JP2002335951A - 脂質含有酵母の製造方法 - Google Patents

脂質含有酵母の製造方法

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JP2002335951A
JP2002335951A JP2001097126A JP2001097126A JP2002335951A JP 2002335951 A JP2002335951 A JP 2002335951A JP 2001097126 A JP2001097126 A JP 2001097126A JP 2001097126 A JP2001097126 A JP 2001097126A JP 2002335951 A JP2002335951 A JP 2002335951A
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yeast
lipid
pichia
producing
acid
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JP2001097126A
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Hideyuki Aoki
秀之 青木
Mitsumasa Manso
三正 万倉
Kenshiro Fujimoto
健四郎 藤本
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Ikeda Shokken KK
Original Assignee
Ikeda Shokken KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有効成分である高度不飽和脂肪酸を効率よく
酵母菌体内に移行、蓄積させ、かつ酵母の有している蛋
白質、アミノ酸、核酸、ビタミン等の有効成分を失うこ
とのない脂質含有酵母を低コスト、かつ効率よく製造す
ることのできる脂質含有酵母の製造方法を提供する。 【解決手段】 脂質を培地に添加し、培地成分の窒素源
/炭素源の重量比率を変えるとともに酵母エキス、コリ
ン、リン酸水素二カリウム及び褐変物質を含む培地で酵
母を培養することにより、酵母菌体内に目的脂質のみ優
先的に取り込ませたり、大量に取り込ませたりする。上
記酵母としては、Pichia 属に属する酵母、例えば、例
えばPichia methanolicaPichia membranefaciensPi
chia pinusPichia pastorisPichia saitoi等が挙げ
られる。特に微生物菌体蛋白質(SCP:Single cell pro
tein)として食品、飼料用として使用できる酵母である
Pichia methanolicaPichia pinus等が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵母をエイコサペ
ンタエン酸(以下、EPAと略記)、ドコサヘキサエン
酸(以下、DHAと略記)等の高度不飽和脂肪酸を含む
培地中で培養し、これら高度不飽和脂肪酸成分を酵母体
内に移行、蓄積せしめ、かつ健康素材として知られてい
る酵母の蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミン等の有効成
分を含有する酵母の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】EPA、DHA等の高度不飽和脂肪酸
は、血液凝固防止作用、抗高脂血症作用等の種々の生理
活性が知られており、食品、医薬品、飼料等の素材とし
て注目されている。
【0003】しかしながら、これら高度不飽和脂肪酸
は、水に分散しにくいことや、光、熱、酸素により著し
く劣化しやすいなど、食品、医薬品等を使用する際に問
題点がある。
【0004】そこで高度不飽和脂肪酸をマイクロカプセ
ル化すると水分散性、酸化安定性の向上が付与できるこ
とから、水分散性、酸化安定性に優れたマイクロカプセ
ル化方法が望まれている。
【0005】ここで、マイクロカプセルの壁膜素材とし
ては、生体に対し安全なものはもとより、より機能性の
高いものが望まれており、これには健康素材として知ら
れている酵母を用いたカプセルが非常に適している。
【0006】ところで、従来のマイクロカプセル化方法
としては、コアセルベーション法、界面重合法、in sit
u法などによる方法が知られている。
【0007】しかしながら、これらの方法は、ゼラチン
や合成樹脂を壁膜として使用しており、これら壁膜素材
自体には、際だった有効な生理作用が知られていない。
【0008】一方、天然素材である微生物を用いた脂溶
性成分を蓄積する製造法としては、以下の方法が検討、
開発されている。
【0009】例えば、米国特許第4001480号で
は、真菌類を低窒素高炭素源で培養し、脂質含量を40
〜60重量%まで高め、その脂質に可溶性の物質を取り
込ませる方法が記載されている。しかしながら本方法で
は、使用する微生物の脂質含量を40〜60重量%まで
高めた微生物を使用する必要がある等の問題点を有して
いた。
【0010】また、特開昭58−107189号公報で
