JP2002357774A - 可変焦点光学素子 - Google Patents

可変焦点光学素子

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JP2002357774A
JP2002357774A JP2001128004A JP2001128004A JP2002357774A JP 2002357774 A JP2002357774 A JP 2002357774A JP 2001128004 A JP2001128004 A JP 2001128004A JP 2001128004 A JP2001128004 A JP 2001128004A JP 2002357774 A JP2002357774 A JP 2002357774A
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chamber
thin film
electrode
optical element
film portion
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Yuji Tosaka
裕司 登坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、作成が容易であると共に、大きな変
形を得ることが可能な可変焦点光学素子を提供する。 【解決手段】本発明によると、基板または積層された基
板に形成され、上面又は下面の少なくとも一方に薄膜部
を有し、上記薄膜は第1の電極を有し、上記薄膜の対向
面には第2の電極を有し、上記第1の電極と上記第2の
電極間に印加される電圧で上記薄膜が変形可能である第
1室と、上記基板又は積層された上記基板に形成され、
上面又は下面の少なくとも一方に薄膜部を有し、上記薄
膜部の変形により焦点距離が可変な光学素子として作用
する第2室と、上記第1室と上記第2室を接続する通路
とを有し、上記第1室の薄膜部は上記第2室の薄膜部よ
り面積が大きく、上記第1室と上記第2室及び上記通路
には流体が封入されており、上記第1の電極と上記第2
の電極間に印加される電圧で光学素子としての上記第2
室の焦点距離が可変に構成されている可変焦点光学素子
が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変焦点光学素子
に係り、特に、薄板の変形を利用した可変焦点光学素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】首記のような技術分野における可変焦点
光学素子の一例として、可変焦点反射鏡には、光ピック
アップ等、様々なものが研究されている。
【0003】その一例として、薄膜の背後に電極板を設
け、両者間に電圧を印加し、その静電引力で上記薄膜を
撓ませ、その面を反射面とするものが知られている。
【0004】図7は、このような従来の技術における第
1の従来例による可変焦点反射鏡の概略構成を示してい
る。
【0005】図7において、可変焦点反射鏡1110
は、上部基板1101と下部基板1104とを張り合わ
せた構成をしている。
【0006】上記上部基板1101は、単結晶シリコン
の円形薄膜1102及び枠組1103からなる。
【0007】また、上記下部基板1104の上記円形薄
膜1102と対向する面には、電極1105が一体に形
成されている。
【0008】上記円形薄膜1102及び上記電極110
5には、それぞれ図示しない配線が形成されており、そ
れぞれに電気的に接続されている。
【0009】この配線を介して外部より電圧を印加する
と、上記円形薄膜1102及び上記電極1105間に静
電引力が発生し、この静電引力は上記円形薄膜1102
を撓ませ、その上面を凹面とする。
【0010】上記円形薄膜1102からなる凹面鏡の中
心部の深さは、印加電圧が高いほど大きくなり、これに
応じて反射鏡の焦点距離Fの位置も変化する。
【0011】次に、第2の従来例として、特開平7−4
8404号公報に開示されている「可変焦点レンズ」に
ついて説明する。
【0012】図8Aは、この可変焦点レンズ全体の上面
図を示している。
【0013】図8Bは、この可変焦点レンズの断面図を
示している。
【0014】図9は、図8Bのポンプ15における部分
拡大断面図を示している。
【0015】図8Bにおいて、平行平板状のガラス基板
11の表面にスペーサ13を介して透明弾性膜12を対
向設定し、ガラス基板11と透明弾性膜12との間に圧
力室14を形成する。
【0016】この圧力室14には、連通通路19を介し
てポンプ15が設けられている。
