JP2002257657A - 圧力センサーおよびそれによる圧力測定システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の圧力測定機器が有する測定精度に劣るこ
とがなく、温度、湿度、振動、雷の影響を受けずに安定
して寿命が長く、機器の交換設置を必要としない圧力セ
ンサーおよびそれによる圧力測定システムを提供する。 【解決手段】圧力水等の外部流体が流入する長尺筒状の
ハウジング１と、該ハウジング１内の長手方向に納めら
れると共に先端に反射鏡１ｋを設けた測定用光ファイバ
ー１ｂおよび引照用光ファイバー１ｃと、これらの光フ
ァイバー１ｂ、１ｃの基端部を固着する固定ボビン１ｈ
と、上記測定用光ファイバー１ｂの先端部に取り付けら
れて上記固定ボビン１ｈとの間で予めこれに張力を与え
ると共に、上記ハウジング１内に流入した流体の圧力に
応答してその長手方向に移動する移動ボビン１ｆから構
成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特に光ファイバー
センサーを用いた圧力センサーおよびそれによる圧力測
定システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばダムの挙動監視のために、
間隙水圧計、土圧計などの埋設機器を用いてきた。特
に、フィルダムの挙動監視には、間隙水圧計が最重要で
ある。ここで間隙水圧とは、土粒子間に存在する水が及
ぼす圧力である。

【０００３】従来の間隙水圧計としては、電気式間隙水
圧計が用いられてきた。この電気式間隙水圧計は、受圧
部で水圧を電気信号に変換し、これを地表などに配置さ
れた指示計で読み取り、間隙水圧を測定するようになっ
ており、受圧部の電気変換方式によって、さらに、歪み
ゲージ型、差動トランス型、カールソン型に細分され
る。最も一般的な歪みゲージ型では、歪みゲージの前面
に設置した受圧ダイヤフラムが、水圧に応答して変形
し、その変形量に応じて歪みゲージの電気抵抗が変化
し、水圧に対応した電気信号が出力されるようになって
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の電気式間隙
水圧計は、温度、湿度、振動、雷の影響を受け易いだけ
でなく、劣化や故障により測定不能に陥って、補完が必
要になることが多々あった。特に、フィルダムの地中奥
深くに埋設される間隙水圧計は、機器の交換設置が極め
て困難である等の問題点があった。

【０００５】一方、従来、光ファイバーセンサーを鉄筋
やロックボルトに定着させて、コンクリート構造物に埋
設して、構造物の変位やひずみ量を測定したり、また、
光ファイバーセンサーを貼り付けた測定棒をロックフィ
ルダムに埋設し、層ごとの変位を測定するものがあっ
た。この光ファイバーセンサーによる測定は、温度、湿
度、振動、雷の影響を受けない利点がある。

【０００６】本発明は、上記従来の電気式間隙水圧計な
どの圧力測定システムの問題点を解決するために、上記
光ファイバーセンサーの利点に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、従来の圧力測定機器が有
する測定精度に劣ることがなく、温度、湿度、振動、雷
の影響を受けずに安定して寿命が長く、機器の交換設置
を必要としない圧力センサーおよびそれによる圧力測定
システムを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の圧力センサー
は、圧力水等の外部流体が流入する長尺筒状のハウジン
グと、該ハウジング内の長手方向に納められると共に先
端に反射鏡を設けた測定用光ファイバーおよび引照用光
ファイバーと、これらの測定用光ファイバーおよび引照
用光ファイバーの基端部を固着する固定ボビンと、上記
測定用光ファイバーの先端部に取り付けられて上記固定
ボビンとの間で予めこれに張力を与えると共に、上記ハ
ウジング内に流入した流体の圧力に応答してその長手方
向に移動する移動ボビンと、から構成されることを特徴
とするものである。

