JP2002518314A - 小分子塩化物輸送 - Google Patents

小分子塩化物輸送

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JP2002518314A JP2000554342A JP2000554342A JP2002518314A JP 2002518314 A JP2002518314 A JP 2002518314A JP 2000554342 A JP2000554342 A JP 2000554342A JP 2000554342 A JP2000554342 A JP 2000554342A JP 2002518314 A JP2002518314 A JP 2002518314A
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リー、エドワード、アール
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レーン、マチュー
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ジエンザイム コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(CFTR)は、リン酸化および細胞内ヌクレオチドによって制御される塩化物(Cl-)チャンネルである。CFTRは、気道上皮細胞における主要Cl-輸送経路である。CFに起因する上皮貫通Cl-輸送の異常およびそれに続く液輸送欠損は、CFTRタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子突然変異の結果である。本発明は、Cl-および液輸送を治療するためにCF上皮中に人工Cl-輸送経路としてのイオノフォアの新規な使用を目指している。イオノフォア、および特に、小分子イオノフォアは、CFを治療する強力な新規手段を表す。本発明は、また、哺乳類にイオノフォアを投与することによる気道上皮細胞および他の上皮細胞の完全な単層での塩化物分泌を発生させるイオノフォア使用を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年6月19日出願の米国仮出願No.60/089,88
0の利益を主張するものである。
【0002】 本発明は、嚢胞性繊維症の新規治療法に関する。更に詳しくは、本発明は、嚢
胞性繊維症の治療剤としての人工塩化物(クロリド)チャンネルまたは輸送体の
使用に関する。本発明は、また、細胞膜ハロゲン化物透過性を増加する方法に関
する。
【0003】 細胞脂質二重層は、高度に荷電分子に非透過性である。しかしながら、イオノ
フォアは、特定の無機イオンに対し、細胞膜の透過性を増加することができる。
例えば、抗生物質バリノマイシンはカリウムイオン(K+)と複合体を形成し、
細胞膜を容易に通過する。脂質二重層に溶解している小疎水性分子である、イオ
ノフォアは、特定のイオンと脂質可溶性複合体を形成するので、細胞二重層を超
えてイオンを輸送することができる。
【0004】 イオノフォアの2つのクラス、即ち、移動性イオン輸送体およびチャンネル形
成体、は輸送されるイオンの電荷を遮蔽することによって、荷電分子を細胞壁の
疎水性内部に透過することができる。バリノマイシンは移動性イオン輸送体であ
り、膜の1つの側でK+を拾いあげ、二重層を通過して拡散し、そして他の側に
+を放出する。グラミシジンAはチャンネル形成イオノフォアであり、チャン
ネルを通って二重層を通過し、イオンを選択的に流動させる膜貫通チャンネルを
形成し、二重層を通過する。
【0005】 多くのイオノフォアは、抗生物質として有用である、なぜなら、輸送イオンに
加え、イオノフォアは、細胞膜を破壊し、生命力のある細胞内容を漏出させ、そ
して細胞破壊を導くからである。近年、新規抗生物質の探索において、イオノフ
ォアおよびその他の膜破壊化合物の設計および合成に大きな関心が寄せられてき
た。よく研究された例としては、アンフォテリシンB(AmpB)(Nagaw
a et al.,J.Am.Chem.Soc.,113,pp.7237−7
240(1991)がある。AmpBは、膜貫通性孔を生成するイオノフォアで
ある。これらの孔は、生命力のある細胞成分の漏出をおこし、細胞破壊の引き金
を引き、AmpBを有用な抗生物質にしている。次いで、AmpBの構造要素は
、類似した機能特性を有する化合物を設計するための出発点となっている。これ
ら化合物の多くは、例えば、5−アンドロステン−3B,17B−ビス[(オキ
シカルボニル)ヘキサエチレングリコール]は、興味あるイオン移動性性質を有
している[Stadler,et al.J.Am.Chem.Soc.,11
6,pp.6677−6682(1994)]。
【0006】 抗生物質スクアラミンは、サメ、Squalus acanthiasの組織
から最近単離された新規ステロール−スペルミジン複合体である[Moore
et.al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,pp.1
354−1358(1993)]。このステロイドは、スペルミジンと陰イオン
性胆汁塩中間体の付加化合物であるが、グラム陰性およびグラム陽性細菌に対す
る強力な抗細菌活性が明らかにされた。残念なことに、スクアラミンは、自然に
極少量見出されるのみである。
【0007】 AmpBに機能的に同等な化合物の探索において、スクアラミンのいくつかの
模倣体が合成された[Sadownik,et al.J.Am.Chem.S
oc.,117,pp.6138−6139(1995)]。造られたステロー
ル−スペルミン複合体は、スクアラミンに構造的にも類似しており、異常な程に
抗生物質の性質を示している。微生物の広範なスペクトルに対する強力な活性を
示す化合物の能力は、特に興味がある。ヨーロッパ特許出願WO第963846
4号、WO第9632404号、およびWO第9004401号は、抗生物質と
してのこのクラスの化合物の有用性を記載しており、それらの開示は、ここに参
照することにより取り入れられている。
【0008】 それらの広範な抗生物質活性に加えて、スクアラミンの合成模倣体は、細胞膜
および輸送陰イオン選択性の独特なイオノフォア活性を有している[Deng,
et al.J.Am.Chem.Soc.,118,pp.8975−897
6(1996)]。陰性に荷電した二重層を通過するイオンの輸送は、中性のも
のが通過する輸送より好ましい;そしてNa+輸送活性は観察されないが、効果
的なCl-輸送活性は観察される。
【0009】 嚢胞性繊維症(CF)は、上皮細胞内張りと共に多くの臓器に影響する複雑な
疾病である。致死的遺伝障害は、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(CFTR
)として知られているタンパク質をコードする遺伝子における突然変異の存在に
起因し、Cl-イオンに対する上皮細胞内張りの透過性に影響する[Welsh
et al.,Neuron,8,821−829(1992)]。CFTR
は、上皮細胞の細胞膜を通してCl-イオンの通過を制御する[Wuinton
,FASEB J.,4,2709−2717(1990);Jiang et
al.、Science,262,424−427(1993);Smith
et al.,J.Clin.Invest.,91,1590−1597(
1994)]。上皮細胞の細胞膜を通過するイオンの制御を通して、CFTRは
液の流動を制御している。CFにおいては、CFTR遺伝子の突然変異は、欠損
上皮透過Cl-輸送を引き起こし、そしてそれゆえに欠損液輸送となる。
【0010】 イオン輸送異常をおこす遺伝的突然変異は、異常粘液分泌、炎症、感染および
組織損傷に至る。CFTRは、汗腺、膵臓、生殖管、および気道を含む種々の上
皮細胞における活性イオン輸送−介在液輸送を制御している。例えば、気道上皮
において、電解質および液輸送の欠損は、気道浄化の障害、および塩感受性デフ
ェンシンの殺菌活性欠損の原因となり、次いでCF患者の再感染および肺破壊を
