JP2002516096A - 転写調節に使用するための、CREB結合タンパク質および関連するp300由来のポリペプチド - Google Patents

転写調節に使用するための、CREB結合タンパク質および関連するp300由来のポリペプチド

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Abstract

(57)【要約】 転写アダプターモチーフ(TRAM)を含有する第1ポリペプチドと、TRAM相互作用モチーフを含有する第2ポリペプチドとの間の相互作用を阻害または破壊する化合物であるかどうかを決定する方法である。第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドは、Mdm-2、p53、TBP、E2F、YY1、CBP/p300もしくはTFIIB、またはヒトパピローマウイルス(HPV)のHPV16株またはHPV18株由来のHPV E6ポリペプチドなどのウイルス性ポリペプチドでありうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、転写アダプターモチーフ(TRanscriptional Adaptor Motif:TRAM
)配列および/またはTRAM相互作用モチーフ(TRAM-Interaction Motif:TRIM)
配列を含むポリペプチドに関する。これらのポリペプチドは、TRAM/TRIM相互作
用のインヒビターを同定するためのアッセイ法に使用することができる。また該
ポリペプチドは、TRAM/TRIM相互作用が疾患の開始/進行に重要であるウイルス
性疾患または癌の治療法に使用することもできる。
【0002】発明の背景 細胞が自身のDNAを複製して分裂する際の細胞周期の制御は、正常なヒト細胞
増殖および組織分化において重要なステップであるが、この過程の脱調節は腫瘍
形成および癌の発症をもたらしうる。タンパク質−タンパク質相互作用は、これ
らの事象において重大な役割を果たし、特に遺伝子発現の調節が細胞周期運命の
決定の中心となる。
【0003】 最近、転写コファクターCBP(CREB結合タンパク質)およびその関連タンパク
質p300が細胞周期事象の制御に関係していると示された。面白いことに、CBPは
、S期特異的遺伝子の発現および細胞増殖をもたらすE2F活性と、細胞周期を停止
させるp53によるp21WAFの発現との両方に必要であることがわかった。更に、ア
デノウイルス発癌遺伝子産物E1Aによる細胞形質転換の研究により、CBPとの相互
作用がこの過程に必要であることが示された。これらの所見は、この2つの相反
する細胞周期事象が、共通因子であるCBP/p300との相互作用に依存することを
示唆している。
【0004】 CBPは非常に大きなタンパク質(2,441アミノ酸)であり、多くの種々の転写因
子との結合能を有する転写アダプターと考えられうる。CBPの2、3の領域がタン
パク質相互作用のための「ホットスポット(hot spot)」であると記載されてい
るが、種々のタンパク質がCBPと相互作用するメカニズム、および関与する正確
なモチーフは明確にされていない。細胞周期を調節するタンパク質の多くは、同
じCBPの257アミノ酸領域(1621〜1877)に結合する。しかしながら、これらのタ
ンパク質のいくつかはアンタゴニスト作用を有すると考えられるので、これら種
々のタンパク質により同じCBP配列が認識されるのかどうか、または認識されな
いのであれば、種々のモチーフが重複しているのかどうかを知ることは有用であ
ろう。
【0005】発明の概要 本発明者らは、今回、CBP内にあって、関連するp300内にもあるTRAMを同定し
た。これらのTRAMは種間で保存されている。これらは、細胞性転写因子p53、E2F
、TFIIBおよびYYIを含む複数の細胞性調節因子に結合することが示されたコンセ
ンサスTRAMを提供する。しかしながらTRAMは、Mdm-2タンパク質において見出さ
れているものもあるので、CBP/p300に限定されない。
【0006】 TRAM相互作用タンパク質は、種々のTRIMを介してTRAM配列に結合しうる。した
がってTRIMはTRAM配列、典型的にはCBPもしくはp300またはMdm-2のTRAM配列に結
合する。TRIMのあるタイプは、コンセンサス配列FXE/DXXXLにより定義されうる
。本発明者らは、見込みのあるTRIMに変化が見られるため、種々のTRAM相互作用
タンパク質に対する一連のTRAM突然変異体(アラニン置換体)を検討することに
した。本発明者らは、TRAM相互作用タンパク質に関して、TRAM変異体の示差的結
合特性を見出した。従ってTRAM変異体を用いて、TRIM−TRAM相互作用に特異性を
付加しうる。
【0007】 本発明で同定されたTRIM/TRAM含有タンパク質は、転写調節、細胞周期制御お
よびウイルス感染の過程に関与しているので、例えば、細胞性TRAM含有タンパク
質と細胞性TRIM含有タンパク質との間の相互作用、または細胞性TRIM/TRAM含有
タンパク質とウイルス性TRIM/TRAMタンパク質との間の相互作用を破壊する化合
物が同定されると、これらの過程は、例えば腫瘍およびウイルス性疾患の治療に
おける標的となりうる。
【0008】 従って、本発明は、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を阻
害または破壊することのできる化合物であるかどうかを決定する方法を提供し、
該方法には、 (a) (i)第1ポリペプチドが第2ポリペプチドに結合して、複合体を形成する
ことが可能な条件下で、第1ポリペプチドを第2ポリペプチドと共にインキュベー
トし、それにより形成された複合体を候補化合物と接触させること、または (ii)候補化合物の不在下で第1ポリペプチドが第2ポリペプチドに結合し
うる条件下で、該候補化合物の存在下において第1ポリペプチドを第2ポリペプチ
ドと共にインキュベートすること、ならびに、 (b) 前記候補化合物が第1ポリペプチドの第2ポリペプチドへの結合を阻害ま
たは破壊するかどうかを決定すること、 が含まれ、ここで第1ポリペプチドがTRAM配列を含有し、そして第2ポリペプチド
がTRIM配列を含有する。
【0009】 前記候補化合物はTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドである
のが好ましい。かかるポリペプチドは、好ましくは少なくとも12個のアミノ酸、
より好ましくは少なくとも19、30、40もしくは50個のアミノ酸を有し、そして好
ましくは200個より少ないアミノ酸、より好ましくは100、90、80、70もしくは60
個より少ないアミノ酸を有する。前記ポリペプチドはより短くてもよく、例えば
20までまたは30までのアミノ酸長でよい。あるいは、該候補化合物は非ペプチド
の有機分子または無機分子であってもよい。
【0010】 前記第1ポリペプチドおよび/または前記第2ポリペプチドは、ウイルス性ポリ
ペプチドであることができ、好ましくはヒトパピローマウイルス(HPV)ポリペ
プチド、より好ましくはHPV E6ポリペプチド、最も好ましくはHPV16株およびHPV
18株由来のHPV E6ポリペプチドである。また該第1ポリペプチドおよび/または
該第2ポリペプチドは、真核細胞で見出されるポリペプチドであってもよく、例
えば転写因子および細胞周期調節タンパク質より選択されるポリペプチドである
。好ましくは、該第1および/または第2ポリペプチドは、Mdm-2、p53、TBP、E2F
、YY1、CBP/p300およびTFIIBより選択される。
【0011】 TRIMまたはTRAM含有ポリペプチドそれ自体を使用して、TRIM含有ポリペプチド
とTRAM含有ポリペプチドとの間の相互作用を破壊することができる。例えば、本
質的にE1Aもしくはp53のTRIM配列からなるオリゴペプチド、または本質的にMdm-
2のTRAM配列からなるオリゴペプチドを、Mdm-2を過剰発現している腫瘍細胞中に
導入し、p53媒介細胞周期停止/アポトーシス経路のMdm-2媒介阻害を妨げて、腫
瘍細胞を死滅させることができる。
【0012】 従って、本発明はまた、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用
を破壊する方法における化合物の使用を提供する。かかる使用では、該化合物が
TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペプチ
ドがTRAM配列を含有し、かつ/または、該第2ポリペプチドがTRIM配列を含有す
る。
【0013】 本発明はさらに、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破壊
するin vitro法における化合物の使用を提供する。かかる使用では、該化合物が
TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペプチ
ドがTRAM配列を含有し、かつ/または、該第2ポリペプチドがTRIM配列を含有す
る。
【0014】 上述したように、TRIM−TRAM相互作用の破壊には臨床上重要な用途があるだろ
う。従って本発明はまた、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用
を破壊する方法において使用する医薬の製造における化合物の使用を提供する。
かかる使用において、該化合物はTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペ
プチドであり、該第1ポリペプチドがTRAM配列を含有し、かつ/または、該第2ポ
リペプチドがTRIM配列を含有する。 好ましくは、上記の使用は、前記相互作用の破壊がウイルスの転写を阻害する
か、または哺乳動物細胞(好ましくは癌細胞)の細胞周期の進行を阻害する場合
の使用である。 さらに本発明は、TRAM配列および/またはTRIM配列を含有するポリペプチドを
含む医薬組成物を提供する。 また本発明は、本質的にTRAM配列および/またはTRIM配列からなる、実質的に
単離された形態のポリペプチドを提供する。
【0015】 本発明はさらに、本発明のポリペプチド、好ましくは本質的にTRAM配列および
/またはTRIM配列からなるポリペプチドをコードするコード領域を含むポリヌク
レオチド分子を提供する。該ポリヌクレオチドはまた、本発明のポリペプチドを
コードするコード領域に読み枠を合わせて(in frame)連結された、追加のコー
ド領域を含むことができる。また本発明のポリヌクレオチドを核酸ベクター中に
組み込んで、本発明の核酸ベクターを作製することもできる。 本発明のTRAM/TRIM含有ポリペプチドを使用して、新規TRAM/TRIM含有ポリペ
プチド、例えば細胞周期制御および/または転写調節に関与するポリペプチドを
同定することもできる。
【0016】 従って本発明は、TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドと相互
作用する化合物を同定するための方法を提供する。該方法には、 (a) 適切な条件下で、候補化合物をTRAM配列および/またはTRIM配列を含む
ポリペプチドと共にインキュベートすること、ならびに (b) 前記候補化合物が前記TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプ
チドと相互作用するかどうかを決定すること、 が含まれる。
【0017】 発明の詳細な説明 他のやり方が示されない限り、記載した技術と方法は標準の生化学技術である
。適当な一般的方法の教科書は、例えばSambrookら, Molecular Cloning, A Lab
oratory Manual (1989)およびAusubelら, Current Protocols in Molecular Bio
logy (1995), John Wiley & Sons, Inc.を含む。
【0018】 A. ポリペプチド 本発明のポリペプチドは、本質的に転写アダプターモチーフ(TRanscriptiona
l Adaptor Motif(TRAM))および/またはTRAM相互作用モチーフ(TRAM Intera
ction Motif)(TRIM)からなる。好ましくは、本発明のポリペプチドは全長TRA
Mおよび/またはTRAMを含むポリペプチドの末端切断変異体であるが、その全長
ポリペプチドであってよい。従って、例えば、本発明のポリペプチドは本質的に
12個以上のアミノ酸、好ましくは19個以上のアミノ酸、さらに好ましくは30、40
または50個以上のアミノ酸であるが、同時に、好ましくは200個未満のアミノ酸
、さらに好ましくは150個未満のアミノ酸、最も好ましくは100、90、80、70また
は60個未満のアミノ酸からなることができる。該ポリペプチドは短め、例えば、
長さで20個以下または30個以下のアミノ酸であってよい。
【0019】 しかし、本発明のポリペプチドは、より大きなポリペプチド、例えば融合タン
パク質の一部であってよい。この場合、追加のポリペプチド配列は、好ましくは
、本発明のポリペプチド配列が通常、関連していないポリペプチド配列である。
【0020】 本発明のTRAM配列は、野生型TRAM配列と結合する能力のあるタンパク質と相互
作用しうる最小アミノ酸配列である。このような野生型配列は、以下に記した野
生型CBP、Mdm-2およびp300のTRAM配列である。従って、野生型TRAMと通常結合す
るタンパク質のサブセットに対して、特定の指示を与えるために、野生型配列の
変異体を使用することができる。
【0021】 適当なTRAM配列は、コンセンサスTRIM配列FX[E/D]XXXL(ロイシンを、イソロ
イシン、バリン、メチオニンまたはフェニルアラニンのような類似の中性非極性
残基と置換することができる)と結合するTRAM配列である。好ましくは、TRAM配
列は本質的に、次の残基: (i) N末端に、または4、3または2個のアミノ酸残基以内のN末端の近くに2個以
上の塩基性残基; (ii) 好ましくはジンクフィンガーモチーフの一部であるシステイン-プロリン-
バリン/イソロイシン-システイン(CP[V/I]C)配列; (iii) (i)と(ii)の間のアスパラギン(N)残基;および (iv) CP[V/I]C配列にすぐ続く塩基性残基、 からなる。
【0022】 さらに好ましくは、該TRAM配列はまた、C末端に、または4、3または2個のアミ
ノ酸残基以内の近くに、一個のイソロイシン残基を含有する。特に好ましい本発
明のTRAM配列の例は、本質的に、次の配列: [K/R, K/R]XNXXCP[V/I]C[K/R]X (配列番号1) [K/R, K/R]XNXXCP[V/I]C[K.R]XI (配列番号2) RKTNGGCPVCKQ (配列番号3-CBPから誘導された) RKTNGGCPVCKQPI (配列番号4-CBPから誘導された) GCKRKTNGGCPVCKQLIAL (配列番号5-CBPから誘導された) KKRNKPCPVCRQ (配列番号6-Mdm-2から誘導された) KKRNKPCPVCRQPI (配列番号7-Mdm-2から誘導された) RKTNGGCPICKQ (配列番号8-P300から誘導された) RKTNGGCPICKQLI (配列番号9-P300から誘導された) からなるポリペプチドである。
【0023】 配列番号3〜9は野生型TRAM配列である。候補TRAM配列がその機能を果たすか
どうかを決定するために使うことができる、TRIMを含むポリペプチドの例には、
E1A、E2F、p53、TFIIB、YY1およびMyoDならびにある特定のHPV E6変異体が含ま
れる。全長CBP、Mdm-2またはp300を、第1の、TRAMを含有する、本発明のポリペ
プチドとして使うことができる。
【0024】 本発明のTRIM配列は、コンセンサスTRAM配列[K/R,K/R]XNXXCP[V/I]C[K/R]Xと
結合しうる最小アミノ酸配列である。従って、TRIM配列はコンセンサスTRAM配列
[K/R,K/R]XNXXCP[V/I]C[K/R]XIまたは1個以上の野生型TRAM配列と結合すること
ができる。従って、TRIM配列はこのようなTRAM配列を含むポリペプチドと結合す
る能力を有する。
【0025】 適当なTRIM配列は、本質的にコンセンサス配列FX[E/D]XXXL(ロイシンはイソ
ロイシン、バリン、メチオニンまたはフェニルアラニンのような類似の中性非極
性残基で置換することができる)からなる。本発明のTRIM配列の特に好ましい例
は、本質的に次の配列: FX[E/D]XXXL (配列番号10) FPESLIL (配列番号11-EIAから誘導された) FSDLWKL (配列番号12-p53から誘導された) FKEITTM (配列番号13-TFIIBから誘導された) FEDQILI (配列番号14-YY1から誘導された) FRDNSAM (配列番号15-YY1から誘導された) FVESSKL (配列番号16-YY1から誘導された) FYDDPCF (配列番号17-MyoDから誘導された) からなるポリペプチドである。
【0026】 TRIM配列はまた、HPV-16または-18 E6タンパク質の第2ジンクフィンガーと共
に、特にHPV−16 E6残基100〜147の間におよびHPV-18 E6タンパク質の対応する
残基の間にも位置する。候補TRIM配列がその機能を果たすかどうかを決定するた
めに使うことができるTRAMを含むポリペプチドの例には、CBP、p300およびMdm-2
が含まれる。全長EIA、p53、TFIIB、YYI、MyoD、HPV-16 E6またはHPV-18 E6を、
本発明において、第2の、TRIMを含有するポリペプチドとして使うことができる
【0027】 TRIM/TRAM配列を含むポリペプチドを改変して、本発明のポリペプチドを提供
することができる。アミノ酸置換は、改変されたポリペプチドが実質的に類似の
TRIM/TRAM結合活性(例えば、非改変ポリペプチドの結合活性の70、80または90
%以上)を保持するのであれば、例えば1、2または3個〜10、20または30個の置換
を行うことができる。アミノ酸置換は、例えば治療として投与されるポリペプチ
ドの血漿半減期を増加するために、非天然の類似体の使用を含み得る。
【0028】 例えば、以下の表によって保存的置換を行うことができる。第2列の、そして
