JP2002347359A - 多色画像形成材料 - Google Patents

多色画像形成材料

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JP2002347359A
JP2002347359A JP2002007637A JP2002007637A JP2002347359A JP 2002347359 A JP2002347359 A JP 2002347359A JP 2002007637 A JP2002007637 A JP 2002007637A JP 2002007637 A JP2002007637 A JP 2002007637A JP 2002347359 A JP2002347359 A JP 2002347359A
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JP2002007637A
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English (en)
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Mitsuru Yamamoto
充 山本
Teruhiro Shimomura
彰宏 下村
Naotaka Wachi
直孝 和地
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品位・高安定性で、印刷一致性に優れた大サ
イズのDDCPを提供すること。 【解決手段】受像層を有する受像シートと、支持体上に
少なくとも光熱変換層と画像形成層とを有する少なくと
も4種類以上の色の異なる熱転写シートを用い、各熱転
写シートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対
向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層
のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写し
て画像記録する多色画像形成材料において、前記各熱転
写シートの光熱変換層の光学濃度(OD)と層厚の比O
D/層厚(μm単位)が0.57以上であり、多色画像
の記録面積が515mm以上×728mm以上のサイズ
であることを特徴とする多色画像形成材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を用い
て高解像度のフルカラー画像を形成する多色画像形成材
料と多色画像形成方法に関する。特に、本発明はデジタ
ル画像信号からレーザー記録により、印刷分野における
カラープルーフ(DDCP:ダイレクト・ディジタル・
カラープルーフ)、あるいはマスク画像を作製するのに
有用な多色画像形成材料と多色画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グラフィックアート分野では、カラー原
稿からリスフィルムを用いて作製された一組の色分解フ
ィルムを使用して印刷版の焼付けが行われるが、一般
に、本印刷(実際の印刷作業)の前に色分解工程での誤
りや色補正の必要性等をチェックするために、色分解フ
ィルムからカラープルーフを作製している。カラープル
ーフには、中間調画像の高再現性を可能とする高解像力
の実現や、高い工程安定性等の性能が望まれている。ま
た、実際の印刷物に近似したカラープルーフを得るため
に、カラープルーフに使用される材料としては、実際の
印刷物に使用される材料、例えば基材としては印刷本紙
を、色材としては顔料を用いることが好ましい。また、
カラープルーフの作製方法としては、現像液を用いない
乾式の方法の要望が高い。
【0003】乾式のカラープルーフ作製法として、最近
の印刷前工程(プリプレス分野)における電子化システ
ムの普及に伴い、デジタル信号から直接カラープルーフ
を作製する記録システムが開発されている。このような
電子化システムは、特に高画質のカラープルーフを作製
するのが目的であり、一般的には、150線/インチ以
上の網点画像を再現する。デジタル信号から高画質のプ
ルーフを記録するためには、デジタル信号により変調可
能で、かつ記録光を細く絞り込むことが可能なレーザー
光を記録ヘッドとして用いる。このため、レーザー光に
対して高い記録感度を示し、かつ、高精細な網点を再現
可能にする高解像力を示す画像形成材料の開発が必要と
なる。
【0004】レーザー光を利用した転写画像形成方法に
用いられる画像形成材料としては、支持体上に、レーザ
ー光を吸収して熱を発生する光熱変換層、及び顔料が熱
溶融性のワックス、バインダー等の成分中に分散された
画像形成層をこの順に有する熱溶融転写シート(特開平
5−58045号公報)が知られている。これらの画像
形成材料を用いる画像形成方法では、光熱変換層のレー
ザー光照射領域で発生した熱によりその領域に対応する
画像形成層が溶融し、転写シート上に積層配置された受
像シート上に転写され、受像シート上に転写画像が形成
される。
【0005】また、特開平6−219052号公報に
は、支持体上に、光熱変換物質を含む光熱変換層、非常
に薄層(0.03〜0.3μm)の熱剥離層、色材を含
む画像形成層がこの順に設けられた熱転写シートが開示
されている。この熱転写シートでは、レーザー光を照射
されることによって、前記熱剥離層の介在により結合さ
れている画像形成層と光熱変換層との間の結合力が、低
減され、熱転写シート上に積層配置した受像シート上
に、高精細な画像が形成される。前記熱転写シートを用
いた画像形成方法は、所謂「アブレーション」を利用し
ており、具体的には、レーザー光の照射を受けた領域
で、熱剥離層が一部分解し、気化するため、その領域で
の画像形成層と光熱変換層との間の接合力が弱まり、そ
の領域の画像形成層が上に積層した受像シートに転写さ
れる現象を利用している。
【0006】これらの画像形成方法は、受像シート材料
として受像層(接着層)を付設した印刷本紙を用いるこ
とができること、色の異なる画像を次々と受像シート上
に転写することによって多色画像が容易に得られること
等の利点を有し、特にアブレーションを利用する画像形
成方法は、高精細な画像が容易に得られるという利点を
有し、カラープルーフ(DDCP:ダイレクト・ディジ
タル・カラープルーフ)、あるいは高精細なマスク画像
を作製するのに有用である。
【0007】DTP環境が進む中、CTP(Compu
ter To Plate)使用先は中間のフィルム出
し工程がなくなり、校正刷りやアナログ方式のプル−フ
からDDCP方式によるプル−フニ−ズが強くなってき
ているが、近年さらに高品位・高安定性で、印刷一致性
に優れた大サイズのDDCPが望まれている。レ−ザ−
熱転写方式は高解像度での印画が可能であり、従来から
レ−ザ−昇華方式、レ−ザ−アブレ−ション方式、
レ−ザ−溶融方式等のシステムがあるが、いずれも記
録網点形状がシャ−プでないという問題があった。の
レ−ザ−昇華方式は色材として染料を用いているため、
印刷物近似性が十分ではなく、かつ色材が昇華する方式
であるため網点の輪郭がぼやけてしまい、解像度が十分
高くないという問題があった。一方、レ−ザ−アブレ−
ション方式は色材として顔料を用いているため印刷物近
似性は良好であるが、色材が飛散する方式であるため昇
華方式と同様に網点の輪郭がぼやけてしまい、解像度が
十分高くないという問題があった。更にのレ−ザ−溶
融方式も溶融物が流動するのでクリヤ−な輪郭が出ない
という問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明の目的は高品位・高安定性で、印
刷一致性に優れた大サイズのDDCPを提供することで
あり、具体的には本発明は、1)熱転写シートは顔料色
材、印刷物との比較でも照明光源の影響を受けない、色
材薄膜の転写で、網点のキレ、安定性に優れること、
2)受像シートはレーザーエネルギー熱転写シートの画
像形成層を安定、確実に受像できること、3)アート
(コート)紙、マット紙、微塗工紙等少なくとも64〜
157g/m2 の範囲に対応して本紙転写可能、微妙な
質感描写や正確な紙白(ハイキー部)再現が出来るこ
と、4)更にきわめて安定した転写剥離性が得られるこ
とである。異なる温湿度条件下において、マルチビーム
であるレーザー光により、高エネルギーでレーザー記録
した場合も、画質が良好であり、安定した転写濃度の画
像を受像シート上に形成し得る、多色画像形成方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の(1)〜
(44)に記載の通りである。 (1)受像層を有する受像シートと、支持体上に少なく
とも光熱変換層と画像形成層とを有する少なくとも4種
類以上の色の異なる熱転写シートを用い、各熱転写シー
トの画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して
重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成層のレー
ザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写して画像
記録する多色画像形成材料において、前記各熱転写シー
トの光熱変換層の光学濃度(OD)と層厚の比OD/層
厚(μm単位)が0.57以上であり、多色画像の記録
面積が515mm以上×728mm以上のサイズである
ことを特徴とする多色画像形成材料。 (2)前記各熱転写シートの光熱変換層の光学濃度(O
D)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が1.95以上
であることを特徴とする前記(1)記載の多色画像形成
材料。 (3)前記各熱転写シートの光熱変換層の光学濃度(O
D)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が4.01以上
であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の
多色画像形成材料。 (4)前記光熱変換層の光熱変換物質がインドレニン染
料を含むシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレ
ン系色素、フタロシアニン系染料から選ばれる有機染料
またはカ−ボンブラックであることを特徴とする前記
(1)〜(3)の何れかに記載の多色画像形成材料。 (5)前記有機染料が下記構造を有することを特徴とす
る前記(4)記載の多色画像形成材料。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 及びR2 は同一でも異なって
もよく、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基
を示し、X-は陰イオンを示す。ナフタレン環は置換基
を有していてもいなくても良い) (6)前記熱転写シートがイエロー、マゼンタ、シア
ン、及びブラックを含む4種類以上の色からなり、レー
ザー光照射による前記各色の熱転写シートにおける光熱
変換層は、単位層厚当たりの光学濃度が等しく、かつ層
厚が異なるようにして光熱変換層当たりの光学濃度を各
色の熱転写シートで異なるようにしてなることを特徴と
する前記(1)記載の多色画像形成材料。 (7)前記各色の熱転写シートにおける光熱変換層は、
同一の塗布液を用いて形成したことを特徴とする前記
(6)に記載の多色画像形成材料。 (8)前記各色の熱転写シートにおいて、前記レーザー
光照射によるブラックの熱転写シートの光熱変換層の光
学濃度が、最も低いことを特徴とする前記(6)または
(7)に記載の多色画像形成材料。 (9)支持体上に少なくとも受像層を有する受像シート
と、支持体上に少なくとも光熱変換層と画像形成層とを
有する、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを
含む4種類以上の色の熱転写シートとからなる多色画像
形成材料において、前記熱転写シートの光熱変換層中の
マット剤含有量が、各色の熱転写シートで異なることを
特徴とする前記(6)〜(8)のいずれかに記載の多色
画像形成材料。 (10)前記各色の熱転写シートにおける光熱変換層
は、単位層厚当たりのマット剤含有量が等しく、かつ層
厚が異なることを特徴とする前記(9)に記載の多色画
像形成材料。 (11)前記各色の熱転写シートにおける光熱変換層
は、同一の塗布液を用いて形成したことを特徴とする前
記(9)又は(10)に記載の多色画像形成材料。 (12)前記各色の熱転写シートにおいて、前記ブラッ
クの熱転写シートの光熱変換層中のマット剤含有量が、
最も低いことを特徴とする前記(9)〜(11)のいず
れかに記載の多色画像形成材料。 (13)前記光熱変換層のレーザー光のピーク波長にお
ける光学濃度が、0.80〜1.49であることを特徴
とする前記(6)〜(12)のいずれかに記載の多色画
像形成材料。 (14)前記光熱変換層中に含まれる光熱変換剤がカー
ボンブラック、グラファイト、コロイド銀以外のもので
あることを特徴とする前記(6)〜(13)のいずれか
に記載の多色画像形成材料。 (15)前記光熱変換剤が、シアニン色素であることを
特徴とする前記(6)〜(13)のいずれかに記載の多
色画像形成材料。 (16)前記光熱変換層が光熱変換物質と樹脂を含み、
該光熱変換層の700〜1200nmにおける最大吸光
度の半値幅が200nm以下であることを特徴とする前
記(1)又は(6)記載の多色画像形成材料。 (17)前記光熱変換層上に少なくとも中間層を設ける
ことを特徴とする前記(16)に記載の多色画像形成材
料。 (18)前記光熱変換物質が赤外線吸収色素であること
を特徴とする前記(16)または(17)に記載の多色
画像形成材料。 (19)前記赤外線吸収色素がシアニン色素であること
を特徴とする前記(18)に記載の多色画像形成材料。 (20)出力50mW以上のレーザーを用いて線速7m
/s以上で行うことを特徴とする前記(16)〜(1
8)のいずれかに記載の多色画像形成材料。 (21)前記光熱変換層および前記画像形成層中に含有
される樹脂としてどちらも非水溶性の樹脂を使用するこ
とを特徴とする前記(16)記載の多色画像形成材料。 (22)前記光熱変換層中に含有する樹脂は、SP値が
16〜22である疎水的溶剤に溶解することを特徴とす
る前記(21)に記載の熱多色画像形成材料。 (23)前記画像形成層中に含有する樹脂は、SP値が
16〜30である非水溶剤に溶解することを特徴とする
前記(21)または(22)に記載の多色画像形成材
料。 (24)前記光熱変換層を設ける際は樹脂を溶解させる
溶剤として疎水的溶剤を用い、画像形成層を設ける際は
樹脂を溶解させる溶剤として非水溶剤を用いることを特
徴とする前記(21)〜(23)にいずれかに記載の多
色画像形成材料。 (25)前記画像形成層を形成するための塗布溶剤への
光熱変換層の光熱変換物質の溶解度が1質量%以下であ
ることを特徴とする前記(21)〜(24)のいずれか
に記載の多色画像形成材料。 (26)前記画像形成層を形成するための塗布溶剤への
光熱変換層の樹脂の溶解度が1質量%以下であることを
特徴とする前記(21)〜(25)のいずれかに記載の
多色画像形成材料。 (27)前記光熱変換層の樹脂の光熱変換層を形成する
ための塗布溶剤への溶解度が0.1質量%以上であるこ
とを特徴とする前記(21)〜(26)のいずれかに記
載の多色画像形成材料。 (28)前記光熱変換層を形成するための塗布溶剤への
光熱変換物質の溶解度が0.1質量%以上であることを
特徴とする前記(21)〜(27)のいずれかに記載の
多色画像形成材料。 (29)前記光熱変換物質が赤外線吸収色素であること
を特徴とする前記(21)〜(28)のいずれかに記載
の多色画像形成材料。 (30)前記画像形成層の樹脂の画像形成層を形成する
ための塗布溶剤への溶解度が0.1質量%以上であるこ
とを特徴とする前記(21)〜(29)のいずれかに記
載の多色画像形成材料。 (31)前記光熱変換層と前記画像形成層との間に中間
層を設けることを特徴とする前記(21)〜(30)の
いずれかに記載の多色画像形成材料。 (32)前記転写画像の解像度が2400dpi以上の
画像であることを特徴とする前記(1)〜(31)の何
れかに記載の多色画像形成材料。 (33)前記転写画像の解像度が2600dpi以上の
画像であることを特徴とする前記(32)記載の多色画
像形成材料。 (34)前記多色画像の記録面積が594mm以上×8
41mm以上のサイズであることを特徴とする前記
(1)〜(33)の何れかに記載の多色画像形成材料。 (35)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が1.50
以上であることを特徴とする前記(1)〜(34)の何
れかに記載の多色画像形成材料。 (36)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が1.80
以上であることを特徴とする前記(35)記載の多色画
像形成材料。 (37)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が2.50
以上であることを特徴とする前記(36)記載の多色画
像形成材料。 (38)前記各熱転写シートの画像形成層および前記受
像シ−トの受像層の水に対する接触角が7.0〜12
0.0°の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜
(37)の何れかに記載の多色画像形成材料。 (39)前記各熱転写シートの画像形成層の光学濃度
(OD)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が1.80
以上であり、前記受像シ−トの水に対する接触角が86
°以下であることを特徴とする前記(1)〜(38)の
何れかに記載の多色画像形成材料。 (40)前記多色画像形成材料を逐次塗布で形成するこ
とにより前記(1)〜(39)のいずれかに記載の多色
画像形成材料を得ることを特徴とする多色画像形成材料
の製造方法。 (41)前記(1)〜(39)の何れかに記載の受像シ
ートと、前記(1)〜(39)の何れかに記載の少なく
とも4種類以上の熱転写シートを用い、各熱転写シート
の画像形成層と前記受像シートの受像層とを対向して重
ね合わせ、該熱転写シートの支持体側からレーザー光を
照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シー
トの受像層上へ転写して画像記録する工程を有する多色
画像形成方法において、前記レーザー光照射領域の画像
形成層を薄膜状態で受像シ−トに転写させることを特徴
とする多色画像形成方法。 (42)前記レーザー光が、半導体レーザー光であるこ
とを特徴とする前記(41)に記載の多色画像形成方
法。 (43)前記レーザー光が、マルチビーム2次元配列か
らなることを特徴とする前記(41)又は(42)に記
載の多色画像形成方法。 (44)前記(41)〜(43)のいずれかに記載の多
色画像形成方法を用いて、受像シートの受像層上に形成
したフルカラー画像を印刷本紙上に再転写することを特
徴とするカラープルーフの作製方法。
【0012】
【発明の実施の形態】我々、本発明者は高品位・高安定
性で、印刷一致性に優れたB2/A2以上更にはB1/
A1以上の大サイズのDDCPを提供するために鋭意検
討した結果、本紙転写・実網点出力・顔料タイプのB2
サイズ以上の画像形成材料および出力機と高品位CMS
ソフトからなるDDCP用レ−ザ−熱転写記録システム
を開発した。
【0013】我々が開発したレ−ザ−熱転写記録システ
ムの性能の特徴、システム構成及び技術ポイントの概要
は次の通りである。性能の特徴はドット形状がシャ−
プであるため、印刷物近似性に優れた網点を再現でき
る。色相の印刷物近似性が良好である。記録品質は
環境温湿度の影響を受けにくく、また繰り返し再現性が
良いため、安定したプル−フを作成できる。このような
性能の特徴が得られる材料の技術的ポイントは薄膜転写
技術を確立したこと、レ−ザ−熱転写システムに要求さ
れる材料の真空密着保持性・高解像度記録への追従・耐
熱性の改良がポイントである。具体的には赤外吸収色
素の導入による光熱変換層を薄膜化すること、高Tg
ポリマ−導入による光熱変換層の耐熱性を強化するこ
と、耐熱性顔料導入により色相安定化を図ること、
ワックス、無機顔料等の低分子成分添加により接着力・
凝集力をコントロ−ルすること、光熱変換層へのマッ
ト剤添加により、画質劣化を伴わないで真空密着性を付
与すること等が挙げられる。システムの技術的ポイント
は記録装置の多数枚連続集積のためのエア−搬送、
熱転写装置の、転写後カ−ル低減のための本紙上挿入、
システム接続拡張性を持たせた汎用出力ドライバ−の
接続等が挙げられる。このように我々が開発したレ−ザ
−熱転写記録システムは多様な性能の特徴、システム構
成及び技術ポイントによって構成されている。しかしこ
れらは例示であって、本発明はこれらの手段に限定され
るものではない。
【0014】我々は個々の素材、光熱変換層、熱転写
層、受像層などの各塗布層、各熱転写シ−トや受像シ−
トなどは個々バラバラに存在するのではなく有機的、総
合的に機能するようにすべきであり、更にこれら画像形
成材料は記録装置や熱転写装置と組み合わされて最高の
性能を発揮するものであるとの考えの基に開発を行っ
た。我々は画像形成材料の各塗布層や構成する素材を十
分吟味しそれらの素材の特長を最大限に引き出す塗布層
を作り画像形成材料とし、この画像形成材料が最高の性
能を発揮するような各種の物理特性の適当な範囲を見出
した。その結果、各素材、各塗布層、各シ−トや物理特
性との関係を極め、さらには画像形成材料と記録装置や
熱転写装置と有機的、総合的に機能させることにより、
思いもかけず、高性能な画像形成材料を見出すことが出
来た。このような我々が開発したシステムにおける本発
明の位置付けは上記材料の技術的ポイントに記載した
赤外吸収色素の導入による光熱変換層を薄膜化すること
