JP2002348559A - 接着付与剤およびそれを含むポリマー組成物 - Google Patents

接着付与剤およびそれを含むポリマー組成物

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JP2002348559A
JP2002348559A JP2001155265A JP2001155265A JP2002348559A JP 2002348559 A JP2002348559 A JP 2002348559A JP 2001155265 A JP2001155265 A JP 2001155265A JP 2001155265 A JP2001155265 A JP 2001155265A JP 2002348559 A JP2002348559 A JP 2002348559A
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Keisuke Chino
圭介 知野
Junichiro Natori
潤一郎 名取
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接着力の強いゴム弾性を有する単独重合体また
はランダム共重合体を主鎖とする接着付与剤およびそれ
を含む組成物の提供。 【解決手段】ガラス転移温度が25℃以下の変性単独重
合体またはランダム共重合体に、不飽和カルボン酸また
は不飽和カルボン酸無水物を主鎖部分100mol%に
対して、0.01〜50mol%の範囲でグラフト反応
させ、さらに該グラフト反応部位を特定のアルコキシシ
ラン化合物で変性して得られる接着付与剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着力が高く相溶
性に優れ、可撓性を保持した、主鎖がゴム弾性を有する
単独重合体またはランダム共重合体である接着付与剤お
よびそれらを含む組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、無溶媒型で環境問題に配慮したホ
ットメルト型接着剤として、スチレン系熱可塑性エラス
トマー等の熱可塑性樹脂の溶融、固化を利用した接着剤
が、初期接着に優れ、 工程の高速化、 自動化が期待でき
るため広く利用されている。それに伴って、これに用い
る接着付与剤を改良する技術に関する特許が多数公開さ
れている。
【0003】例えば、特開平6−33027号公報に
は、一般式、A−B−AまたはA−B(Aは実質的にモ
ノビニル置換芳香族化合物重合体からなるブロックを示
し,Bは実質的にジオレフィン重合体からなるブロック
を示す。)で表される特定のブロック重合体(例えば、
SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレ
ン)ブロック共重合体)またはこれの水添物に不飽和カ
ルボン酸または不飽和カルボン酸無水物をグラフトさせ
た酸変性ブロック共重合体を、さらにエポキシシラン化
合物をグラフトさせたエポキシシラン変性ブロック共重
合体を含むホットメルト接着剤について記載されてい
る。
【0004】しかし、このような酸無水物等を介したア
ルコキシシリル変性ポリマーは、ポリスチレン等のビニ
ル系が多く(例えば特開昭54−149741号公報、
特開昭55−160074号公報、特開昭55−165
973号公報等)、またゴムに関してはジエン系のゴム
の不飽和結合をエポキシ化してシラン変性した例(特開
平10−251357号公報)および前記の酸変性SE
BSをエポキシシラン変性した例があるが、それらはい
ずれもブロック共重合体を主鎖としている。ブロック共
重合体の高分子鎖には、弾性を持つゴム成分(ソフトセ
グメント)と常温付近での塑性変形を防ぐ結晶やガラス
状成分等の拘束相(ハードセグメント)が存在する。し
たがって、天然ゴム、イソプレンゴムやブタジエンゴム
等のような合成ゴム等と共に用いる接着付与剤として使
用する場合では、混練時にこれらのゴム成分と拘束相と
の相溶性が悪く、充分な接着力は得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ゴム
との相溶性に優れ、可撓性を保持した、接着力の強いゴ
ム弾性を有する単独重合体またはランダム共重合体を主
鎖とする接着付与剤およびそれらを含むポリマー組成物
を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明の別の目的は、ゴム弾性を有
する単独重合体またはランダム共重合体を主鎖とする接
着付与剤と、カルボニル基含有基と含窒素複素環を分子
内に有する水素結合性の熱可塑性エラストマーとを含有
する、コンクリート、ガラス等への接着力を高め、しか
も熱によるリサイクル性を保持した組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは長年、接着付
与剤について研究してきた結果、天然ゴム等と共に接着
付与剤として用いても、可撓性と優れた相溶性を保持し
接着力の強い接着付与剤および高い耐熱凝集力を有す
る、該接着付与剤と熱可塑性エラストマーとの組成物を
知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の第1の態様は、1)ガ
ラス転移温度が25℃以下の変性単独重合体またはラン
ダム共重合体に、不飽和カルボン酸または不飽和カルボ
ン酸無水物を主鎖部分100mol%に対して、0.0
1〜50mol%の範囲でグラフト反応させ、さらに該
グラフト反応部位を下記一般式(1)で示されるシラン
化合物で変性して得られる接着付与剤を提供する。本発
明により、第1の目的を達成できる。
【化3】 (R1 、R2 は同一でも異なっていてもよい、炭素数1
〜12の酸素を含んでもよい炭化水素基;Yはアミノ
基、メルカプト基、水酸基、イソシアナート基、エポキ
シ基およびチイラン基から選択される少なくとも一つを
有する炭化水素基;nは0〜2の整数である。)
【0009】また、本発明は以下の発明を提供する。 2)下記一般式(2)または(3)で示される置換基の
α位またはβ位で主鎖に結合している側鎖を有する、主
鎖がガラス転移温度が25℃以下の変性単独重合体また
はランダム共重合体である1)に記載の接着付与剤。
【化4】 (R1 、R2 、nは前記定義どおり;XはO,N,S原
子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であ
る。) ここで、XのO,N,S原子を含んでもよい炭素数1〜
20の炭化水素基は、アクリル酸、マレイン酸または無
水マレイン酸と反応した前記式(1)のYのアミノ基、
メルカプト基、水酸基、イソシアナート基、エポキシ基
またはチイラン基の残基を含む有機官能基である。
【0010】3)前記ガラス転移温度が25℃以下の変
性単独重合体またはランダム共重合体がポリイソプレン
である1)または2)に記載の接着付与剤。
【0011】4)本発明の第2の態様は、1)〜3)の
いずれかに記載の接着付与剤とポリマーとを含有するポ
リマー組成物である。
【0012】本発明の第3の態様は、本発明の第1の態
様の接着付与剤と、カルボニル基含有基と含窒素複素環
を分子内に有する水素結合性の熱可塑性エラストマーと
を含有する4)に記載のポリマー組成物である。これに
より、第2の目的を達成できる。
【0013】本発明の第4の態様は、1)〜3)のいず
れかに記載の接着付与剤と、ポリブテン、シリコーン、
変性シリコーン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリサ
ルファイド、これらの共重合物およびこれらの変性物か
ら選択される少なくとも一つと、無機充填剤とを含有す
るポリマー組成物である。
【0014】本発明の第5の態様は、1)〜3)のいず
れかに記載の接着付与剤を含有する接着剤組成物であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の第1の態様の接着付与剤
を以下に詳細に説明する。本発明に用いる主鎖として
は、ガラス転移点が25℃以下の単独重合体またはラン
ダム共重合体であることが必要である。つまり、常温
(25℃)でゴム弾性を持つ単独重合体またはランダム
共重合体である。
【0016】これらの単独重合体またはランダム共重合
体の主鎖となるポリマーは、一般的に加硫(架橋、硬
化)用ゴム弾性材料として公知の天然高分子または合成
高分子のエラストマー性ポリマーである。このようなエ
ラストマ−性ポリマーとしては、具体的に例えば、天然
ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ブタ
ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピ
レンジエンゴム(EPDM)等のジエン系ゴム、エチレ
ン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブチンゴム
(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリル
ゴム、フッ素ゴム等のオレフィン系ゴム、エピクロロヒ
ドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴ
ム等が挙げられる。また、樹脂成分を含む熱可塑性エラ
ストマー(TPE)であってもよく、例えば水添されて
いてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー(S
BS、SIS、SEBS)、ポリオレフィン系エラスト
マー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリ
マー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエ
ステル系エラストマー性ポリマーまたはポリアミド系エ
ラストマー性ポリマー等であってもよい。上記のような
エラストマー性ポリマーは、液状、固体状いずれであっ
てもよい。またその分子量は特に限定されず、使用目
的、架橋密度などに応じて適宜選択することができる
が、熱可塑性エラストマー加熱(脱架橋)時の流動性を
重視する場合は液状ゴムであることが好ましく、例えば
イソプレンゴム、ブタジエンゴムなどのジエン系ゴムで
は、重量平均分子量が1000〜10万であることが好
ましく、1000〜5万程度が特に好ましい。一方、強
度を重視する場合は、固体ゴムであることが好ましく、
例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴムなどのジエン系
ゴムでは、重量平均分子量が10万〜200万であるこ
とが好ましく、50万〜150万が特に好ましい。
【0017】特にイソプレンゴム、ブタジエンゴム(B
R)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴ
ム(IIR)が好ましい。ゴムとの相溶性に優れ、可撓
性を保持した、接着力の強い接着付与剤を提供するもの
だからである。また本発明では、これらのゴムに市販品
を用いることができ、例えばLIR−50、403、4
10(クラレ社製)等を挙げることができる。
【0018】主鎖として、前記スチレン−ブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)等のランダム共重合体を用いた場合のこれらの組
成比は、規定されず、基質のSP値に近い値を有するこ
とが好ましい。基質とは、本接着付与剤を配合して接着
性を向上させるポリマー、すなわち、後述する本発明の
接着付与剤以外のポリマーである。実施例1では熱可逆
ブチルゴム、実施例3ではウレタンプレポリマーであ
る。
【0019】主鎖の数平均分子量は、100〜1,00
0,000(GPC)であればよく、10,000〜3
00,000が好ましい。100未満では沸点が低く取
扱いが困難であり、1,000,000超では、固体化
していて配合が困難となるからである。
【0020】単独重合体またはランダム共重合体は、不
飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物が主鎖部
分100mol%に対して、0.01〜50mol%の
範囲でグラフトされて、酸変性単独重合体またはランダ
ム共重合体とされる。
【0021】主鎖にグラフトさせる不飽和カルボン酸ま
たは不飽和カルボン酸無水物としては、特に限定されな
いが、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イソクロトン酸、ケイ皮酸、プロパルギル酸、マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等または、こ
れらの無水物等が挙げられる。これらのうち、アクリル
酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フ
マル酸等のジカルボン酸またはこれらのジカルボン酸の
無水物が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0022】不飽和モノカルボン酸としてアクリル酸、
不飽和ジカルボン酸としてマレイン酸、不飽和カルボン
酸無水物としてマレイン酸無水物を用いると、前述の主
鎖は以下に示す式(4)、(5)または(6)の側鎖を
有する。
【化5】 ここで主鎖と、アクリル酸、マレイン酸またはマレイン
酸無水物とはα位またはβ位で結合しているのが好まし
い。
【0023】酸変性させた単独重合体またはランダム共
重合体中のグラフトされた不飽和カルボン酸または不飽
和カルボン酸無水物の含有量は、主鎖部分100mol
%に対して、0.01〜50mol%であり、好ましく
は、0.01〜20mol%である。0.01mol%
未満では、後述するシラン変性の充分な効果が期待でき
ないからであり、50mol%超では、側鎖のアルコキ
シシリル基どうしの縮合が起こるからである。
【0024】酸変性させた単独重合体またはランダム共
重合体は、該単独重合体またはランダム共重合体と不飽
和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物とを種々の
開始剤を用いて、または触媒を用いずに、熱溶融状態ま
たは溶解状態でグラフトさせることで得られる。反応条
件は特に限定しないが、単独重合体またはランダム共重
合体と不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物
とが反応する条件を用いる。
【0025】酸変性した単独重合体またはランダム共重
合体は、下記の一般式(1)で示されるシラン化合物に
より変性され、シラン変性単独重合体またはランダム共
重合体とされる。
【化6】 (R1 、R2 は同一でも異なっていてもよい、炭素数1
〜12の酸素を含んでもよい炭化水素基;Yはアミノ
基、メルカプト基、水酸基、イソシアナート基、エポキ
シ基およびチイラン基から選択される少なくとも一つを
有する炭化水素基;nは0〜2の整数である。)
【0026】R1 ,R2 の炭素数1〜12の酸素を含ん
でもよい炭化水素基は、特に限定されず、例えば、炭素
数1〜12の炭化水素基または、その中にエーテル基、
カルボニル基、水酸基等を含むことができる。具体的に
は、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、
メトキシメチル基、2−エトキシエチル基、メトキシエ
チル基、エトキシメチル基等のエーテル基含有基、アセ
チル基等のカルボニル基含有基等が例示される。前記一
般式(1)で示されるシラン化合物としては、例えば3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルエチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、
8−アミノオクチルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】変性方法は、酸変性単独重合体またはラン
ダム共重合体と該シラン化合物とを、加熱混合または溶
液混合する。例えばロール、ニーダ―、押出し機、万能
攪拌機等により混合すればよい。反応条件は特に限定さ
れないが、酸変性単独重合体またはランダム共重合体と
該シラン化合物とが反応すればよい。
【0028】本発明の接着付与剤は、主鎖が室温でゴム
弾性を有する単独重合体またはランダム共重合体である
ので、可撓性を保持し接着付与剤として添加する際の該
付与剤とゴムとの相溶性に優れ、また、この可撓性と良
好な相溶性によって、本発明の接着付与剤であるシラン
化合物部分が本来有するシラン化合物由来のシラノール
縮合反応による接着付与剤としての効果を高め、その組
成物の接着強度を高めることができる。
【0029】前述の本発明の接着付与剤のうち好ましい
ものは、下記式(2)または(3)で示される置換基の
α位またはβ位で主鎖に結合している側鎖を有する接着
付与剤である。
【化7】 (R1 、R2 、nは前記定義どおり;XはO,N,S原
子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であ
る。) ここで、XのO,N,S原子を含んでもよい炭素数1〜
20の炭化水素基は、アクリル酸、マレイン酸または無
水マレイン酸と反応した前記式(1)のYのアミノ基、
メルカプト基、水酸基、イソシアナート基、エポキシ基
