JP2002356747A - 靭性に優れた鋼材 - Google Patents
靭性に優れた鋼材Info
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Abstract
度が要求される構造部材として用いても十分な強度を有
すると共に、靭性にも優れた鋼材を提供する。 【解決手段】 C及びMnを夫々含み、P:0.02%(質
量%の意味、以下同じ)以下、S:0.02%以下に夫々抑
制した靭性に優れた鋼材であって、マルテンサイト組織
を主体とし、且つロックウェルC硬さ(HRC)が45以
上で、示差走査熱量測定の結果により算出した400〜500
℃の範囲での単位質量当りの発熱量が2.0J/g以下であ
ることを特徴とする靭性に優れた鋼材。
Description
造物等の機械構造物に用いられる鋼材に関し、特に、ば
ねやボルト、インパクトビームの素材に適した高強度で
高靭性の鋼材に関するものである。
れる機械構造物用鋼材は、軽量化および長寿命化という
目的から、より一層の高強度化が要求されている。こう
した高強度化を達成することは、例えば自動車における
燃費や排ガス低減が図れ、その結果として環境への負荷
の低減が図れるのである。
は、焼入れ・焼戻し処理によって組織をマルテンサイト
化した鋼(マルテンサイト鋼)が主に用いられており、
その強度レベルはロックウェルC硬さ(HRC)で45以
上、好ましくはHRC50以上が必要とされている。しか
しながら、鋼材の高強度化を図ることは靭性の劣化を招
くという弊害が生じることになる。こうしたことから、
高強度化を図ると共に靭性も良好にすることが現在の重
要な課題とされている。
発を目指してこれまでにも様々な技術が提案されてお
り、例えば特公昭60-30736号には、冷間成形コイルばね
の靭性向上を目標として、高周波加熱焼入れによってマ
ルテンサイト組織を微細化する技術が開示されている。
但し、この技術では、急速加熱処理によってオーステナ
イト組織を微細化し、間接的にマルテンサイト組織を微
細化するものであるので、靭性向上の程度も十分に満足
できるものではなく、更なる高靭性化の技術の開発が望
まれている。
してNiを多量(8.0〜11.0%程度)に含有させると共
に、昇温中に剪断型逆変態オーステナイト相を生成さ
せ、転位密度の高い未変態オーステナイトから焼入れる
ことによって、マルテンサイト鋼の靭性を向上させる技
術が提案されている。しかしながら、Niは積極的に多
量添加するには高価な元素であるという欠点がある。ま
た、この技術で提供される超高張力鋼は、海水あるいは
塩水などの応力腐食環境中での使用を想定しているの
で、溶接熱影響部の耐応力腐食割れ性を具備させる必要
があり、このため添加C量が0.04〜0.09%と低く設定さ
れている。よって、ばねやボルト用鋼として適用するに
は強度および靭性ともに要求水準を満足するものではか
った。
イト鋼に総減面率20%以上の伸線加工を施して鋼材表層
に<100>集合組織を形成させることによって、マル
テンサイト鋼の旧オーステナイト粒界における割れを防
止して靭性を向上させる方法が開示されている。しかし
ながら、高強度のマルテンサイト鋼に総減面率20%以上
の伸線加工を施すことは、実操業では困難である。更
に、この技術は、PC(prestressed concrete)鋼棒に
適用されることを想定してなされたものであるので、こ
うした用途で要求される特性が重視されており、またマ
ルテンサイト鋼の強度を決定する添加C量も0.1〜0.4%
と低く設定されており、ばねやボルト用鋼として適用す
るには充分な強度および靭性が得られなかった。
の下でなされたものであって、その目的は、HRC45以
上の高強度が要求される構造部材として用いても十分な
強度を有すると共に、靭性にも優れた鋼材を提供するこ
とにある。
のできた本発明の靭性に優れた鋼材とは、C及びMnを
夫々含み、P:0.02%以下(0%を含む)、S:
0.02%以下(0%を含む)に夫々抑制した靭性に優
れた鋼材であって、マルテンサイト組織を主体とし、且
つロックウェルC硬さ(HRC)が45以上で、示差走
査熱量測定の結果により算出した400〜500℃の範
囲での単位質量当りの発熱量が2.0J/g以下である
点に要旨を有するものである。
〜(3)に示した条件のうち少なくとも一つを同時に満
足すると、強度−靭性バランスが非常に良好となる。 (1)オージェ電子分光法で測定したときに、旧オース