は、微生物の脂質含量の増加法として、培地から回収し
た脂質含量10%重量以上の微生物を脂質増量用有機物
質にて処理し、この有機物質を微生物に摂取させ不動的
に保持させる方法が開発されている。しかし、本方法で
は、使用する微生物が、脂質含量を10重量%以上(例
えば、脂質含量が20〜35%重量有することが好まし
いと記載)有する必要がある等の問題点を有していた。
また、特開平04−4033号公報、特開平08−24
3378号公報には、酵母菌体内の水溶成分をpH処理
や酵素処理によって、菌体外に溶出させた酵母残渣を用
い、疎水性物質と混合接触させることにより、カプセル
化する方法が記載されている。しかし、これらの方法で
は、酵母の有している蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミ
ン等の有効成分を失ってしまう等の問題点を有してい
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のごと
き従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とす
るところは、有効成分である高度不飽和脂肪酸を効率よ
く酵母菌体内に移行、蓄積させ、かつ酵母の有している
蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミン等の有効成分を失う
ことのない脂質含有酵母を低コスト、かつ効率よく製造
することのできる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、酵母を脂質混合物を添加した培
地で培養することにより、脂質を酵母菌体内に移行、蓄
積せしめることを特徴とする。
【0013】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、窒素源/炭素源重量比率が、10〜0.1で
あることを特徴とする。
【0014】また、請求項3の発明は、請求項1の発明
において、酵母エキス、コリン、リン酸水素二カリウム
から選ばれた1種または2種以上の混合物を添加した培地
で酵母を培養することを特徴とする。
【0015】また、請求項4の発明は、請求項1の発明
において、上記脂質混合物が、α-リノレン酸、γ-リノ
レン酸、オクタデカテトラエン酸、ジホモ-γ-リノレン
酸、アラキドン酸、EPA、ドコサペンタエン酸、DH
Aの脂肪酸群から選ばれる1種または2種以上を5重量%以
上含有する混合物であることを特徴とする。
【0016】また、請求項5の発明は、請求項1の発明
において、上記脂質混合物が、遊離脂肪酸またはそれら
の脂肪酸塩を含むものであることを特徴とする。
【0017】また、請求項6の発明は、請求項1の発明
において、上記酵母がPichia 属であることを特徴とす
る。
【0018】また、請求項7の発明は、請求項1の発明
において、上記酵母がPichia methanolicaであることを
特徴とする。
【0019】また、請求項8の発明は、請求項1の発明
において、上記酵母は、褐変物質を含む培地で培養する
ことを特徴とする。
【0020】また、請求項9の発明は、請求項1の発明
において、上記褐変物質が、アミノカルボニル反応に基
づく、アマドリ化合物、3-デオキシオソン類、フルフラ
ール類、ピラリン、メラノイジンの褐変物質から選ばれ
た1種または2種以上の混合物であり、培地中にO.D.
420nmの吸光度で1以上含有することを特徴とす
る。
【0021】以下に本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明は、本発明者らがさまざまな検討を
行った上で、脂質を培地に添加し、培地成分の窒素源/
炭素源の重量比率を変えるとともに酵母エキス、コリ
ン、リン酸水素二カリウム及び褐変物質を含む培地で培
養することにより、酵母菌体内に目的脂質のみが優先的
に取り込まれたり大量に取り込まれることを見出し、本
発明を想到するに到ったものである。
【0023】本発明に用いる酵母は、Pichia属に属する
酵母、例えばPichia methanolicaPichia membranefac
iensPichia pinusPichia pastorisPichia saitoi
等が挙げられる。特に微生物菌体蛋白質(SCP:Single
cell protein)として食品、飼料用として使用できる酵
母であるPichia methanolicaPichia pinus等が好まし
いが、上記のように脂質を酵母菌体内に移行、蓄積せし
める能力を有するPichia属であれば全て使用することが
できる。例えば、Pichia methanolica IFO1909、10704
などを挙げることができる。
【0024】また、本酵母から誘導される変異株であっ
て、上記のように脂質を酵母菌体内に移行、蓄積せしめ
る能力を有する酵母も等しく使用することができる。
【0025】また、本発明者らが土壌から分離した菌株
Pichia methanolica HA-32を使用することもできる。
【0026】本発明者らが土壌から分離した菌株Pichia
methanolica HA-32の菌学的性質を以下に記載する。な
お、上記菌株Pichia methanolica HA-32は、工業技術院
