JP2002289210A - 電源システム - Google Patents

電源システム

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JP2002289210A JP2001279334A JP2001279334A JP2002289210A JP 2002289210 A JP2002289210 A JP 2002289210A JP 2001279334 A JP2001279334 A JP 2001279334A JP 2001279334 A JP2001279334 A JP 2001279334A JP 2002289210 A JP2002289210 A JP 2002289210A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷の駆動状態に応じた発電動作を行うこと
ができるとともに、エネルギー資源の利用効率の高いポ
ータブル型の電源システムを提供する。 【解決手段】 電源システム1は、発電用燃料FLが封
入された燃料パック20と、該燃料パック20から供給
される発電用燃料FLに基づいて、所定の負荷を駆動す
る電力を発生する発電モジュール10と、を有し、発電
モジュール10は、少なくとも動作制御部13に動作電
力となる電力E1を、常時自立的に発生する副発電部1
1と、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、
燃料パック20から供給される発電用燃料FLを用いて
負荷駆動電力となる電力を発生する主発電部12と、電
源システム1に接続されるデバイスDVC(負荷LD)
の駆動状態に基づいて、主発電部12における起動動作
や電力の発生量を制御する動作制御部13と、を備えて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源システムに関
し、特に、エネルギーの利用効率が高い可搬型の電源シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、民生用や産業用のあらゆる分野に
おいて、様々な化学電池が使用されている。例えば、ア
ルカリ乾電池やマンガン乾電池等の一次電池は、時計や
カメラ、玩具、携帯型の音響機器等に多用されており、
我が国に限らず、世界的な観点からも最も生産数量が多
く、安価かつ入手が容易という特徴を有している。
【0003】一方、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッ
ケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池
は、近年普及が著しい携帯電話や携帯情報端末(PD
A)、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等
の携帯機器に多用されており、繰り返し充放電ができる
ことから経済性に優れた特徴を有している。また、二次
電池のうち、鉛蓄電池は、車両や船舶の起動用電源、あ
るいは、産業設備や医療設備における非常用電源等とし
て利用されている。
【0004】ところで、近年、環境問題やエネルギー問
題への関心の高まりに伴い、上述したような化学電池の
使用後の廃棄に関する問題やエネルギー変換効率の問題
がクローズアップされている。特に、一次電池において
は、上述したように、製品価格が安価で入手が容易なう
え、電源として利用する機器も多く、しかも、基本的に
一度放電されると電池容量を回復することができない、
一回限りの利用(いわゆる、使い捨て)しかできないた
め、年間の廃棄量が数百万トンに上っている。ここで、
化学電池全体では、リサイクルにより回収される比率
は、概ね20%程度に過ぎず、残りの80%程度が自然
界に投棄、又は、埋め立て処理されている、とする統計
資料もあり、このような未回収の電池に含まれる水銀や
インジウム等の重金属による環境破壊や、自然環境の美
観の悪化が懸念されている。
【0005】また、エネルギー資源の利用効率の観点か
ら上記化学電池を検証すると、一次電池においては、放
電可能エネルギーの概ね300倍のエネルギーを使用し
て生産されているため、エネルギー利用効率が1%にも
満たない。これに対して、繰り返し充放電が可能で経済
性に優れた二次電池であっても、家庭用電源(コンセン
ト)等から充電を行う場合、発電所における発電効率や
送電損失等により、エネルギー利用効率が概ね12%程
度にまで低下してしまうため、必ずしもエネルギー資源
の有効利用が図られているとは言えなかった。
【0006】そこで、近年、環境への影響(負担)が少
なく、かつ、例えば、30〜40%程度の極めて高いエ
ネルギー利用効率を実現することができる燃料電池をは
じめとする各種の新たな電源システムや発電システム
(以下、「電源システム」と総称する)が注目され、車
両用の駆動電源や家庭用のコジェネレーションシステム
等への適用を目的として、あるいは、上述したような化
学電池の代替えを目的として、実用化のための研究、開
発が盛んに行われている。なお、燃料電池をはじめとす
る各種の電源システムの具体的な構成等については、発
明の詳細な説明において詳述する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今後、
燃料電池等のエネルギー利用効率が高い電源システムを
小型軽量化して、可搬型又は携帯型のポータブル電源、
例えば、上述したような化学電池の代替え(互換品)と
して適用するためには、様々な問題を解決する必要があ
る。
【0008】具体的には、例えば、既存の化学電池にお
いては、基本的に正極及び負極の端子を負荷に接続する
だけで、所定の電圧及び電流が供給されて負荷を駆動す
ることができるのに対して、燃料電池等においては、燃
料の化学エネルギーを直接的又は間接的に電力に変換す
る発電器としての機能を有しているので、効率的な発電
用燃料の消費を行うために、電力の発生量(発電量)を
調整制御する必要がある。
【0009】ここで、燃料電池等の電源システムを可搬
型のポータブル電源として適用する場合においては、上
記電力の発生量を調整制御するための手段に対して、電
源システムの外部(例えば、電源システムに接続される
既存の電気機器等)から動作電力の供給や制御信号の入
力を行うことは、予めそのような機能を備えた特定の機
器等に接続する場合を除いて、基本的にできないため、
負荷の駆動状態に関わらず、比較的大きな一定の(最大
負荷を駆動するために必要な)電力を継続的に発生する
ことが必要になり、発電用燃料が無駄に消費されて、エ
ネルギー資源の利用効率が低下するという問題を有して
いる。
【0010】そこで、本発明は、上述した問題点に鑑
み、燃料電池等の電源システムをポータブル電源に適用
する場合に、発電用燃料の浪費を抑制して、エネルギー
資源の利用効率の高い電源システムを提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電源システ
ムは、発電用燃料が封入された燃料封入部と、該燃料封
入部から供給される前記発電用燃料を用いて電力を発生
する発電モジュールと、を備え、前記発電モジュール
は、前記発電用燃料を用いて所定の負荷を駆動するため
の第1の電力を発生する第1の電源手段と、少なくと
も、前記第1の電源手段を動作制御するための第2の電
力を出力する第2の電源手段と、前記第2の電力により
動作し、少なくとも、前記第1の電源手段における動作
状態を制御するシステム制御手段と、を具備しているこ
とを特徴としている。
【0012】ここで、システム制御手段は、少なくと
も、第1の電源手段を起動状態に設定する起動制御部
と、第1の電源手段の動作状態を制御して、第1の電力
の発生量を調整する出力制御部と、少なくとも、負荷の
駆動状態に応じて、起動制御部及び出力制御部を制御
し、第1の電源手段により生成される第1の電力の発生
量を制御する動作制御部と、を備えた構成を有してい
る。そして、この出力制御部による第1の電力の調整
は、動作制御手段からの制御信号に基づいて、第1の電
源手段への発電用燃料の供給量を制御することにより実
行される。
【0013】すなわち、燃料封入部(燃料パック)に充
填、封入された液体又は気体からなる発電用燃料、又
は、該発電用燃料から供給される特定の成分(例えば、
水素)を用いて発電を行う発電モジュール(発電器)を
備えたポータブル型の電源システムにおいて、第2の発
電手段により生成される第2の電力に基づいてシステム
制御手段(起動制御部、出力制御部、システム制御手
段)が駆動され、負荷の駆動状態に応じて、第1の電源
手段への発電用燃料の供給量が制御されることにより、
第1の発電手段における第1の電力の発生量(発電状
態)が制御される。
【0014】これにより、電源システムの外部から燃料
等の供給を受けることなく、発電モジュールにより自立
的に発電状態を制御することができるので、負荷の駆動
状態に応じた適切な電力を発生、出力することができ、
発電用燃料の浪費を抑制して、エネルギー資源の利用効
率を高めた電源システムを提供することができるととも
に、汎用の化学電池と同等の形状、寸法、電気的特性及
び簡易な取り扱いを実現することができる。
【0015】上記電源システムにおいて、第1の電源手
段に適用される形態は、燃料封入部から供給される発電
用燃料を用いて、第1の電力を発生する発電装置であっ
てもよいし、燃料封入部から供給され、第2の電源手段
における第2の電力の出力のために消費された後の発電
用燃料を用いて、第1の電力を発生する発電装置であっ
てもよい。また、第2の電源手段に適用される形態は、
燃料封入部から供給される発電用燃料を用いて、第2の
電力を常時自立的に発生する発電装置であってもよい
し、燃料封入部から供給される発電用燃料を用いること
なく、第2の電力を常時出力する電源装置であってもよ
い。
【0016】上記電源システムにおいて、より好ましい
態様は、第1の電源手段及び第2の電源手段が、共に燃
料封入部から供給される発電用燃料を用いた電気化学反
応により、第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電
池を有している構成である。これにより、汎用の化学電
池に比較して、極めてエネルギー利用効率の高い燃料電
池を用いて、電源システムの動作電力及び負荷の駆動電
力を生成することができるので、エネルギーの有効利用
を図ることができるとともに、既存の化学電池と同等の
電気的特性を得るために必要となる電源システム(発電
モジュール及び燃料封入部)の規模を小型化することが
できる。
【0017】また、上記電源システムにおいて、第1の
電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであっ
てもよい。この場合、第1の電源手段は、発電用燃料を
改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、該特定
の成分が供給される燃料極と、空気中の酸素が供給され
る空気極と、を備えた燃料改質型の燃料電池としての構
成を適用することが好ましい。このような燃料改質型の
燃料電池を適用した構成によれば、燃料電池に供給され
る発電用燃料の量を制御することにより、第1の電源手
段により生成される第1の電力の量を簡易に制御するこ
とができるとともに、発電用燃料の有する化学エネルギ
ーから極めて高いエネルギー変換効率で電力を生成する
ことができる電源システムを実現することができる。
【0018】なお、上記電源システムにおいて、第1の
電源手段に適用可能な構成としては、上記燃料電池の他
に、燃料封入部から供給される発電用燃料の燃焼エネル
ギーに基づいて、第1の電力を発生する発電装置(ガス
燃焼タービン、ロータリーエンジン、スターリングエン
ジン、パルス燃焼エンジン等と、電磁誘導や圧電変換の
原理を用いた発電器との組み合わせ)や、発電用燃料を
用いた燃焼反応により生じる熱エネルギーによる高温と
電源システム内外の他の領域における定温との温度差に
基づいて、熱電変換により電力を発生する発電装置(温
度差発電器)、発電用燃料を用いた熱音響効果による外
力発生効果に基づいて、電力を発生する発電装置(熱音
響効果発電器)、発電用燃料を用いた電磁流体発電によ
り電力を発生する発電装置(電磁流体力学発電器)等で
あってもよい。
【0019】また、上記電源システムにおいて、第2の
電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであっ
てもよい。この場合、第2の電源手段は、発電用燃料が
直接的に供給される燃料極と、空気中の酸素が供給され
る空気極と、を備えた燃料直接供給型の燃料電池として
の構成を適用することが好ましい。このような燃料直接
供給型の燃料電池を適用した構成によれば、簡易な構成
の燃料電池に燃料封入部から発電用燃料を供給するだけ
で、自立的かつ継続的に高いエネルギー変換効率で所定
の電力(第2の電力)を生成してシステム制御手段に動
作電力として供給することができるので、特別な操作を
必要とすることなく、負荷の駆動状態に応じて第1の電
力を出力することができ、汎用の化学電池と同等の簡易
な取り扱いが可能な電源システムを提供することができ
るとともに、第2の電源手段の規模を小型化することが
できる。
【0020】なお、上記電源システムにおいて、第2の
電源手段に適用可能な構成としては、上記燃料電池の他
に、燃料封入部に封入された液体燃料又は高圧液化燃料
からなる発電用燃料の気化反応により生じる圧力エネル
ギーに基づいて、第2の電力を発生する発電装置(ガス
タービン、ロータリーエンジン等と、電磁誘導や圧電変
換の原理を用いた発電器との組み合わせ)や、電源シス
テムの周辺と内部における温度差、又は、発電用燃料を
用いた触媒燃焼反応により生じる熱エネルギーによる高
温と電源システム内外の他の領域における定温との温度
差、もしくは、燃料封入部に封入され、液化された前記
発電用燃料の気化反応により吸収される熱エネルギーに
よる低温と前記電源システム内外の他の領域における定
温との温度差等に基づいて、熱電変換により電力を発生
する発電装置(温度差発電器)、発電用燃料を用いた生
物化学的反応に基づいて、前記第2の電力を発生する発
電装置(生物電池)、発電用燃料の流体移動により生じ
る振動エネルギーに基づいて、前記第2の電力を発生す
る発電装置(振動発電器)、電源システムの外部から入
射する光エネルギーに基づいて、光電変換により前記第
2の電力を発生する発電装置(太陽電池)、電力の蓄
積、放出が可能な蓄電装置(二次電池、コンデンサ等)
等であってもよい。
【0021】したがって、本発明に係る電源システムに
おいては、第1及び第2の電源手段として、発電用燃料
を用いて高いエネルギー変換効率で第1及び第2の電力
を生成することができ、かつ、小型化や微細化が可能な
構成を有する発電装置や蓄電装置の中から、電源システ
ムの外形形状や電気的特性等に応じて適宜組み合わせた
任意の構成を適用することができる。
【0022】ここで、第1の電源手段又は出力制御部の
少なくともいずれか一方は、第2の発電手段から出力さ
れる第2の電力に基づいて、又は、上記燃料電池又は発
電装置から出力される電力を蓄積する蓄電装置から放出
された電力(第2の電力)に基づいて動作するものであ
ってもよい。これによれば、第2の電源手段により生成
される電力の駆動電力特性に応じて、第2の電源手段か
ら直接供給される電力、又は、蓄電装置に蓄積され、駆
動電力特性が高められた電力を起動電源として用いて、
第1の電源手段を良好に起動して第1の電力を生成する
発電動作に移行することができる。
【0023】また、上記電源システムに適用される発電
用燃料は、少なくとも、水素を主成分とする、又は、水
素からなる液体燃料、液化燃料、及び気体燃料のいずれ
か、具体的には、メタノールやエタノール、ブタノール
等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイ
ソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、あ
るいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、燃料封
入部から発電モジュールに供給される際の常温、常圧等
の所定の環境条件の下で気体状態にあるものを良好に適
用することができる。これにより、第1及び第2の電源
手段における発電動作において、高いエネルギー変換効
率で電力を生成することができるとともに、この発電動
作に伴って電力以外に生成される副生成物を比較的簡易
な処理で無毒化や難燃化することができ、自然環境等へ
の影響を大幅に抑制することができる。
【0024】また、上記電源システムは、第1の電源手
段から出力される第1の電力により駆動する負荷に対し
て、システム全体が着脱可能な構成、もしくは、該負荷
に対して、少なくとも燃料封入部が着脱可能な構成、又
は、発電モジュールに対して、燃料封入部が着脱可能な
構成を有していることが好ましい。これによれば、燃料
封入部に封入された発電用燃料がなくなったときや少な
くなったときに、燃料封入部を発電モジュールから取り
外して新たな燃料封入部に交換、あるいは、燃料封入部
に発電用燃料を注入して補充することができるので、発
電モジュールを継続的に利用することができるととも
に、電源システム全体又は燃料封入部をあたかも汎用の
化学電池のように簡便に使用することができる。また、
燃料封入部の交換や回収が可能となるので、電源システ
ム自体の廃棄量を削減することができる。
【0025】なお、上記電源システムは、少なくとも、
発電モジュール(第1の電源手段、第2の電源手段)
が、微細加工技術を用いて微小空間に集積化された構成
を適用することもできる。このような構成によれば、燃
料封入部及び発電モジュールを組み合わせた電源システ
ム全体の物理的外形形状を、円形電池や単1型等のよう
に日本工業規格で規格化された汎用の化学電池の外形形
状及び寸法と同等に構成することもできるので、電気的
特性のみならず、外形形状においても、汎用の化学電池
との完全な互換性を備えることができ、極めてエネルギ
ー変換効率の高い電源システムを既存の化学電池の市場
に良好に普及させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電池システム
の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に係る電源システムが適用される全体の概
要について、図面を参照して説明する。図1は、本発明
に係る電源システムの適用形態を示す概念図である。
【0027】本発明に係る電源システム1は、例えば、
図1(a)、(b)に示すように、特定の電気・電子機
器のほか、汎用の一次電池や二次電池により動作する既
存の電気・電子機器(図1では、情報携帯端末を示す:
以下、「デバイス」と総称する)DVCに対して、その
全体もしくは一部が任意に装着及び取り外し(矢印P1
参照)が可能であるとともに、該電源システム1の全体
もしくはその一部が単独で携帯が可能なように構成さ
れ、かつ、電源システム1の所定の位置(例えば、後述
するように、汎用の一次電池や二次電池と同等の位置)
にプラス(+)極及びマイナス(−)極からなる電極が
設けられた構成を有している。
【0028】次に、本発明に係る電池システムの基本構
成について説明する。図2は、本発明に係る電源システ
ムの基本構成を示すブロック図である。本発明に係る電
源システム1は、図2(a)に示すように、大別して、
液体燃料又は液化燃料又は気体燃料からなる発電用燃料
FLが封入された燃料パック(燃料封入部)20と、少
なくとも、該燃料パック20から供給される発電用燃料
FLに基づいて、上記デバイスDVCの駆動状態(負荷
状態)に対応した電力EGを発生(発電)する発電モジ
ュール10と、燃料パック20及び発電モジュール10
相互を結合するとともに、燃料パック20に封入された
発電用燃料FLを発電モジュール10に供給する燃料送
出経路等を備えたインターフェース部(以下、「I/F
部」と略記する)30と、を有し、各構成が相互に、も
しくは、任意の形態で分離(着脱)可能に、あるいは、
一体的に構成されている。ここで、I/F部30は、図
2(a)に示したように、上記燃料パック20及び発電
モジュール10と独立した構成を有しているものであっ
てもよいし、図2(b)、(c)に示すように、上記燃
料パック20又は発電モジュール10のいずれかと一体
的に構成されているものであってもよい。
【0029】以下、各ブロック構成について、具体的に
説明する。 [第1の実施形態] (A)発電モジュール10 図3は、本発明に係る電源システムに適用される発電モ
ジュールの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0030】図3に示すように、本実施形態に係る発電
モジュール10Aは、大別して、I/F部30を介して
燃料パック20から供給される発電用燃料を用いて、所
定の電力(第2の電力)を、常時、自立的に発生して、
少なくとも、電源システム1に接続されるデバイスDV
Cに内蔵され、負荷LD(デバイスDVCの各種機能を
有する素子又はモジュール)の駆動制御を行うコントロ
ーラCNTの駆動電源(コントローラ電力)、及び、発
電モジュール10A内に設けられた後述する動作制御部
13の動作電力として出力する副電源部(第2の電源手
段)11と、副電源部11から供給される電力により動
作し、電源システム1全体の動作状態を制御する動作制
御部13と、I/F部30を介して燃料パック20から
供給される発電用燃料又は該発電用燃料から抽出された
特定の燃料成分を用いて、所定の電力(第1の電力)を
発生して、少なくとも、電源システム1に接続されるデ
バイスDVCの各種機能(負荷LD)を駆動する負荷駆
動電力として出力する主発電部(第1の電源手段)12
と、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、少
なくとも、主発電部12への発電用燃料の供給量を制御
する出力制御部14と、動作制御部13からの動作制御
信号に基づいて、少なくとも、主発電部12を待機状態
から発電可能な動作状態に移行(起動)するように制御
する起動制御部15と、を有して構成されている。ここ
で、本実施形態に係る動作制御部13、出力制御部14
及び起動制御部15は、本発明におけるシステム制御手
段を構成する。すなわち、本実施形態に係る電源システ
ム1は、システムの外部(発電モジュール10A、燃料
パック20及びI/F部30以外)からの燃料供給や制
御に依存することなく、電源システム1に接続されるデ
バイスDVCに対して、所定の電力(負荷駆動電力)を
出力可能なように構成されている。
【0031】<副電源部11>本実施形態に係る発電モ
ジュールに適用される副電源部11は、図3に示したよ
うに、燃料パック20から供給される発電用燃料FLが
有する物理的又は化学的エネルギー等を用いて、電源シ
ステム1の起動動作に必要な所定の電力(第2の電力)
を、常時、自立的に発生する構成を有している。そし
て、この電力は、大別して、デバイスDVCに内蔵さ
れ、その駆動状態を制御するコントローラの駆動電力
(コントローラ電力)、及び、発電モジュール10A全
体の動作状態を制御する動作制御部13の動作電力とし
て常時供給される電力E1と、発電モジュール10Aの
起動時に、少なくとも、出力制御部14(構成によって
は、主発電部12を含む)及び起動制御部15に対し
て、起動電力(電圧・電流)として供給される電力E2
からなる。
【0032】副電源部11の具体的な構成としては、例
えば、燃料パック20から供給される発電用燃料FLを
用いた電気化学反応や触媒燃焼反応によるもの(燃料電
池、温度差発電等)を良好に適用することができるほ
か、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの封入
圧力や燃料の気化によって生じるガス圧力を用いて発電
器を回転させて電力を発生する力学的なエネルギー変換
作用等によるもの(ガスタービン発電等)、また、発電
用燃料FLを栄養源とする微生物等による代謝(光合
成、呼吸等)により生じる電子を捕獲し、直接電力へと
変換するもの(生物化学発電)、上記封入圧力やガス圧
力に基づく発電用燃料FLの流体エネルギーにより生じ
る振動エネルギーを電磁誘導の原理を利用して電力に変
換するもの(振動発電)、二次電池(充電池)やコンデ
ンサ等の電力蓄積手段単体からの放電によるもの、さら
には、上述した発電を行う各構成により生成された電力
を、電力蓄積手段(二次電池やコンデンサ等)に蓄積し
て放出(放電)させるようにしたもの等を適用すること
ができる。
【0033】以下に、各々の具体例について、図面を参
照して簡単に説明する。 (副電源部の第1の構成例)図4は、本実施形態に係る
電源モジュールに適用可能な副電源部の第1の構成例を
示す概略構成図である。ここでは、上述した電源システ
ムの構成(図3)を適宜参照しながら説明する。第1の
構成例においては、副電源部の具体例として、燃料パッ
ク20から直接供給される発電用燃料FLを用い、電気
化学反応により電力(第2の電力)を発生する燃料直接
供給方式を採用した固体高分子型の燃料電池の構成を有
している。
【0034】図4に示すように、本構成例に係る副電源
部11Aは、概略、所定の触媒微粒子が付着した炭素電
極からなる燃料極(カソード)111と、所定の触媒微
粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)1
12と、燃料極111と空気極112の間に介装された
イオン導電膜(交換膜)113と、を有して構成されて
いる。ここで、燃料極111には、燃料パック20に封
入された発電用燃料(例えば、メタノール等のアルコー
ル類及び水)が直接供給され、一方、空気極112には
大気中の酸素ガス(O)が供給される。
【0035】この副電源部(燃料電池)11Aにおける
電気化学反応の一例は、具体的には、メタノール(CH
OH)及び水(HO)が燃料極111に直接供給さ
れると、次の化学反応式(1)に示すように、触媒反応
により電子(e)が分離して水素イオン(プロトン;
)が発生し、イオン導電膜113を介して空気極1
12側に通過するとともに、燃料極111を構成する炭
素電極により電子(e )が取り出されて負荷114
(電源システム内外の所定の構成;ここでは、デバイス
DVCのコントローラCNT、動作制御部13、主発電
部12、出力制御部14等)に供給される。なお、この
触媒反応により生成される水素イオン以外の微量の二酸
化炭素(CO)は、例えば、燃料極111側から大気
中に排出される。 CHOH+HO → 6H+6e+CO ・・・(1)
