JP2002512253A - 新規なダーマトファゴイデス属(dermatophagoides)核酸分子、タンパク質、およびそれらの使用方法 - Google Patents

新規なダーマトファゴイデス属(dermatophagoides)核酸分子、タンパク質、およびそれらの使用方法

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JP2002512253A
JP2002512253A JP2000544687A JP2000544687A JP2002512253A JP 2002512253 A JP2002512253 A JP 2002512253A JP 2000544687 A JP2000544687 A JP 2000544687A JP 2000544687 A JP2000544687 A JP 2000544687A JP 2002512253 A JP2002512253 A JP 2002512253A
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ウ ハンター、シャーリー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、高分子のダーマトファゴイデス属(Dermatophagoides)タンパク質、同タンパク質をコードする核酸分子、ならびに同タンパク質より得られる治療用および診断用試薬に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の属する技術分野) 本発明は、高分子量のダーマトファゴイデス(Dermatophagoides)のタンパク
質、核酸分子、ならびに同タンパク質から得られる治療用および診断用試薬に関
する。
【0002】 (発明の背景) 免疫グロブリンE(IgE)媒介性アレルギーの症状は、多くの動物を悩ませ
ている。動物の体内でIgE抗体が産生されると、例えば、アトピー疾患、喘息
、および鼻炎を初めとする病原性のIgE反応が誘発される。アレルゲンとは、
感受性を有する個体に病原性のIgE反応を誘発する能力をその特徴とするタン
パク質またはペプチドのことである。
【0003】 家屋の埃(ハウスダスト)に付いているダニ(例えば、コナヒョウヒダニ(ダ
ーマトファゴイデス ファリネ、Dermatophagoides farinae)およびヤケヒョウ
ヒダニ(ダーマトファゴイデス テロニシヌス、Dermatophagoides pteronyssin
us)、それぞれDerfおよびDerpとする)のアレルゲンは、IgE媒介性
病原に関する主な病原体である。先の研究者らは、ヒトのダストダニアレルゲン
に関する2つの大きなグループ、つまりグループI(DerfIおよびDerp
I)、分子量25,000)およびグループ2(DerfIIおよびDerpI
I、分子量14,000)を確認している:チャップマン(Chapman )ら、Alle
rgy 、第52巻、37−379頁、1997年にて研究されている。先の研究者
らは、DerfI、DerfII、DerpおよびDerpIIについては19
96年9月3日発行のトーマス(Thomas)らの米国特許第5,552,142号
、1995年10月24日発行のアンドウ(Ando)らの米国特許第5,460,
977号、1995年10月26日発行のチェン(Chen)らのPCT公開公報第
WO95/28424号、1995年7月18日発行のトーマス(Thomas)らの
米国特許第5,433,948号、1993年3月4日発行のガーメン(Garmen
)らのPCT公開公報第WO93/08279号、またはチャップマン(Chapma
n )の前掲の文献に、DerpIIIについては1995年7月15日発行のト
ーマス(Thomas )らのPCT公開公報第WO95/15976号に、Derp
VIIについては1994年9月15日発行のトーマス(Thomas)らのPCT公
開公報第WO94/20614号に、40キロダルトン(kd)Derfアレル
ゲンについては1995年4月11日発行のオカ(Oka )らの米国特許第5,4
05,758号、1994年5月24日発行のオカ(Oka )らの米国特許第5,
314,991号に、熱ショックタンパク質(Hsp70)である70−kd
Derfアレルゲンについては、アキ(Aki )ら、J. Biochem. 、第115巻、
435−440頁、1994年、またはノウリ(Noli)ら、Vet. Immunol. Immu
nopath. 、第52巻、147−157頁、1996年に、および98−kd D
erfパラミオシン様アレルゲンについては、チャイ(Tsai)ら、J. Allergy C
lin. Immunol. 、第102巻、295−303頁、1998年に、これらのアレ
ルゲンの核酸配列またはアミノ酸配列の少なくとも一方が開示されている。これ
らの発行された配列のいずれも、本発明のダニアレルギー核酸分子またはタンパ
ク質の存在を示さず、示唆せず、予想してもしていない。また、そのようなタン
パク質をイヌ、ネコ、またはヒトの血清中のIgE抗体との免疫反応性があるも
のとして関連づけることもなされていない。
【0004】 ダニアレルギーの特定の検出方法および治療方法を提供する本発明の生産物お
よび方法は、当該技術分野において必要である。 (発明の概要) 本発明は分子量が約60キロダルトン(kdまたはkD)、70kD、または
約98kDから約109kDまでの間である新規なタンパク質に関する。このよ
うなタンパク質はDermatophagoides属のダニのタンパク質アレルゲンの少なくと
も1つのエピトープを有し、本明細書ではDerHMW−mapタンパク質と名
付ける。好ましいタンパク質は、Dermatophagoides farinaeまたはDermatophago
ides pteronyssius タンパク質である。本発明は、完全長または成熟タンパク質
の断片またはペプチドであるタンパク質や、任意のそのようなタンパク質の抗体
、ミメトープ、または突然変異タンパク質も提供する。
【0005】 本発明は任意のそのようなタンパク質をコードする核酸分子と、その相補的配
列をも提供する。本発明はそのようなタンパク質、核酸分子、抗体、ミメトープ
、または突然変異タンパク質を得る方法や、それらの化合物を診断または治療の
用途で使用する方法も包含する。また本発明は、ダニアレルギーのイヌおよび/
またはネコのIgEに結合する非タンパク質エピトープを含有する試薬およびそ
のようなエピトープに対して作製された抗体にも関する。また本発明は、そのよ
うな非タンパク質エピトープを含む治療用組成物またはアッセイキット、ならび
に、本発明の非タンパク質エピトープの使用を含めた、ダニに対するアレルギー
反応に感受性を示す動物を同定および/または脱感作する方法にも関する。
【0006】 本発明の1つの実施形態は、以下の単離核酸分子のうちの少なくとも1つであ
る。(a)約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であって、1XSSC
および0%ホルムアミドを含有する溶液中で約50℃の温度にて、以下の核酸配
列:配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20
、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、
配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45、ならびに配列番号
33のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列およびその相補的
配列のうちの少なくとも1つを有する核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子
、(b)(a)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子
であって、前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子。本発明はその
ような核酸分子を備えた組換え分子、組換えウイルス、および組換え細胞と、そ
れらの製造方法をも包含する。
【0007】 本発明の別の実施形態は、以下の核酸分子のうちの少なくとも1つによりコー
ドされた単離タンパク質である。(a)約150以上のヌクレオチドを有する核
酸分子であって、1XSSCおよび0%ホルムアミドを含有する溶液中で約50
℃の温度にて、以下の核酸配列:配列番号16、配列番号19、配列番号22、
配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、および配列番号3
3のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列の相補的配列、のう
ちの少なくとも1つを有する核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子、(b)
(a)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子であって
、前記前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子。本発明の単離タン
パク質は、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で、以下のアミノ酸配列
:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6
、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番
号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号
23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号3
2、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および配列番
号44、のうちの少なくとも1つを有するタンパク質をコードする核酸分子の相
補的配列とハイブリッド形成する核酸分子によりコードされてもよい。また本発
明は、本発明のタンパク質と選択的に結合する抗体や、そのようなタンパク質ま
たは抗体の製造および使用方法も包含する。
【0008】 本発明はダニに対するアレルギー反応を治療するための治療用組成物も包含す
る。そのような治療用組成物には、以下の脱感作化合物のうちの少なくとも1つ
が含まれる:(a)本発明の単離核酸分子、(b)本発明の単離ダニアレルゲン
タンパク質、(c)そのようなダニアレルゲンタンパク質のミメトープ、(d)
そのようなダニアレルゲンタンパク質の突然変異タンパク質、(e)そのような
ダニアレルゲンタンパク質の抗体、および(f)そのようなダニアレルゲンタン
パク質のIgEに対する結合阻害剤。また宿主動物のダニへのアレルギー反応を
脱感作させる方法も本発明に包含される。このような方法は、動物に本発明の治
療用組成物を投与する工程を含む。
【0009】 本発明の1つの実施形態に、ダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反
応を示すかを試験するためのアッセイキットがある。このようなキットには、本
発明の単離タンパク質と動物が罹病性であるかまたはアレルギー反応を示すかを
確認する手段とが含まれる。この手段は、ダニに対して罹病性であるかアレルギ
ー反応を示す動物を同定するために同単離タンパク質を使用することを含む。本
発明は、ダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反応を示す動物を同定す
る方法も包含する。このような方法は、(a)本発明の単離タンパク質を動物の
抗体と接触させる工程と、(b)タンパク質と抗体との間の免疫複合体の形成を
確認する工程であって、免疫複合体の形成は動物が罹病性であるかまたはそのよ
うなアレルギー反応を有することを示すものである工程とを含む。
【0010】 本発明は、少なくとも以下の識別特性のうちの1つを有する非タンパク質エピ
トープを含有する試薬を包含する:(a)ペプチドのβ−除去に耐性のエピトー
プ、(b)プロテイナーゼKによる消化に耐性のエピトープ、および(c)グリ
コシル化タンパク質を検出するよう設計された試験に対して反応性のエピトープ
。そのようなエピトープは、以下の抗体のうちの少なくとも1つに結合する:ダ
ニアレルギーのイヌ由来のイヌIgE、およびダニアレルギーのネコ由来のネコ
IgE。そのような非タンパク質エピトープに選択的に結合する単離抗体や、そ
のようなエピトープの誘導体も包含される。
【0011】 本発明は、本発明の非タンパク質エピトープを含む治療用組成物およびアッセ
イキットのみならず、本発明の非タンパク質エピトープの使用を含む、ダニに対
して罹病性であるかアレルギー反応を示す動物を同定および/または脱感作する
方法にも関する。
【0012】 (発明の詳細な説明) 本発明は、約60キロダルトン(kD)から約109kDの範囲の分子量を有
し、Dermatophagoides属、特に、Dermatophagoides farinae属および/またはDe
rmatophagoides pteronyssius 属のダニのタンパク質アレルゲンの少なくとも1
つのエピトープを有する単離タンパク質を提供する。そのようなタンパク質のこ
とを本明細書ではDerHMW−mapタンパク質と称する。本発明はさらに、
DerHMW−mapタンパク質をコードする核酸分子、DerHMW−map
タンパク質に対する抗体、およびDerHMW−mapタンパク質活性の阻害剤
を単離および同定する方法を包含する。本明細書に使用するように、単離Der
HMW−mapタンパク質とは、 Dermatophagoides 属由来のDerHMW−m
apタンパク質、より好ましくはDermatophagoides farinaeおよび/またはDerm
atophagoides pteronyssius 由来のDerHMW−mapタンパク質のことを指
し、そのようなタンパク質は、天然起源から得ることもできるし、または、例え
ば、組換え核酸技術または化学合成を利用して製造することも可能である。本発
明には、このタンパク質および抗体を、ダニアレルゲンに対する病原を治療する
目的や以下に開示するような他の用途で、DerHMW−mapタンパク質と特
異的に結合する免疫グロブリンを検出する方法において使用することも包含され
る。本発明の生産物および方法は、動物の体液中の抗Der−map抗体を検出
することができ、かつ疾患に関するIgEまたはDerHMW−mapタンパク
質の活性を阻害することができるため都合がよい。
【0013】 本発明の1つの実施形態は、単離Dermatophagoidesアレルゲン組成物であり、
同アレルゲン組成物には、(a)(1)Dermatophagoides抽出物のうちの可溶性
タンパク質をゲルろ過する工程と、(2)排除されたタンパク質をゲルろ過カラ
ムから収集し、その排除タンパク質を陰イオン交換カラムに付す工程と、(3)
陰イオン交換カラムに結合したタンパク質を約0.3MTris−HCl、pH
8で溶出し、Dermatophagoidesアレルゲン組成物を得る工程とから成る方法によ
って製造された組成物と、(b)工程(a)により製造されたタンパク質のペプ
チドを含む組成物とが含まれ、同アレルゲン組成物はIgEと結合する能力、B
リンパ球応答を刺激する能力、およびTリンパ球応答を刺激する能力含めた生物
学的機能を有する組成物とが含まれる。そのようなDermatophagoidesアレルゲン
組成物を本明細書ではDerHMW−map組成物と称する。適当なゲルろ過カ
ラムには、約50kDから約150kDの間の分子量を有するタンパク質を排除
することが可能な任意のゲルろ過カラムが含まれる。好ましいゲルろ過カラムに
は、セファクリル(Sephacryl )S−100カラムが含まれるが、これに限定さ
れるわけではない。適当な陰イオン交換カラムには、約pI6よりも低いpIを
有するタンパク質と結合することが可能な任意の陰イオン交換カラムが含まれる
。好ましい陰イオン交換カラムには、Q−セファロースカラムが含まれるが、こ
れに限定されるわけではない。本明細書に使用するように、「Bリンパ球応答を
刺激する」とは、ある動物において本発明のDerHMW−mapにより優先的
に誘発される体液性免疫反応を増大させることを指し、その動物におけるBリン
パ球の活性に関する。本明細書に使用するように、「Tリンパ球応答を刺激する
」とは、ある動物において本発明のDerHMW−mapにより優先的に誘発さ
れる細胞性免疫反応を増大させることを指し、その動物におけるTリンパ球の活
性に関する。
【0014】 本発明の1つの実施形態は、DerHMW−mapタンパク質を含む単離タン
パク質である。「a またはan存在」という用語は、その存在が1または複数のあ
ることを指し、例えば、タンパク質(a protein )、核酸分子(a nucleic acid
)、抗体(an antibody )、阻害剤(an inhibitor)、化合物(a compound)、
または治療用組成物(a therapeutic composition )とは、それぞれ「1または
複数のの、または「少なくとも1つの、1以上の」タンパク質、核酸分子、抗体
、阻害剤、化合物、または治療用組成物のことを指すことに留意すべきである。
それに関して、「a 」(または「an」)、「1または複数のの」および「少なく
とも1つの、1以上の」という言葉は、本明細書において置き換え可能に使用さ
れうる。また、「備える(comprising)」、「含む、包含する(including )」
、および「有する(having)」という言葉が置き換え可能であることも留意すべ
きである。本発明によれば、単離されたまたは生物学的に純粋なタンパク質とは
、天然の環境から取り出されたタンパク質である。それに関して、「単離された
」および「生物学的に純粋な」というのは、タンパク質の精製の程度を必ずしも
反映していない。本発明の単離タンパク質は、天然起源から得ることも、組換え
DNA技術を利用して製造することも、または化学合成により製造することも可
能である。
【0015】 本明細書に使用するように、DerHMW−mapタンパク質とは完全長のタ
ンパク質またはそのようなタンパク質の任意の同族体であり得る。本明細書に使
用するように、タンパク質とは当業者によって使用されるポリペプチドまたはペ
プチドであり得る。好ましくは、DerHMW−mapタンパク質は、IgE抗
体によって認識される少なくとも1つのエピトープを有するDerHMW−ma
pタンパク質(すなわち本発明のタンパク質はIgE抗体と結合する)の少なく
とも一部を有し、動物の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の存在下でB
リンパ球の表面/またはT細胞受容体上に現れる抗体は、DerHMW−map
タンパク質に対するIgE媒介性病原の存在を示す証拠となる。
【0016】 本発明のペプチドには、IgEに結合し、ダニアレルゲンに対して動物を脱感
作し、Bリンパ球応答を刺激し、および/またはTリンパ球応答を刺激すること
が可能な本発明のDerHMW−mapタンパク質が含まれる。好ましくは、本
発明のペプチドは、Bリンパ球エピトープまたはTリンパ球エピトープを有する
。Bリンパ球エピトープを有するペプチドは抗体に結合することが可能である。
Tリンパ球エピトープを有するペプチドは、ペプチドがT細胞受容体を介してT
リンパ球を刺激できるような様式で、MHC分子に結合することが可能である。
本発明によれば、Bリンパ球エピトープを有するペプチドは長さが約4残基から
約50残基であり、好ましくは長さが約5残基から約20残基である。本発明に
よれば、Tリンパ球エピトープを有するペプチドは長さが約4残基から約20残
基であり、好ましくは長さが約8残基から約16残基である。
【0017】 同族体を含めた本発明のDerHMW−mapタンパク質は、DerHMW−
mapタンパク質に対するアレルギー反応を引き起こすそのタンパク質の能力に
よって直接的な方法で同定される。DerHMW−mapタンパク質同族体の例
には、その同族体が天然DerHMW−mapタンパク質に対するアレルギー反
応を引き起こす能力を有するようにアミノ酸が欠失されるか(例えば、ペプチド
のようにタンパク質を切り詰めた(truncated )もの)、挿入されるか、転化さ
れるか、置換されるか、および/または誘導体にした(例えば、グリコシル化、
リン酸化、アセチル化、ミリスチン酸化、フェニル化、パルミチン酸化、アミド
化および/またはグリセロホスファチジルイノシトールの添加による)DerH
MW−mapタンパク質が含まれる。
【0018】 DerHMW−mapタンパク質同族体は、天然対立変異の結果としてまたは
天然突然変異の結果として生じたものであってもよい。また、本発明のDerH
MW−mapタンパク質同族体は、例えば、ランダムまたは標的突然変異誘発を
起こす古典的技術または組換え核酸技術を用いてタンパク質を直接修飾する技術
やタンパク質をコードする遺伝子を修飾する技術を当該技術分野における周知の
技術を用いて製造してもよいが、これらに限定されるわけではない。
【0019】 本発明の1つの実施形態は、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配
列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列
番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号43、および
配列番号45の核酸配列ならびにこれらの核酸配列のうちの任意のものの相補的
配列を有するDerHMW−map遺伝子である。これらの核酸配列について本
明細書においてさらに説明する。例えば、配列番号14の核酸配列は、本明細書
においてDerHMW−map遺伝子核酸分子nDerf981752と示したcD
NA(相補的DNA)のコード鎖に由来する配列をあらわす。同核酸分子の製造
方法は実施例に開示している。核酸分子nDerf981752は、見かけ上完全長
のコード領域を有する。配列番号14の相補的配列(本明細書に配列番号16と
して示す)とは、鎖配列番号14を有する鎖に相補的な鎖の核酸配列のことを指
し、これは当業者によって容易に決定可能である。同様に、本発明の任意の核酸
配列に相補的な核酸配列とは、配列が列挙された鎖と相補的な(すなわち、二重
らせんを形成可能な)核酸鎖の核酸配列のことを指す。核酸配列決定技術には全
く誤りがないというわけではないため、配列番号14(および同様に本明細書に
示した他の核酸およびタンパク質配列)は本発明のDerHMW−mapタンパ
ク質をコードする核酸分子の見かけ上の核酸配列を示していることに留意する。
【0020】 別の実施形態において、DerHMW−map遺伝子または核酸分子は、配列
番号14または配列番号16、もしくは本明細書に列挙した任意の他のDerH
MW−map核酸配列と同一ではないが類似の配列を有する対立変異型であり得
る。例えば、配列番号14または配列番号16を有するDerHMW−map遺
伝子の対立変異型とは、ゲノム中の配列番号14および配列番号16を含む遺伝
子と本質的に同じ座(または複数の座)に現れるが、例えば突然変異または組換
えにより天然の変異が起こったために、類似ではあるが同一ではない配列を有す
るようになった遺伝子である。自然淘汰では通常、機能に影響を与える変化に逆
らう選択が行われるため、対立変異型(すなわち列挙した核酸配列と類似または
同一の対立遺伝子)は通常、比較した遺伝子によりコードされたタンパク質と類
似の活性を有するタンパク質をコードする。遺伝子または核酸分子の対立変異型
は遺伝子の5’または3’非翻訳領域(例えば、調節制御領域)を変更したり、
または形成過程にある転写物に代替スプライシングをしたりすることにより、代
替エキソンを並置させることも含み得る。対立変異型というものは当業者に周知
であり、Dermatophagoidesを初めとする所定のダストダニに自然に起こると期待
される。その理由は、それらのダニの各ゲノムが二倍体であり、有性生殖により
対立遺伝子の再構築が生じるためである。
【0021】 本発明の1つの実施形態において、単離DerHMW−mapタンパク質はD
erHMW−mapタンパク質をコードする遺伝子とストリンジェントなハイブ
リッド形成条件下でハイブリッド形成する核酸分子によりコードされる。本発明
のDerHMW−mapタンパク質の最小サイズは、対応する天然タンパク質を
コードする核酸分子の相補的配列と安定なハイブリッドを形成する(すなわち、
ストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成する)能力を有
する核酸分子によりコードされるのに十分なサイズである。そのようなタンパク
質をコードする核酸分子のサイズは、核酸の組成およびDerHMW−map核
酸分子とその相補的核酸配列との間の相同性パーセントによる。ストリンジェン
トな条件下で安定なハイブリッドを形成するのに必要な相同性の程度は、相同な
配列が所定の核酸分子中に散在しているか所定の核酸分子上の特定の領域に集中
している(すなわち局在化している)かによって変化し得る。
【0022】 DerHMW−mapタンパク質をコードする遺伝子と安定なハイブリッドを
形成することが可能な核酸分子の最小サイズは通常、核酸分子にGCが豊富に含
まれていれば少なくとも長さ約12ヌクレオチドから約15ヌクレオチドであり
、核酸分子にATが豊富に含まれていれば少なくとも長さ約15から約17塩基
である。本発明のDerHMW−mapタンパク質同族体をコードするのに使用
される核酸分子の最小サイズは長さ約12から約18ヌクレオチドであり、好ま
しくは長さは約12ヌクレオチド、または約15ヌクレオチド、または約18ヌ
クレオチドである。本発明のDerHMW−mapタンパク質同族体の最小サイ
ズは長さ約4から約6アミノ酸である。本発明の核酸分子は遺伝子の部分、遺伝
子全体、または複数の遺伝子を含み得るため、本発明のDerHMW−mapタ
ンパク質をコードする核酸分子の最大サイズには、実際の制限以外には制限がな
い。本発明の核酸分子によりコードされたタンパク質の好ましいサイズは、その
ようなタンパク質が完全長タンパク質、融合タンパク質、多価タンパク質、また
はそのようなタンパク質の機能部分のいずれであることが望ましいかによって決
定される。好ましくは、本発明の核酸分子によりコードされたタンパク質の好ま
しいサイズは、免疫反応を引き起こすタンパク質の一部分であり、約30のアミ
ノ酸、より好ましくは約35アミノ酸、より好ましくは約44アミノ酸の長さで
ある。
【0023】 ストリンジェントなハイブリッド形成条件は核酸分子がハイブリッド形成する
遺伝子の形成された物理的性質に基づいて決定されると共に、数学的に定義し得
る。ストリンジェントなハイブリッド形成条件は個々の当業者が異種の核酸分子
間の有意な類似性を同定するのを可能にする実験パラメータである。これらの条
件は、当業者に周知である。例えば、サンブルック(Sambrook)ら、1989年
、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labs Press
、およびマインコス(Meinkoth)ら、1984年、Anal. Biochem. 第138巻
、267−284頁を参照されたい。これらの引用文献に詳細に説明しているよ
うに、ハイブリッド形成条件の決定には、イオン強度(モル/リットルで、M)
、ハイブリッド形成温度(℃)、核酸らせん不安定化剤(ホルムアミド等)の濃
度、最短ハイブリッド二本鎖(n)の平均長さ、および未知の核酸分子がハイブ
リッド形成する断片のG+C組成を初めとする一連の変数の操作が含まれる。約
150以上のヌクレオチドの核酸分子の場合、それらの変数を標準的数式に入れ
て、所定の核酸分子の融解温度すなわちTm を計算する。以下の式で定義する
ように、Tmは2つの相補的な核酸分子鎖が解離して、2本の鎖の間で100%
の相補性をとる温度である。
【0024】 Tm=81.5℃+16.6logM+0.41(%G+C)−500/n−
0.61(%ホルムアミド) 約50ヌクレオチドよりも小さい核酸分子の場合、ハイブリッドの安定性は解離
温度(Td)によって形成される。解離温度は二本鎖の50%が解離する温度と
して定義される。この小さな分子の場合、標準イオン強度における安定性は以下
の等式により形成される。
【0025】 Td=4(G+C)+2(A+T) Tdより低い5℃という温度が、完全に対合する分子間のハイブリッド形成を検
出するために使用される。 所定の位置における塩基の非相補性を初めとする塩基の誤対合すなわち比較され
ている2つの核酸分子間の相違や、比較されている2つのいずれかの核酸分子上
の所定の位置において1または複数のの塩基が挿入されるか欠失したことによる
ギャップが、異なるサイズを有する核酸分子のTmまたはTdにいかに影響を及
ぼすかということも、当業者には周知である。例えば、Tmは約150bpより
も大きいハイブリッドに各々1%の誤対合塩基がある場合に約1℃減少し、Td
は約50bpよりも小さいハイブリッドに各々誤対合塩基がある場合約5℃減少
する。約50から約150塩基の間のハイブリッドに対する条件は、当業者に周
知の標準的実験方法を用いて、経験的にかつ過度の実験を行なわずに決定し得る
。このような簡単な方法により、当業者は(例えば、塩濃度、ホルムアミド濃度
または温度を変更することにより)ハイブリッド形成の条件を設定することが可
能となり、その結果、特定の%よりも少ない塩基誤対合を有する核酸ハイブリッ
ドのみがハイブリッドを形成する。ストリンジェントなハイブリッド形成条件は
、約30%以下の塩基誤対合(すなわち、約70%以上の相同性)を有する分子
間のハイブリッド形成を許容する実験条件であるものとして当業者には一般に理
解されている。当業者は試験する所定の核酸分子が約50ヌクレオチドよりも小
さいか大きいかを容易に決定でき、ゆえにハイブリッド形成条件のための適当な
式を選択できるため、当業者は核酸分子がストリンジェントなハイブリッド形成
条件下で所定の遺伝子とハイブリッド形成するかどうか、および同様に核酸分子
が所望量の塩基対誤対合を許容するよう設計された条件下でハイブリッド形成す
るかどうかを決定することが可能である。
【0026】 ハイブリッド形成反応は、ハイブリッド形成させる核酸分子を、メンブレンを
初めとする固相支持体に取り付け、次にハイブリッド形成溶液中に懸濁させたプ
ローブと通常称される標識核酸分子とハイブリッド形成させることにより遂行さ
れる。一般的なハイブリッド形成反応技術の例には周知のサザンおよびノーザン
ブロッティング法が含まれるが、それらに限定されるわけではない。通常、実際
のハイブリッド形成反応はストリンジェントではない条件下、すなわち温度が低
くおよび/または塩濃度が高い条件下で行われ、次に所望のストリンジェンシー
を得るためにより高い温度および/またはより低い塩濃度でメンブレンを洗浄す
ることにより高いストリンジェンシーが達成される。
【0027】 例えば、熟練技術者が長さが約150bpのDermatophagoides farinaeおよび
/またはDermatophagoides pteronyssius 核酸分子とストリンジェントなハイブ
リッド形成条件下でハイブリッド形成する核酸分子を同定したい場合、以下の条
件が好ましくは使用され得る。Dermatophagoides farinaeDNAおよびDermatop
hagoides pteronyssius DNAの平均G+C含量は約39%である。未知の核酸
分子を支持膜に取り付けて、150bpプローブを例えば放射性標識で標識する
。ハイブリッド形成反応は、2XSSCおよび0%ホルムアミドを含む溶液中で
、約37℃の温度で(低ストリンジェンシー条件)にて行われ得る。異なる濃度
のSSCの溶液は、20XSSC(1リットルの水に175.3グラムNaCl
と約88.2グラムのクエン酸ナトリウムを溶解、pH7)のストック溶液を希
釈して所望濃度のSSCを得ることにより当業者は製造することが可能である。
高ストリンジェンシーなハイブリッド形成を達成するために、熟練技術者は30
%塩基対誤対合までを許容のに必要な洗浄条件を計算するであろう。例えば、1
XSSCおよび0%ホルムアミドを含む洗浄溶液において、完全なハイブリッド
のTmは約80℃である。
【0028】 81.5℃+16.6log(.15M)+(0.41×39)−(500/
150)−(0.61×0)=80.4℃ このように、約30%塩基対の誤対合を有する核酸分子とのハイブリッド形成
を達成するには、ハイブリッド形成の洗浄が約50℃の温度で遂行される。した
がって本明細書に開示した望ましい塩基対誤対合、式、およびG/Cの割合に基