好ましくは第3列の同じ行の同じブロック内のアミノ酸は、お互いに置換するこ
とができる。
【0029】 あるいは、TRIM/TRAM配列の結合能力を減少するかまたは破壊する突然変異を
行って、例えば、TRIM/TRAMを含むポリペプチドの細胞周期制御および/または
ウイルス感染における役割を研究するために使うことができる誘導体を作製する
ことができる。 さらに、本発明のポリペプチドを、例えば米国特第5,723,575号に記載のよう
に環状化することができる。ポリペプチド、特に小さいペプチドの環状化は、こ
のようなペプチドに高次構造の束縛を与えるために使うことができ、薬物設計に
有利である。
【0030】 本発明のポリペプチドは実質的に単離した形態であってよい。該ポリペプチド
を、該ポリペプチドの意図した目的を妨害しない担体または希釈剤と混合するこ
とができ、混合してもなお実質的に単離しているとみなされるのは理解されるで
あろう。本発明のポリペプチドはまた、実質的に精製された形態であってよく、
その場合に該精製形態は、一般的に、調製物中のポリペプチドの重量で90%より
多く、例えば95%、98%または99%が本発明のポリペプチドであるポリペプチドを
調製物中に含有するであろう。
【0031】 本発明のポリペプチドは、当業者に公知である技術を使い、合成的手段により
または組換え技術により作ることができる。本発明のポリペプチドは融合タンパ
ク質として作ることもできる。融合タンパク質パートナーの例は、グルタチオン
-S-トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合および/または転写活
性化ドメイン)およびβ-ガラクトシダーゼを含む。
【0032】 本発明のポリペプチドをin vitroまたはin vivo細胞培養系に使って、細胞制
御機構におけるTRIM/TRAM相互作用の役割を、特にウイルスTRIM/TRAMを含むポ
リペプチド(例えばHPVのE6タンパク質)がそのような制御機構を回避する(circ
umvent)方法について研究することができる。例えば、TRIM/TRAMポリペプチド
をある細胞中に導入して該細胞内に起こる正常な機能を破壊することができる。
該ポリペプチドをある細胞に、ウイルス増殖および伝播を阻害することができる
かを決定するために、ウイルス感染の前に、同時に、または後に導入することも
できる。本発明のポリペプチドは、組換え発現ベクターからポリペプチドのin s
itu発現により該細胞中に導入することができる(以下を参照)。発現ベクター
は場合によってはポリペプチドの発現を制御する誘導プロモーターを運ぶ。
【0033】 哺乳動物宿主細胞の使用は、本発明の組換え発現産物に最適な生物学的活性を
与えるために必要である翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化(myristolation
)、糖鎖付加(glycosylation)、末端切断、ラピデーション(lapidation)お
よびチロシン、セリンまたはトレオニンのリン酸化)を提供することが予想され
る。本発明のポリペプチドが発現されるこのような細胞培養系を、細胞中のTRIM
/TRAMを含むポリペプチドの機能を妨害または増強する候補物質を同定するため
のアッセイ系に使うことができる。
【0034】 本発明のポリペプチドは、TRIMまたはTRAM配列に対する抗体を産生するために
使うこともできる。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであってよい。
抗体を産生する技術は当業者には公知である(例えば、HarlowおよびLane, 1988
. Antibodies: A Laboratory Manual. CSH Laboratory. Cold spring Harbor, N
.Y.を参照)。
【0035】 B. ポリヌクレオチドおよびベクター 本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列を
含む。本発明のポリヌクレオチドはDNAまたはRNAを含むことができる。該ポリヌ
クレオチドはまた、内部に合成または改変ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド
であってよい。当技術分野では、オリゴヌクレオチドに対する様々なタイプの多
数の改変が知られている。これらは、メチルホスホネートおよびホスホロチオエ
ートバックボーン、分子の3'および/または5'末端におけるアクリジンまたはポ
リリシン鎖の付加を含む。本発明の目的のために、本明細書に記載したポリヌク
レオチドは当技術分野で利用可能な任意の方法により改変されうることは理解さ
れなければならない。このような改変は、本発明のポリヌクレオチドのin vivo
活性または寿命を増強する目的で実施することができる。
【0036】 本発明の好ましいポリヌクレオチドは、以下に記載した本発明のポリマーのい
ずれかをコードするポリヌクレオチドを含む。当業者は、多数の異なるポリヌク
レオチドが遺伝子コード縮重の結果として同じポリペプチドをコードすることが
できるのを理解するであろう。
【0037】 本発明のポリヌクレオチドを組換え複製可能なベクター中に組込むことができ
る。該ベクターを使って共存しうる宿主細胞内で該核酸を複製することができる
。従って、さらなる実施様態においては、本発明は、本発明のポリヌクレオチド
を複製可能なベクター中に導入し、該ベクターを共存しうる宿主細胞中に導入し
、そして該ベクターの複製が起こる条件下で該宿主細胞を増殖することにより本
発明のポリヌクレオチドを作る方法を提供する。ベクターは、宿主細胞から回収
することができる。適当な宿主細胞は大腸菌(E.coli)、酵母、哺乳動物細胞系お
よび他の真核細胞系(例えば昆虫Sf9細胞)を含む。
【0038】 好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコー
ド配列の発現をもたらす能力のある制御配列と機能しうる形で連結されている、
すなわち該ベクターは発現ベクターである。用語「機能しうる形で連結された」
は、記載された成分がそれらの意図された様式で機能しうる関係に並置すること
を意味する。コード配列に「機能しうる形で連結された」制御配列は、制御配列
と共存しうる条件下でコード配列の発現を達成するような方法でライゲートされ
る。
【0039】 このようなベクターを、上記の適当な宿主細胞中に形質転換するかまたはトラ
ンスフェクトして本発明のポリペプチドの発現を与えることができる。このプロ
セスは、上記の発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞を、該ポリペプチド
をコードするコード配列の該ベクターによる発現を与える条件下で培養し、場合
によっては発現されたポリペプチドを回収することを含んでなることができる。
【0040】 ベクターは、例えば、複製起点、場合によっては上記ポリヌクレオチドの発現
のためのプロモーター、および場合によっては該プロモーターのレギュレーター
を備えた、プラスミドまたはウイルスベクターであってよい。ベクターは1個以
上の選択マーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺
伝子、または哺乳動物ベクターに対してはネオマイシン耐性遺伝子を含めること
ができる。ベクターは、in vitroで、例えばRNAの産生のために使うか、または
宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使うことができる。ベク
ターは、in vivoで、例えば遺伝子治療の方法に使うように作製することもでき
る。
【0041】 プロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルは、発現ベクターを
設計した対象の宿主細胞と共存しうるように選択することができる。例えば、β
-アクチンプロモーターのような哺乳動物プロモーターを使うことができる。組
織特異的プロモーターは特に好ましい。ウイルスプロモーター、例えばモロニー
(Moloney)マウス白血病ウイルス長末端反復(long terminal repeat;LTR)(
MMLVLTR)、ラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus;RSV)LTRプロモーター
、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーター、単純
ヘルペスウイルスプロモーターまたはアデノウイルスプロモーターも使うことが
できる。これらのプロモーターは全て当技術分野では容易に利用できる。
【0042】 C. ウイルスベクター 本発明のポリヌクレオチドは裸の核酸構築物の形態で使うことができる。ある
いは、該ポリヌクレオチドは様々な核酸ベクター中に導入することができる。そ
のようなベクターは、プラスミドおよびウイルスベクター、好ましくは単純ヘル
ペスウイルスベクターを含む。ベクターはさらに、本発明のポリヌクレオチドに
フランキングし、かつ真核生物ゲノム配列(好ましくは哺乳動物ゲノム配列)ま
たはウイルスゲノム配列に相同的な配列を含有することができる。これにより、
本発明のポリヌクレオチドの、真核細胞またはウイルスのゲノム中への相同的組
換えによる導入が可能になる。特に、ウイルス配列にフランキングする本発明の
ポリヌクレオチドを含有するプラスミドベクターを使って、本発明のポリヌクレ
オチドを哺乳動物細胞に送達するために適当なウイルスベクターを調製すること
ができる。利用する技術は当業者には公知である。適当なウイルスベクターの例
は、単純ヘルペスウイルスベクターおよびそれらのゲノムを宿主細胞ゲノム中に
組込むことができるウイルスベクター、例えばレンチウイルスを含むレトロウイ
ルスおよびアデノ随伴ウイルスを含む。
【0043】 D.アッセイ方法に使う候補物質 TRAMを含むポリペプチド(例えばMdm-2またはCBP)とTRIMを含むポリペプチド
(例えばp53)との相互作用は、細胞周期調節、転写調節およびウイルス感染に
重要である。本明細書に報じられた、これらの相互作用を媒介する最小コンセン
サスモチーフの同定は、いくつかの分野、例えば薬物設計において重要な意味を
もつ。特に、今まで同定されたほとんど全てのタンパク質-タンパク質相互作用
表面は、実に広いものである。このことは、このような相互作用を破壊できる小
さい有機または無機分子を同定することを困難にしてきた。本明細書で同定され
たTRIMおよびTRAMモチーフは、今まで記載された最小相互作用界面のいくつかを
提示する。従って、これらのモチーフを含有するペプチドを使うスクリーニング
手法は、タンパク質-タンパク質相互作用を破壊する能力のある低分子量化合物
を同定するのに、より広範な相互作用表面に基づくスクリーニングと比べて成功
する可能性が高いと思われる。TRAMを含むポリペプチドとTRIMを含むポリペプチ
ドとの間の相互作用を破壊する物質の同定は、転写、細胞周期制御およびウイル
ス感染を治療的に有用な方法で調節しうる薬物の開発をもたらし得る。さらに、
これらのTRAMおよびTRIMモチーフがこれらの相互作用に重要であるという知識は
、転写、細胞周期制御およびウイルス感染の過程に関わる細胞機構およびウイル
ス機構の他の成分を同定することを可能にするであろう。
【0044】 TRAMを含むポリペプチド(第1ポリペプチド)とTRIMを含むポリペプチド(第
2ポリペプチド)との間の相互作用を破壊する物質は、いくつかの様式で作用す
るであろう。例えば、1つの成分に結合し、かつ他の成分との相互作用部位をマ
スクするか改変することにより直接2つの成分の結合を直接破壊する場合もあろ
う。このタイプの候補物質は、例えば、以下に記載したin vitro結合アッセイに
より好都合にスクリーニングすることができる。候補物質の例は、TRIMおよび/
またはTRAM配列を含むポリペプチド、他の有機および無機低分子量化合物、なら
びに第1および第2ポリペプチドを認識する抗体を含む。
【0045】 候補のTRIMおよび/またはTRAMを含むポリペプチドは、例えば配列番号1また
は9に与えられたTRIMおよび/またはTRAMコンセンサス配列にマッチするか、あ
るいは実在のポリペプチド、例えばMdm2、CBP、E6およびp53中に同定されたTRIM
および/またはTRAM配列に相同性を有するポリペプチド配列の位置を決定するデ
ータベース検索を使って好都合に同定することができる。
【0046】 直接、第1または第2成分に結合しうる物質もまた、それらの非細胞性の局在
状況を改変して2つの成分が細胞内で接触するのを防止することにより、第1ポ
リペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を阻害することができる。これ
は、例えば以下に記載したin vivoアッセイを使い、in vivoで試験することがで
きる。用語「in vivo」は培養細胞を用いる実験ならびに無傷の多細胞生物を用
いる実験を包含するものとする。
【0047】 あるいは、該物質は、該成分の結合を直接防止する代わりに、該成分の1つま
たは両方の生物学的利用可能量を抑制または増加することができる。これは、例
えば転写、転写物安定性、翻訳または翻訳後安定性のレベルで、該成分の発現を
阻害することによる場合もある。このような物質の例は、タンパク質へと翻訳さ
れる第1または第2ポリペプチドmRNAの量を阻害するアンチセンスRNAであろう
【0048】 適当な候補物質には、TRIMおよび/またはTRAM配列、特にサイズで約12〜20個
のアミノ酸を含有するペプチドが含まれる。ペプチドの最も多様なパネルを与え
るよう調和して変動する配列または無作為配列を含有するペプチドのパネルから
得たペプチドを使うことができる。これらのペプチドの環状化バージョンも使う
ことができる。
【0049】 適当な候補物質は、第1成分または第2成分に特異的である抗体産物(例えば
、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、1本鎖抗体、キメラ抗体およびCDR
グラフト抗体)も含む。さらに、コンビナトリアルライブラリー、ペプチドおよ
びペプチド類似物、規定された化学物質、オリゴヌクレオチド、および天然産物
ライブラリーを、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドとの間の相互作用の
インヒビターとしての活性について、以下に記載したようなアッセイでスクリー
ニングすることができる。最初のスクリーニングにおいては、バッチに例えば1
反応当たり10物質の候補物質を使い、そして阻害を示すバッチの物質を個別に試
験することができる。以下に記載したようなin vitroスクリーニングで活性を示
す候補物質は、その後、インヒビターに曝露して適当にウイルス感染またはアポ
トーシスに対する感受性を試験する哺乳動物細胞のような、in vivo系で試験す
ることができるであろう。
【0050】 実施例1に詳細に記載した重要な知見とは、TRAM変異体は、異なるTRIM配列と
異なる結合を示しうることである。従って、TRAM配列またはTRIM配列の変異体を
試験して特異性を決定することが望ましいであろう。これは、特異性が重要な考
慮事項であると思われる治療応用において特に重要である。
【0051】 E. アッセイ 本発明のアッセイ方法は、in vitroアッセイまたは、例えば動物モデルを使う
in vivoアッセイであってよい。第1ポリペプチド(TRAM配列を含有する)と第
2ポリペプチド(TRIM配列を含有する)との間の相互作用を破壊する物質を同定
するためのin vitroアッセイの1つの形式は、次の工程: - 固体支持体上に固定した第1ポリペプチドを、非固定の第2ポリペプチドと
、候補物質の不在下で接触させること、 - 固定した第1ポリペプチドを、非固定の第2ポリペプチドと、候補物質の存
在下で接触させること;および、 - 候補物質が第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破壊す
るかどうかを決定すること、 を含むものである。 あるいは、第2ポリペプチドを固定し、第1ポリペプチドを非固定にすること
ができる。
【0052】 好ましいアッセイ方法においては、第1ポリペプチドをアガロースビーズのよ
うなビーズ上に固定する。典型的には、これは該成分をGST-融合タンパク質とし
て細菌、酵母または高等真核細胞系に発現し、GST-融合タンパク質を粗細胞抽出
物からグルタチオン-アガロースビーズを使って精製することにより達成される
(SmithおよびJohnson, 1988)。対照として、GST-融合タンパク質でない第2ポ
リペプチドと固定した第1ポリペプチドとの結合を、候補物質の不在下で測定す
る。その後、第2成分と固定した第1ポリペプチドとの結合を、候補物質の存在
下で測定する。その後、候補物質による阻害効果を評価することができる。この
形式のアッセイは、GSTプルダウンアッセイとして当技術分野で公知である(方
法を参照)。
【0053】 候補物質は、第1ポリペプチドとまたは第2ポリペプチドと予備インキュベー
トするか、または第1ポリペプチドの第2ポリペプチドとの予備インキュベーシ
ョン後の反応混合物に添加することができる。同様なアッセイにおいて、第2ポ
リペプチドはグルタチオンアガロースビーズ上に固定したGST融合タンパク質で
あり、第1ポリペプチドはGST-融合タンパク質でない。この形式のアッセイは、
ポリペプチドの1つを固定するために様々なアフィニティ精製系、例えばNi-NTA
アガロースとヒスチジン標識ポリペプチド、MBP標識ポリペプチド、を使って実
施することが可能である。あるいは、ポリペプチドを、例えば活性化臭化シアン
を介して共有結合により固定することもできる。
【0054】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの結合(およびその逆)を、当技術分
野で公知の様々な方法により決定することができる。例えば、非固定のポリペプ
チドを標識することができる(例えば、放射性標識、エピトープタグまたは酵素
-抗体コンジュゲート)。2つのポリペプチド間の相互作用に対する候補物質の
