JP2002306572A - 哺乳器用乳首およびその製造方法 - Google Patents

哺乳器用乳首およびその製造方法

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JP2002306572A
JP2002306572A JP2001113218A JP2001113218A JP2002306572A JP 2002306572 A JP2002306572 A JP 2002306572A JP 2001113218 A JP2001113218 A JP 2001113218A JP 2001113218 A JP2001113218 A JP 2001113218A JP 2002306572 A JP2002306572 A JP 2002306572A
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slit
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shaped
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Soji Konno
野 聡 司 今
Mitsuo Tashiro
代 光 雄 田
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の哺乳器用乳首は、周縁部にフラン
ジ状の座部を有する胴部と、該胴部の頂部近傍に形成さ
れた乳頭部を有するシリコーンゴムから形成されてお
り、該乳頭部の先端に設けたスリット状吸口開口部が形
成されており、該吸口開口部の厚さ方向の少なくとも断
面に粉粒体が付着している。またこの哺乳器用乳首は、
形成されたスリット状吸口開口部の断面に粉粒体を付着
させることにより製造される。 【効果】本発明によれば、スリット状吸口開口部を形成
した後に、二次加硫を行った場合においても、あるい
は、哺乳器用乳首を長期間保管した後においても、吸口
開口部が再び付着することのない哺乳器用乳首を提供す
ることができ、製品不良率を著しく低減することができ
る。また、一旦形成されたスリット状吸口開口部が閉口
することがないので生産効率を向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、弾性部材からなる哺乳器
用乳首およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、弾性部材からなる哺乳器用乳首であって、該
乳首乳頭部先端に設けたスリット状の吸口開口部および
/またはびん体との接合部に設けたスリット状通気孔
が、再度付着しにくい哺乳器用乳首、および、このよう
な乳首を製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、哺乳器用乳首の先端に設け
られた吸口の形状は、円孔のものが多く用いられていた
が、授乳時などにおける哺乳器からの内容物の漏れ出し
を防止するために、現在では、吸口開口部を、Y字形、
十字形などのスリット状にすることが主流になってきて
いる。
【0003】このような哺乳器用乳首は、安全性を考慮
して、またさらに無味・無臭であり、老化・変形しにく
いことから弾性部材、特にシリコーンゴムで形成されて
いる。シリコーンゴムを用いて所定の形状に成形するに
は、シリコーンゴムに少量の架橋剤を添加した成形用シ
リコーンゴム組成物を、加熱溶融状態にして金型内に充
填して、この金型内で一次加硫を行いながら所定の形状
を付与した後、成形体を脱型し、さらに架橋の補完、加
硫副生成物の除去、物性安定化などを目的として、再度
加熱して二次加硫を行うのが一般的である。
【0004】したがって、シリコーンゴムからなる哺乳
器用乳首を製造する際も同様で、一般に、哺乳器用乳首
は、下記の工程により製造される。 1.金型で成形する(一次加硫)工程 2.カット刃により、スリット状の吸口開口部(切れ
目)を形成する工程 3.二次加硫工程 しかしながら、このような工程により、哺乳器用乳首を
製造した場合、カット歯により、切れ目を入れた後に二
次加硫を行うために、一旦形成された開口部が再び付着
して塞がってしまうことがあり不良率が高くなるという
問題があった。
【0005】また、二次加硫後に、開口部を形成すると
いう方法も考案されたが、二次加硫後、まだシリコーン
ゴムの熱いうちに開口部を形成すると、上記と同様、開
口部が付着し易く、また、シリコーンゴムが冷めた状態
で開口部を形成した場合であっても長時間保管した場合
には開口部が付着してしまうおそれがあるという問題が
あった。
