JP2002520051A - 抗ウイルス剤としての核酸分子の使用 - Google Patents

抗ウイルス剤としての核酸分子の使用

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カオ,チェン・シー
ジーゲル,ロバート・ダヴリュー
ベロン,ローレント
ベイジェルマン,レオニド
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リボザイム・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
アドバンスト・リサーチ・アンド・テクノロジー・インスティテュート・インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 ウイルスポリメラーゼに特異的に結合し,前記ウイルスポリメラーゼの活性を阻害しうる直線状一本鎖核酸分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 ウイルスは,感染の成功に必要な基本的プロセスの多くを感染した宿主に依存
する偏性寄生体である。ウイルスは宿主細胞の酵素的および合成的機能に依存す
るため,細胞プロセスに影響を与えずにウイルス感染を治療することは非常に困
難である。インフルエンザ,AIDS,および肝炎等のいくつかのウイルス疾患
が世界的に広まるならば,有効なウイルス特異的薬剤の設計は,ますます重要に
なってくる。
【0002】 例えば,潜在的抗ウイルス剤をスクリーニングして,その薬剤が優先的にウイ
ルス過程を阻害しうるか否かを判定する。1つのそのような薬剤はアジドビルで
あり,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のリバーストランスクリプターゼは,宿
主細胞のポリメラーゼより容易にこれを利用する。しかし,アジドビルおよび他
のウイルス阻害剤は,一般に,徹底的かつ高価な薬剤スクリーニングプログラム
により発見された。
【0003】 他の抗ウイルス治療,例えばインターフェロンは,細胞において顕著かつ広範
な変化を引き起こし,したがって,熱,吐気および他の苦痛などの多くの副作用
を導く。
【0004】 ウイルスの病原性の基本となる過程であるウイルス核酸(RNA/DNA)の
複製には,蛋白質による核酸の特性の特異的認識が必要である。RNA依存性R
NAポリメラーゼ(RdRp)は,ウイルスおよび細胞蛋白質から構成される複
合体であり,感染したRNAテンプレートからウイルスRNAの合成を指令する
。多くのウイルスRdRp蛋白質が配列決定され,分析されている。しかし,R
NA合成を記述する総合的なメカニズムはない。したがって,RdRpの一般的
知識は他のRNAおよびDNAポリメラーゼより遙かに少ない。
【0005】 核酸に基づく技術を用いてウイルス蛋白質の機能を阻害するためのいくつかの
方法が開発されている。多くのこのような方法は,Gold et al.,1
995,Annu.Rev.Blochem.64,763−97(その全体を
本明細書の一部としてここに引用する)に記載されている。例えば,アンチセン
ス分子およびリボザイムを用いて,mRNAの蛋白質への翻訳を阻害することに
成功している。あるいは,蛋白質に直接結合し,このことによりその機能を低下
させるかまたは排除しうるオリゴヌクレオチドが見いだされている。
【0006】 蛋白質に結合するオリゴヌクレオチドを発見する1つの方法は,インビトロ選
択として知られる方法を用いるものである。RNA分子のランダムプールから,
アフィニティー選択サイクルにより,特定の蛋白質に結合しうる配列が同定され
る。例えば,Tuerk et al.,1992,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 89,6988−6992は,HIVのリバーストラン
スクリプターゼに結合してcDNA合成を阻害しうるリガンドを同定するための
選択方法の使用を記載する。他の核酸リガンド(アプタマー)もまた,高い親和
性で蛋白質に結合することが記載されている。しかし,これらのRNAアプタマ
ーのすべては,複雑な二次および三次構造で高度に構造化されている。
【0007】 すなわち,ウイルス複製を特異的に阻害する薬剤に対する継続的な要求がある
【0008】発明の概要 本発明は,ウイルスポリメラーゼの特異的阻害剤として有用な核酸分子を提供
する。特に,本発明は,少なくとも4つのヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを
提供し,ここで,オリゴヌクレオチドは,ウイルス開始ヌクレオチドを含むウイ
ルス核酸配列を含む。好ましくは,オリゴ−ヌクレオチドはウイルスプロモータ
ーおよび開始配列を含む。
【0009】 好ましい態様においては,本発明は,ウイルスポリメラーゼに結合し,このこ
とによりポリメラーゼ活性を阻害することができる直鎖状一本鎖核酸分子を特徴
とし,その結果ウイルス複製が阻害される。これらの核酸分子は,好ましくは開
始配列,または例えば,ウイルスRNAポリメラーゼによるRNA転写の開始に
必要な他の配列を含んでいてもよい。核酸分子は,好ましくは開始ヌクレオチド
およびウイルス配列中の開始ヌクレオチドの3’側の少なくとも最初の,より好
ましくは最初の2つのヌクレオチドを含む。
【0010】 "核酸分子"とは,少なくとも1つのヌクレオチドから構成される高分子を意味
する。本発明の核酸分子は,DNA,RNAまたはそれらの混合物でありうる。
好ましくは,核酸分子はDNAからなる。より好ましくは,本発明の核酸分子は
,塩基,糖またはリン酸基に修飾を有するヌクレオチドを含む。また,本発明の
核酸分子は,好ましくは少なくとも約4から少なくとも約50,より好ましくは
少なくとも約40,さらに好ましくは少なくとも約20から少なくとも約35,
特に好ましくは4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,または14
の連続するヌクレオチドを含み,核酸分子は好ましくはそれが由来する野生型ウ
イルス配列との同一性を有する。核酸分子はまた,任意に5'または3'末端にキ
ャップ構造を含んでいてもよい。
【0011】 本明細書において用いる場合,"ヌクレオチド"とは,当該技術分野において認
識されているように,天然の塩基(標準的),および当該技術分野においてよく
知られる修飾塩基を含む。そのような塩基は,一般に糖部分の1’位に位置する
。ヌクレオチドは一般に,塩基,糖およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは,糖
,リン酸および/または塩基部分において修飾されていてもされていなくてもよ
い(また,ヌクレオチド類似体,修飾ヌクレオチド,非天然ヌクレオチド,非標
準ヌクレオチド等として,互換的に称される,例えば,Usman and M
cSwiggen,(上掲);Eckstein et al.,国際公開WO
92/07065;Usman et al.,国際公開WO93/15187
;Usman&Peyman(上掲)(すべて本明細書の一部としてここに引用
する)を参照)。当該技術分野において知られる修飾核酸塩基のいくつかの例が
あり,最近その概要がまとめられている(Limbach et al 199
4,Nucleic Acids Res.22,2183)。核酸中に導入し
うる塩基修飾の非限定的な例としては,イノシン,プリン,ピリジン−4−オン
,ピリジン−2−オン,フェニル,シュードウラシル,2,4,6−トリメトキ
シベンゼン,3−メチルウラシル,ジヒドロウリジン,ナフチル,アミノフェニ
ル,5−アルキルシチジン(例えば,5−メチルシチジン),5−アルキルウリ
ジン(例えば,リボチミジン),5−ハロウリジン(例えば,5−ブロモウリジ
ン)または6−アザピリミジンまたは6−アルキルピリミジン(例えば6−メチ
ルウリジン),プロピンおよびその他のもの(Burgin et al.,1
996,Biochemistry,35,14090,Usman&Peym
an(上掲))が挙げられる。この観点において,"修飾塩基"とは,1’位に存
在する,アデニン,グアニン,シトシンおよびウラシル以外のヌクレオチド塩基
,またはその同等物を意味する。そのような塩基は,酵素的核酸分子の触媒コア
中でおよび/または核酸分子の基質結合領域中で用いることができる。
【0012】 "非修飾ヌクレオチド"とは,β−D−リボ−フラノースの1'炭素に結合した
,アデニン,シトシン,グアニン,チミン,ウラシルのいずれかの塩基を有する
ヌクレオチドを意味する。
【0013】 "修飾ヌクレオチド"とは,非修飾ヌクレオチド塩基,糖および/またはリン酸
の化学構造中に修飾を含むヌクレオチドを意味する。
【0014】 "キャップ構造"とは,オリゴヌクレオチドの末端に組み込まれた化学修飾を意
味する。これらの末端修飾は,核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し,
輸送および/または細胞中における局在化を助けることができる。
【0015】 本明細書において用いる場合,"オリゴヌクレオチド"とは,2またはそれ以上
のヌクレオチドを含む分子を意味する。
【0016】 別の好ましい態様においては,本発明の核酸分子(1つまたは複数)を用いて
,またはこれを他の薬剤と組み合わせてまたは一緒に用いて,以下に記載される
疾患または状態を治療することができ,これらは抗ウイルス組成物を製造するの
に有用である。本発明の抗ウイルス組成物は,ウイルスポリメラーゼを生成する
のに宿主の細胞機構を使用することができるウイルスの感染または複製を阻害す
る方法において特に有用である。そのようなウイルスの非限定的例は,(+)一
本鎖RNAウイルス,例えば細菌,植物および動物ウイルスを含むアルファウイ
ルス・スーパーファミリーである。本発明の核酸分子により阻害することができ
るウイルスの他の例としては,C型肝炎ウイルス,B型肝炎ウイルス,A型肝炎
ウイルス,HIVが挙げられるが,これらに限定されない。
【0017】 また,少なくとも1つの本発明の核酸分子を用いる,ウイルス感染を阻害また
は治療する方法も提供される。該方法は,有効量の少なくとも1つの本発明の核
酸分子を,ウイルス感染を有するかまたは有すると疑われる細胞に投与すること
を含み,ここで,核酸分子はウイルスのための開始ヌクレオチドを含む。
【0018】 "有効量"とは,細胞,組織または生物全体におけるウイルス負荷(load)
の減少を誘導するのに必要な核酸分子の最小量を意味する。
【0019】 別の好ましい態様においては,核酸分子は,2'−O−アルキル(例えば2’
−O−アリル;Sproat et al.,(上掲));2'−O−アルキル
チオアルキル(例えば2'−O−メチルチオメチル;Karpeisky et
al.,1998,Nucleosides&Nucleotides 16
,955−958);L−ヌクレオチド(Tazawa et al.,197
0,Biochemistry 3499;Ashley,1992,J.Am
.Chem.Soc.114,9731;Klubmann et al.,1
996,Nature Biotech 14,1112);2’−C−アルキ
ル(Beigelman et al.,1995,J.Biol.Chem.
270,25702);1−5−アンヒドロヘキシトール;2,6−ジアミノプ
リン(Strobel et al.,1994,Biochem.33,13
824−13835);2'−(N−アラニル)アミノ−2'−デオキシヌクレオ
チド;2'−(N−ベータ−アラニル)アミノ;2'−デオキシ−2'−(リシル
)アミノ;2'−O−アミノ(Karpeisky et al.,1995,
Tetrahedron Lett.39,1131);2'−デオキシ−2'−
(N−ヒスチジル)アミノ;5−メチル(Strobel,(上掲));2'−
(N−b−カルボキシアミジン−ベータ−アラニル)アミノ;2'−デオキシ−
2'−(N−ベータ−アラニル)(Matulic−Adamic et al
.,1995,Bioorg.&Med.Chem.Lett.5,2721−
2724);キシロフラノシル(Rosemeyer et al.,1991
,Helvetica Chem.Acta,74,748;Seela et
al.,1994,Helvetica Chem.Acta,77,883
;Seela et al.,1996,Helvetica Chem.Ac
ta,79,1451)を含む群より選択される修飾を含む。
【0020】 さらに別の好ましい態様においては,5'キャップ構造は,反転無塩基残基,
4',5'−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌ
クレオチド,4'−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒ
ドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;
修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;スレオ−ペントフラノシル
ヌクレオチド;非環状3',4'−セコヌクレオチド;非環状3,4−ジヒドロキ
シブチルヌクレオチド;非環状3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,3
'−3'−反転ヌクレオチド部分;3'−3'−反転無塩基部分;3'−2'−反転ヌ
クレオチド部分;3'−2'−反転無塩基部分;1,4−ブタンジオールホスフェ
ート;3'−ホスホルアミデート;ヘキシルホスフェート;アミノヘキシルホス
フェート;3'−ホスフェート;3'−ホスホロチオエート;ホスホロジチオエー
ト;または架橋もしくは非架橋メチルホスホネート部分(詳細は,Beigel
man et al..国際公開WO97/26270(本明細書の一部として
ここに引用する)を参照)を含む群より選択される。
【0021】 さらに別の好ましい態様においては,3'キャップ構造は,4',5'−メチレ
ンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'
−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド;5'−アミノ−アルキルホスフェ
ート;1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート,3−アミノプロピルホス
フェート;6−アミノヘキシルホスフェート;1,2−アミノドデシルホスフェ
ート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5−アンヒドロヘキシトールヌク
レオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド
;ホスホロジチオエート;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3'
,4'−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5
−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,5'−5'−反転ヌクレオチド部分;5'
−5'−反転無塩基部分;5'−ホスホルアミデート;5'−ホスホロチオエート
;1,4−ブタンジオールホスフェート;5'−アミノ;架橋および/または非
架橋5'−ホスホルアミデート,ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジ
チオエート,架橋または非架橋メチルホスホネートおよび5'−メルカプト部分
(詳細は,Beaucage and lyer,1993,Tetrahed
ron 49,1925(本明細書の一部としてここに引用する)を参照)を含
む群より選択される。
【0022】 さらに別の好ましい態様においては,本発明の核酸分子を別の成分とコンジュ
ゲートする。そのような成分としては,無塩基ヌクレオチド,ポリエーテル,ポ
リアミン,ポリアミド,ペプチド,炭水化物,脂質,またはポリ炭化水素化合物
が挙げられるが,これらに限定されない。当業者は,これらの分子を,核酸分子
を含む1またはそれ以上の任意のヌクレオチドに,糖,塩基またはリン酸基のい
くつかの位置において連結しうることを認識するであろう。
【0023】 本発明の別の観点においては,ウイルスポリメラーゼに結合する核酸分子は,
DNAまたはRNAベクター中に挿入された転写ユニットから発現される。組換
えベクターは,好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。リ
ボザイム発現ウイルスベクターは,アデノ関連ウイルス,レトロウイルス,アデ
