JP2002356063A - 多色画像形成材料及び多色画像形成方法 - Google Patents

多色画像形成材料及び多色画像形成方法

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JP2002356063A
JP2002356063A JP2002055920A JP2002055920A JP2002356063A JP 2002356063 A JP2002356063 A JP 2002356063A JP 2002055920 A JP2002055920 A JP 2002055920A JP 2002055920 A JP2002055920 A JP 2002055920A JP 2002356063 A JP2002356063 A JP 2002356063A
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Hideyuki Nakamura
秀之 中村
Toru Sugiyama
亨 杉山
Yasutomo Goto
靖友 後藤
Junichi Fujimori
淳一 藤盛
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高感度で、優れた画質の画像を形成することが
できる多色画像形成材料及び多色画像形成方法を提供す
る。 【解決手段】支持体上に少なくとも受像層を有する受像
シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成
層とを有する少なくとも4種類の色の異なる熱転写シー
トを用い、前記各熱転写シートの画像形成層と前記受像
シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を
照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シー
トの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材料
において、前記受像シ−トは縦横の長さがいずれも50
cm以上、縦×横が3000cm2以上の面積を有し、
かつ受像層表面の記録に用いるレーザー光の分光反射率
が65%以上である多色画像形成材料及び多色画像形成
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を用い
て高解像度のフルカラー画像を形成する多色画像形成方
法に関する。特に、本発明はデジタル画像信号からレー
ザー記録により、印刷分野におけるカラープルーフ(D
DCP:ダイレクト・ディジタル・カラープルーフ)、
あるいはマスク画像を作製するのに有用な多色画像形成
材料及び多色画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グラフィックアート分野では、カラー原
稿からリスフィルムを用いて作製された一組の色分解フ
ィルムを使用して印刷版の焼付けが行われるが、一般
に、本印刷(実際の印刷作業)の前に色分解工程での誤
りや色補正の必要性等をチェックするために、色分解フ
ィルムからカラープルーフを作製している。カラープル
ーフには、中間調画像の高再現性を可能とする高解像力
の実現や、高い工程安定性等の性能が望まれている。ま
た、実際の印刷物に近似したカラープルーフを得るため
に、カラープルーフに使用される材料としては、実際の
印刷物に使用される材料、例えば基材としては印刷本紙
を、色材としては顔料を用いることが好ましい。また、
カラープルーフの作製方法としては、現像液を用いない
乾式の方法の要望が高い。
【0003】乾式のカラープルーフ作製法として、最近
の印刷前工程(プリプレス分野)における電子化システ
ムの普及に伴い、デジタル信号から直接カラープルーフ
を作製する記録システムが開発されている。このような
電子化システムは、特に高画質のカラープルーフを作製
するのが目的であり、一般的には、150線/インチ以
上の網点画像を再現する。デジタル信号から高画質のプ
ルーフを記録するためには、デジタル信号により変調可
能で、かつ記録光を細く絞り込むことが可能なレーザー
光を記録ヘッドとして用いる。このため、レーザー光に
対して高い記録感度を示し、かつ、高精細な網点を再現
可能にする高解像力を示す画像形成材料の開発が必要と
なる。
【0004】レーザー光を利用した転写画像形成方法に
用いられる画像形成材料としては、支持体上に、レーザ
ー光を吸収して熱を発生する光熱変換層、及び顔料が熱
溶融性のワックス、バインダー等の成分中に分散された
画像形成層をこの順に有する熱溶融転写シート(特開平
5−58045号公報)が知られている。これらの画像
形成材料を用いる画像形成方法では、光熱変換層のレー
ザー光照射領域で発生した熱によりその領域に対応する
画像形成層が溶融し、転写シート上に積層配置された受
像シート上に転写され、受像シート上に転写画像が形成
される。
【0005】また、特開平6−219052号公報に
は、支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、非常
に薄層(0.03〜0.3μm)の熱剥離層、色材を含
む画像形成層がこの順に設けられた熱転写シートが開示
されている。この熱転写シートでは、レーザー光を照射
されることによって、前記熱剥離層の介在により結合さ
れている画像形成層と光熱変換層との間の結合力が、低
減され、熱転写シート上に積層配置した受像シート上
に、高精細な画像が形成される。前記熱転写シートを用
いた画像形成方法は、所謂「アブレーション」を利用し
ており、具体的には、レーザー光の照射を受けた領域
で、熱剥離層が一部分解し、気化するため、その領域で
の画像形成層と光熱変換層との間の接合力が弱まり、そ
の領域の画像形成層が上に積層した受像シートに転写さ
れる現象を利用している。
【0006】これらの画像形成方法は、受像シート材料
として受像層(接着層)を付設した印刷本紙を用いるこ
とができること、色の異なる画像を次々と受像シート上
に転写することによって多色画像が容易に得られること
等の利点を有し、特にアブレーションを利用する画像形
成方法は、高精細な画像が容易に得られるという利点を
有し、カラープルーフ(DDCP:ダイレクト・ディジ
タル・カラープルーフ)、あるいは高精細なマスク画像
を作製するのに有用である。
【0007】DTP環境が進む中、CTP(Computer To Plat
e)使用先は中間のフィルム出し工程がなくなり、校正
刷りやアナログ方式のプルーフからDDCP方式によるプル
ーフニーズが強くなってきているが、近年さらに高品位
・高安定性で、印刷一致性に優れた大サイズのDDCPが望
まれている。レ−ザ−熱転写方式は高解像度での印画が
可能であり、従来からレーザー昇華方式、レーザー
アブレーション方式、レーザー溶融方式等のシステム
があるが、いずれも記録網点形状がシャープでないとい
う問題があった。のレーザー昇華方式は色材として染
料を用いているため、印刷物近似性が十分ではなく、か
つ色材が昇華する方式であるため網点の輪郭がぼやけて
しまい、解像度が十分高くないという問題があった。一
方、レーザーアブレーション方式は色材として顔料を用
いているため印刷物近似性は良好であるが、色材が飛散
する方式であるため昇華方式と同様に網点の輪郭がぼや
けてしまい、解像度が十分高くないという問題があっ
た。更にのレ−ザ−溶融方式も溶融物が流動するので
クリヤ−な輪郭が出ないという問題があった。さらに、
プルーフ用途としては大サイズの画像を複数枚印画する
必要が頻繁にあり、システムには高感度すなわち高い生
産性が求められるが、レーザーのパワーには上限があ
り、またいわゆるアウタードラム方式での感材保持にお
いては、記録時の回転速度を上げすぎると感材が記録ド
ラムから外れて飛んでしまう危険性もあるため、むやみ
に回転速度を上げることができないという制約もある。
このため従来技術では満足な生産性を達成することがで
きなかった。
【0008】また、レーザー光で画像記録をする際に、
記録時間を短縮するために、複数のレーザービームを用
いた、マルチビームからなるレーザー光が近年使用され
ている。従来の熱転写シートを用いてマルチビームであ
るレーザー光で記録すると、受像シート上に形成された
転写画像を印刷本紙に転写したときに、細線の転写性が
悪化したり、転写された画像が傷つき易く、耐傷性が十
分でないことや転写画像の浮きが見られたりするという
問題が生じた。また、該印刷本紙は専用の紙が用いら
れ、通常のコッピー用紙などのラフ紙は用いられないと
いう問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明の目的は、高品位・高安定性で、
印刷一致性に優れた大サイズのDDCPを提供することであ
り、具体的には、本発明の目的は、1)熱転写シートは
顔料色材、印刷物との比較でも照明光源の影響を受けな
い、色材薄膜の転写で、網点のキレ、安定性に優れるこ
と、2)受像シートはレーザーエネルギー熱転写シート
の画像形成層を安定、確実に受像できること、3)アー
ト(コート)紙、マット紙、微塗工紙等少なくとも64
〜157g/m2の範囲に対応して本紙転写可能、微妙
な質感描写や正確な紙白(ハイキー部)再現が出来るこ
と、4)更にきわめて安定した転写剥離性が得られるこ
と等を達成できる多色画像形成材料及び多色画像形成方
法を提供することにある。また、異なる温湿度条件下に
おいて、マルチビームであるレーザー光により、高エネ
ルギーでレーザー記録した場合も、画質が良好であり、
安定した転写濃度の画像を受像シート上に形成し得る、
高感度で生産性の良好な多色画像形成材料及び多色画像
形成方法を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、前記従来における問
題を解決し、マルチビームであるレーザー光により、高
エネルギーでレーザー記録した場合も、受像シート上に
形成された転写画像を紙に転写したときに、細線の転写
性が良好で、転写された画像の耐傷性及び画像の浮き
(本紙と転写画像の剥がれ)が改善され、かつ転写紙と
して通常のラフ紙を用いることのできる受像シートを備
えた多色画像形成材料及び多色画像形成方法を提供する
ことにある。
【0011】本発明の更に他の目的は、アブレーション
を利用する多色画像形成方法にあって、レーザー照射及
び加熱により熱転写材料に形成された画像を受像材料に
転写し、転写された画像を本紙に再転写するときの転写
性に優れ、かつ耐接着性、高感度、高解像力の再転写画
像を与える受像シートを備えた多色画像形成材料及び多
色画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、前記課題を解決す
るための本発明に係る手段は、以下の通りである。 (1)支持体上に少なくとも受像層を有する受像シート
と、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成層とを
有する少なくとも4種類の色の異なる熱転写シートを用
い、前記各熱転写シートの画像形成層と前記受像シート
の受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射し
て、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シートの受
像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材料におい
て、前記受像シ−トは縦横の長さがいずれも50cm以
上、縦×横が3000cm2以上の面積を有し、かつ受
像層表面の記録に用いるレーザー光の分光反射率が65
%以上であることを特徴とする多色画像形成材料。 (2)前記受像シ−トの受像層表面の記録に用いるレー
ザー光の分光反射率が、80%以上であることを特徴と
する前記(1)に記載の多色画像形成材料。 (3)前記受像シ−トの受像層表面の記録に用いるレー
ザー光の分光反射率が、波長450nmの時の反射率を
B%、波長550nmの時の反射率をG%とした時、白
色度=4B−3Gで計算される値が50%以上であるこ
とを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の多色画像
形成材料。 (4)前記受像シ−トの受像層表面の前記白色度が、8
5%以上であることを特徴とする前記(3)に記載の多
色画像形成材料。
【0013】(5)支持体上に少なくとも受像層を有す
る受像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画
像形成層とを有する少なくとも4種類の色の異なる熱転
写シートを用い、前記各熱転写シートの画像形成層と前
記受像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザ
ー光を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受
像シートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形
成材料において、前記受像シ−トは縦横の長さがいずれ
も50cm以上、縦×横が3000cm2以上の面積を
有し、かつ前記受像シ−トの受像層が、150℃におけ
る溶融粘度の値が1.0×102〜1.0×105ポイズ
であるポリマー又はその組成物を含有することを特徴と
する多色画像形成材料。 (6)前記受像シ−トの受像層が、25℃、50%RH
に調湿したときのガラス転移温度(Tg)の値が0〜8
0℃であるポリマー又はその組成物を含有することを特
徴とする前記(5)に記載の受像シート。 (7)前記受像シ−トの受像層が、25℃、50%RH
に調湿したときのガラス転移温度(Tg)の値が57〜
70℃であるポリマー又はその組成物を含有することを
特徴とする前記(6)に記載の受像シート。
【0014】(8)前記受像シ−トの受像層が、スチレ
ン・マレイン酸共重合体のハーフエステル化物、スチレ
ン・フマール酸共重合体のハーフエステル化物及びスチ
レン・アクリル酸共重合体のエステル化物から選択され
る少なくとも1種のエステル化物を含有することを特徴
とする前記(1)に記載の多色画像形成材料。 (9)前記受像シ−トの受像層が、前記エステル化物に
加えて、ポリビニルブチラール樹脂を含有することを特
徴とする前記(8)に記載の多色画像形成材料。 (10)前記エステル化物の融点が、75〜230℃の
範囲にあることを特徴とする前記(8)又は(9)に記
載の多色画像形成材料。 (11)前記エステル化物の酸価が、140〜225の
範囲にあることを特徴とする上記(8)〜(10)のい
ずれかに記載の多色画像形成材料。 (12)前記エステル化物が、受像層に含有されるバイ
ンダーポリマーの総量の10質量%以上を占める割合で
含有されていることを特徴とする前記(8)〜(11)
のいずれかに記載の多色画像形成材料。
【0015】(13)前記受像シ−トが、支持体と受像
層の間にクッション層を有することを特徴とする前記
(1)〜(12)のいずれかに記載の多色画像形成材
料。 (14)前記転写画像の解像度が2400dpi以上の
画像であることを特徴とする前記(1)〜(13)のい
ずれかに記載の多色画像形成材料。 (15)前記転写画像の解像度が2600dpi以上の
画像であることを特徴とする前記(1)〜(14)に記
載の多色画像形成材料。 (16)前記多色画像の記録面積が515mm×728
mm以上のサイズであることを特徴とする上記(1)〜
(15)のいずれかに記載の多色画像形成材料。 (17)前記多色画像の記録面積が594×841mm
以上のサイズであることを特徴とする上記(1)〜(1
6)のいずれかに記載の多色画像形成材料。
【0016】(18)前記各熱転写シートの画像形成層
の光学濃度(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が
1.50以上であることを特徴とする上記(1)〜(1
7)のいずれかに記載の多色画像形成材料。 (19)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が1.80以上
であることを特徴とする上記(1)〜(18)のいずれ
かに記載の多色画像形成材料。 (20)前記各熱転写シートの画像形成層及び前記受像
シ−トの受像層の水に対する接触角が7.0°〜12
0.0°の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜
(19)のいずれかに記載の多色画像形成材料。 (21)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が1.80以上
であり、前記受像シ−トの水に対する接触角が86°以
下であることを特徴とする上記(1)〜(20)のいず
れかに記載の多色画像形成材料。
【0017】(22)前記各熱転写シートの画像形成層
の光学濃度(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が
2.50以上であることを特徴とする上記(1)〜(2
1)のいずれかに記載の多色画像形成材料。 (23)前記受像シートの残溶剤量が5〜100μl/
2であることを特徴とする上記(1)〜(22)のい
ずれかに記載の多色画像形成材料。 (24)支持体上に少なくとも受像層を有する受像シー
トと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成層と
を有する、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、及
びブラックの4種類の色の異なる熱転写シートを用い、
前記各熱転写シートの画像形成層と前記受像シートの受
像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、
画像形成層のレーザー光照射領域を前記受像シートの受
像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色画像形
成方法において、前記受像シート及び前記各熱転写シー
トとして上記(1)〜(23)のいずれかに記載の多色
画像形成材料の受像シート及び熱転写シートを用いるこ
とを特徴とする多色画像形成方法。
【0018】
【発明の実施の形態】我々は高品位・高安定性で、印刷
一致性に優れたB2/A2以上更にはB1/A1以上の
大サイズのDDCPを提供するために鋭意検討した結果、本
紙転写・実網点出力・顔料タイプのB2サイズ以上の画
像形成材料及び出力機と高品位CMSソフトからなるD
DCP用レ−ザ−熱転写記録システムを開発した。この
性能の特徴、システム構成及び技術ポイントの概要は次
の通りである。性能の特徴はドット形状がシャ−プで
あるため、印刷物近似性に優れた網点を再現できる。
色相の印刷物近似性が良好である。記録品質は環境温
湿度の影響を受けにくく、また繰り返し再現性が良いた
め、安定したプル−フを作成できる。このような性能の
特徴が得られる材料の技術的ポイントは薄膜転写技術を
確立したこと、レ−ザ−熱転写システムに要求される材
料の真空密着保持性・高解像度記録への追従・耐熱性の
改良がポイントである。具体的には赤外吸収色素の導
入による光熱変換層を薄膜化すること、高Tgポリマ
−導入による光熱変換層の耐熱性を強化すること、耐
熱性顔料導入により色相安定化を図ること、ワック
ス、無機顔料等の低分子成分添加により接着力・凝集力
をコントロ−ルすること、光熱変換層へのマット材添
加により、画質劣化を伴わないで真空密着性を付与する
こと等が挙げられる。システムの技術的ポイントは記
録装置の多数枚連続集積のためのエア−搬送、熱転写
装置の、転写後カ−ル低減のための本紙上挿入、シス
テム接続拡張性を持たせた汎用出力ドライバ−の接続等
が挙げられる。
【0019】我々は個々の素材、光熱変換層、熱転写
層、受像層などの各塗布層、各熱転写シ−トや受像シ−
トなどは個別のものではなく有機的、総合的に機能する
ようにすべきであり、更にこれら画像形成材料は記録装
置や熱転写装置と組み合わされて最高の性能を発揮する
ものであるとの考えの基に開発を行った。我々は画像形
成材料の各塗布層や構成する素材を十分吟味しそれらの
素材の特長を最大限に引き出す塗布層を作り画像形成材
料とし、この画像形成材料が最高の性能を発揮するよう
な各種の物理特性の適当な範囲を見出した。その結果、
各素材、各塗布層、各シ−トや物理特性との関係を極
め、さらには画像形成材料と記録装置や熱転写装置と有
機的、総合的に機能させることにより、思いもかけず、
高性能な画像形成材料を見出すことが出来た。このよう
な我々が開発したシステムにおける本発明の位置付け、
即ち本発明に係る受像シートのサイズを一定以上に規定
し、かつ受像層表面の記録に用いるレーザー光の分光反
射率を一定以上に規定した高性能の画像形成材料の位置
付けは、我々の開発したシステムを支える上で、鮮明な
大画面印刷の実現に重要なポイントであり、また、受像
シ−トの全体の残留溶剤量は層間剥離や剥がしやすさに
大きく影響する重要な発明である。
【0020】本発明でいう受像層表面の記録に用いるレ
ーザー光の分光反射率とは、分光光度計UV−2100
(島津製作所製)に150mmφ積分球装置を設置し、
記録に用いるレーザー光(例えば、波長808nm)の
分光反射率を測定した値である。受像層表面の波長45
0nmの時の反射率をB%、波長550nmの時の反射
率をG%とした時、白色度=4B−3Gで計算される値
とは、分光光度計計UV−2100(島津製作所製)に
150mmφ積分球装置を設置し測定した、波長450
nmと波長550nmの分光反射率から算出した値であ
る。
【0021】また、本発明は受像シ−トの全体の残留溶
剤量が5〜100μl/m2であることが好ましく、高
感度と良好な本紙転写性を両立する上で重要である。す
なわち残留溶剤量が5μl/m2を上回る領域では熱転
写感度が向上し、細線や網点が良好に記録できる。一方
残留溶剤が100μl/m2を下回る領域では、本紙転
写工程における必要な剥離力が小さくてすみ、作業が容
易となる。これは特にプルーフのような大サイズ画像の
作成が必要な用途においては重要となる。残留溶剤量を
5〜100μl/m2の範囲に調整することで高い熱転
写感度と良好な本紙転写性を両立することができる。
【0022】上記残留溶剤量は次のように測定した。ヘ
ッドスペーサーHSS-2A、ガスクロマトグラフGC-9A(島
津製作所製)を用い、0.0125m2のサンプルをバイアル瓶
に封入し、250℃、30分間の加熱で残留溶剤を抽出し定
量した。残留溶剤量の計算は簡便のため、次のようにME
K換算値として算出した。検量用1%MEK水溶液10μL(=ME
K0.1μL含有)の検出強度(エリア面積);a サンプル
測定でのトータル検出強度(エリア面積);b サンプル
面積(m2);c とした時、MEK換算残留溶剤量(μL/m2)=
(0.1×a/b)/c
【0023】本発明の多色画像形成材料では、一態様と
して、受像層が150℃における溶融粘度の値が1.0
×102〜1.0×105ポイズ、更に好ましくは5.0