【0036】一方、空気極112に空気(酸素O)が
供給されると、次の化学反応式(2)に示すように、触
媒反応により負荷114を経由した電子(e)とイオ
ン導電膜113を通過した水素イオン(H)と空気中
の酸素ガス(O)が反応して水(HO)が生成され
る。 6H+(3/2)O+6e → 3HO ・・・(2)
【0037】このような一連の電気化学反応(化学反応
式(1)及び(2))は、概ね室温程度の比較的低温の
環境下で進行する。ここで、空気極112で発生する副
生成物である水(HO)を回収し、燃料極111側に
必要量を供給することにより、上記化学反応式(1)に
示した触媒反応の原料物質として再利用することができ
るとともに、燃料パック20に予め備蓄(封入)される
水(HO)の量を大幅に減らすことができるので、燃
料パック20の容積を大幅に縮小しつつ、副電源部11
を長時間、継続的に動作させて、所定の電力を供給する
ことが可能となる。なお、空気極112で発生する水
(HO)等の副生成物を回収、再利用する副生成物回
収手段の構成については、後述する主発電部12におけ
る構成と併せて説明する。
【0038】このような構成を有する燃料電池を副電源
部に適用することにより、他の方式(例えば、後述する
燃料改質型の燃料電池)に比較して周辺構成を必要とし
ないので、副電源部11Aの構成を簡素化かつ小型化す
ることができるとともに、例えば、発電モジュール10
Aに対して燃料パック20を結合する極めて簡易な操作
のみで、I/F部30に設けられた燃料輸送管を介して
毛細管現象により所定量の発電用燃料が副電源部11A
(燃料極111)に自動的に送入されて、上記化学反応
式(1)及び(2)に基づく、発電動作を開始、継続す
ることができる。
【0039】したがって、燃料パック20からの発電用
燃料の供給が継続する限り、副電源部11Aにより所定
の電力が常時、自立的に生成され、デバイスDVCのコ
ントローラ電力及び動作制御部13の動作電力、さらに
は、主発電部12又は出力制御部14に対する起動電力
として供給することができる。また、上述したような燃
料電池においては、発電用燃料から電気化学反応を利用
して直接電力を発生しているので、極めて高い発電効率
を実現することができ、発電用燃料の有効利用や副電源
部を含む発電モジュールの小型化を図ることができると
ともに、振動や騒音がないので、汎用の一次電池や二次
電池と同様に、広範な機器への利用が可能となる。
【0040】なお、本構成例における燃料電池において
は、燃料パック20から供給される発電用燃料としてメ
タノールを適用した場合についてのみ示したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、少なくとも、水素を
主成分とする、又は、水素からなる液体燃料、液化燃
料、及び気体燃料のいずれかであればよい。具体的に
は、上述したメタノールやエタノール、ブタノール等の
アルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブ
タン、天然ガス(CNG)等の炭化水素からなる液化燃
料、あるいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、
燃料パック20から副電源部11Aに供給される際の常
温、常圧等の所定の環境条件の下で気体状態にあるもの
を良好に適用することができる。
【0041】(副電源部の第2の構成例)図5は、本実
施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第
2の構成例を示す概略構成図である。第2の構成例にお
いては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封
入された発電用燃料が有する圧力エネルギー(封入圧力
やガス圧力)により圧力駆動機関(ガスタービン)を駆
動し、その駆動エネルギーを電力に変換する発電装置と
しての構成を有している。
【0042】図5(a)、(b)に示すように、本構成
例に係る副電源部11Bは、概略、複数の羽根が円周の
所定の方向に沿って湾曲しつつ、略放射状に配列され、
かつ、自在に回転が可能なように構成された可動羽根1
22aと、可動羽根122aの回転中心に直結され、周
知の電磁誘導あるいは圧電変換の原理に基づいて、可動
羽根122aの回転エネルギーを電力に変換する発電器
125と、複数の羽根が可動羽根122aの外周側に沿
って、可動羽根122aとは逆方向に湾曲しつつ、略放
射状に配列され、かつ、可動羽根122aに対して相対
的に固定された固定羽根122bと、可動羽根122a
と固定羽根122bとからなるガスタービン122への
気化された発電用燃料(燃料ガス)の供給を制御する吸
気制御部123と、ガスタービン122通過後の発電用
燃料の排出を制御する排気制御部124と、を有して構
成されている。ここで、ガスタービン122、吸気制御
部123及び排気制御部124からなる副電源部11B
の構成は、半導体製造技術等により蓄積された微細加工
技術をはじめとする、いわゆる、マイクロマシン製造技
術を適用することにより、例えば、単一のシリコンチッ
プ121上の微小空間に集積化して形成することができ
る。なお、図5(a)においては、ガスタービン122
の構成を明確にするために、可動羽根122a及び固定
羽根122bが便宜的に露出するように示した。
【0043】このような副電源部11Bにおいて、例え
ば、図5(b)に示すように、吸気制御部123を介し
てガスタービン122の固定羽根122b側から可動羽
根122a側に、燃料パック20内に封入された液体燃
料が気化した高圧の燃料ガスを吸入(矢印P2参照)す
ることにより、固定羽根122bの湾曲方向に沿って燃
料ガスの渦流が生じ、該渦流によって、可動羽根122
aが所定の方向に回転して、発電器125を駆動する。
これにより、燃料ガスが有する圧力エネルギーがガスタ
ービン122及び発電器125を介して電力に変換され
る。
【0044】すなわち、本構成例に係る副電源部11B
に適用される発電用燃料は、少なくとも、吸気制御部1
23が開放されてガスタービン122に吸入される際に
高圧気体の状態で吸入され、また、排気制御部124が
開放されてガスタービン122内の気体が、気圧の低い
方、例えば、常圧である外気に向けて排出されることに
伴って生じる圧力差に基づく気体の流動により、可動羽
根122aを所定の方向に所定の回転速度(又は、回転
数)で回転させ、発電器125において所定の電力を発
生する。
【0045】そして、可動羽根122aの回転に寄与
し、圧力が低下した(圧力エネルギーが消費された)燃
料ガスは、排気制御部124を介して副電源部11Bの
外部に排出される。なお、図3に示した発電モジュール
10Aにおいては、副電源部11から排出された燃料ガ
ス(排出ガス)をそのまま電源システム1の外部に排出
する構成を示したが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、後述する実施形態に示すように、主発電部12
における発電用燃料として再度利用する構成を有するも
のであってもよい。
【0046】したがって、本構成例に係る副電源部11
Bにおいては、燃料パック20から供給される発電用燃
料(燃料ガス)FLは、必ずしも燃焼性(あるいは、可
燃性)を有している必要はなく、特に、電力の生成に利
用された燃料ガスを、そのまま電源システム1の外部に
排出する構成にあっては、発電用燃料FLを排出ガスと
して排出することを考慮すれば、不燃性又は難燃性を有
し、さらに、毒性がない方が望ましい。なお、発電用燃
料が燃焼性又は毒性がある成分を含む物質からなる場合
は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無毒化する
処理が必要となることはいうまでもない。
【0047】なお、本構成例に係る副電源部11Bのよ
うに、燃料ガスの圧力エネルギーに基づいて、電力を発
生する構成においては、燃料ガスが副電源部11B(ガ
スタービン122)内を通過するのみで、上述した燃料
電池における電気化学反応のように、副生成物(水等)
が発生することがないので、発電用燃料として不燃性又
は難燃性であって、毒性がない物質を適用する場合や、
燃焼性又は毒性を有する物質であっても、電源システム
1の外部に排出する前に難燃化や無毒化する処理を行う
構成を有している場合には、排出ガスを回収する手段を
備える必要はない。
【0048】このような構成を有する発電装置を副電源
部に適用することにより、上述した第1の構成例と同様
に、発電モジュール10Aに対して燃料パック20を結
合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30を介して
高圧の発電用燃料(燃料ガス)FLが副電源部11B
(ガスタービン122)に自動的に送入されて、上記発
電動作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃
料FLの供給が継続する限り、副電源部11Bにより所
定の電力が常時、自立的に生成され、電源システム1内
外の所定の構成に供給することができる。
【0049】(副電源部の第3の構成例)図6は、本実
施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第
3の構成例を示す概略構成図である。第3の構成例にお
いては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封
入された発電用燃料FLが有する圧力エネルギー(封入
圧力やガス圧力)により圧力駆動機関(ロータリーエン
ジン)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に変換する
発電装置としての構成を有している。
【0050】図6に示すように、第3の構成例に係る副
電源部11Cは、外周が概略、楕円型の作動空間131
aを有するハウジング131と、作動空間131aの内
壁に沿って中心軸133の周囲を回転する略三角形状の
断面を有するローター132と、中心軸133に直結さ
れた発電器(図示を省略)と、を有して構成されてい
る。ここで、副電源部11Cの構成は、上述した各構成
例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用することに
より、例えば、ミリメートルオーダーの微小空間に集積
化して形成することができる。
【0051】このような構成を有する副電源部11Cに
おいて、作動空間131aはほぼ常温に保たれており、
液体の状態で吸気口134aから作動空間131aに燃
料を封入すると、気化膨張するとともに、排気口134
b側を低圧、例えば、常圧に制御することにより、作動
空間131aの内壁とローター132により形成される
各作動室間に気圧差が生じ、図6(a)〜(c)に示す
ように、気化した燃料ガスが吸入口134aから排気口
134b方向に流動することにより、燃料ガスの圧力に
よりローター132がその内周を中心軸133の外周に
沿うように回転する(矢印P3)。これにより、燃料ガ
スが有する圧力エネルギーが中心軸133の回転エネル
ギーに変換されて、該中心軸133に接続された発電器
により電力に変換される。
【0052】ここで、本構成例に適用される発電器は、
上述した第2の構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換等
の周知の原理を用いた発電器を良好に適用することがで
きる。また、本構成例においても、燃料ガスの圧力エネ
ルギーに基づいて、電力を発生する構成を有しているの
で、燃料ガスは副電源部11C(ハウジング131内の
作動空間131a)内を通過するのみで、電力が生成さ
れるので、発電用燃料として必ずしも燃焼性(あるい
は、可燃性)を有している必要はなく、少なくとも、副
電源部11Cに供給される際の常温、常圧等の所定の環
境条件の下で、気化して所定の体積に膨張されるような
高圧の燃料ガスとなる物質であれば良好に適用すること
ができる。
【0053】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成
例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック
20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30
を介して高圧の発電用燃料(燃料ガス)FLが副電源部
11C(作動空間131a)に自動的に送入されて、上
記発電動作を開始、継続することができ、さらに、発電
用燃料FLの供給が継続する限り、副電源部11Cによ
り所定の電力が常時、自立的に生成され、電源システム
1内外の所定の構成に供給することができる。
【0054】(副電源部の第4の構成例)図7は、本実
施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第
4の構成例を示す概略構成図である。第4の構成例にお
いては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封
入された発電用燃料FLの触媒燃焼反応に基づいて熱エ
ネルギーを発生することにより生じる温度差を利用した
熱電変換発電により電力を発生する発電装置としての構
成を有している。
【0055】図7(a)に示すように、第4の構成例に
係る副電源部11Dは、概略、発電用燃料FLを触媒燃
焼させて熱エネルギーを発生させる触媒燃焼部141
と、概ね一定の温度を保持する定温部142と、触媒燃
焼部141を第1の温度端、定温部142を第2の温度
端として、該第1及び第2の温度端間に接続された熱電
変換素子143と、を備えた温度差発電器の構成を有し
ている。ここで、熱電変換素子143は、図7(b)に
示すように、2種類の半導体又は金属(以下、便宜的に
「金属等」という)MA、MBの端部相互が接合(例え
ば、金属等MAの両端部に、各々金属等MBが接合)さ
れ、各接合部N1、N2が上記触媒燃焼部141(第1
の温度端)及び定温部142(第2の温度端)に各々接
続された構成を有している。また、定温部142は、例
えば、電源システム1が装着されるデバイスDVCに設
けられた開口部等を介して、常時外気に晒され、略一定
の温度を保持するように構成されている。なお、図7に
示した温度差発電器からなる副電源部11Dの構成は、
上述した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を
適用することにより、微小空間に集積化して形成するこ
とができる。
【0056】このような構成を有する副電源部11Dに
おいて、図7(c)に示すように、燃料パック20に封
入された発電用燃料(燃焼ガス)FLがI/F部30を
介して、触媒燃焼部141に供給されると、触媒燃焼反
応により発熱して、触媒燃焼部141(第1の温度端)
の温度が上昇する。一方、定温部142の温度は、ほぼ
一定に保持されるように構成されているので、触媒燃焼
部141と定温部142との間には温度差が発生する。
そして、この温度差に基づいて、熱電変換素子143に
おけるゼーベック効果により、所定の起電力が発生して
電力が生成される。
【0057】具体的には、第1の温度端(接合部N1)
における温度をTa、第2の温度端(接合部N2)にお
ける温度をTb(<Ta)と規定した場合、該温度T
a、Tb間の差が微小である場合には、図7(b)に示
した出力端子Oa、Ob間に、Vab=Sab×(Ta−T
b)の電圧が生じる。ここで、Sabは、金属等MA、M
Bの相対ゼーベック係数である。
【0058】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成
例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック
20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30
を介して発電用燃料(液体燃料又は液化燃料又は気体燃
料)が副電源部11D(触媒燃焼部141)に自動的に
送入されて、触媒燃焼反応に伴う熱エネルギーが発生
し、上記温度差発電器による発電動作を開始、継続する
ことができ、さらに、発電用燃料FLの供給が継続する
限り、副電源部11Dにより所定の電力が常時、自立的
に生成され、電源システム1内外の所定の構成に供給す
ることができる。
【0059】なお、本構成例においては、触媒燃焼部1
41と定温部142における温度差に基づいて、ゼーベ
ック効果により電力を発生する温度差発電器について説
明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、
金属の加熱により金属表面から自由電子が放出される熱
電子放出現象に基づいて、電力を発生する構成を有する
ものであってもよい。
【0060】(副電源部の第5の構成例)図8は、本実
施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第
5の構成例を示す概略構成図である。第5の構成例にお
いては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封
入された発電用燃料(液体燃料)FLが気化反応に基づ
いて熱エネルギーを吸収することにより生じる温度差を
利用した熱電変換発電により電力を発生する発電装置と
しての構成を有している。
【0061】図8(a)に示すように、第5の構成例に
係る副電源部11Eは、概略、発電用燃料(特に、液化
燃料)FLを気化させた場合に熱エネルギーを吸収する
ことにより実現される冷熱を保持する冷熱保持部151
と、概ね一定の温度を保持する定温部152と、冷熱保
持部151を第1の温度端、定温部152を第2の温度
端として、第1及び第2の温度端間に接続された熱電変
換素子153と、を備えた温度差発電器の構成を有して
いる。ここで、熱電変換素子153は、上述した第4の
構成例(図7(b)参照)に示したものと同等の構成を
有している。また、定温部152は、電源システム1内
外の他の領域に接触又は晒されることにより、略一定の
温度を保持するように構成されている。なお、図8に示
した温度差発電器からなる副電源部11Eの構成も、上
述した各構成例と同様に、微小空間に集積化して形成さ
れる。
【0062】このような構成を有する副電源部11Eに
おいて、図8(b)に示すように、例えば、燃料パック
20に所定の圧力条件で封入された発電用燃料(液化燃
料)FLがI/F部30を介して、副電源部11Eに供
給され、常温、常圧等の所定の環境条件に移行すること
により、発電用燃料FLが気化し、その際、周囲から熱
エネルギーを吸収して、冷熱保持部151の温度が低下
する。一方、定温部152の温度は、ほぼ一定に保持さ
れるように構成されているので、冷熱保持部151と定
温部152との間には温度差が発生する。そして、この
温度差に基づいて、熱電変換素子153におけるゼーベ
ック効果により、上述した第4の構成例に示したものと
同様に、所定の起電力が発生して電力が生成される。
【0063】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成
例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック
20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30
を介して発電用燃料(液化燃料)FLが副電源部11E
に自動的に送入されて、気化反応により熱エネルギーが
吸収されて冷熱が生じ、上記温度差発電器による発電動
作を開始、継続することができ、さらに、発電用燃料F
Lの供給が継続する限り、副電源部11Eにより所定の
電力が常時、自立的に生成され、電源システム1内外の
所定の構成に供給することができる。なお、本構成例に
おいては、冷熱保持部151と定温部152における温
度差に基づいて、ゼーベック効果により電力を発生する
温度差発電器について説明したが、本発明は、これに限
定されるものではなく、熱電子放出現象に基づいて、電
力を発生する構成を有するものであってもよい。
【0064】(副電源部の第6の構成例)図9は、本実
施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第
6の構成例を示す概略構成図である。第6の構成例にお
いては、副電源部の具体例として、燃料パック20に封
入された発電用燃料に対する生物化学的な反応を利用し
て電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0065】図9に示すように、第6の構成例に係る副
電源部11Fは、概略、発電用燃料を栄養源として成育
する微生物や生体触媒(以下、便宜的に「微生物等」と
いう)BIOが貯蔵された生体培養槽161と、該生体
培養槽161内に設けられた陽極側電極161a及び陰
極側電極161bと、を備えた構成を有している。この
ような構成において、燃料パック20からI/F部30
を介して発電用燃料FLを供給することにより、上記生
体培養槽161内で微生物等BIOによる呼吸等の代謝
等(生物化学的反応)が生じて電子(e)が生成され
る。そして、この電子を陽極側電極161aにより捕獲
することにより、出力端子Oa、Obから所定の電力が
得られる。
【0066】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成
例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック
20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30
を介して微生物等BIOの栄養源となる発電用燃料FL
が副電源部11F(生体培養槽161)に自動的に送入
されて、微生物等BIOの生物化学的な反応による発電
動作が開始され、さらに、発電用燃料の供給が継続する
限り、所定の電力が常時、自立的に生成され、電源シス
テム1内外の所定の構成に供給することができる。な
お、上記生物化学的反応において、微生物等BIOによ
る光合成を利用して電力の生成を行う場合にあっては、
例えば、電源システム1が装着されるデバイスDVCに
設けられた開口部等を介して、外光が入射するように構
成することにより、所定の電力を常時自立的に生成して
供給することができる。
【0067】(副電源部の第7の構成例)図10は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の
第7の構成例を示す概略構成図である。第7の構成例に
おいては、副電源部の具体例として、燃料パック20か
ら供給される発電用燃料の流体移動により生じる振動エ
ネルギーを電力に変換する発電装置としての構成を有し
ている。
【0068】図10(a)に示すように、第7の構成例
に係る副電源部11Gは、概略、液体又は気体からなる
発電用燃料が所定方向に移動することにより、少なくと
も一端側が振動可能なように構成され、その振動端17
1aに電磁コイル173が設けられた振動子171と、
電磁コイル173に対向して永久磁石174が設けら
れ、発電用燃料の移動に対して振動を生じない固定子1
72と、を備えた振動発電器としての構成を有してい
る。このような構成において、図10(b)に示すよう
に、燃料パック20からI/F部30を介して発電用燃
料FLを供給することにより、発電用燃料FLの流動方
向に対して概ね直交する方向(図中、矢印P4)に、固
定子172に対して振動子171(振動端171a)が
所定の振動数で振動を生じる。この振動により永久磁石
174と電磁コイル173間の相対位置に変化が生じる
ことにより、電磁誘導が発生して、電磁コイル173を
通じて所定の電力が得られる。
【0069】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、上述した各構成
例と同様に、発電モジュール10Aに対して燃料パック
20を結合する極めて簡易な操作のみで、I/F部30
を介して流体としての発電用燃料FLが副電源部11G
に自動的に送入されて、流体移動に伴う振動子171の
振動エネルギーの変換による発電動作が開始され、さら
に、発電用燃料FLの供給が継続する限り、所定の電力
が常時、自立的に生成され、電源システム1内外の所定
の構成に供給することができる。
【0070】なお、上述した各構成例は、発電モジュー
ル10Aに適用される副電源部11の一例を示したに過
ぎず、本発明に係る電源システムの構成を何ら限定する
ものではない。要するに、本発明に適用される副電源部
11は、燃料パック20に封入された液体燃料又は液化
燃料又は気体燃料が直接的に供給されることにより、副
電源部11内部で電気化学反応や電磁誘導、発熱、吸熱
反応に伴う温度差等、エネルギーの変換作用に基づいて
電力を発生することができるものであれば、他の構成を
有するものであってもよく、例えば、ガスタービンやロ
ータリーエンジン以外のガス圧力駆動エンジンと電磁誘
導や圧電変換による発電器とを組み合わせたものであっ
てもよいし、次に示すように、上述した各副電源部11
と同等の発電装置に付加して、電力蓄積手段(蓄電装
置)を備え、副電源部11により発電された電力(第2
の電力)の一部を蓄電した後、電源システム1(主発電
部12)の起動時に、主発電部12又は出力制御部14
に対して起動電力として供給するように構成したものを
適用することもできる。
【0071】(副電源部の第8の構成例)図11は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の
第8の構成例を示す概略構成図である。図11に示すよ
うに、第8の構成例に係る副電源部11Hは、概略、燃
料パック20に封入された発電用燃料(液体燃料又は液
化燃料又は気体燃料)FLがI/F部30に設けられ燃
料輸送管を介して毛細管現象により直接的に供給される
ことにより自立的に電力(第2の電力)を発生すること
ができる発電装置(例えば、上述した各構成例に示した
副電源部)181と、該発電装置181により生成され
た電力の一部を蓄積する2次電池又はコンデンサ等から
なる電荷蓄積部182と、動作制御部13からの動作制
御信号に基づいて、電荷蓄積部182への電力の蓄積、
放出を切り換え設定するスイッチ183と、を備えた構
成を有している。
【0072】このような構成において、燃料パックから
の発電用燃料の供給が持続している間、常時駆動してい
る発電装置181により生成された電力は、デバイスD
VCのコントローラ電力及び動作制御部13の動作電力
として出力されるとともに、その一部がスイッチ183
を介して電荷蓄積部182に適宜蓄積される。そして、
