JP2002272832A - 骨充填材料及びその製造方法 - Google Patents

骨充填材料及びその製造方法

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JP2002272832A
JP2002272832A JP2001075816A JP2001075816A JP2002272832A JP 2002272832 A JP2002272832 A JP 2002272832A JP 2001075816 A JP2001075816 A JP 2001075816A JP 2001075816 A JP2001075816 A JP 2001075816A JP 2002272832 A JP2002272832 A JP 2002272832A
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JP2001075816A
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Koji Hakamazuka
康治 袴塚
Naoyuki Matsuoka
直之 松岡
Hiroyuki Irie
洋之 入江
Akira Inoue
晃 井上
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度を有するために低い気孔率であっ
ても、早期に骨の形成を行う。 【解決手段】 リン酸カルシウム焼結体からなるブロッ
ク体2の内部に、複数の空孔が連続した変則球形の泡状
空間3が散在していると共に、ブロック体2の一側から
一側と異なった他側に向かって貫通する少なくとも一つ
の貫通路4が設けられている。貫通路4は単一径以外の
径となっている変形部または/及び単一方向以外の向き
となっている変形部6を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、整形外科、脳外
科、口腔外科、歯科等の医療分野で使用される骨充填材
料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】骨折、関節部の腱の切断などの傷害よっ
て骨を切除した場合の骨の修復を行うため、切除部分に
骨充填材料を固定することがなされている。この骨充填
材料としては、生体適合性に優れ、良好な骨伝導性を有
し骨形成の足場として有効に作用するリン酸カルシウム
焼結体が多く用いられている。
【0003】リン酸カルシウム焼結体を用いた従来の骨
充填材料としては、特許第3061732号に記載され
たものがある。この骨充填材料は、直径が10〜450
μmの複数の真球状の空間及び真球状空間周囲の0.0
1〜0.5μmの微細空間とが焼結体内に形成されると
共に、焼結体の対向する面を連結する直径1mm程度の
複数の直線状の管状通路が形成された構造となってい
る。真球状空間は細胞が棲息して骨形成場所となり、微
細空間は不要な体内細胞等を濾過し、必要な血液や細胞
を真球状空間に流通させて骨形成を活性化し、直線状の
管状通路は血液、体液、栄養成分を供給する専用通路と
して作用するものであり、これらの複合作用によって骨
の形成を促進している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが上述した発明の骨充填材料を作製して、実験動物
(ビーグル犬)の骨内に埋入して実験を行ったところ、
長期間(5ヶ月)経過しても、自骨が充分に形成されて
いないことが判明した。これは、細胞、血液、栄養成分
が骨充填材料内に充分量供給されていないためである。
これに対し、焼結体の気孔率を高くして、細胞、血液、
栄養成分の供給量を多くすることが考えられる。ところ
が、気孔率を高くする場合には、焼結体の機械的強度が
低下するため、体内での圧力、応力等によって骨充填材
料が破損や破壊され易くなる。そして、この破損、破壊
を防止するためには、長期間の安静を強いることとな
り、患者に苦痛を与える可能性がある。
【0005】このように、気孔率を高くすると骨の形成
が早くなる反面、機械的強度が低下し、気孔率を低くす
ると機械的強度が増大する反面、骨の形成が遅くなるこ
とから、従来の骨充填材料では、機械的強度との相関関
係によって気孔率を決定する必要があり、このため気孔
率を一定以上に高くすることができない問題を有してい
る。
【0006】本発明はこのような従来の問題点を考慮し