影響は、候補物質の存在下で結合した標識の量を候補物質の不在下で結合した標
識の量と比較することにより決定することができる。候補物質の存在下で結合し
た標識の量がより少ないことは、候補物質が第1ポリペプチドと第2ポリペプチ
ドとの間の相互作用のインヒビターであることを示す。例えば、典型的には、第
1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用インヒビターとして選択さ
れる候補物質については、インヒビターの存在下で第1ポリペプチドと結合する
第2ポリペプチドの量(例えば、結合した標識の量により示された)は、そのイ
ンヒビターの不在下で第1ポリペプチドと結合する第2ポリペプチドの量の50%
以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80、90、95%以上である。同様な考
察は、使われる様々なアッセイ系、例えば転写活性化により(以下に記載のよう
に)またはp53介在アポトーシスまたは細胞周期停止の程度を測定するアッセイ
のような機能的in vivoアッセイにおいて、結合を決定する場合に当てはまるで
あろう。
【0055】 あるいは、結合は、免疫学的検出技術により決定することができる。例えば、
反応混合物はウェスタンブロットし、該ブロットを非固定ポリペプチドを検出す
る抗体でプローブすることができる。ELISA技術も使うことができる。
【0056】 本発明により考えられる第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作
用を破壊する物質を同定する他の方法は、第1ポリペプチドを蛍光剤をコートし
た(または含浸した)固体支持上に固定し、第2ポリペプチドを蛍光剤を励起す
る能力のある物質を用いて標識し、固定した第1ポリペプチドを標識した第2ポ
リペプチドと試験化合物の存在下および不在下で接触し、蛍光剤による光放出を
検出し、そして、試験化合物の不在下での蛍光剤による光放出と比較して蛍光剤
による光放出を減少させる候補物質として、阻害物質を同定することに関わる。
あるいは、該アッセイにおいて、第2ポリペプチドを固定し、第1ポリペプチド
を標識することができる。
【0057】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破壊する化合物を同
定するためのアッセイはまた、次の工程: (a)適当な宿主細胞を、DNA結合ドメインおよび活性化ドメインを有する転写因子
により調節されるプロモーターの制御下にあるレポーター遺伝子を含有するDNA
構築物を用いて形質転換またはトランスフェクトすること; (b)該宿主細胞に、第1ポリペプチドと転写因子の活性化ドメインまたはDNA結合
ドメインとの第1の融合物をコードする第1のハイブリッドDNA配列を発現し;
該宿主細胞に、第1の融合物に結合していない、第2ポリペプチドと転写因子の
DNA結合ドメインまたは活性化ドメインをコードする第2のハイブリッドDNA配列
を発現すること; (c)試験化合物の存在下および不在下において宿主細胞中のレポーター遺伝子産
物の産生を測定することにより、特定の宿主細胞における第1ポリペプチドの第
2ポリペプチドとの結合を検出して、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの
間の相互作用に対する試験化合物の影響を評価すること;および (d) 試験化合物の不在下でのレポーター遺伝子産物の産生と比較して、試験化合
物の存在がレポーター遺伝子産物の産生を改変するかどうかを決定すること、 を含む。
【0058】 該宿主細胞は、細菌または他の微生物細胞であってよい。それは酵母または哺
乳動物細胞であってよい。現在、このようなアッセイに使うのに好ましいのは、
レポーター遺伝子の発現を駆動するlexAプロモーター、lacZレポーター遺伝子、
lexA DNAドメインおよびGAL4トランス活性化ドメインを含有する転写因子ならび
に酵母宿主細胞である。
【0059】 候補物質、すなわち試験化合物は、細胞にいくつかの方法で投与することがで
きる。例えば、細胞培養の培地に直接添加するかまたは細胞中に注入することが
できる。あるいは、ポリペプチド候補物質の場合、細胞内でポリペプチドの発現
を指令する核酸構築物を用いて細胞をトランスフェクトすることができる。好ま
しくは、ポリペプチドの発現は調節可能なプロモーターの制御下にある。
【0060】 本発明の方法により第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破
壊すると同定されたTRIMおよび/またはTRAMを含むポリペプチドおよび候補物質
は、それらの、例えば細胞のウイルス感染への感受性を減少する能力、またはア
ポトーシスおよび増殖停止を含む細胞周期を調節する能力について、試験するこ
とができる。このような化合物は、治療としてウイルス感染を予防または治療す
るために使うことができる。これらは、治療として、例えば腫瘍細胞の細胞死誘
導を含む哺乳動物細胞の細胞周期を調節するのに使うこともできる。
【0061】 典型的には、候補物質(本発明の方法により同定されたTRIMおよび/またはTR
AMを含むポリペプチドまたは物質であってよい)が細胞のウイルス感染感受性に
与える影響を決定するアッセイは、次の工程: (a)ウイルス、例えばHPVを、細胞、例えば1次ヒトケラチノサイト(primary hu
man keratinocytes)に、候補物質の不在下で投与すること; (b)該ウイルスを該細胞に、候補物質の存在下で投与すること;および (c)候補物質が該細胞のウイルス感染に対する感受性を減少するかまたは壊滅す
るかどうかを決定すること、 を含んでなる。
【0062】 候補物質をウイルスの前または同時に投与して、感染が予防されるかを確証す
ることができる。あるいは、候補物質を、ウイルス感染に続いて投与して、ウイ
ルス感染を候補物質を使い治療できるかを確証することができる。細胞への候補
物質の投与は上記のように実施することができる。
【0063】 アッセイは典型的にはin vitroで実施されるが、代わりに動物モデルを用いる
ことができる。ウイルスを細胞、典型的には培養細胞に接触させる。該細胞は、
哺乳動物細胞系の細胞、特に候補物質の不在下でウイルス感染に感受性のある細
胞であってよい。
【0064】 ウイルスの感染力をアッセイするための技術は当技術分野では公知である。ウ
イルス感染のレベルは、プラークアッセイを使うことならびに、レポーター遺伝
子、例えばlacZを含有する組換えウイルスを使うことによって決定することがで
きる。組織化学的に検出可能なレポーター遺伝子の使用は、実験を動物、例えば
マウスを用いて行うときには、特に好ましい。
【0065】 典型的には、本発明の方法により同定された候補物質またはTRIMおよび/また
はTRAMを含有するポリペプチドの、哺乳動物細胞内の細胞周期の調節に対する効
果を決定するアッセイは、次の工程: (a)候補物質を細胞に投与すること;および (b)候補物質の、例えば細胞周期停止および/またはアポトーシスによる細胞死
の誘導を含む細胞周期に対する効果を決定すること、 を含んでなる。
【0066】 候補物質の細胞への投与は、上記のように実施することができる。該アッセイ
は典型的には、in vitroで実施される。候補物質を細胞、典型的には培養細胞に
接触させる。該細胞は哺乳動物細胞系の細胞であってよい。
【0067】 候補物質のアポトーシスを誘導する能力は、候補化合物を細胞に投与し、アポ
トーシスが該細胞に誘導されるかを決定して、決定することができる。アポトー
シスの誘導は様々な手法により決定することができる。細胞死がアポトーシスに
よるかを決定するための、いくつかの技術が当業者には公知である。アポトーシ
ス細胞死は、顕微鏡により観察しうる形態変化、例えば細胞質小胞形成(cytopl
asmic blebbing)、細胞収縮、ヌクレオソーム間の断片化およびクロマチン凝縮
により特徴付けられる。アポトーシスプロセスに典型的なDNA切断は、TUNELおよ
びDNAラダーアッセイを使って検証することができる。
【0068】 細胞のアポトーシスを誘導するための当技術分野で公知のいくつかの技術を使
うことができる。例えば、アポトーシスは紫外線(UV)またはガンマ線照射曝露
、増殖因子欠乏および熱ショックを含むストレスにより誘導することができる。
このようなアポトーシスを阻害する候補物質の能力は、候補物質の存在下でスト
レスに曝露した細胞を候補物質の不在下でストレスに曝露した細胞と比較するこ
とによって決定することができる。
【0069】 上記のアッセイの好ましい実施様態においては、TRIMおよび/またはTRAMを含
むポリペプチドまたはそれらの誘導体を、通常の細胞相互作用を研究するための
実験系において使用する。例えば、欠失、挿入および置換変異体を含むTRIMおよ
び/またはTRAM配列の誘導体を含むポリペプチドを使い、TRIMを含むポリペプチ
ドおよび/またはTRAMを含むポリペプチドの間の相互作用を破壊することができ
る。これは、上記のin vitroアッセイを使ってin vitroで試験することができる
。これらの相互作用はまた、欠失、挿入および置換変異体を含むTRIMおよび/ま
たはTRAMを含むポリペプチドおよびそれらの誘導体をin vivoで細胞、好ましく
は哺乳動物細胞、さらに好ましくはヒト細胞中に導入することにより、in vivo
で破壊することもできる。TRIMおよび/またはTRAMを含むポリペプチドおよびそ
れらの誘導体を上記の技術を使って細胞中に導入することができる。この破壊の
効果は免疫沈降研究によりまたは、代わりに、例えば、上記のアッセイおよび技
術を使って細胞周期制御に対する影響を分析することにより決定することができ
る。得られたいずれのin vitroデータも、in vivo研究に使用するためのTRIMお
よび/またはTRAMを含むポリペプチドまたはそれらの誘導体の合理的設計を支援
するために使用できる。
【0070】 TRAMを含むポリペプチドとTRIMを含むポリペプチドとの間の相互作用を破壊す
る物質を同定することに加えて、本発明のポリペプチドを、TRAM配列またはTRIM
配列と結合する物質を同定するためのアッセイ/スクリーニング方法に使用する
ことができる。これにより、細胞周期制御、転写および/またはウイルス感染に
関わる細胞機構またはウイルス機構の新規成分が同定され得るであろう。従って
、本発明は、TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドと相互作用す
る化合物を同定する方法を提供し、その方法は次の工程: (a)候補化合物を適当な条件下でTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペ
プチドと共にインキュベートすること;および (b)該候補化合物がTRAM配列および/またはTRIM配列を含む該ポリペプチドと相
互作用するかどうかを決定すること、 を含んでなる。
【0071】 典型的には、このようなアッセイは、上記と同様なフォーマットを使ってin v
itroで実施することができる(例えば、候補物質を固相上に固定化したTRIM/TR
AMポリペプチドとともにインキュベートし(例えばGSTプルダウンアッセイ)、
相互作用を上記と同様な技術により決定すること)。従って、これらのアッセイ
を使って、例えば、細胞シグナル形質導入、細胞周期制御、転写制御機構の一部
であるかまたはウイルス感染に関わる新規TRIM/TRAMポリペプチドに関して、粗
製または部分精製した細胞抽出物をスクリーニングすることができる。これを使
って、上記のアッセイに使用するための候補物質を同定することもできる。
【0072】 F. 診断用途 実施例において、様々なタイプのヒトパピローマウイルスが、様々なTRAM結合
物性をもつE6ポリペプチドを有することが示されている。例えば、子宮頚癌の高
いリスクに関係することが知られている2つのタイプ(HPV-16およびHPV-18)の
E6ポリペプチドは、CBP TRAM配列と結合することができる。これらはTRIM配列を
含有する。子宮頚癌の低いリスクに関係することが知られる2つのタイプ(HPV-
6およびHPV-11)のE6ポリペプチドは、CBP TRAM配列と結合しない。これらはコ
ンセンサスTRIM配列を含有しない。それ故に、アッセイを使って子宮頚癌の高い
リスクに関係するHPVタイプを、子宮頚癌の低いリスクに関係するHPVタイプから
、TRAM配列、特にCBP TRAM配列との選択的結合に基づいて識別することができる
。このようなアッセイはイムノアッセイまたはポリペプチド/ポリペプチド結合
アッセイの形をとることができる。
【0073】 G. 治療用途 上記の特定のTRIM/TRAMポリペプチドは全て、シグナル形質導入および/また
は細胞周期調節に関わる遺伝子の転写調節に関係することが知られているポリペ
プチド(例えば、p53、Mdm-2、CBP/p300およびHPV E6)の一部である。それ故に
、これらのTRIM/TRAMを含むポリペプチド(例えば、本発明のアッセイ法により
同定することができる)間の相互作用を阻害する物質は転写調節および/または
細胞周期調節に効果を与えると思われる。従って、このような物質を使って哺乳
動物細胞の転写および/または細胞周期を調節することができる。それ故に、本
発明は、哺乳動物細胞周期を調節する方法に使用するための(i)TRAMを含むポリ
ペプチドと(ii)TRIMを含むポリペプチドとの間の相互作用を破壊する能力のある
物質を提供する。本発明はまた、細胞性転写を調節する方法に使用するためのそ
のような物質も提供する。典型的には、該物質を使って、例えば腫瘍細胞の細胞
死を誘導し、または細胞死を防ぐことができる。このような物質の例には、TRIM
および/またはTRAMを含むポリペプチドが含まれる。例として、Mdm-2を過剰発
現している腫瘍細胞内に導入されたTRIMを含むポリペプチドまたはTRAMを含むポ
リペプチドを使って、Mdm-2とp53との間の相互作用を阻害し、p53介在アポトー
シスを進行させることができる。
【0074】 もしTRIM/TRAMポリペプチドのいずれかまたは両方ともウイルス起源であれば
、ウイルスの感染、増殖および/または伝播に必要である相互作用を阻害または
減少することが可能である。例えば、TRAMを含むポリペプチドを使って、HPV E6
のCBPとの結合を阻害することができる。従って、本発明は、ウイルス感染、特
にHPV感染を予防または治療する方法に使うための(i)TRAMを含むポリペプチドと
(ii)TRIMを含むポリペプチドとの間の相互作用を破壊する能力のある物質を提供
する。HPV E6のCBPとの結合を阻害するために使うTRAMを含むポリペプチドの場
合、HPV-16またはHPV-18(または子宮頚癌と関係することが知られる他のHPVタ
イプ)由来のE6のTRIM配列に特異的なTRAM配列を使うのが好ましい。その理由は
、上に考察したごとく、子宮頚癌の高いリスクに関係することが知られるHPVタ
イプ(HPV-16およびHPV-18)のE6ポリペプチドはCBP TRAM配列と結合しうるが、
子宮頚癌の低いリスクに関係することが知られる2つのタイプ(HPV-6およびHPV
-11)のE6ポリペプチドはCBP TRAM配列と結合しないことが、実施例に示されて
いるからである。
【0075】 本発明による物質の製剤化は、該物質の性質、例えば、それがポリペプチドま
たは非ペプチド、有機または無機の分子であるかどうかによるであろうが、典型
的には、物質は、製薬上許容される担体または希釈剤を用いて臨床用に製剤化す
ることができる。例えば、該物質は、局所、非経口、静脈内、筋内、皮下、眼内
または経皮投与用に製剤化することができる。医師は、任意の特定な患者および
症状に対して、必要な投与経路を決定することができるであろう。
【0076】 本発明のポリヌクレオチドは、裸の、好ましくは宿主細胞ゲノムに相同的なフ
ランキング配列をさらに含有する核酸構築物として、直接投与することができる
。哺乳動物細胞による裸の核酸構築物の取り込みは、複数の公知のトランスフェ
クション技術、例えばトランスフェクション剤の使用を含むトランスフェクショ
ン技術、によって促進される。これらの薬剤の例は、カチオン剤(例えばリン酸
カルシウムおよびDEAE-デキストラン)およびリポフェクタント(例えば、lipof
ectamTMおよびtransfectamTM)を含む。典型的には、核酸構築物をトランスフェ
クション剤と混合してある組成を作製する。
【0077】 好ましくは、該物質は注入可能な形態で使われる。従って、該物質は、好まし
くは治療すべき部位に直接注入するために、注入製剤用に製薬上許容される任意
のビヒクルと混合することができる。製薬上の担体または希釈剤は、例えば、滅
菌または等張性溶液である。この物質を経口的に活性なで形態で製剤化すること
も好ましい。典型的には、上記物質は、ポリペプチド、抗体または核酸構築物で
ある。核酸構築物を、リポフェクション、バイオリスチック変換(biolistic tr
ansformation)またはウイルスベクターの使用を含む様々な周知の技術により投
与することができる。ウイルス様粒子(VLP)を使って本発明のポリヌクレオチ
ドを送達することもできる。VLPは、当業界で周知の技術により作製することが
できる。例えば、Cos-7細胞内でヒトパピローマウイルス33-型のL1およびL2遺伝
子の過剰発現により細胞培養中に形成されるVLPは、効率的にポリヌクレオチド
を取込むことが示されている(Unckellら, 1997)。TRIMおよび/またはTRAMを
含むポリペプチドを細胞に送達するためにパピローマウイルスVLPを使用するこ
とは、該VLPが天然パピローマウイルス感染の向性(tropism)と同様な向性を示
すので、高リスクE6ポリペプチドのCBP、Mdm2または他のTRAMを含むポリペプチ
ドとの相互作用を破壊するために特に望ましいであろう。
【0078】 使用する物質の用量は、様々なパラメーター、特に使用する物質、治療する患
者の年齢、体重および症状、使用する投与様式ならびに必要な臨床処置によって
調節することができる。内科医は、任意の特定の患者および症状に対する必要な
投与経路および用量を決定することができるであろう。
