JP2002360285A - Babesiacanisワクチン - Google Patents

Babesiacanisワクチン

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】感染力がなく、容易に生産することができ、B
abesia canis感染に対して、好ましくは全
てのBabesia canis菌株に対して保護を与
えるワクチンが所望されている。 【解決手段】新規Babesia canis関連蛋白
質をコードする核酸配列、ならびにこれらの配列を含む
cDNA断片、組換えDNA分子及び生組換え担体、こ
れらのヌクレオチド配列によってコードされる蛋白質、
又はこれらの蛋白質をコードする遺伝物質を用い、Ba
besia canis感染を防御するためのワクチン
を調製する。また、Babesia canis関連核
酸配列の検出、Babesia canis関連抗原の
検出、及びBabesa canis関連抗原性物質に
対する抗体の検出のための診断ツールとして利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規Babesi
a canis関連蛋白質をコードする核酸配列、これ
らの配列を含むcDNA断片、組換えDNA分子及び生
組換え担体、ならびにかかる核酸配列、cDNA断片、
組換えDNA分子及び生組換え担体を含む宿主細胞に関
する。さらに、本発明は、これらのヌクレオチド配列に
よってコードされる蛋白質、Babesia cani
s感染を防御するためのワクチンとその調製のための方
法、ワクチンとして使用するためのBabesia c
anis関連抗原物質、及びワクチンの製造におけるB
abesia canis関連抗原物質の使用に関す
る。また、本発明は、Babesia canis関連
核酸配列の検出、Babesia canis関連抗原
の検出及びBabesia canis関連抗原物質に
対する抗体の検出のための診断ツールに関する。
【0002】バベシア症はマラリアのように限局特性を
持つ疾患である。この理由は、病原体が、脊椎動物個体
群に存在する寄生虫のリザーバーを餌とするマダニによ
って媒介されることによる。マダニが存在する場所にお
いてのみバベシア症が発生する。どちらかといえば、特
に在来の動物においては、寄生生物は重要な疾患を引き
起こすことなく宿主と共存する。多くの場合バベシア症
は、遺伝形質の近親交配及び/又はバベシア症が風土病
である不慣れな環境に動物を輸送することを介して人間
の活動が理由で問題となる(Callow,L.L.と
Dalgliesh,R.J.,1982)。
【0003】イヌでは、この疾患はB.canis(カ
クマダニ属(Dermacentor)のダニによって
媒介される)、B.rossi(チマダニ属(Haem
aphysalis)のダニによって媒介される)、
B.vogeli(コイタマダニ属(Rhipicep
halus)のダニによって媒介される)及びBabe
sia gibsoni)チマダニ属及びコイタマダニ
属のダニによって媒介される)によって引き起こされ
る。自然獲得されたバベシア症における疾患の徴候は、
通常感染から7〜21日後に始まる。これらの症状は次
のものを含む:発熱、食欲不振、抑うつ、貧血、血色素
尿症及び速やかに発現する衰弱。一般に涙液分泌の上
昇、唾液分泌過多及び筋振せんが起こる。感染の末期に
は神経徴候が発現することがあり、疾患を処置せずに放
置すると死に至る場合もある。汎発性血管内凝固症候群
(DIC)に類似した重篤な凝固障害が急性B.can
is感染において報告されている。血栓症は一般的では
ないが、巨核球と結合した小さなヒアリン血栓が報告さ
れている。これらの凝固障害は赤血球の粘着性上昇を導
くと思われる。その結果、微小血管系を通しての血液通
過が妨げられ、内器官のうっ血や充填赤血球量(PC
V)の減少をもたらす。これは一部の組織への酸素供給
を低下させ、その後酸素欠乏の結果として組織損傷を導
くと考えられる。B.canis感染におけるうっ血の
証拠は、イヌを化学療法で処置した実験からのものであ
る。これらの動物の一部は、脾の正常測定値への収縮を
伴って、充填赤血球量が2日間で25〜35%回復し
た。
【0004】バベシア属の4つの種はその病原性が異な
る。北アフリカB.vogeli菌株は軽度の疾患だけ
を誘発し、この疾患は通常治療を必要としない(オース
トラリアB.canis菌株と同様)。ヨーロッパB.
canis菌株は北アフリカ寄生生物よりも病原性が強
い。B.canis A菌株に関する我々の実験では、
約半数の動物が感染後化学療法治療を必要とした。南ア
フリカB.rossi菌株は最も病原性が強く、非常に
早期から特徴が認められる。南アフリカB.rossi
菌株を使用すると、無傷のイヌは、寄生生物の指数増殖
を特徴とする進行性疾患を発症した。これに対し、ヨー
ロッパB.canisに感染したイヌにおける寄生虫血
症は通常限られている。後者では、うっ血が主要な疾病
特徴であると思われる。
【0005】現在バベシア属のためのワクチンは、米国
特許第4,777,036号に述べられているように、
Babesia canisの菌株の培養上清から調製
される。しかし、そのようなワクチンはB.canis
のこの特定種の菌株の抗原だけしか含まない。そのよう
なワクチンは一般に(野生型)B.canisによる感
染に対してほとんど保護を与えない(Lepetit,
C.,Piroplasmose canine et
vaccination,Pirodog,Doct
oral Thesis,Univ.of Nante
s,1988)。前記論文の著者は、この感染防御免疫
の欠如について考えられる3つの原因を挙げている: 1.ワクチン接種に対するイヌの感受性; 2.ワクチン接種によって誘導される免疫エフェクター
機序のタイプ 3.バベシア属の抗原多様性。
【0006】全弱毒化バベシア属寄生生物を含むワクチ
ンは、寄生生物が再び有毒となり、その結果疾患を治癒
する代わりに疾患を蔓延させる危険性を常にはらんでい
る。それ故、サブユニットワクチンの使用が好ましい。
そこで、感染力がなく、容易に生産することができて、
Babesia canis感染に対して、好ましくは
すべてのBabesia canis菌株に対して保護
を与えるワクチンが所望されている。
【0007】各々単独に又は組み合わせたとき、イヌに
おいてBabesia canis感染防御を誘導する
ことができるBabesia canis関連蛋白質を
提供することが、中でも特に、本発明の目的である。意
外にも、Babesia canisに特異的に関連す
るそのような2つの新規蛋白質が存在することが発見さ
れた;それらはバベシア種、B.rossiにおいては
認められない。
【0008】新規蛋白質をBabesia canis
に関連すると称することは、これらの蛋白質がBabe
sia canis寄生生物中に存在することが認めら
れることを意味する。寄生生物の染色体上に遺伝情報が
認められることを意味しない。新規蛋白質についての遺
伝情報は、寄生生物中に認められるが、染色体外情報と
しても存在しうる。
【0009】新規蛋白質は、15kD蛋白質(又はBc
vir15)及び32kD蛋白質(又はBcvir3
2)と称される。15kD蛋白質のアミノ酸配列を配列
同定表の配列番号2に示す。この蛋白質をコードするc
DNAを配列決定し、その核酸配列を配列同定表の配列
番号1に示している。
【0010】32kD蛋白質のアミノ酸配列を配列同定
表の配列番号4に示す。この蛋白質をコードするcDN
Aを配列決定し、その核酸配列を配列同定表の配列番号
3に示している。
【0011】多くの異なる核酸配列が全く同一の蛋白質
をコードしうることは周知技術である。この現象は、ア
ミノ酸をコードする各トリプレットの2番目及び特に3
番目の塩基におけるゆらぎとして一般に知られている。
この現象は、やはり同じ蛋白質をコードする2つの異な
る核酸配列について約30%の非相同性をもたらしう
る。それ故、約70%の配列相同性を有する2つの核酸
配列がそれでも全く同一の蛋白質をコードすることがあ
りうる。
【0012】本発明の1つの実施形態は、15kDのB
abesia canis関連蛋白質又はかかる蛋白質
の免疫原性断片をコードする核酸配列に関し、前記蛋白
質又はその免疫原性断片は、配列番号2に示すようなア
ミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは90%、よ
り好ましくは95%の相同性を持つ。98%、さらには
100%の相同性レベルがさらに一層好ましい。
【0013】本発明のもう1つの実施形態は、32kD
のBabesia canis関連蛋白質又はかかる蛋
白質の免疫原性断片をコードする核酸配列に関し、前記
蛋白質又はその免疫原性断片は配列番号4に示すような
アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは90%、
より好ましくは95%の相同性を持つ。98%、さらに
は100%の相同性レベルがさらに一層好ましい。
【0014】言うまでもなく、本発明に基づいた蛋白質
をコードする核酸配列は、当該蛋白質をコードするRN
A及びこのRNAの遺伝子暗号を担うcDNA及びDN
Aにも等しく適用されることは明白である。結果とし
て、ある核酸配列又はその一部が、例えば配列番号1の
核酸配列と一定レベルの相同性を持つと言われる場合、
この相同性のレベルはcDNA及びcDNAを作製する
ための鋳型として使われるRNAについても等しく当て
はまり、また逆に(c)DNA及びそのDNAから転写
されるRNAについても同様である。
【0015】本発明が関連する蛋白質の免疫原性断片を
コードする上記核酸配列の部分は非常に小さくてもよ
い。例えば4個のアミノ酸長の免疫原性断片が知られて
いる。そのような免疫原性断片は12個のヌクレオチド
の核酸配列によってコードされる。そのような非常に短
いアミノ酸配列は、しかしながら、それだけでは免疫原
性を有しない:当該技術において既知である、KHLの
ような担体と結合する必要がある。より長い断片はそれ
自体で免疫原性となりうる。それ故、免疫原性断片をコ
ードする上記核酸配列の部分は少なくとも12個のヌク
レオチドを含む。15個以上、より好ましくは18個、
20個、25個、さらには30個以上のヌクレオチドを
含む部分が、この順序で選択順位が上がってさらに一層
好ましい。
【0016】本発明は、新規Babesia cani
s関連の15kD及び32kD蛋白質をコードする核酸
配列を開示し、これにより初めてこれらの蛋白質を十分
な量で入手することが可能となる。これは、例えば当該
蛋白質をコードする遺伝子を発現するような発現系を使
用することによって実施できる。
【0017】それ故、もう1つの実施形態では、本発明
は、本発明に基づいた核酸配列を含むcDNA断片に関
する。cDNAは、本発明に基づいた蛋白質をコードす
るRNAの、例えば逆転写酵素によって作製されたDN
Aのコピーである。そのようなcDNA断片の最も短い
形態が、本発明に基づいた核酸配列の一部のDNAコピ
ーである。しかしそれらはまた、コード配列の上流及び
下流に天然には存在しない隣接核酸配列も含みうる。
【0018】cDNAの発現の必須条件は、cDNAに
機能的に連結された適切なプロモーターであり、それ故
cDNAはプロモーターの制御下にある。プロモーター
の選択が、蛋白質発現のための宿主細胞として使用され
る細胞において遺伝子の転写を指令することができるあ
らゆる真核生物、原核生物又はウイルスプロモーターに
及ぶことは当業者には明白である。それ故、本発明のも
う1つの実施形態は、機能的に連結されたプロモーター
の制御下にある、本発明に基づいたcDNA断片又は核
酸配列を含む組換えDNA分子に関する。これは、例え
ば標準的な分子生物学手法によって入手することができ
る(Maniatis/Sambrook(Sambr
ook,J.Molecular cloning:a
laboratory manual,1989,I
SBN 0−87969−309−6)。
【0019】機能的に連結されたプロモーターとは、そ
れらが連結されている核酸配列の転写を制御することが
できるプロモーターである。そのようなプロモーター
は、そのプロモーターが発現に使用される細胞において
機能的であることを条件として、バベシア属プロモータ
ーでありうる。また非相同プロモーターであってもよ
い。宿主細胞が細菌であるとき、使用しうる有用な発現
制御配列は、Trpプロモーター及びオペレーター(G
oeddelら、Nucl.Acids Res.,
8,4057,1980);lacプロモーター及びオ
ペレーター(Changら、Nature,275,6
15,1978);外膜蛋白質プロモーター(Naka
mura,K.とInouge,M.,EMBO
J.,1,771−775,1982);バクテリオフ
ァージラムダプロモーター及びオペレーター(Rema
ut,E.ら、Nucl.Acids Res.,1
1,4677−4688,1983);α−アミラーゼ
(枯草菌(B.subtilis))プロモーター及び
オペレーター、終始配列及び選択した宿主細胞と適合性
である他の発現促進及び制御配列を含む。
【0020】宿主細胞が酵母であるとき、有用な発現制
御配列は、例えばα−交配因子を含む。昆虫細胞につい
ては、バキュロウイルスのポリヘドリン又はp10プロ
モーターが使用できる(Smith,G.E.ら、Mo
l.Cell.Biol.3,2156−65,198
3)。宿主細胞が哺乳類由来であるときには、有用な発
現制御配列の例は、SV−40プロモーター(Berm
an,P.W.ら、Science,222,524−
527,1983)又はメタロチオネインプロモーター
(Brinster,R.L.,Nature,29
6,39−42,1982)又は熱ショックプロモータ
ー(Voellmyら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,82,4949−53,198
5)を含む。
【0021】細菌、酵母、真菌、昆虫及び哺乳類細胞発
現系は非常に頻繁に使用される系である。そのような系
は周知技術であり、一般に入手可能であって、例えばC
lontech Laboratories,Inc.