てなされたものであり、機械的強度を考慮した低い気孔
率であっても、早期に骨の形成を行うことが可能な骨充
填材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の骨充填
材料は、リン酸カルシウム焼結体からなるブロック体の
内部に、複数の空孔が連続した変則球形の泡状空間が散
在していると共に、ブロック体の一側から一側と異なっ
た他側に向かって貫通する少なくとも一つの貫通路が設
けられており、前記貫通路は単一径以外の径となってい
る変形部または/及び単一方向以外の向きとなっている
変形部を有していることを特徴とする。
【0008】この骨充填材料を骨に埋入すると、血液、
体液、これらに溶解している栄養成分が貫通路を流通
し、細胞が泡状空間に棲息して骨の形成を行う。この発
明では、泡状空間を複数の空孔が連続した変則球形とす
ることにより、細胞が侵入し易く、しかも棲息し易くな
っており、焼結体との反応を高めることができる。この
ため、骨を早期に形成することができる。また、貫通路
には、単一径以外の径となっている変形部または/及び
単一方向以外の向きとなっている変形部を設けてあり、
血液、体液は変形部で流通速度や流通方向が変更され、
或いは流通速度が低下される。このため、血液や体液が
不規則に流れて焼結体との接触度合いが増大し、これら
が泡状空間へ侵入する度合いが増大する。これによって
も、骨の形成が促進される。
【0009】従って、気孔率が低くても充分な骨形成能
を有し、機械的強度を保持した構造とすることができ
る。
【0010】請求項2の発明は、請求項1記載の骨充填
材料であって、前記貫通路内に治療薬または/及び生体
親和性を有した多孔性の有機物質が充填されていること
を特徴とする。
【0011】治療薬を貫通路に充填することにより、体
内へ埋入した場合に、治療薬を患部に充分に与えること
ができ、早期治療を行うことができる。また、多孔質の
有機物質を貫通路に充填することにより、リン酸カルシ
ウムと有機物質との複合した作用を体内に与えることが
できる。
【0012】請求項3の発明の骨充填材料の製造方法
は、リン酸カルシウム粉末に解膠剤を水溶液にして添加
し混合した後、気泡剤を混合し発泡させて発泡スラリー
を調整し、単一径以外の径となっている変形部または/
及び単一方向以外の向きとなっている変形部を有した熱
分解消失性の貫通路形成部材を埋め込みながらブロック
体に成形し、乾燥した後、焼結することを特徴とする。
【0013】リン酸カルシウム粉末に添加した解膠剤
は、気泡剤の発泡の際に、空孔が連続して結合するよう
に作用する。このため、空孔が連続した変則球形の泡状
空間を発泡スラリー内に散在させることができる。
【0014】また、熱分解消失性の貫通路形成部材をブ
ロック体に埋め込み、乾燥後、焼成することにより、貫
通路形成部材が焼結体から消失する。これにより、貫通
路形成部材と相応した形状の貫通路をブロック体内に形
成することができる。
【0015】請求項4の発明は、請求項3記載の骨充填
材料の製造方法であって、前記貫通路形成部材を成形用
型に掛け渡した状態で、前記発泡スラリーを成形用型内
に充填することを特徴とする。
【0016】成形用型に掛け渡された貫通路形成部材
は、ブロック形状の一側から一側と異なった他側に向か
って貫通する貫通路となるため、貫通路を容易に形成す
ることができる。
【0017】請求項5の発明の骨充填材料の製造方法
は、リン酸カルシウム粉末に解膠剤を水溶液にして添加
し混合した後、気泡剤を混合し発泡させてブロック体を
形成し、ブロック体を乾燥する前/または乾燥した後に
単一径以外の径となっている変形部または/及び単一方
向以外の向きとなっている変形部を有した貫通路を機械
的に形成し、その後、焼結することを特徴とする。
【0018】この発明においても、解膠剤によって空孔
が連続した変則球形の泡状空間をブロック体内に散在さ
せることができる。
【0019】発泡スラリーからなるブロック体に対し、
針や細管の差し込み等の機械加工を行うことによりブロ
ック体に対して貫通路を形成することができる。そし
て、焼結することによって貫通路を固定化する。
【0020】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明の一実施の
形態の骨充填材料1を示す。この骨充填材料1は、リン
酸カルシウム粉体の焼結体からなるブロック体2と、ブ