に直接関係する重要な発明である
【0015】本発明は上記システムに好適に用いられる
レーザー熱転写多色画像形成材料(以下、画像形成材料
ともいう)に関するものである。画像形成材料は熱転写
シートと受像シートとからなる。本発明は熱転写シート
の光熱変換層の光学濃度(ODLH)と光熱変換層の層厚
LHの比ODLH/TLH(μm単位)を0.57以上、好
ましくは1.95以上、更に好ましくは4.01以上に
制御する。ODLH/TLHの上限は、特になく大きければ
大きいほど好ましく、現時点では他の特性とのバランス
を考慮すれば10程度が限界である。上記ODLHは、本
発明の画像形成材料を記録するに際して、使用するレー
ザー光のピーク波長における光熱変換層の吸光度を言
い、公知の分光光度計を用いて測定を行うことができ
る。本発明では、(株)島津製作所製UV−分光光度計
UV−240を用いた。また、上記光学濃度(またはO
LH)は支持体込みのものから支持体単独の値を差し引
いた値とする。また、TLHは、走査型電子顕微鏡により
光熱変換層の断面を観察して求められる平均厚とする。
ODLH/TLHは記録時の熱伝導性に関わり、感度および
記録の温湿度依存性を大きく左右する指標となる。本発
明はODLH/TLHを上記範囲とすることにより記録時の
受像シートへの転写感度を高くすると共に記録時の温湿
度依存性を小さくすることができる。即ち、ODLH/T
LHを大きくすることにより、転写画像の解像度を好まし
くは2400dpi以上、更に好ましくは2600dp
i以上の解像度でしかも好ましくは記録面積515mm
以上×728mm以上、更に好ましくは594mm以上
×841mm以上のサイズで画像を記録することができ
る。また、光熱変換層は、レーザー光のピーク波長、例
えば、波長808nmの光に対して、0.80〜1.4
9のODLHを有していると、画像形成層の転写感度が向
上するので好ましく、前記波長の光に対して1.10〜
1.35のODLHを有しているとより好ましい。レーザ
ー光のピーク波長における光学濃度が0.80未満であ
ると、照射された光を熱に変換することが不充分とな
り、転写感度が低下することがある。一方、1.26を
超えると、記録時に光熱変換層の機能に影響を与え、か
ぶりが発生することがある。また、光熱変換層の層厚
は、0.03〜1.0μmであるのが好ましく、0.0
5〜0.5μmであるのがより好ましい。
【0016】また、本発明は熱転写シートの画像形成層
の光学濃度(ODI )と画像形成層の層厚TI の比OD
I /TI (μm単位)を1.5以上とすることが好まし
く、1.8以上とすることが更に好ましく、2.50以
上とすることが特に好ましい。ODI /TI の上限は、
特になく大きければ大きいほど好ましく、現時点では他
の特性とのバランスを考慮すると6程度が限界である。
ODI /TI は、画像形成層の転写濃度と転写画像の解
像度の指標となる。ODI /TI を上記範囲とすること
により転写濃度が高くかつ解像度の良好な画像を得るこ
とができる。また、画像形成層をより薄膜とすることに
より色再現性を向上させることができる。ODI は熱転
写シートから受像シートに転写された画像を更に特菱ア
−ト紙に本紙転写したものを、濃度計(X−rite9
38、X−rite社製)にてイエロー(Y)、マゼン
タ(M)、シアン(C)またはブラック(K)等の各色
の色モ−ドにて測定されて得られる反射光学濃度を言
う。また、ブラックの熱転写シートにおける画像形成層
の層厚が、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各熱転写
シートにおける画像形成層の層厚より大きく、かつ、
0.5〜0.7μmであることが好ましい。このように
することにより、ブラックの熱転写シートをレーザー照
射した際に、転写ムラによる濃度の低下を抑えることが
できる。前記ブラックの熱転写シートにおける画像形成
層の層厚を0.5μm以上にすることで、高エネルギー
で記録した際に、転写ムラがなく画像濃度が維持され、
印刷のプルーフとして必要な画像濃度を達成することが
できる。この傾向は、高湿条件下でより顕著となるた
め、環境による濃度変化を抑えることができる。一方、
前記層厚を0.7μm以下にすることで、レーザー記録
時に転写感度が維持でき、小点の付きや、細線も改良さ
れる。この傾向は、低湿条件下でより顕著である。ま
た、解像力も良化できる。前記ブラックの熱転写シート
における画像形成層の層厚は、より好ましくは0.55
〜0.65μmであり、特に好ましくは0.60μmで
ある。
【0017】更に、前記ブラックの熱転写シートにおけ
る画像形成層の層厚が、0.5〜0.7μmであり、前
記イエロー、マゼンタ、及びシアンの各熱転写シートに
おける画像形成層の層厚が、0.2μm以上0.5μm
未満であることが好ましい。前記イエロー、マゼンタ、
及びシアンの各熱転写シートにおける画像形成層の層厚
を0.2μm以上にすることで、レーザー記録時に転写
ムラがなく濃度維持が図られ、一方、0.5μm以下に
することで、転写感度や解像力が改良できる。より好ま
しくは、0.3〜0.45μmである。
【0018】更に、本発明は各熱転写シートの画像形成
層および前記受像シ−トの受像層の水に対する接触角を
各々7.0〜120.0°とすることが好ましい。接触
角は画像形成層と受像層との相溶性、つまり転写性に関
わる指標であり、さらには30.0〜100.0が好ま
しい。また、受像層の水に対する接触角は86°以下で
あることが更に好ましい。接触角を上記範囲とすること
により転写感度を高くすることができ、また記録特性の
温湿度依存性を小さくできるという点で好ましい。ま
た、本発明の各層表面の水に対する接触角はコンタクト
アングルメ−タ−(Contact Angle Me
ter)CA−A型(協和界面科学(株)製)を用いて
測定した値である。
【0019】上述したように本発明の特徴はODLH/T
LH、更にはODI/TIを本発明範囲とすることにより記
録画像を大画面で形成できることである。多色画像の記
録面積は好ましくは515mm以上×728mm以上の
サイズであり、更に好ましくは多色画像の記録面積が5
94mm以上×841mm以上のサイズである。受像シ
−トのサイズは465mm以上×686mm以上のサイ
ズである。
【0020】光熱変換物質は、照射される光エネルギー
を熱エネルギーに変換する機能を有する物質である。一
般的には、レーザー光を吸収することのできる色素(顔
料を含む。以下、同様である。)である。本発明で用い
られる光熱変換物質は、光熱変換層が上記した半値幅を
有していれば、特に限定しないが、赤外線レーザーによ
り画像記録を行う場合は、光熱変換物質としては、赤外
線吸収色素を用いるのが好ましい。光熱変換物質として
は、画像形成層を形成するための塗布溶剤への溶解度が
1質量%以下であるものが好ましい。また、光熱変換層
を形成するための塗布溶剤への溶解度は、0.1質量%
以上であることが好ましい。光熱変換物質の各溶剤への
溶解度が上記範囲にあると、画像形成層塗布時に光熱変
換物質の画像形成層への移行を防止することができる。
尚、本願明細書において、溶解度とは溶剤温度が25℃
のときの値を言う。前記色素の例としては、カーボンブ
ラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニ
ン等の可視から近赤外域に吸収を有する大環状化合物の
顔料、光ディスク等の高密度レーザー記録のレーザー吸
収材料として使用される有機染料(インドレニン染料等
のシアニン染料、アントラキノン系染料、アズレン系色
素、フタロシアニン系染料)、及びジチオールニッケル
錯体等の有機金属化合物色素を挙げることができる。中
でも、シアニン系色素は、赤外線領域の光に対して、高
い吸光係数を示すので、光熱変換物質として使用する
と、光熱変換層を薄層化することができ、その結果、熱
転写シートの記録感度をより向上させることができるの
で特に好ましい。光熱変換物質としては、色素以外に
も、黒化銀等の粒子状の金属材料等、無機材料を用いる
こともできる。特に、下記構造のインドレニン染料が好
ましい。
【0021】
【化2】
【0022】式中、R1 及びR2 は同一でも異なっても
よく、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基を
示し、X-は陰イオンを示す。ナフタレン環は置換基を
有していてもいなくても良い。R1 及びR2 について以
下説明する。アルキル基としては、炭素数1〜18のも
のが好ましく、アルケニル基としては炭素数2〜18の
ものが好ましい。アリール基としては、炭素数6〜18
のものが好ましい。アルキル基、アルケニル基、または
アリール基は置換基を有していてもよく、例えば、複素
環残基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボニル基、
アミド基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシル
基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルファモイル
基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を1個以上有し得
る。また、上記構造のナフタレン環に置換し得る置換基
としては、上記アルキル基、アルケニル基、またはアリ
ール基に置換し得るものと同様のものから選択し得る。
光熱変換層におけるバインダーの量が少なすぎると、光
熱変換層の凝集力が低下し、形成画像が受像シートに転
写される際に、光熱変換層が一緒に転写されやすくな
り、画像の混色の原因となる。またバインダーの量が多
すぎると、一定の光吸収率を達成するために光熱変換層
の層厚が大きくなって、感度低下を招きやすい。光熱変
換層における光熱変換物質とバインダーとの固形分質量
比は、1:20〜2:1であるのが好ましく、特に、
1:10〜2:1であるのがより好ましい。
【0023】光熱変換層の700〜1200nmにおけ
る最大吸光度の半値幅が200nm以下になるような樹
脂であって、支持体上に層を形成し得る強度を少なくと
も有し、高い熱伝導率を有するものが好ましい。更に好
ましくは、光熱変換層の700〜1200nmにおける
最大吸光度の半値幅が180nm以下になるように光熱
変換物質およびバインダーを選択することがより好まし
く、170nm以下になるように選択することが特に好
ましい。光熱変換層の700〜1200nmにおける最
大吸光度の半値幅を200nm以下にするために特に好
ましい樹脂と色素の組み合わせは、フタロシアニン系の
色素であればPMMA等のアクリル樹脂やその共重合
体、シアニン色素であればベンゼン環を有する樹脂、ウ
レタン結合やウレア結合等の極性結合を有する樹脂、C
l等のハロゲンを有する樹脂、ヒドロキシル基等の極性
基を有する樹脂等が挙げられる。本発明において、光熱
変換層の700〜1200nmにおける最大吸光度の半
値幅は、吸収スペクトルを測定することにより求めら
れ、最大吸光度を与える波長は特に制限はないが、75
0〜1100nmの範囲が好ましい。
【0024】光熱変換層に含有されるバインダーとして
は、非水溶性の樹脂を使用し、支持体上に層を形成し得
る強度を少なくとも有し、高い熱伝導率を有する樹脂が
好ましい。ここで、非水溶性の樹脂とは、50℃の水へ
の溶解度が0.5質量%以下の樹脂を言う。非水溶性の
樹脂は、中でも、熱転写シートの湿度依存性を向上させ
るためには、SP値が16〜22である疎水的溶剤に
0.1質量%以上溶解する溶解度の樹脂が好ましく、1
質量%以上溶解する溶解度の樹脂が特に好ましい。上記
SP値を持つ汎用溶剤は、具体的には、カッコ内にSP
値を示した、シクロヘキサン(16.8)、キシレン
(18.0)、トルエン(18.2)、酢酸エチル(1
8.6)、テトラヒドロフラン(18.6)、メチルエ
チルケトン(19.0)、アセトン(20.3)、シク
ロヘキサノン(20.3)、1,4−ジオキサン(2
0.5)、1,3−ジオキサン(20.9)等が挙げら
れる。また、画像形成層を形成するための塗布溶剤への
光熱変換層に含有される樹脂の溶解度は、1質量%以下
であることが好ましく、0.1質量%以下であることが
より好ましい。光熱変換層を形成するための塗布溶剤へ
の光熱変換層に含有される樹脂の溶解度は、0.1質量
%以上であることが好ましく、1質量%以上であること
がより好ましい。更に、画像記録の際に、光熱変換物質
から生じる熱によっても分解しない、耐熱性を有する樹
脂であると、高エネルギーの光照射を行っても、光照射
後の光熱変換層の表面の平滑性を維持できるので好まし
い。具体的には、熱分解温度(TGA法(熱質量分析
法)で10℃/分の昇温速度で、空気気流中で5%質量
減少する温度)が400℃以上の樹脂が好ましく、前記
熱分解温度が500℃以上の樹脂がより好ましい。ま
た、バインダーは、200〜400℃のガラス転移温度
を有するのが好ましく、250〜350℃のガラス転移
温度を有するのがより好ましい。ガラス転移温度が20
0℃より低いと、形成される画像にカブリが発生する場
合があり、400℃より高いと、樹脂の溶解性が低下
し、生産効率が低下する場合がある。尚、光熱変換層の
バインダーの耐熱性(例えば、熱変形温度や熱分解温
度)は、光熱変換層上に設けられる他の層に使用される
材料と比較して、より高いのが好ましい。
【0025】具体的には、ポリメタクリル酸メチル等の
アクリル酸系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコー
ル等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
エーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、アラミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、尿素/メ
ラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリイミ
ド樹脂が好ましい。
【0026】特に、下記一般式(I)〜(VII)で表
されるポリイミド樹脂は、有機溶媒に可溶であり、これ
らのポリイミド樹脂を使用すると、熱転写シートの生産
性が向上するので好ましい。また、光熱変換層用塗布液
の粘度安定性、長期保存性、耐湿性が向上する点でも好
ましい。
【0027】
【化3】
【0028】前記一般式(I)及び(II)中、Ar1
は、下記構造式(1)〜(3)で表される芳香族基を示
し、nは、10〜100の整数を示す。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】前記一般式(III)及び(IV)中、A
2 は、下記構造式(4)〜(7)で表される芳香族基
を示し、nは、10〜100の整数を示す。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】前記一般式(V)〜(VII)中、n及び
mは10〜100の整数を示す。式(VI)において、
n:mの比は6:4〜9:1である。
【0035】尚、樹脂が有機溶媒に可溶であるか否かを
判断する目安としては、25℃において、樹脂がN−メ
チルピロリドン100質量部に対して、10質量部以上
溶解することを基準とし、10質量部以上溶解する場合
は、光熱変換層用の樹脂として好ましく用いられる。よ
り好ましくは、N−メチルピロリドン100質量部に対
して、100質量部以上溶解する樹脂である。
【0036】光熱変換層はマット剤を含有することが好
ましい。マット剤としては無機微粒子や有機微粒子を挙
げることができる。この無機微粒子としては、シリカ、
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の金属
塩、カオリン、クレー、タルク、亜鉛華、鉛白、ジーク
ライト、石英、ケイソウ土、バーライト、ベントナイ
ト、雲母、合成雲母等が挙げられる。有機微粒子として
は、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹
脂粒子、スチレン−アクリル共重合体樹脂粒子、シリコ
ーン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子等
の樹脂粒子を挙げることができる。
【0037】マット剤の粒径は、通常、0.3〜30μ
mであり、好ましくは0.5〜20μmであり、添加量
は0.1〜100mg/m2 が好ましい。
【0038】光熱変換層には、更に必要に応じて、界面
活性剤、増粘剤、帯電防止剤等が添加されてもよい。
【0039】光熱変換層は、光熱変換物質とバインダー
とを溶解し、これに必要に応じてマット剤及びその他の
成分を添加した塗布液を調製し、これを支持体上に塗布
し、乾燥することにより設けることができる。バインダ
ーを溶解するための有機溶媒としては、例えば、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン、ジグライム、キシレン、トル
エン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチル
ケトン、アセトン、シクロヘキサノン、1,4−ジオキ
サン、1,3−ジオキサン、ジメチルアセテート、N−
メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキサイド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、γ−ブ
チロラクトン、エタノール、メタノール等が挙げられ
る。塗布、乾燥は、通常の塗布、乾燥方法を利用して行
うことができる。乾燥は、通常、300℃以下の温度で
行い、200℃以下の温度で行うのが好ましい。支持体
として、ポリエチレンテレフタレートを使用する場合
は、80〜150℃の温度で乾燥するのが好ましい。
【0040】本発明の別の形態は、各色の熱転写シート
に設けられる光熱変換層へのレーザー光照射による単位
層厚当たりの光学濃度が等しく、かつ層厚が異なるよう
にして光熱変換層当たりの光学濃度を各色の熱転写シー
トで異なるようにしてなるもの(以下、本発明1とい
う)であり、また本発明1は、好ましくは光熱変換層中
のマット剤含有量を各色の熱転写シートで異なるように
したこと(以下、本発明2という)を特徴とする。
【0041】まず、本発明1について述べる。光熱変換
層のレーザー光照射による光熱変換層当たりの光学濃度
(ODLH)は各色の熱転写シートで異なるが、このこと
は、各色においてODLHの異なる集合の組合せが少なく
とも1個存在することを意味する。従って、各色がブラ
ック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン
(C)の集合である場合は、ODLHの異なる集合の数
は、2〜4である。例えば、集合の数が2の場合、集合
(K)と集合(Y、M、C)、集合(K、Y)と集合
(M、C)、集合(K、M)と集合(Y、C)等の組合
せがある。この組合せを群という。ここで、例えば、集
合(Y、M、C)は、Y、M、CのODLHは全て等しい
ことを意味する。また、ODLHの異なる集合の数が4の
場合は、全ての熱転写シートにおいてODLHが異なるこ
ととなる。本発明1においては、群内の集合間にODLH
に差があることになる。本発明においては、ブラック
(K)とそれ以外の色の熱転写シートにおいてODLH
異なることが好ましく、各色ごとに最適なODLHを設定
することがより好ましい。また、群内の集合間で光学濃
度が異なるとは、相対強度(100×光学濃度差/大き
い方の光学濃度)にして0.1%以上、好ましくは1〜
20%異なることを意味する。ここで、群内の集合の組
合せが複数ある場合には、全ての組合せで上記関係は成
立する必要がある。また、光熱変換層に照射されるレー
ザー光の波長は群の集合間で一定とする。
【0042】上記相対強度を得る手段としては、本発明
1では群の集合間に関係なく全ての色の熱転写シートに
おいて単位層厚当たりの光学濃度を等しくすると共に層
厚を群の集合間で異なるようにするものである。このこ
とは、各色の熱転写シートを製造するとき、同一の塗布
液を用いて光熱変換層が形成できるため製造工程及びコ
ストの低減化の上で好ましい。尚、単位層厚当たりの光
学濃度とは、レーザー光による光熱変換層への照射によ
るODLHを光熱変換層の層厚TLH(μm単位)で除して
得られる値である。ここで、層厚とはマット剤等の添加
剤を用いて層厚にバラツキが生じる場合は、マット剤等
の添加剤が存在しない平坦領域の平均厚を言う。本発明
1においては、ブラックの熱転写シートの光熱変換層の
光学濃度が、他の色の熱転写シートに比べて最も低いこ
とが好ましい。この理由は、ブラック画像形成層にカー
ボンブラックを使用した際に、カーボンブラック自身も
レーザー光を吸収して発熱するため、他の色の熱転写シ
ートよりも画像形成層が高温になることに起因する。
【0043】次に、本発明2について述べる。光熱変換
層のマット剤含有量は各色の熱転写シートで異なるが、
このことは、各色においてマット剤含有量の異なるの集
合の組合せ(群)が少なくとも1個存在することを意味
する。この集合、群の考え方は、上記本発明1と同様で
ある。本発明においては、ブラック(K)とそれ以外の
色の熱転写シートにおいてマット剤含有量が異なること
が好ましい。本発明2は、群内の集合間でマット剤含有
量が異なるものである。このことは、相対量(100×
マット剤含有量差/大きい方のマット剤含有量)にして
0.1%以上、好ましくは1〜20%異なることを意味
する。ここで、群内の集合の組合せが複数ある場合に
は、全ての組合せで上記関係は成立する必要がある。
【0044】上記相対量を得る手段としては、群の集合
間に関係なく全ての色の熱転写シートにおいて単位層厚
当たりのマット剤含有量を等しくすると共に層厚を群の
集合間で異なるようにすることが挙げられる。このこと
は、本発明1と同じように各色の熱転写シートを製造す
るとき、同一の塗布液を用いて光熱変換層が形成できる
