEC50 は、担体(賦形剤)
処理に対してアポトーシスの 50% 低減を起こす濃度と定義される。
【0057】 F. 乳腺器官培養モデル試験 上記方法で確認された試験化合物を、乳腺器官培養系における前新生物性病変の
発生を阻害するそれらの能力によって抗新生物活性を試験することができる。こ
のマウス乳腺器官培養技術は、あるNSAID (nonsteroidal anti-inflammatory dr
ug, 非ステロイド抗炎症剤)、レチノイド、タモキシフェン、セレニウム、およ
びある天然製品などの公知の抗新生物剤の効果を調べるために他の研究者によっ
て使用されて成功しており、本発明のスクリーニング法の確認に有用である。 例えば、インビトロで腺がホルモンに反応するように、雌BALB/cマウスをエスト
ラジオールおよびプロゲステロンの組み合わせを用いて毎日処理することができ
る。 動物を殺して、胸部乳腺を無菌的に切り出して、インスリン、プロラクチ
ン、ヒドロコーチゾンおよびアルドステロンを添加した増殖培地中で10日間培養
する。培地にDMBA (7,12-ジメチルベンズ (a)アントラセン) を加えて、前悪性
病変の形成を誘導する。次いで、完全に発達した腺から、プロラクチン、ヒドロ
コーチゾンおよびアルドステロンが奪われ、その結果、腺の退化が見られるが、
前悪性病変はない。
【0058】 試験化合物をDMSOに溶解して、培養期間中培養培地に加える。培養期間が終了し
たら、腺を10% ホルマリンで固定して明礬カルミンで染色して、スライドグラス
に載せる。乳腺病変形成の出現率は、乳腺病変を有する腺と病変なしの腺の比で
表す。試験化合物処理した腺の乳腺病変の出現率を未処理腺のそれと比較する。
乳腺病変によって占められる領域範囲を、腺の像を計数化パッド上に映し出すこ
とによって定量することができる。パッド上の腺で覆われた領域をトレースして
、これを領域100% とみなす。それぞれの非退行構造によって覆われた領域もま
た計数化パッド上で輪郭をとって、コンピュータで定量する。
【0059】 実験結果 多くの化合物を種々のプロトコールで調べて、新形成物の治療における使用可能
性に関してスクリーニングした。それら諸試験の結果を以下に報告する。試験化
合物は、以下では次に対応する文字コードによって表示する。 A - rac-トレオ-(E)-1-(N,N'-ジエチルアミノエタンチオ)-1-(ブタン-1',4'-
オリド)-[3',4':1,2]-6-フルオロ-2-メチル-3-(p-メチルスルホニルベンジリデ
ン)-インダン; B - (Z)-5-フルオロ-2-メチル-1-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-3-酢酸
; C - (Z)-5-フルオロ-2-メチル-1-(p-クロロベンジリデン)-3-酢酸; D - rac-(E)-1-(ブタン-1',4'-オリド)-[3',4':1,2]-6-フルオロ-2-メチル-3
-(p-メチルスルホニルベンジリデン)-1S-インダニル-N-アセチルシステイン; E - (Z)-5-フルオロ-2-メチル-1-(3,4,5-トリメトキシベンジリデン)-3-イン
デニルアセトアミド, N-ベンジル; F - (Z)-5-フルオロ-2-メチル-1-(p-メチルスルホニルベンジリデン)-3-イン
デニルアセトアミド, N,N'-ジシクロヘキシル; G - ribo-(E)-1-トリアゾロ-[2',3':1'',3'']-1-(ブタン-1',4'-オリド)-[3'
,4':1,2]-6-フルオロ-2-メチル-3-(p-メチルスルホニルベンジリデン)-インダン
;および H - rac-(E)-1-(ブタン-1',4'-オリド)-[3',4':1,2]-6-フルオロ-2-メチル-3
-(p-メチルスルホニルベンジリデン)-1S-インダニル-グルタチオン)。
【0060】 実施例 1 - COX 阻害アッセイ 参照化合物および試験化合物の COX 阻害活性を、上記のCOX アッセイのための
プロトコールに従って分析した。図4は、種々の濃度の硫化スリンダクまたはエ
キシスリンドのいずれかのシクロオキシゲナーゼ(タイプ1)活性に及ぼす影響
を示す。シクロオキシゲナーゼ活性は、上記の方法で雄ヒツジ精嚢から精製した
シクロオキシゲナーゼを用いて決定した(Mitchell ら、前出)。IC50 値は、エキ
シスリンドが10,000 μM以上であったのに対して、硫化スリンダクは約1.76 μM
と算出された。これらのデータは、硫化スリンダクはCOX-I インヒビターであり
、エキシスリンドはそうではないことを示す。同様のデータはCOX-2 イソ酵素に
関して得られた(Thompson, et al., Journal of the National Cancer Institut
e, 87: 1259-1260, 1995)。 図5は、試験化合物B および Eの COX阻害に及ぼす影響を示す。COX活性は、図
4に示した化合物と同様にして決定した。データは、試験化合物Bおよび E のい
ずれもCOX-Iを有意に阻害しないことを示す。
【0061】
【表2】 一連の化合物に関するシクロオキシゲナーゼ阻害活性 参照化合物 100μMにおける % 阻害 インドメタシン 95 MY5445 94 硫化スリンダク 97 エキシスリンド <25 試験化合物 100μM における% 阻害 A <25 B <25 C 87 D <25 E <25 上記プロトコールに従って、化合物 A から E を上記表2に報告されたCOX阻害
活性に関して評価した。化合物Cは COX を100μM の薬量で25% 以上阻害するこ
とが見出され、したがって、これはさらなるスクリーンに選択しない。
【0062】 実施例 2 - cGMP PDE 阻害アッセイ 参照化合物および試験化合物の cGMP PDE 阻害活性を上記のアッセイのためのプ
ロトコールに従って分析した。図6は、既述の方法 (W. J. Thompsonら、前出)
で得た、種々の濃度の硫化スリンダクおよびエキシスリンドの、ヒト結腸HT-29
培養腫瘍細胞から精製されたPDE4 または cGMP活性のいずれかに及ぼす影響を示
す。硫化スリンダクのIC50 値は、PDE4の阻害では41 μMで、cGMP PDE の阻害で
は17 μMだった。エキシスリンドの IC50 値は、PDE4の阻害では181 μMで、cGM
P PDE の阻害では 56 μMだった。これらのデータは、硫化スリンダクおよびス
リンダクの双方がホスホジエステラーゼ活性を阻害することを示す。 両化合物
は、cGMP PDE イソ酵素型への選択性が PDE4 イソフォームに優先することを示
す。
【0063】 図7は、上記のアッセイに従って培養したHT-29 細胞中で決定された、cGMP ま
たはcAMP 産生のいずれかに及ぼす硫化スリンダクの影響を示す。HT-29細胞を硫
化スリンダクで 30 分間処理して、cGMP またはcAMP を従来のラジオイムノアッ
セイ法によって測定した。示されたように、硫化スリンダクは、 EC50 値が 7.3
μM でcGMP のレベルを50%以上増加した(図7A) 。既知のPDE4インヒビターであ
るロリプラムはcAMPを増加したが、 cAMPのレベルは処理によって影響されなか
った(図7B)。データは、PDE4に比較して、cGMP PDE阻害の薬理学的重要性を示す
。 図8は、試験化合物 Bの表示薬量の、ホスホジエステラーゼのイソ酵素cGMP PDE
または PDE4のいずれか に及ぼす影響を示す。算出されたIC50値は、cGMP PDE
に関しては18 μMで、PDE4 に関しては 58 μM であった。 図9は、試験化合物 Eの表示薬量の、PDE4またはcGMP PDEのいずれか に及ぼす影
響を示す。算出されたIC50値は、cGMP PDE に関しては0.08 μMで、PDE4 に関し
ては 25 μM以上 であった。
【0064】
【表3】 一連の化合物のcGMP PDE 阻害活性 参照化合物 10μM での% 阻害 インドメタシン 34 MY5445 86 硫化スリンダク 97 エキシスリンド 39 試験化合物 10μM での% 阻害 A <25 B <25 C <25 D 36 E 75
【0065】 表3の上記化合物を、上記プロトコールに記述のようにしてPDE 阻害活性に関し
て評価した。COXを阻害しなかった化合物のうちで、化合物E のみが10μM で50%
以上の阻害を起こしたことが見出された。図 8に見られるように、化合物B は20
μMの薬量で50%以上の阻害を示した。したがって、単一投薬試験において用いら
れる薬量レベルによって、僅かにより高い投薬量で活性であったかも知れないあ
る化合物がいくつか選別される。薬量は、主観的であって、あるレベルで活性化
合物が見出される後で減らして、より有力な化合物をさらに確認し得る。
【0066】 実施例3 アポトーシスアッセイ 参照化合物および試験化合物の新規 PDE阻害活性を上記のアッセイのためのプロ
トコールに従って分析した。これらプロトコールに従って、図10は、硫化スリン
ダクおよびエキシスリンドの、アポトーシス性および壊死性細胞死に及ぼす影響
を示す。HT-29細胞を、硫化スリンダクまたはエキシスリンドの示された薬量で
6日間処理した。アポトーシス性および壊死性細胞死は、以前に測定された (Du
ke and Cohen, In: Current Protocols in Immunology, 3.17.1 - 3.17.16, New
York, John Wiley and Sons, 1992)。データは、硫化スリンダクおよびエキシ
スリンドの双方が壊死を誘導することなくアポトーシス性細胞死を起こし得るこ
とを示す。全データは、同一実験から集められた。
【0067】 図11 は、硫化スリンダクおよびエキシスリンドの、腫瘍増殖阻害およびDNA断片
化によって決定されるアポトーシス誘発に及ぼす影響を示す。上図 (11A)は、エ
キシスリンドによる増殖阻害 (シロヌキ符号、左軸) およびDNA 断片化 (ツブシ
符号、右軸) を示す。下図 (11B)は、硫化スリンダクによる増殖阻害 (シロヌキ
符号) およびDNA 断片化 (ツブシ符号) を示す。増殖阻害は、6日間の処理後に
SRBアッセイによって決定された。DNA断片化は、 48時間の処理後に決定された
。全データは、同一実験から集められた。 図12 は、化合物 Eのアポトーシスを誘発する性質を示す。HT-29 結腸腺癌腫細
胞を表示濃度の化合物 Eを用いて48 時間処理して、アポトーシスをDNA 断片化
