JP2002284714A - 分離精製器 - Google Patents

分離精製器

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JP2002284714A
JP2002284714A JP2001086305A JP2001086305A JP2002284714A JP 2002284714 A JP2002284714 A JP 2002284714A JP 2001086305 A JP2001086305 A JP 2001086305A JP 2001086305 A JP2001086305 A JP 2001086305A JP 2002284714 A JP2002284714 A JP 2002284714A
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structural
separation
rod
variable
scavenging
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JP2001086305A
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English (en)
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Takatoshi Kinoshita
隆利 木下
Shintaro Washisu
信太郎 鷲巣
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療分野、工業的分野などをはじめ、各種の
分野において好適に使用することができ、生分解性・安
全性に優れ、かつ、捕捉対象に特異的に働き該捕捉対象
のみを選択的に捕捉することにより分離精製可能な分離
精製器の提供。 【解決手段】 棒状体と、該棒状体の一端に結合され、
刺激により構造が可変である構造可変体とからなる繰り
返し単位を少なくとも1つ有してなり、一端が基体に固
定され、捕捉対象を特異的に捕捉する捕捉構造体を他端
に有することを特徴とする分離精製器である。構造可変
体の構造が変化することにより、捕捉構造体が、基体上
に形成した油相−水相間を移動可能である態様、基体か
ら捕捉構造体までの長さが810nm以下である態様、
構造性発色を示す態様、棒状体が、棒状有機物である態
様、棒状有機物が、α−ヘリックス・ポリペプチド、D
NA及びアミロースのいずれかである態様等が好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性、安全性
に優れ、かつ、捕捉対象を好適に捕捉し、該捕捉対象を
好適に分離精製でき、各種の分野に利用可能な分離精製
器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、特定の対象物に特異的に働
き、該対象物のみを選択的に捕捉し、相から該特定の対
象物を分離精製可能な分離精製器に関する技術が、医療
分野、工業的分野などにおいて、各種研究され利用され
ている。しかし、近年、環境問題等が盛んに取り上げら
れており、相から特定の対象物を好適に分離精製可能で
あると共に、分離精製後の捕捉対象を含む廃棄物等につ
いて、生分解性・安全性に優れ環境に優しいものである
ことが要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける要求に応え、以下の目的を達成することを課題と
する。即ち、本発明は、医療分野、工業的分野などをは
じめ、各種の分野において好適に使用することができ、
生分解性・安全性に優れ、かつ、捕捉対象に特異的に働
き該捕捉対象のみを選択的に捕捉することにより分離精
製可能な分離精製器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段としては、以下の通りである。即ち、 <1> 棒状体と、該棒状体の一端に結合され、刺激に
より構造が可変である構造可変体とからなる繰り返し単
位を少なくとも1つ有してなり、一端が基体に固定さ
れ、捕捉対象を特異的に捕捉する捕捉構造体を他端に有
することを特徴とする分離精製器である。
【0005】<2> 構造可変体の構造が変化すること
により、捕捉構造体が、基体上に形成した油相−水相間
を移動可能である前記<1>に記載の分離精製器であ
る。 <3> 基体から捕捉構造体までの長さが810nm以
下である前記<1>又は<2>に記載の分離精製器であ
る。 <4> 構造性発色を示す前記<1>から<3>のいず
れかに記載の分離精製器である。
【0006】<5> 棒状体が、棒状有機物である前記
<1>から<4>のいずれかに記載の分離精製器であ
る。 <6> 棒状有機物が、α−ヘリックス・ポリペプチ
ド、DNA及びアミロースのいずれかである前記<5>
に記載の分離精製器である。 <7> 構造可変体の構造が変化することにより発色が
変化する前記<1>から<6>のいずれかに記載の分離
精製器である。 <8> 構造可変体が、光で構造が可変である前記<1
>から<7>のいずれかに記載の分離精製器である。
【0007】<9> 構造可変体が、幾何異性体である
前記<1>から<8>のいずれかに記載の分離精製器で
ある。 <10> 構造可変体が、アゾベンゼン化合物である前
記<1>から<9>のいずれかに記載の分離精製器であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の分離精製器を詳細
に説明する。本発明の分離精製器は、棒状体と構造可変
体とからなる繰り返し単位を有してなり、一端が基体に
固定され、捕捉構造体を他端に有する。
【0009】<棒状体>前記棒状体としては、棒状であ
れば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
