JP2002251600A - 最適化調整方法と最適化調整装置 - Google Patents

最適化調整方法と最適化調整装置

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JP2002251600A JP2001380477A JP2001380477A JP2002251600A JP 2002251600 A JP2002251600 A JP 2002251600A JP 2001380477 A JP2001380477 A JP 2001380477A JP 2001380477 A JP2001380477 A JP 2001380477A JP 2002251600 A JP2002251600 A JP 2002251600A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人間の感性や主観的価値観でしか評価できない
問題に、対話型遺伝的アルゴリズムを適用して、ユーザ
にとって最適と思われる機器の調整を効率よく行う調整
方法や調整装置を実現すること。 【解決手段】開始時点では、情報提示部で解ベクトルの
表す情報が提示されるとともに、補助情報提示部で同時
に提示された複数情報の比較評価を容易にする情報が提
示される。各解ベクトルは、これらの情報をもとにユー
ザにより評価される。ユーザの評価の履歴をもとにモデ
ル推定実行部において調整過程の評価モデルが生成さ
れ、この後はモデル評価計算部でこのモデルによって評
価される。ユーザまたはモデルによる評価より適合度計
算部105で計算された適合度に基づき、組み替え操作
部108が算術的な演算処理を行う。以上の処理を繰り
返し行い解ベクトルの最適な調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巡回セールスマン
問題、回路設計問題をはじめとする最適解推定問題等に
用いられる従来の遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調
整方法と最適化調整装置において、欠点とされていた局
所的な解探索能力の欠如を補う工夫を加えることにより
効率良く最適解を探索することのできる最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0002】さらに本発明は、補聴器の特性調整、明示
的に示すことのできないコンセプトに合わせた製品やイ
ンテリアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響
や画像特性の調整をはじめとする、評価基準が観念的で
不明確なため調整結果を定量的に評価できない問題に、
ユーザの主観による評価をもとにユーザにとって最適な
解ベクトルを求めることができる対話型遺伝的アルゴリ
ズムを効率良く用いた最適化調整方法とその最適化調整
装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】遺伝的アルゴリズムは、最適解近傍への
収束が早い、局所解に陥りにくいというような利点を持
つ最適解探索ためのアルゴリズムであり、特に組み合わ
せ最適化の分野で注目を浴びている。遺伝的アルゴリズ
ムによる最適化調整方法と最適化調整装置の従来技術に
ついては、例えば「ジェネティック アルゴリズム イ
ン サーチ オプティマイゼーション アンド マシー
ン ラーニング」("Genetic Algorithms in Search, O
ptimization and Machine Learning"(David E.Goldber
g, Addison Wesley))、特開平2ー236660号公
報等の文献に記載されている。以下にその概要を説明す
る。
【0004】図68は、従来の遺伝的アルゴリズムによ
る最適解推定の原理を示すフローチャートである。 《ステップ1》m次元ベクトルpk(pk1,pk2,...,pkm)を元
とするn個の元からなる集合Pを考える。集合Pの各元で
あるm次元ベクトルpkの各要素は対象として与えられた
最適解探索問題において対応するパラメータの具体的な
解を表現しており、ベクトルpkは具体的な解ベクトルに
相当する。ベクトルpkの各要素pki(i=1,...,m)は、生物
との関連から遺伝子と呼ばれ、ベクトルpkは染色体と呼
ばれることがある。遺伝的アルゴリズムを用いる際、ま
ず最初に解ベクトルの初期集合Pを適当に作る。 《ステップ2》集合Pの各元(染色体)の解の良さを予
め設定された評価尺度に従って評価値し、その結果を評
価値として表す。ここで、予め設定された評価尺度のこ
とを評価関数(fitness関数)と呼ぶ。 《ステップ3》ステップ2で求められた評価値の大小を
もとに解の適合度を判断する。このとき、問題により、
評価値が大きいほうが適合度の良い解であるとする場合
と、小さいほうが適合度の良い解であるとする場合があ
り、前者を最大化問題、後者を最小化問題と呼ぶ。適合
度の小さい解ベクトルを現在の解集合から削除し、適合
度の大きい解ベクトルを選択的に生き残らせる。このよ
うな操作を選択淘汰と呼ぶ。選択淘汰の方法として、様
々な方法が知られているが、その詳細に付いては前記参
考文献に委ねる。 《ステップ4》前記ステップ3により選択された解ベク
トル集合について、交叉や突然変異等の遺伝的な組み替
え操作を施し、新しい解ベクトル集合を作成する。な
お、解ベクトル集合に含まれる解ベクトルの個体数は、
ここでは一定としたが、増加しても減少してもよい。図
71は遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の概念
の説明図を表し、図(a)が交叉処理を、図(b)が突
然変異処理の一例を表す。
【0005】交叉は、図(a)に示されるように有限の
シンボルで表現された解ベクトルでの一部を他の解ベク
トルの一部と置き換えることにより新しい解ベクトルを
作り出す操作である。また、突然変異は、図(b)に示
されるようにある低い確率で解ベクトル集合から選択さ
れた解ベクトルの成分の一部を他のシンボルに変更する
操作である。交叉処理は、現在の解ベクトルから大きく
離れた位置における探索のに相当し、突然変異は現在の
解ベクトル近傍における探索に相当する。この2つの処
理を経て、遺伝的アルゴリズムでは新しい解ベクトルの
集合を作り出すのである。なお、この交叉、突然変異等
の処理には様々な方法が提案されているが、その詳細に
付いては前記参考文献に委ねる。
【0006】遺伝的アルゴリズムでは以上のような処理
が繰り返され、その結果解ベクトル集合Pの各解ベクト
ルは与えられた問題の準最適解に収束するようになる。
【0007】遺伝的アルゴリズムによる最適化の応用例
として、前掲の参考文献には"巡回セールスマン問題"へ
の適応が記載されている。N個の都市の名前を各々1…N
で表す。解ベクトル集合Pの各元は1…Nの順列を成分と
するベクトルで表現することができる。また、評価尺度
はこの順列で定められた順序に従い各都市を巡回した場
合の全道程である。例えば都市にA1,A2,...,ANが割り振
られており、都市をA1->A2->…->ANの順番で巡回する
時、対応する解ベクトルベクトルは(A1,A2,...,A N)であ
る。これを例えば簡単にA1A2A3…ANと表記する。その
後、前記遺伝的アルゴリズムを繰り返すことにより、最
短経路に準ずる経路を得ることができる。以上のような
図68のフローチャートに従い実行される、従来の遺伝
的アルゴリズムによる逐次最適化処理装置の構成図は図
67のようになる。図67において、101は改善する
初期の解ベクトル集合を設定する初期解集合設定部、1
02は遺伝的操作により実際に最適解ベクトルの推定を
実行する遺伝的アルゴリズム処理部、103は予め設定
された終了条件が満たされた場合に最も適合度の高い解
ベクトルを出力する最適解出力部である。遺伝的アルゴ
リズム処理部102は各解ベクトルの評価値を予め設定
された評価関数より獲得する評価値獲得部104、評価
値獲得部104で得られた評価値より各解ベクトルの適
合度を計算する適合度計算部105、適合度計算部10
5で計算した適合度をもとに解ベクトル集合の選択淘汰
を行う選択淘汰実行部6701と解ベクトルの交叉処理
を行う交叉処理実行部202と解ベクトルの突然変異処
理を行う突然変異処理実行部203より構成される。こ
のように構成された従来の遺伝的アルゴリズムによる最
適化調整装置では、図68に示されたフローチャートに
従い、評価値獲得部104と選択淘汰実行部6701と
交叉処理実行部202と突然変異処理実行部203を繰
り返し実行して解ベクトル集合を逐次更新することによ
り、対象とする最適化問題の準最適解ベクトルを推定す
るものであった。
【0008】また、従来の補聴器の特性調整、明示的に
示すことのできないコンセプトに合わせた製品やインテ
リアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響や画
像特性の調整の場合、評価基準が観念的で不明確であり
また個人によりその特性が大きく変わることから、調整
結果に対する評価を定量的に表現することができないと
いう問題点がある。そのためこのような問題に、ニュー
ラルネットワークのように明確な評価関数を定義してそ
の評価関数が最適になるような調整を行う手法を用いる
ことは原理的に不可能である。例えば補聴器の特性調整
は次のような手順で行われている。まず、試験音声信号
を周波数帯域に分割し各周波数帯域で試験音声の下限レ
ベルと上限レベルに相当する試験信号を作成する。その
音声の下限レベルと上限レベルの試験信号を補聴器に入
力し、補聴器のユーザである難聴者にこれらの試験信号
の補聴器からの出力試験信号を聞かせて心地よく聞くこ
とができるかどうかを確認する。もしある周波数帯域で
の音声の下限レベルの出力試験信号が小さすぎて聞きに
くい場合にはその周波数帯域での補聴器の利得が上がる
ように専門家が補聴器の利得の周波数特性を調整する。
逆に、ある周波数帯域での音声の上限レベルの出力試験
信号が大きすぎて不快である場合にはその周波数帯域で
の補聴器の利得が下がるように専門家が補聴器の利得の
周波数特性を調整する。以上のことを、ユーザが満足す
るまで繰り返し行うのである。このように難聴者である
ユーザの要望を実現するように、補聴器の調整を行う専
門家が各人のこれまでの経験をもとに補聴器の利得の周
波数特性を調整しているのが実状であり、難聴者に合う
特性を見つけるまで相当な時間と労力が必要である。ま
た、使用環境や難聴者の嗜好に従い調整対象のパラメー
タは変動し、その影響により1人の難聴者が複数の補聴
器を用意する必要があるため、繰り返し補聴器の調整を
行わなくてならないという問題があった。そして、その
度に難聴者は補聴器の特性調整を行える専門家の所まで
出向かなくてはならなかったのである。
【0009】近年、前述の遺伝的アルゴリズムの手法の
中に、ユーザ自らが決定した各解ベクトルの評価値をも
とに最適解の推定を行う対話型遺伝的アルゴリズムが提
案されている。この対話型遺伝的アルゴリズムを用いれ
ば、人間の感性・主観的評価のみに基づいて評価・判断
することが可能となるため、前述のような評価関数を明
確に記述できない問題への適用も可能である。対話型遺
伝的アルゴリズムによる最適解ベクトルの最適化調整方
法の従来技術については、例えば「トラッキング ア
クリミナル サスペクト スルー "フェイス-スペイ
ス" ウィズ アジェネティック アルゴリズム」("Tra
cking a Criminal Suspect through "Face-Space" with
a Genetic Algorithm")(Caldwell, C. and Johnsto
n, V.S.:Proc.of 4th Int'l Conf. on Genetic Algorit
hms(ICGA'91))、「エボリューショナリー アート ア
ンド コンピュータズ」("Evolutionary Art and Comp
uters")(Todd, S. and Latham, W.: Academic Press,
Harcourt, Brace, Jovanovich)等の文献に記載されて
いる。
【0010】以下に、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
た最適化調整方法の概要を説明する。
【0011】図70は、対話型遺伝的アルゴリズムによ
る解ベクトルの最適化調整原理を示すフローチャートで
ある。図70のフローチャートの場合に示されるよう
に、前述の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法の
《ステップ2》における予め関数表現により定義された
評価尺度の代わりに、ユーザに各解ベクトルの表す画像
・図形等の情報を提示し、各解ベクトルの良さを評価し
てもらう点が大きく異なる。
【0012】対話型遺伝的アルゴリズムによる最適ベク
トル探索の応用例として、前掲の参考文献には"犯罪の
目撃者によるモンタージュの作成"への適応が記載され
ている。顔は構成する髪、目、鼻、口、顎、耳等の部品
より構成される。各パーツ別に複数個のパターン画像を
持っており、このパーツのパターン画像を組み合わせる
ことにより顔写真が作成される。各パーツのパターン番
号を要素とするベクトルが、対話型遺伝的アルゴリズム
で探索される解ベクトルとなるのである。そして、目撃
者であるユーザが各解ベクトルより画面上に表示される
複数の顔を見て、目撃した人物との似て具合いを主観的
に判断し、対話型遺伝的アルゴリズムで最も犯人の顔を
表現していると思われるモンタージュ写真を作成してい
くのである。
【0013】以上のような図70のフローチャートに従
い実行される、従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる
最適化調整装置の構成図は図69のようになる。図69
において、初期解集合設定部102、遺伝的組み替え操
作により実際に最適ベクトル探索を実行する対話型遺伝
的アルゴリズム処理部6901、最適解出力部104よ
り構成され、対話型遺伝的アルゴリズム処理部6901
は各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する提示情報
部3207、提示情報部で提示された情報をもとにユー
ザが各解ベクトルの評価値を判断するユーザ評価判断部
3208、適合度計算部110、組み替え操作部108
より構成される。情報提示部3207が各解ベクトルの
表す情報をユーザに提示する役目を担い、ユーザ評価判
断部3208が各解ベクトルの良さを各自の評価基準に
基づき評価してもらい、その採点を入力してもらう部分
に相当する。それ以外は図67の遺伝的アルゴリズムを
用いた最適化調整装置の構成図と概ね同じであるため説
明は省略する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遺伝的
アルゴリズムは確率的でかつ集団的な探索を行うアルゴ
リズムであり、探索空間における現在点の情報(評価
値)しか利用しない。そのため上記従来の遺伝的アルゴ
リズムを用いた逐次最適化処理装置では、評価関数の曲
面の特徴を利用するニューラルネットワーク等を用いて
組み合せ最適問題の解探索を行う場合と比較すると大域
的な解探索には優れているが、局所的な情報を利用しな
いため最適解近傍での探索能力に欠けており、その近傍
では逆に解探索に時間がかかってしまうという問題があ
った。また、これまで行った多点探索の履歴情報を利用
しないため、ある程度探索空間を振動しながら最適解近
傍に収束する傾向があった。
【0015】また、一般に対話型遺伝的アルゴリズムに
よる最適化調整方法では、ユーザに各解ベクトルの表す
複数個の情報を提示し比較評価することにより、各解ベ
クトルの好ましさを評価を行う必要がある。そのため、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整装
置は、文字や画像等のように空間的に同時に提示できる
静的なデータの調整には何等問題がなく適用できるが、
前述の補聴器の特性調整問題のようにユーザの評価対象
が時系列情報である場合には、各時系列情報情報をその
まま複数提示してもユーザはそれらの情報のちがいを聞
き分けることは難しく各解ベクトルの評価を行うことは
非常に困難である。それに加えて、ユーザが調整を行う
際の負担は時間が経つにつれ増大するとともにその嗜好
も大きく変化する。それにも関わらず、従来の対話型遺
伝的アルゴリズムによる調整装置では、それらの問題点
に対する対策が何等なされていないのが実状である。
【0016】本発明は上記課題を解決するものであり、
従来の遺伝的アルゴリズムの手法に局所的な探索能力を
補強する工夫を加えることで、本来遺伝的アルゴリズム
が持つ大域的探索能力を損なわずに、高速で効率的な最
適解の推定を行う最適化調整装置を提供することを目的
とする。
【0017】また、文字、画像等の調整に限らず時系列
信号の調整にも対話型遺伝的アルゴリズムを効率良く適
用できる最適化調整装置と、解ベクトルの最適化を行う
処理の効率化を図ったり、得られたユーザの調整過程の
履歴からユーザの調整過程をモデリングし、それを用い
て自動的に解ベクトルの調整を行うことにより、ユーザ
の負担の軽減を実現する対話型遺伝的アルゴリズムを用
いた機器の最適化調整方法および最適化調整装置を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、解ベクトル集合内で適合度の高いグループの重心ベ
クトルの動きを調べ、その動き方向ベクトルがある程度
同じ方向である場合、その動き方向ベクトルを更新方向
ベクトルとみなす。そして、その更新ベクトル方向に従
って解ベクトルの更新を行うとともに、現在の解ベクト
ル集合から組み替え操作で新たな解ベクトルを生成する
処理を併用することにより最適な解ベクトルの推定を行
うように工夫したものである。
【0019】上記目的を達成するために、本発明の第2
の最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合
内の各解ベクトルに対して、そのベクトルを中心とする
近傍で再度初期解ベクトル群を設定し一定回数の組み替
え操作を行ってより最適な解ベクトル群を見つけ出す。
そして、得られた複数の解ベクトル群を1つの大きな集
合に統合し組み替え操作を行うことにより改めて最適な
解ベクトルになるように更新を行う。このように第2の
逐次最適化処理装置は、組み替え操作を用いて局所的に
解ベクトルの更新を数回行った後に、再度組み替え操作
により大域的な解ベクトルの更新を行い最適な解ベクト
ルを推定するものである。
【0020】上記目的を達成するために、本発明の第3
の最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合
内の各解ベクトルとその近傍空間よりランダムに抽出し
たベクトル群と比較して適合度の高いものを解ベクトル
集合に属する解ベクトルとして選び出し、出来上がった
解ベクトル集合を対象として組み替え操作により最適な
解ベクトルの推定を行うように工夫したものである。
【0021】上記目的を達成するために、本発明の第4
の最適化調整方法と最適化調整装置は、選択された解ベ
クトルの近傍ベクトル群を取り出し、その近傍ベクトル
群内のみにて遺伝的組み替え操作を行うことにより最適
解の探索を行うようにしたものである。
【0022】上記目的を達成するために、本発明の第5
の最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合
内の各解ベクトル近傍を複数の領域に分割し平均適合度
が最も大きい領域よりランダムに複数の解ベクトル群を
選び出すとともに、元々の解ベクトル集合内の解ベクト
ルに対して組み替え操作により新たな解ベクトル集合を
生成する。そして、これらから適合度の高い順に選び出
して1つの解ベクトル集合に統合するものであり、この
逐次最適化処理装置は解ベクトル集合内の組み替え操作
による解ベクトルの更新と並行して、各解ベクトル近傍
での解ベクトルの更新も行うようにしたものである。
【0023】上記目的を達成するために、本発明の第6
の最適化調整方法と最適化調整装置は、適合度の算術平
均と標準偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループ
に分割しそのグループ内の解ベクトルを対象として組み
替え操作を行うことにより最適解の探索を行うようにし
たものであるす上記目的を達成するために、本発明の第
7の最適化調整方法と最適化調整装置は、各解ベクトル
の適合度の算術平均と標準偏差、最大、最小適合度をも
とに解ベクトル集合の分割を行うかどうかの判断を行
う。分割した方がよいと判断された場合には解ベクトル
集合を複数のグループに分割しそのグループ内の解ベク
トルを対象として組み替え操作を行い、そう判断されな
い場合には解ベクトル集合全体を対象として組み替え操
作を行う。本発明の第7の最適化方法とその調整装置は
以上の処理により最適解の推定を行うものである。
【0024】上記目的を達成するために、本発明の第8
の最適化調整方法と最適化調整装置は、まず空間を大域
的にあらく分割して解ベクトルの更新を行うことにより
大まかな最適解ベクトルの分布領域を推定し、その後段
階的に解ベクトルの収束を判定する段階収束基準を厳し
くするとともに更新領域の細分化を行うことにより局所
的な解ベクトルの更新を行うことにより、最適解ベクト
ル推定を行うようにしたものである。
【0025】第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、解ベクトル集合に属する各解ベクトルの適合度をも
とに、予め与えられた基準適合度以上の適合度を持つ解
ベクトルの重心ベクトルと過去の更新で得られた重心ベ
クトルをもとに更新方向候補ベクトルを計算し、記録さ
れている過去の更新方向候補ベクトルと方向が一致して
いれば、最適な解ベクトルが分布する方向はそのベクト
ルの方向にあると判断し改めてこのベクトルを更新方向
ベクトルとみなし、そのベクトルに沿って複数の解ベク
トルの更新を行い、残りの解ベクトルを更新前の解ベク
トル集合内の解ベクトルの遺伝的演算に基づく組み替え
操作により更新する。更新方向ベクトルが得られない場
合は、解ベクトル集合全体を遺伝的演算に基づく組み替
え操作の対象とする。第1の最適化調整方法とその調整
装置は、以上のように過去の解ベクトル更新の履歴をも
とに最適解ベクトルの分布方向を推定し利用することに
より、高速で効率的な最適解ベクトルの推定を実現する
ことができる。
【0026】第2の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、各解
ベクトルに従いその周囲に限定して再度初期解ベクトル
群を設定して、適合度をもとにした組み替え操作により
解ベクトルの局所的な更新を実現する。その後に、局所
更新で得られた複数の解ベクトル群を1つの大きな集合
に統合して、再度適合度による解ベクトルの組み替え操
作により、大域的に最適解ベクトルの推定を行うのであ
る。このように組み替え操作による局所的な解更新の
後、再度組み替え操作により大域的規模における解ベク
トルの更新を行うことにより、従来の遺伝的アルゴリズ
ムでは欠如していた局所的な解更新能力を補うことがで
きる。
【0027】第3の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、各解
ベクトルごとにその周囲の領域を限定して解ベクトルを
複数抽出する。抽出された解ベクトル群内の解ベクトル
において、高い適合度を持つ解ベクトルを選び出し、改
めて解ベクトル集合を再設定する。そして、この再設定
された解ベクトル集合に対して、各ベクトルの適合度を
もとに解ベクトルの組み替え操作を実行することによ
り、第3の最適化調整方法とその調整装置は局所的な解
更新能力を強化することができ、高速に最適解ベクトル
を推定することができるのである。
【0028】第4の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対する適合度を求め
る。そして得られた適合度をもとに、代表となる解ベク
トルを選択しその近傍ベクトル群を取り出す。この近傍
ベクトル群内の解ベクトルを対象として、グループ組み
替え操作部において解ベクトルの組み替え操作を行うの
である。そして、その後新しくできた解ベクトル集団に
対して再度突然変異処理により組み替え操作を担当す
る。このような手順をとることにより、突出した適合度
の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに大きな影響を
与えることを避けることが可能になるとともに、効率よ
く最適解を推定することができるのである。
【0029】第5の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルの適合度を求め、この
適合度に従い解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替え
操作を実行する。一方、解ベクトル集合内から任意に複
数の解ベクトルを抽出し、これらの近傍空間を複数領域
に分割する。各領域ごとに解ベクトルが複数抽出され、
各領域ごとの平均評価値と平均適合度をもとに、最も平
均適合度の高い領域から複数の解ベクトル群が任意に選
択される。この選び出された解ベクトル群と組み替え操
作で生成された解ベクトル群から適合度の高い解ベクト
ルを順に選んで次の処理対象である解ベクトル集合を生
成する。このような手順を繰り返すことにより、遺伝的
アルゴリズムの持つ効率的な大域解更新能力を活かしな
がら、より局所的に解の更新を行う能力を高めることが
でき、最適解ベクトルの推定を効率よく実行することが
できる。
【0030】第6の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対応する適合度を求
める。この適合度の算術平均と標準偏差をもとに、解ベ
クトル集合全体を複数のグループに分割する。この各グ
ループ内の解ベクトルを対象として、解ベクトルの選択
と組み替え操作による解ベクトルの更新が行われる。そ
して、新しくできた解ベクトルに対して再度突然変異処
理により組み替え操作が実行される。このような手順を
とることにより、突出した適合度の高い解ベクトルの影
響が解全体にすぐに大きな影響を与えることを避けるこ
とができるとともに、効率よい最適解推定を行うことが
できる。
【0031】第7の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対応する適合度を求
める。この適合度の算術平均と標準偏差、そして最大・
最小適合度をもとに、解集合全体を対象とするのかそれ
とも複数のグループに分割して組み替え操作を行うのか
を判断する。分割すると判断された場合には、第6の最
適化調整方法と最適化調整装置と同様に、解集合全体を
複数のグループに分割し、そう判断されない場合は解集
合全体を組み替え操作の対象とする。その後、得られた
組み替え処理対象に対して解ベクトルの選択と組み替え
操作が実行される。以上のように、適合度の分布状況を
もとに突出した高い適合度を持つ解ベクトルの有無を判
断し、その影響を低減するように組み替え操作対象を限
定することにより、効率の良い最適解推定を行うことが
できる。
【0032】第8の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルの適合度を導出する。
この適合度をもとに、遺伝的組み替え操作により解ベク
トルの選択と組み替え操作を行うわけであるが、その
際、設定された段階収束基準を満足するまで、設定され
た更新領域内の解ベクトルを対象とした組み替え操作を
実行する。そして、段階収束基準を満足した段階で、さ
らに段階収束基準を例えば厳しくするとともに更新領域
を狭めていき、適合度計算、組み替え操作等の処理を繰
り返す。このような手順をとることにより、まず大域的
な探索を行った後、徐々に局所的更新に移行することと
なり、効率の良い最適解推定を実現することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態における最適化調整装置のブロック図、図2は本
発明の第1の実施の形態における最適化調整装置の要部
である組み替え操作部のブロック図、図10は本発明の
第2の実施の形態における最適化調整装置のブロック
図、図13は本発明の第3の実施の形態における最適化
調整装置のブロック図、図16は本発明の第4の実施の
形態における最適化調整装置のブロック図、図19は本
発明の第5の実施の形態における最適化調整装置のブロ
ック図、図22は本発明の第6の実施の形態における最
適化調整装置のブロック図、図25は本発明の第7の実
施の形態における最適化調整装置のブロック図、図28
は本発明の第8の実施の形態における最適化調整装置の
ブロック図、図32は本発明に関連する第1の例におけ
る最適化調整装置のブロック図、図34は本発明に関連
する第2の例における最適化調整装置のブロック図、図
36は本発明に関連する第3の例における最適化調整装
置のブロック図、図38は本発明に関連する第4の例に
おける最適化調整装置のブロック図、図40は本発明に
関連する第5の例における最適化調整装置のブロック
図、図43は本発明に関連する第6の例における最適化
調整装置のブロック図、図46は本発明に関連する第7
の例における最適化調整装置のブロック図、図49は本
発明に関連する第8の例における最適化調整装置のブロ
ック図、図51は本発明に関連する第9の例における最
適化調整装置のブロック図、図53は本発明に関連する
第10の例における最適化調整装置のブロック図、図5
5は本発明に関連する第11の例における最適化調整装
置のブロック図、図57は本発明に関連する第12の例
における最適化調整装置のブロック図、図59は本発明
に関連する第13の例における最適化調整装置のブロッ
ク図、図62は本発明に関連する第14の例における最
適化調整装置のブロック図、図65は本発明に関連する
第15の例における最適化調整装置のブロック図を表す
ものである。
【0034】また、図3は本発明の第1の実施の形態に
おける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図5は本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法の要処理である組み替え操作処理の過程表すフロ
ーチャート図、図11は本発明の第2の実施の形態にお
ける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図14は本発明の第3の実施の形態における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図17は
本発明の第4の実施の形態における最適化調整方法の処
理過程を表すフローチャート図、図20は本発明の第5
の実施の形態における最適化調整方法の処理過程を表す
フローチャート図、図23は本発明の第6の実施の形態
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図26は本発明の第7の実施の形態における最適
化調整方法の全体の処理過程を表すフローチャート図、
図27は本発明の第7の実施の形態における最適化調整
方法の処理2の過程を表すフローチャート図、図29は
本発明の第8の実施の形態における最適化調整方法の処
理過程を表すフローチャート図、図33は本発明に関連
する第1の例における最適化調整方法の処理過程を表す
フローチャート図、図35は本発明に関連する第2の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図37は本発明に関連する第3の例における最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図39
は本発明に関連する第4の例における最適化調整方法の
処理過程を表すフローチャート図、図41は本発明に関
連する第5の例における最適化調整方法の処理過程を表
すフローチャート図、図42は本発明に関連する第5の
例における最適化調整方法の個別調整処理過程を表すフ
ローチャート図、図44は本発明に関連する第6の例に
おける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図45は本発明に関連する第6の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理の過程を表すフローチャ
ート図、図47は本発明に関連する第7の例における最
適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図4
8は本発明に関連する第7の例における最適化調整方法
の処理過程の続きを表すフローチャート図、図50は本
発明に関連する第8の例における最適化調整方法の処理
過程を表すフローチャート図、図52は本発明に関連す
る第9の例における最適化調整方法の処理過程を表すフ
ローチャート図、図54は本発明に関連する第10の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図56は本発明に関連する第11の例における最
適化調整方法の処理過程のフローチャート図、図58は
本発明に関連する第12の例における最適化調整方法の
処理過程のフローチャート図、図60は本発明に関連す
る第13の例における最適化調整方法の処理過程を表す
フローチャート図、図61は本発明に関連する第13の
例における最適化調整方法の個別調整処理2の過程を表
すフローチャート図、図63は本発明に関連する第14
の例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチ
ャート図、図64は本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法の共通モデル更新処理2の過程を表す
フローチャート図、図66は本発明に関連する第15の
例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャ
ート図を表しているものとする。なお、ブロック図の各
図において、同一部には同じ番号を付している。
【0035】本発明の第1から第8の実施の形態は、遺
伝的アルゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化調整
装置に関するものであり、第1から第15の例は、ユー
ザの評価をもとに最適解の推定を行う対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化調整装置に関
するものである。
【0036】以下に、本発明の第1の実施の形態におけ
る最適化調整方法と調整装置について説明する。第1の
実施の形態は、過去の解ベクトルの更新の履歴をもとに
適合度の高い解ベクトルが分布する方向を予測し利用す
ることにより効率良く最適な解ベクトルを推定するもの
である。
【0037】図1において、101は更新する初期の解
ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を所定の手続きまた
は外部からの指示により設定する初期解集合設定部、1
02は遺伝的組み替え操作により最適解ベクトルの推定
を実際に行う遺伝的アルゴリズム処理部、103は予め
設定された終了条件が満足された場合に最新の解ベクト
ル集合から適合度の最も高い解ベクトルを最適解ベクト
ルとして出力する最適解出力部である。遺伝的アルゴリ
ズム処理部102は、解ベクトル集合Pについての各解
ベクトルの評価値Ekの計算を予め設定された評価関数に
従い計算する評価値獲得部104と、評価値獲得部10
4で得られた評価値Ekをもとに各解ベクトルのその問題
に対する適合度fkを計算する適合度計算部105と、予
め与えられた基準適合度fthより高い適合度を持つ解ベ
クトル群P'を選び出しその重心ベクトルgl(lは繰り返し
回数)と過去の重心ベクトルより適合度の高い解ベクト
ルが分布する更新方向ベクトルが推定できるかどうかを
判断する更新方向判断部106と、更新方向判断部10
6で更新方向ベクトルが推定された場合にその方向に沿
って複数の解ベクトル更新を実行するとともに、組み替
え操作で生成される解ベクトル個数を設定する方向適用
更新部107と、更新方向判断部106または方向適用
更新部107の結果を受けて、その設定された解ベクト
ル個数分だけ元の解ベクトル集合内の解ベクトルの遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの生成を
行う組み替え操作部108により構成される。さらに更
新方向判断部106は、適合度計算部105で得られた
適合度に対して、予め与えられた基準適合度fthより高
い適合度を持つ解ベクトル群P'を選び出しその重心ベク
トルglを計算する重心推定部109と、重心推定部10
9で得られたglと過去の重心ベクトルgl-1の差分ベクト
ル△gl-1を求め、更新方向候補ベクトルv'l-1=△gl-1
して記録する更新方向候補記録部110と、更新方向候
補記録部110に保存されているv'lとv'l-1の方向の一
致度を評価し、一致していると判断された場合には更新
方向ベクトルv=v'lが得られたものとして方向適用更新
部107に処理を渡し、一致しない場合には解ベクトル
集合内の解ベクトル全体を組み替え操作の対象としてか
組み替え操作部108に処理を移す更新方向獲得部11
1より構成される。方向適用更新部107は、重心推定
部109で得られた重心ベクトルを更新方向ベクトルv
に従い基準移動距離lengthだけ移動させる重心移動部1
12と、重心移動部112で新たに得られた重心ベクト
ルの周囲に予め設定された個体数の解ベクトルを生成す
る重心周囲解ベクトル生成部113により構成される。
図2に示すように、組み替え操作部108は解ベクトル
集合Pから適合度fkを用いて解ベクトルの選択淘汰を実
行する候補選択部201、候補選択部201で得られた
解ベクトル集合に対して交叉処理を実行する交叉処理実
行部202、交叉処理実行部202で得られた解ベクト
ル集合に対して突然変異処理を実行する突然変異処理実
行部203により構成される。さらに、候補選択部20
1は、解ベクトル集合からある解ベクトルを選択する時
の選択確率hkとその選択範囲Ikを導出する選択範囲導出
部204、[0,1)内の一様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)
を発生させる乱数発生部205、乱数発生部205の結
果をもとに解ベクトル集合から選択する解ベクトルを抽
出する解ベクトル抽出部206により構成される。
【0038】以上のように構成された本発明の第1の実
施の形態における最適化調整装置の動作について説明す
る。その際、本実施の形態では、扱う具体的問題とし
て、図6のようなm次元関数w(x1,x2,...,xm)の最大値推
定問題を取り上げる。図6に示されるように、例えばm
次元関数wの最大値推定問題では、 《条件1》所定の手続きまたは外部からの指示により、
n個のm次元ベクトルqi(x 1 i,x2 i,...,xm i)(i=1,...,n)か
らなる集合Qを作り出す。 《条件2》各qi(i=1,...,n)における関数値w(qi)を求
め、その値をもとに関数値w(q)が最大となるm次元ベク
トルqを推定する。 《条件3》各要素xkの絶対値は| xk| ≦ckを満足する。 《条件4》また各要素xkは小数点以下a桁までの精度し
か持たないものとする。というような手続きが取られ
る。このようm次元関数wの最大値推定問題を対象とし
て、図3、図4、図5のフローチャート図をもとに本発
明の第1の実施の形態の動作について説明する。
【0039】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定される。この設
定方法として様々な方法が考えられる。ここでは、求め
るm次元ベクトルqiの要素xi j(j=1,...,m)は小数点以下
1桁までの精度を持つ実数値であると仮定し、その値を
図7に示すように対応付けした長さBlenのビット列コー
ドに変換する。そして、ベクトルqiの各要素xi jをビッ
ト列コードに変換したものを順番に並べる形により解ベ
クトルpk(k=1,...,n)は表現されるものとする。なお、
ここでは解ベクトルをこのように固定長ビット列コード
により表現したが、解ベクトルの表現方法はこの方法に
限定されるものではなく、直接実数値を要素に持つ形の
まま扱うことも考えられる。
【0040】上述のビット列コードを用いた表現方法に
従い、[0,1)内の一様乱数rと(数1)をもとに、固定長
ビット列コードの形に表現された解ベクトルのl番目の
ビット(l=1,..,Blen×m)を求めることにより初期解ベク
トル集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。ここで(数
1)においてulは下位からl番目のビットにおける値を
表すものとする。
【0041】
【数1】
【0042】この初期解ベクトル集合Pより最適解ベク
トル推定が開始される。それとともに、重心推定部10
9で使用する基準適合度fth、重心移動部112で使用
する基準移動距離lengthの設定を行う。
【0043】評価値獲得部104は前述のように各解ベ
クトルpk(k=1,...,n)に対する評価値Ekを求める部分で
あり、例えば(数2)のような評価関数により求める。
【0044】
【数2】
【0045】ここで、qkは、解ベクトルpkを元のm次元
空間に戻した際の座標ベクトルであり、wt minは、集合P
における各解ベクトルpkをm次元空間座標に戻したとき
の関数値w(qk)の中で、更新回数l回とするとl回目まで
に得られた解ベクトル集合全体の中で最小となる値を表
す。(数2)より明らかのように、これまで得られた解
ベクトル集合内での関数値最小値からの差を集合全体で
正規化した値を表す。本実施の形態では、この評価値を
最大化する最大化問題として捉えることができる。適応
度計算部105では、評価値獲得部104で求められる
評価値から、各解ベクトルの適合性を見るために適合度
が計算される。適合度fkを導出する関数として様々な関
数が考えられるが、ここではfk=Ekとすることにより評
価値が高くなるほど適合度も高くなり、最大値推定問題
を取り扱うことが可能となる。
【0046】次に、更新方向判断部106の動作につい
て説明する。まず重心推定部109において、適合度計
算部105で得られた解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合
度fkと基準適合度fthが比較され、その値fthより大きな
適合度を持つ解ベクトル群P'=[pj l](j=1,..,p#num)を選
び出す。p#numはP'に属する解ベクトルの個数であり、
この時、重心ベクトルglは(数3)のように求められ
る。ここでlは遺伝的アルゴリズム部102における更
新処理の繰り返し回数を表す。
【0047】
【数3】
【0048】更新方向候補記録部110は、109で得
られたl回目における重心ベクトルg lと(l-1)回目におけ
る重心ベクトルgl-1の差分ベクトル△gl-1を求め更新方
向候補ベクトルv' l-1=△gl-1として記録する。更新方向
獲得部111では、更新方向候補記録部110で記録し
ている更新方向候補ベクトルv' lとv' l-1の方向の一致度
を評価されるが、2つのベクトルのなす角度θを求め、
その角度が予め与えられた一致判断角度θthと比較し、
その値より小さければ2つの更新方向候補ベクトルv' l
とv' l-1は同じ方向を向いていると判断される。θは
(数4)のように求めることができる。なお、cos-1
逆コサイン関数(逆予弦関数)を、(x,y)はベクトルxと
yの内積を、||x||はベクトルxのノルム(大きさ)を表
す。
【0049】
【数4】
【0050】もしv' lとv' l-1は同じ方向を向いていると
判断されれば、更新方向ベクトルvが得られたものとし
てv=v' lとなる。そしてこの場合、処理は方向適用更新
部107に処理が移る。一方、v' lとv' l-1は同じ方向で
はないと判断された場合、解ベクトル集合P内の解ベク
トルpkすべてn個は組み替え操作部108における遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの更新が
なされる。図8は以上の様子を模式的に表したものであ
る。
【0051】まず、更新方向ベクトルvが得られた場合
の処理について説明する。この場合、方向適用更新部1
07に処理が移る訳だが、その中では次の重心移動部1
12と重心周囲解ベクトル生成部113の順に処理が行
われる。重心移動部112では、更新方向ベクトルvの
指し示す方向に重心推定部109で計算した重心ベクト
ルglを移動させる処理を行う。ここでは簡単のために、
予め設定された平行移動距離lengthだけ移動させて新し
い重心ベクトルgl+1を推定する方法を取る。しかし、更
新方向ベクトルvの方向でPATAN法などの直線探索
方法を用いて評価値が最大となる点を求め、その点を改
めて重心ベクトルgl+1とする方法等も考えられる。重心
周囲解ベクトル抽出部113は、(数5)のように11
2で得られた新しい重心ベクトルgl+1を中心とした半径
a#lenの多次元空間での球内の領域に含まれる点をa#s個
任意に抽出し新しい解ベクトル集合の元とする。
【0052】
【数5】
【0053】a#s、a#lenはここでは予め設定された一定
値として考えるが、この値も動的に変化させる方法や、
この値を図7のようにビット列に変換して、解ベクトル
pkに加えて改めて解ベクトルと定義してやる方法も考え
られる。さらに、113では(n- a#s)個を次の組み替え
操作部108で行われる組み替え操作で生成する新しい
解ベクトル個数として設定する。
【0054】次に、組替え操作部108の動作について
説明するが、ここでは更新方向獲得部111または重心
周囲解ベクトル抽出部113で設定された解ベクトル個
数だけ、繰り返し回数lにおける解ベクトル集合P内の解
ベクトルの組み替え操作により新しい解ベクトルを生成
する。以下に、候補選択部201から解ベクトル抽出部
206における処理手順について説明する。まず、候補
選択部201において解ベクトルの選択淘汰が実行され
る。この場合、図9に表されるように適合度に比例する
確率で解ベクトルを選択するルーレット選択法が用いら
れる。
【0055】(ルーレット選択法) (i)集合Pに属する各解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合度f
k、全解ベクトルの適合度の総和fを求める。 (ii)pkが次世代の解ベクトルを作り出す親として選ばれ
る選択確率hkが(数6)のように求められる。
【0056】
【数6】
【0057】この確率を解ベクトルに割り当てるために
は例えば次のような方法が考えられる。 (iii)各解ベクトルの選択範囲Ikを[0,1)内の区間に(数
7)(数8)を用いて次のように割り当てる。つまり、
【0058】
【数7】
【0059】とする時、pkの選択範囲Ik
【0060】
【数8】
【0061】のように定義する。ここで、[0,1)内に一
様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)を発生させる。rj∈I
k(j,k=1,...,n)を満足するnumj=kの組Num=(num1,nu
m2,...,numn)を求めることにより、このNumに対応するn
個の解ベクトルの組が選択されることになる。
【0062】このようなルーレット選択法により、現在
の解ベクトル集団Pの中の解ベクトルpkの選択を行うの
である。まず、(数6)〜(数8)に従い選択範囲導出
部204が各解ベクトルが選択される確率hkとその選択
範囲Ikを求める。そして、乱数発生部205が0から1
の間の一様乱数rをn個発生する。乱数発生部205で得
られた乱数の組Rと選択範囲導出部204により得られ
る選択範囲Ikは、解ベクトル抽出部206へ送られrj
Ikを満足するnumj=kの組Numが求められる。それにより
解ベクトル抽出部206では、Numによって指定される
解ベクトルで構成される新しい解ベクトル集団Pを出力
するのである。この候補選択部201で得られる新しい
解ベクトル集団Pに対して、交叉処理実行部202が交
叉処理を行う。前述したように交叉処理としては様々な
方法があるが、本実施の形態では図72のような1点交
叉もしくは2点交叉処理を用いる。さらに突然変異処理
部203が、交叉処理実行部202を経て得られた新し
い解ベクトル集団に対して解ベクトルを構成する各ビッ
トが低い確率でビット反転を行う突然変異処理を実行す
るのである。その際、突然変異を行う確率は、解ベクト
ル集団の半分と残り半分では変動させることにより、よ
り解ベクトルの多様性に維持することに努めた。なお、
ここでは、求める解ベクトルはビット列コードに変換し
て扱っているが、前述のように多次元空間における座標
ベクトルの実数値要素をそのまま並べて解ベクトルとし
て扱うことも考えられる。この場合、交叉処理はビット
列コードの場合と同様な処理が施され、突然変異処理
は、ある低い確率で選ばれた遺伝子(多次元空間におけ
る座標ベクトルの要素)にある範囲内で与えられた乱数
を付加することによって実現される。
【0063】最後に遺伝的アルゴリズム部102の終了
条件について説明する。102の遺伝的組み替えによる
解ベクトル更新処理の終了条件としては様々なものが適
用される問題に応じて考えられるが、ここでは、 《終了条件1》適合度計算部105で得られた適合度fk
の最高値fmaxが収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》繰り返し回数lが終了更新繰り返し回数g
#numendを超えているかの2つの終了条件を設ける。そ
して、どちらの条件も満たさない場合にはもう一度評価
値獲得部104へ戻る。以上のような処理過程を終了条
件1または2のどちらかが満足されるまで繰り返し実行
することにより最適解ベクトルの推定を行うのである。
このように、解ベクトル集合内で適合度の高いグループ
の重心ベクトルの移動ベクトルに着目し、適合度の高い
解ベクトルが存在する分布すると思われる方向を推定し
た解ベクトル群の更新を行う。それとともに、元の解ベ
クトル集合を対象にした組み替え操作による解ベクトル
の最適化も同時に行うことにより、過去の解ベクトル更
新の履歴を利用した高速で効率的な最適解の推定を行う
ことができるのである。
【0064】以下、本発明の第2の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態
における最適化調整装置の構成を示すものである。本実
施の形態は、組み替え操作を用いて局所的に解ベクトル
の更新を行った後、再度組み替え操作を用いて大域的な
解ベクトルの更新を行うことにより最適解ベクトルの推
定を行うものである。
【0065】図10において、1001は初期解集合設
定部101で設定された初期解ベクトル集合P内の各ベ
クトルpk(k=1,...,n)の周囲に改めて初期解ベクトル群P
kを設定し、その初期解ベクトル群に属する解ベクトルp
k j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の問題に対する適合度fkjをも
とに解ベクトルの組み替え操作を予め設定された回数だ
け繰り返して適合度の高い解ベクトル群Pkを抽出する局
所更新部、1002は局所更新部1001で得られた複
数の解ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合してその集合
内の解ベクトルp* k(k=1,...,n*)の組み替え操作を行う
大域更新部である。局所更新部1001は、解ベクトル
集合P内の解ベクトルpkから局所的な解ベクトルの更新
を行う際の範囲を決定する局所更新設定部1003と、
1003で指定された範囲内で改めて初期解ベクトル群
Pkを生成するベクトル群設定部1004と、解ベクトル
pk j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の対象問題に対する評価値Ek j
を獲得する評価値獲得部104と、評価値獲得部104
で得られた評価値から各解ベクトルの適合度fk jを計算
する適合度計算部105と、適合度計算部105で得ら
れた適合度をもとに解ベクトル群内の解ベクトルの組み
替え操作を局所更新設定部1003で設定された範囲内
に含まれるように実行する局所組み替え操作部1005
と、一連の局所的な更新処理が予め与えられた繰り返し
回数を満足するかどうかの判断をする局所更新終了判断
部1006より構成される。一方、大域更新部1002
は、局所更新部1001で得られた解ベクトル群Pk(k=
1,...,n)を1つの集合P*=[p* i](i=1,...,n*)に統合する
集合統合部1007と、1007で得られた解ベクトル
集合P*を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更
新を行う大域組み替え操作部1008により構成され
る。さらに、局所組み替え操作部1005、大域組み替