×103〜7×104ポイズであるポリマー又はその組成
物を含有する。上記溶融粘度は、測定装置としてソリキ
ッドメータMR−3(レオロジ社製)を用い、周波数1
Hz、昇温温度5℃/mの条件でポリマー又はその組成
物を測定した値である。上記ポリマーとしては、熱可塑
性樹脂であることが好ましく、その例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル等のアクリル系モノマーの単独重合体及びそ
の共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、セ
ルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、ポ
リスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等のよう
なビニル系モノマーの単独重合体及びその共重合体、ポ
リエステル、ポリアミド等のような縮合系ポリマー、ブ
タジエン−スチレン共重合体のようなゴム系ポリマーを
挙げることができる。これらポリマー又はその組成物
は、分子量、共重合体の場合はモノマー組成、組成物の
場合はポリマー成分比などを適宜選定することにより、
溶融粘度を調整することができる。中でも、ポリビニル
ブチラール(エスレックB BL−SH、積水化学工業
(株)製)等が好ましい。
【0024】この本発明の一層好ましい態様は、受像層
が25℃、50%RHに調湿したときのTgの値が0〜
80℃、更に好ましくは57〜70℃であるポリマー又
はその組成物を含有するものである。上記Tgは、25
℃、50%RHに1晩以上調湿したポリマー又はその組
成物をステンレス性密閉セルに約10mg詰め、示差走
査熱分析(DSC)計(TAインスツルメント社製DS
C2920)にて昇温速度10℃/minの条件で測定
される値である。このポリマーとしては、上記したもの
と同様のものが、用いられ、同様の方法でTgが調整さ
れる。
【0025】この本発明の態様では、上記ポリマーを受
像層に用いることにより、本紙への転写性が高まり、転
写画像の細線付き及び耐傷性が改善されると共に本紙と
してラフ紙を用いることが可能である。また、本紙への
画像の転写のために従来から用いられてきた熱転写装置
の転写温度を下げる効果もある。ここで、ラフ紙とは、
コートされていなくて表面粗さが粗いものを意味する
(コピー紙など)。ラフ紙としては例えば、中心線平均
表面粗さRa(表面粗さ測定機(Surfcom,東京
精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき
測定)が3.1μm、表面粗さRzが24μmのものが挙
げられる。
【0026】また、本発明の多色画像形成材料では、別
の一態様として、受像シートの受像層は、バインダーポ
リマーとして、スチレン・マレイン酸共重合体のハーフ
エステル化物、スチレン・フマール酸共重合体のハーフ
エステル化物及びスチレン・アクリル酸共重合体のエス
テル化物から選択される少なくとも1種のエステル化物
を含有する。受像層が、バインダーポリマーとして、上
記エステル化物を含有することにより、受像シートは、
ポリビニルブチラールを単独で使用するよりも膜強度が
向上し、更に膜の弾性率が低下することにより膜全体と
して転写されるようになる。また、ゴミによる白ヌケ・
ポツ欠陥も減少し、画像の転写性は極めて優れるように
なる。しかも、転写された画像は、耐接着性、感度、解
像力に優れる。ここで、耐接着性とは、受像シートを重
ね合わせ荷重をかけたときの剥がれやすさの具合であ
る。
【0027】受像層に含有される上記エステル化物は、
融点が75〜230℃、特には150〜200℃の範囲
にあるものが好ましい。融点が上記範囲にあることによ
り、紙への転写性と耐接着性が両立することになり好ま
しい。また、上記エステル化物は、酸価(KOHmg/
g)が、100〜600、好ましくは140〜230、
特には140〜180の範囲にあることが好ましい。
【0028】スチレン・マレイン酸共重合体のハーフエ
ステル化物、スチレン・フマール酸共重合体のハーフエ
ステル化物及びスチレン・アクリル酸共重合体のエステ
ル化物は、スチレンから導かれる繰り返し単位の含有量
が10〜200モル%であることが好ましく、より好ま
しくは15〜120モル%である。
【0029】このようなエステル化物は、市販されてお
り用いることができる。市販品として、オキシラックS
H−128,201(商品名、スチレン・マレイン酸ハ
ーフエステル系共重合体、日本触媒(株)製)、オキシ
ラックSH−1100,1200(商品名、スチレン・
フマール酸系共重合体、日本触媒(株)製),オキシラ
ックSH−2100,2200(商品名、スチレン・ア
クリル酸系共重合体、日本触媒(株)製)、アドマスト
SA−16,SA−25,SA−50,SA−30M,
SA−40D,SA−50D,SA−50T(商品名、
出光石油化学(株)製)等を挙げることができる。
【0030】上記エステル化物は、受像層に含有される
バインダーポリマーの総量の10質量%以上を占めるこ
とが好ましく、より好ましくは20〜50質量%を占め
ることである。5質量%未満では、上記エステル化物を
受像層にバインダーポリマーとして用いる利点が得られ
ない。尚、多色画像形成材料における受像シートに関し
て、再度詳しく後述する。
【0031】本発明の多色画像形成材料においては、次
のような特徴も有している。その一つ目の特徴は、各熱
転写シートの光熱変換層の光学濃度(OD)と膜厚(μ
m)の比OD/膜厚が好ましくは4.36以上であり、
これによりレーザーの光を効率よく熱に変換し、転写感
度の高い多色画像形成材料を得る事ができる。また、熱
転写シートの画像形成層が薄膜である点に特長がある。
具体的には、前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃
度(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が1.50以
上であることにより、高解像力の転写画像を得る事がで
きる。また、各熱転写シートの画像形成層及び受像シ−
トの受像層の水に対する接触角が7.0〜120.0の
範囲にあることは、転写感度が高く、各種温湿度条件下
で画像記録した場合に安定な画像を得る上で好ましいこ
とである。接触角が7.0以下の場合は記録時の温湿度
の影響により記録画像の安定性が低下し、接触角が12
0.0以上の場合は、転写感度が低くなる。上記各層表
面の水に対する接触角はコンタクトアングルメ−タ−
(Contact Angle Meter)CA-A型(協和界面科学(株)
製)を用いて測定した値である。
【0032】また、その二つ目の特徴は、大画面印刷が
可能であることである。前記各熱転写シートの多色画像
の記録面積が515mm×728mm以上のサイズであ
り、好ましくは前記多色画像の記録面積が594×84
1mm以上のサイズである受像シ−トのサイズは535
mm×748mm以上のサイズであり、好ましくは61
4mm×861mm以上のサイズである。
【0033】次に、本発明の内容を含め、本発明のシス
テム全体について以下説明する。本発明のシステムで
は、薄膜熱転写方式を発明、採用したことによって高解
像度、高画質化を達成した。本発明のシステムでは、解
像度が2400dpi以上、好ましくは2600dpi
以上の転写画像を得ることの出来る。薄膜熱転写方式と
は、層厚が0.01〜0.9μの薄膜の画像形成層を部
分的に溶融しない状態又はほとんど溶融しない状態で受
像シ−トに転写する方式である。即ち、記録された部分
が薄膜として転写するため、極めて解像度の高い熱転写
方式を開発したものである。薄膜熱転写を効率的に行う
好ましい方法は、光記録によって光熱変換層内部をド−
ム状に変形させ、画像形成層を押し上げ、画像形成層と
受像層との密着力を高め、転写しやすくすることであ
る。この変形が大きいと画像形成層を受像層に押しつけ
る力が大きいので転写しやすくなり、一方、変形が小さ
いと画像形成層を受像層に押しつける力が小さいので十
分な転写が出来ない部分が出てくる。そこで薄膜転写に
好ましい変形はレ−ザ−顕微鏡(VK8500、キーエ
ンス社製)により観察したもので、この変形の大きさは
光熱変換層の記録部の光記録後の増加した断面積(a)
と光熱変換層の記録部の光記録前の断面積(b)を加え
た値を光熱変換層の記録部の光記録前の断面積(b)で
除した値に100を乗じて計算される変形率で評価でき
る。即ち変形率={(a+b)/(b)}×100であ
る。変形率は110%以上、好ましくは125%以上、
更に好ましくは150%以上である。破断伸びを大きく
すれば変形率は250%より大きくても良いが、通常は
250%程度以下に抑えることが好ましい。
【0034】薄膜転写における画像形成材料の技術ポイ
ントは以下の通りである。 1.高熱応答性と保存性の両立 高画質を達成するためにはサブミクロンオ−ダ−の薄膜
の転写が必要であるが所望の濃度を出すためには、高濃
度に顔料を分散した層を作る必要があり、熱応答性とは
相反する。また、熱応答性は保存性(接着)とも相反す
る関係にある。これらの相反関係を新規なポリマ−・添
加剤の開発により解決した。 2.高い真空密着性の確保 高解像度を追求した薄膜転写では転写界面は平滑な方が
好ましいが、それでは十分な真空密着性が得られない。
これまでの真空密着性付与の常識にとらわれず、比較的
粒径の小さなマット剤を多めに、画像形成層の下の層に
入れることで、熱転写シートと受像シート間に適度なギ
ャップを均一に保ち、マット剤による画像の抜けが無
く、薄膜転写の特徴を確保したまま、真空密着性を付与
させた。 3.耐熱性有機素材の使用 レ−ザ−記録時にレ−ザ−光を熱に変換する光熱変換層
は約700℃に、顔料色材を含む画像形成層は約500
℃にも達する。光熱変換層の素材として有機溶剤塗布可
能な変性ポリイミドを開発すると共に、顔料色材として
印刷用顔料よりも耐熱性が高く、安全で色相のあった、
顔料を開発した。 4.表面清浄性の確保 薄膜転写では熱転写シートと受像シート間のごみは画像
欠陥となり、重大な問題である。機器外部からの進入・
材料カッテイングでの発生などがあり、材料管理だけで
は不十分であり、機器にごみを除去する機構を付ける必
要があったが、転写材料表面をクリ−ニングできる適度
な粘着性を維持できる素材を見出し、搬送ローラー材質
を変更することにより生産性を低下することなく、ごみ
の除去を実現した。
【0035】以下、本発明のシステムについて詳述す
る。本発明はシャープな網点による熱転写画像を実現
し、かつ本紙転写及びB2サイス゛以上の記録(515mm×
728mm以上)が出来ることが好ましい。更に好まし
くは、B2サイス゛は543mm×765mmであり、これ以
上の大きさに記録が可能であるシステムである。本発明
が開発したシステムの性能の特長の一つはシャ−プなド
ット形状が得られるということである。このシステムで
得られた熱転写画像は2400 dpi以上の解像度で印刷線数
に応じた網点画像とすることができる。1つ1つの網点は
にじみ・欠けがほとんどなく形状が非常にシャープであ
るため、ハイライトからシャドーまでの高範囲の網点を
クリアーに形成することができる。その結果、イメージ
セッターやCTPセッターと同じ解像度で高品位な網点出
力が可能であり、印刷物近似性の良い網点と階調を再現
することができる。
【0036】また、本発明が開発したシステムの性能の
特長の二つ目は繰り返し再現性が良好であるということ
である。この熱転写画像は、網点形状がシャープである
ためレーザービームに対応した網点を忠実に再現でき、
また記録特性の環境温湿度依存性が非常に小さいため、
幅広い温湿度環境下で色相・濃度とも安定した繰り返し
再現性を得ることができる。更に本発明が開発したシス
テムの性能の特長の三つ目は色再現が良好であるという
ことである。このシステムで得られた熱転写画像は、印
刷インクに使用されている着色顔料を用いて形成されて
おり、また繰り返し再現性が良好なため高精度のCMS(カ
ラーマネージメントシステム)を実現できる。また、こ
の熱転写画像は、Japanカラー、SWOPカラーなどの色
相、即ち、印刷物の色相とほぼ一致させることができ、
蛍光灯や白熱灯など光源が変わったときの色の見え方に
ついても印刷物と同様の変化を示すことができる。
【0037】また、本発明が開発したシステムの性能の
特長の四つ目は文字品質が良好であるということであ
る。このシステムで得られた熱転写画像は、ドット形状
がシャープなので、微細文字の細線がきれよく再現でき
る。次に本発明のシステムの材料技術の特徴について更
に詳述する。DDCP用熱転写方式として、昇華方式、
アブレ−ション方式、熱溶融方式のものがある。、
の方式は色材が昇華もしくは飛散する方式であるため
網点の輪郭がぼやけてしまう。一方の方式も溶融物が
流動するのでクリヤ−な輪郭が出ない。我々は薄膜転写
技術を基本に、レ−ザ−熱転写系での新たな問題点をク
リヤ−し、さらに高画質のものにするため、下記に述べ
る技術を盛り込んだ。材料技術の特徴の第1はドット形
状のシャ−プ化である。レ−ザ−光を光熱変換層で熱に
変換し、隣接する画像形成層に伝え、画像形成層が受像
層に接着することにより画像記録を行う。ドット形状を
シャ−プにするためにはレーザー光により発生した熱
が、面方向に拡散せずに転写界面まで伝えられ、加熱部
/非加熱部の境界面で画像形成層がシャープに破断す
る。このために、熱転写シートにおける光熱変換層の薄
膜化と画像形成層の力学特性を制御する。ドット形状の
シャ−プ化の技術1は光熱変換層の薄膜化である。シミ
ュレーションでは、光熱変換層は瞬間的に約700℃に達
すると推定され、膜が薄いと変形や破壊がおこりやす
い。変形・破壊が起こると光熱変換層が画像形成層とと
もに受像シートに転写したり、転写像が不均一になると
いう実害を生じる。一方、所定の温度を得るには膜中に
光熱変換物質を高濃度に存在させねばならず、色素の析
出や隣接層への移行といった問題も発生する。光熱変換
物質としては従来カーボンが使用されることが多かった
が、本材料ではカ−ボンに比べ使用量が少なくてすむ赤
外吸収色素を用いた。バインダ−は高温でも十分な力学
強度を持ち、さらに赤外吸収色素の保持性のよいポリイ
ミド系化合物を導入した。このように、光熱変換特性の
優れた赤外吸収色素及びポリイミド系などの耐熱性バイ
ンダーを選定することにより、光熱変換層を約0.5μm
以下に薄膜化することが好ましい。
【0038】また、ドット形状のシャ−プ化の技術2は
画像形成層の特性の改良である。光熱変換層の変形が起
こったり、又は画像形成層そのものが高熱により変形す
ると、受像層に転写した画像形成層はレーザー光の副走
査パターンに対応した厚みムラを生じ、そのため画像が
不均一になり見かけの転写濃度が低下する。この傾向は
画像形成層の厚みが薄いほど顕著である。一方、画像形
成層の厚みが厚いとドットのシャープさが損なわれかつ
感度も低下する。この相反する性能を両立させるため
に、ワックス等の低融点物質を画像形成層に添加するこ
とより転写ムラを改良することが好ましい。また、バイ
ンダーの代わりに無機微粒子を添加することにより層厚
を適正に上げることで、加熱部/非加熱部の界面で画像
形成層がシャープに破断するようにし、ドットのシャー
プさ・感度を保ちつつ転写ムラを改良することができ
る。
【0039】また、一般にワックス等の低融点物質は、
画像形成層表面に滲み出たり、結晶化する傾向があり、
画質や熱転写シートの経時安定性に問題を生じる場合が
ある。この問題に対処するためには、画像形成層のポリ
マーとのSp値差が小さい低融点物質を使用することが好
ましく、ポリマーとの相溶性を上げ、低融点物質の画像
形成層からの分離を防止することができる。また、構造
の異なる数種類の低融点物質を混合することで共融化さ
せ結晶化を防止することも好ましい。その結果、ドット
形状がシャープでかつむらの少ない画像が得られる。ま
た、材料技術の特徴の第2は記録感度に温湿度依存性が
あるということを見出した点である。一般に、熱転写シ
ートの塗布層が吸湿することで層の力学物性と熱物性が
変化し、記録環境の湿度依存性が生じる。この温湿度依
存性を少なくするためは、光熱変換層の色素/バインダ
ー系、及び画像形成層のバインダー系を有機溶剤系にす
ることが好ましい。また、受像層のバインダーとしてポ
リビニルブチラ―ルを選択すると共にその吸水性を小さ
くするためにポリマー疎水化技術を導入することが好ま
しい。ポリマー疎水化技術としては、特開平8−238
858号公報に記載のようにヒドロキシル基を疎水基と
反応させたり、2つ以上のヒドロキシル基を硬膜剤で架
橋するなどが挙げられる。
【0040】材料技術の特徴の第3は色相の印刷物近似
性を改良した点である。サーマルヘッド方式のカラープ
ルーフ(例えば、富士写真フイルム社製FirstProof)で
の顔料の色マッチング、安定分散技術に加え、レ−ザ−
熱転写システムで新たに生ずる下記の問題点をクリヤ−
した。即ち色相の印刷物近似性改良の技術1は高耐熱性
顔料を使用した点である。通常、レーザー露光による印
画時に画像形成層にも約500℃以上の熱がかかり、従来
使用していた顔料では熱分解してしまうものがあった
が、耐熱性の高い顔料を画像形成層に採用することによ
りこれを防止することができる。そして、色相の印刷物
近似性改良の技術2は赤外吸収色素の拡散防止である。
印画時の高熱により、赤外吸収色素が光熱変換層から画
像形成層に移行すると、色相が変化してしまうのを防止
するために、前述したように保持力の強い赤外吸収色素
/バインダーの組み合わせで光熱変換層を設計すること
が好ましい。材料技術の特徴の第4は高感度化である。
一般に、高速印画ではエネルギー不足となり特にレーザ
ー副走査の間隔に対応する隙間が発生する。前述したよ
うに光熱変換層の色素高濃度化及び光熱変換層・画像形
成層の薄膜化は、熱の発生/伝達の効率を上げることが
できる。さらに、加熱時に画像形成層がわずかに流動し
隙間を埋める効果と受像層との接着性をあげる目的で、
画像形成層へ低融点物質を添加することが好ましい。ま
た、受像層と画像形成層との接着性を上げ、転写した画
像の強度を十分持たせるために、受像層のバインダーと
して例えば、画像形成層と同じポリビニルブチラールを
採用することが好ましい。
【0041】材料技術の特徴の第5は真空密着性の改良
である。受像シートと熱転写シートは、真空密着により
ドラム上に保持されることが好ましい。この真空密着は
両シートの接着力制御により画像を形成しているため受
像シートの受像層面と転写シートの画像形成層面のクリ
アランスに画像転写挙動が非常に敏感なので重要であ
る。ゴミ等異物のきっかけで材料間のクリアランスが広
がってしまうと画像欠陥や画像転写ムラが生じてしま
う。このような画像欠陥や画像転写ムラを防止するに
は、熱転写シートに均一な凹凸をつけることで、エアー
のとおりをよくし均一なクリアランスを得ることが好ま
しい。
【0042】真空密着性改良の技術1は熱転写シートと
の表面凸凹化である。2色以上の重ね印画でも真空密着
性の効果を十分に出せるように、凹凸は熱転写シートに
つけた。熱転写シートに凹凸をつける方法としては、一
般にエンボス処理等の後処理、塗布層へのマット剤添加
があるが、製造工程簡略化、材料の経時安定化のために
マット剤添加が好ましい。マット剤は塗布層厚みより大
きいものが必要であり、マット剤を画像形成層に添加す
るとマット剤の存在する部分の画像が欠落するという問
題が発生するので、最適な粒径のマット剤を光熱変換層
に添加することが好ましく、これにより画像形成層その
ものはほぼ均一な厚みとなり、欠陥のない画像を受像シ
ート上に得ることができる。
【0043】次に本発明のシステムのシステム化技術の
特徴について述べる。システム化技術の特徴1は記録装
置の構成である。これまで述べたようなシャープなドッ
トを確実に再現するため、記録装置側も高精度な設計が
要求される。従来のレーザー熱転写用記録装置と基本的
構成は同様である。この構成はハイパワーの複数のレー
ザーを備えた記録ヘッドが、ドラム上に固定された熱転
写シートと受像シートにレーザーを照射して記録する、
いわゆるヒートモードのアウタードラム記録システムで
ある。その中で、以下の態様が好ましい構成である。記
録装置の構成1はごみの混入を避けることである。受像
シート及び熱転写シートの供給は、全自動ロール供給と
する。少数枚のシート供給では人体から発生するごみの
混入が多いので、ロール供給を採用した。熱転写シート
は4色各1ロールずつあるため、ローディングユニット
が回転して各色のロールを切り替えるようにしている。
各フィルムはローディング中にカッターで所定長に切断
された後、ドラムに固定される。記録装置の構成2は記
録ドラム上の受像シ−トと熱転写シートとの密着を強く
することである。受像シート及び熱転写シートの記録ド
ラムへの固定は真空吸着とする。メカ固定では受像シー
ト及び熱転写シート間の密着力を強くできないため、真
空吸着を採用した。記録ドラム上には多数の真空吸着孔
を形成し、ドラム内部をブロアや減圧ポンプなどにより
減圧にすることによりシートがドラムに吸着される。受
像シートが吸着されている上から熱転写シートがさらに
吸着されるために、熱転写シートのサイズを受像シート
より大きくする。最も記録性能に影響の大きい熱転写シ
ートと受像シートの間のエアーは、受像シートの外の熱
転写シートだけのエリアから吸引される。
【0044】記録装置の構成3は排出台上に複数枚安定
に集積することである。本装置では、B2サイズ以上の大
面積のシートを何枚も排出台上に重ねて集積できるもの
とする。熱接着性を持つ、既に集積されたフィルムAの
受像層の上に次のシートBを排出すると、両者が貼りつ
いてしまうことがある。貼りつくと次のシートがきちん
と排出されずにジャムが発生するので問題である。貼り
つき防止にはフィルムAとBの接触を防止することが最善
である。接触防止策としてはいくつかの方法が知られて
いる。(a)排出台に段差を設けフィルム形状を平坦でな
くすことによりフィルム間にすきまをつくる方法、(b)
排出口を排出台よりも高い位置にして排出フィルムを上
から落とす構造にする方法、(c)エアーを両フィルムの
間に噴出して後から排出されるフィルムを浮き上がらせ
る方法、などがある。このシステムではシートサイズが
B2と非常に大きいため、(a)、(b)の方法では構造が非常
に大きくなってしまうので、(c)のエアー噴出法を採用
した。そのためにエアーを両シートの間に噴出して後か
ら排出されるシートを浮き上がらせる方法を採用するも
のとする。
【0045】本装置の構成例を図2に示す。以上のよう
な本装置に画像形成材料を適用してフルカラーの画像を
形成するシーケンス(以上、本システムの画像形成シー
ケンスという)を説明する。 1)記録装置1の記録ヘッド2の副走査軸が副走査レー
ル3により、また記録ドラム4の主走査回転軸並びに熱
転写シートローディングユニット5が原点に復帰する。 2)受像シートロール6が搬送ローラー7によってほど
かれて記録ドラム4上に受像シート先端が記録ドラムに
設けられた吸引孔を介して真空吸引されて固定される。 3)記録ドラム4上にスクイーズローラー8が降りてき
