JP2002519648A - ニューロンの生存に関与する化合物を検出するためのshp−1およびshp−2の使用 - Google Patents

ニューロンの生存に関与する化合物を検出するためのshp−1およびshp−2の使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ニューロンにおけるSHPの生物活性を調節し、したがってニューロンの細胞死を制御する化合物を同定する手段を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明の分野はニューロンのアポトーシスである。
【0002】発明の背景 変性しつつある、または損傷を受けた神経系の修復を促進する戦略の開発は、
治療の場において現在進行中の大きな目標である。損傷した神経系を治療する現
行の戦略には、移植手術と、成長因子などの組換え外因性蛋白質を用いた治療と
が含まれる。これらの治療法にはいずれも大きな制限がある。すなわち、外科的
アプローチは高価で、侵襲的であり、大きな労働力を要する一方で、成長因子は
一般に血液脳関門を通過することができず、多形質発現性の生物活性を有するこ
とが多い。
【0003】 多くの損傷神経集団の生存および再生は神経栄養因子の作用に依存している。
ニューロトロフィン(neurotrophin)の原型である神経成長因子(NGF)は、交
感ニューロンの発生、成長、生存、および再生と、基底前脳コリン作動性ニュー
ロンの発生および損傷からの救出のために必要不可欠である。脳由来神経栄養因
子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、NT-4およびNT-6をも含むニューロ
トロフィン・ファミリー、ならびにその受容体、Trk A、Trk BおよびTrk Cは、
末梢神経系(PNS)および中枢神経系(CNW)ニューロンの副次集団の発生および
生存を仲介する。リガンドが結合すると、Trkはチロシン残基、特にヒトTrk Aで
は490、670、674、675、および785上で自動リン酸化を受ける。Trkのチロシンリ
ン酸化には2つの主な機能がある。第一に、Trkが特定の細胞質蛋白質を認識し結
合することにより、Trkが細胞内シグナル伝達経路に結合する。リガンドが誘導
するTrkのチロシンリン酸化の第二の機能は、受容体の触媒作用を刺激すること
である。したがって、Trkのチロシンリン酸化は、それらの神経栄養活性の制御
にとって非常に重要である。
【0004】 ニューロンを含むすべての細胞型において、チロシンリン酸化のレベルは蛋白
質−チロシンキナーゼ(PTK)および蛋白質−チロシンホスファターゼ(PTP)両
方の協調作用によって制御される。以前、本発明者らはPC12クロム親和性細胞腫
細胞において、NGFにより刺激され、活性化Trk Aに直接結合する細胞質PTPを同
定した。このPTPであるSHP-1は、SH2ドメインを含む非膜貫通PTP群(SHP)の一
員である。第二のPTPであるSHP-2は、皮質ニューロン中のBDNFによって活性化さ
れる。SHP-1は造血細胞において最高レベルで発現され、SHP-2は偏在的に発現さ
れる。シグナル伝達経路の違いによって、SHPは正と負の両方のシグナルを伝達
する役割を持つことがある。
【0005】 ニューロトロフィンの長期的注入が様々な神経変性性疾患の実験的治療法とし
て用いられている。しかし、ニューロトロフィン受容体(Trkなど)は特定のニ
ューロトロフィンへの持続的曝露に応じてダウンレギュレーションされることが
明らかにされている。神経細胞死を予防するために用いることができるような、
ニューロトロフィンシグナルの減衰を防ぐ化合物を同定する手段の開発が強く望
まれる。
【0006】発明の概要 本発明者らは、SHPがニューロトロフィン処理によって活性化され、Trkを脱リ
ン酸化し、またニューロンの生存を制御することができるという、インビトロお
よびインビボにおける証拠を本明細書に提示する。SHP-1およびSHP-2の活性は、
SHP-2と細胞のチロシンリン酸化蛋白質との結合増強により評価したところ、NGF
によって速やかに誘導される。インビボでは、本発明者らがTrkの触媒活性制御
に非常に重要であることを確認した残基である674位および675位のホスホチロシ
ンで、SHP-1がTrkを非常に効率的に脱リン酸化する。TrkはインビトロではSHP-1
とSHP-2の両方により脱リン酸化され、それによって不活化される。さらに、SHP
-2の野生型および優性形質活性化(ACT)型の発現が、培養した交感ニューロン
の細胞死を促進する。SHP-2仲介性の細胞死は、ニューロンの生存を促進するこ
とが示されている蛋白質Bcl-2の発現により抑制される。これらを合わせて考え
ると、または結果より、Trkの活性制御におけるSHPの重要な役割が示され、これ
らPTPが小分子による薬物標的治療の主な標的であると定義される。本発明は、
ニューロンにおけるSHPの生物活性を調節し、したがってニューロンの細胞死を
制御する化合物の同定法を提供する。
【0007】 本発明は、ニューロンにおける細胞死を調節する化合物の同定法を特徴とする
。第一の局面において、本発明は(a)細胞集団を試験化合物に曝露する段階と
、(b)該細胞内でSHPポリペプチドを発現する段階と、(c)SHPの生物活性レベ
ルの変化、すなわちニューロンにおける細胞死を調節する化合物を示すSHPの生
物活性レベルの変化を解析する段階とを含む方法を特徴とする。この局面の様々
な態様において、細胞はSHPを発現するよう誘導され;該細胞は、SHPポリペプチ
ドを産生するよう誘導される前に試験化合物に曝露され;該細胞は、SHPポリペ
プチドを発現するよう遺伝子操作され;該細胞は、高レベルのSHPポリペプチド
を発現するよう誘導された後に該試験化合物に曝露され;且つ該細胞はニューロ
ンである。
【0008】 第二の局面において、本発明は(a)ニューロンをニューロトロフィンで処理
する段階と、(b)ニューロンを試験化合物に曝露する段階と、(c)SHPの生物
活性の変化、すなわちニューロンにおける細胞死を調節する化合物を示すSHPの
生物活性レベルの変化を解析する段階とを含む、SHPの活性を調節する化合物の
同定法を特徴とする。
【0009】 第三の局面において、本発明は(a)SHPを試験化合物に曝露する段階と、(b
)該SHPを細胞溶解産物に曝露する段階と、(c)SHPと該細胞溶解産物由来の分
子との結合の変化を、該試験化合物に曝露していないSHPと比較して解析する段
階とを含む、該SHPの活性を調節する化合物の同定法を特徴とする。様々な態様
において、試験化合物への曝露と細胞溶解産物への曝露は同時であり、該試験化
合物への曝露を該細胞溶解産物への曝露よりも前に行い、細胞溶解産物はニュー
ロン、昆虫細胞、または線維芽細胞由来であり、分子はTrkである。
【0010】 第四の局面において、本発明は、(a)SHPを試験化合物に曝露する段階、(b)該S
HPをTrkに曝露する段階、および(c)該SHPと該Trkとの結合における変化を、該試
験化合物に曝露されていないSHPと比較して解析する段階を含む、作業を特徴と
する。一つの好ましい態様において、SHPはSHP-1である。
【0011】 第五の局面において、本発明は(a)ニューロンを試験化合物に曝露する段階
