JP2002294248A - 木質系バイオマスの炭化分留方法およびその装置 - Google Patents

木質系バイオマスの炭化分留方法およびその装置

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JP2002294248A JP2001096475A JP2001096475A JP2002294248A JP 2002294248 A JP2002294248 A JP 2002294248A JP 2001096475 A JP2001096475 A JP 2001096475A JP 2001096475 A JP2001096475 A JP 2001096475A JP 2002294248 A JP2002294248 A JP 2002294248A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 木質系バイオマスを少ない酸素供給状態で燻
炭化し、燻炭化の際に発生する燻煙をそのまま冷却液化
して所望の有機物成分を効率良く分留するシステムを提
供する。 【解決手段】 炭化炉において木質系バイオマスを少な
い酸素供給状態で燻炭化して燻炭を製造し、燻炭化の際
に発生する燻煙に含まれる有機物成分の中から、沸点の
高い成分から順に沸点の低い成分まで複数成分を同時に
留出する炭化分留方法、および木質系バイオマスを少な
い酸素供給状態で燻炭化して燻炭を製造する炭化炉12
と、炭化炉で発生した燻煙に含まれる有機物成分の中か
ら、沸点の高い成分から順に沸点の低い成分まで複数成
分を同時に留出する多段分留装置14,16,18と、
燻煙を強制的に排気する排気塔20とから構成される炭
化分留装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木質系バイオマス
を燻炭化する際に発生する、約200種類の有機物成分
を含む燻煙を冷却液化して、複数の目的成分に分留し、
濃縮した留出液を製造する炭化分留方法およびその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化対策として、二酸化炭
素を排出しない自然エネルギーを利用することが、より
一層強く望まれている。自然エネルギーには、太陽エネ
ルギー、風カエネルギー、バイオマスなどがある。太陽
光発電、風力発電の普及が進んでいることは、周知の通
りであるが、太陽光発電や、風力発電は、長期間のエネ
ルギー貯蔵には、適していない。これに対して、樹木
は、太陽エネルギーを受けた葉で発電した電子によっ
て、葉で吸収した二酸化炭素と、根で吸収した水とを用
いて、長期間のエネルギー貯蔵に適する木質系バイオマ
スを生産する。このような木質系バイオマスの有用な利
用形態の一つとして、木酢液の製造や、その木酢液から
酢酸を留出製造する技術が知られている。
【0003】この木酢液は、木質材を乾留する際に発生
する乾留ガス(燻煙)の凝縮成分であって、木質材の種
類に応じて、フェノール類、酢酸類、塩基類、カルボニ
ル類、アルコール類などの成分を含み、防腐作用、消毒
殺菌作用、消臭作用、忌避作用等の多様な作用をもつこ
とが知られており、この木酢液を製造する装置として
は、種々のものが提案されている。
【0004】また、このような木酢液(燻煙凝縮液)か
ら高濃度の酢酸を留出すること、すなわち、沸点の差に
よる常圧蒸留法や、減圧蒸留法等の蒸留法によって、高
濃度の酢酸を製造することも提案されている。このよう
な従来の蒸留法は、酢酸だけでなく、他の有機物成分の
分留に対しても有効であるが、あくまでも、沸点がより
低い有機物成分からより高い有機物成分に順次、分留さ
れるのが一般的である。
【0005】たとえば、クヌギの木は酢酸を多く含有す
るバイオマスとして知られているが、このクヌギから酢
酸を留出する場合には、まず、クヌギの木を炭化炉で燻
炭化し、その際に発生する燻煙を液化濃縮して木酢液
