JP2002516288A - アタキシン−1凝集のシャペロン抑制および改変された細胞成分プロテアソーム局在はscaiにおけるタンパク質の誤った折り畳みを意味する - Google Patents

アタキシン−1凝集のシャペロン抑制および改変された細胞成分プロテアソーム局在はscaiにおけるタンパク質の誤った折り畳みを意味する

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    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy

Abstract

(57)【要約】 本発明は、哺乳動物における神経変性疾患を処置するための新規な方法を提供する。この方法は、哺乳動物の神経学的系に、治療的に有効な量の、シャペロン、シャペロン様化合物、またはプロテアソーム活性を増加させる化合物を導入することを含む。シャペロン様活性を有するか、またはプロテアソーム活性を増加する活性を有する化合物をスクリーニングする新規な方法もまた存在する。スクリーニングは、培養細胞または動物モデルのいずれかで行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (1.発明の分野) 本発明は、一般に、シャペロンおよびプロテアソームの分野に関する。より詳
細には、神経変性障害の処置のため、ならびにシャペロンとして有効に作用し、
かつ/またはプロテアソームの活性を増強する化合物のスクリーニングのための
、シャペロンおよび/またはプロテアソームモジュレーターの使用に関し、そし
て神経変性障害の処置ために使用される。
【0002】 (2.関連技術の説明) 不溶性凝集の存在は、増加する数の、アルツハイマー病、パーキンソン病、プ
リオン障害、ハンチングトン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DR
PLA)ならびに脊髄小脳性運動失調1型および3型(SCA1およびSCA3
)のような神経変性障害の特徴である1-8。後者の4つは、ポリグルタミントラ
クトの拡大によって引き起こされる障害の下位区分のメンバーである。SCA1
は、運動失調、進行性運動衰退ならびに小脳プルキンエ細胞および脳幹ニューロ
ンの喪失によって特徴付けられる9。近年では、変異体アタキシン(ataxi
n)−1が、COS細胞、トランスジェニックマウスの小脳プルキンエ細胞、お
よびSCA1患者における脳幹ニューロンにおける副核凝集物に局在することが
実証されている7。HD患者、トランスジェニックマウス、およびSCA3患者
の研究もまた、罹患したニューロンにおける核含有物の存在を明らかにした45 78 。タンパク質凝集を導く機構は未知であるが、1つの可能性は、正常なタン
パク質コンフォメーションが、拡大したポリグルタミントラクトの存在によって
不安定化することであり、この変化は、次いで異常なタンパク質−タンパク質相
互作用をもたらし、そしておそらくβ−シート構造の形成をもたらす1011。経
時的に、この誤って折り畳まれたタンパク質の凝集は、病理学的不溶性の核凝集
を生じ得、これは、罹患したニューロンの核機能を混乱させる7
【0003】 分子シャペロンは、中間体コンフォメーションにおける折り畳まれていないタ
ンパク質を安定化することによって、核凝集の実際の形成に関与し得、これは、
近隣の折り畳まれていないタンパク質と相互作用する傾向を有する33-35。酵母
シャペロンHsp104は、中間体レベルで、プリオン様因子(PSI+)の増
幅を必要とするが、Hsp104が過剰発現される場合は、(PSI+)が喪失
することが示された36。従って、酵母において、分子シャペロンのレベルをアッ
プレギュレートまたは調節して、凝集形成を無効にすることが可能である3334
【0004】 SCA1における核凝集はユビキチン陽性であるという発見は、これらの細胞
におけるタンパク質分解経路が変更され得るという可能性を誘起した。分解する
ことになっているほとんどのタンパク質は、最初に、複数のユビキチン分子との
共有結合体化を受けなければならず、次いで、標的された基質の崩壊の後に再利
用される1213。26SプロテアソームによるATP依存性加水分解のためのユ
ビキチン化タグタンパク質、20Sプロテアソーム機能的コアからなる樽型の多
触媒性プロテイナーゼ1213、およびPA700のようなさらなるcap−モジ
ュレータータンパク質は、ユビキチン化されたタンパク質の認識に必要である1415 。ポリグルタミン反復疾患における核凝集は、分解に耐性であり得、ユビキ
チン再利用を防止し得、そして/またはプロテアソームを破壊し得る。
【0005】 正常なプロテアソーム機能における摂動は、ストレス応答または熱ショックタ
ンパク質(hsp)の、いくつかの高度に保存され、かつ構造的に関連するファ
ミリーの発現の増加に関連する16-19。これらのタンパク質は、分子シャペロン
として機能する−それらは、正常条件およびストレス条件のいずれの下でも、誤
って折り畳まれたタンパク質を認識し、そしてタンパク質凝集を抑制する20-22
。さらに、シャペロンは、それらの適切な再折り畳み、認識、およびユビキチン
化機構による改変、またはプロテアソームによる加水分解を可能にするコンフォ
ーメーションにおいてタンパク質を維持し得る2122。DnaJ(Hsp40)
シャペロンファミリーは、折り畳まれていないポリペプチドの結合およびDna
K(Hsp70)ファミリーのメンバーの活性の調節による細胞性タンパク質の
折り畳みを促進する2122。Escherichia coliおよびSacch
aromyces cerevisiaeにおいて、DnaJ型分子シャペロン
およびDnaK型分子シャペロンはまた、正常なタンパク質および誤って折り畳
まれたタンパク質の迅速な分解に必須である23-26
【0006】 HDJ−2/HSDJは、任意の他の酵母DnaJホモログよりも、Ydj1
に対してより高い相同性を有する(全体で49%同一)2930。酵母Ydj1の
研究に基づいて、ヒトホモログは、機能的単位として作用する4つの保存ドメイ
ンを有するようである2037:DnaJドメイン、グリシン/フェニルアラニン
(G/F)領域、ジンクフィンガー様領域、および保存カルボキシ末端。J−ド
メインは、Hsp70 ATPase活性を調節する。G/Fドメインの機能は
不明であるが、J−ドメインとジンクフィンガー様領域との間のスペーサーであ
ると考えられており、このスペーサーは、一旦結合されるポリペプチドを折り畳
むのに必要である。カルボキシ末端は、折り畳まれていないポリペプチドを結合
し、そしてモデル基質であるローダネーセ(rhodanese)の凝集を防ぐ
ために必須である20
【0007】 ユビキチン−プロテアソーム系は、細胞が正常なタンパク質の活性を調節しそ
して変異体または誤って折り畳まれたタンパク質の潜在的な毒性効果を回避する
ように発達させてきた、精巧な機構である。適切なタンパク質代謝回転の重要性
により、この系における摂動が、多数の疾患の病原性に関係しているということ
は、驚くべきことではない。
【0008】 ユビキチン化は、潜在的に、アタキシン−1の分解を指向するように作用する
一方、しかし、罹患したニューロンにおける変異体タンパク質の蓄積を導く欠損
は、あまり明らかではない。野生型アタキシン−1および変異体アタキシン−1
の結合体化は、ほぼ等しい動力学で生じ、このことは、変異体アタキシン−1加
水分解における律速因子が、ユビキチンの結合体化ではなく、むしろプロテアソ
ームによる変異体タンパク質の認識または加水分解であることを示唆する。
【0009】 本明細書中に示されるデータは、プロテアソームとアタキシン−1凝集との間
の関係、およびSCA1病原性における分子シャペロンの役割の両方を実証し、
そして神経変性疾患の処置のための本発明のための支持を提供する。
【0010】 (発明の要旨) 本発明の目的は、シャペロンまたはシャペロン様化合物を用いて神経変性疾患
を処置する方法である。
【0011】 本発明のさらなる目的は、シャペロン様活性について試験化合物をスクリーニ
ングするための方法である。
【0012】 本発明のさらなる目的は、プロテアソーム活性をアップレギュレートすること
によって、哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法である。
【0013】 従って、前述の目的を達成することにおいて、本発明の1つの局面に従って、
哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法が提供され、この方法は、治療的
に有効な量のシャペロンまたはシャペロン様化合物を哺乳動物の神経学的系に導
入する工程を包含する。
【0014】 本発明の特定の実施態様において、この導入工程は、シャペロンまたはシャペ
ロン様化合物を、遺伝子療法によって哺乳動物に導入する工程を包含する。
【0015】 本発明の別の特定の実施態様において、この導入工程は、シャペロンまたはシ
ャペロン様化合物を、哺乳動物に直接注入する工程を包含する。
【0016】 本発明の代替の実施態様は、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活性に
ついて試験化合物をスクリーニングするための方法を包含し、この方法は、試験
化合物を組織培養物中のトランスフェクト細胞に導入する工程(ここで、このよ
うなトランスフェクト細胞は、核凝集含有物を生成する)、および核凝集含有物
の量を測定する工程(ここで、コントロール細胞と比較して核凝集含有物の量を
減少する試験化合物は、シャペロン活性を有する)を包含する。
【0017】 本発明の別の代替の実施態様は、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活
性について試験化合物をスクリーニングするための方法を包含し、この方法は試
験化合物を神経変性疾患のモデルである動物に導入する工程、この動物を発症さ
せる工程、および続いて、この動物における凝集物の量を測定する工程であって
ここでコントロール動物より減少した凝集形成がシャペロン様活性を示す工程、