【０００８】本発明の圧力センサーによる圧力測定シス
テムは、上記圧力センサーを構成する測定用光ファイバ
ーおよび引照用光ファイバーに光信号を送る光源と、該
測定用光ファイバーから反射して戻る圧力感知光信号お
よび引照用光ファイバーから反射して戻る引照用光信号
を位相比較することにより、上記測定用光ファイバーに
のみ発生する補正された圧力感知光信号を検出する手段
と、前記補正圧力感知光信号を検知する光受信器と、か
ら構成されることを特徴とするものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図１は、本発明の圧
力測定システムの一実施例を示すブロック図であって、
１はフィルダム等の土中深くに埋設される圧力センサ
ー、２は地上に設置される携帯可能なリーディングユニ
ット、３はデーター処理用コンピュータ、４は光スイッ
チである。光スイッチ４は、図示のように複数の圧力セ
ンサー１や、その他の温度センサー・歪みセンサーなど
（図示せず）をリーディングユニット２に選択的に接続
するもので、切り換えの必要がなければ省略してもよ
い。

【００１０】上記圧力センサー１は、図２（Ａ）に拡大
して示すように、主としてハウジング１ａと、測定用光
ファイバー１ｂと、引照用光ファイバー１ｃと、ストレ
ーナ１ｄと、ダイアフラム１ｅと、スライド部材１ｆ
と、移動ボビン１ｇと、固定部材１ｈと、固定ボビン１
ｊと、反射鏡１ｋから構成されている。

【００１１】上記ハウジング１ａは、圧力センサー１を
所望深さの地中に埋設した場合に要求される機械的強度
を有し、その使用環境に対する耐食性などに優れた材
質、例えば、ステンレス、鉄、チタン、アルミニウム、
ジュラルミンから形成される。

【００１２】図２（Ｂ）から明らかなように、上記測定
用光ファイバー１ｂは、その先端部が上記移動ボビン１
ｇに固着されると共に、その基端部は固定ボビン１ｊに
固定される。この測定用光ファイバー１ｂは、予め所定
の張力を加えた状態（プレテンション）で取り付け固定
されている。上記測定用光ファイバー１ｂの先端面には
銀メッキなどによる反射鏡１ｋが設けられていて、光信
号が反射するようになっている。

【００１３】一方、上記引照用光ファイバー１ｃは、上
記測定用光ファイバー１ｂと並行にしかも、上記移動ボ
ビン１ｇと固定ボビン１ｊの間に弛みを持たせた状態で
取り付け固定されている。この引照用光ファイバー１ｃ
の先端面にも反射鏡１ｋが設けられている。なお、上記
引照用光ファイバー１ｃは上記測定用光ファイバー１ｂ
に螺旋状に巻き付けてもよい。

【００１４】上記ダイヤフラム１ｅは、上記ハウジング
１ａの開放側に設けらるストレーナ１ｄの内側に設けら
れていると共に、内部に圧力媒体溶液を封入しており、
ストレーナ１ｄからの水圧を受けて変位するようになっ
ている。ダイヤフラム１ｅの材質は一般にステンレスで
あるが、圧力応答性に優れ環境に耐えうる材料であれ
ば、金属・非金属を問わずいずれでもよい。

【００１５】上記スライド部材１ｆは上記ダイヤフラム
１ｅの更に内側に設けられていて、該ダイヤフラム１ｅ
の変位に追従して移動し、移動ボビン１ｊを動かすよう
になっている。なお、１′は光カプラーである。

【００１６】再び、図１において、上記リーディングユ
ニット２は、主として光源２ａと、２個の光カプラー２
ｂおよび２ｃと、２つの光ファイバー２ｄ、２ｅと、移
動鏡２ｆと、光受信器２ｇと、Ａ／Ｄ変換器２ｈと、デ
ーターロガー２ｊから構成されている。

【００１７】上記光源２ａは、例えば白色光、単色光
（赤色、緑色、青色など）、赤外光などのＬＥＤ、ある
いは半導体レーザーである。上記光ファイバー２ｄの先
端部は固定されているが、他方の光ファイバー２ｅの先
端部は移動鏡２ｆが設けられている。上記光受信器２ｇ
は、信号変換機能を有する。また、上記データーロガー
２ｊはデータ蓄積機能を有する。

