JP2002515239A - 改善および発酵のための方法および装置 - Google Patents

改善および発酵のための方法および装置

Info

Publication number
JP2002515239A
JP2002515239A JP2000549701A JP2000549701A JP2002515239A JP 2002515239 A JP2002515239 A JP 2002515239A JP 2000549701 A JP2000549701 A JP 2000549701A JP 2000549701 A JP2000549701 A JP 2000549701A JP 2002515239 A JP2002515239 A JP 2002515239A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
biocatalyst
chamber
cells
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000549701A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002515239A5 (ja
Inventor
エイチ. ハーマン,ヒース
エム. ハーマン,トッド
ケー.シニア アンドリューズ,アーラン
Original Assignee
キネティック バイオシステムズ,インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US09/224,645 external-priority patent/US6214617B1/en
Application filed by キネティック バイオシステムズ,インコーポレイテッド filed Critical キネティック バイオシステムズ,インコーポレイテッド
Publication of JP2002515239A publication Critical patent/JP2002515239A/ja
Publication of JP2002515239A5 publication Critical patent/JP2002515239A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/58Reaction vessels connected in series or in parallel
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M33/00Means for introduction, transport, positioning, extraction, harvesting, peeling or sampling of biological material in or from the apparatus
    • C12M33/10Means for introduction, transport, positioning, extraction, harvesting, peeling or sampling of biological material in or from the apparatus by centrifugation ; Cyclones
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M33/00Means for introduction, transport, positioning, extraction, harvesting, peeling or sampling of biological material in or from the apparatus
    • C12M33/12Means for introduction, transport, positioning, extraction, harvesting, peeling or sampling of biological material in or from the apparatus by pressure