でき、棒状無機物、棒状有機物のいずれであってもよい
が、棒状有機物であるのが好ましい。
【0010】前記棒状有機物としては、例えば、生体高
分子、多糖類などが挙げられる。前記生体高分子として
は、例えば、繊維状蛋白、α−ヘリックス・ポリペプチ
ド、核酸(DNA、RNA)などが好適に挙げられる。
該繊維状蛋白としては、例えば、α−ケラチン、ミオシ
ン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、
絹フィブロイン等のα−ヘリックス構造を有するものが
挙げられる。前記多糖類としては、例えば、アミロース
などが好適に挙げられる。
【0011】前記棒状有機物の中でも、安定に棒状を維
持することができ、また、目的に応じて内部に他の物質
をインターカレートさせることができる点で、分子がら
せん構造を有するらせん状有機分子が好ましく、該らせ
ん状有機分子には、上述したものの内、α−ヘリックス
・ポリペプチド、DNA、アミロースなどが該当する。
【0012】〔α−ヘリックス・ポリペプチド〕前記α
−ヘリックス・ポリペプチドは、ポリペプチドの二次構
造の一つであり、アミノ酸3.6残基ごとに1回転(1
らせんを形成)し、4番目ごとのアミノ酸のイミド基
(−NH−)とカルボニル基(−CO−)との間に螺旋
軸とほぼ平行な水素結合を作り、7アミノ酸を一単位と
して繰り返すことによりエネルギー的に安定な構造を有
している。
【0013】前記α−ヘリックス・ポリペプチドのらせ
ん方向としては、特に制限はなく、右巻きであってもよ
いし、左巻きであってもよい。なお、天然には安定性の
点から前記らせん方向が右巻きのものしか存在しない。
【0014】前記α−ヘリックス・ポリペプチドを形成
するアミノ酸としては、α−ヘリックス構造を形成可能
であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができるが、該α−ヘリックス構造を形成し易いもの
が好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、ア
スパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、ア
ルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン
(His)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(G
ln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、ア
ラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Le
u)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cy
s)、メチオニン(Met)、チロシン(Tyr)、フ
ェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)
などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用さ
れてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0015】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの親性
としては、前記アミノ酸を適宜選択することにより、親
水性、疎水性、両親媒性のいずれにも変え得るが、前記
親水性とする場合、前記アミノ酸としては、セリン(S
er)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(As
p)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Ar
g)、リジン(Lys)、アスパラギン(Asn)、グ
ルタミン(Gln)などが好適に挙げられ、前記疎水性
とする場合、前記アミノ酸としては、フェニルアラニン
(Phe)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン
(Ile)、チロシン(Tyr)、メチオニン(Me
t)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)などが挙
げられる。
【0016】また、前記α−ヘリックス・ポリペプチド
においては、該α−ヘリックスを形成する前記アミノ酸
における、ペプチド結合を構成しないカルボキシル基
を、エステル化することにより疎水性にすることがで
き、一方、該エステル化されたカルボキシル基を加水分
解することにより親水性にすることができる。
【0017】前記アミノ酸としては、L−アミノ酸、D
−アミノ酸、これらの側鎖部分が修飾された誘導体など
のいずれであってもよい。
【0018】前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおけ
るアミノ酸の結合個数(重合度)としては、特に制限は
なく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜
5000であるのが好ましい。前記結合個数(重合度)
が、10未満であると、ポリアミノ酸が安定なα−ヘリ
ックスを形成できなくなることがあり、5000を超え
ると、垂直配向させることが困難となることがある。
【0019】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの具体
例としては、例えば、ポリ(γ−メチル−L−グルタメ
ート)、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ
(γ−ベンジル−L−グルタメート)、ポリ(L−グル
タミン酸−γ−ベンジル)、ポリ(n−ヘキシル−L−