例えば、動作制御部13が、デバイスDVCのコントロ
ーラCNTから出力される、負荷LDがオフ状態から起
動してオン状態に切り替わる負荷駆動情報を端子部18
4を介して受け取り、デバイスDVC(負荷LD)の駆
動を検出した場合には、動作制御部13から出力される
動作制御信号に基づいて、スイッチ183の接続状態が
切り替わり、電荷蓄積部182に蓄積されていた電力が
主発電部12又は出力制御部14に対して起動電力とし
て供給される。
【0073】したがって、このような構成を有する副電
源部によれば、発電装置181により単位時間当たりに
生成される電力を駆動電力特性の低いもの(微弱な電
力)に設定した場合であっても、電荷蓄積部182に蓄
積された電力を瞬時に放出することにより、主発電部1
2又は出力制御部14に対して、十分に駆動電力特性が
高い電力を供給することができる。よって、発電装置1
81の発電能力を十分小さいものに設定することができ
るので、副電源部11の構成を小型化することができ
る。
【0074】<主発電部12>本実施形態に係る発電モ
ジュールに適用される主発電部12は、図3に示したよ
うに、動作制御部13による起動制御に基づいて、燃料
パック20から供給される発電用燃料FLが有する物理
的又は化学的エネルギー等を用いて、デバイスDVC
(負荷LD)を駆動するために必要な所定の電力(第1
の電力)を発生する構成を有している。例えば、燃料パ
ック20から供給される発電用燃料FLを用いた電気化
学反応によるもの(燃料電池)や、燃焼反応に伴う熱エ
ネルギーによるもの(温度差発電)、燃焼反応等に伴う
圧力エネルギーを用いて発電器を回転させて電力を発生
する力学的なエネルギー変換作用等によるもの(内燃、
外燃機関発電)、また、発電用燃料FLの流体エネルギ
ーや熱エネルギーを電磁誘導の原理等を利用して電力に
変換するもの(電磁流体力学発電、熱音響効果発電等)
等、種々の形態を適用することができる。
【0075】ここで、主発電器12により生成される電
力(第1の電力)は、デバイスDVC全体の各種機能
(負荷LD)の駆動を行う主電源であるため、駆動電力
特性が高く設定される。したがって、上述した副電源部
11により生成され、デバイスDVCのコントローラ電
力や動作制御部13の動作電力等となる電力(第2の電
力)とはその性質を異にする。
【0076】以下に、各々の具体例について、図面を参
照して簡単に説明する。 (主発電部の第1の構成例)図12は、本実施形態に係
る電源モジュールに適用可能な主発電部の第1の構成例
を示す概略構成図であり、図13は、本構成例に係る主
発電部に適用される燃料改質部における水素生成過程を
示す概念図である。ここでは、上述した電源システムの
構成(図3)を適宜参照しながら説明する。第1の構成
例においては、主発電部の具体例として、燃料パック2
0から出力制御部14を介して供給される発電用燃料F
Lを用い、電気化学反応により電力を発生する燃料改質
方式を採用した固体高分子型の燃料電池の構成を有して
いる。
【0077】図12に示すように、主発電部12Aは、
大別して、燃料パック20から供給される発電用燃料F
Lに対して所定の改質反応を利用して、発電用燃料FL
に含有される所定の燃料成分(水素)を抽出する燃料改
質部(燃料改質器)210aと、燃料改質部210aに
より抽出された燃料成分を利用して電気化学反応によ
り、負荷214(デバイスDVC)を駆動するための所
定の電力(第1の電力)を発生する燃料電池本体210
bと、を有して構成されている。
【0078】燃料改質部210aは、図13(a)に示
すように、概略、燃料パック20から出力制御部14を
介して供給される発電用燃料FLに対して、蒸発及び水
蒸気改質反応からなる各過程を介して、燃料成分を抽出
し、燃料電池本体210bに供給する。例えば、メタノ
ール(CHOH)及び水(HO)を発電用燃料FL
として、水素ガス(H)を生成する場合にあっては、
まず、蒸発過程において、液体燃料であるメタノール及
び水に対してヒータで概ね100℃以上の温度条件の雰
囲気に設定することにより、メタノール(CHOH)
及び水(HO)を気化させる。
【0079】次いで、水蒸気改質反応過程においては、
上記気化したメタノール(CHOH)及び水(H
O)に対してヒータで概ね300℃の温度条件の雰囲
気を設定することにより、49.4kJ/molの熱エネルギ
ーを吸熱して、次の化学反応式(3)に示すように、水
素(H)と微量の二酸化炭素(CO)が生成され
る。なお、この水蒸気改質反応においては、水素
(H)と二酸化炭素(CO)以外に副生成物として
微量の一酸化炭素(CO)が生成される場合がある。 CHOH+HO → 3H+CO ・・・(3)
【0080】ここで、図13(b)に示すように、水蒸
気改質反応において副生成物として生成される一酸化炭
素(CO)を除去するための選択酸化触媒部210cを
燃料改質部210aの後段に付設して、水性シフト反応
及び選択酸化反応からなる各過程を介して、一酸化炭素
(CO)を二酸化炭素(CO)及び水素(H)に変
換して、有害物質の排出を抑止するように構成してもよ
い。具体的には、水性シフト反応過程において、一酸化
炭素(CO)に対して水(水蒸気;HO)を反応させ
ることにより40.2kJ/molの熱エネルギーを発熱し
て、次の化学反応式(4)に示すように、二酸化炭素
(CO)と水素(H)が生成される。 CO+HO →CO+H ・・・(4)
【0081】さらに、選択酸化反応過程において、水性
シフト反応により二酸化炭素(CO )と水素(H
に変換されなかった一酸化炭素(CO)に対して酸素
(O)を反応させることにより283.5kJ/molの熱
エネルギーを発熱して、次の化学反応式(5)に示すよ
うに、二酸化炭素(CO)が生成される。 CO+(1/2)O →CO ・・・(5)
【0082】上記一連の燃料改質反応により生成される
水素以外の微量の生成物(主に、二酸化炭素)は、発電
モジュール10Aに設けられた排出孔(図示を省略;具
体構成例において後述する)を介して、大気中に排出さ
れる。なお、このような機能を有する燃料改質部の具体
的な構成については、他の構成とともに、後述する具体
構成例において詳しく説明する。
【0083】燃料電池本体210bは、図12に示すよ
うに、上述した副電源部11に適用される燃料直接供給
方式の燃料電池と同様に、概略、例えば、白金やパラジ
ウム、さらには白金・ルテニウム等の触媒微粒子が付着
した炭素電極からなる燃料極(カソード)211と、白
金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極
(アノード)212と、燃料極211と空気極212の
間に介装されたフィルム状のイオン導電膜(交換膜)2
13と、を有して構成されている。ここで、燃料極21
1には、後述する出力制御部14により供給量が制御さ
れた発電用燃料FLから、上記燃料改質部210aによ
り抽出された水素ガス(H)が供給され、一方、空気
極212には大気中の酸素ガス(O)が供給される。
これにより、以下に示す電気化学反応により発電が行わ
れ、負荷214(デバイスDVCの負荷LD)に対して
所定の駆動電力(電圧・電流)となる電力が供給され
る。
【0084】本構成例に係る主発電部12における電気
化学反応の一例は、具体的には、燃料極211に水素ガ
ス(H)が供給されると、次の化学反応式(6)に示
すように、燃料極211における触媒反応により電子
(e)が分離して水素イオン(プロトン;H)が発
生し、イオン導電膜213を介して空気極212側に通
過するとともに、燃料極211を構成する炭素電極によ
り電子(e)が取り出されて負荷214に供給され
る。 3H → 6H+6e ・・・(6)
【0085】一方、空気極212に空気が供給される
と、次の化学反応式(7)に示すように、空気極212
における触媒反応により負荷214を経由した電子(e
)とイオン導電膜213を通過した水素イオン
(H)と空気中の酸素ガス(O)が反応して水(H
O)が生成される。 6H+(3/2)O+6e → 3HO ・・・(7)
【0086】このような一連の電気化学反応(化学反応
式(6)及び(7))は、概ね60〜80℃の比較的低
温の環境下で進行し、電力(負荷駆動電力)以外の副生
成物は、基本的に水(HO)のみとなる。ここで、空
気極212において生成される副生成物である水(H
O)を回収し、上述した燃料改質部210aに必要量を
供給することにより、発電用燃料FLの燃料改質反応や
水性シフト反応に再利用することができるとともに、燃
料改質反応のために燃料パック20に予め備蓄(封入)
される水(HO)の量を大幅に減らすことができ、さ
らには、燃料パック20内に設けられた副生成物を回収
する副生成物回収手段への回収量を大幅に減らすことが
できる。なお、空気極212で発生する水(HO)等
の副生成物を回収、再利用する副生成物回収手段の構成
については、上述した副電源部11における副生成物回
収手段(副電源部11の第1の構成例参照)とともに併
せて後述する。
【0087】なお、上述したような電気化学反応により
生成され、負荷214に供給される電力は、主発電部1
2A(燃料電池本体210bの燃料極211)に供給さ
れる水素ガス(H)の量に依存する。したがって、出
力制御部14を介して主発電部12に供給される発電用
燃料(実質的には水素ガス)FLの量を制御することに
より、デバイスDVCに供給される電力を任意に調整す
ることができ、例えば、汎用の化学電池のうちの1種と
同等になるように設定することができる。
【0088】このような構成を有する燃料改質方式の燃
料電池を主発電部に適用することにより、出力制御部1
4により発電用燃料FLの供給量を制御することによ
り、より効果的に任意の電力を発生することができるの
で、負荷駆動情報に基づいて、デバイスDVC(負荷L
D)の駆動状態に応じた適切な発電動作を実現すること
ができる。また、燃料電池としての構成を適用すること
により、電気化学反応により発電用燃料FLから直接電
力を発生することができるので、極めて高い発電効率を
実現することができ、発電用燃料FLの有効利用や主発
電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図るこ
とができる。
【0089】なお、上述した副電源部(第1の構成例参
照)11と同様に、発電用燃料FLとしてメタノールを
適用した場合についてのみ示したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、少なくとも、水素を主成分とす
る、又は、水素からなる液体燃料、液化燃料、及び気体
燃料のいずれかであればよい。したがって、メタノール
やエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料
や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス等の常温
常圧で気化される炭化水素からなる液化燃料、あるい
は、水素ガス等の気体燃料等を良好に適用することがで
きる。
【0090】ここで、発電用燃料FLとして、液化され
た水素や水素ガスをそのまま利用する場合にあっては、
本構成例に示したような燃料改質部210aを必要とす
ることなく、出力制御部14により供給量のみを制御し
た発電用燃料FLを、燃料電池本体210bに直接供給
する構成を適用することができる。また、主発電部12
の構成として、燃料改質方式の燃料電池のみを示した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した
副電源部(第1の構成例参照)11と同様に、電力発生
効率は低いが燃料直接供給方式の燃料電池を適用して、
上記液体燃料や液化燃料、気体燃料等を用いて電力を発
生するものであってもよい。
【0091】(主発電部の第2の構成例)図14は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の
第2の構成例を示す概略構成図である。第2の構成例に
おいては、主発電部の具体例として、燃料パック20か
ら出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを
用い、燃焼反応に伴う圧力エネルギーによりガス燃焼タ
ービン(内燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを電
力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0092】図14(a)、(b)に示すように、本構
成例に係る主発電部12Bは、概略、複数の羽根が円周
の所定の方向に沿って湾曲しつつ、略放射状に配列され
た吸気羽根222in及び排気羽根222outが連結し
て、自在に回転が可能なように構成された可動羽根22
2と、複数の羽根が可動羽根222(吸気羽根222in
及び排気羽根222out)の外周側に沿って、可動羽根
222とは逆方向に湾曲しつつ、略放射状に配列され、
かつ、可動羽根222に対して相対的に固定された吸気
羽根223in及び排気羽根223outからなる固定羽根
223と、可動羽根222により吸入された発電用燃料
(燃料ガス)FLを所定のタイミングで燃焼する燃焼室
224と、燃焼室224に吸入された燃料ガスに点火す
る点火部225と、可動羽根222の回転中心に直結さ
れ、周知の電磁誘導あるいは圧電変換の原理に基づい
て、可動羽根222の回転エネルギーを電力に変換する
発電器228と、可動羽根222と固定羽根223から
なるガス燃焼タービンへの気化された燃料ガスの供給
(吸入)を制御する吸気制御部226と、ガス燃焼ター
ビンにおける燃焼後の燃料ガス(排出ガス)の排出を制
御する排気制御部227と、を有して構成されている。
ここで、ガス燃焼タービン、吸気制御部226及び排気
制御部227を備えた主発電部12Bの構成は、上述し
た副電源部11と同様に、マイクロマシン製造技術を適
用することにより、例えば、シリコンチップ221上の
ミリメートルオーダーの微小空間に集積化して形成する
ことができる。なお、図14(a)においては、ガス燃
焼タービンの構成を明確にするために、吸気羽根222
in、223inが便宜的に露出するように示した。
【0093】このような主発電部12Bにおいて、例え
ば、図14(b)に示すように、吸気制御部226を介
してガス燃焼タービンの吸気羽根222in、223in側
から吸入した燃料ガスを、燃焼室224において所定の
タイミングで点火部225で点火、燃焼し、排気羽根2
22out、223out側から排出することにより(矢印P
5)、可動羽根222及び固定羽根223の湾曲方向に
沿って燃料ガスの渦流が生じ、該渦流によって、燃料ガ
スの吸入、排出が自動的に行われて、可動羽根222が
所定の方向に連続的に回転し、発電器228を駆動す
る。これにより、燃料ガスによる燃料エネルギーがガス
燃焼タービン及び発電器228を介して電力に変換され
る。
【0094】したがって、本構成例に係る主発電部12
Bにおいては、燃料ガスの燃焼エネルギーを用いて電力
を発生する構成を有しているので、燃料パック20から
供給される発電用燃料(燃料ガス)FLは、少なくと
も、発火性又は燃焼性を有することが要であり、例え
ば、メタノールやエタノールブタノール等のアルコール
系の液体燃料やジメチルエーテルやイソブタン、天然ガ
ス等の常温常圧で気化される炭化水素からなる液化燃
料、水素ガス等の気体燃料を良好に適用することができ
る。なお、燃焼後の燃料ガス(排出ガス)を電源システ
ム1の外部にそのまま排出する構成を適用する場合にあ
っては、排出ガスが燃焼性又は毒性がある成分を含む場
合は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無毒化す
る処理を行うか、該排出ガスを回収する手段を備える必
要があることはいうまでもない。
【0095】このような構成を有するガス燃焼タービン
を主発電部に適用することにより、上述した第1の構成
例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な
制御方法により、任意の電力を発生することができるの
で、デバイスDVCの駆動状態に応じた適切な発電動作
を実現することができる。また、微細化したガス燃焼タ
ービンとしての構成を適用することにより、比較的高い
エネルギー変換効率で電力を発生して、発電用燃料FL
の有効利用を図りつつ、主発電部12を含む発電モジュ
ール10Aの小型化を図ることができる。
【0096】(主発電部の第3の構成例)図15は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の
第3の構成例を示す概略構成図である。第3の構成例に
おいては、主発電部の具体例として、燃料パック20か
ら出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを
用い、燃焼反応による圧力エネルギーによりロータリー
エンジン(内燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを
電力に変換する発電装置としての構成を有している。
【0097】図15に示すように、第3の構成例に係る
主発電部12Cは、外周が概略、楕円型の作動空間23
1aを有するハウジング231、及び、作動空間231
aの内壁に沿って偏心しながら回転する略三角形状の断
面を有するローター232、圧縮された燃料ガスを点
火、燃焼させる点火部234を備えた周知のロータリー
エンジンと、中心軸233に直結された発電器(図示を
省略)と、を有して構成されている。ここで、ロータリ
ーエンジンからなる主発電部12Cの構成は、上述した
各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用する
ことにより、微小空間に集積化して形成することができ
る。
【0098】このような構成を有する主発電部12Cに
おいて、ローター232が回転することによる吸気、圧
縮、燃焼(爆発)、排気の各行程を繰り返すことによ
り、燃料ガスの燃焼により生じる圧力エネルギーを回転
エネルギーに変換して発電器に伝達する。すなわち、吸
気行程においては、図15(a)に示すように、吸気口
235aから燃料ガスが吸入されて、作動空間231a
の内壁とローター232により形成される所定の作動室
ASに充填され、次いで、圧縮行程において、図15
(b)に示すように、作動室AS内の燃料ガスが高い圧
力に圧縮された後、燃焼行程において、図15(c)に
示すように、所定のタイミングで点火部234により燃
料ガスを点火、燃焼(爆発)させ、排気行程において、
図15(d)に示すように、燃焼後の排出ガスが作動室
ASから排気口235bを介して排出される。この一連
の駆動行程において、燃焼行程における燃料ガスの爆
発、燃焼に伴う圧力エネルギーにより、ローター232
の所定方向(矢印P6)への回転が維持されて、中心軸
233への回転エネルギーの伝達が継続される。これに
より、燃料ガスによる燃焼エネルギーが中心軸233の
回転エネルギーに変換されて、該中心軸233に接続さ
れた発電器(図示を省略)により電力に変換される。
【0099】ここで、発電器の構成は、上述した第2の
構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換による周知の発電
器を適用することができる。また、本構成例において
も、燃料ガスの燃焼エネルギーに基づいて、電力を発生
する構成を有しているので、発電用燃料(燃料ガス)F
Lは、少なくとも、発火性又は燃焼性を有することを必
要とする。また、燃焼後の燃料ガス(排出ガス)を電源
システム1の外部にそのまま排出する構成を適用する場
合にあっては、排出ガスが燃焼性又は毒性がある成分を
含む場合は、排出ガスを外部に排出する前に難燃化や無
毒化する処理を行うか、該排出ガスを回収する手段を備
える必要があることはいうまでもない。
【0100】このような構成を有するロータリーエンジ
ンを主発電部に適用することにより、上述した各構成例
と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制
御方法により、任意の電力を発生することができるの
で、デバイスの駆動状態に応じた適切な発電動作を実現
することができる。また、微細化したロータリーエンジ
ンとしての構成を適用することにより、比較的簡易な構
成、かつ、振動の少ない動作により電力を発生しつつ、
主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化を図
ることができる。
【0101】(主発電部の第4の構成例)図16は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の
第4の構成例を示す概略構成図である。ここでは、第4
の構成例に適用される周知のスターリングエンジンの基
本構造(2ピストン形、ディスプレーサ形)のみを示
し、その動作を簡単に説明する。第4の構成例において
は、主発電部の具体例として、燃料パック20から出力
制御部14を介して供給される発電用燃料FLを用い、
燃焼反応による熱エネルギーによりスターリングエンジ
ン(外燃機関)を駆動し、その駆動エネルギーを電力に
変換する発電装置としての構成を有している。
【0102】第4の構成例に係る主発電部12Dにおい
て、2ピストン形スターリングエンジンは、図16
(a)に示すように、概略、互いに作動ガスが往復可能
に構成された高温(膨張)側のシリンダ241a及び低
温(圧縮)側のシリンダ242a、これらのシリンダ2
41a、242a内にあって、互いに90°の位相差を
有して往復運動するようにクランク軸243に接続され
た高温側ピストン241b及び低温側ピストン242
b、高温側のシリンダ241aを加熱する加熱器24
4、低温側のシリンダ242aを冷却する冷却器24
5、クランク軸243の軸芯に接続されたフライホイー
ル246を備えた周知のスターリングエンジンと、クラ
ンク軸243に直結された発電器(図示を省略)と、を
有して構成されている。
【0103】このような構成を有する主発電部12Dに
おいては、高温側のシリンダ241aを燃料ガスの燃焼
に伴う熱エネルギーにより常時加熱し、低温側のシリン
ダ242aを外気等、電源システム1内外の他の領域に
接触又は晒されることにより常時冷却した状態に保持
し、等容加熱、等温膨張、等容冷却、等温圧縮の各行程
を繰り返すことにより、高温側ピストン241b及び低
温側ピストン242bを往復運動させる運動エネルギー
を、クランク軸243の回転エネルギーに変換して発電
器に伝達する。
【0104】すなわち、等容加熱行程においては、作動
ガスの熱膨張を開始して高温側ピストン241bが下降
し始めると、高温側シリンダ241aと連続した空間で
ある小さい容積の低温側のシリンダ242aは、高温側
ピストン241bの急下降に伴う減圧により低温側ピス
トン242bが上昇し、低温側シリンダ242aの冷却
した作動ガスが高温側シリンダ241aに流入する。次
いで、等温膨張行程においては、高温側シリンダ241
a内に流入された冷却された作動ガスは、十分熱膨張し
て高温側シリンダ241a及び低温側のシリンダ242
a内の空間の圧力を上昇し、高温側ピストン241b及
び低温側ピストン242bがともに下降する。次いで、
等容冷却行程においては、低温側ピストン242bの下
降により低温側シリンダ242a内の空間が増大され、
それに伴い高温側シリンダ241a内の空間が収縮して
高温側ピストン241bが上昇し、高温側シリンダ24
1aの作動ガスが低温側シリンダ242aに流入して冷
却される。そして、等温圧縮行程においては、低温側シ
リンダ242a内の空間を満たす冷却された作動ガスは
収縮し、連続した低温側シリンダ242a及び高温側シ
リンダ241a内の空間はともに減圧され、高温側ピス
トン241b及び低温側ピストン242bがともに上昇
して、作動ガスが圧縮される。この一連の駆動行程にお
いて、燃料ガスの加熱、冷却に伴うピストンの往復運動
により、クランク軸243の所定方向(矢印P7)への
回転が維持される。これにより、作動ガスの圧力エネル
ギーがクランク軸243の回転エネルギーに変換され
て、該クランク軸243に接続された発電器(図示を省
略)により電力に変換される。
【0105】一方、第4の構成例に係る主発電部12D
において、ディスプレーサ形スターリングエンジンは、
図16(b)に示すように、概略、ディスプレーサピス
トン241dにより隔壁され、互いに作動ガスが往復可
能な高温空間と低温空間を有するシリンダ241c、こ
のシリンダ241c内にあって、往復運動可能に構成さ
れたディスプレーサピストン241d、シリンダ241
c内の圧力変化に応じて往復運動するパワーピストン2
42d、ディスプレーサピストン241d及びパワーピ
ストン242dが互いに90°の位相差を有するように
接続されたクランク軸243、シリンダ241cの一端
側(高温空間側)を加熱する加熱器244、シリンダ2
41cの他端側(低温空間側)を冷却する冷却器24
5、クランク軸243の軸芯に接続されたフライホイー
ル246を備えた周知のスターリングエンジンと、クラ
ンク軸243に直結された発電器(図示を省略)と、を
有して構成されている。
【0106】このような構成を有する主発電部12Dに
おいては、シリンダ241cの高温空間側を燃料ガスの
燃焼に伴う熱エネルギーにより常時加熱し、低温空間側
を常時冷却した状態に保持し、等容加熱、等温膨張、等
容冷却、等温圧縮の各行程を繰り返すことにより、ディ
スプレーサピストン241d及びパワーピストン242
dを所定の位相差で往復運動させる運動エネルギーを、
クランク軸243の回転エネルギーに変換して発電器に
伝達する。
【0107】すなわち、等容加熱行程においては、ディ
スプレーサピストン241dが加熱器244による作動
ガスの熱膨張が開始し上昇し始めると、低温空間側の作
動ガスが高温空間側に流入して加熱される。次いで、等
温膨張行程においては、増量した高温空間側の作動ガス
が熱膨張して圧力が上昇することにより、パワーピスト
ン242dが上昇する。次いで、等容冷却行程において
は、加熱器244による熱膨張した作動ガスの低温空間
側への流入によりディスプレーサピストン241dが下
降すると、高温空間側の作動ガスが低温空間側に流入し
て冷却される。そして、等温圧縮行程においては、低温
空間側のシリンダ241c内で冷却された作動ガスが収
縮して低温空間側のシリンダ241c内を減圧し、パワ
ーピストン242dが下降する。この一連の駆動行程に
おいて、作動ガスの加熱、冷却に伴うピストンの往復運
動により、クランク軸243の所定方向(矢印P7)へ
の回転が維持される。これにより、作動ガスの圧力エネ