Abstract

(57)【要約】 本発明は、その中で力の相反により、生細胞または細胞下生体触媒が固定化される、新規の培養方法および装置よりなる。固定化された細胞または生体触媒を、得られるベクトル力を増す支持複合体に付着させることができる。上記装置の一つの実施形態は、十字形デザインを含む。上記装置の商業上の適用には、鉱石からの金属の効率的な分離およびガスの除去が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の分野] 本発明は、生体触媒の連続培養の改良方法と装置に関する。詳細には、本発明
は、液体の流れに相反する向きの遠心力場に、三次元配列状態に固定された微生
物、動物または植物、細胞下細胞成分を培養する方法および装置に関する。本発
明では、生体触媒濃度の極めて高い培養物を維持することができ、その生産性を
最大限化することが可能である。本発明は、気体の除去および微生物の作用によ
る金属の回収を提供する。
【0002】 [発明の背景] 本明細書において使用される「発酵(fermentation)」という語は、生きている
または生きていない生体触媒により引き起こされる、全ての化学反応を意味する
。本明細書において使用される「培養物(culture)」という語は、化学反応を維
持する目的の液体培地中またはこれに覆われるあらゆるこのような生体触媒の懸
濁液または付着物を指す。本明細書において使用される「生体触媒(biocatalyst
)」には酵素、ビタミン類、酵素凝集物、固定化酵素、細胞下成分(subceller co
mponents)、原核生物、および真核生物が含まれる。「遠心力(centrifugal for
ce)」は基準となる調和して回転するフレ−ムから見て、物体の角回転(angular
rotation)の結果生じる求心的な力を指す。
【0003】 微生物、または動物および植物(組織培養)の培養(発酵)は、多数の商業上重
要な化学および生化学的製造プロセスにおける中心に位置する。生細胞は、一般
に簡単に入手できる出発材料を使用して、市場価値のある化学物質を安価で合成
することができるという事実の結果、これらのプロセスでは生細胞が使用される
【0004】 発酵では、栄養培地中で生きた細胞が増殖、または維持される。典型的なバッ
チ発酵プロセスでは、所望の微生物または真核細胞を、水、栄養化学物質、およ
び溶解ガスからなる定められた培地に添加し、所望の培養濃度まで成長(増殖)
させる。液体培地は、細胞がその生命プロセスに必要とする全ての化学物質を必
ず含んでおり、またその成長および/または複製を継続するために最適な環境条
件でなければならない。一般的に、代表的な微生物細胞培養プロセスは、微生物
群が回転する栄養培地中に懸濁されている連続撹拌タンクリアクター、又は、ガ
ス流動層リアクターが利用され得る。同様に、インビトロでの動物細胞培養も、
ローラーフラスコ中、又は表面付着要求精細胞には付着細胞上に栄養培地を含む
組織培養フラスコ中での集合体へ成長させた培養液での細胞の懸濁培養を使用で
きる。このように維持される生細胞は、次いで代謝により、栄養混合液に導入さ
れた先駆化学物質から、所望の生成物を産生する。所望の生成物は、液体培地か
ら精製されるかまたは、細胞そのものから抽出される。
【0005】 撹拌された懸濁水溶液中、又は、表面付着により成長した細胞の発酵法を使用
した方法の例としては、例えば、米国特許番号3,450,598;3,843
,454;4,059,485;4,166,768;4,178,209;4
,184,916;4,413,058および4,463,019に記載されて
いる。これらに関するさらなる試料および他のこのような伝統的な細胞培養技術
は、Kruse and Patterson, Tissue Culuture Methods and Applications, Acade
mic Press, New York, 1977およびCollins and Lyne, Microbiological Methods
, Butterworths, Boston, 1987などの標準的なテキストにも見い出し得る。
【0006】 このような典型的な発酵プロセスには、避けられない多数の欠点がある。商業
的規模では、このようなプロセスでは、最適な細胞生育力のために大量の水溶液
を適切な温度に維持するために、高価なエネルギー費用を要する。さらに、成長
する細胞群の代謝活性が引き起こす培養液中の栄養素の至適値の低下および培養
液中pHの変化により、プロセスを連続的にモニターし、栄養素濃度とpHを至
適値に維持するために添加を行わなければならない。さらに、好ましい細胞型に
至適な条件は、通常他の多くの好ましくない細胞および微生物の生育の至適条件
に近い。そのため、滅菌や、次いで好ましくない細胞型が培養培地に混入するこ
とのないように非常な注意と費用を費やす必要がある。さらに、このような発酵
方法、特に好気性微生物を使用するものでは、生物を代謝させるための適当な量
の溶存酸素を供給することができない結果、かなり頻繁に産物の収量が低いか、
または産物の発酵速度が小さくなる。最後に、このようなバッチまたは半バッチ
プロセスが操業できる時間には制限があり、発酵培地中に排泄される廃棄物が蓄
積すると、プロセスをシャットダウンしてシステムを清掃、再滅菌、再スタート
することが必要となる。
【0007】 このような培養に必要とされる大容量の水溶液栄養培地の準備、滅菌および温
度制御に関する高いコスト 好ましい細胞型または酵素をかなり小さな容量に固
定化でき、それをかなり少量の栄養培地が通過することができる数々のプロセス
の発展を導きだしてきた。
【0008】 細胞の固定によっても、細胞成長の有効密度がかなり大きく改善され、生産可
能細胞の生成物流排出への損失を大きく減少した。細胞または酵素固定の初期の
方法では、このような生体触媒は、デキストラン、ポリアクリルアミド、ナイロ
ン、ポリスチレン、アルギン酸カルシウム、または寒天ゲル構造上、または内部
に捕えられる。同様に、多くの動物細胞の球状重合体“マイクロキャリアービー
ズ”の外部表面に強固に付着する能力もまた、このような細胞の固定化に活用さ
れてきた。これらゲル、又は、ビーズ固定化法は、これらの構造物を相対的に低
流速のバイオリアクターチャンバーの低層で効果的に捕らえるトラップされるこ
とで生体触媒含有画分の密度を効果的に増加する。このようなゲルトラップ法、
又は、マイクロキャリアー固定化法は、例えば、米国特許番号3,717,55
1;4,036,693;4,148,689;4,189,534;4,20
3,801;4,237,033;4,237,218;4,266,032;
4,289,854;4,293,654;4,335,215および4,89
8,718で教授された。細胞の固定化技術に関するさらなる背景情報は、Chib
ata, et al., “Immobilized Cells in the Preparation of Fine Chemicals”,
Advance in Biotechnological Processes, Vol. I, A.R. Liss, Inc., New Yor
k, 1983に記述されている。マイクロキャリアー培養技術のさらなる背景情報に
ついては、Clark and Hirtenstein, Ann. N.Y. Acad. Sci. 369, 33-45 (1981)
も参照のこと。
【0009】 これらの固定方法には、多数の欠点がある。まず、このような細胞のゲル中へ
のトラップは、低細胞成長(酸素インプットの減少)又は細胞破壊(内部高二酸
化炭素圧)を引き起こすガス(特に酸素及び二酸化炭素)の細胞環境の内部又は
外部への拡散による干渉を示してきた。さらに、充填ベッドバイオリアクター内
の物理的特性が貧弱、高圧問題の原因となるゲルトラップ培地の許容できない高
圧縮率がある。同様に、マイクロキャリアビーズが押しつぶされる、およびかき
混ぜられるチャンバーバイオリアクター(ガス交換の増加が必要である)内の水
圧による剪断力(hydraulic shear forces)による付着細胞の破壊が生存率および
生産量低下の原因となる。
【0010】 現在使用されている別の生細胞または酵素を固定化する他の方法では、充填ベ
ッド式(paced bed)バイオリアクターを使用している。こういった方法では、遊
離の細胞またはマイクロキャリアビーズに結合させた細胞を培養バイオリアクタ
ー中の固体または半固体のマトリックス中に懸濁させる。マトリックスには、バ
イオリアクターへの液体栄養培地の輸送のための間隙通路、同様に液体培地およ
び生産化学物質の流出のための配置された通路、および同様に流入および流出ガ
スが流れ得る間隙通路がある。このような型のバイオリアクターは、建浴型、充
填カラム型および多孔性セラミックマトリックス型バイオリアクターがある。こ
のような方法は、例えば、米国特許番号4,203,801;4,220,72
5;4,279,753;4,391,912;4,442,206;4,53
7,869;4,693,983;4,833,083;4,898,718お
よび4,931,401で教授されている。これらの固定化方法はすべて、特に
生産サイズにスケールアップした際に多くの問題が生じる。
【0011】 第一に、かかるバイオリアクターは、濃度勾配を被っている。すなわち、入(
input)栄養素供給液に近接する生体触媒は、下流の基質よりも、より高い基質
おいて認められる。逆に、入液流からのより遠くの(および出液体出口により近
い)これらの生体触媒は、廃棄物(waste product)の濃度の増加を認め、pH
の変化および/あるいは溶存酸素圧力の低下等の事前の周辺条件を影響を受ける
。次に、かかるバイオリアクターは、特に、基質(matrix)から取り出された(
あるいは、細胞分裂(cell division)により放出された)生体触媒の「侵出(b
leeding)」の影響を受ける可能性があり、その結果、出口は、細胞および/あ
るいは堆積物により塞がれることになる。これにより、バイオリアクター全体に
許容できない圧力低下が生じるため、さらに生成物(production)の劣化が起こ
る。最後に、ガラスあるいは他のマイクロキャリアビーズが収容される(packed
)鉛直方向パックベッド(vertical packed-bed)のバイオリアクターは、上記
のビーズの重量で、ベッドの下部に当たっているので、不可避的な結果として、
ビーズおよび細胞の双方が剪断力および生産規模のカラムのために必要である数
多くのビーズにより、押しつぶされる。
【0012】 最近開発されたあるタイプの細胞固定化方法では、所望の細胞を二枚の合成膜
の間に閉じ込める。代表的には、一方の膜は細孔膜かつ親水性かつ水溶性栄養培
地に接しており、他方、対向する膜は、極多孔質(ultraporous)かつ疎水性か
つ空気あるいは酸素濃縮ガスの流れと接触している。こういったプロセスでは、
栄養素液の流入と廃棄液(waste liquid)の流出が細胞をいれるスペースと別の経
路を使用するという環境に細胞を置き、および、同様にガス流入および流出を、
これも細胞をいれるスペースと分離された同様の経路で提供するものである。
このタイプの方法の実施例(embodiments)は、多数の細胞画分を形成する多く
の平坦な膜の堆積、一方を他方の中に入れる一連の合成膜バッグ、螺旋状に巻か
れる膜構造が用いられてきた。かかる方法は、例えば、米国特許番号3,580,840
;3,843,454;3,941,662;3,948,732;4,225,671;4,225,671;4,661,455;4,74
8,124;4,764,471;4,839,292;4,895,806;4,937,196において、教授されてい
る。
【0013】 残念ながら、このような方法には、特に商業用にスケールアップした用途では
、多くの問題点がある。第一に、複数の膜が列状に堆積する、かかる装置は、製
造には極めて高コストであり、また、正しく組み立てるためには極度に困難であ
る。次に、栄養用チャンネルを固定された細胞から分離する膜が親水性でなけれ
ばならないという必要性のために、孔の全面の細胞の詰まってしまう(attachem
ent)、および/あるいは、この膜を濡らしてしまう栄養供給液あるいは廃棄流
出液の不溶物により孔が塞いでしまうといった結果をもたらす。この結果により
、「空きポケット(dead pocket)」の経時的な発達が起こり、このために、細
胞の生長が不可能になる。この状況のために、効果的な細胞濃縮が大きく減少し
、生成物収率が低くなる。最後に、これらの方法は、数多くの入口ポートと出口
ポートおよび外部施設を有する装置を含むため、コストと共に、漏れ(leakage
)や汚染が生じる可能性を実質的に増大させる。
【0014】 別のタイプの細胞固定化方法では、その壁に多数のマイクロ孔を有する中空の
毛細管ファイバー(通常は、多数の長いファイバ−の束の形状をとる)を使用す
る。具体的には、細胞をファイバー束をいれた閉鎖されたチャンバー内で培養す
る。栄養水溶液は毛細管の管内を自由に流れ、この液流の水圧により、毛細管外
の空間を流入口から開始する外向きで放射状の濃度勾配で栄養素液を満たす。同
様にこの水圧差により、「使用後」の培地が細胞チャンバーから外向き流となっ
て毛細管腔に戻り、ここで廃棄物が除去される。毛細管外の間隙の細胞は、溶液
中で自由にまたは、ファイバ−の毛細管の外側の壁に付着して増殖する。典型的
には、ポンプ機構を介して接続させた外部タンクにより、毛細管外の間隙の液体
部分に酸素が溶解される。毛細管内の廃棄産物は、細胞チャンバーの外部に循環
される液体中で逆浸透処理を行って除去することもできる。かかる方法は、例え
ば、米国特許番号3,821,087;3,883,393;3,997,396;4,087,327;4,184,922;4
,201,845;4,220,725;4,442,206;4,722,902;4,804,628;4,894,342において
、教授されている。中空毛細管ファイバ−による細胞固定化方法に基づく方法を
使用するには、多くの困難な問題点がある。
【0015】 Cracauer(米国特許番号4,804,628)らはこれらの問題点を広範に記載してい
る。これらの問題点には、(1)ファイバーアセンブリを介する過剰な圧力低下
(ファイバーの脆弱な性質のために、生産規模の長さのファイバーが必要な場合
、完全に壊れてしまう)、(2)細胞チャンバー内の逆化学的勾配の発生(栄養
および廃棄物の勾配がかかるチャンバー内で生じることが多い)、(3)細胞チ
ャンバー内で無酸素のポケットおよび離散性の不利な微環境の形成(液体、ガス
および細胞がその設計の結果としてファイバー束の全ての部分に届かないために
、細胞チャンバーの領域全てが同様に細胞生成において効果的ではない)、そし
て、(4)栄養供給における大量移入の限界あるいは時間と共に増加する生成物
インプットにおける限界(細胞が高密度で生長するに従い、細胞には、中空のフ
ァイバーチャンバーの収容力を自己限定する傾向がある(米国特許番号4,804,62
8、Col. 1、53〜66行を参照のこと))。
【0016】 生細胞の大量培養する別のタイプの方法は、流動床を使用するものがある。微
生物およびビーズ状固定動物細胞培養の両方において、優れた混合特性および大
量培養のかかるタイプの流体力学(fluid dynamics)を利用することが見いださ
れた。流動層ベッドリアクターベッド方法および特にエアーリフト発酵と呼ばれ
る変異体の主な欠点は、バイオリアクターを通じて、空気あるいは酸素泡が必要
であることからもたらされ、また、バイオレアクター容量全体に気体-液体接触
面が結果として生じることからもたらされる。第一に、流れる液体分離において
気体泡があると、流動床の主な利点(均一な粒子懸濁液)である流体力学が混乱
する。次に、タンパク質フォーミング、細胞破壊、栄養素や生産物の変性が広い
気体―液体接触面で生じる。最後に、連続操業において、特に、動物細胞培養に
おいて、細胞の流出はほとんど避けられない。
【0017】 細胞を大量培養するまた別のタイプの方法は、二軸連続流バイオリアクタープ
ロセッシングとして知られているものである。この方法は、例えば、米国特許出
願番号5,151,368;4,296,882;4,874,358において教示されている。このタイプ
のバイオリアクターでは、バイオリアクタの内容物を有効に内部混合するために
、垂直軸に直角の軸を中心とするバイオリアクターチャンバーの回転を使用する
一方で、垂直軸を中心とする回転は、回転の垂直軸からの放射距離に、雑に粒子
状とした物質を留めおく。インプット栄養素液体および気体は、中心可撓導管(
centric flexible conduit)により、バイオリアクターの中に供給され、インプ
ット液体および気体は、インプット管状材料(tubing)と同様の中心可撓導管に
より除去される。このタイプのバイオリアクターの意図する目的は、固体および
液体の結合が懸濁および混合されるバイオリアクターチャンバーにおいて、液体
を継続的に流入および流出することを可能にすることであるが、かかる手順は、
遠心力によって、かなりの程度の打ち消しが行われることなく(without apprec
iable negation)、効果的な混合が生じる回転速度に限定される。結果として、
このタイプの方法は、質量の小さい微生物、特に、気体状の栄養を要求し、気体
状の廃棄産物を産出する微生物の固定化には効果的ではない。他の同様な遠心性
液体プロセッシング機器は、米国特許番号4,113,173;4,114,802;4372484;4,4
25,112において開示されている。これら後者の参照文献それぞれでは、遠心分離
器チャンバーを介する液流は、回転軸を通じて延びる弾力管(flexible tubing
)により供給される。
【0018】 生細胞を大量培養する別のタイプの方法には、流動層バイオリアクターを使用
するものがある。流動層方法、特にエアーリフト発酵(airlift fermentor)と呼
ばれる方法の主な欠点は、リアクター中に空気または酸素泡を発生させる必要が
あり、結果としてリアクター容量全体に気体−液体接触面ができることになる。
気体泡があると、液体力学およびたんぱく質フォーミング(foaming)が破壊さ
れ、広い気体−液体接触面において、細胞破壊および栄養素や産物の変性が起こ
る。連続操業において、特に動物細胞培養においては、細胞の流出はまず避けら
れない。
【0019】 生細胞を大量培養するまた別のタイプの方法は、二軸連続流バイオリアクター
プロセッシングとして知られているものである。このタイプのバイオリアクター
においては、バイオリアクター内容物を有効に内部混合するために垂直軸に直角
の軸を中心とするリアクターチャンバーの回転を使用する一方、垂直軸を中心と
する回転により、回転の垂直軸からの放射距離に、粗に粒子状とした物質(matte
r)を止め置く。このタイプの方法は、質量の小さい微生物、特に気体状の栄養を
要求し、気体状の廃棄産物を産生する微生物の固定化には有効でない。
【0020】 「不均一遠心フィルムバイオリアクター」と呼ばれる好気性細胞の培養を目的
とした別のタイプのバイオリアクターが、米国特許番号5,248,613に教
授されている。この方法の目的は気相と接触する薄い液体フィルムを形成させる
ことにより、「最大量の気相の液相へのエントレインメント」を最大限にし、さ
らに遠心力で小さな液体のしずくを形成させ、これを比較的変動の少ない気相中
に落下させバルク液相に戻すことである。
【0021】 このタイプのバイオリアクターの設計に関しては、数多くの問題点がある。ま
ず最初に、それは、「バッチ(batch)」プロセスである。すなわち、栄養素液
体相は漸次的にその成分を枯渇させていく一方で、液体代謝廃棄物が形成され、
培養時間を限定することが必要となる。第二に、かかるバイオリアクターの寸法
は(酸素等の)栄養素気体の量により限定されるが、かかる栄養素気体は、様々
な液体―気体移動領域(gas-liquid transfer region)において、溶解する可能
性がある。この限界において、大気圧下で達成可能な最大の気体移動(gas tran
sfer)により、バイオリアクターシステムが運ぶことができる最大の細胞「量(
load)」が決定されることになる。次に、(二酸化炭素等の)廃棄気体を除去す
るための設備が全く欠如しているために、培養期間がより長く伸びた時、バルク
液体(bulk liquid)のpHと共に、細胞生産の破壊(disruption)が生じる。
最後に、細胞破壊表面張力(cell disrupting surface-tension)が最高であり
、好気性物質(aerobicity)が最も多く存在するために、栄養素の使用量が限ら
れている薄膜液体領域(thin film liquid region)を、高い流量で、動物細胞
が通過しなければならない場合、促進生産細胞ロス(accelerated productive c
ell loss)を回避できるという点は極めて疑わしい。
【0022】 生細胞の大量固定化の最後の方法は、「連続遠心バイオプロセッシング」と呼
ばれるもので、ヴァン・ウィー(Van Wie)ら米国特許番号4,939,087に
教示される。この方法ではその中へ、およびその中から液流がポンプで供給され
る、回転するバイオリアクターチャンバー内に、培養物を維持するために、細胞
は遠心力場中の速度勾配によって「捕捉」される。Van Wie et al.の発明が基づ
いている基本的な考えは、最初に、Lindahlによって、1948年に主張され(Linda
hl, P.E. (1948), Nature (London) 161, 648-649)、同年、米国特許がMacLeod
(米国特許番号2,616,619)に与えられた。近年において、Beckman Instruments
は、「向流遠心分離機(Counterflow Centrifugation)」と呼ばれる一般原理に
依拠する「遠心エラトリエーション(Centrifugal Elutriation)」と呼ばれる
分析機器を開発している。これらの機器が製造され、改良される際に基づいてい
る粒子および流体力学理論は、SandersonおよびBird(Sanderson, R.J. and Bir
d, K.E.(1977) Methods in Cell Biology, 15, 1-14)により、最も完全に論
じられている。図1に示されるように、基本的な概念は、その回転の結果として
粒子を回転するバイオリアクターチャンバー中し懸濁し、「遠心」力を粒子にか
けて、これにより通常は粒子をより長い遠心半径に移動させるというものである
。遠心力場と相反する反対力を与えるために、液流を回転チャンバーの外周部か
ら導入(そして短径から排出)し、この結果として粒子が液流中の特定の半径に
固定される。SandersonおよびBirdのこのプロセスの粒子および流体力学の数学
的分析の重要な性質は、図2に示されている。遠心分離理論についての理論的な
論考すべてが行っているのと同様に、SandersonおよびBirdの分析は、低いレノ
ルド数におけるストークの法則(Stoke's law)の適用、すなわち、非圧縮性流
体を通じて動く粒子の動きを支配する表式(方程式1)から始まる。簡単に述べ
ると、この法則が述べているところによれば、遠心性の領域の影響下において、
静止している液体を通じて動く非分割性(non-deformable)粒子の沈降速度(S
V)は、半径rの回転システムの角速度(ω2r)の二乗と、以下の数式、すな
わち、粒子濃度、液体の粘度(η)の積で割った液体濃度(ρπ−ρμ)、粒子
の「形状定数(shape constant)」(その球形度からの差)の差と、粒子の有効
直径(effective diameter)(d)の二乗の積と、の積に比例する。Lindahlに
より、最初に認識されたように、同様の等式は、運動している流体の流れにおい
て静止している粒子にも当てはまる。SandersonおよびBirdの分析によって、等
式2の展開が導かれる。すなわち、この式は、「遠心領域において、速度(V)
である液体の流れにおいて、粒子が固定される半径rx(方程式2の評価により
定義される)が存在する(方程式のパラメーターは、(ρπ−ρμ)が(ρз)
により置換される)」ことを示している。これらの論者はさらに、粒子の正味運
動に対するコリオリの力の寄与は、それが正接面に限られているために、無視す
ることができると結論づけている。
【0023】 サンダーソン及びバード(Sanderson and Bird)、およびベッグマンインストゥ
ルメンツ(Beckman Instruments)の開発陣が行ったように、遠心分離に応用する
と、この理論を、大きさおよび/または密度の異なる細胞の分離に短期的に使用
することができる。残念ながら、この理論の理論上の根拠が正しくないために、
長期間の細胞または生体触媒の固定化には全く応用できない(米国特許番号49
39087に含有されるように)。図3に示されるように、特に長期間にわたり
粒子を固定化する場合(発酵の場合など)に考慮しなければならない、懸濁粒子
に作用する別の力が存在する。このさらなる力は粒子質量によるものである。微
生物や動物細胞の重量は非常に軽いがゼロではなく、結果として重力が微粒子に
作用し、時間が長くなるほどその作用は大きくなる。これは、図4にさらにグラ
フで示される。このグラフに示されるように、派生(derivation)において粒子質
量にかかる重力の影響を考慮することを無視しているため、流れる液体中におい
て、粒子が負荷される遠心場中の放射半径のどの位置に固定化されるかを簡単に
説明できない。この「理論からの逸脱」の結果は、遠心分離(centrifugal elutr
iation)実験において明らかで、実験ではより長い分離時間が必要で、図5にグ
ラフを示す。懸濁された粒子の重量(図5の生体触媒固定化チャンバーの円形断
面図中において、黒丸で示される) のため、より長い時間をかけて、当初チャン
バー内にこれらの粒子を懸濁させていた力のバランスが崩れて、これらの粒子は
生体触媒固定化チャンバーの最下部に位置するようになる。さらに、個々の粒子
と実際同じ密度のこれらの粒子によるさらに大きな粒子の「凝集体」が、より強
い遠心作用を作りだし、これにより、凝集体がより長い半径を移動して、最終的
に液体注入口を詰まらせることになる。
【0024】 「連続遠心バイオプロセッシング」技術には、さらにいくつかの欠点があるこ
とが、米国特許番号4,939,087に教授されている。まず第一に、この方
法は、その設計(時計仕掛けのようなギア集合体および弾力的な可動流入・流出
路チューブ)により低速度操業に厳しく制限されている。このことは、この方法
が培養に十分な栄養のための必要とされる液体流量は、「遠心」力中和するため
の装置により許容されているよりも、かなり過度の回転数を必要とする低密度微
生物培養および高密度細胞のラージスケール培養に使用できない。つぎに、気体
空気/二酸化炭素がバイオリアクターチャンバー(液体供給流入および流出路の
同様な弾力性チューブと接触しているガス浸透性弾力性チューブ)に導入される
方法は、非常に迅速に、細胞生存を支持する要求されるエアレーションは弾力性
チューブの物理的圧力および拡散の限度に制限されるため、装置のスケールをか
なり制限する。最後に、Van Wie, et alの装置は、細胞の代謝の結果として生じ
る、例えば、二酸化炭素の精力的な除気のための装置をつくらない。代謝産物ガ
スは、(1)ガス浸透チューブと接触する液体表面積により制限される生存のた
めに必要な流入ガス交換をかなり不通にさせる、(2)装置へまたは装置からの
英気体の流れために必要なポンプ機構の効果的な機能をかなり制限する、(3)
効果的なバイオリアクター値の減少および泡エントレインメントによる細胞ロス
という結果を共なう水平に回転するバイオリアクターチャンバーの上部の一部に
ガスポケットが成長という結果となる、(4)重大なローターのバランスの問題
という結果となる。
【0025】 従来技術は、細胞の固定化が培養液中の生細胞の生産性を向上させる非常に望
ましい方法である一方、それぞれのタイプの方法には多数の欠点が伴うことを示
している。このような培養方法全ての中心的問題は、Wrasidlo et al. (米国特
許番号4,937,196)が明らかにしているように、“培養細胞への適切な
酸素供給で、さらに効率的で経済的な設計開発をおこなうにあたり、二酸化炭素
の除去が制限的要因となっている。”(米国特許番号4,937,196、段1
63−65行参照) 生細胞または生体触媒による細胞下成分は、気体状の酸素を全く利用できない
。生細胞または生体触媒は、粒子を取り囲む培地水溶液中に溶存する酸素のみを
利用することができる。微生物生産において一般的なバッチ発酵では、空気また
は高酸素濃度の気体を栄養培地水溶液中に吹きつけるのは、代謝する細胞によっ
て消費された溶存酸素を置換する目的でおこなわれる。この方法では、気体の大
半は未利用のまま出ていく一方で、溶存酸素レベルはある値に維持される。同様
に、動物細胞培養に使用するに先立って空気(または酸素)を栄養培地に吹きつ
けるのは、培地中の溶存酸素濃度を一定値に維持するためである。水中の通常の
酸素濃度は、約0.2から0.3mMの範囲にあるが(pHやイオン強度などの
要因で変動する)、水溶液に約2気圧の酸素圧をかけることにより、この濃度を
0.5mMまでも高くすることができる。
【0026】 発酵培地中において適切な酸素濃度を維持するために、大半の従来技術では、
(1)極めて小さい大きさの泡を作成(sparging pore sizeの関数)、(2)液
相に入ってくる酸素の率を増大するために高速振とうを使用、または(3)培養
培地上に1または2気圧の気体の過圧を使用して溶存酸素濃度を増大させること
により、気体と液体の接触を増大することに注目してきた。動物細胞培養の場合
、動物培養細胞チャンバーの典型的なデザインでは、これまで、1気圧の分圧よ
りも大きい過圧の使用を考えることが困難であった。このように、酸素濃度を増
大させるための最も一般的な方法は、溶存酸素濃度を維持するために、栄養液流
と接触する気体透過性膜またはファイバ−を使用している。このような方法は、
例えば、米国特許番号3,968,035;4,001,090;4,169,
010;4,774,187;4,837,390;4,833,089および
4,897,359が教授されている。
【0027】 栄養培地中の溶存酸素の濃度を増大させるためのこれらの方法には、多くの問
題点が伴う。まず、最大の問題点は、これらの方法ほぼすべてにおいて、細胞培
養プロセスの他の成分が一般に損なわれやすい特性のために、溶存酸素濃度を大
気圧で得られる値以上にすることが不可能である。次に、酸素溶解率を増大させ
るために液体−気体混合物を激しく振とうする方法は、非常に破損しやすく水の
せん断力で簡単に損傷を受ける動物細胞には適用できない。最後に、培養培地上
の気体に過圧をかけて溶存酸素濃度を増大させる方法は、すぐに、細胞収穫物ま
たは生産物を単離するために培養細胞を破壊することなく細胞の入った液体培地
を扱うことができなくなるために、約1から2気圧の過圧までの大きさにしかス
ケールアップすることができない。しかし、上記それぞれの方法の教授は、個々
に検討するに値する。
【0028】 米国特許番号4,897,359(Oakleyらに対して認可)は、細胞培養容器
中にその後導入するための動物細胞培養培地への酸素供給法を開示しており、こ
の方法では、酸素化された気体を、不特定の圧力で、酸素供給する対象の液体培
地がその周囲に存在する複数の気体透過性チューブに通す。インプット気体の圧
力は大気圧よりも高くなり得るが、酸化排出液(oxygenated exit liquid)の圧
力は大気圧未満でなければならない。酸化排出液が大気圧よりも高い場合、培地
が典型的な細胞培養管(cell culture vessel)に導入される際に、液体培地の
放出が生じるであろう。かかる放出によってもまた、培地内の気泡形成が生じる
が、気泡形成は、動物細胞生存(animal cell viability)にとって、極度に有
毒である。Oakleyらの発明の方法は細胞培養培地に、大気圧で得られる最大溶存
酸素濃度があることを確認するにおいてのみ有用である。
【0029】 米国特許番号4,837,390(Reneauに対して認可)は、生活器官(後続の移植用
(subsequent transplant))の保存の方法を開示しているが、そこでは、高圧
状況(2〜15バールあるいは29〜21Bポンド/平方インチ(psi))が
維持されている。Reneauの方法において、生活器官は圧力に耐えうるチャンバー
内に配置され、灌流液体含有栄養素はチャンバーにおいてポンプによって流入お
よび流出される一方、気体酸素過剰圧力(gaseous oxygen overpressure)もま
たチャンバーに加えられる。この方法では、細胞培地あるいは発酵は論じられて
いない。
【0030】 米国特許番号4,883,089は細胞培養方法を開示しているが、ここにおいて、酸
素あるいは空気の気体過剰圧力は細胞が培養されている攪拌液体培地全体に加え
られる。この方法において、装置(蠕動ポンプ、可撓低圧ポンプ管、低圧フィル
ター装置を含む)の限界圧力のために、この方法は、0.3〜0.7kg/cm
2(約4.3〜10psi)の過剰圧力に限定される。したがって、細胞をバッ
チするために用いられる培地中の溶存酸素の濃度は、大気圧で得ることができる
値よりも、僅かに大きな値だけに限られてしまう(Col.4, line 15-17)。
【0031】 米国特許番号4,774,187(Lehmannに対して認可)は、微生物細胞の培養のため
の方法を開示しているが、ここでは、気体過剰圧力が細胞が培養される攪拌液体
培地全体に加えられる。この方法において、気体過剰圧力により、減圧および細
胞の破壊をせずに、培養区画の内側に到達することが不可能になる。Lehmanは、
このオーバーフローラインの液体圧力が気体過剰圧力に等しくなるような高さに
、培地含有バイオリアクターからのオーバーフローラインを上昇することにより
、この問題を克服している。オーバーフローラインに連結されるサイフォン(上
昇されたオーバーフローライン管に起点がある)を設置することにより、チャン
バーを減圧することなく、培養チャンバーから液体あるいは細胞を引き離すこと
ができる。典型的な培養培地は、本質的には、水溶液であるために、システム圧
力は、システム圧力のバランスをとる水柱の高さに制限される。したがって、例
えば、37psi(ゲージ)で、約50フィートの高さである水柱が必要となる
であろう。このように、実践という視点に立つと、Lehmannの方法では、得るこ
とができる溶存酸素レベルは、1〜2気圧の過剰圧力に限定される。
【0032】 米国特許番号4,169,010(Marwillに対して認可)は、単一の細胞タンパク質の
発酵中の、改良された酸素活用方法が開示されているが、ここでは、生長細胞を
含有するバイオリアクターにおける攪拌栄養素液に対して気体過剰圧力が用いら
れ、生長細胞への酸素放出が増加される。この方法において、バイオリアクター
内容物の遠心分離により得られる細胞不在培地(低発酵)の再利用物(recircul
ation)は、気体接触領域(gas contacting zone)を有する吸収部分を通り、バ
イオリアクターに戻される。気体過剰圧力は、圧力の放出を防いだり、あるいは
、所望の溶存酸素検知器セットに応えて、気体を排出したりする気体圧力調整装
置により、維持される。この特許は、約0.1〜100気圧(約16.2〜14
85psi)の過剰圧力を開示している(米国特許番号4,169,010、Col. 7, lin
e 28-30)。Marwilは、1〜2気圧の最高所望気体過剰圧力(maximum desirable