【0079】 本発明を、説明のためのみであって限定することを意図していない次の実施例
を参照して説明する。該実施例は図を参照する。図についてさらに詳細に説明す
る:図1 E1AはCBPの12アミノ酸モチーフ(アミノ酸1811-1822)と結合する。 a、因子E1A、p53、E2F、およびTFIIBと結合するアミノ酸領域(1621-1877の間
)を示す転写因子CBPの模式図。 b、12S E1Aと結合する能力のある配列を決定するプルダウン実験に使われたGS
T-CBP融合構築物。細菌のGST-融合タンパク質をマイクロカラムに結合させ、in
vitro翻訳された35S標識E1Aをそれらの上に通過させてタンパク質-タンパク質相
互作用を検出する(方法を参照)。E1A翻訳反応物の約10%をインプットレーンに
走らせて、GSTは対照カラムを表し、そしてレーン1〜9まではE1Aを9つのGST-
CBP融合構築物を含有するカラムに通過させた後に得られた溶出液を表す。 c、CBP配列1808-1826のさらなる欠失の解析。太線はE1Aと結合する構築物を示
し、細線は結合しない構築物を示す。12アミノ酸(構築物10、CBP1811-1822)は
、なおE1A結合活性を保持する。 d、CBP TRAMの突然変異誘発。示したのは、E1A相互作用に必要なアミノ酸を決
定するために使った11個のアラニン置換物である。2個の塩基性残基を置換した
突然変異体構築物1を除いて、全て単一置換である。野生型または突然変異体GS
T-CBP(1808-1826)配列を使いプルダウン実験を実施して、E1A結合はR1811A、K
1812A突然変異およびN1814A突然変異により破壊されることを示す。また、プル
ダウン実験に使われたGST-CBPタンパク質の量を示した。
【0080】図2 CBPとの相互作用に関わるE1A中のアミノ酸の同定。 a、保存領域CR1、CR2、およびCR3を示す13S E1Aの模式図。CR1内に含まれるの
は、先にCBPの結合で示唆した残基63-67である。野生型または突然変異(アラニ
ン置換)配列を含むGST-E1Aタンパク質を、35S標識CBP(1621-1877)と相互作用
するそれらの能力について試験した。示したのはこれらのプルダウン実験の結果
、ならびにマイクロカラムから回収したGST-E1A融合タンパク質の量を示すクー
マシー染色SDS PAGEゲルの図である。F65〜L71までの配列内の二重置換突然変異
体はCBPと結合しなかった。 b、ペプチド競合アッセイは、F65〜L71までの配列がCBPとの相互作用に関与す
ることを確証する。上記の配列を含有する30アミノ酸のペプチドを競合研究に使
い、それらのE1A-CBP相互作用を阻害する能力を試験した。野生型ペプチド配列
(WT)または突然変異配列(Mut1またはMut2)の量を増加させて(0.1mM、0.5m
M、および1mM)、E1A-CBPプルダウンアッセイに使った。野生型ペプチドだけがE
1A-CBP相互作用を阻害した。 c、p53、E2F、およびTFIIBは全て、TRAMを含有するCBP配列1808-1826と結合す
る。結合は野生型E1Aペプチドとの競合により阻害することができるが、Mut2 E1
Aペプチドによっては阻害できなかった。 d、E1A、p53およびE2F配列と、下線を引いた保存されたTRAM相互作用モチーフ
TRAM interaction motif(TRIM))FXE/DXXXLとのアライメント。
【0081】図3 Mdm2は、E1A、p53、E2F、およびTFIIBと結合するC末端TRAMを含有する。 a、ヒトMdm2(466-484)とCBP(1808-1826)由来の配列とのアライメント。保
存配列は線で囲み、E1A相互作用を防止するために先に突然変異させた残基(図1
d)はアステリスクで示した。 b、E1A、p53、E2F、およびTFIIBとMdm2 TRAMとのin vitro結合。プルダウン実
験は、4つのin vitro翻訳されかつ放射能標識したタンパク質が全て、配列466-
484内に含有される野生型Mdm2 TRAMと結合することを示す。突然変異GST-Mdm2構
築物(N472A)は、そのCBP対応物(図1d)と同様にE1Aと結合しなかった。 c、C末端Mdm2 TRAMは391-421間のN末端配列によりマスクされる。示したのは
、p53と結合する能力のあるNおよびC末端領域を含有する全長Mdm2、ならびにin
vitroプルダウン実験に使った構築物の模式図である。Mdm2配列223-491および39
1-491を含有するGST-Mdm2融合構築物は、マスクされてないC末端領域421-491と
比較して、結合能力が非常に減少したことを示す。比較のために、先にp53およ
びE2Fの両方と相互作用することが示されたMdm2のN末端1-125アミノ酸領域の使
用も示した。 d、マスクされてないTRAMを含有するMdm2 C末端配列(421-491)とp53との間
のin vivo相互作用。MRC5.SV40細胞を、pCMV-GST-Mdm2(421-491)構築物または
対照CMV-GST構築物の0.1μgまたは0.5μgを用いてトランスフェクトした。48時
間後、これらの細胞から細胞溶解物を調製し、グルタチオン-セファロースビー
ズとともにインキュベートし、その後、洗浄およびin vivoプルダウンについて
記載したように溶出させた(方法を参照)。溶出タンパク質をSDSポリアクリル
アミドゲル上で泳動し、p53モノクローナル抗体DO-1(Santa Cruz)を使って標
準ウェスタンブロット分析にかけた。トランスフェクトしたGST-Mdm2(421-491
)を含有する溶解物は、p53とMdm2(421-491)との間に複合体形成を示したが、
GST対照トランスフェクション物に由来する溶出物はp53タンパク質をプルダウン
しなかった。マイクロカラム上に装填した量の10%にほぼ近い溶解物を、同じSDS
ポリアクリルアミドゲル上に直接ロードし、同じウェスタンブロット分析にかけ
た。検出したp53レベル間の比較は、全細胞p53の約2〜3%がGST-Mdm2融合タンパ
ク質と複合体を形成したことを示唆する。
【0082】図4 CBPおよびMdm2 TRAMsはp53結合に対して全長Mdm2のN末端ドメインと競合
し、p53依存性転写を活性化する。 a、p53突然変異体14/19の、Mdm2 N末端ドメインならびにCBPおよびMdm2 TRAMs
に対する識別的効果。野生型またはL14Q/F19S突然変異を担持するin vitro翻訳
された35Sメチオニン標識p53を、N末端Mdm2ドメイン(1-125)、CBP TRAM(1715
-1852)、またはMdm2 TRAM(421-491)を含有するGST融合タンパク質と結合する
それらの能力について、プルダウンアッセイで分析した。p53のMdm2のN末端ドメ
インとの結合は、14/19突然変異により著しく影響を受けたが、CBPなたはMdm2の
TRAMsはいずれも影響を受けなかった。 b、CBP TRAMペプチドは、N末端Mdm2ドメインとp53との結合を阻害することが
できる。野生型または突然変異(R1811、K1812、N1814)TRAM配列を含有する27
アミノ酸(1806-1832)のCBPペプチドを、in vitro翻訳されたp53とGST-Mdm2(1
-125)との相互作用を阻害する競合アッセイに使った。野生型ペプチドは、使用
範囲(10-100μM)全体にわたりp53-Mdm2相互作用を完全に阻害することができ
たが、突然変異TRAMペプチドの該相互作用を阻害する能力は著しく損なわれた。 c、野生型TRAMを含有するCBP配列はp53依存性転写を活性化する。U-2 OS細胞
の一過性トランスフェクションを、p53応答レポーター遺伝子(PG13CAT)または
対照ベクター(MG15CAT)の2μgを使って実施した。また、野生型TRAM、もしく
は突然変異TRAM(R1811A、K1812A)を含有するCMV-GST-CBP(1808-1852)ベクタ
ーの1、2または4μgの同時トランスフェクションも示す。野生型TRAMの導入は、
p53依存性転写の用量に依存する増加をもたらした。この活性化レベルは、突然
変異TRAM構築物を使ったときは得られなかった。全長Mdm2の同時トランスフェク
ションは、CBPによるp53のTRAM活性を破壊した。 d、U-2 OSトランスフェクション実験は、マスクされてないMdm2 TRAM配列の導
入は、p53依存性転写の同様な活性化をもたらすことを実証した。PG13CATに加え
て、CMV-GST-Mdm2発現ベクター(Mdm2配列421-491、391-491、223-491、1-491、
または1-125を含む)の2μgを使って同時トランスフェクションを実施した。p53
依存性レポーター構築物からの転写は、機能的TRAMを含有するMdm2 421-491構築
物の同時トランスフェクション時に活性化されることを見ることができた。この
効果は、N末端マスキング配列(391-491および223-491を参照)を含ませると減
少する。Mdm2のN末端モチーフだけの同時トランスフェクションもp53依存性トラ
ンスフェクションを活性化したが、一方、p53変性を導く配列を含有する全長Mdm
2はp53依存性レポーター活性の減少をもたらした。
【0083】図5 先に規定したTRIMと顕著な類似性を示す配列を含有するYY1断片はCBPとin
vitroで相互作用することができ、AP-1活性をin vivoで抑制する能力がある。 a、in vitroプルダウンアッセイおよびin vivo抑制アッセイに使ったYY1構築
物の模式図。WTYY1は全長野生型YY1配列を表す。YY1BP、YY1BS、およびYY1BHは
アミノ酸位置1に開始し、YY1配列内のユニークな制限酵素切断部位で終結するが
、一方、YY1ZF2-4および1-4は全ての4つのジンクフィンガー(ZF 1-4)または後
の3つのジンクフィンガー(2-4)を含有するPCR増幅したYY1配列を表す。これら
の配列は、以下に記載のアッセイのために、GSTまたはGAL4(1-147)配列と融合
させた。 b、in vitroプルダウンアッセイは、1個以上の推定TRIM配列を含有する断片
がIVT CBP(1621-1877)と相互作用する能力を示すが、一方、TRIM配列を含有し
ない断片YY1BPはCBPと相互作用しない。 c、CBPとin vitroで結合する能力のあるYY1断片は、in vivoでAP-1活性を抑制
する能力を示す。模式図は、p80:2e/9e CATレポーター構築物中の天然に生ずるY
Y1部位を置換するために使われた2つのパリンドロームGAL4結合部位を示す(O'
Connorら, 1996)。その後、このp80:2e/9e GALレポーター構築物を、1次ヒト
ケラチノサイト中のSV40プロモーターの指令下でGAL-YY1融合タンパク質を発現
する能力のあるプラスミドを用いて、同時トランスフェクトした。TRIMを含有す
るGAL-YY1融合構築物の発現は、GAL配列だけを同時トランスフェクトしたときに
得られた結果と比較して、CAT活性の抑制をもたらすことを見ることができる。
対照的に、TRIMをもたないGAL-YY1BP構築物の同時トランスフェクションは、CAT
活性の有意な抑制を示さない。
【0084】図6 CBP TRAM突然変異配列のTRIM含有タンパク質との識別的結合特性 a、先に規定したTRIMとTFIIB、YY1およびMyoD中に存在する推定TRIM配列との
配列アライメント。位置1および3のフェニルアラニン残基と酸性残基はそれぞ
れ高度に保存されているが、第7番目の位置のロイシン残基は時々他の中性、非
極性アミノ酸残基による保存的変化を示す。また、残りのTRIM配列におけるおよ
び周囲の配列におけるアミノ酸残基組成が非常に多様であることが明らかである
。 b、in vitroプルダウンアッセイは、TRAM C末端残基のアラニン置換物はTRIM
含有タンパク質のサブセットと結合しないことを示す。
【0085】図7 HPV-16 E6は転写同時アクチベーターCBP/p300と相互作用する。 (A)HeLa核抽出物由来の部分精製した全長(FL)CBP/p300の等量をGST、GST-1
6E6、GST-P/CAF、およびGST-YY1のミクロアフィニティカラム上に通過させた(
材料および方法を参照)。SDSゲル電気泳動およびメンブランへのトランスファ
ーの後、ウェスタンブロット分析して、CBP/p300の存在を検出した。 (B)GSTミクロアフィニティカラムを使って、in vitro翻訳されかつ放射能標識
したHPV−16 E6のGST-CBPII(残基1621-1877)との相互作用を検出した。対照GS
T-カラムまたはGST-CBPI(残基461-662)については相互作用は検出されなかっ
た。 (C)GSTミクロアフィニティカラムアッセイを使った、HPV-16 E6-CBPII相互作
用と既知E1A-CBPIIおよびHPV-16 E6-E6AP相互作用との比較。 (D)2つの組換え細菌により発現したタンパク質を使った、HPV-16 E6とCBPと
の間の直接相互作用の実証。GSTまたはGST-E6をMBP-CBP(残基1808-1852)融合
タンパク質を含有するカラム上に通過させた。結合したGST-融合タンパク質を、
特異的GST抗体を使ったウェスタン分析により検出した。また、MBP-CBP融合タン
パク質もGSTまたはGST-E6カラム上に通過させ、相互作用をMBP抗体を使って検出
した。
【0086】図8 CBP/p300上のHPV−16 E6結合部位の同定。 HPV-16 E6と結合する能力のあるCBP配列を規定するために用いたミクロアフィ
ニティカラム実験に使ったGST-CBP融合構築物の模式図を示す。CBPの19アミノ酸
配列(残基1808-1826)のin vitro翻訳されたHPV-16 E6タンパク質と結合する能
力を示した(レーン7)。これらの配列中の欠失はE6結合を無効にする(レーン
8)。また、CBP内の同定されたE6結合部位のアライメントおよび対応するp300
配列との比較も示した。アステリスクは同定されたアミノ酸残基のその位置にお
ける保存を表すが、「+」は保存的変化を表す。この19アミノ酸CBP配列と結合
しうるE1AペプチドはE6-CBP相互作用を阻害することができるが、CBP結合を欠く
変異体ペプチドはそれができない。
【0087】図9 CBPとの相互作用に関わるHPV−16 E6領域のマッピング。 (A)このタンパク質中に存在する2つのジンクフィンガー構造を示すHPV−16 E
6タンパク質のアミノ酸配列。相互作用研究に使ったHPV−16 E6断片の始点また
は終点の位置を示すアミノ酸残基の番号を記した。 (B)ミクロアフィニティカラムアッセイに使われたGST-E6融合構築物の模式図
。 (C)相互作用実験は、HPV-16 E6残基100-147間の領域をCBPと結合するために十
分な領域であることを明らかにする。
【0088】図10 E6-CBP/p300相互作用は「高リスク」HPVEbタンパク質に特異的である。 (A)GST-融合またはin vitro翻訳されたE6タンパク質を使うミクロアフィニテ
ィカラム実験は、高リスクHPVの16および18型由来のE6タンパク質だけCBPと相互
作用する能力があるが、低リスクHPVの6および11型はその能力がないことを示す
。 (B)哺乳動物ツーハイブリッド実験(材料および方法に記載)および本図に模
式的に示したように、高リスクと低リスクE6タンパク質との間の相違はCBPIIド
メインとのin vivo相互作用に及ぶことを示す。G5E1BCATレポーターの活性化は
GAL4-16EbおよびCBPII-VP16の同時トランスフェクション後にだけ見られ、GAL4-
11 E6またはCBPI-VP 16タンパク質が発現された実験については見られない。
【0089】図11 HPV-16 E6突然変異体L50Gは、in vitroでCBPと結合するが、E6APと相互作
用することもまたp53を変性することもできない。
【0090】 (A)HPV-16 E6突然変異体L50Gの模式図であり、第1ジンクフィンガーにおける
アミノ酸交換の位置(+によりマークした)および第2ジンクフィンガー内の同
定されたCBP相互作用ドメイン(太線)を示す。in vitro翻訳されたHPV-16 E6 L
50Gタンパク質を使うGSTミクロアフィニティカラム実験は、この突然変異体のGS
T-CBPと相互作用する能力を示す。 (B)同様なin vitroミクロアフィニティカラム実験は、WT 16 E6タンパク質と
異なり、しかしHPV-16 E6と同様に、該HPV-16 E6突然変異体L50GはGST-E6APと相
互作用することができないことを示す。 (C)様々なin vitro翻訳されたE6タンパク質と混合したin vitro翻訳された35S
標識p53を使うp53変性アッセイ。数字を付したカラムは、室温での様々なインキ
ュベーション時間(0、30、90、および180分)後のp53タンパク質のレベルを示
す。
【0091】図12 HPV-16 E6はCBPのp53依存性転写を活性化する能力を標的とする。 (A)U2-OS細胞をp53応答CATレポーター(PG13)または突然変異させたp53結合
部位(MG15)をもつ対照ベクターを用いてトランスフェクトした。ウイルスタン
パク質に対する発現ベクターを同時トランスフェクションすると、CBPと相互作
用しうるHPVタンパク質は、p53トランス活性化をAdE1Aと同程度のレベルまでダ
ウンレギュレーションできることが示される。 (B)上記と同様な実験において全長CBPが過剰発現されると、HPV-16 L50G突然
変異を含むCBPと相互作用しうるHPVタンパク質は、全長CBPだけを用いるときに
見られたp53依存性転写のCBP依存性過度活性化を破壊することがされる。
【0092】図13 pMALPのポリリンカー。
【0093】実施例1 材料および方法 プラスミドおよび融合タンパク質 GST-CBP、GST-Mdm2またはGST-E1A構築物を、PCR増幅断片または2本鎖オリゴヌ
クレオチドをpGEX2TK(Pharmacia)中にクローニングして取得した。GST-Mdm2(
1-125)構築物は、ベンジャミン・リー(Benjamin Li)から提供された。GST-融
合タンパク質を大腸菌(E.coli)に発現し、溶解バッファー(50mM Tris-HCl pH8.
