JP2002350421A - 車載型有機汚染物質測定装置およびこれを用いた有機汚染物質の測定方法 - Google Patents

車載型有機汚染物質測定装置およびこれを用いた有機汚染物質の測定方法

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JP2002350421A
JP2002350421A JP2001160941A JP2001160941A JP2002350421A JP 2002350421 A JP2002350421 A JP 2002350421A JP 2001160941 A JP2001160941 A JP 2001160941A JP 2001160941 A JP2001160941 A JP 2001160941A JP 2002350421 A JP2002350421 A JP 2002350421A
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Takayasu Muramatsu
孝恭 村松
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動可能な大型の試験用チャンバを備えた車
載型有機汚染物質測定装置およびこれを用いた有機汚染
物質測定方法を提供する。 【解決手段】 車載型有機汚染物質測定装置10に、車
輌1と、車輌1に載置される試験用チャンバ20と、試
験用チャンバ20内の空気中の有機汚染物質を分析する
分析装置5と、分析装置5で測定されたデータを処理す
る処理手段6と、処理手段6で処理されたデータをサー
バに送信する送信手段7と、クライアントからの指示お
よびサーバからの情報を受信する受信手段8とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輌に載置され、
移動可能な大型の試験用チャンバを備えた車載型有機汚
染物質測定装置およびこれを用いた有機汚染物質測定方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】建材(内装材料、接着剤、壁紙、合板な
ど)から発散するppb〜ppmレベルのホルムアルデ
ヒドなどの有害な揮発性有機化合物(以下、「VOC」
と略す。)は、シックハウス症候群の原因になると言わ
れている。世界保健機構(WHO)により定められてい
る空気中のホルムアルデヒドの室内環境基準値は、0.
08ppmである。この基準値は、人がホルムアルデヒ
ドの存在下に、この濃度以下の曝露を一生涯受けたとし
ても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断
により設定された値である。最近、健康維持の観点か
ら、VOCの放出量の少ない建材が求められるようにな
っており、建材メーカーは建材の開発時や製造時に、品
質の維持、管理を目的として、VOCの放出量を測定す
るようになっている。
【0003】このような建材を対象としたVOCの放出
量の測定方法としては、特開平11−64313号公報
の(図2)および段落0022に開示されている方法が
ある。この方法によれば、被測定物の建材の表面に、椀
を伏せた状態で椀型のガス捕集器を密着、固定し、ガス
捕集器内に存在するガスを吸引ポンプで吸引し、捕集剤
に吸着して捕集する。捕集したガスを溶媒に溶解して溶
液とし、この溶液を紫外線分光光度検出器付きの高速液
体クロマトグラフに導入して、建材から発生するVOC
を同定し、その濃度を算出している。または、捕集剤を
加熱してガスを分離し、分離したガスをガスクロマトグ
ラフ質量分析計に導入して、建材から発生するVOCを
同定し、その濃度を算出している。
【0004】ところで、建材メーカーでは、建材の製造
工程内に品質検査工程を設けて、上記のようなVOC測
定を行ない、VOCの放出量が基準値以下の建材が次工
程に送られ、さらに加工されるか、または、製品として
住宅などの建物の施工に供される。一方、ハウスメーカ
ーやディベロッパーなどが住宅やマンションなどを販売
する際に、自主的に室内環境基準を設ける場合がある。
その場合に、VOC測定の結果に基いて、「環境に優し
い」、「シックハウス対策」というような、一般購入者
向けに分かり易い指標を設けている。ところが、一般的
に、住宅は内装材などの建材とは別に、作り付けの家具
やキッチンなどが、住宅完成後に設けられた上で販売さ
れることが多い。このような後付けの家具やキッチンな
どを製造する企業は、上記のようなVOC測定をする設
備を所有しているとは限らない。そこで、これらの後付
けの家具やキッチンの納入時に、ハウスメーカーやディ
ベロッパーが自主的にVOC測定を行なおうとする動向
にある。
【0005】また、住宅が販売された後、購入者が家具
や大型楽器などを購入し、住宅内に配置する場合があ
る。このような場合、購入者が自分の住環境を快適に保
つために、家具や大型楽器などの出荷時または納入時に
VOC測定を望むようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、家具や大
型楽器などに対するVOC測定の要望が高まるにつれ
て、上記のような椀型のガス捕集器を用いた測定方法で
は対応できなくなってきた。なぜならば、椀型のガス捕
集器を用いた測定方法は、床材や壁材などの平面的で、
かつどの部分をとってもほぼ同じ表面形状、同じ構成に
なっているものに対してのみ適用可能だからである。家
具や大型楽器などのように、立体的な形状をなし、複合
材料で構成されているような物では、その平面部におけ
るVOCの放出量を部分的に測定しても、全体から放出
されるVOCの放出量を測定していることにはならず、