て、受像シートを抑えつけながら、ドラムの回転により
受像シートがさらに規定量搬送されたところで停止しカ
ッター9によって規定長に切断される。 4)更に記録ドラム4が1周して受像シートのローディ
ングが終了する。 5)次に受像シートと同様のシーケンスで、1色目―黒
―の熱転写シートKが熱転写シートロール10Kから繰
り出され、切断されてローディングされる。 6)次に記録ドラム4が高速回転を始め、副走査レール
3上の記録ヘッド2が動き始め、記録開始位置に到達し
たところで記録画像信号に従って記録ヘッド2により記
録レーザーが記録ドラム4上に照射される。記録終了位
置で照射を終了し、副走査レール動作、ドラム回転が停
止する。副走査レール上の記録ヘッドを原点に戻す。 7)記録ドラム上に受像シートを残したまま、熱転写シ
ートKだけを剥がしとる。そのため、熱転写シートKの
先端を爪でひっかけて排出方向に引っ張り出して、廃棄
口32から廃棄箱35へ廃棄する。 8)5)〜7)を残りの3色分繰り返す。記録順序は黒
の次は、シアン、マゼンタ、イエローの順序である。即
ち、2色目―シアン―の熱転写シートCが熱転写シート
ロール10Cから、3色目―マゼンタ―の熱転写シート
Mが熱転写シートロール10Mから、4色目―イエロー
―の熱転写シートYが熱転写シートロール10Yから順
次繰り出される。一般の印刷順序とは逆であるが、これ
は後の工程の本紙転写によって本紙上の色順序が逆にな
るからである。 9)4色が完了すると、最後に記録済みの受像シートを
排出台31まで排出する。ドラムから剥がしとる方法は
7)の熱転写シートと同じであるが、熱転写シートと違
い廃棄しないので、廃棄口32まで進んだところでスイ
ッチバックによって排出台に戻す。排出台に排出される
際には、排出口33の下からエアー34を噴出して複数
枚の集積を可能にしている。
【0046】上記熱転写シートロール及び受像シートロ
ールの供給部位又は搬送部位の何れかの搬送ローラー7
に、表面に粘着材料が配設された粘着ローラーを用いる
ことが好ましい。
【0047】粘着ローラーを設けることにより、熱転写
シート及び受像シートの表面をクリーニングすることが
できる。
【0048】粘着ローラーの表面に配設される粘着材料
としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
エチルアクリレート共重合体、ポリオレフィン樹脂、ポ
リブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(S
BR)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合
体(SEBS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体(NBR)、ポリイソプレン樹脂(IR)、スチレン
−イソプレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル
共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、ブチルゴム、ポリノルボルネン等が挙げられ
る。
【0049】粘着ローラーは熱転写シート及び受像シー
トの表面と接触することにより、その表面をクリーニン
グすることができ、接触圧は接触していれば格別限定さ
れない。
【0050】粘着ローラーに使用する粘着性を有する素
材のビッカース硬さHvは50kg/mm2(≒490MPa)以下であ
ることが、異物であるゴミを十分に取り除き、画像欠陥
を抑制可能であることから好ましい。
【0051】ビッカース硬さというのは、対面角が13
6度の正四角錐形のダイヤモンド圧子に静荷重をかけて
硬さを測定した硬さであり、ビッカース硬さHvは以下の
式で求められる。
【0052】硬さHv=1.854P/d2(kg/mm2)≒1
8.1692P/d2(MPa) ここでP:荷重の大きさ(Kg)、d:くぼみの正方形の対
角線長さ(mm)
【0053】また本発明においては、上記の粘着ローラ
ーに使用する粘着性を有する素材の20℃における弾性率
が200kg/cm2(≒19.6MPa)以下であることが、上記と同
様に異物であるゴミを十分に取り除き、画像欠陥を抑制
可能であることから好ましい。
【0054】システム化技術の特徴2は熱転写装置の構
成である。記録装置で画像を印刷された受像シートを、
印刷本紙(「本紙」と呼ぶ)に転写する工程を行うた
め、熱熱転写装置を使用する。この工程はFirst Proof
TMと全く同じである。受像シートと本紙を重ねて熱と圧
力をかけると両者が接着し、その後本紙から受像フィル
ムを引き剥がすと、画像と接着層だけが本紙上に残り、
受像シート支持体とクッション層ははがれる。従って実
用上は画像が受像シートから本紙に転写されることにな
る。First ProofTMでは、アルミニウム製のガイド板の
上に本紙と受像シートを重ねてヒートローラの間を通す
ことによって転写している。アルミニウムガイド板を使
用するのは本紙の変形を防ぐためである。しかし、これ
をB2サイズの本システムに採用すると、B2より大きなア
ルミニウムガイド板が必要となり、装置の設置スペース
が大きくなるという問題が発生する。そこで本システム
ではアルミニウムガイド板を使用しないで、更に搬送パ
スが180度回転して挿入側に排出されるような構造を採
用したので、設置スペースは非常にコンパクトになった
(図3)。しかしアルミニウムガイド板を使用しないた
めに、本紙が変形するという問題が発生した。具体的に
は排出された本紙と受像シートの対が受像シートを内側
にしてカールしてしまい、排出台の上で転がってしま
う。この丸まった本紙から受像シートを引き剥がすのは
作業として非常に困難である。そこで、丸まりを防止す
る方法を考え、本紙と受像シートによる収縮量の差によ
るバイメタル効果と、熱ローラに巻きつかせる構造によ
るアイロン効果である。従来のように受像シートを本紙
の上に重ねて挿入する場合には、挿入進行方向に対して
の受像シートの熱収縮が本紙の熱収縮より大きいため
に、バイメタル効果によるカールは上が内側となり、ア
イロン効果の方向と同じなので相乗効果によりカールが
ひどくなる。ところが受像シートを本紙の下側になるよ
うに挿入すれば、バイメタル効果のカールは下向き、ア
イロン効果のカールは上向きとなるために、カールは相
殺され問題なくなった。
【0055】本紙転写のシーケンスは、以下である(以
下、本システムで用いる本紙転写方法という)。この方
法に用いる図3に示す熱転写装置41は、記録装置と違
い手作業の装置である。 1)まず、本紙42の種類に応じて、ヒートローラ43
温度(100〜110℃)と転写時搬送速度をダイヤル
(不図示)で設定する。 2)次に挿入台の上に受像シート20を画像を上にして
置き、画像上のほこりを除電ブラシ(不図示)で除去す
る。その上にほこりを除去した本紙42を重ねる。その
際、下に置く受像フィルム20より上に置く本紙42の
サイズの方が大きいので、受像シート20の位置が見え
なくなって位置あわせがやりにくい。この作業性を改善
するために挿入台44上に受像シート・本紙それぞれの
載置位置を示すマーク45をつけてある。本紙の方が大
きい理由は、受像シート20が本紙42からずれてはみ
出してヒートローラ43を受像シート20の受像層で汚
してしまうことを防止するためである。
【0056】3)受像シート・本紙を重ねたまま挿入口
に押し込むと、挿入ローラ46が回転して両者をヒート
ローラ43に向かって送り出す。 4)本紙先端がヒートローラ43の位置まで来たところ
で、ヒートローラがニップされ転写を開始する。ヒート
ローラは耐熱のシリコンゴムローラである。ここで圧力
と熱が同時にかけられることによって、受像シートと本
紙は接着される。ヒートローラ下流には耐熱シートでで
きたガイド47が設置されていて、受像シート・本紙対
は上側ヒートローラとガイド47の間を、熱をかけたま
ま上方に搬送され、剥離爪48の位置でヒートローラか
ら引き剥がされてガイド板49に沿って排出口50まで
導かれる。
【0057】5)排出口50から出てきた受像シート・
本紙対は接着されたまま、挿入台の上に排出される。後
は手作業で本紙42から受像シート20を引き剥がす。
システム化技術の特徴2はシステムの構成である。以上
の装置を、製版システム上に接続することによって、カ
ラープルーフとしての機能を発揮できることになる。シ
ステムとしては、ある製版データから出力される印刷物
と限りなく近い画質のプリント物が、プルーフから出力
される必要がある。そこで、色や網点を印刷物と近づけ
るためのソフトウェアが必要である。具体的接続例を紹
介する。
【0058】富士写真フイルム社製CelebraTMという製
版システムからの印刷物のプルーフをとる場合、システ
ム接続としては以下のようになる。CelebraにCTP(Comp
uterTo Plate)システムを接続する。これで出力した印
刷版を印刷機にかけることによって最終印刷物が得られ
る。Celebraにカラープルーフとして上記記録装置であ
る富士写真フイルム社製Luxel FINALPROOF 5600(以下、
FINALPROOFとも記す)を接続するが、その間に色や網点
を印刷物に近づけるためのプル−フドライブソフトウェ
アとして富士写真フイルム社製PDシステムTMを接続す
る。Celebraでラスターデータに変換されたコントーン
(連続調)データは、網点用の2値データに変換されて
CTPシステムに出力され、最終的に印刷される。一方同
じコントーンデータはPDシステムにも出力される。PDシ
ステムは受け取ったデータを4次元(黒、シアン、マゼ
ンタ、イエロー)のテーブルによって前記印刷物に色が
一致するように変換する。そして最後に前記印刷物の網
点と一致するように網点用の2値データに変換し、FINA
LPROOFに出力する(図4)。前記4次元テーブルは予め実
験的に作成しておき、システム内に保存してある。作成
のための実験とは次のようなものである。重要色データ
を、CTPシステム経由で印刷した画像と、PDシステム経
由でFINALPROOFに出力した画像を用意し、その測色値を
比較してその差が最小になるようにテーブルを作成す
る。
【0059】以上のように、本発明は解像力の高い材料
の能力を十分に発揮できるようなシステム構成を実現で
きた。次に本発明のシステムに用いる材料である熱転写
シートについて説明する。熱転写シートの画像形成層表
面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶
対値が3.0以下であり、受像シートの受像層表面の表面
粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値が3.
0以下であることが好ましい。このような構成により、
上記のクリーニング手段と相俟って画像欠陥を防止で
き、搬送ジャムをなくし、更にドットゲイン安定性を向
上させることができる。
【0060】本明細書で、表面粗さRzというのは、JIS
のRz(最大高さ)に相当する十点平均面粗さのことをい
い、粗さの曲面から基準面積分だけ抜き取った部分の平
均面を基準面として、最高から5番目までの山の標高の
平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均値との
距離を入力換算したものである。測定には東京精密
(株)製の触針式の3次元粗さ計(サーフコム570A-3DF)を用
いる。測定方向は縦方向とし、カットオフ値は0.08mm、
測定面積は0.6mm×0.4mm、送りピッチは0.005mm、測定
スピードは0.12mm/sである。
【0061】上記の熱転写シートの画像形成層表面の表
面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値は
1.0以下であり、また受像シートの受像層表面の表面粗
さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対値が1.0
以下であることが上記の効果をさらに向上させる観点か
ら好ましい。
【0062】更に、別の態様としては、熱転写シートの
画像形成層表面とその裏面層表面の表面粗さ及び又は受
像シートの表裏面の表面粗さRzが2〜30μmであることが
好ましい。このような構成によって、上記のクリーニン
グ手段と相俟って画像欠陥を防止でき、搬送ジャムをな
くし、更にドットゲイン安定性を向上させる。
【0063】また熱転写シートの画像形成層の光沢度は
80〜99であることも好ましい。
【0064】光沢度は、画像形成層表面の平滑性に大き
く依存し、画像形成層層厚の均一性を左右し得る。光沢
度が高い方が画像形成層として均一で高精細画像への用
途により適しているが、平滑性が高いと搬送時の抵抗は
より大きくなり、両者がトレード・オフの関係である。
光沢度が80〜99の範囲であると、両者の両立が可能でバ
ランスが取れる。
【0065】次に、レーザーを用いた薄膜熱転写による
多色画像形成の機構の概略を図1を用いて説明する。熱
転写シート10のブラック(K)、シアン(C)、マゼ
ンタ(M)又はイエロー(Y)の顔料を含む画像形成層
16の表面に、受像シート20を積層した画像形成用積
層体30を用意する。熱転写シート10は、支持体12
と、その上に、光熱変換層14、及び更にその上に、画
像形成層16を有し、受像シート20は、支持体22
と、その上に、受像層24を有し、熱転写シート10の
画像形成層16の表面には、受像層24が接触するよう
に積層される(図1(a))。その積層体30の熱転写
シート10の支持体12側から、レーザー光を画像様に
時系列的に照射すると、熱転写シート10の光熱変換層
14のレーザー光被照射領域が発熱し、画像形成層16
との密着力が低下する(図1(b))。その後、受像シ
ート20と熱転写シート10とを剥離すると、画像形成
層16のレーザー光被照射領域16’が、受像シート2
0の受像層24上に転写される(図1(c))。
【0066】多色画像形成においては、光照射に用いら
れるレーザー光は、マルチビーム光であることが好まし
く、特にマルチビーム2次元配列であることが好まし
い。マルチビーム2次元配列とは、レーザー照射によっ
て記録する際に、複数個のレーザービームを使用し、こ
れらのレーザービームのスポット配列が、主走査方向に
沿って複数列、副走査方向に沿って複数行からなる2次
元平面配列をしていることをいう。マルチビーム2次元
配列であるレーザー光を使用することにより、レーザー
記録に要する時間を短縮することができる。
【0067】使用されるレーザー光は、特に制限なく使
用することができ、アルゴンイオンレーザ光、ヘリウム
ネオンレーザ光、ヘリウムカドミウムレーザ光等のガス
レーザ光、YAGレーザー光等の固体レーザー光、半導
体レーザー光、色素レーザー光、エキシマレーザ光等の
直接的なレーザー光が利用される。あるいは、これらの
レーザー光を二次高調波素子を通して、半分の波長に変
換した光等も用いることができる。多色画像形成方法に
おいては、出力パワーや変調のし易さ等を考慮すると、
半導体レーザー光を用いることが好ましい。多色画像形
成方法では、レーザー光は、光熱変換層上でのビーム径
が5〜50μm(特に6〜30μm)の範囲となるよう
な条件で照射することが好ましく、また走査速度は1m
/秒以上(特に3m/秒以上)とすることが好ましい。
【0068】また、多色画像形成は、ブラックの熱転写
シートにおける画像形成層の層厚が、イエロー、マゼン
タ、及びシアンの各熱転写シートにおける画像形成層の
層厚より大きく、かつ、0.5〜0.7μmであること
が好ましい。このようにすることにより、ブラックの熱
転写シートをレーザー照射した際に、転写ムラによる濃
度の低下を抑えることができる。前記ブラックの熱転写
シートにおける画像形成層の層厚を0.5μm以上にす
ることで、高エネルギーで記録した際に、転写ムラがな
く画像濃度が維持され、印刷のプルーフとして必要な画
像濃度を達成することができる。この傾向は、高湿条件
下でより顕著となるため、環境による濃度変化を抑える
ことができる。一方、前記層厚を0.7μm以下にする
ことで、レーザー記録時に転写感度が維持でき、小点の
付きや、細線も改良される。この傾向は、低湿条件下で
より顕著である。また、解像力も良化できる。前記ブラ
ックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚は、より
好ましくは0.55〜0.65μmであり、特に好まし
くは0.60μmである。
【0069】更に、前記ブラックの熱転写シートにおけ
る画像形成層の層厚が0.5〜0.7μmであり、前記
イエロー、マゼンタ、及びシアンの各熱転写シートにお
ける画像形成層の層厚が、0.2μm以上0.5μm未
満であることが好ましい。前記イエロー、マゼンタ、及
びシアンの各熱転写シートにおける画像形成層の層厚を
0.2μm以上にすることで、レーザー記録時に転写ム
ラがなく濃度維持が図られ、一方、0.5μm以下にす
ることで、転写感度や解像力が改良できる。より好まし
くは、0.3〜0.45μmである。
【0070】前記ブラックの熱転写シートにおける画像
形成層は、カーボンブラックを含有することが好まし
く、該カーボンブラックは、着色力の異なる少なくとも
2種類のカーボンブラックからなることが、P/B(ピ
グメント/バインダー)比を一定の範囲にしつつ、反射
濃度を調節することができるため好ましい。カーボンブ
ラックの着色力は、種々の方法によって表されるが、例
えば、特開平10−140033号公報に記載のPVC
黒度等が挙げられる。PVC黒度とは、カーボンブラッ
クをPVC樹脂に添加、2本ロールにより分散、シート
化し、三菱化学(株)カーボンブラック「#40」、
「#45」の黒度を各々1点、10点と基準値を定め、
試料の黒度を視感判定により評価したものである。PV
C黒度の異なる2種以上のカーボンブラックを、目的に
応じて適宜選択して使用することができる。
【0071】以下に、具体的なサンプル作製方法を述べ
る。 <サンプル作製方法>250ccバンバリーミキサーに
てLDPE(低密度ポリエチレン)樹脂に試料カーボン
ブラックを40質量%配合し、115℃、4分混練りす
る。 配合条件 LDPE樹脂 101.89g ステアリン酸カルシウム 1.39g イルガノックス1010 0.87g 試料カーボンブラック 69.43g 次に、120℃で、2本ロールミルにてカーボンブラッ
ク濃度が1質量%になるように希釈する。
【0072】希釈コンパウンド作製条件 LDPE樹脂 58.3g ステアリン酸カルシウム 0.2g カーボンブラック40質量%配合樹脂 1.5g スリット幅0.3mmでシート化し、このシートをチッ
プに切断、240℃のホットプレート上で65±3μm
のフィルムに成形する。
【0073】多色画像を形成する方法としては、前述し
たように前記熱転写シートを用いて、同一の受像シート
上に多数の画像層(画像が形成された画像形成層)を繰
返し重ね合せて多色画像を形成してもよく、複数の受像
シートの受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本紙等
へ再転写することにより、多色画像を形成してもよい。
後者については、例えば、相互に異なる色相を有する色
材を含む画像形成層を有する熱転写シートを用意し、こ
れと、受像シートとを組み合わせた画像形成用積層体を
独立に四種(四色、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラ
ック)製造する。各々の積層体に、例えば、色分解フィ
ルタを介して、画像に基づくデジタル信号に従うレーザ
ー光照射を行い、それに続いて、熱転写シートと受像シ
ートとを剥離し、各受像シートに各色の色分解画像を独
立に形成する。次に、形成された各々の色分解画像を、
別に用意した印刷本紙等の実際の支持体、もしくはそれ
に近似した支持体上に順次積層させることにより、多色
の画像を形成することができる。
【0074】レーザー光照射を用いる熱転写シートは、
レーザービームを熱に変換しその熱エネルギーを利用し
て顔料を含む画像形成層を受像シートに薄膜転写方式に
より、受像シート上に画像を形成することが好ましいも
のであるが、それら熱転写シート及び受像シートからな
る画像形成材料の開発に用いた技術は、適宜、溶融型転
写方式、アブレーションによる転写方式、昇華型転写方
式等の熱転写シート及び/又は受像シートの開発に応用
し得るものであり、本発明のシステムはこれら方式に用
いる画像形成材料も包含し得る。
【0075】以下に、熱転写シート及び受像シートにつ
いて詳述する。 [熱転写シート]熱転写シートは、支持体上に、少なく
とも光熱変換層及び画像形成層を有し、更に必要に応じ
て、その他の層を有してなる。
【0076】(支持体)熱転写シートの支持体の材料に
は特に限定はなく、各種の支持体材料を目的に応じて用
いることができる。支持体は剛性を有し、寸法安定性が
良く、画像形成の際の熱に耐えるものが好ましい。支持
体材料の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、ポリアミド(芳香族又は脂肪族)、ポリイミド、ポ
リアミドイミド、ポリスルホン等の合成樹脂材料を挙げ
ることができる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考慮
すると好ましい。尚、レーザー記録を利用したカラープ
ルーフの作製に用いる場合には、熱転写シートの支持体
はレーザー光を透過させる透明な合成樹脂材料から形成
するのが好ましい。支持体の厚みは25〜130μmで
あることが好ましく、50〜120μmであることが特
に好ましい。画像形成層側の支持体の中心線平均表面粗
さRa(表面粗さ測定機(Surfcom,東京精機
(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき測
定)は0.1μm未満であることが好ましい。支持体の
長手方向のヤング率は200〜1200Kg/mm
2(≒2〜12GPa)が好ましく、幅方向のヤング率
は250〜1600Kg/mm2(≒2.5〜16GP
a)であることが好ましい。支持体の長手方向のF−5
値は、好ましくは5〜50Kg/mm2(≒49〜49
0MPa)、支持体幅方向のF−5値は、好ましくは3
〜30Kg/mm2 (≒29.4〜294MPa)であ
り、支持体長手方向のF−5値が支持体幅方向のF−5
値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高
くする必要があるときはその限りではない。また、支持
体の長手方向及び幅方向の100℃30分での熱収縮率
は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以
下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、
さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方
向とも5〜100Kg/mm2 (≒49〜980MP
a)、弾性率は100〜2000Kg/mm2(≒0.