(燻液)を製造する。その木酢液から、酢酸より沸点の
低い有機物成分(低沸点区分)を留出し、次いで、酢酸
を主成分とする有機物成分(高濃度酢酸区分)を留出
し、そして最後に、酢酸より沸点の高い有機物成分(高
沸点区分)を留出することによって行なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、木質材
から上記蒸留法によって酢酸を分留する際には、予め製
造しておいた木酢液(燻液)を加熱蒸発する工程と、そ
れに続く冷却凝縮工程が必須であるため、エネルギー消
費という観点から見て経済的でない。
【0007】さらに、木質系バイオマスを燻炭化して機
能炭などの燻炭を製造する炭化装置や、その炭化装置の
燻炭化プロセスで発生する燻煙を冷却凝縮する木酢製造
装置、その木酢製造装置で製造した木酢液から酢酸を主
とする有機物成分を液化分留させる分留装置とが、異な
る作業環境下にそれぞれ別々に設置され、機能炭、木酢
液、および酢酸を主とする有機物成分とが別々に製造さ
れているので、時間的、空間的、経済的な損失が多く、
エネルギー効率も悪いという問題があった。
【0008】そこで、本発明者は、木質系バイオマスを
自燃であるいは強制的に燻炭化する際に発生する約20
0種類の有機物成分を含む燻煙を、そのまま冷却液化し
て、沸点の高い有機物成分から沸点の低い有機物成分ま
でを一つの炭化分留サイクル中で同時に留出させること
によって、上記問題点を解消できることを知見した。
【0009】本発明の目的は、木質系バイオマスを少な
い酸素供給状態で燻炭化し、その燻炭化の際に発生する
燻煙をそのまま冷却液化して、所望の有機物成分を効率
良く分留するシステムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的の
実現に向けて鋭意研鑚した結果、以下に示す内容を要旨
構成とする発明に想到した。すなわち、本発明は、
(1)木質系バイオマスを少ない酸素供給状態で燻炭化
して燻炭を製造するとともに、その燻炭化の際に発生す
る多数の有機物成分を含む燻煙を冷却液化して、所定の
有機物成分を分留するにあたって、前記燻煙に含まれる
有機物成分の中から、沸点の高い成分から順に沸点の低
い成分に至るまで複数の成分を同時に留出することを特
徴とする炭化分留方法である。
【0011】また、本発明は、(2)木質系バイオマス
を少ない酸素供給状態で燻炭化して、燻炭を製造すると
ともに、その燻炭化の際に発生する多数の有機物成分を
含む燻煙を冷却液化して、所定の有機物成分を分留する
にあたって、前記燻煙に含まれる多数の有機物成分のう
ち、所定の複数の有機化合物成分のそれぞれの沸点に関
連するより高い温度からより低い温度まで、段階的に温
度を低下させながら前記燻煙を冷却することによって、
前記複数の有機化合物成分を同時に留出することを特徴
とする炭化分留方法である。
【0012】すなわち、本発明による炭化分留方法は、
従来技術のように沸点の低い有機物成分から分留する蒸
留法と異なり、沸点の高い有機物成分から沸点の低い有
機物成分までを同時に分留することを特徴とする。
【0013】上記(1)または(2)に記載の分留方法
において、燻煙を真水に溶け込ませて燻液とした後、そ
の燻液を冷却用の凝縮液として用いて、燻煙に含まれる
有機物成分のうち、所定の有機物成分の沸点よりも高い
温度で液化して、その所定の有機物成分よりも沸点の高
い有機物成分を分留し、次いで前記所定の有機物成分の
沸点よりもわずかに低い温度で液化して、所定の有機物
の高濃度成分を分留し、その後、前記わずかに低い温度
よりも更に低い温度で液化して、前記所定の有機物成分
よりも沸点の低い有機物成分を分留することが望まし
い。
【0014】また本発明は、(3)木質系バイオマスを
少ない酸素供給状態で燻炭化する炭化炉と、その炭化炉
内で発生する多数の有機物成分を含む燻煙を冷却液化し
て、沸点の比較的高い有機物成分から比較的低い沸点の
