JP2002522013A - 部位特異的組換えを使用する迅速なサブクローニング - Google Patents

部位特異的組換えを使用する迅速なサブクローニング

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JP2002522013A JP2000561301A JP2000561301A JP2002522013A JP 2002522013 A JP2002522013 A JP 2002522013A JP 2000561301 A JP2000561301 A JP 2000561301A JP 2000561301 A JP2000561301 A JP 2000561301A JP 2002522013 A JP2002522013 A JP 2002522013A
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エレッジ,スティーヴン,ジェイ
リウ,クウィングァ
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ベイラ、カリッジ、アヴ、メダスン
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Abstract

(57)【要約】 本発明はin vivoおよびin vitroでの核酸配列の迅速なサブクローニングのための、ベクターを含めた、組成物ならびに方法を提供する。特に、本発明は配列特異的リコンビナーゼ標的部位を含む、目的の遺伝子を挿入するために使用するベクターを提供する。目的の遺伝子を調節することができるように、調節エレメントの下流に位置する配列特異的リコンビナーゼ標的部位を含有するベクター中に目的の遺伝子1個以上を迅速に移入するために、これらのベクターを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は組換えDNA法に関するものである。特に、本発明はin vivoおよびin v
itroでの核酸配列の迅速なサブクローニングのための、ベクターを含む組成物な
らびに方法に関する。
【0002】発明の背景 分子バイオテクノロジーは薬理的に重要なタンパク質およびポリペプチド化合
物の製造を変革した。組換えDNA技術の出現によって、微少量の所望のタンパク
質を含むにすぎない組織からの煩雑で経費がかかる単離(例えば死体下垂体から
のヒト成長ホルモンの単離)によらない、組換え宿主細胞中での大規模なタンパ
ク質の製造が初めて可能になった。ヒトタンパク質を含むタンパク質の異種宿主
中での大規模な製造にはその異種宿主中で目的のタンパク質を発現させることが
必要である。このプロセスには、典型的には目的のタンパク質をコードする遺伝
子の単離またはクローニングの後、所望のタンパク質の異種宿主細胞中での発現
を指令するエレメント(例えばプロモーター)を含有する発現ベクターの中への
コード領域の導入が必要である。発現ベクター中へのコード領域の導入またはサ
ブクローニングで最も普通に使用される手段には制限エンドヌクレアーゼおよび
DNAリガーゼのin vitroでの使用が関与する。制限エンドヌクレアーゼは一般的
に二本鎖DNA分子中の特定のDNA配列を認識して切断する酵素である。クローニン
グベクターからコード領域を切除するために制限酵素を使用し、次にDNAリガー
ゼを使用して、この切除したDNA断片を好適に切断された発現ベクターに、機能
的なタンパク質が発現されるような様式で結合する。
【0003】 所望のコード領域を発現ベクターの1つに導入する可能性は、制限酵素認識部
位の入手可能性または適合性によって制限されることが多い。所望のコード領域
の取り出しのために、多種の制限酵素を使用しなければならないことが多く、ま
た各酵素について使用する反応条件が異なる場合があるので、別々のステップで
切除反応を実施する必要がある。その上、全制限酵素消化を完遂する前に、最初
の制限酵素反応で使用された特定の酵素を除去することが必要となる。これには
、サブクローニングの中間体の時間のかかる精製を要する。DNA分子のサブクロ
ー ニングのための理想的な方法とは、制限酵素消化に依拠する必要がなく、in
vitroまたはin vivoで1ベクターから別のベクターに標的DNA分子の迅速な移入
を可能にするものである。
【0004】発明の概要 本発明は、制限酵素の使用の必要がない、in vivoおよびin vitroでの核酸配
列の迅速なサブクローニングのための試薬ならびにシステムを含む方法を提供す
る。
【0005】 本発明は、複製起点、第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位、および目的の
核酸を機能し得る順序で含む第1核酸構築物、複製起点、調節エレメント、およ
び調節エレメントの下流でこれに隣接した第2配列特異的リコンビナーゼ標的部
位を機能し得る順序で含む第2核酸構築物、ならびに部位特異的リコンビナーゼ
を準備し、第1および第2核酸構築物が組換えられて、目的の核酸が調節エレメ
ントに機能し得る形で連結されている第3核酸構築物を形成するような条件下で
、第1および第2核酸構築物を部位特異的リコンビナーゼと接触させることを含
む、核酸構築物の組換え方法を提供する。本発明はあらゆるタイプの調節エレメ
ントの使用を想定している。本発明のいくつかの実施形態において、調節エレメ
ントはプロモーターエレメント、融合ペプチド(例えばアフィニティードメイン
)またはエピトープタグを含む。好ましい実施形態において、目的の核酸は遺伝
子を含む。
【0006】 ある実施形態においては、第1核酸構築物が選択マーカーをさらに含む。別の
実施形態においては、第2核酸構築物が選択マーカーをさらに含む。本発明は第
1および第2核酸構築物の両方が選択マーカーを含むことも想定している。好ま
しい実施形態において、第1および第2核酸構築物の選択マーカーは互いに異な
っている。選択マーカーとして、限定するわけではないが、カナマイシン耐性遺
伝子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、クロラムフェニ
コール耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺
伝子、aadA遺伝子、φX174E遺伝子、strA遺伝子、およびsacB遺伝子が含まれる
。 好ましい実施形態において、第1核酸構築物が原核生物終結配列をさらに含む
。原核生物終結配列として、限定するわけではないが、T7終結配列が含まれる。
別の好ましい実施形態において、第1核酸構築物が真核生物ポリアデニル化配列
1個をさらに含む。ポリアデニル化配列として、限定するわけではないが、ウシ
成長ホルモンポリアデニル化配列、シミアンウイルス40ポリアデニル化配列、お
よび単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼポリアデニル化配列が含まれる。さ
らに好ましい別の実施形態において、第1核酸構築物が条件(conditional)複製
起点をさらに含む。
【0007】 本発明の好ましい実施形態において、第1および第2配列特異的リコンビナー
ゼ標的部位はloxP、loxP2、loxP3、loxP23、loxP511、loxB、loxC2、loxL、loxR
、loxΔ86、loxΔ117、frt、dif、loxHおよびattからなる群から選択される。本
発明は第1および第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位が同一の配列を含む場
合と異なる配列を含む場合とを想定している。 本発明のまた別の実施形態においては、第1核酸構築物がポリリンカーをさら
に含む。
【0008】 本発明は組換え方法をin vitroおよびin vivoで使用できることを想定してい
る。いくつかのin vivo実施形態において、部位特異的リコンビナーゼは部位特
異的リコンビナーゼを発現する宿主細胞によって供給される。いくつかのin viv
o方法において、第1および第2核酸構築物の部位特異的リコンビナーゼとの接
触は、第3核酸構築物が宿主細胞中で複製することが可能な条件下で第1および
第2核酸構築物を宿主中に導入することからなる。
【0009】 本発明はさらに、組換えによる核酸分子の正確な移入方法を提供する。いくつ
かの実施形態において、第1核酸構築物が第3配列特異的リコンビナーゼ標的部
位をさらに含み、そして第2核酸構築物が第4配列特異的リコンビナーゼ標的部
位をさらに含む。好ましい実施形態において、第1核酸構築物中の第1配列特異
的リコンビナーゼ標的部位および第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位は目的
の核酸の反対側に位置している。第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位および
第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位は目的の核酸に連続しているか、隣接し
ているか、または距離を置いていることを想定している。特に好ましい実施形態
において、第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位および第4配列特異的リコン
ビナーゼ標的部位はRS部位およびRes部位からなる群から選択される。ただし、
本発明はその他の標的部位も想定する。本発明のこの方法のいくつかの実施形態
において、第1核酸構築物が第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位をさらに含
み、第2核酸構築物が第4配列特異的リコンビナーゼ標的部位をさらに含み、こ
の際の方法が第2部位特異的リコンビナーゼを準備すること、および第3核酸構
築物が組換えられて第4および第5核酸構築物を形成するような条件下で第3核
酸構築物を第2部位特異的リコンビナーゼと接触させるステップを含む。
【0010】 本発明は、上記のいずれかの方法にしたがって作製された組換え核酸構築物を
も提供する。
【0011】 本発明は、ベクター、このベクターの少なくとも一部分に相補的な配列を含む
線状核酸分子、および大腸菌宿主細胞を準備し、この場合の宿主は内在性組換え
系、機能消失rec突然変異、サプレッサー、および機能消失内在性制限改変系突
然変異を含んでおり、そして線状核酸分子およびベクターが組換えられて組換え
核酸構築物を形成するような条件下でそのベクターおよび線状核酸分子を宿主中
に導入することを含む、核酸構築物の組換え方法をさらに提供する。好ましい実
施形態において、機能消失rec突然変異はrecBCおよびrecDからなる群から選択さ
れる。別の好ましい実施形態において、サプレッサーはsbcを含む。さらに別の
好ましい実施形態において、機能消失内在性制限改変系突然変異はhsdRを含む。
【0012】 本発明はさらに、目的の核酸の3'末端に付加すべきタグを含む、タグ付き線状
核酸サンプル、および目的の核酸の3'部分である第1核酸構築物の1領域に相補
的な配列、ならびに相補的核酸分子の内在的相同組換えが可能な宿主細胞を準備
し、そしてタグ付き線状核酸サンプルおよび第1核酸構築物が組換えられてタグ
付き核酸構築物を形成するような条件下で、タグ付き線状核酸サンプルおよび第
1核酸構築物を宿主細胞中に導入することを含む、上記からの第1核酸構築物中
の目的の核酸の3'末端に核酸融合体を形成する方法をも提供する。
【0013】 本発明はさらに、複製起点、第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位、および
核酸ライブラリーからの核酸メンバーを機能し得る順序で含む複数の第1核酸構
築物、複製起点、調節エレメント、および調節エレメントの下流でこれに隣接し
た第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位を機能し得る順序で含む複数の第2核
酸構築物、ならびに部位特異的リコンビナーゼを準備し、複数の第1および第2
核酸構築物が組換えられて、核酸ライブラリーからの核酸メンバーが調節エレメ
ントに機能し得る形で連結されている複数の第3核酸構築物を形成するような条
件下で、複数の第1および第2核酸構築物を部位特異的リコンビナーゼと接触さ
せることを含む、核酸ライブラリーのクローニング方法を提供する。本発明はさ
らに上記の方法にしたがって作製した核酸ライブラリーを提供する。
【0014】 本発明はまた、調節エレメントの第1および第2部分、その調節エレメントの
第1部分を含む第1核酸分子、ならびにその調節エレメントの第2部分を含む第
2核酸分子を準備し、そして調節エレメントの第1および第2部分の結合から完
全長調節エレメントが生成する条件下で第1および第2核酸分子を結合させて第
3核酸分子を作製することを含み、この際、第3核酸分子中のこの完全長調節エ
レメントの存在が第2核酸分子に対する第1核酸分子のクローニングの方向を示
すものである、核酸分子の定方向性クローニング方法をも提供する。
【0015】 本発明はまた、クローン化すべき核酸分子、この核酸分子に相補的な配列を含
む第1プライマー、この核酸分子に相補的な配列およびlacO部位の第1部分に相
当する配列を含む第2プライマー、増幅手段、lacO部位の第2部分を含む標的核
酸分子を準備し、この核酸分子を第1および第2プライマーによって増幅させて
、lacO部位の第1部分を含む改変された核酸分子を生成させ、そして所望の方向
にクローン化されたときに完全長lacO部位が生成するように、改変された核酸分
子を標的核酸分子中に連結することを含む、核酸分子の定方向性クローニング方
法を提供する。ある実施形態においては、この方法はさらに完全長lacO部位を検
出するステップを含む。特に好ましい実施形態において、標的核酸分子はpUNI-3
0を含む。
【0016】 本発明はさらに、リコンビナーゼを発現する宿主細胞、複製起点、第1部位特
異的リコンビナーゼ部位、第1および第2部位特異的リコンビナーゼ部位間でリ
コンビナーゼが組換えを開始しないように、第1部位特異的リコンビナーゼ部位
とは配列が異なる第2部位特異的リコンビナーゼ部位、ならびに第1および第2
部位特異的リコンビナーゼ部位の間にある選択マーカー遺伝子を含む第1核酸構
築物、複製起点、第3部位特異的リコンビナーゼ部位、ならびに第3および第4
部位特異的リコンビナーゼ部位間でリコンビナーゼが組換えを開始しないように
、第3の部位特異的リコンビナーゼ部位とは配列が異なる第4部位特異的リコン
ビナーゼ部位を含む第2核酸構築物を準備し、そして第1および第2核酸構築物
が組換えられるような条件下で、第1および第2核酸構築物を宿主細胞中に導入
することを含む、構成的にリコンビナーゼを発現する宿主細胞中での調節された
組換え方法を提供する。ある実施形態においては、この方法はさらに、前記選択
マーカーを使用して所望の組換え核酸分子を選択するためのステップを含む。好
ましい実施形態において、第1核酸構築物はUnivectorである。別の好ましい実
施形態において、第2核酸構築物がUnivectorである。
【0017】 本発明はまた、条件複製起点、5'および3'末端をもつ配列特異的リコンビナー
ゼ標的部位、ならびにユニーク制限酵素部位を機能し得る順序で含む核酸構築物
であって、この制限酵素部位が配列特異的リコンビナーゼ標的部位の3'末端に隣
接して位置するものをも提供する。ある実施形態においては、構築物はさらに原
核生物終結配列を含む。さらに別の実施形態において、構築物は真核生物ポリア
デニル化配列をさらに含む。本発明はあらゆる原核生物終結配列およびあらゆる
真核生物ポリアデニル化配列の使用を想定している。好ましい実施形態において
、構築物は1以上の選択マーカー遺伝子をさらに含む。選択マーカー遺伝子とし
て、限定するわけではないが、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝
子、テトラサイクリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ストレプ
トマイシン耐性遺伝子、strA遺伝子、およびsacB遺伝子が含まれる。好ましい実
施形態において、配列特異的リコンビナーゼ標的部位はloxP、loxP2、loxP3、lo
xP23、loxP511、loxB、loxC2、loxL、loxR、loxΔ86、loxΔ117、frt、dif、lox
Hおよびattからなる群から選択される。
【0018】 実施形態によっては、構築物はさらにユニーク制限酵素部位中に挿入された目
的の遺伝子を含む。特定の実施形態において、構築物は配列番号1に示すヌクレ
オチド配列を含む。別の実施形態において、構築物は第2配列特異的リコンビナ
ーゼ標的部位をさらに含む。いくつかの好ましい実施形態において、この第2配
列特異的リコンビナーゼ標的部位はRS部位およびRes部位からなる群から選択さ
れる。さらに別の実施形態において、構築物はポリリンカーをさらに含む。
【0019】 本発明はさらに、複製起点、5'および3'末端をもつプロモーターエレメント、
ならびに5'および3'末端をもつ配列特異的リコンビナーゼ標的部位を5'から3'へ
機能し得る順序で含む核酸構築物を提供する。ある実施形態においては、構築物
は選択マーカー遺伝子をさらに含む。
【0020】 本発明はまた、5'および3'末端をもつプロモーターエレメント、5'および3'末
端をもつ第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位であって、プロモーターエレメ
ントの3'末端がこの配列特異的リコンビナーゼ標的部位の5'末端の上流に位置す
るもの、この配列特異的リコンビナーゼ標的部位の3'末端に機能性翻訳リーディ
ングフレームが形成されるように連結された目的の遺伝子、条件複製起点、第1
選択マーカー遺伝子、第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位、ならびに複製起
点を機能し得る順序で含む核酸構築物をも提供する。実施形態によっては、構築
物は第2選択マーカー遺伝子をさらに含む。
【0021】 本発明はまた、loxH部位を含む第1核酸構築物、loxH部位を含む第2核酸構築
物、および部位特異的リコンビナーゼを準備し、そして第1および第2核酸構築
物が組換えられるような条件下で第1および第2核酸構築物を部位特異的リコン
ビナーゼと接触させることを含む、核酸構築物の組換え方法をも提供する。本発
明は上記の方法にしたがって作製した組換え核酸構築物をも提供する。
【0022】定義 本発明への理解を容易にするために、いくつかの用語について下記に定義する
。 本明細書で用いている「条件的複製起点」とは、原核生物宿主細胞中で機能を
有するトランス作用性因子(例えば複製因子)の存在を必要とする複製の起点を意
味する。条件的複製起点としては、限定はされないが、rep pSC101tsなどの温
度感受性レプリコンが挙げられる。
【0023】 本明細書で用いている「複製起点」という用語は、広範囲の原核生物宿主細胞
中で機能を有する複製の起点(すなわち、ColE1起点およびその誘導体などの正常
または非条件的複製起点)を意味する。
【0024】 「配列特異的リコンビナーゼ」および「部位特異的リコンビナーゼ」という用
語は、短い核酸からなる部位または配列を認識し、これに結合し、これらの部位
に関連する核酸の組換えを触媒する酵素を意味する。
【0025】 「配列特異的リコンビナーゼ標的部位」および「部位特異的リコンビナーゼ標
的部位」という用語は、配列または部位特異的リコンビナーゼによって認識され
、部位特異的組換えイベントの際にクロスオーバー領域となる短い核酸からなる
部位または配列を意味する。配列特異的リコンビナーゼ標的部位としては、限定
はされないが、lox部位、frt部位、art部位、およびdif部位が挙げられる。
【0026】 本明細書で用いている「lox部位」という用語は、バクテリオファージP1のcre
遺伝子の産物であるCreリコンビナーゼが部位特異的組換えをその位置で触媒す
ることのできるヌクレオチド配列を意味する。種々のlox部位が当業界で知られ
ており、そのようなものとしては天然に生ずるloxP(P1ゲノム中に見出される配
列)、loxB、loxL、およびloxR(これらは大腸菌(E.coli)の染色体中に見出される
)、ならびにloxP511、loxΔ86、loxΔ117、loxC2、loxP2、loxP3、loxP23、loxS
およびloxHなどの多数の変異または改変lox部位が挙げられる。
【0027】 本明細書中で用いている「frt部位」という用語は、酵母の2μmプラスミドのF
LP遺伝子の産物であるFLP リコンビナーゼがその位置で部位特異的組換えを触媒
することのできるヌクレオチド配列を意味する。
【0028】 「ユニークな制限酵素切断部位」という用語はある核酸分子内で1回のみ出現
する、ある特定の制限酵素が認識する配列を意味している。例えば、EcoRI部位
はプラスミドpUNI-10(配列番号1)内のユニークな制限酵素切断部位である。 制限酵素認識部位が配列特異的リコンビナーゼ標的部位の3'末端の下流に位置
している場合には、制限酵素切断部位は「配列特異的リコンビナーゼ標的部位の
3'末端に隣接している」と言う。隣接する制限酵素切断部位は、配列特異的リコ
ンビナーゼ標的部位の最後の、すなわち3'ヌクレオチドと連続していて良いが、
必ずしもそうでなくとも良い。例えば、pUNI-10のEcoRI部位はloxP部位の3'末端
に隣接(ヌクレオチド3個以内)している(図2B参照):XhoI、NdeI、およびNcoI部
位もloxP部位に隣接(すなわち、ヌクレオチド約10から150個以内)しているがこ
れらの部位はpUNI-10のloxP部位の3'末端に連続してはいない。
【0029】 「ポリリンカー」または「多重クローニング部位」という用語は、遺伝子、lo
x部位その他のコード領域などの核酸配列の挿入および/または切り出しのために
用いられる核酸構築物上の制限酵素切断部位のクラスターを意味する。
【0030】 「原核細胞終結配列」という用語は、原核生物宿主細胞のRNAポリメラーゼに
よって認識され、転写の終結をもたらす核酸配列を意味する。原核細胞終結配列
は一般的には2回転対称を有するGCに富む領域にATに富む配列が続くものを含む(
Stryer, 同上)。一般的に用いられる原核細胞終結配列はT7終結配列である。当
業界では種々の終結配列が知られており、本発明の核酸構築物中で利用しうるが
、そのようなものとしては、限定されないが、バクテリオファージλ[LambdaII,
Hedrixら編, 同上]から由来するTINT、TL1、TL2、TL3、TR1、TR2
、T6S終結シグナル、および大腸菌(E.coli)のtrp遺伝子などの細菌の遺伝子か
ら由来する終結シグナル[Stryer, 同上]が挙げられる。
【0031】 本明細書で用いている「真核細胞ポリアデニル化配列」(「ポリA部位」または
「ポリA配列」とも呼ばれる)という用語は、発生期のRNA転写物の終結およびポ
リアデニル化の双方を指令するDNA配列を示している。ポリAテイルを欠く転写物
は不安定で急速に分解されるので、組換え転写物の効率的なポリアデニル化が望
ましい。発現ベクター中で用いられているポリAシグナルは「異種性」または「
内因性」とすることができる。内因性ポリAシグナルはゲノム中のある与えられ
た遺伝子のコード領域の3'末端に天然に見出されるものである。異種性ポリAシ
グナルはある遺伝子から単離し別の遺伝子の3'末端におかれたものである。一般
的に用いられる異種性ポリAシグナルはSV40ポリAシグナルである。SV40ポリAシ
グナルは237bpのBamHI/BelI制限酵素切断断片を含み、終結とポリアデニル化の
双方を指令する[J. Sambrook, 同上, 16.6-16.7];多数のベクターがSV40ポリA
シグナルを含んでいる[例えば、pCEP4、pREP4、pEBVHis(Invitrogen)]。別の一
般的に用いられている異種性ポリAシグナルとしては、ウシ成長ホルモン(BGH)遺
伝子由来のものがある;BGHポリAシグナルは市販の多数のベクター上のものを入
手できる[例えば、pcDNA3.1、pZeoSV2、pSecTag(Invitrogen)]。単純ヘルペスウ
イルスのチミジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子から得たポリAシグナルも発現ベクター
上のポリAシグナルとしてしばしば用いられている。HSVtkポリAシグナルを含む
ベクターとしてはStratageneから得られるpBK-CMV、pBK-RSV、およびpOP13CATベ
