JP2002308187A - パラシュート内蔵ゴム気球 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高空で破裂したゴム気球の気球片がパラシュー
トの開傘を阻害することなく、確実にパラシュート開傘
を行いうるゴム気球を開発すること。 【解決手段】予めゴム気球内に折畳まれたパラシュート
を内蔵する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、気象観測用気球、
あるいは地形による気流変化の観測用気球等のごとき、
ゴム気球のうち落下時に用いられるパラシュートが内蔵
されているゴム気球に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の観測用ゴム気球においては、気球
に観測用器具を吊下する吊紐の気球寄り位置に、落下用
パラシュートが畳んで吊下されており、気球が所定の高
空で破裂した後、吊下器具の重量により落下する際、パ
ラシュートが開き、観測器具等により、地上または水上
の落下点に存在する器物、生物等に損傷を与えることの
ない緩速度で落下せしめるものである。

【０００３】前記従来の気球には、落下に際し、破裂し
た気球片がパラシュートに被冠して、パラシュートが開
傘されず、落下速度の減速が不充分で、落下した観測器
具により落下点の器物、生物が損傷を受けるケースが予
測されるという問題が存する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この為、高空で破裂し
た気球片がパラシュートに被冠することがなく、確実に
パラシュートが全開して、観測器具を緩速度で確実に落
下せしめうるパラシュートを具備したゴム気球の開発が
課題となっていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項１の発明では、折畳まれた傘体と、該傘体周
縁に固着垂下されている複数の支紐軍と、該複数の支紐
群の下端の結束部に一体に結束され、かつ延設されてい
る単一の吊紐とよりなるパラシュートが、折畳まれた状
態でゴム気球内に内蔵され、前記吊紐の下端部のみが前
記の口頸管外に引出されているパラシュート内蔵ゴム気
球という構成とした。

【０００６】請求項２の発明では、吊紐が、ゴム気球の
口頸管外に引出されている下端部を除き、始終両端に作
用する印加張力により解離可能に巻取部に巻装されてゴ
ム気球内に内蔵されているという構成を請求項１の発明
に付加した。

【０００７】請求項３の発明では、巻取部に巻装されて
いる吊紐の始終両端が、それぞれ印加される張力により
解離可能に前記巻取部に係止されているという構成を請
求項２の発明に付加した。

【０００８】請求項４の発明では、吊紐の巻取部が細長
形状体であり、吊紐が該巻取部の表裏両面を巡る８字状
軌跡を画いて重ね巻きされており、巻装されている吊紐
の始終両端に印加される張力により解離可能に仮止めさ
れているという構成を請求項２の発明に付加した。

【０００９】請求項５の発明では、巻取部より延設され
ている吊紐の下端がガス充填閉止弁に結着され、該ガス
充填閉止弁がゴム気球の口頸部に密封結着されていると
いう構成を請求項１、請求項２、請求項３または請求項
４のいずれかの発明に付加するという構成とした。

【００１０】図１及び図２は、請求項１、請求項２、請
求項３及び請求項４の各発明のいずれかが適用される実
施の一例を示す。

【００１１】図１に示す如く、一部断面で模型的に示し
た浮揚ガス充填前のゴム気球１の中に、図２、図３に示
す如く、傘体２と、該傘体２の周縁３に固着垂下されて
いる複数の支紐４、４の群と、その結束部５と、単一の
吊紐６とよりなるパラシュート７が収納されている。

【００１２】前記傘体２は折畳まれ、支紐群も折畳ま
れ、支紐４、４の下端は結束部５において一体に結束さ
れ、前記結束部５からは、単一の吊紐６が延設され、該
吊紐６の下端部８のみが、ゴム気球１の口頸管９から外
部に引出されている。

【００１３】図２はパラシュート７が折畳まれた状態を
示し、通常吊紐６の下端部８には観測用器具等の重量体
１１が吊下される。

【００１４】図３は、パラシュート７が傘体２を開いて
落下する状態を示している。

【００１５】支紐４群の下端は結束部５に一体に結束さ
れるが、結束部５の形態は任意のものでよく、単に支紐
４群の下端を結束しただけでもよい。

【００１６】図４は、請求項２の実施の一例を示し、巻
取部１０が付加された以外は、図１と同様である。吊紐
６は、単に折畳まれてゴム気球１内に内蔵されるのでは
なく、巻取部１０に巻装され、吊紐６を含むパラシュー
ト７のゴム気球１内への装着を容易にしたものである。