0、0.5mM EDTA、5mM DTT、15%グリセロール、1mg/mlリゾチームおよび1mM PMSF
)を用いて抽出し、超音波処理した後、遠心分離し、-70℃で保存した。CMV-GST
構築物pXJGSTはエドワード・マンサー(Edward Manser)から提供され、これはp
XJ40のEcoRI/BamHI部位中にGST配列を挿入することにより構築された(Xiaoら,
1991)。その後、CBPおよびMdm2配列を、このベクター中にBamHI/HindIII部位
を経由してクローニングした。
【0094】グルタチオン-セファロースマイクロカラムを使うin vitroプルダウンアッセイ GST融合タンパク質を含有する細菌溶解物をグルタチオン-セファロースビーズ
(Pharmacia)を用いて、30分間、4℃にて、1 x NENTバッファー(100mM NaCl,
1mM EDTA, 0.5% NP-40, Tris-HCl, pH 8.0)中でインキュベートした。スピンダ
ウンした後、1ml 1 x NENTを用いて洗浄し、該ビーズをガラスビーズ(BDG、カ
タログ番号332134Y)を含有する黄色Gilsonピペットチップ中に装填して25μl G
STマイクロカラムを作製した。35S-メチオニンを結合するタンパク質のin vitro
転写および翻訳を、TNTキット(Promega)を使い、製造者の推奨に従って実施し
た。50μl IVT反応物の40μlをIPDバッファー(50mM KCl, 40mM Hepes, pH7.5,
5mM 2-βメルカプトエタノール、0.1%Tween-20、0.5%ミルク)の360μlを用い
て希釈した後、GSTマイクロカラムを通過して降下させた。カラムを1ml洗浄バッ
ファー(150mM KClを含有するIDPバッファー)を用いて2回洗浄後、タンパク質
を、25μl x 2 x 染料含有SDSを加えることによってカラムから溶出し、95℃で5
分間加熱し、25μl水を用いて追い出し、マイクロ遠心分離でスピニングした。
その後、サンプルの約半分をSDSポリアクリルアミドゲル上にロードし、泳動、
染色し、そして脱染色した後、ゲルをエンライトニング(Enlightning)(NEN R
esearch Products)を用いて30分間処理した後、乾燥し、オートラジオグラフィ
ーのフィルムに暴露した。
【0095】ペプチド競合アッセイ 特異的ペプチドのタンパク質-タンパク質相互作用に対する影響をプルダウン
実験で研究するために、GST-融合タンパク質を前記のようにグルタチオン-セフ
ァロースに結合させた。E1Aペプチド競合の場合、洗浄したビーズをペプチドを
含有する200μl IPDバッファー(最終濃度10μM-100mM)中でインキュベートし
、4℃で1時間、回転した。その後、in vitro翻訳反応物の40μlを60μl IPDバッ
ファーによって希釈し、サンプルに加えた後、4℃でさらに30分間、インキュベ
ートした。CBP TRAMペプチド競合研究に対しては、該ペプチドを希釈したin vit
ro翻訳反応物とともに15分間、4℃で予備インキュベートした後、GST-融合タン
パク質とともにインキュベートした。グルタチオン-セファロースビーズをスピ
ンダウンし、洗浄した後、ビーズを95℃で5分間加熱してタンパク質を50μl 1
x SDSサンプルバッファー中に溶出した。その後、 該サンプルの約半量をSDSポ
リアクリルアミドゲル上で泳動させ、上記のように処理した。
【0096】GST-Mdm2タンパク質と内因性p53との間のin vivo相互作用の検出 MRC5.SV40細胞を、CMV-GST構築物の0.1μg-2.0μgを用い、リポフェクチン試
薬(Gibco-BRL)を使って一過性にトランスフェクトした。48時間後、細胞を回
収し、MCLバッファー(50mM Tris.Cl pH7.6、1mM EDTA、1mM DTT、50mM NaF、0
.3M NaCl、0.1 x プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma)、1.5mM PMSF)
中に再懸濁した。その後、細胞を超音波処置により溶解し、細胞細片を超遠心分
離によりペレット化した。GSTおよびGST-Mdm2タンパク質発現の程度を、各溶解
物に対して、抗GST抗体B-14(Santa Cruz)を使ったウェスタンブロット分析に
より決定した。その後、ほぼ等量のGSTまたはGST-Mdm2タンパク質(通常500μg
程度)を含有する溶解物を、IPDバッファーの400μl中でグルタチオン-セファロ
ースビーズと混合し、4℃で1時間、インキュベートした。グルタチオン-セファ
ロースビーズをスピンダウンし、洗浄バッファーの1mlで2回洗浄することによ
り、GST-融合タンパク質ならびに相互作用しているタンパク質を精製した。残留
タンパク質を、該ビーズを95℃にて5分間加熱して50μl 1 x SDSサンプルバッフ
ァー中に溶出した。p53の存在を、抗p53モノクローナル抗体DO-1(Santa Cruz)
を使った標準ウェスタンブロット分析により検出した。
【0097】トランスフェクションおよびCATアッセイ U-2 OS細胞またはMRC5.SV40細胞(Peter Karran博士からの提供物)を、直径1
0cmの培養皿上にまき、50〜70%コンフルエンシーで、リポフェクチン試薬(GIB
CO-BRL)を使って先に記載したようにトランスフェクトした(O'Connorら, 1996
)。クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイも先に
記載されており(O'Connorら, 1996)、提示した該データは3〜10回の間の独立
したトランスフェクション実験を代表する。
【0098】結果 E1Aに結合するCBR中の12アミノ酸モチーフ(TRAM)の同定及び特徴付け 以前に公表された研究によって、アミノ酸1621-1877の範囲のCBPの257個のシ
ステインに富むアミノ酸領域は、E1A、TFIIB、P/CAF、c-fos及びMyoD、並びに多
数の他の転写因子に結合できることが示されている。グルタチオン−セファロー
スミクロカラム及び一連のGST-CBP融合タンパク質を用いて、最初にE1Aの結合に
十分なCBPの19個のアミノ酸領域(1808-1826)を同定した(図1b)。この領域を
欠失すると、E1A結合ができなくなる(図1b、レーン9)。
【0099】 さらに、CBP(1808-1826)の詳細な欠失分析によって、より大きな19残基(18
08-1826)配列と比べてわずかに低下した親和性で結合するが、E1Aの結合には十
分な12個の残基配列(1811-1822)を同定した。1811-1822の間の配列を、転写ア
ダプターモチーフ(TRAM)と名付けた。
【0100】 TRAM機能にとって重要な残基を確立するために、突然変異誘発分析を行った。
CBR TRAM内の残基の一つを除く全てを、アラニンに突然変異させた。図1dは、た
った2個の突然変異:一対の塩基性残基(RK、1811/1812)及びこのモチーフのN
末端のアスパラギン残基(N 1814)が、E1Aへの結合に強烈に影響することを示
す。他の残基はE1A結合に劇的な効果を有しないという事実は、このモチーフのC
末端が、用いられた条件下での親和性への寄与がより少ないことを示唆する。し
かしながら、図1b及び1cでの欠失分析は、これらのC末端残基が結合に必要であ
ることを明らかに示している。
【0101】CBP TRAMの結合に必要な、E1A中のTRAM相互作用モチーフ(TRIM)の同定 CBPのE1A結合領域を同定するに当たり、我々は、CBP TRAMを結合する原因とな
るE1A中の残基を同定することに興味を持った。E1Aについての以前の考察は、CB
Pのこの領域への結合に対して、残基63-67を関連付けていた。それ故、我々はCB
Pを結合するために必要なE1A中のモチーフを定めるために広範囲の突然変異分析
を行った。図2は、配列FPESLILがCBP(1621-1877)への結合に必須なものとして
定義できることを示している。この配列内のいずれかの2つの残基(FE、PS、EL
、SI又はLL)の突然変異誘発は、CBPへの結合をできなくする。しかしながら、
このモチーフ中の1つの残基の置換は、E1A-CBP複合体を破壊させるには不十分
であり、このことは、これらのタンパク質の間の相互作用が残基の組み合わせに
依存していることを示している。
【0102】 ペプチド競合研究により、これらの結果が確認された。野生型又は突然変異E1
A配列を含むペプチドを、全長放射標識12S E1Aタンパク質のGST-CBP融合タンパ
ク質への結合を阻害する能力について分析した(図2b)。E1A結合は、競合ペプ
チドの不存在下では検出されたが、野生型E1Aペプチドの量を増加させると、相
互作用ができなくなった。それに対して、E67L69(ペプチドMut 1)、又はさら
にF65L71(ペプチド Mut 2)に突然変異を含むペプチドは、E1A-CBP相互作用を
破壊することができなかった。これらの結果は、E1AとCBP TRAMとの相互作用が
小さなE1Aモチーフを介することを示している。
【0103】転写因子p53、E2F及びTFIIBはCBPのTRAMを介してCBPと相互作用する CBP TRAMは、転写因子の結合にとっての「ホットスポット(hot spot)」であ
るCBPの領域内(1621-1877)にある(図1a)。それ故、我々はTRAMがこれらの相
互作用の標的であるか否かを問うた。図2cは、CBPのこの領域に結合する3つの
転写因子、p53、E2F及びTFIIBが、CBP TRAM(GST-CBP 1808-1826)と相互作用す
ることを示す。この相互作用は、野生型CBP結合部位を含むE1Aペプチドと競合で
きるが、CBPと結合できない突然変異E1Aペプチド(Mut 2)とは競合できない。
【0104】p53及びE2F中の保存されたTRIM配列の同定 もし、E1A、p53、E2F及びTFIIBが、CBP内の同じモチーフを認識するならば、
恐らく、これらのタンパク質は、相互作用がそれによって媒介される保存された
ドメイン(TRAM相互作用モチーフ(TRIM))を含むであろう。以前の突然変異誘
発研究によって、CBPとの相互作用に必要な2つの転写因子、p53及びE2F中の残
基が明らかにされた。図2dは、p53及びE2Fのこれらの残基が、E1A中のCBP結合部
位と著しく類似していることを示している。保存されたモチーフFXE/DXXXLは、
これら3つのタンパク質全てに存在し、突然変異されたときに、CBP結合を消失す
る。このように、図2の結果は、CBPに結合するためにこれらの細胞性転写因子に
よって用いられるモチーフを有することによって、E1Aがある種のCBP結合タンパ
ク質の活性を調節するモデルを提供する。
【0105】TRAM相互作用タンパク質と結合するMdm-2のC末端のTRAM配列の同定及び特徴付け
TRAMを含むかも知れない他のタンパク質のコンピュータに基づく検索によって 、CBP残基1811-1822とMdm2タンパク質のC末端の配列との間の高度の類似性が明
らかになった(図3a)。保存は、図1の欠失分析によって明らかなように、CBPの
TRAM配列と正確にオーバーラップする。さらに、CBP TRAMのタンパク質−タンパ
ク質相互作用機能に重要であることが見出された残基(RK 1811/1812及びN 1814
)は、Mdm2 TRAM配列中に保存されている。明らかに、Mdm2 TRAMもまた、同じタ
ンパク質、すなわちCBP TRAMと接触するE1A、p53、E2F、及びTFIIBに結合する能
力を有する(図3b)。突然変異GST-Mdm2構築物(N472A)は、E1Aに結合できず、
同様に、そのCBPのカウンターパート(counterpart)にも結合できない(図1d)
。このように、もう1つの転写調節因子、Mdm2の関係で、TRAM配列は、転写因子
の類似のセットに対する相互作用を媒介する。この結合は、以前にp53及びE2Fと
の結合が示されているMdm2中のN末端配列から独立している。
【0106】Mdm2はMdm-2のC末端TRAMによってp53と結合する Mdm2タンパク質は、p53活性の重要な調節因子である。Mdm2のN末端ドメインに
よるp53への結合は、p53トランス活性化能力(capacity)の抑制をもたらし、ま
た、そのp53タンパク質の分解を導く。以前のMdm2の考察では、Mdm2のC末端のp5
3結合部位が同定されていなかった。図3cは、これが、Mdm2のC末端のTRAMが、in
vitroではそのN末端配列によってマスクされていることに起因する可能性が高
いことを示している。このように、Mdm2のC末端421-491は、p53には結合できる
が、N末端側に延びたペプチド(223-491及び391-491)は結合できない。以前の
観察と一致して、Mdm2のN末端(1-125)もまた、p53と結合する。このC末端のMd
m2 TRAMのマスキング効果は、E2Fでも見られ(データは示していない)、これが
p53のみに限定されないことを示唆している。
【0107】 Mdm2のTRAMがin vivoでp53を認識できることを確認するために、CMV-GST-Mdm2
(421-491)発現ベクターをMRC5.SV40細胞中に導入した。図3dは、これらの細胞
からの(GST単独ではなく)GST-Mdm2融合タンパク質の精製が、p53特異的DO-1抗
