JP2002348398A - 樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

樹脂発泡体及びその製造方法

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JP2002348398A
JP2002348398A JP2001154354A JP2001154354A JP2002348398A JP 2002348398 A JP2002348398 A JP 2002348398A JP 2001154354 A JP2001154354 A JP 2001154354A JP 2001154354 A JP2001154354 A JP 2001154354A JP 2002348398 A JP2002348398 A JP 2002348398A
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foam
layered silicate
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JP2001154354A
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Hiroshi Saito
拓 斎藤
Hisafumi Oda
尚史 小田
Toshiya Abiko
聡也 安彦
Kazuhiko Ito
和彦 伊藤
Hiroyuki Kawahigashi
宏至 川東
Manabu Nomura
学 野村
Takehito Konakazawa
岳仁 小中澤
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超臨界法により、より均質かつ微細な発泡
構造を持つ成形体を得ることのできる樹脂発泡体の製造
方法を提供すること。 【解決手段】本発明の樹脂発泡体の製造方法は、熱可塑
性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜40重量部
からなり、該樹脂組成物中の層状珪酸塩の平均粒子径
(長径)が100nm以下、かつ広角X線回折によるピ
ーク角値が確認できない樹脂組成物に、超臨界状ガス
を、該樹脂組成物の融点(以下、Tmと呼ぶ)〜(Tm
+50)℃の範囲にある時に浸透させた後、(該樹脂組
成物の結晶化温度[以下、Tcと呼ぶ]±20)℃の範
囲まで冷却して脱ガスする。このような層状珪酸塩を採
用することにより、層状珪酸塩を樹脂組成物中に均一に
分散させて少量のフィラーでも、多数の発泡核が存在す
ることと同じ効果を発現させることができるので、均質
で微細な発泡構造を有する成形体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状珪酸塩を含む
熱可塑性樹脂組成物を微細発泡させた成形体、より好ま
しくは、所謂ナノコンポジットに相当する層状珪酸塩を
含む熱可塑性樹脂組成物を微細発泡させた成形体に関す
る。
【0002】
【背景技術】微細発泡法として、超臨界状ガスを成形材
料に浸透させた後、脱ガスすることで、内部に10μm
以下の微細な気泡を持つ発泡体を製造する方法が知られ
ており、成形材料の賦形と超臨界状ガスの浸透及び脱ガ
スを、射出成形、押出機内で同時に行う方法(以下、連
続式発泡法と呼ぶ)と、成形材料を賦形した後、別工程
で超臨界状ガスの浸透及び脱ガスを行う方法(バッチ式
発泡法と呼ぶ)の工業化検討が進められ、発泡体の物性
を向上させるために均質かつ微細な発泡構造を形成する
努力がなされている。しかし、超臨界状態のガスを樹脂
材料に均一に浸透させること、浸透させた超臨界ガスを
均一に脱ガスさせる制御が難しく、均質かつ微細な発泡
構造を形成するのが困難であった。
【0003】従来の発泡成形においては、均質かつ微細
な発泡構造を得るために、無機フィラーを配合すること
が知られている。確かに、従来の化学発泡剤を用いる成
形においては、ある程度の改善効果があったが、超臨界
法による発泡成形に適用しても、発泡セル数に対し、発
泡核効果を持つ無機フィラーの量が少ないため余り改善
効果がでず、発泡核を増やす目的で、大量のフィラーを
配合すると、発泡体の機械物性を損なったり、発泡によ
る軽量化の効果が損なわれるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、超臨
界法による発泡成形方法において、より均質かつ微細な
発泡構造を持つ成形体、及びその製造方法を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記問題を解決するため
に、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、平均粒子径
(長径)が100nm以下の層状珪酸塩を均一に、樹脂
組成物中に分散させることで、少量の無機フィラーで
も、多数の発泡核が存在することと同じ効果を発現さ
せ、かつ重量増加を防ぐことを想到し、本発明を完成さ
せた。