4030 Fabian Way,Palo Alt
o,California 94303−4607,U
SAを通して市販されている。これらの発現系に次い
で、寄生生物に基づく発現系が非常に魅力的な発現系で
ある。そのような系は、例えばフランス特許願公開番号
2 714 074号及び米国NTIS公開番号US0
8/04310号(Hoffman,S.とRoge
rs,W.:公開日1993年12月1日)。
【0022】本発明のもう1つの実施形態は、本発明に
基づいたcDNA断片又は本発明に基づいた組換えDN
A分子を含む生組換え担体(Live Recombi
nant Carrier、LRC)に関する。そのよ
うな担体は、例えば細菌、寄生生物及びウイルスであ
る。これらのLRCは、付加的な遺伝情報、この場合に
は本発明に基づいた15kD又は32kD蛋白質をコー
ドする核酸配列又はその免疫原性断片がクローニングさ
れている微生物又はウイルスである。そのようなLRC
に感染した動物は、担体の免疫原に対してだけでなく、
遺伝子コードがLRC内に付加的にクローニングされて
いる蛋白質の免疫原性部分、例えば15kD又は32k
DのcDNAに対しても免疫原性応答を生じる。
【0023】細菌LRCの例として、当該技術において
既知の弱毒化サルモネラ属(Salmonella)菌
株が魅力的に使用できる。
【0024】生組換え担体寄生生物は、中でも特に、V
ermeulen,A.N.(Int.Journ.P
arasitol.28:1121−1130(199
8))によって記述されている。
【0025】また、LRCウイルスは核酸配列を標的細
胞内に輸送する手段としても使用しうる。生組換え担体
ウイルスはベクターウイルスとも呼ばれる。ベクターと
してしばしば使用されるウイルスは、ワクシニアウイル
ス(Panicaliら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA,79:4927(1982))、
ヘルペスウイルス(E.P.A.0473210A2
号)、及び逆ウイルス(Valerio,D.ら、Ba
um,S.J.,Dicke,K.A.,Lotzov
a,E.及びPluznik,D.H.(編集)「実験
的血液学の今−1988年(Experimental
Haematology today−198
8)」,Springer Verlag,New Y
ork:p.92−99(1989)より)である。
【0026】当該技術では周知のin vivo相同的
組換えの手法を使用して、組換え核酸配列を、宿主動物
において本発明に基づいた挿入核酸配列の発現を誘導す
ることができる、選択した細菌、寄生生物又はウイルス
のゲノムに導入することができる。
【0027】最後に本発明のもう1つの実施形態は、本
発明に基づいた核酸配列、本発明に基づいたcDNA断
片又は組換えDNA分子、又は本発明に基づいた生組換
え担体を含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、pBR3
22のような細菌ベースのプラスミド、又はpGEXの
よな細菌発現ベクター、又はバクテリオファージと組み
合わせた、細菌由来の細胞、例えば大腸菌(Esche
richia coli)、枯草菌(Bacillus
subtilis)及び乳酸杆菌(Lactobac
illus)種の細胞でありうる。宿主細胞はまた真核
生物由来、例えば酵母特異的ベクター分子と組み合わせ
た酵母細胞、又はベクター又は組換えバキュロウイルス
と組み合わせた昆虫細胞のような高等真核細胞(Luc
kowら、Bio−technology 6:47−
55(1988)、例えばTiプラスミドベースのベク
ター又は植物ウイルスベクターと組み合わせた植物細胞
(Barton,K.A.ら、Cell 32:10
3(1983))、やはり適切なベクター又は組換えウ
イルスと組み合わせた、Hela細胞、チャイニーズハ
ムスター卵巣細胞(CHO)又はクランデルネコ腎細胞
のような哺乳類細胞であってもよい。
【0028】本発明のもう1つの実施形態は、本発明に
基づいた新規Babesia canis関連蛋白質で
ある15dD及び32kD蛋白質及びその免疫原性断片
に関する。
【0029】免疫原性断片の概念を下記に定義する。
【0030】ここに包含される個々の蛋白質に関して、
個々のBabesia canis菌株に関連する蛋白
質間に天然の変異が存在しうることは明白であろう。こ
れらの変異は、全体的配列内でのアミノ酸の相違によっ
て、又はかかる配列内のアミノ酸の欠失、置換、挿入、
逆位又は付加によって明らかにされうる。生物学的及び
免疫学的活性を本質的に変化させないアミノ酸置換が、
例えばNeurathらにより、「蛋白質(The P
roteins)」Academic Press,N
ew York(1979)の中で述べられている。関
連アミノ酸の間でのアミノ酸置換又は進化の過程でしば
しば起こった置換は、中でも特に、Ser/Ala、S
er/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、Il
e/Val(Dayhof,M.D.,「蛋白質の配列
及び構造の図解(Atlas of protein
sequence and structure)」、
Nat.Biomed.Res.Found.,Was
ington D.C.,1978、第5巻、補遺3、
参照)である。他のアミノ酸置換は、Asp/Glu、
Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、S
er/Asn、Ala/Val、Thr/Phe、Al
a/Pro、Lys/Arg、Leu/Ile、Leu
/Val及びAla/Gluを含むこの情報に基づき、
LipmanとPearsonは、迅速で感受性の高い
蛋白質の比較(Science,227,1435−1
441,1985)及び相同蛋白質間の機能的類似性の
決定のための方法を開発した。本発明の例示的実施形態
のそのようなアミノ酸置換、ならびに欠失及び/又は挿
入を有する変異は、生じる蛋白質が免疫反応性を保持し
ているかぎり本発明の範囲内である。
【0031】これにより、本発明に基づいたBabes
ia canis関連蛋白質が、様々な野外分離株から
単離したとき、まだ同じ免疫学的特性、すなわちBab
esia canis感染に対する免疫応答を誘導する
能力を備えた同じ蛋白質でありながら、約80%の相同
性レベルを持ちうる理由が説明される。
【0032】まだBabesia canisによる感
染に対して又は少なくとも感染の臨床症状発現に対して
免疫応答を誘導することができる蛋白質を提供する、本
発明に基づいたある種の蛋白質アミノ酸配列の変異は、
「免疫原性に本質的に影響を及ぼさない」とみなされ
る。
【0033】それ故、この実施形態の1つの形態は、中
でも特に、15kDの分子量を持ち、配列番号2に示す
ようなアミノ酸配列と少なくとも80%相同であるアミ
ノ酸配列を含むBabesia canis関連蛋白質
及びかかる蛋白質の免疫原性断片に関する。
【0034】好ましい形態では、実施形態は、配列番号
2に示すようなアミノ酸配列と少なくとも85%、好ま
しくは90%、より好ましくは95%の相同性を持つ、
そのようなBabesia canis関連蛋白質及び
かかる蛋白質の免疫原性断片に関する。
【0035】98%、さらには100%の相同性レベル
がさらに一層好ましい。
【0036】もう1つの実施形態は、中でも特に、32
kDの分子量を持ち、配列番号4に示すようなアミノ酸
配列と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む
Babesia canis関連蛋白質及びかかる蛋白
質の免疫原性断片に関する。
【0037】この実施形態の好ましい形態は、配列番号
4に示すようなアミノ酸配列と少なくとも85%、好ま
しくは90%、より好ましくは95%の相同性を持つ、
そのようなBabesia canis関連蛋白質及び
かかる蛋白質の免疫原性断片に関する。
【0038】98%、さらには100%の相同性レベル
がさらに一層好ましい。
【0039】蛋白質の相同性のレベルはコンピュータプ
ログラム「BLAST 2 SEQUENCES」でサ
ブプログラム「BLASTP」を選択して決定すること
ができ、このサブプログラムはwww.ncbi.nl
m.nih.gov/blast/bl2seq/bl
2,html.でアクセスできる。
【0040】このプログラムについての参考文献は、T
atiana A.,Tatusova,Thomas
L.Madden FEMS Microbiol.
Letters 174:247−250(1999)
である。使用するマトリックス:「blosum6
2」。使用するパラメータはデフォルトパラメータであ
る:オープンギャップ:11、エクステンションギャッ
プ:1、ギャップx_ドロップオフ:50。
【0041】例えばワクチン接種のため又は抗体を惹起
するために蛋白質を使用するとき、全蛋白質を使用する
必要はない。それ自体で又は例えばKLHのような担体
に結合して、その蛋白質に対する免疫応答を誘導するこ
とができるその蛋白質の断片、いわゆる免疫原性断片を
使用することも可能である。「免疫原性断片」とは、宿
主細胞において免疫応答を誘導する能力を依然として保
持している、すなわちB又はT細胞エピトープを含む完
全長蛋白質の断片であると理解される。現在、抗原断片
(決定基)をコードするcDNA断片を容易に同定する
ために様々な手法が使用可能である。Geysenらが
述べた方法(特許願WO84/03654号、特許願W
O86/06487号、米国特許第4,833,092
号、Proc.Natl.Acad.Sci.81:3
998−4002(1984)、J.Imm.Met
h.102,259−274(1987))、いわゆる
PEPSCAN法は、蛋白質の免疫学的重要な領域であ
るエピトープを検出するための、容易に実施でき、迅速
で十分に確立された方法である。かかる方法は世界中で
使用されており、それ自体が当業者には周知である。こ
の(経験的な)方法は、B細胞エピトープの検出に特に
適する。また、何らかの蛋白質をコードする遺伝子の配
列が与えられれば、コンピュータアルゴリズムにより、
現在既知であるエピトープとの順序及び/又は構造上の
一致に基づいて特定の蛋白質断片を免疫学的に重要なエ
ピトープとして選定することができる。これらの領域の
決定は、HoppとWoods(Proc.Natl.