づいてハイブリッド形成温度を追加計算することは、当業者の技術の範囲内にあ
る。例えば、本明細書に特定した配列を有する本発明の核酸分子に対してハイブ
リッド形成を試験する核酸分子は150ヌクレオチドよりも長くなるため、30
%塩基対誤対合までを許容するハイブリッド形成反応のためのTmは50℃から
大幅には変化しないことが当業者には理解される。
【0029】 さらに、2つの核酸配列間の類似性の程度を決定する市販のコンピュータプロ
グラムの存在が当該技術分野において知られている。このようなコンピュータプ
ログラムには、ハイブリッド核酸分子間の相同性パーセントならびにギャップの
数および長さを決定する種々の既知の方法が含まれる。アミノ酸配列間および核
酸配列間の相同性パーセントを決定する好ましい方法には、核酸またはアミノ酸
配列を比較および解析するように設計された1または複数のの市販のコンピュー
タプログラムを利用した解析が含まれる。このようなコンピュータプログラムに
は、GCG(商標)(ウィスコンシン州マディソン(Mad ison )所在、Genetic
s Computer Group 社より入手可能)、DNAsis(商標)(カリフォルニア
州サンブルーノ(San Bruno )所在、Hitachi Software社より入手可能)、およ
びMacVector(商標)(コネティカット州ニューヘーヴン(New Haven
)所在、Eastman Kodak Company 社より入手可能)が含まれるが、それらに限定
されるわけではない。アミノ酸配列間および核酸配列間の相同性パーセントを決
定する好ましい方法には、デフォールトパラメータを利用してDNAsis V
ersion2.1プログラムで最大対合させることによる比較機能(Compare
function)の使用が含まれる。
【0030】 本発明の1つの実施形態は、DerHMW−mapタンパク質を包含する。1
つの実施形態において本発明のDerHMW−mapタンパク質には、12%ト
リス−グリシンSDS−PAGEにより還元されると図1に示すように約98k
Dから約109kDまでの分子量のバンドとして移動するタンパク質が含まれる
。図1のバンドは実施例1に詳細に記載した方法を用いて、タンパク質をDermat
aphagoides farinaeダニより採取した場合に得られる。好ましくは、本発明のD
erHMW−mapタンパク質は約90kDから約120kDの範囲、より好ま
しくは約98kDから約109kDの範囲の分子量を有するタンパク質を含む。
本発明の好ましいDerHMW−mapタンパク質は、mapAおよびmapB
を含むが、これらの同定については実施例の項に記載している。
【0031】 別の実施形態において、本発明のDerHMW−mapタンパク質は14%ト
リス−グリシンSDS−PAGEにより還元されると図2に示すように約60k
Dの分子量のバンドとして移動するタンパク質を含む。図2のバンドは 実施例
9に詳細に記載した方法を用いて、タンパク質をDermataphgoides farinae ダニ
より採取した場合に得られる。好ましくは、本発明のDerHMW−mapタン
パク質は約60kDの分子量のタンパク質を含む。本発明の好ましいDerHM
W−mapタンパク質は、mapDを含むが、この同定については実施例の項に
記載している。
【0032】 別の実施形態において、好ましいDerHMW−mapタンパク質は、約50
以上のヌクレオチドまたは約150以上ヌクレオチドである核酸分子であって、
好ましくは約40%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約
35%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約30%以下の
塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約25%以下の塩基対誤対合
を許容する条件下で、より好ましくは約20%以下の塩基対誤対合を許容する条
件下で、より好ましくは約15%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より
好ましくは約10%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約
5%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、配列番号16、配列番号19、配
列番号22、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45ならび
に配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列および
その相補的配列から成る群より選択された核酸分子とハイブリッド形成する核酸
分子によりコードされたタンパク質を含む。
【0033】 本発明の別の実施形態は以下の核酸分子から成る群より選択された核酸分子に
よりコードされたDerHMW−mapタンパク質を含む:約150以上のヌク
レオチドを有する核酸分子であって、1XSSCおよび0%ホルムアミドを含有
する溶液中で、約50℃の温度にて、配列番号16、配列番号19、配列番号2
2、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、ならびに配列
番号33のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列の相補的配列
から成る群より選択された核酸配列とハイブリッド形成する前記約150以上の
ヌクレオチドを有する核酸分子と、15以上のヌクレオチドを含むそれらの核酸
分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子。
【0034】 さらに別の本発明の好ましいDerHMW−mapタンパク質は、配列番号1
4、配列番号17、配列番号20、配列番号34、配列番号37、配列番号40
、配列番号43、および/または配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク
質をコードする核酸配列の相補的配列の核酸配列を有する核酸分子に対して、好
ましくは約60%以上同一、より好ましくは約65%以上同一、より好ましくは
約70%同一以上、より好ましくは約75%以上同一、より好ましくは約80%
以上同一、より好ましくは約85%以上同一、より好ましくは約90%以上同一
、およびより好ましくは約95%以上同一な核酸分子によりコードされたタンパ
ク質を含み、そのようなタンパク質の断片もまた好ましい。本明細書に使用する
ように相同性パーセントはデフォールトパラメータを利用してDNAsis V
ersion2.1プログラムで最大対合させることによる比較機能(Compare
function)の使用により決定される。
【0035】 さらなる好ましい本発明のDerHMW−mapタンパク質は、配列番号1、
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番
号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号23、配列番号
24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号3
3、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号44のアミノ酸配列
を有するタンパク質と、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配
列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、
配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配
列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列
番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番
号41、配列番号44のアミノ酸配列を有するタンパク質の同族体を備えたタン
パク質であって、そのような同族体が配列番号1、配列番号2、配列番号3、配
列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配
列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列
番号18、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番
号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号
38、配列番号41、配列番号44のアミノ酸配列を有するタンパク質に対して
免疫反応を誘発する少なくとも1つのエピトープを有するタンパク質とを含む。
同様に、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号34、配列番号
37、配列番号40、配列番号43の核酸配列および/または配列番号33のア
ミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列を有する核酸分子によって
、またはその同族体によってコードされたタンパク質が好ましい。
【0036】 本発明の好ましい単離タンパク質は、以下の核酸分子のうちの少なくとも1つ
によりコードされたタンパク質である:nDerf981752、nDerf9816 65 、nDerf981608、nDerp981621、nDerp981527、nDer
p981470、nDerf60510 、またはそれらの核酸分子のうちの任意の核酸
分子の対立変異型。別の好ましい単離タンパク質は、配列番号14、配列番号1
7、配列番号20、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43
の核酸配列を有する核酸分子によりコードされるかまたはそれらの列挙した核酸
分子のうちの任意の核酸分子の対立変異型によりコードされたタンパク質である
【0037】 配列番号14の翻訳物、つまりnDerf981752のコード鎖は、本明細書に
PDerf98555 として示したように約555アミノ酸から成るタンパク質を
生じ、このアミノ酸配列は配列番号15に示しており、配列番号14のヌクレオ
チド1からヌクレオチド3までに亘って第1のインフレームコドンを採用する。
配列番号14の相補鎖を本明細書に配列番号16と示す。PDerf98555
アミノ酸配列は配列番号17で示したコード鎖および配列番号19で示した相補
鎖を有する核酸分子nDerf981665によりコードされる。配列番号15の解
析により、約1アミノ酸から約19アミノ酸にわたるシグナルペプチドの存在が
示唆される。本明細書にPDerfに98536 として示した予想の成熟タンパク
質は、配列を本明細書に配列番号21として示した約536個のアミノ酸を含み
、かつ本明細書において配列番号20つまりコード鎖、および配列番号22つま
り相補鎖により示したnDerf981608と称する核酸分子によりコードされる
【0038】 配列番号34の翻訳物、つまりnDerp981621のコード鎖は、本明細書に
PDerp98509 として示したように約509アミノ酸から成るタンパク質を
生じ、このアミノ酸配列は配列番号35に示しており、配列番号34のヌクレオ
チド14からヌクレオチド16までにわたる第1のインフレームコドンを採用す
る。配列番号34の相補鎖を本明細書に配列番号36と示す。PDerp9850 9 のアミノ酸配列は配列番号37で示したコード鎖および配列番号39で示した
相補鎖を有する核酸分子nDerp981527によりコードされる。配列番号35
の解析により、約アミノ酸1から約19アミノ酸に亘ってシグナルペプチドの存
在が示唆される。本明細書にPDerp98490 として示した予想の成熟タンパ
ク質は、配列を本明細書に配列番号41として示した約490個のアミノ酸を含
み、かつ本明細書において配列番号40つまりコード鎖、および配列番号42つ
まり相補鎖により示したnDerp981470と称する核酸分子によりコードされ
る。
【0039】 配列番号43の翻訳物、つまりnDerf60510 のコード鎖、D.farinae 6
0−kD抗原タンパク質の一部をコードする核酸分子は本明細書にPDerf6
170 として示したように約170アミノ酸のタンパク質を生じ、このアミノ酸
配列は配列番号44に示しており、配列番号43のヌクレオチド1からヌクレオ
チド3までにわたる第1のインフレームコドンを採用する。配列番号43の相補
的配列を本明細書に配列番号45として示す。
【0040】 本発明の好ましいDerHMW−mapタンパク質は、PDerf98555
対して約45%以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは約55%以上、
より好ましくは約60%以上、より好ましくは約65%以上、より好ましくは約
70%以上、より好ましくは約75%以上、より好ましくは約80%以上、より
好ましくは約85%以上、より好ましくは約90%以上、およびより好ましくは
約95%同一なタンパク質を含む。より好ましいのは、PDerf98555 、P
Derf98536 、PDerp98509 、PDerp98490 、および/または
PDerf60170 を含むDerHMW−mapタンパク質と、PDerf98 555 、PDerf98536 、PDerp98509 、PDerp98490 、および
/またはPDerf60170 タンパク質をコードする核酸分子の対立変異型によ
ってコードされたタンパク質である。
【0041】 本発明の他の好ましいDerHMW−mapタンパク質は、配列番号1、配列
番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列
番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号1
3、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号23、配列番号24
、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、
配列番号35、配列番号38、配列番号41、および/または配列番号44のア
ミノ酸配列に対して約45%以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは約
55%以上、より好ましくは約60%以上、より好ましくは約65%以上、より
好ましくは約70%以上、より好ましくは約75%以上、より好ましくは約80
%以上、より好ましくは約85%以上、より好ましくは約90%以上、より好ま
しくは約95%同一なアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。より好ましいの
は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号
6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列
番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番
号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号
32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および/ま
たは配列番号44のアミノ酸配列を含むDerHMW−mapタンパク質と、配
列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配
列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号1
2、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号23
、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、
配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および/または配
列番号44のアミノ酸配列を含むDerHMW−mapタンパク質をコードする
核酸分子の対立変異型によってコードされたDerHMW−mapタンパク質で
ある。
【0042】 本発明の1つの実施形態において、DerHMW−mapタンパク質はアミノ
酸配列配列番号15、配列番号35、および/または配列番号44(アミノ酸配
列配列番号15、配列番号35、および/または配列番号44から成るタンパク
質、それらの断片、融合タンパク質および多価タンパク質が含まれるがそれらに
限定されるわけではない)、およびアミノ酸配列配列番号15、配列番号35、
および/または配列番号44を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立変
異型によりコードされたタンパク質を含む。
【0043】 1つの実施形態において、好ましいDerHMW−mapタンパク質は長さ約
35アミノ酸以上、好ましくは長さ約50アミノ酸以上、より好ましくは長さ約
100アミノ酸以上、より好ましくは長さ約200アミノ酸以上、より好ましく
は長さ約250アミノ酸以上のアミノ酸配列を有する。この実施形態のうち、本
発明の好ましいDerHMW−mapタンパク質は少なくとも配列番号15の一
部分のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、好ましいDerHMW−
mapタンパク質は完全長のタンパク質、すなわち完全長のコード領域によりコ
ードされたタンパク質を有する。
【0044】 本発明のさらなる好ましいDerHMW−mapタンパク質はnDerf98 1752 、nDerf981665、nDerf981608、nDerp981621、nDe
rp981527、nDerp981470、およびnDerf60510 の少なくとも一
部を含む核酸分子によりコードされたタンパク質とそのような核酸分子の対立変
異型によりコードされたDerHMW−mapタンパク質とを有する。
【0045】 配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号34、配列番号37、
配列番号40、配列番号43の少なくとも一部を含む核酸配列および/またはア
ミノ酸配列配列番号33を含むタンパク質をコードする核酸配列を有する核酸分
子、ならびにこれらの核酸分子の対立変異型によりコードされたDerHMW−
mapタンパク質も好ましい。
【0046】 別の実施形態において、本発明の好ましいDerHMW−mapタンパク質は
、約12ヌクレオチド以上、好ましくは約16ヌクレオチド以上、より好ましく
は約18ヌクレオチド以上、より好ましくは約20ヌクレオチド以上、より好ま
しくは約25ヌクレオチド以上、より好ましくは約50ヌクレオチド以上、より
好ましくは約100ヌクレオチド以上、より好ましくは約350ヌクレオチド以
上、より好ましくは約450ヌクレオチド以上、より好ましくは約500ヌクレ
オチド以上、より好ましくは約800ヌクレオチド以上を有する核酸分子により
コードされる。この実施形態の中に、nDerf981752、nDerp981621 、および/またはnDerf60510 の少なくとも一部またはこれらの核酸分子
の対立変異型によりコードされたDerHMW−mapタンパク質が含まれる。
さらに別の実施形態において、本発明の好ましいDermapタンパク質は、見
かけ上完全長のDerHMW−mapのコード領域を有する核酸分子、すなわち
見かけ上完全長のDerHMW−mapタンパク質をコードする核酸分子により
コードされる。
【0047】 本発明のDerHMW−mapタンパク質の1つの実施形態は、1または複数
のの融合セグメントに結合されるDerHMW−mapタンパク質含有ドメイン
を有する融合タンパク質である。本発明に使用するのに適当な融合セグメントに
は、タンパク質の安定性を向上させるセグメント、DerHMW−mapタンパ
ク質に対する免疫反応を向上させる免疫増強剤として作用するセグメント、De
rHMW−mapタンパク質に対するIgE応答を減少させるセグメント、およ
び/または(例えば、アフィニティクロマトグラフィーにより)DerHMW−
mapタンパク質の精製を支援するセグメントが含まれるが、それらに限定され
るわけではない。適当な融合セグメントは、所望の機能(例えば安定性の向上へ
の寄与、タンパク質に対する免疫原性増大への寄与、IgE応答の減少、および
/またはタンパク質精製の簡略化)を有する任意のサイズのドメインであってよ
い。融合セグメントはタンパク質のDerHMW−mapタンパク質含有ドメイ
ンのアミノ末端および/またはカルボキシ末端に結合されて、開裂を受けてDe
rHMW−mapタンパク質を直接回収することを可能にし得る。融合タンパク
質は好ましくはDerHMW−mapタンパク質含有ドメインのカルボキシ末端
またはアミノ末端の少なくとも一方に結合された融合セグメントを含むタンパク
質をコードする融合核酸分子によって形質転換された組換え細胞を培養すること
により生産し得る。好ましい融合セグメントには、金属結合ドメイン(例えば、
ポリヒスチジンセグメント)免疫グロブリン結合ドメイン(例えば、タンパク質
A、タンパク質G、T細胞、B細胞、Fc受容体、または補体タンパク質抗体結
合ドメイン)、糖結合ドメイン(例えば、マルトース結合ドメイン)、「標識(
tag )」ドメイン(例えば−ガラクトシダーゼ少なくとも一部、連鎖球菌標識
ペプチド、モノクローナル抗体を初めとするドメインに結合する化合物を用いて
精製可能な他のドメイン)、および/またはリンカーおよび酵素ドメイン(例え
ば、リンカーによりDerHMW−mapタンパク質に結合されるアルカリホス
ファターゼドメイン)が含まれる。より好ましい融合セグメントには、ポリヒス
チジンセグメントを初めとする金属結合ドメイン、マルトース結合ドメイン、フ
ロリダ州タンパ(Tampa )所在のバイオメトラ社(Biometra)等より入手可能な
連鎖球菌標識ペプチド、およびファージT7S107ペプチドが含まれる。
【0048】 別の実施形態において、本発明のDerHMW−mapタンパク質は、動物を
1または複数ののアレルゲンから脱感作することを可能にする少なくとも1つの
さらなるタンパク質セグメントも有する。このような多価脱感作タンパク質は、
得られた核酸分子が動物をアレルゲンから脱感作する2つ以上の脱感作化合物を
含む多価脱感作化合物として発現されるような、互いに結合された2つ以上の核
酸ドメインを含む核酸分子により形質転換された細胞を培養することにより生産
することが可能である。
【0049】 多価脱感作化合物の例としては、植物アレルゲン、動物アレルゲン、寄生生物
アレルゲン、または外部寄生生物アレルゲンを初めとする1または複数ののアレ
ルゲンによって引き起こされるアレルギーを脱感作する1または複数のの化合物
と結合された本発明のDerHMW−mapタンパク質が含まれるが、それらに
限定されるわけではない。また、それらのアレルゲンしては牧草、ヒロハノウシ
ノケグサ(Meadow Fescue )、カーリードック(Curly Dock)、オオバコ(plan
tain)、メキシカンファイヤーバシュ(Mexican Firebush)、シロザ(Lamb's Q
uarters )、ビッグウィード(pigweed )、ブタクサ(ragweed )、セージ(sa
ge)、ニレ(elm )、オナモミ(cocklebur )、トネリコバカエデ(Box Elder
)、クルミ(walnut)、ハコヤナギ(cottonwood)、トネリコ(ash )、カバ(
birch )、シダー(cedar )、オーク(oak )、クワ(mulberry)、ゴキブリ(
cockroach )、ダーマトファゴイデス属(Dermatophagoides)、アルテリナリア
属(Alternaria)、コウジカビ属(Aspergillus )、クラドスポリウム属(Clad
osporium)、フザリウム属(Fusarium)、ヘルミントスポリウム属(Helminthos
porium)、ケカビ属(Mucor )、アオカビ属(Penicillium )、プルラリア属(
Pullularia)、クモノスカビ属(Rhizopus)および/または白癬菌属(Tricophy
ton )由来の全身性アレルギー、蠕虫(helminths )由来の寄生生物アレルゲン
、またはノミ、ダニ(ticks )、ハエ、カ、チョウバエ(sand flies)、ブユ(
black flies )、シラミバエ(horse flies )、ツノサシバエ(horn flies)、
メクラアブ(deer flies)、ツェツェバエ(tsetse flies)、サシバエ(stable
flies)、蝿蛆症発症バエ(myiasis-causing flies )およびヌカカ(biting g
nats)、アリ、クモ、シラミ、ダニ(mites )および半翅類の昆虫を初めとする
蛛形(しゅけい)類(arachnids )、昆虫類(insects )およびヒル(leeches
)由来の外部寄生生物アレルゲンが含まれるが、それらに限定されるわけではな
い。
【0050】 本発明は本発明のDerHMW−mapタンパク質のミメトープも包含する。
本明細書に使用するように、本発明のDerHMW−mapタンパク質のミメト
ープとは、多くの場合DerHMW−mapタンパク質を模倣した構造をそのミ
メトープが有するゆえにそのようなDerHMW−mapタンパク質の活性(例
えば、結合してDerHMW−mapタンパク質に対する免疫反応を引き起こす
能力)を模倣することが可能な、任意の化合物のことを指す。しかしながら、ミ
メトープはそのミメトープがDerHMW−mapタンパク質の機能を模倣して
いる限り、DerHMW−mapタンパク質に類似の構造を有する必要はないこ
とに留意すべきである。ミメトープには、分解への感受性が減ぜられるよう修飾
されたペプチド、抗イディオタイプおよび/または触媒抗体、またはそれらの断
片、単離タンパク質の非タンパク質免疫原性部分(例えば炭水化物構造)、核酸
を初めとする合成または天然の有機または無機分子、および/または任意の他の
ペプチド模倣化合物が挙げられるがそれらに限定されるわけではない。本発明の
ミメトープは本発明のDerHMW−mapタンパク質に関するコンピュータ生
成構造を利用して設計することが可能である。ミメトープはヌクレオチド、ペプ
チドまたは他の有機分子を初めとする分子のランダムなサンプルを生成し、その
ようなサンプルを対応する結合相手(例えば、抗DerHMW−mapタンパク
質抗体)を使用してアフィニティクロマトグラフィー技術によりスクリーニング
することによっても得ることが可能である。またミメトープは、例えば、合理的
薬物設計(rational drug d esign)によっても得ることが可能である。ある合
理的薬物設計のプロセスにおいて、本発明の化合物の三次元構造は、例えば核磁
気共鳴法(NMR)またはX線結晶構造解析法により解析可能である。次にこの
三次元構造を利用して例えばコンピュータモデリング法により、ミメトープの予
測をすることが可能である。次に予測されたミメトープの構造を、例えば化学合
成法や組換えDNA技術によるか、または天然起源からミメトープを単離するか
により製造することが可能である。DerHMW−mapタンパク質のミメトー
プの特定の例には、抗イディオタイプ抗体、Selex(商標)法を用いて製造
したオリゴヌクレオチド、ペプチドライブラリーのランダムスクリーニングによ
り同定されたペプチド、およびファージ表示技術により同定されたタンパク質が
含まれる。好ましいミメトープは、本発明のDerHMW−mapタンパク質、
特に、免疫反応を引き起こすDerHMW−mapタンパク質のエピトープ、と
構造的および/または機能的に類似したペプチド模倣化合物である。
【0051】 本発明は、本発明のDerHMW−mapタンパク質の突然変異タンパク質も
包含する。本明細書に使用するように、突然変異タンパク質とは、所望のアミノ
酸残基が置換されるかまたは除去されたDerHMW−mapタンパク質の特定
の同族体のことを指す。本発明の好ましい突然変異タンパク質には、アミノ酸残
基が変更されることによりその突然変異タンパク質が治療用の容量で動物に投与
された場合にその動物によるアナフィラキシー反応が減少する、DerHMW−
mapタンパク質同族体が含まれる。さらに好ましい本発明の突然変異タンパク
質には、DerHMW−mapタンパク質の1または複数ののシステイン残基が
置換されるかまたは除去されたDerHMW−mapタンパク質同族体が含まれ
る。突然変異タンパク質の製造方法は当業者に周知であると共に、本明細書に開
示されている。好ましくは、突然変異タンパク質は組換え技術を用いて製造され
る。
【0052】 本発明の別の実施形態はDerHMW−map核酸分子を含む単離核酸分子で
ある。そのような核酸分子の識別特性については先に記載した。本発明の核酸分
子には単離天然DerHMW−map遺伝子またはその同族体が含まれ、同族体
については以下により詳細に記載する。本発明の核酸分子は1または複数のの調
節領域、完全長のまたは部分長のコード領域、またはそれらの組み合わせを含み
得る。本発明の核酸分子の最小サイズは、別の核酸分子の相補的配列との安定な
ハイブリッドの形成(すなわちストリンジェントなハイブリッド形成条件下での
ハイブリッド形成)を可能にするのに十分なサイズである。
【0053】 本発明によれば、単離核酸分子は自然環境から取り出された(すなわち、人的
操作を受けた)核酸分子であると共に、DNA、RNA、もしくはDNAまたは
RNAのうちのいずれかの誘導体であってよい。そのようなものとして、「単離
」とは、核酸分子が精製された程度を反映していない。本発明の単離DerHM
W−map核酸分子またはその同族体は、天然起源から単離されてもよいし、組
換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅またはクローニ
ング)または化学合成を利用して製造してもよい。単離DerHMW−map核
酸分子およびその同族体には、例えば、天然対立変異型や、本発明のDerHM
W−mapタンパク質をコードする核酸分子の能力に実質的に干渉しないような
方法でヌクレオチドの挿入、欠失、置換、および/または逆位により修飾を受け
た核酸分子が含まれる。
【0054】 DerHMW−map核酸分子の同族体は当業者に周知の多くの方法により製
造可能である。例えば、サンブルック(Sambrook)ら、1989年、Molecular
Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Labs 出版や、サンブルッ
ク(Sambrook)ら、前掲の文献を参照されたい。例えば核酸分子は、部位特定突
然変異誘発、化学処理、制限酵素による開裂、核酸断片の連結反応、PCR増幅
、オリゴヌクレオチド混合物の合成および混合物群の連結反応による核酸分子混
合物の混合物の「構築」、ならびにそれらの組合せを初めとする古典的な突然変
異誘発および組換えDNA技術を含めた種々の技術により修飾されるが、それら
に限定されるわけではない。核酸分子同族体はDerHMW−map核酸分子と
のハイブリッド形成かDerHMW−map核酸分子によりコードされたタンパ
ク質の機能(例えばDerHMW−mapタンパク質の少なくとも1つのエピト
ープに対する免疫反応を誘発する能力またはDerHMW−map活性をもたら
す能力)をスクリーニングすることにより選択し得る。
【0055】 対立変異型は一般に、対照の遺伝子によりコードされたタンパク質の活性と類
似の活性を有するタンパク質をコードする。対立変異型は、同遺伝子の5’また
は3’非翻訳領域に(例えば、調節制御領域に)変更を有し得る。対立変異型は
当業者に周知であり、ダストダニのゲノムが二倍体であるかおよび/または2以
上のダストダニのグループの中にあるため、所定のダストダニに見出されるもの
と期待される。本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応増幅中に製造された変異型のよ
うな実験室での操作による変異型も含むが、それに限定されるわけではない。
【0056】 本発明の単離核酸分子は本発明のDerHMW−mapタンパク質の少なくと
も1つをコードする核酸配列を有しうる。そのようなタンパク質の例は本明細書
に開示されている。「核酸分子」という熟語は主として物理的な核酸分子のこと
を指し、「核酸配列」という熟語は主として核酸分子のヌクレオチド配列のこと
を指す。この2つの熟語は、特にDerHMW−mapタンパク質をコードする
ことが可能な核酸分子または核酸配列に関して、互換的に用いることが可能であ
る。