【0017】このポンプ15の詳細について、図9を用
いて説明する。
【0018】このポンプ15は、弾性膜16と、ヨーク
17とからなり、上記弾性膜16及びヨーク17との間
で圧力室18を形成している。
【0019】上記弾性膜16中にはシートコイル21が
形成されており、このシートコイル21に電流を流す
と、上記ヨーク17によって形成される磁場との相互作
用により上記弾性膜16が上下動する。
【0020】この結果、上記圧力室18中を満たしてい
る作動液20が上記連通通路19を通って上記圧力室1
4内の圧力を変動させ、上記透明弾性膜12を歪ませる
ことで焦点距離が可変されるレンズが構成される。
【0021】上記透明弾性膜12は、中央部で曲面が形
成され、その周囲で3次曲面が形成される膜厚分布を有
するものであり、単純な平板で上記透明弾性膜12を構
成した場合よりもレンズの収差が小さくなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述した第1の従来例
における上記可変焦点反射鏡1110では、初期状態す
なわち電極1105と反射面1102との間の電圧が0
Vの状態での反射面は平板であり、その焦点距離は無限
大となっている。
【0023】そして、この状態から印加電圧を大きくす
ると、上記反射面1102は、その中央部が上記電極1
105側に引き寄せられ、凹面となり、焦点距離が小さ
くなっていく。
【0024】ところで、このような第1の従来例による
可変焦点反射鏡の構成において、上記反射面1102に
働く静電気力は、ほぼ印加電圧の2乗に比例し、電極間
距離の2乗に反比例する。
【0025】よって、この第1の従来例による可変焦点
反射鏡では、必要な静電気力が固定であるならば、電極
間距離を小さく取ることによって、低い電圧での駆動が
可能となる。
【0026】しかしながら、上記第1の従来例による可
変焦点反射鏡の構成では、電極間距離を小さくする方向
にしか、上記反射面1102を駆動することができない
ために、電極間距離を小さく取ると、最大変位量も小さ
くなってしまうという問題がある。
【0027】また、上述した第2の従来例における可変
焦点レンズでは、上記ポンプ15の強力な駆動力によ
り、上記第1の従来例のような静電駆動方式に比して、
上記透明弾性膜12に大変形を生じさせることができる
が、磁性体である上記ヨーク17等のように別部材を使
用する必要があり、作成方法が複雑であるという問題が
ある。
【0028】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、上述したような従来の技術における問題を解決す
るためには、静電ギャップを極力小さくすると共に、薄
膜面積を大きくすることによって、ポンプ容積を維持し
たまま低電圧駆動可能な静電駆動型ポンプとし、このポ
ンプで光学素子の焦点を可変とすることが有効であるこ
とに着目して、作成が容易であると共に、大変形可能な
可変焦点光学素子を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題を解決するために、(1) 基板又は積層された基板
に形成され、上面又は下面の少なくとも一方に薄膜部を
有し、上記薄膜は第1の電極を有し、上記薄膜の対向面
には第2の電極を有し、上記第1の電極と上記第2の電
極間に印加される電圧で上記薄膜部が変形可能である第
1室と、上記基板又は積層された上記基板に形成され、
上面又は下面の少なくとも一方に薄膜部を有し、上記薄
膜部の変形により焦点距離が可変な光学素子として作用
する第2室と、上記第1室と上記第2室を接続する通路
とを有し、上記第1室の薄膜部は上記第2室の薄膜部よ
り面積が大きく、上記第1室と上記第2室及び上記通路
には流体が封入されており、上記第1の電極と上記第2
の電極間に印加される電圧で光学素子としての上記第2
室の焦点距離が可変に構成されていることを特徴とする
可変焦点光学素子が提供される。
【0030】(対応する実施の形態)この(1)の発明
は、後述する第1の実施の形態が対応する。
【0031】そして、このような(1)の発明の構成に
おいて、第1室は図1の第1ポンプ室108が対応し、
第2室は図1の第1圧力室107が対応し、通路は図1
の第1パイプ部109が対応し、第1の電極は図1の第
2薄膜105中の図示されない第1電極が対応し、第2
の電極は図1の第2電極106が対応している。
【0032】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(2) 基板又は積層された基板に形成さ
れ、上面と下面の間に設けられた薄膜部で上室及び下室