ノウイルス,またはアルファウイルスに基づいて構築することができるが,これ
らに限定されない。好ましくは,リボザイムを発現しうる組換えベクターは,上
述のように輸送され,標的細胞中に残留する。あるいは,リボザイムの過渡的発
現を与えるウイルスベクターを用いることができる。そのようなベクターは,必
要に応じて繰り返し投与することができる。いったん発現されたら,核酸分子は
,ウイルスポリメラーゼに特異的に結合することができる。核酸分子を発現する
ベクターの輸送は,例えば静脈内または筋肉内投与により全身的に,または患者
から外植された標的細胞に投与した後,患者に再導入することにより,または所
望の標的細胞中への導入を可能とする他の任意の手段により,行うことができる
(総説については,Couture and Stinchcomb,1996
,TIG.,12,510を参照)。本発明の別の観点においては,ウイルスR
NAポリメラーゼに結合し,ウイルス複製を阻害する核酸分子は,DNA,RN
A,またはウイルスベクター中に挿入された転写ユニットから発現される。"患
者"とは,外植した細胞のドナーまたはレシピエントである生物,または細胞そ
れ自体を意味する。"患者"とはまた,酵素的核酸分子を投与することができる生
物を表す。好ましくは,患者は哺乳動物または哺乳動物細胞である。より好まし
くは,患者はヒトまたはヒト細胞である。
【0024】 "ベクター"とは,所望の核酸を輸送するために用いられる任意の核酸系および
/またはウイルス系技術を意味する。
【0025】 本発明は,ウイルス核酸合成の開始のための核酸配列のみを必要とするため,
他の既知の抗ウイルス剤よりも優れているであろう。すなわち,配列は容易に調
製することができ,分子生物学技術による複雑な操作を必要とせず,最小限のス
クリーニング計画のみが必要である。さらに,オリゴヌクレオチドを修飾して,
より低い濃度におけるその効力を増加させることができる。例えば,ヌクレオチ
ド類似体を含むように修飾するか,RNAについては環化して,インビボでより
安定であるようにして,血清中における分解に対する耐性を増加させることがで
きる。核酸分子の化学はまた,前記核酸分子の結合親和性が増加するように変更
することができる。これは,核酸分子の有効量を減少させるのに有効であろう。
さらに,すべてのウイルスが核酸合成の開始に必要な最小限の1つの配列を有す
るのであれば,すべてのウイルスについて少なくとも1つの治療を設計すること
ができる。さらに,これらの阻害剤を用いて,RNA合成の開始と密接に関連し
ているかもしれないウイルス複製の他の段階,例えば,翻訳,蛋白質および核酸
の修飾を混乱させることもできる。
【0026】 本発明の他の特徴および利点は,以下の好ましい態様の説明および特許請求の
範囲から明らかであろう。
【0027】好ましい態様の説明 まず,図面を簡単に説明する。
【0028】 図1は,BMV RdRpがRNAまたはDNAプロスクリプトからRNA合
成を正確に開始する能力を示す。(上)ウイルス(+)鎖RNA3の位置122
2−1252に相補的なプロスクリプト−20/13は,13−nt生成物の合
成を指令するWT BMVサブゲノムプロモーターを含み,WT対照として働く
。開始ヌクレオチドは矢印で示され,RdRp生成物の配列は上に示される。試
験した種々の構築物の概略図の一覧が示され,右側は,WT対照からの量と比較
したRNA合成の量を示す,対応するオートラジオグラフィー中のレーン番号で
ある。RNA配列は太字の大文字で示され,DNA配列は小文字で示される。R
NAおよびDNA構築物の両方におけるヌクレオチド置換は各配列の下に示され
る。Δ−1gプロスクリプトは開始部位に対して位置−1の3'末端グアニル酸
を欠失している。(下)BMV RdRp反応生成物のオートラジオグラフ。2
5nMのプロスクリプト−20/13WTからのRNA合成の量は,レーン1お
よび10に示される。T7から生成した,RdRp生成物の予測される配列を含
むマーカーを用いて,実際に開始された13−および14−nt BMV Rd
Rp生成物のサイズを決定した。14−nt生成物はRdRpによる1−ntの
非テンプレート付加によるものである。25nMのすべてのデオキシリボースプ
ロスクリプト,d(−20/13)を用いる反応は,レーン2−9に示される。
プロスクリプトd(−20/13)からのRNA合成および正確な開始は,それ
ぞれレーン3−5およびレーン6−9のゲルの上に示した処理により確認した。
最後から2番目の開始部位を有する125nMのRNAまたはDNAテンプレー
トからのRdRp生成物の量はレーン11−21に示される。レーン12−14
および19−21の上に示した処理は,それぞれr(−l/13)およびd(−
l/13)からの開始の要求性を示す。レーン16−18の上に示した処理は,
d(−l/13)からのRNA合成を確認する。レーン0はテンプレートを加え
ない対照反応の生成物を示し,Stdレーンは,追加の処理をしていない生成物
を表す。
【0029】 図2は,RdRpによるRNA合成を促進するリボース部分を示す。(上)−
20/13WTプロスクリプトの配列が示され,開始部位は矢印で示される。リ
ボースおよびデオキシリボース残基の両方を含むハイブリッドプロスクリプトの
配列は,下に示される。RNA配列は,太字の大文字で表され,DNA配列は小
文字で表される。開始部位に対して位置−11に2'−OHの置換を含むプロス
クリプトを構築して,この官能基がどのようにしてBMV RdRpと相互作用
するかを判定した。右側には,下のオートラジオグラフ中で各プロスクリプトか
ら生成したRdRp生成物を表すレーン番号が示される。(下)ハイブリッドプ
ロスクリプトからのBMV反応生成物のオートラジオグラフィー。25nMの各
プロスクリプトからのRNA合成の量がレーン1−11に示され,各ハイブリッ
ドプロスクリプトの−20/13WTプロスクリプトに対するパーセント活性が
ゲルの下に示されている。生成物のサイズは横に示される。レーン0はテンプレ
ートを加えない対照反応の生成物を表す。示される値は,少なくとも5回の独立
した実験の平均を表す。
【0030】 図3は,RdRpとの安定な相互作用におけるリボース2'−OHの役割を示
す。(上)開始シチジル酸(矢印)からの15−nt生成物の合成を指令する−
20/15WTプロスクリプトの配列を示す。このRNA構築物の下に示される
ものは,全てWTサブゲノムプロモーター配列を含む種々の競合剤の配列である
。−20/−1プロスクリプトは,開始部位に対して位置−20から−1にWT
サブゲノムプロモーターを含み,負の対照として働く。25nMの−20/15
プロスクリプトからの合成を50%減少させるのに必要な競合剤の濃度(I50
が右に示される。(下)RNAおよびDNAサブゲノムプロモーターについての
50値の決定。−20/15RNAプロスクリプトから生成した15−nt生成
物の量を測定し,各競合剤の濃度の関数としてプロットした。競合剤の種類はグ
ラフの右に示される。データポイントは,3回の独立した実験の平均であり,標
準偏差が示される。
【0031】 図4は,最小DNAプロスクリプトがインビトロでウイルスRNA合成を阻害
しうることを示す。(上)15−nt生成物の合成を指令する−20/15WT
プロスクリプトの配列を示す。矢印は開始部位を示す。下に挙げられるのは連続
的な5'切断型を有する種々のDNA阻害剤の配列である。WT開始配列を含有
する各オリゴヌクレオチドは,BMV RdRpを指令してそれぞれ13−,8
−,または6−ntの生成物を合成することができる。d(−1/13)Rev
プロスクリプトは負の対照として働く。名前およびI50値は横に示される。(下
)DNA阻害剤のI50値の決定。−20/15RNAプロスクリプトから生成さ
れた15−nt生成物の量を,増加する量のDNAテンプレートの存在下で測定
した。I50値は,25nMの−20/15プロスクリプトからの15−nt生成
物を50%減少させるのに必要な阻害剤の濃度として定量化した。阻害剤の種類
はグラフの右に示される。データポイントは,3回の独立した実験の平均であり
,偏差が示される。
【0032】 図5は,RNA合成の開始に必要なサブゲノムプロモーター中の機能的成分を
示す。(A)BMV RdRpとの相互作用に必要な推定官能基。示される配列
は,13−nt生成物の合成を指令し,WT対照として働く,WT BMVサブ
ゲノムプロモーターを含むプロスクリプト−20/13である。サブゲノム開始
部位は矢印で示され,RdRp生成物の配列は上に示される。先の変異研究(S
iegel et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci
.94,11238−11243)によりRdRpと相互作用すると推定される
塩基部分は,RNA合成に必須の4つのヌクレオチドの下に示される。(B)位
置−17および−11のグアニル酸残基の認識。アスタリスクを付したバンドは
,投入したテンプレートのターミナルトランスフェラーゼによる標識を表す。(
C)位置−14のアデニル酸および位置−13のシチジル酸の認識。各位置にお
ける特定の塩基,および位置−17および−11のグアニル酸の場合にはヌクレ
オシドの構造が示され,矢印は,種々の塩基類似体の挿入により媒介される官能
基の明確な変化を示す。括弧内の数字は,示される塩基類似体を含むプロスクリ
プトからのRdRp反応生成物を含むオートラジオグラフにおけるレーンを示す
。レーンWTは,−20/13プロスクリプトにより指令される生成物を表し,
レーン0はテンプレートを加えない対照反応の生成物を表す。反応生成物は,変
性PAGEにより分離し,オートラジオグラフィーにより可視化した。そのサイ
ズは横に示されている。支配的なRdRp生成物は,RNA生成物の3'末端に
おける1残基の非テンプレート付加による14−ヌクレオチドであった(Sie
gel et al.,(上掲))。正確な開始は,記載されている酵素的操作
(Siegel et al.,(上掲))により確認し,T7により生成した
サイズマーカーと比較した。ゲルの下に記載される値は,各塩基類似体を含むプ
ロモーターからの活性をWTプロモーター配列からの活性と比較したパーセンテ
ージである。
【0033】 図6は,RdRpとの安定な相互作用に必要なテンプレート要求性を示す。(
A)テンプレートの5’切断型を含むプロスクリプトの概略図。開始部位は矢印
で示される。+1c/g変異を含むプロスクリプト(丸印)はRNA合成を指令
することができない。各構築物の名前およびI50値は横に示される。(B)I50 値の決定。15−nt生成物の合成を指令する−20/15プロスクリプトから
の活性の量は,増加する量(10倍モル過剰,250nMまで)の競合テンプレ
ートの存在下で測定した。I50値は,25nMの−20/15プロスクリプトか
らの15−nt生成物を50%減少させるのに必要な競合剤の濃度として決定し
た。種々のプロスクリプト競合剤の種類はグラフの右側に示される。データポイ
ントは少なくとも3回の独立した実験の平均であり,標準偏差は誤差棒で示され
る。
【0034】 図7は,サブゲノム開始部位の認識を示す。WT−20/13プロスクリプト
の配列を開始部位とともに示す。位置−1,+1,および+2に取り込まれた塩
基類似体の構造が挙げられており,種々のプロスクリプトの名前が左に示される
。塩基類似体を含むプロスクリプトからのRdRp反応生成物を含むレーンは右
に示される。レーン0はテンプレートを加えない対照反応の生成物を表す。反応
生成物は,変性PAGEにより分離し,オートラジオグラフィーにより可視化し
た。そのサイズが横に示される。ゲルの下に挙げられる値は,各塩基類似体を含
むプロモーターからの活性をWTプロモーター配列からの活性と比較したパーセ
ンテージである。
【0035】 図8は,RNA合成を開始するのに必要な,BMV RdRpとサブゲノムプ
ロモーター要素との間の相互作用のモデルを示す。必須ヌクレオチドはボックス
で囲まれており,RdRp中のアミノ残基残基と水素結合を形成するのに必要で
あると推定される重要な特性は上に示される。位置−11の2'−ヒドロキシル
もまた,RNA合成に寄与する。開始ヌクレオチドの認識は,RdRpにより結
合されたrGTPプライマーにより行われるであろう。長円は,RdRp複合体
の低解像度の構造を示す。
【0036】 図9は,ウイルス複製を阻害する核酸分子の概略図を示す。
【0037】 図10は,選択されたオリゴヌクレオチドのI50値である。
【0038】 図11は,DNA阻害剤のI50値のグラフである。反応混合物は,20mMグ
ルタミン酸ナトリウム(pH8.2),4mM MgCl2,12.5mM D
TT,0.5%(vol/vol)TritonX−100,2mM MnCl
2,200μM ATPおよびUTP,500μM GTP,および250nM
[α−32P]CTPを含む40μl容量中に,25nMの−20/15WTテ
ンプレートRNAを10μlBMV RdRpとともに含む。DNA阻害剤(1
0,50,100,200および500倍モル過剰で存在)を含有する反応から
のRdRp生成物を定量し,その相対的活性を存在する阻害剤の量に対してプロ
ットした。I50値は,合成を対照反応の50%に減少させるのに必要な阻害剤の
量を計算することにより決定した。
【0039】核酸分子の合成 100ヌクレオチドを越える長さの核酸の合成は,自動化方法を用いては困難
であり,そのような分子の治療的コストは非常に高くなる。本発明においては,
小さい核酸モチーフ(例えば,アンチセンスオリゴヌクレオチド,ハンマーヘッ
ドまたはヘアピンリボザイム)が外的輸送に用いられる。これらの分子は構造が
簡単であるため,核酸がRNA構造の標的領域に進入する能力が高い。本発明の
分子は化学的に合成した。オリゴデオキシリボヌクレオチドは,Caruthe
rs et al.,1992,Methods in Enzymology
211,3−19(本明細書の一部としてここに引用する)により記載される
標準的プロトコルを用いて合成した。
【0040】 ある種の酵素的核酸分子等の通常のRNAについて用いられる合成の方法は,
Usman et al.,1987 J.Am.Chem.Soc.,109
,7845;Scaringe et al.,1990 Nucleic A
cids Res.,18,5433およびWincott et al.,1
995 Nucleic Acids Res.23,2677−2684に記
載される方法にしたがい,慣用の核酸保護基およびカップリング基,例えば,5
'末端にジメトキシトリチル,および3'−末端にホスホルアミダイトを用いた。
非限定的例においては,394 Applied Biosystems,In
c.合成機で,改変した2.5μmolスケールのプロトコルを用いて,アルキ
ルシリル保護ヌクレオチドについては5分間のカップリング工程を,2'−O−
メチル化ヌクレオチドについては2.5分間のカップリング工程を行い,小スケ
ールの合成を行った。表7は,合成サイクルにおいて用いた試薬の量および接触
時間の概要を示す。各カップリングサイクルにおいて,ポリマー結合5'−ヒド
ロキシルに対して6.5倍過剰(163μLの0.1M=16.3μmol)の
ホスホルアミダイトおよび24倍過剰のS−エチルテトラゾール(238μLの
0.25M=59.5μmol)を用いた。394 Applied Bios
ystems,Inc.合成機における平均カップリング収率は,トリチル画分
の比色定量により決定して,97.5−99%であった。394 Applie
d Biosystems,Inc.合成器用の他のオリゴヌクレオチド合成試
薬は以下のとおりである:脱トリチル化溶液は塩化メチレン中2%TCA(AB
I);キャッピングは,THF中16%N−メチルイミダゾール(ABI)およ
びTHF中10%無水酢酸/10%2,6−ルチジン(ABI);酸化溶液は,
16.9mM I2,49mMピリジン,THF中9%水(Millipore
)であった。B&J合成等級アセトニトリルは,試薬瓶から直接用いた。S−エ
チルテトラゾール溶液(アセトニトリル中0.25M)は,American
International Chemical,Inc.から入手した固体か
ら作成した。
【0041】 RNAの脱保護は以下のように実施した。ポリマー結合オリゴリボヌクレオチ
ド(トリチルオフ)を合成カラムから4mLガラスねじ蓋バイアルに移し,メチ
ルアミン(MA)の溶液中に65℃で10分間懸濁した。−20℃に冷却した後
,上清をポリマー支持体から除去した。支持体を1.0mLのEtOH:MeC
N:H2O/3:1:1で3回洗浄し,ボルテックスし,次に上清を最初の上清
に加えた。オリゴリボヌクレオチドを含む合わせた上清を乾燥して,白色粉末を
得た。
【0042】 塩基脱保護オリゴリボヌクレオチドを無水TEA・HF/NMP溶液(250
μL溶液,1.5mL N−メチルピロリジノン,750μL TEAおよび1.