クターが挙げられる。
【0032】 本明細書で用いている「選択可能なマーカー」または「選択可能なマーカー遺
伝子」という用語は、必須な栄養素が欠如した培地中で、増殖能を与えることの
できる酵素活性をコードする遺伝子の使用を意味する(例えば、酵母細胞中でのT
RP1遺伝子)。さらに、選択可能なマーカーは、その選択可能なマーカーが発現さ
れる細胞に抗生物質または薬剤への耐性を与えることができる。選択可能なマー
カーは宿主細胞に特定の表現型を与えるために用いることができる。宿主細胞が
選択的培地中での増殖のために選択可能なマーカーを発現しなければならない場
合には、そのマーカーはポジティブの選択可能なマーカーという(例えば、適切
な抗生物質の存在下で増殖する能力を与える抗生物質耐性遺伝子)。また、選択
可能なマーカーは特定の遺伝子(例えば、発現された場合には5%ショ糖含有の培
地中で増殖する細菌性の宿主細胞を殺すsacB遺伝子、およびΦX174E遺伝子)を含
有している宿主細胞を選択するためにも用いることができる。この様式で用いら
れる選択可能なマーカーはネガティブな選択可能なマーカーまたは逆選択可能マ
ーカーと呼ばれる。
【0033】 本明細書で用いている「ベクター」という用語は、DNAセグメントを1つの細胞
から別の細胞へと移入させる核酸分子の意味で用いられる。「ヴィークル」とい
う用語は時には「ベクター」という用語と相互交換可能なものとして用いられる
。「ベクター」は「核酸構築物」の1種である。「核酸構築物」という用語は、
プラスミド構築物、ファージミド構築物、コスミド構築物、その他などの環状核
酸構築物、ならびに直鎖状核酸構築物(例えばλファージ構築物およびPCR産物)
を含んでいる。核酸構築物は、プロモーターおよび/またはエンハンサーなどの
発現シグナルを含むことができる(そのような場合にはその構築物は発現ベクタ
ーと呼ばれる)。
【0034】 本明細書で用いている「発現ベクター」という用語は、所望のコード配列、お
よび特定の宿主生物体の中に機能を有する形で連結されたコード配列が発現する
ために必要な適切な核酸配列を含む組換えDNA分子を意味する。原核細胞中での
発現に必要な核酸配列としては通常はプロモーター、オペレーター(任意で)、お
よびリボゾーム結合部位を含み、しばしばその他の配列も伴う。真核細胞はプロ
モーター、エンハンサー、ならびに終結およびポリアデニル化シグナルを用いる
ことが知られている。
【0035】 本明細書で用いている「機能を有する組み合わせで」、「機能を有する順序で
」、「機能を有する形で連結された」という用語は、所与の遺伝子の転写および
/または所望のタンパク質分子の合成を指令することのできる核酸分子が産生さ
れるようなやり方での核酸配列の連結を意味する。また、この用語は機能を有す
るタンパク質が産生されるようなやり方でのアミノ酸配列の連結をも意味する。
【0036】 本明細書で用いている「形質転換」および「トランスフェクション」という用
語は、外来DNAの原核細胞または真核細胞への導入を意味する。原核細胞の形質
転換は当業界で既知の種々の方法によって行うことができ、そのようなものとし
ては、コンピテント細胞を作製するための宿主細胞のCaClによる処理、エレク
トロポレーションその他が挙げられる。真核細胞のトランスフェクションは当業
界で既知の種々の方法によって行うことができ、特に、リン酸カルシウム-DNA共
沈降、DEAE-デキストランがメディエートするトランスフェクション、ポリブレ
ンがメディエートするトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイク
ロインジェクション、リポゾーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合
、レトロウイルス感染、および微粒子銃が挙げられる。
【0037】 本明細書で用いている「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という
用語は、細菌性の酵素でその各々が二本鎖DNAを特定のヌクレオチド配列の位置
またはその近傍で切断する。 本明細書で用いている「組換えDNA分子」という用語は、分子生物学的技法に
よって互いに連結されたDNAのセグメントを含むDNA分子を意味する。
【0038】 本明細書で用いている「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」と
いう用語は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質分子を意味する。 DNA分子は、1つのモノヌクレオチドのペントース環の5'リン酸が隣のモノヌク
レオチドの3'酸素とホスホジエステル結合を介して1方向性に接続されるような
やり方で、モノヌクレオチドが反応してオリゴヌクレオチドが作られるので、「
5'末端」および「3'末端」を有すると言われる。従って、オリゴヌクレオチドの
末端は、その5'リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3'酸素に連結されてい
ない場合には「5'末端」、3'酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5'リン
酸に連結されていない場合には「3'末端」と呼ばれる。本明細書では核酸配列は
、それがより大きなオリゴヌクレオチドの内部にある場合でも、5'末端および3'
末端を有すると言われる。直鎖状又は環状のDNA分子のいずれにおいても個別の
エレメントは、「下流」または3'エレメントの「上流」または5'にある、という
。この用語法は転写がDNA鎖に沿って5'から3'へという様式で進むという事実を
反映している。連結された遺伝子の転写を指令するプロモーターおよびエンハン
サーエレメントは通常はコード領域の5'、すなわち上流に位置している。しかし
、エンハンサーエレメントはプロモーターエレメントおよびコード領域の3'側に
位置している場合ですらその効果を発揮しうる。転写終結およびポリアデニル化
シグナルはコード領域の3'すなわち下流に位置している。
【0039】 プロモーターエレメントの3'末端は、プロモーターエレメントの3'末端(転写
開始部位はプロモーターエレメントの3'末端とみなされる)が配列特異的リコン
ビナーゼ標的部位の5'末端へ進む際には(核酸分子に沿って5'から3'方向へと移
動する)、配列特異的リコンビナーゼ標的部位の5'末端の上流に位置していると
いわれる。プロモーターエレメントの3'末端は配列特異的リコンビナーゼ標的部
位の5'末端に隣接(通常は約0から500bp以内に)させることができる。このような
配置はpHOSTベクターがpUNIベクターによって提供される対象とする遺伝子との
翻訳時に作られる融合体の発現ができない場合に用いられる。あるいはまた、pH
OSTベクターが翻訳時の融合体の発現ができるようになっている場合には、プロ
モーターエレメントの3'末端は、融合タンパク質のアミノ末端をコードする配列
および配列特異的リコンビナーゼ標的部位の5'末端の双方の上流に位置されてい
る。この場合には配列特異的リコンビナーゼ標的部位の5'末端はその融合タンパ
ク質のコード領域の内部に位置する(例えば、プロモーターエレメントおよびGst
などのアフィニティードメインをコードする配列の双方の下流に位置する)。
【0040】 本明細書で用いている「ある遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオ
リゴヌクレオチド」というフレーズは、ある遺伝子のコード領域、言いかえれば
その遺伝子の産物をコードする核酸配列を含む核酸配列を意味する。コード領域
はcDNA、ゲノムDNA、またはRNAの形態で存在することができる。DNA形態で存在
する場合には、オリゴヌクレオチドは1本鎖(すなわちセンス鎖)または2本鎖であ
ってもよい。エンハンサー/プロモーター、スプライスジャンクション、ポリア
デニル化シグナル、その他のものなどの適切な制御エレメントを、もし必要であ
れば転写の適切な開始および/または一次RNA転写産物の正しいプロセシングが可
能となるように、その遺伝子のコード領域の近傍に置くことができる。あるいは
また、本発明のベクター中に用いられているコード領域は、内因性のエンハンサ
ー/プロモーター、スプライスジャンクション、介在配列、ポリアデニル化シグ
ナルなど、または内因性および外因性制御エレメントの双方の組み合わせを含ん
でもよい。
【0041】 本明細書で用いている「調節エレメント」という用語は、核酸配列の発現の何
らかの態様を制御する遺伝子のエレメントを意味する。例えば、プロモーターは
機能を有する形で連結させたコード領域の転写の開始を容易にする調節エレメン
トである。その他の調節エレメントはスプライシングシグナル、ポリアデニル化
シグナル、終結シグナルなどである(下記に定義されている)。
【0042】 真核細胞の転写制御シグナルは「プロモーター」および「エンハンサー」エレ
メントを含む。プロモーターおよびエンハンサーは転写に関与する細胞性タンパ
ク質と特異的に相互作用するDNA配列の短いアレイからなる[Maniatis, Tら, Sci
ence 236:1237(1987)]。プロモーターおよびエンハンサーエレメントは、酵母、
昆虫、および哺乳類細胞の遺伝子を含む種々の真核生物起源ならびにウイルスか
ら単離されている(類似の制御エレメント、すなわち、プロモーターは原核生物
中にも認められている)。特定のプロモーターおよびエンハンサーの選択は、対
象とするタンパク質を発現させるために用いられる細胞のタイプの如何による。
いくつかの真核生物のプロモーターおよびエンハンサーは広い宿主域を有するの
に対し、他のものでは細胞のタイプの限られたサブセットでのみ機能する[総説
として、Voss, S.D.ら, Trends Biochem. Sci. 11:287(1986)およびManiatis, T
.ら, 同上(1987)を参照せよ]。例えば、SV40初期遺伝子エンハンサーは多数の哺
乳動物種から得た広範な細胞タイプにおいて非常に活動性があり、哺乳動物細胞
でのタンパク質の発現のために広く用いられている[Dijkerna, R.ら, EMBO J. 4
:761(1985)]。広範囲の哺乳動物細胞のタイプにおいて活動性のプロモーター/エ
ンハンサーエレメントの他の2つの例を挙げれば、ヒト伸長因子1α遺伝子[Uetsu
ki, T.ら, J. Biol. Chem. 264:5791(1989); Kim, D.W.ら, Gene 91:217(1990)
およびMizushima, S.とNagata, S., Nuc. Acids. Res. 18:5322(1990)]、ならび
にラウス肉腫ウイルス[Gorman, C.M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:6777(
1982)]およびヒトサイトメガロウイルス[Boshart, M.ら, Cell 41:521(1985)]の
LTR(Long Terminal Repeat)がある。
【0043】 本明細書で用いている「プロモーター/エンハンサー」という用語は、プロモ
ーターおよびエンハンサー機能の双方(すなわちプロモーターエレメントおよび
エンハンサーエレメントによって提供される機能、これらの機能についての考察
は上述のものを参照せよ)を提供することのできる配列を含んでいるDNAのセグメ
ントを示している。例えば、レトロウイルスのLTRはプロモーターとエンハンサ
ーの機能の双方を含んでいる。エンハンサー/プロモーターは「内因性」または
外因性」または「異種性」であってもよい。「内因性」のエンハンサー/プロモ
ーターはゲノム内で所与の遺伝子と天然に連結されているものである。「外因性
」または「異種性」エンハンサー/プロモーターはある遺伝子の転写が連結され
たエンハンサー/プロモーターによって指令されるように遺伝子操作の手法(すな
わち分子生物学的技術)によってその遺伝子と並置されたものである。
【0044】 発現ベクター上に「スプライシングシグナル」が存在するとしばしば組換え転
写産物の発現のレベルがより高くなる。スプライシングシグナルは一次RNA転写
物からのイントロンの除去をメディエートし、スプライシングシグナルはスプラ
イスドナーとアクセプター部位からなる[Sambrook, J.ら, Molecular Cloning:A
Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York
(1989) pp.16.7-16.8]。一般的に用いられているスプライスドナーとアクセプタ
ー部位はSV40の16S RNAに由来するスプライスジャンクションである。
【0045】 真核生物の発現ベクターはまた「ウイルス性レプリコン」または「ウイルス性
複製起点」を含有することもできる。ウイルス性レプリコンは適切な複製因子を
発現している宿主細胞においてベクターの染色体外複製を可能とするウイルス性
DNA配列である。SV40またはポリオーマウイルスの複製起点のいずれかを含んで
いるベクターは、適切なウイルスT抗原を発現している細胞内では高いコピー数(
10コピー/細胞に達する)で複製する。ウシパピローマウイルスまたはEBウイル
ス(Epstein-Barrウイルス)に由来するレプリコンを含んでいるベクターは染色体
外で低いコピー数(約100コピー/細胞)で複製する。
【0046】 本明細書で用いている「コードする核酸分子」、「コードするDNA配列」、お
よび「コードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿って並ぶデオ
キシリボヌクレオチドの順番または配列を意味する。これらのデオキシリボヌク
レオチドの順番はポリペプチド(タンパク質)鎖に沿って並ぶアミノ酸の順番を決
定する。このようにしてDNA配列はアミノ酸配列をコードする。
【0047】 本明細書で用いている「遺伝子」という用語は、構造遺伝子のコード領域なら
びに、その遺伝子が完全長のmRNAの長さに対応するように5'末端および3'末端の
双方のコード領域に隣接して位置する配列を含むデオキシリボヌクレオチド配列
を意味する。コード領域の5'に位置しmRNA上に存在する配列は5'非翻訳配列と呼
ばれる。コード領域の3'または下流に位置し、mRNA上に存在する配列を、3'非翻
訳配列と呼ぶ。「遺伝子」という用語は遺伝子のcDNAおよびゲノム型をも包含す
る。遺伝子のゲノム型またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」も
しくは「介在配列」と呼ばれる非コード配列によって分断されたコード領域を含
んでいる。イントロンは核RNA(hnRNA)中に転写される遺伝子のセグメントである
;イントロンはエンハンサーなどの調節エレメントを含有することができる。イ
ントロンは核RNAまたは一次転写産物から除去すなわち「スプライシングによっ
て除去(spliced out)」される。従ってイントロンはメッセンジャーRNA(mRNA)転
写産物中には存在しない。mRNAは発生期のポリペプチド中のアミノ酸の配列すな
わち順番を特定するための翻訳の際に機能する。ある遺伝子がその産物が野生型
の様式ではもはや生物学的に活性でないように変えられた場合には、その突然変
異は「機能喪失」変異と呼ばれる。ある遺伝子が、その遺伝子の一部または全体
が欠失または置換されるように変えられる場合には、その突然変異は「ノックア
ウト」変異と呼ばれる。
【0048】 イントロンを含有することに加えて、遺伝子のゲノム型は、RNA転写産物上に
存在しているその配列の5'および3'末端の双方に位置する配列をも含み得る。そ
れらの配列は「フランキング」配列または領域と呼ばれる(それらのフランキン
グ配列はmRNA転写産物に存在する非翻訳配列の5'または3'に位置する)。5'フラ
ンキング領域は遺伝子の転写を制御あるいは転写に影響を及ぼすプロモーターお
よびエンハンサーなどの調節配列を含み得る。3'フランキング領域は、転写の終
結、転写後の切断、およびポリアデニル化を指令する配列を含み得る。
【0049】 本明細書で用いている「精製された」または「精製するための」という用語は
サンプルから夾雑物を除去することを意味する。例えば、組換えCreポリペプチ
ドは細菌宿主細胞中で発現され(例えば、Gst-Cre融合タンパク質として)、Creポ
リペプチドは宿主細胞タンパク質の少なくとも一部を除去することによって精製
される;それによってサンプル中の組換えCreポリペプチドの比率が増大する。
【0050】 本明細書で用いている「天然タンパク質」という用語はベクター配列によって
コードされるアミノ酸残基を含まないタンパク質を意味する。すなわち、天然に
生ずるタンパク質中に見出されるアミノ酸のみを含有するものが天然タンパク質
である。天然タンパク質は組換え技法によって産生させることができ、または天
然の起源から単離することができる。
【0051】 本明細書で用いている「部分」という用語は、それがタンパク質に関連して用
いている場合は(「所与のタンパク質の1部分」というように)、そのタンパク質
の断片を意味する。そのような断片の大きさはアミノ酸残基4個〜全アミノ酸配
列からアミノ酸1個を引いたものまでの範囲とすることができる。
【0052】 本明細書で用いている「融合タンパク質」という用語は、外因性タンパク質断
片(例えば、非Creタンパク質配列からなる融合のパートナー)に結合した対象の
タンパク質(例えば、Creタンパク質)を含有するキメラタンパク質を意味する。
融合のパートナーの望ましい特性としては、特に、対象のタンパク質が宿主細胞
中で発現される際にその溶解性を増強させることができること、組換え融合タン
パク質の宿主細胞または培養上清からの精製が可能となるようにアフィニティー
タグを提供できること、またはその双方が挙げられる。所望により、当業界で公
知の種々の酵素的または化学的方法によって対象のタンパク質から融合タンパク
質を除去することができる。
【0053】発明の説明 本発明は、制限酵素を使用する必要のない、in vivoおよびin vitroでの核酸
配列の迅速なサブクローニングのためのシステムを含む、組成物および方法を提
供する。このシステムはUnivector Fusion System(単一ベクター融合系)またはU
nivector Plasmid-fusion System(UPS)(単一ベクタープラスミド融合系)と呼ば
れる。UPSは、Univector(すなわち目的の遺伝子を含んでいるプラスミド)と調節
情報を含んでいる宿主ベクターとのプラスミドの融合を触媒するための部位特異
的組換えを行う。本発明のいくつかの実施形態においてはプラスミド融合イベン
トは遺伝的に選択され、その結果、目的の遺伝子が新規の調節エレメントの調節
下に置かれることとなる。本発明の第2のUPS関連方法は、Univectorからコード
配列のみを宿主ベクターへ正確に導入させることを可能とする。UPSはさらに全
核酸ライブラリーのサブクローニングおよび線状核酸分子の方向性のあるクロー
ニング(例えばPCR産物)のための方法を提供する。
【0054】 UPSには、遺伝子操作において以前から用いられてきた技術に比べ多数の利点
がある。例えば、新たな遺伝子のルーティンな分析のためには、精製及び抗体産
生のためにその遺伝子を、細菌中でグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(Gst)ま
たはポリヒスチジンとの融合体として発現させ、2ハイブリッド分析のためにGA
L4のDNA結合ドメインまたはlexAと融合させ、in vitroで転写及び翻訳させるた
めのリポプローブすなわちmRNAを産生できるようにT7プロモーターから発現させ
、バキュロウイルス中で発現させる、これら全てを1回の研究の過程で行う。そ
の後に行う生化学的または免疫学的分析を容易なものとするために、その遺伝子
を種々の生物体中で異なるプロモーターの調節のもとで発現させたい、またはそ
の遺伝子に異なるエピトープタグで印を付けたいとの要望もあるであろう。これ
ら全ての操作を以前から用いられてきた技法で行うと、次の2つの理由から著し
い時間と労力を要する。第1は、これらの研究に必要な異なるベクターの各々は
、その大部分が別個に開発されたものであり、従って、遺伝子挿入のための異な
る配列と制限酵素切断部位を含んでいる。従って、これらのベクターの各々に適
合させるために、遺伝子は個々に変えねばならない。第2に、どのような遺伝子
でもそのDNA配列は異なり、特定のベクターにおいてその配列を共存不能とする
ような制限酵素切断部位を内部に含みうるので、操作が複雑化する。ポリメラー
ゼ連鎖反応法(PCR)の出現によって、遺伝子配列の変更とサブクローニング目的
の共存可能な制限酵素切断部位の創出が非常に容易となった。しかし、熱安定性
のポリメラーゼのエラー率が高いため、PCR由来DNA断片の各々の配列を確認する
という時間のかかるプロセスが必要である。
【0055】 全ゲノム配列が入手可能となったことによって、大量の遺伝子セットについて
その遺伝的および生化学的特性を分析する機会が提供されることとなった。大量
の遺伝子セットを並行してプロセシングすることの必要性から、従来のクローニ
ング法に伴う現時点での欠点がますます増幅されている。本発明の方法と組成物
は、遺伝子分析およびcDNAライブラリー構築のための多数の転写融合体及び翻訳
融合体の作製に伴う時間と労力を著しく低減するような、組換えに基づく一連の
アプローチを提供する。本発明は、1つの遺伝子を任意の種々のプロモーターの
調節下に置くか、または制限酵素を用いることなく他のタンパク質またはペプチ
ドとインフレームで融合させることができる系を提供する。上述のとおり、USP
は2つのプラスミドを、調節領域および目的の遺伝子の5'末端の双方に隣接した
ユニーク配列の位置で融合させるために部位特異的組換えを用い、それによって
その遺伝子を新たな制御下に置いている。このシステムは、本明細書に述べる他
の方法および組成物とともに、組換えDNAの迅速かつ効率的な作製および操作の
ための多面的アプローチを提供し、コード配列の全ゲノムセットの並行プロセシ
ングを可能にする。
【0056】 UPSの基礎をなすものは、目的の遺伝子(cDNAまたはゲノムの遺伝子)をコード
する配列が挿入される"Univector"または"pUNIベクター"と称するベクターであ
る。pUNIベクターは、目的の遺伝子を挿入する部位の前にloxP部位などの配列特
異的リコンビナーゼ標的部位を有し、選択マーカー遺伝子(これは任意であるが)
、および活性の発揮に不可欠なトランス作用性複製因子を発現している宿主細胞
内でのみ活性のある条件複製起点(これは任意である)を有する。pUNIベクターは
目的の遺伝子は含有するがその目的の遺伝子を発現させるためのプロモーターは
欠如しているように設計される。目的の遺伝子をpUNIベクター中に直接クローン
化するか(すなわち、pUNIベクターは特にcDNAライブラリーのクローニングのた
めのクローニングベクターとして用いることができる)、またはあらかじめクロ
ーン化された目的の遺伝子をpUNIベクター中に挿入(すなわちサブクローン化)す
ることができる。
【0057】 配列特異的リコンビナーゼ(例えば、Creリコンビナーゼ)を用いて、別の配列
特異的リコンビナーゼ標的部位を含んでいる第2のベクター中への、pUNIベクタ
ーの正確な融合を触媒する。第2のベクターは総称的には"pHOST"ベクターと呼ば
れ、pHOSTベクター内に含まれる調節エレメント(例えばプロモーター)の下流に
、配列特異的リコンビナーゼ標的部位を含有するベクター(例えば発現ベクター)
である。各ベクター(例えば、pUNIベクターおよびpHOSTベクター)上に位置する
単一の配列特異的リコンビナーゼ標的部位間で生ずる部位特異的組換えイベント
の後に、これら2つのベクターは、目的の遺伝子がpHOSTベクター中に含まれる調
節エレメントの調節下に置かれるように安定に融合する。発現ベクター中への導
入に用いられる場合には、この融合イベントは目的の遺伝子の適切な翻訳リーデ
ィングフレームが保持されるように起こる。
【0058】 本発明のいくつかの実施形態においては、pUNIベクター上の選択マーカー遺伝
子(もし存在するならば)によって与えられる選択可能な表現型を獲得するために
、pUNIベクター上に含まれる条件起点の複製に必要とされるトランス作用性複製
因子を発現していないことについての宿主細胞の能力を選択することによって、
融合または組換えイベントを選択することができる。これらの実施形態において
は、pUNIベクターはトランス作用性複製因子を発現していない細胞中では複製で
きず、従って、pUNIベクターが非条件複製起点を含んでいるような第2のベクタ