を包含する。
【0018】 本発明のさらなる代替の実施態様は、哺乳動物における神経変性疾患を処置す
る方法を包含し、この方法は、治療的に有効な量の化合物をこの哺乳動物に導入
する工程であって、ここでこの化合物が、神経学的系におけるシャペロンの有効
濃度を増加する工程を包含する。
【0019】 本発明の別の代替の実施態様は、哺乳動物における神経変性疾患を処置する方
法を包含し、この方法は、治療的に有効な量の化合物をこの哺乳動物に導入する
工程であって、ここでこの化合物が、神経学的系におけるプロテアソームの有効
濃度を増加するか、またはその活性を増強する工程を包含する。
【0020】 他およびさらなる目的、特徴、ならびに利点は、本発明の現在好ましい実施態
様の以下の説明から明らかであり、この説明は、添付の図面と組み合わせされる
場合、開示の目的のために与えられる。
【0021】 (発明の詳細な説明) 当業者には、様々な置換および改変が、本明細書中に開示される本発明に対し
て、本発明の範囲および精神を逸脱せずに成され得ることが、容易に明らかであ
る。
【0022】 本発明で使用される場合、用語「シャペロン」は、真核生物細胞において産生
され、他のタンパク質を折り畳むのを補助するか、または誤って折り畳まれたタ
ンパク質を適切な構造に再折り畳みする事を可能にするかのいずれかであるタン
パク質をいう。このようなタンパク質の変種は、当該分野で公知である。例えば
、Hsp60、Hsp40、およびHsp70は、このようなタンパク質の例で
ある。当業者は、このようなタンパク質をどのように決定するかを知っている。
【0023】 用語「シャペロン様化合物」は、本発明において、シャペロン様活性を示すタ
ンパク質または化学化合物をいうために使用される。より詳細には、神経系の細
胞においてタンパク質の凝集を防止する能力を示す化合物をいう。
【0024】 本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子療法」は、当該分野で一般的に公
知の意味を有する。これは、遺伝子が生物に挿入される遺伝子療法において公知
の任意の方法を含む。多くの場合において、遺伝子療法および適切な送達ビヒク
ルを使用して、遺伝子は、特定の組織に標的化され得る。
【0025】 本明細書中で使用される場合、用語「神経変性障害」は、神経系の細胞におい
て不溶性凝集の特徴を有する神経変性障害をいう。これらの型の疾患のいくつか
の例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン障害、ハンチング
トン病(HD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、脊髄小脳性運
動失調1型および3型(SCA1およびSCA3)、ならびにCAG反復伸長に
よって引き起こされる任意の他の神経変性疾患が挙げられる。
【0026】 本明細書中で使用される場合、用語「タンパク質凝集」は、タンパク質の誤っ
た折り畳みおよびタンパク質の集塊を含む。両方の場合において、タンパク質は
、正常には分解されない。
【0027】 本明細書中で使用される場合、用語「トランスフェクト細胞」は、外来遺伝子
が、細胞に挿入されており、そしてこの細胞で発現される細胞をいう。
【0028】 本発明の1つの局面は、哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法であり
、この方法は、治療的に有効な量のシャペロンまたはシャペロン様化合物を哺乳
動物の神経学的系に導入する工程を包含する。
【0029】 本発明の特定の実施態様において、導入工程は、シャペロンまたはシャペロン
様化合物を遺伝子療法によって哺乳動物に注入する工程を包含する。
【0030】 本発明のさらなる特定の実施態様において、導入工程は、シャペロンまたはシ
ャペロン様化合物を哺乳動物に導入する工程を包含する。
【0031】 本発明の代替の実施態様は、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活性に
ついて試験化合物をスクリーニングするための方法を包含し、この方法は、試験
化合物を組織培養物中のトランスフェクト細胞に導入する工程(ここで、このよ
うなトランスフェクト細胞は、核凝集含有物を生成する)、および核凝集含有物
の量を測定する工程(ここで、コントロール細胞と比較して核凝集含有物の量を
減少する試験化合物は、シャペロン活性を有する)を包含する。
【0032】 本発明の別の代替の実施態様は、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活
性について試験化合物をスクリーニングするための方法を包含し、この方法は試
験化合物を神経変性疾患のモデルである動物に導入する工程、この動物を発症さ
せる工程、および続いて、この動物における凝集の量を測定する工程であって、
ここでコントロール動物より減少した凝集形成がシャペロン様活性を示す工程、
を包含する。
【0033】 本発明のさらなる代替の実施態様は、哺乳動物における神経変性疾患を処置す
る方法を包含し、この方法は、治療的に有効な量の化合物をこの哺乳動物に導入
する工程であって、ここでこの化合物が、神経学的系におけるシャペロンの有効
濃度を増加する工程を包含する。
【0034】 本発明の別の代替の実施態様は、哺乳動物における神経変性疾患を処置する方
法を包含し、この方法は、治療的に有効な量の化合物をこの哺乳動物に導入する
工程であって、ここでこの化合物が、神経学的系におけるプロテアソームの有効
濃度を増加する工程を包含する。
【0035】 別の代替は、プロテアソームの活性を増強し、その結果、誤って折り畳まれた
タンパク質を分解する際により有効である。
【0036】 化合物(シャペロン、シャペロン様化合物、およびプロテアソームの有効濃度
を増加させるかまたはその活性を増強する化合物)は、組織の供給源への薬学的
に受容可能な送達態様で使用されることを認識することが重要である。これは、
インビトロ、インビボまたはエキソビボ投与を含み得る。
【0037】 (治療有効量) 本発明で用いられる場合、化合物は、この化合物が、神経学的疾患の発症を低
減、遅延、もしくは除去するか、またはタンパク質の誤った折り畳みを低減、遅
延もしくは除去するか、神経学的系における不溶性凝集物の形成を遅延もしくは
除去した場合、治療的に有効であるとみなされる。当業者は、これらの多くの原
因において、この化合物が、治癒を提供しないかもしれないが、部分的な利益の
みを提供し得ることを容易に認識する。いくらかの利益を有する生理学的変化は
、治療的に有益であるとみなされる。従って、生理学的変化を提供する化合物の
量は、「有効量」または「治療有効量」とみなされる。
【0038】 化合物、分子または組成物は、その投与がレシピエント哺乳動物によって寛容
され得る場合、「薬理学的に受容可能」であるといわれる。このような薬剤は、
その投与される量が、生理学的に有意である場合、「治療的有効量」で投与され
るといわれる。ある薬剤は、その存在が、レシピエント哺乳動物の生理において
技術的変化をもたらす場合、生理学的に有意である。例えば、本発明の神経学的
障害の処置において、化合物は、(i)タンパク質の誤った折り畳みおよび/も
しくは形成を阻害するかまたは神経系における不溶性凝集物の量を減少させる場
合、あるいは(ii)神経学的障害の症状の発症を遅延させる場合、治療的に有
効である。
【0039】 (投薬量および処方) 本発明のシャペロン、シャペロン様化合物、およびプロテアソーム(活性成分
)の有効濃度を増加させる化合物は、処方および投与されて、哺乳動物の身体に
おいて活性成分と薬剤またはその作用部位との接触を生じる任意の手段によって
種々の疾患および非疾患状態を阻害し得る。この化合物は、個々の治療活性成分
または治療活性成分の組合せのいずれかとして、医薬に関連した用途に利用可能
な任意の従来の手段によって投与され得る。これらは、単独で投与され得るが、
一般に、選択された投与経路および標準的な薬学的実施に基づいて選択される薬
学的キャリアと共に投与される。
【0040】 他の用途についての投薬量は、所望される身体的効果に依存して変化する。こ
れらの関係は、一般に、類似の効果を有する化合物について当該分野で公知であ
り、そして当業者によって容易に決定され得る。
【0041】 投与される投薬量は、治療有効量の活性成分であり、そしてもちろん、以下の
ような公知の因子に依存して変化する:特定の活性成分ならびにその投与態様お
よび投与経路の薬力学的特徴;レシピエントの年齢、性別、健康、および体重;
症状の性質および程度;同時に行われる処置の種類、処置の頻度ならびに所望さ
れる効果。1日投薬量(治療有効量)の活性成分は、1日に2〜4回、分割され
た用量で、または持続放出性形態で与えられ得る。
【0042】 内部投与に適切な投与形態(組成物)は、1単位あたり約1.0ミリグラム〜
約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの薬学的組成物では、活性成分は
、通常、組成物の全重量を基準として約0.05重量%〜95重量%の量で存在
する。
【0043】 この活性成分は、固形投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、および散剤)に
おいて、または液体投薬形態(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、乳剤、およ
び懸濁剤)において経口投与され得る。この活性成分はまた、注射、迅速注入、
鼻咽頭吸収または皮膚吸収(dermoabsorption)による非経口投
与のために処方され得る。この薬剤は、筋肉内に、静脈内に、または坐剤として
投与され得る。さらに、導入の遺伝子治療態様は、この化合物の導入を標的化す
るために用いられ得る。当業者は、この方法のための投薬量が、送達の効率に依
存して調製されなければならないことを容易に認識する。
【0044】 ゼラチンカプセルは、活性成分および粉末化キャリア(例えば、ラクトース、