98〜19.6GPa) が好ましい。
【0077】熱転写シートの支持体には、その上に設け
られる光熱変換層との密着性を向上させるために、表面
活性化処理及び/又は一層又は二層以上の下塗層の付設
を行ってもよい。表面活性化処理の例としては、グロー
放電処理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下
塗層の材料としては、支持体と光熱変換層の両表面に高
い接着性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に
優れたものであることが好ましい。そのような下塗層の
材料の例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共
重合体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体
の厚さは通常0.01〜2μmである。また、熱転写シ
ートの光熱変換層付設側とは反対側の表面には、必要に
応じて、反射防止層や帯電防止層等の各種の機能層の付
設、あるいは表面処理を行うこともできる。 (バック層)本発明の熱転写シートの光熱変換層付設側
とは反対側の表面には、バック層を設けることが好まし
い。バック層は支持体に隣接する第1のバック層とこの
第1のバック層の支持体とは反対側に設けられた第2の
バック層との2層で構成されることが好ましい。本発明
では、第1のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Aと
第2のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Bとの比B
/Aは0.3未満であることが好ましい。B/Aが0.
3以上であると滑り性及びバック層の粉落ちが悪化する
傾向がある。
【0078】第1のバック層の層厚Cは0.01〜1μ
mであることが好ましく、0.01〜0.2μmである
ことがさらに好ましい。また、第2のバック層の層厚D
は0.01〜1μmであることが好ましく、0.01〜
0.2μmであることがさらに好ましい。これら第1及
び第2のバック層の層厚の比C:Dは1:2〜5:1で
あることが好ましい。
【0079】第1及び第2のバック層に使用される帯電
防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、
第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アル
キルホスフェート等のアニオン系界面活性剤、両性界面
活性剤、導電性樹脂等の化合物が使用できる。
【0080】また、導電性微粒子を帯電防止剤として用
いることもできる。このような導電性微粒子としては、
例えば、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al23 、I
2 3 、MgO、BaO、CoO、CuO、Cu2O、
CaO、SrO、BaO2、PbO、PbO2 、MnO3
、MoO3 、SiO2 、ZrO2 、Ag2O、Y23
Bi23、Ti23 、Sb23 、Sb25 、K2Ti
613、NaCaP2 18、MgB25等の酸化物;Cu
S、ZnS等の硫化物;SiC、TiC、ZrC、V
C、NbC、MoC、WC等の炭化物;Si34 、T
iN、ZrN、VN、NbN、Cr2N等の窒化物;T
iB2 、ZrB2、NbB2 、TaB2 、CrB、Mo
B、WB、LaB5 等の硼化物;TiSi2 、ZrSi
2 、NbSi 2 、TaSi2 、CrSi2 、MoSi
2 、WSi2 等の珪化物;BaCO3 、CaCO3 、S
rCO3 、BaSO4 、CaSO4 等の金属塩;SiN
4 −SiC、9Al23 −2B23 等の複合体が挙げ
られ、これら1種を単独で又は2種以上を併用してもよ
い。これらのうち、SnO2 、ZnO、Al23 、T
iO2 、In23 、MgO、BaO及びMoO3が好ま
しく、SnO2 、ZnO、In23及びTiO2 がさら
に好ましく、SnO2 が特に好ましい。
【0081】なお、本発明の熱転写材料をレーザー熱転
写記録方式に用いる場合、バック層に用いる帯電防止剤
はレーザー光を透過できるように実質的に透明であるこ
とが好ましい。
【0082】導電性金属酸化物を帯電防止剤として使用
する場合には、その粒子径は光散乱をできるだけ小さく
するために小さい程好ましいが、粒子とバインダーの屈
折率の比をパラメータとして使用して決定されるべきも
のであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることが
できる。一般に平均粒子径が0.001〜0.5μmの
範囲であり、0.003〜0.2μmの範囲が好まし
い。ここでいう、平均粒子径とは、導電性金属酸化物の
一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値であ
る。
【0083】第1及び第2のバック層には帯電防止剤の
他に、界面活性剤、滑り剤及びマット剤等の各種添加剤
やバインダーを添加することができる。第1のバック層
に含まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に
対して10〜1000質量部が好ましく、200〜80
0質量部がさらに好ましい。また、第2のバック層に含
まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に対し
て0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がさ
らに好ましい。
【0084】第1及び第2のバック層の形成に使用され
るバインダーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
アクリル酸系モノマーの単独重合体及び共重合体、ニト
ロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、
セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビ
ニル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合
物の共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミ
ドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重
合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物
のような光重合性若しくは熱重合性化合物を重合、架橋
させたポリマー、メラミン化合物等を挙げることができ
る。
【0085】(光熱変換層)光熱変換層は、光熱変換物
質、バインダー、及び必要に応じてマット剤を含有し、
更に必要に応じて、その他の成分を含有する。光熱変換
物質は、照射される光エネルギーを熱エネルギーに変換
する機能を有する物質である。一般的には、レーザー光
を吸収することのできる色素(顔料を含む。以下、同様
である。)である。赤外線レーザーにより画像記録を行
う場合は、光熱変換物質としては、赤外線吸収色素を用
いるのが好ましい。前記色素の例としては、カーボンブ
ラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニ
ン等の可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の
顔料、光ディスク等の高密度レーザー記録のレーザー吸
収材料として使用される有機染料(インドレニン染料等
のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色
素、フタロシアニン系染料)、及びジチオールニッケル
錯体等の有機金属化合物色素を挙げることができる。中
でも、シアニン系色素は、赤外線領域の光に対して、高
い吸光係数を示すので、光熱変換物質として使用する
と、光熱変換層を薄層化することができ、その結果、熱
転写シートの記録感度をより向上させることができるの
で好ましい。光熱変換物質としては、色素以外にも、黒
化銀等の粒子状の金属材料等、無機材料を用いることも
できる。
【0086】光熱変換層に含有されるバインダーとして
は、支持体上に層を形成し得る強度を少なくとも有し、
高い熱伝導率を有する樹脂が好ましい。更に、画像記録
の際に、光熱変換物質から生じる熱によっても分解しな
い、耐熱性を有する樹脂であると、高エネルギーの光照
射を行っても、光照射後の光熱変換層の表面の平滑性を
維持できるので好ましい。具体的には、熱分解温度(T
GA法(熱質量分析法)で10℃/分の昇温速度で、空
気気流中で5%質量減少する温度)が400℃以上の樹
脂が好ましく、前記熱分解温度が500℃以上の樹脂が
より好ましい。また、バインダーは、200〜400℃
のガラス転移温度を有するのが好ましく、250〜35
0℃のガラス転移温度を有するのがより好ましい。ガラ
ス転移温度が200℃より低いと、形成される画像にカ
ブリが発生する場合があり、400℃より高いと、樹脂
の溶解性が低下し、生産効率が低下する場合がある。
尚、光熱変換層のバインダーの耐熱性(例えば、熱変形
温度や熱分解温度)は、光熱変換層上に設けられる他の
層に使用される材料と比較して、より高いのが好まし
い。
【0087】具体的には、ポリメタクリル酸メチル等の
アクリル酸系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコー
ル等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、アラミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、尿素/メ
ラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミ
ド樹脂が好ましい。
【0088】特に、下記一般式(I)〜(VII)で表さ
れるポリイミド樹脂は、有機溶媒に可溶であり、これら
のポリイミド樹脂を使用すると、熱転写シートの生産性
が向上するので好ましい。また、光熱変換層用塗布液の
粘度安定性、長期保存性、耐湿性が向上する点でも好ま
しい。
【0089】
【化1】
【0090】前記一般式(I)及び(II)中、Ar
1は、下記構造式(1)〜(3)で表される芳香族基を
示し、nは、10〜100の整数を示す。
【0091】
【化2】
【0092】
【化3】
【0093】前記一般式(III)及び(IV)中、Ar
2は、下記構造式(4)〜(7)で表される芳香族基を
示し、nは、10〜100の整数を示す。
【0094】
【化4】
【0095】
【化5】
【0096】前記一般式(V)〜(VII)中、n及びm
は10〜100の整数を示す。式(VI)において、n:
mの比は6:4〜9:1である。
【0097】尚、樹脂が有機溶媒に可溶であるか否かを
判断する目安としては、25℃において、樹脂がN−メ
チルピロリドン100質量部に対して、10質量部以上
溶解することを基準とし、10質量部以上溶解する場合
は、光熱変換層用の樹脂として好ましく用いられる。よ
り好ましくは、N−メチルピロリドン100質量部に対
して、100質量部以上溶解する樹脂である。
【0098】光熱変換層に含有されるマット剤として
は、無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。こ
の無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウ
ム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、窒化ホウ素等の金属塩、カオリン、クレ
ー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジークライト、石英、ケイ
ソウ土、バーライト、ベントナイト、雲母、合成雲母等
が挙げられる。有機微粒子としては、フッ素樹脂粒子、
グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン−ア
クリル共重合体樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、メラミ
ン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げるこ
とができる。
【0099】マット剤の粒径は、通常、0.3〜30μ
mであり、好ましくは0.5〜20μmであり、添加量
は0.1〜100mg/m2が好ましい。
【0100】光熱変換層には、更に必要に応じて、界面
活性剤、増粘剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。
【0101】光熱変換層は、光熱変換物質とバインダー
とを溶解し、これに必要に応じてマット剤及びその他の
成分を添加した塗布液を調製し、これを支持体上に塗布
し、乾燥することにより設けることができる。ポリイミ
ド樹脂を溶解するための有機溶媒としては、例えば、n
−ヘキサン、シクロヘキサン、ジグライム、キシレン、
トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエ
チルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、1,4−ジ
オキサン、1,3−ジオキサン、ジメチルアセテート、
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキサイ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ
−ブチロラクトン、エタノール、メタノール等が挙げら
れる。塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥方法を利用して
行うことができる。乾燥は、通常、300℃以下の温度
で行い、200℃以下の温度で行うのが好ましい。支持
体として、ポリエチレンテレフタレートを使用する場合
は、80〜150℃の温度で乾燥するのが好ましい。
【0102】光熱変換層におけるバインダーの量が少な
すぎると、光熱変換層の凝集力が低下し、形成画像が受
像シートに転写される際に、光熱変換層が一緒に転写さ
れやすくなり、画像の混色の原因となる。またポリイミ
ド樹脂が多すぎると、一定の光吸収率を達成するために
光熱変換層の層厚が大きくなって、感度低下を招きやす
い。光熱変換層における光熱変換物質とバインダーとの
固形分質量比は、1:20〜2:1であるのが好まし
く、特に、1:10〜2:1であるのがより好ましい。
また、光熱変換層を薄層化すると、前記した様に、熱転
写シートを高感度化できるので好ましい。光熱変換層
は、0.03〜1.0μmであるのが好ましく、0.0
5〜0.5μmであるのがより好ましい。また、光熱変
換層は、波長808nmの光に対して、0.80〜1.
