JP2002516095A - Rna分子の安定性およびターンオーバーの再現および調節のためのシステム - Google Patents

Rna分子の安定性およびターンオーバーの再現および調節のためのシステム

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JP2002516095A JP2000550989A JP2000550989A JP2002516095A JP 2002516095 A JP2002516095 A JP 2002516095A JP 2000550989 A JP2000550989 A JP 2000550989A JP 2000550989 A JP2000550989 A JP 2000550989A JP 2002516095 A JP2002516095 A JP 2002516095A
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Abstract

(57)【要約】 調節下のmRNAの安定性および外因性RNAのターンオーバーを再現するinvitroシステムが提供される。本システムは、ポリアデニレート結合蛋白質の活性が場合によって枯渇されている細胞抽出物および標的RNA配列を含む。本システムは、RNAターンオーバーを調整することができる物質、およびRNA安定性改変物質の存在下でRNAターンオーバーを調整することができる物質を特定するために用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明の基礎となった研究は、少なくとも部分的には米国予防衛生研究所のグ
ラントGM56434号によって支援された。したがって前記の政府は本発明に
おいて一定の権利を有する。 一般に、本発明は、RNAの安定性をモニターし、さらにRNAの安定性を調
節することができる因子を特定するシステムおよび方法に関する。
【0002】従来技術 mRNAの相対的安定性は遺伝子発現の重要な調節因子である。mRNAの半
減期は、定常状態での発現レベルおよび遺伝子生成物の誘導速度の決定に役割を
果たす。一般に、短命な蛋白質の多くは短命なmRNAによってコードされる。
安定な蛋白質(例えばα−グロブリン)をコードするいくつかのmRNAはまた
極めて長い半減期をもつことが示された。ナンセンスコドン変異を含むmRNA
を特定してその半減期を短くするために細胞は監査機構を用いる。明らかに、m
RNAの半減期の変化は細胞の反応および機能に対して劇的な結果をもたらす。
【0003】 哺乳類細胞のmRNAのターンオーバーおよび安定性のメカニズムについては
ほとんど判明していないが、in vivoのデータによって、mRNAのターンオー
バーの主要な経路についていくつかの普遍化が可能になり始めた。mRNAのポ
リ(A)テールは、mRNAの寿命の間に細胞質で徐々に短くなる。この脱アデ
ニル化プロセスの速度を制御することが、mRNAの安定性を調節する多くの因
子の目標のようである。いったんポリ(A)テールが約50−100塩基まで短
くなると、mRNA本体は識別可能な中間体をもたない急激な態様で分解する。
翻訳プロセスもまたmRNAの安定性に影響する。しかしながら、哺乳類のmR
NAのターンオーバーに必要な酵素および調節成分についてはほとんど知られて
いない。
【0004】 いくつかのcis作動性エレメントがmRNAの安定性に役割を演じることが
示された。ターミナル(5')キャップおよび3'−ポリ(A)構造および付随蛋
白質はおそらくエキソヌクレアーゼから転写物を保護するであろう。さらにまた
mRNA本体に存在するいくつかの脱安定化エレメントが安定化エレメントと同
様に特定された。もっとも性状が調べられた不安定性エレメントは、多くの短命
mRNAの3'非翻訳領域に見出されるA−U富裕配列(ARE)である。これ
らのAREは主にAUUUA(配列番号:12)リピートまたは関連する九量体
配列から成る。AREは、脱アデニル化およびmRNAターンオーバーの速度を
翻訳非依存性態様で高めることが示された。例えば、AU富裕断片をもつ蛋白質
には多くの増殖因子およびサイトカインmRNAが含まれる:例えばc−fos
、c−jun、c−mycTNFα、GMCSF、IL1−15およびIFN−
βである。他の安定性エレメントにはC富裕安定性エレメント、例えばグロビン
、コラーゲン、リポキシゲナーゼおよびチロシンヒドロキシラーゼのmRNAで
見出されるものが含まれる。さらに他のmRNAは、まだ性状が判明していない
かまたはほとんど性状が調べられていない配列エレメントとして、例えば欠失分
析で特定されたものとして例えばVEGFmRNAを有する。
【0005】 AREと何らかの特異性をもって相互反応する多くの蛋白質が報告されたが、
mRNAのターンオーバーのプロセスにおけるそれらの正確な役割は明らかでは
ない。例えば、上記のAREと結合する蛋白質には、HuRおよび他のELAv
類の蛋白質、例えばHuR(HuAとも称される)、Hel−N1(HuBとも
称される)、HuCおよびHuD;AUF1(4つのアイソフォーム);トリス
テトラポリン;AUH;TIA;TIAR;グリセルアルデヒド−3−ホスフェ
ート;hnRNPC;hnRNPA1;AU−A;およびAU−Bが含まれる。
【0006】 遺伝学を応用して、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)でmRNAの
ターンオーバーに関与する機構および因子が特定され始めている。mRNA崩壊
の主要な経路の1つは、脱キャップ反応とそれに続く5'から3'方向へのエキソ
ヌクレアーゼ作用を含む。また別の経路で3'から5'方向へのエキソヌクレアー
ゼの役割に関する証拠が得られた。酵母のmRNAのキャップ構造と3'ポリ(
A)テールとの間の機能的に重要な相互作用もまた報告された。ナンセンスコド
ンによって仲介される崩壊の翻訳依存性経路に関与するいくつかの因子が特定さ
れた。しかしながら、これらの知見が哺乳類の細胞に一般的に適用できるか否か
はまだ確定されていない。
【0007】 哺乳類細胞の機械学的疑問は、遺伝系のような哺乳類細胞に固有の困難さのた
めに通常は生化学系を用いてもっともよく研究される。したがって、mRNAの
安定性およびターンオーバーを研究するためには、in vitroシステムを開発する
努力が為されてきた。しかしながら、現在利用可能なin vitroシステムは多くの
制限を受けている。例えば、データの質の貧弱さおよび再現性の一般的欠如(こ
れらはそれらデータの利用を著しく制限する)に多くの者が悩まされている。別
の重要な問題は、これらのシステムのほとんどがmRNAの安定性に関する全て
の局面を忠実に再現していないということである。これらのシステムを開発する
上での重要な問題は、ランダムで非特異的なRNAの分解と本物の調節されてい
るmRNAのターンオーバーとの間に区別をつけることである。mRNA安定性
における本物のin vivoプロセスに対するこれまでのいずれのin vitroシステム
の意義もしたがって明らかではない。今日まで、一般的にいずれのmRNA安定
性in vitroシステムも有効で有用なものとして受け入れられていない。
【0008】 現在利用可能なシステムにおける他の明瞭な問題は、それらシステムが、一般
に当該分野の他の研究者が再現することができない複雑な抽出プロトコルを通常
必要とするということである。さらにまた、現在利用可能なシステムは内在性m
RNAの安定性を評価するためにしか用いることができず、これはそれらシステ
ムの利用性を極めて限定する。最後に、そのようなシステムを用いて得られるデ
ータの質は極めて変動し、感度の高いスクリーニングアッセイではそれらを使用
することができない。
【0009】 したがって、効率的で再現性が高く、さらにRNA分解の検出不能量が最小限
であるin vitroRNA安定性システムが必要とされている。 さらにまた、mRNA本体の全体的な分解が観察される前にRNA転写物の脱
アデニル化が発生するin vitroRNA安定性システムが必要とされている。さら
にまた、mRNA本体の分解が検出可能な中間体を生じることなく極めて急速に
変化しながら発生し、さらに全体的な脱アデニル化速度および分解速度が配列特
異的態様で観察されるin vitroRNA安定性システムが要求されている。そのよ
うなシステムは外因性RNAにも適用可能で、容易な実験操作を可能にするはず
である。 本明細書のいずれの参考文献の引用も、本出願に対する"先行技術"としてそれ
ら文献を利用することを容認しようとするものではない。
【0010】発明が解決しようとする課題 本発明にしたがえば、in vivoでのRNAプロセッシングにならってRNA分
子の安定性およびターンオーバーを調節するin vitroシステムが提供される。し
たがって、本発明は、選択転写物の発現に影響を与える物質を特定しさらにデザ
インするために、さらにmRNA安定性に関与する内因性蛋白質および他の巨大
分子の性状決定を促進するために、真核細胞RNAの安定性を調節する化合物/
巨大分子の高処理量スクリーニングを可能にする。本発明のin vitroシステムは
さらに以下の場合に有用である:選択疾患の対立遺伝子座における分子的欠損を
決定する診断補助;新規な薬剤の発見につながる、他の真核生物(寄生虫および
真菌を含む)のためのin vitroのmRNA安定性システムの開発;および、本シ
ステムを用いてRNA安定性に影響を与える因子およびRNA配列を特定するこ
とによる遺伝子デリバリーシステムの改良。
【0011】 一般的にいえば、本発明は、外因的に付加された予め選択した標的RNA配列
の調節されたRNAターンオーバーを再現することができるin vitroシステムを
包含し、本システムは細胞抽出物および標的RNA配列を含む。本明細書に開示
する本システムの非限定的な例では、調節RNAターンオーバーは、AU富裕エ
レメントによって調節されるRNAターンオーバーまたはC富裕エレメントによ
って調節されるRNAターンオーバーである。
【0012】 本発明のシステムの細胞抽出物は溶解させた真核細胞または組織から単離され
るが、この細胞抽出物は例えばHeLa細胞またはT細胞株のような細胞株から
得ることができる(ただし本発明はこれに限定されない)。細胞抽出物は、外来
核酸を含む細胞、例えば感染細胞、安定的にトランスフェクトされた細胞または
一過性にトランスフェクトされた細胞から調製できる。細胞抽出物は部分的に精
製してもよい。
【0013】 本発明のある実施態様では、細胞抽出物のポリアデニレートに結合する蛋白質
の活性を枯渇させることができる。細胞抽出物からポリアデニレート結合蛋白質
活性を枯渇させるには、多数の方法、いくつかを挙げれば例えばポリアデニレー
ト競合RNAの本システムへの添加;ポリアデニレート結合蛋白質の除去;ポリ
アデニレート結合蛋白質を不活化させるプロテイナーゼの添加;またはポリアデ
ニレート結合内因性巨大分子とポリアデニレートとの相互作用を妨げる物質の添
加によって達成できる。ポリアデニレート結合蛋白質を除去する方法のさらに別
の例としては、ポリアデニレートと結合する巨大分子を枯渇させる物質(例えば
ポリアデニレート結合蛋白質に対する抗体)、ポリアデニレートおよびその組合
せを用いて抽出物を処理するというような非限定的方法によって達成することが
できる。この物質はマトリックスに結合させることができる。ポリアデニレート
結合蛋白質活性の枯渇を達成する他の方法も用いることができる。
【0014】 本システムで用いられる標的RNA配列は、非限定的な例として、合成RNA
、天然に存在するRNA、メッセンジャーRNA、化学的に改変したRNA、ま
たはRNA−DNA派生体である。標的RNA配列は5'キャップおよび3'ポリ
アデニレート配列を有することができる。標的RNA配列は非標識標的RNA配
列でも、標識標的RNA配列でも、または両者の結合物でもよい。標識RNA配
列は、蛍光性成分または可視性成分、放射能活性成分、リガンドおよび蛍光性成
分と消光性成分の結合物で標識することができるが、ただしこれらに限定されな
い。RNAを標識する他の成分および手段も包含される。
【0015】 本発明のシステムは、さらに外因的に付加されたヌクレオチド三燐酸を含むこ
とができるが、ATPが好ましい。本システムはさらに、システムに存在する種
々の成分間での反応を強化するために反応強化物質(例えばポリマー)を含むこ
とができる。前記ポリマーは、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドンおよびデキストランで、ただしこれらに限定されないが、ポリビニルアルコ
ールが好ましい。
【0016】 本発明の目的はまた、標的RNA配列の安定性を調節することができる物質を
特定する方法である。本方法は、ポリアデニレート結合蛋白質活性を枯渇させた
細胞抽出物および標的RNA配列を含む上記で説明したシステムを調製し、前述
のシステムに被験物質を導入し、標的RNA配列のターンオーバーの程度を、例
えば標識標的RNAの分解度を測定することによって求め、続いて前記標的RN
A配列の安定性を調節する能力にしたがってRNAターンオーバーの程度を調節
することができる物質を特定することによって実施される。 上記の方法はさらにヌクレオチド三燐酸を含むことができる。この場合ATP
が好ましい。被験物質はおそらくRNA安定性を改変する分子であるが、ただし
これに限定されない。非限定的に選択される標的RNA配列の種類および前記R
NAのために有用な非限定的な標識の種類は上記で述べたとおりである。
【0017】 本発明の方法は、前記標的RNAの安定性を高めるかまたは低下させることが
できる物質を特定するために有用である。そのような物質は、RNA結合分子、
例えばC富裕エレメント結合蛋白質およびAU富裕エレメント結合蛋白質(ただ
しこれらに限定されない)の活性を調節することができる。AU富裕エレメント
結合蛋白質の例にはHuRおよび他のELAv類の蛋白質、例えばHuR、He
l−N1、HuCおよびHuD;AUF1;トリステトラポリン;AUH;TI
A;TIAR;グルセルアルデヒド−3−ホスフェート;hnRNPC;hnR
NPA1;AU−A;およびAU−Bが含まれる。この表示は、本発明で評価可
能な分子の種類の説明であり、それらに限定しようとするものではない。
【0018】 本発明のさらに別の実施態様では、外因的に添加されたRNA安定性改変物質
またはRNA結合巨大分子の存在下で標的RNA配列の安定性を調節することが
できる物質を特定する方法が提供される。そのような分子の非限定的な例は上記
で述べた。本方法は、ポリアデニレート結合蛋白質活性を枯渇させた細胞抽出物
および標的RNA配列を含む上記で説明したシステムを調製し、前述のシステム
に外因的に添加したRNA安定性改変物質または結合巨大分子および被験物質を
導入し、標的RNA配列のターンオーバーの度合いを、例えば標識標的RNAの
分解度を測定することによって求め、続いて外因的に添加したRNA安定性改変
物質の存在下で前記標的RNA配列の安定性を調節する能力に応じてRNAター
ンオーバーの度合いを調節することができる物質を特定することによって実施さ
れる。
【0019】 非限定的に選択される本方法の成分は上記で述べたとおりである。前述の方法
は、例えばRNA安定性改変物質が前記標的RNA配列の安定性を低下させ、さ
らに被験物質が、前記RNA安定性改変物質によって低下した標的RNA配列の
安定性を高める場合に有用である。さらに本方法は、RNA安定性改変物質が標
的RNA配列の安定性を高め、さらに被験物質が、前記RNA安定性改変物質に
よって高められた標的RNA配列の安定性を低下させる場合に有用である。RN
A安定性改変物質の非限定的な例には、C富裕エレメント結合蛋白質およびAU
富裕エレメント結合蛋白質が含まれる。AU富裕エレメント結合蛋白質の例には
HuRおよび他のELAv類の蛋白質、例えばHuR、Hel−N1、HuCお
よびHuD;AUF1;トリステトラポリン;AUH;TIA;TIAR;グル
セルアルデヒド−3−ホスフェート;hnRNPC;hnRNPA1;AU−A
;およびAU−Bが含まれる。この表示は、本発明で評価可能な分子の種類の説
明として提供され、それらに限定しようとするものではない。
【0020】 本発明のさらに別の目的は、標的RNA配列の脱アデニル化を調節することが
できる物質を特定する方法である。本方法はヌクレオチド三燐酸(例えばATP
)の非存在下で上記のシステムを調製し、このシステムにある物質を導入し、さ
らに標的RNA配列の脱アデニル化をモニターすることを含む。さらにまた、本
発明の目的は、標的RNA配列の脱アデニル化および分解を調節することができ
る物質を特定する方法である。本方法は、ATPの存在下で上記のシステムを調
製し、このシステムに前記物質を導入し、さらに標的RNA配列の脱アデニル化
および分解をモニターすることを含む。これらの実施態様はまた、RNA安定性
改変物質またはRNA結合巨大分子の存在下で実施し、RNA安定性に対する前
記改変物質または結合分子の作用を調節する能力を測定することもできる。
【0021】 さらに本発明の別の特徴では、哺乳類で細胞増殖または細胞の分化を調節する
ことができる物質を特定する方法が提供される。本方法は、細胞増殖または分化
の調節に必要な標的RNA配列の安定性を調節する前記物質の能力を上記の本発
明の方法にしたがって決定することを含む。細胞増殖または細胞分化を調節する
ことができる物質は、細胞の形質転換および免疫調節失調のような生理学的プロ