【0006】即ち、本発明に係る樹脂発泡体は下記
(A)〜(D)からなる。 (A)熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1
〜40重量部からなる樹脂組成物に、超臨界状ガスを浸
透させた後、脱ガスさせて得られる樹脂発泡体であっ
て、発泡体中の該層状珪酸塩の平均粒子径(長径)が1
00nm以下であり、広角X線回折によるピーク角値が
確認できないことを特徴とする樹脂発泡体。 (B)前記樹脂組成物のメルトインデックス(MI)が
0.4〜60g/10分の範囲で、かつ溶融張力MTが
下記の式(1)を満足することを特徴とする(A)に記
載の樹脂発泡体。
【0007】
【数3】 logMT>−0.8(logMI)+0.54…式(1)
【0008】(C)前記発泡体の発泡セル径が10μm
以下であることを特徴とする(A)又は(B)に記載の
樹脂発泡体。 (D)前記樹脂発泡体が、樹脂相と気孔相とが各々連続
して形成され、互いに絡み合った周期構造を持つことを
特徴とする、(A)〜(C)のいずれかに記載の樹脂発
泡体。
【0009】また、本発明の樹脂発泡体の製造方法は下
記(E)〜(I)からなる。 (E)熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1
〜40重量部からなり、該樹脂組成物中の層状珪酸塩の
平均粒子径(長径)が100nm以下、かつ広角X線回
折によるピーク角値が確認できない樹脂組成物に、超臨
界状ガスを、該樹脂組成物の融点(以下、Tmと呼ぶ)
〜(Tm+50)℃の範囲にある時に浸透させた後、
(該樹脂組成物の結晶化温度[以下、Tcと呼ぶ]±2
0)℃の範囲まで冷却して脱ガスすることを特徴とす
る、樹脂発泡体の製造方法。
【0010】(F)前記樹脂組成物の賦形は金型内で行
われ、超臨界状ガスを該樹脂組成物に浸透させた後、金
型を後退させて、かつ金型内を減圧及び/又は冷却して
脱ガスすることを特徴とする、(E)に記載の樹脂発泡
体の製造方法。 (G)熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1
〜40重量部からなり、該樹脂組成物中の層状珪酸塩の
平均粒子径(長径)が100nm以下、かつ広角X線回
折によるピーク角値が確認できない樹脂組成物の成形品
に、超臨界ガスを、ガス雰囲気中の温度が、(Tc−2
0)〜(Tc+50)℃の範囲で浸透させた後、(Tc
±20)℃の範囲まで冷却して脱ガスすることを特徴と
する、樹脂発泡体の製造方法。
【0011】(H)熱可塑性樹脂100重量部、層電荷
0.1〜0.7を有する2:1型層状化合物及び造核剤
0.01〜5重量部からなる樹脂組成物に、超臨界状ガ
スを浸透させることを特徴とする、(E)〜(G)のい
ずれかに記載の樹脂発泡体の製造方法。 (I)樹脂組成物のメルトインデックス(MI)が0.
4〜60g/10分の範囲で、かつ溶融張力MTが下記
の式(1)を満足することを特徴とする(E)〜(I)
のいずれかに記載の樹脂発泡体の製造方法。
【0012】
【数4】 logMT> −0.8(logMI)+0.54…式(1)
【0013】熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜選択し
て良く、複数の熱可塑性樹脂のアロイでもよい。例え
ば、樹脂として、ポリカーボネート(PC)、ポリアミ
ド(PA)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン
(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテル、AB
S、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、PMMA、SPS、P
PS、PAR、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエ
ーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルニトリル
(PEN)、各種熱可塑性エラストマー等を例示でき
る。
【0014】層状珪酸塩の分散性を向上させる為に、主
要成分の樹脂を、無水マレイン酸、フマル酸等の酸無水
物でグラフト重合させた変性樹脂を、主要成分の熱可塑
性樹脂と変性樹脂の総和を100重量%として、0.1
〜10重量%配合しても良い。
【0015】本発明で用いられる層状珪酸塩の典型的な
例としては、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロ
ナイト、ヘクトライト、イライト、バーミキュライト、
クロライト等の粘土鉱物、黒雲母、白雲母、金雲母等が
挙げられる。
【0016】層状珪酸塩は、前記結晶性樹脂100重量
部に対し、0.1〜40重量部含有されることが好まし
く、特に1〜20重量部である。0.1重量部未満で
は、発泡核効果を持つ層状珪酸塩が少なすぎて、均質に
発泡し難く、40重量部を超えると、軽量化効果が損な
われるうえ、樹脂の溶融粘度が高くなり、発泡し難くな
