JP2002254272A - 工作機械の最適加工条件を決定するための方法および装置、並びに最適加工条件決定プログラム - Google Patents

工作機械の最適加工条件を決定するための方法および装置、並びに最適加工条件決定プログラム

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JP2002254272A
JP2002254272A JP2001057929A JP2001057929A JP2002254272A JP 2002254272 A JP2002254272 A JP 2002254272A JP 2001057929 A JP2001057929 A JP 2001057929A JP 2001057929 A JP2001057929 A JP 2001057929A JP 2002254272 A JP2002254272 A JP 2002254272A
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雅彦 神
Masao Murakawa
正夫 村川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切削加工または研削加工のコストを最小にし得
る最適加工条件を、熟練を要することなく簡単に求め
る。 【解決手段】工作機械に関する加工パラメータと、加工
パラメータの関数としての工具寿命との関数としてのコ
スト関数を決定する(S1)。加工パラメータの値をN通り
決定する(S2)。N通りの加工パラメータの値を用いて、
試し加工を行い加工中に計測可能な物理量を計測して工
具寿命を求め、加工パラメータの値と工具寿命とからな
るデータの組をN個得る(S3)。N個のデータの組に基づ
き、加工パラメータの値を教師入力データ、工具寿命を
教師出力データとして非線形関数学習器に学習させる(S
4)。学習させた加工パラメータと工具寿命との関係式を
コスト関数に組み込み、最適化手法を用いて加工コスト
を最小にし得る加工パラメータの値を求める(S5)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械による加
工における最適加工条件を決定するための方法および装
置、並びにプログラム、特に、工作機械による切削加工
または研削加工の際に、加工コストを最小とし得る加工
条件を決定するための方法および装置、並びにプログラ
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、マシニングセンタ、CNC旋盤等
のCNC工作機械は、駆動速度、機械精度、可動軸数お
よび制御速度等において大きく進歩してきた。ところ
が、これらの工作機械による加工時の、加工コストおよ
び加工精度に大きな影響を及ぼす加工条件は、いまだに
熟練技術者の経験や、実験による試行錯誤等によって決
定されているのが現状である。
【0003】このため、産業構造の空洞化の進行による
熟練技術者の減少、あるいは、高速ミリング法や同時多
軸制御工法等の新しい加工法、および2面拘束ホルダや
焼きばめチャック等の新しい工具に対する経験不足等の
理由から、近年、最適加工条件を決定することが極めて
困難になってきている。
【0004】この問題を解消するため、熟練技術者のノ
ウハウをデータベース化して体系化することにより、最
適加工条件を検索できる加工支援システムが提案されて
いる。しかしながら、このようなデータベースに格納さ
れたデータは、標準的な加工条件を決定するためのもの
にすぎず、よって、実際の加工現場においては、この標
準的な加工条件をさらに微調整して、最適加工条件とす
る必要がある。この作業には依然として熟練を要し、新
しい工具類が導入されるたびに、新たな調整作業が必要
になるという問題を生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、工作機械による加工における最適加工条件、特
に、切削加工または研削加工におけるコストを最小にし
得る加工条件を、熟練を要することなく簡単に求めるこ
とができるようにすることにある。
【0006】この課題を解決するにあたり、今、例え
ば、工作機械による切削加工または研削加工について、
最適加工条件、この場合には、加工コストを最小にし得
る加工条件がいかにして決定され得るのかを考察する。
加工コストKCは、一般に、機械コストMCと工具コス
トTCとの和として、次式で定義される。 KC=MC+TC (i) ここで、MCは、単位除去量当たりの加工費(円/mm3)
からなり、この値は、エネルギー費、減価償却費および
人件費等を含む加工単価(円/min)と加工速度(mm3/mi
n)とから決定される。一方、TCは、単位除去量当たり
の工具単価(円/mm3)であり、この値は、工具1本当た
