JP2002259938A - 最適化調整方法と最適化調整装置 - Google Patents

最適化調整方法と最適化調整装置

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JP2002259938A
JP2002259938A JP2001380478A JP2001380478A JP2002259938A JP 2002259938 A JP2002259938 A JP 2002259938A JP 2001380478 A JP2001380478 A JP 2001380478A JP 2001380478 A JP2001380478 A JP 2001380478A JP 2002259938 A JP2002259938 A JP 2002259938A
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Tatsumi Watanabe
辰巳 渡辺
Hideyuki Takagi
英行 高木
Kazuaki Obara
和昭 小原
Susumu Maruno
進 丸野
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人間の感性や主観的価値観でしか評価できない
問題に、対話型遺伝的アルゴリズムを適用して、ユーザ
にとって最適と思われる機器の調整を効率よく行う調整
方法や調整装置を実現すること。 【解決手段】 各調整する解べクトルの更新領域をその
特性や過去の調整結果をもとに限定する更新領域限定部
3202と組み替え操作により新たに得られた解ベクト
ル集合内の解ベクトルが常にその更新領域内に含まれる
ように再設定を行う集合再設定部3206を設け、その
更新領域内の解ベクトルのみを対象として対話型遺伝的
アルゴリズムを用いて解ベクトルの調整を行うことによ
り、速やかに最適な解ベクトルを推定できるようにした
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巡回セールスマン
問題、回路設計問題をはじめとする最適解推定問題等に
用いられる従来の遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調
整方法と最適化調整装置において、欠点とされていた局
所的な解探索能力の欠如を補う工夫を加えることにより
効率良く最適解を探索することのできる最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0002】さらに本発明は、補聴器の特性調整、明示
的に示すことのできないコンセプトに合わせた製品やイ
ンテリアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響
や画像特性の調整をはじめとする、評価基準が観念的で
不明確なため調整結果を定量的に評価できない問題に、
ユーザの主観による評価をもとにユーザにとって最適な
解ベクトルを求めることができる対話型遺伝的アルゴリ
ズムを効率良く用いた最適化調整方法とその最適化調整
装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】遺伝的アルゴリズムは、最適解近傍への
収束が早い、局所解に陥りにくいというような利点を持
つ最適解探索ためのアルゴリズムであり、特に組み合わ
せ最適化の分野で注目を浴びている。遺伝的アルゴリズ
ムによる最適化調整方法と最適化調整装置の従来技術に
ついては、例えば「ジェネティック アルゴリズム イ
ン サーチ オプティマイゼーション アンド マシー
ン ラーニング」("Genetic Algorithms in Search, O
ptimization and Machine Learning"(David E.Goldber
g, Addison Wesley))、特開平2ー236660号公
報等の文献に記載されている。以下にその概要を説明す
る。
【0004】図68は、従来の遺伝的アルゴリズムによ
る最適解推定の原理を示すフローチャートである。 《ステップ1》m次元ベクトルpk(pk1,pk2,...,pkm)を元
とするn個の元からなる集合Pを考える。集合Pの各元で
あるm次元ベクトルpkの各要素は対象として与えられた
最適解探索問題において対応するパラメータの具体的な
解を表現しており、ベクトルpkは具体的な解ベクトルに