る。
【0017】本発明の樹脂発泡体は、発泡体中の層状珪
酸塩の平均粒子径(長径)が100nm以下、かつ広角
X線回折(WAXS)によるピーク角値が確認できない
ことを特徴とする。平均粒子径(長径)が100nm以
下の場合、引張強さ、弾性率、熱変形温度などの物性が
飛躍的に向上する。また、広角X線回折(WAXS)に
よるピーク角値が確認できないことは、該樹脂組成物中
又は発泡体中に分散している層状珪酸塩の層間距離が2
0Å以上、より好ましくは50Å以上、特に60Å以
上、距離があることを意味する。尚、発泡前の熱可塑性
樹脂組成物と層状珪酸塩からなる樹脂組成物中において
も、層状珪酸塩の平均粒子径(長径)は100nm以
下、かつ広角X線回折(WAXS)によるピーク角値が
確認できない。このような樹脂組成物をナノコンポジッ
トと呼び、微細な発泡核が多数存在している効果を示
し、発泡用樹脂材料として非常に好適となる。前記効果
は、樹脂組成物中に分散している層状珪酸塩の厚みが3
0〜500Å、より好ましくは50〜200Åの場合、
より顕著になる。
【0018】広角X線回折(WAXS)によるピーク角
値は、X線発生装置を用い、ターゲットCuKα線、モ
ノクロメータ、電圧50kV、電流180mA、走査角
2θ=1.5〜40.0°、ステップ角=0.1°の測
定条件で底面間隔を測定した。層状珪酸塩の底面間隔
は、広角X線回折ピーク角値をBraggの式に代入して算
出した。広角X線ピーク角値の確認が困難である場合
は、層が十分に劈開して結晶性が実質的に消失したか、
あるいはピーク角値がおおよそ1.5°以下である為に
確認が困難であるとみなし、底面間隔の評価結果として
は60Å超とした。該ピーク角値が確認できない場合
は、より正確に言えば、層状珪酸塩は剥離して単層の珪
酸塩になっていることが多い。
【0019】本発明で用いる熱可塑性樹脂,層状珪酸塩
からなる樹脂組成物は、該樹脂組成物の成形温度におけ
るメルトインデクッス(MI)が0.4〜60g/10
分の範囲で、かつ溶融張力(MT)が下記式(1)の範
囲にあることが好ましい。
【0020】
【数5】 logMT>−0.8(logMI)+0.54…式(1)
【0021】MTが式(1)を満足しない、及び/又は
MIが60g/10分を超えると、発泡が均質でなくな
り、MIが0.4g/10分未満では発泡し難くなる恐
れがある。
【0022】本発明の樹脂発泡体とは、前述の熱可塑性
樹脂と層状珪酸塩からなるナノコンポジットに、超臨界
状態のガスを浸透させた後、脱ガスすることで得られる
微細な発泡構造を持つ発泡成形体であることが好まし
い。前記発泡構造は、独立した発泡セルが有る独立発泡
体でも、独立した発泡セルがない連続発泡体でも良い。
後者の場合は、樹脂相と気孔相とが各々連続して形成さ
れ、互いに絡み合った周期構造を持つ発泡体の例が挙げ
られる。独立発泡体の場合は、発泡セルの長径が10μ
m以下、好ましくは5μm以下が好ましい。10μmを
超えると、発泡前の剛性が維持されると言うマイクロセ
ルラーのメリットが充分に発現しない場合がある。樹脂
発泡体の発泡倍率は、1.1倍〜3倍が通常であり、好
ましくは1.2倍〜2.5倍である。
【0023】前記周期構造を持つ連続発泡体の場合は、
1周期の長さが5nm以上100μm以下であり、好ま
しくは、10nm以上50μm以下である。周期が10
0μmを超えると、発泡構造が「す」の状態となる恐れ
があり、5μm未満の場合は、気孔相が小さすぎて、連
続発泡体のメリット、例えばフィルタ機能が期待できな
い恐れがある。樹脂発泡体の発泡倍率は、周期構造が保
持される限り制限はないが、通常、1.1倍〜3倍、好
ましくは1.2倍〜2.5倍である。
【0024】前述した樹脂組成物(ナノコンポジット)
を製造する方法の例を下記するが、特にそれらに制限さ
れるものではない。 (重合法)12-アミノドデカン酸のアンモニウム塩でイ
オン交換したモンモリロナイトとε-カプロラクタムを
任意の割合で混合し、100℃でモンモリロナイトのケ
イ酸塩層を膨潤させる。次に、250℃で層間において
カプロラクタムの開環重合を進行させると、重合の進行
とともに層は広がり、ナイロン6中にモンモリロナイト
層が均一に分散したナイロン6/粘土ハイブリッド(N
CH)が合成できる。
【0025】(混練法その1)特開平9−183910
号公報等のように、層状珪酸塩を、分子中にオニウムイ
オン基を有する膨潤剤で処理した膨潤済み層状珪酸塩
を、混練機内で樹脂と混練しながら、層状珪酸塩を分散
させる方法が挙げられる。
【0026】(混練法その2)層電荷0.1〜0.7を
有する2:1型層状化合物、例えばNa−弗化四珪素雲
母(層電荷0.6)0.1〜40重量部、ヒドロキシア
ルミニウムビス(4−t−ブチルベンゾエート)等の造
核剤0.01〜5重量部及びポリプロピレン等の熱可塑
性樹脂100重量部を溶融混練しながら、層状珪酸塩を
分散させる方法が挙げられる。層状化合物は、混練前に
ジエチルジシクロロシラン等の有機シラン化合物と合せ
たスラリー溶液にして、加圧濾過した物を使用すること
が好ましい。