ため製造工程及びコストの低減化の上で好ましい。尚、
単位層厚当たりのマット剤含有量とは、光熱変換層中に
存在するマット剤含有量を光熱変換層の層厚(μm単
位)で除して得られる値である。ここで、層厚とはマッ
ト剤が存在しない平坦領域の平均厚を言う。
【0045】本発明2においても、ブラックの熱転写シ
ートの光熱変換層のマット剤含有量が、他の色の熱転写
シートに比べて最も低いことが好ましい。本発明1にお
いて、本発明2の条件は満足してもしなくともよく、本
発明2において、本発明1の条件は満足してもしなくと
もよいが、本発明は両条件を満足することが好ましい。
本発明において、光熱変換層のレーザー光のピーク波長
における光学濃度は、0.80〜1.49であることが
好ましい。
【0046】また、本発明の多色画像形成方法は、本発
明の多色画像形成材料の熱転写シートの画像形成層と該
多色画像形成材料の受像シートの受像層とを対向して重
ね合わせ、該熱転写シートの支持体側からレーザー光を
照射して、画像形成層のレーザー光照射領域を受像シー
トの受像層上へ転写して画像を記録する工程を有するこ
とを特徴とする。前記レーザー光は、半導体レーザー光
であることが好ましく、前記レーザー光は、マルチビー
ム2次元配列からなることが好ましい。また、本発明の
カラープルーフの作製方法は、本発明の多色画像形成方
法を用いて、受像シートの受像層上に形成したフルカラ
ー画像を印刷用紙上に再転写することを特徴とする。
【0047】また、一般にワックス等の低融点物質は、
画像形成層表面に滲み出たり、結晶化する傾向があり、
画質や熱転写シートの経時安定性に問題を生じる場合が
ある。この問題に対処するためには、画像形成層のポリ
マーとのSP値差が小さい低融点物質を使用することが
好ましく、ポリマーとの相溶性を上げ、低融点物質の画
像形成層からの分離を防止することができる。また、構
造の異なる数種類の低融点物質を混合することで共融化
させ結晶化を防止することも好ましい。その結果、ドッ
ト形状がシャープでかつむらの少ない画像が得られる。
また、一般に、熱転写シートの塗布層が吸湿することで
層の力学物性と熱物性が変化し、記録環境の湿度依存性
が生じる。この温湿度依存性を少なくするためは、光熱
変換層の色素/バインダー系、および画像形成層のバイ
ンダー系を有機溶剤系にすることが好ましい。また、受
像層のバインダーとしてポリビニルブチラ―ルを選択す
ると共にその吸水性を小さくするためにポリマー疎水化
技術を導入することが好ましい。ポリマー疎水化技術と
しては、特開平8−238858号公報に記載のように
ヒドロキシル基を疎水基と反応させたり、2つ以上のヒ
ドロキシル基を硬膜剤で架橋するなどが挙げられる。
【0048】また、通常、レーザー露光による印画時に
画像形成層にも約500℃以上の熱がかかり、従来使用
していた顔料では熱分解してしまうものがあったが、耐
熱性の高い顔料を画像形成層に採用することによりこれ
を防止することができる。そして、印画時の高熱によ
り、赤外線吸収色素が光熱変換層から画像形成層に移行
すると、色相が変化してしまうのを防止するために、前
述したように保持力の強い赤外吸収色素/バインダーの
組み合わせで光熱変換層を設計することが好ましい。
【0049】一般に、高速印画ではエネルギー不足とな
り特にレーザー副走査の間隔に対応する隙間が発生す
る。前述したように光熱変換層の色素高濃度化および光
熱変換層・画像形成層の薄膜化は、熱の発生/伝達の効
率を上げることができる。さらに、加熱時に画像形成層
がわずかに流動し隙間を埋める効果と受像層との接着性
をあげる目的で、画像形成層へ低融点物質を添加するこ
とが好ましい。また、受像層と画像形成層との接着性を
上げ、転写した画像の強度を十分持たせるために、受像
層のバインダーとして例えば、画像形成層と同じポリビ
ニルブチラールを採用することが好ましい。
【0050】次に我々が開発したシステムの全体につい
て以下に説明する。本発明のシステムでは薄膜熱転写方
式を発明、採用したことによって高解像度、高画質化を
達成した。本発明のシステムでは解像度が2400dp
i以上、好ましくは2600dpi以上の転写画像を得
ることの出来るシステムである。薄膜熱転写方式とは層
厚が0.01〜0.9μmの薄膜の画像形成層を部分的
に溶融しない状態またはほとんど溶融しない状態で受像
シ−トに転写する方式である。即ち記録された部分が薄
膜として転写するため、極めて解像度の高い熱転写方式
を開発したものである。薄膜熱転写を効率的に行う好ま
しい方法は、光記録によって光熱変換層内部をド−ム状
に変形させ、画像形成層を押し上げ、画像形成層と受像
層との密着力を高め、転写しやすくすることである。こ
の変形が大きいと画像形成層を受像層に押しつける力が
大きいので転写しやすくなり、一方、変形が小さいと画
像形成層を受像層に押しつける力が小さいので十分な転
写が出来ない部分が出てくる。そこで薄膜転写に好まし
い変形はレ−ザ−顕微鏡(VK8500、キーエンス社
製)により観察したもので、この変形の大きさは光熱変
換層の記録部の光記録後の増加した断面積(a)と光熱
変換層の記録部の光記録前の断面積(b)を加えた値を
光熱変換層の記録部の光記録前の断面積(b)で除した
値に100を乗じて計算される変形率で評価できる。即
ち変形率={(a+b)/(b)}×100である。変
形率は110%以上、好ましくは125%以上、更に好
ましくは150%以上である。破断伸びを大きくすれば
変形率は250%より大きくても良いが、通常は250
%程度以下に抑えることが好ましい。
【0051】薄膜転写における画像形成材料の技術ポイ
ントは以下の通りである。 1.高熱応答性と保存性の両立 高画質を達成するためにはサブミクロンオ−ダ−の薄膜
の転写が必要であるが所望の濃度を出すためには、高濃
度に顔料を分散した層を作る必要があり、熱応答性とは
相反する。また、熱応答性は保存性(接着)とも相反す
る関係にある。これらの相反関係を新規なポリマ−・添
加剤の開発により解決した。 2.高い真空密着性の確保 高解像度を追求した薄膜転写では転写界面は平滑な方が
好ましいが、それでは十分な真空密着性が得られない。
これまでの真空密着性付与の常識にとらわれず、比較的
粒径の小さなマット剤を多めに、画像形成層の下の層に
入れることで、熱転写シートと受像シート間に適度なギ
ャップを均一に保ち、マット剤による画像の抜けが無
く、薄膜転写の特徴を確保したまま、真空密着性を付与
させた。 3.耐熱性有機素材の使用 レ−ザ−記録時にレ−ザ−光を熱に変換する光熱変換層
は約700℃に、顔料色材を含む画像形成層は約500
℃にも達する。光熱変換層の素材として有機溶剤塗布可
能な変性ポリイミドを開発すると共に、顔料色材として
印刷用顔料よりも耐熱性が高く、安全で色相のあった、
顔料を開発した。 4.表面清浄性の確保 薄膜転写では熱転写シートと受像シート間のごみは画像
欠陥となり、重大な問題である。機器外部からの進入・
材料カッテイングでの発生などがあり、材料管理だけで
は不十分であり、機器にごみを除去する機構を付ける必
要があったが、転写材料表面をクリ−ニングできる適度
な粘着性を維持できる素材を見出し、搬送ロ−ラ−材質
を変更することにより生産性を低下することなく、ごみ
の除去を実現した。
【0052】以下、本発明のシステムの全体について詳
述する。本発明はシャープな網点による熱転写画像を実
現し、かつ本紙転写及びB2サイズ以上の記録(515
mm以上×728mm以上)が出来ることが好ましい。
更に好ましくは、B2サイズは543mm×765mm
であり、これ以上の大きさに記録が可能であるシステム
である。本発明が開発したシステムの性能の特長の一つ
はシャ−プなドット形状が得られるということである。
このシステムで得られた熱転写画像は2400 dpi
以上の解像度で印刷線数に応じた網点画像とすることが
できる。1つ1つの網点はにじみ・欠けがほとんどなく
形状が非常にシャープであるため、ハイライトからシャ
ドーまでの高範囲の網点をクリアーに形成することがで
きる。その結果、イメージセッターやCTPセッターと
同じ解像度で高品位な網点出力が可能であり、印刷物近
似性の良い網点と階調を再現することができる。
【0053】また、本発明が開発したシステムの性能の
特長の二つ目は繰り返し再現性が良好であるということ
である。この熱転写画像は、網点形状がシャープである
ためレーザービームに対応した網点を忠実に再現でき、
また記録特性の環境温湿度依存性が非常に小さいため、
幅広い温湿度環境下で色相・濃度とも安定した繰り返し
再現性を得ることができる。更に本発明が開発したシス
テムの性能の特長の三つ目は色再現が良好であるという
ことである。このシステムで得られた熱転写画像は、印
刷インクに使用されている着色顔料を用いて形成されて
おり、また繰り返し再現性が良好なため高精度のCMS
(カラーマネージメントシステム)を実現できる。ま
た、この熱転写画像は、Japanカラー、SWOPカ
ラーなどの色相、即ち、印刷物の色相とほぼ一致させる
ことができ、蛍光灯や白熱灯など光源が変わったときの
色の見え方についても印刷物と同様の変化を示すことが
できる。
【0054】また、本発明が開発したシステムの性能の
特長の四つ目は文字品質が良好であるということであ
る。このシステムで得られた熱転写画像は、ドット形状
がシャープなので、微細文字の細線がきれよく再現でき
る。次に本発明のシステムの材料技術の特徴について更
に詳述する。DDCP用熱転写方式として、昇華方
式、アブレ−ション方式、熱溶融方式のものがあ
る。、の方式は色材が昇華もしくは飛散する方式で
あるため網点の輪郭がぼやけてしまう。一方の方式も
溶融物が流動するのでクリヤ−な輪郭が出ない。我々は
薄膜転写技術を基本に、レ−ザ−熱転写系での新たな問
題点をクリヤ−し、さらに高画質のものにするため、下
記に述べる技術を盛り込んだ。材料技術の特徴の第1は
ドット形状のシャ−プ化である。レ−ザ−光を光熱変換
層で熱に変換し、隣接する画像形成層に伝え、画像形成
層が受像層に接着することにより画像記録を行う。ドッ
ト形状をシャ−プにするためにはレーザー光により発生
した熱が、面方向に拡散せずに転写界面まで伝えられ、
加熱部/非加熱部の境界面で画像形成層がシャープに破
断する。このために、熱転写シートにおける光熱変換層
の薄膜化と画像形成層の力学特性を制御する。ドット形
状のシャ−プ化の技術1は光熱変換層の薄膜化である。
シミュレーションでは、光熱変換層は瞬間的に約700
℃に達すると推定され、膜が薄いと変形や破壊がおこり
やすい。変形・破壊が起こると光熱変換層が画像形成層
とともに受像シートに転写したり、転写像が不均一にな
るという実害を生じる。一方、所定の温度を得るには膜
中に光熱変換物質を高濃度に存在させねばならず、色素
の析出や隣接層への移行といった問題も発生する。光熱
変換物質として赤外吸収色素を用いると、カーボンブラ
ックに比べ使用量が少なくてすむ。バインダ−は高温で
も十分な力学強度を持ち、さらに赤外吸収色素の保持性
のよいポリイミド系化合物を導入した。このように、光
熱変換特性の優れた赤外吸収色素及びポリイミド系など
の耐熱性バインダーを選定することにより、光熱変換層
を約0.5μm以下に薄膜化することが好ましい。
【0055】また、ドット形状のシャ−プ化の技術2は
画像形成層の特性の改良である。光熱変換層の変形が起
こったり、または画像形成層そのものが高熱により変形
すると、受像層に転写した画像形成層はレーザー光の副
走査パターンに対応した厚みムラを生じ、そのため画像
が不均一になり見かけの転写濃度が低下する。この傾向
は画像形成層の厚みが薄いほど顕著である。一方、画像
形成層の厚みが厚いとドットのシャープさが損なわれか
つ感度も低下する。この相反する性能を両立させるため
に、ワックス等の低融点物質を画像形成層に添加するこ
とより転写ムラを改良することが好ましい。また、バイ
ンダーの代わりに無機微粒子を添加することにより層厚
を適正に上げることで、加熱部/非加熱部の界面で画像
形成層がシャープに破断するようにし、ドットのシャー
プさ・感度を保ちつつ転写ムラを改良することができ
る。
【0056】また、一般にワックス等の低融点物質は、
画像形成層表面に滲み出たり、結晶化する傾向があり、
画質や熱転写シートの経時安定性に問題を生じる場合が
ある。この問題に対処するためには、画像形成層のポリ
マーとのSp値差が小さい低融点物質を使用することが好
ましく、ポリマーとの相溶性を上げ、低融点物質の画像
形成層からの分離を防止することができる。また、構造
の異なる数種類の低融点物質を混合することで共融化さ
せ結晶化を防止することも好ましい。その結果、ドット
形状がシャープでかつむらの少ない画像が得られる。ま
た、材料技術の特徴の第2は記録感度に温湿度依存性が
あるということを見出した点である。一般に、熱転写シ
ートの塗布層が吸湿することで層の力学物性と熱物性が
変化し、記録環境の湿度依存性が生じる。この温湿度依
存性を少なくするためは、光熱変換層の色素/バインダ
ー系、および画像形成層のバインダー系を有機溶剤系に
することが好ましい。また、受像層のバインダーとして
ポリビニルブチラ―ルを選択すると共にその吸水性を小
さくするためにポリマー疎水化技術を導入することが好
ましい。ポリマー疎水化技術としては、特開平8−23
8858号公報に記載のようにヒドロキシル基を疎水基
と反応させたり、2つ以上のヒドロキシル基を硬膜剤で
架橋するなどが挙げられる。
【0057】材料技術の特徴の第3は色相の印刷物近似
性を改良した点である。サーマルヘッド方式のカラープ
ルーフ(例えば、富士写真フイルム社製FirstPr
oof)での顔料の色マッチング、安定分散技術に加
え、レ−ザ−熱転写システムで新たに生ずる下記の問題
点をクリヤ−した。即ち色相の印刷物近似性改良の技術
1は高耐熱性顔料を使用した点である。通常、レーザー
露光による印画時に画像形成層にも約500℃以上の熱
がかかり、従来使用していた顔料では熱分解してしまう
ものがあったが、耐熱性の高い顔料を画像形成層に採用
することによりこれを防止することができる。そして、
色相の印刷物近似性改良の技術2は光熱変換物質、特に
赤外吸収色素の拡散防止である。印画時の高熱により、
赤外吸収色素が光熱変換層から画像形成層に移行する
と、色相が変化してしまうのを防止するために、前述し
たように保持力の強い赤外吸収色素/バインダーの組み
合わせで光熱変換層を設計することが好ましい。
【0058】材料技術の特徴の第4は高感度化である。
一般に、高速印画ではエネルギー不足となり特にレーザ
ー副走査の間隔に対応する隙間が発生する。前述したよ
うに光熱変換層の色素高濃度化および光熱変換層・画像
形成層の薄膜化は、熱の発生/伝達の効率を上げること
ができる。さらに、加熱時に画像形成層がわずかに流動
し隙間を埋める効果と受像層との接着性をあげる目的
で、画像形成層へ低融点物質を添加することが好まし
い。また、受像層と画像形成層との接着性を上げ、転写
した画像の強度を十分持たせるために、受像層のバイン
ダーとして例えば、画像形成層と同じポリビニルブチラ
ールを採用することが好ましい。
【0059】材料技術の特徴の第5は真空密着性の改良
である。受像シートと熱転写シートは、真空密着により
ドラム上に保持されることが好ましい。この真空密着は
両シートの接着力制御により画像を形成しているため受
像シートの受像層面と転写シートの画像形成層面のクリ
アランスに画像転写挙動が非常に敏感なので重要であ
る。ゴミ等異物のきっかけで材料間のクリアランスが広
がってしまうと画像欠陥や画像転写ムラが生じてしま
う。このような画像欠陥や画像転写ムラを防止するに
は、熱転写シートに均一な凹凸をつけることで、エアー
のとおりをよくし均一なクリアランスを得ることが好ま
しい。
【0060】真空密着性改良の技術1は熱転写シートと
の表面凸凹化である。2色以上の重ね印画でも真空密着
性の効果を十分に出せるように、凹凸は熱転写シートに
つけた。熱転写シートに凹凸をつける方法としては、一
般にエンボス処理等の後処理、塗布層へのマット剤添加
があるが、製造工程簡略化、材料の経時安定化のために
マット剤添加が好ましい。マット剤は塗布層厚みより大
きいものが必要であり、マット剤を画像形成層に添加す
るとマット剤の存在する部分の画像が欠落するという問
題が発生するので、最適な粒径のマット剤を光熱変換層
に添加することが好ましく、これにより画像形成層その
ものはほぼ均一な厚みとなり、欠陥のない画像を受像シ
ート上に得ることができる。
【0061】次に本発明のシステムのシステム化技術の
特徴について述べる。システム化技術の特徴1は記録装
置の構成である。これまで述べたようなシャープなドッ
トを確実に再現するため、記録装置側も高精度な設計が
要求される。従来のレーザー熱転写用記録装置と基本的
構成は同様である。この構成はハイパワーの複数のレー
ザーを備えた記録ヘッドが、ドラム上に固定された熱転
写シートと受像シートにレーザーを照射して記録する、
いわゆるヒートモードのアウタードラム記録システムで
ある。その中で、以下の態様が好ましい構成である。記
録装置の構成1はごみの混入を避けることである。受像
シート及び熱転写シートの供給は、全自動ロール供給と
する。少数枚のシート供給では人体から発生するごみの
混入が多いので、ロール供給を採用した。熱転写シート
は4色各1ロールずつあるため、ローディングユニット
が回転して各色のロールを切り替えるようにしている。
各フィルムはローディング中にカッターで所定長に切断
された後、ドラムに固定される。記録装置の構成2は記
録ドラム上の受像シ−トと熱転写シートとの密着を強く
することである。受像シート及び熱転写シートの記録ド
ラムへの固定は真空吸着とする。メカ固定では受像シー
ト及び熱転写シート間の密着力を強くできないため、真
空吸着を採用した。記録ドラム上には多数の真空吸着孔
を形成し、ドラム内部をブロアや減圧ポンプなどにより
減圧にすることによりシートがドラムに吸着される。受
像シートが吸着されている上から熱転写シートがさらに
吸着されるために、熱転写シートのサイズを受像シート
より大きくする。最も記録性能に影響の大きい熱転写シ
ートと受像シートの間のエアーは、受像シートの外の熱
転写シートだけのエリアから吸引される。
【0062】記録装置の構成3は排出台上に複数枚安定
に集積することである。本装置では、B2サイズ以上の
大面積のシートを何枚も排出台上に重ねて集積できるも
のとする。熱接着性を持つ、既に集積されたフィルムA
の受像層の上に次のシートBを排出すると、両者が貼り
ついてしまうことがある。貼りつくと次のシートがきち
んと排出されずにジャムが発生するので問題である。貼
りつき防止にはフィルムAとBの接触を防止することが
最善である。接触防止策としてはいくつかの方法が知ら
れている。(a)排出台に段差を設けフィルム形状を平
坦でなくすことによりフィルム間にすきまをつくる方
法、(b)排出口を排出台よりも高い位置にして排出フ
ィルムを上から落とす構造にする方法、(c)エアーを
両フィルムの間に噴出して後から排出されるフィルムを
浮き上がらせる方法、などがある。このシステムではシ
ートサイズがB2と非常に大きいため、(a)、(b)
の方法では構造が非常に大きくなってしまうので、
(c)のエアー噴出法を採用した。そのためにエアーを
両シートの間に噴出して後から排出されるシートを浮き
上がらせる方法を採用するものとする。
【0063】本装置の構成例を図2に示す。以上のよう
な本装置に画像形成材料を適用してフルカラーの画像を
形成するシーケンス(以上、本システムの画像形成シー
ケンスという)を説明する。 1)記録装置1の記録ヘッド2の副走査軸が副走査レー
ル3により、また記録ドラム4の主走査回転軸並びに熱
転写シートローディングユニット5が原点に復帰する。 2)受像シートロール6が搬送ローラ7によってほどか
れて記録ドラム4上に受像シート先端が記録ドラムに設
けられた吸引孔を介して真空吸引されて固定される。 3)記録ドラム4上にスクイーズローラー8が降りてき
て、受像シートを抑えつけながら、ドラムの回転により
受像シートがさらに規定量搬送されたところで停止しカ
ッター9によって規定長に切断される。 4)更に記録ドラム4が1周して受像シートのローディ
ングが終了する。 5)次に受像シートと同様のシーケンスで、1色目―黒
―の熱転写シートKが熱転写シートロール10Kから繰
り出され、切断されてローディングされる。 6)次に記録ドラム4が高速回転を始め、副走査レール
3上の記録ヘッド2が動き始め、記録開始位置に到達し
たところで記録画像信号に従って記録ヘッド2により記
録レーザーが記録ドラム4上に照射される。記録終了位
置で照射を終了し、副走査レール動作、ドラム回転が停
止する。副走査レール上の記録ヘッドを原点に戻す。 7)記録ドラム上に受像シートを残したまま、熱転写シ
ートKだけを剥がしとる。そのため、熱転写シートKの
先端を爪でひっかけて排出方向に引っ張り出して、廃棄
口32から廃棄箱35へ廃棄する。 8)5)〜7)を残りの3色分繰り返す。記録順序は黒
の次は、シアン、マゼンタ、イエローの順序である。即
ち、2色目―シアン―の熱転写シートCが熱転写シート
ロール10Cから、3色目―マゼンタ―の熱転写シート
Mが熱転写シートロール10Mから、4色目―イエロー
―の熱転写シートYが熱転写シートロール10Yから順
次繰り出される。一般の印刷順序とは逆であるが、これ
は後の工程の本紙転写によって本紙上の色順序が逆にな
るからである。 9)4色が完了すると、最後に記録済みの受像シートを
排出台31まで排出する。ドラムから剥がしとる方法は
7)の熱転写シートと同じであるが、熱転写シートと違
い廃棄しないので、廃棄口32まで進んだところでスイ
ッチバックによって排出台に戻す。排出台に排出される
際には、排出口33の下からエアー34を噴出して複数
枚の集積を可能にしている。
【0064】上記熱転写シートロール及び受像シートロ
ールの供給部位又は搬送部位の何れかの搬送ローラ7
に、表面に粘着材料が配設された粘着ローラーを用いる
ことが好ましい。
【0065】粘着ローラーを設けることにより、熱転写
シート及び受像シートの表面をクリーニングすることが
できる。
【0066】粘着ローラーの表面に配設される粘着材料
としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
エチルアクリレート共重合体、ポリオレフィン樹脂、ポ
リブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体(S
BR)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン体(S
EBS)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(N
BR)、ポリイソプレン樹脂(IR)、スチレン−イソ
プレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合
体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹
脂、ブチルゴム、ポリノルボルネン等が挙げられる。
【0067】粘着ローラーは熱転写シート及び受像シー
トの表面と接触することにより、その表面をクリーニン
グすることができ、接触圧は接触していれば格別限定さ
れない。
【0068】粘着ローラーに使用する粘着性を有する素
材のビッカース硬さHvは50kg/mm2 (≒490
MPa)以下であることが、異物であるゴミを十分に取
り除き、画像欠陥を抑制可能であることから好ましい。
【0069】ビッカース硬さというのは、対面角が13
6度の正四角錐形のダイヤモンド圧子に静荷重をかけて
硬さを測定した硬さであり、ビッカース硬さHvは以下の
式で求められる。
【0070】硬さHv=1.854P/d2 (kg/m
2 )≒18.1692P/d2 (MPa) ここでP:荷重の大きさ(Kg)、d:くぼみの正方形
の対角線長さ(mm)
【0071】また本発明においては、上記の粘着ローラ
ーに使用する粘着性を有する素材の20℃における弾性
率が200kg/cm2 (≒19.6MPa)以下であ
ることが、上記と同様に異物であるゴミを十分に取り除
き、画像欠陥を抑制可能であることから好ましい。
【0072】システム化技術の特徴2は熱転写装置の構
成である。記録装置で画像を印刷された受像シートを、
印刷用紙(「本紙」と呼ぶ)に転写する工程を行うた
め、熱熱転写装置を使用する。この工程はFirst
ProofTMと全く同じである。受像シートと本紙を重
ねて熱と圧力をかけると両者が接着し、その後本紙から
受像フィルムを引き剥がすと、画像と接着層だけが本紙
上に残り、受像シート支持体とクッション層ははがれ
る。従って実用上は画像が受像シートから本紙に転写さ
れることになる。First ProofTMでは、アル
ミニウム製のガイド板の上に本紙と受像シートを重ねて
ヒートローラの間を通すことによって転写している。ア
ルミニウムガイド板を使用するのは本紙の変形を防ぐた
めである。しかし、これをB2サイズの本システムに採
用すると、B2より大きなアルミニウムガイド板が必要
となり、装置の設置スペースが大きくなるという問題が
発生する。そこで本システムではアルミニウムガイド板
を使用しないで、更に搬送パスが180度回転して挿入
側に排出されるような構造を採用したので、設置スペー
スは非常にコンパクトになった(図3)。しかしアルミ
ニウムガイド板を使用しないために、本紙が変形すると
いう問題が発生した。具体的には排出された本紙と受像
シートの対が受像シートを内側にしてカールしてしま
い、排出台の上で転がってしまう。この丸まった本紙か
ら受像シートを引き剥がすのは作業として非常に困難で
ある。そこで、丸まりを防止する方法を考え、本紙と受
像シートによる収縮量の差によるバイメタル効果と、熱
ローラに巻きつかせる構造によるアイロン効果である。
従来のように受像シートを本紙の上に重ねて挿入する場
合には、挿入進行方向に対しての受像シートの熱収縮が
本紙の熱収縮より大きいために、バイメタル効果による
カールは上が内側となり、アイロン効果の方向と同じな
ので相乗効果によりカールがひどくなる。ところが受像
シートを本紙の下側になるように挿入すれば、バイメタ
ル効果のカールは下向き、アイロン効果のカールは上向
きとなるために、カールは相殺され問題なくなった。
【0073】本紙転写のシーケンスは、以下である(以
下、本システムで用いる本紙転写方法という)。この方
法に用いる図3に示す熱転写装置41は、記録装置と違
い手作業の装置である。 1)まず、本紙42の種類に応じて、ヒートローラ43
温度(100〜110℃)と転写時搬送速度をダイヤル
(不図示)で設定する。 2)次に挿入台の上に受像シート20を画像を上にして
置き、画像上のほこりを除電ブラシ(不図示)で除去す
る。その上にほこりを除去した本紙42を重ねる。その
際、下に置く受像フィルム20より上に置く本紙42の
サイズの方が大きいので、受像シート20の位置が見え
なくなって位置あわせがやりにくい。この作業性を改善
するために挿入台44上に受像シート・本紙それぞれの
載置位置を示すマーク45をつけてある。本紙の方が大
きい理由は、受像シート20が本紙42からずれてはみ
出してヒートローラ43を受像シート20の受像層で汚
してしまうことを防止するためである。 3)受像シート・本紙を重ねたまま挿入口に押し込む
と、挿入ローラ46が回転して両者をヒートローラ43
に向かって送り出す。 4)本紙先端がヒートローラ43の位置まで来たところ
で、ヒートローラがニップされ転写を開始する。ヒート
ローラは耐熱のシリコンゴムローラである。ここで圧力
と熱が同時にかけられることによって、受像シートと本
紙は接着される。ヒートローラ下流には耐熱シートでで
きたガイド47が設置されていて、受像シート・本紙対
は上側ヒートローラとガイド47の間を、熱をかけたま
ま上方に搬送され、剥離爪48の位置でヒートローラか
ら引き剥がされてガイド板49に沿って排出口50まで
導かれる。 5)排出口50から出てきた受像シート・本紙対は接着
されたまま、挿入台の上に排出される。後は手作業で本
紙42から受像シート20を引き剥がす。システム化技
術の特徴2はシステムの構成である。 以上の装置を、製版システム上に接続することによっ
て、カラープルーフとしての機能を発揮できることにな
る。システムとしては、ある製版データから出力される
印刷物と限りなく近い画質のプリント物が、プルーフか
ら出力される必要がある。そこで、色や網点を印刷物と
近づけるためのソフトウェアが必要である。具体的接続
例を紹介する。富士写真フイルム社製CelebraTM
という製版システムからの印刷物のプルーフをとる場
合、システム接続としては以下のようになる。Cele
braにCTP(Computer To Plat
e)システムを接続する。これで出力した印刷版を印刷
機にかけることによって最終印刷物が得られる。Cel
ebraにカラープルーフとして上記記録装置である富
士写真フイルム社製Luxel FINALPROOF
5600(以下、FINALPROOFとも記す)を
接続するが、その間に色や網点を印刷物に近づけるため
のプル−フドライブソフトウェアとして富士写真フイル
ム社製PDシステムTMを接続する。Celebraでラ
スターデータに変換されたコントーン(連続調)データ
は、網点用の2値データに変換されてCTPシステムに
出力され、最終的に印刷される。一方同じコントーンデ
ータはPDシステムにも出力される。PDシステムは受
け取ったデータを4次元(黒、シアン、マゼンタ、イエ
ロー)のテーブルによって前記印刷物に色が一致するよ
うに変換する。そして最後に前記印刷物の網点と一致す
るように網点用の2値データに変換し、FINALPR
OOFに出力する(図4)。前記4次元テーブルは予め
実験的に作成しておき、システム内に保存してある。作
成のための実験とは次のようなものである。重要色デー
タを、CTPシステム経由で印刷した画像と、PDシス
テム経由でFINALPROOFに出力した画像を用意
し、その測色値を比較してその差が最小になるようにテ
ーブルを作成する。
【0074】以上のように、本発明は解像力の高い材料
の能力を十分に発揮できるようなシステム構成を実現で
きた。次に本発明のシステムに用いる材料である熱転写
シートについて説明する。熱転写シートの画像形成層表
面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差
の絶対値が3.0μm以下であり、受像シートの受像層
表面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの
差の絶対値が3.0μm以下であることが好ましい。こ
のような構成により、上記のクリーニング手段と相俟っ
て画像欠陥を防止でき、搬送ジャムをなくし、更にドッ
トゲイン安定性を向上させることができる。
【0075】本明細書で、表面粗さRzというのは、J
ISのRz(最大高さ)に相当する十点平均面粗さのこ
とをいい、粗さの曲面から基準面積分だけ抜き取った部
分の平均面を基準面として、最高から5番目までの山の
標高の平均値と最深から5番目までの谷底の深さの平均
値との距離を入力換算したものである。測定には東京精
密(株)製の触針式の3次元粗さ計(サーフコム570
A−3DF)を用いる。測定方向は縦方向とし、カット
オフ値は0.08mm、測定面積は0.6mm×0.4
mm、送りピッチは0.005mm、測定スピードは
0.12mm/sである。
【0076】上記の熱転写シートの画像形成層表面の表
面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差の絶対
値は1.0μm以下であり、また受像シートの受像層表
面の表面粗さRzとその裏面層表面の表面粗さRzの差
の絶対値が1.0μm以下であることが上記の効果をさ
らに向上させる観点から好ましい。
【0077】更に、別の態様としては、熱転写シートの
画像形成層表面とその裏面層表面の表面粗さ及び又は受
像シートの表裏面の表面粗さRzが2〜30μmである
ことが好ましい。このような構成によって、上記のクリ
ーニング手段と相俟って画像欠陥を防止でき、搬送ジャ
ムをなくし、更にドットゲイン安定性を向上させる。
【0078】また熱転写シートの画像形成層の光沢度は
80〜99であることも好ましい。
【0079】光沢度は、画像形成層表面の平滑性に大き
く依存し、画像形成層層厚の均一性を左右し得る。光沢
度が高い方が画像形成層として均一で高精細画像への用
途により適しているが、平滑性が高いと搬送時の抵抗は
より大きくなり、両者がトレード・オフの関係である。
光沢度が80〜99の範囲であると、両者の両立が可能
でバランスが取れる。
【0080】次に、レーザーを用いた薄膜熱転写による
多色画像形成の機構の概略を図1を用いて説明する。熱
転写シート10のブラック(K)、シアン(C)、マゼ
ンタ(M)またはイエロー(Y)の顔料を含む画像形成
層16の表面に、受像シート20を積層した画像形成用
積層体30を用意する。熱転写シート10は、支持体1
2と、その上に、光熱変換層14、及び更にその上に、
画像形成層16を有し、受像シート20は、支持体22
と、その上に、受像層24を有し、熱転写シート10の
画像形成層16の表面には、受像層24が接触するよう
に積層される(図1(a))。その積層体30の熱転写
シート10の支持体12側から、レーザー光を画像様に
時系列的に照射すると、熱転写シート10の光熱変換層
14のレーザー光被照射領域が発熱し、画像形成層16
との密着力が低下する(図1(b))。その後、受像シ
ート20と熱転写シート10とを剥離すると、画像形成
層16のレーザー光被照射領域16’が、受像シート2
0の受像層24上に転写される(図1(c))。
【0081】多色画像形成においては、光照射に用いら
れるレーザー光は、マルチビーム光であることが好まし
く、特にマルチビーム2次元配列であることが好まし
い。マルチビーム2次元配列とは、レーザー照射によっ
て記録する際に、複数個のレーザービームを使用し、こ
れらのレーザービームのスポット配列が、主走査方向に
沿って複数列、副走査方向に沿って複数行からなる2次
元平面配列をしていることをいう。マルチビーム2次元
配列であるレーザー光を使用することにより、レーザー
記録に要する時間を短縮することができる。
【0082】使用されるレーザー光は、特に制限なく使
用することができ、アルゴンイオンレーザ光、ヘリウム
ネオンレーザ光、ヘリウムカドミウムレーザ光等のガス
レーザ光、YAGレーザー光等の固体レーザー光、半導
体レーザー光、色素レーザー光、エキシマレーザ光等の
直接的なレーザー光が利用される。あるいは、これらの
レーザー光を二次高調波素子を通して、半分の波長に変
換した光等も用いることができる。多色画像形成方法に
おいては、出力パワーや変調のし易さ等を考慮すると、
半導体レーザー光を用いることが好ましい。多色画像形
成方法では、レーザー光は、光熱変換層上でのビーム径
が5〜50μm(特に6〜30μm)の範囲となるよう
な条件で照射することが好ましく、また走査速度は1m
/秒以上(特に3m/秒以上)とすることが好ましい。
【0083】また、多色画像形成は、ブラックの熱転写
シートにおける画像形成層の層厚が、イエロー、マゼン
タ、及びシアンの各熱転写シートにおける画像形成層の
層厚より大きく、かつ、0.5〜0.7μmであること
が好ましい。このようにすることにより、ブラックの熱
転写シートをレーザー照射した際に、転写ムラによる濃
度の低下を抑えることができる。前記ブラックの熱転写
シートにおける画像形成層の層厚が0.5μm以上にす
ることで、高エネルギーで記録した際に、転写ムラがな
く画像濃度が維持され、印刷のプルーフとして必要な画
像濃度を達成することができる。この傾向は、高湿条件
下でより顕著となるため、環境による濃度変化を抑える
ことができる。一方、前記層厚を0.7μm以下にする
ことで、レーザー記録時に転写感度が維持でき、小点の
付きや、細線も改良される。この傾向は、低湿条件下で
より顕著である。また、解像力も良化できる。前記ブラ
ックの熱転写シートにおける画像形成層の層厚は、より
好ましくは0.55〜0.65μmであり、特に好まし
くは0.60μmである。
【0084】更に、前記ブラックの熱転写シートにおけ
る画像形成層の層厚が、0.5〜0.7μmであり、前
記イエロー、マゼンタ、及びシアンの各熱転写シートに
おける画像形成層の層厚が、0.2μm以上0.5μm
未満であることが好ましい。前記イエロー、マゼンタ、
及びシアンの各熱転写シートにおける画像形成層の層厚
を0.2μm以上にすることで、レーザー記録時に転写
ムラがなく濃度維持が図られ、一方、0.5μm以下に
することで、転写感度や解像力が改良できる。より好ま
しくは、0.3〜0.45μmである。
【0085】前記ブラックの熱転写シートにおける画像
形成層は、カーボンブラックを含有することが好まし
く、該カーボンブラックは、着色力の異なる少なくとも
2種類のカーボンブラックからなることが、P/B(ピ
グメント/バインダー)比を一定の範囲にしつつ、反射
濃度を調節することができるため好ましい。カーボンブ
ラックの着色力は、種々の方法によって表されるが、例
えば、特開平10−140033号公報に記載のPVC
黒度等が挙げられる。PVC黒度とは、カーボンブラッ
クをPVC樹脂に添加、2本ロールにより分散、シート
化し、三菱化学(株)カーボンブラック「#40」、
「#45」の黒度を各々1点、10点と基準値を定め、
試料の黒度を視感判定により評価したものである。PV
C黒度の異なる2種以上のカーボンブラックを、目的に
応じて適宜選択して使用することができる。
【0086】以下に、具体的なサンプル作製方法を述べ
る。 <サンプル作製方法>250ccバンバリーミキサーに
てLDPE(低密度ポリエチレン)樹脂に試料カーボン
ブラックを40質量%配合し、115℃、4分混練りす
る。 配合条件 LDPE樹脂 101.89g ステアリン酸カルシウム 1.39g イルガノックス1010 0.87g 試料カーボンブラック 69.43g 次に、120℃で、2本ロールミルにてカーボンブラッ
ク濃度が1質量%になるように希釈する。
【0087】希釈コンパウンド作製条件 LDPE樹脂 58.3g ステアリン酸カルシウム 0.2g カーボンブラック40質量%配合樹脂 1.5g スリット幅0.3mmでシート化し、このシートをチッ
プに切断、240℃のホットプレート上で65±3μm
のフィルムに成形する。
【0088】多色画像を形成する方法としては、前述し
たように前記熱転写シートを用いて、同一の受像シート
上に多数の画像層(画像が形成された画像形成層)を繰
返し重ね合せて多色画像を形成してもよく、複数の受像
シートの受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本紙等
へ再転写することにより、多色画像を形成してもよい。
後者については、例えば、相互に異なる色相を有する色
材を含む画像形成層を有する熱転写シートを用意し、こ
れと、受像シートとを組み合わせた画像形成用積層体を
独立に四種(四色、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラ
ック)製造する。各々の積層体に、例えば、色分解フィ
ルタを介して、画像に基づくデジタル信号に従うレーザ
ー光照射を行い、それに続いて、熱転写シートと受像シ
ートとを剥離し、各受像シートに各色の色分解画像を独
立に形成する。次に、形成された各々の色分解画像を、
別に用意した印刷本紙等の実際の支持体、もしくはそれ
に近似した支持体上に順次積層させることにより、多色
の画像を形成することができる。
【0089】レーザー光照射を用いる熱転写シートは、
レーザービームを熱に変換しその熱エネルギーを利用し
て顔料を含む画像形成層を受像シートに薄膜転写方式に
より、受像シート上に画像を形成することが好ましいも
のであるが、それら熱転写シート及び受像シートからな
る画像形成材料の開発に用いた技術は、適宜、溶融型転
写方式、アブレーションによる転写方式、昇華型転写方
式等の熱転写シート及び/又は受像シートの開発に応用
し得るものであり、本発明のシステムはこれら方式に用
いる画像形成材料も包含し得る。
【0090】以下に、熱転写シート及び受像シートにつ
いて詳述する。 [熱転写シート]熱転写シートは、支持体上に、少なく
とも光熱変換層及び画像形成層を有し、更に必要に応じ
て、その他の層を有してなる。
【0091】(支持体)熱転写シートの支持体の材料に
は特に限定はなく、各種の支持体材料を目的に応じて用
いることができる。支持体は剛性を有し、寸法安定性が
良く、画像形成の際の熱に耐えるものが好ましい。支持
体材料の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、ポリアミド(芳香族または脂肪族)、ポリイミド、
ポリアミドイミド、ポリスルホン等の合成樹脂材料を挙
げることができる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレートが、機械的強度や熱に対する寸法安定性を考
慮すると好ましい。尚、レーザー記録を利用したカラー
プルーフの作製に用いる場合には、熱転写シートの支持
体はレーザー光を透過させる透明な合成樹脂材料から形
成するのが好ましい。支持体の厚みは25〜130μm
であることが好ましく、50〜120μmであることが
特に好ましい。画像形成層側の支持体の中心線平均表面
粗さRa(表面粗さ測定機(Surfcom,東京精機
(株)製)等を用いてJIS B0601に基づき測
定)は0.1μm未満であることが好ましい。支持体の
長手方向のヤング率は200〜1200Kg/mm2
(≒2〜12GPa)が好ましく、幅方向のヤング率は
250〜1600Kg/mm2 (≒2.5〜16GP
a)であることが好ましい。支持体の長手方向のF−5
値は、好ましくは5〜50Kg/mm2 (≒49〜49
0MPa)、支持体幅方向のF−5値は、好ましくは3
〜30Kg/mm2 (≒29.4〜294MPa)であ
り、支持体長手方向のF−5値が支持体幅方向のF−5
値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高
くする必要があるときはその限りではない。また、支持
体の長手方向および幅方向の100℃30分での熱収縮
率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以
下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、
さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は両方
向とも5〜100Kg/mm 2 (≒49〜980MP
a)、弾性率は100〜2000Kg/mm2 (≒0.
98〜19.6GPa) が好ましい。
【0092】熱転写シートの支持体には、その上に設け
られる光熱変換層との密着性を向上させるために、表面
活性化処理及び/又は一層又は二層以上の下塗層の付設
を行ってもよい。表面活性化処理の例としては、グロー
放電処理、コロナ放電処理等を挙げることができる。下
塗層の材料としては、支持体と光熱変換層の両表面に高
い接着性を示し、かつ熱伝導性が小さく、また耐熱性に
優れたものであることが好ましい。そのような下塗層の
材料の例としては、スチレン、スチレン−ブタジエン共
重合体、ゼラチン等を挙げることができる。下塗層全体
の厚さは通常0.01〜2μmである。また、熱転写シ
ートの光熱変換層付設側とは反対側の表面には、必要に
応じて、反射防止層や帯電防止層等の各種の機能層の付
設、あるいは表面処理を行うこともできる。 (バック層)本発明の熱転写シートの光熱変換層付設側
とは反対側の表面には、バック層を設けることが好まし
い。バック層は支持体に隣接する第1のバック層とこの
第1のバック層の支持体とは反対側に設けられた第2の
バック層との2層で構成されることが好ましい。本発明
では、第1のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Aと
第2のバック層に含まれる帯電防止剤の質量Bとの比B
/Aは0.3未満であることが好ましい。B/Aが0.