またはチイラン基の残基を含む有機官能基である。すな
わち、前述の接着付与剤で、不飽和カルボン酸または不
飽和カルボン酸無水物にアクリル酸、マレイン酸または
マレイン酸無水物を用いた態様で、側鎖にグラフト反応
された前記式(4)〜(6)に示す置換基をシラン変性
させたものである。
【0030】ジカルボン酸無水物を用いると、主鎖にグ
ラフト反応された一方のカルボキシル基がシラン変性さ
れ、他方は変性されない。したがって、この場合には、
グラフトさせたジカルボン酸無水物と等量の、極性基で
あるカルボキシル基を有することから、水素結合による
親和力がさらに増し、接着力がより強固な接着付与剤と
なる。
【0031】より好ましくは、本発明の接着付与剤は、
前記主鎖にポリイソプレンを用いる。ガラス転移温度が
25℃以下であり、不飽和結合を有し、カルボン酸をグ
ラフトさせることが容易だからである。さらにポリイソ
プレンを主鎖とし、ジカルボン酸無水物にマレイン酸無
水物を用いた場合では、シリル基による接着性を相補す
ることにより強固な接着力を持つ接着付与剤となる。
【0032】本発明の接着付与剤は、後述するように、
本発明の接着付与剤以外のポリマーを含有するポリマー
組成物として用いることができる。また、各種溶剤等に
本発明の接着付与剤を含ませることで、プライマーとし
て用いることもできる。プライマーとして用いる場合の
溶剤としては、適度に揮発するものであれば、特に限定
されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ
アセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレ
ン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセ
トン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロ
フラン、エチルエーテル、ジオキサン等が挙げられ、ト
ルエン、アセトンが好ましい。これらの有機溶剤は、1
種を単独でも、2種以上を併用して用いてもよい。本発
明の接着付与剤の含有量は、1〜50質量%、好ましく
は、5〜30質量%の割合で、プライマー中に含まれ
る。1質量%未満では、本発明の接着付与剤の効果が期
待できず、50質量%超では、接着付与剤が均一に分散
しない。また、本発明の目的を損なわない範囲で、プラ
イマー中に含有させる添加物等として、各種防錆顔料、
ジンクホスフェート、タンニン酸誘導体、リン酸エステ
ル、塩基性スルホン酸塩等の防錆剤、および後述の可塑
剤、充填剤、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤等が挙げ
られる。
【0033】次に本発明の第2態様のポリマー組成物に
ついて説明する。該ポリマー組成物は前述した本発明の
接着付与剤であるシラン変性単独重合体またはランダム
共重合体および本発明の接着付与剤以外のポリマーを含
有する。
【0034】本発明の接着付与剤であるシラン変性単独
重合体またはランダム共重合体は前記の1種または、2
種以上を含有することができる。該ポリマー組成物にお
ける本発明のシラン変性単独重合体またはランダム共重
合体の含有量は、後述する本発明の接着付与剤以外のポ
リマー100質量部に対して、0.1〜50質量部であ
るのが好ましく、特に、1〜30質量部であるのが好ま
しい。0.1質量部未満ではシラン変性による効果が得
られず、50質量部超では、側鎖のアルコキシシリル基
どうしの縮合が起こるからである。
【0035】また、本発明の接着付与剤以外のポリマー
は、特に限定しないが、具体的には、熱可塑性樹脂であ
るポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポ
リスチレン(PS)等、熱硬化樹脂であるフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等、スチレン系、
塩化ビニル系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー、
シリコーン系、ウレタン系等の熱硬化性エラストマー、
天然ゴム(NR)、合成ゴムであるイソプレンゴム(I
R)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレン
ゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EP
DM)等および、特殊ゴムであるアクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらのポリ
マーは1種または、2種以上を用いることができる。
【0036】本発明の接着付与剤以外のポリマーは、ガ
ラス転移温度が25℃以下のポリマーが好ましく、特に
本発明の接着付与剤の主鎖として用いるもののうちの何
れかであることが好ましい。該組成物合成時に混合しや
すく作業性に優れると共に、本発明の接着付与剤である
シラン変性単独重合体またはランダム共重合体との相溶
性が良好となり、得られる組成物の接着力が向上するた
めである。
【0037】さらに、該ポリマーの主鎖は、天然ゴム
(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム
(BR)、ブチルゴム(IIR)等の不飽和結合を有す
るポリマーを用いるのが、特に好ましい。これらのポリ
マーはガラス転移温度が25℃以下であり、不飽和結合
を有し、カルボン酸変性しやすく、本発明の接着付与剤
であるシラン化合物部分が本来有するシラン化合物由来
のシラノール縮合反応により特にガラス表面との高い反
応性が得られ接着付与剤としての効果を高め、該組成物
の接着強度をより高めることができるからである。
【0038】また、本発明の第2態様の組成物は、本発
明の目的を損わない範囲で、補強剤、老化防止剤、酸化
防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線
吸収剤、難燃剤等を添加することができる。補強剤とし
ては、例えば、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、
焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、け
いそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウ
ム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成
クレーなどが挙げられる。老化防止剤としては、例え
ば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒ
ンダードアミン系等の化合物が挙げられる。酸化防止剤
としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BH
T)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げ
られる。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群
青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバル
ト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ
顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられ
る。可塑剤としては、安息香酸、フタル酸、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体を
はじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等の
ものが挙げられる。揺変性付与剤としては、ベントン、
無水ケイ酸、ケイ酸誘導体、尿素誘導体等が挙げられ
る。紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェ
ノン系、ベンゾトリアゾル系、サリチル酸エステル系等
が挙げられる。難燃剤としては、TCP等のリン系、塩
素化パラフィン、パークロルペンタシクロデカン等のハ
ロゲン系、酸化アンチモン等のアンチモン系、水酸化ア
ルミニウム等が挙げられる。これらの添加剤等の含有量
は、前記本発明の接着付与剤以外のポリマーの100質
量部に対して、0.1〜100質量部であるのが好まし
く、特に、1〜70質量部であるのが好ましい。0.1
質量部未満では、充填材による効果が期待できず、10
0質量部超では、組成物が硬くなりすぎるからである。
