JP2002280959A - 分散補償光伝送路及び光伝送システム - Google Patents

分散補償光伝送路及び光伝送システム

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JP2002280959A
JP2002280959A JP2001076818A JP2001076818A JP2002280959A JP 2002280959 A JP2002280959 A JP 2002280959A JP 2001076818 A JP2001076818 A JP 2001076818A JP 2001076818 A JP2001076818 A JP 2001076818A JP 2002280959 A JP2002280959 A JP 2002280959A
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optical
compensating
optical transmission
transmission line
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Hirohito Tanaka
啓仁 田中
Itsuro Morita
逸郎 森田
Noboru Edakawa
登 枝川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 6000kmを越える長距離で、20Gbi
t/s以上の高速WDM伝送を実現する。 【解決手段】 光伝送路12は、光中継増幅器16(1
6−1,16−2,・・・)により区分される複数の中
継スパン18−1,18−2,18−3,18−4,・
・・からなる。各中継スパン18−1,18−2,18
−3,18−4は、正分散で実効断面積が100平方μ
m以上の大口径のシングルモードファイバ20(20−
1,20−2,20−3,20−4)と、同様に、正分
散で実効断面積が100平方μm以上の大口径のシング
ルモードファイバ22(22−1,22−2,22−
3,22−4)と、ファイバ20,22間に配置され、
ファイバ20,22の累積波長分散及び分散スロープを
補償する分散補償デバイス24(24−1,24−2,
24−3,24−4)からなる。中継スパン18−4は
更に、シングルモードファイバ22−4の後に配置さ
れ、累積波長分散を広域補償周期での平均波長分散Da
vgに相当する値に補償する分散補償ファイバ26を具
備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散補償光伝送路
及び光伝送システムに関し、より具体的には、波長多重
分割多重(WDM)信号光の長距離伝送を可能にする分
散補償光伝送路及び光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】光アンプを使用する光ファイバ伝送シス
テムでは、光ファイバで発生する波長分散及び非線形効
果、並びに光アンプで発生するASE雑音光が伝送距離
に従い累積する。それゆえ、国内伝送に適用される〜1
000kmの光伝送システム(以下、短距離伝送システ
ム呼ぶ。)と、大洋横断に使用される6000km以上
の光伝送システム(以下、長距離伝送システムと呼
ぶ。)とでは、必要な設計パラメータが大きく異なる。
【0003】長距離の光増幅伝送システムでは、累積波
長分散を所定値内に抑制する必要があり、WDM光伝送
では更に、各信号光間のXPM(相互位相変調)及びF
WM(4光子混合)などの非線形効果を抑圧する必要が
ある。累積波長分散を管理する方式として、適当な間隔
で分散補償ファイバを挿入する構成が、当初、提案され
た(特開平6−11620号公報又は米国特許第5,3
61,319号)。
【0004】伝送容量を拡大する方法として注目されて
いる波長分割多重(WDM)光伝送では更に、伝送用光
ファイバの波長分散の波長間の差(分散スロープ)を補
償する必要がある。長距離伝送の場合には、光伝送路上
で分散スロープを補償する必要がある。許容できる分散
値の差は、1波あたりの伝送速度が大きくなるにつれ小
さくなる傾向にある。
【0005】そこで、各光中継スパンを、1.3μm帯
にゼロ分散波長を有する単一モード光ファイバと、その