3以上であると滑り性及びバック層の粉落ちが悪化する
傾向がある。
【0093】第1のバック層の層厚Cは0.01〜1μ
mであることが好ましく、0.01〜0.2μmである
ことがさらに好ましい。また、第2のバック層の層厚D
は0.01〜1μmであることが好ましく、0.01〜
0.2μmであることがさらに好ましい。これら第1及
び第2のバック層の層厚の比C:Dは1:2〜5:1で
あることが好ましい。
【0094】第1及び第2のバック層に使用される帯電
防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤、
第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アル
キルホスフェート等のアニオン系界面活性剤、両性界面
活性剤、導電性樹脂等の化合物が使用できる。
【0095】また、導電性微粒子を帯電防止剤として用
いることもできる。このような導電性微粒子としては、
例えば、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al23 、I
23 、MgO、BaO、CoO、CuO、Cu2O、
CaO、SrO、BaO2、PbO、PbO2、Mn
3、MoO3、SiO2、ZrO2、Ag2O、Y23
Bi23、Ti23、Sb23、Sb25、K2Ti6
13、NaCaP218、MgB25等の酸化物;Cu
S、ZnS等の硫化物;SiC、TiC、ZrC、V
C、NbC、MoC、WC等の炭化物;Si34、Ti
N、ZrN、VN、NbN、Cr2N等の窒化物;Ti
2、ZrB2、NbB2、TaB2、CrB、MoB、W
B、LaB5等の硼化物;TiSi2、ZrSi2、Nb
Si2、TaSi2、CrSi2、MoSi2、WSi2
の珪化物;BaCO3、CaCO3、SrCO3、BaS
4、CaSO4等の金属塩;SiN4−SiC、9Al2
3−2B23等の複合体が挙げられ、これら1種を単
独で又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、S
nO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、Mg
O、BaO及びMoO3が好ましく、SnO2、ZnO、
In23及びTiO2がさらに好ましく、SnO2が特に
好ましい。
【0096】なお、本発明の熱転写材料をレーザー熱転
写記録方式に用いる場合、バック層に用いる帯電防止剤
はレーザー光を透過できるように実質的に透明であるこ
とが好ましい。
【0097】導電性金属酸化物を帯電防止剤として使用
する場合には、その粒子径は光散乱をできるだけ小さく
するために小さい程好ましいが、粒子とバインダーの屈
折率の比をパラメータとして使用して決定されるべきも
のであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることが
できる。一般に平均粒子径が0.001〜0.5μmの
範囲であり、0.003〜0.2μmの範囲が好まし
い。ここでいう、平均粒子径とは、導電性金属酸化物の
一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値であ
る。
【0098】第1及び第2のバック層には帯電防止剤の
他に、界面活性剤、滑り剤及びマット剤等の各種添加剤
やバインダーを添加することができる。第1のバック層
に含まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に
対して10〜1000質量部が好ましく、200〜80
0質量部がさらに好ましい。また、第2のバック層に含
まれる帯電防止剤の量はバインダー100質量部に対し
て0〜300質量部が好ましく、0〜100質量部がさ
らに好ましい。
【0099】第1及び第2のバック層の形成に使用され
るバインダーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
アクリル酸系モノマーの単独重合体及び共重合体、ニト
ロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、
セルロースアセテートのようなセルロース系ポリマー、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビ
ニル系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアルコールのようなビニル系ポリマー及びビニル化合
物の共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミ
ドのような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共重
合体のようなゴム系熱可塑性ポリマー、エポキシ化合物
のような光重合性若しくは熱重合性化合物を重合、架橋
させたポリマー、メラミン化合物等を挙げることができ
る。
【0100】(画像形成層)画像形成層は、受像シート
に転写されて画像を形成するための顔料を少なくとも含
有し、更に、層を形成するためのバインダー、及び所望
により、その他の成分を含有する。
【0101】顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別
され、前者は特に塗膜の透明性に優れ、後者は一般に隠
蔽性に優れる等の特性を有しているので、用途に応じ
て、適宜選択すればよい。前記熱転写シートを印刷色校
正用に用いる場合には、印刷インキに一般に使用される
イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックと一致する
か、あるいは色調が近い有機顔料が好適に使用される。
またその他にも、金属粉、蛍光顔料等も用いる場合があ
る。好適に使用される顔料の例としては、アゾ系顔料、
フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン
系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。画像形成
層に用いられる顔料を、色相別に分けて、以下に列挙す
るが、これらに限定されるものではない。
【0102】1)イエロー顔料 Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
12(C.I.No.21090) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) DHG(クラリアントジャパン(株)
製)、Lionol Yellow(リオノールイエロ
ー) 1212B(東洋インキ製造(株)製)、Irg
alite Yellow(イルガライトイエロー)
LCT(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)
製)、Symuler Fast Yellow(シム
ラーファーストイエロー) GTF 219(大日本イ
ンキ化学工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
13(C.I.No.21100) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) GR(クラリアントジャパン(株)製)、
Lionol Yellow(リオノールイエロー)
1313(東洋インキ製造(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
14(C.I.No.21095) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) G(クラリアントジャパン(株)製)、L
ionol Yellow(リオノールイエロー) 1
401−G(東洋インキ製造(株)製)、Seika
Fast Yellow(セイカファーストイエロー)
2270(大日精化工業(株)製)、Symuler
Fast Yellow(シムラーファーストイエロ
ー) 4400(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
17(C.I.No.21105) 例)Permanent Yellow(パーマネント
イエロー) GG02(クラリアントジャパン(株)
製)、Symuler Fast Yellow(シム
ラーファーストイエロー) 8GF(大日本インキ化学
工業(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
155 例)Graphtol Yellow(グラフトールイ
エロー) 3GP(クラリアントジャパン(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
180(C.I.No.21290) 例)Novoperm Yellow(ノボパームイエ
ロー) P−HG(クラリアントジャパン(株)製)、
PV Fast Yellow(ファーストイエロー)
HG(クラリアントジャパン(株)製) Pigment Yellow(ピグメントイエロー)
139(C.I.No.56298) 例)Novoperm Yellow(ノボパームイエ
ロー) M2R 70(クラリアントジャパン(株)
製)
【0103】2)マゼンタ顔料 Pigment Red(ピグメントレッド) 57:
1(C.I.No.15850:1) 例)Graphtol Rubine(グラフトールル
ビン) L6B(クラリアントジャパン(株)製)、L
ionol Red(リオノールレッド) 6B−42
90G(東洋インキ製造(株)製)、Irgalite
Rubine(イルガライトルビン) 4BL(チバ
・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Symu
ler Brilliant Carmine(シムラ
ーブリリアントカーミン) 6B−229(大日本イン
キ化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 122
(C.I.No.73915) 例)Hosterperm Pink(ホスターパーム
ピンク) E(クラリアントジャパン(株)製)、Li
onogen Magenta(リオノゲンマゼンタ)
5790(東洋インキ製造(株)製)、Fastog
en Super Magenta(ファストゲンスー
パーマゼンタ) RH(大日本インキ化学工業(株)
製) Pigment Red(ピグメントレッド) 53:
1(C.I.No.15585:1) 例)Permanent Lake Red(パーマネ
ントレイクレッド)LCY(クラリアントジャパン
(株)製)、Symuler Lake Red(シム
ラーレイクレッド) C conc(大日本インキ化学
工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
1(C.I.No.15865:1) 例)Lionol Red(リオノールレッド) 2B
3300(東洋インキ製造(株)製)、Symule
r Red(シムラーレッド) NRY(大日本インキ
化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
2(C.I.No.15865:2) 例)Permanent Red(パーマネントレッ
ド) W2T(クラリアントジャパン(株)製)、Li
onol Red(リオノールレッド) LX235
(東洋インキ製造(株)製)、Symuler Red
(シムラーレッド)3012(大日本インキ化学工業
(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 48:
3(C.I.No.15865:3) 例)Permanent Red(パーマネントレッ
ド) 3RL(クラリアントジャパン(株)製)、Sy
muler Red(シムラーレッド) 2BS(大日
本インキ化学工業(株)製) Pigment Red(ピグメントレッド) 177
(C.I.No.65300) 例)Cromophtal Red(クロモフタルレッ
ド) A2B(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ
(株)製)
【0104】3)シアン顔料 Pigment Blue(ピグメントブルー) 15
(C.I.No.74160) 例)Lionol Blue(リオノールブルー) 7
027(東洋インキ製造(株)製)、Fastogen
Blue(ファストゲンブルー) BB(大日本イン
キ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:1(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) A2R(クラリアントジャパン(株)製)、
Fastogen Blue(ファストゲンブルー)
5050(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:2(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) AFL(クラリアントジャパン(株)製)、
Irgalite Blue(イルガライトブルー)
BSP(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)
製)、Fastogen Blue(ファストゲンブル
ー) GP(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:3(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) B2G(クラリアントジャパン(株)製)、
Lionol Blue(リオノールブルー)FG73
30(東洋インキ製造(株)製)、Cromophta
l Blue(クロモフタルブルー) 4GNP(チバ
・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fast
ogen Blue(ファストゲンブルー) FGF
(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:4(C.I.No.74160) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) BFL(クラリアントジャパン(株)製)、
Cyanine Blue(シアニンブルー)700−
10FG(東洋インキ製造(株)製)、Irgalit
e Blue(イルガライトブルー) GLNF(チバ
・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製)、Fast
ogen Blue(ファストゲンブルー) FGS
(大日本インキ化学工業(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 1
5:6(C.I.No.74160) 例)Lionol Blue(リオノールブルー) E
S(東洋インキ製造(株)製) Pigment Blue(ピグメントブルー) 60
(C.I.No.69800) 例)Hosterperm Blue(ホスターパーム
ブルー) RL01(クラリアントジャパン(株)
製)、Lionogen Blue(リオノゲンブル
ー) 6501(東洋インキ製造(株)製)
【0105】4)ブラック顔料 Pigment Black(ピグメントブラック)
7(カーボンブラックC.I.No.77266) 例)三菱カーボンブラック MA100(三菱化学
(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学
(株)製)、Black Pearls(ブラックパー
ルズ) 430(Cabot Co.(キャボット社)
製) また、本発明で用いることのできる顔料としては、「顔
料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、198
9」、「COLOUR INDEX、THE SOCI
ETY OF DYES & COLOURIST、T
HIRD EDITION、1987」などを参照して
適宜商品を選択できる。
【0106】前記顔料の平均粒径としては、0.03〜
1μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好まし
い。前記粒径が0.03μm以上であると、分散コスト
が上がったり、分散液がゲル化等を起こすこともなく、
一方、1μm以下にすると、顔料中に粗大粒子が存在し
ないので、画像形成層と受像層との密着性が良好であ
り、また、画像形成層の透明性を改良することもでき
る。
【0107】画像形成層のバインダーとしては、軟化点
が40〜150℃の非晶質有機高分子重合体が好まし
い。前記非晶質有機高分子重合体としては、例えば、ブ
チラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹
脂、スルホンアミド樹脂、ポリエステルポリオール樹
脂、石油樹脂、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アミノ
スチレン等のスチレン及びその誘導体、置換体の単独重
合体や共重合体、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリ
ル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、α−エチルヘキシルアクリレート等の
アクリル酸エステル及びアクリル酸、ブタジエン、イソ
プレン等のジエン類、アクリロニトリル、ビニルエーテ
ル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル類、無水マレ
イン酸、ケイ皮酸、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル
系単量体の単独あるいは他の単量体等との共重合体を用
いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用
いることもできる。
【0108】更に、画像形成層のバインダーとしては、
非水溶性の樹脂であることが好ましく、SP値が16〜
30である非水溶剤に0.1質量%以上溶解する樹脂が
好ましく、1質量%以上溶解する樹脂がより好ましい。
上記SP値を持つ汎用溶剤としては、先の疎水的溶剤に
加えて、カッコ内にSP値を示した、シクロヘキサノー
ル(23.3)、n−プロピルアルコール(24.
3)、エタノール(26.0)、メタノール(29.
7)等が挙げられる。ここで、SP値は、Polyme
r Handbook 3rd edition VI
I/526−539に記載された値である。また、画像
形成層を形成するための塗布溶剤への画像形成層バイン
ダーの溶解度も、0.1質量%以上であることが好まし
く、1質量%以上であることがより好ましい。
【0109】画像形成層は、顔料を30〜70質量%含
有しているのが好ましく、30〜50質量%含有してい
るのがより好ましい。また、画像形成層は、樹脂を70
〜30質量%含有しているのが好ましく、70〜40質
量%含有しているのがより好ましい。
【0110】前記画像形成層は、以下の〜の成分を
前記その他の成分として含有することができる。 ワックス類 ワックス類としては、鉱物系のワックス類、天然ワック
ス類、合成ワックス類等が挙げられる。前記鉱物系のワ
ックスの例としては、パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、エステルワックス、酸化ワックス
等の石油ロウ、モンタンロウ、オゾケライト、セレシン
等が挙げられる。なかでも、パラフィンワックスが好ま
しい。該パラフィンワックスは、石油から分離されるも
のであり、その融点によって各種のものが市販されてい
る。前記天然ワックスの例としては、カルナバロウ、木
ロウ、オウリキュリーロウ、エスパルロウ等の植物ロ
ウ、密ロウ、昆虫ロウ、セラックロウ、鯨ロウ等の動物
ロウが挙げられる。
【0111】前記合成ワックスは、一般に滑剤として用
いられ、通常は高級脂肪酸系の化合物からなる。このよ
うな合成ワックスの例としては、下記のものが挙げられ
る。 1)脂肪酸系ワックス 下記一般式で表される直鎖の飽和脂肪酸: CH3(CH2 n COOH 前記式中、nは6〜28の整数を示す。具体例として
は、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸、12−ヒ
ドロキシステアリン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
また、上記脂肪酸等の金属塩(例えば、K、Ca、Z
n、Mgなど)が挙げられる。
【0112】2)脂肪酸エステル系ワックス 前記脂肪酸のエステルの具体例としては、ステアリン酸
エチル、ステアリン酸ラウリル、ベヘン酸エチル、ベヘ
ン酸ヘキシル、ミリスチン酸ベヘニル等が挙げられる。
【0113】3)脂肪酸アミド系ワックス 前記脂肪酸のアミドの具体例としては、ステアリン酸ア
ミド、ラウリン酸アミド等が挙げられる。 4)脂肪族アルコール系ワックス 下記一般式で表される直鎖飽和脂肪族アルコール: CH3(CH2 n OH 前記式中、nは6〜28の整数を表す。具体例として
は、ステアリルアルコール等が挙げられる。
【0114】前記1)〜4)の合成ワックスのなかで
も、特にステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド等の高
級脂肪酸アミドが好適である。尚、前記ワックス系化合
物は、所望により単独もしくは適宜組み合わせて使用す
ることができる。
【0115】可塑剤 前記可塑剤としては、エステル化合物が好ましく、フタ
ル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ
(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニル、フタル酸
ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ブチル
ベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ(2−
エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシ
ル)等の脂肪族二塩基酸エステル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等のリン酸トリ
エステル類、ポリエチレングリコールエステル等のポリ
オールポリエステル類、エポキシ脂肪酸エステル等のエ
ポキシ化合物等、公知の可塑剤が挙げられる。これらの
中でもビニルモノマーのエステル、特に、アクリル酸又
はメタクリル酸のエステルが、添加による転写感度の向
上や転写ムラの改良効果、及び破断伸びの調節効果が大
きい点で好ましい。
【0116】前記アクリル酸又はメタクリル酸のエステ
ル化合物としては、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタ
エリスリトールアクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレート、ジペンタエリスリトール−ポリアク
リレート等が挙げられる。
【0117】また、前記可塑剤は高分子であってもよ
く、なかでもポリエステルは、添加効果が大きい点、及
び保存条件下で拡散し難い点等で好ましい。該ポリエス
テルとしては、例えば、セバシン酸系ポリエステル、ア
ジピン酸系ポリエステル等が挙げられる。尚、画像形成
層中に含有させる前記添加剤は、これらに限定されるも
のではない。また、可塑剤は、1種単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0118】画像形成層中の前記添加剤の含有量が多す
ぎると、転写画像の解像度が低下したり、画像形成層自
身の膜強度が低下したり、光熱変換層と画像形成層との
密着力の低下による未露光部の受像シートへの転写が起
きる場合がある。上記観点から、前記ワックス類の含有
量としては、画像形成層中の全固形分の0.1〜30質
量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。ま
た、前記可塑剤の含有量としては、画像形成層中の全固
形分の0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質
量%がより好ましい。
【0119】その他 画像形成層は、更に、上記の成分の他に、界面活性剤、
無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲル等)、オ
イル類(アマニ油、鉱油等)、増粘剤、帯電防止剤等を
含有してもよい。黒色の画像を得る場合を除き、画像記
録に用いる光源の波長を吸収する物質を含有すること
で、転写に必要なエネルギーを少なくできる。光源の波
長を吸収する物質としては、顔料、染料のいずれでも構
わないが、カラー画像を得る場合には、画像記録に半導
体レーザー等の赤外線の光源を使用して、可視部に吸収
の少ない、光源の波長の吸収の大きな染料を使用するこ
とが、色再現上好ましい。近赤外線染料の例としては、
特開平3−103476号公報に記載の化合物を挙げる
ことができる。
【0120】画像形成層は、顔料と前記バインダー等と
を溶解又は分散した塗布液を調製し、これを光熱変換層
上(光熱変換層上に下記感熱剥離層が設けられている場
合は、該層上)に塗布し、乾燥することにより設けるこ
とができる。塗布液の調製に使用される溶媒としては、
n−プロピルアルコール、メチルエチルケトン、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル(MFG)、メタノ
ール、水等が挙げられる。塗布、乾燥は、通常の塗布、
乾燥方法を利用して行うことができる。
【0121】前記熱転写シートの光熱変換層の上には、
光熱変換層で発生した熱の作用により気体を発生する
か、付着水等を放出し、これにより光熱変換層と画像形
成層との間の接合強度を弱める感熱材料を含む感熱剥離
層を設けることができる。そのような感熱材料として
は、それ自身が熱により分解若しくは変質して気体を発
生する化合物(ポリマー又は低分子化合物)、水分等の
易気化性気体を相当量吸収若しくは吸着している化合物
(ポリマー又は低分子化合物)等を用いることができ
る。これらは併用してもよい。
【0122】熱により分解若しくは変質して気体を発生
するポリマーの例としては、ニトロセルロースのような
自己酸化性ポリマー、塩素化ポリオレフィン、塩素化ゴ
ム、ポリ塩化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ンのようなハロゲン含有ポリマー、水分等の揮発性化合
物が吸着されているポリイソブチルメタクリレート等の
アクリル系ポリマー、水分等の揮発性化合物が吸着され
ているエチルセルロース等のセルロースエステル、水分
等の揮発性化合物が吸着されているゼラチン等の天然高
分子化合物等を挙げることができる。熱により分解若し
くは変質して気体を発生する低分子化合物の例として
は、ジアゾ化合物やアジド化のような発熱分解して気体
を発生する化合物を挙げることができる。尚、上記のよ
うな、熱による感熱材料の分解や変質等は280℃以下
で発生することが好ましく、特に230℃以下で発生す
ることが好ましい。
【0123】感熱剥離層の感熱材料として低分子化合物
を用いる場合には、バインダーと組み合わせることが望
ましい。バインダーとしては、上記のそれ自身が熱によ
り分解若しくは変質して気体を発生するポリマーを用い
ることもできるが、そのような性質を持たない通常のバ
インダーを使用することもできる。感熱性の低分子化合
物とバインダーとを併用する場合には、前者と後者の質
量比は0.02:1〜3:1であることが好ましく、
0.05:1〜2:1であることが更に好ましい。感熱
剥離層は、光熱変換層を、そのほぼ全面にわたって被覆
していることが望ましく、その厚さは一般に0.03〜
1μmであり、0.05〜0.5μmの範囲にあること
が好ましい。
【0124】支持体の上に、光熱変換層、感熱剥離層、
画像形成層がこの順に積層された構成の熱転写シートの
場合には、感熱剥離層は、光熱変換層から伝えられる熱
により分解、変質し、気体を発生する。そして、この分
解あるいは気体発生により、感熱剥離層が一部消失する
か、あるいは感熱剥離層内で凝集破壊が発生し、光熱変
換層と画像形成層との間の結合力が低下する。このた
め、感熱剥離層の挙動によっては、その一部が画像形成
層に付着して、最終的に形成される画像の表面に現わ
れ、画像の混色の原因となることがある。従って、その
ような感熱剥離層の転写が発生しても、形成された画像
に目視的な混色が現われないように、感熱剥離層はほと
んど着色していないこと、即ち、可視光に対して高い透
過性を示すことが望ましい。具体的には、感熱剥離層の