と、(b)該ニューロンをニューロトロフィンで処理する段階と、(c)SHPのリ
ン酸化における変化を解析する段階とを含む、該SHPのリン酸化を調節する化合
物の同定法を特徴とする。
【0012】 関連する局面において、本発明は(a)ニューロン由来細胞溶解産物を試験化
合物に曝露する段階と、(b)SHPのリン酸化における変化を解析する段階とを含
む、該SHPのリン酸化を調節する化合物の同定法を特徴とする。
【0013】 もう一つの関連する局面において、本発明は(a)ニューロンで発現された蛋
白質を試験化合物に曝露する段階と、(b)SHPのリン酸化における変化を解析す
る段階とを含む、該SHPのリン酸化を調節する化合物の同定法を特徴とする。
【0014】 本発明の前述の局面の好ましい態様において、SHPは優性形質活性化SHPであり
、SHPの生物活性は、SHPのリン酸化、SHPのTrkとの相互作用、SHPポリペプチド
のレベル、または細胞死を評価することによって測定される。
【0015】 本発明の前述の局面の様々な他の好ましい態様において、TrkはTrk A、Trk B
、またはTrk Cであり;Trkはリン酸化されており;SHPはSHP-1またはSHP-2であ
り;リン酸化蛋白質は1つまたは複数のチロシン残基上でリン酸化されており;
ニューロンは交感ニューロン、皮質ニューロン、海馬ニューロン、運動ニューロ
ン、SCGニューロン、知覚ニューロン、ドーパミン作動性ニューロンからなる群
より選択され、ニューロトロフィンは神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因
子(BDNF)、ニューロトロフィン(NT-3)、NT-4、およびNT-6からなる群より選
択される。
【0016】 本発明の方法を実施するためのキットも本発明に含まれる。
【0017】 「アポトーシス」とは、死につつある細胞が細胞膜小疱形成(cytolemmal mem
brane blebbing)、細胞体収縮、染色質凝縮、およびDNAラダーを含む一連のよ
く特徴付けられた生化学的指標を示す、細胞死の過程を意味する。
【0018】 「ニューロン」とは、動物の神経系のあらゆる部分に由来する外胚葉起源の細
胞を意味する。ニューロンは、ニューロフィラメント蛋白質、MAP2、およびクラ
スIIIβ-チューブリンを含む、よく特徴付けられたニューロン特異的マーカーを
発現する。ニューロンに含まれるものは、例えば、海馬ニューロン、皮質ニュー
ロン、中脳ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン、運動ニューロン、知覚ニ
ューロン、交感ニューロン、中隔コリン作動性ニューロン、および小脳ニューロ
ンである。
【0019】 「曝露」とは、動物、細胞、細胞由来の溶解産物もしくは抽出物、または細胞
由来の分子と、試験化合物またはアポトーシス刺激物質とを接触させることを意
味する。
【0020】 「処理」とは、動物、細胞、細胞由来の溶解産物もしくは抽出物、または細胞
由来の分子を、試験化合物またはアポトーシス刺激物質にさらすまたは供するこ
とを意味する。
【0021】 「試験化合物」とは、それが天然に産出するものであれ人工的なものであれ、
本明細書に記載の解析法の一つを用いることによって、細胞死を調節する能力に
ついて調査される化学物質を意味する。試験化合物には、例えば、ペプチド、ポ
リペプチド、合成有機分子、天然有機分子、核酸分子、およびその成分が含まれ
る。
【0022】 「解析」とは、それが化学的なものであれ物理的なものであれ、まるごとの動
物またはそれに由来する細胞に施した処理または曝露の影響を分析することを意
味する。分析しようとする材料は、動物、細胞、細胞由来の溶解産物もしくは抽
出物、または細胞由来の分子でありうる。分析は、例えば、遺伝子発現の変化、
核酸の安定性(例えばmRNAの安定性)の変化、蛋白質の安定性の変化、蛋白質レ
ベルの変化、または蛋白質の生物活性の変化を検出するためのものでありうる。
分析の手段には、例えば、核酸増幅法、レポーター遺伝子解析、抗体標識、免疫
沈降法、およびリン酸化解析ならびに本発明の分析を実施するための当技術分野
において公知の他の方法が含まれる。
【0023】 「調節」とは、減少または増加のいずれかによる変化を意味する。
【0024】 「減少」とは、a)蛋白質または蛋白質リン酸化の、例えばELISAにより測定さ
れる少なくとも3分の1へのレベルの低下を意味する。
【0025】 「増加」とは、例えばELISAにより測定される少なくとも3倍の蛋白質または蛋
白質リン酸化のレベルの上昇を意味する。
【0026】 「蛋白質」または「ポリペプチド」または「ポリペプチド断片」とは、翻訳後
修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関係なく、天然ポリペプチドも
しくはペプチドの全体または部分を構成する、または非天然ポリペプチドもしく
はペプチドを構成する、アミノ酸2個以上のいかなる鎖をも意味する。
【0027】 「SHPポリペプチド」とは、SH2ドメインを有し、ニューロン細胞中で発現され
た蛋白質−チロシンホスファターゼを意味する。好ましくはSHPはSHP-1またはSH
P-2であり、最も好ましくはSHPはGenbankのアクセッション番号M77273で規定さ
れるSHP-1、またはGenbankのアクセッション番号L03535で規定されるSHP-2であ
る。
【0028】 「プロモーター」とは、操作できるように連結された遺伝子の転写を指令する
のに十分な最小の配列を意味する。
【0029】 「SH2ドメイン」とは、srcチロシンキナーゼの第二の相同ドメインに構造的お
よび機能的同一性(すなわち、ホスホチロシン残基と物理的に相互作用する能力
)を有する、アミノ酸残基約100個のポリペプチドドメインを意味する。
【0030】 「細胞死のレベルの変化」とは、所定の細胞集団におけるアポトーシス細胞死
を受ける細胞の数の(そうではない場合に比べての)増加または減少を意味する
。好ましくは、細胞集団は、ニューロン細胞、線維芽細胞、バキュロウイルス感
染昆虫細胞、またはインビボもしくはインビトロのいずれかでアポトーシス細胞
死を受けることが知られている、あらゆる他のタイプの初代培養細胞もしくは確
立された株化細胞からなる群より選択される。所定の解析における細胞死の程度
は異なるが、当業者であればSHPの生物活性を調節し、したがって細胞死を調節
する化合物を同定する、細胞死のレベルにおける統計学的に有意な変化または治
療上有効な変化を決定できることが理解されると思われる。好ましくは変化は少
なくとも10%、より好ましくは30%、最も好ましくは2倍の変化である。
【0031】好ましい態様の説明 ニューロンのアポトーシスを調節する高特異的な化合物の解析法の開発には、
第一に、関与するアポトーシス経路の鍵となる特定の段階の同定と、第二に、こ
れらの段階での変化を評価する解析法の開発が必要である。
【0032】 Neutrotrophinが正常および損傷ニューロンの生存および成長を刺激するメカ
ニズムを調べるために、本発明者らはリン蛋白質ホスファターゼSHP-1およびSHP
-2が一次ニューロンの分化および生存において役割を果たすかどうかを、この制
御の正確な性質を調べるため培養ラット交感頚神経節(SCG)および皮質ニュー
ロンに本発明者らの研究の焦点を合わせて調べてきた。下記の例は、SHP-1およ