Acad.Sci.78:38248−3828(19
81))に従った親水性判定基準と、ChouとFas
man(Advances in Enzymolog
y 47:45−148(1987)及び米国特許第
4,554,101号)に従った二次構造局面の組合せ
に基づく。T細胞エピトープは、同様にBerzofs
kyの両親媒性判定基準(Sciences 235,
109−1062(1987)及び米国特許願NTI
S US 07/005,885号)を用いてコンピュ
ータによって配列から予想することができる。簡潔な概
要は次の文献中に認められる:一般的原理に関してはS
han Lu;Tibtech 9:238−242
(1991)、マラリアエピトープに関してはGood
ら;Science 235:10 9−1062(1
987)、総説についてはLu;Vaccine 1
0:3−7(1992),HIVエピトープについては
Berzowsky;TheFASEB Journa
l 5:2412−2418(1991)。
【0042】そこで、本発明のもう1つの実施形態は、
上述したような本発明に基づいた蛋白質又はその免疫原
性断片を製薬上許容される担体と共に含む、Babes
iacanis感染を防御するためのワクチンに関す
る。
【0043】本発明に基づいたワクチンを作製する1つ
の方法は、Babesia canis寄生生物の増殖
と、15kD及び32kD蛋白質の精製を含む。これ
は、しかしながら、非常に時間のかかるワクチン製造方
法である。従って工業的規模でそのようなワクチンを製
造することはあまり実用的ではないであろう。
【0044】本発明の利点の1つは初めて15kD及び
32kD蛋白質をコードする核酸配列を提供することで
ある。それ故、ワクチンとしてこれらの蛋白質又は本発
明に基づいたその免疫原性断片をコードするcDNAの
発現産物を使用することははるかに便利である。
【0045】これらのcDNAの発現産物に基づくワク
チンは、本発明に基づいた一方又は両方の蛋白質又は本
発明に基づいたその免疫原性断片を、下記に述べるよう
な製薬上許容される担体と混合することによって容易に
作製できる。本発明に基づいた一方又は両方の蛋白質又
は本発明に基づいたその免疫原性断片が発現された宿主
細胞と、製薬上許容される担体を直接混合することも可
能である。
【0046】その代わりに、本発明に基づいたワクチン
は、本発明に基づいた蛋白質又は本発明に基づいたその
免疫原性断片を発現することができる、上述したような
生組換え担体を含みうる。例えば細菌(例えばサルモネ
ラ属)担体、寄生生物又はウイルス担体に基づくそのよ
うなワクチンは、Babesia canisの自然の
感染方法をよりよく模倣することができるという点でサ
ブユニットワクチンより有利である。さらに、免疫には
少量の組換え担体しか必要としないので、それらの自己
増殖は利点である。そこで、さらにもう1つの実施形態
は、本発明に基づいた生組換え担体と製薬上許容される
担体を含む、Babesia canis感染を防御す
るためのワクチンに関する。
【0047】上述したすべてのワクチンが能動的ワクチ
ン接種に寄与する、すなわち本発明に基づいた1つ又は
それ以上の蛋白質又はその免疫原性断片が引き金となっ
て、宿主の免疫系がこれらの蛋白質又は断片に対する抗
体を産生する又はこれらの蛋白質に関連するエピトープ
によって特異的に惹起されるレセプターでT細胞個体群
を増殖させる。
【0048】あるいは、そのような抗体は、例えばウサ
ギにおいて惹起する又は下記に述べるような抗体産生細
胞系統から入手することができる。その後そのような抗
体を宿主動物に投与することができる。このワクチン接
種方法、すなわち受動的ワクチン接種は、動物が既に感
染していて、自然の免疫応答を惹起する時間がないとき
に選択されるワクチン接種法である。また免疫無防備状
態の動物にワクチン接種するための好ましい方法でもあ
る。これらの場合には、投与したBabesia ca
nisに対する抗体は、本発明に基づいた蛋白質及びこ
れらの蛋白質に接触した寄生生物と細胞に直接結合する
ことができる。これはBabesiacanisの増殖
を低下させる又は停止させるという利点を持つ。
【0049】それ故、本発明のこの実施形態からのもう
1つの形態は、本発明に基づいたBabesia ca
nis関連蛋白質又はかかる蛋白質の免疫原性断片と、
製薬上許容される担体を含む、Babesia can
is感染を防御するためのワクチンに関する。
【0050】もう1つの実施形態は、本発明に基づいた
抗体と製薬上許容される担体を混合することを含む、本
発明に基づいたワクチンの調製のための方法に関する。
【0051】ワクチンはまた、本発明に基づいた核酸配
列、cDNA断片、組換えDNA分子又は生組換え担体
を含む、上述したような宿主細胞に基づくこともでき
る。
【0052】それ故、本発明のもう1つの実施形態は、
本発明に基づいた宿主細胞と製薬上許容される担体を含
む、Babesia canis感染を防御するための
ワクチンに関する。
【0053】ワクチン接種の代替的で効率的な方法は、
関連抗原をコードするDNAによる直接ワクチン接種で
ある。蛋白質をコードするDNAの直接ワクチン接種は
多くの異なる蛋白質について成功を収めてきた(例えば
Donnellyら、TheImmunologist
2:20−26(1993)において検討されている
ように)。
【0054】このワクチン接種の方法はBabesia
canis感染に対するイヌのワクチン接種にとって
も魅力的である。
【0055】それ故、本発明のこの実施形態のさらなる
他の形態は、本発明に基づいた核酸配列と製薬上許容さ
れる担体を含むワクチン、及び本発明に基づいたcDN
A断片と製薬上許容される担体を含むワクチンに関す
る。
【0056】この実施形態のさらにもう1つの形態は、
本発明に基づいた組換えDNA分子と製薬上許容される
担体を含むワクチンに関する。DNAワクチンは、例え
ば無針注射器を用いて、皮内適用を通して容易に投与す
ることができる。この投与方法は、ワクチンを接種する
動物の細胞内にDNAを直接送達する。1〜100μg
のマイクログラム範囲内の量のDNAは非常に良好な成
績を提供する。
【0057】好ましい実施形態では、本発明に基づいた
ワクチンは、イヌに対して病原性の微生物又はウイルス
から誘導される付加的抗原、又はそのような抗原をコー
ドする遺伝情報を含む。
【0058】そのようなイヌに対して病原性の生物及び
ウイルスは、好ましくはEhrlichia cani
s、Babesia gibsoni、vogeli、
rossi、ドノバンリーシュマニア(Leishma
nia donovani)複合体、イヌパルボウイル
ス、イヌジステンパーウイルス、Leptospira
interrogans serovar cani
cola、icterohaemorrhagiae、
pomona、grippotyphosabrati
slava、イヌ肝炎ウイルス、イヌパラインフルエン
ザウイルス、狂犬病ウイルス、Hepatozoon
canis及びBorrelia burgdorfe
riの群から選択される。
【0059】本発明に基づいたワクチンはすべて製薬上
許容される担体を含む。製薬上許容される担体は、例え
ば滅菌水又は滅菌生理食塩水でありうる。より複雑な形
態では、担体は例えば緩衝液でありうる。
【0060】ワクチンの調製のための方法は、本発明に
基づいた核酸配列、cDNA断片、組換えDNA分子又
は生組換え担体、本発明に基づいた宿主細胞、又は本発
明に基づいた蛋白質又はその免疫原性断片と、製薬上許
容される担体を混合することを含む。
【0061】そこで、本発明のもう1つの実施形態は、
本発明に基づいた核酸配列、本発明に基づいたcDNA
断片、本発明に基づいた組換えDNA分子、本発明に基
づいた生組換え担体又は本発明に基づいた宿主細胞又は
本発明に基づいた蛋白質と、製薬上許容される担体を混
合することを含む、本発明に基づいたワクチンの調製の
ための方法に関する。
【0062】本発明に基づいたワクチンは、好ましい形
態として、同時にアジュバントを含みうる。一般にアジ
ュバントは、非特異的に宿主の免疫応答を高める物質を
含む。多くのアジュバントが当該技術において知られて
いる。アジュバントの例は、フロイント完全及び不完全
アジュバント、ビタミンE、非イオン性ブロックポリマ
ー、ムラミルジペプチド、Quill A(登録商標)
のようなサポン、鉱油、例えばBayol(登録商標)
又はMarkol(登録商標)、植物油、及びCarb
opol(登録商標)(ホモポリマー)、又はDilu
vac(登録商標) Forteである。
【0063】ワクチンはまた、いわゆる「賦形剤」を含
みうる。賦形剤は、蛋白質がそれに供給結合することな
く付着する化合物である。多用される賦形剤化合物とし
ては、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム
又は酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、及びベント
ナイトである。
【0064】抗原が部分的に賦形剤中に包埋されている
というような賦形剤の特殊な形態はいわゆるISCOM
(EP 10,942号、EP 180,564号、
EP242,380号)である。
【0065】さらに、ワクチンは1つ又はそれ以上の適
当な界面活性化合物又は乳化剤、例えばSpan又はT
weenを含みうる。
【0066】しばしばワクチンは、例えば分解しやすい
蛋白質を分解から保護するため、ワクチンの貯蔵寿命を
高めるため、又は凍結乾燥効率を改善するために安定剤
と混合される。有用な安定剤は、中でも特に、SPGA
(Bovarnikら;J.Bacteriology
59:509(1950))、炭水化物、例えばソル
ビトール、マンニトール、トレハロース、デンプン、ス
クロース、デキストラン又はグルコース、アルブミン又
はカゼインのような蛋白質又はその分解産物、及びアル
カリ金属リン酸塩のような緩衝剤である。
【0067】さらに、ワクチンは生理的に許容される希
釈剤に懸濁することができる。賦形剤化合物又は希釈剤
を補助し、付加する他の方法、蛋白質を乳化又は安定化
する他の方法も本発明において体現されることは言うま
でもない。
【0068】そこで、この実施形態の好ましい形態は、
アジュバントを含む、本発明に基づいたBabesia
canis感染を防御するためのワクチンに関する。
【0069】本発明に基づいたワクチンは、1〜100
マイクログラムの範囲の量で非常に適切に投与しうる
が、より低い用量も原則として使用できる。100マイ
クログラムを越える用量は、免疫学的には非常に適切で
あるが、商業的理由からあまり魅力的ではないであろ
う。
【0070】上述したLRCウイルス、寄生生物及び細
菌のような生弱毒化組換え担体に基づくワクチンは、そ
れらの感染中に自ら増殖するので、はるかに低い用量で
投与することができる。それ故、適当量は、それぞれ細
菌、寄生生物及びウイルスについて10〜10CF
U/PFUの間の範囲であろう。
【0071】多くの投与方法が適用できる。例えばワク
チンの筋肉内適用による全身適用は適切な投与法であ
る。この経路を使用する場合には、全身適用のための当
該技術において既知の標準的手法が良好に適する。真皮
内(intradermal)、皮下及び皮内(int
racutaneous)投与法も魅力的である。
【0072】本発明のさらにもう1つの実施形態は、ワ
クチン使用のための本発明に基づいたBabesia
canis関連蛋白質に関する。
【0073】本発明のさらにもう1つの実施形態は、B
abesia canis感染を防御するためのワクチ
ンの製造のための、本発明に基づいたBabesia
canis関連蛋白質の使用に関する。
【0074】疾患予防の見地から、Babesia c
anis感染の迅速で正確な診断が重要である。
【0075】それ故、Babesia canis感染
の検出に適した診断ツールを提供することが本発明のも
う1つの目的である。
【0076】Babesia canisの検出のため
の診断検査は、例えば検査する動物から単離したRNA
と特異的プローブとの反応に基づく、あるいは例えば1
5kD又は32kD蛋白質についてのコード配列に基づ
くRT−PCR検査又はかかるコード配列に相補的な核
酸配列に基づくRT−PCR検査である。本発明に基づ
いたBabesia canis関連蛋白質に特異的な
核酸分子が動物中に存在する場合、これらは、例えば特
異的PCRプライマーに特異的に結合し、その後RT−
PCR反応において増幅される。次にDNAゲル電気泳
動においてPCR反応産物を容易に検出することができ
る。RT−PCR反応は周知技術である(下記の参考文
献参照)。核酸分子は、試験する動物の赤血球(その中
に存在する寄生生物)から最も容易に単離できる。標準
的なPCRテキストが、本発明に基づいたBabesi
a canis関連蛋白質に特異的な核酸分子との選択
的PCR反応のためのプライマー長を決定する方法を教
示する。少なくとも12個のヌクレオチドのヌクレオチ
ド配列を持つプライマーがしばしば使用されるが、15
個以上、より好ましくは18個以上のヌクレオチドのプ
ライマーは幾分より選択的である。特に少なくとも20
個、好ましくは少なくとも30個のヌクレオチド長を持
つプライマーは極めて一般的に適用しうる。PCR手法
は(Dieffenbach & Dreksler;
PCR primers,a laboratory
manual.ISBN 0−87969−447−5
(1995))の中で広汎に記述されている。Babe
sia canis関連蛋白質をコードする核酸配列あ
るいは少なくとも12個、好ましくは15個、より好ま
しくは18個、さらに一層好ましくは、選択順位が上が
る順に20個、22個、25個、30個、35個又は4
0個以上のヌクレオチド長を持つそれらの核酸分子の部
分であって、配列番号1又は3に示すような核酸配列又
は配列番号1又は3に示すような核酸配列に相補的な核
酸配列と少なくとも70%の相同性を持つ核酸分子又は
その部分も、それ故、本発明の一部である。そのような
核酸分子は、例えば本発明に基づいた蛋白質をコードす
る核酸の量を高めるために(RT−)PCR反応におけ
るプライマーとして使用することができる。これは、例
えば上記に示したような組織におけるBabesiaの
検出のための診断ツールとして使用するための特異的ヌ
クレオチド配列の迅速な増幅を可能にする。
【0077】蛋白質の相同性のレベルはコンピュータプ
ログラム「BLAST 2 SEQUENCES」でサ
ブプログラム「BLASTP」を選択して決定すること
ができ、このサブプログラムはwww.ncbi.nl
m.nih.gov/blast/bl2seq/bl
2,html.でアクセスできる。
【0078】このプログラムについての参考文献は、T
atiana A.,Tatusova,Thomas
L.Madden FEMS Microbiol.