グルタメート)等のポリグルタミン酸誘導体、ポリ(β
−ベンジル−L−アスパルテート)等のポリアスパラギ
ン酸誘導体、ポリ(L−ロイシン)、ポリ(L−アラニ
ン)、ポリ(L−メチオニン)、ポリ(L−フェニルア
ラニン)、ポリ(L−リジン)−ポリ(γ−メチル−L
−グルタメート)などのポリペプチド、が好適に挙げら
れる。
【0020】前記α−ヘリックス・ポリペプチドとして
は、市販のものであってもよいし、公知文献等に記載の
方法に準じて適宜合成乃至調製したものであってもよ
い。
【0021】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成
の一例として、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リ
ジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)
60〕PLLZ25−PMLG60の合成をここで示す
と次の通りである。即ち、ブロックコポリペプチド〔ポ
リ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタ
メート)60〕PLLZ25−PMLG60は、下記式
で示したように、n−ヘキシルアミンを開始剤として用
い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カル
ボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続け
てγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無
水物(MLG−NCA)の重合を行うことにより合成す
ることができる。
【0022】
【化1】
【0023】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成
は、上記方法に限られず、遺伝子工学的方法により合成
することもできる。具体的には、前記目的とするポリペ
プチドをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターに
より宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養する
こと等により製造することができる。前記発現ベクター
としては、例えば、プラスミドベクター、ファージベク
ター、プラスミドとファージとのキメラベクター、など
が挙げられる。前記宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌
等の原核微生物、酵母菌等の真核微生物、動物細胞など
が挙げられる。
【0024】また、前記α−ヘリックス・ポリペプチド
は、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリ
ノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等の天然の繊
維状蛋白からそのα−フェリックス構造部分を切り出す
ことにより調製してもよい。
【0025】〔DNA〕前記DNAは、1本鎖DNAで
あってもよいが、安定に棒状を維持することができ、内
部に他の物質をインターカレートできる等の点で2本鎖
DNAであるのが好ましい。前記2本鎖DNAは、一つ
の中心軸の回りに、右巻きらせん状の2本のポリヌクレ
オチド鎖が互いに逆方向に延びた状態で位置して形成さ
れた2重らせん構造を有する。前記ポリヌクレオチド鎖
は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及
びシトシン(C)の4種類の核酸塩基で形成されてお
り、前記ポリヌクレオチド鎖において前記核酸塩基は、
中心軸に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形
で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形
成し、アデニンに対してはチミンが、グアニンに対して
はシトシンが、それぞれ特異的に水素結合している。そ
の結果、前記2本鎖DNAにおいては、2本のポリペプ
チド鎖が互いに相補的に結合している。
【0026】前記DNAは、公知のPCR(Polym
erase Chain Reaction)法、LC
R(Ligase chain Reaction)
法、3SR(Self−sustained Sequ
ence Replication)法、SDA(St
rand Displacement Amplifi
cation)法等により調製することができるが、こ
れらの中でもPCR法が好適である。
【0027】また、前記DNAは、天然の遺伝子から制
限酵素により酵素的に直接切り出して調製してもよい
し、遺伝子クローニング法により調製してもよいし、化
学合成法により調製してもよい。
【0028】前記遺伝子クローニング法の場合、例え
ば、正常核酸を増幅したものをプラスミドベクター、フ
ァージベクター、プラスミドとファージとのキメラベク
ター等から選択されるベクターに組み込み、大腸菌、枯
草菌等の原核微生物、酵母等の真核微生物、動物細胞な
どから選択される増殖可能な任意の宿主に導入すること
により前記DNAを大量に調製することができる。前記
化学合成法としては、例えば、トリエステル法、亜リン
酸法などのような、液相法又は不溶性の担体を使った固
相合成法などが挙げられる。前記化学合成法の場合、公
知の自動合成機等を用い、1本鎖のDNAを大量に調製
した後、アニーリングを行うことにより、2本鎖DNA
を調製することができる。
【0029】〔アミロース〕前記アミロースは、高等植
物の貯蔵のためのホモ多糖類であるデンプンを構成する
D−グルコースがα−1,4結合で直鎖状につながった
らせん構造を有する多糖類である。前記アミロースの分
子量としては、数平均分子量で、数千〜15万程度が好