アッセイによって決定した。算出したEC50 値は、0.05 μMであった。 図13は、化合物 Bのアポトーシスを誘発する性質を示す。HT-29 結腸腺癌腫細胞
を表示濃度の化合物 Bを用いて48 時間処理して、アポトーシスをDNA 断片化ア
ッセイによって決定した。算出したEC50 値は、約175 μMであった。
【0068】
【表4】 一連の化合物の、アポトーシスを誘発する活性 参照化合物 100μMにおける誘発倍率 インドメサチン <2.0 MY5445 4.7 硫化スリンダク 7.9 エキシスリンド <2.0 E4021 <2.0 ザプリナスト <2.0 シルデナフィル <2.0 EHNA <2.0 参照化合物 100 μMにおける誘発倍率 A <2.0 B 3.4 C 5.6 D <2.0 E 4.6
【0069】 前記の倍誘発プロトコールに従って、化合物 A からE をアポトーシス誘発活性
に関して試験して、上記の表4の結果を得た。化合物 B、C および E は、100μ
Mの薬量で2.0倍以上の、有意のアポトーシス誘発活性を示した。これら三つの化
合物のうち、この薬量ではB およびE のみが COX を阻害しなかったが、cGMP特
異性PDEを阻害した。 一連のホスホジエステラーゼインヒビターのアポトーシス誘発活性を決定した。
データを下記の表5 に示す。HT-29 細胞を6日間、種々のホスホジエステラーゼ
インヒビターを用いて処理した。アポトーシスおよび壊死を、アクリジンオレン
ジおよび臭化エチジウム標識して上記のアッセイに従って形態学的に決定した。
データは、新規cGMP特異性PDE は、HT-29細胞のアポトーシスを誘発する化合物
のスクリーニングに有用であることを示す。
【0070】
【表5】 PDE インヒビターのアポトーシス誘発データ インヒビター 報告された選択性 % アポトーシス % 壊死 担体 8 6 8-メトキシ-IBMX PDE1 2 1 ミルリノン PDE3 18 0 RO-20-1724 PDE4 11 2 MY5445 PDE5 80 5 IBMX 非選択性 4 13
【0071】 実施例4 増殖阻害アッセイ 参照化合物および試験化合物の PDE5阻害活性を、上記のアッセイのためのプロ
トコールに従って分析した。図14は、種々の濃度の硫化スリンダクおよびエキシ
スリンドの、HT-29細胞の増殖に及ぼす影響を示す。HT-29細胞を、エキシスリン
ド(三角)または硫化スリンダク(四角)の種々の表示薬量で6日間処理した。
細胞数をスルホロダミンアッセイによって既述されたようにして測定した (Piaz
za et al., Cancer Research, 55: 3110-3116, 1995)。IC50 値は、硫化スリン
ダクに関して約45 μM で、エキシスリンドに関して 200 μM であった。データ
は、硫化スリンダクおよびエキシスリンドの双方が、腫瘍細胞増殖阻害能を有す
ることを示す。
【0072】 図15は、硫化スリンダクの、増殖阻害およびアポトーシス誘発活性を示す。担体
、0.1% DMSO (シロヌキ符号)または硫化スリンダク120 μM (ツブシ符号)のいず
れかで処理したHT-29細胞に関する時間経過実験を示す。増殖阻害 (15A 上) は
、トリパンブルー染色後の生細胞計数によって測定した。アポトーシス (15B 上
) は、既述されているようにアクリジンオレンジおよび臭化エチジウムで染色し
た後の形態学的決定によって測定した (Duke and Cohen, in: Current Protocol
s in Immunology, 3.17.1 - 3.17.16, New York, John Wiley and Sons, 1992)
。データは、硫化スリンダクは腫瘍細胞増殖の阻害能を有し、かつ、その効果は
アポトーシスの増加を伴なうことを示す。全データは同一の実験から集められた
。 図16は、試験化合物Eの増殖阻害活性を示す。HT-29 結腸腺癌腫細胞を表示濃度
の化合物Eで6日間処理して、細胞数をSRBアッセイによって決定した。算出され
た IC50 値 は 0.04 μMであった。
【0073】
【表6】 一連の化合物の、増殖阻害活性 参照化合物 100μMでの % 阻害 インドメタシン 75 MY5445 88 硫化スリンダク 88 エキシスリンド <50 E4021 <50 シルデナフィル <50 ザプリナスト <50 試験化合物 100μMでの % 阻害 A 68 B 77 C 80 D 78 E 62
【0074】 上記のスクリーニングプロトコールのセクションに従って、化合物A からEを増
殖阻害活性に関して試験して、上の表6の結果を得た。 全試験化合物は、100
μM単一薬量試験を超えて活性を示した。 一連のホスホジエステラーゼインヒビターに関して増殖阻害活性を決定した。デ
ータを下の表7 に示す。 HT-29 細胞を種々のホスホジエステラーゼインヒビタ
ーを用いて6日間処理した。細胞増殖を上記のSRB アッセイによって決定した。
上記データと合わせて下のデータは、新規PDEのインヒビターが腫瘍細胞増殖阻
害に効果的であったことを示す。
【0075】
【表7】 PDE インヒビターに関する増殖阻害データ インヒビター 報告された選択性 増殖阻害 (IC50、μM) 8-メトキシ-IBMX PDE1 >200 μM ミリルノン PDE3 >200 μM RO-20-1724 PDE4 >200 μM MY5445 PDE5 5 μM IBMX 非選択性 >100 μM ザプリナスト PDE5 >100 μM シルデナフィル PDE5 >100 μM E4021 PDE5 >100 μM
【0076】 種々の型の新形成物に対するこのスクリーニング法の有効性を示すために、化合
物を多数の細胞系について試験した。硫化スリンダクおよびエキシスリンドの、
種々の細胞系に及ぼす影響を決定した。データを下の表8に示す。IC50 値をSRB
アッセイによって決定した。データは、広範囲の新形成物に対するこれら化合
物の広範囲の有効性を、相対する薬量範囲での有効性とともに示す。したがって
、本発明によって確認および選択された化合物は、多数の型の新形成物の治療に
有用であるとされよう。
【0077】
【表8】 種々の細胞系の増殖阻害データ * Schmid ら(Proc. AACR Vol 39, p. 195 (1998))に記載されたニュートラル
レッドアッセイによって決定した。
【0078】 実施例 5 乳腺器官培養モデルにおける活性 図17 は、スリンダク代謝物による乳腺器官培養における前悪性病変の阻害を示
す。乳腺器官培養実験は、既述のようにして行った (Mehta and Moon, Cancer
Research, 46: 5832-5835, 1986)。結果は、スリンダクおよびエキシスリンドは
前悪性病変の形成を効果的に阻害するが、硫化スリンダクは非活性であったこと
を示す。データは、シクロオキシゲナーゼ阻害は必ずしも所望の化合物の抗新生
物的性質のためではないという仮説を支持する。
【0079】 分析 新形成物の治療のための化合物を選択するために、本発明は、種々のプロトコー
ルからの試験化合物の実験データを比較するための理論的根拠を提供する。本発
明の枠内で、試験化合物はヒト新形成物の治療のための使用可能性に従ってラン
ク付けすることができる。望ましい効果を有するこれら化合物を、さらなる試験
および続いてのヒト使用のために選択することができる。 種々の試験化合物の 質的データおよびいくつかのプロトコールを下の表9に示
す。データは、エキシスリンド、化合物B および化合物 E は適切な活性を有し
て四つのアッセイのスクリーニングをパスすることを示す。すなわち、COX阻害
の欠如、有効な cGMP特異性 PDE 阻害の存在、増殖阻害およびアポトーシス誘発
である。これら化合物の乳腺器官培養における活性は、本発明の有効性を実証す
る。スクリーニングプロトコールの量的評価は、化合物E を最良とランク付けし
、次いで化合物B 、そしてエキシスリンドがそれに続く。
【0080】
【表9】 種々の化合物の活性プロフィール 表9 コード: 最大活性および効果の試験に関与する一連の実験の評価に基づく
化合物の活性。 - 非活性 + 僅かに活性 + + 中位に活性 + + + 強く活性 + + + + 高度に活性
【0081】 また、PKG活性のための新規アッセイも開示され、これは本発明のスクリーニン
グ法において使用されるが、他の目的のためのPKG 活性のアッセイにおいてもよ
り一般的な有用性を有する (例えば、正常細胞機能におけるPKGの役割の研究)。
説明目的のために、化合物が新形成物治療に潜在的に有用であるかどうかを確定
する薬物評価においてPKG 活性がいかに有用であるかを記述する前に、PKGアッ
セイを最初に説明することは有用である。
【0082】 新規 PKG アッセイ 本発明の新規 PKG アッセイは、各配列がそれぞれ少なくとも cGMP-結合(cGB)
ドメインおよびホスホジエステラーゼ タイプ5 (「PDE5」)の燐酸化部位を含む
、固相複数アミノ酸配列への結合に関与する。その配列は公知で、下記の文献に
記述がある。 好ましくは、結合されたPDE5配列は、後記するようにPDE5の触媒
的ドメインを含まない。PDE5配列を固相に結合させる一つの方法は、これら配列
をPDE5配列とアミノ酸結合対の一方との融合タンパク質として発現して、アミノ
酸結合対のもう一方を固相 (例えばビーズ)に化学的に連結する方法である。使
用できる一つに結合対は、グルタチオン S-トランスフェラーゼ (「GST」) とグ
ルタチオン (「GSH」)があり、GST は上記したようにPDE5配列との融合タンパク
質として発現され、GSHは固相に共有結合する。 このようにして、 PDE5配列/GS
T 融合タンパク質を、下記するように、融合タンパク質を含む溶液を固相上に単
に通すだけで固相に結合させることができる。
【0083】 RT-PCR 法を、ウシPDE5A cDNA配列(McAllister-Lucas L. M. et al, J. Biol. C
hem. 268, 22863-22873, 1993)からデザインされた順向および逆向プライマーを
用いてPDE5のcGBドメインを得るため、およびPDE 1-10 ファミリー間の選択のた
めに用いる。全RNAのための 5'-3', Inc. キットを、続いてのmRNAのオリゴ (dT
) カラム精製を、 HT-29細胞とともに用いる。 順向プライマー (GAA-TTC-TGT-T