に分離され、上記薄膜部には第1の電極が形成され、上
記上面又は上記下面の少なくとも一方には第2の電極が
形成され、上記第1の電極と上記第2の電極間に印加さ
れる電圧で上記薄膜が変形可能である第1室と、上記基
板又は積層された上記基板に形成され、上面と下面の間
に設けられた薄膜部で上室及び下室に分離され、上記薄
膜部の変形により焦点距離が可変な光学素子として作用
する第2室と、上記第1室の上室と上記第2室の上室を
接続する第1の通路と、上記第1室の下室と上記第2室
の下室を接続する第2の通路とを有し、上記第1室の薄
膜部は上記第2室の薄膜部より面積が大きく、上記第1
室の上室と上記第2室の上室及び上記第1の通路には第
1の流体が封入されており、上記第1室の下室と上記第
2室の下室及び上記第2の通路には上記第1の流体と同
じ又は熱膨張係数が略等しい第2の流体が封入されてお
り、上記第1の電極と上記第2の電極間に印加される電
圧で光学素子としての上記第2室の焦点距離が可変に構
成されていることを特徴とする可変焦点光学素子が提供
される。
【0033】この(2)の発明は、後述する第2の実施
の形態が対応する。
【0034】そして、このような(2)の発明の構成に
おいて、第1室は図3の上室313と、下室308とが
対応し、第2室は図3の上室311と、下室307とが
対応し、第1の通路は図3の第2パイプ部312が対応
し、第2の通路は図3の第1パイプ部309が対応して
いる。
【0035】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(3) 上記第1室の薄膜部はコルゲートダ
イアフラム部を有することを特徴とする(1)又は
(2)記載の可変焦点光学素子が提供される。
【0036】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(4) 基板又は積層された基板に形成さ
れ、上面又は下面の間に設けられた薄膜部で上室及び下
室に分離され、上記薄膜部には第1の電極が形成され、
上記上面又は上記下面の少なくとも一方には複数の電極
からなる電極アレイである第2の電極が形成され、上記
第1の電極と上記第2の電極が接触しても電気が導通し
ないように絶縁処理が施されており、上記第1の電極と
上記第2の電極間に印加される電圧で上記薄膜部が変形
可能である第1室と、上記基板又は積層された上記基板
に形成され、上面と下面の間に設けられた薄膜部で上室
及び下室に分離され、上記薄膜部の変形により焦点距離
が可変な光学素子として作用する第2室と、上記第1室
の上室と上記第2室の上室を接続する第1の通路と、上
記第1室の下室と上記第2室の下室を接続する第2の通
路と、上記第1室の上室と上記第2室の上室及び上記第
1の通路に封入された第1の流体と、上記第1室の下室
と上記第2室の下室及び上記第2の通路に封入された、
上記第1の流体と同じ又は熱膨張係数が略等しい第2の
流体とを有し、上記第1室の薄膜部の少なくとも一部
が、上記第1の電極と上記第2の電極間の静電引力によ
り、上記第2の電極に接触した状態で駆動され、上記第
2の電極を構成する複数の電極の各々に印加される電圧
の変化によって、上記第1室の薄膜部が上記第2の電極
に接触する状態が変化し、これにより上記第1室の上室
及び下室の容積を変化させることにより、光学素子とし
ての上記第2室の焦点距離が可変に構成されていること
を特徴とする可変焦点光学素子が提供される。
【0037】また、本発明によると、上記課題を解決す
るために、(5) 上第1室の記薄膜部を、上記第2の
電極に近接するように押圧する突起部を、さらに有する
ことを特徴とする(4)記載の可変焦点光学素子が提供
される。
【0038】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。
【0039】(第1の実施の形態)図1は、本発明によ
る可変焦点光学素子の第1の実施の形態の構成を説明す
るために示す図である。
【0040】すなわち、図1の(a)は、本発明による
第1の実施の形態における可変焦点光学素子の上面図を
示している。
【0041】図1の(b)は、本発明による第1の実施
の形態における可変焦点光学素子の断面図を示してい
る。
【0042】図1の(c)は、本発明による第1の実施
の形態における可変焦点光学素子の駆動状態における断
面図を示している。
【0043】なお、本明細書においては、すべての断面
図は発明の効果を説明し易くするために、素子厚み方向
の縮尺をデフォルメしてある。
【0044】この第1の実施の形態は、次のように構成
されている。
【0045】この第1の実施の形態による可変焦点光学