【0057】 本発明の好ましい核酸分子は、動物に投与されると、その動物をDerHMW
−mapアレルゲンにより引き起こされるアレルギー反応から脱感作することが
可能である。以下により詳細に開示するように、そのような核酸分子は、アンチ
センスRNA、三重らせんを形成可能な分子、リボゾーム、または他の核酸に基
づく薬剤化合物であってもよいし、またはそれらをコードするものであってもよ
い。さらなる実施形態において、本発明の核酸分子は脱感作タンパク質(例えば
、本発明のDerHMW−mapタンパク質)をコードすると共に、その核酸分
子は例えば(すなわち、DNA試薬として)直接投与されるかまたは組換えウィ
ルス試薬または組換え細胞試薬のような賦形剤にして動物に送達される。
【0058】 本発明の1つの実施形態には、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で
DerHMW−map遺伝子とハイブリッド形成する単離核酸分子がある。スト
リンジェントなハイブリッド形成条件とは、本明細書に記載した標準的なハイブ
リッド形成条件のことを指す。本発明の好ましい核酸分子は、ストリンジェント
なハイブリッド形成条件下で配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4
、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号1
0、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18
、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、
配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配
列番号41、および/または配列番号44を有するアミノ酸配列を備えたタンパ
ク質をコードする遺伝子とハイブリッド形成する単離核酸分子を含む。本発明の
さらに好ましい核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4
、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号1
0、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18
、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、
配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配
列番号41、および/または配列番号44を有するアミノ酸配列を備えたタンパ
ク質をコードする核酸配列の相補的配列とストリンジェントなハイブリッド形成
条件下でハイブリッド形成する単離核酸分子を含む。
【0059】 本発明のより好ましい核酸分子は、約150以上のヌクレオチドを有する核酸
分子であって、1XSSCおよび0%ホルムアミドを含む溶液中で、約50℃の
温度にて、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番
号20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号
39、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45から成る群よ
り選択された核酸配列と、および/または配列番号33のアミノ酸配列を有する
タンパク質をコードする核酸配列およびその相補的配列とハイブリッド形成する
約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子から成る群より選択された単離核
酸分子を含む。
【0060】 本発明は本明細書に開示した任意の核酸分子の断片をも包含する。本発明によ
れば、断片は任意の核酸分子または核酸配列を含み、そのサイズは本発明の配列
番号によって同定される配列よりも小さい長さと、本明細書に定義したオリゴヌ
クレオチドの最小サイズとの間の範囲に及び得る。例えば、本発明の断片のサイ
ズは、長さが約1752ヌクレオチドよりも小さくかつ11ヌクレオチドよりも
大きい任意のサイズであり得る。
【0061】 本発明の1つの実施形態において、好ましいDerHMW−map核酸分子は
、約50以上のヌクレオチドまたは約150以上のヌクレオチドである単離核酸
分子を含むと共に好ましくは約40%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、
より好ましくは約35%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましく
は約30%以下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約25%以
下の塩基対誤対合を許容する条件下で、より好ましくは約20%以下の塩基対誤
対合を許容する条件下で、より好ましくは約15%以下の塩基対誤対合を許容す
る条件下で、より好ましくは約10%以下塩基対誤対合を許容する条件下で、よ
り好ましくは約5%以下塩基対誤対合を許容する条件下で、配列番号14、配列
番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番
号34、配列番号36、配列番号37、配列番号40、配列番号42、配列番号
43、配列番号45、ならびに配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク質
をコードする核酸配列、およびその相補的配列から成る群より選択された核酸分
子とハイブリッド形成する。
【0062】 本発明の別の実施形態は、約150以上の塩基を有する核酸分子であって、同
核酸分子は1XSSCおよび0%ホルムアミドを含む溶液中で約50℃の温度に
て、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20
、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、
配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45、および/または配
列番号33のアミノ酸配列を備えたタンパク質をコードする核酸配列およびその
相補的配列から成る群より選択された核酸配列とハイブリッド形成する。本発明
のさらなる好ましい核酸分子は、約150以上の塩基を有する単離核酸分子の断
片を有し、同核酸分子は、1XSSCおよび0%ホルムアミドを含む溶液中で、
約50℃の温度にて、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号1
9、配列番号20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号10
37、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号4
5、および/または配列番号33のアミノ酸配列を備えたタンパク質をコードす
る核酸配列およびその相補的配列から成る群より選択された核酸配列とハイブリ
ッド形成する。
【0063】 本発明のさらなる好ましいDerHMW−map核酸分子は、約50以上のヌ
クレオチドまたは約150以上のヌクレオチドであって、配列番号14、配列番
号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号
34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号4
2、配列番号43、配列番号45、ならびに配列番号33のアミノ酸配列を備え
たタンパク質をコードする核酸配列およびそれらの相補的配列から成る群より選
択された核酸配列と好ましくは約60%以上同一、より好ましくは約65%以上
同一、より好ましくは約70%以上同一、より好ましくは約75%以上同一、よ
り好ましくは約80%以上同一、より好ましくは約85%以上同一、より好まし
くは約90%以上同一、より好ましくは約95%以上同一な核酸配列を有する単
離核酸分子を含む。そのような核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片も好まし
い。相同性パーセントはデフォールトパラメータを利用してDNAsis Ve
rsion2.1プログラムで最大対合させることによる比較機能(Compare fu
nction)の使用により決定される。
【0064】 本発明の1つの実施形態には、核酸分子nDerf1752、nDerf981665 およびnDerf981608、nDerp981621、nDerp981527、nDe
rp981470、および/またはnDerf60510 、またはそのような核酸分子
の対立変異型の全部または一部を含む核酸分子である。別の本発明の好ましい核
酸分子は、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番
号20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号
39、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45の核酸配列お
よび/または配列番号33のアミノ酸配列を備えたタンパク質をコードする核酸
配列、そのような核酸配列を有する核酸分子の対立変異型、ならびにそのような
核酸配列を有する核酸分子の同族体のうち少なくとも一部を含み、そのような同
族体は好ましくは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号
5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番
号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号
21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号3
1、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41
、配列番号41、および/または配列番号44のアミノ酸配列を有するタンパク
質に対する免疫反応を引き起こす少なくとも1つのエピトープをコードするか、
同エピトープに相補的である。そのような核酸分子は、上記の配列番号に包含さ
れるものに加えて、完全長の遺伝子、完全長のコード領域、融合タンパク質をコ
ードする核酸分子、または多価保護化合物をコードする核酸分子等のヌクレオチ
ドを含み得るが、それらに限定されるわけではない。
【0065】 1つの実施形態において、本発明のDerHMW−map核酸分子は、PDe
rf555 、PDerp98509 、および/またはPDerf60170 に約45%
以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは約55%以上、より好ましくは
約60%以上、より好ましくは約65%以上、より好ましくは約70%以上、よ
り好ましくは約75%以上、より好ましくは約80%以上、より好ましくは約8
5%以上、より好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%同一のタンパ
ク質をコードする。さらにより好ましいのは、PDerf555 、PDerf536 、PDerp98509 、PDerp98490 、および/またはPDerf6017 0 をコードする核酸分子、および/またはそのような核酸分子の対立変異型であ
る。
【0066】 別の実施形態において、本発明のDerHMW−map核酸分子は、配列番号
1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号
7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配
列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号23、配列
番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番
号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号41、および/
または配列番号44に約45%以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは
約55%以上、より好ましくは約60%以上、より好ましくは約65%以上、よ
り好ましくは約70%以上、より好ましくは約75%以上、より好ましくは約8
0%以上、より好ましくは約85%以上、より好ましくは約90%以上、より好
ましくは約95%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。本発明
は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6
、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番
号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配列番号
23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号3
2、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、配列番号41
、および/または配列番号44、および核酸分子を発現する細胞のコドン利用特
性を調節するよう修正された核酸分子を含めたそれらの配列を有するタンパク質
をコードするDerHMW−map核酸分子の対立変異型、の少なくとも一部を
有するタンパク質をコードするDerHMW−map核酸分子も含む。
【0067】 別の実施形態において、好ましいDerHMW−map核酸分子は、少なくとも
長さ約35アミノ酸以上、好ましくは長さ約50アミノ酸以上、より好ましくは
長さ約100アミノ酸以上、より好ましくは長さ約200アミノ酸以上、より好
ましくは長さ約250アミノ酸以上を有するDerHMW−mapタンパク質を
コードする。
【0068】 当業者であれば、本発明のあるDerHMW−map核酸分子の核酸配列が分
かれば、例えば、(a)これらの核酸分子の複製を作成すること、(b)そのよ
うな核酸分子の少なくとも一部を含む核酸分子(例えば、完全長の遺伝子、完全
長のコード領域、調節制御配列、切り詰められたコード領域など)を得ること、
および(c)他のDerHMW−map核酸分子を得ることができる。そのよう
な核酸分子は、本発明の抗体による適当な発現ライブラリのスクリーニング、適
当なライブラリをスクリーニングするための本発明のオリゴヌクレオチドプロー
ブを用いた伝統的なクローニング技術、および本発明のオリゴヌクレオチドプラ
イマーを用いた適切なライブラリまたはDNAのPCR増幅を含む、様々な方法
によって得ることができる。スクリーニングを行うライブラリ、あるいは核酸分
子の増幅を行う元となっている好ましいライブラリには、Dermatophagoides far
inaeおよび/またはDermatophagoides pteronyssius ライブラリ、例えば本明細
書中の実施例において開示されるライブラリなどが含まれる。遺伝子をクローン
化および増幅する技術は、例えばサンブルック(Sambrook)らの文献中に開示さ
れている。
【0069】 本発明は、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下において、例えばDe
rHMW−map核酸分子または他のDerHMW−map核酸分子などからを
含む核酸分子を初めとする本発明の他の核酸分子、好ましくは長い核酸分子、の
相補領域とハイブリッド形成することのできるオリゴヌクレオチドである核酸分
子も包含している。本発明のオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、またはそ
のどちらかの誘導体のいずれであってもよい。そのようなオリゴヌクレオチドの
最小サイズは、オリゴヌクレオチドと、本発明の核酸分子上の相補的配列との間
に安定なハイブリッドが形成されるのに必要なサイズである。本発明の好ましい
オリゴヌクレオチドは、好ましくは約200ヌクレオチド、より好ましく約15
0ヌクレオチド、さらに好ましくは約100ヌクレオチドの最大サイズを有して
いる。本発明は、例えば、核酸分子を同定するためのプローブとしても使用可能
なオリゴヌクレオチドも包含している。
【0070】 本発明の1つの実施形態は、本発明の少なくとも1つの単離された核酸分子を
含む組換えベクターを包含し、核酸分子は宿主細胞に伝達することのできる任意
のベクターに挿入され得る。そのようなベクターは、異種核酸配列、すなわち、
天然においては本発明の核酸分子の近辺に見られず、好ましくは当該核酸分子の
由来する種以外の種に由来する核酸配列を含む。ベクターは、RNAまたはDN
Aのいずれであってもよく、原核性または真核性のいずれであってもよく、典型
的にはウィルスまたはプラスミドである。組換えベクターは、本発明のDerH
MW−map核酸分子のクローニング、配列決定、および/または他の操作にお
いて用いることができる。
【0071】 本明細書中で組換え分子と称する組換えベクターの1つのタイプは、発現ベク
ターに機能的に連結された本発明の核酸分子を含む。「機能的に連結された」と
いう表現は、核酸分子が、宿主細胞中に形質転換された場合に該核酸分子が発現
されうるように発現ベクターに挿入されていることをいう。本明細書中で用いる
発現ベクターは、宿主細胞を形質転換することができ、かつ特定の核酸分子を発
現させることのできるDNAまたはRNAベクターである。好ましくは、発現ベ
クターは宿主細胞内において複製を行うこともできる。発現ベクターは、原核性
または真核性のいずれであってもよく、通常ウィルスまたはプラスミドである。
本発明の発現ベクターは、細菌、菌類、内部寄生生物、昆虫、他の動物および植
物細胞を含む、本発明の組換え細胞内で機能する(すなわち遺伝子発現を指示す
る)任意のベクターを包含する。本発明の好ましい発現ベクターは、細菌、酵母
、昆虫および他の哺乳動物細胞内、および好ましくは本明細書中に開示されるタ
イプの細胞内で、遺伝子発現を指示することができる。
【0072】 特に、本発明の発現ベクターは、転写調節配列、翻訳調節配列、複製の開始点
、および、組換え細胞との適合性を有し本発明の核酸分子の発現を調節する他の
調節配列などの調節配列を含む。特に、本発明の組換え分子は転写調節配列を含
む。転写調節配列は、転写の開始、伸長および終結を調節する配列である。特に
重要な転写調節配列は、プロモーター、エンハンサー、オペレーターおよびリプ
レッサー配列など転写の開始を調節する配列である。適切な転写調節配列には、
本発明の組換え細胞の少なくとも1つの中で機能することのできる任意の転写調
節配列が含まれる。様々なそのような転写調節配列が当業者によって知られてい
る。好ましい転写調節には、細菌、酵母、昆虫および哺乳動物細胞内で機能する
ものが含まれ、tac、lac、trp、trc、oxy−pro、omp/l
pp、rrnB、バクテリオファージラムダ(ラムダpL およびラムダpR 、な
らびにそのようなプロモーターを含む融合物)、バクテリオファージT7、T7
lac、バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファ
ージSP01、メタロチオネイン、アルファ−交配因子、ピチア(Pichia)アル
コールオキシダーゼ、アルファウィルスサブゲノムプロモータ(シンドビスウィ
ルスサブゲノムプロモータなど)、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウィルス、タ
バコガ(Heliothis zea )昆虫ウィルス、ワクシニアウィルス、ヘルペスウィル
ス、アライグマポックスウィルス、他のポックスウィルス、アデノウィルス、サ
イトメガロウィルス(中間初期プロモーターなど)、シミアンウィルス40、レ
トロウィルス、アクチン、レトロウィルスの長い末端反復、ラウス肉腫ウィルス
、熱ショック、リン酸および硝酸転写調節配列、ならびに原核または真核細胞内
で遺伝子発現を制御することのできる他の配列などが挙げられるが、これらに限
定されるわけではない。さらなる適切な転写調節配列には、組織特異的プロモー
ターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、
インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が
含まれる。本発明の転写調節配列は、イヌまたはネコに天然に付随する天然に見
られる転写調節配列を含んでいてもよい。
【0073】 本発明の組換えベクター中に含めるための適切かつ好ましい核酸分子は、本明
細書中に開示されている。組換えベクター、および特に組換え分子内に含めるた
めの好ましい核酸分子には、nDerf981752、nDerf981665、nDe
rf981608、nDerp981621、nDerp981527、nDerp981470 、およびnDerf60510 、が含まれる。
【0074】 本発明の組換え分子は、(a)発現された本発明のDerHMW−mapタン
パク質を、同タンパク質を生産する細胞から分泌されるようにする分泌シグナル
(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)を含むか、および/または、(b)
本発明の核酸分子を融合タンパク質として発現させるための融合配列を含んでい
てもよい。適切なシグナルセグメントの例には、本発明のタンパク質の分泌を指
示することのできる任意のシグナルセグメントが含まれる。好ましいシグナルセ
グメントには、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)、インターフェロ
ン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性、およびウィルスエンベロー
プ糖タンパク質シグナル部分、ならびに天然のシグナル部分が含まれるが、これ
らに限定されるわけではない。融合セグメント核酸配列によってコードされる適
切な融合セグメントは、本明細書中に開示されている。さらに、本発明の核酸分
子は、コードされたタンパク質をプロテオソームに関する融合セグメント、例え
ばユビキノン融合セグメントなどに連結することもできる。組換え分子は、本発
明の核酸分子の核酸配列の周囲および/または内部に、介在配列および/または
非翻訳配列を含んでいてもよい。
【0075】 本発明の別の実施形態は、本発明の1または複数の組換え分子によって形質転
換された宿主細胞を含む組換え細胞を包含する。核酸分子による細胞の形質転換
は、核酸分子を細胞中に挿入することのできる任意の方法によって達成すること
ができる。形質転換技術には、トランスフェクション、電気穿孔法、マイクロイ
ンジェクション、リポフェクション、吸着およびプロトプラスト融合が含まれる
が、これらに限定されるわけではない。組換え細胞は、単細胞のままであっても
よいし、あるいは組織、器官、または多細胞有機体に成長するものであってもよ
い。本発明の形質転換された核酸分子は、染色体外に残っていてもよいし、ある
いは形質転換された(すなわち組換え)細胞の染色体内の1または複数の部位に
、それらの発現能力が維持されるようにして組み込まれてもよい。細胞を形質転
換するために用いられる好ましい核酸分子には、本明細書中に開示されるDer
HMW−map核酸分子が含まれる。細胞を形質転換するために用いられる特に
好ましい核酸分子には、nDerf981752、nDerf981665、nDerf
981608、nDerp981621、nDerp981527、nDerp981470、お
よびnDerf60510 、が含まれる。
【0076】 形質転換を行うための適切な宿主細胞には、本発明の核酸分子によって形質転
換されうる任意の細胞が含まれる。宿主細胞は、形質転換されていない細胞、ま
たは少なくとも1つの核酸分子(例えば、1または複数の本発明のタンパク質お
よび/または多価ワクチンの製造に有用な他のタンパク質をコードする核酸分子
)によってすでに形質転換されている細胞のいずれであってもよい。本発明の宿
主細胞は、本発明のDerHMW−mapタンパク質を内在的に(すなわち、天
然に)生産できるものであってもよいし、あるいは少なくとも1つの本発明の核
酸分子によって形質転換された後に、そのようなタンパク質を生産できるような
ものであってもよい。本発明の宿主細胞は、少なくとも1つの本発明のタンパク
質を生産することのできる任意の細胞とすることができ、それには、細菌、菌類
(酵母を含む)、他の昆虫、他の動物および植物細胞が含まれる。好ましい宿主
細胞には、細菌、ミコバクテリア、酵母、寄生生物、昆虫および哺乳動物細胞が
含まれる。さらに好ましい宿主細胞には、サルモネラ(Salmonella)、エシェリ
シア(Escherichia )、バチルス(Bacillus)、リステリア(Listeria)、サッ
カロマイセス(Saccharomyces )、スポドプテラ(Spodoptera)、ミコバクテリ
ア(Mycobacteria)、トリコプルシア(Trichoplusia)、BHK(幼ハムスター
腎)細胞、MDCK細胞(イヌヘルペスウィルス培養のための正常イヌ腎細胞系
)、CRFK細胞(ネコヘルペスウィルス培養のための正常ネコ腎細胞系)、C
V−1細胞(例えばアライグマポックスウィルスを培養するために用いられるア
フリカザル腎細胞系)、COS(例えば、COS−7)細胞、およびVero細
胞が含まれる。特に好ましい宿主細胞は、大腸菌(E. coli )K−12誘導体を
含むエシェリシア・コリ(Escherichia coli)、サルモネラ・チピ(Salmonella
typhi)、UK−1x 3987およびSR−11x 4072などの弱毒株を含む
サルモネラ・チピムリウム(Salmonella typhimurium)、スポドプテラ・フルギ
ペルダ(Spodoptera frugiperda )、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni )
、BHK細胞、MDCK細胞、CRFK細胞、CV−1細胞、COS細胞、Ve
ro細胞、および非腫瘍化マウス筋芽細胞G8細胞(例えば、ATCC CRL
1246)である。その他の適切な哺乳動物細胞宿主には、他の腎細胞系、他
の線維芽細胞系(例えば、ヒト、マウスまたはニワトリ胎児繊維芽細胞系)、ミ
エローマ細胞系チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞、マウスNIH/3T3細胞
、LMTK31細胞、および/またはHeLa細胞が含まれる。
【0077】 組換え細胞は、好ましくは宿主細胞を1または複数の組換え分子によって形質
転換することによって作成され、前記組換え分子のそれぞれは、1または複数の
転写調節配列を含む発現ベクターに機能的に連結された1または複数の本発明の
核酸分子を含む。「機能的に連結された」という表現は、核酸分子が、宿主細胞
中に形質転換された場合に該核酸分子が発現されうるように発現ベクターに挿入
されていることをいう。
【0078】 本発明の組換え分子は、形質転換すべき細胞内での核酸分子の発現を効果的に
調節することのできる少なくとも1つの任意の転写調節配列に機能的に連結され
た、上述の少なくとも1つの任意の核酸分子を含みうる分子であり、その例は本
明細書中に開示される。
【0079】 本発明の組換え細胞は、本発明の少なくとも1つの任意のDerHMW−ma
p核酸分子によって形質転換された任意の細胞を包含する。適切かつ好ましいD
erHMW−map核酸分子、ならびに細胞を形質転換するのに用いられる適切
かつ好ましい組換え分子は本明細書中に開示される。
【0080】 組換えDNA技術は、例えば、宿主細胞内における核酸分子のコピー数、それ
らの核酸分子の転写効率、結果として得られる転写産物の翻訳効率、および翻訳
後修飾の効率などを操作することにより、形質転換された核酸分子の発現を高め
るためにを用いることができる。本発明の核酸分子の発現を高めるために有用な
組換え技術には、核酸分子を高コピー数プラスミドに機能的に連結すること、核
酸分子を1または複数の宿主細胞染色体に組み込むこと、プラスミドにベクター
安定配列を添加すること、転写調節シグナル(例えば、プロモーター、オペレー
ター、エンハンサー)を置換または修飾すること、翻訳調節シグナル(リボソー
ム結合部位、シャイン−ダルガルノ配列)を置換または修飾すること、本発明の
核酸分子を宿主細胞のコドンの選択性に対応するように修飾すること、転写を不
安定化する配列を削除すること、および発酵中に組換え細胞増殖を一時的に組換
え酵素生産から切り離す調節シグナルを利用することが含まれるが、これらに限
定されるわけではない。本発明の発現された組換えタンパク質の活性は、そのよ
うなタンパク質をコードする核酸分子を断片化、修飾または誘導体化することに
よって高めることができる。
【0081】 本発明の単離DerHMW−mapタンパク質は、天然タンパク質の生産と回
収、組換えタンパク質の生産と回収、およびタンパク質の化学合成を含む様々な
方法によって生産させることができる。1つの実施形態において、本発明の単離
タンパク質は、タンパク質の生産に効果的な条件下において、タンパク質を発現
することのできる細胞を培養し、タンパク質を回収することによって生産される
。培養するのに好ましい細胞は、本発明の組換え細胞である。効果的な培養条件
には、タンパク質の生産を可能にする、有効な培地、バイオリアクター、温度、
pH、および酸素条件が含まれるが、これらに限定されるわけではない。有効な
培地とは、細胞が培養されて本発明のDerHMW−mapタンパク質を生産す
るような任意の培地のことをいう。そのような培地は、典型的には、同化性のあ
る炭素、窒素およびリン酸源、および適当な塩、ミネラル、金属、および、ビタ
ミンなどの他の栄養素を有する水性培地からなる。本発明の細胞は、従来の発酵
バイオリアクター、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイタープレート、および
ペトリ皿中で培養することができる。培養は、組換え細胞にとって適当な温度、
pHおよび酸素含量において実施することができる。そのような培養条件は、当
業者の専門知識の範囲に含まれる。
【0082】 生産のために用いられるベクターおよび宿主系に応じて、得られる本発明のタ
ンパク質は、組換え細胞内に残っていてもよいし、発酵培地中に分泌されてもよ
いし、大腸菌(E.coli)における細胞周辺腔などの2つの細胞膜間の空間に分泌
されてもよいし、あるいは細胞の外表面またはウィルス膜上に保持されてもよい
。「タンパク質の回収」という表現ならびに同様の表現は、タンパク質を含む全
発酵培地を回収することをいい、分離または精製のさらなる工程を含意する必要
はない。本発明のタンパク質は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交
換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、
ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロ
マトグラフィー、クロマトフォーカシング、および分画可溶化(differential s
olubilization )などを含むがそれらに限定されるわけではない、様々な標準的
なタンパク質精製技術を用いて精製することができる。本発明のタンパク質は、
「実質的に純粋な」形で回収されることが好ましい。本明細書中で用いる「実質
的に純粋な」とは、そのタンパク質を治療用組成物または診断用として有効に用
いることのできるような純度のことをいう。動物のための治療用組成物は、実質
的な毒性を一切示さずに、好ましくは治療を受けた動物を脱感作できる。
【0083】 本発明はまた、本発明のDerHMW−mapタンパク質またはそのミメトー
プに選択的に結合する単離された(すなわち、それらの天然の環境から取出され
た)抗体(すなわち、抗DerHMW−mapタンパク質抗体)も包含する。本
明細書中で用いる、DerHMW−mapタンパク質に「選択的に結合する」と
いう表現は、本発明の抗体のもつ、本発明の特定のタンパク質およびそのミメト
ープに優先的に結合する能力のことをいう。結合は、酵素イムノアッセイ(例え
ばELISA)、イムノブロットアッセイなどを含む当該技術における標準的な
様々な方法(例えば、サンブルックらの前掲の文献を参照のこと)を用いて測定
することができる。抗DerHMW−mapタンパク質抗体は、動物に免疫反応
を誘起するDerHMW−mapタンパク質の一部分に好適に選択的に結合する