ー中に組み込まれない限り、pUNIベクターは宿主細胞から失われる。
【0059】 Univector Fusion Systemは、pUNIベクター中に目的の遺伝子を含んでいる発
現構築物または融合構築物を、いかなる数でも急速に(例えば、1日以内で)作製
することを可能にする。制限酵素による消化を行う従来のクローニングまたはサ
ブクローニング技法を用いて、目的の遺伝子を含んでいる発現ベクターを1つ産
生させるには(すなわち、各発現ベクターの設計と構築のために)数日を要する。
これに対して、本発明の方法と組成物を用いれば、適切な配列特異的リコンビナ
ーゼ標的部位を含むように改変された1群の発現ベクターがひとたび作られれば
、目的の遺伝子はいかなる数の発現ベクター中へもUnivector Fusion Systemを
用いて半日で導入することができる。例えば、図1はpUNIベクターおよびUnivect
or Fusion Systemの簡潔な組換え方法を図示したものである。
【0060】 本発明はさらに、PCR断片およびその他の核酸分子の、Univectorまたはその他
のベクター中への定方向性サブクローニングのための方法と組成物を提供し、エ
ピトープタグおよびその他の融合体をオープンリーディングフレームの3'末端に
、相同的組換えを用いて作るための方法と組成物を提供する。
【0061】 一般的には、UPSを用いて、目的のコード領域のいかなるものでも、新規な転
写調節を得るために特異的プロモーターと融合させること、または新規の特性を
有する融合タンパク質を産生するために別のコード配列(例えば免疫学的検出の
ためのエピトープタグ、または2ハイブリッド分析のためのDNA結合ドメインもし
くは転写活性化ドメイン)と融合させること、またはその他のいかなる所望の調
節エレメントと融合させることが可能である。上述のとおり、サブクローニング
に必要な制限酵素、DNAリガーゼ、および多数のin vitroでの操作がUPSでは必要
なくなる。このことは、UPS反応がベクターの大きさまたは配列に無関係なこと
から、クローニングベクターのDNA配列および大きさに関する制約を解くことに
なる。さらに、適合するベクターの同定、クローニングストラテジーの設計、制
限エンドヌクレアーゼでの消化、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の単離、お
よび連結反応などの従来のクローニングには必ずつきまとう時間のかかるプロセ
スが20分のUPS反応へと短縮される。UPS反応の特性が均一かつ単純であるので、
単に異なるレシピエントベクターを用いることによって、多数の構築物を同時に
作ることができる。さらに、制限酵素およびDNAリガーゼとは異なり、リコンビ
ナーゼ(例えばGst-Cre)は多量を安価で作ることができる。これらの特徴は研究
者の時間と出費を著しく低減させることになる。
【0062】 総合すると、これらの方法は、遺伝子セットの並行プロセシングのために用い
うる組換えDNAの作製と操作のための広範な組換えストラテジーを構成するが、
これはいくつかのゲノム分析には必要な能力である。
【0063】a) 条件複製起点および適合する宿主細胞 本発明のいくつかの実施形態においては、pUNIベクターは条件複製起点を含む
。条件複製起点は、複製のために宿主細胞中のトランス作用性因子の存在または
発現を必要とする起点である。原核生物宿主(例えば大腸菌(E.coli))中で機能を
有する種々の条件複製起点が当業界では知られている。本発明は、限定はされな
いが、R6Kγの起点であるoriRを用いて説明している。これはプラスミドR6Kに由
来するものである。R6Kγ起点は、トランス作用性因子としてpir遺伝子から供給
されるΠタンパク質を必要とする[Metcalfら, (1996) Plasmid 35:1]。pir遺伝
子を含んでいる大腸菌(E.coli)株は、R6Kγ起点の複製を中程度のコピー数にな
るまでサポートする。pirの変異対立遺伝子であるpir-116を含んでいる株では、
R6Kγ起点を含んでいる構築物がより高いコピー数得られる(すなわち、野生型で
は1細胞あたり15コピーであったのに対し、変異体では1細胞あたり250コピー)。
本発明の好ましい実施形態においてUnivectorは、プローモーターを含んでいな
いかまたは目的の遺伝子とは反対の方向に転写されるneo遺伝子をドライブする
プロモーターを含んでいるので、この性質は、毒性を有する可能性のある遺伝子
を操作する際には、その毒性のある遺伝子の発現する機会は低いとはいえ、おそ
らく有用であろう。
【0064】 pirまたはpir-116遺伝子産物を発現している大腸菌(E.coli)株としては、BW18
815(ATCC 47079;この株はpir-116遺伝子を含んでいる)、BW19094(ATCC 47080;
この株はpir遺伝子を含んでいる)、BW20978(この株はpir-116遺伝子を含んでい
る)、BW20979(この株はpir遺伝子を含んでいる)、BW21037(この株はpir-116遺伝
子を含んでいる)、およびBW21038(この株はpir遺伝子を含んでいる)が挙げられ
る(Metcalfら, 同上)。
【0065】 本発明のpUNIベクターでの使用に適した条件複製起点のその他のものとしては
、限定はされないが、次のものが挙げられる: 1) プラスミドRK2(ATCC 37125)由来のRK2 oriV。RK2 oriVはtrfA遺伝子でコ
ードされるトランス作用性タンパク質を必要とする[Ayresら, (1993) J. Mol. B
iol. 230:174]; 2) バクテリオファージP1 ori、これは複製のためにrepAタンパク質を必要と
する[Palら, (1986) J. Mol. Biol. 192:275]; 3) プラスミドpSC101(ATCC 37032)の複製起点、これはプラスミドでコードさ
れるタンパク質repAを複製のために必要とする[Sugiuraら, (1992) J. Bacterio
l. 175:5993]。pSC101 oriはまた大腸菌(E.coli)のタンパク質であるIHFを必要
とする。himAおよびhimD(hip)変異体(himおよびhip遺伝子はIHFのサブユニット
をコードする)を持つ大腸菌(E.coli)株はpSC101の複製ができない[Stenzelら, (
1987) Cell 49:709]; 4) バクテリオファージλ ori、これはλOおよびPタンパク質を必要とする[L
ambda II, Hendrixら編、Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, 米
国ニューヨーク州(1983)]; 5) pBR322およびその他のColE1誘導体は大腸菌(E.coli)のpolA変異体中では
複製せず、従ってこれらの複製起点は条件を付された様式において用いうる[Gri
ndleyとKelley(1976) Mol. Gen. Genet. 143:311]; ならびに 6) pSU739またはpSU300などの複製-温度感受性プラスミドで、これらはプラ
スミドpSC101由来の温度感受性レプリコンを含んでおり、rep pSC101tsはoriV
を含んでいる[Mendiolaとde la Cruz (1989) Mol. Microbiol. 3:979およびFran
ciaとLobo (1996) J. Bact. 178:894]。pSU739とpSU300は30℃の増殖温度で(こ
のレプリコンの複製には42℃は許容し得ない)大腸菌(E.coli)株DH5α(Gibco BRL
)中で安定に維持される。
【0066】 温度感受性レプリコンを含むその他の複製起点は当業界では公知であり、それ
らは本発明のベクターおよび方法に用いることができる。
【0067】b) 配列特異的リコンビナーゼおよび標的認識部位 pUNIベクターと発現ベクターとの正確な融合は、部位特異的リコンビナーゼに
よって触媒される。部位特異的リコンビナーゼは、特異的なDNA部位または配列(
本明細書では総称的に「配列特異的リコンビナーゼ標的部位」と呼ぶ)を認識し
、それらの部位に関連するDNAの組換えを触媒する。部位特異的リコンビナーゼ
を原核生物および真核生物の双方のDNA組換えに使用する。部位特異的組換えの
例としては、限定はされないが、1)ネズミチフス菌(Salmonella typhimuriim)の
相変異の際に起こる染色体再構成、酵母の2μmの環の複製の際のFLP配列の逆位
、および脊椎動物での免疫グロブリンとT細胞レセプター遺伝子の再構成、2)バ
クテリオファージが原核生物宿主細胞の染色体中に組み込まれて溶原性となるこ
と、ならびに3)原核生物および真核生物双方での可動性遺伝子エレメント(例え
ばトランスポゾン)の転位が挙げられる。「部位特異的リコンビナーゼ」という
用語は、組換えイベントの際にクロスオーバー領域となる短いDNA配列を認識す
る酵素を意味し、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、およびインテグラーゼを
含む。
【0068】 本発明は、限定はされないが、lox部位(例えば、loxP部位)を含んでいるベク
ターの使用、およびバクテリオファージP1のCreリコンビナーゼを用いるこれら
のベクターの組換えを用いて説明する。Creタンパク質は2個所のloxP部位間のDN
A組換えを触媒し、環状溶原体の複製によって生じたP1ダイマーの分解に関与し
ている[Sternbergら, (1981) Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 45:297]
。Creは多数の生物体においてin vitroおよびin vivoで機能しうるが、そのよう
な生物体としては、限定はされないが、細菌、真菌、および哺乳動物が挙げられ
る[Abremskiら, (1983) Cell 32:1301; Sauer (1987) Mol. Cell. Biol. 7:2087
; およびOrbanら, (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. 89:6861]。Creが媒介するプ
ラスミド融合の1実施形態を図式化したものを図14に示している。この図では、U
nivectorであるpUNIベクターは目的の遺伝子が挿入されたプラスミドであり、pH
OSTは適切な転写および/または翻訳調節配列を含んでいるレシピエントベクター
で、その調節配列が最終的に目的の遺伝子の発現を調節することとなる。組換え
発現構築物は、これらの2つのプラスミドを融合させるCre-loxPが媒介する部位
特異的組換えを経て作製される。このin vitro反応によって2量体の組換えプラ
スミドが作製されるが、そのプラスミドではpUNIからの目的の遺伝子は宿主ベク
ター上に存在するプロモーターの下流に置かれる。この例では図14の組換えプラ
スミドはpirの細菌株中でKnを選択することによって選択することができる
【0069】 loxP部位は同一のDNA分子上に存在させることができ、または異なるDNA分子上
に存在させることもできる。そのDNA分子は線状又は環状またはその双方の組み
合わせとすることができる。loxP部位は2本鎖の34bpの配列(配列番号12)からな
っており、それは2つの13bpの逆位の反復配列が8bpのスペーサー領域によって離
されたものである[Hoessら, (1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:3398およ
び米国特許第4,959,317号、この特許の開示事項は本明細書に参照により組み込
むこととする]。loxP部位の内部スペーサー配列は非対照的であるので、2つのlo
xP部位はお互いに対して方向性を示しうる[Hoessら, (1984) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 81:1026]。2つのloxP部位が同一のDNA分子上で同じ方向で反復するよ
うに配向している場合には、CreはそのDNAをこれらの2つの部位の間で切断して
、1つのloxP部位をそのDNA分子上に残す[Abremskiら, (1983) Cell 32:1301]。2
つのloxP部位が1つのDNA分子上で反対の方向性を有する場合には、Creはその配
列を除去するのではなくそのDNA分子をそれらの2つの部位の間で反転させる。1
カ所のloxP部位を各々含んでいる2つの環状DNA分子はお互いに組換えを生じて、
単量体、2量体、3量体など、環状のDNAの混合物を形成する。この反応におけるD
NA環状体の濃度は、単量体(より低濃度)または多量体性環状体(より高い濃度)の
形成に好ましいものとすることができる。
【0070】 1カ所のloxP部位を有する環状DNA分子は、1カ所のloxP部位を有する線状分子
と組換えを生じ、大きな線状分子を産生する。Creは2つの同じ方向で反復してい
るloxP部位を含む線状分子と相互作用して、loxP部位間の配列および1カ所のlox
P部位を含有する環状体、ならびに1カ所のloxP部位を欠失部位に含む線状分子を
産生する。
【0071】 Creタンパク質は均一となるまで精製されており[Abremskiら, (1984) J. Mol.
Biol. 259:1509]、cre遺伝子はクローン化され、種々の宿主細胞中で発現され
ている[Abremskiら, (1983) 同上]。精製Creタンパク質は多数の供給者から入手
しうる(例えば、Novagen and New England Nuclear/DuPont)。
【0072】 Creタンパク質はまた、lox部位の改変体または変異体(loxP配列に関連する改
変体)の多数を認識するが、そのようなものとしては大腸菌(E.coli)の染色体中
に見出されるloxB、loxL、およびloxR部位が挙げられる[Hoessら, (1982) 同上]
。その他の改変lox部位としてはloxP511[5'-ATAACTTCGTATAGTATACATTATACGAAGTT
AT-3'(配列番号16);スペーサー領域に下線を付してある;Hoessら, (1986) 同
上]、およびloxC2[5'-ACAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTAT-3'(配列番号17);
スペーサー領域に下線を付してある;米国特許第4,959,317号]が挙げられる。Cr
eはlox部位のスペーサー領域内での開裂を触媒し、6塩基対のねじれ切断を創り
出す[HoessとAbremski (1985) J. Mol. Biol. 181:351]。lox部位の2個の13bpの
逆方向反復ドメインはCreタンパク質の結合部位を示している。2つのlox部位は
そのスペーサー領域において異なっていて、開裂したDNAの突出した末端がお互
いに再アニールし得ない場合には、Creはその2つの異なるlox部位を用いても、
組換えを効率よく触媒することができない。例えば、CreはloxP部位とloxP511部
位とを組換えることができない(少なくとも効率的には)と報告されている:これ
ら2つのlox部位はそのスペーサー領域が異なっている。2つのlox部位が結合部位
(すなわち13bpの逆方向反復)における変異によって異なっている場合は、Creが
それらの変異体結合部位の各々に結合しうるものであれば、Creによってそれら
を組換えうる。2つの異なるlox部位(結合部位が異なっている)間の反応の効率は
同一の配列を有する2つのlox部位間よりもおそらく効率が低くなるであろう(こ
の効率は結合部位における変異の度合いと位置に依存するであろう)。例えば、l
oxC2部位とloxP部位は左側の結合部位においてヌクレオチド1つ異なるだけなの
で、loxC2部位はloxP部位と効率的に組換えしうる。
【0073】 その他の種々の部位特異的リコンビナーゼを、Creリコンビナーゼの代わりに
本発明の方法で用いることができる。代替しうるリコンビナーゼとしては、限定
はされないが、次のものが挙げられる: 1) frt部位を認識する、Saccharomyces cerevisiaeの2μmのプラスミドのFLP
リコンビナーゼ[Cox (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4223]。loxP部位
と同様に、frt部位は2つの13bpの逆方向反復を有し、それらは8bpのスペーサー
で隔てられている[5'-GAAGTTCCTATTCTCTAGAAAGTATAGGAACTT C-3'(配列番号18);
スペーサーにはアンダーラインを付している]。FLP遺伝子はクローン化され大腸
菌(E.coli)(Cox, 同上)および哺乳動物細胞(PCT 国際特許出願PCT/US/92/01899,
公開番号 WO92/15694, これの開示事項は本明細書に参照により組み込むことと
する)中で発現され、精製されている[Meyer-Leanら, (1987) Nucleic Acids Res
. 15:6469; Babineauら, (1985) J. Biol. Chem. 260:12313; およびGronostajs
kiとSadowski (1985) J. Biol. Chem. 260:12328]; 2) art部位を認識する、バクテリオファージλ(Xisを有するかまたは有さな
い)のIntリコンビナーゼ(Wesbergら, Lambda II, 同上, pp.211-250); 3) 大腸菌(E.coli)のxerCおよびxerDリコンビナーゼは一緒になって28bpのdi
f部位を認識する1つのリコンビナーゼを形成する[LeslieとSherratt (1995) EMB
O J. 14:1561]。 4) 接合性トランスポゾンTn916から得たIntタンパク質[LuとChurchward (199
4) EMBO J. 13:1541]; 5) TpnIおよびβ-ラクタマーゼトランスポゾン[Levesque (1990) J. Bacteri
ol. 172:3745]; 6) Tn3 レゾルバーゼ[Flanaganら, (1989) J. Mol. Biol. 206:295およびSta
rkら, (1989) Cell 58:779]; 7) 枯草菌(Bacillus subtilis)のSpoIVCリコンビナーゼ[Satoら, (1990) J.
Bacteriol. 172:1092]; 8) Hinリコンビナーゼ[Glasgowら, (1989) J. Biol. Chem. 264:10072]; 9) Cinリコンビナーゼ[Hafterら, (1988) EMBO J. 7:3991]、および、 10) 免疫グロブリンリコンビナーゼ[Malynnら, (1988) Cell 54:453]。
【0074】c) 発現ベクターの改変 上述のとおり、pUNIベクターはを用いて、目的の遺伝子を適切に改変されたベ
クターへ部位特異的組換えを介して導入する。Univector Fusion Systemで用い
られる改変ベクターまたは宿主ベクターを、pHOSTベクターと称する。通常、pHO
STベクターは、配列特異的リコンビナーゼ標的部位(例えばlox部位)の挿入によ
って改変された発現ベクター(例えばプラスミド)である。しかし、pHOSTベクタ
ーは核酸の操作のために望ましい任意の調節配列も含ませることができる。pHOS
Tプラスミド上に配列特異的リコンビナーゼ標的部位が存在することによって、p
UNIベクター内に含まれている目的の遺伝子の迅速なサブクローニングまたは挿
入が可能になり、目的の遺伝子を発現可能な発現ベクターを作製できる。本発明
のいくつかの実施形態においては、pHOSTベクターはアフィニティードメインな
どのタンパク質ドメインをコードすることができ、そのようなドメインとしては
、限定はされないが、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(Gst)、マルトース結
合タンパク質(MBP)、ブドウ球菌プロテインA(SPA)の一部、ポリヒスチジントラ
クトなどが挙げられる。このようなアフィニティードメインをコードする多様な
発現ベクターが市販されており、当業界で公知である。アフィニティードメイン
は、融合タンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端のどちらにも配置できる
。pHOSTプラスミドがベクターでコードされるアフィニティードメインを含んで
いる場合には、pUNIおよびpHOSTベクターの組換えが起こると、ベクターでコー
ドされたアフィニティードメインおよび目的のタンパク質からなる融合タンパク
質が作製される。
【0075】 転写によって融合体を作製すること(すなわちpHOSTがベクターでコードされる
タンパク質ドメインを含んでいない)を意図した発現ベクターを作製するために
は、配列特異的リコンビナーゼ標的部位は宿主ベクターの転写開始点の後方(す
なわち下流)に置かれる。このことは、所望の配列特異的リコンビナーゼ標的部
位を含む合成オリゴヌクレオチドを用いて容易に行うことができる。配列特異的
リコンビナーゼ標的部位を含むオリゴヌクレオチドを設計する際には、不適切に
翻訳を開始してしまう可能性のあるATGすなわち開始コドンの導入を避けるよう
に注意する。
【0076】 ベクターでコードされる融合タンパク質のアミノ末端に位置するタンパク質ド
メインと目的のタンパク質(pUNIベクター内に含まれる目的の遺伝子によってコ
ードされている)との融合タンパク質を作製することを意図した発現ベクター(
すなわち、翻訳融合体)を作製するためには、配列特異的リコンビナーゼ標的部
位を正しいリーディングフレームで次のように配置するよう注意する:1) pHOST
上の配列特異的リコンビナーゼ標的部位を通じて1つのオープンリーディングフ
レームが維持されること、および2) pHOST上の配列特異的リコンビナーゼ標的部
位中の該オープンリーディングフレームがpUNIベクター内に含まれる配列特異的
リコンビナーゼ標的部位上に見出されるオープンリーディングフレームと同じフ
レーム単位内にあること。さらに、pHOST上の配列特異的リコンビナーゼ標的部
位を含むオリゴヌクレオチドはインフレームでの停止コドンの導入を避けるよう
に設計する。pUNIベクター内に含まれている目的の遺伝子は、所望の融合タンパ
ク質の創出が容易となるように特定のリーディングフレームでクローン化される
【0077】 適切なpHOSTベクターの創出を説明するために、いくつかの発現ベクターの改
変について、下記の実施例中で述べる。現在のところ、約40個のpHOSTベクター
が作製されており、そのようなベクターにはGST発現ベクター、酵母GAL1発現ベ
クター、哺乳動物CMV発現ベクター、およびバキュロウイルス発現ベクターが含
まれている。その各々で発現は従来のクローニングによって達成されたレベルと
同一またはそれに近いものであった。任意の目的のpHOSTベクターを作製するた
めの一般的なストラテジーには、所望の配列特異的リコンビナーゼ標的部位(例
えば、loxPまたはloxHなどのlox部位)を含むリンカーを、2つの相補的オリゴヌ
クレオチドのアニーリングによって作製することが必要である。アニーリングさ
れたオリゴヌクレオチドは、制限酵素によって作製された末端と適合する付着末
端を有するポリリンカーを生成し、その部位は親の発現ベクター中に都合良く位
置している(例えば、親の発現ベクターのポリリンカー内)。このように、いかな
るベクターもUPS法で用いるために容易に適合させることができる。
【0078】d) in vitro組換え pUNIベクターとpHOSTベクターの融合は、部位特異的リコンビナーゼ(例えばCr
eリコンビナーゼ)の精製標品を用いて、in vitroで行うことができる。pUNIベク
ターおよびpHOSTベクターは、反応容器(例えばマイクロ遠心管)中の、用いる部
位特異的リコンビナーゼと共存しうるバッファー中に入れる。例えば、Creリコ
ンビナーゼ(天然型または融合タンパク質型)を用いる場合には、反応バッファー
は50mM Tris-HCl(pH7.5)、10mM MgCl、30mM NaCl、および1mg/mL BSAを含有す
るものでよい。FLPリコンビナーゼを用いる場合は、反応バッファーは50mM Tris
-HCl(pH7.4)、10mM MgCl、および100μg/mL BSAを含有するものでよい[Gronos
tajskiとSadowski, 同上]。pUNIベクターとpHOSTベクターの濃度は20μLの反応
液容量あたり各ベクターは100ng〜1.0μgの間で変化可能であり、各核酸構築物
は20μLの反応液容量あたり約0.1μg(合計0.2μg)であるの好ましい。部位特異