0mL TEA・3HFから1.4M HF濃度を得る)に再懸濁し,65℃に
1.5時間加熱した。得られた完全に脱保護したオリゴマーを,50mM TE
AB(9mL)で急冷し,次にアニオン交換脱塩に供した。
【0043】 脱保護オリゴマーのアニオン交換脱塩のためには,50mM TEAB(10
mL)であらかじめ洗浄したQiagen500(登録商標)アニオン交換カー
トリッジ(Qiagen Inc.)にTEAB溶液を負荷した。負荷したカー
トリッジを50mM TEAB(10mL)で洗浄した後,2M TEAB(1
0mL)でRNAを溶出し,乾燥して白色粉末とした。
【0044】 RNAは,ヌクレアーゼ耐性基,例えば,2'−アミノ,2'−C−アリル,2
'−フルオロ,2'−O−メチル,2'−H,ヌクレオチド塩基修飾で修飾して安
定性を増強することができる(総説として,Usman and Cederg
ren,1992 TIBS 17,34;Usman et al.,199
4 Nucleic Acids Symp.Ser.31,163;Burg
in et al.,1996 Biochemistry 6,14090を
参照)。
【0045】 RNAは,一般的方法を用いてゲル電気泳動により精製するか,または高速液
体クロマトグラフィー(HPLC;Stinchcomb et al.,国際
公開WO95/23225を参照:これらのすべてを本明細書の一部としてここ
に引用する)により精製し,水に再懸濁した。
【0046】 この研究に有用な化学的に合成されたRNAの配列は図1−5に示される。当
業者は,これらの配列はさらに多くのそのような配列の例にすぎず,ヌクレオチ
ドの化学組成を変更してもよいことを認識するであろう。例えば,安定性を高め
るために,5'または3'末端に"キャップ"構造を付加してもよい。
【0047】核酸分子の投与 核酸分子の輸送の方法は,Akhtar et al.,1992,Tren
ds Cell Bio.,2,139;およびDelivery Strat
egies for Antisense Oligonucleotide
Therapeutics,ed.Akhtar,1995に記載されており,
これらの両方とも本明細書の一部としてここに引用する。Sullivan e
t al.,PCT WO94/02595はさらに,酵素的RNA分子を輸送
するための一般的な方法を記載する。これらのプロトコルを利用して,事実上い
かなる核酸分子をも輸送することができる。核酸分子は当業者に知られる種々の
方法によって細胞に投与することができ,これにはリポソームへの封入,イオン
トホレシス,または他のベヒクル,例えば,ヒドロゲル,シクロデキストリン,
生分解性ナノカプセル,および生体接着性小球体への組み込みが含まれるが,こ
れらに限定されない。ある適応症に対しては,核酸分子をエクスビボで,上記ビ
ヒクルを用いてまたは用いずに,細胞または組織に直接輸送することができる。
あるいは,核酸/ビヒクルの組み合わせを,直接注入により,またはカテーテル
,注入ポンプもしくはステントを用いることにより局所的に輸送する。他の輸送
経路には,静脈内,筋肉内,皮下または関節注射,エアロゾル吸入,経口(錠剤
またはピル形態),局所,全身,眼,腹腔内および/またはくも膜下腔内輸送が
含まれるが,これらに限定されない。核酸の輸送および投与のより詳細な説明は
Sullivan et al.,(上掲)およびDraper et al.
,PCT WO93/23569に提供されており,これらを本明細書の一部と
してここに引用する。
【0048】 本発明の分子は医薬として用いることができる。医薬は患者の疾病状態を予防
し,発症を阻害し,またはそれを治療する(症状をある程度,好ましくは全ての
症状を緩和する)。
【0049】 本発明の負に荷電したポリヌクレオチド(例えば,RNA,DNAまたは蛋白
質)は,医薬組成物を形成するために安定化剤,緩衝剤等を用いて,または用い
ることなく,任意の標準的手段により患者に投与および導入することができる。
リポソーム輸送メカニズムを用いることが望ましい場合,リポソームの形成のた
めの標準的プロトコルに従うことができる。本発明の組成物はまた,経口投与用
の錠剤,カプセルまたはエリキシル;直腸投与用の座剤;無菌溶液;注射投与用
の懸濁液等として,処方して用いることもできる。
【0050】 本発明はまた,記載される化合物の薬学的に許容しうる処方を含む。これらの
処方には,上述の化合物の塩,例えば,酸付加塩(例えば,塩酸,シュウ酸,酢
酸およびベンゼンスルホン酸の塩)が含まれる。
【0051】 医薬組成物または処方は,細胞または患者への投与(例えば全身投与),好ま
しくはヒトへの投与に適当な形態の組成物または処方を表す。適当な形態は,部
分的には,使用する投与経路(例えば経口,経皮,または注射)に依存する。そ
のような形態は,組成物または処方が標的細胞(すなわち,負に荷電したポリマ
ーが輸送されることが望まれる細胞)に到達することを妨害してはならない。例
えば,血流中に注入される医薬組成物は可溶性でなければならない。他の因子は
当該技術分野において知られており,例えば,毒性,および組成物または処方が
その効果を発揮することを妨害する形態等を考慮することが含まれる。
【0052】 "全身投与"とは,インビボでの全身吸収,または血流中における薬剤の蓄積の
後に全身に分配されることを意味する。全身的吸収をもたらす投与経路には,静
脈内,皮下,腹腔内,吸入,経口,肺内および筋肉内が含まれるが,これらに限
定されない。これらの投与経路のそれぞれは,所望の負に荷電したポリマー(例
えば核酸)をアクセス可能な疾病組織に暴露する。薬剤が循環中に入る速度は,
分子量またはサイズの関数であることが示されている。本発明の化合物を含むリ
ポソームまたは他の薬剤担体を使用することにより,薬剤を,例えば,あるタイ
プの組織(例えば網状内皮系(RES)の組織)に局在化させることができる。
薬剤と細胞(例えば白血球およびマクロファージ)の表面との会合を容易にする
ことができるリポソーム処方もまた有用である。この方法は,マクロファージお
よび白血球による異常な細胞(例えば癌細胞)の免疫認識の特異性を利用するこ
とにより,薬剤の標的細胞への輸送を促進するであろう。
【0053】 本発明はまた,ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG−修飾,または長期
間循環リポソームまたはステルスリポソーム)を含む,表面修飾リポソームを含
む組成物の使用を特徴とする。これらの処方は,標的組織における薬剤の蓄積を
増加させる方法を提供する。この種類の薬剤担体は,単核食細胞システム(MP
SまたはRES)によるオプソニン作用および排除に抵抗性であり,したがって
,封入された薬剤の血流循環時間を長くし,組織への暴露を増強する(Lasi
c et al.Chem.Rev.1995,95,2601−2627;I
shiwata et al.,Chem.Pharm.Bull.1995,
43,1005−1011)。そのようなリポソームは,おそらくは脈管新生標
的組織における溢出および捕獲のため,腫瘍中に選択的に蓄積することが示され
ている(Lasic et al.,Science 1995,267,12
75−1276;Oku et al.,1995,Biochim.Biop
hys.Acta,1238,86−90)。長期間循環リポソームは,特に,
MPSの組織で蓄積することが知られている慣用のカチオン性リポソームと比べ
て,DNAおよびRNAの薬物動態学および薬力学を増強する(Liu et
al.,J.Biol.Chem.1995,42,24864−24870;
Choi et al.,国際公開WO96/10391;Ansell et
al.,国際公開WO96/10390;Holland et al.,国
際公開WO96/10392;これらをすべて本明細書の一部としてここに引用
する)。長期間循環リポソームはまた,代謝的に攻撃的なMPS組織(例えば肝
臓および脾臓)における蓄積を回避する能力に基づいて,カチオン性リポソーム
と比較して,ヌクレアーゼ分解から薬剤をより高い程度で保護するであろう。こ
れらの参考文献はすべて本明細書の一部としてここに引用する。
【0054】 本発明はまた,薬学的に有効量の所望の化合物を薬学的に許容しうる担体また
は希釈剤中に含む,保存または投与用に調製される組成物を含む。治療用途に用
いるための許容しうる担体または希釈剤は,医薬の技術分野においてよく知られ
ており,例えばRemington's Pharmaceutical Sc
iences,Mack Publishing Co.(A.R.Genna
ro編 1985)(本明細書の一部としてここに引用する)に記載されている
。例えば,保存剤,安定剤,染料,および風味剤を用いることができる(同上,
1449)。これらには,安息香酸ナトリウム,ソルビン酸,およびp−ヒドロ
キシ安息香酸のエステルが含まれる。さらに,抗酸化剤および懸濁剤を用いても
よい(同上)。
【0055】 薬学的に有効な用量とは,疾病状態の予防,発症の阻害または治療(症状をあ
る程度緩和し,好ましくはすべての症状を緩和する)に必要な用量である。薬学
的に有効な用量は,疾病の種類,用いる組成物,投与の経路,治療する哺乳動物
の種類,考慮中の特定の哺乳動物の物理学的特性,同時投与される薬剤,および
医薬の分野の当業者が認識するであろう他の因子によって異なる。一般に,負に
荷電したポリマーの効力に依存して,0.1mg/kg−100mg/kg体重
/日の活性成分を投与する。
【0056】核酸分子のベクターに基づく輸送 本発明の別の観点においては,標的分子を切断する核酸分子は,DNAまたは
RNAベクター中に挿入された転写ユニットから発現される(例えばCoutu
re et al.,1996,TIG.,12,510を参照)。組換えベク
ターは,好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。核酸分子
を発現するウイルスベクターは,アデノ関連ウイルス,レトロウイルス,アデノ
ウイルス,またはアルファウイルスに基づいて構築することができるが,これら
に限定されない。好ましくは,核酸分子を発現しうる組換えベクターは,上述の
ように輸送され,標的細胞中に残留する。あるいは,リボザイムの過渡的発現を
与えるウイルスベクターを用いることもできる。そのようなベクターは,必要に
応じて繰り返し投与することができる。いったん発現されれば,核酸分子は標的
のウイルスポリメラーゼに結合する。核酸分子を発現するベクターの輸送は,全
身的(例えば,静脈内または筋肉内投与により),患者から外植された標的細胞
に投与した後,患者に再導入することにより,または所望の標的細胞中への導入
を可能とする他のいずれかの手段により行うことができる(総説については,C
outure et al.,1996,TIG.,12,510を参照)。
【0057】 本発明の1つの観点においては,本発明の核酸分子の少なくとも1つをコード
する核酸配列を含む発現ベクターが開示される。本発明の核酸分子をコードする
核酸配列は,その核酸分子の発現を可能とする様式で動作可能なように連結され
ている。
【0058】 本発明の別の観点においては,発現ベクターは,転写開始領域(例えば真核生
物pol I,IIまたはIIIの開始領域);b)転写終止領域(例えば真核
生物pol I,IIまたはIIIの終止領域);c)本発明の核酸触媒の少な
くとも1つをコードする遺伝子を含み,前記遺伝子は,前記核酸分子の発現およ
び/または輸送を可能とする様式で,前記開始領域および前記終止領域に動作可
能なように連結されている。ベクターは,任意に,本発明の核酸分子をコードす
る遺伝子の5'側または3’側に動作可能なように連結された,蛋白質のための
オープンリーディングフレーム(ORF);および/またはイントロン(介在配
列)を含んでいてもよい。
【0059】 核酸分子配列の転写は,真核生物RNAポリメラーゼI(pol I),RN
AポリメラーゼII(pol II),またはRNAポリメラーゼIII(po
l III)のプロモーターにより推進される。pol IIまたはpol I
IIプロモーターからの転写産物は,すべての細胞において高いレベルで発現さ
れるであろう。所定の細胞タイプ中における所定のpol IIプロモーターの
レベルは,近くに存在する遺伝子制御配列(エンハンサー,サイレンサー等)の
性質に依存するであろう。原核生物RNAポリメラーゼ酵素が適当な細胞中で発
現される限り,原核生物RNAポリメラーゼプロモーターもまた用いられる(E
lroy−Stein and Moss,1990 Proc.Natl.A
cad.Sci. USA ,87,6743−7;Gao and Huan
g 1993 Nucleic Acids Res.,21,2867−72
;Lieberet.al.,1993 Methods Enzymol.,
217,47−66;Zhou et al.,1990 Mol.Cell.
Biol.,10,4529−37)。本発明の核酸分子は,ポリメラーゼを発
現する細胞においてのみ発現され,したがって,毒性を低下させることができる
ため,この戦略は好ましいであろう。
【0060】 転写ユニット,例えばU6小核(snRNA),転移RNA(tRNA)およ
びアデノウイルスVA RNAをコードする遺伝子に由来するものは,細胞中に
おいて高濃度の所望のRNA分子(例えばリボザイム)を生成するのに有用であ
る(Thompson et al.,(上掲);Couture and S
tinchcomb,1996,(上掲);Noonberg et al.,
1994,Nucleic Acid Res.,22,2830;Noonb
erg et al.,米国特許5,1624,803;Good et al
.,1997,Gene Ther.4,45;Beicrelman et
al.,国際公開WO96118736;(これらのすべての刊行物を本明細書
の一部としてここに引用する))。上述のRNA転写ユニットは,哺乳動物細胞
中に導入するために種々のベクター中に組み込むことができる。ベクターとして
は,プラスミドDNAベクター,ウイルスDNAベクター(例えばアデノウイル
スまたはアデノ関連ウイルスベクター),またはウイルスRNAベクター(例え
ばレトロウイルスまたはアルファウイルスベクター)が挙げられるが,これらに
限定されない(総説については,Couture and Stinchcom
b,1996,(上掲)を参照)。
【0061】 本発明のさらに別の観点は,本発明の核酸分子の少なくとも1つをコードする
核酸配列を,その核酸分子の発現を可能とする様式で含む発現ベクターを特徴と
する。1つの態様においては,発現ベクターは,a)転写開始領域;b)転写終
止領域;c)前記核酸分子の少なくとも1つをコードする遺伝子を含み;前記遺
伝子は,前記核酸分子の発現および/または輸送を可能とする様式で,前記開始
領域および前記終止領域に動作可能なように連結されている。別の好ましい態様
においては,発現ベクターは,a)転写開始領域;b)転写終止領域;c)オー
プンリーディングフレーム;d)前記核酸分子の少なくとも1つをコードする遺
伝子を含み,前記遺伝子は,前記オープンリーディングフレームの3'−末端に
動作可能なように連結されており,前記遺伝子は,前記核酸分子の発現および/
または輸送を可能とする様式で,前記開始領域,前記オープンリーディングフレ