ましい。前記アミロースは、市販のものであってもよい
し、公知の方法に従って適宜調製したものであってもよ
い。なお、前記アミロースは、その一部にアミロペクチ
ンが含まれていても構わない。
【0030】前記棒状体の径としては、特に制限はない
が、前記α−ヘリックス・ポリペプチドの場合には0.
8〜2.0nm程度である。
【0031】前記棒状体は、その全部が疎水性又は親水
性であってもよく、また、その一部が疎水性又は親水性
であり、他の部分が該一部と逆の親性を示す両親媒性で
あってもよい。前記棒状体が前記両親媒性であると、油
相−水相界面、気相−液相界面等での配向、油相又は水
相中等での分散、などが容易である点で有利である。
【0032】前記両親媒性の棒状体の場合、疎水性を示
す部分及び親水性を示す部分の数としては特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができる。また、こ
の場合、疎水性を示す部分と親水性を示す部分とが交互
に位置していてもよいし、いずれかの部分が棒状体の一
端部にのみ位置していてもよい。ここで、前記両親媒性
の棒状体の一例を図1に示す。図1において、棒状体1
0は、その一端側に疎水性部10aを、他端側に親水性
部10bを有する。
【0033】<構造可変体>前記構造可変体としては、
刺激により構造が可変であれば特に制限はなく、目的に
応じて適宜選択することができる。
【0034】前記刺激としては、化学的刺激及び物理的
刺激が挙げられる。前記化学的刺激としては、PH変化
や特定物質の併存等が挙げられる。前記物理的刺激とし
ては、光、電場、熱、磁場、圧力などが挙げられ、光、
電場、熱のいずれかが好ましい。
【0035】前記光により構造が可変である構造可変体
としては、例えば、光化学反応化合物が挙げられ、該光
化学反応化合物としては、スピロベンゾピラン等の光開
環化合物、光イオン化官能基を有する化合物、立体異性
体などが挙げられる。
【0036】前記立体異性体としては、光により好適に
構造が変化し発色を変化させ得る点で、幾何異性体が特
に好ましい。これらの光により構造が可変な構造可変体
は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0037】前記電場により構造が可変な構造可変体と
しては、例えば、液晶性分子などが挙げられる。前記液
晶性分子としては、例えば、棒状液晶性分子、ディスコ
ティック液晶分子が挙げられる。
【0038】前記棒状液晶分子としては、アゾメチン化
合物、アゾキシ化合物、シアノビフェニル化合物、シア
ノフェニルエステル化合物、安息香酸エステル化合物、
シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル化合物、シ
アノフェニルシクロヘキサン化合物、シアノ置換フェニ
ルピリミジン化合物、アルコキシ置換フェニルピリミジ
ン化合物、フェニルジオキサン化合物、トラン化合物及
びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル化合物など
が挙げられる。また、高分子液晶性分子も好適に挙げら
れる。
【0039】前記ディスコティック液晶性分子として
は、種々の文献(C.Destrade.,eta
l.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,v
ol.71,page111(1981);日本化学会
編、李刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、
第10章第2節(1994);B.Kohne et
al.,Angew,Chem.Soc.Chem.C
omm.page 1794(1985);J.Zha
ng et al.,J.Am.Chem.Soc.,
Vo1 116,page 2655(1994))、
及び、特開平5−5837号、特開平8−27284
号、特開平8−334621号、特開平9−10465
6号の各公報に記載の化合物などが挙げられる。これら
の電場により構造が可変な構造可変体は、1種単独で使
用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】前記熱により構造が可変な構造可変体とし
ては、例えば、熱膨張、熱収縮などを示すものが挙げら
れ、熱により結晶融解を示す物質や結晶化を示す物質、
熱可塑性物質、熱硬化性物質、前記液晶性分子などが挙
げられる。
【0041】前記熱可塑性物質としては、例えば、熱可
塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチルな
ど、重縮合系のポリアミド、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリフェニレンオキシド、重付加系の熱可塑性
ポリウレタン、開環重合系のポリアセタールなどが挙げ
られる。前記熱硬化性物質としては、例えば、熱硬化性
樹脂が挙げられ、具体的には、尿素樹脂、メラミン樹
脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの熱によ
り構造が可変な構造可変体は、1種単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0042】以上の構造可変体としては、構造を可逆的
に変え得るのが、発色変化の制御が必要な各種の用途に
好適に利用できる点で好ましく、このような点で、幾何
異性体、液晶性分子などが好ましく、幾何異性体がより
好ましい。
【0043】前記幾何異性体としては、光により構造が
可変であれば特に制限はないが、シス−トランス異性
体、シン−アンチ異性体などが挙げられ、アゾ基(−N
=N−)を含む構造の化合物、例えば、アゾ化合物、ア
ゾキシ化合物などが特に好適に挙げられる。
【0044】前記アゾ化合物としては、例えば、アゾベ