【0084】 本発明の単離抗体は、体液(例えば血清など、ただし血清には限定されない)
中の抗体、または様々な程度まで精製された抗体を包含していてもよい。本発明
の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれであってもよい。その
ような抗体の機能的均等物、例えば抗体断片および遺伝子工学的に作成された抗
体(1つより多くのエピトープに結合することのできる一本鎖抗体またはキメラ
抗体を含む)などもまた本発明に包含される。
【0085】 本発明の抗体を生産するための好ましい方法は、(a)動物に有効量の本発明
のタンパク質、ペプチドまたはそのミメトープを投与して抗体を産生させる工程
と、(b)その抗体を回収する工程とを含む。他の方法において、本発明の抗体
は、本発明のDerHMW−mapタンパク質の生産に関して上で開示したよう
な技術を用いて組換えによって生産される。特定のタンパク質またはミメトープ
に抗して産生された抗体は、診断アッセイにおける妨害や、治療用組成物中で用
いられた場合に副作用を引き起こすことのある他の物質に対する抗体に実質的に
混入されていないために、有利であると考えられる。
【0086】 本発明の抗体は、本発明の範囲に含まれる様々な潜在的用途を有している。例
えば、そのような抗体は、(a)ダニアレルゲン、特にDerHMW−mapタ
ンパク質を検出するための道具として、(b)発現ライブラリをスクリーニング
するための道具として、および/または(c)タンパク質と他の混入物との混合
物から本発明の所望のタンパク質を回収するために用いることができる。本発明
の抗体は、例えば、DerHMW−タンパク質に特異的に結合するIgEへのD
erHMW−mapタンパク質の結合を阻害し、免疫複合体の形成を阻害するこ
とによって、ダニアレルゲンに対する過敏反応を低減するためにも用いることが
できる。
【0087】 本発明のDerHMW−mapタンパク質はキメラ分子中に含まれていてもよ
く、該キメラ分子は少なくとも、動物内において免疫反応を誘起するDerHM
W−mapタンパク質の一部分と、第2の分子とを含み、この第2の分子は、基
質に結合されていないDerHMW−mapタンパク質と本質的に同様な様式、
DerHMW−mapタンパク質がIgEに結合できるように、前記キメラ分子
の基質への結合を可能にする。適切な第2の分子の例には、免疫グロブリン分子
の一部分、または基質上に固定化可能な適切な結合相手を有する他のリガンド、
例えば、ビオチンとアビジン、金属結合性タンパク質と金属(例えばHis)、
あるいは糖結合性タンパク質と糖(例えばマルトース)などが含まれる。
【0088】 本発明のDerHMW−mapタンパク質は製剤中に含まれていてもよく、こ
の製剤は本明細書中ではDerHMW−mapタンパク質製剤と称することにす
る。例えば、DerHMW−mapタンパク質は、DerHMW−mapタンパ
ク質を可溶化する緩衝液、および/または担体と組み合わされていてもよい。適
切な緩衝液および担体は、当業者によって知られている。適切な緩衝液の例には
、その緩衝液中において、DerHMW−mapタンパク質が機能して、Der
HMW−mapタンパク質と特異的に結合する抗体に選択的に結合できるような
任意の緩衝液、例えば、リン酸緩衝塩類溶液、水、生理的食塩水、リン酸緩衝液
、重炭酸緩衝液、HEPES緩衝液(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N
’−2−エタンスルホン酸緩衝塩類溶液)、TES緩衝液(トリス−EDTA緩
衝塩類溶液)、トリス緩衝液およびTAE緩衝液(トリス−酢酸−EDTA)な
どが含まれるが、これらに限定されるわけではない。担体の例には、高分子マト
リックス、トキソイド、およびウシ血清アルブミンなどの血清アルブミンが含ま
れるが、これらに限定されるわけではない。担体は、DerHMW−mapタン
パク質に混合することもできるし、あるいは、DerHMW−mapタンパク質
の持つDerHMW−mapタンパク質に特異的に結合する抗体に選択的に結合
する能力を実質的に妨害しないようにして、DerHMW−mapタンパク質と
複合体化を形成(すなわち結合)することもできる。
【0089】 本発明のDerHMW−mapタンパク質は、DerHMW−mapタンパク
質を含む細胞から生産すことも可能である。好ましいDerHMW−mapタン
パク質−担持細胞には、本発明のDerHMW−mapタンパク質をコードする
核酸分子を含む組換え細胞が含まれる。
【0090】 さらに、本発明のDerHMW−mapタンパク質製剤は、DerHMW−m
apタンパク質だけでなく、動物をアレルゲンに対して脱感作したり、ダニアレ
ルゲン病原を予防または治療するのに有用な1または複数のさらに別の抗原また
は抗体を含んでいてもよい。本明細書中で用いる「抗原」とは、抗体によって選
択的に結合されることのできる任意の分子のことをいう。本明細書中で用いる「
アレルゲン」とは、動物内でアレルギー反応に関与する抗体の産生を刺激する能
力を有する抗原のことをいう。本明細書中で用いる「第2の分子への第1の分子
の選択的結合」とは、第1の分子が第3の分子に結合する能力に比べて、第1の
分子が第2の分子に優先的に結合する(例えば、高い親和性、高い結合活性を有
する)能力のことをいう。第1の分子は必ずしも第2の分子の天然のリガンドで
ある必要はない。本発明のアレルゲンは、ダニに由来するものであることが好ま
しく、ダニ関連アレルゲンには、他の昆虫アレルゲンおよび植物アレルゲンが含
まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0091】 本発明によれば、事実上どんな物質も抗原として作用して、抗体反応を誘起す
ることができる。すなわちエピトープとして機能することができる。例えば、抗
体は、タンパク質に結合された糖類および/または多糖類、いわゆるグリコシル
化タンパク質を含む炭水化物エピトープに応答して、産生される。しかしながら
、糖類および/または多糖類は、タンパク質が存在しなくても、抗原単独で作用
することもできる。内部の糖だけでなく、炭水化物部分の末端糖もエピトープと
しての機能を果たす。多糖類は分枝鎖として存在してもよく、その場合、エピト
ープは配列上は連続していないが、空間的には隣接する糖を含み得る。昆虫核酸
分子に由来する糖タンパク質上には、哺乳動物タンパク質には通常見られない特
殊な、昆虫特異的糖が存在していることがあり、これらの特殊な糖が、哺乳動物
免疫系によって認識されるエピトープを含むこともある。
【0092】 本発明の1つの実施形態は、ダニに対してアレルギーを有する動物のIgEと
結合し、ダニアレルゲンに対して動物を脱感作し、Bリンパ球応答を刺激し、お
よび/またはTリンパ球応答を刺激することの可能な、非タンパク質エピトープ
を含む試薬である。本明細書中ではDerNPエピトープと称するそのようなエ
ピトープは、本発明のDerHMW−mapタンパク質の一部として存在しても
よいし、あるいは該タンパク質から単離されたものであってもよい。そのような
エピトープは、例えば、実施例1に従って製造されるコナヒョウヒダニ(D.fari
nae )HMW−map組成物中に含まれるタンパク質上に存在する。本発明のD
erNPエピトープは、その天然の起源から単離することもできるし、あるいは
合成によって製造することもできる。そのようなエピトープは、担体または他の
分子に連結されることもできるが、連結されなくてもよい。DerNPエピトー
プは、以下の識別特性のうちの少なくとも1つを有している。すなわち、(a)
エピトープがペプチドのβ−除去に対して耐性である(b)エピトープがプロテ
イナーゼ−Kによる消化に対して耐性である、および(c)エピトープがグリコ
シル化タンパク質検出用に設計された試験に対して反応性がある。好ましいDe
rNPエピトープは、そのような識別特性のすべてを有している。DerNPエ
ピトープは、ダニに対してアレルギーを有するイヌまたはネコのIgEに選択的
に結合することができる。理論とは結び付けられていないものの、DerNPエ
ピトープは、N−結合性グリカンを見かけ上含まない炭水化物部分を含むと考え
られている。そのようなエピトープの構造的特性の同定は当業者によって決定さ
れることができる。1つの実施形態において、DerNPエピトープに選択的に
結合する単離抗体が提供される。本発明はまた、DerNPエピトープの誘導体
、すなわち、そのようなエピトープの活性を模倣し(例えば、DerNPエピト
ープミメトープ)、天然の(すなわち天然に見られる)DerNPエピトープに
対して産生された抗体に結合することのできる化合物も包含する。
【0093】 本発明のDerNPエピトープを含む試薬は、本発明に従って様々な方法で使
用することができる。そのような試薬は、脱感作化合物であってもよいし、ある
いはダニアレルギー罹患性または感受性に対する試験を行うための検出試薬であ
ってもよい。1つの実施形態において、本発明の治療用組成物は、DerNPエ
ピトープを含む試薬を含む。別の実施形態において、本発明のアッセイキットは
、DerNPエピトープを含む試薬を含む。本発明の1つの実施形態は、ダニ対
するアレルギー反応に罹患性があるか、アレルギー反応を有する動物を同定する
ための方法である。そのような方法は、DerNPエピトープを含む試薬を動物
の抗体に接触させる工程と、試薬と抗体の間での免疫複合体の形成を確認する工
程とを含み、ここで、免疫複合体の形成は当該動物が前記アレルギー反応に対し
て罹患性があるか、あるいはアレルギー反応を有しているかの指標となるもので
ある。本発明の別の実施形態は、ダニに対するアレルギー反応に対して、宿主動
物を脱感作するための方法である。そのような方法は、脱感作化合物としてDe
rNPエピトープを含む試薬を含む治療用組成物を、動物に投与する段階を含む
【0094】 本発明の別の実施形態は、DerNPエピトープを欠損したDerHMW−m
apタンパク質である。理論には結び付けられていないものの、そのようなタン
パク質はIgEへの結合能が低減されていると予測されるため、より良好な脱感
作化合物であると考えられている。そのようなタンパク質は、例えば、天然De
rHMW−mapタンパク質からDerNPエピトープを除去することにより、
あるいは、例えば大腸菌(E.coli)中で当該タンパク質を組換えによって生産さ
せることによって、製造することができる。
【0095】 本発明の1つの実施形態は、動物がDerHMW−mapタンパク質に対する
過敏症を有するかどうかを検出することができるインビボ(in vivo )テストで
ある。本発明のインビボ過敏症テストは、ダニアレルゲンに対して罹患性がある
、またはアレルギーを有する動物を同定するために特に有用である。本発明の適
切なインビボ過敏症テストは、DerHMW−mapタンパク質またはそのミメ
トープを含む有効量の製剤を投与(例えば、皮内注射または皮相掻爬)すること
を含む皮膚テストであり得るが、これに限定されるわけではない。本発明の皮膚
テストを実施するための方法は、当業者によって知られているものであり、本明
細書中で簡単に説明する。
【0096】 インビボ皮膚テストにおいて用いる適切な製剤は、DerHMW−mapタン
パク質、DerHMW−mapタンパク質の同族体、および/またはDerHM
W−mapタンパク質のミメトープを含む。
【0097】 本発明の皮膚テストにおいて用いるDerHMW−mapタンパク質製剤の適
切な量は、テストにおいて用いられる製剤のアレルゲン性および当該製剤を送達
すべき部位に応じて広範に変化しうることは、当業者によって理解される。本発
明の皮膚テストにおいて用いるDerHMW−mapタンパク質の適切な量は、
製剤に対するアレルギー反応の結果として起こる検出可能な膨疹または硬化(硬
さ)などの反応を形成することのできる量を含む。本発明の皮膚テストにおいて
用いるDerHMW−mapタンパク質の適切な量は、DerHMW−mapタ
ンパク質が約1×10-8マイクログラム(μg)から約100μg、より好まし
くは約1×10-7マイクログラム(μg)から約10μg、さらに好ましくは約
1×10-6マイクログラム(μg)から約1μgの範囲である。そのような量は
投与されるタンパク質のアレルゲン性に応じて変化することが当業者によって認
識される。
【0098】 本発明によれば、本発明のDerHMW−mapタンパク質は、免疫増強剤(
例えば、以下に詳細に定義する本発明の担体またはアジュバント)と組合されて
もよい。しかしながら、本発明の新規な側面は、本発明のDerHMW−map
タンパク質が特にイヌにおいて免疫増強剤の非存在下で過敏反応を誘起すること
ができる所である。
【0099】 本発明の皮膚テストは、動物に対照溶液を投与することをさらに含む。対照溶
液は、陰性対照溶液(negative control solution )および/または陽性対照溶
液(positive control solution )を包含しうる。本発明の陽性対照標準溶液は
、動物に投与された場合に過敏反応を誘起することが知られている少なくとも1
つの化合物を有効量含有している。陽性対照標準溶液として用いる好ましい溶液
には、ヒスタミンが含まれるが、これに限定されるわけではない。本発明の陰性
対照標準溶液は、動物に投与された場合に過敏反応を誘起しないことが知られて
いる溶液から成るものであり得る。そのようなものとして、陰性対照標準溶液は
本質的に過敏反応を誘起することのできない化合物を有する溶液、または例えば
生理的食塩水など単純に製剤の調製に用いられる緩衝液から成るものであり得る
。好ましい陰性対照標準溶液の例は、フェノール処理された(phenolated)リン
酸緩衝塩類溶液(ノースカロライナ州、レノア(Lenoir)所在、Greer Laborato
ries社より入手可能)である。
【0100】 本発明の1または複数の製剤に対する動物の過敏症は、1または複数の実験試
料と対照試料を動物に投与した結果として得られる反応を測定し(例えば、膨疹
の大きさ、硬化または硬さを当業者によって知られている技術を用いて測定)、
実験試料の反応を1つ以上の対照溶液を投与した場合に得られる反応と比較する
ことにより、評価することができる。皮内注射のための好ましい装置には、個々
の注射器が含まれる。掻爬のための好ましい装置には、多数の試料を同時に投与
することのできる装置が含まれる。動物の過敏症は、本発明の製剤を投与した場
合に得られた反応が、陰性対照標準溶液を投与した場合に得られた反応よりも大
きいかどうかを決定することにより、および/または、製剤の投与によって得ら
れた反応が、陽性対照標準溶液を投与した場合に得られた反応と少なくともほぼ
同じ大きさであるかどうかを決定することにより、評価することができる。その
ようなものとして、実験試料が動物に陽性対照標準試料を投与することによって
生じた膨疹と同等以上の大きさの反応を起こしていれば、その動物は実験試料に
対して過敏性であることになる。一方、実験試料が、動物に陰性対照標準試料を
投与した場合に起こる反応と同様の反応を起こしていれば、その動物は実験試料
に対して過敏性でないことになる。
【0101】 動物の過敏症を評価するための好ましい膨疹の大きさは、直径にして約16m
m〜約8mm、より好ましくは約15mm〜約9mm、さらに好ましくは約14
mm〜約10mmの範囲である。
【0102】 好ましくは、動物が本発明の製剤に対して即時型過敏反応を示す性質を有する
かどうかは、試料を投与してから約2分〜約30分後、より好ましくは試料を投
与してから約10分〜約25分後、さらに好ましくが試料を投与してから約15
分後に膨疹の大きさを測定することによって決定される。
【0103】 好ましくは、動物が本発明の製剤に対して遅延型過敏反応を示す性質を有する
かどうかは、試料を投与してから約18時間〜約30時間後、より好ましくは試
料を投与してから約20時間〜約28時間後、さらに好ましくが試料を投与して
から約24時間後に膨疹の大きさを測定することによって決定される。遅延型過
敏反応は、当業者によって知られている技術を用いて上に定義した期間内の投与
部位における細胞湿潤物の範囲を測定するなど、他の技術を用いても測定するこ
とができる。
【0104】 好ましい実施形態において、本発明の皮膚テストは、動物の所定部位にDer
HMW−mapタンパク質を含む有効量の製剤を皮内注射することと、有効量の
対照溶液を同一動物の他の部位に皮内注射することとを含む。多数の部位におい
て同時に複数の試料を送達することができ、好ましくは多数の製剤の同時評価を
可能にする装置を使用することは、当業者の知識の範囲に含まれる。皮膚テスト
とともに用いる好ましいDerHMW−mapタンパク質には、完全長のタンパ
ク質が含まれる。好ましい陽性対照標準試料は、ヒスタミンを含む試料であって
もよい。好ましい陰性対照標準試料は、希釈剤を含む試料であってもよい。
【0105】 DerHMW−mapタンパク質に対する過敏症を本発明の皮膚テストを用い
て試験するための適切かつ好ましい動物は、本明細書中に開示されている。本発
明の皮膚テストによって試験する特に好ましい動物には、ヒト、イヌ、ネコおよ
びウマが含まれるが、ヒト、イヌおよびネコがより好ましい。本明細書中で用い
る「イヌ」とは、飼い犬、野生の犬および動物園の犬を含むイヌ科のあらゆるメ
ンバーのことをいう。犬の例としては、飼い犬、野生の犬、キツネ、オオカミ、
ジャッカルおよびコヨーテが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本
明細書中で用いる「ネコ」とは、飼い猫、野生の猫、および動物園の猫を含むネ
コ科のあらゆるメンバーのことをいう。猫の例としては、飼い猫、ライオン、ト
ラ、ヒョウ、ピューマ、クーガー、ボブキャット、オオヤマネコ、ジャガー、チ
ーター、およびサーバルが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明
細書中で用いる「ウマ」とは、ウマ、ロバ、ラバおよびシマウマを含むウマ科の
あらゆるメンバーのことをいう。
【0106】 本発明の1つの実施形態は、インビトロ(in vitro)においてDerHMW−
mapタンパク質と結合する抗体(本明細書中では抗DerHMW−mapタン
パク質抗体と称する)を検出するための方法であり、この方法は、(a)単離さ
れたDerHMW−mapタンパク質を、DerHMW−mapタンパク質:抗
体複合体形成に適した条件下において、抗DerHMW−mapタンパク質抗体
を含有すると推定される組成物と接触させる工程と、(b)DerHMW−ma
pタンパク質:抗体複合体を検出することにより、抗体の存在を検出する工程と
を含む。そのようなDerHMW−mapタンパク質:抗体複合体の存在は、そ
の動物がダニアレルゲンに対する抗体を産生していることを示すものである。検
出のための好ましい抗DerHMW−map抗体には、IgEまたはIgGアイ
ソタイプを有する抗体が含まれる。検出のための好ましい抗DerHMW−ma
p抗体には、イヌの抗体、ネコの抗体、ウマの抗体およびヒトの抗体が含まれる
が、イヌ、ネコおよびヒトの抗体が特に好ましい。
【0107】 本明細書中で用いる「接触させる」という用語は、この場合、抗体を含有する
と推定される組成物をDerHMW−mapタンパク質に混入または混合するこ
とをいう。DerHMW−mapタンパク質と抗体の間での複合体の形成とは、
測定(すなわち検出)可能な安定な複合体を形成するために抗体に選択的に結合
する、DerHMW−mapタンパク質の能力のことをいう。本明細書中で用い
る「抗体に選択的に結合する」という用語は、本発明のDerHMW−mapタ
ンパク質の持つ、ある抗体には優先的に結合するが、DerHMW−mapタン
パク質に特異的に結合しない他の抗体とは実質的に結合しない能力のことをいう
。DerHMW−mapタンパク質と抗体との間の結合は、複合体の形成に最適
な条件下で実施されるが、そのような条件(例えば、適当な濃度、緩衝液、温度
、反応時間)、ならびに、そのような条件を最適化する方法は、当業者によって
知られており、その例は本明細書中に開示される。複合体形成条件の例は、例え
ばサンブルックらの前掲の文献にも開示されている。
【0108】 本明細書中で用いる「複合体形成を検出する」という用語は、何らかの複合体
が形成されているかどうかを測定する、すなわち、複合体の有無(すなわち存在
)を検定することをいう。複合体が形成されている場合は、形成された複合体の
量を測定することができるが、測定しなくてもよい。DerHMW−mapタン
パク質と組成物中の抗体との間の複合体形成、または選択的結合は、当該技術分
野における様々な標準的な方法(例えば、サンブルックらの前掲の文献を参照)
を用いて測定(すなわち、検出、決定)することができ、その例は本明細書中に
開示される。
【0109】 1つの実施形態において、本方法の抗体を含有すると推定される組成物は、動
物に由来する生物試料を包含する。適切な生物試料には、体液性組成物または細
胞性組成物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。体液とは、動物か
ら回収することのできる(すなわち得られる)あらゆる液体を意味し、その例と
しては、血液、血清、血漿、尿、涙、水性体液、脳脊髄液(CSF)、唾液、リ
ンパ液、鼻分泌物、乳汁および糞便が含まれるが、これらに限定されるわけでは
ない。そのような本方法の組成物は、免疫グロブリンの非IgEまたは非IgG
アイソタイプのおよび/または液体中に存在するアルブミンなどの他のタンパク
質の少なくとも一部を除去するために前処理することができるが、必ずしも前処
理は必要でない。そのような除去には、体液をレクチンジャカリンなどの材料ま
たはIgA免疫グロブリンの定常部に特異的に結合する抗体(すなわち抗IgA
アイソタイプ抗体)と接触させてIgA抗体を除去すること、および/または、
液体を例えばコンカナバリンAまたはプロテインGにそれぞれ暴露することによ
り、他の体液成分からIgEまたはIgG抗体をアフィニティー精製することを
含んでいてもよいが、これらに限定されるわけではない。別の実施形態において
、組成物は液体中に含まれる免疫グロブリンを濃縮するために前処理された、回
収された体液を包含する。例えば、体液中に含まれる免疫グロブリンは、硫酸ア
ンモニウムを用いて他のタンパク質から沈殿させることもできる。本方法の好ま
しい組成物は血清である。
【0110】 別の実施形態において、本方法の抗体含有組成物は、IgEまたはIgGを産
生する細胞を含む。そのような細胞は、細胞表面にIgEまたはIgGが結合さ
れているか、および/またはIgEまたはIgGを分泌することができる。その
ような細胞の例には、ミエローマ細胞が含まれる。IgEまたはIgGは、細胞
の膜に直接結合されるか、あるいは細胞の表面に結合された分子(例えば抗原)
に結合されるかのいずれかによって、細胞表面に結合させることができる。
【0111】 複合体は、以下に示すアッセイの1または複数の使用を含む様々な方法によっ
て検出することができるが、これらのアッセイに限定されるわけではない。酵素
結合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光ア
ッセイ、側方フローアッセイ(lateral flow assay)、凝集アッセイ、粒子に基
づくアッセイ(例えば、磁性粒子または、ラテックスやポリスチレンビーズなど
のプラスチックポリマー粒子を用いるもの。ただしこれらに限定されない。)、
免疫沈降アッセイ、BioCore(登録商標)アッセイ(例えば金コロイドを
用いるもの)、およびイムノブロットアッセイ(例えばウェスタンブロット)。
そのようなアッセイは、当業者によって周知である。アッセイは、それらの使い
方によって、定性的または定量的な結果を与えるように使用することができる。
凝集、粒子分離および免疫沈降などのいくつかのアッセイは、検出マーカーを必
要とせずに可視的に観察(例えば、目視またはデンシトメータまたは分光光度計
などの機械によって)することができる。
【0112】 他のアッセイにおいて、DerHMW−mapタンパク質に対する検出マーカ
ーを、DerHMW−mapタンパク質に結合された抗体に、あるいは、Der
HMW−mapタンパク質またはDerHMW−mapタンパク質に結合された
抗体に選択的に結合する試薬に結合(すなわち付加)することにより(以下にさ
らに詳しく説明する)、複合体形成の検出が行いやすくなる。検出マーカーの例
には、放射性標識、酵素、蛍光標識、化学発光標識、発色団標識またはリガンド
が含まれるが、これらに限定されるわけではない。リガンドとは、他の分子に選
択的に結合する分子のことをいう。好ましい検出マーカーには、フルオレセイン
、放射性同位元素、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)、ビオ
チン、アビジン、ペルオキシダーゼ(例えば、ホースラディッシュペルオキシダ
ーゼ)およびビオチン関連化合物またはアビジン関連化合物(例えば、ストレプ
トアビジン、またはピアーズ(Pierce社、イリノイ州、ロックフォールド(Rock
ford)所在)から入手可能なImmunoPure(登録商標)NeutrAv
idinなど)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0113】 1つの実施形態において、複合体は、抗体を含有すると推定される組成物を、
検出マーカーに結合されたDerHMW−mapタンパク質に接触させることに
よって検出される。DerHMW−mapタンパク質に結合する適切な検出マー
カーには、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、化学発光標識、発色団標識または
リガンドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。検出マーカーは、D
erHMW−mapタンパク質が持つ、検出される抗体に結合する能力を阻害し
ないような方法で、DerHMW−mapタンパク質に結合される。
【0114】 別の実施形態において、DerHMW−mapタンパク質:抗体複合体は、抗
体を含有すると推定される組成物をDerHMW−mapタンパク質に接触させ
た後、複合体を指標分子と接触させることによって検出される。本発明の適切な
指標分子には、DerHMW−mapタンパク質またはDerHMW−mapタ
ンパク質に結合した抗体のいずれかに結合することのできる分子が含まれる。そ
のようなものとして、指標分子は、DerHMW−mapタンパク質:抗体複合
体のどの部分が検出されるかに応じて、例えば抗原および抗体から成るものとす
ることができる。抗体である好ましい指標分子には、例えば、抗IgE抗体、抗
IgG抗体、およびDerHMW−mapタンパク質には結合し、抗体を含有す
ると推定される組成物中で同定される抗体とは異なるDerHMW−mapタン
パク質上のエピトープに結合することが知られている抗体が含まれる。好ましい
レクチンには、高マンノース基に結合するレクチンが含まれる。指標分子自体を
本発明の検出マーカーに付加することもできる。例えば、抗体をビオチン、ホー
スラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはフルオレセ
インに結合することもできる。
【0115】 1つの実施形態において、DerHMW−mapタンパク質:抗体複合体は、
該複合体を、IgE抗体に選択的に結合する指標分子(本明細書中では抗IgE
試薬と称する)またはIgG抗体に選択的に結合する指標分子(本明細書中では
抗IgG試薬と称する)に接触させることにより、検出される。そのような抗I
gEまたは抗IgG抗体の例には、抗アイソタイプ抗体(例えば、IgEまたは
IgGの定常部に選択的に結合する抗体)である二次抗体、抗体結合性細菌表面
タンパク質(例えば、プロテインAまたはプロテインG)、抗体結合性細胞(例
えば、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、多形核白血球、単核細胞、また
はマクロファージ細胞)、抗体結合性真核細胞表面タンパク質(例えば、Fcレ
セプター)、および抗体結合性補体タンパク質が含まれるが、こられに限定され
るわけではない。好ましい指標分子には、抗イヌIgE抗体、抗イヌIgG抗体
、抗ネコIgE抗体、抗ネコIgG抗体、抗ヒトIgE抗体、および抗ヒトIg
G抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書中で用いる抗
IgEまたは抗IgG抗体は、完全な抗体だけでなく、IgEまたはIgGのH
鎖定常部に選択的に結合することのできる該抗体のサブユニットまたは一部も包
含する。例えば、抗IgE試薬または抗IgG試薬は、Fabフラグメントまた
はF(ab’)2 フラグメントを含んでいてもよく、そのどちらもジャンウェイ
(Janeway )らの「免疫生物学−健康および疾病における免疫系」(Immunobiol
ogy, the Immune System in Health and Disease, Garland Publishing, Inc.,
NY, 1996)に詳細に説明されている。
【0116】 他の好ましい実施形態において、DerHMW−mapタンパク質:抗体複合
体は、該複合体を、抗体を含有すると推定される組成物中の抗体がDerHMW
−mapタンパク質に結合するエピトープとは異なるエピトープにおいてDer
HMW−mapタンパク質に選択的に結合する指標分子と接触させることにより
、検出される。
【0117】 1つの実施形態において、複合体は溶液中で形成させ、かつ検出することがで
きる。別の実施形態において、複合体の1または複数のメンバーが基質上に固定
化されている(例えば、基質上に被覆されている)ような複合体を形成させるこ
ともできる。固定化の技術は、当業者によって知られている。適切な基質材料に
は、プラスチック、ガラス、ゲル、セルロイド、紙、PVDF(ポリフッ化ビニ
リデン)、ナイロン、ニトロセルロースおよび粒子状材料、たとえラテックス、
ポリスチレン、ナイロン、ニトロセルロース、アガロースおよび磁性樹脂が含ま
れるが、これらに限定されるわけではない。基質材料の適切な形状には、ウェル
(例えばマイクロタイタープレートウェル)、プレート、ディップスティック、
ビーズ、側方フロー装置、メンブレン、フィルタ、チューブ、皿、セルロイド型
基質、磁性粒子および他の粒子が含まれるが、これらに限定されるわけではない
。特に好ましい基質は、ELISAプレート、ディップスティック、ラジオイム
ノアッセイプレート、アガロースビーズ、プラスチックビーズ、ラテックスビー
ズ、イムノブロットメンブレン、およびイムノブロットペーパーから成る。1つ
の実施形態において、粒子などの基質は検出マーカーを含んでいてもよい。
【0118】 DerHMW−mapタンパク質に結合する抗体を検出するための好ましい方
法は、免疫吸着剤アッセイである。本発明の免疫吸着剤アッセイは、捕捉分子と
指標分子とを含む。本発明の捕捉分子は、IgEまたはIgGが基質に固定化さ
れるように、IgEまたはIgGに結合する。そのようなものとして、捕捉分子
は、該捕捉分子をIgEを含有すると推定される組成物またはIgGを含有する
と推定される組成物に暴露する前に、本発明の基質に固定化されることが好まし
い。本発明の指標分子は、捕捉分子に結合したIgEまたはIgGの存在を検出
する。そのようなものとして、指標分子は、該捕捉分子をIgEを含有すると推
定される組成物またはIgGを含有すると推定される組成物に暴露する前に、捕
捉分子と同一の基質に固定化されないことが好ましい。
【0119】 好ましい免疫吸着剤アッセイは、(a)DerHMW−mapタンパク質をI
gEを含有すると推定される組成物またはIgGを含有すると推定される組成物
に接触させる前に、DerHMW−mapタンパク質を基質上に固定化して、D
erHMW−mapタンパク質固定化基質を形成する工程、および(b)Der
HMW−mapタンパク質をIgEを含有すると推定される組成物またはのIg
Gを含有すると推定される組成物に接触させる前に、IgEを含有すると推定さ
れる組成物またはIgGを含有すると推定される組成物を基質上に結合させて、
それぞれ、IgEを含有すると推定される組成物結合型基質またはIgGを含有
すると推定される組成物結合基質を形成する工程のうちのいずれか一方を含む。
好ましくは、基質は、非被覆基質、DerHMW−mapタンパク質固定化基質
、抗IgE抗体固定化基質または抗IgG抗体固定化基質を包含する。
【0120】 本発明の捕捉分子および指標分子はいずれもIgE、IgGまたはDerHM
W−mapタンパク質に結合することができる。好ましくは、捕捉分子は、指標
分子とは異なるIgE,IgGまたはDerHMW−mapタンパク質の部位に
結合し、これにより捕捉分子が指標分子と同時にIgE,IgGまたはDerH
MW−mapタンパク質に結合することができる。試薬を捕捉分子または指標分