的リコンビナーゼの濃度は、実施例4に述べるように、用いる酵素の最適濃度を
求めるために標準的な反応条件の組み合わせのもとで滴定により求めることがで
きる。
【0079】 in vitroでの融合反応の後、反応混合物の一部を、適切な宿主細胞の形質転換
に用いて、融合したベクターの回収と増殖を行うことができる。本発明のいくつ
かの実施形態においては、用いる宿主細胞は、pUNIベクター内に含まれている条
件複製起点の複製に必要なトランス作用性因子を発現しない(または宿主細胞をp
UNIベクター内に含まれる温度感受性レプリコンが複製し得ない温度で増殖する)
。pUNIベクター内に含まれる選択マーカーの存在を選択するような条件下で、宿
主細胞を増殖させる(例えばpUNIベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでい
る場合にカナマイシンの存在下で増殖させる)。プラスミドまたは非染色体性DNA
を、所望の表現型を示している宿主細胞から単離し、所望の融合イベントが起き
たことを確認するために制限酵素での消化を行う。
【0080】 e) 原核生物宿主細胞中での組換え pUNIベクターとpHOSTベクターの融合は、適切な部位特異的リコンビナーゼ(例
えばCreリコンビナーゼ)を発現している宿主細胞を用いてin vivoで行うことが
できる。その宿主細胞はリコンビナーゼをその宿主のゲノムの一部として発現す
ることができ、またはリコンビナーゼを発現するための手段(例えばリコンビナ
ーゼ発現ベクター)を供給することができる。条件複製起点を有するpUNIベクタ
ーを用いる本発明の実施形態においては、用いる宿主細胞は条件複製起点の複製
のために必要なトランス作用性因子の発現能を欠いている(あるいはまた、宿主
細胞はpUNIベクター内に含まれる温度感受性レプリコンの複製のできない温度で
増殖させる)。
【0081】 pUNIベクターとpHOSTベクターは当業界では既知の種々の方法を用いて宿主細
胞内に同時に形質転換させることができる(例えば、CaCl、電気穿孔法その他
の処理法によってコンピテントとした細胞の形質転換)。同時形質転換された宿
主細胞は、pUNIベクター内に含まれる選択可能なマーカーの存在を選択するよう
な条件下で増殖する(例えば、pUNIベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んで
いる場合にカナマイシンの存在下で増殖させる)。プラスミドまたは非染色体性D
NAは所望の表現型を示している宿主細胞から単離し、所望の融合イベントが起き
ていることを確認するために制限酵素での消化を行う。
【0082】 f) オープンリーディングフレームの正確な移入(POT) UPSは2つのプラスミドの融合をもたらし、この方法は発現のニーズの大多数に
適したものである。組換え分子のサイズが限定されているようなまれな場合には
(例えばレトロウイルスまたはアデノ関連ウイルス[AAV]発現構築物の作製におけ
るような)、対象の遺伝子のみを移入し、約2kbのUnivectorの残りの部分を移入
しないことが望ましいかもしれない。このことを行うためには、第2の組換えイ
ベントが用いられる。本発明のいくつかの実施形態においては、第2の組換えは
、実施例9に述べるようにUPSによって作製されたヘテロ2量体の分解を行いうるR
リコンビナーゼによって触媒される[Arakiら, (1992) J. Mol. Biol. 225:25]が
、種々の第2のリコンビナーゼが本発明で用いることができる(例えばRes系)。実
施例9に示すとおり、POTはin vivoおよびin vitroの双方で機能する。サイズに
限定がある場合にはPOTのみを用いることが推奨される。
【0083】 本発明のいくつかの実施形態においては、標準的なUPS法を用いてpUNIベクタ
ーおよびpHOSTベクターの全体を含んでいる2量体を作製し、その後にUnivector
の望ましくない部分を切除する第2のリコンビナーゼと反応させる。あるいはま
た、2つの組換え反応がどちらも1つのステップで起こるような宿主細胞または反
応条件を適用することができる(実施例9を参照せよ)。所望の組換え産物を含ん
でいる細胞は、選択可能なマーカーおよび/または条件複製起点を用いることに
よって選択することができる。
【0084】 g) Univector上での3' 遺伝子融合体の作製 UPSは対象のタンパク質のN末端での融合タンパク質の作製を非常に容易にする
が、しばしばC末端上でのタンパク質の改変を必要とする(例えばエピトープタグ
の付加)。このクラスの改変を容易にするために、本発明では大腸菌(E.coli)の
内在性相同組換え系を利用している。大腸菌(E.coli)でrecBCの変異があるがサ
プレッサーsbcを含んでいる株は、線状DNAを取り上げ、それを大腸菌(E.coli)の
染色体または常在しているプラスミド上に、S. cerevisiaeで示されたと同程度
に組換えることが示されている[Winansら, (1985) J. Bacteriol. 161:1219]。r
ecD変異体は同様の様式で作用することが示されている[Russellら, (1989) J. B
acteriol. 171:2609]。しかし、このような系は大腸菌(E.coli)での組換えクロ
ーニングには用いられてこなかった。事実、これらの系は、細胞の内在性の制限
改変系がクローン化されるべきサンプルを消化してしまうので多くのクローニン
グプロトコールで用いることができない。
【0085】 本発明はこれらの問題を克服し効果的なクローニングおよび組換えを行うため
の方法(例えばUPSを用いて)を提供する。Univectorプラスミド上への組換えを容
易にするために、本発明は、pir-116を発現しているrecBCsbcBhsdR株であるBUN1
0を提供する。hsdR変異は、大腸菌(E.coli)の内在性制限改変系による核酸(例え
ばPCRで増幅されたDNA)の制限を妨げる。本発明の1実施形態においては、この系
をpUNI-10内の3xMYCエピトープタグおよびSKP1遺伝子をレシピエントとして用い
て調べた。pML74、これは3重の(3x)MYCエピトープタグの後に停止コドンを含ん
でいるpUNI-Ampであるが、これを2つのプライマー、プライマーAおよびB、を用
いたPCR増幅の鋳型DNAとして用いた。プライマーA(配列番号30)は71ntの長さで
、その最初の50ntはSKP1コード領域の最後の50ntに対応しており、プライマーの
3'末端である最後の21ntは3xMYCタグをコードするDNAの最初の21ntに対応する。
SKP1のリーディングフレームおよび3xMYCタグは見当の合ったもの(in register)
である。プライマーB(配列番号31)は22ntの長さで、ポリリンカー領域から367bp
のところから開始される、pUNIベクターに共通なpML74上の部位を認識する。プ
ライマーAおよびBならびに鋳型としてpML74を用いた増幅によってUnivectorと50
bpの相同性を有するDNAの断片が作製された。この増幅産物はBamHI-SacIで開裂
させたpUNI-SKP1とともにBUN10細胞中に同時形質転換し、Kn形質転換体を選択
し、制限酵素マッピングによって分析した。線状化されたベクターの再環状化が
できるので、相同組換えイベントが選択される。この方法を図示したものが図25
である。Kn形質転換体の10%がSKP1遺伝子のC末端で相同組換えを起こしSKP1-3
xMYCタグを生成した。この実験は大腸菌(E.coli)中での相同組換えが制限酵素切
断部位に近接する3'領域の遺伝子の配列を変えるために用いることができること
を示している。
【0086】 さらに、この方法がより広範囲のクローニングストラテジーに一般的に適用し
うることは明らかである。上述の例ではpUNIベクター中への組換えのための増幅
産物の使用について述べているが、十分な配列相補性を有している核酸サンプル
ならばどんなものでも用いることができる。このように挿入されるサンプルは人
工的に合成したものまたはその他のいかなる方法によって調製したものでも良い
。さらに、組換えイベントはどのようなレシピエントベクター上でのどのような
位置であろうと所望のところで起こるようにデザインすることができる(すなわ
ち、3'遺伝子融合体の産生に限定されない)。
【0087】 h) pUNIベクター中への定方向性サブクローニング法 平滑端を有する核酸分子、例えば熱安定性ポリメラーゼによって作られるもの
などをクローニングする際には、所望の組換え分子を同定する方法があることが
望ましい(例えば、所望の方向に挿入物が含まれているベクター)。このことは、
pUNI中への遺伝子の初回クローニングにはしばしばPCR増幅産物を用いるので、U
PSと非常に関連がある。このプロセスを容易なものとするために、本発明は、ク
ローン化される断片およびレシピエントベクター上にそれぞれ位置する2つの部
分的部位(partial sites)からの再構成された調節エレメントの作製に依存する
、ベクター(例えば、pUNI誘導体)中への定方向性サブクローニングの方法を提供
する。例えば、あるベクター中へ挿入される線状核酸分子は、その3'および5'末
端にプロモーターの一部を有するようにデザインすることができる。レシピエン
トベクターはそのプロモーターの残りの部分を有し、クローン化された断片が所
望の方向で挿入されるとインタクトなプロモーターが再構成されるようにアレン
ジされてデザインされ、定方向性クローニングイベントの成否を検出する手段が
提供される。
【0088】 検出可能な定方向性クローニングを行うために種々の再構成調節エレメントを
用いうることは明らかである。例えば、本発明で用いることのできる再構成調節
エレメントとしては、限定はされないが、特にプロモーター、レプレッサー、オ
ペレーター、エンハンサー、酵素認識部位、選択可能なマーカー、および条件複
製起点等を挙げることができる。また、再構成調節エレメントがネガティブな選
択能を有し、例えば望んでいない方向でクローン化された断片が調節エレメント
を再構成し、選択に対抗することも包含されている。当業者であればこの系に適
用することのできる広範囲の調節エレメントおよび適用法が判ることであろう。
【0089】 上記のアプローチの有効性を示すために、lacオペレーターを用いて定方向性
サブクローニングイベントを指令させた。Luriaとその共同研究者らは1960年代
初期に、lacレプレッサーであるlacOのための結合部位を持つファージは内在性l
acZ遺伝子の発現を限定された数のレプレッサータンパク質を滴定して除去する
ことによって誘導しうることを見いだし[MillerとReznikoff編, (1978) The Ope
ron, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, 米国ニューヨーク
州] 、図22Aに示すとおりこのことはlacOが高いコピー数のプラスミド上に存在
する場合に事実であることが示された[Mariansら, (1976) Nature 263:744;お
よびHeynekerら, (1976) Nature 263:748]。図22Aはインデューサーのない正常
状態を図示したもので(左側のダイアグラム)、lacRはlacZの前のlacオペレータ
ー部位に結合し、転写を抑制している。lacO配列を含んでいるプラスミドが高い
コピー数存在していると(右側のダイアグラム)、LacRレプレッサーはプラスミド
由来のlacO部位へ結合することによって滴定して除去され、内在性lacZ遺伝子が
発現される。
【0090】 この観察結果は、lacO部位の3'側の半分がpUNIベクター(すなわちpUNI-30)上
に置かれている本発明の方法に有利である。用いたlacO誘導体は対称性の20bpの
部位でそれは中央にEco47III部位を有する。この方法をPCR由来の材料のクロー
ニングに用いるために、プライマーはSKP1遺伝子に対応させて作った。対称性la
cO配列の5'側の半分に対応する10bpの配列(図22Bに示している)を、3'プライマ
ーの5'末端に付け加えた。図22Bはこの方策を示しており、それによってプライ
マーA(5')およびB(3')が対象の遺伝子を増幅するために用いられる。プライマー
Bの5'末端にはlacOの半分の部位が含まれており、それはその後、図に示されて
いるPCR断片の3'末端となる。そのPCR断片を、lacOのもう一方の半分を含んでい
る線状化されたpUNI-30中に連結し、インタクトなlacO部位が再構成された後、L
ac細胞中で内在性β-ガラクトシダーゼが誘導され、X-Galの存在下で青色のコ
ロニーが産生される。そのPCR断片をEco47IIIで開裂させたpUNI-30中に連結し、
Lacの大腸菌(E.coli)株であるBUN10中に形質転換され、KnのコロニーがX-ga
l含有のプレート上で選択された。正しい定方向性でSKP1を含んでいるプラスミ
ドは暗青色を呈することによって同定された(図22Cの矢印で示す)。挿入物なし
でのベクターの再閉環、ならびにPCR断片が正しくない方向で存在している場合
は白色または淡青色のコロニーの産生をもたらす。10個の暗青色のコロニーのう
ち10個ともSKP1を正しい方向で含有していた。特に好ましい実施形態においては
、リン酸化されたPCRプライマーが用いられる。Taqポリメラーゼが用いられてい
る実施形態の大多数のものでは、作製された3'のオーバーハングを除去するため
に、材料をT4ポリメラーゼおよびdNTPで短時間処理することが好ましい。
【0091】 i) UPSを用いたライブラリーの移入 対象の遺伝子を含んでいる特定のpUNIベクターから対象の遺伝子をpHOSTベク
ターへと迅速に移入することができることに加えて、Univector Fusion System
はcDNAライブラリー全体を種々の発現ベクターへと迅速に交換することができる
。この1つのライブラリーを多数のライブラリー中へ実質的に形質転換しうる能
力は本発明で提供されるUPS法によって可能となった最も著しい進歩の1つである
。in vitroでのUPS反応の高い効率(すなわち最低16.8%)と最近の形質転換法の非
常に高い効率が相まって、Univector中に構築されたcDNAライブラリー全体の発
現ライブラリーへの提示のロスの無い変換が可能となった。1つのcDNAライブラ
リーが多数の異なる発現ライブラリーのいかなるものにでも、例えば2ハイブリ
ッド系中で用いられるもの[Durfeeら, (1993) Gene. & Dev. 7:55; およびAronh
eimら, (1997) Mol. Cell. Biol. 17:3094]、酵母中での相補的クローニングの
ためのもの[Elledgeら, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:1731]、哺乳類の
発現系[OkayamaとBerg (1982) Mol. Cell Biol. 2:161]、その他において用いら
れる発現ライブラリー中へ変換することが意図されている。このように、本発明
はある1つの目的で作製されたライブラリーが異なるコンテクスト中で必要な場
合にもスクラッチから再び作り直す必要性が無いような方法を提供し;これらの
ライブラリーから単離されたクローンは何も含まれていない(simple)、以降の
分析のために他のpHOSTベクターと適合し得るUnivectorプラスミド中に変換して
容易に戻すことができる。
【0092】 これらの方法では、cDNAライブラリーはpUNIベクターをクローニングベクター
として用いて作製される(pUNIライブラリー)。次いでそのライブラリー全体を配
列特異的リコンビナーゼ標的部位(例えばlox部位)を含むように改変された発現
ベクターのいかなるものにでも(すなわちpHOSTベクター中へ)移入させることが
できる(in vitroまたはin vivo組換え反応のいずれかを用いて)。このことは、
現存のベクター系を用いると、1つの発現ベクター中で作られたライブラリー中
の挿入物を一緒に(すなわちライブラリー全体として)異なる発現ベクターへと交
換する方法はないという、当業界での現在の問題点を解決するものである。実施
例10は本発明の方法を用いるそのような可能性の説明である。
【0093】 さらに、pUNIライブラリー中に含まれている配列は線状λ構築物と組換えるた
めに用いることができる(次いでこれは特定の遺伝子を大腸菌(E.coli)またはS.c
erevisiae変異体細胞などの適切な宿主細胞の相補性によって単離するために用
いられる)。例えば、UPSは、cre-lox組換えをファージクローンをプラスミド中
に変換するために用いるλクローニングベクターのλYESシリーズと適合性を有
する。これらのベクターは非常に大きなcDNAライブラリーを作製することができ
(すなわち100ngのcDNAあたり10個以上の組換え体)、プラスミドライブラリー
とは異なり、提示のロスを最小限として増やすことができる。さらに実施例7のi
n vivoの遺伝子トラップ法で述べるとおり、Univector Fusion Systemに変更を
加えた方法を選択可能なマーカーを持たない線状DNA断片、例えばPCR産物の、種
々の発現ベクター中への移入に用いることができる。
【0094】 UPS法の極めて重要な適用は、コード領域の全ゲノムセットの操作である。ゲ
ノムの配列が明らかとなっている生物体では、同定されたORFの完全なセット、
すなわち「Unigene」セットをUnivector中に構築し、UPSによってどのような種
類の発現ライブラリー中へも系統的に変換することができる。また、UPS反応が
単純で均一であることは、アレイ化したクローンの系統的な変換のための自動化
を容易にする。このことは全ゲノムの機能的特徴付けを非常に促進しゲノムプロ
ジェクトのプロテオーム(proteome)プロジェクトへの進行を更に助けるものであ
る。
【0095】実験 下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態および態様を説明するためのもの
であって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。 下記の実験的開示において、下記の略語が用いられている:℃(摂氏温度);g(
重力場);vol(容量);DNA(デオキシリボ核酸);RNA(リボ核酸);kdalまたはkD(
キロドルトン);OD(光学密度);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);E.coli(大腸菌
(Escherichia coli));SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);PAGE(ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動);ts(温度感受性);p(プラスミド);LB(Luria-Bertani培地:1L
あたり、10gバクト-トリプトン、5g 酵母抽出物、10g NaCl, pHをNaOHで7.5とし
たもの);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);M(モーラー;モル濃度)
;mM(ミリモーラー);μM(マイクロモーラー);g(グラム);μg(マイクログラム
);ng(ナノグラム);U(ユニット);mU(ミリユニット);min.(分);sec.(秒);%(
パーセント);bp(塩基対);kb(キロベース);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);Tris
(トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン);PMSF(フェニルメチルスルホニルフ
ルオリド);BSA(ウシ血清アルブミン);IPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクト
シド);ORF(オープンリーディングフレーム);ATCC(American Type Culture Col
lection, Rockville, 米国メリーランド州);Bio-Rad(Bio-Rad Corp., Hercules
, 米国カリフォルニア州);Invitrogen(Invitrogen, Corp., San Diego, 米国カ
リフォルニア州);New England Nuclear/Du Pont(Boston, 米国マサチューセッ
ツ州);Novagen(Novagen, Inc., Madison, 米国ウィスコンシン州);Pharmacia
またはPharmacia Biotech(Pharmacia Biotech, Piscataway, 米国ニュージャー
ジー州);Pharmingen(PharMingen, San Diego, 米国カリフォルニア州);Gibco
BRL(Gaithersburg, 米国メリーランド州);およびStratagene(Stratagene Cloni
ng Systems, La Jolla, 米国カリフォルニア州)。
【0096】実施例1 Univector構築物の構築 この実施例では、Univector構築物の説明が提供される。いくつかのUnivector
のマップを図23に示しており、その図にはpUNI-10、pUNI-20、およびpUNI-30を
示してある。この図ではユニークな制限酵素切断部位のヌクレオチドの位置(カ
ッコ内)を示している。機能を有する配列は黒四角で示され、円の内側に表示さ
れている。矢印を付けた四角は矢印の方向に転写される遺伝子である。各マップ
の下に、loxPのオープンリーディングフレームに対してインフレームとなるよう
に、コードするトリプレットとして示したポリリンカー領域の配列が示されてい
る。ユニークな制限酵素切断部位は太字で示されている。これらのUnivectorの
一般的な特徴は、cDNAの挿入のためにloxP部位がポリリンカーの5'末端に隣接し
て置かれていることである。loxPはポリリンカーのNdeIおよびNcoI部位のATGに
対してインフレームである単一のオープンリーディングフレームを有している。
このことによって下記のとおりこれに引き続くタンパク質の融合が容易となる。
ポリリンカーの後には細菌性および真核生物転写ターミネーターがあり、それに
よって転写産物の3'末端の形成を容易にする。Univectorはまた、R6Kγをもとも
との起源とするpir遺伝子を発現している細菌性宿主中でのみ増殖しうるようなR
6Kγ由来の条件複製起点を含んでいる[Metcalfら, (1994) Gene 138:1]。Univec
torはまた、細菌中での選択のためにTn5から得たneo遺伝子を有している(例えば
、pUNI上のneo遺伝子はpirのバックグラウンド中で機能を有する複製起点に共
有結合でリンクされた場合のみ増殖しうるので、UPSの組換え産物の選択は、pir
の株中に形質転換した後にカナマイシン耐性を選択することによって行われる
)。pUNI-20は、下記に示すとおり、さらに別の、正確なORFの移入(POT)を容易に
する部位特異的組換え部位、例えばRSなどを含んでいる。
【0097】 Univector構築物の1つであるpUNI-10ベクターは、loxP部位、カナマイシン耐
性遺伝子(Kn)、およびR6Kγ条件複製起点(OriRR6Kγ)を含んでいる。OriR
R6KγはΠ複製タンパク質(すなわちpir遺伝子の産物)を発現している大腸菌(
E.coli)株内のみで機能を有する。対象の遺伝子はpUNI-10の内部に置かれる(pUN
I-10内にライブラリーを構築したことの結果として、またはあらかじめクローン
化されている対象の遺伝子のサブクローニングによって)。ひとたび対象の遺伝
子がpUNI-10内に含まれると、この対象の遺伝子を含んでいるプラスミド発現構
築物のいかなる数でも迅速に構築することができる(例えば、1日以内に)。発現
構築物はカナマイシン以外に抗生物質耐性遺伝子を含有することもある(例えば
アンピシリン)。部位特異的リコンビナーゼであるCreを用いて、pUNIベクターと
、loxP部位に近接して所望の発現シグナルを含んでいる他のloxP部位含有ベクタ
ーのいかなるものとでもそれとの正確な融合が触媒される。各プラスミド(例え
ばpUNIベクターおよび発現ベクター)上に位置するloxP部位間の部位特異的組換
えイベントによって、対象とする遺伝子の発現が発現ベクター内に含まれる発現
シグナルの調節のもとに置かれるような、これら2つのプラスミドの安定な融合
をもたらす。このサブクローニングイベントは制限酵素の使用を必要とせずに起
こる。pUNI-10と発現ベクターの融合はΠタンパク質を発現していない大腸菌(E.