【0039】該組成物の製造方法は特に限定されず、例
えばロール、ニーダ―、押出し機、万能攪拌機等により
混合し製造することができる。
【0040】該組成物の用途は特に限定されないが、例
えばゴム弾性を有するポリマーを用いれば種々のゴム用
途に使用することができ、ホットメルト接着剤に含ませ
ると良好な接着性が得られ、リサイクル性が向上する。
特に自動車周り、例えば、タイヤのトレッド、カーカ
ス;外装のラジエータグリル、サイドモール、ガーニッ
シュ(ピラー、 リア、カウルトップ)、エアロパーツ
(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザー
ストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・ル
ーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、防
触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネ
ル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト))、マ
ーク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリッ
プ、グラスラン、グラスランチャンネル等の内装窓枠用
部品;エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキ
ホース;クランクシャフトシール、バルブステムシー
ル、ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホ
ース、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/S
オイルシール等の潤滑油系部品;燃料ホース、エミッシ
ョンコントロールホース、インレットフィラーホース、
タイヤフラム類等の燃料系部品;エンジンマウント、イ
ンタンクポンプマウント等の防振用部品;CVJブー
ツ、ラック&ピニオンブーツ等のブーツ類;A/Cホー
ス、A/Cシール等のエアコンデショニング用部品;タ
イミングベルト、補機用ベルト等のベルト部品;ウィン
ドシールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌
気性シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシー
ラー等のシーラー類;等に好適に用いることができる。
また、ゴムの改質剤として、例えば流れ防止剤として室
温でコールドフローを起こす樹脂またはゴムに含ませる
と、押出し時の流れやコールドフローを防止することが
できる。
【0041】前述のポリマー組成物に含有させる本発明
の接着付与剤以外のポリマーとして好ましいものは、水
素結合を形成し得る反応部位を有する熱可塑性エラスト
マーである。すなわち、本発明の第3の態様の組成物は
前述した本発明のシラン変性単独重合体またはランダム
共重合体と、水素結合を形成し得る反応部位を有する熱
可塑性エラストマーとを含有する。ここで、水素結合を
形成し得る反応部位を有する熱可塑性エラストマーと
は、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを独立
に、または共通の側鎖に分岐状に導入したものであり、
温度変化により水素結合の形成と崩壊を可逆的に起こす
ことができ、耐熱凝集力が向上し、リサイクルが可能な
エラストマーである。
【0042】シラン変性単独重合体またはランダム共重
合体は、前記のすべてを用いることができ、該重合体
は、1種または2種以上を用いることができる。また、
本発明の第3の態様のポリマー組成物におけるシラン変
性単独重合体またはランダム共重合体の含有量は、本発
明の接着付与剤以外のポリマーの100質量部に対し
て、0.1〜50質量部であるのが好ましく、特に、1
〜30質量部であるのが好ましい。0.1質量部未満で
は、シラン変性による効果が得られず、50質量部超で
は側鎖のアルコキシシリル基どうしの縮合が起こるから
である。
【0043】本発明の第3の態様の組成物に用いる熱可
塑性エラストマーについて説明する。熱可塑性エラスト
マーは、天然高分子または合成高分子のエラストマー性
ポリマーの側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを
導入したエラストマーである。主鎖となるエラストマー
性ポリマーは、一般的に加硫(架橋、硬化)用ゴム弾性
材料として公知の天然高分子または合成高分子である。
このようなエラストマ−性ポリマーとしては、具体的に
例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、
1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、
ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレ
ン−プロピレンジエンゴム(EPDM)等のジエン系ゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−
ブチンゴム(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレ
ン、アクリルゴム、フッ素ゴム等のオレフィン系ゴム、
エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴ
ム、ウレタンゴム等が挙げられる。また、樹脂成分を含
む熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよく、例
えば水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー
性ポリマー(SBS、SIS、SEBS)、ポリオレフ
ィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラ
ストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポ
リマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマーまたは
ポリアミド系エラストマー性ポリマー等であってもよ
い。上記のようなエラストマー性ポリマーは、液状、固
体状いずれであってもよい。またその分子量は特に限定
されず、使用目的、架橋密度などに応じて適宜選択する
ことができるが、熱可塑性エラストマー加熱(脱架橋)
時の流動性を重視する場合は液状ゴムであることが好ま
しく、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴムなどのジ
エン系ゴムでは、重量平均分子量が1000〜10万で
あることが好ましく、1000〜5万程度が特に好まし
い。一方、強度を重視する場合は、固体ゴムであること
が好ましく、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴムな
どのジエン系ゴムでは、重量平均分子量が10万〜20
0万であることが好ましく、50万〜150万が特に好
ましい。
【0044】該熱可塑性エラストマーは、ガラス転移温
度が25℃以下のポリマーが好ましく、本発明の第1の
態様の接着付与剤の主鎖として用いるもののうちの何れ
かであることがより好ましい。該組成物合成時に混合し
やすく作業性に優れると共に、本発明の第1の態様の接
着付与剤であるシラン変性単独重合体またはランダム共
重合体との相溶性が良好となり、接着力が向上するため
である。
【0045】さらに、該エラストマーの主鎖は、天然ゴ
ム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム
(BR)、ブチルゴム(IIR)等の不飽和結合を有す
るポリマーを用いるのが、特に好ましい。これらのポリ
マーはガラス転移温度が25℃以下であり、不飽和結合
を有し、カルボン酸変性しやすく第1態様の接着付与剤
が含有するシラン化合物部分が本来有するシラン化合物
由来のシラノール縮合反応による接着付与剤としての効
果を高め、得られる組成物の接着強度をより高めること
ができるからである。
【0046】エラストマーの側鎖に導入するカルボニル
含有基としては、特に限定されず、例えばアミド、エス
テル、イミドおよびカルボキシル基等が挙げられる。ま
た、このような基を導入しうる化合物としても特に限定
されず、例えばカルボン酸化合物およびその誘導体等が
挙げられる。カルボン酸化合物としては、飽和または不
飽和の炭化水素基を有する有機酸が挙げられ、炭化水素