AG-AAA-AGC-CAC-CAG-AGA-AAT-G、203-227) および逆向プライマー (CTC-GAG-CTC
-TCT-TG腫瘍C-TTC-CTC-TGC-TG、1664-1686) を用いて、ヒトPDE5A (203-1686 bp
、cGB-PDE5)の燐酸化部位ならびに低親和性および高親和性双方のcGMP結合部位
をコードする1484 bp断片を合成する。合成された cGB-PDE5 ヌクレオチド断片
は、ウシ PDE5A と97% 類似する494 個のアミノ酸をコードする。次いで、これ
をtac プロモーターならびに EcoRI および XhoI 切断部位を有するpGEX-5X-3
グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST) 融合ベクター (ファルマシア・バイオ
テク社製 )中にクローニングする。次いで、融合ベクターを E. coli BL21 (DE3
) 細菌 (インビトロゲン社製)にトランスフェクトさせる。トランスフェクトさ
れた BL21 細菌を対数期まで増殖させてから、IPTGを誘導物質として加える。誘
導を 20℃ で 24 時間で行う。細菌を回収して、溶解する。可溶性細胞溶解物を
GSH 抱合させたセファロース4B (GSHセファロース4B)とともにインキュベートす
る。
【0084】 GST-cGB-PDE5融合タンパク質はGSH-セファロースビーズに結合することができる
が、他のタンパク質はビーズから過剰の 冷PBSで洗浄除去される。 発現されたGST-cGB-PDE5 融合タンパク質は、 7.5% SDS-PAGE ゲル上で 85 Kdタ
ンパク質として見られる。これは、その cGMP結合およびプロテインキナーゼ G
および Aによる燐酸化によって特徴づけられる。これは、二つのcGMP 結合部位
を有し、Kd は1.6±0.2 μMで、これは天然ウシPDE5のKd=1.3 μM に近い。GSH
抱合セファロースビーズ上のGST-cGB-PDE5は、インビトロでcGMP依存性プロテイ
ンキナーゼおよびcAMP依存性プロテインキナーゼ Aによって燐酸化することがで
きる。BPDEtide燐酸化のKm が68μMであるのに対し、PKGによる GST-cGB-PDE5燐
酸化Km は2.7μM で、Vmaxは2.8 μMである。PKGによる燐酸化は、 分子燐酸塩
が GST-cGB-PDE5 タンパク質中に一対一で取り込まれたことを示す。 上記のPDE5結合固相を用いてPKGを含むと思われる液体サンプルをアッセイする
ために、サンプルおよび固相を32P-γ-ATPを含む燐酸化緩衝液とともに混合する
。溶液を30℃で30分間インキュベートして、PKGが存在するとすれば、PKG によ
るPDE5配列の燐酸化を起こさせる。次いで、固相を溶液から分離して(例えば、
遠心分離や濾過によって) 、燐酸塩緩衝生理的食塩水 (「PBS」) で洗浄して、
残存する溶液をすべて除去し、未反応の32P-γ-ATPをすべて除去する。
【0085】 次いで、固相を直接に試験して (例えば、液体シンチレーションカウンターによ
って) 、32P が取り込まれたかどうかを確認することができる。32Pが取り込ま
れたとすれば、PKG は PDE5を燐酸化するので、それはサンプルが PKG を含んで
いたことを示す。PDE5 が融合タンパク質を介して結合していれば、上記したよ
うに、PDE5-含有融合タンパク質を固相からSDS 緩衝液で溶出することができ、
溶離液を32P 取り込みに関してアッセイすることができる。これは、溶離液を処
理して(例えば、ゲル分離によって) 種々のタンパク質を互いに分離して融合タ
ンパク質画分を32P 取り込みについてアッセイできるようにすることができるの
で、他のタンパク質が存在する可能性がある場合にとくに有利である。燐酸化さ
れた融合タンパク質は、固相から SDS 緩衝液を用いて溶出することができ、さ
らに電気泳動によって分析分解することができる。ゲル分離を行う場合、タンパ
ク質を染色してタンパク質の位置を確認することができ、PKG による融合タンパ
ク質のPDE5部分の32P燐酸化をゲルのX-線フィルムへの曝露によって測定するこ
とができる。32P が X-線フィルム上で見られる場合は、それはオリジナルのサ
ンプルがPKGを含んでいて、それが固相から溶出された融合タンパク質のPDE5 部
分を燐酸化したことを示す。
【0086】 好ましくはアッセイにおいて、PKGを阻害することなくプロテインキナーゼA (「
PKA」) を特異的に有効に阻害するプロテインキナーゼインヒビター (「PKI」)
の過剰量(例えば 100 倍) を、アッセイ緩衝液に加えるべきである。PKAを阻害
することは、それがPKG 基質(例えば、PDE5)の燐酸化に貢献する可能性があるこ
とから、望ましい。PKIを加えることによって、PKA による燐酸化へのいずれの
貢献も除外されるであろうし、検出される燐酸化はいずれもPKG のみに起因する
という可能性がきわめて高い。
【0087】 本発明のアッセイのためのキットをつくることができ、このキットは別々の容器
に以下の予めパッケージされた試薬を含む。 1. 細胞溶解緩衝液: 50 mM トリス-HCl、 1% NP-40、150 mM NaCl、1 mM EDT
A、1mM Na3VO4、1 mM NaF、500μM IBMX、プロテイナーゼインヒビター 2. プロテインキナーゼ G 固相基質: 組換えGST-cGB-PDE5 結合セファロース
4B (50% スラーリー) 3. 2x 燐酸化緩衝液: 32P-γ-ATP (3000 mCi/mmol、 5〜10 μCi/アッセイ)
、10 mM KH2PO4、10 mM K2HPO4、200 μM ATP、5 mM MgCl2 4. PKA プロテインキナーゼ I インヒビター その中で上記反応を行わせる使い捨て容器などもキットに含むことができる。 上記から、分析技術分野に精通した者は、記述されたアッセイ形態をなお他の形
態に適用する多様な方式手段を容易に想像できよう。要約すれば、少なくとも一
部のPDE5 (またはPKGによって選択的に燐酸化され得る他のタンパク質のいずれ
でも)を用いることによって、PKGの存在および相対量(対照と比較して) を、標
識された燐酸化剤を用いて燐酸化可能なタンパク質の燐酸化を評価することによ
って、確認され得る。
【0088】 SAANDは、新生物細胞中のPKG活性を増加させる 上記の PKGアッセイを用いて次の実験を行い、SAAND で処理した新生物細胞中の
PKG 発現の増加またはcGMPレベルの上昇のいずれか (または双方)によってSAAND
がPKG 活性を増加させることを確立した。 試験手順 二つの異なるタイプのPDE インヒビターを、新生物細胞における PKGに及ぼすそ
れらの影響に関して評価した。SAANDであるエキシスリンドを、それが抗新生物
性であることから評価した。また、非SAANDの 典型PDE5 インヒビターである E4
021を評価して、PKG 上昇が単に典型PDE5阻害によるものか、あるいはPKG上昇が
PDE5および米国特許出願 No. 09/173,375 (Liu ら、1998年10月15日出願)に開
示された新規PDE のSAAND阻害の親アポトーシス性効果に関わったのかを確認し
た。
【0089】 APC突然変異を含む新形成物に及ぼすcGMP特異性PDE阻害の影響を試験するために
、SW480 結腸癌細胞を用いた。SW 480 は APC突然変異を含むことが知られてい
る。RPMI 5%血清中の約5百万個のSW480細胞を それぞれ8枚のプレートに加え
る。 2 枚- 10cm プレート --- 30 μL DMSO 担体対照 (薬物を含まない)、 3 枚- 10cm プレート ---200 μM、 400 μM、600 μM エキシスリンド、および
3 枚- 10cm プレート --- 0.1 μM、 1 μM および 10 μMのE4021 これらプレートを37℃で 5% CO2インキュベーター中で48時間培養する。 液体培地をプレートから吸い出す (細胞はそれ自体でプレートに付着する)。付
着した細胞を各プレート中で冷PBSで洗浄して、200 μL 細胞溶解緩衝液 (すな
わち、 50 mM トリス-HCl、1% NP-40、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1mM Na3VO4、1
mM NaF、500μM IBMX およびプロテイナーゼインヒビター) をそれぞれのプレ
ートに加える。 細胞溶解緩衝液の添加後すぐに、溶解した細胞を各プレートか
らこすり落として集める。各シャーレからの細胞溶解物をミクロフュージ管に移
して、ミクロフュージ管を4℃で15分間インキュベートするが、その間、ミクロ
フュージ管を緩やかに揺り動かしながら細胞を完全に溶解する。 溶解完了後、
ミクロフュージ管を全速(14,000 r.p.m.) で15 分間遠心分離する。各ミクロフ
ュージ管からの上清を新たなミクロフュージ管に移す。
【0090】 次いで、タンパク質アッセイを各ミクロフュージ管の内容に関して行う。という
のは、薬物が細胞増殖を阻害すれば、総タンパク質量は薬物処理サンプル中より
も対照中の方が多いからである。明らかに、薬物が作用しない場合は、薬物処理
サンプル中の総タンパク質は対照と実質的に同じでなければならない。上記の場
合、対照およびE-4021ミクロフュージ管は希釈して高薬量エキシスリンド処理サ
ンプルに標準化しなければならなかった (エキシスリンドのより低い薬量群は最
高薬量エキシスリンドサンプルに標準化しなければならなかった)。このように
、タンパク質アッセイの後、種々のサンプルの総タンパク質濃度を標準化(例え
ば、希釈によって)しなければならない。
【0091】 各薬物濃度および対照に関して、以下に詳述するように、cGMPを添加するもの、
cGMP添加しないものの、二つのPKGアッセイを行う。これら二つの異なるPKGアッ
セイを行う理由は、 cGMPが特異的に PKGを活性化するからである。本発明の新
規 PKGアッセイを用いてPKG活性をアッセイする場合、PKG 活性の増加が細胞中
の増加したcGMPによるものか(これは cGMP特異性PDE阻害 によって起き得る)、
またはPKG 活性レベルがPKG タンパク質の増加した発現によるものかを確認する
ことはできない。同一サンプルで添加cGMP を含むものと含まないものの双方のP
KG 活性を測定することによって、PKG 活性増加が(あるとすれば)、増加したP
KG発現によるかどうかを確認できる。このように、抗新生物薬物がPKG 活性を対