子のいずれとして使用するかは、分子がIgE、IgGまたはDerHMW−m
apタンパク質に暴露されるときに、当該分子が基質に固定化されているかどう
かに依存する。例えば、本発明のDerHMW−mapタンパク質は、DerH
MW−mapタンパク質が基質に結合されている場合には捕捉分子として用いら
れる。また反対に、DerHMW−mapタンパク質は、DerHMW−map
タンパク質が基質に結合されていない場合には指標分子として用いられる。捕捉
分子または指標分子として使用するのに適切な分子には、本発明のDerHMW
−mapタンパク質、本発明の抗IgE抗体試薬または抗IgG抗体試薬が含ま
れるが、これらに限定されるわけではない。
【0121】 本発明の免疫吸着剤アッセイは、指標分子の存在を検出することのできる、1
またはそれ以上の層および/または型の二次分子または結合性分子を含んでいて
もよい。例えば、指標分子に選択的に結合する標識されていない(すなわち、検
出マーカーに結合されていない)二次抗体を、該二次抗体に選択的に結合する標
識された(すなわち、検出マーカーに連結されている)三次抗体に結合させるこ
とができる。適切な二次抗体、三次抗体、および他の二次または三次分子は、当
業者によって選択可能である。本発明の好ましい二次分子には、抗原、抗IgE
イディオタイプ抗体(すなわち、抗IgE抗体に特有のエピトープに結合する抗
体)、抗IgEアイソタイプ抗体、抗IgGイディオタイプ抗体(すなわち、抗
IgG抗体に特有のエピトープに結合する抗体)、および、抗IgGアイソタイ
プ抗体が含まれる。好ましい三次分子は、二次分子の特性に基づいて当業者によ
って選択可能である。次の層に対しても同様の戦略が適用される。
【0122】 1つの実施形態において、DerHMW−mapタンパク質は、マイクロタイ
タープレートウェルまたはディップスティックなどの基質上に固定化されること
により、捕捉分子として用いられる。動物から回収した生物試料を基質に加え、
基質に結合されたDerHMW−mapタンパク質:抗体複合体を形成させる(
すなわち、試料中のIgEまたはIgGが基質上に固定化されたDerHMW−
mapタンパク質に結合する)のに適切な(すなわち十分な)条件下でインキュ
ベートする。過剰の非結合物質(すなわち、DerHMW−mapタンパク質に
結合しなかった生物試料由来の物質)を、もしあれば、抗原:抗体複合体を基質
に結合したまま保持するような条件下において基質から除去する。好ましい条件
は、一般にサンブルックらの前掲の文献に開示されている。抗原に結合したIg
EまたはIgGに選択的に結合することのできる指標分子を基質に加え、インキ
ュベートして、指標分子とDerHMW−mapタンパク質:抗体複合体との間
に複合体を形成させる。過剰の指標分子を除去し、必要であれば展開試薬を加え
、基質を分析のために検出装置に供す。本実施形態に対する好ましい指標分子は
、DerHMW−mapタンパク質に結合したIgG抗体を検出するためには抗
IgG抗体、あるいは、DerHMW−mapタンパク質に結合したIgE抗体
を検出するためには抗IgE抗体である。好ましくは、抗IgGまたは抗IgE
抗体はビオチン、蛍光標識または酵素標識に結合されている。
【0123】 1つの実施形態において、抗IgEまたは抗IgG抗体(例えば、アイソタイ
プまたはイディオタイプ特異的抗体)は、マイクロタイタープレートウェルまた
はディップスティックなどの基質上に固定化されることにより、捕捉分子として
用いられる。動物から回収した生物試料を基質に加え、それぞれ基質に結合され
た抗IgE抗体:IgE複合体または抗IgG抗体:IgG複合体を形成させる
のに適切な条件下でインキュベートする。過剰の非結合物質を、もしあれば、抗
IgE抗体:IgE複合体または抗IgG抗体:IgG複合体を基質に結合した
まま保持するような条件下において基質から除去する。DerHMW−mapタ
ンパク質を基質に加え、DerHMW−mapタンパク質と、抗IgE抗体:I
gE複合体または抗IgG抗体:IgG複合体と間に複合体を形成させるように
インキュベートする。好ましくは、DerHMW−mapタンパク質は、検出マ
ーカー(好ましくはビオチン、蛍光標識または酵素標識)に結合されている。過
剰のDerHMW−mapタンパク質を除去し、必要であれば展開試薬を加え、
基質を分析のために検出装置に供す。
【0124】 1つの実施形態において、本発明の免疫吸着剤アッセイは、捕捉分子を使用し
ない。この実施形態においては、動物から回収した生物試料を、マイクロタイタ
ープレートウェルまたはディップスティックなどの基質に加え、IgEまたはI
gGを基質に結合させるのに適した条件下でインキュベートする。体液中に存在
するすべてのIgEまたはIgGは、基質上に固定化される。過剰の非結合物質
を、もしあれば、IgEまたはIgGを基質に結合したまま保持するような条件
下において基質から除去する。DerHMW−mapタンパク質を基質に加え、
DerHMW−mapタンパク質と、IgEまたはIgGと間に複合体を形成さ
せるようにインキュベートする。好ましくは、DerHMW−mapタンパク質
は、検出マーカー(好ましくはビオチン、蛍光標識または酵素標識)に結合され
ている。過剰のDerHMW−mapタンパク質を除去し、必要であれば展開試
薬を加え、基質を分析のために検出装置に供す。
【0125】 IgEまたはIgGを測定するための他の好ましい方法は、側方フローアッセ
イであり、その例が、1995年6月13日発行のプロノボスト(Pronovost )
らによる米国特許第5,424,193号、1995年5月16日発行のイムリ
ッチ(Imurich )らによる米国特許第5,415,994号、1994年12月
22日公表のミラー(Mi ller)らによる第WO94/29696号、および1
994年1月20日公表のポーラック(Pawlak)らによる第WO94/0177
5号に開示されている。1つの実施形態において、生物試料を以下の構成要素(
a)〜(c)を含む側方フロー装置に導入する。(a)流路を形成する支持構造
物。(b)DerHMW−mapタンパク質に結合されたビーズを含む標識試薬
であって、標識領域で支持構造物内に充填されている標識試薬。(c)IgE結
合性またはIgG結合性組成物を含む捕捉試薬。捕捉試薬は、標識試薬が標識領
域から捕捉領域に流動できるように、標識領域に流体が移動しうるように連結さ
れた捕捉領域内で標識試薬の下流に配置される。支持構造物は、標識領域から捕
捉領域へのビーズの流れを阻害することのない材料からなる。支持構造物として
用いるのに適切な材料には、イオン性(すなわち、アニオン性またはカチオン性
)材料が含まれる。そのような材料の例としては、ニトロセルロース(NC)、
PVDF、カルボキシメチルセルロース(CM)が含まれるが、これらに限定さ
れるわけではない。この支持構造物は、横向きの、複数の領域すなわち標識領域
と補足領域とに分割された流路を形成する。上記装置は流路に沿った、好ましく
は標識試薬の上流に配置される試料受容領域をさらに含んでいてもよい。支持構
造物内の流路は、捕捉領域の下流、好ましくは流路の末端部にある支持構造物の
一部分を、標識および捕捉領域からの余剰液体を吸収することのできる吸収剤に
接触させることによって作成される。
【0126】 本実施形態においては、生物試料を支持構造物の一部分を含む試料受容領域に
導入する。標識領域では、流路によって下流方向に向けられた試料受容領域から
の試料を受け取る。標識領域は、IgEもしくはIgGまたはその両方に結合す
る標識試薬を含む。好ましい標識試薬は、ラテックスビーズなどのプラスチック
ビーズ基質に直接またはリンカーを介して結合されているDerHMW−map
タンパク質である。上記基質は、好ましくは比色分析用マーカーなどの検出マー
カーも含む。典型的には、標識試薬は乾燥または凍結乾燥によって支持構造物中
に充填されている。支持構造物は、標識領域の下流の捕捉領域も含む。捕捉領域
では、流路によって下流方向に向けられた標識領域からの標識試薬を受け取る。
捕捉領域は、捕捉領域においてDerHMW−mapタンパク質と複合体を形成
したIgEおよび/またはIgGを固定化する標識試薬、この場合は上で開示し
たような抗IgEもしくは抗IgG抗体、またはその両方を含む。捕捉試薬は、
乾燥または凍結乾燥によって支持構造物に固定されていることが好ましい。標識
試薬は捕捉領域に蓄積し、この蓄積を目視または光学検出機器によって評価する
【0127】 別の実施形態において、IgEまたIgGを検出するために用いられる側方フ
ロー装置は、(a)流路を形成する支持構造物と、(b)上で開示したような抗
IgEまたは抗IgG抗体、もしくは両方を含む標識試薬であって、標識領域に
おいて支持構造物に充填された標識試薬と、(c)DerHMW−mapタンパ
ク質を含む捕捉試薬であって、標識試薬が標識領域から捕捉領域に流動できるよ
うに、標識領域に流体が移動しうるように連結された捕捉領域内で標識試薬の下
流に配置された捕捉試薬とを含む。本装置は、流路に沿って、好ましくは標識試
薬の下流に配置される試料受容領域も含むことが好ましい。本装置は、流路の末
端に配置された吸収剤も含むことが好ましい。
【0128】 DerHMW−mapタンパク質に対して過敏性の動物は、体液の試料を用い
た場合の免疫複合体形成量と、対照試料を用いた場合の免疫複合体形成量とを比
較することによって同定される。免疫複合体とは、抗体とDerHMW−map
タンパク質とからなる複合体(すなわち、DerHMW−mapタンパク質:抗
体複合体)のことをいう。そのようなものとして、免疫複合体は陽性対照標準試
料を用いた場合に形成され、陰性対照標準試料を用いた場合には形成されない。
生物試料が、陽性対照標準試料を用いた場合と同等かそれ以上の複合体を形成し
たとすれば、その体液を採取した動物は基質に結合されたDerHMW−map
タンパク質に対して過敏性であることになる。また逆に、体液試料が、陰性対照
標準試料を用いた場合と同等の免疫複合体形成しか示さなかったとすれば、その
体液を採取した動物は基質に結合されたDerHMW−mapタンパク質に対し
て過敏性でないことになる。
【0129】 診断目的のために2回以上の異なる皮膚テストおよび/またはインビトロテス
トを組み合わせて使用できることは本発明の範囲に含まれる。例えば、DerH
MW−mapタンパク質に対する動物の即時型過敏症は、動物の体液中のDer
HMW−mapタンパク質に特異的なIgE抗体を検出することのできるインビ
トロ免疫吸着剤テストを用いることによって試験することができる。DerHM
W−mapタンパク質に対して遅延型過敏反応を示すほとんどの動物は、アレル
ゲンに対して即時型過敏反応も示すが、アレルゲンに対して遅延型過敏反応を示
す小数の動物は、アレルゲンに対して即時型過敏反応を示さない。そのような場
合は、IgE特異的インビトロテストからの負の結果に続いて、動物のDerH
MW−mapタンパク質に対する遅延型過敏反応を本発明の皮膚テストを用いて
試験することができる。
【0130】 本発明は、開示した各検出方法に基づいて、DerHMW−mapタンパク質
に特異的に結合する抗体を検出するためのキットも包含する。1つの実施形態は
、DerHMW−mapタンパク質と、IgEおよび/またはIgGを検出する
手段とを含む、DerHMW−mapタンパク質特異的抗体を検出するためのキ
ットである。適切な検出手段には、本明細書中に開示される、DerHMW−m
apタンパク質またはIgEおよび/またはIgGに結合する化合物が含まれる
。本発明の好ましいキットは、本明細書中に開示されるIgEまたはIgGに選
択的に結合することができる抗体、および/またはDerHMW−mapタンパ
ク質に連結された検出マーカーに結合することのできる化合物(検出マーカーが
ビオチンである場合には、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、およびIm
munoPure(登録商標)NeutrAvidinなど)を含む検出手段さ
らに含む。
【0131】 本発明の他の好ましいキットは、DerHMW−mapタンパク質と、ダニア
レルゲンと同一環境中で広く検出されるアレルゲンとを含むアレルゲンキットで
ある。本キットと共に用いられる適切かつ好ましいダニ関連アレルゲンには、本
明細書中で開示されるダニ関連アレルゲンが含まれる。
【0132】 本発明の好ましいキットには、DerHMW−mapタンパク質が基質上に固
定化されているものが含まれる。キットがDerHMW−mapタンパク質と、
他のアレルゲンとを含む場合には、当該キットは、それぞれ1つのアレルゲンを
含む1または複数の組成物を含んでいてもよい。そのようなものとして、各アレ
ルゲンは独立して試験することができる。キットは、IgEまたはIgGのため
2つ以上の診断試薬、または本明細書中で開示される他の化合物も含んでいても
よい。側方フローアッセイ形式で用いられるキットが特に好ましい。側方フロー
アッセイキットが、1つまたは以上の側方フローアッセイ装置を含んでいてもよ
いことは、本発明の範囲に含まれる。複数の側方フロー装置を各装置の一方端部
において互いに固定して、扇状構造物を作り出すこともできる。
【0133】 本発明の他の態様は、ダニアレルギーに対して罹患性を示すかダニアレルギー
を有する動物を本発明のDerHMW−mapタンパク質製剤で治療することを
包含する。本発明に従えば、「治療」という用語は、動物によるダニアレルゲン
に対する過敏反応を調節することを意味しうる。調節には、例えば動物の過敏反
応に関与する細胞の免疫変調が含まれうる。免疫変調には、免疫反応に典型的に
関与する分子(例えば、抗体、抗原、主要組織適合性分子(MHC)およびMH
C分子と相互反応する分子)の活性を変調することが含まれうる。特に、免疫変
調とは、過敏反応に関与する細胞の炎症反応、免疫抑制および免疫寛容を引き起
こす抗原:抗体相互作用の変調をいう。免疫抑制とは、例えば、免疫反応に関与
する特定の細胞を殺すことによって、免疫反応を阻害することをいう。免疫寛容
とは、免疫反応に関与する特定の細胞をアネルギー化する(すなわち、抗原に対
するT細胞の反応性を小さくする)ことにより、免疫反応を阻害することをいう
【0134】 本発明の1つの実施形態は、本発明のDerHMW−mapタンパク質に対す
る免疫反応を阻害することのできる脱感作化合物を含む治療用組成物である。そ
のような脱感作化合物には、遮断化合物、トレラゲンおよび/またはサプレッサ
ー化合物が含まれる。遮断化合物は、炎症反応を引き起こしうる抗原:抗体相互
作用を変調することのできる化合物を含み、トレラゲンは、動物を免疫寛容にす
ることのできる化合物であり、サプレッサー化合物は、動物の免疫抑制を行うこ
とのできる化合物である。本発明の脱感作化合物は、可溶性または膜結合型のい
ずれであってもよい。膜結合型脱感作化合物は、細胞、リポソーム、二次元膜ま
たはミセルを含む生体膜に付随するものでありうる。本発明の可溶性脱感作化合
物は、(1)IgE:抗原によって媒介されるマスト細胞の脱顆粒を阻害するこ
とにより、I型過敏反応を阻害する、(2)細胞の補体破壊を引き起こすIgG
:抗原複合体の形成を阻害することにより、III型過敏反応を阻害する、およ
び(3)マクロファージによるサイトカイン分泌のTヘルパー細胞刺激を阻害す
ることにより、IV型過敏反応を阻害するのに有用である。本発明の膜結合型脱
感作化合物は、(1)細胞の補体破壊を引き起こす細胞表面上でのIgG:抗原
複合体の形成を阻害することにより、II型過敏反応を阻害する、(2)免疫細
胞におけるIgG調節性シグナル伝達を阻害することにより、II型過敏反応を
阻害する、および(3)細胞障害性T細胞による抗原耐性細胞の殺傷を阻害する
ことにより、IV型過敏反応を阻害するのに有用である。脱感作化合物の例とし
ては、本発明の突然変異タンパク質、ミメトープ、抗原、ならびに、本発明のタ
ンパク質とIgEとの間の結合を阻害する本発明の他の阻害剤が含まれるが、こ
れらに限定されるわけではない。
【0135】 本発明の脱感作化合物は、脱感作化合物を、DerHMW−mapタンパク質
に対する過敏反応に関与する特定の細胞に仕向けることのできるリガンド分子に
共有結合的に連結されていてもよい。脱感作化合物と連結するための適切なリガ
ンドには、例えば、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、サイトカイン、レ
クチン、異種アレルゲン、CD8分子または主要組織適合性分子(例えば、MH
CクラスIまたはMHCクラスII分子)が含まれる。脱感作化合物に連結する
ための好ましい免疫グロブリン分子の一部分には、免疫細胞特異的表面分子に結
合することのできる可変部、および免疫細胞上のFcレセプターに結合すること
のできる定常部、特にIgE定常部が含まれる。好ましいCD8分子には、少な
くともCD8のα鎖の細胞外機能ドメインが含まれる。免疫細胞とは、免疫反応
に関与する細胞のことをいい、特に、MHCクラスIまたはMHCクラスII分
子を有する細胞のことをいう。好ましい免疫細胞には、抗原提示細胞、T細胞お
よびB細胞が含まれる。
【0136】 1つの実施形態において、本発明の治療用組成物は、本発明のDerHMW−
mapタンパク質、そのミメトープまたは突然変異タンパク質、あるいは本発明
のDerHMW−map核酸分子を含む。ダニアレルギーを治療するための本発
明の適切な治療用組成物は、本発明のDerHMW−mapタンパク質、そのミ
メトープまたは突然変異タンパク質、あるいは本発明のDerHMW−map核
酸分子を含む。好ましい治療用組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3
、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9
、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、
配列番号18、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号30、配
列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号33、配列番号35、配列
番号38、配列番号41、および配列番号44からなる群より選択されるアミノ
酸配列をコードする核酸分子の相補的配列とストリンジェントなハイブリッド形
成条件下でハイブリッド形成する核酸分子によってコードされる単離ダニアレル
ゲンタンパク質、上記アレルゲンタンパク質の突然変異タンパク質、および単離
核酸分子を含み、該単離核酸分子は、約150以上のヌクレオチドから成る核酸
分子であって、1XSSCおよび0%ホルムアミドから成る溶液中、約50℃の
温度において、配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配
列番号20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列
番号39、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45、および
配列番号33のアミノ酸配列から成るタンパク質をコードする核酸配列およびそ
の相補的配列から成る群より選択される核酸配列とハイブリッド形成する核酸分
子と、約150ヌクレオチドから成る前記核酸分子のいずれかのフラグメントを
含む核酸分子とから成る群より選択される。好ましいDerHMW−map変異
タンパク質は、少なくともDerHMW−mapタンパク質の一部分を含み、該
一部分においては、改変DerHMW−mapタンパク質が動物に対して毒性を
示さないように(例えば、アナフィラキシーを起こさないように)、適切な数の
システイン残基が除去されているか、あるいは非システイン残基に置換されてい
る。
【0137】 別の実施形態において、本発明の治療用組成物は、動物中で核酸分子がDer
HMW−mapタンパク質に発現されうるようにして、動物に投与することので
きるDerHMW−mapタンパク質をコードする核酸分子を含む。核酸分子は
、(a)裸の(すなわちウィルスコートまたは細胞膜にパッケージングされてい
ない)核酸分子(例えば、裸のDNAまたはRNA分子、例えば、Science,第2
47号、1465〜1468頁においてウォルフ(Wolff )らによって教示され
ているようなもの)を投与すること、または、(b)組換えウィルスまたは組換
え細胞としてパッケージングされた核酸分子を投与すること(すなわち、核酸分
子がウィルスまたは細胞伝達体によって伝達される)を含み、これらに限定され
るわけではない様々な方法によって動物に伝達することができる。
【0138】 本発明の裸の核酸分子は、本発明の核酸分子を含み、好ましくは複製能を有す
るか、あるいは増幅能を有すると共に感応能力を有する本発明の組換え分子を含
むことが好ましい。本発明の裸の核酸分子は、例えば1または複数の内部リボソ
ーム挿入部位を有する、例えばビシストロニック(bicistronic )組換え分子の
形態で、1または複数の本発明の核酸分子を含んでいてもよい。好ましい裸の核
酸分子は、ウィルスゲノムの少なくとも一部分(すなわちウィルスベクター)を
含む。好ましいウィルスベクターには、アルファウィルス、ポックスウィルス、
アデノウィルス、ヘルペスウィルス、ピコルナウィルス、およびレトロウィルス
に基づくものが含まれるが、アルファウィルス(シンドビスまたはセムリキウィ
ルスなど)、種特異的ヘルペスウィルス、種特異的ポックスウィルスが特に好ま
しい。タンパク質の生産に適切であるとして開示したものを含む、任意の転写調
節配列を用いることができる。特に好ましい転写調節配列には、サイトメガロィ
ルス中間初期配列(好ましくはイントロンAと連結して)、ラウス肉腫ウィルス
の長い末端反復配列、および組織特異的転写調節配列、ならびにウィルスベクタ
ーが用いられる場合にはウィルスベクターに内在する転写調節配列が含まれる。
「強力な」ポリA配列を組み合わせることも好ましい。
【0139】 本発明の裸の核酸分子は、様々な方法によって投与することができる。適切な
送達方法には、例えば、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射、皮内乱切、粒子衝撃
、経口投与、および経鼻投与が含まれるが、筋肉内注射、皮内注射、皮内乱切お
よび粒子衝撃が好ましく、筋肉内注射がさらに好ましい。裸のDNA分子の好ま
しい一回量は、当業者によって決定されうるように、投与経路および/または送
達方法によって、約1ナノグラム(ng)から約1ミリグラム(mg)の範囲で
ある。投与方法の例は、例えば、1993年4月20日に発行されたブルナー(
Bruner)らによる米国特許第5,204,253号、1995年7月27日に公
開されたマッケーブ(McCabe)によるPCT公開公報WO95/19799、お
よび1995年3月2日に公開されたカーソン(Carson)らによるPCT公開公
報第WO95/05853号に開示されている。本発明の裸のDNA分子は、水
性賦形剤(例えばリン酸緩衝塩類溶液)および/または担体(例えば脂溶性賦形
剤)中に含まれていてもよく、あるいは微小粒子(例えば金粒子)に結合されて
いてもよい。
【0140】 本発明の組換えウィルスは、ウィルスコート中にパッケージされ、投与後に動
物中で発現されることのできる本発明の組換え分子を含む。好ましくは、組換え
分子はパッケージング欠失および/または弱毒化ウィルスをコードする。アルフ
ァウィルス、ポックスウィルス、アデノウィルス、ヘルペスウィルス、ピコルナ
ウィルス、およびレトロウィルスに基づく多数の組換えウィルスを用いることが
できるが、これらに限定されるわけではない。好ましい組換えウィルスは、アル
ファウィルス(シンドビスウィルスなど)、アライグマポックスウィルス、種特
異的ヘルペスウィルス、および種特異的ポックスウィルスに基づくものである。
アルファウィルス組換えウィルスを作成し使用するための方法の例は、1994
年8月18日に公開されたション(Xiong )らによるPCT公開公報WO94/
17813に開示されている。
【0141】 動物に投与されると、本発明の組換えウィルスはレシピエント動物内の細胞に
感染し、当該動物内のDerHMW−mapタンパク質によって媒介される生物
学的反応を低減することのできるタンパク質またはRNA核酸分子の産生を指示
する。例えば、本発明のDerHMW−map核酸分子を含む組換えウィルスは
、動物がDerHMW−mapタンパク質によって媒介される生物学的反応を低
減するのに十分な量のタンパク質またはRNAを生産する結果をもたらすような
プロトコールに従って投与される。本発明の組換えウィルスの好ましい一回量は
、動物の体重1キログラムあたり、約1×104 〜約1×107 ウィルスプラー
ク形成単位(pfu)である。投与プロトコールは、本明細書中でタンパク質に
基づく組成物に対して記載したものと同様であり、皮下、筋肉内、鼻腔内、およ
び経口投与経路が好ましい。
【0142】 本発明の組換え細胞ワクチンは、本発明の少なくとも1つのタンパク質を発現
する本発明の組換え細胞を含む。この実施形態に対する好ましい組換え細胞には
、サルモネラ(Salmonella)、イー・コリ(E. coli )、リステリア(Listeria
)、ミコバクテリウム(Mycobacterium )、エス・フルジペルダ(S. frugiperda
) 、酵母(サッカロマイセス・セルビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)およ
びピチア・パストリス(Pichia pastoris )を含む)、BHK、CV−1、筋芽
細胞G8、COS(例えば、COS−7)、Vero、MDCKおよびCRFK
組換え細胞が含まれる。本発明の組換え細胞ワクチンは様々な方法によって投与
可能であるが、経口にて、好ましくは体重1キログラムあたり細胞約108 〜約
1012個の用量で投与可能であるという利点を有している。投与プロトコールは
、本明細書中でタンパク質に基づくワクチンに対して開示したものと同様である
。組換え細胞ワクチンは、全細胞、細胞壁を除去した細胞、または細胞溶菌液の
いずれから成るものであってもよい。
【0143】 ダニアレルギーに対する動物の脱感作を行うための本発明の治療用組成物の効
力は、本明細書中で開示したインビボ皮膚テスト方法、治療される動物中での細
胞性免疫活性の検出、または本発明のDerHMW−mapタンパク質に特異的
に結合するIgEのレベルの測定を含む様々な方法で試験することができるが、
これらに限定されるわけではない。動物中における細胞性免疫活性およびIgE
レベルを決定するための方法は、当業者によって知られている。1つの実施形態
において、治療用組成物は、イヌ、ネコ、ウサギ、マウスなどの動物モデルにお
いて試験することができ、ヒトにおいても試験することができる。そのような技
術は、当業者によって知られている。
【0144】 本発明の治療用組成物とともに用いる好ましい核酸分子には、本明細書中で開
示される任意のDerHMW−map核酸分子が含まれ、特に配列番号14、配
列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列
番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番
号42、配列番号43、配列番号45、および/または、配列番号33のアミノ
酸配列から成るタンパク質をコードする核酸配列およびその相補的配列である。
【0145】 本発明の治療用組成物における有用な組換え細胞には、本発明のDerHMW
−mapタンパク質を含む本発明の組換え細胞が含まれる。この実施形態に対す
る好ましい組換え細胞には、サルモネラ(Salmonella)、イー・コリ(E. coli
)、リステリア(Listeria)、ミコバクテリウム(Mycobacterium )、エス・フ
ルジペルダ(S. frugiperda) 、酵母(サッカロマイセス・セルビシアエ(Saccha
romyces cerevisiae)を含む)、BHK、CV−1、筋芽細胞G8、COS(例
えば、COS−7)、Vero、MDCKおよびCRFK組換え細胞が含まれる
。本発明の組換え細胞は様々な方法によって投与可能であるが、経口にて、好ま
しくは体重1キログラムあたり細胞約108 〜約1012個の用量で投与可能であ
るという利点を有している。投与プロトコールは、本明細書中でタンパク質組成
物に対して開示したものと同様である。組換え細胞は、全細胞、細胞壁を除去し
た細胞、または細胞溶菌液のいずれから成るものであってもよい。
【0146】 本発明の1つの実施形態は、本発明のDerHMW−mapタンパク質を含む
有効量の治療用組成物を動物に投与することを含む、免疫治療の方法である。適
切な治療用組成物および投与方法は、本明細書中で開示されている。本発明によ
れば、本発明の治療用組成物および方法は、ダニアレルゲン病原に付随する症状
を予防または軽減するために使用することができる。
【0147】 DerHMW−mapタンパク質に対するアレルギー反応に有効な本発明の治
療用組成物の効力は、即時型過敏症、遅延型過敏症、抗体依存性細胞障害(AD
CC)、免疫複合体活性、マイトジェン活性を含み、これらに限定されるわけで
はない、DerHMW−mapタンパク質媒介性免疫を検出するための標準的な
方法、ヒスタミン放出アッセイ、およびジェーンウェイ(Janeway )らの文献に
記載されているような他の方法を用いて試験することができる。
【0148】 本発明はまた、1または複数の本発明の治療用化合物を含む治療用組成物も包
含する。そのような治療用化合物の例としては、例えば本明細書中に開示される
他のアレルゲンも含まれる。
【0149】 本発明の治療用組成物は、治療される動物が耐性を有する賦形剤中で調製する
ことができる。そのような賦形剤の例としては、水、生理的食塩水、リンガー溶
液、デキストロース溶液、ハンク溶液、および他の水性の生理学的平衡塩溶液が
含まれる。非水性賦形剤、例えば不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチル、また
はトリグリセリドなども使用することができる。他の有用な製剤には、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの増粘
剤を含有する懸濁液が含まれる。賦形剤は少量の添加剤、例えば等張性および化
学的安定性を高める基質などを含んでいてもよい。緩衝液の例としては、リン酸
緩衝液、重炭酸緩衝液、およびトリス緩衝液が含まれ、保存剤の例としては、チ
メロサール、o−クレゾール、ホルマリン、およびベンジルアルコールが含まれ
る。標準製剤は、液体注入可能であるか、あるいは適当な液体中に懸濁液として
若しくは注入用溶液として溶解可能な固体のいずれであってもよい。したがって
、非液体製剤においては、賦形剤はデキストロース、ヒト血清アルブミン、保存
剤などを含んでいてもよく、これに滅菌水または生理的食塩水を投与に先立って
添加することができる。
【0150】 本発明の1つの実施形態において、治療用組成物はアジュバントを含んでいて
もよい。アジュバントは、特定の抗原に対する動物の免疫反応を増強することの
できる物質である。適切なアジュバントには、サイトカイン、ケモカイン、およ
びサイトカインおよびケモカインの産生を誘起する化合物(例えば、顆粒球マク
ロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−
CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、コロニー刺激因子
(CSF)、Flt−3リガンド、エリスロポエチン(EPO)、インターロイ
キン2(IL−2)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン4(
IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン6(IL−6
)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン8(IL−8)、イン
ターロイキン10(IL−10)、インターロイキン12(IL−12)、イン
ターフェロンγ、インターフェロンγ誘導因子I(IGIF)、トランスフォー
ミング増殖因子β、RANTES(regulated upon activation, normal T cell
expressed and presumably secreted)、マクロファージ炎症性タンパク質(例
えば、MIP−1αやMIP−1β)、および、リーシュマニア伸長開始因子(
LEIF)、細菌成分(例えば、内毒素、特に超抗原、外毒素、および細胞壁成
分)、アルミニウムに基づく塩、カルシウムに基づく塩、シリカ、ポリヌクレオ
チド、トキソイド、血清タンパク質、ウィルスコートタンパク質、ブロック共重
合体アジュバント(例えば、Hunter’s Titermax(登録商標)
アジュバント(Vaxcel(登録商標)、ジョージア州、ノークロス(Norcross)所