波長分散及び分散スロープの両方を補償する分散・分散
スロープ補償ファイバとで構成した光伝送システムが提
案された。例えば、特開平6−11620号公報又は米
国特許第5,361,319号、D. Le Guen
et al,”Narrow Band 640Gb
it/s Soliton WDM transmis
sion over 1200km of Stand
ard Fibre with 100km 21dB
Amplifier Spans”, ECOC ’
98, September 1998, Postd
eadline papers, pp.61−63及
びT.Tanaka et. al”2.1−Tbit
/s WDM Transmission over
7,221km with 80−km repeat
er”, ECOC2000−PD1.7,2000を
参照されたい。
【0006】本明細書では、1.3μm帯に零分散波長
を有するシングルモードファイバを単にシングルモード
ファイバと呼び、1.5μm帯に零分散波長を有するシ
ングルモードファイバを分散シフトファイバと呼ぶ。
【0007】現状では、実効断面積が110平方μmの
シングルモードファイバと分散・分散スロープ補償ファ
イバには、実効断面積が15〜30平方μmの分散・分
散スロープ補償ファイバの組み合わせで、WDM伝技術
を併用することより、大洋横断距離における10Gbi
t/sベースのテラビット伝送システムが設計、実現さ
れつつある。
【0008】波長分散をより細かく管理する分散補償伝
送路として1中継スパン毎の分散・分散スロープ補償
と、広域的な分散・分散スロープ補償を組み合せた方式
が、提案されている(特開2000−261377号公
報)。
【0009】光伝送路の波長分散を均一化しつつ、累積
波長分散を低減する分散補償方式として、1中継スパン
内で分散補償ファイバを中央に配置する構成が、200
0kmの16×40WDM伝送システムとして提案され
ている(Itsuro Morita他,”40GBI
T/S × 16 WDM TRANSMISSION
OVER 2000 KM USING DISPE
RSION MANAGED LOW−NONLINE
AR FIBER SPAN”,ICOC2000,
4,25−27)。しかし、この方式では、10kmの
正分散ファイバの間に20kmの負分散の分散・分散ス
ロープ補償ファイバを配置しており、6000km以上
の長距離伝送には、良好な伝送特性を得られない。
【0010】1波長あたりの伝送速度が20Gbit/
s以上であるような高速長距離伝送システムでは、伝送
用ファイバとして分散シフトファイバが有力視されてい
る。それは、シングルモードファイバの信号波長帯
(1.55μm)での波長分散値が約20ps/nm/
kmと大きく、累積波長分散によるパルス広がりと非線
形効果との相互作用により伝送特性が劣化しやすいのに
対し、分散シフトファイバの信号波長帯での波長分散値
を約5ps/nm/km乃至−2ps/nm/kmと小
さく、累積波長分散によるパルス広がりと非線形効果と
の相互作用による伝送特性の劣化が相対的に小さいから
である。例えば、特願平10−194379及びI.m
orita et al.”40Gbit/s sin
gle−channnel soliton tran
smission over transoceani
c distanc by reducing Gor
don−Haus timing jitter an
d soliton−soliton interac
tion”,Journal of Lightwav
e Technologies,1999,17,p
p.2506を参照されたい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】分散シフトファイバの
波長分散及び分散スロープとは逆の波長分散及び分散ス
ロープを具備する光ファイバを製造するのが困難である
ので、現状では、分散シフトファイバと組み合せて使用
できる分散・分散スロープ補償ファイバは実用化されて
いない。従って、実用的なシステム構成では、WDM信
号光を各波長光に分離して個別に分散・分散スロープを
補償し、その後、合波するという分散補償デバイスを使
用することになる(M.Suzuki et a
l.,”20Gbit/s−based solito