セスに介入できる可能性があるが、ただし本発明はそのような制限を受けない。
【0022】 本発明のさらに別の特徴は、RNAの脱アデニル化もしくは分解またはその調
節に参画すると思われる内因性分子の特定、性状決定および単離の方法を提供す
る。本方法は、上記のシステムを調製し、前記システムにRNAターンオーバー
の調節に参画すると思われる蛋白質を導入し、さらに標的RNA配列の安定性を
モニターすることを含む。RNAの脱アデニル化および/または分解または調節
に参画すると思われる内因性分子は蛋白質またはRNAであろう。
【0023】 本発明のさらに別の実施態様では、脱アデニル化反応の非存在下で標的RNA
配列の分解を調節することができる物質を特定する方法が提供される。本方法は
、ヌクレオチド三燐酸の存在下で細胞抽出物を提供し、前記物質を前記細胞抽出
物に導入し、さらに前記抽出物での前記標的RNAの分解をモニターすることを
含む。
【0024】 本発明のさらに別の目的は、調節されているRNAターンオーバーを再現する
ことができる条件下で予め選択した標的RNAの安定性をモニターするキットで
ある。本キットは、場合によってポリアデニレート結合蛋白質活性が枯渇されて
いる細胞抽出物、他の試薬および使用指示を含む。本キットはさらにヌクレオチ
ド三燐酸、反応強化物質またはその両方を含むことができる。
【0025】 したがって、本発明の目的はRNA分子の安定性およびターンオーバーをin v
itroで調節するシステムを提供することである。本システムは、当業者がRNA
転写物のターンオーバーを一般的に、または脱アデニル化および分解を特異的に
調べることを可能にし、さらにRNA転写物の安定性およびターンオーバーを調
節することができる薬剤をスクリーニングすることを可能にする。このターンオ
ーバーは、外因的に添加されたRNA安定性改変物質が非存在下または存在下で
惹起されるであろう。本システムはまたRNAターンオーバーにおける内因性分
子の役割の研究を可能にするであろう。
【0026】 本発明のさらに別の実施態様では、RNA分子の安定性およびターンオーバー
をin vitroで調節し、さらに前述の物質を調査するために当業者が容易に使用で
きるキットが提供される。 本発明のこれらの特徴および他の特徴は、下記の図面および詳細な説明を参考
にしてより一層理解できるであろう。
【0027】課題を解決するための手段 本明細書中では多数の用語および語句が用いられている。これらの用語および
語句の意味は下記で説明する。 特に本明細書で用いられるように、RNAの"半減期"は、その蛋白生成物の合
成用鋳型として機能するRNA分子の量の減少の測定をいう。 本明細書で用いられるように、"ターンオーバー"はRNA分子の分解を指し、
ターンオーバーは脱アデニル化および分解を含む。 本明細書で用いられるように、"キャップ"または"5'キャップ"または"末端キ
ャップ"は互換的に用いられ、そのRNA分子のもっとも5'側のヌクレオチドに
化学的に結合した7−メチルグアノシン(7mG)キャップを指す。
【0028】 本明細書で用いられるように、"ポリアデニル酸(ポリ(A))テール" は、R
NA分子(例えばmRNA)の3'末端に転写後に付加される連続したアデニル
酸の鎖(ポリアデニレート)を指す。 本明細書で用いられるように、"安定性"という用語は、その機能によってRN
A分子の分解プロセスを遅らせることができるRNA分子の保全を意味する。 本明細書で用いられるように、"ポリアデニル酸競合核酸オリゴマー"という語
句は、本発明のシステムに添加され、ポリ(A)結合蛋白質を除去できる連続し
たアデニル酸を含むオリゴマーを指す。したがって、ポリ(A)テールをもつ個
々のRNA分子の分解を調節することができる。
【0029】 さらに本明細書で用いられるように、"制限エンドヌクレアーゼ"は、核酸分子
内の特定のヌクレオチド配列を認識し、前記部位内またはその近くに二本鎖をも
つ裂け目をつくる酵素を指す。いくつかの制限酵素、例えばEcoRIまたはH
indIIIは"相補性テール"を生成された各フラグメントに生じる。これらの
テールは、ハイブリダイゼーション条件下で互いに再度アニールすることができ
るので"粘着性"と称される。したがって、2つの分離核酸分子が同じ制限部位を
共有する場合は、同じ制限エンドヌクレアーゼで処理されたとき、両者は相補的
な一本鎖テールを含み、一緒にスプライスされて組換え核酸分子を生成すること
ができる。 当然のこととして、本明細書で用いられる"制限エンドヌクレアーゼ部位"とい
う語句は、特定の制限エンドヌクレアーゼによって認識される特定のヌクレオチ
ド配列を指す。
【0030】 さらにまた、本発明を実施するために、当技術分野における多くの一般的な分
子生物学、微生物学および遺伝子組換えDNA技術を容易に利用することができ
る。そのような技術は以下の文献で完全に説明されている(Sambrook, Fritsch
& Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual., Second Edition(1989
), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(本
明細書では"Sambrook et al., 1985"と記す);Oligonucleotide Synthesis(M.J
. Gait ed. 1984)); Nucleic Acid Hybridization, (B.D. Hames & S.J. Higgin
s eds.(1985); Transcription and Translation, (B.D. Hames & S.J. Higgins
eds.(1984)); Animal Cell Culture, (R.I. Freshny, ed.(1986)); Immobilized
Cells and Enzymes, (IRL Press.(1986)); B. Perbal, A Practical Guide to
Molecular Cloning(1984); F.M. Ausubel et al.(eds.), Current Protocols in
Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.(1994))。 したがって、本明細書で使用される場合、以下の用語は下記に示す定義を有す
るであろう。
【0031】 "ベクター"とは、レプリコン、例えばプラスミド、ファージまたはコスミドで
あって、それらに対して別のDNA断片が結合され、その結果結合させたセグメ
ントが複製される。"レプリコン"は、in vivoでDNA複製の自律的単位(すな
わちそれ自身の制御の下で複製できる)として機能する任意の遺伝的断片(例え
ばプラスミド、染色体、ウイルス)である。
【0032】 "カセット"とは、特定の制限部位でベクターに挿入される核酸分子の断片(例
えばDNAまたはRNA)を指す。核酸分子の断片は、問題のポリペプチドをコ
ードするものでもよい。さらにカセットおよび制限部位は、転写および翻訳のた
めに適切な読み枠で前記カセットを挿入することができるようにデザインされる
。 外因性または異種DNAを細胞内に導入する場合は、そのようなDNAで細胞
を"トランスフェクト"する。トランスフェクトされたDNAが表現型の変化をも
たらす場合は、細胞は外因性または異種DNAによって"形質転換"されている。
好ましくは、形質転換DNAは、前記細胞のゲノムを構成する染色体DNAに共
有結合によって組み込まれているはずである。
【0033】 "核酸分子"とは、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまた
はシチジン:"RNA分子")またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノ
シン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン:"DN
A分子")のリン酸エステルポリマー、または任意のそのホスホエステル類似体
、例えばホスホロチオエートおよびチオエステルであって、一本鎖または二本鎖
ヘリックス形のいずれかであるものを指す。二本鎖DNA−DNA、DNA−R
NAおよびRNA−RNAヘリックスが可能である。核酸分子という用語、特に
DNAまたはRNA分子は前記分子の一次構造および二次構造のみを指し、いず
れの特定の三次形態に制限するものではない。したがって、この用語は、とりわ
け直線状または環状DNA分子(例えば制限フラグメント)、プラスミドおよび
染色体で見出される二本鎖DNAを含む。個々の二本鎖DNA分子の構造を考察
する場合は、配列は、通常の慣例にしたがってDNA非転写鎖(すなわちmRN
Aと相同な配列をもつ鎖)の5'から3'方向の配列のみを提示するように記載さ
れる。"組換えDNA分子"とは分子生物学的操作を受けたDNA分子である。
【0034】 DNA"コード配列"とは、転写される二本鎖DNA配列で、さらにこれは、適
切な調節配列の制御下に置かれた場合、in vitroまたはin vivoで細胞内でポリ
ペプチドに翻訳される。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の開始コドン
および3'(カルボキシル)末端の翻訳終止コドンによって決定される。コード
配列には原核細胞配列、真核細胞mRNAに由来するcDNA、真核細胞(例え
ば哺乳類細胞)DNAに由来するゲノムDNA配列さらには合成DNA配列が含
まれるが、ただしこれらに限定されない。コード配列が真核細胞での発現を意図
されている場合は、ポリアデニル化シグナルおよび転写終了配列は、コード配列
に対して3'に通常配置できる。
【0035】 "プロモーター配列"は、細胞内でRNAポリメラーゼと結合して下流の(3'
方向の)コード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本
発明を規定するために、プロモーター配列は、その3'末端の境界に転写開始部
位をもち、上流(5'方向)に伸長してバックグラウンドを越える検出可能レベ
ルでの転写を開始させるために必要な最低数の塩基またはエレメントを含む。プ
ロモーター配列内には、転写開始部位(通常は例えばヌクレアーゼS1によるマ
ッピングで特定される)および、RNAポリメラーゼ結合に必要な蛋白質結合ド
メイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0036】 本発明は、in vitroでのRNA分子の調節下のターンオーバーを活性化させる
、本出願人らによるこれまで知られていなかったシステムの発見を基にする。本
システムは、驚くべきことにかつ予想に反して、当業者によるin vitroでのRN
A分子の安定性の研究および調節、したがってin vitroでのRNA分子のターン
オーバーの調節を可能にする。したがって、本発明の新規で有用なシステムは、
普遍的および調節下の両局面におけるRNA分子(特に真核細胞mRNA転写物
)の脱アデニル化および分解の正確で忠実な再生(本明細書ではまた調節下のR
NAターンオーバーの再現と称する)を可能にする。特に本発明の新規で有用な
システムは、最低限の(好ましくは検出不能の)mRNAターンオーバーを許し
、さらにこの系ではRNA分子の脱アデニル化はRNA分子の分解前に発生し、
このシステムはin vivoで見出されるRNAのターンオーバープロセスに類似す
る。
【0037】 本システムの開発および本システムを利用する方法にとって手掛かりは、ポリ
アデニレート競合RNAは、ポリアデニレート結合蛋白質と結合してその結果デ
アデニラーゼ酵素を活性させ、RNAターンオーバーを誘発する蛋白質を隔離す
ることができるという発見に基づいている。以前は、ポリアデニレートと結合す
る蛋白質はRNAの脱アデニル化に寄与するかもしれないと考えられていたので
、そのような蛋白質はそれとは反対にRNAの安定化物質であるという発見は、
脱安定化仲介物質と相互作用して前記仲介物質を不活化させるということを認識
させた。したがって、本発明の目的は、外因的に付加された予め選択した標的R
NA配列の調節されたRNAターンオーバーを再現することができるin vitroシ
ステムである。前記システムは、ポリアデニレート結合蛋白質活性を枯渇させた
細胞抽出物および予め選択した標的RNAを含む。
【0038】 具体的な実施態様では、調節下のRNAターンオーバーはAU富裕エレメント
(ARE)調節RNAターンオーバーによって調節されるものである。AU富裕
エレメントを含むmRNAの例には非限定例である以下のものが含まれる:c−
fos;c−jun;c−mycTNF−α、GMCSF、IL1−15および
IFN−β。上記で特記したように、AU富裕エレメントは、以下を含む多数の
蛋白質の結合のための部位である:ARE結合蛋白質のELAV類、例えばHu
R、HelN−1、HuCおよびHuD。他のものには以下が含まれる:AUF
1;トリステトラポリン;AUH;TIA;TIAR;グリセルアルデヒド−3
−ホスフェート;hnRNPC;hnRNPA1;AU−AおよびAU−B。別
の実施態様では、調節されるRNAターンオーバーは、C富裕エレメント(CR
E)調節RNAターンオーバーによって調節されるものである。そのようなエレ
メントは、グロビンmRNA、コラーゲン、リポキシゲナーゼ、およびチロシン
ヒドロキシラーゼのmRNAで見出されるようなエレメントである。未だ性状が
明らかにされていない配列エレメントを含む別のmRNAはVEGFのそれであ
る。しかしながら、本発明は、これらの特定のエレメントまたはRNAターンオ
ーバーの調節に必要なこれらエレメントとの結合蛋白質に限定されない。
【0039】 本発明の細胞抽出物は溶解させた真核細胞または組織から調製される。当業者
の知る多様な方法を用いて細胞抽出物を調製することができる。種々の細胞供給
源(新鮮な細胞および組織、並びに株細胞を含む)を用いることができる。その
ような細胞は外来核酸を例えば感染細胞内に含んでいてもよいし、または哺乳類
の発現ベクターを一過性にまたは安定的にトランスフェクトされていてもよい(
後者については下記でより詳しく述べる)。ある種の目的のためには(例えばR
NAターンオーバーにおける感染、特に細胞内感染の役割を解明するために)、
感染細胞を本明細書の細胞抽出物の供給源として用いてもよい。ウイルスまたは
他の細胞内微生物(例えばリステリア=モノサイトジーン、HTLV、単純疱疹
ウイルスおよびHIV)をこれらの特定の環境のために用いてもよい。さらに細
胞抽出物の調製前に、細胞をある種の化学物質または他の細胞外刺激、例えばホ
ルモン、増殖因子並びにキナーゼおよびホスファターゼ抑制物質(これらはRN
Aターンオーバーを変化させるかもしれない)に曝してもよい。これは、本明細
書で開示するようにそれらをその後の研究に用いて、RNAターンオーバーの調
節に必要なある種の蛋白質の誘発を特定するため、またはそのような刺激によっ
て誘発される不利なRNAターンオーバーの調節と対抗できる薬剤を特定するた
めである。
【0040】 下記で詳細に記載するように、本発明の方法は、種々の原因によって誘発され
る不利なRNAターンオーバーに干渉することによって細胞を保護することがで
きる物質を特定するために用いることができる。好ましくは、細胞抽出物は核お
よび核内含有物を含まずに細胞質を含むが、しかしながらこれは、核由来の特定
の成分(例えば酵素または他の因子)が本システムの実施に干渉しないかぎり必
須ではない。典型的な調製物(これは本発明の範囲から外れることなく改変でき
る)では、細胞を増殖させ、これを採集して溶解し、100000Xgで1時間
遠心して透析する。凍結して保存する場合は抽出物を保護するためにグルセロー
ルを添加してもよい。
【0041】 上記で説明したように、細胞抽出物を調製するために用いられる細胞は外来D
NAを含むことができる。本発明のシステムに加えるべき単離核酸分子は、先ず
最初にクローニングベクターに挿入し、この核酸分子の多数のコピーを生成する
ことができる。当分野で知られている多数のベクター−ホスト系を使用できる。
可能なベクターには、プラスミドまたは改変ウイルス(ただしこれらに限定され
ない)が含まれるが、ベクター系は使用するホスト細胞と適合していなければな
らない。ベクターの例には、大腸菌、バクテリオファージ(例えばラムダ由来フ
ァージ)またはプラスミド(例えばpBR322由来プラスミド、またはpUC
由来プラスミド、例えばpGEXベクター、pmal−c、pFLAGなど)が
含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0042】 クローニングベクターへの挿入は、例えば核酸分子を相補的な粘着末端を有す
るクローニングベクターに連結することによって達成できる。しかしながら、核
酸分子を分断するために使用される相補的な制限部位がクローニングベクターに
存在しない場合は、前記核酸分子の末端を酵素的に改変することができる。また
別には、前記核酸分子の末端にヌクレオチド配列(リンカー)を連結することに
よって、所望されるどのような部位も作出することができる。連結されるこれら
のリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学的に合
成されたオリゴヌクレオチドを含むことができる。形質転換、トランスフェクシ