びSHP-2を含むSHPが小分子薬物としての優れた標的であることを示している。
【0033】SHPの活性およびニューロンの細胞死を調節する化合物の一次スクリーニング SHPの生物活性の調節(下記の実施例で説明する)により、ニューロンの細胞
死が調節される。この知見により、本発明者らはSHPの生物活性の調節によって
ニューロンの細胞死を調節する薬物の解析法を提供することができる。このよう
な解析法は(a)SHPのリン酸化状態、(b)SHPの細胞リン蛋白質との結合、(c
)SHPが誘導するニューロン細胞死のレベル、(d)SHPのmRNAまたは遺伝子発現
のレベル、ならびに(e)インビボおよびインビトロでのSHPのTrk受容体との結
合における変化を評価することによって、SHPの生物活性を測定することができ
る。このような測定はインビトロまたはインビボで行うことができ、ニューロン
の細胞死を調節する化合物を同定する解析法の基礎となる。このように同定され
た化合物は神経変性性疾患および神経損傷の治療において治療的価値があると考
えられる。
【0034】SHPの活性およびニューロンの細胞死を調節する化合物の二次スクリーニング SHPの活性またはニューロンの死を調節すると考えられる試験化合物の同定後
、これらの化合物をさらなる試験にかけることが必要または望ましいと考えられ
る。本発明はこのような二次確認解析法を提供する。例えば、初期試験において
SHPの活性を阻害すると考えられる化合物がニューロンの細胞死をも阻害するこ
とを確認するために、これをさらに別の解析法にかける。後期試験はインビボで
実施して、当初SHPの生物活性および培養ニューロンの死を調節すると同定した
化合物が、インビボのニューロンに対して予想される効果を有することを確認す
る。インビボ試験の最初に、軸索切断または脳虚血などの周知の方法により、ニ
ューロンの細胞死を動物で誘発し、次いでこの直後の「治療法」の項で述べる手
段の一つによって化合物を投与する。傷害後数時間から数日以内にニューロンま
たは神経組織を単離し、細胞死のレベルを評価する解析法にかける。このような
解析法は当業者には周知である。このような解析法の例には、MTT解析、アネク
シンV解析、TUNEL解析、およびヨウ化プロピジウム解析が含まれるが、これらに
制限されることはない。
【0035】試験化合物 一般に、SHPの生物活性を標的とすることによって機能する、ニューロン細胞
死の予防または治療用新規薬物は、天然産物もしくは合成(もしくは半合成)抽
出物両方の大きなライブラリ、または化学物質ライブラリから当技術分野におい
て公知の方法にしたがって同定される。薬物発見および開発分野の技術者であれ
ば、試験抽出物または化合物の正確な原料は本発明のスクリーニング手順にとっ
て重要ではないことを理解すると思われる。したがって、本明細書に記載する例
示的方法を用いて、実際にはいかなる数の化学抽出物または化合物でもスクリー
ニングすることができる。このような抽出物または化合物の例には、植物、真菌
、原核生物または動物からの抽出物、発酵ブロス、および合成化合物、ならびに
既存の化合物の修飾体が含まれるが、これらに制限されることはない。糖質、脂
質、ペプチド、および核酸を基本骨格とする化合物を含むが、これらに制限され
ることはない、いかなる数の化合物でも、そのランダムまたは方向付けられた合
成(例えば、半合成または全合成)を行うために多くの方法が同様に利用できる
。合成化合物ライブラリはBrandon Associates(ニューハンプシャー州メリマッ
ク)およびAldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から市販され
ている。または、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形での天然化合物のラ
イブラリは、Biotics(英国サセックス)、Xenova(英国スラウ)、Harbor Bran
ch Oceangraphics Institute(フロリダ州Ft.ピアス)、およびPharmaMar, U.S.
A.(マサチューセッツ州ケンブリッジ)を含む多くの発売元から市販されている
。これに加えて、天然および合成化合物ライブラリは、必要に応じて、当技術分
野において公知の方法、例えば標準の抽出法および分画法によって生成される。
さらに、必要に応じて、いかなるライブラリまたは化合物も、標準の化学的、物
理的、または生化学的方法を用いて容易に修飾される。
【0036】 加えて、薬物発見および開発分野の技術者には、可能な時にはいつでも重複除
去法(dereplication)(例えば、分類学的重複除去、生物学的重複除去、およ
び化学的重複除去、またはそれらの任意の組み合わせ)、すなわち神経変性性疾
患に対する治療活性がすでに知られている物質の重複または繰り返しを排除する
方法を用いるべきであることが容易に理解される。
【0037】 粗抽出物がニューロンの細胞死を防止する、または遅らせると判明した場合に
は、観察された効果の原因である化学成分を単離するために、陽性の親抽出物を
さらに分画する必要がある。したがって、抽出、分画、および精製過程の最終目
的は、ニューロン細胞死予防活性または緩和活性を有する粗抽出物内の化学物質
の注意深い特徴分析と同定である。化合物混の合物における活性検出のための本
明細書に記載する解析法と同じものを、活性成分を精製し、その誘導体を試験す
るために用いることができる。このような不均質な抽出物の分画および精製法は
当技術分野では公知である。必要に応じて、有用な治療薬であることが判明した
化合物を、当技術分野において公知の方法により化学修飾する。治療的価値があ
ると認められた化合物は、続いて哺乳動物のニューロン細胞死モデルを用いて分
析することができる。
【0038】 下記に示すのは、ニューロンの細胞死に関連する状態の治療、予防、または強
化における分子または化合物の有効性を評価する際に有用な高処理量システムの
例である。
【0039】治療法 本明細書で開示する方法のいずれかを用いて同定した化合物を、薬学的に許容
できる希釈剤、担体、または賦形剤と共に単位剤形で患者または実験動物に投与
することができる。通常の薬学的実施法を用いて適当な製剤または組成物を提供
し、患者または実験動物にこのような組成物を投与してもよい。静脈内投与が好
ましいが、いかなる適当な投与経路、例えば非経口、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼
窩内、眼、脳室内、嚢内、髄腔内、槽内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、または
経口投与を用いることもできる。治療用製剤は溶液または懸濁液の形態でもよく
、経口投与用には錠剤またはカプセルの形態でもよく、また、鼻腔内製剤として
は粉末、点鼻液、またはエアロゾルでもよい。
【0040】 製剤を作製するための当技術分野において周知の方法は、例えば「レミントン
の製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。非
経口投与用の製剤は、例えば賦形剤、滅菌水、もしくは塩類溶液、ポリエチレン
グリコールなどのポリアルキレングリコール、植物油、または水素化ナフタレン