gaseous overpressure)が好ましいと述べている。
【0033】 恐らく、Marwilの方法において、1〜2気圧の最高所望気体過剰圧力が好まし
く、それを超えることが難しい理由は、代謝細胞もまた二酸化炭素を放出すると
いう事実、また、細胞の生存を維持すべき場合、代謝産物は、気体放出により、
栄養素培地から除去されなければならないという事実によるものである。溶存酸
素内容物を増加するために用いられる1〜2気圧以上の気体過剰圧力により、気
体過剰圧力が放出されるまで、除去不能の栄養素培地内に保持されている極めて
大きな溶存二酸化炭素レベルが必然的に生じることになるだろう。留意したいの
は、水溶液に溶解しやすい二酸化炭素は、概算でも、酸素の量よりも大きな量で
あるということである。溶存二酸化炭素を培地から除去できない一方で、依然と
して、培地に増加する酸素を放出することにより、水のpHが望ましくないほど
低下する。pHのこの低下は、Marwilの方法の深刻な問題である。更に、Marwil
の方法は、細胞の継続的な産出のためだけに設計されている。この方法は、分泌
される細胞産物化学製品を含む可能性のある、水溶液の継続的な産出に適用する
ことができない。
【0034】 米国特許番号4,001,090(Kalinaに対して認可)は、Marwilについての上記の
概要と極めて類似している改良された酸素活用のプロセスを組み込む微生物の細
胞培養の方法を開示している(米国特許番号4,169,010)。Kalinaの方法は、Mar
wilの方法との関係で先に言及した二酸化炭素除去の問題に直接的に向けられて
いる。この問題は、発酵サーキット(fermentor circuit)に、気体―液体セパ
レーターを入れることにより、無くなる。Kalinaの方法において、気圧よりも大
きい指定されない圧力の酸化気体は、発酵チャンバーの底部に放出される(一般
的なスパージング)。しかしながら、背圧装置により、培地は、3〜3.5気圧
(44.1〜51.5psi)の大きさの過剰圧力に維持され、培地再利用のた
めの原動力をもたらすと共に、発酵領域に対して遠位の過剰な気体の除去を補助
する(Col.4. Line 35-37)。Kalinaのプロセスは、培地の攪拌のための気体気
泡の存在に大きく依存し、微生物細胞発酵において用いるためだけには適してい
る。動物細胞は、水圧による剪断力に極度に敏感であり、気体気泡含有培地にお
いて遭遇するような空気―水接地面と接触することにより、損傷あるいは破壊さ
れてしまうために、この方法は、動物細胞培養に適用することはできないであろ
う。
【0035】 米国特許番号3,968,035(Howeに認可)は、微生物発酵培地酸素を含
んだガスを発酵培地に普通の散布が、このガスを高剪断力撹拌がガス泡の平均の
大きさを小さくするために使用されているため、ガス−液体接触平均表面積が増
加し、結果として最大溶存酸素濃度が保たれる「オキシデーター」管に導入する
ことに変更される「スーパーオキシダイゼーション」のための方法を開示してい
る。同じ起源からの枯渇した培地が「オキシデーター」管への流入へ供給される
一方、処理された発酵培地が、発酵リアクターに汲み入れられる。Howeの方法は
、したがって、液体と酸素豊富な気体混合物の組み合わせを培養チャンバーに供
給する;この状態は以前記載された理由により動物細胞培養への応用はできない
【0036】 最後に、細胞または微生物の固定化は、細胞密封チャンバーがプロセスシステ
ムの一部であることが要求されるため、比較のために細胞密封チャンバーに関す
る最近の文献を調査した。多数の細胞培養チャンバーが存在した。これらのチャ
ンバーの多くは液流の流入および流出口を備え、幾つかは観察ポートを有し、全
てのチャンバーには、その上に細胞が付着できる表面、またはその中で懸濁され
た細胞を培養するチャンバーがあった。このような方法は、例えば、米国特許番
号3,871,961;3,753,731;3,865,695;3,928
,142;4,195,131;4,308,351;4,546,085;4
,667,504;4,734,372;4,851,354および4,908
,319に教授されている。いずれの場合も、これらの「密封チャンバー」の運
転圧力は1気圧(またはそれ以下)で、これらのチャンバーは高い溶存酸素濃度
が望まれるプロセスには不適当で、必然的に大気圧で得られる溶存酸素濃度値に
限定される。
【0037】 現在の最先端技術は微生物、動物細胞、またはその細胞下成分の大量培養の経
済的な利用を困難にする次の三つのそれぞれに関連した問題点を明らかにしてい
る。まず、細胞固定化に関する従来技術の全てより明らかなように、多くの研究
の焦点は、細胞培養の密度を増大させることであった。生物学的生成物の経済的
な生産は、所望の細胞型の大きな凝集体を有効に培養する能力に直接関連するこ
とは明らかである。残念ながら、細胞培養密度の増大に向けての探究は、二つの
二次的な問題を引き起こすに至った。高密度の細胞凝集体への適当な栄養供給が
できないこと、および高密度好気性細胞集団への適切な酸素供給ができないこと
である。細胞密度の増大に伴い、適切な液体栄養を凝集体へ供給する唯一の方法
は液流量の増大で、これは従来技術における全ての場合において、最終的に固定
化方法の全体的な規模を制限する。同様に、細胞密度の増大に伴い、適切な溶存
酸素(または他の気体)の細胞凝集体への供給ができないことは、さらに重要な
制限要因で、培養の規模を大きく低下させるものである。
【0038】 このように、連続的に培養、供給を行い、および生化学的生成物を、微生物ま
たは真核細胞またはその細胞下成分から、これらの生体触媒の高密度の凝集体を
生きたまま維持しながら抽出する装置および方法が、依然必要とされている。さ
らに、様々な栄養、生長、および生殖パラメーターと細胞生存性および生産性に
与える作用との関係をより正確に把握するためのこれらパラメータの研究材料と
なるサンプル生体触媒集団を確実に固定化する方法も必要とされる。
【0039】 [発明の概要] 本発明は、遠心場内に設置されたバイオリアクターチャンバー内に生きている
細胞または細胞下生体触媒が固定されるとともに、栄養液が、液体と接触するい
かなる気相をも伴わずに、前記バイオリアクターチャンバーに流入およびこれか
ら流出する、新規な培養方法および装置を含むものである。細胞または生体触媒
は三次元粒子配列となるように整列し、その密度は粒子サイズ、形状、内部密度
により、および液体の流量および回転の角速度などの簡単に制御できるパラメー
ターの組み合わせの選択により決まる。
【0040】 本発明によれば、細胞または生体触媒をある容量のバイオリアクターチャンバ
ー内に閉じ込めることができる。このバイオリアクターチャンバーを出入りする
のは、液体(溶存気体を含んでいてもよい)のみである。バイオリアクターチャ
ンバー内の細胞または触媒の三次元配列内に栄養液が流れるようにするために、
正の変位ポンプを使用して正の水圧によりバイオリアクターチャンバー内で栄養
液を移動させる。閉じ込められた細胞または生体触媒は水圧の変化が頻繁でない
かぎり、この水圧上昇の影響をうけない。このように、プロセスが実行されてい
る間中、新鮮で最適な液体栄養培地が閉じ込められた細胞または生体触媒に常時
供給される一方、所望の細胞生産物をバイオリアクターチャンバーのアウトプッ
トからすぐに回収できる。
【0041】 本発明は、バクテリア、酵母、真菌および真核細胞のような生体触媒、ミトコ
ンドリアなどのような細胞下小器官、または固定化酵素複合体から、工業用化学
品あるいは医薬品を高収率で生産するために、使用されうる。これらの細胞およ
び細胞構成物は、天然のものでも、所望の生成物を生産するように遺伝子操作さ
れたものでもよい。本発明は、以下の二種類の態様のいずれかにおいて使用でき
る。(1)定められたバイオリアクターベッド容積を維持するために、栄養制限
を使用する態様。この態様は、所望の生成物が固定化生体触媒から放出され、液
体の流れにともなって、バイオリアクターから排出されるような培養に適用され
る。(2)過剰の栄養インプットを行い、バイオリアクターの容積制限の過剰成
長を起こす態様。この態様は、細胞内生成物を含有する成熟細胞の連続生産およ
びアウトフローに有用である。
【0042】 また、本発明を用いて、排気ガス、排出ガスおよび大気供給源(以下ガス源と
する)からガスを除去することもできる。本発明の1つの実施形態は、次に本発
明の装置内に配置されるバイオフィルムの形成により固体支持体上に固定化され
た微生物を用いる。硫黄含有および窒素含有成分を、ガス源から除去する。次に
上記ガス源を、強塩基に溶解するかまたは、分離、圧縮および固定化する。得ら
れた水性溶液を、ポンプにより、密閉されたチャンバー中に圧送する。微生物は
、除去されるべきガス、例えば二酸化炭素を捕集する。随意に、二酸化炭素を有
する微生物を捕集し、乾燥し、燃料として再使用することができる。
【0043】 本発明を用いて、基板上の微生物集団の作用により金属を有効に分離すること
ができる。本発明の1つの実施形態において、微生物は、固体支持体に、好まし
くは均質または不均質バイオフィルムを介して付着する。本発明において、固体
支持体を、本発明の装置内に配置する。好ましくは、上記固体支持体はまた、例
えば黄鉄鋼、FeS2に対して作用するべき基板である。代謝の間、金属が放出
される。例えば、FeS2が代謝される際に、汚染物、例えば金が放出される。
鉱石の一定のスラリーが、チャンバー中に供給されて、劣化または作用を受ける
基板/表面物質を補充する。上記金属は、チャンバーから容易に回収される。
【0044】 このように、本発明の目的は、生体触媒をバイオリアクターチャンバー内に固
定し、該バイオリアクターチャンバー内に栄養液を供給し、所望の代謝産物を含
有する流出液がバイオリアクターチャンバーから流出する方法と装置を提供する
ことにある。
【0045】 本発明のさらなる目的は、生細胞集団を含む生体触媒を固定化し、好気性また
は嫌気性発酵を行って、液状栄養および基質栄養を、生成物を含有するアウトプ
ット液流に変換する方法、および装置を提供することである。
【0046】 本発明のさらなる目的は、バクテリア細胞集団を固定化し発酵を行って、液状
栄養および基質培地を、生成物を含有するアウトプット液流に変換する方法およ
び装置を提供することである。
【0047】 本発明のさらなる目的は、真菌の細胞集団を固定化し発酵を行って、液状栄養
および基質栄養を、生成物を含有するアウトプット液流に変換する方法および装
置を提供することである。
【0048】 本発明のさらなる目的は、酵母の細胞集団を固定化し発酵を行って、液状栄養
および基質栄養を、生成物を含有するアウトプット液流に変換する方法および装
置を提供することである。
【0049】 本発明のさらなる目的は、動物の真核細胞集団を固定化し発酵を行って、液状
栄養および基質栄養を、生成物を含有するアウトプット液流に変換する方法およ
び装置を提供することである。
【0050】 本発明のさらなる目的は、植物の真核細胞、原核細胞集団を固定化し発酵を行
って、液状栄養および基質栄養を、生成物を含有するアウトプット液流に変換す
る方法および装置を提供することである。
【0051】 本発明のさらなる目的は、固体支持体上に固定化された酵素または酵素系、固
体支持体上に固定化された触媒、または固体支持体上に固定化された細胞または
細胞成分を固定化し、触媒による化学変換を効率的に行い、その液状基質栄養素
を、生成物を含有するアウトプット液流に変換する方法および装置を提供するこ
とである。
【0052】 本発明の他の目的は、バイオリアクターチャンバー内に向かって流れる栄養液
中の溶存酸素(または他の溶存気体)の濃度を、供給する水圧に従い所望の値に
まで上昇させる方法および装置を提供することである。
【0053】 本発明の他の目的は、バイオリアクターチャンバー内に向かって流れる栄養イ
ンプット液体中の栄養気体基質(例えば酸素)またはアウトプット液流中の排出
された呼吸ガス(例えば二酸化炭素)を、液体と気体の分離が望まれるまで、一
般にはバイオリアクターチャンバーのずっと下流まで、溶存した状態に維持する
方法および装置を提供することである。
【0054】 本発明の他の目的は、所望の生成物への入手可能な化学基質の変換を一連の段
階的な生体触媒の媒介される変換により行うことができ、各々の化学変換段階が
液流中に直列または並列に挿入される一連のバイオリアクターチャンバーの一つ
によりもたらされる方法および装置を提供することである。
【0055】 本発明の他の目的は、大きな変化なしにあらゆる種類の細胞に適用することの
できる、細胞培養または発酵のための非特異的で一般的な方法および装置を提供
することである。
【0056】 本発明のさらに他の目的は、生体触媒をバイオリアクターチャンバー内に固定
化し、毒性の化学物質を含有する培地をバイオリアクターチャンバーに供給して
バイオリアクターチャンバー内の生体触媒が毒性化学物質を中和することにより
、環境に優しい生成物に変換する方法および装置を提供することである。
【0057】 本発明の他の目的は、生産資本および労力コスト、および製造設備の両方を大
幅に削減する、細胞培養、または発酵のための方法および装置を提供することで
ある。
【0058】 本発明の他の目的は、日和見生物による汚染を受けることが非常に少ない細胞
培養、または発酵のための方法および装置を提供することである。
【0059】 本発明の他の目的は、所望の生体触媒を浸す液体環境が、基本的には時間によ
って変化しない、すなわち、pH、イオン強度、栄養素濃度、廃棄物濃度または
温度が生体触媒の環境において時間の関数として変化しない、細胞培養または発
酵のための方法および装置を提供することである。
【0060】 本発明の他の目的は、連続した発酵または細胞培養の方法を提供することであ
る。
【0061】 本発明の他の目的は、増殖、成長または生成物生成のサイクルが、投入される
栄養供給組成を変化させることにより簡単に完了することができる、細胞培養ま
たは発酵のための方法および装置を提供することである。
【0062】 本発明の他の目的は、固定化された微生物または細胞タイプの寿命期間にわた
って継続することのできる、細胞培養または発酵のための方法および装置を提供
することである。
【0063】 本発明の他の目的は、生体触媒から得られる生成物の収量を有意に増大する条
件下における生体触媒の培養方法および装置を提供することである。
【0064】 本発明の他の目的は、培養プロセスの変換効率(基質から生成物への)を増大
する細胞培養または発酵のための方法および装置を提供することである。
【0065】 本発明の他の目的は、培養プロセスをサポートするのに必要な水性培地の加熱
および冷却のコストを大きく削減する、細胞培養または発酵のための方法および
装置を提供することである。
【0066】 本発明の他の目的は、微生物発酵で得られる抗生物質などの生成物の収量をよ
り高くするような細胞培養または発酵のための方法および装置を提供することで
ある。
【0067】 本発明の他の目的は、微生物発酵で得られる酵素や他のタンパク質などの生成
物の収量をより高くするような細胞培養または発酵のための方法および装置を提
供することである。
【0068】 本発明の他の目的は、微生物発酵で得られるエタノールや他の短鎖アルコール
および酸などの生成物の収量をより高くするような細胞培養または発酵のための
方法および装置を提供することである。
【0069】 本発明の他の目的は、遺伝子的に形質転換された微生物から得られるタンパク
質ホルモンなどの生成物の収量をより高くするような細胞培養または発酵のため
の方法および装置を提供することである。
【0070】 本発明の他の目的は、真核細胞から得られるタンパク質ホルモンなどの生成物
の収量をより高くするような細胞培養または発酵のための方法および装置を提供
することである。
【0071】 本発明の他の目的は、微生物発酵で得られるアミノ酸、窒素性塩基(nitrogeno
us bases)またはアルカロイドなどの生成物の収量をより高くするような細胞培
養または発酵のための方法および装置を提供することである。
【0072】 本発明の他の目的は、糖を含有する農業材料の酵母発酵で得られる燃料用エタ
ノールなどの生成物の収量をより高くするような細胞培養または発酵のための方
法および装置を提供することである。
【0073】 本発明の他の目的は、ビールやワインなどのアルコール飲料の製造で要求され
る発酵時間を短縮する方法および装置を提供することである。
【0074】 本発明の他の目的は、商業的に使用できる細胞培養または発酵のために簡単に
スケールアップできる方法および装置を提供することである。
【0075】 本発明の他の目的は、ガスを除去するための方法および装置を提供することで
ある。
【0076】 本発明の他の目的は、鉱石中に存在する金属を効率的に分離するための方法お
よび装置を提供することである。
【0077】 本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および長所は、下記の開示された実施
形態の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を検討することにより、明らかな
ものとなる。
【0078】 [発明の詳細な説明] 本固定化ならびに培養プロセスの開発は、その発端を4つの異なる知識分野に
置いている。プロセス全体の機能は、その適切な機能についての4つの分野全て
の情報の使用によって決まる。その分野とは、(1)ストークスの法則および向
流式遠心法の理論、(2)流速と遠心場強度の幾何学的関係、(3)ヘンリーの
気体の法則、および(4)単細胞生物および多細胞生物、およびその細胞性また
は細胞下の成分に対する水圧の作用である。
【0079】 本発明のプロセスの主な目的は、粒子(細胞、細胞下の構成物、または凝集し
た生体触媒)の三次元配列の固定化、およびこれらにその生存力と生産力を最大
とする溶存気体を含有する液体環境を提供することにある。このような細胞には
、原核細胞、細菌、またはラン藻細胞、植物細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細
胞、爬虫類細胞および哺乳動物細胞などの真核細胞が含まれるが、これに限定さ
れるものではない。該生体触媒には、細胞下の成分、酵素複合体、および/また
は固体支持体に固定化された酵素複合体があるが、これに限定されるものではな
い。
【0080】 本発明の溶存気体には、空気、O2、NH3、NO2、Ar、He、N2およびH 2 またはこれらの混合物のいずれもが含まれるが、これに限定されるものではな
い。
【0081】 本方法は粒子の配列を固定化するという、新規に改良された様式の「向流式遠
心法」を利用している。固定化粒子には重力も作用するが、その重力の影響に対
する措置と組み合わせてストークスの法則を適切に適用することによって、その
ような粒子の高密度配列の相対的固定化を可能にする数学的関係が得られる。図
3ないし図5に図示されている上記の重力の影響は、図6に示されているように
回転軸線の選択を変更することによって排除することができる。生物遠心法では
最も一般的である垂直軸線(z)回りの回転に代えて水平軸線(y)回りの回転
を選択した場合、固定化粒子に対する重力の影響は、常にx−z平面上だけの作
用に限定されるであろう。この平面は、遠心力および液体の流れに関連する力の
両方が作用を限定されている平面と同じ平面であるので、回転サイクル中のいず
れかの点における拘束粒子の運動も、それに作用する3種類の合力の結果による
ものである。
【0082】 x−z平面を示す図7の挿入図Aに示されているように、半径方向の遠心場(
c)内で浮遊している粒子であって、内向きに流れる液体によって、まったく
同じ大きさであるが向きが逆の力(Fb)を受けている粒子の位置に対する重力
(Fg)の影響は、等式1〜4の値を求めることによって計算される。ここで、
(k)は(a)に等しいロータ位置の回転中に重力によって加えられるx−z平
面上での下向き変位量を表している。[2π×(k/a)]<R(低質量粒子)
の場合にこれらの条件下での粒子の運動を分析すると、その運動が周期的である
という結論に達する。すなわち、(平衡に達した後)粒子運動は360度、1回
転した後にそれの始点に戻る。図7に示されているように、遠心力と流れに関連
する力が逆向きであるが等しいことから、他の方法で固定化されているはずの粒
子においては、その運動に対する重力の影響のため、象限IおよびIIでの半径
方向位置が減少し、象限IIIおよびIVで半径方向に全く等しく長くなる。こ
のため、粒子の回転軸線からの半径方向距離も、360度、1回転する間に周期
運動する。数学的には、運動の周期数の測定には、測定を90度または180度
で開始する場合は1回転必要なだけであるが、測定を0度または180度で開始
する場合では2回転必要であり、それは、後者の場合には元のものとは異なった
新しい平衡半径方向距離が生じるからである。
【0083】 1回転サイクル中の粒子の有効運動が、図8の挿入図に示されている。粒子が
浮遊している容器の側部に番号1および2(図8の丸で囲んだ番号)を付けると
、1回転サイクル中の粒子の運動は、粒子容器の「前縁部」側へ中心が変位した
円を描く。このため、遠心場にこれと等しい液体流動場が対向しているような遠
心場内に浮遊している粒子は、その移動中に半径方向の力の釣合いを維持できる
ならば、周期運動に限定される(このため、効果的に固定化される)。
【0084】 これらの理論的要件を考慮に入れながら、次に図2にグラフ表示されているサ
ンダーソンおよびバードの仮説に戻る。補正したグラフが図9に示されており、
この場合の回転軸線は(y)軸である。これらの条件下において、サンダーソン
およびバードの仮説を、ここで言い換えれば、粒子の長期固定化に応用すること
ができる。ここでは、図9の等式3が適用される。重力場の存在下においても内
向きの液体流と正確に対向する遠心場において粒子が相対的に固定化される位置
を表す数値が等式3から得られる、z軸からの半径方向距離(rz)がある。さ
らに、粒子の大きさ、形状および密度が均一で、液体流も均等であるという条件
でストークスの法則(等式1)を簡略化すると、等式2が得られ、それから、粒
子の沈降速度(SV)が適用される遠心場の簡単な一次関数であることがわかる
。同様に、等式3を同じ条件で書き直すと、等式4が得られ、この式では液体速
度(等式3のV)が液体流速(FV)に置き換えられている。等式4から、定数
(C)の数値に対応させることができる液体流速および適用遠心場の連続体があ
り、そのすべてが相対粒子固定化の要件を満足させることがわかる。さらに、液
体流速を(z)の関数として変化させることができる場合、各半径方向距離にお
いて、この等式を個別に適用することができるであろう。回転軸線から単一の半
径方向距離における二次元粒子配列の固定化の場合と異なって、三次元粒子配列
の相対固定化には、等式4の含意を考慮することが重要である。
【0085】 粒子が入っている生体触媒固定化チャンバーが(図10に図形表示されている
ような)円筒形であって、液体がこのチャンバー内へ回転軸線から最も離れた端
部から流入する場合、この液体流の(図10の等式1で定められる)流速は、粒
子層が存在しないすべての点で単一の値を取ることは明らかである。その結果、
二次元粒子配列が、等式2(但し、CFは遠心場の強さで、FVは液体流速であ
る)に示されているように、特定の半径方向距離(A1)で位置的平衡状態にな
る場合、A1より大きいか、またはそれより小さい半径方向距離の位置を取るよ
うに強いられた粒子、例えば図10のA2またはA3の粒子では、必然的に拘束力
が不均一になり、その結果、粒子の正味の平行移動が生じる。このため、A1
りも長い半径方向距離であるA2の位置の粒子は、A1のものよりも大きい遠心力
を受けるので、必然的に移動する半径方向距離が大きくなる(等式3)。反対に
、A3の位置の粒子は、小さい遠心力を受けるので、移動する半径方向距離が小
さくなる(等式4)。このように、図10のような「平行壁」の生体触媒固定化
チャンバー内の三次元粒子配列を形成することは不可能である。
【0086】 しかし、生体触媒固定化チャンバーが図11にグラフ表示されているように、
回転半径の減少に伴って断面積が増加するような構造である場合、固定化粒子の
三次元配列を形成することが数学的に可能である。これは、相対遠心場が回転半
径に正比例して変化する(等式2)のに対して、液体流の顕微鏡的流速は断面積
に反比例して変化する(等式1)結果である。二次元粒子配列が回転半径A1
おいて固定化されるように流速および回転速度の値を選択した場合(等式3)、
最初に半径方向距離A2の位置にあった粒子に対して、力がほぼ一致するか、あ
るいは等式4に示されているように、チャンバーの中心へ戻す正味の運動を生じ
るような力の不一致が見られるように、生体触媒用固定化チャンバーの側壁の「
アスペクト比」を調節することが数学的に可能である。同様なことがA3の位置
にある粒子にも適用される(等式5を参照されたい)。図11に示されているよ
うな生体触媒固定化チャンバーの構造は切頭円錐であるが、回転半径の減少に伴
ってチャンバーの断面積が増加するという制約に従う限り、他の形状を選択的に
使用することもできることに注意されたい。このため、図12に示されるように
、選択された生体触媒固定化チャンバー構造によって、回転半径が減少する時の
流速の低下を遠心場の強さの減少以上にすることができる場合、液体流場が相対
する変更遠心場内に三次元粒子配列を形成することが可能となる。図12におい
て選択された構造、すなわち切頭円錐では、各回転半径(Rc)における二次元
粒子配列の各々が、対向力が正確に一致する半径に向かう運動に限定されるであ
ろう。
【0087】 一見したところでは、上記説明から、固定化を生じる半径以外のすべての半径
での力の不釣合いの実効影響によって、すべての粒子が適当な半径を中心にした
狭い領域内へ「詰め込まれる」ことになるように思われるが、実際にはそうでは
ない。図13に図形表示されているように、各粒子層が隣接層に接近するにつれ
て、各粒子層は「衝撃効果」が各層を隔離状態に維持する領域内へと移動する(
図13の水平方向の矢印)。隣接粒子層が食い違い状になることができないこと
を説明するのは、各層を通る顕微鏡的流速プロフィルの分析の結果である。図1
4において、円形断面の1つのチャンバー層内で特定の半径方向距離に限定され
た球形粒子の1つの代表的な層が示されている。図14の断面の直径に対する粒
子の直径の比は12:1である。チャンバー断面の空部分を通る液体の流速の大
きさは、その地点におけるチャンバーの寸法から単純に数値を求めることができ
るが、粒子層が存在する領域を通る流速は、液体が通過しなければならない断面
積が大幅に小さくなる結果、必然的に粒子層が存在しない場合よりもはるかに大
きくなるであろう。図14のグラフからわかるように、上記寸法の層を通過する
流速の増加は、各側の層に隣接した自由空間で測定された値の2倍より大きい。
各層の領域の局部的流速の顕微鏡的増加が、各隣接層を分離状態に維持する「ク
ッション」を効果的に生じている。
【0088】 実際の使用に際して、切頭円錐のチャンバー構造の場合、切頭円錐の最も先端
の領域が、遠心力と液体流速との正確な一致が得られる領域であることが好まし
い。円錐断面の「アスペクト比」(切頭円錐の大きな半径に対する切頭円錐の小
さな半径の比)は、図15に示されている2つの等式を同時に解くことによって
決定される。等式2で、粒子のその「最下」層での固定化の所望境界条件が示さ
れる。それは、重力による粒子の固有沈殿速度(SR)にその半径方向距離で加
えられる相対遠心場(RCF)を掛けたものが、その地点での液体流速(FV)
の大きさに正確に一致することを示している。等式1で、粒子配列の反対側表面
での所望境界条件が示される。生体触媒固定化チャンバー内のすべての粒子を確
実に捕捉するため、SRおよびRCFの積がその半径方向距離での流速の大きさ
の2倍になる境界条件が任意に選択されてきた。所望の境界条件の等式を同時に
解くことによって、上側直径および円錐長さが与えられた時の円錐断面の直径の
比を求めることができる。
【0089】 図16は、そのサイズが大径=6.0cm、小径=3.67cm、および深さ
=3.0cmである本例の円錐断面の生体触媒固定化チャンバーにおける流れに
関連する力と遠心力の相対強さの概要を示すグラフである。ここで、相対沈降速
度を、最適温度の培養液内での重力による粒子の固有沈降速度と適用遠心場の積
として定義する。生体触媒固定化チャンバーの基端部が回転軸線から9.0cm
である上記寸法の生体触媒固定化チャンバー内に所定の流速(本例では10mL
/分)を与えた場合、所望の境界状態を満足させるように、重力による固有粒子
沈降速度と角速度との積が、与えられた流速に対して一定になる(図15を参照
)。言い換えると、角速度は固定化しようとする個々の粒子の種類だけでその値
が決まるので、ここで詳述する必要がない。図16の点線は生体触媒固定化チャ
ンバーの底部から上部までの遠心場の強さの直線的な変化を示しているのに対し
て、実線は流速の対応値を示している。チャンバーの底部(チャンバーの最先端
部)では、力が一致しており、この位置の粒子は正味の力をまったく受けない。
チャンバーの上部では、粒子は遠心力場の大きさのわずか半分の流れ関連力を受
けることになるので、流速が大幅に増大する縮小断面積の領域(チャンバーの液
体出口ポート)が近接領域に存在していても、チャンバーから流出しようとしな
いであろう。
【0090】 以上の説明から、回転半径の減少に伴って断面積が増加するという必要条件に
従えば、いずれの半径方向距離においても適用遠心場と液体流速の力の境界およ
び中間関係を確立して、三次元粒子配列において所望の合力関係が確立されるよ
うに操作できる形状であれば、他の形状のチャンバー構造にしてもよい。しかし
、実際には、回転平面と直交する平面上で作用するコリオリの力の異常効果のた
め、矩形断面の形状を使用することは望ましくない。矩形断面の場合、他の場合
には重要でないこれらの力が中間層の粒子の運動に影響を与える可能性がある。
【0091】 さらに、以上の説明から、適用遠心力に影響されないで行動する個々の粒子質
量に作用する重力の影響(図7および図8を参照)は、先に説明したものよりも
さらに重要性が低くなることが明らかである。特に、他の点では固定化された粒
子に対する重力の基本的影響は、半径方向に長くするか、半径方向に短くするこ
とであり、粒子のそのような運動によって、必然的に粒子が流速値の大きい(長
半径)領域か、流速値の小さい(短半径)領域へ移動するため、遠心場の強さの
変化がさらに大幅に小さくなる(図16を参照)。
【0092】 その結果、固有質量に対する重力の影響による粒子の周期運動がこのような不
釣合いの対向力の場の存在下で大きく減衰されて、生体触媒等の低質量粒子の場
合、「原位置振動」になるであろう。
【0093】 さらに、上記より明らかであるが、実用面において固定化粒子配列の上記方式
での維持に関して、これらの粒子が好気性細胞、微生物、または生体触媒組織で
ある場合は深刻な問題が生じるであろう。このような組織体には、液体栄養素の
他に、常温常圧では気体状態の特定の栄養を供給することが必要である。例えば
、市販される生化学製品の製造を行う上で有用な細胞または微生物の大半は好気
性である、すなわち、これらは生きるために酸素を必要とする。これらの生きて
いる生物(またはその細胞下の成分)は、溶存された形態の酸素しか利用できな
いにもかかわらず、これまで溶存酸素を供給する唯一の方法は、効率よく酸素を
溶解させるために細胞を懸濁する栄養液中で酸素をバブリングしたりスパージン
グすることであった。さらに、大半の生きている生物(特定の嫌気性生物を含む
)は、気体の代謝排泄物(例えば、二酸化炭素やメタン)を産生する。大量の気
体が、上記の固定化された三次元粒子配列中で起こっている代謝プロセスに導入
されたり、あるいは、この代謝プロセスから発生したら、これらを固定化してい
る微妙な力のバランスが破壊される。
【0094】 したがって、本発明の遠心固定化プロセスが適切に機能するためには、生体触
媒固定化チャンバー内への気体の導入または、チャンバー内での気体の発生の可
能性をなくす設備が必要である。これらの細胞が利用可能な(またはこれらの細
胞により産生される)、他の場合には気体である化学物質の唯一の形態は、水溶
液に溶解した形態であるため、本発明のプロセス中に必ず用いる必要があるのは
この形態である。この状態をヘンリーの法則、簡単に述べると、液体中に溶解さ
れる気体の量はその系の圧力の関数であるという法則を応用して実現しようとす
る場合もあるであろう。このように、液体を含む系(生体触媒固定化チャンバー
と生体触媒固定化チャンバーの入り及び出の液体ライン)の水圧を、導入する気
体の必要量を完全に溶解し、および産生された全ての気体を溶解したままにする
のに十分な水圧に維持すれば、固定化の力学に乱れが生じることはない。
【0095】 本明細書において使用される「生体触媒固定化チャンバー」、「リアクターチ
ャンバー」、「バイオリアクターチャンバー」、「細胞密封(confinement)チ
ャンバー」、「遠心密封チャンバー」、「遠心細胞チャンバー」、「固定化チャ
ンバー」、「チャンバー」、「コンパートメント」、または「密封チャンバー」
との用語は、すべて細胞または生体触媒が記述した力によって懸濁する、本明細
書に記載される発明の部分において均等な記述用語である。これらの均等用語の
使用は、本発明の記述にエストッペルまたは限定を与えるものではない。
【0096】 図17は、このような気体を含まない、完全な液体系を周囲圧より高い水圧に
て維持できる一つの方法を示すブロックダイアグラムである。この系において、
示されるポンプはすべて、正の排出(positive displacement) ポンプである。
すなわち、液体はポンプを通って矢印の方向に動かされる。ポンプ3は、第一供
給ポンプであり、これが遠心ローター中に設置される細胞固定チャンバー内へま
たはチャンバーから外へ液体を移動させる。ポンプ3および細胞固定化チャンー
を含む回路中の水圧の上昇は、液圧レギュレーター、システム圧レギュレーター
を、回路中の細胞固定化チャンバーの下流に設置することで実現される。このよ
うに、システム圧レギュレーターへの圧力限界を周囲圧よりも高く設定すること
により、正の排出ポンプ、ポンプ3が十分な液を回路内に移動させシステムの水
圧をこの設定値近くにするまでは、この回路には液体は流れないことになる。い
ったん平衡システム圧に到達すると、ポンプ3の下流の加圧された液が、ポンプ
3に制御されて設定された速度で連続的に流れる。
【0097】 適当な量の所望の栄養気体をポンプ3への導入液体を溶かすために、ポンプ3
に通じる導入路に気体−液体吸収タンク(Gas-Liquid Adsorption Reservoir) を
設置する。気体供給されていない液体は、培養タンク(Media Reservoir) から気
体−液体吸収タンクにポンプ1を介して移動する。大量の所望の気体(例えば、
空気または酸素)が、同時に、栄養液中に所望の濃度のこの気体を溶解させるに
必要な気体圧に設定された圧力レギュレーターを経由してこの気体−液体吸収タ
ンクに流入する。定常状態においては、ポンプ1は、ポンプ3の設定値と同じ流
量で運転される必要があることに注意されたい。ポンプ2は、ポンプ1および3
よりも大きな流量で運転される再循環ポンプである。ポンプ2は、栄養液中に溶
解された気体の所望の濃度が、気体−液体吸収タンク中の大量の液体中で維持さ
れるように、気体−液体吸収タンクの気相と液相間の接触を増大するために使用