coli)細胞でカナマイシンの存在下で増殖しうるものを選択することによって、
選択される。pUNIはΠタンパク質を発現していない大腸菌(E.coli)細胞中では、
pUNIが正常の(すなわち条件的でない)複製起点(例えばColE1起点)を含んでいる
別のプラスミドと融合またはその中に組み込まれない限りは複製できない。この
場合には、pUNIは複製され(融合プラスミドの一部として)、カナマイシン耐性が
宿主細胞に与えられる。
【0098】 a) pUNI-10の作製 図2AはpUNI-10ベクターのマップを図示したものである:選択的制限酵素切断
部位の位置を示してある(NotIを除き、図に示した全ての部位はユニークである)
。図2BはpUNI-10内に含まれるloxP部位およびポリリンカーのDNA配列(すなわち
配列番号1のヌクレオチド401から530)を示している。
【0099】 pUNI-10のヌクレオチド1から400にはR6Kγ由来の条件複製起点(OriRR6Kγ)
が含まれている:OriRR6KγはプラスミドR6K(ATCC 37120)から得られたもの
である[Metcalfら, (1996) Plasmid 35:1];ヌクレオチド401から414にはlox部
位の交換を容易にするNotI-KpnIポリリンカーが含まれる;pUNI-10は野生型loxP
部位を含む(上述のとおり、改変されたlox部位を含むpUNIベクターを用いること
ができる)。ヌクレオチド415から448には野生型loxP部位が含まれる;ヌクレオ
チド449から527には対象の遺伝子(ゲノム配列またはcDNA配列)の挿入に用いるポ
リリンカーが含まれる。ヌクレオチド528から750にはウシ成長ホルモン(BGH)由
来のポリA付加配列が含まれる(BGHポリA配列はpcDNA3.1(Invitrogen)などの多数
の市販のベクターから入手できる);BGHポリA配列は哺乳動物細胞およびその他
の真核細胞中で発現された転写物に3'末端を提供する。当業者には、BGHポリA配
列の替わりに用いうるその他の真核細胞性ポリA配列があることは明らかである(
例えばSV40ポリA配列、TKポリA配列など)。ヌクレオチド751から890には原核生
物宿主中での転写を終結させるために用いられるT7ターミネーター配列が含まれ
ている(当業界では非常に多数の原核細胞性終結シグナルが知られており、それ
らはT7ターミネーター配列に替えて用いることができる)。ヌクレオチド890から
895にはEcoRV制限酵素認識部位が含まれ、ヌクレオチド896から2220には、ポジ
ティブ選択可能マーカーを提供する、Tn5から得たカナマイシン耐性遺伝子(Kan
またはKn)が含まれる。pUNI-10がそのヌクレオチド449から527の位置のポリリ
ンカー領域中にユニークなNcoI部位を含むこととなるように、天然に生ずるNcoI
部位を除去するため、pUNI-10上に認められるKn遺伝子は部位指定突然変異誘
発を用いて改変した。pUNIベクターはKn遺伝子(改変型または野生型)を必ずし
も含む必要はない;Kn遺伝子の替わりにその他の選択可能な遺伝子を用いるこ
とができる(例えば、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、
ゼオシンTM耐性遺伝子など)。pUNIベクターに選択可能なマーカーを用いるこ
とは好ましいが、必ずしも選択可能なマーカーを含む必要はない。pUNIベクター
上に選択可能なマーカーが存在する場合には、このマーカーはpHOSTベクター上
に存在するものとは異なる選択的マーカーであることが好ましい。pUNI-10のヌ
クレオチド配列は配列番号1で示されている。
【0100】実施例2 Univectorプラスミド−融合システム中で用いるための宿主プラスミドの構築 Univectorプラスミド融合システム中で用いられる宿主プラスミドはpHOSTプラ
スミドと呼ばれる。pHOSTプラスミドもしくはベクターは、一般に、lox部位など
の部位特異的リコンビナーゼ部位の挿入によって改変された発現ベクターである
。pHOSTプラスミド上にlox部位が存在することによって、対象とする遺伝子を発
現することのできる発現ベクターを作製するための、pUNIベクター内に含まれる
対象の遺伝子の迅速なサブクローニングまたは挿入が可能となる。pHOSTベクタ
ーは、アフィニティードメインなどのタンパク質ドメインをコードすることがで
き、そのようなアフィニティードメインとしては、限定はされないが、グルタチ
オン-S-トランスフェラーゼ(Gst)、マルトース結合タンパク質(MBP)、ブドウ球
菌プロテインA(SPA)の一部分、ポリヒスチジントラクトなどが挙げられる。その
ようなアフィニティードメインをコードする発現ベクターが種々市販されており
、当業界で知られている。pHOSTプラスミドがベクターがコードするアフィニテ
ィードメインを含んでいる場合には、pUNIベクターとpHOSTベクターが組換えら
れると、ベクターによってコードされるアフィニティードメインと対象のタンパ
ク質との融合タンパク質が作製される。
【0101】 本発明のいくつかの実施形態においては、宿主ベクターの特徴としてColE1複
製起点および細菌内での増殖と選択のためのbla遺伝子、プラスミドの融合のた
めのloxP部位、および該loxP部位の上流に近接して位置する特異的プロモーター
が挙げられる。宿主ベクターはまた、大腸菌(E.coli)以外の生物体での増殖、選
択、および維持に関与する配列をも含むことができる。
【0102】 転写性の融合物(すなわちpHOSTがベクターによりコードされるタンパク質ドメ
インを含んでいない)を作ることを意図した発現ベクターを作製するために、lox
部位を宿主ベクター中の転写開始点の後ろ(すなわち下流)に置く。これは所望の
lox部位を含んでいる合成オリゴヌクレオチドを用いて容易に行いうる。lox部位
を含むオリゴヌクレオチドの設計の際には、不適切に翻訳を開始してしまう可能
性のあるATGすなわち開始コドンの導入を避けるように注意する必要がある。 ベクターによりコードされるタンパク質ドメインと対象のタンパク質(pUNIベ
クター内に含まれる対象の遺伝子によってコードされている)との間の融合タン
パク質を作ることを意図した発現ベクターの作製のためには、1)オープンリーデ
ィングフレームがpHOST上でlox部位を通して維持され、2)そのpHOST上のlox部位
中のオープンリーディングフレームがpUNIベクター内に含まれるlox部位上に見
いだされるオープンリーディングフレームとインフレームとなるように、lox部
位を正しいリーディングフレーム中に置くことに注意する。さらに、pHOST上のl
ox部位を含んでいるオリゴヌクレオチドはインフレームの停止コドンが導入され
ることを避けるように設計される。pUNIベクター内に含まれる対象の遺伝子は所
望の融合タンパク質を創出することが容易となるように特定のリーディングフレ
ーム中にクローン化される。
【0103】 pHOSTベクターとして適するものの創出法を説明するために、いくつかの発現
ベクターの改変について以下に示す。各々の場合で、一般的な方策としては、2
つの相補的オリゴヌクレオチドのアニーリングによってlox部位を含むリンカー
を作製することを含んでいる。アニールされたオリゴヌクレオチドはリンカーを
形成するが、そのリンカーは制限酵素で作られた末端と適合しうる付着末端を有
し、その制限酵素切断部位は親の発現ベクター中に都合良く位置している(例え
ば、親の発現ベクターのポリリンカー内に)。
【0104】 a) pGEX-2TKcs 原核生物発現ベクターの改変 pGEX-2TKcsは大腸菌(E.coli)細胞中で活動性の発現ベクターで、遺伝子または
遺伝子断片の、Gstとの融合物としての誘導可能な細胞内発現ができるように設
計されている。pGEX-2TKcsはIPTGで誘導しうるtacプロモーター(Ptac)を含み
、pGEX-2TK(Pharmacia Biotech)から以下のとおりに得たものである。pGEX-2TK
のポリリンカー配列である5'-GGATCCCCGGGAATTC-3'(配列番号2)を、次の配列:5
'-GGATCGCATATGCCCATGGCTCGAGGATCCGAATTC-3'(配列番号3)と置換してpGEX-2TKcs
ベクターを作製した。
【0105】 loxP部位を含んでいるリンカーは下記のオリゴヌクレオチド配列をアニーリン
グすることによって作製した:5'-CATGGCTATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTAT
G-3' (配列番号4)および5'-GATCCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATAGC-3'(
配列番号5)。アニールをすると、これら2つのオリゴヌクレオチドは、NcoIの付
着末端と適合しうる5'末端と、BamHI付着末端と適合しうる3'末端を有する2本鎖
のリンカーを形成する(図3A)。pGEX-2TKcsをNcoIおよびBamHIで消化し(図3B)、
アニールされたloxPリンカーを挿入してpGst-loxを形成した。
【0106】 b) pVL1392バキュロウイルス発現ベクターの改変 pVL1392は昆虫細胞中で活動性の、ポリヘドリンプロモーターを含んでいる発
現ベクターである(Pharmingen)。loxP部位を含んでいるリンカーは下記のオリゴ
ヌクレオチドをアニーリングすることによって作製した:5'-GGCCGGACGTCATAACT
TCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATG-3'(配列番号6)および5'-GATCCATAACTTCGTATAAT
GTATGCTATACGAAGTTATGACGTCC-3' (配列番号7)。アニールをすると、これら2つの
オリゴヌクレオチドは、NotIの付着末端と適合しうる5'末端と、BamHI付着末端
と適合しうる3'末端を有する2本鎖のリンカーを形成する(図4A)。pVL1392をNotI
およびBamHIで消化し(図4B)、アニールされたloxPリンカーを挿入してpVL1392-l
oxを形成した。
【0107】 c) pGAP24酵母発現ベクターの改変 pGAP24は酵母2μm環状体に基づく発現ベクターで、酵母細胞中で活動性を持つ
構成的GAP(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター(PGA
)およびTRP1遺伝子(細胞をトリプトファンを欠く培地中で増殖させる際の選択
可能なマーカーとして用いられる)を含んでいる[GAPプロモーターはpAB23上のも
のを利用できる;Schilds (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2916]。loxP
部位を含んでいるリンカーは下記のオリゴヌクレオチドをアニーリングすること
によって作製した:5'-TCGAGACGTCATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATGC-3' (
配列番号8)および5'-GGCCGCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATGACGTC-3' (配
列番号9)。アニールをすると、これら2つのオリゴヌクレオチドは、XhoIの付着
末端と適合しうる5'末端と、NotI付着末端と適合しうる3'末端を有する2本鎖の
リンカーを形成する(図5A)。pGAP24をXhoIおよびNotIで消化し(図5B)、アニール
されたloxPリンカーを挿入してpGAP24-loxを形成した。
【0108】 d) pGAL14酵母発現ベクターの改変 pGAL14は酵母のセントロメア性の発現ベクターで、培地中のガラクトースの存
在によって誘導されるGALプロモーター(PGAL)およびTRP1遺伝子を含んでいる
。loxP部位を含んでいるリンカーは配列番号8および9で示しているオリゴヌクレ
オチドをアニーリングすることによって作製した。アニールをすると、これら2
つのオリゴヌクレオチドは、XhoIの付着末端と適合しうる5'末端と、NotI付着末
端と適合しうる3'末端を有する2本鎖のリンカーを形成する(図6A)。pGAL14をXho
IおよびNotIで消化し(図6B)、アニールされたloxPリンカーを挿入してpGAL14-lo
xを形成した。
【0109】実施例3 Gst-Cre融合タンパク質の発現と精製 in vitroでのプラスミドの組換え用の精製Creリコンビナーゼの供給源を提供
するために、Gstをアミノ末端にCreリコンビナーゼをカルボキシ末端に含む融合
タンパク質が産生されるように、cre遺伝子をGst発現ベクター中に挿入した。Gs
t-Cre融合タンパク質をグルタチオンセファロース4B(Pharmacia)を用いてクロマ
トグラフィーで精製した。精製されたGst-Creは−80℃、−20℃、または4℃で、
活性を有意に損なうことなく数ヶ月間保存できる。
【0110】 Creの精製を簡便化するために、Gst-Cre融合タンパク質を発現するプラスミド
、pQL123を構築した。cre遺伝子は、プラスミドpBS39(米国特許第4,959,317号)
を用いてポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)による増幅を行うことによって単離した
。米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,965,188号はPCR法につい
て述べており、これらは本明細書に参照により組み込むこととする。PCRで用い
たプライマーは、creオープンリーディングフレーム中の最初のATGの位置にNcoI
部位を導入するように設計した。PCR産物はTAクローニングベクター(pCRII.1;In
vitrogen)中にクローン化し、次いでpGEX-2TKes(実施例2)中にNcoI-EcoRI断片と
してサブクローン化してpQL123を作製した。このライゲーション産物を用いてDH
5α細胞を形質転換し、所望の組換え体を単離し、BL21(DE3)細胞(Invitrogen)を
形質転換するために用いた。
【0111】 pQL123内のGst-Creコード領域のヌクレオチド配列を配列番号10に示している
。pQL123によって発現される融合タンパク質のアミノ酸配列は配列番号11に示し
ている。
【0112】 Gst-Cre融合タンパク質を発現させるために、pQL123プラスミドを含んでいるB
L21(DE3)細胞を37℃で100μg/mLのアンピシリンを含有しているLB中でOD600が0.
6に達するまで増殖させた。次にIPTGを最終濃度が0.4mMとなるように添加するこ
とによって融合タンパク質の発現を誘導し、その細胞を25℃で一晩増殖させた。
誘導後、その細菌細胞を4℃で5000×gで遠心分離してペレットとし、上清を廃棄
した。細胞溶解物は次のとおり調製した。0.5Lの培養液から回収した細胞を、20
mM Tris-HCl, pH8.0、0.1M NaCl、1mM EDTA、0.5% Nonidet P-40、ロイペプチン
、アンチパイン、アプロチニンを各5μg/mL、および1mM PMSFを含む溶液35mL中
に4℃で懸濁した。細胞を氷上で10分間インキュベートし、次いでソニケーター(
Ultrasonic Heat Systems Model 200R)をフルパワーで用いて超音波処理(3×15
秒バースト)により破壊した。次いで該溶解物をSS34ローター(Sorvall)を用いて
12,000rpmで遠心分離して清澄化した。
【0113】 製造者の説明書に従ったグルタチオンセファロース4B(Pharmacia)でのクロマ
トグラフィーにより、Gst-Cre融合タンパク質を細胞溶解物からアフィニティー
精製した。Gst-Creのタンパク質濃度はBradford分析(BioRad)によって測定した
【0114】 グルタチオンセファロース4Bでのクロマトグラフィーの前と後に細胞溶解物の
アリコートを取りSDS-PAGEゲルにアプライした。電気泳動後、ゲルをクーマシー
ブルーで染色した。染色されたゲルを図7に示す。図7で、レーン1および2はクロ
マトグラフィーの前と後の細胞溶解物をそれぞれ示す。矢印はGst-Cre融合タン
パク質を示している。タンパク質分子量マーカーの移動度をレーン1の左に示し
ている。図7に示した結果は、Gst-Cre融合タンパク質の精製を示している。この
融合タンパク質は下記のin vitro組換えアッセイにおいて機能しうる(すなわち
、lox部位間の組換えを媒介できる)ことが示された。
【0115】 Gst-CreはUPSで測定される通り、高いリコンビナーゼ活性を保持している。図
15に示すとおり、この反応の効率は16.8%にも達し、これは天然のCreと同程度で
ある(Abremskiら, 同上)。この図では示された量のGst-CreをpUNI-10およびpQL1
03プラスミドDNAと共に下記のとおりインキュベートした。組換え体の比率は、
アンピシリン耐性形質転換体(pQL103単独およびpUNI-10-pQL103融合物)の総計に
対するカナマイシン耐性形質転換体(pUNI-10とpQL103との融合事象)の比を測定
することによって計算した。Gst-Creの効率は、図24に示した、GstタグをSkp1に
融合させたタグ付加組換えタンパク質を産生させる第2の反応で調べた。Kn
質転換体から単離された組換えプラスミドは、Univectorと宿主ベクターがloxP
部位を介して正しい融合産物となっていることを制限酵素分析によって示した。
この場合では、12個のKn形質転換体のうちの10個が正しいヘテロ二量体であり
(図9)、2個の形質転換体はpUNIの2個のコピーが宿主ベクターと融合した三量体(
図9のレーン8と10)であった。三量体のプラスミドもまた、目的の遺伝子が所望
の制御配列の近傍に置かれ、ほとんどの必要性に対して完全に機能しうる正しい
融合結合を有することは注記すべきである。しかし、ゲルで精製した単量体のス
ーパーコイル化された宿主DNAを用いる場合には三量体プラスミドが単離される
可能性はほとんど排除される。この方法は高効率であり、通常は所望の構築物を
同定するために必要なミニプレップは1つか2つのみである。
【0116】実施例4 Univectorプラスミド融合システムを用いたin vitro組換え Univectorプラスミド融合システムは、2つのプラスミドのin vitro組換えを
可能にする。図8は、in vitro組換えに使用される方法を示す概略図である。pA
は、loxP部位、カナマイシン耐性遺伝子、ならびに、Пタンパク質を発現する大
腸菌株(例えば、大腸菌株BW18815、BW19094、BW20978、BW20979、BW21037、BW2
1038)においてのみ機能しうる条件R6K複製起点を含む一般pUNIベクターを示す
。また、pBは、loxP部位、アンピリシン耐性遺伝子およびCol E1複製起点を含む
一般pHOSTベクターを示す。さらに、pABは、pAおよびpBのCre媒介融合から生じ
る融合プラスミドを示す。
【0117】 in vitro組換え反応を説明するために、pUNI-5(pUNI-5は、KnR遺伝子内にNco
I部位を保持し、また異なるポリリンカーを含む点だけが、pUNI-10と相違するpU
NIベクター)をpAとして用い、また、loxP部位およびCol El複製起点を含むアン
ピリシン耐性プラスミドであるpQL103をpBとして用いた。合計反応量は20μlと
し、それぞれ0.2μgのpUNI-5(pA)およびpQL103(pB)を、50mM Tris-HCl(pH7
.5)、10mM MgCl2、30mM NaClおよび1mg/ml BSAを含有するバッファー中で混合
した。精製されたGst-Cre(実施例3)の量は、0〜1.0μgまで幅があった。反応
物を37℃で20分インキュベートした後、反応物を70℃で5分置くことにより、Gs
t-Creタンパク質を不活性化した。5マイクロリットルの各反応混合物を直接使
用して、コンピテントDH5α細胞(CaCl2処理)を形質転換した。形質転換した細
胞をLB/Amp(100μg/ml amp)およびLB/Kan(40μg/ml kan)プレートに播き、ア
ンピシリン耐性(ApR)およびカナマイシン耐性(KnR)コロニー数を数えた。そ
の結果を表1にまとめる。
【0118】
【表1】
【0119】 表1に示した結果から、このような反応条件の下では、反応量20μl当たり0.0
5μgの精製Gst-Creによって、最も効率的な割合でプラスミド融合体が得られる
ことがわかる。プラスミドDNAを個々のカナマイシン耐性コロニーから単離し(
標準的なミニプレッププラスミドDNA単離プロトコルを用いて)、制限酵素消化
に付すことにより、融合プラスミドの構造を決定した。この分析により、カナマ
イシン耐性コロニーから単離したプラスミドDNAは、loxP部位を介したpUNI-5お
よびpQL103の所望の融合により形成される二量体であることが示された。これら
の結果から、Univectorプラスミド融合システムを用いることにより、2つのプラ
スミドをin vitroで迅速に一つに融合できることがわかった。
【0120】実施例5 目的とする遺伝子を含むpUNIベクターと、Lox含有発現ベクターとのIn vitro融
合により、目的遺伝子を発現することが可能な融合ベクターを作製する 実施例4では、Univectorプラスミド融合システムを用いて、2つのプラスミド
構築物をin vitroで迅速に一つに融合できることが示された。この実施例では、
Univectorプラスミド融合システムによって、pUNIベクターに含まれる目的遺伝
子をpHOSTまたは発現ベクターに含まれるプロモーターの転写制御下に置いて、
目的とする機能タンパク質が融合構築物から発現されるように、2つのプラスミ
ドを一つに融合することができる。一連の発現プラスミドは、UPSにより作製し
たものであり、複数の段階で、それらの発現を試験した。
【0121】a)目的とする遺伝子のpUNI-10ベクターへの挿入 野生型酵母Skp1タンパク質をコードするcDNA[Baiら、(1996)Cell 86:263
]を、pUNI-10ベクターのNdeIおよびBamHI部位間にクローン化することにより、
pUNI-Skp1を作製した。尚、酵母SKP1 cDNA配列は、GenBank受託番号U61764とし
て入手可能である。Skp1は、酵母の細胞周期の調節に関与する必須のタンパク質
である。Skp1の温度感受性突然変異体を含む酵母細胞は、非許容温度(37℃)で
は、増殖することができない。
【0122】b)in vitro融合反応および相補性アッセイ 実施例4に記載したin vitro反応により、pUNI-Skp1を、pGAP24-lox(実施例
2)およびpGAL14-lox(実施例2)と組換えた。尚、反応物20μl当たり、0.2μ
gのGst-Creを用いた。この結果得られたプラスミド融合体をそれぞれ、pGAP24-S
kp1およびpGAL14-Skp1と呼んだ。次に、pGAP24-Skp1およびpGAL14-Skp1を、温度
感受性(ts)skp1-11突然変異体酵母株Y555(Baiら、前掲)中へ形質転換させ、形
質転換した酵母細胞をSC-トリプトファンプレート上に播き(選択マーカーTRP1
の発現について選択するために)、許容(25℃)もしくは非許容温度(37℃)の
いずれかでインキュベートした。pGAL14-Skp1で形質転換した酵母細胞を播いた
プレートは、ガラクトースを含有していた。形質転換した細胞の、非許容温度で
増殖する能力は、正しく融合したpUNI-Skp1/発現ベクター構築物によりコード
された野生型skp1遺伝子の発現に依存している。対照として、URA3 CENベクター
に含まれる酵母SKP1ゲノムクローン(従来のクローン化方法により作製されたも
の)を用いて、ts skp1-11突然変異体酵母株Y555を形質転換し、形質転換した細
胞も25℃および37℃でプレートに播いた。各場合について、SKP1遺伝子を欠失す
るがpGAP24-Skp1、pGAL14-Skp1またはURA3 CEN-Skp1のいずれかと同じ選択マー
カー(すなわち、TRP1)を含有する、発現ベクター(例えば、pRS414またはpRS4
15;Baiら、前掲)を用いて、Y555細胞を形質転換し、許容温度にて、選択培地
での形質転換Y555細胞の増殖を可能にする対照とした。
【0123】 これらの結果から、従来のクローン化方法により作製されたURA3 CEN-SKP1構
築物が、skp1-11 ts突然変異の致死性を補う能力がある機能性Skp1タンパク質を
産生することが明らかになった。さらに、重要なことには、これらの結果から、
pGAP24-Skp1およびpGAL14-Skp1を作り出したin vitro融合反応は、機能性Skp1を
産生する能力のある構築物を形成する、すなわち、pGAP24-Skp1またはpGAL14-Sk
p1のいずれかにより形質転換したY555細胞は37℃で増殖が可能である(該温度で
、宿主株により産生されるts Skp1-11タンパク質は非機能性である)ことが明ら
かになった。Skp1 cDNAを欠失した発現ベクターは、skp1-11 ts突然変異の致死
性を補う能力がなかった。
【0124】c)in vitro融合反応の制限酵素分析、SDS-PAGE分析およびウエスタンブロット
分析 実施例4に記載したin vitro反応を用いて、pUNI-Skp1をpGst-lox(実施例2
)と組換えた。尚、反応物20μl当たり、0.2μgのGst-Creを用いた。この結果得
られたプラスミド融合体をpGST-Skp1と呼んだ。図9Aは、出発構築物および推
定上の融合構築物を示す概略図である。次に、5マイクロリットルの融合反応混
合物を用いて、実施例4と同様に、DH5α細胞を形質転換した。形質転換した細
胞をLB/Amp/Kanプレートに播き、プラスミドDNAを個々のApRKnRコロニーから単
離した。該プラスミドDNAをPstIで消化した後、アガロースゲル上で電気泳動す
ることにより、融合プラスミドの構造を調べた。代表的な臭化エチジウム染色ゲ
ルを図9Bに示す。図9Bにおいて、レーン「M」は、DNAサイズマーカーを、レ
ーンpUNI-Skp1およびpGst-loxはPstIで消化された出発プラスミドを、また、レ
ーン1〜12は、PstIで消化された個々のApRKnRコロニー由来のプラスミドDNAを
含有する。「*」を記されたレーンは、これらのコロニーが、2つのGst-loxプラ
スミドと、1つのpUNI-Skp1プラスミドとの融合により得られた三量体融合プラ
スミドを含有したことを示す。pUNI-Skp1およびpGst-loxの融合により得られた
2つのPstI断片のサイズをKbで示す(5.8および2.0kb)。図9Bに示した結果か
ら、in vitro融合反応によって、高い効率で(ApRKnRコロニーの約83%のプラス
ミドが、1つのpUNI-Skp1ベクターと1つのpGst-loxベクターとの融合体を含ん
でいた)、所望の融合構築物が形成されることがわかった。
【0125】 3つの別々のApRKnRコロニーを突いて液体培地中で増殖させ、IPTGで誘導する
ことにより、融合構築物(pGst-Skp1)が所望のGst-Skp1融合タンパク質を生成
できるかどうかを調べた。培養物を増殖させ、誘導し、実施例6と同様に細胞抽
出物を調製した。誘導および非誘導細胞から調製した細胞溶解物のアリコートを
SDS-PAGEゲル上で電気泳動し、このゲルをクーマシーブルーで染色するか、ある
いは、ニトロセルロースに移して、ウエスタンブロットを作製した。抗Skp1ポリ
クローナル抗体(この抗体は、従来の方法を用いて、酵母Skp1に対して産生させ
たもの)を用いて、上記のウエスタンブロットをプローブした。こうして得られ
たクーマシー染色ゲルおよびウエスタンブロットを図10Aおよび10Bにそれぞれ
示す。
【0126】 図10Aにおいて、レーン「M」は、タンパク質分子量マーカーを含む(kdで表
すサイズが表示されている)。「C」と記されたレーンは、従来のクローン化(
例えば、制限酵素を用いて、Skp1cDNAを切り出し、pGEX-2TKcs(実施例2)に
挿入した)により作製されたGST-SKP1構築物を含む大腸菌から調製した抽出物を
含有する。レーン1〜3は、in vitro融合反応混合物で形質転換したApRKnR細胞
由来の抽出物を含有する。非誘導細胞およびIPTG誘導細胞から調製した抽出物は
、それぞれ「−」および「+」で示す。矢印は、Gst-Skp1融合タンパク質の位置
を示す。pGST-SKP1融合構築物から生成されるGst-Skp1融合タンパク質は、15個
の追加アミノ酸を含有するが、これらのアミノ酸は、従来の方法で構築されたGS
T−SKP1プラスミドから発現されたGst-Skp1融合タンパク質と比べると、Gstドメ
インとSkp1タンパク質配列との間に位置する(これら15個の追加アミノ酸は、lo
xP部位を含むリンカーによりコードされる:図3を参照のこと)。図10Bでのレ
ーンの名称は、図10Aの記載と同じとする。このウエスタンブロットは、図10A
の矢印が示すバンドが、Gst-Skp1融合タンパク質を表すことを確認する。
【0127】 図10Aおよび10Bに示す結果から、Univector融合システムを用いて、正しい
翻訳リーディングフレームを維持し、発現ベクターがコードしているアフィニテ
ィータグ、および目的とするタンパク質を含む融合タンパク質の発現を可能にす
る発現ベクターを作製できることが明らかにされた。
【0128】 以上の結果から、Univector融合システムを用いて、二つのプラスミド、すな
わち、目的とする遺伝子を含むが、プロモーターは含まないもの(このベクター
は、任意で、終結シグナルおよび/またはポリアデニル化シグナル等の発現シグ
ナルを含んでもよい)と、プロモーターおよび任意でその他の発現シグナル(例
えば、スプライシングシグナル、翻訳開始コドン)(ならびに、任意で、アフィ
ニティードメインをコードする配列)を含むが、目的遺伝子の欠失したものを、
正しい翻訳リーディングフレームが、宿主細胞中の融合プラスミドからの機能性
タンパク質の発現を可能にするように維持されるように、in vitroで組換えられ
ることがわかる。
【0129】d)追加実施例 UPSを用いて、pUN1-10におけるS.セレビシエ(S. cerevisiae) SKP1 ORF(Bai
ら、前掲)を、pGST-lox宿主ベクターpHB2-GSTに融合して、大腸菌tacプロモー
ターの制御下で発現される細菌Gst-lox-Skp1融合タンパク質を作製した。従来の
クローン化により作製した、loxPを欠失する同様のGst-Skp1発現プラスミド(例
えば、pCB149)を対照として使用した。図16AおよびBに示すように、2種の融
合タンパク質はほぼ等しい量で発現された。したがって、loxPの存在は、融合タ
ンパク質の転写または翻訳のいずれにも大きく影響しないことがわかった。この
図では、タンパク質をSDS-PAGEにより分離し、クーマシーブルーで染色(図16A
)するか、または、抗Skp1抗体でイムノブロットした(図16B)。loxPを欠失し
た対照GST-Skp1発現プラスミド由来のタンパク質(レーン1および2)と、UPS
誘導Gst-lox-Skp1発現構築物(の3つの独立した形質転換体(レーン3〜8)を
示す。アスタリスクは、分解産物を示す。
【0130】 別の実施例では、転写融合に関して、真核細胞性発現の際のloxP配列の影響を
測定するため、従来の手段、ならびにUPSにより、SKP1 ORFをS.セレビシエ(S. c
erevisiae) GAL1プロモーターの制御下に置いた。この結果、UPS誘導プラスミド
の相対的発現レベルの方が若干低いことが観測された。mRNAの5’UTR内に形成さ
れる二次構造は翻訳の開始を妨害する可能性がある[Kozak(1989)Mol. Cell.