テナイト粒界に存在する炭素量(質量%)[C(粒
界)]と粒内に存在する炭素量(質量%)[C(粒
内)]の比[C(粒界)/C(粒内)]が2.50以下。 (2)マルテンサイトラス内に存在する炭化物の平均長
径が70nm以下。 (3)旧オーステナイト粒の平均結晶粒径が10μm以
下。
1.2%及びMn:0.15〜2.0%を夫々含有する
ものが好ましく、更に他の元素として、下記(a)〜
(d)に示した元素を任意に選択して含むのが好まし
い。 (a)Si:2%以下(0%を含まない)、(b)C
r:3.0%以下(0%を含まない)、Mo:2%以下
(0%を含まない)、Ni:10%以下(0%を含まな
い)及びCu:1%以下(0%を含まない)よりなる群
から選ばれる1種以上の元素、(c)Al:1.5%以
下(0%を含まない)及び/又はCo:3%以下(0%
を含まない)、(d)Ti:0.3%以下(0%を含ま
ない)、Nb:0.3%以下(0%を含まない)、V:
0.3%以下(0%を含まない)及びZr:0.3%以
下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上
の元素。
ことが知られているが、その理由は焼入れ処理時に炭素
元素が過飽和に固溶するからである。ここで、「過飽和
に固溶した炭素」とは、全固溶炭素量に対して熱力学的
に平衡な固溶限界量を超過している炭素を指す。また、
単に「固溶した炭素」と記載した場合は、マトリックス
に固溶している全ての炭素を意味する。
大きく寄与するが、焼戻し処理によって微細な炭化物と
して析出して、析出強化にも寄与する。従って、炭素添
加量がマルテンサイト鋼の強度に大きく影響するのであ
る。
の靭性を改善するために焼入れ後に焼戻しが施される。
これは、焼入れ時に固溶した炭素を焼戻しによって炭化
物として析出させると共に、欠陥を回復させるためであ
る。しかし、靭性を充分に回復するために高温で長時間
の焼戻しを施すと、今度は母材の強度が低減してしまう
こともある。
して、結晶粒の微細化を図ることが有効であることも良
く知られている。しかしながら、現状のレベルよりも更
に結晶粒微細化を図ることは、現在のところ非常に困難
である。また、結晶粒微細化以外の強化機構について
は、靭性に及ぼす影響が明らかにされている訳ではな
い。
粒微細化以外の手段で鋼材の強度と靭性を両立させる強
化機構について様々な角度から検討を重ねた。その結
果、過飽和に固溶している炭素が靭性の劣化に影響を与
えていることが判明した。そして、過飽和固溶炭素量を
減少させることによって靭性を向上させると共に、固溶
炭素量の減少に伴う強度低下を加工強化によって補う
と、高強度で高靭性の鋼材が実現できることを見出し、
本発明を完成した。以下、本発明で規定する各要件につ
いて説明する。
むと共に、P及びSの含有率を夫々0.02%以下に抑制す
る必要がある。すなわち、C及びMnの添加量は特に限
定されず、機械構造物に用いられる鋼材としての特性を
保持できる程度とすれば良い。一方、P及びS元素の範
囲限定理由は下記の通りである。
2%以下(0%を含む) PとSが鋼材中に過度に存在すると、これらの元素がオ
ーステナイト結晶粒界に偏析して粒界破壊を助長して靭
性を低下させるので、できるだけ少ない方が良いが、い
ずれも0.02%以下に抑制すればこうした不都合を回避す
ることができる。尚、これらの元素は、いずれも0.015
%以下に抑制することが好ましい。
な化学成分組成は特に限定されないが、強度及び靭性の
両特性を備えるという観点から、C:0.15〜1.2%及び
Mn:0.15〜2.0%を夫々含有するものであることが好
ましい。この様に規定した理由は下記の通りである。
るためには、Cは少なくとも0.15%含有させるのが良
い。鋼材は、C含有量の増加に伴って高強度化が達成さ
れることになる。また、C含有量を増加することによっ
て、焼入れ後のマルテンサイト鋼中の欠陥密度が高くな
るので、高欠陥密度による靭性向上を図る本発明におい
ては、C含有量はできるだけ高い方が有利である。しか
しながら、C含有量が過剰になって1.2%を超えると焼
割れが生じ易くなるので、上限を1.2%とするのが好ま
しい。C含有量のより好ましい下限は0.2%程度であ
り、より好ましい上限は1.0%程度である。
果を発揮させるためには0.15%以上含有させるのが良
い。しかしながら、その含有量が過剰になると、冷間成
形性や靭性の低下を招くので、上限を2.0%とするのが