を含んでいてもよい。生体適合性、生分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グ
リコリド共重合体、またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体
を用いて化合物の放出を制御することもできる。本発明のアンタゴニストまたは
アゴニストの、他の有用となる可能性のある非経口送達システムには、エチレン
−酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、植え込み型注入システム、およびリ
ポソームが含まれる。吸入用の製剤は賦形剤、例えばラクトースを含んでいても
よく、または例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸
塩およびデオキシコール酸塩を含む水溶液でもよく、または点鼻液の形態もしく
はゲルとして投与するための油性溶液でもよい。
【0041】 下記の例は本発明を例示するためのものである。それらは、いずれにせよ本発
明を制限する意味を持つものではない。
【0042】実施例I 一般的方法 細胞、成長因子および抗体 PC12細胞を10%熱不活化ウマ血清および5%ウシ胎仔血清を含むDMEM中で増殖さ
せる。上頚神経節(SCG)ニューロン培養物の一次培養物を、[Maら、J. Cell. B
iol.、117:135〜141、1992]の方法にしたがって調製する。皮質ニューロンを[W
idmerら、J. Neurochem. 60:2111〜2123、1993]に記載のとおり培養し、維持す
る。これに加えて、これらおよび他のタイプのニューロンを培養する方法は、当
業者には周知である。
【0043】 抗ホスホチロシン(pTyr)抗体4G10、抗SHP-1および抗SHP-2ポリクローナル抗
体をUpstate Biotechnology(ニューヨーク州レークプラシッド)から入手し、
指示通りに用いた。SHP-1モノクローナル抗体はTransduction Laboratories(ケ
ンタッキー州レキシントン)から入手した。抗ホスホTrk抗体はNew England Bio
labs(マサチューセッツ州ビヴァリー)から入手した。抗Trk(203)は以前に記
載されている(Hampsteadら、Neuron、9:883〜896、1992)とおりに用いた。NG
FおよびBDNFはPeprotech(ニュージャージー州ロッキーヒル)から入手した。
【0044】 免疫沈降および免疫ブロッティング 免疫沈降および免疫ブロッティングを以前に記載されている(Kaplanら、Scie
nce、252:554〜558、1991)とおりに実施した。簡単に言うと、細胞を氷冷した
Tris緩衝化食塩水で2回洗浄した後、1mlの1% Nonidet P-40(NP-40細胞溶解緩衝
液(20mM Tris[pH8.0]、137mM NaCl、0.5mM EDTA、10%グリセロール、1mMフッ
化フェニルメチルスルホニル、0.15U/mlアプロチニン、20μMロイペプチン、1mM
バナジン酸ナトリウム)中、4℃で20分間溶解した。不溶性の物質を4℃、10,000
×gで10分間の遠心分離により除去した。免疫沈降を4℃で4〜6時間実施した。沈
降物を蛋白質A−セファロースを用いて回収し、次いでNP-40細胞溶解緩衝液で3
回、水で1回洗浄した。免疫沈降物をサンプル緩衝液(2% SDS、100mMジチオスレ
イトール、10%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー)中で5分間煮沸し
、SDS-PAGEによる電気泳動で調べた。蛋白質ブロットを抗体をプローブに用いて
4℃で終夜反応させた。蛋白質の抗体標識を、Boeringer Mannheim Biochemicals
(ケベック州ラヴァル)から入手した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体
とECL化学発光システム(Amersham Corp.、イリノイ州アーリントンハイツ)を
用いて可視化した。
【0045】 蛋白質のバキュロウイルスによる発現およびSHP/Trk結合解析 Sf9昆虫細胞(2×106)を組換えバキュロウイルスにより感染多重度1から10で
感染させ、感染後48時間溶解した。Sf9細胞を前述の免疫ブロット分析により組
換え蛋白質の発現について解析した。組換えバキュロウイルスは以前に記載され
ている(Stephensら、Neuron、12:691〜705、(1994))とおりに調製した。
【0046】 バキュロウイルスが発現した蛋白質を用いてのインビトロ結合解析を、文献記
載(Kaplanら、前記)のとおりに実施した。簡単に言うと、Sf9細胞(2×106
を感染させ、回収し、NP-40細胞溶解緩衝液中で溶解した。Trk蛋白質を抗Trk(2
03)抗体を用いて免疫沈降させ、免疫沈降物を1%デオキシコール酸塩および0.1%
SDSを含む細胞溶解緩衝液(RIPA)で1回と、50mM Tris(pH7.4)で3回洗浄した
。次いでTrkを50mM Tris(pH7.4)、5mM MnCl2、1mM ATPおよび200μMオルトバ
ナジン酸塩と共にインキュベートすることによって活性化(すなわち、自動リン
酸化)した。次いで、Trk蛋白質をNP40細胞溶解緩衝液で2回洗浄し、1mlのPC12
細胞溶解産物中に再度懸濁した。免疫沈降し、活性化したTrk複合体を細胞溶解
産物と共に4℃で3時間インキュベートし、次いでNP-40細胞溶解緩衝液で3回と10
mM Tris(pH7.4)で1回洗浄した後、免疫ブロット分析を行った。
【0047】 アデノウイルスおよび細胞生存解析 SHP-2アデノウイルスを以前に記載されている(Slackら、J. Cell Biol.、135
:1085、1996)とおりに調製した。ニューロンをウェルごとに5,000細胞で播種
し、SHP-2 WT(野生型)、SHP-2 ACT(触媒性システインのセリンへの突然変異
による、優性形質活性化)、または文献記載のBcl-2アデノウイルス(Slackら、
前記)で感染させた。細胞を48時間培養し、CellTiter 96 Assay Kit(Promega
、ウィスコンシン州マディソン)にしたがいテトラゾリウム塩のホルマザン塩へ
の代謝的変換によって細胞の生存力を評価した。
【0048】 Genbankアクセッション番号 SHP-1およびSHP-2のGenbankアクセッション番号は、それぞれM77273およびL03
535である。
【0049】実施例II ニューロトロフィンがニューロンにおけるSHP-1およびSHP-2の活性化を刺激する
本発明者らはまず、ニューロン細胞がSHP-1およびSHP-2を発現するかどうかに
ついて調べた。PC12クロム親和性細胞腫細胞(当業者には交感ニューロン発生の
モデルを提供するとして知られている)からの蛋白質(100μg)および5日間培
養した交感頚神経節(SCG)ニューロンからの蛋白質(50μg)をSDS-PAGEにより
分画し、ニトロセルロースに移し、抗SHP-1(Transduction Laboratories)また
は抗SHP-2(Upstate Biotechnology, Inc.)抗体のいずれかをプローブに用いて
調べた。SHP-1(図1、左図)およびSHP-2(図1、右図)蛋白質はPC12細胞とSCG