照と比較して上げる場合、薬物誘発された増加が増加したPKGタンパク質 発現(
活性化と対比して)によるものかを、次のような場合に確立できる。すなわち、
(1) 添加cGMP を有する薬物処理されたサンプルが添加cGMP を有する対照サンプ
ルと比較してより大きいPKG活性を示す場合、および (2) 添加cGMP を有しない
薬物処理されたサンプルが対照と比較してより大きいPKG 活性を示す場合である
【0092】 cGMP添加および無添加の平行サンプルを調製した後、50 μL の各細胞溶解物を
上記のPDE5/GST 固相基質スラーリー20 μL に加える。評価される各対照または
薬物細胞溶解物サンプルについて、10 μCi 32P-γ-ATP 溶液を含む燐酸化緩衝
液(200 μM ATP、 4.5 mM MgCl、5 mM KH2PO4、5 mM K2HPO4) を各混合物に加え
ることによって反応を開始する。得られる混合物を30℃で30 分間インキュベー
トする。次いで、混合物を遠心分離して固相を分離して、上清を捨てる。各管中
の固相を 700 μL の冷PBSで洗浄する。固相に、Laemmli サンプル緩衝液 (Bio-
Rad) (30 μL) を加える。混合物を5分間煮沸して、7.5% SDS-PAGE上に載せる
。ゲルを150 V 1時間泳動させる。得られるバンドをクマシーブルーで染色して
、あるとすれば85 Kd GST-PDE5 融合タンパク質バンドを可視化する。ゲルを乾
燥させて、そのゲルをX線フィルム上に供する。PDE5が燐酸化されている場合は
、フィルムには対応する黒ずんだバンドが表れる。各バンドの黒ずみは、燐酸化
の程度に関係する。
【0093】 図 18A および 18Bで示すように、SAANDエキシスリンドは、cGMP添加およびcGMP
無添加のサンプルの双方で、余分cGMPを含むおよび含まない対照サンプルと比
べて、薬量依存的にPKG 活性を増加させる。これは、各薬物処理されたサンプル
の85 Kdバンドがより濃く現れることで明白になる。加えて、エキシスリンドで
処理されたSW480サンプルは、添加cGMPとともに担体で処理したサンプルと比較
して、アッセイにおいてcGMP 添加でより大きいPKG燐酸化活性を示す。このよう
に、 薬物処理したサンプル中のPKG活性は、SAANDがcGMP特異性 PDE 活性を阻害
するときの細胞性cGMP の増加によるPKGの活性化のみによるのではなく、APC 突
然変異を有する新形成物におけるPKG活性の増加はまた、増加したPKG 発現にも
よる。 また、E4021-処理された SW480サンプルは対照と比較してPKG 活性化を示さなか
った (図 18A および18Bを参照) という事実は、APC 突然変異を含む新形成物に
おいてSAANDによって起きたPKG活性増加は単に典型PDE5の阻害によるものではな
いことを示す。
【0094】 PKG 活性化を評価するための分析技術として、上記のX線フィルム曝露の代わり
に、SDS PAGEからの85 Kdバンドをゲルからバンドを切り出すことによって燐酸
化の程度に関して評価できるが、切り出したバンド中に取り込まれた32P は、32 P ウィンドウにおいてシンチレーション(ベータ)カウンターによってカウント
することができる。 β-カテニン突然変異を含む新形成物に及ぼす cGMP特異性 PDE 阻害の影響を試
験するために、HCT116 結腸癌細胞を用いた。HCT116は、β-カテニン突然変異を
含むことが知られているがまた、APC突然変異を含まないことが知られている。
上記のSW480の方法に用いたのと同じ方法を用いて、HCT116細胞を増殖した。こ
の実験では、エキシスリンドと対照のみを用いた。エキシスリンド処理した細胞
は対応する対照よりも広範囲に燐酸化されたPKGを生じ、これはAPC 突然変異に
無関係な薬物処理細胞においてPKG 活性化が起きたことを示している。 したがって、本発明の目的のために、「β-カテニン」 はそのタンパク質の野生
型および/または突然変異型を意味する。
【0095】 SW 480において増加した PKG 発現および減少したβ-カテニンの、ウエスタンブ
ロットによる確認 上記で示したように、SAANDはPKG 発現の増加およびcGMPレベルの上昇をもたら
し、その両方とも、SAAND処理した新生物細胞において PKG 活性の増加をもたら
す。このPKG タンパク質発現の増加は、下記のように、相対定量的ウエスタンブ
ロットによってさらに確認された。 前記のようにしてエキシスリンドで処理したSW480 細胞を、氷冷PBSで1回リン
スすることによってミクロフュージ管から集める。細胞を修飾RIPA 緩衝液によ
って 15 分間攪拌しながら溶解する。細胞溶解物を低温室で遠心分離する。遠心
分離後ただちに、上清を新鮮なミクロフュージ管に移す。BioRad DC タンパク質
アッセイ(Temecula、CA) を行って、サンプル中のタンパク質濃度を測定する。
上記のように、サンプルをタンパク質濃度に関して標準化する。
【0096】 各サンプルの50 mg を 10% SDS ゲルに載せる。SDS-PAGE を行い、次いでタンパ
ク質をニトロセルロース膜に移す。ブロットしたニトロセルロース膜を、新鮮調
製した5% 無脂粉乳を含むTBST 中で室温で1時間攪拌しながらブロックする。 ヤギ抗-PKGプライマリー抗体を推奨される濃度までTBST/5% 無脂粉乳中で希釈す
る。ニトロセルロース膜をプライマリー抗体溶液中に入れて、室温で攪拌しなが
ら1時間インキュベートする。ニトロセルロース膜をTBSTでそれぞれ10分間3回
洗浄する。ニトロセルロース膜を、二次ペルオキシダーゼ(POD)抱合したウサギ
抗-ヤギ抗体を含む溶液中で室温で1時間攪拌しながらインキュベートする。ニ
トロセルロース膜を、TBSTでそれぞれ10分間3回洗浄する。検出は、ベーリンガ
ー・マンハイム BM ブルー POD基質を用いて行う。 図 19にグラフで示したように、エキシスリンドはβ-カテニンの減少と PKGの増
加をもたらすが、データはウエスタンブロットによって得られた。 SW480 細胞
をエキシスリンドまたは担体 (0.1% DMSO)で48時間処理した。 各細胞溶解物の
上清50 μg を、10% SDS-ゲルに載せて、ニトロセルロース膜にブロットして、
膜をウサギ-抗-β-カテニン抗体およびウサギ抗-PKG抗体を用いてプローブした
【0097】 SAANDは新生物細胞においてβ-カテニンレベルを下げる この観察は、SW480細胞を200、 400 あるいは 600 μM のエキシスリンドまたは
担体 (0.1% DMSO)とともに培養することによってなされた。細胞を処理48時間後
に集めて、イムノブロッティングのために処理する。イムノ反応性タンパク質を
ウエスタンブロットによって検出することができる。ウエスタンブロット分析は
、β-カテニンの発現がエキシスリンド処理した細胞では対照に比べて50 %減少
したことを示した。これらの結果は、β-カテニンがSAAND処理によって低減する
ことを示す。PKG活性がそのような処理で増加することを確立する上記の結果お
よび、β-カテニンがPKGによって燐酸化されることを確立する以下の結果を合わ
せて、これらの結果は新生物細胞におけるβ-カテニンの減少はPKGの活性化によ
って開始されることを示す。したがって、新形成物におけるPKG活性を、抗新生
物剤としての化合物を選択するためのスクリーニングツールとして使用すること
は有用である。
【0098】 PKGによるβ-カテニンの燐酸化 インビトロで、 PKG はβ-カテニンを燐酸化する。これを確立した実験は、「β
-カテニン免疫沈降」の項に記述した方法でSW480細胞(いかなる薬物でも処理さ
れないもの)からβ-カテニン含有 複合体を免疫沈降させることに関与する。免
疫沈降した複合体は、まだ固相(すなわち、ビーズ)上にとらわれた状態で、これ
32P-γ-ATP および純 PKG (100 単位)と混合する。PKG添加しない対応する対
照を調製する。 タンパク質を固相からSDS緩衝液を用いて放出させて、タンパク質を含む混合物
を7.5% SDS-PAGE ゲル上で泳動させる。混合物のゲル上の泳動によって過剰のゲ
32P-γ-ATPが混合物から除去される。したがって、93Kd β-カテニンバンド中
に検出される32P-γ-ATP は全てβ-カテニンの燐酸化によるものである。添加PK
Gなしの対照と比較してPKG添加して処理された93 Kd β-カテニンバンド中に検
出される 32P-γ-ATPの増加はいずれも、PKG 添加して処理されたバンドにおけ
るβ-カテニンの燐酸化によるものである。 本発明者らが得た結果では、微細な事実上検出不能な燐酸化を示した対照と比較
して、PKGで処理したバンドでは燐酸化の顕著な増加があった。この結果は、β-
カテニンがPKGによって燐酸化され得ることを示す。
【0099】 PKG による、突然変異 β-カテニンの燐酸化 直前のセクションに記したのと同じ実験をHCT116細胞を用いて行った。この細胞
は、APC突然変異は含まないがβ-カテニン突然変異を含む。これら実験結果もま
た、突然変異β-カテニンがPKGによって燐酸化されることを示す。 したがって、本発明の目的のために、β-カテニンの燐酸化は、野生型および/
またはそのタンパク質の突然変異型の燐酸化を指すものである。
【0100】 β-カテニンは PKGとともに沈殿する SW480 および HCT116 細胞溶解物双方の上清を、ウエスタンブロット実験におい
て上記したのと同じ方法で調製する。細胞溶解物を、500 mgの細胞溶解物当たり
150 ml のプロテイン A セファロースビーズスラーリー (50%) を加えて、管シ
ェーカー上で4℃で10分間インキュベートすることによって予め清澄にする。プ
ロテインA ビーズを、14,000 x g 、 4℃で10分間遠心分離して除去する。上清
を新たな遠心分離管に移す。10 mg のウサギポリクローナル抗-β-カテニン抗体
(Upstate Biotechnology、 Lake Placid、New York) を500 mg の細胞溶解物に
加える。 細胞溶解物/抗体混合物を緩やかに 2 時間、4℃で管シェーカー上で
混合する。150 ml プロテインA セファロースビーズスラーリー(75 ml 詰めビー
ズ) を加えて、混合物を管シェーカー上で一晩4℃で緩やかに揺り動かすことに
よって、免疫複合体が得られる。セファロースビーズを律動的遠心分離によって