在)、Ribiアジュバント(マサチューセッツ州ハミルトン(Hamilton)所在
、Ribi ImmunoChem Research, 社)、およびサポニンとその誘導体(例えば、Q
uil A(デンマーク所在、Superfos Biosector A/S)が含まれるが、これら
に限定されるわけではない。本発明のタンパク質アジュバントは、それらのタン
パク質そのものの形で送達してもよいし、あるいは本明細書中に開示される方法
を用いてそのようなタンパク質をコードする核酸分子の形で送達してもよい。
【0151】 本発明の1つの実施形態において、治療用組成物は担体を含んでいてもよい。
担体には、治療される動物中における治療用組成物の半減期を延ばすような化合
物が含まれる。適切な担体には、高分子放出制御賦形剤、生体内分解性移植片、
リポソーム、細菌、ウィルス、他の細胞、油、エステルおよびグリコールが含ま
れるが、これらに限定されるわけではない。
【0152】 本発明の1つの実施形態は、本発明の組成物を動物中にゆっくりと放出するこ
とのできる放出制御製剤である。本明細書中で用いる放出制御製剤は、本発明の
組成物を放出制御賦形剤中に含む。適切な放出制御賦形剤には、生物適合性ポリ
マー、他の高分子マトリックス、カプセル、マイクロカプセル、徴小粒子、巨丸
剤、浸透ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフェア、および経皮送達システ
ムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本発明の他の放出制御製剤
には、動物に投与されると、インサイトゥ(in situ )で固体またはゲルを形成
する液体も含まれる。好ましい放出制御製剤は生体内分解性(すなわち生物腐食
性)である。
【0153】 本発明の好ましい放出制御製剤は、本発明の治療用組成物を動物の血中に、該
動物におけるダニアレルギーを軽減するための組成物の治療用量を達成するのに
十分な一定速度で放出することができる。本明細書中で用いるダニアレルギーと
は、ダニアレルゲンが動物に接触したときに起こる細胞性反応のことをいう。例
えば、ダニアレルゲンに特異的に結合するIgEは、Fcεレセプターと結合さ
れた状態になり、その結果、ヒスタミン、プロスタグランジンおよび/またはプ
ロテアーゼなどといった、アレルギーの臨床的症状の引き金となりうる生物学的
メディエータの放出を含むFcイプシロンレセプター媒介性生物学的反応が引き
起こされる。治療用組成物は、約1ヶ月から約12ヶ月の期間に亘って放出され
ることが好ましい。本発明の好ましい放出制御製剤は、少なくとも1ヶ月間、よ
り好ましくは少なくとも3ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも6ヶ月間、さら
に好ましくは少なくとも9ヶ月間、さらに好ましくは少なくとも12ヶ月間に亘
って治療の効力を発揮することができる。
【0154】 本発明の治療用組成物は、タンパク質分解が起こらないような従来の方法(例
えば濾過)によって滅菌されるか、および/または凍結乾燥されてもよい。 本発明の治療用組成物は、本明細書中に記載したようなダニアレルギーに罹患
性のあらゆる動物に投与することができる。本発明の治療用組成物を有効に投与
するための許容されうるプロトコールは、個々の用量、投与回数、投与頻度、お
よび投与様式に応じて変化しうる。そのようなプロトコールの決定は、当業者に
よって達成されることができる。有効用量とは、動物のダニアレルゲンに対する
過敏症を治療することのできる用量のことをいう。有効用量は、例えば使用され
る治療用組成物、およびレシピエント動物の大きさや種類に応じて変化しうる。
動物に対してダニアレルギーに対する免疫変調を行うための有効用量は、動物が
示すダニアレルゲンに対する過敏反応を軽減することのできる期間に亘って投与
される用量を含む。例えば、第1の減感作用量は、過敏性動物に投与された場合
に最小限の過敏反応を引き起こすような本発明の治療用組成物量を含むことがで
きる。第2の減感作用量は、第1の用量よりも多い量の同一の治療用組成物を含
むことができる。有効な減感作投与は、動物がダニアレルゲンへの暴露に対して
過敏反応を示さないように動物を減感作するために必要な治療用組成物を、濃度
を増加させながら投与することを含みうる。動物を脱感作するための有効用量は
、動物の環境中に存在するダニアレルゲンへの暴露に対して動物が示す過敏反応
を阻害するのに十分な濃度の本発明の治療用組成物を含みうる。有効な脱感作投
与は、過敏性動物に投与された場合に最小限の過敏反応しか引き起こさないよう
な濃度の治療用組成物の繰り返し投与を含みうる。
【0155】 適切な一回量は、適切な期間に亘って1回以上投与された場合に、動物のダニ
アレルゲンに対する過敏症を治療することのできる用量である。例えば、ダニア
レルゲンまたはミメトープ治療用組成物の好ましい一回量は、動物の体重1キロ
グラムあたり約0.5ng〜約1gの治療用組成物である。この治療用組成物を
用いたさらなる治療は、最初の投与が施されてからの約1日から1年後に行うこ
とができる。この治療用組成物による追治療は、動物におけるダニアレルゲン過
敏反応に対する予防効果が消滅したときに施されることが好ましい。個々の投与
用量および計画は、上で検討したパラメータに基づいて当業者によって編み出さ
れることができる。投与の様式には、皮下、皮内、静脈内、経鼻、経口、経皮お
よび筋肉内経路が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0156】 本発明の治療用組成物は、動物のダニアレルゲンに対する過敏症を改変するこ
とのできる他の化合物と組み合わせて使用することができる。例えば、動物は、
過敏反応に関与する細胞の機能を改変することのできる化合物、全身性物質(sy
stemic agent)または抗炎症剤(例えば、抗ヒスタミン、抗ステロイド剤、抗炎
症剤、およびIgEからIgGへの免疫グロブリンH鎖クラススイッチを駆動す
る物質)などによってアレルギー反応を軽減する化合物を用いて治療することが
できる。過敏反応に関与する細胞の機能を改変するのに有用な適切な化合物には
、抗ヒスタミン、クロモリンナトリウム、テオフィリン、シクロスポリンA、ア
ドレナリン、コルチゾン、細胞性シグナル伝達を調節することのできる化合物、
アデノシン3’,5’−サイクリックリン酸(cAMP)活性を調節することの
できる化合物、およびIgE活性を阻害する化合物、例えばIgEまたはIgE
特異的Fcレセプター由来のペプチド、IgEまたはIgE特異的Fcレセプタ
ー由来のペプチドに特異的な抗体、あるいはIgEがFcレセプターに結合する
のを阻害することのできる抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない
【0157】 本発明の組成物は、ダニアレルゲン過敏症を有するか、あるいは罹患性のある
任意の動物に投与することができる。治療する好ましい動物には、哺乳動物およ
び鳥類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒトおよび他の愛玩動物、労働および/または経済
的食用動物が含まれる。予防を行う特に好ましい動物は、イヌとネコである。
【0158】 本発明の他の態様は、ダニアレルゲンに対する過敏症を有するか、あるいは罹
患性のある動物に対して、本発明の製剤を用いた治療の処方を行う方法を包含す
る。ダニアレルゲン過敏症に対する治療の好ましい処方方法は、例えば、(1)
本発明のダニアレルゲンまたはそのミメトープを含有する有効量の製剤(適切か
つ好ましい製剤は本明細書中に開示されている)を動物の一部位に皮内注射する
工程と、(2)有効量の対照溶液を動物の別の部位に皮内注射する工程と、(3
)製剤を注射した場合に見られる膨疹の大きさと対照溶液を注射した場合に見ら
れる膨疹の大きさとを測定し、比較することにより、その動物がダニアレルゲン
過敏症を有するかどうか評価する工程と、(4)そのダニアレルゲン過敏症に対
する治療を処方する工程とを含む。
【0159】 ダニアレルゲン過敏症に対する治療を処方するための代替の好ましい方法は、
(1)被験動物から得られた体液試料の第1の部分を、本発明のダニアレルゲン
またはそのミメトープを含有する有効量の製剤(適切かつ好ましい製剤は本明細
書中に開示されている)に接触させて、第1の免疫複合体溶液を形成させる工程
と、(2)陽性対照標準抗体を接触させて第2の免疫複合体溶液を形成させる工
程と、(3)第1および第2の免疫複合体溶液中における免疫複合体形成量を測
定し、比較することにより、その動物がダニアレルゲン過敏症を有するかどうか
を評価する工程と、(4)そのダニアレルゲン過敏症に対する治療を処方する工
程とを含む。ここで、本明細書中に開示されるダニアレルゲン製剤を用いたアレ
ルギーの治療を処方するためにも、同様の方法を用いることができることを注記
しておく。
【0160】 本発明の他の態様は、本発明の製剤を用いて、ダニアレルゲン過敏症を有する
か、あるいは罹患性のある動物をモニターするための方法を包含する。本発明の
インビボおよびインビトロ試験は、ダニアレルゲン過敏症のためのあらゆる治療
の前後に、動物のダニアレルゲン過敏症を試験するために用いることができる。
ダニアレルゲン過敏症の治療をモニターするための好ましい方法(これは他のア
レルギーの治療をモニターするためにも適用することができる)は、(1)本発
明のダニアレルゲンまたはそのミメトープを含有する有効量の製剤(適切かつ好
ましい製剤は本明細書中に開示されている)を動物の一部位に皮内注射する工程
と、(2)有効量の対照溶液を動物の別の部位に皮内注射する工程と、(3)製
剤を注射した場合に見られる膨疹の大きさと対照溶液を注射した場合に見られる
膨疹の大きさとを測定し、比較することにより、その動物がダニアレルゲンに対
して脱感作されたかどうかを決定する工程とを含む。
【0161】 ダニアレルゲン過敏症の治療をモニターするための代替の好ましい方法(他の
アレルギーの治療をモニターするためにも適用することができる)は、(1)被
験動物から得られた体液試料の第1の部分を、本発明のダニアレルゲンまたはそ
のミメトープを含有する有効量の製剤(適切かつ好ましい製剤は本明細書中に開
示されている)に接触させて、第1の免疫複合体溶液を形成させることと、(2
)陽性対照標準抗体を接触させて第2の免疫複合体溶液を形成させることと、(
3)第1および第2の免疫複合体溶液中における免疫複合体形成量を測定し、比
較することにより、その動物がダニアレルゲンに対して脱感作されたかどうかを
決定することとを含む。
【0162】 また本発明は、ダニアレルゲンまたはそのミメトープに選択的に結合すること
のできる抗体も包含する。そのような抗体は、本明細書中では抗ダニアレルゲン
抗体と称する。本明細書中で用いる「選択的に結合する」という用語は、そのよ
うな抗体の持つ、ダニアレルゲンおよびそのミメトープに優先的に結合する能力
のことをいう。特に、本発明はDerHMW−mapタンパク質に選択的に結合
することのできる抗体を含む。結合は、イムノブロットアッセイ、免疫沈降アッ
セイ、酵素イムノアッセイ(例えばELISA)、ラジオイムノアッセイ、免疫
蛍光抗体アッセイ、免疫電子顕微鏡を含む当業者によって知られている様々な方
法を用いて測定可能である。上記については、例えばサンブルックらの前掲の文
献を参照のこと。
【0163】 本発明の抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれであ
ってもよい。本発明の抗体には、抗体を得るために用いられるタンパク質または
ミメトープの少なくとも1つのエピトープに選択的に結合することのできる一本
鎖抗体を含む、抗体の断片および遺伝子工学的に設計された抗体などの機能的均
等物も含まれる。好ましい抗体は、DerHMW−mapタンパク質またはその
ミメトープに応答して産生される。抗体の産生させるためのより好ましいDer
HMW−mapタンパク質には、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番
号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番
号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号
18、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号30、配列番号3
1、配列番号32、配列番号33、配列番号33、配列番号35、配列番号38
、配列番号41、および/または配列番号44のアミノ酸配列を有するタンパク
質の少なくとも一部分、またはその同族体が含まれる。好ましくは、本発明の抗
体は、本発明のDerHMW−mapタンパク質に対して約103 -1から約1
12-1の単一部位結合親和性を有している。
【0164】 本発明の抗体を産生させるための好ましい方法は、動物に有効量のDerHM
W−mapタンパク質またはそのミメトープを投与して、抗体を産生させ、その
抗体を回収することを含む。特定の産物またはミメトープに対して産生された抗
体は、治療用組成物中で使用された場合に診断アッセイの妨害や副作用を引き起
こす可能性のある他の物質に対する抗体が混入していないために、有益であると
考えられる。
【0165】 本発明の抗体は、本発明の範囲に含まれる様々な潜在的用途を有している。例
えば、本発明の抗体は、(a)動物をダニアレルゲン過敏症から守るために動物
を受動免疫するためのワクチンとして、(b)テストキットにおける陽性対照標
準として、および/または(c)タンパク質と他の混入物の混合物から所望のダ
ニアレルゲンを回収するための道具として用いることができる。
【0166】 以下の実施例は説明のために与えられるものであって、本発明の範囲を限定す
ることを意図したものではない。 (実施例) 実施例には、当業者には周知であると考えられる、多くの分子生物学、微生物
学、免疫学及び生物化学的技術が含まれることに注意すべきである。そのような
技術の開示は、サンブルック(Sambrook)らの前掲の文献および関連文献におい
て見出すことができる。
【0167】 実施例1. この実施例では、ダニアレルゲンにアレルギー反応を示すことが知られている
イヌ由来IgEに結合する高分子量タンパク質の同定について説明する。 約5.5gの凍結湿性のDermataphagoides farinae(Derf)ダニ(ワシン
トン州スポーカン(s pokane )所在、Bayer Allergy 社より入手可能)をすり
ガラスホモジナイザ内、約30mlのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)あるいは0
.1M Tris−HCl、pH8のいずれか(それぞれ、完全なプロテアーゼ
阻害剤(インディアナ州インディアナポリス所在、Behringer Mannheim社より入
手可能)を含む)中で、ホモジナイズし、Derf粗抽出液を得た。得られた上
清を集め、それぞれを、セントリプレップ(Centriprep)30濃縮器(アミコン
(マサチューセッツベヴァリー(Beverly )所在、Amicon社より入手可能)中で
、約30分間、16、000xgでの遠心を行い濃縮した。濃縮された上清を、
それぞれ、PBSあるいは0.1M Tris−HCl、pH8に漬けた分離セ
ファクリル(Sephacryl )S−100カラム(2.7×70cm、ファーマシア
(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)所在、Pharmacia 社より入
手可能)に適用した。各カラムから除去した画分をプールした。画分は、PBS
を使用した場合には、10mM、Tris−HCl、pH8に対し透析した。画
分は分離Q−セファロースカラム(2.5×5cm、Pharmacia より入手可能)
に適用した。0.1M Tris−HCl、pH8を含む画分を使用する場合、
10mM Tris−HCl、pH8でQ−セファロースカラムを予め平衡化し
た。各カラムについて、約45mlの10mM Tris−HCl、pH8、次
に0.1M Tris−HCl、pH8、次に0.2M Tris−HCl、p
H8、次に0.3M Tris−HCl、pH8、次に0.4M Tris−H
Cl、pH8、及び次に0.5M Tris−HCl、pH8を用い逐次溶出し
た。各溶出工程から画分を収集した。各画分について、ダニアレルゲンに対して
アレルギー反応を起こすことが知られているイヌから単離したイヌ血清(本明細
書では、ダニアレルギーイヌ抗血清またはダニアレルギー抗血清という)中に存
在するIgE抗体に結合したタンパク質の存在に対し、ウエスターンブロットに
より分析した。特に、画分中に含まれるタンパク質は、12% Tris−グリ
シン SDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロース上にブロットした。ブ
ロットを、標準緩衝液を用いて1:20に希釈された、ダニアレルゲンに対して
アレルギー反応を起こすことが知られているイヌから得られた血清プールと共に
インキュベートした。標準手順を用いて、ブロットをインキュベートし、その後
、洗浄した。その後、ブロットを、マウスモノクローナル抗イヌIgE抗体DE
I38(1mg/ml、1:1000希釈)と共にインキュベートした。標準手
順を用いて、ブロットをインキュベートし、その後、洗浄した。その後、ブロッ
トを、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合させたロバ抗マウスIgG抗
体(1:1000希釈、メイン所在のジャクソン(Jackson )研究所より入手可
能)と共にインキュベートした。ブロットに結合されたHRP共役抗体の存在を
、標準技術を用いて検出した。約70kDのタンパク質が、0.2M Tris
−HCl、pH8画分中で同定され、約98kDのタンパク質及び約109kD
のタンパク質が0.3M Tris−HCl、pH8画分中で同定された。
【0168】 0.3M Tris−HCl、pH8を用いて溶出された上述の画分を、セン
トリプレップ30濃縮器中で濃縮され、その後、20mM Na−Ac、pH5
.6で希釈した。希釈された画分はその後、ポリキャット A HPLCカチオ
ン交換カラム(メリーランド州コロンビア(Columbia)所在、PolyLCより入手可
能)に適用した。カラムの溶出を、約10mlの20mM Na−Ac、pH5
.6、その後に、0から0.5M NaClの直線勾配を有する約45mlの2
0mM Na−AC、pH5.6緩衝液を用いて、約1ml/分の流速で行った
。画分を溶出手順から収集し、上述のダニアレルギー性血清及びウエスタンブロ
ットプロトコルを用いて高分子量タンパク質の存在について分析した。高分子量
タンパク質を含む画分をプールした。トリフルオロ酢酸(TEA)を約0.05
%の濃度まで添加した。溶液を、80%の溶剤Aと20%の溶剤Bに浸して予め
平衡化したTSK−ゲルTMS−250 C1逆相カラム(ペンシルベニア州モ
ンゴメリービレ(Montgomeryville )所在TosoHaas社より入手可能)に適用した
。溶剤Aは、水中約0.05%のTFAからなり、溶剤Bは水中90%のアセト
ニトリル中約0.05%のTFAからなる。カラムは、約5mlの20%溶剤B
を用いて、その後20%から70%の直線勾配の約36mlの溶剤Bを用いて、
0.6ml/分で溶出した。カラムから溶出したタンパク質は、12%のTri
s−グリシンPAGEにより分離した。ゲルは、クマシー(Comassie)青を用い
て染色した。染色したゲルを図1に示す。レーン1は、マーク(Mark)−12タ
ンパク質分子量マーカー(カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego )所在、
Novex より入手可能)を含み、レーン2は逆相カラムから溶出したタンパク質を
含み、レーン3はシーブルー(SeeBlue 、登録商標)タンパク質分子量マーカー
(Novex より入手可能)を含む。2つの主要なタンパク質が溶出剤中で同定され
た。タンパク質の分子量を、バイオラッド(BioRad、登録商標)マルチアナリス
ト(Multi-Analyst 、登録商標)/PCイメージシステム(バイオラッド社より
入手可能)を用いて決定した。図1のレーン2中の分子量が高い方のタンパク質
は約109kDであると決定された。これを本明細書ではダニアレルゲンタンパ
ク質A(mapA)と称する。図1のレーン2中の分子量が低い方のタンパク質
は約98kDであると決定された。これを本明細書ではダニアレルゲンタンパク
質B(mapB)と称する。混合タンパク質の純度は85%より大きく、すなわ
ち、不純物は15%未満である。この精製された溶出液は、本明細書で、D. far
inae高分子量map(HMW−map)組成物という。
【0169】 実施例2. この実施例では、D. farinaeHMW−map組成物中のタンパク質のN−末端
配列決定について説明する。 実施例1で上述したように得られた0.3M Tris−HCl、pH8画分
中に含まれるタンパク質を、12%Tris−グリシンポリアクリルアミド−S
DSゲルを用いるSDS−PAGEにより分離し、その後、クマシー(Coomasie
)染色を行った。タンパク質をPVDF上にブロットし、クマシーR−250を
用いて染色し、標準手順を用いて脱染した。約98kD及び約198kDバンド
に対応するタンパク質を切り出し、それぞれについて当業者に周知の技術を用い
てN−末端アミノ酸配列決定した。約14アミノ酸の部分N−末端アミノ酸配列
を、両方のタンパク質に対し導きだし、その配列が同一であることを決定した。
N−末端アミノ酸配列は、本明細書では、配列番号1と表すが、これはSer
Ile Lys Arg Asp His Asn Asp Tyr Ser
Lys Asn Pro Metのアミノ酸配列を有する。
【0170】 D. farinaeHMW−map組成物中のタンパク質を、内部アミノ酸配列データ
が得られるように、タンパク質分解開裂に付した。とりわけ、D. farinaeHMW
−map組成物は、当分野における標準方法により、エンドプロテイナーゼAs
p−N(インディアナ州インディアナポリス所在、Boehringer Mannheim Bioche
micaより入手可能)を用いて開裂した。その後、消化したタンパク質を、ストー
ン(stone )ら、微小配列決定のためのタンパク質及びペプチドに対する実用ガ
イドにおけるタンパク質の酵素消化とHPLCペプチド単離(Enzymatic Digest
ion of Proteins and HPLC Peptide Isolation in A practical Guide to Prote
in and Peptide Purification for Microsequencing )、PT Matsudaira ed. 、
Academic Press 、 San Diego、 CA.に記載の方法を用いてHPLCにより分離
した。12のタンパク質分解フラグメントが単離され、それらを本明細書では、
map(1)、map(2)、map(3)、map(4)、map(5)、m
ap(6)、map(7)、map(8)、map(9)、map(10)、m
ap(11)、map(12)と称する。
【0171】 map(1)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Tyr Glu Ty
r Pro Gly Ser Arg Leu Gly Asn Pro Ly
s Ala Pro Leu Tyr Lys Arg Proと決定され、配
列番号2と示す。map(2)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Ile
Pro His Pro Thr Asn Ile His Lys Tyr
Leu Val Cys Glu Ser Val Asn Gly Gly
と決定され、配列番号3と示す。map(3)のN末端の部分アミノ酸配列は、
Asp Pro Ala Lys Gly Met Ser Pro Pro
Gly Phe Ile Val Gly Glu Glu Gly Val
Leu Serと決定され、配列番号4と示す。map(4)のN末端の部分ア
ミノ酸配列は、Asp Glu Lys Asn Ser Phe Glu C
ys Ile Leu Gly Proと決定され、配列番号5と示す。map
(5)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Ala Phe Glu Pr
o His Gly Tyr Leu Leu Thr Ala Ala Va
l Ser Pro Gly Lysと決定され、配列番号6と示す。map(
6)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Lys Gln Asn Tyr
Leu Ala Leu Val Arg Glu Leu Lysと決定さ
れ、配列番号7と示す。map(7)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp
Met Ala Gln Asn Tyr Lys Tyr Arg Gln
Gln Phe Ile Gln Ser Val Leu Asn Asn
Gly Ala Thr Arg Glnと決定され、配列番号8と示す。ma
p(8)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Glu Xaa Asn V
al Met Xaa Tyr Val Leu Tyr Thr Met H
is Tyr Tyr Leu Asn Asn Gly Ala Thr A
rgと決定され、配列番号9と示す(本明細書で、Xaaは任意のアミノ酸を示
す)。map(9)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Lys Leu
Val Met Gly Val Pro Phe Tyr Gly Arg
Ala Xaa Ser Ile Gluと決定され、配列番号10と示す(本
明細書で、Xaaは任意のアミノ酸を示す)。map(10)のN末端の部分ア
ミノ酸配列は、Asp Ile Pro His Pro Thr Asn I
le His Lys Tyr Leu Val Cys Glu Ser V
al Asn Glyと決定され、配列番号11と示す。map(11)のN末
端の部分アミノ酸配列は、Asp Tyr Ala Lys Asn Pro
Lys Arg Ile Val Cys Ile Val Gly Thr
Glu Gly Val Leu Serと決定され、配列番号12と示す。m
ap(12)のN末端の部分アミノ酸配列は、Asp Pro Ala Lys
Gly Met Ser Pro Pro Gly He Ile Val
Gly Glu Glu Gly Val Leu Serと決定され、配列番
号13と示す。map(1)、map(2)、map(3)、map(4)、m
ap(5)、map(6)、map(7)、map(8)、map(9)、ma
p(10)、map(11)、map(12)、map(13)に対するアミノ
酸配列は、mapA及びmapBタンパク質の混合物から生じたものであるため
、これらの配列は、必ずしも、1つのタンパク質の部分配列を示すものではない
【0172】 実施例3. この実施例では、ダニアレルゲンにアレルギー反応を示すことが知られている
イヌ由来IgEに結合する70−kDのタンパク質の精製について説明する。 0.2M Tris−HCl、pH8を用いて溶出した実施例1において説明
した画分を、セントリプレップ30濃縮器内で濃縮し、その後、20mM Na
−Ac、pH5.6で希釈した。希釈したタンパク質はその後、ポリキャット
A HPLCカチオン交換カラムに適用した。カラムは、約10mlの20mM
Na−Ac pH5.6を用いて、その後、0から0.5M NaClまでの
直線勾配の約45mlの20mM Na−Ac、pH5.6緩衝液を用いて、約
1ml/分の流速で溶出させた。画分を溶出手順から収集し、上述したダニアレ
ルギー性抗血清及びウエスタンブロットプロトコルを用いて70−kDのタンパ
ク質の存在について分析した。70−kDのタンパク質を含む画分をプールした
。トリフルオロ酢酸(TFA)を約0.05%の濃度まで添加した。その溶液を
、80%溶剤Aと20%溶剤Bにおいて予め平衡化しておいたTSK−ゲル T
MS−250 C1逆相カラムに適用した。溶剤Aは、水中約0.05%TFA
からなり、溶剤Bは、水中90%アセトニトリル中約0.05%TFAからなる
。カラムは、約3mlの20%溶剤Bを用いて、その後36mlの約20%から
約70%の直線勾配の溶剤Bを用いて、0.6ml/分で、溶出させた。純度>
90%の約70−kDのタンパク質が得られた。約70−kDのタンパク質は本
明細書ではmapCと称する。
【0173】 70kDタンパク質(mapC)に対応するSDS−PAGE上の1つの領域
のN−末端配列を、実施例2で説明しているように求めた。約21アミノ酸のN
−末端アミノ酸配列が、80%の信頼レベルで導かれ、本明細書では、配列番号
33として表される。これは、以下のアミノ酸配列を有する:Gln Ser
Arg Asp Arg Asn Asp Lys Pro Tyr Xaa
Ile Val Lys Lys Lys Lys Lys Ala Leu
Asp。
【0174】 実施例4. この実施例では、ダニアレルゲンにアレルギー反応を示すことが知られている
イヌから単離されたイヌ血清中のイヌIgEへのD. farinaeHMW−map組成
物(すなわち、mapA及びmapBを含む)の結合を説明する。
【0175】 イミュロン(Immulon )II マイクロタイタ−プレートの複数のウェルを、
実施例1の中で説明した方法に従い単離しCBC緩衝液中で希釈した約100n
g/ウェルのD. farinaeHMW−map組成物でコートした。プレートを、4℃
で一晩インキュベートした。インキュベート後、D. farinaeHMW−map組成
物含有溶液をプレートから除去し、プレートをブロットして乾かした。その後、
プレートを、0.05%トゥィーン(Tween )−20(PBSTFCS)を有す
るリン酸緩衝塩類溶液(PBS)中に含まれる4.0%ウシ胎児血清、約200
μl/ウェルを用いて、約1時間室温で、ブロックした。その後、自動洗浄機(
ヴァージニア州シャンティリ(Chantilly )所在、Dynatech社より入手可能)を
用いて、PBS中0.05%トゥィーン20(PBST)により4回、プレート
の洗浄を行った。皮内皮膚試験においてダニアレルゲンに感受性を示すことが知
られている異なるイヌから単離された血清サンプルのPBSTFCSにおける1
:10希釈の約100μl/ウェルをプレートに添加した。血清の陰性対照標準
グループもまた、バリヤ施設(インディアナ州インディアナポリス(Indianapol
is)所在、Harlan Bioproducts社より入手可能)において生育した6匹のイヌの
血清の組み合わせを含むプレートに添加した。いくつかのウェルにはイヌ血清を
添加せず、バックグラウンド結合レベルを決定することができるようにした。プ
レートを、1時間室温でインキュベートし、PBSTを用いて4回洗浄した。P
BSTFCS中に含まれる40μg/mlビオチン化ヒトFc∈R α鎖タンパ
ク質(1997年11月24日に発行されたフランク(Frank )らの第WO98
/23964号に説明されているように生成された)の1:4000希釈の約1
00μl/ウェルを添加した。プレートを、約1時間室温でインキュベートし、
その後、PBSTを用いて4回洗浄した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ
に結合された約0.25μg/mlのストレプトアビジン(streptavidin)(メ
リーランド州ゲーサーズバーグ(Gaithersburg)所在、Kirkegaard and Perry研
究所(KPL)、PBST中で希釈)、約100μlを実験または対照標準サン
プルを収容した各ウェルに添加した。その後、プレートについては、約1時間室
温でインキュベートし、PBSTを用いて4回洗浄した。予め室温まで温めてお
いた、約100μlのTMB基質(KPLより入手可能)を各ウェルに添加した
。その後、プレートを、約10分間室温でインキュベートし、その後、約100
μl/ウェルのストップ溶液(KPLより入手可能)を添加した。ストップ溶液
の添加後10分以内に、450nmでスペクトラマックスマイクロタイタ−プレ
ート(Spectramax Microtiter Plate 、Molecular Devices 社より入手可能)読
取器上で、ウェルの光学密度(O.D.)を読み取った。
【0176】 陰性対照標準サンプル及びバックグラウンドウェルを用いて得られたO.D.
