JP2002296347A - トンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定方法及び測定装置 - Google Patents

トンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定方法及び測定装置

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JP2002296347A
JP2002296347A JP2001096134A JP2001096134A JP2002296347A JP 2002296347 A JP2002296347 A JP 2002296347A JP 2001096134 A JP2001096134 A JP 2001096134A JP 2001096134 A JP2001096134 A JP 2001096134A JP 2002296347 A JP2002296347 A JP 2002296347A
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excavation
hyperbolic
slope
curve
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JP2001096134A
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Toshiaki Kuwabara
壽朗 桑原
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)
  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定時の煩わしさがなく、低コストで測定で
き、しかも測定現場の媒質の変化に即時対応できて、高
い測定精度が得られるトンネル掘進機の地中探査レーダ
の探査距離測定方法及び測定装置を提供する。 【解決手段】 掘進しながら逐次所定の複数の掘進位置
(A〜D)でレーダ(11)により受信した異物(9)からの反射
波の受信波形に基づき異物(9)までの到達時間(t)をそれ
ぞれ測定し、前記複数掘進位置(A〜D)と該掘進位置での
到達時間(ta〜td)との関係を双曲線カーブでグラフ化
し、次に、このカーブに基づき掘進位置に対するカーブ
の傾きを求め、次に、この傾きの変化率の最大値(α)を
求め、求めた最大値(α)に基づき異物(9)までの最短距
離(L0)を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に向けて電磁
波を送信し、埋設物等の異物からの反射波の受信信号に
基づき異物までの距離を探査するトンネル掘進機の地中
探査レーダの探査距離測定方法及びその測定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】地中探査レーダは、地中に向けて送信ア
ンテナから送信した電磁波が埋設物等の探査対象物で反
射した反射波を受信アンテナで受信し、この受信信号に
基づいて探査対象物までの距離やその位置を測定するも
のである。従来、地中探査レーダでは、上記受信信号に
より反射時間(電磁波送信時から反射波受信時までの到
達時間)を求め、この求めた反射時間と電磁波速度(光
速度)と媒質の比誘電率等の電気的性質とに基づいて演
算処理して、探査対象物までの距離を算出するようにし
ている。そして、この算出に用いる媒質の比誘電率の値
が測定現場の媒質の真の比誘電率に近いか否かによっ
て、測定距離や位置の精度が大きく影響を受けるため
に、従来から媒質の比誘電率の推定方法が数多く提案さ
れている。
【0003】第1の従来技術としては、探査前に、予め
媒質のサンプルの土砂等を採取し、このサンプルにより
導電率を測定して比誘電率を算出する装置を用いる方法
が行なわれている。また、第2の従来技術として、例え
ば特開平7−234286号公報に記載された地中探査
装置の信号処理方法によると、過去のデータや経験則か
