JP2002325782A - トライアル用骨頭球及びこれを用いたトライアル用人工骨頭 - Google Patents

トライアル用骨頭球及びこれを用いたトライアル用人工骨頭

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Kentaro Fujikawa
健太郎 藤川
Saori Komatsu
里織 小松
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NGK Spark Plug Co Ltd
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トライアル専用のステムを要することなく、
トライアル用人工骨頭を簡易、迅速に構成できるトライ
アル用骨頭球を提供する。 【解決手段】 樹脂製のトライアル用骨頭球411で、
本置換用のステム51のテーパー状軸部53がテーパー
嵌合可能のテーパー状嵌合穴113を、球心Qを通る直
線Tを軸線として形成した。テーパー状嵌合穴113に
ステム51のテーパー状軸部53がテーパー嵌合された
際、テーパー状嵌合穴113の開口端側に、テーパー状
軸部53の外周面との間に空隙が保持されるように大径
内周面部を119形成した。また、テーパー状嵌合穴1
13の開口端側に、外周面側からテーパー状嵌合穴側に
切り込むスリット121を開口端側から見て複数形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トライアル用骨頭
球及びこれを用いたトライアル用人工骨頭に関する。詳
しくは、人工股関節等の置換手術において、本置換用人
工骨頭のサイズ確認に使用されるトライアル用人工骨頭
を構成するトライアル用骨頭球及びこれを用いたトライ
アル用人工骨頭に関する。
【0002】
【従来の技術】病気(変形性股関節傷など)や事故で損
傷した患者の股関節の治療に、人工股関節に取り替える
置換手術が行われる。図13は、人工股関節101を模
式的に示したものである。人工股関節101は、骨盤1
03側に固定されるソケット105と、上端部が切断さ
れた大腿骨107に固定される人工骨頭10とから構成
される。人工骨頭10は、大腿骨107に打ち込まれる
ステム(支柱)51と、ステム51の端部に固定され、
大腿骨頭の代わりをなす略球形の人工骨頭球11とから
構成される。そして、人工骨頭球11がソケット105
に包み込まれる形で球面対偶をすることで関節が構成さ
れる。このような人工骨頭10をなす骨頭球11とステ
ム51とは、骨頭球11に設けられたテーパー状嵌合穴
(テーパー状をなす穴)13に、ステム(端部)51の
上端に設けられたテーパー状軸部(テーパー状をなす軸
部)53をテーパー嵌合することで組み立てられるのが
普通である。両者がテーパー嵌合で組み立てられるの
は、手術において簡易、迅速に、しかも強固に組立てる
ことができるためである。
【0003】ところで、このような人工股関節101の
患者への置換手術においては、体格、骨格に合わせたサ
イズ(大きさ)のものを使用することになる。このた
め、置換手術に際しては、事前にレントゲン写真等で使
用すべき、ソケット105及び人工骨頭10のサイズの
選択ないし選定が行われる。このうち人工骨頭10にお
ける、骨頭球11の球心Qからステム51のフランジ5
5までの長さ(以下、ネックサイズという)NLの微妙
な相違は、置換後の歩行などに大きな影響を及ぼす。
【0004】人工骨頭10は、こうしたネックサイズN
Lの微妙な違いに対応することができるように、通常、
1つ(1種類)のサイズのステム51に対し、同一外径
の骨頭球11でありながらも、テーパー状嵌合穴13の
深さが異なるものが複数用意されている。すなわち、テ
ーパー状嵌合穴13に対するステムのテーパー状軸部5
3のテーパー嵌合の深さが少しずつ異なるように、テー
パー状嵌合穴13が同一テーパーでも、その径が少しず