ームおよび前記終止領域に動作可能なように連結されている。さらに別の態様に
おいては,発現ベクターは,a)転写開始領域;b)転写終止領域;c)イント
ロン;d)前記核酸分子の少なくとも1つをコードする遺伝子を含み;前記遺伝
子は,前記核酸分子の発現および/または輸送を可能とする様式で,前記開始領
域,前記イントロンおよび前記終止領域に動作可能なように連結されている。別
の態様においては,発現ベクターは,a)転写開始領域;b)転写終止領域;c
)イントロン;d)オープンリーディングフレーム;e)前記核酸分子の少なく
とも1つをコードする遺伝子を含み,前記遺伝子は,前記オープンリーディング
フレームの3'−末端に動作可能なように連結されており,前記遺伝子は,前記
核酸分子の発現および/または輸送を可能とする様式で,前記開始領域,前記イ
ントロン,前記オープンリーディングフレームおよび前記終止領域に動作可能な
ように連結されている。
【0062】実施例 ブロムモザイクウイルス ブロムモザイクウイルス(BMV)は,(+)鎖RNAウイルスのRNA合成
の段階を明らかにするための有用なモデルである。BMVはRNA1,2,およ
び3と称される3つのゲノムRNAおよびサブゲノムRNA4を有する。これら
のRNAは4つの蛋白質:ヘリカーゼ様la(109kDA),ポリメラーゼ様
2a(96kDa),移動蛋白質3a(34kDa),およびカプシド蛋白質(
20kDa)をコードする。各BMV RNAは,高度に保存された3'領域を
含み,これはtRNA様構造に折り畳まれ,(−)鎖RNAの合成を指令するの
に必要である。(−)鎖RNAは,テンプレートとして働き,ゲノム(+)鎖お
よびサブゲノムRNA合成のためのシス作用配列を提供する。
【0063】 BMV RNA複製酵素は,小胞体に局在する複合体である。これは,BMV
がコードする1aおよび2a蛋白質およびまだ同定されていない宿主蛋白質を含
む。膜に会合したレプリカーゼは,非イオン性界面活性剤で可溶化することがで
き,これは依然として,外的に加えられたゲノムRNAまたは(−)鎖BMV
RNA3からそれぞれ(−)鎖RNAまたはサブゲノム(+)鎖RNAの合成を
指令する能力を維持している。RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)と
称される,界面活性剤可溶化BMVレプリカーゼは,保存tRNA様配列を含む
160ヌクレオチド以下の(+)鎖RNAを用いて,インビトロでBMV特異的
RNA合成を指令することができる。
【0064】 BMVは,正鎖RNAウイルスであり,正センスRNAウイルスのアルファウ
イルス様スーパーファミリーにおいて,植物ウイルスのブロモウイルス群の代表
的なメンバーである。モノシストロニックであるRNA1およびRNA2は,そ
れぞれ蛋白質1a(推定メチルトランスフェラーゼおよびヘリカーゼドメインを
含有する)および2a(ポリメラーゼ様ドメインを含む)をコードする。細胞蛋
白質,例えばeIF3とともに,laおよび2aはテンプレート特異的BMV
RdRpを構成する。ジシストロニックであるRNA3は,3a移動蛋白質およ
びコート蛋白質をコードする。これらの蛋白質の翻訳は,サブゲノムRNA4(
0.88kb)により指令される。サブゲノムRNA4の合成は,RNA3の(
−)鎖コピーからの内部開始による。
【0065】 BMV RdRp複合体は,植物の膜内に一体化されるが,高濃度の塩および
非イオン性界面活性剤,例えばTritonX−100で可溶化することができ
る。BMV RdRpは高度に濃縮され,投入されたプラス鎖RNAテンプレー
トからマイナス鎖RNAを配列特異的様式で特異的に合成することができる。さ
らに,BMV RdRpはまた,RNA3のマイナス鎖の内部に存在するグアニ
ル酸残基から開始して,サブゲノムのプラス鎖RNA4を合成することができる
。マイナス鎖RNAの合成は,プラス鎖BMV RNAの保存3'末端から開始
される。この保存領域は,tRNA様構造に折り畳まれることができる。tRN
Aにおける場合と同様に,末端の3残基は5'−CCA−3'である。マイナス鎖
の合成の開始は,最後から2番目のシトシン残基から開始すると報告されており
,新たに合成されるRNAの最初のヌクレオチドはグアニル酸になる。
【0066】 ウイルスRdRpは,BMVプロモーター配列を含む外から加えられたテンプ
レートを用いることができるため,BMV RNA合成は生化学的研究により分
析することができる。投入された(+)鎖テンプレートからの(−)鎖RNAの
合成の正確な開始はすでに示されている。(−)鎖RNA合成におけるいくつか
の段階は明確にされており,これには,開始,プライマー誘導性RNA合成,全
長RNAの10倍モル過剰で蓄積される8ntまでの早期(abortive)
開始生成物の合成(Sun et al.,1996),およびRdRpの開始
から伸長への遷移(Sun&Kao,1997a,1997b)が含まれる。こ
れに対し,サブゲノムRNA合成のメカニズムは注意深く研究されてこなかった
。(−)鎖RNA3の短い領域を用いて,サブゲノムプロモーターのこれまでの
特徴決定をさらに詳細に調べ,RdRpがいかにしてプロモーターを認識するか
を決定した(Adkins et al.,1997;Siegel et a
l.,1997)。以下に記載されるように,サブゲノム(+)鎖RNA合成(
開始および終止を含む)のメカニズムを識別し,(−)鎖合成と比較した。
【0067】ポリメラーゼ活性の保存 いくつかの異なるポリメラーゼの構造は保存されているように見えるため,,
核酸合成のメカニズムもまた保存されていると示唆されていた。最もよく特徴づ
けられているポリメラーゼは,転写を担うDNA依存性RNAポリメラーゼ(D
dRp)である。DNA依存性RNA合成は,多くの生化学的に別個の工程,す
なわち,DdRpのプロモーターへの結合,転写的に活性なオープン複合体の形
成,最初のホスホジエステル結合の合成,早期RNA合成,プロモータークリア
ランス,逐次伸長および終止に分けられている。これらの工程の進行には,ポリ
メラーゼとテンプレートとの間の相互作用の親和性の増加が伴い,ポリメラーゼ
のテンプレートへの関与(commitment)は,最初の移動工程の間また
はその直後に生ずる。関与したポリメラーゼは,伸長に必要な追加のヌクレオチ
ドが反応系中にない場合であっても,テンプレートと安定に会合したままである
と考えられている。
【0068】 ウイルスRNA複製は,RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)により
媒介される。正センスRNAウイルスについては,ゲノム(+)鎖RNAが(−
)鎖RNAの合成のテンプレートとして働き,次に,ゲノム(+)鎖RNAの,
そして多くのウイルスでは(+)鎖サブゲノムRNAの,追加のコピーの合成の
ためのテンプレートとして働く。
【0069】 RdRpによるRNA合成の詳細の解明は,RNA修復および組換えの研究の
基礎を提供し,DdRpによるRNA合成の比較を可能とするであろう。BMV
RdRpによるインビトロRNA合成のこれまでの特徴決定からの結果は,い
くつかの段階を明らかにした。これには,(1)BMV(+)鎖テンプレートの
3'末端の最後から2番目のシチジル酸におけるRNA合成の開始(Mille
r et al.,1985,Nature(London);,31S,68
−70;Kao&Sun,1996,J.Virol.,X,6826−683
0),(2)早期オリゴリボヌクレオチド合成(Sun et a1.,199
6,Virology,296,1−12),および(3)逐次(proces
sive)RNA合成(Sun&Kao.1997.Virology,I,6
3−73)が含まれる。RdRpによるRNA合成の工程は,早期開始生成物の
放出および8−10ntの裸のRNAの合成後の伸長の進行を含む,DdRpに
よる転写において認められるものを反映するように見える。このことは,すべて
のポリメラーゼの触媒的サブユニットが共通の構造的および機能的モチーフを有
しているため,おそらくは驚くべきことではない。
【0070】 DdRpおよびRdRpによるRNA合成における全体的類似性にもかかわら
ず,いくつかの相違に言及しなければならない。第1に,RdRpは通常,Dd
Rpにおけるように専らDNA分子中のプロモーターからRNA合成を開始する
のではなく,RNAテンプレートの末端から開始する(Miller et a
l.,1986,J.Mol.Biol.187,537−546;Ishih
ama and Nagata,1988;Kao and Sun,1996
,,J.Virol.,X,6826−6830)。第2に,RdRpは,早期
開始段階の間,テンプレートから解離しているようである(Sun and K
ao,1997)。これに対し,T7RNAポリメラーゼはより安定的にスーパ
ーコイルDNAに結合したままである。ただし,T7RNAポリメラーゼとDN
Aとの相互作用の安定性は,テンプレートの構造に強く依存する(Diaz e
t al.,1996,Biochemistry 35,10837−108
43)。第3に,DdRp三成分(ternary)複合体の安定性は,RNA
−DNA相互作用によってではなく,主としてRNA−蛋白質およびDNA−蛋
白質相互作用により維持される(Altmann et al.,1994,P
roc Natl Acad Sci USA.91,3784−3788)。
RdRpに関しては,あるウイルスについては,(−)鎖RNA合成の中間体は
発生期RNAおよびテンプレートRNAから構成される二本鎖ハイブリッドであ
ることが可能である(Baltimore,1968;Takeda et a
l.,1986;Bienz et al.,1992;deGraaff e
t al.,1995)。これが正しければ,デュープレックスはRdRp三成
分複合体の安定性に寄与するかもしれない。
【0071】 以下は,本発明の核酸分子の有用性を示す非限定的例である。当業者は,ある
実験条件,例えば温度,反応時間,培地条件,トランスフェクション試薬および
RNAアッセイは,限定を意味するものではなく,プロトコルを有意に変更する
ことなく容易に改変しうることを認識するであろう。
【0072】実施例1:RdRpの認識要素の同定および分析 正確なサブゲノム開始: BMVのサブゲノムコアプロモーター中に含まれる認識要素を決定するために
,33ヌクレオチドのプロスクリプト(−20/13)を構築した。これは,(
−)鎖RNA3中のサブゲノム開始部位の20ヌクレオチド3’側のWTプロモ
ーター配列を含む。塩基類似体を含むプロスクリプトの化学合成は,ABI 3
94自動化DNA合成機(ABI,Foster City,CA)で,Win
cott et al.,1995.Nucleic Acids Res,8
,1421にしたがい,慣用的なホスホルアミダイト伸長サイクルを用いて行っ
た。水性メチルアミンおよびトリエチルアミン三フッ化水素酸で処理して,存在
する場合には環外のアミノおよび2'−OH保護基を切断した後,プロスクリプ
トを精製してアニオン交換HPLCで分析した。
【0073】 このプロスクリプトは,13−nt生成物の合成を指令する。この最初の11
ntはBMV配列であり,その後にT7RNAポリメラーゼにより2つのグアニ
ル酸を付加して,RdRp生成物を[α−32P]CTPで標識できるようにし
た。プロスクリプト−20/13中のBMV配列は,ウイルス(+)鎖RNA3
の位置1,222−1,252に相補的であり,WT対照として働く。
【0074】 プロモーター配列中に種々の変異を作成した。最初に,3ヌクレオチドの群ご
との変換体(transversion)を合成して,プロモーター全体をスキ
ャンし,RNA合成にどの領域が必要であるかを決定した。位置−17から−9
は,プロモーターのこの領域中の変異によりBMV RdRpがサブゲノムRN
Aの合成を開始する能力がWTの活性の約2%に低下したため,必須ヌクレオチ
ドを含むと同定された。ヌクレオチド位置−5から−3における変異はより低い
影響を有し,WTの活性の16%を保持していた。コアプロモーター中の他のす
べての位置をカバーする3ヌクレオチド変換体は,それぞれ合成を50%低下さ
せたのみであった。すべてのテンプレートからの支配的なRdRp生成物は,1
ヌクレオチドの非テンプレート付加による14ntであった。これは,すべての
DNA依存性RNAポリメラーゼおよびポリオウイルスRdRpに共通する現象
である。
【0075】 予測に反して,サブゲノム合成は,開始部位の−2から+1のヌクレオチドの
置換によっては比較的影響を受けなかった。従来の研究は,サブゲノムRNA4
については,開始シチジル酸の同一性は維持されなければならないことを示して
いる。−2+1プロスクリプト中の3ヌクレオチド変換体は,位置−1にシチジ
ル酸を配置しており,BMV RdRpは,非テンプレートグアニル酸(+1位
置におけるテンプレートシチジル酸の代わりに)を利用することにより,または
+1位置を完全にバイパスすることにより,WTプロスクリプトと同じサイズの
生成物を指令するRNA合成の開始のために,このヌクレオチドを用いることが
できると考えられる。開始位置を動かすことができるか否かを試験するために,
2つの追加のプロスクリプトを作成した。プロスクリプト+1C/Gは,開始シ
チジル酸がグアニル酸で特異的に置き換えられているが,他のすべての位置はW
T配列のままである。プロスクリプト−1/+1Gは,グアニル酸を開始部位中
に挿入し,WTの+1シチジル酸を+2位置に移動させる。このプロスクリプト
は,+1位置に挿入されたグアニル酸がBMV RdRpにより認識されれば,
14nt生成物(非テンプレートを加えて15nt)をコードする。しかし,開
始部位が現在+2位置を占めるシチジル酸にシフトすることができれば,13−
nt生成物(非テンプレートを加えて14nt)が観察されるはずである。Rd
Rp生成物の正確な開始は,開始にのみ必要なGTPを控えることにより,また
はグアニル酸の後を特異的に切断するRNaseT1で処理することにより確認
することができる。すなわち,正しく開始されたRdRp生成物は,RNase
Tl消化の後に1nt短くなるであろう。
【0076】 プロスクリプト−2+1,−1/+1GおよびWT−20/13からのRdR
p生成物はすべて,GTPを欠失した反応およびRNaseTl処理により判定
して,GTPで始まっており,T7サイズマーカーと同じサイズ(13および1
4nt)であった。しかし,+1G/Gプロスクリプトからは生成物が合成され
なかった。すなわち,シチジル酸残基は,開始ヌクレオチドとして必要であり,
先の知見が確認された。BMV RdRpは,元の開始部位の3'または5'側に
隣接するいずれかの1つのヌクレオチドのシチジル酸を認識することができるよ
うである。すべての反応は正確な開始を示し,RdRpサブゲノムコアプロモー
ターの相互作用の特性決定にこの系を使用することが有効であることが確認され
た。またこれらの実験により,14−nt生成物を生成する非テンプレートヌク
レオチドの付加が(+)鎖生成物のの3'末端で生じることが確認された。
【0077】サブゲノムRNA合成の開始に重要なヌクレオチド: 3ヌクレオチド変換体からのデータは,位置−17から−9がRNA合成に重
要なヌクレオチドを含むことを示した。重要な残基を同定するために,この領域