ルギーがクランク軸243の回転エネルギーに変換され
て、該クランク軸243に接続された発電器(図示を省
略)により電力に変換される。
【0108】ここで、発電器の構成は、上述した第2、
第3の構成例と同様に、電磁誘導や圧電変換による周知
の発電器を適用することができる。また、図16に示し
たスターリングエンジンを備えた主発電部12Dの構成
も、上述した各構成例と同様に、微小空間に集積化して
形成される。さらに、本構成例においても、燃料ガスの
燃焼に伴う熱エネルギーに基づいて、電力を発生する構
成を有しているので、発電用燃料(燃料ガス)は、少な
くとも、発火性又は燃焼性を有している必要がある。
【0109】このような構成を有するスターリングエン
ジンを主発電部に適用することにより、上述した第3の
構成例と同様に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡
易な制御方法により、任意の電力を発生することができ
るので、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に応じ
た適切な発電動作を実現することができる。また、微細
化したスターリングエンジンとしての構成を適用するこ
とにより、比較的簡易な構成、かつ、振動の少ない動作
により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電モジ
ュール10Aの小型化を図ることができる。
【0110】なお、上述した第2乃至第4の構成例にお
いては、発電用燃料FLの燃焼反応に基づくガス圧力の
変化を回転エネルギーを介して電力に変換する発電装置
として、ガス燃焼タービン、ロータリーエンジン及びス
ターリングエンジンを備えたものを示したが、本発明は
これに限定されるものではなく、パルス燃焼エンジン等
の各種の内燃機関又は外燃機関と、周知の電磁誘導ある
いは圧電変換の原理を適用した発電器とを組み合わせた
ものを適用できることはいうまでもない。
【0111】(主発電部の第5の構成例)図17は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の
第5の構成例を示す概略構成図である。第5の構成例に
おいては、主発電部の具体例として、燃料パック20か
ら出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを
用い、燃焼反応(酸化反応)に基づいて熱エネルギーを
発生することにより生じる温度差を利用した熱電変換発
電により電力を発生する発電装置としての構成を有して
いる。
【0112】図17(a)に示すように、第5の構成例
に係る主発電部12Eは、概略、発電用燃料FLを燃焼
反応(酸化反応)させて熱エネルギーを発生させる燃焼
加熱器251と、概ね一定の温度を保持する定温部25
2と、燃焼加熱器251を第1の温度端、定温部252
を第2の温度端として、第1及び第2の温度端間に接続
された熱電変換素子253と、を備えた温度差発電器の
構成を有している。ここで、熱電変換素子253は、図
7(b)に示したものと同等の構成を有している。ま
た、燃焼加熱器251は、発電用燃料FLが供給される
ことにより、燃焼反応を継続的に維持して高温を保持
し、一方、定温部252は、電源システム1内外の他の
領域に接触又は晒されることにより、略一定の温度(例
えば、常温又は低温)を保持するように構成されてい
る。なお、図17に示した温度差発電器からなる主発電
部12Eの構成も、上述した各構成例と同様に、微小空
間に集積化して形成される。
【0113】このような構成を有する主発電部12Eに
おいて、図17(b)に示すように、燃料パック20に
封入された発電用燃料が出力制御部14を介して、燃焼
加熱器251に供給されると、発電用燃料の供給量に応
じて燃焼(酸化)反応が進行して発熱し、燃焼加熱器2
51の温度が上昇する。一方、定温部252の温度は、
ほぼ一定に設定されるように構成されているので、燃焼
加熱器251と定温部252との間には温度差が発生す
る。そして、この温度差に基づいて、熱電変換素子25
3におけるゼーベック効果により、所定の起電力が発生
して電力が生成される。
【0114】このような構成を有する温度差発電器を主
発電部に適用することにより、上述した各構成例と同様
に、発電用燃料FLの供給量を調整する簡易な制御方法
により、任意の電力を発生することができるので、デバ
イスDVC(負荷LD)の駆動状態に応じた適切な発電
動作を実現することができる。また、微細化した温度差
発電器としての構成を適用することにより、比較的簡易
な構成、かつ、振動のない動作により電力を発生しつ
つ、主発電部12を含む発電モジュール10Aの小型化
を図ることができる。なお、本構成例においては、燃焼
加熱器251と定温部252における温度差に基づい
て、ゼーベック効果により電力を発生する温度差発電器
について説明したが、本発明は、これに限定されるもの
ではなく、熱電子放出現象に基づいて、電力を発生する
構成を有するものであってもよい。
【0115】(主発電部の第6の構成例)図18は、本
実施形態に係る電源モジュールに適用可能な主発電部の
第6の構成例を示す概略構成図である。第6の構成例に
おいては、主発電部の具体例として、燃料パック20か
ら出力制御部14を介して供給される発電用燃料FLを
用い、電磁流体力学の原理により電力(起電力)を発生
する発電装置としての構成を有している。
【0116】図18(a)に示すように、第6の構成例
に係る主発電部12Fは、概略、導電性流体からなる発
電用燃料FLが所定の流束で通過する流路の側壁を構成
し、相互に対向する一対の電極ELa、ELbと、電極
ELa、ELbの対向方向及び発電用燃料FLの流路方
向のいずれにも垂直な方向に所定の強さの磁界を発生す
るNd−Fe−B系のネオジム永久磁石からなる磁界発
生手段MGと、各電極ELa、ELbに個別に接続され
た出力端子Oc、Odと、を備えたMHD(Magneto-Hy
dro-Dynamics;電磁流体力学)発電器の構成を有してい
る。ここで、発電用燃料FLは、プラズマや液体金属、
導電性物質を含有する液体又は気体等の導電性流体(作
動流体)であって、電極ELa、ELbに平行な方向
(矢印P8)に流動するように流路が形成されている。
なお、本構成例に係る主発電部12Fにおいても、上述
した各構成例と同様に、マイクロマシン製造技術を適用
して、微小空間に集積化して形成される。
【0117】このような構成を有する主発電部12Fに
おいて、図18(b)に示すように、磁界発生手段MG
により発電用燃料の流路方向に垂直に磁界Bを発生さ
せ、流束uで発電用燃料(導電性流体)FLを流路方向
に移動させることにより、ファラデーの電磁誘導の法則
に基づいて、発電用燃料FLが磁界を横切るときに起電
力u×Bが誘導され、発電用燃料FLが有するエンタル
ピーが電力に変換され、出力端子Oc、Od間に接続さ
れた負荷(図示を省略)に電流が流れる。これにより、
発電用燃料FLが有する熱エネルギーが直接電力に変換
される。
【0118】なお、MHD発電器の流路通過後の発電用
燃料(導電性流体)FLを電源システム1の外部にその
まま排出する構成を適用する場合にあっては、発電用燃
料FLが燃焼性又は毒性がある成分を含む場合は、発電
用燃料FLを外部に排出する前に難燃化や無毒化する処
理を行うか、該発電用燃料FLを回収する手段を備える
必要があることはいうまでもない。
【0119】このような構成を有するMHD発電器を主
発電部に適用することにより、流路を移動する発電用燃
料FLの速度を調整する簡易な制御方法により、任意の
電力を発生することができるので、デバイスDVCの駆
動状態に応じた適切な発電動作を実現することができ
る。また、微細化したMHD発電器としての構成を適用
することにより、駆動部品を必要としない極めて簡易な
構成により電力を発生しつつ、主発電部12を含む発電
モジュール10Aの小型化を図ることができる。
【0120】なお、上述した各構成例は、発電モジュー
ル10Aに適用される主発電部12の一例を示したに過
ぎず、本発明に係る電源システムの構成を何ら限定する
ものではない。要するに、本発明に適用される主発電部
12は、燃料パック20に封入された液体燃料又は液化
燃料又は気体燃料が直接的又は間接的に供給されること
により、主発電部12内部で電気化学反応や発熱、吸熱
反応に伴う温度差、圧力エネルギーや熱エネルギーの変
換作用、電磁誘導等に基づいて電力を発生することがで
きるものであれば、他の構成を有するものであってもよ
く、例えば、熱音響効果による外力発生手段と電磁誘導
や圧電変換による発電器とを組み合わせたもの等を良好
に適用することができる。
【0121】また、上述した各構成例のうち、第2乃至
第5の構成例を適用した主発電部12においては、主発
電部12に供給された発電用燃料FLを燃焼反応等させ
て熱エネルギーを取り出す際の点火動作のために、図3
に示したように、上述した副発電部11から供給される
電力(第2の電力)を起動電力として用いるように構成
されている。
【0122】<動作制御部13>本実施形態に係る発電
モジュールに適用される動作制御部13は、図3に示す
ように、上述した副発電部11から供給される動作電力
(第2の電力)により動作し、本実施形態に係る電源シ
ステム1内外の各種情報、すなわち、電源システム1に
接続されるデバイスDVC(負荷LD)の駆動状態に関
する情報(負荷駆動情報)や、燃料パック20に封入さ
れた発電用燃料の残量等の電源システム1の動作状態に
関する情報に基づいて、動作制御信号を生成、出力し、
後述する主発電部12における動作状態を制御する。こ
こで、負荷駆動情報とは、デバイスDVCにおいて、コ
ントローラCNTにより負荷LDを駆動制御する際に出
力される特定の信号情報や、負荷LDの駆動状態(起動
/負荷変動等)に応じて変動する負荷駆動電力(第1の
電力)の電圧変化等をいう。
【0123】すなわち、動作制御部13は、具体的に
は、主発電部12が動作していない状態で、例えば、デ
バイスDVC(負荷LD)の起動に伴って、コントロー
ラCNTから出力された負荷駆動情報を検出した場合に
は、後述する起動制御部15に対して、出力制御部14
及び主発電部12を起動させるための動作制御信号を出
力し(起動制御)、また、主発電部12が動作している
状態で、例えば、デバイスDVC(負荷LD)の駆動状
態の変動に伴って、負荷駆動電力の電圧変化に関連した
負荷駆動情報を検出した場合には、出力制御部14に対
して、主発電部12から負荷LDに供給される負荷駆動
電力(第1の電力)が、負荷LDの駆動状態に対応した
適切な値となるように、主発電部12における電力の発
生量(発電量)を調整するための動作制御信号を出力す
る(フィードバック制御)。
【0124】一方、動作制御部13は、主発電部12が
動作している状態で、例えば、上記フィードバック制御
を実行しているにも関わらず、デバイスDVC(負荷L
D)に供給されている負荷駆動電力が過剰となる状態に
関連した負荷駆動情報を所定の時間継続して検出した場
合には、起動制御部15に対して、出力制御部14及び
主発電部12の動作を停止させるための動作制御信号を
出力する(停止制御)。
【0125】なお、電源システム1の外形形状として、
後述するように、汎用の化学電池のように正極と負極の
端子電極のみによりデバイスDVC(負荷LD)と電気
的に接続された構成を適用する場合にあっては、正極及
び負極を介して、デバイスDVCに対して上記コントロ
ーラ電力や負荷駆動電力となる電力を供給するととも
に、その変動を動作制御部13により常時監視すること
により、負荷LDの駆動状態を検出するように構成する
ことができる。
【0126】<出力制御部14>図19は、本発明に係
る電源システムに適用される発電モジュールの一実施形
態の他の例の要部構成を示すブロック図である。本実施
形態に係る発電モジュールに適用される出力制御部14
は、図3に示すように、直接又は起動制御部15を介し
て、動作制御部13から出力される動作制御信号に基づ
いて、上述した副発電部11から供給される電力(起動
電力)により動作し、主発電部12における動作状態
(起動動作、定常動作、停止動作電力の発生量(発電
量))を制御する。
【0127】具体的には、例えば、発電用燃料の流量や
吐出量を調整する流量調整手段等を備え、上述した各構
成例に示した主発電部12において、所定の電力からな
る負荷駆動電力を生成、出力するために必要な量の発電
用燃料(液体燃料、液化燃料又は気体燃料)が供給され
るように、動作制御信号に基づいて流量調整手段を制御
する。
【0128】なお、本実施形態において、主発電部12
として上述した第1の構成例(図12参照)に示した燃
料改質方式の燃料電池の構成を適用した場合にあって
は、図19に示すように、出力制御部14の構成とし
て、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主
発電部12Aに供給される発電用燃料(燃料電池本体2
10bに供給する水素ガス)の量を制御する燃料制御部
14aと、主発電部12Aに供給される空気(燃料電池
本体210bに供給される酸素ガス)の量を制御する空
気制御部14bと、を備えるようにしてもよい。
【0129】この場合、燃料制御部14aは、動作制御
部13から出力される動作制御信号に基づいて、燃料電
池本体210bにおいて、所定の電力(第1の電力)を
発生するために必要な量の水素ガス(H)となる分の
発電用燃料や水等を、燃料パック20から取り込んで燃
料改質部210aに供給する制御を行い、また、空気制
御部14bは、上記水素ガスを用いた電気化学反応(化
学反応式(6)及び(7)参照)に応じた必要な量の酸
素ガス(O)を、大気中から取り込んで燃料電池本体
210bの空気極212に供給する制御を行う。このよ
うな燃料制御部14a及び空気制御部14bにより主発
電部12への水素ガス(H)及び酸素ガス(O)の
供給量を調整することにより、主発電部12(燃料電池
本体210b)における電気化学反応の進行状態が制御
され、負荷駆動電力となる電力の発生量(発電量)が制
御される。
【0130】ここで、空気制御部14bは、主発電部1
2における単位時間当たりの酸素の最大消費量に相当す
る空気を供給することができるものであれば、主発電部
12の空気極212に供給する酸素ガスの量を制御する
ことなく、主発電部12の動作時に常に供給するように
設定されていてもよい。すなわち、図19に示した発電
モジュール10Aの構成においては、出力制御部14
は、電気化学反応の進行状態を燃料制御部14aのみで
制御し、空気制御部14bの代わりに後述するような通
気孔(スリット)を設け、主発電部12における電気化
学反応に用いられる最低限以上の量の空気(酸素)が該
通気孔を介して、常時供給されるように構成されている
ものであってもよい。
【0131】<起動制御部15>本実施形態に係る発電
モジュールに適用される起動制御部15は、図3に示し
たように、上述した副発電部11から供給される電力に
より動作し、動作制御部13から出力される動作制御信
号に基づいて、少なくとも、出力制御部14(構成によ
っては、主発電部12を含む)に対して電力(起動電
力)を供給して、主発電部12を待機状態から発電可能
な動作状態に移行する起動制御を行う。
【0132】具体的には、図19に示した構成にあって
は、起動制御部15は、主発電部12A(燃料電池本体
210b)が動作していない状態で、動作制御部13か
ら主発電部12Aを起動させるための動作制御信号を受
け取ると、燃料制御部14a、空気制御部14b及び主
発電部12A(燃料改質部210a)に対して、副電源
部11から出力される起動電力を供給して動作状態に制
御し、燃料電池本体210bの燃料極211に水素ガス
(H)を、また、空気極212に酸素ガス(O)を
供給することにより、燃料電池本体210bを起動させ
て、所定の電力(第1の電力)を発生する動作状態(定
常状態)に移行させる。
【0133】また、起動制御部15は、主発電部12A
が駆動している状態で、動作制御部13から主発電部1
2A(燃料電池本体210b)を停止させるための動作
制御信号を受け取ると、少なくとも、燃料制御部14a
及び空気制御部14bを制御して、燃料電池本体210
bへの水素ガス(H)及び酸素ガス(O)の供給を
停止することにより、燃料電池本体210bにおける電
力の生成(発電)を停止させて、副発電部11、及び、
該副発電部11からの電力(動作電力、コントローラ電
力)により動作制御部13及びデバイスDVCのコント
ローラCNTのみが動作している待機状態に移行させ
る。
【0134】なお、ここでは、主発電部12として、燃
料改質方式の燃料電池を適用し、起動制御部15により
出力制御部14(燃料制御部14a及び空気制御部14
b)及び主発電部12Aへの起動電力の供給を制御し
て、主発電部12Aへの発電用燃料及び空気の供給、遮
断を制御することにより、主発電部12Aの動作状態
(起動動作、停止動作)を制御する場合について説明し
たが、上述した他の構成例(例えば、内燃機関や外燃機
関等を備えた発電装置)を主発電部12に適用する場合
であっても、略同等の制御により、主発電部12の動作
状態が制御される。また、主発電部12として、燃料直
接供給方式の燃料電池を適用する場合等、主発電部12
において起動電力を必要とすることなく、発電用燃料の
供給、遮断を制御するだけで、起動制御部15により出
力制御部14(燃料制御部14a)に対してのみ起動電
力の供給を制御するものであってもよい。
【0135】さらに、図3に示した構成においては、起
動制御部15及び出力制御部14(図19に示した構成
においては、燃料制御部14a)には、副発電部11か
らの電力が動作電力又は起動電力として供給されるが、
主発電部12の定常動作時に出力制御部14等で消費す
る電力が副発電部11から供給される電力のみでは十分
でない場合には、副発電部11からの電力に加えて、主
発電部12で生成される電力の一部を出力制御部14等
に出力することにより維持することができる(図3、図
19中、点線矢印参照)。このとき、電源システムとし
て、デバイスに駆動電力として供給される電力が損なわ
れないように、出力制御部14は、出力制御部14自体
で消費される電力の上積み分に相当する発電用燃料及び
デバイスに供給される電力分に相当する発電用燃料の総
量を、主発電部12に供給するように制御する。なお、
図18に示した構成にあっては、燃料制御部14aによ
り、上記発電用燃料の総量を燃料改質部210aを介し
て燃料電池本体210bの燃料極211に供給するとと
もに、空気制御部14bにより、燃料電池本体210b
において十分な電力を発生(発電)するために必要な酸
素量を満たす空気を燃料電池本体210bの空気極21
2に供給するように制御する。
【0136】(B)燃料パック20 本発明に係る電源システムに適用される燃料パック20
は、例えば、その組成成分に水素を含有する液体燃料や
液化燃料、又は、気体燃料からなる発電用燃料FLが、
充填、封入された密閉性の高い燃料貯蔵容器であって、
図2に示したように、発電モジュール10に対して、I
/F部30を介して着脱可能に結合された構成、又は、
一体的に結合された構成を有している。ここで、燃料パ
ック20に封入された発電用燃料FLは、後述するI/
F部30に設けられた燃料送出経路を介して発電モジュ
ール10に取り込まれ、上述した出力制御部14によ
り、デバイスDVCの駆動状態(負荷状態)に応じた所
定の電力(第1の電力)を発生するために必要な供給量
の発電用燃料FLが、主発電部12に随時供給される。
【0137】また、副発電部11として、上述したよう
に、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの一部
を用い、電気化学反応や触媒燃焼反応、力学的なエネル
ギー変換作用等を利用して、電力(第2の電力)を発生
する構成を適用する場合には、少なくとも、デバイスD
VCのコントローラ電力及び動作制御部13の動作電力
となる電力を発生するために必要な最低限の供給量の発
電用燃料FLが、I/F部30を介して副発電部11に
常時供給される。
【0138】特に、電源システム1として、発電モジュ
ール10と燃料パック20が着脱可能な構成を適用した
場合にあっては、燃料パック20が発電モジュール10
に結合された状態でのみ、発電モジュール10に発電用
燃料FLを供給する。この場合、燃料パック20は、発
電モジュール10に結合されていない状態では、内部に
封入された発電用燃料FLが燃料パック20外部に漏出
しないように、例えば、燃料パック20内部の燃料封入
圧力やバネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁等
からなる燃料漏出防止手段を備え、I/F部30を介し
て発電モジュール10に結合されることにより、I/F
部30に設けられ、燃料漏出防止手段による漏出防止機
能を解除する手段(漏出防止解除手段)が接触又は押圧
することによって、例えば、上記制御弁の閉止状態を解
除して、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを
I/F部30を介して発電モジュール10に供給する。
なお、この構成を有する燃料パック20においては、燃
料パック20に封入された発電用燃料FLがなくなる前
に、発電モジュール10から燃料パック20が分離され
た場合には、上記燃料漏出防止手段の漏出防止機能が再
び作動することにより(例えば、漏出防止解除手段が非
接触状態となることにより、上記制御弁が再び閉止状態
になって)、発電用燃料FLの漏出が防止され、燃料パ
ック20単独での持ち運びが可能となる。
【0139】ここで、燃料パック20は、上述したよう
な燃料貯蔵容器としての機能を有しつつ、特定の環境条
件下において、元来自然界に存在し、かつ、自然を構成
する物質、又は、環境汚染等の発生を生じない物質への
変換が可能な材料により構成されていることが好まし
い。すなわち、燃料パック20は、例えば、自然界に投
棄又は埋め立て処理された場合であっても、土壌中の微
生物や酵素等の働き、あるいは、太陽光線の照射、雨水
や大気等により、自然界に無害な物質(元来自然界に存
在し、かつ、自然を構成する物質、例えば、水と二酸化
炭素等)に変換される各種の分解反応からなる特性、例
えば、生分解性や光分解性、加水分解性、酸化分解性等
の分解特性を有する高分子材料(プラスチック)等によ
り構成することができる。
【0140】また、燃料パック20は、人為的な加熱・
焼却処理や薬品・化学処理等を行った場合であっても、
有機塩素化合物(ダイオキシン類;ポリ塩化ジベンゾパ
ラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン)や塩化水素ガ
ス、重金属等の有害物質もしくは環境汚染物質を発生し
ない、又は、発生が抑制された材料により構成されてい
るものであってもよい。ここで、燃料パック20を構成
する材料(例えば、上記高分子材料)は、封入される発
電用燃料FLとの接触により、少なくとも短期間で分解
されるおそれがなく、また、封入される発電用燃料FL
を、少なくとも短期間で燃料としての利用が不可能とな
るほど変質させるものではないことはいうまでもなく、
さらに、該高分子材料により構成された燃料パック20
が、外的な物理的応力に対して十分な強度を有している
ものであることもいうまでもない。
【0141】なお、上述したように、化学電池のリサイ
クルによる回収率は、僅か20%程度に過ぎず、残りの
80%程度が自然界に投棄、又は、埋め立て処理されて
いる現状を鑑みると、燃料パック20の材料としては、
分解特性を有する材料、特に、生分解性プラスチックを
適用することが望ましく、具体的には、石油系又は植物
系原料から合成される化学合成型の有機化合物を含む高
分子材料(ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、共重合ポリ
エステル等)や、微生物産生型のバイオポリエステル、
トウモロコシやサトウキビ等の植物系原料から抽出され
るでんぷんやセルロース、キチン、キトサン等からなる
天然物利用型の高分子材料等を良好に適用することがで
きる。
【0142】また、本実施形態に係る電源システム1に
用いられる発電用燃料FLとしては、少なくとも、発電
用燃料FLが封入された上記燃料パック20が、自然界
に投棄、又は、埋め立て処理されて、大気中や土壌中、
水中に漏れ出した場合であっても、自然環境に対して汚
染物質とならないこと、上述した発電モジュール10の
主発電部12において、高いエネルギー変換効率で電力
を発生することができること、所定の封入条件(圧力、
温度等)の下で安定した液体状態又は気体状態を保持
し、好ましくは、常温、常圧下で気化して気体の状態で
発電モジュール10に供給される燃料物質であることが
好ましく、具体的には、上述したメタノールやエタノー
ル、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、常温、
常圧下で気体であるジメチルエーテルやイソブタン、天
然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、もしくは、水素
ガス等の気体燃料を良好に適用することができる。な
お、後述するように、燃料パック内の発電用燃料の封入
状態を安定化させる燃料安定化手段等の構成を設けて、
電源システムの安全性をより高めるようにすることもで
きる。
【0143】このような構成を有する燃料パック20及
び発電用燃料FLによれば、本実施形態に係る電源シス
テム1の全部又は一部(燃料パック20や発電用燃料F
L等)が、仮に自然界に投棄された場合や、人為的に埋
め立て処理、焼却処分、薬品処理等された場合であって
も、自然環境に対して大気や土壌、水質の汚染、あるい
は、環境ホルモンの生成等を大幅に抑制することがで
き、環境破壊の防止や自然環境の美観悪化の抑制、人体
に対する悪影響の防止に寄与することができる。
【0144】また、燃料パック20を発電モジュール1
0に対して、着脱可能に構成した場合にあっては、封入
された発電用燃料の残量が減少、又は、なくなった場合
には、燃料パック20への発電用燃料FLの補充や燃料
パック20の交換、再利用(リサイクル)を行うことが
できるので、燃料パック20や発電モジュール10の廃
棄量を大幅に削減することができるリサイクルシステム
の構築に寄与することができる。また、単一の発電モジ
ュール10に対して、新たな燃料パック20を交換して
取り付け、デバイスDVCに装着して利用することがで
きるので、汎用の化学電池と略同様に、簡便な使用形態
の電源システムを提供することができる。
【0145】なお、発電モジュール10の副電源部11