集める(ミクロ遠心分離機で14,000 rpm、5秒間)。上清画分をすてて、ビーズを
800 ml の氷冷 PBS 緩衝液を用いて3回洗浄する。セファロースビーズを150 ml
の2 x サンプル緩衝液中に再懸濁させて、緩やかに混合する。セファロースビ
ーズを5分間煮沸して、免疫複合体をビーズから解離させる。ビーズを遠心分離
で集めて、SDS-PAGE を上清について行う。
【0101】 ウエスタンブロットを上清について行い、次いで、膜をウサギ抗-β-カテニン抗
体で精査(プローブ)する。次いで、膜を TBST で3 回それぞれ10 分間洗浄し
て、過剰の抗-β-カテニン抗体を除去する。セイヨウワサビペルオキシダーゼに
抱合したヤギ抗ウサギ抗体を加えて、次いで、室温で1時間インキュベートする
。こうすることによって、HRPO 基質とともにβ-カテニンの存在を目で見ること
ができる。この実験では、β-カテニンの存在を明確に可視化できた。 同じ膜上のPKGを検出するために、抗-β-カテニン抗体抱合体 をまず、膜から2
% SDS および 100 μM 2β-メルカプトエタノールを含む 62 mM トリス-HCl 緩
衝液 (pH 7.6) を用いて 55℃水槽中で 0.5 時間かけて剥がす。次いで、この剥
離膜を、5% 無脂粉乳を含むTBSTを用いて1時間室温で膜を揺り動かしながらブ
ロックする。次いで、ブロックされた剥離膜をウサギポリクローナル-PKG 抗体(
Calbiochem、LaJolla、CA)を用いて精査するが、これはHRPOに抱合されたヤギ抗
ウサギ二次抗体を用いて検出される。ブロット膜上の PKGの存在をHRPO基質を
用いて可視化する。この実験において、実際に PKGg可視化された。膜状のタン
パク質のみが 細胞上清中でβ-カテニンと免疫沈降したものであるとすると、こ
の結果はPKGが細胞上清におけるβ-カテニンを含むタンパク質複合体と物理的に
連結されたということを明確に確立する。
【0102】 同じウエスタンブロット膜をまた、抗-GSK3-β 抗体を用いて剥ぎ取った後で精
査して、これもまたβ-カテニンと共沈殿したかどうかを確認した。その実験で
、我々はまた、膜上に GSK3-βを検出し、これは GSK3-βが GSK3-β とPKGとで
沈殿したことを示し、 三つのタンパク質が同一複合体の部分である得ることを
示唆する。GSK3-β および β -カテニンが正常細胞において APC 複合体の部分
を形成することから、これはPKGが同一複合体の部分であり得ること、およびそ
の複合体の部分としてβ-カテニンの燐酸化に関与し得ることを示唆する。
【0103】 cGMP PDE インヒビターを含む抗新生物薬剤組成物 その作用機序がcGMP 阻害に関わることが見出される以前におよびそれが本発明
の選択規準を満足することが知られる以前に、これもまた発明された一薬剤は、
(Z)-5-フルオロ-2-メチル-(4-ピリジリデン)-3-(N-ベンジル)インデニルアセト
アミド塩酸塩 (化合物 I)である。これはインビトロおよびインビボ評価で、広
範囲の新形成物に対する活性を有する抗新生物剤として示されてきた。これはま
た、動物研究およびヒトにおける単一漸増用量研究において安全である。
【0104】 以下に示すデータから当業者には明らかであるように、化合物I は、従来の化学
療法剤または抗新生物性NSAIDの寛容 (そして多くの場合、毒性) 投与量をはる
かに超える薬量で動物に安全に与え得る。例えば、ラットでの急性毒性研究にお
いて、2000 mg/kg およびそれ以下の量の化合物 Iの単一経口投与(担体: 0.5%
カルボキシルメチルセルロース) の結果、観察できる毒性の徴候は見られなかっ
た。4000 mg/kgでは、体重増加がやや低減された。単一投与1000 mg/kg の腹腔
内投与の結果、体重増加が低減され、この群の動物のいくらかで剖検時に腸間膜
癒着が見られた。 イヌにおいて、カプセルに入れた化合物I の1000 mg/kg 投与の結果、雄イヌ2
匹と雌イヌ2匹の単一群への毒性の兆候は認められなかった。化合物 I カプセ
ルの性質上、この投与は少なくとも13 カプセルを各動物に使用しなければなら
なかったが、これは動物にストレスなしで与え得る最大数と判断された。したが
って、これらのイヌにはその後に7回連続で1000 mg/kg/日を投与した。いずれ
の投与時期にも、薬物関連の影響の明白な徴候は観察されなかった。 このように、単一投与では化合物 I に急性毒性はない。これらの研究結果に基
づいて、化合物I の経口LD50 は、イヌにおいて1000 mg/kg 以上、ラットにおい
て 4000 mg/kg 以上、そして腹腔内 LD50 はラットで1000 mg/kg 以上であると
考えられた。
【0105】 ラットにおける7日間用量範囲評定実験を、化合物 I を0、50、500 または2000
mg/kg/日の薬量で投与して評価した。その結果、50 mg/kg/日では観察できる毒
性徴候は何ら見られなかった。500 mg/kg/日では、処置に関連する影響は雌ラッ
トにおける絶対的および相対的肝臓重量の増加に限定された。2000 mg/kg/日で
は、影響としては、雄ラットにおける呼吸困難および/または異常な呼吸音、体
重増加のおよび摂食量の低減、および雌ラットにおける肝臓重量増加などがあげ
られた。血液学的または血液化学的変化、顕微鏡的病理変化のいずれも、どの投
与量レベルでも見られなかった。
【0106】 ラットにおける28-日実験もまた、0、 50、500 および 2000 mg/kg/日の投与量
で行った。化合物Iに起因する異常な臨床的所見は見られず、体重変化、検眼鏡
検査、血液学的および血液化学的諸数値および尿分析検査で目立った所見はなか
った。剖検では肉眼的組織変化は見られなかった。臓器重量データでは、2000 m
g/kg/日の投与で統計学的に有意な肝臓重量の増加および2000 mg/kg/日投与群で
統計学的に有意な甲状腺重量の増加が明らかになった。より低い投与量での僅か
な増加は、統計学的に有意ではなかった。組織の組織病理学的評価は、濾胞細胞
肥大の痕跡の存在、甲状腺における有糸分裂形状数増加(細胞増殖の可能性を示
唆する)および肝臓における軽度の中心小葉性肥大を示した。500 mg/kg/日投与
の1雌動物で甲状腺における有糸分劣形状の増加が見られたが、これらの諸変化
は一般に2000 mg/kg/日投与の動物の少数に限られた。肝臓における所見は、ミ
クロソーム酵素の極めて軽い刺激を示し得るもので、それによって甲状腺ホルモ
ンの代謝が増加し、その結果として甲状腺が刺激された。このように、これらの
影響は従来の化学療法剤またはNSAIDの同様の投与量から予期されるものに比べ
ると、極めて微細であることが当業者には理解されよう。
【0107】 化合物 Iの安全性プロフィールをさらに確立するために、前立腺腫瘍細胞系の化
合物I誘発アポトーシスが、正常組織由来の前立腺上皮細胞に及ぼすその影響と
同様のものであるかどうかを評価するための実験を行った。アンドロゲン感受性
前立腺腫瘍細胞系であるLNCaP (ATCC (Rockville、 MD)から入手) を、標準条件
下で5%ウシ胎児血清および 2 mM グルタミンを含むRPMI 160 培地を用いて増殖
させた。正常前立腺由来のプライマリー前立腺上皮細胞培養物 (PrEC) (Cloneti
cs Inc. (San Diego、CA)からのもの) を、そのような培養物の増殖に最適化し
た無血清培地(Clonetics Inc) を用いる以外は腫瘍細胞系と同じ条件下で増殖さ
せた。実験のために、LNCaP または PrEC 細胞を、96穴プレートに ウェル当た
り10,000 細胞の密度で蒔いた。24 時間後、細胞を担体 (0.1% DMSO) または DM
SO に溶解した50 μM の細胞 I (遊離塩基) のいずれかで処理した。種々の薬物
処理時間 (4、 24、 48、72または 99 時間) の後、細胞を溶解して、アポトー
シス細胞死の指標としてのヒストン連結DNAの測定のために処理した (Piazza et
al., Cancer Research 57: 2452-2459, 1997を参照)。 図27は、50 μM の化合物I(遊離塩基) 処理の後のLNCaP 細胞培養物中のヒスト
ン連結断片化DNAの量の時間依存性増加を示す。断片化 DNA の有意な増加が処理
後24 時間で検出され、誘発は連続処理の4日まで維持された。これと対比して、
化合物 I (50 μM) による PrEC (「正常」 前立腺) 細胞の処理は、処理4日ま
でDNA 断片化に影響しなかった。これらの結果は、正常細胞と対比して、新生物
細胞におけるアポトーシスの選択的誘発を示す。これは、急速増殖する正常細胞
と新生物細胞において、同じようにアポトーシスまたは壊死を誘発する従来の化
学療法剤と極めて対照的である。
【0108】 追加インヒビターの識別 新生物剤として治療効果を有し得る追加の cGMP特異性 PDE 阻害細胞の構造的な
識別に関して、当業者にはここに開示する多くの有用なモデル化合物が(参考文
献として添付したそれら類似体を含めて) 提供されるが、これは同一構造を有す
るが化学的には異なる追加化合物のコンピュータモデル作成のためのベースとし
て用いることができる。例えば、Molecular Simulations Inc.から販売されてい
るWebLabTM ViewerProTM などのソフトウェアは、分子視覚化および化学情報伝
達能を含む。そのようなソフトウェアには、既知活性化合物を3D視覚化して、ス
ケッチまたはインポートされた化学構造の正確性を確認するなどの機能性を含む
。加えて、ソフトウェアはユーザー定義の特性に基づいて構造を重ね合わせるこ
とを可能にし、ユーザーは距離、角度または二面角を測定することができる。 この状況において、他の活性化合物の構造が上記に開示されたので、そのような
ソフトウェアを用いてクラスター分析ならびに 2D および3D 類似検索手法を適
用して、潜在的な新追加化合物を識別して、次いでそれらを本発明の選択規準に
従ってスクリーニングおよび選択することが誰にでもできる。これらソフトウェ
ア法は、類似しているまたは同様の性質を有している化合物は同様の活性を有す
る確率が高いという原理に基づくもので、それは本発明の選択規準を用いて確認
することができる。
【0109】 同様に、そのような追加化合物がコンピュータモデルの場合、多数のそのような
化合物およびその異型体は、製薬産業分野における通常技能者によって常用され
る公知の組合わせ化学技術を用いて合成することができる。組合わせ化学事業の