有機物成分までを別々に分留する少なくとも2つの分留
器からなる多段式分留装置と、その多段式分留装置に残
留する燻煙を強制的に排気する排気塔とから構成される
炭化分留装置である。
【0015】上記炭化炉は、木質系バイオマスを少ない
酸素供給状態で蒸し焼きにして燻炭を製造すると同時
に、燻煙を発生するような設備であれば良く、例えば、
平炉や炭窯等の既存の設備でも十分である。また、上記
多段式分留装置は、少なくとも留出しようとする有機物
成分の数だけ分留器を直列に設けたもので、炭化炉で発
生した燻煙がまず導入される第1の分留器は、燻煙に含
まれる有機物成分のうち、最も沸点が高い成分を冷却液
化して分留し、その第1の分留器に連続する第2、第
3、・・・の分留器は、さらに沸点が低い成分を冷却液
化して分留を行なう。
【0016】たとえば、第1の分留器は、メタノールの
沸点より、わずかに高い温度をもつ冷水を燻煙に散水接
触させて、燻煙に含まれる沸点がメタノールより高い成
分の全てを液化した分留液を製造し、第2の分留器は、
第1の分留器で液化されなかった燻煙中の成分としての
メタノールガスを冷却液化して、メタノールを製造す
る。この第2の分留器は、メタノールの沸点よりわずか
に低い温度をもつメタノールを燻煙に散布接触すること
で、高濃度メタノールを製造する。また、第3の分留器
は、第2の分留器で液化されなかった、メタノールの沸
点温度より低い有機物成分を冷却液化するもので、この
分留器は、0℃に近い冷水を燻煙に散水接触させて、沸
点温度がメタノールより低い有機物成分のすべてを冷却
液化して製造し、燻煙を無煙化して排煙塔から排出す
る。
【0017】本発明の炭化分留装置において、炭化分留
の対象物である木質系バイオマスとしてカラマツが最適
であり、その場合には、メタノールの沸点よりも高い高
沸点区分を分留する第1の分留器と、メタノールの高濃
度区分を分留する第2の分留器と、メタノールの沸点よ
りも低い低沸点区分を分留する第3の分留器とから構成
され、それぞれの分留器内の液体の温度が適切に制御さ
れることが望ましい。
【0018】一般的な炭化炉は、その排煙温度が外気よ
り高いために、炭化炉に煙突作用が働き空気が供給され
て、炭化が進行するが、本発明による炭化分留装置にお
いては、燻煙の有機物成分を各分留器において分留する
毎に、燻煙の温度が低下するので、炭化炉に正常に空気
が供給されるように、多段の分留装置の下流側に燻煙を
強制的に吸引して排気する手段が設けられている。
【0019】この燻煙の強制排気は、最終段の分留器に
連通する燻煙通路の出口側において、T字形に分岐する
排気管を設け、この排気管の下部にファンを設けるとと
もに、排気管の分岐部にエジェクターを設けることによ
って行なわれることが望ましい。
【0020】また、特に、最終段の分留器内の液体温度
が常温に近い場合、たとえば、燻煙の冷却を温度制御可
能な熱交換器を用いないで、地下水(約15℃)を用い
て、これを分留塔内の上部に散水して行なう場合には、
排煙中に煙成分が残ってしまうので、これらの煙成分を
バーナーで燃焼させた後に、強制排気することが望まし
い。
【0021】この際、強制排気手段による吸引力は、炭
化炉で燃焼しているバイオマスから発生した乾留ガスの
燃えが強くなりすぎて、燻煙の有機成分が少なくならな
いように、しかも、乾留ガスの燃えが弱くなりすぎて、
燻煙の発生が少なくならないように調整される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の炭化分留方法およ
びその装置について、木質系バイオマスとしてのカラマ
ツから高濃度メタノールを分留する場合を例にとって、
添付図面に基づき詳しく説明する。
【0023】図1および図2は、本発明による炭化分留
装置10の一実施形態を示すものであり、この炭化分留
装置10は、燻煙発生源としての炭化炉12と、その炭
化炉12から発生する燻煙を受け入れて、その燻煙に含
まれる有機物成分のうち、メタノールよりも沸点が高い