スクロース、マンニトール、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネ
シウム、ステアリン酸など)を含む。類似の希釈剤を用いて、圧縮錠剤を作製し
得る。錠剤およびカプセル剤の両方が、数時間という時間にわたる薬物の連続放
出を提供するための持続放出製品として製造され得る。圧縮錠剤は、糖衣もしく
はフィルムコーティングされて、任意の不愉快な味覚をマスクし得、そしてこの
錠剤を大気から防御し得るか、または胃腸管における選択的崩壊のために腸溶性
にコーティングされ得る。
【0045】 経口投与のための液体投薬形態は、着色剤および矯味矯臭剤を含んで、患者に
対する受容性を増加させ得る。
【0046】 一般に、水、適切な油、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液、
ならびに関連の糖溶液およびグリコール(例えば、プロピレングリコールまたは
ポリエチレングリコール)は、非経口溶液のための適切なキャリアである。非経
口投与のための溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適切な安定剤、およ
び必要に応じて緩衝物質を含む。抗酸化剤(例えば、硫酸水素ナトリウム、亜硫
酸ナトリウムまたはアスコルビン酸)は、単独または組合せのいずれかで、適切
な安定剤である。クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムもまた使
用される。さらに、非経口溶液は、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、メ
チルパラベンまたはプロピルパラベン、およびクロロブタノール)を含み得る。
適切な薬学的キャリアは、この分野における標準的な参考書である、Remin
gton’s Pharmaceutical Sciencesに記載される
【0047】 さらに、標準的な薬学的方法が、作用の持続期間を調節するために用いられ得
る。これらは、当該分野において周知であり、そして制御放出調節物を含み、そ
して適切な高分子(例えば、ポリマー、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニ
ル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース、または硫酸プロタミン)を含み得る。高分子の濃度および取り
込み方法は、放出を制御するために調節され得る。さらに、この薬剤は、ポリマ
ー性材料(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)ま
たはエチレンビニルアセテートコポリマー)の粒子中に取り込まれ得る。取り込
まれることに加えて、これらの薬剤はまた、マイクロカプセル中にこの化合物を
捕獲するために用いられ得る。
【0048】 本発明の化合物の投与のために有用な薬学的投薬形態は、以下の通りに例示さ
れ得る。
【0049】 カプセル剤:カプセル剤は、標準的な2片の硬質ゼラチンカプセルに各々10
0ミリグラムの粉末化活性成分、175ミリグラムのラクトース、24ミリグラ
ムのタルクおよび6ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを充填することによ
り調製される。
【0050】 軟質ゼラチンカプセル剤:ダイズ油中の活性成分の混合物を調製し、そして 正置換ポンプ(positive displacement pump)によ
ってゼラチン中に注射して、100ミリグラムの活性成分を含む軟質ゼラチンカ
プセル剤を形成する。次いで、このカプセル剤は、洗浄および乾燥される。
【0051】 錠剤:錠剤は、投薬量の単位が100ミリグラムの活性成分であるように、従
来の手順によって調製される。0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ素、5
ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの微結晶性セルロー
ス、11ミリグラムのコーンスターチおよび98.8ミリグラムのラクトース。
適切なコーティングが適用されて、嗜好性を増大させ得るかまたは吸収を遅延さ
せ得る。
【0052】 注射可能物質:注射による投与に適切な非経口組成物は、1.5重量%の活性
成分を、10用量%のプロピレングリコールおよび水中で攪拌することにより調
製される。この溶液は、塩化ナトリウムを用いて等張にされ、そして滅菌される
【0053】 懸濁剤:水性懸濁剤を、各5ミリリットルが100ミリグラムの微細に分割さ
れた活性成分、200ミリグラムのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5
ミリグラムの安息香酸ナトリウム、1.0グラムのソルビトール溶液(U.S.
P.)および0.025ミリリットルのバニリンを含むように、経口投与のため
に調製する。
【0054】 (実施例1:プラスミド) 82個のCAG反復を含むヒトSCA1 cDNAを、pcDNA3.1/H
IS−C(Invitrogen)42中にサブクローニングした。同じcDNA
を、pEGFP(Clonetech)中にインフレームでサブクローニングし
て、アタキシン−1(ataxin−1)/GFP融合物構築物を生成した。c
DNAをサブクローニングした後、ポリグルタミン反復の大きさを、DNA配列
分析によって確認した。pcDNA 3.1ベクターにおけるこのCAG反復は
、92まで拡大していたが、GFP構築物におけるこのCAG反復は、変化して
いないままであった。
【0055】 全長のヒトHDJ−2/HSDJ変異体およびHDJ−2/HSDJ変異体Δ
250(aa 9〜46の欠失)およびΔ450(aa 9〜107の欠失)32 を、pFLAG−CMV−2ベクター(Kodak)中にインフレームでサブク
ローニングした。プライマーHDJ2−FOR(5’−aataagaatgc
ggccgcgatggtgaaagaaacaacttac−3’)およびH
DJ2−REV(5’−gaatttgctgaaccattccaggtc−
3’)を用いて、インフレームでNot I部位を含むHDJ−2/HSDJの
5’末端をPCR増幅した。このPCR産物を、Not1およびEcoR1で切
断し、そしてpFLAG−CMV−2中にサブクローニングした。この構築物を
、EcoR1およびXba1で消化して、3’HDJ−2/HSDJ EcoR
1/Xba1配列を挿入した。この構築物をDNA配列分析により確認した。
【0056】 (実施例2:免疫組織化学および免疫蛍光) 免疫組織化学染色を、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を用いて
、ヒトおよびマウスの脳切片について当該分野で公知の方法7によって行った。
脳組織を染色するために用いた以下の抗血清は、StressGenから購入し
た:ウサギポリクローナル抗Hsp25(SPA−801)、マウスモノクロー
ナル抗Hsp27(SPA−800)、マウスモノクローナル抗Hsp60(S
PA−806)、ウサギポリクローナル抗Hsp90α(SPA−771)、マ
ウスモノクローナル抗Hsp70(SPA−810)、マウスモノクローナル抗
Hsp70/Hsc70(SPA−882)、およびウサギポリクローナル抗H
sp110(SPA−1103)。マウスおよびヒトのHDJ−2/HSDJを
、マウスモノクローナル抗HDJ−2/DNAJ Ab−1クローンKA2A5
.6(Neomarkers)を用いて検出した。20Sプロテアソームである
PA700およびP31を、ウサギポリクローナル抗20Sプロテアソーム43
ニワトリポリクローナル抗PA700、およびウサギポリクローナル抗P31を
用いて可視化した。
【0057】 COS7細胞およびHeLa細胞におけるアタキシン−1およびHDJ−2/
HSDJの一過性発現を、滅菌カバーガラスを含む35mm組織培養プレート中
でのLipofectamineTM Reagent(Life techno
logies,Inc.)を用いるトランスフェクションによって達成した。ト
ランスフェクションの48時間後、細胞を4℃にて30分間、PEM(80mM
K−PIPES、pH6.8、5mM EGTA pH7.0、2mM Mg
Cl2)中の4%ホルムアルデヒド中で固定し、PEM中の1mg/ml Na
BH4でクエンチングし、そして30分間、PEM中の0.5% Triton
X−100において透過性にした。カバーガラスを、1時間、室温(RT)に
て50mM Tris−HC1 pH7.5、150mM NaCl、0.05
% Tween20(TBS−T)中の5%脱脂粉乳(Bio−Rad)におい
てブロックし、次いで60分間、RTにてアタキシン−1(11750VII) 44 を認識するウサギポリクローナル抗体(1:1000)とともにインキュベー
トした。HDJ−2/HSDJ構築物中のFLAGエピトープを認識するマウス
モノクローナル抗体(1:1000)M2(Kodak)を用いて、組換えHD
J−2/HSDJを染色した。続いて、細胞を、抗ウサギ−Texas Red
または抗マウス−FITCのいずれか(Vector Laboratorie
s)(1:600)とともにインキュベートし、TBS−T含有DAPI(1μ
g/ml)中で1分間対比染色し、次いで抗退色(antifade)溶液(V
ectashield mounting media,Vector Lab
oratories)中に備えつける。Hsp70を、マウスモノクローナル抗
Hsp70(1:500)(StressGen)を用いて検出した。内因性H
DJ−2/HSDJを、マウスモノクローナル抗HDJ2/DNAJ(1:20
0)(Neomarkers)を用いて検出した。20Sプロテアソームを、ウ
サギポリクローナル抗20Sプロテアソーム43(1:500)を用いて可視化し
、そしてアタキシン−1の同時局在(colocalization)を、pc
DNA 3.1(Invitrogen)中のXpressエピトープを認識す
