JP2002310616A - 天体観測画像中の天体の識別方式 - Google Patents
天体観測画像中の天体の識別方式Info
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Abstract
小惑星等を検出するためには、天球の広い範囲を常時観
測し、観測データから恒星とその他の天体の識別を行わ
なければならない。観測した大量の観測画像から自動的
に恒星とその他の天体の分離処理を行うことが可能な画
像処理方法を実現する。 【解決手段】 恒星追尾モードで連続撮影した画像を
得、得られたそれぞれの画像から天体の像を抽出する手
段と、該抽出した天体の像の重心位置(x,y)、面積
s、形状の特徴a/bを抽出する手段と、抽出された特
徴、画像番号、累積カウンタをリストとして登録する手
段と、既にリストに登録されていると判断されたデータ
に対しては、リスト中の累積カウンタに1を加算する手
段とを含む。そして、主として累積カウンタの値から天
体を恒星とその他の天体とを識別し、像の特徴、主とし
て重心位置、形状などからスペースデブリを識別する。
Description
主として人工衛星、スペースデブリ、彗星等の恒星以外
の天体と恒星とを判別するための方法に関する。
出、もしくは既知の天体あるいは人工物体の運動を監視
することの必要性、特に人工衛星、宇宙のごみであるス
ペースデブリあるいは地球に異常接近する小惑星等の天
体を検出し、監視することの必要性に対する認識が高ま
ってきた。未知の高軌道・静止軌道上のスペースデブリ
や小惑星を検出するためには、天球の広い範囲を走査観
測しなければならない。この走査観測では、望遠鏡を恒
星追尾モードで駆動するのが一般的である。恒星追尾モ
ードでは、恒星は点像として撮影され、その他の天体は
ある程度恒星との相対運動が大きければ線状の像として
撮影される。しかし、相対運動が小さいときは、形状に
よる恒星との識別が困難になる。
は、恒星以外の天体は線状の像となる。この線の長さは
恒星運動との相対運動の大きさおよび露出時間に比例す
る。しかし、あまり線状の長さが長くなると、後の処理
がやっかいになるため、比較的短い露出時間の撮影を行
い、数多くの観測画像から恒星とそれ以外の天体とを識
別することが望ましい。ただ、相対運動の小さい小惑星
などではほぼ点状の像になり、その形状からは判断出来
ず、時間をおいて撮影された2枚の画像を重ね合わせて
恒星との識別を行なわなければならない。
り未知の高軌道・静止軌道のスペースデブリや小惑星等
を検出するためには、天球の広い範囲を常時観測し、観
測データから恒星とその他の天体の識別を行わなければ
ならない。さらに、恒星追尾モードで撮影した画像で
は、恒星は同一の位置に撮影されているはずであるが、
望遠鏡の駆動精度、大気のシーイングなどの原因で、2
枚の画像に写っている恒星の位置、濃度が完全に一致せ
ず、各画像間で抽出したパラメータは一致しない。この
ため、2枚の画像の濃度の差の絶対値を求める方法によ
っては、恒星像は残渣が残り、完全に取り除くことは出
来ないという問題がある。そのため、恒星とその他の天
体の識別を自動化するのは難しく、殆どが人間の判断力
に頼って行われている。しかし、上記のように大量の観
測データを処理しなければならず、上記の人手に頼る方
法では事実上、不可能である。本発明の目的は、観測し
た大量の観測画像から自動的に恒星とその他の天体の分
離処理を行うことが可能な画像処理方法を実現すること
にある。
の天体の識別方式は、連続撮影された天体観測画像か
ら、運動状態の異なる天体群を識別する方法、特に、主
として恒星と恒星以外の他の天体を識別する方法であっ
て、恒星追尾モードで連続撮影した画像を得る手段と、
得られたそれぞれの画像から天体の像を抽出する手段
と、該抽出した天体の像の重心位置、面積、形状などの
特徴を抽出する手段と、抽出された特徴、画像番号、累