Letters 174:247−250(1999)
である。使用するマトリックス:「blosum6
2」。使用するパラメータはデフォルトパラメータであ
る:オープンギャップ:11、エクステンションギャッ
プ:1、ギャップx_ドロップオフ:50。
【0079】もう1つの核酸ベースの試験は、赤血球か
ら得られた寄生生物材料の増殖、次いで古典的RNA精
製とそれに続くcDNA合成及び/又は放射標識又は色
素標識した15kD又は32kD蛋白質特異的なcDN
A断片との古典的ハイブリダイゼーションに基づく。P
CR反応とハイブリダイゼーション反応はいずれも周知
技術であり、中でも特にManiatis/Sambr
ook(Sambrook,J.ら、Molecula
r cloning:laboratorymanua
l.ISBN 0−87969−309−60に述べら
れている。
【0080】そこで、本発明のもう1つの実施形態は、
試験が、配列番号1又は3に示すような核酸配列と少な
くとも70%の相同である核酸配列、又はかかる核酸配
列に相補的なヌクレオチド配列、又は少なくとも12
個、好ましくは15個、より好ましくは18個のヌクレ
オチドの長さを持つその断片を含むことを特徴とする、
Babesia canis関連RNAの検出のための
診断検査に関する。
【0081】例えば血清、組織又は体液中のBabes
ia canis関連蛋白質に対する抗体の検出のため
の診断検査は、本発明に基づいた15kD又は32kD
蛋白質又はその抗原性断片がELISAプレートの穴の
壁に被覆されている簡単な標準ELISA試験でありう
る。そのような抗体の検出のための方法としては、例え
ば15kD又は32kD蛋白質又はその抗原性断片を被
験哺乳類からの血清と共に反応させ、次いで関連哺乳類
抗体に対する標識抗体と共に反応させることである。そ
の後呈色反応によってBabesia canis関連
蛋白質に対する抗体の存在の可否を明らかにすることが
できる。診断検査系のもう1つの例は、本発明に基づい
た15kD又は32kD蛋白質又はその抗原性断片を被
験哺乳類の血清と反応させ、その後ウエスタンブロット
分析をすることである。
【0082】そこで、本発明のもう1つの実施形態は、
試験が本発明に基づいた蛋白質又はその免疫原性断片を
含むことを特徴とする、Babesia canis関
連抗原物質に対する抗体の検出のための診断検査に関す
る。
【0083】Babesia canis関連抗原の特
異的15kD又は32kD蛋白質の抗原物質の検出に基
づく診断検査であって、それ故Babesia can
is感染の検出に適した診断検査は、例えば標準的サン
ドイッチELISA試験でありうる。そのような試験の
一例としては、ELISAプレート壁が15kD又は3
2kD蛋白質又はその免疫原性断片に対する抗体で被覆
されている。被験物質と共に反応させたあと、標識抗B
abesia canis抗体をウエルに加える。その
後呈色反応によってBabesia canisの抗原
物質の存在を明らかにする。
【0084】それ故、本発明のさらにもう1つの実施形
態は、当該試験が本発明に基づいた蛋白質又はその免疫
原性断片に対する抗体を含むことを特徴とする、Bab
esia canis関連抗原物質の検出のための診断
検査に関する。
【0085】上述したようにして発現される本発明に基
づいた蛋白質又はその免疫原性断片を使用して抗体を作
製することができ、かかる抗体はポリクローナル、単一
特異性又はモノクローナル(又はその誘導体)でありう
る。ポリクローナル抗体を所望する場合、ポリクローナ
ル血清を産生し、処理するための手法は周知技術である
(例えばMayerとWalter編集、「細胞及び分
子生物学における免疫化学的方法(Immunoche
mical Methods in Celland
Molecular Biology)」、Acade
mic Press,London,1987)。
【0086】本発明に基づいた蛋白質(又はその変異体
又は断片)に対するモノクローナル抗体は、公知技術の
手法により(KohlerとMilstein,Nat
ure,256,495 497,1975)、近交系
マウスを免疫することによって調製できる。
【0087】本発明のさらにもう1つの実施形態は、当
該方法が、血清、組織又は体液を本発明に基づいた15
kD又は32kD蛋白質又はその抗原性断片に対する抗
体と共に反応することを含む、Babesia can
isからの抗原物質の検出のための方法に関する。
【0088】
【実施例】実施例1 BCVIR cDNAの分子的特定 Babesia canisの増殖 Babesia canisの分離菌(分離菌A及び
B)をフランスで自然感染したイヌから入手した。それ
らをSchettersら(1997、Parasit
ology,115,485−493)に従って試験管
内培養で継代した。
【0089】cDNAライブラリーの構築、免疫学的ス
クリーニング及びプラスミドDNAの単離 Babesia canis(分離菌A)からのcDN
Aライブラリーを、Carretら(1999、Eu
r.J.Biochem.,265,1015−102
1)がB.rossiについて述べたようにしてZAP
Express(商標) cDNA Gigapac
k(登録商標) II Gold Cloningキッ
ト(Stratagene)を用いて構築した。Pla
smodium falciparum Pf60多重
遺伝子ファミリーの1つに対するポリクローナル抗体、
抗GST60.1(抗大腸菌抗体が除去されている)
(Carcyら、1994、Mol.Biochem.
Parasitol.68:221−233)を1:1
00の希釈で使用して、Carretら(1999、E
ur.J.Biochem.,265,1015−10
21)が述べたようにしてライブラリーをスクリーニン
グした。4−クロロ−1−ナフチルを色素原として使用
して(Sigma)、ペルオキシダーゼに複合したヤギ
抗ウサギIgG(Sigma)を用いて陽性クローンを
視覚化した。それらを精製し、BCVIRcDNAを担
うpBK−CMVプラスミドをCarretら(199
9、Eur.J.Biochem.,265,1015
−1021)が述べたようにして調製した。
【0090】DNA配列決定 T3、T7万能プライマーと各々の鎖の確立された配列
から誘導したオリゴヌクレオチドを用いて選択したプラ
スミドの両方の鎖に関して、Genome Expre
ss S.A.(Zone Astec,Grenob
le,France)によりSangerら(197
7、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
74(12):5463−5467)に従ってアルカリ
変性二本鎖鋳型からのジデオキシ法を使用してヌクレオ
チド配列決定を実施した。
【0091】BCVIR cDNAの5’末端のクロー
ニング 完全長BCVIR cDNA配列を得るために、欠失し
ている5’末端を次のようにして得た:cDNAライブ
ラリーを、ベクター配列(EcoRIクローニング部位
の70bp上流に位置する)から誘導したT3センス万
能プライマー及びBCVIR cDNA配列(当該cD
NAの完全な配列においてEcoRIクローニング部位
の476−496下流のヌクレオチド位置、図1及び図
2参照)から誘導したアンチセンスプライマーP2
(5’−ATGAGTCTATTGACTCCTTG−
3’)を使用するPCR実験のためのDNA鋳型として
用いた。PCRは、cDNAライブラリー1μl(10
ファージ)をDNA鋳型として用いて、下記に述べる
ように(PCR増幅の章)実施した。生じた最大のPC
R断片を(約550bpの大きさ)ゲル抽出スピンカラ
ム(Genomed)を用いてゲル抽出し、pGEM
(登録商標)−TベクターシステムIIキットを用いて
Promegaの推奨する条件下でpGEM(登録商
標)−Tベクターにクローニングし、T7及びSP6万
能プライマー(Genome Express)を用い
て下記に述べるように二本の鎖について配列決定した。
【0092】PCR増幅 PTC−100(商標) Programmable
Thermal Controller(MJ Res
earch,Inc.)において、Carretら(1
999、J.Eukaryot.Micobiol.,
46(3),298−303)が述べたようにして次の
条件下で増幅を行った:94℃で3分間、94℃で1分
間の30サイクル、55℃で1分間及び72℃で1分
間、そしてさらに72℃で5分間。プライマーP1(セ
ンス5’−GACGTTTGATGTGATGAGGG
AAGC−3’)、P5(センス5’−AGGGAGC
TGTCACGGAAGATT−3’)、P2(アンチ
センス)及びP15.2(アンチセンス5’−AATG
ACATACTCACAGGAAGC−3’)はすべて
BCVIR cDNA配列から誘導したものであり(そ
れぞれの位置は図1に示されている)、この配列の分子
分析に一般的に使用した。
【0093】BCVIR cDNA配列のゲノムDNA
分析 Maniatis/Sambrookが述べた標準的手
法を用いて(Sambrookら、「分子クローニン
グ:実験室マニュアル(Molecular clon
ing:a laboratory manual)、
ISBN 0−87969−309−6)、Babes
ia canis培養からのゲノムDNA抽出とサザン
ブロット実験を実施した。プローブは、BCVIR c
DNAをDNA鋳型として担うpBK−CMVプラスミ
ドを用いてP1/P15.2又はP1/P2プライマー
の組合せによるPCRを実施して入手し、それらを製造
者(Boehringer Mannheim)の推奨
する条件下でニックトランスレーションキットを用いて
標識した。またこれらのプローブを、パルスフィールド
ゲル電気泳動(PFGE)により0.7%アガロース
(ICN)で分離し、ナイロン膜に移したB.cani
sの染色体に関しても試験した。
【0094】対照として、同じ膜上でB.canis
AのBcc12D3 cDNAから誘導したプローブを
BCVIR cDNA配列から誘導したプローブとハイ
ブリダイズして、ハイブリダイゼーション実験を行っ
た。Amersham Pharmacia Biot
echが推奨するように脱ハイブリダイゼーションを実
施した。
【0095】BCVIR cDNA配列のRNA分析 Promegaに従ってRNAgentsR Tota
l RNA Isolation Systemを用い
て全RNAを抽出し、RT/PCR及びノーザンブロッ
ト実験のための出発物質として使用した。
【0096】RT−PCR。Enhanced Avi
an RT−PCRキットの2段階プロトコールを使用
して製造者(Sigma)が述べているようにRT−P
CRを実施した。簡単に述べると、全RNA 250p
gを鋳型として、特異的cDNAプライマー(センスP
1、センスP5(5’−AGGGAGCTGTCACG
GAAGATT−3’)又はアンチセンスP15.2)
1μMを使用して42℃で50分間第一段階(逆転写)
を実施し、第一段階の反応物の5分の1を鋳型として使
用して、上述したように(PCR増幅の章)50℃のア
ニーリング温度で第二段階を実施した。対照として、D
NA汚染について試験した各々のプライマーに関してe
AMV−RTなしで第一段階を実施し、B.canis
AのBcc12D3 cDNAから誘導した特異的プ
ライマー(センスBcc12D3.1及びアンチセンス
Bcc12D3.2)に関しても実験を行った。
【0097】ノーザンブロット分析。ノーザンブロット
実験のために、Maniatis/Sambrookが
述べたようにして(Sambrookら、「分子クロー
ニング:実験室マニュアル(Molecular cl
oning:a laboratory manua
l)、ISBN 0−87969−309−6)、ホル
ムアルデヒドを含むゲルを通して全RNAを電気泳動
し、ナイロン膜に移した。BCVIR cDNA配列に
関して増幅し、DIG High Prime DNA
標識キット(Boehringer Mannhei
m)に従ってジゴキシゲニン(DIG)−dUTPで標
識したP1/P2 PCR断片から誘導したプローブで
ハイブリダイゼーションを実施した。mRNAを欠く全
RNAサンプルもハイブリダイゼーション実験のために
使用し、PolyA Tract mRNA Isol
ation Systems(登録商標) IIIキッ
ト(Promega)を用いてmRNA除去を行った。
【0098】結果 BCVIR cDNAの分離と配列 P.falciparumのPf60多重遺伝子ファミ
リーの1つに対する抗GST60.1抗血清(Carc
yら、1994、Mol.Biochem.Paras
itol.68:221−233)を使用したB.ca
nis(分離菌A)のcDNAライブラリーの免疫スク
リーニングによって、BCVIR cDNAを分離し、
配列決定した。BCVIR cDNAの完全なヌクレオ
チド配列は1135個のヌクレオチドを含み(EcoR
IからXhoIクローニング制限部位の間)、ポリ
(A)22テールを有していた(図1A及び図2)。こ
のcDNAの興味深い特徴は、2つの重複オープンリー
ディングフレーム(ORF)が推定されることである
(図1A):ヌクレオチド75(ATG、メチオニンに
ついての開始コドン)と500(TAA、停止コドン)
の間のORF1及びヌクレオチド448(イソロイシン
についてのATTコドン)と933(TGA、停止コド
ン)の間のORF2。これら2つのORFは52個のヌ
クレオチド(448−500の位置)が重複し、+1シ
フトしている(図1A)。ORF1は、メチオニンから
始まり、15.7kDaの予想分子量と10.9の等電
点を持つ141個の残基の推定ポリペプチド(Bcvi
r15と称される)をコードする(図2)。ORF2は
コンセンサス翻訳開始配列を含まず、Ileによって開
始される(図1A)。15.2kDaの予想分子量を持
つ133個の残基の推定ポリペプチドをコードする。O
RF1とORF2間の+1シフトにより、これら2つの