26の光学濃度を有していると、画像形成層の転写感度
が向上するので好ましく、前記波長の光に対して0.9
2〜1.15の光学濃度を有しているとより好ましい。
レーザーピーク波長における光学濃度が0.80未満で
あると、照射された光を熱に変換することが不充分とな
り、転写感度が低下することがある。一方、1.26を
超えると、記録時に光熱変換層の機能に影響を与え、か
ぶりが発生することがある。本発明は熱転写シートの光
熱変換層の光学濃度は、本発明の画像形成材料を記録す
るに際して、使用するレーザー光のピーク波長における
光熱変換層の吸光度を言い、公知の分光光度計を用いて
測定を行うことができる。本発明では、(株)島津製作
所製UV−分光光度計UV−240を用いた。また、上
記光学濃度は支持体込みのものから支持体単独の値を差
し引いた値とする。
【0103】(画像形成層)画像形成層は、受像シート
に転写されて画像を形成するための顔料を少なくとも含
有し、更に、層を形成するためのバインダー、及び所望
により、その他の成分を含有する。顔料は一般に有機顔
料と無機顔料とに大別され、前者は特に塗膜の透明性に
優れ、後者は一般に隠蔽性に優れる等の特性を有してい
るので、用途に応じて、適宜選択すればよい。前記熱転
写シートを印刷色校正用に用いる場合には、印刷インキ
に一般に使用されるイエロー、マゼンタ、シアン、及び
ブラックと一致するか、あるいは色調が近い有機顔料が
好適に使用される。またその他にも、金属粉、蛍光顔料
等も用いる場合がある。好適に使用される顔料の例とし
ては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキ
ノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔
料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げるこ
とができる。画像形成層に用いられる顔料を、色相別に
分けて、以下に列挙するが、これらに限定されるもので
はない。
【0104】1)イエロー顔料 Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
12(C.I.No.21090) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) DHG(クラリアントジャパン(株)
製)、Lionol Yellow(リオノールイエロ
ー) 1212B(東洋インキ製造(株)製)、Irg
alite Yellow(イルガライトイエロー)
LCT(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)
製)、Symuler Fast Yellow(シム
ラーファーストイエロー) GTF 219(大日本イ
ンキ化学工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
13(C.I.No.21100) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) GR(クラリアントジャパン(株)製)、
Lionol Yellow(リオノールイエロー)
1313(東洋インキ製造(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
14(C.I.No.21095) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) G(クラリアントジャパン(株)製)、L
ionol Yellow(リオノールイエロー) 1
401−G(東洋インキ製造(株)製)、Seika
Fast Yellow(セイカファーストイエロー)
2270(大日精化工業(株)製)、Symuler
Fast Yellow(シムラーファーストイエロ
ー) 4400(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
17(C.I.No.21105) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) GG02(クラリアントジャパン(株)
製)、Symuler Fast Yellow(シム
ラーファーストイエロー) 8GF(大日本インキ化学
工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
155 例)Graphtol Yellow(グラフトールイ
エロー) 3GP(クラリアントジャパン(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
180(C.I.No.21290) 例)Novoperm Yellow(ノボパームイエ
ロー) P−HG(クラリアントジャパン(株)製)、
PV Fast Yellow(ファーストイエロー)
HG(クラリアントジャパン(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
139(C.I.No.56298) 例)Novoperm Yellow(ノボパームイエ
ロー) M2R 70(クラリアントジャパン(株)
製)
【0105】2)マゼンタ顔料 Pigment Red(ピグメントレッド) 57:
1(C.I.No.15850:1) 例)Graphtol Rubine(グラフトールル
ビン) L6B(クラリアントジャパン(株)製)、L
ionol Red(リオノールレッド) 6B−42
90G(東洋インキ製造(株)製)、Irgalite
Rubine(イルガライトルビン) 4BL(チバ
・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Symu
ler Brilliant Carmine(シムラ
ーブリリアントカーミン) 6B−229(大日本イン
キ化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 122
(C.I.No.73915) 例)Hosterperm Pink(ホスターパーム
ピンク) E(クラリアントジャパン(株)製)、Li
onogen Magenta(リオノゲンマゼンタ)
5790(東洋インキ製造(株)製)、Fastog
en Super Magenta(ファストゲンスー
パーマゼンタ) RH(大日本インキ化学工業(株)
製) Pigment Red(ピグメントレッド) 53:
1(C.I.No.15585:1) 例)Permanent Lake Red(パーマネ
ントレイクレッド)LCY(クラリアントジャパン
(株)製)、Symuler Lake Red(シム
ラーレイクレッド) C conc(大日本インキ化学
工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
1(C.I.No.15865:1) 例)Lionol Red(リオノールレッド) 2B
3300(東洋インキ製造(株)製)、Symule
r Red(シムラーレッド) NRY(大日本インキ
化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
2(C.I.No.15865:2) 例)Permanent Red(パーマネントレッ
ド) W2T(クラリアントジャパン(株)製)、Li
onol Red(リオノールレッド) LX235
(東洋インキ製造(株)製)、Symuler Red
(シムラーレッド)3012(大日本インキ化学工業
(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
3(C.I.No.15865:3) 例)Permanent Red(パーマネントレッ
ド) 3RL(クラリアントジャパン(株)製)、Sy
muler Red(シムラーレッド) 2BS(大日
本インキ化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 177
(C.I.No.65300) 例)Cromophtal Red(クロモフタルレッ
ド) A2B(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ
(株)製)
【0106】3)シアン顔料 Pigment Blue(ピグメントブルー) 15
(C.I.No.74160) 例)Lionol Blue(リオノールブルー) 7
027(東洋インキ製造(株)製)、Fastogen
Blue(ファストゲンブルー) BB(大日本イン
キ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:1(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) A2R(クラリアントジャパン(株)製)、
Fastogen Blue(ファストゲンブルー)
5050(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:2(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) AFL(クラリアントジャパン(株)製)、
Irgalite Blue(イルガライトブルー)
BSP(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)
製)、Fastogen Blue(ファストゲンブル
ー) GP(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:3(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) B2G(クラリアントジャパン(株)製)、
Lionol Blue(リオノールブルー) FG7330(東洋インキ製造(株)製)、Cromo
phtal Blue(クロモフタルブルー) 4GN
P(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、
Fastogen Blue(ファストゲンブルー)
FGF(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:4(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) BFL(クラリアントジャパン(株)製)、
Cyanine Blue(シアニンブルー)700−
10FG(東洋インキ製造(株)製)、Irgalit
e Blue(イルガライトブルー) GLNF(チバ
・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fast
ogen Blue(ファストゲンブルー) FGS
(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:6(C.I.No.74160) 例)Lionol Blue(リオノールブルー) E
S(東洋インキ製造(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 60
(C.I.No.69800) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) RL01(クラリアントジャパン(株)
製)、Lionogen Blue(リオノゲンブル
ー) 6501(東洋インキ製造(株)製)
【0107】4)ブラック顔料 Pigment Black(ピグメントブラック)
7(カーボンブラックC.I.No.77266) 例)三菱カーボンブラック MA100(三菱化学
(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学
(株)製)、Black Pearls(ブラックパー
ルズ) 430(Cabot Co.(キャボット社)
製) また、本発明で用いることのできる顔料としては、「顔
料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、198
9」、「COLOUR INDEX、THE SOCIETY OF
DYES & COLOURIST、THIRD EDITION、1987」な
どを参照して適宜商品を選択できる。
【0108】前記顔料の平均粒径としては、0.03〜
1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好まし
い。前記粒径が0.03μm以上であると、分散コスト
が上がったり、分散液がゲル化等を起こすこともなく、
一方、1μm以下にすると、顔料中に粗大粒子が存在し
ないので、画像形成層と受像層との密着性が良好であ
り、また、画像形成層の透明性を改良することもでき
る。
【0109】画像形成層のバインダーとしては、軟化点
が40〜150℃の非晶質有機高分子重合体が好まし
い。前記非晶質有機高分子重合体としては、例えば、ブ
チラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹
脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹
脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノ
スチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重
合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリ
ル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等の
アクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソ
プレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテ
ル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレ
イン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル
系単量体の単独あるいは他の単量体等との共重合体を用
いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用
いることもできる。
【0110】画像形成層は、顔料を30〜70質量%含
有しているのが好ましく、30〜50質量%含有してい
るのがより好ましい。また、画像形成層は、樹脂を70
〜30質量%含有しているのが好ましく、70〜40質
量%含有しているのがより好ましい。
【0111】前記画像形成層は、以下の〜の成分を
前記その他の成分として含有することができる。 ワックス類 ワックス類としては、鉱物系のワックス類、天然ワック
ス類、合成ワックス類等が挙げられる。前記鉱物系のワ
ックスの例としては、パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、エステルワックス、酸化ワックス
等の石油ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、セレシン
等が挙げられる。なかでも、パラフィンワックスが好ま
しい。該パラフィンワックスは、石油から分離されるも
のであり、その融点によって各種のものが市販されてい
る。前記天然ワックスの例としては、カルナバロウ、木
ロウ、オウリキュリーロウ、エスパルロウ等の植物ロ
ウ、密ロウ、昆虫ロウ、セラックロウ、鯨ロウ等の動物
ロウが挙げられる。
【0112】前記合成ワックスは、一般に滑剤として用
いられ、通常は高級脂肪酸系の化合物からなる。このよ
うな合成ワックスの例としては、下記のものが挙げられ
る。 1)脂肪酸系ワックス 下記一般式で表される直鎖の飽和脂肪酸: CH3(CH2nCOOH 前記式中、nは6〜28の整数を示す。具体例として
は、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、12−ヒ
ドロキシステアリン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
また、上記脂肪酸等の金属塩(例えば、K、Ca、Z
n、Mgなど)が挙げられる。 2)脂肪酸エステル系ワックス 前記脂肪酸のエステルの具体例としては、ステアリン酸
エチル、ステアリン酸ラウリル、ベヘン酸エチル、ベヘ
ン酸ヘキシル、ミリスチン酸ベヘニル等が挙げられる。 3)脂肪酸アミド系ワックス 前記脂肪酸のアミドの具体例としては、ステアリン酸ア
ミド、ラウリン酸アミド等が挙げられる。 4)脂肪族アルコール系ワックス 下記一般式で表される直鎖飽和脂肪族アルコール: CH3(CH2nOH 前記式中、nは6〜28の整数を表す。具体例として
は、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0113】前記1)〜4)の合成ワックスのなかで
も、特にステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド等の高
級脂肪酸アミドが好適である。尚、前記ワックス系化合
物は、所望により単独もしくは適宜組み合わせて使用す
ることができる。
【0114】可塑剤 前記可塑剤としては、エステル化合物が好ましく、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ
(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸
ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ブチル
ベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ(2−
エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシ
ル)等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸トリ
エステル類、ポリエチレングリコールエステル等のポリ
オールポリエステル類、エポキシ脂肪酸エステル等のエ
ポキシ化合物等、公知の可塑剤が挙げられる。これらの
中でもビニルモノマーのエステル、特に、アクリル酸又
はメタクリル酸のエステルが、添加による転写感度の向
上や転写ムラの改良効果、及び破断伸びの調節効果が大
きい点で好ましい。
【0115】前記アクリル酸又はメタクリル酸のエステ
ル化合物としては、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタ
エリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ジペンタエリスリトール−ポリアク
リレート等が挙げられる。
【0116】また、前記可塑剤は高分子であってもよ
く、なかでもポリエステルは、添加効果が大きい点、及
び保存条件下で拡散し難い点等で好ましい。該ポリエス
テルとしては、例えば、セバシン酸系ポリエステル、ア
ジピン酸系ポリエステル等が挙げられる。尚、画像形成
層中に含有させる前記添加剤は、これらに限定されるも
のではない。また、可塑剤は、1種単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0117】画像形成層中の前記添加剤の含有量が多す
ぎると、転写画像の解像度が低下したり、画像形成層自
身の膜強度が低下したり、光熱変換層と画像形成層との
密着力の低下による未露光部の受像シートへの転写が起
きる場合がある。上記観点から、前記ワックス類の含有
量としては、画像形成層中の全固形分の0.1〜30質
量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。ま
た、前記可塑剤の含有量としては、画像形成層中の全固
形分の0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質
量%がより好ましい。
【0118】その他 画像形成層は、更に、上記の成分の他に、界面活性剤、
無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲル等)、オ
イル類(アマニ油、鉱油等)、増粘剤、帯電防止剤等を
含有してもよい。黒色の画像を得る場合を除き、画像記
録に用いる光源の波長を吸収する物質を含有すること
で、転写に必要なエネルギーを少なくできる。光源の波
長を吸収する物質としては、顔料、染料のいずれでも構
わないが、カラー画像を得る場合には、画像記録に半導
体レーザー等の赤外線の光源を使用して、可視部に吸収
の少ない、光源の波長の吸収の大きな染料を使用するこ
とが、色再現上好ましい。近赤外線染料の例としては、
特開平3−103476号公報に記載の化合物を挙げる
ことができる。
【0119】画像形成層は、顔料と前記バインダー等と
を溶解又は分散した塗布液を調製し、これを光熱変換層
上(光熱変換層上に下記感熱剥離層が設けられている場
合は、該層上)に塗布し、乾燥することにより設けるこ
とができる。塗布液の調製に使用される溶媒としては、
n−プロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル(MFG)、メタノ
ール、水等が挙げられる。塗布、乾燥は、通常の塗布、
乾燥方法を利用して行うことができる。
【0120】前記熱転写シートの光熱変換層の上には、
光熱変換層で発生した熱の作用により気体を発生する
か、付着水等を放出し、これにより光熱変換層と画像形
成層との間の接合強度を弱める感熱材料を含む感熱剥離
層を設けることができる。そのような感熱材料として
は、それ自身が熱により分解若しくは変質して気体を発
生する化合物(ポリマー又は低分子化合物)、水分等の
易気化性気体を相当量吸収若しくは吸着している化合物
(ポリマー又は低分子化合物)等を用いることができ
る。これらは併用してもよい。
【0121】熱により分解若しくは変質して気体を発生
するポリマーの例としては、ニトロセルロースのような
自己酸化性ポリマー、塩素化ポリオレフィン、塩素化ゴ
ム、ポリ塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ンのようなハロゲン含有ポリマー、水分等の揮発性化合
物が吸着されているポリイソブチルメタクリレート等の
アクリル系ポリマー、水分等の揮発性化合物が吸着され
ているエチルセルロース等のセルロースエステル、水分
等の揮発性化合物が吸着されているゼラチン等の天然高
分子化合物等を挙げることができる。熱により分解若し
くは変質して気体を発生する低分子化合物の例として
は、ジアゾ化合物やアジド化のような発熱分解して気体
を発生する化合物を挙げることができる。尚、上記のよ
うな、熱による感熱材料の分解や変質等は280℃以下
で発生することが好ましく、特に230℃以下で発生す
ることが好ましい。
【0122】感熱剥離層の感熱材料として低分子化合物
を用いる場合には、バインダーと組み合わせることが望
ましい。バインダーとしては、上記のそれ自身が熱によ
り分解若しくは変質して気体を発生するポリマーを用い
ることもできるが、そのような性質を持たない通常のバ
インダーを使用することもできる。感熱性の低分子化合
物とバインダーとを併用する場合には、前者と後者の質
量比は0.02:1〜3:1であることが好ましく、
0.05:1〜2:1であることが更に好ましい。感熱
剥離層は、光熱変換層を、そのほぼ全面にわたって被覆
していることが望ましく、その厚さは一般に0.03〜
1μmであり、0.05〜0.5μmの範囲にあること
が好ましい。
【0123】支持体の上に、光熱変換層、感熱剥離層、
画像形成層がこの順に積層された構成の熱転写シートの
場合には、感熱剥離層は、光熱変換層から伝えられる熱
により分解、変質し、気体を発生する。そして、この分
解あるいは気体発生により、感熱剥離層が一部消失する
か、あるいは感熱剥離層内で凝集破壊が発生し、光熱変
換層と画像形成層との間の結合力が低下する。このた
め、感熱剥離層の挙動によっては、その一部が画像形成
層に付着して、最終的に形成される画像の表面に現わ
れ、画像の混色の原因となることがある。従って、その
ような感熱剥離層の転写が発生しても、形成された画像
に目視的な混色が現われないように、感熱剥離層はほと
んど着色していないこと、即ち、可視光に対して高い透
過性を示すことが望ましい。具体的には、感熱剥離層の
光吸収率が、可視光に対し、50%以下、好ましくは1
0%以下である。尚、前記熱転写シートには、独立した
感熱剥離層を設ける代わりに、前記の感熱材料を光熱変
換層塗布液に添加して光熱変換層を形成し、光熱変換層
と感熱剥離層とを兼ねるような構成とすることもでき
る。
【0124】熱転写シートの画像形成層が塗設されてい
る側の最表層の静摩擦係数を0.35以下、好ましくは
0.20以下にすることは好ましい。最表層の静摩擦係
数を0.35以下とすることで熱転写シートを搬送する
際のロール汚れをなくし、形成される画像を高画質化し
得る。静摩擦係数の測定法は特願2000−85759
の段落(0011)に記載の方法に従う。画像形成層表面の
スムースター値が23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.06
65〜6.65kPa)が好ましく、かつRaが0.05〜
0.4μmであることが好ましく、このことにより接触
面に受像層と画像形成層とが接触し得ない多数のミクロ
な空隙を少なく出来、転写、更には画質の点で好まし
い。前記Ra値は、表面粗さ測定機(Surfcom,
東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基
づき測定することができる。画像形成層の表面硬さがサ
ファイヤ針で10g以上であることが好ましい。米国連
邦政府試験基準4046により熱転写シートに帯電させ
た後、熱転写シートを接地後1秒後の画像形成層の帯電
電位が-100〜100Vであることが好ましい。画像形成層の
表面抵抗が23℃、55%RHで109Ω以下であることが好ま
しい。
【0125】次に前記熱転写シートと組み合わされて使
用され得る受像シートについて説明する。 [受像シート] (層構成)受像シートは、通常、支持体と、その上に、
1以上の受像層が設けられ、所望により、支持体と受像
層との間にクッション層、剥離層、及び中間層のいずれ
か1層又は2層以上を設けた構成である。また、支持体
の受像層とは反対側の面に、バック層を有すると、搬送
性の点で好ましい。
【0126】(支持体)支持体としては、プラスチック
シート、金属シート、ガラスシート、樹脂コート紙、
紙、及び各種複合体等のような通常のシート状の基材が
挙げられる。プラスチックシートの例としては、ポリエ
チレンテレフタレートシート、ポリカーボネートシー
ト、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリ
塩化ビニリデンシート、ポリスチレンシート、スチレン
−アクリロニトリルシート、ポリエステルシート等を挙
げることができる。また、紙としては印刷本紙、コート
紙等を用いることができる。
【0127】支持体が、微小な空隙(ボイド)を有する
と、画質を向上させることができるので好ましい。この
ような支持体は、例えば、熱可塑性樹脂と、無機顔料や
前記熱可塑性樹脂と非相溶性の高分子等からなる填料と
を混合した混合溶融物を、溶融押出機によって単層又は
多層のフィルムとし、更に1ないし2軸に延伸すること
により作製することができる。この場合、樹脂及び填料
の選定、混合比率、延伸条件等によって空隙率が決定さ
れる。
【0128】前記熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、及びポリエチレンテレフタ
レート樹脂が、結晶性が良く、延伸性が良く、ボイドの
形成も容易であるので好ましい。前記ポリオレフィン樹
脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分と
し、それに適宜少量の他の熱可塑性樹脂を併用すること
が好ましい。前記填料として用いられる無機顔料として
は、平均粒径が1〜20μmのものが好ましく、炭酸カ
ルシウム、クレー、けいそう土、酸化チタン、水酸化ア
ルミニウム、シリカ等を用いることができる。また、填
料として用いられる非相溶性の樹脂としては、熱可塑性
樹脂としてポリプロピレンを用いる場合は、ポリエチレ
ンテレフタレートを填料として組み合わせるのが好まし
い。微小な空隙(ボイド)を有する支持体の詳細は特願
平11−290570に記載されている。尚、支持体に
おける、無機顔料等の填料の含有率は、体積で2〜30
%程度が一般的である。
【0129】受像シートの支持体の厚さは、通常10〜
400μmであり、25〜200μmであるのが好まし
い。また、支持体の表面は、受像層(あるいはクッショ
ン層)との密着性、又は熱転写シートの画像形成層との
密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロー放電処
理等の表面処理が施されていてもよい。
【0130】(受像層)受像シートの表面には、画像形
成層を転写し、これを固定するために、支持体上に、受
像層を1以上設けることが好ましい。受像層は有機重合
体バインダーを主体として形成される層であるのが好ま
しい。このバインダーは、熱可塑性樹脂であることが好
ましく、その例としては、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリ
ル系モノマーの単独重合体及びその共重合体、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートの
ようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コール、ポリ塩化ビニル等のようなビニル系モノマーの
単独重合体及びその共重合体、ポリエステル、ポリアミ
ド等のような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共
重合体のようなゴム系ポリマーを挙げることができる。
受像層のバインダーは、画像形成層との間の適度な接着
力を得るために、ガラス転移温度(Tg)が90℃より
低いポリマーであることが好ましい。このために、受像
層に可塑剤を添加することも可能である。また、バイン
ダーポリマーは、シート間のブロッキングを防ぐため
に、そのTgが30℃以上であることが好ましい。受像
層のバインダーポリマーとしては、レーザー記録時の画
像形成層との密着性を向上させ、感度や画像強度を向上
させる点で、画像形成層のバインダーポリマーと同一、
若しくは類似のポリマーを用いることが特に好ましい。
【0131】本発明の一態様においては、前記したよう
に、バインダーポリマーとして、上記各種のバインダー
用ポリマーの中でも、一定の溶融粘度、ガラス転移温度
(Tg)を有するものが用いられる。その詳細は前述し
たとおりである。
【0132】また、本発明の別の一態様においては、前
記したように、バインダーポリマーとして、スチレン・
マレイン酸共重合体のハーフエステル化物、スチレン・
フマール酸共重合体のハーフエステル化物及びスチレン
・アクリル酸共重合体のエステル化物から選択される少
なくとも1種のエステル化物が用いられる。その詳細は
前述したとおりである。これらのエステル化物は、上記
各種のバインダー用ポリマーと併用して用いることがで
きる。
【0133】受像層表面のスムースター値が23℃、55%R
Hで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好まし
く、かつRaが0.05〜0.4μmであることが好ま
しく、このことにより接触面に受像層と画像形成層とが
接触し得ない多数のミクロな空隙を少なく出来、転写、
更には画質の点で好ましい。前記Ra値は、表面粗さ測
定機(Surfcom,東京精機(株)製)等を用いて
JIS B0601に基づき測定することができる。米
国連邦政府試験基準4046により受像シートに帯電さ
せた後、受像シートを接地後1秒後の受像層の帯電電位
が-100〜100Vであることが好ましい。受像層の表面抵抗
が23℃、55%RHで109Ω以下であることが好ましい。受
像層表面の静止摩擦係数が0.2以下であることが好ま
しい。受像層表面の表面エネルギーが23〜35mg/m2であ
ることが好ましい。
【0134】受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本
紙等へ再転写する場合には、受像層の少なくとも一層を
光硬化性材料から形成することも好ましい。このような
光硬化性材料の組成としては、例えば、a)付加重合に
よって光重合体を形成しうる多官能ビニル又はビニリデ
ン化合物の少なくとも一種からなる光重合性モノマー、
b)有機ポリマー、c)光重合開始剤、及び必要に応じ
て熱重合禁止剤等の添加剤からなる組み合わせを挙げる
ことができる。上記の多官能ビニルモノマーとしては、
ポリオールの不飽和エステル、特にアクリル酸もしくは
メタクリル酸のエステル(例えば、エチレングリコール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレ
ート)が用いられる。
【0135】前記有機ポリマーとしては前記受像層形成
用ポリマーが挙げられる。また、光重合開始剤として
は、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の通常の光ラ