精度の高い測定結果が得られない。
【0007】また、上記以外のVOC測定の方法では、
室内汚染ガスをシリコンチューブから空気容器内に捕集
し、容器内の捕集剤に吸着している。また、ポータブル
濃度検査キットなどを用いて簡易にVOC測定を行なう
方法もある。このような測定方法では、被測定物の建
材、家具、大型楽器など以外のものを汚染源とするガス
を捕集するおそれがあり、精度の高いVOC測定ができ
ない。
【0008】したがって、建材、家具、大型楽器などの
製品全体を、そのまま収納できるような大型のチャンバ
内に載置してVOC測定をすれば、チャンバ外の空気の
影響を受けることなく、いかなる形状の製品に対しても
精度の高いVOC測定を行うことができる。しかしなが
ら、家具や大型楽器をそのまま収納できるような大型の
チャンバは、工場内に設置されていることが多い。した
がって、チャンバを所有していない企業では、VOCの
測定を行うためには、家具や大型楽器をチャンバのある
工場まで輸送しなければならず、この輸送にかかる費用
や手間が大変な負担となり、しかも輸送時に製品を傷付
ける恐れがあるという問題があった。
【0009】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、移動可能な大型の試験用チャンバを備えた車載型有
機汚染物質測定装置およびこれを用いた有機汚染物質測
定方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は、車輌と、該
車輌に載置される試験用チャンバと、該試験用チャンバ
内の空気中の有機汚染物質を分析する分析装置と、該分
析装置で測定されたデータを処理する処理手段と、該処
理手段で処理されたデータをサーバに送信する送信手段
と、クライアントからの指示およびサーバからの情報を
受信する受信手段とを備えている車載型有機汚染物質測
定装置によって解決できる。また、前記課題は、上記車
載型有機汚染物質測定装置を被測定物の所在地に移動
し、該所在地において被測定物を前記車載型有機汚染物
質測定装置の試験用チャンバ内に収容し、前記被測定物
から放出される有機汚染物質を採取し分析する有機汚染
物質の測定方法によって解決できる。前記被測定物から
放出される有機汚染物質を分析し、分析結果のクロマト
グラムのアナログ信号をデジタルデータに変換してクロ
マトグラムデータとし、該クロマトグラムデータと分析
条件を有機汚染物質測定業者のサーバに送信し、該サー
バによって前記クロマトグラムのピーク保持時間、ピー
ク高さおよびピーク面積を算出して有機汚染物質を定性
分析および/または定量分析し、その結果をクライアン
トに送信することが好ましい。前記被測定物から放出さ
れる有機汚染物質を分析し、分析結果のクロマトグラム
のアナログ信号をデジタルデータに変換してクロマトグ
ラムデータとし、該クロマトグラムデータと分析条件か
ら、前記車輌に備えられた処理手段によって前記クロマ
トグラムのピーク保持時間、ピーク高さおよびピーク面
積を算出し、算出結果を有機汚染物質測定業者のサーバ
に送信し、該サーバによって前記算出結果から有機汚染
物質を定性分析および/または定量分析し、その結果を
クライアントに送信することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の車載型有機汚染物質測定装置の一例を
示す概略側面図であり、図2は、車載型有機汚染物質測
定装置の概略平面図である。この例の車載型有機汚染物
質測定装置10は、車輌1と、車輌1の荷台2に設けら
れたコンテナ3と、コンテナ3の外面上部にデータを送
受信するアンテナ4とを備えている。そして、コンテナ
3内に試験用チャンバ20と、分析装置5と、分析装置
5で測定されたデータを処理する処理手段6と、処理手
段6で処理されたデータを有機汚染物質測定業者(以
下、「測定業者」と略す。)が所有するサーバに送信す
る送信手段7と、クライアント(依頼人のコンピュー
タ)からの指示および測定業者のサーバからの情報を受
信する受信手段8とを備えている。
【0012】車輌1は、特に限定しないが大型のトラッ
クが好ましい。また、有機汚染物質測定時には地面にし
っかりと固定され、さらに外部からの振動を受け難い構
造とする。例えば、コンテナ3を地上に下ろしたり、車
輛1側に、これを地面に固定するアンカーなどの固定手
段を設けたりすることができる。このようにすれば、試
験用チャンバ20内の空気の流れを乱すことなく、精度
の高い測定を行なうことができる。コンテナ3は、その
壁の内部を断熱材で形成したり、内壁に防水加工を施し
たり、空調設備を設けて内部の温度、湿度を一定に保て
るようにして、試験用チャンバ20や各種装置が外部環
境の影響により誤作動したり故障しない構造となってい
る。また、コンテナ3の大きさは、その内部に設けられ
る試験用チャンバ20や各種装置の大きさに応じて、適
宜決定される。アンテナ4は、送信手段7と受信手段8
に接続されており、処理手段6で処理されたデータを測
定業者のサーバに送信したり、クライアントからの指示
および測定業者のサーバからの情報を受信するためのも
のである。したがって、車輌の移動中にもデータの送受
信を効率良く行えるようにするために、アンテナ4がコ
ンテナ3の屋根部分に設けられている。送信手段7およ
び受信手段8は無線通信に限らず、公知の公衆回線網に
よるものを用いることができる。
【0013】図3は、試験用チャンバ20の構成を示す
概略側面図である。試験用チャンバ20は、チャンバ本
体11と、空気流量調節弁が付設された空気導入口12
と、空気循環ファン13と、温度調節器14と、加湿器
15と、空気排出口16と、被測定物固定部17とを備