細胞の両方に存在する。以前はSHP-1発現は主に造血細胞系の細胞に限られると
考えられていたため、ニューロン細胞におけるSHP-1の発現は意外である。さら
に、NGFはPC12細胞におけるSHP-1のチロシンリン酸化の増加を刺激する(図2)
。SHP-1のリン酸化レベルはニューロトロフィン処理10分で増加し、ニューロト
ロフィン処理後30分間高値を維持した。さらに、PC12細胞のNGF処理は、SHP-2と
サイズが50から125kDaの範囲の多くのチロシンリン酸化蛋白質との結合を刺激す
る(図3)。これに加えて、NGF処理したSCG培養物で、SHP-2が約115kDaの蛋白質
を含む少なくとも5つのチロシンリン酸化蛋白質と結合していることが判明した
(図4)。さらに、BDNFは皮質ニューロンにおけるチロシンリン酸化蛋白質とSHP
-2との結合を引き起こす(図5)。まとめると、ニューロトロフィンはニューロ
ンにおけるSHP-1およびSHP-2を活性化する。
【0050】実施例III SHP-2の発現がSCGニューロンの細胞死を増加させる 本発明者らは次に、SHP-2が一次ニューロンで過剰発現された場合にニューロ
トロフィン反応を調節する可能性を有するかどうかについて調べた。野生型およ
び突然変異型のSHP-2を発現する組換えアデノウイルスを作製した。発現のため
に次の2つの型のSHP-2を選択した。すなわち野生型(WT)SHP-2と優性形質活性
化(ACT)SHP-2である。SHP-2の優性形質活性化型は触媒性システインをセリン
に突然変異させることにより構築した。培養したSCGニューロンを、野生型SHP-2
(SHP-2 WT)と優性形質活性化SHP-2(SHP-2 ACT)のいずれかをコードするアデ
ノウイルスを用いて、またはこれらのウイルスのいずれかとBc12をコードするウ
イルスを共に用いて感染させた。SHP-2 WTおよびSHP-2 ACTは100MOI(感染多重
度)で用いた。Bc12アデノウイルスは50MOIで用いた。ニューロンの生存を、感
染の48時間後にテトラゾリウム色素MTTを製造者のプロトコル(Promega)にした
がって利用した解析法を用いて定量した。ニューロンの生存は、20ng/mlのNGF中
で維持した対照(非感染)SCG培養物の生存のパーセンテージで表す。WT SHP-2
およびACT SHP-2の発現はいずれも、ニューロンの生存を48時間にわたり著しく
減少させた(図6)。抗アポトーシス蛋白質Bc12とSHP-2変異体いずれかとの同時
発現により、SHP-2の死誘導効果が妨害される。したがって、SHP-2発現はニュー
ロンの細胞死を引き起こすのに十分である。このニューロンの細胞死は、Bcl-2
などの既知のアポトーシス阻害物質により遮断されうるアポトーシスシグナル伝
達経路によって仲介される可能性が最も高い。
【0051】実施例IV SHP-1はバキュロウイルスが発現するTrk受容体と結合する SHPがNGFにより誘導されるシグナル反応を阻害するメカニズムを調べるために
、本発明者らはまずSHPがTrkに結合するかどうかを調べた。SHP-1とTrkが昆虫細
胞(図7)および3T3線維芽細胞(データは示していない)中で同時発現された場
合、SHP-1は活性化(すなわち、自動リン酸化)Trk A、Trk BおよびTrk Cに結合
する。本発明者らはSHP-1のTrkとの結合部位を、Trkが他のシグナル伝達蛋白質
と相互作用するために必要なチロシンにおける突然変異をコードするTrkとSHP-1
とを昆虫細胞中で同時発現させることにより同定した(図8)。野生型および突
然変異Trk A受容体をSf9細胞中で発現させ、前述のとおりに免疫沈降し、活性化
した。固定したTrkをPC12細胞から調製した溶解産物とインキュベートし、大量
に洗浄し、電気泳動して、抗SHP-1(図8、上図)または抗Trk(図8、下図)抗体
をプローブに用いて調べた。本発明者らは、TrkのY490がSHP-1相互作用に必要で
あることを明らかにした。それとは反対に、SHP-2は昆虫細胞中で過剰発現した
場合でさえ、Trkと結合することはできない(図9)。
【0052】実施例V SHP-1およびSHP-2によるTrk受容体の脱リン酸化 本発明者らは、SHPのNGFにより仲介される生存に対する抑制効果が自動リン酸
化Trk受容体の脱リン酸化によるとの仮説を立てた。SHP-1が活性化Trkと結合す
ることができ、SHP-2がTrkによって活性化される(実施例II参照)ということか
ら、本発明者らはSHPがインビトロおよびインビボでTrk Aを脱リン酸化すること
ができるかどうかを明らかにしようとした。Trk、SHP-1、およびSHP-2をSf9細胞
中で発現させ、抗Trk、抗SHP-1、または抗SHP-2抗体を用いた免疫沈降によって
単離した。免疫沈降させたTrkを10mM MnCl2、20mM Tris pH7.4および2.0μCi/ml
[γ-32P]-ATP(3000Ci/mmol)と室温で30分間インキュベートすることによっ
て自動リン酸化させた。次いで、活性化し、放射性標識したTrkを部分精製したS
HP-1またはSHP-2と30℃で20分間インキュベートした。インビトロで、SHP-1とSH
P-2はいずれもTrkを同程度、すなわち約5分の1に脱リン酸化することができる(
図10)。さらに、昆虫細胞におけるTrkとSHP-1またはSHP-2との同時発現により
、Trkの脱リン酸化が起こる。インビボでは、受容体にチロシン490(Y490F)お
よび/またはチロシン785(Y785F)がない場合でも、SHP-1とSHP-2はいずれもTr
kのチロシンリン酸化を低下させる(図11および12)。
【0053】 脱リン酸化部位の位置を特定するために、二つのアプローチをとった。第一に
、本発明者らはチロシン490および785で突然変異を起こしたTrkが、昆虫細胞中
でSHP-1およびSHP-2と同時発現された場合に、これらによって脱リン酸化されう
るかどうかを調べた(図11)。SHP-1は野生型および突然変異型両方のTrkをすべ
て大々的に脱リン酸化する(約8分の1)が、一方、SHP-2による脱リン酸化はそ
れよりも小規模である(約2分の1)。よって、SHPは5つの主なチロシン自動リン
酸化部位で突然変異したTrkを脱リン酸化する。Trkの他の二つの主なチロシンリ
ン酸化部位、Y674および675がSHPの基質であるかどうかを調べるために、野生型
Trk AとSHPを昆虫細胞中で同時発現させ、チロシン674/675および490に方向付
けたリン特異的抗Trk抗体を用いてTrkのY674、Y675およびY490におけるリン酸化
を評価した。SHP-1はTrkを674/675部位で完全に脱リン酸化する(約10分の1)
が、SHP-2はTrkをこれらの部位で部分的に脱リン酸化する(約2分の1)だけであ
る。Y490部位のチロシンリン酸化もSHP-1によって減少する。これらの結果より
、SHPがTrkのリン酸化を調節し、よってTrk活性を制御することが示される。SHP
-2発現は交感ニューロンの死を刺激する(図6)ため、本発明者らはSHPがニュー
ロトロフィンによって活性化されたTrkと結合し、Trk活性の維持に非常に重要な
部位で受容体を脱リン酸化し、それによりニューロンの生存を抑制することによ
って機能すると結論する。