光吸収率が、可視光に対し、50%以下、好ましくは1
0%以下である。
【0125】尚、前記熱転写シートには、独立した感熱
剥離層を設ける代わりに、前記の感熱材料を光熱変換層
塗布液に添加して光熱変換層を形成し、光熱変換層と感
熱剥離層とを兼ねるような構成とすることもできる。
【0126】熱転写シートの画像形成層が塗設されてい
る側の最表層の静摩擦係数を0.35以下、好ましくは
0.20以下にすることは好ましい。最表層の静摩擦係
数を0.35以下とすることで熱転写シートを搬送する
際のロール汚れをなくし、形成される画像を高画質化し
得る。静摩擦係数の測定法は特願2000−85759
の段落(0011)に記載の方法に従う。
【0127】画像形成層表面のスムースター値が23
℃、55%RHで0.5〜50mmHg(≒0.066
5〜6.65kPa)が好ましく、かつRaが0.05
〜0.4μmであることが好ましく、このことにより接
触面に受像層と画像形成層とが接触し得ない多数のミク
ロな空隙を少なく出来、転写、更には画質の点で好まし
い。前記Ra値は、表面粗さ測定機(Surfcom,
東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基
づき測定することができる。画像形成層の表面硬さがサ
ファイヤ針で10g以上であることが好ましい。米国連
邦政府試験基準4046により熱転写シートに帯電させ
た後、熱転写シートを接地後1秒後の画像形成層の帯電
電位が−100〜100Vであることが好ましい。画像
形成層の表面抵抗が23℃、55%RHで109Ω以下
であることが好ましい。
【0128】次に前記熱転写シートと組み合わされて使
用され得る受像シートについて説明する。 [受像シート] (層構成)受像シートは、通常、支持体と、その上に、
1以上の受像層が設けられ、所望により、支持体と受像
層との間にクッション層、剥離層、及び中間層のいずれ
か1層又は2層以上を設けた構成である。また、支持体
の受像層とは反対側の面に、バック層を有すると、搬送
性の点で好ましい。
【0129】(支持体)支持体としては、プラスチック
シート、金属シート、ガラスシート、樹脂コート紙、
紙、及び各種複合体等のような通常のシート状の基材が
挙げられる。プラスチックシートの例としては、ポリエ
チレンテレフタレートシート、ポリカーボネートシー
ト、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニルシート、ポリ
塩化ビニリデンシート、ポリスチレンシート、スチレン
−アクリロニトリルシート、ポリエステルシート等を挙
げることができる。また、紙としては印刷本紙、コート
紙等を用いることができる。
【0130】支持体が、微小な空隙(ボイド)を有する
と、画質を向上させることができるので好ましい。この
ような支持体は、例えば、熱可塑性樹脂と、無機顔料や
前記熱可塑性樹脂と非相溶性の高分子等からなる填料と
を混合した混合溶融物を、溶融押出機によって単層又は
多層のフィルムとし、更に1ないし2軸に延伸すること
により作製することができる。この場合、樹脂及び填料
の選定、混合比率、延伸条件等によって空隙率が決定さ
れる。
【0131】前記熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、及びポリエチレンテレフタ
レート樹脂が、結晶性が良く、延伸性が良く、ボイドの
形成も容易であるので好ましい。前記ポリオレフィン樹
脂、又はポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分と
し、それに適宜少量の他の熱可塑性樹脂を併用すること
が好ましい。前記填料として用いられる無機顔料として
は、平均粒径が1〜20μmのものが好ましく、炭酸カ
ルシウム、クレー、けいそう土、酸化チタン、水酸化ア
ルミニウム、シリカ等を用いることができる。また、填
料として用いられる非相溶性の樹脂としては、熱可塑性
樹脂としてポリプロピレンを用いる場合は、ポリエチレ
ンテレフタレートを填料として組み合わせるのが好まし
い。微小な空隙(ボイド)を有する支持体の詳細は特願
平11−290570に記載されている。尚、支持体に
おける、無機顔料等の填料の含有率は、体積で2〜30
%程度が一般的である。
【0132】受像シートの支持体の厚さは、通常10〜
400μmであり、25〜200μmであるのが好まし
い。また、支持体の表面は、受像層(あるいはクッショ
ン層)との密着性、又は熱転写シートの画像形成層との
密着性を高めるために、コロナ放電処理、グロー放電処
理等の表面処理が施されていてもよい。
【0133】(受像層)受像シートの表面には、画像形
成層を転写し、これを固定するために、支持体上に、受
像層を1以上設けることが好ましい。受像層は有機重合
体バインダーを主体として形成される層であるのが好ま
しい。前記バインダーは、熱可塑性樹脂であることが好
ましく、その例としては、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のアクリ
ル系モノマーの単独重合体及びその共重合体、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートの
ようなセルロース系ポリマー、ポリスチレン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コール、ポリ塩化ビニル等のようなビニル系モノマーの
単独重合体及びその共重合体、ポリエステル、ポリアミ
ド等のような縮合系ポリマー、ブタジエン−スチレン共
重合体のようなゴム系ポリマーを挙げることができる。
受像層のバインダーは、画像形成層との間の適度な接着
力を得るために、ガラス転移温度(Tg)が90℃より
低いポリマーであることが好ましい。このために、受像
層に可塑剤を添加することも可能である。また、バイン
ダーポリマーは、シート間のブロッキングを防ぐため
に、そのTgが30℃以上であることが好ましい。受像
層のバインダーポリマーとしては、レーザー記録時の画
像形成層との密着性を向上させ、感度や画像強度を向上
させる点で、画像形成層のバインダーポリマーと同一、
若しくは類似のポリマーを用いることが特に好ましい。
【0134】受像層表面のスムースター値が23℃、5
5%RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜
6.65kPa)が好ましく、かつRaが0.05〜
0.4μmであることが好ましく、このことにより接触
面に受像層と画像形成層とが接触し得ない多数のミクロ
な空隙を少なく出来、転写、更には画質の点で好まし
い。前記Ra値は、表面粗さ測定機(Surfcom,
東京精機(株)製)等を用いてJIS B0601に基
づき測定することができる。米国連邦政府試験基準40
46により受像シートに帯電させた後、受像シートを接
地後1秒後の受像層の帯電電位が−100〜100Vで
あることが好ましい。受像層の表面抵抗が23℃、55
%RHで109Ω以下であることが好ましい。受像層表
面の静止摩擦係数が0.2以下であることが好ましい。
受像層表面の表面エネルギーが23〜35mg/m2
あることが好ましい。
【0135】受像層上に一旦画像を形成した後、印刷本
紙等へ再転写する場合には、受像層の少なくとも一層を
光硬化性材料から形成することも好ましい。このような
光硬化性材料の組成としては、例えば、a)付加重合に
よって光重合体を形成しうる多官能ビニル又はビニリデ
ン化合物の少なくとも一種からなる光重合性モノマー、
b)有機ポリマー、c)光重合開始剤、及び必要に応じ
て熱重合禁止剤等の添加剤からなる組み合わせを挙げる
ことができる。上記の多官能ビニルモノマーとしては、
ポリオールの不飽和エステル、特にアクリル酸もしくは
メタクリル酸のエステル(例えば、エチレングリコール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレ
ート)が用いられる。
【0136】前記有機ポリマーとしては前記受像層形成
用ポリマーが挙げられる。また、光重合開始剤として
は、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の通常の光ラ
ジカル重合開始剤が、層中の0.1〜20質量%の割合
で用いられる。
【0137】受像層の厚みは0.3〜7μm、好ましく
は0.7〜4μmである。0.3μm以上の場合、印刷
本紙への再転写の際に膜強度が確保できる。4μm以下
にすることで、本紙再転写後の画像の光沢が抑えられ、
印刷物への近似性が改良される。
【0138】(その他の層)支持体と受像層との間に、
クッション層を設けてもよい。クッション層を設ける
と、レーザー熱転写時に画像形成層と、受像層の密着性
を向上させ、画質を向上させることができる。また、記
録時、熱転写シートと受像シートの間に異物が混入して
も、クッション層の変形作用により、受像層と画像形成
層の空隙が小さくなり、結果として白ヌケ等の画像欠陥
サイズを小さくすることもできる。更に、画像を転写形
成した後、これを別に用意した印刷本紙等に転写する場
合、紙凹凸表面に応じて受像表面が変形するため、受像
層の転写性を向上することができ、また被転写物の光沢
を低下させることによって、印刷物との近似性も向上さ
せることができる。
【0139】クッション層は、受像層に応力が加えられ
た際に変形し易い構成であり、前記効果を達成するに
は、低弾性率を有する材料、ゴム弾性を有する材料ある
いは加熱により容易に軟化する熱可塑性樹脂からなるの
が好ましい。クッション層の弾性率としては、室温で好
ましくは0.5MPa〜1.0GPa、特に好ましくは
1MPa〜0.5GPa、より好ましくは10〜100
MPaである。また、ゴミ等の異物をめり込ませるため
には、JIS K2530で定められた針入度(25
℃、100g、5秒)が10以上であることが好まし
い。また、クッション層のガラス転移温度は80℃以
下、好ましくは25℃以下、軟化点は50〜200℃が
好ましい。これらの物性、例えば、Tgを調節するため
に可塑剤をバインダー中に添加することも好適に行うこ
とができる。
【0140】クッション層のバインダーとして用いられ
る具体的な材料としては、ウレタンゴム、ブタジエンゴ
ム、ニトリルゴム、アクリルゴム、天然ゴム等のゴム類
の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、可塑剤
入り塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂
等が挙げられる。尚、クッション層の厚みは使用する樹
脂その他の条件により異なるが、通常3〜100μm、
好ましくは10〜52μmである。
【0141】受像層とクッション層はレーザー記録の段
階までは接着している必要があるが、画像を印刷本紙に
転写するために、剥離可能に設けられていることが好ま
しい。剥離を容易にするためには、クッション層と受像
層の間に剥離層を厚み0.1〜2μm程度で設けること
も好ましい。層厚が大きすぎるとクッション層の性能が
現われ難くなるため、剥離層の種類により調整すること
が必要である。
【0142】剥離層のバインダーとしては、具体的にポ
リオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアセタール、
ポリビニルホルマール、ポリパラバン酸、ポリメタクリ
ル酸メチル、ポリカーボネート、エチルセルロース、ニ
トロセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、ポリ塩化ビニル、ウレタン樹脂、フッ素
系樹脂、ポリスチレン,アクリロニトリルスチレン等の
スチレン類及びこれら樹脂を架橋したもの、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、アラミド等のTgが65℃以上
の熱硬化性樹脂及びそれら樹脂の硬化物が挙げられる。
硬化剤としてはイソシアナート、メラミン等の一般的硬
化剤を使用することができる。
【0143】上記物性に合わせて剥離層のバインダーを
選ぶとポリカーボネート、アセタール、エチルセルロー
スが保存性の点で好ましく、更に受像層にアクリル系樹
脂を用いるとレーザー熱転写後の画像を再転写する際に
剥離性良好となり特に好ましい。
【0144】又、別に、冷却時に受像層との接着性が極
めて低くなる層を剥離層として利用することができる。
具体的には、ワックス類、バインダー等の熱溶融性化合
物や熱可塑性樹脂を主成分とする層とすることができ
る。
【0145】熱溶融性化合物としては、特開昭63−1
93886号に記載の物質等がある。特にマイクロクリ
スタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワッ
クスなどが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂として
は、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重合
体、セルロース系樹脂等が好ましく用いられる。
【0146】このような剥離層には添加剤として、高級
脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、アミド
類、高級アミン等を必要に応じて加えることができる。
剥離層の別の構成は、加熱時に溶融又は軟化することに
よって、それ自体が凝集破壊することで剥離性を持つ層
である。このような剥離層には過冷却物質を含有させる
ことが好ましい。
【0147】過冷却物質としては、ポリ−ε−カプロラ
クトン、ポリオキシエチレン、ベンゾトリアゾール、ト
リベンジルアミン、バニリン等が挙げられる。更に、別
の構成の剥離性層では、受像層との接着性を低下させる
ような化合物を含ませる。このような化合物としては、
シリコーンオイルなどのシリコーン系樹脂;テフロン
(登録商標)、弗素含有アクリル樹脂等の弗素系樹脂;
ポリシロキサン樹脂;ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアセタール、ポリビニルホルマール等のアセタール系
樹脂;ポリエチレンワックス、アミドワックス等の固形
ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤等を
挙げることができる。
【0148】剥離層の形成方法としては、前記素材を溶
媒に溶解又はラテックス状に分散したものをブレードコ
ーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコー
ター、グラビアコーター、等の塗布法、ホットメルトに
よる押出しラミネーション法などが適用でき、クッショ
ン層上に塗布し形成することができる。又は、仮ベース
上に前記素材を溶媒に溶解又はラテックス状に分散した
ものを、上記の方法で塗布したものとクッション層とを
貼り合わせた後に仮ベースを剥離して形成する方法があ
る。
【0149】前記熱転写シートと組み合わされる受像シ
ートは、受像層がクッション層を兼ねた構成であっても
よく、その場合は、受像シートは、支持体/クッション
性受像層、あるいは支持体/下塗り層/クッション性受
像層の構成であってもよい。この場合も、印刷本紙への
再転写が可能なようにクッション性受像層が剥離可能に
設けられていることが好ましい。この場合、印刷本紙へ
再転写後の画像は光沢に優れた画像となる。尚、クッシ
ョン性受像層の厚みは5〜100μm、好ましくは10
〜40μmである。
【0150】また、受像シートには、支持体の受像層が
設けられている面とは反対側の面に、バック層を設ける
と、受像シートの搬送性が良化するので好ましい。前記
バック層には、界面活性剤や酸化錫微粒子等による帯電
防止剤、酸化珪素、PMMA粒子等によるマット剤を添
加すると、記録装置内での搬送性を良化させる点で好ま
しい。
【0151】前記添加剤はバック層のみならず、必要に
よって受像層その他の層に添加することもできる。添加
剤の種類についてはその目的により一概には規定できな
いが、例えば、マット剤の場合、平均粒径0.5〜10
μmの粒子を層中、0.5〜80%程度添加することが
できる。帯電防止剤としては、層の表面抵抗が23℃、
50%RHの条件で1012Ω以下、より好ましくは10
9Ω以下となるように、各種界面活性剤、導電剤の中か
ら適宜選択して用いることができる。
【0152】バック層に用いられるバインダーとして
は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロー
ス、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポ
リアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキ
ド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポ
リイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテ
ート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エス
テル類、弗化ポリウレタン、ポリエーテルスルホンなど
汎用ポリマーを使用することができる。
【0153】バック層のバインダーとして架橋可能な水
溶性バインダーを用い、架橋させることは、マット剤の
粉落ち防止やバック層の耐傷性の向上に効果がある。
又、保存時のブロッキングにも効果が大きい。この架橋
手段は、用いる架橋剤の特性に応じて、熱、活性光線、
圧力の何れか一つ又は組み合わせなどを特に限定なく採
ることができる。場合によっては、支持体への接着性を
付与するため、支持体のバック層を設ける側に任意の接
着層を設けてもよい。
【0154】バック層に好ましく添加されるマット剤と
しては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機系マ
ット剤としては、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子などが
挙げられる。
【0155】バック層は0.5〜5g/m2 程度の付量
で設けられることが好ましい。0.5g/m2 未満では
塗布性が不安定で、マット剤の粉落ち等の問題が生じ易
い。又、5g/m2 を大きく超えて塗布されると好適な
マット剤の粒径が非常に大きくなり、保存時にバック層
による受像層面のエンボス化が生じ、特に薄膜の画像形
成層を転写する熱転写では記録画像の抜けやムラが生じ
易くなる。
【0156】マット剤は、その数平均粒径が、バック層
のバインダーのみの層厚よりも2.5〜20μm大きい
ものが好ましい。マット剤の中でも、8μm以上の粒径
の粒子が5mg/m2 以上が必要で、好ましくは6〜6
00mg/m2 である。これによって特に異物故障が改
善される。又、粒径分布の標準偏差を数平均粒径で割っ
た値σ/rn(=粒径分布の変動係数)が0.3以下と
なるような、粒径分布の狭いものを用いることで、異常
に大きい粒径を有する粒子により発生する欠陥を改善で
きる上、より少ない添加量で所望の性能が得られる。こ
の変動係数は0.15以下であることが更に好ましい。
【0157】バック層には、搬送ロールとの摩擦帯電に
よる異物の付着を防止するため、帯電防止剤を添加する
ことが好ましい。帯電防止剤としては、カチオン系界面
活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性
剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子の他、「1129
0の化学商品」化学工業日報社、875〜876頁等に
記載の化合物などが広く用いられる。
【0158】バック層に併用できる帯電防止剤として
は、上記の物質の中でも、カーボンブラック、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化錫などの金属酸化物、有機半導体
などの導電性微粒子が好ましく用いられる。特に、導電
性微粒子を用いることは、帯電防止剤のバック層からの
解離がなく、環境によらず安定した帯電防止効果が得ら
れるために好ましい。
【0159】又、バック層には、塗布性や離型性を付与
するために、各種活性剤、シリコーンオイル、弗素系樹
脂等の離型剤などを添加することも可能である。バック
層は、クッション層及び受像層のTMA(Thermo
mechanical Analysis)により測定
した軟化点が70℃以下である場合に特に好ましい。
【0160】TMA軟化点は、測定対象物を一定の昇温
速度で、一定の荷重を掛けながら昇温し、対象物の位相
を観測することにより求める。本発明においては、測定
対象物の位相が変化し始める温度を以てTMA軟化点と
定義する。TMAによる軟化点の測定は、理学電気社製
Thermoflexなどの装置を用いて行うことがで
きる。
【0161】前記熱転写シートと前記受像シートは、熱
転写シートの画像形成層と受像シートの受像層とを重ね
合わせた積層体として、画像形成に利用され得る。熱転
写シートと受像シートとの積層体は、各種の方法によっ
て形成することができる。例えば、熱転写シートの画像
形成層と受像シートの受像層とを重ねて、加圧加熱ロー
ラに通すことによって容易に得ることができる。この場
合の加熱温度は160℃以下、もしくは130℃以下が
好ましい。
【0162】積層体を得る別の方法として、前述した真
空密着法も好適に用いられる。真空密着法は、真空引き
用のサクション孔が設けられたドラムの上に、先ず受像
シートを巻き付け、次いでその受像シートよりややサイ
ズの大きな熱転写シートを、スクイーズローラーで空気
を均一に押し出しながら受像シートに真空密着させる方
法である。また別の方法としては、金属ドラムの上に受
像シートを引っ張りつつ機械的に貼り付け、更にその上
に熱転写シートを同様に機械的に引っ張りつつ貼り付
け、密着させる方法もある。これらの方法の中で、ヒー
トローラー等の温度制御が不要で、迅速・均一に積層し
やすい点で、真空密着法が特に好ましい。
【0163】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、文中で特に断りのない限り「部」は「質量部」を意
味する。 実施例1 −熱転写シートK(ブラック)の作製− [バック層の形成] [バック第1層塗布液の調製] アクリル樹脂の水分散液 2部 (ジュリマーET410、固形分20質量%、日本純薬(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 7.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1部 メラミン化合物 0.3部 (スミチックスレジンM−3、住友化学工業(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第1層の形成]厚さ75μmの2軸延伸したポ
リエチレンテレフタレート支持体(両面のRaは0.0
1μm)の一方の面(裏面)にコロナ処理を施し、バッ
ク第1層塗布液を乾燥層厚みが0.03μmになるよう
塗布した後180℃で30秒間乾燥して、バック第1層
を形成した。支持体の長手方向のヤング率は450Kg
/mm2(≒4.4GPa)で、幅方向のヤング率は5
00Kg/mm2 (≒4.9GPa)である。支持体の
長手方向のF−5値は、10Kg/mm2 (≒98MP
a)、支持体幅方向のF−5値は、13Kg/mm
2 (≒127.4MPa)であり、支持体の100℃、
30分での熱収縮率は長手方向が0.3%で、幅方向が
0.1%である。破断強度は長手方向が20Kg/mm
2 (≒196MPa)で、幅方向が25Kg/mm
2 (≒245MPa)、弾性率は400Kg/mm
2(≒3.9GPa)である。 [バック第2層塗布液の調製] ポリオレフィン 3.0部 (ケミパールS−120、27質量%、三井石油化学(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 2.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) コロイダルシリカ 2.0部 (スノーテックスC、20質量%、日産化学(株)製) エポキシ化合物 0.3部 (ディナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第2層の形成]バック第1層の上にバック第2
層塗布液を乾燥層厚が0.03μmになるよう塗布した
後170℃で30秒間乾燥して、バック第2層を形成し
た。 [光熱変換層の形成] [光熱変換層用塗布液の調製]下記の各成分をスターラ
ーで攪拌しながら混合して、光熱変換層用塗布液を調製
した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製、下記構造のシアニン色素)
【0164】
【化8】
【0165】(式中、RはCH3 、X-はClO4 - を示
す。) ・下記構造のポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20F」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃)
【0166】
【化9】
【0167】(式中、R1 はSO2 を示す。R2
【0168】
【化10】
【0169】を示す。) ・エクソンナフサ 5.8部 ・N−メチルピロリドン(NMP) 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−176PF」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性 剤) ・下記組成のマット剤分散物 14.1部 マット剤分散物の調製平均粒径1.5μmの真球シリカ
微粒子(日本触媒(株)製シーホスターKE−P15
0)10部、分散剤ポリマー(アクリル酸エステルスチ
レン共重合体ポリマー。ジョンソンポリマー(株)製ジ
ュンクリル611)2部、メチルエチルケトン16部及
びNメチルピロリドン64部を混合し、これと直径2m
mのガラスビーズ30部を容量200mlのポリエチレ
ン製容器にいれてペイントシェーカー(東洋精機製)で
2時間分散してシリカ微粒子の分散物を得た。
【0170】[支持体表面への光熱変換層の形成]厚さ
75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持
体)の一方の表面上に、上記光熱変換層用塗布液をワイ
ヤーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃のオー
ブン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層を形
成した。得られた光熱変換層の波長808nmにおける
光学濃度を(株)島津製作所製UV−分光光度計UV−
240で測定したところ、ODLH=1.03であった。
層厚は、0.3μmであった。
【0171】[画像形成層の形成] [ブラック画像形成層用塗布液の調製]下記の各成分
を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を添加しつつ剪
断力を加え、分散前処理を行った。その分散物に、更に
溶剤を加えて、最終的に下記組成となるように調製し、
サンドミル分散を2時間行い、顔料分散母液を得た。 [ブラック顔料分散母液組成] 組成1 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 4.5部 (「三菱カーボンブラック #5」、三菱化学(株)製、PVC黒度:1) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 組成2 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Black(ピグメントブラック) 7(カーボンブラック C.I.No.77266) 10.5部 (三菱カーボンブラック MA100、三菱化学(株)製、PVC黒度:10) ・分散助剤 0.8部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0172】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しな
がら混合して、ブラック画像形成層用塗布液を調製し