もたらすと信じられている。[Jiang et al.,Science,2
62,424−427(1993);Smith et al.,Cell,8
5,229−236]1996];Goldman et al.,Cell,
88,553−560(1997)]。CFにかかった患者は、肺感染の再発お
よび気道遮断、小腸閉塞、膵臓傷害、胆道閉塞による肝硬変、男性不妊、および
遂には死に至りがちである。
【0011】 いくつかの治療方法が、CFの治療と同時に開発されつつある。それらは、1
)抗菌活性および気道の粘液内張りの粘性を改善する薬剤の使用[Smith
et al.,Cell,85、229−236(1996);Goldman
et al.,Cell,88,553−560(1997)]、2)CFT
RのCl-チャンネル欠損を補償する、代りのCl-チャンネルを活性化する薬剤
の使用、3)タンパク質および遺伝子増加療法。(Welsh et al.,
Cell,73,1251−11254,1993)、および4)突然変異表現
型を逆転させる薬剤の使用を含む。現在は、本病態の効果的な治療法はない。
【0012】 従って、本発明は、Cl-および液輸送を治療するための、CF上皮中におけ
る人工Cl-輸送経路としてのイオノフォアの新規な使用を目指している。イオ
ノフォアおよび特に非ペプチドイオノフォア、そして特に、小分子イオノフォア
は、CFを治療する強力な新規手段を代表する。好適な小分子イオノフォアは、
分子量が2000以下、または好ましくは、1750以下、またはより好ましく
は、1500以下、または更により好ましくは、1000以下である。これらお
よびその他の利点を達成するために、および、本発明の目的によれば、具体化さ
れそして広範に記載されているように、本発明は、患者にイオノフォアの有効量
を投与することによってCFを治療する。
【0013】 別の観点によれば、本発明は、また、哺乳類にイオノフォアを投与することに
よる気道上皮細胞および他の上皮細胞の完全な単層での塩素イオン分泌を発生さ
せるイオノフォア使用を包含する。in vitroおよびin vivoで気
道上皮におけるCl-分泌の欠損を直すことができる。
【0014】 更に別の観点において、本発明は、哺乳類にイオノフォアを投与することによ
って、上皮細胞の細胞上皮ハロゲン化物および陰イオン透過性を増加するために
、イオノフォアを使用することを包含する。
【0015】 本発明は、また、人工Cl-輸送経路として有用である;上皮細胞の完全な単
層で塩化物分泌を発生する;および細胞膜ハロゲン化物透過性を増加させる、新
規なイオノフォアに関する。
【0016】 本発明は、また、遊離化合物としての、またはそれらの医薬として許容される
塩としての、イオノフォアの医薬組成物を提供する。更に、本発明のイオノフォ
アは、担体、賦形剤、増量剤、分散剤、クリーム、ゲル、溶液およびその他の医
薬処方において、共通の添加剤を包含する医薬組成物における有効成分である。
【0017】 更なる観点において、本発明は、静脈内、経口、点滴、吸入、局所、腹腔内、
皮下、または筋肉内経路によって、本発明のイオノフォアおよび医薬組成物を投
与する方法を提供する。イオノフォアおよび医薬組成物は、例えば、カプセル、
粉末、錠剤、液体、溶液、およびエアゾル化溶液の形態で投与される。また、本
発明の実施内にあるのは、細胞膜を通る陰イオン輸送に欠損を与える、哺乳類に
おける疾病またはその他の状態を治療する方法である。
【0018】 本発明の、更なる特徴および利点は、以下の記載に示され、および部分的には
記載から明らかであり、あるいは本発明の実施によって学習し得るであろう。本
発明の目的およびその他の利点は、記載および請求の範囲および付記する図面に
おいて、特に指摘される方法によって実現され達成されるであろう。
【0019】 本発明は、患者にイオノフォアの有効量を投与することによってCFを治療す
る方法を目指している。本方法は、嚢胞性繊維症患者における塩化物アンバラン
スを補正するのに有用である。本発明の実施は、理論にのみ限定されるべきでは
ない。
【0020】 本発明の実施において、イオノフォア、好ましくは小分子イオノフォアは、脂
質二重層を通して陰イオンを選択的に輸送する。有利には、イオノフォアは、細
胞膜ハロゲン化物透過性を増加する人工Cl-チャンネルを形成する。スクアラ
ミンの模倣、例えばGL−172(図1参照)、は陰性に荷電した脂質二重層を
通してイオンの輸送を助け、そして二重層を通したNa+のような陽イオンの輸
送には効果がないことが知られている。Deng,JACS,118,8975
−8976(1996)を参照。しかしながら、Dengの研究に基づくと、ス
クアラミンまたは他のイオノフォアの模倣体は嚢胞性繊維症患者の塩化物アンバ
ランスを補正するのに効果的であることを予測する合理的な根拠はない。
【0021】 CFTRは、気道上皮細胞における主要なCl-輸送経路である。CFに起因
する異常上皮貫通Cl-輸送およびそれに続く液輸送の欠損は、CFTRタンパ
ク質をコードする遺伝子の遺伝的突然変異の結果である。気道上皮において、イ
オンおよび液輸送の欠損は、気道粘膜線毛浄化の障害、および塩感受性デフェン
シンの殺菌活性欠損に至り、次いでCF患者の再感染および肺破壊をもたらすと
信じられている。本発明の実施によれば、CF上皮にイオノフォアを投与すると
、上皮細胞に人工Cl-輸送経路を形成する。人工Cl-輸送経路の導入は、異常
液輸送を治療する。
【0022】 GL−172の構造は公知である。(Deng,JACS 1996,118
,8975−8976)。GL−172を、他の代表的な小分子イオノフォアと
共に、図1に示す。本発明において有用な小分子イオノフォアは、以下の構造を
有する:
【0023】
【0024】 式中、 (R1)は、HまたはOH; (R2)は、HまたはOH、ここで(R1)および(R2)は、同じかまたは異な
り; (R3)は、分岐および非分岐である飽和および不飽和のアルキル鎖であり、好
ましい実施態様は、(R3)は(CHxm群であり、式中x=0、1、または2
、および、m=0から10; (X)は、SO4 -、PO4 2-、HOPO3 -、またはCO2 -; (Y)は、結合基または不存在;および (R4)は、アミン、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンである。
【0025】 結合基(Y)は、アミン(R4)をコレステロール誘導体につながっている。
(Y)基の例は、>C=O;−CH2−O−C(=O)−;−O−C(=O)−
;−CH2−NH−;−C(=O)−NH−;および-NH(=O)−O−を包含
する。結合基の配座は重要ではない。本発明の実施において有用な更なる結合基
は、3または4原子以下を含み、(R4)とコレステロール誘導体の間の共有結
合の架橋を形成する基である。例としては、−(CH22−;−(CH23−;
−(CH2)−(C=O)−;−(CH2n−NH−(C=O)−、式中、nは
好ましくは4またはそれ以下;またはグリシニル、アラニル、β−アラニル、セ
リニル、その他のような小アミノ酸、を包含する。
【0026】 (R4)は、窒素原子の数および各窒素を分離している炭素原子の数の両者で
変化しうるアミン構造(第一級、第二級および第三級アミンを包含する)を示す
。これらの構造は、アミン、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンとして
公知である。アミン、アルキルアミンまたはポリアルキルアミンは、アルキルア
ミンまたはポリアルキルアミン鎖中のどのような炭素または窒素原子においても
、結合基(Y)(または、もし結合基がない場合は、ステロイドに直接)につな
がっている。
【0027】 ここで定義されるアルキルアミンまたはポリアルキルアミン基は、1つないし
それ以上の炭素−炭素二重結合を含み、そのようなアルキルアミンの使用は、そ
れゆえ、本発明の実施内である。アルキルアミンまたはポリアルキルアミン基は
、飽和または不飽和であるので、用語「アルキルアミン」は、本発明の記載にお
いてアルケニルアミンを包含する。アルキルアミンまたはポリアルキルアミンは