【００１７】吊紐６は、ゴム気球１の口頸管９外に引出
されている下端部８を除き、巻取部１０に巻装されてい
る。前記吊紐６の巻取部１０への巻装は、特にパラシュ
ート７の落下に際し、吊紐６の結束部５に結束されてい
るいはば始点と、重量体１１が取り付けられているいわ
ば終点との、吊紐６の始終両端に、図３に示す開いた傘
体２と、重量体１１との間で、吊紐６に作用する上下方
向の印加張力Ｆにより容易に解離され延伸されるように
巻取部１０へ巻装されている。

【００１８】巻取部１０における吊紐６のそれぞれ異な
る巻装構造を、図５、図６及び図７に示す。図５及び図
６は請求項３の実施例である。

【００１９】図５は、吊紐６が、糸巻状の巻取部１０
（１０Ａ）に巻装され、巻取部１０Ａでの巻装端１２、
１２において、巻取部１０Ａの切込み１３、１３にそれ
ぞれ軽く押し込まれて巻装されるのであり、他方、図１
に示されるゴム気球１の口頸部９には、図８に示される
如く、浮揚時の浮揚ガス充填と該ガスの密封とのため、
ガス充填閉止弁１６が密封結着されるので、所定気圧で
破裂した気球片は、必ずパラシュート７より下方位置を
占め、従前の如くパラシュート７に、被冠することが無
く、直ちに開傘し、落下時の印加張力Ｆ、Ｆにより、上
下の各巻装端１２、１２は容易に切込み１３、１３から
解離され吊紐６は重量体１１を吊下したまた延伸され
る。この状態で開いたパラシュート７は地上或は水上に
緩速で落下して行く。

【００２０】図６は、別形式の巻取部１０（１０Ｂ）を
示す。巻取部１０Ｂに巻装された吊紐６の巻装端１２、
１２は、それぞれ係止バンド１４、１４により巻取部１
０Ｂのフランジ部１０Ｄに係止されている。落下時に、
吊紐６に上下に向う張力Ｆ、Ｆが印加されると、巻装端
１２、１２は容易に係止バンド１４、１４から抜出し、
吊紐６は巻取部１０Ｂから容易に解離され、延伸され
る。

【００２１】図７に示す巻取部１０（１０Ｃ）は、請求
項４の実施例である。吊紐６の巻取部１０Ｃは、細長形
状にまとめられ、吊紐６が細長系状体の巻取部１０Ｃの
表裏両面を巡る８字状軌跡１０Ｅを画いて重ね巻きされ
ており、巻装されている吊紐６の始終両端に印加される
張力Ｆ、Ｆにより解離可能に、仮止め部１５により仮止
めされており、落下時に張力Ｆが印加されると容易に仮
止め部１５の仮止めが外れ、吊紐６は重量体１１を吊下
した状態に延伸される。尚、巻取部１０の形状は、前述
の各実施例に限定されるものではないことは勿論であ
る。

【００２２】図８、図９は、請求項５の実施例を示す。
ゴム気球１には、その口頸管９に、ゴム気球１へ水素、
ヘリウム等の軽量ガスを充填し、密封を行う一方作動の
ガス充填閉止弁１６が密封、結着されている。該ガス充
填閉止弁１６を介して軽量ガスが充填閉止され軽量とな
ったゴム気球１は、観測用の重量体１１を吊下しつつ高
空へと上昇して行く。

【００２３】所定の高度で、図９に示す如く、球形に膨
張したゴム気球１は、やがて破裂してパラシュート７が
露出され、図３に示す如く開傘され、重量体１１を地上
或は水上に緩速落下させる。ゴム気球１の破片はパラシ
ュート７の開傘に全く支障を生じない。

【００２４】ゴム気球１の口頸管９にガス閉止弁１６が
密封結着された場合、ガス漏れを生じないように、ゴム
気球１内のパラシュート７とゴム気球１外に吊下される
重量体１１を連結する吊紐６の取付が問題となる。解決
策は３案が考えられる。

【００２５】ａ、吊紐６を２分し、吊紐上半６Ａをゴム
気球１内でガス閉止弁１６の上端１７に 繋止し、吊紐
下半６Ｂをゴム気球１外でガス閉止弁１６の下端１８に
繋止する。この場合、巻取部１０はゴム気球１内で吊紐
上半６Ａに取付ける。

【００２６】ｂ、吊紐６をガス充填閉止弁１６の外周面
に沿わせつつ該弁１６と共に、タイバンド１９等によ
り、ゴム気球１の口頸管９にガス漏れを生じないよう密
封結着する。この場合吊紐６の上半はゴム気球１内に残
り、巻取部１０を介してパラシュート７に連結され、吊
紐６の下半はゴム気球１外で重量体１１を吊下する。