Biol. 9:5134]ことから、この発現の低下は、loxP RNAの、13bpのステム・ル
ープを形成する能力により説明することができるかもしれないが、この作用機構
についての理解は、本発明の実施に要求されるわけではなく、本発明はいかなる
特定の機構説明にも限定されない。この仮説をテストするために、実施例8に記
載したように、ステム・ループの安定性が低下するように設計した突然変異を含
む一連のlox部位を作製した。
【0131】 さらに別の例では、UPSを用いて多数の遺伝子を試験し、複数の異なる生物で
発現させた。細菌でのGst-Skp1発現以外に、図17に示すように、Myc-Rnr4および
Myc-Rad53をS.セレビシエ(S. cerevisiae)で発現させた。この図は、loxP含有構
築物とloxH含有構築物との発現レベルの比較を示している。タンパク質抽出物は
、次のプラスミドを含有する、SC-uraおよびガクトース中で増殖させたY80細胞
から調製した:ベクターのみ(レーン1)、lox配列を欠失する従来のクローン
化で作製したpMH176(GAL-MYC3-RNR4)(レーン2)、loxP(レーン3)またはl
oxH(レーン4)のいずれかが、GAL1プロモーターとMYC3-RNR4遺伝子の間に存在
するUPS誘導GAL-lox-MYC3-RNR4、ベクターのみ(レーン5)、ならびにUPS誘導G
AL1-MYC3-lox-RAD53構築物(レーン6)。RAD53の受容ベクターは、pHY314-MYC3
であった。
【0132】 さらに、多数のバキュロウイルス発現構築物をUPSにより作製し、試験した。
図18には、Gst-Rad53、Myc-Rad53、ならびにHA-Rad53を例として示す。Rad53に
ついては、UPS誘導構築物が、従来の方法により作製されたGst-Rad53と同じレベ
ルで発現する(図18、レーン1および2を比較)。図18は、昆虫細胞におけるUP
S誘導バキュロウイルス発現構築物の発現を示す。UPS反応は、lox部位およびエ
ピトープタグを含むように遺伝子工学的に操作されたpVL1392バックボーン中の
バキュロウイルス発現ベクターとpUNI-10-RAD53クローンとの間で実施した。使
用した宿主昆虫発現ベクターは、pHI100-GST、pHI100-MYC3、ならびにpHI100-HA
3であり、得られた融合プラスミドを、標準的方法により、Baculogold(Pharmin
gen)上で組換えを起こさせた。従来のクローン化法(レーン1)またはUPS(レ
ーン2)により作製したGST-RAD53を発現するバキュロウイルスによって感染さ
せた100万個の細胞由来の溶解物から、GSTアフィニティー精製タンパク質をSDS-
PAGEで分画し、クーマシー染色した。ベクターのみ(レーン3)、UPS誘導MYC3-
lox-RAD53(レーン4)、ベクターのみ(レーン5)、もしくは、UPS誘導HA3-lox
-RAD53(レーン6)を含むバキュロウイルスに感染させた細胞から調製したタン
パク質のウエスタンブロットを、抗Myc(レーン3〜4)または抗HA(レーン5
〜6)モノクローナル抗体でプローブした。
【0133】 さらに別の例では、哺乳動物において、図19に示すように、Hela細胞にトラン
スフェクトしたとき、CMVプロモーターの制御下で、Mycタグ付加F-boxタンパク
質が発現することを本発明は示した。図19は、抗HA抗体を用いた全細胞溶解物の
イムノブロッティングを示す。使用した細胞は、HAタグ付加F-boxタンパク質を
発現するCMV発現ベクターpHM200-HA3もしくはpHM200-HA3-F3を用いて、リン酸カ
ルシウム法によりトランスフェクトしたHela細胞である。全部で、200を超えるU
PS誘導構築物を作製および試験したところ、従来のクローン化法で得られたもの
と区別できないほどの発現成功率が認められた。
【0134】実施例6 Creリコンビナーゼを誘導可能に発現する大腸菌株の構築 誘導可能なプロモーターの制御下にcre遺伝子を含有する、QLB4株と呼ばれる
大腸菌株を次のようにして構築した。cre ORFをpNN402の誘導体に挿入すること
により、誘導可能なlacプロモーターの転写制御下にcre遺伝子を置いた[Elledg
eら(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:1731]。尚、pNN402は、lacプロ
モーターを含有するように改変されている。この構築物を、従来の方法で、ラム
ダファージ(例えば、λgt11)上で組換えを起こさせた。Lac-cre遺伝子を保有
する組換えラムダファージを大腸菌株JM107の染色体に組み込み、QLB4株を作製
した。
【0135】 QLB4細胞を37℃で、OD600が0.6に達するまで増殖させることにより、Creリコ
ンビナーゼの発現を誘導した。次に培養物を2つに分け、一方にIPTGを最終濃度
0.4mMまで添加した。対照として、内在性creプロモーターの転写制御下にcre遺
伝子を含有するBNN132株[ATCC 47059、Elledgeら(1991)、前掲]を、QLB4株に
ついて記載したように処理した。細胞抽出物(全タンパク質)を4つのサンプル
(QLB4±IPTGおよびBNN132±IPTG)すべてから調製し、ウエスタンブロッティン
グ分析によりCreリコンビナーゼの発現について調べた。ウエスタンブロットは
、製造者の指示に従い、一次抗体としてウサギポリクローナル抗Cre抗体(Novag
en)を、また、二次抗体として、ヤギ抗ウサギIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ
・コンジュゲート(Amersham)を用いて、プローブした。図11は、それぞれ(図
の左から右へ)、IPTGの不在下で増殖したBNN123細胞(「C」)、ならびに、IP
TGの不在下(「QLB4-」)および存在下(「QLB4+」)で増殖したQLB4細胞、から
調製した抽出物を含むウエスタンブロットを示す。Creリコンビナーゼバンドの
位置を矢印で示す。このウエスタンブロットで認められるこれ以外のバンドは、
粗(すなわち、アフィニティー精製していない)ウサギ抗Cre抗体と細菌タンパ
ク質との交差反応によるものである。
【0136】 ウエスタンブロット分析により、Creタンパク質は、IPTGの存在または不在下
で増殖したBNN123細胞では検出できないことがわかった。Creタンパク質は、ウ
エスタンブロット分析により、IPTGの存在下で増殖したQLB4細胞では検出された
が、IPTGの不在下では検出されなかった。従って、QLB4細胞のCreリコンビナー
ゼの発現は、増殖培地中のIPTGの存在によって著しく誘導される。この分析によ
り、QLB4細胞におけるCreリコンビナーゼの発現は、IPTGによるlac-creの誘導に
依存している。しかし、これより感受性の高い機能性アッセイでは、IPTGの不在
下で、Creタンパク質が、BNN132細胞およびQLB4細胞の両方で、非常に低いレベ
ルで構成的に発現されたことを示している。これらの機能性アッセイでは、pUNI
ベクター(KnR)およびpHOSTベクター(ApR)をQLB4細胞中に共形質転換させ、
形質転換した細胞を、カナマイシンを含有するプレート上で増殖させて、pUNI-p
HOST融合プラスミドの存在について選択した。個々のカナマイシン耐性コロニー
からプラスミドDNAを単離し、制限酵素消化に付して、プラスミドDNAの構造を調
べた。この分析によって、複数種のイソ型のプラスミド融合産物が、いずれの単
一のカナマイシン耐性コロニーから単離したプラスミドDNAにも存在することが
明らかになった。本発明を特定の作用機構に限定するわけではないが、Creリコ
ンビナーゼの低レベルの構成的発現により、pUNIおよびpHOSTベクター間での多
重融合現象が起こり、その結果、多量体(すなわち、三量体、四量体等)の融合
プラスミド(所望の融合プラスミドは、pUNIおよびpHOSTの融合により形成され
る二量体である)が生成されたと考えられる。Creタンパク質は、QLB4細胞にお
いて構成的に発現されることから、多量体プラスミド融合産物は、不安定である
ことが予想される。
【0137】 宿主細胞におけるcre遺伝子の低レベルの構成的発現によって生じる潜在的問
題を解決するために、creの発現を下記のようにさらに強く制御することができ
る。以下に記載する方法以外に、pUNIおよびpHOSTベクターは、実施例7に記載
されているように改変することができ、これらの改変ベクターを、Creタンパク
質を構成的に発現する宿主細胞を用いて融合してもよい。
【0138】 Creリコンビナーゼの発現は、様々な手段により、さらに強く制御することが
できる。例えば、cre遺伝子の発現は、グルコースを含む培地で宿主細胞を増殖
させることにより、lacプロモーターの制御下でcreを発現させることを条件とし
て、引き起こすことができる。増殖培地中の0.2%グルコースの存在は、lacプロ
モーターからの転写を実質的に停止する。さらに、lacプロモーターを改変して
、lacリプレッサーに結合する追加オペレーター(o)部位を挿入することがで
きる。その他の強く制御されるプロモーターは、当技術分野で公知であり(例え
ば、T7 RNAポリメラーゼの発現を必要とするT7プロモーター;これらのプロモー
ターは、pETベクター(Novagen)に使用可能である)、cre遺伝子の発現を制御
するために使用することができる。
【0139】 強く制御されるプロモーターの制御下にCre ORFを置く以外に、温度感受性(t
s)レプリコン(例えば、rep pSC101ts)を含むプラスミド上にcre遺伝子を組み
込むことにより、Cre発現を強く制御することができる。cre遺伝子をts複製プラ
スミド上に担持させると、Creは、宿主細胞の形質転換の際に発現する(cre遺伝
子を含むtsプラスミドを含有する宿主細胞が許容温度に維持されるため)が、ts
レプリコンの複製に対して非許容の温度で宿主細胞を増殖させると、pUNIおよび
pHOSTベクターの組換えの後にCreは不在となる。
【0140】実施例7 Univector融合系を用いた原核生物宿主におけるin vivo組換え 前述したように、Cre-loxP媒介プラスミド融合は、in vivoで起こすことがで
きるが、逆の反応、すなわち、ヘテロ二量体の分解は、その有用性を低める可能
性がある。理想的には、初期融合現象を触媒するために、Creを一時的にのみ存
在させた後、不在にして、組換え産物の安定した増殖を可能にするのが望ましい
。従って、lac制御下にあることを条件にCreリコンビナーゼを発現する大腸菌BU
N13株と、pSC101由来のTs複製起点を有するプラスミドであるpQL269にcreを保
有する第2株とにおいて、in vivoでUPSを実験して、モデルを試験した。BUN13、
ならびに、pUNI-10とpQL103の共形質転換、プラスミドを含有するAp’loxPを用
いた実験により、UPS反応は効率的に起こるが、多くのコロニーが、安定化のた
めに非cre発現株への再形質転換を必要とするプラスミド混合物を有することが
わかった。しかし、Tsプラスミドを用いた結果はこれより優れていた。JM107/pQ
L269細胞を42℃で数時間増殖させて、pQL269を欠失させることにより、コンピテ
ント細胞を調製した。これらの細胞に、pUNI-10およびpQL103を共形質転換させ
た後、42℃のカナマイシンプレート上で選択したところ、25%が所望の単一pUNI
-10-pQL103共成分を含有することがわかった。これら2つの実験により、UPSを
用いて、in vivoでプラスミド融合体を生成することができ、Gst-Creを入手でき
ない場合、in vitro反応に対する代替策を提供することが明らかになった。
【0141】 実施例6ならびに上記実験に記載したように、pUNI構築物およびpHOST構築物
(各構築物は、単一のlox部位を含む)を用いた、Creタンパク質(例えば、QLB4
、BNN132)を発現させる大腸菌細胞の共形質転換により、in vivoでこれら2つ
の構築物の融合体が得られる。組換え反応に用いられる宿主細胞が、Creタンパ
ク質を構成的に発現する場合には、多量体形態の融合構築物が生成される。宿主
細胞におけるcre遺伝子の発現を強く調節するための上に概説した方法のほかに
、本実施例で記載したように、改変したpUNIベクターおよびpHOSTベクターと一
緒に、Creタンパク質を構成的に産生する細胞を用いることもできる。pUNI構築
物は、2つの異なるlox部位がカナマイシン耐性遺伝子をはさむように改変され
る(改変pUNI構築物をpUNI-Dと呼ぶ)。2つのlox部位は、1つまたは2つのヌ
クレオチドごとにスペーサー領域が異なっており、説明のために、2つの異なるl
ox部位は「loxA」および「loxB」と呼ぶことにする(例えば、loxPおよびloxP51
1;「loxB」は、ここで、「loxA」と呼ばれる第1lox部位と区別するために用い
られ、大腸菌染色体にみいだされるloxB配列の使用を意味するわけではない)。
Creは、Cre結合部位間のスペーサー領域に位置する配列変化のために、loxAとlo
xBの間に組換え現象を効率的に触媒することができない。しかしCreは、2つのl
oxA部位または2つのloxB部位の間には組換えを効率的に触媒することができる
[Hoessら、(1986)Nucleic Acids Res. 14:2287]。pHOST構築物は、1つのl
oxA部位と1つのloxB部位が選択マーカー遺伝子をはさむように改変される(改
変pHOST構築物は、pHOST-Dと呼ぶ)。本実施例では、pHOSTは、選択マーカー(
負の選択マーカー)として、sacB遺伝子を含む。sacB遺伝子を発現する細胞は、
5%スクロースを含有する培地で増殖させると死滅するため、pHOST-DにsacB遺
伝子が存在することによって、対抗選択の手段が提供される[Gayら(1985)J.