及び主発電部12における電力の発生に際し、電力以外
に副生成物が生じる場合であって、該副生成物が周辺環
境に悪影響を及ぼす場合や、デバイスDVCに対して動
作不良等の機能上の影響を及ぼす場合等には、後述する
副生成物回収手段により回収された該副生成物を保持す
る手段を、燃料パック20内部に設けた構成を適用する
ことができる。この場合、燃料パック20は、発電モジ
ュール10から取り外された状態では、燃料パック20
内(回収保持手段)に一旦回収保持された副生成物が燃
料パック20外部に漏出しないように、例えば、副生成
物を吸収、吸着固定、定着等することができる吸収ポリ
マーや、バネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁
等を備えた構成を適用することができる。副生成物の回
収保持手段の構成については、上記副生成物回収手段と
ともに併せて後述する。
【0146】(C)I/F部30 本発明に係る電源システムに適用されるI/F部30
は、図2に示したように、少なくとも、発電モジュール
10と燃料パック20を物理的に結合するとともに、燃
料パック20に封入された発電用燃料FLを、燃料送出
経路を介して、所定の状態で発電モジュール10に供給
する機能を備えている。ここで、上述したように、電源
システム1として、発電モジュール10と燃料パック2
0が着脱可能な構成を適用した場合にあっては、I/F
部30は、上記燃料送出経路に加え、燃料パック20に
設けられた燃料漏出防止手段の漏出防止機能を解除する
漏出防止解除手段を備えている。さらに、後述するよう
に、発電モジュール10の副電源部11及び主発電部1
2において生成される副生成物を回収する副生成物回収
手段をも備えた構成を適用する場合にあっては、該副生
成物を燃料パック20内に送出するための副生成物回収
経路を設けた構成を有している。
【0147】I/F部30は、具体的には、燃料送出経
路を介して、燃料パック20に所定の条件(温度、圧力
等)の下で封入された発電用燃料FLを液体燃料や液化
燃料として、あるいは、気化して気体燃料(燃料ガス)
として発電モジュール10(副電源部11及び主発電部
12)に供給する。したがって、発電モジュール10と
燃料パック20がI/F部30を介して一体的に構成さ
れた電源システムにおいては、燃料パック20に封入さ
れた発電用燃料FLが、燃料送出経路を介して、常時発
電モジュール10に常時供給可能な状態にあり、一方、
発電モジュール10と燃料パック20がI/F部30を
介して着脱可能に構成された電源システムにおいては、
燃料パック20が発電モジュール10に結合されること
により、燃料パック20に設けられた燃料漏出防止手段
の漏出防止機能が漏出防止解除手段により解除され、燃
料送出経路を介して、発電モジュール10に発電用燃料
FLが供給可能な状態となる。
【0148】なお、発電モジュール10と燃料パック2
0がI/F部30を介して一体的に構成された電源シス
テムにおいては、当該電源システムをデバイスに装着す
るか否かに関わらず、常時発電用燃料が発電モジュール
に供給され、副電源部11において電力の生成が行われ
るため、発電用燃料の有効利用が図れない場合がある。
したがって、例えば、少なくとも、電源システムの使用
前(デバイスへの装着前)においては、I/F部30の
燃料送出経路を遮断(遮蔽)状態に保持し、使用に際し
て上記遮断状態を解除し、燃料送出経路を燃料供給可能
状態に不可逆的に制御(貫通)する構成を適用すること
により、発電用燃料の有効利用を図ることができる。
【0149】<全体動作>次に、上述した構成を有する
電源システムの全体動作について、図面を参照して説明
する。図20は、電源システムの概略動作を示すフロー
チャートである。上述した構成を有する電源システム1
は、図20に示すように、大別して、燃料パック20に
封入された発電用燃料FLを発電モジュール10Aに供
給して、副電源部11において上記動作電力及びコント
ローラ電力となる電力(第2の電力)を常時継続的に生
成して出力する初期動作(ステップS101、S10
2)と、デバイスDVCにおける負荷LDの駆動に基づ
いて、燃料パック20に封入された発電用燃料FLを主
発電部12に供給して、負荷駆動電力となる電力(第1
の電力)を発生して出力する起動動作(ステップS10
3〜S106)と、上記負荷LDの駆動状態の変化に基
づいて、主発電部12に供給される発電用燃料FLの量
を調整して、負荷の駆動状態に応じた電力を発生して出
力するフィードバック制御を行う定常動作(ステップS
107〜S110)と、上記負荷LDの停止に基づい
て、主発電部12への発電用燃料FLの供給を遮断し
て、電力の生成を停止する停止動作(ステップS111
〜S114)と、を実行するように制御される。これに
より、既存のデバイスDVCにおいても適用可能な電源
システムが実現される。
【0150】(A)初期動作 まず、初期動作においては、発電モジュール10Aと燃
料パック20がI/F部30を介して一体的に構成され
た電源システムにおいては、例えば、デバイスへの装着
に際して、I/F部30の燃料送出経路の遮断状態を解
除することにより、燃料送出経路の毛細管現象により燃
料パック20に封入された発電用燃料が燃料送出経路内
を移動して、発電モジュール10Aの副電源部11に自
動的に供給され(ステップS101)、副電源部11に
おいて、少なくとも、動作制御部13の動作電力、及
び、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTの
駆動電力(コントローラ電力)となる電力(第2の電
力)が自立的に生成され、常時継続的に出力される(電
源システムがデバイスDVCに接続されるまでは、動作
制御部13の動作電力となる電力のみが出力される)
(ステップS102)。
【0151】一方、発電モジュール10Aと燃料パック
20が着脱可能に構成された電源システムにおいては、
燃料パック20をI/F部30を介して発電モジュール
10Aに結合することにより、燃料パック20に設けら
れた燃料漏出防止手段の漏出防止機能が解除され、燃料
パック20に封入された発電用燃料が燃料送出経路の毛
細管現象により燃料送出経路内を移動して、発電モジュ
ール10Aの副電源部11に自動的に供給され(ステッ
プS101)、副電源部11において、少なくとも、上
記動作電力及びコントローラ電力となる電力(第2の電
力)が自立的に生成され、常時継続的に出力される(電
源システムがデバイスDVCに接続されるまでは、動作
制御部13の動作電力となる電力のみが出力される)
(ステップS102)。
【0152】これにより、発電モジュール10Aの動作
制御部13が動作状態になって、デバイスDVCからの
負荷駆動情報を監視する。また、電源システムがデバイ
スDVCに接続されることにより、デバイスDVCに内
蔵されたコントローラCNTが駆動状態になって、デバ
イスDVCの負荷LDの駆動を制御するとともに、該駆
動状態を電源システム1(発電モジュール10A)の動
作制御部13に負荷駆動情報として通知する。
【0153】(B)起動動作 次いで、起動動作においては、デバイスDVCのユーザ
ー等が負荷LDを駆動するための操作を行うと、コント
ローラCNTから発電モジュール10Aの動作制御部1
3に対して負荷駆動電力となる電力(第1の電力)の供
給を要求する電力供給要求信号が負荷駆動情報として出
力される。動作制御部13は、電源システム1の端子部
184を介して入力される電圧変位からなる該負荷駆動
情報を受け取ると(ステップS103)、起動制御部1
5に対して主発電部における動作を開始(起動)するた
めの動作制御信号を出力する(ステップS104)。起
動制御部15は、動作制御部13からの動作制御信号に
基づいて、出力制御部14及び主発電部12に対して、
副電源部11により生成される電力の一部を起動電源と
して供給することにより(ステップS105)、燃料パ
ック20に封入された発電用燃料FLを、出力制御部1
4を介して主発電部12に供給して、負荷駆動電力とな
る電力(第1の電力)を発生してデバイスDVC(負荷
LD)に出力する動作を行う(ステップS106)。こ
れにより、負荷LDの駆動に対して、発電用燃料が供給
されて主発電部12が自動的に起動し、所定の出力電圧
からなる負荷駆動電力が供給されるので、汎用の化学電
池と略同等の電力的特性を実現しつつ、負荷LDを良好
に駆動することができる。
【0154】なお、この起動動作において、動作制御部
13は、主発電部12により生成され、デバイスDVC
に供給される電力(負荷駆動電力)の電圧変化を負荷駆
動情報の一つとして監視し、該電圧データそのもの、も
しくは、所定の電圧に到達したことを示す起動終了信号
を、デバイスDVCのコントローラCNTに出力するよ
うに構成されているものであってもよい。これにより、
負荷駆動電力の電圧値に基づいて、負荷LDの駆動状態
を制御する構成を有するデバイスDVCに対しても、電
力として良好に適用することができる。
【0155】(C)定常動作 次いで、定常動作においては、動作制御部13は、主発
電部12により生成され、デバイスDVCに供給される
負荷駆動電力の出力電圧の変化を負荷駆動情報として常
時監視し、該負荷駆動電力の出力電圧が所定の電圧範囲
(例えば、汎用の化学電池における出力電圧の変動範
囲)内に設定されるように、主発電部12において生成
される電力の量(発電量)を増減制御するための動作制
御信号を出力制御部14に出力する。出力制御部14
は、動作制御部13からの動作制御信号に基づいて、主
発電部12に供給する発電用燃料FLの量を調整して、
デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が
上記電圧範囲に設定されるようにフィードバック制御を
行う。これにより、デバイスDVC側の負荷LDの駆動
状態(負荷状態)の変化により、負荷駆動電力に電圧変
化が生じた場合であっても、該負荷LDの駆動に伴って
変化するデバイスDVCの消費電力に対応した電力を供
給することができる。
【0156】また、デバイスDVCのコントローラCN
Tにより、負荷LDの駆動状態が把握され、該駆動状態
に応じた電力の供給を電源システム側に要求する機能を
備えている場合にあっては、動作制御部13は、コント
ローラCNTからの電力変更要求信号を負荷駆動情報と
して受け取り(ステップS107)、主発電部12にお
いて生成される電力を上記要求に応じた出力電圧に設定
するための動作制御信号を出力制御部14に出力する
(ステップS108)。出力制御部14は、動作制御部
13からの動作制御信号に基づいて、主発電部12に供
給する発電用燃料FLの量を調整して(ステップS10
9)、デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力
電圧が上記要求に応じた電圧に設定されるように制御す
る(ステップS110)。これにより、デバイスDVC
側の負荷LDの駆動状態(負荷状態)に応じて適切な電
力が供給されるので、負荷LDの駆動状態の変化に伴う
負荷駆動電力の電圧変化が大幅に抑制され、デバイスD
VCにおける動作異常の発生を抑制することができる。
【0157】(D)停止動作 次いで、上述した定常動作においてフィードバック制御
中に、デバイスDVCがオン状態からオフ状態に移行す
る場合、あるいは、何らかの理由によりデバイスDVC
や電源システム1が異常動作を引き起こした場合には、
デバイスDVCに供給される負荷駆動電力の出力電圧が
所定の電圧範囲を逸脱する状態が所定時間に達するまで
継続されるので、この電圧範囲及び継続時間の条件を満
たしたと動作制御部13が判定すると、該出力電圧異常
を負荷駆動情報として扱い(ステップS111)、主発
電部12における電力の生成を停止するための動作制御
信号を出力制御部14に出力する(ステップS11
2)。出力制御部14は、動作制御部13からの動作制
御信号に基づいて、主発電部12への発電用燃料FLの
供給を遮断するとともに、水素生成のための吸熱反応を
促進するためのヒータの加熱を停止して(ステップS1
13)、デバイスDVCへの負荷駆動電力の供給を停止
する(ステップS114)。すなわち、デバイスDVC
のユーザー等が負荷LDを停止する操作を行うことによ
り、あるいは、電源システム1がデバイスDVCから取
り外されること等により、負荷がなくなると、上述した
定常動作において、負荷駆動電力の出力電圧を所定の電
圧範囲に設定するフィードバック制御を行った場合であ
っても、予め設定した負荷駆動電力の電圧範囲を大きく
逸脱するため、動作制御部13により、このような状態
が一定時間以上継続して検出された場合には、デバイス
DVCの負荷LDが停止または無くなったと判断して主
発電部12における発電動作を停止する。
【0158】また、デバイスDVCのコントローラCN
Tにより、負荷LDの停止状態が把握され、電力の供給
停止を電源システム側に要求する機能を備えている場合
にあっては、動作制御部13は、コントローラCNTか
らの電力停止要求信号を負荷駆動情報として受け取り
(ステップS111)、主発電部12における電力の生
成を停止するための動作制御信号を出力制御部14に出
力する(ステップS112)。出力制御部14は、動作
制御部13からの動作制御信号に基づいて、主発電部1
2への発電用燃料FLの供給を遮断して(ステップS1
13)、主発電部12の動作を停止し(ステップS11
4)、デバイスDVCへの負荷駆動電力の供給を停止す
る。これにより、デバイスDVCにおける負荷LDの停
止等に対して、発電用燃料の供給が遮断されて主発電部
12が自動的に停止するので、デバイスDVCが正常に
駆動する間だけ主発電部12が発電することになり、発
電用燃料の有効利用を図りつつ、長期にわたって起電力
を維持することができる。
【0159】このように、本実施形態に係る電源システ
ムによれば、電源システムの外部から燃料等の供給を受
けることなく、電源システムに接続される負荷(機器
等)の駆動状態(負荷駆動情報)に応じて、所定の駆動
電力となる電力の供給、停止制御、及び、電力の発生量
の調整制御を行うことができるので、発電用燃料を効率
的に消費することができる。したがって、汎用の化学電
池と略同等の電気的特性を実現しつつ、環境への負担が
小さく、かつ、エネルギーの利用効率が極めて高い電源
システムを提供することができる。
【0160】また、本実施形態に係る電源システムにお
いては、後述するように、発電モジュールを、マイクロ
マシン製造技術を適用して微小空間に集積化して形成す
ることにより小型軽量化し、単3型等のように日本工業
規格(JIS)等の規格に則った汎用の化学電池と同等
の形状及び寸法になるように構成することにより、外形
形状及び電気的特性(電圧/電流特性)のいずれにおい
ても汎用の化学電池との高い互換性を実現することがで
き、既存の電池市場における普及を一層容易なものとす
ることができる。これにより、環境問題やエネルギー利
用効率等の点で課題が多い既存の化学電池に替えて、燃
料電池等の有害物質の排出が大幅に抑制され、かつ、高
いエネルギー利用効率を実現することができる発電装置
を適用した電源システムを容易に普及させることができ
るので、環境への影響を抑制しつつ、エネルギー資源の
利用効率を図ることができる。
【0161】[第2の実施形態]次に、本発明に係る電
源システムに適用される発電モジュールの第2の実施形
態について、図面を参照して説明する。図21は、本発
明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第
2の実施形態を示すブロック図である。ここで、上述し
た第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号
を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0162】上述した第1の実施形態に係る発電モジュ
ール10Aにおいては、副電源部11において利用され
た発電用燃料FLを排出ガスとして電源システム1の外
部にそのまま排出するか、あるいは、後述する副生成物
回収手段により回収する構成について言及したが、本実
施形態に係る発電モジュール10Bにおいては、副電源
部11における発電動作が発電用燃料FLの成分変化を
伴わない場合、もしくは、成分変化を伴った場合であっ
ても特定の燃料成分が含まれている場合には、副電源部
11において利用された発電用燃料FLを、主発電部1
2における発電用燃料として、そのまま、もしくは、特
定の燃料成分を抽出して再度利用する構成を有してい
る。
【0163】具体的には、図21に示すように、本実施
形態に係る発電モジュール10Bは、上述した第1の実
施形態(図3参照)と同様の構成及び機能を有する副電
源部11と、主発電部12と、動作制御部13と、出力
制御部14と、起動制御部15とを備え、特に、副電源
部11において電力の生成に利用された後の発電用燃料
(排出ガス)の全部又はその一部が、発電モジュール1
0Bの外部に排出されることなく、出力制御部14を介
して、主発電部12に供給されるように構成されてい
る。
【0164】すなわち、本実施形態に適用される副電源
部11は、燃料パック20からI/F部30を介して供
給される発電用燃料FLの燃料成分を消費、変換するこ
となく、所定の電力(第2の電力)を発生、出力するこ
とができる構成(例えば、上述した第1の実施形態にお
ける第2、第3、第5又は第7の構成例に示した発電装
置)、もしくは、発電用燃料FLの燃料成分を消費、変
換する場合であっても、主発電部12における発電動作
に利用可能な燃料成分を含む排出ガスを生成する構成
(例えば、上述した第1の実施形態における第4又は第
6の構成例に示した発電装置)を有している。
【0165】また、主発電部12として、上述した第1
の実施形態における第1乃至第6の構成例に示した発電
装置を適用する場合にあっては、燃料パック20に封入
される発電用燃料FLとして、発火性又は燃焼性を有す
る燃料物質、例えば、メタノールやエタノールブタノー
ル等のアルコール系の液体燃料やジメチルエーテルやイ
ソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、水
素ガス等の気体燃料が適用される。
【0166】すなわち、上記液体燃料や液化燃料は、所
定の封入条件(温度、圧力等)で燃料パック20に封入
された状態では液体であり、副電源部11に供給される
際の常温、常圧等の所定の環境条件に移行することによ
り、気化して高圧の燃料ガスとなり、また、気体燃料
は、所定の圧力で圧縮した状態で燃料パック20に封入
され、副電源部11に供給される際に、封入圧力に応じ
た高圧の燃料ガスとなるので、このような発電用燃料F
Lにより、例えば、副電源部11において燃料ガスの圧
力エネルギーを用いて電力(第2の電力)を発生した
後、主発電部12において副電源部11の排出ガスを用
いた電気化学反応や燃焼反応等により電力(第1の電
力)を発生することができる。
【0167】[第3の実施形態]次に、本発明に係る電
源システムに適用される発電モジュールの第3の実施形
態について、図面を参照して説明する。図22は、本発
明に係る電源システムに適用される発電モジュールの第
3の実施形態を示すブロック図である。ここで、上述し
た第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号
を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0168】上述した第1及び第2の実施形態に係る発
電モジュール10A、10Bにおいては、副電源部11
として、燃料パック20から供給される発電用燃料FL
を用いて、所定の電力(第2の電力)を常時、自立的に
発生する構成を適用した場合について説明したが、本実
施形態に係る発電モジュールにおいては、副電源部が燃
料パック20に封入された発電用燃料FLを用いること
なく、所定の電力を常時、自立的に発生する構成を有し
ている。
【0169】具体的には、図22に示すように、本実施
形態に係る発電モジュール10Cは、上述した第1の実
施形態(図3参照)と同様の構成及び機能を有する主発
電部12と、動作制御部13と、出力制御部14と、起
動制御部15とを備えるとともに、燃料パック20に封
入された発電用燃料FLを用いることなく、所定の電力
(第2の電力)を常時、自立的に発生する副電源部11
Sを備えた構成を有している。副電源部11Sの具体的
な構成としては、例えば、電源システム1の周辺環境に
おける温度差に基づく熱電変換によるもの(温度差発
電)のほか、電源システム1の外部から入射する光エネ
ルギーに基づく光電変換によるもの(太陽光発電)等を
良好に適用することができる。
【0170】以下に、副電源部11Sの具体例を図面を
参照して簡単に説明する。 (非燃料型副電源部の第1の構成例)図23は、本実施
形態に係る電源モジュールに適用可能な副電源部の第1
の構成例を示す概略構成図である。第1の構成例におい
ては、副電源部の具体例として、電源システム1内外の
周辺環境における温度差を利用した熱電変換発電により
電力を発生する発電装置としての構成を有している。
【0171】図23(a)に示すように、第1の構成例
に係る副電源部11Sは、例えば、電源システム1の一
端側に設けられた第1の温度保持部311と、電源シス
テム1の他端側に設けられた第2の温度保持部312
と、第1の温度保持部311側に一端側が接続されると
ともに、第2の温度保持部312側に他端側が接続され
た熱電変換素子313と、を備えた温度差発電器の構成
を有している。ここで、第1及び第2の温度保持部31
1、312は、電源システム1内外の周辺環境の温度状
態に応じて、その保持する熱量が随時変化するように構
成されているとともに、第1及び第2の温度保持部31
1、312における温度が相互に異なるように、配置位
置が設定されている。
【0172】具体的には、例えば、第1及び第2の温度
保持部311、312のいずれか一方が、電源システム
1が装着されるデバイスDVCに設けられた開口部等
(図示を省略)を介して、常時外気に晒され、定温に保
持されるようにした構成を適用することができる。ま
た、熱電変換素子313は、上述した第1の実施形態に
おける第4の構成例(図7(b)参照)に示したものと
同等の構成を有している。なお、本構成例においても、
温度差発電器からなる副電源部11Sの構成は、上述し
た実施形態に示した構成と同様に、マイクロマシン製造
技術を適用することにより、微小空間に集積化して形成
することができる。
【0173】このような構成を有する副電源部11Sに
おいて、図23(b)に示すように、電源システム1の
周辺環境における温度分布の偏りに伴って、第1及び第
2の温度保持部311、312間に温度勾配が生じるこ
とにより、熱電変換素子313におけるゼーベック効果
により、該温度勾配による熱エネルギーに応じた起電力
が発生して電力が生成される。
【0174】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、電源システム1
の周辺環境において温度分布の偏りが存在する限り、副
電源部11Sにより所定の電力が常時、自立的に生成さ
れ、電源システム1内外の各構成に供給することができ
る。また、この構成によれば、燃料パック20に封入さ
れた発電用燃料FLの全てを主発電部12における電力
(第1の電力)の生成に利用することができるので、発
電用燃料の有効利用を図ることができるとともに、負荷
駆動電源としての電力を長期にわたってデバイスDVC
に供給することができる。
【0175】なお、本構成例においては、周辺環境にお
ける温度分布の偏りに対して、ゼーベック効果により電
力を発生する温度差発電器について説明したが、本発明
は、これに限定されるものではなく、金属の加熱により
金属表面から自由電子が放出される熱電子放出現象に基
づいて、電力を発生する構成を有するものであってもよ
い。
【0176】(非燃料型副電源部の第2の構成例)図2
4は、本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な副
電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。第2の
構成例においては、副電源部の具体例として、電源シス
テム1の外部から入射する光エネルギーを利用した光電
変換発電により電力を発生する発電装置としての構成を
有している。
【0177】図24(a)に示すように、第1の構成例
に係る副電源部11Tは、例えば、p型半導体321と
n型半導体322を接合させた周知の光電変換セル(太
陽電池)を備えた構成を有している。このような光電変
換セルに所定の波長の光(光エネルギー)LTが照射さ
れると、光起電力効果によりp−n接合部323付近に
おいて電子−正孔対が発生し、光電変換セル内の電界に
よって分極した電子(−)がn型半導体322に、ま
た、正孔(+)がp型半導体321に拡散(ドリフト)
してp型半導体321及びn型半導体322の各々に設
けられた電極間(出力端子Oe、Of間)に起電力が発
生して電力が生成される。
【0178】ここで、一般に、既存のデバイスにおける
電池(又は、電源ユニット)の収納スペースは、デバイ
スの背面側等の光エネルギー(具体的には、太陽光や照
明光)が入射しにくい位置に配置されていたり、デバイ
ス内部に完全に収納する構成を有していたりするため、
副電源部に対して光が十分に入射しない可能性がある。
したがって、本構成例に係る副電源部11Tを適用した
電源システム1を、デバイスDVCに装着する場合にあ
っては、図24(b)に示すように、少なくとも、副電
源部11T又は発電モジュール10C部分が露出するよ
うに、デバイスDVCに予め開口部HLを設けた構成
や、デバイスDVCの筐体を透明もしくは半透明の部材
により構成することにより、副電源部11Tにおいて所
定の電力を発生するために必要な最低限の光エネルギー
(所定の波長の光LT)が入射するような構成を適用す
る必要がある。
【0179】したがって、このような構成を有する発電
装置を副電源部に適用することにより、デバイスDVC
を屋外や屋内等の所定の光エネルギーが入射する環境の
下で使用する限り、副電源部11Tにより所定の電力が
常時、自立的に生成され、電源システム1内外の各構成
に供給することができる。また、この構成によれば、燃
料パック20に封入された発電用燃料FLの全てを主発
電部12における電力(第1の電力)の生成に利用する
ことができるので、発電用燃料の有効利用を図ることが
できる。なお、本構成例においては、図24(a)にお
いて、光電変換セル(太陽電池)の最も基本的な構成の
みを示したが、本発明は、これに限定されるものではな
く、より発電効率の高い他の構成や原理に基づくものを