りの価格(円)と、工具寿命に至るまでの除去量(mm3)
とから決定される。(i)式の右辺において、MCは加
工条件から一義的に計算され得るが、TC中の工具寿命
を、いかに高速かつ高精度で予測することができるか
が、重要なポイントとなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】こうして、上記課題を解
決するため、第1の発明は、工作機械による切削加工ま
たは研削加工に際して加工コストを最小にし得る加工条
件を決定するための方法であって、工作機械に関する加
工パラメータと、前記加工パラメータの関数としての工
具寿命と、の関数としての前記工作機械のコスト関数を
決定するステップと、前記加工パラメータの値をN通り
決定するステップと、前記N通りの加工パラメータの値
をそれぞれ用いて、前記工作機械による試し加工を行
い、加工中に計測可能な物理量を計測することによって
前記N通りの加工パラメータの値のそれぞれに対する工
具寿命を求め、加工パラメータの値とそれに対応する工
具寿命とからなるデータの組をN個得るステップと、非
線形関数学習器を準備し、前記N個のデータの組に基づ
き、加工パラメータの値を教師入力データとし、それに
対応する工具寿命を教師出力データとして、前記非線形
関数学習器に学習させるステップと、前記非線形関数学
習器に学習させた前記加工パラメータと前記工具寿命と
の関係を示す近似式を前記コスト関数に組み込み、最適
化手法を用いながら、加工コストを最小にする加工パラ
メータの値を、最適加工条件として求めるステップと、
からなっていることを特徴とする方法を構成したもので
ある。
【0008】第1の発明の構成において、前記工作機械
による切削加工の場合、前記加工パラメータは、少なく
とも、切削速度、切り込み、および送りからなっている
ことが好ましい。また、前記加工パラメータの値とそれ
に対応する工具寿命とからなるデータの組をN個得るス
テップにおいて、前記切削加工の場合は、前記工作機械
による試し加工中に、切削抵抗、切削音、工具温度、ま
たは工作物に生じる加速度のいずれかを計測することに
よって、前記研削加工の場合には、前記工作機械による
試し加工中に、研削抵抗、研削音、工具温度、または工
作物に生じる加速度のいずれかを計測することによっ
て、前記N通りの加工パラメータの値のそれぞれに対す
る工具寿命を求めるようになっていることが好ましい。
【0009】上記課題を解決するため、また、第2の発
明は、コンピュータを利用した、工作機械による切削加
工または研削加工に際して加工コストを最小にし得る最
適加工条件を決定するための装置であって、予め決定さ
れた工作機械に関する加工パラメータのN通りの値と、
前記加工パラメータのN通りの値をそれぞれ用いて行わ
れた前記工作機械による試し加工において加工中に計測
可能な物理量を計測することによって求められた前記N
通りの値のそれぞれに対する工具寿命と、からなるN個
のデータの組に基づき、加工パラメータの値を教師入力
データとし、それに対応する工具寿命を教師出力データ
として学習を行う非線形関数学習器と、前記学習後の非
線形関数学習器によって得られた前記加工パラメータと
前記工具寿命との関係を示す近似式を、前記加工パラメ
ータと、前記加工パラメータの関数としての工具寿命
と、の関数としての前記工作機械のコスト関数に組み込
み、最適化手法を用いながら、加工コストを最小にする
加工パラメータの値を、最適加工条件として求める最適
加工条件導出部と、を有していることを特徴とする装置
を構成したものである。
【0010】また、上記課題を解決するため、第3の発
明は、工作機械による切削加工または研削加工に際して
加工コストを最小にし得る最適加工条件を、コンピュー
タに決定させるためのプログラムであって、非線形関数
学習器を準備させる手順と、予め決定された工作機械に
関する加工パラメータのN通りの値と、前記加工パラメ
ータのN通りの値をそれぞれ用いて行われた前記工作機
械による試し加工において加工中に計測可能な物理量を
計測することによって求められた前記N通りの値のそれ
ぞれに対する工具寿命と、からなるN個のデータの組に
基づき、加工パラメータの値を教師入力データとし、そ
れに対応する工具寿命を教師出力データとして前記非線
形関数学習器に対する学習を行わせる手順と、前記学習
後の非線形関数学習器によって得られた前記加工パラメ
ータと前記工具寿命との関係を示す近似式を、前記加工
パラメータと、前記加工パラメータの関数としての工具
寿命と、の関数としての前記工作機械のコスト関数に組
み込み、最適化手法を用いながら、加工コストを最小に
する加工パラメータの値を、最適加工条件として求めさ
せる手順と、からなっていることを特徴とするプログラ
ムを構成したものである。
【0011】第2および第3の発明の構成において、前