読取値は、0O.D.であった。26匹のダニアレルゲン感受性イヌのうちの5
匹の血清で、約2、000O.D.から約3、200O.D.の間のO.D.読
取値が得られた。3匹の他のアレルゲン感受性イヌの血清では、約1、000O
.D.から約2、000O.D.の間のO.D.読取値が得られた。3匹の他の
アレルゲン感受性イヌの血清では、約500O.D.から約1、000O.D.
の間のO.D.読取値が得られた。7匹の他のアレルゲン感受性イヌの血清では
、約200O.D.から約500O.D.の間のO.D.読取値が得られた。6
匹の他のアレルゲン感受性イヌの血清では、50O.D.未満のO.D.読取値
が得られた。このように、これらの結果から、ダニアレルゲンに感受性を示すこ
とが知られているイヌの血清は、本発明のmapA及びmapBタンパク質に特
異的に結合するIgE抗体を含むことが示される。
【0177】 実施例5. この実施例では、ダニアレルゲンにアレルギー反応を示すことが知られている
イヌから単離したイヌ血清中のイヌIgEへの70k−D D. farinaeタンパク
質の結合について説明する。
【0178】 イミュロンII マイクロタイタ−プレートの複数のウェルを、実施例1及び
3の中で説明した方法に従い単離し、CBC緩衝液中で希釈した、約100ng
/ウェルのD. farinaeタンパク質でコートした。プレートを、4℃で一晩インキ
ュベートした。実施例4で説明した方法を用いてプレートをブロックし、洗浄し
た。皮内試験においてダニアレルゲンに対し感受性があることが知られている異
なるイヌから単離した血清サンプルのPBSTFCS中1:10希釈の、約10
0μl/ウェルを、プレートに添加した。陰性対照標準サンプルもまた、SPF
血清サンプル(バリヤ設備内で維持したイヌの血清で、そのためダニアレルゲン
には暴露していない)を含むプレートに添加した。いくつかのウェルはイヌ血清
を受理せず、そのため、バックグラウンド結合レベルを決定することができた。
プレートを、約1時間室温でインキュベートし、PBSTを用いて4回洗浄した
。ビオチン化ヒトFc∈R α鎖タンパク質を添加し、プレートに結合したIg
Eの存在を、実施例4で説明された方法を用いて検出した。
【0179】 陰性対照標準サンプル及びバックグラウンドウェルを用いて得られたO.D.
読取値は、0O.D.であった。26匹のダニアレルゲン感受性イヌのうちの3
匹の血清で、約1、500O.D.から約2、700O.D.の間のO.D.読
取値が得られた。5匹の他のダニアレルゲン感受性イヌの血清では、約800O
.D.から約1、500O.D.の間のO.D.読取値が得られた。4匹の他の
ダニアレルゲン感受性イヌの血清では、約500O.D.から約800O.D.
の間のO.D.読取値が得られた。6匹の他のダニアレルゲン感受性イヌの血清
では、約200O.D.から約500O.D.の間のO.D.読取値が得られた
。8匹の他のダニアレルゲン感受性イヌの血清では、50O.D.未満のO.D
.読取値が得られた。このように、これらの結果から、ダニアレルゲンに感受性
を示すことが知られているイヌの血清は、本発明のmapCタンパク質に特異的
に結合するIgE抗体を含むことが示される。
【0180】 実施例6. この実施例では、インビトロ試験によりダニアレルゲンに過敏であることが示
されたネコから単離したネコ血清中のネコIgEへのmapA、mapBまたは
mapCの結合を説明する。
【0181】 イミュロンII マイクロタイタ−プレートの複数のウェルを、(実施例1中
で説明した方法に従い単離した)約100ng/ウェルのD. farinae HMW−
map組成物及び(実施例3中で説明した方法に従い単離した)D. farinaeタン
パク質でコートした。プレートの他のウェルは、全Dermatophagoides pteronyss
ius 抽出物(ノースカロライナ州レノア(Lenoir)所在、ギア(Geer)研究所よ
り入手可能、使用前に8倍に濃縮)
【0182】 あるいは全D. farinae抽出物(インディアナ州エルカート(Elkhart )マイルス
(Miles )社より入手可能)、400ng/ウェルでコートした。すべてのサン
プルはCBC緩衝液中で希釈した。プレートを、4℃で一晩インキュベートした
。実施例4で説明した方法を用いてプレートをブロックし、洗浄した。インビト
ロアレルゲン試験においてダニアレルゲンに感受性を示すことが知られている異
なるネコから単離した血清サンプルのPBSTFCS中の1:10希釈物、約1
00μl/ウェルをプレートに添加した。インビトロ試験で、ダストダニアレル
ゲンに対し感受性を示さないことが示された7匹の対照標準ネコ(15番、16
番、17番、18番、19番、20番、21番)の血清の試験も行った。いくつ
かのウェルにはネコ血清を添加せず、バックグラウンド結合レベルを決定するこ
とができるようにした。プレートを、1時間室温でインキュベートし、PBST
を用いて4回洗浄した。その後、ビオチン化ヒトFc∈R α鎖タンパク質を添
加し、プレートに結合したIgEの存在を、実施例4で説明された方法を用いて
検出した。
【0183】 結果を下の表1に示す。すべての値は、O.D.値×1000を示している。
HDMは(血清学試験、すなわち全F.farinae 抽出物に対するELISAによ
る)ハウスダストダニアレルゲンに対し感受性を有するネコを示す。
【0184】
【表1】 得られた結果から、ダニアレルゲンに感受性を示すことが知られているネコの
数匹の血清は、本発明のmapA、mapBまたはmapCタンパク質に特異的
に結合するIgE抗体を含むことが示される。さらに、mapA、mapBまた
はmapCタンパク質に結合するIgEを含む幾つかの血清は、また、D.pteron
yssius抽出物に結合するIgE抗体を含む。対照標準血清は、本発明のmapA
、mapB及びmapCタンパク質のいずれに結合するIgE抗体も含んでいな
かった。
【0185】 実施例7. この実施例では、D. farinaeHMW−map組成物の、イヌにおける過敏応答
を誘発する能力について説明する。 実施例1で説明したD. farinaeHMW−map組成物が、ダストダニアレルギ
ー応答を罹患しやすい動物において、アレルギー応答を誘発することができるか
どうかを決定するために、ダストダニアレルギーに対し臨床的な徴候を能動的に
示すイヌ(本明細書では、アトピー性イヌと称する)について皮膚試験を行った
。正常イヌには、ダニアレルギーの症状は示さないが、ダニアレルギー応答を起
こし得るイヌが含まれる。各イヌ(すなわち、4匹の正常イヌ及び4匹のアトピ
ー性イヌ)について、外側胸部/腹部領域をそり、その領域の異なる部位で、実
施例1で説明した方法により単離したD. farinae粗抽出物の約1:50、000
希釈を用いて、精製D. farinaeHMW−map組成物、約2μgを用いて、及び
/または、対照標準溶液、すなわち、陰性対照標準としては生理食塩水、陽性対
照標準としてはヒスタミンの1:1000希釈を用いて、皮内注射を行った。す
べての4匹の正常イヌ及び、すべての4匹のアトピー性イヌはD. farinae全抽出
物を受けた。正常イヌのうち3匹が、アトピー性イヌのうち2匹が、D. farinae
MHW−map組成物を受けた。8匹すべてのイヌが陰性対照標準サンプル及び
陽性対照標準サンプルの両方を受けた。1回の注射あたりの総容積は、50μl
であり、組成物及び対照標準は生理食塩水中で希釈した。注射は、単一の注射と
して投与した。
【0186】 すべての注射部位は、15分にmmの単位で客観的に測定し、対照標準と比較
して(+)または(−)のいずれかの評価を行った。主観的な評点付けは、オハ
イオ州立大学、コロンバス、OHのアンドリュー ヒラー(And rew Hiller )
、D.V.M、により実行された。結果を表2に示す。
【0187】
【表2】 結果から、D. farinaeHMW−map組成物は、アトピー性イヌを含むイヌに
おいて、即時過敏応答を誘発することができたことが示される。このように、H
MW−map組成物は、アトピー性イヌを含むイヌにおいて過敏応答を誘発する
ほど十分なアレルギー誘発性を有する。
【0188】 表3は、以下の実験結果を説明するものである。HMW−map組成物に対す
るIgEを、ELISAを用いて、3つのグループのイヌの血清中で測定した。
3つのグループは、D. farinaeアレルギー性(HDM−AD)イヌ、アトピー性
(他のアレルギーに対し)であるがHDMアレルギー性ではないイヌ(AD)、
及び未処置のイヌである。これらのイヌについてはまた、D. farinae全抽出物に
対する、及びHMW−map組成物に対する皮内皮膚試験により調べた。
【0189】 表3.D. farinae−アレルギー性イヌ、アトピー性であるがHDM−アレルギー
性でないイヌ、未処置のイヌにおけるD. farinae全抽出物及びHMW−map組
成物に対する皮膚試験及びELISAデータ
【0190】
【表3】 ELISAにより全D. farinae抽出物に対し陽性であったイヌはすべて、HMW
−map組成物アレルゲンに対しても陽性であった。全D. farinae抽出物に対し
ELISA陰性であった8匹のイヌのうち、8匹中7匹がHMW−map組成物
に対しても陰性であった。
【0191】 実施例8. この実施例では、本発明のDer HMW−map組成物をコードする核酸分
子の単離について説明する。 Der HMW−map組成物核酸分子は以下のように、同定、単離した。 A.Dermatophagoides farinae cDNAライブラリーの作成
【0192】 Dermatophagoides farinae cDNAライブラリーを以下のように作成した
。総RNAを、約2gの急速冷凍し、粉砕したハウスダストダニから、チョムジ
ンスキー(Chomzynski)らが、1987年、Anal. Biochem.第162巻、156
−159頁で説明している方法と同様の酸−グアニジニウム−フェノール−クロ
ロホルム法を用いて抽出した。ポリA+選択RNAは、製造業者が推奨する方法
に従い、mRNA精製キット(ニュージャージー州ニューアーク(Newark)所在
、Pharmacia Biotech より入手可能)を用いてオリゴ−dTセルロースクロマト
グラフィーにより総RNA調製物から分離された。cDNAライブラリーは、λ
−Uni−ZAP(登録商標)XRベクター(ストラタジーン(stratagene)よ
り入手可能)中で、ストラタジーンZAP−cDNA合成キットプロトコルを用
いて、作成された。Dermatophagoides farinae cDNAライブラリーの作成に
は約5μgのポリA+RNAが使用された。
【0193】 B.PCRプライマーの調製 さらに、N−末端アミノ酸配列分析を、実施例2で説明した方法に従い実行し
た。34アミノ酸の部分N−末端アミノ酸配列を導き出した。これを、配列番号
24として表す。このアミノ酸配列は、Ser Ile Lys Arg As
p His Asn Asp Tyr Ser Lys Asn Pro Me
t Met Ile Val Xaa Tyr Tyr Gly Gly Se
r Ser Gly Tyr Gln Ser Xaa Lys Arg Xa
a Xaa Thr(ここで、「 Xaa」 は、任意のアミノ酸残基を示す)であ
る。配列番号4のアミノ酸配列(実施例2で説明)及び配列番号24を使用して
、合成オリゴヌクレオチドプライマーの設計を行った。配列番号24由来の、ヌ
クレオチド配列5’AAA CGT GAT CAT AAY GAT TAY
TCN AAR AAY C3’(ここで、YはCまたはTを、RはAまたは
Gを、NはA、C、TまたはGを表す)、配列番号25と示す、を有するセンス
プライマーDerf1、または配列番号24由来の、ヌクレオチド配列5’AA
A CGT GAT CAT AAY GAT TAY AGY AAR AA
Y C3’、配列番号26と示す、を有するセンスプライマーDerf2を、配
列番号4由来の、ヌクレオチド配列5’CCT TCT TCA CCN AC
R ATC AAN CC3’、配列番号27と示す、を有するアンチセンスプ
ライマーDerf3、または配列番号4由来の、ヌクレオチド配列5’CCT
TCT TCA CCN ACR ATG AAN CC3’、配列番号28と
示す、を有するアンチセンスプライマーDerf4と組み合わせて使用した。
【0194】 その後、前述のプライマーを使用して、標準ポリメラーゼ連鎖反応増幅(PC
R)技術により、Derf cDNAライブラリーのスクリーニングを行った。
プライマーとハイブリッド形成するcDNAを同定する試みはすべて失敗した。
【0195】 C.抗−DerHMW−map組成物抗体を用いたD. farinaecDNAライブラ
リーの免疫スクリーニング PCR方法を用いてcDNAクローンを単離する試みは失敗したので、発明者
らは、以下のように作成した抗血清を用いてD. farinaecDNAライブラリーの
スクリーニングを行った。実施例1で説明した方法に従い単離したタンパク質を
、抗原の入手源として使用し、本明細書では抗−Der HMW−map組成物
抗体というウサギポリクローナル抗体を産出させた。ウサギポリクローナル抗体
の調製は標準技術を用いて実行した。
【0196】 約7.5mlの大腸菌(XL1Blue、O.D.600 =0.5)を、Dermat
ophagoides farinae ZAP−cDNAライブラリーからの3.0×104 pf
uのファージ(1.8×109 pfu/ml)と共に、37℃で10分間インキ
ュベートし、ルリア−ベルターニ(Luria _ Bertani 、LB)培地寒天プレート
(150mm)内に移す。そのプレートを、37℃で一晩インキュベートした。
各プレートには、約4時間、37℃で、IPTG(10mM)処理ニトロセルロ
ースフィルタを載せた。その後、フィルタを除去し、0.1%トゥィーン(TB
ST)を含むTris緩衝塩類溶液(pH7.5)を用いて5分間、洗浄した。
TBSTで調製された、1%乾燥粉末ミルク、1%BSA、2%ヤギ血清及び0
.15%ゼラチンの溶液を用いて、2時間、室温で、フィルタのブロックを行っ
た。フィルタを、上記ブロッキング溶液中に含まれる、1:1000希釈の抗−
Der HMW−map組成物抗体と共に、一晩インキュベートした。その後、
混合物を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ共役ロバ抗−ウサギIgG抗体
(ペンシルベニア州ウエストグローブ(West Grove)、ImmunoResearchより入手
可能)と共に、2時間室温で、インキュベートした。フィルタはすべて、各イン
キュベート間に、TBST中に含まれるブロッキング溶液を用いて洗浄した(3
×15分/洗浄)。その後、フィルタすべてに対し、Tris緩衝塩類溶液(p
H7.5)中で、約5分間、室温で、最終洗浄処理を行った。フィルタを、1/
1/0.1の容積比の展開液(Kirkegaard & Perry研究所より入手可能なTMB
ペルオキシダーゼ基質/TMBペルオキシダーゼ溶液/TMBメンブランエンハ
ンサー)中に浸漬し発色反応を生成させることにより、免疫複合プラークの同定
を行った。123個のプラークが同定され、50個のプラークについては、上述
したのと同じ免疫スクリーニング条件下でさらに2回プラーク精製した。
【0197】 D.精製ファージプラグのPCRスクリーニング その後、前述の免疫スクリーニングにおいて同定したファージプラグについて
、さらに、セクション8Bで説明したプライマーを用い、PCR増幅により分析
した。50個プラークのDNAを、配列番号25、配列番号26、配列番号27
及び配列番号28により同定された4プライマーの混合物を用いて増幅させた。
PCR増幅は標準技術を用いて行った。1つの得られたPCR増幅生成物は、約
700のヌクレオチドのフラグメントを含んでいた。PCR生成物を、インビト
ロゲン社(InVitrogen、 Corp.)、TA(登録商標)クローニングベクターでク
ローン化し(インビトロ社から提供された手順)、標準技術を用いてDNA配列
分析を受けさせた。700−bp PCR生成物においてコードされる配列を含
むことが決定された精製ファージからのファージミド(phargemid )を獲得し、
標準技術を用いてDNA配列分析をした。
【0198】 約1752のヌクレオチド挿入配列、本明細書ではnDerf981752と称す
る、を含むクローンを単離した。nDerf981752から、標準技術を用いて核
酸配列を求め、核酸配列配列番号14を有するコード鎖と核酸配列配列番号16
を有する相補鎖からなるnDerf981752という名のDermatophagoides fari
nae 核酸分子が得られた。配列番号14の翻訳から、核酸分子nDerf9817 52 は、アミノ酸配列配列番号15を有する約555アミノ酸の全長ノミタンパク
質、本明細書ではPDer98555 と称する、をコードし、第1コドンが配列番
号14のヌクレオチド1からヌクレオチド3まで、停止コドンが配列番号14の
ヌクレオチド1666から1668までに及ぶオープンリーディングフレームを
とることが示唆される。PDer98555 のアミノ酸配列は、核酸配列配列番号
17を有するコード鎖と、核酸配列配列番号19を有する相補鎖を備えたnDe
rf981665核酸分子によりコードされる。配列番号18として表されるPDe
r98555 の推定分子量は約63.2kD、推定pIは約5.33である。配列
番号15の分析から、約アミノ酸1から約アミノ酸19までにわたるシグナルペ
プチドの存在が示唆される。提案した成熟タンパク質は、本明細書ではPDer
536 と示され、約536のアミノ酸を含む。この配列は、本明細書では配列番
号21として表され、本明細書ではnDerf981608と呼ばれ、配列番号20
のコード鎖と、配列番号22の相補鎖とによる表される核酸分子によりコードさ
れる。ノミPDerf536 のアミノ酸配列(すなわち、配列番号21)から、P
Derf536 の推定分子量は61.2、推定pIは約5.26であることが予想
される。
【0199】 アミノ酸配列配列番号15をジェンバンク(GenBank )において報告されてい
るアミノ酸配列と比較すると、配列番号15はアノフェレスガンビアエ(Anophe
les gambiae )からのキチナーゼタンパク質(ジェンバンク目録番号26546
02)と最も高い相同性、すなわち約42%の同一性を示すことが示された。核
酸塩基配列配列番号17とジェンバンクにおいて報告されている核酸配列との比
較により、配列番号17は、チェロナス種(Chelonus sp.)毒キチナーゼmRN
A(ジェンバンク目録番号U10422)と最も高い相同性、すなわち約58%
の同一性を示すことが示された。
【0200】 実施例9. この実施例では、ダニアレルゲンに対しアレルギー反応を示すことが知られて
いるイヌ由来IgEに結合する60−kDタンパク質の精製、およびこの60−
kDタンパク質から得られた部分アミノ酸配列について説明する。
【0201】 A.60kDタンパク質の精製 D.実施例1で説明した方法に従い、farinae 抽出物を調製し、セファクリル
(Sephacryl )S−100カラム上で分別した。排除ピーク(画分29から35
まで)後、画分をセファクリルS−100カラムから収集し、プールした。その
後、プールした画分を10mM Tris−HCl、pH8を用いて1:1に希
釈し、実施例1で説明した方法を用いて、Q−セファロースカラムに適用し、画
分を得た。0.4M Tris−HCl中で溶出した画分を濃縮し、さらに、実
施例1で説明した方法を用いて、TMS250 逆相HPLCカラムを通して精
製した。実施例1において12%ゲルについてのタンパク質の分離について説明
したのと同様の方法を用いて、14%Tris−グリシンSDS−PAGEによ
り、画分中のタンパク質を分離した。染色したゲルを図2に示す。タンパク質は
、約50%B(90%アセトニトリル中.05%TA)で溶出した、約90%の
純度で約60kD(図2、レーン4)の分子量を有するものであると同定された
。示した60−kDタンパク質の分子量は、バイオラッドマルチ−アナリスト/
PCバージョン1.1プログラムおよびマーク−12タンパク質分子量マーカー
を用いて、56.11kdであると推定した。約60−kDタンパク質は、本明
細書では、mapDタンパク質と称する。
【0202】 B.60−kdタンパク質から得られた部分N−末端および内部配列 上記パートAから溶出したタンパク質をPVDF上にブロットした。この染色
はクマシーR−250で行い、標準手順を用いて脱染した。約60−kdバンド
に対応するタンパク質を切り出し、当業者に周知の技術を用いて、N−末端アミ
ノ酸配列決定した。約25アミノ酸の部分N−末端アミノ酸を、そのタンパク質
に対し導き出し、そのアミノ酸配列は、本明細書では配列番号23として表すが
、Xaa Leu Glu Pro Lys Thr Val Cys Tyr
Tyr Glu Ser Trp Val His His Arg Gln
Gly Glu Gly Lys Met Asp Pro(本明細書でXa
aは任意のアミノ酸である)であることが決定された。
【0203】 60kd領域に対応するタンパク質もまた、タンパク質分解開裂に付し、内部
アミノ酸配列データを得た。実施例1で説明したように、60−kdタンパク質
の消化および逆相クロマトグラフィーを実行した。4つのタンパク質分解フラグ
メントが、単離され、配列決定された。これらは、本明細書では、map(13
)、map(14)、map(15)、map(16)と称する。
【0204】 map(13)のN−末端部分アミノ酸配列は、Gln Tyr Gly V
al Thr Gln Ala Val Val Thr Gln ProAl
aと決定され、配列番号29と示される。map(14)のN−末端部分アミノ
酸配列は、Asp Glu Leu Leu Met Lys Ser Gly
Pro Gly Pro と決定され、配列番号30と示される。map(1
5)のN−末端部分アミノ酸配列は、Asp Met Glu His Phe
Thr Gln His Lys Gly Asn Ala Lys Ala
Met Ile Ala Val Gly Gly Ser Thr Met
Serと決定され、配列番号31と示される。map(16)のN−末端部分
アミノ酸配列は、Asp Ala Asn Glu Glu Ala Arg
Ser Gln Leu Pro Glu Thr Ala Met Val
Leu Ile Lys Ser Glnと決定され、配列番号29と示される
【0205】 実施例10. この実施例では、D. farinae 60kD(mapD)アレルゲンの一部をコー
ドする核酸分子の単離と配列決定について説明する。 実施例8において前述したように、D. farinaeライブラリーを作成した。D. f
arinae 60 kD−タンパク質(配列番号23)に対し導き出したN−末端ア
ミノ酸配列から、縮重合成オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。プライマ
ー1は、配列番号23の約3から約11までのアミノ酸残基に対応するセンスプ
ライマーであり、その配列は、5’GAACCAAAA CHGTNTGYTA
YTAYG3’であり、これはまた配列番号46として知られている。この配
列中、HはAまたはCまたはTを表し、NはAまたはCまたはGまたはTを表し
、YはCまたはTを表す。D. farinaeライブラリーからのフラグメントのPCR
増幅は、標準技術を用いて行った。配列番号46(プライマー1)とM13の順
方向の一般的なプライマー、5’GTAAAACGACGGCCAGT3’、配
列番号47と示す、との組み合わせを使用して、PCR増幅生成物を産出させた
【0206】 第1のPCR反応生成物に対し、第2の、入れ子に挟む様式の(nested)PC
R反応を実行した。60−kDタンパク質内部アミノ酸配列、配列番号31の約
アミノ酸残基1からアミノ酸残基10までにわたる領域に対応する合成オリゴヌ
クレオチドを合成した。このプライマー、プライマー2は、配列番号48と示す
核酸配列5’GATATGGAAC ATTTYACHCA ACAYAARG
G3’を有し、この配列において、RはAまたはGを表す。配列番号48のプラ
イマー2と配列番号49のT7標準プライマー、5’GTAATACGAC T
CACTATAGG GC3’、とを組合わせて使用し、PCR増幅生成物を産
出させた。標準技術を用いて、得られたPCR生成物にDNA配列決定分析を受
けさせた。
【0207】 PCR生成物の配列決定を行うと、510のヌクレオチドを含むことが見出さ
れた。これはnDerf60510 として知られている。nDerf60510 のコ
ード鎖のヌクレオチド配列は、本明細書では配列番号43として示され、その相
補鎖は、配列番号45として示される。配列番号43の翻訳から、nDerf6
510 は、約170アミノ酸の部分D. farinae60−kDタンパク質、本明細書
ではPDerf60170 と呼ばれ、配列番号44と示されるアミノ酸配列を有す
る、をコードし、第1のコドンが配列番号43の約ヌクレオチド1からヌクレオ
チド3まで及び、最終コドンが配列番号43の大体ヌクレオチド508から大体
ヌクレオチド510まで及ぶオープンリーディングフレームをとることが示唆さ
れる。PDerf60170 の推定分子量は19.2kDであり、推定pIは約6
.51である。
【0208】 核酸分子nDerf60510 をプローブとして用い、全長、あるいはより大き
な部分のD. farinae60−kDタンパク質に対応するタンパク質をコードする核
酸を単離した。実施例8において前述した手順を用いて、標準技術により32Pで
放射性同位体標識した核酸配列番号43を用いて、全D. farinaeライブラリーの
スクリーニングを行った。6XSSC、5X デンハーツ(Denhardt’s )溶液
、0.5%SDS、100mg/ml ssDNA中、55℃で、約36時間、
ハイブリッド形成を行った。フィルタは、1回につき30分間、55℃の2XS
SC、0.2%SDS中で計3回洗浄し、その後、0.2XSSC、0.2%S
DS中で約30分、最終洗浄を行った。
【0209】 一次ファージプラグについて、PCR増幅を行った。配列番号46と示される
プライマー1と、配列番号40と示されるT7標準プライマーとをプライマーと
して使用し、PCR生成物を産出させた。この1.6キロ塩基のPCR生成物の
予備配列決定分析から、これが、PDerf60全長タンパク質をコードする完
全な配列を含む核酸配列を表すことが示された。
【0210】 PDerf60170 、アミノ酸配列配列番号44と、ジェンバンクにおいて報
告されているアミノ酸配列とを比較することにより、アファノジジウム アルブ
ム(Aphanodidium album. )(ジェンバンク目録番号P32470)のキチナー
ゼタンパク質前駆体と、最も高い相同性、すなわち約39%の同一性を示した。
核酸配列配列番号43は、ジェンバンクに提出されている配列のいずれに対して
も有意な相同性は示さなかった。
【0211】 実施例11. この実施例では、Der matophagoides pteronyssius 98kD アレルゲン
タンパク質をコードする核酸分子の単離について説明する。
【0212】 D. farinaeHMW−map組成物をコードする32P標識cDNAとのハイブ
リッド形成により、D. pteronyssius cDNAライブラリーから、D. farinae
98kDアレルゲン(mapB)に対し高い相同性を有する核酸分子を単離した
【0213】 以下のように、D.プテロニシウスcDNAライブラリーを作成した。チョム
ジンスキー(Chomz ynski)らにより、1987年、Anal. Biochem 第162巻
、156−159頁において説明されている、酸−グアニジウム−フェノール−
クロロホルム法を用いて、約2gのD.プテロニシウスダニから総RNAを抽出
した。製造業者が推奨する方法に従い、mRNA精製キット(ニュージャージー
州ニューアーク(Newark)所在、Pharmacia 社より入手可能)を用いて、オリゴ
−dTセルロースクロマトグラフィーにより、総RNA調製物からポリA+選択
RNAを分離した。ストラタジーン(Stratagene)ZAP−cDNA合成キット
プロトコルを用いて、λ−Uni−ZAP(登録商標)XRベクター(カリフォ
ルニア州ラホール(La Jolla)所在Stratagene社入手可能)中で、D.pteronyssi
uscDNAライブラリーを構築した。約5mgのポリA+RNAを使用して、D.