ジカル重合開始剤が、層中の0.1〜20質量%の割合
で用いられる。
【0136】受像層の厚みは0.3〜7μm、好ましく
は0.7〜4μmである。0.3μm以上の場合、印刷
本紙への再転写の際に膜強度が確保できる。4μm以下
にすることで、本紙再転写後の画像の光沢が抑えられ、
印刷物への近似性が改良される。
【0137】(その他の層)支持体と受像層との間に、
クッション層を設けてもよい。クッション層を設ける
と、レーザー熱転写時に画像形成層と、受像層の密着性
を向上させ、画質を向上させることができる。また、記
録時、熱転写シートと受像シートの間に異物が混入して
も、クッション層の変形作用により、受像層と画像形成
層の空隙が小さくなり、結果として白ヌケ等の画像欠陥
サイズを小さくすることもできる。更に、画像を転写形
成した後、これを別に用意した印刷本紙等に転写する場
合、紙凹凸表面に応じて受像表面が変形するため、受像
層の転写性を向上することができ、また被転写物の光沢
を低下させることによって、印刷物との近似性も向上さ
せることができる。
【0138】クッション層は、受像層に応力が加えられ
た際に変形し易い構成であり、前記効果を達成するに
は、低弾性率を有する材料、ゴム弾性を有する材料ある
いは加熱により容易に軟化する熱可塑性樹脂からなるの
が好ましい。クッション層の弾性率としては、室温で好
ましくは0.5MPa〜1.0GPa、特に好ましくは
1MPa〜0.5GPa、より好ましくは10〜100
MPaである。また、ゴミ等の異物をめり込ませるため
には、JIS K2530で定められた針入度(25
℃、100g、5秒)が10以上であることが好まし
い。また、クッション層のガラス転移温度は80℃以
下、好ましくは25℃以下、軟化点は50〜200℃が
好ましい。これらの物性、例えば、Tgを調節するため
に可塑剤をバインダー中に添加することも好適に行うこ
とができる。
【0139】クッション層のバインダーとして用いられ
る具体的な材料としては、ウレタンゴム、ブタジエンゴ
ム、ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム等のゴム類
の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、可塑剤
入り塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂
等が挙げられる。尚、クッション層の厚みは使用する樹
脂その他の条件により異なるが、通常3〜100μm、
好ましくは10〜52μmである。
【0140】受像層とクッション層はレーザー記録の段
階までは接着している必要があるが、画像を印刷本紙に
転写するために、剥離可能に設けられていることが好ま
しい。剥離を容易にするためには、クッション層と受像
層の間に剥離層を厚み0.1〜2μm程度で設けること
も好ましい。層厚が大きすぎるとクッション層の性能が
現われ難くなるため、剥離層の種類により調整すること
が必要である。剥離層のバインダーとしては、具体的に
ポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルホルマール、ポリパラバン酸、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリカーボネート、エチルセルロー
ス、ニトロセルロース、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポ
リビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、
フッ素系樹脂、ポリスチレン,アクリロニトリルスチレ
ン等のスチレン類及びこれら樹脂を架橋したもの、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、アラミド等のTgが65℃
以上の熱硬化性樹脂及びそれら樹脂の硬化物が挙げられ
る。硬化剤としてはイソシアナート、メラミン等の一般
的硬化剤を使用することができる。
【0141】上記物性に合わせて剥離層のバインダーを
選ぶとポリカーボネート、アセタール、エチルセルロー
スが保存性の点で好ましく、更に受像層にアクリル系樹
脂を用いるとレーザー熱転写後の画像を再転写する際に
剥離性良好となり特に好ましい。又、別に、冷却時に受
像層との接着性が極めて低くなる層を剥離層として利用
することができる。具体的には、ワックス類、バインダ
ー等の熱溶融性化合物や熱可塑性樹脂を主成分とする層
とすることができる。熱溶融性化合物としては、特開昭
63−193886号に記載の物質等がある。特にマイ
クロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カル
ナバワックスなどが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂
としては、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系
共重合体、セルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0142】このような剥離層には添加剤として、高級
脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、アミド
類、高級アミン等を必要に応じて加えることができる。
剥離層の別の構成は、加熱時に溶融又は軟化することに
よって、それ自体が凝集破壊することで剥離性を持つ層
である。このような剥離層には過冷却物質を含有させる
ことが好ましい。過冷却物質としては、ポリ−ε−カプ
ロラクトン、ポリオキシエチレン、ベンゾトリアゾー
ル、トリベンジルアミン、バニリン等が挙げられる。更
に、別の構成の剥離性層では、受像層との接着性を低下
させるような化合物を含ませる。このような化合物とし
ては、シリコーンオイルなどのシリコーン系樹脂;テフ
ロン(登録商標)、弗素含有アクリル樹脂等の弗素系樹
脂;ポリシロキサン樹脂;ポリビニルブチラール、ポリ
ビニルアセタール、ポリビニルホルマール等のアセター
ル系樹脂;ポリエチレンワックス、アミドワックス等の
固形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤
等を挙げることができる。剥離層の形成方法としては、
前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散したもの
をブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、
カーテンコーター、グラビアコーター、等の塗布法、ホ
ットメルトによる押出しラミネーション法などが適用で
き、クッション層上に塗布し形成することができる。又
は、仮ベース上に前記素材を溶媒に溶解又はラテックス
状に分散したものを、上記の方法で塗布したものとクッ
ション層とを貼り合わせた後に仮ベースを剥離して形成
する方法がある。
【0143】前記熱転写シートと組み合わされる受像シ
ートは、受像層がクッション層を兼ねた構成であっても
よく、その場合は、受像シートは、支持体/クッション
性受像層、あるいは支持体/下塗り層/クッション性受
像層の構成であってもよい。この場合も、印刷本紙への
再転写が可能なようにクッション性受像層が剥離可能に
設けられていることが好ましい。この場合、印刷本紙へ
再転写後の画像は光沢に優れた画像となる。尚、クッシ
ョン性受像層の厚みは5〜100μm、好ましくは10
〜40μmである。
【0144】また、受像シートには、支持体の受像層が
設けられている面とは反対側の面に、バック層を設ける
と、受像シートの搬送性が良化するので好ましい。前記
バック層には、界面活性剤や酸化錫微粒子等による帯電
防止剤、酸化珪素、PMMA粒子等によるマット剤を添
加すると、記録装置内での搬送性を良化させる点で好ま
しい。前記添加剤はバック層のみならず、必要によって
受像層その他の層に添加することもできる。添加剤の種
類についてはその目的により一概には規定できないが、
例えば、マット剤の場合、平均粒径0.5〜10μmの
粒子を層中、0.5〜80%程度添加することができ
る。帯電防止剤としては、層の表面抵抗が23℃、50
%RHの条件で1012Ω以下、より好ましくは109Ω
以下となるように、各種界面活性剤、導電剤の中から適
宜選択して用いることができる。
【0145】バック層に用いられるバインダーとして
は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロー
ス、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポ
リアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキ
ド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポ
リイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテ
ート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エス
テル類、弗化ポリウレタン、ポリエーテルスルホンなど
汎用ポリマーを使用することができる。バック層のバイ
ンダーとして架橋可能な水溶性バインダーを用い、架橋
させることは、マット剤の粉落ち防止やバック層の耐傷
性の向上に効果がある。又、保存時のブロッキングにも
効果が大きい。この架橋手段は、用いる架橋剤の特性に
応じて、熱、活性光線、圧力の何れか一つ又は組み合わ
せなどを特に限定なく採ることができる。場合によって
は、支持体への接着性を付与するため、支持体のバック
層を設ける側に任意の接着層を設けてもよい。
【0146】バック層に好ましく添加されるマット剤と
しては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機系マ
ット剤としては、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子などが
挙げられる。バック層は0.5〜5g/m2程度の付量で
設けられることが好ましい。0.5g/m2未満では塗布
性が不安定で、マット剤の粉落ち等の問題が生じ易い。
又、5g/m2を大きく超えて塗布されると好適なマット
剤の粒径が非常に大きくなり、保存時にバック層による
受像層面のエンボス化が生じ、特に薄膜の画像形成層を
転写する熱転写では記録画像の抜けやムラが生じ易くな
る。マット剤は、その数平均粒径が、バック層のバイン
ダーのみの層厚よりも2.5〜20μm大きいものが好
ましい。マット剤の中でも、8μm以上の粒径の粒子が
5mg/m2以上が必要で、好ましくは6〜600mg/
m2である。これによって特に異物故障が改善される。
又、粒径分布の標準偏差を数平均粒径で割った値σ/r
n(=粒径分布の変動係数)が0.3以下となるよう
な、粒径分布の狭いものを用いることで、異常に大きい
粒径を有する粒子により発生する欠陥を改善できる上、
より少ない添加量で所望の性能が得られる。この変動係
数は0.15以下であることが更に好ましい。
【0147】バック層には、搬送ロールとの摩擦帯電に
よる異物の付着を防止するため、帯電防止剤を添加する
ことが好ましい。帯電防止剤としては、カチオン系界面
活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性
剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子の他、「1129
0の化学商品」化学工業日報社、875〜876頁等に
記載の化合物などが広く用いられる。バック層に併用で
きる帯電防止剤としては、上記の物質の中でも、カーボ
ンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫などの金属
酸化物、有機半導体などの導電性微粒子が好ましく用い
られる。特に、導電性微粒子を用いることは、帯電防止
剤のバック層からの解離がなく、環境によらず安定した
帯電防止効果が得られるために好ましい。又、バック層
には、塗布性や離型性を付与するために、各種活性剤、
シリコーンオイル、弗素系樹脂等の離型剤などを添加す
ることも可能である。バック層は、クッション層及び受
像層のTMA(Thermomechanical Analysis)により測
定した軟化点が70℃以下である場合に特に好ましい。
【0148】TMA軟化点は、測定対象物を一定の昇温
速度で、一定の荷重を掛けながら昇温し、対象物の位相
を観測することにより求める。本発明においては、測定
対象物の位相が変化し始める温度を以てTMA軟化点と
定義する。TMAによる軟化点の測定は、理学電気社製
Thermoflexなどの装置を用いて行うことがで
きる。
【0149】前記熱転写シートと前記受像シートは、熱
転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを重ね
合わせた積層体として、画像形成に利用され得る。熱転
写シートと受像シートとの積層体は、各種の方法によっ
て形成することができる。例えば、熱転写シートの画像
形成層と受像シートの受像層とを重ねて、加圧加熱ロー
ラーに通すことによって容易に得ることができる。この
場合の加熱温度は160℃以下、もしくは130℃以下
が好ましい。
【0150】積層体を得る別の方法として、前述した真
空密着法も好適に用いられる。真空密着法は、真空引き
用のサクション孔が設けられたドラムの上に、先ず受像
シートを巻き付け、次いでその受像シートよりややサイ
ズの大きな熱転写シートを、スクイーズローラーで空気
を均一に押し出しながら受像シートに真空密着させる方
法である。また別の方法としては、金属ドラムの上に受
像シートを引っ張りつつ機械的に貼り付け、更にその上
に熱転写シートを同様に機械的に引っ張りつつ貼り付
け、密着させる方法もある。これらの方法の中で、ヒー
トローラー等の温度制御が不要で、迅速・均一に積層し
やすい点で、真空密着法が特に好ましい。
【0151】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、文中で特に断りのない限り「部」は「質量部」を意
味する。
【0152】 実施例1−1 −熱転写シートK(ブラック)の作製− [バック層の形成] [バック第1層塗布液の調製] アクリル樹脂の水分散液 2部 (ジュリマーET410、固形分20質量%、日本純薬(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 7.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1部 メラミン化合物 0.3部 (スミチックスレジンM−3、住友化学工業(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第1層の形成]厚さ75μmの2軸延伸したポリエ
チレンテレフタレート支持体(両面のRaは0.01μ
m)の一方の面(裏面)にコロナ処理を施し、バック第
1層塗布液を乾燥層厚みが0.03μmになるよう塗布した後
180℃で30秒間乾燥して、バック第1層を形成した。支持
体の長手方向のヤング率は450Kg/mm2(≒4.
4GPa)で、幅方向のヤング率は500Kg/mm2
(≒4.9GPa)である。支持体の長手方向のF−5
値は、10Kg/mm2 (≒98MPa)、支持体幅方
向のF−5値は、13Kg/mm2(≒127.4MP
a)であり、支持体の100℃、30分での熱収縮率は
長手方向が0.3%で、幅方向が0.1%である。破断
強度は長手方向が20Kg/mm2(≒196MPa)
で、幅方向が25Kg/mm2(≒245MPa)、弾
性率は400Kg/mm2(≒3.9GPa)である。 [バック第2層塗布液の調製] ポリオレフィン 3.0部 (ケミパールS−120、27質量%、三井石油化学(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 2.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) コロイダルシリカ 2.0部 (スノーテックスC、20質量%、日産化学(株)製) エポキシ化合物 0.3部 (ディナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製) ポリスチレンスルホン酸ナトリウム 0.1部 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第2層の形成]バック第1層の上にバック第2層
塗布液を乾燥層厚が0.03μmになるよう塗布した後170℃
で30秒間乾燥して、バック第2層を形成した。
【0153】[光熱変換層の形成] [光熱変換層用塗布液の調製]下記の各成分をスターラ
ーで攪拌しながら混合して、光熱変換層用塗布液を調製
した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製、下記構造のシアニン色素)
【0154】
【化6】
【0155】(式中、RはCH3、X-はClO4 -を示
す。) ・下記構造のポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20F」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃)
【0156】
【化7】
【0157】(式中、R1はSO2を示す。R2
【0158】
【化8】
【0159】を示す。) ・エクソンナフサ 5.8部 ・N−メチルピロリドン(NMP) 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性 剤) ・下記組成のマット剤分散物 14.1部 マット剤分散物の調製 平均粒径1.5μmの真球シリカ微粒子(日本触媒(株)製
シーホスターKE-P150)10部、分散剤ポリマー(アク
リル酸エステルスチレン共重合体ポリマー。ジョンソン
ポリマー(株)製ジュンクリル611)2部、メチルエチル
ケトン16部及びNメチルピロリドン64部を混合し、これ
と直径2mmのガラスビーズ30部を容量200mlのポリエ
チレン製容器にいれてペイントシェーカー(東洋精機
製)で2時間分散してシリカ微粒子の分散物を得た。
【0160】[支持体表面への光熱変換層の形成]厚さ
75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持
体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液をワイ
ヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃のオー
ブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層を形
成した。得られた光熱変換層の波長808nmにおける
光学濃度を(株)島津製作所製UV−分光光度計UV−
240で測定したところ、OD=1.03であった。層
厚は、走査型電子顕微鏡により光熱変換層の断面を観察
したところ、平均で0.3μmであった。
【0161】[画像形成層の形成] [ブラック画像形成層用塗布液の調製]下記の各成分
を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を添加しつつ剪
断力を加え、分散前処理を行った。その分散物に、更に
溶剤を加えて、最終的に下記組成となるように調製し、
サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母液を得た。 [ブラック顔料分散母液組成] 組成1 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 4.5部 (「三菱カーボンブラック #5」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 組成2 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 10.5部 (「三菱カーボンブラック MA100」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1 0) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0162】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しな
がら混合して、ブラック画像形成層用塗布液を調製し
た。 [ブラック画像形成層用塗布液組成] ・上記ブラック顔料分散母液 185.7部 組成1:組成2=70:30(部) ・ポリビニルブチラール 11.9部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.7部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.7部 (ラウリル酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 1.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.7部 ・ロジン 11.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 2.1部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・無機顔料 7.1部 (「MEK−ST」、30%メチルエチルケトン溶液、日産化学(株)社製) ・n−プロピルアルコール 1050部 ・メチルエチルケトン 295部 得られたブラック画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0163】[光熱変換層表面へのブラック画像形成層
の形成]前記光熱変換層の表面に、上記ブラック画像形
成層用塗布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した
後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、
光熱変換層の上にブラック画像形成層を形成した。以上
の工程により、支持体上に、光熱変換層及びブラック画
像形成層が、この順で設けられた熱転写シート(以下、
熱転写シートKと記す。同様に、イエロー画像形成層画
像形成層も設けられたものを熱転写シートY、マゼンタ
画像形成層が設けられたものを熱転写シートM、シアン
画像形成層が設けられたものを熱転写シートCと記す)
を作製した。熱転写シートKのブラック画像形成層の光
学濃度(光学濃度:OD)を、マクベス濃度計「TD−
904」(Wフィルター)で測定したところ、OD=
0.91であった。また、ブラック画像形成層の層厚を
測定したところ、平均で0.60μmであった。
【0164】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には9.3m
mHg(≒1.24kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。表面エネルギーは29mJ/m2であった。水の接
触角は94.8°であった。反射光学濃度は1.82で
あり、層厚が0.60μmで、OD/層厚は3.03で
あった。露光面の光強度が1000W/mm2以上のレーザー光
で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変換層の変形
率は168%であった。
【0165】−熱転写シートYの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のイエロー画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートYを作製した。得られた熱転写シ
ートYの画像形成層の層厚は、0.42μmであった。 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.N o.21290) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) P−HG」、ク ラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 139(C.I.N o.56298) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) M2R 70」 、クラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0166】 [イエロー画像形成層用塗布液組成] ・上記イエロー顔料分散母液 126部 イエロー顔料組成1:イエロー顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.6部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 0.7部 (べヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 0.7部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 0.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミットKP」、日本化成(株)製) 0.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 0.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)0.7部 ・ノニオン系界面活性剤 0.4部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 2.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・界面活性剤 0.8部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 793部 ・メチルエチルケトン 198部
【0167】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には2.3m
mHg(≒0.31kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.1であっ
た。表面エネルギーは24mJ/m2であった。水の接
触角は108.1°であった。反射光学濃度は1.01
であり、層厚が0.42μmで、OD/層厚は2.40
であった。露光面の光強度が1000W/mm2以上のレーザー
光で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変換層の変
形率は150%であった。
【0168】−熱転写シートMの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のマゼンタ画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートMを作製した。得られた熱転写シ
ートMの画像形成層の層厚は、0.38μmであった。 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成1; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリア ントカーミン) 6B−229」、大日本インキ化学工業(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 80.4部 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成2; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G」、東洋イ ンキ製造(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0169】 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 マゼンタ顔料組成1:マゼンタ顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.0部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 848部 ・メチルエチルケトン 246部
【0170】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には3.5m
mHg(≒0.47kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。表面エネルギーは25mJ/m2であった。水の接
触角は98.8°であった。反射光学濃度は1.51で
あり、層厚が0.38μmで、OD/層厚は3.97で
あった。露光面の光強度が1000W/mm2以上のレーザー光
で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変換層の変形
率は160%であった。
【0171】−熱転写シートCの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のシアン画像形成層用
塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様に
して、熱転写シートCを作製した。得られた熱転写シー
トCの画像形成層の層厚は、0.45μmであった。 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No. 74160) 15.0部 (「Cyanine Blue(シアニンブルー) 700−10FG」、東 洋インキ製造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15(C.I.No.74 160) 15.0部 (「Lionol Blue(リオノールブルー) 7027」、東洋インキ製 造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部
【0172】 [シアン画像形成層用塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 118部 シアン顔料組成1:シアン顔料組成2=90:10(部) ・ポリビニルブチラール 5.2部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・無機顔料「MEK−ST」 1.3部 ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミンドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」(日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ロジン 2.8部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.7部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.7部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 890部 ・メチルエチルケトン 247部
【0173】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には7.0m
mHg(≒0.93kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。表面エネルギーは25mJ/m2であった。水の接
触角は98.8°であった。反射光学濃度は1.59で
あり、層厚が0.45μmで、OD/層厚は3.03で
あった。露光面の光強度が1000W/mm2以上のレーザー光
で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変換層の変形
率は165%であった。
【0174】−受像シートの作製− 下記の組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液
を調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (主バインダ−) (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤(フッ素系:塗布助剤) 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤(4級アンモニウム塩) 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0175】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール 8部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 0.1部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 20部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0176】ワイヤーバー塗布機を用いて、白色PET