適用するものであってもよい。
【0180】<副生成物回収手段>次に、上述した各実
施形態に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手
段について、図面を参照して説明する。図25は、本発
明に係る電源システムに適用可能な副生成物回収手段の
一実施例を示すブロック図である。ここで、上述した各
実施形態と同等の構成については、同一の符号を付し
て、その説明を簡略化又は省略する。
【0181】上述した各実施形態において、主発電部1
2や副電源部11として、燃料パック20に封入された
発電用燃料FLを用いて、電気化学反応や燃焼反応等に
より所定の電力を発生する構成(上記各構成例に示した
主発電部や副電源部)を適用した場合にあっては、電力
以外に副生成物が排出される場合がある。このような副
生成物の中には、自然界に排出されることにより環境汚
染の原因となる物質や、電源システムが装着されている
デバイスの動作不良の原因となる物質を含む場合もある
ため、このような副生成物の排出を極力抑制する必要性
から、以下に示すような副生成物回収手段を備えた構成
を適用することが好ましい。
【0182】本発明に係る電源システムに適用可能な副
生成物回収手段は、図25に示すように、上述した各実
施形態と同等の構成及び機能を有する発電モジュール1
0D、燃料パック20D及びI/F部30Dにおいて、
例えば、発電モジュール10D内に、主発電部12にお
ける電力の発生に際して生成される副生成物の全部又は
その一部の成分を回収する分離回収部16が設けられて
いるとともに、燃料パック20D内に、上記回収された
副生成物を固定的に保持する回収保持部21が設けられ
た構成を有している。なお、ここでは、主発電部12に
おいて生成される副生成物を回収する場合についてのみ
詳しく説明するが、副電源部11に対しても同様に適用
が可能であることはいうまでもない。
【0183】分離回収部16は、上述した各構成例に示
した構成を有し、燃料パック20Dから供給される発電
用燃料FLを用いた電気化学反応や燃焼反応等により、
少なくとも、電源システム1が装着されたデバイスDV
Cに対して、負荷駆動電力(電圧・電流)となる電力を
発生する主発電部12(副電源部11を含むものであっ
てもよい)において、該電力の発生の際に生成される副
生成物、もしくは、該副生成物のうち特定の成分を分離
して、I/F部30Dに設けられた副生成物回収経路を
介して、燃料パック20D内に設けられた回収保持部2
1に送出する。
【0184】なお、上述した各構成例を適用した主発電
部12(副電源部11を含むものであってもよい)にお
いて、電力を発生する際に生成される副生成物として
は、水(HO)や窒素酸化物(NO)、硫黄酸化物
(SO)等があり、これらの全て、又は、その一部、
もしくは、特定の成分のみが分離回収部16により回収
されて副生成物回収経路に送出される。なお、回収され
た副生成物が液体状態の場合には、例えば、副生成物回
収経路の内径を連続的に変化するように形成することに
より、毛細管現象を利用して分離回収部16から回収保
持部21へ副生成物を自動的に送出することができる。
【0185】また、回収保持部21は、燃料パック20
Dの内部、又は、その一部に設けられ、燃料パック20
Dが発電モジュール10Dに結合された状態においての
み、上記分離回収部16により回収された副生成物の送
入、保持が可能となるように構成されている。すなわ
ち、燃料パック20Dが発電モジュール10Dに対して
着脱可能に構成された電源システムにおいては、燃料パ
ック20Dが発電モジュール10Dから分離された状態
で、回収、保持された副生成物又は特定の成分が燃料パ
ック20Dの外部に漏出もしくは排出されないように、
回収保持部21に固定的又は不可逆的に保持されるよう
に構成されている。
【0186】ここで、上述したように、主発電部12に
おける電力の生成により、水(HO)や窒素酸化物
(NO)、硫黄酸化物(SO)が副生成物として生
成される場合にあっては、水(HO)は常温常圧下で
液体状態であるので、副生成物回収経路を介して、回収
保持部21に良好に送出されるが、窒素酸化物(N
)や硫黄酸化物(SO)等のように、気化点が常
圧で概ね常温未満であり、気体状態にある副生成物の場
合には、体積が膨大になり、予め設定された回収保持部
21の容積を超過する可能性があるので、分離回収部1
6内及び回収保持部21内の気圧を高くすることによ
り、回収された副生成物を液化して当該体積を縮小して
回収保持部21に保持されるように構成してもよい。
【0187】したがって、回収保持部21の具体的な構
成としては、上記回収された副生成物や特定の成分を不
可逆的に吸収、吸着固定、定着等することができる構
成、例えば、回収保持部21内に吸収ポリマーが充填さ
れた構成や、上述した燃料パック20に備えられた燃料
漏出防止手段と同様に、回収保持部21の内部圧力やバ
ネ等の物理的な圧力等により閉止する制御弁等の回収物
漏出防止手段を備えた構成を良好に適用することができ
る。
【0188】そして、このような構成を有する副生成物
回収手段を備えた電源システムにおいて、図12に示し
たような燃料改質方式の燃料電池を主発電部12Aに適
用した場合にあっては、燃料改質部210aにおける水
蒸気改質反応、水性シフト反応及び選択酸化反応(化学
反応式(1)〜(3))に伴って、水素ガス(H)と
ともに生成される二酸化炭素(CO)、及び、燃料電
池本体210bにおける電気化学反応(化学反応式
(6)、(7))に伴って、電力(第1の電力)の発生
とともに生成される水(HO)が、副生成物として主
発電部12から排出されることになるが、二酸化炭素
(CO)の排出量は極めて微量であり、デバイスへの
影響もほとんどないため、非回収物質として電源システ
ム外に排出され、一方、水(HO)等が分離回収部1
6により回収されて、例えば、毛細管現象等を利用して
副生成物回収経路を介して、燃料パック20D内の回収
保持部21に送出され、不可逆的に保持される。
【0189】ここで、主発電部12(燃料電池本体)に
おける電気化学反応(化学反応式(2)、(3))は、
概ね60〜80℃程度で進行するため、主発電部12に
おいて生成される水(HO)は、ほぼ水蒸気(気体)
の状態で排出される。そこで、分離回収部16は、例え
ば、主発電部12から排出される水蒸気を冷却すること
により、あるいは、圧力を加えることにより、水(H
O)の成分のみを液化して、他の気体成分から分離する
ことにより回収する。
【0190】なお、本実施例においては、少なくとも、
主発電部12の構成として燃料改質方式の燃料電池を適
用し、発電用燃料としてメタノール(CHOH)を適
用した場合を示したため、電力の発生に伴う副生成物の
大半が水(HO)であって、その他、微量の二酸化炭
素(CO)を電源システム外に排出することにより、
分離回収部16における特定の成分(すなわち、水)の
分離、回収を比較的簡易に実現することができるが、発
電用燃料としてメタノール以外の物質を適用した場合
や、主発電部12として燃料電池以外の構成を適用した
場合には、水(H O)とともに、例えば、比較的大量
の二酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NO)、硫黄
酸化物(SO)等が生成される場合もある。このよう
な場合には、分離回収部16において上述した分離方法
により、例えば、液体である水と、その他の大量に生成
される特定の気体成分(二酸化炭素等)を分離した後、
燃料パック20D内に設けられた単一又は複数の回収保
持部21に、合一又は個別に保持するようにしてもよ
い。
【0191】このように、本実施例に係る副生成物回収
手段を適用した電源システムによれば、発電モジュール
10Dにより電力を発生する際に生成される副生成物の
うち、少なくとも1成分が燃料パック20D内に設けら
れた回収保持部21に不可逆的に保持されることによ
り、電源システム外部への排出又は漏出が抑制されるの
で、副生成物(例えば、水)によるデバイスの動作不良
や劣化等の発生を防止することができるとともに、副生
成物を保持した燃料パック20Dを回収することによ
り、該副生成物を自然環境に負担を与えない方法で適切
に処理して、副生成物(例えば、二酸化炭素)による自
然環境の汚染や地球温暖化等を防止することができる。
【0192】なお、上述したような分離回収方法により
回収された副生成物は、以下に示すような保持動作によ
り回収保持部内に不可逆的に保持される。図26は、本
実施例に係る副生成物回収手段による副生成物の保持動
作を示す概略図である。ここで、上述した各実施形態と
同等の構成については、同一の符号を付して、その説明
を簡略化又は省略する。
【0193】図26(a)に示すように、本実施例に係
る燃料パック20Dは、一定の容積を有し、例えば、メ
タノール等の発電用燃料FLが封入、充填された燃料封
入空間22Aと、分離回収部16から送出される水等の
副生成物が保持される回収保持空間22Bと、後述する
ように、回収保持空間22Bの容積を相対的に可変し、
回収保持空間22Bを燃料封入空間22Aから隔絶する
回収袋23と、燃料封入空間22Aに封入された発電用
燃料FLを出力制御部14に供給する燃料供給弁24A
と、分離回収部16から送出される副生成物を回収保持
空間22Bに取り込むための副生成物取込弁24Bと、
を有して構成されている。
【0194】ここで、燃料供給弁24A及び副生成物取
込弁24Bは、上述したように、いずれも、燃料パック
20DがI/F部30Dを介して発電モジュール10D
に結合された状態でのみ、発電用燃料FLの供給や副生
成物の取り込みが可能となるように、例えば、逆止弁の
機能を備えた構成を有している。なお、上述したよう
に、副生成物取込弁24Bに逆止弁の機能を設ける替わ
りに、回収保持空間22Bに吸収(吸水)ポリマー等を
充填した構成を有するものであってもよい。
【0195】このような構成を有する燃料パック20D
において、図26(a)に示すように、燃料封入空間2
2Aに封入された発電用燃料が燃料供給弁24Aを介し
て発電モジュール10D(主発電部12、副電源部1
1)に供給されることにより、所定の電力を発生する動
作が実行されるとともに、上記分離回収部16により電
力の発生に伴って生成された副生成物のうち、特定の成
分(例えば、水)のみが分離、回収されて、副生成物回
収経路及び副生成物取込弁24Bを介して回収保持空間
22Bに取込、保持される。
【0196】これにより、図26(b)、(c)に示す
ように、燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料F
Lの容積が減少するとともに、相対的に、回収保持空間
22Bに保持される特定の成分又は物質の容積が増大す
る。このとき、回収保持空間22Bに吸収ポリマー等を
充填した構成を適用することにより、回収され、取り込
まれた副生成物の実質的な容積に比較して、より大きな
容積を有するように回収保持空間22Bの容積を制御す
ることができる。
【0197】したがって、燃料封入空間22Aと22B
の関係は、発電モジュール10における電力の発生(発
電)動作に伴って、単に、相対的に増減するだけでな
く、回収保持空間22Bに保持された副生成物の量に応
じて、図26(b)に示すように、所定の圧力で回収袋
23を外方に押圧することにより、燃料封入空間22A
に封入された発電用燃料FLに圧力が印加されることに
なるので、発電モジュール10Dへの発電用燃料FLの
供給を適切に行うことができ、図26(c)に示すよう
に、回収保持空間22Bに保持される副生成物により、
燃料封入空間22Aに封入された発電用燃料FLをほぼ
完全になくなるまで供給することができる。
【0198】なお、本実施例においては、発電モジュー
ル10Dに付設された分離回収部16により分離、回収
した副生成物の全て又は一部を回収して燃料パック20
D内に保持するとともに、非回収物質を電源システム1
外に排出する場合について説明したが、回収された副生
成物(例えば、水)の全部又は一部を発電モジュール1
0D(特に、主発電部12、副電源部11)における電
力の発生の際の燃料成分として再利用する構成を有する
ものであってもよい。具体的には、主発電部12(副電
源部11を含むものであってもよい)として、燃料電池
からなる発電装置を適用した構成にあっては、水が副生
成物の一部として生成されるが、上述したように、燃料
改質方式の燃料電池においては、発電用燃料の水蒸気改
質反応等において水を必要とするので、図25中、点線
矢印で示すように、回収された副生成物のうち、水の一
部を主発電部12に供給して、これらの反応に再利用す
るように構成することができる。これによれば、水蒸気
改質反応等のために発電用燃料FLとともに燃料パック
20Dに予め封入しておく水の量、また、回収保持部2
1に保持される副生成物(水)の量を削減することがで
きるので、一定の容量の燃料パック20Dに対してより
多くの発電用燃料FLを封入することができ、電源シス
テムとしての電力供給能力の向上を図ることができる。
【0199】<残量検出手段>次に、上述した各実施形
態に係る電源システムに適用可能な発電用燃料の残量検
出手段について、図面を参照して説明する。図27は、
本発明に係る電源システムに適用可能な残量検出手段の
一実施例を示すブロック図である。ここで、上述した各
実施形態と同等の構成については、同一の符号を付し
て、その説明を簡略化又は省略する。
【0200】本発明に係る電源システムに適用可能な燃
料残量検出手段は、図27に示すように、上述した各実
施形態と同等の構成及び機能を有する発電モジュール1
0E、燃料パック20E及びI/F部30Eにおいて、
発電モジュール10E内又はI/F部30E内もしくは
燃料パック20E内のいずれか(ここでは、発電モジュ
ール10E内)に、燃料パック20Eに残存する発電用
燃料FLの量(残量)を検出し、その残量検出信号を動
作制御部13に出力する残量検出部17が設けられた構
成を有している。
【0201】残量検出部17は、燃料パック20E内に
残存する発電用燃料FLの量を検出するものであって、
例えば、燃料パック20E内に発電用燃料FLが液体の
状態で封入されている場合には、光学センサ等により燃
料の液面を計測する手法や燃料を透過した光の減衰(減
光率)等の変化を計測する手法等を採用することによ
り、発電用燃料FLの残量を検出する。
【0202】そして、残量検出部17により検出された
発電用燃料FLの残量は、残量検出信号として動作制御
部13に出力され、動作制御部13は該残量検出信号に
基づいて、主発電部12における動作状態を制御するた
めの動作制御信号を出力制御部14に対して出力すると
ともに、デバイスDVCに内蔵されたコントローラCN
Tに対して、該発電用燃料の残量に関する情報(燃料残
量情報)を出力する。
【0203】具体的には、上述した電源システムの全体
動作(図20参照)において、電源システムを起動動作
する場合に、動作制御部13は事前に残量検出部17か
らの残量検出信号を参照し、起動動作を正常に実行可能
な量の発電用燃料FLが残存しているか否かを判断した
後、当該動作を実行する。ここで、発電用燃料FLの残
量に異常が検出された場合(例えば、残量が急激に減少
した場合)には、動作制御部13は、デバイスDVCに
内蔵されたコントローラCNTに対して、残量異常に関
する情報を出力して、デバイスDVCの使用者に通知す
る。
【0204】また、上述した電源システムの全体動作
(図20参照)において、電源システムの定常動作(フ
ィードバック制御)を継続する場合に、動作制御部13
は残量検出部17からの残量検出信号を逐次参照し、発
電用燃料FLの残量に応じて、例えば、主発電部12に
おける電力の発生量を制御するための動作制御信号を出
力制御部14に対して出力し、例えば、発電用燃料FL
の残量が減少するにしたがって、主発電部12により生
成される電力(特に、出力電圧)を経時的に徐々に変化
(低下)させるように制御するか、あるいは、デバイス
DVCに内蔵されたコントローラCNTに対して、実際
の残量データ自体や残量比率もしくは電力を出力するこ
とが可能な推定残り時間等を燃料残量情報として出力す
る。これにより、既存のデバイスに標準的に搭載されて
いる、電源からの出力電圧や電池残量に基づいて、デバ
イスDVCの使用者に電池残量を通知する機能を良好に
動作させることができる。
【0205】さらに、この場合、残量検出部17により
発電用燃料FLの残量の急激な減少等の残量異常が検出
された場合には、動作制御部13は該残量異常に関する
検出信号に基づいて、主発電部12における電力の生成
を停止するための動作制御信号を出力制御部14に対し
て出力して、主発電部12の発電動作を停止するととも
に、残量異常に関する情報をデバイスDVCに内蔵され
たコントローラCNTに対して出力して、デバイスDV
Cの使用者に通知する。これにより、燃料パック20E
から電源システム1外部への発電用燃料FLの異常な漏
出の発生等を迅速に検出して、デバイスDVCの使用者
に対して、適切な対処を講じるように報知することがで
きる。
【0206】<燃料安定化手段>次に、上述した各実施
形態に係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段に
ついて、図面を参照して説明する。図28は、本発明に
係る電源システムに適用可能な燃料安定化手段の一実施
例を示すブロック図である。ここで、上述した各実施形
態と同等の構成については、同一の符号を付して、その
説明を簡略化又は省略する。
【0207】本発明に係る電源システムに適用可能な燃
料安定化手段は、図28に示すように、上述した各実施
形態と同等の構成及び機能を有する発電モジュール10
F、燃料パック20F及びI/F部30Fにおいて、I
/F部30F又は燃料パック20Fのいずれか(ここで
は、燃料パック20F)に、燃料パック20Fに封入さ
れた発電用燃料FLの封入状態(温度、圧力等)を検知
して、該封入状態が所定のしきい値を超過した場合に、
燃料パック20Fから発電モジュール10F(副電源部
11、主発電部12)への発電用燃料FLの供給を停止
する供給制御弁25と、燃料パック20F内の発電用燃
料FLの封入状態(温度、圧力等)を検知して、該封入
状態を所定の安定化状態に制御する圧力制御弁26が設
けられた構成を有している。
【0208】供給制御弁25は、燃料パック20Fに封
入された発電用燃料FLの温度が所定のしきい値を超過
して上昇することにより自動的に作動して、燃料送出経
路への発電用燃料FLの送出を遮断する。具体的には、
発電用燃料FLの温度の上昇に伴って燃料パック20F
内の圧力が上昇することにより、弁が閉じる逆止弁を良
好に適用することができる。
【0209】また、圧力制御弁26は、燃料パック20
Fに封入された発電用燃料FLの温度の上昇に伴って、
燃料パック20F内の圧力が所定のしきい値を超過して
上昇することにより自動的に作動して、燃料パック20
F内の圧力を低下させる。具体的には、燃料パック20
F内の圧力が上昇することにより、弁が開く圧力開放弁
(リリース弁)を良好に適用することができる。
【0210】これにより、例えば、電源システムをデバ
イスDVCに装着した状態で、発電モジュール10Fに
おける電力の生成やデバイスの負荷の駆動に伴う発熱等
により、燃料パック20F内の温度や圧力が上昇した場
合には、自動的に発電用燃料FLの供給停止動作、圧力
開放動作が行われるので、発電用燃料FLの封入状態を
安定化することができる。
【0211】そして、上述した電源システムの全体動作
(図20参照)において、電源システムを起動動作する
場合に、動作制御部13は事前に供給制御弁25の動作
状態、すなわち、燃料パック20Fからの発電用燃料F
Lの供給状態を参照し、発電用燃料FLが正常に供給さ
れているか否かを判断した後、当該動作を実行する。こ
こで、上述した燃料安定化手段(特に、圧力制御弁2
6)による発電用燃料FLの封入状態の安定化動作にも
関わらず、発電用燃料FLの供給遮断が検出された場合
には、動作制御部13は、デバイスDVCに内蔵された
コントローラCNTに対して、発電用燃料FLの封入異
常に関する情報を出力して、デバイスDVCの使用者に
通知する。
【0212】また、上述した電源システムの全体動作
(図20参照)において、電源システムの定常動作(フ
ィードバック制御)を継続する場合に、動作制御部13
は供給制御弁25の動作状態、すなわち、燃料パック2
0Fからの発電用燃料FLの供給状態を逐次参照し、燃
料安定化手段(特に、圧力制御弁26)による安定化動
作にも関わらず、発電用燃料FLの供給遮断が検出され
た場合には、動作制御部13は主発電部12における電
力の生成を停止するための動作制御信号を出力制御部1
4に対して出力して、主発電部12の発電動作を停止す
るとともに、発電用燃料FLの封入異常に関する情報を
デバイスDVCに内蔵されたコントローラCNTに対し
て出力して、デバイスDVCの使用者に通知する。
【0213】これにより、燃料パック20F内の発電用
燃料FLの封入条件(温度、圧力等)の異常に起因する
発電用燃料FLの変質や発電モジュール10Fにおける
動作異常(例えば、出力電圧不良)、燃料パック20F
から電源システム1外部への発電用燃料FLの漏出等の
発生を未然に防止して、燃焼性の発電用燃料FLの安全
性を確保した信頼性の高い電源システムを提供すること
ができる。
【0214】<外形形状>次に、本発明に係る電源シス
テムに適用可能な外形形状について、図面を参照して説
明する。図29は、本発明に係る電源システムに適用可
能な外形形状の具体例を示す概略構成図であり、図30
は、本発明に係る電源システムに適用される外形形状
と、汎用の化学電池の外形形状との対応関係を示す概念
図である。
【0215】上述したような構成を有する電源システム
において、燃料パック20をI/F部30を介して発電
モジュール10に結合した状態、又は、これらを一体的
に構成した状態における外形形状は、例えば、図29に
示すように、JIS規格に則った汎用の化学電池に多用
されている円形電池41、42、43や、特殊形状の電
池(非円形電池)44、45、46の規格に則って、こ
れらのいずれかと同等の外形形状及び寸法を有するよう
に形成されているとともに、上述した発電モジュール1
0の副電源部11又は主発電部12により生成される電
力(第1及び第2の電力)が、図29に示す各電池形状
の正極(+)及び負極(−)の電極端子を介して出力さ
れるように構成されている。
【0216】ここで、発電モジュール10には上部に正
極の端子が付属し、燃料パック20には負極の端子が付
属しており、図示しないが、負極の端子は発電モジュー
ル10に配線を介して接続されている。そして、発電モ
ジュール10の側部に帯状に周回する端子部184が設
けられ、デバイスDVCに電源システム1が収容される
と、自動的に内部のコントローラCNTと端子部184
とが電気的に接続され、負荷駆動情報を受信することが
可能となる。なお、端子部184が正極及び負極と絶縁
されていることはいうまでもない。
【0217】具体的には、燃料パック20と発電モジュ
ール10が結合した状態で、例えば、燃料電池を適用し
た主発電部(図12参照)においては、燃料電池本体2
10bの燃料極211が負極端子に、また、空気極21
2が正極端子に電気的に接続された構成を有している。
また、ガス燃焼エンジンやロータリーエンジン等の内
燃、外燃機関と電磁誘導等を利用した発電器(図14乃
至図16参照)とを組み合わせた構成や、温度差発電器
やMHD発電器を適用した主発電部(図17、図18参
照)においては、各々の発電器の出力端子が正極端子及
び負極端子に電気的に接続された構成を有している。
【0218】ここで、円形電池41、42、43は、具
体的には、市販のマンガン乾電池やアルカリ乾電池、ニ
ッケル・カドミウム電池、リチウム電池等に最も多用さ
れ、対応する機器も多いシリンダ型(円柱型:図29
(a))や、腕時計等に利用されるボタン型(図29
(b))、カメラや電子手帳等に利用されるコイン型
(図29(c))等の外形形状を有している。
【0219】一方、非円形電池44、45、46は、具
体的には、コンパクトカメラやデジタルスチルカメラ
等、使用する機器の形状等に対応して個別に設計(カス
タマイズ)された特殊形状型(図29(d))や、携帯
音響機器や携帯電話等の小型薄型化に対応した角形(図
29(e))、平型(図29(f))等の外形形状を有
している。
【0220】なお、上述したように、本実施形態に係る
電源システムに搭載される発電モジュール10の各構成
は、既存のマイクロマシン製造技術を適用することによ
り、例えば、ミリメートルオーダー乃至ミクロンオーダ
ーにマイクロチップ化、あるいは、マイクロプラント化
することができる。また、発電モジュール10の主発電
部12として、例えば、高いエネルギー利用効率を実現
することができる燃料電池やガス燃料タービン等を適用
することにより、既存の化学電池と同等(又は、それ以
上)の電池容量を実現するために必要となる発電用燃料
の量を比較的少量に抑制することができる。
【0221】したがって、本実施形態に係る電源システ
ムにおいて、図29に示した既存の電池形状を良好に実
現することができ、例えば、図30(a)、(b)に示
すように、燃料パック20を発電モジュール10に結合
した状態、又は、両者を一体的に構成した状態における
外形寸法(例えば、長さLa、直径Da)が、図30
(c)に示すような汎用の化学電池47の外形寸法(例
えば、長さLp、直径Dp)と略同等になるように構成
することができる。
【0222】なお、図30においては、本発明に係る電
源システムの着脱構造(結合関係)と外観形状との関係
を概念的に示したものにすぎず、具体的な電極構造等を
考慮したものではない。本発明に係る電源システムに各
電池形状を適用した場合の、発電モジュール10及び燃
料パック20の着脱構造と、電極構造との関係について
は、後述する実施例において詳しく説明する。
【0223】また、図29に示した外形形状はいずれ
も、日本国内の規格に則って市販、又は、デバイスに付
属して流通、販売されている化学電池の一例であって、
本発明の適用が可能な構成例のごく一部を示したものに
過ぎない。すなわち、本発明に係る電源システムに適用
可能な外形形状は、上記具体例以外であってもよく、例
えば、世界各国で流通、販売されている化学電池、ある
いは、将来実用化が予定されている化学電池の形状に合
致し、さらには、電気的特性をも合致するように設計す
ることができることはいうまでもない。
【0224】次いで、本発明に係る電源システムに上述
した各電池形状を適用した場合の発電モジュール10及
び燃料パック20の着脱構造と、電極構造との関係につ
いて、図面を参照して詳しく説明する。 (着脱構造の第1の実施例)図31(a)〜図31