ら推定した比誘電率を「仮定比誘電率」として用いてい
る技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、次のような問題が生じる。 (1)第1の従来技術においては、探査現場が変わる度
に現場の媒質サンプルを採取しなければならないので非
常に煩わしく、また採取する手間がかかる。また、媒質
サンプル採取の為の機械や、この媒質サンプルにより導
電率を測定し比誘電率を算出する装置が大掛かりになる
ので、高いコストがかかる。さらに、トンネル掘進機で
実際の探査中に、媒質の特性(土質)が変化したり、地
下水に含まれる金属イオン等の影響で導電率が大きく変
化したりする場合には、この変化に即時対応して比誘電
率を測定することができず、現場の媒質の変化に柔軟な
対応できないという問題もある。 (2)第2の従来技術においても同様に、探査中に土質
や導電率等の変化に即時対応して比誘電率を測定するこ
とができず、現場の媒質の上記変化がある度に探査を中
断しなければならない。
【0005】本発明は、上記問題点に着目してなされ、
測定時の煩わしさがなく、低コストで測定でき、しかも
測定現場の媒質の変化に即時対応できて、高い測定精度
が得られるトンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離
測定方法及び測定装置を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、本発明に係る第1発明は、掘進方
向に対して側方地中に向けて電磁波を送受信するレーダ
の受信波形に基づき、地中の異物までの距離を測定して
地中探査を行なうトンネル掘進機の地中探査レーダの探
査距離測定方法において、掘進しながら逐次所定の複数
の掘進位置でレーダにより異物からの反射波を受信し、
この受信波形に基づいてレーダから異物までの到達時間
をそれぞれ測定し、前記複数の掘進位置と測定した到達
時間とを順次記憶し、記憶した複数の掘進位置と該掘進
位置での到達時間との関係を双曲線カーブでグラフ化
し、次に、この双曲線カーブのデータに基づき、掘進位
置に対する到達時間カーブの傾きを求め、次に、この傾
きの変化率の最大値を求め、求めた傾きの変化率の最大
値に基づき前記異物までの最短距離を求める方法として
いる。
【0007】第1発明によると、地中にある埋設管や石
等の電磁波を反射する異物からの受信波を利用して媒質
の比誘電率εr を実際の媒質特性に合わせて逐次更新で
きる。即ち、所定の複数の掘進位置での受信波形に基い
て異物までの到達時間をそれぞれ求め、前記複数の掘進
位置と、該掘進位置に求められた到達時間(これは、異
物との距離に置き換えられる)との関係を2次元座標に
プロットすると、例えば後述の図3,4に示すように双
曲線カーブが得られる。この双曲線カーブに基いて、図
5に示すような掘進位置に対する到達時間(距離)の双
曲線カーブの傾きを求め、そして図6に示すようにこの
双曲線カーブの傾きの変化率を求め、さらにこの傾きの
変化率の最大値αを求めると、求めた最大値αは実際の
異物までの最短距離L0のみにより決定されるものであ
り、後述の(7)式で示すように「α=1/L0」の関
係を満たしている。従って、最大値αより求まる最短距
離L0と、この最短距離L0に対応する掘進位置での実
際の到達時間とに基づき、探査媒質の比誘電率εr を求
めることができ、さらに、この比誘電率εr に基づき距
離測定のために用いる比誘電率εr を較正することもで
きる。これにより、これ以降の距離測定時には、新たに
較正した比誘電率εr を用いて精度良く距離を測定でき
る。また、媒質サンプルの採取等の煩わしい作業は不要
であり、通常の距離測定時と同じように測定した受信波
形に基づいて比誘電率を求めるので、大掛かりな別装置
も不要となり、測定作業が容易となる。さらに、実際の
探査中に現場の媒質の変化があっても、随時反射波の受
信波形に基づいて媒質の比誘電率εr を更新できるの
で、この変化に即時対応してリアルタイムで比誘電率ε