ョン、感染、電気穿孔などによってリコンビナント分子をホスト細胞に導入し、
それによって多くの核酸分子コピーを生成することができる。
【0043】 好ましくは、クローニングされる核酸分子をシャトルベクタープラスミドに含
有させる。このベクタープラスミドはクローニング用細胞(例えば大腸菌)内で
の増量および、その後の適切な発現細胞株への挿入のために容易な精製(そのよ
うな精製が必要な場合は)を提供する。例えば、シャトルベクター(2種類以上
の生物で複製することができるベクター)は、大腸菌プラスミド由来の配列を酵
母2μプラスミド由来の配列に連結することによって、大腸菌とビール酵母菌と
の両方での複製のために作製できる。
【0044】 当然のことながら、以前に単離核酸分子をクローニングベクターに挿入するた
めに報告されたいずれの方法も使用可能で、適切な転写/翻訳制御シグナルおよ
び蛋白質コード配列から成る核酸分子を含む発現ベクターを構築することができ
る。これらの方法にはin vitroリコンビナントDNA技術、合成技術およびin v
ivo組換え(遺伝子組換え)が含まれる。
【0045】 本発明で使用できる哺乳類の発現ベクターには以下が含まれる:ジヒドロフォ
レートレダクターゼ(DHFR)プロモーターのような誘発性プロモーターを含
むベクター、例えばDHFR発現ベクターを含む任意の発現ベクター、またはD
HFR/メトトレキセート同時増幅ベクター、例えばpED(PstI、Sal
I、SbaI、SmaIおよびEcoRIクローニング部位、クローニング遺伝
子およびDHFEの両方を発現するベクターを含む:Kaufman, Current Protoco
ls in Molecular Biology, 16.12(1991))。また別には以下がある:グルタミン
シンターゼ/ミチオニンスルフォキシミン同時増幅ベクター、例えばpEE14
(HindIII、XbaI、SmaI、SbaI、EcoRIおよびBclI
クローニング部位を含む、ベクターはグルタミンシンターゼおよびクローニング
遺伝子を発現する(Celltech))。別の実施態様は以下のとおりである:エプスタ
イン=バーウイルス(EBV)の制御下でエピソームでの発現を誘導するベクタ
ー、例えばpREP4(BamHI、SfiI、XhoI、NotI、NheI
、HindIII、NheI、PvuII、およびKpnIクローニング部位、
構成的RSV−LTRプロモーター、ヒグロマイシン選別マーカー(Invitrogen
))、pCEP4(BamHI、SfiI、XhoI、NotI、NheI、Hi
ndIII、NheI、PvuII、およびKpnIクローニング部位、構成的
hCMV極初期遺伝子、ヒグロマイシン選別マーカー(Invitrogen))、pMEP
4(KpnI、PvuII、HindIII、NotI、XhoI、SfiI、
BamHIクローニング部位、誘発性メタロチオネインIla遺伝子プロモータ
ー、ヒグロマイシン選別マーカー(Invitrogen))、pREP(BamHI、Xh
oI、NotI、HindIII、NheI、およびKpnIクローニング部位
、RSV−LTRプロモーター、ヒスチジノール選別マーカー(Invitrogen))、
pREP(KpnI、NheI、HindIII、NotI、XhoI、Sfi
IおよびBamHIクローニング部位、RSV−LTRプロモーター、G418
選別マーカー(Invitrogen))、およびpEBVHis(RSV−LTRプロモー
ター、ヒグロマイシン選別マーカー、N−末端ペプチド精製可(ProBond樹脂およ
びエンテロキナーゼでの切断による)(Invitrogen))。本発明で使用できる選別
可能哺乳類発現ベクターには以下が含まれる:pRc/CMV(HindIII
、BstXI、NotI、SbaIおよびApaIクローニング部位、G418
選別(Invitrogen))、pRc/RSV(HindIII、SpeI、BstXI
、NotI、XbaIクローニング部位、G418選別(Invitrogen))および他
のベクター。本発明で使用できるワクシニアウイルス哺乳類発現ベクター(Kauf
man(1991)上掲書)には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):pS
C11(SmaIクローニング部位、TKおよびβ−gal選別)、pMJ60
1(SalI、SmaI、AflI、NarI、BspMII、BamHI、A
paI、NheI、SacI、およびHindIIIクローニング部位;TKお
よびβ−gal選別)およびpTKgptF1S(EcoRI、PstI、Sa
lI、AccI、HindII、SbaI、BamHI、およびHpaクローニ
ング部位;TKまたはXPRT選別)。
【0046】 いったん特定の核酸分子(例えばRNA)をベクターに挿入したら、当分野で
知られているいくつかの方法を用いて前記分子を増殖させることができる。適切
なホスト系および増殖条件が確立したら、リコンビナント発現ベクターを増殖さ
せて大量に調製することができる。以前に説明したように、使用できる発現ベク
ターにはいくらかを挙げれば以下のベクターまたはそれらの誘導体が含まれる(
ただしこれらに限定されない):ヒトまたは動物ウイルス、例えばワクシニアウ
イルスまたはアデノウイルス;昆虫ウイルス、例えばバキュロウイルス;酵母ベ
クター;バクテリオファージベクター(例えばラムダ)、並びにプラスミドおよ
びコスミドDNAベクター。さらに、挿入配列の発現を調節または改変し、さら
に特定の所望の態様で遺伝子生成物を加工するホスト細胞株を選択することがで
きる。
【0047】 ベクターは所望のホスト細胞に例えば以下のような当分野で知られている方法
によって導入できる:トランスフェクション、電気穿孔、マイクロインジェクシ
ョン、トランスダクション、細胞融合、DEAEデキストラン、燐酸カルシウム
沈澱、リポフェクション(リポソーム融合)。遺伝子銃の使用、またはDNAベ
クター輸送系(例えば以下を参照:Wu et al., J. Biol. Chem. 267:963-967(19
92); Wu & Wu, J. Biol. Chem. 263:14621-14624(1988);カナダ特許出願201
2311号(Hartmunt et al., 1990年3月15日出願))。 本明細書に開示する調製において有用な細胞には、規定の条件下で大量に増殖
させることができる不朽化または部分的不朽化細胞、例えばHeLa細胞および
種々のT細胞株が含まれる。他の供給源には、組織、血液細胞または類骨髄細胞
が含まれる。他の供給源も本発明の分野で周知である。
【0048】 本明細書で開示するシステムの細胞抽出物はポリアデニレート結合蛋白質活性
が枯渇されている。これは、例えば以下の方法のいずれかまたはそれらの組合せ
によって達成できる。理論に拘束されないが、これらの方法の各々はポリアデニ
レート結合蛋白質を除去するか、または結合活性を不活化させる。これらの手順
は、本明細書に記載する方法で細胞抽出物を使用するときに前記抽出物に適用す
るか、または細胞抽出物を予め処理してもよい。例えば、結合蛋白質が結合でき
る無関係のRNA配列を提供し、それによってそのような結合蛋白質の標的RN
A配列を隔離するために、ポリアデニレート競合RNAを細胞抽出物に加えても
よい。別の実施態様では、ポリアデニレート結合蛋白質の除去を実施することが
できる。除去は、細胞抽出物に前述の蛋白質に結合する物質を添加するか、また
は細胞抽出物を前記物質に暴露することによって達成される。前記物質は、例え
ばポリアデニレート結合蛋白質に対する抗体、またはポリアデニレート配列それ
自身またはポリアデニレート配列を含む巨大分子で、これらはそのような蛋白質
に対する結合標的として機能する。また別の選択肢として、またはそれに加えて
、これらの蛋白質結合物質はマトリックス(例えばアガロースビーズ)に結合さ
せ、細胞抽出物をそのようなビーズカラムに通して、ポリアデニレート結合蛋白
質を除去してもよい。共有結合によって抗体またはRNA配列を含有するように
改変したそのようなビーズの調製は、ポリアデニレートであれポリアデニレート
含有配列であれ、当業者の知るところである。
【0049】 細胞抽出物からそのようなそのような活性を減少させるか、排除する別の手段
は、ポリアデニレート結合蛋白質を不活化することが分かっている1つまたは2
つ以上のプロテイナーゼに暴露するものである。これらのプロテイナーゼは抽出
物に添加するか、またはマトリックスに結合させ抽出物に暴露してからビーズを
除去してもよい。さらに別の手段は、ポリアデニレートとポリアデニレート結合
内因性巨大分子との間の相互反応を防ぐ物質を抽出物に添加することを含む。本
発明に含まれるこれらの方法および他の方法は、ポリアデニレート結合巨大分子
を細胞抽出物から枯渇させるという所望の目的を達成し、したがって標的RNA
配列と混合した細胞抽出物がin vivo様RNAターンオーバーを受けることを可
能にする。
【0050】 前述の方法の1つまたはそれらの組合せを利用して、抽出物が作製された細胞
または組織の供給源、個々の標的RNA配列および他の因子に応じて、そのよう
な蛋白質レベルを許容限界まで低下させることができる。下記で特記するように
、ポリアデニレートに結合するある種の巨大分子は、前記特定の蛋白質または他
の巨大分子を本明細書に記載するような研究に付す場合は、本明細書に開示する
システムおよび方法を用いる特定のアッセイまたは他の方法に包含させることが
できる。
【0051】 本発明のさらに別の実施態様では、細胞抽出物は部分的に精製されるか、そう
でなければ巧みに操作される。例えば、場合によってはポリアデニレート結合蛋
白質の枯渇前または枯渇後に、本発明のシステムに加える前にある種の成分を除
去するために細胞抽出物を部分的に精製することができる。例えば、本発明の方
法と干渉するある種の非特異的因子および/または無関係な活性は細胞抽出物か
ら除去できる。当業者には、下記で詳細に調査される特定の標的RNAについて
は、抽出物の部分精製の必要性およびポリアデニレート結合因子の枯渇の必要性
が理解されよう。さらにまた、本発明のシステムが調節下のRNAターンオーバ
ーを再現することを担保するために他の成分を添加することができる。
【0052】 本発明のシステムにおける標的RNA配列は、多数のRNAの1つでもまたは
改変RNA分子でもよい。例えば、合成RNAは固相合成によって調製してもよ
いし、または当業者の知るようにファージポリメラーゼを用いてin vitro転写に
よって再生してもよい。天然に存在するRNAは細胞、組織および他の生物学的
供給源から単離できる。RNAはメッセンジャーRNA(mRNA)(本発明で
の好ましいRNA種)またはRNA−DNA誘導体であろう。メッセンジャーR
NAは、典型的には5'キャップおよび3'ポリアデニレート配列を含む。化学的
に改変したRNA(例えばホスホチオエート成分によって改変されたRNA)は
本発明に包含される。
【0053】 本発明のシステムおよび方法で用いられる個々のRNA(mRNAを含む)は
、調査される個々のmRNA種にしたがって選別できる。mRNAターンオーバ
ー、そのターンオーバーの内因性調節物質および外因的に添加される分子(特に
mRNAターンオーバーに影響を与える特に小さな分子)の詳細な調査は、多様
な症状の予防および治療に重要な治療上の意義を有する。ある種のmRNA(例
えばサイトカインのmRNA)は短命で、他のもの(例えばグロビンメッセンジ
ャー)は長命である。特定の蛋白質および特定の細胞タイプのmRNAの寿命の
調節は、ターンオーバーを変化させしたがって細胞の生理学を変化させる外部の
刺激に対する影響から多様な反対の作用を受けるであろう。多様な症状における
細胞蛋白質および細胞表現型の発現の変化は、mRNAターンオーバーの変化の
結果かもしれない。ターンオーバーの変化を回復させるためにそのようなmRN
Aターンオーバーの変化を薬理学的に調整すること、または生物の利益のために
ターンオーバーの変化を誘発することは、本明細書に開示するシステムおよび方
法によって達成することができる。
【0054】 例えば、特定のmRNA(例えば前炎症性サイトカインTNFαのmRNA)
は、ターンオーバーを遅らせてmRNAの寿命および前記蛋白質の炎症細胞によ
る発現を延長させる小分子調節物質を特定するための標的として選択される。そ
のような調節物質は、TNFαの分泌増加が有益なある種の免疫学的疾患の治療
で実質的に利点を提供するかもしれない。反対に、敗血症でのTNFαの大量の
過剰産生、または類リューマチ性関節炎および炎症性大腸疾患におけるその副作
用は、そのターンオーバーを速め、したがって炎症細胞によるTNFαの発現を
低下させる物質の使用によって軽減できるかもしれない。 本発明の他のmRNA種への適用は、本明細書の教示によって理解されよう。
特に本発明の方法は、疾患の治療または予防に利用できるRNAターンオーバー
の調節物質を特定する高処理量スクリーニングを推進する。
【0055】 本発明のシステムおよび方法の特徴の1つでは、標的RNA配列のターンオー
バーがモニターされる。これは、当業者の知る多様な方法の1つまたはそれらを
組み合わせて達成できる(それらの1つは標識RNAを供給するものである)。
本発明の標的RNA配列は、標識されてなくても標識されていてもよく、または
それらの組合せでもよい。例えば、非標識標的RNA配列の脱アデニル化および
/または分解が発生する条件を設定した後、そのレベルが多数の方法のいずれか
によって評価される。上記の方法では標識プローブ、またはUV吸収、ゲル電気
泳動とそれに続く特異的もしくは非特異的染色、または増幅系(例えばファージ
ポリメラーゼ)とそれに続く適切な増幅由来技術(例えば分子探知法)が用いら
れる。また別に(おそらくはより簡単に)、標的mRNA配列は標識されて完全
配列または分解RNAフラグメントの量が容易に定量される。標識は例えば蛍光
性成分、可視性成分、放射性成分、リガンドおよび蛍光成分と消光成分の組合せ
であるが、これらの非限定例は単に説明のために提供される。
【0056】 さらにまた、場合によってはRNA分子またはその部分(例えばポリ(A)テ
ール)は、当業者に周知の日常的プロトコルによって検出できるように標識され
る。適切な標識には、酵素、蛍光発光団(例えばいくつかの蛍光発光団を挙げれ
ばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリスリン(PE)
、テキサスレッド(TR)、ローダミン、遊離またはキレート化ランタニド系塩
(特にEu3+))、発色団、放射性同位元素、キレート剤、染料、コロイド金、ラ
テックス粒子、リガンド(例えばビオチン)および化学発光物質が含まれる。コ
ントロールマーカーを用いる場合は、同じまたは異なる標識をレセプターとコン
トロールマーカーに用いることができる。
【0057】 放射性標識(例えば以下のような同位元素:3H、14C、32P、35S、36Cl
51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131Iおよび186Re)を用
いる場合は、現在利用可能な既知の計測手段を利用することができる。特定のリ
ボヌクレオチドは適切な同位元素を用いて調製し、標識RNAは固相合成によっ
て製造できる。また別には、同位元素を含む部分はRNAに共有結合によって連
結させてもよい。標識が酵素の場合は、検出は、当分野で知られている現在利用
可能な比色分析、分光分析、蛍光分光分析、電流測定、ガス圧測定の何れかによ
って達成できる。さらに別の例では、ビオチン成分がいずれかの手段によってR
NAに取り込まれる。続いてこのビオチン化RNAまたは分解フラグメントはア
ビジン試薬によって定量される。
【0058】 直接標識は本発明にしたがって用いることができる標識の一例である。直接標
識とは、その自然な状態で裸眼または光学フィルターおよび/または刺激の利用
(例えば蛍光励起のためのUV光)によって容易に目で見ることができるものと
定義される。本発明にしたがって用いることができる着色標識の例では、とりわ
け金属ゾル粒子(例えばLeuvering(米国特許4313734号)が記載した金ゾ
ル粒子);染料ゾル粒子(例えばGribnau et al(米国特許4373932号)お
よびMay et al(WO88/08534号)が記載したもの);染色ラテックス(
例えばMay(上掲書)およびSynder(EP−A280559号および281327
号)が記載したもの);またはリポソームに被包化された染料(米国特許470
3017号(Campbell et al))が含まれる。他の直接標識には、放射性ヌクレオ
チド、蛍光成分また化学発光成分が含まれる。これらの直接標識方法の他に、酵
素を含む間接標識もまた本発明にしたがって用いることができる。免疫アッセイ
と連係させた種々のタイプの酵素も当分野で周知で、例えばアルカリホスファタ
ーゼおよびセイヨウワサビペルオキシダーゼ、リゾチーム、グルコース−6−ホ
スフェートデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ウレアーゼおよび
他のものが以下の文献で詳細に考察されている(Eva Engvall, "Emzyme Immunoa
ssay ELISA and EMIT"(Methods in Enzymology, 70:419-439(1980));米国特許4
857453号)。 適切な酵素にはアルカリホスファターゼおよびセイヨウワサビペルオキシダー
