JP3871891B2 - 人工衛星の姿勢決定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、全天のスターカタログからの星をスターセンサで捕らえているかの同定を行い、同定結果に基づいて人工衛星の姿勢決定を行う人工衛星の姿勢決定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、例えば特開昭61−6100号公報に示された従来の人工衛星の姿勢決定装置の星同定部を示すものである。
【0003】
上記公報に示された従来の人工衛星の姿勢決定装置は、次のようにして星同定を行う。すなわち、図5(a)に示すように、スターセンサを搭載した人工衛星21により地球22の周りを周回しながらスターセンサを用いて天球上の複数の星23を観測する。そして、スターセンサで観測可能な天球上の星すべてについて、着目する星24を中心としてスターセンサ視野角最大値を半径として円25を描き、その内部に入る星で中心の星24より暗い星26を選び出す。中心の星24から各星26に放射状に線を引き、できあがった放射状図形に対して星24の星番号を付けてパターンの番号とする。
【0004】
その後、図5(b)に示すように、全天の星のパターンを集めた集合27から全てのパターンについてその特徴量とパターン番号を組み合わせてテーブル28をつくる。そして、テーブル28の特徴量の大きさ順に特徴量とパターン番号を並べたテーブル29をつくり、テーブル29のアドレスから特徴量への関数を近似する関数31を作成し、テーブル29のパターン番号のみの方をパターン番号テーブル30とする。同定を行う場合には、スターセンサで観測した画像データにおいて最も明るい星について同様に作成されるパターンと関数31を照合し、対応するテーブル30の部分テーブルの中から共通部分を抽出し、それが1個のみであれば同定成功とする。
【0005】
図5(c)は、全天のスターカタログからの星をスターセンサで捕らえているかの同定を行い、同定結果に基づいて人工衛星の姿勢決定を行うための構成を示すもので、スターセンサ1で観測した画像データについて、スター同定部3によりスターカタログ2に基づいて作成したパターンと比較し、唯一の対応が得られれば同定成功とし、対応が唯一であれば、姿勢算出部4により同定結果から算出される姿勢も唯一で、初期捕捉が完了する。
【0006】
また、図6は、他の従来例による人工衛星の姿勢決定装置の構成を示すブロック図である。図6において、図5(c)に示す従来例と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、6はスターセンサ1から出力される星像とスターカタログデータベース2に記憶されたかスターカタログとに基づいて姿勢候補の値を更新する姿勢算出部、7は前サンプリング時刻の姿勢候補の値と機体角速度から現サンプリング時刻の姿勢候補の値を算出する姿勢伝搬部である。
【0007】
図6に示す構成の人工衛星の姿勢決定装置においては、一回の撮像におけるスターセンサ1の視野内の星の数が同定に必要な数に満たない場合にも星の同定を行うことができ、また、スター同定部3および姿勢算出部4で、始めに姿勢角の候補を複数用意しスターセンサ1で撮像を繰り返して星像が得られるに従って解の候補としてあり得ないものを姿勢更新部6により取り除いていくように構成したので、スター同定部3において特徴量の取り方に工夫を凝らす必要がない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図5に示す従来の人工衛星の姿勢決定装置では、スター同定部3において対応候補を一つに絞り込み、姿勢算出部4以降では唯一の解のみを用いるように構成されている。そのため、ある時刻における1台のスターセンサ視野内の星画像1枚だけで照合を完結するように、特徴量の取り方に工夫を凝らす必要があった。さらに、同定に必要な数の星が視野内に必ず入るようにスターセンサ1の視野を十分に広くとるか、または十分な数の星が視野内に入らないときにはその時刻における同定をあきらめるなどの制約があった。
【0009】
また、図6に示す従来の人工衛星の姿勢決定装置では、あり得ないものを取り除くという手段で候補を絞り込むため、一つの候補になるまでに時間がかかるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、短時間で正しい姿勢候補を1つに絞り込むことができる人工衛星の姿勢決定装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る人工衛星の姿勢決定装置は、一台または複数台のスターセンサと、慣性座標系での星それぞれに関する情報を記憶してなるスターカタログデータベースと、前記スターセンサから出力される星像とスターカタログデータベースのスターカタログとをスターセンサ毎に照合して対応候補の組を出力するスター同定部と、対応候補それぞれについて人工衛星の姿勢候補の値を算出する姿勢算出部と、スターセンサから出力される星像とスターカタログとに基づいて姿勢候補の値を更新する姿勢更新部と、前サンプリング時刻の姿勢候補の値と機体角速度から現サンプリング時刻の姿勢候補の値を算出する姿勢伝搬部とからなる人工衛星の姿勢決定装置において、前記姿勢更新部と前記姿勢伝搬部とで構成されるループの中に、前記姿勢算出部から算出される複数の姿勢候補の値を前記姿勢候補間で相互に比較し所定の誤差範囲内で互いに一致する姿勢候補の値を一つに絞り込み統合する姿勢候補統合部を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記姿勢候補統合部は、現サンプリング時刻で姿勢算出部が算出した姿勢候補の値と、過去に算出した姿勢候補を各サンプリング時刻での機体角速度を用いて現サンプリング時刻に伝搬して得た姿勢候補の値とを比較して一つに統合することを特徴とするものである。