つ異なるものが複数用意されている。ところが、レント
ゲン写真等に基づいて選定されたネックサイズNLが実
際に適切かどうかは、患者の股関節に置換し、左右の股
関節のバランスなどから確認しないと分からない。この
ため、置換手術においては、1回又は複数回のトライア
ル(試験)置換を行って、本置換用人工骨頭のサイズ確
認が行われている。
【0005】しかし、このようなサイズ確認のためのト
ライアル置換においては、本置換用人工骨頭10は用い
ることはできない。理由は次のようである。一旦、置換
に用いた人工骨頭のサイズが不適切の場合には、それを
患部から外し、その後、骨頭球を分離して別のネックサ
イズとなる骨頭球をテーパー嵌合して再度置換すること
になるが、その場合には、次のような重大な問題がある
ためである。すなわち、このような場合には、骨頭球1
1とステム51とのテーパー嵌合と、その分離を繰り返
すことになる。一方、人工骨頭10をなすステム51は
金属製であり、骨頭球11はセラミック製又は金属製で
ある。このため、このようなテーパー嵌合が一度行われ
ると、食い付き作用によりその後の分離は容易でない。
また、分離した場合には、嵌合時の打ち込みや分離時の
加圧力(外力)により、テーパー嵌合面に傷が付いてし
まう。そして、そのような傷の付いたものを使用すれ
ば、その傷を起点として破損を招く危険性があり、人工
骨頭に要求される高度の信頼性に応えることができなく
なる。こうした問題があるため、トライアル置換におい
ては、本置換用人工骨頭10は用いることはできない。
【0006】そこで従来の置換手術においては、本番の
置換に用いる人工骨頭(本置換用人工骨頭)とは別に、
そのサイズ確認用に用意された、図14に示したような
トライアル用人工骨頭20でトライアル置換を行い、ネ
ックサイズなどの確認を行っていた。トライアル用人工
骨頭20は、同図に示したように、それを構成する骨頭
球21とステム31との組み立てや分離、さらには再使
用などに問題がないように、例えばねじ込みによる接合
構造とされていた。すなわち、トライアル用ステム31
には、本置換用ステムのテーパー状軸部に代えて、外周
にネジのあるネジ(オスネジ)付き軸部33を設けたも
のを一種類用意しておく。一方、トライアル用骨頭球2
1は、テーパー状嵌合穴に代えてネジ穴(メスネジ)2
3を設けたものである。そして、そのネジ穴23の深さ
(ネジ長さ)Hの異なるものを複数用意しておく。こう
して、トライアル用骨頭球21のネジ穴23にトライア
ル用ステム31のネジ付き軸部33をねじ込んだとき
に、ネックサイズNLが異なるように構成されている。
このようなトライアル用人工骨頭20を用いてトライア
ル置換を、要すれば繰り返し行って最適ネックサイズN
Lなどを確認した後に、本置換に用いるべきステムと骨
頭球を選定して本置換手術が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
なトライアル用人工骨頭を用いることによる置換手術に
おいては、本置換用人工骨頭とは別に、専用のトライア
ル用人工骨頭20を用意しておかないといけない。すな
わち、少なくとも1つのトライアル用ステム31に加え
て、ネジ穴23の深さHの異なる複数のトライアル用骨
頭球21を用意しておく必要がある。このため、その管
理、ないし取り扱いにおける負担が大きいといった問題
があった。その上、ねじ込み組立て構造のため、組み立
てや分離に要する手間が大きく、手術の迅速性の要請に
沿わないといった問題があった。こうした中、ねじ込み
組立て構造に代えて、カム機構を利用した組立て構造の
トライアル用人工骨頭も一部に見うけられるが、回転さ
せることで組立てるものであるため、ねじ込み組立てに
よるものと基本的に同様の問題がある。
【0008】本発明は、上記したトライアル用人工骨頭
における問題点に鑑みてなされたもので、トライアル専
用のステムを要することなく、トライアル用人工骨頭を
簡易、迅速に構成できるトライアル用骨頭球、さらには