え操作部1008ともに、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204と乱数
発生部205と解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0066】以上のように構成された本発明の第2の実
施の形態における最適化調整装置の動作を図11のフロ
ーチャート図をもとに説明する。ここで、扱う具体的問
題として本発明の第1の実施の形態と同様に多次元関数
wの最大値推定問題を取り上げる。また、多次元空間に
おける座標ベクトルを構成する各要素も同様に図7に記
される方法によりビット列コード表現され、このビット
列が要素の順番に従い並べられて形で遺伝的アルゴリズ
ムで推定する解ベクトルを表現されるものとする。
【0067】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、局所更新設定部1003で使用する局所範囲半径b#
len、局所更新終了判断部1006で使用する局所更新
終了回数c#lthが設定される。局所更新設定部1003
では、初期集合Pにおけるpkを中心として、(数9)の
ように局所範囲半径b#len内の多次元空間内の球領域が
設定される。
【0068】
【数9】
【0069】なお、このc#lthはここでは固定とした
が、動的に変化させることも可能であり、例えばその値
をビット列変換して解ベクトルpkに加えることも考えら
れる。ベクトル群初期設定部1004では、1003で
設定された範囲より複数の解ベクトルを任意に抽出して
改めて初期解ベクトル群Pkを設定する。ここでは、中心
となった解ベクトルpkも含めてnk個の解ベクトルpk j(j=
1,...,nk)を抽出する。本実施の形態ではnk=nとする。
評価値獲得部104が(数4)に従い各解ベクトルの評
価値Ek jを求め、適合度計算部105が評価値Ek jより適
合度fk jを計算する。局所組み替え操作部1005は、
105における適合度をもとに(数9)で表される領域
内に含まれるように解ベクトルの組み替え操作を行う。
この処理は本発明の第1の実施の形態における最適化調
整装置の組み替え操作部108と同じであるため省略す
る。この1005における解ベクトル群Pkの更新の後、
局所更新終了判断部1006で局所更新回数c#lが局所
更新終了回数c#lthと比較してc#l≧c#lthを満足するか
どうかを判断する。もし満足すれば局所更新処理は終了
する。満足しない場合は、c#lには1が加算され、評価
値獲得部105から局所更新終了判断部1006の処理
が繰り返される。このようにして、初めに設定された初
期解ベクトル集合の周囲で遺伝的演算に基づく組み替え
操作を行ってより適合性の高い解ベクトルを探索するこ
とが行われるのである。なお、1003におけるnkは、
nk=nと設定したが、元の解ベクトル集合P内の解ベクト
ルpkに対して可変にすることも考えれる。また、局所更
新回数c#lに対しても動的に変化させることも可能であ
る。
【0070】次に、大域更新部1002における処理に
ついて説明する。まず1001で抽出された各解ベクト
ル群Pk(k=1,...,n)を集合統合部1007が1つの集合P
*=[p * i](i=1,...,n*)に統合する。この際、全ての解ベ
クトル群Pk内の解ベクトルを適合度の高い順番にソーテ
ィングし、高い方から順にn*個の解ベクトルを選んで統
合集合Pを生成することが考えられる。大域組み替え操
作部1008は、1007で得られた解ベクトル集合P*
を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更新を行
う。その際、この処理は本発明の第1の実施の形態にお
ける最適化調整装置の組み替え操作部108と同じであ
るため省略する。図12は一連の様子を模式的に表す図
である。
【0071】最後に終了条件について説明する。終了条
件としては、本実施の形態1における最適化調整装置と
同様に収束判定適合度fendと終了更新繰り返し回数g#nu
mendの2つ値の比較条件が設定されている。具体的に
は、 《終了条件1》集合統合部1007において、各解ベク
トル群Pk内の解ベクトルpkiの持つ適合度の最高値fmax
が収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》局所更新部1001から大域更新部10
02における一連の更新の繰り返し回数lが終了更新繰
り返し回数g#numendを超えているかの2つの終了条件を
設ける。そして、どちらの条件も満たさない場合には局
所更新設定部1003へ処理が戻る。満足する場合に
は、最適解出力部103に処理が移り、最新の解ベクト
ル集合において最も適合度の高い解ベクトルが最適解ベ
クトルとして出力される。本実施の形態における第2の
最適化調整装置は以上のような処理過程を終了条件1ま
たは2のどちらかが満足されるまで繰り返し実行するこ
とにより最適解ベクトルの推定を行うものである。この
ように組み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新
を数回繰り返し行った後に再び組み替え操作により大域
的な解ベクトルの更新を行うことにより、遺伝的アルゴ
リズムの持つ解ベクトルの大域的更新能力を損なわず
に、局所的な解ベクトルの更新能力を補強することがで
き、高速な最適解の推定の実現が可能となる。
【0072】以下、本発明の第3の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
13は、本発明の第3の実施の形態における最適化調整
装置の構成を示すものである。本実施の形態は、解ベク
トル集合内の各解ベクトルをその近傍空間よりランダム
に抽出したベクトル群と比較して適合度の高いベクトル
群を改めて更新処理の対象となる解ベクトル集合に属す
る解ベクトルとして選び出して組み替え操作の対象とす
ることを特徴とする。
【0073】図13において、1301は解ベクトル集
合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,n)の周囲から任意の解
ベクトルを選び出すための範囲設定を行う初期更新領域
限定部である。初期解ベクトル群抽出部1302は、初
期更新領域限定部1301で得られた範囲内に含まれる
解ベクトルを任意に抽出して解ベクトル群Pk(k=1,...,
n)を作成する。解ベクトル集合統合部1303は、各解
ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合するものであり、こ
のP*に対して組み替え操作が実行される。
【0074】以上のように構成された本発明の第3の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図14のフローチャート図をもとに説明する。な
お、扱う具体的問題として本発明の第1、第2の実施の
形態と同様に多次元関数wの最大値推定問題を取り上
げ、解ベクトルを構成する各要素も同様に図7に記され
る方法によりビット列コード表現され、解ベクトルとし
てはこのビット列が多次元空間における座標ベクトルの
要素の順番に従い並べられた形で解ベクトルが表現され
る。
【0075】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、初期
更新領域限定部1301で使用する限定領域半径c#len
が設定される。限定領域の設定としては様々な方法があ
るが、初期更新領域限定部1301ではこのc#lenを使
い、初期解ベクトル集合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,
n)を中心にした多次元空間での球領域を設定する。次
に、初期解ベクトル群抽出部1302が各解ベクトルpk
を中心とした解ベクトル群Pkを設定する。この場合、各
球領域内から任意にnk個のベクトルを抽出して解ベクト
ル群を設定する。評価値獲得部104、適合度計算部1
05を経て、解ベクトル集合Pkにおける各解ベクトルpk
jごとに適合度fk j(j=1,...,nk)が計算される。解ベクト
ル集合統合部1303では、この適合度をもとに各解ベ
クトル群のを1つの集合P*に統合する処理を行う。図1
5はその様子を模式的に表す。その方法としては、本実
施の形態2のように、各解ベクトル群内の解ベクトルを
適合度の高い順に並べて、高い方からn*個選択する方法
も考えられるが、この実施の形態では、組み替え操作部
108における候補選択部201で使用したルーレット
選択法を用いてn*個の解ベクトルを抽出する方法をと
る。つまり、各解ベクトルpk jの選ばれる確率rk jとし
て、(数10)のように各適合度fk jの総和f#tに対する
比の値rk jを定義し、その値をルーレットの占める範囲
に割り当てる。そして、乱数により選ばれた値が止まる
位置を占める解ベクトルを抽出するという方法を用いる
のである。こうすることにより、確率的に適合度の高い
ものが選ばれることになる。
【0076】
【数10】
【0077】組み替え操作部108では本発明の第1の
実施の形態の場合と同様に、解ベクトル集合統合部13
03で得られた解ベクトル集合P*内の解ベクトルp* i(i=
1,...,n*)を対象として、ルーレット選択法による解ベ
クトルの選択淘汰、交叉処理、突然変異処理が候補選択
部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行部
203で実行されるのである。この方法は本発明の第2
の実施の形態における最適化調整装置と比較すると、局
所的な解更新能力をできるだけ簡単な手順で実現するも
のである。
【0078】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。両方の条件を満足しない場合に
は、初期更新領域限定部1301に処理が戻る。以上の
ような処理過程をいずれか一つの終了条件を満足するま
で繰り返し実行することにより最適解推定を実行するの
である。このように、本発明の第3の最適化調整装置
は、解ベクトル集合内の各解ベクトルをその近傍空間よ
りランダムに抽出したベクトル群と比較して適合度の高
いベクトル群を改めて更新処理の対象となる解ベクトル
集合に属する解ベクトルとして選び出す。そして、出来
上がった解ベクトル集合を組み替え操作の対象とするこ
とにより、従来の遺伝的アルゴリズムでは欠如していた
局所的更新能力の弱さを解消することができる。
【0079】以下、本発明の第4の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。図16は、本発明の第4の実施の形態
における最適化調整装置の構成を示すものである。本実
施の形態は、適合度をもとに選択された解ベクトルの近
傍ベクトル群を抽出することにより解集合全体の再設定
を行い、各近傍ベクトル群内の解ベクトルのみを対象と
した組み替え操作を行うことにより最適解の探索を行う
ものである。
【0080】図16において、1601は解ベクトル集
合全体の再設定を行う解集合再設定部、1602は解集
合再設定部1601で得られた各近傍ベクトル群内の解
ベクトルのみを対象とした組み替え操作により新しい解
ベクトル集合の生成をするグループ組み替え操作部であ
る。ここで、解集合再設定部1601は解ベクトル集合
全体から代表となる解ベクトルをいくつか選択する代表
解ベクトル選択部1603と代表解ベクトル選択部16
03で得られた各代表解ベクトルに対して、その近傍ベ
クトル群を抽出する近傍ベクトル群抽出部1604より
構成される。グループ組み替え操作部1602は候補選
択部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行
部203により構成され、候補選択部201は、選択範
囲導出部204と乱数発生部205と解ベクトル抽出部
206により構成される。
【0081】以上のように構成された本発明の第4の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図17のフローチャート図をもとに説明する。ここ
で、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の
表現方法は本発明の第1から第3における実施の形態の
場合と同様である。
【0082】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、代表解ベクトルの数Ncと各代表解ベクトルを中心し
て抽出する近傍ベクトルの数Nsと近傍の定義を表す近傍
幅wi(i=1,...,Nc)が設定される。評価値獲得部104が
(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度
計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算する。
【0083】次に、解集合再設定部1601の動作につ
いて説明する。まず代表解ベクトル選択部1603にお
いて、解ベクトル集合から近傍ベクトル群を抽出するの
に必要とされる代表解ベクトルpi c(i=1,..,Nc)を選び出
す。この時、選択方法としては様々な手法が考えられる
が、本実施の形態ではグループ組み替え操作部1602
を構成する候補選択部201で用いられているルーレッ
ト選択法により確率的に適合度の高いベクトルを代表解
ベクトルとして選び出すこととする。近傍ベクトル群抽
出部1604が、代表解ベクトル選択部1603で得ら
れた代表解ベクトルpi cに対して、各々、(数11)を
満足する近傍ベクトルpをNs個抽出することによりNc
の近傍ベクトル群を作成する。この(数11)は、実際
の実数空間にお
【0084】
【数11】
【0085】いて代表解ベクトルpi cを中心とした半径w
iの球内を表していおり、Ns個の近傍ベクトルを選び出
す方法としては(数11)に含まれる解ベクトルから一
様乱数を用いてランダムに選び出される。図18は以上
の様子を模式的に表現したものである。なお、本実施の
形態では、(数11)のように近傍の判断として実際の
実数空間における解ベクトル間のユークリッド距離を用
いた。しかし、これに限定されるものではなく、ビット
列コードに変換表現した2つの解ベクトルx、yにおい
て、右から数えて下位のLbitビットを比較し、反転して
いるビット数をもとに近傍を定義することにより近傍を
定義する方法も考えられる。
【0086】以上のような解集合再設定部1601の処
理により、Nc個の近傍ベクトル群が抽出させる。グルー
プ組み替え操作部1602では、その各々の近傍ベクト
ル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行
う。その際、まず候補選択部201において、ルーレッ
ト選択法による解ベクトルの選択淘汰が各々の近傍ベク
トル群内を対象として行われ、候補選択部201で得ら
れた新しい近傍ベクトル群を対象とした交叉処理が交叉
処理実行部202で実行される。こうして各々の近傍ベ
クトル群独立に実行された組み替え操作により、新しい
解ベクトル集合が生成され、この解ベクトル集合に対し
て突然変異処理実行部203が突然変異処理を実行する
のである。
【0087】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。このように代表解ベクトルの近
傍からベクトル群を選び出しまとめることにより、局所
的な探索をより効率良く行うことができる。さらに各近
傍ベクトル群独立に組み替え操作を行うことにより、突
出した適合度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに
大きな影響を与えることも避けることができるのであ
る。
【0088】以下、本発明の第5の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明し
ながら説明する。第5の実施の形態は、解ベクトル集合
内の解ベクトル近傍を複数の領域に分割し、その中で平
均適合度の高い領域から任意に選び出す処理と並行し
て、元の解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替え操作
による解ベクトル更新を行うように工夫したものであ
る。図19は、本発明の第5の実施の形態における最適
化調整装置の構成を示すものである。更新領域分割部1
901は解ベクトル集合内から任意に選び出した2つの
解ベクトルの近傍空間を複数の領域に分割する処理を行
い、平均適合度計算部1902は更新領域分割部190
1で分割された各領域内で複数の解ベクトル点を抽出し
その評価値、適合度の平均を求める。さらに、適領域解
ベクトル群抽出部1903は1902で選ばれた領域か
ら複数の解ベクトルを任意に選び出すものであり、解ベ
クトル統合部1904は、組み替え操作により生成され
た解集合と近傍領域探索により更新された解ベクトル群
を1つの集合P*に統合するものである。
【0089】以上のように構成された本発明の第5の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図20の処理を表すフローチャート図をもとに説
明する。なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成す
る各要素の表現方法は本発明の第1から第4における実
施の形態の場合と同様である。
【0090】最初にこれまでの実施の形態と同様に、初
期解集合設定部101において解ベクトルの初期集合P=
[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示
により設定される。評価値獲得部104が(数4)に従
い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105
が評価値Ekより適合度fkを計算する。組み替え操作部1
08がこの適合度fkをもとに解ベクトル集合P内の解ベ
クトルpkの遺伝的な組み替え操作を行う。その処理と並
行して、以下の処理がなされる。
【0091】まず、更新領域分割部1901では、解ベ
クトルpkとpmの間を結ぶ直線区間Lが設定できる。このL
は(数12)のように表現できる。ここでαは実数値で
ある。
【0092】
【数12】
【0093】この直線区間を次の3つの領域に分割す
る。 (1)α<0.0のpmを起点にしてpkから遠ざかる領域 (2)0.0≦α≦1.0のベクトルpkとpmの間の領域 (3)α>1.0のpkを起点にpmから遠ざかる領域 解ベクトルpkに対して、解ベクトル集合Pからランダム
にその相手となる解ベクトルpmが選択される。このよう
にして直線区間ではあるが、解ベクトルpkの近傍を分割
することができる。なお、pkを中心にした球領域を考
え、その領域を経度角度βにより分割することにより複
数領域に分ける方法も考えられる。平均適合度計算部1
902では、領域(1)(2)(3)各々よりnc個の解ベクトル
を選び出し、評価値そして適合度を計算する。そして、
各領域ごとに平均適合度fi me an(i=1,2,3)を導出するの
である。適領域解ベクトル抽出部1903は1902の
結果をもとに、最も平均適合度の高い領域を選択し、そ
こからランダムにnd個の解ベクトルを元に持つベクトル
群Pkを抽出する。図21はその様子を表しており、この
場合は領域(2)が選択されている。最新の解ベクトル集
合の中で最も適合度の高い解ベクトルが出力される。こ
の適領域解ベクトル抽出部1903で抽出された解ベク
トル群Pk(k=1,...,n)と組み替え操作部108で得られ
た新しい解ベクトル集合Pが1904の解ベクトル統合
部で1つの集合P*に統合される。この方法としては、本
実施の形態2における高い適合度の順に抽出する方法
と、本実施の形態3における適合度にルーレット選択法
を適用した確率的に適合度の高いものを選択する方法等
が考えられる。
【0094】前述までの実施の形態の場合と同様に、 《終了条件1》更新繰り返し回数lが更新終了繰り返し
回数g#numendをこえたかどうか 《終了条件2》最大適合度fmaxが収束判定適合度fend
超えたかどうかという2つの終了条件が設定されてお
り、どちらも満足しない場合にはもう一度評価値獲得部
104へ処理が戻り、どちらかが満たされれば、最適解
出力部103で最も適合度が高い解ベクトルが最適解と
して出力されるのである。以上のような処理過程を終了
条件を満足するまで繰り返し実行することにより最適解
の探索を行うのである。このように、解ベクトル集合内
の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並行して、
各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処理も同時
に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが持つ効率
的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補強するこ
とができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実行するこ
とができる。
【0095】以下、本発明の第6の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
22は、本発明の第6の実施の形態における最適化調整
装置の構成を示すものである。本実施の形態は、適合度
の算術平均と標準偏差をもとに解ベクトル集合を複数の
グループに分割し、各グループ内の解ベクトルのみを対
象とした組み替え操作を行うことにより最適解の探索を
実行する。
【0096】図22において、2201は解ベクトル集
合全体を複数のグループに分割する解集合分割部であ
る。解集合分割部2201は解ベクトル集合全体を分割
する際の各領域を決定する分割領域決定部2202とそ
の結果をもとに解ベクトル集合を実際に複数のグループ
に分割する分割実行部2203より構成される。
【0097】以上のように構成された本発明の第6の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図23のフローチャート図をもとに説明する。な
お、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の
表現方法は前述までの第1から第5までの実施の形態と
同様である。
【0098】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、解ベ
クトル集合分割条件として分割するグループ数Ngとその
分割に用いられる自然定数nが設定される。評価値獲得
部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求
め、適合度計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算
する。収束条件として、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは
適合度計算部105で得られた適合度fの最大値fmax
収束判定適合度f endを超えているかどうかという2つの
条件が設定されており、どちらかでも満足する場合は解
ベクトルの更新処理は終わり、最適解出力部103で最
も適合度の高い解ベクトルが出力される。
【0099】次に、解集合分割部2201の動作につい
て説明する。まず分割幅決定部2202が適合度計算部
105で求められた適合度fkの算術平均Aveとその標準
偏差σを計算する。そして、例えばNg=3の場合、図24
(a)の適合度fkに対する個体数分布を表す図のよう
に、Ave、σと初期解集合設定部101で設定された自
然定数nを用いて、 (A)fk>(Ave+σ×n)の領域 (B)(Ave-σ×n)≦fk≦(Ave+σ×n)の領域 (C)fk<(Ave-σ×n)の領域 の3つの領域を決定する。分割実行部2203が分割領
域決定部2202の結果を受けて、実際に解ベクトル集
合全体を分割する。図24(b)は実際の実数値空間に
おける分割された各グループの分布を模式的に表す図で
ある。ここで、本発明の第4の実施の形態の場合は、現
在の解ベクトル集合の適合度をもとに検討した分布状況
に関係なく代表解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出して
いるが、本実施の形態では、現在の解ベクトル集合の中
から適合度の分布状況に従い抽出して分割を行っている
点が大きく異なる。なお、本実施の形態では、nを一定
とみなしているが、この値も動的に変化させることも考
えられる。
【0100】グループ組み替え操作部1602では本発
明の第4の実施の形態の場合と同様に、解集合分割部2
201で得られた複数のグループ内の解ベクトルのみを
対象として、ルーレット選択法による解ベクトルの選択
淘汰、交叉処理が候補選択部201、交叉処理実行部2
02で順番に実行される。そして、新しく生成された解
ベクトル集合全体に対して突然変異処理実行部203が
突然変異処理を実行するのである。
【0101】以上のような解ベクトル集合の更新処理
を、前述の収束条件が満たされるまで繰り返し行うこと
により最適な解べくトルの推定を行うものであり、この
ように解ベクトル集合全体を適合度の平均と標準偏差を
もとに複数のグループに分割し、各グループ内に属する
解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を各グループ
独立に実行することにより、突出した高い適合度を持つ
解ベクトルや低い解ベクトルが別々のグループに分かれ
て組み替え操作を行われることになる。そのため、それ
らが解ベクトル集合全体にすぐに大きな影響を与えるこ
とを避けることができるし、また各グループ内の解の収
束も高速となり、効率良い最適解ベクトルの推定を行う
ことができるのである。
【0102】以下、本発明の第7の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明し
ながら説明する。第7の実施の形態は、適合度を計算す
る度に適合度の算術平均と標準偏差、最大・最小適合度
をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分割するか
どうかの判断をすることにより組み替え操作対象を選択
し、得られた組み替え操作対象内の解ベクトルを対象と
した組み替え操作を行うことにより最適解探索を実行す
るものである。図25は、本発明の第7の実施の形態に
おける最適化調整装置の構成を示すもので、2501は
適合度の算術平均と標準偏差、最大・最小適合度をもと
に解ベクトル集合全体を複数のグループに分割するかど
うかの判断を下す組み替え対象制御部である。
【0103】以上のように構成された本発明の第7の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図26の全体の処理を表すフローチャート図、図
27の処理2を表すフローチャート図をもとに説明す
る。なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各
要素の表現方法は本発明の第1から第6における実施の
形態の場合と同様である。
【0104】最初にこれまでの実施の形態と同様に、初
期解集合設定部101において解ベクトルの初期集合P=
[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示
により設定されるとともに、解ベクトル集合分割条件と
して分割するグループ数Ngとその分割に用いられる自然
定数nが設定される。評価値獲得部104が(数4)に
従い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度計算部10
5が評価値Ekより適合度fkを計算する。収束条件とし
て、更新繰り返し回数lが更新終了繰り返し回数g#num
endをこえているかどうか、もしくは適合度計算部10
5で得られた適合度fの最大値fmaxが収束判定適合度f
endを超えているかどうかという2つの条件が設定され
ており、どちらかでも満足する場合は解ベクトルの更新
処理は終わり、最適解出力部103で最も適合度の高い
解ベクトルが出力される。
【0105】本実施の形態は第6の実施の形態に解ベク
トル集合の分割を行うかどうかの制御機構2501を設
けることにより、無意味な分割(解ベクトル集合内の全
ての解ベクトルの適合度が非常に近い値を持つような場
合)をすることによる効率のロスを避けることを目的と
する。組み替え対象制御部2501は、まず適合度計算
部104で得られる適合度fkよりその平均Aveと標準偏
差σを求める。そして、この値と最大・最小適合度をも
とに解ベクトル集合を複数のグループに分割するかどう
かの判断を下すのである。その判断基準として様々な基
準が考えられるが、本実施の形態では(数13)で表さ
れる条件を満足する時に、解ベクトル集合を複数のグル
ープに分割する必要があると判断するように定義する。
【0106】
【数13】
【0107】ここでfmaxは最大適合度、fminは最小適合
度、cfは適合度分布判断定数を表す。この判断基準の結
果に従い、2501は次のような動作を行う。 《判定1》分割しないと判断された場合には解ベクトル
集合全体を組み替え対象として組み替え操作部108へ
進む。 《判定2》分割を行うと判断された場合には解集合分割
部2201へ進む。この時、解ベクトル集合の分割方法
として適合度の平均値Aveと標準偏差σをもとに本発明
における第6の実施の形態の場合と同様な方法を用い
る。
【0108】組み替え操作部108では、組み替え対象
制御部2501で得られた組み替え対象に対してルーレ
ット選択法による解ベクトルの選択淘汰が候補選択部2
01で実行され、1点もしくは2点交叉処理が交叉処理
実行部202で実行され、突然変異処理が突然変異処理
実行部203が実行されるのである。
【0109】そして本発明における第1から第6の実施
の形態の場合と同様な収束条件により解ベクトル集合の
更新を続行するかどうかの判定を行う。以上のような処
理過程を繰り返し実行することにより最適解ベクトルの
推定を行うのである。このように、適合度の算術平均と
標準偏差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合を
複数のグループに分割するかどうかの判断をする。分割
すると判断された場合には、解集合分割部が解集合全体
を複数のグループに分割し、そう判断されない場合は解
集合全体を組み替え操作の対象とし、得られた組み替え
処理対象に対して解ベクトルの選択と組み替え操作を行
うことにより適合度分布状況をもとに突出した高い適合
度を持つ解ベクトルの有無を判断し、その影響を低減す
るように組み替え処理対象を限定することにより、効率
良い最適解ベクトル推定を行うことができるのである。
【0110】以下、本発明の第8の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
28は、本発明の第8の実施の形態における最適化調整
装置の構成を示すものである。本実施の形態は、更新領
域設定部で用いられる段階収束基準として段階収束適合
度とその値を満足する解ベクトル個体数を定義し、更新
領域設定部において前記段階収束基準を満足するごとに
更新領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の
精度を上げていくことにより最適解ベクトルの推定を実
行するものである。
【0111】図28において、2801は段階収束基準
として設定された段階収束評価値とその値を満足する解
ベクトル個体数を評価し、その基準を満足する場合に探
索領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の精
度を上げていく更新領域設定であり、更新領域設定部2
801は、段階収束適合度flthとその値を満足する解ベ
クトル個体数Nlthを評価する段階収束判定部2802
と、段階収束判定部2802で収束と判断された場合に
更新領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の
精度を上げる収束基準変更部2803により構成され
る。
【0112】以上のように構成された本発明の第8の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作について図29のフローチャート図をもとに説明す
る。その際、扱う具体的問題及び解ベクトルのコーディ
ング方法については第1から第7における実施の形態と
同様のものを用いるとする。
【0113】まず、これまでの実施の形態と同様に初期
解集合設定部101において解ベクトルの初期集合P=[p
k](k=1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示に
より設定される。この初期解ベクトル集合Pより最適解
ベクトル推定が開始されるのである。それとともに、初
期解ベクトルの更新領域と、初期段階収束基準が設定さ
れる。段階収束基準は段階収束適合度flthとその値を満
足する解ベクトル個体数Nlthとして定義されており、初
期段階収束適合度flth0と収束判定のための初期個体数N
lth0がflth=flth0、Nlth=Nlth0のように設定される。ま
た、初期更新領域としては、係数に相当する長さBlenの
バイナリーコードにおいて最上位Clenビットのみが有効
でそれ以下では0とみなすことにより表現される領域を
対象とする。
【0114】更新領域設定部2801では、まず段階収
束判定部2802において、105で得られた適合度fk
と段階収束適合度flthが比較され、fkがflthより大きく
なる解ベクトルの個数Nlを数える。この際、段階収束判
定部2802では段階収束適合度flthが予め設定された
収束判定適合度fendを超えているかかどうかを判断する
段階収束条件を設け、次のような判定がされる。 《判定1》Nl≧Nlthかつ段階収束条件を満足する場合、
最適解出力部103へ進む。 《判定2》Nl≧Nlthだが段階収束条件を満足しない場
合、収束基準変更部2803が段階収束適合度flth
(数14)に従い変更する。ここで、flth newが新しく
設定される段階収束適合度であり、flth prvが現在の段
階収束適合度、△flが予め設定された段階収束適合度の
変分量であり、正の実定数である。なお、ここでは△fl
は一定とみなすが、この値も動的に変化するように設定
することも考えられる。
【0115】
【数14】
【0116】収束基準変更部2803では、バイナリ変
換された各係数の現在の更新領域であるClenビットは、
その係数がflth prvを満足するベクトルに含まれる場合
は、そのまま保存される。一方、満足しないベクトルに
対しては、満足する複数のベクトルの中からランダムに
選ばれたベクトルが各係数の現在の探索領域であるClen
ビットにコピーされる。その後、各係数において次の下
位のClenビットにより表現される領域を改めて更新対象
領域とするのである。その際、更新対象領域より上のビ
ットは変更せず、また更新領域より下のビットは0とす
る。ここで、Clenビットの移動が、予め設定された、各
係数に割り当てられたBlenビットを超える時は、一番下
位ビットからClenビットを更新の対象とする。以上の処
理の後、再び段階収束判定部2802における判定を繰
り返す。 《判定3》Nl≦Nlthの場合、組み替え操作部108へ進
む。
【0117】図30は判定2で行う更新ビット選択処理
を実際の係数が取り得る実数値空間における更新領域に
展開して表している。解ベクトルの要素である係数は図
7で示されるようなビット列コード表現されているた
め、上位ビットの変動は実際の実数空間における係数の
大きな変動に相当し、下位ビットの変動は現在点を中心
とした局所的な変動に相当する。そのため、図30で明
かなように判定2で行う更新ビット選択処理は、はじめ
各係数が取り得る領域をあらく大域的に更新した後、抽
出された領域をさらに細分化して局所的に更新する過程
を繰り返すというように、段階的に更新領域を限定・細
部化して更新を行う過程に相当する。
【0118】解ベクトル集合内の解ベクトル更新の終了
を判断する収束条件としては、判定1及び判定2で使用
される段階収束条件と、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうかを判断する
条件が用意されている。この2つの条件が満足されるま
で、以上のような解ベクトルの更新処理を繰り返し実行
することにより最適解の推定を行うのである。このよう
にまず大域的に荒い解ベクトルの探索を行った後徐々に
局所的探索に移行することにより、従来問題とされてい
た最適解近傍における局所的な探索能力の甘さによる影
響を低減することが可能となり、効率良くかつ高速な最
適解探索を実現することができる。
【0119】なお本発明における第1から第8の実施の
形態の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法及び最
適化調整装置では、多次元関数の最大値推定問題を具体
例として説明したが、前記巡回セールスマン問題やある
個数の品物を容量が限定されているナップサックにでき
るだけ詰め込むことを求めるというナップサック問題、
与えられた多次元空間における複数点よりそれらをうま
く近似する多次元関数を求める多次元関数近似問題、病
院における看護婦の夜勤、深夜勤務スケジュールを適切
に計画するためのスケジューリング問題、航空機等のパ
ラメトリック設計等への適用も考えられる。1例として
次のように記述できる一次元関数近似問題が挙げられ
る。 《条件1'》所定の手続きまたは外部からの指示によ
り、t個の2次元ベクトルqi(xi, yi)(i=1,...,t)からな
る集合Qを作り出す。 《条件2'》(数15)のような(s-1)次関数を定義す
る。 《条件3'》条件1における2次元ベクトル集合Qを最も
近似する(数15)で表される(s-1)次関数の各項にお
ける係数aj(j=0,...,s-1)を(数16)を満足する範囲
内で求める。ここで、x∋xkを独立変数と、cjは係数aj
の絶対値の探索上限とみなす。
【0120】
【数15】
【0121】
【数16】
【0122】《条件4》ただし、条件1における2次元
ベクトルデータ数tは探索する係数ajの個数sよりもはる
かに大きいものとする。図31はこれを模式的に表現し
たものである。この場合、評価値獲得部104が例えば
(数17)のように、予め与えら
【0123】
【数17】
【0124】れた2次元ベクトルデータqi(xi, yi)と得
られた近似関数より推定されるベクトルデータoi(xi, z
i)の間の2乗誤差の総和(i=1,...,t)を評価関数として
用いることにより各解ベクトルpkに対する評価値Ekを求
める方法が考えられ、この一次元関数近似問題はこの評
価値を最小化する最小化問題として捉えることができ
る。 その時、適応度計算部105では、評価値獲得部
104で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性
を見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する
関数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=V-E
kとし、VはEkより大きい正の実定数とする。こうするこ
とにより、評価値が小さい程適合度は大きな値になるよ
うに変換することができる。
【0125】以下、本発明に関連する第1の例から第1
5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置につ
いて図面を参照して説明するが、この第1から第15の
例では、ユーザの評価をもとに最適な解ベクトルを推定
する対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0126】本発明に関連する第1の例における最適化
調整方法と最適化調整装置について図面を参照しながら
説明する。第1の例の最適化調整方法と最適化調整装置
は各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の
調整結果をもとに限定し、その領域内の解ベクトルを対
象として対話型遺伝的アルゴリズムにより最適な解ベク
トルの調整を行うものである。例1はその最適化調整方
法と最適化調整装置を視力の補正を行うレンズの調整に
応用した例である。
【0127】図32において、3201は対象とするデ
ータを入力する対象データ入力部、3202は解ベクト
ルの取り得る領域を限定する更新領域限定部、101は
調整する初期の解ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を
所定の手続きまたは外部からの指示により設定する初期
解集合設定部、3203は遺伝的組み替え操作等により
最適解ベクトルの調整を実際に行うメイン処理部、10
3は最適な解ベクトルを出力する最適解出力部、320
4は最適解出力部により出力された最適解ベクトルに従
い対象データ入力部3201で入力されたデータを扱う
機器の調整を行う機器調整実行部である。メイン処理部
3203は、ユーザに各解ベクトルの表す情報を提示し
各解ベクトルの評価をしてもらうユーザ評価部3205
と、ユーザ評価部3205で得られた評価値Ekをもとに
各解ベクトルのその問題に対する適合度fkを計算する適
合度計算部105と、適合度計算部105で得られた各
解ベクトルの適合度をもとに解ベクトルの選択淘汰と交
叉、突然変異等の組み替え操作処理を実行する組み替え
操作部108と、組み替え操作部1081で得られた解
ベクトルの集合において、更新領域限定部3202で設
定された解ベクトルの取り得る限定領域に属さない解ベ
クトルを限定領域内の任意のベクトルと取り替えること
により解ベクトルの集合を再設定する集合再設定部32
06により構成される。ユーザ評価部3205は、各解
ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部32
07と、ユーザが情報提示部3207で提示された情報
をもとに各解ベクトルの評価値を判定するユーザ評価判
断部3208により構成される。組み替え操作部108
は図2に示されるように、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204、乱数
発生部205、解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0128】以上のように構成された本発明に関連する
第1の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作について図33のフローチャートをもとに説明する。
まず、図72に示されるように、対象データ入力部32
01でユーザに提示するための検定画像が入力データと
して入力される。調整する解ベクトルpkは(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。ここで、レンズの度数は焦点距離(m)の逆数
Dを単位として持つ。そして近視を(-)、遠視(+)の
符号で表し、例えば焦点距離の遠点が50cmである近視の
場合には-2.0D(1m÷50cm)と表示され、矯正するレン
ズの度数も-2.0Dが用いられる。なお、解ベクトルとし
て実数値を要素に持つ形で取り扱うこととするが、図7
のように各実数値を対応した長さBlenのビット列コード
に変換しそのビット列コードを順番に並べる形に表現す
ることも考えられる。更新領域限定部3202では、図
73の概念図に示されるように、例えば過去の最適な解
ベクトルが解ベクトル空間に占める領域Φ内のみを探索
するように限定するのである。初期解集合設定部101
では、この領域Φ内の解ベクトルを一様乱数を用いてラ
ンダムに選びだして解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。そして、この初期解ベクトル集
合Pより最適解ベクトルの調整が開始される。情報提示
部3207では、上述の解ベクトル集合Pの元である解
ベクトルpkにより表現される矯正用レンズに対象データ
入力部3201で入力される検定画像を通して見える調
整画像が提示され、これを見てユーザは各解ベクトルに
より作成される矯正用レンズの評価値Ekをユーザ評価判
断部3208で行う。適合度計算部105では、ユーザ
評価判断部3208で得られた評価値から、各解ベクト
ルの適合性を調べるための適合度fkを計算する。適合度
fkを導出する関数として様々なものが提案されている
が、ここではfk=Ekとする。
【0129】組み替え操作部108の動作については本
発明の第1から第8の実施の形態の場合と同様のため省
略する。集合再設定部3206では、組み替え操作によ
り新しく得られた解ベクトル集合P内の解ベクトルにお
いて更新領域限定部3202で設定した限定領域Φに属
さない解ベクトルを取り出し、限定領域Φ内よりランダ
ムに選択された解ベクトルを加えることにより解ベクト
ルを再設定し直すのである。 終了条件として、繰り返
し回数が許容繰り返し回数を越えていないかが判断され
るが、ユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に
足るものかどうかも併せて確認する。どちらも満足しな
い場合にはもう一度情報提示部3207へ戻る。以上の
ような処理過程を繰り返し回数の終了条件かユーザの満
足度を満たすまで繰り返し実行することにより、解ベク
トルの最適化を実現するのである。そして最適解出力部
103で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトル
として出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整
実行部3204が矯正レンズの調整を行うかまたは指示
するようになっている。このような処理を行うことによ
り、ユーザの視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯
正のためのレンズの調整をユーザ自身が容易に調整する
ことが可能となる。そして、調整する解ベクトルの探索
領域をその特性や過去の調整結果をもとに限定しその領
域内の解ベクトルを対象とすることにより、探索する必
要がないと思われる領域での探索を削除することが可能
となり、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことが
できる。
【0130】以下、本発明に関連する第2の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第2の例では、最適化調整方法と最適
化調整装置は記録されている過去の最適な解ベクトル情
報をもとに調整する解ベクトルの初期集合を設定し対話
型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な解ベクトルの導出
を行うものである。第2の例は、本発明に関連する第1
の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整に応用した
例である。図34は、本発明に関連する第2の例におけ
る調整装置の構成を表す。
【0131】図34において、3401は過去の調整に
より得られた最適な解ベクトルの記録している記録媒体
部、3402は記録媒体部3401から、保存されてい
る過去の最適な解ベクトル群を読み込む記録情報読込み
部、3403は記録情報読込み部3402で読み込んだ
過去の最適な解ベクトルから解ベクトルの初期集合Pに
用いるものを選択する初期解ベクトル選択部、3404
は初期解ベクトル選択部3403で選ばれた解ベクトル
にランダムに設定された解ベクトルを加えて解ベクトル
の初期集合を設定する初期解ベクトル補充部、3405
は最適解出力部103で出力されたユーザにとって最適
な解ベクトルを記録媒体部3401に記録する最適解ベ
クトル記録部である。
【0132】以上のように構成された本発明に関連する
第2の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図35のフローチャートをもとに説明する。
【0133】まず、対象データ入力部3201でユーザ
に見せる検定画像データが入力される。調整する解ベク
トルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調整
方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用いら
れる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズの
度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用いら
れる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズの
度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により表
される。記録情報読込み部3402は記録媒体部340
1に記録されている過去の調整により得られた最適な解
ベクトル群を読み込む。初期解ベクトル選択部3403
が、記録情報読込み部3402で得られた過去の最適解
ベクトル群よりns個選択し、次の初期解ベクトル補充部
3404が(n-ns)個の一様乱数によりランダムに設定さ
れた解ベクトルを加えて解ベクトルの初期集合Pを作成
する。もし記録媒体部3401にns個だけの情報がない
場合は、記録されているだけの解ベクトルが初期解ベク
トル選択部3403で選択され、解ベクトルの初期集合
の元の個数がn個になるように初期解ベクトル補充部3
404で設定される。情報提示部3207における矯正
レンズを通した調整画像の提示とーザ評価判定部におけ
る各解ベクトルの評価値の判定、そして適合度計算部1
05における各解ベクトルの適合度の計算と組み替え操
作部108で解ベクトルの組み替え操作が行われ新しい
解ベクトル集合が生成される。
【0134】終了条件としては、本発明に関連する第1
の例における最適化調整方法と最適化調整装置の場合と
同様に、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えていな
いかを判断することと、ユーザに評価をお願いする情報
がユーザの満足に足るものかどうかを確認することが挙
げられる。どちらも満足しない場合にはもう一度情報提
示部3207へ戻る。以上のような処理過程を繰り返し
回数の終了条件かユーザの満足度を満たすまで繰り返し
実行することにより、解ベクトルの最適化を実現するの
である。そして最適解出力部103で最も評価値の高い
解ベクトルが最適解ベクトルとして出力され、その最適
解ベクトルに従って機器調整実行部3204が矯正レン
ズの調整を行うかまたは指示するようになっている。そ
の際次の調整を行う際の開始点となるように、最適な解
ベクトルを最適解ベクトル記録部3405が記録媒体部
3401に記録しておくのである。
【0135】このような処理を行うことにより、ユーザ
の視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯正のための
レンズの調整をユーザ自身が容易に調整することが可能
となる。さらに、記録されている過去の最適な調整情報
をもとに解ベクトルの初期集合を設定してユーザにとっ
て好ましくない解ベクトルを排除して探索することによ
り、最適な解ベクトルの調整が効率よく行うことがで
き、各解ベクトルの評価をする際のユーザ負担の軽減に
つながると考えられる。
【0136】以下、本発明に関連する第3の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第3の例の最適化調整方法と最適化調
整装置はユーザの生理情報をもとに推定した心理状況を
もとにユーザの評価値の補正を行い、その補正評価値を
もとに対話型遺伝的アルゴリズムにより最適な解ベクト
ルの調整を行うものである。例2は、本発明に関連する
第1の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整問題を
扱う。図36は、本発明に関連する第3の例における最
適化調整装置の構成を表す。
【0137】図36において、3601は各解ベクトル
の表す情報をユーザが評価する際の生理データよりユー
ザの心理状況を推定するユーザ心理推定部、3602は
得られた心理状況をもとにユーザの判定した各評価値の
補正を行う評価値補正部である。ユーザ心理推定部36
01は、実際に各解ベクトルの表す情報をユーザが評価
する際の生理データを計測する生理データ測定部360
3と、その生理データをもとにユーザの心理状況を推定
する心理推定実行部3604より構成される。
【0138】以上のように構成された本発明に関連する
第3の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図37のフローチャートをもとに説明する。
【0139】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。初期解集合設定部101において、解ベクト
ルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまた
は外部からの指示により設定される。情報提示部320
7において、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを
通して見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユ
ーザ評価判断部3208において各解ベクトルによる調
整画像の見え具合いを評価する。それとともに、生理デ
ータ測定部3603で、各解ベクトルによる調整画像を
評価する際のユーザの生理データを測定する。測定する
生理データとしては、様々なデータ(皮膚電極抵抗、呼
吸量、脈拍、血圧、眼球運動、脳波等)が考えられる
が、ここでは目のまばたき回数と発汗量を用いる例につ
いて説明する。
【0140】図75(a)に示されるように、人間の場
合、見ている対象がおもしろいか、興味があるとか、あ
るいは注意を引くときにはまばたきは抑制され、普段よ
りまばたきの発生頻度が低くなる。そしてこのような状
態から解放されると、今度は逆に抑制された分をとりも
どすかのように頻繁に起こり、やがてもとに戻るといっ
た結果が出ている。これを利用すると、ユーザのまばた
き発生頻度neyeが予め設定された許容まばたき頻度neye
thより大きい場合には、ユーザの関心が低いと判断する
ことができる。また、図(b)のように、緊張したり動
揺したりすると発汗量が大きくなり、皮膚電極抵抗は大
きく変動する。心理推定実行部3604ではこれらの判
断を行うのである。まず、心理推定実行部3604でユ
ーザの関心が低いと判断された場合には、解ベクトルpk
の評価値Ek(k=1,...,n)に対して、平均評価値Eave、標
準偏差σEを求め、次のような補正を行う。 (i) 0.0 < Ek-Eave ≦σEを満たす場合、Ek←Ek+補正
量△Ecor 1 (ii)0.0 < Eave-Ek ≦σEを満たす場合、Ek←Ekー補正
量△Ecor 1 一般に関心が低い場合、ユーザ評価値の変動は小さくな
りやすいと考えられるが、(i)(ii)の補正により評価値E
kを広く分布させてやることができ、そのことが遺伝的
アルゴリズムによる最適な解ベクトルの調整には有効で
ある。また、動揺していると判断された場合には、 (iii) Ek-Eave ≧σEを満たす場合、Ek←Ekー補正量△E
cor 2 (iv) Eave-Ek ≧σEを満たす場合、Ek←Ek+補正量△E
cor 2 の補正を行う。これは(i)(ii)の補正とは逆に、動揺し
ている影響によりユーザ評価の変動が大きくなるやすい
ことを抑制する効果を期待している。なお、(i)から(i
v)の補正において、Ek>最大可能評価値EAmaxの時Ek=E
Amaxとし、Ek<最小可能評価値EAminの時Ek=EAminとす
る。
【0141】適合度計算部105で評価補正部3602
で得られた補正評価値をもとに適合度を計算し、組み替
え操作部108で選択的淘汰、交叉処理、突然変異処理
の解ベクトルの組み替え操作が行われる。提示情報部に
おける調整画像の提示から組み替え操作までの処理は、
繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、ユーザに
評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが作成
されるまで繰り返し実行される。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が視力矯正用のレンズの調整を行うかまた
は指示するようになっている。このように、ユーザが評
価を行っている際の生理データをもとに常にユーザの心
理状況を推定し、その推定結果をもとにユーザの評価値
を補正するため、ユーザの評価におけるゆらぎの影響を
軽減させることができ、環境に左右されないでユーザの
状況(聴力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を実現
することができる。
【0142】以下、本発明に関連する第4の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第4の最適化調整方法と最適化調整装
置は対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザが各自に
とって最適な解ベクトルを探索する際の調整の履歴をも
とにユーザの調整過程の評価モデルを推定するものであ
る。例3は、本発明に関連する第1の例と同様に視力の
補正を行うレンズの調整問題を扱う。図38は本発明に
関連する第4の例における調整装置の構成を表す。図3
8において、3801はメイン処理部3203で得られ
たユーザの調整過程に関する評価モデルを表現すること
のできるパラメータの組を出力する評価モデル出力部、
3802はユーザに各解ベクトルの表す情報を提示して
ユーザに評価してもらい、その評価値と対応する解ベク
トルを記録するといった処理を行う第2ユーザ評価部、
3803は記録されているユーザの調整の履歴が予め設
定された評価モデル推定条件を満足するかどうかの判定
を行う評価モデル推定判定部、3804は評価モデル推
定判定部3803で評価モデル推定条件を満足すると判
定された場合に、調整履歴記録部で記録されているユー
ザの調整の履歴をもとにこのユーザの調整過程に関する
評価モデルを推定するモデル推定実行部である。第2ユ
ーザ評価部は、ユーザに各解ベクトルの情報を提示する
情報提示部3207と、情報提示部3207で提示され
た情報よりユーザに各解ベクトルの評価をお願いするユ
ーザ評価判断部3208と、ユーザ評価判断部3208
で得られた評価値と対応する解ベクトルを記録する調整
履歴記録部3805より構成される。
【0143】以上のように構成された本発明に関連する
第4の例における調整装置の動作を図39のフローチャ
ートをもとに説明する。
【0144】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。初期解集合設定部101において、解ベクト
ルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまた
は外部からの指示により設定される。情報提示部320
7において、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを
通して見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユ
ーザ評価判断部3208において各解ベクトルによる調
整画像の見え具合いを評価する。調整履歴記録部380
5はユーザ評価判断部3208で得られた評価値と対応
する解ベクトルを記録する。そして、評価モデル推定判
定部3803が、評価モデル推定条件を満足するかどう
かの判定を下すのである。評価モデル推定条件として
は、様々なものが考えられるが、loopを第2ユーザ評価
部3802から組み替え操作部108まででの処理が通
して行われた場合に1回として数える繰り返し回数、lo
opthを予め設定された許容繰り返し回数と定義した場合
のloop≧loopthを評価モデル推定条件をする。これは、
ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定するにはあ
る程度以上のデータが必要であろうという仮定に基づく
ものである。
【0145】評価モデル推定判定部3803で、繰り返
し回数loopの評価モデル推定条件を満足しない場合に
は、適合度計算部105における各解ベクトルの適合度
の計算と組み替え操作部108で解ベクトルの組み替え
操作が行われ新しい解ベクトル集合が生成され、その新
しい解ベクトル集合をもとに再び情報提示部3207
で、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して見
える調整画像がユーザに提示される。逆に、評価モデル
推定判定部3803で、繰り返し回数loopの評価モデル
推定条件を満足する場合には、モデル推定実行部380
4において、調整履歴記録部3805に記録されている
ユーザの調整の履歴を用いて、このユーザの評価モデル
の推定が実行される。ユーザの調整過程に関する評価モ
デルの推定方法にも様々な手法が考えられるが、ここで
は図76で表されるようなニューラルネットワークを用
いることとする。本例のニューラルネットワークは、図
のように、入力層、中間層、出力層から構成されるフィ
ードフォワード型のネットワークである。入力層は6×n
個のニューロンより構成される。解ベクトルpk=
(LSPH k、LCYL k、LAXIS k、RSPH k、RCYL k、RAXIS k)(k=
1,...,n)の成分の値と(n-1)個のベクトル差分pk - pl=
(LSPH k-LSPH l、LCYL k-LCYL l、LAXIS k-LAXIS l、RSPH k-R
SPH l、RCYL k-RCYL l、RAXIS k-RAXIS l)(k,l=1,...,n,l≠
k)の成分の値が入力される。出力層は、n個の元を持つ
解ベクトル集合内の順位に相当するn個のニューロンよ
り構成される。入力層の出力は中間層、出力層へと伝わ
りネットワークの出力が得られる。各ニューロンは次の
(数18)に従い、出力oiが計算される。
【0146】
【数18】
【0147】(数18)においてoiが各ニューロンiの
出力、wijが結合荷重、xjが他のニューロンからの入
力、θiがスレッシュホールドである。非線形関数fは、
(数19)に示すシグモイド関数である。
【0148】
【数19】
【0149】各ニューロンが(数18)・(数19)に
示す計算を行って結果を出力する。
【0150】モデル推定実行部3804では、ユーザの
調整過程を吸収できるように本ニューラルネットワーク
の学習を行うのである。つまり、解ベクトルpkの6個の
成分と解ベクトル集合内の他の解ベクトルplとの差分成
分6×(n-1)から、解ベクトル集合内におけるpkの順位を
判断することができるようにネットワークの結合荷重を
変化(学習)させるのである。その際、調整履歴記録部
3805に記録されている評価値より求められるその解
ベクトルの順位に対応する出力ニューロンに教師信号と
して1を与え、その他の出力ニューロンには0を教師信号
として与えることにより学習が行われ、(数20)に示
した出力信号と教師信号の誤差を小さくする方向に、
(数21)のように各ニューロンの結合荷重を変更する
バックプロパゲーション法が学習方法として用いられ
る。
【0151】
【数20】
【0152】ここで、outがネットワークの出力信号、t
argetが教師信号である。
【0153】
【数21】
【0154】ここで、Δwij(n)は結合荷重の変更度、
α、ηは適当な正の実数、nloopは学習の回数、∂Err /
∂wijは、各結合荷重の変更がネットワークの出力誤差
に与える感度を表す。(数21)において第1項が誤差
を小さくする荷重変更方向、第2項が慣性項である。こ
のようにして学習することにより得られたニューラルネ
ットワークの各結合荷重の値wijを評価モデル出力部3
801が出力するのである。以上のように、対話型遺伝
的アルゴリズムを用いてユーザが各自にとって最適な解
ベクトルの調整を行う際の調整の履歴をもとにユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定することができ、こ
の評価モデルを用いて逆に与えられた解ベクトルの評価
も推定することができる。なお、本例でのニューラルネ
ットワークは、シグモイド関数を用いたニューロンにバ
ックプロパゲーションによる学習方法を適用したが、本
発明はこの学習方法に限定されるものではない。例え
ば、共役勾配法、準ニュートン法等を利用した学習方法
等の適用も考えられる。また、3層のフィードフォワー
ド型のネットワークだけでなく、本発明に関連する第5
の例で説明する学習ベクトル量子化を用いたネットワー
クの適用や、出力層から入力層へのフィードバック結合
をもつニューラルネットワークの適用も考えられる。
【0155】以下、本発明に関連する第5の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。本発明に関連する第5の最適化調整方
法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを用い
て複数のユーザによる解ベクトルの最適化を行う際の調
整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通モ
デルを推定するものである。例5は、本発明に関連する
第1の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整問題を
扱う。図40は本発明に関連する第5の例における調整
装置の構成を表す。図40において、4001はメイン
処理部3203で得られた複数ユーザの調整過程に関す
る共通モデルを表現することのできるパラメータの組を
出力する共通モデル出力部、4002はあるユーザによ
る調整の終了条件を満足するかどうかの判断を行うユー
ザ調整終了判断部、4003は得られた複数ユーザの調
整の履歴より調整過程に関する共通モデルの推定を行う
共通モデル推定部である。共通モデル推定部4003
は、調整履歴記録部3805に記録されている複数のユ
ーザの調整の履歴が予め設定された共通モデル推定条件
を満足するかどうかの判定を行う共通モデル推定判定部
4004と、共通モデル推定条件を満足する場合に実際
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの推定を行
う共通モデル推定実行部4005より構成される。
【0156】以上のように構成された本発明に関連する
第5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図41、42のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0157】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明の第1の例における最適化調整方法と
最適化調整装置の場合と同様である。つまり、解ベクト
ルはpk=(LSPH k, LCYL k, LAXI S k, RSPH k, RCYL k,
RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部101に
おいて、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が設
定される。情報提示部3207において、各解ベクトル
により作られる矯正レンズを通して見える調整画像がユ
ーザに提示され、ユーザはユーザ評価判断部3208に
おいて各解ベクトルによる調整画像の見え具合いを評価
する。調整履歴記録部3805はユーザ評価判断部32
08で得られた評価値と対応する解ベクトルを記録す
る。ユーザ調整終了判断部4002では、今調整を行っ
ているユーザの場合の繰り返し回数loopが許容繰り返し
回数loopthを越えたかという条件について判断する。こ
の条件を満足しない場合には、適合度計算部105、組
み替え操作部108における処理を経て新しい解ベクト
ル集合を生成する。そして再び、第2ユーザ評価部38
02へと戻り、各解ベクトルのユーザによる評価を行
う。逆に、ユーザ調整終了判断部4002での終了条件
を満足する場合には、共通モデル推定判定部4004に
おいて、調整履歴記録部3805で記録されている複数
ユーザの調整履歴が予め設定された共通モデル推定条件
を満足するかどうか判定する。この共通モデル推定条件
にはいろいろな条件が考えられるが、ここではできるだ
け多くのユーザに共通な調整過程の特性をつかむという
目的から、調整処理が利用したユーザ数が設定された許
容調整利用ユーザ数を越えるかどうかを共通モデル推定
条件に選んだ。
【0158】ここで、もし調整が終ったユーザ数が少な
い場合には、初期解集合設定部102に戻り、別のユー
ザによる視力矯正レンズの調整という作業が開始され
る。もし、調整利用ユーザ数が許容調整利用ユーザ数を
越えた場合には、複数ユーザの共通モデルを推定するこ
とのできるだけのデータが揃ったとして共通モデル推定
実行部4005で実際に共通モデルの推定が行われる。
本発明に関連する第4の例における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様に、共通モデルの推定方法に
は多くの方法が挙げられるが、ここでもニューラルネッ
トワークを用いて共通モデルを推定することとする。図
77は、本例の複数ユーザの調整過程に関する共通モデ
ル推定に用いるニューラルネットワークの概念図であ
る。ここで、本発明に関連する第4の例における最適化
調整方法と最適化調整装置で用いたバックプロパゲーシ
ョン法による階層型ニューラルネットワークによるパタ
ーン分類に基づくモデル推定ではなく、比較的簡単な学
習アルゴリズムでサンプル数が少なくとも高度なパター
ン分類ができる学習ベクトル量子化法によるニューラル
ネットワークを適用した。しかし、本発明に関連する第
4の例の場合のように、バックプロパゲーション法によ
り階層型ニューラルネットワークの適用等も考えられ
る。
【0159】例5におけるニューラルネットワークは、
図77に示すように、入力層ニューロン数6、出力ニュ
ーロン数nの2層構造である。入力ニューロン数6は今評
価したい解ベクトルpkの成分数であり、出力ニューロン
数nはn個の元を持つ解ベクトル集合内におけるpkの順位
に相当する。これは、つまり入力された解ベクトルを1
からnまでの順位カテゴリに分類することを示してい
る。
【0160】解ベクトルp(p1,p2,...,pn)を入力ベクト
ルとし、解ベクトル集合でm番目の順位カテゴリに対応
する入力ベクトルをpm(m=1,...,n)とし、さらに結合係
数をW ij(i,j=1,2,...,n)とする。
【0161】この共通モデル推定実行部4005では、
このニューラルネットワークに複数ユーザの調整の履歴
を学習させることにより、共通モデルの推定を行う。本
例のニューラルネットワークは、結合係数Wijを構成す
るn個のベクトルWi(Wi1, Wi2,...,Win)を用いて、入力
ベクトルである解ベクトルpの空間をn個の領域に分割す
る働きをする。このn個の結合係数ベクトルは参照ベク
トルと呼ばれ、各領域に1つの参照ベクトルが対応させ
られる。そして、この参照ベクトルはその対応した領域
内に含まれるすべての解ベクトルに対する最近接ベクト
ルい相当する。ここで、ベクトルWiの中で入力ベクトル
pと最も距離の近いベクトルをベクトルWcとすると、
(数22)のようになり、また、出力層ニューロンiか
らの出力uiは(数23)のようになる。
【0162】
【数22】
【0163】
【数23】
【0164】学習はこのベクトルWcのみを更新すること
により行われ、この更新量ΔWcは次の(数24)に従い
実行される。
【0165】
【数24】
【0166】η(nloop)は学習回数nloopに従い単調減少
する学習係数(0<η(nloop)<1)である。(数24)は、
参照ベクトルWcは、正しく分類された場合は入力ベクト
ルpmに近づき、分類されていない場合にはpmより遠ざか
ることにより領域境界面を形成することを示す。このよ
うに学習過程では、実際に分類したい解ベクトルを入力
学習ベクトルとして、その入力学習ベクトルを充分多く
与えることにより行われる(学習ベクトル量子化法)。
このように共通モデル推定実行部4005では、調整履
歴記録部3805で記録された多くのユーザによる調整
の履歴を用いて、例えば本例のニューラルネットワーク
の学習を行い、入力された解ベクトル解ベクトル集合内
の1からnの順位カテゴリに分類できるように処理がされ
る。そして、共通モデル出力部4001では、そのニュ
ーラルネットワークの結合係数Wijが推定された共通モ
デルを表すパラメータとして出力される。以上のような
処理により、本発明に関連する第5の最適化調整方法と
最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複
数のユーザにより行われた解ベクトル最適化の履歴より
調整過程に関する共通モデルを推定するものであり、複
数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出することができ
る。
【0167】以下、本発明に関連する第6の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
6の最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的
アルゴリズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトル
の調整を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に
関する共通モデルを更新するものである。例6は、本発
明に関連する第1の例と同様に視力の補正を行うレンズ
の調整問題を扱う。図43は本発明に関連する第6の例
における最適化調整装置の構成を表す。図43におい
て、4301は以前に得られている複数のユーザの調整
過程に関する共通モデルを用いて各解ベクトルの評価値
を計算する共通モデル評価計算部、4302はユーザに
共通モデル評価計算部4301で得られた評価値が適切
であるかの判定をお願いする共通モデル評価判定部、4
303は調整履歴記録部3805で記録されているユー
ザの調整の履歴をもとにこれまで使用していた複数ユー
ザの調整過程に関する共通モデルの更新を行う共通モデ
ル更新部である。共通モデル更新部4303は、調整履
歴記録部3805に記録されているユーザの調整の履歴
が予め設定された共通モデル更新条件を満足するかどう
かの判定を下す共通モデル更新判定部4304と、共通
モデル更新条件を満足する場合に、記録されているユー
ザの調整の履歴を用いて共通モデルの更新を実際に行う
共通モデル更新実行部4305より構成される。
【0168】以上のように構成された本発明に関連する
第6の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図44、45のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0169】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,
n)が設定される。共通モデル評価計算部4301におい
て、例えば本発明に関連する第5の最適化調整方法と最
適化調整装置を用いて得られた複数ユーザの調整過程に
関する共通モデルを用いて、各解ベクトルpkの評価値Ek
を計算する。そして情報提示部3207において、各解
ベクトルにより作られる矯正レンズを通して見える調整
画像がユーザに提示され、ユーザはそれをもとに共通モ
デル評価計算部4301での評価値が適切かどうかの判
定を行うのが共通モデル評価判定部4302である。も
し適切という判断がなされた場合、次に適合度計算部1
05、組み替え操作部108による解ベクトルの組み替
え操作により新たな解ベクトル集合が生成される。その
際、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、また
はユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足る
ものが作成されたかという終了条件を満足する場合は、
最適解出力部103、機器調整実行部3204と経て視
力矯正レンズの調整を実行するかその指示を出すなどの
処理を行い終える。この終了条件が満足されない場合
は、再び、共通モデル評価計算部4301に戻って新た
な解ベクトルの評価値の計算を解しするのである。
【0170】一方、共通モデル評価判定部4302でユ
ーザが共通モデルによる評価値を適切でないと判定した
場合、処理は第2ユーザ評価部3802に移り、これま
で同様にユーザ自身が各解ベクトルの評価とその評価値
と解ベクトルの記録を行う。共通モデル更新条件とし
て、調整履歴記録部3805で記録された新たにユーザ
により行われた調整の履歴が許容調整履歴数を越えたか
どうかを考え、その判定を共通モデル更新判定部430
4が行う。あらたに記録された調整の履歴が少ない場
合、つまり共通モデル更新条件を満たさない場合には、
そのまま共通モデルの更新は行われず、適合度導出、組
み替え操作を行い新たな解ベクトル集合を生成する。逆
に、共通モデル更新条件を満たす場合には、調整履歴記
録部3805に記録された調整の履歴をもとに共通モデ
ル更新実行部4305が以前に推定された複数ユーザの
調整過程に関する共通モデルを実際に更新する。その方
法としていろいろな方法が挙げられるが、本発明に関連
する第4、第5の最適化調整方法と最適化調整装置の例
で説明したニューラルネットワークによるモデル推定方
法も考えられる。そこで、本例でもその方法を用いるこ
ととし、ニューラルネットワークの構成、学習方法、教
師信号等は省略する。
【0171】共通モデル更新実行部で得られた新たな共
通モデルは、すぐさま従来の共通モデルと取り替えら
れ、共通モデル評価計算部4301で使用される。以上
のような処理を行うことにより、本発明に関連する第6
の例における最適化調整方法と最適化調整装置は、ユー
ザにとって最適な解ベクトルの調整を実行するととも
に、複数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新
するように働くため、ユーザが全ての解ベクトルによる
情報を評価する必要がなくユーザに与える負担を軽減す
ることが可能となる。
【0172】以下、本発明に関連する第7の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図を参照しな
がら説明する。第7の最適化調整方法と最適化調整装置
は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの調整過
程に関する評価モデルを推定し、得られた評価モデルを
用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行うものであ
る。実施の形態7は、本発明に関連する第1の実施の形
態と同様の問題を扱う。図46は本発明に関連する第7
の実施の形態における最適化調整装置の構成を表す。図
46において、4601はユーザによる評価を行うか評
価モデルによる評価を行うかの選択を行う方法選択スイ
ッチ、4602は調整履歴記録部3805で記録された
ユーザの調整の履歴よりユーザの調整過程に関する評価
モデルを推定する評価モデル推定部、4603は得られ
たユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベ
クトルの評価値を計算するモデル評価計算部である。そ
して、評価モデル推定部4602は、調整履歴記録部3
805で記録されているユーザの調整の履歴が予め設定
された評価モデル推定条件を満足するかどうかの判定を
行い、満足する場合には方法選択スイッチ4601に切
り替えを指示する方法切り替え判定部4604とモデル
推定実行部3804より構成される。
【0173】以上のように構成された本発明に関連する
第7の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図47、48のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0174】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様である。
つまり、解ベクトルはpk=(LS PH k, LCYL k, LAXIS k, RSPH
k, RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定
部101において、解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。方法選択スイッチでは、ユーザ
による評価を行うか評価モデルによる評価を行うかの選
択が行われる。処理の開始時点で第2ユーザ評価部38
02が選択される。情報提示部3207では、各解ベク
トルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画像
がユーザに提示され、ユーザ評価判断部3208ではそ
れをもとに各解ベクトルの評価を行う。この評価値と対
応する解ベクトルは調整履歴記録部3805で記録され
る。調整履歴記録部3805に記録されている履歴が予
め設定された評価モデル推定条件を満足すると方法切替
え判定部4604で判定された時、モデル推定実行部3
804がユーザの調整過程に関する評価モデルを推定す
る。それとともに方法切り替え判定部4604では、方
法選択スイッチ4601に評価方法の切り替えを指示す
る。この指示を受けて以後はユーザによる評価を行う第
2ユーザ評価部3802に代わり、モデル評価計算部4
603において、モデル推定実行部3804で得られた
ユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベク
トルの評価が行われる。評価モデル推定条件、モデル推
定実行部3804については、本発明に関連する第4の
実施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置と
同様であるので省略する。モデル評価計算部4603も
しくはユーザ評価判断部3208で得られた各解ベクト
ルの評価値をもとに適合度計算部105が各解ベクトル
の適合度を計算し、その適合度をもとに組替え操作部1
08が各解ベクトルの算術的な組み替え操作を行う。
【0175】以上のような処理を、予め設定された、繰
り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、またはユー
ザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが
作成されたかという終了条件を満足するまで繰り返し行
うことにより、最適な解ベクトルを求める。そして、そ
の最適な解ベクトルは最適解出力部103で出力される
とともに、機器調整実行部3204で視力矯正レンズの
調整を実行するかその指示を出すなどの処理を行うので
ある。このような一連の処理により、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデル
を推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な
解ベクトルの調整を行うことが可能となり、対話型遺伝
的アルゴリズムを実用化する際の問題とされていたユー
ザに与えられる負担を軽減し効率よくユーザの好みに最
適調整された機器を実現することができるのである。
【0176】さらに、本発明に関連する第1から第7の
例における最適化調整方法と最適化調整装置において、
ユーザの好みに合わせた文字のフォントを作成する問題
に適用した例も考えられる。以下、本発明の第1から第
7の最適化調整方法と最適化調整装置をこの個人用文字
フォント作成に適用した場合について説明する。
【0177】文字フォントとして、文字の輪郭は仮想的
な座標空間上の曲線として定義され、その曲線上より選
ばれた節点si(i=1,...,m)のx,y座標データにより表現さ
れるアウトラインフォントがよく用いられる。例え
ば、"b"という文字をアウトラインフォント表現する場
合、13個の黒丸の節点siの座標により表現される。そ
してこれらに節点の座標から、輪郭の残りの線がある曲
線式により補間されているのである。その曲線式とし
て、2、3次スプライン関数や3次のベジェ曲線等が用
いられるが、ここでは(数25)の3次関数を用いて節
点間の曲線近似を行う。
【数25】
【0178】(数25)において、(Xa,Ya)、(Xb,Yb)は
アウトラインフォント表現された文字の節点a、bの座
標を表し、(X,Y)は節点a、bの間の補間点の座標を表
す。またα、β、γ、δは任意の実数値をとる係数を表
す。(数25)におけるα、β、γの式は近似曲線が節
点a、bの両点を通るための必要条件である。これらの
ことを考慮して、文字フォントを生成するための解ベク
トルpkは予めアウトラインフォント表現により得られる
節点si(i=1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ysiと、節点siとs
i+1間の近似曲線の係数αi、βi、γi、δiを節点の順
番に並べることにより構成されている。対象データ入力
部3201には、アウトラインフォント表現された検定
文字群のデータが入力される。情報提示部3207で
は、各解ベクトルを用いてアウトラインフォントにより
表現された検定文字群より調整文字群を作成し画面上に
提示して、ユーザ評価判断部3208において各解ベク
トルの評価値を判定してもらうのである。本発明に関連
する第1の最適化調整方法と最適化調整装置の場合、各
解ベクトルの取り得る限定領域を決める更新領域限定部
3202が設けられているが、ここでは節点si(i=
1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ys iが(数26)により表現
される領域Λになるよう限定する。
【0179】
【数26】
【0180】ここで、(xi0,yi0)は最初に対象データ入
力部3201へ入力されたアウトラインフォントにより
表現された検定文字群の節点の座標データを表し、ri
各節点が取り得る円領域Λの半径を表している。これ
は、実際に解ベクトルより得られるアウトラインフォン
ト文字を画面上に表示した際に全く異なった文字もしく
は画像としか見えないような場合を排除するために、各
節点の動くことのできる領域を限定したものである。ま
た、最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力された後、その最適解ベク
トルに従って機器調整実行部3204が個人用に作成し
たアウトラインフォントを用いて文字を表示できるよう
に、文字出力手段の調整を行うかまたは指示する。本発
明に関連する第1から第7の調整装置において、残りの
構成要素は前述の例1から例7と同じように動作するた
め、説明は省略する。しかし、本発明に関連する第1か
ら第7の最適化調整方法と最適化調整装置をこの問題に
適用した本例においても、何等専門的知識がなくてもユ
ーザの好みに基づく文字フォントの生成が可能となると
ともに、探索に不必要な領域での探索を削除したりユー
ザの調整の履歴より調整過程の評価モデルを作成しその
モデルを使って自動的に調整を行う等のことにより、効
率良く最もユーザが好むような文字フォントを作成する
ことのできる最適解ベクトルを導出することができる。
その結果、従来の技術で問題であった評価を行うユーザ
の負担を軽減することが可能となると考えられる。
【0181】以下、本発明に関連する第8の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
8の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を
扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する際の
手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う機能
を対話型遺伝的アルゴリズムに加えることにより最適な
解ベクトルの調整を行うものである。例8は伝達時にお
ける情報欠損等により歪んだ音声の音質を改善する問題
に適用した例である。図49は本発明に関連する第8の
例における調整装置の構成を表す。
【0182】図49において、4901はユーザに各解
ベクトルの表す時系列情報を提示し、ユーザに評価して
もらう時系列評価実行部である。時系列評価実行部49
01は、ユーザに各解ベクトルの表す時系列情報を提示
する情報提示部3207と、情報提示部3207により
提示された複数の時系列情報を比較評価する際の、ユー
ザの記憶を助ける役目を持つ補助情報を提示する補助情
報提示部4902と、ユーザに実際に各解ベクトルを評
価してもらうユーザ評価判断部3208と、ユーザ評価
判断部32084で得られた評価値をもとに各時系列情
報と補助情報を提示する順番を変える情報並び替え部4
903より構成される。
【0183】以上のように構成された本発明に関連する
第8の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図50のフローチャートをもとに説明するが、こ
こでは図78に示される手順で行われる歪音声の音質改
善問題に適用した例について説明する。この問題におけ
る目的は、歪音声をユーザに聞いてもらい、各自のその
音の聞こえ具合をもとに音質を改善するような歪改善フ
ィルタの係数を調整してもらうことである。最初に、図
78に示されるように、対象データ入力部3201で、
伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が入力され
る。歪音声の音質を改善する方法としていろいろな方法
があると思われるが、本例では、図のようにFIRフィル
タ(有限区間インパルス応答フィルタ:Finite Impulse
Responseフィルタ)を歪改善フィルタとして用い歪音声
の音質を改善する方法を考える。そして、対話型遺伝的
アルゴリズムにより段数がstepであるFIRフィルタのフ
ィルタ係数ベクトルa=(a0,a1,...,astep)を調整するこ
ととする。そのため、調整する解ベクトルpkはこのフィ
ルタ係数aiを並べることにより定義される。解ベクトル
において、各フィルタ係数はこれまでの例と同様に実数
値のまま取り扱うが、aiを例えばBlenの2進数に変換し
てこの2進数を並べて扱うことも可能である。初期解集
合設定部101では、この定義に従い解ベクトルの初期
集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。情報提示部32
07では、各解ベクトルより構成される歪改善フィルタ
を用意し対象データ入力部3201で入力された歪音声
をフィルタリング処理することにより得られる歪改善音
声をユーザに提示する。
【0184】しかし、そのままn個分の歪改善音声を提
示しても、各音声の違いを比較評価することはnの数が
大きくなればなるほど困難となる。画像や図形のような
静的なデータは同時にディスプレイなどの上に空間的に
並べることができるため、比較評価しやすい。それに対
して、音声を扱う場合、2つの音声の比較評価はできる
が、それ以上の個数になると比較評価することは非常に
難しくなる。これは、ユーザがあまりに多くの音声を聞
いたために混乱してしまい、各音声間の違いを聞き分け
ることができなくなることに起因する。そこで、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報を提示する。提示する補助情報としてはい
ろいろな情報が考えられるが、本例ではフィルタ係数を
顔を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメ
ータに変換することにより得られる顔画像を用いる(図
79)。この顔自身は、歪改善後の音声の音質には何の
関係もないが、ユーザがn個の歪改善音声を同時に比較
評価する際の記憶の手助けとなると考える。これらの情
報をもとに、ユーザ評価判断部3208で各解ベクトル
の評価値がユーザにより判定される。さらに、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われる。これによ
りユーザは各歪改善音声の優劣を視覚的に並び替えるこ
とが可能となり、ユーザの評価におけるゆらぎの影響の
低減につながる。この時系列評価実行部4901内の処
理はユーザによる評価が終了するまで繰り返し行われ
る。
【0185】こうして得られた評価値より、適合度計算
部105が各解ベクトルの適合度を計算し、組み替え操
作部108がその適合度をもとに各解ベクトルの組み替
え操作を行うのである。以上の処理は、繰り返し回数lo
opが許容繰り返し回数loopthより大きくなるか、ユーザ
が歪改善音声に満足するまで行われ、機器調整実行部3
204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構
成され、歪音声の音質改善を実現するのである。以上の
ように、時系列信号を扱う問題において、各解ベクトル
の比較・評価する際の手助けをする情報と提示する順番
の並び変えを行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加
えることにより最適な解ベクトルの調整を行うことによ
り、これまで画像のように静的なデータにしか適用され
なかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのよ
うな動的データへ適用することができるようになる。そ
の結果、例えば補聴器の装置者の聴覚特性に応じた調整
でも、わざわざ専門的知識を有する調整者のところまで
出向く必要はなく、ユーザである難聴者自身が容易に調
整できる。そして、従来は音量の調整しかできなかった
が、本例の調整装置を用いれば、聞こえ具合いが変わっ
ても、すぐ自分の聞こえ具合いに合わせて音質調整を行
うことができるようになるのである。
【0186】以下、本発明に関連する第9の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
9最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱
う問題において、各解ベクトルの比較・評価する際の手
助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う機能を
持ち、解ベクトルの探索領域をその特性や過去の調整結
果をもとに限定し対話型遺伝的アルゴリズムにより最適
な解ベクトルの調整を行うものである。例9では、例8
の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問
題を扱う。図51は本発明に関連する第9の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0187】図51を見て明らかなように、例9の最適
化調整装置は本発明に関連する第1の例における調整装
置に、本発明に関連する第8の例における最適化調整装
置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成になって
いる。
【0188】また、本発明に関連する第9の例における
最適化調整装置の動作は図52のフローチャートに従
い、本発明に関連する第1の例における最適化調整装置
のフローチャートと比較すると、対象データ入力部32
01で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が
入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタ
の係数aiを並べることにより定義されること、情報提示
部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フ
ィルタを用意し対象データ入力部3201で入力された
歪音声をフィルタリング処理することにより得られる歪
改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部49
02より各音声の比較評価を容易にするための補助情報
としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明に関連する
第1の例における最適化調整方法や調整装置の場合と同
様のため省略する。
【0189】しかし、図52のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えるとともに、調整する解ベクトルの取
り得る領域を限定して不要な領域における探索処理の手
間を省くことにより、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
て時系列情報のような動的なデータの調整を効率的に行
うことができる。このように本発明に関連する第9の例
における最適化調整方法と最適化調整装置は第1と第8
の例における最適化調整方法と最適化調整装置の効果を
組み合わせた効果を持つ。
【0190】以下、本発明に関連する第10の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第10の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を持ち、記録されている過去の調整情報をもとに解
ベクトルの初期集合を設定し対話型遺伝的アルゴリズム
を用いて解ベクトルの最適化を行うものである。例10
では、例8の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィ
ルタ作成問題を扱う。図53は本発明に関連する第10
の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0191】図53を見てわかるように、例10の最適
化調整装置は本発明に関連する第1の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0192】また、本発明に関連する第10の例におけ
る最適化調整装置は図54のフローチャートに従って動
作を行い、本発明に関連する第1の例における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャートと比較すると、
対象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損
等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクト
ルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義
されること、情報提示部3207では、各解ベクトルよ
り構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部
3201で入力された歪音声をフィルタリング処理する
ことにより得られる歪改善音声をユーザに提示するこ
と、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容
易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成
する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変
換することにより得られる顔画像を提示すること、情報
並び替え部4903において、ユーザ評価判断部320
8で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声と
その補助情報である顔画像の並び替えが行われること、
時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価
が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部
3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが
構成され、歪音声の音質改善を実現することが異なって
いるのみである。残りの構成要素と処理の流れについて
は、本発明に関連する第1の例における調整装置の場合
と同様のため省略する。
【0193】しかし、図54のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えることにより、ユーザの評価における
負担を軽減できる。また、探索を開始する初期集合に過
去の最適な解ベクトルを複数用いて解ベクトルの最適化
を行うことにより、時系列情報のような動的なデータの
調整に対しても効率よく対話型遺伝的アルゴリズムを適
用することができる。このように本発明に関連する第1
0の例における最適化調整方法と最適化調整装置は第1
と第8の例における最適化調整方法と最適化調整装置の
効果を組み合わせた効果を持つものである。
【0194】以下、本発明に関連する第11の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第11の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を持ち、ユーザの生理情報をもとに推定した心理状
況をもとにユーザの評価値を補正し、その評価値の補正
値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な解
ベクトルの導出を行うものである。例11では、例8の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図55は本発明に関連する第11の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0195】図55を見てわかるように、例11の最適
化調整装置は本発明に関連する第3の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0196】また、本発明に関連する第11の例におけ
る最適化調整装置の動作は図56のフローチャートに従
い、本発明に関連する第3の例における最適化調整装置
のフローチャートと比較すると、対象データ入力部32
01で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が
入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタ
の係数aiを並べることにより定義されること、情報提示
部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フ
ィルタを用意し対象データ入力部3201で入力された
歪音声をフィルタリング処理することにより得られる歪
改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部49
02より各音声の比較評価を容易にするための補助情報
としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明に関連する
第3の例における最適化調整方法と最適化調整装置の場
合と同様のため省略する。
【0197】しかし、図56のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えることにより、ユーザが各解ベクトル
を評価する際の負担を軽減できるとともに、評価を行う
ユーザの心理状況を推定しその影響を補正していること
から、ユーザの心理状況(興奮、無関心等)による評価
のゆらぎをできるだけ抑えた解ベクトルの最適化を行う
ことができる。このように本発明に関連する第11の例
における最適化調整方法と最適化調整装置は第3と第8
の例の効果を組み合わせた効果を持つ。
【0198】以下、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第12の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して
用いることにより、ユーザの調整の履歴をもとにユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定するものである。
例12では、例8の場合と同様に歪音声の音質改善をす
るフィルタ作成問題を扱う。図57は本発明に関連する
第12の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0199】図57を見てわかるように、例12の最適
化調整装置は本発明に関連する第4の例における調整装
置に、本発明に関連する第8の例における最適化調整装
置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成になって
いる。
【0200】また、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整装置は図58のフローチャートに従って動
作を行うものであり、本発明に関連する第4の例におけ
る最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対象
データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等に
より歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpk
は歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義され
ること、情報提示部3207では、各解ベクトルより構