ゼが含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明で使用される他の標識に
は磁性ビーズまたは磁気共鳴画像化標識が含まれる。
【0059】 本明細書に特記したように、RNAターンオーバーは2段階で生じる、すなわ
ち脱アデニル化(これはヌクレオチド三燐酸の存在に左右されない)および分解
(これは前記の存在に左右される)である。細胞抽出物のヌクレオシド三燐酸(
リボヌクレオチドおよび/またはデオキシヌクレオチド三燐酸(ATP、UTP
、CTPおよび/またはGTP)を含む)のレベルは、RNAターンオーバーの
分解段階の発生を許容するほど十分な場合と十分でない場合がある。本発明のあ
る実施態様では、本システムはさらに外因的に付加したヌクレオチド三燐酸、好
ましくはATPを含む。
【0060】 本発明の研究中に反応強化物質の添加はRNA分解の効率をわずかに促進する
ことが観察された。これはおそらく、in vitroでの巨大分子複合体の生成を促進
するその能力によるものと思われる。したがって。本発明では、場合によって反
応強化物質(例えばポリマー)が本システムの成分間の相互反応を刺激するため
に使用される。その非限定的な例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、およびデキストランが含まれるが、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0061】 予め選択したRNA配列のin vitroRNAターンオーバーを再現する上記のシ
ステムはいくつかの用途(特に内因性および外因性調節物質のRNAターンオー
バーにおける役割の特定)を有する。本発明の目的は、一般的に標的RNA配列
の安定性を調節することができる物質を特定することで、本方法は以下の工程を
含む: (A)上記のように本システムを調製し; (B)前記システムに前記物質を導入し; (C)前記標的RNA配列のターンオーバーの程度を測定し;さらに (D)前記ターンオーバーの程度を調節する能力をもつ物質を前記標的RNA配
列の安定性を調節することができる物質と特定する。 上記の方法は、上記の目的のためにさらに添加ヌクレオチド三燐酸(好ましく
はATP)を含むことができる。
【0062】 RNAターンオーバーを調節するその活性が前述の方法で検出することができ
る物質にはRNA安定性改変物質が含まれるが、ただしこれに限定されない。 上記で述べたように、標的RNA配列は、個々の被験RNAに応じて上記のよ
うに選択できる。標的RNAは、非標識標的RNA配列でも、標識標的RNA配
列でも、またはその組合せでもよい。標識には蛍光性成分、可視性成分、放射能
活性成分、リガンド、または蛍光成分と消光成分を組合せたものが含まれるが、
ただしこれらに限定されない。
【0063】 前記標的RNA配列のターンオーバーの程度をモニターすることには、上記の
方法によって前記標識標的RNAの分解の程度を測定することが含まれる。 特に本方法は、標的RNA配列の安定性を調節することができる物質の特定に
用いることができる。この物質は、標的RNA配列の安定性を高めるか、また別
にはRNA配列の安定性を低下させる。 ある実施態様では、この物質は、AU富裕エレメント結合蛋白質またはC富裕
エレメント結合蛋白質の活性を調節することができるが、ただしそのように限定
されるものではない。AU富裕エレメント結合蛋白質およびC富裕エレメント結
合蛋白質の例は本明細書に記載したとおりである。
【0064】 本発明のさらに別の実施態様では、外因的に添加したRNA安定性改変物質の
存在下で標的RNA配列の安定性を調節することができる物質を特定する方法が
提供される。本方法は以下の工程を含む: (a)上記に記載したように本システムを調製し; (b)前記システムに前記RNA安定性改変物質を導入し; (c)前記システムに前記物質を導入し; (d)前記標的RNA配列のターンオーバーの程度を測定し;さらに (e)前記ターンオーバーの程度を調節する能力をもつ物質を、前記外因的に付
加されたRNA安定性改変物質の存在下で前記標的RNA配列の安定性を調節す
ることができる物質と特定する。
【0065】 本発明のこの特徴では、RNAターンオーバー調節物質の活性に影響を与える
ことができる物質、特に小分子が特定される。上記で述べたように、そのような
小分子は、RNA安定化または内因性仲介物質(これは検査システムに添加され
る)の活性を脱安定化に対するそれらの影響を決定するためにスクリーニングで
きる。また別には、本発明は、外因性物質とともに作用するかまたは拮抗する化
合物を特定するために用いることができる。本システムの成分(ヌクレオチド三
燐酸、標的RNA、標識を含む)は上記のとおりである。この実施態様の一例で
は、RNA安定性改変物質は前記標的RNA配列の安定性を高め、別の態様では
、前記物質は、前記RNA安定性改変物質によって高められた前記標的RNA配
列の安定性を低下させる。別の実施態様では、RNA安定性改変物質は標的RN
A配列の安定性を低下させ、さらに別の態様では前記物質は、前記RNA安定性
改変物質によって低下した前記標的RNA配列の安定性を高める。
【0066】 RNA安定性改変物質の一連の候補物質にはAU富裕エレメント結合蛋白質が
含まれるが、ただし本発明はそのような因子に限定されない。mRNAのそのよ
うなエレメントをもつ既知の蛋白質および当該エレメントに対する結合蛋白質の
例は上記で述べたが、ただし本発明はこれらの例に限定されない。
【0067】 さらにまた、別の実施態様では、前述の手順にしたがって細胞抽出物から除去
されたRNA結合巨大分子が本システムに戻され、RNAターンオーバーにおけ
るそれらの役割を解明されるとともに、RNAに結合するこれら巨大分子によっ
て仲介されるRNAターンオーバーに対する物質、特に小分子の影響が詳細に調
べられる。さらに別の実施態様では、上記に述べたものと同じ目的のために、標
的RNAは本発明のシステムに添加する前にRNA結合巨大分子とともにロード
される。 上記に特記したように、本明細書で述べる方法のいずれかで使用される細胞抽
出物は部分的に精製してもよい。
【0068】 さらにまた、以下の工程を含む、標的RNA配列の脱アデニル化を調節するこ
とができる物質を特定する方法が提供される: (A)ヌクレオチド三燐酸の非存在下で本発明のシステムを調製し; (B)前記システムに前記物質を導入し;さらに、 (C)前記システムで前記標的RNA配列の脱アデニル化をモニターする。 以下の工程を含む、標的RNA配列の脱アデニル化および分解を調節すること
ができる物質を特定するさらに別の方法が提供される: (A)ATPの存在下で本発明のシステムを調製し; (B)前記システムに前記物質を導入し;さらに、 (C)前記システムで前記標的RNA配列の脱アデニル化および分解をモニター
する。
【0069】 さらにまた、哺乳類で細胞増殖または細胞分化を調節することができる物質を
特定する方法が本明細書で提供される。本方法では、前述の方法を利用しながら
細胞増殖または細胞分化の調節に必要な標的RNA配列の安定性を調節すること
ができる前記物質の能力を測定する工程が含まれる。細胞増殖または細胞分化を
調節することができる物質は、細胞の形質転換または免疫失調に介入することが
できる。
【0070】 本発明のさらに別の実施態様では、以下の工程を含む、RNAの脱アデニル化
もしくは分解またはその調節に参画すると思われる内因性分子を特定し、性状を
決定し、また単離する方法が提供される: (A)上記の本発明のシステムを提供し; (B)RNAターンオーバーの調節に参画すると思われる前記蛋白質を前記シス
テムに導入し; (C)前記システムにおける前記標的RNA配列の安定性をモニターし;さらに
(D)RNAの脱アデニル化もしくは分解またはその調節に参画することができ
る物質として、前記脱アデニル化または分解を調節する能力を有する前記内因性
分子を特定し、性状を決定し、または単離する。 RNAの脱アデニル化もしくは分解またはその調節に参画すると思われる分子
は、蛋白質またはRNAであろう。
【0071】 本発明の別の実施態様では、以下の工程を含む、脱アデニル化が惹起されない
状態で標的RNAの分解を調節することができる分子を特定する方法が提供され
る: (A)ヌクレオチド三燐酸の存在下で細胞抽出物を提供し; (B)前記細胞抽出物に前記物質を導入し;さらに、 (C)前記抽出物おける前記標的RNA配列の分解をモニターする。 本発明の目的はまた、調節下のRNAターンオーバーを再現することができる
条件下で予め選ばれた標的RNAの安定性をモニターするキットである。そのよ
うなキットは以下を含む: (a)ポリアデニレート結合蛋白質活性が場合によって枯渇されている細胞抽出
物; (b)他の試薬;および (c)前記キットの使用指示。
【0072】 キットは、さらにヌクレオチド三燐酸、反応強化物質、標的RNA配列、RN
A結合蛋白質、RNA安定性改変物質、またはその組合せを含むことができる。
本発明のキットは、本明細書で開示した多様な方法を実施するための成分を提供
することは当業者には理解されよう。そのような多様な方法とは、例えばRNA
ターンオーバーを調節する物質および内因性因子の特定;RNAターンオーバー
に必要な多様な因子のRNAターンオーバー活性を調節する物質の特定、および
以下の特定の用途における他の方法(RNAターンオーバーを調節することによ
って効果が得られる多様な症状または疾患の予防および/または治療のために潜
在的に有用な治療物質を特定するために小分子をスクリーニングする)である。
本キットは、上記の成分に応じてRNAの脱アデニル化、RNAの分解またはそ
の両方を調べるために調製される。さらにまた、細胞抽出物は部分的に精製でき
る。本キットは、ポリアデニレートに結合する、抽出物に存在する蛋白質の活性
を枯渇させるための試薬を含むことができる。そのような試薬は、例えばポリア
デニレート、マトリックスに結合させたポリアデニレート、ポリアデニレート結
合蛋白質に対する抗体およびマトリックスに結合させた前記抗体である。
【0073】 本発明は、本発明の典型的な例として提供される以下の非限定的な実施例を参
考にしてよりいっそう理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の好ましい
実施態様をより完全に説明するために提示される。しかしながら、それら実施例
は本発明の広い範囲を限定するものと解してはならない。
【0074】実施例 実施例1:ELAV蛋白質は新規なmRNA脱アデニル化/分解in vitroシス
テムで脱アデニル化中間体を安定化させる 本実施例では、HeLa細胞細胞質S100抽出物および外因性ポリアデニル
化RNA基質を用いる、調節下のmRNA崩壊(ターンオーバー)を再現する新
規なin vitroでのmRNA安定性システムを説明する。コールドのポリ(A)競
合RNAの添加によって、強力なATP依存性リボ核酸分解活性と同様に、配列
特異的デアデニラーゼ活性がともに抽出物で活性化された。脱アデニル化および
分解の両方の速度が、基質RNA本体の種々のAU富裕エレメントの存在によっ
てアップレギュレートされた。
【0075】 競合アッセイによって、トランス作動性因子がAU富裕エレメントによるRN
Aの脱安定化に要求されることが示された。このin vitroシステムで、約30k
DaのELAV蛋白質(HuR)が、TNF−αmRNAに由来するAU富裕エ
レメント含有RNAに特異的に結合した。しかしながら、HuRとAU富裕エレ
メントとの相互作用はRNA脱安定化を伴わなかった。興味深いことに、リコン
ビナントELAV蛋白質は、AU富裕エレメント含有基質RNAのターンオーバ
ーから生じた脱アデニル化中間体を特異的に安定化した。したがって、哺乳類の
ELAV蛋白質は、分解酵素のRNA基質への接近に影響を与えることによって
mRNA安定性の調節で役割を果たしている。
【0076】 mRNAの相対的安定性は遺伝子発現の重要な調節因子である。個々のmRN
Aの半減期は、その発現の定常レベルおよびその遺伝子生成物が誘発される速度
の両方の決定で役割を果たす(以下の文献で概括されている:Ross, 1995; Capo
nigro & Parker, 1996)。さらにまた、調節因子をコードするmRNAの安定性
に影響を与える変異は、腫瘍原性形質転換および免疫失調を促進する(Aghib et
al., 1990; Schiavi et al., 1992)。一般に、多くの短命な蛋白質(サイトカ
インおよびプロト−オンコジーンに由来するものを含む)は短命なmRNAによ
ってコードされる。 また、安定な蛋白質(例えばグロビン)をコードするいくつかのmRNAは、
極めて長い半減期をもつことが示された(Holcik & Liebhalber, 1997)。さらに
、ナンセンスコドン変異を含む異常なmRNAを特定し、その半減期を短くする
監査機構が報告された(Maquat, 1995; Jacobson & Peltz, 1996)。したがって
、mRNAの半減期の調節は、増殖および発生中の細胞反応と機能の出現に劇的
な結果をもたらす。
【0077】 遺伝学を応用しつつ、ビール酵母菌におけるmRNAのターンオーバーに必要
な機構および因子が特定され始めた。mRNAターンオーバーに関する多くの経
路が酵母に存在し、遺伝子発現について多様な調節レベルおよび精密なチューニ
ングを可能にする。mRNA崩壊の一般的経路の1つは、ポリ(A)テールの短
縮化とそれに続く脱キャップおよび5'から3'方向に核酸の末端から進行する崩
壊を含む(Muhlrad et al., 1994)。第二の一般的経路は、脱アデニル化とそれ
に続くmRNA本体の3'から5'方向のターンオーバーを含む(Anderson & Par
ker, 1998)。いくつかのmRNAでは、核酸の内部から進行する核酸分解による
切断もまた明らかにされた(Presutti et al., 1995)。最後に、ナンセンスコド
ン含有mRNAの翻訳依存分解では、脱アデニル化を迂回するまた別の崩壊経路
が含まれる(Weng et al., 1997)。酵母のmRNA安定性で役割を演じるいくつ
かの分解酵素および調節蛋白質が特定された(Caponigro & Parker, 1996; Weng
et al., 1997)。酵母mRNAのキャップ構造と3'ポリ(A)テールとの間の
機能的に重要な相互作用もまた報告された(Tarun & Sachs, 1997)。しかしなが
ら、これらの知見が一般的に哺乳類細胞に適用できるか否かは確定していない。
【0078】 in vivoの知見によって、哺乳類細胞におけるmRNAターンオーバーの主要
経路に関していくつかの普遍化が可能になり始めた。核内でのプロセッシングで
ほとんどのmRNAに約200塩基のポリ(A)が付加される(Colgan & Manle
y, 1997)。ポリ(A)テールは、mRNA安定性において少なくとも2つの既知
の機能を示す。第一に、ポリ(A)結合蛋白質と結合して(Bernstein et al.,
1989; Ford et al., 1997)、3'−5'エキソヌクレアーゼからmRNAを保護す
る。第二に、ポリ(A)テールはmRNAのターンオーバーの開始部位として機
能する。ポリ(A)テールは、細胞質でのmRNAの寿命中に徐々に短縮される
。脱アデニル化速度の制御はmRNA安定性における重要な調節事項のようであ
る(Wilson & Treisman, 1988; Xu et al., 1997)。ポリ(A)テールが約30
−65塩基まで短くなったら、mRNA本体は、識別可能な中間体を蓄積するこ
となくin vivoで急激に分解するようである(Chen et al., 1995; Xu et al., 1
997)。しかしながら、哺乳類のmRNAターンオーバーに必要な酵素および調
節成分についてはほとんど分かっていない。
【0079】 ポリ(A)テールの他に、mRNAの安定性ではいくつかのシス−作動性エレ
メントが役割を演じることが示された。5'末端キャップ構造はエキソヌクレア
ーゼから転写物を保護する(Furuichi et al., 1977)。mRNAの本体に存在す
るいくつかの脱安定化エレメント(Caput et al., 1986; Shyu et al., 1989; B
onnieu et al., 1990; Peng et al., 1996)が、安定化エレメント(Stefonovic
et al., 1997)と同様に特定された。十分に性状が調べられたmRNA安定性を
調節するエレメントの1つは、多くの短命なmRNAの3'非翻訳領域で見出さ
れるAU富裕配列(ARE)である(Shaw & Kamen, 1986)。これらのAREは
主にAUUUAリピートまたは関連する九量体配列から成り(Lagnado et al.,
1994; Zubiaga et al., 1995; Xu et al., 1997)、配列の特徴および分解キネテ
ィクスを基準に3種類に分類された(Xu et al., 1997)。一般に、AREは、翻
訳非依存的態様で脱アデニル化およびRNAターンオーバーの速度を速めること
が示された(Chen et al., 1995; Fan et al., 1997)。しかしながら、ARE機
能の背後にある基礎的メカニズムはまだ決定されていない。
【0080】 AU富裕エレメントとin vitroで結合することができる多くの蛋白質が報告さ
れたが(例えば、Malter, 1989; Vakalopoulou et al., 1991; Bohjanen et al.