これを用いたトライアル用人工骨頭を提供することをそ
の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解消する
ために請求項1記載の発明は、本置換用人工骨頭のサイ
ズ確認に使用されるトライアル用人工骨頭を構成する樹
脂製のトライアル用骨頭球であって、前記本置換用人工
骨頭を構成するステムにおける、本置換用人工骨頭球の
奥細りテーパーのテーパー状嵌合穴にテーパー嵌合可能
のテーパー状軸部が、テーパー嵌合可能に形成された奥
細りテーパーのテーパー状嵌合穴を、該トライアル用骨
頭球の球心を通る直線を軸線として備えていることを特
徴とする。
【0010】上記のトライアル用骨頭球によれば、本置
換用人工骨頭をなすステムをトライアルに使用できるた
め、トライアル専用のステムが不要となる。したがっ
て、その分、トライアル用人工骨頭の管理ないし取り扱
いが容易となる。そして、本置換用人工骨頭の組立てと
同様に、ステムのテーパー状軸部に、トライアル用骨頭
球のテーパー状嵌合穴をテーパー嵌合するだけで、簡易
迅速にその組立てができる。一方、トライアル用骨頭球
が樹脂製のため、弾性変形が容易である。したがって、
テーパー嵌合後の分離(抜き取り)の困難さもないし、
テーパー嵌合して分離を繰り返すとしても、本置換用人
工骨頭をなすステムは、ステンレス合金などの高硬度金
属からなるため、そのテーパー状軸部に傷がつくことも
ない。一方、トライアル用骨頭球のテーパー状嵌合穴に
傷がついたとしても、トライアルに用いるだけであるか
ら、格別の問題は生じない。
【0011】本発明の請求項2に記載の発明は、前記ト
ライアル用骨頭球の前記テーパー状嵌合穴にステムのテ
ーパー状軸部がテーパー嵌合された際において、該テー
パー状嵌合穴の開口端内径部よりも該テーパー状嵌合穴
の開口端側に、前記テーパー状軸部の外周面との間に空
隙が保持されるように前記開口端内径より大径の内周面
からなる大径内周面部を形成したことを特徴とする請求
項1に記載のトライアル用骨頭球である。
【0012】このように、大径内周面部を設けておくこ
とで、テーパー嵌合後に分離する際においては、その大
径内周面部とテーパー状軸部との間に隙間ができるた
め、テーパー状軸部をその径方向にこじることができ
る。したがって、その分、分離が一層容易となる。な
お、大径内周面部は、分離の容易性向上のためには、な
るべく深いほうがよい。テーパー嵌合に支障がない範囲
で、その深さを設定すればよい。
【0013】本発明の請求項3に記載の発明は、前記ト
ライアル用骨頭球の前記テーパー状嵌合穴の開口端側
に、該トライアル用骨頭球の外周面側から該テーパー状
嵌合穴側に切り込むスリットを形成したことを特徴とす
る請求項1に記載のトライアル用骨頭球である。
【0014】このようなスリットを設けておけば、前記
テーパー状嵌合穴の開口端側が、弾性変形で広がりやす
いため、さらに分離が容易となる。
【0015】本発明の請求項4に記載の発明は、前記ト
ライアル用骨頭球の前記テーパー状嵌合穴にステムのテ
ーパー状軸部がテーパー嵌合された際において、該テー
パー状嵌合穴の開口端内径部よりも該テーパー状嵌合穴
の開口端側に、前記テーパー状軸部の外周面との間に空
隙が保持されるように前記開口端内径より大径の内周面
からなる大径内周面部を形成し、しかも、前記トライア
ル用骨頭球の前記テーパー状嵌合穴の開口端側に、該ト
ライアル用骨頭球の外周面側から該テーパー状嵌合穴側
に切り込むスリットを形成したことを特徴とする請求項
1又は2に記載のトライアル用骨頭球である。
【0016】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
3又は4において、前記スリットが前記テーパー状嵌合
穴の内周面に切り込んでいることを特徴とするトライア
ル用骨頭球である。
【0017】本発明の請求項6に記載の発明は、請求項
3、4又は5において、前記スリットを複数形成したこ