記工作機械による切削加工の場合、前記加工パラメータ
は、少なくとも、切削速度、切り込み、および送りから
なっていることが好ましい。また、第1〜第3の発明の
構成において、好ましくは、前記非線形関数学習器は、
シグモイド関数を基底関数とするニューラルネットワー
ク、またはRBF(Radial Basis Function) を基底関数
とするRBFネットワークのいずれかからなっている。
また、好ましくは、前記最適化手法は、大域的最適化手
法または勾配を用いた最適化手法のいずれかからなって
おり、さらに好ましくは、前記大域的最適化手法は、遺
伝的アルゴリズムまたは焼きなまし法のいずれかからな
っており、前記勾配を用いた最適化手法は最急降下法ま
たは共役勾配法のいずれかからなっている。第1〜第3
の発明の構成において、また、前記工作機械は、マシニ
ングセンタ、ターニングセンタ、グライディングセン
タ、またはドリリング・タッピングセンタのいずれかか
らなっていることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好ましい実施例について説明する。図1は、第1の発
明の1実施例による、工作機械による切削加工または研
削加工に際して加工コストを最小にし得る最適加工条件
を決定するための方法のフロー図である。図1に示され
るように、本発明の方法によれば、まず最初、工作機械
に関する加工パラメータと、加工パラメータの関数とし
ての工具寿命と、の関数としての工作機械のコスト関数
が決定される(図1のステップS1)。切削加工の場合
には、加工パラメータは、少なくとも、切削速度、切り
込み、および送りからなっていることが好ましい。
【0013】次に、加工パラメータの値がN通り決定さ
れる(図1のステップS2)。ステップS2で決定され
たN通りの加工パラメータの値をそれぞれ用いて、工作
機械による試し加工が行われ、加工中に計測可能な物理
量を計測することによってN通りの加工パラメータのそ
れぞれに対する工具寿命が求められ、加工パラメータの
値とそれに対応する工具寿命とからなるデータの組がN
個得られる(図1のステップS3)。このとき、工具寿
命を求める際の、試し加工中に計測可能な物理量として
は、切削加工の場合は、切削抵抗、切削音、工具温度、
または工作物に生じる加速度等が挙げられ、研削加工の
場合には、研削抵抗、研削音、工具温度、または工作物
に生じる加速度等が挙げられる。
【0014】次に、非線形関数学習器が準備され、ステ
ップS3で得られたN個のデータの組に基づき、加工パ
ラメータの値を教師入力データとし、それに対応する工
具寿命を教師出力データとして、非線形関数学習器に対
する学習がなされる(図1のステップS4)。非線形関
数学習器は、好ましくは、シグモイド関数を基底関数と
するニューラルネットワーク、またはRBF(Radial Ba
sis Function) を基底関数とするRBFネットワークの
いずれかからなっている。ニューラルネットワークおよ
びRBFネットワークの詳細については、C. M. Bishop
著, 「 Neural Networks for Pattern Recognition 」,
Oxford University Press, 1995年を参照されたい。
【0015】そして、非線形関数学習器に学習させた加
工パラメータと工具寿命との関係を示す近似式がコスト
関数に組み込まれ、最適化手法を用いながら、加工コス
トを最小にするパラメータの値が、最適加工条件として
求められる(図1のステップS5)。この場合、最適化
手法は、好ましくは、大域的最適化手法または勾配を用
いた最適化手法のいずれかからなっており、さらに好ま
しくは、大域的最適化手法は、遺伝的アルゴリズムまた
は焼きなまし法のいずれかからなっており、勾配を用い
た最適化手法は最急降下法または共役勾配法のいずれか
からなっている。
【0016】ここで、遺伝的アルゴリズムについては、
例えば、David E. Goldberg 著, 「 Genetic Algorithm
s in Search, Optimization, and Machine Learning
」, ADDISON-WESLEY PUBLISHING COMPANY, INC., 1989
年に詳細に説明されている。なお、本発明にいう遺伝
的アルゴリズムとは、進化的計算手法のことをいい、進
化的戦術(Evolution Strategy:ES)の手法も含むもので
あり、この進化的戦術については、H. P. Schwefel著,
「 Evolution and Optimum Seeking 」, John Wiley& S
ons, 1995年に詳細に説明されている。また、焼きなま
し法に関する詳細は、E. Aarts and J. Korst 著, 「 S
imulatedAnnealing and Boltzmann Machines」, Joh