良い。Mn含有量のより好ましい下限は0.18%であり、
より好ましい上限は1.80%である。
成は上記の通りであり、残部はFeおよび不可避不純物
からなるものであるが、必要によって更に他の元素とし
て、下記(a)〜(d)に示した元素を任意に選択して
含むのが有用である。これらの元素の範囲限定理由は、
下記の通りである。 (a)Si:2%以下(0%を含まない)、(b)Cr:
3.0%以下(0%を含まない)、Mo:2%以下(0%を含
まない)、Ni:10%以下(0%を含まない)及びC
u:1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる
1種以上の元素、(c)Al:1.5%以下(0%を含まな
い)及び/又はCo:3%以下(0%を含まない)、
(d)Ti:0.3%以下(0%を含まない)、Nb:0.3
%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含ま
ない)及びZr:0.3%以下(0%を含まない)よりなる
群から選ばれる1種以上の元素。
上するためには添加することが好ましい元素である。し
かし、過度に添加すると冷間成形性や靭性が劣化するの
で、上限を2%とした。
o:2%以下(0%を含まない)、Ni:10%以下(0%
を含まない)及びCu:1%以下(0%を含まない)より
なる群から選ばれる1種以上 Cr、Mo、Ni及びCuは、耐食性を向上させるのに
有効な元素であるが、過剰に含有させると焼入れ性が高
くなり過ぎ、ボルト成形時等における冷間成形性を劣化
させる。また、これらの元素は高価であるので、増量に
よる特性向上とコスト増加との兼ね合いから、上限を夫
々上記の様に設定した。但し、上記元素を2種以上含有
させるときは、総含有量を15%以下にするのが好まし
い。尚、これらの元素による上記効果は、上記範囲内で
その含有量を増加させるにつれて大きくなるが、上記効
果を発揮させる為には、いずれも0.1%以上含有させる
ことが好ましい。
又はCo:3%以下(0%を含まない) Al及びCoは、ばね鋼として要求される耐へたり性を
向上させるのに有効な元素であるが、過剰に含有させる
と熱処理時の脱炭や鋳造時の凝固割れ等の問題が起こる
ので、上限を夫々上記の様に設定した。但し、両方の元
素を含有させるときは、含有量の合計を3%程度以下に
するのが好ましい。Alのより好ましい上限は1.4%で
あり、Coのより好ましい上限は2.9%である。尚、上
記の様な効果を有効に発揮させるためには、Alで0.2
%以上、Coで0.5%以上含有させることが好ましい。
b:0.3%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%
を含まない)及びZr:0.3%以下(0%を含まない)よ
りなる群から選ばれる1種以上 Ti、Nb、VおよびZrは、微量の添加で微細析出物
を形成し、析出強化をもたらすと共に、鋼材組織の粗大
化抑制および微細化等に寄与し、靭性を向上させるのに
有効な元素である。これらの効果は、その含有量が増加
するにつれて大きくなるが、過剰に含有させると析出物
が粗大化し加工性が悪くなるので、上限を夫々上記の様
に設定した。尚、上記の様な効果を有効に発揮させるた
めには、いずれも0.02%以上含有させることが好まし
い。
は、その特性を阻害しない範囲の微量成分(例えば、
B,Mg,Ta,Sb,W,希土類元素等)の含有も許
容できるものであり、こうした鋼材も本発明の技術的範
囲に含まれるものである。
ト組織を主体とするものである。焼入れ後や焼戻し後の
組織には、未変態のオーステナイト(残留オーステナイ
ト)を含む場合があるが、本発明における「マルテンサ
イト組織」とは、焼入れ・焼戻し後の残留オーステナイ
トを除く組織を指す。また、「マルテンサイト組織を主
体とする」とは、マルテンサイト組織が90体積%程度以
上であることを意味し、この体積割合は、例えばX線回
折法によって求められる残留オーステナイト量から計算
することができる。この様に、マルテンサイト組織を主
体とする組織とすることによって、前記C含有量と相俟
って、鋼材の強度をロックウェルC硬さ(HRC)で45
以上とすることができる。
を満足するだけでは、本発明で目的とする高靭性を達成
することができない。本発明では、示差走査熱量測定
(以下「DSC」と称する場合がある)の結果により算
出した400〜500℃の範囲での単位質量当りの発熱量が2.