ンゼン化合物、アゾメタン化合物、アゾジカルボンアミ
ド化合物、アゾジカルボン酸ジエシル化合物などが挙げ
られる。前記アゾキシ化合物としては、アゾキシ二安息
香酸化合物、アゾキシベンゼン化合物などが挙げられ
る。
【0045】前記アゾベンゼン化合物に光照射した場合
の構造変化を下記に示す。アゾベンゼン化合物(トラン
ス異性体)は、通常、300〜400nmに吸収帯を有
し、ベンゼン環におけるアゾ基に対してパラ位の位置間
の長さは、約9.0Å程度の分子である(下記
(a))。これに紫外線を照射することにより、ベンゼ
ン環におけるアゾ基に対してパラ位の位置間の長さが約
5.5Åの分子であるアゾベンゼン(シス異性体)(下
記(b))に構造が変化し、好適に発色が変化する。
【0046】
【化2】
【0047】前記構造可変体としては、図2(a)に示
すように前記棒状体の直鎖に結合していてもよく、図2
(b)に示すように側鎖に結合していてもよく、図2
(c)に示すように直鎖及び側鎖の双方に結合していて
もよいが、より発色色の変化に優れ、より好適に捕捉対
象を分離精製可能である点で、少なくとも棒状体の直鎖
に結合しているのが好ましい。
【0048】前記構造可変体が、前記棒状体の側鎖に結
合している場合、棒状体の全側鎖における構造可変体の
割合としては、特に制限はなく、所望により適宜選択さ
れる。
【0049】<捕捉構造体>前記捕捉の態様としては、
特に制限はないが、物理吸着、化学吸着などが挙げられ
る。これらは、例えば、水素結合、分子間力(ファン・
デル・ワールス力)、配位結合、イオン結合、共有結合
などにより形成され得る。
【0050】前記捕捉構造体の具体例としては、例え
ば、包接化合物(以下「ホスト」と称することがあ
る)、抗体、核酸、ホルモンレセプター、レクチン、生
理活性物質受容体などが好適に挙げられる。これらの中
でも、包接化合物及び抗体が好ましい。
【0051】なお、これらの捕捉構造体の捕捉対象とし
ては、前記包接化合物の場合にはゲスト(包接される成
分)であり、前記抗体の場合には抗原であり、前記核酸
の場合には核酸、チューブリン、キチン等であり、前記
ホルモンレセプターの場合にはホルモンであり、前記レ
クチンの場合には糖等であり、前記生理活性物質受容体
の場合には生理活性物質である。
【0052】〔包接化合物〕前記包接化合物としては、
分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を有する限り特に
制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例
えば、筒状(一次元)の空洞を有するもの、層状(二次
元)の空洞を有するもの、かご状(三次元)の空洞を有
するもの、などが好適に挙げられる。
【0053】前記筒状(一次元)の空洞を有する包接化
合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコー
ル酸、ジニトロジフェニル、ジオキシトリフェニルメタ
ン、トリフェニルメタン、メチルナフタリン、スピロク
ロマン、PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)、セル
ロース、アミロース、シクロデキストリン(但し、溶液
中では前記空洞がかご状)などが挙げられる。
【0054】前記尿素の捕捉対象(前記ゲスト)として
は、例えば、n−パラフィン誘導体などが挙げられる。
【0055】前記チオ尿素の捕捉対象(前記ゲスト)と
しては、例えば、分岐状又は環状の炭化水素などが挙げ
られる。
【0056】前記デオキシコール酸の捕捉対象(前記ゲ
スト)としては、例えば、パラフィン類、脂肪酸、芳香
族化合物などが挙げられる。
【0057】前記ジニトロジフェニルの捕捉対象(前記
ゲスト)としては、例えば、ジフェニル誘導体などが挙
げられる。
【0058】前記ジオキシトリフェニルメタンの捕捉対
象(前記ゲスト)としては、例えば、パラフィン類、n
−アルケン類、スクアレンなどが挙げられる。
【0059】前記トリフェニルメタンの捕捉対象(前記
ゲスト)としては、例えば、パラフィン類などが挙げら
れる。
【0060】前記メチルナフタリンの捕捉対象(前記ゲ
スト)としては、例えば、C16までのn−パラフィン
類、分岐状パラフィン類などが挙げられる。
【0061】前記スピロクロマンの捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、パラフィン類などが挙げられ
る。
【0062】前記PHTP(ペルヒドロトリフェニレ
ン)の捕捉対象(前記ゲスト)としては、例えば、クロ
ロホルム、ベンゼン、各種高分子物質などが挙げられ
る。
【0063】前記セルロースの捕捉対象(前記ゲスト)
としては、例えば、HO、パラフィン類、CCl
色素、ヨウ素などが挙げられる。
【0064】前記アミロースの捕捉対象(前記ゲスト)
としては、例えば、脂肪酸、ヨウ素などが挙げられる。
【0065】前記シクロデキストリンは、デンプンのア
ミラーゼによる分解で生成する環状のデキストリンであ
り、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリ
ン、γ−シクロデキストリンの3種が知られている。本
発明においては、前記シクロデキストリンとして、これ
らの水酸基の一部を他の官能基、例えば、アルキル基、
アリル基、アルコキシ基、アミド基、スルホン酸基など
に変えたシクロデキストリン誘導体も含まれる。
【0066】前記シクロデキストリンの捕捉対象(前記
ゲスト)としては、例えば、チモール、オイゲノール、
レゾルシン、エチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等
のフェノール誘導体、サリチル酸、パラオキシ安息香酸
メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体