rを精度良く測定でき、掘進作業が中断されることが少
ない。
【0008】また、第2発明は、掘進方向に対して側方
地中に向けて電磁波を送受信するレーダの受信波形に基
づき、地中の異物までの距離を測定して地中探査を行な
うトンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定装置
において、トンネル掘進機の掘進方向の掘進位置を検出
する掘進位置検出部と、前記検出された所定の掘進位置
でレーダにより受信した異物からの反射波の受信波形に
基づき、前記反射波の到達時間を求める到達時間演算部
と、所定の複数の掘進位置で到達時間演算部によりそれ
ぞれ求めた到達時間、及びそれぞれの掘進位置を順次記
憶し、記憶した複数の掘進位置と該掘進位置での到達時
間との関係を双曲線カーブでグラフ化する到達時間双曲
線作成部と、この作成された双曲線カーブのデータに基
づき、単位掘進距離毎に単位掘進距離当りの双曲線カー
ブの傾きを求める双曲線傾き演算部と、前記単位掘進距
離毎の掘進位置、及び該掘進位置に対応した前記求めた
双曲線カーブの傾きにより、掘進位置に対する双曲線傾
きカーブを作成する双曲線傾きカーブ作成部と、前記作
成された双曲線傾きカーブに基づき、単位掘進距離毎に
双曲線傾きの変化率を演算する傾き変化率演算部と、前
記単位掘進距離毎に演算され双曲線傾きの変化率に基づ
き、双曲線傾きの変化率の最大値を求め、この求めた最
大値に基づき前記異物までの最短距離を求める最短距離
演算部とを備えた構成としている。
【0009】第2発明によると、第1発明と同様の効果
が得られると共に、作成された到達時間双曲線カーブの
傾き及び傾き変化率を求めるのに、単位掘進距離毎の掘
進位置で、単位掘進距離当りの到達時間変化量及び傾き
の変化量をそれぞれ演算しているので、精度良く傾き変
化率が求められ、これにより傾き変化率の最大値を精度
良く求めることができる。したがって、比誘電率εr の
測定精度を向上できる。
【0010】第3発明は、第2発明において、前記到達
時間双曲線作成部は、異物までの距離が最短距離となる
掘進位置を原点とする双曲線カーブを作成し、前記傾き
変化率演算部は、前記作成された双曲線傾きカーブの掘
進位置の前記原点を含む所定範囲の傾き変化率を演算
し、最短距離演算部は、傾き変化率演算部で求められた
前記所定範囲の傾き変化率を傾き変化率の最大値とみな
し、この最大値に基づき前記異物までの最短距離を求め
るようにした構成としている。
【0011】第3発明によると、第2発明の効果に加え
て、さらに、測定距離が最短距離となる掘進位置を原点
としての到達時間双曲線カーブを作成し、この原点を含
む所定範囲を特定して傾き及び傾き変化率の最大値をそ
れぞれ演算するので、簡便に最大値を求めることができ
る。これにより、演算時間を短縮化できるので、さらに
リアルタイムに比誘電率εr を較正し、距離測定ができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。尚、以下では、本発明をトン
ネル掘削機等のトンネル掘進機での埋設物探査装置に適
用する例で説明する。図1は、本発明を適用するトンネ
ル掘進機の概念側面図である。トンネル掘進機1は掘進
機本体2と、この掘進機本体2の前方に回転自在に取付
けられたカッタヘッド3とを備えている。掘進機本体2
は円筒形状を成し、その内部は前端に設けたバルクヘッ
ド4により外部と隔離されている。バルクヘッド4の中
央部には回転軸6が取付けられており、回転軸6の先端
部に前記カッタヘッド3が回転自在に装着されている。
カッタヘッド3の前面及び外周側面には、図示しないカ
ッタが取り付けられている。またカッタヘッド3の外周
側面にはレーダ11を構成する送信アンテナ12と受信
アンテナ13とがそれぞれ送受信面を外方に向けて装着
されている。送信アンテナ12及び受信アンテナ13
は、回転軸6の内部を経由して掘進機本体2側又は図示
しない地上制御装置内に設けてある制御器20に電気的
に接続されている。
【0013】ここで、本発明に係る探査媒質中での比誘
電率εr の求め方について、図2〜図6により説明す