、分岐または非分岐でもよい。分岐アルキルアミンまたはポリアルキルアミンは
、第一級アルキルアミンまたはポリアルキルアミン鎖のどのような炭素または窒
素原子に連結しているアルキル、アルキルアミン、またはポリアルキルアミンを
も含む。第一級アルキルアミンまたはポリアルキルアミン鎖は、結合基(Y)に
(もし、結合基がなければ、直接ステロイドに)連結している。
【0028】 本発明の好ましい実施態様において、(R4)はスペルミンまたはスペルミジ
ンである。スペルミンまたはスペルミジンは、スペルミンまたはスペルミジン基
のいかなる炭素または窒素原子によっても結合基(Y)に(または、もし、結合
基が存在しない場合、ステロイドに直接)連結している。
【0029】 代表的なアルキルアミンは、以下を包含する: (a)NH2−(CH2z−; (b)NH3 +−(CH2z−; (c)CH3−(CH2z−N[−CH2−CH3]−(N原子により(Y)に
連結) (d)[CH3(CH2y]NH−(CH2z−;および (e)[[CH3−(CH2x][CH3−(CH2y]]−N−(CH2z
−; 式中、x、yおよびzは1から10である。
【0030】 代表的なポリアルキルアミンは、以下を包含する: (a)−[NH−(CH2xm−NH3 +; (b)H−[NH−(CH2yp−[NH−(CH2zq−; (c)H−[NH−(CH2xn −N−CH2−[NH−(CH2yp
[NH−(CH2zq−NH3 +、[鎖の中央部でN原子によって(Y)に連結
]; (d)H−[NH−(CH2wm−[NH−(CH2xn −[NH−(C
2yp−[NH−(CH2zq− (e)H−[NH−(CH2wm−[NH−(CH2xn −N−[[CH 3 (CH2y]N]−(CH2z−NH3 +;および (f)NH3 +−[CH[(CH2x−NH3 +]−CH2]−CH−[NH−(
CH2wm−NH3 +、(鎖の中央部で炭素原子によって(Y)に連結); 式中、m、n、p、q、w、x、yおよびzは1から10である。
【0031】 交互のアミンおよびアルキル部分のいかなる組合せも、本発明の範囲内の(R 4 )構造を創造する。更に、アミンおよびアルキル部分のこの交互の組合せは、
(R4)基中のいかなる炭素または窒素原子によっても結合基(Y)または直接
ステロイドに連結し得る。
【0032】 本発明の実施に従った小分子イオノフォアは、また以下のステロイド基の種々
の構造を包含する。
【0033】
【0034】 上に示したように、好ましい実施態様において、ステロイド基は、ステロイド
骨格の環の17位から、または多くのステロイドにおける17位から通常延長す
る腕(例えば、20位および22位)から、あるいは該腕(R3)の、いかなる
伸長された、短縮された、分岐または非分岐形からも(Y)(または、もし(Y
)がない場合は、直接(R4))に結合している。この実施態様においては、ス
テロイド基は、ステロイド骨格の第3位の(X)に連結されている。ステロイド
基の配座は、即ち、どのようにステロイドが(結合基(Y)と共にまたは無しに
)(X)および(R4)基に連結しているかは、非常に変化し得る。ステロイド
のどのような環の位置または置換基も、一般的にとりつけの点として使うことが
できる。例えば、別の好ましい実施態様においては、ステロイド基は、ステロイ
ド骨格の環の3位から、(Y)[または、もし(Y)がない場合は、直接(R4
)]に結合し、そしてステロイド基は、17位において、又は17位から通常延
長している腕から(例えば、20位および22位)、或いは該腕のどのような伸
長された、短縮された、分岐したまたは非分岐の形(R3)からも、以下のよう
に、(X)に連結する。
【0035】
【0036】 本発明の更なる実施態様において、ステロイドは、種々の程度の不飽和を包含
する。即ち、二重結合がステロイド骨格内の多くの位置に存在し得る。例えば、
二重結合は、5位と6位、または7位と8位の間、あるいは5位と6位、および
7位と8位の間に、以下のように存在し得る:
【0037】
【0038】 本発明の実施において有用なイオノフォアの更なる群は以下の構造を有する:
【0039】
【0040】 式中、 (R1)は、HまたはOH; (R2)は、HまたはOH、ここで(R1)および(R2)は、同じかまたは異な
り; (R3a)および(R3b)は、分岐および非分岐である飽和および不飽和のアルキ
ル鎖であり、(R3a)および(R3b)の好ましい実施態様は、(R3)は(CHxm基、式中x=0、1、または2およびm=0から10である。(R3a)およ
び(R3b)は、同じかまたは異なる; (Y1)および(Y2)は結合基、または不存在(全部存在するか、または、いず
れかが或いは全てが不存在である);そして (R5)は、アルキルアミンまたはポリアルキルアミンである。
【0041】 結合基(Y1)および(Y2)は、アミン(R5)をコレステロール誘導体に連
結している。(Y1)および(Y2)、および本発明の実施において有用である、
追加の(Y1)および(Y2)基の例は、結合基(Y)について前に記載したもの
と同じである。(Y1)および(Y2)は、同じかまたは異なる。さらに、一方が
不存在で他方が存在する、どちらも不存在ではない、または両者が不存在であり
得る。
【0042】 (R5)は、窒素原子の数および各窒素を分離している炭素原子の数の両者が
変化し得る、アミン構造(第一級および第二級および第三級アミンを包含する)
を示す。(R5)は、ステロイド基に結合する2つの点の存在のゆえに、前に記
載したアルキルアミンおよびポリアルキルアミンとは異なっている。アルキルア
ミンまたはポリアルキルアミンは、ステロイド骨格の2つの異なった位置で(結
合基の存在または非存在で)ステロイドに連結している。アルキルアミンまたは
ポリアルキルアミンは、アルキルアミンまたはポリアルキルアミン鎖中のいずれ
もの炭素または窒素原子における結合基リンカーにも(あるいは、もし結合基が
ない場合はステロイドに直接)結合し得る。さらに、ステロイドのいかなる環の
位置または置換基も、一般的に、ステロイド骨格に結合する点として使用するこ
とができる。
【0043】 個々に定義するアルキルアミンまたはポリアルキルアミン基は、1つまたはそ
れ以上の炭素−炭素二重結合を包含することができ、そしてそのようなアルケニ
ルアミンの使用は、それゆえに、本発明の実施の範囲内である。アルキルアミン
またはポリアルキルアミン基は、飽和または不飽和であり得るので、用語「アル
キルアミン」は、本発明の記載におけるアルケニルアミンを包含する。アルキル
アミンおよびポリアルキルアミンは、また、分岐または非分岐であり得る。分岐
アルキルアミンまたはポリアルキルアミンは、第一級アルキルアミンまたはポリ
アルキルアミン鎖の、いかなる炭素または窒素原子につながったアルキル、アル
キルアミン、またはポリアルキルアミン鎖をも含む。第一級アルキルアミンまた
はポリアルキルアミン鎖は、それで、結合基(Y1およびY2)(または、もし結
合基のいずれかがない場合はステロイドに直接)つながっている。
【0044】 本発明の好適な実施態様において、(R5)はスペルミンまたはスペルミジン
である。スペルミンまたはスペルミジンは、スペルミンまたはスペルミジン基の
各末端の近傍の炭素または窒素原子によって結合基に(または、もし、結合基が
存在しない場合、ステロイドに直接)連結している。代表的なアルキルアミンお
よびポリアルキルアミンは、(R4)の記載の中に存在する。(R5)の部分を使
用するために、アルキルアミンまたはポリアルキルアミンにおける2つの異なっ
た炭素または窒素原子の(R4)のアミン部分をつなぐことは、当業者にとって
簡単な仕事である。
【0045】 アミンおよびアルキル部分の交互の組合せは、本発明の範囲内の(R5)を創
造する。さらに、アミンおよびアルキル部分のこの交互の組合せを、(R5)基
における2つの炭素または窒素原子によって、結合基(Y1およびY2)または、
ステロイドに直接連結することができる。アミン部分の最小および最大長は、も
ちろん、アミン部分とステロイド骨格の間の2つの接続点によって制限される。