体によって検出される、内因性のp53の同時精製(co-purification)をもたらす
ことを示している。このように、Mdm2のTRAM含有C末端は、in vivoでのp53の独
立の結合部位である。全長タンパク質の状態における、p53に対するN及びC末端
の結合部位の相対的な寄与は、この段階では不明である。しかしながら、ここで
提供されたin vitroデータは、Mdm2のTRAM配列が、ある生理学的条件下でのみマ
スクされないかもしれないという可能性を提起する。
【0108】 391-421のマスキング領域を検査することによって、多数のSQ又はTQモチーフ
が存在することが示される。これらの部位が、DNA依存性プロテインキナーゼ(D
NA-PK)に対する潜在的なリン酸化部位であることは示されていた。このキナー
ゼは、DNA損傷に応答して活性化される。もし、p53が細胞周期の静止及びDNA損
傷後のアポトーシスにおいて重要な役割を果たすなら、Mdm2のC末端のSQ/TQモチ
ーフのリン酸化が、Mdm2 TRAMのアンマスキングをもたらすことが推測される。
【0109】 Mdm2のN末端ドメイン、並びにCBP及びMdm2 TRAMは、p53の同じ領域を認識する
。図4aは、以前に記載されたp53突然変異(L14Q F19S)は、N末端ドメインの結
合に強烈に影響するが、CBP又はMdm2 TRAMの結合には影響しないことを示す。こ
れは、個々のアミノ酸残基の重要性、従って関与する接触が、これらの2つのタ
イプのタンパク質相互作用モチーフでは異なることを示唆する。
【0110】 N末端Mdm2ドメイン及びTRAMのp53への結合が互いに排他的であるか否かを決定
するために、p53-Mdm2(1-125)相互作用が、野生型CBP TRAM含有ペプチド(180
6-1832)又は突然変異TRAM配列を含むペプチドのいずれかによって惹起(challe
nge)される競合アッセイを行った。図4bは、野生型ペプチドはp53結合に関して
N末端Mdm2ドメインとうまく競合するが、突然変異TRAMペプチドが競合する能力
は著しく低下することを示している。
【0111】TRAM配列はp53依存性転写を活性化する 最近の報告では、Mdm2 N末端-p53相互作用の破壊が、内因性p53タンパク質の
蓄積、p53依存性転写の活性化、及び細胞周期静止のストライキ(striking)を
もたらす。図4bで示される結果は、TRAM含有タンパク質の、機能性p53及び全長
のMdm2を含む細胞中への導入が、同様の効果をもたらすことを示唆した。U-2 OS
細胞を用いる一過性トランスフェクション実験は、機能性TRAMを含むCBP配列(1
808-1852)の導入は、確かに容量依存的(dose-dependent manner)にp53依存性
転写の活性化をもたらすことを示す(図4c)。TRAM突然変異の存在は、この効果
を著しく低下させる。さらに、これらのCBP配列によるp53依存性転写の活性化は
、全長のMdm2の同時トランスフェクションによって無効になり、これは、これら
のタンパク質がin vivoでのp53結合に関して競合するという考えと一致する。
【0112】 図4dは、p53依存性転写活性化能力はCBP TRAMに限定されず、機能性TRAMを含
むMdm2のC末端配列を用いることによっても達成できることを示している。活性
化は、N末端「マスキング」配列(391-491及び223-491)を含むと、著しく低減
され、Mdm2 TRAMのマスキングは、in vitroだけでなくin vivoでも起きることを
示唆している。p53結合配列を含むがp53分解に関係する配列を含まない、N末端M
dm2ドメイン(1-125)のトランスフェクションもまた、同等のp53依存性転写の
活性化をもたらした。
【0113】 p53依存性転写を活性化する3つの構築物、CBP(1808-52)、Mdm2(421-91)
、及びMdm2(1-125)は、p53へのそれらの結合能力以外には明らかな共通の性質
を有していない。このことは、これらのタンパク質が全長の内因性Mdm2のN末端
ドメインによるp53結合に対して競合し、Mdm2媒介p53分解の抑止(abrogation)
をもたらすことを強く示唆する。
【0114】 まとめると、我々の結果は、CBP及びMdm-2の両者が複数の細胞調節因子を認識
する転写アダプターモチーフを含むことを示し、該複数の細胞調節因子の少なく
とも幾つかは、E2F及びp53などのように、FXE/DXXXL共通モチーフを有するE1A様
TRIMを含む。両TRAMは、p53結合に関して全長のMdm2のN末端モチーフと競合する
ことによってp53機能を活性化する能力を共有する。FXE/DXXXLモチーフ及びTRAM
を含むタンパク質の間の競合もまた、多くの異なるシグナル伝達経路(signal t
ransduction pathway)の調節において重要な役割を果たし、アデノウイルスE1A
に関する研究から得られた証拠は、ウイルスが、細胞の宿命を変えるために、こ
れらのタンパク質−タンパク質相互作用を操作できることを示唆している。従っ
て、この単純な、モチーフを基礎とする相互作用インターフェイスは、薬物を基
礎とする治療発明の良い標的を提供する。
【0115】転写調節因子YY1はCBP結合及びin vivo抑制と相関する複数のTRIMを含有する Yin Yang 1(YY1)は、多数のウイルス及び細胞性遺伝子の重要な調節因子で
ある。最近、我々はYY1がHPV-16 E6/E7プロモーターのAP-1媒介活性化を抑制で
きることを示した。AP-1転写因子を作り上げるjun及びfosファミリーメンバーの
両者が、転写活性化の間コファクターとしてCBPを用いることが示された。我々
は、YY1がCBPと相互作用できることを以前に示したが、一方、他の研究者は、YY
1のp300と相互作用する能力を示した。
【0116】 YY1配列の試験は、3つの潜在的なTRIM(127-133、307-313及び334-340)の存
在を明らかにする。図5aでは、in vitro結合研究及びin vivo転写抑制研究に用
いられたYY1断片の3つのTRIM(白いバー)の位置を示し、1つはタンパク質のN
末端半分にあり、他はジンクフィンガー構造の一部としてC末端部分にある。図5
b及び5cは、E1A様TRIMを含むYY1構築物、CBP結合及びin vivoでのAP-1活性を抑
制する能力の間の相関関係を明らかにする。これらの結果は、TRIM-TRAM相互作
用がDNA結合因子による遺伝子発現のモジュレーションにおいて一定の役割を果
たすことを示唆する。
【0117】 多くの場合、YY1は、YY1抑制の解放が起きる(他の転写因子によってしばしば
媒介される)ときの特定の引き金又はウイルスのライフサイクルの特定の時期ま
で、ウイルス性遺伝子の発現を低レベルに維持するために働く。従って、TRIM-T
RAM相互作用を、類似の方法で、ウイルス性遺伝子発現を特異的にダウンレギュ
レートするのに使用できる可能性がある。
【0118】TRAM変異体のTRIM含有タンパク質への差別的(differential)結合 研究されたE1A、p53及びE2F TRAM相互作用モチーフ(TRIM)は、最初は共通の
FXE/DXXXLからなっていた。他のタンパク質由来の潜在的なTRIMの研究は、7位(
別の中性の非極性アミノ酸によりロイシンが置換されてもよい)の変異に加えて
、「X」によって示される残基内の顕著な変異も存在することを示唆する(図6a
を参照されたい)。TRIM内の残基の組成は任意の所定のTRAMによって為される接
触に影響するので、我々は、異なるTRAM変異体が多数のこれらTRIM含有タンパク
質に差別的に結合を示すか否かを確かめることに興味を持った。
【0119】 我々は、以前にGST-CBP(1808-1826)融合タンパク質の状態で作製した11個の
アラニン置換突然変異体を、p53、TFIIB、及びYY1によるプルダウン(pull-down
)アッセイに用いた。R1811/K1812(突然変異体1)及びN1814(突然変異体2)に
おける突然変異によって影響されるだけでなく、これらのTRIM含有タンパク質も
また、CBP TRAMのC末端部分の特定のアラニン置換によって影響されることが図6
bから理解できる。これは、これらの突然変異によって影響されないE1Aとは対照
的である。例えば、K1821A(突然変異体9)は、3つの全てのタンパク質(p53、
TFIIB、及びYY1)に影響し、一方でQ1822A(突然変異体10)は、p53、及びYY1に
影響するが、TFIIBには影響しない。これに加えて、YY1もまた、p53又はTFIIBの
いずれかに影響しない追加の突然変異によって影響される。
【0120】 総合すると(together)、これらの結果はTRAM配列の変異体(自然発生したか
、又は突然変異誘発によって作製された)は、異なるTRIM含有タンパク質への差
別的結合を示すことができるという前例(precedent)を与える。従って、複数
の変化が導入されるならば、特定のTRIMタンパク質に結合したときに、他のTRAM
とのそれらの相互作用を阻害できる選択的特異性を示すTRAM含有タンパク質又は
ペプチドを発現することができるだろう。これが望ましい場合の1つの例は、合
成TRAM含有ペプチドのE6への結合がE6-CBP相互作用を阻害するために用いられ、
E6がp53に対して有する効果を阻害する場合の「ハイリスク(high risk)」HPV
E6タンパク質によるだろう。
【0121】実施例2 材料及び方法 プラスミド構築物 :特に示さない限り、GST融合タンパク質の発現に用いられる
ベクターは、トニー・コウザリデス(Tony Kouzarides)氏から贈られたpGEX-2T
KP(ポリリンカーを含むPharmacia社製、pGEX-2TKベクターの改質バージョン、B
annister及びKouzarides 1995)である。プラスミドGST-CBP I(残基461-662)
、GST-CBP II(残基1621-1877)、GST-P/CAF、GST-E1A [1-90](アデノウイルス
E1Aタンパク質の残基1-90)、G5E1BCAT、pHK3NVP16、pHKnTCBPIVP16、pHKnCBPII
VP16及びpHKGTも、T. コウザリデス氏から贈られたものである。この最後の構築
物は、SV40プロモーターによって駆動され、GAL4-HPV-E6融合タンパク質であるG
AL-11E6及びGAL-16E6を作製するのに用いられたGAL4(1-147)のDNA結合ドメイ
ンを含んでいる。プラスミドGST-11E6及びGST-16E6は、PCRによって増幅されたH
PV-11及びHPV-16 E6配列をpGEX2TKP中に挿入することによって作製した。それぞ
れ全長のHPV-6及び18 E6タンパク質を発現させるのに使われるGST-6E6及びGST-1
8E6構築物は、デイビッド・ピム(David Pim)氏(Pimら、1997)から親切にも
贈られたものである。GST−E6AP発現ベクターは、エリオット・アンドロフィー
(Elliot Androphy)氏(Huibregtseら、1991)によって親切にも提供されたも
のである。図8(1〜8)に記載されたGST-CBP構築物は、PCR増幅された断片をpGE
X2TKP中にクローニングすることによって作製した。MBP-CBP融合構築物は、pGEX
2TKP由来のCBP断片(残基1808-1852)を、エドワード・マンサー(Edward Manse
r)氏から贈られたポリリンカーを含むpMAL(NEB)の改質バージョン(図13)で
あるベクターpMALP中でクローニングすることによって作製した。in vitro転写
及び哺乳動物発現ベクターpXJ-FLAG(Manserら、1997)もマンサー博士によって
提供されたものである。HPV-16 E6突然変異体L50GのオリジナルDNAは、タダヒト
・カンダ(Tadahito Kanda)氏(Nakagawaら、1995)から親切にも贈られたもの
であり、BamH1及びXho1制限部位によってpXJ-FLAG中にクローニングした。in vi
tro転写反応に用いられた他の全ての構築物は、BamH1/HindIIIでpXJ-FLAG中に
クローニングした。
【0122】組換え細菌性融合タンパク質の発現 :GST融合及びMBP融合タンパク質を、大腸菌
中で発現させ、リシス(lysis)バッファー(50 mMトリス塩酸 pH 8.0、0.5 mM
EDTA、5 mM DTT、15%グリセロール、1 mg/mlリゾチーム及び1 mM PMSF)によっ
て抽出し、超音波処理及び遠心分離後、−70℃で貯蔵した。
【0123】HeLa核抽出物由来のCBP/p300の部分精製 :20 mM MESバッファー pH 6.1で平衡化
された0.2 mlのSPセファロースイオン交換カラム(Pharmacia社製)に通す前に
、HeLa核抽出物を20 mM MESバッファー(pH 6.1)、10 mM NaF、及び0.1%トリ
トンX-100で1:3に希釈した。増加する[KCl]のステップ勾配を用いたCBP/p300の
溶出は、(データは示していないが、抗p300抗体を用いたウエスタンブロット分
析によって決定されたように)300 mM及び400 mM KCl画分で極大となった。これ
らの2つの画分をプールし、次いで、結合バッファー(20 mMトリス塩酸、pH 8.