n Wiley & Sons, 1989年を参照されたい。 なお、焼き
なまし法は、山登り法の一種であり、温度と呼ばれる制
御パラメータによって、局所的な最適解に探索が捕らわ
れないような工夫を加えたものである。勾配を用いた最
適化手法の参考文献としては、例えば、西川、三宮、茨
木著、「最適化」、岩波書店 1982年がある。
【0017】図2は、第2の発明の1実施例による、コ
ンピュータを利用した、工作機械による切削加工または
研削加工に際して加工コストを最小にし得る最適加工条
件を決定するための装置の概略構成を示すブロック図で
ある。図2に示されるように、本発明の装置は、予め決
定された工作機械の加工パラメータのN通りの値と、加
工パラメータのN通りの値をそれぞれ用いて行われた工
作機械による試し加工において加工中に計測可能な物理
量を計測することによって求められたN通りの値のそれ
ぞれに対する工具寿命と、からなるN個のデータの組に
基づき、加工パラメータの値を教師入力データとし、そ
れに対応する工具寿命を教師出力データとして学習を行
う非線形関数学習器10と、学習後の非線形関数学習器
によって得られた加工パラメータと工具寿命との関係を
示す近似式を、加工パラメータと、加工パラメータの関
数としての工具寿命と、の関数としての工作機械のコス
ト関数に組み込み、最適化手法を用いながら、加工コス
トを最小にする加工パラメータの値を、最適加工条件と
して求める最適加工条件導出部20と、を有している。
【0018】図3は、第3の発明の1実施例による、工
作機械による切削加工または研削加工に際して加工コス
トを最小にし得る最適加工条件を決定させるための、最
適加工条件決定プログラムのフロー図である。図3に示
されるように、このプログラムは、まず最初、コンピュ
ータに、非線形関数学習器を準備する手順を実行させる
ようになっている(図3のステップS30)。非線形関
数学習器は、好ましくは、シグモイド関数を基底関数と
するニューラルネットワーク、またはRBF(Radial Ba
sis Function) を基底関数とするRBFネットワークの
いずれかからなっている。
【0019】プログラムは、次に、予め決定された工作
機械に関する加工パラメータのN通りの値と、加工パラ
メータのN通りの値をそれぞれ用いて行われた工作機械
による試し加工において加工中に計測可能な物理量を計
測することによって求められたN通りの値のそれぞれに
対する工具寿命と、からなるN個のデータの組に基づ
き、加工パラメータの値を教師入力データとし、それに
対応する工具寿命を教師出力データとして非線形関数学
習器に対する学習を行わせる手順をコンピュータに実行
させるようになっている(図3のステップS31)。こ
のとき、切削加工の場合には、加工パラメータは、少な
くとも、切削速度、切り込み、および送りからなってい
ることが好ましい。さらに、プログラムは、学習後の非
線形関数学習器によって得られた加工パラメータと工具
寿命との関係を示す近似式を、加工パラメータと、加工
パラメータの関数としての工具寿命と、の関数としての
工作機械のコスト関数に組み込み、最適化手法を用いな
がら、加工コストを最小にする加工パラメータの値を、
最適加工条件として求めさせる手順をコンピュータに実
行させるようになっている(図3のステップS32)。
この場合、最適化手法は、好ましくは、大域的最適化手
法または勾配を用いた最適化手法のいずれかからなって
おり、さらに好ましくは、大域的最適化手法は、遺伝的
アルゴリズムまたは焼きなまし法のいずれかからなって
おり、勾配を用いた最適化手法は最急降下法または共役
勾配法のいずれかからなっている。
【0020】本発明は、市場において入手可能な種々の
工作機械に適用することができるが、特に、マシニング
センタ、ターニングセンタ、グラインディングセンタお
よびドリリング・タッピングセンタにおける最適加工条
件を決定するのに適している。
【0021】本発明による方法の妥当性を検証するた
め、次のような実験を行った。工作物としてダイス鋼S
KD11を使用し、工具に直径8mmのHSS製2枚刃
スクエアエンドミルを使用して、立型マシニングセンタ
(池貝TV−4)によって平面加工(荒取り切削加工)
する場合に、本発明による方法を適用した。最適加工条
件は、加工コストを最小にし得る加工条件である。
【0022】実験の手順は、以下のとおりである。 (I) まず最初、コスト関数fを次のよう決定した。 f=KC+MC(円/mm3) (1) ここで、KCおよびMCは、それぞれ、工具コストおよ
び機械コストであり、次式で定義される。 KC=TC/(da×dr×L×T(N)) (2) MC=RC/(Ft×da×dr×Z×N) (3) ここで、TCは工具1本当たりのコスト、RCは機械1
分当たりのコスト、daは軸方向切り込み、drは径方