【0006】また、塞がった開口部を、物理的に引きは
がすという操作によって付着した吸口を再び開口させる
という操作がなされているが、この操作は、手間がかか
るうえに、切り口の形状が変形したり、傷付いたりする
こともある。さらに、上記のようにして再度開口させた
スリット状の吸口も、長時間保管した場合には、再び付
着して塞がれてしまうというおそれもある。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記問題を解決しようとする
ものであって、弾性部材、特にシリコーンゴムからなる
哺乳器用乳首において、該乳首乳頭部先端に設けたスリ
ット状の吸口開口部および/またはびん体との接合部に
設けたスリット状の通気孔が、二次加硫後または長時間
放置した後においても、一旦形成された開口部および通
気孔が再び付着することのない哺乳器用乳首を提供する
こと、およびそのような哺乳器用乳首の製造方法を提供
することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明の哺乳器用乳首は、びん体との接
合部を有する胴部と、該胴部の頂部近傍に形成された乳
頭部を有する弾性部材から形成された哺乳器用乳首にお
いて、該乳頭部の先端にスリット状吸口開口部が形成さ
れ、該吸口開口部の厚さ方向の少なくとも断面に粉粒体
が付着していることを特徴としている。
【0009】また、本発明の哺乳器用乳首において、び
ん体との接合部にスリット状の通気孔が形成されている
場合は、該通気孔の厚さ方向の少なくとも断面に粉粒体
が付着していることが好ましい。上記哺乳器用乳首は、
びん体との接合部を有する胴部と、該胴部の頂部近傍に
形成された乳頭部を有する、弾性部材から形成された哺
乳器用乳首を製造するに際して、該乳頭部の先端にスリ
ット状の吸口開口部を形成すると共に、あるいは形成し
た後に、該スリット状吸口開口部の厚さ方向の断面に粉
粒体を付着させることにより製造することができる。
【0010】また、びん体との接合部にスリット状の通
気孔を有する哺乳器用乳首の製造に際しても、同様に、
該通気孔を形成すると共に、あるいは形成した後に、該
通気孔の厚さ方向の断面に粉粒体を付着させることで製
造することができる。上記粉粒体としては、タルクなど
の無機粉粒体を使用することが好ましく、上記弾性部材
は、シリコーンゴムであることが好ましい。
【0011】本発明者は、弾性部材、特にシリコーンゴ
ムからなる哺乳器用乳首において、乳首の乳頭部先端に
形成された吸口開口部およびびん体との接合部に形成さ
れたスリット状の通気孔が、この厚さ方向の断面(カッ
トされた断面)である開口部断面に粉粒体を付着させる
ことにより、二次加硫の際の加熱あるいは長期間の放置
によっても閉口することがないことを見いだして本発明
を完成するに至ったものである。
【0012】本発明によれば、スリット状に吸口開口部
および/または通気孔を設けても、開口部が再び付着す
ることなく、不良品の発生率を著しく低下させることが
でき、さらにこうした不良率の低下により生産効率が著
しく向上する。また、塞がった開口部を物理的に引き剥
がす場合には、乳首を充分に冷ましてから行う必要があ
ったが、本発明によれば、粉粒体を付着させることによ
り、冷却工程を省くことができるため、製造にかかる時
間を大幅に短縮することができる。
【0013】
【発明の具体的説明】次に本発明の哺乳器用乳首および
その製造方法について、本発明の哺乳器用乳首の一態様
を例示した図面を参照しながら説明する。図1は、本発
明の哺乳器用乳首の断面図であり、図2は本発明の哺乳
器用乳首の上面図であり、図3は図2に示した哺乳器用
乳首の乳首先端部のA−A部分断面拡大図であり、図4
は図2に示した哺乳器用乳首のびん体との接合部のB−
B部分断面拡大図である。
【0014】本発明の哺乳器用乳首1は弾性部材から形
成されており、図1〜4に示すように、びん体との接合
部10を有する胴部7と、この胴部7の頂部近傍に形成
された乳頭部2を有する。また、図1〜4に示した哺乳
器用乳首では、接合部10の形状として、この哺乳器用
乳首1を哺乳瓶に取り付けた際に主に哺乳瓶の蓋体とこ
の乳首1との嵌合を目的として、座部5と胴部7との間
に、周溝4が形成されている態様が示されている。
【0015】乳頭部2の先端部8には、スリット状の吸
口開口部3a,3b,3cが形成されている。図2には、スリッ
ト状の吸口開口部3a,3b,3cがY字である態様が示されて
いる。接合部10には、スリット状の通気孔9が形成さ
れており、図2には、スリット状の通気孔9が−字であ
る態様が示されている。
【0016】本発明の哺乳器用乳首では、図1および図
3に示すように、乳頭部2の先端部分8を厚さ方向に切