される。正の排出ポンプの性質のために、システム圧レギュレーターにより設定
されるシステム圧の大きさを、気体−液体吸収タンクにおいて設定されている圧
の値よりも高くすることが必須である。平衡状態の十分量の液を、所望の気体濃
度で随時使用可能な状態におくために、ポンプ3の導入口にあるバルブを使用し
て、実際に使用するのに先立ってこのような平衡状態になるようにすることがで
きる。同様に、切替えバルブを使用して、ポンプ3への液体導入を、図17に示
されるタンクからいずれかの所望の他の導入タンクに、このタンクの水圧がシス
テム圧レギュレーターの設定する水圧値よりも低いという制約を条件に、変更す
ることができる。
【0098】 図18は、代表的な市販されている液体圧レギュレーターを示す。圧力レギュ
レーターに流れ込む液流14は、シート11を押さえつけているバネ式ニードル
バルブ10により妨げられる。導入液の水圧が十分高くなると、このニードルバ
ルブ10がシート11より離れ、液流が圧力レギュレーターから出ることができ
る(線15で示される)。ニードルバルブバネ12で設定される一定圧は、調整
バネ13による圧力を増大または低下させることで調整できる。
【0099】 図17のブロックダイアグラムは、気体を伴わない加圧液を、遠心バイオリア
クターチャンバーを通って流すために使用される多数のプロセスフロー配列の一
例を示すものであることは明白である。特に、決められた量の気体を液体中に溶
解させるため、気体と液体を適切に混合する多数の異なる方法を挙げることがで
きる。本発明のプロセスの主要なものは、(1)バイオリアクターチャンバーと
(このバイオリアクターチャンバーに出入りする)周囲圧よりも高い水圧で運転
される液体輸送ラインからなる液体回路、(2)バイオリアクターチャンバーに
続く液体回路へ入る前に、液体に所望の量の気体を溶解する設備があること、お
よび(3)システムの水圧を、システム圧レギュレーターの上流とポンプ3の下
流において、導入気体および液体回路中の溶液中の生物系により産生される呼吸
ガスの双方を保持するのに十分な高い値に維持することである。全ての考えられ
る細胞密度および細胞数の条件について、100から2,000psigの水圧
で、気体を含まない液体環境の維持に十分であることが証明されている。
【0100】 10,000psig未満の水圧においては、生体触媒固定化チャンバー内の
環境の水圧上昇を必要とする結果として、動物細胞または微生物、もしくはこれ
らの細胞下の成分培養に対して、認め得る有害な作用はないであろう。50ps
ig未満の圧力範囲に限定されるが、バイオリアクターのヘッドスペース圧を使
用する生細胞の培養は、うまくいくことが証明され、確立された培養方法である
(Yang,J. and Wang, N.S. (1992) Biotechnol,Prog.8, 244-251、およびその参
考文献を参照)。15,000から30,000psigの水圧においては、非
共有結合によるたんぱく質複合体の一部で解離が認められているが、単量体のた
んぱく質を変性するには90,000psigより高い圧力が必要である(Yarm
ush,et al. (1992) Biotechnol.Prog.8, 168-178) 。生細胞(およびその構成成
分)は、上記の限界値未満の水圧値に影響されず、実際にこれを感じることがな
いという事実は、十分に理解されてはいないがよく知られている。このことは、
海洋生物に対する水圧の影響を考えると、もっともよく理解できるであろう。海
面下10m毎に約1気圧(14.7psig)の圧力がかかる。このように、例
えば、生化学プロセスおよび代謝経路を示す底生生物は、浅瀬または陸生のこれ
に相当する生物と同じく、おそらく1インチ四方あたり3,000ポンドを超え
る水圧で、この状況に対して全く無頓着に環境上の適所に生息し、かつ活発に増
殖する。同様に、陸生哺乳類細胞が生存する水圧は常圧よりも高く、例えば人間
では常圧よりも約90から120mmHg高い。水系における水圧がその「力学
上のキャリア(force carrier) 」として水分子を有することを認識すれば、生体
システム中の水圧が「目に見えない」という説明が理解され得る。生細胞の境界
膜を形成する脂質二重層は、水分子に対して完全に透過性であるため、水系に加
えられた水圧は、水分子の動きにより細胞または細胞下の小器官の境界膜を越え
て伝達され、外部から加えられた水圧に対して細胞内部が迅速に平衡状態となる
【0101】 水圧が生細胞に好ましくない場合もある。例えば、水系の圧力場が高頻度で変
化する場合には、細胞境界膜を境にした圧力差により細胞の破壊が起こる可能性
がある。しかし、このような致死的作用に必要な頻度は非常に高く、一秒間に数
千というオーダーである。本発明のプロセスにおけるポンプの脈圧が、このよう
な限界より低ければ、最も壊れやすい細胞についてさえも圧力変動によって細胞
の生存性に影響はない。さらに、細胞の複製は、高い水圧で培養しても全く影響
を受けない。
【0102】 回転系へ、および回転系からの加圧液流の導入および回収の問題は、過去20
年間にわたるシールの設計における革新により解決されている。2000psi
gを越える生産物流の水圧を維持しながら、毎分5000回転を越える回転速度
での運転が可能な高性能のメカニカル端面シールが入手可能である。このような
シールは、デュラメタリック社(49001、ミシシッピー州、カラマゾ、ファ
クトリストリート2104)から入手できる。このような高性能メカニカルシー
ルの漏れ率は、一年あたり5リットル未満で、この漏れ率で生産物流中に不注意
に漏れても、生体系には影響のない加圧冷却液体により冷却することができ、お
よび生産物流中の絶対的無菌状態の維持を行えるような方法で運転できる。メカ
ニカル端面シールを遠心バイオリアクター系に使用することに対する説明できな
い反感(例えば米国特許4,939,087号および5,151,368号等を
参照)の結果、従来の設計においてフレキシルブルチューブ(およびその「よじ
れをなくす」ための複雑なメカニズム)の接続の必要性が認められている。この
ような設計は、結果として、(1)チューブのフレキシビリティ要件の結果とし
て水圧を1気圧付近に制限し、(2)これらの曲がる接続の激しい動きの結果、
回転速度が低くなり、バイオリアクターの稼働時間が短くなる。最新の高性能メ
カニカル端面シールが、遠心バイオリアクターの性能におけるこれらすべての欠
点を解決する。
【0103】 内向きの液流に対応する外向きの遠心力からなる力場中における粒子の三次元
配列の固定化について記載してきた。長時間において非常に小さい軽い粒子に対
してさえも必ず作用する重力の影響は、適切な回転軸を選択することにより、実
質的に無効となり、小さな定期的な「その場での振動」に減少することができる
。この系に可能な気体の導入による破壊的作用は、そうでなければ気体である化
学的物質が流れる液中に溶解したままとなるような値まで液系の水圧を上昇させ
るということが原因とされている。水圧の必要な上昇は、細胞、微生物、または
その細胞下の成分などの生物学的単位に対して何の影響もないことが強調されて
いる。
【0104】 以下の段落では、本発明の二つの実施形態を示し分析する。図19に本発明の
第1実施形態の構成を示す。金属壁に区切られた安全封止チャンバー22内の水
平のモーター駆動式回転軸21に円筒形のローターボディ20が取り付けられて
いる。ローターボディ20は、回転軸21上の場所にロッキングカラー23によ
り固定される。回転軸21は、ベアリング24によりローターボディ20のいず
れかの側面で支持される。回転軸21は、安全封止チャンバー22の外側にある
長さまで突き出ており、その末端は外部ハウジング25中に取り付けられたター
ミナルベアリングと末端キャップ29に入る。液流は、回転軸21の内部で液体
流路(図22の50、51)と通じている液体導入口メカニカル端面シール28
および液体排出口メカニカル端面シール27によって、ローターボディ20中に
取り付けられたバイオリアクターチャンバー26内に導入され、ここから排出さ
れる。ローターボディ20の一例の具体的なサイズ(a=36cmおよびb=1
5cm)は、非常に合理的で当業者の知るローターサイズに匹敵するものである
【0105】 図20は、図19のローターボディ20を回転軸と平行の方向から見たときの
図である。ローターボディ20は、軸取り付けチャネル30がその中央を通り、
回転軸(図19の21)上に取り付けられるように形成され、円筒形の取り外し
可能なバイオクリアクターチャンバー(図19の26)を設置できるチャンバー
位置決め凹部32を有するように作成される。ローターボディ20はまた、径方
向直線チャネル33(図22の中心に位置する軸液体排出口チャンネル51およ
び図22の偏心軸液体導入口チャンネル50など)を有し、その中にはバイオリ
アクターチャンバー(図22の26)に接続する液体ライン(図22の排出口液
体輸送ライン53および図22の導入液体輸送ライン54など)が配置される。
実際の使用において、ローターボディ20を閉じるために円形のカバー(図示せ
ず)をローターボディ20の表面に設置する。
【0106】 図21は図19のバイオリアクターチャンバー26の1つを示す。このバイオ
リアクタチャンバー(図19の26)は円筒形で、2片の金属の厚い壁、上部4
0と下部42から構成される。上部40は円錐形加工凹部47および液体がバイ
オリアクターチャンバー(図19の26)から排出される排出圧縮取り付け具4
1に通じる加工通路48を有する。下部42は上部40と同じ金属で作られてい
て、所望の幾何学的形状の生体触媒固定化チャンバー43を形成するように内部
加工されている。図21に示される生体触媒固定化チャンバー43の形状は、切
頭円錐形で、その上面に短い円筒状容積および底面に短い円錐形の容積を有する
。導入圧縮取り付け具44に通じる加工通路48は生体触媒固定化チャンバー4
3へ液体を導入させることができる。生体触媒固定化チャンバー43の上部40
および下部42は、さら穴アセンブリースクリュー45で互いにボルト止めされ
、一つまたは複数のOリング圧縮シール46により内部の正の水圧に対してシー
ルされている。固定化細胞と生体触媒固定化チャンバー43内部の金属壁が接触
してはいけないようなある動物細胞培養の場合、このような接触を防ぐために、
例えばポリエチレンなどでできた適当な円錐形挿入物を使用するのが適当である
。または、生体触媒固定化チャンバー43の内部を同じ効果を与える適当なライ
ニング材でコーティングしてもよい。
【0107】 図22は、回転軸と平行な図19のローターボディ20の横断面図である。バ
イオリアクターチャンバー26は、偏心軸液体導入口チャンネル50および回転
軸21内の中心に位置する輸液体排出口チャンネル51と、排出液体輸送ライン
53と導入液体輸送ライン54により接続されている。排出液体輸送ライン53
はバイオリアクターチャンバー26および排出圧縮取りつけ具41を通じて中心
に位置する軸液体排出口チャンネル51に接続する金属製チューブである。導入
液体輸送ライン54はバイオリアクターチャンバー26および導入圧縮取りつけ
具44を通じて偏心軸液体導入チャンネル50に接続する金属製チューブである
。ローターボディ20の正確な加工を、図22に点線で示されて位置の断面図、
つまり回転軸と垂直なローターボディ20の5つの異なる断面図(図23から2
7)で検討できる。
【0108】 図23〜27に、図19のローターボディ20の5つの異なる内部加工部位の
サイズおよび構成を示す。図23と27は、ローターボディ20を回転軸(図1
9の21)上に、ロッキンググカラー(図19の23)と結合する軸取り付けチ
ャンネル30と同心であるスプロケット型凹部60により取り付けるひとつの方
法を示す。図23および27のS−1は、軸取り付けチャンネル30とスプロケ
ット型凹部60の断面図である。図24は液体排出および液体導入輸送ライン(
それぞれ図22の53および54)がその中の移動するローターボディ20内部
に加工された4つの径方向直線チャンネル33を示す。図25は、その中にバイ
オリアクターチャンバー(図19の26)が設置されるローターボディ20中に
加工されたチャンバー配置凹部32の形状を示し、かつ、これらのチャンバー配
置凹部32と径方向直線チャンネル33との関係を示す。径方向直線チャンネル
33は、チャンバー配置凹部32を越えてさらに放射状に伸び、これらがさらに
「上向きに」伸びてバイオリアクターチャンバー(図22の26)の導入口圧縮
取り付け具(図21の44)と接続して、液体輸送ライン(それぞれ図22の5
3と54)を載せるための支持チャンネルを提供することに注意されたい。各導
入液体輸送ライン(図22の54)が、各バイオリアクターチャンバー(図24
、S−2部参照)の導入口圧縮取り付け具(図21の44)の末端まで移動する
のに適当な角度を形成する時、これが最も遠位の径方向直線チャンネル33の壁
によりかかることで支持されているということにより、この系の回転運動の結果
として、導入液体輸送ライン(図22の54)に負荷される過剰な遠心力ストレ
スがない。
【0109】 図26は、排出圧縮取りつけ具(図21の41)を使用した、バイオリアクタ
ーチャンバー(図19の26)への排出液体輸送ライン(図22の53)のメカ
ニカルアタッチメントに作業空間(working room)を作成するために必要な液体排
出口ラインアタッチメント凹部70のための図19のローターボディ20の内部
加工を詳細に示す。図22に示されるように、排出液体輸送ライン53は、バイ
オリアクターチャンバー(図19の26)への機械的接続中にその長さが調節で
きるように、U字形の形状(図22では誇張されている)に曲げられる。バイオ
リアクターチャンバー26(図19の26)は、遠心ストレスに対してチャンバ
ー配置凹部32の遠位壁により支持される。遠心力の結果として、排出液体輸送
ライン(図22の53)には重量がかからない(それ自体の重量はのぞく)。
【0110】 図28は、その上にローターボディ20を取り付ける回転軸21の部分図であ
り、回転軸21のこの部分に、液流をバイオリアクターチャンバー26の中およ
びその外へと移動させる液体排出口メカニカル端面シール27と液体導入口メカ
ニカル端面シール28とが取り付けられる。回転軸21は、2本の液体輸送チャ
ンネル;偏心軸液体導入口チャンネル50および中央に位置する軸液体排出口チ
ャンネル51を含む。中央に位置する軸液体排出口チャンネル51は、バイオリ
アクターチャンバー26の排出液体を液体排出口メカニカル端面シール27に、
放射方向に延びる短い結合通路82を通って輸送し、一方、偏心軸液体導入口チ
ャネル50は、ここでもまた放射方向に延びる短い結合通路81を通して液体導
入口メカニカル端面シール28からバイオリアクターチャンバー26に液体を輸
送する。偏心軸液体導入口チャンネル50および中央に位置する軸液体排出口チ
ャンネル51は、回転軸21の一端からローターボディ20が設置される領域ま
で延びている。圧縮プラグ80は、偏心軸液体導入口チャンネル50および中心
に位置する軸液体排出口チャンネル51の双方の軸末端開口部を密閉する。
【0111】 図29は、ローターボディ(図19の20)を取り付ける回転軸21の領域に
ある半径方向に配設された液体分配チャネルハブの図である。径方向排出液体ラ
インチャネル90と径方向導入液体ラインチャネル92の二対のチャネルが、回
転軸21の二箇所の断面を通って作成されている。径方向排出液体ラインチャネ
ル90は偏心軸液体導入口チャネル50に直接通じている。径方向導入液体ライ
ンチャネル92の場合、さらなる径方向通路94が、偏心軸液体導入口チャンネ
ル50と径導入液体ラインチャネル92と接続するように加工される。このさら
なる径方向通路94は、回転軸21の表面において圧縮プラグ95により密閉さ
れる。実際の使用においては、特に本発明の高速度運転の場合、偏心軸液体導入
口チャネル50と中央に位置する軸液体排出口チャネル51は、回転の軸に対し
て偏心的であって、バランスをとるために回転軸21の直径に対して対称的に配
置するのが好ましい。
【0112】 図30は、図19に示される液体排出口メカニカル端面シール27などのよう
な液体排出メカニカル端面シール機構を示す図である。液体排出口メカニカル端
面シール27を回転軸21に取り付け、かつ、シールの内部液体部への開口部と
ともに回転軸21の中に加工される中心に位置する軸液体排出口チャネル51に
通じる短い半径方向の接続通路82の上に配置する。液体排出口メカニカル端面
シール27の回転部と静止部の間のシールは、回転シール面102に静止シール
面100が接触することで行われる。本発明のプロセスにおいて使用できる高性
能端面シールの場合は、シール部材に作用する遠心力を考慮する必要があるが、
全てのバネ要素をシール構造の静止部分に設置する。図30に示されるシール構
成は、シール1個であるが、シール2個および/またはシール3個の端面シール
形状の方が、長期間の使用においてはより好ましいかもしれない。シール機構中
の温度平衡を維持するために必要な加圧冷却液体通路と外装部材は図に示されて
いない。このような液体排出口メカニカル端面シール機構を本発明の回転軸21
に取り付ける場合は、シール機構の静止部に圧縮取り付け結合具を経由して水溶
液をポンプで供給し、供給した液体は点線103で示す経路を通って中心に位置
する軸液体排出口チャネル51に通じ、これがこの液体をローターボディ(図2
8の20)に取り付けられたバイオリアクターチャンバー(図28の26)から
外へ出す。
【0113】 その系の目的が動物細胞または微生物などの生物体を培養することである場合
、回転系へのおよび回転系からの液体移動にメカニカルシールを使用することに
ついてのこれまでの主な欠点は、殺菌状態の維持の問題であった。過去において
、低圧のメカニカルシールは、有害微生物が端面シール表面を円滑にする内部液
体の薄いフィルムを通してバイオリアクターシステムに浸入する経路となるもの
であった。本発明のプロセスにおいては、内部液体は常に周囲圧(常圧)よりも
高い水圧に維持されており、液体が漏れる場合は必ず系の外側に対して漏れる。
したがって、有害な汚染が系に侵入してくる可能性のある経路がない。さらに、
本発明のプロセスのメカニカルシールを通ってバイオリアクター系から外へ出る
であろう(例えば特定の用途における微生物を含有する可能性がある)内部の栄
養素または生産物液の少量の漏れが、環境中に自由に分散していくことはない。
高速、高圧のメカニカルシールの運転特性により、シール部材を加圧された冷却
液流中に置くことが必要となる。実際には、このようなシールを冷却するのに適
当な粘度とフロー特性を有する理想的な液体は、75〜85%グリセロールであ
ることが判明している。本発明のプロセスにおいて、内部の液体が外部に漏れる
場合は必ず、この再循環液の中に分散することになる。この濃度のグリセロール
中では、多数の代表的な動物細胞または微生物の成長を持続させることはまった
く不可能であることがわかっている。これは、おそらく一般的な現象で、浸透圧
により水分が生細胞内からグリセロールへと移動するためであると考えられてい
る。したがって、漏れた量で薄められた時点でグリセロールの冷却液を定期的に
衛生的に廃棄して新しいグリセロールと交換することで、系中で液体が漏れる可
能性のある唯一の場所における殺菌性を維持することができることになる。最後
に、長期間の使用後、内部系圧力の減少またはシールシステムの初期の不良によ
り液流がシール面を越えて逆流する可能性があるために、このようにしてバイオ
リアクター系中に漏れる少量のグリセロールは、流れる内部プロセス液体中で薄
められた場合には追加的な栄養素となるだけであることを指摘しておくことは重
要なことである。
【0114】 図19〜20および22〜29中に示されたサイズおよび構成を有し、かつ取
り外し可能な円筒形バイオリアクターチャンバー(図21の26)を含むロータ
ーボディの性能を分析するためのデータを得るために、いくつかのスケールサイ
ズおよび境界平衡(boundary equation)を任意に選び、これを使用して本発明の
第1の実施態様の運転特性を測定する必要があった。固定化境界平衡は、図15
の等式1および2中にリストされる。この実施例のために選択され、図19〜2
9において文字で示されているローターのサイズは、以下の通りである。
【0115】 a: 15.0cm j: 10.0cm s: 2.54cm b: 36.0cm k: 1.50cm t: 4.0cm c: 1.27cm l: 6.0cm u: 6.14cm d: 1.0cm m: 0.5cm v: 1.0cm e: 1.73cm n: 1.0cm w: 1.0cm f: 3.0cm o: 1.0cm x: 6.5cm g: 7.0cm p: 5.0cm y: 5.0cm h: 2.0cm q: 6.0cm z: 5.5cm i: 2.0cm r: 4.0cm 図31は、本発明の第2実施態様の構成を示す。円筒形ローターボディ20は
金属壁によって境界を設けた安全生体触媒固定化チャンバー22内の水平モータ
ー駆動式回転軸21上に備えられている。ローターボディ20はロッキングカラ
ー23によって回転軸21の上に配置され、固定されている。回転軸21はベア
リング24によってローターボディ20のいずれかの側に支持されている。回転
軸21は安全生体触媒固定化チャンバー22の外側へある長さまで突き出ている
。液流は液体導入口メカニカル端面シール28および液体排出口メカニカル端面
シール27によって、ローターボディ20中のバイオリアクターチャンバー26
へ導入され、それから排出される。この液体導入口メカニカル端面シール28は
回転軸21内で中心に位置する軸液体導入口チャンネル(図34の52)と接続
している。液体排出口メカニカル端面シール27は回転軸21内で中心に位置す
る軸液体排出口チャンネル(図34の51)に接続している。例えばローターボ
ディ20の典型的な大きさ(a=10cmおよびb=36cm)は全く合理的で
あり、当業者に公知であるローターボディの大きさに匹敵する。
【0116】 図32は図31のローターボディ20を示す2つの図を示す。ローターボディ
20は、回転軸(図31の21)上に取り付けられるように、軸取りつけチャン
ネル30の中心を通って結合して、3つの矩形面を有する取り外し可能なバイオ
リアクターチャンバーが置かれた取りつけ凹部31を有するように加工されてい
る。
【0117】 図33は図31のバイオリアクターチャンバー(図31の26)の1つを示す
。バイオリアクターチャンバー(図31の26)は断面が直線で囲まれ、厚い金
属壁の上部40と下部42から構成される。上部40は加工された円錐形凹部4
7および最終的に排出口圧縮取りつけ具41につながる加工された通路48を含
み、これらによって液体はバイオリアクターチャンバー(図31の26)から除
去される。下部42は上部40と同じ金属で作成され、所望の幾何学的形状をも
つ生体触媒固定化チャンバー43を形成するように内部加工されている。生体触
媒固定化チャンバー43の形状は上面に短い円筒形容量および下面に短い円錐形
容量を有する先端を切った円錐形のものである。最終的に導入圧縮取りつけ具4
4へつながる加工された通路48は、生体触媒固定化チャンバー43中へ液体を
導入することができる。生体触媒固定化チャンバー43の上部40および下部4
2は、さら穴(countersunk)アセンブリースクリュー45によって互いにボル
トで止められ、一つまたは複数のOリング圧縮シール46により内部の正の水圧
に対してシールされている。固定化された細胞と生体触媒固定化チャンバー43
内部の金属壁とを避けなければならないようなある種の動物細胞培養の場合、こ
のような接触を防ぐために、例えばポリエチレンなどでできた適当な円錐形挿入
物を使用するのが適当である。または、生体触媒固定化チャンバーの内部を同じ
効果を与える適当なライニング材でコーティングしてもよい。
【0118】 図34は、回転の軸に対して平行である、図31のローターボディ20および
図31の回転軸21の横断面図である。排出口液体輸送ライン53はバイオリア
クターチャンバー26と排出口圧縮取りつけ具(図33の41)を通り中心に位
置する軸液体排出口チャンネル51とをつなぐ金属製チューブである。導入液体
輸送ライン54はバイオリアクターチャンバー26と導入口圧縮取りつけ具(図
33の44)を通り中心に位置する軸液体導入口チャンネル52とをつなぐ金属
製チューブである。
【0119】 図35は、ローターボディ20、液体排出口メカニカル端面シール(図31の
27)、および液体導入口メカニカル端面シール(図31の28)が取りつけら
れた図31の回転軸21の図である。回転軸21は中心に位置する軸液体排出口
チャンネル51および中心に位置する軸液体導入口チャンネル52を有する。中
心に位置する軸液体排出口チャンネル51(一般には直径1/8’’)はバイオ
リアクターチャンバー(図31の26)の液体排出物を3つの短い径方向通路6
0によって液体排出口メカニカル端面シール(図31の27)へ輸送し、一方、
中心に位置する軸液体導入チャネル52(同じく直径1/8’’)もまた3つの
短い径方向通路61によってバイオリアクターチャンバー(図31の26)中へ
液体を輸送する。中心に位置する軸液体排出口チャネル51および中心に位置す
る軸液体導入口チャンネル52は回転軸21の各端からローターボディ20が配
置される領域まで広がっている。回転軸21の各端は、ねじ突起をもつ(thread
ed)液体メカニカルシールを受け入れるように形成されたねじ(threaded)凹部
62を有する。回転軸21の最も左端はまた、モーター駆動滑車(図示されない
)が結合する鍵穴63を備えるように加工されている。
【0120】 図36は図31に示される液体排出口メカニカル端面シール27などの典型的
な液体排出口メカニカル端面シール機構の図である。液体排出口メカニカル端面
シール27の回転部分72は回転軸(図35の21)の最も左端のねじ(thread
ed)凹部(図35の62)中に貫通する。液体排出口メカニカル端面シール27
の回転部分と静止部分との間のシールは回転シール面71に対する静止シール面
70の接触によって備えられている。本発明のプロセスにおいて使用可能な高性
能のメカニカル端面シールの場合、シール構成に作用する得られた遠心力を考慮
しなければならないが、全てのスプリング要素がシール機構の静止部分に配置さ
れる。図36に示されるシール機構は、シール1個であるが、シール2個および
/またはシール3個の端面シール形状の方が、長期間の使用においてはより好ま
しいかもしれない。このようなシール機構が本発明の回転軸(図34の21)に
取りつけられる場合、水溶性液体は圧縮取りつけ具を経由して液体排出口メカニ
カル端面シール機構の静止部分73からくみ出され、くみ出された液体は、ロー
ターボディ(図34の20)に取りつけられたバイオリアクターチャンバー(図
34の26)から液体を排出する中心に位置する軸液体排出口チャンネル(図3
4の51)と連通する点線ライン74によって示される通路に進む。
【0121】 その系の目的が動物細胞または微生物などの生物体を培養することである場合
、回転系へのまたは回転系からの液体移動にメカニカルシールを使用することに
ついてのこれまでの主な欠点は、殺菌状態の維持の問題であった。過去において
、低圧のメカニカルシールは、端面シール表面を円滑にする内部の液体の薄いフ
ィルムを通して、有害微生物がバイオリアクターシステムに進入する経路となる
ものであった。本発明のプロセスにおいては、内部の液体は常に周囲圧(常圧)
よりも高い水圧に維持されており、液体が漏れる場合は必ず系の外側に対して漏
れる。したがって、有害な汚染が系に侵入してくる可能性のある経路がない。
【0122】 図31〜32および34〜35に示されるサイズと構成を有するローターボデ
ィおよび図33に示されるもののように取り外し可能な直線で囲まれた生体触媒
固定化チャンバー43をもつローターボディ(図31の20)の性能を分析する
ためのデータを得るために、いくつかのスケールサイズおよび境界平衡(boundar
y equation)を任意に選び、これを使用して本発明の第2の実施態様の運転特性
を測定する必要があった。選択された固定化境界平衡は、図15の等式1および
2にリストされたものである。この実施例において選択され、図31〜33に文
字で示されたローターの大きさは次の通りである。
【0123】 a: 10.0 cm g: 7.0 cm m: 0.5 cm b: 36.0 cm j: 10.0 cm n: 1.0 cm d: 4.0 cm k: 1.5 cm o: 1.0 cm f: 6.0 cm L: 7.0 cm 前記の本発明の第一および第二の実施態様において、生体触媒固定化チャンバ
ー(図21および図33中の43)の形状の一部は切頭円錐形である。図37に
示すように、境界条件拘束による、生体触媒固定化チャンバー(図21および3
3中の43)の「アスペクト比」(切頭円錐110の小半径対切頭円錐の大半径
に対する比)を確定する大きさの問題は、切頭円錐部分の大および小半径と切頭
円錐110の高さとの間の幾何学的関係を調べることにより低減される。
【0124】 図37Aは、切頭円錐110に類似する生体触媒固定化チャンバー(図21お
よび図33中の43)の一部の、回転面を通る、横断図である。切頭円錐110
は、回転の中心からRxの距離にある近位面を有する。円錐の切頭長はRcであ
る。相対遠心力(RCF)は、生体触媒固定化チャンバー(図21および図33
中の43)中の粒子111の長径への並進を引き起こすよう作用するが、一方、
液流力(FC)は短径への並進を引き起こすよう作用する。図37Bの方程式(
1)は、回転速度(RS)から半径長(Rx)での相対遠心力(RCF)の大き
さを求める式である。方程式(2)は、液体流量(FR)と切頭円錐110の大
半径(q)とから半径長(Rx)での流速(FV)の大きさを求める式である。
方程式(3)は、回転速度(RS)から半径長(Rx+Rc)での相対遠心力(
RCF)の大きさを求める式である。方程式(4)は、液体流量(FR)と切頭
円錐110およびその断面の所定の大きさから半径長(Rx+Rc)での流速(
FV)の大きさを求める式である。ローターボディ(図19および31中の20
)の物理的大きさが示された場合の、ある境界条件を満たす切頭円錐110の「
アスペクト比」を確定するために、切頭円錐110の非切頭化バージョンの長さ
(L)に換算して切頭円錐110の小端(R1)の半径を表すことを、我々は選
択した。切頭円錐110のこの非切頭化バージョンを、図37Bに点線で示す。
【0125】 所望の境界条件は、(1)重力による固定化粒子の固有の沈降速度(SR)と
適用される遠心場(RCF)との積が、生体触媒固定化チャンバー(図21およ
び図33中の43)の最も遠位部分での液流力(FV)の大きさと全く等しく、
そして(2)この積は、生体触媒固定化チャンバー(図21および図33中の4
3)の最も近位部分での液流力(FV)の大きさの2倍であることである。した
がって、 遠心半径=Rx+Rcでは (SR)×(RCF)=FV 遠心半径=Rxでは、 (SR)×(RCF)=2xFV これらの方程式に、図37の方程式(1〜4)から得たRCFとFVに関する
サイズの使用(dimentional specification)を代入すると、液体流量(FR)
、ローター速度(RS)および生体触媒固定化チャンバー(図21および図33
中の43)のサイズに関する2つの同様の方程式が得られる: (1)(SR)C1(Rx+Rc)=C2(L/L−Rc)2 (2)(SR)C1(Rx)=2×C2 これらの方程式の解に到達するために、ローターシステム例の物理的サイズの
限界に基づく以下の代入をおこなう: Rx=90mm Rc=30mm q=30mm 同時に方程式は次のようになる: (1)(SR)C1(120)=C2(L/L−30)2 (2)(SR)C1(Rx)=2×C2 方程式(2)を方程式(1)に代入すると、次のようになる: (L/L−30)2=240/90 この二次式の解は、L=77.4mmおよび (L/L−30)2=2.67 先に以下が求められているため(図37参照)、 R=q(L−Rc)/L このように、境界条件を満たす切頭円錐の小半径は、 R1=18.4mm である。 そこで、同時に2つの方程式は以下のようになり: (1) (SR)C1(120)=C2(2.67) (2) (SR)C1(90)=C2(2) そして、(1)から(2)を差し引いて、項を集めると以下のようになる: (3) (SR)(30)C1=(0.67)C2 (3)にC1およびC2を代入すると次のようになる。
【0126】 (3) (SR)(30)(1.12)[RPM/1000]2=(0.6
7)[FR/π・q2] これで、制御可能変数RSおよびFRから、所望の境界条件と物理的サイズ拘
束を満たす式が得られる:
【0127】
【数1】 このように、ローター系ならびに生体触媒固定化チャンバーの物理的サイズが
決まれば、バイオリアクター中で粒子を固定化するローター速度(RS)および
系液体流量(FR)の範囲は、重力による本発明の粒子の固有の沈降速度(SR
)のみに依存する単純な関係に従う。上記の条件下では、固定化の最大容量は、
バイオリアクターチャンバー一つ当たり約56 Mlであることに留意されたい。
【0128】 生体触媒を含有するこの方法および装置は、重力が作用する面に平行な面に配
向される遠心場に置かれるバイオリアクターチャンバー中に生体触媒を含入する
工程を含む。遠心場は、周囲気圧より高い水圧で連続して流動する液体と直径方
向で対向する。
【0129】 図45は、本発明の第三の実施態様の構成を示す。この実施態様は、固定化生
体触媒が、実際の生体触媒が結合される緻密不活性支持粒子から成る複合体中に
存在する用途に用いられ得る計画である。このような用途では、栄養液流の結果
としての生体触媒/支持体複合体に作用する浮力は無効にされ、したがって地球
の重力場が生体触媒/支持体複合体に作用して必要な反作用力を提供するように
、生体触媒固定化チャンバーの垂直配列により、生体触媒/支持体複合体を固定
化する。さらに、数に入れねばならない浮力は栄養液流速であるため、この系に
収容され得る流量の範囲は、どの点においても限定されない。流速の大きさは、
横断直径および必要な場合はそれらの直径のアスペクト比を変えることにより、
所望の範囲で変えられ得る。この場合の相対遠心場は、1xg(地球の重力場に
より提供される)に近い。したがって、必要な適用遠心場は、この場合は、ゼロ
である。
【0130】 図45に示した実施態様では、加圧され、この液中に周囲温度で気体である適
量の栄養素を溶解した栄養液は、主供給ポンプであるポンプ3により供給される
据置型生体触媒固定化チャンバー中にポンプ輸送される。それが生体触媒固定化
チャンバーを出る場合の連続液流は、制御およびモニタリングセンサーを介して
、そしてシステムの高水圧を保持するシステム圧調節器を介して供給される。R
2に対するR1の比は、所望の流速境界条件によっており、1.0から下方へその
あらゆる所望の分数まで変わり得る。R1は大きさを限定されない。その大きさ
は所望される液体流量のサイズにより確定される。固定化チャンバーの高さLは
、大きさを限定されない。その大きさは、それが生体触媒固定化チャンバーを通
過する場合の栄養液ボーラスの所望の保持時間により確定される。
【0131】 図45の実施態様の生体触媒固定化チャンバーの性能の分析のためのデータ(
大きさは文字で表示)を得るために、いくつかの尺度大きさおよび境界方程式が
選択され、本発明の実施態様の操作特徴を確定するために用いられる必要があっ
た。選択される固定化境界方程式(上および下境界方程式の両方)は、図15の