【００１８】次に、上記実施例の圧力測定システムの作
用について説明する。図１において、光源２ａから発射
される光信号は、光カプラー２ｂおよび光スイッチ４を
経て、光カプラー１′の入射端に入射し、これにより２
つの光信号に分光される。、一方の光信号は測定用光フ
ァイバー１ｂに、他方の光信号は引照用光ファイバー１
ｃに、それぞれ送られる。各光信号は、測定用光ファイ
バー１ｂおよび引照用光ファイバー１ｃの先端に設けら
れた反射鏡１ｋにより、それぞれ反射される。

【００１９】上記測定用光ファイバー１ｂおよび引照用
光ファイバー１ｃの先端部は、移動ボビン１ｇに固着さ
れているので、図２（Ａ）に矢印で示すように、ダイヤ
フラム１ｅが間隙水圧等の流体圧力により変位して、ス
ライド部材１ｆを移動させると、各光ファイバー１ｂ、
１ｃの先端部がその軸方向（図２（Ｂ）矢印方向）に移
動する。その結果、予め所定の張力を加えられている測
定用光ファイバー１ｂは縮小して長さが短くなる。一
方、弛みを持たせた状態で取り付けられている引照用光
ファイバー１ｃは、先端部が移動しても長さは変化しな
い。よって、反射鏡１ｋによって反射した上記２つの光
信号の位相は異なることになる。なお、水圧がマイナス
側（上記矢印反対方向）に働くと、ダイヤフラム１ｅ、
スライド部材１ｆおよび移動ボビン１ｇが上記矢印とは
反対の方向（右方向）に移動して、測定用光ファイバー
１ｂは伸長して長さが長くなる。この場合でも、引照用
光ファイバー１ｃの長さは変わらない。

【００２０】上記反射した位相の異なる両光信号は、光
カプラー１′により合成され、光スイッチ４を経て、リ
ーディングユニット２に戻される。リーディングユニッ
ト２に戻された光信号は、光カプラー２ｂを経て光カプ
ラー２ｃに送られ、ここで再び２本の光信号に分光され
る。分光された光信号は、それぞれ光ファイバー２ｄ、
２ｅに導かれる。続いて、移動鏡２ｆを移動させて上記
圧力センサー１の測定用光ファイバー１ｂと引照用光フ
ァイバー１ｃの長さの差を補正する位置を見つける。こ
の位置が最初のピーク干渉位置となる。さらに移動鏡２
ｆを移動させて、上記両光ファイバー２ｄ、２ｅが同じ
長さになるピーク位置を見つけ、最後に測定用光ファイ
バー１ｂと引照用光ファイバー１ｃの長さの差と同じ長
さの差となる第３のピーク位置を見つける。センターと
後者のピーク間の距離が測定用光ファイバー１ｂと引照
用光ファイバー１ｃ間の長さの差に比例する。以上のよ
うに、両光ファイバー１ｂおよび１ｃの長さの差を検出
することにより、受圧ダイヤフラム１ｄが受けた圧力を
測定することができる。

【００２１】測定された圧力信号は、光受信器２ｇに受
信された後、Ａ／Ｄ変換器２ｈによりデジタル信号に変
換され、データーロガー２ｊに蓄積される。この測定デ
ーターは、有線５により又モデム等を介して無線６によ
り、コンピュータ３に送られ、データー処理される。

【００２２】図３は、別の実施例の圧力センサー７を示
すもので、ハウジング７ａ内にはゴム材などの伸縮材７
ｂを設けたスリーブ７ｃが納められていて、この中に圧
力媒体溶液７ｄが封入されている。また、上記スリーブ
７ｃ内には移動ボビン７ｅおよび固定ボビン７ｆが設け
られている。これらのボビン７ｅおよび７ｆ間には、測
定用光ファイバー７ｇと引照用光ファイバー７ｈが、上
記実施例と同様に取り付けられている。７ｊは反射鏡、
７ｋはストレーナである。