るマウスモノクローナル抗Xpress(1:1000)を用いて検出した。ユ
ビキチンを、マウスモノクローナル抗ユビキチン(1:200)(Novo C
astra)、続いてアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体(ABC)反
応を製造業者(Vector Laboratories)のプロトコルに従っ
て用いて可視化し、そして免疫蛍光によってアタキシン−1−GFPと同時局在
させた。
【0058】 (実施例3:HeLa細胞におけるアタキシン−1凝集形成の定量分析) 2連のスライドを、盲験的に2つの独立した試行において評価した。各スライ
ドは、HDJ2/HSDJおよびアタキシン−1で同時トランスフェクトされた
200を超える細胞を有していた;細胞を、それらのアタキシン−1染色パター
ンによって以下のいずれかに分類した:1)分散、2)微細な点状(micro
punctate)または3)大きな凝集物。凝集物と評価された、同時トラン
スフェクトされた細胞の総数は、以下の通りであった:アタキシン−1およびH
DJ−2/HSDJについて1302;アタキシン−1およびΔ250について
550;アタキシン−1およびΔ450について841、ならびにアタキシン−
1および空のベクターについて695。凝集物の形成頻度を、2つの独立した実
験について計算し、そして平均±s.e.m.として表した。統計分析(ANO
VA)を、SPSSソフトウェアバージョン6.1を用いて行った。
【0059】 (実施例4:プロテアソームは、アタキシン−1凝集物と同時局在する) ユビキチン陽性アタキシン−1封入物を含む核におけるプロテアソーム分布を
確認するために、SCA1罹患領域由来の脳組織である中心橋核(nucleu
s pontis centralis)を、免疫組織化学により分析した。ア
タキシン−1核凝集物は、抗20Sプロテアソームポリクローナル抗血清に対し
て強力に免疫反応性であり、そして約2μmの封入物の全体を通して点状の構造
の濃い蓄積を示す(図1a)。残りの核は、分散染色を示すが、非罹患コントロ
ール由来のニューロンの核において観察されるよりも少ない分散染色を示す(図
1b)。
【0060】 野生型SCA1対立遺伝子(30グルタミン[30Q]を含むA02株)また
は変異体対立遺伝子(82Qを含むB05株)のいずれかを発現するトランスジ
ェニックマウスのプルキンエ細胞27もまた調べた。非トランスジェニックコント
ロールマウスおよびA02株からのマウスのプルキンエ細胞では、20Sプロテ
アソームの分布は、細胞質がわずかにしか染色されない、分散性核であった(図
1c、図1d)。しかし、B05のプルキンエ細胞では、この20Sプロテアソ
ームは、単一の大きな核封入物中に局在化される(図1e)。SCA1患者のニ
ューロンにおいて観察されるように、20Sプロテアソーム染色は、核封入物中
または核封入物周辺に濃縮された。残りの核における染色は、非トランスジェニ
ックコントロールまたはA02株において見られたよりもかすかであった。従っ
て、SCA1患者および運動失調のトランスジェニックマウスモデルの両方にお
いて、20Sプロテアソーム複合体が、罹患したニューロンの核において、アタ
キシン−1タンパク質凝集物の部位に再分配される。26Sプロテアソーム142 8 のPA700調節サブユニットおよびP31キャップモジュレーターの分布は
また、SCA1患者およびトランスジェニックマウスにおけるアタキシン−1凝
集物とともに同時局在するように変更された。
【0061】 (実施例5:アタキシン−1核凝集物は、HDJ−2/HSDJについて陽性
である) タンパク質の折り畳み、ユビキチン依存性タンパク質分解、および凝集抑制に
おける真核生物DnaJホモログの役割2122を考慮して、SCA1患者および
トランスジェニックマウス由来の脳組織におけるヒトDnaJホモログHDJ−
2/HSDJの発現および細胞内局在を調べた。HDJ−2/HSDJは、今日
までにクローニングされた3つの哺乳動物DnaJホモログ2930のうちの1つ
であり、そして酵母のYdj−1タンパク質に最も近く類似している31。免疫染
色によって、中心核橋におけるアタキシン−1核封入物は、HDJ−2/HSD
J陽性であることが見出された(図2a)。HDJ2/HSDJは、核封入物以
外の細胞質に主に局在した。変異体アタキシン−1を発現するトランスジェニッ
クマウスのプルキンエ細胞では、マウスHDJ−2ホモログは、核封入物との同
時局在以外は同様に細胞質であった(図2c)。非トランスジェニックコントロ
ールにおけるプルキンエ細胞は、優先的な細胞質染色を示した(図2d)。
【0062】 Hsp40ファミリーの分子シャペロンのメンバー(例えば、HDJ−2/H
SDJ)は、しばしば、Hsp70シャペロンと協調して機能する192122ので
、誘導性Hsp70の発現および細胞内分布を調べた。Hsp70免疫染色は、
SCA1患者およびコントロールの中心核橋において検出不可能であった。同様
に、Hsp70は、A02、B05、および非トランスジェニックコントロール
マウスのプルキンエ細胞において検出不可能であった。これらの結果は、アタキ
シン−1核封入物が、誘導性Hsp70の発現を増加させるために必要なストレ
ス応答を誘発しないことを示した。
【0063】 Hsp70ファミリーの構成的なメンバーであるHsc70の発現および細胞
内分布もまた、Hsp70およびHsc70の両方を認識する抗体を用いて調べ
た。SCA1患者由来の中心核橋では、Hsc70は、アタキシン−1核凝集物
において検出され、そしてB05マウスのプルキンエ細胞における核封入物のか
すかな染色が存在した。Hsc70の染色パターンは、これらの両方の組織にお
いてHDJ−2/HSDJの染色パターンよりかなり弱かった。さらなるhsp
(Hsp25/27、Hsp60、Hsp90のニューロン形態(Hsp90α
)、およびHsp110を含む)の染色パターンは、これらのタンパク質がいず
れもアタキシン−1凝集物と同時局在しないことを示した。
【0064】 (実施例6:プロテアソームおよびアタキシン−1は、トランスフェクトされ
た細胞において凝集する) HDJ−2/HSDJおよび20Sプロテアソームは、トランスジェニックマ
ウスおよびSCAIの罹患細胞中のユビキチン陽性封入物中に再分配されるので
、これらのタンパク質を、トランスフェクトした細胞において調べた。培養細胞
は操作に従い、そしてインビボで観察される表現型異常のモデルを提供する。細
胞を、アタキシン−1およびグリーン蛍光タンパク質(GFP)の融合物を含む
構築物でトランスフェクトし、次いでユビキチンについて染色した。非トランス
フェクト細胞は、分散したユビキチン染色を示す(図3a)が、アタキシン−1
でトランスフェクトした細胞は、ユビキチン陽性凝集物を示す(図3c)。ユビ
キチンおよびGFP−アタキシン−1の同時局在は、明視野画像と免疫蛍光によ
って生成される画像との重複によって実証される(図3b、図3d)。
【0065】 アタキシン−1凝集物がまた、20Sプロテアソームについて陽性であるか否
かを決定するために、アタキシン−1でトランスフェクトしたHeLa細胞を、
アタキシン−1および内因性20Sプロテアソームについて同時染色した。図4
に示すように、非トランスフェクト細胞における20Sプロテアソーム染色パタ
ーンは、核において主に点状であり、少数の大きな不規則な形状の病巣を有して
いる(図4)。細胞をアタキシン−1でトランスフェクトすることは、20Sプ
ロテアソームの染色パターンを変更し、その結果、その染色パターンは、アタキ
シン−1によって形成される核凝集物と明らかに一致する(図4c)。一まとめ
にして考えると、これらのデータは、凝集物中のタンパク質が、ユビキチン化さ
れており、そしてプロテアソームによる加水分解について標的化されることを示
す。20Sプロテアソームの異常な核分布は、プロテアソームはアタキシン−1
凝集物に局在するが、この凝集物内のタンパク質を分解できないことを示唆する
【0066】 (実施例7:アタキシン−1中のシャペロンは、トランスフェクトされた細胞
において凝集する) アタキシン−1でトランスフェクトしたHeLa細胞におけるHDJ−2/H
SDJの細胞内分布を調べた。非トランスフェクトHeLa細胞における内因性
HDJ−2/HSDJは、優先的に細胞質であり、制限された核染色を有してい
た。アタキシン−1でトランスフェクトされた細胞は、より濃い核染色を示し、
凝集物へのHDJ−2/HSDJの同時局在が明確であった(図5a、図5b、
図5c)。従って、非ニューロン細胞株は、インビボで観察されるアタキシン−
1凝集物へのHDJ−2/HSDJの標的化を再現する。
【0067】 予測されるように、内因性Hsp70は、非トランスフェクトHeLa細胞に
おいて間接的免疫蛍光によって検出されなかった。逆に、Hsp70染色は、ア
タキシン−1でトランスフェクトした細胞において明らかであったが、大きな核
封入物を含むサブセットにおいてのみ明らかであった。後者の場合、Hsp70
およびアタキシン−1核凝集物の同時局在が見られた(図5d、図5e、図5f
)。これらのデータは、Hsp70が、大きな核凝集物を形成する細胞において
アップレギュレートされることを示す。
【0068】 (実施例8:シャペロン過剰発現は、アタキシン−1凝集を低減させる) HDJ−2/HSDJが分子シャペロンとして機能する能力およびHeLa細
胞におけるアタキシン−1凝集を調節する能力を試験した。インビトロでの真核
生物DnaJタンパク質によるタンパク質凝集の抑制は、比較的大きな(約10
倍)モル過剰のDnaJタンパク質を必要とする20。アタキシン−1凝集物を含
む細胞における内因性DnaJタンパク質は、凝集物の形成を抑制するのに成功
するのに充分なレベルでは存在しないかもしれない。Tangらは、HDJ−2
/HSDJの過剰発現が、変異体ステロイドレセプターを含む核凝集物の形成を
効果的に抑制することを実証した32。アタキシン−1はステロイドレセプターで
はないが、Tangの参考文献は、類似のアプローチを試行することの示唆であ