, 1991; Brewer, 1991; Levine et al., 1993; Hamilton et al., 1993; Katz e
t al., 1994; Nakagawa et al., 1995; Ma et al., 1996)、mRNAターンオー
バー過程での各因子の正確な役割は未だ明らかにされていない。ARE結合蛋白
質のELAV類は発生の間保存され、脊椎動物で発生の全体を通して組織で弁別
的に発現される(以下の文献で概括される:Antic & Keene, 1997)。ELAV蛋
白質は細胞質および核の両方で見出されたが(Gao & Keene, 1996)、最も普遍的
に発現される形態、HuRは核と細胞質間を往復できる(Fan & Steiz, 1998; P
eng et al., 1998; Atasoy et al., 1998)。ELAV蛋白質のショウジョウバエ
相同体は神経系の発生および維持に遺伝的に必須であるように、それは増殖と発
生に重要な役割を果たす(Campos et al., 1985; Robinow & White, 1988)。
【0081】 さらに、哺乳類のELAV蛋白質は分化中に誘発され、樹状突起に沿ってRN
P顆粒中に分布する(Gao & Keene, 1996)。いくつかの情報は、ELAV蛋白質
は翻訳後遺伝子発現状態を制御することを示唆している(Gao & Keene, 1996; K
oushika et al., 1996; Myer et al., 1997; Ma et al., 1997; Antic & Keene,
1998)。例えば、ELAV類蛋白質の過剰発現は、選択したmRNAの蓄積に影
響を与えることが明らかにされた(Jain et al., 1997; Levy et al., 1998; Fa
n & Steitz, 1998; Peng et al., 1998)。しかしながら、ELAV蛋白質および
他のARE結合因子の正確な役割はまだ確定されていない。
【0082】 哺乳類細胞における機械学的疑問は、遺伝的システムのような哺乳類がもつ固
有の難しさのために通常は生化学的システムを用いてもっとも効率的に研究され
る。しかしながら、mRNAの安定性およびターンオーバーを調べるための不安
定なin vitroシステムを確立することは困難であった。in vivoの知見および実
際上の考察を基にして、mRNA安定性の過程を研究するための最適なin vitro
システムは以下の特性を有するべきである:第一に、本システムは効率的で再現
性が高くなければならない。第二に、本システムでは最低限(好ましくは検出不
能)のRNA分解は、非特異的な夾雑リボヌクレアーゼによるランダムな分解に
よるものであるべきである。第三に、脱アデニル化は、mRNA本体の全体的な
分解が認められる前に発生しなければならない。第四に、mRNA本体の分解は
、検出可能な中間体がない極めて急激に進行する態様で生じなければならない。
第五に、全体的な脱アデニル化および分解の速度の調節は、配列特異的態様で観
察されなければならない。最後に、本システムは外因性RNAについて機能し、
容易な実験操作を可能にしなければならない。
【0083】 本明細書で報告するものは、上記に挙げた基準の全てを満たし、さらにARE
仲介mRNAターンオーバーに必要とされることが分かっている特徴の全てを有
する、細胞質S100抽出物を用いる新規で有用なmRNA安定性in vitroシス
テムの発見である。このシステムを用いて、mRNA安定性におけるELAV類
のAU富裕エレメント結合蛋白質の役割を明らかにすることができた。これらの
発見は、ELAV蛋白質は、mRNAをヌクレアーゼの攻撃から保護するか、ま
たはこれら短命な転写物に目印を付ける因子を置換することによってARE仲介
分解のデフォルト経路に影響を与えることができることを示している。このin v
itroシステムは、mRNAターンオーバーに必要な細胞因子の特定を可能にし、
さらに遺伝子発現の転写後調節に必要なメカニズムの解明を助ける。
【0084】 さらにまた、本発明のin vitroシステムは、化合物ライブラリーのスクリーニ
ングのために高処理量アッセイに容易に適用し、RNA転写物の安定性およびタ
ーンオーバーをin vivoで調節することができる医薬品としてどの化合物を適用
し、したがって多様な疾病または疾患の治療に用いることができるかを解明する
ことができる。
【0085】 i.RNA基質を脱アデニル化および分解するin vitroシステムの開発 RNAターンオーバーを調べるin vitroシステムの開発には、ポリ(A)+R
NA基質の簡便な供給源の作製と活性を有する細胞抽出物が必要である。ポリア
デニル化されており、しかも標準的なアクリルアミドゲル技術を用いて容易に特
定できる基質RNAを得るために、HindIII部位を含むDNAフラグメン
トの3'末端に60塩基のポリ(A)テールをコードする鋳型を付加することが
できる新規で融通性をもつ連結−PCR法を用いた(この方法は下記で説明する
)。in vitroRNA安定性システムの開発研究では、初めは60塩基のポリ(A
)テールを54塩基のポリリンカー由来配列に結合させた(Gem−A60)。
このポリアデニル化転写物の小さなサイズのおかげで、RNAターンオーバー経
路における中間体のアクリルアミドゲルでの分析が容易になった。細胞抽出物は
、材料と方法の項で述べるようにわずかの改変を加えつつ低浸透圧下で溶解した
HeLaスピンナー細胞を用い、標準的な細胞質S100プロトコル(Dignam e
t al., 1983)にしたがって調製した。
【0086】 Gem−A60RNAをATPの存在下でS100抽出物中で保温した。図1
A(左図)に示すように、Gem−60RNAのきわめてわずかのターンオーバ
ーが保温後60分で認められた。この再現性を有する緩徐なターンオーバー速度
によって、我々は、脱アデニル化/分解プロセスの抑制物質がS100抽出物に
存在しているのかもしれないという仮説をたてるにいたった。この仮説は、いく
つかの観察を基にしていた。第一に、核抽出物を用いた以前の実験によって、ポ
リ(A)結合蛋白質は3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ活性の強力な抑制物
質であることが示された(Ford et al., 1997)。第二に、部分精製した哺乳類の
デアデニラーゼ調製物の活性は大量のPABPによって抑制された(Korner & W
ahle, 1997)。第三に、ツメガエル(Xenopus)卵母細胞のPABPの過剰発現は
成熟特異的脱アデニル化を抑制する(Wormington et al., 1996)。
【0087】 過剰量のポリ(A)結合蛋白質がS100抽出物中でのGem−A60RNA
の脱アデニル化の抑制の原因であるか否かを調べるために、量を増加させながら
コールドのポリ(A)競合RNAを反応混合物に添加し、ポリ(A)結合蛋白質
を隔離した。図1A(右側)に示すように、ポリ(A)競合物の添加はS100
抽出物の分解活性を賦活させた。Gem−A60RNAは脱アデニル化マーカー
(Gem−A0)のサイズよりもわずかに大きな種に短縮され、投入RNAの約
30%が分解された。UV架橋実験と組み合わせて実施した力価測定実験によっ
て、S100抽出物を活性化させるために必要なポリ(A)競合RNAの量は、
基質RNAのポリ(A)テールと蛋白質の結合を抑制する前記競合物の能力と一
致することが明らかになった(データは提示されていない)。さらにまた、S1
00抽出物に対する競合物質としてコールドのポリ(A)RNAを添加すること
によって活性化される核酸分解活性は、>500ngのポリ(A)濃度でも観察
された。これらのデータは、活性化ヌクレアーゼはポリ(A)による競合に対し
て極めて抵抗性を有することを示唆している。
【0088】 ポリ(A)競合RNAを補充したS100抽出物中で保温したときに観察され
たGem−A60RNAの短縮化の進行は、以下の観察を基に3'から5'方向の
ポリ(A)テール特異的エキソヌクレアーゼによるものと判明した:第一に、も
っぱらその5'キャップを32Pで標識されたRNA基質が、均一に標識された転
写物と同じ態様で本システム中で次第に短縮された(図1Aと1Bを比較された
い)。これらのデータは、投入RNAの短縮は3'から5'方向で発生することを
示唆している。この結論は、ゲル電気泳動前のリボヌクレアーゼH消化によって
in vitroシステムから得られたRNA生成物の5'および3'部分を別々に分析す
ることによって確認された。図1Cに示したように、基質RNAの3'部分(主
に60塩基ポリ(A)テールから成る)が、転写物の5'部分のターンオーバー
が検出される前に明らかに分解が進行していた。保温後9分して、ポリ(A)テ
ール含有3'フラグメントの72%が分解し、一方、5'フラグメントの19%の
みがターンオーバーされた。最後に、この3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ
活性が本当にポリ(A)特異的デアデニラーゼであるのか否かを確認するために
、15塩基の非アデニレート配列をGem−A60RNAの3'末端に付加した
(Gem−A60−15)。図1Dに示すように、Gem−A60転写物(3'
ポリ(A)テールを含有する)は3'エキソヌクレアーゼ活性のための優れた基
質であるが、一方、Gem−A60−15RNA(これはポリ(A)鎖を内在化
させた15塩基を有する)は3'エキソヌクレアーゼ活性のための優れた基質で
はなかった。
【0089】 これらのデータから、ポリ(A)競合RNAのS100抽出物への添加は、デ
アデニラーゼ(外因性のポリ(A)+基質RNAに対して活性を有する)を活性
化すると結論された。本in vitroシステムは、in vivoで観察されるmRNA安
定性のいくつかの局面を再現する。デアデニラーゼそれ自体はコールドのポリ(
A)によって顕著には抑制されないという驚くべき知見は、天然の酵素はその基
質に対して高い親和性をもたない可能性を示唆している。デアデニラーゼ活性は
、それをmRNAに結合させるまた別のRNA結合活性を、多成分複合体の部分
として含むのかもしれない。
【0090】 ii.in vitroシステムにおけるRNAターンオーバーはAU富裕不安定性エ
レメントによって調節される S100抽出物システムによって示されるRNAターンオーバー活性が、転写
物本体の配列によって特異的な態様で影響を受けるかまたは調節されるか否かを
決定した。54塩基のポリリンカー配列(Gem−A60)、TNF−αmRN
A由来の34塩基AU富裕エレメント(ARE)(ARE−A60)またはc−
fosmRNA由来の72塩基ARE(Fos−A60)のいずれかを含む小さ
なポリアデニル化RNAの相対的安定性を、本in vitro安定性システムで決定し
た。図2Aおよび2Bに示すように、両方のARE含有RNAのターンオーバー
は、Gem−A60コントロール転写物と比較して劇的に増加した。AREによ
る調節が配列特異的態様で発生するか否かを直接的に評価するために、TNF−
α−AREを材料と方法の項で述べるように広範囲に変異させた。AU富裕不安
定性エレメントにおける同様な変異は、in vivoでmRNAの半減期を大きく増
加させることが以前に示された(Myer et al., 1997)。図2Cで示すように、A
REの変異は、in vitroシステムで脱アデニル化/分解の速度および程度を3倍
以上減少させた。したがって、本in vitroシステムにおけるターンオーバーは、
配列特異的態様でAU富裕不安定性エレメントによって調節または調整される。
【0091】 上記で我々が調べたRNA基質の全てが、ポリ(A)テールに結合させた約5
0−70塩基の本体を含んでいた。続いて、より大きなポリアデニル化RNA基
質を用いる調節下のターンオーバーが本発明のシステムで検出できるか否かを調
べた。図2Dに示すように、本in vitroシステムではSV40後期mRNAの3
'UTRに由来するポリアデニル化された250塩基のRNA(SV−A60)
は脱アデニル化されたが、分解は非効率的であった。このRNAの3'部分への
TNF−α−AREの付加は、約3.5倍のターンオーバー速度の増加をもたら
した。最後に、ヒトGM−CSFmRNAのほぼ完全長(〜950塩基)型をA
REが欠失したもの(GM−CSF(−ARE))とともに調製した。これらの転
写物の3'末端を酵母のポリ(A)ポリメラーゼを用いてポリアデニル化した(M
artin & Keller, 1998)。ゲル精製RNAを本in vitroシステム中で保温し、部
分標本を表示の時間に取り出した。図2Eに示すように、AREを含むGM−C
SFmRNAは、in vitroシステムではGM−CSF(−ARE)よりも約2.