【0027】(参考例)ポリプロピレン(PP)/エチレン
プロピレンゴム(EPR)/エチレン系共重合体/タルクから
成り、当業者にTSOPと呼ばれることが多い樹脂組成
物は、エラストマー中に結晶をミクロ分散させたエラス
トマーマトリックス型のナノコンポジットということが
できる。このTSOPは、PP相部は約10nmの厚みの
結晶ラメラがミクロドメインを形成し、そのラメラとラ
メラの間には2nm前後の厚みのゴム相(PPの非晶相と
EPRの一部が相互に溶解した相)が存在していることか
ら、一種のナノコンポジットと言える。
【0028】本発明においては、前述の熱可塑性樹脂及
び層状珪酸塩からなるナノコンポジットに、超臨界状態
のガスを浸透させた後、脱ガスさせる方法であれば、特
に制限はない。本発明の樹脂発泡体の製造方法例を下記
する。ここで、超臨界状態とは、気体状態と液体状態と
の中間の性質を示す状態である。ガスの種類で定まった
温度及び圧力(臨界点)以上になると超臨界状態とな
り、樹脂内部への浸透力も液体状態に比べて強くなり、
かつ、均一となり得る。本発明では、超臨界状態の際に
樹脂に浸透するものであれば、ガスの種類は問わない。
例えば、二酸化炭素、窒素、空気、酸素、水素、ヘリウ
ム等の不活性ガスを例示することができるが、特に二酸
化炭素、窒素が好ましい。
【0029】超臨界ガスを樹脂組成物に浸透させて独立
発泡体を製造する方法及び装置は、該組成物を賦形する
工程と、超臨界ガスを成形体に浸透させた後、脱ガスさ
せて発泡させる工程が別工程であるバッチ式発泡法と、
賦形工程と発泡工程を連続して行う連続式発泡法があ
る。例えば米国特許5158986号、特開平10−2
30528号公報等の製造装置を用いることができる。
【0030】本発明において、押出機内で、前記樹脂組
成物(ナノコンポジット)に超臨界状ガスを浸透させる
射出、又は押出発泡方法(連続式発泡法)においては、
超臨界ガスを押出機内で混練中の樹脂組成物にガスを吹
き込むことが通常である。「樹脂組成物の融点(Tm)
〜(Tm+50)℃)」が好ましく、浸透後に「該樹脂
組成物の結晶化温度[Tc]±20」℃で冷却して脱ガ
スすることが好ましい。冷却することで、樹脂内部に浸
透していたガスが樹脂組成物外に抜けて、内部に緻密な
独立発泡セル又は周期構造を持つ連続空隙が生成する。
その温度が融点未満であると、樹脂組成物の溶融混練が
不十分になり、成形困難となる、(Tm+50)℃より
高いと、樹脂の分解が起る場合がある。脱ガスするため
に、超臨界状ガスの浸透した樹脂組成物を、(Tc±2
0)℃を外れる温度で脱ガスすると、粗大発泡が生成し
たり、発泡は均質であっても、樹脂組成物の結晶化が不
十分で強度、剛性が低下する恐れがある。
【0031】前記射出、又は押出発泡方法(連続式発泡
法)においては、前記樹脂組成物の賦形が金型内で行わ
れる場合、超臨界状ガスを浸透させた樹脂組成物を金型
内に充満させた後、金型を後退させることで、該樹脂組
成物に加わる圧力を減圧することが、特に好ましい。こ
のような操作を行うと、ゲート近傍における発泡不良が
発生しにくくなり、均質な発泡構造体を持つことができ
る。
【0032】前記樹脂組成物(ナノコンポジット)の成
形品を、超臨界状ガスが充填されたオートクレーブ内に
置くことで、ガスを浸透させるバッチ式発泡法において
は、ガス雰囲気中の温度が(Tc−20)〜(Tc+5
0)℃の範囲で超臨界状ガスを樹脂組成物に浸透させ、
(Tc±20)℃で脱ガスさせることが好ましい。ガス
浸透時が(Tc±20)℃の時は、温度を維持したまま
減圧するか、ゆっくりと降温させると良い。要は、(T
c±20)℃の温度範囲を、脱ガスする為に十分な時間
通過すれば良い。(Tc±20)℃を外れる温度で脱ガ
スすると、粗大発泡が生成したり、発泡は均質であって
も、樹脂組成物の結晶化が不十分で強度、剛性が低下す
る恐れがある。
【0033】ガスを浸透させる量は目的とする発泡倍率
に応じて決定されるが、連続式発泡法、バッチ式発泡法
の何れにおいても、熱可塑性樹脂と層状珪酸塩の総和を
100重量%として、0.1〜20重量%、好ましく
は、1〜10重量%である。ガスを浸透させる時間は特
に制限はなく、浸透方法や樹脂の厚みにより適宜選択で
きる。バッチ式で浸透させる場合には、10分〜2日が
通常であり、好ましくは、30分〜3時間である。ま
た、射出・押出方法の場合には、浸透効率が高くなるた
め、20秒〜10分でよい。
【0034】尚、連続発泡法、バッチ式発泡法のいずれ
におても、均質な独立発泡セルを持つ発泡構造を得るに
は、前記樹脂組成物の冷却速度が0.5℃/sec未満
で、結晶化温度以下まで冷却することが好ましい。冷却
速度が0.5℃/secを超えると、独立発泡セルの他
に、連続した発泡部が生成する恐れがあり、均質な発泡
構造にならない場合がある。
【0035】さらに、均質な独立発泡セルを持つ発泡構
造を得るには、前記樹脂の減圧速度は20MPa/sec未
満が好ましく、より好ましくは15MPa/sec未満、特
に0.5MPa/sec未満であることが好ましい。減圧速