n WDM transmissionover Tr
ansoceanic distances usin
g periodic compensation o
f dispersion and its slop
e”,Electron. Lett.,vol.3
4,1997,pp.475−476、及びH.Tag
a et al.,”213Gbit/s(20×1
0.66Gbit/s),over 9000km T
ransmission Experiment us
i ng Dispersion Slope Com
pensator”;OFC’98 PD13)。
【0012】上記のように、従来の方式では伝送距離を
更に延伸することは困難であり、これらの光ファイバ及
び光部品を組み合せても、大洋横断及びコースト・ツー
・コーストのような長距離のWDM光伝送は、不可能と
思われていた。
【0013】本発明は、6000kmを越える長距離に
わたり、20Gbit/s以上の伝送レートでWDM信
号光を伝送可能な分散補償光伝送路及び光伝送システム
を提示することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る分散補償光
伝送路は、1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファ
イバからなる第1の光ファイバと、1.3μm帯で波長
分散がゼロとなる光ファイバからなる第2の光ファイバ
と、当該第1の光ファイバと第2の光ファイバの間に配
置される実質的に線形の光デバイスであって、当該第1
及び第2の光ファイバの波長分散及び分散スロープを補
償する分散・分散スロープ補償デバイスとを具備するこ
とを特徴とする。
【0015】本発明に係る分散補償光伝送路はまた、複
数の中継スパンと、所定周期で配置され、累積波長分散
を補償する1以上の分散補償デバイスとを具備する分散
補償光伝送路であって、当該複数の中継スパンのそれぞ
れが、1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファイバ
からなる第1及び第2の光ファイバと、当該第1及び第
2の光ファイバの間に配置される実質的に線形の光デバ
イスであって、当該第1及び第2の光ファイバの波長分
散及び分散スロープを補償する分散・分散スロープ補償
デバイスとを具備することを特徴とする。
【0016】本発明に係る光伝送システムは、光伝送路
と、当該光伝送路にWDM信号光を出力する光送信装置
と、当該光伝送路から入力する当該WDM信号光を受信
する光受信装置とからなる光伝送システムであって、当
該光伝送路が、1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光
ファイバからなる第1の光ファイバ、1.3μm帯で波
長分散がゼロとなる光ファイバからなる第2の光ファイ
バ、及び当該第1の光ファイバと第2の光ファイバの間
に配置される実質的に線形の光デバイスであって、当該
第1及び第2の光ファイバの波長分散及び分散スロープ
を補償する分散・分散スロープ補償デバイスをそれぞれ
具備する複数の中継スパンを有することを特徴とする。
【0017】本発明に係る光伝送システムはまた、光伝
送路と、当該光伝送路にWDM信号光を出力する光送信
装置と、当該光伝送路から入力する当該WDM信号光を
受信する光受信装置とからなる光伝送システムであっ
て、当該光伝送路が、1.3μm帯で波長分散がゼロと
なる光ファイバからなる第1及び第2の光ファイバ、及
び当該第1及び第2の光ファイバの間に配置される実質
的に線形の光デバイスであって、当該第1及び第2の光
ファイバの波長分散及び分散スロープを補償する分散・
分散スロープ補償デバイスをそれぞれ有する複数の中継
スパンと、所定周期で配置され、累積波長分散を補償す
る1以上の分散補償デバイスとを具備することを特徴と
する。
【0018】主たる伝送用光ファイバとして高波長分散
で大口径なシングルモードファイバを用い、中継スパン
内でその高波長分散及び分散スロープを実質的に線形の
分散・分散スロープ補償デバイスで補償するので、総合
的に高いQファクタで、長距離で安定且つ高速なWDM
伝送を実現できる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0020】10は、1.55μm帯のWDM信号光を