とを特徴とするトライアル用骨頭球である。
【0018】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
6において、複数の前記スリットを、前記テーパー状嵌
合穴の開口端側からみて略等角度間隔で形成したことを
特徴とするトライアル用骨頭球である。
【0019】本発明の請求項8に記載の発明は、前記ト
ライアル用骨頭球を、ポリアセタール製とした請求項1
〜7のいずれかに記載のトライアル用骨頭球である。ま
た、本発明の請求項9に記載の発明は、前記トライアル
用骨頭球を、超高分子量ポリエチレン(UHMWP)製
とした請求項1〜7のいずれかに記載のトライアル用骨
頭球である。これらの樹脂は、トライアル用骨頭球とし
て、120〜130℃の高圧蒸気による必要な滅菌処理
に容易に耐えることができる上に、人体に害もないし、
弾性にも優れるため、トライアル用骨頭球の素材として
好ましいものである。
【0020】本発明の請求項10に記載の発明は、請求
項1〜9のいずれかに記載のトライアル用骨頭球の前記
テーパー状嵌合穴に、テーパー嵌合可能のテーパー状軸
部を有する、本置換用人工骨頭を構成するステムのテー
パー状軸部をテーパー嵌合してなることを特徴とするト
ライアル用人工骨頭である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載のトライ
アル用骨頭球の実施の形態を図1〜図3を参照しながら
詳細に説明する。図1は、本発明にかかるトライアル用
人工骨頭球111の破断面正面図、図2は、底面図、図
3はトライアル用人工骨頭球111を用いたトライアル
用人工骨頭61の断面図である。
【0022】本形態のトライアル用骨頭球111は、例
えばポリアセタール樹脂からなるもので、外径22mm
程度で略球形状をなしている。ただし、図1において図
示下側が直径約15mmの円をなす平面でカットされて
いる。そして、この平面の中心と球心Qとを通る1直線
Tを軸とし、横断面が円形で、円錐台形状をなす奥細り
テーパーのテーパー状嵌合穴113が深さL1(例えば
10mm)で形成されている。また、テーパー状嵌合穴
113の奥所には、テーパー状嵌合穴113の最小内径
D2でストレートの平行穴部115が所定深さL2(例
えば3mm)で形成され、後述するステム51のテーパ
ー状軸部53のテーパー嵌合の確実性が図られている。
なお、このようなトライアル用骨頭球111は、例え
ば、樹脂製の充実球体(球形素材)をベースに機械加工
により形成される。
【0023】本形態では、テーパー状嵌合穴113の開
口側端部117における開口端内径(テーパー状嵌合穴
の最大内径)D1は、10.5mmで、奥所における最
小内径D2が10mmとされ、テーパー角度θが3°に
設定されている。なお、テーパー状嵌合穴113の開口
側端部117における開口端内径D1が上記したカット
平面の円の径より小さいことから、開口側端部117に
はリング状に微小幅の面取り118が付くように設定さ
れている。
【0024】本形態では、このようなトライアル用骨頭
球111のテーパー状嵌合穴113に対し、従来より本
置換に用いられているステンレス合金製の1つのステム
51のテーパー状軸部53を押し込むだけで、トライア
ル用人工骨頭が構成される。そして、このようなトライ
アル用骨頭球111は、そのテーパー状嵌合穴113
を、そのテーパー角度θは同一で、開口側端部117に
おける開口端内径D1を少しずつ変えた複数のサイズ違
いのものを作っておく。これにより、開口端内径D1が
異なるトライアル用骨頭球111に取り替えることで、
所望とするネックサイズNLのトライアル用人工骨頭6
1を得ることができる。このように、本形態のトライア
ル用骨頭球によれば、トライアル専用のステムを要する
ことなく、所望とするネックサイズNLのトライアル用
人工骨頭61を、従来のねじ接合構造のものに比べて簡
易迅速に得ることができる。したがって、トライアル置