度が20MPa/sec以上の場合は、独立発泡セルの他
に、連続した発泡部が生成する恐れがあり、均質な発泡
構造にならない場合がある。尚、我々の研究の結果、減
圧速度が20MPa/sec以上の場合でも、冷却しなけれ
ば、又は極めて冷却速度を遅くすれば、球状の独立気泡
が形成され易いことが判明した。
【0036】次に、樹脂相と気孔相とが各々連続して形
成され、互いに絡み合った周期構造を持つ発泡体の製造
方法について説明する。ポイントは、超臨界状態のガス
を、結晶樹脂と層状珪酸塩からなる前記樹脂組成物に浸
透させ、ガスが浸透した樹脂に、急冷と急減圧とを略同
時に行うことである。このような操作を行うことで、ガ
スが抜けた後には気孔相が形成され、この気孔相と樹脂
相とが各々連続相を形成し、かつ、これらが絡み合った
状態が保持される。
【0037】超臨界ガスを樹脂に浸透させる方法及び装
置は、独立発泡セル型の製造方法及び装置と同様な物が
使える。超臨界状ガスを樹脂組成物に浸透させる、好ま
しい温度、圧力条件も独立発泡セル型の製造方法と同様
で良い。ガス浸透後の冷却は、冷却速度が少なくとも
0.5℃/sec以上、好ましくは5℃/sec以上、さらに
好ましくは10℃/secである。冷却速度の上限値は樹
脂発泡体の製造方法によって異なるが、バッチ式発泡法
では50℃/secであり、連続式発泡法では1000℃
/secである。冷却速度が0.5℃/sec未満であると、
気孔相が独立気泡を有する球状に形成されることにな
り、連結多孔構造の機能を達成することができない。冷
却速度が前記上限値を超えると、冷却装置の設備が大掛
かりなものになり、樹脂発泡体の製造コストが高いもの
になる。
【0038】さらに、脱ガス工程における減圧速度は、
0.5MPa/sec以上が好ましく、15MPa/sec以上が
より好ましく、特に、20MPa/sec以上が好ましく、
かつ、50MPa/sec以下が好ましい。減圧されて最
終的に50MPa以下になった場合には、連結多孔構造が
凍結維持される。減圧速度が0.5MPa/sec未満であ
ると、気孔相が独立気泡を有する球状に形成されること
になり、連結多孔構造の機能を達成することができな
い。減圧速度が50MPa/secを超えると、冷却装置の
設備が大掛かりなものになり、樹脂発泡体の製造コスト
が高いものになる。
【0039】減圧と急冷とは略同時に行う。略同時と
は、本願発明の目的を達成する範囲での誤差を許容する
意味である。ただし、我々が研究した結果、ガスが浸透
した樹脂の急冷を先行させて急減圧を後で行う場合は問
題がないが、冷却しないで急減圧のみを行うと、樹脂に
球状の独立気泡が形成され易いことが判明した。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。本発明おいて、発泡させる熱可塑
性樹脂と層状珪酸塩からなる樹脂組成物は、後述する実
施例に記載の方法、特開平9−183910号公報と同
様な方法で製造することができる。好ましくは、溶融張
力(MT)が「logMT>−0.8(logMI)+
0.54」を満足する樹脂組成物を用いる。ナノコンポ
ジットにすれば、上記式を満足する場合もあるが、電子
線、放射線照射により架橋させた熱可塑性樹脂を用いる
ことも一方法である(架橋法は、特公平7−45551
号公報等の製法で良い)。この樹脂組成物を発泡させ
て、発泡セルの長径が10μm以下、又は周期が5nm
以上100μm以下の周期構造を持ち、発泡体中の該層
状珪酸塩の平均粒子が100nm以下であり、かつ広角
X線回折によるピーク角値が確認できないことを特徴と
する発泡体を得る。
【0041】以下に、そのような発泡体の成形方法等に
ついて説明する。本発明の樹脂発泡体のうち、独立発泡
体について、公知の独立発泡セルを持つ発泡体と同様な
構造である。但し、発泡セルの長径が10μm以下と非
常に小さいことに特徴がある。図は略する。
【0042】図1には、本実施形態にかかる、樹脂相2
と気孔相3とが各々連続して形成されるとともに、互い
に絡み合った周期構造を備える樹脂発泡体が示されてい
る。図1において、樹脂発泡体1は、マトリックス相と
称される樹脂相2と、気孔相3とからなる。これらの樹
脂相2と気孔相3とが各々連続して形成されるととも
に、互いに絡み合った周期構造を備える。この周期構造
は、変調構造と称されるもので、樹脂相2と気孔相3と
の濃度ゆらぎが周期的に変化するものである。このゆら
ぎの1周期の長さXが周期構造の1周期の長さ寸法であ
り、本実施形態では、1周期の長さXは5nm以上10
0μm以下であるが、好ましくは、10nm以上50μ
m以下である。
【0043】次に、本実施形態の樹脂発泡体の製造方法
を図2に基づいて説明する。図2(A)はバッチ式で浸
透工程を行うための装置を示し、図2(B)は冷却・減
圧工程を行うための装置を示す。図2(A)において、
所定の樹脂組成物1Aはオートクレーブ10の内部に配
置される。このオートクレーブ10は、樹脂組成物1A
を加熱するためのオイルバス11に浸されており、その
内部には樹脂組成物1Aに浸透させるガスがポンプ12
によって供給される。本実施形態では、樹脂組成物1A