えている。なお、空気導入口12、温度調節器14、加
湿器15、空気排出口16を用いる代わりに、これらの
機能を全て備えたエアコンディショナー(空調装置)を
用いてもよい。チャンバ本体11は、その大きさが例え
ば、12m3(幅2m×高さ2m×長さ3m)となって
おり、車両1に積載可能であればより大型のものが好ま
しい。チャンバ本体11の外壁11aは、断熱材で形成
されており、チャンバ本体11内の温度を一定に保てる
ようになっている。一方、チャンバ本体11の内壁11
bおよび被測定物固定部17は、表面が平滑で、ホルム
アルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)に対して
不活性であり、これらを吸着し難い材質のもので形成さ
れている。また、内壁11bおよび被測定物固定部17
は、VOC測定の前に水による洗浄を行わなければなら
ないため、錆難い材質のものが好ましい。通常、内壁1
1bおよび被測定物固定部17を形成する材料として
は、アルミニウム合金やステンレス合金が好ましく用い
られる。また、必要に応じて、内壁11bおよび被測定
物固定部17を防錆処理してもよい。
【0014】また、チャンバ本体11には、家具や大型
楽器などの被測定物18をチャンバ本体11内へ出し入
れするための扉(図示略)が設けられている。この扉と
チャンバ本体11との密着部分には、ガスケット、パッ
キンなどの封止材が設けられ、扉とチャンバ本体11が
完全に密着し、チャンバ本体11が密閉されるようにな
っている。また、チャンバ本体11を2重構造とし、そ
の内層に設けた被測定物固定部17に被測定物18を載
置し、その外層に空気循環ファン13、温度調節器1
4、加湿器15などの機器を設けてもよい。このように
すれば、チャンバ本体11の内部のVOC濃度分布を一
定にして、より精度の高いVOC測定をすることができ
る。
【0015】空気導入口12は、チャンバ本体11の内
壁の下部で、コーナー部に設けられて、空気導入パイプ
(図示略)に接続されて、外部の空気をチャンバ本体1
1内に導入できるようになっている。また、空気導入口
12には、空気の導入量を管理するために空気流量計
(図示略)が設けられている。一方、空気排出口16
は、チャンバ本体11の内壁の上部で、空気導入口12
から離れた位置にあるコーナー部に設けられており、空
気排出パイプ(図示略)を介してチャンバ本体11内の
空気を、分析装置5に排出できるようになっている。ま
た、空気排出口16にも、空気の排出量を管理するため
に空気流量計(図示略)が設けられている。
【0016】空気循環ファン13は、空気導入口12の
近傍に設けられており、チャンバ本体11内の空気を図
3に矢印で示したように略円形状に循環している。一般
に、空気循環ファンを用いた空気循環法は、被測定物が
板状の物の場合は、被測定物に対して空気を平行に循環
させる方法、被測定物が家具や大型楽器などのように複
雑な形状の場合は、チャンバ本体内の空気を略円形状に
循環する方法がある。本発明の車載型有機汚染物質測定
装置にあっては、略円形状に循環する方法が好ましい。
チャンバ本体11内の空気を略円形状に循環すれば、被
測定物18の形状が複雑であっても、被測定物18が放
出するVOCを確実に採取することができる。また、空
気循環ファン13の回転速度は可変となっており、被測
定物18の表面付近において、空気の流速が0.5m/
s以下となるように調節できる。被測定物18の表面付
近における空気の流速をセンサなどによって検知し、常
に空気の流速が上記範囲となるように、空気循環ファン
13の回転速度が自動制御されている。
【0017】温度調節器14は、チャンバ本体11内の
空気循環ファン13の近傍で、空気の循環する方向の前
方に設けられており、チャンバ本体11内の温度を15
〜40±0.5℃の所定の温度に保つようになってい
る。加湿器15は、チャンバ本体11内の下部で、温度
調節器14の位置する場所から離れた位置の壁付近に設
けられており、チャンバ本体11内の相対湿度を30〜
90±3%の所定の湿度に保つようになっている。温度
調節器14は温度センサを介してチャンバ本体11内の
温度を検知し、加湿器15は湿度センサを介してチャン
バ本体11内の湿度を検知し、常にチャンバ本体11内
を所定の温度、所定の湿度に保つように自動制御されて
いる。
【0018】また、チャンバ本体11は、密閉され、内
部の気圧を外気圧よりもやや高くすることが望ましい。
このように内部の気圧を外気圧よりもやや高くするの
は、被測定物18をチャンバ本体11内に出し入れする
際に、外部の空気がチャンバ本体11内に侵入すること
を防止するためである。このように、チャンバ本体11
は、制御されていない空気が内部に侵入することを防止
し、チャンバ本体11内の空気を所定の温度、所定の湿
度に保ち、VOC測定を高い精度で行えるようになって
いる。また、チャンバ本体11は、その気密性が常に監
視され、設定された条件に保たれるように自動制御され
るようになっている。気密性を監視する方法は、気圧測
定センサなどでチャンバ本体11内の圧力を測定する方
法、空気流量計などで空気導入口12および空気排出口
16を流れる空気の量を測定して両口の流量を比較する
方法、チャンバ本体11内のVOC濃度を測定する方法
がある。以下の条件を少なくとも1つ満たしていれば、
チャンバ本体11の気密性が保たれていることとする。
すなわち、(1)1kPaの加圧下において、1分間当
りの空気の漏出量がチャンバ本体11の容積×10-3
下、(2)空気導入口12と空気排出口16における空
気の流量の差が1%以下であれば気密性が保たれている
こととする。また、空気導入口12と空気排出口16に