【0046】 本発明の実施によれば、この実施態様は、ステロイド基としての種々の構造を
包含する。上記したように、好適な実施態様において、ステロイド基は、ステロ
イド骨格の環の17位から、または多くのステロイドの17位から正常に延長さ
れた腕から(例えば、20位および22位)、または該腕の伸張された、短縮さ
れた、分岐した、あるいは非分岐の形から、およびステロイド骨格の環の3位か
ら、(Y1)および(Y2)(または、もし(Y)のいずれかまたは両者がない場
合は、(R5)に直接)結合する。ステロイド基の配座は、即ち、どのようにス
テロイドが(結合基(Y1およびY2)と共にまたは無しに)(R5)基の2つの
位置に連結しているかは、非常に変化し得る。ステロイドのどのような環の位置
または置換基も、一般的に結合の点として使うことができる。
【0047】 本発明の、更なる実施態様において、ステロイドは種々の程度の不飽和を包含
する。即ち、二重結合が、以前の実施態様に記載したように、ステロイド骨格内
の多数の位置に存在し得る。
【0048】 さらに、本発明の実施において有用なイオノフォアの第3の群は、膜をつなぐ
構造として記載される。理論に限定されずに、膜をつなぐ構造は、膜をつなぐイ
オンチャンネルを形成すると信じられている。二重層を通って形成された膜貫通
チャンネルは、チャンネルを通過し、そして二重層を横切って、選択的にイオン
を流動させる。
【0049】 本発明の、好適な実施態様において、膜をつなぐ構造は、ジ−ステロイド構造
のそれである。本発明の実施において有用なジ−ステロイド化合物は、以下を包
含する:
【0050】
【0051】 および
【0052】
【0053】 式中、 (X)は、SO4 -、PO4 2-、HOPO3 -、またはCO2 -; (R1)は、HまたはOH; (R2)は、HまたはOH、ここで(R1)および(R2)は、同じかまたは異な
り; (R3)(a、b、およびc)は、分岐または非分岐である飽和または不飽和の
アルキル鎖である。(R3a)および(R3b)の好ましい実施態様は、(CHxm 基、式中x=0、1、または2、およびm=0から10である。(R3c)は2つ
のステロイド基を(もし存在すれば、結合基(Y1)および(Y2)を通じて)1
つまたは2つのアミン基、(R4)または(R4a)および(R4b)(もし存在す
れば、結合基(Y3)および(Y4)を通じて)に連結している。 (R3)の好ましい実施態様は、以下を包含する:
【0054】
【0055】 (Y1)、(Y2)、(Y3)および(Y4)は、結合基であるか、または不存在
(全部存在するか或いは全てが不存在である);そして (R4)は、アルキルアミンまたはポリアルキルアミンである。
【0056】 結合基(Y1)、(Y2)、(Y3)および(Y4)は、アミン(R4)または(
4a)および(R4b)を、ジ−コレステロール誘導体化合物につないでいる。(
1)、(Y2)、(Y3)および(Y4)、および本発明の実施において有用な付
加的(Y1)、(Y2)、(Y3)および(Y4)基の例は、結合基(Y)について
前に記載されたものと同じである。(Y1)、(Y2)、(Y3)および(Y4)は
、同じか、または異なる。さらに、これらは、いずれかが不存在であり、全て存
在し、或いは全て不存在である。
【0057】 (R4)または(R4a)および(R4b)は、窒素原子の数および各窒素原子を
分離している炭素原子の数の両者において変化し得るアミン構造(第一級および
第二級および第三級アミンを包含する)を示す。R4((R4a)および(R4b
を含む)の好ましいアミン、アルキルアミン、およびポリアルキルアミン構造は
、上記に開示されている。
【0058】 本発明の実施によると、この実施態様は、ステロイド基として種々の構造を包
含している。好ましい実施態様において、上記に示したように、ステロイド基は
、ステロイド骨格の環の17位から、あるいは多くのステロイドにおける17位
から通常延長された腕(例えば、20位および22位)から、あるいは該腕(も
し存在するなら、上記したように、(Y)および(R)基を通して)伸張した、
短縮した、分岐のまたは非分岐の形態から、互いに連結されている。ステロイド
基は、上記した類似の部分を使ってステロイド骨格の環の3位からつながること
もできる。ステロイド基の配座は、即ち、どのようにステロイドが[(Yの)お
よび(R3の)存在または不存在で]互いに、(R5)基または基等に、および(
X)に、連結しているかは、非常に変化し得る。ステロイドのどのような環の位
置または置換基も、一般的に結合の点として使うことができる。
【0059】 本発明の、更なる実施態様において、ステロイドは種々の程度の不飽和を包含
し得る。即ち、二重結合が、以前の実施態様に記載したように、ステロイド骨格
内の多数の位置に存在し得る。
【0060】 ジ−ステロイド型構造の、なお更なる実施態様は、以下に示す、(X)基がス
テロイド部分につながった化合物の一群である:
【0061】
【0062】 式中、置換基は、他のジ−ステロイドで上記に定義した通りである。
【0063】 ジ−ステロイド化合物の、(X)の更なる好適な実施態様は
【0064】
【0065】 式中、(A)は−(CH2m−O−で、m=2ないし10、または(A)は不
存在である。
【0066】 本発明は、また、遊離化合物としての、またはそれらの医薬として許容される
塩としての、イオノフォアの医薬組成物を提供する。更に、本発明のイオノフォ
アは、担体、賦形剤、増量剤、分散剤、クリーム、ゲル、溶液およびその他の医
薬処方において、共通の添加剤を包含する医薬組成物における有効成分を包含す
る。
【0067】 更なる観点において、本発明は、静脈内、経口、点滴、吸入、局所、腹腔内、
皮下、経粘膜または筋肉内経路によって、本発明のイオノフォアおよび医薬組成
物を投与する方法を提供する。イオノフォアおよび医薬組成物は、例えば、カプ
セル、粉末、錠剤、液体、溶液、およびエアゾル化溶液の形態で投与される。更
に、噴霧装置、粉末吸入器、患者の体腔への注射、徐放性製剤、付加的ミセルを
使用したデリバリー、ゲル、またはリポソーム、および静脈注射は、投与の代表
的方法である。
【0068】 好適な実施態様において、イオノフォアは、CFによって影響されるCl-
よび液輸送を治療するために、気道上皮に直接経口投与することができる。
【0069】 本発明の他の重要な実施態様は、人工Cl-チャンネルの導入と組合せて、抗
生物質活性の使用である。気道上皮における液輸送の欠損は、CF患者の肺に再
細菌感染をもたらす。スクアラミン模倣体の公知の抗生物質活性は、感染の治療
に使用することができ、人工塩化物チャンネルを提供し、塩化物分泌を改善する
【0070】 化合物の投与量は、イオノフォアの半減期、イオノフォアまたはその分解産物
の可能性のある副作用、投与経路、患者の状態、その他のような因子によって代
り得る。そのような因子は、当業者によって決定することができる。もちろん、
日量を基本にした正確な投与量水準は、至適治療反応を与えるために医師によっ
て適合されることを意味している。
【0071】 (実施例)実施例1 イオノフォアの合成 GL−172 GL−172の合成図式を、図2に示す。5−コレイン酸−22,23−ビス
ノル−36−オール(487mg、1.41mM)をTHF(50mL)mL)
よびN−ヒドロキシスクシンイミド(178mg、1.55M)に懸濁し、そし
てDCC(437mg、2.12mM)を加えた。反応は、50℃オイルバス中
で3時間攪拌した。反応混合物をろ過し、塩基(重炭酸ナトリウム)後処理を行
った。得られた粗製物(1.09g)を、シリカゲルカラム(95g)上に乾燥
充填し(10gシリカ)、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出した。所望の物質
を単離し、1HNMRにより、ヒドロキシビスノルコレイン酸-NHSエステル(
571mg、92%)と確認した。
【0072】 ヒドロキシビスノルコレイン酸-NHSエステル(460mg、1.04mM
)をクロロホルム(50mL)に溶解し、三酸化硫黄ピリジン複合体(499m
g、3.14mM)を加えた。反応は、4時間攪拌し、水性後処理を行った。粗