を、(その結晶化温度[Tc]−20)〜(Tc+5
0)℃の範囲に昇温させる。これにより、樹脂組成物1
Aは超臨界状態のガス雰囲気中に配置されることにな
る。
【0044】図2(B)においては、オートクレーブ1
0ごとアイスバス20に配置される。このアイスバス2
0は、その内部にドライアイス等の冷媒や、徐冷する場
合の温水や油等を導入、排出できる構造であり、オート
クレーブ10を冷却することで、樹脂組成物1Aを冷却
する。また、オートクレーブ10には圧力調整装置21
が接続されており、オートクレーブ10から排出される
ガスの量を調整することで、オートクレーブ10の内部
圧力が調整される。なお、本実施形態では、アイスバス
に代えてアイスボックスを用いてもよい。
【0045】本実施形態において、独立発泡セルを持つ
発泡体を得る場合は、ガスが浸透された樹脂組成物1A
を冷却及び/又は減圧することで、脱ガスする。図2の
様な周期構造を持つ発泡体を得る場合は、ガスが浸透し
た樹脂組成物1Aに急冷と急減圧と略同時に行うこと
で、脱ガスする。樹脂組成物1Aの冷却速度、減圧速度
は前述の範囲で行う。
【0046】図3は、射出成形中に超臨界ガスの浸透工
程を行う連続式発泡法の装置を示す。前述の重合法、混
練法、参考例等の方法で予め製造していた、熱可塑性樹
脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜40重量部から
なり、該樹脂組成物中の層状珪酸塩の平均粒子が100
nm以下であり、かつ広角X線回折によるピーク角値が
確認できない樹脂組成物(ナノコンポジット)を、ホッ
パー31から射出成形機内に投入する。又は、前述の混
練法その1、その2に記載の様に、熱可塑性樹脂、層状
珪酸塩、必要に応じ造核剤をホッパー31から射出成形
機32内に投入し、ナノコンポジットを製造しながら超
臨界ガスを浸透させても良い。
【0047】ガスボンベ33から出た二酸化炭素、窒素
等を昇圧機34で臨界圧力、臨界温度以上に昇圧し、制
御ポンプ35を開き、射出成形機32内に吹き込むこと
で、前記樹脂組成物(ナノコンポジット)に超臨界ガス
を浸透させる。
【0048】超臨界ガスが浸透した樹脂組成物は、金型
36のキャビティ37内に充満される。樹脂組成物がキ
ャビティ37内に流入することで、樹脂組成物に加わる
圧力が減少すると、完全にキャビティ内に充満する前に
浸透させたガスが抜ける可能性がある。これを防ぐため
に、カウンタープレッシャーを加えておいても良い。完
全に充満した後、金型36のキャビティ37内に加える
型圧を低くすることで、樹脂組成物に加わる圧力を、樹
脂組成物に加わる圧力は急減し、脱ガスが促進される。
【0049】
【実施例】次に、本実施形態の効果を確認するために、
実施例を説明する。なお、本発明は、これらの実施例に
よって限定されるものではない。 実施例1 [シラン処理粘土スラリーの製造例]内容積5リットル
の三つ口フラスコに蒸留水4リットルを入れ、スターラ
ーで攪拌しながら弗化四珪素雲母(コープケミカル社
製、商品名 ソマシフ)20gを徐々に添加した。添加
後、室温で1時間攪拌し、粘土コロイド水溶液を調製し
た。つぎにジエチルジクロロシラン8ミリリットルを粘
土コロイド水溶液に徐々に滴下した。滴下後、室温で1
時間攪拌を続け、次いで100℃に昇温し、同温度で4
時間水溶液を攪拌した。この間にコロイド溶液は粘土ス
ラリー溶液に変化した。このスラリー溶液を加圧器(空
気圧0.5MPa、膜孔径3μmのメンブレンフィルタ
ー使用)で熱時濾過した。濾過に要した時間は7分であ
った。
【0050】得られた濾過物を室温において乾燥させ、
乾燥した濾過物10gをトルエン250mlに懸濁さ
せ、更に、トリイソブチルアルミニウムのトルエン水溶
液(0.5モル/リットル)250mlを添加し、10
0℃で1時間攪拌し、スラリーを得た。得られたスラリ
ーは、トルエンで洗浄した後、トルエンを加えて液全量
を250mlに調整し、シラン処理粘土スラリーとし
た。
【0051】[重合による粘土含有熱可塑性樹脂組成物
の製造例]内容積1.6リットルのオートクレーブにト
ルエン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5
ミリモル、前記シラン処理粘土スラリーを10ml(シ
ラン処理粘土1.0g含有)を順次投入し、70℃に昇
温した。同温度で5分間保持した後、ヘプタンで懸濁さ
せたジメチルシリレンビス(2−メチルー4−ベンゾイ
ンデニル)ジルコニウムジクロライドの溶液(1μモル
/ミリリットル・ヘプタン)0.6mlを添加した。そ
してプロピレンガスを連続的に供給しながら、内温70
〜71℃の範囲に収まるように反応圧力を徐々に昇圧し
た。反応圧力が0.7MPa(ゲージ圧)に達した時点で
昇圧を止めた。そして18分後にプロピレンガスの導入
を止め、メタノールを添加することにより重合を停止し
た。次に得られた樹脂組成物を、濾過分離し、減圧下9
0℃で12時間乾燥させた。その結果、26.3gの樹
脂組成物が得られ、そのうち無機フィラーの含量は3.