【００２７】Ｃ、ガス充填閉止弁１６の上端側に巻取部
を直結し、該巻取部に吊紐６を巻装する。

【００２８】

【発明の効果】請求項１の発明では、ゴム気球内に予め
パラシュートが折畳まれて収納されているので、ガス充
填閉止弁等を気球使用時に取付け度い使用者にとって、
パラシュートを内蔵せしめる手間が不要であり、パラシ
ュートの吊紐の下端がゴム気球の口頸管に固定されるの
で、高空でのゴム気球の破裂時に、パラシュートが、必
ずゴム気球の裂片より上方に位置し、裂片で被冠される
ことなく露出され、支障なく全開され、重量体を緩降下
せしめうる効果を奏する。

【００２９】請求項２の発明では、吊紐が巻取部に落下
時の印加張力により容易に解離可能に巻装されているの
で、ゴム気球へのパラシュート内蔵時に、長い吊紐の内
装操作が極めて容易で、気球使用時の操作を支障なく施
行しうる効果を奏する。

【００３０】請求項３の発明では、巻取部に短かく巻装
されている吊紐の両端が、落下時に吊紐に印加される張
力により自動的に巻取部より解離され、吊紐が所定の長
さまで引延ばされ、吊下される重量体の観測時の作動に
全く支障を生じない効果を奏する。

【００３１】請求項４の発明では、巻取部が細長形状で
あるため、特別の部品を必要とせず、軽量な板片、厚紙
片等で足りるので、気球上昇時に余分の重量を加えるこ
となく使用出来、操作の簡便さに加えて、ゴム気球全体
の軽量化にも役立つ効果を奏する。

【００３２】請求項５の発明では、パラシュートをゴム
気球内に内蔵せしめ、更にガス充填閉止弁を口頸管に密
封結着せしめた状態で提供できるので、ゴム気球の放球
現場では、観測器等の重量体の取付けと、ガスの充填と
いう操作のみで、即時観測気球等の上昇を行うことが出
来、且つ、安全確実に観測の実施及び重量体の地上或は
水上への降下を安全確実に行いうる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１、請求項２、請求項３及び請求項４の
発明の実施例の一部断面側面図である。

【図２】折畳状態のパラシュートの側面図である。

【図３】開傘時のパラシュートの側面図である。

【図４】巻取部が付加されたパラシュート内蔵ゴム気球
の一部断面側面図である。

【図５】巻取部の一実施例を示す側面図である。

【図６】巻取部の別の実施例を示す側面図である。

【図７】巻取部の更に別の実施例を示す側面図である。

【図８】ゴム気球口頸部へのガス充填閉止弁の取付状態
を示す、一部断面拡大側面図である。

【図９】パラシュート内蔵、ガス充填閉止弁装着のゴム
気球のガス充填状態を示す一部断面側面図である。

【符号の説明】

１ ゴム気球 ２ 傘体 ３ 周縁 ４ 支紐 ５ 結束部 ６、６Ａ、６Ｂ 吊紐 ７ パラシュート ８ 下端部 ９ 口頸管 １０、１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ 巻取部 １０Ｄ フランジ １０Ｅ ８字状軌跡 １１ 重量体 １２ 巻装端 １３ 切込み １４ 係止バンド １５ 仮止め部 １６ ガス充填閉止弁 １７ 上端 １８ 下端 １９ タイバンド Ｆ 印加張力

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】折畳まれた傘体と、該傘体の周縁に固着垂
   下されている複数の支紐群と、該複数の支紐群の下端の
   結束部に一体に結束され、かつ延設されている単一の吊
   紐とよりなるパラシュートが、折畳まれた状態でゴム気
   球内に内蔵され、前記吊紐の下端部のみが前記気球の口
   頸管外に引出されているパラシュート内蔵ゴム気球。
2. 【請求項２】吊紐が、ゴム気球の口頸管外に引出されて
   いる下端部を除き、始終両端に作用する印加張力により
   解離可能に巻取部に巻装されてゴム気球内に内蔵されて
   いる請求項１記載のパラシュート内蔵ゴム気球。
3. 【請求項３】巻取部に巻装されている吊紐の始終両端
   が、それぞれ印加される張力により解離可能に前記巻取
   部に係止されている請求項２記載のパラシュート内蔵ゴ
   ム気球。
4. 【請求項４】吊紐の巻取部が細長形状体であり、吊紐が
   該巻取部の表裏両面を巡る８字状軌跡を画いて重ね巻き
   されており、巻装されている吊紐の始終両端に印加され
   る張力により解離可能に仮止めされている請求項２記載
   のパラシュート内蔵ゴム気球。
5. 【請求項５】巻取部より延設されている吊紐の下端が、
   ガス充填閉止弁に結着され、該ガス充填閉止弁がゴム気
   球の口頸管に密封結着されている請求項１、請求項２、
   請求項３または請求項４のいずれかに記載のパラシュー
   ト内蔵ゴム気球。