る。いま、図2に示すように、トンネル掘進機1の掘進
方向側方に電磁波を反射する石や埋設管等の異物9があ
るものとし、異物9とトンネル掘進機1との間の実距
離、即ち前記掘進方向に平行な線に異物9から下ろした
垂線とトンネル掘進機1との交点までの最短距離をL0
とする。トンネル掘進機1が所定の一定距離d0ずつ掘
進する毎に、前記送受信アンテナ12,13によりレー
ダ探査し、その受信波形に基づき異物9までの距離を測
定する。図中で一定距離d0ずつ離間した、掘進線上の
測定点A,B,C,Dにおいて距離測定を行なうものと
し、それぞれの点と異物9との距離がLa,Lb,L
c,Ldであるとする。点Cのとき、距離Lcが最短距
離だとすると、「Lc=L0」である。
【0014】図3に示すように、横軸に距離測定位置
を、縦軸に該位置での到達時間をそれぞれ示し、この座
標面に前記測定点A,B,C,Dで測定した到達時間t
a,tb,tc,tdをそれぞれプロットすると、プロ
ットした点が双曲線カーブを描くことは知られている。
尚、到達時間tは反射波の受信波形に基づき求められ
た、送信アンテナ12での送信時から受信アンテナ13
での受信時までの時間であり、測定点と異物9との間の
距離L、光速C及び測定点での媒質の比誘電率εrとの
関係は、良く知られている次式で表される。 L=(t×C)/(2×SQRT(εr )) (1) ここで、SQRTは平方根を表している。光速Cは定数であ
り、測定点A〜Dの区間では媒質の特性が一定の環境中
にあるとすると媒質の比誘電率εr は略一定となるか
ら、上記(1)式により距離Lは到達時間tに比例する
ので、上記の双曲線を描く縦軸の到達時間はそのまま距
離Lに置き換えられる。
【0015】さて、前記測定距離Lは、異物9と送受信
アンテナ12,13との距離が最短距離L0(=Lc)
である測定点Cを原点とし、この原点から各測定点まで
の距離をdとして幾何学的に表すと、「L=SQRT(L0
2+d2)」の関数で決定される。これにより、測定距離
Lの曲線は、異物9との最短距離L0のみに依存して一
意的に決定するカーブ(曲率)を有することが判る。従
って、このことから、前述のようにして得られた測定距
離Lの双曲線の曲率に基づいて、最短距離L0が求まる
ことが判る。
【0016】測定された双曲線の曲率を求めるに当り、
図4に示すようにX軸方向(横軸)にトンネル掘進機の
掘進距離dを、Y軸方向(縦軸)に到達時間t即ち測定
距離Lを、また最短距離L0となる測定点を原点にとっ
て表すと、前記双曲線の関係式は次の(2)式で表され
る。 Y2−X2=L02 (2) この(2)式の両辺をXで2階微分した式を求める。ま
ず、1階微分すると、 2Y×(dY/dX)−2X=0 (3) となり、よって、 dY/dX=X/Y (4) これより、 Y×(dY/dX)=X (5) 従って、 d2Y/dX2=L02/Y (6) 上記の(4)、(6)式はそれぞれ図5、図6で表され
る。
【0017】このことから、前記双曲線は、「X=0」
の点(最短距離L0の位置)でその傾きの変化率が最大
となり、その最大値αは、(2)式に「X=0」を代入
すると「Y=L0」であるから、(6)式より α=L02/L0=1/L0 (7) となる。即ち、双曲線の傾きの変化率の最大値αは、最
短距離L0にのみに依存することが判り、この最大値α
に基づき最短距離L0を求めることが可能となる。
【0018】次に、図7に示す構成ブロック図により本
発明の測定装置の機能構成を説明する。掘進位置検出部
15はトンネル掘進機の掘進距離dを測定し、測定した
掘進距離dに基づきトンネル掘進機1の掘進位置を検出
している。また、この掘進位置データを送信制御部21
及び到達時間双曲線作成部24にそれぞれ出力してい
る。尚、掘進距離dは例えばトンネル掘進機1を推進さ
せる図示しない推進ジャッキの伸縮量を検出することに
より測定でき、トンネル掘進機1の掘進位置は推進基準
位置(例えばシールド掘進の発進坑位置)から掘進距離
dを積算して求めることができる。
【0019】送信制御部21は掘進位置検出部15で検