0J/g以下である必要がある。ここで、400〜500℃の
範囲での単位質量当りの発熱量を算出する方法の一例を
図1に示す。
て採取した直径約3mm、高さ約2mm、質量約100mg
の円柱状試験片を、Al2O3製の試料ホルダーに入れ、
標準試料としてAl2O3を用い、N2気流中(流量:50
mL/min)、昇温速度15℃/minの条件で行なっ
た。また、熱流速度差(mJ/sec)は1.0sec毎
に測定した。
は熱流速度差が温度上昇と共に単調増加しているが、25
0〜500℃の範囲では発熱のピークが現れることが分か
る。こうした現象が生じる原因について本発明者らが更
に研究した結果、250〜400℃の範囲におけるピークは残
留オーステナイトの分解に起因する発熱であると共に、
400〜500℃の範囲におけるピークは鋼材に含まれる過飽
和固溶炭素が炭化物として析出する際の発熱に起因して
いることを見出した。そこで、DSCで測定した際に40
0〜500℃の範囲に見られる発熱を示す曲線と、150〜250
℃での熱流速度差変化を直線に近似した基準線との間の
面積(本発明では基準線より上、つまり、図1の斜線部
分の面積)が総発熱量を示していることから、単位質量
当りの発熱量(総発熱量を試料の質量で徐した値)を算
出し、靭性との関係について研究した。その結果、単位
質量当りの発熱量が2.0J/g以下であると、鋼材に含
まれる過飽和固溶炭素量が所望の範囲にあることが分か
り、靭性に優れた鋼材を得ることができた。
戻し後に所定の処理を施すことが重要である。すなわ
ち、鋼材に高温で長時間の焼戻しを施したのでは、固溶
炭素量が減少するので、DSCで測定した際の単位質量
当りの発熱量が2.0J/g以下となるが、充分な強度を
維持することができない。そこで、本発明の鋼材を得る
には、焼入れ・焼戻し後の強度を殆ど低下させないで、
または、更に強度を向上させつつ靭性を向上させる様な
処理を施す必要がある。
し後に靭性をさらに向上させるには、炭化物の析出サイ
トとなる格子欠陥密度を増加させると共に、炭化物の析
出を促進させる処理を施すと良いことが分かった。具体
的には、焼入れ・焼戻しを施した鋼材に冷間加工を施す
と良く、これによって加工強化され、強度を増加させる
ことができる。そして、冷間加工処理後、ブルーイング
処理を施せば、炭化物が析出するので、過飽和固溶炭素
量を減少させることができ靭性を向上させることができ
る。また、ブルーイング処理によって、冷間加工で導入
された格子欠陥に固溶炭素が固着するので、強度をさら
に向上させることができる。
ブルーイング処理を施すと、鋼材が加工強化されると共
に、過飽和固溶炭素量を低減することができるので、靭
性も向上させることができる。
条件とブルーイング処理の条件も重要である。冷間加工
の条件は、総減面率が4%以上、10%以下となるように
操業することが推奨される。総減面率がこの範囲である
と、格子欠陥が効果的に導入されるので、鋼材の強度を
向上させることができるのである。しかし、総減面率が
4%未満では、格子欠陥の導入量が不十分であるので、
冷間加工後に施されるブルーイング処理によって強度が
低下してしまう。また、総減面率が10%を超えると、鋼
材に過剰な加工強化が施されてしまうので、析出した炭
化物が加工によって再固溶してしまい、過飽和固溶炭素
量を低減することができないのである。
t(sec)、温度をT(℃)、鋼材の添加炭素量を
[C](質量%)とした場合、下記[1]式を満足する
ように操業することが推奨される。 10000≦(T+273)×(logt+21.3−5.8×[C])≦18000 ・・・[1] 但し、180≦tで、200≦T≦500である。
は、少なくとも180sec必要であるので、下限を180secと
した。また、極端に低温でブルーイング処理を施すと、
過飽和炭素量を低減するのに時間がかかり過ぎるので実
操業にそぐわず、一方、高温でブルーイング処理を施す
と強度が低下してしまうので、本発明の要件を満足する
鋼材を得ることができない。よって、処理温度を200〜5
00℃とするのが好ましい。しかし、ブルーイング処理温
度が400超〜500℃の範囲では、本発明の要件を満足する
鋼材を得ることはできるものの、強度が若干低下する傾
向がある。よって、ブルーイング処理温度は400℃以下
がより好ましい。
Tの条件を満足すると共に、上記[1]式を満足するの
が良い。すなわち、時間tと温度Tと鋼材の添加炭素量
[C]との関係を示す上記[1]式の値が10000〜18000
の範囲であると、鋼材の強度を維持しつつ過飽和固溶炭
素を低減することができるので、靭性を向上させること
ができるのである。
炭素量を低減することで靭性を向上させるものである
が、鋼材中の過飽固溶炭素量が低減する理由は、焼入れ
や焼戻し、ブルーイングの工程で過飽和固溶炭素が炭化
物として析出するからである。しかし、鋼材中に析出す
る炭化物は、鋼材の靭性に影響を与えることも知られて
おり、この炭化物は結晶粒内の格子欠陥やラス界面、ブ
ロック界面、旧オーステナイト粒界などに析出する。
炭化物にも注目し、該炭化物の析出サイトまたは析出サ
イズと、鋼材の物性との関係について夫々検討したとこ
ろ、炭化物がマルテンサイト組織中に均一に微細分散し
ていると強度および靭性の両方の特性に一層優れること
を知った。また、鋼材組織を観察したところ、結晶粒径