成分を冷却液化する第1の分留器14と、その第1の分
留器14において液化されなかった成分を含む燻煙を受
け入れて、その燻煙に含まれる有機物成分のうち、メタ
ノールの高濃度区分を冷却液化する第2の分留器16
と、その第2の分留器16において液化されなかった成
分を含む燻煙を受け入れて、その燻煙に含まれる有機物
成分のうち、メタノールよりも沸点が低い成分を冷却液
化する第3の分留器18と、その第3の分留器18にお
いて液化されなかった燻煙を強制的に吸引して外気に排
出する手段を有する排気塔20とから構成される。
【0024】上記炭化炉12は、酸素を少なく供給して
木質系バイオマスを蒸し焼きにして、燻炭を製造し、そ
の燻炭化の際に持続的に燻煙を発生する装置であり、そ
のように機能する設備であれば、平炉や炭焼き窯等の既
存の施設をそのまま利用することができ、また、本願の
発明者が先に提案した木酢液製造装置(特開平11−8074
4号公報参照)に開示したような簡単な炭化装置を改良
して使用することもできる。
【0025】木質系バイオマスを粉砕した木質片やオガ
コ(木糠)は、上記先行提案に開示したような開放系炭
化炉で容易に炭化することができるが、原木を縦割りに
した原木片は、比較的高価な密閉系炭化炉を用いないと
炭化できないのが一般的である。しかしながら、原木片
をモミガラで被覆して酸素供給を少なくすれば、原木片
は焼糠とともに開放系炭化炉で炭化することができる。
【0026】たとえば、図3に示すような炭化装置12
は、コンクリート壁等の不燃壁によって平面視形状がコ
字形に形成された側壁61によって三方を囲まれた炭化
室63と、炭化室63の床面の中央部に、床を下方に向
かって長方形にくりぬいた状態の煙道室64と、その煙
道室64の一端に連通する燻煙導管56とから成り、煙
道室上部には、多数のスリット66を有する蓋67が設
けられて成る開放系炭化炉である。
【0027】この炭化装置12を用いて燻煙を発生さ
せ、燻炭を製造するには、まず、蓋67の上部に木片な
どを重ねて種火層を作り、その上にカラマツの木質細片
層を形成し、さらにその木質細片を覆ってオガコ(木
糠)層を形成し、側壁61が開放されている側から、種
火層に着火すると、火は、まず種火層を燃焼させて種火
となる。この段階で、オガコ(木糠)で種火層の側面を
閉じると、火は、木質細片層に沿って、上方に移動し、
木質細片層は、上方からの空気供給によって、燻煙を発
生しつつ炭化する。この際発生した燻煙は、赤熱炭化し
たカラマツ層を通過して煙道室に抜け、燻煙導管56を
通って分留塔22に供給される。
【0028】燃焼部は、ゆっくりとカラマツの木質細片
層を外側に移動するが、赤熱した炭化層には、より外側
の燃焼ガスだけしか供給されないので、それ以上燃焼は
進行せず、従って灰化することはない。カラマツの木質
細片を必要に応じて追加供給すれば、燻煙は必要なだけ
連続的に発生させることができる。
【0029】カラマツの木質細片で煙道室の外側を覆う
とき、カラマツ層中に、燐酸塩(例えば、リン酸第一カ
リウム)を散布するように混在させておくことにより、
カラマツの木質細片の焼成炭化に伴って、脱水反応が生
じて、縮合リン酸塩(例えばメタリン酸カリウム)とな
り、多孔質のカラマツ炭化物に担持される。リン酸塩を
カラマツ木質細片と共存させる方法は、カラマツ層を形
成する際に、カラマツの木質細片中に必要量のリン酸塩
を層状に散布してもよいし、場合によっては、濃度の濃
いリン酸塩水溶液を木質細片に散布する方法でもよい。
【0030】必要量の燻煙を供給した後、カラマツ層を
外側まですべて炭化させたら、赤熱したカラマツ炭化物
を拡げて、これに、リン酸塩とほぼ同量の苦土(酸化マ
グネシウム)を水に溶かして、カラマツ炭化物に散布す
れば、カラマツ炭化物は、消火すると共に、マグネシウ
ム分は、カラマツ炭化物に吸着されて担持される。この
ようにして生成したカラマツ炭化物に担持された縮合リ