方程式1に列挙したものである。この実施例のために選択され、図45に文字で
示された生体触媒固定化チャンバーの大きさは、以下の通りである: R1:5.0 cm R2:5.1 cm L:61.0 cm 前記の大きさの生体触媒固定化チャンバーに、100 mLの30〜50メッシュの落花
生殻炭(密度:約3.5 gm/mL)を投入した。図45のシステム形状を確立し、120
mL/分の液流量で、1xg相対重力場での個々の炭粒子の流速由来浮力と固有
沈降速度との間の平衡は、安定固定化三次元列を生じた。選択された呼称値付近
の小流量変動は固定化列の密度および容量の小さな増大または低減を生じたが、
一方、流量の大変化は、R1、R2およびLが変えられることが必要で、したが
って異なる流量レジメンを収容するための別個の生体触媒固定化チャンバーサイ
ズを要する。炭粒子は多数の細菌属の結合に適していることが見出されたが、一
方、特定の生体触媒固定化目的に用いられる不活性粒子の種類は、生体触媒およ
びシステムの液体環境との相溶性でのみ限定される。
【0132】 本発明で意図される生体触媒固定化チャンバーに関して多数の代替的形状があ
る。このような代替的一実施態様は、適用遠心場と平行に配置される主軸を有し
、その頂点より回転軸に近い大直径を有する直円錐の形状の内部空間を有する生
体触媒固定化チャンバーである。
【0133】 別の代替的実施態様は、適用遠心場と0〜90度の角度を成す主軸を有する直円
錐の形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーである。適用遠心場と平
行に配置される主軸を有し、その小直径より回転軸に近い大直径を有する切頭直
円錐の形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも本発明に含まれる。
【0134】 さらに、本発明は、適用遠心場と0〜90度の角度を成す主軸を有する切頭直円
錐の形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーを含む。
【0135】 本発明は、適用遠心場が球形生体触媒固定化チャンバーの円形横断面と垂直で
ある球形の内部空間を有するを含む。
【0136】 本発明は、適用遠心場が円形横断面と0〜90度の角度を成す球形の内部空間を
有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0137】 さらに、本発明は、適用遠心場が球の円形横断面と垂直である切頭球の形状の
内部空間を有する生体触媒固定化小チャンバーも含む。
【0138】 本発明は、適用遠心場が円形横断面と0〜90度の角度を成す切頭球の形状の内
部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0139】 本発明は、適用遠心場が円形横断面と垂直である種々の円形横断面を有する形
状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0140】 本発明は、適用遠心場が円形横断面と0〜90度の角度を成す種々の円形横断面
を有する形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0141】 さらに、本発明は、適用遠心場が楕円形横断面と垂直である種々の楕円形横断
面を有する形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0142】 本発明は、適用遠心場が楕円形横断面と0〜90度の角度を成す種々の楕円形横
断面を有する形状の内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも含む。
【0143】 適用遠心場と垂直の軸に沿って円形および楕円形横断面の組合せである形状の
内部空間を有する生体触媒固定化チャンバーも本発明に含まれる。
【0144】 本発明は、円形および/または楕円形横断面と0〜90度の角度を成す軸に沿っ
て円形および楕円形横断面の組合せである形状を有する内部空間を有する生体触
媒固定化チャンバーも含む。
【0145】 本発明のプロセスは、微生物および真核細胞、それらの細胞下小器官のような
生体触媒ならびにこのような生体触媒の天然または人工凝集体の固定化に向けら
れる。したがって、プロセス系は、かなり軽い粒子を固定化できなければならな
い。重力範囲によるこのような粒子の沈降速度は、小細菌に関する0.01 mm/分
から小型動物細胞に関する0.1 mm/分まで、さらに厚壁微生物(例えば酵母菌)
ならびに生体触媒凝集体、例えばビーズ固定化細胞に関する10.0 mm/分までの
範囲であることが分かっている。上記で略述した大きさの構成を用いて本発明の
遠心バイオリアクター系の性能特徴を、我々は分析した。その結果を以下に示す
【0146】 図38は、2つの最低沈降速度(SR)範囲の典型的生物学的有意粒子に関し
て図19〜29(本発明の第一の実施態様に関する)および図31〜35(本発
明の第二の実施態様に関する)に略記したローターおよびバイオリアクターの大
きさに対する前述の概略境界条件を満たすローター速度および液流量の値のプロ
フィールを示す。上の線は、あらゆる被験微生物に関して我々が測定したものよ
り係数10だけ小さい値である0.001 mm/分の固有沈降速度(SR)を有する粒子
の固定化を生じる連続的な液流量およびローター速度を示す。10 mL/分の流量
の場合でも、固定化を保持するのに必要なローター速度は物理的に合理的な値で
あり、そして必要とされる最大遠心力(RCF)は約9400 xgであり、この値は
平均的品質の遠心分離システムの十分に物理的限界内であるということに留意さ
れたい。下の線は、典型的代表的細菌が示す値に近い値である0.01 mm/分の沈
降速度(SR)を有する粒子に関する対応するプロフィールを示す。ここでも、
この線は固定化条件を満たす連続値を表す。したがって、例えば、「細菌A」の
特定サイズの三次元列を適切に栄養するのに2.0 mL/分の流量が必要である場合
、約1200 rpmのローター速度で十分であるが、一方必要流量8.0 mL/分は約2500
rpmのローター速度を必要とする。SR=0.01 mm/分というより重い粒子は、1
0.0 mL/分の流量では約1000xgのあまり多くない最大遠心力しか必要としない
ことに留意されたい。
【0147】 図39は、3つのより高い沈降速度(SR)範囲の典型的生物学的有意粒子の
場合における、図19〜29および31〜35に略記したローターおよびバイオ
リアクターの大きさに対する前述の概略境界条件を満たすローター速度および液
流量の値のプロフィールを示す。上の線は、0.1 mm/分の固有沈降速度(SR)
を有する、大型微生物または小型動物細胞(例えば、哺乳類赤血球)に匹敵する
粒子の固定化を生じる連続した液流量およびローター速度を示す。真ん中の線は
、より典型的な動物細胞(直径約30μm;SR=1.0 mm/分)の固定化に対応す
る値を示し、下の線は、大型緻密細胞、例えば真核酵母菌(SR=10 mm/分)
の固定化を提供する連続した値を示す。図38に示される傾向と同様に、図39
のデータから、重力による固有粒子沈降速度(RS)が増大すると、この流量範
囲で必要とされる最大ローター速度および最大遠心力は低減することが明らかで
ある。したがって、10.0 mL/分の流量に関しては、平均的サイズの動物細胞の
三次元配列は、固定化を提供するためには約10Xgの相対遠心力だけを必要とする
【0148】 図40は、検査した3つの最高固有沈降速度(SR)範囲に関する100 mL/分
という液流量の場合における、図19〜29および図31〜35に略記したロー
ターおよびバイオリアクターの大きさに対する前述の概略境界条件を満たすロー
ター速度および液流量の値のプロフィールを示す。したがって、粒子のこのよう
な固定化「ベッド」(例えば、ベッド容量=56 mL)を栄養するのに要する液流
量が10倍に増大される場合でも、必要な最大遠心力およびローター速度は技術的
には特記すべきものでない。「動物細胞」(SR=1.0 mm/分)の場合、100 mL
/分という流量は6.0 L/時間に相当し、この流量は、考え得るあらゆる条件下
で、今ような三次元配列細胞を適切に栄養するのに必要な値より明らかに大きい
【0149】 代替的実施態様を図51に示し、以下で説明する。本発明は、本実施態様なら
びに本発明の意図を有意に変えない機械的詳述におけるすべての偏向を含むもの
とする。小修正は本発明に含まれる。
【0150】 図51の実施態様は、容易に製造される十字形状である。細胞培養チャンバー
(単数または複数)は、所望の扇形、好ましくは球形のキャップを包含する。好
ましい実施態様では、供給液流は内部供給パイプから流入し、細胞チャンバーキ
ャップの内面に突き当たって、共通戻り容量を経て戻り、帰り管を通って流出す
る。この設計は外部衛生工事を排除する。
【0151】 遠心分離発酵装置は、所望の用途によって、あらゆるサイズであり得ることが
、本発明により意図される。例えば、装置は、小規模用途のためには直径3イン
チであり、大規模用途のためには直径6フィートであり得る。本発明は、装置に
関して考え得るあらゆるサイズを意図し、これらの開示範囲により限定されない
【0152】 チャンバーキャップは、当業者に既知のあらゆる方法により取り付けられ、そ
の例としてはねじ式取付が挙げられるが、これに限定されない。チャンバーキャ
ップは装置の台から取り外しできることもある。チャンバーキャップの形状は、
装置が用いられる特定の用途により確定される。好ましい実施態様では、チャン
バーキャップは、十字形構造中にねじ込むアッセンブリの一部である。他の実施
態様では、チャンバーキャップは、チャンバーに伴う一片として製造される。
【0153】 液体流入口および流出口は二重回転シールの同一側にあり、したがって、反対
側トラニオンまたはシャフト上で直接駆動させ得る。流体は、トラニオン内のパ
イプまたは導管中を流れ得る。トラニオンは、好ましくは、当業者に既知のあら
ゆる手段、例えば直接歯車伝動装置またはベルト(これらに限定されない)によ
り駆動される駆動トラニオンである。
【0154】 流動液体中の例えば細菌の集団の固定化の影響は、このような細胞の表面を通
過する液体の流れの結果として、細胞損害を引き起こすことはない(多数の微生
物は細胞外「鞘」を有し、これが液体剪断力からそれらの形質膜を保護するため
である)ことは一般に明らかである一方で、デリケートなな動物細胞(このよう
な細胞外防御を保有しない)がこれらの条件下で依然として生存可能であるか否
かはあまり明らかでない。しかしながら、図39に示したように、10 mL/分の
液流で固定した平均的サイズの動物細胞を保持するのに必要な最大相対遠心力(
RCF)は、約10Xgである。この液流が予測されるいかなる栄養要求(100 mL/
分)よりも明らかに十分高いレベルに増大された場合でも、必要とされる最大R
CFは約100 Xgに過ぎない(図40)。流動液中のこのような細胞の固定化は静
止液中で細胞を移動させるのと数学的に同等である、ということに留意する必要
がある。したがって、従来の実験室における100Xgを超えるRCFでの液体媒質
中での動物細胞の沈降が特異な現象でないことから、本発明のプロセスでのこの
ような細胞に作用する剪断力がそれらの形質膜に何らかの損害を生じたとは思え
ない。この主張は、本発明のプロセスに関して本明細書中に提示された値よりず
っと大きい流量およびRCFへの曝露後に生存可能動物細胞が首尾よく回収され
た関連装置であるベックマンJE−5.0遠心分離磨砕システムの運転特性により
支持される。
【0155】 本発明により、生物学的有意粒子の三次元配列を固定化し、そして完全液流で
固定化粒子を適切に栄養することが可能である。特に、前記の小規模原型遠心分
離プロセスに関しては、必要な遠心力および液体流量は通常範囲内であり、例え
ば特に高い回転速度や流量を必要とするといった新規の問題はない。さらに、こ
のような粒子の三次元配列の固定化を保持する流量および角毒度の対を成す広範
な値が存在することが実証されている。
【0156】 粒子のこのような配列を固定化するために用いられ得る広範な流量および対応
する回転速度が存在するという事実は、しかしながら、より広い意義を有する。
従来の培養法を用いた場合に、大規模培養において生じる大問題は、高密度の大
量の代謝活性生物単位を適切に栄養できないことである。従来の哺乳類細胞培養
の場合には、例えば1×106細胞/mLを超える平均細胞密度は、この理由のために
長期間達成されることは滅多にない。同様に、1×107細胞/mL〜1×109細胞/mL
の細菌細胞密度は、この同一理由のために、従来方法による大量培養では滅多に
超えられない。本発明のプロセスの方法を用いた場合、細胞密度および有効「ベ
ッド」容量が増大する(細胞増殖またはバイオリアクター投入により)と、適用
遠心場のサイズを同時に増大しながら、流入液流を増大することによりさらに大
きいまたはより高密度の培養の栄養要件増大に応じ得る。本発明の方法を用いる
と、従来の10の二乗倍の濃度の哺乳類細胞培養を容易に保持することが可能であ
り、1×1010細胞/mL〜1×1011細胞/mLの細菌細胞密度も同等に実現可能である
【0157】 同様に、好気性生物の高密度培養に関しては、培養への最適溶解酸素の適切な
送達という従来の問題は、本発明の方法を用いて容易に解決される。100 mMより
高い濃度で典型的培地中に分子酸素を溶解し得る(約1500 psigの水圧を用いて
)ために、最適溶解酸素の送達の問題は、考え得るあらゆる高密度培養に関して
、所望濃度の酸素の溶解度を保持するシステム水圧に調整することにより、簡単
に解決される。最適レベルに溶解酸素濃度を保持する能力は、生産効率を大いに
増大させる。多くの研究者が気づいているように、in vivoで観察されるものに
近い細胞生産効率を達成できないことが、従来の動物培養技術の大きな欠点であ
る(The Scientist, 8, #22, pg.16, November 14, 1994)。
【0158】 高密度培養中での正常に近い好気性効率を達成する能力は、別のあまり明らか
でない欠点、即ち発熱を有する。液体細胞環境を最適温度にするための高価なエ
ネルギー投入を必要とする代わりに、本発明の方法のポンプ輸送液は、余分な代
謝熱を取り去るために低温で細胞環境に送達されねばならない。
【0159】 本発明の方法の別の重要な利点は、生体触媒の三次元配列が固定化される液体
環境の化学組成物が相対的に変化しないことである。配列には新鮮な最適液体栄
養投入を連続的に供給されるために、そしてこれらの配列が連続したプロセス流
により連続的に排液されるために、細胞環境の化学組成は、時間が経過しても完
全に不変である。これらの配列の半径方向の長さに対して、栄養素、生成物(単
数または複数)および代謝物のわずかな化学的濃度勾配が生じるであろうが、半
径長は配列の最も短い大きさであるために、これらの勾配は最小で、そして培地
組成を調整することにより簡単に補正し得る。したがって、例えば、配列の深さ
についてのpH変化は、少量の緩衝により補正され得る一方で、配列の深さにつ
いての投入栄養素勾配も同様に補正され得る。
【0160】 しかしながら、本発明のプロセスの最も重要な利点は、代謝排出産物が、液体
プロセスフローによって細胞環境から連続除去されることである。細胞環境から
、代謝排出物の除去が不可能なこと、ならびに連続的に所望の生成物を除去し得
ないことが、細胞当たりの生産性を低下させる大きい要因であることが示唆され
ているために、本発明のプロセスを使用することで一般的な細胞生産性が大きく
向上するとおもわれる。
【0161】 本発明のプロセスにおける生体触媒の固定化集団への最適投入液体栄養培地の
化学組成は、従来の栄養培地とは全く異なる。特に、本プロセスの最適栄養組成
物は、バイオリアクターチャンバーを一回通過すると完全に消費され得るもので
ある。典型的栄養培地は、そのすべてが生体触媒の栄養要求よりもずっと大量に
存在する30またはそれ以上の栄養化学物質の配合物を含有する。これは、栄養培
地が、いくつかの場合には100時間もの長時間、その代謝プロセスを保持しなけ
ればならないためである。同様に、従来の培地は、pH緩衝物質および標識物質
およびホルモン刺激剤(胎児血清および/またはサイトカイン等)を生体触媒の
即時的要求量よりずっと多量に含有する。本発明のプロセスにおいては、投入液
体培地は、固定化された生体触媒の即時的な代謝に直接必要な濃度の栄養素と刺
激剤を含むよう調整され得る。理想的には、バイオリアクターから出る排出液は
栄養素を完全に欠き、塩類、代謝廃棄物および生成物分子のみを含有する。固定
化細胞集団を細胞増殖を促進または阻害するような栄養状態に保持するために、
本発明は、投入培地を調整できるようにする。細胞分裂に最適な栄養配合物が、
細胞周期の中で静止状態の細胞による生化学物質の産生に最適である可能性は非
常に低い。
【0162】 本発明で用いる液体培地は、当業者に既知のあらゆる処方物であり得るか、ま
たは当該生体触媒に必要な特定の個々の構成成分を含み得る。培地の種類として
は、栄養培地、平衡塩溶液または1つ又はそれ以上の有機溶媒を含有する培地が
挙げられるが、これらに限定されない。培地は、嫌気性または好気性条件下での
生体触媒の増殖のための溶解気体を含有し得る。培地は、培地中に見出される生
体触媒生成物または移動可能生体触媒がより容易に単離されるように処方され得
る。
【0163】 本プロセスの方法の利用のあまり明らかでない別の意味は、規模の効果である
。本発明の第一および第二の実施態様では、4つのバイオリアクターローターの
善容量はそれぞれ約224 mLおよび170 mLである。しかしながら、ローターの半径
を増大すると、システムの容量は半径の三乗で増大することに留意されたい。こ
れは、一番左の点が本発明の第一の実施態様に対応する図41のグラフ、および
一番左の点が本発明の第二の実施態様に対応する図42に示されている。半径1.
5メートルのローターは、約120リットルの容量を有する。さらに、培養の平均密
度は従来の培養方の場合の約100倍であるために、相当する培養容積はこれに比
例して大きくなる。したがって、半径1.5 mのローターを有する遠心発酵ユニッ
トは、最新技術を用いた12,000リットルの発酵とほぼ等価である。
【0164】 最後に、本発明のプロセスの使用には、規模において付加的利点がある、とい
うことに留意すべきである。相対遠心力はローター半径に直接比例するが、しか
し角速度の二乗にも直接比例するという事実の結果として、所望の相対遠心力を
保持するのに必要な回転速度は、ローター半径が増大すると低減する。これは、
図43のグラフに示されている。RCF=100 Xgを保持するのに必要な回転速度
は半径18 cmのローターに関しては約810 rpmであるが、一方、回転半径が1.5 m
に増大された場合には、この必要回転速度は300 rpm未満に低下する。これは、
回転速度の50%を超える低減である。
【0165】 本発明のプロセスのスケールアップが工業生産設備に有益であることは明らか
であるが、特定の細胞型の小均質集団の「代謝生理学」の分析研究に際して、遠
心発酵プロセスの小規模実施態様が有益であることにも留意すべきである。我々
の知る限りでは、例えば細菌集団の最大増殖に関する正確な栄養要件は不明であ
り、これは、固定化被験集団に投入される栄養液の組成を変動させ、同時に図色
を示す何らかの出力パラメーターを測定することにより、迅速且つ容易に確定さ
れ得る。同様に、どんな栄養配合物が生物学的生成物の細胞生産に最適であるか
(増殖を最大にするものと同一であるとは考え難い栄養配合物)を正確に知るの
が望ましいが、このようなパラメーターも分からない。本発明の小規模バージョ
ンのプロセスは、これまで実施が不可能であった方式で、「分析微生物学」また
は「分析細胞生物学」を発展させるのに有益に利用され得る、と考えられる。
【0166】 本発明は、流出液流中に分泌されるか、そうでなければ放出される生物学的生
成物の連続生産にも用いられ得る。したがって、例えば、定常状態固定化「ベッ
ド容積」を保持するためにその増殖速度(および死滅速度)が栄養的に操作され
た固定化微生物集団から放出される生成物(単数または複数)の連続収穫のため
に、本プロセスを利用し得る。このようなプロセスは、理論的には永久に使用可
能である。同様に、分泌動物細胞集団の固定化は、所望の生成物(単数または複
数)中に濃縮された液体の連続流出を引き起こす。
【0167】 本発明は、非分泌性生成物(例えば、遺伝子工学処理大腸菌中のタンパク質の
細胞質ゾル蓄積)の作製にも非常に有用である。固定化細胞集団が前記のバイオ
リアクターシステム内に、しかし過剰栄養投入条件下で、保持される場合には、
集団は急速に増殖してベッドサイズが拡大し、これが流出液流中に過剰細胞を連
続的に「漏出」する。したがって、本発明のプロセスは、「生産ウシ(producti
on cow)」として操作される。即ち、本発明は、所望の物質を豊富に含有する成
熟細胞の産生および流出のための連続インキュベーターとして用いられ得る。次
に、当該生成物を捕獲するための流出細胞流の下流単離および崩壊は、従来の生
成物精製法に従う。
【0168】 本発明のプロセスは、2またはそれ以上の別個の動物細胞集団または微生物集
団によるいくつかの中間段階を経る生物−有機物質の連続的、逐次内部変換の可
能性を提供する。固定化集団中へそしてそこから液流を連続的に流しながら、生
体触媒集団を完全に固定化する本発明のプロセスの能力の結果、ある集団と別の
集団との相互汚染を確実に排除した上で、別個の異種の固定化集団を一つの流動
プロセス中に純に結合できるようになった。これを実施するには、本明細書中に
記載されたいくつかの装置を純に連結し、材料流がある装置から別の装置へと、
さらにそれに続く装置へと流れるようにする。図44に示されているように、第
一培地溜め中の溶解栄養として提供される生化学基質が、第一遠心ローター内に
固定化された生体触媒集団を通過することにより、中間「生成物A」に変換され
、次に、さらに第二遠心ローター内に固定化された生体触媒集団を通過すること
により、「生成物B」に変換される要に、プロセスは流れる。さらに、どちらの
遠心遠心分離/ローター組合せも、もう一方と同じ速度および角速度で動作する
よう拘束されていないため、2つの固定化集団間の液体栄養供給ストックの組成
を変えることができる。したがって、図44に示されているように、第二遠心ロ
ーター内への液流は、第二培地溜めから必要な栄養を供給する付加的ポンプによ
って変更され得る。第二遠心ローターを通過する単位時間当たりの総流量は、第
一遠心ローターを通過する量より単純に多い。
【0169】 この種類の逐次変換プロセスの利用の商業的に有益な例は、酢酸の生物学的生
産である。第一遠心ローター中での酵母菌、例えばビール酵母菌サッカロマイセ
ス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)の固定化集団によるグルコースの
エタノールへの嫌気性生物変換の後に、第二遠心ローター中での細菌アセトバク
ターアセティー(Acetobacter acetii)の固定化集団によるエタノールの酢酸へ
の好気性変換がおこなわれる。これには、溶解酸素および補足的栄養が第二培地
溜めを介して提供される(例えば、図17に示した酸素化案を用いて)必要があ
る。
【0170】 同様に、特定の遠心バイオリアクターユニットを通過する単位時間当たりの総
流量を低減する必要があるプロセスフロー案の場合には、一連の同一遠心バイオ
リアクターユニットをプロセス流の流れと平衡に接続し、その結果生じた単位時
間当たりの個々の流量をそれにより各ユニットを通過する分画流に低減し得る。
この場合、本発明の装置は並列に接続される。
【0171】 本発明に用い得る微生物としては、遠心分離または濾過によりブロスから収穫
される乾燥細胞または湿潤細胞が挙げられるが、これらに限定されない。これら
の細胞は、以下の4群、即ち、細菌、放線菌、真菌、酵母および藻類に分類され
る。第一群の細菌で、分裂菌綱に属するものは、シュードモナス(Pseudomonas
)属、アセトバクター(Acetobactor)属、グルコノバクター(Gluconobactor)属、
バチルス(Bacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ラクトバチ
ルス(Lactobacillus)属、レウコノストック(Leuconostoc)属、ストレプトコッカ
ス(Streptococcus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、ブレビバクテリウム
(Brevibacterium)属、アルトロバクター(Arthrobacter)属またはエルウィニア(E
rwinia)属等である(R.E. Buchran and N.E. Gibbons, Bergey's Manual of Det
erminative Bacteriology, 8th ed.,(1974), Williams and Wilkins Co.参照
)。分裂菌綱に属する第二群の放線菌は、ストレプトミセス(Streptomyces)属、
ノカルティア(Nocardia)属またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)属等であ
る(R.E. Buchran and N.E. Gibbons, Bergey's Manual of Determinative Bact
eriology, 8th ed.,(1974), Williams and Wilkins Co.参照)。分類学上フィ
コミセテス(Phycomycetes)綱、アスコミセテス(Ascomycetes)綱、不完全真菌(Fu
ngi imperfecti)綱およびバシジノミセテス(Bacidiomycetes)綱に属する第三群
の真菌は、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhisopus)属、アスペルギルス(Asterg
illus)属、ペニシリニウム(Penicillium)属、モナスクス(Monascus)属またはネ
ウロスポリウム(Neurosporium)属等である(J.A. von Ark, "The Genera of Fun
gi Sporulating in Pure Culture", in Illustrated Genera of Imperfect Fung
i, 3rd ed., V. von J. Cramer, H.L. Barnett, and B.B. Hunter, eds.(1970
), Burgess Co. 参照)。分類学上アスコミセテス綱に属する第四群の酵母は、
サッカロミセス(Saccharomyces)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属
、ピチア(Pichia)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、カンジダ(Candida)属、トルロ
プシス(Torulopsis)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、クロエケラ(Kloechera)属
等である(J. Lodder, The Yeasts: A Taxonomic Study, 2nd ed.,(1970), No
rth-Holland参照)。第五群の藻類としては、、クロレラ(Chlorella)属およびセ
デスムス(Scedesmus)属に属する緑藻、ならびにスピルリナ(Spirulina)属に属す
る藍藻が挙げられる(H. Tamiya, Studies on Microalgae and Photosynthetic
Bacteria,(1963)Univ. Tokyo Press参照)。前記で列挙した微生物は、本発明
の発酵プロセスに用いられ得る微生物の代表例を意味するだけであると理解され
るべきである。
【0172】 本発明の培養方法は、単層または懸濁培養中の何れかで増殖され得る植物また
は動物にも適用できる。細胞の種類としては、一次および二次細胞培養、ならび
に二倍体または異倍数体細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。ウイル
ス増殖および採取のために用いられ得るその他の細胞も適している。ハイブリド
ーマ、新生細胞、ならびに形質転換および非形質転換細胞株のような細胞も適し
ている。胎児、成人または腫瘍組織から得られる一次培養、ならびに確立された
細胞株の細胞も用いられ得る。典型的なこのような細胞の例としては、一次アカ
ゲザル腎細胞(MK−2)、幼ハムスター腎細胞(BHK21)、ブタ腎細胞(
IBRS2)、胎児ウサギ腎細胞、マウス胚繊維芽細胞、マウス腎腺癌細胞(R
AG)、マウス髄質腫瘍細胞(MPC−11)、マウス−マウスハイブリドーマ
細胞(I−15 2F9)、ヒト二倍体繊維芽細胞(FS−4またはAG152
3)、ヒト肝臓腺癌細胞(SK−HEP−1)、正常ヒトリンパ球性細胞、正常
ヒト肺胎児繊維芽細胞(HEL299)、WI38またはWI26ヒト胎児肺繊
維芽細胞、HEPNo.2一類表皮癌細胞、ヒーラ子宮頸癌細胞、一次および二次
ニワトリ繊維芽細胞、ならびに、例えばSV−40またはポリオーマウイルスで
形質転換された種々の種類の細胞(WI38VA13、WI26VA4、TCM
K−1、SV3T3等)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法
に使用可能なその他の適切な確立細胞株は、当業者には明らかである。
【0173】 本発明の実施により得られる生成物は、細胞、即ち真核細胞または原核細胞;
細胞下小器官または構成成分、例えばミトコンドリア、核、リソゾーム、小胞体
、ゴルジ体、ペルオキシソームまたは形質膜、あるいはそれらの組合せ;あるい
は酵素複合体で、天然複合体または合成複合体の何れか、即ち所望の生成物を得
るために一緒に複合される複数の酵素を培養することによる結果であるあらゆる
代謝生成物である。
【0174】 本発明の利点の1つは、その細胞(したがって、その化学物質)を商業的量で
生産できるよう、化学物質に関する遺伝子を単離し、その遺伝子を適切な宿主細
胞中に挿入する手間の掛かるプロセスを経ることなく、細胞から所望の化学物質
を生産する能力である。これを実施することにより、本発明を用いて大量の所望
の化学物質を製造し得る。
【0175】 本発明により製造され得る生成物としては、免疫調節物質、例えばインターフ
ェロン、インターロイキン、増殖因子、例えばエリスロポイエチン;モノクロー
ナル抗体;微生物からの抗生物質;凝固タンパク質、例えば第VIII因子;繊維素
溶解タンパク質、例えば組織プラスミノーゲンアクチベーターおよびプラスミノ
ーゲンアクチベーター阻害剤;血管由来タンパク質;ならびにホルモン、例えば
成長ホルモン、プロラクチン、グルカゴンおよびインスリンが挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0176】 「培養培地」という用語は、微生物、植物または動物細胞の最適増殖のための
あらゆる培地、あるいは選択される酵素または酵素系の最適反応に必要な酵素基
質、補因子、緩衝剤等を含めた酵素反応のためのあらゆる培地を含むが、これら
に限定されない。細胞増殖のための適切な培地は、窒素、炭素および無機塩の同
化可能源を含有し、そして緩衝剤、標識物質または抗生物質も含有し得る。
【0177】 微生物、細胞または生体触媒の培養に最適であることが知られているあらゆる
培地が、本発明に用いられ得る。このような培地は一般に、生きている生物を培
養するという性質のために、水性であるが、有機溶媒、または水と有機溶媒、例
えばジメチルホルムアミド、メタノールジエチルエーテル等との混和性組合せも
、固定化生体触媒が用いられる生物変換のような有効性が立証されているプロセ
スに用いられ得る。プロセスシステム中の液体培地の通過は1回であるか、ある
いは生成物への基質のより高い効率の変換のための系を通って液流が再循環され
る。所望の栄養および刺激化学物質を、低圧栄養供給により、または細胞チャン
バーの上流のプロセスフローへの注入により、プロセスフローに導入し得る。
【0178】 本発明は、周知の組織培地、例えばイーグルの基本培地(BME)、イーグル
の最小必須培地(MEM)ダルベッコの変法イーグル培地(DMEM)、ベント
レックス培地、ロズウェルパーク培地(RPMI 1640)、199培地、ハ
ムのF−10、Iscoveの変法ダルベッコ培地、リン酸緩衝化塩培地(PBS)、
ならびに種々の栄養素を強化したイーグルまたはハンクの平衡塩溶液(BSS)
に適用可能であるが、これらに限定されない、と理解される。これらは市販の組
織培地であって、H.J. Morton(1970)In Vitro 6, 89-108に詳細に記載されて
いる。これらの従来の培地は、既知の必須アミノ酸、無機塩、ビタミンおよび炭
水化物を含有する。それらは、しばしば、ホルモン、例えばインスリン、および
哺乳類血清、例えば仔ウシ血清、ならびに静細菌および静真菌性抗生物質で強化
される。
【0179】 生体触媒固定化チャンバー内の細胞増殖または細胞呼吸は直接見ることはでき
ないが、このような代謝は、基質の消費、溶解酸素含量、二酸化炭素産生等の化
学的検知により容易にモニタリングし得る。したがって、例えばビール酵母菌(
Saccharomyces cerevisiae)の一種の発酵の場合には、固定化チャンバーに細胞
の小スターター集団を接種して、その後好気性発酵処理をおこなって、生体触媒
固定化チャンバー中のグルコース消費、溶解酸素消費および二酸化炭素産生を、
化学的に、または適切な検知電極により測定する。したがって、最適細胞ベッド
サイズが達成されるまで、細胞複製を進行させ得る。この時点で、溶解酸素投入
を停止すると、固定化酵母細胞がグルコースの嫌気性発酵に移行して、その結果
、エタノールが生成され、このプロセスは同様に化学的にモニタリングし得る。
【0180】 同様に、プロセスに変更を加えずに、本発明のプロセスは、固定化化学触媒、
酵素または酵素系のバイオリアクターとして利用し得る。このようなプロセスに
おいては、触媒、酵素または酵素系は、固体支持体、例えば珪藻土、シリカ、ア
ルミナ、セラミックビーズ、炭、あるいは高分子またはガラスビーズ(これらに
限定されない)上で化学的に固定され、これらは次に生体触媒固定化チャンバー
中に導入される。水性、有機、または水性と有機の混合溶媒の何れかである反応
培地は、バイオリアクター内のプロセスシステムを、そして固体支持体の三次元
配列を流れる。触媒、酵素または酵素系は、プロセスフロー培地中の反応体を所
望の単数または複数の生成物に変換する。同様に、他の適用では、細胞または細
胞構成成分、例えばベクター、プラスミドまたは拡散配列(RNAまたはDNA
)等(これらに限定されない)を、固体支持体マトリックスに固定し、導入反応
体を所望の生成物に変換する差異に同様の用途のために閉じ込め得る。
【0181】 本発明の商業的適用は、医薬関連の細胞由来分子の産生においてであって、こ
の例としては、抗腫瘍因子、ホルモン、治療用酵素、ウイルス抗原、抗生物質お
よびインターフェロンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法を
用いて有益に調製し得る可能性のある生成物分子の例としては、脳下垂体細胞か
らのウシ成長ホルモン、プロラクチンおよびヒト成長ホルモン、腎細胞からのプ
ラスミノーゲンアクチベーター、培養肝細胞からのA型肝炎抗原、ハイブリドー