も強度および靭性に影響を与えることを知った。そし
て、本発明者らは、下記(1)〜(3)に示した条件の
うち少なくとも一つ満足すると、強度及び靭性に一層優
れることを明らかにした。
たときに、旧オーステナイト粒界に存在する炭素量と粒
内に存在する炭素量の比が2.50以下 炭化物は大傾角粒界へ析出しやすいが、炭化物が旧オー
ステナイト粒界へ析出すると粒界破壊を助長させて、靭
性を低下させることが知られている。そのため、高靭性
化を達成するには、旧オーステナイト粒界に析出する炭
化物量を低減すると共に、旧オーステナイト粒内に炭化
物が析出する様に制御すれば良い。また、旧オーステナ
イト粒界に析出する炭化物は鋼材の強度へ殆ど寄与しな
いが、旧オーステナイト粒内に析出する炭化物は鋼材の
強度へ寄与する可能性がある。そこで、本発明者らは、
旧オーステナイト粒界に存在する炭素量[以下「C(粒
界)」と表す]と旧オーステナイト粒内に存在する炭素
量[以下「C(粒内)」と表す]を測定し、これらの炭
素量の比[C(粒界)/C(粒内)]と鋼材の強度−靭
性バランスとの関係について検討したところ、下記
(I)式を満足する鋼材は、強度−靭性バランスに優れ
ることが分かった。より好ましくは下記(II)式を満
足するのが良い。 [C(粒界)/C(粒内)]≦2.50 ・・・(I) [C(粒界)/C(粒内)]≦2.30 ・・・(II) すなわち、鋼材が上記(I)式を満足すると、炭化物が
粒界に集中して析出しておらず、鋼材中に均一に微細分
散していることとなるので、鋼材は強度および靭性に優
れるのである。
光法で測定した値である。この理由は、C量を厳密に測
定できるからである。すなわち、C量の分析は非常に難
しく試料に付着した僅かな汚れであってもCとして検出
することがあり、真の値を得ることが困難であるが、オ
ージェ電子分光法では、試料を真空中で破壊させ、評価
面を真空中で作成し得るので清浄な分析面(破壊面)を
得ることができ、C量を厳密に測定できる。また、オー
ジェ電子分光法では、分析深さが10nm程度なので極表
層を分析でき、旧オーステナイト粒界に板状となって析
出している炭化物の分析にも適している。
イト粒界または粒内に存在する炭素量(質量%)を測定
したとしても、炭化物として析出している炭素である
か、固溶している炭素であるか区別できない。しかし、
後述する実施例から明らかな様に、オージェ電子分光法
で鋼材を測定したところ鋼材に含有する炭素量よりも高
い炭素量が測定されるので、オージェ電子分光法で測定
した炭素量とは、炭化物を形成している炭素を測定して
いると考えられる。
析出させる方法について検討したところ、焼戻し条件が
特に重要であることが分かった。すなわち、焼戻し条件
は、鋼材の炭素含有量や、炭化物の析出に影響を及ぼす
SiやCrなどの元素の含有量にも影響を受けるけれど
も、焼戻し温度を低く(例えば、325℃以下)すると、
炭化物が旧オーステナイト粒内へ析出しやすいことを明
らかにした。この理由は、旧オーステナイト粒界へ炭化
物が析出成長するには、粒内から粒界への炭素の拡散が
必要であるが、低温程拡散し難いためである。また、ブ
ルーイング条件も炭化物の析出サイトへ影響を及ぼすと
考えられ、焼戻し温度と同様にブルーイング温度を低く
(例えば、325℃以下)する方が好ましい。
化物の平均長径が70nm以下 炭化物はマルテンサイトラス内にも析出するが、このと
き炭化物は針状に析出する。よって、鋼材は炭化物の長
軸方向に沿って破壊しやすく、炭化物が針状に長くなる
に連れて亀裂の発生および進展が進むと考えられる。そ
こで、マルテンサイトラス内に存在する炭化物のサイズ
が、鋼材の強度および靭性に及ぼす影響について本発明
者らが検討したところ、マルテンサイトラス内に存在す
る炭化物の平均長径が70nm以下、より好ましくは65n
m以下であれば、鋼材の強度および靭性に一層優れるこ
とが分かった。すなわち、炭化物の長径が短ければ、鋼
材中での亀裂の進展経路が複雑となるので、靭性が向上
すると考えられる。また、鋼材中に微細な炭化物を析出
させることによって、炭化物の析出による強化も期待で
きる。
やブルーイング条件を制御することで調整できる。つま
り、焼戻し処理を低温で且つ短時間で行うと、炭化物は
微細になると考えられるが、焼戻し処理後にさらに冷間
加工やブルーイング処理を施すことで炭化物の粒内への
析出を促進できる。このとき、鋼材に施す冷間加工を炭
素の再固溶を避ける程度に大きくすると共に、ブルーイ
ング温度を低くすることによって、冷間加工で導入され
た格子欠陥に微細な炭化物が効率良く析出すると考えら
れる。
が10μm以下 旧オーステナイト粒界には、炭化物が析出したり、Pな
どの有害不純物が偏析して粒界破壊を助長するので、鋼
材の靭性が劣化する原因となる。また、旧オーステナイ
ト粒の結晶粒径は、粒内の組織単位であるマルテンサイ
トブロックやラスのサイズを変化させるので、粒内での
破壊にも影響を及ぼす。そこで、旧オーステナイト粒の
平均結晶粒径と鋼材の強度−靭性バランスとの関係につ
いて検討したところ、旧オーステナイト粒の結晶粒径が
10μm以下、より好ましくは8μm以下であれば鋼材の
強度−靭性バランスが良好であることが分かった。
を小さくすると、粒界破壊を生じる際の応力集中を緩和
することができると考えられる。また、粒内破壊ではマ