る。HDJ−2/HSDJを、HeLa細胞におけるトランスフェクションによ
り過剰発現させ、そしてこの細胞をアタキシン−1の染色パターンについて分析
した。HeLa細胞をアタキシン−1[92Q]およびHDJ−2/HSDJで
同時トランスフェクトした場合、アタキシン−1凝集物は低減した:一方、アタ
キシン−1およびプラスミドベクターでトランスフェクトした細胞の約70%は
、核凝集物を有しており、アタキシン−1およびHDJ−2/HSDJを発現す
る細胞の40%未満は凝集物陽性であった(図6a)。アタキシン−1およびH
DJ−2/HSDJの2つのJドメイン変異体(Δaa9−46またはΔaa9
−107)のいずれかを同時発現する細胞中のアタキシン−1凝集物における有
意な減少は観察されなかった。分散分析(ANOVA)は、分析した4つの群の
間で、アタキシン−1凝集の頻度における差を示した(F=24.5、DF=3
、8およびp=0.0002)。アタキシン−1トランスフェクト細胞における
野生型HDJ−2/HSDJの同時発現は、この偏差の原因であった。他の群の
対はいずれも、有意に分岐しなかった。さらに、大きな凝集物に対する微小な点
状の凝集物を含む細胞の分布は、HDJ−2/HSDJ発現細胞と、ベクターコ
ントロールまたはいずれかの欠失変異を発現する細胞との間で異なった(図6b
)。ANOVAは、凝集物の大きさの分類と、HDJ−2/HSDJの発現との
間で有意な相関を実証した(F=36.4、DF=6、24、およびp<0.0
01)。まとめると、これらの結果は、特定の分子シャペロンの過剰発現が、イ
ンビボでの変異体アタキシン−1の凝集を抑制し得ることを示す。充分な量のH
DJ−2/HSDJがアタキシン−1発現に応答して核に標的化される場合、ア
タキシン1凝集は抑えられる。この予防効果は、HDJ−2/HSDJ内のDn
aJドメインの存在に依存する。
【0069】 (実施例9:トランスジェニックマウスにおける実験) SCA1トランスジェニックマウスは、このヒトの疾患についての優れた動物
モデルを提供する。これらのマウスのプルキンエニューロンでは、アタキシン−
1凝集物は、シャペロンに局在し、そしてプロテアソームに隔離されるようであ
る。HDJ−2/HSDJシャペロンの過剰発現が細胞培養におけるアタキシン
−1凝集物を低減させるとの知見により、HDJ−2/HSDJをプルキンエ細
胞において過剰発現する新たなトランスジェニックマウスを作製した。HDJ−
2/HSDJ遺伝子を、プルキンエ細胞での選択的発現を指向するプロモーター
の制御下で発現させることにより、これらのマウスを作製した。誕生後、これら
のトランスジェニックマウスを、SCA1トランスジェニックマウスと交配する
。このようにして、変異体アタキシン−1を発現するプルキンエ細胞は、高レベ
ルのHDJ−2/HSDJシャペロンを有する。これらの二重トランスジェニッ
クマウスの臨床的経過および病状を特徴付けて、インビボでのシャペロン過剰発
現の陽性の効果が実証される。
【0070】 (実施例10:細胞培養実験) これらの実験の目的は、培養中の細胞(細胞株)を使用して、シャペロンおよ
びプロテアソームの活性を調節する多数の化合物をスクリーニングすることであ
る。細胞培養に基づくアッセイを使用することの容易さは、何百もの化合物を同
時に迅速にスクリーニングすることを可能にする。次いで、アタキシン−1の誤
った折り畳みおよび/または凝集が減少または除去されるように、シャペロン/
プロテアソーム活性を調節することがわかっている化合物を、インビボで使用さ
れ得る薬物療法を開発および試験するために使用する。
【0071】 新規な細胞株を、テトラサイクリンで調節可能な遺伝子発現系(Tet−On TM 、Clontech)を使用して変異体アタキシン−1のレベルを制御するた
めに開発した。この系を用いると、テトラサイクリンの添加による誘導まで細胞
の正常な状態が維持される。誘導された場合、変異体アタキシン−1は、高レベ
ルで発現される。変異体アタキシン−1は、誤って折り畳みされる傾向があるの
で、変異体アタキシン−1は、これらが発達するに従って観察される凝集を次第
に形成する。誘導の時期を正確にモニターする。プロテアソームおよび/または
シャペロン機能をもたらすことが公知である化合物のアレイの存在下での、これ
らの細胞株における変異体タンパク質の凝集の調節をモニターする。これらの化
合物を、凝集に介入し、そしてこれを妨害するための理想的な時機がいつかを決
定するために、アタキシン−1発現の誘導の前または後のいずれかに細胞に添加
する。
【0072】 (実施例11:プロテアソーム阻害は、界面活性剤不溶性アタキシン−1の凝
集の増加および蓄積をもたらす) 全長変異体アタキシン−1[82Q]は、組織培養細胞中で過剰発現させ、そ
してこれらの凝集物が20Sプロテアソームの染色パターンを変化させる場合に
、核内構造において容易に凝集する。プロテアソームの異常な分布は、凝集した
タンパク質を分解しようとしてプロテアソームが含有物を標的化していることを
示す。トランスフェクトしたHeLa細胞におけるGFP−アタキシン−1[8
2Q]の凝集に対するプロテアソームインヒビターの効果を試験した。プロテア
ーゼインヒビターclasto−Lactacystin β−ラクトンは、リ
ソソーム性の分解を阻害することなく、プロテアソームによるタンパク質分解を
特異的に防止する。β−ラクトンによるプロテアソーム阻害は、アタキシン−1
凝集に対して劇的な効果を有した。核凝集物を有していた、偽処理細胞の71%
と対照的に、プロテアソームインヒビター処理細胞の97%は、凝集物陽性であ
った(図7A〜7D)。さらに、大きな凝集物を含む細胞の分布はまた、コント
ロールに比較して劇的に増加した。少ないパーセンテージの処理した細胞のみが
、拡散染色パターンを有していたかまたは微小斑点構造を含んでいた。従って、
プロテアソームインヒビター処理は、核凝集物の頻度およびサイズの両方の増加
をもたらした。この増強は、正しく分解されない、誤って折り畳まれたタンパク
質の核濃度の増加に起因することが最もありそうである。同様の効果は、第2の
、効力がより強力でない、プロテアソームインヒビターMG132(CBZ−L
LLAL)を用いて見られた。
【0073】 (実施例12:アタキシン−1分解に対するプロテアソームインヒビターの効
果) 定常状態レベルのアタキシン−1に対するβ−ラクトンの効果を、イムノブロ
ット分析によって評価した(図8A〜8D)。変異体アタキシン−1[92Q]
を発現するHaLa細胞を、異なる濃度のβ−ラクトンまたはDMSO(ジメチ
ルスルホキシド)コントロールのいずれかを用いて処理した。細胞溶解物を、界
面活性剤可溶性画分および界面活性剤不溶性画分に分離し、次いでアタキシン−
1抗体を用いてイムノブロットを行った。レーン当たりにロードした細胞の等価
物により、β−ラクトン処理は、アタキシン−1の界面活性剤不溶性型の著しい
蓄積をもたらすことが明らかであり、このことはその分解がプロテアソーム経路
を介することを示唆する。レーン当たりのタンパク質濃度を増加させ、そして露
出時間を延長すると、分散したバンドによって点状になっている高分子量のスメ
アが明らかである。興味深いことに、アタキシン−1の界面活性剤可溶性型の定
常状態レベルは、β−ラクトンの存在下において変化せずに見られた。さらに、
より高分子量のスメアは、界面活性剤可溶性画分においては決して見られなかっ
た。
【0074】 (実施例13:アタキシン−1は、ポリユビキチン化される) 緻密な実験において、アタキシン−1免疫反応性スメアは、Å7kDaの間隔
で規則的に間隔があいているバンドのラダーを含む。このバンドのパターンは、
ポリユビキチン化を高度に示す。これらのアタキシン−1免疫反応性バンドがユ
ビキチン結合体であるかどうかを直接的に試験するために、アタキシン−1[9
2Q]トランスフェクト細胞を、β−ラクトンの存在下または非存在下でインキ
ュベートし、溶菌し、そして界面活性剤可溶性画分および界面活性剤不溶性画分
を6×His−アタキシン−1の折り畳み(pull−down)を変性に供し
た。アタキシン−1抗血清を使用して、界面活性剤可溶性画分からアフィニティ
ー精製されたタンパク質のイムノブロット分析は、高分子量スメアを示さなかっ
た。対照的に、強力な免疫反応性が、界面活性剤不溶性画分からアフィニティー
精製されたアタキシン−1を表すレーンに、高分子量物質のスメアとして観察さ
れた。同じブロットをストリッピングすること、および抗ユビキチンで再度プロ
−ビングすることは、これらの高分子量型アタキシン−1が、ユビキチン結合体
であることを確証する。ユビキチン免疫反応性は、界面活性剤不溶性画分に特有
の形で存在するようである。
【0075】 (実施例14:Ube3aの発現を欠くSCA1トランスジェニックマウスは
、減少したNIを有する) SCA1におけるユビキチン経路のあり得る役割を評価するために、B05マ
ウスを、Ube3aの発現を欠く十分に特徴付けられた動物と交雑させた。これ
らの実験は、プルキンエ細胞中の母方の対立遺伝子の好ましい発現を生じるUb
e3aについてインプリントされた発現パターンを利用し、そして交雑を設定し
て、Ube3a(m-/p+)について母方の欠損を有するSCA1マウスを産生した
。雄性のヘテロ接合B05トランスジェニックマウスを、雌性のヘテロ接合Ub
e3aマウスとつがわせた。これは、各々の遺伝子型についての予想された比率
を有する同腹仔を生じた。予期されたように、B05、Ube3a、およびB0
5/Ube3aマウスは、正常に発生し、そして最初の3ヶ月間、ケージ中の挙
動から互いにおよび野生型同腹仔と区別できなかった。
【0076】 NI形成に関与する機構および含有物がSCA1の病因に役割を果たす役割は
、不明である。SCA1 B05トランスジェニックマウスにおけるNIは、抗
アタキシン−1抗血清または抗ユビキチン抗血清のいずれかを使用する免疫組織
化学によって最初に3.5週で明白である。NIを有するプルキンエ細胞の比は
、それらがこれらのニューロンの90%において存在する場合に、12週まで齢
とともに増加する。NI形成におけるE6−APの役割を評価するために、6.