支持体(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、
厚み130μm)上に、上記のクッション層形成用塗布
液を塗布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗
布し、乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20
μm、受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調
節した。白色PET支持体はボイド含有ポリエチレンテ
レフタレート層(厚み:116μm、空隙率:20%)
とその両面に設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフ
タレート層(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)
との積層体(総厚み:130μm、比重:0.8)から
なるボイド含有プラスチック支持体である。作製した材
料は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下
記のレーザー光による画像記録に用いた。得られた受像
層の物性は以下のようであった。表面粗さRaが0.4〜0.0
1μmが好ましく、具体的には0.02μmであった。
受像層の表面のうねりが2μm以下が好ましく、具体的
には1.2μmであった。受像層の表面のスムースター
値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kP
a)が好ましく、具体的には0.8mmHg(≒0.11
kPa)であった。受像層表面の静止摩擦係数は0.8
以下が好ましく、具体的には0.37であった。受像層
表面の表面エネルギーは29mJ/m2であった。水の
接触角は85.0°であった。
【0177】−転写画像の形成− 画像形成システムは、図4記載のシステムで記録装置と
してLuxel FINALPROOF5600を用い、本システムの画像形
成シーケンス及び本システムで用いる本紙転写方法によ
り本紙への転写画像を得た。直径1mmの真空セクショ
ン孔(3cm×8cmのエリアに1個の面密度)が開け
られている直径38cmの回転ドラムに、上記で作製し
た受像シート(56cm×79cm)を巻き付け、真空
吸着させた。次いで、61cm×84cmに切断した前
記熱転写シートK(ブラック)を前記受像シートから均
等にはみ出すように重ね、スクイーズローラーでスクイ
ーズさせつつ、セクション孔に空気が吸引されるように
密着、積層させた。セクション孔が塞がれた状態での減
圧度は、1気圧に対して−150mmHg(≒81.1
3kPa)であった。前記ドラムを回転させ、ドラム上
での積層体の表面に、外側から波長808nmの半導体
レーザー光を、光熱変換層の表面で7μmのスポットに
なるように集光し、回転ドラムの回転方向(主走査方
向)に対して、直角方向に移動させながら(副走査)、
積層体へレーザー画像(画線)記録を行った。レーザー
照射条件は、以下の通りである。また、本実施例で使用
したレーザービームは、主走査方向に5列、副走査方向
に3列の平行四辺形からなるマルチビーム2次元配列か
らなるレーザービームを使用した。 レーザーパワー 110mW ドラム回転数 500rpm 副走査ピッチ 6.35μm 環境温湿度 18℃30%, 23℃50%, 26℃65%の3条件 露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的
には380mmのものを用いた。なお、画像サイズは5
15mm×728mm、解像度は2600dpiであ
る。前記レーザー記録が終了した積層体を、ドラムから
取り外し、熱転写シートKを受像シートから手で引き剥
がしたところ、熱転写シートKの画像形成層の光照射領
域のみが、熱転写シートKから受像シートに転写されて
いるのが確認された。
【0178】上記と同様にして、前記熱転写シートY、
熱転写シートM、及び熱転写シートCの各熱転写シート
から、受像シート上に画像を転写した。転写された4色
の画像を、記録紙に更に転写し、多色の画像を形成した
ところ、異なる温湿度条件下において、マルチビーム2
次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレー
ザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写
濃度を有する多色画像を形成することができた。本紙へ
の転写は挿入台の材質のポリエチレンテレフタレートに
対する動摩擦係数が0.1〜0.7である、搬送速度が
15〜50mm/secである熱転写装置を用いた。熱
転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ−ス硬度は10ないし
100が好ましく、具体的にはビッカ−ス硬度が70を
用いた。得られた画像は3つの環境温湿度とも良好であ
った。
【0179】本紙への転写は挿入台の材質のポリエチレ
ンテレフタレートに対する動摩擦係数が0.1〜0.7
である、搬送速度が15〜50mm/secである熱転
写装置を用いた。熱転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ−
ス硬度は10ないし100が好ましく、具体的にはビッ
カ−ス硬度が70を用いた。反射光学濃度は特菱ア−ト
紙に本紙転写したものを、濃度計 X-rite938(X-rite社
製)にてY,M,C,K色それぞれY,M,C,Kモ−ドにて測定し
た。各色の反射光学濃度、反射光学濃度/画像形成層膜
厚は下記表のとおりであった。
【0180】
【表1】
【0181】実施例1−2 実施例1−1で用いた受像シートに代えて、白色PET
支持体(「ルミラー#75E63」、東レ(株)製、厚
み75μm)に塗布した受像シート用いた以外は、実施
例1−1と同様にして転写画像を形成した。 実施例1−3 実施例1−1で用いた受像シートに代えて、白色PET
支持体(「ルミラー#75X20」、東レ(株)製、厚
み75μm)に塗布した受像シート用いた以外は、実施
例1−1と同様にして転写画像を形成した。
【0182】比較例1 実施例1−1で用いた受像シートに代えて、白色PET
支持体(ボイド含有、顔料練り込みなし、厚み75μ
m)に塗布した受像シート用いた以外は、実施例1−1
と同様にして転写画像を形成した。
【0183】
【表2】
【0184】このようなシステム構成で得られた画像の
評価を以下のように行った (1)レーザー分光反射率 島津社製分光光度計UV−2100で、150mmφ積
分球装置を設置し、分光反射率を測定した。 (2)白度 JIS L1015(2波長法)に従い、(1)により
分光反射率を測定し、波長450nmの時の反射率をB
%、波長550nmの時の反射率をG%とした時、白色
度(%)=4B−3Gで求めた。
【0185】(3)マゼンタ画像部の反射濃度(OD)
の測定 前記熱転写シートMを用いて、いわゆる網点画像記録し
た。出力に用いた画像データは50%網点(175L/
inch、網角度45度、スクエアドット)である。反
射光学濃度は特菱ア−ト紙に本紙転写したものを、濃度
計 X-rite938(X-rite社製)にてMモ−ドにて測定し
た。
【0186】 実施例2−1 −熱転写シートK(ブラック)の作製− [バック層の形成] [バック第1層塗布液の調製] アクリル樹脂の水分散液 2部 (ジュリマーET410、固形分20質量%、日本純薬(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 7.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1部 メラミン化合物 0.3部 (スミチックスレジンM−3、住友化学工業(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第1層の形成]厚さ75μmの2軸延伸したポリエ
チレンテレフタレート支持体(両面のRaは0.01μ
m)の一方の面(裏面)にコロナ処理を施し、バック第
1層塗布液を乾燥層厚保が0.03μmになるよう塗布した後
180℃で30秒間乾燥して、バック第1層を形成した。支持
体の長手方向のヤング率は450Kg/mm2(≒4.
4GPa)で、幅方向のヤング率は500Kg/mm2
(≒4.9GPa)である。支持体の長手方向のF−5
値は、10Kg/mm2 (≒98MPa)、支持体幅方
向のF−5値は、13Kg/mm2(≒127.4MP
a)であり、支持体の100℃、30分での熱収縮率は
長手方向が0.3%で、幅方向が0.1%である。破断
強度は長手方向が20Kg/mm2(≒196MPa)
で、幅方向が25Kg/mm2(≒245MPa)、弾
性率は400Kg/mm2(≒3.9GPa)である。 [バック第2層塗布液の調製] ポリオレフィン 3.0部 (ケミパールS−120、27質量%、三井石油化学(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 2.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) コロイダルシリカ 2.0部 (スノーテックスC、20質量%、日産化学(株)製) エポキシ化合物 0.3部 (ディナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第2層の形成]バック第1層の上にバック第2層
塗布液を乾燥層厚が0.03μmになるよう塗布した後170℃
で30秒間乾燥して、バック第1層を形成した。
【0187】1)光熱変換層用塗布液の調製 下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光
熱変換層用塗布液を調製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製、下記構造のシアニン色素)
【0188】
【化9】
【0189】(式中、RはCH3、X-はClO4 -を示
す。) ・下記構造のポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20F」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃)
【0190】
【化10】
【0191】(式中、R1はSO2を示す。R2
【0192】
【化11】
【0193】を示す。) ・エクソンナフサ 5.8部 ・N−メチルピロリドン(NMP) 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性 剤) ・下記組成のマット剤分散液 14.1部
【0194】 マット剤分散液 ・N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 69部 ・メチルエチルケトン 20部 ・スチレンアクリル樹脂 3部 (「ジョンクリル611」、ジョンソンポリマー(株)製) ・SiO2粒子 8部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製)
【0195】2)支持体表面への光熱変換層の形成 厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(支持体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液
をワイヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃
のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換
層を形成した。得られた光熱変換層の波長808nmに
おける光学濃度を(株)島津製作所製UV−分光光度計U
V−240で測定したところ、OD=1.03であっ
た。層厚は、走査型電子顕微鏡により光熱変換層の断面
を観察したところ、平均で0.3μmであった。
【0196】3)ブラック画像形成層用塗布液の調製 下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を
添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分
散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるよ
うに調製し、サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母
液を得た。 [ブラック顔料分散母液組成] 組成1 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 4.5部 (「三菱カーボンブラック #5」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 組成2 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 10.5部 (「三菱カーボンブラック MA100」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1 0) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0197】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しな
がら混合して、ブラック画像形成層用塗布液を調製し
た。 [ブラック画像形成層用塗布液組成] ・上記ブラック顔料分散母液 185.7部 組成1:組成2=70:30(部) ・ポリビニルブチラール 11.9部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.7部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.7部 (ラウリル酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 1.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.7部 ・ロジン 11.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 2.1部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・無機顔料 7.1部 (「MEK−ST」、30%メチルエチルケトン溶液、日産化学(株)社製) ・n−プロピルアルコール 1050部 ・メチルエチルケトン 295部 得られたブラック画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0198】4)光熱変換層表面へのブラック画像形成
層の形成 前記光熱変換層の表面に、上記ブラック画像形成層用塗
布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した後、塗布物
を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層
の上にブラック画像形成層を形成した。以上の工程によ
り、支持体上に、光熱変換層及びブラック画像形成層
が、この順で設けられた熱転写シート(以下、熱転写シ
ートKと記す。同様に、イエロー画像形成層画像形成層
も設けられたものを熱転写シートY、マゼンタ画像形成
層が設けられたものを熱転写シートM、シアン画像形成
層が設けられたものを熱転写シートCと記す)を作製し
た。熱転写シートKのブラック画像形成層の光学濃度
(光学濃度:OD)を、マクベス濃度計「TD−90
4」(Wフィルター)で測定したところ、OD=0.9
1であった。また、ブラック画像形成層の層厚を測定し
たところ、平均で0.60μmであった。
【0199】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には9.3m
mHg(≒1.24kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0200】−熱転写シートYの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のイエロー画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートYを作製した。得られた熱転写シ
ートYの画像形成層の層厚は、0.42μmであった。 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.N o.21290) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) P−HG」、ク ラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 139(C.I.N o.56298) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) M2R 70」 、クラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0201】 [イエロー画像形成層用塗布液組成] ・上記イエロー顔料分散母液 126部 イエロー顔料組成1:イエロー顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.6部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 0.7部 (べヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 0.7部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 0.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミットKP」、日本化成(株)製) 0.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 0.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)0.7部 ・ノニオン系界面活性剤 0.4部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 2.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 0.8部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコー 793部 ・メチルエチルケトン 198部
【0202】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には2.3m
mHg(≒0.31kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.1であっ
た。
【0203】−熱転写シートMの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のマゼンタ画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートMを作製した。得られた熱転写シ
ートMの画像形成層の層厚は、0.38μmであった。 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成1; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリア ントカーミン) 6B−229」、大日本インキ化学工業(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 80.4部 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成2; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G」、東洋イ ンキ製造(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0204】 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 マゼンタ顔料組成1:マゼンタ顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.0部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチン 酸10〜20%ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 848部 ・メチルエチルケトン 246部
【0205】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には3.5m
mHg(≒0.47kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0206】−熱転写シートCの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のシアン画像形成層用
塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様に
して、熱転写シートCを作製した。得られた熱転写シー
トCの画像形成層の層厚は、0.45μmであった。 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No. 74160) 15.0部 (「Cyanine Blue(シアニンブルー) 700−10FG」、東 洋インキ製造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15(C.I.No.74 160) 15.0部 (「Lionol Blue(リオノールブルー) 7027」、東洋インキ製 造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部
【0207】 [シアン画像形成層用塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 118部 シアン顔料組成1:シアン顔料組成2=90:10(部) ・ポリビニルブチラール 5.2部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・無機顔料「MEK−ST」 1.3部・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミンドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」(日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ロジン 2.8部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.7部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.7部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 890部 ・メチルエチルケトン 247部
【0208】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には7.0m
mHg(≒0.93kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0209】−受像シートの作製− 下記の組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液
を調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (主バインダ−) (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤(フッ素系:塗布助剤) 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤(4級アンモニウム塩) 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0210】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール 8部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 0.1部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 20部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0211】小幅塗布機を用いて、白色PET支持体
(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、厚み1
30μm)上に、上記のクッション層形成用塗布液を塗
布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布し、
乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20μm、
受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節し
た。白色PET支持体はボイド含有ポリエチレンテレフ
タレート層(厚み:116μm、空隙率:20%)とそ
の両面に設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフタレ
ート層(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)との
積層体(総厚み:130μm、比重:0.8)からなる
ボイド含有プラスチック支持体である。作製した材料
は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下記
のレーザー光による画像記録に用いた。得られた受像層
の物性は以下のようであった。表面粗さRaが0.4〜0.01
μmが好ましく、具体的には0.02μmであった。受
像層の表面のうねりが2μm以下が好ましく、具体的に
は0.5μmであった。受像層の表面のスムースター値
は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.65kP
a)が好ましく、具体的には0.8mmHg(≒0.11
kPa)であった。受像層表面の静止摩擦係数は0.4
以下が好ましく、具体的には0.37であった。
【0212】−転写画像の形成− 直径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリ
アに1個の面密度)が開けられている直径38cmの回
転ドラムに、上記で作製した受像シート(56cm×7
9cm)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、61c
m×84cmに切断した前記熱転写シートK(ブラッ
ク)を前記受像シートから均等にはみ出すように重ね、
スクイーズローラーでスクイーズさせつつ、セクション
孔に空気が吸引されるように密着、積層させた。セクシ
ョン孔が塞がれた状態での減圧度は、1気圧に対して−
150mmHg(≒81.13kPa)であった。前記
ドラムを回転させ、ドラム上での積層体の表面に、外側
から波長808nmの半導体レーザー光を、光熱変換層
の表面で7μmのスポットになるように集光し、回転ド
ラムの回転方向(主走査方向)に対して、直角方向に移
動させながら(副走査)、積層体へレーザー画像(画
線)記録を行った。レーザー照射条件は、以下の通りで
ある。また、本実施例で使用したレーザービームは、主
走査方向に5列、副走査方向に3列の平行四辺形からな
るマルチビーム2次元配列からなるレーザービームを使
用した。 レーザーパワー 110mW ドラム回転数 500rpm 副走査ピッチ 6.35μm 環境温湿度 18℃30%, 23℃50%, 26℃65%の3条件 露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的
には380mmのものを用いた。なお、画像サイズは5
15mm×728mm、解像度は2600dpiであ
る。前記レーザー記録が終了した積層体を、ドラムから
取り外し、熱転写シートKを受像シートから手で引き剥
がしたところ、熱転写シートKの画像形成層の光照射領
域のみが、熱転写シートKから受像シートに転写されて
いるのが確認された。
【0213】上記と同様にして、前記熱転写シートY、
熱転写シートM、及び熱転写シートCの各熱転写シート
から、受像シート上に画像を転写した。転写された4色
の画像を、本紙に更に転写し、多色の画像を形成したと
ころ、いずれの環境条件においても、画質が良好であ
り、安定した転写濃度を有する多色画像を形成すること
ができた。本紙としてラフ紙(グリーン大王)を用い
た。本紙への転写は挿入台の材質のポリエチレンテレフ
タレートに対する動摩擦係数が0.1〜0.7である、
搬送速度が15〜50mm/secである熱転写装置を
用いた。熱転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ−ス硬度が
10ないし100が好ましく、具体的にはビッカ−ス硬
度が70のものを用い、ロール温度130℃で処理し
た。得られた画像は3つの環境温湿度とも良好であっ
た。
【0214】実施例2−2 実施例2−1の受像シートの受像層に用いたポリビニル
ブチラール「エスレックB BL−SH」をポリビニル
ブチラール「PVB2000L」に変更した以外は、実
施例2−1と同様にして多色画像を形成し、本紙に転写
した。
【0215】実施例2−3 実施例2−1の受像シートの受像層に用いたポリビニル
ブチラール「エスレックB BL−SH」をポリビニル
ブチラールウレタン変成品に変更した以外は、実施例2
−1と同様にして多色画像を形成し、本紙に転写した。
【0216】実施例2−4 実施例2−1の受像シートの受像層に用いたポリビニル
ブチラール「エスレックB BL−SH」をポリビニル
ブチラール/ポリビニルアセトアルデヒドアセタールに
変更した以外は、実施例2−1と同様にして多色画像を
形成し、本紙に転写した。
【0217】実施例2−5 実施例2−1の受像層用塗布液を以下のものに変更した
以外は、実施例2−1と同様にして多色画像を形成し、
本紙に転写した。 受像層用塗布液 アクリル樹脂ラテックス 30.4部 (カネボウNSC社製 ヨードゾルA5801) 2μmPMMAマット剤の25質量%水分散物 1.9部 フッ素系樹脂(スミレーズレジンFP−150) 5.7部 水 60部 IPA 2部
【0218】実施例2−6 実施例2−5の受像層用塗布液のアクリル樹脂ラテック
スをヨードゾルAD79Bに変更した以外は、実施例2
−1と同様にして多色画像を形成し、本紙に転写した。 参考例1 実施例2−1の受像シートの受像層に用いたポリビニル
ブチラールをポリビニルアセトアルデヒドアセタールに
変更した以外は、実施例2−1と同様にして多色画像を
形成し、本紙に転写した。
【0219】上記転写された画像のラフ紙への本紙転写
性及び画像の浮きを評価し、結果を表3に示した。 画像の浮きは以下の通り評価した。 ○:目視で本紙と受像層との間に隙間が確認されない。 △:目視で本紙と受像層との間に微小(0.5mm以
下)の隙間が確認される。 ×:目視で本紙と受像層との間に0.5mm超の隙間が
確認される。
【0220】
【表3】
【0221】表3中、溶融粘度の欄に記載の、例えば、
2.68(E+04)は2.68×104を意味する。
他も同様である。また、上表より、本発明の実施例2−
1〜2−6の受像シートは、ラフ紙への転写が可能であ
り、また参考例1に比べて画像の浮きが防止され、耐傷
性も優れるものである。
【0222】実施例3−1〜7、参考例2 −熱転写シートK(ブラック)の作製− −第一バック層形成用塗布液の調製− 下記塗布液組成に示す各成分をスターラーで攪拌しなが
ら混合し、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で
1時間分散処理して、第一バック層形成用塗布液を調製
した。
【0223】 [塗布液組成] アクリル樹脂の水分散液(ジュリマーET410、 2.0部 固形分20質量%、日本純薬(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 7部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1部 メラミン化合物(スミチックスレジンM−3、 0.3部 住友化学工業(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した 厚さ75μm、幅65cmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム支持体(両面のRaは0.01μm)の一方