及びそのエステル、コレステロール等のステロイド、ア
スコルビン酸、レチノール、トコフェロール等のビタミ
ン、リモネン等の炭化水素類、イソチオシアン酸アリ
ル、ソルビン酸、ヨウ素分子、メチルオレンジ、コンゴ
ーレッド、2−p−トルイジニルナフタレン−6−スル
ホン酸カリウム塩(TNS)などが挙げられる。
【0067】前記層状(二次元)の包接化合物として
は、例えば、粘土鉱物、グラファイト、スメクタイト、
モンモリロナイト、ゼオライトなどが挙げられる。
【0068】前記粘土鉱物の捕捉対象(前記ゲスト)と
しては、例えば、親水性物質、極性化合物などが挙げら
れる。
【0069】前記グラファイトの捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、O、HSO 、ハロゲン、ハ
ロゲン化物、アルカリ金属などが挙げられる。
【0070】前記モンモリロナイトの捕捉対象(前記ゲ
スト)としては、例えば、ブルシン、コデイン、o−フ
ェニレンジアミン、ベンジジン、ピペリジン、アデニ
ン、グイアニン及びこれらのリポシドなどが挙げられ
る。
【0071】前記ゼオライトの捕捉対象(前記ゲスト)
としては、例えば、HOなどが挙げられる。
【0072】前記かご状(三次元)の包接化合物として
は、例えば、ヒドロキノン、気体水化物、トリ−o−チ
モチド、オキシフラバン、ジシアノアンミンニッケル、
クリプタンド、カリックスアレン、クラウン化合物など
が挙げられる。
【0073】前記ヒドロキノンの捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、HCl、SO 、アセチレン、
希ガス元素などが挙げられる。
【0074】前記気体水化物の捕捉対象(前記ゲスト)
としては、例えば、ハロゲン、希ガス元素、低級炭化水
素などが挙げられる。
【0075】前記トリ−o−チモチドの捕捉対象(前記
ゲスト)としては、例えば、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、クロロホルムなどが挙げられる。
【0076】前記オキシフラバンの捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、有機塩基などが挙げられる。
【0077】前記ジシアノアンミンニッケルの捕捉対象
(前記ゲスト)としては、例えば、ベンゼン、フェノー
ルなどが挙げられる。
【0078】前記クリプタンドの捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、NH4+、各種金属イオンなど
が挙げられる。
【0079】前記カリックスアレンは、フェノールとホ
ルムアルデヒドとから適当な条件で合成されるフェノー
ル単位をメチレン基で結合した環状オリゴマーであり、
4〜8核体が知られている。これらの内、p−t−ブチ
ルカリックスアレン(n=4)の捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、トル
エンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレ
ン(n=5)の捕捉対象(前記ゲスト)としては、例え
ば、イソプロピルアルコール、アセトンなどが挙げられ
る。p−t−ブチルカリックスアレン(n=6)の捕捉
対象(前記ゲスト)としては、例えば、クロロホルム、
メタノールなどが挙げられる。p−t−ブチルカリック
スアレン(n=7)の捕捉対象(前記ゲスト)として
は、例えば、クロロホルムなどが挙げられる。
【0080】前記クラウン化合物としては、電子供与性
のドナー原子として酸素を持つクラウンエーテルのみで
はなく、そのアナログとして窒素、硫黄などのドナー原
子を環構造構成原子として持つ大環状化合物を含み、ま
た、クリプタンドを代表する2個以上の環よりなる複環
式クラウン化合物も含まれ、例えば、シクロヘキシル−
12−クラウン−4、ジベンゾ−14−クラウン−4、
t−ブチルベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−1
8−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン
−6、18−クラウン−6、トリベンゾ−18−クラウ
ン−6、テトラベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ
−26−クラウン−6などが挙げられる。
【0081】前記クラウン化合物の捕捉対象(前記ゲス
ト)としては、例えば、Li,Na、K等のアルカリ金
属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属などの各種金属イ
オン、NH4+、アルキルアンモニウムイオン、グアニ
ジウムイオン、芳香族ジアゾニウムイオンなどが挙げら
れ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。ま
た、該クラウン化合物の捕捉対象(前記ゲスト)として
は、これら以外にも、酸性度が比較的大きいC−H(ア
セトニトリル、マロンニトリル、アジポニトリルな
ど)、N−H(アニリン、アミノ安息香酸、アミド、ス
ルファミド誘導体など)、O−H(フェノール、酢酸誘
導体など)ユニットを有する極性有機化合物などが挙げ
られ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。
【0082】前記包接化合物の空洞の大きさ(径)とし
ては、特に制限はなく目的に応じて適宜選定することが
できるが、安定した分子認識能(ホスト−ゲスト結合
能)を発揮し得る観点からは0.1nm〜2.0nmで
あるのが好ましい。
【0083】前記包接化合物(ホスト)と前記ゲストと
の混合比率(モル比)としては、該包接化合物の種類、
該ゲストの種類などによって異なり一概には規定できな