5週、9.5週、および12.5週におけるUbe3a、B05、およびB05
/Ube3aマウス由来の小脳切片におけるアタキシン−1の細胞内局在を、免
疫組織化学によって分析した。Ube3a(m-/p+)マウス小脳中の内因性アタキ
シン−1の分布は、野生型とほぼ同一であった。Ube3a(m-/p+)において欠
損を有さない、変異体アタキシン−1を発現するトランスジェニックマウス由来
のプルキンエ細胞において、アタキシン−1は、核全体にわたって、そして単一
の核構造にまで局在した。Ube3a(m-/p+)/SCA1 B05 プルキンエ
細胞におけるNIの頻度は、6.5週における38%から、12.5週における
Å90%まで、齢とともに増加した。対照的に、Ube3a(m-/p+)の発現を欠
くトランスジェニック動物中のプルキンエ細胞は、主に、アタキシン−1につい
て拡散した核分布を有し、少数の核は、微小な斑点構造または単一のNIを含ん
でいた。Ube3a(m-/p+)/SCA1 B05マウスは、SCA1 B05同
腹仔と比較して、6.5週および9.5週でNIのパーセンテージにおいてほぼ
10倍の減少を有した。12.5週ではNIパーセンテージがわずか3倍しか違
わなかったので、NIパーセンテージが時間の経過とともに増加したことに留意
することは興味深い。これらのデータは、このE3ユビキチンリガーゼの欠如は
、NIの出現の遅延を引き起こすが、他の因子がそれらの形成に寄与することを
示す。ユビキチンに対する抗体を使用する免疫組織化学分析は、二重変異体動物
におけるプルキンエ細胞中で最終的に形成されるNIが、ユビキチン化された物
質を含むことを実証する(図9A〜9F)。ノーザンブロット分析は、B05/
Ube3a(m-/p+)動物中のSCA1トランスジーンの発現に変化がないことを
実証した。このことは、NI形成の頻度の減少が、トランスジーンの発現の変化
に起因しないことを確証する。
【0077】 (実施例15:Ube3aの発現を欠くSCA1トランスジェニックマウスは
、重篤なSCA1病理を有する) 核含有物形成の頻度が二重変異体マウスにおいて減少したので、Ube3aの
発現を有するB05 SCA1トランスジェニックマウス由来の小脳切片と、U
be3aの発現を有さないB05 SCA1トランスジェニックマウス由来の小
脳切片とを比較して、B05 SCA1マウス中で観察される何らかの細胞の変
化が変わったか否かを決定することが特に興味深かった。組織病理学的に、B0
5/Ube3a(m-/p+)小脳は、分子層の薄化、プルキンエ細胞空胞形成および
プルキンエ細胞層から置き換えられた細胞体を有した(図10A〜10I)。ア
タキシン−1の細胞内局在およびプルキンエ細胞の樹状形態のよりよい観察を確
認するために、9.5週、12.5週、および14.5週の動物由来の切片を、
アタキシン−1(11NQ)に対する抗体およびプルキンエ細胞特異的タンパク
質カルビンジンを使用して試験した。光学顕微鏡によって観察されたように、1
1NQ抗体を用いる免疫蛍光分析は、二重変異体動物におけるNIの外見におけ
る明確な減少を確認した。アタキシン−1の細胞下局在は、主として核であり、
そしてB05マウスにおいてNIに濃縮されているが、アタキシン−1の分布は
、二重変異体動物における細胞質中で制限された染色を有する核においてはるか
により拡散していた。しかし、より顕著なことは、Ube3a(m-/p+)発現を欠
くB05 SCA1トランスジェニックマウス由来の切片における樹状分枝(a
borization)の完全な損失、空胞形成、および重篤なプルキンエ細胞
異所性である。14.5週の二重変異体マウスにおいて発生するプルキンエ細胞
形態における顕著な変化は、9ヶ月を超える齢のB05 SCA1マウスの変化
に匹敵し得る。これらの結果は、E3ユビキチンリガーゼの発現の欠如が、SC
A1トランスジェニック動物中のポリグルタミン誘導性病理を加速することを示
す。さらに、この劇的な病理は、NI形成に依存しない。
【0078】 (実施例16:NI形成におけるユビキチン経路の関与) NI形成に導く工程は、完全には明確でないが、いくつかの観察は、ユビキチ
ン経路が関与することを示す。第1に、ユビキチンは、SCA1トランスジェニ
ックマウスにおける発生中のNIにおいて認識される最初のエピトープの1つで
ある。第2に、HeLa細胞中のユビキチン化された型のアタキシン−1は、界
面活性剤不溶性画分において特有の形で見出される。第3に、プロテアソームイ
ンヒビターを用いて、ユビキチン化された型のアタキシン−1の代謝回転を防止
することは、アタキシン−1の凝集の増加をもたらす。第4に、SCA1トラン
スジェニック動物中のNIの頻度は、E3ユビキチンリガーゼの非存在によって
減少される。
【0079】 (実施例17:プロテアソームの阻害の効果) プロテアソームの阻害が、HeLa細胞において凝集のサイズおよび頻度の増
加をもたらしたということは、プロテアソームが、NI形成を抑制する細胞の機
構であることを間接的に示す。同様に、プロテアソーム阻害が短縮型アタキシン
−3の凝集物形成における増加を生じたことも、当該分野において公知である。
これらの知見は、神経変性におけるプロテアソームの役割が、SCA1に限定さ
れず、そして実際、他の神経変性疾患に拡張され得ることを示唆する。
【0080】 タンパク質分解の高度に選択的かつ特異的な性質は、部分的には、E3ユビキ
チンリガーゼによって支配されている。海馬プルキンエ細胞および小脳プルキン
エ細胞におけるその独特の発現パターンを考慮すると、E6−APが、SCA1
組織特異的表現型に関与することが考えられる。母方のUbe3a欠損を有する
患者は、プルキンエ細胞機能障害を示す運動失調を有する。
【0081】 (実施例18:E6−APの効果) SCA1トランスジェニックマウスにおいてポリグルタミンによって誘導され
る病理は、細胞質空胞、樹枝突起分枝の進行性の損失、およびプルキンエ細胞異
所性によって特徴付けられる。細胞質空胞とプルキンエ細胞異所性とのこの組み
合わせは独特であり、そして遺伝的または後天的のいずれのいかなる他のマウス
変異体についても記載されたことがない。Ube3a欠損マウスの徹底的な組織
病理学的試験は、脳の正常な組織学を示した。従って、Ube3a発現を欠くS
CA1トランスジェニックマウスにおける重篤な、進行性の病理学的変化は、E
6−AP機能の欠如によって悪化する変異体アタキシン−1の毒性効果によって
引き起こされると結論付けられた。さらに、重篤な病理は、後期SCA1トラン
スジェニック動物の小脳において見られるものと非常に類似しており、このこと
は、E6−APの欠如が、ポリグルタミンによって誘導される表現型を加速する
ことを示唆する。
【0082】 この加速された表現型は、アタキシン−1ユビキチン化および加水分解の変化
において直接的に生じるE6−APの機能の損失に起因する。変異体タンパク質
が正しくタグ化および分解されていない場合、その定常状態レベルにおける変化
によって、そのタンパク質は毒性である。SCA1における機能メカニズムの毒
性の獲得は、アタキシン−1の正常な機能のいっそうの獲得の結果であることが
提案されている。SCA1 B05系統における遺伝子発現の詳細な分析は、多
数のプルキンエ細胞特異的な遺伝子を含む非常に初期の変化を示した。アタキシ
ン−1の変化した定常状態レベルは、遺伝子発現におけるこのような特異的な変
化をおそらく産生し得る。
【0083】 (実施例19:要約) これらの実施例は、分子シャペロンがグルタミン反復疾患に関与することを最
初に明確に示す。SCA1患者の脳幹由来の病気に冒されたニューロンおよび変
異体アタキシン−1を発現するトランスジェニックマウス由来のプルキンエ細胞
は、プロテアソームおよび分子シャペロンHDJ−2/HSDJを含むユビキチ
ン陽性核含有物を有する。通常、細胞は、タンパク質を、ユビキチン化酵素およ
び26Sプロテアソームによる引き続く加水分解によって、タンパク質の再折り
畳みまたはタンパク質の修飾のいずれかを促進するコンホメーションに維持する
という最終的には不成功であった試みにおいて、HDJ−2/HSDJを核含有
物に標的化するようである。本発明は、培養細胞中でシャペロンを過剰発現させ
ることによって、誤って折り畳みされたタンパク質の存在に対する細胞応答を増
大させることが可能であることを実証する。この増大したアプローチは、これら
の核凝集物の形成を抑制する。
【0084】 凝集物形成および抑制におけるシャペロンの二重の役割は、相互に排他的では
ないかもしれないが、むしろシャペロン発現の存在およびレベルに依存する。類
似の現象が、グルタミン反復の数が疾患を引き起こす範囲にある場合に、アタキ
シン−1凝集物の形成に寄与するHDJ2/HSDJおよび/またはHsc70
の内因性レベルを有するSCA1において起こり得る。
【0085】 HDJ−2/HSDJのJ−ドメイン変異体がアタキシン−1の凝集を抑制す
ることができなかったという観察は、J−ドメインが核タンパク質凝集を防止す
るために必要であることを示す。
【0086】 Hsp70は、大きな核アタキシン−1凝集物を含むHeLa細胞中でアップ
レギュレートされ得る。このことは、これらの細胞が、それらの正常な細胞環境
中の有害な変化に応答していることを示唆する。細胞にこのhspのアップレギ
ュレートを引き起こさせ得る実際のストレスシグナルは明確ではないが、プロテ
アソーム機能をブロックする薬剤が、異常なタンパク質の蓄積を引き起こし、そ
してhsp発現を増加させることが公知である16-18。従って、核凝集物は、プ
ロテアソームの再分布を引き起こし、そして細胞の分解機構を飽和する。このこ