成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部32
01で入力された歪音声をフィルタリング処理すること
により得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補
助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易にす
るための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なっている
のみである。残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明に関連する第4の例における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。
【0201】しかし、図58のフローチャートのよう
に、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情
報の提示と、評価値による提示する順番の並び変えを対
話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いるとともに、ユ
ーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に関する評
価モデルを推定するものであり、これまで困難であった
ユーザの嗜好の様子を時系列情報の調整においても知る
ことができる。このように本発明に関連する第12の例
における最適化調整方法と最適化調整装置は、第4の例
における最適化調整装置を時系列信号問題にまで適用で
きるように拡張した機能を合わせ持っているのである。
【0202】以下、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第13の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して
用いることにより、記録されている複数のユーザの調整
の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通モデ
ルを推定するものである。例21では、例16の場合と
同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題を扱
う。図59は本発明に関連する第13の例における最適
化調整装置の構成を表す。
【0203】図59を見てわかるように、例13の最適
化調整装置は本発明に関連する第5の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0204】また、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整装置は図60、61のフローチャート図に
従って動作を行うものであり、本発明に関連する第5の
例における最適化調整装置のフローチャート図と比較す
ると、対象データ入力部3201で、伝達時における情
報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解
ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることによ
り定義されること、情報提示部3207では、各解ベク
トルより構成される歪改善フィルタを用意し対象データ
入力部3201で入力された歪音声をフィルタリング処
理することにより得られる歪改善音声をユーザに提示す
ること、補助情報提示部4902より各音声の比較評価
を容易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を
構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータ
に変換することにより得られる顔画像を提示すること、
情報並び替え部4903において、ユーザ評価判断部3
208で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音
声とその補助情報である顔画像の並び替えが行われるこ
と、時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる
評価が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実
行部3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィル
タが構成され、歪音声の音質改善を実現することが異な
っているのみである。残りの構成要素と処理の流れにつ
いては、本発明に関連する第5の例における最適化調整
方法と最適化調整装置の場合と同様のため省略する。
【0205】しかし、図60、61のフローチャート図
のように、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用い、記録さ
れている複数のユーザの調整の履歴をもとに複数ユーザ
の調整過程に関する共通モデルを推定することにより、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムだけでは困難であった
複数のユーザによる時系列信号を扱う際の嗜好の共通因
子を抽出することができる。
【0206】以下、本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第14の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの導出
を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する
共通モデルを更新するものである。例14では、例8の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図62は本発明に関連する第14の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0207】図62を見てわかるように、例14の最適
化調整装置は本発明に関連する第6の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0208】また、本発明に関連する第14の例におけ
る調整装置の動作は図63、64のフローチャートに従
うものであり、本発明に関連する第6の例における最適
化調整装置のフローチャートと比較すると、対象データ
入力部3201で、伝達時における情報欠損等により歪
んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改
善フィルタの係数aiを並べることにより定義されるこ
と、情報提示部3207では、各解ベクトルより構成さ
れる歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3201
で入力された歪音声をフィルタリング処理することによ
り得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する目、
口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換するこ
とにより得られる顔画像を提示すること、情報並び替え
部4903において、ユーザ評価判断部3208で判定
された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその補助
情報である顔画像の並び替えが行われること、時系列評
価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終了す
るまで繰り返し行われること、機器調整実行部3204
で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成さ
れ、歪音声の音質改善を実現することが異なっているの
みである。残りの構成要素と処理の流れについては、本
発明に関連する第6の例における最適化調整方法と最適
化調整装置の場合と同様のため省略する。
【0209】しかし、図63、64のフローチャートの
ように、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変え
を行う機能により、対話型遺伝的アルゴリズムを従来不
向きであった時系列情報の調整に適用するとともに、複
数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新するよ
うに働くことによりユーザの負担を軽減することができ
る。
【0210】以下、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第15の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデルを
推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な解
ベクトルの調整を行うものである。例15では、例8の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図65は本発明に関連する第15の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0211】図65を見てわかるように、例15の最適
化調整装置は本発明に関連する第7の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0212】また、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整装置の動作は図48、66のフローチャー
ト図に従うものであり、本発明に関連する第7の例にお
ける最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対
象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等
により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトル
pkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義さ
れること、情報提示部3207では、各解ベクトルより
構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3
201で入力された歪音声をフィルタリング処理するこ
とにより得られる歪改善音声をユーザに提示すること、
補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易に
するための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なってい
る。残りの構成要素と処理の流れについては、本発明に
関連する第7の例における最適化調整方法と最適化調整
装置の場合と同様のため省略する。
【0213】しかし、図48、66のフローチャート図
のように、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺
伝的アルゴリズムに加えるとともに、得られたユーザの
調整の履歴を用いてユーザの調整過程の評価モデルを生
成し、ユーザによる評価の代わりにこの評価モデルを用
いて解ベクトルの最適化を自動的に行うようにすること
により、これまで画像のように静的なデータにしか適用
されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データ
のような動的データの調整にも効率的に適用でき、また
評価を行うユーザの負担を大きく軽減することが可能と
なる。
【0214】さらに、本発明に関連する第8から第15
の例における最適化調整方法と最適化調整装置におい
て、図80のように難聴者であるユーザの聴覚特性に合
わせた補聴器の特性調整の問題に適用する例を考えるこ
とができる。以下では、本発明に関連する第8から第1
5の最適化調整方法と最適化調整装置をこの補聴器の装
置者の特性に合った調整に適用した場合について説明す
る。
【0215】通常、補聴器の特性調整は、125Hzから800
0Hzにおける純音を聞かせた時の、周波数f(Hz)における
最小可聴値(聞こえる一番パワーの小さい音)の強さLf
(dB)と、最大可聴値(耐えることのできる一番パワーの
大きい音)の強さHf(dB)、そして通常に聞こえる音の強
さ(dB)Mfを複数周波数における値をもとに補聴器の利得
を調整することにより行われている。125Hzから8000Hz
を3つに区分して、各周波数領域でmear点ずつ上述の3
つの値を取り出すとすると、特性調整に用いられるパラ
メータは3×mearになる。これに加えて、 (i)子音はエネルギーが小さく、子音に続く母音にマス
クされてしまうので、子音部分を強調してマスクされて
もなお、子音が聞き取れるだけの大きさにする必要があ
る。 (ii)人間の耳による音声の聞こえ具合いに大きく影響し
ている低周波数成分(ホルマント成分)を強調した方
が、聞こえ易い。 の2点を考慮することにより、より自然な音声を補聴器
により実現することができる。(i)の場合、子音強調す
るときの度合の限界Plimit(dB)と、子音から母音への移
行部をどれだけ強調し続けるかを決める強調のリリース
タイムtrel(msec)により制御できる。また(ii)の場合、
低域周波数における音声のスペクトルの山(ホルマン
ト)に対して谷を抑制するPsup(dB)と、抑制を掛ける周
波数幅fwid(Hz)により制御できると考えられる。そこ
で、これらの4つのパラメータを先ほどの3×mearのパ
ラメータに加えて解ベクトルpを定義する。対象データ
入力部3201では、検定音声が入力される。情報提示
部3207では、各解ベクトルで表現された補聴器に対
象データ入力部3201で入力された検定音声を通して
得られる調整音声をユーザに提示する。特に、解ベクト
ルを構成するパラメータ間にはある関係が存在してお
り、パラメータの取り得る領域は限られていると思われ
るので、本発明に関連する第9の例における最適化調整
方法と最適化調整装置の特徴である限定された領域内で
の解ベクトルの調整が大きな意味を持つと考えられる。
最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトルが最
適解ベクトルとして出力され、その解ベクトルをもとに
補聴器の特性調整が機器調整実行部3204で行われ
る。ここで、補助情報提示部4902は、例えば例16
の場合と同様にこれらのパラメータより得られる顔画像
を扱うものとする。
【0216】以上のように設定してた本発明に関連する
第8から第15の例における最適化調整方法と最適化調
整装置を考えた場合、歪音声の音質改善フィルタ作成問
題の場合と同様に、ユーザに何等専門的知識がなくとも
ユーザの聴力特性に合わせた聞こえ具合いに基づく補聴
器の作成を行うことができる。また、本発明に関連する
第12の例におけるユーザの調整過程に関する評価モデ
ルの最適化調整方法と最適化調整装置や第13の例にお
ける複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの最適化
調整方法と最適化調整装置を用いれば、各パラメータ間
の関係を明確に記述することも可能であると思われる。
【0217】なお、本発明の第1から第8の実施の形態
及び第1例から第15例における最適化調整方法と最適
化調整装置では、解ベクトルの選択淘汰としてルーレッ
ト選択法を使用したがこれに限定されるものでなく、適
合度の高く優秀な解ベクトルの次に新しく作られる解ベ
クトル集合にそのままコピーするエリート戦略法を組み
合わせたり、適合度の値は用いずその順位だけに目を付
ける線形正規化方法等の適用も考えられる。また、ユー
ザによる評価の場合にも、本発明では最大可能評価値EA
maxから最小評価値EAminの間における値を連続値を評価
値として考えたが、ユーザに同時に提示されているn個
の解ベクトルの相対評価をもとにした段階評価値、例え
ばn個の解ベクトルの順位を評価値とするようなことも
考えられる。さらに、解ベクトルがビット列コード表現
されている場合に、交叉処理においても本例における1
点もしくは2点交叉処理のみならず、図74に示される
ようなシンプレックス交叉処理の適用も考えられる。図
74に示されるようにシンプレックス交叉処理では、 (i)まず適合度の高い2つの解ベクトルと低い1つの解
ベクトルが選択確率部で用いた確率により選択される。 (ii)適合度の高い2つの解ベクトルを比較して、対応す
るビット列コードの値が一致する場合はその値を採用す
る。もし一致しない場合は、低い適合度の解ベクトルの
対応するビットの値の否定を採用することにより、新し
い解ベクトルが作り出される。
【0218】というような処理が実行される。シンプレ
ックス交叉処理により1点もしくは2点交叉処理より
も、より解ベクトルの多様性を保持した調整ができ局所
解に陥りにくいという利点がある。
【0219】以上のことから、本発明に関連する第1の
例の最適化調整方法と最適化調整装置は、各調整するパ
ラメータの更新領域をその特性や過去の調整結果をもと
に限定しその領域内の解ベクトルを対象として対話型遺
伝的アルゴリズムを用いることにより、調整する必要が
ないと思われる領域での調整を削除することが可能とな
り、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことができ
る優れた効果を有する。
【0220】また、本発明に関連する第2の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いる際に、記録されている過去の調整情報をもと
に解ベクトルの初期集合を設定してユーザにとって好ま
しくない解ベクトルを排除して調整することにより、最
適な解ベクトルへの収束が早くなるとともに各解ベクト
ルの評価をする際の負担を軽減することができる優れた
効果を有する。
【0221】また、本発明に関連する第3の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、ユーザの生理情報をもと
に推定した心理状況をもとにユーザの評価値を補正する
ことによりユーザの評価におけるゆらぎの影響を軽減さ
せるため、心理に左右されないでユーザの状況(聴力、
視力等)に最適な解ベクトルの調整を対話型遺伝的アル
ゴリズムにより実現することができる優れた効果を有す
る。
【0222】また、本発明に関連する第4の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いてユーザが各自にとって最適な解ベクトルの調
整を行う際に得られる調整の履歴をもとにユーザの調整
過程に関する評価モデルを推定するものであり、ユーザ
のこの問題に対する嗜好の様子を知ることができる優れ
た効果を有する。
【0223】また、本発明に関連する第5の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いて複数のユーザにより行われた解ベクトル最適
化の履歴より調整過程に関する共通モデルを推定するも
のであり、複数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出す
ることができる優れた効果を有する。
【0224】また、本発明に関連する第6の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの調整を速
やかに実行するとともに、複数のユーザの調整過程に関
する共通モデルを更新するように働くため、ユーザが全
ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユーザ
に与える負担を軽減することが可能となる優れた効果を
有する。
【0225】また、本発明に関連する第7の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデルを推定
し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な解ベク
トルの調整を行うものであるため、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いる際に問題とされていたユーザに与えられ
る負担を軽減することが可能となる優れた効果を有す
る。
【0226】また、本発明に関連する第8の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題に
おいて、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺
伝的アルゴリズムに加えることにより最適な解ベクトル
の調整を行うものであり、これまで画像のように静的な
データにしか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズ
ムを時系列データのような動的データへの適用も可能と
なる優れた効果を有する。
【0227】また、本発明に関連する第9の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題に
おいて、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、各
調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の調整
結果をもとに限定して対話型遺伝的アルゴリズムを用い
ることにより、これまで画像のように静的なデータにし
か適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列
データのような動的データを対象とした場合の最適な解
ベクトルの調整を速やかに行うことが可能になる効果を
有する。
【0228】また、本発明に関連する第10の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
記録されている過去の調整情報をもとに解ベクトルの初
期集合を設定して対話型遺伝的アルゴリズムを用いるこ
とにより、これまで画像のように静的なデータにしか適
用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列デー
タのような動的データを対象とした場合の最適な解ベク
トルの調整を速やかに行うことが可能になる効果を有す
る。
【0229】また、本発明に関連する第11の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
ユーザの生理情報をもとに推定した心理状況をもとにユ
ーザの評価値を補正することにより、ユーザの評価にお
けるゆらぎの影響を軽減させながら対話型遺伝的アルゴ
リズムによる最適解ベクトルの更新を行うことにより、
これまで画像のように静的なデータにしか適用されなか
った対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのような
動的データへの適用が可能となるとともに使用環境に影
響を受けないでユーザ自身の状況に対応する最適な解ベ
クトルの調整を行うことが可能になる効果を有する。
【0230】また、本発明に関連する第12の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、ユーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するものであり、ユーザの時系
列信号問題に対する嗜好の様子を知ることができる効果
を有する。
【0231】また、本発明に関連する第13の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、記録されている複数のユーザの調整の履歴をもと
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定する
ものであり、複数のユーザによる時系列信号を扱う際の
嗜好の共通因子を抽出することができる効果を有する。
【0232】また、本発明に関連する第14の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実
行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通
モデルを更新するように働くものであるため、ユーザが
全ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユー
ザに与える負担を軽減することが可能となる効果を有す
る。
【0233】また、本発明に関連する第15の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得ら
れた個人モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調
整を行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いる際に問題とされていたユーザに与えられる負担を
軽減して時系列信号への適用を可能にする効果を有す
る。
【0234】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1の最適化調
整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内で適合度
の高いグループの重心ベクトルの移動ベクトルに着目
し、その移動ベクトルが同じ方向を指し示す場合にはそ
ちらの方向に適合度の高い解ベクトルが存在すると判断
しそのベクトルに沿って解ベクトル群の更新を行う。そ
れとともに、現在の解ベクトル集合を対象にした組み替
え操作による解ベクトルの最適化も同時に行うことによ
り、大域的解更新能力に優れるという遺伝的アルゴリズ
ムの特徴を活かしながら、同時に過去の解ベクトル更新
の履歴を利用して高速に最適解の方向を推定することが
できるという優れた効果を有する。
【0235】また、本発明の第2の最適化調整方法と最
適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解ベクトルに対
して、そのベクトルを中心とした近傍で再度初期解ベク
トル群を設定し一定回数の組み替え操作を行い限定され
た領域内での解ベクトル群の最適化を実行する。そし
て、得られた複数の解ベクトル群を1つの大きな集合に
統合し組み替え操作により改めて解ベクトルの最適化を
行うというように、組み替え操作を用いて局所的に解ベ
クトルの更新を行った後に再び組み替え操作により大域
的な解ベクトルの更新を行うことにより、局所的な解ベ
クトルの更新能力を補強し高速な最適解の推定処理をす
ることができる。
【0236】また、本発明の第3の最適化調整方法と最
適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解ベクトルをそ
の近傍空間よりランダムに抽出したベクトル群と比較し
て適合度の高いベクトル群を改めて更新処理の対象とな
る解ベクトル集合に属する解ベクトルとして選び出す。
そして、出来上がった解ベクトル集合を組み替え操作の
対象とすることにより、従来の遺伝的アルゴリズムでは
欠如していた局所的更新能力の弱さを解消することがで
きるという優れた効果を有する。
【0237】また、本発明の第4の最適化調整方法と最
適化調整装置は、適合度により選択された解ベクトルの
近傍ベクトル群を抽出し解集合の再設定を行い、得られ
た近傍ベクトル群を対象とした解ベクトルの組み替え操
作を行うことにより、局所的な更新能力を高めるととも
に突出した適合度の高い解ベクトルの影響が解全体にす
ぐに大きな影響を与えることを避けることができる。
【0238】また、本発明の第5の最適化調整方法と最
適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解ベクトル近傍
を複数の領域に分割し平均適合度が最も大きい領域より
ランダムに複数の解ベクトル群を選び出すとともに、元
の解ベクトル集合内の解ベクトルに対して組み替え操作
により新たな解ベクトル集合を生成する。そして、これ
らの中から適合度の高い順に選び出して1つの解ベクト
ル集合を再設定することにより、解ベクトル集合内の組
み替え操作による解ベクトルの最適化と並行して、各解
ベクトル近傍における解ベクトルの更新処理も同時に行
うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが持つ効率的な
大域解更新能力に局所的な解更新能力を補強することが
でき、最適解ベクトルの推定を効率良く実行することが
できるという優れた効果を有する。
【0239】また、本発明の第6の最適化調整方法と最
適化調整装置は、適合度の算術平均と標準偏差をもとに
解ベクトル集合を複数のグループに分割する解集合分割
部と解集合分割部により得られた各グループ内を対象と
した解ベクトルの組み替え操作を行うグループ組み替え
操作部を設けることにより、突出した適合度の高い解ベ
クトルの影響が解全体にすぐに大きな影響を与えること
を避けることができるとともに局所的な更新能力の強化
を行うことができる。
【0240】また、本発明の第7の最適化調整方法と最
適化調整装置は、適合度の算術平均と標準偏差、最大・
最小適合度をもとに解ベクトル集合を複数のグループに
分割するかどうかの判断をする。分割すると判断された
場合には、解集合分割部が解集合全体を複数のグループ
に分割し、そう判断されない場合は解集合全体を組み替
え操作の対象とし、得られた組み替え処理対象に対して
解ベクトルの選択と組み替え操作を行うことにより適合
度分布状況をもとに突出した高い適合度を持つ解ベクト
ルの有無を判断し、その影響を低減するように組み替え
処理対象を限定することにより、効率よい最適解推定を
行うことができる。
【0241】本発明の第8の最適化調整方法と最適化調
整装置は、解ベクトルの収束を判断するための段階収束
基準を動的に変化させるとともに、新しい解ベクトルの
更新を行う領域を動的に変化させ段階的に最適解推定を
行うことにより、効率よい最適解推定を実現することが
できる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
処理装置の構成を表すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
装置の要部である組み替え操作部の構成を表すブロック
図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の処理1における過程を表すフローチャート図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の要処理である組み替え操作処理の過程を表すフロ
ーチャート図。
【図6】具体例として取り扱う多次元関数最大値推定問
題の概念図。
【図7】実数値区間における値から固定長ビット列コー
ドへの変換の様子を表す図。
【図8】更新方向ベクトルに沿った解ベクトル更新を模
式的に表す図。
【図9】選択淘汰に用いられるルーレット選択方式を説
明するための図。
【図10】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図11】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図12】局所的更新処理と大域的更新処理を模式的に
表す図。
【図13】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図14】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図15】初期解ベクトル群抽出の様子を模式的に表す
図。
【図16】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図17】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャート図。
【図18】実数値空間における近傍ベクトル抽出処理を
模式的に表す図。
【図19】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図20】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図21】更新領域分割とそこからの解ベクトル抽出処
理を模式的に表す図。
【図22】本発明の第6の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図23】本発明の第6の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図24】実数値空間における解集合分割処理を模式的
に表す図。 (a)適合度fkに対する個体数分布を模式的に表す図。 (b)実数値空間における分割の様子を表す図。
【図25】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図26】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図27】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整方法の処理2の過程を表すフローチャート図。
【図28】本発明の第8の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図29】本発明の第8の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図30】実数値空間における更新領域の局所化処理を
模式的に表す図。
【図31】1次元関数近似問題の概念図。
【図32】本発明に関連する第1の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図33】本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図34】本発明に関連する第2の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図35】本発明に関連する第2の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図36】本発明に関連する第3の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図37】本発明に関連する第3の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図38】本発明に関連する第4の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図39】本発明に関連する第4の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図40】本発明に関連する第5の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図41】本発明に関連する第5の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図42】本発明に関連する第5の例における最適化調
整方法の個別調整処理の過程を表すフローチャート図。
【図43】本発明に関連する第6の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図44】本発明に関連する第6の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図45】本発明に関連する第6の例における最適化調
整方法の共通モデル更新処理の過程を表すフローチャー
ト図。
【図46】本発明に関連する第7の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図47】本発明に関連する第7の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図48】本発明に関連する第7の例における最適化調
整方法の処理過程の続きを表すフローチャート図。
【図49】本発明に関連する第8の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図50】本発明に関連する第8の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図51】本発明に関連する第9の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図
【図52】本発明に関連する第9の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図53】本発明に関連する第10の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図54】本発明に関連する第10の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図55】本発明に関連する第11の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図56】本発明に関連する第11の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図57】本発明に関連する第12の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図58】本発明に関連する第12の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図59】本発明に関連する第13の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図60】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図61】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャート
図。
【図62】本発明に関連する第14の例における最適化
調整調整装置の構成を表すブロック図。
【図63】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図64】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチ
ャート図。
【図65】本発明に関連する第15の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図66】本発明に関連する第15の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図67】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図68】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図69】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整装置の構成を表すブロック図。
【図70】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図71】遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の
概念の説明図。 (a)は交叉処理例を表す概念図。 (b)は突然変異処理の一例を表す概念図。
【図72】視力矯正用レンズの調整問題の概念図。
【図73】解ベクトル空間における更新領域限定の概念
図。
【図74】シンプレックス交叉の概念図。
【図75】本発明に関連する第3、第11の例における
最適化調整装置の心理状況推定方法の一例を表す図。 (a)まばたきの発生頻度と注意、関心の関係 (b)発汗状況と緊張、動揺の関係
【図76】本発明に関連する第4、7、12、15の例
における最適化調整装置における評価モデル推定部に用
いられるニューラルネットワークの構成図。
【図77】本発明に関連する第5、6、13、14の例
における最適化調整装置における共通モデル推定部に用
いられるニューラルネットワークの構成図。
【図78】歪音声の音質改善するフィルタ作成問題の概
念図。
【図79】時系列信号と対応する補助情報の概念図。
【図80】難聴者のための補聴器の特性調整問題の概念
図。
【符号の説明】
101 初期解集合設定部 102 遺伝的アルゴリズム処理部 103 最適解出力部 104 評価値獲得部 105 適合度計算部 106 更新方向判断部 107 方向適用更新部 108 組み替え操作部 109 重心推定部 110 更新方向候補記録部 111 更新方向獲得部 112 重心移動部 113 重心周囲解ベクトル生成部 201 候補選択部 202 交叉処理実行部 203 突然変異処理実行部 204 選択範囲導出部 205 乱数発生部 206 解ベクトル抽出部 1001 局所更新部 1002 大域更新部 1003 局所更新設定部 1004 ベクトル群初期設定部 1005 局所組み替え操作部 1006 局所更新終了判断部 1007 集合統合部 1008 大域組み替え操作部 1301 初期更新領域限定部 1302 初期解ベクトル群抽出部 1303 解ベクトル集合統合部 1601 解集合再設定部 1602 グループ組み替え操作部 1603 代表解ベクトル選択部 1604 近傍ベクトル群抽出部 1901 更新領域分割部 1902 平均適合度計算部 1903 適領域解ベクトル抽出部 1904 解ベクトル統合部 2201 解集合分割部 2202 分割領域決定部 2203 分割実行部 2501 組み替え対象制御部 2801 更新領域設定部 2802 段階収束判定部 2803 収束基準変更部 3201 対象データ入力部 3202 更新領域限定部 3203 メイン処理部 3204 機器調整実行部 3205 ユーザ評価部 3206 集合再設定部 3207 情報提示部 3208 ユーザ評価判断部 3401 記憶媒体部 3402 記録情報読込み部 3403 初期解ベクトル選択部 3404 初期解ベクトル補充部 3405 最適解ベクトル記録部 3601 ユーザ心理推定部 3602 評価値補正部 3603 生理データ測定部 3604 心理推定実行部 3801 評価モデル出力部 3802 第2ユーザ評価部 3803 評価モデル推定判定部 3804 モデル推定実行部 3805 調整履歴記録部 4001 共通モデル出力部 4002 ユーザ調整終了判断部 4003 共通モデル推定部 4004 共通モデル推定判定部 4005 共通モデル推定実行部 4301 共通モデル評価計算部 4302 共通モデル評価判定部 4303 共通モデル更新部 4304 共通モデル更新判定部 4305 共通モデル更新実行部 4601 方法選択スイッチ 4602 評価モデル推定部 4603 モデル評価計算部 4604 方法切替え判定部 4901 時系列評価実行部 4902 補助情報提示部 4903 情報並び替え部 6701 選択淘汰実行部 6901 対話型遺伝的アルゴリズム実行部
【手続補正書】
【提出日】平成14年6月10日(2002.6.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 最適化調整方法と最適化調整装置
【特許請求の範囲】
【請求項】 更新する解ベクトルの初期集合を設定す
る初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
適合度を計算する適合度計算部と、 解ベクトル集合内において適合度が予め与えられた基準
適合度を満足する解ベクトルの重心ベクトルと過去に得
られた重心ベクトルより、適合度の高い解ベクトルが分
布する更新方向ベクトルの推定ができるかどうかを判断
する更新方向判断部と、 前記更新方向判断部で更新方向ベクトルが得られた場合
に、その方向ベクトルに従って複数の解ベクトルの更新
を行い、組み替え操作で新たに生成する解ベクトル個数
を設定する方向適用更新部と、 前記方向適用更新部および前記更新方向判断部で設定さ
れた組み替え操作で新たに生成する解ベクトル個数分だ
け、元の解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替えによ
り解ベクトルの生成を行う組み替え操作部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
解出力部を備えており、前記組み替え操作で解ベクトル
集合内の解ベクトルの演算的な組み替え操作により解ベ
クトルの更新を行うとともに、前記更新方向判断部で解
ベクトルの適合度を高くする更新方向ベクトルが得られ
た場合には方向適用更新部においてその方向ベクトルに
従って解ベクトルの更新を行い、前記更新方向判断部で
更新方向ベクトルが得られなかった場合には解ベクトル
集合内の解ベクトル全体を組換え操作による生成の対象
として最適解ベクトルの推定を行う処理を前記終了条件
を満足するまで逐次的に繰り返す最適化調整装置。
【請求項】 方向適用更新部が、重心推定部で得られ
た重心ベクトルを更新方向ベクトルに従い基準移動距離
だけ移動させる重心移動部と、前記重心移動部で新たに
得られた重心ベクトルの周囲に予め設定された個体数の
解ベクトルを生成し、組み替え操作により求める解ベク
トル個数を設定する重心周囲解ベクトル生成部を持つこ
とを特徴とする請求項に記載の最適化調整装置。
【請求項】 更新方向判断部が、適合度計算部で得ら
れた適合度において予め設定された基準適合度より高い
値を持つ解ベクトル群の重心ベクトルを計算する重心推
定部と、前記重心推定部で得られた重心ベクトルと過去
に得られた重心ベクトルの差分ベクトルを求め、更新方
向候補ベクトルとして記録する更新方向候補記録部と、
前記更新方向記録部で保存されている更新方向候補ベク
トル間の角度を計算し予め設定された一致判断角度との
比較により更新方向ベクトルを推定し、推定できない場
合には組み替え操作により生成する解ベクトル個数を設
定する更新方向獲得部を持つことを特徴とする請求項
に記載の最適化調整装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巡回セールスマン
問題、回路設計問題をはじめとする最適解推定問題等に
用いられる従来の遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調
整方法と最適化調整装置において、欠点とされていた局
所的な解探索能力の欠如を補う工夫を加えることにより
効率良く最適解を探索することのできる最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0002】さらに本発明は、補聴器の特性調整、明示
的に示すことのできないコンセプトに合わせた製品やイ
ンテリアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響
や画像特性の調整をはじめとする、評価基準が観念的で
不明確なため調整結果を定量的に評価できない問題に、
ユーザの主観による評価をもとにユーザにとって最適な
解ベクトルを求めることができる対話型遺伝的アルゴリ
ズムを効率良く用いた最適化調整方法とその最適化調整
装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】遺伝的アルゴリズムは、最適解近傍への
収束が早い、局所解に陥りにくいというような利点を持
つ最適解探索ためのアルゴリズムであり、特に組み合わ
せ最適化の分野で注目を浴びている。遺伝的アルゴリズ
ムによる最適化調整方法と最適化調整装置の従来技術に
ついては、例えば「ジェネティック アルゴリズム イ
ン サーチ オプティマイゼーション アンド マシー
ン ラーニング」("Genetic Algorithms in Search, O
ptimization and Machine Learning"(David E.Goldber
g, Addison Wesley))、特開平2ー236660号公
報等の文献に記載されている。以下にその概要を説明す
る。
【0004】図68は、従来の遺伝的アルゴリズムによ
る最適解推定の原理を示すフローチャートである。 《ステップ1》m次元ベクトルpk(pk1,pk2,...,pkm)を元
とするn個の元からなる集合Pを考える。集合Pの各元で
あるm次元ベクトルpkの各要素は対象として与えられた
最適解探索問題において対応するパラメータの具体的な
解を表現しており、ベクトルpkは具体的な解ベクトルに
相当する。ベクトルpkの各要素pki(i=1,...,m)は、生物
との関連から遺伝子と呼ばれ、ベクトルpkは染色体と呼
ばれることがある。遺伝的アルゴリズムを用いる際、ま
ず最初に解ベクトルの初期集合Pを適当に作る。 《ステップ2》集合Pの各元(染色体)の解の良さを予
め設定された評価尺度に従って評価値し、その結果を評
価値として表す。ここで、予め設定された評価尺度のこ
とを評価関数(fitness関数)と呼ぶ。 《ステップ3》ステップ2で求められた評価値の大小を
もとに解の適合度を判断する。このとき、問題により、
評価値が大きいほうが適合度の良い解であるとする場合
と、小さいほうが適合度の良い解であるとする場合があ
り、前者を最大化問題、後者を最小化問題と呼ぶ。適合
度の小さい解ベクトルを現在の解集合から削除し、適合
度の大きい解ベクトルを選択的に生き残らせる。このよ
うな操作を選択淘汰と呼ぶ。選択淘汰の方法として、様
々な方法が知られているが、その詳細に付いては前記参
考文献に委ねる。 《ステップ4》前記ステップ3により選択された解ベク
トル集合について、交叉や突然変異等の遺伝的な組み替
え操作を施し、新しい解ベクトル集合を作成する。な
お、解ベクトル集合に含まれる解ベクトルの個体数は、
ここでは一定としたが、増加しても減少してもよい。図
71は遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の概念
の説明図を表し、図(a)が交叉処理を、図(b)が突
然変異処理の一例を表す。
【0005】交叉は、図(a)に示されるように有限の
シンボルで表現された解ベクトルでの一部を他の解ベク
トルの一部と置き換えることにより新しい解ベクトルを
作り出す操作である。また、突然変異は、図(b)に示
されるようにある低い確率で解ベクトル集合から選択さ
れた解ベクトルの成分の一部を他のシンボルに変更する
操作である。交叉処理は、現在の解ベクトルから大きく
離れた位置における探索のに相当し、突然変異は現在の
解ベクトル近傍における探索に相当する。この2つの処
理を経て、遺伝的アルゴリズムでは新しい解ベクトルの
集合を作り出すのである。なお、この交叉、突然変異等
の処理には様々な方法が提案されているが、その詳細に
付いては前記参考文献に委ねる。
【0006】遺伝的アルゴリズムでは以上のような処理
が繰り返され、その結果解ベクトル集合Pの各解ベクト
ルは与えられた問題の準最適解に収束するようになる。
【0007】遺伝的アルゴリズムによる最適化の応用例
として、前掲の参考文献には"巡回セールスマン問題"へ
の適応が記載されている。N個の都市の名前を各々1…N
で表す。解ベクトル集合Pの各元は1…Nの順列を成分と
するベクトルで表現することができる。また、評価尺度
はこの順列で定められた順序に従い各都市を巡回した場
合の全道程である。例えば都市にA1,A2,...,ANが割り振
られており、都市をA1->A2->…->ANの順番で巡回する
時、対応する解ベクトルベクトルは(A1,A2,...,A N)であ
る。これを例えば簡単にA1A2A3…ANと表記する。その
後、前記遺伝的アルゴリズムを繰り返すことにより、最
短経路に準ずる経路を得ることができる。
【0008】以上のような図68のフローチャートに従
い実行される、従来の遺伝的アルゴリズムによる逐次最
適化処理装置の構成図は図67のようになる。図67に
おいて、101は改善する初期の解ベクトル集合を設定
する初期解集合設定部、102は遺伝的操作により実際
に最適解ベクトルの推定を実行する遺伝的アルゴリズム
処理部、103は予め設定された終了条件が満たされた
場合に最も適合度の高い解ベクトルを出力する最適解出
力部である。遺伝的アルゴリズム処理部102は各解ベ
クトルの評価値を予め設定された評価関数より獲得する
評価値獲得部104、評価値獲得部104で得られた評
価値より各解ベクトルの適合度を計算する適合度計算部
105、適合度計算部105で計算した適合度をもとに
解ベクトル集合の選択淘汰を行う選択淘汰実行部670
1と解ベクトルの交叉処理を行う交叉処理実行部202
と解ベクトルの突然変異処理を行う突然変異処理実行部
203より構成される。このように構成された従来の遺
伝的アルゴリズムによる最適化調整装置では、図68に
示されたフローチャートに従い、評価値獲得部104と
選択淘汰実行部6701と交叉処理実行部202と突然
変異処理実行部203を繰り返し実行して解ベクトル集
合を逐次更新することにより、対象とする最適化問題の
準最適解ベクトルを推定するものであった。