ン酸塩は、カラマツ炭化物の砕片を土壌改良材として散
布したとき、土壌中の金属イオンをキレート化合物とし
てとりこみ、通常のリン酸肥料のように、水に不溶の金
属塩を形成しないので、根に容易に吸収され、速効性燐
肥として作用する。更に、多孔質炭化物に担持された縮
合リン酸塩は、ゆっくりと放出されるので、降雨があっ
ても、流亡する率が極めて少ないので、肥料効果が持続
する。水に溶存させるマグネシウム源は、植物の生育を
阻害する物質が共存しない限り、いかなるものでもよ
い。
【0031】上記燻煙発生源としての炭化炉12は、持
続的に燻煙を供給できれば如何なるものでもよいが、上
記炭化装置は、原料が廃棄物として豊富に存在するこ
と、燻煙の連続的供給が容易で、手間がかからないこ
と、装置が簡単で安価であることなど、農家等で使用す
るのに理想的条件を備えている。
【0032】本発明において、燻煙導管56を介して炭
化炉12に連通する第1の分留器14、第1の分留器1
4に連通する第2の分留器16および第2の分留器16
に連通する第3の分留器18のそれぞれは、燻煙が導入
される分留塔22、24および26を有するとともに、
各分留塔に導入された燻煙を所定の温度のもとで冷却液
化するための熱交換器32、34および36と、各分留
塔の真下に位置し、燻煙を所定の温度で液化した結果得
られる有機物成分を主とする液体をそれぞれ収容するタ
ンク42、44および46とをそれぞれ有して構成され
ている。
【0033】上記第1の分留器14における分留塔22
は、その下端部がタンク42の上部に開口し、その上端
部が蓋50によって閉ざされている円筒形状をなしてい
る。この分留塔22は、タンク42より上方に位置して
燻煙導入口52が開口するとともに、蓋50より下方に
位置して第2の分留器16への燻煙導出口54が開口し
ている。この分留塔22は、円筒形状に代えて、角筒形
状でも差し支えないことは勿論のことである。
【0034】上記炭化炉12内の温度は、約800℃前
後であり、そこで発生した燻煙は、約700℃前後の温
度で燻道室から燻煙導管56および燻煙導入口52を経
て分留器22内に導入される。この燻煙導管56は、分
留塔22に対して斜め下方に向けて傾斜した状態で取り
付けられ、後述する散水液が炭化炉12内に逆流しない
ようになっている。
【0035】また、分留塔22の燻煙導出口54付近に
おいては、その先端開口を円筒頂部の蓋50に向けた状
態で噴液管58が装着され、その噴液管58は、熱交換
器32および液体循環用ポンプ60を介してタンク42
の底部と連通している。
【0036】上記分留塔22の上端部に取り付けられた
蓋50は、その内側に、噴液管58から噴射した液体を
衝突散乱させて、液滴とするためのパンチングメタルが
配設され、衝突した液流は、このパンチングメタルによ
ってランダムに散乱されて、均一な液滴となって落下す
るように構成される。さらに、蓋50は、分留塔22の
上端部に取り外し可能に固定され、パンチングメタルに
木質タールが付着した場合に、蓋50を取り外してその
木質タールを除去できるようになっている。
【0037】また、上記タンク42内には予め所定量の
真水が入れてあり、この真水は液体循環用ポンプ60に
よってまず熱交換器32に送られ、そこで熱交換されて
約70℃の液体となり、その後、噴液管58に圧送さ
れ、そこから噴射される。このような噴射液流は、エジ
ェクター効果によって、燻煙導入口52付近を負圧に
し、燻煙発生源から燻煙を塔内に吸引する作用をする。
蓋50に当たって散乱した水は、均一な液滴状となって
落下し、燻煙中の有機物成分を冷却液化してその凝縮成
分と共に落下し、タンク42に戻るように構成する。
【0038】なお、燻煙を冷却する液体の温度を制御す
る場合に、噴液管または分留塔に熱交換器を付設しても
よいが、冷却水が常に連続的に循環するとは限らないの
で,温度の緩衝作用のあるタンク内の液体を70℃に直
接温度調整するほうが好ましい。
【0039】このような循環の繰り返しにより、真水の