ロック体2の内部に散在する多数の泡状空間3と、ブロ
ック体2内を貫通する貫通路4とを備えている。
【0021】ブロック体2は所定の外形々状に成形され
るものであり、この実施の形態では、円柱形状に成形さ
れている。これに限らず、ブロック体2としては角柱
状、4面体状、その他の適宜の外形々状であっても良
い。また、ブロック体2は焼結体からなることから、そ
の内部には、微細空間5を多数有した多孔質となってい
る。
【0022】泡状空間3は後述する製造方法を実施する
ことによって、ブロック体2の内部全体に散在状となっ
て存在するものであり、このため、貫通路4の周囲にも
存在している。この泡状空間3は真球形状ではなく、複
数の空孔が連続した変則球形となっている。このような
空孔が連続した変則球形では、骨芽細胞等の細胞が泡状
空間の内部に侵入し易く、しかも棲息し易いため、細胞
が泡状空間内でリン酸カルシウムと反応して骨を形成す
ることができる。なお、細胞が棲息できる観点からは、
泡状空間3中に真球状の空間3aを部分的に含んでいて
も良いものである。
【0023】貫通路4は50μm〜500μm程度の径
となっており、ブロック体2の一側から他側に向かって
貫通している。この形態において、貫通路4はブロック
体2の円柱形状の一方の底面2aから他方の底面2bに
向かって貫通している。なお、図示する形態では、貫通
路4は2本が設けられているが、少なくとも1本あれば
良く、3本以上であっても良い。
【0024】この貫通路4は直線状となってブロック体
2を貫通するものではなく、その長さ方向の一部に変形
部6を有するものである。この形態では、長さ方向の中
間部分が湾曲状に屈曲されることにより変形部6が形成
されている。従って、この変形部6では、直線が向かう
単一方向以外の向きとなっている。
【0025】貫通路4はブロック体2を体内に埋入した
場合に、血液、体液等の流通路となり、貫通路4を流通
している間に、血液、体液は毛管現象によって多孔質か
らなるブロック体2に浸透し、泡状空間3に達する。こ
れにより、細胞が泡状空間3内に進入することができ
る。
【0026】貫通路4に変形部6を形成することによ
り、変形部6で血液、体液の流通方向が変化したり、流
通速度が変化するため、流通が不規則となる。これによ
り、焼結体との接触度合いが増大するため、毛管現象に
よる血液や体液のブロック体2への浸透量が多くなり、
泡状空間3内への細胞の侵入量や細胞の栄養成分の供給
量が多くなる。従って、骨の形成を促進することがで
き、短期間で自骨化することが可能となる。また、これ
によりブロック体2の気孔率を低くしても、細胞や栄養
成分を確実に供給することができるため、骨充填材料1
の機械的強度を増大させることができ、長期安静等の苦
痛を患者に与えることがなくなる。
【0027】また、骨充填材料1は体外で骨髄等を用い
る培養を行うためにも用いることができる。このような
培養においても、変形部6を有している貫通路4におけ
る細胞や栄養成分の接触度合いが多くなり、しかも泡状
空間3が複数の空孔が連続した変則球形となっているた
め、細胞や栄養成分が侵入して反応することができる。
これにより、培養を短期間で行うことができる。
【0028】さらに、貫通路4内に抗生物質や抗ガン剤
等の治療薬を充填して骨充填材料1を体内に埋入するよ
うに使用することができる。この場合、変形部6を有し
ていることから貫通路4は治療薬を保持し、継続的に治
療薬を患部に供給するように作用する。そして、供給さ
れた治療薬が患部に直接に浸透するため、薬効が強力に
作用し、早期の治療に寄与することができる。
【0029】さらに、また貫通路4内に生体親和性を有
した多孔性の有機物質を充填して体内に埋入するように
使用することができる。生体親和性を有した多孔性の有
機物質としては、例えば、多孔性のコラーゲン、ポリ乳
酸等を使用することができる。この場合は、貫通路4内
に保持されている有機物質に、貫通路4内を流通する血
液や体液が流通して細胞が反応する。従って、リン酸カ
ルシウムと有機物質との複合した作用を行うことができ
る。
【0030】次に、この実施の形態の製造を説明する。
【0031】まず、リン酸カルシウム粉末に解膠剤の水
溶液を添加して混合した後、気泡剤を混合して発泡させ
ることにより発泡スラリーを調整する。発泡の際に、解
膠剤は空孔が連続して結合するように作用する。これに
より、複数の空孔が連続した変則球形の泡状空間3を形
成することができる。