向切り込み、Lは1パスの長さ、T(N)は工具寿命、
Nは切削速度に相当する工具回転数、Ftは1刃の送
り、Zは刃数であり、いずれも加工パラメータである。 (II) 最適化すべき加工パラメータは工具回転数Nのみ
とし、その他の加工パラメータは固定した。今回の実験
では、TC=1180(円)、RC=60(円)、L=
100.0(mm)、Ft=0.1(mm)、da=
3.0(mm)、dr=2.0(mm)、Z=2とし
た。そして、工具回転数の上限値および下限値を決定し
た。今回の実験では、下限N min =100、上限Nmax
=1334とした。 (III) n通りの工具回転数Nの値を決定した。今回の実
験では、n=9とし、N i =100,178,316,
562,750,800,1000,1200,133
4(i=1,・・・,9)とした。 (IV) 工具寿命値を、工具が折損するときの限界切削抵
抗値Pmax とし、上記ステップ(III) で決定したn通り
(今回の実験では9通り)の工具回転数Nの値をそれぞ
れ用いて試し切削を行い、切削抵抗値を、3成分力動力
計(キスラー)を使用して、1パス(L=100.0
(mm))毎に計測した。 (V) n通り(今回の実験では9通り)の工具回転数N
の値のそれぞれについての計測値から、切削抵抗値近似
曲線群を作成し、それらから切削抵抗値がPmaxに到達
する寿命を推定した。今回の実験では、Pmax =400
(N)と設定し、切削抵抗値近似曲線は、簡単のために
線形近似を用いて作成した。 (VI) 上記ステップ(V) の結果から、工具回転数Nの値
とそれに対応する工具寿命Tとからなるデータの組をn
個(今回の実験では9個)得た。 (VII) 非線形関数学習器を準備し、上記ステップ(VI)で
得られたn個(9個)のデータの組に基づき、工具回転
数Nの値を教師入力データとし、それに対応する工具寿
命Tを教師出力データとして、非線形関数学習器に学習
させた。その結果、 T=g(N) (4) という工具回転数Nと工具寿命Tとの関係を示す近似式
を求めた。 (VIII)実際に切削を行い、工具回転数および工具寿命を
計測した。この実測値と、上記ステップ(VII) で得られ
た近似式(4)を、それぞれ、図4のグラフに示した。
図4において、破線は近似式(4)のグラフを、実線は
実測値のグラフをそれぞれ示している。 (IX) 上記ステップ(VII) で求めた近似式g(N)を上
記ステップ(I) で決定したコスト関数に組み込み、最適
化手法を用いて、コスト関数を最小にする工具回転数N
を求めた。この場合、最適化手法として、工具回転数N
の下限Nmin から上限Nmax までの一定の刻み値毎にす
べてのコスト関数の値を計算し、その中でコスト関数が
最小となる工具回転数を求める手法を採用した。(最適
化すべき加工パラメータが1個の場合には、この手法が
最も有効であると考えられる。)なお、コスト関数のグ
ラフを図5に示した。図5において、実線は工具コスト
TCのグラフを、破線は機械コストMCのグラフを、点
線は加工コストKC=MC+TCのグラフをそれぞれ示
している。
【0023】実験結果から、コスト関数、よって加工コ
ストを最小にする最適工具回転数は、N=903であ
り、工具寿命を最大にする工具回転数は、N=700で
あると推定された。そこで、推定最適値N=903で、
実際に切削抵抗値がPmax に達するまで切削を行ったと
ころ、工具寿命は上記推定値と比較して16%程度低く
なるという推定誤差があることが判明した。この推定誤
差の要因は、切削抵抗値近似曲線を求める際に線形近似
を用いたことによると考えられる。この誤差は、線形近
似の代わりに多項式近似を用いることによって、より小
さくすることができると考えられる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、工作機
械による試し加工によって取得された加工パラメータの
値と工具寿命とのデータの組を用いることにより、工作
機械による切削加工または研削加工における最適加工条
件、すなわち、加工コストを最小にし得る加工条件を、
熟練を要することなく簡単に見つけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の1実施例による、工作機械による
切削加工または研削加工に際して加工コストを最小にし
得る最適加工条件を決定するための方法のフロー図であ
る。
【図2】第2の発明の1実施例による、コンピュータを
利用した、工作機械による切削加工または研削加工に際
して加工コストを最小にし得る最適加工条件を決定する
ための装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第3の発明の1実施例による、最適加
工条件決定プログラムのフロー図である。
【図4】工具回転数および工具寿命の実測値と、学習後