素子101は、第1薄膜104及び第2薄膜105が一
体に形成された第2基板103と、第2電極106を一
体に形成してある第1基板102とを張り合わせて構成
される。
【0046】ここで、上記第1薄膜104の上面は、反
射面となっている。
【0047】上記第2薄膜105中には、図示しないが
第1電極が一体に形成されており、この第1電極と上記
第2電極106との間で静電引力を発生させることが可
能である。
【0048】上記第1薄膜104と、上記第1基板10
2の対向する面との間には、第1圧力室107が形成さ
れる。
【0049】また、上記第2薄膜105と、上記第1基
板102の対向する面との間には、第1ポンプ室108
が形成される。
【0050】また、上記第2基板103における上記第
1薄膜104及び上記第2薄膜105との間には溝が形
成されており、この溝が上記第1基板104との間に第
1パイプ部109を構成する。
【0051】上記第1圧力室107及び上記第1ポンプ
室108および上記第1パイプ部109中には、作動流
体として大気圧の空気が封入されている。
【0052】上記可変焦点光学素子101は、次のよう
に動作する。
【0053】上記第2薄膜105中の図示しない第1電
極と、上記第2電極106との間に電圧を印加すると、
上記第2薄膜105は静電引力によって、上記第2電極
106に引き寄せられ、図1の(c)に示すように撓み
変形を行う。
【0054】このとき、容積の小さくなった上記ポンプ
室108から押し出された作動流体である所の空気は、
上記第1パイプ室109を通って上記第1圧力室107
の圧力を上昇させ、上記第1薄膜104を上に凸の形に
撓み変形させる。
【0055】この結果、上記第1薄膜104の上面にお
ける反射面は平板の状態から凸面鏡へと変化し、また、
その焦点距離は上記第1電極および上記第2電極106
間における電圧によって制御することができる。
【0056】この第1の実施の形態による可変焦点光学
素子の特徴は、上記第1薄膜104にある変位量を取ら
せるために上記第1圧力室107に導入されるべき作動
流体の必要体積を、上記第2薄膜105の面積を大きく
取ることによって、上記第2薄膜105の小さな変位量
で送り出すことができるということである。
【0057】このため上記第2薄膜105と上記第2電
極106とを近接して配置することができ、必要電圧を
小さくしたり、あるいは上記第1薄膜104に大変位を
させたりといった設計が可能となる。
【0058】なお、この第1の実施の形態は、幾多の変
形・変更が可能である。
【0059】上記第1の実施の形態では、上記第1薄膜
104の上面を反射面とする凸面鏡を想定したが、上記
第1薄膜104の下面を反射面とし、上記第1基板10
2を透明な部材で作成すれば、凹面鏡を実現することが
できる。
【0060】また、上記第1薄膜104及び上記第1基
板102を透明な部材とし、上記作動流体を空気でな
く、例えば、水などの1より大きな屈折率を持つ流体と
することにより、焦点可変のレンズを実現することがで
きる。
【0061】また、上記第1薄膜104中及び上記第1
基板102の面上における上記第1薄膜104と対抗す
る面とに電極を配置すれば、これら電極間に電圧を印加
することによって、上記第1薄膜104に下に凸の変形
を起こさせることができ、凸面から凹面まで可変とな
る。
【0062】これら電極材としてはITOなど透明電極
の使用も可能であるので、この変更は反射鏡に限らず、
凹から凸へ変化する可変焦点レンズの実現も可能であ
る。
【0063】また、本発明においては、上記第2薄膜1
05が平板である必要はない。
【0064】また、上記第1薄膜104及び上記第2薄
膜の材料としては、シリコンや窒化膜等であっても可能
であるが、膜の変形のし易さの観点から、各種の樹脂膜
であることがより望ましい。
【0065】(第1の変形例)図2の(a)、(b)
は、本発明の第1の実施の形態における第1の変形例に
よる可変焦点光学素子の構成を説明するために示す平面
図と、断面図である。
【0066】すなわち、図2の(a)は、この第1の実
施の形態における第1の変形例による可変焦点光学素子
201の上面図である。
【0067】また、図2の(b)は、この第1の実施の
形態における第1の変形例による可変焦点光学素子20
1の断面図である。
【0068】そして、この第1の実施の形態における第
1の変形例での、上記第1の実施の形態における可変焦
点光学素子101からの変更点は、上記第2薄膜105
を、ベローズ202を周囲に配した第2薄膜203とし
たコルゲートダイアフラム部を有していることである。
【0069】この第1の実施の形態における第1の変形