Bacteriol. 164:918および(1983)J. Bacteriol. 153:1424]。
【0142】 図12は、pUNI-DおよびpHOST-D構築物を用いたCre発現宿主細胞(例えば、QLB4
細胞)におけるin vivo組換えのための手法を示す概略図である。矢印により、
図12の様々な遺伝子または遺伝子セグメントの転写方向を示す。図12では、次の
略語を使用する:ApR(アンピリシン耐性遺伝子);KnR(カナマイシン耐性遺伝
子);Ori(非条件的プラスミド複製起点);OriR(R6Kγ条件的複製起点);Cr
e(Creリコンビナーゼ);GENEX(目的とする遺伝子)。図12に概略を示した手法
は、「in vivo遺伝子トラップ」と呼ばれる。図12は、pUNI-Dにおける第2lox部
位(loxB)(pUNI-10ベクターの設計に関して)が、カナマイシン耐性遺伝子と
、R6Kγ条件的複製起点との間に挿入されていることを示している。
【0143】 pHOST-D構築物を生成するために、所望のプロモーター(ならびに任意でエン
ハンサー)を含む市販の発現ベクターを実施例2同様に改変して、プロモーター
の下流にloxA部位を挿入する。しかし、発現ベクターの生成方法は公知であるこ
とから、市販の発現ベクターを必ずしも使用する必要はない。sacB遺伝子をコー
ドする配列[Gayら、(1983)、J. Bacteriol. 153:1424;GenBank受託番号X02
730およびK01987]と、第2のlox部位(loxB)を第1lox部位(loxA)の下流に挿
入する。
【0144】 pUNI-DおよびpHOST-D構築物をQLB4細胞中に共形質転換させ(実施例6)、形
質転換した細胞を、5%スクロースを含有するLB/Ap/Knプレート上で平板培養し
、所望の組換え体を選択した。図12は、QLB4細胞において、Creの存在下で起こ
ると思われる組換え現象を示す。第1のpUNI-DおよびpHOST-Dは、融合して2つの
二量体を形成し、これら二量体で、2回の恐らくは二重交差現象が起こり得る。
これら2回の二重交差現象については図12に概略を示す。二重交差現象の結果、l
oxAおよびloxBが両端に隣接するDNAセグメントの交換が起こり、「A」および「
B」と標識されたプラスミドが生成される。SacB遺伝子を含むすべてのプラスミ
ド(pHOST-D、融合プラスミドおよびプラスミドB)を、増殖培地におけるスクロ
ースの存在に対して選択する。QLB4細胞は、R6Kγ複製起点の複製に要求される
Пタンパク質を発現しないため、pUNI-D構築物は、QLB4細胞中で複製することが
できない。従って、スクロース含有LB/Knで選択される、QLB4細胞中に維持され
る唯一の構築物は、pUNI-Dからの目的とする遺伝子が、pHOST-D上に位置するプ
ロモーターの転写制御下に置かれた、所望のプラスミドAである。
【0145】 この方法を説明するために、pUNI-10を改変して、loxP511配列(配列番号16)
を含む第2lox部位を、カナマイシン耐性遺伝子と、R6Kγ条件的複製起点との間
に配置することにより、pUNI-10-Dを作製した。loxP511配列を含む第2lox部位を
、loxP含有発現プラスミド(すなわち、pHOSTベクター)上に挿入することによ
り、pHOST-Dベクターを作製した。0.5μgの各プラスミドをコンピテントQLB4細
胞中に共形質転換させ、形質転換した細胞のアリコートをLB/Apプレート、およ
び、5%スクロース含有LB/Ap/Knプレート上で平板培養し、各種プレート上のコ
ロニー数を計数した。ApRコロニー数に対する、スクロース含有プレート上で増
殖したApRKnRコロニーの百分率は、1%(1×103 /1×105)であった。スクロ
ース含有プレート上で増殖した個々のApRKnRコロニーから単離したプラスミドDN
Aの制限酵素消化により、所望の融合が生成されていることが確認された。これ
らの結果から、in vivo遺伝子トラップ方法の使用により、Creタンパク質を構成
的に発現する宿主細胞を用いて、発現ベクター中に、pUNI-Dベクターが保有する
目的遺伝子を組換えうることがわかった。
【0146】 Creタンパク質を構成的に発現する宿主細胞を用いて、発現ベクター中に、pUN
I-Dベクターが保有する目的遺伝子を組換える手段を提供する以外に、in vivo遺
伝子トラップ方法は、選択マーカーを欠失する線状DNA分子(例えば、PCR産物)
に含まれる目的遺伝子を発現ベクターに導入する手段を提供する。所望のPCR産
物は、各々が、異なるlox部位(loxPおよびloxP511部位等の「loxA」および「lo
xB」部位)をコードする2つのプライマーを用いて増幅される。loxA部位、sacB
遺伝子等の対抗選択マーカー、ならびにloxB部位を(5’から3’に)含む(すな
わち、2つの異なるlox部位が、対抗選択マーカーの両端に隣接する)pUNIベク
ターが構築される。このpUNIベクターはまた、上記および実施例1に記載したよ
うに、条件的複製起点および抗生物質耐性遺伝子も含む。PCR産物(loxA-増幅配
列loxB)を、改変pUNIベクター(loxA-対抗選択マーカー-loxBを含む)を用いて
組換えを行い、今度は対抗選択マーカーを欠失するPCR産物を含むpUNIベクター
を作製する。この組換え現象は、対抗選択遺伝子が発現されている場合には、宿
主を死滅させる培地で宿主細胞を増殖させることにより選択される。次に、pUNI
/PCR産物構築物を、適したpHOST-Dベクターを用いて組換えることにより、pUNI
ベクター(2つのlox部位を含む)中のPCR産物を所望のプロモーター要素の制御
下に置くことができる。
【0147】実施例8 目的とするタンパク質の発現を高めるための、改変loxP部位の使用 Univectorプラスミド融合系に使用するpUNIおよびpHOST構築物は、プラスミド
融合によって、プロモーターと目的遺伝子の間にlox部位が導入されるように設
計したものである。LoxP部位は、8bpのスペーサー領域により隔離された2つの
13bpの逆方向リピートから構成される[Hoessら(1982)Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 79:3398および米国特許第4,959,317号]。LoxP部位を含むpUNI−pHOST融
合構築物から生成された目的遺伝子の転写産物は、ステムループ構造を形成する
可能性がある5’非翻訳領域(UTR)内に、2つの13ヌクレオチドの完全逆方向リ
ピートを有すると思われる(これは、pHOSTが、融合タンパク質のアミノ末端で
、アフィニティードメインをコードしない場合に起こるだろう)。現在のところ
、リボソーム走査機構が、真核生物(例えば、酵母および哺乳動物細胞)におけ
る翻訳の開始に最も一般的に用いられている機構であると考えられている。この
機構を利用して、リボソームは、mRNA転写産物の5’キャップ構造に結合し、最
初のATGまたは翻訳開始コドンの5’UTR検索に添って下流へ走査していく。本発
明を特定の機構に限定するものではないが、目的とするタンパク質をコードする
mRNAの5’UTRにあるloxP配列の存在により形成されたステムループ構造が、リボ
ソーム走査を阻止、もしくはその効率を低下させ、これにより、翻訳開始段階が
損なわれる可能性がある。特定のmRNAの5’UTRにおけるステムループ構造が、真
核生物での翻訳の効率を低下させることは証明されている[Donahueら、(1988
) Mol. Cell. Biol. 8:2964およびYoonら、Genes and Dev.(1992)6:2463
参照]。転写産物のコード領域(5’UTRとは反対である)でのステムループ構造
の存在が、翻訳される能力に悪影響を及ぼすことを示唆した証拠はないことに留
意されたい。タンパク質合成のエネルギーは、mRNAに存在する二次構造を克服す
るのに十分であると考えられる。実際、実施例5に示したデータから、Univecto
r融合系を用いて生成されたGST-SKP1融合構築物(すなわち、この構築物は、Gst
およびSkp1ドメインをコードする配列間に、loxP部位を含む)は、loxP配列を欠
失するGst-Skp1融合タンパク質をコードする従来の構築物と同じレベルの融合タ
ンパク質を生成したことがわかる。従って、pUNI-pHOST融合構築物によりコード
された転写産物におけるlox配列の存在により起こるステムループ構造の存在に
関する懸念は、融合タンパク質を生成しない構築物に限定されることになる。
【0148】 完全13bp 逆方向リピート(例えば、loxP)を含むlox配列を有するpUNI-pHOST
融合構築物から、目的遺伝子を発現させる際に、低レベルの発現を認めた場合に
は、突然変異を起こしたloxP配列を含むpUNIおよびpHOST構築物を使用する。突
然変異loxP配列は、点突然変異を含み、これが、loxP部位内の2つの13bp逆方向
反復配列間にミスマッチを形成し、その結果、ステムループ構造の形成が破壊さ
れるか、あるいは、その安定性が低下する。具体的には、2つの改変loxP部位は
、あるloxP部位内に位置する逆方向リピートにおいて、異なる位置でミスマッチ
を備えるように設計した。13bp逆方向リピートは、Creタンパク質の結合部位で
ある。従って、各loxP部位は、2つのCreタンパク質結合部位を有する。説明の
ために、これら2つの結合部位は、LおよびR(左と右)と呼ぶものとする。野
生型loxP部位は、L(0)-R(0)と設定する。ここで、「0」は、突然変異の不在(
すなわち、野生型配列)を示す。野生型loxP配列の2つの誘導体を設計し、loxP
2およびloxP3と名づけた。LoxP2配列(配列番号13)、loxP3配列(配列番号14)
、ならびに、野生型loxP配列(配列番号12)を図13に示す。LoxP2をpUNI-10構築
物上に(野生型loxP部位の代わりに)配置し、またloxP3をpHOST構築物上に配置
する。
【0149】 LoxP2は、L(3,6)-R(0)と呼ばれるリピートを有し、これは、左側のリピートの
3番目および6番目のヌクレオチドが突然変異を起こしたことを示す。従って、
LoxP2部位のLおよびRリピート間の3番目および6番目の位置に、ミスマッが導
入される。LoxP3は、L(0)-R(9)と呼ばれるリピートを有し、これは、右側の反復
配列の9番目のヌクレオチドが突然変異を起こしたことにより、LoxP3部位のLお
よびRリピート間の9番目の位置に、ミスマッチが導入されることを示す。pUNI
構築物上のLoxP2部位とpHOST構築物上のLoxP3部位との融合により、プロモータ
ーと目的遺伝子との間に位置するハイブリッドLoxP23部位[L(3,6)-R(9)]と、
遠位にある交差点に野生型LoxP部位[L(0)-R(0)]が生成される。従って、5’UT
RにおけるloxP23部位(配列番号15)は、13ヌクレオチド逆方向リピート間の位
置3、6および9に分布する3つのミスマッチを有することになり、これが、ス
テムループ構造の形成を甚だしく不安定化させると予想される。ステムループ構
造の破壊に適した他の突然変異loxP配列は、当業者には明らかであろう。従って
、本発明は、pUNI-pHOST融合構築物から生成された転写物の5’UTRにおけるステ
ムループ構造形成の破壊を目的とするLoxP2配列およびLoxP3配列の使用に限定さ
れるわけではない。Univector融合系に使用されるあらゆる突然変異lox部位ペア
の適合性は、ペアのメンバーの一方をpUNIベクターに、他方をpHOST構築物に配
置することにより試験することができる。次に、実施例4に記載したように、2
つの改変ベクターをin vitroで組換え、融合反応混合物を用いて、大腸菌細胞を
形質転換し、形質転換した細胞を選択培地(例えば、LB/AmpおよびLB/Kanプレー
ト)上で平板培養することにより、2つの突然変異lox部位間の組換え効率を判
定する(実施例4)。2つの突然変異lox部位間の組換え効率を、2つの野生型l
oxP部位間の組換え効率と比較する。約5%、あるいは、2つのloxP部位を用い
て観測されたものより大きい率で組換えを行う2つの異なる突然変異lox部位か
ら成るペアはすべて、pUNI/pHOST融合構築物から転写されたmRNAの5’UTRにおけ
るステムループ構造の形成を阻害するのに使用される有用な突然変異lox部位ペ
アである。
【0150】 以上記載した手法を用いて、実施例5に記載したように、GAL1プロモーターの
制御下で、SKP1 ORFを用いて観測された発現低下を突然変異lox部位により改善
することができるかどうかを決定した。ステムループの安定性を低下するように
設計された一連のlox部位を使用した。これらは、対照のスクランブル部位であ
るloxSと一緒に、GAL1プロモーターとlacZレポーター遺伝子との間に配置し、β
ガラクトシダーゼ発現を測定した。ステムループ安定性が低下した突然変異は、
発現を改善する傾向があり、1つの突然変異体loxPL369は、阻害作用を全く展示
しなかった。この突然変異体はまた、25%の野生型組換え効率を保持しており、
loxH(すなわち、宿主のため)と名づけた。LoxH部位を生成するのに使用したオ
リゴヌクレオチドは、loxH配列: 5’-ATTACCTCATATAGCATACATTATACGAAGTTAT-3’(配列番号32) に基づいている。さらに、GAL1制御下でMYC-RNR4を配置するためにこれを使用し
て、LoxHを試験したところ、図17に示すように(レーン2、3および4と比較し
て)、翻訳妨害は全く示されなかった。LoxHの25%組換え効率は、十分に、UPS
媒介プラスミド構築物に有用な範囲内にある。従って、転写融合体の発現を最大
化することを目的とするpHOST受容ベクターでloxHを使用するのが推奨されると
共に、loxPは、さらに高い組換え効率を有することから、他のあらゆる用途に使
用できるはずである。
【0151】 当業者には、FLPリコンビナーゼを組換え現象に使用する場合、frt部位の改変
のために同様の手法を使用できることは明らかであろう。lox部位と同様に、frt
部位は、8bpスペーサー領域により離隔された2つの13bpの逆方向リピートを含
む。
【0152】実施例9 正確なORF導入(POT) Univectorから宿主ベクターに、目的とする遺伝子だけを導入するため、本発
明は、UPS生成ヘテロ二量体の分解を可能にする第2組換え現象を提供する。POT
反応の概略を図20に示す。本発明の一実施形態では、R-組換え部位RSをpUNI(す
なわち、pUNI-20)におけるクローニング部位の後に配置し、pUNI-20に挿入され
るあらゆる遺伝子が、5’側でloxPと、3’側でRSと隣接するようにするが、本発
明は、この他の第2組換え系(例えば、Res系)の使用も考慮する。宿主受容ベ
クターはまた、loxおよびRSエレメントを正しい順序で含まなければならない。
初期融合現象は、UPSにより、Creが触媒する。二次反応は、精製Rリコンビナー
ゼ(Arakiら、前掲)を用いたインキュベーションによりin vitroで、あるいは
、42℃で細胞を平板培養した際に欠失されるTs複製プラスミド(例えば、pML66
)でのtac制御下で、Rリコンビナーゼを発現する株(例えば、BUN15)への形質
転換によりin vivoで引き起こすことができる。POTは、in vivoまたはin vitro
で2段階反応として効率的に作用する。二次組換え現象のための選択を行うこと
なく、効率的にin vivoで分解を達成するためには、形質転換の後に、選択培地
における平板培養に先立ってLB+IPTG中でインキュベーションを実施する必要が
ある。1時間および4時間のインキュベーションにより、それぞれ、3%および
15%の組換え体がもたらされたが、これにより、RS配列間の組換えによる、pUNI
バックボーンの完全な欠失が示された。Rリコンビナーゼにより触媒されたin vi
tro組換えは、30%の組換え体を達成した。
【0153】 POTを経たプラスミドの回収効率は、対抗選択マーカーをloxPとRS部位の間に
配置した受容ベクターの使用により、大幅に増加することができる。このために
、本発明は、宿主細胞がslyD遺伝子を欠失しない限り、大腸菌で発現させると有
毒となるΦX174E遺伝子を使用した[Marateaら、(1985)Gene 40:39]。5’か
ら3’に順に、loxP、tacプロモーターの制御下のE、ならびにRS部位を含むpAS2
[Durfeeら、(1994)Gene. & Dev. 7:555]由来の2ハイブリッド用おとり(b
ait)ベクターであるpAS2-Eを、SKP1遺伝子を含むpUNI-20と融合し、CX1(slyD
)への形質転換により、共組込み体(co-integrant)を選択した。次に、この共
組込み体を、Rリコンビナーゼを発現するBUN15細胞中に形質転換し、IPTGの存在
下でAprについて選択することにより分解現象を分離し、Eタンパク質を誘導した
。BUN15は、slyDであることから、E発現による毒性のために、pAS2-Eだけはその
中で生存することができない。しかし、pAS2-Eが、pUNI-20誘導体と融合する場
合には、RS部位間で後に起こるR依存性部位特異的組換えが、pUNIバックボーン
とEの両方を排除することから、pAS2-Eは、上記株を形質転換することができる
。この結果、Eは、pUNIからの対応する領域で置換される。pAS2-E-pUNI-20-SKP1
融合プラスミドの形質転換により得られる100%(24のうち24)のApr形質転換体
は、選択培地での平板培養前にたった1時間インキュベートするだけで、pUNI-2
0由来のSKP1遺伝子をpAS2-Eへ正確に導入されたことを示した。
【0154】 RS部位が両端に隣接するEを有する、ヘテロ二量体プラスミドのBUN15への形質
転換により、pAS2-Eプラスミド自体の形質転換より数倍大きい形質転換がもたら
される。これは、BUN15へのUPS反応の直接形質転換によりPOTが1つの工程で(す
なわち、2段階プロセスではなく)達成できることを示している。標準的UPS反応
において、Gst-Creと共に、pUNI-20-SKP1およびpAS2-Eをインキュベートし、そ
の反応混合物をBUN15中に直接形質転換し、1時間のインキュベーションの後、4
2℃でApr形質転換体を選択した。100%(20のうち20)のApr形質転換体が、図21
に示すように、PvuIIでの制限消化により決定されるpAS2-E中のE遺伝子を置換す
るSKP1によるPOTを経たことがわかった。図21に示すサンプルは、2つの親プラ
スミド、P1(pUNI-20-SKP1)およびP2(pAS2-E)ならびに、I(UPSが生成したpUNI-
20-SKP1-pAS2-E組換え中間体)と共に、前記と同様に消化された10個の異なるAp
r形質転換体から単離したプラスミドDNAから生成されたものである。正確なORF
導入により、矢印で示す新しい800bpのPvuII断片が生成された。
【0155】 POTアッセイのために、スペクチノマイシン(50μg/ml)を含有するLB中で、B
UN15細胞を30℃にて一晩増殖させた。BUN15細胞を0.3mM IPTG含有の新鮮なLB/Sp
ec培地中で、1対100で希釈し、ODが0.5になるまで増殖させた。推奨されるよう
に(Biorad)、エレクトロコンピテント細胞を調製した。各形質転換に、40μl
のコンピテント細胞を用いた。電気形質転換の後、LB+IPTG中で細胞を1〜8時
間インキュベートして回収した後、LB/Amp/IPTG 1mMに塗付し、42℃でインキュ
ベートした。
【0156】実施例10 UPSを用いたライブラリー導入 本発明の方法および組成物を用いて、核酸ライブラリー全体を生成およびサブ
クローニングする能力を本実施例で証明する。XhoI-アダプター手法[Elledgeら
、(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. 88:1731]を用いて、pUNI-10で、ランダム
切断S.セレビシエ(S. cerevisiae)ゲノムライブラリーを作製した。このライ
ブラリーは、80%が3kb〜8kbの挿入断片を有する5×105個の組換え体を有し
た。このライブラリーを、UPSを用いて、pRS425-lox、URA3 2μプラスミドと融
合し、1.6×106個の組換え融合プラスミドを回収した。このライブラリーを用い
て、S.セレビシエ(S. cerevisiae) cdc4-1突然変異株Y543を形質転換し、Ura’
形質転換体を34℃(cdc4-1の非許容温度)で選択した。34℃で増殖する能力があ
る31個のプラスミドのうち、3つのクラスを回収した。1つのクラスは、予想通
りCDC4であり、2つ目はSKP1、3つ目はCLB3であった。SKP1と、CLB3に非常に近縁
のサイクリンであるCLB4は、GALプロモーターから過剰発現されたとき、cdc4-1
突然変異体を抑制することが事前にわかっていた[Baiら、(1994)EMBO J. 3:
6087;Baiら、前掲]。これらの実験から、UPSを用いたライブラリー導入の実現
可能性が証明された。2ハイブリッド系等のためにcDNA発現ライブラリーを作製
する場合には、クローンを単離したら、in vivoでのCre組換えにより、単純なUn
ivectorクローンに迅速に変換することができる。UPSを用いて、将来の分析に備
え、一連のpHOST発現ベクターのいずれかと、これらのプラスミドとを迅速に融
合することができる。
【0157】実施例11 一般的材料および方法 この実施例は、前記および以下に記載する実験全体を通して使用される一般的
材料および方法を提供する。
【0158】 I.培地、酵素および化学薬品 薬剤の選択のために、LBプレートまたは培養液にカナマイシン(40μg/ml)も
しくはアンピシリン(100μg/ml)を補充した。必要であれば、イソプロピルβ-
D-チオガラクトシド(IPTG)を最終濃度が0.3mMになるまで添加し、X-Gal(Sigm
a)を80μg/mlで使用した。Roseらに従い、酵母増殖培地およびプレートを作製
した[Roseら、(1990)Laboratory course manual for methods in yeast gene
tics、Cold Spring Harbor、New York、Cold Spring Harbor Laboratory Press
]。制限エンドヌクレアーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIの大きな断片(クレノウ
フラグメント)、T4ポリヌクレオチドキナーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、T4 DNAリ
ガーゼは、New England Biolabsから購入した。特に記載のない限り、薬剤はSig
maから購入した。
【0159】 II.細菌および酵母菌株 大腸菌BW23474[Δlac-169、robA1、creC510、hsdR514、uidA(ΔMluI)::pir
-116、endA、recA1]およびBW23473[Δlac-169、robA1、creC510、hsdR514、ui
dA(ΔMluI)::pir、endA、recA1](Metcalfら、前掲)は、B.Wannerの寄贈品
であり、Univectorに基づくあらゆるプラスミドの増殖用の宿主として用いた。B
UN10[hisG4 thr-1 leuB6 t lacY1 kdgK51Δ(gpt-proA)62 rpsL31 tsx33 supE44
recB21 recC22 sbcA23 hsdR::cat-pir-116(CmR)]を、相同組換え実験に使用した
。Lacプロモーターの制御下にあるcreを有するBUN13は、λLCで溶原化したJM107
である(aadA lac-cre)。BUN15は、pML66(tac-R、SPr)を含有するXL1 blueで
あり、in vivoのRS組換えアッセイ用に使用した。大腸菌JM107またはDH5α[Sam
brookら、(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Har
bor Lab.、Cold Spring Harbor、New York、第2版]は、UPSにより作製したもの
を含め、その他すべてのプラスミド構築用の形質転換受容体である。大腸菌BL21
は、細菌発現試験用の宿主として用いた。CX1(ara leu purE gal trp his argG
rpsL thi-1 supE lacI slyD1)は、E発現クローンの増殖用に用いた。S.セレビ
シエ(S. cerefisiae) Y80[ZhouおよびElledge、(1992)、Genetics 131:851
]は、酵母発現試験用、またY543(cdc4-1を除き、Y80と同様)は、cdc4抑制用
に用いた(Baiら、1994、前掲)。
【0160】 III.プラスミド構築 本発明の実施例で用いたいくつかのプラスミドの構築について以下に記載する
。これらの例は、UPSに使用するプラスミドを作製する上で使用する手法および
一般的方法を説明するために提供するものである。しかし、これらの特定のプラ
スミドおよび構築方法が、本発明の実施に必ずしも必要というわけではない。
【0161】 Gst-Cre発現構築物であるpQL123のために、creORFをPCRにより増幅し、 プライマー5’-CCATGGCCAATTTACTGACCGTACAC-3’(配列番号21)および 5’-CCCGGGCTAATCGCCATCTTCCAGC-3’(配列番号20)を用いて、NcoI部位を最初
のATGに配置した。そのPCR産物をpCRTMII(Invitrogen)中にクローニングし、N
coI-EcoRI消化pGEX-2Tkcs中に、NcoI-EcoRI断片としてサブクローニングするこ
とにより、pQL123を作製した。
【0162】 pSE1086から1つのloxP部位を欠失させることにより、pHOSTプラスミドpQL103
を作製した。これは、NotIおよびSalIによる消化、クレノウによる末端の充填、
ならびに再連結反応により、XhoI-loxP-NotI-loxP-SalIカセットを含む。S.セレ
ビシエ(S. cerevisiae) SKP1 ORFを含む590bpのNotI-BamHI断片を、pCB149から
、NotI-BamHI切断pUNI-10中にサブクローニングすることにより、pQL130(pUNI-S
KP1)を作製した。
【0163】 SKP1の第2サブクローンは、SKP1の同じ5’末端を含むpML73であるが、pUNI-20
中にクローニングされた3’末端の隣接BamHI部位に、さらに800bpのゲノムDNAを
含む。このpPML73をPOT実験に使用した。2つのオリゴ: 5’-CATGGCTATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATG-3’(配列番号22)および 5’-GATCCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTAT-3’(配列番号23) をアニーリングすることにより、LoxPを含むと同時に、NcoIおよびBamHI突出部
を両端に有するオリゴリンカーを作製し、次に、NcoIおよびBamHI消化pGEX-2TKc
sに連結することにより、pHB2-GSTを作製した。MYCγ RNR4遺伝子を、pMH176[H
uangおよびElledge(1997)Mol. Cell. Biol. 17:6105]から、XhoI-SacI断片
として、XhoI-SacI切断pUNI-10中にサブクローニングして、pQL248を作製するか
、あるいは、SalI-SacI消化pBAD104、GAL1発現ベクター中にサブクローニングす
ることにより、loxPを欠失した対照を作製した。2つのpBAD104由来の受容ベク
ター、pQL138およびpQL193は、プライマー対: 5’-TCGAGACGTCATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATGC-3’(配列番号24)お
よび 5’-GCCGCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGATGTTATGACGTC-3’(配列番号25)(pQL