中の各位置およびサブゲノムコアプロモーターの位置−5から−3に1ヌクレオ
チドの変換を含むプロスクリプトを構築した。位置−17,−14,−13,−
11,−10,および−5は,変換がBMV RdRpによるRNA合成を顕著
に減少させたため,合成のために重要であった。最も重要な位置である−17,
−14,−13,および−11はすべてWTプロスクリプトの3%より低い活性
を有していた。位置−10および−5における変化は影響がより低く,WT合成
の31%から18%を保持していた。負の対照として,位置+1において変換を
含むプロスクリプト+1C/Gからは合成が観察されなかった。
【0078】 最も重要な位置である−17,−14,−13,および−11にすべての可能
なヌクレオチド置換を含むプロスクリプトをアッセイして,これらの4つの位置
の配列特異性を試験した。位置−17におけるWTのグアニル酸のウリジル酸へ
の変更(−17G/U)は,WT活性の13%のRNA合成を支持した。−17
の他のヌクレオチドによる置換(−17G/Cおよび−17G/A)は,RNA
合成を指令することができなかった。位置−14または−13においては,WT
配列以外のヌクレオチドは適当な活性を維持せず,このことから,−14のアデ
ニル酸および−13のシチジル酸の重要性が示された。位置−11のWTグアニ
ル酸をウリジル酸またはアデニル酸に置換すると(−11G/Uまたは−11G
/A)約8%の活性が維持されたが,元の−11G/CプロスクリプトはWTプ
ロスクリプトの1%の活性しか有していなかった。上述の4つの位置の特異的要
求性をさらに示すため,位置−10のWTグアニル酸をウリジル酸またはアデニ
ル酸で置換したところ,有害な影響はなかった。実際,これらの変異体−10G
/Uおよび−10G/Aは,両方とも,WTプロスクリプトよりわずかに優れた
プロモーターであり,−20/13の生成物の140%を生成した。これらの結
果は,BMVサブゲノムコアプロモーターの位置−17,−14,5−13,お
よび11におけるヌクレオチド特異性を示す。
【0079】接触部位における1ヌクレオチド塩基の変更を用いる野生型プロスクリプトの競
合: ヌクレオチド特異性のこの概念を試験するために,競合実験を行って,プロス
クリプト−20/13,−17G/C,および−17G/Uが,15nt生成物
の合成を指令するWTプロモーター配列を有する第2のプロスクリプト(−20
/15と称される)からの合成に影響を及ぼすか否かを判定した。競合テンプレ
ートの濃度を−20/15プロスクリプトの0.1−から10倍モル過剰まで変
化させた。競合は,15−nt生成物の量の減少および同時に13−nt生成物
の増加により可視化した。予測されたように,プロスクリプト−20/13は,
WTサブゲノムプロモーターをも含むため,有効に合成に競合した。−20/1
3が等モル量で存在したとき,−20/15からの合成は50%減少した。これ
に対し,プロスクリプト−17G/Cは,有効な競合剤ではなく,等モル比で存
在したとき−20/15からの合成を15%のみ減少させた。−17G/Uプロ
スクリプトは,−20/15からの合成を−20/13で観察されたものより低
いレベル(35%)で阻害した。この阻害のレベルは,この変異テンプレートか
らの合成が減少したが完全にはなくならなかったという結果と一致する。この実
験からの結果は,位置−17,およびおそらくは変異導入により同定された他の
鍵となるヌクレオチドが,BMV RdRpにより接触されるという概念と一致
する。
【0080】 アルファウイルスサブゲノムプロモーター:BMVサブゲノムプロモーターと
植物および動物の両方に感染するアルファウイルス様スーパーファミリーの他の
メンバーのサブゲノムプロモーターの比較から,BMV RdRpによる合成に
重要な4つのヌクレオチドが著しく保存されていることが明らかになった。さら
に,これらのプロモーターはすべて,開始ヌクレオチドとしてピリミジンを含み
(動物ウイルスにおいてはウリジル酸,および植物ウイルスにおいてはシチジル
酸またはウリジル酸のいずれか),+2位置に高度に保存されたアデニル酸を含
む。この類似性は,アルファウイルス様スーパーファミリーのメンバーからのR
dRpが保存されたメカニズムでサブゲノムプロモーターを認識することを意味
する(例えば表1−3を参照)。
【0081】 テンプレート認識の様式が保存されている可能性を試験するために,SFVか
らのサブゲノムプロモーターを含むプロスクリプトを構築し,これがBMV R
dRpにより認識される能力について試験した。BMVプロスクリプトから生成
した13−nt生成物からRNA生成物を可視的に区別できるようにするため,
SFVプロスクリプトは11−nt生成物の合成を指令するよう設計した。この
最初の9ntはWTSFV配列であり,その後に,[α−32P]CTPにより
RdRp生成物を標識できるようにするためにT7RNAポリメラーゼにより2
つのグアニル酸を付加した。SFVプロスクリプトは,BMV RdRpがこの
テンプレートからのサブゲノム合成の開始ヌクレオチドとしてのみ用いられるA
TPに依存する生成物を合成するよう指令する。合成の量は等モル量のWT−2
0/13からの合成のわずか0.25%であったが,バックグラウンドより有意
に高かった。この結果は,植物感染ウイルスからのRdRpと動物感染ウイルス
からのサブゲノムプロモーターを含むRNAテンプレートとの間に異種相互作用
があることを示す。
【0082】実施例2:サブゲノムRNA合成のための配列要求性 RdRp活性アッセイ: BMV RdRpは,本質的にSun et al.(1996)に記載され
るように,感染した大麦から調製した。早期開始の研究において用いられたRd
Rp調製物は,追加のPD10(Pharmacia)ゲル濾過カラムを通して
,NTPおよび他の低分子量夾雑物を除去した。標準的RdRp活性アッセイは
,20mMグルタミン酸ナトリウム(pH8.2),4mM MgCl2,12
mMジチオスレイトール,0.5%(v/v)TritonX−100,2mM
MnCl2,200μM ATP,500μM GTP,200μM UTP
,242nM[α−32P]CTP(400Ci/mmol,10mCi/mL
,Amersham),等モル(一般に1.0pmol)のテンプレートRNA
,および5−10μlRdRpを含む43μLの反応系から構成された。反応系
は,特に記載しない限り,30℃で90分間インキュベートした。反応生成物は
,標準的なプロトコル(Sambrook et al.,1989)にしたが
って,フェノール/クロロホルム(1:1,v/v)で抽出し,3倍容量のエタ
ノールおよび10μgグリコゲンで沈殿させた。
【0083】RdRp生成物の分析: RdRp反応からの生成物を1X変性負荷緩衝液(45%(v/v)脱イオン
化ホルムアミド,1.5%(v/v)グリセロール,0.04%(w/v)ブロ
モフェノールブルーおよび0.04%(w/v)キシレンシアノール)に懸濁し
,90℃で3分間加熱することにより変性し,次に変性ポリアクリルアミドゲル
電気泳動により分析した。生成物は,20%または24%アクリルアミド(19
:1 アクリルアミド:ビスアクリルアミド)−7M尿素ゲル(14x14x0
.05cm)で,公表されている方法(Sambrook et al.,19
89)にしたがって分析した。場合により,5%アクリルアミドスタッキングゲ
ル(2x14x0.05cm)を用いた。198ntまたはそれより長い生成物
の合成を指令するテンプレートを含む反応からの生成物を,2.5ユニットのS
1ヌクレアーゼ(Promega)で30℃で10分間消化した。変性負荷緩衝
液をS1処理生成物に加えた後,5%アクリルアミドゲルで変性ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動により分析し,一方,非変性負荷緩衝液(5%(v/v)グリ
セロール,0.04%(w/v)ブロモフェノールブルー,0.04%(w/v
キシレンシアノール)をS1処理生成物に加えた後,1%アガロースゲルで非変
性電気泳動により分析した。すべてのゲルは,−80℃でフィルムを感光させ,
新たに合成されたRNAに取り込まれた標識の量をホスファーイメージャー(M
olecular Dynamics)により決定した。
【0084】RdRpのテンプレートの合成: PCRを用いて,サブゲノムプロモーターを包含する(−)鎖BMV RNA
3または(−)鎖プロモーターを包含する(+)鎖BMV RNA3もしくはR
NAIのいずれかのcDNAコピーを合成した。一方はT7プロモーターを含む
合成オリゴヌクレオチドの対を,それぞれBHV RNA3(pB3TP8)ま
たはRNA1(pBlTP3)のcDNAクローンを用いるPCR反応において
用いた(Janda et al.,1987)。30サイクルのPCRを用い
てTaqポリメラーゼで増幅し,各サイクルは,各30秒の94℃での変性,最
低のオリゴヌクレオチドTmより5℃低い温度でのアニーリングおよび72℃で
の伸長から構成された。PCR生成物は,上述したように精製し(Sambro
ok et al.,1989),インビトロ転写のテンプレートとして用いた
。T7 DdRpをすべての転写反応に用いた(Ampliscribe,Ep
icentre)(表4)。B3−198テンプレートの合成は先に記載されて
いる(Sun&Kao,1997a)。8−および13−ntの分子量マーカー
は,Milligan et al.(1987)のプロトコルにより,オリゴ
ヌクレオチドT7(+)およびT7(−)8merまたはT7(−)13mer
を用いて合成した(表4)。全長(−)鎖および(+)鎖RNA3の転写産物は
,RNA3のcDNAを含むプラスミドから合成した。5'末端における250
ntの伸長を有する(−)鎖RNA3および5'末端における150ntの伸長
を有する(+)鎖RNA3の転写産物は,それぞれT7プロモーターの250ま
たは150nt下流に位置したRNA3のcDNAを含むプラスミドから合成し
た。
【0085】 転写産物は,RdRpアッセイの前に,Qiagen tip−20カラムで
,製造元のプロトコルを用いてアニオン交換クロマトグラフィーにより精製した
。すべてのRdRpテンプレートは,5'末端に,cDNAテンプレート上での
T7ポリメラーゼ転写の開始の間に取り込まれた2つの非ウイルス性グアニル酸
を含む。RdRpテンプレーの濃度は,トルイジンブルー染色の後,変性PAG
Eにより,および/または先に記載されたように(Adkins et al.
,1997)分光高度計を用いて,決定した。
【0086】開始シチジル酸のフランキング変異: 開始シチジル酸のグアニル酸への変換が,プロスクリプトがRNA合成を指令
する能力をなくすことが先に示されている(Adkins et al.,19
97;Siegel et al.,1997)。しかし,BMV RdRpは
,ウリジル酸を第1のテンプレートヌクレオチドとして用いて,効率的に合成を
開始することができない(Siegel et al.,1997)。近傍ヌク
レオチドの役割を調べるため,+2位置にすべての可能なヌクレオチド置換を含
むプロスクリプトをアッセイして,この位置についての要求性を決定した。+2
アデニル酸のグアニル酸への変異は,プロスクリプトがRNA合成を指令する能
力をなくしたが,シチジル酸またはウリジル酸への変更は,それぞれ野生型レベ
ルの37%または66%のRNA合成を指令した。すなわち,+2に要求される
塩基成分については推定することができないが,サブゲノムRNA合成には+2
位置のアデニル酸が好ましい。次に,BMVサブゲノムRNA合成についての+
3および+4位置のヌクレオチド要求性を評価した。+3ウリジル酸のシチジル
酸またはグアニル酸への変異は,テンプレートがRNA合成を指令する能力を,
それぞれ野生型レベルの64%または58%に減少させた。+4アデニル酸のシ
チジル酸への変異は,RNA合成を指令する能力に悪影響を与えなかった。+4
アデニル酸のグアニル酸への変異は,テンプレートがRNA合成を指令する能力
を野生型レベルの57%に減少させた。すなわち,RNA合成に及ぼすテンプレ
ート配列の影響は,開始ヌクレオチドからの距離が増加するにつれて減少するよ
うである。
【0087】 −1位置におけるヌクレオチド変更の影響もまた測定した。−1グアニル酸の
アデニル酸への変異は,活性を野生型プロスクリプトの82%に減少させたのに
対し,ウリジル酸への変更は,影響を与えなかった。このことは,−1ヌクレオ
チドの種類はサブゲノムRNA合成の効率に影響を与えないことを示唆する。非
常に興味深いことに,−1変異を含むプロスクリプトにおいて,真正の開始部位
からの量の5%未満ではあったが,別の開始部位からのRdRp生成物の合成が
観察された。プロスクリプト−1G/Uからの新規な15nt RdRp生成物
は,見かけ上,テンプレートウリジル酸を用いて−1位置で開始された。プロス
クリプト−1G/Aからの新規な16nt RdRp生成物は,見かけ上−2シ
チジル酸で開始された。プロスクリプト−1G/Aにおいては,−2および−1
ntはシチジル酸−アデニル酸であり,この配列はまた+1および+2位置にも
見いだされる。これらの結果は,RdRpによる開始部位の認識にはある程度の
柔軟性があることを示す。
【0088】(−)鎖合成における+2ntのゆるやかな要求性: (−)鎖合成のプロモーター中の+2ntが同様の優先性を有するか否かを調
べるために,2つのテンプレートを用いた(B1−242+2C/AおよびB1
−242+2C/U)。各テンプレートは,+2シチジル酸のアデニル酸または
ウリジル酸への変更を含む242nt(−)鎖RNA1生成物の合成を指令した
。B1−242+2C/AまたはB1−242+2C/Uからの合成を,同じモ
ル濃度で同じ反応系中に存在する,198nt(−)鎖RNA3生成物の合成を
指令する第2のテンプレート(B3−198)からの合成と比較した。+2シチ
ジル酸のウリジル酸への変更は,合成を31%に減少させた(先にSun et
al.,1996により観察されたものと類似)が,アデニル酸への変更は合
成を野生型Bl−242およびB3−198の157%に増加させた。この結果
は,(−)鎖合成に関して+2ntの種類はサブゲノム合成についての場合ほど
重要ではないことを示唆する。
【0089】サブゲノムRNA合成についての高UTP濃度の要求性: (−)鎖RNA合成の間に高いGTP濃度の要求性があることが先に観察され
ている(Kao&Sun,1996)。+2アデニル酸についての優先性(上述
)および放射性標識として通常の[α−32P]CTPではなく[α−32P]
UTPを用いたときのインビトロでのサブゲノムRNAの非効率的な合成は,サ
ブゲノムRNA合成の間に取り込まれる2番目のヌクレオチド(UTP)もまた
特異的要求性を有するかもしれないことを示唆した。この可能性を調べるために
,サブゲノムおよび(−)鎖RNA合成におけるUTP要求性を,up/45(
207ntサブゲノムRNAの合成を指令する)およびB3−198を用いて比
較した。いずれのRNAも,50μM UTPを含む反応系中に別々に存在した
とき,BMV RdRpにより用いられた。さらに,50μM UTPを含む反
応系中の2つのRNAの等モル混合物から,いずれかのRNAを単独で含む反応
と非常に類似する量の生成物が得られ(図2,レーン4),このことは,BMV
RdRpによるプロモーター使用がほぼ等しいことを示す。UTP濃度を1.