出した掘進位置データを入力し、距離測定すべき所定位
置に達したとき(例えば所定の掘進距離d0毎に)送信
アンテナ12から所定の信号を送信すると共に、この送
信と同時に受信波形記憶部22に起動指令St1を出力し
て受信波形信号を記憶させる。受信波形記憶部22はこ
の起動指令St1を受けて受信アンテナ13からの受信波
形信号を記憶する。そして、記憶した受信波形信号を到
達時間演算部23に出力する。
【0020】到達時間演算部23は入力した受信波形信
号に基づき反射波形信号を認識して反射点を抽出し、こ
の反射点から到達時間tを算出する。算出した到達時間
tは、到達時間双曲線作成部24に出力される。到達時
間双曲線作成部24は、掘進位置検出部15から入力し
た掘進位置データに基づき所定掘進距離毎に到達時間演
算部23から到達時間tデータを入力し、それぞれの掘
進位置に対応する到達時間tデータをグラフ化して到達
時間双曲線カーブを作成し、所定の記憶部に記憶する。
【0021】双曲線傾き演算部25は、前記記憶されて
いる到達時間双曲線カーブに基づき、所定の単位掘進距
離毎の掘進位置での該双曲線カーブの傾きを演算し、こ
れらの測定点とこの点での双曲線の傾きデータとを出力
する。双曲線傾きカーブ作成部26は、上記測定点とこ
の点での双曲線の傾きデータとを入力して双曲線傾きカ
ーブを作成し、所定エリアに記憶する。
【0022】傾き変化率演算部27は、上記記憶された
双曲線傾きカーブに基づいて、掘進位置に対する到達時
間の傾きの変化率を演算し、それぞれの掘進位置と該掘
進位置での傾き変化率データとを記憶する。最短距離演
算部28は、傾き変化率演算部27で求めた双曲線の傾
き変化率のそれぞれに基づき、この傾き変化率の最大値
αを求め、この傾き変化率の最大値αにより前記(7)
式に従って最短距離L0を求める。
【0023】比誘電率演算部29は、最短距離演算部2
8で求めた最短距離L0を読込み、この最短距離L0を
測定した測定点での受信波形から求めた実際の到達時間
t0を到達時間演算部23から入力し、この到達時間t
0と前記最短距離L0と光速Cとにより、(1)式に基
づき探査媒質中での比誘電率εr を演算する。
【0024】距離演算部31は、これ以後、距離測定時
には比誘電率演算部29にて求めた比誘電率εr を用
い、実探査中に受信される受信波形から異物の反射波形
を抽出し、この反射波形の到達時間tに基づき、前記
(1)式から距離Lを算出する。
【0025】次に、図8に示すフローチャート例により
本発明に係る測定手順を説明する。まず、ステップS1
では、到達時間演算部23により所定掘進距離毎に得ら
れる受信波形から反射点を抽出し、次にステップS2
で、到達時間演算部23は抽出した前記反射点までの到
達時間t即ち測定距離Lを演算し、到達時間双曲線作成
部24はこの求められた到達時間t(測定距離L)と、
掘進位置検出部15で検出された各掘進位置との関係を
プロットしてグラフ化し、双曲線カーブを作成する。次
にステップS3で、双曲線傾き演算部25は前記作成さ
れた双曲線カーブに基づき、それぞれの掘進位置での微
少単位掘進距離Δd当りの測定距離Lの変化量ΔLを求
める。そして、ステップS4で、この求めた測定距離の
変化量ΔLと単位掘進距離Δdとの比(ΔL/Δd)を
それぞれの掘進位置で演算して求める。この後、ステッ
プS5で、双曲線傾きカーブ作成部26は各掘進位置で
求めた測定距離Lの変化量ΔLと単位掘進距離Δdとの
比(ΔL/Δd)をそれぞれの掘進位置に対してプロッ
トし、測定距離Lの傾きを図5のようにグラフ化する。
【0026】次に、ステップS6で、傾き変化率演算部
27は傾きの変化率を求める。ここでは、前記測定距離
Lの傾きのグラフ上で、この傾き値が0を含む所定の範
囲β(例えば−0.6〜0.6の範囲)内に入る掘進位
置の範囲ΔX0(掘進位置の原点を含む範囲)を求め
る。尚、この範囲ΔX0内に、前記測定距離Lの双曲線
カーブの傾き変化率が最大値αをとる掘進位置がある。
そしてステップS7で、傾き変化率演算部27は求めた
前記傾き値の所定範囲βの大きさと掘進位置Xの範囲Δ