換において、ネックサイズの確認を簡易、迅速に行うこ
とができる。
【0025】また、トライアル専用のステムを要せず、
トライアル用骨頭球111のみをそのテーパー状嵌合穴
113のサイズを変えて適数用意しておけばよいから、
トライアル用人工骨頭の管理ないし取り扱いが容易とな
る。そして、分離に際しては、トライアル用骨頭球が樹
脂製のため、これをこじるようにすれば、容易に弾性変
形する。したがって、このようにしてステムから引き抜
くようにすれば、容易に分離できる。加えて、嵌合、分
離に際しても、本置換用人工骨頭をなすステムのテーパ
ー状軸部に傷がつくこともない。
【0026】次に本発明の請求項2に記載のトライアル
用骨頭球の実施の形態を図4〜図6を参照しながら詳細
に説明する。図4は、トライアル用人工骨頭球211の
破断面正面図、図5は、底面図、図6はトライアル用人
工骨頭球211を用いたトライアル用人工骨頭62の断
面図である。ただし、本形態は前記形態の改良とでもい
うべきものであることから、同一の部位には同一の符号
を付すに止め、その改良点(相違点)のみ説明する。
【0027】すなわち、本形態におけるトライアル用骨
頭球211は、そのテーパー状嵌合穴113の開口端1
17側に、テーパー状軸部53の外周面との間に空隙が
保持されるようにテーパー状嵌合穴113の開口端内径
D1より大径の内周面からなる大径内周面部119を同
心円状に備えている。これにより、そのテーパー状嵌合
穴113に、ステム51のテーパー状軸部53がテーパ
ー嵌合された際には、テーパー状軸部53の外周面と大
径内周面部119の間に、同心円状の空隙が保持される
構成とされている。なお、大径内周面部119は、本形
態ではテーパー状嵌合穴113のテーパー角度θと同一
のテーパー角度とされているが、異なるテーパー角度で
も良いし、ストレートでもよい。すなわち、テーパー状
軸部53の外周面と大径内周面部119の間に空隙が保
持されればよい。因みに、大径内周面部119の最大径
D3は12.5mmとされ、その深さL3は、5mmと
されている。
【0028】このような構造の本形態では、そのテーパ
ー状嵌合穴113におけるテーパー深さL1が、前記形
態におけるトライアル用骨頭球111のそれより浅い5
mmとなる。この結果、本形態では、ステム51のテー
パー状軸部53がテーパー嵌合された際のテーパー嵌合
深さが浅い(短い)くなる。したがって、その分、嵌合
強度は低いが、分離する際には、大径内周面部119の
開口端119a側を押し広げる変形をさせやすい。この
ため、その分離が容易となる。
【0029】さて次に、本発明の請求項3に記載のトラ
イアル用骨頭球の実施の形態を図7〜図9を参照しなが
ら詳細に説明する。図7は、トライアル用人工骨頭球3
11の破断面正面図、図8は、底面図、図9はトライア
ル用人工骨頭球311を用いたトライアル用人工骨頭6
3の断面図である。ただし、本形態も請求項1に記載の
トライアル用骨頭球の改良とでもいうべきものであるこ
とから、同一の部位には同一の符号を付すに止め、その
改良点(相違点)のみ説明する。
【0030】すなわち、本形態におけるトライアル用骨
頭球311は、テーパー状嵌合穴113の開口端117
側に、トライアル用骨頭球311の外周面(表面)側か
らテーパー状嵌合穴113の内周面側に幅1mm程度で
切り込むスリット121を形成したものである。本形態
では、スリット121は、テーパー状嵌合穴113の開
口端117側からみて略等角度間隔で8箇所形成されて
いる。そして、スリット121はテーパー状嵌合穴11
3の内周面(テーパー面)に、そのスリット121の底
が軸線Tに接近するほどテーパー状嵌合穴113の奥に
位置するように傾斜状に形成されている。
【0031】このような構造の本形態では、スリット1
21が形成されている結果、ステム51のテーパー状軸
部53をテーパー嵌合した後、分離する際には、このス
リット121がある分、開口端117側を弾性変形させ
やすいため、分離が容易となる。なお、スリット121