ルテンサイトブロックやラスを微細化できるので、破壊
経路を複雑にできる。よって、強度−靭性バランスを良
好にできると考えられる。
範囲に制御するには、TiやNb,V,Zrなどの元素
を添加すれば結晶粒が容易に微細化する。また、焼入れ
処理するに際して、昇温速度を大きくする(例えば、50
℃/sec以上)と共に、加熱温度を低くし(例えば、
880〜910℃程度)、且つ処理時間を短く(例えば、900
sec程度)すれば、結晶粒は微細化されるが、加熱温
度を低くし過ぎたり、処理時間を短くし過ぎると溶体化
が充分行われないときがあるので注意が必要である。
も一つを満足するのが好ましいが、より好ましくは任意
に選ばれる二つの条件を満足するのが良く、最も好まし
くは三つ全ての条件を満足するのが望ましい。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
20)を、溶製、形状加工し、直径:18mmの棒材を得
た。次に、下記に示す製造パターンAまたは製造パター
ンBでマルテンサイト鋼を作製した。尚、鋼材をX線回
折で観察し、求められる残留オーステナイト量からマル
テンサイト組織量を計算して、該マルテンサイト組織が
90体積%以上存在していることを確認している。 製造パターンA:焼入れ処理、焼戻し処理、冷間
加工、ブルーイング処理の4つの処理工程からなる。 製造パターンB:焼入れ処理、焼戻し処理の2つの
処理工程からなる。
0℃に加熱した後、冷却速度が臨界冷却速度以上となる
様に水冷した。焼戻し処理については、必要な強度レベ
ルに調整する様に温度及び時間を設定した。
間加工を施した。冷間加工は、総減面率が2%以上とな
る様に伸線加工した。尚、冷間加工として伸線加工を採
用したが、圧延、鍛造、その他の加工方法でも良い。さ
らに、製造パターンAでは、冷間加工後、表2に示す条
件でブルーイング処理を行なった。
て、試料表面に熱電対を溶接して表面温度を測定し、得
られた測定温度から昇温速度を算出した。
鋼材の強度評価として、ロックウェルC硬さ(HRC)
を求めた。このとき、圧延方向横断面を測定面とする為
に、湿式切断、♯80および♯150のエミリー紙を用いて
湿式研磨後、D/4(D:直径)位置の硬さを4点測定
し、その平均値を求めた。
ャージ試験における破断寿命を採用した。例えば、CA
MP−ISIJ,11(1998),495において、4点曲げ−
陰極チャージ試験の破断寿命が、破断靭性値K1Cと良い
相関を得ることが報告されており、本発明においてもこ
うした試験方法を靭性評価の試験方法として採用した。
本発明で採用したこの試験方法の概要は、下記の通りで
ある。
戻し後またはブルーイング処理後の試料から、放電処理
によって長さ:65mm,幅:10mm,厚さ:1.5mmの
板状試験片を切り出し、図2に示す治具によって曲げ応
力1400MPaで4点にて拘束した。そして、この拘束し
た試験片を装着した治具を、0.5mol/L硫酸および
0.01mol/LのKSCNの混合液に浸し、陽極に白金
電極を用いて、陰極電位−700mVを付加することで、
試験片に電気化学的に水素を供給した。電位付与後、曲
げ応力を与えた試験片が破断するまでの時間で測定し
た。そして、寿命が1000secを超えるものが、実用に
適する靭性を有することから、寿命が1000secを合否
の判断基準とした。
るために、下記条件で示差走査熱量測定を行なった。
件]リガク製THERMOFLEX DSC8230(示差走査熱量測定装
置:DSC)を用いて、鋼材からワイヤカットにて採取
した直径約3mm、高さ約2mm、質量約100mgの円柱
状試験片を、Al2O3製の試料ホルダーに入れ、標準試
料としてAl2O3を用い、N2気流中(流量:50mL/
min)、昇温速度15℃/minの条件で測定した。
を示す曲線と、150〜250℃での熱流速度差変化を直線に
近似した基準線との間の面積(総発熱量)を算出した。
尚、熱流速度差(mJ/sec)は1.0sec毎に測定
した。
ンAまたは製造パターンBで製造した試料における特性
を測定した結果を、詳細な製造条件と共に下記表2に示
す。但し、下記表2における記号は、例えば、表1の鋼
材1を上記製造パターンAで製造したときには、「1−
A」と表記してある。また、下記表2における試料No.27
のものは、強度不足のため靭性評価は行なわなかった。
ら算出された400〜500℃の範囲における単位質量当りの
発熱量Q(J/g)と破断寿命(sec)の関係を図3
に示す。表2と図3から次の様に考察できる。
Aにて処理したものは、試料No.2,3,9,15を除いて本
発明の要件を満足する本発明例であり、ブルーイング処
理後のロックウェルC硬さが45を超えていると共に、破
断寿命が1000secを超えている。すなわち、高強度で
高靭性の鋼材が得られている。
スAにて処理しているにもかかわらず、単位質量当りの
発熱量Qが本発明の要件を満足せず、破断寿命が1000s
ecに満たなかった。この理由は次の様に考察できる。
試料No.2は、ブルーイング時間が30secと短いため、
試料全体が均熱されておらず、過飽和固溶炭素を充分に
減少させることができなかった。よって、ブルーイング
処理後のロックウェルC硬度は45を超えているものの、
単位質量当りの発熱量Qが2.0J/gを超えた。試料No.