(d)及び図31(e)〜図31(h)は、それぞれ本
発明の第1の実施例に係る電源システムの燃料パック及
びホルダー部を上方向、前方向、横方向、後方向から見
た外形形状を示す概略構成図であり、図32は、本実施
例に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料
パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述し
た各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略
化又は省略する。
【0225】図31(a)〜図31(d)及び図31
(e)〜図31(h)に示すように、本実施例に係る電
源システムは、発電用燃料が所定の条件で封入された燃
料パック51と、該燃料パックが着脱可能に構成された
ホルダー部52と、を備えて構成されている。ここで、
燃料パック51は、上述した各実施形態と同等の構成及
び機能を有しているので、その説明を省略する。
【0226】ホルダー部52は、大別して、上述した実
施形態と同等の構成を有する発電モジュール10X及び
I/F部が収納され、正極端子EL(+)が設けられた
発電部52aと、負極端子EL(−)が設けられた対向
部52bと、発電部52aと対向部52bを連結すると
ともに、発電部52aと負極端子EL(−)を電気的に
接続する連結部52cと、を有して構成されている。こ
こで、発電部52a、対向部52b及び連結部52cに
より囲まれた貫通した空間SP1が、上記燃料パック5
1を結合した際の収納位置となる。
【0227】このような構成を有する電源システムにお
いて、図32(a)に示すように、発電部52a、対向
部52b及び連結部52cにより構成される空間SP1
に対して、燃料パック51の燃料送出口(一端側)51
aを発電部52a側の燃料送出経路(I/F部;図示を
省略)に当接させて支点とし、燃料パック51の他端側
51bを旋回させて押し込むことにより(図中、矢印P
9)、図32(b)に示すように、該燃料パック51の
他端側51bが対向部52bに当接して、燃料パック5
1が空間SP1に収納されるとともに、燃料パック51
の漏出防止機能が解除されて、燃料パック51に封入さ
れた発電用燃料FLが燃料送出経路を介して、発電部5
2aに内蔵された発電モジュール10Xに供給される。
【0228】ここで、電源システムは、燃料パック51
が空間SP1に収納され、ホルダー部52に結合された
状態において、例えば、上述した円柱形状の汎用の化学
電池(図29(a)、図30(c)参照)と略同等の外
形形状及び寸法を有するように構成されている。また、
このとき、燃料パック51が空間SP1に正常に収納さ
れた状態で、燃料パック51の燃料送出口51aが発電
部52a側の燃料送出経路に良好に当接して接続するよ
うに、燃料パック51の他端側51bを適当な力で押圧
するとともに、燃料パック51がホルダー部52から不
用意に脱落することを防止するために、燃料パック51
の他端側51bと対向部52bの当接部分が適当な押圧
力で係合するように構成されていることが望ましい。具
体的には、図32(a)、(b)に示すように、例え
ば、燃料パック51の他端側51bに凹部51cが形成
され、対向部52bの当接部分にバネ材等の弾性を有す
る凸部51dを備えた係合機構を適用することができ
る。
【0229】これにより、上述した全体動作(図20参
照)において説明したように、副電源部11において、
自立的に電力(第2の電力)が生成されて、少なくと
も、発電モジュール10内の動作制御部13に動作電力
が供給される。また、本実施形態に係る電源システムが
所定のデバイスDVCに装着されることにより、副電源
部11により生成された電力の一部が発電部52aに設
けられた正極端子EL(+)及び対向部52bに設けら
れた負極端子EL(−)を介して、デバイスDVCに内
蔵されたコントローラCNTに駆動電力として供給され
る(初期動作)。
【0230】したがって、汎用の化学電池と同様に簡易
に取り扱うことができ、汎用の化学電池と同一又は同等
の外形形状及び寸法(ここでは、円柱形状)を有すると
ともに、同一又は同等の電気的特性を有する電力を供給
することができる完全互換の電源システムを実現するこ
とができるので、既存の携帯機器等のデバイスに対し
て、汎用の化学電池と全く同様に、動作電力として適用
することができる。
【0231】特に、本実施例に係る電源システムにおい
て、発電モジュールとして燃料電池を備えた構成を適用
し、かつ、発電部52a(発電モジュール10X)に対
して着脱可能に構成された燃料パック51として、上述
した分解性プラスチック等の材料を適用することによ
り、環境への影響(負担)を抑制しつつ、高いエネルギ
ー利用効率を実現することができるので、既存の化学電
池の投棄や埋め立て処理による環境問題やエネルギー利
用効率の問題等を良好に解決することができる。また、
本実施例に係る電源システムによれば、燃料パック51
が収納されるホルダー部52側の空間SP1が、貫通形
状を有しているので、燃料パック51の対向する側面部
を把持しながらホルダー部52に着脱することができる
ので、燃料パック51の着脱を簡易かつ確実に行うこと
ができる。
【0232】(着脱構造の第2の実施例)図33(a)
〜図33(c)は、それぞれ本発明の第2の実施例に係
る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向
から見た外形形状を示す概略構成図であり、図33
(d)〜図31(g)は、それぞれ本発明に係る電源シ
ステムのホルダー部を前方向、上方向、後方向、横方向
から見た外形形状を示す概略構成図であり、図34は、
本実施例に係る電源システムにおける発電モジュール及
び燃料パックの着脱構造を示す概略図である。ここで、
上述した各実施形態と同等の構成については、その説明
を簡略化又は省略する。
【0233】図33(a)〜図33(g)に示すよう
に、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定
の条件で封入された燃料パック61と、該燃料パック6
1が着脱可能に構成されたホルダー部62と、を備えて
構成されている。ここで、燃料パック61は、上述した
各実施形態と同等の構成及び機能を有しているので、そ
の説明を省略する。
【0234】ホルダー部62は、大別して、発電モジュ
ール10Xが収納され、正極端子EL(+)が設けられ
た発電部62aと、負極端子EL(−)が設けられた対
向部62bと、発電部62aと対向部62bを連結する
とともに、発電部62aと負極端子EL(−)を電気的
に接続する連結部62cと、を有して構成されている。
ここで、発電部62a、対向部62b及び連結部62c
により囲まれた凹状の空間SP2が、上記燃料パック6
1を結合した際の収納位置となる。
【0235】このような構成を有する電源システムにお
いて、図34(a)に示すように、発電部62a、対向
部62b及び連結部62cにより構成される空間SP2
に対して、燃料パック61の燃料送出口61aを発電部
62a側の燃料送出経路に当接させつつ、燃料パック6
1を嵌合させることにより(図中、矢印P10)、図3
4(b)に示すように、燃料パック61が空間SP2に
収納されるとともに、燃料パック61の漏出防止機能が
解除されて、燃料パック61に封入された発電用燃料F
Lが燃料送出経路を介して、発電部62aに内蔵された
発電モジュール10Xに供給される。
【0236】ここで、電源システムは、上述した第1の
実施例と同様に、燃料パック61が空間SP2に収納さ
れ、ホルダー部62に結合された状態において、例え
ば、上述した円柱形状の汎用の化学電池(図29
(a)、図30(c)参照)と略同等の形状及び寸法を
有するように構成されている。また、このとき、燃料パ
ック61が空間SP2に正常に収納された状態で、燃料
パック61がホルダー部62から不用意に脱落すること
を防止するために、燃料パック61の外形形状がホルダ
ー部62の空間SP2の内部形状に係合する構成を有す
ることが望ましい。
【0237】これにより、上述した第1の実施例と同様
に、汎用の化学電池と同様に簡易に取り扱うことがで
き、かつ、汎用の化学電池と同一又は同等の外形形状及
び電気的特性を有する完全互換型のポータブル型の電源
システムを実現することができる。また、発電モジュー
ルに適用する発電装置の構成や着脱可能な燃料パックの
構成材料を適切に選択することにより、環境への影響を
大幅に抑制して、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理
による環境問題やエネルギー利用効率の問題等を良好に
解決することができる。
【0238】(着脱構造の第3の実施例)図35(a)
〜図35(c)は、それぞれ本発明の第3の実施例に係
る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向
から見た外形形状を示す概略構成図であり、図35
(d)〜図35(f)は、それぞれ本発明に係る電源シ
ステムのホルダー部を前方向、横方向、後方向から見た
外形形状を示す概略構成図であり、図36は、本実施例
に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パ
ックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した
各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化
又は省略する。
【0239】図35(a)〜図35(f)に示すよう
に、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定
の条件で封入された燃料パック71と、該燃料パック7
1が複数本収納可能に構成されたホルダー部72と、を
備えて構成されている。ここで、燃料パック71は、上
述した各実施形態と同等の構成及び機能を有しているの
で、その説明を省略する。
【0240】ホルダー部72は、大別して、発電モジュ
ール10Xが収納され、同一端面に正極端子EL(+)
及び負極端子EL(−)が設けられた発電部72aと、
発電部72aとの間に空間SP3を有するように設けら
れた上部カバー72bと、空間SP3への燃料パック7
1の収納、取り出しを可能とするとともに、空間SP3
内に収納された燃料パック71を押圧固定する開閉カバ
ー72cと、を有して構成されている。
【0241】このような構成を有する電源システムにお
いて、図36(a)に示すように、ホルダー部72の開
閉カバー72cを開状態として空間SP3の一面側を開
放状態として、複数本(ここでは、2本)の燃料パック
71を同一の向きに挿入した後、図36(b)、(c)
に示すように、開閉カバー72cを閉状態とすることに
より、燃料パック71が空間SP3に収納されるととも
に、開閉カバー72cが燃料パック71の他端側71b
を押圧して、燃料パック71の燃料送出口71aを発電
部72a側の燃料送出経路(I/F部;図示を省略)に
当接させることにより、燃料パック71の漏出防止機能
が解除されて、燃料パック71に封入された発電用燃料
FLが燃料送出経路を介して、発電部72aに内蔵され
た発電モジュール10Xに供給される。ここで、電源シ
ステムは、燃料パック71が空間SP3に収納され、ホ
ルダー部72に結合された状態において、例えば、上述
した特殊形状の化学電池(図29(d)参照)と略同等
の外形形状及び寸法を有するように構成されている。
【0242】これにより、上述した各実施例と同様に、
既存の化学電池と同一又は同等の外形形状及び電気的特
性を有する完全互換型のポータブル型の電源システムを
実現することができるとともに、発電モジュールに適用
する発電装置の構成や着脱可能な燃料パックの構成材料
を適切に選択することにより、環境への影響を大幅に抑
制して、既存の化学電池の投棄や埋め立て処理による環
境問題やエネルギー利用効率の問題等を良好に解決する
ことができる。
【0243】(着脱構造の第4の実施例)図37(a)
〜図37(c)は、それぞれ本発明の第4の実施例に係
る電源システムの燃料パックを前方向、横方向、後方向
から見た外形形状を示す概略構成図であり、図37
(d)〜図31(f)は、それぞれ本発明に係る電源シ
ステムのホルダー部を上方向、横方向、前方向から見た
外形形状を示す概略構成図であり、図38は、本実施例
に係る電源システムにおける発電モジュール及び燃料パ
ックの着脱構造を示す概略図である。ここで、上述した
各実施形態と同等の構成については、その説明を簡略化
又は省略する。
【0244】図37(a)〜図37(f)に示すよう
に、本実施例に係る電源システムは、発電用燃料が所定
の条件で封入された燃料パック81と、該燃料パック8
1が複数本収納可能に構成されたホルダー部82と、を
備えて構成されている。ここで、燃料パック81は、上
述した各実施形態と同等の構成及び機能を有しているの
で、その説明を省略する。
【0245】ホルダー部82は、大別して、発電モジュ
ール10Xが収納され、同一端面に正極端子EL(+)
及び負極端子EL(−)が設けられた発電部82aと、
発電部82aと対向する面を有する対向部82bと、発
電部82aと対向部82bを連結するベース部82c
と、を有して構成されている。ここで、発電部82a、
対向部82b及びベース部82cにより囲まれた凹状の
空間SP4が、上記燃料パック81を結合した際の収納
位置となる。
【0246】このような構成を有する電源システムにお
いて、図38(a)に示すように、発電部82a、対向
部82b及びベース部82cにより構成される空間SP
4に対して、燃料パック81の燃料送出口(一端側)8
1aを発電部82a側の燃料送出経路(I/F部;図示
を省略)に当接させて支点とし、燃料パック81の他端
側81bを旋回させて押し込むことにより(図中、矢印
P11)、図38(b)に示すように、該燃料パック8
1の他端側81bが対向部82bに当接して固定され、
複数本(ここでは、2本)の燃料パック81が空間SP
4に同一の向きに収納される。このとき、燃料パック8
1の漏出防止機能が解除されて、燃料パック81に封入
された発電用燃料FLが燃料送出経路を介して、発電部
82aに内蔵された発電モジュール10Xに供給され
る。
【0247】ここで、電源システムは、燃料パック81
が空間SP4に収納され、ホルダー部82に結合された
状態において、例えば、上述した特殊形状の化学電池
(図29(d)参照)と略同等の外形形状及び寸法を有
するように構成されている。また、このとき、燃料パッ
ク81が空間SP4に正常に収納された状態で、燃料パ
ック81の燃料送出口81aが発電部82a側の燃料送
出経路に良好に当接して接続するとともに、燃料パック
81がホルダー部82から不用意に脱落することを防止
するために、上述した第1の実施例と同様に、図38
(a)、(b)に示すように、燃料パック81の他端側
81bと対向部82bの当接部分が適当な押圧力で係合
するように構成されている。これにより、上述した各実
施例と同様の作用効果を有する電源システムを実現する
ことができる。
【0248】(具体的構成例)次に、上述した各実施形
態(各構成例を含む)のいずれかを適用した電源システ
ム全体の具体構成例について、図面を参照して説明す
る。図39は、本発明に係る電源システム全体の具体構
成例を示す概略構成図である。また、図40は、本具体
構成例に適用される燃料改質部の一構成例を示す概略図
であり、図41は、本具体構成例に適用される燃料改質
部の他の構成例を示す概略図である。ここでは、発電モ
ジュールに設けられる副電源部11として燃料直接供給
方式の燃料電池が適用され、主発電部12として燃料改
質方式の燃料電池が適用されているものとする。また、
上述した各実施形態及び各構成例を適宜参照し、同等の
構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略
化する。
【0249】図39に示すように、本具体構成例に係る
電源システム1Aは、図2に示したように、発電モジュ
ール10と燃料パック20がI/F部30を介して着脱
可能に構成され、全体として図29(a)又は図30に
示したように円柱形状からなる外形形状を有している。
また、これらの構成(特に、発電モジュール10)が、
マイクロマシン製造技術等を用いて微小空間に構成さ
れ、汎用の化学電池と同等の外形寸法を有するように構
成されている。
【0250】発電モジュール10は、概略、円柱形状の
円周側面に沿って延在し、相互に分離して積層形成され
た燃料電池からなる副電源部11及び主発電部12と、
円柱状の発電モジュール10内部に、深さ及び幅がそれ
ぞれ500μm以下の燃料流路が接続されるように積層
形成された水蒸気改質反応ユニット210A(燃料改質
部210a)と選択酸化反応ユニット210Cと、発電
モジュール10内部にマイクロチップ化されて収納され
た動作制御部13及び起動制御部15等を搭載したコン
トロールチップ90と、発電モジュール10の円柱側面
から上記副電源部11及び主発電部12の空気極11
2、212まで貫通し、外部の空気を取り入れる複数の
通気孔(スリット)14cと、上記空気極112、21
2側において生成される副生成物(水等)を液化(凝
縮)して分離回収する分離回収部16と、回収した副生
成物の一部を水蒸気改質反応ユニット210Aに供給す
る副生成物供給経路16aと、円柱上面から上記主発電
部12の空気極まで貫通し、少なくとも、主発電部の燃
料極側や水蒸気改質反応ユニット210A、選択酸化反
応ユニット210Cにおいて生成され、非回収物質であ
る副生成物(二酸化炭素等)を発電モジュールの外部に
排出する排出孔14dと、を備えて構成されている。
【0251】燃料パック20は、概略、図26に示した
構成と同様に、副電源部11及び主発電部12に供給さ
れる発電用燃料FLが充填、封入される燃料封入空間2
2Aと、上記分離回収部16により回収された副生成物
(水)を固定的に保持する回収保持空間22B(回収保
持部21)と、発電モジュール10との境界にあって、
発電用燃料FLの漏出を防止する燃料供給弁24A(燃
料漏出防止手段)と、回収保持された副生成物(回収
物)の漏出を防止する副生成物取込弁24B(回収物漏
出防止手段)と、を有して構成されている。ここで、燃
料パック20は、上述したような分解性プラスチックに
より形成されている。
【0252】また、I/F部30は、燃料パック20に
封入された発電用燃料FLを副電源部11及び主発電部
12に供給する燃料送出経路31と、上記副電源部11
及び主発電部12において生成され、分離回収部16に
より回収された副生成物(水)の全部又は一部を、燃料
パック20に送出する副生成物回収経路32と、を有し
て構成されている。なお、図示を省略したが、燃料パッ
ク20又はI/F部30には、図27、図28に示した
ように、燃料パック20に封入された発電用燃料FLの
残量を検出する残量検出手段や、発電用燃料の封入状態
を安定化させる燃料安定化手段が設けられた構成を有し
ていてもよい。
【0253】ここで、本具体構成例に係る電源システム
に適用される水蒸気改質反応ユニット210Aの構成
は、例えば、図40に示すように、シリコン等の微小基
板201の一面側に、半導体製造技術等の微細加工技術
を用いて、所定の溝形状及び所定の平面パターンを有す
るように設けられた燃料吐出部202a、水吐出部20
2b、燃料気化部203a、水気化部203b、混合部
203c、改質反応流路204、水素ガス排気部205
と、上記改質反応流路204の形成領域に対応する領域
であって、例えば、微小基板201の他面側に設けられ
た薄膜ヒータ206と、を備えて構成されている。
【0254】燃料吐出部202a及び水吐出部202b
は、上述したような水蒸気改質反応における原料物質と
なる発電用燃料及び水を、例えば、所定の単位量ごとに
液状粒として流路内に吐出する流体吐出機構を有してい
る。したがって、燃料吐出部202a及び水吐出部20
2bにおける発電用燃料又は水の吐出量に基づいて、例
えば、上記化学反応式(3)式に示した水蒸気改質反応
の進行状態が制御されることになるため(詳しくは、後
述する薄膜ヒータ206からの熱量も密接に関連す
る)、燃料吐出部202a及び水吐出部202bは、上
述した出力制御部14(燃料制御部14a)における燃
料供給量の調整機能の一部を担う構成を有している。
【0255】燃料気化部203a及び水気化部203b
は、それぞれ発電用燃料及び水の沸点等の揮発条件に応
じて加熱されるヒータであって、燃料吐出部202a及
び水吐出部202bから液状粒として吐出された発電用
燃料又は水を、加熱処理あるいは減圧処理等することに
より、図13(a)に示した蒸発過程を実行して気化
し、混合部203cにおいて、燃料ガスと水蒸気の混合
ガスを生成する。
【0256】改質反応流路204及び薄膜ヒータ206
は、上記混合部203cにおいて生成された混合ガスを
改質反応流路204に導入し、改質反応流路204の内
壁面に付着形成された銅-錫(Cu-Zn)系の触媒(図
示を省略)、及び、改質反応流路204の形成領域に対
応して設けられた薄膜ヒータ206から、改質反応流路
204に供給される所定の熱エネルギーに基づいて、図
13(a)及び上記化学反応式(3)に示した水蒸気改
質反応を生じさせて、水素ガス(H)を生成する(水
蒸気改質反応過程)。
【0257】水素ガス排気部205は、改質反応流路2
04において生成された水素ガスを排出して、選択酸化
反応ユニット210Cにおける水性シフト反応過程及び
選択酸化反応過程を介して、一酸化炭素(CO)を除去
した後、主発電部12を構成する燃料電池の燃料極に供
給する。これにより、主発電部12において、上記化学
反応式(6)及び(7)に基づく一連の電気化学反応が
生じて、所定の電力が生成される。
【0258】このような構成を有する電源システムにお
いて、上述した全体動作(初期動作、起動動作、定常動
作、停止動作)に則して、例えば、I/F部30を介し
て発電モジュール10に燃料パック20が結合される
と、燃料供給弁24A(燃料漏出防止手段)による漏出
防止機能が解除されて、燃料パック20の燃料封入空間
22Aに封入された発電用燃料(例えば、メタノール)
FLが、燃料送出経路31を介して直接副電源部11を
構成する燃料電池の燃料極に供給されて、第2の電力が
生成される。この電力は、コントロールチップ90に搭
載された動作制御部13に動作電力として供給されると
ともに、電源システム1Aが図示を省略した正極端子及
び負極端子を介して電気的に接続されたデバイスDVC
(図示を省略)に内蔵されたコントローラCNTに駆動
電力として供給される。
【0259】そして、動作制御部13が上記コントロー
ラCNTからデバイスDVCの負荷LDの駆動状態に関
する情報を受け取ると、起動制御部15に動作制御信号
を出力して、副電源部11により生成される電力の一部
を用いて、水蒸気改質反応ユニット210Aの薄膜ヒー
タ206を加熱するとともに、所定量の発電用燃料及び
水を水蒸気改質反応ユニット210Aの改質反応流路2
04に吐出する。これにより、上述した化学反応式
(3)〜(5)に示した水蒸気改質反応及び選択酸化反
応により、水素ガス(H)及び二酸化炭素(CO
が生成され、水素ガス(H)は、主発電部12を構成
する燃料電池の燃料極に供給されて第1の電力が生成さ
れ、デバイスDVCの負荷LDに負荷駆動電力として供
給されるとともに、二酸化炭素(CO)は、例えば、
発電モジュール10の上面に設けられた排出孔14dを
介して発電モジュール10(電源システム1A)の外部
に排出される。
【0260】また、主発電部12における発電動作に際
して生成される副生成物(水蒸気等の気体)は、分離回
収部16において、冷却されて液化されることにより、
水とそれ以外の気体成分とに分離し、水のみを回収して
一部を副生成物供給経路16aを介して、上記水蒸気改
質反応ユニット210Aに供給するとともに、それ以外
の水を副生成物回収経路32を介して、燃料パック20
内の回収保持空間22Bに不可逆的に保持される。
【0261】したがって、本具体構成例に係る電源シス
テム1Aによれば、電源システム1Aの外部から燃料の
補給を受けることなく、駆動される負荷(デバイスDV
C)の駆動状態に応じた適切な電力(第1の電力)を自
立的に出力することができるので、汎用の化学電池と同
等の電気的特性及び簡易な取り扱いを実現しつつ、高い
エネルギー変換効率で発電動作を行うことができるとと
もに、少なくとも燃料パック20の自然界への投棄、埋
め立て等に対して、環境への負担が少ないポータブル型
の電源システムを実現することができる。
【0262】なお、本具体構成例においては、主発電部
12や水蒸気改質反応ユニット210A等において生成
され、回収された副生成物(水)の一部を水蒸気改質反
応ユニット210Aに供給して再利用する構成を示した
が、このような構成を適用しない電源システムにおいて
は、燃料パック20に発電用燃料(メタノール等)とと
もに封入された水を利用して、水蒸気改質反応ユニット
210Aにおける水蒸気改質反応を実行する。
【0263】したがって、このように予め水が混合して
封入された発電用燃料を用いて発電動作を行う場合にあ
っては、図41に示すように、水蒸気改質反応ユニット
210Aの構成として、微小基板201の一面側に、燃
料吐出部202、燃料気化部203、改質反応流路20
4及び水素ガス排気部205のみからなる単一の流路が
形成された構成を適用することができる。
【0264】本発明に係る電源システムは、上述した各
構成例の部材、各実施形態の発電モジュール、並びに各
実施例の着脱構造を任意に組合せてなるものであり、場
合によっては、副電源部や主発電部の少なくとも一方を
複数個を並列に設けたり、複数種を並列に設けてもよ
く、このような構成によりデバイスの起動状態に応じて
主発電部の駆動が制御されるので発電用燃料の浪費を抑
制して、エネルギー資源の利用効率を向上することがで
き、リムーバルの汎用電池を電源として用いていた携帯
電話や携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコ
ンピュータ、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカ
メラ等の携帯機器に広く利用することができる。
【0265】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
燃料封入部(燃料パック)に充填、封入された液体又は
気体からなる発電用燃料、又は、該発電用燃料から供給
される特定の成分(例えば、水素)を用いて発電を行う
発電モジュール(発電器)を備えたポータブル型の電源