【0032】リン酸カルシウム粉体としては、β−TC
P(β−トリカルシウムフェスフェート)またはハイド
ロキシアパタイトの粉体を使用することができる。
【0033】解膠剤としては、ポリアクリル酸誘導体か
らなる水溶性高分子化合物を使用することができる。
【0034】また、気泡剤としては、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレン
グリコール脂肪酸エステル、デカグリセリンモノラウレ
ート、アルカノールアミド、ポリエチレングリコール・
ポリプロピレングリコール共重合体の中から選ばれる非
イオン性界面活性剤或いはこの非イオン性界面活性剤に
酸化エチレンを添加したものを使用することができる。
【0035】このように調整した発泡スラリーに熱分解
消失性の貫通路形成部材を埋め込んで、ブロック形状に
成形する。成形は貫通路形成部材を成形用型内に並べて
おき、発泡スラリーを成形用型内に充填することにより
行い、この充填の後、成形用型の外側から加温して乾燥
し、硬化させてブロック体とする。
【0036】図3はこの実施の形態に用いる貫通路形成
部材10を示し、図1の貫通路4に相応するように、湾
曲状に屈曲した変形部11が長さ方向の中間部分に形成
されている。貫通路形成部材10としては、後工程であ
る焼結時の熱で分解して揮散する熱分解消失性の材料が
用いられる。この材料としては、ワックス、ポリエステ
ル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナフタリン或いは
糸、その他のものを用いることができる。
【0037】次に、貫通路形成部材10を埋め込んだブ
ロック体を、焼結炉内で焼結する。この焼結の熱によっ
て、貫通路形成部材10が分解して消失する。これによ
り、焼結されたブロック体2の内部に、貫通路4が形成
される。なお、焼結によって、体積が縮小するため、貫
通路形成部材10としては目的とする貫通路4の径より
も幾分大きな径のものを使用することが好ましい。
【0038】焼結の後、ブロック体を適宜の長さに切断
する。或いは、成形用型内での乾燥の後に適宜の長さに
切断してから焼結する。このような切断によって、ブロ
ック体の一方の底面2aから他方の底面2bに向かって
貫通する貫通路4を形成することができる。
【0039】貫通路4の形成においては、他の方法を用
いることができる。すなわち、上述した貫通路形成部材
10を成形用型に掛け渡し、この掛け渡し状態で成形用
型内に発泡スラリーを充填して乾燥する。そして、乾燥
の後、成形用型から取りだして焼結すると、貫通路形成
部材が消失した後に貫通路4が形成される。このような
方法では、ブロック体2に一方の底面2aから他方の底
面2bに向かって貫通した貫通路4を焼結と同時に形成
することができるため、乾燥の後或いは焼結の後の切断
が不要となる。
【0040】また、骨充填材料1の製造としては、リン
酸カルシウム粉末に解膠剤を水溶液にして添加し混合し
た後、気泡剤を混合し発泡させてブロック体を形成し、
ブロック体を乾燥する前/または乾燥した後に変形部6
を有した貫通路4を機械的に機械的に形成し、その後、
焼結することも可能である。
【0041】この方法によっても、発泡時に解膠剤の作
用によって空孔が連続した変則球形の泡状空間3を形成
することができる。また、貫通路4の機械的な形成は、
図3に近似した外形となっている針や細管をブロック体
に差し込んで引き抜くことによって行うことができる。
【0042】図4はブロック体2内に貫通路4を形成す
るために用いられる熱分解消失性の貫通路形成部材の変
形々態をそれぞれ示している。
【0043】図4(a)の貫通路形成部材10では、長
さ方向の中間部分に径が小さくなったくびれ状の変形部
12が形成されている。従って、この形態の変形部12
は、単一径以外の径となる部分である。
【0044】図4(b)の貫通路形成部材10では、ス
パイラル状に巻回された変形部13が形成されており、
変形部13が単一方向以外の向きとなっている。
【0045】図4(c)の貫通路形成部材10では、長
さ方向の中間部分が拡径されることにより変形部14と
なっており、単一径以外の径の変形部となっている。
【0046】図4(d)の貫通路形成部材10では、一
側が小径部、他側が大径部となっており、これらが長さ
方向の中間部分で連結することにより、連結部分が変形
部15となっている。これにより、単一の径以外の径と