【0054】実施例VI SHPの生物活性を調節する化合物同定のための解析 前述の、SHPによるリン酸化、ホスファターゼ活性、およびTrkや他の細胞蛋白
質との結合における変化、遺伝子発現、蛋白質レベル、ならびにmRNAレベルを観
察する方法を、SHPの活性およびニューロンの細胞死を調節する化合物を同定す
るための高処理量解析において使用する。このように同定された化合物は、神経
変性性疾患および神経損傷の治療における治療薬として有用であると考えられる
【0055】 酵素結合免疫吸着解析 酵素結合免疫吸着解析(ELISA)は、多数の化合物を所定の蛋白質レベルを調
節する能力について試験するために設計された高処理量スクリーニングに容易に
取り入れることができる。本発明の方法で用いる場合、サンプルの所定の蛋白質
レベルを対照と比較しての変化は、サンプル中の細胞、細胞溶解産物、または精
製もしくは部分精製した分子のSHP生物活性における変化を反映する。ELISAのプ
ロトコルは、例えば、Ausubelら、「分子生物学における現行のプロトコル(Cur
rent Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons、ニューヨーク
州ニューヨーク、1997に見いだすことができる。一つの態様、いわゆる「サンド
イッチ」ELISAにおいて、実施例I〜Vに記載のとおりに処理した細胞溶解産物ま
たは精製分子を含むサンプルを、「捕捉」抗体でコーティングしたマイクロタイ
タープレートのウェルにのせる。結合していない抗原を洗浄除去し、検出を可能
にする物質に結合した第二の抗体を加える。検出を可能にする物質には、アルカ
リ性ホスファターゼ(リン酸p-ニトロフェノールなどの比色法基質添加後に検出
可能)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amershamから市販されているECLなどの
化学発光基質により検出可能)またはFITCなどの蛍光化合物(蛍光偏光法または
時間分解蛍光法により検出可能)が含まれる。抗体結合量、よって溶解産物サン
プル中の死マーカーのレベルをマイクロタイター読み取り機で容易に定量するこ
とができる。各解析に対する適当な対照がベースライン参照として常に含まれる
ことが理解される。
【0056】 多くの種類の基本的解析を用いることができる。例えば、SHPのリン酸化状態
の変化を検出するためには、デュプリケートELISA法(duplicate ELISA)を用い
る。両解析の捕捉抗体はSHP特異的で、第二の解析の第二(検出)抗体はリン蛋
白質特異的である。よって、第一のELISAはサンプル中のSHPの絶対量を測定する
ものであり、それに対して第二のELISAはサンプルのSHPのリン酸化程度を明らか
にするものである。デュプリケートELISAは適当な対照サンプルに対しても実施
する。例えば、SHPのリン酸化に対するある化合物の効果を調べるために、デュ
プリケートELISAを試験化合物で処理していないサンプルに対して実施する。
【0057】 試験化合物によるSHPのホスファターゼ活性の調節を調べるためには、捕捉抗
体はSHPに対するもので、検出抗体はSHP基質、例えばTrkに対するものである。
第一のELISAの検出抗体は非リン酸化Trkに対するもので、サンプル中の全Trkを
測定し、第二の解析の検出抗体はリン蛋白質、すなわちホスホTrkに対するもの
で、試験化合物で処理していない対照と比較して基質のリン酸化程度を明らかに
する。第一のELISAで、検出抗体が全体の(すなわちリン酸化状態に無関係の)
蛋白質に対するものである場合は、SHPとTrkなどのその相互作用相手との結合に
おける変化も明らかにする。
【0058】 解析の陽性結果、すなわちSHPの生物活性を調節する化合物の同定は、SHPのリ
ン酸化における少なくとも3倍の変化、リン蛋白質もしくはTrkなどの他の蛋白質
に結合しているSHP量の少なくとも2倍の変化、またはSHPのホスファターゼ活性
における少なくとも3倍の変化によって示される。
【0059】 SHPの生物活性を調節する化合物を同定するための高処理量解析を、細胞、細
胞溶解産物、バキュロウイルス溶解産物、および精製または部分精製分子の処理
サンプルを用いて実施することができる。前述の解析に加えて、当業者には周知
の方法を用いた、蛋白質のリン酸化状態、ホスファターゼ活性、および蛋白質−
蛋白質相互作用を分析するための他の解析を使用できることが理解される(例え
ば、Ausubelら、前記参照)。
【0060】 相互作用トラップ解析 2ハイブリッド法、およびその改変法を用いて、SHPとTrkなどの蛋白質との物
理的相互作用を調節する化合物をスクリーニングする。このような解析はまた、
SHPと相互作用し、よって天然のSHP制御物質となりうる新規蛋白質を同定するた
めにも用いる。SHP制御物質、例えばSHPと他の蛋白質(例えばTrk)との相互作
用を妨害する蛋白質は、3ハイブリッドシステムを用いても同定される。このよ
うな解析は当業者には周知で、例えばAusubelら、前記中にも見いだすことがで
きる。
【0061】 PCR解析 前述の免疫沈降法、ウェスタン法、およびELISA法に加えて、SHPの発現レベル
を調節することによりSHPの活性を調節する化合物をスクリーニングするために
、遺伝子発現を解析するための核酸増幅法を利用する。例えば、ポリメラーゼ連
鎖反応(PCR)は、前の逆転写段階(rtPCR)と組み合わせて、非常に少量の標的
mRNAを検出するためによく用いられる方法である。直線範囲内で適当な内部対照
標的と共に(例えばアクチンなどのハウスキーピング遺伝子を用いて)実施した
場合、このような定量的PCRはmRNAレベルのわずかな調節を検出する非常に正確
で感度の高い方法を提供する。さらに、この解析は96穴形式で容易に実施でき、
よって高処理量スクリーニング解析に容易に組み込まれる。細胞を培養し、前述
の実施例に記載のとおりに試験化合物で処理する。次いで細胞を溶解し、mRNAを
逆転写し、SHPの核酸に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライ
マーを用いて、一般に用いられている方法(Ausubelら、「分子生物学における
現行のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley
& Sons、ニューヨーク州ニューヨーク、1997に記載の方法など)にしたがってP
CRを実施する。対照サンプルと比較して、試験化合物に曝露したサンプルのSHP
の核酸レベルにおける変化により、SHP遺伝子発現またはmRNAの安定性を調節す
る能力を持つ試験化合物が示される。
【0062】 SHPのrtPCR解析に用いるためのオリゴヌクレオチドプライマー作成に用いるDN
A配列は、Genbankデータベース中に前述のアクセッション番号にしたがって見い
だされる。
【0063】 細胞死解析 SHPによるアポトーシス細胞死の変化を用いてSHPの活性を調節する化合物をス
クリーニングする。例えば、SHP(SHP-1、SHP-2、またはSHP-2 ACTを含むがこれ
らに制限されることはない)を、実施例IIIに記載のとおりにニューロン中で過
剰発現させるか、または当技術分野でアポトーシス細胞死をこうむることが知ら
れている他の細胞、例えば線維芽細胞または他の細胞系において過剰発現させる