例によれば、上記第2薄膜203としてコルゲートダイ
アフラム部を有していることにより、撓み変形のし易さ
が、上記第2薄膜105より向上され、素子の駆動性能
が向上する。
【0070】(第2の実施の形態)図3は、本発明によ
る可変焦点光学素子の第2の実施の形態の構成を説明す
るために示す断面図と、駆動状態を説明するために示す
断面図である。
【0071】すなわち、図3の(a)は、この第2の実
施の形態による可変焦点光学素子301の断面図を示し
ている。
【0072】また、図3の(b)は、この第2の実施の
形態による可変焦点光学素子301の駆動状態における
断面図を示している。
【0073】この第2の実施の形態は、次のように構成
されている。
【0074】この第2の実施の形態による可変焦点光学
素子301は、第1薄膜304及び第2薄膜305が一
体に形成された第2基板303と、第2電極306とを
一体に形成してある第1基板302とが張り合わせて構
成される。
【0075】ここで、上記第1薄膜304の上面は、反
射面となっている。
【0076】上記第2薄膜305中には図示しないが、
第1電極が一体に形成されており、この第1電極と上記
第2電極306との間で静電引力を発生させることが可
能である。
【0077】上記第1薄膜304と、上記第1基板30
2の対向する面との間には、第1圧力室307が形成さ
れる。
【0078】また、上記第2薄膜305と、上記第1基
板302の対向する面との間には、第1ポンプ室308
が形成される。
【0079】また、上記第2基板303における上記第
1薄膜304及び上記第2薄膜305の間には溝が形成
されており、この溝が上記第1基板302との間に第1
パイプ部309を構成する。
【0080】上記第1圧力室307及び上記第1ポンプ
室308及び上記第1パイプ部309中には、作動流体
として大気圧の空気が封入されている。
【0081】以上の構成は、上記第1の実施の形態と同
様であり、この第2の実施の形態においては、さらに、
第3基板310を上記第2基板303のもう片面に張り
付けることによって、第2圧力室311、第2パイプ部
312、第2ポンプ室313が形成されている。
【0082】また、上記第2圧力室311及び上記第2
パイプ部312及び上記第2ポンプ室313中にも同様
に作動流体としての大気圧の空気が封入されている。
【0083】上記第1薄膜304の変位量は、上記第2
薄膜305の変位量に比べて大きいので、この変位のた
めのスペースを確保するために、上記第1基板302及
び上記第3基板310における上記第1圧力室307及
び上記第2圧力室311に面した部分には、窪みが設け
られている。
【0084】このような第2の実施の形態による可変焦
点光学素子301の動作原理は、上記第1の実施の形態
のそれと同様であり、そのときの様子が図3の(b)に
示されている。
【0085】この第2の実施の形態による可変焦点光学
素子においては、上記第1の実施の形態による可変焦点
光学素子の特徴に加え、以下のような特徴がある。
【0086】まず、この第2の実施の形態による可変焦
点光学素子の可動部すなわち上記第1薄膜304及び上
記第2薄膜305は、密閉された状態にあるので、外気
圧が変化した場合においても、その影響を受けないとい
うことである。
【0087】さらに、この第2の実施の形態による可変
焦点光学素子においては、上記第2基板303を挟んで
上記第1基板302側及び上記第3基板310側のそれ
ぞれの作動流体が同時に同じ圧力となるため、周囲の温
度が変化し、上記作動流体の圧力が変動した場合におい
ても、やはりそれらの影響を受けないということであ
る。
【0088】なお、静電引力を利用したアクチュエータ
は基本的に発熱しないので、この第2の実施の形態によ
る可変焦点光学素子では、その駆動により圧力のアンバ
ランスが生じることもない。
【0089】なお、この第2の実施の形態は、幾多の変
形・変更が可能である。
【0090】(第1の変形例)図4は、本発明の第2の
実施の形態における第1の変形例による可変焦点光学素
子の構成を説明するために示す断面図である。
【0091】この第2の実施の形態における第1の変形
例の変更点は、上記第3基板310上に、上記第2薄膜
305中の第1電極と対抗する第3電極401が形成さ
れているということである。
【0092】この変更により、上記第1薄膜304の駆
動が、凹面から凸面へと広い範囲にわたって可能とな
る。
【0093】その他、本発明の第2の実施の形態及びそ
の第1の変形例においては、上記第1の実施の形態と同
様な変形・変更が可能であることは言うまでもない。
【0094】(第2の変形例)図5は、本発明の第2の