【0013】
また、前記姿勢候補統合部は、一方のスターセンサから算出された姿勢候補を別のスターセンサから算出された姿勢候補と比較して一つに統合することを特徴とするものである。
【0014】
さらに、前記姿勢更新部は、姿勢候補毎にスターカタログに基づいて自スターセンサおよび他のスターセンサ画面における星像を予測し、該当スターセンサで出力された星像データと比較検証してその違いが明らかな場合にその姿勢候補を削除することを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による人工衛星の姿勢決定装置を説明するためのブロック図である。
【0016】
図1において、1はスターセンサ、2は慣性座標系での星それぞれに関する情報を記憶してなるスターカタログデータベース(以下、単にスターカタログと称す)、3はスターセンサ1から出力される星像とスターカタログデータベース2に記憶されたスターカタログとをスターセンサ毎に照合して対応候補の組を出力するスター同定部、4は対応候補それぞれについて人工衛星の姿勢候補の値を算出する姿勢算出部である。
【0017】
また、5は複数の姿勢候補の値を相互に比較し一つに統合する姿勢候補統合部、6はスターセンサから出力される星像とスターカタログとに基づいて姿勢候補の値を更新する姿勢更新部、7は前サンプリング時刻の姿勢候補の値と機体角速度から現サンプリング時刻の姿勢候補の値を算出する姿勢伝搬部、11はスターセンサ1とは別のスターセンサ、12はスターカタログ2とは別のスターカタログ、13はスター同定部3とは別のスター同定部、14は4とは別の姿勢算出部である。ただし、スターカタログ2、スター同定部3および姿勢算出部4は、プログラムコードに共通のものを利用しても構わない。
【0018】
次に、動作について説明する。スターセンサ1は、各サンプリング時刻においてセンサ視野内の天球の画像を出力する。画像処理部(図示しない)は、スターセンサ1の出力画像から星像を抽出し、各星像の中心位置や輝度などの星像データを出力する。スター同定部3は、撮像した星像間の距離や各星像の輝度等をスターカタログ2に記載される恒星間の距離や輝度等と比較照合して、撮像した星像とスターカタログ2に記載される恒星との対応を求める。
【0019】
ここで、スターセンサ1のセンサ視野内に十分な星が見えていなかったり、惑星や宇宙放射線による一時的な輝点あるいはデブリ(debris)など、恒星以外のものがセンサ画面に映っていたりする場合に、対応を一つに絞ることが困難である。特に、スターセンサ1に安価な部品を適用する場合には、比較検証における判断基準を緩く取らざるを得ないので、複数の対応候補が残ることが多い。その場合には、複数の候補を出力する。
【0020】
姿勢算出部4では、スター同定部3で求めた対応候補から、人工衛星の慣性空間に対する姿勢候補を算出する。星像の対応が複数存在することから、姿勢も候補が複数個算出される。
【0021】
スターセンサ11、スター同定部13および姿勢算出部14の動作は、スターセンサ1、スター同定部3および姿勢算出部4の動作と同様である。
【0022】
姿勢候補統合部5では、姿勢候補の値を相互に比較する。正しい姿勢候補であれば、検出誤差、カタログ誤差、アライメント誤差の範囲内でお互いに一致するはずなので、近しい姿勢候補がある場合にそれが正しい姿勢候補であると判定して姿勢候補の値を一つに絞り込み、初期捕捉完了フラグを立てる。これで、初期捕捉が完了する。姿勢候補の数が一つ以下の場合や、お互いに一致するような姿勢候補が見つからない場合は、姿勢候補の組をそのまま出力する。
【0023】
以後は、姿勢更新部6で、現サンプリング時刻で取得した星像データとスターカタログ2に基づいて姿勢の決定値で予測される恒星の見え方とを比較照合して、星像データにより近づくように姿勢の決定値を更新する。
【0024】
さらに、姿勢伝搬部7で、姿勢角速度情報と組み合わせて次のサンプリング時刻まで姿勢の決定値を伝搬する。次のサンプリング時刻で、スターセンサ1の出力画像から星像を抽出し、姿勢更新部6で姿勢の決定値を更新する。この処理を繰り返す。
【0025】
以上のように、実施の形態1では、姿勢更新部6と姿勢伝搬部7とで構成される処理ループの中に姿勢候補統合部5を設けたので、スター同定部において対応候補を一つに絞りきれない場合にも、姿勢候補間での比較で姿勢候補を一つに絞り込むことが可能になり、恒星以外のものがセンサ画面に映っていても誤った姿勢決定を行うことを回避できる。