X0との比(β/ΔX0)を求め、最短距離演算部28
はこの求められた比(β/ΔX0)を前記双曲線の傾き
変化率の最大値αとみなし、(7)式に従って、この傾
きの変化率の最大値αから双曲線の頂点の距離即ち最短
距離L0を算出する。そして、ステップS8で、比誘電
率演算部29はこの算出された最短距離L0と、この位
置での到達時間t0(例えば図3では、測定点Cでの到
達時間tc)とに基づき、(1)式により比誘電率εr
を求め、求めた新しい比誘電率εr に基づいてこれまで
の比誘電率εr を較正する。
【0027】尚、較正の仕方は、新しく求めた比誘電率
εr でこれまでの比誘電率εr を置き換えるようにして
もよい。あるいは、新旧の比誘電率εr の差値に応じて
所定量ずつ補正量を加算して較正するようにしてもよ
く、これにより比誘電率εr の大きな変化を防止でき
る。
【0028】また、上記実施形態での説明では、双曲線
カーブの傾き変化率の最大値を求めるのに、最短距離を
測定した掘進位置を原点とする双曲線カーブに基づいて
この原点を含む所定範囲内の傾き変化率を最大値とみな
すようにしたが、本発明の主旨はこれに限定するもので
ない。即ち、測定された双曲線カーブの傾き変化率の最
大値を求めることができればよく、例えば微少単位掘進
距離毎に傾き変化率を演算し、この複数の傾き変化率デ
ータの中の最大値を選んで求めても構わない。あるい
は、測定した複数の掘進位置と該掘進位置での到達時間
とを2次元座標にプロットし、これらのプロットした点
を最小2乗誤差法等で近似した双曲線カーブを演算し、
演算した双曲線カーブに基づき傾き変化率の最大値を求
めるようにしてもよい。
【0029】以上説明したように、地中に存在する小
石、礫、流木及び金属片等の、電磁波の反射が期待でき
る異物を利用して、計測中に地山の比誘電率εr を自動
的に較正し比誘電率εr の精度を逐次上げて行くので、
これにより測定距離の精度を向上できる。また、上記異
物の受信波形に基づいて、実機でリアルタイムに異物ま
での測定距離Lの双曲線を求め、この双曲線の傾きの変
化率の最大値を求めて異物9までの最短距離L0を正確
に求め、この求めた最短距離L0と該掘進位置で測定さ
れた到達時間との関係式より比誘電率εr を精度良く求
めて較正するので、リアルタイムで探査媒質の比誘電率
εr を精度良く測定できる。従って、媒質の比誘電率ε
r の変化等のような変質があってもこれに即時対応で
き、リアルタイムで、かつ高精度で距離を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するトンネル掘進機の概念側面図
である。
【図2】本発明の掘進距離と測定距離との関係の説明図
である。
【図3】各測定点での測定距離のグラフ化による双曲線
の説明図である。
【図4】各測定点での測定距離のグラフ化による双曲線
の説明図である。
【図5】測定距離の双曲線に基づく最短距離演算方法の
説明図である。
【図6】測定距離の双曲線に基づく最短距離演算方法の
説明図である。
【図7】本発明の構成ブロック図である。
【図8】本発明の距離測定のフローチャート例である。
【符号の説明】
1…トンネル掘進機、2…掘進機本体、3…カッタヘッ
ド、4…バルクヘッド、6…回転軸、9…異物、11…
レーダ、12…送信アンテナ、13…受信アンテナ、1
5…掘進位置検出部、20…制御器、21…送信制御
部、22…受信波形記憶部、23…到達時間演算部、2
4…到達時間双曲線作成部、25…双曲線傾き演算部、
26…双曲線傾きカーブ作成部、27…傾き変化率演算
部、28…最短距離演算部、29…比誘電率演算部、3
1…距離演算部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 掘進方向に対して側方地中に向けて電磁
    波を送受信するレーダ(11)の受信波形に基づき、地中の
    異物(9)までの距離を測定して地中探査を行なうトンネ
    ル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定方法におい