の非線形関数学習器によって得られた近似式を示したグ
ラフであり、破線は近似式のグラフを、実線は実測値の
グラフをそれぞれ示している。
【図5】コスト関数を示したグラフであり、実線は工具
コストTCのグラフを、破線は機械コストMCのグラフ
を、点線は加工コストKC=MC+TCのグラフをそれ
ぞれ示している。
【符号の説明】
10 非線形関数学習器 20 最適加工条件導出部

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械による切削加工または研削加工
    に際して加工コストを最小にし得る最適加工条件を決定
    するための方法であって、工作機械に関する加工パラメ
    ータと、前記加工パラメータの関数としての工具寿命
    と、の関数としての前記工作機械のコスト関数を決定す
    るステップと、前記加工パラメータの値をN通り決定す
    るステップと、前記N通りの加工パラメータの値をそれ
    ぞれ用いて、前記工作機械による試し加工を行い、加工
    中に計測可能な物理量を計測することによって前記N通
    りの加工パラメータの値のそれぞれに対する工具寿命を
    求め、加工パラメータの値とそれに対応する工具寿命と
    からなるデータの組をN個得るステップと、非線形関数
    学習器を準備し、前記N個のデータの組に基づき、加工
    パラメータの値を教師入力データとし、それに対応する
    工具寿命を教師出力データとして、前記非線形関数学習
    器に学習させるステップと、前記非線形関数学習器に学
    習させた前記加工パラメータと前記工具寿命との関係を
    示す近似式を前記コスト関数に組み込み、最適化手法を
    用いながら、加工コストを最小にする加工パラメータの
    値を、最適加工条件として求めるステップと、からなっ
    ていることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記加工パラメータの値とそれに対応す
    る工具寿命とからなるデータの組をN個得るステップに
    おいて、前記切削加工の場合は、前記工作機械による試
    し加工中に、切削抵抗、切削音、工具温度、または工作
    物に生じる加速度のいずれかを計測することによって、
    前記研削加工の場合には、前記工作機械による試し加工
    中に、研削抵抗、研削音、工具温度、または工作物に生
    じる加速度のいずれかを計測することによって、前記N
    通りの加工パラメータの値のそれぞれに対する工具寿命
    を求めることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記工作機械による切削加工の場合、前
    記加工パラメータは、少なくとも、切削速度、切り込
    み、および送りからなっていることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記非線形関数学習器は、シグモイド関
    数を基底関数とするニューラルネットワーク、またはR
    BF(Radial Basis Function) を基底関数とするRBF
    ネットワークのいずれかからなっていることを特徴とす
    る請求項1〜請求項3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記最適化手法は、大域的最適化手法ま
    たは勾配を用いた最適化手法のいずれかからなっている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前記大域的最適化手法は、遺伝的アルゴ
    リズムまたは焼きなまし法のいずれかからなっているこ
    とを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記勾配を用いた最適化手法は、最急降
    下法または共役勾配法のいずれかからなっていることを
    特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 コンピュータを利用した、工作機械によ
    る切削加工または研削加工に際して加工コストを最小に
    し得る最適加工条件を決定するための装置であって、予
    め決定された工作機械に関する加工パラメータのN通り
    の値と、前記加工パラメータのN通りの値をそれぞれ用
    いて行われた前記工作機械による試し加工において加工
    中に計測可能な物理量を計測することによって求められ
    た前記N通りの値のそれぞれに対する工具寿命と、から
    なるN個のデータの組に基づき、加工パラメータの値を
    教師入力データとし、それに対応する工具寿命を教師出