一部を蒸発させ、タンク内の液体(燻液)を濃縮すると
ともに、その温度を66〜70℃の範囲に一定に保つこ
とによって、燻煙を冷却液化し、メタノールよりも沸点
が高い有機物成分を留出することができる。
【0040】最初の真水の温度および分留操作の途中に
おける燻液の温度制御は、熱交換器32により行なわれ
るが、特に、炭化分留装置を取巻く外気温が極端に低下
する冬期においては、タンク内の液体の温度が66〜7
0℃の範囲になるように、適切な加熱手段によって加熱
する必要がある。
【0041】なお、この実施形態においては、分留塔2
2の真下にタンク42を配置させることによって、分留
塔22内で発生する木質タールを散水液と伴に、直接的
にタンク42内に落下させ、回収することができ、さら
に、タンク底に傾斜を付けることによって、製造された
燻液を別の容器に移す際に、タンク底に沈殿した木質タ
ールだけを容易に除去することができる。
【0042】また、タンク42には蓋62が設けられ、
この蓋62を開けて、タンク内に濃縮された燻液のレベ
ルを目視により観察することで、燻液の濃度状態を管理
する。このような蓋62の開閉時に、タンク42から分
留塔22内への空気の流入を阻止するために、タンク内
に、仕切り板64が設けられている。
【0043】本発明による炭化分留装置の多段式分留装
置を構成する第2の分留器16は、第1の分留器14と
燻煙通路70を介して連通しているが、基本的には以下
の点を除いて第1の分留器14とほぼ同様の構成であ
る。すなわち、第2の分留器16は、その分留塔22の
内部に熱交換器76が付設され、本発明による炭化分留
システムの稼動初期段階において、メタノールの沸点よ
り、約5℃位低い温度で燻煙中のメタノールガスを冷却
液化するように構成される。すなわち、このような初期
段階においては、燻煙を冷水に直接的に散水接触させて
冷却するのではなく、熱交換器76により冷却するよう
になっており、これによって高濃度メタノールが分留さ
れる。ある程度タンク内にメタノールがたまった段階
で、第1分留器14および第3分留器18と同じ冷却方
式に切り替えられて、第2分留器16の高濃度メタノー
ルの冷却温度が一定に保持される。この切り替えは、分
留器16内部の熱交換器76に付着した木質タールが硬
質化して熱交換器76の性能を低下させることのないよ
うに、冷却水を散水して熱交換器76の表面に付着した
木質タールを除去することを目的としたものである。但
し、冬季においては、適切な加熱手段によって加温する
必要があることは、第1の分留器14と同様である。ま
た、第3の分留器18は、第2の分留器16と燻煙通路
72を介して連通しているが、基本的には第1の分留器
14とほぼ同様の構成である。
【0044】上記第1〜第3分留器からなる多段式分留
装置によって、メタノールを分留する場合には、第1の
分留器14の分留液温度をメタノール沸点64.7℃プ
ラス5℃前後である70℃の温度に制御し、第2の分留
器16のメタノール温度を約60℃に制御し、第3の分
留器18の分留液温度を零度近くになるように制御す
る。
【0045】従って、冬季以外での冷却水は、冷凍機や
ヒートポンプなどにより発生させ、また、各分留器内の
分留液温度が下がりすぎた場合には、ヒーターなどで適
切に温度制御することが好ましい。
【0046】このようにして、第1分留器14〜第3分
留器18によって3種類の区分にまたがる分留液を製造
することができるが、本発明の炭化分留装置において
は、さらに、第3の分留器18の分留塔26の上部に燻
煙通路74を設け、それを排気塔20に連通させること
によって、液化されなかった燻煙成分を強制的に吸引
し、無煙化して外気に排出するよう構成される。
【0047】この排気塔20は、煙突に相当するもので
あり、各分留器内に散水する分留液の温度が外気温以下
になると、燻煙を吸引する作用がなくなり、炭化炉12
内での燻炭化や各分留器での分留液の濃縮も進まなくな