製物(570mg)を精製せずに使用した。
【0073】 スルフォン酸塩(50mg、0.538mM)のDMF懸濁液をスペルミン(
189mg、0.934mM)のDMF(17.5mL)溶液中に加え、反応は
1.5時間攪拌して行った。溶媒を除去し、得られた粗製物を、フラッシュカラ
ムクロマトグラフィ(50g、シリカゲル)で、40:25:2、40:25:
5、および40:25:10の勾配で溶出することによって精製した。所望の物
質を単離し、1HNMRにより、ヒドロキシビスノルコレイン−スペルミン−ス
ルフォン酸エステル、Lipid172(140mg、38%)と確認した。
【0074】 GL-172の類縁体 hydroxybisnorcholenicメチルエステル−イミダゾールギ
酸塩の合成 ヒドロキシビスノルコレイン酸(498mg、1.45mmol)を1:1ク
ロロホルム/メタノール(100ml)および濃硫酸(5.0ml)に懸濁した
。反応は、6時間還流し水性後処理を行った。得られた粗製物を、50%酢酸エ
チル/ヘキサンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィ(50g、シリカ
ゲル)によって精製した。所望の物質を単離し、1HNMRにより、ヒドロキシ
ビスノルコレイン酸−メチルエステル(307mg、59%)と確認した。
【0075】 ヒドロキシビスノルコレイン酸−メチルエステル(315mg、0.879m
mol)を塩化メチレン(50ml)に溶解し、Hunig塩基(0.15ml
、0.879mmol)を加え、次いでホスゲン(トルエン中1.93M,2.
28ml、4.395mmol)を加えた。反応混合物を一夜攪拌した後、イミ
ダゾール(658mg、9.67mmol)の塩化メチレン(50ml)溶液を
加えた。反応混合物を、再び、一夜攪拌し、水性後処理を行った。粗製物30%
酢酸エチル/ヘキサンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィ(40g、
シリカゲル)によって精製した。所望の物質を単離し、1HNMRにより、ビス
ノルコレイン酸−メチルエステル−イミダゾールギ酸塩(336mg、92%)
と確認した。
【0076】 メチルエステル-イミダゾールギ酸塩(330mg、0.729mmol)の
塩化メチレン溶液をスペルミン(369mg、1.83mmol)およびDMA
P(15mg)の塩化メチレン(25mL)溶液中に加え、反応混合物を2日間
攪拌した。水性後処理を行い、得られた粗製物を、フラッシュカラムクロマトグ
ラフィ(35g、シリカゲル)で、4:25:2、40:25:5、および40
:25:10、クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニア、の勾配で溶出す
ることによって精製した。所望の物質を単離し、1HNMRにより、ビスノルコ
レイン酸−メチルエステル−スペルミンカルバメート(170mg、40%)、
Lipid182、と確認した。
【0077】実施例2 SPQによって評価した細胞膜塩化物透過性 CF(ΔF508)患者から生じた気管支の表面上皮細胞系(CFT1)を、
University of North Carolina、Chapel
Hill、のDr.Yankaskasらによって確認した。細胞は、前に記載
した方法で培養された。(Yankaskas et al.,AmJ.Phy
siol.,264,C1219−1230(1993))。簡潔には、CFT
1細胞を50,000細胞/cm2の密度で12ウエル細胞培養プレートに播種
し、2%ウシ胎仔血清、5μg/mlインスリン、3.7μg/ml上皮細胞増
殖補助品、25ng/ml上皮増殖因子、30nMトリヨードチロニン、1μM
ヒドロコルチゾン、5μg/mlトランスフェリン、および10ng/mlコレ
ラトキシン(Gibco)を補充したHam’sF12培地で培養した。
【0078】 Cl-チャンネル活性は、以前に報告されたようにして、ハロゲン化物感受性
フルオロフォア、6−メトキシ−N−(3−スルホプロピル)−キノリニウム(
SPQ)で評価した[Marshall et al.,J.Biol.Che
m.(1994);Jiang et al.,Am.J.Physiol.,
275(Cell Physiol.44):C,(1998)]。SPQ蛍光
は、最初、以下の組成(mM)を有するNalバッファー中で30分まで細胞を
インキュベートすることによって消光された:135NaI、2.4K2HPO4 、0.6KH2PO4、1MgSO4、1CaSO4、および10N−2−ヒドロキ
シエチルピペラジン−N’−2−エタンスルフォン酸、pH=7.4。2分間の
、ベースライン蛍光(Fo)を測定した後、NaI溶液を、NaIをNaNO3
に置換した溶液で置き換えた。5分後、フォルスコリン(20μM)およびIB
MX(100μM)の混合物を加えて、CFTRCl-チャンネル活性を促進し
た。
【0079】 ハロゲン化物透過性の増加は、SPQ蛍光のより急速な増加によって反映され
る。それは、むしろ信号の絶対変化よりも相対変化速度であり、陰イオン透過性
を評価するのに重要な変化である。絶対レベルの相異は、SPQ負荷、細胞の大
きさ、あるいは試験している細胞の数におけるグループ間の定量的相異を反映し
ている。データは、時間t(Ft)における蛍光からベースライン蛍光(Fo、
イオン置換前2分間のI-の存在下で測定された平均蛍光)を引いた値の、平均
±標準誤差で示され、各条件下において得られた結果の代表である。各実験につ
いて、50から100の間の細胞が、与えられた日に試験され、各条件下の試験
は、少なくとも、2日間繰り返した。各実験について、反応は、対照と非処理細
胞で得られたものと、比較された。細胞は、もし、対照細胞で得られた信号より
大きな蛍光の変化速度を示したなら、陽性として採点した。上記に特定した条件
下で、対照細胞は、加えられたcAMPアゴニストに非応答性であった。応答細
胞で観察されたSPQ蛍光の変化速度には、広いスペクトルが見られた。通常、
我々は、SPQ蛍光の増加速度を表す応答曲線の傾斜が、cAMPアゴニストで
の刺激に続いて≧0.364であったなら、細胞を応答性として採点した。応答
は、不均一であるので、各実験において最大の応答を示す細胞の10%について
、データを示した。全分野について評価したが、提示の明確さのために、応答し
たものの上位10%のみを図示した。
【0080】 CFT1細胞は、初代ヒトCF気道上皮細胞の生体電気の性質を保持している
が、しかしながら、CFTRCl-チャンネル活性は、欠損している。フォルス
コリン(10μM)およびIBMX(100μM)は、CFT1細胞の1%より
少ないSPQ蛍光の小さな増加をもたらしたのみである。本研究において、DM
SO(0.5%、v/v)、GL−172の溶媒、はSPQ蛍光の増加をもたら
さなかった。対照的に、CFT1細胞の10%以上において、GL−172(1
00μM、DMSOに溶解)は、SPQ蛍光の有意な増加を誘導し(図2)、陰
イオン透過性の増加を示した。
【0081】 CF気道上皮(CFT1)細胞をSPQに負荷した。NO3 -を、0分時におい
て、浴液中でI-に置換した。GL−172(100μM、DMSOに溶解、四
角)または等容量のDMSO(0.5%、v/v;円)を、イオン置換(矢印)
後6分に浴液に加えた。データは図2に示すが、時間(F1)における蛍光から
ベースライン蛍光(F0、イオン置換前2分間に測定された平均蛍光)を引いた
値の、平均±標準誤差で示されている。
【0082】実施例3 Isc測定により評価したCl-透過性 初代ヒト気管気管支上皮(NHBE)細胞は、Clonetics Corp
oration(San Diego,CA)から購入した。NHBE細胞は、
一度継代接種し、約5×105細胞/cm2の密度で、コラーゲン被覆半透性イン
サート(Millicell−PCF、0.4mm孔径、0.6cm2増殖領域
)に、直接接種し、気−液境界面で増殖させた[Jiang et al.,S
cience262,424−427(1993);Jiang et al.