の表面上に、上記の第一バック層形成用塗布液をワイヤ
ーバーを用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブ
ン中で2分間乾燥して、支持体上に層厚0.04μmの
第一バック層を形成した。支持体の長手方向のヤング率
は450Kg/mm2(≒4.4GPa)で、幅方向の
ヤング率は500Kg/mm2(≒4.9GPa)であ
る。支持体の長手方向のF−5値は、10Kg/mm2
(≒98MPa)、支持体幅方向のF−5値は、13K
g/mm2(≒127.4MPa)であり、支持体の1
00℃、30分での熱収縮率は長手方向が0.3%で、
幅方向が0.1%である。破断強度は長手方向が20K
g/mm2(≒196MPa)で、幅方向が25Kg/
mm2(≒245MPa)、弾性率は400Kg/mm2
(≒3.9GPa)である。
【0224】−第二バック層形成用塗布液の調製− 下記塗布液組成に示す各成分をスターラーで攪拌しなが
ら混合し、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で
1時間分散処理して、第二バック層形成用塗布液を調製
した。 [塗布液組成] ポリオレフィン(ケミパールS−120、27質量%、 3.0部 三井石油化学(株)製) コロイダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)製) 2.0部 エポキシ化合物(デナコールEX−614B、 0.3部 ナガセ化成(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した 前記第一バック層上に、上記の第二バック層形成用塗布
液をワイヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を100
℃のオーブン中で2分間乾燥して、第一バック層上に層
厚0.03μmの第二バック層を形成した。
【0225】1)光熱変換層用塗布液の調製 下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光
熱変換層用塗布液を調製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製、下記構造のシアニン色素)
【0226】
【化12】
【0227】(式中、RはCH3、X-はClO4 -を示
す。) ・下記構造のポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20F」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃)
【0228】
【化13】
【0229】(式中、R1はSO2を示す。R2
【0230】
【化14】
【0231】を示す。) ・エクソンナフサ 5.8部 ・N−メチルピロリドン(NMP) 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性 剤) ・下記組成のマット剤分散液 14.1部
【0232】 マット剤分散液 ・N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 69部 ・メチルエチルケトン 20部 ・スチレンアクリル樹脂 3部 (「ジョンクリル611」、ジョンソンポリマー(株)製) ・SiO2粒子 8部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0233】2)支持体表面への光熱変換層の形成 厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(支持体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液
をワイヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃
のオーブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換
層を形成した。得られた光熱変換層は、波長808nm
付近に吸収があり、その吸光度(光学濃度:OD)を島
津社製UV−分光光度計UV−2400で測定したとこ
ろ、OD=1.03であった。層厚は、走査型電子顕微
鏡により光熱変換層の断面を観察したところ、平均で
0.3μmであった。
【0234】3)ブラック画像形成層用塗布液の調製 下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を
添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分
散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるよ
うに調製し、サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母
液を得た。 [ブラック顔料分散母液組成] 組成1 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 4.5部 (「三菱カーボンブラック #5」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 組成2 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 10.5部 (「三菱カーボンブラック MA100」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1 0) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0235】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しな
がら混合して、ブラック画像形成層用塗布液を調製し
た。 [ブラック画像形成層用塗布液組成] ・上記ブラック顔料分散母液 185.7部 組成1:組成2=70:30(部) ・ポリビニルブチラール 11.9部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.7部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.7部 (ラウリル酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 1.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.7部 ・ロジン 11.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 2.1部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・無機顔料 7.1部 (「MEK−ST」、30%メチルエチルケトン溶液、日産化学(株)社製) ・n−プロピルアルコール 1050部 ・メチルエチルケトン 295部 得られたブラック画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0236】4)光熱変換層表面へのブラック画像形成
層の形成 前記光熱変換層の表面に、上記ブラック画像形成層用塗
布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した後、塗布物
を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層
の上にブラック画像形成層を形成した。以上の工程によ
り、支持体上に、光熱変換層及びブラック画像形成層
が、この順で設けられた熱転写シート(以下、熱転写シ
ートKと記す。同様に、イエロー画像形成層画像形成層
も設けられたものを熱転写シートY、マゼンタ画像形成
層が設けられたものを熱転写シートM、シアン画像形成
層が設けられたものを熱転写シートCと記す)を作製し
た。熱転写シートKのブラック画像形成層の光学濃度
(光学濃度:OD)を、マクベス濃度計「TD−90
4」(Wフィルター)で測定したところ、OD=0.9
1であった。また、ブラック画像形成層の層厚を測定し
たところ、平均で0.60μmであった。
【0237】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には9.3m
mHg(≒1.24kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0238】−熱転写シートYの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のイエロー画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートYを作製した。得られた熱転写シ
ートYの画像形成層の層厚は、0.42μmであった。 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.N o.21290) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) P−HG」、ク ラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 139(C.I.N o.56298) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) M2R 70」 、クラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0239】 [イエロー画像形成層用塗布液組成] ・上記イエロー顔料分散母液 126部 イエロー顔料組成1:イエロー顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.6部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 0.7部 (べヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 0.7部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 0.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミットKP」、日本化成(株)製) 0.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 0.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)0.7部 ・ノニオン系界面活性剤 0.4部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 2.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 0.8部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 793部 ・メチルエチルケトン 198部
【0240】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には2.3m
mHg(≒0.31kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.1であっ
た。
【0241】−熱転写シートMの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のマゼンタ画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートMを作製した。得られた熱転写シ
ートMの画像形成層の層厚は、0.38μmであった。 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成1; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリア ントカーミン) 6B−229」、大日本インキ化学工業(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 80.4部 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成2; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G」、東洋イ ンキ製造(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0242】 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 マゼンタ顔料組成1:マゼンタ顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.0部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチン 酸10〜20%ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 848部 ・メチルエチルケトン 246部
【0243】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には3.5m
mHg(≒0.47kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0244】−熱転写シートCの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のシアン画像形成層用
塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様に
して、熱転写シートCを作製した。得られた熱転写シー
トCの画像形成層の層厚は、0.45μmであった。 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No. 74160) 15.0部 (「Cyanine Blue(シアニンブルー) 700−10FG」、東 洋インキ製造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15(C.I.No.74 160) 15.0部 (「Lionol Blue(リオノールブルー) 7027」、東洋インキ製 造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部
【0245】 [シアン画像形成層用塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 118部 シアン顔料組成1:シアン顔料組成2=90:10(部) ・ポリビニルブチラール 5.2部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・無機顔料「MEK−ST」 1.3部 ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミンドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」(日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ロジン 2.8部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.7部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.7部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 890部 ・メチルエチルケトン 247部
【0246】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒
0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体的には7.0m
mHg(≒0.93kPa)であった。表面の静止摩擦係
数は0.2以下が好ましく、具体的には0.08であっ
た。
【0247】(実施例3−1〜7、参考例2) −受像シートの作製− 下記の組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液
を調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (主バインダ−) (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤(フッ素系:塗布助剤) 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤(4級アンモニウム塩) 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0248】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール(PVB、バインダー) 117部 (「エスレックB BL−1」、積水化学工業(株)製) ・スチレン−マレイン酸ハーフエステル系共重合体(バインダー) 63部 (「オキシラックSH−128」、日本触媒(株)製) ・帯電防止剤 16部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 1.2部 (「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 570部 ・メタノール 1200部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 520部 上記受像層塗布液の組成は、実施例3−1に関するもの
である。他の例におけるバインダーの種類と配合量は表
4に記載されており、他の成分については上記記載の実
施例3−1の場合と同じである。また、表4のエステル
化物の配合割合が質量%で表示されているが、これはポ
リビニルブチラールとの合計量180部に占める割合を
示している。
【0249】また、表4に記載されているエステル化物
は、下記の通りである。 BL−1:商品名「エスレックB BL−1」、ポリビ
ニルブチラール、積水化学工業(株)製 BX−10:商品名「エスレックB BX−10」、ポ
リビニルブチラール、積水化学工業(株)製 オキシラックSH−128:スチレン−マレイン酸ハー
フエステル系共重合体、日本触媒(株)製 オキシラックSH−201:スチレン−マレイン酸ハー
フエステル系共重合体、日本触媒(株)製 オキシラックSH−1100:スチレン−フマール酸系
共重合体、日本触媒(株)製 オキシラックSH−2100:スチレン−アクリル酸系
共重合体、日本触媒(株)製 オキシラックSH−2200:スチレン−アクリル酸系
共重合体、日本触媒(株)製
【0250】小幅塗布機を用いて、白色PET支持体
(「ルミラーE−58」、東レ(株)製、厚み130μ
m)上に、上記のクッション層形成用塗布液を塗布し、
塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布し、乾燥し
た。乾燥後のクッション層の層厚が約20μm、受像層
の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節した。白色
PET支持体はボイド含有ポリエチレンテレフタレート
層(厚み:116μm、空隙率:20%)とその両面に
設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフタレート層
(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)との積層体
(総厚み:130μm、比重:0.8)からなるボイド
含有プラスチック支持体である。作製した受像シート
は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下記
のレーザー光による画像記録に用いた。
【0251】−転写画像の形成− 直径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリ
アに1個の面密度)が開けられている直径38cmの回
転ドラムに、上記で作製した受像シート(56cm×7
9cm)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、61c
m×84cmに切断した前記熱転写シートK(ブラッ
ク)を前記受像シートから均等にはみ出すように重ね、
スクイーズローラーでスクイーズさせつつ、セクション
孔に空気が吸引されるように密着、積層させた。セクシ
ョン孔が塞がれた状態での減圧度は、1気圧に対して−
150mmHg(≒81.13kPa)であった。前記
ドラムを回転させ、ドラム上での積層体の表面に、外側
から波長808nmの半導体レーザー光を、光熱変換層
の表面で7μmのスポットになるように集光し、回転ド
ラムの回転方向(主走査方向)に対して、直角方向に移
動させながら(副走査)、積層体へレーザー画像(画
線)記録を行った。レーザー照射条件は、以下の通りで
ある。また、本実施例で使用したレーザービームは、主
走査方向に5列、副走査方向に3列の平行四辺形からな
るマルチビーム2次元配列からなるレーザービームを使
用した。 レーザーパワー 1l0mW 主走査速度 6m/秒 副走査ピッチ 6.35μm 環境温湿度 18℃30%, 23℃50%, 26℃65%の3条件 露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的
には380mmのものを用いた。前記レーザー記録が終
了した積層体を、ドラムから取り外し、熱転写シートK
を受像シートから手で引き剥がしたところ、熱転写シー
トKの画像形成層の光照射領域のみが、熱転写シートK
から受像シートに転写されているのが確認された。
【0252】上記と同様にして、前記熱転写シートY、
熱転写シートM、及び熱転写シートCの各熱転写シート
から、受像シート上に画像を転写した。転写された4色
の画像を、記録紙に更に転写し、多色の画像を形成した
ところ、異なる温湿度条件下において、マルチビーム2
次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレー
ザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写
濃度を有する多色画像を形成することができた。
【0253】本紙への転写は、挿入台の材質のポリエチ
レンテレフタレートに対する動摩擦係数が0.1〜0.
7である、搬送速度が15〜50mm/secである熱
転写装置を用いた。熱転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ
−ス硬度は10ないし100が好ましく、具体的にはビ
ッカ−ス硬度が70を用いた。
【0254】下記の方法で、上質紙転写性、耐接着性、
感度、剥離の重さを評価した。結果を表4に示した。・
上質紙転写性:印画した画像がのった受像シートをラミ
ネーター(CP−5800、富士写真フイルム(株)
製)にて転写速度8m/sで上質紙に転写させた。 ◎:転写不良(白ヌケ)なし、完全に転写できた ○:白ヌケがA4サイズに2ケ以下であった △:白ヌケがA4サイズに10ケ以下であった ・耐接着性:受像面とバック面と重ね合わせ、1.2k
g/5cm×5cmで45°ドライ条件下においておい
た。 ◎:全くくっつかず、押しあとも残らなかった ○:全くくっつかないものの、押しあとが少し見られた ×:少しくっつき、押しあとが残る ××:剥がれなかった ・感度:レーザー1本線を記録し、光学顕微鏡を用いて
150倍の倍率で評価した。 ○:1本線が途切れず記録できている △:1本線が部分的に途切れている ・剥離の重さ:上記評価を行ったときの剥離の重さ具合
を評価した。
【0255】
【表4】
【0256】表4に示された結果より、本発明に係る受
像シートを用いた場合、上質紙転写性、耐接着性及び感
度に優れ、剥離の重さが軽く容易に受像シートに形成さ
れた画像が本紙に転写されることが明らかである。
【0257】
【発明の効果】本発明において開発したプルーフ製品は
薄膜転写技術を基本に、レ−ザ−熱転写系での新たな問
題点をクリヤ−し、さらに高画質のものにするため、前
述の種々の技術を盛り込んだ薄膜熱転写方式にてシャ−
プな網点を実現し、本紙転写・実網点出力・顔料タイプ
・B2サイス゛の画像形成材料、出力機及び高品位CMSソフト
からなるDDCP用レ−ザ−熱転写記録システムを開発する
ことが出来た。このように本発明では、解像力の高い材
料の能力を十分に発揮できるようなシステム構成を実現
できた。具体的には、CTP時代のフイルムレスに対応
し校正刷りやアナログ式カラープルーフから代わるコン
トラクトプル−フを提供でき、このプルーフは顧客の承
認を得るための印刷物やアナログ式カラープルーフと一
致した色再現性を再現できる。印刷インクと同じ顔料系
色材を使用し、本紙への転写が可能であり、モワレ等の
ないDDCPシステムを提供できる。また本発明によれ
ば本紙転写が可能であり、印刷インクと同じ顔料系色材
を使用し、印刷物近似性の高い大サイズ(A2/B2以
上)デジタルダイレクトカラ−プル−フシステムを提供
できる。本発明はレ−ザ−薄膜熱転写方式を用い、顔料
色材を使用し、実網点記録を行って本紙転写できる方式
である。異なる温湿度条件下において、マルチビーム2
次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレー
ザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写
濃度の画像を受像シート上に形成し得る、多色画像形成
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザーを用いた薄膜熱転写による多色画像形
成の機構の概略を説明する図である。
【図2】レーザー熱転写用記録装置の構成例を示す図で
ある。
【図3】熱転写装置の構成例を示す図である。
【図4】レーザー熱転写用記録装置FINALPROOFを用いた
システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】 1 記録装置 2 記録ヘッド 3 副走査レール 4 記録ドラム 5 熱転写シートローディングユニット 6 受像シートロール 7 搬送ローラー 8 スクイーズローラー 9 カッター 10 熱転写シート 10K、10C、10M、10Y 熱転写シートロール 12 支持体 14 光熱変換層 16 画像形成層 20 受像シート 22 受像シート用支持体 24 受像層 30 積層体 31 排出台 32 廃棄口 33 排出口 34 エアー 35 廃棄箱 41 熱転写装置 42 本紙 43 ヒートローラー 44 挿入台 45 載置位置を示すマーク 46 挿入ローラー 47 耐熱シートでできたガイド 48 剥離爪 49 ガイド板 50 排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 靖友 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 藤盛 淳一 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C065 AF01 AF02 CA03 CA08 2H111 AA01 AA05 AA26 AA35 CA03 CA25 CA30 CA41 CA49

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも受像層を有する受
    像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形
    成層とを有する少なくとも4種類の色の異なる熱転写シ
    ートを用い、前記各熱転写シートの画像形成層と前記受
    像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光
    を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シ
    ートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材
    料において、前記受像シ−トは縦横の長さがいずれも5
    0cm以上、縦×横が3000cm2以上の面積を有
    し、かつ受像層表面の記録に用いるレーザー光の分光反
    射率が65%以上であることを特徴とする多色画像形成
    材料。
  2. 【請求項2】 前記受像シ−トの受像層表面の記録に用
    いるレーザー光の分光反射率が、波長450nmの時の
    反射率をB%、波長550nmの時の反射率をG%とし
    た時、白色度=4B−3Gで計算される値が50%以上
    であることを特徴とする請求項1に記載の多色画像形成
    材料。
  3. 【請求項3】 支持体上に少なくとも受像層を有する受
    像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形
    成層とを有する少なくとも4種類の色の異なる熱転写シ
    ートを用い、前記各熱転写シートの画像形成層と前記受
    像シートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光
    を照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シ
    ートの受像層上へ転写して画像記録する多色画像形成材
    料において、前記受像シ−トは縦横の長さがいずれも5
    0cm以上、縦×横が3000cm2以上の面積を有
    し、かつ前記受像シ−トの受像層が、150℃における
    溶融粘度の値が1.0×102〜1.0×105ポイズで
    あるポリマー又はその組成物を含有することを特徴とす
    る多色画像形成材料。
  4. 【請求項4】 前記受像シ−トの受像層が、25℃、5
    0%RHに調湿したときのガラス転移温度(Tg)の値
    が0〜80℃であるポリマー又はその組成物を含有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の受像シート。
  5. 【請求項5】 前記受像シ−トの受像層が、スチレン・
    マレイン酸共重合体のハーフエステル化物、スチレン・
    フマール酸共重合体のハーフエステル化物及びスチレン
    ・アクリル酸共重合体のエステル化物から選択される少
    なくとも1種のエステル化物を含有することを特徴とす
    る請求項1に記載の多色画像形成材料。
  6. 【請求項6】 前記転写画像の解像度が2400dpi
    以上の画像であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の多色画像形成材料。
  7. 【請求項7】 前記多色画像の記録面積が515mm×
    728mm以上のサイズであることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれかに記載の多色画像形成材料。
  8. 【請求項8】 前記各熱転写シートの画像形成層及び前
    記受像シ−トの受像層の水に対する接触角が7.0°〜
    120.0°の範囲にあることを特徴とする請求項1〜
    7のいずれかに記載の多色画像形成材料。
  9. 【請求項9】 前記各熱転写シートの画像形成層の光学
    濃度(OD)と膜厚(μm)の比OD/膜厚が1.80
    以上であり、前記受像シ−トの水に対する接触角が86
    °以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか
    に記載の多色画像形成材料。
  10. 【請求項10】 前記受像シートの残溶剤量が5〜10
    0μl/m2であることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載の多色画像形成材料。
  11. 【請求項11】 支持体上に少なくとも受像層を有する
    受像シートと、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像
    形成層とを有する、少なくともイエロー、マゼンタ、シ
    アン、及びブラックの4種類の色の異なる熱転写シート
    を用い、前記各熱転写シートの画像形成層と前記受像シ
    ートの受像層とを対向して重ね合わせ、レーザー光を照
    射して、画像形成層のレーザー光照射領域を前記受像シ
    ートの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多
    色画像形成方法において、前記受像シート及び前記各熱
    転写シートとして請求項1〜10のいずれかに記載の多
    色画像形成材料の受像シート及び熱転写シートを用いる
    ことを特徴とする多色画像形成方法。
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