【0026】
また、スター同定部において対応候補を一つに絞り込まなくてよいので、スターセンサの星像検出精度に対する要求を緩和することができる。
【0027】
なお、実施の形態1では、人工衛星の姿勢に関して全く情報がない状態について説明したが、太陽センサや地球センサのような他の姿勢センサの情報を利用できる場合や、過去の姿勢決定値を利用できる場合には、スター同定部3においてスターカタログ2の検索範囲を制限することで恒星との対応を一つに絞り込むことが容易になる。
【0028】
また、姿勢更新部6において星像データと十分な対応がとれない場合には、姿勢の決定値が正しくないと判断して再び姿勢の初期捕捉にもどってもよい。
【0029】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図であり、図1に示す姿勢算出部4と姿勢候補統合部5と姿勢伝搬部7の関係をより具体的に明らかにするものである。
【0030】
図2において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。
【0031】
次に動作について説明する。図2において、姿勢候補統合部5は、姿勢算出部4の出力の他に、姿勢伝搬部7の出力も入力する。姿勢候補間の比較に際して、現サンプリング時刻tBに算出した姿勢候補の値p1(tB)と、過去のサンプリング時刻tAに算出した姿勢候補q1(tA)を姿勢伝搬部7でサンプリング周期毎に伝搬を繰り返して現サンプリング時刻tBでの値に変換した姿勢候補q1(tB)の値とを、比較検証する。
【0032】
以上のように、実施の形態2では、姿勢候補統合部5の入力に姿勢伝搬部7の出力を追加したので、1回のサンプリングで姿勢候補を一つに絞りきれない場合にもデータとして蓄積し、次回以降のサンプリング時刻において姿勢候補統合部での姿勢候補間の比較に利用することが可能になり、確実に正しい姿勢に決定することができる。
【0033】
なお、過去に算出した姿勢の決定値は、単に角速度を用いて伝搬するだけでなく、姿勢更新部6において星像データとスターカタログから観測更新を行ってより精度の高い決定値にすることも考えられる。
【0034】
また、姿勢更新部6はセンサ視野が異なる方が効果が大きいため、サンプリング時刻毎に行う必要はない。さらに、姿勢候補すべてについて同時に行うのではなくその一部について順に行うことで、計算時間を短縮することも考えられる。
【0035】
実施の形態3.
図3は、この発明の実施の形態3による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図であり、図1に示す姿勢算出部4と姿勢候補統合部5と姿勢伝搬部7と姿勢算出部14との関係をより具体的に明らかにするものである。
【0036】
図3において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。
【0037】
次に動作について説明する。時刻tAにおいてスターセンサ1の出力画像から抽出された星像データをもとに、スター同定部3(図示せず)は、スターカタログ2に記載される恒星との対応を求める。姿勢算出部4は、この対応から人工衛星の慣性空間に対する姿勢q1(tA)を算出する。一方、時刻tCにおいてスターセンサ11の出力画像から抽出された星像データをもとに、スター同定部13(図示せず)は、スターカタログ12に記載される恒星との対応を求める。
【0038】
姿勢算出部14は、この対応から人工衛星の慣性空間に対する姿勢r11(tC)を算出する。
【0039】
姿勢候補統合部5は、姿勢候補間の比較に際して、現サンプリング時刻tCに算出した姿勢候補r11(tC)の値と、過去のサンプリング時刻tAに算出した姿勢候補を姿勢伝搬部7でサンプリング周期毎に伝搬を繰り返して現サンプリング時刻tCでの値に変換した姿勢候補q1(tC)の値とを、比較検証する。
【0040】
以上のように、実施の形態3では、姿勢候補統合部5で他のスターセンサから出力された姿勢候補と比較するようにしたので、一つのセンサ視野の中で見ると同程度に確からしい姿勢候補が複数存在したときに、別のセンサ視野で求めた姿勢候補と比較することで真に確かな姿勢候補を選び出すことが可能になる。
【0041】
また、スターセンサから星像データを抽出して姿勢候補を算出し比較検証するまでの処理において、他のスターセンサからのデータを用いないため、星像データの抽出、同定、姿勢候補の算出、姿勢候補の検証の4つの処理の一部またはすべてを、別の計算機で実行させてその結果だけを利用することが可能である。このような分散処理により、スターセンサの台数が多い場合でも、姿勢決定装置の計算機負荷の増大を抑制できる。
【0042】
さらに、以上の説明では、複数台あるスターセンサのサンプリング時刻が同期していることを前提にしたが、サンプリング時刻が異なる場合でも、機体角速度の推定値と組み合わせて評価すべき時刻に姿勢候補を伝搬することで同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0043】
実施の形態4.