5倍不安定であった。他の転写物について上記で認められたように、GM−CS
F転写物もまた本システムで脱アデニル化された。脱アデニル化は、用いたゲル
システムの解像の欠陥のために図2Eでは観察できなかったが、ホルムアルデヒ
ド−アガロースゲルを用いて観察された(データは提示されていない)。
【0092】 iii.分解はATPを必要とし、脱アデニル化は必要としない 3'末端に60のアデニレートをもつ転写物が、本システムで脱アデニル化お
よびターンオーバーを受けることが観察された。これは、mRNAターンオーバ
ーが観察される前にポリ(A)テールは約30−65塩基まで短縮されるという
ことを示唆する観察と一致する(Xu et al., 1997)。分解は、投入転写物が完全
に脱アデニル化される前に開始するようであるので(例えば図2)、相対的脱ア
デニル化速度に対するAU富裕エレメントの影響を定量的に評価することは困難
であった。これらのプロセスの連結を解き、in vitroシステムでの脱アデニル化
速度に対するAREの影響を正確に評価するために、我々は、脱アデニル化また
はターンオーバーのどちらかのプロセスに固有の可能性がある補助因子の要件を
調べた。両プロセスはEDTAの添加によって抑制され(データは提示されてい
ない)、二価陽イオンの役割が示唆された。興味深いことには、脱アデニル化は
本システムにATP/ホスホクレアチンの添加なしに生じる(図3A)。他方、
分解はATP/ホスホクレアチンを要求し、これは、それが存在しないときには
脱アデニル化中間体が蓄積することによって示される(図3A、レーン−ATP
)。したがって、反応からATPを省略することによって、我々は、AU富裕不
安定性エレメントの有無における相対的脱アデニル化速度を評価することができ
た。AREを欠くか(SV−A150−200)またはAREを含む(SVAR
E−A150−200)、生理学的な長さのポリ(A)テール(150−200
塩基)をもつRNAを、本in vitroシステムで保温し、部分標本を表示した時間
に分析した。図3Bに示すように、AREを含むRNA基質は、この不安定性エ
レメントを含まないRNAよりも約2倍の速さで脱アデニル化した。
【0093】 要約すれば、in vitromRNA安定性システムは外因性基質に作用し、さらに
ターンオーバーのin vivoの局面で知られている全てを忠実に再現することが見
出された。RNAは、先ず転写物本体の分解前に脱アデニル化される。続いてm
RNA本体の分解が、識別可能な中間体のない極めて進行速度の速い態様で発生
する。脱アデニル化および崩壊速度は、AU富裕不安定性エレメントの付加によ
って数倍増加する。我々がin vitroシステムで調べた3つのAREの全てが同様
な態様で機能するので、RNA安定性のARE調節は配列特異的で極めて再現性
が高い。本システムは調節下mRNAターンオーバー経路および一般的mRNA
ターンオーバー経路の機械学的局面を解明するために貴重な手段を提供するはず
である。
【0094】 iv.ARE結合蛋白質のin vitroシステムにおける役割 本実施例で述べるin vitroシステムは、RNA脱アデニル化/分解プロセスに
おけるARE結合蛋白質の役割の評価を可能にする。幾つかの蛋白質は、我々の
抽出物でARE含有RNAと結合した。図4Aで認められるように、〜30kD
aの蛋白質および一群の〜40kDa蛋白質は短いARE−A60転写物と特異
的にUVで架橋された。約70kDaのものもまた、このAREがより大きな転
写物(SVARE−A60;図5B参照)に挿入されたとき検出された。この7
0kDa蛋白質は、ARE−A60RNA転写物の比較的小さなサイズのために
ARE−A60RNAでは検出されなかったのかもしれない。既知のARE−結
合蛋白質に対する利用可能な抗体を用いてこれら架橋種を特定しようとする努力
によって、ELAV蛋白質が明らかになった。
【0095】 図4Bに示すように、免疫沈澱アッセイによって30kDa蛋白質はHuR(
別名HuA)と認定された。HuRはELAV蛋白類の蛋白質で全ての組織で普
遍的に発現される(Good, 1995; Ma et al., 1996; Myer et al., 1997)。約3
0kDaの別のRNA結合蛋白質(hnRNPA1)に対する抗血清は、我々の
システムでいずれの架橋蛋白質も検出できなかった(図4B)。2つのまた別の
抗血清を40kDaのバンドを特定するためにテストした。hnRNPC蛋白質
に対する抗体は、いずれの架橋蛋白質も検出できなかったが、一方、AUF−1
(別名hnRNPD)(Brewer, 1991)に対する抗血清は少量の架橋40kDa蛋
白質を沈澱させた(データは提示されていない)。しかしながら、この架橋生成
物は、34塩基の合成ARE競合RNAの量を増加させたとき競合しなかった(
データは提示されていない)。本システムにおけるこの低レベルの非特異的AU
F−1架橋の意義は不明である。AREエレメントと特異的に架橋する30kD
aはHuRであると結論した。HuRは、ARE仲介mRNA崩壊で役割を演じ
ると以前に提唱された蛋白質である(Vakaloloupou et al., 1991; Antic & Kee
ne, 1997; Myer et al., 1997)。
【0096】 次に、架橋したARE結合蛋白質の当該エレメントとの相互反応が不安定性を
仲介するために必要であるか否かを決定した。34塩基のTNF−αAREまた
は任意に選択した非ARE配列を含む合成リボヌクレオチドを使用した。合成競
合RNAを量を増加させながらin vitroシステムに添加し、RNAターンオーバ
ーに対するそれらの影響を評価した。図5Aで分かるように、ARE競合RNA
は、40pmで完全に脱アデニル化および分解を抑制し、一方、非特異的RNA
は同様な濃度では全く影響をもたなかった。ARE競合RNAは、RNAの脱ア
デニル化/分解に対して後者がAREを含むか否かにかかわらず影響を与えた。
したがってAREと相互作用することができる因子は脱アデニル化に重要で、多
蛋白質脱アデニル化/分解複合体の一部分であるかもしれない。
【0097】 合成ARE競合RNAの脱アデニル化を遮断する能力を、このRNAがARE
結合蛋白質と基質転写物との相互作用に競合する能力とを比較した。EDTAを
架橋アッセイに添加してRNAターンオーバーを抑制し、種々のレベルの競合物
の架橋/標識移転効率に対する影響を評価した。図5Bに示したように、全ての
ARE結合蛋白質(パネルCに示すようにゲル電気泳動の前に特異的抗血清を用
いて免疫沈澱させることができるHuRを含む)が、5pmの合成RNA競合物
の添加に際してSV−ARE−A60RNA基質で特異的に競合した。図5Aに
示すように、5pmの合成ARE競合RNAは、本システムでRNAの脱アデニ
ル化/分解速度に対して評価可能な影響を与えることができなかった。したがっ
て、架橋によって検出できるARE結合蛋白質のいずれも、本in vitroシステム
で脱アデニル化/分解に要求されないようである。
【0098】 v.ELAV蛋白質は本in vitroシステムで脱アデニル化転写物の分解を防止
する 架橋によって我々が検出したARE結合蛋白質は脱アデニル化/分解に必要で
あるようにはみえないので、それらは転写物の安定性に役割を果たすのかもしれ
ない。このモデルに一致して、最近のin vitroのデータは、Hel−N1および
HuR蛋白質の過剰発現はARE含有転写物を安定化させることができることを
示唆している(Jain et al., 1997; Fan & Stetz, 1998; Peng et al., 1998)。
マウスのリコンビナントHuR蛋白質を、他のELAV類の蛋白質(Hel−N
1およびHel−N2(別名HuB))と同様にGST融合蛋白質として生成し、
これらをin vitro安定性システムに基質RNAに対して10:1のモル比で添加
した。同様なデータが3つのリコンビナントELAV類蛋白質の何れかを用いて
得られたが、rHel−N1に関するデータのみを示す。図6Aで分かるように
、rHel−N1蛋白質は、本in vitroシステムでSVARE−A60RNA基
質の脱アデニル化に影響を与えることができなかったが、脱アデニル化中間体を
安定化させた。GST単独またはRNA(hnRNPH')と結合する別のGS
T融合蛋白質は、in vitroシステムで転写物の安定性に対して影響をもたなかっ
た(図6B)。結果として、ELAV類のRNA結合蛋白質は、分解酵素から脱
アデニル化転写物を保護するために機能すると結論された。
【0099】 次に、rELAV蛋白質がin vitroシステムで脱アデニル化中間体を安定化す
るために、RNA基質はAREを含んでいなければならないのか否かを調べた。
ARE−A60RNAまたは無関係であるが同様なサイズをもちポリアデニル化
されている転写物(CX−A60)を、rELAV蛋白質の存在下または非存在
下で本in vitroシステムで保温した。図6Cで分かるように、rHel−N1(
または他のrELAV蛋白質(データは提示されていない))は、ARE結合部位
を含むRNAに由来する脱アデニル化中間体のみを安定化した。したがって、脱
アデニル化中間体のELAV蛋白質による安定化にはAREが要求される。さら
にまた、ELAV蛋白質は、AREの位置が250塩基のSVARE−A60R
NAの3'または5'であろうとまたは中央であろうと、脱アデニル化中間体を安
定化させることができる。これらのデータは、ARE−ELAV蛋白質複合体は
、単純に転写物の末端を立体的に遮断することによってターンオーバーを防止し
てエキソヌクレアーゼの接近を妨げるのではないことを示唆している。
【0100】 ここで詳述するのは、新規で有用なin vitroRNA安定性システムで、これは
哺乳類細胞でのin vivomRNAターンオーバーの多くの既知の局面を忠実に再
現する。RNA本体の分解が検出可能な中間体を生じることなく極めて速く進行
する処理態様で発生する前に、外因性RNA基質は脱アデニル化される。さらに
また、RNAの脱アデニル化および分解速度は、本システムで配列特異的態様で
AU富裕エレメントによって調節される。本発明のシステムを用いて、分解工程
を特異的に遮断することによる脱アデニル化転写物の安定性におけるELAV類
のARE結合蛋白質の役割を決定することに成功した。これらのデータは、mR
NAターンオーバーの調節メカニズムのための本システムの価値を明瞭にする。
【0101】 本明細書で開示するin vitroシステムは、その有用性を顕著に高める幾つかの
重要な技術的利点を有する。第一に、本システムは再現性が高く、Helaスピ
ンナー細胞の標準的S100細胞質抽出物を用いる。実際には、9つのそれぞれ
別個のS100調製物(これらは全てアッセイで同様な態様で機能した)をテス
トした。抽出物間でのただ1つの相違はターンオーバーのキネティクスにあるよ
うである(例えば、図1AのGem−A60RNAのターンオーバーパターンを
図1Dで観察されたパターンと比較されたい)。第二に、本抽出物では、非特異
的ヌクレアーゼによるRNAのバックグラウンド分解が最小限である。本システ
ムにおけるこのノイズの無さはその再現性に極めて貢献する。本システムの別の
重要な要素は、基質として外因性のポリアデニル化RNAを使用するということ
である。この特性は、RNA基質調製物の多様性を可能にし、配列操作を可能に
する。第四に、本システムは、翻訳の非存在下でAU富裕エレメントによる配列
特異的調節を示す。総合的に、これらの技術的利点は、本システムをmRNAタ
ーンオーバーに必要な成分の特定およびmRNA安定性調節メカニズムの研究に
おける貴重な試薬とするであろう。
【0102】 ポリ(A)競合RNAの添加は、調節的態様でRNAを効率的に脱アデニル化
し分解するためにS100抽出物を活性化するために要求された。充分な競合物
質が添加され、放射能標識基質RNAのポリ(A)テールへの70kDaポリ(
A)結合蛋白質の架橋を実質的に減少させたとき、抽出物は脱アデニル化/分解
について活性化されることがコールドのポリ(A)の力価測定によって明瞭に示
された(データは提示されていない)。
【0103】 驚くべきことに、抽出物の脱アデニル化は、>500ngのポリ(A)の存在
下でさえも活性を保持していた。ポリヌクレオチドホスホリラーゼで調製された
市販のポリ(A)調製物は、したがって相互作用してデアデニラーゼ酵素を排除
することができないように思われる。これらのデータは、デアデニラーゼ活性は
抽出物中に膨大な量で存在するか、またはその基質と強い親和性をもたない可能
性を示唆している。このことと合わせて、ARE含有RNAの脱アデニル化速度
の増加(図2および3)が、ARE競合RNAのARE非含有基質の脱アデニル
化抑制能力と同様に観察された。これらのデータはARE結合蛋白質はデアデニ
ラーゼ活性に付随している可能性を示唆している。
【0104】 さらにまた、HuR蛋白質(普遍的に発現されているELAV類のRNA結合
蛋白質(Good, 1995; Ma et al., 1996; Myer et al., 1997; Antic & Keene, 1
997))が、本発明のシステムで主要なARE結合因子の1つとして特定された。
また、本発明のシステムを用いて、AUF−1(hnRNPD)(以前にはin v
itroでのmRNA崩壊の調節に必要であると考えられた蛋白質(DeMaria & Brew
er, 1996)との微弱な結合の検出に成功した。したがって、AUF−1は、我々
のシステムで転写物の安定性に顕著な役割を果たすとは思えない。ELAV蛋白
質は脱アデニル化/分解に要求されないが、AREを含む脱アデニル化RNAの
安定性にむしろ役割を果たしている(図6)。これらのデータは、脱アデニル化
速度に対するその影響(Chen et al., 1996; Xu et al., 1997)の他に、ARE
はmRNA本体のターンオーバーの効率に影響を与えることを示唆している。in
vivoの観察(Chen et al., 1995; Peng et al., 1998)はまた、AREはmR
NA分解速度に影響を与えるという結論を支持している。
【0105】 したがって、ELAV蛋白質はin vitroでmRNAの安定性を調節するように
思われ、これはin vivoのトランスフェクション実験と一致する。ELAV類は
4つの構成メンバーを含む。そのうちの3つは組織で発現されるか、または特異
的な発生態様で発現される(以下の文献で概括されている:Antic & Keene, 199
7)。また、組織特異的ELAV蛋白質は細胞質に主に分布し、一方、普遍的なH
uR蛋白質はもっぱら核に存在し、さらに細胞質に再分配される(Atasoy et al
., 1998; Peng et al., 1998; Fan & Steitz, 1998)。弁別的に発現されるEL
AV蛋白質は核および細胞質の両RNAの安定性の調節で役割を果たし、それに
よって特定の発生状態での精密な遺伝子発現をチューニングする(Gao & Keene,
1996; Antic & Keene, 1998)。
【0106】 図5に示す競合データは、AREに結合する因子が、基質RNAの脱アデニル
化/分解に要求されることを明瞭に示している。競合のキネティクスを基に、こ
れらの因子は、Hurのような架橋できるARE結合蛋白質よりもはるかに豊富
であるか、またははるかに低い親和性でAREと相互作用しなければならない。
我々は後者のモデルを好み、これらの因子は、デアデニラーゼおよび分解酵素を
含む多成分複合体の一部であろうと考える。多数の協同的相互作用を介して、こ
れらの弱いARE結合成分は、ARE含有転写物のデアデニラーゼ/分解複合体
の効率的集合を可能にし、一方、効率は低いがARE非含有RNAでの集合も可
能にするのであろう。本提唱複合体のRNA結合成分はまた、他の非ARE不安
定性エレメントに対する親和性をもつかもしれない(例えば、Peng et al., 199
6)。
【0107】 本明細書で述べたS100抽出物の内因性HuR蛋白質はARE含有RNA基
質と架橋することができるという観察(図5)では、AREはin vitroアッセイ
で脱安定化エレメントとして機能するということは驚くべきことである。HuR
蛋白質はもっぱら核に存在するが、おそらくこの低レベルの蛋白質が我々のシス
テムの細胞質にも存在するのであろう。この低レベルのHuR蛋白質はおそらく
AREとの結合について脱安定化因子と効率的に競合できないのであろう。実際
のところ、低レベルの合成ARE競合RNAの添加によるHuR蛋白質の排除は
、本in vitroシステムでARE含有RNAのターンオーバー速度の増加をもたら
さない。図5Aに示すように、競合RNAの非存在下での本システムでの30分
後の残存SVARE−A60の量(レーン0)は、アッセイを5pmのARE競
合RNAの存在下で実施(レーン5pm)したときよりも約20%多い。したが
っていくつかの事例では調節された脱アデニル化および分解を観るために、S1
00抽出物でのHuRの排除が必要かもしれない。
【0108】 材料と方法 転写の鋳型およびRNA: RNAは、表示のように7mGpppGキャップアナローグおよび放射能標識U