いが、通常、包接化合物:ゲスト成分=1:0.1〜
1:10であり、包接化合物:ゲスト成分=1:0.3
〜1:3が好ましい。
【0084】〔抗体〕前記抗体としては、標的抗原(捕
捉対象物)と特異的に抗原抗体反応を生じるものであれ
ば特に制限されず、多クローン性抗体であっても、単ク
ローン性抗体であってもよく、更にはIgG、IgM、
IgE、IgGのFab'、Fab、F(ab')など
も使用することができる。
【0085】前記標的抗原としては、特に制限はなく、
目的に応じて適宜選択することができ、例えば、血漿蛋
白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス、自己抗体、凝
固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、HLA抗原などが
挙げられる。
【0086】ここで、前記両親媒性の棒状体が、捕捉構
造体に結合された状態の一例を図3に示す。図3におい
て、棒状体10は、一端側に疎水性部10aを、他端側
に親水性部10bを有すると共に、捕捉構造体2を一端
に、構造可変体(アゾベンゼン)を他端に結合させてい
る。捕捉構造体2は棒状体10の周側面に複数個結合さ
せることもできる。前記捕捉構造体としては、分離精製
効率の点で、前記分離精製器において、前記基体に固定
された端とは反対側の端に結合しているのが好ましい。
【0087】<構造性発色>前記分離精製器は、視認
性、識別性等の観点からは発色を示し得るのが好まし
い。前記発色としては、染料や顔料に代表され、光が当
たると電子が転移して発色を示すような化学構造に基づ
く色素性発色、熱帯魚の発色やチョウのリン粉などに見
られ、膜(層)の厚みとその屈折率により色調が制御さ
れるような物理的な構造に基づく構造性発色などが挙げ
られる。
【0088】前記構造性発色は、モルフォ蝶翅の鱗粉の
発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づき、構造発
色体(膜、層)に電場、磁場、温度、光(例えば自然
光、赤外線光、紫外線光)などの外部刺激を与えたとき
に、該構造発色体(膜、層)の厚みとその屈折率に応じ
て特定波長の光が反射する結果、該構造発色体の表面で
生ずる発色であり、前記外部刺激によりカメレオンの表
皮のようにその色調が任意に制御され得る。
【0089】本発明においては、前記発色の中でも、染
料や顔料を使用する必要がなく、染色廃液の低減や染色
工程でのエネルギー(水、電気)の節約が可能であり、
また、染料や顔料による肌かぶれ等の問題もなく人や地
球環境に優しい等の点で、構造性発色が好ましい。
【0090】ここで、前記構造性発色の原理について下
記に示す。図4及び図5に示すように、前記棒状体の膜
に光が照射された際に該膜による干渉光の波長(λ)
は、下記(1)に示す条件で強められ、下記(2)に示
す条件で弱められる。
【0091】
【数1】
【0092】前記式(1)及び前記式(2)において、
λは、干渉光の波長(nm)を意味し、αは、前記膜へ
の光の入射角(度)を意味し、tは、膜の厚み(nm)
を意味し、lは、膜の数を意味し、nは、膜の屈折率を
意味し、mは、1以上の整数を意味する。
【0093】前記膜の厚みとしては、810nm以下で
あるのが好ましく、10nm〜810nmであるのがよ
り好ましい。前記厚みを適宜変更することにより、前記
構造性発色の色(波長)を変化させることができ、この
場合、カラー画像形成などへの応用も可能である。
【0094】前記構造性発色は、前記棒状体と構造可変
体とからなる繰り返し単位の1つにより生ずるものであ
ってもよいし、該繰り返し単位の2つ以上が直線状に連
なったものにより生ずるものであってもよい。
【0095】<基体>前記基体としては、前記一端が固
定可能であれば特に制限はないが、形状としては、分離
精製の効率の点で、板状などが好ましい。材質として
は、例えば、ゼラチン、寒天のほか、ポリアクリルアミ
ドなどの高分子基体好ましく、環境面からは、ゼラチ
ン、寒天などが好ましい。
【0096】<分離精製器の態様等>前記分離精製器の
使用態様としては、特に制限はないが、構造可変体の構
造が変化することにより、捕捉構造体が、基体上に形成
された油相−水相間を移動可能であるのが好ましい。図
6(a)及び(b)は、前記構造可変体の構造が変化す
ることにより、捕捉構造体が基体上に形成された油相−
水相間を移動する状態の一例を説明する図である。図6
(a)において、分離精製器20は、棒状体10と、棒
状体10の一端に結合され、刺激(紫外線・可視光)に
より構造が可変であるアゾベンゼン化合物(構造可変
体)とからなる繰り返し単位3を2つ有してなり、一端
3’が基体4に固定され、捕捉対象5を特異的に捕捉す
る捕捉構造体2を他端3’’に有する。
【0097】分離精製器20において、先ず、水相に分
散した捕捉対象(親油性)5が、捕捉構造体2に特異的
に捕捉される(図6(a))。これに紫外線を照射する
ことにより、アゾベンゼン化合物(構造可変体)の構造
が、トランス異性体からシス異性体に変化するのに伴
い、捕捉対象5を捕捉した捕捉構造体2が、水相から油
相へ移動する。このとき、捕捉構造体2に捕捉された捕
捉対象5は、親油性であるため、油相中で脱離され、捕
捉対象5が選択的に水相から油相に輸送され、分離精製
される(図6(b))。その後、可視光を照射すること
により、アゾベンゼン化合物(構造可変体)の構造が、
シス異性体からトランス異性体に変化するのに伴い、分
離精製器20が図6(a)で示した状態に戻る。
【0098】前記分離精製器においては、構造性発色を
生じさせる観点から前記基体から捕捉構造体までの長さ
が810nm以下であるのが好ましく、350nm〜8
10nmであるのがより好ましい。前記構造可変体の構
造が変化することにより前記構造性発色が変化する場合
には、分離精製の過程において、捕捉対象を捕捉してい
る段階であるのか、脱離している段階であるのかがより