実施の形態における第2の変形例による可変焦点光学素
子の構成を説明するために示す図である。
【0095】すなわち、図5の(a)は、この第2の実
施の形態による可変焦点光学素子501の上面図を示し
ている。
【0096】また、図5の(b)は、この第2の実施の
形態による可変焦点光学素子501の電源オン後の初期
状態における断面図を示している。
【0097】また、図5(c)は、この第2の実施の形
態による可変焦点光学素子501の駆動時の断面図を示
している。
【0098】この第2の実施の形態における第2の変形
例による可変焦点光学素子501の構成は、上記第2の
実施の形態における第1の変形例にさらに変更を加えた
ものである。
【0099】すなわち、上記第2電極306及び上記第
3電極401を短冊形の複数の電極である第2電極50
2a,502b,502c,…502g、及び第3電極
503a,503b,503c,…503gとしてい
る。
【0100】また、この変更に伴って、上記第2薄膜3
05を矩形である第2薄膜504としたものである。
【0101】この第2の実施の形態における第2の変形
例による可変焦点光学素子は、次のように動作する。
【0102】まず、電源オン時において上記第2薄膜5
04中にある図示しない第1電極は電位0Vにある。
【0103】また、上記第2電極502a,502b,
502c及び上記第3電極503e,503f,503
gには電圧が印加されている。
【0104】このため、上記第2薄膜504は、それぞ
れ、電圧を印加された電極側に引き寄せられ、図5の
(b)に示すように変形する。
【0105】なお、上記第2薄膜504がそれぞれの電
極に接しても、それぞれの電極との間には図示しない絶
縁皮膜が形成されており、ショートはしない。
【0106】この第2薄膜504の変形によって、上記
第1ポンプ室308及び第2ポンプ室313の形状が変
化するが、初期状態においては各ポンプ室の容積が変化
することはない。
【0107】このため、上記第1薄膜304は、平坦の
まま変形しない。
【0108】次に、上記第2電極502b、502cの
電圧を0Vに変え、上記第3電極503c,503d,
…503gに電圧を印加すると、図5の(c)に示した
ような状態となる。
【0109】すなわち、上記第2薄膜504がさらに変
形し、上記第1ポンプ室308の容積が大きくなり、そ
の分の容積だけ上記第2ポンプ室313が小さくなる。
【0110】このため、上記作動流体の移動が起こり、
上記第1薄膜304の撓み変形が起こる。
【0111】以上のように、この第2の実施の形態にお
ける第2の変形例による可変焦点光学素子では、その焦
点距離変化がどの電極に電圧を印加するかというデジタ
ル値によって制御を行うことができる。
【0112】また、この第2の実施の形態における第2
の変形例による可変焦点光学素子では、上記第2薄膜5
04中の図示しない第1電極は、上記第2電極502
a,502b,…502g乃至上記第3電極503a,
503b,…503gと至近距離にあって駆動されるた
め、駆動に必要な電圧が小さくなる。
【0113】さらに、また、この第2の実施の形態にお
ける第2の変形例による可変焦点光学素子では、上記第
1ポンプ室308及び上記第2ポンプ室313の最大吐
出能力は、上記第2電極502と上記第3電極503と
に挟まれた空間とほぼ同体積であり、また、上記第2薄
膜504の面積が小さくても上記第2電極502と上記
第3電極503の間隔を広くすることでポンプ容量を確
保でき、よって上記第2薄膜504の面積は上記第1薄
膜304の面積より小さくても構わない。
【0114】これによって、この第2の実施の形態にお
ける第2の変形例による可変焦点光学素子では、素子を
搭載するチップ上でポンプのために占められる面積を小
さくすることができる。
【0115】(第3の変形例)図6は、本発明の第2の
実施の形態における第3の変形例による可変焦点光学素
子の構成を説明するために示す断面図である。
【0116】図6は、この第2の実施の形態における第
3の変形例による可変焦点光学素子において、駆動電源
が一切与えられていない状態を示している。
【0117】この第2の実施の形態における第3の変形
例による可変焦点光学素子は、上記第2の実施の形態に
おける第2の変形例にさらに変更を加えたものである。
【0118】すなわち、突起部601a,601bをそ
れぞれ上記第1基板302及び上記第3基板310に取
り付け、これによって素子に駆動電圧が一切与えられて
いない状態でも上記第2薄膜504の一部が上記第1基
板302及び上記第3基板310に接するようにしたも
のである。