8重量%であった。
【0052】[発泡用成形体の製造例及びキャラクタリ
ゼーション]こうして得られた樹脂組成物は、東洋精機
社製造ラボプラストミルにて210℃において5分間加
熱しながら、せん断処理した。混練後の樹脂組成物を2
10℃の熱プレス機にて60mm×60mm,厚み30
0μmの成形体とし、この一部を切り出し、発泡試験に
供試すると共に、諸特性を測定した。 (1)MI:3.5g/10分(230℃−2.16k
g荷重) (2)溶融張力MT:1.8g (東洋精機(株)社製 キ
ャピログラム使用。キャピラリー形状:径=2.095
mm、長さ=8.0mm、流入角90°、シリンダー径
9.0mm、押出速度10mm/分、巻取り速度3.1
4m/分) (3)広角X線回折(WAXS)による底面間隔の測定 X線発生装置(リガク電機製RJ200)を用い、ター
ゲットCuKα線、モノクロメータ、電圧50kV、電
流180mA、走査角2θ=1.5〜40.0°、ステ
ップ角=0.1°の測定条件で底面間隔を測定した。底
面間隔は、広角X線回折ピーク角値をBraggの式に代入
して算出した。ただし、広角X線ピーク角値の確認が困
難である場合は、層が十分に劈開して結晶性が実質的に
消失したか、あるいはピーク角値がおおよそ1.5°以
下である為に確認が困難であるとみなし、底面間隔の評
価結果としては>60Å以上とした。 (4)粘土分散状態の測定 厚み約130nmの超薄切片を用いた。透過型電子顕微
鏡(日本電子JEM-1010)を用い、加速電圧100kVで
倍率4万倍〜100万倍で粘土複合体の分散状態を観測
撮影した。100個以上の分散粒子が存在する領域を選
択し、粒子数、層厚および層長を、目盛り付きの定規を
用いた手計測または、必要に応じて米国立衛生研究所の
NIH Image V.1.57を用いて処理することにより測定し
た。平均アスペクト比は個々の粘土複合体の層長と層厚
の比の数平均とした。これにより、平均アスペクト比
は、100と判定した。
【0053】[超臨界ガスによる発泡成形例]得られた
フィルムを図2記載の超臨界発泡装置のオートクレーブ
(内寸40mmφ×150mm)中に置き、二酸化炭素
の超臨界流体を用いて室温で圧力15MPaまで昇圧させ
た後、表1(実施例)の含浸温度条件にてオートクレー
プを油浴中に浸し、そのまま1時間保持して二酸化炭素
を含浸した。その後、所定の温度にて圧力弁を開放して
7秒で常圧まで脱圧すると同時に水浴に浸して冷却し
て、発泡フィルムを調製した。得られた発泡フィルムの
気泡の平均粒子径(長径)及び気泡密度(セル密度)、
気泡(セル)の均一性を評価した。平均粒子径(長径)
及び気泡密度(セル密度)については、SEM観察写真
の断面切片より、通常法により評価した。気泡(セル)
の均一性はSEM観察写真より、目視評価した。
【0054】実施例2 [発泡用成形体の製造例 −その1−]メノウ乳鉢にホ
モポリプロピレン(出光石油化学株式会社製造、グレー
ド名H100M)18.5g、ヒドロキシアルミニウム
ビス(4−t−ブチルベンゾエート)を0.5g、合成
ヘクトライト(コープケミカル社製造、商品名SWN)
1gをとり、軽くドライブレンドした。これを東洋精機
社製ラボプラストミル(内容積30cc)に移し、21
0℃において5分間混練を行った。熱いうちにベッセル
からとりだし、徐々に室温まで冷却した。さらにこれを
210℃の熱プレス機にて60mm×60mm,厚み3
00μmの成形体とし、この一部を切り出し、発泡試験
に供試した。該サンプルの無機フィラー含量は4.9重
量%。キャラクタリゼーションは、実施例1に準じて実
施し粘土層間を表す底面間隔は60Å以上、平均アスペ
クト比は60であると判定した。尚、MIは2.0g/
10分、溶融張力MTは2.3gであった。
【0055】[超臨界ガスによる発泡成形例]表1(実
施例2)の含浸温度条件にした以外は実施例1と同様に
処理して、評価した。
【0056】実施例3 [混練による熱可塑性樹脂組成物の製造例 −その2
−]メノウ乳鉢にホモポリプロピレン(出光石油化学株
式会社製造、グレード名H100M)17.0g、無水
マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成製造 商品名
ユーメックス1001)2g、有機化粘土(Nanoc
ore社製造、Cloisite6A)1gをとり、軽
くドライブレンドした。これを東洋精機社製ラボプラス
トミル(内容積30cc)に移し、210℃において5
分間混練を行った。熱いうちにベッセルからとりだし、
徐々に室温まで冷却した。さらにこれを210℃の熱プ
レス機にて60mm×60mm,厚み300μmの成形
体とし、この一部を切り出し、発泡試験に供試した。該
サンプルの無機フィラー含量は3.6重量%、キャラク
タリゼーションは、実施例1に準じて実施し、粘土層間
を表す底面間隔は60Å以上、平均アスペクト比は70
であると判定した。なお、MIは3.1g/10分、M
Tは1.6gであった。
【0057】[超臨界ガスによる発泡成形例]表1(実
施例3)の含浸温度条件にした以外は実施例1と同様に
処理して、評価した。
【0058】比較例1 [混練による熱可塑性樹脂組成物の製造例 −その2
−]メノウ乳鉢にホモポリプロピレン(出光石油化学株
式会社製造、グレード名H100M)19.0g、精製
タルク(TP-A25 富士タルク(株)社製)1gをとり、
軽くドライブレンドした。これを東洋精機社製ラボプラ
ストミル(内容積30cc)に移し、210℃において
5分間混練を行った。熱いうちにベッセルからとりだ
し、徐々に室温まで冷却した。さらにこれを210℃の
熱プレス機にて60mm×60mm,厚み300μmの
成形体とし、この一部を切り出し、発泡試験に供試し
た。該サンプルの無機フィラー含量は4.9重量%。キ
ャラクタリゼーションは、実施例1に準じて実施し粘土
層間を表す底面間隔は10Å、平均アスペクト比は10
であると判定した。尚、MIは2.0g/10分、MT
は1.8であった。
【0059】[超臨界ガスによる発泡成形例]表1(比
較例1)の含浸温度条件にした以外は実施例1と同様に
処理して、評価した。実施例1〜実施例3、および比較
例1の製造条件、混練条件、溶融特性、CO 2含浸条件
を表1に示す。また、各実施例および比較例1における
樹脂組成物の分散構造、および発泡体特性の評価結果を
表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】表1および表2に示されるように、フィラ