3は、冷間加工の総減面率が2.2%と僅かであるので、炭
化物の析出サイトとなる格子欠陥の導入が充分ではな
く、ブルーイング処理時に炭化物の析出が促進されなか
ったと考えられる。よって、過飽和固溶炭素量を充分に
低減することができず、靭性劣化を抑制できなかった。
また、強度も焼戻し後よりも顕著に低下している。試料
No.9及びNo.15は、冷間加工時の総減面率が16.0%及び2
1.0%と高いので、既に析出している炭化物が加工強化
によって再固溶してしまい、過飽和固溶炭素量が増加し
たと考えられる。従って、Qが2.0J/gを超えたので
充分な靭性を得ることができなかった。
素の含有量が本発明で規定する上限を超えているの鋼材
を用いた例である。よって、Qは2.0J/g以下である
ものの、粗大介在物や偏析を生じてしまい、冷間加工や
ブルーイング処理によって過飽和固溶炭素量を減少させ
ても靭性は充分に向上できなかった。
であるものの、Mn,Ti,Alなどの元素が過剰に添
加されているので、粗大介在物や偏析を生じてしまい、
冷間加工やブルーイング処理によって過飽和固溶炭素量
を減少させても靭性は充分に向上できなかった。
た鋼材は、焼戻し後のロックウェルC硬さが45以上であ
るものの、過飽和炭素量を低減する処理を施していない
ので、Qが2.0J/gを超え、靭性を向上させることが
できなかった。
関係について検討した。実施例1で示した条件で製造し
た試料No.1〜33を真空チャンバー内で破断し、破断面に
おける旧オーステナイト粒界に存在する炭素量(質量
%)および粒内に存在する炭素量(質量%)を走査型オ
ージェ電子分光装置(PHI社製、商品名「PHI67
0」)で夫々測定した。真空チャンバー内は、真空度:
1.33×10-1 0kPa(1×10-9torr)以下とし、ビー
ム径:1μmφ以下である。
料No.20,21,22など)、水素脆化による粒界破壊を促す
ために測定前に予め水素チャージし、水素が離散しない
ように常法でZnめっきを施したものを測定用試料とし
て破断面における旧オーステナイト粒界および粒内に存
在する炭素量(質量%)を夫々測定した。
界または粒内について夫々5カ所以上とし、検出された
ピーク強度からFe,CおよびSi濃度を夫々算出して
旧オーステナイト粒界に存在する炭素量[C(粒界)]
と粒内に存在する炭素量[C(粒内)]の平均値を求め
た。但し、検出されたピークはFe,CおよびSiが主
であったため、これら三元素の合計量を100%としてC
濃度を算出した。結果を夫々表3に示す。また、旧オー
ステナイト粒界に存在する炭素量と粒内に存在する炭素
量との比[C(粒界)/C(粒内)]を計算して表3に
示す。
たロックウェルC硬さ(HRC)に対して破断寿命を図
4プロットする。但し、製造パターンBで製造した試料
は、焼戻し後に測定したロックウェルC硬さ(HRC)
に対して破断寿命をプロットしている。図中○は本発明
例であり、×は比較例である。また、境界線[a]は、
旧オーステナイト粒界に存在する炭素量と粒内に存在す
る炭素量との比[C(粒界)/C(粒内)]が2.50以下
であるものと、比[C(粒界)/C(粒内)]が2.50超
のものとの境界を表している。
旧オーステナイト粒界に存在する炭素量と粒内に存在す
る炭素量との比[C(粒界)/C(粒内)]が2.50以下
である鋼材は、本発明の要件を満足する本発明例の中で
も強度−靭性バランスが特に良好である。
断面の一例を図5に示す。図5は試料No.4を真空チャン
バー内で破断したときの破断面を走査型電子顕微鏡(日
立製作所製、商品名「S−4000」)を用いて2000倍
で撮影した図面代用写真である。図5から平滑な粒界破
面と、凹凸のある粒内破面とが混在していることが分か
る。
関係について検討した。上記実施例1で得られた試料を
透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名「H−80
0」)を用いて60000倍で観察し、マルテンサイトラス
内に存在する炭化物の長径を測定すると共に、測定対象
が炭化物であることを電子線回折パターンで確認した。
炭化物の測定個数は100個以上とし、測定した炭化物の
長径を平均した平均長径を炭化物のサイズとした。結果
を前記表3に示す。また、マルテンサイトラス内に存在
する炭化物の平均長径が70nm以下のものと、70nm超