【0119】上記第2の実施の形態における第2の変形
例による可変焦点光学素子においては、電源オン後、上
記第2薄膜504の一部が上記第2電極502及び上記
第3電極503に接した後においては、比較的小さな電
圧で駆動が可能である。
【0120】しかるに、上記第2の実施の形態における
第2の変形例による可変焦点光学素子においては、電源
を一切接続していない状態では、上記第2薄膜305が
平行平板であるために、上記第2電極502及び上記第
3電極503と距離が開いている。
【0121】このため、上記第2の実施の形態における
第2の変形例による焦点可変光学素子を初期化すなわち
上記第2薄膜を上記第2電極502及び上記第3電極5
03と接触させるためには、高い電圧を印加する必要が
ある。
【0122】そこで、この第2の実施の形態における第
3の変形例による可変焦点光学素子においては、強制的
に上記第2薄膜504の一部が上記第1基板302及び
上記第3基板310に接するようにしたことによって、
焦点可変光学素子の初期化において必要な電圧を低くし
たものである。
【0123】なお、第2の実施の形態における図3や図
4の場合でも、第1の実施の形態における図2の場合に
準じて、ポンプ室の薄膜にコルゲートダイヤフラムを設
け、薄膜の変形し易さを向上させることにより、可変焦
点光学素子の駆動性能を向上させるようにするとさらに
よい。
【0124】
【発明の効果】従って、以上説明したように、本発明に
よれば、上述したような従来の技術における問題を解決
するためには、静電ギャップを極力小さくすると共に、
薄膜面積を大きくすることによって、ポンプ容積を維持
したまま低電圧駆動可能な静電駆動型ポンプとし、この
ポンプで光学素子の焦点を可変とすることが有効である
ことに着目して、作成が容易であると共に、大変形可能
な可変焦点光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a),(b),(c)は、本発明によ
る可変焦点光学素子の第1の実施の形態の構成を説明す
るために示す可変焦点光学素子の上面図、断面図及び駆
動状態を説明するために示す断面図である。
【図2】図2の(a)、(b)は、本発明の第1の実施
の形態における第1の変形例による可変焦点光学素子の
構成を説明するために示す平面図と、断面図である。
【図3】図3の(a)、(b)は、本発明の第2の実施
の形態による可変焦点光学素子の構成を説明するために
示す断面図と、駆動状態を説明するために示す断面図で
ある。
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態における第
1の変形例による可変焦点光学素子の構成を説明するた
めに示す断面図である。
【図5】図5の(a)、(b),(c)は、本発明の第
2の実施の形態における第2の変形例による可変焦点光
学素子の構成を説明するために示す断面図と、電源オン
後の初期状態における駆動状態を説明するために示す断
面図と、駆動状態を説明するために示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態における第
3の変形例による可変焦点光学素子の構成を説明するた
めに示す断面図である。
【図7】図7は、従来の技術における第1の従来例によ
る可変焦点反射鏡の概略構成を説明するために示す断面
図である。
【図8】図8の(A)、(B)は、従来の技術における
第2の従来例として、特開平7−48404号公報に開
示されている可変焦点レンズを説明するために示す全体
の上面図と、断面図である。
【図9】図9は、図8の(B)におけるポンプ15を説
明するために示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
101…可変焦点光学素子、 104…第1薄膜、 105…第2薄膜、 103…第2基板、 106…第2電極、 102…第1基板、 107…第1圧力室、 108…第1ポンプ室、 109…第1パイプ部、 201…可変焦点光学素子、 202…ベローズ、 203…第2薄膜、 301…可変焦点光学素子、 304…第1薄膜、 305…第2薄膜、 303…第2基板、 306…第2電極、 307…第1圧力室、 308…第1ポンプ室、 309…第1パイプ部、 310…第3基板、 311…第2圧力室、 312…第2パイプ部、 313…第2ポンプ室、 401…第3電極、 501…可変焦点光学素子、 502a,502b,502c,…502g…第2電
極、 503a,503b,503c,…503g…第3電