pteronyssius cDNAライブラリーを作成した。
【0214】 cDNA合成キット(ストラタジーンより入手可能)において説明されている
プロトコルの変更を用い、D. farinae97kDmapBアレルゲンをコードする
32P標識cDNA、すなわち配列番号17を用いて、重複プラークリフトによ
り、D.pteronyssiuscDNAライブラリーのスクリーニングを行った。6XSS
C(処方については、サンブルック(Sambrook)ら、前掲の文献を参照のこと)
、5Xデンハーツ溶液(処方については、サンブルックらの前掲の文献を参照の
こと)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(シグマより入手可能)、
及び100mg/mlの1本鎖DNA(シグマより入手可能)中、55℃で、約
36時間、ハイブリッド形成を行った。フィルタを3回、1回の洗浄につき30
分、55℃、2XSSC0.2%SDS中で洗浄し、その後、約30分、55℃
、0.2XSSC0.2%SDS中で最終洗浄を行った。D.プテロニシウス9
7kDアレルゲン(mapB)をコードするD.pteronyssius核酸分子のプラーク
精製クローンは、ZAP−cDNA合成キットにおいて説明されているインビボ
切り出しプロトコルに従い、ExAssist(登録商標)ヘルパーファージと
SOLR(登録商標)大腸菌を用いて、2本鎖組換分子に変換された(すべてス
トラタジーンより入手可能)。D.pteronyssiusを含むプラスミドには、標準技術
を用いるDNA配列決定分析を受けさせた。DNA配列決定分析には、分子量及
び等電点(pI)の決定を含み、GCG(登録商標)プログラムを用いて実行さ
れた。
【0215】 配列番号34と表されるコード鎖と配列番号36と表される相補鎖とを有する
約1621−ヌクレオチド挿入配列、全長コード領域を含み本明細書ではnDe
rf981621と称する、を含むクローンを単離した。見かけの開始コドン及び停
止コドンは、それぞれ、配列番号34のヌクレオチド14からヌクレオチド16
まで、ヌクレオチド1541からヌクレオチド1543までである。推定ポリア
デニル化シグナル(5’AATAAA3’)は、配列番号34のヌクレオチド1
584から1589までに及んでいる領域内に配置されている。
【0216】 配列番号34の翻訳により、約509のアミノ酸のタンパク質が得られ、この
タンパク質はPDerf98509 と示され、そのアミノ酸配列は、配列番号35
として表される。PDerf98509 をコードするコード領域からなる核酸分子
は、本明細書ではnDerf981527と呼ばれ、その核酸配列は配列番号37(
コード鎖)、及び配列番号39(相補鎖)として表される。PDerf98509 のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号38としても表されるが、約58.9
kDの推定分子量及び約5.61の推定pIを有する。PDerf98509 の分
析により、大体アミノ酸1から大体アミノ酸19までに及ぶシグナルペプチドの
存在が示唆される。提案した成熟タンパク質、本明細書ではPDerf98490 として示される、は約490のアミノ酸を含み、本明細書では配列番号41とし
て表される。PDerf98490 のアミノ酸配列から、推定分子量が約56.8
kDおよび推定pIが約5.49であり、それぞれ、大体アミノ酸115から大
体アミノ酸117まで及び大体アミノ酸240からアミノ酸242まで延在して
いる2つのアスパラギン−結合グリコシル化部位を有するタンパク質が予想され
る。PDerf98490 をコードする核酸分子は、nDerf981470として知
られており、配列番号40で表されるコード鎖と配列番号42で表される相補鎖
とを有する。
【0217】 前述したように、BLAST調査を実行した。PDerf98509 、配列番号
35は、アミノ酸レベルで、マンデューカセクスタ(Man duca sexta )キチナ
ーゼ(スイスプロット目録番号p363362)と最も高い相同性、約34%の
同一性を示した。nDerf981621、配列番号34は、核酸レベルで、チェロ
ナス属(Chelonus sp.)キチナーゼ(目録番号U10422)と最も高い相同性
、約49%の同一性を示した。D. farinae98kDアレルゲンタンパク質に対す
るコード領域に対応するcDNA領域と、D.pteronyssius98kDに対するコー
ド領域に対応するcDNA領域との比較により、約84%の同一性が示されてい
る。
【0218】 実施例14. この実施例では、ダニアレルゲンにアレルギー反応を示すことが知られている
ヒトから単離したヒト血清中のヒトIgEへの、D. farinaeHMW−map組成
物の結合を説明する。
【0219】 RAST、すなわち放射アレルゲン吸着試験、と呼ばれる技術を使用した。と
いうのは、ヒト血清中に存在するヒトIgEの量は実に少ないからである。RA
STは、本質的には、アールバース(Aalberse, RC)らの1981年、J. Aller
gy Clin Immun. 68:356−364頁において説明されているように、RA
STは実行された。単位IU/mlを計算するために、Derp2に対する、十
分に特徴付けがなされたキメラヒト/マウスIgEモノクローナル抗体(ヒトI
gE/モノクローナル抗−Derp2、シュアーマン(Schuurman )らの(19
97)の手順、J. Allergy Clin Immunol.99:545−550頁に従う)のい
くつかの希釈物を用いてRASTを実行し、標準曲線を導き出した。
【0220】 簡単に説明すると、製造業者のプロトコルに従い、実施例1で説明したように
精製した50μgのHMW−map組成物を、50mgのCNBr−活性化セフ
ァロース4B(ファーマシア、ピスカタウエイ、NJより入手可能)に結合させ
た。全ダニD. farinae抽出物に対し陽性のRAST(陽性RAST数は1IU/
mlを超える)を基本に、ヒト血清を選択した(全部で、17の異なるサンプル
)。2つの陰性(0.3IU未満)対照標準血清も含ませた。
【0221】 それぞれの血清サンプルの試験を行うために、0.5mgのD. farinaeHMW
−map組成物結合セファロースを、総体積300μlのPBS−T(0.1%
体積比トゥィーン20を添加したリン酸緩衝塩類溶液、シグマより入手可能)中
の50μlの血清と共にインキュベートした。一晩中、27℃で、振とうさせな
がらインキュベートを行った。インキュベート後、結合セファロースを5回、P
BS−Tを用いて洗浄した。総体積750μlの、(体積比で、4.5%ウシ血
清及び0.5%ヒツジ血清を有するPBS−T中で希釈された)標準放射性ヨウ
素化標識プロトコルにより作成した放射性同位体標識(125−ヨウ素)ヒツジ抗
−ヒトIgEを添加し、27℃で一晩インキュベートした。インキュベート後、
結合セファロースを、PBS−Tを用いて4回洗浄し、ガンマカウンタ内で計数
し、HMW−map組成物結合セファロースに結合した放射性同位体標識ヒツジ
抗ヒトIgEの量を決定した。得られた結果を表4に示す。
【0222】 表4.D. farinaeのHMW−map組成物へのヒトIgEの結合
【0223】
【表4】 D. farinae全ダニ抽出物に対し感受性を示す患者の約75%(15人中11人
)が、HMW−map組成物抗原に対し敏感であった。このことから、HMW−
map組成物抗原が、D. farinae感受性ヒトに対する主な抗原であることが意味
される。HMW−map組成物に対する感受性は、0.5IU以上のRASTと
して規定した。
【0224】 実施例15. この実施例では、実施例1で説明したD. farinaeHMW−map組成物が糖タ
ンパク質を含むことを説明するものである。 実施例1に従い調製した約5.4μgのD. farinaeHMW−map組成物を、
SDS PAGEに適用し、標準技術に従い電気泳動を行った。標準技術に従い
、ニトロセルロース膜にタンパク質をブロットし、DIG(登録商標)グリシン
検出キット(インディアナ州インディアナポリス所在、Boehringer Mannheim よ
り入手可能)を用い、製造業者のプロトコルを用い、糖タンパク質を検出した。
HMW−map領域に対応する領域はキットと陽性反応を示し、これにより、H
MW−map組成物が糖タンパク質を含むことが示された。
【0225】 実施例16. この実施例では、D. farinaeHMW−map組成物が、化学的または酵素手段
の両方によりアミノ酸残基が除去されてもアレルゲンとしての特徴を保持するこ
とを示す。結果から、主エピトープは、HMW−map組成物上のN−結合また
はO−結合グリコシル化部位に付着された多糖を含む炭水化物エピトープである
ことが示唆される。
【0226】 A.化学的手段によるタンパク質除去(タンパク質のβ−除去) 12μgのHMW−map組成物(実施例1で説明したように精製)を、10
0μlの蒸留脱イオン水中に溶解させた。この混合物に、5μlの10M Na
OHと3.8mgのNaBH4(シグマより入手可能)を添加し、最終濃度を0
.5M NaOHと1M NaBH4とした。この反応混合物を50℃で、30
分間加熱し、その後冷却し、100μlのアセトンを添加した。この混合物に、
十分な量、すなわち約150μlのドウエックス(Dowex )50(H+)(ファ
ーマシアより入手可能)を添加し、溶液をわずかに酸性とした。ドウエックス5
0はタンパク質を吸着除去し、上清中には糖部分が残った。微小遠心分離機中で
混合物の遠心を行い、3回、100μlの水を用いて洗浄した。遠心分離からの
上清を一緒にして、蒸発乾燥させ、その後、5回メタノール:HCl溶液(10
00:1v/v)から洗浄し、各洗浄後に蒸発乾燥させ、塩を除去した。混合物
を10μlの水に溶解し、一部(20μl)について標準技術を用いてSDS−
PAGEにより分析し、クマシーブルー及びシルバー染色の両方を用い、化学的
処理を施したサンプル中のタンパク質の量を定量した。クマシー染色でもシルバ
ー染色でもタンパク質は検出されず、タンパク質が除去されたことが示された。
タンパク質上の糖部分はこれらの条件では影響を受けないであろう。
【0227】 各サンプルからの残基の残りについて、実施例4で説明したように、ELIS
A分析を行った。簡単に説明すると、100ngの、HMW−map組成物のβ
−除去サンプルまたは非β−除去サンプルのいずれかをイミュロンプレート上に
コートさせ、実施例4で説明したように、D. farinae感受性イヌ血清プール、D.
farinae感受性ネコ血清プール、及びD. farinae感受性があるかまたは感受性が
ないか(ELISAにより測定)のいずれかの様々な個々のイヌ血清を用いて、
ELISAを実行した。結果を表5に示す。
【0228】 表5.HMW−map組成物及びβ−除去HMW−map組成物(炭水化物のみ
)に対するイヌ血清及びネコ血清の反応性
【0229】
【表5】 表5からの結果から、β−除去HMW−map組成物サンプルは依然として、
D. farinaeHMW−map組成物に感受性のあるイヌ血清及びネコ血清のIgE
に結合する能力を保持していることが示され、これにより、タンパク質に付着し
たグリカンが、HMW−map組成物アレルゲンタンパク質の主エピトープを構
成することが示される。
【0230】 B.酵素的手段によるタンパク質除去 14μgのHMW−map組成物(実施例1で説明したように精製)を、1μ
gのエンドプロテイナーゼK、シグマより入手可能、を用いて消化し、分子のタ
ンパク質部分を除去した。消化反応は、56℃で24時間起こり、その後、反応
物中のエンドプロテイナーゼは、沸騰水中で10分間、熱変性させた。
【0231】 この反応物の一部を、標準技術を用いてSDS−PAGEにより分析し、クマ
シーブルー染色とシルバー染色の両方を用いて、酵素消化されたサンプル中のタ
ンパク質の存在を検出した。クマシー染色でもシルバー染色でも、HMW−ma
p組成物は検出されず、これにより、HMW−map組成物の除去が示された。
タンパク質上のグリコシル化部位を介して付着されているグリカンは、これらの
条件によっては影響されないであろう。
【0232】 酵素消化反応の残りについて、実施例4で説明したように、ELISA試験を
行った。簡単に説明すると、100ngの、HMW−map組成物のプロテイナ
ーゼK−消化サンプルまたは無消化サンプルのいずれかを、イミュロンプレート
上にコートさせ、実施例4で説明したように、D. farinae感受性があるまたは感
受性がない(ELISAにより測定)のいずれかである様々な個々のイヌ血清を
用いて、ELISAを実行した。結果を表6に示す。
【0233】 表6.HMW−map組成物及びエンドプロテイナーゼ−K消化HMW−map
組成物に対するイヌ血清の反応性
【0234】
【表6】 表6の結果から、プロテイナーゼ−K消化HMW−map組成物サンプルは依
然として、D. farinaeHMW−map組成物に感受性のあるイヌ血清及びネコ血
清のIgEに結合する能力を保持していることが示され、これにより、タンパク
質に付着したグリカンが、HMW−map組成物上の主エピトープを構成するこ
とが示唆される。
【0235】 実施例17. この実施例は、HMW−map組成物からN−結合グリカンを除去する試みに
ついて説明するものである。 実施例1のように精製したHMW−map組成物(2μg)を、製造業者の指
示に従い、N−グリコシダーゼF(Boehringer Mannheim より入手可能)を用い
て消化させた。消化物をSDS−PAGEにより分析し、標準プロトコルに従い
染色した。2μgのフェツイン(Fetuin:シグマより入手可能)を陽性N−結合
グリコシル化タンパク質対照標準として使用した。SDS−PAGEの分析から
、未処理のmapBタンパク質と消化mapBタンパク質の分子量の間には見か
けの差異はないことが示された。陽性対照標準、フェツインは、N−グリコシダ
ーゼFとの消化後に、分子量の減少を示さなかった。この結果から、HMW−m
ap組成物上にはN−結合グリカンがない、あるいはその代わりに、HMW−m
ap組成物上には小さなサイズのN−グリカンしか存在しないことが示される。
【0236】 本発明の様々な実施の形態について詳細に説明してきたが、これらの実施の形
態の修正及び変更は当業者にとっては明らかであろう。しかしながら、このよう
な修正や変更は、添付の特許請求の範囲において説明されている本発明の範囲内
にあることを特に理解すべきである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 12%トリス−グリシンSDS−PAGEにより分離した高分子
量Derfタンパク質を示す。
【図2】 14%トリス−グリシンSDS−PAGEにより分離した約60
kDDerfタンパク質を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 48/00 4H045 48/00 A61P 37/08 A61P 37/08 C07K 16/18 C07K 16/18 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 7/00 5/10 G01N 33/53 D 7/00 A61K 37/02 15/09 ZNA C12N 5/00 A G01N 33/53 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 60/098,909 (32)優先日 平成10年9月2日(1998.9.2) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 ウェーバー、エリック アール. アメリカ合衆国 80525 コロラド州 フ ォート コリンズ シルバー クリーク ドライブ 2625 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA31 CA01 CA04 CA11 CA12 EA06 GA11 GA19 HA14 HA15 4B065 AA26X AA90Y AB01 BA02 CA24 CA45 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 AA17 AA18 BA01 BA08 BA18 BA19 BA22 BA23 CA51 CA53 CA56 NA14 ZA341 ZA342 ZA591 ZA592 ZB071 ZB072 ZB131 ZB132 ZB371 ZB372 4C085 AA13 AA14 BB11 DD62 DD63 EE01 EE03 EE05 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA02 MA04 NA14 ZA34 ZA59 ZB07 ZB13 ZB37 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA16 BA17 BA18 BA53 CA50 DA75 DA76 DA86 EA22 EA52 FA74 GA10 GA15 GA22 GA23

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であっ
    て、前記約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子は、1XSSCおよび0
    %ホルムアミドを含有する溶液中で約50℃の温度にて、配列番号14、配列番
    号16、配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号
    34、配列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号4
    2、配列番号43、配列番号45、ならびに配列番号33のアミノ酸配列を有す
    るタンパク質をコードする核酸配列およびその相補的配列から成る群より選択さ
    れた核酸配列を有する核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子と、 (b)(a)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子
    であって、前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子と、 から成る群より選択された単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 (a)約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であっ
    て、前記約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子は、1XSSCおよび0
    %ホルムアミドを含有する溶液中で約50℃の温度にて、配列番号16、配列番
    号19、配列番号22、配列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号
    45、および配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸
    配列の相補的配列から成る群より選択された核酸分子とハイブリッド形成する核
    酸分子と、 (b)(a)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子
    であって、前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子と、 から成る群より選択された核酸配列を有する核酸分子によりコードされた単離タ
    ンパク質。
  3. 【請求項3】 ダニに対するアレルギー反応を治療するための治療用組成物
    であって、前記治療用組成物は、 (a)単離ダニアレルゲンタンパク質であって、ストリンジェントなハイブリ
    ッド形成条件下で配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号
    5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番
    号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号
    21、配列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号3
    1、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41
    、および配列番号44から成る群より選択されたアミノ酸配列をコードする核酸
    分子の相補的配列とハイブリッド形成する核酸分子によりコードされるダニアレ
    ルゲンタンパク質と、 (b) 前記ダニアレルゲンタンパク質のミメトープと、 (c) 前記ダニアレルゲンタンパク質の突然変異タンパク質と、 (d) (i)約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であって、前記
    約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子は、1XSSCおよび0%ホルム
    アミドを含有する溶液中で約50℃の温度にて、配列番号14、配列番号16、
    配列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号34、配
    列番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列
    番号43、配列番号45ならびに配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク
    質をコードする核酸配列およびその相補的配列から成る群より選択された核酸配
    列とハイブリッド形成する核酸分子と、 (ii)(i)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸
    分子であって、前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子と、 から成る群より選択された単離核酸分子と、 (e)前記ダニアレルゲンタンパク質に対する抗体と、 (f)前記ダニアレルゲンタンパク質のIgEへの結合阻害剤と から成る群より選択された脱感作化合物を含む治療用組成物。
  4. 【請求項4】 動物がダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反応を
    示すかを試験するためのアッセイキットであって、 (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配
    列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列
    番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および
    配列番号44から成る群より選択されたアミノ酸配列をコードする核酸分子の相
    補的配列とストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成する
    核酸分子によりコードされた単離タンパク質と、 (b) 前記動物が罹病性であるかまたは前記アレルギー反応を示すかを決定
    する手段であって、前記手段はダニに対して罹病性であるかアレルギー反応を示
    す動物を同定するために前記タンパク質を使用することを含むことと、 を備えたキット。
  5. 【請求項5】 ダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反応を示す動
    物を同定する方法であって、 (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配
    列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列
    番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および
    配列番号44から成る群より選択されたアミノ酸配列をコードする核酸分子の相
    補的配列とストリンジェントなハイブリッド形成条件下でハイブリッド形成する
    核酸分子によりコードされた単離タンパク質を動物の抗体と接触させる工程と、 (b)前記タンパク質と前記抗体との間の免疫複合体の形成を確認する工程で
    あって、前記免疫複合体の形成により前記動物が罹病性であるかまたは前記アレ
    ルギー反応を有するかが示される工程と から成る方法。
  6. 【請求項6】 ダニのアレルギー反応に対して宿主動物を脱感作する方法で
    あって、 (a)単離ダニアレルゲンタンパク質であって、配列番号1、配列番号2、配
    列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配
    列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番
    号15、配列番号18、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号
    29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号3
    5、配列番号38、配列番号41、および配列番号44から成る群より選択され
    たアミノ酸配列をコードする核酸分子の相補的配列とストリンジェントなハイブ
    リッド形成条件下でハイブリッド形成する核酸分子によりコードされるダニアレ
    ルゲンタンパク質と、 (b)前記ダニアレルゲンタンパク質のミメトープと、 (c)前記ダニアレルゲンタンパク質の突然変異タンパク質と (d)(i)約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であって、前記約
    150以上のヌクレオチドを有する核酸分子は、1XSSCおよび0%ホルムア
    ミドを含有する溶液中で約50℃の温度にて、配列番号14、配列番号16、配
    列番号17、配列番号19、配列番号20、配列番号22、配列番号34、配列
    番号36、配列番号37、配列番号39、配列番号40、配列番号42、配列番
    号43、配列番号45ならびに配列番号33のアミノ酸配列を有するタンパク質
    をコードする核酸配列およびその相補的配列とハイブリッド形成する核酸分子と
    、 (ii)(i)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸
    分子であって、前記断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子と、 から成る群より選択された単離核酸分子と、 (e)前記ダニアレルゲンタンパク質に対する抗体と、 (f)前記ダニアレルゲンタンパク質のIgEへの結合阻害剤と から成る群より選択された脱感作化合物を含む治療用組成物を前記動物に投与す
    る工程を含む方法。
  7. 【請求項7】 ダニアレルゲンタンパク質の製造方法であって、 約150以上のヌクレオチドを有する核酸分子であって、前記約150以上のヌ
    クレオチドを有する核酸分子は、1XSSCおよび0%ホルムアミドを含有する
    溶液中で約50℃の温度にて、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配
    列番号36、配列番号39、配列番号42、配列番号45、および配列番号33
    のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸配列の相補的配列から成る
    群より選択された核酸配列を有する核酸分子とハイブリッド形成する核酸分子と
    、前記核酸分子のうちの任意の核酸分子の断片を有する核酸分子であって、前記
    断片は約15以上のヌクレオチドを含む核酸分子とから成る群より選択された核
    酸分子により形質転換した細胞を培養する工程を含む方法。
  8. 【請求項8】 非タンパク質エピトープを備えた試薬であって、前記エピト
    ープが、 (a)前記エピトープはペプチドのβ−除去に耐性である、 (b)前記エピトープはプロテイナーゼKによる消化に耐性である、および (c)前記エピトープはグリコシル化タンパク質を検出するよう設計された試
    験に対して反応性である、 から成る群より選択された少なくとも1つの識別特性を有し、 前記エピトープはダニアレルギーのイヌ由来のイヌIgEおよびダニアレルギー
    のネコ由来のネコIgEから成る群より選択されたIgEに結合する試薬。
  9. 【請求項9】 前記核酸分子はDerHMW−mapタンパク質をコードす
    る核酸配列を有する請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の発明。
  10. 【請求項10】 前記核酸分子はnDerf981752、nDerf981665 、nDerf981608、nDerp981621、nDerp981527、nDerp
    981470、およびnDerf60から成る群より選択される請求項1、2、3、
    4、5、6、または7に記載の発明。
  11. 【請求項11】 前記核酸分子が、 (a)配列番号14、配列番号16、配列番号17、配列番号19、配列番号
    20、配列番号22、配列番号34、配列番号36、配列番号37、配列番号3
    9、配列番号40、配列番号42、配列番号43、配列番号45から成る群より
    選択された核酸配列を有する核酸分子と、 (b)(a)の核酸分子の対立変異型を有する核酸分子と から成る群より選択される請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の発
    明。
  12. 【請求項12】 前記核酸分子が、 (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配
    列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列
    番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および
    配列番号44から成る群より選択されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコー
    ドする核酸配列を有する核酸分子と、 (b)(a)のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子の対立
    変異型を有する核酸分子と から成る群より選択される請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の発
    明。
  13. 【請求項13】 転写制御配列と機能的に連結された請求項1、2、3、4
    、5、6、または7に記載の核酸分子を有する組換え分子。
  14. 【請求項14】 請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の核酸分
    子を有する組換えウィルス。
  15. 【請求項15】 請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の核酸分
    子を有する組換え細胞。
  16. 【請求項16】 前記タンパク質が、動物に投与された場合にDerHMW
    −mapタンパク質に対する免疫反応を引き起こす請求項2、3、4、5、6、
    または7に記載の発明。
  17. 【請求項17】 前記タンパク質が、 (a)配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号34、配列番号
    37、配列番号40、配列番号43、およびアミノ酸配列配列番号33を有する
    タンパク質をコードする核酸配列のコード鎖から成る群より選択された核酸配列
    を有する核酸分子によりコードされたタンパク質と、 (b)(a)の前記核酸分子のうちの任意の核酸分子を含む核酸分子の対立変
    異型を含む核酸分子によりコードされたタンパク質と から成る群より選択される請求項2、3、4、5、6、または7に記載の発明。
  18. 【請求項18】 前記タンパク質が、 (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号18、配列番号21、配
    列番号23、配列番号24、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列
    番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号38、配列番号41、および
    配列番号44から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質と (b)(a)の前記アミノ酸配列のうちの任意のアミノ酸配列を有するタンパ
    ク質をコードする核酸分子の対立変異型によりコードされたタンパク質と から成る群より選択される請求項2、3、4、5、6、または7に記載の発明。
  19. 【請求項19】 請求項2、3、4、5、6、または7に記載のタンパ
    ク質に選択的に結合する単離抗体。
  20. 【請求項20】 前記タンパク質はIgEに選択的に結合する請求項2、3
    、4、5、6、または7に記載のタンパク質。
  21. 【請求項21】 前記タンパク質がエピトープを備え、前記エピトープが、
    ピトープが、 (a)前記エピトープはペプチドのβ−除去に耐性である、 (b)前記エピトープはプロテイナーゼKによる消化に耐性である、および (c)前記エピトープはグリコシル化タンパク質を検出するよう設計された試
    験に対して反応性である、 から成る群より選択された少なくとも1つの識別特性を有し、 前記エピトープはダニアレルギーのイヌ由来のイヌIgEおよびダニアレルギー
    のネコ由来のネコIgEから成る群より選択されたIgEに結合する請求項2、
    3、4、5、6、または7に記載のタンパク質。
  22. 【請求項22】 前記脱感作化合物は裸の核酸分子として動物に投与される
    請求項3または6に記載の発明。
  23. 【請求項23】 ダニに対するアレルギー反応を治療するための治療用組成
    物であって、請求項8に記載の試薬を備えた脱感作化合物を有する治療用組成物
  24. 【請求項24】 動物がダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反応
    を示すかを試験するためのアッセイキットであって、前記キットは、請求項8に
    記載の試薬と前記動物が罹病性であるかまたは前記アレルギー反応を示すかを決
    定する手段とを有し、前記手段はダニに対して罹病性であるかアレルギー反応を
    示す動物を同定するために前記試薬を使用することを含むキット。
  25. 【請求項25】 ダニに対して罹病性であるかまたはアレルギー反応を示す
    動物を同定する方法であって、 (a)請求項8に記載の試薬を動物の抗体と接触させる工程と、 (b)前記試薬と前記抗体との間の免疫複合体の形成を決定する工程であって
    、前記免疫複合体の形成により前記動物が罹病性であるかまたは前記アレルギー
    反応を有するかが示される工程と から成る方法。
  26. 【請求項26】 ダニのアレルギー反応に対して宿主動物を脱感作する方法
    であって、請求項8に記載の試薬を有する脱感作化合物を含む治療用組成物を前
    記動物に投与する工程から成る方法。
  27. 【請求項27】 請求項8に記載のエピトープに選択的に結合する単離抗体
  28. 【請求項28】 前記組成物が賦形剤、アジュバント、および担体から成る
    群より選択される成分をさらに含む請求項3、6、23、または26に記載の発
    明。
  29. 【請求項29】 請求項4または24の前記手段もしくは請求項5または2
    5の前記接触させる工程がインビトロまたはインビボで行われる請求項4、5、
    24、または25に記載の発明。
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