おける空気の流量の差を1%以下としたが、チャンバ本
体11内の空気を入れ替える速さを1.0±0.05m
3/hとし、空気を入れ替える速さも常に監視され、空
気導入口12に付設された空気流量調節弁によって、一
定に保たれるように自動制御されている。
【0019】また、この例では車載型有機汚染物質測定
装置10に備えられる試験用チャンバ20を1つとした
が、同様な構成の試験用チャンバを複数設けても良い。
このように複数の試験用チャンバを設ければ、同時に複
数の被測定物のVOC測定をすることができる。このよ
うにすれば、工場などで製品の出荷前の検査を効率良く
行うことができ、検査による納品の遅れなどを生じるこ
とはない。
【0020】分析装置5は、定性分析装置または定量分
析装置であり、具体的には、ガスクロマトグラフ、高速
液体クロマトグラフ(以下、「HPLC」と略す。)、
質量分析計、吸光光度分析装置のいずれか1種または2
種以上が用いられる。ここで、ガスクロマトグラフ、H
PLCの原理であるクロマトグラフィーについて説明す
る。クロマトグラフィーは、各種の固体または液体を固
定相とし、その一端に置いた試料混合物を適当な展開剤
(移動相)で固定相内を移動させて、各成分の吸着性や
分配係数の差異に基づく移動速度の差を利用してこれを
相互に分離する技術である。クロマトグラフィーの系は
固定相と移動相の組み合せによって構成されるが、移動
相が気体の場合はガスクロマトグラフィー、移動相が液
体の場合は液体クロマトグラフィーとされる。
【0021】ガスクロマトグラフは、ガスの混合物を分
離し、無機物および有機物の定性および定量分析を行
い、その結果をクロマトグラムとして出力する装置であ
り、ガス流量制御部、試料導入部、カラム、カラム槽、
検出器、検出器槽、応答制御部、温度制御部、記録部な
どから構成されている。移動相であるキャリヤーガスは
試料導入部を経てカラムに入り、検出器を通って外に出
る。カラム中で試料成分は、固定相を形成する固体に対
する吸着性の差、あるいは固定相を形成する液体に対す
る分配係数の差にしたがって移動速度に差を生じて分離
される。カラムに入れる前のキャリヤーガスとカラムか
ら出てきたガスの熱伝導率を比較して試料を検出する。
試料をカラム中に導入してから成分が検出されるまでの
時間を保持時間といい、定性分析の指標として用いられ
る。各成分に対応する検出器の応答曲線の記録をクロマ
トグラムといい、応答曲線(ピーク)の高さまたは面積
から定量分析を行なうことができる。
【0022】HPLCは、溶液を分離し、無機物および
有機物の定性および定量分析を行い、その結果をクロマ
トグラムとして出力する装置で、溶離液槽、送液ポン
プ、試料導入部、カラム、カラム槽、検出器、廃液槽、
データ処理部、記録部から構成されている。HPLC
は、液体の移動相を送液ポンプによって加圧してカラム
を通過させ、被検成分を固定相および移動相との吸着、
分配、イオン交換、サイズ排除などの相互作用の差を利
用して高性能に分離、定量する装置である。移動相の流
速が大きく、固定相には、ほぼ均一な極めて微細な球形
粒子を用いている。また、直径約3mm、長さ10〜1
00cm程度の小型のカラムを用い、数〜数十分の操作
で測定が完了する。溶離液中の成分の定性、定量は屈折
率、可視紫外吸収、導電率の測定、ボルタンメトリーな
どで行なわれる。HPLCでは、検出器で時系列に得ら
れた検出信号からクロマトグラムが作成されるが、まず
成分が既知の試料について分析を行ない、各成分の溶出
時間を測定し、同定用のデータ(クロマトグラム)を得
る。次に、同一条件下で未知試料の分析を行ない、クロ
マトグラムを得る。得られたクロマトグラムをそれぞれ
第1および第2のクロマトグラムとしてピーク検出を行
ない、例えば溶出時間が同一のピークを同一の成分に由
来するピークであるとして同定を行なう。
【0023】上記のガスクロマトグラフとHPLC以外
の分析装置としては、公知のガスクロマトグラフ質量分
析計、吸光光度分析装置などを用いることができる。
【0024】ところで、ホルムアルデヒドなどのアルデ
ヒド類は、ガスを溶媒に溶解した溶液から発生したガス
を、紫外線分光光度検出器を備えたHPLCにより測定
し、その他のVOCは熱脱着によるガスクロマトグラフ
による測定を行う。しがたって、未知の物質の定性およ
び定量分析する際には、HPLCおよびガスクロマトグ
ラフを併用した測定が好ましい。
【0025】処理手段6は、分析装置5の制御および分
析装置5の分析結果から得られたスペクトルなどのデー
タ収集、記憶、処理、表示などを行う部分で、分析装置
5の制御およびデータ収集を行なう車輌1に搭載された
コンピュータと、車輌1とは別の場所に設置され、デー
タの高次処理を行う測定業者の所有するサーバから構成
されている。また、処理手段6は、その周辺機器とし
て、外部メモリーと、キーボードと、モニタと、プリン
ターと、プロッターと、モデムとを備えている。車輌1
に搭載されているコンピュータは、コンピュータ本体
(CPU、ROM、RAM、メモリ)と、A/D変換器
と、デジタルデータ変換器と、分析結果データベースの
記憶部と、プリンター、プロッター、モニタなどの出力
手段と、モデムなどの送信手段および受信手段とを備え
ている。測定業者のサーバは、コンピュータ本体と、分
析結果データベースの記憶部と、ロット管理データベー
スの記憶部、プリンター、プロッター、モニタなどの出
力手段と、モデムなどの送信手段および受信手段とを備
えている。
【0026】以下、本発明の車載型有機汚染物質測定装
置の動作および車載型有機汚染物質測定装置を用いた有
機汚染物質の測定方法を図1〜4に基いて説明する。図
4は、本発明の車載型有機汚染物質測定装置を用いた有