【0009】また、従来の補聴器の特性調整、明示的に
示すことのできないコンセプトに合わせた製品やインテ
リアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響や画
像特性の調整の場合、評価基準が観念的で不明確であり
また個人によりその特性が大きく変わることから、調整
結果に対する評価を定量的に表現することができないと
いう問題点がある。そのためこのような問題に、ニュー
ラルネットワークのように明確な評価関数を定義してそ
の評価関数が最適になるような調整を行う手法を用いる
ことは原理的に不可能である。例えば補聴器の特性調整
は次のような手順で行われている。まず、試験音声信号
を周波数帯域に分割し各周波数帯域で試験音声の下限レ
ベルと上限レベルに相当する試験信号を作成する。その
音声の下限レベルと上限レベルの試験信号を補聴器に入
力し、補聴器のユーザである難聴者にこれらの試験信号
の補聴器からの出力試験信号を聞かせて心地よく聞くこ
とができるかどうかを確認する。もしある周波数帯域で
の音声の下限レベルの出力試験信号が小さすぎて聞きに
くい場合にはその周波数帯域での補聴器の利得が上がる
ように専門家が補聴器の利得の周波数特性を調整する。
逆に、ある周波数帯域での音声の上限レベルの出力試験
信号が大きすぎて不快である場合にはその周波数帯域で
の補聴器の利得が下がるように専門家が補聴器の利得の
周波数特性を調整する。以上のことを、ユーザが満足す
るまで繰り返し行うのである。このように難聴者である
ユーザの要望を実現するように、補聴器の調整を行う専
門家が各人のこれまでの経験をもとに補聴器の利得の周
波数特性を調整しているのが実状であり、難聴者に合う
特性を見つけるまで相当な時間と労力が必要である。ま
た、使用環境や難聴者の嗜好に従い調整対象のパラメー
タは変動し、その影響により1人の難聴者が複数の補聴
器を用意する必要があるため、繰り返し補聴器の調整を
行わなくてならないという問題があった。そして、その
度に難聴者は補聴器の特性調整を行える専門家の所まで
出向かなくてはならなかったのである。
【0010】近年、前述の遺伝的アルゴリズムの手法の
中に、ユーザ自らが決定した各解ベクトルの評価値をも
とに最適解の推定を行う対話型遺伝的アルゴリズムが提
案されている。この対話型遺伝的アルゴリズムを用いれ
ば、人間の感性・主観的評価のみに基づいて評価・判断
することが可能となるため、前述のような評価関数を明
確に記述できない問題への適用も可能である。対話型遺
伝的アルゴリズムによる最適解ベクトルの最適化調整方
法の従来技術については、例えば「トラッキング ア
クリミナル サスペクト スルー "フェイス-スペイ
ス" ウィズ アジェネティック アルゴリズム」("Tra
cking a Criminal Suspect through "Face-Space" with
a Genetic Algorithm")(Caldwell, C. and Johnsto
n, V.S.:Proc.of 4th Int'l Conf. on Genetic Algorit
hms(ICGA'91))、「エボリューショナリー アート ア
ンド コンピュータズ」("Evolutionary Art and Comp
uters")(Todd, S. and Latham, W.: Academic Press,
Harcourt, Brace, Jovanovich)等の文献に記載されて
いる。
【0011】以下に、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
た最適化調整方法の概要を説明する。
【0012】図70は、対話型遺伝的アルゴリズムによ
る解ベクトルの最適化調整原理を示すフローチャートで
ある。図70のフローチャートの場合に示されるよう
に、前述の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法の
《ステップ2》における予め関数表現により定義された
評価尺度の代わりに、ユーザに各解ベクトルの表す画像
・図形等の情報を提示し、各解ベクトルの良さを評価し
てもらう点が大きく異なる。
【0013】対話型遺伝的アルゴリズムによる最適ベク
トル探索の応用例として、前掲の参考文献には"犯罪の
目撃者によるモンタージュの作成"への適応が記載され
ている。顔は構成する髪、目、鼻、口、顎、耳等の部品
より構成される。各パーツ別に複数個のパターン画像を
持っており、このパーツのパターン画像を組み合わせる
ことにより顔写真が作成される。各パーツのパターン番
号を要素とするベクトルが、対話型遺伝的アルゴリズム
で探索される解ベクトルとなるのである。そして、目撃
者であるユーザが各解ベクトルより画面上に表示される
複数の顔を見て、目撃した人物との似て具合いを主観的
に判断し、対話型遺伝的アルゴリズムで最も犯人の顔を
表現していると思われるモンタージュ写真を作成してい
くのである。
【0014】以上のような図70のフローチャートに従
い実行される、従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる
最適化調整装置の構成図は図69のようになる。図69
において、初期解集合設定部102、遺伝的組み替え操
作により実際に最適ベクトル探索を実行する対話型遺伝
的アルゴリズム処理部6901、最適解出力部104よ
り構成され、対話型遺伝的アルゴリズム処理部6901
は各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する提示情報
部3207、提示情報部で提示された情報をもとにユー
ザが各解ベクトルの評価値を判断するユーザ評価判断部
3208、適合度計算部110、組み替え操作部108
より構成される。情報提示部3207が各解ベクトルの
表す情報をユーザに提示する役目を担い、ユーザ評価判
断部3208が各解ベクトルの良さを各自の評価基準に
基づき評価してもらい、その採点を入力してもらう部分
に相当する。それ以外は図67の遺伝的アルゴリズムを
用いた最適化調整装置の構成図と概ね同じであるため説
明は省略する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遺伝的
アルゴリズムは確率的でかつ集団的な探索を行うアルゴ
リズムであり、探索空間における現在点の情報(評価
値)しか利用しない。そのため上記従来の遺伝的アルゴ
リズムを用いた逐次最適化処理装置では、評価関数の曲
面の特徴を利用するニューラルネットワーク等を用いて
組み合せ最適問題の解探索を行う場合と比較すると大域
的な解探索には優れているが、局所的な情報を利用しな
いため最適解近傍での探索能力に欠けており、その近傍
では逆に解探索に時間がかかってしまうという問題があ
った。また、これまで行った多点探索の履歴情報を利用
しないため、ある程度探索空間を振動しながら最適解近
傍に収束する傾向があった。
【0016】また、一般に対話型遺伝的アルゴリズムに
よる最適化調整方法では、ユーザに各解ベクトルの表す
複数個の情報を提示し比較評価することにより、各解ベ
クトルの好ましさを評価を行う必要がある。そのため、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整装
置は、文字や画像等のように空間的に同時に提示できる
静的なデータの調整には何等問題がなく適用できるが、
前述の補聴器の特性調整問題のようにユーザの評価対象
が時系列情報である場合には、各時系列情報情報をその
まま複数提示してもユーザはそれらの情報のちがいを聞
き分けることは難しく各解ベクトルの評価を行うことは
非常に困難である。それに加えて、ユーザが調整を行う
際の負担は時間が経つにつれ増大するとともにその嗜好
も大きく変化する。それにも関わらず、従来の対話型遺
伝的アルゴリズムによる調整装置では、それらの問題点
に対する対策が何等なされていないのが実状である。
【0017】本発明は上記課題を解決するものであり、
従来の遺伝的アルゴリズムの手法に局所的な探索能力を
補強する工夫を加えることで、本来遺伝的アルゴリズム
が持つ大域的探索能力を損なわずに、高速で効率的な最
適解の推定を行う最適化調整装置を提供することを目的
とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベ
クトル集合内で適合度の高いグループの重心ベクトルの
動きを調べ、その動き方向ベクトルがある程度同じ方向
である場合、その動き方向ベクトルを更新方向ベクトル
とみなす。そして、その更新ベクトル方向に従って解ベ
クトルの更新を行うとともに、現在の解ベクトル集合か
ら組み替え操作で新たな解ベクトルを生成する処理を併
用することにより最適な解ベクトルの推定を行うように
工夫したものである。
【0019】第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、解ベクトル集合に属する各解ベクトルの適合度をも
とに、予め与えられた基準適合度以上の適合度を持つ解
ベクトルの重心ベクトルと過去の更新で得られた重心ベ
クトルをもとに更新方向候補ベクトルを計算し、記録さ
れている過去の更新方向候補ベクトルと方向が一致して
いれば、最適な解ベクトルが分布する方向はそのベクト
ルの方向にあると判断し改めてこのベクトルを更新方向
ベクトルとみなし、そのベクトルに沿って複数の解ベク
トルの更新を行い、残りの解ベクトルを更新前の解ベク
トル集合内の解ベクトルの遺伝的演算に基づく組み替え
操作により更新する。更新方向ベクトルが得られない場
合は、解ベクトル集合全体を遺伝的演算に基づく組み替
え操作の対象とする。第1の最適化調整方法とその調整
装置は、以上のように過去の解ベクトル更新の履歴をも
とに最適解ベクトルの分布方向を推定し利用することに
より、高速で効率的な最適解ベクトルの推定を実現する
ことができる。
【0020】第2の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、各解
ベクトルに従いその周囲に限定して再度初期解ベクトル
群を設定して、適合度をもとにした組み替え操作により
解ベクトルの局所的な更新を実現する。その後に、局所
更新で得られた複数の解ベクトル群を1つの大きな集合
に統合して、再度適合度による解ベクトルの組み替え操
作により、大域的に最適解ベクトルの推定を行うのであ
る。このように組み替え操作による局所的な解更新の
後、再度組み替え操作により大域的規模における解ベク
トルの更新を行うことにより、従来の遺伝的アルゴリズ
ムでは欠如していた局所的な解更新能力を補うことがで
きる。
【0021】第3の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、各解
ベクトルごとにその周囲の領域を限定して解ベクトルを
複数抽出する。抽出された解ベクトル群内の解ベクトル
において、高い適合度を持つ解ベクトルを選び出し、改
めて解ベクトル集合を再設定する。そして、この再設定
された解ベクトル集合に対して、各ベクトルの適合度を
もとに解ベクトルの組み替え操作を実行することによ
り、第3の最適化調整方法とその調整装置は局所的な解
更新能力を強化することができ、高速に最適解ベクトル
を推定することができるのである。
【0022】第4の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対する適合度を求め
る。そして得られた適合度をもとに、代表となる解ベク
トルを選択しその近傍ベクトル群を取り出す。この近傍
ベクトル群内の解ベクトルを対象として、グループ組み
替え操作部において解ベクトルの組み替え操作を行うの
である。そして、その後新しくできた解ベクトル集団に
対して再度突然変異処理により組み替え操作を担当す
る。このような手順をとることにより、突出した適合度
の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに大きな影響を
与えることを避けることが可能になるとともに、効率よ
く最適解を推定することができるのである。
【0023】第5の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルの適合度を求め、この
適合度に従い解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替え
操作を実行する。一方、解ベクトル集合内から任意に複
数の解ベクトルを抽出し、これらの近傍空間を複数領域
に分割する。各領域ごとに解ベクトルが複数抽出され、
各領域ごとの平均評価値と平均適合度をもとに、最も平
均適合度の高い領域から複数の解ベクトル群が任意に選
択される。この選び出された解ベクトル群と組み替え操
作で生成された解ベクトル群から適合度の高い解ベクト
ルを順に選んで次の処理対象である解ベクトル集合を生
成する。このような手順を繰り返すことにより、遺伝的
アルゴリズムの持つ効率的な大域解更新能力を活かしな
がら、より局所的に解の更新を行う能力を高めることが
でき、最適解ベクトルの推定を効率よく実行することが
できる。
【0024】第6の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対応する適合度を求
める。この適合度の算術平均と標準偏差をもとに、解ベ
クトル集合全体を複数のグループに分割する。この各グ
ループ内の解ベクトルを対象として、解ベクトルの選択
と組み替え操作による解ベクトルの更新が行われる。そ
して、新しくできた解ベクトルに対して再度突然変異処
理により組み替え操作が実行される。このような手順を
とることにより、突出した適合度の高い解ベクトルの影
響が解全体にすぐに大きな影響を与えることを避けるこ
とができるとともに、効率よい最適解推定を行うことが
できる。
【0025】第7の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルに対応する適合度を求
める。この適合度の算術平均と標準偏差、そして最大・
最小適合度をもとに、解集合全体を対象とするのかそれ
とも複数のグループに分割して組み替え操作を行うのか
を判断する。分割すると判断された場合には、第6の最
適化調整方法と最適化調整装置と同様に、解集合全体を
複数のグループに分割し、そう判断されない場合は解集
合全体を組み替え操作の対象とする。その後、得られた
組み替え処理対象に対して解ベクトルの選択と組み替え
操作が実行される。以上のように、適合度の分布状況を
もとに突出した高い適合度を持つ解ベクトルの有無を判
断し、その影響を低減するように組み替え操作対象を限
定することにより、効率の良い最適解推定を行うことが
できる。
【0026】第8の最適化調整方法と最適化調整装置
は、まず適当に初期解ベクトル集合を設定した後、解ベ
クトル集合に属する各解ベクトルの適合度を導出する。
この適合度をもとに、遺伝的組み替え操作により解ベク
トルの選択と組み替え操作を行うわけであるが、その
際、設定された段階収束基準を満足するまで、設定され
た更新領域内の解ベクトルを対象とした組み替え操作を
実行する。そして、段階収束基準を満足した段階で、さ
らに段階収束基準を例えば厳しくするとともに更新領域
を狭めていき、適合度計算、組み替え操作等の処理を繰
り返す。このような手順をとることにより、まず大域的
な探索を行った後、徐々に局所的更新に移行することと
なり、効率の良い最適解推定を実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態における最適化調整装置のブロック図、図2は本
発明の第1の実施の形態における最適化調整装置の要部
である組み替え操作部のブロック図、図10は本発明に
関連する第1の例における最適化調整装置のブロック
図、図13は本発明に関連する第2の例における最適化
調整装置のブロック図、図16は本発明に関連する第3
の例における最適化調整装置のブロック図、図19は本
発明に関連する第4の例における最適化調整装置のブロ
ック図、図22は本発明に関連する第5の例における最
適化調整装置のブロック図、図25は本発明に関連する
第6の例における最適化調整装置のブロック図、図28
は本発明に関連する第7の例における最適化調整装置の
ブロック図、図32は本発明に関連する第8の例におけ
る最適化調整装置のブロック図、図34は本発明に関連
する第9の例における最適化調整装置のブロック図、図
36は本発明に関連する第10の例における最適化調整
装置のブロック図、図38は本発明に関連する第11の
例における最適化調整装置のブロック図、図40は本発
明に関連する第12の例における最適化調整装置のブロ
ック図、図43は本発明に関連する第13の例における
最適化調整装置のブロック図、図46は本発明に関連す
る第14の例における最適化調整装置のブロック図、図
49は本発明に関連する第15の例における最適化調整
装置のブロック図、図51は本発明に関連する第16の
例における最適化調整装置のブロック図、図53は本発
明に関連する第17の例における最適化調整装置のブロ
ック図、図55は本発明に関連する第18の例における
最適化調整装置のブロック図、図57は本発明に関連す
る第19の例における最適化調整装置のブロック図、図
59は本発明に関連する第20の例における最適化調整
装置のブロック図、図62は本発明に関連する第21の
例における最適化調整装置のブロック図、図65は本発
明に関連する第22の例における最適化調整装置のブロ
ック図を表すものである。
【0028】また、図3は本発明の第1の実施の形態に
おける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図5は本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法の要処理である組み替え操作処理の過程表すフロ
ーチャート図、図11は本発明に関連する第1の例にお
ける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図14は本発明に関連する第2の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図17は
本発明に関連する第3の例における最適化調整方法の処
理過程を表すフローチャート図、図20は本発明に関連
する第4の例における最適化調整方法の処理過程を表す
フローチャート図、図23は本発明に関連する第5の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図26は本発明に関連する第6の例における最適
化調整方法の全体の処理過程を表すフローチャート図、
図27は本発明に関連する第6の例における最適化調整
方法の処理2の過程を表すフローチャート図、図29は
本発明に関連する第7の例における最適化調整方法の処
理過程を表すフローチャート図、図33は本発明に関連
する第8の例における最適化調整方法の処理過程を表す
フローチャート図、図35は本発明に関連する第9の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図37は本発明に関連する第10の例における最
適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図3
9は本発明に関連する第11の例における最適化調整方
法の処理過程を表すフローチャート図、図41は本発明
に関連する第12の例における最適化調整方法の処理過
程を表すフローチャート図、図42は本発明に関連する
第12の例における最適化調整方法の個別調整処理過程
を表すフローチャート図、図44は本発明に関連する第
13の例における最適化調整方法の処理過程を表すフロ
ーチャート図、図45は本発明に関連する第13の例に
おける最適化調整方法の共通モデル更新処理の過程を表
すフローチャート図、図47は本発明に関連する第14
の例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチ
ャート図、図48は本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法の処理過程の続きを表すフローチャー
ト図、図50は本発明に関連する第15の例における最
適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図5
2は本発明に関連する第16の例における最適化調整方
法の処理過程を表すフローチャート図、図54は本発明
に関連する第17の例における最適化調整方法の処理過
程を表すフローチャート図、図56は本発明に関連する
第18の例における最適化調整方法の処理過程のフロー
チャート図、図58は本発明に関連する第19の例にお
ける最適化調整方法の処理過程のフローチャート図、図
60は本発明に関連する第20の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図、図61は本発
明に関連する第20の例における最適化調整方法の個別
調整処理2の過程を表すフローチャート図、図63は本
発明に関連する第21の例における最適化調整方法の処
理過程を表すフローチャート図、図64は本発明に関連
する第21の例における最適化調整方法の共通モデル更
新処理2の過程を表すフローチャート図、図66は本発
明に関連する第22の例における最適化調整方法の処理
過程を表すフローチャート図を表しているものとする。
なお、ブロック図の各図において、同一部には同じ番号
を付している。
【0029】本発明の第1の実施の形態及び第1から第
7の例は、遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものであり、第8から第22
の例は、ユーザの評価をもとに最適解の推定を行う対話
型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化
調整装置に関するものである。
【0030】以下に、本発明の第1の実施の形態におけ
る最適化調整方法と調整装置について説明する。第1の
実施の形態は、過去の解ベクトルの更新の履歴をもとに
適合度の高い解ベクトルが分布する方向を予測し利用す
ることにより効率良く最適な解ベクトルを推定するもの
である。
【0031】図1において、101は更新する初期の解
ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を所定の手続きまた
は外部からの指示により設定する初期解集合設定部、1
02は遺伝的組み替え操作により最適解ベクトルの推定
を実際に行う遺伝的アルゴリズム処理部、103は予め
設定された終了条件が満足された場合に最新の解ベクト
ル集合から適合度の最も高い解ベクトルを最適解ベクト
ルとして出力する最適解出力部である。遺伝的アルゴリ
ズム処理部102は、解ベクトル集合Pについての各解
ベクトルの評価値Ekの計算を予め設定された評価関数に
従い計算する評価値獲得部104と、評価値獲得部10
4で得られた評価値Ekをもとに各解ベクトルのその問題
に対する適合度fkを計算する適合度計算部105と、予
め与えられた基準適合度fthより高い適合度を持つ解ベ
クトル群P'を選び出しその重心ベクトルgl(lは繰り返し
回数)と過去の重心ベクトルより適合度の高い解ベクト
ルが分布する更新方向ベクトルが推定できるかどうかを
判断する更新方向判断部106と、更新方向判断部10
6で更新方向ベクトルが推定された場合にその方向に沿
って複数の解ベクトル更新を実行するとともに、組み替
え操作で生成される解ベクトル個数を設定する方向適用
更新部107と、更新方向判断部106または方向適用
更新部107の結果を受けて、その設定された解ベクト
ル個数分だけ元の解ベクトル集合内の解ベクトルの遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの生成を
行う組み替え操作部108により構成される。さらに更
新方向判断部106は、適合度計算部105で得られた
適合度に対して、予め与えられた基準適合度fthより高
い適合度を持つ解ベクトル群P'を選び出しその重心ベク
トルglを計算する重心推定部109と、重心推定部10
9で得られたglと過去の重心ベクトルgl-1の差分ベクト
ル△gl-1を求め、更新方向候補ベクトルv'l-1=△gl-1
して記録する更新方向候補記録部110と、更新方向候
補記録部110に保存されているv'lとv'l-1の方向の一
致度を評価し、一致していると判断された場合には更新
方向ベクトルv=v'lが得られたものとして方向適用更新
部107に処理を渡し、一致しない場合には解ベクトル
集合内の解ベクトル全体を組み替え操作の対象としてか
組み替え操作部108に処理を移す更新方向獲得部11
1より構成される。方向適用更新部107は、重心推定
部109で得られた重心ベクトルを更新方向ベクトルv
に従い基準移動距離lengthだけ移動させる重心移動部1
12と、重心移動部112で新たに得られた重心ベクト
ルの周囲に予め設定された個体数の解ベクトルを生成す
る重心周囲解ベクトル生成部113により構成される。
図2に示すように、組み替え操作部108は解ベクトル
集合Pから適合度fkを用いて解ベクトルの選択淘汰を実
行する候補選択部201、候補選択部201で得られた
解ベクトル集合に対して交叉処理を実行する交叉処理実
行部202、交叉処理実行部202で得られた解ベクト
ル集合に対して突然変異処理を実行する突然変異処理実
行部203により構成される。さらに、候補選択部20
1は、解ベクトル集合からある解ベクトルを選択する時
の選択確率hkとその選択範囲Ikを導出する選択範囲導出
部204、[0,1)内の一様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)
を発生させる乱数発生部205、乱数発生部205の結
果をもとに解ベクトル集合から選択する解ベクトルを抽
出する解ベクトル抽出部206により構成される。
【0032】以上のように構成された本発明の第1の実
施の形態における最適化調整装置の動作について説明す
る。その際、本実施の形態では、扱う具体的問題とし
て、図6のようなm次元関数w(x1,x2,...,xm)の最大値推
定問題を取り上げる。図6に示されるように、例えばm
次元関数wの最大値推定問題では、 《条件1》所定の手続きまたは外部からの指示により、
n個のm次元ベクトルqi(x 1 i,x2 i,...,xm i)(i=1,...,n)か
らなる集合Qを作り出す。 《条件2》各qi(i=1,...,n)における関数値w(qi)を求
め、その値をもとに関数値w(q)が最大となるm次元ベク
トルqを推定する。 《条件3》各要素xkの絶対値は| xk| ≦ckを満足する。 《条件4》また各要素xkは小数点以下a桁までの精度し
か持たないものとする。 というような手続きが取られる。このようm次元関数wの
最大値推定問題を対象として、図3、図4、図5のフロ
ーチャート図をもとに本発明の第1の実施の形態の動作
について説明する。
【0033】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定される。この設
定方法として様々な方法が考えられる。ここでは、求め
るm次元ベクトルqiの要素xi j(j=1,...,m)は小数点以下
1桁までの精度を持つ実数値であると仮定し、その値を
図7に示すように対応付けした長さBlenのビット列コー
ドに変換する。そして、ベクトルqiの各要素xi jをビッ
ト列コードに変換したものを順番に並べる形により解ベ
クトルpk(k=1,...,n)は表現されるものとする。なお、
ここでは解ベクトルをこのように固定長ビット列コード
により表現したが、解ベクトルの表現方法はこの方法に
限定されるものではなく、直接実数値を要素に持つ形の
まま扱うことも考えられる。
【0034】上述のビット列コードを用いた表現方法に
従い、[0,1)内の一様乱数rと(数1)をもとに、固定長
ビット列コードの形に表現された解ベクトルのl番目の
ビット(l=1,..,Blen×m)を求めることにより初期解ベク
トル集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。ここで(数
1)においてulは下位からl番目のビットにおける値を
表すものとする。
【0035】
【数1】
【0036】この初期解ベクトル集合Pより最適解ベク
トル推定が開始される。それとともに、重心推定部10
9で使用する基準適合度fth、重心移動部112で使用
する基準移動距離lengthの設定を行う。
【0037】評価値獲得部104は前述のように各解ベ
クトルpk(k=1,...,n)に対する評価値Ekを求める部分で
あり、例えば(数2)のような評価関数により求める。
【0038】
【数2】
【0039】ここで、qkは、解ベクトルpkを元のm次元
空間に戻した際の座標ベクトルであり、wt minは、集合P
における各解ベクトルpkをm次元空間座標に戻したとき
の関数値w(qk)の中で、更新回数l回とするとl回目まで
に得られた解ベクトル集合全体の中で最小となる値を表
す。(数2)より明らかのように、これまで得られた解
ベクトル集合内での関数値最小値からの差を集合全体で
正規化した値を表す。本実施の形態では、この評価値を
最大化する最大化問題として捉えることができる。
【0040】適応度計算部105では、評価値獲得部1
04で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性を
見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する関
数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=Ek
することにより評価値が高くなるほど適合度も高くな
り、最大値推定問題を取り扱うことが可能となる。
【0041】次に、更新方向判断部106の動作につい
て説明する。まず重心推定部109において、適合度計
算部105で得られた解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合
度fkと基準適合度fthが比較され、その値fthより大きな
適合度を持つ解ベクトル群P'=[pj l](j=1,..,p#num)を選
び出す。p#numはP'に属する解ベクトルの個数であり、
この時、重心ベクトルglは(数3)のように求められ
る。ここでlは遺伝的アルゴリズム部102における更
新処理の繰り返し回数を表す。
【0042】
【数3】
【0043】更新方向候補記録部110は、109で得
られたl回目における重心ベクトルg lと(l-1)回目におけ
る重心ベクトルgl-1の差分ベクトル△gl-1を求め更新方
向候補ベクトルv' l-1=△gl-1として記録する。更新方向
獲得部111では、更新方向候補記録部110で記録し
ている更新方向候補ベクトルv' lとv' l-1の方向の一致度
を評価されるが、2つのベクトルのなす角度θを求め、
その角度が予め与えられた一致判断角度θthと比較し、
その値より小さければ2つの更新方向候補ベクトルv' l
とv' l-1は同じ方向を向いていると判断される。θは
(数4)のように求めることができる。なお、cos-1
逆コサイン関数(逆予弦関数)を、(x,y)はベクトルxと
yの内積を、||x||はベクトルxのノルム(大きさ)を表
す。
【0044】
【数4】
【0045】もしv' lとv' l-1は同じ方向を向いていると
判断されれば、更新方向ベクトルvが得られたものとし
てv=v' lとなる。そしてこの場合、処理は方向適用更新
部107に処理が移る。一方、v' lとv' l-1は同じ方向で
はないと判断された場合、解ベクトル集合P内の解ベク
トルpkすべてn個は組み替え操作部108における遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの更新が
なされる。図8は以上の様子を模式的に表したものであ
る。
【0046】まず、更新方向ベクトルvが得られた場合
の処理について説明する。この場合、方向適用更新部1
07に処理が移る訳だが、その中では次の重心移動部1
12と重心周囲解ベクトル生成部113の順に処理が行
われる。重心移動部112では、更新方向ベクトルvの
指し示す方向に重心推定部109で計算した重心ベクト
ルglを移動させる処理を行う。ここでは簡単のために、
予め設定された平行移動距離lengthだけ移動させて新し
い重心ベクトルgl+1を推定する方法を取る。しかし、更
新方向ベクトルvの方向でPATAN法などの直線探索
方法を用いて評価値が最大となる点を求め、その点を改
めて重心ベクトルgl+1とする方法等も考えられる。重心
周囲解ベクトル抽出部113は、(数5)のように11
2で得られた新しい重心ベクトルgl+1を中心とした半径
a#lenの多次元空間での球内の領域に含まれる点をa#s個
任意に抽出し新しい解ベクトル集合の元とする。
【0047】
【数5】
【0048】a#s、a#lenはここでは予め設定された一定
値として考えるが、この値も動的に変化させる方法や、
この値を図7のようにビット列に変換して、解ベクトル
pkに加えて改めて解ベクトルと定義してやる方法も考え
られる。さらに、113では(n- a#s)個を次の組み替え
操作部108で行われる組み替え操作で生成する新しい
解ベクトル個数として設定する。
【0049】次に、組替え操作部108の動作について
説明するが、ここでは更新方向獲得部111または重心
周囲解ベクトル抽出部113で設定された解ベクトル個
数だけ、繰り返し回数lにおける解ベクトル集合P内の解
ベクトルの組み替え操作により新しい解ベクトルを生成
する。以下に、候補選択部201から解ベクトル抽出部
206における処理手順について説明する。まず、候補
選択部201において解ベクトルの選択淘汰が実行され
る。この場合、図9に表されるように適合度に比例する
確率で解ベクトルを選択するルーレット選択法が用いら
れる。
【0050】(ルーレット選択法) (i)集合Pに属する各解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合度f
k、全解ベクトルの適合度の総和fを求める。 (ii)pkが次世代の解ベクトルを作り出す親として選ばれ
る選択確率hkが(数6)のように求められる。
【0051】
【数6】
【0052】この確率を解ベクトルに割り当てるために
は例えば次のような方法が考えられる。 (iii)各解ベクトルの選択範囲Ikを[0,1)内の区間に(数
7)(数8)を用いて次のように割り当てる。つまり、
【0053】
【数7】
【0054】とする時、pkの選択範囲Ik
【0055】
【数8】
【0056】のように定義する。ここで、[0,1)内に一
様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)を発生させる。rj∈I
k(j,k=1,...,n)を満足するnumj=kの組Num=(num1,nu
m2,...,numn)を求めることにより、このNumに対応するn
個の解ベクトルの組が選択されることになる。
【0057】このようなルーレット選択法により、現在
の解ベクトル集団Pの中の解ベクトルpkの選択を行うの
である。まず、(数6)〜(数8)に従い選択範囲導出
部204が各解ベクトルが選択される確率hkとその選択
範囲Ikを求める。そして、乱数発生部205が0から1
の間の一様乱数rをn個発生する。乱数発生部205で得
られた乱数の組Rと選択範囲導出部204により得られ
る選択範囲Ikは、解ベクトル抽出部206へ送られrj
Ikを満足するnumj=kの組Numが求められる。それにより
解ベクトル抽出部206では、Numによって指定される
解ベクトルで構成される新しい解ベクトル集団Pを出力
するのである。この候補選択部201で得られる新しい
解ベクトル集団Pに対して、交叉処理実行部202が交
叉処理を行う。前述したように交叉処理としては様々な
方法があるが、本実施の形態では図72のような1点交
叉もしくは2点交叉処理を用いる。さらに突然変異処理
部203が、交叉処理実行部202を経て得られた新し
い解ベクトル集団に対して解ベクトルを構成する各ビッ
トが低い確率でビット反転を行う突然変異処理を実行す
るのである。その際、突然変異を行う確率は、解ベクト
ル集団の半分と残り半分では変動させることにより、よ
り解ベクトルの多様性に維持することに努めた。なお、
ここでは、求める解ベクトルはビット列コードに変換し
て扱っているが、前述のように多次元空間における座標
ベクトルの実数値要素をそのまま並べて解ベクトルとし
て扱うことも考えられる。この場合、交叉処理はビット
列コードの場合と同様な処理が施され、突然変異処理
は、ある低い確率で選ばれた遺伝子(多次元空間におけ
る座標ベクトルの要素)にある範囲内で与えられた乱数
を付加することによって実現される。
【0058】最後に遺伝的アルゴリズム部102の終了
条件について説明する。102の遺伝的組み替えによる
解ベクトル更新処理の終了条件としては様々なものが適
用される問題に応じて考えられるが、ここでは、 《終了条件1》適合度計算部105で得られた適合度fk
の最高値fmaxが収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》繰り返し回数lが終了更新繰り返し回数g
#numendを超えているかの2つの終了条件を設ける。そ
して、どちらの条件も満たさない場合にはもう一度評価
値獲得部104へ戻る。以上のような処理過程を終了条
件1または2のどちらかが満足されるまで繰り返し実行
することにより最適解ベクトルの推定を行うのである。
このように、解ベクトル集合内で適合度の高いグループ
の重心ベクトルの移動ベクトルに着目し、適合度の高い
解ベクトルが存在する分布すると思われる方向を推定し
た解ベクトル群の更新を行う。それとともに、元の解ベ
クトル集合を対象にした組み替え操作による解ベクトル
の最適化も同時に行うことにより、過去の解ベクトル更
新の履歴を利用した高速で効率的な最適解の推定を行う
ことができるのである。
【0059】以下、本発明に関連する第1の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。図10は、第1の例における最適化調
整装置の構成を示すものである。本例は、組み替え操作
を用いて局所的に解ベクトルの更新を行った後、再度組
み替え操作を用いて大域的な解ベクトルの更新を行うこ
とにより最適解ベクトルの推定を行うものである。
【0060】図10において、1001は初期解集合設
定部101で設定された初期解ベクトル集合P内の各ベ
クトルpk(k=1,...,n)の周囲に改めて初期解ベクトル群P
kを設定し、その初期解ベクトル群に属する解ベクトルp
k j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の問題に対する適合度fkjをも
とに解ベクトルの組み替え操作を予め設定された回数だ
け繰り返して適合度の高い解ベクトル群Pkを抽出する局
所更新部、1002は局所更新部1001で得られた複
数の解ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合してその集合
内の解ベクトルp* k(k=1,...,n*)の組み替え操作を行う
大域更新部である。局所更新部1001は、解ベクトル
集合P内の解ベクトルpkから局所的な解ベクトルの更新
を行う際の範囲を決定する局所更新設定部1003と、
1003で指定された範囲内で改めて初期解ベクトル群
Pkを生成するベクトル群設定部1004と、解ベクトル
pk j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の対象問題に対する評価値Ek j
を獲得する評価値獲得部104と、評価値獲得部104
で得られた評価値から各解ベクトルの適合度fk jを計算
する適合度計算部105と、適合度計算部105で得ら
れた適合度をもとに解ベクトル群内の解ベクトルの組み
替え操作を局所更新設定部1003で設定された範囲内
に含まれるように実行する局所組み替え操作部1005
と、一連の局所的な更新処理が予め与えられた繰り返し
回数を満足するかどうかの判断をする局所更新終了判断
部1006より構成される。一方、大域更新部1002
は、局所更新部1001で得られた解ベクトル群Pk(k=
1,...,n)を1つの集合P*=[p* i](i=1,...,n*)に統合する
集合統合部1007と、1007で得られた解ベクトル
集合P*を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更
新を行う大域組み替え操作部1008により構成され
る。さらに、局所組み替え操作部1005、大域組み替
え操作部1008ともに、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204と乱数
発生部205と解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0061】以上のように構成された第1の例における
最適化調整装置の動作を図11のフローチャート図をも
とに説明する。ここで、扱う具体的問題として本発明の
第1の実施の形態と同様に多次元関数wの最大値推定問
題を取り上げる。また、多次元空間における座標ベクト
ルを構成する各要素も同様に図7に記される方法により
ビット列コード表現され、このビット列が要素の順番に
従い並べられて形で遺伝的アルゴリズムで推定する解ベ
クトルを表現されるものとする。
【0062】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、局所更新設定部1003で使用する局所範囲半径b#
len、局所更新終了判断部1006で使用する局所更新
終了回数c#lthが設定される。局所更新設定部1003
では、初期集合Pにおけるpkを中心として、(数9)の
ように局所範囲半径b#len内の多次元空間内の球領域が
設定される。
【0063】
【数9】
【0064】なお、このc#lthはここでは固定とした
が、動的に変化させることも可能であり、例えばその値
をビット列変換して解ベクトルpkに加えることも考えら
れる。ベクトル群初期設定部1004では、1003で
設定された範囲より複数の解ベクトルを任意に抽出して
改めて初期解ベクトル群Pkを設定する。ここでは、中心
となった解ベクトルpkも含めてnk個の解ベクトルpk j(j=
1,...,nk)を抽出する。本例ではnk=nとする。評価値獲
得部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ek j
を求め、適合度計算部105が評価値Ek jより適合度fk j
を計算する。局所組み替え操作部1005は、105に
おける適合度をもとに(数9)で表される領域内に含ま
れるように解ベクトルの組み替え操作を行う。この処理
は本発明の第1の実施の形態における最適化調整装置の
組み替え操作部108と同じであるため省略する。この
1005における解ベクトル群Pkの更新の後、局所更新
終了判断部1006で局所更新回数c#lが局所更新終了
回数c#lthと比較してc#l≧c#l thを満足するかどうかを
判断する。もし満足すれば局所更新処理は終了する。満
足しない場合は、c#lには1が加算され、評価値獲得部
105から局所更新終了判断部1006の処理が繰り返
される。このようにして、初めに設定された初期解ベク
トル集合の周囲で遺伝的演算に基づく組み替え操作を行
ってより適合性の高い解ベクトルを探索することが行わ
れるのである。なお、1003におけるnkは、nk=nと設
定したが、元の解ベクトル集合P内の解ベクトルpkに対
して可変にすることも考えれる。また、局所更新回数c#
lに対しても動的に変化させることも可能である。
【0065】次に、大域更新部1002における処理に
ついて説明する。まず1001で抽出された各解ベクト
ル群Pk(k=1,...,n)を集合統合部1007が1つの集合P
*=[p * i](i=1,...,n*)に統合する。この際、全ての解ベ
クトル群Pk内の解ベクトルを適合度の高い順番にソーテ
ィングし、高い方から順にn*個の解ベクトルを選んで統
合集合Pを生成することが考えられる。大域組み替え操
作部1008は、1007で得られた解ベクトル集合P*
を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更新を行
う。その際、この処理は本発明の第1の実施の形態にお
ける最適化調整装置の組み替え操作部108と同じであ
るため省略する。図12は一連の様子を模式的に表す図
である。
【0066】最後に終了条件について説明する。終了条
件としては、本実施の形態1における最適化調整装置と
同様に収束判定適合度fendと終了更新繰り返し回数g#nu
mendの2つ値の比較条件が設定されている。具体的に
は、 《終了条件1》集合統合部1007において、各解ベク
トル群Pk内の解ベクトルpkiの持つ適合度の最高値fmax
が収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》局所更新部1001から大域更新部10
02における一連の更新の繰り返し回数lが終了更新繰
り返し回数g#numendを超えているかの2つの終了条件を
設ける。そして、どちらの条件も満たさない場合には局
所更新設定部1003へ処理が戻る。満足する場合に
は、最適解出力部103に処理が移り、最新の解ベクト
ル集合において最も適合度の高い解ベクトルが最適解ベ
クトルとして出力される。本例における第2の最適化調
整装置は以上のような処理過程を終了条件1または2の
どちらかが満足されるまで繰り返し実行することにより
最適解ベクトルの推定を行うものである。このように組
み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新を数回繰
り返し行った後に再び組み替え操作により大域的な解ベ
クトルの更新を行うことにより、遺伝的アルゴリズムの
持つ解ベクトルの大域的更新能力を損なわずに、局所的
な解ベクトルの更新能力を補強することができ、高速な
最適解の推定の実現が可能となる。
【0067】以下、本発明に関連する第2の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
13は、第2の例における最適化調整装置の構成を示す
ものである。本例は、解ベクトル集合内の各解ベクトル
をその近傍空間よりランダムに抽出したベクトル群と比
較して適合度の高いベクトル群を改めて更新処理の対象
となる解ベクトル集合に属する解ベクトルとして選び出
して組み替え操作の対象とすることを特徴とする。
【0068】図13において、1301は解ベクトル集
合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,n)の周囲から任意の解
ベクトルを選び出すための範囲設定を行う初期更新領域
限定部である。初期解ベクトル群抽出部1302は、初
期更新領域限定部1301で得られた範囲内に含まれる
解ベクトルを任意に抽出して解ベクトル群Pk(k=1,...,
n)を作成する。解ベクトル集合統合部1303は、各解
ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合するものであり、こ
のP*に対して組み替え操作が実行される。
【0069】以上のように構成された第2の例における
最適化調整方法と最適化調整装置の動作を図14のフロ
ーチャート図をもとに説明する。なお、扱う具体的問題
として本発明の第1の実施の形態、第1の例と同様に多
次元関数wの最大値推定問題を取り上げ、解ベクトルを
構成する各要素も同様に図7に記される方法によりビッ
ト列コード表現され、解ベクトルとしてはこのビット列
が多次元空間における座標ベクトルの要素の順番に従い
並べられた形で解ベクトルが表現される。
【0070】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、初期
更新領域限定部1301で使用する限定領域半径c#len
が設定される。限定領域の設定としては様々な方法があ
るが、初期更新領域限定部1301ではこのc#lenを使
い、初期解ベクトル集合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,
n)を中心にした多次元空間での球領域を設定する。次
に、初期解ベクトル群抽出部1302が各解ベクトルpk
を中心とした解ベクトル群Pkを設定する。この場合、各
球領域内から任意にnk個のベクトルを抽出して解ベクト
ル群を設定する。評価値獲得部104、適合度計算部1
05を経て、解ベクトル集合Pkにおける各解ベクトルpk
jごとに適合度fk j(j=1,...,nk)が計算される。解ベクト
ル集合統合部1303では、この適合度をもとに各解ベ
クトル群のを1つの集合P*に統合する処理を行う。図1
5はその様子を模式的に表す。その方法としては、本例
1のように、各解ベクトル群内の解ベクトルを適合度の
高い順に並べて、高い方からn*個選択する方法も考えら
れるが、この例では、組み替え操作部108における候
補選択部201で使用したルーレット選択法を用いてn*
個の解ベクトルを抽出する方法をとる。つまり、各解ベ
クトルpk jの選ばれる確率rk jとして、(数10)のよう
に各適合度fk jの総和f#tに対する比の値rk jを定義し、
その値をルーレットの占める範囲に割り当てる。そし
て、乱数により選ばれた値が止まる位置を占める解ベク
トルを抽出するという方法を用いるのである。こうする
ことにより、確率的に適合度の高いものが選ばれること
になる。
【0071】
【数10】
【0072】組み替え操作部108では本発明の第1の
実施の形態の場合と同様に、解ベクトル集合統合部13
03で得られた解ベクトル集合P*内の解ベクトルp* i(i=
1,...,n*)を対象として、ルーレット選択法による解ベ
クトルの選択淘汰、交叉処理、突然変異処理が候補選択
部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行部
203で実行されるのである。この方法は本第1の例に
おける最適化調整装置と比較すると、局所的な解更新能
力をできるだけ簡単な手順で実現するものである。
【0073】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。両方の条件を満足しない場合に
は、初期更新領域限定部1301に処理が戻る。以上の
ような処理過程をいずれか一つの終了条件を満足するま
で繰り返し実行することにより最適解推定を実行するの
である。このように、本発明の第3の最適化調整装置
は、解ベクトル集合内の各解ベクトルをその近傍空間よ
りランダムに抽出したベクトル群と比較して適合度の高
いベクトル群を改めて更新処理の対象となる解ベクトル
集合に属する解ベクトルとして選び出す。そして、出来
上がった解ベクトル集合を組み替え操作の対象とするこ
とにより、従来の遺伝的アルゴリズムでは欠如していた
局所的更新能力の弱さを解消することができる。
【0074】以下、本発明に関連する第3の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。図16は、本第3の例における最適化
調整装置の構成を示すものである。本例は、適合度をも
とに選択された解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出する
ことにより解集合全体の再設定を行い、各近傍ベクトル
群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行う
ことにより最適解の探索を行うものである。
【0075】図16において、1601は解ベクトル集
合全体の再設定を行う解集合再設定部、1602は解集
合再設定部1601で得られた各近傍ベクトル群内の解
ベクトルのみを対象とした組み替え操作により新しい解
ベクトル集合の生成をするグループ組み替え操作部であ
る。ここで、解集合再設定部1601は解ベクトル集合
全体から代表となる解ベクトルをいくつか選択する代表
解ベクトル選択部1603と代表解ベクトル選択部16
03で得られた各代表解ベクトルに対して、その近傍ベ
クトル群を抽出する近傍ベクトル群抽出部1604より
構成される。グループ組み替え操作部1602は候補選
択部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行
部203により構成され、候補選択部201は、選択範
囲導出部204と乱数発生部205と解ベクトル抽出部
206により構成される。
【0076】以上のように構成された第3の例における
最適化調整方法と最適化調整装置の動作を図17のフロ
ーチャート図をもとに説明する。ここで、扱う具体的問
題及び解ベクトルを構成する各要素の表現方法は本発明
の第1の実施の形態、第1の例から第2の例における場
合と同様である。
【0077】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、代表解ベクトルの数Ncと各代表解ベクトルを中心し
て抽出する近傍ベクトルの数Nsと近傍の定義を表す近傍
幅wi(i=1,...,Nc)が設定される。評価値獲得部104が
(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度