がない場合に比べると、嵌合強度は低下するが、このよ
うな低下は、トライアルでは問題ない。
【0032】スリット121は、その数が多いほど変形
が容易となるが、実質的には、4から8箇所の範囲で、
しかも等角度間隔で設けるのが好ましい。また、スリッ
トは、テーパー状嵌合穴113に深く切り込むほど、変
形が容易となる。スリットの数、深さ、溝幅は、トライ
アル用骨頭球の材質に応じてその弾性ないしステムから
の分離性(抜き取り性)を考慮して設定すればよい。
【0033】次に本発明の請求項4に記載のトライアル
用骨頭球の実施の形態を図10〜図12を参照しながら
詳細に説明する。図10は、トライアル用人工骨頭球4
11の破断面正面図、図11は、底面図、図12はトラ
イアル用人工骨頭球411を用いたトライアル用人工骨
頭64の断面図である。ただし、本形態は、上記第2の
請求項にかかる実施形態のものにおいて、第3の請求項
におけるスリットを設けた点のみが構造において異なる
だけである。したがって、両者の作用効果をあわせ持つ
という点が前記各形態と異なるだけであるから、同一の
部位には同一の符号を付すに止め、相違点のみ説明す
る。
【0034】すなわち、本形態では、トライアル用骨頭
球411は、そのテーパー状嵌合穴113の開口端11
7側に、テーパー状軸部53の外周面との間に空隙が保
持されるように開口端内径D1より大径の内周面からな
る大径内周面部119を同心円状に備えている。そし
て、テーパー状嵌合穴113の開口端117側に、トラ
イアル用骨頭球411の外周面側からテーパー状嵌合穴
113の内周面側に切り込むスリット121を形成した
ものである。しかして、テーパー嵌合後に分離する際に
おいては、その大径内周面部119とテーパー状軸部5
3との間に隙間ができる上に、スリット121が形成さ
れていることから、テーパー状嵌合穴113の開口端1
17側が、弾性変形により極めて広がりやすいため、さ
らに分離が容易となる。
【0035】本発明のトライアル用人工骨頭球は、上記
した各形態の形状ないし構造のものに限定されるもので
はなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜に設計
変更して具体化できる。例えば、大径内周面部を設ける
場合のその径の大きさや深さ、或いはスリットを形成す
る場合のその溝幅や切り込み形態や数は、トライアル用
人工骨頭球の樹脂の種類による弾性などに応じて、適宜
のものに設計すればよい。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のトライアル用骨頭球によれば、トライアル専用のステ
ムを要することなく、しかもトライアル用人工骨頭を簡
易、迅速に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1のトライアル用人工骨頭球の実施形態
の破断面正面図。
【図2】図1の底面図。
【図3】図1のトライアル用人工骨頭球を用いたトライ
アル用人工骨頭の断面図。
【図4】請求項2のトライアル用人工骨頭球の実施形態
の破断面正面図。
【図5】図4の底面図。
【図6】図4のトライアル用人工骨頭球を用いたトライ
アル用人工骨頭の断面図。
【図7】請求項3のトライアル用人工骨頭球の実施形態
の破断面正面図。
【図8】図7の底面図。
【図9】図7のトライアル用人工骨頭球を用いたトライ
アル用人工骨頭の断面図。
【図10】請求項4のトライアル用人工骨頭球の実施形
態の破断面正面図。
【図11】図10の底面図。
【図12】図10のトライアル用人工骨頭球を用いたト
ライアル用人工骨頭の断面図。
【図13】人工股関節を模式的に示した図。
【図14】従来のトライアル用人工骨頭の一例の断面
図。
【符号の説明】