光伝送路12に出力する光送信装置、14は光伝送路1
2を伝搬したWDM信号光を受信する光受信装置であ
る。WDM信号光は、例えば、それぞれ異なる波長λ1
〜λnの信号光からなる。
【0021】光伝送路12は、光中継増幅器16(16
−1,16−2,・・・)により区分される複数の中継
スパン18(18−1,18−2,18−3,18−
4,・・・)からなる。本実施例では、累積波長分散と
分散スロープが、1中継スパン毎に局所的に補償される
と共に、所定数の中継スパン毎に広域的に補償される。
局所的に分散・分散スロープを補償する中継スパンを局
所補償スパンと呼ぶ。局所的に分散・分散スロープを補
償すると共に、広域的に分散・分散スロープを補償する
中継スパンを局所・広域補償スパンと呼ぶ。中継スパン
18−1,18−2,18−3が局所補償スパンであ
り、中継スパン18−4が局所・広域補償スパンであ
る。
【0022】図1に示す構成では、各中継スパン18で
局所的に分散・分散スロープを補償し、4つの中継スパ
ン18−1〜18−4を基本単位として広域的に波長分
散及び分散スロープを補償する。これが、光受信装置1
4まで繰り返されることになる。広域補償の周期は、4
中継スパンに限らず、5中継スパン以上でも、3中継ス
パン以下でも良い。実際上は、5中継スパン以上が妥当
である。
【0023】各中継スパン18−1,18−2,18−
3,18−4は、正分散で実効断面積が100平方μm
以上の大口径のシングルモードファイバ20(20−
1,20−2,20−3,20−4)と、同様に、正分
散で実効断面積が100平方μm以上の大口径のシング
ルモードファイバ22(22−1,22−2,22−
3,22−4)と、ファイバ20,22間に配置され、
ファイバ20,22の累積波長分散及び分散スロープを
補償してDlocalにする分散補償デバイス24(2
4−1,24−2,24−3,24−4)からなる。
【0024】中継スパン18−4は更に、シングルモー
ドファイバ22−4の後に配置され、累積波長分散を広
域補償周期での平均波長分散Davgに相当する値に補
償する分散補償ファイバ26を具備する。分散補償ファ
イバ26は、後段の光アンプ内に組み込まれることもあ
る。分散補償ファイバ26の代わりに、分散補償デバイ
ス24と同様の構成の分散補償デバイスを使用してもよ
い。
【0025】ファイバ20,22には、同じ実効断面積
及び分散特性のシングルモードファイバを使用し得る。
従って、本実施例では、伝送用光ファイバとして、ファ
イバ20,22として使用する光ファイバと、分散補償
ファイバ26として使用する光ファイバの2種類を用意
すればよいことになる。分散補償ファイバ26に誘電体
多層膜などの非ファイバ系の光学素子を使用する場合に
は、伝送用光ファイバとして1種類の光ファイバを用意
すればよい。
【0026】分散補償デバイス24は、分散・分散スロ
ープを補償しつつ、入力光のパワーに対して線形に作用
する線形光学素子からなる。このような光学素子には、
例えば、誘電体多層膜を用いたオールパスフィルタがあ
る。オールパスフィルタでは、分散及び分散スロープの
補償量を広い範囲で自由に設定できる。デバイス22
は、非線形効果を実質的に有しないので、このデバイス
24での非線形効果、従って、XPM及びFWMの影響
を考慮しなくて良くなる。誘電体多層膜では、得られる
分散補償量に比べて光路長が極めて短いので、累積波長
分散が波長間で等しくなる場合でも、波長チャネル間の
相互作用長が極めて短くなる。これは、個々の波長チャ
ネルの伝送特性の改善につながる。このような光学素子
として、他に、グレーティングデバイスなどの光回路素
子もある。
【0027】図2は、本実施例の分散マップを示す。本
実施例では、局所分散補償により、中継スパン毎の平均
波長分散をDlocalに制御し、広域補償周期の分散
補償ファイバ26により光伝送路12全体での平均波長
分散をDavgに制御する。例えば、Dlocalは、
ある程度、大きな正値が好ましく、Davgはゼロでは
ないが、ゼロに近い正値又は負値が好ましい。例えば、
Dlocalは+0.5ps/nm/km、Davg
は、+0.1ps/nm/kmである。
【0028】図2に示すように、各波長の累積波長分散
は、非線形作用を有しない分散補償デバイス24内で等