システムにおいて、第2の発電手段により生成される第
2の電力に基づいてシステム制御手段(起動制御部、出
力制御部、システム制御手段)が駆動され、負荷の駆動
状態に応じて、第1の電源手段への発電用燃料の供給量
が制御されることにより、第1の発電手段における第1
の電力の発生量(発電状態)が制御される。
【0266】これにより、電源システムの外部から燃料
等の供給を受けることなく、発電モジュールにより自立
的に発電状態を制御することができるので、負荷の駆動
状態に応じた適切な電力を発生、出力することができ、
発電用燃料の浪費を抑制して、エネルギー資源の利用効
率を高めた電源システムを提供することができるととも
に、汎用の化学電池と同等の電気的特性及び簡易な取り
扱いを実現することができる。
【0267】上記電源システムにおいて、より好ましい
態様は、第1の電源手段及び第2の電源手段が、共に燃
料封入部から供給される発電用燃料を用いた電気化学反
応により、第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電
池を有している構成であり、これによれば、汎用の化学
電池に比較して、極めてエネルギー利用効率の高い燃料
電池を用いて、電源システムの動作電力及び負荷の駆動
電力を生成することができるので、エネルギーの有効利
用を図ることができるとともに、既存の化学電池と同等
の電気的特性を得るために必要となる電源システム(発
電モジュール及び燃料封入部)の規模を小型化すること
ができる。
【0268】また、上記電源システムにおいて、第1の
電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであっ
てもよく、この場合、第1の電源手段は、発電用燃料を
改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、該特定
の成分が供給される燃料極と、空気中の酸素が供給され
る空気極と、を備えた燃料改質型の燃料電池としての構
成を適用することが好ましい。このような燃料改質型の
燃料電池を適用した構成によれば、燃料電池に供給され
る発電用燃料の量を制御することにより、第1の電源手
段により生成される第1の電力の量を簡易に制御するこ
とができるとともに、発電用燃料の有する化学エネルギ
ーから極めて高いエネルギー変換効率で電力を生成する
ことができる電源システムを実現することができる。
【0269】また、上記電源システムにおいて、第2の
電源手段のみを上記燃料電池により構成したものであっ
てもよく、この場合、第2の電源手段は、発電用燃料が
直接的に供給される燃料極と、空気中の酸素が供給され
る空気極と、を備えた燃料直接供給型の燃料電池として
の構成を適用することが好ましい。このような燃料直接
供給型の燃料電池を適用した構成によれば、簡易な構成
の燃料電池に燃料封入部から発電用燃料を供給するだけ
で、自立的かつ継続的に高いエネルギー変換効率で所定
の電力(第2の電力)を生成してシステム制御手段に動
作電力として供給することができるので、特別な操作を
必要とすることなく、負荷の駆動状態に応じて第1の電
力を出力することができ、汎用の化学電池と同等の簡易
な取り扱いが可能な電源システムを提供することができ
るとともに、第2の電源手段の規模を小型化することが
できる。
【0270】なお、上記電源システムにおいて、第1及
び第2の電源手段としては、上述した燃料電池の他、発
電用燃料を用いて高いエネルギー変換効率で第1及び第
2の電力を生成することができ、かつ、小型化や微細化
が可能な構成を有する種々の発電装置や蓄電装置の中か
ら、電源システムの外形形状や電気的特性等に応じて適
宜組み合わせた任意の構成を適用することができる。
【0271】ここで、第1の電源手段又は出力制御部の
少なくともいずれか一方は、第2の発電手段から出力さ
れる第2の電力に基づいて、又は、上記燃料電池又は発
電装置から出力される電力を蓄積する蓄電装置から放出
された電力(第2の電力)に基づいて動作するものであ
ってもよく、これによれば、第2の電源手段により生成
される電力の駆動電力特性に応じて、第2の電源手段か
ら直接供給される電力、又は、蓄電装置に蓄積され、駆
動電力特性が高められた電力を起動電力として用いるこ
とができるので、第1の電源手段を良好に起動して第1
の電力を生成する発電動作に移行することができる。
【0272】なお、上記電源システムに適用される発電
用燃料は、少なくとも、水素を主成分とする、又は、水
素からなる液体燃料、液化燃料、及び気体燃料のいずれ
か、具体的には、メタノールやエタノール、ブタノール
等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイ
ソブタン、天然ガス等の炭化水素からなる液化燃料、あ
るいは、水素ガス等の気体燃料であって、特に、燃料封
入部から発電モジュールに供給される際の常温、常圧等
の所定の環境条件の下で気体状態にあるものを良好に適
用することができるので、第1及び第2の電源手段にお
ける発電動作において、高いエネルギー変換効率で電力
を生成することができるとともに、この発電動作に伴っ
て電力以外に生成される副生成物を比較的簡易な処理で
無毒化や難燃化することができ、自然環境等への影響を
大幅に抑制することができる。
【0273】また、上記電源システムは、第1の電源手
段から出力される第1の電力により駆動する負荷に対し
て、システム全体が着脱可能な構成、もしくは、該負荷
に対して、少なくとも燃料封入部が着脱可能な構成、又
は、発電モジュールに対して、燃料封入部が着脱可能な
構成を有していることが好ましい。これによれば、燃料
封入部に封入された発電用燃料がなくなったときや少な
くなったときに、燃料封入部を発電モジュールから取り
外して新たな燃料封入部に交換、あるいは、燃料封入部
に発電用燃料を注入して補充することができるので、発
電モジュールを継続的に利用することができるととも
に、電源システム全体又は燃料封入部をあたかも汎用の
化学電池のように簡便に使用することができる。また、
燃料封入部の交換や回収が可能となるので、電源システ
ム自体の廃棄量を削減することができる。
【0274】さらに、上記電源システムは、少なくと
も、発電モジュール(第1の電源手段、第2の電源手
段)が、微細加工技術を用いて微小空間に集積化された
構成を適用することもできる。このような構成によれ
ば、燃料封入部及び発電モジュールを組み合わせた電源
システム全体の物理的外形形状を、汎用の化学電池の外
形形状及び寸法と同等に構成することもできるので、電
気的特性のみならず、外形形状においても、汎用の化学
電池との完全な互換性を備えることができ、極めてエネ
ルギー変換効率の高い電源システムを既存の化学電池の
市場に良好に普及させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源システムの適用形態を示す概
念図である。
【図2】本発明に係る電源システムの基本構成を示すブ
ロック図である。
【図3】本発明に係る電源システムに適用される発電モ
ジュールの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図6】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第3の構成例を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第4の構成例を示す概略構成図である。
【図8】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第5の構成例を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能な
副電源部の第6の構成例を示す概略構成図である。
【図10】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な副電源部の第7の構成例を示す概略構成図である。
【図11】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な副電源部の第8の構成例を示す概略構成図である。
【図12】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図13】本構成例に係る主発電部に適用される燃料改
質部における水素生成過程を示す概念図である。
【図14】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図15】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第3の構成例を示す概略構成図である。
【図16】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第4の構成例を示す概略構成図である。
【図17】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第5の構成例を示す概略構成図である。
【図18】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な主発電部の第6の構成例を示す概略構成図である。
【図19】本発明に係る電源システムに適用される発電
モジュールの一実施形態の他の例の要部構成を示すブロ
ック図である。
【図20】電源システムの概略動作を示すフローチャー
トである。
【図21】本発明に係る電源システムに適用される発電
モジュールの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図22】本発明に係る電源システムに適用される発電
モジュールの第3の実施形態を示すブロック図である。
【図23】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な副電源部の第1の構成例を示す概略構成図である。
【図24】本実施形態に係る電源モジュールに適用可能
な副電源部の第2の構成例を示す概略構成図である。
【図25】本発明に係る電源システムに適用可能な副生
成物回収手段の一実施例を示すブロック図である。
【図26】本実施例に係る副生成物回収手段による副生
成物の保持動作を示す概略図である。
【図27】本発明に係る電源システムに適用可能な残量
検出手段の一実施例を示すブロック図である。
【図28】本発明に係る電源システムに適用可能な燃料
安定化手段の一実施例を示すブロック図である。
【図29】本発明に係る電源システムに適用可能な外形
形状の具体例を示す概略構成図である。
【図30】本発明に係る電源システムに適用される外形
形状と、汎用の化学電池の外形形状との対応関係を示す
概念図である。
【図31】本発明に係る電源システムに既存の化学電池
の外形形状を適用した場合の第1の実施例を示す概略構
成図である。
【図32】本実施例に係る電源システムにおける発電モ
ジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図であ
る。
【図33】本発明に係る電源システムに既存の化学電池
の外形形状を適用した場合の第2の実施例を示す概略構
成図である。
【図34】本実施例に係る電源システムにおける発電モ
ジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図であ
る。
【図35】本発明に係る電源システムに既存の化学電池
の外形形状を適用した場合の第3の実施例を示す概略構
成図である。
【図36】本実施例に係る電源システムにおける発電モ
ジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図であ
る。
【図37】本発明に係る電源システムに既存の化学電池
の外形形状を適用した場合の第4の実施例を示す概略構
成図である。
【図38】本実施例に係る電源システムにおける発電モ
ジュール及び燃料パックの着脱構造を示す概略図であ
る。
【図39】本発明に係る電源システム全体の具体構成例
を示す概略構成図である。
【図40】本具体構成例に適用される燃料改質部の一構
成例を示す概略図である。
【図41】本具体構成例に適用される燃料改質部の他の
構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電源システム 10、10A〜10F 発電モジュール 11、11A〜11H 副電源部 12、12A〜12F 主発電部 13 動作制御部 14 出力制御部 15 起動制御部 16 分離回収部 17 残量検出部 20、20D〜20F 燃料パック 30、30D〜30F I/F部 DVC デバイス LD 負荷 CNT コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/06 H01M 8/06 Z // H01M 8/10 8/10

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発電用燃料が封入された燃料封入部と、 該燃料封入部から供給される前記発電用燃料を用いて電
    力を発生する発電モジュールと、を備え、 前記発電モジュールは、 前記発電用燃料を用いて所定の負荷を駆動するための第
    1の電力を発生する第1の電源手段と、 少なくとも、前記第1の電源手段を動作制御するための
    第2の電力を出力する第2の電源手段と、 前記第2の電力により動作し、少なくとも、前記第1の
    電源手段における動作状態を制御するシステム制御手段
    と、を具備していることを特徴とする電源システム。
  2. 【請求項2】 前記システム制御手段は、少なくとも、 前記第1の電源手段を起動状態に設定する起動制御部
    と、 前記第1の電源手段の動作状態を制御して、前記第1の
    電力の発生量を調整する出力制御部と、 少なくとも、前記負荷の駆動状態に応じて、前記起動制
    御部及び前記出力制御部を制御し、前記第1の電源手段
    により生成される前記第1の電力の発生量を制御する動
    作制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1記
    載の電源システム。
  3. 【請求項3】 前記出力制御部は、前記動作制御手段か
    らの制御信号に基づいて、前記第1の電源手段への前記
    発電用燃料の供給量を制御し、前記第1の電源手段にお
    ける前記第1の電力の発生量を調整することを特徴とす
    る請求項2記載の電源システム。
  4. 【請求項4】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入部
    から供給される前記発電用燃料を用いて、前記第1の電
    力を発生する発電装置を有することを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれかに記載の電源システム。
  5. 【請求項5】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入部
    から供給され、前記第2の電源手段における前記第2の
    電力の出力のために消費された後の前記発電用燃料を用
    いて、前記第1の電力を発生する発電装置を有すること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電源シ
    ステム。
  6. 【請求項6】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入部
    から供給される前記発電用燃料を用いて、前記第2の電
    力を常時自立的に発生する発電装置を有することを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電源システ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入部
    から供給される前記発電用燃料を用いることなく、前記
    第2の電力を常時出力する電源装置を有することを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電源システ
    ム。
  8. 【請求項8】 前記第1の電源手段及び前記第2の電源
    手段は、前記発電用燃料を用いた電気化学反応により、
    前記第1の電力及び第2の電力を発生する燃料電池を有
    することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の電源システム。
  9. 【請求項9】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入部
    から供給される前記発電用燃料を用いた電気化学反応に
    より、前記第1の電力を発生する燃料電池を有すること
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電源シ
    ステム。
  10. 【請求項10】 前記第1の電源手段は、前記発電用燃
    料を改質して、特定の成分を抽出する燃料改質器と、該
    特定の成分が供給される燃料極と、空気中の酸素が供給
    される空気極と、を備えた燃料改質型の燃料電池を有す
    ることを特徴とする請求項8又は9記載の電源システ
    ム。
  11. 【請求項11】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料の燃焼に基づいて、前
    記第1の電力を発生する発電装置を有することを特徴と
    する請求項1乃至7のいずれかに記載の電源システム。
  12. 【請求項12】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた燃焼反応によ
    り生じる熱エネルギーによる高温と前記電源システム内
    外の他の領域における定温との温度差に基づいて、熱電
    変換により前記第1の電力を発生する発電装置を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電
    源システム。
  13. 【請求項13】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた熱音響効果に
    よる外力発生効果に基づいて、前記第1の電力を発生す
    る発電装置を有することを特徴とする請求項1乃至7の
    いずれかに記載の電源システム。
  14. 【請求項14】 前記第1の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた電磁流体発電
    により前記第1の電力を発生する発電装置を有すること
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電源シ
    ステム。
  15. 【請求項15】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた電気化学反応
    により、前記第2の電力を発生する燃料電池を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電源
    システム。
  16. 【請求項16】 前記第2の電源手段は、前記発電用燃
    料が直接的に供給される燃料極と、空気中の酸素が供給
    される空気極と、を備えた燃料直接供給型の燃料電池を
    有することを特徴とする請求項15記載の電源システ
    ム。
  17. 【請求項17】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部に封入された液体燃料からなる前記発電用燃料の気化
    反応により生じる圧力エネルギーに基づいて、前記第2
    の電力を発生する発電装置を有することを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載の電源システム。
  18. 【請求項18】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部に封入された高圧液化燃料からなる前記発電用燃料の
    圧力エネルギーに基づいて、第2の電力を発生する発電
    装置を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれ
    かに記載の電源システム。
  19. 【請求項19】 前記第2の電源手段は、前記電源シス
    テムの周辺と内部における温度差に基づいて、熱電変換
    により前記第2の電力を発生する発電装置を有すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電源シ
    ステム。
  20. 【請求項20】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた触媒燃焼反応
    により生じる熱エネルギーによる高温と前記電源システ
    ム内外の他の領域における定温との温度差に基づいて、
    熱電変換により前記第2の電力を発生する発電装置を有
    することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の電源システム。
  21. 【請求項21】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部に封入され、液化された前記発電用燃料の気化反応に
    より吸収される熱エネルギーによる低温と前記電源シス
    テム内外の他の領域における定温との温度差に基づい
    て、熱電変換により前記第2の電力を発生する発電装置
    を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに
    記載の電源システム。
  22. 【請求項22】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料を用いた生物化学的反
    応に基づいて、前記第2の電力を発生する発電装置を有
    することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の電源システム。
  23. 【請求項23】 前記第2の電源手段は、前記燃料封入
    部から供給される前記発電用燃料の流体移動により生じ
    る振動エネルギーに基づいて、前記第2の電力を発生す
    る発電装置を有することを特徴とする請求項1乃至6の
    いずれかに記載の電源システム。
  24. 【請求項24】 前記第2の電源手段は、前記電源シス
    テムの外部から入射する光エネルギーに基づいて、光電
    変換により前記第2の電力を発生する発電装置を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電
    源システム。
  25. 【請求項25】 前記第2の電源手段は、電力の蓄積が
    可能な蓄電装置を有することを特徴とする請求項1乃至
    5のいずれかに記載の電源システム。
  26. 【請求項26】 前記第2の電源手段は、繰り返し充放
    電が可能な電気化学的な二次電池を有することを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載の電源システム。
  27. 【請求項27】 前記第2の電源手段は、繰り返し電荷
    の蓄積、放出が可能なコンデンサを有することを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載の電源システム。
  28. 【請求項28】 前記第1の電源手段又は前記出力制御
    部の少なくともいずれか一方は、前記第2の発電手段か
    ら出力される前記第2の電力に基づいて動作することを
    特徴とする請求項2乃至27のいずれかに記載の電源シ
    ステム。
  29. 【請求項29】 前記第2の電源手段は、前記燃料電池
    又は前記発電装置から出力される電力を蓄積する前記蓄
    電装置を備え、該蓄電装置に蓄積された前記電力を前記
    第2の電力として、前記第1の電源手段又は前記出力制
    御部の少なくともいずれか一方に出力することを特徴と
    する請求項15乃至27のいずれかに記載の電源システ
    ム。
  30. 【請求項30】 前記電源システムは、少なくとも、前
    記発電モジュールに設けられる前記第1の電源手段及び
    前記第2の電源手段が、微細加工技術を用いて微小空間
    に集積化された構成を有していることを特徴とする請求
    項1乃至29のいずれかに記載の電源システム。
  31. 【請求項31】 前記発電用燃料は、少なくとも、水素
    を主成分とする、又は、水素からなる液体燃料、液化燃
    料、及び、気体燃料のいずれかを含むことを特徴とする
    請求項1乃至30のいずれかに記載の電源システム。
  32. 【請求項32】 前記発電用燃料は、アルコール系の液
    体燃料を含み、所定の環境条件下で気化することを特徴
    とする請求項31記載の電源システム。
  33. 【請求項33】 前記発電用燃料は、炭化水素からなる
    液化燃料を含み、所定の環境条件下で気化することを特
    徴とする請求項31記載の電源システム。
  34. 【請求項34】 前記電源システムは、前記第1の電源
    手段から出力される前記第1の電力により駆動する前記
    負荷に対して、着脱可能に構成されていることを特徴と
    する請求項1乃至33のいずれかに記載の電源システ
    ム。
  35. 【請求項35】 前記電源システムは、前記第1の電源
    手段から出力される前記第1の電力により駆動する前記
    負荷に対して、少なくとも前記燃料封入部が着脱可能に
    構成されていることを特徴とする請求項1乃至33のい
    ずれかに記載の電源システム。
  36. 【請求項36】 前記電源システムは、前記発電モジュ
    ールに対して、前記燃料封入部が、着脱可能に構成され
    ていることを特徴とする請求項1乃至33のいずれかに
    記載の電源システム。
  37. 【請求項37】 前記電源システムは、日本工業規格で
    規格化された電池の形状及び寸法規格に則った外形であ
    ることを特徴とする請求項1乃至36のいずれかに記載
    の電源システム。
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