ORFは重複領域において異なるアミノ酸配列を示す
(図1B)。BCVIRcDNAの重複量息の配列分析
は、その領域におけるそのような+1リボソームフレー
ムシフトが、859個のヌクレオチド配列の翻訳から生
じる、285個の残基のORF1−ORF2融合蛋白質
(Bcvir32と称される)を産生したと考えられる
ことを示唆した(図3)。Bcvir32は32.3k
Daの推定分子量と10.5の等電点を持つと考えられ
る。
【0099】DNA分析 B.canis(分離菌A及びB)のゲノムにおけるB
CVIR cDNA配列の存在を、これらの分離菌から
のDNA(サザンブロット)又は染色体(PFGE)の
両方に関してPCRとハイブリダイゼーション実験によ
って分析した。
【0100】PCR実験 これらは、BCVIR cDNA配列からの特異的プラ
イマーの3つの組合せを使用して実施した:ORF1を
カバーするP1/P2とP5/P2(それぞれ図4Aと
4B)、及びORF2及びcDNAのこれら2つのOR
F間の重複領域をカバーするP5/P15.2(図4
C)。対照として、これらのプライマーの組合せによっ
てpBK−CMVプラスミドが担うcDNA BCVI
R上の約360、160及び630bpのDNA断片を
増幅し(図4A−C、レーン5)、非感染イヌから調製
したゲノムDNAに関して陰性であった(図4A−C、
レーン4)。これらのプライマーの組合せは、B.ca
nisの分離菌A及びBからのゲノムDNAに関して試
験したときゲノムDNA断片を増幅できなかった(図
4、それぞれレーン1及び2)のに対し、DNA試料に
ついての対照として、B.canisのBcc12D3
cDNAから誘導した特異的プライマーは、これらの
試料に関して予想される1200bpのゲノムDNA断
片を特異的に増幅することができた(図4D、それぞれ
レーン1及び2)。さらに、BCVIRcDNA配列か
らのプライマーは、Bcc12D3 cDNAから誘導
したものと同様に、B.rossiの分離菌Fからのゲ
ノムDNAに関するPCRにおいて陰性であった(図
4、レーン3)。
【0101】ハイブリダイゼーション実験 BCVIR cDNA配列からのPCR断片P1/P2
及びP5/P15.2を用いて合成したプローブとのハ
イブリダイゼーションを、様々な制限酵素によって消化
して(サザンブロット)又は染色体上で(PFGEによ
って分離して)、B.canisの分離菌AとB及び
B.rossiの分離菌FのゲノムDNAに関して実施
した。いずれのハイブリダイゼーション実験を実施した
場合も、これらのプローブはB.canisのゲノムD
NA上のBCVIR配列を検出することができなかった
のに対し、これらのプローブを膜から脱ハイブリダイゼ
ーションした後、Bcc12D3 cDNA配列から誘
導したプローブはB.canisのゲノムDNA上のそ
の配列を検出することができた(データは示していな
い)。
【0102】RNA分析 B.canisの分離菌Aから抽出した全RNAを使用
して、RT−PCR(図5、A−C)及びハイブリダイ
ゼーション実験(ノーザンブロット)(図6)によって
BCVIR cDNA配列の分析を実施した。
【0103】RT−PCR実験。BCVIR配列のRT
−PCR分析のため、Bcc12D3 cDNA配列の
分析を対照として使用した(図5D及び5E)。この対
照に関して予想されたように、Bcc12D3からの1
200bpのDNA断片は、アンチセンスプライマーB
cc2D3.2で第一の逆転写段階を実施したときには
プライマーBcc12D3.1/Bcc12D3.2の
組合せでのPCRによって増幅されたが(図5E、レー
ン5)、センスプライマーBcc12D3.1で実施し
たときには増幅されなかった(図5D、レーン4)。B
CVIR配列の分析については、予想される630bp
のDNA断片は、アンチセンスプライマーP15.2で
逆転写の第一段階を実施したときプライマーP5/P1
5.2の組合せでのPCRによって増幅された(図5
C、レーン3)。しかし意外にも、630bpのこのD
NA断片は、センスプライマーP5で逆転写の第一段階
を実施したときこのP5/P15.2プライマーの組合
せでのPCRによっても増幅された(図5B、レーン
2)。同じように、センスプライマーP1で逆転写の第
一段階を実施したときP1/P2プライマーの組合せで
のPCRによって予想外の360bpのDNA断片が増
幅された(図5A、レーン1)。逆転写段階でe−AM
P逆転写酵素を除いて同じ実験を実施したとき、これら
のプライマーの組合せでのPCRによってDNA断片を
増幅することはできず(図5、レーン1’−5’)、逆
転写段階でセンスプライマーP1又はP5を用いて増幅
された360及び630bpのDNA断片は、先に認め
られたように(DNA分析の章)、ゲノムDNA由来で
はないことを明らかにした。さらに、それらの配列決定
及び全体的BCVIR cDAN配列から誘導したプロ
ーブとのハイブリダイゼーション(図5、III)によ
ってそれらの特異性が確認された。
【0104】ノーザンブロット実験 BCVIRのORF1配列に対応するプローブによる
B.canis(分離菌A)から抽出した全RNAへの
ハイブリダイゼーションによって3つの異なるRNAバ
ンドを検出した:約1400塩基の濃いバンドと約12
00及び2800塩基の2つの薄いバンドであった(図
6、レーン2)。開始時には同量の全RNAを使用し、
mRNAを除去してハイブリダイゼーションを実施した
とき、1200塩基のバンドは消失し(図6、レーン
3)、cDNAの大きさと一致して、このRNAバンド
がmRNAであることを示唆した。またこれは、センス
プライマーで逆転写段階を実施したときRT−PCRに
よって得られた結果と一致し、BCVIR cDNA配
列が非メッセンジャーRNA(1400及び2800塩
基の長さのバンド)によって担われることが確認され
た。
【0105】BCVIR cDNA配列でB.ross
i(図6、レーン4)又はウシ種であるB.diver
gens(図6、レーン1)からの全RNAにハイブリ
ダイズしたときシグナルは認められなかった。
【0106】結論 BCVIR cDNA配列の分子的な特定としては、そ
れがB.canisゲノムDNA由来ではないことが示
された。かかる配列が、mRNAだけでなく1.4kb
と3kbの非メッセンジャーRNAによっても担われる
ことを明らかにしている。また、このcDNAからの配
列はB.canisのヨーロッパ分離株において特異的
に認められ、Babesia rossiでは認められ
ないことを明らかになった。
【0107】実施例2 BCVIR cDNA配列によってコードされる蛋白質
の生化学的な特定 大腸菌におけるGST−ORF1及びGST−ORF2
組換え蛋白質の発現と精製 BCVIR cDNAからのORF1とORF2によっ
てコードされる産物を組換え蛋白質として発現し、それ
らに対する特異的抗血清を作製するために、2つのOR
Fをグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)
により、インフレームでEcoRI/XhoI切断脱リ
ン酸化pGEX−4T3ベクター(Amersham
Pharmacia Biotech)にサブクローニ
ングした。ORF1によってコードされるBcvir1
5蛋白質(aaM−I141、図2)を産生するた
め、1041bpのcDNA配列(BCVIR cDN
Aの5’末端が失われている)を含むEcoRI/Xh
oI断片をpBK−CMV組換えプラスミドから切り出
し、ベクターにサブクローニングした。ORF2配列か
ら推定されるアミノ酸配列(aa配列N154−C
285、図3)、すなわち2つのORF間の52bpの
重複領域(図1におけるヌクレオチド位置448−50
0)を除外したアミノ酸配列に対して特異的な抗血清を
得るため、PCR実験によってORF2配列内にEco
RI制限部位を設けた。そこで、pBK−CMVプラス
ミドが担う1041bpのBCVIR cDNA配列
を、センスプライマーPECO(5’−ATGAGGA
ATTCGAACCGACTA−3’;完全なBCVI
R cDNA配列上のヌクレオチド位置529−549
に位置する、図1及び図2)及びベクター配列から誘導
したアンチセンスT7万能プライマー(XhoIクロー
ニング部位の75bp下流に位置する)によるPCR実
験のための鋳型DNAとして使用した。増幅した断片
を、pGEM(登録商標)−TベクターSystem
IIキットを使用してPromegaの推奨条件下でp
GEM(登録商標)−Tベクターにクローニングした。
ORF2からの約600bpのDNAを含むEcoRI
/XhoI断片を組換えプラスミドから遊離し、その後
ベクターにサブクローニングした。どちらのクローニン
グについても、大腸菌BL21細胞内へのライゲーショ
ン混合物による形質転換を実施し、BCVIR cDN
A配列からの特異的プライマーでのPCRを用いて陽性
クローンを選択した。
【0108】pGEX−4T3ベクターからの組換えG
ST−Bcvir15蛋白質及び非組換えGSTの発現
と精製をSmithとJohnson(1988、Ge
ne,67(1):31−40)に従って実施した。し
かし、GST−PRF2は封入体内で凝集するため、こ
の標準手法を用いて精製することができなかった。それ
故、NagaiとThogersenのプロトコール
(1987、「酵素学における方法(Methods
in enzymology)」より(R.WuとL.
Grossman編集)、153、461−481)に
従って、最初に全細胞抽出物から封入体を分離した。次
にそれらを解離し、12%SDS−PAGEに負荷した
(Laemmli UK,1974,Nature(L
ondon),287:680−685)。最後に、組
換えGST−ORF2をゲルから電気溶出し、下記に述
べるようにウサギを免疫するために使用した。
【0109】GST−ORF1及びGST−ORF2蛋
白質に対する抗体の作製 ポリクローナル抗血清。E.HarlowとD.Lan
e(「抗体:実験室マニュアル(Antibodie
s:a laboratory manual)」、I
SBN2−907516−15−9)に従って、GST
−ORF1に対して惹起したポリクローナル抗血清をマ
ウスとウサギにおいて作製し、GST−ORF2に対し
て惹起したポリクローナル抗血清をウサギにおいて作製
した。ウサギ(ニュージーランド白色)を、1回目の注
射についてはフロイント完全アジュバント(FCA)
(Sigma)中に乳化した精製GST組換え蛋白質5
0μgにより皮下経路で、またその後の2回については
フロイント不完全アジュバント(FIA)(Sigm
a)を用いて筋肉内注射によって免疫した。Balb/
Cマウスを、1回目の注射についてはFCA中、またそ
の後の2回についてはFIA中に乳化したGST−OR
F1 15μgで腹腔内免疫した。動物の注射は3週間
の間隔で実施し、各免疫の8日前に採血を行った。
【0110】モノクローナル抗体の作製とスクリーニン
グ 組換えGST−ORF1で免疫したマウスからの脾細胞
をX−63 Ag8−653骨髄種と融合する48時間
前に、GST−ORF1 15μgの最後の注射を実施
した。モノクローナル抗体を単離するための融合過程と
限界希釈によるクローニングをBrownら(197
9、J.Immunol.Methods,31:20
1−209)に従って実施した。ハイブリドーマ上清を
下記に述べるような間接免疫蛍光アッセイによってスク
リーニングした。
【0111】免疫学的方法 免疫ブロット法 次のようにして調製した精製B.canisメロゾイト
に関して免疫ブロット法を実施した:インビトロ培養か
らの寄生赤血球(20%の血中寄生虫レベル)を滅菌R
PMI 1640培地(Life Technolog
ies)で十分に洗った。ペレットを37℃で30分
間、最終濃度36U/mlの黄色ブドウ球菌(S.au
reus)(Sigma)からのα−溶血素で溶解し
た。遊離メロゾイトと残りの非溶解細胞を遠心分離(3
500g、30分間)によってペレット化し、上清を廃
棄した。ペレットをTBSで1回洗い、TBS 2ml
に懸濁して、1.09密度の低層と1.02密度の上層
によって形成したサッカロース勾配での遠心分離(35
00g、30分間)によってメロゾイトを精製した。遊
離メロゾイトを界面で採集し、それらを遠心分離(15
000g、10分間)によってペレット化し、TBSで
3回洗った。次に電気泳動用に処理して、15%SDS
−PAGE上で蛋白質を分離した。GST−ORF1及
びGST−ORF2蛋白質に対するポリクローナル抗血
清について1:100希釈を用いて、Carcyら(1
991、Biol.Cell,72,93−102)が
B.divergensに関して述べたようにして免疫
ブロット法を実施した。
【0112】感染免疫蛍光アッセイ(IFA) GST−ORF1及びGST−ORF2蛋白質に対する
ポリクローナル抗血清について1:200希釈を用い
て、Grellierら(1994、Biol.Cel
l,82,129−138)がP.falciparu
mに関して述べたようにしてB.canis寄生赤血球
(5%の血清寄生虫レベル)に関してIFA及び二重I
FAを実施した。二重IFAについては、スライドガラ
スを最初は抗GST−ORF2ウサギ抗血清と共に、次
いでGST−ORF1に対するマウスポリクローナル又
はモノクローナル抗体と共にインキュベートした。制限
吸光蛍光のためにスライドガラスをCitifluor
溶液(CitifluorLtd.,London,U
K)で封入し、蛍光顕微鏡(Axioscope,Ze
iss)を用いて蛍光を検出した。
【0113】B.canis培養の[35S]−メチオ
ニン放射標識と免疫沈降法。
【0114】50μCi/ml(1200Ci/mmo
l、Amersham−Pharmacia Biot
ech)及び5%の出発血中寄生虫レベルでのB.ca
nisのインビトロ培養の[35S]−メチオニン放射
標識、及び免疫沈降アッセイを、Carcyら(199
1、Biol.Cell,72,93−102)がB.