数少ない臨時雇用(for-hire)サービスは、例えばNew Chemical Entities, Inc
. (Bothell Washington)、Protogene Laboratories, inc. (Palo Alto、Calif
ornia)、Axys, Inc. (South San Francisco、California)、Nanosyn, Inc. (Tuc
son、Arizona)、Trega, Inc. (San Diego、California)およびRBI, Inc. (Natic
k、Mass.)で提供される。他に多数の臨時雇用会社がある。 多数の大手製薬会社
はより優れた、そうでなければ同等の社内能力を有している。手短に言えば、当
業者はスクリーニングのための多数の化合物を容易に製造でき、それからここに
開示した化合物の特性を有する新形成物治療に有望な化合物を選択することがで
きる。
【0110】 加えて、組合わせ技術を用いて通常つくられた化合物の商業的に知られたライブ
ラリーが多数ある。そのような化合物はまず、上記に説明したようなソフトウェ
アを用いてここに開示したタイプの活性化合物と構造的に類似しているかどうか
を評価確認することができる。そのような構造的に類似の化合物を識別した後、
化合物を本発明の方法によって容易にスクリーニングし、抗新生物cGMP PDE イ
ンヒビターを得ることができる。 本発明の規準を用いてスクリーニングしてから選択され得る化合物の識別をさら
に助けるために、選択された抗新生物化合物のPDE5タンパク質への結合を知るこ
とは有利である。 以下に説明する方法によって、本発明の選択規準を満足する
好ましく望ましい化合物は、PDE5のcGMP 触媒領域に結合することが見出された
【0111】 これを確立するために、触媒ドメインを含まないPDE5配列が用いられた。そのよ
うな配列を産生するための一方法は、その配列を融合タンパク質、好ましくはグ
ルタチオンS-トランスフェラーゼ (「GST」)との融合タンパク質として発現する
ものである。GST-cGB-PDE5融合タンパク質の産生は、新規PKGアッセイと題した
上記セクションに記述の方法によって行った。 目的化合物のcGMP 結合アッセイ (Francis S. H. et al, J. Biol. Chem. 255,
620-626, 1980) は 5 mM 燐酸ナトリウム緩衝液 (pH=6.8)、1 mM EDTA、0.25 mg
/mL BSA、H3-cGMP (2μM、NEN) および GST-cGB-PDE5 融合タンパク質 (30 μg
/アッセイ) を含む全量100 μL 中で行う。各被験化合物を3H-cGMP 基質と同時
に加えて、混合物を 22℃ で1 時間インキュベートする。 次いで、混合物をフ
ィルター膜としてGF/Bを備えたブランデルMB-24 細胞ハーベスターに 移して、
次いで、各10 mL の 冷5 mM カルシウム緩衝液 (pH 6.8)で2回洗浄する。次いで
、膜を切り出してシンチレーション用バイアルに移してから、各バイアルに 1 m
L の H2O および6 mL のReady SafeTM 液体シンチレーションカクテルを加える
。バイアルをベックマン LS 6500シンチレーションカウンター上で計数する。
【0112】 計算のために、結合タンパク質を 5 分間煮沸することによってブランクサンプ
ルを調製する。結合カウントは非煮沸タンパク質と比較すると < 1% である。フ
ィルター膜または他のデブリによる消滅もまた、測定修正される。 PDE5 インヒビターである、硫化物、エキシスリンド、化合物B、化合物E、E4021
およびザプリナスト、およびサイクリックヌクレオチド類似体であるcAMP、サ
イクリック IMP、8-ブロモ-cGMP、サイクリック UMP、サイクリック CMP、8-ブ
ロモ-cAMP、2'-O-ブチル-cGMP および2'-O-ブチル-cAMP を選択して、これらがG
ST-cGB-PDE5 タンパク質のcGMP 結合部位に拮抗的に結合できるかどうかを試験
する。結果を図 24に示した。cGMPは、GST-cGB-PDE5 タンパク質に特異的に結合
する。サイクリック AMP、cUMP、cCMP、8-ブロモ-cAMP、2'-O-ブチル-cAMP およ
び2'-O-ブチル-cGMP はcGMPと結合において拮抗しなかった。高濃度(100 μM)の
サイクリック IMP および 8-ブロモ-cGMPは、部分的にcGMP (2 μM) 結合と拮抗
することができる。PDE5 インヒビターはいずれも、GST-cGB-PDE5の結合におい
てcGMPと拮抗を示さなかった。したがって、これらはPDE5 の cGMP 結合部位に
結合しない。
【0113】 しかし、化合物E は確かに(cGMPと)拮抗的に PDE 5 (すなわちピークA)に結合す
る。 (化合物 E はまた、(cGMPと)拮抗的にPDE ピーク Bと結合する。)化合物
E がPDE5のcGMP結合部位に結合しないということであれば、化合物E と cGMPの
間にともかく拮抗的結合があるという事実は、 化合物 E のような望ましい化合
物はPDE5上のcGMP 触媒部位に結合することを意味し、これは、当業者(従来の拮
抗的結合実験に関して)によって容易に得ることができる情報であるが、当業者
の他の化合物モデル作成をさらに容易にする。したがって、ここに提示する望ま
しい化合物の化学構造および cGMP 結合部位情報を用いて、当業者は治療剤とし
て使用するための他の化合物をモデル作成、識別および選択 (本発明の選択規準
を用いて) することができる。
【0114】 アンスラサイクリン抗生物質とcGMP特異性PDE インヒビターとの組合わせ治療 本発明の方法は、新形成物を有する患者のアンスラサイクリン抗生物質およびcG
MP特異性 PDE インヒビターの双方を用いる治療に関する。アンスラサイクリン
抗生物質の誘導体またはドキソルビシンの誘導体は多数ある。これに関して、こ
こでこの二つの用語は互いに交換可能に用いられる。アンスラサイクリン抗生物
質の種々の誘導体(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシンおよびイダルビシ
ン) が開示される。他のアンスラサイクリン抗生物質誘導体は米国特許第 4,839
,346、 4,950,738、5,348,946、5,593,970、5,625,043、および5,646,177号に開
示されており、これら全てはここに参考文献として添付される。そのような構成
物は、ここで用いる用語での「アンスラサイクリン抗生物質」の非制限的例を集
合的に開示する。
【0115】 投薬量 本発明は、新形成物を有する患者を治療するための組合わせ療法の使用に関わる
。この薬剤の組合わせ、すなわちアンスラサイクリン抗生物質およびcGMP特異的
PDEインヒビター、を用いて患者を治療することによって、いずれかの一方の薬
剤のみでは見られないような治療結果が達成される。上記説明したように、エキ
シスリンドは、本発明の実施においてアンスラサイクリン抗生物質とともに組合
わせて使用すべき適切なcGMP特異的 PDEインヒビターの一例である。 エキシス
リンドはPDE5 および新規 cGMP-PDEの双方を阻害し、エキシスリンドによる新生
物細胞の治療の結果は増殖阻害およびアポトーシスとして見られる。(表 9を参
照)。
【0116】 エキシスリンドは、その推奨投与量300 - 400 mg/日の投与では何ら重大な副作
用を起こさない。推奨治療量レベルを超えた投与がなされた場合、エキシスリン
ドによる処置は肝臓酵素レベルの上昇をもたらし得る。この影響は可逆的であっ
て、エキシスリンドの投与量を従来の推奨量レベルに戻すか治療中断すると、肝
臓酵素は正常レベルに戻る。一方、アンスラサイクリン抗生物質の最も重大な副
作用は心筋毒性および骨髄抑制的活性である。 二つの薬剤の副作用が重複しな
いことから、エキシスリンドのようなPDEインヒビターは、アンスラサイクリン
抗生物質の有害な副作用を強めることなくアンスラサイクリン抗生物質と組合わ
せて使用することができる。 cGMP特異性 PDE インヒビターおよびアンスラサイクリン抗生物質は、少なくと
も二つの異なるやり方で組合わせて使用することができる。 第一の方法は、そ
の有益な治療効果を維持し、その副作用を弱めながら、アンスラサイクリン抗生
物質の従来の推奨投与量範囲を低減するものである。 第二の方法は、活性は増
強するがその副作用は増加させずに、アンスラサイクリン抗生物質を従来の推奨
投与量範囲で用いるものである。これらの方法ではいずれも、患者にはPDEイン
ヒビターとアンスラサイクリン抗生物質の両薬剤を同時にまたは順次に投与する
【0117】 アンスラサイクリン抗生物質の推奨投与量は、治療対象の癌のタイプおよびアン
スラサイクリン抗生物質が他の化学療法剤と組合わせて使用されるかどうかによ
って異なる。本発明の実施において、cGMP特異性PDEインヒビターは、アンスラ
サイクリン抗生物質単独または化学療法剤の1群とともに用いる癌治療の追加構
成要素として用いられる。 白血病、軟組織および骨肉腫、ならびに他の多発性新形成物の治療に関しては、
通常のドキソルビシンの投与量は、単一薬剤として使用される場合、60 ないし
75 mg/m2を21日間隔で静脈内注射する。他の化学療法剤と組合わせて使用される
場合には、ドキソルビシンは通常40ないし60 mg/m2を21ないし28日毎に投与する
。 急性非リンパ性白血病では、60才以下の成人のためのダウノルビシンの通常推奨
投与量は、最初の治療コースの1、2および3日目ならびに続いての治療コース
の1および2日目に45 mg/m2/日を投与するが、これは100 mg/m2/日のシトシン
アラビノシドの最初の治療コースで7日間および続いてのコースで5日間の毎日
投与とともに行う。 急性リンパ性白血病の成人のためのダウノルビシンの推奨投与量は、1、2およ
び3日目に45 mg/m2/日を、1、8および15日目の2mgのビンクリスチンとともに
投与する。
【0118】 ダウノルビシンのリポソーム調製物であるダウノキソムは、進行したHIV関連カ
ポジ肉腫の最初に行うべき治療として用いられる。従来の推奨投与量40 mg/m2
、静脈内に2週間毎に、60分間かけて投与する。 イダルビシン、エピルビシンおよびミトキサントロンを含む多数の合成類似体も
また用いられてきた。イダルビシン(イダマイシン(Idamycin))は、一般に他