生命工業技術研究所に受託番号FERM P-1780
2号として寄託されている。
【0027】1.各培地における生育状態 以下の各培地において観察を行った。 (1)イースト・モルト寒天培地 乳白色のコロニーを培養24時間程度で形成、偽菌糸は
なし。また、帽子型の子嚢胞子を形成。 (2)イースト・モルト液体培地 24時間程度で良好な生育を示す。菌皮膜を形成せず。
【0028】2. 形態学的性状、糖発酵性、炭素源の利
用性、窒素の利用性、発育性、生理学的性質 各成分の寒天培地において25℃培養にて生理学的性
質、形態学的性状、糖発酵性、炭素源の利用性、窒素の
利用性、発育性を調べた結果を表1から表3に示す。
【0029】各培地における生理学的性質、形態学的性
状、糖発酵性、炭素源の利用性窒素の利用性等から、本
菌株がPichia 属に特徴的な性質を有していることからP
ichia 属に属すると考えられる。
【0030】そこで、さらに本菌株をJ.A.Barnett et.a
l., Yeasts: characteristics andidentification, cam
bridge university press. P505, 1990 に準じて既知の
Pichia属と菌学的諸性質を比較するとPichia methanoli
caに非常に類似していた。このことから、本菌株をPich
ia methanolicaと同定した。
【0031】本発明に用いる酵母Pichia 属を培養する
ための培地は、当該酵母が良く生育して目的とする脂質
を含有しうるものが望ましい。
【0032】特に炭素源としては、例えばグルコース、
ガラクトース、スクロース等が挙げられる。炭素源の添
加量は、培地の0.1〜10.0重量%、好ましくは
1.0〜5.0重量%である。
【0033】また窒素源としては酵母エキスが好ましい
が、コーンスティブリカー、大豆蛋白、ミルクカゼイン
等の天然窒素源、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウ
ム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの無機窒
素源を併用して用いることもできる。窒素源の添加量
は、培地の0.05〜50.0重量%、好ましくは2.
0〜30.0重量%である。
【0034】また、これら炭素源、窒素源の他に、菌体
に油脂を大量に取り込ませる因子として、ビタミン類の
コリン、無機塩類のリン酸水素二カリウムが挙げられ
る。これらの添加量としては、0.1〜20.0重量
%、好ましくは0.5〜5.0重量%である。
【0035】さらに、菌体に油脂を大量に取り込ませる
因子として、褐変物質が挙げられる。培地に含有する褐
変物質は、アミノカルボニル反応に基づく、アマドリ化
合物、3-デオキシオソン類、フルフラール類、ピラリ
ン、メラノイジンの褐変物質から選ばれる1種または2種
以上を含有する混合物とすることが好ましい。褐変物質
は、グルコース、ガラクトース、リボース等の炭素源と
酵母エキス、大豆蛋白、遊離アミノ酸等の窒素源、コリ
ン等のビタミン類、リン酸水素二カリウム等の無機塩類
などの培地成分を溶解させた後、水酸ナトリウムなどに
よりpHをアルカリ側に調整後、加熱減菌することによ
り培地中に生成することができる。また、予めpHをア
ルカリ側にしたり、加熱温度を60℃以上にしたり、鉄
や銅などの金属イオンを共存させる等の方法により、上
記炭素源と窒素源より調整した褐変物質を培地に添加
し、使用することもできる。培地中の褐変物質の含量と
しては、褐変物質全体の相対的濃度を示すO.D.42
0nmの吸光度として1以上であり、好ましくは5.0
〜10.0である。
【0036】さらに必要に応じてその他の硫酸マグネシ
ウム、リン酸水素カリウム等の無機塩類及びビタミン等
の微量元素を、当該酵母の生育を阻害しない程度に添加
することができる。
【0037】また、培地に添加する高度不飽和脂肪酸類
を含む脂質混合物は、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、
オクタデカテトラエン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラ
キドン酸、EPA、ドコサペンタエン酸、DHA等の脂
肪酸群から選ばれる1種または2種以上を5重量%以上含有
する脂質混合物とすることが好ましく、天然物及び合成
物いずれも使用できる。
【0038】また、上記脂質混合物は、遊離脂肪酸また
はそれらの脂肪酸塩が好ましいが、それらのグリセリ
ド、その低級アルコールエステルを組み合わせで使用す
ることができる。なお、脂質混合物のグリセリドとは、
トリグリセリド、モノグリセリド、リン脂質等、脂肪酸
塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩等、また低級アルコ
ールエステルは、メチルエステル、エチルエステル等で
あることが望ましい。
【0039】上記脂質混合物を培地中に添加する時期
は、培養途中であっても良いが、より好ましくは培養開
始前である。
【0040】当該脂質混合物の添加量としては培地の
0.1〜10.0重量%、より好ましくは0.5〜5.