0、0.5 mM EDTA、0.5 mM DTT、20%グリセロール、0.1% NP40)で1:7に希釈し
て最終塩濃度を50 mM KClまで低下させた。次いで、部分的に精製されたCBP/p30
0を下記に記載するGST融合タンパク質ミクロアフィニティーカラムを通過させた
【0124】ミクロアフィニティーカラムを用いたタンパク質−タンパク質相互作用の検出
GST融合タンパク質を含む細菌溶解物を、1×NENTバッファー(100 mM NaCl、1 m
M EDTA、0.5% NP-40、トリス塩酸、pH 8.0)中でグルタチオン−セファロース
ビーズ(Pharmacia社製)と共に4℃で30分間インキュベートした。遠心沈殿及び
1 mlの1×NENTで洗浄した後、ビーズを、ガラスビーズを含む黄色のギルソン(G
ilson)ピペットのチップ(tip)(BDH、カタログNo. 332134Y)中に充填し、25
1 GSTミクロカラムを作製した。MBPミクロカラムに対し、グルタチオン−セファ
ロースビーズの代わりにアミロース樹脂(NEB社製)を用いた同様のアプローチ
を行った。次いで、これらのカラムを、in vitroで翻訳され、放射標識されたタ
ンパク質、細菌によって発現された融合タンパク質、又は部分的に精製された核
のCBP/p300との相互作用を検出するために用いた。
【0125】 in vitro翻訳(IVT)タンパク質に関しては、発現及び35S−メチオニンの組み
込みは、製造者の推奨に従い、TNTキット(Promega社製)を用いて行った。30℃
で1時間のインキュベート後、GSTミクロカラムを通す前に、50μlIVT反応物のう
ちの40μlを、IPDバッファー(50 mM KCl、40 mMヘペス(Hepes)、pH 7.5、5 m
M 2−メルカプトエタノール、0.1%Tween-20、0.5%牛乳)360μlで希釈した。
カラムを200μlの洗浄バッファー(150 mM KClを含むIPDバッファー)によって2
回洗浄した後、2×SDS負荷染料(loading dye)25μlを添加することによってタ
ンパク質をカラムから溶出させ、95℃で5分間加熱し、25 lの水でチェーシング
(chasing)し、ミクロ遠心分離器で遠心沈殿させた。次いで、サンプルをSDS P
AGEによって分析し、染色してゲルを乾燥させた後、タンパク質をオートラジオ
グラフィー用フィルムに暴露することにより検出した。
【0126】 2つの細菌性発現組換えタンパク質の間の相互作用を検出するために、GST融
合タンパク質をMBP融合ミクロアフィニティーカラム又はその逆に通過させた。
標的組換え融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ又はアミロース
樹脂によって精製した後、タンパク質を組換え結合バッファー(RBB)(25 mMヘ
ペス、pH 7.6、50 mM KCl、12.5 mM MgCl2、10%グリセロール、及び0.1% NP40
)を用いて溶出した。RBBに加え、10 mM還元型グルタチオン(Sigma社製)(GST
タンパク質に対して)又は20 mMマルトース(MBP融合タンパク質に対して)のい
ずれかを存在させた。RBB中の組換え標的タンパク質をミクロアフィニティーカ
ラムを通過させ、150 mM KClを含むRBBを用いて洗浄した後、サンプルをIVTタン
パク質に対して上記のように溶出させ、SDSゲル上に流した(run)。次いで、サ
ンプルをポリビニリデンジフロリド(PVDF)膜上に移し、ウエスタンブロット分
析によって適当な抗体を用いてGST又はMBP融合タンパク質を検出した(下記を参
照されたい)。同様の分析を部分的に精製された核CBP/p300タンパク質について
行った。この場合、結合バッファーは20 mMトリス塩酸、pH 8.0、50 mM KCl、0.
5 mM EDTA、0.5 mM DTT、20%グリセロール、0.1% NP40からなっており、CBP/p
300は、これらのタンパク質に特異的な抗体を用いたウエスタン分析によって検
出した。
【0127】ウエスタンブロット分析 :厚さ0.75 mmのSDS-PAGEゲル上で分析されたタンパク
質を、PVDF膜(NEN社製)上で一晩ブロットした。この膜をTBST(10 mMトリス塩
酸、pH 8.0、150 mM NaCl、0.05%Tween 20)中5%(w/v)の脱脂した乾燥乳に
よってブロックした。第1モノクローナル抗体と共に室温で1時間インキュベー
トし、次いでTSBTで洗浄した。次いで、膜をホースラディッシュペルオキシダー
ゼ結合第2抗体(1:4,000;DAKO社製)と共に30分間インキュベートし、TSBTで
洗浄した。タンパク質を、ルミノール(Amersham社製)存在下にハイパーフィル
ム(hyperfilm)で、シグナル強度に応じて10〜60秒間可視化した。
【0128】哺乳動物のツーハイブリッド(two hybrid)実験 :in vivoでのタンパク質−タ
ンパク質相互作用を研究するために、前記の(Bannister及びKouzarides 1995)
Gal4-VP16 CATリポーター系を用いた。全長のHPV 11 E6及び16 E6配列をGAL4のD
NA結合ドメインに融合させ、それぞれ構築物pGAL4-11E6及びpGAL4-11E6を得た。
U2-OS細胞を1μgのpGAL4-11E6又はpGAL4-11E6及び4μgのpG5E1BCAT(複数のGAL4
DNA結合部位を含むCATリポーターベクター)で同時トランスフェクションした
。これらのプラスミドと一緒に同時トランスフェクションされたのは、pHK3NVP1
6(SV40プロモーターによって駆動されるVP16の活性化ドメイン、残基415-490)
、2μgのpHKnTCBP1VP16(VP 16活性化ドメインとインフレームのCBP残基461-662
を発現する)、又は2μgのpHKnCBP2VP16(VP 16活性化ドメインとインフレーム
のCBP残基1621-1877を発現する)のいずれかであった。トランスフェクションの
48時間後、細胞を回収し、下記のようにCATアッセイを行った。
【0129】in vitroでのp53分解アッセイ :p53のE6による分解を、前述の方法(Nakagawaら
、1995;Schefferら、1993)を用いてアッセイした。基本的に(essentially)
、in vitroで翻訳されたE6タンパク質12.5μlを、総容量25μlのアッセイバッフ
ァー(25 mMトリス塩酸(pH7.5)、100 mM NaCl、3 mM DTT)中でin vitroで翻
訳され、35S−標識されたp53の2 lと混合した。次いで、サンプルを室温(RT)
で30、90、又は180分間インキュベートした。示された時点で、2×SDS負荷染料
を添加して5分間煮沸することによって反応を停止させた。次いで、サンプルをS
DS PAGE及びオートラジオグラフィーによって分析した。
【0130】トランスフェクション及びCATアッセイ :U-2OS細胞を直径10cmの培養皿上にプレ
ーティングし、50-70%コンフルエンシー(confluency)でリポフェクチン試薬
(GIBCO-BRL社製)を用いてトランスフェクションさせた。クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイは他の場所に記載されており(O
'Conner及びBernard、1995)、提示されたデータは、少なくとも2つの独立のDN
A調製物を用いた3〜8回の間の実験で示す。
【0131】結果 HPV-16 E6タンパク質は全長の核CBP/p300と相互作用する: パピローマウイルスE6タンパク質がCBP/p300と相互作用できるか否かを決定す
るために、本発明者らは、これらのHeLa核抽出物(材料及び方法を参照されたい
)由来の転写コアクチベーターを部分的に精製し、次いで、CBP/p300を富化した
画分をE6アフィニティーカラムに通過させた。モノクローナル抗体p300 Ab-1(
図7A)、及びNM11(データは示していない)を用いたウエスタン分析によって、
CBP/p300とGST-16E6との間の特異的相互作用を検出した。より多量のタンパク質
を用いても、コントロールGSTカラムでは相互作用は検出されなかった。図7Aは
また、全長の核CBP/p300及びGST-P/CAF、並びにGST-YY1との間の相互作用も示し
ている。これらのデータは、パピローマウイルスの腫瘍性タンパク質は転写コア
クチベーターであるCBP/p300と会合(associate)できる第1の証拠を提供する
【0132】 Ad E1A及びSV40 TAgの両者は、転写因子相互作用のホットスポットを提示する
CBPのCBP IIドメイン(残基1621-1877)に結合する。本発明者らは、HPV-16 E6
もまた、CBPのこの領域に結合できるか否かを、GST-CBP(1621-1877)を含むミ
クロアフィニティーカラム(材料及び方法に記載した)を用いて試験した。図7B
では、in vitroで翻訳され放射性標識されたHPV-16 E6が、確かにGST-CBP IIド
メインに結合するが、複数の細胞性転写因子を結合するCBPのもう1つの領域で
あるGST又はGST-CBP I(461-662)とは結合しないことがわかる。さらに、本発
明者らの未発表の結果は、E1Aとは異なり、HPV-16はCBP/p300の複数の領域に結
合せず、結合はCBP IIドメインに限定されることを示唆している。
【0133】 E6-CBP II会合(association)の相対的強度に関する識見を得るために、本発
明者らはこのタンパク質−タンパク質相互作用と前述の2つの相互作用、すなわ
ちE1A及びCBP IIドメインの相互作用、及びHPV E6の細胞性因子E6APへの結合と
を比較した。図7Cに示された結果から理解できるように、HPV-16 E6とCBP IIド
メインとの会合は、前述の2つの相互作用によって見られるのと同様の強度であ
る。しかしながら、HPV-16 E6及びAd E1AはCBP IIドメインと同程度のレベルで
結合するが、E1Aは、全長の核CBP/p300と非常に高い親和性で結合することに注
意すべきである。これは、E1AはCBP IIドメインの他にCBP/p300上の複数の部位
で結合できるという事実によるであろう。
【0134】 図7Dは、結合は精製された組換えタンパク質のみを用いて検出できることから
、HPV-16 E6とCBP IIドメインとの間の相互作用は直接に起きうることを示して
いる。GST-16E6とMBP-CBPアフィニティーカラムとの相互作用は、特異的なGST抗
体を用いたウエスタン分析によって検出されたが、逆の実験、MBP-CBPのGST-E6
カラムへの結合は、抗MBP抗体を用いて検出した。
【0135】 総合すると、これらの結果は、ヒトパピローマウイルス16型のE6タンパク質は
、直接であろう相互作用において、CBP IIドメインを介して全長の核CBP/p300と
会合できる証拠を提供する。興味深いことに、HPV-16 E6と全長のin vitroで翻
訳されたCBP又はp300との相互作用は検出できず、このことは、HPV-16 E6との相
互作用にはCBP/p300の翻訳後修飾が必要であることを示唆している。
【0136】HPV-16 E6-CBP相互作用の特徴付け: CBP IIドメイン内のE6結合部位を決定するために、本発明者らは、in vitroで
翻訳され、放射性標識された全長のHPV-16 E6タンパク質によるミクロアフィニ
ティーカラムアッセイにおいて多数のGST-CBP構築物を利用した(図8を参照され
たい)。全長のE6(レーン7)を結合できるCBPの19個のアミノ酸領域(1808-182
6)を同定できた。この配列中の欠失は、E6タンパク質(レーン8)への結合をで
きなくした。
【0137】 興味深いことに、図8に示すこれらのCBP残基は、p53を含む多数の細胞性転写
因子の結合部位として本発明者らが最近特徴付けしたものだけでなく、Ad E1Aタ
ンパク質とも同一である。確かに、図8も、19個のアミノ酸CBP配列と結合してHP
V-16 E6-CBP相互作用を阻害することができる野生型E1Aペプチドの能力を示して
いる。CBPに結合できない突然変異体E1Aペプチドは、E6-CBP相互作用を阻害でき
ない。この配列は、19個のアミノ酸セグメント中にたった一つの保存的変化を有
するが、CBP及びp300の両者で事実上同一であることが理解できる。この配列は
、他のCBP/p300においても高度に保存されており、CBP IIドメイン種内の主な転
写因子結合部位を提示するであろう。
【0138】 HPV-16 E6内のCBP結合部位の同様の分析も行った。図9から理解できるように
、もう1つのE6相互作用タンパク質であるhDLGの結合に関係していたC末端残基1
48-151の除去は、CBP結合には何の効果も持たない。HPV-16 E6タンパク質のN末
端(1-84)ハーフ及びC末端(85-151)ハーフへの解体は、E6のN末端はCBPに結
合しないが、このタンパク質のC末端半分は、より小さなC末端領域(アミノ酸10
0-147)と同じように、CBPを結合する能力を維持していることを示した。
【0139】 GST融合タンパク質(E6アミノ酸100-142)のコンテクストにおいては、システ
イン残基(C103、C139及びC140)は、CBPを結合する能力への影響なしにグリシ
ン残基と置換され得る(本発明者らの未公表データ)。このことは、E6の第2ジ
ンクフィンガー内の特定配列が、CBPとの相互作用に関係していること、及び少
なくともこのコンテクストにおいては、無傷のジンクフィンガー構造は必要ない
ことを示唆している。しかしながら、全長のE6単独のコンテクスト中でのこれら
の突然変異体を試験しておらず、従って、無傷のジンクフィンガー構造がこれら
の条件下でCBPを含むE6残基を提供することが必要であることを除外することは
できない。本発明者らは、CBPとの相互作用に関係するHPV-16 E6残基をより正確
に定義することを現在試みている。
【0140】「ローリスク(low-risk)」ではない「ハイリスク(high-risk)」HPV E6タン
パク質はCBP/p300に結合する: 異なるHPVのE6及びE7タンパク質の間の機能性の差は、これらのウイルスが細
胞を形質転換する能力における重要な因子であり、ハイリスク又はローリスクの
いずれかのそれらの分類にも反映されることは示唆されていた。Ad E1Aタンパク
質及びSV40 TAgなどの、他のDNA腫瘍ウイルスタンパク質の場合には、転写コア
クチベーターであるCBP/p300との相互作用は、それらの形質転換能力に絶対に必
要であることは示されていた。CBP/p300は、他のDNA腫瘍ウイルスの形質転換プ
ロセスにおける重要な標的であると考えられるなら、本発明者らは、CBP/p300を
標的とする能力もローリスクタンパク質からハイリスクE6タンパク質を区別する
のに重要な因子であると想定した。従って、本発明者らはもう1つのハイリスク
E6タンパク質(HPV-18由来)のCBPを結合する能力を調査し、これを、HPV-16 E6
と共に、HPV-6及びHPV-11由来の2つのローリスクE6タンパク質と比較した。
【0141】 図10Aは、実際に、ハイリスク型(HPV-16及びHPV-18)のGST-E6タンパク質の
みが、in vitroで翻訳されたCBP IIに結合でき、一方、ローリスク型(HPV-6及
びHPV-11)のそれは、バックグラウンドよりも高いレベルでCBPを結合できない
ことを示す。この観察は、in vitroで翻訳されたHPV-11 E6タンパク質がGST-CBP
アフィニティーカラムに結合できないことから理解できるように、再現性がある
【0142】 CBP結合におけるこの差は、図10Bに示す哺乳動物ツーハイブリッドアッセイに
よって示されるように、in vivoでも観察される。複数のGAL4結合部位によって
駆動されたCATリポーター構築物(G5E1BCAT)が、GAL4のDNA結合ドメインに融合
された全長のHPV-11 E6の発現ベクター(GAL-11E6)、又はHPV-16配列を含む類
似の構築物(GAL-16E6)のいずれかと共に導入されたU2-OS細胞を用いて一過性
同時トランスフェクション実験を行った。次いで、転写の活性化は、VP16活性化
ドメイン単独、CBP Iドメインに融合されたVP16、又はCBP IIドメインに融合さ
れたVP16のいずれかと共にこれら2つのプラスミドを含むそれらの細胞について
決定された。VP16活性化ドメインによって同時トランスフェクションされた細胞
に関して得られるCAT活性レベルを1(set at one)とし、次いで、CBP I-VP16、
又はCBP II-VP16のいずれかを受け入れる細胞のCAT活性をこれと比較した。
【0143】 図10Bの結果からわかるように、GAL-16E6を含む細胞は、CBP II-VP16によって
活性化されうるが、GAL-11E6発現ベクターを含む細胞は活性化されない。CBP I
ドメインに融合されたVP16配列はGAL-16E6を活性化できないので、この効果は16
E6-CBP II相互作用に特異的であった。まとめると、これらの結果は、in vitro
及びin vivoの両方でCBP/p300を結合する能力に関して、ハイリスクタンパク質
とローリスクタンパク質との間には機能性の差があることを強く示唆している。
【0144】HPV-16 E6によるp53転写活性化のダウンレギュレーションはCBP結合と相関する
ハイリスクHPV E6タンパク質に関して提唱されている主な機能の一つは、宿主
細胞のアポトーシスを抑制するためのp53のターゲッティングである。ここ2〜
3年、多くの一連の証拠が、これが活性化され得る一つの様式は、ユビキチン化
経路を通してp53の分解の刺激によることを示唆してきた。この活性はE6と、次
にユビキチンリガーゼとして働くE6APと呼ばれる細胞性因子との相互作用に依存
するという証拠は、in vitro及びin vivoの両方で提供されてきた。E6APと相互
作用するE6タンパク質の能力は、ハイリスクHPV型のそれに限られることが示さ
れていた。ローリスクではなくハイリスクE6タンパク質は、p53の転写活性をダ
ウンレギュレーションできることも以前に報告されていた。これらの観察につい
ての1つの説明は、p53依存性転写のダウンレギュレーションは、E6AP依存性のp
53の分解によってもたらされるということである。
【0145】 近年、p53依存性転写が、CBP/p300によって活性化されること、及びこの活性
化は、野生型E1Aによって抑止されうるが、E1AのCBP結合性不完全突然変異体に
よっては抑止されないことも示されていた。ここに提示した結果は、E1Aのよう
な、ハイリスクHPV E6タンパク質は、CBP/p300を標的とし得ることを示した。従
って、本発明者らは、ハイリスクE6タンパク質によるp53転写活性のダウンレギ
ュレーションは、E1Aと同様のやり方でCBP/p300の結合を通してなされ得るか否
かという疑問を持った。
【0146】 この質問に答えるために、本発明者らには、E6AP経路を介する分解に対してp5
3を標的とするには不完全であるが、まだCBP/p300に結合できるハイリスクE6突
然変異体が必要であった。本発明者らは、多数の現存するHPV-16 E6突然変異体
を分析し、所望の特性を有するものを見出した。16E6突然変異体L50Gは、E6タン
パク質の第1のジンクフィンガー中に点突然変異を含み、p53分解不完全体(p53
-degradation-deficient)であることは前に示した。図11Aは、この突然変異体