積カウンタをリストとして登録する手段と、既にリスト
に登録されていると判断されたデータに対しては、リス
ト中の累積カウンタに1を加算する手段と、を含むこと
を特徴とする。そして、主として累積カウンタの値から
天体を恒星とその他の天体と識別し、抽出した天体の像
の特徴、主としてその重心位置、形状などからスペース
デブリ等の恒星以外の天体を識別する。
ースデブリや小惑星を検出するためには、天球の広い範
囲を走査観測する必要があり、望遠鏡を恒星追尾モード
で駆動するのが一般的である。本発明の天体の識別方式
においても、望遠鏡を恒星追尾モードで駆動しながら連
続撮影で観測データを得る。観測したデータは撮影順に
処理を行っていく。
像の抽出法としては、例えば、観測画像において、バッ
クグラウンドの平均濃度を求め、このバックグラウンド
に対してある基準の明るさ以上の連続した領域は無条件
に天体の像と仮定する。そして、この領域から次の量を
計算し、天体の像のパラメータとする。 領域の面積s 領域の重心の位置(x,y) 領域を内接する長方形の2辺の長さa,bの比 a
/b 図1に天体の像とみなされた領域とこれらのパラメータ
の関係を示す。必要に応じ、例えばそのスペクトル、像
の傾斜角等、その他のパラメータも利用出来ることは言
うまでもない。
録される。このリストの各項には、領域の面積s、領域
の重心の位置(x,y)、比a/bと、これらを抽出し
た画像の番号を記載する項目欄をもち、また、累積カウ
ンタももつ。累積カウンタの初期値は0である。抽出さ
れた天体のパラメータをリストに登録するとき、リスト
内にある既存のデータとの照合を行う。この照合は、適
当な値ds、dx、dy、d(a/b)に対して、各項
目について |s−s’|≦ds |x−x’|≦dx |y−y’|≦dy |a/b−a’/b’|≦d(a/b) の条件を満たすとき、登録するデータとリストのデータ
は同じものとする。上式中、s,x,y,a/bは抽出
されたパラメータ、s’,x’,y’,a’/b’はリ
スト内の既存のデータを表す。
ると判定されたときは、リスト内の当該データを現在登
録しようとしているデータで置き換え、累積カウンタに
+1を加える。登録しようとするデータがリストに登録
されていないと判断されたときは、リストに当該データ
の項を新しく作り、累積カウンタの値を1にする。
して行う。処理が終了した後、リストの累積カウンタの
値により、当該天体が恒星であるかどうかが判断でき
る。恒星に該当する項では、累積カウンタの値は処理し
た画像枚数の数と一致し、a/bがほぼ1の値をもつ。
しかし実際は、暗い恒星や観測中に雲や霧が発生するな
どの原因で、全画面に撮影されないこともある。恒星以
外の運動する天体では、累積カウンタの値は1になる。
また、運動天体は、ある画像番号N0で観測画像に表わ
れ、画像視野を横切ってある画像番号N1以降は消えて
行く。従って、リスト上には、画像番号N0から連続し
てN1-1まで、面積sとa/bの値がほぼ等しいデータ
が登録される。このデータの重心位置のデータから特定
の運動天体を識別することが出来る。
中の天体の識別方式をより詳細に説明する。実施の1例
として、恒星追尾可能な天体望遠鏡に640×512画
素のCCDカメラを付け、静止軌道帯の静止衛星あるい
はスペースデブリを検出する実施例について説明する。
観測は次の手順で行う。 観測時間、露出時間、撮影間隔を設定 望遠鏡を静止軌道内の目的方向に向ける。 望遠鏡を恒星追尾モードで駆動し、観測を開始す
る。
600枚の観測画像が得られる。この観測データは撮影
画像ごとに一つのファイルとしてパソコンに格納され
る。このファイルのヘッダには、撮影時間、露出時間な
どの情報が書き込まれる。このとき、露出時間を2秒と
すれば、露出時間中に望遠鏡は赤緯方向に約30秒角移
動する。すなわち、スペースデブリが観測されるとする
と、スペースデブリの像は30秒角に相当する線として
観測されることになる。本実施例における画像の視野は