【００２３】従って、ストレーナ７ｋからハウジング７
ａ内に入った間隙水の圧力は、伸縮材７ｂおよび圧力媒
体溶液７ｄを介して移動ボビン７ｅを動かし、その結
果、測定用光ファイバー７ｇを伸縮させて長さを変化さ
せるようになっている。一方、引照用光ファイバー７ｈ
の長さは変化せず、両ファイバー７ｇおよび７ｈの長さ
に差が生ずるようになっている。

【００２４】次に、上記実施例の圧力センサーの仕様特
性を表１に示す。

【表１】

【００２５】なお、本発明は、上述した実施例にのみ限
定されるものではなく、当業者には、本発明の要旨を逸
脱しない範囲内において種々の変形をなすことが可能で
ある。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、以下の利点を有する。 １）計測値は、温度、湿度、振動、腐食、地磁気、雷な
どの影響を受けない。 ２）測定精度が高い。 ３）自動計測とそのコントロールが可能である。 ４）構造が簡単で、取扱いが容易である。 ５）低コストで製造でき、複数の圧力センサーを使用し
てもリーディングボックスは一台で済み、製造コストを
低く抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧力測定システムの一実施例を示すブ
ロック図である。

【図２】本発明の圧力センサーの拡大断面図（Ａ）およ
びその要部の説明図（Ｂ）である。

【図３】圧力センサーの別の実施形態を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 圧力センサー １ａ ハウジング １ｂ 測定用光ファイバー １ｃ 引照用光ファイバー １ｄ ストレーナ １ｅ ダイヤフラム １ｆ スライド部材 １ｇ 移動ボビン １ｈ 固定部材 １ｊ 固定ボビン １ｋ 反射鏡 １′光カプラー ２ リーディングユニット ２ａ 光源 ２ｂ 光カプラー ２ｃ 光カプラー ２ｄ 光ファイバー ２ｅ 光ファイバー ２ｆ 移動鏡 ２ｇ 光受信器 ２ｈ Ａ／Ｄ変換器 ２ｊ データーロガー ２ｋ 反射鏡 ３ コンピュータ ４ 光スイッチ ５ 有線 ６ 無線 ７ 圧力センサー ７ａ ハウジング ７ｂ 伸縮材 ７ｃ スリーブ ７ｄ 圧力媒体溶液 ７ｅ 移動ボビン ７ｆ 固定ボビン ７ｇ 測定用光ファイバー ７ｈ 引照用光ファイバー ７ｊ 反射鏡 ７ｋ ストレーナ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 清二 横浜市青葉区松風台32−９ 株式会社セー コー内 Ｆターム(参考） 2F055 AA03 BB19 CC02 CC06 DD01 EE31 FF11 GG11

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧力水等の外部流体が流入する長尺筒状
   のハウジングと、該ハウジング内の長手方向に納められ
   ると共に先端に反射鏡を設けた測定用光ファイバーおよ
   び引照用光ファイバーと、これらの測定用光ファイバー
   および引照用光ファイバーの基端部を固着する固定ボビ
   ンと、上記測定用光ファイバーの先端部に取り付けられ
   て上記固定ボビンとの間で予めこれに張力を与えると共
   に、上記ハウジング内に流入した流体の圧力に応答して
   その長手方向に移動する移動ボビンと、から構成される
   ことを特徴とする圧力センサー。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の測定用光ファイバーお
   よび引照用光ファイバーに光信号を送る光源と、該測定
   用光ファイバーから反射して戻る圧力感知光信号および
   引照用光ファイバーから反射して戻る引照用光信号を位
   相比較することにより、上記測定用光ファイバーにのみ
   発生する補正された圧力感知光信号を検出する手段と、
   前記補正圧力感知光信号を検知する光受信器と、から構
   成されることを特徴とする圧力センサーによる圧力測定
   システム。