計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算する。
【0078】次に、解集合再設定部1601の動作につ
いて説明する。まず代表解ベクトル選択部1603にお
いて、解ベクトル集合から近傍ベクトル群を抽出するの
に必要とされる代表解ベクトルpi c(i=1,..,Nc)を選び出
す。この時、選択方法としては様々な手法が考えられる
が、本例ではグループ組み替え操作部1602を構成す
る候補選択部201で用いられているルーレット選択法
により確率的に適合度の高いベクトルを代表解ベクトル
として選び出すこととする。近傍ベクトル群抽出部16
04が、代表解ベクトル選択部1603で得られた代表
解ベクトルpi cに対して、各々、(数11)を満足する
近傍ベクトルpをNs個抽出することによりNc個の近傍ベ
クトル群を作成する。この(数11)は、実際の実数空
間にお
【0079】
【数11】
【0080】いて代表解ベクトルpi cを中心とした半径w
iの球内を表していおり、Ns個の近傍ベクトルを選び出
す方法としては(数11)に含まれる解ベクトルから一
様乱数を用いてランダムに選び出される。図18は以上
の様子を模式的に表現したものである。なお、本例で
は、(数11)のように近傍の判断として実際の実数空
間における解ベクトル間のユークリッド距離を用いた。
しかし、これに限定されるものではなく、ビット列コー
ドに変換表現した2つの解ベクトルx、yにおいて、右か
ら数えて下位のLbitビットを比較し、反転しているビッ
ト数をもとに近傍を定義することにより近傍を定義する
方法も考えられる。
【0081】以上のような解集合再設定部1601の処
理により、Nc個の近傍ベクトル群が抽出させる。グルー
プ組み替え操作部1602では、その各々の近傍ベクト
ル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行
う。その際、まず候補選択部201において、ルーレッ
ト選択法による解ベクトルの選択淘汰が各々の近傍ベク
トル群内を対象として行われ、候補選択部201で得ら
れた新しい近傍ベクトル群を対象とした交叉処理が交叉
処理実行部202で実行される。こうして各々の近傍ベ
クトル群独立に実行された組み替え操作により、新しい
解ベクトル集合が生成され、この解ベクトル集合に対し
て突然変異処理実行部203が突然変異処理を実行する
のである。
【0082】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。このように代表解ベクトルの近
傍からベクトル群を選び出しまとめることにより、局所
的な探索をより効率良く行うことができる。さらに各近
傍ベクトル群独立に組み替え操作を行うことにより、突
出した適合度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに
大きな影響を与えることも避けることができるのであ
る。
【0083】以下、本発明に関連する第4の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明し
ながら説明する。第4の例は、解ベクトル集合内の解ベ
クトル近傍を複数の領域に分割し、その中で平均適合度
の高い領域から任意に選び出す処理と並行して、元の解
ベクトル集合内の解ベクトルの組み替え操作による解ベ
クトル更新を行うように工夫したものである。図19
は、第4の例における最適化調整装置の構成を示すもの
である。更新領域分割部1901は解ベクトル集合内か
ら任意に選び出した2つの解ベクトルの近傍空間を複数
の領域に分割する処理を行い、平均適合度計算部190
2は更新領域分割部1901で分割された各領域内で複
数の解ベクトル点を抽出しその評価値、適合度の平均を
求める。さらに、適領域解ベクトル群抽出部1903は
1902で選ばれた領域から複数の解ベクトルを任意に
選び出すものであり、解ベクトル統合部1904は、組
み替え操作により生成された解集合と近傍領域探索によ
り更新された解ベクトル群を1つの集合P*に統合するも
のである。
【0084】以上のように構成された第4の例における
最適化調整方法及び最適化調整装置の動作を図20の処
理を表すフローチャート図をもとに説明する。なお、扱
う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の表現方
法は本発明の第1の実施の形態、第1から第3の例の場
合と同様である。
【0085】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解ベ
クトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価値
Ekより適合度fkを計算する。組み替え操作部108がこ
の適合度fkをもとに解ベクトル集合P内の解ベクトルpk
の遺伝的な組み替え操作を行う。その処理と並行して、
以下の処理がなされる。
【0086】まず、更新領域分割部1901では、解ベ
クトルpkとpmの間を結ぶ直線区間Lが設定できる。このL
は(数12)のように表現できる。ここでαは実数値で
ある。
【0087】
【数12】
【0088】この直線区間を次の3つの領域に分割す
る。 (1)α<0.0のpmを起点にしてpkから遠ざかる領域 (2)0.0≦α≦1.0のベクトルpkとpmの間の領域 (3)α>1.0のpkを起点にpmから遠ざかる領域 解ベクトルpkに対して、解ベクトル集合Pからランダム
にその相手となる解ベクトルpmが選択される。このよう
にして直線区間ではあるが、解ベクトルpkの近傍を分割
することができる。なお、pkを中心にした球領域を考
え、その領域を経度角度βにより分割することにより複
数領域に分ける方法も考えられる。平均適合度計算部1
902では、領域(1)(2)(3)各々よりnc個の解ベクトル
を選び出し、評価値そして適合度を計算する。そして、
各領域ごとに平均適合度fi me an(i=1,2,3)を導出するの
である。適領域解ベクトル抽出部1903は1902の
結果をもとに、最も平均適合度の高い領域を選択し、そ
こからランダムにnd個の解ベクトルを元に持つベクトル
群Pkを抽出する。図21はその様子を表しており、この
場合は領域(2)が選択されている。最新の解ベクトル集
合の中で最も適合度の高い解ベクトルが出力される。こ
の適領域解ベクトル抽出部1903で抽出された解ベク
トル群Pk(k=1,...,n)と組み替え操作部108で得られ
た新しい解ベクトル集合Pが1904の解ベクトル統合
部で1つの集合P*に統合される。この方法としては、本
実施の形態2における高い適合度の順に抽出する方法
と、本実施の形態3における適合度にルーレット選択法
を適用した確率的に適合度の高いものを選択する方法等
が考えられる。
【0089】前述までの例の場合と同様に、 《終了条件1》更新繰り返し回数lが更新終了繰り返し
回数g#numendをこえたかどうか 《終了条件2》最大適合度fmaxが収束判定適合度fend
超えたかどうかという2つの終了条件が設定されてお
り、どちらも満足しない場合にはもう一度評価値獲得部
104へ処理が戻り、どちらかが満たされれば、最適解
出力部103で最も適合度が高い解ベクトルが最適解と
して出力されるのである。以上のような処理過程を終了
条件を満足するまで繰り返し実行することにより最適解
の探索を行うのである。このように、解ベクトル集合内
の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並行して、
各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処理も同時
に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが持つ効率
的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補強するこ
とができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実行するこ
とができる。
【0090】以下、本発明に関連する第5の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
22は、第5の例における最適化調整装置の構成を示す
ものである。本例は、適合度の算術平均と標準偏差をも
とに解ベクトル集合を複数のグループに分割し、各グル
ープ内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行
うことにより最適解の探索を実行する。
【0091】図22において、2201は解ベクトル集
合全体を複数のグループに分割する解集合分割部であ
る。解集合分割部2201は解ベクトル集合全体を分割
する際の各領域を決定する分割領域決定部2202とそ
の結果をもとに解ベクトル集合を実際に複数のグループ
に分割する分割実行部2203より構成される。
【0092】以上のように構成された第5の例における
最適化調整方法と最適化調整装置の動作を図23のフロ
ーチャート図をもとに説明する。なお、扱う具体的問題
及び解ベクトルを構成する各要素の表現方法は前述まで
の第1の実施の形態、第1から第4までの例と同様であ
る。
【0093】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、解ベ
クトル集合分割条件として分割するグループ数Ngとその
分割に用いられる自然定数nが設定される。評価値獲得
部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求
め、適合度計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算
する。収束条件として、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは
適合度計算部105で得られた適合度fの最大値fmax
収束判定適合度f endを超えているかどうかという2つの
条件が設定されており、どちらかでも満足する場合は解
ベクトルの更新処理は終わり、最適解出力部103で最
も適合度の高い解ベクトルが出力される。
【0094】次に、解集合分割部2201の動作につい
て説明する。まず分割幅決定部2202が適合度計算部
105で求められた適合度fkの算術平均Aveとその標準
偏差σを計算する。そして、例えばNg=3の場合、図24
(a)の適合度fkに対する個体数分布を表す図のよう
に、Ave、σと初期解集合設定部101で設定された自
然定数nを用いて、 (A)fk>(Ave+σ×n)の領域 (B)(Ave-σ×n)≦fk≦(Ave+σ×n)の領域 (C)fk<(Ave-σ×n)の領域 の3つの領域を決定する。分割実行部2203が分割領
域決定部2202の結果を受けて、実際に解ベクトル集
合全体を分割する。図24(b)は実際の実数値空間に
おける分割された各グループの分布を模式的に表す図で
ある。ここで、本第3の例の場合は、現在の解ベクトル
集合の適合度をもとに検討した分布状況に関係なく代表
解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出しているが、本例で
は、現在の解ベクトル集合の中から適合度の分布状況に
従い抽出して分割を行っている点が大きく異なる。な
お、本実施の形態では、nを一定とみなしているが、こ
の値も動的に変化させることも考えられる。
【0095】グループ組み替え操作部1602では本第
3の例の場合と同様に、解集合分割部2201で得られ
た複数のグループ内の解ベクトルのみを対象として、ル
ーレット選択法による解ベクトルの選択淘汰、交叉処理
が候補選択部201、交叉処理実行部202で順番に実
行される。そして、新しく生成された解ベクトル集合全
体に対して突然変異処理実行部203が突然変異処理を
実行するのである。
【0096】以上のような解ベクトル集合の更新処理
を、前述の収束条件が満たされるまで繰り返し行うこと
により最適な解べくトルの推定を行うものであり、この
ように解ベクトル集合全体を適合度の平均と標準偏差を
もとに複数のグループに分割し、各グループ内に属する
解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を各グループ
独立に実行することにより、突出した高い適合度を持つ
解ベクトルや低い解ベクトルが別々のグループに分かれ
て組み替え操作を行われることになる。そのため、それ
らが解ベクトル集合全体にすぐに大きな影響を与えるこ
とを避けることができるし、また各グループ内の解の収
束も高速となり、効率良い最適解ベクトルの推定を行う
ことができるのである。
【0097】以下、本発明に関連する第6の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明し
ながら説明する。第6の例は、適合度を計算する度に適
合度の算術平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに
解ベクトル集合を複数のグループに分割するかどうかの
判断をすることにより組み替え操作対象を選択し、得ら
れた組み替え操作対象内の解ベクトルを対象とした組み
替え操作を行うことにより最適解探索を実行するもので
ある。図25は、第6の例における最適化調整装置の構
成を示すもので、2501は適合度の算術平均と標準偏
差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合全体を複
数のグループに分割するかどうかの判断を下す組み替え
対象制御部である。
【0098】以上のように構成された第6の例における
最適化調整方法及び最適化調整装置の動作を図26の全
体の処理を表すフローチャート図、図27の処理2を表
すフローチャート図をもとに説明する。なお、扱う具体
的問題及び解ベクトルを構成する各要素の表現方法は第
1の実施の形態、第1から第5における例の場合と同様
である。
【0099】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定されるとともに、解ベクトル集合分割条件として分割
するグループ数Ngとその分割に用いられる自然定数nが
設定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解
ベクトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価
値Ekより適合度fkを計算する。収束条件として、更新繰
り返し回数lが更新終了繰り返し回数g#numendをこえて
いるかどうか、もしくは適合度計算部105で得られた
適合度fの最大値fmaxが収束判定適合度fendを超えてい
るかどうかという2つの条件が設定されており、どちら
かでも満足する場合は解ベクトルの更新処理は終わり、
最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトルが出
力される。
【0100】本例は第5の例に解ベクトル集合の分割を
行うかどうかの制御機構2501を設けることにより、
無意味な分割(解ベクトル集合内の全ての解ベクトルの
適合度が非常に近い値を持つような場合)をすることに
よる効率のロスを避けることを目的とする。組み替え対
象制御部2501は、まず適合度計算部104で得られ
る適合度fkよりその平均Aveと標準偏差σを求める。そ
して、この値と最大・最小適合度をもとに解ベクトル集
合を複数のグループに分割するかどうかの判断を下すの
である。その判断基準として様々な基準が考えられる
が、本例では(数13)で表される条件を満足する時
に、解ベクトル集合を複数のグループに分割する必要が
あると判断するように定義する。
【0101】
【数13】
【0102】ここでfmaxは最大適合度、fminは最小適合
度、cfは適合度分布判断定数を表す。この判断基準の結
果に従い、2501は次のような動作を行う。 《判定1》分割しないと判断された場合には解ベクトル
集合全体を組み替え対象として組み替え操作部108へ
進む。 《判定2》分割を行うと判断された場合には解集合分割
部2201へ進む。この時、解ベクトル集合の分割方法
として適合度の平均値Aveと標準偏差σをもとに第5の
例の場合と同様な方法を用いる。
【0103】組み替え操作部108では、組み替え対象
制御部2501で得られた組み替え対象に対してルーレ
ット選択法による解ベクトルの選択淘汰が候補選択部2
01で実行され、1点もしくは2点交叉処理が交叉処理
実行部202で実行され、突然変異処理が突然変異処理
実行部203が実行されるのである。
【0104】そして本発明における第1の実施の形態、
第1から第5の例の場合と同様な収束条件により解ベク
トル集合の更新を続行するかどうかの判定を行う。以上
のような処理過程を繰り返し実行することにより最適解
ベクトルの推定を行うのである。このように、適合度の
算術平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに解ベク
トル集合を複数のグループに分割するかどうかの判断を
する。分割すると判断された場合には、解集合分割部が
解集合全体を複数のグループに分割し、そう判断されな
い場合は解集合全体を組み替え操作の対象とし、得られ
た組み替え処理対象に対して解ベクトルの選択と組み替
え操作を行うことにより適合度分布状況をもとに突出し
た高い適合度を持つ解ベクトルの有無を判断し、その影
響を低減するように組み替え処理対象を限定することに
より、効率良い最適解ベクトル推定を行うことができる
のである。
【0105】以下、本発明に関連する第7の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図
28は、第7の例における最適化調整装置の構成を示す
ものである。本例は、更新領域設定部で用いられる段階
収束基準として段階収束適合度とその値を満足する解ベ
クトル個体数を定義し、更新領域設定部において前記段
階収束基準を満足するごとに更新領域を局所的に限定す
るとともに段階収束適合度の精度を上げていくことによ
り最適解ベクトルの推定を実行するものである。
【0106】図28において、2801は段階収束基準
として設定された段階収束評価値とその値を満足する解
ベクトル個体数を評価し、その基準を満足する場合に探
索領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の精
度を上げていく更新領域設定であり、更新領域設定部2
801は、段階収束適合度flthとその値を満足する解ベ
クトル個体数Nlthを評価する段階収束判定部2802
と、段階収束判定部2802で収束と判断された場合に
更新領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の
精度を上げる収束基準変更部2803により構成され
る。
【0107】以上のように構成された第7の例における
最適化調整方法と最適化調整装置の動作について図29
のフローチャート図をもとに説明する。その際、扱う具
体的問題及び解ベクトルのコーディング方法については
第1の実施の形態、第1から第6の例と同様のものを用
いるとする。
【0108】まず、これまでの例と同様に初期解集合設
定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。この初期解ベクトル集合Pより最適解ベクト
ル推定が開始されるのである。それとともに、初期解ベ
クトルの更新領域と、初期段階収束基準が設定される。
段階収束基準は段階収束適合度flthとその値を満足する
解ベクトル個体数Nlthとして定義されており、初期段階
収束適合度flth0と収束判定のための初期個体数Nlth0
flth=flth0、Nlth=Nlth0のように設定される。また、初
期更新領域としては、係数に相当する長さBlenのバイナ
リーコードにおいて最上位Clenビットのみが有効でそれ
以下では0とみなすことにより表現される領域を対象と
する。
【0109】更新領域設定部2801では、まず段階収
束判定部2802において、105で得られた適合度fk
と段階収束適合度flthが比較され、fkがflthより大きく
なる解ベクトルの個数Nlを数える。この際、段階収束判
定部2802では段階収束適合度flthが予め設定された
収束判定適合度fendを超えているかかどうかを判断する
段階収束条件を設け、次のような判定がされる。 《判定1》Nl≧Nlthかつ段階収束条件を満足する場合、
最適解出力部103へ進む。 《判定2》Nl≧Nlthだが段階収束条件を満足しない場
合、収束基準変更部2803が段階収束適合度flth
(数14)に従い変更する。ここで、flth newが新しく
設定される段階収束適合度であり、flth prvが現在の段
階収束適合度、△flが予め設定された段階収束適合度の
変分量であり、正の実定数である。なお、ここでは△fl
は一定とみなすが、この値も動的に変化するように設定
することも考えられる。
【0110】
【数14】
【0111】収束基準変更部2803では、バイナリ変
換された各係数の現在の更新領域であるClenビットは、
その係数がflth prvを満足するベクトルに含まれる場合
は、そのまま保存される。一方、満足しないベクトルに
対しては、満足する複数のベクトルの中からランダムに
選ばれたベクトルが各係数の現在の探索領域であるClen
ビットにコピーされる。その後、各係数において次の下
位のClenビットにより表現される領域を改めて更新対象
領域とするのである。その際、更新対象領域より上のビ
ットは変更せず、また更新領域より下のビットは0とす
る。ここで、Clenビットの移動が、予め設定された、各
係数に割り当てられたBlenビットを超える時は、一番下
位ビットからClenビットを更新の対象とする。以上の処
理の後、再び段階収束判定部2802における判定を繰
り返す。 《判定3》Nl≦Nlthの場合、組み替え操作部108へ進
む。
【0112】図30は判定2で行う更新ビット選択処理
を実際の係数が取り得る実数値空間における更新領域に
展開して表している。解ベクトルの要素である係数は図
7で示されるようなビット列コード表現されているた
め、上位ビットの変動は実際の実数空間における係数の
大きな変動に相当し、下位ビットの変動は現在点を中心
とした局所的な変動に相当する。そのため、図30で明
かなように判定2で行う更新ビット選択処理は、はじめ
各係数が取り得る領域をあらく大域的に更新した後、抽
出された領域をさらに細分化して局所的に更新する過程
を繰り返すというように、段階的に更新領域を限定・細
部化して更新を行う過程に相当する。
【0113】解ベクトル集合内の解ベクトル更新の終了
を判断する収束条件としては、判定1及び判定2で使用
される段階収束条件と、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうかを判断する
条件が用意されている。この2つの条件が満足されるま
で、以上のような解ベクトルの更新処理を繰り返し実行
することにより最適解の推定を行うのである。このよう
にまず大域的に荒い解ベクトルの探索を行った後徐々に
局所的探索に移行することにより、従来問題とされてい
た最適解近傍における局所的な探索能力の甘さによる影
響を低減することが可能となり、効率良くかつ高速な最
適解探索を実現することができる。
【0114】なお本発明における第1の実施の形態、第
1〜7の例の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法
及び最適化調整装置では、多次元関数の最大値推定問題
を具体例として説明したが、前記巡回セールスマン問題
やある個数の品物を容量が限定されているナップサック
にできるだけ詰め込むことを求めるというナップサック
問題、与えられた多次元空間における複数点よりそれら
をうまく近似する多次元関数を求める多次元関数近似問
題、病院における看護婦の夜勤、深夜勤務スケジュール
を適切に計画するためのスケジューリング問題、航空機
等のパラメトリック設計等への適用も考えられる。1例
として次のように記述できる一次元関数近似問題が挙げ
られる。 《条件1'》所定の手続きまたは外部からの指示によ
り、t個の2次元ベクトルqi(xi, yi)(i=1,...,t)からな
る集合Qを作り出す。 《条件2'》(数15)のような(s-1)次関数を定義す
る。 《条件3'》条件1における2次元ベクトル集合Qを最も
近似する(数15)で表される(s-1)次関数の各項にお
ける係数aj(j=0,...,s-1)を(数16)を満足する範囲
内で求める。ここで、x∋xkを独立変数と、cjは係数aj
の絶対値の探索上限とみなす。
【0115】
【数15】
【0116】
【数16】
【0117】《条件4》ただし、条件1における2次元
ベクトルデータ数tは探索する係数ajの個数sよりもはる
かに大きいものとする。図31はこれを模式的に表現し
たものである。この場合、評価値獲得部104が例えば
(数17)のように、予め与えら
【0118】
【数17】
【0119】れた2次元ベクトルデータqi(xi, yi)と得
られた近似関数より推定されるベクトルデータoi(xi, z
i)の間の2乗誤差の総和(i=1,...,t)を評価関数として
用いることにより各解ベクトルpkに対する評価値Ekを求
める方法が考えられ、この一次元関数近似問題はこの評
価値を最小化する最小化問題として捉えることができ
る。 その時、適応度計算部105では、評価値獲得部
104で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性
を見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する
関数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=V-E
kとし、VはEkより大きい正の実定数とする。こうするこ
とにより、評価値が小さい程適合度は大きな値になるよ
うに変換することができる。
【0120】以下、本発明に関連する第1の例から第1
5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置につ
いて図面を参照して説明するが、この第1から第15の
例では、ユーザの評価をもとに最適な解ベクトルを推定
する対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0121】本発明に関連する第1の例における最適化
調整方法と最適化調整装置について図面を参照しながら
説明する。第1の例の最適化調整方法と最適化調整装置
は各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の
調整結果をもとに限定し、その領域内の解ベクトルを対
象として対話型遺伝的アルゴリズムにより最適な解ベク
トルの調整を行うものである。例1はその最適化調整方
法と最適化調整装置を視力の補正を行うレンズの調整に
応用した例である。
【0122】図32において、3201は対象とするデ
ータを入力する対象データ入力部、3202は解ベクト
ルの取り得る領域を限定する更新領域限定部、101は
調整する初期の解ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を
所定の手続きまたは外部からの指示により設定する初期
解集合設定部、3203は遺伝的組み替え操作等により
最適解ベクトルの調整を実際に行うメイン処理部、10
3は最適な解ベクトルを出力する最適解出力部、320
4は最適解出力部により出力された最適解ベクトルに従
い対象データ入力部3201で入力されたデータを扱う
機器の調整を行う機器調整実行部である。メイン処理部
3203は、ユーザに各解ベクトルの表す情報を提示し
各解ベクトルの評価をしてもらうユーザ評価部3205
と、ユーザ評価部3205で得られた評価値Ekをもとに
各解ベクトルのその問題に対する適合度fkを計算する適
合度計算部105と、適合度計算部105で得られた各
解ベクトルの適合度をもとに解ベクトルの選択淘汰と交
叉、突然変異等の組み替え操作処理を実行する組み替え
操作部108と、組み替え操作部1081で得られた解
ベクトルの集合において、更新領域限定部3202で設
定された解ベクトルの取り得る限定領域に属さない解ベ
クトルを限定領域内の任意のベクトルと取り替えること
により解ベクトルの集合を再設定する集合再設定部32
06により構成される。ユーザ評価部3205は、各解
ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部32
07と、ユーザが情報提示部3207で提示された情報
をもとに各解ベクトルの評価値を判定するユーザ評価判
断部3208により構成される。組み替え操作部108
は図2に示されるように、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204、乱数
発生部205、解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0123】以上のように構成された本発明に関連する
第1の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作について図33のフローチャートをもとに説明する。
まず、図72に示されるように、対象データ入力部32
01でユーザに提示するための検定画像が入力データと
して入力される。調整する解ベクトルpkは(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。ここで、レンズの度数は焦点距離(m)の逆
数Dを単位として持つ。そして近視を(-)、遠視(+)
の符号で表し、例えば焦点距離の遠点が50cmである近視
の場合には-2.0D(1m÷50cm)と表示され、矯正するレ
ンズの度数も-2.0Dが用いられる。なお、解ベクトルと
して実数値を要素に持つ形で取り扱うこととするが、図
7のように各実数値を対応した長さBlenのビット列コー
ドに変換しそのビット列コードを順番に並べる形に表現
することも考えられる。更新領域限定部3202では、
図73の概念図に示されるように、例えば過去の最適な
解ベクトルが解ベクトル空間に占める領域Φ内のみを探
索するように限定するのである。初期解集合設定部10
1では、この領域Φ内の解ベクトルを一様乱数を用いて
ランダムに選びだして解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。そして、この初期解ベクトル集
合Pより最適解ベクトルの調整が開始される。情報提示
部3207では、上述の解ベクトル集合Pの元である解
ベクトルpkにより表現される矯正用レンズに対象データ
入力部3201で入力される検定画像を通して見える調
整画像が提示され、これを見てユーザは各解ベクトルに
より作成される矯正用レンズの評価値Ekをユーザ評価判
断部3208で行う。適合度計算部105では、ユーザ
評価判断部3208で得られた評価値から、各解ベクト
ルの適合性を調べるための適合度fkを計算する。適合度
fkを導出する関数として様々なものが提案されている
が、ここではfk=Ekとする。
【0124】組み替え操作部108の動作については本
発明の第1の実施の形態、第1から第8の例の場合と同
様のため省略する。集合再設定部3206では、組み替
え操作により新しく得られた解ベクトル集合P内の解ベ
クトルにおいて更新領域限定部3202で設定した限定
領域Φに属さない解ベクトルを取り出し、限定領域Φ内
よりランダムに選択された解ベクトルを加えることによ
り解ベクトルを再設定し直すのである。 終了条件とし
て、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えていないか
が判断されるが、ユーザに評価をお願いする情報がユー
ザの満足に足るものかどうかも併せて確認する。どちら
も満足しない場合にはもう一度情報提示部3207へ戻
る。以上のような処理過程を繰り返し回数の終了条件か
ユーザの満足度を満たすまで繰り返し実行することによ
り、解ベクトルの最適化を実現するのである。そして最
適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトルが最適
解ベクトルとして出力され、その最適解ベクトルに従っ
て機器調整実行部3204が矯正レンズの調整を行うか
または指示するようになっている。このような処理を行
うことにより、ユーザの視力に基づく見え具合いに合わ
せて視力矯正のためのレンズの調整をユーザ自身が容易
に調整することが可能となる。そして、調整する解ベク
トルの探索領域をその特性や過去の調整結果をもとに限
定しその領域内の解ベクトルを対象とすることにより、
探索する必要がないと思われる領域での探索を削除する
ことが可能となり、最適な解ベクトルの調整を速やかに
行うことができる。
【0125】以下、本発明に関連する第2の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第2の例では、最適化調整方法と最適
化調整装置は記録されている過去の最適な解ベクトル情
報をもとに調整する解ベクトルの初期集合を設定し対話
型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な解ベクトルの導出
を行うものである。第2の例は、本発明に関連する第1
の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整に応用した
例である。図34は、本発明に関連する第2の例におけ
る調整装置の構成を表す。
【0126】図34において、3401は過去の調整に
より得られた最適な解ベクトルの記録している記録媒体
部、3402は記録媒体部3401から、保存されてい
る過去の最適な解ベクトル群を読み込む記録情報読込み
部、3403は記録情報読込み部3402で読み込んだ
過去の最適な解ベクトルから解ベクトルの初期集合Pに
用いるものを選択する初期解ベクトル選択部、3404
は初期解ベクトル選択部3403で選ばれた解ベクトル
にランダムに設定された解ベクトルを加えて解ベクトル
の初期集合を設定する初期解ベクトル補充部、3405
は最適解出力部103で出力されたユーザにとって最適
な解ベクトルを記録媒体部3401に記録する最適解ベ
クトル記録部である。
【0127】以上のように構成された本発明に関連する
第2の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図35のフローチャートをもとに説明する。
【0128】まず、対象データ入力部3201でユーザ
に見せる検定画像データが入力される。調整する解ベク
トルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調整
方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用いら
れる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズの
度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用いら
れる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズの
度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により表
される。記録情報読込み部3402は記録媒体部340
1に記録されている過去の調整により得られた最適な解
ベクトル群を読み込む。初期解ベクトル選択部3403
が、記録情報読込み部3402で得られた過去の最適解
ベクトル群よりns個選択し、次の初期解ベクトル補充部
3404が(n-ns)個の一様乱数によりランダムに設定さ
れた解ベクトルを加えて解ベクトルの初期集合Pを作成
する。もし記録媒体部3401にns個だけの情報がない
場合は、記録されているだけの解ベクトルが初期解ベク
トル選択部3403で選択され、解ベクトルの初期集合
の元の個数がn個になるように初期解ベクトル補充部3
404で設定される。情報提示部3207における矯正
レンズを通した調整画像の提示とーザ評価判定部におけ
る各解ベクトルの評価値の判定、そして適合度計算部1
05における各解ベクトルの適合度の計算と組み替え操
作部108で解ベクトルの組み替え操作が行われ新しい
解ベクトル集合が生成される。
【0129】終了条件としては、本発明に関連する第1
の例における最適化調整方法と最適化調整装置の場合と
同様に、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えていな
いかを判断することと、ユーザに評価をお願いする情報
がユーザの満足に足るものかどうかを確認することが挙
げられる。どちらも満足しない場合にはもう一度情報提
示部3207へ戻る。以上のような処理過程を繰り返し
回数の終了条件かユーザの満足度を満たすまで繰り返し
実行することにより、解ベクトルの最適化を実現するの
である。そして最適解出力部103で最も評価値の高い
解ベクトルが最適解ベクトルとして出力され、その最適
解ベクトルに従って機器調整実行部3204が矯正レン
ズの調整を行うかまたは指示するようになっている。そ
の際次の調整を行う際の開始点となるように、最適な解
ベクトルを最適解ベクトル記録部3405が記録媒体部
3401に記録しておくのである。
【0130】このような処理を行うことにより、ユーザ
の視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯正のための
レンズの調整をユーザ自身が容易に調整することが可能
となる。さらに、記録されている過去の最適な調整情報
をもとに解ベクトルの初期集合を設定してユーザにとっ
て好ましくない解ベクトルを排除して探索することによ
り、最適な解ベクトルの調整が効率よく行うことがで
き、各解ベクトルの評価をする際のユーザ負担の軽減に
つながると考えられる。
【0131】以下、本発明に関連する第3の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第3の例の最適化調整方法と最適化調
整装置はユーザの生理情報をもとに推定した心理状況を
もとにユーザの評価値の補正を行い、その補正評価値を
もとに対話型遺伝的アルゴリズムにより最適な解ベクト
ルの調整を行うものである。例2は、本発明に関連する
第1の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整問題を
扱う。図36は、本発明に関連する第3の例における最
適化調整装置の構成を表す。
【0132】図36において、3601は各解ベクトル
の表す情報をユーザが評価する際の生理データよりユー
ザの心理状況を推定するユーザ心理推定部、3602は
得られた心理状況をもとにユーザの判定した各評価値の
補正を行う評価値補正部である。ユーザ心理推定部36
01は、実際に各解ベクトルの表す情報をユーザが評価
する際の生理データを計測する生理データ測定部360
3と、その生理データをもとにユーザの心理状況を推定
する心理推定実行部3604より構成される。
【0133】以上のように構成された本発明に関連する
第3の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図37のフローチャートをもとに説明する。
【0134】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。初期解集合設定部101において、解ベクト
ルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまた
は外部からの指示により設定される。情報提示部320
7において、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを
通して見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユ
ーザ評価判断部3208において各解ベクトルによる調
整画像の見え具合いを評価する。それとともに、生理デ
ータ測定部3603で、各解ベクトルによる調整画像を
評価する際のユーザの生理データを測定する。測定する
生理データとしては、様々なデータ(皮膚電極抵抗、呼
吸量、脈拍、血圧、眼球運動、脳波等)が考えられる
が、ここでは目のまばたき回数と発汗量を用いる例につ
いて説明する。
【0135】図75(a)に示されるように、人間の場
合、見ている対象がおもしろいか、興味があるとか、あ
るいは注意を引くときにはまばたきは抑制され、普段よ
りまばたきの発生頻度が低くなる。そしてこのような状
態から解放されると、今度は逆に抑制された分をとりも
どすかのように頻繁に起こり、やがてもとに戻るといっ
た結果が出ている。これを利用すると、ユーザのまばた
き発生頻度neyeが予め設定された許容まばたき頻度neye
thより大きい場合には、ユーザの関心が低いと判断する
ことができる。また、図(b)のように、緊張したり動
揺したりすると発汗量が大きくなり、皮膚電極抵抗は大
きく変動する。心理推定実行部3604ではこれらの判
断を行うのである。まず、心理推定実行部3604でユ
ーザの関心が低いと判断された場合には、解ベクトルpk
の評価値Ek(k=1,...,n)に対して、平均評価値Eave、標
準偏差σEを求め、次のような補正を行う。 (i) 0.0 < Ek-Eave ≦σEを満たす場合、Ek←Ek+補正
量△Ecor 1 (ii)0.0 < Eave-Ek ≦σEを満たす場合、Ek←Ekー補正
量△Ecor 1 一般に関心が低い場合、ユーザ評価値の変動は小さくな
りやすいと考えられるが、(i)(ii)の補正により評価値E
kを広く分布させてやることができ、そのことが遺伝的
アルゴリズムによる最適な解ベクトルの調整には有効で
ある。また、動揺していると判断された場合には、 (iii) Ek-Eave ≧σEを満たす場合、Ek←Ekー補正量△E
cor 2 (iv) Eave-Ek ≧σEを満たす場合、Ek←Ek+補正量△E
cor 2 の補正を行う。これは(i)(ii)の補正とは逆に、動揺し
ている影響によりユーザ評価の変動が大きくなるやすい
ことを抑制する効果を期待している。なお、(i)から(i
v)の補正において、Ek>最大可能評価値EAmaxの時Ek=E
Amaxとし、Ek<最小可能評価値EAminの時Ek=EAminとす
る。
【0136】適合度計算部105で評価補正部3602
で得られた補正評価値をもとに適合度を計算し、組み替
え操作部108で選択的淘汰、交叉処理、突然変異処理
の解ベクトルの組み替え操作が行われる。提示情報部に
おける調整画像の提示から組み替え操作までの処理は、
繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、ユーザに
評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが作成
されるまで繰り返し実行される。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が視力矯正用のレンズの調整を行うかまた
は指示するようになっている。このように、ユーザが評
価を行っている際の生理データをもとに常にユーザの心
理状況を推定し、その推定結果をもとにユーザの評価値
を補正するため、ユーザの評価におけるゆらぎの影響を
軽減させることができ、環境に左右されないでユーザの
状況(聴力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を実現
することができる。
【0137】以下、本発明に関連する第4の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第4の最適化調整方法と最適化調整装
置は対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザが各自に
とって最適な解ベクトルを探索する際の調整の履歴をも
とにユーザの調整過程の評価モデルを推定するものであ
る。例3は、本発明に関連する第1の例と同様に視力の
補正を行うレンズの調整問題を扱う。図38は本発明に
関連する第4の例における調整装置の構成を表す。図3
8において、3801はメイン処理部3203で得られ
たユーザの調整過程に関する評価モデルを表現すること
のできるパラメータの組を出力する評価モデル出力部、
3802はユーザに各解ベクトルの表す情報を提示して
ユーザに評価してもらい、その評価値と対応する解ベク
トルを記録するといった処理を行う第2ユーザ評価部、
3803は記録されているユーザの調整の履歴が予め設
定された評価モデル推定条件を満足するかどうかの判定
を行う評価モデル推定判定部、3804は評価モデル推
定判定部3803で評価モデル推定条件を満足すると判
定された場合に、調整履歴記録部で記録されているユー
ザの調整の履歴をもとにこのユーザの調整過程に関する
評価モデルを推定するモデル推定実行部である。第2ユ
ーザ評価部は、ユーザに各解ベクトルの情報を提示する
情報提示部3207と、情報提示部3207で提示され
た情報よりユーザに各解ベクトルの評価をお願いするユ
ーザ評価判断部3208と、ユーザ評価判断部3208
で得られた評価値と対応する解ベクトルを記録する調整
履歴記録部3805より構成される。
【0138】以上のように構成された本発明に関連する
第4の例における調整装置の動作を図39のフローチャ
ートをもとに説明する。
【0139】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。初期解集合設定部101において、解ベクト
ルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまた
は外部からの指示により設定される。情報提示部320
7において、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを
通して見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユ
ーザ評価判断部3208において各解ベクトルによる調
整画像の見え具合いを評価する。調整履歴記録部380
5はユーザ評価判断部3208で得られた評価値と対応
する解ベクトルを記録する。そして、評価モデル推定判
定部3803が、評価モデル推定条件を満足するかどう
かの判定を下すのである。評価モデル推定条件として
は、様々なものが考えられるが、loopを第2ユーザ評価
部3802から組み替え操作部108まででの処理が通
して行われた場合に1回として数える繰り返し回数、lo
opthを予め設定された許容繰り返し回数と定義した場合
のloop≧loopthを評価モデル推定条件をする。これは、
ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定するにはあ
る程度以上のデータが必要であろうという仮定に基づく
ものである。
【0140】評価モデル推定判定部3803で、繰り返
し回数loopの評価モデル推定条件を満足しない場合に
は、適合度計算部105における各解ベクトルの適合度
の計算と組み替え操作部108で解ベクトルの組み替え
操作が行われ新しい解ベクトル集合が生成され、その新
しい解ベクトル集合をもとに再び情報提示部3207
で、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して見
える調整画像がユーザに提示される。逆に、評価モデル
推定判定部3803で、繰り返し回数loopの評価モデル
推定条件を満足する場合には、モデル推定実行部380
4において、調整履歴記録部3805に記録されている
ユーザの調整の履歴を用いて、このユーザの評価モデル
の推定が実行される。ユーザの調整過程に関する評価モ
デルの推定方法にも様々な手法が考えられるが、ここで
は図76で表されるようなニューラルネットワークを用
いることとする。本例のニューラルネットワークは、図
のように、入力層、中間層、出力層から構成されるフィ
ードフォワード型のネットワークである。入力層は6×n
個のニューロンより構成される。解ベクトルpk=
(LSPH k、LCYL k、LAXIS k、RSPH k、RCYL k、RAXIS k)(k=
1,...,n)の成分の値と(n-1)個のベクトル差分pk - pl=
(LSPH k-LSPH l、LCYL k-LCYL l、LAXIS k-LAXIS l、RSPH k-R
SPH l、RCYL k-RCYL l、RAXIS k-RAXIS l)(k,l=1,...,n,l≠
k)の成分の値が入力される。出力層は、n個の元を持つ
解ベクトル集合内の順位に相当するn個のニューロンよ
り構成される。入力層の出力は中間層、出力層へと伝わ
りネットワークの出力が得られる。各ニューロンは次の
(数18)に従い、出力oiが計算される。
【0141】
【数18】
【0142】(数18)においてoiが各ニューロンiの
出力、wijが結合荷重、xjが他のニューロンからの入
力、θiがスレッシュホールドである。非線形関数fは、
(数19)に示すシグモイド関数である。
【0143】
【数19】
【0144】各ニューロンが(数18)・(数19)に
示す計算を行って結果を出力する。
【0145】モデル推定実行部3804では、ユーザの
調整過程を吸収できるように本ニューラルネットワーク
の学習を行うのである。つまり、解ベクトルpkの6個の
成分と解ベクトル集合内の他の解ベクトルplとの差分成
分6×(n-1)から、解ベクトル集合内におけるpkの順位を
判断することができるようにネットワークの結合荷重を
変化(学習)させるのである。その際、調整履歴記録部
3805に記録されている評価値より求められるその解
ベクトルの順位に対応する出力ニューロンに教師信号と
して1を与え、その他の出力ニューロンには0を教師信号
として与えることにより学習が行われ、(数20)に示
した出力信号と教師信号の誤差を小さくする方向に、
(数21)のように各ニューロンの結合荷重を変更する
バックプロパゲーション法が学習方法として用いられ
る。
【0146】
【数20】
【0147】ここで、outがネットワークの出力信号、t
argetが教師信号である。
【0148】
【数21】
【0149】ここで、Δwij(n)は結合荷重の変更度、
α、ηは適当な正の実数、nloopは学習の回数、∂Err /
∂wijは、各結合荷重の変更がネットワークの出力誤差
に与える感度を表す。(数21)において第1項が誤差
を小さくする荷重変更方向、第2項が慣性項である。こ
のようにして学習することにより得られたニューラルネ
ットワークの各結合荷重の値wijを評価モデル出力部3
801が出力するのである。以上のように、対話型遺伝
的アルゴリズムを用いてユーザが各自にとって最適な解
ベクトルの調整を行う際の調整の履歴をもとにユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定することができ、こ
の評価モデルを用いて逆に与えられた解ベクトルの評価
も推定することができる。なお、本例でのニューラルネ
ットワークは、シグモイド関数を用いたニューロンにバ
ックプロパゲーションによる学習方法を適用したが、本
発明はこの学習方法に限定されるものではない。例え
ば、共役勾配法、準ニュートン法等を利用した学習方法
等の適用も考えられる。また、3層のフィードフォワー
ド型のネットワークだけでなく、本発明に関連する第5
の例で説明する学習ベクトル量子化を用いたネットワー
クの適用や、出力層から入力層へのフィードバック結合
をもつニューラルネットワークの適用も考えられる。
【0150】以下、本発明に関連する第5の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。本発明に関連する第5の最適化調整方
法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを用い
て複数のユーザによる解ベクトルの最適化を行う際の調
整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通モ
デルを推定するものである。例5は、本発明に関連する
第1の例と同様に視力の補正を行うレンズの調整問題を
扱う。図40は本発明に関連する第5の例における調整
装置の構成を表す。図40において、4001はメイン
処理部3203で得られた複数ユーザの調整過程に関す
る共通モデルを表現することのできるパラメータの組を
出力する共通モデル出力部、4002はあるユーザによ
る調整の終了条件を満足するかどうかの判断を行うユー
ザ調整終了判断部、4003は得られた複数ユーザの調
整の履歴より調整過程に関する共通モデルの推定を行う
共通モデル推定部である。共通モデル推定部4003
は、調整履歴記録部3805に記録されている複数のユ
ーザの調整の履歴が予め設定された共通モデル推定条件
を満足するかどうかの判定を行う共通モデル推定判定部
4004と、共通モデル推定条件を満足する場合に実際
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの推定を行
う共通モデル推定実行部4005より構成される。
【0151】以上のように構成された本発明に関連する