た。 [ブラック画像形成層用塗布液組成] ・上記ブラック顔料分散母液 185.7部 組成1:組成2=70:30(部) ・ポリビニルブチラール 11.9部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 3.4部 (ラウリル酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 1.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.7部 ・ロジン 11.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分:アビエチン酸30〜40%、ネオアビエチ ン酸10〜20%、ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン酸14%) ・界面活性剤 2.1部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・無機顔料 7.1部 (「MEK−ST」、30%メチルエチルケトン溶液、日産化学(株)社製) ・n−プロピルアルコール 1050部 ・メチルエチルケトン 295部 得られたブラック画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0173】[光熱変換層表面へのブラック画像形成層
の形成]前記光熱変換層の表面に、上記ブラック画像形
成層用塗布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した
後、塗布物を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、
光熱変換層の上にブラック画像形成層を形成した。以上
の工程により、支持体上に、光熱変換層及びブラック画
像形成層が、この順で設けられた熱転写シート(以下、
熱転写シートKと記す。同様に、イエロー画像形成層画
像形成層も設けられたものを熱転写シートY、マゼンタ
画像形成層が設けられたものを熱転写シートM、シアン
画像形成層が設けられたものを熱転写シートCと記す)
を作製した。熱転写シートKのブラック画像形成層の透
過光学濃度を、マクベス濃度計「TD−904」(Wフ
ィルター)で測定したところ、0.91であった。ま
た、ブラック画像形成層の層厚を測定したところ、平均
で0.60μmであった。
【0174】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜5
0mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ま
しく、具体的には9.3mmHg(≒1.24kPa)
であった。表面の静止摩擦係数は0.2以下が好まし
く、具体的には0.08であった。表面エネルギーは2
9mJ/m2 であった。水の接触角は94.8°であっ
た。露光面の光強度が1000W/mm2 以上のレーザ
ー光で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変
換層の変形率は168%であった。
【0175】−熱転写シートYの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のイエロー画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートYを作製した。得られた熱転写シ
ートYの画像形成層の層厚は、0.42μmであった。 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 180(C.I.N o.21290) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) P−HG」、ク ラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部 [イエロー顔料分散母液組成] イエロー顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 7.1部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Yellow(ピグメントイエロー) 139(C.I.N o.56298) 12.9部 (「Novoperm Yellow(ノボパームイエロー) M2R 70」 、クラリアントジャパン(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0176】 [イエロー画像形成層用塗布液組成] ・上記イエロー顔料分散母液 126部 イエロー顔料組成1:イエロー顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.6部 (「エスレックB BL一SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.4部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 0.7部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミットKP」、日本化成(株)製) 0.7部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」、日本化成(株)製) 0.7部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)0.7部 ・ノニオン系界面活性剤 0.4部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 2.4部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・界面活性剤 0.8部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 793部 ・メチルエチルケトン 198部
【0177】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜5
0mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ま
しく、具体的には2.3mmHg(≒0.31kPa)
であった。表面の静止摩擦係数は0.2以下が好まし
く、具体的には0.1であった。表面エネルギーは24
mJ/m2 であった。水の接触角は108.1°であっ
た。露光面の光強度が1000W/mm2 以上のレーザ
ー光で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変
換層の変形率は150%であった。
【0178】−熱転写シートMの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のマゼンタ画像形成層
用塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様
にして、熱転写シートMを作製した。得られた熱転写シ
ートMの画像形成層の層厚は、0.38μmであった。 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成1; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリア ントカーミン) 6B−229」、大日本インキ化学工業(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 80.4部 [マゼンダ顔料分散母液組成] マゼンタ顔料組成2; ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Lionol Red(リオノールレッド) 6B−4290G」、東洋イ ンキ製造(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0179】 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 マゼンタ顔料組成1:マゼンタ顔料組成2=95:5(部) ・ポリビニルブチラール 4.0部 (「デンカブチラール#2000−L」、電気化学工業(株)製、ビカット軟化 点57℃) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 2.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 848部 ・メチルエチルケトン 246部
【0180】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜5
0mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ま
しく、具体的には3.5mmHg(≒0.47kPa)
であった。表面の静止摩擦係数は0.2以下が好まし
く、具体的には0.08であった。表面エネルギーは2
5mJ/m2 であった。水の接触角は98.8°であっ
た。露光面の光強度が1000W/mm2 以上のレーザ
ー光で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱変
換層の変形率は160%であった。
【0181】−熱転写シートCの作製− 上記熱転写シートKの作製において、ブラック画像形成
層用塗布液の代わりに、下記組成のシアン画像形成層用
塗布液を用いた以外は、熱転写シートKの作製と同様に
して、熱転写シートCを作製した。得られた熱転写シー
トCの画像形成層の層厚は、0.45μmであった。 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成1: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15:4(C.I.No. 74160) 15.0部 (「Cyanine Blue(シアニンブルー) 700−10FG」、東 洋インキ製造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部 [シアン顔料分散母液組成] シアン顔料組成2: ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL‐SH」、積水化学工業(株)製) ・Pigment Blue(ピグメントブルー) 15(C.I.No.74 160) 15.0部 (「Lionol Blue(リオノールブルー) 7027」、東洋インキ製 造(株)製) ・分散助剤 0.8部 (「PW−36」、楠本化成(株)製) ・n−プロピルアルコール 110部
【0182】 [シアン画像形成層用塗布液組成] ・上記シアン顔料分散母液 118部 シアン顔料組成1:シアン顔料組成2=90:10(部) ・ポリビニルブチラール 5.2部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・無機顔料「MEK−ST」 1.3部 ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 2.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミンドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミッドL−200」(日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ロジン 2.8部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.7部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.7部 (「メガファックF−176PF」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製 ) ・n−プロピルアルコール 890部 ・メチルエチルケトン 247部
【0183】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜5
0mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ま
しく、具体的には7.0mmHg(≒0.93kPa)
であった。表面の静止摩擦係数は0.2以下が好まし
く、具体的には0.08であった。表面エネルギーは2
5mJ/m2 であった。水の接触角は98.8°であっ
た。 露光面の光強度が1000W/mm2 以上のレー
ザー光で1m/sec以上の線速度で記録した時の光熱
変換層の変形率は165%であった。
【0184】−受像シートの作製− 下記の組成のクッション層用塗布液及び受像層用塗布液
を調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (主バインダ−) (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤(フッ素系:塗布助剤) 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤(4級アンモニウム塩) 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0185】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール 8部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 0.1部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 20部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0186】小幅塗布機を用いて、白色PET支持体
(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、厚み1
30μm)上に、上記のクッション層形成用塗布液を塗
布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布し、
乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20μm、
受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節し
た。白色PET支持体はボイド含有ポリエチレンテレフ
タレート層(厚み:116μm、空隙率:20%)とそ
の両面に設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフタレ
ート層(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)との
積層体(総厚み:130μm、比重:0.8)からなる
ボイド含有プラスチック支持体である。作製した材料
は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下記
のレーザー光による画像記録に用いた。得られた受像層
の物性は以下のようであった。表面粗さRaが0.4〜
0.01μmが好ましく、具体的には0.02μmであ
った。受像層の表面のうねりが2μm以下が好ましく、
具体的には1.2μmであった。受像層の表面のスムー
スター値は23℃、55%RHで0.5〜50mmHg
(≒0.0665〜6.65kPa)が好ましく、具体
的には0.8mmHg(≒0.11kPa)であった。
受像層表面の静止摩擦係数は0.8以下が好ましく、具
体的には0.37であった。受像層表面の表面エネルギ
ーは29mJ/m2 であった。水の接触角は85.0°
であった。
【0187】−転写画像の形成− 画像形成システムは、図4記載のシステムで記録装置と
してLuxel FINALPROOF 5600を用
い、本システムの画像形成シーケンス及び本システムで
用いる本紙転写方法により本紙への転写画像を得た。直
径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリア
に1個の面密度)が開けられている直径38cmの回転
ドラムに、上記で作製した受像シート(56cm×79
cm)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、61cm
×84cmに切断した前記熱転写シートK(ブラック)
を前記受像シートから均等にはみ出すように重ね、スク
イーズローラーでスクイーズさせつつ、セクション孔に
空気が吸引されるように密着、積層させた。セクション
孔が塞がれた状態での減圧度は、1気圧に対して−15
0mmHg(≒81.13kPa)であった。前記ドラ
ムを回転させ、ドラム上での積層体の表面に、外側から
波長808nmの半導体レーザー光を、光熱変換層の表
面で7μmのスポットになるように集光し、回転ドラム
の回転方向(主走査方向)に対して、直角方向に移動さ
せながら(副走査)、積層体へレーザー画像(画線)記
録を行った。レーザー照射条件は、以下の通りである。
また、本実施例で使用したレーザービームは、主走査方
向に5列、副走査方向に3列の平行四辺形からなるマル
チビーム2次元配列からなるレーザービームを使用し
た。 レーザーパワー 110mW ドラム回転数 500rpm 副走査ピッチ 6.35μm 環境温湿度 20℃40%, 23℃50%, 2
6℃65%の3条件 露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的
には380mmのものを用いた。なお、画像サイズは5
15mm×728mm、解像度は2600dpiであ
る。前記レーザー記録が終了した積層体を、ドラムから
取り外し、熱転写シートKを受像シートから手で引き剥
がしたところ、熱転写シートKの画像形成層の光照射領
域のみが、熱転写シートKから受像シートに転写されて
いるのが確認された。
【0188】上記と同様にして、前記熱転写シートY、
熱転写シートM、及び熱転写シートCの各熱転写シート
から、受像シート上に画像を転写した。転写された4色
の画像を、記録紙に更に転写し、多色の画像を形成した
ところ、異なる温湿度条件下において、マルチビーム2
次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレー
ザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写
濃度を有する多色画像を形成することができた。本紙へ
の転写は挿入台の材質のポリエチレンテレフタレートに
対する動摩擦係数が0.1〜0.7である、搬送速度が
15〜50mm/secである熱転写装置を用いた。熱
転写装置の熱ロ−ル材質のビッカ−ス硬度は10ないし
100が好ましく、具体的にはビッカ−ス硬度が70を
用いた。得られた画像は3つの環境温湿度とも良好であ
った。光学濃度は特菱ア−ト紙に本紙転写したものを、
濃度計 X−rite938(X−rite社製)にて
Y,M,C,K色それぞれY,M,C,Kモ−ドにて反
射光学濃度を測定した。各色の光学濃度、光学濃度/画
像形成層層厚(μm)は下記表のとおりであった。
【0189】
【表1】
【0190】比較例1 実施例1の熱転写シートにおいて、光熱変換層塗布液組
成の赤外線吸収色素を7.6部から3.8部、またポリ
イミド樹脂を29.3部から96.7部に変更した以外
は実施例1と同様にした。光学濃度は、ODLH=0.4
5であり、層厚は平均で1.0μmであった。
【0191】上記のようなシステム構成で得られた本紙
転写画像を評価した結果を光熱変換層OD/層厚と共に
表2に示す。
【0192】
【表2】
【0193】画像の評価は以下のように行った <ブラック画質の評価>前記4色の熱転写シートを用い
て、転写画像のブラックベタ部分及び線画部分を、光学
顕微鏡で観察した画質の評価は、以下によった。 −ベタ部− ○:記録時の隙間や転写不良部分がない。 △:記録時の隙間や転写不良が部分的に存在する。 ×:記録時の隙間や転写不良が全面に存在する。 −線画部− ○:線画のエッジがシャープであり、良好な解像力を有
する。 △:線画のエッジがギザギザしており、部分的にブリッ
ジングが発生している。 ×:全面的にブリッジングが発生している。 また、画像転写率は、記録温湿度条件26℃65%と2
0℃40%での画像転写率の差で表した。
【0194】実施例については、更に以下の評価を行っ
た。 ドット形状 実施例で得られた画像は2400〜2540dpiの解
像度で印刷線数に応じた網点画像を形成した。1つ1つ
の網点はにじみ・欠けがほとんどなく形状が非常にシャ
−プであるため、ハイライトからシャド−までの高範囲
の網点をクリア−に形成することができた(図5〜1
2)。その結果、イメ−ジセッタ−やCTPセッタ−と
同じ解像度で高品位な網点出力が可能であり、印刷物近
似性の良い網点と階調を再現することができた(図1
3、図14)。2600dpi以上の解像度でも本製品
は良好な結果を得た。
【0195】繰り返し再現性 実施例で得られた本発明の製品は網点形状がシャ−プで
あるためレ−ザ−ビ−ムに対応した網点を忠実に再現で
き、また記録特性の環境温湿度依存性が非常に小さいた
め、色相・濃度とも安定した繰り返し再現性が得られる
(図15、図16)。尚、図16に示す結果は、実施例
1の画像形成材料を用い、システムの環境温湿度を19
℃37%RH、27℃37%RH、19℃74%RH、
27℃74%RHとし、レーザー照射エネルギーを18
0〜290mJ/cm2に変更した以外は、実施例1と
同様にして本紙転写画像を得、そのODを縦軸に示し
た。この図から本発明はレーザーによるエネルギー負荷
が多少変動しても広範囲の環境温湿度において一定した
画像が得られることがわかる。
【0196】色再現 実施例の熱転写シートは印刷インクに使用されている着
色顔料を色材として用いており、また繰り返し再現性が
良好なため高精度のCMSを実現できた。Japan−
Colorの印刷部の色相とほぼ一致しており、蛍光灯
や白熱灯など光源が変わったときの色の見え方について
も印刷物と同様の変化を示した。 文字品質 実施例で得られた画像はドット形状がシャ−プなので、
微細文字の細線がきれよく再現できた(図17及び1
8)。
【0197】(実施例2) −熱転写シートK(ブラック)の作製− 実施例1において、[光熱変換層用塗布液組成]を以下
の[光熱変換層用塗布液A組成]のものに変更した以外
は、実施例1と同様に熱転写シートKを作製した。光熱
変換層の波長808nmにおける光学濃度は1.03
で、光熱変換層の層厚は、0.3μmであった。 [光熱変換層用塗布液A組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製)
【0198】上記光熱変換層用塗布液A組成を用いて、
実施例1と同様にして、熱転写シートY、熱転写シート
M、及び熱転写シートCの各熱転写シートを作製した。
受像シートは実施例1と同じものを用いた。−転写画像
の形成− 実施例1の(−転写画像の形成−)の項と全く同様にし
て行い、熱転写シートKから受像シートに転写されてい
るのが確認された。
【0199】上記と同様にして、前記熱転写シートY、
熱転写シートM、及び熱転写シートCの各熱転写シート
から、受像シート上に画像を転写した。転写された4色
の画像を、記録紙に更に転写し、多色の画像を形成した
ところ、異なる温湿度条件下において、マルチビーム2
次元配列であるレーザー光により、高エネルギーでレー
ザー記録した場合も、画質が良好であり、安定した転写
濃度を有する多色画像を形成することができた。
【0200】(実施例3)実施例2の光熱変換層用塗布
液Aのかわりに、以下の組成の光熱変換層用塗布液Bを
用いた以外は実施例と同様にして熱転写シートY,熱転
写シートM,熱転写シートC,及び熱転写シートKを作
成し、実施例1と同様にしてレーザーによる記録を行
い、転写画像を形成した。受像シートは実施例1と同じ
ものを用いた。 [光熱変換層用塗布液B組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.7部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製)
【0201】(参考例1)実施例3の熱転写シートの作
成において、熱転写シートY,熱転写シートM,及び熱
転写シートKの作成に用いる光熱変換層用塗布液に、以
下の光熱変換層用塗布液C〜Eを使用した以外は、実施
例3と同様にして熱転写シートY,熱転写シートM,熱
転写シートC及び熱転写シートKを作成し、レーザーに
より転写画像を作成した。参考例1は光熱変換層の単位
層厚当りの光学濃度と層厚の関係を変化させた時の効果
を示す例である。 [光熱変換層用塗布液C組成] ・赤外線吸収色素 6.9部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.7部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製) [光熱変換層用塗布液D組成] 赤外線吸収色素 7.2部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.7部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製) [光熱変換層用塗布液E組成] 赤外線吸収色素 6.5部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.7部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製)
【0202】(参考例2)実施例3の熱転写シートの作
成において、熱転写シートY,熱転写シートM及び熱転
写シートKの作成に用いる光熱変換層用塗布液に、以下
の光熱変換層用塗布液F〜Hを使用した以外は、実施例
3と同様にして熱転写シートY,熱転写シートM,熱転
写シートC及び熱転写シートKを作成し、レーザーによ
り転写画像を作成した。参考例2は光熱変換層の単位層
厚当りの光学濃度と層厚の関係を変化させた時の効果を
示す例である。 [光熱変換層用塗布液F組成] ・赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.5部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製) [光熱変換層用塗布液G組成] 赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.6部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製) [光熱変換層用塗布液E組成] 赤外線吸収色素 7.6部 (「NK−2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリイミド樹脂 29.3部 (「リカコートSN−20」、新日本理化(株)製、熱分解温度:510℃) ・N,N−ジメチルホルムアミド 1500部 ・メチルエチルケトン 360部 ・界面活性剤 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業社製) ・マット材 1.4部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子、日本触媒(株)製)
【0203】上記のようにして得られた多色画像形成材
料から得られる画像を以下のように評価し、結果を表3
に示した。 (画像評価) ベタ部 ○…画像形成層がきれいに転写している。 △ …画像形成層が転写せず、抜けている部分が一部存
在する。 × …画像形成層が熱により変形し、反射濃度が低下し
ている。または光熱変換層の一部が画像形成層とともに
受像層へ転写している。 線画部 ○ …細線がきれいに転写している。 △ …細線の一部が細っている。 または途中で切れて
いる。 × …非画像部が転写している。
【0204】
【表3】
【0205】*上記表3のマット剤比は、光熱変換層用
塗布液Bを用いて作成した光熱変換層のマット剤量/層
厚を1とした時の相対比を表す。
【0206】(実施例4) −熱転写シート(マゼンタ)の作製− 1)光熱変換層用塗布液の調製 下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光
熱変換層用塗布液を調製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 0.15部 (「S0121」、ヒューケミカル社製) ・ポリアミド 0.60部 (「AQナイロンP−70」、東レ(株)製) ・メタノール 17部 ・蒸留水 17部 ・マット剤 0.03部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0207】2)支持体表面への光熱変換層の形成 厚さ75μm、幅65cmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(支持体)の一方の表面(中心線平均粗さ
0.04μm)上に、上記光熱変換層用塗布液をワイヤ
ーバーを用いて塗布した後、塗布物を120℃のオーブ
ン中で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層を形成
した。光熱変換層の波長808nmにおける光学濃度は
1.18で、光熱変換層の層厚は、0.3μmであっ
た。
【0208】3)マゼンタ画像形成層用塗布液の調製 下記の各成分を、ニーダーのミルに入れ、少量の溶剤を