,Human Gene Therapy,9:(July20)(1998)
]。Dulbecco’s modified Eagle’s培地(DMEM
)およびBEGM Bulletkit(Clonetics Corpora
tion)として供給された増殖因子および抗菌性物質を補充したBronch
ial Epithelial Growth Medium(BEBM)の混
合物(1:1)を一日おきに加えた。上皮透過性抵抗(R1)を一日おきに、第
3日(day3)から、オームメーターを使用してモニターした。フィッシャー
ラット甲状腺上皮(FRT)細胞[Zurzolo et al.,J.Cel
l Biol.,121:1031−1039(1993)]を、培地が5%ウ
シ胎仔血清(Sigma)を補充したDMEMである点を除いて、NHBE細胞
として培養した。
【0083】 分極気道上皮細胞を、電極でインターフェースを接触させ、Krebs−Ri
ngers液(135mM・NaCl、2.4mM・K2HPO4、0.6mM・
KH2PO4、1.2mM・CaCl2、1.2mM・MgCl2、25mM・Na
HCO3、および10mMグルコース、pH7.4)、95%O2および5%CO 2 で通気した、改変Ussingチェンバーに装着した[Rich et al
.,Hum.Gene Ther.4:461−476(1993);Zabn
er et al.J.Biol.Chem.270,18997−19007
(1994);Jiang et al.Am.J.Physiol.271,
L527−537(1996)]。粘膜側には、NaClを135mMグルコン
酸ナトリウムと置換し、上皮透過性Cl-濃度勾配を作成した。上皮透過電圧は
、0mVにクランプされ、決められた短絡電流(Isc)を通電した後、5分間測
定した。安定化したベースラインが達成された後、細胞を、連続的に、100μ
Mアミロライド(アミロライド感受性Na+チャンネルを推定するため)、10
μMフォルスコリンおよび100μM・3−イソブチル−1−メチル−キサンチ
ン(IBMX)を含有する混合物(CFTR・Cl-チャンネルを通して上皮透
過性Cl-電流を促進するため)および10ないし100μM・5−ニトロ−2
(3−フェニルプロピルアミノ)安息香酸(NPPB、CFTR・Cl-チャン
ネルを阻害するCl-チャンネルブロッカー)で処置した。[Hasegawa
et al.,Science258,1477−1479(1992)]。
アミロライドおよびNPPBは粘膜溶液に加えたが、フォルスコリンおよびIB
MX混合物は粘膜下組織溶液に加えた。
【0084】 sc測定により評価したCl-透過性に対するGL−172の効果1が≧1000Ω.cm2をおこす分極NHBE細胞を、Isc測定用改変Us
singチェンバーの1/2ずつ2つの間に装着した。図3aは、アミロライド
(100μM)を、ISC減少を起こす頂点側に添加し、アミロライド感受性Na + 伝導度の存在を示す。連続してアミロライドが存在すると、フォルスコリン(
10μM)およびIBMX(100μM)の混合物は、有意なIscの増加を誘導
する。このIscの増加は、フォルスコリンおよびIBMXの混合物は、細胞内c
AMPの最大増加を促進するので、これらの実験条件下でcAMP媒介チャンネ
ルを通しての最大Cl-伝導度を表す。6つの独立した実験からのデータは、Is c の平均増加、11.3±1.6μA/cm2(平均±SEM)が、混合物によっ
て発生したことを示した。Iscの増加はcAMP媒介Clチャンネルにより媒介
されていることを確かめるために、NPPB(100μM)を反応を阻害するの
に使った。
【0085】 GL−172に対応したIscの増加は、図3Bに示す。GL−172を、DM
SOに溶解し、累積的に頂点側に加えた。アミロライド(100μM)の存在下
で、GL−172は、Iscの投与依存的増加を促進した。反応は迅速で持続的で
、フォルスコリンおよびIBMXによる促進と類似していた。DMSOは、GL
−172の溶媒として容量/容量濃度の2倍まで、Iscの有意な増加をもたらさ
なかった。5つの独立した実験からのデータは、図4に要約してある。統計的解
析は、有意(p<0.01)であることを示唆している。GL−172によって
誘導された、10および100μMの濃度でのIscの増加は、フォルスコリンお
よびIBMXの混合物によって促進された最大応答の約20%および35%であ
った。
【0086】 実験を、また、cAMP媒介応答を有しないFRT細胞で行った。GL−17
2は、FRT細胞において類似の応答をもたらした。これらの結果は、NHBE
細胞においてGL−172によって誘導されたIscの増加は、CFTRCl-
ャンネルまたはその他のcAMP媒介Cl-チャンネルとは独立していることを
示唆している。
【0087】実施例4 トランスジェニックCFマウスの鼻上皮に対するイオノフォアの効果
トランスジェニックCFマウスにおける鼻の電位差(PD)測定 FABP−CFTR二トランスジェニック(Zhou et al.Scie
nce266,1705−1708(1995))マウスは、Jackson
Laboratoriesから得た。これら研究に使用した動物のいくつかは、
Genzyme Corporationで飼育された。CFマウスの鼻上皮を
通過するPDは、以前に記載されたようにして測定した[Grubb et a
l.Nature371,802−806(1994);Zeiher et
al.J.Clin.Invest.96,2051−2064(1995);
Jiang et al.Human Gene Therapy,8:671
−680(1997);Jiang et al.Human Gene Th
erapy9:(July20)(1998)]。簡潔には、リンゲル溶液(1
35mM・NaCl、2.4mM・K2HPO4、0.6mM・KH2PO4、1.