の抗白血病薬剤と組合わせて急性骨髄性白血病の治療に用いられる。イダルビシ
ンの通常推奨投与量は12 mg/m2 /日で、これをAraCと組合わせて3日間投与する
。 本発明の実施において、上記の治療法および他の可能な組合わせのために、適切
なcGMP特異性 PDEインヒビターを用いる治療を治療の追加構成要素として加える
。cGMP特異性 PDEインヒビターおよびアンスラサイクリン抗生物質は、インヒビ
ターの血中レベルが増殖阻害に関するインヒビターのIC50 値に近くなるように
組合わせて用いる。エキシスリンドの場合は、約 200 ないし 400 mg/日の薬量
を1日2ないし4回で投与することが推奨される。 本発明の一実施態様で低投与量を用いる方法では、ドキソルビシンを従来の推奨
投与量40 mg/m2または60 mg/m2(上記適応症に関して)よりも低い薬量で、それ
ぞれcGMP特異性 PDEインヒビターと組合わせて投与する。同様にダウノルビシン
に関して、40または45 mg/m2 (上記適応症に関して)以下の薬量をcGMP特異性
PDEインヒビターと組合わせて、本発明の低投与量の方法の実施において用いる
。イダルビシンに関しては、12 mg/m2以下の薬量を毎日、cGMP特異性 PDEインヒ
ビターと組合わせて投与する。したがって、治療法の組合わせによって、副作用
を軽減しながらアンスラサイクリン抗生物質治療の効果利益が維持できる。
【0119】 第二の実施態様では、ドキソルビシンの薬量を従来の推奨投与量範囲(治療され
る癌のタイプによって、例えば、約40ないし60 mg/m2 または60ないし 75 mg/m2 )に維持して、cGMP特異性 PDEインヒビターと組合わせて投与する。同様にダウ
ノルビシンに関して、最新の推奨投与量(約40または45 mg/m2)をcGMP特異性 P
DEインヒビターと組合わせて維持することができる。イダルビシンに関しては、
約12 mg/m2の薬量を毎日、cGMP特異性 PDEインヒビターと組合わせて投与する。
この場合、組合わせは、その有害な副作用を増強することなくアンスラサイクリ
ン抗生物質の治療効果を上げる。 上記方法ではいずれも、cGMP特異性PDEインヒビターとアンスラサイクリン抗生
物質は同時にまたは順次連続して投与する。
【0120】 調剤製法 本発明の方法論によって選択された化合物は、用語「薬剤組成物」の通常に意味
から十分に理解されるような薬剤組成物に調製することができる。すなわち、化
合物 (例えば、上記の固形物など) および患者に投与するための薬学的に許容さ
れ得る担体を含んでなる組成物であるが、経口投与のための固体または液体形状
、 IV または IP 投与のための液体形状、局所投与のための軟膏形状、または直
腸もしくは局所投与のための座剤に調製することができる。経口投与のための担
体が最も好ましい。 当業者に周知のように、経口投与用の薬剤組成物中の薬学的に許容され得る担体
には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、トローチおよび顆粒などが含まれる。その
ような固体剤型では、担体はショ糖、乳糖または澱粉などの少なくとも一つの不
活性希釈剤 を含んでなることができる。そのような担体はまた、通常実施され
るように、希釈剤以外の追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑
剤などを含み得る。カプセル、錠剤、トローチおよび丸剤の場合は、担体はまた
、緩衝剤を含み得る。錠剤、丸剤および顆粒などの担体は、錠剤、丸剤および顆
粒の表面に腸溶性剤皮を用いて調製することができる。 あるいはまた、腸溶性
剤皮で覆った化合物を錠剤、丸剤または顆粒、および患者への投与用の錠剤、丸
剤または顆粒の内部に押し込むことができる。好ましい腸溶性剤皮には、セラッ
クまたはEudragetS などの結腸のpH で溶解または分解するものが含まれる。
【0121】 薬剤組成物中の薬学的に許容され得る担体には経口投与用の液体剤型が含まれ、
例えば、薬学的に許容され得る乳剤、溶液、懸濁液、シロップ、および水などの
当分野で通常使用される不活性希釈剤を含むエリキシル剤があげられる。そのよ
うな不活性希釈剤の他に、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤などの補
助剤および甘味剤、風味剤および芳香剤を含むことができる。 IV または IP投与用の薬剤組成物中の薬学的に許容され得る担体は、通常の薬剤
用生理食塩水を含む。 局所投与用の薬剤組成物中の薬学的に許容され得る担体は、DMSO、アルコール
またはプロピレングリコールなど、パッチ(貼付吸収薬)または他の液体保持物
質とともに用いて薬剤を皮膚上の所定位置に保持して薬物が乾燥しないようにす
るものなどを含む。 直腸投与用の薬剤組成物中の薬学的に許容され得る担体は、好ましくは座剤で、
これは本発明の化合物に加えて、ココアバターまたは座剤ワックスまたはゲルな
どの賦形剤を含み得る。
【0122】 薬学的に許容され得る担体および本発明の化合物は、患者への投与のための単位
調剤型で薬剤組成物に調製することができる。単位調剤中の活性成分(すなわち
、本発明によって選択された化合物)の投薬量レベルをいろいろ変化させて、所
望の投与方法(すなわち、経口や直腸投与)によって新形成物排除活性を達成す
るに有効な活性成分量を得ることができる。したがって、選択された投薬量レベ
ルは投与される活性化合物の性質(例えば、容易に確認され得る IC50など)、投
与経路、所望の治療持続期間および他の因子によって異なる。必要であれば、単
位投薬量を、活性化合物の1日必要量を一つの調剤にするか複数調剤に分けて投
与する(例えば、一日2-4回)ことができる。 IV 投与に関しては、投与用の最初の投薬量は、インビトロ新生物細胞増殖阻害I
C50と同様の血漿濃度が得られるような薬量を基にして確定することができる。
平均成人男子は約4リットルの血漿を有することから、本発明によって選択され
た活性化合物の最初の投薬量は0.5-600 mgの範囲にあり得る。
【0123】 包装 上記したように、本発明の薬剤組成物は、 適応症、使用法などを含む適当な印
刷物(例えば包装挿入物)とともに好ましくは容器 (例えば、箱もしくは瓶また
はその両方) に包装される。この新規系路と薬剤との関連を引き出すために、当
業者は必ずしも系路のそれぞれ全ての局面について熟知する必要はない。例えば
、そのうち当業者はこれら化合物の特性を理解するに至るであろうから、必携書
またはその阻害の後続的影響に言及することなく該化合物が抗新生物PDE5 イン
ヒビターであることを知らせるだけで十分と考えられる。当業者は、ここに開示
された系路が種々の化合物それぞれに関わることを容易に認識するに至り、結局
、薬剤組成物と関連するこれら化合物のいずれか一つに言及することで、化合物
がこの系路を介して作用することを医師および/または患者に知らせて、患者を
説いてその化合物を使用させるのに十分であると考えられる。
【0124】 医師および患者に有用であることに加えて、薬剤組成物がこの系路を介して作用
する活性成分を有するという事実は、該薬剤組成物の規定承認を得るのに有用で
あり得る。上記説明したように、米国食品医薬品局における規定承認 には、二
つの問いが関わる。すなわち、薬剤が有効であるかどうかということとそれが安
全であるかどうか(少なくとも、薬剤がもたらし得る臨床的有益性と比較検討し
て)ということである。上記の結果が示すように、ここに開示した新規系路を介
しての作用によって、薬剤組成物が有効であることを示し得る。一薬剤がこの系
路を介して有効であることを規定当局がいったん理解すれば、次の薬剤はその効
用に関して問われるものが少ないであろう。 この臨床的に安全な系路を介しての作用で新形成物を阻害するということでもた
らされる規定上の利点は、少なからず重要である。抗新生物剤の開発では、薬剤
は新形成物に有効であるが安全性の点で規定承認を拒絶されるというのが過去の
歴史である。加えて、規定当局が安全性を理由として用途の限定を推奨するか抗
新生物剤の適応症を狭めるというのが通例で、これは薬剤の広範な使用を制限す
る。ここに開示した系路を介して作用する上記のような化合物の安全性プロフィ
ールを以ってすれば、薬剤が有効であれば、その安全性プロフィールからは非承
認や、承認されたとして用途制限の議論に至るとは考えにくい。したがって、そ
のような薬剤組成物の承認のための書類 (例えば、安全性および有効性の包括的
要約ならびに規定関連分野で周知の最終研究報告およびロックされた関連データ
ベース) をまとめて提出するとき、ここに記述したプロフィールに適合する抗新
生物薬剤に関する規定承認を得るに際して、適合しない抗新生物剤と対比して、
確実な規定上の利点がある。したがって、本発明の別の局面は、抗新生物薬剤組
成物の承認性を向上させるプロセスであり、それには上記特性を有する化合物の
開発、その薬剤組成物への調製、そして当業者に公知の必要な臨床研究を実施し
た後のその組成物の規定承認申請が含まれる。 明らかに、上記の教示のもとで、本発明の修飾および変更が多数可能である。し
たがって、ここに付された特許請求の範囲内で、本発明はここに具体的に記述さ
れたものとは別のやり方で実施し得ることが理解さるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 SW480新生物細胞から得られたcGMP ホスホジエステラーゼのcGMP活性のグラフで
あって、DEAEトリスアクリルM カラムからの溶離液からアッセイされたものであ
る。
【図2】 SW480新生物細胞から得られた再載されたcGMP ホスホジエステラーゼのcGMP活性
のグラフであって、DEAEトリスアクリルM カラムからの溶離液からアッセイされ
たものである。
【図3】 本発明の新規PDEの動力学的挙動のグラフである。
【図4】 スリンダクの硫化物誘導体およびスリンダクのスルホン誘導体(別名エキシスリ
ンド)の、精製シクロオキシゲナーゼ活性に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】 試験化合物BおよびEの、COX 阻害に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】 硫化スリンダクおよびエキシスリンドの、培養腫瘍細胞から精製されたPDE4 お
よび PDE5に及ぼす阻害的影響を示すグラフである。
【図7A】 硫化スリンダクの、HT-29細胞におけるサイクリックヌクレオチドレベルに及ぼ