。SHP発現ベクターは、実施例IIIに記載のアデノウイルスでもよく、または例え
ばレトロウイルスもしくはプラスミドベクターでもよい。これらのベクターは、
操作できるように連結されたSHP遺伝子の発現を制御するために、当業者には公
知で、よく用いられる多くの遺伝子プロモーターのいずれか一つを含んでいても
よい。このようなプロモーターは構成的に活性な、例えばSV40プロモーターでも
よく、または誘導性の、例えばメタロチオネインプロモーターでもよい。細胞死
は、MTT解析、アネクシンV解析、TUNEL解析、およびヨウ化プロピジウム解析を
含む様々な解析によって測定するが、これらに制限されることはない。SHP誘導
性の細胞死のレベルを調節する能力を有すると考えられる化合物は、その化合物
で処理していないサンプルと比べて、SHP誘導性の細胞死のレベルにおける少な
くとも2倍の変化を引き起こすものである。
【0064】 SHPの生物活性を解析するための非ニューロン細胞系 前述の実施例に記載しているとおり、ニューロン以外の細胞型を使用する解析
を用いてSHPの生物活性を調節する化合物をスクリーニングすることができる。
これらの解析には、例えば昆虫細胞、酵母細胞、線維芽細胞、および他の型の細
胞中で実施することができる蛋白質−蛋白質相互作用解析、アポトーシス細胞死
をこうむるいかなる型の細胞中でも実施することができる細胞死解析、例えばAu
subelら、前記に記載のインビトロと同じくいかなる型の細胞中でも実施するこ
とができる脱リン酸化解析が含まれる。
【0065】他の態様 本明細書で言及するすべての出版物および特許出願を、各独立の出版物または
特許出願が具体的且つ個別に参考として本明細書に組み入れられるよう示されて
いるのと同程度に、本明細書に参考として組み入れられる。
【0066】 本発明をその特定の態様に関連して記載してきたが、さらに変更を加えること
が可能であり、本出願は、一般に本発明の原理にしたがい且つ、本発明が属する
技術分野において公知または慣例となり、上で示した本質的特徴に適用されうる
本開示からの逸脱を含む、本発明のいかなる変形、使用、または改変をも含むも
のであり、特許請求の範囲にしたがうことが理解されると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、SHP-1およびSHP-2がPC12細胞および交感ニューロンで発現されること
を示すウェスタンブロットである。
【図2】 図2は、PC12細胞においてNGFがSHP-1のチロシンリン酸化を刺激することを示
すウェスタンブロットである。NGFで処理した細胞から調製した溶解産物を、抗S
HP-1で免疫沈降し、抗ホスホチロシン(pTyr)抗体をプローブに用いて調べた(
上図)。
【図3】 図3は、PC12細胞においてNGFがSHP-2とチロシンリン酸化蛋白質との結合を刺
激することを示すウェスタンブロットである。示した時間だけNGFで処理したPC1
2細胞から調製した溶解産物を、抗SHP-2で免疫沈降し、抗pTyr抗体をプローブに
用いて調べた。
【図4】 図4は、SCGニューロンにおいてNGFがチロシンリン酸化蛋白質とSHP-2との結合
増強を刺激することを示すウェスタンブロットである。ニューロトロフィンで処
理したSCGから調製した溶解産物を、抗SHP-2抗体で免疫沈降し、抗pTyrで免疫ブ
ロットした。レーン1および2:NGF刺激によるチロシンリン酸化蛋白質とSHP-2と
の結合。レーン3および4:NGF刺激によるSCG蛋白質のチロシンリン酸化の増強。
【図5】 図5は、皮質ニューロンにおいてBDNFがSHP-2とチロシンリン酸化蛋白質との結
合を刺激することを示すウェスタンブロットである。BDNFで処理した、または無
処理の皮質ニューロンから調製した溶解産物を、抗SHP-2抗体で免疫沈降し、抗p
Tyr抗体をプローブに用いて調べた。
【図6】 図6は、培養交感ニューロンにおいてSHP-2の発現が細胞死を増加させることを
示すグラフである。
【図7】 図7は、SHP-1がバキュロウイルスが発現するTrk A、Trk BおよびTrk Cと結合
することを示すウェスタンブロットである。Trk A、BおよびCをインビトロで活
性化および自動リン酸化し、PC12細胞溶解産物と共にインキュベートし、電気泳
動により分画し、抗SHP-1抗体(下図)および抗pan Trk抗体(上図)をプローブ
に用いて調べた。
【図8】 図8は、Trk AのSHP-1との結合にはTrk AのY490が必要であることを示すウェス
タンブロットである。分析したTrk受容体は野生型Trk A(Trk)、フラッグ標識T
rk(Flag Trk)、またはY490(Y490F)、Y785(Y785F)、Y490およびY785(Y490
/785F)ならびにK538(K538N)に突然変異を含む受容体であった。
【図9】 図9は、SHP-2がバキュロウイルスが発現するTrkと結合しないことを示すウェ
スタンブロットである。Sf9細胞で発現された野生型および変異型Trk A受容体を
自動リン酸化し、PC12溶解産物と共にインキュベートし、抗SHP-2を用いて免疫
ブロットした。
【図10】 図10は、SHP-1およびSHP-2がインビトロでTrkを脱リン酸化することを示すオ
ートラジオグラムである。Trk、SHP-1およびSHP-2をSf9昆虫細胞内で発現し、抗
Trk、抗SHP-1または抗SHP-2抗体を用いた免疫沈降により単離した。免疫沈降し
たTrkを[γ-32p]ATPで自動リン酸化し、次いで部分精製したSHP-1またはSHP-2と
共にインキュベートした。次いで、Trkのリン酸化レベルをSDS/PAGEおよびオー
トラジオグラフィにより分析した。
【図11】 図11は、インビボでのSHP-1およびSHP-2仲介によるTrk Aの脱リン酸化に、Trk
AのY490およびY785は必要でないことを示すウェスタンブロットである。図に示
すとおり、SHP-1またはSHP-2野生型および変異型Trk Aを同時発現するSf9昆虫細
胞の溶解産物を、抗Trkで免疫沈降し、抗pTyr抗体をプローブに用いて(上図)T
rk Aリン酸化レベルを調べた。Sf9細胞中で同等の量の蛋白質が発現されている
ことを示すために、溶解産物を抗Trk(二番目の図)、抗SHP-1(三番目の図)ま
たは抗SHP-2(下図)抗体を用いて免疫ブロットした。
【図12】 図12は、Trk AのY674/Y675がSHP-1およびSHP-2が仲介する脱リン酸化の標的で
あることを示すウェスタンブロットである。これらのリン酸化残基を特異的に認
識する抗体を用いた、SHP-1またはSHP-2と野生型Trk Aを同時発現するSf9昆虫細
胞の溶解産物。ブロットを抗pan Trk(C、D)、抗SHP-1(E、F)、または抗SHP-
2(G、H)抗体をプローブに用いて調べた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G045 AA40 BB10 CB01 DA36 FB01 FB03 FB05 FB07 FB08 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ08 QQ53 QQ61 QQ79 QR02 QR13 QR33 QR48 QR51 QR55 QR59 QR62 QR66 QR79 QS25 QS34 QX01