第5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図41、42のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0152】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明の第1の例における最適化調整方法と
最適化調整装置の場合と同様である。つまり、解ベクト
ルはpk=(LSPH k, LCYL k, LAXI S k, RSPH k, RCYL k,
RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部101に
おいて、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が設
定される。情報提示部3207において、各解ベクトル
により作られる矯正レンズを通して見える調整画像がユ
ーザに提示され、ユーザはユーザ評価判断部3208に
おいて各解ベクトルによる調整画像の見え具合いを評価
する。調整履歴記録部3805はユーザ評価判断部32
08で得られた評価値と対応する解ベクトルを記録す
る。ユーザ調整終了判断部4002では、今調整を行っ
ているユーザの場合の繰り返し回数loopが許容繰り返し
回数loopthを越えたかという条件について判断する。こ
の条件を満足しない場合には、適合度計算部105、組
み替え操作部108における処理を経て新しい解ベクト
ル集合を生成する。そして再び、第2ユーザ評価部38
02へと戻り、各解ベクトルのユーザによる評価を行
う。逆に、ユーザ調整終了判断部4002での終了条件
を満足する場合には、共通モデル推定判定部4004に
おいて、調整履歴記録部3805で記録されている複数
ユーザの調整履歴が予め設定された共通モデル推定条件
を満足するかどうか判定する。この共通モデル推定条件
にはいろいろな条件が考えられるが、ここではできるだ
け多くのユーザに共通な調整過程の特性をつかむという
目的から、調整処理が利用したユーザ数が設定された許
容調整利用ユーザ数を越えるかどうかを共通モデル推定
条件に選んだ。
【0153】ここで、もし調整が終ったユーザ数が少な
い場合には、初期解集合設定部102に戻り、別のユー
ザによる視力矯正レンズの調整という作業が開始され
る。もし、調整利用ユーザ数が許容調整利用ユーザ数を
越えた場合には、複数ユーザの共通モデルを推定するこ
とのできるだけのデータが揃ったとして共通モデル推定
実行部4005で実際に共通モデルの推定が行われる。
本発明に関連する第4の例における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様に、共通モデルの推定方法に
は多くの方法が挙げられるが、ここでもニューラルネッ
トワークを用いて共通モデルを推定することとする。図
77は、本例の複数ユーザの調整過程に関する共通モデ
ル推定に用いるニューラルネットワークの概念図であ
る。ここで、本発明に関連する第4の例における最適化
調整方法と最適化調整装置で用いたバックプロパゲーシ
ョン法による階層型ニューラルネットワークによるパタ
ーン分類に基づくモデル推定ではなく、比較的簡単な学
習アルゴリズムでサンプル数が少なくとも高度なパター
ン分類ができる学習ベクトル量子化法によるニューラル
ネットワークを適用した。しかし、本発明に関連する第
4の例の場合のように、バックプロパゲーション法によ
り階層型ニューラルネットワークの適用等も考えられ
る。
【0154】例5におけるニューラルネットワークは、
図77に示すように、入力層ニューロン数6、出力ニュ
ーロン数nの2層構造である。入力ニューロン数6は今評
価したい解ベクトルpkの成分数であり、出力ニューロン
数nはn個の元を持つ解ベクトル集合内におけるpkの順位
に相当する。これは、つまり入力された解ベクトルを1
からnまでの順位カテゴリに分類することを示してい
る。
【0155】解ベクトルp(p1,p2,...,pn)を入力ベクト
ルとし、解ベクトル集合でm番目の順位カテゴリに対応
する入力ベクトルをpm(m=1,...,n)とし、さらに結合係
数をW ij(i,j=1,2,...,n)とする。
【0156】この共通モデル推定実行部4005では、
このニューラルネットワークに複数ユーザの調整の履歴
を学習させることにより、共通モデルの推定を行う。本
例のニューラルネットワークは、結合係数Wijを構成す
るn個のベクトルWi(Wi1, Wi2,...,Win)を用いて、入力
ベクトルである解ベクトルpの空間をn個の領域に分割す
る働きをする。このn個の結合係数ベクトルは参照ベク
トルと呼ばれ、各領域に1つの参照ベクトルが対応させ
られる。そして、この参照ベクトルはその対応した領域
内に含まれるすべての解ベクトルに対する最近接ベクト
ルい相当する。ここで、ベクトルWiの中で入力ベクトル
pと最も距離の近いベクトルをベクトルWcとすると、
(数22)のようになり、また、出力層ニューロンiか
らの出力uiは(数23)のようになる。
【0157】
【数22】
【0158】
【数23】
【0159】学習はこのベクトルWcのみを更新すること
により行われ、この更新量ΔWcは次の(数24)に従い
実行される。
【0160】
【数24】
【0161】η(nloop)は学習回数nloopに従い単調減少
する学習係数(0<η(nloop)<1)である。(数24)は、
参照ベクトルWcは、正しく分類された場合は入力ベクト
ルpmに近づき、分類されていない場合にはpmより遠ざか
ることにより領域境界面を形成することを示す。このよ
うに学習過程では、実際に分類したい解ベクトルを入力
学習ベクトルとして、その入力学習ベクトルを充分多く
与えることにより行われる(学習ベクトル量子化法)。
このように共通モデル推定実行部4005では、調整履
歴記録部3805で記録された多くのユーザによる調整
の履歴を用いて、例えば本例のニューラルネットワーク
の学習を行い、入力された解ベクトル解ベクトル集合内
の1からnの順位カテゴリに分類できるように処理がされ
る。そして、共通モデル出力部4001では、そのニュ
ーラルネットワークの結合係数Wijが推定された共通モ
デルを表すパラメータとして出力される。以上のような
処理により、本発明に関連する第5の最適化調整方法と
最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複
数のユーザにより行われた解ベクトル最適化の履歴より
調整過程に関する共通モデルを推定するものであり、複
数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出することができ
る。
【0162】以下、本発明に関連する第6の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
6の最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的
アルゴリズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトル
の調整を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に
関する共通モデルを更新するものである。例6は、本発
明に関連する第1の例と同様に視力の補正を行うレンズ
の調整問題を扱う。図43は本発明に関連する第6の例
における最適化調整装置の構成を表す。図43におい
て、4301は以前に得られている複数のユーザの調整
過程に関する共通モデルを用いて各解ベクトルの評価値
を計算する共通モデル評価計算部、4302はユーザに
共通モデル評価計算部4301で得られた評価値が適切
であるかの判定をお願いする共通モデル評価判定部、4
303は調整履歴記録部3805で記録されているユー
ザの調整の履歴をもとにこれまで使用していた複数ユー
ザの調整過程に関する共通モデルの更新を行う共通モデ
ル更新部である。共通モデル更新部4303は、調整履
歴記録部3805に記録されているユーザの調整の履歴
が予め設定された共通モデル更新条件を満足するかどう
かの判定を下す共通モデル更新判定部4304と、共通
モデル更新条件を満足する場合に、記録されているユー
ザの調整の履歴を用いて共通モデルの更新を実際に行う
共通モデル更新実行部4305より構成される。
【0163】以上のように構成された本発明に関連する
第6の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図44、45のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0164】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,
n)が設定される。共通モデル評価計算部4301におい
て、例えば本発明に関連する第5の最適化調整方法と最
適化調整装置を用いて得られた複数ユーザの調整過程に
関する共通モデルを用いて、各解ベクトルpkの評価値Ek
を計算する。そして情報提示部3207において、各解
ベクトルにより作られる矯正レンズを通して見える調整
画像がユーザに提示され、ユーザはそれをもとに共通モ
デル評価計算部4301での評価値が適切かどうかの判
定を行うのが共通モデル評価判定部4302である。も
し適切という判断がなされた場合、次に適合度計算部1
05、組み替え操作部108による解ベクトルの組み替
え操作により新たな解ベクトル集合が生成される。その
際、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、また
はユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足る
ものが作成されたかという終了条件を満足する場合は、
最適解出力部103、機器調整実行部3204と経て視
力矯正レンズの調整を実行するかその指示を出すなどの
処理を行い終える。この終了条件が満足されない場合
は、再び、共通モデル評価計算部4301に戻って新た
な解ベクトルの評価値の計算を解しするのである。
【0165】一方、共通モデル評価判定部4302でユ
ーザが共通モデルによる評価値を適切でないと判定した
場合、処理は第2ユーザ評価部3802に移り、これま
で同様にユーザ自身が各解ベクトルの評価とその評価値
と解ベクトルの記録を行う。共通モデル更新条件とし
て、調整履歴記録部3805で記録された新たにユーザ
により行われた調整の履歴が許容調整履歴数を越えたか
どうかを考え、その判定を共通モデル更新判定部430
4が行う。あらたに記録された調整の履歴が少ない場
合、つまり共通モデル更新条件を満たさない場合には、
そのまま共通モデルの更新は行われず、適合度導出、組
み替え操作を行い新たな解ベクトル集合を生成する。逆
に、共通モデル更新条件を満たす場合には、調整履歴記
録部3805に記録された調整の履歴をもとに共通モデ
ル更新実行部4305が以前に推定された複数ユーザの
調整過程に関する共通モデルを実際に更新する。その方
法としていろいろな方法が挙げられるが、本発明に関連
する第4、第5の最適化調整方法と最適化調整装置の例
で説明したニューラルネットワークによるモデル推定方
法も考えられる。そこで、本例でもその方法を用いるこ
ととし、ニューラルネットワークの構成、学習方法、教
師信号等は省略する。
【0166】共通モデル更新実行部で得られた新たな共
通モデルは、すぐさま従来の共通モデルと取り替えら
れ、共通モデル評価計算部4301で使用される。以上
のような処理を行うことにより、本発明に関連する第6
の例における最適化調整方法と最適化調整装置は、ユー
ザにとって最適な解ベクトルの調整を実行するととも
に、複数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新
するように働くため、ユーザが全ての解ベクトルによる
情報を評価する必要がなくユーザに与える負担を軽減す
ることが可能となる。
【0167】以下、本発明に関連する第7の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について図を参照しな
がら説明する。第7の最適化調整方法と最適化調整装置
は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの調整過
程に関する評価モデルを推定し、得られた評価モデルを
用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行うものであ
る。第6の例は、本発明に関連する第1の実施の形態と
同様の問題を扱う。図46は第6の例における最適化調
整装置の構成を表す。図46において、4601はユー
ザによる評価を行うか評価モデルによる評価を行うかの
選択を行う方法選択スイッチ、4602は調整履歴記録
部3805で記録されたユーザの調整の履歴よりユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定する評価モデル推
定部、4603は得られたユーザの調整過程に関する評
価モデルを用いて各解ベクトルの評価値を計算するモデ
ル評価計算部である。そして、評価モデル推定部460
2は、調整履歴記録部3805で記録されているユーザ
の調整の履歴が予め設定された評価モデル推定条件を満
足するかどうかの判定を行い、満足する場合には方法選
択スイッチ4601に切り替えを指示する方法切り替え
判定部4604とモデル推定実行部3804より構成さ
れる。
【0168】以上のように構成された本発明に関連する
第7の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図47、48のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0169】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様である。
つまり、解ベクトルはpk=(LS PH k, LCYL k, LAXIS k, RSPH
k, RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定
部101において、解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。方法選択スイッチでは、ユーザ
による評価を行うか評価モデルによる評価を行うかの選
択が行われる。処理の開始時点で第2ユーザ評価部38
02が選択される。情報提示部3207では、各解ベク
トルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画像
がユーザに提示され、ユーザ評価判断部3208ではそ
れをもとに各解ベクトルの評価を行う。この評価値と対
応する解ベクトルは調整履歴記録部3805で記録され
る。調整履歴記録部3805に記録されている履歴が予
め設定された評価モデル推定条件を満足すると方法切替
え判定部4604で判定された時、モデル推定実行部3
804がユーザの調整過程に関する評価モデルを推定す
る。それとともに方法切り替え判定部4604では、方
法選択スイッチ4601に評価方法の切り替えを指示す
る。この指示を受けて以後はユーザによる評価を行う第
2ユーザ評価部3802に代わり、モデル評価計算部4
603において、モデル推定実行部3804で得られた
ユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベク
トルの評価が行われる。評価モデル推定条件、モデル推
定実行部3804については、本発明に関連する第3の
例における最適化調整方法と最適化調整装置と同様であ
るので省略する。モデル評価計算部4603もしくはユ
ーザ評価判断部3208で得られた各解ベクトルの評価
値をもとに適合度計算部105が各解ベクトルの適合度
を計算し、その適合度をもとに組替え操作部108が各
解ベクトルの算術的な組み替え操作を行う。
【0170】以上のような処理を、予め設定された、繰
り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、またはユー
ザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが
作成されたかという終了条件を満足するまで繰り返し行
うことにより、最適な解ベクトルを求める。そして、そ
の最適な解ベクトルは最適解出力部103で出力される
とともに、機器調整実行部3204で視力矯正レンズの
調整を実行するかその指示を出すなどの処理を行うので
ある。このような一連の処理により、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデル
を推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な
解ベクトルの調整を行うことが可能となり、対話型遺伝
的アルゴリズムを実用化する際の問題とされていたユー
ザに与えられる負担を軽減し効率よくユーザの好みに最
適調整された機器を実現することができるのである。
【0171】さらに、本発明に関連する第8から第14
の例における最適化調整方法と最適化調整装置におい
て、ユーザの好みに合わせた文字のフォントを作成する
問題に適用した例も考えられる。以下、第8から第14
の例の最適化調整方法と最適化調整装置をこの個人用文
字フォント作成に適用した場合について説明する。
【0172】文字フォントとして、文字の輪郭は仮想的
な座標空間上の曲線として定義され、その曲線上より選
ばれた節点si(i=1,...,m)のx,y座標データにより表現さ
れるアウトラインフォントがよく用いられる。例え
ば、"b"という文字をアウトラインフォント表現する場
合、13個の黒丸の節点siの座標により表現される。そ
してこれらに節点の座標から、輪郭の残りの線がある曲
線式により補間されているのである。その曲線式とし
て、2、3次スプライン関数や3次のベジェ曲線等が用
いられるが、ここでは(数25)の3次関数を用いて節
点間の曲線近似を行う。
【0173】
【数25】
【0174】(数25)において、(Xa,Ya)、(Xb,Yb)は
アウトラインフォント表現された文字の節点a、bの座
標を表し、(X,Y)は節点a、bの間の補間点の座標を表
す。またα、β、γ、δは任意の実数値をとる係数を表
す。(数25)におけるα、β、γの式は近似曲線が節
点a、bの両点を通るための必要条件である。これらの
ことを考慮して、文字フォントを生成するための解ベク
トルpkは予めアウトラインフォント表現により得られる
節点si(i=1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ysiと、節点siとs
i+1間の近似曲線の係数αi、βi、γi、δiを節点の順
番に並べることにより構成されている。対象データ入力
部3201には、アウトラインフォント表現された検定
文字群のデータが入力される。情報提示部3207で
は、各解ベクトルを用いてアウトラインフォントにより
表現された検定文字群より調整文字群を作成し画面上に
提示して、ユーザ評価判断部3208において各解ベク
トルの評価値を判定してもらうのである。本発明に関連
する第1の最適化調整方法と最適化調整装置の場合、各
解ベクトルの取り得る限定領域を決める更新領域限定部
3202が設けられているが、ここでは節点si(i=
1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ys iが(数26)により表現
される領域Λになるよう限定する。
【0175】
【数26】
【0176】ここで、(xi0,yi0)は最初に対象データ入
力部3201へ入力されたアウトラインフォントにより
表現された検定文字群の節点の座標データを表し、ri
各節点が取り得る円領域Λの半径を表している。これ
は、実際に解ベクトルより得られるアウトラインフォン
ト文字を画面上に表示した際に全く異なった文字もしく
は画像としか見えないような場合を排除するために、各
節点の動くことのできる領域を限定したものである。ま
た、最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力された後、その最適解ベク
トルに従って機器調整実行部3204が個人用に作成し
たアウトラインフォントを用いて文字を表示できるよう
に、文字出力手段の調整を行うかまたは指示する。本発
明に関連する第8から第14の例の調整装置において、
残りの構成要素は前述の例8から例14と同じように動
作するため、説明は省略する。しかし、本発明に関連す
る第8から第14の最適化調整方法と最適化調整装置を
この問題に適用した本例においても、何等専門的知識が
なくてもユーザの好みに基づく文字フォントの生成が可
能となるとともに、探索に不必要な領域での探索を削除
したりユーザの調整の履歴より調整過程の評価モデルを
作成しそのモデルを使って自動的に調整を行う等のこと
により、効率良く最もユーザが好むような文字フォント
を作成することのできる最適解ベクトルを導出すること
ができる。その結果、従来の技術で問題であった評価を
行うユーザの負担を軽減することが可能となると考えら
れる。
【0177】以下、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第15の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加えることにより最
適な解ベクトルの調整を行うものである。例15は伝達
時における情報欠損等により歪んだ音声の音質を改善す
る問題に適用した例である。図49は本発明に関連する
第15の例における調整装置の構成を表す。
【0178】図49において、4901はユーザに各解
ベクトルの表す時系列情報を提示し、ユーザに評価して
もらう時系列評価実行部である。時系列評価実行部49
01は、ユーザに各解ベクトルの表す時系列情報を提示
する情報提示部3207と、情報提示部3207により
提示された複数の時系列情報を比較評価する際の、ユー
ザの記憶を助ける役目を持つ補助情報を提示する補助情
報提示部4902と、ユーザに実際に各解ベクトルを評
価してもらうユーザ評価判断部3208と、ユーザ評価
判断部32084で得られた評価値をもとに各時系列情
報と補助情報を提示する順番を変える情報並び替え部4
903より構成される。
【0179】以上のように構成された本発明に関連する
第15の例における最適化調整方法及び最適化調整装置
の動作を図50のフローチャートをもとに説明するが、
ここでは図78に示される手順で行われる歪音声の音質
改善問題に適用した例について説明する。この問題にお
ける目的は、歪音声をユーザに聞いてもらい、各自のそ
の音の聞こえ具合をもとに音質を改善するような歪改善
フィルタの係数を調整してもらうことである。最初に、
図78に示されるように、対象データ入力部3201
で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が入力
される。歪音声の音質を改善する方法としていろいろな
方法があると思われるが、本例では、図のようにFIRフ
ィルタ(有限区間インパルス応答フィルタ:Finite Impu
lse Responseフィルタ)を歪改善フィルタとして用い歪
音声の音質を改善する方法を考える。そして、対話型遺
伝的アルゴリズムにより段数がstepであるFIRフィルタ
のフィルタ係数ベクトルa=(a0,a1,...,astep)を調整す
ることとする。そのため、調整する解ベクトルpkはこの
フィルタ係数aiを並べることにより定義される。解ベク
トルにおいて、各フィルタ係数はこれまでの例と同様に
実数値のまま取り扱うが、aiを例えばBlenの2進数に変
換してこの2進数を並べて扱うことも可能である。初期
解集合設定部101では、この定義に従い解ベクトルの
初期集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。情報提示部
3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フィ
ルタを用意し対象データ入力部3201で入力された歪
音声をフィルタリング処理することにより得られる歪改
善音声をユーザに提示する。
【0180】しかし、そのままn個分の歪改善音声を提
示しても、各音声の違いを比較評価することはnの数が
大きくなればなるほど困難となる。画像や図形のような
静的なデータは同時にディスプレイなどの上に空間的に
並べることができるため、比較評価しやすい。それに対
して、音声を扱う場合、2つの音声の比較評価はできる
が、それ以上の個数になると比較評価することは非常に
難しくなる。これは、ユーザがあまりに多くの音声を聞
いたために混乱してしまい、各音声間の違いを聞き分け
ることができなくなることに起因する。そこで、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報を提示する。提示する補助情報としてはい
ろいろな情報が考えられるが、本例ではフィルタ係数を
顔を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメ
ータに変換することにより得られる顔画像を用いる(図
79)。この顔自身は、歪改善後の音声の音質には何の
関係もないが、ユーザがn個の歪改善音声を同時に比較
評価する際の記憶の手助けとなると考える。これらの情
報をもとに、ユーザ評価判断部3208で各解ベクトル
の評価値がユーザにより判定される。さらに、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われる。これによ
りユーザは各歪改善音声の優劣を視覚的に並び替えるこ
とが可能となり、ユーザの評価におけるゆらぎの影響の
低減につながる。この時系列評価実行部4901内の処
理はユーザによる評価が終了するまで繰り返し行われ
る。
【0181】こうして得られた評価値より、適合度計算
部105が各解ベクトルの適合度を計算し、組み替え操
作部108がその適合度をもとに各解ベクトルの組み替
え操作を行うのである。以上の処理は、繰り返し回数lo
opが許容繰り返し回数loopthより大きくなるか、ユーザ
が歪改善音声に満足するまで行われ、機器調整実行部3
204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構
成され、歪音声の音質改善を実現するのである。以上の
ように、時系列信号を扱う問題において、各解ベクトル
の比較・評価する際の手助けをする情報と提示する順番
の並び変えを行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加
えることにより最適な解ベクトルの調整を行うことによ
り、これまで画像のように静的なデータにしか適用され
なかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのよ
うな動的データへ適用することができるようになる。そ
の結果、例えば補聴器の装置者の聴覚特性に応じた調整
でも、わざわざ専門的知識を有する調整者のところまで
出向く必要はなく、ユーザである難聴者自身が容易に調
整できる。そして、従来は音量の調整しかできなかった
が、本例の調整装置を用いれば、聞こえ具合いが変わっ
ても、すぐ自分の聞こえ具合いに合わせて音質調整を行
うことができるようになるのである。
【0182】以下、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第16の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を持ち、解ベクトルの探索領域をその特性や過去の
調整結果をもとに限定し対話型遺伝的アルゴリズムによ
り最適な解ベクトルの調整を行うものである。第16の
例では、例15の場合と同様に歪音声の音質改善をする
フィルタ作成問題を扱う。図51は本発明に関連する第
16の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0183】図51を見て明らかなように、例16の最
適化調整装置は本発明に関連する第8の例における調整
装置に、本発明に関連する第15の例における最適化調
整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成にな
っている。
【0184】また、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整装置の動作は図52のフローチャートに従
い、本発明に関連する第8の例における最適化調整装置
のフローチャートと比較すると、対象データ入力部32
01で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が
入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタ
の係数aiを並べることにより定義されること、情報提示
部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フ
ィルタを用意し対象データ入力部3201で入力された
歪音声をフィルタリング処理することにより得られる歪
改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部49
02より各音声の比較評価を容易にするための補助情報
としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明に関連する
第8の例における最適化調整方法や調整装置の場合と同
様のため省略する。
【0185】しかし、図52のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えるとともに、調整する解ベクトルの取
り得る領域を限定して不要な領域における探索処理の手
間を省くことにより、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
て時系列情報のような動的なデータの調整を効率的に行
うことができる。このように本発明に関連する第16の
例における最適化調整方法と最適化調整装置は第8と第
15の例における最適化調整方法と最適化調整装置の効
果を組み合わせた効果を持つ。
【0186】以下、本発明に関連する第17の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第17の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、記録されている過去の調整情報をもと
に解ベクトルの初期集合を設定し対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いて解ベクトルの最適化を行うものである。例
17では、例15の場合と同様に歪音声の音質改善をす
るフィルタ作成問題を扱う。図53は本発明に関連する
第17の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0187】図53を見てわかるように、例17の最適
化調整装置は本発明に関連する第8の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第15の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0188】また、本発明に関連する第17の例におけ
る最適化調整装置は図54のフローチャートに従って動
作を行い、本発明に関連する第8の例における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャートと比較すると、
対象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損
等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクト
ルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義
されること、情報提示部3207では、各解ベクトルよ
り構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部
3201で入力された歪音声をフィルタリング処理する
ことにより得られる歪改善音声をユーザに提示するこ
と、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容
易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成
する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変
換することにより得られる顔画像を提示すること、情報
並び替え部4903において、ユーザ評価判断部320
8で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声と
その補助情報である顔画像の並び替えが行われること、
時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価
が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部
3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが
構成され、歪音声の音質改善を実現することが異なって
いるのみである。残りの構成要素と処理の流れについて
は、本発明に関連する第8の例における調整装置の場合
と同様のため省略する。
【0189】しかし、図54のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えることにより、ユーザの評価における
負担を軽減できる。また、探索を開始する初期集合に過
去の最適な解ベクトルを複数用いて解ベクトルの最適化
を行うことにより、時系列情報のような動的なデータの
調整に対しても効率よく対話型遺伝的アルゴリズムを適
用することができる。このように本発明に関連する第1
7の例における最適化調整方法と最適化調整装置は第8
と第15の例における最適化調整方法と最適化調整装置
の効果を組み合わせた効果を持つものである。
【0190】以下、本発明に関連する第18の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第18の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、ユーザの生理情報をもとに推定した心
理状況をもとにユーザの評価値を補正し、その評価値の
補正値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適
な解ベクトルの導出を行うものである。例18では、例
15の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作
成問題を扱う。図55は本発明に関連する第18の例に
おける最適化調整装置の構成を表す。
【0191】図55を見てわかるように、例18の最適
化調整装置は本発明に関連する第10の例における最適
化調整装置に、本発明に関連する第15の例における最
適化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構
成になっている。
【0192】また、本発明に関連する第18の例におけ
る最適化調整装置の動作は図56のフローチャートに従
い、本発明に関連する第10の例における最適化調整装
置のフローチャートと比較すると、対象データ入力部3
201で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声
が入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィル
タの係数aiを並べることにより定義されること、情報提
示部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善
フィルタを用意し対象データ入力部3201で入力され
た歪音声をフィルタリング処理することにより得られる
歪改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部4
902より各音声の比較評価を容易にするための補助情
報としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明に関連する
第10の例における最適化調整方法と最適化調整装置の
場合と同様のため省略する。
【0193】しかし、図56のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えることにより、ユーザが各解ベクトル
を評価する際の負担を軽減できるとともに、評価を行う
ユーザの心理状況を推定しその影響を補正していること
から、ユーザの心理状況(興奮、無関心等)による評価
のゆらぎをできるだけ抑えた解ベクトルの最適化を行う
ことができる。このように本発明に関連する第18の例
における最適化調整方法と最適化調整装置は第10と第
15の例の効果を組み合わせた効果を持つ。
【0194】以下、本発明に関連する第19の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第19の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して
用いることにより、ユーザの調整の履歴をもとにユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定するものである。
例19では、例15の場合と同様に歪音声の音質改善を
するフィルタ作成問題を扱う。図57は本発明に関連す
る第19の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0195】図57を見てわかるように、例19の最適
化調整装置は本発明に関連する第11の例における調整
装置に、本発明に関連する第15の例における最適化調
整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成にな
っている。
【0196】また、本発明に関連する第19の例におけ
る最適化調整装置は図58のフローチャートに従って動
作を行うものであり、本発明に関連する第11の例にお
ける最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対
象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等
により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトル
pkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義さ
れること、情報提示部3207では、各解ベクトルより
構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3
201で入力された歪音声をフィルタリング処理するこ
とにより得られる歪改善音声をユーザに提示すること、
補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易に
するための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なっている
のみである。残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明に関連する第11の例における最適化調整方法と
最適化調整装置の場合と同様のため省略する。
【0197】しかし、図58のフローチャートのよう
に、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情
報の提示と、評価値による提示する順番の並び変えを対
話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いるとともに、ユ
ーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に関する評
価モデルを推定するものであり、これまで困難であった
ユーザの嗜好の様子を時系列情報の調整においても知る
ことができる。このように本発明に関連する第19の例
における最適化調整方法と最適化調整装置は、第4の例
における最適化調整装置を時系列信号問題にまで適用で
きるように拡張した機能を合わせ持っているのである。
【0198】以下、本発明に関連する第20の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第20の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫
して用いることにより、記録されている複数のユーザの
調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通
モデルを推定するものである。例20では、例15の場
合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題を
扱う。図59は本発明に関連する第20の例における最
適化調整装置の構成を表す。
【0199】図59を見てわかるように、例20の最適
化調整装置は本発明に関連する第5の例における最適化
調整装置に、本発明に関連する第15の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0200】また、本発明に関連する第20の例におけ
る最適化調整装置は図60、61のフローチャート図に
従って動作を行うものであり、本発明に関連する第12
の例における最適化調整装置のフローチャート図と比較
すると、対象データ入力部3201で、伝達時における
情報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、調整する
解ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることに
より定義されること、情報提示部3207では、各解ベ
クトルより構成される歪改善フィルタを用意し対象デー
タ入力部3201で入力された歪音声をフィルタリング
処理することにより得られる歪改善音声をユーザに提示
すること、補助情報提示部4902より各音声の比較評
価を容易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔
を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメー
タに変換することにより得られる顔画像を提示するこ
と、情報並び替え部4903において、ユーザ評価判断
部3208で判定された各評価値をもとに比較する歪改
善音声とその補助情報である顔画像の並び替えが行われ
ること、時系列評価実行部4901内の処理はユーザに
よる評価が終了するまで繰り返し行われること、機器調
整実行部3204で得られた最適な解ベクトルの表すフ
ィルタが構成され、歪音声の音質改善を実現することが
異なっているのみである。残りの構成要素と処理の流れ
については、本発明に関連する第12の例における最適
化調整方法と最適化調整装置の場合と同様のため省略す
る。
【0201】しかし、図60、61のフローチャート図
のように、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用い、記録さ
れている複数のユーザの調整の履歴をもとに複数ユーザ
の調整過程に関する共通モデルを推定することにより、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムだけでは困難であった
複数のユーザによる時系列信号を扱う際の嗜好の共通因
子を抽出することができる。
【0202】以下、本発明に関連する第21の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第21の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的ア
ルゴリズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの
導出を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に関
する共通モデルを更新するものである。例21では、例
15の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作
成問題を扱う。図62は本発明に関連する第21の例に
おける最適化調整装置の構成を表す。
【0203】図62を見てわかるように、例21の最適
化調整装置は本発明に関連する第13の例における最適
化調整装置に、本発明に関連する第15の例における最
適化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構
成になっている。
【0204】また、本発明に関連する第21の例におけ
る調整装置の動作は図63、64のフローチャートに従
うものであり、本発明に関連する第13の例における最
適化調整装置のフローチャートと比較すると、対象デー
タ入力部3201で、伝達時における情報欠損等により
歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪
改善フィルタの係数aiを並べることにより定義されるこ
と、情報提示部3207では、各解ベクトルより構成さ
れる歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3201
で入力された歪音声をフィルタリング処理することによ
り得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する目、
口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換するこ
とにより得られる顔画像を提示すること、情報並び替え
部4903において、ユーザ評価判断部3208で判定
された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその補助
情報である顔画像の並び替えが行われること、時系列評
価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終了す
るまで繰り返し行われること、機器調整実行部3204
で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成さ
れ、歪音声の音質改善を実現することが異なっているの
みである。残りの構成要素と処理の流れについては、本
発明に関連する第13の例における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。
【0205】しかし、図63、64のフローチャートの
ように、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変え
を行う機能により、対話型遺伝的アルゴリズムを従来不
向きであった時系列情報の調整に適用するとともに、複
数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新するよ
うに働くことによりユーザの負担を軽減することができ
る。
【0206】以下、本発明に関連する第22の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第22の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデルを
推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な解
ベクトルの調整を行うものである。例22では、例15
の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問
題を扱う。図65は本発明に関連する第22の例におけ
る最適化調整装置の構成を表す。
【0207】図65を見てわかるように、例22の最適
化調整装置は本発明に関連する第14の例における最適
化調整装置に、本発明に関連する第15の例における最
適化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構
成になっている。
【0208】また、本発明に関連する第22の例におけ
る最適化調整装置の動作は図48、66のフローチャー
ト図に従うものであり、本発明に関連する第14の例に
おける最適化調整装置のフローチャートと比較すると、
対象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損
等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクト
ルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義
されること、情報提示部3207では、各解ベクトルよ
り構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部
3201で入力された歪音声をフィルタリング処理する
ことにより得られる歪改善音声をユーザに提示するこ
と、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容
易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成
する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変
換することにより得られる顔画像を提示すること、情報
並び替え部4903において、ユーザ評価判断部320
8で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声と
その補助情報である顔画像の並び替えが行われること、
時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価
が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部
3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが
構成され、歪音声の音質改善を実現することが異なって
いる。残りの構成要素と処理の流れについては、本発明
に関連する第14の例における最適化調整方法と最適化
調整装置の場合と同様のため省略する。
【0209】しかし、図48、66のフローチャート図
のように、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺
伝的アルゴリズムに加えるとともに、得られたユーザの
調整の履歴を用いてユーザの調整過程の評価モデルを生
成し、ユーザによる評価の代わりにこの評価モデルを用
いて解ベクトルの最適化を自動的に行うようにすること
により、これまで画像のように静的なデータにしか適用
されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データ
のような動的データの調整にも効率的に適用でき、また
評価を行うユーザの負担を大きく軽減することが可能と
なる。
【0210】さらに、本発明に関連する第15から第2
2の例における最適化調整方法と最適化調整装置におい
て、図80のように難聴者であるユーザの聴覚特性に合
わせた補聴器の特性調整の問題に適用する例を考えるこ
とができる。以下では、本発明に関連する第15から第
22の例の最適化調整方法と最適化調整装置をこの補聴
器の装置者の特性に合った調整に適用した場合について
説明する。
【0211】通常、補聴器の特性調整は、125Hzから800
0Hzにおける純音を聞かせた時の、周波数f(Hz)における
最小可聴値(聞こえる一番パワーの小さい音)の強さLf
(dB)と、最大可聴値(耐えることのできる一番パワーの
大きい音)の強さHf(dB)、そして通常に聞こえる音の強
さ(dB)Mfを複数周波数における値をもとに補聴器の利得
を調整することにより行われている。125Hzから8000Hz
を3つに区分して、各周波数領域でmear点ずつ上述の3
つの値を取り出すとすると、特性調整に用いられるパラ
メータは3×mearになる。これに加えて、 (i)子音はエネルギーが小さく、子音に続く母音にマス
クされてしまうので、子音部分を強調してマスクされて
もなお、子音が聞き取れるだけの大きさにする必要があ
る。 (ii)人間の耳による音声の聞こえ具合いに大きく影響し
ている低周波数成分(ホルマント成分)を強調した方
が、聞こえ易い。 の2点を考慮することにより、より自然な音声を補聴器
により実現することができる。(i)の場合、子音強調す
るときの度合の限界Plimit(dB)と、子音から母音への移
行部をどれだけ強調し続けるかを決める強調のリリース
タイムtrel(msec)により制御できる。また(ii)の場合、
低域周波数における音声のスペクトルの山(ホルマン