明確になるため好ましい。
【0099】前記本発明の分離精製器は、医療分野、工
業的分野などをはじめ、各種の分野において好適に使用
することができる。
【0100】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
るが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではな
い。
【0101】(実施例1)アミノ基を有するβ−シクロ
デキストリンを開始剤に用い、N−カルボキシL−グル
タミン酸無水物γ−メチルエステル(MG−NCA)の
重合を行なうことにより、分子鎖末端にβ−シクロデキ
ストリン(捕捉構造体)を有するポリ(γ−メチルL−
グルタメート(PMG1000−CyD(重合度:10
00))を調製した。また、公知の方法により、得られ
たPMG1000−CyDにおける、β−シクロデキス
トリンが結合していない方の分子末端に、アゾベンゼン
を結合させ、PMG1000−CyD−アゾベンゼンを
得た。尚、ポリ(γ−メチルL−グルタメート)の長さ
は、150nmであった。
【0102】室温(24℃)において、透明ビーカーの
底に、ゼラチンの平膜を作製し、この上に、PMG
1000−CyD−アゾベンゼンを固定させ、単分子膜
を形成した。得られた単分子膜には構造性発色が認めら
れた。次に、図6に示すような、水相―油相を形成し、
水相にのみPMG1000−CyDの捕捉対象である2
−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸(TN
S;SIGMA社製)を添加し分散させた。2時間経過
後、該ビーカーの上から紫外線を照射したところ、構造
性発色に変化が認められた。また、油相中の化合物を分
析したところ、2−p−トルイジニルナフタレン−6−
スルホン酸が検出された。尚、前記単分子膜は、L−B
膜形成装置(日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラ
トリーズ社製、NL−LB400NK−MWC)を使用
して形成した。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、医療分野、工業的分野
などをはじめ、各種の分野において好適に使用すること
ができ、生分解性・安全性に優れ、かつ、捕捉対象に特
異的に働き該捕捉対象のみを選択的に捕捉することによ
り分離精製可能な分離精製器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における両親媒性の棒状体の
一例を表す図である。
【図2】 図2(a)は、本発明における棒状体の直鎖
に構造可変体が結合した一例を表す図である。図2
(b)は、本発明における棒状体の側鎖に構造可変体が
結合した一例を表す図である。図2(c)は、本発明に
おける棒状体の直鎖及び側鎖の双方に構造可変体が結合
した一例を表す図である。
【図3】 図3は、本発明において、両親媒性の棒状体
に、捕捉構造体及び構造可変体を結合させた一例を表す
図である。
【図4】 図4は、構造性発色の原理を説明する説明図
である。
【図5】 図5は、構造性発色の原理を説明する説明図
である。
【図6】 図6(a)は、分離精製器20において、先
ず、水相に分散した捕捉対象5が、捕捉構造体2に特異
的に捕捉される状態を説明する図である。図6(b)
は、捕捉構造体2に捕捉された捕捉対象5が、油相中で
脱離され、分離精製される状態を説明する図である。
【符号の説明】
2 捕捉構造体 3 棒状体10とアゾベンゼン化合物とからなる繰
り返し単位 3’ 繰り返し単位3の一端 3’’ 繰り返し単位3の他端 4 基体 5 捕捉対象 10 棒状体 20 分離精製器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA27 BB20 CC03 4G066 AB09B AB11B AC01C AC03C AC16C AE20B BA20 CA23 DA07 FA07 GA18 4H006 AA03 AB80 AB90

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状体と、該棒状体の一端に結合され、
    刺激により構造が可変である構造可変体とからなる繰り
    返し単位を少なくとも1つ有してなり、一端が基体に固
    定され、捕捉対象を特異的に捕捉する捕捉構造体を他端
    に有することを特徴とする分離精製器。
  2. 【請求項2】 構造可変体の構造が変化することによ
    り、捕捉構造体が、基体上に形成した油相−水相間を移
    動可能である請求項1に記載の分離精製器。
  3. 【請求項3】 基体から捕捉構造体までの長さが810
    nm以下である請求項1又は2に記載の分離精製器。
  4. 【請求項4】 構造性発色を示す請求項1から3のいず
    れかに記載の分離精製器。
  5. 【請求項5】 棒状体が、棒状有機物である請求項1か
    ら4のいずれかに記載の分離精製器。
  6. 【請求項6】 棒状有機物が、α−ヘリックス・ポリペ
    プチド、DNA及びアミロースのいずれかである請求項
    5に記載の分離精製器。
  7. 【請求項7】 構造可変体の構造が変化することにより
    発色が変化する請求項1から6のいずれかに記載の分離
    精製器。
  8. 【請求項8】 構造可変体が、光で構造が可変である請
    求項1から7のいずれかに記載の分離精製器。
  9. 【請求項9】 構造可変体が、幾何異性体である請求項
    1から8のいずれかに記載の分離精製器。
  10. 【請求項10】 構造可変体が、アゾベンゼン化合物で
    ある請求項1から9のいずれかに記載の分離精製器。
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