す影響を示すグラフである。
【図7B】 硫化スリンダクの、HT-29細胞におけるサイクリックヌクレオチドレベルに及ぼ
す影響を示すグラフである。
【図8】 化合物Bのホスホジエステラーゼ阻害活性を示すグラフである。
【図9】 化合物Eのホスホジエステラーゼ阻害活性を示すグラフである。
【図10A】 硫化スリンダクの、HT-29細胞のアポトーシスおよび壊死に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
【図10B】 エキシスリンドの、HT-29細胞のアポトーシスおよび壊死に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
【図11A】 エキシスリンドの、HT-29細胞増殖阻害およびDNA断片化によって決定されるアポ
トーシス誘発に及ぼす影響を示すグラフである。
【図11B】 硫化スリンダクの、HT-29細胞増殖阻害およびDNA断片化によって決定されるアポ
トーシス誘発に及ぼす影響を示すグラフである。
【図12】 化合物Eのアポトーシス誘発的性質を示すグラフである。
【図13】 化合物Bのアポトーシス誘発的性質を示すグラフである。
【図14】 硫化スリンダクおよびエキシスリンドの、腫瘍細胞増殖に及ぼす影響を示すグラ
フである。
【図15A】 硫化スリンダクおよび対照(DMSO)の、増殖阻害活性を示すグラフである。
【図15B】 硫化スリンダクおよび対照(DMSO)の、アポトーシス誘発活性を示すグラフである
【図16】 化合物Eの増殖阻害活性を示すグラフである。
【図17】 スリンダク代謝物による、マウス乳腺器官培養における前悪性新生物性病変の阻
害を示すグラフである。
【図18A】 添加cGMPの存在しない薬物処理細胞溶解物からの SW480細胞溶解物のSDSタンパ
ク質ゲルであって、細胞はカルチャー中でDMSO (0.03%、列1および2)、エキシ
スリンド (200、400 および 600μM; 列 3、 4、5) および E4021 (0.1、1 およ
び 10μM、列 6、7、8)で48時間処理されたものである。
【図18B】 添加cGMPの存在下の薬物処理細胞溶解物からの SW480細胞溶解物のSDS(X線フィ
ルム曝露)ゲルPKGアッセイであって、細胞はカルチャー中でDMSO (0.03%、列1
および2)、エキシスリンド (200、400 および 600μM; 列 3、4、5) および E40
21 (0.1、1 および 10μM、列 6、7、8)で48時間処理されたものである。
【図19】 対照と比較した新生物細胞におけるβ-カテニンおよび PKG レベルに及ぼすエキ
シスリンドの影響のウエスタンブロット実験の結果の棒グラフである。
【図20】 HTB-26新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステラーゼのcGMP 活性のグラフ
であって、DEAEトリスアクリルM カラムからの溶離液からアッセイされたもので
ある。
【図21】 HTB-26新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステラーゼのcGMP 活性のグラフ
であって、低および高基質濃度を用いたDEAEトリスアクリルM カラムからの溶離
液からアッセイされたものである。
【図22】 LnCAP新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステラーゼのcGMP 活性のグラフで
あって、DEAEトリスアクリルM カラムからの溶離液からアッセイされたものであ
る。
【図23】 LnCAP新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステラーゼのcGMP 活性のグラフで
あって、低および高基質濃度を用いたDEAEトリスアクリルM カラムからの溶離液
からアッセイされたものである。
【図24】 サイクリックヌクレオチド類似体および選択されたPDE5インヒビターに関するPD
E5の非触媒性cGMP結合部位の特異性結合を示す、棒グラフである。
【図25】 SW480新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステラーゼのcGMP 活性のグラフで
あって、緩衝液中エチレングリコールを用いたDEAEトリスアクリルM カラムから
の溶離液からアッセイされたものである。
【図 26】 ローラーボトル中で増殖したSW480新生物細胞から得られたcGMPホスホジエステ
ラーゼのcGMP 活性のグラフであって、DEAEトリスアクリルM カラムからの溶離
液からアッセイされたものである。
【図27A】 50 μMの化合物Iで処理した後のLNCaP細胞培養物におけるヒストン結合断片化DN
A量の、時間依存性増加を示すグラフである。
【図27B】 処置4日目までDNA断片化に影響しなかった化合物I (50μM) による、PrEC 前立
腺細胞の処理経過を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 メナンダー カースティン ビー アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 19046 メドウブルック ストックトン ロード 1420 Fターム(参考) 4C084 AA18 BA44 DC32 MA02 NA14 ZB21 ZB26 ZB27 4C086 AA01 AA02 EA10 MA02 ZB21 ZB26 ZB27 4C206 AA01 AA02 DA22 MA02 NA14 ZB21 ZB26 ZB27

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬剤としての使用のための、アンスラサイクリン抗生物質およびcG
    MP特異性 ホスホジエステラーゼインヒビターを含んでなる組成物。
  2. 【請求項2】該 cGMP特異性 ホスホジエステラーゼが (a) cAMP に優先するcGMP特異性、 (b) cGMP 基質の存在下での正の協同的動力学的挙動、 (c) cGMPに関するマイクロモル以下の親和性、そして (d) 精製したcGMP依存性プロテインキナーゼとのインキュベーションに対す
    る非感受性 によって特徴づけられる請求項 1 に記載の組成物。
  3. 【請求項3】該インヒビターがPDE2もまた阻害する請求項1 または 2に記載の組
    成物。
  4. 【請求項4】該インヒビターがエキシスリンドからなる請求項1 または 2に記載
    の組成物。
  5. 【請求項5】患者における新生物病変の増殖阻害のための、アンスラサイクリン
    抗生物質のcGMP ホスホジエステラーゼインヒビターと組合わせての使用。
  6. 【請求項6】患者における新生物病変の増殖阻害のための薬剤の製造における、
    アンスラサイクリン抗生物質およびcGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビタ
    ーの使用。
  7. 【請求項7】アンスラサイクリン抗生物質がcGMP特異性ホスホジエステラーゼイ
    ンヒビターと同時に投与されるためのものである請求項5または6に記載の使用。
  8. 【請求項8】アンスラサイクリン抗生物質がcGMP特異性ホスホジエステラーゼイ
    ンヒビターと順次に投与されるためのものである請求項5または6に記載の使用。
  9. 【請求項9】該 cGMP特異性 ホスホジエステラーゼインヒビターが (a) cAMP に優先するcGMP特異性、 (b) cGMP 基質の存在下での正の協同的動力学的挙動、 (c) cGMPに関するマイクロモル以下の親和性、そして (d) 精製したcGMP依存性プロテインキナーゼとのインキュベーションに対す
    る非感受性 によって特徴づけられるホスホジエステラーゼを阻害する請求項5-8のいずれか1
    項に記載の使用。
  10. 【請求項10】cGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビターがPDE 5もまた阻
    害する請求項5-9のいずれか1項に記載の使用。
  11. 【請求項11】cGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビターがPDE 2もまた阻
    害する請求項5-9のいずれか1項に記載の使用。
  12. 【請求項12】cGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビターがエキシスリンド
    からなる請求項10 または11に記載の使用。
  13. 【請求項13】アンスラサイクリン抗生物質が40 mg/m2以下の薬量での投与のた
    めである請求項5-12のいずれか1項に記載の使用。
  14. 【請求項14】アンスラサイクリン抗生物質が約40 mg/m2ないし75 mg/m2の薬量
    での投与のためである請求項5-12のいずれか1項に記載の使用。
  15. 【請求項15】患者に同時または順次投与して新生物病変を治療するための、ア
    ンスラサイクリン抗生物質およびcGMP特異性ホスホジエステラーゼインヒビター
    を含んでなるキット。
  16. 【請求項16】新形成物の治療のための包装された薬剤組成物であって、 (a) 薬学的に許容され得る担体およびアンスラサイクリン抗生物質を含む薬
    剤組成物、 (b) 該組成物を説明し、抗新生物cGMP PDEインヒビターとの使用法を提供す
    る、文書、および (c) 該薬剤組成物および該文書を保持するための包装材 を含んでなる包装された薬剤組成物。
  17. 【請求項17】新形成物の治療のための包装された薬剤組成物であって、 (a) 薬学的に許容され得る担体および抗新生物cGMP PDEインヒビターを含む
    薬剤組成物、 (b) 該組成物を説明し、アンスラサイクリン抗生物質との使用法を提供する
    、文書、および (c) 該薬剤組成物および該文書を保持するための包装材 を含んでなる包装された薬剤組成物。
JP2000580633A 1998-11-12 1999-11-12 アンスラサイクリン抗生物質を用いる処置による、新形成物を有する患者の治療法 Pending JP2002529418A (ja)

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