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニューロンにおける細胞死を調節する化合物の同定法であっ
    て、 (a)細胞集団を試験化合物に曝露する段階と、 (b)該細胞内でSHPポリペプチドを発現する段階と、 (c)SHPの生物活性のレベルの変化、すなわちニューロンにおける細胞死を調節
    する化合物を示すSHPの生物活性のレベルの変化を解析する段階とを含む方法。
  2. 【請求項2】 細胞がSHPを発現するよう誘導され、該細胞が、SHPポリペプ
    チドを産生するよう誘導される前に試験化合物に曝露される、請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 細胞が、SHPポリペプチドを発現するよう遺伝子操作される
    、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 細胞が、高レベルのSHPポリペプチドを発現するよう誘導さ
    れた後に試験化合物に曝露される、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 細胞がニューロンである、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 SHPの活性を調節する化合物の同定法であって、 (a)ニューロンをニューロトロフィン(neurotrophin)で処理する段階と、 (b)ニューロンを試験化合物に曝露する段階と、 (c)SHPの生物活性の変化、すなわちニューロンにおける細胞死を調節する化合
    物を示すSHPの生物活性レベルの変化を解析する段階とを含む方法。
  7. 【請求項7】 SHPが優性形質活性化SHPである、請求項1または6記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 SHPの生物活性が、SHPのリン酸化、SHPのTrkとの相互作用、
    SHPポリペプチドのレベル、または細胞死を測定することによって測定される、
    請求項1または6記載の方法。
  9. 【請求項9】 活性がSHPのリン酸化である、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 活性がSHPのTrkとの相互作用である、請求項8記載の方法
  11. 【請求項11】 活性がSHPポリペプチドのレベルである、請求項8記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 活性が細胞死である、請求項8記載の方法。
  13. 【請求項13】 解析が細胞死の数の変化を解析することによる、請求項7
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 SHPの生物活性の変化が減少である、請求項1または6記
    載の方法。
  15. 【請求項15】 SHPの活性を調節する化合物の同定法であって、 (a)SHPを試験化合物に曝露する段階と、 (b)該SHPを細胞溶解産物に曝露する段階と、 (c)SHPと該細胞溶解産物からの分子との結合の変化を、該試験化合物に曝露し
    ていないSHPと比較して解析する段階とを含む方法。
  16. 【請求項16】 試験化合物への曝露と細胞溶解産物への曝露が同時である
    、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 試験化合物への曝露が細胞溶解産物への曝露よりも前であ
    る、請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 細胞溶解産物がニューロン由来である、請求項15記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 細胞溶解産物が昆虫細胞由来である、請求項15記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 細胞溶解産物が線維芽細胞由来である、請求項15記載の
    方法。
  21. 【請求項21】 分子がリン酸化蛋白質である、請求項15記載の方法。
  22. 【請求項22】 分子がTrkである、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 SHPの活性を調節する化合物の同定法であって、 (a)SHPを試験化合物に曝露する段階と、 (b)該SHPをTrkに曝露する段階と、 (c)該SHPと該Trkとの結合の変化を、該試験化合物に曝露していないSHPと比較
    して解析する段階とを含む方法。
  24. 【請求項24】 SHPがSHP-1である、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 SHPのリン酸化を調節する化合物の同定法であって、 (a)ニューロンを試験化合物に曝露する段階と、 (b)該ニューロンをニューロトロフィンで処理する段階と、 (c)該SHPのリン酸化における変化を解析する段階とを含む方法。
  26. 【請求項26】 SHPのリン酸化を調節する化合物の同定法であって、 (a)ニューロン由来細胞溶解産物を試験化合物に曝露する段階と、 (b)該SHPのリン酸化における変化を解析する段階とを含む方法。
  27. 【請求項27】 SHPのリン酸化を調節する化合物の同定法であって、 (a)ニューロンで発現された蛋白質を試験化合物に曝露する段階と、 (b)該SHPのリン酸化における変化を解析する段階とを含む方法。
  28. 【請求項28】 TrkがTrk Aである、請求項14、21または23記載の方
    法。
  29. 【請求項29】 TrkがTrk Bである、請求項14、21または23記載の方
    法。
  30. 【請求項30】 TrkがTrk Cである、請求項14、21または23記載の方
    法。
  31. 【請求項31】 Trkがリン酸化されている、請求項14、21または23
    記載の方法。
  32. 【請求項32】 SHPがSHP-1である、請求項1、6、15、24または26
    または27記載の方法。
  33. 【請求項33】 SHPがSHP-2である、請求項1、6、15、24または26
    または27記載の方法。
  34. 【請求項34】 リン酸化蛋白質が1つまたは複数のチロシン残基上でリン
    酸化されている、請求項13、22または25記載の方法。
  35. 【請求項35】 ニューロンが交感ニューロン、皮質ニューロン、海馬ニュ
    ーロン、運動ニューロン、SCGニューロン、知覚ニューロン、ドーパミン作動性
    ニューロン、中隔コリン作動性ニューロン、小脳ニューロンからなる群より選択
    される、請求項5、6、18、25または26記載の方法。
  36. 【請求項36】 ニューロトロフィンが神経成長因子(NGF)、脳由来神経
    栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン(NT-3)、NT-4、およびNT-6からなる群
    より選択される、請求項6または18記載の方法。
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