しくなる。従って、XPM及びFWM等の伝送特性劣化
要因が無くなる。短い伝搬距離で大きな分散補償量を設
定できるので、仮にわずかな非線形性があったとして
も、相互作用距離が短くなり、結局、非線形作用を無視
できる。
【0029】本実施例では、大きな補償分散量を得られ
る分散補償デバイス24を使用することで、波長分散値
の大きなシングルモードファイバを主たる光伝送媒体と
して使用できる。また、実効断面積の大きなシングルモ
ードファイバを主たる伝送路とし、実質的に線形の分散
補償デバイス24を使用するので、各中継スパン18で
の非線形作用が極く小さくなる。局所・広域中継スパン
18−4の分散補償ファイバは実効断面積が小さいが、
信号光パワーが小さいので、そこで発生する非線形効果
も小さい。従って、本実施例では、非線形光が極めて小
さい光伝送路を実現できる。伝送レートが増加するほ
ど、平均信号光パワーが増大するので、実効断面積の大
きいファイバを使用することは、光パワー密度を下げる
ことにつながり、その結果、非線形作用を低減できる。
【0030】光送信装置10は、WDM信号を出力する
信号光発生装置と、信号光発生装置の出力光にDavg
と逆の符号を有する波長分散値を与えて、光伝送路12
に送出するプリ分散補償素子を具備する。光受信装置1
4は、光伝送路12から入力するWDM信号光に残る波
長分散を補償するポスト分散補償素子と、ポスト分散補
償素子により分散補償されたWDM信号光から個々の信
号光を検出する信号光検出装置を具備する。ポスト分散
補償素子は、WDM信号光の累積波長分散をまとめて補
償しても、個々の信号光に分離した後で個別に累積波長
分散を補償してもよい。ポスト分散補償により、光伝送
路12中の分散及び分散スロープ補償設計値からの誤差
分を吸収できる。
【0031】光送信装置10内でプリ分散補償を行うこ
とにより、位相変調と同様の効果を享受できるので、光
送信装置10に位相変調器を設けなくてもよくなるか、
位相変調器が必要な場合にも位相変調度を小さくするこ
とができる。プリ分散補償により、光伝送路12中にお
ける最大累積波長分散値を低減できる。これは、大洋間
のような長距離又は超長距離の光伝送システムで特に有
効である。
【0032】図3は、中継スパン18−1における分散
マップの拡大図を示す。横軸は距離を示し、縦軸は累積
波長分散を示す。理解を容易にするため、分散補償デバ
イス24の部分の距離を拡大して図示してある。
【0033】シングルモードファイバ22−4の出力で
は、理想的には分散スロープはゼロになっている。分散
補償ファイバ26は、各波長チャネルの累積波長分散を
平均波長分散Davgに相当する値に補償する。理想的
には、分散補償ファイバ26は、各波長の信号光に波長
に依存しない一定の波長分散を与える。実際には、分散
補償ファイバ26は、わずかながら分散スロープを具備
するものの、実用システムではその長さが1〜3km程
度と短いので、分散補償ファイバ26での累積波長分散
の波長間の差は、無視できる。勿論、誘電体多層膜等を
使用することで、波長依存性の無い分散補償は実現可能
である。
【0034】局所補償スパン内での分散補償デバイス2
4の好ましい位置を調べた。その結果を図4に示す。縦
軸は、分散補償デバイス24を局所補償スパン内の端に
おいたおきとのQ値からの相対値を示す。横軸は、局所
補償スパン内での分散補償デバイス24の位置を局所補
償スパンの距離で規格化した値を示す。例えば、0は分
散補償デバイス24に相当するデバイスを中継スパンの
信号光入力端に置いた場合を示し、1は逆に、中継スパ
ンの出力端に置いた場合を示す。また、0.5は分散補
償デバイス24が局所補償スパンの中央に配置されてい
ることを示し、0.75は分散補償デバイス24が局所
補償スパンの3/4の位置に配置されていることを示
す。図4から、分散補償デバイス24を中央付近に配置
すればよいことが分かる。しかも、太平洋横断伝送のよ
うな超長距離システムでは、両端に分散補償デバイスを
配置した場合に比べて約5dB改善している。これは非
常に大きな効果である。
【0035】実際に、23Gbit/sの50波長の信
号光を波長多重し、6,000km伝送を数値シミュレ
ーションして、その伝送特性を調べた。その結果を図5
に示す。上述のMorita論文の構成で6000km