とは、重要な短命のタンパク質を分解できないこと、および誘導性hspの第2
のアップレギュレートの両方をもたらす。
【0087】 Hsp70が、SCA1患者またはトランスジェニック動物のいずれかにおけ
る病気に冒されたニューロン中で上方制御されないということは、これらの細胞
で見られる核凝集および/または病因に関連し得る。Hsp70は、通常正常な
条件下でニューロンにおいて発現されないが、ストレスを受けた細胞では高レベ
ルで発現される3839。このことは、SCA1における病気に冒されたニューロ
ンは、Hsp70の発現を増加させるために必要なストレス応答の構成成分を移
動させないことを示唆する。HDJ−2/HSDJは、Hsp70の非存在下で
はアタキシン−1凝集物に付随し得るが、それ自体では凝集物形成を抑制するこ
とができないかもしれない。
【0088】 変異体アタキシン−1を発現するトランスジェニックマウスにおけるプルキン
エ細胞は、核凝集物を蓄積する。これはおそらく、この細胞が高レベルの変異体
タンパク質を効果的に処理し得ないからである。B05系統において、変異体ア
タキシン−1は、プルキンエ細胞特異的プロモーターを使用して、内因性レベル
の20倍より多く発現される。ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモー
ターの下で82個のグルタミンを含む変異体アタキシン−1[NSE 82Q]
(内因性レベルと等価である)を発現するトランスジェニックマウスは、決して
核含有物または表現型を発生しない。このことは、これらの動物のニューロンに
おける再折り畳みもタンパク質分解系も損なわれていないことを示唆する。しか
し、時間は、不溶性凝集物の形成において重要なパラメーターのようである。N
SEトランスジェニックマウスの寿命は、タンパク質折り畳みの誤りおよび引き
続く凝集物形成の蓄積の研究を可能にするには十分でないかもしれない。SCA
1患者(ここでは変異体アタキシン−1が内因性レベルで発現される)において
、この疾患は、明確に進行性であり、そして発症の齢は、代表的には10年のオ
ーダーである。CAG反復のサイズと発症の齢との間の逆関係は、以下の概念と
一致する:a)長いグルタミントラクトはタンパク質コンホメーションを不安定
化させ、そしてb)タンパク質の誤った折り畳みの誤りは、より長いグルタミン
トラクトに起因する、より不安定化されたコンホメーションを有するタンパク質
を発現するニューロンにおいてより迅速に蓄積するようである。
【0089】 本発明者らは、アタキシン−1凝集が、HeLa細胞中でHDJ−2/HSD
Jの過剰発現後に抑制されることを実証する。DnaJおよびDnaKのファミ
リーメンバーが、ともに成熟前のタンパク質折り畳みおよび凝集を阻害するよう
に作用し、それによって正しいタンパク質折り畳みの可能性を増大させることが
仮定されてきた。HDJ−2/HSDJを過剰発現するHeLa細胞において、
組換えシャペロンタンパク質は、内因性Hsp70活性を増強し、従って変異体
アタキシン−1の凝集を防止することが可能である。あるいは、上昇したレベル
のHDJ−2/HSDJは、分子シャペロンとして、アタキシン−1凝集を妨害
するように単独で作用し得る。精製したYdj1は、他のタンパク質の非存在下
でシャペロンとして作用する2040。しかし、HeLa中のHDJ−2/HSD
Jの過剰発現は、凝集物形成を完全には防止しない。これはおそらく、エピソー
ムのコピー数ならびにHDJ−2/HSDJおよびアタキシン−1の相対的な発
現レベルに関する、一過性トランスフェクション実験における固有の変動可能性
のためである。他の限定要因は、DnaKまたは他のシャペロンを含み得る。H
sp90シャペロンは、例えば、Hsp70およびYdj−1によってインビト
ロでもたらされるタンパク質再生を刺激することが見出されてきた41。Hsp7
0の過剰発現、関連するDnaKファミリーメンバー、または他のシャペロンは
、分子シャペロン媒介再折り畳みを通してアタキシン−1凝集を完全に防止する
ために必要であり得る。
【0090】 (参考文献) 本明細書中で言及されたすべての特許および刊行物は、本発明が関連する分野
の当業者のレベルを示す。すべての特許および刊行物は、各々の個々の刊行物が
特異的かつ個別に参考として援用されることが示された場合と同程度に、本明細
書中に参考として援用される。
【0091】
【表1】 当業者は、本発明が目的を実行し、そして言及された目標および利点を得るた
めに十分に適応されることを、本明細書中に固有であるそれらと同様に容易に理
解する。本明細書中に記載される、シャペロンおよびシャペロン様化合物を用い
る神経学的疾患を処置する方法、シャペロン活性についてスクリーニングするた
めの方法、化合物、薬学的組成物、処置、方法、手順、ならびに技術は、現在好
ましい実施態様の代表的なものであり、例示であることが意図され、そして本発
明の範囲の限定を意図しない。本発明の趣旨の中に含まれるか、または添付の特
許請求の範囲によって規定される、本明細書における変更および他の用途は、当
業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1a、1b、1c、1dおよび1eは、SCA1患者由来の脳幹ニューロン
およびトランスジェニックマウスのプルキンエ細胞における20Sプロテアソー
ムの免疫組織化学局在を示す。図1aおよび1bは、それぞれ、SCA1患者お
よびコントロール由来の核点中枢のニューロンにおけるプロテアソームの分布を
示す。アタキシン−1凝集の部位へのプロテアソームの再分布に注意のこと。非
トランスジェニックマウス(図1c)および30グルタミンとともに野生型アタ
キシン−1を発現するマウス(図1d)由来の小脳組織におけるプロテアソーム
についての染色は、プルキンエ細胞の核に拡がる。対照的に、20Sプロテアソ
ームは、82グルタミンとともに変異体アタキシン−1を発現するマウスにおい
て、アタキシン−1凝集とともに同時局在する。図1e。
【図2】 図2a、2b、2cおよび2dは、SCA1患者のニューロンおよびトランス
ジェニックマウスプルキンエ細胞におけるHDJ−2/HSDJの免疫組織化学
染色を示す。これらの図は、SAC1患者(図2a)およびコントロール(図2
b)由来の核点中枢を示す;B05トランスジェニック動物(図2c)および非
トランスジェニック同腹仔コントロール(図2d)由来の小脳。HDJ−2/H
SDJは、主に、図2aおよび2cに見られる核内含有物を除く細胞質に局在す
る。
【図3】 図3a、3b、3cおよび3dは、アタキシン−1−GFPを発現するCOS
7細胞におけるユビキチン免疫染色を示し、そしてアタキシン−1凝集における
ユビキチンの存在を実証する。図3aは、非トランスフェクトコントロール細胞
の細胞質および核におけるユビキチンの拡散染色を示す。同じ3つの細胞を、図
3b、3cおよび3dに示す。図3bにおいて、アタキシン−1−GFP蛍光を
使用して、2つのトランスフェクト細胞におけるアタキシン−1凝集を同定する
。図2cにおいて、抗ユビキチン染色(位相差)は、アタキシン−1凝集がユビ
キチン陽性であることを実証する。図2dにおいて、GFP蛍光は、位相差に重
ねて、ユビキチンおよびアタキシン−1凝集の同時局在を実証する。
【図4】 図4a、4bおよび4cは、HeLa細胞における20Sプロテアソームおよ
びアタキシン−1の細胞下局在を示す。図4aにおいて、矢印は、アタキシン−
1でトランスフェクトした3つの細胞を示し(これはアタキシン−1凝集(赤色
)を実証する)、そして矢印は、DAPIで対比染色した非トランスフェクト細
胞の3つの核に向いている。図4bは、抗20Sプロテアソーム抗体で染色した
同じ細胞を示す。非トランスフェクト細胞は、時折大きな病巣とともに拡散核染
色を示す;トランスフェクト細胞は、アタキシン−1凝集と一致するプロテアソ
ームを示す。図4cは、アタキシン−1およびプロテアソームの同時局在を実証
するシグナルを併合した。
【図5】 図5a、5b、5c、5eおよび5fは、アタキシン−1核凝集との内因性H
DJ−2/HSDJおよびHSP70の同時局在を示す。内因性HDJ−2/H
SDJの分布を図5aに示し、そしてアタキシン−1(DAPIでの赤色対比染
色)を図5bに示す。図5cに示されるように、2つのシグナルの併合は、アタ
キシン−1凝集との内因性HDJ−2/HSDJの同時局在を実証する。図5d
、5eおよび5fは、アタキシン−1凝集を有するHeLa細胞におけるHsp
70を示す。Hsp70の分布(緑色)は、図5dにおいて見られ、そしてアタ
キシン−1(赤色)は、図5eにおいて見られる。2つのシグナルの重なりは、
図5fにおいて見られ、そしてHsp70がアタキシン−1凝集に局在すること
を実証する。
【図6a】 図6a、6b、6c、6dおよび6eは、HDJ−2/HSDJを過剰発現す
る細胞におけるアタキシン−1凝集の抑制を示す。図6aにおいて、バーは、ア
タキシン−1およびコントロールベクター、またはアタキシン−1および3つの
HDJ−2/HSDJ構築物:野生型(HDJ−2/HSDJ)および2つの欠
失変異体(Δaa9−107、またはΔaa9−46)のいずれかで同時トラン
スフェクトした後の、核凝集を伴う細胞の割合を示す。データを、2つの独立し
た実験から作製し、そして凝集の頻度を計算するために使用した同時トランスフ
ェクト細胞の全数は、以下の通りであった:695(アタキシン−1およびベク
ターコントロールについて)、1302(アタキシン−1およびHDJ−2/H
SDJについて)、841(アタキシン−1およびΔaa9−107について)