    て、 掘進しながら逐次所定の複数の掘進位置(A〜D)でレーダ
    (11)により異物(9)からの反射波を受信し、この受信波
    形に基づいてレーダ(11)から異物(9)までの到達時間(t)
    をそれぞれ測定し、 前記複数の掘進位置(A〜D)と測定した到達時間(ta〜td)
    とを順次記憶し、記憶した複数の掘進位置(A〜D)と該掘
    進位置での到達時間(ta〜td)との関係を双曲線カーブで
    グラフ化し、 次に、この双曲線カーブのデータに基づき、掘進位置に
    対する到達時間カーブの傾きを求め、 次に、この傾きの変化率の最大値(α)を求め、求めた傾
    きの変化率の最大値(α)に基づき前記異物(9)までの最
    短距離(L0)を求めることを特徴とするトンネル掘進機の
    地中探査レーダの探査距離測定方法。
  2. 【請求項2】 掘進方向に対して側方地中に向けて電磁
    波を送受信するレーダ(11)の受信波形に基づき、地中の
    異物(9)までの距離を測定して地中探査を行なうトンネ
    ル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定装置におい
    て、 トンネル掘進機(1)の掘進方向の掘進位置を検出する掘
    進位置検出部(15)と、 前記検出された所定の掘進位置でレーダ(11)により受信
    した異物(9)からの反射波の受信波形に基づき、前記反
    射波の到達時間(t)を求める到達時間演算部(23)と、 所定の複数の掘進位置(A〜D)で到達時間演算部(23)によ
    りそれぞれ求めた到達時間(ta〜td)、及びそれぞれの掘
    進位置(A〜D)を順次記憶し、記憶した複数の掘進位置(A
    〜D)と該掘進位置での到達時間(ta〜td)との関係を双曲
    線カーブでグラフ化する到達時間双曲線作成部(24)と、 この作成された双曲線カーブのデータに基づき、単位掘
    進距離(d0)毎に単位掘進距離(d0)当りの双曲線カーブの
    傾きを求める双曲線傾き演算部(25)と、 前記単位掘進距離(d0)毎の掘進位置、及び該掘進位置に
    対応した前記求めた双曲線カーブの傾きにより、掘進位
    置に対する双曲線傾きカーブを作成する双曲線傾きカー
    ブ作成部(26)と、 前記作成された双曲線傾きカーブに基づき、単位掘進距
    離(d0)毎に双曲線傾きの変化率を演算する傾き変化率演
    算部(27)と、 前記単位掘進距離(d0)毎に演算され双曲線傾きの変化率
    に基づき、双曲線傾きの変化率の最大値(α)を求め、こ
    の求めた最大値(α)に基づき前記異物(9)までの最短距
    離(L0)を求める最短距離演算部(28)とを備えたことを特
    徴とするトンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離測
    定装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のトンネル掘進機の地中探
    査レーダの探査距離測定装置において、 前記到達時間双曲線作成部(24)は、異物(9)までの距離
    が最短距離(L0)となる掘進位置を原点とする双曲線カー
    ブを作成し、 前記傾き変化率演算部(27)は、前記作成された双曲線傾
    きカーブの掘進位置の前記原点を含む所定範囲の傾き変
    化率を演算し、 最短距離演算部(28)は、傾き変化率演算部(27)で求めら
    れた前記所定範囲の傾き変化率を傾き変化率の最大値
    (α)とみなし、この最大値(α)に基づき前記異物(9)ま
    での最短距離(L0)を求めるようにしたことを特徴とする
    トンネル掘進機の地中探査レーダの探査距離測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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