TPまたはATPの存在下でSP6ポリメラーゼ(Melton et al., 1984)を用い
てin vitro転写によって製造した。全ての転写物は使用前にゲル精製した。もっ
ぱら5'キャップで標識したRNAのためには、転写反応をキャップアナローグ
および放射能標識ヌクレオチドの非存在下で実施した。続いてキャッピングはグ
アニルトランスフェラーゼ(BRL)および放射能標識GTPを製造元の推奨にした
がって用いて実施した。in vitroシステムで基質として用いた短いRNAの配列
は表1に示されている。
【0109】 転写の鋳型は以下のようにして得られた(下記に示す転写鋳型として用いた全
ての合成オリゴヌクレオチドは24塩基のSP6プロモーターフラグメントをそ
の5'末端に含むことに留意されたい):Gem−A0RNAは、HindII
I切断pGem4(Promega)から作製した。Gem−A60−15RNAは、G
em−A60RNA(下記参照)を作製するために用いたPCR生成物からSs
pIとのプライマー結合部位を除去することなく作製した。ARE−A0のため
の鋳型は、以下の合成オリゴヌクレオチドとその適切な相補物をハイブリダイズ
させて作製した:5'ATTTAGGTGACACTATAGAATACACA
TTATTTATTATTTATTTATTATTTATTTATTTA−3'
(配列番号:1)。MT−ARE−A0RNAの鋳型は以下の合成オリゴヌクレ
オチドとその適切な相補物をハイブリダイズさせて作製した:5'−ATTTA
GGTGACACTATAGAATACACGTTAGTATTCATTTGT
TTACTATTGATTTCTTTA−3'(配列番号:2)。Fos−A0
RNAの鋳型は以下の合成オリゴヌクレオチドとその適切な相補物をハイブリダ
イズさせて作製した:5'−ATTTAGGTGACACTATAGAATAC
ACAAATTTTATTGTGTTTTTAATTTATTTATTAAGA
TGGATTCTC−3'(配列番号:3)。SV−A0RNAは、HindI
II切断pSVL−Gem(Wilusz et al., 1988)であった。SVARE−A0
RNAの鋳型は、以下のオリゴヌクレオチドおよびその適切な相補物を含むTN
F−αAREをpSVL−GemのPstIおよびHindIII部位の間(そ
のRNAの3'末端近くに位置する)に挿入することによって作製した:5'−A
TTATTTATTATTTATTTATTATTTATTATTTA(配列番
号:4)。SVARE−A0RNAはHindIIIによって直鎖状にしたDN
Aから転写した。GM−CSF(+ARE)RNAの鋳型はEcoRI切断pG
M−CSF(Shaw & Kamen, 1986)であった。GM−CSF(−ARE)RNA
の鋳型はNcoI切断pGM−CSFであった。CX−A0RNAの鋳型は以下
の合成オリゴヌクレオチドとその適切な相補物をハイブリダイズさせて作製した
:5'−ATTTAGGTGACACTATAGAATACACCCCAACG
GGCCCTCCCTCCCCTCCTTGCACCATCATCGCATCA
CG(配列番号:5)。
【0110】 競合実験に用いた合成RNAはNJMS分子コア設備(Molecular Core Facil
ity)で製造し、以下の配列を含んでいた:ARE: 57−AUUAUUUAUUAUUUAUUUAUUAUUUAUUUAUUU
A(配列番号:6): 非特異的競合物:5'−GUCACGUGUCACC(配列番号:7)。
【0111】 転写物へのポリ(A)テールの付加: 60塩基のポリ(A)テールの鋳型は、最近報告された連結/PCRプロトコ
ルを用いてDNA鋳型に付加した(Ford et al., 1997)。簡単に記せば、上記の
全ての鋳型は、RNAの3'末端を作製するために用いられるHindIIIを
含んでいる。合成オリゴヌクレオチド、5'−AGCTA60TATTGAGGT
GCTCGAGGT(配列番号:8)およびその適切な相補物を作製し、ハイブ
リダイズさせ、HindIII切断DNA鋳型に連結した。連結生成物をSP6
プロモータープライマー(5'−CATACGATTTAGGTGACACTA
TAG(配列番号:9))および連結オリゴヌクレオチドの3'末端に特異的なプ
ライマー(5'−ACCTCGAGCACCTC(配列番号:10))を用いて増
幅させた。増幅生成物をセントリコン100カラムで精製し、SspIで切断し
、SP6ポリメラーゼにより生成される"A60"の称号をもつRNAの鋳型とし
て使用した。
【0112】 ポリ(A)ポリメラーゼ(Amersham)を用いて転写物に150−200塩基ポ
リ(A)テールを添加した。RNAを製造元の推奨にしたがって氷上で5−8分
酵素とインキュベートした。反応の後、RNAをフェノール−クロロホルムで抽
出し、エタノールで沈澱させ、7M尿素を含む5%アクリルアミドゲルで精製し
てその3'末端に適切な量のポリ(A)をもつRNAを得た。
【0113】 S100抽出物の製造: 細胞質抽出物は、Dignamら(1983)が記載したとおり10%ウマ血清補充JME
Mで増殖させたHelaスピンナー細胞から、下記の2つの改変を加えて調製し
た。第一に、100000Xgで1時間遠心した後、上清を透析の前に10%グ
リセロールに調整した。第二に、透析時間を30分に短縮した。抽出物は−80
℃に保存した。
【0114】 in vitroRNA脱アデニル化/分解システム: 典型的には、反応当たり約200000cpm(〜50fm)のゲル精製RN
Aを用いる。比較実験では、等しいモル量の転写物を用いた。典型的な14.2
5μl反応混合物は以下を含んでいた:3.25μlの10%ポリビニルアルコ
ール、1μlの12.5mMのATP/250mMのホスホクレアチン混合物、
1μlの500ng/μlポリ(A)(Pharmacia)、1μlのRNAおよび8μ
lの透析抽出物。表示した時間反応物を30℃で保温し、400μlの停止緩衝
液(400mMのNaCl、25mMのトリス−Cl(pH7.6)、0.1%
SDS)の添加によって反応を停止させた。反応混合物をフェノールで抽出し、
エタノールで沈澱させ、7モル尿素を含む5%アクリルアミドゲルで分析した。
全ての定量は、モリキュラー=ダイナミクス=ホスファーイメージャー(Molecu
lar Dynamics Phosphorimager)を用いて実施した。
【0115】 リコンビナントELAV蛋白質(HuR、Hel−N1およびHel−N2)
をGST融合蛋白質として大腸菌で作製し、グルタチオン−セファロースアフィ
ニティークロマトグラフィーで製造元の推奨にしたがって精製した(Levine et
al., 1993)。
【0116】 リボヌクレアーゼHによる消化: ARE−A60RNA(A残基を放射能標識)を表示した時間in vitro安定性
システムで保温した。RNA生成物をフェノール抽出し、エタノール沈澱で濃縮
した。サンプルを以下を含む30μlの最終容積に再懸濁した:20mMトリス
Cl(pH8.0)、100mMNaCl、10mMのMgCl2、1mMのD
TT、100ピコモルのアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'−AGTTAA
ATAAAT(配列番号:11))、および1単位のリボヌクレアーゼH。反応物
を37℃で30分保温し、生成物を7モル尿素含有5%アクリルアミドゲルで分
析した。
【0117】 UV架橋および免疫沈澱: UV架橋/標識移転実験は、シルバニアG15T8殺菌灯を用いて以前に報告
されたように実施した(Wilusz & Shenk, 1988)。架橋実験は、RNAターンオ
ーバーを抑制し、サンプル間の正確な比較を可能にするために25mMのEDT
Aの存在下で実施した。リボヌクレアーゼA、T1およびT2で消化した後、架
橋蛋白質をSDS含有10%アクリルアミドゲルで分析した。
【0118】 UV架橋およびリボヌクレアーゼ処理の後の免疫沈澱分析のために、300μ
lのRIPA緩衝液(0.15MのNaCl。1%NP−40、0.5%デオキ
シコレート、0.1%SDSおよび50mMトリス−Cl(pH7.6))をサン
プルに添加した。微量遠心装置で簡単に遠心した後、予備清澄化したサンプルを
抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。抗原−抗体複合体は、ホルマリ
ン固定し、洗浄したプロテインA陽性黄色ブドウ球菌(S. aureus)細胞を用いて
採集し、RIPA緩衝液で5回洗浄し、SDS含有10%アクリルアミドゲルで
分析した。GRSF(Qian & Wilusz, 1994)およびhnRNPA1(Wilusz & S
henk, 1990)に特異的な抗体については以前に報告された。HuRに特異的なウ
サギのポリクローナル抗体の製造および性状は他で報告されるであろう(Atasoy
et al., 1998)。
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【0127】 Wilusz, J., and Shenk, T. 1990. A uridylate tract mediates efficient het
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【0128】 本発明は、ここで述べた特定の実施態様の範囲に限定されない。実際のところ
、ここで詳述した実施態様の他に本発明の多様な変形が、前述の記載および貼付
の図面を参考に当業者には明らかであろう。そのような改変は添付の請求の範囲
に包含されるものである。 さらにまた、核酸またはポリペプチドについて与えられる全ての塩基サイズま
たはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量値は概数で説明のため
に提供される。 本明細書で引用される種々の文献は参照により本明細書に含まれる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A−D:細胞質S100抽出物へのポリ(A)の添加は特異的なデアデニ
ラーゼおよび分解活性を賦活する。パネルA:ポリ(A)競合RNAは抽出物中
の核酸分解活性を賦活する。60塩基のポリ(A)テールを含むキャップ構造を
もつ放射能標識54塩基RNA(Gem−A60)を、500ngのコールドの
ポリ(A)RNAの非存在下(S100のマークをもつレーン)または存在下(
S100+ポリ(A)のマークをもつレーン)で表示した時間、実施例1の材料
と方法で述べたように30℃でS100とともに保温した。RNA生成物を7M
尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化された54塩基の転
写物(Gem−A0)の位置は右側に表示されている。パネルB:投入転写物の
短縮は、3'から5'方向のエキソヌクレアーゼによるものである。もっぱら5'
キャップを標識したGem−A60RNAを表示した時間in vitromRNA安定
性システムで保温した。反応生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分
析した。脱アデニル化54塩基転写物(Gem−A0)の位置は右側に表示され
ている。パネルC:また別のアプローチによって、投入転写物の短縮は、3'か
ら5'方向のエキソヌクレアーゼによるものであることが明らかにされた。A残
基で放射能標識されたARE−A60RNAを表示した時間in vitro安定性シス
テムで保温した。反応生成物をDNAオリゴとハイブリダイズし、リボヌクレア
ーゼHを用いて5'および3'フラグメントに切断した。フラグメントを7M尿素
含有5%アクリルアミドゲルで分析した。パネルD:3'から5'方向のエキソヌ
クレアーゼ活性は特異的なデアデニラーゼである。Gem−A60RNA、およ
びポリ(A)の鎖の後に余分な18ヌクレオチドを含む変種(Gem−A60−
15)を表示した時間in vitro安定性システムで保温した。RNA生成物を7M
尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化54塩基転写物(G
em−A0)の位置は左側に表示されている。投入Gem−A60RNAの31
±11.0%が30分で脱アデニル化/分解された。
【図2】 図2A−E:in vitroシステムでの転写物分解速度は、AU富裕不安定性エレ
メントによって配列特異的態様で調節される。パネルA:AU富裕エレメントは
、in vitroシステムで劇的にターンオーバー速度を速める。Gem−A60RN
Aまたは、TNF−αmRNAの34塩基AU富裕エレメントを含むポリアデニ
ル化転写物を表示した時間in vitro安定性システムで保温した。RNA生成物を
7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化転写物(Gem
−A0およびARE−A0)の位置が表示されている。ARE−A60RNAは
Gem−A60RNAよりも6.6±0.4倍速く脱アデニル化/分解された。
パネルB:c−fosmRNAのAU富裕エレメントはまた、in vitroで不安定
性エレメントとして機能する。Gem−A60RNAまたは、c−fosmRN
Aの72塩基AU富裕エレメントを含む転写物を表示した時間in vitro安定性シ
ステムで保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析
した。脱アデニル化転写物(Gem−A0およびFos−A0)の位置が表示さ
れている。Fos−A60RNAはGem−A60RNAよりも3.5±0.3
倍速く脱アデニル化/分解された。パネルC:in vitroシステムで転写物の不安
定性を仲介するAU富裕エレメントの能力は配列特異的である。ARE−A60
RNAまたは、4番目の位置毎に変異を含む変種(mtARE−A60:材料と
方法参照)を表示した時間in vitro安定性システムで保温した。RNA生成物を
7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化転写物(ARE
−A0およびmtARE−A0)の位置が表示されている。AREでの変異は、
野性型ARE−A60の転写物と比較して脱アデニル化/分解速度を3.7±1
.4倍低下させた。パネルD:TNF−αAU富裕エレメントは異種系で不安定
性を仲介する。SV後期転写単位に由来するポリアデニル化250塩基RNA(
SV−A60)、またはTNF−αmRNAの34塩基AU富裕エレメントを含
む変種(SVARE−A60)を表示した時間in vitro安定性システムで保温し
た。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニ
ル化転写物(SV−A0およびSVARE−A0)の位置が表示されている。S
VARE−A60RNAは、SV−A60RNAよりも3.5±0.7倍速く脱
アデニル化/分解された。パネルE:GM−CSFmRNA由来AU富裕エレメ
ントは、ほぼ完全長のRNA基質にin vitroで機能する。AU富裕エレメントを
含むGM−CSFmRNAのほぼ完全長型(GM−CSF(+ARE))、または
AU富裕エレメントを欠く型(GM−CSF(−ARE))を表示した時間in vit
ro安定性システムで保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミド
ゲルで分析した。GM−CSF(+ARE)は、GM−CSF(−ARE)より
も2.8±0.2倍速く脱アデニル化/分解された。
【図3】 図3A−B:脱アデニル化はin vitroでATPの非存在下で生じ、AU富裕エ
レメントによって調節される。パネルA:分解はATPを要求するが、脱アデニ
ル化は要求しない。SV−ARE−A60をATPの存在下((+)ATPレーン
)または非存在下((−)ATPレーン)で表示した時間in vitro安定性システム
で保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。
脱アデニル化転写物(SVARE−A0)の位置が表示されている。パネルB:
AU富裕エレメントは、生理学的な長さのポリ(A)テールをもつRNA基質で
脱アデニル化速度を調節する。SVRNAまたはSV−ARERNA(AU富裕
エレメントを含む)を酵母のポリ(A)ポリメラーゼでポリアデニル化し、約1
50−200塩基のテールを含むものをゲル精製した。これらのRNA(SV(
A150−200)およびSVARE(A150−200))を表示した時間in v
itro安定性システムで保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミ
ドゲルで分析した。脱アデニル化転写物(SV−A0およびSVARE−A0)
の位置が表示されている。SVARE(A150−200)RNAは、SV(A
150−200)転写物より2.2+0.3%倍速く脱アデニル化された。
【図4】 図4A−B:ELAV類のHuR蛋白質は、in vitroシステムでTNF−αの
AU富裕エレメントに特異的に結合する。パネルA:2つの蛋白質がTNF−α