添加しつつ剪断力を加え、分散前処理を行った。その分
散物に、更に溶剤を加えて、最終的に下記組成となるよ
うに調製し、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)
を用いて分散処理を2時間行い、顔料分散母液を得た。 [マゼンダ顔料分散母液組成] ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・マゼンタ顔料 15.0部 (「シムラブリリアントカーミン6B−229」、大日本インキ化学工業(株) 製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0209】次に、下記の成分をスターラーで攪拌しな
がら混合して、マゼンタ画像形成層用塗布液を調製し
た。 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176P」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製) ・n−プロピルアルコール 848部 ・メチルエチルケトン 246部 得られたマゼンタ画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0210】4)光熱変換層表面へのマゼンタ画像形成
層の形成 前記光熱変換層の表面に、上記マゼンタ画像形成層用塗
布液をホワイラーを用いて1分間塗布した後、塗布物を
100℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層の
上にマゼンタ画像形成層を形成した。以上の工程によ
り、支持体上に、光熱変換層及びマゼンタ画像形成層
が、この順で設けられた熱転写シートMを作製した。熱
転写シートのマゼンタ画像形成層の透過光学濃度を、マ
クベス濃度計「TD−904」(Wフィルター)で測定
したところ、0.73であった。また、マゼンタ画像形
成層の層厚を測定したところ、平均で0.38μmであ
った。以上の工程により支持体の上に光熱変換層および
マゼンタ画像形成層がこの順に設けられた熱転写シート
を作製した。
【0211】(実施例5)実施例4において光熱変換層
用塗布液の組成を下記の組成に変更する以外は、実施例
4と同様にして熱転写シートを作製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 0.15部 (「NK2014」、日本感光色素(株)製) ・塩化ビニル 0.60部 (「ゼオンレジン40x150M」、日本ゼオン(株)製) ・メチルエチルケトン 17部 ・シクロヘキサノン 17部 ・マット剤 0.03部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0212】(参考例3)実施例4において光熱変換層
用塗布液の組成を下記の組成に変更する以外は、実施例
4と同様にして熱転写シートを作製した。参考例3は光
熱変換層の700〜1200nmにおける最大吸光度の
半値幅の値を変えた時の効果を示すための例である。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 0.15部 (「NK2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリエステル 0.60部 (「バイロン2000」、東洋紡績(株)製) ・メチルエチルケトン 17部 ・シクロヘキサノン 17部 ・マット剤 0.03部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0213】(参考例4)実施例4において光熱変換層
用塗布液の組成を下記の組成に変更する以外は、実施例
4と同様にして熱転写シートを作製した。参考例4は光
熱変換層の700〜1200nmにおける最大吸光度の
半値幅の値を変えた時の効果を示すための例である。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 0.15部 (「NK2014」、日本感光色素(株)製) ・ポリエステル 0.60部 (「Desmocoll400」、住友バイエルウレタン(株)製) ・メチルエチルケトン 17部 ・シクロヘキサノン 17部 ・マット剤 0.03部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0214】(参考例5)実施例4において光熱変換層
用塗布液の組成を下記の組成に変更する以外は、実施例
4と同様にして熱転写シートを作製した。参考例5は光
熱変換層の700〜1200nmにおける最大吸光度の
半値幅の値を変えた時の効果を示すための例である。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 0.15部 (「S0121」、ヒューケミカル社製) ・ポリビニルブチラール 0.60部 (「エスレックKX−1」、積水化学工業(株)製) ・メタノール 17部 ・蒸留水 17部 ・マット剤 0.03部 (「シーホスターKEP150」:シリカゲル粒子、日本触媒(株)製)
【0215】−転写画像の形成− 直径1mmの真空セクション孔(3cm×8cmのエリ
アに1個の面密度)が開けられている直径38cmの回
転ドラムに、受像シート(56cm×79cm、Fin
al Proof Reciver、富士写真フイルム
(株)製)を巻き付け、真空吸着させた。次いで、61
cm×84cmに切断した前記熱転写シート(実施例
4、5、比較例4〜6の熱転写シート)を前記受像シー
トから均等にはみ出すように重ね、スクイーズローラー
でスクイーズさせつつ、セクション孔に空気が吸引され
るように密着、積層させた。セクション孔が塞がれた状
態での減圧度は、1気圧に対して−150mmHg(≒
81.13kPa)であった。前記ドラムを回転させ、
ドラム上での積層体の表面に、外側から波長808nm
の半導体レーザー光を、光熱変換層の表面で7μmのス
ポットになるように集光し、回転ドラムの回転方向(主
走査方向)に対して、直角方向に移動させながら(副走
査)、積層体へレーザー画像(画線)記録を行った。レ
ーザー照射条件は、以下の通りである。また、本実施例
で使用したレーザービームは、主走査方向に5列、副走
査方向に3列の平行四辺形からなるマルチビーム2次元
配列からなるレーザービームを使用した。 レーザーパワー 100mW 線速(主走査速度) 7.5m/s 副走査ピッチ 6.35μm 前記レーザー記録が終了した積層体を、ドラムから取り
外し、熱転写シートを受像シートから手で引き剥がした
ところ、熱転写シートの画像形成層の光照射領域のみ
が、熱転写シートから受像シートに転写されているのが
確認された。
【0216】−半値幅の測定− 実施例4、5、参考例3〜5の光熱変換層のみ塗布した
ものの吸収スペクトルを分光光度計(UV2100、
(株)島津製作所製)を用い測定した。それぞれ最大吸
光度の半値幅をスペクトルから求めた。 −記録感度評価− 転写画像を光学顕微鏡により転写画像を観察したとこ
ろ、レーザー照射部が線状に記録されていた。この記録
線幅を測定し、以下の式から感度を求めた。 感度(mJ/cm2 )=(レーザーパワーP(mW))
/(線幅d(cm)×線速v(cm/s)) 評価結果を半値幅とともに表4に示す。
【0217】
【表4】
【0218】(実施例6) −熱転写シート(マゼンタ)の作製− [バック層の形成]実施例1と全く同じ[バック第1層
塗布液の調製]を使用し、同じポリエチレンテレフタレ
ート支持体に同じ厚みで同一条件にてバック第1層を設
けた。
【0219】 [バック第2層塗布液の調製] ポリオレフィン 3.0部 (ケミパールS−120、27質量%、三井石油化学(株)製) 帯電防止剤(酸化スズ−酸化アンチモンの水分散物) 2.0部 (平均粒径:0.1μm、17質量%) コロイダルシリカ 2.0部 (スノーテックスC、20質量%、日産化学(株)製) エポキシ化合物 0.3部 (ディナコールEX−614B、ナガセ化成(株)製) 蒸留水 合計が100部に なるよう調製した [バック第2層の形成]バック第1層の上にバック第2
層塗布液を乾燥層厚が0.03μmになるよう塗布した
後170℃で30秒間乾燥して、バック第2層を形成し
た。
【0220】1)光熱変換層用塗布液の調製 下記の各成分をスターラーで攪拌しながら混合して、光
熱変換層用塗布液を調製した。 [光熱変換層用塗布液組成] ・赤外線吸収色素 10部 (「NK2014」、実施例1と同じ構造のシアニン色素) ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 40部 (「ソルバインCL」、日信化学(株)製) ・メチルエチルケトン(MEK) 2000部 ・界面活性剤 1部 (「メガファックF−176P」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性剤 ) ・マット剤 2部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子 日本触媒(株)製) 2)支持体表面への光熱変換層の形成 前記吸収層上に、上記光熱変換層用塗布液をワイヤーバ
ーを用いて塗布した後、塗布物を100℃のオーブン中
で2分間乾燥して、該支持体上に光熱変換層を形成し
た。光熱変換層の波長808nmにおける光学濃度は
1.18で、光熱変換層の層厚は、0.3μmであっ
た。
【0221】3)マゼンタ画像形成層用塗布液の調製 下記の各成分を、ペイントシェーカー(東洋精機(株)
製)で2時間分散を行った後、ガラスビーズを取り除き
顔料分散母液とした。 [マゼンダ顔料分散母液組成] ・ポリビニルブチラール 12.6部 (「エスレックBLSH」、積水化学(株)製) ・Pigment Red(ピグメントレッド) 57:1(C.I.No.1 5850:1) 15.0部 (「Symuler Brilliant Carmine(シムラーブリリア ントカーミン) 6B−229」、大日本インキ化学工業(株)製) ・分散助剤 0.6部 (「ソルスパースS−20000」、ICI(株)製) ・n−プロピルアルコール 79.4部
【0222】上記顔料分散母液を用い、下記素材をスタ
ーラーで撹拌しながら添加しマゼンタ画像形成層塗布液
を調製した。 [マゼンタ画像形成層用塗布液組成] ・上記マゼンタ顔料分散母液 163部 ・ポリビニルブチラール 8.6部 (「エスレックBLSH」、積水化学(株)製) ・ワックス系化合物 (ステアリン酸アミド「ニュートロン2」、日本精化(株)製) 1.0部 (ベヘン酸アミド「ダイヤミッドBM」、日本化成(株)製) 1.0部 (ラウリン酸アミド「ダイヤミッドY」、日本化成(株)製) 1.0部 (パルミチン酸アミド「ダイヤミッドKP」、日本化成(株)製) 1.0部 (エルカ酸アミド「ダイヤミンドL−200」、日本化成(株)製) 1.0部 (オレイン酸アミド「ダイヤミッドO−200」、日本化成(株)製)1.0部 ・ノニオン系界面活性剤 0.7部 (「ケミスタット1100」、三洋化成(株)製) ・ロジン 4.6部 (「KE−311」、荒川化学(株)製) (成分:樹脂酸80〜97%;樹脂酸成分アビエチン酸30〜40%、ネオア ビエチン酸10〜20%ジヒドロアビエチン酸14%、テトラヒドロアビエチン 酸14%) ・ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5部 (「NKエステル A−TMMT」、新中村化学(株)製) ・界面活性剤 1.3部 (「メガファックF−176P」、固形分20%、大日本インキ化学工業社製) ・n−プロピルアルコール 1000部 得られたマゼンタ画像形成層用塗布液中の粒子を、レー
ザー散乱方式の粒度分布測定器を用いて測定したとこ
ろ、平均粒径0.25μmであり、1μm以上の粒子の
割合は、0.5%であった。
【0223】4)光熱変換層表面へのマゼンタ画像形成
層の形成 前記光熱変換層の表面に、上記マゼンタ画像形成層用塗
布液をワイヤーバーを用いて1分間塗布した後、塗布物
を100℃のオーブン中で2分間乾燥して、光熱変換層
の上にマゼンタ画像形成層を形成した。熱転写シートの
マゼンタ画像形成層の透過光学濃度を、マクベス濃度計
「TD−904」(Wフィルター)で測定したところ、
0.91であった。また、マゼンタ画像形成層の層厚を
測定したところ、平均で0.4μmであった。
【0224】得られた画像形成層の物性は以下のようで
あった。画像形成層の表面硬さがサファイヤ針で10g
以上が好ましく、具体的には200g以上であった。表
面のスムースター値は23℃、55%RHで0.5〜5
0mmHg(≒0.0665〜6.65kPa)が好ま
しく、具体的には3.5mmHg(≒0.47kPa)
であった。表面の静止摩擦係数は0.2以下が好まし
く、具体的には0.08であった。
【0225】(実施例7)実施例6の光熱変換層用塗布
液組成の塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体をポリメチル
メタアクリレート(「ダイヤナールBR88」、三菱レ
イヨン(株)製)に変えた以外は実施例6と同様にして
熱転写シートを作成した。
【0226】(実施例8)実施例6の光熱変換層用塗布
液の組成を下記のように変更した以外は、実施例6と同
様にして熱転写シートを作成した。 ・カーボンブラック分散物 10部 (「MHI#201」、御国色素(株)製) ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 40部 (「ソルバインCL」、日信化学(株)製) ・メチルエチルケトン(MEK) 2000部 ・界面活性剤 1部 (「メガファックF−176P」、大日本インキ化学工業社製、F系界面活性剤 ) ・マット剤 2部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子 日本触媒(株)製)
【0227】(参考例6)実施例6と同様に光熱変換層
を形成した。その後、下記組成のマゼンタ画像形成層用
塗布液を調製して、実施例6と同様に塗布して熱転写シ
ートを作成した。参考例6は光熱変換層及び画像形成層
中に含まれる樹脂の効果を示すための例である。 ・蒸留水 1260部 ・ポリビニルアルコール 26部 (「PVA205」、クラレ(株)製) ・マゼンタ顔料分散物 100部 (「ハイミクロンGAマゼンタ1」、御国色素(株)製)
【0228】(参考例7)実施例6の光熱変換層用塗布
液の組成を下記のように変更した以外は、実施例6と同
様にして熱転写シートを作成した。参考例7は光熱変換
層及び画像形成層中に含まれる樹脂の効果を示すための
例である。 ・水 3500部 ・ポリビニルアルコール 60部 (「PVA−C118」、クラレ(株)製) ・水溶性赤外吸収色素 17部 (「NK−3261」、(株)林原生物化学研究所製) ・マット剤 2部 (「シーホスターKEP150」:シリカ粒子 日本触媒(株)製)
【0229】−受像シートの作製− (受像シート1)下記の組成のクッション層用塗布液及
び受像層用塗布液を調製した。 1)クッション層用塗布液 ・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (主バインダ−) (「MPR−TSL」、日信化学(株)製) ・可塑剤 10部 (「パラプレックスG−40」、CP.HALL.COMPANY社製) ・界面活性剤(フッ素系:塗布助剤) 0.5部 (「メガファックF−177」、大日本インキ化学工業(株)製) ・帯電防止剤(4級アンモニウム塩) 0.3部 (「SAT−5 Supper(IC)」、日本純薬(株)製) ・メチルエチルケトン 60部 ・トルエン 10部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 3部
【0230】 2)受像層用塗布液 ・ポリビニルブチラール 10部 (「エスレックB BL−SH」、積水化学工業(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 1.0部 (「メガファックF−176P」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 500部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0231】小幅塗布機を用いて、白色PET支持体
(「ルミラー#130E58」、東レ(株)製、厚み1
00μm)上に、上記のクッション層形成用塗布液を塗
布し、塗布層を乾燥し、次に受像層用塗布液を塗布し、
乾燥した。乾燥後のクッション層の層厚が約20μm、
受像層の層厚が約2μmとなるように塗布量を調節し
た。白色PET支持体はボイド含有ポリエチレンテレフ
タレート層(厚み:116μm、空隙率:20%)とそ
の両面に設けた酸化チタン含有ポリエチレンテレフタレ
ート層(厚み:7μm、酸化チタン含有量:2%)との
積層体(総厚み:130μm、比重:0.8)からなる
ボイド含有プラスチック支持体である。作製した材料
は、ロール形態で巻き取り、1週間室温で保存後、下記
のレーザー光による画像記録に用いた。
【0232】得られた受像層の物性は以下のようであっ
た。表面粗さRaが0.4〜0.01μmが好ましく、
具体的には0.02μmであった。受像層の表面のうね
りが2μm以下が好ましく、具体的には1.2μmであ
った。受像層の表面のスムースター値は23℃、55%
RHで0.5〜50mmHg(≒0.0665〜6.6
5kPa)が好ましく、具体的には0.8mmHg(≒
0.11kPa)であった。受像層表面の静止摩擦係数
は0.8以下が好ましく、具体的には0.37であっ
た。
【0233】(受像シート2)受像シート1の受像層用
塗布液の組成を下記組成に変更した以外は同様にして受
像シートを作成した。 ・ポリビニルアルコール 10部 (「PVA205」、クラレ(株)製) ・蒸留水 500部
【0234】(受像シート3)受像シート1の受像層用
塗布液の組成を下記組成に変更した以外は同様にして受
像シートを作成した。 ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 10部 (「ソルバインCL」、日信化学(株)製) ・帯電防止剤 0.7部 (「サンスタット2012A」、三洋化成工業(株)製) ・界面活性剤 1.0部 (「メガファックF−176P」、大日本インキ化学工業(株)製) ・n−プロピルアルコール 500部 ・メタノール 20部 ・1−メトキシ−2−プロパノール 50部
【0235】−転写画像の形成− 上記した実施例6〜8及び参考例6、7の熱転写シート
並びに受像シート1〜3を用い、以下のようにして転写
画像を形成した。それぞれの熱転写シートに対して組合
わせる受像シートは、熱転写シートの画像形成層に含有
される樹脂と同じ樹脂を使用して作成したものを選ん
だ。なお、操作条件は実施例1の(−転写画像の形成
−)の項の記載と同様な条件で行った。レーザー照射条
件は、以下の通りである。また、本実施例で使用したレ
ーザービームは、主走査方向に5列、副走査方向に3列
の平行四辺形からなるマルチビーム2次元配列からなる
レーザービームを使用した。 レーザーパワー 300mW 主走査速度 5m/秒 副走査ピッチ 6.35μm 露光ドラムの直径は360mm以上が好ましく、具体的
には380mmのものを用いた。
【0236】尚、画像サイズは515mm×728m
m、解像度は2600dpiである。前記レーザー記録
が終了した積層体を、ドラムから取り外し、熱転写シー
トを受像シートから手で引き剥がしたところ、熱転写シ
ートの画像形成層の光照射領域のみが、熱転写シートか
ら受像シートに転写されているのが確認された。
【0237】−評価− 湿度依存性 記録する環境を23℃30%RHと23℃70%RHと
し、Luxel Final Proof 5600
(富士写真フイルム(株)製)にて2438dpiの解
像度で50%平網の記録を行った。記録画像の濃度をX
−Rite938(X−Rite社製)を用いて測定し
た。湿度による濃度差は以下の表5のようになる。
【0238】
【表5】
【0239】尚、各溶剤のSP値は、Polymer
Handbook 3rd edition VII/
526−539を参照した。
【0240】本発明の熱転写シートを用いた記録画像
は、湿度による濃度差が少なく、湿度依存性に優れてい
ることが分かる。
【0241】
【発明の効果】本発明において開発したプルーフ製品は
薄膜転写技術を基本に、レ−ザ−熱転写系での新たな問
題点をクリヤ−し、さらに高画質のものにするため、前
述の種々の技術を盛り込んだ薄膜熱転写方式にてシャ−
プな網点を実現し、本紙転写・実網点出力・顔料タイプ
・B2サイズの画像形成材料、出力機および高品位CM
SソフトからなるDDCP用レ−ザ−熱転写記録システ
ムを開発することが出来た。このように本発明では、解
像力の高い材料の能力を十分に発揮できるようなシステ
ム構成を実現できた。具体的には、CTP時代のフイル
ムレスに対応し校正刷りやアナログ式カラープルーフか
ら代わるコントラクトプル−フを提供でき、このプルー
フは顧客の承認を得るための印刷物やアナログ式カラー
プルーフと一致した色再現性を再現できる。印刷インク
と同じ顔料系色材を使用し、本紙への転写が可能であ
り、モワレ等のないDDCPシステムを提供できる。ま
た本発明によれば本紙転写が可能であり、印刷インクと
同じ顔料系色材を使用し、印刷物近似性の高い大サイズ
(A2/B2以上)デジタルダイレクトカラ−プル−フ
システムを提供できる。本発明はレ−ザ−薄膜熱転写方
式を用い、顔料色材を使用し、実網点記録を行って本紙
転写できる方式である。異なる温湿度条件下において、
マルチビーム2次元配列であるレーザー光により、高エ
ネルギーでレーザー記録した場合も、画質が良好であ
り、安定した転写濃度の画像を受像シート上に形成し得
る、多色画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザーを用いた薄膜熱転写による多色画像
形成の機構の概略を説明する図である。
【図2】 レーザー熱転写用記録装置の構成例を示す図
である。
【図3】 熱転写装置の構成例を示す図である。
【図4】 レーザー熱転写用記録装置FINALPROOFを用い
たシステムの構成例を示す図である。
【図5】 実施例で得られた画像のドット形状を示す。
ドット中心間の距離は、125μmである。
【図6】 実施例で得られた画像のドット形状を示す。
ドット中心間の距離は、125μmである。
【図7】 実施例で得られた画像のドット形状を示す。
ドット中心間の距離は、125μmである。
【図8】 実施例で得られた画像のドット形状を示す。
ドット中心間の距離は、125μmである。
【図9】 実施例で得られた画像のドット形状を示す。
ドット中心間の距離は、125μmである。
【図10】 実施例で得られた画像のドット形状を示
す。ドット中心間の距離は、125μmである。
【図11】 実施例で得られた画像のドット形状を示
す。ドット中心間の距離は、125μmである。
【図12】 実施例で得られた画像のドット形状を示
す。ドット中心間の距離は、125μmである。
【図13】 実施例で得られた画像のドット形状を示
す。ドット中心間の距離は、125μmである。
【図14】 実施例で得られた画像のドット再現性を示
す。縦軸は反射濃度から計算されるドット面積率、横軸
は入力信号のドット面積率を示す。
【図15】 実施例で得られた画像の繰り返し再現性を
***表色系のa**平面に示す。
【図16】 実施例で得られた画像の繰り返し再現性を
示す。
【図17】 実施例で得られた画像の2ポイントの文字
品質を示す。ポジ像を示す。
【図18】 実施例で得られた画像の2ポイントの文字
品質を示す。ネガ像を示す。
【符号の説明】
1 記録装置 2 記録ヘッド 3 副走査レール 4 記録ドラム 5 熱転写シートローディングユニット 6 受像シートロール 7 搬送ローラ 8 スクイーズローラー 9 カッター 10 熱転写シート 10K、10C、10M、10Y 熱転写シートロール 12 支持体 14 光熱変換層 16 画像形成層 20 受像シート 22 受像シート用支持体 24 受像層 30 積層体 31 排出台 32 廃棄口 33 排出口 34 エアー 35 廃棄箱 42 本紙 43 ヒートローラ 44 挿入台 45 載置位置を示すマーク 46 挿入ローラ 47 耐熱シートでできたガイド 48 剥離爪 49 ガイド板 50 排出口
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/30 B41M 5/26 B H Q (72)発明者 和地 直孝 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2C068 AA06 BB19 2H111 AA12 AA26 AA35 BA03 BA07 BA53 BA61

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受像層を有する受像シートと、支持体上
    に少なくとも光熱変換層と画像形成層とを有する少なく
    とも4種類以上の色の異なる熱転写シートを用い、各熱
    転写シートの画像形成層と前記受像シートの受像層とを
    対向して重ね合わせ、レーザー光を照射して、画像形成
    層のレーザー光照射領域を受像シートの受像層上へ転写
    して画像記録する多色画像形成材料において、前記各熱
    転写シートの光熱変換層の光学濃度(OD)と層厚の比
    OD/層厚(μm単位)が0.57以上であり、多色画
    像の記録面積が515mm以上×728mm以上のサイ
    ズであることを特徴とする多色画像形成材料。
  2. 【請求項2】 前記熱転写シートがイエロー、マゼン
    タ、シアン、及びブラックを含む4種類以上の色からな
    り、レーザー光照射による前記各色の熱転写シートにお
    ける光熱変換層は、単位層厚当たりの光学濃度が等し
    く、かつ層厚が異なるようにして光熱変換層当たりの光
    学濃度を各色の熱転写シートで異なるようにしてなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の多色画像形成材料。
  3. 【請求項3】 前記各色の熱転写シートにおける光熱変
    換層は、同一の塗布液を用いて形成したことを特徴とす
    る請求項1または2に記載の多色画像形成材料。
  4. 【請求項4】 前記各色の熱転写シートにおいて、前記
    レーザー光照射によるブラックの熱転写シートの光熱変
    換層の光学濃度が、最も低いことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の多色画像形成材料。
  5. 【請求項5】 前記光熱変換層が光熱変換物質と樹脂を
    含み、該光熱変換層の700〜1200nmにおける最
    大吸光度の半値幅が200nm以下であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の多色画像形成材
    料。
  6. 【請求項6】 出力50mW以上のレーザーを用いて線
    速7m/s以上で行うことを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の多色画像形成材料。
  7. 【請求項7】 前記光熱変換層および前記画像形成層中
    に含有される樹脂としてどちらも非水溶性の樹脂を使用
    することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    多色画像形成材料。
  8. 【請求項8】 前記光熱変換層中に含有する樹脂は、S
    P値が16〜22である疎水的溶剤に溶解することを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多色画像形成
    材料。
  9. 【請求項9】 前記画像形成層中に含有する樹脂は、S
    P値が16〜30である非水溶剤に溶解することを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載の多色画像形成材
    料。
  10. 【請求項10】 前記転写画像の解像度が2400dp
    i以上の画像であることを特徴とする請求項1〜9の何
    れかに記載の多色画像形成材料。
  11. 【請求項11】 前記各熱転写シートの画像形成層およ
    び前記受像シ−トの受像層の水に対する接触角が7.0
    〜120.0°の範囲にあることを特徴とする請求項1
    〜10の何れかに記載の多色画像形成材料。
  12. 【請求項12】 前記各熱転写シートの画像形成層の光
    学濃度(OD)と層厚の比OD/層厚(μm単位)が
    1.80以上であり、前記受像シ−トの水に対する接触
    角が86°以下であることを特徴とする請求項1〜11
    の何れかに記載の多色画像形成材料。
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