マ細胞からのウイルスワクチンおよび抗体、インスリン、新血管形成因子、フィ
ブロネクチン、HCG、リンホカイン、IgG等が挙げられるが、これらに限定
されない。他の生成物は、当業者には明らかである。
【0182】 工業的成長の結果として放出される温室効果ガスの増大ならびに地球温暖化に
及ぼすと推定されるその作用は、全世界の関心事である。排気からガスを除去す
るよう意図された多数の物理的および化学的プロセスが提示されてきたが、財政
的に実行可能なものはない。水性ガス、例えば二酸化炭素の微生物的同化は、最
新改善技術よりもずっと安価で且つ簡単である一方で、その使用撤回の中心は、
大量処理の経済的不可能性であった。必要とされる高流量は、所望の生物改善が
実行される前に所望の微生物集団をすっかり「洗い落とす」。
【0183】 微生物および藻類集団は、水性ガス、例えば酸化炭素(CO2およびCO)の
直接的同化が可能である。さらに、ほとんどすべての地上の、ならびに多数の海
洋の微生物は、同種または異種バイオフィルムの作用力を介して固体支持体に結
合することにより、実際存在する、ということは十分に実証されている。本発明
は、燃料ガス放出物、煙突および自動車のようなガス源から二酸化炭素および一
酸化炭素のようなガスを除去するためにこれらの微生物特性を利用する生物改善
プロセスを包含する。
【0184】 本発明の一実施態様では、同種または異種の微生物集団を、バイオフィルムの
形成により固体支持体上に固定する。これらの固体支持体は、好ましくは図56
の配置で、本発明の装置中に置かれる。固体支持体のサイズおよび密度、ならび
にチャンバーの大きさは、バイオフィルムにより固定された微生物上に余分の液
体流剪断力が生じることなく、システムポンプが所望のスループット流量を達成
しうるよう選択される。ポンプシステムが2相(液体および固体)のみを有する
ことは不可欠であるため、ポンプシステムは、チャンバーの下流の圧力調節器に
より周囲より高い水圧に保持される。栄養無機質および有機物は、好ましくは、
付加的所望微生物をバイオフィルム−固定化微生物集団に再投入するのにも役立
つ遠心発酵ユニット(CBR)により、圧力下でチャンバーに供給される。例え
ば、それらの硫黄−および窒素含有構成成分を「洗い落とされた」通気ガス放出
は、このガスを強塩基に溶解することにより、またはガス分離、圧縮および可溶
化によりその二酸化炭素含量を除去される。このようにして得られた水性溶液を
、システムポンプにより微生物のチャンバーにポンプ輸送する。このプロセスの
核心は、バイオマス中への二酸化炭素ガスの捕獲である。したがって、チャンバ
ーの流れを経た「出力」は、容易に捕獲され、乾燥され、そして燃料として再使
用され得る過剰バイオマスとなる。
【0185】 本発明のもう一つの方法は、金属の単離のための方法、組成物および装置を包
含する。微生物集団は、広範囲の有機または無機化合物を吸着、吸収または代謝
し得る。さらに、地上ならびに多数の海洋性微生物は、同種または異種バイオフ
ィルムの作用力を介して固体支持体に結合することにより、実際に存在する、と
いうことが実証されている。本発明は、結合のための表面物質を微生物に提供す
ることに向けられ、このような表面は、微生物による活性のための基質を提供す
る。基質は微生物により作用を及ぼされ、そしてその活性の一部として、表面物
質の構成成分が放出され、したがって単離される。
【0186】 本発明の好ましい実施態様は、図55に示されるような装置に用いられる表面
物質として不活性粒子を包含する。微生物が装置に付加され、そこで微生物は不
活性粒子と結合する。微生物は不活性粒子上で作用する。この活性は、化学的ま
たは物理的変化あるいはその両方を不活性粒子に対して引き起こし得る。この活
性の生成物として、金属が放出される。好ましくは、金属は微生物により作用を
及ぼされない。このような金属としては、金、プラチナ、銅および銀が挙げられ
るが、これらに限定されない。鉱石組成物中に化学的に結合され、または物理的
に閉じ込められた鉱石組成物の一部であるあらゆる金属が、本発明により意図さ
れる。
【0187】 微生物が不活性粒子に作用して金属を放出することが知られている一方、有効
量の金属を放出するのに適したこのような微生物コロニーの増殖および保持を容
易に可能にするプロセスは存在しなかった。いくつかの系で必要とされる高流量
は、それらが所望の活性を実施し得る前に所望の微生物集団をすっかり洗い落と
す。本発明は、本実施態様、ならびに意図を有意に変更しない機械的詳細でのあ
らゆる変更を含むものとする。小修正は本発明に含まれる。微生物としては、細
菌、ウイルス、真菌、藻類、酵母、原生動物、寄生虫、スピロへーター、当業者
に既知の原核生物または真核生物である単細胞および多細胞生物が挙げられるが
、これらに限定されない。さらに、生体触媒が本方法に含まれる。
【0188】 好ましい実施態様では、同種または異種の微生物集団が固体支持体上に固定さ
れる。いかなる特定の理論とも結びつけたくはないが、このような結合はバイオ
フィルムの形成によると考えられる。これらの固体支持体は、図55に示したよ
うなチャンバー中に置かれ、この場合、所望の水性液流が生成される。固体支持
体のサイズおよび密度、ならびにチャンバー寸法は、固定化バイオフィルム上に
余分の液体流剪断力が生じることなく、システムポンプが所望のスループット流
量を達成しうるよう選択される。ポンプシステムが2相(液体および固体)のみ
を有することが不可欠であるため、ポンプシステムは、好ましくはチャンバーの
下流の、圧力調節器により周囲より高い水圧に保持される。栄養無機質および有
機物および溶解ガスは、付加的所望微生物をバイオフィルム−固定化微生物集団
に再投入するのにも役立つ遠心発酵ユニット(CBR)により、圧力下でチャン
バーに供給される。有益な場合には、流入溶液は、出力(流出)圧調節器の下流
での圧放出の結果として利用可能なガス散布系により脱酸素化され得る。
【0189】 本発明のさらに好ましい実施態様では、表面物質として用いられる不活性粒子
は、黄鉄鉱FeS2から作られる。黄鉄鉱鉱石は、微粉砕されてチャンバーに付
加される。鉱石を代謝し得る細菌が付加される。好ましい構成では、細菌はチオ
バチリス フェリオキシダンス種(Thiobacillis ferrioxidans sp.)群から選
択される種々の種を含む。細菌は、酸素依存性である化学合成無機栄養的プロセ
スを開始する。いかなる特定の理論とも結びつけたくはないが、細菌はFeS2
をFeSO4硫酸第一鉄に変換すると考えられる。この変換中、鉱石中に混入さ
れた金属が放出される。このような好ましい金属の一つは金である。鉱石の一定
スラリーがチャンバーに供給されて、分解されるかまたは作用を及ぼされている
表面物質を再補充する。金は、チャンバーから容易に回収される。
【0190】 金属の単離のための他の種類の細菌の使用は、本発明により意図される。本発
明は、記載した微生物または表面物質に限定されない。その後金属を放出する基
質に作用するかまたはそれを分解し得るあらゆる微生物が本発明により意図され
る。
【0191】 以下の実施例により本発明をさらに説明するが、いかなる点でも、本発明はそ
れらに限定されない。これに反して、本発明の精神および/または添付の特許請
求の範囲を逸脱しない限り、本明細書の記載を読めば当業者に示唆され得る種々
のその他の実施態様、修正およびそれらの等価物を有し得ると理解されるべきで
あることは明らかである。
【0192】 実施例I 水性溶液からの重金属の除去 微生物集団は、稀釈水性溶液中の微生物集団に提供される広範囲の無機陽イオ
ン錯体を吸着、吸収または代謝し得ることが示されている。さらに、ほとんどす
べての地上の、ならびに多数の海洋の微生物は、同種または異種バイオフィルム
の作用力を介して固体支持体に結合することにより、実際に存在する、というこ
とは十分に実証されている。ここでは、非常に多量の水性溶液中に低濃度で存在
する重金属を除去するためにこれらの微生物特性を利用する新規の生物改善プロ
セスを実証する。
【0193】 水性重金属汚染物の微生物的生物改善は、最新改善技術よりもずっと安価で且
つ簡単であると考えられる一方で、それらの使用撤回の原因は、稀釈汚染物処理
を処理する経費が高いことにあった。稀釈濃度の汚染物に典型的に必要とされる
高流量は、所望の生物改善が実行される前に所望の微生物集団をすっかり「洗い
落とす」。
【0194】 微生物集団を、単数または複数の生体触媒を固定化したチャンバーに固定する
。これらのチャンバーを、好ましくは本明細書中に記載した実施態様のいずれか
において、本明細書中に示した装置の実施態様中に置く。選定した微生物の三次
元配列の固定化を可能にするように流量およびローターRPMを選択する。ポン
プシステムが2相(液体および固体)のみを有することが不可欠であるため、ポ
ンプシステムを、生体触媒固定化チャンバー(単数または複数)の下流の圧力調
節器により周囲より高い水圧に保持する。栄養無機質および有機物および溶解ガ
ス(単数または複数)を、主システムポンプであるポンプ3により、生体触媒固
定化チャンバー(単数または複数)に供給する。
【0195】 細菌シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)の集団を固定化し、CB
Rユニット中で培養した(RPM=850、FR=1.0 mL/分、T=37/30℃、pH
=6.5、培地:LB)。いかなる特定の理論にも縛られたくはないが、この族の
細菌は、相当量の重金属イオンを吸着し得る、と理論上想定した。これらの実験
は、水性溶液からウラニルイオン(UO2 2+)を除去するいくつかの種のCBR
固定化集団の能力を調べた。さらに、ウラニルイオンは、地下水汚染物質として
、相対的に酸性の溶液(pH=4〜5)中で典型的に見出されるため、すべての
固定化細胞培養/細胞 吸着実験を、酸性溶液中で実施した。検査した種はすべ
て、酸性条件下で、ゆっくりではあるが、増殖し、そして相当量のこの環境汚染
物質を吸着し、吸収することが判明した。P. aeruginosaの集団はウラニルイオ
ン摂取において多少優れていたが、P. aeruginosaの取扱いに伴う健康的危険性
が少しではあるが存在するために、P. putida集団の摂取特性の研究に専念した
【0196】 実例実験の結果を、図46に示す。約1 X 1010のP. putida細胞をCBRに注
入し、固定化した後、5 ppmの硝酸ウラニル(pH=4.7)の流れを開始させた。
CBR流出量を、ウラニルイオンスループットに関してICP−AESによりモ
ニタリングした。図に示したように、出力(流出)されるウラニルイオンがその
入力(流入)値の5%を超える前に約16 Lの液体を収集したが、出力されるウラ
ニルイオンは、細胞集団の非存在下で4 Lの流れが通過した後に、流入値の80%
を超える。前記の値は、乾燥バイオマス重量で約826 mgによって約31 mgのUO2 2+ の吸着および/または吸収があったことを表す。
【0197】 このプロセスを用いる重金属の大量の稀釈水性溶液の処理は、以下の工程によ
り進行する:(1)CBRユニットへの細胞集団の投入、(2)汚染物質重金属
と固定化集団の飽和溶液を、稀釈溶液として、CBRを通過させる、(3)生体
触媒固定化チャンバー(単数または複数)からの重金属錯体で飽和された微生物
のペレット化および除去、そして(4)全容量の汚染液が処理されるまでの工程
1〜3の反復。
【0198】 実施例II 微生物細胞からの分泌生成物の産生 ある微生物集団は、それらの生存能力を支持する栄養培地を提供されると、有
機分子を産生および分泌し得ることが示されている。いくつかの場合には、この
ような栄養培地は分泌生成物の産生増強を支持する刺激化学物質を補充される。
【0199】 分泌生成物および代謝物質を固定化細胞凝集体から連続的に除去しながら、生
産的微生物の高密度集団を真のケモスタット中で、即ち不変化学条件で保持する
ことができるなら、微生物的分泌産生は非常に安くかつ簡単であるが、このよう
なプロセスは、今までは実現可能でなかった。
【0200】 微生物集団を生体触媒固定化チャンバー(単数または複数)中で固定した。こ
れらのチャンバーを、好ましくは、本発明の一実施態様中に、好ましくはCBR
と呼ばれる本明細書中に記載した実施態様のいずれかに置く。選定した微生物の
三次元配列の固定化を可能にするように流量およびローターRPMを選択した。
ポンプシステムが2相(液体および固体)のみを有することが不可欠であるため
、ポンプシステムを、生体触媒固定化チャンバー(複数)の下流の圧力調節器に
より周囲より高い水圧に保持した。栄養無機質および有機物および溶解ガス(単
数または複数)を、主システムポンプであるポンプ3により、生体触媒固定化チ
ャンバーに供給した。
【0201】 好気性酵母であるアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulan
s)の集団を固定化し、以下のパラメーターを用いて生体触媒チャンバー中で培
養した:RPM=380、流量=1.0 mL/分、T=22℃、pH=7.1、培地:1%グ
ルコース、1%YNB。固定化酵母集団は、その栄養培地への1%キシロースの
導入および栄養グルコースの回収に反応して、酵素キシラナーゼを分泌した。図
47は、最初に培地炭素源としてのグルコース上で増殖させ、その後キシロース
に切り換えた(T=0で)A. pullulansからのキシラナーゼ産生の時間経過を示
す。キシラナーゼの連続産生を、96時間以上観察した。
【0202】 25時間培養のCBRユニット中でのキシラナーゼ産生の、20時間培養の等価振
盪フラスコとの比較により、1.2 U/mL(CBR)および1.0 U/mL(振盪フラスコ
)のキシラナーゼレベルを確定した。CBR産生酵素は、振盪フラスコ培養の特
異的活性の約2倍の活性を有した。この生物は、キシラナーゼ遺伝子およびその
プロモーター領域の配列が既知であり、異種タンパク質の産生および分泌に使用
可能であると思われるために、特に興味深い。
【0203】 実施例III 動物細胞からの分泌生成物の産生 ある動物集団は、それらの生存能力を支持する栄養培地を提供されると、有機
分子を産生および分泌し得ることが示されている。いくつかの場合には、このよ
うな栄養培地は分泌生成物の産生増強を支持する刺激化学物質を補充される。本
実験は、分泌生成物の量および純度を増強するこれらの動物細胞の特性を利用す
る新規の生産プロセスを示す。
【0204】 分泌生成物および代謝物質を固定化細胞凝集体から連続的に除去しながら、生
産的微生物の高密度集団を真のケモスタット中で、即ち不変化学条件で保持し得
るならば、動物細胞分泌生産は非常に安価で且つ簡単であるが、このようなプロ
セスは、今までは実現可能でなかった。ここで実証するプロセスは、培養動物細
胞に関する計量可能なケモスタット生産プロセスの最初の実証である。
【0205】 この新規のプロセスでは、動物細胞集団を生体触媒固定化チャンバー(単数ま
たは複数)中で固定した。これらのチャンバーを、本発明の一実施態様に、好ま
しくは本明細書中に記載した実施態様のいずれかに置く。選定した細胞型の三次
元配列の固定化を可能にするように流量およびローターRPMを選択した。ポン
プシステムが2相(液体および固体)のみを有することが不可欠であるため、ポ
ンプシステムを、生体触媒固定化チャンバー(複数)の下流の圧力調節器により
周囲より高い水圧に保持する。栄養無機質および有機物および溶解ガスを、主シ
ステムポンプであるポンプ3により、生体触媒固定化チャンバーに供給する。
【0206】 ネズミハイブリドーマpAB122細胞を、従来のTフラスコ中で1 x 106細
胞/mlで増殖させた。約100 mlを取り出して、冷まし、遠心分離により細胞をペ
レット化した。細胞ペレットを10 mlの氷冷DMEM+10%FBS中に再懸濁し
、RPM=250、FR=1.0 mL/分、T=37℃、pH=7.2、培地:DMEM w/1
0%FBSという条件下でCBRを実行しながら、流入口を通して生体触媒チャ
ンバーに注入した。セルはチャンバー内で、約1時間以内に固定され、生産され
た液の最初の収集物は抗体の存在を示した。
【0207】 ネズミハイブリドーマpAB122は、CBRユニット(RPM=250、FR
=1.0 mL/分、T=37℃、pH=7.2、培地:DMEM w/10%FBS)中で容易
に培養可能であることが判明した。この細胞株は、重要なタンパク質に対する抗
体p53を産生し、分泌する。5〜9日の培養期間中に、約1 x 108細胞のCB
R培養からのAbp53の連続産生が観察された。CBR固定化細胞は、3〜4
日間連続して、約60 mg/日のAbp53を産生した。比較すると、約1 x 108
胞の7日間Tフラスコ培養(50 mL)は、約7 mg/日のAbp53を産生した。
【0208】 これらの細胞をFBSを欠く培地で還流したCBRでの1回の3日間実験では
、 Abp53の産生率は半分に低減したが、この後者の産生の時間経過は、時
間に伴って低減すると思われる。 Abp53としてCBR生産で産生される生
成タンパク質の同一性は、ウエスタンブロット、p53ELISA検定により、
ならびにSDSゲル中での真正Abp53とのその同時移動により確証されてい
る。
【0209】 実施例IV 大量水性溶液からの低濃度汚染物質の生物改善 微生物集団は、稀釈水性溶液中の微生物集団に提供される広範囲の有機または
無機化合物を吸着、吸収または代謝し得ることが示されている。さらに、ほとん
どすべての地上の、ならびに多数の海洋の微生物は、同種または異種バイオフィ
ルムの作用力を介して固体支持体に結合することにより、実際に存在する、とい
うことは十分に実証されている。非常に多量の水性溶液中に低濃度で存在する水
汚染物質を除去するためにこれらの微生物特性を利用する新規の生物改善プロセ
スを実証する。
【0210】 水性汚染物質の微生物的生物改善は、稀釈汚染物質を処理する経費が高くて手
が出せない以外は、最新改善技術よりもずっと安価で且つ簡単である。稀釈汚染
物の処理に典型的に必要とされる高流量は、所望の生物改善が実行される前に所
望の微生物集団をすっかり「洗い落とす」。
【0211】 同種または異種の微生物集団を、バイオフィルムの形成により固体支持体に固
定した。これらの固体支持体を、本発明の一実施態様、好ましくは第三の実施態
様(この例は、図45に示されている)に置く。固体支持体のサイズおよび密度
、ならびにチャンバー寸法を、支持体−微生物細胞複合体の固定化三次元配列の
生成を伴って、システムポンプが所望のスループット流量を達成しうるよう選択
する。ポンプシステムが2相(液体および固体)のみを有することは不可欠であ
るため、ポンプシステムは、チャンバーの次にある圧力調節器により周囲より高
い水圧に保持される。栄養無機質および有機物および溶解ガスを、主システムポ
ンプであるポンプ3により、生体触媒固定化チャンバーに供給する。
【0212】 図45のシステムを用いて、稀釈水性溶液から硝酸イオンを除去したが、これ
は、環境の生物改善において多大な関心を有するプロセスである。以下の寸法(
R1=5.0 cm、 R2=5.0 cm、L=100 cm)の生体触媒固定化チャンバーに、
シュードモナス プチダPseudomonas putida(PRS2000菌株)の振盪フラスコ酵
素と平衡させた100 mLの30〜50メッシュ炭を投入した。培地溜め1に400 ppm 硝
酸ナトリウム、0.05 ppmリン酸カリウムおよび0.5 ppmエタノールの水性溶液を
投入した。気体−液体吸着溜め2を周囲圧窒素ガスと平衡させた。システム圧調
節器3を30 psigに設定して、ポンプ1〜3を120 Ml/分で流れるよう設定した
。図48は、電流測定により測定した場合の硝酸イオンの流入対流出レベルの分
析結果を示す。システム出力量中の硝酸塩レベルは、最初の8時間で急激に低下
し、残りの実験時間中は入力値の15%未満のままであった。出力量の付随的分析
は、亜硝酸塩および亜酸化窒素のレベルが最小で、多量の硝酸塩が分子窒素に変
換されたことを示す。
【0213】 実施例V CBRに関する逐次立体配置 本発明の別の配置を、図49に示す。本発明は、いくつかの実施態様、または
逐次立体配置に用いられる個々のCBRの使用を包含する。図49のシステム配
置は、例えば、固定化発酵酵母集団によるグルコースのエタノールへの嫌気性発
酵によりエタノールを生成するために、一CBR実施態様(「CBRユニット#
1」として図に示されている)を用いる。そのように生成されたエタノールを、
次に下流生体触媒固定化チャンバーにポンプ輸送するが、この場合、それは前記
の実施例IVと同様に、硝酸塩イオンの異化還元のための補助基質として役立つ
。逐次連結CBRユニットの各々のスループットおよび容量に広範な相違が認め
られることにも留意されたい。400 ppmの硝酸塩の異化は0.5 ppmのエタノールの
共存を要するだけである、ということが実施例IVで示された。このような場合
、CBRユニット#1を、第二ユニットにおいて固定化される場合の1000倍で、
且つ相対的に小流量で流れるバイオマスを固定化するよう形造する。
【0214】 本発明の別の配置を、図50に示す。図50のシステム配置は、生体触媒固定
化チャンバー(図50の「モジュール」)の平行配列中への定期的導入のための
取替微生物細胞を生成するために、一CBR実施態様(「CBRユニット#1」
として図に示されている)を用いる。図50の立体配置は、「モジュールファー
ム」とも呼ばれる平行生体触媒チャンバーの配列を含有するが、これは、システ
ムポンプが、この実施例では4つの運転中の生体触媒固定化チャンバー(図50
の「モジュール」)に汚染水を供給する一方、2つの付加的オフラインモジュー
ルが供給用に調製されていることを除いて、図49の立体配置と同一である。
【0215】 本発明の前記の説明は、網羅的でもあるいは開示した厳密な形態に本発明を限
定するものでもない。多数の修正および変更が可能である。記載した特定の実施
態様は、本発明の原理およびその実際的用途を最良に説明し、それにより関連当
業者が、種々の実施態様で、ならびに意図される特定の用途に適するような種々
の修正を用いて本発明を最良に利用できるようにするものである。前記の説明は
、添付の特許請求の範囲において、本発明のプロセスの範囲内のこのような修正
、変動および変更をすべて網羅するよう意図される。
【0216】 実施例VI 十字形実施態様 図51、52および53は、本発明の別の実施態様の構成を示す。この実施態
様は、高容量生産用途に用いられ得る簡単な設計である。図51に示すように、
十字形回転体130は、つば付チャンバーキャップ137で終わる4つのつば付
中空円筒セグメント131から成る。十字形回転体130は、十字形回転体13
0の対称な平面に正しい角度で十字形回転体に挿入される回転シャフト132上
に取り付けられる。回転シャフト132は、2つの軸方向溝133および134
を有する。軸方向溝133は、つば付チャンバーキャップ137に延びる4つの
半径方向液体流入管136と連絡する十字形回転体130の対称の平面上または
付近の4つの半径方向通路135で終わる。栄養液は、軸方向溝133および半
径方向溝135ならびに半径方向液流入管136を通って十字形回転体130に
入る。軸方向溝134は、回転シャフト132の表面と連絡する4つの半径方向
通路138で終わる。排液は、半径方向溝138および軸方向溝134を通って
、十字形回転体130を出る。
【0217】 図52は、1つのつば付チャンバーキャップ137の構造を示す(図51参照
)。つば付チャンバーキャップ137は、円筒部分140およびつば付部分14
1を有する。つば付チャンバーキャップ137は、2つの幾何学的に異なる領域
142および143から成る機械加工内部キャビティを有する。領域142は、
小径144および大径145を有する切頭円錐の形状に機械加工される。144
対145の比は、前記の遠心発酵の原則にしたがって流速および遠心力の所望の
平衡により確定される。領域143は、小径146および大径144を有する切
頭円錐の形状に機械加工される。144対146の比は、流入栄養液流の適用水
圧に耐えるのに要する必要金属厚により確定される。つば付チャンバーキャップ
137のつば付部分141は、円周方向に配置された一連の機械加工通路147
を有し、それを通ってねじ込みボルトが挿入されて、つば付チャンバーキャップ
137を十字形回転体130(図51参照)にかみ合わせ得る。
【0218】 図53は、十字形回転体130(図51参照)が取り付けられ得る枠および安
全ハウジング150の構造を示す。枠および安全ハウジング150は、下部取付
枠151および上部安全収納カバー152から成る。下部取付枠151は、例え
ばスチール角管であり得る金属枠部材から成る。下部取付枠151は、下部取付
枠151に取り付けられる据置型軸受アッセンブリ153を介して下部取付枠に
取り付けられる十字形回転体130および回転シャフト132のための支持台で
ある。上部安全収納カバー152は、例えばスチール板で構成され、十字形解単
体130へのアクセスを可能にするために、一下部水平面と蝶番接続し得る。回
転シャフト132は、枠および安全ハウジング150の外側に延びて、モーター
駆動アッセンブリおよび液体回転シールならびに流入および流出液ラインの連結
を可能にする。
【0219】 前記の3つの段落に記載した、そして図51〜53に示した本発明の実施態様
は、前記の実施態様に関して前記したのと同じ方式で操作する。即ち、同一栄養
液ポンプ輸送アッセンブリ、回転シール、気体−液体溜め等を、この実施態様の
操作に用いる。
【0220】 実施例VII 貴金属の単離 藻類のユーグレナ グラシリス(Euglena gracilis)の集団を、本発明で首尾
よく固定し、培養したが、この場合、遊離細胞を非支持三次元配列で固定した(
RPM=280、流量=1.2 mL/分、T=22℃、pH=5.5、培地:10 mMMES)
。50μM硝酸銅を含有する同一液を用いて、固定化藻類集団(1 X 109細胞)を試
験した。図54は、出力液流中対流入液流中の銅イオン濃度の測定結果を示す。
T=0では、銅イオンの入力時に測定される濃度は49μMであったが、一方、出力
液での銅イオン濃度は約29μMであった。その後、出力液中の銅イオン濃度はT
=48時間で約10μMに減少した(同濃度の80%減)。T=48時間〜T=120時間で
は、出力液流中の銅濃度は流入液流と同等値(実験誤差内)に上がった。実験終
了時に、固定化藻類集団を取り出し、化学的処理を施して、結合銅イオンを放出
させて、失った銅イオンの80%より多くを回収した。
【0221】 これらのデータは、本発明の実施態様で固定された微生物集団を用いて、微生
物集団の細胞の上および/または中に金属イオンの吸着することにより、装置の
中に、そしてそこから流れた稀釈溶液から金属(この実施例では、銅)を捕獲し
得ることを実証する。このプロセスは飽和性であり、即ち、個々の細胞がある量
の流入金属イオンと結合すると、その後の付加的イオンを用いた試験は無用であ
る(図54のT=49時間〜T=120時間参照)。このプロセスは、他の金属イオ
ンに拡張し得る。過去50年の微生物文献は、1つまたは別の金属イオン対する特
別の親和性を有する特定の微生物の例でいっぱいである。実際上、本発明のプロ
セスは、(1)最適微生物を選定し、(2)本発明の実施態様の集団を固定し、
(3)集団を飽和する量より適当に少ない量の稀釈イオン含有溶液を固定化集団
を通して流し、(4)飽和集団を次なる金属回収に放出し、そして(5)工程(
2)〜(4)を多数回反復することにより用い得る。
【図面の簡単な説明】
本明細書に含まれその一部である添付の図面は、本発明のいくつかの科学的原
則および実施形態を示し、その説明とともに本発明の原則の説明に供されるもの
である。
【図1】 向流式遠心法の主な特徴を示す図である。
【図2】 向流式遠心法における運転力の分析を示す図である。
【図3】 向流式遠心法の主な問題点を示す図である。
【図4】 向流式遠心法の従来処理における数学上の欠点を示す図である。
【図5】 長時間にわたって従来の向流式遠心法を使用した際の固定化粒子への影響を示
す図である。
【図6】 本発明のプロセスに使用される改良された向流式遠心法を示す図である。
【図7】 液体の流れとまったく逆向きの遠心場に拘束されている時の粒子に作用する重
力の影響による粒子の動きを算定する数学的計算を示す図である。
【図8】 図7の拘束下における、算定された粒子の動きを示す図である。
【図9】 ある半径に固定化された状態での数学的評価を示す図である。
【図10】 回転する円筒形バイオリアクターチャンバーにおける遠心力と流速力のバラン
スを分析した図である。
【図11】 回転する円錐形の生体触媒固定化チャンバー中における遠心力と流速力のバラ
ンスを分析した図である。
【図12】 回転する円錐形の生体触媒固定化チャンバーにおける粒子の三次元配列を示す
図である。
【図13】 回転する円錐形の生体触媒固定化チャンバーにおける粒子の三次元配列におい
ての、層間の(inter-stratum)「緩衝領域」を示す図である。
【図14】 回転する円錐形の生体触媒固定化チャンバーにおける粒子の二次元配列におい
ての、層間の流速の変位の数学的分析を示す図である。
【図15】 円錐形の生体触媒固定化チャンバーおよび、その寸法を決定する境界条件の一
例を示す図である。
【図16】 図15のチャンバーにおける流量10mL/分の時の遠心と流速力の位置的変
化を分析した図である。
【図17】 遠心バイオリアクターへの液体投入において、所望の溶存気体濃度を維持する
ように設計された工程配列のブロックダイアグラムである。
【図18】 代表的な液流圧レギュレーターの図である。
【図19】 遠心発酵プロセスの第一の実施形態を回転軸に平行の方向から見たときの断面
図である。
【図20】 図19のローターボディを回転軸に平行の方向から見たときの図である。
【図21】 図19の取り外し可能なバイオリアクターチャンバーの一つの横断面図である
【図22】 図19のローターボディを回転軸に垂直の方向から見たときの断面図である。
【図23】 回転軸に平行の方向から図22中に示される点線沿いに見たときの図19のロ
ーターボディの断面図である。
【図24】 回転軸に平行の方向から図22中に示される点線沿いに見たときの図19のロ
ーターボディの断面図である。
【図25】 回転軸に平行の方向から図22中に示される点線沿いに見たときの図19のロ
ーターボディの断面図である。
【図26】 回転軸に平行の方向から図22中に示される点線沿いに見たときの図19のロ
ーターボディの断面図である。
【図27】 回転軸に平行の方向から図22中に示される点線沿いに見たときの図19のロ
ーターボディの断面図である。
【図28】 図19の回転シャフト中の軸チャンネルおよびその末端の図である。
【図29】 図28の回転シャフトの分配ハブの詳細図である。
【図30】 代表的な高性能端面シールの断面図である。
【図31】 回転軸に平行の方向から見たときの第二の実施形態の遠心発酵プロセスの断面
図である。
【図32】 回転軸に平行の方向から見たときの図31のローターボディの図である。
【図33】 図31のバイオリアクターチャンバーの一つの横断面図である。
【図34】 回転軸に垂直の方向から見たときの図31のローターボディの断面図である。
【図35】 図31の回転シャフトにおける軸チャンネルおよびその末端の図である。
【図36】 代表的な高性能端面シールの断面図である。
【図37】 切頭円錐に類似する図21および33の生体触媒固定化チャンバーの部分の図
式的および数学的表現である。
【図38】 図19および31のローターボディを用いて、0.001および0.01mm
/分の沈降速度の粒子を図15に示される寸法および境界条件拘束(boundary co
ndition constraints)下で粒子固定した際の、10mL/分までの流量における
、流量とローター速度の関係を示すグラフである。
【図39】 図19および31のローターボディを用いて、0.1、1.0および10.0
mm/分の沈降速度の粒子を図15に示される寸法および境界条件拘束下で粒子
固定した際の、10mL/分までの流量における、流量とローター速度の関係を
示すグラフである。
【図40】 図19および31のローターボディを用いて、0.1、1.0および10.0
mm/分の沈降速度の粒子を図15に示される寸法および境界条件拘束下で粒子
固定した際の、100mL/分までの流量における、流量とローター速度の関係
を示すグラフである。
【図41】 本発明の第一の実施形態におけるローターサイズと容量との関係を示すグラフ
である。
【図42】 本発明の第二の実施形態におけるローターサイズと容量との関係を示すグラフ
である。
【図43】 本発明のプロセスの実施形態における、ローターサイズと100Xgの相対遠
心力を維持するのに必要な回転速度の関係を示すグラフである。
【図44】 二つの遠心バイオリアクターを経由する先駆化学物質の継続的プロセッシング
が行えるように設計された、遠心工程配列のブロックダイアグラムである。
【図45】 固定された生体触媒が、該生体触媒が付着する支持粒子から成る複合体中にあ
る用途に用いることができる実施形態である。
【図52】 装置がガスを除去する本発明の方法である。
【図53】 装置が鉱石から金属を分離する本発明の方法である。
【図46】 約1×1010個のピー・プチダ(P. putida)細胞をCBR中に注入し、固定化
した後に、5ppmの硝酸ウラニル(pH=4.7)の流れを開始した実施例実
験の結果を示す。CBRアウトプットを、ウラニルイオン処理量について、IC
P−AESによりモニタリングした。
【図47】 培地炭素源として、最初にグルコース上で、その後キシロースに切り替えて(
T=0において)成長させたエー・プルランス(A. pullulans)培養物からのキシ
ラナーゼ生産の経時的変化を示す図である。
【図48】 電流測定的に測定した硝酸イオンのインプット対アウトプットレベルの分析の
結果を示す図である。
【図49】 固定化された発酵酵母集団によりエタノールを生じる、例えばグルコースの嫌
気性発酵によりエタノールを生じる一つのCBR実施形態を示す図である。
【図50】 並列する一列の生体触媒固定化チャンバー中に周期的に導入するための置換微
生物細胞を生じる一つのCBR実施形態を示す図である。
【図51】 装置が十字形デザインを有する本発明の実施形態である。
【図52】 フランジ付チャンバーキャップを示す本発明の実施形態である。
【図53】 フレームおよび安全ハウジングの構造を示す本発明の実施形態である。
【図54】 金属を分離する本発明の実施形態におけるアウトプット液体流における銅イオ
ン濃度の測定結果対インプット液体流における銅イオン濃度の測定結果を示す図
である。
【図55】 装置が鉱石から金属を分離する本発明の実施形態である。
【図56】 装置がガスを除去する本発明の実施形態である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 09/224,645 (32)優先日 平成10年12月31日(1998.12.31) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ハーマン,トッド エム. アメリカ合衆国 ジョージア 30341 チ ャンブリー オークウッド ヴィレッジ レーン 3296 シー (72)発明者 アンドリューズ,アーラン ケー.シニア アメリカ合衆国 ジョージア 30324 ア トランタ ウィンブルドン ロード ノー ス イースト 594 アパートメント 6120 Fターム(参考) 4B029 AA02 BB01 BB16 CC01 CC03 DA03 DF05 DG01 DG06 DG08