相当する。ベクトルpkの各要素pki(i=1,...,m)は、生物
との関連から遺伝子と呼ばれ、ベクトルpkは染色体と呼
ばれることがある。遺伝的アルゴリズムを用いる際、ま
ず最初に解ベクトルの初期集合Pを適当に作る。 《ステップ2》集合Pの各元(染色体)の解の良さを予
め設定された評価尺度に従って評価値し、その結果を評
価値として表す。ここで、予め設定された評価尺度のこ
とを評価関数(fitness関数)と呼ぶ。 《ステップ3》ステップ2で求められた評価値の大小を
もとに解の適合度を判断する。このとき、問題により、
評価値が大きいほうが適合度の良い解であるとする場合
と、小さいほうが適合度の良い解であるとする場合があ
り、前者を最大化問題、後者を最小化問題と呼ぶ。適合
度の小さい解ベクトルを現在の解集合から削除し、適合
度の大きい解ベクトルを選択的に生き残らせる。このよ
うな操作を選択淘汰と呼ぶ。選択淘汰の方法として、様
々な方法が知られているが、その詳細に付いては前記参
考文献に委ねる。 《ステップ4》前記ステップ3により選択された解ベク
トル集合について、交叉や突然変異等の遺伝的な組み替
え操作を施し、新しい解ベクトル集合を作成する。な
お、解ベクトル集合に含まれる解ベクトルの個体数は、
ここでは一定としたが、増加しても減少してもよい。図
71は遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の概念
の説明図を表し、図(a)が交叉処理を、図(b)が突
然変異処理の一例を表す。
【0005】交叉は、図(a)に示されるように有限の
シンボルで表現された解ベクトルでの一部を他の解ベク
トルの一部と置き換えることにより新しい解ベクトルを
作り出す操作である。また、突然変異は、図(b)に示
されるようにある低い確率で解ベクトル集合から選択さ
れた解ベクトルの成分の一部を他のシンボルに変更する
操作である。交叉処理は、現在の解ベクトルから大きく
離れた位置における探索のに相当し、突然変異は現在の
解ベクトル近傍における探索に相当する。この2つの処
理を経て、遺伝的アルゴリズムでは新しい解ベクトルの
集合を作り出すのである。なお、この交叉、突然変異等
の処理には様々な方法が提案されているが、その詳細に
付いては前記参考文献に委ねる。
【0006】遺伝的アルゴリズムでは以上のような処理
が繰り返され、その結果解ベクトル集合Pの各解ベクト
ルは与えられた問題の準最適解に収束するようになる。
【0007】遺伝的アルゴリズムによる最適化の応用例
として、前掲の参考文献には"巡回セールスマン問題"へ
の適応が記載されている。N個の都市の名前を各々1…N
で表す。解ベクトル集合Pの各元は1…Nの順列を成分と
するベクトルで表現することができる。また、評価尺度
はこの順列で定められた順序に従い各都市を巡回した場
合の全道程である。例えば都市にA1,A2,...,ANが割り振
られており、都市をA1->A2->…->ANの順番で巡回する
時、対応する解ベクトルベクトルは(A1,A2,...,A N)であ
る。これを例えば簡単にA1A2A3…ANと表記する。その
後、前記遺伝的アルゴリズムを繰り返すことにより、最
短経路に準ずる経路を得ることができる。
【0008】以上のような図68のフローチャートに従
い実行される、従来の遺伝的アルゴリズムによる逐次最
適化処理装置の構成図は図67のようになる。図67に
おいて、101は改善する初期の解ベクトル集合を設定
する初期解集合設定部、102は遺伝的操作により実際
に最適解ベクトルの推定を実行する遺伝的アルゴリズム
処理部、103は予め設定された終了条件が満たされた
場合に最も適合度の高い解ベクトルを出力する最適解出
力部である。遺伝的アルゴリズム処理部102は各解ベ
クトルの評価値を予め設定された評価関数より獲得する
評価値獲得部104、評価値獲得部104で得られた評
価値より各解ベクトルの適合度を計算する適合度計算部
105、適合度計算部105で計算した適合度をもとに
解ベクトル集合の選択淘汰を行う選択淘汰実行部670
1と解ベクトルの交叉処理を行う交叉処理実行部202
と解ベクトルの突然変異処理を行う突然変異処理実行部
203より構成される。このように構成された従来の遺
伝的アルゴリズムによる最適化調整装置では、図68に
示されたフローチャートに従い、評価値獲得部104と
選択淘汰実行部6701と交叉処理実行部202と突然
変異処理実行部203を繰り返し実行して解ベクトル集
合を逐次更新することにより、対象とする最適化問題の