機汚染物質の測定方法を示すフローチャートである。大
型の試験用チャンバ20と、分析装置5と、処理手段6
と、送信手段7と、受信手段8とを、車輌1の荷台2に
設けられたコンテナ3内に備えた車載型有機汚染物質測
定装置10を、配車可能な状態に準備する(S10
1)。次に、クライアント(依頼人のコンピュータ)か
ら測定業者のサーバに対してVOC測定の指示が出され
る(S102)と、その指示に基いて測定業者は、被測
定物18の所在地に車載型有機汚染物質測定装置10を
移動(配車)する(S103)。車載型有機汚染物質測
定装置10を被測定物18の所在地に配車した後、その
場所において、試験用チャンバ20内の環境を整えて、
VOC測定の準備をする(S104)。なお、VOC測
定の準備と配車を同時に行なってもよい。このとき、車
輌1に搭載されたコンピュータ(以下、「車輌コンピュ
ータ」と記す。)から指示を出し、空気循環ファン1
3、温度調節器14、加湿器15を作動し、チャンバ本
体11内の空気を温度23±0.5℃、相対湿度45±
3%となるように調整する。また、空の状態で、チャン
バ本体11内の空気中のホルムアルデヒド濃度を測定
し、その濃度が0.005ppm以下となるまでチャン
バ本体11内の空気を入れ替えながら待機する。ここ
で、空気の温度23±0.5℃、相対湿度45±3%、
ホルムアルデヒド濃度0.005ppm以下の状態を、
チャンバ本体11内の空気の初期状態とする。チャンバ
本体11内の空気が初期状態に到達したら、表面状態既
知の被測定物18をチャンバ本体11内の被測定物固定
部17に載置する(S105)。被測定物18から放出
されるVOCは、チャンバ本体11内の空気と混ざるの
で、チャンバ本体11内の空気を定期的に採取すれば、
VOC濃度を測定することができる。車載型有機汚染物
質測定装置10に備えられた分析装置5の試料採取器に
より、家具や大型楽器などの被測定物18が入れられた
チャンバ本体11内の空気を採取し、採取した空気を試
料として分析装置5に導入する(S106)。
【0027】家具や大型楽器などの被測定物18から放
出されるVOCとしては、ホルムアルデヒド以外に、ト
ルエン、o−、m−、p−キシレンなどが挙げられる
が、これらの採取方法を以下に示す。ホルムアルデヒド
の採取方法は、VOCを含む空気をDNPH捕集剤に導
入し、ホルムアルデヒドを吸着すると共に、誘導体化さ
せる方法がある。DNPH捕集剤に吸着されたホルムア
ルデヒドを、アセトニトリルで溶出させ、HPLCに導
入して分離する。
【0028】ホルムアルデヒド、トルエン、o−、m
−、p−キシレンなどのVOCの採取方法は、固相吸着
−溶媒抽出法、固相吸着−加熱脱着法、容器採取法の3
種類の方法がある。これらの採取方法で採取されたVO
Cが、ガスクロマトグラフ/質量分析計に導入され、分
離される。固相吸着―溶媒抽出法とは、活性炭などの吸
着剤を充填した捕集管に空気を一定流量で吸引して、測
定対象物質を採取し、捕集管から測定対象物質を溶媒で
溶出する方法である。固相吸着―加熱脱着法とは、活性
炭などの吸着剤を充填した捕集管に空気を一定流量で吸
引し、測定対象物質を採取し、捕集管を加熱脱着装置に
装着し、加熱により測定対象物質を分離する方法であ
る。容器採取法とは、ステンレス製の試料採取容器を用
いて、空気を一定流量で採取し、その試料採取容器を加
熱脱着装置に装着し、加熱により測定対象物質を分離す
る方法である。
【0029】試験用チャンバ20を用いたVOC測定の
継続期間および測定期間は、3日間以上とする。なお、
VOC濃度の測定期間は、必ずしも継続した3日間以上
である必要はなく、VOC測定の継続期間中の断続的な
3日間以上であってもよく、依頼人の要求に応じて定め
ることができる。また、チャンバ本体11内の空気のV
OC濃度が4日間以上継続して一定となるか、5%以下
の範囲内で変位していれば、VOC濃度は定常状態に達
したと判断する。定常状態に達したVOC濃度を、被測
定物18から放出されるVOC濃度とすることがでる。
VOCを含む空気の一回の採取時間は30分とし、この
期間に採取した空気中のVOC濃度をppmで表す。
【0030】次に、VOC濃度の算出に必要な測定環境
データ(気温、湿度、空気の採取量など)を、車輌コン
ピュータに送信または入力する(S107)。採取した
チャンバ本体11内の空気を、分析装置5内に備えられ
たカラムで分離し(S108)、分離されたVOCを分
析装置5内に備えられた検出器で検出し(S109)、
分析装置5内に備えられた応答制御部でこのVOCのク
ロマトグラムを作成する(S110)。得られたクロマ
トグラムはアナログ信号であり、このアナログ信号を車
輌コンピュータ内に備えられたA/D変換器でデジタル
データ(以下、「クロマトグラムデータ」と記す。)に
変換する(S111)。
【0031】ところで、測定業者のサーバの記憶部に
は、あらかじめ車輌1に備えられた分析装置5と同一機
種の分析装置によって測定された複数種類の既知の有機
化合物に関するクロマトグラムのアナログ信号をA/D
変換して得られたデジタルデータが保存されている。ま
た、測定業者のサーバの記憶部には、これらの個々の有
機化合物に関して、分析装置内に導入する試料の濃度を
一定間隔おきに変えて、この試料のクロマトグラムを作
成し、クロマトグラムをA/D変換して得られたデジタ
ルデータがデータベースとして保存されている。また、
クロマトグラムのピーク高さおよびピーク面積と導入量
との関係を導き出せるコンピュータプログラムが作成さ
れ、測定業者のサーバの記憶部にデータベースとして保
存されている。
【0032】S112以後のデータ処理の方法を、以下
に示すように2つの方法とする。第1の方法では、車輌
