JP2002353008A - 避雷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 避雷素子と端末金具の間に設けられ、避雷素
子を押圧するためのコイルばね近傍のボイドの発生を低
減化すること。 【解決手段】 端末金具２ａ’，２ｂには、絶縁棒１の
両端が固着されている。端末金具２ａ’，２ｂの間に
は、複数個の酸化亜鉛素子３とコイルばね４が設けられ
ており、コイルばね４により酸化亜鉛素子３を押圧し、
酸化亜鉛同士を密着させている。端末金具２ａ’には、
円筒状の突起２ｄが設けられ、この突起２ｄの部分にコ
イルばね４が取り付けられる。端末金具２ａの突起２ｄ
と酸化亜鉛素子３の間にできる空間はゴム等の弾性部材
７で埋められている。上記突起２ｄにより、コイルばね
内に形成される空間を減少させたので、樹脂モールドす
る際のボイドの発生を抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は架空送電線等に設置
され、架空送電線の碍子を落雷より保護し、送電線の雷
害を低減させる避雷装置に関し、特に、モールド時のボ
イドの発生を抑制した避雷装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】酸化亜鉛素子の回りにＦＲＰ等の絶縁ロ
ッドを配し、絶縁ロッドを端末金具に固定して、酸化亜
鉛素子同士をコイルばね等の押しつけ力により密着させ
るように構成した避雷装置装置が知られている。図３に
上記避雷装置の断面構成例を示す。図３（ａ）は全体構
成を示し、図３（ｂ）は図３（ａ）のＡ部の詳細を示し
ている。図３において、１はＦＲＰ製の絶縁棒、２ａ，
２ｂは端末金具である。端末金具２ａ，２ｂには、上記
絶縁棒１が挿入される穴２ｃが設けられており、この穴
２ｃに絶縁棒１の両端が圧着等により強固に固着されて
いる。

【０００３】絶縁棒１を介して連結された端末金具２
ａ，２ｂの間には、複数個の酸化亜鉛素子３とコイルば
ね４が設けられており、コイルばね４により酸化亜鉛素
子３を押圧し、酸化亜鉛同士を密着させている。上記絶
縁棒１、端末金具２ａ，２ｂ、酸化亜鉛素子３から構成
される組み立て体は、図３に示すように略中央部からシ
リコーン樹脂等のモールド材５を注入することにより、
端末金具２ａ，２ｂの一部を残してモールド材５により
一体モールドされる。上記モールドに際し、コイルばね
４の内部にもモールド材５が充填される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記構成の避雷装置の
製造に際し、モールド時に図２に示したコイルばね４の
部分にボイドが発生することがあり、従来においては製
造の歩留りが低下するといった問題があった。上記部分
にボイドが発生すると、以下の問題が生ずる。 （１）酸化亜鉛素子３の容量範囲である大電流が、コイ
ルばね４、または、コイルばね４の近傍にあるジャンパ
線（図示せず）に流れると、電流が流れた金属は高温に
なり、その結果、近傍にあるボイド内のエアが膨張し
て、外被材であるシリコーン等のモールド材が破けてし
まうことがある。このため、ここに水が浸入して、避雷
装置としての信頼性が失われる。 （２）酸化亜鉛素子３の能力を越える大電流がながれる
ときに、避雷装置自身は破壊するが、そのときも上記
（１）のようにボイド内のエアが膨張して、その力で端
末金具２ａ，２ｂと絶縁棒が離断し、避雷装置が落下す
る危険性がある。なお、コイルばね４の外にボイドがあ
ればボイド放電による問題が生ずるが、コイルばね４の
内部であれば、金属遮蔽されているので、ボイドがあっ
ても、ボイド放電による問題は生じない。