のものとの境界線[b]を図4に併記した。
する本発明例の中でも、マルテンサイトラス内に存在す
る炭化物の平均長径が70nm以下であれば、強度と靭性
のバランスがさらに良好となることが分かる。
子顕微鏡を用いて60000倍で撮影した図面代用写真を図
6に示す。図中の矢印は、炭化物を指し示している。図
6から明らかな様に、マルテンサイトラス内に存在する
炭化物は、その殆どが針状に析出していることが分か
る。
性バランスとの関係について検討した。上記実施例1に
示した条件で焼入れ処理した焼入れままの試料を、500
℃で2時間熱処理した後、湿式研磨、バフ研磨を行い、
塩酸、ピクリン酸およびエチルアルコールの混合溶液を
用いて腐食して、旧オーステナイト粒を現出させた。腐
食後の試料を光学顕徹鏡(オリンパス社製)を用いて観
察倍率400倍で4視野観察し、切断法(測定長は50mm程
度)で旧オーステナイト粒の平均結晶粒径を算出した。
結果を前記表3に示す。また、旧オーステナイト粒の結
晶粒径が10μm以下のものと、10μm超のものとの境界
線[c]を図4に併記した。
の要件を満足する本発明例の中でも、旧オーステナイト
粒の平均結晶粒径が10μm以下であれば、強度と靭性の
バランスが一層良好となることが分かる。
〜(3)の全ての条件を満足する本発明例は、強度およ
び靭性の両方の特性に非常に優れていることが分かる。
高強度が要求される構造部材として用いても十分な強度
を有すると共に、靭性にも優れた鋼材を提供することが
できた。
すチャートである。
示す概略説明図である。
の範囲における単位質量当りの発熱量Q(J/g)と破
断寿命(sec)の関係を示すグラフである。
寿命をプロットしたグラフである。
用写真である。
写真である。
Claims (7)
- 【請求項1】 C及びMnを夫々含み、P:0.02%
(「質量%」の意味、以下同じ)以下(0%を含む)、
S:0.02%以下(0%を含む)に夫々抑制した靭性
に優れた鋼材であって、 マルテンサイト組織を主体とし、 且つロックウェルC硬さ(HRC)が45以上で、 示差走査熱量測定の結果により算出した400〜500
℃の範囲での単位質量当りの発熱量が2.0J/g以下
であることを特徴とする靭性に優れた鋼材。 - 【請求項2】 下記(1)〜(3)に示した条件のうち
少なくとも一つを満足するものである請求項1に記載の
鋼材。 (1)オージェ電子分光法で測定したときに、旧オース
テナイト粒界に存在する炭素量(質量%)[C(粒
界)]と粒内に存在する炭素量(質量%)[C(粒
内)]の比[C(粒界)/C(粒内)]が2.50以下。 (2)マルテンサイトラス内に存在する炭化物の平均長
径が70nm以下。 (3)旧オーステナイト粒の平均結晶粒径が10μm以
下。 - 【請求項3】 C:0.15〜1.2%及びMn:0.
15〜2.0%を夫々含有するものである請求項1また
は2に記載の鋼材。 - 【請求項4】 更に他の元素として、Si:2%以下
(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3
のいずれかに記載の鋼材。 - 【請求項5】 更に他の元素として、Cr:3.0%以
下(0%を含まない)、Mo:2%以下(0%を含まな
い)、Ni:10%以下(0%を含まない)及びCu:
1%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1
種以上の元素を含むものである請求項1〜4のいずれか
に記載の鋼材。 - 【請求項6】 更に他の元素として、Al:1.5%以
下(0%を含まない)及び/又はCo:3%以下(0%
を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいず
れかに記載の鋼材。 - 【請求項7】 更に他の元素として、Ti:0.3%以
下(0%を含まない)、Nb:0.3%以下(0%を含
まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)及びZ
r:0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選
ばれる1種以上の元素を含むものである請求項1〜6の
いずれかに記載の鋼材。
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