図4は、この発明の実施の形態4による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図であり、図1に示す姿勢算出部4と姿勢更新部6と姿勢伝搬部7とスターセンサ11との関係をより具体的に明らかにするものである。
【0044】
図4において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付して示し、その説明は省略する。
【0045】
時刻tAにおいてスターセンサ1の出力画像から抽出された星像データをもとに、スター同定部3(図示せず)は、スターカタログ2に記載される恒星との対応を求める。姿勢算出部4は、この対応から、人工衛星の慣性空間に対する姿勢q1(tA)を算出する。一方、時刻tDにおいてスターセンサ11の出力画像から星像データが抽出される。
【0046】
姿勢更新部6は、過去のサンプリング時刻tAに算出した姿勢候補q1(tA)を姿勢伝搬部7でサンプリング周期毎に伝搬を繰り返して現サンプリング時刻tDでの値に変換した姿勢候補q1(tD)の値よりスターカタログ2に基づいてスターセンサ11のセンサ視野における恒星の見え方を予測し、取得した星像データと比較検証し、予測と星像データの近しさを指標として、明らかに異なる候補を排除する。
【0047】
以上のように、実施の形態4では、姿勢更新部6で他のスターセンサから出力された星像とも比較検証し、明らかに異なる候補を排除するようにしたので、一つのセンサ視野の中で見ると同程度に確からしい姿勢候補が複数存在したときに、別のセンサ視野で比較することで真に確かな姿勢候補とそうでない候補とを分離し、明らかに異なる候補を排除することで候補の数を絞ることが可能になる。
【0048】
また、スターセンサから星像データを抽出して姿勢候補を算出するまでの処理において、他のスターセンサからのデータを用いないため、星像データの抽出、同定、姿勢候補の算出の3つの処理の一部またはすべてを、別の計算機で実行させてその結果だけを利用することが可能である。このような分散処理により、スターセンサの台数が多い場合でも、姿勢決定装置の計算機負荷の増大を抑制できる。
【0049】
さらに、以上の説明では、複数台あるスターセンサのサンプリング時刻が同期していることを前提にしたが、サンプリング時刻が異なる場合でも、機体角速度の推定値と組み合わせて評価すべき時刻に姿勢候補を伝搬することで同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0050】
この発明の要点についてさらに述べると次の通りである。
この発明において、スター同定部では候補が複数あっても可とする。そのため、スター同定部では、例えば星像3個で三角形を構成し、スターカタログにおける星3個で構成した三角形と辺の長さを比較するといった単純な特徴量で姿勢候補をとりあえず複数算出すればよく、特徴量の取り方に工夫を凝らす必要がない。
【0051】
また、姿勢候補を一つに絞り込み初期捕捉を完了する手段として、姿勢候補毎に星像データと比較検証して対応のとれない候補を排除する、1枚の画像の中で複数得られた姿勢候補の間で近しさを指標に一つに絞る、過去の画像で得られた姿勢候補を時間伝搬して現在の画像で得られた姿勢候補とあわせて近しさを指標に一つに絞る、別のスターセンサで得られた姿勢候補ともあわせて近しさを指標に一つに絞る、という4つの手段を持つ。
【0052】
そのため、同定に必要な数の星が視野内に入らなくても、姿勢候補毎に星像データと比較検証して対応のとれない候補を排除することが可能であり、また、姿勢候補を時間伝搬して同定に必要な数の星が視野内に入るまで待つことも可能である。また、別のスターセンサで得られた姿勢候補も利用するので、あるスターセンサの視野内に星が少なくても、別のスターセンサの視野内に星が十分な数見えていればよい。
【0053】
また、本発明では、姿勢候補統合部を追加し、姿勢候補の間で近しさを指標に一つに絞る。さらに、複数のスターセンサから出力される星像データとそれから算出される姿勢候補を用いる。そのため、短時間で正しい候補に絞り込むことができる
【0054】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、姿勢更新部と姿勢伝搬部とで構成されるループの中に、姿勢算出部から算出される複数の姿勢候補の値を前記姿勢候補間で相互に比較し所定の誤差範囲内で互いに一致する姿勢候補の値を一つに絞り込み統合する姿勢候補統合部を備えたので、人工衛星の姿勢が未決定の段階、すなわち初期捕捉の段階で、スター同定部で同程度に確からしい候補が複数残ったときに、姿勢候補統合部で姿勢候補のうちお互いに近いものが最も確からしいという判定を行って姿勢候補を一つに決定することが可能になる。