ト)に対して谷を抑制するPsup(dB)と、抑制を掛ける周
波数幅fwid(Hz)により制御できると考えられる。そこ
で、これらの4つのパラメータを先ほどの3×mearのパ
ラメータに加えて解ベクトルpを定義する。対象データ
入力部3201では、検定音声が入力される。情報提示
部3207では、各解ベクトルで表現された補聴器に対
象データ入力部3201で入力された検定音声を通して
得られる調整音声をユーザに提示する。特に、解ベクト
ルを構成するパラメータ間にはある関係が存在してお
り、パラメータの取り得る領域は限られていると思われ
るので、本発明に関連する第9の例における最適化調整
方法と最適化調整装置の特徴である限定された領域内で
の解ベクトルの調整が大きな意味を持つと考えられる。
最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトルが最
適解ベクトルとして出力され、その解ベクトルをもとに
補聴器の特性調整が機器調整実行部3204で行われ
る。ここで、補助情報提示部4902は、例えば例16
の場合と同様にこれらのパラメータより得られる顔画像
を扱うものとする。
【0212】以上のように設定してた本発明に関連する
第15から第22の例における最適化調整方法と最適化
調整装置を考えた場合、歪音声の音質改善フィルタ作成
問題の場合と同様に、ユーザに何等専門的知識がなくと
もユーザの聴力特性に合わせた聞こえ具合いに基づく補
聴器の作成を行うことができる。また、本発明に関連す
る第19の例におけるユーザの調整過程に関する評価モ
デルの最適化調整方法と最適化調整装置や第20の例に
おける複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの最適
化調整方法と最適化調整装置を用いれば、各パラメータ
間の関係を明確に記述することも可能であると思われ
る。
【0213】なお、本発明の第1の実施の形態、第1例
から第22例における最適化調整方法と最適化調整装置
では、解ベクトルの選択淘汰としてルーレット選択法を
使用したがこれに限定されるものでなく、適合度の高く
優秀な解ベクトルの次に新しく作られる解ベクトル集合
にそのままコピーするエリート戦略法を組み合わせた
り、適合度の値は用いずその順位だけに目を付ける線形
正規化方法等の適用も考えられる。また、ユーザによる
評価の場合にも、本発明では最大可能評価値EAma xから
最小評価値EAminの間における値を連続値を評価値とし
て考えたが、ユーザに同時に提示されているn個の解ベ
クトルの相対評価をもとにした段階評価値、例えばn個
の解ベクトルの順位を評価値とするようなことも考えら
れる。さらに、解ベクトルがビット列コード表現されて
いる場合に、交叉処理においても本例における1点もし
くは2点交叉処理のみならず、図74に示されるような
シンプレックス交叉処理の適用も考えられる。図74に
示されるようにシンプレックス交叉処理では、 (i)まず適合度の高い2つの解ベクトルと低い1つの解
ベクトルが選択確率部で用いた確率により選択される。 (ii)適合度の高い2つの解ベクトルを比較して、対応す
るビット列コードの値が一致する場合はその値を採用す
る。もし一致しない場合は、低い適合度の解ベクトルの
対応するビットの値の否定を採用することにより、新し
い解ベクトルが作り出される。
【0214】というような処理が実行される。シンプレ
ックス交叉処理により1点もしくは2点交叉処理より
も、より解ベクトルの多様性を保持した調整ができ局所
解に陥りにくいという利点がある。
【0215】以上のことから、本発明に関連する第8の
例の最適化調整方法と最適化調整装置は、各調整するパ
ラメータの更新領域をその特性や過去の調整結果をもと
に限定しその領域内の解ベクトルを対象として対話型遺
伝的アルゴリズムを用いることにより、調整する必要が
ないと思われる領域での調整を削除することが可能とな
り、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことができ
る優れた効果を有する。
【0216】また、本発明に関連する第9の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いる際に、記録されている過去の調整情報をもと
に解ベクトルの初期集合を設定してユーザにとって好ま
しくない解ベクトルを排除して調整することにより、最
適な解ベクトルへの収束が早くなるとともに各解ベクト
ルの評価をする際の負担を軽減することができる優れた
効果を有する。
【0217】また、本発明に関連する第10の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、ユーザの生理情報をも
とに推定した心理状況をもとにユーザの評価値を補正す
ることによりユーザの評価におけるゆらぎの影響を軽減
させるため、心理に左右されないでユーザの状況(聴
力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を対話型遺伝的
アルゴリズムにより実現することができる優れた効果を
有する。
【0218】また、本発明に関連する第11の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いてユーザが各自にとって最適な解ベクトルの
調整を行う際に得られる調整の履歴をもとにユーザの調
整過程に関する評価モデルを推定するものであり、ユー
ザのこの問題に対する嗜好の様子を知ることができる優
れた効果を有する。
【0219】また、本発明に関連する第12の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いて複数のユーザにより行われた解ベクトル最
適化の履歴より調整過程に関する共通モデルを推定する
ものであり、複数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出
することができる優れた効果を有する。
【0220】また、本発明に関連する第13の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの調整を
速やかに実行するとともに、複数のユーザの調整過程に
関する共通モデルを更新するように働くため、ユーザが
全ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユー
ザに与える負担を軽減することが可能となる優れた効果
を有する。
【0221】また、本発明に関連する第14の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデルを推
定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な解ベ
クトルの調整を行うものであるため、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いる際に問題とされていたユーザに与えら
れる負担を軽減することが可能となる優れた効果を有す
る。
【0222】また、本発明に関連する第15の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型
遺伝的アルゴリズムに加えることにより最適な解ベクト
ルの調整を行うものであり、これまで画像のように静的
なデータにしか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリ
ズムを時系列データのような動的データへの適用も可能
となる優れた効果を有する。
【0223】また、本発明に関連する第16の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の調
整結果をもとに限定して対話型遺伝的アルゴリズムを用
いることにより、これまで画像のように静的なデータに
しか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系
列データのような動的データを対象とした場合の最適な
解ベクトルの調整を速やかに行うことが可能になる効果
を有する。
【0224】また、本発明に関連する第17の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
記録されている過去の調整情報をもとに解ベクトルの初
期集合を設定して対話型遺伝的アルゴリズムを用いるこ
とにより、これまで画像のように静的なデータにしか適
用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列デー
タのような動的データを対象とした場合の最適な解ベク
トルの調整を速やかに行うことが可能になる効果を有す
る。
【0225】また、本発明に関連する第18の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
ユーザの生理情報をもとに推定した心理状況をもとにユ
ーザの評価値を補正することにより、ユーザの評価にお
けるゆらぎの影響を軽減させながら対話型遺伝的アルゴ
リズムによる最適解ベクトルの更新を行うことにより、
これまで画像のように静的なデータにしか適用されなか
った対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのような
動的データへの適用が可能となるとともに使用環境に影
響を受けないでユーザ自身の状況に対応する最適な解ベ
クトルの調整を行うことが可能になる効果を有する。
【0226】また、本発明に関連する第19の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、ユーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するものであり、ユーザの時系
列信号問題に対する嗜好の様子を知ることができる効果
を有する。
【0227】また、本発明に関連する第20の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、記録されている複数のユーザの調整の履歴をもと
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定する
ものであり、複数のユーザによる時系列信号を扱う際の
嗜好の共通因子を抽出することができる効果を有する。
【0228】また、本発明に関連する第21の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実
行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通
モデルを更新するように働くものであるため、ユーザが
全ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユー
ザに与える負担を軽減することが可能となる効果を有す
る。
【0229】また、本発明に関連する第22の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得ら
れた個人モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調
整を行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いる際に問題とされていたユーザに与えられる負担を
軽減して時系列信号への適用を可能にする効果を有す
る。
【0230】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1の最適化調
整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内で適合度
の高いグループの重心ベクトルの移動ベクトルに着目
し、その移動ベクトルが同じ方向を指し示す場合にはそ
ちらの方向に適合度の高い解ベクトルが存在すると判断
しそのベクトルに沿って解ベクトル群の更新を行う。そ
れとともに、現在の解ベクトル集合を対象にした組み替
え操作による解ベクトルの最適化も同時に行うことによ
り、大域的解更新能力に優れるという遺伝的アルゴリズ
ムの特徴を活かしながら、同時に過去の解ベクトル更新
の履歴を利用して高速に最適解の方向を推定することが
できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
処理装置の構成を表すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
装置の要部である組み替え操作部の構成を表すブロック
図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の処理1における過程を表すフローチャート図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における最適化調整
方法の要処理である組み替え操作処理の過程を表すフロ
ーチャート図。
【図6】具体例として取り扱う多次元関数最大値推定問
題の概念図。
【図7】実数値区間における値から固定長ビット列コー
ドへの変換の様子を表す図。
【図8】更新方向ベクトルに沿った解ベクトル更新を模
式的に表す図。
【図9】選択淘汰に用いられるルーレット選択方式を説
明するための図。
【図10】本発明に関連する第1の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図11】本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図12】局所的更新処理と大域的更新処理を模式的に
表す図。
【図13】本発明に関連する第2の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図14】本発明に関連する第2の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図15】初期解ベクトル群抽出の様子を模式的に表す
図。
【図16】本発明に関連する第3の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図17】本発明に関連する第3の例における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャート図。
【図18】実数値空間における近傍ベクトル抽出処理を
模式的に表す図。
【図19】本発明に関連する第4の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図20】本発明に関連する第4の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図21】更新領域分割とそこからの解ベクトル抽出処
理を模式的に表す図。
【図22】本発明に関連する第5の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図23】本発明に関連する第5の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図24】実数値空間における解集合分割処理を模式的
に表す図。 (a)適合度fkに対する個体数分布を模式的に表す図。 (b)実数値空間における分割の様子を表す図。
【図25】本発明に関連する第6の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図26】本発明に関連する第6の例における最適化調
整方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図27】本発明に関連する第6の例における最適化調
整方法の処理2の過程を表すフローチャート図。
【図28】本発明に関連する第7の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図29】本発明に関連する第7の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図30】実数値空間における更新領域の局所化処理を
模式的に表す図。
【図31】1次元関数近似問題の概念図。
【図32】本発明に関連する第8の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図33】本発明に関連する第8の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図34】本発明に関連する第9の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図35】本発明に関連する第9の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図36】本発明に関連する第10の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図37】本発明に関連する第10の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図38】本発明に関連する第11の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図39】本発明に関連する第11の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図40】本発明に関連する第12の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図41】本発明に関連する第12の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図42】本発明に関連する第12の例における最適化
調整方法の個別調整処理の過程を表すフローチャート
図。
【図43】本発明に関連する第13の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図44】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図45】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理の過程を表すフローチャ
ート図。
【図46】本発明に関連する第14の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図47】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図48】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の処理過程の続きを表すフローチャート図。
【図49】本発明に関連する第15の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図50】本発明に関連する第15の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図51】本発明に関連する第16の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図
【図52】本発明に関連する第16の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図53】本発明に関連する第17の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図54】本発明に関連する第17の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図55】本発明に関連する第18の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図56】本発明に関連する第18の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図57】本発明に関連する第19の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図58】本発明に関連する第19の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図59】本発明に関連する第20の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図60】本発明に関連する第20の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図61】本発明に関連する第20の例における最適化
調整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャート
図。
【図62】本発明に関連する第21の例における最適化
調整調整装置の構成を表すブロック図。
【図63】本発明に関連する第21の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図64】本発明に関連する第21の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチ
ャート図。
【図65】本発明に関連する第22の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図66】本発明に関連する第22の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図67】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図68】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図69】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整装置の構成を表すブロック図。
【図70】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図71】遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の
概念の説明図。 (a)は交叉処理例を表す概念図。 (b)は突然変異処理の一例を表す概念図。
【図72】視力矯正用レンズの調整問題の概念図。
【図73】解ベクトル空間における更新領域限定の概念
図。
【図74】シンプレックス交叉の概念図。
【図75】本発明に関連する第11、第18の例におけ
る最適化調整装置の心理状況推定方法の一例を表す図。 (a)まばたきの発生頻度と注意、関心の関係 (b)発汗状況と緊張、動揺の関係
【図76】本発明に関連する第11、14、19、22
の例における最適化調整装置における評価モデル推定部
に用いられるニューラルネットワークの構成図。
【図77】本発明に関連する第12、13、20、21
の例における最適化調整装置における共通モデル推定部
に用いられるニューラルネットワークの構成図。
【図78】歪音声の音質改善するフィルタ作成問題の概
念図。
【図79】時系列信号と対応する補助情報の概念図。
【図80】難聴者のための補聴器の特性調整問題の概念
図。
【符号の説明】 101 初期解集合設定部 102 遺伝的アルゴリズム処理部 103 最適解出力部 104 評価値獲得部 105 適合度計算部 106 更新方向判断部 107 方向適用更新部 108 組み替え操作部 109 重心推定部 110 更新方向候補記録部 111 更新方向獲得部 112 重心移動部 113 重心周囲解ベクトル生成部 201 候補選択部 202 交叉処理実行部 203 突然変異処理実行部 204 選択範囲導出部 205 乱数発生部 206 解ベクトル抽出部 1001 局所更新部 1002 大域更新部 1003 局所更新設定部 1004 ベクトル群初期設定部 1005 局所組み替え操作部 1006 局所更新終了判断部 1007 集合統合部 1008 大域組み替え操作部 1301 初期更新領域限定部 1302 初期解ベクトル群抽出部 1303 解ベクトル集合統合部 1601 解集合再設定部 1602 グループ組み替え操作部 1603 代表解ベクトル選択部 1604 近傍ベクトル群抽出部 1901 更新領域分割部 1902 平均適合度計算部 1903 適領域解ベクトル抽出部 1904 解ベクトル統合部 2201 解集合分割部 2202 分割領域決定部 2203 分割実行部 2501 組み替え対象制御部 2801 更新領域設定部 2802 段階収束判定部 2803 収束基準変更部 3201 対象データ入力部 3202 更新領域限定部 3203 メイン処理部 3204 機器調整実行部 3205 ユーザ評価部 3206 集合再設定部 3207 情報提示部 3208 ユーザ評価判断部 3401 記憶媒体部 3402 記録情報読込み部 3403 初期解ベクトル選択部 3404 初期解ベクトル補充部 3405 最適解ベクトル記録部 3601 ユーザ心理推定部 3602 評価値補正部 3603 生理データ測定部 3604 心理推定実行部 3801 評価モデル出力部 3802 第2ユーザ評価部 3803 評価モデル推定判定部 3804 モデル推定実行部 3805 調整履歴記録部 4001 共通モデル出力部 4002 ユーザ調整終了判断部 4003 共通モデル推定部 4004 共通モデル推定判定部 4005 共通モデル推定実行部 4301 共通モデル評価計算部 4302 共通モデル評価判定部 4303 共通モデル更新部 4304 共通モデル更新判定部 4305 共通モデル更新実行部 4601 方法選択スイッチ 4602 評価モデル推定部 4603 モデル評価計算部 4604 方法切替え判定部 4901 時系列評価実行部 4902 補助情報提示部 4903 情報並び替え部 6701 選択淘汰実行部 6901 対話型遺伝的アルゴリズム実行部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 和昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丸野 進 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適応度に応じて逐次更
    新し、最適解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    を求める第2ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を求める第3ステッ
    プと、 解ベクトル集合内において適合度が予め与えられた基準
    適合度を満足する解ベクトルの重心ベクトルと記憶され
    ている過去の重心ベクトルとから適合度の高い解ベクト
    ルが分布する更新方向を決定できるかどうかを判断し、
    決定できない場合には集合内の解ベクトル全体を、組み
    替え操作による生成の対象の個数とする第4ステップ
    と、 第4ステップでその更新方向が決定された場合には、得
    られた更新方向ベクトルに沿って集合内の複数の解ベク
    トルを更新し、組み替え操作で新たに生成する解ベクト
    ル個数を決定する第5ステップと、 更新を行う以前の解ベクトル集合内の解ベクトルに遺伝
    的組み替え手順に基づいた所定の組み替え操作を行い、
    第4もしくは第5ステップで設定された解ベクトル個数
    だけ解ベクトルを新たに生成する第6ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第7ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで前記第2から第
    6のステップを繰り返し行うことにより、組み替え操作
    で解ベクトル集合内の解ベクトルの更新を行うととも
    に、解ベクトルの適合度を高くする更新方向ベクトルが
    得られた場合にはその方向ベクトルに従って解ベクトル
    の更新を行い最適な解ベクトルを推定することを特徴と
    する最適化調整方法。
  2. 【請求項2】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の各ベクトルの周囲から初期解ベクト
    ル群を設定し、初期解ベクトル群に属する解ベクトル
    の、問題に対する適合度をもとに解ベクトルの組み替え
    操作を予め設定された回数繰り返し実行する第2ステッ
    プと、 第2ステップで得られた複数の解ベクトル群を1つに統
    合して得られる解ベクトル集合内の解ベクトルを対象と
    して、遺伝的組み替え手順に基づいた所定の組み替え操
    作を行う第3ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第4ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで、まず第2ステ
    ップにおいて解ベクトルの局所的な更新を繰り返し行っ
    た後に、第3ステップにより大域的な解ベクトルの更新
    を行うことにより最適な解ベクトルを速やかに推定する
    ことを特徴とする最適化調整方法。
  3. 【請求項3】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の各ベクトルの周囲から解ベクトルを
    複数抽出する第2ステップと、 第2ステップで抽出された解ベクトル群に対する評価値
    を求める第3ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を求める第4ステッ
    プと、 抽出された解ベクトル群及びその抽出領域の中心となる
    解ベクトルの中から高い適合度を持つ解ベクトルを取り
    出し、改めて解ベクトル集合を再設定する第5ステップ
    と、 第5ステップで再設定された解ベクトル集合を対象とし
    て、適合度をもとに遺伝的組み替え手順に基づいた所定
    の組み替え操作を行う第6ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第7ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第2ステップか
    ら第6ステップを繰り返し実行することにより、現在の
    解ベクトル集合内の各解ベクトルをその周囲の解ベクト
    ルと比較しより最適な解ベクトルに置き換え、出来上が
    った解ベクトル集合をもとに組み替え操作により解ベク
    トルの更新を行い最適な解ベクトルを推定することを特
    徴とする最適化調整方法。
  4. 【請求項4】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    値を求める第2ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を求める第3ステッ
    プと、 適合度をもとに解ベクトル集合から解ベクトルを選択し
    その解ベクトルの近傍ベクトル群を取り出すことにより
    解集合を再設定する第4ステップと、 第4ステップにより得られた近傍ベクトル群内のベクト
    ルを対象に各適合度をもとに遺伝的組み替え手順に基づ
    いた所定の組み替え操作を行う第5ステップと、 第5ステップで得られた新しい解ベクトル集合に対して
    解ベクトルの一部をランダムに他のシンボルに替えると
    いう突然変異操作を行う第6ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第7ステップを備えてお
    り、 第2ステップから第7ステップのように予め与えられた
    終了条件を満足するまで、第4ステップで得られた複数
    の近傍ベクトル群内の解ベクトルを対象として組み替え
    操作を実行した後、第6ステップにおける突然変異操作
    を解ベクトル集合全体を対象として実行することにより
    最適な解ベクトルの推定を行うことを特徴とする最適化
    調整方法。
  5. 【請求項5】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    値を求める第2ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を計算する第3ステ
    ップと、 各適合度により解ベクトル集合内の解ベクトルの遺伝的
    演算に基づく算術的な組み替え操作を行う第4ステップ
    と、 解ベクトル集合内から任意に選び出した複数の解ベクト
    ルの近傍空間を複数の領域に分割する第5ステップと、 第5ステップで分割された各領域内で複数の解ベクトル
    点を抽出しその評価値、適合度の平均を求める第6ステ
    ップと、 全ての領域の内で最も高い平均適合度を持つ領域を選
    び、そこから複数の解ベクトルを任意に選び出す第7ス
    テップと、 第7ステップで選ばれた解ベクトル群と第4ステップで
    獲得された解ベクトル群より1つの解ベクトル集合を設
    定する第8ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第9ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで、第2ステップ
    から第8ステップを繰り返し行い、解ベクトル集合内の
    解ベクトルの組み替えによる更新を行うだけでなく、各
    解ベクトルの近傍においても並行して解ベクトルの更新
    を実行することで最適な解ベクトルを推定することを特
    徴とする最適化調整方法。
  6. 【請求項6】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    値を求める第2ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を計算する第3ステ
    ップと、 第3ステップで得られた各適合度の算術平均および標準
    偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分割す
    る第4ステップと、 第4ステップで得られたグループ内の解ベクトルを対象
    として解ベクトルの遺伝的組み替えに基づく算術的な組
    み替え操作を行い新しい解ベクトル集合の生成を行う第
    5ステップと、 第5ステップで得られたグループを1つの新しい解ベク
    トル集合に統合して解ベクトルの一部をランダムに他の
    シンボルに替えるという突然変異操作を行う第6ステッ
    プと、 最適な解ベクトルを出力する第7ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第2ステップか
    ら第6ステップを繰り返し行い、第3ステップで分割さ
    れた各グループ内の解ベクトルを対象として組み替え操
    作を実行した後に、第6ステップで解ベクトル集合全体
    を対象とした突然変異操作を実行することで最適な解ベ
    クトルを推定することを特徴とする最適化調整方法。
  7. 【請求項7】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 更新する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    値を求める第2ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を計算する第3ステ
    ップと、 各解ベクトルの適合度の算術平均および標準偏差、最大
    適合度、最小適合度をもとに遺伝的組み替えに基づく組
    み替え操作対象を決定する第4ステップと、 第4ステップで解ベクトル集合全体の複数グループへの
    分割が決定された場合に評価値の算術平均と標準偏差を
    もとに解ベクトル集合の分割を行う第5ステップと、 各適合度をもとに第4ステップで決定された操作対象内
    のベクトルに対して新しい解ベクトル集合の生成を行う
    第6ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第7ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第2ステップか
    ら第6ステップを繰り返し、第4ステップにより解ベク
    トル集合の分割を行うかどうかを制御し、その結果得ら
    れた操作対象に対して組み替え操作を実行することによ
    り最適な解ベクトルを推定することを特徴とする最適化
    調整方法。
  8. 【請求項8】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 解ベクトルの取り得る更新領域を限定する第1ステップ
    と、 第1ステップで得られた更新領域内で解ベクトルの初期
    集合を設定する第2ステップと、 解ベクトル集合内の解ベクトルの前記問題に対する評価
    値を求める第3ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を計算する第4ステ
    ップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合における
    解ベクトルの遺伝的組み替えに基づく算術的な組み替え
    操作を行うことにより新しい解ベクトル集合の生成を行
    う第5ステップと、 第5ステップで得られた集団において、設定された更新
    領域内に含まれる解ベクトルのみを用いて改めて解ベク
    トル集合を作成する第6ステップと、 更新領域内での解ベクトル集合内の解ベクトルの収束を
    判断するための段階収束基準を動的に変化させるととも
    に、第5ステップで生成される新しい解ベクトルの更新
    領域を動的に変化させる第7ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第8ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第3ステップか
    ら第7ステップを繰り返し行い、第7ステップにより解
    ベクトルの更新領域をまず大域的にあらく設定して解ベ
    クトルの更新を行い、その後段階的にその更新領域を細
    分化して局所的な解ベクトルの更新に移行することによ
    り最適な解ベクトルの推定を行うことを特徴とする最適
    化調整方法。
  9. 【請求項9】 更新する解ベクトルの初期集合を設定す
    る初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 解ベクトル集合内において適合度が予め与えられた基準
    適合度を満足する解ベクトルの重心ベクトルと過去に得
    られた重心ベクトルより、適合度の高い解ベクトルが分
    布する更新方向ベクトルの推定ができるかどうかを判断
    する更新方向判断部と、 前記更新方向判断部で更新方向ベクトルが得られた場合
    に、その方向ベクトルに従って複数の解ベクトルの更新
    を行い、組み替え操作で新たに生成する解ベクトル個数
    を設定する方向適用更新部と、 前記方向適用更新部および前記更新方向判断部で設定さ
    れた組み替え操作で新たに生成する解ベクトル個数分だ
    け、元の解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替えによ
    り解ベクトルの生成を行う組み替え操作部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、前記組み替え操作で解ベクトル
    集合内の解ベクトルの演算的な組み替え操作により解ベ
    クトルの更新を行うとともに、前記更新方向判断部で解
    ベクトルの適合度を高くする更新方向ベクトルが得られ
    た場合には方向適用更新部においてその方向ベクトルに
    従って解ベクトルの更新を行い最適解ベクトルの推定を
    行う処理を前記終了条件を満足するまで逐次的に繰り返
    す最適化調整装置。
  10. 【請求項10】 方向適用更新部が、重心推定部で得ら
    れた重心ベクトルを更新方向ベクトルに従い基準移動距
    離だけ移動させる重心移動部と、前記重心移動部で新た
    に得られた重心ベクトルの周囲に予め設定された個体数
    の解ベクトルを生成し、組み替え操作により求める解ベ
    クトル個数を設定する重心周囲解ベクトル生成部を持つ
    ことを特徴とする請求項9に記載の最適化調整装置。
  11. 【請求項11】 更新方向判断部が、適合度計算部で得
    られた適合度において予め設定された基準適合度より高
    い値を持つ解ベクトル群の重心ベクトルを計算する重心
    推定部と、前記重心推定部で得られた重心ベクトルと過
    去に得られた重心ベクトルの差分ベクトルを求め、更新
    方向候補ベクトルとして記録する更新方向候補記録部
    と、前記更新方向記録部で保存されている更新方向候補
    ベクトル間の角度を計算し予め設定された一致判断角度
    との比較により更新方向ベクトルを推定し、推定できな
    い場合には組み替え操作により生成する解ベクトル個数
    を設定する更新方向獲得部を持つことを特徴とする請求
    項9に記載の最適化調整装置。
  12. 【請求項12】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトル集合内の各ベクトルの周囲から初期解ベ
    クトル群を設定し、初期解ベクトル群に属する解ベクト
    ルの問題に対する適合度をもとに解ベクトルの組み替え
    操作を予め設定された回数繰り返し実行する局所更新部
    と、 前記局所更新部で得られた複数の解ベクトル群を1つに
    統合して得られる解ベクトル集合内の解ベクトルの組み
    替え操作を行う大域更新部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記局所更新部で解ベクトルの局所的な更新を繰り返し
    行った後に、前記大域更新部により大域的な解ベクトル
    の更新を行うことにより最適解を推定する処理を前記終
    了条件を満足するまで逐次的に繰り返す最適化調整装
    置。
  13. 【請求項13】 局所更新部が、与えられた解ベクトル
    より局所的な解ベクトルの更新を行う範囲を決定する局
    所更新設定部と、前記局所更新設定部内で新しく解ベク
    トル群を生成するベクトル群初期設定部と、前記解ベク
    トルの対象問題に対する評価値を求める評価値獲得部
    と、前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクト
    ルの適合度を計算する適合度計算部と、前記適合度をも
    とに解ベクトル集合内の解ベクトルの組み替え操作を前
    記局所更新設定部で設定された範囲内に含まれるように
    実行する局所組み替え操作部と、前記までの一連の処理
    が予め与えられた繰り返し回数を満足するかどうかを判
    定する局所更新終了判断部により構成されることを特徴
    とする請求項12に記載の最適化調整装置。
  14. 【請求項14】 大域更新部が、局所更新部内で得られ
    た各解ベクトル群を1つの集合に統合する集合統合部
    と、前記集合統合部で得られた解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの組み替え操作を行う大域組み替え操作部により
    構成されることを特徴とする請求項12に記載の最適化
    調整装置。
  15. 【請求項15】 局所組み替え操作部は、遺伝的アルゴ
    リズムで用いられる交叉、突然変異、選択淘汰に代表さ
    れる遺伝的な演算処理を行うことを特徴とする請求項1
    3に記載の最適化調整装置。
  16. 【請求項16】 大域組み替え操作部は、遺伝的アルゴ
    リズムで用いられる交叉、突然変異、選択淘汰に代表さ
    れる遺伝的な演算処理を行うことを特徴とする請求項1
    4に記載の最適化調整装置。
  17. 【請求項17】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトル集合内の各ベクトルの周囲に限定する初
    期更新領域限定部と、 前記初期更新限定部内に含まれる解ベクトルを複数抽出
    する初期解ベクトル群抽出部と、 前記初期解ベクトル群抽出部で得られた解ベクトル群に
    対する評価値を獲得する評価値獲得部と、 前記評価値獲得部で得られた評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記抽出された解ベクトル群とその抽出領域の中心とな
    る解ベクトルの中から高い適合度を持つ解ベクトルを取
    り出し、改めて解ベクトル集合とする解ベクトル集合統
    合部と、 前記解ベクトル集合統合部で作成された解ベクトル集合
    を対象として、適合度計算部で得られた適合度をもとに
    解ベクトルの組み替え操作を実行する組み替え操作部
    と、 予め設定された終了条件を満足する場合に更新された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 現在の解ベクトル集合内の各解ベクトルをその周囲の解
    ベクトルと比較しより最適な解ベクトルに置き換え、出
    来上がった解ベクトル集合をもとに組み替え操作部によ
    り解ベクトルの更新を行い最適な解ベクトルを推定する
    処理を前記終了条件を満足するまで逐次的に繰り返す最
    適化調整装置。
  18. 【請求項18】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記適合度をもとに解ベクトル集合から解ベクトルを選
    択しその解ベクトルの近傍ベクトル群を取り出すことに
    より解集合を再設定する解集合再設定部と、 前記解集合再設定部により得られた近傍ベクトル群内の
    ベクトルを対象として前記適合度計算部で得られた適合
    度をもとに解ベクトルの組み替え操作を行うグループ組
    み替え操作部と、 前記グループ組み替え操作部で得られた新しい解ベクト
    ル集合に対して解ベクトルの一部を他のシンボルに替え
    るという組み替え操作を行う突然変異処理実行部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記解集合再設定部により得られた複数の近傍ベクトル
    群内の解ベクトルを対象として組み替え操作を実行した
    後前記突然変異処理実行部において解ベクトル集合全体
    を対象とした組み替え操作を実行する処理を前記終了条
    件が満足されるまで繰り返す最適化調整装置。
  19. 【請求項19】 解集合再設定部は、解ベクトルを固定
    長ビット列コードに変換した時の反転ビット数をもとに
    近傍を定義し近傍ベクトルを抽出することを特徴とする
    請求項18に記載の最適化調整装置。
  20. 【請求項20】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記適合度により解ベクトル集合内の解ベクトルの組み
    替え操作を行う組み替え操作部と、 解ベクトル集合内から任意に選び出した複数の解ベクト
    ルの近傍空間を複数の領域に分割する更新領域分割部
    と、 前記更新領域分割部で分割された各領域内で複数の解ベ
    クトル点を抽出しその評価値、適合度の平均を求める平
    均適合度計算部と、 全ての領域の内で最も高い平均適合度を持つ領域を選
    び、そこから複数の解ベクトルを任意に選び出す適領域
    解ベクトル抽出部と、 前記解ベクトル抽出部で選ばれた解ベクトル群と前記組
    み替え操作部で獲得された解ベクトル群より1つの解ベ
    クトル集合を設定する解ベクトル統合部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に更新された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記組み替え操作部で解ベクトル集合内の解ベクトルの
    組み替えによる改善を行うだけでなく、各解ベクトルの
    近傍においても並行して解ベクトルの更新を行う処理を
    前記終了条件を満足するまで逐次的に繰り返す最適化調
    整装置。
  21. 【請求項21】 更新領域分割部が、選ばれた2つの解
    ベクトルを結んだ直線区間において、原点に近い領域
    と、2つの解ベクトルで結ぶ線分内と、原点より最も遠
    い領域の3つの線分領域に分割し、各領域の大きさは2
    つの解ベクトル間の距離に相当することを特徴とする請
    求項20に記載の最適化調整装置。
  22. 【請求項22】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記適合度の算術平均および標準偏差をもとに解ベクト
    ル集合を複数のグループに分割する解集合分割部と、 前記適合度計算部で得られた適合度をもとに前記解集合
    分割部で得られたグループ内の解ベクトルを対象として
    解ベクトルの組み替え操作を行い新しい解ベクトル集合
    の生成を行うグループ組み替え操作部と、 前記グループ組み替え操作部で得られた新しい解ベクト
    ル集合全体に対して解ベクトルの一部を他のシンボルに
    替えるという組み替え操作を行う突然変異処理実行部
    と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記解集合分割部により得られたグループ内の解ベクト
    ルを対象として組み替え操作を実行した後前記突然変異
    処理実行部において解ベクトル集合全体を対象とした組
    み替え操作を実行する処理を前記終了条件が満足される
    まで繰り返す最適化調整装置。
  23. 【請求項23】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記適合度の算術平均および標準偏差、最大適合度、最
    小適合度をもとに組み替え操作対象を決定する組み替え
    対象制御部と、 前記組み替え対象制御部で解ベクトル集合全体の複数グ
    ループへの分割が決定された場合に評価値の算術平均と
    標準偏差をもとに解ベクトル集合の分割を行う解集合分
    割部と、 前記適合度計算部で得られた適合度をもとに前記組み替
    え対象制御部で得られた操作対象内のベクトルに対して
    新しい解ベクトル集合の生成を行う組み替え操作部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記組み替え対象制御部により解ベクトル集合の分割を
    行うかどうかを制御し、その結果得られた操作対象に対
    して組み替え操作を実行する処理を前記終了条件が満足
    されるまで繰り返す最適化調整装置。
  24. 【請求項24】 更新する解ベクトルの初期集合を設定
    する初期解集合設定部と、 前記解ベクトルの対象問題に対する評価値を求める評価
    値獲得部と、 前記評価値獲得部で獲得した評価値から各解ベクトルの
    適合度を計算する適合度計算部と、 前記適合度計算部で得られた適合度をもとに解ベクトル
    集合における解ベクトルの組み替え操作を行うことによ
    り新しい解ベクトル集合の生成を行う組み替え操作部
    と、 解ベクトルの収束を判断するための段階収束基準を動的
    に変化させるとともに、前記組み替え操作部により生成
    される新しい解ベクトルの更新領域を動的に変化させる
    更新領域設定部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に改善された最
    新の解ベクトル集合から得られる最適解を出力する最適
    解出力部を備えており、 前記更新領域設定部によりまず解ベクトルを構成する各
    要素において更新領域を大域的にあらく限定して解ベク
    トルの組み替えを行い、次に段階的に更新領域における
    段階収束基準を厳しくするとともにその領域の細分化を
    行うことにより局所的な解ベクトルの更新を行う処理を
    前記終了条件を満足するまで繰り返す最適化調整装置。
  25. 【請求項25】 グループ組み替え操作部は、交叉、突
    然変異、選択淘汰に代表される遺伝的な演算処理を行う
    遺伝的アルゴリズムが用いられることを特徴とする請求
    項18または22に記載の最適化調整装置。
  26. 【請求項26】 組み替え操作部は、交叉、突然変異、
    選択淘汰に代表される遺伝子レベルの組み替え操作に基
    づいた所定の演算処理を行う遺伝的アルゴリズムが用い
    られることを特徴とする請求項9、17、20、23、
    24のいずれかに記載の最適化調整装置。
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