準最適解ベクトルを推定するものであった。
【0009】また、従来の補聴器の特性調整、明示的に
示すことのできないコンセプトに合わせた製品やインテ
リアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響や画
像特性の調整の場合、評価基準が観念的で不明確であり
また個人によりその特性が大きく変わることから、調整
結果に対する評価を定量的に表現することができないと
いう問題点がある。そのためこのような問題に、ニュー
ラルネットワークのように明確な評価関数を定義してそ
の評価関数が最適になるような調整を行う手法を用いる
ことは原理的に不可能である。例えば補聴器の特性調整
は次のような手順で行われている。まず、試験音声信号
を周波数帯域に分割し各周波数帯域で試験音声の下限レ
ベルと上限レベルに相当する試験信号を作成する。その
音声の下限レベルと上限レベルの試験信号を補聴器に入
力し、補聴器のユーザである難聴者にこれらの試験信号
の補聴器からの出力試験信号を聞かせて心地よく聞くこ
とができるかどうかを確認する。もしある周波数帯域で
の音声の下限レベルの出力試験信号が小さすぎて聞きに
くい場合にはその周波数帯域での補聴器の利得が上がる
ように専門家が補聴器の利得の周波数特性を調整する。
逆に、ある周波数帯域での音声の上限レベルの出力試験
信号が大きすぎて不快である場合にはその周波数帯域で
の補聴器の利得が下がるように専門家が補聴器の利得の
周波数特性を調整する。以上のことを、ユーザが満足す
るまで繰り返し行うのである。このように難聴者である
ユーザの要望を実現するように、補聴器の調整を行う専
門家が各人のこれまでの経験をもとに補聴器の利得の周
波数特性を調整しているのが実状であり、難聴者に合う
特性を見つけるまで相当な時間と労力が必要である。ま
た、使用環境や難聴者の嗜好に従い調整対象のパラメー
タは変動し、その影響により1人の難聴者が複数の補聴
器を用意する必要があるため、繰り返し補聴器の調整を
行わなくてならないという問題があった。そして、その
度に難聴者は補聴器の特性調整を行える専門家の所まで
出向かなくてはならなかったのである。
【0010】近年、前述の遺伝的アルゴリズムの手法の
中に、ユーザ自らが決定した各解ベクトルの評価値をも
とに最適解の推定を行う対話型遺伝的アルゴリズムが提
案されている。この対話型遺伝的アルゴリズムを用いれ
ば、人間の感性・主観的評価のみに基づいて評価・判断
することが可能となるため、前述のような評価関数を明
確に記述できない問題への適用も可能である。対話型遺
伝的アルゴリズムによる最適解ベクトルの最適化調整方
法の従来技術については、例えば「トラッキング ア
クリミナル サスペクト スルー "フェイス-スペイ
ス" ウィズ アジェネティック アルゴリズム」("Tra
cking a Criminal Suspect through "Face-Space" with
a Genetic Algorithm")(Caldwell, C. and Johnsto
n, V.S.:Proc.of 4th Int'l Conf. on Genetic Algorit
hms(ICGA'91))、「エボリューショナリー アート ア
ンド コンピュータズ」("Evolutionary Art and Comp
uters")(Todd, S. and Latham, W.: Academic Press,
Harcourt, Brace, Jovanovich)等の文献に記載されて
いる。
【0011】以下に、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
た最適化調整方法の概要を説明する。
【0012】図70は、対話型遺伝的アルゴリズムによ
る解ベクトルの最適化調整原理を示すフローチャートで
ある。図70のフローチャートの場合に示されるよう
に、前述の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法の
《ステップ2》における予め関数表現により定義された
評価尺度の代わりに、ユーザに各解ベクトルの表す画像
・図形等の情報を提示し、各解ベクトルの良さを評価し
てもらう点が大きく異なる。
【0013】対話型遺伝的アルゴリズムによる最適ベク
トル探索の応用例として、前掲の参考文献には"犯罪の
目撃者によるモンタージュの作成"への適応が記載され
ている。顔は構成する髪、目、鼻、口、顎、耳等の部品