6μMに減少させると,いずれのテンプレートからの合成も減少したが,その量
は異なっていた。3回の独立した実験において,サブゲノムRNA合成は,再現
性をもって,(−)鎖合成より4−10倍減少していた。示される実験において
は,(−)鎖合成は50μM UTPで観察されたレベルの13%に減少したが
,サブゲノム合成は検出できないレベルまで減少した。これらの結果は,サブゲ
ノムRNA合成のためのテンプレートにおける+2アデニル酸の優先性のさらな
る証拠を提供し,サブゲノムRNAにおけるホスホジエステル結合の合成には高
濃度のGTPおよびUTPの両方が必要であることを示唆する。
【0090】サブゲノムおよび(−)鎖ゲノムRNA合成の間の異なるプライマー使用: サブゲノムおよび(−)鎖合成における+2ntの役割の相違を調べるために
,これらの2つのタイプのRNA合成における開始ヌクレオチドの使用を比較し
た。サブゲノムおよび(−)鎖RNA合成の両方にGTPが用いられるため,両
方のタイプの合成に及ぼすGTP濃度の影響を分析した。サブゲノムおよび(−
)鎖RNA合成においては相違は認められず,各々,25μMで最初に検出され
,200μM GTPまで連続して増加した。次に,モノヌクレオチドまたはジ
ヌクレオチドプライマーが開始ヌクレオチドとしてGTPを置き換える能力を調
べた。プライマーが高濃度のGTPの必要性を軽減することが先に示されている
(Kao&Sun,1996)。プライマーGpUは,サブゲノムRNA合成の
開始配列に相補的であり,GpGは(−)鎖RNA合成の開始配列に相補的であ
る。GDPは,サブゲノムおよび(−)鎖RNA合成の両方のプライマーとして
働くと予測される。
【0091】 対照反応には,サブゲノム(up/45)およびゲノム(−)鎖(B3−19
8)合成のために200μM GTPおよびテンプレートの等モル混合物を加え
,ほぼ等モル量のサブゲノムおよび(−)鎖生成物が合成された。GTPを4μ
Mに減少させたとき,サブゲノムおよび(−)鎖生成物の両方の合成は,200
μM GTPで観察されたものの1.5%に減少した。GpGを最終濃度250
−1250μMで反応に加えると,(−)鎖合成は基底レベルの7−10倍促進
されたが,サブゲノムRNA合成は変化しなかった。GpUを同じ濃度で反応に
加えると,サブゲノム合成は基底レベルの約3倍促進されたが,(−)鎖合成は
変化しなかった。(−)鎖RNA合成と比較してサブゲノムの促進が低いことは
,先の知見と一致する(Kao&Sun,1996)。サブゲノム生成物は,G
pUでプライミングしたとき,再現性よくより低い位置に移動した。これはおそ
らく,ジヌクレオチドでプライミングした生成物に5'リン酸が欠失しているた
めであろう。GDPを250−1250μMで反応に加えると,サブゲノムRN
Aの合成は1.2−3.4倍促進され,(−)鎖の合成は9.4−19倍促進さ
れた。ADPを250−1000μMで加えたところ,(−)鎖合成は1000
μMレベルで1.7倍促進されたが,サブゲノム合成についてはいずれのレベル
でも検出可能な増加が観察されなかった。これらの結果は,モノヌクレオチドお
よびジヌクレオチドプライマーが,限定されたGTPの条件下で,サブゲノムR
NA合成よりも(−)鎖ゲノムRNA合成を促進することを示す。さらに,これ
らの結果から,サブゲノムおよび(−)鎖RNA合成の開始は異なる要求性を有
するという知見が確認される。
【0092】サブゲノムRNA合成の間の早期開始: (−)鎖合成の開始の間の早期生成物の合成が先に観察されている(Sun
et al.,1996;Sun&Kao,1997b)。(−)鎖合成はゲノ
ムRNAの3'末端の近くで開始するため,内部プロモーターからの開始の間に
早期開始が生ずるか否かを決定することは興味深い。したがって,サブゲノムR
NA合成反応の生成物を,高解像度ポリアクリルアミドゲルを用いて,オリゴヌ
クレオチド(早期開始生成物である可能性がある)の存在について分析した。こ
れらの実験においては,予測される生成物の位置+14の前にはシチジル酸がな
く,UTPでは十分な標識が得られなかった(上述)ため,[α−32P]AT
Pを標識として用いた。[α−32P]ATPを用いた場合より[α−32P]
CTPを用いた場合に,全長生成物のより高い合成が一貫して観察された。これ
はおそらく,RdRpの成分であるBMV1(ヘリカーゼ様蛋白質)によるAT
Pの加水分解によるものであろう。いくつかのサイズのオリゴヌクレオチドがプ
ロスクリプト12/26(8ntポリウリジル酸トラクトを含み,26ntのサ
ブゲノム生成物の合成を指令する)からの合成の間に観察され,また(−)鎖R
NA3からの全長サブゲノムRNAの合成の間にも観察された。オリゴヌクレオ
チドは,T7DdRp生成RNAと比較して,6,7,および9ntのサイズで
あり,配列は,5'GUAUUA3',5'GUAUUAA3'および5'GUAU
UAAUA3'であった。RdRpにより生成された6,7および9ntのオリ
ゴヌクレオチドは,ホスファーイメージャー定量により判定して,全長26nt
生成物に対してそれぞれ12,7および3倍モル過剰,全長サブゲノムRNAに
対してそれぞれ20,8および7倍モル過剰であった。他のサイズのオリゴヌク
レオチドも存在したが,より再現性が低いことが観察された。
【0093】 RdRp調製物中にはある程度の内因性BMV RNAが存在し,添加された
テンプレートが存在しない場合にはこれが高分子量生成物の合成を指令するが,
(−)鎖RNA3テンプレートを加えないかぎり,オリゴヌクレオチドは合成さ
れなかった。オリゴヌクレオチド生成物は,以下の一連の証拠に基づいて,正確
に開始されていると判定された。開始ヌクレオチドであるGTPを反応系から除
いたとき,オリゴヌクレオチドおよび全長生成物の両方の標識は有意に減少する
か除去された。正しく開始されたRNAは位置+14までシチジル酸を含まない
。すなわち,早期生成物はシチジル酸を欠失しているはずである。CTPを反応
系から除いたとき,オリゴヌクレオチド合成は影響を受けなかったが,全長生成
物は合成されなかったことが見いだされた(ただし,いくつかのより大きい分子
量の生成物である14および17ntが見られた。これはおそらく夾雑CTPに
よるものであろう。)。全長生成物およびいくつかの可能性のある休止(pau
se)生成物は,[α−32P]CTPで標識されたが,オリゴヌクレオチドは
標識されなかった。最後に,+1シチジル酸からグアニル酸への変換を含むプロ
スクリプト(37/26)は,オリゴヌクレオチドおよび全長生成物のいずれの
合成も指令しなかった。
【0094】 [α−32P]ATPを標識として用いた場合,12t26テンプレートから
は,全長26merおよび未成熟で終止した24merの両方とも観察された。
これはおそらく,[α−32P]ATPの形のATPが限定されていた(242
nM)ためであろう。この知見から,限定されたATPがオリゴヌクレオチドの
生成の原因であると考えられる。この可能性を調べるために,順に高くなる濃度
の非標識ATPをRdRp反応に加えた。オリゴヌクレオチドおよび伸長生成物
の合成は,増加する量の非標識ATPの添加に同様に応答した。9nt RNA
および伸長生成物は,ATP濃度を30μMに増加させたときに検出可能であり
,このことは,オリゴヌクレオチドの合成はBMV RdRpの本来の特性であ
り,単に限定された基質のためではないことを示す。
【0095】 (−)鎖RNA合成の伸長段階にはマグネシウムが必要であるのに対し,開始
にはマンガンで十分である(Sun et al.,1996)。サブゲノムプ
ロモーターからのオリゴヌクレオチドおよび全長生成物の合成に及ぼすマンガン
の影響を調べた。1−2mMでは,MnCl2は全長生成物の合成を8−28%
,9nt RNAの合成を95−127%増加させた。MnCl2を2mMより
多く加えると,オリゴヌクレオチドおよび伸長生成物の両方の合成が減少したが
,伸長生成物はより低いMnCl2濃度ではより感受性が高かった。また,Mn
Cl2の添加により,新規オリゴヌクレオチド生成物が出現した。これらの結果
は,(−)鎖RNA合成の開始についての先の知見(Sun et al.,1
996)に対応する。
【0096】 サブゲノムRNA合成の間に生成したオリゴヌクレオチドがRdRpにより放
出され,このため早期生成物となるか否かを決定するために,以下の実験を行っ
た。CTPを欠失した反応は,RdRpをテンプレートRNA上で休止させるは
ずである。Sephadex CL−6Bスピンカラムを通すことによりこれら
の休止複合体を分画した。16個の連続する画分を回収し,2組に分割した。一
方はRNA生成物について分析し,他方はRdRp活性についてアッセイした。
画分2および3において伸長されたRNAおよびRdRp活性が認められたのに
対し,6,7および9ntオリゴヌクレオチドは画分8から13において見いだ
された。これらの結果は,伸長されたRNAはRdRpとともに三成分複合体と
して残り,オリゴヌクレオチドはRdRp複合体から放出され,したがって,早
期開始の生成物であることを示す。
【0097】実施例3:競合核酸分子を用いるRNA合成の阻害 開始配列に対応する短いRNAがRNA合成を阻害しうるか否かを判定するた
めに,インビトロアッセイを使用した(表4)。テスターテンプレートおよび増
加する濃度の競合RNAを用いて反応を行った。次に,その結果を,増加する濃
度の阻害剤の存在下におけるテスターテンプレートの活性のパーセンテージとし
てプロットした。このプロットから,合成を50%減少させる阻害剤の濃度が得
られる(I50)。
【0098】 野生型プロモーターおよび開始配列を含む33ntの競合RNA(wt−13
)は,テスターテンプレート(wt−15)からの合成を減少させた。wt−1
5合成を50%減少させるのに必要なwt−13RNAの濃度(I50)は20n
Mであった。テスターテンプレートからのRNA合成の有効な阻害に必要な長さ
を決定するため,プロモーターおよび追加の3ヌクレオチドを含有する23nt
のRNAを利用した。このRNAは,80nMのI50を有していた。開始ヌクレ
オチドを含まない対照RNA(−20/−1)は,250nMよりはるかに高い
50を有していた。さらに,250nMで存在した場合においても,このテンプ
レートでは有意な阻害は観察されなかった。これらの結果は,比較的低い濃度の
短いRNAが,ウイルスRdRpによるRNA合成の強力な阻害剤であることを
示唆する。開始ヌクレオチドを含むがプロモーター配列を欠失している8ntの
競合DNA分子もまた,テスターテンプレートからの合成に競合した。この8n
t DNAは2.5マイクロモルのI50を有する(図10および11)。この結
果はまた,一本鎖DNAを用いてウイルス複製を阻害しうることを示す。これは
,ヒト血清中におけるDNA分子の安定性が本質的に増加すれば,医薬品にとっ
て興味深い知見である。
【0099】実施例4:DNAテンプレートを用いるRNAのRdRp媒介性合成 RdRpが,DNA版のサブゲノムプロモーターを認識し,これからRNA合
成を正確に開始させる能力を試験した。WT対照として,13−nt生成物の合
成を指令するWTプロモーター配列を含む33−ntプロスクリプト(−20/
13と称される)を構築した。この最初の11−ntはBMV配列であり,その
後に,RdRp生成物の[α−32P]CTPでの標識を可能とする2つのグア
ニル酸が含まれる(12)。標準的なアッセイは,20mMグルタミン酸ナトリ
ウム(pH8.2),4mM MgCl2,12.5mMジチオスレイトール,
0.5%(v/v)TritonX−100,2mM MnCl2,200μM
ATPおよびUTP,500μM GTP,および250nM[α−32P]
CTP(Amersham)を含む40μlの反応系中,25nMのプロスクリ
プトRNA(特に記載しない限り)および10μlのRdRpから構成された。
反応系を30℃で90分間インキュベートし,フェノール/クロロホルム抽出に
より停止し,5μgのグリコゲンおよび0.4M酢酸アンモニウムの存在下でエ
タノール沈殿した。生成物は,20%変性(8M尿素)ポリアクリルアミドゲル
での電気泳動により分離した。ゲルをプラスチックで覆い,−80℃でフィルム
を感光させた。生成物のバンドはホスファーイメージャー(Molecular
Dynamics)を用いて定量した。
【0100】 T7DdRpにより生成したサイズマーカーにより判定して,支配的なRdR
p生成物は,多くのポリメラーゼに共通する現象である1残基の非テンプレート
付加による14−ntであった(図1,レーン1および10)。
【0101】 d(−20/13)と称される全DNAプロスクリプトは,各位置にデオキシ
リボースが挿入されているが,WTサブゲノムプロモーターおよびテンプレート
配列を含む。この構築物は,RdRpによるRNA合成を指令することができた
(図1,レーン2−8)。しかし,この場合は,支配的な生成物は,RNAテン
プレートを用いた場合に見られた14−ntではなく13−ntであった。この
変化は,非テンプレートヌクレオチドを効率的に付加するためにテンプレート中
の2'−OHを必要とすることを反映しているのであろう。生成物の合成は,D
NA依存性RNAポリメラーゼの阻害剤,例えばアクチノマイシンDおよびリフ
ァンピシリンに耐性であった。d(−20/13)プロスクリプトをDNase
Iで前処理すると,生成物は合成されなかった。しかし,生成物は,DNase
Iに耐性であるが,RNaseAには完全に感受性であった(図1,レーン3−
5)。正確な開始は,多くの方法により確認した:生成物のサイズを−20/1
3WTプロスクリプトからのものと比較(図1,レーン1対2),RNaseT
l消化(これは開始グアニル酸の後を切断する)により,消化されないものより
1−nt短い標識生成物が得られること(図1,レーン6対7),正確な合成を
開始するためにのみ必要なGTPの絶対的要求性(図1,レーン8),および変
異開始部位を有するプロスクリプトからの合成がないこと(図1,レーン9)。
RNA合成の量は,WT RNAプロスクリプトからのものの約6%であったが
,これらの結果は,BMV RdRpがこのDNA構築物と生産的に相互作用す
ることができたことを確定的に示す。
【0102】末端開始部位の認識: RdRpがDNAテンプレートから末端開始部位を認識する能力を調べた(図
1)。開始部位に対して位置−1から+13のヌクレオチドを保持した構築物を
RNAおよびDNAの両方について合成した(それぞれr(−l/13)および
d(−l/13))。−20から−2の位置からサブゲノムプロモーターを除去
することにより,開始部位を最後から2番目の位置に配置し,ウイルステンプレ
ートの3'末端からの開始のために好ましい位置を模倣した(Miller e
t al.,1985 Nature 313,68)。両方の形の−1/13
プロスクリプトは,ほぼ等しいレベルでRdRpによるRNA合成を指令するこ
とができた(−20/13WTプロスクリプトからの合成の量に対してそれぞれ
6%および8%)。サブゲノムプロモーターを含有するプロスクリプトについて
観察されたように,支配的な生成物は,RNAテンプレートr(−l/13)に
ついては14−ntであり,DNAテンプレートd(−l/13)については1
3−ntであった。
【0103】 これらのテンプレートからの開始のための要求性を試験するために,開始部位
中の変異を作成した。+1シチジル酸の変異または−1グアニル酸の除去により
,r(−l/13)およびd(−l/13)テンプレートの両方においてRNA
が合成されなかった(図1,それぞれレーン12および14;19および21)
。このことは,全長ゲノム合成における場合と同様に,開始は最後から2番目の
位置のシチジル酸から生じなければならないことを示す。しかし,RdRpは,
これらのテンプレート中の+2アデニル酸のシチジル酸への変化を許容する能力
において異なっていた。+2a/c変異により,r(−1/13)テンプレート
においてRNA合成を指令する能力がなくなった(図1,レーン13)。一方,
RNA合成は,d(−l/13)テンプレート中のこの変異によっては影響を受
けなかった(図1,レーン20)。このことは,RdRpによる認識の様式の相
違を示す。d(−l/13)テンプレートからのRNA合成を上述のように確認
した。DNaseIによる処理は,DNAテンプレートを分解し,RNA合成が
なくなるが,一方,生成物はDNaseIに耐性であったがRNaseAにより
分解された(図1,レーン16−18)。健康なトマト葉からのRdRpもまた
,DNAテンプレートの末端からRNA合成を開始することが観察されているが
,この開始は配列特異的様式では起こらず,開始のための要求性は完全には特徴
付けされていない(Schiebel et al.,1993,J.Biol
Chem268,11858)。
【0104】開始要求性: 開始部位中の変異を生成して,これらのテンプレートからの開始の要求性を決
定した。+1シチジル酸の変異または−1グアニル酸の除去により,r(−l/
13)およびd(−l/13)テンプレートの両方においてRNAが合成されな
かった(図1,それぞれレーン12および14;19および21)。このことは
,全長ゲノム合成の場合と同様に,開始は終わりから2番目の位置のシチジル酸
から生じなければならないことを示す。しかし,RdRpは,これらのテンプレ
ート中の+2アデニル酸からシチジル酸への変化に対する許容性が異なっていた
。+2a/c変異により,r(−l/13)テンプレートにおいてRNA合成を
指令する能力がなくなった(図1,レーン13)。一方,RNA合成は,d(−
l/13)テンプレート中のこの変異によっては影響されなかった(図1,レー
ン20)。このことは,RdRpによる認識の様式の相違を示す。d(−l/1
3)テンプレートからのRNA合成は,上述のように確認した。DNaseIに
より処理すると,DNAテンプレートが分解され,RNAは合成されず,一方,
生成物はDNaseIに耐性であるがRNaseAにより分解された(図1,レ
ーン16−18)。健康なトマト葉からのRdRpもまた,DNAテンプレート
の末端からRNA合成を開始することが観察されているが,この開始は配列特異
的様式では起こらず,開始のための要求性は完全には特徴付けされていない(S
chiebel et al.,(上掲))。
【0105】ハイブリッドテンプレート: リボースおよびデオキシリボース残基の両方を含むハイブリッドプロスクリプ
トを生成して,RdRpによるRNA合成を促進する残基の位置を決定した(図
2)。サブゲノムプロモーター中および+1および+2位置にのみリボースを含
むハイブリッドH1は,d(−20/13)プロスクリプト(6%)と比較して
,多くの量のRNA合成を指令した(20%)。しかし,合成はなお,−20/
13WTプロスクリプトから得られるものより低かった(図2,レーン1対2)