divergensについて述べたようにして実施し
た。
【0115】TX−114処理による蛋白質相分離 B.canisの蛋白質を、[35S]−メチオニン放
射標識寄生赤血球(20%の血中寄生虫レベル)200
μlを出発物質として使用して、Precigoutら
(1991、Infect.Immun.,59(8)
2799−2805)がB.divergensについ
て述べたようにしてTriton X−114(Sig
ma)で相分離した。
【0116】BCVIR cDNA配列のインビトロ翻
訳 BCVIR cDNAのフレームシフト誘導能をインビ
トロ翻訳系において検討した。インビトロ翻訳のために
その5’末端にBCVIR cDNA配列全体、コザッ
ク配列及びT7プロモーター配列を含むPCR DNA
断片に関して、TNT(登録商標) Quick Co
upled Transcription/Trans
lation System(Promega)を用い
てインビトロ翻訳産物を合成した。そのようなdna断
片を増幅するために、次の2つのプライマーを使用して
不完全な1041bpのBCVIR cDNAをDNA
鋳型として担うpBK−CMVプラスミドに関してPC
Rを実施した:コザック配列とT7プロモーター配列だ
けでなく、ORF1の開始ATGコドンを含む全体的B
CVIR cDNA配列の失われた5’末端(プライマ
ー配列の太字部分;完全なcDNA配列のヌクレオチド
位置75−130;図1及び図2参照)も含む、90m
erのセンスオリゴヌクレオチド(プライマーP0:
5’−GGATCCTAATACGACTCACTAT
AGGGAGACCACCATGGAGTCGACAT
CAACAGACCAACTTTGTTGCCGAGA
ACCGTCCCACCTTTGG−3’)、及びBC
VIR cDNA配列からのアンチセンスプライマーP
15.2。環状組換えpBK−CMVプラスミド100
ngを使用してPCRを次の増幅条件を用いて行った:
94℃で3分間の1サイクル;94℃で1分間、37℃
で1分間及び72℃で1分間の5サイクル;94℃で1
分間、50℃で1分間及び72℃で1分間の25サイク
ル。純度を確保するためにPCR産物を2回ゲル抽出
し、ヌクレアーゼ非含有水に100ng/μlの濃度で
懸濁した。次にそれらを、TNTR Quick Co
upled Transcription/Trans
lation Systemを製造者(Promeg
a)が述べているように使用して、翻訳する網状赤血球
溶解産物に加えた。対照として、反応物からPCR断片
を除いて同じ実験を実施した。抗GST−ORF1又は
抗GST−ORF2又は抗GST抗血清及び免疫前ウサ
ギ血清に関する総放射標識翻訳産物(5μlの反応物)
及び免疫沈降産物(20μlの反応物から)を15%S
DS−PAGEで分離した。
【0117】結果 GST−ORF1及びGST−ORF2の精製。ORF
1又はORF2によってコードされるポリペプチドに対
して特異的なポリクローナル抗体を作製するために、O
RF1の141残基(M−141I)(75ATGか
ら停止コドンTAA500までをコードする)(図2)
及びORF2の132残基(154N− 285C)(ヌ
クレオチド位置533ATTから停止コドンTGA
933までをコードする)(図3)を、GST配列とイ
ンフレームでpGEX−4T3ベクターにクローニング
した。BL21大腸菌株においてGST−ORF1とG
ST−ORF2の過剰発現を実施した(図7)。発現試
験によって、IPTG誘導後、組換えpGEX−4T3
−ORF1を含む大腸菌培養によって、超音波破砕した
細菌の溶解物中にGST−ORF1蛋白質が可溶性蛋白
質として発現されたことが明らかになった(図7A、レ
ーン1)。溶出後、可溶性GST−ORF1を精製した
が、これはの予想分子量として40kDaを示した(図
7A、レーン2)。これに対し、GST−ORF2は、
組換えpGEX−4T3−ORF2を含む大腸菌培養に
おいて不溶性であり、39kDaの分子量を持つ組換え
蛋白質が主として封入体中に認められた(図7B、レー
ン5)。精製GST−ORF2でウサギを免疫するた
め、12%SDS/PAGEで分離した精製封入体抽出
物からゲルで切り出した(図7B、レーン4)。
【0118】対照として、天然pGEX 4T3を含む
大腸菌培養のIPTG誘導後にGSTを精製した(図7
B、レーン3)。
【0119】免疫学的試験 cDNAがコードするポリペプチドの免疫学的試験を実
施するため、マウスとウサギを免疫することにより、G
ST−ORF1又はGST−ORF2又はGSTに対す
るポリクローナル抗血清を作製した。GST−ORF1
に対する2つのモノクローナル抗体も試験した。
【0120】免疫沈降実験 最初の実験では、B.canis培養(分離菌A)の全
培養(図8A)及び外部抗原(図8B)放射標識分画に
関して実験を行った。全抗原分画においては、抗GST
−ORF1は15kDaの主要産物(Bcvir15、
星印で示す)及び約32kDaの少量産物(推定Bcv
ir32、矢印で示す)を強く認識する(図8A、レー
ン3)。外部抗原分画では、約32kDaの少量産物だ
けがかすかに検出された(図8B、レーン3)。抗GS
T−ORF2は、全及び外部抗原分画上の32kDa蛋
白質に対して反応がないことが認められた(図8、レー
ン4)。免疫前ウサギ及び抗GST抗血清は、抗GST
−ORF1抗血清で認識される抗原に反応がなかった
(図8、それぞれレーン1及び2)。2番目の実験で
は、TX−114処理後に得られたB.canis(分
離菌A)抗原の親水性及び疎水性分画を、抗GST−O
RF1との免疫沈降法によって分析した(図9)。親水
性分画において15kDa蛋白質が検出され(図9A、
レーン2、星印で示す)、疎水性分画では反応が認めら
れなかった(図9B、レーン2)。対照として、免疫前
ウサギ血清に関して免疫沈降法を実施したとき、15k
Da蛋白質に対する反応性は認められなかった(図9、
レーン1)。GST−ORF1に対するMAbは免疫沈
降実験において反応性を示さなかった。
【0121】ウエスタンブロット法 B.canisの分離菌Aからの精製メロゾイトに関し
てウエスタンブロット法を実施した。抗GST−ORF
1は15kDa蛋白質を特異的に認識したが(図10
A、レーン2、星印で示す)、免疫沈降実験と異なっ
て、少量の32kDa産物は認識しなかった。しかし、
ウエスタンブロット実験において種々の蛋白質を認識し
た抗GST−ORF2は、そのような32kDa抗原を
検出することができた(図10B、レーン2、矢印で示
す)。約15kDaの蛋白質(ORF2の予想15.2
kDaポリペプチドに対応すると考えられる)は抗GS
T−ORF2によって認識されなかった。対照として、
各々の抗血清からの免疫前ウサギ血清はウエスタンブロ
ット法において反応性ではなかった(図10、レーン
1)。GST−ORF1に対するMAbはウエスタンブ
ロット法において反応性ではなかった。
【0122】免疫蛍光アッセイ 抗GST−ORF1及び抗GST−ORF2を用いて
B.canisの分離菌Aのインビトロ培養からの固定
血液スメアに関するIFA試験を実施した(図11)。
ポリクローナルウサギ抗GST−ORF1で得られた蛍
光は、多数の寄生生物内小胞に結びついており、寄生生
物の核を除いて寄生生物の細胞質全体に分散していた
(図11、写真A)。同じパターンの蛍光がGST−O
RF1に対するmAbでも認められた。さらに、GST
−ORF1に対するmAb及びポリクローナルウサギ抗
GST−ORF2に関して実施した二重IFAは、抗G
ST−ORF2によって認識される抗原は(図11、写
真B)、抗GST−ORF1によって認識される抗原と
同時に局在することを示唆した。対照として、抗GST
及び免疫前ウサギ抗血清はIFA試験において反応性で
はなかった。B.canisの分離菌Bからの感染赤血
球に関してIFA試験を実施したとき、同じプロフィー
ルの蛍光が認められた(データは示していない)。
【0123】BCVIR cDNAのインビトロ翻訳 免疫沈降実験によって発現産物を分析するために、網状
赤血球溶解産物においてBCVIR cDNA全配列の
インビトロ翻訳を実施した(図12、レーン3−4)。
総発現産物の分析は、cDNAを用いて実験を行ったと
きには主要な15kDa蛋白質が発現されるが(図1
2、レーン4;星印で示す)、対照としてcDNAを除
いて実験を行ったときには発現されない(図12、レー
ン1)ことを明らかにした。この主要15kDa蛋白質
は抗GST−ORF1によって特異的に免疫沈降する
が、約32kDaの少量蛋白質も同様であった(図1
2、レーン3;矢印で示す)。対照として、免疫前ウサ
ギ血清及び抗GST抗血清はこれらの産物に関して反応
性ではなかった(データは示していない)。それ故、そ
のような少量の32kDa産物が予想された+1フレー
ムシフト機序から生じたと考えられることを示唆してい
る。先に述べた免疫沈降アッセイの場合と同じように、
抗GST−ORF2はこの少量産物に対して反応性では
なかった(データは示していない)。
【0124】結論 抗GST−ORF1抗血清は、15kDaの親水性主要
蛋白質と32kDaの少量蛋白質の2つの蛋白質を検出
することができ、後者はB.canisのインビトロ培
養の上清中で検出される。抗GST−ORF2抗血清も
32kDa蛋白質を検出することができるが、15kD
a産物は検出することができなかった。これは、BCV
IR cDNAのORF1が15kDa蛋白質(予想1
5.7kDa産物、Bcvir15と称する)をコード
すること、そしてORF2が予想15.2kDa産物を
合成できないことを示している。さらに、抗GST−O
RF1と抗GST−ORF2抗血清によって共通して認
識された32kDa蛋白質の検出は、それが+1フレー
ムシフト機序から生じ、融合ORF1−ORF2蛋白質
(Bcvir32と称する)を産生することができる予
想32.3kDa産物に対応するであろうことを示唆す
る。BCVIR cDNA配列のインビトロ翻訳は、そ
のような機序がcDNA配列内で起こりうることを示し
た。Bcvir15蛋白質の高い発現レベルと比較し
て、32kDa蛋白質の低いレベルの発現はそのような
機序と一致する。さらに、寄生生物内小胞における、2
つの抗血清によって認識される蛋白質の同時局在は、2
つの抗血清によって認識される32kDa蛋白質が同じ
ものであることを示唆しており、そのようなフレームシ
フト機序と合致する。
【0125】実施例3 Babesia canis増殖阻害試験 抗血清による阻害試験 実験の前に、2%ヘマトクリットで血中寄生虫レベルを
1%に調整した(D0日)。B.canis寄生生物を
(「B.canisの増殖」の中で先に述べた条件下
で)、24穴プレートで実施した実験については1ml
又は6穴プレートで実施した実験については2mlでイ
ンビトロ培養した。抗GST−ORF1と抗GST−O
RF2抗血清の試験管内でのB.canis増殖阻害能
を、各々の抗血清を種々の濃度で(1〜8%)培地に加
えて測定した。対照は次のとおりであった:i)同じ濃
度のウサギ免疫前血清又はウサギ抗GST血清又は関連
性のないウサギ抗GST−Bcc12D3血清との反
応;ii)無処置でのB.canisインビトロ培養。
【0126】各濃度での抗血清のB.canis(分離
菌A及びB)試験管内増殖阻害能を、反応時間をそれぞ
れ約3及び6周期のB.canis生活環に相当する2
4時間(D1日)と48時間(D2日)にした後、ギー
ムザ染色したスメアについての血中寄生虫レベルによっ
て、又は水溶液中50μCi/mlの[H]−ヒポキ
サンチン(ICN)での代謝標識によって測定し、3点
検討した。D1後、ウエル容量の半量を採取し、培地を
完全に除去して、D0に使用したのと同じ濃度で抗血清
(及び標識実験については[H]−ヒポキサンチン)
を補足した新鮮培地と交換した。採集した感染赤血球
(24穴と6穴プレートでそれぞれ5及び20μl)を
1800gで5分間遠心分離してペレット化し、TBS
中で5回洗った。放射能の取込みを測定するため、それ
らをRIPA緩衝液500μlに溶解し、1時間氷上に
置いた。溶解産物を15000gで遠心分離し(15分
間、4℃)、次に上清2μlをEmulsifier−
Safe(Packard,USA)に加えて、取込ま
れた放射能を測定した。
【0127】精製免疫グロブリンによる試験管内阻害ア
ッセイ 各々の実験の前に、2%ヘマトクリットで血中寄生虫レ
ベルを1%に調整した(D0日)。B.canis及び
B.rossi寄生生物を96穴プレートにおいて培地
100μl中でインビトロ培養した。阻害アッセイに使
用する抗血清(抗GST−Bcvir15、抗GST−