るので、強制的に燻煙を排出させようとするものであ
る。すなわち、排気塔20の下部に設けた送風機77か
ら送られる風力が、第3の分留器18に連通する燻煙通
路74の出口に設けたエジェクター78の開口率に応じ
て、第3の分留器18内の燻煙を吸引するように構成さ
れる。
【0048】この実施形態においては、排気塔20は、
第3の分留器18と燻煙通路74を介して連通し、送風
機77とエジェクター78の組み合わせによる排煙機構
を構成したが、これに限定されるべきものではなく、た
とえば、排気塔20の上部に直接、吸引用ファンを付設
することもできる。
【0049】また、強制排気手段の他の実施形態として
は、図4に示すように、最終段階の分留塔26の上部か
ら燻煙導管74を下方に向けて屈設し、その下端開口部
において接続されるほぼL字形に形成した排気管82を
設け、その排気管82の一方の開口内に燃料ノズルと空
気供給ノズルとを臨ませてなる石油系バーナー80を配
設し、さらに、燻煙導管74と排気管82との分岐部の
近くにエジェクター78を配設することによって構成す
る。
【0050】すなわち、エジェクター78と石油系バー
ナー80との組み合わせにより、エジェクター78の先
端から火炎を噴射して、最終段階の分留器18から送ら
れた燻煙を燃焼させて、消煙と吸引とを同時に行なって
排気する構成である。
【0051】このような構成は、最終段階の分留器18
内の液体温度が常温に近い場合、たとえば、燻煙の冷却
を温度制御可能な熱交換器36を用いないで、地下水
(約15℃)を用いて、これを分留塔内の上部に散水し
て行なう場合に、特に有効であり、排煙中に残存する煙
成分を石油系バーナー80で燃焼させて無煙化した後に
排気できるという優れた効果を有する。
【0052】なお、本発明による炭化分留方法は、カラ
マツだけでなくその他の木材や、モミガラ、間伐材、廃
材等のすべての木質系バイオマスに適用することが可能
であり、それらのバイオマスを少ない酸素供給状態で炭
化させて燻炭を製造すると同時に、その燻炭化の際に発
生した燻煙をそのまま冷却液化濃縮して、燻煙中に含ま
れる複数の有機物成分を分留した有益な分留液を製造す
ることができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭化分留
方法によれば、木質系バイオマスから、植物用肥効炭、
燃料用練炭などに利用できる機能炭を含んだ燻炭と、農
薬の使用量を低減し、有機農法を可能とする植物用活性
液や、燃料用メタノールなどに利用できる分留液とを同
時に製造することができる。
【0054】さらに、本発明の炭化分留装置は、既存の
炭化装置に多段の分留器を付設することによって、容易
に製作でき、木質系バイオマスを炭化炉において自燃で
あるいは強制的に炭化して燻炭を製造すると同時に、そ
の燻炭化の際に発生する燻煙を、多段の分留器におい
て、沸点が高い有機物成分から低い有機物成分までを順
次冷却液化して複数の分留液を製造することができるの
で、木質系バイオマスを少ないエネルギー消費で最大限
に有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化分留装置の一実施形態を示す概略
的な正面図である。
【図2】同じく概略的な平面図である。
【図3】炭化炉の一例を示す説明図である。
【図4】強制排気手段の他の実施形態を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
10 炭化分留装置 12 炭化炉 14、16、18 分留器 20 排気塔 22、24、26 分留塔 32、34、36 熱交換器 42、44、46 タンク 52 燻煙導入口 54 燻煙導出口 56 燻煙導管 58 噴流管 60 循環用ポンプ 62 タンク開閉蓋 64 仕切板 70、72、74 燻煙通路 76 熱交換器 77 送風機 78 エジェクター 80 石油系バーナー 82 排気管