り込むことにより形成されたスリット状の吸口開口部3
a,3b,3cの断面に粉粒体を付着させている。また、本発
明の哺乳器用乳首では、図4に示すように、びん体との
接合部5を厚さ方向に切り込むことにより形成されたス
リット状の通気孔9の断面に粉粒体を付着させている。
【0017】本発明において、スリット状の吸口開口部
3a,3b,3cとは、カット刃により、乳首の乳頭部先端8に
成形された切れ目であり、また、スリット状の通気孔9
とは、カット刃により、びん体との接合部5に成形され
た切れ目である。このスリット状の吸口開口部3a,3b,3c
および通気孔9は、通常はなんらの圧力も加えない状態
においては、実質的な間隙は生じていない。そのため、
乳首を哺乳器に装着して使用すれば、横転した場合であ
っても内容物がこぼれにくい。
【0018】また、このようなスリット状の吸口開口部
3a,3b,3cは、乳幼児が乳頭を口にくわえ、吸い込む際に
かかる圧力等により、ミルクなどの内容物を吸入できる
ような孔が生ずる(開口する)ように形成されている。
なお、スリット状の吸口開口部3a,3b,3cが、通常の(な
んらの圧力も加えていない)状態においても、実質的な
間隙が生じているような場合、たとえば、約1mm以上の
幅を有するようなスリットを形成している場合などに
は、本発明で問題としている二次加硫後の再度の付着と
いった問題は生じにくい。
【0019】上記スリット状吸口開口部3a,3b,3cの形状
は、スリット状であれば、どのような形状であってもよ
く、たとえば、図2に示すように、Y字状であってもよ
いし、また十字状、−状などの形態であってもよい。な
お、吸口開口部3a,3b,3cの形状は、すべてがスリット状
に形成されている必要はなく、一部にスリット状でない
部分を有していてもよい。すなわち、たとえばスリット
の端部に、円柱状の打ち抜き部(図示なし)を形成する
ことにより、この哺乳器用乳首1を使用する際に、周囲
に切り込みが拡大することを防止することができる。
【0020】上記スリット状通気孔9の形状は、スリッ
ト状であれば、どのような形状であってもよく、たとえ
ば、図2に示すように、−字状であってもよいし、また
十字状などの形態であってもよい。なお、スリット状の
通気孔9は、乳幼児が乳頭を口にくわえ吸い込む際に、
ミルクなどの内容物をスムーズに吸入できるように、哺
乳器内に空気を導入できるように設けられている。
【0021】本発明の哺乳器用乳首1に上記のように設
けられている吸口開口部3a,3b,3cは、乳頭部2の先端部
8をカット刃で厚さ方向に切り込んで形成されたもので
あり、また、通気孔9は、びん体との接合部10をカッ
ト刃で厚さ方向に切り込んで形成されたものであるか
ら、この哺乳器用乳首1を使用しないときはその断面は
互いに接触した状態にある。従って、この哺乳器用乳首
1が加熱された場合あるいはその断面が接触した状態で
長期間放置された場合には、このカットされた断面が接
着(付着)することがある。本発明ではこのような断面
の接着を防止するために、この断面に粉粒体を付着させ
て、この断面が相互に接着するのを防止している。
【0022】ここで哺乳器用乳首1のスリット状吸口開
口部3a,3b,3cおよびスリット状の通気孔9の厚さ方向の
断面に付着される粉粒体は、図3および図4において付
番6で示されている。このように粉粒体6を断面に付着
することにより、隣接する断面同士が直接接触するのを
防止できるので、加熱あるいは長期間の放置などによっ
てもこの断面同士が接合してスリット状吸口開口部3a,3
b,3cおよびスリット状の通気孔9を閉塞するのを防止で
きる。
【0023】なお、図1〜4には、乳頭部先端8にスリ
ット状の吸口開口部3a,3b,3cが設けられており、かつび
ん体との接合部10にスリット状の通気孔9が設けられ
ている哺乳器用乳首を例示したが、本発明の哺乳器用乳
首では、吸口開口部または通気孔の両方あるいはどちら
か一方が、スリット状に形成されてさえいればよい。す
なわち、たとえば、本発明の哺乳器用乳首は、吸口開口
部3a,3b,3cがスリット状に形成されていれば、通気孔9
が円孔であってもよく、また、通気孔9がスリット状に
形成されていれば、吸口開口部3a,3b,3cは、円孔であっ
てもよい。
【0024】上記哺乳器用乳首を構成する弾性部材とし
ては、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙
げられるが、経済性、安全性等の面からシリコーンゴム
が好ましい。本発明で使用される粉粒体は、無機粉粒体
であっても有機粉粒体であってもよい。しかしながら、
有機粉粒体を使用する場合、たとえば澱粉のような粉粒