基は、脂肪族、脂環族、芳香族カルボン酸等のいずれを
も用いることができる。またカルボン酸誘導体として
は、例えばカルボン酸無水物、エステル、ケトン、アミ
ノ酸、アミド類、イミド類、チオカルボン酸(メルカプ
ト基含有カルボン酸)等が挙げられる。
【0047】具体的には、カルボン酸および置換基含有
カルボン酸であるマロン酸、マレイン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、p
−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ア
ミノ安息香酸、メルカプト酢酸等、酸無水物である無水
コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等、脂肪族エス
テルであるマレイン酸エステル、マロン酸エステル、コ
ハク酸エステル、グルタル酸エステル、酢酸エチル等、
芳香族エステルであるフタル酸エステル、イソフタル酸
エステル、テレフタル酸エステル、エチル−m−アミノ
ベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート
等、ケトンであるキノン、アントラキノン、ナフトキノ
ン等、アミノ酸であるグリシン、トリシン、ビシン、ア
ラニン、バリン、ロイシン、セリン、スレオニン、リジ
ン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチ
オニン、プロリン、N−(p−アミノベンゾイル)−β
−アラニン等、アミド類のマレインアミド、マレインア
ミド酸(マレインモノアミド)、コハク酸モノアミド、
5−ヒドロキシバレルアミド、N−アセチルエタノール
アミン、N,N’−ヘキサメチレンビス(アセトアミ
ド)、マロンアミド、シクロセリン、4−アセトアミド
フェノール、p−アセトアミド安息香酸等、イミド類の
マレインイミド、スクシンイミド等が挙げられる。これ
らのうちでも、熱可塑性エラストマーに用いるカルボニ
ル含有基としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無
水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物から導か
れることが好ましく、特に無水マレイン酸から導かれる
ことがより好ましい。
【0048】エラストマーの側鎖に導入する含窒素複素
環としては、特に限定されず、複素環内に窒素原子を含
むものであれば複素環内に窒素原子以外の他のヘテロ原
子、例えば硫黄原子、酸素原子、リン原子等を有するも
のでも用いることができる。ここで複素環化合物を用い
るのは複素環構造を有すると後述の水素結合が強くなる
ためである。また該複素環は置換基を有していてもよ
く、置換基としては、メチル基、エチル基、(イソ)プ
ロピル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基、フ
ッ素、ヨウ素、塩素等のハロゲン原子からなる基、シア
ノ基、アミノ基、芳香族炭化水素基、エステル基、エー
テル基、アシル基、チオエーテル基等が挙げられ、これ
らを組合せて用いることもできる。これらの置換位置は
特に限定されず、また置換基数も限定されない。また、
該複素環は、芳香族性を有していても、有していなくて
も用いることができるが、芳香族性を有していると架橋
時の引張強度がより高まるので好ましい。
【0049】このような含窒素複素環としては、例え
ば、ピロロリン、ピロリドン、オキシインドール(2−
オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインド
ール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、
フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリ
ン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィ
リン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリ
ン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、
ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミ
ダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イ
ミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダント
イン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダ
ゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロ
ール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルイ
ンドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニ
ン、イソインドール、オキサゾール類、チアゾール類、
イソオキサゾール類、イソチアゾール、オキサジアゾー
ル、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリア
ゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサ
ジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジ
ン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキ
サゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフ
ラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジ
ン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジ
ン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、
キノキサリン、トリアジン、アデニン、グアニン、チミ
ン、シトシン等が挙げられる。
【0050】含窒素複素環は、5員環状複素環が架橋時
の引っ張り強度が非常に強く、かつゴム弾性を有するこ
とにより、 本発明の第1態様の接着付与剤との相溶性が
よく、その結果本発明の第3態様のポリマー組成物の接
着力が強くなるので好ましい。
【0051】含窒素5員環状複素環の代表例としては、
下記の化合物が好ましく例示される。これらは種々の置
換基を有していてもよいし、水素付加あるいは脱離され
たものであってもよい。
【0052】
【化8】
【0053】また、これらの単環複素環にベンゼン環が
縮合したものや、該単環複素環同士が縮合したものも用
いることができ、例えば下記の縮合環が挙げられる。
【0054】
【化9】
【0055】該含窒素複素環は、エラストマーの主鎖と
直接共有結合することにより結合していてもよいが、該
複素環と主鎖を構成するエラストマーとの間に結合基を
有しているのが好ましく、該結合基を介して主鎖と化学
的に結合(共有結合)しているのが好ましい。例えば、
該含窒素5員環状複素環と、主鎖を構成するエラストマ
ーと共有結合し得る基とを含む、含窒素5員環状複素環
化合物により導入することができる。このような官能基
としては、例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基ま
たはチオール基等が挙げられる。これらの官能基とエラ
ストマーの主鎖との間の結合基としては、スルフィド
基、アミド基、エステル基、メチレン基、エチレン基等
が好ましく挙げられ、これらのうちでも、アミド基が相
補的な水素結合を形成するため好ましい。なお、該含窒
素複素環と、該結合基との結合位置は特に限定されず、
該複素環と結合基とが直接結合していてもよく、該複素
環の有する置換基と結合基とが結合していてもよい。該
エラストマーの側鎖に共有結合している場合は、これら
は互いに独立の側鎖として主鎖に結合していてもよく、
またカルボニル基と、含窒素複素環とを同一側鎖に分岐
状に有していてもよい。特に合成上の観点からは、同一
側鎖に有していることが好ましく、例えば下記式
(7)、(8)、(9)に示す構造を有するものが挙げ
られる。
【0056】
【化10】 ここで、Rは含窒素複素環を表し、前記例示した複素環
が挙げられる。上記式(7)〜(9)に示す構造は、式
中のα位またはβ位で、上記エラストマーと結合するの
が好ましい。