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質系バイオマスを少ない酸素供給状態
    で燻炭化して、燻炭を製造するとともに、その燻炭化の
    際に発生する多数の有機物成分を含む燻煙を冷却液化し
    て、所定の有機物成分を分留するにあたって、 前記燻煙に含まれる有機物成分の中から、沸点の高い成
    分から順に沸点の低い成分に至るまで複数の成分を同時
    に留出することを特徴とする炭化分留方法。
  2. 【請求項2】 木質系バイオマスを少ない酸素供給状態
    で燻炭化して、燻炭を製造するとともに、その燻炭化の
    際に発生する多数の有機物成分を含む燻煙を冷却液化し
    て、所定の有機物成分を分留するにあたって、 前記燻煙に含まれる多数の有機物成分のうち、所定の複
    数の有機物成分のそれぞれの沸点に関連するより高い温
    度からより低い温度まで、段階的に温度を低下させなが
    ら前記燻煙を冷却することによって、前記複数の有機物
    成分を同時に留出することを特徴とする炭化分留方法。
  3. 【請求項3】 前記燻煙を真水に溶け込ませて燻液とし
    た後、その燻液を冷却用の凝縮液として用いて、燻煙に
    含まれる多数の有機物成分のうち、所定の有機物成分の
    沸点よりも高い温度で液化して、その所定の有機物成分
    よりも沸点の高い有機物成分を分留し、次いで、前記所
    定の有機物成分の沸点よりもわずかに低い温度で液化し
    て、前記所定の有機物の高濃度区分を分留し、順次、前
    記わずかに低い温度よりも更に低い温度で液化して、前
    記所定の有機物成分よりも沸点の低い有機物成分を分留
    することを特徴とする請求項1または2に記載の炭化分
    留方法。
  4. 【請求項4】 木質系バイオマスを酸素を少なく供給し
    ながら燻炭化する炭化炉と、その炭化炉内で発生する多
    数の有機物成分を含む燻煙を冷却液化して、沸点の比較
    的高い有機物成分から比較的低い沸点の有機物成分まで
    を別々に分留する少なくとも2つの分留器を有してなる
    多段式分留装置と、その多段式分留装置において分留さ
    れないで残った燻煙を、強制的に排気する排気塔とから
    構成される炭化分留装置。
  5. 【請求項5】 前記多段式分留装置は、メタノールの沸
    点よりも高い高沸点区分を分留する第1の分留器と、メ
    タノールの高濃度区分を分留する第2の分留器と、メタ
    ノールの沸点よりも低い低沸点区分を分留する第3の分
    留器と、から構成される請求項4に記載の炭化分留装
    置。
  6. 【請求項6】 前記排気塔は、前記分留されないで残っ
    た燻煙を燃焼させるバーナーと、その燃焼した燻煙成分
    を強制的に外気に排出する手段とを有することを特徴と
    する請求項4または5に記載の炭化分留装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064084A (ja) * 2011-09-20 2013-04-11 Masahide Matsuda 木酢液の抽出方法と抽出装置
JP2020525593A (ja) * 2017-06-28 2020-08-27 オサケユフティオ・ルナウッド・リミテッドOy Lunawood Ltd 熱処理プロセスから製品を抽出する方法および装置

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US11766626B2 (en) 2017-06-28 2023-09-26 Oy Lunawood Ltd Method and apparatus to extract products from heat treatment process

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