が結合アッセイにおいて未だCBPと相互作用できることを示す。しかしながら、
この突然変異体が同様のアッセイでE6APに結合する能力を試験したところ、それ
はこの能力において不完全であることを見出した(図11Bを参照されたい)。さ
らに、図11Cによって、ローリスクHPV-11 E6タンパク質と同じように、この突然
変異体は、前述の標準分解アッセイを用いてp53を分解することはできないこと
が確認される。
【0147】 本発明者らは次に、p53依存性転写をダウンレギュレーションする16E6 L50G突
然変異体の能力を評価する一連の実験を行った。U2-OS細胞を、p53応答性CATリ
ポーターPG13CAT又はコントロールベクターMG15CATによってトランスフェクショ
ンした。PG13CATによって同時トランスフェクションされたものは、E6タンパク
質又は12S E1Aをコードする種々の発現プラスミドであった。図12Aからわかるよ
うに、PG13CATは、無傷のp53結合部位に依存してU2-OS細胞中の内因性p53によっ
て刺激される。PG13CATによって得られる転写活性のレベルは、全長のHPV-11 E6
配列を含む発現ベクターの導入によって影響されない。それに対して、野生型16
E6タンパク質の発現は、p53依存性転写の顕著な低減をもたらす。16E6内のCBP結
合ドメインの本発明者らの以前の分析と一致して、CBPと結合しないN末端の84個
のアミノ酸は、p53活性を抑制できず、一方、全長のタンパク質よりもわずかに
非効率的ではあるが、CBP結合ドメインを含む16E6のC末端ハーフは、p53依存性
転写を抑制できる。アデノウイルス12S E1Aタンパク質の導入時に得られるp53活
性の抑制レベルの比較も示す。明らかに、16E6 L50G突然変異体は、野生型HPV-1
6 E6タンパク質と類似のレベルの転写抑制をもたらす。このように、この点で、
16E6 L50G突然変異体は、ローリスクタンパク質のように挙動せず、むしろ野生
型16E6のように挙動する。これらのデータは、CBP/p300をターゲッティングする
ことによって、ハイリスクE6タンパク質は、p53転写活性を抑制できるという考
えと一致する証拠を提供する。さらに、16E6 L50G突然変異体の使用は、この能
力がE6APに媒介される分解とは関係がないことを示唆している。
【0148】 本発明者らは、16E6、16E6 L50G、及びE1Aによるp53転写活性の抑制が、CBP/p
300のターゲッティングよるという、さらなる証拠を提供することを望んだ。従
って、本発明者らは、類似のトランスフェクション実験のセットで全長のCBPを
過剰発現させ、p53依存性転写の観察される超活性化(superactivation)が、こ
れらのタンパク質によって抑止されうるか否かを問うた。図12Bは、全長のCBPの
U2-OS細胞への同時トランスフェクションが、p53依存性転写を約7倍まで刺激す
ることを示す。E1Aのように、野生型16E6及び16E6 L50G突然変異体の両者は、こ
のp53依存性転写のCBP誘導性超活性化をできなくする。これは、この能力を厳し
く抑止するHPV-11 E6と対照的である。
【0149】 まとめると、図11及び12に示される結果は、ハイリスクE6タンパク質が、p53
活性をダウンレギュレーションする、追加の、そして今まで発見されていなかっ
た機構を有する証拠を提供する。すなわち、CBP/p300のターゲッティングによっ
て、ハイリスクE6タンパク質は、アデノウイルスE1Aと類似の方法でp53依存性転
写を抑止できる。
【0150】 文献 Bannister, A.J.およびT. Kouzarides., 1996, c-Fos活性のCPB誘導性刺激はE
1Aによって抑制される(CPB-induced stimulation of c-Fos activity is abrog
ated by E1A)EMBO. J. 14:4758-4762 Huibregtse, J.M., M. Scheffner、およびP.M. Howley, 1991, 細胞性タンパ
ク質がp53のヒトパピローマウイルス16型又は18型のE6腫瘍性タンパク質との会
合を媒介する(A cellular protein mediates association of p53 with E6 onc
oprotein of human papillomavirus types 16 or 18)EMBO J. 10:4129-4135 Manser, E., H. Y. Huang, T.H. Loo, X.Q. Chen, J.M. Dong, T. Leung、お
よびL. Lim., 1997, 恒常的に活性なα-PAKの発現はアクチン及び限局性の複合
体へのキナーゼの効果を示す(Expression of constitutively active alpha-PA
K reveals effects of the kinase on actin and focal complexes)Mol. Cell.
Biol. 17:1129-1143 Nakagawa, S., S. Watanabe, H. Yoshikawa, Y. Taketani, K. Yoshiike、お
よびT. Kanda, 1995, ヒトパピローマウイルス16型のE6タンパク質の変異性分析
;ヒト細胞の形質転換機能及びin vitroでのp53の分解(Mutational analysis o
f human papillomavirus type 16 E6 protein; transforming function for hum
an cells and degradation of p53 in vitro), Virology 212, 535-542 O'Conner, M.およびH.U. Bernard, 1995, Oct-1はヒトパピローマウイルス16
型の上皮特異的エンハンサーを保存された複合調節エレメントでのNFIとの相乗
的な相互作用を介して活性化する(Oct-1 activates the epithelial-specific
enhancer of human papillomavirus type 16 via a synergistic interaction w
ith NFI at a conserved composite regulatory element), Virology 207, 77-
88 O'Conner, M.J., S.H. Tan, C.H. Tan、およびH.U. Bernard, 1996, YY1はAP-
1活性を消すことによってヒトパピローマウイルス16型の転写を抑制する(YY1 r
epresses human papillomavirus type 16 transcription by quenching AP-1 ac
tivity), J. Virol. 70:6529-6539 Pim, D., P. Massimi、およびL. Banks, 1997, 二者択一的にスプライシング
されたHPV-18 E6*タンパク質はE6に媒介されるp53の分解を阻害し形質転換され
た細胞の増殖を抑制する(Alternatively spliced HPV-18 E6* protein inhibit
s E6 mediated degradation of P53 and suppresses transformed cell growth
)Oncogene 15,257-264 Scheffner, M., J.M. Huibregtse, R.D. Viersta、およびP.M. Howley, 1993,
p53のユビキチン化におけるユビキチン−タンパク質リガーゼとしてのHPV-16 E
6及びE6-AP複合体の機能(The HPV-16 E6 and E6-AP complex functions as a u
biquitin-protein ligase in the ubiquitination of p53)Cell 75, 496-505 Smith, D.B.、およびJohnson, K.S., 1988, グルタチオンS−トランスフェラ
ーゼとの融合物として大腸菌で発現されたポリペプチドの単一工程の精製(Sing
le-step purification of polypeptides expressed in Escherichia coli as fu
sions with glutathione S-transferase)Gene 67:31-40 Xiao, J.H., I. Davidson, H. Matthes, J.M. Gamier、およびP. Chambon, 19
91, ヒトエンハンサー因子TEF-1のクローニング、発現及び転写特性(Cloning,
expression and transcriptional properties of the human enhancer factor T
EF-1)Cell 65:551-568 Unckell, F., Streeck, R.、およびSapp, M., 1997, J. Virol, 71(4):2934-2
939
【図面の簡単な説明】
【図1】 E1AはCBPの12アミノ酸モチーフ(アミノ酸1811-1822)と結合することを示す
図である。
【図2】 CBPとの相互作用に関わるE1A中のアミノ酸の同定を示す図である。
【図3】 Mdm2は、E1A、p53、E2F、およびTFIIBと結合するC末端TRAMを含有することを
示す図である。。
【図4】 CBPおよびMdm2 TRAMsはp53結合に対して全長Mdm2のN末端ドメインと競合し、p
53依存性転写を活性化するを示す図である。。
【図5】 先に規定したTRIMと顕著な類似性を示す配列を含有するYY1断片はCBPとin vit
roで相互作用することができ、AP-1活性をin vivoで抑制する能力があることを
示す図である。
【図6】 CBP TRAM突然変異体配列のTRIM含有タンパク質との識別的結合特性を示す図で
ある。
【図7】 HPV-16 E6は転写同時アクティベーターCBP/p300と相互作用することを示す図
である。
【図8】 CBP/p300上のHPV−16 E6結合部位の同定を示す図である。
【図9】 CBPとの相互作用に関わるHPV−16 E6領域のマッピングを示す図である。
【図10】 E6-CBP/p300相互作用は「高リスク」HPVタンパク質に特異的であることを示
す図である。
【図11】 HPV-16 E6突然変異体L50Gは、in vitroでCBPと結合するが、E6APと相互作用す
ることもまたp53を変性することもできないことを示す図である。
【図12】 HPV-16 E6はCBPのp53依存性転写を活性化する能力を標的とすることを示す図
である。
【図13】 pMALPのポリリンカーを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 G01N 33/566 G01N 33/15 33/68 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を阻害
    または破壊することのできる化合物であるかどうかを決定する方法であって、 (a) (i)第1ポリペプチドが第2ポリペプチドに結合して、複合体を形成する
    ことが可能な条件下で、第1ポリペプチドを第2ポリペプチドと共にインキュベー
    トし、それにより形成された複合体を候補化合物と接触させること、または (ii)候補化合物の不在下で第1ポリペプチドが第2ポリペプチドに結合し
    うる条件下で、該候補化合物の存在下において第1ポリペプチドを第2ポリペプチ
    ドと共にインキュベートすること、ならびに、 (b) 前記候補化合物が第1ポリペプチドの第2ポリペプチドへの結合を阻害ま
    たは破壊するかどうかを決定すること、 を含み、ここで第1ポリペプチドがTRAM配列を含有し、そして第2ポリペプチドが
    TRIM配列を含有する、前記方法。
  2. 【請求項2】 前記候補化合物がTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポ
    リペプチドである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記第1ポリペプチドおよび/または前記第2ポリペプチドが
    ウイルス性ポリペプチドである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記ウイルス性ポリペプチドがヒトパピローマウイルス(HP
    V)ポリペプチドである、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記HPVポリペプチドがE6である、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記第1ポリペプチドおよび/または前記第2ポリペプチドが
    真核細胞で見出されるポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 前記真核細胞のポリペプチドが転写因子および細胞周期調節
    タンパク質より選択される、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記真核細胞のポリペプチドがmdm2、p53、TBP、E2F、YY1、
    CBP、p300、MyoDおよびTFIIBより選択される、請求項6または7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記TRAM配列が本質的に配列番号1に示す配列からなる、請
    求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記TRIM配列が本質的に配列番号10に示す配列からなる
    、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破
    壊する方法における化合物の使用であって、該化合物がTRAM配列および/または
    TRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペプチドがTRAM配列を含有し、
    かつ/または、該第2ポリペプチドがTRIM配列を含有する、前記使用。
  12. 【請求項12】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破
    壊するin vitro法における化合物の使用であって、該化合物がTRAM配列および/
    またはTRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペプチドがTRAM配列を含
    有し、かつ/または、該第2ポリペプチドがTRIM配列を含有する、前記使用。
  13. 【請求項13】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破
    壊する方法において使用する医薬の製造における化合物の使用であって、該化合
    物がTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペ
    プチドがTRAM配列を含有し、かつ/または、該第2ポリペプチドがTRIM配列を含
    有する、前記使用。
  14. 【請求項14】 前記TRAM配列および/またはTRIM配列が、それぞれ請求項
    9および10に定義されるものである、請求項11〜13のいずれか1項に記載
    の使用。
  15. 【請求項15】 前記第1ポリペプチドおよび/または前記第2ポリペプチド
    が、請求項2〜8のいずれか1項に定義されるものである、請求項10〜14の
    いずれか1項に記載の使用。
  16. 【請求項16】 前記相互作用の破壊がウイルスの転写を阻害する、請求項
    10〜15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 【請求項17】 前記相互作用の破壊が哺乳動物細胞の細胞周期進行を阻害
    する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の使用。
  18. 【請求項18】 前記哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項17記載の使用
  19. 【請求項19】 第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの間の相互作用を破
    壊する方法に使用するための化合物であって、該化合物がTRAM配列および/また
    はTRIM配列を含むポリペプチドであり、該第1ポリペプチドがTRAM配列を含有し
    、かつ該第2ポリペプチドがTRIM配列を含有する、前記化合物。
  20. 【請求項20】 前記TRAM配列および/またはTRIM配列が請求項9および1
    0に定義されるものである、請求項19記載の化合物。
  21. 【請求項21】 前記第1ポリペプチドおよび/または前記第2ポリペプチド
    が請求項2〜8のいずれか1項に定義されるものである、請求項19または20
    に記載の化合物。
  22. 【請求項22】 前記相互作用の破壊がウイルスの転写を阻害する、請求項
    19〜21のいずれか1項に記載の化合物。
  23. 【請求項23】 前記相互作用の破壊が哺乳動物細胞の細胞周期進行を阻害
    する、請求項19〜21のいずれか1項に記載の化合物。
  24. 【請求項24】 前記哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項23記載の化合
    物。
  25. 【請求項25】 TRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチドと相
    互作用する化合物を同定する方法であって、 (a) 適切な条件下で、候補化合物をTRAM配列および/またはTRIM配列を含む
    ポリペプチドと共にインキュベートすること、ならびに (b) 前記候補化合物がTRAM配列および/またはTRIM配列を含むポリペプチド
    と相互作用するかどうかを決定すること、 を含む、前記方法。
  26. 【請求項26】 前記化合物がポリペプチドである、請求項25記載の方法
  27. 【請求項27】 前記TRAM配列および/または前記TRIM配列が、それぞれ請
    求項9および10に定義されるものである、請求項25または26に記載の方法
  28. 【請求項28】 本質的にTRAM配列からなる精製されたポリペプチド。
  29. 【請求項29】 本質的にTRIM配列からなる精製されたポリペプチド。
  30. 【請求項30】 請求項28または29に記載のポリペプチドをコードする
    コード領域を含む、ポリヌクレオチド分子。
  31. 【請求項31】 請求項28または29に記載のポリペプチドをコードする
    コード領域に読み枠を合わせて連結された追加のコード領域を更に含む、請求項
    30記載のポリヌクレオチド。
  32. 【請求項32】 請求項30または31に記載のポリヌクレオチドを含む核
    酸ベクター。
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