138)、または、 5’-CATGGCTATAACTTCGTATAGCATACATTATACGAAGTTATG-3’(配列番号26)および 5’-GATCCATAACTTCGTATAATGTATGCTATACGAAGTTATAGC-3’(配列番号27)(pQL193
) を用いて、ポリリンカーに、loxP360配列の野生型loxPのいずれかを挿入するこ
とにより、構築した。pQL248とpQL138またはpQL193の間のUPSにより、2つのGAL
I:MYC3-RNR4構築物を作製した。
【0164】 pQL269(Ts pSC101 ori上のlac-cre aadA)の構築のために、aadAおよびlac-c
re遺伝子融合体を含むpQL114由来のEcoRI-PvuII断片を、Ts複製起点を含むpINT-
ts[Hasanら、(1994)Gene 150:51]由来のBglI(T4ポリメラーゼにより平滑
にされている)-EcoRI断片に連結し、形質転換体を、42℃でのSprおよびTs増殖
についてスクリーニングした。これらの特性を備えたプラスミドをpQL269と名づ
けた。
【0165】 pNN115(Arakiら、前掲)由来のRリコンビナーゼを駆動するtacプロモーター
を含むEcoRI-SalI(平滑)断片を、EcoRI-PstI(平滑)切断pQL269に連結するこ
とにより、pML66を構築した。このスペクチノマイシン耐性プラスミドは、IPTG
の存在下でRプロテインを発現し、また温度感受性複製突然変異により、42℃で
増殖した細胞からは欠失する。
【0166】 blaのPCR産物を生成し、これをMluI-NheI(平滑)切断pUNI-20に連結して、pU
NI-20上のneo遺伝子の代わりに、pUC19由来のbla遺伝子を配置することにより、
pUNI-Ampを作製した。プライマーMZL154: 5’-AAATTTCTCGAGGCTCTGAGCAAAAGCTCAT-3’(配列番号28) およびMZL155: 5’-TATATATAGCGGCCGCTTAATTAAGATCCTCCTCGGATA-3’(配列番号29) を用いた、pJBN48が存在する3xMYCタグのPCR増幅の後、XhoIおよびNotIによるPC
R産物の切断、ならびに、XhoI-NotI 切断pUNI-Ampへの連結によって、pML74を作
製することにより、pUNI-Ampへの三重MYCタグのサブクローニングを達成した。
相同組換えによるSKP1のC末端へのタグ付け用のpML74由来3xMYCタグを増幅する
ために使用されるPCRプライマーの配列は、プライマーA(MZL160):5’-CCAGA
GGAGGAGGCTGCCATTAGGCGTGAAAATGAATGGGCTGAAGACCGTCTGAGCAAAAGCTCATTTC-3’(
配列番号30) およびプライマーB(MLZL161):5’-GGATATAGTTCCTCCTTTCAGC(配列番号31)
であった。
【0167】 まず、pAS2のNcoI-SalI部位間に合成loxP部位を配置して、pAS-loxを作製した
後、次の特徴:5’XhoI部位、E.SpeI部位3’を駆動するtacプロモーターを備え
るE含有断片を生成し、さらに、XhoI-SpeI断片をSpeI-PstI合成RS断片と共に、X
hoI-PstI切断pAS2-loxに連結して、pAS2-E(pML71)を作製することにより、pAS
2-Eを構築した。
【0168】 IV.βガラクトシダーゼアッセイ 異なるloxP配列を含むGAL1:lacZレポーター構築物を発現する酵母細胞を2%
ラフィノース含有のSC-Ura培地において、中間対数期(OD600=0.5〜0.6)まで
、30℃で増殖させた後、ガラクトースを最終濃度2%まで添加し、細胞を30℃で
2時間インキュベートした。ZhouおよびElledge(ZhouおよびElledge、前掲)に
より記載されているように、βガラクトシダーゼ活性を測定した。
【0169】実施例12 BUN13の構築 本実施例では、lac制御下のcreを有するλ溶原菌であるBUB13の構築について
説明する。pSE356は、Tn5 neo遺伝子、lacプロモーター、ならびに、λDNA配列
ストレッチに囲まれたポリリンカー配列から成るカセットを含む。λ中にcre遺
伝子を組換えるのに用いるプラスミドであるpQL114を、2段階で構築した。第一
に、pDPT270由来のスペクチノマイシン耐性遺伝子aadA[TaylarおよびCohen(19
79)、J. Bacteriol 137:92]を含むBamHI-HindIII(T4 DNAポリメラー
ゼによ り平滑にされている)断片を、BamHI-SphI(T4 DNAポリメラーゼ消化pSE356によ
り平滑にされている)にサブクローニングすることにより、neoをaadAで置換した
pQL102を作製した。第二に、プライマー: 5’-GCGGCCGCTGAGTGTTAAATGTCCAATT-3’(配列番号19)および 5’-CCCGGGCTAATCGCCATCTTCCAGC-3’(配列番号20)を用いたPCRにより、cre遺
伝子のリボソーム結合部位の5’末端に、NotI部位を設計した。そのPCR産物をpC
R(商標)IIにクローニングし、NotI-EcoRI断片として、NotI-EcoRI消化pQL102に
サブクローニングすることにより、aadAに隣接し、λDNA配列が両端にあるlac制
御下のcreを配置するpQL114を作製した。pQL114を含むJM107上で、λKC(Elledg
eら、前掲)を増幅し、得られた所望の組換えλLCファージを含むファージ溶解
物を用いて、JM107を感染させた。SprKnS溶原菌を選択し、Cre発現およびUPSを
実施する能力について試験した。これらの特性を備えた株をBUN13と名づけた。
【0170】 以上のことから、本発明が、制限酵素消化に頼る必要なく、標的核酸配列(例
えば、目的とする遺伝子)を核酸分子から、別の核酸分子へとin vitroまたはin
vivoで迅速に導入するのを可能にする、核酸のサブクローニング方法を提供す
ることは明らかである。
【0171】 本明細書に記載した出版物および特許はすべて、参照として本明細書に組み込
むものとする。本発明の方法および系の様々な変更および変形は、本発明の範囲
および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。好ましい特定の
実施形態に関して本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明が
このような具体的な実施形態に過度に限定されるものではないことに留意すべき
である。実際に、本発明を実施するための上記態様の様々な変更は、分子生物学
もしくは関連分野における当業者には明らであり、それらは添付の特許請求の範
囲内に含まれるものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、pUNIベクターの特定のエレメントおよびUnivector Fusion Systemの
模式図を示す。
【図2】 図2Aは、pUNI-10ベクターの模式図を示す。選択された制限酵素部位の位置を
示し、そしてユニークな部位を太枠の使用によって示す。 図2Bは、pUNI-10内に含まれるloxP部位およびポリリンカーのDNA配列(すな
わち配列番号1のヌクレオチド401-530)を示す。
【図3】 図3Aは、loxP部位をpGEX-2TKcsのポリリンカー中に挿入してpGst-loxを作製
するためにアニーリングさせたオリゴヌクレオチド(配列番号4および5)を示
す。 図3Bは、多重クローニング部位(MCS)の拡大図を含むpGEX-2TKcsの模式図を
示す。
【図4】 図4Aは、loxP部位をpVL1392のポリリンカー中に挿入してpVL1392−l
oxを作製 するためにアニーリングさせたオリゴヌクレオチド(配列番号6および7)を示
す。 図4Bは、多重クローニング部位(MCS)の拡大図を含むpVL1392の模式図を示
す。アンピシリン耐性遺伝子(ApR)およびtacプロモーター(Ptac)を示す
【図5】 図5Aは、loxP部位をpGAP24のポリリンカー中に挿入してpGAP24-loxを作製す
るためにアニーリングさせたオリゴヌクレオチド(配列番号8および9)を示す
。 図5Bは、多重クローニング部位(MCS)の拡大図を含むpGAP24の模式図を示す
。アンピシリン耐性遺伝子(ApR)、GAPプロモーター(PAP)、2μmサーク
ルからの起源(2μ)およびN-(5'ホスホリボシル)-アントラニレートシンセター
ゼをコードするTRP1遺伝子(TRP1)を示す。
【図6】 図6Aは、loxP部位をpGAL14のポリリンカー中に挿入してpGAL14-loxを作製す
るためにアニーリングさせたオリゴヌクレオチド(配列番号8および9)を示す
。 図6Bは、多重クローニング部位(MCS)の拡大図を含むpGAL14の模式図を示す
。アンピシリン耐性遺伝子(ApR)、GALプロモーター(PGAL)、酵母セント
ロメア配列(CEN)、酵母自律複製配列(ARS)およびTRP1遺伝子(TRP1)を示す
【図7】 図7は、pQL123を含有する大腸菌細胞からのGst-Creの精製を示すCoomassieブ
ルー染色したSDS-PAGEゲルを示す。
【図8】 図8は、融合構築物(「pAB」)を作製するためのpUNIベクター(「pA」、pUN
I-5)とpHOSTベクター(「pB」、pQL103)とのin vitro組換えに使用する戦略の
模式図を示す。各構築物上の関連するマーカーを選択した制限酵素部位として示
す。
【図9】 図9Aは、出発構築物(pUNI-Skp1およびpGst-lox)ならびにin vitro融合反応
によって生成すると予測される融合構築物(pGst-Skp1)の模式図を示す。 図9Bは、pUNI-Skp1、pGst-loxおよびpGst-Skp1の消化によって生成する制限
断片の分離を示すエチジウムブロマイド染色したゲルを示す。
【図10】 図10Aは、pGst-Skp1を含有する大腸菌細胞からのGst-Skp1タンパク質の発現
を示すCoomassieブルー染色したSDS-PAGEゲルを示す。 図10Bは、抗Skp1抗体を使用してプローブした、pGst-Skp1を含有する大腸菌
細胞から調製した抽出物を含有するSDS-PAGEゲルのウエスタンブロットを示す。
【図11】 図11は、従来法で構築したGst-Skp1プラスミドまたは(in vitro融合反応に
よって製造した)pGst-Skp1のいずれかを含有する大腸菌細胞(QLB4)から調製
した抽出物 を含有するSDS-PAGEゲルのウエスタンブロットを示す。
【図12】 図12は、Creタンパク質を構成的に発現する宿主細胞中のlox含有ベクターの
組換えのための in vivo遺伝子トラップ法の模式図による説明を示す。
【図13】 図13は、野生型loxP部位(配列番号12)、loxP2部位(配列番号13)、l
oxP3部位(配列番号14)およびloxP23部位(配列番号15)のヌクレオチド配
列を示す。
【図14】 図14は、Creが仲介するプラスミド融合の1実施形態の模式図を示す。
【図15】 図15は、UPSによって測定したGst-Creリコンビナーゼ活性の有効性を証明す
るデータを示す。
【図16】 図16は、SDS-PAGEによる分離ならびに(A)Coomassieブルーによる染色お
よび(B)抗Skp1抗体による免疫ブロッティングをした、UPSで作製したloxPを
含有する融合タンパク質のタンパク質発現を示す。
【図17】 図17は、loxPおよびloxH含有構築物間の発現レベルの比較を示す。
【図18】 図18は、昆虫細胞中のUPSによって誘導したバキュロウイルス発現構築物の
発現を示す 。
【図19】 図19は、CMVプロモーターの制御下でMycタグを持つFボックスタンパク質を
発現するHela細胞の抗HA抗体による免疫ブロッティングを示す。
【図20】 図20は、POT反応の模式図による説明を示す。
【図21】 図21は、pAS2-E中のE遺伝子を置換するSKP1によるPOTを実施したサンプルの
制限消化アッセイを示す。
【図22】 図22は、Univector中への核酸サンプルの定方向サブクローニングのための
方法の模式図を示す。
【図23】 図23は、pUNI-10、pUNI-20およびpUNI-30ベクターの模式図を示す。
【図24】 図24は、タグを持つ組換えタンパク質を製造するための方法の模式図を示す
【図25】 図25は、相同組換えを使用するコード領域の3'末端改変のためのギャップ修
復スキームの模式図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA20 BA10 CA04 CA07 DA06 DA12 EA01 FA01 FA02 FA07 FA10 GA11 HA08 4B065 AA26X AA80X AA90X AB01 AC14 BA02 CA24 CA29

Claims (53)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次のステップ: a) i) 複製起点、第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位、および目的の核
    酸を機能し得る順序で含む第1核酸構築物、 ii) 複製起点、調節エレメント、および該調節エレメントの下流でこれに
    隣接した第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位を機能し得る順序で含む第2核
    酸構築物、ならびに、 iii) 部位特異的リコンビナーゼ、 を準備し、そして b) 前記第1および第2核酸構築物が組換えられて、前記目的の核酸が前記
    調節エレメントに機能し得る形で連結されている第3核酸構築物を形成するよう
    な条件下で、第1および第2核酸構築物を前記部位特異的リコンビナーゼと接触
    させる、 ことを含む、核酸構築物の組換え方法。
  2. 【請求項2】 調節エレメントがプロモーターエレメントを含む、請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 調節エレメントが融合ペプチドを含む、請求項1に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 融合ペプチドがアフィニテイードメインを含む、請求項3に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 融合ペプチドがエピトープタグを含む、請求項3に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 目的の核酸が遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 第1核酸構築物が選択マーカーをさらに含む、請求項1に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 第2核酸構築物が選択マーカーをさらに含む、請求項1に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 第1核酸構築物が原核生物終結配列をさらに含む、請求項1
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 第1核酸構築物が真核生物ポリアデニル化配列をさらに含
    む、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 第1核酸構築物が条件複製起点をさらに含む、請求項1に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位がloxP、loxP2、l
    oxP3、loxP23、loxP511、loxB、loxC2、loxL、loxR、loxΔ86、loxΔ117、frt、
    dif、loxHおよびattからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位がloxP、loxP2、l
    oxP3、loxP23、loxP511、loxB、loxC2、loxL、loxR、loxΔ86、loxΔ117、frt、
    dif、loxHおよびattからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 第1核酸構築物がポリリンカーをさらに含む、請求項1に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 第1および第2核酸構築物と部位特異的リコンビナーゼと
    の接触が、第3核酸構築物が宿主細胞中で複製することが可能な条件下で第1お
    よび第2核酸構築物を宿主細胞中に導入することを含む、請求項1に記載の方法
  16. 【請求項16】 部位特異的リコンビナーゼが前記宿主細胞によってコード
    される、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 第1核酸構築物が第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位
    をさらに含み、第2核酸構築物が第4配列特異的リコンビナーゼ標的部位をさら
    に含む、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 第1核酸構築物中の第1配列特異的リコンビナーゼ標的部
    位および第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位が目的の核酸の反対側に位置し
    ている、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位および第4配列特
    異的リコンビナーゼ標的部位がRS部位およびRes部位からなる群から選択される
    、請求項17に記載の方法。
  20. 【請求項20】 第1核酸構築物が第3配列特異的リコンビナーゼ標的部位
    をさらに含み、第2核酸構築物が第4配列特異的リコンビナーゼ標的部位をさら
    に含み、この際の前記方法が第2部位特異的リコンビナーゼを準備すること、お
    よび前記第3核酸構築物が組換えられて第4および第5核酸構築物を形成するよ
    うな条件下で第3核酸構築物を第2部位特異的リコンビナーゼと接触させるステ
    ップc)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載の方法にしたがって作製した組換え核酸構
    築物。
  22. 【請求項22】 下記のステップ: a) i) ベクター、 ii) 前記ベクターの少なくとも一部分に相補的な配列を含む線状核酸分
    子、および iii) 大腸菌宿主細胞であって、該宿主が内在性組換え系、機能消失rec突
    然変異、サプレッサー、および機能消失内在性制限改変系突然変異を含んでいる
    もの、 を準備し、そして b) 前記線状核酸分子およびベクターが組換えられて組換え核酸構築物を形
    成するような条件下でベクターおよび線状核酸分子を前記宿主中に導入する、 ことを含む、核酸構築物の組換え方法。
  23. 【請求項23】 機能消失rec突然変異がrecBCおよびrecDからなる群から選
    択される、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 サプレッサーがsbcを含む、請求項22に記載の方法。
  25. 【請求項25】 機能消失内在性制限改変系突然変異がhsdRを含む、請求項
    22に記載の方法。
  26. 【請求項26】 下記のステップ: a) i) 複製起点、第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位、および核酸ラ
    イブラリーからの核酸メンバーを機能し得る順序で含む複数の第1核酸構築物、 ii) 複製起点、調節エレメント、および調節エレメントの下流でこれに
    隣接した第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位を機能し得る順序で含む複数の
    第2核酸構築物、ならびに iii) 部位特異的リコンビナーゼ、 を準備し、 b) 複数の第1および第2核酸構築物が組換えられて、核酸ライブラリーか
    らの核酸メンバーが調節エレメントに機能し得る形で連結されている複数の第3
    核酸構築物を形成するような条件下で、複数の第1および第2核酸構築物を前記
    部位特異的リコンビナーゼと接触させる、 ことを含む、核酸ライブラリーのクローニング方法。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の方法にしたがって作製した核酸ライブ
    ラリー。
  28. 【請求項28】 下記のステップ: a) i) 調節エレメントの第1および第2部分、 ii) 前記調節エレメントの第1部分を含む第1核酸分子、および iii) 前記調節エレメントの第2部分を含む第2核酸分子、 を準備し、そして b) 前記調節エレメントの第1および第2部分の結合から完全な調節エレメ
    ントが生成する条件下で第1および第2核酸分子を結合させて第3核酸分子を作
    製するものであり、この際、第3核酸分子中の完全な調節エレメントの存在が第
    2核酸分子に対する第1核酸分子のクローニングの方向を示すものである、 核酸分子の定方向性クローニング方法。
  29. 【請求項29】 調節エレメントがlacO部位を含む、請求項28に記載の方
    法。
  30. 【請求項30】 下記のステップ: a) i) リコンビナーゼを発現する宿主細胞、 ii) 複製起点、第1部位特異的リコンビナーゼ部位、第1および第2部位
    特異的リコンビナーゼ部位間でリコンビナーゼが組換えを開始しないように、第
    1部位特異的リコンビナーゼ部位とは配列が異なる第2部位特異的リコンビナー
    ゼ部位、ならびに第1および第2部位特異的リコンビナーゼ部位間の選択マーカ
    ー遺伝子を含む第1核酸構築物、ならびに iii) 複製起点、第3部位特異的リコンビナーゼ標的部位、ならびに第3
    および第4部位特異的リコンビナーゼ部位間でリコンビナーゼが組換えを開始し
    ないように、第3の部位特異的リコンビナーゼ部位とは配列が異なる第4の部位
    特異的リコンビナーゼ部位を含む第2核酸構築物、 を準備し、そして b) 前記第1および第2核酸構築物が組み換えられるような条件下で、第1
    および第2核酸構築物を前記宿主細胞中に導入する、 ことを含む、構成的にリコンビナーゼを発現する宿主細胞中での調節された組換
    え方法。
  31. 【請求項31】 前記選択マーカーを使用して所望の組換え核酸分子を選択
    するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 第1核酸構築物がUnivectorである、請求項30に記載の
    方法。
  33. 【請求項33】 第2核酸構築物がUnivectorである、請求項30に記載の
    方法。
  34. 【請求項34】 請求項30に記載の方法にしたがって作製した組換え核酸
    構築物を発現する宿主細胞であって、構成的にリコンビナーゼを発現する宿主細
    胞。
  35. 【請求項35】 a) 条件複製起点、 b) 5'および3'末端をもつ配列特異的リコンビナーゼ標的部位、ならびに、 c) 配列特異的リコンビナーゼ標的部位の3'末端に隣接して位置するユニー
    ク制限酵素部位、 を機能し得る順序で含む核酸構築物。
  36. 【請求項36】 原核生物終結配列をさらに含む、請求項35に記載の構築
    物。
  37. 【請求項37】 原核生物終結配列がT7終結配列である、請求項36に記載
    の構築物。
  38. 【請求項38】 真核生物ポリアデニル化配列をさらに含む、請求項35に
    記載の構築物。
  39. 【請求項39】 ポリアデニル化配列がウシ成長ホルモンポリアデニル化配
    列、シミアンウイルス40ポリアデニル化配列、および単純ヘルペスウイルスチミ
    ジンキナーゼポリアデニル化配列からなる群から選択される、請求項38に記載
    のDNA構築物。
  40. 【請求項40】 選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項35に記載の構
    築物。
  41. 【請求項41】 選択マーカーがカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐
    性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、ス
    トレプトマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、aadA遺伝子、φ
    X174E遺伝子、strA遺伝子、およびsacB遺伝子からなる群から選択される、請 求
    項40に記載の構築物。
  42. 【請求項42】 配列特異的リコンビナーゼ標的部位がloxP、loxP2、loxP3
    、loxP23、loxP511、loxB、loxC2、loxL、loxR、loxΔ86、loxΔ117、frt、dif
    、loxHおよびattからなる群から選択される、請求項35に記載の構築物。
  43. 【請求項43】 ユニーク制限酵素部位中に挿入された目的の遺伝子をさら
    に含む、請求項35に記載の構築物。
  44. 【請求項44】 構築物が配列番号1に示すヌクレオチド配列をもつ、請求
    項35に記載の構築物。
  45. 【請求項45】 構築物が第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位をさらに
    含む、請求項35に記載の構築物。
  46. 【請求項46】 第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位がRS部位およびRe
    s部位からなる群から選択される、請求項45に記載の構築物。
  47. 【請求項47】 構築物がポリリンカーをさらに含む、請求項35に記載の
    構築物。
  48. 【請求項48】 a) 複製起点、 b) 5'および3'末端をもつプロモーターエレメント、ならびに c) 5'および3'末端をもつ配列特異的リコンビナーゼ標的部位、 を5'から3'へ機能し得る順序で含む核酸構築物。
  49. 【請求項49】 選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項48に記載の構
    築物。
  50. 【請求項50】 a) 5'および3'末端をもつプロモーターエレメント、 b) 5'および3'末端をもつ第1配列特異的リコンビナーゼ標的部位であって
    、前記プロモーターエレメントの3'末端がこの配列特異的リコンビナーゼ標的部
    位の5'末端の上流に位置するもの、 c) 機能性翻訳リーディングフレームが形成されるように前記配列特異的リ
    コンビナーゼ標的部位の3'末端に連結された目的の遺伝子、 d) 条件複製起点、 e) 第1選択マーカー遺伝子、 f) 第2配列特異的リコンビナーゼ標的部位、ならびに g) 複製起点、 を機能し得る順序で含む核酸構築物。
  51. 【請求項51】 第2選択マーカー遺伝子をさらに含む、請求項50に記載
    の構築物。
  52. 【請求項52】 下記のステップ: a) i) loxH部位を含む第1核酸構築物、 ii) loxH部位を含む第2核酸構築物、および iii) 部位特異的リコンビナーゼ、 を準備し、そして b) 第1および第2核酸構築物が組換えられるような条件下で第1および第
    2核酸構築物を前記部位特異的リコンビナーゼと接触させる、 ことを含む、核酸構築物の組換え方法。
  53. 【請求項53】 請求項52に記載の方法にしたがって作製した組換え核酸
    構築物。
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