2mM・CaCl2、1.2mM・MgCl2、および10mM・Hepes、p
H7.4)を満たした23ゲージ皮下針を、リファレンス電極として使用した。
探索電極は(PE−20チューブから引き出し、リンゲル溶液で満たす)、鼻腔
内に約5mm挿入した。電極は、寒天ブリッジによって電気的に組合され(3%
寒天、1M・KCl)、流動ブリッジの液流に挿入され、甘こう電極によってデ
ジタル電圧計(Iso−ミリボルトメーター;World Precision
Instruments)に接続された。信号は、ストリップチャートレコー
ダー(Servocoder model6221)を使用して記録した。
【0088】 電極の配置に続いて、鼻通過をリンゲル溶液で、マイクロポンプ(model
55−3206;Harvard Apparatus)を使用して5−20μ
l/分で3ないし5分間、別のカテーテルを通して灌流した。一度、ベースライ
ンに達すると、灌流液を、100μMアミロライド含有リンゲル溶液に転換し、
新しい定常状態に達するまで、灌流を続ける。そして灌流溶液を、アミロライド
の存在下、GL−172またはDMSOを含有する低Cl-リンゲル溶液(Na
Clをグルコン酸Naによって置換された)で置換した。
【0089】 データは、平均±標準誤差として表した。試験した動物の数または実施した個
々の実験は、「n」で表示した。統計解析は、ANOVAを使用し、次いでSt
udent−Newman−Keulsテストを用いて行った。2つの群のみを
含む実験においては、不対Studentテストを平均を比較するのに使用した
。0.05より小さいp値は、統計的に有意とみなされた。
【0090】 トランスジェニックCFマウスの鼻上皮におけるGL−172の効果 これら動物における上皮Na+およびCl-輸送の欠損を回復するアデノウイル
スおよび陽イオン性脂質/DNA遺伝子供与ベクターの能力を前もって評価する
ために、トランスジェニックCFマウスの鼻粘膜を使用した。[Grubb e
t al.Nature371,802−806(1994);Zeiher
et al.J.Clin.Invest.96,2051−2064(199
5);Jiang et al.Human Gene Therapy,8:
671−680(1997);Jiang et al.Human Gene
Therapy,9:(July20)(1998)]。CFヌル(−/−)
マウスの有用性は、腸内合併症によって限定され得るので[Snowaert
et al.Science257,1083−1088(1992)]、我々
は、FABP−CFTR(−/−)二トランスジェニックマウスを用いた[Zh
ou et al.Science,266,1705−1708(1994)
]。FABP−CFTR(−/−)二トランスジェニックマウスの鼻上皮は、C
Fヌル(−/−)マウスおよびCFに罹患したヒトで観察される電気生理学的異
常を表している。
【0091】 図5は、野生型(図5A)およびCF(図5B)マウスにおける、基礎電位差
、アミロライドによって誘導されるPD変化、およびアミロライド存在下におけ
るNaClをグルコン酸ナトリウムに続いて置換したのに応じたPD変化、の代
表的な追跡を示す。NaClのグルコン酸ナトリウムとの置換は、CF二トラン
スジェニック動物において小さな脱分極を起こすが、正常マウスにおいては著し
い超分極を生ずる。低Cl-リンゲル溶液にGL−172を添加すると、CFマ
ウスで超分極を誘導した(図5C)。4頭のマウス中3頭において、GL−17
2(100μM)は、超分極を起こした(それぞれ、2.5、3、および6.5
mV)。低濃度(20mM)では、超分極(4.2mV)は、試験した3頭の動
物中1頭のみに観察された。統計解析(図6)は、GL−172(100μM)
によって誘導される超分極応答は、有意である(p<0.05)であることを示
している。
【0092】実施例5 GL−172処理IBE−1細胞のホールセルパッチクランプ解析 ホールセルパッチクランプレコーディング ホールセルパッチクランプレコーディングを、以前記載されたと本質的に同じ
方法で実施した。Jiang et al.,Am.J.Physiol.,2
75(Cell Physiol.44):C(1998);Jiang et
al.Human Gene Therapy,9:(July20),(1
998)。簡潔には、カバーグラス上の細胞を、ニコンdiaphot倒立顕微
鏡に装着したチェンバー内においた。パッチピペットは、2−4MΩの抵抗を有
する。ホールセル立体配置は、ギガシールを破裂させるための付加的パルス吸引
で達成した。ペプチド溶液(細胞内)は、pH7.4で、以下を含む:130m
M・CsCl、20mM・TEA−Cl、10mM・2−ヒドロキシエチルピペ
ラジン−N’−2−エタンスルフォン酸(HEPES)、10mMエチレングリ
コール−ビス−(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’−四酢酸(E
GTA)、10mM・Mg−ATP、および0.1mM・LiGTP、pH7.
4。浴用溶液(細胞外)は、また、pH7.4で以下を含む:140mM−メチ
ル−D−グルタミン(NMDG)、2mM・CaCl2、1mM・MgCl2、0
.1mM・CdCl2、10mM・HEPES、4mM・CsCl、および10
mMグルコース。細胞内および細胞外溶液は、Cl-は溶液中で唯一の顕著な浸
透性イオンであるので、Cl-電流のみ試験するために設計された。
【0093】 アスパラギン酸が、細胞外Cl-濃度を変化する実験において、置換陰イオン
として使用された。GL−172(1、10および100μM、DMSOに溶解
)、またはDMSOの等濃度(0.5%および1%v/v)を示したように、浴
溶液に加えた。電流記録は、同一細胞について、GL−172またはDMSOの
異なった濃度を含有する溶液に暴露前、間、および後に行った。全ての実験は、
室温(22℃)で行った。電流は2KHzでろ過された。データ取得および解析
は、pCLAMP5.5.1ソフトウエア(Axon Instruments
,Foster City,CA)を使用して行った。
【0094】 GL−172で処理したIBE細胞のホールセルパッチクランプ解析 観察された信号がCl-電流であることを確認するために、ホールセルパッチ
クランプ実験をCFT1細胞で行った。図8(パネルA、B、およびC)は、そ
のような実験の1つから追跡した代表的な電流を示す。これらの研究で、保持電
位は、0mV(電位依存性Na+およびCa2+チャンネルを不活化する)であり
、そして電圧は、−100mVから+80mVまで、20mV増分で段階的に、
ホールセル電流を活性化するように、増加させた。カルシウムおよびカリウムか
らの電流は、細胞内および外溶液の両者からK+を取り除くことによって、そし
て細胞外溶液中には100μM・Cd2+および細胞内溶液中には20mM・TE
Aおよび10mMEGTAを含ませることによって、最小化させた。これらの条
件下で、GL−172で未処置の細胞において小電流が見出された(図8A)。
さらに、溶媒濃度(1%v/v)の2倍までのDMSOは、ホールセル電流を活
性化することはできなかった(図8B)。
【0095】 1または10μMの濃度でGL−172は、試験したどんな細胞においてもホ
ールセル電流を増加させなかった。しかしながら、GL−172は、高濃度(3
0μM)において、試験した細胞の30%でホールセル電流の有意な増加を誘導
した。さらに、100μMの濃度において、GL−172は、試験した細胞の全
てで、ホールセル電流の大きな増加をもたらした(図8C)。電流は、40分間
維持され(試験した最大時間)、そして対照バッファーでウオッシュアウトした
後も持続された。
【0096】 最後に、GL−172の存在および不存在での電流/電圧の関係を図8Dに要
約する。GL−172で処理した細胞におけるホールセル電流は、直線的電流−
電圧関係を示し、そして時間依存性であった。これらの性質は、野生型CFTR
で観察されたものと定性的に類似していた(Anderson et al.,
1991)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、代表的な小分子イオノフォアを示す。
【図2】 図2は、小分子イオノフォアの合成経路を示す。
【図3】 図3は、SPQ解析によって求めた、陰イオン透過性のGL−127誘導増加
を示す。