。このことは,プロスクリプトのテンプレート部分におけるリボース残基の優先
性を示す。ハイブリッドH4中のテンプレートの位置+2から+13において,
デオキシウリジンを塩基のC5位置にメチル基を含むデオキシチミジンで置換す
ると,H1プロスクリプトと比較してRNA合成をほとんど変化させなかった(
図2,レーン5)。
【0106】 H1からのものと匹敵するRNA合成は,サブゲノムプロモーター中に増加す
る量のデオキシリボースを含むハイブリッドから観察された。ハイブリッドH2
はデオキシリボース置換の領域が延長されており,位置+1および+2のリボー
スはRNA合成には重要でないことが確認された(図2,レーン2対3)。−1
7,−14,−13,−11,+1,および+2を除く各位置にデオキシリボー
スを含むH3は,H1プロスクリプトからのものと類似する量のRNA合成を指
令した(図2,レーン2対4)。ハイブリッドH2およびH3からの結果は,サ
ブゲノムプロモーター中のリボース残基は位置−17,−14,−13,−11
またはそれらのサブセットにおいてのみ必要であることを示した。以前に(11
),本出願人は,それ以外はRNAであるプロスクリプトの位置−17にデオキ
シグアノシンを配置してもRNA合成には影響を与えないが,位置−11のデオ
キシグアノシンは,−20/13WT対照に対して半分以上合成を減少させたこ
とを見いだしている(図2,ぞれぞれレーン6および7)。これらの結果から,
位置−11のリボースがRNA合成に重要であるものとして同定された。
【0107】糖の化学的修飾: RdRpは,位置−11のリボースの2'−OHを,水素結合ドナーまたは水
素結合アクセプターのいずれかとして,またはC2'部分により影響を受けるリ
ボースの配向により,認識することができた。位置−11の2'−OHの役割を
決定するために,本出願人は,種々のC2'置換(14)を有するWT配列のD
NAプロスクリプトd(−20/13)を合成した。位置−11の糖に2'−O
H(リボース),2'−OCH3および2'−Fを含有するものを選択した。これ
は,これらの置換がC3'エンドコンフォメーションを形成しうるはずであるか
らである(16)。また,より低い頻度でC3'エンドコンフォメーションを形
成する2'−NH2も試験した。可能性のある水素結合アクセプターとしては,
2'−OH,2'−NH2,2'−OCH3および2'−Fが挙げられるが,2'−
OHおよび2'−NH2はまた,水素ドナーとしても作用することができる。こ
れらの置換を含むプロスクリプトからのRNA合成の量を判定した(図2,レー
ン8−11)。位置−11のC2'置換体はいずれも,全DNAプロスクリプト
d(−20/13)よりRNA合成を2−3倍強く指令することができ,−11
G残基の2'−位置の重要性が確認された。驚くべきことに,これらの置換は,
RNA合成を指令する能力が互いに類似していた(10%から16%の範囲)。
2’−NH2(図2,レーン9)を含むプロスクリプトからのRNA合成のレベ
ルは,−11G残基における支配的なC3’エンド配向はRdRpとの正しい相
互作用には重要ではないかもしれないことを示す。2'−Hは水素を受容できな
い唯一の置換であるため,−11リボースの重要性の説明として可能性のあるも
のは,これがRdRpをこの位置に正しく配置するのに必要な水素結合アクセプ
ター部位を提供しているということである。あるいは,2'−OHの存在が,立
体的妨害により,ある未知の有害な構造が生ずることを防止しているのかもしれ
ない。
【0108】競合アッセイ: テンプレート競合アッセイを用いて,機能的結果から予測されるようにサブゲ
ノムプロモーター中へのデオキシリボースの挿入がRdRpにより直接結合され
る能力に対して悪影響を及ぼすか否かを評価した(図3)。15−nt生成物の
生成を指令するWTプロモーター(プロスクリプト−20/15)からの合成の
量を,種々の競合テンプレートの存在または非存在下で測定した。−20/15
プロスクリプトからの活性を50%減少させるのに必要な競合剤の濃度をI50
と名付けた。RdRpとより強く相互作用しうる競合剤は,−20/15からの
合成をより多く減少させ,より低いI50値を与えるであろう。
【0109】 プロスクリプト−20/13WT(リボース残基のみから構成される)は,−
20/15プロスクリプトと同じモル比で存在したとき,15−ntの合成のレ
ベルを半分に減少させ,I50は25nMであった(図3)。d(−20/13)
がRdRpにより結合される能力は,穏やかに影響を受けたのみであり,I50
は90nMであった(図3)。d(−20/13)が−20/13WTプロスク
リプトからのものと比較して,RNA合成を指令する能力が15倍以上減少して
いたのであれば,このI50値の3−4倍の減少は,驚くべきことである。30n
MのI50の値により示されるように,それ以外はすべてデオキシリボースである
プロスクリプトの−11グアニル酸のC2'位置に−OHまたは−OCH3基が
存在することは,RdRpにより結合される能力を実質的に保持していた(図3
)。2'−OCH3置換について2'−OHによるものと同じレベルの結合が観察
されたという事実は,この増加が水素結合接触の回復によるものであることを示
唆する。負の対照として,位置−20から−1にWT配列を含むリボースプロス
クリプトは,試験した競合剤の範囲では(10倍モル過剰)15−ntの合成を
有効に阻害することができなかった。
【0110】 図1に示される構築物を用いて得られた結果は,最小長さのDNA構築物をウ
イルス合成の潜在的阻害剤として用いることができることを示唆した。位置−1
から始まるWT開始配列を含み,その5'末端では増加する切断型を有するDN
A阻害剤を,テンプレート競合アッセイにおいて試験した。予測されたように,
すべての構築物が,13−,8−,または6−ntのRNA生成物を指令するこ
とが見いだされた。また,これらの構築物はすべて,−20/15プロスクリプ
トからのRNA合成を,5'配列の長さに依存する様式で有効に減少させた(図
4)。負の対照として,WT開始配列を含まないd(−l/13)Revプロス
クリプトは,試験した阻害剤の範囲では(500倍モル過剰)合成を阻害するこ
とができなかった。比較的安定なDNA阻害剤によるインビトロでのウイルスR
NA合成の配列特異的減少により,ウイルス治療の合理的な設計が可能となるは
ずである。
【0111】 本出願人は,RdRpがDNAテンプレート上の内部または末端のいずれかの
開始部位を認識し,ここから正確なRNA合成を開始する能力を有することを示
してきた。さらに,化学的に合成されたプロスクリプトからの機能性データおよ
び結合データは,位置−11の2'−OHが,RNA合成の開始の間に,RdR
pとの直接のまたは水分子を介する水素結合に関与することを示唆する。しかし
,プロスクリプトのテンプレート部分(位置+3から+13)中のリボヌクレオ
チドは,おそらくは,ポリメラーゼが開始段階の後に移動する際のコンフォメー
ション変化を安定化させることにより,WTレベルのRNA合成を指令するのに
必要なのであろう(17)。テンプレートリボースに対するこの優先性は,最後
から2番目のヌクレオチドから合成を開始する最小プロスクリプトにおいては観
察されない。これはおそらく,RdRpがそのコンフォメーションを調節するこ
とができるか,および/またはコアプロモーターの存在下で活性であるためであ
る。特定のRNAを認識する他の蛋白質もまた,リボースに対して限定された接
触要求性を有する傾向にある。例としては,MS2コート蛋白質およびE.co
ilアラニン−tRNAシンターゼが挙げられる(18)。現代のRdRp(ま
たはその保存された痕跡)が原始的RNAレプリカーゼを最もよく反映している
ため,これらの結果は,RNAからDNAテンプレートへの遷移の間に結合エネ
ルギーの顕著な減少が生じなかったことを立証する。このエネルギー的不利を取
り除くことにより,先祖RdRpが,新たなDNAワールドで必要なDNAゲノ
ムを転写しおそらくは複製するよう進化することがより容易になったであろう。
【0112】実施例5:化学的に修飾された塩基のテンプレート中への挿入の影響 プロスクリプトの合成: ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて,RNA pB3TP8(9)のc
DNAクローンからのサブゲノムプロモーターを含有する,(−)鎖BMV R
NA3のcDNAコピーを生成した。一方はT7プロモーターを含むプライマー
の対により,先に記載されたように(5)T7RNAポリメラーゼ(Ampli
scribe,Epicentre)を用いてプロスクリプトRNAを生成する
ことができる。イノシンを取り込む転写反応は,開始を生じさせる2mMのプラ
イマーGpG,および反応においてGTPの代わりにITPを用いて実施した。
RNAは,Qiagenカラム(Chatsworth,CA)で,製造元のプ
ロトコルを用いて精製し,T7転写反応系から残留するNTPおよび蛋白質を除
去した。RNAは,変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により視
覚的に検査し,UV吸収により定量した。
【0113】 プリンリボシド(Liu et al.,1997,J.Mol.Biol.
267,163−171),2−アミノプリンリボシド(Konforti e
t al.,1998,J.Mol.Cell1,433−441),およびピ
リミジン−2−オンリボシド(Murray et al.,1995,Bio
chem.J.311,487−494))の1'−O−TBDMSi−3'−O
−ホスホルアミダイトの合成は,先に記載されたように実施した。7−デアザ−
2'−デオキシグアノシンの3'−O−ホスホルアミダイトは,Glen Res
earch(Sterling,VA)から購入した。これらの塩基類似体を含
むプロスクリプトの化学合成は,ABI 394自動化DNA合成機で(ABI
,Foster City,CA),Wincott et al.,(上掲)
にしたがい,慣用的なホスホルアミダイト伸長サイクルを用いて行った。次にエ
タノール性水酸化アンモニウムおよびトリエチルアミン三フッ化水素酸で処理し
て環外アミノおよび1'−OH保護基を切断した後,プロスクリプトをアニオン
交換HPLCにより精製し,分析した(Wincott et al.,199
5,Nucleic Acids Res.23,2677−2684)。化学
的に合成された各プロスクリプトの質量スペクトル分析は,Voyager−D
E MALDI−TOF分光高度計を用いて行い(Perseptive Bi
osystem,Framingham,MA),すべて予測された質量の0.
1%以内であった(表5)。
【0114】RdRp活性のアッセイおよび生成物の分析: BMV RdRpは,先に記載されたように(Sun et al.,199
6,Virology 226,1−12),感染した大麦から調製した。標準
的アッセイは,20mMグルタミン酸ナトリウム(pH8.2),4mM Mg
Cl2,12.5mMジチオスレイトール,0.5%(v/v)TritonX
−100,2mM MnCl2,200μM ATPおよびUTP,500μM
GTP,および250nM[α−32P]CTP(Amersham)を含む
40μlの反応系中の,25nMのテンプレートRNA(特に記載しない限り)
および10μlのRdRpから構成された。反応系は,30℃で90分間インキ
ュベートし,フェノール/クロロホルム抽出により停止し,次に5μgのグリコ
ゲンおよび0.4M酢酸アンモニウムの存在下でエタノール沈殿した。生成物は
,20%変性(8M尿素)ポリアクリルアミドゲルで電気泳動により分離した。
ゲルをプラスチックで覆い,−80℃でフィルムを感光させた。生成物のバンド
は,ホスファーメージャー(Molecular Dynamics)を用いて
定量し,値をWTテンプレート(−20/13)から生成した生成物の量と比較
して,変異テンプレートの相対的活性のパーセントを求めた。示されるすべての
値は,少なくとも3回の独立した実験の平均を表し,標準偏差が示される。WT
−20/13は,ウイルス(+)鎖RNA3の位置1222−1252に相補的
な配列を含む。
【0115】 テンプレート競合アッセイは上述した反応条件下で実施したが,ただし,15
−nt生成物の合成を指令する25nMのプロスクリプト−20/15を,増加
する濃度の種々の競合剤とともにインキュベートした。これらの反応において用
いたRdRpの量は,先に記載されたように限定的であった(Siegel e
t al.,1997,Proc.Acad.Natl.Sci.USA 94
,11238−11243)。−20/15プロスクリプトから生成した生成物
を上述のように定量化し,競合剤の濃度に対してプロットして,I50値と称され
る,15−nt生成物を50%減少させるのに必要な競合剤の濃度を決定した。
【0116】 サブゲノム開始部位(+1)に対して位置−17,−14,−13,および−
11に位置するヌクレオチドは,RNA合成に必要であり,この効果を媒介する
機能性成分に関して推定を行った(図5A)(Siegel et al.,(
上掲))。4つの重要な位置のそれぞれに塩基類似体を含有するRNAを作成し
て,これらの官能基の重要性を決定した(図5)。WT対照として,(−)鎖R
NA3におけるサブゲノム開始部位の20−nt3'側にWTプロモーター配列
を含む33−ntのプロスクリプト(−20/13と称される)を構築した。こ
のプロスクリプトは,13−nt生成物の合成を指令する。この最初の11−n
tはBMV配列であり,その後にRdRp生成物を[α−32P]CTPで標識
することを可能とする2つのグアニル酸を含む(図5Bおよび図5C,レーンW
T)。
【0117】 本出願人は,最初に位置−17のグアニル酸の認識を実験した(図5B)。C
6ケト(およびおそらくはN1)基は,BMV RdRpと相互作用すると推定
された。C6ケト基を除去してN1部分と二重結合を形成する塩基類似体2−ア
ミノプリンを含むプロスクリプトRNAは,RNA合成をバックグラウンドレベ
ルまで減少させた(図5B,レーン1)。変異分析は,C2アミンおよびN7イ
ミンについての役割を示唆しなかった(Siegel et al.,(上掲)
)。RdRpとの相互作用におけるC2アミンのより限定された役割は,2−ア
ミノプリン置換の厳格さにより推測することができ,これは,C6ケトおよびお
そらくはN1基が決定的成分であることを示す。負の対照として,−17リボー
スのデオキシリボースへの変更は,RdRp認識に影響を与えなかった(図5B
,レーン2)。最後に,炭素による置換ならびにリボースからデオキシリボース
への変更によるN7イミンの直接的実験は,プロスクリプトがRdRpによるR
NA合成を指令する能力に影響を与えなかった(図5B,レーン3)。
【0118】 位置−11のグアニル酸は,C6ケト(N1アミンとともに)およびN7イミ
ンの両方により媒介される歯状突起様式で認識されると推定されていた。この位
置に2−アミノプリン塩基類似体(Konforti et al.,(上掲)
)を組み込むと,RNA合成を指令する能力は顕著に40%に減少した(図5B
,レーン4)。しかし,RNA合成はバックグラウンドレベルまでは下がらず,
N7イミンもまた重要であるという推定と一致した。N7デアザ塩基類似体はデ
オキシリボース形でのみ入手可能であった。したがって,位置−11にデオキシ
グアノシンを有する対照RNAを最初に試験した。位置−11のデオキシリボー
スはRNA合成を野生型の46%に減少させた(図5B,レーン5)。このこと
は,RNA主鎖がサブゲノムプロモーター認識のある局面を媒介することを意味
する。N7イミンおよび2'−OHを両方除去すると,合成はさらに野生型の2
5%まで減少し,このことは,推定されるN7イミンの認識を示す(図5B,レ
ーン6)。この場合も,この塩基類似体はC6ケト基を保持しているため,RN
A合成はなくならなかった。
【0119】 位置−14のアデニル酸のRdRp認識についての候補は,環外C6アミン基
である。この基の重要性を試験するために,この位置のアデニル酸をプリンリボ
シド類似体(Liu et al.,(上掲))で置き換えた。この変更を有す
るRNAは,野生型の60%の合成を保持しており,このことは,アデニル酸の
何か別の特性がRdRpによる認識に重要であることを示唆する(図5C,レー
ン1)。これに対し,−13シチジル酸は,環外C4アミン基によりRdRpと
相互作用すると推定されていた。この官能基を特異的に除去した塩基類似体ピリ
ミジン−2−オン(12)を含むプロスクリプトは,RNA合成のレベルを7%
に減少させた(図5C,レーン2)。
【0120】RdRpはサブゲノムプロモーター中で接触する: テンプレート競合アッセイを用いて,種々のプロモーター変異が,RNAがB
MV RdRpと相互作用する能力に影響を与えるか否かを試験した(表6)。
15−nt生成物の生成を指令するWTプロモーター(プロスクリプト−20/
15)からの合成の量を,種々の競合テンプレートの存在または非存在下で測定
した。競合剤として用いた変異プロスクリプトが,RdRpにより認識されるそ
の能力を失えば,反応系にそれが存在することは,WT−20/15プロスクリ
プトからの合成の量に悪影響を与えないはずである。
【0121】 正の対照として,WTプロスクリプト−20/13(13−nt生成物を生成
する)を,−20/15からの15−nt生成物の合成を阻害する能力について
試験した。このプロスクリプトがプロスクリプト−20/15と同じモル量で存
在したとき,15−nt合成のレベルは半分に減少した。合成を指令する能力を
なくす,位置−14,−13,および−11における変異は,モル過剰で存在し
た場合においても,BMV RdRpが生産的にWTプロモーターと相互作用す
ることを阻害しなかった(表6)。これは,位置−17における変異を用いて得
られた結果と同じであった(Siegal et al.,(上掲))。これに
対し,開始シチジル酸のグアニル酸への変更(RNA合成を指令するその能力を
なくす)は,5倍モル過剰で存在したとき,プロスクリプト−20/15からの
合成を40%以上減少させた(表6)。すなわち,コアプロモーターおよび開始
ヌクレオチドにおける変異ですら,RNA合成を指令する能力をすべて劇的に減
少させた。これらの結果は,サブゲノムコアプロモーターおよび開始部位中のヌ
クレオチドが異なる様式で認識されることを示唆する。
【0122】RdRpがサブゲノムプロモーターと相互作用するのに必要な最小テンプレート
RdRpとの安定な相互作用に必要なテンプレートの長さを明らかにするため
に,テンプレート切断型を含むプロスクリプトを構築し,それらがプロスクリプ
ト−20/15からの15−nt生成物の合成を阻害する能力について試験した