より構成される。各パーツ別に複数個のパターン画像を
持っており、このパーツのパターン画像を組み合わせる
ことにより顔写真が作成される。各パーツのパターン番
号を要素とするベクトルが、対話型遺伝的アルゴリズム
で探索される解ベクトルとなるのである。そして、目撃
者であるユーザが各解ベクトルより画面上に表示される
複数の顔を見て、目撃した人物との似て具合いを主観的
に判断し、対話型遺伝的アルゴリズムで最も犯人の顔を
表現していると思われるモンタージュ写真を作成してい
くのである。
【0014】以上のような図70のフローチャートに従
い実行される、従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる
最適化調整装置の構成図は図69のようになる。図69
において、初期解集合設定部102、遺伝的組み替え操
作により実際に最適ベクトル探索を実行する対話型遺伝
的アルゴリズム処理部6901、最適解出力部104よ
り構成され、対話型遺伝的アルゴリズム処理部6901
は各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する提示情報
部3207、提示情報部で提示された情報をもとにユー
ザが各解ベクトルの評価値を判断するユーザ評価判断部
3208、適合度計算部110、組み替え操作部108
より構成される。情報提示部3207が各解ベクトルの
表す情報をユーザに提示する役目を担い、ユーザ評価判
断部3208が各解ベクトルの良さを各自の評価基準に
基づき評価してもらい、その採点を入力してもらう部分
に相当する。それ以外は図67の遺伝的アルゴリズムを
用いた最適化調整装置の構成図と概ね同じであるため説
明は省略する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遺伝的
アルゴリズムは確率的でかつ集団的な探索を行うアルゴ
リズムであり、探索空間における現在点の情報(評価
値)しか利用しない。そのため上記従来の遺伝的アルゴ
リズムを用いた逐次最適化処理装置では、評価関数の曲
面の特徴を利用するニューラルネットワーク等を用いて
組み合せ最適問題の解探索を行う場合と比較すると大域
的な解探索には優れているが、局所的な情報を利用しな
いため最適解近傍での探索能力に欠けており、その近傍
では逆に解探索に時間がかかってしまうという問題があ
った。また、これまで行った多点探索の履歴情報を利用
しないため、ある程度探索空間を振動しながら最適解近
傍に収束する傾向があった。
【0016】また、一般に対話型遺伝的アルゴリズムに
よる最適化調整方法では、ユーザに各解ベクトルの表す
複数個の情報を提示し比較評価することにより、各解ベ
クトルの好ましさを評価を行う必要がある。そのため、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整装
置は、文字や画像等のように空間的に同時に提示できる
静的なデータの調整には何等問題がなく適用できるが、
前述の補聴器の特性調整問題のようにユーザの評価対象
が時系列情報である場合には、各時系列情報情報をその
まま複数提示してもユーザはそれらの情報のちがいを聞
き分けることは難しく各解ベクトルの評価を行うことは
非常に困難である。それに加えて、ユーザが調整を行う
際の負担は時間が経つにつれ増大するとともにその嗜好
も大きく変化する。それにも関わらず、従来の対話型遺
伝的アルゴリズムによる調整装置では、それらの問題点
に対する対策が何等なされていないのが実状である。
【0017】本発明は上記課題を解決するものであり、
従来の遺伝的アルゴリズムの手法に局所的な探索能力を
補強する工夫を加えることで、本来遺伝的アルゴリズム
が持つ大域的探索能力を損なわずに、高速で効率的な最
適解の推定を行う最適化調整装置を提供することを目的
とする。
【0018】また、文字、画像等の調整に限らず時系列
信号の調整にも対話型遺伝的アルゴリズムを効率良く適
用できる最適化調整装置と、解ベクトルの最適化を行う
処理の効率化を図ったり、得られたユーザの調整過程の
履歴からユーザの調整過程をモデリングし、それを用い
て自動的に解ベクトルの調整を行うことにより、ユーザ
の負担の軽減を実現する対話型遺伝的アルゴリズムを用
いた機器の最適化調整方法および最適化調整装置を提供
することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、各調整する解べクトルの更新領域をその特性や過去