0重量%である。
【0041】培養条件としては、通常上記培地成分の液
体培地で振とう培養や通気撹拌培養等により行われ、培
養温度は20〜30℃とすることが望ましい。
【0042】培地の初発のpHは5.0〜8.0、培養
時間は2〜7日が適当である。
【0043】上述の条件下でPichia 属の培養を行うこ
とにより、目的脂質を含有せしめ、培養液から濾過法、
遠心分離法等の常法により目的脂質を含有した菌体を得
ることができる。
【0044】当該菌体はエタノール、水で十分洗浄した
後、そのままの形態でも利用可能であるが、さらに必要
に応じて凍結乾燥、風乾などの方法により菌体の乾燥処
理を行い、乾燥菌体でも利用が可能である。
【0045】なお本発明の目的は、酵母 Pichia 属を脂
質添加培地中で培養し、目的の脂質を酵母菌体内に蓄積
せしめることにより、脂質含有酵母を得る製造法に関す
ることであり、利用方法を限定するものではない。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の実態を具体
的な実施例に基づいて説明する。
【0050】
【実施例1】グルコース1%、酵母エキス0.3%、ポ
リペプトン0.5%を含む培地(pH6.5)3mlを
121℃、20分間加熱滅菌した後、遊離脂肪酸(EP
A4%、DHA純度22%)0.5%を別途添加し培地
を調製した。
【0051】本培地に 各種Pichia 属を接種し、25
℃、3日間培養を行った。培養終了後、遠心分離で菌体
を分離した。分離した菌体をエタノール、水で十分洗浄
し、凍結乾燥により乾燥を行った。続いて乾燥菌体を超
音波破砕後、クロロホルム/メタノール/水系の溶媒を
用いるBligh−Dyer法により脂質を抽出した。
【0052】抽出した脂質について、総脂質量を調べ
た。続いて得られた脂質について塩酸−メタノール法に
よりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー法に
より、総脂質中のDHA純度(重量%)を求めた。その
結果、表4に示す如く、各種Pi chia 属にEPA、DH
A含有の遊離脂肪酸を添加することにより、菌体内にE
PA、DHAが移行、蓄積されていた。
【0053】
【表4】
【0054】
【実施例2】グルコース5%、酵母エキス20%を含む
培地(pH6.5)3mlを121℃、20分間加熱滅
菌した後、遊離型、トリグリセリド型、エチルエステル
型の脂肪酸(DHA純度26%)3%を別途添加し培地
を調製した。
【0055】培地各々に Pichia methanolica HA-32を
接種し、25℃、3日間培養を行った。培養終了後、濾
過で菌体を分離した。分離した菌体をエタノール、水で
十分洗浄し、凍結乾燥により乾燥を行った。実施例1の
方法に従い、Bligh−Dyer法により脂質を抽出
した。
【0056】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表5に示す
如く、Pichia methanolica HA-32の培養時に遊離型の脂
肪酸を添加することにより、乾燥菌体重量当たりの総脂
質量205mg/g、EPA6.7重量%、DHA3
0.6重量%の酵母を得た。
【0057】
【表5】
【0058】
【実施例3】グルコース5%、各種酵母エキス20%を
含む培地(pH6.5)3mlを121℃、20分間加
熱滅菌した後、遊離脂肪酸(DHA純度26%)3%を
別途添加し培地を調製した。
【0059】培地各々に Pichia methanolica HA-32を
接種し、25℃、3日間培養を行った。培養終了後、濾
過で菌体を分離した。分離した菌体をエタノール、水で
十分洗浄し、凍結乾燥により乾燥を行った。実施例1の
方法に従い、Bligh−Dyer法により脂質を抽出
した。
【0060】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表6に示す
如く、Pichia methanolica HA-32の培養時に酵母エキス
を添加することにより、菌体内にEPA、DHAが移
行、蓄積されていた。
【0061】
【表6】
【0062】
【実施例4】グルコース5%に各種酵母エキス2、10
%及び20%を含む培地(pH6.5)3mlを121
℃、20分間加熱滅菌した後、遊離脂肪酸3%を添加、