コンピュータによって、クロマトグラムデータと測定環
境データから、クロマトグラムのピーク保持時間、ピー
ク高さおよびピーク面積を算出する(S112)。算出
結果を測定業者のサーバに送信し、このサーバによって
VOCを定性分析および/または定量分析し、その分析
結果を受信する(S113)。データは圧縮された上で
送信可能であり、この場合は受信後に解凍する。このと
き、測定業者のサーバ内の記憶部に保存されているデー
タベースにあらかじめ設定された基準値と、定性分析お
よび/または定量分析の結果を比較して合否判定も行
う。分析結果および合否判定の結果をディスプレイ、プ
リンタなどの出力手段に出力する(S114)。
【0033】第2の方法では、クロマトグラムデータと
測定環境データを測定業者のサーバに送信する(S11
5)。このサーバでは、車輌コンピュータから送信され
てきたクロマトグラムデータおよび測定環境データから
なるデジタルデータを受信する(S201)。このデジ
タルデータを、測定環境データ、クロマトグラムのピー
ク保持時間データ、クロマトグラムのピーク高さデー
タ、クロマトグラムのピーク面積データに分離する(S
202)。
【0034】クロマトグラムデータからピーク保持時間
データを読み出す(S211)。測定業者のサーバの記
憶部に保存されているデータベースから読み出した既知
物質のクロマトグラムのピーク保持時間データと対比し
(S212)、保持時間が同一である既知物質を選択す
る(S213)。ここで、データベースから読み出した
既知物質のデータと保持時間が一致しない場合は、繰り
返し対比を行なう。データベースから読み出した既知物
質のデータと保持時間が一致した場合は、被測定物質を
同定する(S214)。そして、測定業者のサーバの記
憶部に保存されている物質名称データベースに基づいて
被測定物質(VOC)の名称を同定(S215)して、
分析結果データとして一時保存する(S216)。この
とき、測定業者のサーバの記憶部に保存されているデー
タベースにあらかじめ設定された基準値と、定性分析お
よび/または定量分析の結果を比較して合否判定も行
う。
【0035】また、クロマトグラムデータからピーク高
さデータ、ピーク面積データを読み出す(S221)。
このピーク高さデータ、ピーク面積データおよびS21
4で同定されたピーク保持時間データと、測定業者のサ
ーバの記憶部に保存されているデータベースから読み出
した既知物質のクロマトグラムのピーク高さ、ピーク面
積およびピーク保持時間データとを対比し、分析装置5
内への試料(空気)の導入量を算出する(S222)。
デジタルデータから環境測定データ(気温、湿度、空気
の採取量)を読み出し(S231)、試料の導入量の算
出結果と環境測定データからVOC濃度を算出し(S2
23)、VOC濃度の算出結果を濃度データとして(S
224)、分析結果データとして一時保存する(S21
6)。
【0036】一時保存された分析結果データは、VOC
の名称と濃度などのデータがまとめられ、ロットナンバ
ーが付され、測定業者のサーバの記憶部に保存されてい
るロット管理データベースに保存され、管理される(S
217)。VOC測定の結果は、車輌コンピュータもし
くは依頼人の指定するクライアントコンピュータからの
指示(S301)に基いて、測定業者のサーバから、測
定結果をデジタルデータ化して、無線通信によりクライ
アントコンピュータに送信される。測定結果をデジタル
データ化することで、アナログデータよりも機密性を確
保することができ、また、大容量のデータを送信するこ
とが可能となる。また、A/D変換されたクロマトグラ
ムデータを全て測定業者のサーバに送信するのではな
く、定性分析に必要なクロマトグラムの保持時間デー
タ、定量分析に必要なクロマトグラムのピーク高さデー
タ、面積データ、あるいは半値幅データなど、必要に応
じて測定業者のサーバに送ってもよい。このようにすれ
ば、データの処理時間を短縮することができるため、効
率良くVOC測定を行うことができる。
【0037】ところで、図5はガスクロマトグラフのデ
ータベースの一例を示すものである。ガスクロマトグラ
フのデータベースは、物質名、ピーク位置データ、ピー
ク面積データ、ピーク高さデータ、検量線データなどで
構成されている。また、図6はHPLCのデータベース
の一例を示すものである。HPLCのデータベースは、
物質名、ピーク位置データ、ピーク面積データ、ピーク
高さデータ、検量線データなどで構成されている。これ
らのデータベースを、必要に応じて読み出すことによ
り、VOC測定における未知物質の同定、濃度の算出な
どを効率良く行なうことが可能となる。また、図7はV
OC測定のデータを、試料のロット毎に管理しているロ
ット管理データベースの一例を示すものである。ロット
管理データベースは、ロットナンバー、VOCの物質
名、VOC濃度の平均値、VOC濃度の最大値、VOC
濃度の最小値、VOCのクロマトグラムの保持時間、V
OCのクロマトグラムのピーク高さ、VOCのクロマト
グラムのピークの半値幅、VOCのクロマトグラムのピ
ーク面積、VOC濃度の基準値などで構成されている。
このデータベースにより、製品の品質管理を正確に行う
ことができるため、購入者からのクレームなどに迅速に
対応することができる。
【0038】以下、具体例を示す。 (依頼者がメーカーの場合)工場内にあるコンピュータ
から、測定業者のサーバに出された指示により、測定業
者が、車輌部分がトラックからなる車載型有機汚染物質
測定装置を被測定物となる製品が製造されている工場に
配車する。出荷前の製品のVOC測定を行ない、測定デ
ータをトラックに搭載されているコンピュータから測定
業者のサーバに、無線通信により送信する。測定業者の