。−20/15の活性を50%減少させるのに必要な競合プロスクリプトの濃度
をI50値と名付けた。テンプレート競合アッセイのこの改良により,種々のプロ
スクリプトがRdRpと相互作用する能力を比較することが可能となった。より
優れた競合剤(RdRpとより強く相互作用し,したがって,プロスクリプト−
20/15からの合成を減少させることができる)は,より低いI50値を有する
であろう。これらの切断型プロスクリプトはすべてWTプロモーター配列を含む
が,そのテンプレートの長さは,13−から5−,3−,2−,1−,および0
−ntまで様々であった(図6A)。RNA合成の影響を結合から分離するため
に,これらの切断型プロスクリプトはすべて変異開始部位(+lc/g)を含ん
でいた。プロスクリプト−20/13+lc/gと−20/13WTのI50値の
比較は,15−nt生成物の合成を阻害する能力が5倍相違することを明らかに
した(図6B)。これは,表6に見られる結果と一致する。
【0123】 競合RNAの13−から3−ntのテンプレート部分の長さを短くすると,R
dRpと相互作用するその能力に有害な影響はなかった(I50値は95−125
nMの範囲,図6B)。しかし,2−ntの長さのテンプレートは,試験した濃
度範囲では(10倍モル過剰まで)プロスクリプト−20/15からの15−n
tの合成を50%減少させることができなかった(図6B)。予測されたように
,この欠陥はまた,テンプレート中に1−または0−ntを有するプロスクリプ
トにおいても認められた。(図6B)。これらの結果は,RdRpとの安定な相
互作用に必要なプロスクリプト最小の長さは3ヌクレオチドであることを示す。
この要求性は,位置+2および+3のヌクレオチドの種類には依存しない。これ
は,これらの位置に種々のヌクレオチドを含むプロスクリプトが類似するI50
を有していたためである。
【0124】サブゲノム開始部位のまわりのヌクレオチドの認識: 本出願人は,次に,RdRpがどのようにして正しい開始部位を認識するかを
決定しようとした。位置−1,+1および+2に塩基類似体を含有するプロスク
リプトを構築した。−1グアニル酸の2−アミノプリンへの変更および+2アデ
ニル酸の環外基を有しないプリンへの変更により,いずれも,RNA合成がわず
かに40−45%減少したプロスクリプトが得られた(図7,レーン2および4
)。逆に,+1シチジル酸から環外C4アミン基を除去すると,RNA合成は検
出できないレベルまで減少した(図7,レーン3)。これらの結果は,ヌクレオ
チドのこの同じ領域中の変異分析からの知見と一致する(15)。BMV Rd
Rpによる+1ヌクレオチドの認識は以下に議論される。
【0125】用途 本発明の核酸分子は,RNA転写を阻害することによりウイルス複製を防止す
るために用いることができる。これは,ウイルスがRNA合成に宿主細胞のメカ
ニズムではなくそれ自身の特定のウイルスポリメラーゼを用いる場合,特に有効
である。非限定的例においては,ブロムモザイクウイルスはRNA依存性RNA
ポリメラーゼを用いてウイルスRNAを生成する。ポリメラーゼはウイルスに特
異的であるため,宿主細胞の正常な細胞メカニズムに影響を与えることなくこれ
を阻害することができる。このことは,副作用が生ずる可能性を減少させ,ウイ
ルス特異的治療を可能とする。ウイルスがRNAを転写するのにウイルスポリメ
ラーゼを用いるのであれば,この技術を用いて他のRNAウイルスを阻害するこ
とができるであろう。核酸分子を用いる阻害の概念は図9に示される。図9Aは
RNA転写の正常な開始を示し,図9Bおよび9Cは,核酸分子阻害剤の影響を
示す。
【0126】インビトロ用途: 本発明の核酸分子はまた,診断用途,すなわち分子をウイルスポリメラーゼの
検出に用いるのに有用である。ウイルス負荷の1つの基準は関連する細胞タイプ
または患者において発現しているウイルスポリメラーゼの量である。核酸分子と
患者から得たウイルスポリメラーゼとの結合により蛍光または着色シグナルが放
出される診断キットを設計することができる。このシグナルを検出し,定量して
,患者中のウイルス負荷のレベルを決定することができる。しかし,ウイルスポ
リメラーゼの発現,および標的細胞ならびに患者に対する推定状のリスクを見抜
くためには,その結果を定量することが絶対的に必要なわけではない。リスクを
確立するためには,ウイルスポリメラーゼの発現の判定で十分であろう。同等の
特異的活性のプローブを用いれば,蛋白質レベルの定性的比較が適当であり,初
期の診断コストを低くするであろう。これらの核酸分子についての他のインビト
ロ用途としては,ウイルスポリメラーゼのメカニズムの研究における研究試薬と
しての用途が含まれ,これはより優れた薬剤の設計につながるであろう。
【0127】 他の態様は,以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は,BMV RdRpがRNAまたはDNAプロスクリプト
からRNA合成を正確に開始する能力を示す。
【図2】 図2は,RdRpによるRNA合成を促進するリボース部分を示
す。
【図3】 図3は,RdRpとの安定な相互作用におけるリボース2'−O
Hの役割を示す。
【図4】 図4は,最小DNAプロスクリプトがインビトロでウイルスRN
A合成を阻害しうることを示す。
【図5】 図5は,RNA合成の開始に必要なサブゲノムプロモーター中の
機能的成分を示す。
【図6】 図6は,RdRpとの安定な相互作用に必要なテンプレート要求
性を示す。
【図7】 図7は,サブゲノム開始部位の認識を示す。WT−20/13プ
ロスクリプトの配列を開始部位とともに示す。
【図8】 図8は,RNA合成を開始するのに必要な,BMV RdRpと
サブゲノムプロモーター要素との間の相互作用のモデルを示す。
【図9】 図9は,ウイルス複製を阻害する核酸分子の概略図を示す。
【図10】 図10は,選択されたオリゴヌクレオチドのI50値である。
【図11】 図11は,DNA阻害剤のI50値のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/12 C12N 1/21 C12N 1/21 15/00 ZNAA 5/10 5/00 B C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 カオ,チェン・シー アメリカ合衆国インディアナ州47401,ブ ルーミントン,サウスダウンズ,1516イ ー・サウス (72)発明者 ジーゲル,ロバート・ダヴリュー アメリカ合衆国ニューメキシコ州87025, ジェームズ・スプリングス,ヒドゥン・バ レイ528 (72)発明者 ベロン,ローレント アメリカ合衆国コロラド州80301,ボウル ダー,グレンウッド・ドライブ2946 (72)発明者 ベイジェルマン,レオニド アメリカ合衆国コロラド州80303,ロング モント,コルト・ドライブ5530 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA19 CA05 DA02 EA02 EA04 FA02 FA07 GA11 HA17 4B065 AA93X AA93Y AB01 BA02 CA44 4C084 AA13 NA14 ZB332 ZC202 4C086 AA01 AA03 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB33 ZC20

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウイルスポリメラーゼに特異的に結合し,前記ウイルスポリ
    メラーゼの活性を阻害しうる,直鎖状一本鎖核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記核酸分子が少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド
    を含む,請求項1記載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記核酸分子が少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む,
    請求項1記載の核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記核酸分子が少なくとも4つのヌクレオチドを含む,請求
    項1記載の核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記核酸分子が5−100ヌクレオチドを含む,請求項1記
    載の核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記核酸分子が5−50ヌクレオチドを含む,請求項1記載
    の核酸分子。
  7. 【請求項7】 前記核酸分子が5−25ヌクレオチドを含む,請求項1記載
    の核酸分子。
  8. 【請求項8】 前記ウイルスポリメラーゼがRNAポリメラーゼである,請
    求項1記載の核酸分子。
  9. 【請求項9】 核酸分子中の各ヌクレオチドが,2'−O−メチル,2'−O
    −アリル,2'−O−メチルチオメチル,L−ヌクレオチド;2'−C−アリル;
    1−5−アンヒドロヘキシトール;2,6−ジアミノプリン;2'−フルオロ;
    2'−デオキシ−2'−アミノ;2'−(N−アラニル)アミノ;2'−(N−フェ
    ニルアラニル)アミノ;2'−デオキシ−2'−(N−β−アラニル)アミノ;2
    '−デオキシ−2'−(リシル)アミノ;2'−O−アミノ;2'−デオキシ−2'
    −(N−ヒスチジル)アミノ;6−メチルウリジン;5−メチルシチジン;2'
    −(N−β−カルボキシアミジン−β−アラニル)アミノ−2'−デオキシ−ヌ
    クレオチド;およびキシロフラノシルからなる群より選択されるヌクレオチド修
    飾を独立して含む,請求項1記載の核酸分子。
  10. 【請求項10】 前記RNAポリメラーゼがBMV,HCV,またはHBV
    に由来するものである,請求項8記載のRNAポリメラーゼ。
  11. 【請求項11】 ウイルスの複製を阻害する方法であって,請求項1記載の
    核酸分子を,前記核酸分子がウイルスポリメラーゼに結合するのに適した条件下
    でウイルスポリメラーゼ分子と接触させ,このことによりウイルス複製を阻害す
    る工程を含む方法。
  12. 【請求項12】 前記核酸分子が複数のリボヌクレオチド,デオキシリボヌ
    クレオチド,またはリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む,
    請求項1記載の核酸分子。
  13. 【請求項13】 前記核酸分子が,複数のヌクレオチド修飾を含む,請求項
    1記載の核酸分子。
  14. 【請求項14】 前記核酸分子が,5'キャップ構造,3'キャップ構造また
    は5'および3'キャップ構造を含む,請求項1記載の核酸分子。
  15. 【請求項15】 前記3'キャップ構造が,それが存在する場合には,反転
    無塩基残基;4',5'−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフ
    ラノシル)ヌクレオチド;4'−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド;1
    ,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌ
    クレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;スレオ−ペン
    トフラノシルヌクレオチド;非環状3',4'−セコヌクレオチド;非環状3,4
    −ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環状3,5−ジヒドロキシペンチルヌク
    レオチド,3'−3'−反転ヌクレオチド部分;3'−3'−反転無塩基部分;3'
    −2'−反転ヌクレオチド部分;3'−2'−反転無塩基部分;1,4−ブタンジ
    オールホスフェート;3'−ホスホルアミデート;ヘキシルホスフェート;アミ
    ノヘキシルホスフェート;3'−ホスフェート;3'−ホスホロチオエート;ホス
    ホロジチオエート;およびメチルホスホネート部分からなる群より選択されるキ
    ャップ構造である,請求項14記載の核酸分子。
  16. 【請求項16】 前記5'キャップ構造が,それが存在する場合には,4',
    5'−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレ
    オチド;4'−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド;5'−アミノ−アルキ
    ルホスフェート;1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート,3−アミノプ
    ロピルホスフェート;6−アミノヘキシルホスフェート;1,2−アミノドデシ
    ルホスフェート;ヒドロキシ−プロピルホスフェート;1,5−アンヒドロヘキ
    シトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基
    ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド
    ;非環状3',4'−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチ
    ド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,5'−5'−反転ヌクレオチド
    部分;5'−5'−反転無塩基部分;5'−ホスホルアミデート;5'−ホスホロチ
    オエート;1,4−ブタンジオールホスフェート;5'−アミノ;架橋および/
    または非架橋5'−ホスホルアミデート,ホスホロチオエートおよび/またはホ
    スホロジチオエート,架橋または非架橋メチルホスホネートおよび5'−メルカ
    プト部分からなる群より選択されるキャップ構造である,請求項14記載の核酸
    分子。
  17. 【請求項17】 前記核酸分子が,3'キャップ構造として3'−3'結合反
    転無塩基部分を含む,請求項14記載の核酸分子。
  18. 【請求項18】 前記ウイルスポリメラーゼが植物ウイルスポリメラーゼで
    ある,請求項1記載の核酸分子。
  19. 【請求項19】 前記ウイルスポリメラーゼが動物ウイルスポリメラーゼで
    ある,請求項1記載の核酸分子。
  20. 【請求項20】 前記ウイルスポリメラーゼが細菌ウイルスポリメラーゼで
    ある,請求項1記載の核酸分子。
  21. 【請求項21】 請求項1記載の少なくとも1つの核酸分子を,その核酸分
    子の発現を可能とする様式でコードする核酸配列を含む発現ベクター。
  22. 【請求項22】 前記発現ベクターが, a)転写開始領域; b)転写終止領域; c)少なくとも1つの前記核酸分子をコードする遺伝子 を含み,ここで,前記遺伝子は,前記核酸分子の発現および/または輸送を可能
    とする様式で,前記開始領域および前記終止領域に動作可能なように連結されて
    いる,請求項21記載の発現ベクター。
  23. 【請求項23】 前記発現ベクターが, a)転写開始領域; b)転写終止領域; c)オープンリーディングフレーム; d)少なくとも1つの前記核酸分子をコードする遺伝子 を含み,ここで,前記遺伝子は,前記オープンリーディングフレームの3'−末
    端に動作可能なように連結されており,かつ,前記遺伝子は,前記核酸分子の発
    現および/または輸送を可能とする様式で,前記開始領域,前記オープンリーデ
    ィングフレームおよび前記終止領域に動作可能なように連結されている,請求項
    21記載の発現ベクター。
  24. 【請求項24】 前記発現ベクターが, a)転写開始領域; b)転写終止領域; c)イントロン; d)少なくとも1つの前記核酸分子をコードする遺伝子 を含み,ここで,前記遺伝子は,前記核酸分子の発現および/または輸送を可能
    とする様式で,前記開始領域,前記イントロンおよび前記終止領域に動作可能な
    ように連結されている,請求項21記載の発現ベクター。
  25. 【請求項25】 前記ベクターが, a)転写開始領域; b)転写終止領域; c)イントロン; d)オープンリーディングフレーム; e)少なくとも1つの前記核酸分子をコードする遺伝子 を含み,ここで,前記遺伝子は,前記オープンリーディングフレームの3'−末
    端に動作可能なように連結されており,かつ,前記遺伝子は,前記核酸分子の発
    現および/または輸送を可能とする様式で,前記開始領域,前記イントロン,前
    記オープンリーディングフレームおよび前記終止領域に動作可能なように連結さ
    れている,請求項21記載の発現ベクター。
  26. 【請求項26】 請求項1記載の核酸分子を含む細胞。
  27. 【請求項27】 前記細胞が植物細胞である,請求項26記載の細胞。
  28. 【請求項28】 前記細胞が動物細胞である,請求項26記載の細胞。
  29. 【請求項29】 前記細胞が細菌細胞である,請求項26記載の細胞。
  30. 【請求項30】 前記細胞が哺乳動物細胞である,請求項26記載の細胞。
  31. 【請求項31】 前記哺乳動物細胞がヒト細胞である,請求項30記載の哺
    乳動物細胞。
  32. 【請求項32】 請求項1記載の核酸分子を含む医薬組成物。
  33. 【請求項33】 前記核酸分子が化学的に合成されたものである,請求項1
    記載の核酸分子。
  34. 【請求項34】 前記核酸分子が酵素的に合成されたものである,請求項1
    記載の核酸分子。
  35. 【請求項35】 前記核酸分子が精製された形態である,請求項1記載の核
    酸分子。
  36. 【請求項36】 核酸分子が,開始ヌクレオチドを含有するウイルス核酸配
    列を含む,請求項1記載の核酸分子。
  37. 【請求項37】 前記核酸分子が少なくとも4つのヌクレオチドを含む,請
    求項36記載の核酸分子。
  38. 【請求項38】 前記ウイルスポリメラーゼが,(+)一本鎖RNAウイル
    スによりコードされる,請求項1記載の核酸分子。
  39. 【請求項39】 前記ウイルスポリメラーゼが,(−)一本鎖RNAウイル
    スによりコードされる,請求項1記載の核酸分子。
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