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体触媒を、重力場に相反する力を生じるように作用する液
    体の連続流中に置くことにより、遠心力場に存在する少なくとも1つのチャンバ
    ー内に生体触媒を収容することを含み、該生体触媒に作用するすべての力のベク
    トルの総和が、該生体触媒をチャンバー内のある位置に実質的に固定し、該液体
    の水圧は周囲圧よりも大きく、かつ前記チャンバー内には気相が存在しないこと
    を特徴とする生体触媒の収容方法。
  2. 【請求項2】 前記生体触媒を収容する前記ステップが複数のチャンバーを
    含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記培地が溶存気体を含有する、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記生体触媒が細胞である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記生体触媒が細胞下成分である、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記生体触媒が支持複合体を含む、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 a.生体触媒を、重力場に相反する力を生じるように作用す
    る液体の連続流中に置くことにより、力場に存在する少なくとも1つのチャンバ
    ー内に生体触媒を収容し、該生体触媒に作用するすべての力のベクトルの総和が
    、該生体触媒をチャンバー内のある位置に実質的に固定し、 b.前記生成物を含む、チャンバーの外部の液体の連続流を回収する ことを含む、生体触媒由来の生成物を製造する方法。
  8. 【請求項8】 前記生体触媒を収容する前記ステップが複数のチャンバーを
    含む、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記培地が溶存気体を含有する、請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記生体触媒が細胞である、請求項7記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記生体触媒が細胞下成分である、請求項7記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記生体触媒が支持複合体を含む、請求項7記載の方法。
  13. 【請求項13】 遠心場内で流れる液体培地に懸濁された生体触媒を収容す
    るための少なくとも1つのチャンバー、重力に相反し、生体触媒を固定する手段
    、液体培地に気相が接触することなく前記液体培地をポンプで供給する手段、お
    よび容器の水圧を周囲の大気圧よりも高く維持する手段を備える、生体触媒をイ
    ンキュベートする装置。
  14. 【請求項14】 複数の装置が直列に配列されたことを特徴とする、請求項
    13記載の装置。
  15. 【請求項15】 複数の装置が並列に配列されたことを特徴とする、請求項
    13記載の装置。
  16. 【請求項16】 さらに、生体触媒を有する、請求項13記載の装置。
  17. 【請求項17】 前記生体触媒がさらに支持複合体を含む、請求項13記載
    の装置。
JP2000549701A 1998-05-21 1999-05-21 改善および発酵のための方法および装置 Withdrawn JP2002515239A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US8620998P 1998-05-21 1998-05-21
US8691898P 1998-05-27 1998-05-27
US09/224,645 1998-12-31
US09/224,645 US6214617B1 (en) 1995-03-28 1998-12-31 Centrifugal fermentation process
US60/086,209 1998-12-31
US60/086,918 1998-12-31
PCT/US1999/011305 WO1999060093A2 (en) 1998-05-21 1999-05-21 Methods and devices for remediation and fermentation