なる変形部となっている。
【0047】図4(e)の貫通路形成部材10では、中
間部分が捻られることによって変形部16が形成されて
いる。捻り部分では、径が小さくなっており、これによ
り変形部16は単一径以外の径となっている。
【0048】図4(f)の貫通路形成部材10では、2
本の貫通路が中間部分で連結しており、連結した変形部
17からそれぞれの貫通路が個々に延びている。この変
形部17は単一方向以外の向きとなる変形部となってい
る。
【0049】以上のような変形部を有した貫通路形成部
材10を発泡スラリーに埋め込んでブロック体を形成す
ることにより、用いた半通路形成部材10に相応した形
状の貫通路をブロック体2に形成することができる。こ
れにより、上述した実施の形態と同様な作用を得ること
ができる。なお、貫通路形成部材10及びこれに相応し
た貫通路4は、以上の形状に限定されることなく種々変
形が可能であり、例えば、以上の形状を組み合わせて貫
通路とすることができる。
【0050】図5は貫通路4のさらに別の形態を示す。
この形態では、貫通路4が2本ブロック体2の内部に設
けられているが、それぞれの貫通路4は底面2a、2b
のそれぞれに一端側が開口しており、中間部分はブロッ
ク体2の側面2cに向かって屈曲して、他端側がブロッ
ク体2の側面2cに開口している。これにより、屈曲部
位が変形部8となっている。
【0051】このような変形部8は方向転換しているこ
とから単一の方向以外の向きとなっているが、このよう
に、貫通路4としては、ブロック体2の一側(例えば、
底面2a側)とその対向した他側(例えば、底面2b
側)に向かって貫通する必要はなく、他側としては、一
側と対向していない側であっても良いものである。
【0052】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例により説明す
る。
【0053】(製造例)β−TCP粉末60gに、解膠
剤としてポリアクリル酸アンモニウム塩5gを溶解した
水溶液20mlを加えて混合撹拌し、気泡剤としてポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル5mlを加え、
ミキサー内で撹拌発泡させることにより、発泡スラリー
を調整した。
【0054】次に、貫通路形成部材として、ワックスを
図3の形状に成形し、このワックス2本を成形用型の対
向面に掛け渡してセットし、上記発泡スラリーを成形用
型に充填した。そして、室温で24時間放置し、その
後、35℃に加温された送風式乾燥機内に成形用型を入
れて乾燥機内で24時間乾燥した。この乾燥によって、
発泡スラリーが硬化してブロック体が成形された。
【0055】成形されたブロック体をアルミナ容器に移
し、100℃/Hrの昇温速度で1050℃まで昇温
し、1050℃で1時間保持して焼結を行い、図1に示
す骨充填材料1を得た。
【0056】焼結体からなる骨充填材料は、空孔が連続
した変則球形の泡状空間が全体に散在しており、また、
ブロック体2の内部には、湾曲状の変形部6を有した貫
通路4が形成されていた。それぞれの貫通路4の径は、
50μm及び1000μmであった。
【0057】骨充填材料の気孔率を測定したところ、約
65%であり、耐圧荷重が150Kg/cmであって
実用上、充分な強度を有していた。また、X線回折の結
果、ブロック体は出発原料と同じβ−TCPであった。
【0058】(実験例)以上によって製造された骨充填
材料を、ビーグル犬の体内に埋入して経過観察を行っ
た。ビーグル犬を用い、両側大腿骨外顆部を補填部位と
し、ネンブタール静脈麻酔下、同部位にドリルにより直
径10mmの骨孔を開け、骨欠損を作製した。右大腿骨
には9頭とも上記実施例の骨充填材料を補填し、左大腿
骨には比較例として直径1mmの直線状の管状通路を2
本設けたβ−TCPセラミックスを補填した。
【0059】術後6週経過後に4頭、12週経過後に5
頭を屠殺、大腿骨を摘出し、非脱灰研磨標本を作製、検
索を行った。6週、12週後の各検体について計測した
材料、石灰化骨の面積率を調べた。6週の材料面積率は
実施例が25%、比較例が85%、12週では実施例が
5%、比較例が70%であった。6週の石灰化骨の面積
率は実施例が20%、比較例が3%で、12週では実施
例が25%、比較例が5%であった。以上により実施例
の骨充填材料は、有意なる効果があることが立証され