    力データとして学習を行う非線形関数学習器と、前記学
    習後の非線形関数学習器によって得られた前記加工パラ
    メータと前記工具寿命との関係を示す近似式を、前記加
    工パラメータと、前記加工パラメータの関数としての工
    具寿命と、の関数としての前記工作機械のコスト関数に
    組み込み、最適化手法を用いながら、加工コストを最小
    にする加工パラメータの値を、最適加工条件として求め
    る最適加工条件導出部と、を有していることを特徴とす
    る装置。
  9. 【請求項9】 前記工作機械による切削加工の場合、前
    記加工パラメータは、少なくとも、切削速度、切り込
    み、および送りからなっていることを特徴とする請求項
    8に記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記非線形関数学習器は、シグモイド
    関数を基底関数とするニューラルネットワーク、または
    RBF(Radial Basis Function) を基底関数とするRB
    Fネットワークのいずれかからなっていることを特徴と
    する請求項8または請求項9に記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記最適化手法は、大域的最適化手法
    または勾配を用いた最適化手法のいずれかからなってい
    ることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに
    記載の装置。
  12. 【請求項12】 前記大域的最適化手法は、遺伝的アル
    ゴリズムまたは焼きなまし法のいずれかからなっている
    ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
  13. 【請求項13】 前記勾配を用いた最適化手法は、最急
    降下法または共役勾配法のいずれかからなっていること
    を特徴とする請求項11に記載の装置。
  14. 【請求項14】 工作機械による切削加工または研削加
    工に際して加工コストを最小にし得る最適加工条件を、
    コンピュータに決定させるためのプログラムであって、
    非線形関数学習器を準備させる手順と、予め決定された
    工作機械に関する加工パラメータのN通りの値と、前記
    加工パラメータのN通りの値をそれぞれ用いて行われた
    前記工作機械による試し加工において加工中に計測可能
    な物理量を計測することによって求められた前記N通り
    の値のそれぞれに対する工具寿命と、からなるN個のデ
    ータの組に基づき、加工パラメータの値を教師入力デー
    タとし、それに対応する工具寿命を教師出力データとし
    て前記非線形関数学習器に対する学習を行わせる手順
    と、前記学習後の非線形関数学習器によって得られた前
    記加工パラメータと前記工具寿命との関係を示す近似式
    を、前記加工パラメータと、前記加工パラメータの関数
    としての工具寿命と、の関数としての前記工作機械のコ
    スト関数に組み込み、最適化手法を用いながら、加工コ
    ストを最小にする加工パラメータの値を、最適加工条件
    として求めさせる手順と、からなっていることを特徴と
    するプログラム。
  15. 【請求項15】 前記工作機械による切削加工の場合、
    前記加工パラメータは、少なくとも、切削速度、切り込
    み、および送りからなっていることを特徴とする請求項
    14に記載のプログラム。
  16. 【請求項16】 前記非線形関数学習器は、シグモイド
    関数を基底関数とするニューラルネットワーク、または
    RBF(Radial Basis Function) を基底関数とするRB
    Fネットワークのいずれかからなっていることを特徴と
    する請求項14または請求項15に記載のプログラム。
  17. 【請求項17】 前記最適化手法は、大域的最適化手法
    または勾配を用いた最適化手法のいずれかからなってい
    ることを特徴とする請求項14〜請求項16のいずれか
    に記載のプログラム。
  18. 【請求項18】 前記大域的最適化手法は、遺伝的アル
    ゴリズムまたは焼きなまし法のいずれかからなっている
    ことを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
  19. 【請求項19】 前記勾配を用いた最適化手法は最急降
    下法または共役勾配法のいずれかからなっていることを
    特徴とする請求項17に記載のプログラム。
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