サーバでは、受信した測定データに基づいて定性分析お
よび定量分析を行ない、VOCを同定してその物質名を
示しかつその濃度を算出する。さらに、測定業者のサー
バ内に保存されているデータベースにあらかじめ設定し
た基準値と、測定結果を対比して合否判定をし、合格し
た製品のロットナンバーと不合格した製品のロットナン
バーに分ける。工場内にあるコンピュータから発せられ
た依頼者の要求に応じて、測定業者のサーバから工場内
にあるコンピュータに合格した製品のロットナンバーと
不合格した製品のロットナンバーを通知する。工場では
その結果に基いて、合格判定を受けたロットナンバーを
有する製品のみを商品として出荷する。VOC測定の結
果、合否判定の結果などは測定業者のサーバの記憶部に
データベースとして保存され、ロットごとに管理され
る。このデータベースは、クライアント(メーカーのコ
ンピュータ)からアクセス可能とされる。
【0039】(依頼者が家具店もしくは楽器店の場合)
家具店もしくは楽器店内にあるコンピュータから、測定
業者のサーバに出された指示により、測定業者が、車輌
部分がトラックからなる車載型有機汚染物質測定装置を
被測定物となる家具または楽器が保管されている倉庫に
配車する。出荷前の被測定物のVOC測定を行ない、測
定データをトラックに搭載されているコンピュータから
サーバに、無線通信により送信する。測定業者のサーバ
では、受信した測定データに基づいて定性分析および定
量分析を行ない、VOCを同定してその物質名を示しか
つその濃度を算出する。さらに、測定業者のサーバ内に
保存されているデータベースにあらかじめ設定した基準
値と、測定結果を対比して合否判定をし、合格した製品
のロットナンバーと不合格した製品のロットナンバーに
分ける。家具店もしくは楽器店内にあるコンピュータか
ら発せられた依頼者の要求に応じて、測定業者のサーバ
から家具店もしくは楽器店内にあるコンピュータに合格
した製品のロットナンバーと不合格した製品のロットナ
ンバーを通知する。VOC測定の結果、合否判定の結果
などは測定業者のサーバの記憶部にデータベースとして
保存され、ロットごとに管理される。このデータベース
は、クライアント(家具店もしくは楽器店のコンピュー
タ)から有料でアクセス可能とされる。家具店もしくは
楽器店内にあるコンピュータでは、測定業者のサーバか
らの合否判定を受信し、合格判定を受けた製品のみに販
売可能の旗を立てる。不合格の場合は例えば、家具もし
くは楽器を倉庫などで一定期間保管して、VOCを放出
させて、その放出量が基準値以下になったことを確認し
てからから販売する。
【0040】(依頼者がディベロッパーの場合)ディベ
ロッパーのコンピュータから、測定業者のサーバに出さ
れた指示により、測定業者が、車輌部分がトラックから
なる車載型有機汚染物質測定装置を被測定物となる製品
が製造されているディベロッパーの下請け業者のもとに
配車する。出荷前の被測定物(例えば、建材、作り付け
家具など)のVOC測定を行ない、測定データをトラッ
クに搭載されているコンピュータから測定業者のサーバ
に、無線通信により送信する。測定業者のサーバでは、
受信した測定データに基づいて定性分析および定量分析
を行ない、VOCを同定してその物質名を示しかつその
濃度を算出する。さらに、測定業者のサーバ内に保存さ
れているデータベースにあらかじめ設定した基準値と、
測定結果を対比して合否判定をし、合格した製品には旗
を立て、合格した製品のロットナンバーと不合格した製
品のロットナンバーに分ける。ディベロッパーのコンピ
ュータから発せられた依頼者の要求に応じて、測定業者
のサーバからディベロッパーのコンピュータに合格した
製品のロットナンバーと不合格した製品のロットナンバ
ーを通知する。VOC測定の結果、合否判定の結果など
は測定業者のサーバの記憶部にデータベースとして保存
され、ロットごとに管理される。ディベロッパーのコン
ピュータでは、測定業者のサーバからの合否判定を受信
し、その結果を下請け業者に通知する。下請け業者で
は、合格判定を受けた製品のみに納入可能の旗を立て
る。ディベロッパーからは、下請け業者に対して、旗の
立った製品を住宅やマンションなどの物件へ製品の納入
指示を出す。
【0041】(依頼者が個人の場合)個人のコンピュー
タから、測定業者のサーバに出された指示により、測定
業者が、車輌部分がトラックからなる車載型有機汚染物
質測定装置を被測定物のある個人宅などに配車する。被
測定物のVOC測定を行ない、測定データをトラックに
搭載されているコンピュータからサーバに、無線通信に
より送信する。測定業者のサーバでは、受信した測定デ
ータに基づいて定性分析および定量分析を行ない、VO
Cを同定してその物質名を示しかつその濃度を算出す
る。個人のコンピュータから発せられた要求に応じて、
測定業者のサーバから個人のコンピュータに分析結果を
通知する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車載型有
機汚染物質測定装置は、車輌と、該車輌に載置される試
験用チャンバと、該試験用チャンバ内の空気中の有機汚
染物質を分析する分析装置と、該分析装置で測定された
データを処理する処理手段と、該処理手段で処理された
データをサーバに送信する送信手段と、クライアントか
らの指示およびサーバからの情報を受信する受信手段と
を備えているものであるから、移動可能な大型の試験用
チャンバを実現し、大型の被測定物の輸送を行うことな
く、揮発性有機化合物の測定を行うことができるので、
被測定物の輸送の手間、破損などの恐れがない。また、
測定対象物以外に汚染源がある場合の測定誤差を防止す
ることができる。