【0057】これらの基で構成される側鎖部分は、主鎖
部分100mol%に対して、0.01〜50mol%
の割合で有していることが好ましく、0.1〜30mo
l%の割合で有していることがより好ましい。この範囲
内であれば、分子間あるいは分子内でこれらの側鎖の相
互作用のバランスがよく、得られる熱可塑性エラストマ
ーは、架橋時の引張強度が非常に高く、かつゴム弾性を
有したものとなる。また主鎖部分100mol%に対す
る側鎖部分の割合は、0.01mol%未満では架橋時
の強度が充分でなく、50mol%を超えるとゴム弾性
が失われるため好ましくない。カルボニル含有基と、含
窒素複素環含有基との割合は特に限定されないが、2:
1であると相補的な相互作用を形成しやすくなるため好
ましい。
【0058】該熱可塑性ポリマーの製造方法は特に限定
されず、通常の方法により合成することができる。熱可
塑性ポリマーのうちでも、カルボニル含有基と含窒素複
素環とを同一側鎖に有するものは、例えばカルボニル含
有基で変成されたエラストマーを、含窒素複素環を導入
しうる化合物と反応させて、該カルボニル含有基と、該
含窒素複素環とを共有結合させることにより得られる。
具体的には、カルボニル含有基で変成されたエラストマ
ーと、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムと、無水マレイ
ン酸あるいはメルカプト酢酸を含むトルエン溶液を、室
温あるいは加熱下で窒素雰囲気下、5時間撹拌し、反応
混合物をメタノールに沈殿させ、減圧乾燥することによ
り得られる。このような変性エラストマーとしては、市
販品を利用することもでき、例えばLIR−403(ク
ラレ社製)、LIR−410A(クラレ社試作品)等の
無水マレイン酸変性イソプレンゴム、LIR−410
(クラレ社製)等の変性イソプレンゴム、クライナック
110、221、231(ポリサー社製)等のカルボキ
シル変性ニトリルゴム、CPIB(日石化学社製)、H
RPIB(日石化学ラボ試作品)等のカルボキシル変性
ポリブテン、ニュクレル (三井デュポンポリケミカル社
製) 、ユカロン(三菱化学社製)等を挙げることができ
る。また、予めカルボニル含有基と含窒素複素環とを導
入し得る化合物どおしを結合させた後、エラストマーの
側鎖に結合させることもできる。
【0059】また、カルボニル含有基と含窒素複素環と
を、それぞれ独立して側鎖に有する熱可塑性ポリマーを
合成する場合には、エラストマーの製造時に、該ポリマ
ーの主鎖を形成しうるモノマーと、上記基を導入しうる
モノマーとを共重合させて、上記熱可塑性ポリマーを直
接製造することもでき、予め重合等により主鎖(エラス
トマー)を形成し、次いで、上記基を導入しうる化合物
でグラフト変性することもできる。上記の各製造方法に
おいては、エラストマーの側鎖の各基は、独立に結合し
ているか、あるいは互いに結合したものであるかは、N
MR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段によ
り確認することができる。
【0060】本発明で用いるエラストマーは、上記のう
ちでも予め形成されたエラストマーの同一側鎖にカルボ
ニル含有基と含窒素5員環状複素環含有基とが結合して
いることが好ましく、特に環状酸無水物を側鎖に有する
変性エラストマーと、含窒素複素環とを、含窒素複素環
が環状酸無水物基と化学結合(例えば共有結合、イオン
結合)し得る温度にて反応させることにより結合させる
ことが好ましい。(この反応により酸無水物は開環す
る。)含窒素複素環が環状酸無水物基と化学結合しうる
温度は、化合物の種類によっても異なるが、通常室温か
ら150℃程度である。反応時間は通常1〜5時間程度
である。
【0061】また、水素結合を形成し得る反応部位を有
する熱可塑性エラストマーは、1種または2種以上を用
いることができる。
【0062】また、該組成物には、本発明の目的を損な
わない範囲で、シラン変性単独重合体またはランダム共
重合体および熱可塑性エラストマー以外の成分となる他
のポリマーを1種または、2種以上を含有することがで
きる。該ポリマーは前記したもののすべてを用いること
ができる。
【0063】該ポリマーは、ガラス転移温度が25℃以
下のポリマーが好ましく、特に本発明の主鎖として用い
るもののうちの何れかであることが好ましい。特に、天
然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエン
ゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)等の不飽和結合を
有するポリマーを用いるのが、好ましい。
【0064】また本発明の目的を損なわない範囲で、前
記したすべての補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料
(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃
剤等を添加することができる。これらの充填剤の組成物
における含有量は、本発明の接着付与剤以外のポリマー
100質量部に対して、0.1〜100質量部であるの
が好ましく、特に、1〜70質量部であるのが好まし
い。0.1質量部未満では、充填材による効果が期待で
きず、100質量部超では、組成物が硬くなりすぎるか
らである。該組成物の製造方法は特に限定されず、例え
ばロール、ニーダ―、押出し機、万能攪拌機等により混
合すればよい。
【0065】該組成物は、熱可塑性エラストマーと本発
明の接着付与剤とが水素結合し得る特定の官能基を有し
ており、エラストマーの側鎖に有する含窒素複素環とカ
ルボニル含有基が水素結合を形成することもできるが、
本発明の目的を達成するためには、該エラストマーと該
接着付与剤との間で水素結合を形成するのが好ましい。
この場合に水素結合可能な置換基のプロトン供給源は、
エラストマーでは含窒素複素環の窒素に結合した水素、
カルボニル含有基に結合した酸性水素等である。接着付
与剤では、無置換アミノシランを用いた場合のアミド基
の水素、不飽和カルボン酸等にジカルボン酸を用いたと
きのカルボキシル基の水素等である。一方プロトン受容
部は、エラストマーでは含窒素複素環含有基の窒素、カ
ルボニル含有基中のカルボニル酸素等であり、接着付与
剤ではアミド、エステル等のカルボニル酸素、カルボキ
シル基中のカルボニル酸素等である。これらの水素結合
は特定されず、いかなる位置で結合していてもよい。ま
た主鎖が水素結合に関与していてもよく、いずれがプロ
トン供給源であってもよい。
【0066】このような水素結合は、サーモトロピカル
であって、常温使用時には架橋構造を形成し、高温加熱
時には脱架橋して流動性を示す。しかもこの架橋、脱架
橋反応は繰返し再現できる。したがって、この架橋反応
によってゴムの特性が向上し、かつ耐熱凝集力も向上す
る。また該組成物の相溶性も増し接着力の向上も期待で
きる。一方、該組成物を加熱すると、水素結合が開裂
し、脱架橋することで粘度が低下し該組成物のリサイク
ルが可能である。
【0067】このように本発明の第1態様の接着付与剤
を水素結合できる置換基を持つポリマーに混合すると、
水素結合の形成により強い接着力が期待できる。特に不
飽和カルボン酸にモノカルボン酸、ジカルボン酸または
ジカルボン酸無水物を用いた場合では、接着付与剤に水
素結合可能なアミド基、カルボキシル基があり、接着付
与剤と熱可塑性エラストマーとが相互に水素結合できる
ことから、さらに耐熱凝集力および相溶性が増加し、さ
らなる接着力の向上が実現できる。
【0068】本発明の第3態様のポリマー組成物の用途
は、特に限定されないが、例えばゴム弾性を有すること
から種々のゴム用途に使用することができ、衝撃吸収
材、シーリング材、 ホース、建築用材、各種複合材、塗
料等である。またホットメルト接着剤に含ませると耐熱
性に優れ、強力な接着力が得られ、リサイクル性も向上
する。特に自動車周りに、具体的には、前記のすべての
用途に好適に用いることができる。さらに、ゴムの改質
剤として、例えば流れ防止剤として室温でコールドフロ
ーを起こす樹脂またはゴムに含ませると、押出し時の流
れやコールドフローを防止することができる。
【0069】本発明の第4態様のポリマー組成物につい
て説明する。該組成物は上述した本発明の第1態様のシ
ラン変性単独重合体またはランダム共重合体と、ポリブ
テン、シリコーン、変性シリコーン、ポリウレタン、ポ
リエーテル、ポリサルファイド、これらの共重合物およ
びこれらの変性物から選択される少なくとも一つと、無
機充填剤とを含有する。
【0070】前記シラン変性単独重合体またはランダム
共重合体は1種であっても、2種以上であっても含有す
ることができる。該重合体のポリマー組成物における含
有量は、本発明の接着付与剤以外のポリマー100質量