体は、微量の水が存在すれば黴の発生要因となるので、
有機粉粒体を使用する場合には、このような黴あるいは
微生物によって変質しない粉粒体を使用することが好ま
しい。また、本発明に係る哺乳器用乳首は、乳幼児の口
に入れるものであるため、該乳首に付着させる粉粒体
も、安全性等の観点から、食品添加物として許容される
ものであることが好ましい。
【0025】このような粉粒体として使用する有機粉粒
体の例としては、フッ素樹脂粉粒体、(メタ)アクリル
系樹脂粉粒体、シリコーン樹脂パウダーなどを挙げるこ
とができ、また無機粉粒体の例としては、タルク、マイ
カ、シリカ(SiO2)、カルシウムなどを挙げることがで
きる。このような粉粒体は単独であるいは組み合わせて
使用することができる。このような中でも、長期間保管
しても腐食しにくい等の観点から無機粉粒体が好まし
く、さらに、無機粉粒体の中でもタルクを使用した場合
に断面の接合を有効に防止することができる。
【0026】上記粉粒体6の平均粒径としては、弾性部
材、特にシリコーンゴムへの付着性、溶媒への分散性等
の観点から、平均粒子径が通常は0.1〜50μm程
度、好ましくは2〜10μm程度のものが好適に使用さ
れる。この粉粒体6は、スリット状吸口開口部3a,3b,3c
およびスリット状通気孔9の弾性部材の厚さ方向の少な
くとも断面(カット面)に付着していることが必要であ
るが、このスリット状吸口開口部3a,3b,3cおよびスリッ
ト状通気孔9の周囲にまで付着していてもよい。
【0027】また、この粉粒体6は、カット刃により形
成されたスリット状吸口開口部3a,3b,3cおよびスリット
状通気孔9の断面が相互に直接接触しないような量で付
着していればよい。すなわち、粉粒体の平均粒子径によ
ってもその付着量は異なるが、この断面の少なくとも1
%を覆っていれば、断面の直接の相互接触が防げるた
め、粉粒体の付着量は、この断面の1%以上、好ましく
は5%以上100%未満を覆う量であることが望まし
い。上記量であれば、スリット状に吸口開口部を形成
後、二次加硫を行っても、あるいは長期にわたり保管し
ても断面の付着を充分に防止し得る。
【0028】なお、このような粉粒体は、実際に家庭な
どで使用する前に、通常の水洗などによって除去するこ
ともできるし、また、食品添加物として許容される粉粒
体を使用することによりそのまま哺乳器用乳首を使用し
たとしても安全である。上記のような哺乳器用乳首1は
弾性部材を用いて所望の形状の乳首を成形し、その乳頭
部2の先端部8にカット刃でスリット状吸口開口部3a,3
b,3cを形成した後、あるいは形成する際に、このスリッ
ト状吸口開口部3a,3b,3cの断面に粉粒体6を付着させる
ことにより製造することができる。
【0029】また、同様に、上記哺乳器用乳首1は、弾
性部材を用いて所望の形状の乳首を成形し、びん体との
接合部10にカット刃でスリット状の通気孔を有する哺
乳器用乳首の製造に際しても、同様に、該通気孔を形成
すると共に、あるいは形成した後に、該通気孔の厚さ方
向の断面に粉粒体を付着させることで製造することがで
きる。
【0030】以下、本発明の哺乳器用乳首の製造方法に
ついて、シリコーンゴムからなる哺乳器用乳首の製造方
法を例にとり、具体的に説明する。本発明の製造方法
は、概略下記の工程から構成される。すなわち、 1.金型を用いて成形する工程(一次加硫工程) 2.カット刃により、スリット状吸口開口部(切れ目)
およびスリット状通気孔を形成する工程(開口部形成工
程) 3.形成されたスリット状吸口開口部の断面に、粉粒体
を付着させる工程(粉粒体付着工程) 4.二次加硫工程 からなる。
【0031】上記一次加硫工程、開口部形成工程、二次
加硫工程については、従来より公知の方法により実施す
ることができる。一次加硫工程では、シリコーン生ゴム
(成形用シリコーンゴム組成物)を加熱して溶融状態に
して金型内に充填する。このシリコーン生ゴム中には、
有機過酸化物などの加硫剤が配合されており、金型内で
所望の乳首形状に賦形される際に一次加硫されて、大部
分の加硫剤は消費されるが、この段階では、一部は未反
応のまま成形された乳首中に残留している。
【0032】なお、本発明で使用するシリコーン生ゴム
中には、有機過酸化物などの加硫剤のほかに、通常シリ
コーンゴムの成形の際に配合される各種機能性付与剤等
が配合されていてもよい。こうして所定の金型内で一次
加硫して所定の所望の乳首形状を付与した後、この乳首
は金型から脱型される。
【0033】こうして脱型された乳首は、開口部成形工
程では、形成するスリット状の吸口開口部および通気孔
の形状に応じて、使用するカット刃を選択し、選択した
カット刃により、乳首の乳頭部先端に任意の切れ目を入