伝送した場合の伝送特性を比較例とした。同時に、シン
グルモードファイバ20,22の実効断面積の影響を調
べた。縦軸はQ値の差を示し、横軸はシングルモードフ
ァイバ20,22の実効断面積を示す。1中継スパンを
40kmとし、その中央部(20km)に分散及び分散
スロープ補償デバイス24を挿入し、Dlocalを+
0.5ps/nm/kmとした。また、4中継スパンを
広域補償周期として、その中の最後の光中継スパンの光
増幅器内に分散補償ファイバ26を挿入し、Davgを
+0.1ps/nm/kmとした。光送信装置10内の
プリ分散補償素子によるプリ分散補償量を−300ps
/nm/kmとした。シングルモードファイバ20,2
2は、波長分散値が+20ps/nm/km、分散スロ
ープが+0.06ps/nm/kmの光ファイバからな
る。Morita論文の構成の場合と比較すると、5d
B以上の改善を確認できた。シングルモードファイバ2
0,22の実効断面積を120平方μm以上にすると、
更に、伝送特性が改善される。
【0036】本実施例では、伝送用光ファイバとして大
口径のものを得やすいシングルモードファイバを使用す
るので、WDM信号の各波長間の相互作用を短縮でき、
XPMの影響を抑圧できる。シングルモードファイバの
大きな波長分散を補償するのに分散・分散スロープ補償
ファイバを使用すると、その実効断面積が15〜30平
方μmと非常に小さいので、この部分で非線形作用が大
きくなってしまう。本実施例では、非線形作用を実質的
に具備しない分散補償デバイス24を使用するので、分
散補償デバイス24での非線形効果を無視できる。これ
らの結果、6000kmを越える長距離に亘り20Gb
it/s以上の高速WDM信号を安定に伝送できる光伝
送路及び光伝送システムを実現できる。
【0037】局所補償スパン及び広域補償スパンの何れ
においても、分散スロープをゼロにしているのは、理想
的な状況であり、必ずしも分散スロープをゼロにしなけ
ればならないものではない。波長間の累積波長分散の差
は、光伝送路12の全体として許容される誤差内に入っ
ていればよい。
【0038】分散補償デバイス24は、単体の光素子か
らなるのが好ましいが、複数の光素子を組み合せたもの
であってもよい。後者の場合、複数の光素子を分離して
局所補償スパン内に配置すればよい。
【0039】伝送システム全体での平均波長分散値Da
vg及び各中継スパンでの平均波長分散値Dlocal
が共に正となる場合を説明したが、本発明は、Davg
及びDlocalが正及び負の何れの値を取る場合にも
適用できる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解できるよう
に、本発明によれば、チャネル速度が20Gbit/s
以上で、総伝送容量が1Tb/s以上の大洋横断長距離
の光ファイバ伝送システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の概略構成ブック図であ
る。
【図2】 本実施例の分散マップ例である。
【図3】 局所補償スパン内の分散マップ例である。
【図4】 局所補償スパン内での分散補償デバイス24
の位置に対する伝送特性の変化の測定結果である。
【図5】 Morita論文の構成に対する本実施例の
改善効果を示す図である。
【符号の説明】
10:光送信装置 12:光伝送路 14:光受信装置 16(16−1,16−2,・・・):光中継増幅器 18(18−1,18−2,18−3,18−4):中
継スパン 20(20−1,20−2,20−3,20−4):シ
ングルモードファイバ 22(22−1,22−2,22−3,22−4):シ
ングルモードファイバ 24(24−1,24−2,24−3,24−4):分
散補償デバイス 26:分散補償ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 枝川 登 埼玉県上福岡市大原二丁目1番15号株式会 社ケイディディ研究所内 Fターム(参考) 5K002 AA01 AA03 AA06 BA33 DA02 FA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光
    ファイバからなる第1の光ファイバと、 1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファイバからな
    る第2の光ファイバと、 当該第1の光ファイバと第2の光ファイバの間に配置さ
    れる実質的に線形の光デバイスであって、当該第1及び
    第2の光ファイバの波長分散及び分散スロープを補償す
    る分散・分散スロープ補償デバイスとを具備することを
    特徴とする分散補償光伝送路。
  2. 【請求項2】 当該第1及び第2の光ファイバが実質的
    に同じ構成の光ファイバからなる請求項1に記載の分散
    補償光伝送路。
  3. 【請求項3】 当該分散・分散スロープ補償デバイス
    が、誘電体多層膜を使用するオールパスフィルタからな
    る請求項1に記載の分散補償光伝送路。
  4. 【請求項4】 複数の中継スパンと、所定周期で配置さ
    れ、累積波長分散を補償する1以上の分散補償デバイス
    とを具備する分散補償光伝送路であって、 当該複数の中継スパンのそれぞれが、 1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファイバからな
    る第1及び第2の光ファイバと、 当該第1及び第2の光ファイバの間に配置される実質的
    に線形の光デバイスであって、当該第1及び第2の光フ
    ァイバの波長分散及び分散スロープを補償する分散・分
    散スロープ補償デバイスとを具備することを特徴とする
    分散補償光伝送路。
  5. 【請求項5】 当該第1及び第2の光ファイバが実質的
    に同じ構成の光ファイバからなる請求項4に記載の分散
    補償光伝送路。
  6. 【請求項6】 当該分散・分散スロープ補償デバイス
    が、誘電体多層膜を使用するオールパスフィルタからな
    る請求項4に記載の分散補償光伝送路。
  7. 【請求項7】 光伝送路と、 当該光伝送路にWDM信号光を出力する光送信装置と、 当該光伝送路から入力する当該WDM信号光を受信する
    光受信装置とからなる光伝送システムであって、当該光
    伝送路が、1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファ
    イバからなる第1の光ファイバ、1.3μm帯で波長分
    散がゼロとなる光ファイバからなる第2の光ファイバ、
    及び当該第1の光ファイバと第2の光ファイバの間に配
    置される実質的に線形の光デバイスであって、当該第1
    及び第2の光ファイバの波長分散及び分散スロープを補
    償する分散・分散スロープ補償デバイスをそれぞれ具備
    する複数の中継スパンを有することを特徴とする光伝送
    システム。
  8. 【請求項8】 当該第1及び第2の光ファイバが実質的
    に同じ構成の光ファイバからなる請求項7に記載の光伝
    送システム。
  9. 【請求項9】 当該分散・分散スロープ補償デバイス
    が、誘電体多層膜を使用するオールパスフィルタからな
    る請求項7に記載の光伝送システム。
  10. 【請求項10】 光伝送路と、 当該光伝送路にWDM信号光を出力する光送信装置と、 当該光伝送路から入力する当該WDM信号光を受信する
    光受信装置とからなることを特徴とする光伝送システム
    であって、当該光伝送路が、 1.3μm帯で波長分散がゼロとなる光ファイバからな
    る第1及び第2の光ファイバ、及び当該第1及び第2の
    光ファイバの間に配置される実質的に線形の光デバイス
    であって、当該第1及び第2の光ファイバの波長分散及
    び分散スロープを補償する分散・分散スロープ補償デバ
    イスをそれぞれ有する複数の中継スパンと、 所定周期で配置され、累積波長分散を補償する1以上の
    分散補償デバイスとを具備することを特徴とする光伝送
    システム。
  11. 【請求項11】 当該第1及び第2の光ファイバが実質
    的に同じ構成の光ファイバからなる請求項10に記載の
    光伝送システム。
  12. 【請求項12】 当該分散・分散スロープ補償デバイス
    が、誘電体多層膜を使用するオールパスフィルタからな
    る請求項10に記載の光伝送システム。
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