51 本置換用人工骨頭を構成するステム 53 ステムのテーパー状軸部 61〜64 トライアル用人工骨頭 111、211、311、411 トライアル用骨頭球 113 トライアル用骨頭球のテーパー状嵌合穴 117 テーパー状嵌合穴の開口端 119 大径内周面部 121 スリット Q トライアル用骨頭球の球心 T テーパー状嵌合穴の軸線 D1 テーパー状嵌合穴の開口端内径

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本置換用人工骨頭のサイズ確認に使用さ
    れるトライアル用人工骨頭を構成する樹脂製のトライア
    ル用骨頭球であって、 前記本置換用人工骨頭を構成するステムにおける、本置
    換用人工骨頭球の奥細りテーパーのテーパー状嵌合穴に
    テーパー嵌合可能のテーパー状軸部が、テーパー嵌合可
    能に形成された奥細りテーパーのテーパー状嵌合穴を、
    該トライアル用骨頭球の球心を通る直線を軸線として備
    えていることを特徴とするトライアル用骨頭球。
  2. 【請求項2】 前記トライアル用骨頭球の前記テーパー
    状嵌合穴にステムのテーパー状軸部がテーパー嵌合され
    た際において、該テーパー状嵌合穴の開口端内径部より
    も該テーパー状嵌合穴の開口端側に、前記テーパー状軸
    部の外周面との間に空隙が保持されるように前記開口端
    内径より大径の内周面からなる大径内周面部を形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載のトライアル用骨頭
    球。
  3. 【請求項3】 前記トライアル用骨頭球の前記テーパー
    状嵌合穴の開口端側に、該トライアル用骨頭球の外周面
    側から該テーパー状嵌合穴側に切り込むスリットを形成
    したことを特徴とする請求項1に記載のトライアル用骨
    頭球。
  4. 【請求項4】 前記トライアル用骨頭球の前記テーパー
    状嵌合穴にステムのテーパー状軸部がテーパー嵌合され
    た際において、該テーパー状嵌合穴の開口端内径部より
    も該テーパー状嵌合穴の開口端側に、前記テーパー状軸
    部の外周面との間に空隙が保持されるように前記開口端
    内径より大径の内周面からなる大径内周面部を形成し、
    しかも、前記トライアル用骨頭球の前記テーパー状嵌合
    穴の開口端側に、該トライアル用骨頭球の外周面側から
    該テーパー状嵌合穴側に切り込むスリットを形成したこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のトライアル用骨
    頭球。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において、前記スリット
    が前記テーパー状嵌合穴の内周面に切り込んでいること
    を特徴とするトライアル用骨頭球。
  6. 【請求項6】 請求項3、4又は5において、前記スリ
    ットを複数形成したことを特徴とするトライアル用骨頭
    球。
  7. 【請求項7】 請求項6において、複数の前記スリット
    を、前記テーパー状嵌合穴の開口端側からみて略等角度
    間隔で形成したことを特徴とするトライアル用骨頭球。
  8. 【請求項8】 前記トライアル用骨頭球を、ポリアセタ
    ール製とした請求項1〜7のいずれかに記載のトライア
    ル用骨頭球。
  9. 【請求項9】 前記トライアル用骨頭球を、超高分子量
    ポリエチレン製とした請求項1〜7のいずれかに記載の
    トライアル用骨頭球。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のトラ
    イアル用骨頭球の前記テーパー状嵌合穴に、テーパー嵌
    合可能のテーパー状軸部を有する、本置換用人工骨頭を
    構成するステムのテーパー状軸部をテーパー嵌合してな
    ることを特徴とするトライアル用人工骨頭。
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