極、 504…第2薄膜、 601a,601b…突起部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板又は積層された基板に形成され、上
    面又は下面の少なくとも一方に薄膜部を有し、上記薄膜
    は第1の電極を有し、上記薄膜の対向面には第2の電極
    を有し、上記第1の電極と上記第2の電極間に印加され
    る電圧で上記薄膜が変形可能である第1室と、 上記基板又は積層された上記基板に形成され、上面又は
    下面の少なくとも一方に薄膜部を有し、上記薄膜部の変
    形により焦点距離が可変な光学素子として作用する第2
    室と、 上記第1室と上記第2室を接続する通路とを有し、 上記第1室の薄膜部は上記第2室の薄膜部より面積が大
    きく、上記第1室と上記第2室及び上記通路には流体が
    封入されており、上記第1の電極と上記第2の電極間に
    印加される電圧で光学素子としての上記第2室の焦点距
    離が可変に構成されていることを特徴とする可変焦点光
    学素子。
  2. 【請求項2】 基板又は積層された基板に形成され、上
    面と下面の間に設けられた薄膜部で上室及び下室に分離
    され、上記薄膜部には第1の電極が形成され、上記上面
    又は上記下面の少なくとも一方には第2の電極が形成さ
    れ、上記第1の電極と上記第2の電極間に印加される電
    圧で上記薄膜部が変形可能である第1室と、 上記基板又は積層された上記基板に形成され、上面と下
    面の間に設けられた薄膜部で上室及び下室に分離され、
    上記薄膜部の変形により焦点距離が可変な光学素子とし
    て作用する第2室と、 上記第1室の上室と上記第2室の上室を接続する第1の
    通路と、 上記第1室の下室と上記第2室の下室を接続する第2の
    通路とを有し、 上記第1室の薄膜部は上記第2室の薄膜部より面積が大
    きく、上記第1室の上室と上記第2室の上室及び上記第
    1の通路には第1の流体が封入されており、上記第1室
    の下室と上記第2室の下室及び上記第2の通路には上記
    第1の流体と同じ又は熱膨張係数が略等しい第2の流体
    が封入されており、上記第1の電極と上記第2の電極間
    に印加される電圧で光学素子としての上記第2室の焦点
    距離が可変に構成されていることを特徴とする可変焦点
    光学素子。
  3. 【請求項3】 上記第1室の薄膜部はコルゲートダイア
    フラム部を有することを特徴とする請求項1又は2記載
    の可変焦点光学素子。
  4. 【請求項4】 基板又は積層された基板に形成され、上
    面又は下面の間に設けられた薄膜部で上室及び下室に分
    離され、上記薄膜部には第1の電極が形成され、上記上
    面又は上記下面の少なくとも一方には複数の電極からな
    る電極アレイである第2の電極が形成され、上記第1の
    電極と上記第2の電極が接触しても電気が導通しないよ
    うに絶縁処理が施されており、上記第1の電極と上記第
    2の電極間に印加される電圧で上記薄膜部が変形可能で
    ある第1室と、 上記基板又は積層された上記基板に形成され、上面と下
    面の間に設けられた薄膜部で上室及び下室に分離され、
    上記薄膜部の変形により焦点距離が可変な光学素子とし
    て作用する第2室と、 上記第1室の上室と上記第2室の上室を接続する第1の
    通路と、 上記第1室の下室と上記第2室の下室を接続する第2の
    通路と、 上記第1室の上室と上記第2室の上室及び上記第1の通
    路に封入された第1の流体と、 上記第1室の下室と上記第2室の下室及び上記第2の通
    路に封入された、上記第1の流体と同じ又は熱膨張係数
    が略等しい第2の流体とを有し、 上記第1室の薄膜部の少なくとも一部が、上記第1の電
    極と上記第2の電極間の静電引力により、上記第2の電
    極に接触した状態で駆動され、上記第2の電極を構成す
    る複数の電極の各々に印加される電圧の変化によって、
    上記第1室の薄膜部が上記第2の電極に接触する状態が
    変化し、これにより上記第1室の上室及び下室の容積を
    変化させることにより、光学素子としての上記第2室の
    焦点距離が可変に構成されていることを特徴とする可変
    焦点光学素子。
  5. 【請求項5】 上記第1室の薄膜部を上記第2の電極に
    近接するように、押圧する突起部を、さらに有すること
    を特徴とする請求項4記載の可変焦点光学素子。
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