部に対して、0.1〜50質量部であるのが好ましく、
特に、1〜30質量部であるのが好ましい。0.1質量
部未満では、シラン変性による効果が期待できず、50
質量部超では、側鎖のアルコキシシリル基どうしの縮合
が起こるからである。
【0071】該ポリマー組成物は、ポリブテン、シリコ
ーン、変性シリコーン、ポリウレタン、ポリエーテル、
ポリサルファイドを主鎖とするポリマー、および/また
は、これらの共重合物またはこれらの変性物から選択さ
れる少なくとも1つを含有する。つまり、ポリマー組成
物に配合するポリマーには、前記のポリブテン等に限ら
れず、これらの共重合物またはこれらの変性物、例え
ば、エポキシ変性ウレタンプレポリマー等を用いること
ができる。さらに、これらのポリマーは2種以上の混合
物を用いることができる。これらの、主鎖がゴム性を有
するポリマーを用いれば、ゴム性の主鎖を有する本発明
の接着付与剤との相溶性が増加し、接着強度が強くな
り、かつ、該組成物の混練時の作業性に優れるからであ
る。
【0072】該ポリマー組成物は施行後、硬化させるた
め、ポリブテンを配合するときは硫黄等の架橋剤を、ポ
リウレタン(プレポリマーを含む)を配合するときは、
触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチル
スズジラウレート、オクチル酸亜鉛、有機ビスマス化合
物等の金属系触媒、トリエチレンジアミン、モルフォリ
ン系アミン等のアミン系触媒等を配合させてもよい。
【0073】また本発明の目的を損なわない範囲で、前
記したすべての補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料
(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃
剤等を添加することができる。これらの充填剤のポリマ
ー組成物における含有量は、本発明の接着付与剤以外の
ポリマー100質量部に対して、0.1〜100質量部
であるのが好ましく、特に、1〜70質量部であるのが
好ましい。0.1質量部未満では、充填材による効果が
期待できず、100質量部超では、組成物が硬くなりす
ぎるからである。
【0074】該ポリマー組成物の製造方法は特に限定さ
れず、例えばロール、ニーダ―、押出し機、万能攪拌機
等により混合すればよい。
【0075】該ポリマー組成物の用途は特に限定され
ず、例えばガラス、金属およびプラスチックの接合用シ
ール剤、接合部材に用いることができる。また、ゴム弾
性を有することから種々のゴム用途に使用することがで
き、ホットメルト接着剤に含ませると、耐熱性に優れ、
強力な接着力を有しリサイクル性も向上する。特に自動
車周りに、具体的には、前記のすべての用途に好適に用
いることができる。さらに前記のゴムの改質剤としても
使用することができる。
【0076】該ポリマー組成物は、接着付与剤とポリマ
ーがともにゴム弾性または可撓性を有するので、このゴ
ム弾性または可撓性を保持したまま、相溶性が増加し、
接着強度が強くなる。
【0077】本発明の第5態様の接着剤組成物について
説明する。該組成物は本発明の第1態様のシラン変性単
独重合体またはランダム共重合体の接着付与剤を含有す
る接着剤組成物である。該組成物は該シラン変性単独重
合体またはランダム共重合体を1種または2種以上含有
することができる。
【0078】該重合体の接着剤組成物における含有量
は、本発明の接着付与剤以外のポリマー100質量部に
対して、0.1〜100質量部であるのが好ましく、特
に、1〜50質量部であるのが好ましい。0.1質量部
未満では、ポリマーの添加効果が低すぎ、100質量部
超では、ポリマーの添加効果が大きすぎるからである。
【0079】該組成物には、本発明の接着付与剤以外の
ポリマーを含有する。該ポリマーは特に限定しないが、
例えば、熱可塑性樹脂であるポリエチレン(PE)、ポ
リプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等、熱硬
化樹脂であるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂等、スチレン系、塩化ビニル系、ウレタン系等
の熱可塑性エラストマー、シリコーン系、ウレタン系等
の熱硬化性エラストマーおよび、天然ゴム(NR)、合
成ゴムであるイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム
(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチ
ルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレ
ンプロピレンゴム(EPM、EPDM)等、特殊ゴムで
あるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が
挙げられる。
【0080】該ポリマーは常温でゴム弾性を有するこ
と、具体的には、ガラス転移温度が25℃以下のポリマ
ーが好ましく、特に本発明の主鎖として用いるもののう
ちの何れかであることが好ましい。合成時に混合しやす
く作業性に優れると共に、本発明の変性単独重合体また
はランダム共重合体との相溶性が良好で、かつゴムの特
性を保持できるからである。
【0081】該接着剤組成物は、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、前記したすべての充填剤、補強剤、可塑
剤、揺変性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、紫
外線吸収剤、染料、難燃剤、硬化触媒、粘着付与剤、脱
水剤等のうちの1種以上を含有することができる。これ
らの添加剤等および組成物における含量は本発明の第2
〜第4の態様で説明したことと同様である。また該組成
物の製造方法は特に限定されず、例えばロール、ニーダ
―、押出し機、万能攪拌機等により混合すればよい。
【0082】該接着剤組成物の用途は特に限定されず、
例えば、ゴム弾性を有することから種々のゴム用途に使
用することができ、ホットメルト接着剤、ホットメルト
シートに用いれば、耐熱性に優れ、強力な接着力を有し
リサイクル性も向上する。特に自動車周りに、具体的に
は、前記のすべての用途に好適に用いることができる。
さらに前記のゴムの改質剤としても使用することができ
る。
【0083】該接着剤組成物は、本発明の第1の態様の
主鎖が室温でゴム弾性を有する単独重合体またはランダ
ム共重合体を含有するので、可撓性を保持し接着付与剤
として添加する際の該付与剤とポリマーとの相溶性に優
れ、また、この可撓性と良好な相溶性によって、本発明
の接着付与剤であるシラン化合物部分が本来有するシラ
ン化合物由来のシラノール縮合反応による接着付与剤と
しての効果を高め、接着付与剤を添加される組成物の接
着強度を高めることができる。
【0084】
【実施例】実施例を示して本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】無水マレイン化液状ゴム(クラレ製、LI
R−403、分子量25,000(GPC))175.
43gとアミノシラン(日本ユニカー製、A−110
0、3−アミノプロピルトリエトキシシラン)5.71
gを室温(25℃)にて、万能攪拌機により3時間攪拌
した(回転数200rpm)。反応の終点は酸無水物の
開環をIR(赤外スペクトル、パーキンエルマー社製、
型式2000FT−IR、1864cm- 1 ,1788
cm- 1 の吸収の消滅と1635cm- 1 ,1526c
- 1 の吸収の発生)およびNMR(核磁気共鳴スペク
トルJEOL社製、CSX−270w、270MHz、
約8ppmのシグナルの発生)により確認し、下記式
(10)で示されるシラン変性単独重合体(LIR−A
S)を得た。変性率は、0.8mol%であった。
【0086】
【化11】
【0087】80℃に加熱した加圧ニーダーに、臭素下
ブチルゴム350.0g(6.07mol;ブチルユニ
ット)を入れ、短時間の素練り後、N−(1,3−ジメ
チルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミ
ン3.5g(1.0phr)、無水マレイン酸35.1
g(0.358mol)ならびにキシレン38.0g
(0.358mol)を加え、10分間混合した。一
旦、この混合物を取り出し、加圧ニーダーを190℃に
設定した。取り出した混合物をニーダーに入れて40分
間混練した。得られたゴムの一部をトルエンに溶解し、
再沈殿操作を行うことにより精製した。精製品を用い
て、IR分析ならびに1 H−NMR分析を行うことによ
り、酸無水物骨格の導入が確認され、その導入率は2.