Pichia methanolica HA-32 を接種し、25℃、3日間
培養を行った。
【0063】培養終了後、濾過で菌体を分離した。分離
した菌体をエタノール、水で十分洗浄し、凍結乾燥によ
り乾燥を行った。実施例1の方法に従い、Bligh−
Dyer法により脂質を抽出した。
【0064】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、酵母エキス
添加量を表7に示す如く、Pichia methanolica HA-32の
培養時に酵母エキス添加量を増加させることにより、乾
燥菌体重量当たりの総脂質量、EPA、DHA含量の高
い酵母を得た。
【0065】
【表7】
【0066】
【実施例5】グルコース5%、酵母エキス2%に0.5
%コリンまたは1%リン酸水素二カリウムを含む培地3
mlを121℃、20分間加熱滅菌した後、遊離脂肪酸
3%を添加、Pichia methanolicaを接種し、25℃、3
日間培養を行った。
【0067】培養終了後、濾過で菌体を分離した。分離
した菌体をエタノール、水で十分洗浄し、凍結乾燥によ
り乾燥を行った。実施例1の方法に従い、Bligh−
Dyer法により脂質を抽出した。
【0068】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表8に示す
如く、Pichia methanolica HA-32の培養時にコリンまた
はリン酸水素二カリウムを添加することにより、乾燥菌
体重量当たりの総脂質量、EPA、DHA含量の高い酵
母を得た。
【0069】
【表8】
【0070】
【実施例6】グルコース5%、酵母エキス2%に0.5
%コリン及び1%リン酸水素二カリウムを添加し、加熱
処理することにより褐変物質を生成させた培地(pH
6.5付近)3ml及びグルコース5%を別滅菌し、褐
変物質を産生を抑えたグルコース5%、酵母エキス2%
に0.5%コリン及び1%リン酸水素二カリウムを添加
させた培地(pH6.5付近)3mlに遊離脂肪酸3%
を添加、Pichia methanolica を接種し、25℃、3日
間培養を行った。
【0071】培養終了後、濾過で菌体を分離した。分離
した菌体をエタノール、水で十分洗浄し、凍結乾燥によ
り乾燥を行った。実施例1の方法に従い、Bligh−
Dyer法により脂質を抽出した。
【0072】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表9に示す
如く、Pichia methanolica HA-32の培養時にコリン、リ
ン酸水素二カリウムで褐変物質を産生することにより、
乾燥菌体重量当たりの総脂質量、EPA、DHA含量の
高い酵母を得た。
【0073】
【表9】
【0074】
【実施例7】グルコース5%、酵母エキス2%に水酸化
ナトリウムで各種濃度の褐変物質を含む培地(pH6)
3mlに遊離脂肪酸3%を添加、Pichia methanolica H
A-32を接種し、25℃、3日間培養を行った。
【0075】培養終了後、濾過で菌体を分離した。分離
した菌体をエタノール、水で十分洗浄し、凍結乾燥によ
り乾燥を行った。実施例1の方法に従い、Bligh−
Dyer法により脂質を抽出した。
【0076】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表10に示
す如く、Pichia methanolica HA-32の培養時に褐変物質
が高濃度含まれる培地ほど、乾燥菌体重量当たりの総脂
質量、EPA、DHA含量の高い酵母を得た。
【0077】
【表10】
【0078】
【実施例8】グルコース5%、酵母エキス20%を含む
培地(pH6.5)3mlを121℃、20分間加熱滅
菌した後、各種高度不飽和脂肪酸の遊離脂肪酸3%を添
加(DHA純度26%)3%を別途添加し培地を調製し
た。
【0079】培地各々に Pichia methanolica HA-32を
接種し、25℃、3日間培養を行った。培養終了後、濾
過で菌体を分離した。分離した菌体をエタノール、水で
十分洗浄し、凍結乾燥により乾燥を行った。実施例1の
方法に従い、Bligh−Dyer法により脂質を抽出
した。
【0080】得られた総脂質について塩酸−メタノール
法によりメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィー
法により、脂肪酸組成を求めた。その結果、表11に示
す通り、各種高度不飽和脂肪酸を含有する酵母を得た。
【0081】
【表11】
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、脂質
含有酵母の製造方法において、脂質混合物を含む培地で
酵母を培養することにより、脂質を酵母菌体内に移行、
蓄積せしめるようにしたので、有効成分である高度不飽
和脂肪酸を効率よく酵母菌体内に移行、蓄積させ酵母の
有している蛋白質、アミノ酸、核酸、ビタミン等の有効
成分を失うことのない脂質含有酵母を効率よく製造でき
る等の効果を奏する。
【0083】また、本発明で得られた脂質含有酵母は、
食品、医薬品、化粧品或いは飼料等の分野において品質
的ならびに価格的に優れた機能性製品として利用が可能
となるという効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B065 AA77X AC16 BB02 BB07 BB10 BB12 BB13 BB29 CA13 CA41 CA43 4H059 BA26 BA30 BA33 BB05 BB06 BC48 CA99

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂質含有酵母の製造方法において、脂質
    混合物を含む培地で酵母を培養することにより、脂質を
    酵母菌体内に移行、蓄積せしめることを特徴とする脂質
    含有酵母の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記酵母培養成分の窒素源/炭素源重量
    比率が、10〜0.1であることを特徴とする請求項1
    に記載の脂質質含有酵母の製造方法。
  3. 【請求項3】 酵母エキス、コリン、リン酸水素二カリ
    ウムから選ばれた1種または2種以上の混合物を添加した
    培地で酵母を培養することを特徴とする請求項1に記載
    の脂質含有酵母の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記脂質が、α-リノレン酸、γ-リノレ
    ン酸、オクタデカテトラエン酸、ジホモ-γ-リノレン
    酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペン
    タエン酸、ドコサヘキサエン酸の高度不飽和脂肪酸群か
    ら選ばれた1種または2種以上を5重量%以上含有する混合
    物であることを特徴とする請求項1に記載の脂質含有酵
    母の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記脂質混合物が、遊離脂肪酸またはそ
    れらの脂肪酸塩を含むものであることを特徴とする請求
    項1に記載の脂質含有酵母の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記酵母が Pichia属であることを特徴
    とする請求項1に記載の脂質含有酵母の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記酵母が Pichia methanolicaである
    ことを特徴とする請求項1に記載の脂質含有酵母の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 上記酵母は、褐変物質を含む培地で培養
    することを特徴とする請求項1に記載の脂質含有酵母の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 上記褐変物質が、アミノカルボニル反応
    に基づく、アマドリ化合物、3-デオキシオソン類、フル
    フラール類、ピラリン、メラノイジンの褐変物質から選
    ばれた1種または2種以上の混合物であり、培地中にO.
    D.420nmの吸光度で1以上含有することを特徴と
    する請求項1に記載の脂質含有酵母の製造方法。
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