れ、所望の形状のスリット状吸口開口部3a,3b,3cおよび
スリット状通気孔9を形成する。二次加硫工程は、架橋
の補完、加硫副生成物・分解残渣などの除去、硬度など
の物性を安定化させるために行う工程であり、通常、た
とえば、熱風乾燥、熱水による煮沸などにより脱型した
乳首を加熱する。この二次加硫工程により、脱型した乳
首中に残存する加硫剤はほぼ完全に分解される。
【0034】なお、本発明の哺乳器用乳首の製造方法
は、上記工程に限定されるものではないことはいうまで
もない。したがって、たとえば、あらかじめ架橋剤が配
合される熱付加反応型液状シリコーンゴムを用いて、キ
ャビティ内で付加反応を行うことで成形加工を行うLI
MS(Liquid Injection Molding System)のような方
法を用いて製造された成形体にも有効である。すなわ
ち、本発明の製造方法では、このようにして得られた成
形体に、カット刃を用いてスリット状に、吸口開口部お
よび通気孔を形成し、粉粒体を付着させてもよい。
【0035】以下、粉粒体付着工程について、詳細に説
明する。粉粒体付着方法については、哺乳器用乳首先端
に形成されたスリット状の吸口開口部の断面に粉粒体を
付着することができれば、いかなる方法を用いてもよい
が、具体的には下記の方法が挙げられる。 (1)粉粒体を、スポンジ、布、ブラシ等に含ませて、
物理的に擦り付ける方法、(2)容器に溜めた粉粒体中
に直接、哺乳器用乳首を入れ、粉粒体中で、棒状体など
の開口部材を開口部に挿入して粉粒体を物理的に断面に
付着させる方法、(3)粉粒体を、たとえば、水、水-
アルコールなどの水性媒体に懸濁させ、該懸濁液中に、
(2)と同様に哺乳器用乳首を浸漬して断面に付着させ
る方法、(4)たとえば、水、水-アルコールなどの水
性媒体に懸濁させた粉粒体を、棒状体などの塗布部材に
付着させ、粉粒体の付着した塗布部材を乳首の吸口開口
部または通気孔に挿入して断面に粉粒体を付着させる方
法、(5)乳首の吸口開口部に棒状体などの開口部材を
挿入して吸口開口部を開口させることにより露出した開
口部の断面部分に、たとえば、水あるいは水性媒体など
に懸濁させた粉粒体を吹き付ける方法など。
【0036】なお、粉粒体の付着方法は、上記に例示し
た方法に制限されないことはいうまでもない。このよう
な粉粒体は、哺乳器用乳首の乳頭部先端に設けられたス
リット状の吸口開口部またはびん体との接合部に設けた
通気孔の少なくとも断面に付着していればよいが、該断
面部以外の部分に付着していてもよい。また、余剰の粉
粒体は、使用時に、水洗により容易に除去することがで
きるため、そのままの状態にしても良いが、はけなどに
より、機械的に取り除いてもよく、また、弱水圧の水
で、軽く洗い流してもよい。
【0037】なお、粉粒体は、カット刃により、スリッ
ト状吸口開口部または通気孔を設けると共に、すなわち
切れ目を形成した後だけではなく、切れ目を形成すると
同時に付着させてもよい。より具体的には、たとえば、
粉粒体を付着させたカット刃により、切れ目を入れるこ
とで、切れ目を入れると同時に粉粒体を付着させてもよ
い。
【0038】また、開口部形成工程および粉粒体付着工
程は、二次加硫の後に行ってもよい。本発明の製造方法
においては、洗浄工程、それに伴う乾燥工程などの通常
行われる工程を、必要に応じて行うことができることは
いうまでもない。なお、洗浄工程を行う場合は、洗浄方
法によっては、付着させた粉粒体が流出除去される虞も
あるため、このような場合には、洗浄工程の後に粉粒体
付着工程を行うことが望ましい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、スリット状吸口開口部
およびスリット状通気孔を形成した後に、二次加硫を行
った場合においても、あるいは、哺乳器用乳首を長期間
保管した後においても、スリット状吸口開口部およびス
リット状通気孔が再び付着することのない哺乳器用乳首
を提供することができ、製品不良率を著しく低減するこ
とができる。また、従来の方法では、塞がった開口部お
よび通気孔を物理的に引き剥がす必要があり、そのため
には、乳首を充分に冷ました後に行う必要があったが、
本発明によれば、かかる作業が不要となるため、製造に
かかる時間を大幅に短縮し得る。さらに、一旦形成され
たスリット状吸口開口部および通気孔が再び閉口するこ
とがないので生産効率を向上させることができる。
【0040】また、本発明のスリット状吸口開口部およ
び通気孔が形成された哺乳器用乳首を長期間保存しても
このスリット状吸口開口部および通気孔が閉口すること
はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の哺乳器用乳首を示す断面図