0mol%であった。この無水マレイン化ブチルゴム3
57.7g(0.113mol;酸無水物の量)、3−
アミノ−1,2,4−トリアゾール9.51g(0.1
13mol)ならびにN−(1,3−ジメチルブチル)
−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン3.54g
(1.0phr)を、温度を100℃に設定した加圧ニ
ーダー中で、20分間混練した。IR分析を行うことに
より、トリアゾール環の導入を確認した。
【0088】数平均分子量2,000のポリプロピレン
ジオール600g、数平均分子量4,000のポリプロ
ピレントリオール400gおよび4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート180gを混合し(NCO/O
H=1.6)、さらにジオクチルフタレート630gを
加えて、N2 気流中、80℃で攪拌し、反応させて、イ
ソシアネート基を1.2質量%有するウレタンプレポリ
マーを合成した。
【0089】0.02mol%無水マレイン酸変性SE
BS(シェル製、Kraton、FG1901X、スチ
レン含有量28質量部、分子量約70,000)100
gにアミノシラン(日本ユニカー製、A−1100)
6.64g(0.03mol)を100℃にて、熱溶融
混合し、シラン化合物を無水マレイン酸変性SEBSに
グラフトさせ、シラン変性ブロックランダム共重合体S
EBS−ASを得た。変性率は、0.02mol%であ
る。
【0090】実施例1 合成した熱可逆ブチルゴム100質量部と、接着付与剤
LIR−AS5質量部をニーダーで練りこみ(練りこみ
時間0.5〜1.0時間、攪拌速度30〜60rpm、
温度160℃)、接着付与組成物を得た。イソプロパノ
ールで表面を払拭したフロートガラス板(5×25×1
40mm)に帯状の接着剤組成物(5×15×100m
m)を密着させ、該組成物の厚みが3mmになるように
プレス機にて加熱圧着した(180℃×10分、4.9
MPa)。 実施例2 上記ガラス板に、LIR−ASの10%トルエン溶液を
プライマーを塗布するのと同様に塗布した。溶液を塗布
した後、1時間ほど自然乾燥させて、実施例1と同様に
密着させた。 実施例3 被着体をウレタンプレポリマーに変えた以外は、実施例
2と同様の方法で圧着した。
【0091】比較例1 合成した熱可逆ブチルゴムのみを用い、実施例1と同様
の方法で行った。 比較例2 接着付与剤にSEBS−ASを用いて、実施例1と同様
の方法で行った。
【0092】以上の組成物を用いて、混練時のゴムの様
子、シート肌、ガラスに対する接着性およびリサイクル
性を評価した結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】混練時のゴムの様子の評価は、ニーダー内
のゴムを目視で観察し、均一の状態を「良好」とし、ゲ
ル化したり、表面にブリードしたような状態を「不良」
とした。シート肌の評価は、ゴムを帯状に形成した際に
表面が平滑な状態を「良好」とし、それ以外の状態を
「不良」とした。ガラスに対する接着性は、剥離試験に
て評価した。試験方法は、前述の方法にて接着した試験
サンプルにおいて、接着界面に沿って30〜50mm程
の切り込みを入れた。このサンプルを、万力等で固定
し、ゴムの端部をペンチ等で破断しない程度に90度以
上の角度で強く引っ張りながら、ナイフで約60度の角
度で素早く切り込みを入れた。このとき、ナイフでの切
り込みは被着体(ガラス)表面まで達するようにした。
切り込みの間隔を3〜5mm程度とし、この作業を10
回以上繰り返した。切り込みを入れたゴムの状態によっ
て、界面剥離した場合をAFで表し、薄層凝集破壊した
場合をTCFで表し、凝集破壊した場合をCFで表し
た。リサイクル性は、硬化後、剥がしたポリマーをもう
一度加熱して、成形できるかどうかを確認した。成形で
きる場合を「あり」とし、成形できない場合を「なし」
とした。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、接着付与剤の主鎖に常
温でゴム弾性を有する単独重合体またはランダム共重合
体を用いることで、該接着付与剤がゴムとの相溶性に優
れ、かつ可撓性を保持し、これにより、従来にない強力
な接着力を有する接着付与剤を提供することができる。
また、ゴム弾性を有する単独重合体またはランダム共重
合体を主鎖とする接着付与剤に、カルボニル基含有基と
含窒素複素環を分子内に有する熱可塑性エラストマーを
混合することで、相補的な水素結合を形成し、耐熱凝集
力、相溶性が向上し、さらに強固な接着力を有し、かつ
リサイクル可能な組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 175/04 C09J 175/04 181/04 181/04 183/04 183/04 201/02 201/02 Fターム(参考) 4J040 CA011 CA041 CA071 CA081 CA101 CA161 DA121 DA132 DA141 DC091 DF021 DM011 EC011 EE002 EF002 EG001 EJ022 EK032 GA05 GA06 GA11 GA14 GA17 GA20 GA24 GA31 HA066 HA086 HA136 HA196 HA306 HA356 KA26 KA42 LA01 LA06 LA08 MA05 MA06 NA12 NA13 PA30 PA35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移温度が25℃以下の変性単独重
    合体またはランダム共重合体に、不飽和カルボン酸また
    は不飽和カルボン酸無水物を主鎖部分100mol%に
    対して、0.01〜50mol%の範囲でグラフト反応
    させ、さらに該グラフト反応部位を下記一般式(1)で
    示されるシラン化合物で変性して得られる接着付与剤。 【化1】 (R1 、R2 は同一でも異なっていてもよい、炭素数1
    〜12の酸素を含んでもよい炭化水素基;Yはアミノ
    基、メルカプト基、水酸基、イソシアナート基、エポキ
    シ基およびチイラン基から選択される少なくとも一つを
    有する炭化水素基;nは0〜2の整数である。)
  2. 【請求項2】下記一般式(2)または(3)で示される
    置換基のα位またはβ位で主鎖に結合している側鎖を有
    する、主鎖がガラス転移温度が25℃以下の変性単独重
    合体またはランダム共重合体である請求項1に記載の接
    着付与剤。 【化2】 (R1 、R2 、nは前記定義どおり;XはO,N,S原
    子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であ
    る。)
  3. 【請求項3】前記ガラス転移温度が25℃以下の変性単
    独重合体またはランダム共重合体がポリイソプレンであ
    る請求項1または2に記載の接着付与剤。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の接着付与
    剤とポリマーとを含有するポリマー組成物。
  5. 【請求項5】前記ポリマーは、カルボニル基含有基と含
    窒素複素環を分子内に有する水素結合性の熱可塑性エラ
    ストマーである請求項4に記載のポリマー組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載の接着付与
    剤と;ポリブテン、シリコーン、変性シリコーン、ポリ
    ウレタン、ポリエーテル、ポリサルファイド、これらの
    共重合物およびこれらの変性物から選択される少なくと
    も一つと;無機充填剤とを含有するポリマー組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜3のいずれかに記載の接着付与
    剤を含有する接着剤組成物。
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