【図4】 図4は、ヒト気管気管支の上皮(NHBE)細胞における、GL−172誘導
(ΔIsc)の代表的な追跡を示す。10μMアミロリド添加後、10μMフォル
スコリンおよび100μMIBMX(A)またはGL−172の混合物を、異な
った累積濃度で分極化上皮の頂端部に加えた。
【図5】 気道上皮細胞での短絡電流(ΔIsc)におけるGL−172誘導変化の要約。
【図6】 CFマウスにおけるGL−172誘導過分極。鼻上皮を通した電位差を、アミ
ロリド投与後、およびアミロリド存在下でのCl-置換(低Cl-)の基礎条件下
で、(A)野生型(+/+)マウスおよび(B)ホモ接合FABP−CFTR二
トランスジェニック(−/−)CFマウスにおいて測定した。(C)は、GL−
172(100μM)を含有する低Cl-溶液の灌流に応答する過分極を示すホ
モ接合(−/−)CFマウスからの追跡である。
【図7】 野生型およびCFマウスにおけるGL−172誘導過分極の要約。GL−17
2存在または不存在の低Cl-溶液に応じた鼻上皮の電位差(ΔPD)の変化を
アミロリド添加(それぞれ、20および100μM)の存在下で測定した。デー
タは、平均±SEM(n≧4)で表す。*は、CF(−/−)と比較したp<0
.05を示す。
【図8】 CFT−1細胞の全細胞パッチクランプ解析の要約。示した電流は、20mV
増加の段階での、0mVの固定電位から−100MVと+80mVの間の電圧ス
テップに応じている。CFT1細胞(A)、およびDMSO(1%v/v)処理
IBE−1細胞(B)からの基礎(未処理)条件下での代表的な全細胞電流を示
す。(C)は、GL−172(100μM、DMSOに溶解)でCFT1細胞を
処理した後(A)におけるように同じCFT1細胞を用いて記録したものである
。(D)において、基礎条件下(四角)、10μM・GL−172(三角)を加
えた後、および次いで48ないし72時間100μM・DSG(10μg/ml
)で処理(円)、で得られた電流−電圧関係を要約したものである。電流は、直
線的電流電圧行動を示し、そして時間依存性を示さなかった。データは、平均+
/−SEMとして表す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年9月8日(2000.9.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リー、エドワード、アール アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ナテ ィック、 ベイコン ストリート 56 (72)発明者 チェン、セン、エイチ アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ウェ ルスリイ、 ウォール ストリート 50 (72)発明者 レーン、マチュー アメリカ合衆国 マサチューセッツ、ケン ブリッジ、 チャウンシイ ストリート 24、アパートメント 10 Fターム(参考) 4C084 AA17 NA14 ZA592 ZA662 ZC542 4C086 AA01 AA02 DA11 MA01 MA04 NA14 ZA59 ZA66 ZC54 4C091 AA01 BB01 CC01 DD01 EE03 FF01 GG01 HH01 JJ03 KK01 LL01 MM03 NN01 PA02 PA05 PB03 QQ01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非ペプチド性イオノフォアの有効量を投与する工程を含む、
    上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる方法。
  2. 【請求項2】 該非ペプチド性イオノフォアは、式、 および 式中、二重結合は、5位と6位の間または7位と8位の間に存在してもよいか
    、または5位と6位および7位と8位の間に同時に存在してもよく; (R1)は、HおよびOHから選択され; (R2)は、HおよびOHから選択され; (R3)は、飽和および不飽和、分岐および非分岐、のアルキル鎖から選択され
    ; (X)は、SO4 -、PO4 2-、HOPO3 -、およびCO2 -から選択され; (Y)は、結合基または不存在であり;そして (R4)は、アミン、アルキルアミン、およびポリアルキルアミンから選択され
    る; を含む群から選択されたものである、請求項1記載の上皮細胞の完全な単層にお
    いて塩化物分泌を発生させる方法。
  3. 【請求項3】 該(R3)が、(CHxm、式中、該xは0、1および2か
    ら選択され、そして該mは1ないし10から選択される、請求項2記載の上皮細
    胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる方法。
  4. 【請求項4】 該非ペプチド性イオノフォアが、 式中、二重結合は、5位と6位の間または7位と8位の間に存在してもよいか
    、または5位と6位および7位と8位の間に同時に存在してもよく; (R1)は、HおよびOHから選択され; (R2)は、HおよびOHから選択され; (R3a)および(R3b)は、飽和および不飽和、分岐および非分岐、のアルキル
    鎖から選択され; (Y1)および(Y2)は、結合基または不存在であり;そして (R5)は、アルキルアミン、およびポリアルキルアミンから選択される; を含む群から選択されたものである、請求項1記載の上皮細胞の完全な単層にお
    いて塩化物分泌を発生させる方法。
  5. 【請求項5】 該(R3a)および(R3b)が、(CHxm、式中、該xは0
    、1および2から選択され、そして該mは1ないし10から選択される、請求項
    4記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる方法。
  6. 【請求項6】 該非ペプチド性イオノフォアが、式、 および 式中、二重結合は、5位と6位の間または7位と8位の間に存在してもよいか
    、または5位と6位および7位と8位の間に同時に存在してもよく; (X)は、SO4 -、PO4 2-、HOPO3 -、CO2 -、および から選択され; (R1)は、HおよびOHから選択され; (R2)は、HおよびOHから選択され; (R3a)、(R3b)および(R3c)は、飽和および不飽和、分岐および非分岐、
    のアルキル鎖から選択され;そして (R4)は、アルキルアミン、およびポリアルキルアミンから選択される; を含む群から選択されたものである、請求項1記載の上皮細胞の完全な単層にお
    いて塩化物分泌を発生させる方法。
  7. 【請求項7】 該(R3a)および(R3b)が、(CHxm、式中、該xは0
    、1および2から選択され、そして該mは1ないし10から選択される、請求項
    6記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる方法。
  8. 【請求項8】 該(R3c)が、 から選択されたものである、請求項6記載の上皮細胞の完全な単層において塩化
    物分泌を発生させる方法。
  9. 【請求項9】 該(X)が、 である、請求項6記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる
    方法。
  10. 【請求項10】 該小分子イオノフォアが、 である、請求項2記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる
    方法。
  11. 【請求項11】 該小分子イオノフォアが、 である、請求項4記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる
    方法。
  12. 【請求項12】 該小分子イオノフォアが、 である、請求項6記載の上皮細胞の完全な単層において塩化物分泌を発生させる
    方法。
  13. 【請求項13】 非ペプチド性イオノフォアの有効量を投与する工程を含む
    、上皮細胞の細胞膜ハロゲン化物透過性を増加させる方法。
  14. 【請求項14】 非ペプチド性イオノフォアの有効量を、患者に投与する工
    程を含む、嚢胞性繊維症患者における塩化物アンバランスを補正する方法。
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