である。
【図2】 図2は、本発明に哺乳器用乳首の上面図であ
る。
【図3】 図3は、図2に示した哺乳器用乳首の乳首先
端部のA−A部分断面拡大図である。
【図4】 図4は、図2に示した哺乳器用乳首のびん体
との接合部のB−B部分断面拡大図である。
【符号の説明】
1・・・乳首 2・・・乳頭 3a,b,c・・・スリット状吸口開口部 4・・・周溝 5・・・座部 6・・・粉粒体 7・・・胴部 8・・・先端部 9・・・スリット状通気孔 10・・・接合部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する弾性部材から
    形成された哺乳器用乳首において、該乳頭部の先端にス
    リット状吸口開口部が形成されており、該吸口開口部の
    厚さ方向の少なくとも断面に粉粒体が付着していること
    を特徴とする哺乳器用乳首。
  2. 【請求項2】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する弾性部材から
    形成された哺乳器用乳首において、びん体との接合部に
    スリット状の通気孔が形成されており、該通気孔の厚さ
    方向の少なくとも断面に粉粒体が付着していることを特
    徴とする哺乳器用乳首。
  3. 【請求項3】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する弾性部材から
    形成された哺乳器用乳首において、該乳頭部の先端にス
    リット状吸口開口部が形成され、かつびん体との接合部
    にスリット状の通気孔が形成されており、該吸口開口部
    および通気孔の厚さ方向の少なくとも断面に粉粒体が付
    着していることを特徴とする哺乳器用乳首。
  4. 【請求項4】 上記粉粒体が無機粉粒体であることを特
    徴とする請求項1から3のいずれかに記載の哺乳器用乳
    首。
  5. 【請求項5】 上記弾性部材がシリコーンゴムであるこ
    とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の哺乳
    器用乳首。
  6. 【請求項6】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する、弾性部材か
    ら形成された哺乳器用乳首を製造するに際して、該乳頭
    部の先端にスリット状吸口開口部を形成すると共に、あ
    るいは形成した後に、該吸口開口部の厚さ方向の断面に
    粉粒体を付着させることを特徴とする哺乳器用乳首の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する、弾性部材か
    ら形成された哺乳器用乳首を製造するに際して、びん体
    との接合部にスリット状の通気孔を形成すると共に、あ
    るいは形成した後に、該通気孔の厚さ方向の断面に粉粒
    体を付着させることを特徴とする哺乳器用乳首の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 びん体との接合部を有する胴部と、該胴
    部の頂部近傍に形成された乳頭部を有する、弾性部材か
    ら形成された哺乳器用乳首を製造するに際して、該乳頭
    部の先端にスリット状吸口開口部を形成し、かつびん体
    との接合部にスリット状の通気孔を形成すると共に、あ
    るいは形成した後に、該吸口開口部および通気孔の厚さ
    方向の断面に粉粒体を付着させることを特徴とする哺乳
    器用乳首の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記粉粒体を、粉粒体を付着させた棒状
    の塗布部材をスリット状開口部およびスリット状の通気
    孔に挿入して、付着させることを特徴とする請求項6か
    ら8のいずれかに記載の哺乳器用乳首の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記弾性部材がシリコーンゴムである
    ことを特徴とする請求項6または9のいずれかに記載の
    哺乳器用乳首の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記粉粒体が無機粉粒体であることを
    特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の哺乳器
    用乳首の製造方法。
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