【0043】また、本発明の有機汚染物質の測定方法
は、上記車載型有機汚染物質測定装置を被測定物の所在
地に移動し、該所在地において被測定物を前記車載型有
機汚染物質測定装置の試験用チャンバ内に収容し、前記
被測定物から放出される有機汚染物質を採取し分析する
から、大型の試験用チャンバを有していないメーカーな
どにおいても、揮発性有機化合物の定性および定量分析
をすることができる。また、本発明の有機汚染物質の測
定方法は、前記被測定物から放出される有機汚染物質を
分析し、分析結果のクロマトグラムのアナログ信号をデ
ジタルデータに変換してクロマトグラムデータとし、該
クロマトグラムデータと分析条件を有機汚染物質測定業
者のサーバに送信し、該サーバにおいて前記クロマトグ
ラムのピーク保持時間、ピーク高さおよびピーク面積を
算出して有機汚染物質を定性分析および/または定量分
析し、その結果をクライアントに送信する有機汚染物質
の測定方法であって、あらかじめ設定された基準値と、
定性分析および/または定量分析の結果を比較して合否
判定を行うから、測定結果を被測定物の発送元(製造
元)または発送先(購入者)のいずれにも送信すること
ができるので、大型チャンバを搭載した車輌を待機させ
る必要がなく、効率の良い測定を行うことができる。ま
た、本発明の有機汚染物質の測定方法は、前記被測定物
から放出される有機汚染物質を分析し、分析結果のクロ
マトグラムのアナログ信号をデジタルデータに変換して
クロマトグラムデータとし、該クロマトグラムデータと
分析条件から、前記車輌に備えられた処理手段によって
前記クロマトグラムのピーク保持時間、ピーク高さおよ
びピーク面積を算出し、算出結果を有機汚染物質測定業
者のサーバに送信し、該サーバによって前記算出結果か
ら有機汚染物質を定性分析および/または定量分析し、
その結果をクライアントに送信する有機汚染物質の測定
方法であって、あらかじめ設定された基準値と、定性分
析および/または定量分析の結果を比較して合否判定を
行うから、車輌コンピュータによっても分析結果を得る
ことがきるため、効率の良い測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車載型有機汚染物質測定装置の一例
を示す概略側面図である。
【図2】 本発明の車載型有機汚染物質測定装置の一例
を示す概略平面図である。
【図3】 本発明で用いられる試験用チャンバの構成を
示す概略側面図である。
【図4】 本発明の車載型有機汚染物質測定装置を用い
た有機汚染物質の測定方法を示すフローチャートであ
る。
【図5】 本発明で用いられるガスクロマトグラフのデ
ータベースの一例を示すものである。
【図6】 本発明で用いられるHPLCのデータベース
の一例を示すものである。
【図7】 本発明によって得られたVOC測定のデータ
を、試料のロット毎に管理しているデータベースの一例
を示すものである。
【符号の説明】
1…車輌、2…荷台、3…コンテナ、4…アンテナ、5
…分析装置、6…処理手段、7…送信手段、8…受信手
段、10…車載型有機汚染物質測定装置、11…チャン
バ本体、12…空気導入口、13…空気循環ファン、1
4…温度調節器、15…加湿器、16…空気排出口、1
7…被測定物固定部、18…被測定物、20…試験用チ
ャンバ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輌と、該車輌に載置される試験用チャ
    ンバと、該試験用チャンバ内の空気中の有機汚染物質を
    分析する分析装置と、該分析装置で測定されたデータを
    処理する処理手段と、該処理手段で処理されたデータを
    サーバに送信する送信手段と、クライアントからの指示
    およびサーバからの情報を受信する受信手段とを備えて
    いることを特徴とする車載型有機汚染物質測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車載型有機汚染物質測定
    装置を被測定物の所在地に移動し、該所在地において被
    測定物を前記車載型有機汚染物質測定装置の試験用チャ
    ンバ内に収容し、前記被測定物から放出される有機汚染
    物質を採取し分析することを特徴とする有機汚染物質の
    測定方法。
  3. 【請求項3】 前記被測定物から放出される有機汚染物
    質を分析し、分析結果のクロマトグラムのアナログ信号
    をデジタルデータに変換してクロマトグラムデータと
    し、該クロマトグラムデータと分析条件を有機汚染物質
    測定業者のサーバに送信し、該サーバによって前記クロ
    マトグラムのピーク保持時間、ピーク高さおよびピーク
    面積を算出して有機汚染物質を定性分析および/または
    定量分析し、その結果をクライアントに送信することを
    特徴とする請求項2記載の有機汚染物質の測定方法。
  4. 【請求項4】 前記被測定物から放出される有機汚染物
    質を分析し、分析結果のクロマトグラムのアナログ信号
    をデジタルデータに変換してクロマトグラムデータと
    し、該クロマトグラムデータと分析条件から、前記車輌
    に備えられた処理手段によって前記クロマトグラムのピ
    ーク保持時間、ピーク高さおよびピーク面積を算出し、
    算出結果を有機汚染物質測定業者のサーバに送信し、該
    サーバによって前記算出結果から有機汚染物質を定性分
    析および/または定量分析し、その結果をクライアント
    に送信することを特徴とする請求項2記載の有機汚染物
    質の測定方法。
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