た。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の骨充填材
料によれば、ブロック体の内部に複数の空孔が連続した
変則球形となっている泡状空間が散在していると共に、
単一径以外の径となっている変形部または/及び単一方
向以外の向きとなっている変形部を有した貫通路を有し
ているため、細胞が泡状空間に充分量侵入できると共
に、栄養成分も充分に供給することができ、これらによ
って骨の形成を促進することができる。これにより、気
孔率が低くても充分な骨形成能を有し、機械的強度を保
持した構造とすることができる。
【0061】本発明の製造方法によれば、複数の空孔が
連続した変則球形となっている泡状空間及び単一径以外
の径となっている変形部または/及び単一方向以外の向
きとなっている変形部を有した貫通路をブロック体の内
部に簡単且つ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の骨充填材料の斜視図で
ある。
【図2】図1におけるA−A線の拡大断面図である
【図3】図1の製造に用いる貫通路形成部材の斜視図で
ある。
【図4】(a)〜(f)は、別の貫通路形成部材をそれ
ぞれ示す斜視図である。
【図5】貫通路の別の形態を示す骨充填材料の斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 骨充填材料 2 ブロック体 3 泡状空間 4 貫通路 10 貫通路形成部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 洋之 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 井上 晃 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C081 AB04 CE02 CE11 CF011 DB04 DB08 EA02 EA04 4G030 AA08 AA41 BA35 CA09 GA27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム焼結体からなるブロッ
    ク体の内部に、複数の空孔が連続した変則球形の泡状空
    間が散在していると共に、ブロック体の一側から一側と
    異なった他側に向かって貫通する少なくとも一つの貫通
    路が設けられており、前記貫通路は単一径以外の径とな
    っている変形部または/及び単一方向以外の向きとなっ
    ている変形部を有していることを特徴とする骨充填材
    料。
  2. 【請求項2】 前記貫通路内に治療薬または/及び生体
    親和性を有した多孔性の有機物質が充填されていること
    を特徴とする請求項1記載の骨充填材料。
  3. 【請求項3】 リン酸カルシウム粉末に解膠剤を水溶液
    にして添加し混合した後、気泡剤を混合し発泡させて発
    泡スラリーを調整し、単一径以外の径となっている変形
    部または/及び単一方向以外の向きとなっている変形部
    を有した熱分解消失性の貫通路形成部材を埋め込みなが
    らブロック体に成形し、乾燥した後、焼結することを特
    徴とする骨充填材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記貫通路形成部材を成形用型に掛け渡
    した状態で、前記発泡スラリーを成形用型内に充填する
    ことを特徴とする請求項3記載の骨充填材料の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 リン酸カルシウム粉末に解膠剤を水溶液
    にして添加し混合した後、気泡剤を混合し発泡させてブ
    ロック体を形成し、ブロック体を乾燥する前/または乾
    燥した後に単一径以外の径となっている変形部または/
    及び単一方向以外の向きとなっている変形部を有した貫
    通路を機械的に形成し、その後、焼結することを特徴と
    する骨充填材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004039423A1 (ja) * 2002-10-31 2004-05-13 Kubo, Akiko 生体組織再生用移植材とその製造方法

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