Bcvir15免疫前、抗GST−Bcc12D3、抗
GST−ORF2抗血清及び抗GST(図17ではそれ
ぞれBcvir15、T0、CONT、orf2、GS
Tとして示す))を最初にHITrap(商標) Pr
otein Gカラム(Amersham Pharm
acia Biotech)でのFPLCによって精製
した。次に精製免疫グロブリンをPBS 1X緩衝液に
対して4℃で一晩透析し、Coomassie Pro
tein Reagent Kit(Pierce,U
SA)を用いて総免疫グロブリンを滴定した。ELIS
Aを使用して、天然GST蛋白質又はGSTに融合した
各々の組換え蛋白質に対する免疫グロブリンの比率を、
非組換えGST 0.1μg又はウエルに被覆した組換
え蛋白質0.1μgへの精製免疫グロブリンの反応性の
比較によって評価した。次にすべての免疫グロブリンサ
ンプルを、RPMIで特異的抗GST免疫グロブリンの
同じ濃度に調整した。各々のサンプルがBabesia
canis又はBabesia rossiのインビ
トロ培養阻害能を、抗血清を得るために使用した組換え
蛋白質の非GST部分に対する特異的免疫グロブリン
1、2、4、8及び10μgに関して3回測定した。2
4時間(B.canis生活環の約3周期)、水溶液中
50μCi/mlの[H]−ヒポキサンチン(IC
N)での代謝標識によって増殖阻害を評価した。次に、
フィルターで赤血球を遮断し、Scatron装置を用
いて洗浄した。その後、各々のウエルに結合した放射能
を、シンチグラフィーによりScintillant
(Emulsifier Safe(商標) Pack
ard,USA)2ml中で読み取った。
【0128】組換えGST−ORF1蛋白質による阻害
の回復 組換えGST−ORF1が、B.canisの増殖に対
する抗GST−ORF1の阻害作用回復能を、上述した
ように継代したインビトロ培養に関して試験した。8%
の抗GST−ORF1を含む培地中の種々の濃度の組換
え蛋白質を試験した:20μg/ml及び40μg/m
l。4つの対照を使用した:i)処置なしでのB.ca
nisインビトロ培養;ii)組換えGST−ORF1
20μg/ml又は40μg/mlを含む培養;ii
i)8%の抗GST−ORF1抗血清を含む培養。
【0129】各濃度のGST−ORF1が抗GST−O
RF1抗血清の阻害作用回復能を3点で試験し、上述し
たようにD0、D1及びD2にギームザ染色したスメア
に関する血中寄生虫濃度によって測定した。
【0130】結果 抗血清による阻害試験 最初の実験では、抗GST−ORF1抗血清からの種々
の血液サンプル(図13ではII、III及びIVとし
て示す)がB.canis(分離菌A)の試験管内増殖
阻害能を、種々の濃度の各血液サンプル(1〜8%、図
13ではそれぞれA−Dとして示す)を培地に加えて試
験した。対照培養では2日間の実験で血中寄生虫レベル
が1%から35%に上昇したのに対し(図13E)、8
%濃度の抗血清の第二及び第三のサンプルに関しては、
D2にB.canisの試験管内増殖に対する抗GST
−ORF1の有意の阻害作用が認められ、これらの処理
培養ではD2に血中寄生虫レベルが約15%であった
(図13D、それぞれIII及びIV)。対照として、
免疫前ウサギ血清については使用した濃度にかかわらず
阻害作用が認められなかった(図13、I)。
【0131】もう1つの実験は、B.canisの増殖
に対する抗GST−ORF2抗血清の阻害作用を分析す
るために実施した(図14)。阻害作用を試験し、抗G
ST−ORF1抗血清と比較して、免疫前又は抗GST
又は関連性のない抗GST−Bcc12D3ウサギ抗血
清を対照として使用した(図14)。すべての抗血清を
抗GST−ORF1の阻害濃度(85)で試験した。こ
の実験では、D2に血中寄生虫レベルが対照培養では3
5%であったのに対し、処理培養では22%であり、抗
GST−ORF2の有意の阻害作用が認められた。さら
に、抗GST−ORF2の阻害作用は抗GST−ORF
1に関して認められたもの(D2に血中寄生虫レベルが
約15%である)よりも低かった。培養を8%の免疫前
又は抗GST又は抗GST−Bcc12D3ウサギ抗血
清で処置しても阻害作用は認められなかった。
【0132】抗GST−ORF1抗血清の8%阻害作用
を、処理及び未処理培養を代謝標識した後の[H]−
ヒポキサンチンの取込みを測定することによっても検討
し、B.canisの分離菌AとBに関して実験を行っ
た(図15、それぞれA及びB)。両方の分離菌につい
て、対照培養と比較して、D2に未処理培養では放射能
が約2000cpmであり、分離菌AとBではそれぞれ
250と350cpmであったことから、有意の阻害作
用が認められた。血中寄生虫定量ではD1には抗GST
−ORF1の阻害作用を検出できなかったのに対し、こ
の阻害作用は放射能測定によって同日に視覚化された。
実際に、対照培養における放射能は1000cpmであ
ったのに対し、処理培養では分離菌AとBにおいてそれ
ぞれ200と250cpmであった。
【0133】精製免疫グロブリンに関する試験管内阻害 可能性のある増殖阻害の非特異的原因として非免疫グロ
ブリン血清成分を排除するため、上述した実験を精製免
疫グロブリンに関して再度実施した。図17に示すよう
に、精製免疫グロブリンはBabesia canis
A及びBの両方試験管内増殖を阻害することができ
る。意外にも、これは、本発明に基づいた1つ又は両方
の蛋白質を含むワクチンが、血液型亜型にかかわらず、
一般的にB.canisの寄生増殖を阻害しうることを
意味する。予想されたように、B.rossi Mの試
験管内増殖は阻害されない。
【0134】阻害の回復 B.canisの試験管内増殖に対する抗GST−OR
F1の阻害作用を確認するため、異なる濃度の精製組換
えGST−ORF1を培養液に加えることによってこの
作用を回復させる実験を行った(図16)。使用した2
つの濃度は、20及び40μg/mlのGST−ORF
1であった。この実験は、8%の抗GST−ORF1で
処理した培地にGST−ORF1蛋白質を加えることに
より、20及び40μg/mlの濃度でそれぞれ50及
び100%の阻害の回復が可能となることを示した(図
16、それぞれC及びD)。未処理培養にそのような濃
度のGST−ORF1を加えたときには、寄生生物の増
殖に影響を及ぼさなかった(図16、それぞれA及び
B)。未処理培養及び8%の抗GST−ORF1で処理
した培養をこの実験の対照として使用した(図16、そ
れぞれE及びF)。
【0135】結論 抗GST−ORF1と抗GST−ORF2の両方が、8
%の濃度で、B.canis分離菌の試験管内増殖を有
意且つ特異的に阻害することができた。この作用はD1
で既に認められた。40μg/mlの濃度の組換えGS
T−ORF1はこの阻害作用を完全に回復させることが
できた。さらに、抗GST−ORF1及び抗GST抗血
清の濾過によって、各々の抗血清の8%が100及び5
0μg/mlの培養の免疫グロブリンのそれぞれの濃度
であることが示された(データは示していない)。被覆
した組換えGSTに関して実施したELISA試験は、
抗GST−ORF1からの免疫グロブリンの半分が組換
えGST−ORF1のGST部分に対するものであるこ
とを示し(データは示していない)、これは、8%の抗
GST−ORF1で認められたB.canisの試験管
内増殖に対する阻害作用が、蛋白質Bcvir15に対
して特異的な50μg/mlの免疫グロブリンによって
得られたことを意味する。少なくともこれは、抗GST
−ORF1抗血清の阻害作用を回復させるために40μ
gの組換えGST−ORF1が必要であることと合致す
る。
【0136】それ故、これらのデータによって、遺伝情
報がB.canis内に存在するが、B.canisゲ
ノムDNAによってはコードされない、Bcvir15
及びBcvir32(BCVIR cDNAの産物)
が、アピコンプレクサ門寄生生物、B.canisの毒
性において重要な役割を果たすことを示唆した。これら
の蛋白質又はこれらの蛋白質をコードする核酸配列に基
づくワクチンは、血液型亜型にかかわりなく、B.ca
nis寄生生物増殖阻害において重要な役割を果たすこ
とを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】BCVIR cDNAの図式的提示 A:矢印で示したボックス及び配列誘導プライマーで表
わしたORFのBCVIR cDNA全体の図式的提
示。 B:予想重複配列とそれから推定されるアミノ酸配列の
提示
【図2】完全なBCVIR cDNAの核酸配列とBc
vir15の推定されるアミノ酸列 Bcvir15と推定Bcvir32間の共通アミノ酸
配列を普通の大文字で示す。グラム陰性固定ヘキサペプ
チドを上部の線で示す。BCVIR cDNAの2つの
予想されるORFの重複配列を太字のイタリック体で示
す。クローニング制現部位は太字である。
【図3】完全なBCVIR cDNAの核酸配列と推定
されるBcvir32蛋白質の推定されるアミノ酸配列 BCVIR cDNAのORF1とORF2の重複領域
を太字のイタリック体で示す。クローニング制現部位は
太字である。
【図4】B.canisのゲノムDNAに関するBCV
IR cDNA配列のPCR分析 分析したゲノムDNAは、B.canisの分離菌A
(レーン1)、B.canisの分離菌B(レーン
2)、B.rossiの分離菌F(レーン3)及び非感
染イヌ血液サンプル(レーン4)から抽出した。BCV
IR cDNA配列を担うpBK−CMVプラスミドを
陽性対照として使用した(レーン5)。プライマー、P
1/P2(A)、P5/P2(B)、P5/P15.2
(C)及びBcc12D3.1/Bcc12D3.2
(D)の組合せを使用してPCRを実施した。
【図5】BCVIR配列のRT−PCR分析 B.canis(分離菌A)から単離した全RNAに関
して実験を行った。P1(レーン1)、P5(レーン
2)、P15.2(レーン3);BCVIR配列及びB
cc12D3配列のBcc12D3.1(レーン4)又
はBcc12D3.2(レーン5)を逆転写の開始プラ
イマーとして使用した。逆転写の第一段階は、eAMV
−RT酵素と共に(レーン1−5)又は対照としてeA
MV−RT酵素なしで(レーン1’−5’)実施した。
増幅の第二段階は、プライマー、P1/P2(A)、P
5/P15.2(B、C)及びBcc12D3.1/B
cc12D3.2(D)の組合せでのPCRによって実
施した。増幅したPCR産物の特異性を調べるために、
増幅産物を0.8%アガロースゲルで分離し、紫外線下
にBet染色によって視覚化するか(I)、若しくはニ
トロセルロース膜に移して、プローブとして使用したB
CVIR cDNA全配列とハイブリダイズした(I
I)。
【図6】BCVIR cDNA配列のノーザンブロット
分析 B.divergensの分離菌Rouen 1987
からの全RNA(レーン1)、B.canisの分離菌
Aからの全RNA(レーン2)、B.canisの分離
菌Aからの非メッセンジャーRNA(レーン3)及び
B.rossiの分離菌Fからの全RNA(レーン4)
に関して、BCVIR cDNA配列のPCR誘導P1
/P2プローブを使用してハイブリダイゼーションを実
施した。
【図7】大腸菌からのGST−ORF1及びGST−O
RF2組換え蛋白質の過剰発現と精製 上述したようにIPTGで3時間誘導したあと、BL2
1(DE3)細胞から蛋白質を精製し、SDS/12%
ポリアクリルアミドゲル上で分離して、クマシーブリリ
アントブルーで染色した。レーン1A、GST−ORF
1溶解産物を発現する大腸菌;2A、精製GST−OR
F1;3B、対照精製天然GST;4B、精製GST−
ORF2;GST−ORF2を発現する大腸菌からの封
入体溶解産物。
【図8】[35S]メチオニン標識Babesia c
anis分離菌A抗原の免疫沈降法 放射標識全抗原(A)又は外抗原(B)を、ウサギ免疫
前血清(1)、抗GSTウサギポリクローナル血清
(2)、抗GST−ORF1ウサギポリクローナル血清
(3)及び抗GST−ORF2ウサギポリクローナル血
清(4)によってそれぞれ免疫沈降した。矢印と星印は
それぞれBcvir15と推定Bcvir32の位置を
示す。
【図9】[35S]メチオニン標識Babesia c
anis A菌株のTX−114分配抗原の免疫沈降法 [35S]メチオニン標識したBabesia can
is A分離菌のインビトロ培養をTX−114に溶解
し、相分離後、水相において親水性抗原を回収し、界面
活性剤相において両親媒性抗原を回収した。免疫前ウサ
ギ血清(1)又は抗GST−ORF1ウサギポリクロー
ナル血清(2)を使用して、水相蛋白質(A)又は界面