【0055】
また、前記姿勢候補統合部は、現サンプリング時刻で姿勢算出部が算出した姿勢候補の値と、過去に算出した姿勢候補を各サンプリング時刻での機体角速度を用いて現サンプリング時刻に伝搬して得た姿勢候補の値とを比較して一つに統合するようにしたので、人工衛星の姿勢を初期捕捉する段階で、現サンプリング時刻において一つしか姿勢候補が得られず確からしさを確認できない場合にも、過去に求めた姿勢候補と比較することで、確実に正しい姿勢に決定することができる。
【0056】
また、前記姿勢候補統合部は、一方のスターセンサから算出された姿勢候補を別のスターセンサから算出された姿勢候補と比較して一つに統合するようにしたので、人工衛星の姿勢を初期捕捉する段階で、同時刻あるいは過去に他のスターセンサで算出した姿勢候補も姿勢候補統合部で利用することができ、さらに確実に正しい姿勢に決定することができる。
【0057】
さらに、前記姿勢更新部は、姿勢候補毎にスターカタログに基づいて自スターセンサおよび他のスターセンサ画面における星像を予測し、該当スターセンサで出力された星像データと比較検証してその違いが明らかな場合にその姿勢候補を削除するようにしたので、人工衛星の姿勢を初期捕捉する段階で、一つのセンサ視野の中で見ると同程度に確からしい姿勢候補が複数存在したときに、別のセンサ視野で比較することで真に確かな姿勢候補とそうでない候補とを分離することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による人工衛星の姿勢決定装置を説明するためのブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図である。
【図4】 この発明の実施の形態4による人工衛星の姿勢決定装置を説明するための図である。
【図5】 特開昭61−6100号公報に示された従来例の人工衛星の姿勢決定装置の星同定部を示すブロック図である。
【図6】 他の従来例による人工衛星の姿勢決定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,11 スターセンサ、2,12 スターカタログデータベース、3,13スター同定部、4,14 姿勢算出部、5 姿勢候補統合部、6 姿勢更新部、7 姿勢伝搬部。
Claims (4)
- 一台または複数台のスターセンサと、慣性座標系での星それぞれに関する情報を記憶してなるスターカタログデータベースと、前記スターセンサから出力される星像とスターカタログデータベースのスターカタログとをスターセンサ毎に照合して対応候補の組を出力するスター同定部と、対応候補それぞれについて人工衛星の姿勢候補の値を算出する姿勢算出部と、スターセンサから出力される星像とスターカタログとに基づいて姿勢候補の値を更新する姿勢更新部と、前サンプリング時刻の姿勢候補の値と機体角速度から現サンプリング時刻の姿勢候補の値を算出する姿勢伝搬部とからなる人工衛星の姿勢決定装置において、
前記姿勢更新部と前記姿勢伝搬部とで構成されるループの中に、前記姿勢算出部から算出される複数の姿勢候補の値を前記姿勢候補間で相互に比較し所定の誤差範囲内で互いに一致する姿勢候補の値を一つに絞り込み統合する姿勢候補統合部を備えた
ことを特徴とする人工衛星の姿勢決定装置。 - 請求項1に記載の人工衛星の姿勢決定装置において、
前記姿勢候補統合部は、現サンプリング時刻で姿勢算出部が算出した姿勢候補の値と、過去に算出した姿勢候補を各サンプリング時刻での機体角速度を用いて現サンプリング時刻に伝搬して得た姿勢候補の値とを比較して一つに統合する
ことを特徴とする人工衛星の姿勢決定装置。 - 請求項1または2に記載の人工衛星の姿勢決定装置において、
前記姿勢候補統合部は、一方のスターセンサから算出された姿勢候補を別のスターセンサから算出された姿勢候補と比較して一つに統合する
ことを特徴とする人工衛星の姿勢決定装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の人工衛星の姿勢決定装置において、
前記姿勢更新部は、姿勢候補毎にスターカタログに基づいて自スターセンサおよび他のスターセンサ画面における星像を予測し、該当スターセンサで出力された星像データと比較検証してその違いが明らかな場合にその姿勢候補を削除する
ことを特徴とする人工衛星の姿勢決定装置。
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