のAU富裕エレメントと特異的に相互作用する。Gem−A60およびARE−
A60RNAのU残基を放射能標識し、EDTAの存在下で(分解を阻止し、正
確な比較を可能にするため)in vitroシステムで5分間保温した。反応混合物に
UV光を照射し、リボヌクレアーゼAで切断し、蛋白質−RNA複合体をSDS
含有10%ポリアクリルアミドゲルで分析した。右側に表示した架橋蛋白質のお
およそのサイズは分子量マーカーから推定された。パネルB:30kDa蛋白質
はHuRである。放射能標識ARE−60RNAをin vitroRNA安定性システ
ムで保温し、上記のように結合蛋白質と架橋させた。SDS含有10%アクリル
アミドゲルでの分析の前に、表示した抗血清を用いて架橋蛋白質を免疫沈澱させ
た。インプットと記したレーンは、免疫沈澱分析前の総架橋蛋白質を示す。
【図5】 図5A−C:AU富裕エレメント結合因子がRNAの脱アデニル化および分解
に重要であるが、一方、HuR蛋白質のAU富裕エレメントとの結合は、AU富
裕エレメント仲介転写物不安定性と連携していない。パネルA:競合分析は、A
U富裕エレメント結合因子は転写物の脱アデニル化および分解に必要であること
を示唆する。TNF−αのAU富裕エレメント(ARE競合物質(comp))または
非特異的配列を含む表示量の合成RNA競合物質の存在下で、SVARE−A6
0RNAを30分in vitro安定性システムで保温した。RNA生成物を7M尿素
含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化SVARE−A0RNA
の位置が表示されている。パネルB:反応混合物はパネルAで述べたように調製
し、RNAのターンオーバーを抑制するためにEDTAを添加した。蛋白質−R
NAの相互作用はUV架橋分析で分析し、SDS含有10%ポリアクリルアミド
ゲルで分析した。AU富裕エレメント特異的架橋種の位置は左側に表示されてい
る。パネルC:反応物はパネルBについて述べたとおりに調製したが、ただしサ
ンプルはHuR特異的抗血清でゲル電気泳動前に免疫沈澱させた。
【図6】 図6A−D:ELAV蛋白質は、in vitroシステムで特異的に脱アデニル化中
間体を安定化させる。パネルA:1μgのリコンビナントHel−N1蛋白質の
存在下(レーン:(+)Hel−N1))または非存在下(レーン:(−)Hel
−N1))で、SVARE−A60RNAをin vitroシステムで保温した。RNA
生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱アデニル化SVA
RE−A0転写物の位置が表示されている。パネルB:1μgのリコンビナント
Hel−N1蛋白質(レーン:(+)Hel−N1))、GSTのみ(レーン:(
+)GST)または無関係のRNA結合蛋白質hnRNPH'(レーン:(+)
hnRNPH')の存在下で、SVARE−A60RNAをin vitroシステムで
保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。脱
アデニル化転写物の位置が表示されている。パネルC:〜1ugのHel−N2
蛋白質の存在下(+レーン)または非存在下(−レーン)で、ARE−A60R
NA、またはAU富裕エレメントを欠く無関係の転写物(CX−A60)をin v
itroシステムで30分保温した。RNA生成物を7M尿素含有5%アクリルアミ
ドゲルで分析した。脱アデニル化転写物の位置が表示されている。パネルD:転
写物の5'部分にTNF−αAREを含むSV−A60RNAの変種(SV5'A
GE−A60)を、1ugのHel−N2蛋白質の非存在下(−レーン)または
存在下(+レーン)でin vitroシステムで50分保温した。RNA生成物を7M
尿素含有5%アクリルアミドゲルで分析した。インプットおよび脱アデニル化転
写物の位置が表示されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 フォード ランス ピー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07016 クランフォード サウス ユニオ ン アベニュー 30 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA21 CA11 DA02 GA11 HA12 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ20 QQ52 QR32 QR42 QR77 QR80 QS08 QS20 4B064 AF27 AG01 CA10 CA19 CC24 DA13

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞抽出物および予め選択された標的RNA配列を含む、外
    因的に添加された前記標的RNA配列の調節されたRNAターンオーバーを再現
    することができるin vitroシステム。
  2. 【請求項2】 前記調節下にあるRNAターンオーバーが、AU富裕エレメ
    ント調節RNAターンオーバーおよびC富裕エレメント調節ターンオーバーから
    成る群から選ばれる請求項1のシステム。
  3. 【請求項3】 前記細胞抽出物が溶解させた真核細胞または組織から単離さ
    れる請求項1のシステム。
  4. 【請求項4】 前記細胞抽出物が、HeLa細胞およびT細胞株から成る群
    から選ばれる細胞株から単離される請求項3のシステム。
  5. 【請求項5】 前記細胞抽出物が外来核酸を含む細胞から調製される請求項
    1のシステム。
  6. 【請求項6】 前記細胞抽出物が、感染細胞、安定にトランスフェクトされ
    た細胞または一過性にトランスフェクトされた細胞から調製される請求項1のシ
    ステム。
  7. 【請求項7】 前記細胞抽出物が部分的に精製される請求項1のシステム。
  8. 【請求項8】 前記細胞抽出物でポリアデニレートと結合する蛋白質の活性
    が枯渇されている請求項1のシステム。
  9. 【請求項9】 ポリアデニレート結合蛋白質の活性が枯渇された前記細胞抽
    出物が、以下から成る群から選ばれる方法で調製される請求項8のシステム: (a)ポリアデニレート競合RNAの前記システムへの添加; (b)ポリアデニレート結合蛋白質の除去; (c)ポリアデニレート結合蛋白質を不活化するプロテイナーゼの添加;および
    (d)ポリアデニレートとポリアデニレートに結合する内因性巨大分子との間の
    相互作用を妨げる物質の添加。
  10. 【請求項10】 前記のポリアデニレートと結合する蛋白質の除去が、ポリ
    アデニレート結合蛋白質に対する抗体、ポリアデニレートおよびその組合せから
    成る群から選ばれる物質で前記細胞抽出物を処理することによって達成される請
    求項9のシステム。
  11. 【請求項11】 前記物質がマトリックスに結合されている請求項10のシ
    ステム。
  12. 【請求項12】 前記標的RNA配列が、合成RNA、天然に存在するRN
    A、メッセンジャーRNA、化学的に改変されたRNAおよびRNA−DNA誘
    導体の群から選ばれる請求項1のシステム。
  13. 【請求項13】 前記標的RNA配列が5'キャップおよび3'ポリアデニレ
    ート配列を含む請求項12のシステム。
  14. 【請求項14】 前記標的RNA配列が、非標識標的RNA配列、標識標的
    RNA配列、およびその組合せから成る群から選ばれる請求項1のシステム。
  15. 【請求項15】 前記標識標的RNA配列が、蛍光性成分、可視性成分、放
    射性成分、リガンドおよび蛍光成分と消光成分の組合せから成る群から選ばれる
    成分で標識される請求項14のシステム。
  16. 【請求項16】 さらに外因的に添加されたヌクレオチド三燐酸を含む請求
    項1のシステム。
  17. 【請求項17】 前記ヌクレオチド三燐酸がATPである請求項16のシス
    テム。
  18. 【請求項18】 さらに反応強化物質を含む請求項1のシステム。
  19. 【請求項19】 前記反応強化物質が、ポリビニルアルコール、ポリビニル
    ピロリドンおよびデキストランから成る群から選ばれる請求項18のシステム。
  20. 【請求項20】 前記反応強化物質がポリビニルアルコールである請求項1
    9のシステム。
  21. 【請求項21】 以下の(A)−(D)を含む、標的RNA配列の安定性を
    調節することができる物質を特定する方法: (A)請求項1のシステムを提供し; (B)前記システムに前記物質を導入し; (C)前記標的RNA配列のターンオーバーの程度を決定し;さらに (D)前記ターンオーバーの程度を調節することができる物質を前記標的RNA
    配列の安定性を調節することができる物質と特定する。
  22. 【請求項22】 前記システムが、さらにヌクレオチド三燐酸を含む請求項
    21の方法。
  23. 【請求項23】 前記ヌクレオチド三燐酸が、ATPである請求項22の方
    法。
  24. 【請求項24】 前記物質が、RNA安定性改変分子である請求項21の方
    法。
  25. 【請求項25】 前記標的RNA配列が、非標識標的RNA配列、標識標的
    RNA配列、およびその組合せから成る群から選ばれる請求項21の方法。
  26. 【請求項26】 前記標識RNA配列が、蛍光性成分、可視性成分、放射性
    成分、リガンドおよび蛍光成分と消光成分の組合せから成る群から選ばれる成分
    で標識される請求項25の方法。
  27. 【請求項27】 前記標的RNA配列のターンオーバーの程度についての前
    記モニターが、前記標的RNAの分解の程度を測定することを含む請求項21の
    方法。
  28. 【請求項28】 前記標的RNA配列の安定性の調節が前記標的RNA配列
    の安定性を増加させることである請求項21の方法。
  29. 【請求項29】 前記標的RNA配列の安定性の調節が前記標的RNA配列
    の安定性を低下させることである請求項21の方法。
  30. 【請求項30】 前記物質が、AU富裕エレメント結合蛋白質またはC富裕
    エレメント結合蛋白質の活性を調節することができる請求項21の方法。
  31. 【請求項31】 前記AU富裕エレメント結合蛋白質が、ELAV蛋白質類
    に属するもの;AUF1;トリステトラポリン;AUH;TIA;TIAR;グ
    リセルアルデヒド−3−ホスフェート;hnRNPC;hnRNPA1;AU−
    A;およびAU−Bから成る群から選ばれる請求項30の方法。
  32. 【請求項32】 前記ELAV蛋白質類に属するものがHuR、Hel−N
    1、HuCおよびHuDから成る群から選ばれる請求項31の方法。
  33. 【請求項33】 以下の(a)−(e)を含む、外因的に添加されたRNA
    安定性改変物質の存在下で標的RNA配列の安定性を調節することができる物質
    を特定する方法: (a)請求項1のシステムを提供し; (b)前記システムに前記RNA安定性改変物質を導入し; (c)前記システムに前記物質を導入し; (d)前記標的RNA配列のターンオーバーの程度を決定し;さらに (e)前記ターンオーバーの程度を調節することができる物質を、前記外因的に
    添加されたRNA安定性改変物質の存在下で前記標的RNA配列の安定性を調節
    することができる物質と特定する。
  34. 【請求項34】 前記システムがさらにヌクレオチド三燐酸を含む請求項3
    3の方法。
  35. 【請求項35】 前記ヌクレオチド三燐酸が、ATPである請求項34の方
    法。
  36. 【請求項36】 前記標的RNA配列が、非標識標的RNA配列、標識標的
    RNA配列、およびその組合せから成る群から選ばれる請求項33の方法。
  37. 【請求項37】 前記標識RNA配列が、蛍光性成分、可視性成分、放射性
    成分、リガンドおよび蛍光成分と消光成分の組合せから成る群から選ばれる成分
    で標識される請求項36の方法。
  38. 【請求項38】 前記標的RNA配列のターンオーバーの程度の測定が前記
    標識標的RNAの分解の程度の測定を含む請求項33の方法。
  39. 【請求項39】 前記RNA安定性改変物質が前記標的RNA配列の安定性
    を高める請求項33の方法。
  40. 【請求項40】 前記物質が、前記RNA安定性改変物質によって高められ
    た前記標的RNA配列の安定性を低下させる請求項39の方法。
  41. 【請求項41】 前記RNA安定性改変物質が前記標的RNA配列の安定性
    を低下させる請求項33の方法。
  42. 【請求項42】 前記物質が、前記RNA安定性改変物質によって低下した
    前記標的RNA配列の安定性を高める請求項41の方法。
  43. 【請求項43】 前記物質が、AU富裕エレメント結合蛋白質またはC富裕
    エレメント結合蛋白質の活性を調節することができる請求項33の方法。
  44. 【請求項44】 前記AU富裕エレメント結合蛋白質が、ELAV蛋白質類
    に属するもの;AUF1;トリステトラポリン;AUH;TIA;TIAR;グ
    リセルアルデヒド−3−ホスフェート;hnRNPC;hnRNPA1;AU−
    A;およびAU−Bから成る群から選ばれる請求項43の方法。
  45. 【請求項45】 前記ELAV蛋白質類に属するものがHuR、Hel−N
    1、HuCおよびHuDから成る群から選ばれる請求項44の方法。
  46. 【請求項46】 以下の(A)−(D)を含む、標的RNA配列の脱アデニ
    ル化を調節することができる物質を特定する方法: (A)ヌクレオチド三燐酸の非存在下で請求項1のシステムを提供し; (B)前記システムに前記物質を導入し; (C)前記システムで前記標的RNA配列の脱アデニル化をモニターし;さらに
    (D)前記脱アデニル化の程度を調節することができる物質を前記標的RNA配
    列の脱アデニル化を調節することができる物質と特定する。
  47. 【請求項47】 以下の(A)−(D)を含む、標的RNA配列の脱アデニ
    ル化および分解を調節することができる物質を特定する方法: (A)ヌクレオチド三燐酸の存在下で請求項1のシステムを提供し; (B)前記システムに前記物質を導入し; (C)前記システムで前記標的RNA配列の脱アデニル化および分解をモニター
    し、さらに (D)前記脱アデニル化および分解の程度を調節することができる物質を、前記
    標的RNA配列の脱アデニル化および分解を調節することができる物質と特定す
    る。
  48. 【請求項48】 哺乳類で細胞増殖および細胞分化を調節することができる
    物質を特定する方法であって、前記方法が、請求項19にしたがって細胞増殖ま
    たは分化の調節に必要な標的RNA配列の安定性を調節することができる前記物
    質の能力を測定することを含む前記物質の特定方法。
  49. 【請求項49】 細胞増殖または細胞分化を調節することができる前記物質
    が細胞の形質転換を調整する請求項48の方法。
  50. 【請求項50】 細胞増殖または細胞分化を調節することができる前記物質
    が免疫失調を調整する請求項48の方法。
  51. 【請求項51】 以下の(A)−(D)を含む、RNAの脱アデニル化もし
    くは分解またはその調節に参画すると思われる内因性分子を特定し、性状を決定
    し、または単離する方法: (A)請求項1のシステムを提供し; (B)前記システムにRNAターンオーバーの調節に参画すると思われる前記蛋
    白質を導入し; (C)前記システムで前記標的RNA配列の安定性をモニターし、さらに (D)RNAの脱アデニル化もしくは分解またはその調節に参画することができ
    る前記内因性分子を特定し、性状を決定し、または単離する。
  52. 【請求項52】 RNAの脱アデニル化もしくは分解またはその調節に参画
    すると思われる前記分子が蛋白質またはRNAである請求項51の方法。
  53. 【請求項53】 以下の(a)−(c)を含む、調節下にあるRNAターン
    オーバーを再現することができる条件下で予め選択したRNA配列の安定性をモ
    ニターするキット: (a)ポリアデニレート結合蛋白質活性が枯渇されている細胞抽出物; (b)他の試薬;および (c)前記キットの使用指示。
  54. 【請求項54】 さらにヌクレオチド三燐酸、反応強化物質、標的RNA配
    列またはその組合せを含む請求項53のキット。
  55. 【請求項55】 以下の(A)−(C)を含む、脱アデニル化のない状態で
    標的RNA配列の分解を調節することができる物質を特定する方法: (A)ヌクレオチド三燐酸の存在下で細胞抽出物を提供し; (B)前記細胞抽出物に前記物質を導入し; (C)前記抽出物で前記標的RNA配列の分解をモニターする。
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