、および550(アタキシン−1およびΔaa9−46について)(平均および
s.e.m.を示す)。凝集頻度における有意な減少は、ベクターおよび2つの
欠失変異体のいずれかと比較して、野生型シャペロンでトランスフェクトした細
胞において注目される(ANOVA F=24.5、DF=3.8およびp=0
.0002)。凝集の頻度における有意な変化は、いずれの欠失変異体でのトラ
ンスフェクションの際にも見られなかった。
【図6b】 図6a、6b、6c、6dおよび6eは、HDJ−2/HSDJを過剰発現す
る細胞におけるアタキシン−1凝集の抑制を示す。図6bは、トランスフェクシ
ョン後のアタキシン−1の染色パターンの分布を示す。図6bは、野生型HDJ
−2/HSDJの存在下で、より多くの細胞が、大きな核凝集より、拡散/微小
斑点状核染色パターンを有することを示す(ANOVA F=36.4、DF=
6.24およびp<0.001)。各染色パターンとの細胞の頻度を、各同時ト
ランスフェクションについてプロットする。
【図6c】 図6a、6b、6c、6dおよび6eは、HDJ−2/HSDJを過剰発現す
る細胞におけるアタキシン−1凝集の抑制を示す。図6c、6dおよび6eは、
HDJ−2/HSDJの存在下での様々な染色パターンの例を示す。
【図6d】 図6a、6b、6c、6dおよび6eは、HDJ−2/HSDJを過剰発現す
る細胞におけるアタキシン−1凝集の抑制を示す。図6c、6dおよび6eは、
HDJ−2/HSDJの存在下での様々な染色の例を示す。
【図6e】 図6a、6b、6c、6dおよび6eは、HDJ−2/HSDJを過剰発現す
る細胞におけるアタキシン−1凝集の抑制を示す。図6c、6dおよび6eは、
HDJ−2/HSDJの存在下での様々な染色の例を示す。
【図7】 図7a〜7dは、トランスフェクトHeLa細胞におけるプロテアソーム阻害
を示す。
【図8a】 図8a〜8dは、アタキシン−1の定常状態レベルに対するβラクトンの効果
を示す。図8a、全溶解物。
【図8b】 図8a〜8dは、アタキシン−1の定常状態レベルに対するβラクトンの効果
を示す。図8b、界面活性剤可溶性画分。
【図8c】 図8a〜8dは、アタキシン−1の定常状態レベルに対するβラクトンの効果
を示す。図8c、界面活性剤不溶性画分。
【図8d】 図8a〜8dは、アタキシン−1の定常状態レベルに対するβラクトンの効果
を示す。図8d、6×His折り畳み(pull−douwn)を変性させる界
面活性剤不溶性画分。
【図9】 図9a〜9fは、二重変異動物におけるプルキンエ細胞が、ユビキチン化物質
を含むことを示す。
【図10】 図10a〜10iは、小脳におけるプルキンエ細胞の空胞化および細胞体置換
を示す。 図面は、目盛りを必要としない。本発明の特定の特徴は、目盛りで誇張されて
もよいし、または明確かつ簡潔さの目的で、概略図に示してもよい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 G01N 33/68 G01N 33/15 A61K 37/02 33/50 C12N 5/00 B 33/68 15/00 A (71)出願人 One Baylor Plaza, S uite 186A, Houston, Texas 77030, U.S.A. (71)出願人 ザ ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション アメリカ合衆国 ペンシルベニア 15260, ピッツバーグ, ガードナー スティー ル カンファレンス センター 200 (72)発明者 ゾグビ, フダ ワイ. アメリカ合衆国 テキサス 77005, ヒ ューストン, セワニー 6618 (72)発明者 オール, ハリー ティー. アメリカ合衆国 ミネソタ 55419, ミ ネアポリス, ルベルネ アベニュー エ ス. 5133 (72)発明者 デフランコ, ドナルド ビー. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 15221, ピッツバーグ, マーベリー ロード 2332 (72)発明者 マンチーニ, マイケル エイ. アメリカ合衆国 テキサス 77030, ヒ ューストン, ホルコンブ ブールバード 2001, ユニット 1103, ザ スパイ アーズ (72)発明者 ステノイエン, デイビッド アメリカ合衆国 テキサス 77006, ヒ ューストン, グラウスターク 3330 (72)発明者 カミングス, クリストファー ジェイ. アメリカ合衆国 テキサス 77005, ヒ ューストン, モーニングサイド ドライ ブ 5106, アパートメント ナンバー6 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 FB03 FB12 GC15 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA02 DA03 EA04 GA11 HA17 4B065 AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA13 AA17 BA03 BA22 BA44 CA25 DC50 MA65 NA14 ZA022 ZB212 ZC412

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法であって、治
    療的に有効な量のシャペロンまたはシャペロン様化合物を該哺乳動物の神経学的
    系に導入する工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記導入工程が、前記シャペロンまたはシャペロン様化合物
    を、遺伝子療法によって前記哺乳動物に導入する工程を包含する、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 前記導入工程が、前記シャペロンまたはシャペロン様化合物
    を、前記哺乳動物に直接注入する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 試験化合物を、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活
    性についてスクリーニングするための方法であって、以下の工程: 該試験化合物を、組織培養物中のトランスフェクト細胞に導入する工程であっ
    て、ここで該トランスフェクト細胞が、タンパク質凝集を生成する、工程;およ
    び タンパク質凝集の量を測定する工程であって、ここでコントロール細胞と比較
    して該タンパク質凝集の量を減少させる試験化合物が、シャペロン活性を有する
    、工程、 を包含する、方法。
  5. 【請求項5】 試験化合物を、神経変性疾患の処置のためのシャペロン様活
    性についてスクリーニングするための方法であって、以下の工程: 該試験化合物を、神経変性疾患のモデルである動物に導入する工程; 該動物を発症させる工程;および 該動物における凝集の量を続いて測定する工程であって、ここでコントロール
    動物より減少した凝集形成が、シャペロン様活性を示す、工程、 を包含する、方法。
  6. 【請求項6】 哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法であって、該
    方法は、治療的に有効な量の化合物を該哺乳動物に導入する工程であって、ここ
    で該化合物が、神経学的系におけるシャペロンの有効濃度を増加する、工程、を
    包含する、方法。
  7. 【請求項7】 哺乳動物における神経変性疾患を処置する方法であって、該
    方法は、治療的に有効な量の化合物を該哺乳動物に導入する工程であって、ここ
    で該化合物が、神経学的系におけるプロテアソームの有効濃度を増加するか、ま
    たは該神経学的系におけるプロテアソームの活性を増強する、工程、を包含する
    、方法。
  8. 【請求項8】 神経変性疾患の処置のためのプロテアソーム活性を増加する
    試験化合物をスクリーニングするための方法であって、以下の工程: 該試験化合物を、組織培養物中のトランスフェクト細胞に導入する工程であっ
    て、ここで該トランスフェクト細胞が、タンパク質凝集を生成する、工程;およ
    び タンパク質凝集の量を測定する工程であって、ここで該タンパク質凝集の量を減
    少する試験化合物が選択される、工程、 を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 神経変性疾患の処置のためのプロテアソーム活性を増加する
    試験化合物をスクリーニングするための方法であって、以下の工程: 該試験化合物を、神経変性疾患のモデルである動物に導入する工程; 該動物を発症させる工程;および 該動物における凝集の量を続いて測定する工程であって、ここでコントロール
    動物より減少した凝集形成を示す化合物が選択される、工程、 を包含する、方法。
  10. 【請求項10】 HDJ−2を過剰発現し得る、トランスジェニックマウス
JP2000550503A 1998-05-29 1999-05-29 アタキシン−1凝集のシャペロン抑制および改変された細胞成分プロテアソーム局在はscaiにおけるタンパク質の誤った折り畳みを意味する Withdrawn JP2002516288A (ja)

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