ーとして弗化珪素雲母、ヘクトライト、モンモリロナイ
トを使用した実施例1〜実施例3では、樹脂組成物中の
フィラーが比較例1と比較して充分に均一に分散してい
ることが判る。この結果、得られた実施例1〜実施例3
に係る発泡体は、気泡の平均粒子径が10μm以下と小
さく、かつセル密度も比較例1と比較して倍以上であ
り、比弾性率の高い、均質で緻密な発泡体であることが
確認された。
【0063】
【発明の効果】本発明では、均質で緻密な発泡構造体を
持つ発泡体が得られると共に、高強度、高衝撃性で、か
つ軽量な発泡体を得ることができた。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる樹脂発泡体を示す
もので、(A)は樹脂発泡体の要部を拡大した概略斜視
図であり、(B)は樹脂発泡体の二次元の模式図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態にかかる樹脂発泡体の製造
方法(バッチ発泡法)を実施するための装置を示すもの
で、(A)はガスの浸透工程を実施するための装置概略
図、(B)は冷却・減圧工程を実施するための装置概略
図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる樹脂発泡体の製造
方法(連続発泡法)を実施するための装置を示す。
【符号の説明】
37 金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 101:12 B29K 101:12 105:16 105:16 (72)発明者 伊藤 和彦 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 川東 宏至 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 野村 学 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 小中澤 岳仁 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 Fターム(参考) 4F074 AA24 AB05 AC32 AE01 BA32 CC04X CC04Y CC05X CC05Y CC10X CC32X CC32Y CC34Y DA02 DA03 4F212 AA11 AB27 AG20 UA17 UB01 UC05 UN15 UN21 4J002 BB031 BB121 BC031 BG061 BN151 CF071 CG001 CL001 CM041 CN031 DJ006 DJ056

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩
    0.1〜40重量部からなる樹脂組成物に、超臨界状ガ
    スを浸透させた後、脱ガスさせて得られる樹脂発泡体で
    あって、発泡体中の該層状珪酸塩の平均粒子径(長径)
    が100nm以下であり、広角X線回折によるピーク角
    値が確認できないことを特徴とする樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】前記樹脂組成物のメルトインデックス(M
    I)が0.4〜60g/10分の範囲で、かつ溶融張力
    MTが下記の式(1)を満足することを特徴とする請求
    項1に記載の樹脂発泡体。 【数1】 logMT>−0.8(logMI)+0.54……式(1)
  3. 【請求項3】前記発泡体の発泡セル径が10μm以下で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂発泡
    体。
  4. 【請求項4】前記樹脂発泡体が、樹脂相と気孔相とが各
    々連続して形成され、互いに絡み合った周期構造を持つ
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩
    0.1〜40重量部からなり、該樹脂組成物中の層状珪
    酸塩の平均粒子径(長径)が100nm以下、かつ広角
    X線回折によるピーク角値が確認できない樹脂組成物
    に、超臨界状ガスを、該樹脂組成物の融点(以下、Tm
    と呼ぶ)〜(Tm+50)℃の範囲にある時に浸透させ
    た後、(該樹脂組成物の結晶化温度[以下、Tcと呼
    ぶ]±20)℃の範囲まで冷却して脱ガスすることを特
    徴とする、樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記樹脂組成物の賦形は金型内で行われ、
    超臨界状ガスを該樹脂組成物に浸透させた後、金型を後
    退させて、かつ金型内を減圧及び/又は冷却して脱ガス
    することを特徴とする、請求項5に記載の樹脂発泡体の
    製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩
    0.1〜40重量部からなり、該樹脂組成物中の層状珪
    酸塩の平均粒子径(長径)が100nm以下、かつ広角
    X線回折によるピーク角値が確認できない樹脂組成物の
    成形品に、超臨界ガスを、ガス雰囲気中の温度が、(T
    c−20)〜(Tc+50)℃の範囲で浸透させた後、
    (Tc±20)℃の範囲まで冷却して脱ガスすることを
    特徴とする、樹脂発泡体の製造方法。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂100重量部、層電荷0.1
    〜0.7を有する2:1型層状化合物及び造核剤0.0
    1〜5重量部からなる樹脂組成物に、超臨界状ガスを浸
    透させることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1
    項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  9. 【請求項9】樹脂組成物のメルトインデックス(MI)
    が0.4〜60g/10分の範囲で、かつ溶融張力MT
    が下記の式(1)を満足することを特徴とする請求項5
    〜8のいずれか1項記載の樹脂発泡体の製造方法。 【数2】 logMT>−0.8(logMI)+0.54……式(1)
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