活性剤相蛋白質(B)のいずれかを免疫沈降した。矢印
はBcvir15の位置を示す。
【図10】SDS−PAGE分離したBabesia
canisメロゾイト抗原の免疫ブロット分析 Babesia canisの分離菌Aの精製メロゾイ
トに関して実験を行った。抗原を12%SDS/ポリア
クリルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロースシート
に移した。免疫前ウサギ血清(1A及び1B)、抗GS
T−ORF1ウサギポリクローナル血清(2A)又は抗
GST−ORF2ウサギポリクローナル血清(2B)と
共に1:100希釈でインキュベーションを行った。B
cvir15とBcvir32の位置をそれぞれ星印と
矢印で示す。
【図11】BCVIR配列発現産物の局在 Babesia canisの分離菌Aに関してIFA
試験を実施した。 (A)抗GST−ORF1に結合した蛍光 (B)抗GST−ORF2に結合した蛍光
【図12】インビトロ翻訳産物の分析 pBK−CMV BCVIR cDNAに関するP0/
P15.2 PCR増幅から翻訳した放射標識インビト
ロ産物を12%SDS−PAGE上で分離した。産物全
体(4)又は抗GST−ORF1によって免疫沈降した
産物(3)を分析した。DNAなしの網状赤血球溶解産
物の総発現産物(1)又はDNAなしの網状赤血球溶解
産物からの免疫沈降産物(2)を対照として使用した。
星印はBcvir15の位置を示し、矢印はBcvir
32の位置を示す。
【図13】種々の濃度で抗GST−ORF1ウサギポリ
クローナル血清のBabesiacanis A菌株の
インビトロ培養での阻害能の評価 種々の血液サンプル(それぞれ第一(II)、第二(I
II)及び第三(IV)抗GST−ORF1ウサギポリ
クローナル血清)を1%(A)、2%(B)、4%
(C)及び8%(D)の最終濃度でBabesia c
anis Aのインビトロ培養に加えた。免疫前血清
(I)を、標準条件に保持した培養(E)と共に対照と
して使用した。
【図14】種々のウサギポリクローナル血清によるBa
besia canis A菌株インビトロ培養の阻害 血清を、Babesia canis A菌株インビト
ロ培養に8%の割合で加えたときの寄生生物増殖阻害能
について試験した。D0、D1、D2はそれぞれ試験開
始時、培養増殖の24時間後及び培養増殖の48時間後
の血中寄生虫レベルの値を示す。試験した血清はウサギ
ポリクローナル抗GST−ORF1及び抗GST−OR
F2であり、対照血清はウサギ免疫前血清、ウサギポリ
クローナル抗GST及びウサギポリクローナル抗GST
−Bcc12D3であった。対照レーンは、ウサギ血清
を加えない標準条件下での培養を示す。
【図15】[H]−ヒポキサンチン代謝標識によって
評価したBabesia canisインビトロ培養の
阻害試験 抗GST−ORF1及び対照の免疫前ウサギ血清を、B
abesia canis A菌株(I)及びBabe
sia canis B菌株(II)に関して、すべて
8%の最終濃度で試験した。対照レーンは標準条件下で
増殖した双方の寄生生物を示す。
【図16】GST−ORF1組換え蛋白質に対する阻害
試験 組換えGST−ORF1蛋白質を、ウサギポリクローナ
ル抗GST−ORF1血清がBabesia cani
s A菌株のインビトロ増殖阻害能を回復させる能力に
関して試験した。蛋白質を、8%の抗GST−ORF1
ウサギポリクローナル血清に対して20μg/ml
(C)又は40μg/ml(D)で試験した。対照は、
20μg/ml(A)又は40μg/ml(B)の割合
で培養に加えた蛋白質単独、標準条件下での培養(E)
及び8%の抗GST−ORF1ウサギポリクローナル血
清との培養(F)であった。
【図17】[H]−ヒポキサンチン代謝標識によって
評価した、精製免疫グロブリンによるBabesia
canisインビトロ培養阻害試験 精製免疫グロブリン(抗GST−Bcvir15、抗G
ST−Bcvir15免疫前、抗GST−Bcc12D
3、抗GST−ORF2抗血清及び抗GST(図17で
はそれぞれBcvir15、T0、CONT、orf
2、GSTとして示す))がBabesia cani
s又はBabesia rossiのインビトロ培養阻
害能を、1、2、4、8及び10μgの特異的免疫グロ
ブリンに関して3点で試験した。50μCi/mlの[
H]−ヒポキサンチンでの代謝標識による増殖阻害を
評価した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/205 A61K 39/23 39/23 39/29 39/29 39/39 39/39 A61P 33/02 A61P 33/02 C07K 14/44 C07K 14/44 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 5/00 A (72)発明者 ベルナール・ピエール・ドミニク・カルシ ー フランス国、34070・モンプリエ、リユ・ ドウ・シユエ、15 (72)発明者 パスカル・ロベール・ドラキユロブスキー フランス国、34000・モンプリエ、リユ・ デ・ソール・ノワール、4 (72)発明者 アンドレ・フランソワ・ゴランフロ フランス国、34090・モンプリエ、リユ・ ドウ・レギユロング、424

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 15kDのBabesia canis
    関連蛋白質又はかかる蛋白質の免疫原性断片をコードす
    る核酸配列であって、前記蛋白質又はその免疫原性断片
    が配列番号2に示すようなアミノ酸配列と少なくとも8
    0%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同
    性を有する核酸配列。
  2. 【請求項2】 32kDのBabesia canis
    関連蛋白質又はかかる蛋白質の免疫原性断片をコードす
    る核酸配列であって、前記蛋白質又はその免疫原性断片
    が配列番号4に示すようなアミノ酸配列と少なくとも8
    0%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同
    性を有する核酸配列。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の核酸配列を含む
    cDNA断片。
  4. 【請求項4】 機能的に連結されたプロモーターの制御
    下で、請求項1又は2に記載の核酸配列又は請求項3に
    記載のcDNA断片を含む組換えDNA分子。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のcDNA断片又は請求
    項4に記載の組換えDNA分子を含む生組換え担体。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2に記載の核酸配列、請求
    項3に記載のcDNA断片、請求項4に記載の組換えD
    NA分子又は請求項5に記載の生組換え担体を含む宿主
    細胞。
  7. 【請求項7】 15kDの分子量を持ち、配列番号2に
    示すようなアミノ酸配列と少なくとも80%相同である
    アミノ酸配列を含むBabesia canis関連蛋
    白質又はかかる蛋白質の免疫原性断片。
  8. 【請求項8】 アミノ酸配列が、配列番号2に示すよう
    なアミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90
    %、より好ましくは95%相同である、請求項7に記載
    のBabesia canis関連蛋白質、又はかかる
    蛋白質の免疫原性断片。
  9. 【請求項9】 32kDの分子量を持ち、配列番号4に
    示すようなアミノ酸配列と少なくとも80%相同である
    アミノ酸配列を含むBabesia canis関連蛋
    白質又はかかる蛋白質の免疫原性断片。
  10. 【請求項10】 アミノ酸配列が、配列番号4に示すよ
    うなアミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは90
    %、より好ましくは95%相同である、請求項9に記載
    のBabesia canis関連蛋白質、又はかかる
    蛋白質の免疫原性断片。
  11. 【請求項11】 ワクチンとして使用するための請求項
    7から10に記載のBabesia canis関連蛋
    白質。
  12. 【請求項12】 Babesia canis感染を防
    御するためのワクチンの製造のための、請求項7から1
    0に記載のBabesia canis関連蛋白質の使
    用。
  13. 【請求項13】 請求項1又は2に記載の核酸配列、請
    求項3に記載のcDNA断片、請求項4に記載の組換え
    DNA分子、請求項5に記載の生組換え担体、請求項6
    に記載の宿主細胞又は請求項7から10に記載の蛋白
    質、及び製薬上許容される担体を含むことを特徴とす
    る、Babesia canis感染を防御するための
    ワクチン。
  14. 【請求項14】 アジュバントを含むことを特徴とす
    る、請求項13に記載のワクチン。
  15. 【請求項15】 イヌに対して病原性を有するウイルス
    又は微生物から得られる追加の抗原又はかかる抗原をコ
    ードする遺伝情報を含むことを特徴とする、請求項13
    又は14に記載のワクチン。
  16. 【請求項16】 イヌに対して病原性を有する前記ウイ
    ルス又は微生物が、Ehrlichia canis、
    Babesia gibsoni、vogeli、ro
    ssi、ドノバンリーシュマニア(Leishmani
    a donovani)複合体、イヌパルボウイルス
    (Canine parvovirus)、イヌジステ
    ンパーウイルス(Canine distemperv
    irus)、Leptospira interrog
    ans serovar canicola、icte
    rohaemorrhagiae、pomona、gr
    ippotyphosa bratislava、イヌ
    肝炎ウイルス(Canine hepatitisvi
    rus)、イヌパラインフルエンザウイルス(Cani
    ne parainfluenzavirus)、狂犬
    病ウイルス(rabies virus)、Hepat
    ozoon canis及びBorrelia bur
    gdorferiの群から選択されることを特徴とす
    る、請求項15に記載のワクチン。
  17. 【請求項17】 請求項7から10に記載の蛋白質又は
    その免疫原性断片に対する抗体を含むことを特徴とす
    る、Babesia canis感染を防御するための
    ワクチン。
  18. 【請求項18】 請求項1又は2に記載の核酸配列、請
    求項3に記載のcDNA断片、請求項4に記載の組換え
    DNA分子、請求項5に記載の生組換え担体、請求項6
    に記載の宿主細胞又は請求項7から10に記載の蛋白質
    と、製薬上許容される担体を混合することを含む、請求
    項13から16に記載のワクチンを調製のための方法。
  19. 【請求項19】 前記抗体と製薬上許容される担体を混
    合することを含む、請求項17に記載のワクチンを調製
    するための方法。
  20. 【請求項20】 配列番号1又は3に示すような核酸配
    列と少なくとも70%相同である核酸配列又はかかる核
    酸配列に相補的な核酸配列、又は少なくとも12、好ま
    しくは15、より好ましくは18のヌクレオチド長を有
    する断片を含むことを特徴とする、Babesia c
    anis関連RNAの検出のための診断検査。
  21. 【請求項21】 前記検査が請求項7から10で定義さ
    れるような蛋白質又はその免疫原性断片を含むことを特
    徴とする、Babesia canis関連抗原物質に
    対する抗体の検出のための診断検査。
  22. 【請求項22】 前記試験が請求項7から10で定義さ
    れるような蛋白質又はその免疫原性断片に対する抗体を
    含むことを特徴とする、Babesia canis関
    連抗原物質の検出のための診断検査。
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