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002515239A true JP2002515239A (ja) 2002-05-28
JP2002515239A5 JP2002515239A5 (ja) 2006-07-13

Family

ID=27375344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000549701A Withdrawn JP2002515239A (ja) 1998-05-21 1999-05-21 改善および発酵のための方法および装置

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP1082407A2 (ja)
JP (1) JP2002515239A (ja)
AU (1) AU4310899A (ja)
WO (1) WO1999060093A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011528225A (ja) * 2008-07-16 2011-11-17 ケイビーアイ・バイオファーマ,インコーポレイテッド 流動床を使用して粒子を操作するための方法及びシステム
JP7366938B2 (ja) 2018-06-06 2023-10-23 リムラ エスエー 生物学的流体からの遺伝子操作細胞の自動製造のための装置及びプロセス

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6703217B2 (en) 2000-01-31 2004-03-09 Kinetic Biosystems, Inc. Methods and devices for remediation and fermentation
JP2004081090A (ja) * 2002-08-26 2004-03-18 National Institute For Materials Science 細胞培養方法とその装置
MX355598B (es) 2011-11-21 2018-04-24 Innovation Hammer Llc Metodos y sistemas para desarrollar plantas usando sustratos basados en silicato, cultivo de productividad fotosintetica mejorada y fotoproteccion mediante la utilizacion de glicopiranosidos exogenos para derivados de glicopiranosil-protein a endogenos, y formulaciones, procesos y sistemas para los mismos.
CA2872173C (en) 2012-05-21 2018-06-19 Arthur M. Nonomura Methods for rendering micellar coordination complexes safe for the treatment of plants and formulations for same
KR101669599B1 (ko) * 2016-02-22 2016-10-27 농업회사법인 주식회사 엘바이오텍 유용 미생물 배양액을 유효성분으로 함유하는 악취 및 중금속 제거용 조성물
EA201892477A1 (ru) 2016-04-29 2019-04-30 ИННОВЕЙШН ХАММЕР ЭлЭлСи Препараты и способы для обработки фотосинтезирующих организмов и повышения их качества и урожайности с помощью препаратов композитов гликанов
KR101670651B1 (ko) * 2016-06-30 2016-10-31 농업회사법인 주식회사 엘바이오텍 유용 미생물을 이용한 악취 및 중금속 함량이 감소된 가축 분뇨 발효 액비의 제조방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5622819A (en) * 1995-03-28 1997-04-22 Kinetic Biosystems, Inc. Centrifugal fermentation process

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011528225A (ja) * 2008-07-16 2011-11-17 ケイビーアイ・バイオファーマ,インコーポレイテッド 流動床を使用して粒子を操作するための方法及びシステム
US9090910B2 (en) 2008-07-16 2015-07-28 Kbi Biopharma, Inc. Methods and systems for manipulating particles using a fluidized bed
JP2015180204A (ja) * 2008-07-16 2015-10-15 ケーセップ・システムズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 流動床を使用して粒子を操作するための方法及びシステム
US9279133B2 (en) 2008-07-16 2016-03-08 Ksep Systems, Llc Methods and systems for manipulating particles using a fluidized bed
US10208283B2 (en) 2008-07-16 2019-02-19 Sartorius Stedim North America Inc. Methods and systems for manipulating particles using a fluidized bed
JP7366938B2 (ja) 2018-06-06 2023-10-23 リムラ エスエー 生物学的流体からの遺伝子操作細胞の自動製造のための装置及びプロセス

Also Published As

Publication number Publication date
WO1999060093A2 (en) 1999-11-25
EP1082407A2 (en) 2001-03-14
AU4310899A (en) 1999-12-06
WO1999060093A3 (en) 2000-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4091052B2 (ja) 遠心発酵プロセス
US6214617B1 (en) Centrifugal fermentation process
US6703217B2 (en) Methods and devices for remediation and fermentation
US4978616A (en) Fluidized cell cultivation process
US4939087A (en) Method for continuous centrifugal bioprocessing
US6133019A (en) Centrifugal fermentation process
US6916652B2 (en) Biocatalyst chamber encapsulation system for bioremediation and fermentation
US3769176A (en) Apparatus and method for microbial fermentation in a zero gravity environment
US6660509B1 (en) Methods and devices for remediation and fermentation
CA1305681C (en) Fluidized bioreactor and cell cultivation process
Kargi et al. Plant cell bioreactors: present status and future trends
US3969190A (en) Apparatus and method for microbial fermentation in a zero gravity environment
JP2002515239A (ja) 改善および発酵のための方法および装置
US20050266548A1 (en) Biocatalyst chamber encapsulation system for bioremediation and fermentation with improved rotor
US20030064428A1 (en) Methods and devices for remediation and fermentation
JP2008502331A (ja) 細胞培養のための液相/気相露出反応器
US20100093050A1 (en) Biotechnical and microbiological production method and equipment
WO2009118445A1 (en) A microbiological production method and equipment for its use
JPS6027379A (ja) 生化学反応装置
WO1999033950A2 (en) Centrifugal fermentation process
Villain et al. Development of a novel membrane aerated hollow‐fiber microbioreactor
WO1993003135A1 (en) Culture and fermentation method and apparatus
JPS63164879A (ja) 気泡塔型潅流培養方法及びその装置
Pörtner et al. Membrane dialysis bioreactor with integrated radial-flow fixed bed—a new concept for continuous cultivation of animal cells
Rehm Modern Industrial Microbiological Fermentations and Their Effects on Technical Developments

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060522

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060522

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20081121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081209