【０００５】以上のように、コイルばね４の近傍にボイ
ドがあると、避雷装置としての信頼性が低下したり、あ
るいは大電流がながれたときに避雷装置が落下するとい
った問題があった。本発明は上記事情に鑑みなされたも
のであって、本発明の目的は、コイルばね近傍のボイド
の発生を低減化し、避雷装置の信頼性を向上させるとと
もに、避雷装置が落下するといった危険性をなくすこと
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、端末金具間に避雷素子を段積み
し、避雷素子と端末金具間に避雷素子を押圧するコイル
ばねを設け、端末金具の一部を残して避雷素子と端末金
具を樹脂で一体モールドした避雷装置において、上記端
末金具に突起を設け、該突起を上記コイルばね内に配置
した。本発明は上記構成としたので、コイルばね内に形
成される空間を減少させることができ、樹脂モールドし
た際のボイドの発生を抑制することができる。このた
め、避雷装置の信頼性を向上させることができるととも
に、大電流が流れて避雷装置が落下するといった危険性
をなくすことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１、図２に本発明の実施例の避
雷装置の断面構成を示す。図１は全体構成を示し、図２
（ａ）は図１のＡ部の詳細構成を示す。また図２（ｂ）
は端末金具の断面構成を示し、図２（ｃ）は、端末金具
を図２（ｂ）のＡ方向から見た図を示している。図１、
図２において、アルミ等で形成された端末金具２ａ’，
２ｂには、前記したように絶縁棒１が挿入される穴２ｃ
が設けられている。絶縁棒１が挿入される穴２ｃは図２
（ｃ）に示すように端末金具２ａ’，２ｂに複数設けら
れ（この例では８個設けられている）、この穴２ｃに複
数の絶縁棒１の両端が挿入され、端末金具２ａ’，２ｂ
に圧着等により強固に固定される。これにより、端末金
具２ａ’，２ｂが絶縁棒１を介して連結される。端末金
具２ａ’，２ｂの間には、複数個の酸化亜鉛素子３とコ
イルばね４が設けられており、コイルばね４により酸化
亜鉛素子３を押圧し、酸化亜鉛同士を密着させている。

【０００８】端末金具２ａ’には、図２（ｂ）（ｃ）に
示すように円筒状の突起２ｄが設けられ、この突起２ｄ
の部分にコイルばね４が取り付けられる。そして、端末
金具２ａ’と酸化亜鉛素子３の端部の間にできる空間
（コイルばね４が伸縮するための空間）は、ゴム等の弾
性部材６で埋められている。上記絶縁棒１、端末金具２
ａ’，２ｂ、酸化亜鉛素子３から構成される組み立て体
は、前記したように、略中央部からシリコーン樹脂等の
モールド材５を注入することにより、端末金具２ａ’，
２ｂの一部を残してモールド材５で一体モールドされ
る。以上のように、本実施例においては、端末金具２
ａ’に突起２ｄを設け、突起２ｄの周囲を取り囲むよう
にコイルバネ４を取り付けているので、コイルばね４内
の空間をほとんど無くすことができ、モールドに際し、
コイルばね４の部分にボイドが発生するのを防止するこ
とができる。

【０００９】上記構成の避雷装置を製造し、図３に示し
た避雷装置と前記Ａ部におけるボイド発生の有無を比較
した。表１に上記試験結果を示す。

【００１０】

【表１】

【００１１】上記結果から、端末金具２ａ’に突起２ｄ
を設け、この突起２ｄにコイルばね４を取り付けること
により、Ａ部におけるボイド発生を低減化できることが
確認された。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、端末金具に突起を設け、該突起を上記コイルばね内
に配置したので、コイルばね内に形成される空間を減少
させることができ、樹脂モールドした際のボイドの発生
を抑制することができる。このため、避雷装置の信頼性
を向上させることができるとともに、大電流が流れて避
雷装置が落下するといった危険性をなくすことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の避雷装置の構成を示す図であ
る。

【図２】図１の避雷装置の端末金具の構造を示す図であ
る。

【図３】従来の避雷装置の構成例を示す図である。

【符号の説明】

１ 絶縁棒 ２ａ，２ｂ 端末金具 ２ｄ 突起 ３ 酸化亜鉛素子 ４ コイルばね ５ モールド材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 端末金具間に避雷素子を段積みし、避雷
   素子と端末金具間に避雷素子を押圧するコイルばねを設
   け、端末金具の一部を残して避雷素子と端末金具を樹脂
   で一体モールドした避雷装置であって、 上記端末金具に突起を設け、該突起を上記コイルばね内
   に配置し、コイルばね内の空間を低減化したことを特徴
   とする避雷装置。