18分角×14分角である。
像の1例を示す。点状の恒星の像と共にスペースデブリ
が線状の像になっているのが判る。なお、この画像で
は、x軸方向が赤緯方向、y軸方向が赤経方向となって
おり、画面の右側が北の方向となっている。スペースデ
ブリがこの画面を通過するのに約1分の時間を必要とす
る。従って、一つのスペースデブリはほぼ15枚の連続
した画像に撮影されることになる。あるスペースデブリ
が撮影されている15枚の画像を合成した画像を図3に
示す。
ブリを識別するための大略の手順は以下のようになる。 観測画像データから天体の像を抽出する。 既に抽出してある天体の像と今抽出した天体の像を
比較し、天体の像の形状、位置を考慮して、既に抽出済
みの恒星かどうかを判断する。 恒星とみなされなかった天体の像の中から天体の像
の形状、位置を考慮してスペースデブリの候補を抽出す
る。
理し、恒星と判定した天体の像のデータの1例を表1に
示す。表中、座標x,yはCCDの左下の画素を原点と
し、右上の画素の座標を(639,511)とする座標
である。面積は1画素の面積が1となる。ただし、天体
の像の領域は周囲の画素の値に影響されるため、1より
も小さくなることもある。天体の像の光度は、面積に反
映され、面積が大きいほど明るいと言える。画像番号1
は、その星像が最初に表われた画像番号、画像番号2は
最後に表われた画像番号を示し、累計数は、その画像が
表われた画像の累計を示す。
ら抽出されたのは面積の大きい5個のみである(累計数
600のもの)。最も面積が小さなものは、全画像60
0枚中32画像からしか抽出されていない。しかし、3
2画像の同じ位置から抽出されていることから、この位
置に恒星があると考えざるを得ない。
体の像の中から静止衛星、スペースデブリを抽出する。
連続した15画像の中にある、赤緯方向にほぼ毎秒15
秒角の移動速度で移動している、面積と縦横比a/bが
類似している、という条件を満たすものが静止衛星、ス
ペースデブリとみなすことが出来る。このような条件で
静止衛星、スペースデブリとして抽出した1例を表2に
示す。
が34.5画素である。1画素当たりの視野角はおおよ
そ1.7秒角であり、34.5画素は58.7秒角とな
る。従って、ほぼ、静止衛星、スペースデブリの移動速
度である毎秒15秒角となっている。
の利用が盛んに行われており、それに伴いスペースデブ
リも指数関数的に増加し、運用衛星とスペースデブリの
衝突の確率が増大している。今後の宇宙開発にとって、
常時、静止衛星軌道帯のスペースデブリ観測が必要にな
る。このような情勢下において、本発明によれば多数の
画像データから自動的に恒星、スペースデブリなど、同
じ運動をする天体のグループを抽出することが出来、よ
り効率のよいスペースデブリ観測のが可能となる。
画像中の像のパラメータの取り方を示す説明図である。
像の合成画像例である。
Claims (3)
- 【請求項1】 連続撮影された天体観測画像から、運動
状態の異なる天体群を識別する方法であって、 恒星追尾モードで連続撮影した画像を得る手段と、得ら
れたそれぞれの画像から天体の像を抽出する手段と、該
抽出した天体の像の重心位置、面積、形状などの特徴を
抽出する手段と、抽出された特徴、画像番号、累積カウ
ンタをリストとして登録する手段と、既にリストに登録
されていると判断されたデータに対しては、リスト中の
累積カウンタに1を加算する手段と、を含むことを特徴
とする天体観測画像中の天体の識別方式 - 【請求項2】 主として累積カウンタの値から天体を恒
星とその他の天体とを識別することを特徴とする請求項
1の天体観測画像中の天体の識別方式 - 【請求項3】 主として抽出した天体の像の特徴から、
恒星以外の天体を識別することを特徴とする請求項1の
天体観測画像中の天体の識別方式
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