の調整結果をもとに限定する更新領域限定部と組み替え
操作により新たに得られた解ベクトル集合内の解ベクト
ルが常にその更新領域内に含まれるように再設定を行う
集合再設定部を設け、その更新領域内の解ベクトルのみ
を対象として対話型遺伝的アルゴリズムを用いて解ベク
トルの調整を行うことにより、速やかに最適な解ベクト
ルを推定できるようにしたものである。
【0020】上記目的を達成するために、本発明の第2
の最適化調整方法と最適化調整装置は、記録されている
過去の最適な調整情報を選択する初期解ベクトル選択部
と最適な解ベクトルを記録する最適解ベクトル記録部を
設けることにより、常に過去の最適な情報を対話型遺伝
的アルゴリズムの調整開始点として選択し解ベクトルの
調整が速やかに行えるようにしたものである。
【0021】上記目的を達成するために、本発明の第3
の最適化調整方法と最適化調整装置は、評価を行うユー
ザの生理データよりユーザの心理状況を推定する心理状
況推定部とそのユーザの心理状況をもとに評価値の補正
を行う評価値補正部を設けることにより、ユーザの評価
におけるゆらぎの影響を軽減させながら対話型遺伝的ア
ルゴリズムによる最適解ベクトルの導出を行うようにし
たものである。
【0022】上記目的を達成するために本発明の第4の
最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いてユーザが各自にとって解ベクトルの最
適化を行う際の調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するモデル推定実行部を設け、
ユーザの嗜好のパターンを掴むことができるようにした
ものである。
【0023】上記目的を達成するために本発明の第5の
最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いて複数のユーザにより行われた解ベクト
ルの最適化の履歴より複数ユーザの調整過程に関する共
通モデルを推定する共通モデル推定部を設け、より一般
的な嗜好パターンの特徴を掴むようにしたものである。
【0024】上記目的を達成するために本発明の第6の
最適化調整方法と最適化調整装置は、複数のユーザの調
整過程に関する共通モデルを用いて自動的に各解ベクト
ルの評価を行う共通モデル評価計算部と、ユーザによる
評価をもとに共通モデルの更なる更新を行う共通モデル
更新部を設けることにより、対話型遺伝的アルゴリズム
を用いてユーザにとって解ベクトルの最適な調整を速や
かに行うとともに、複数のユーザの調整過程に関する共
通モデルを更新するように働くものである。
【0025】上記目的を達成するために、本発明の第7
の最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的ア
ルゴリズムを用いた調整により得られた履歴からユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定する評価モデル推
定部とその評価モデルにより各解ベクトルの評価値を計
算するモデル評価計算部を設けることにより、得られた
ユーザの調整の履歴から推定される調整過程の評価モデ
ルを用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行うよう
にしたものである。
【0026】また、ユーザが対象とする機器を使用する
環境により、最適なパラメータは変動すると考えられる
が、ある程度の領域内に存在すると考えられる。本発明
の第1の最適化調整方法と最適化調整装置は、調整する
解ベクトルの更新領域をその特性や過去の調整結果をも
とに限定しその領域内の解ベクトルを対象として対話型
遺伝的アルゴリズムを用いることにより、探索する必要
がないと思われる領域での更新を削除することが可能と
なり、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことがで
きる。
【0027】同様に本発明の2の最適化調整方法と最適
化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際
に、記録されている過去の最適な調整情報をもとに解ベ
クトルの初期集合を設定してユーザにとって好ましくな
い解ベクトルを排除して探索することにより、最適な解
ベクトルへの収束が早くなるとともに各解ベクトルの評
価をする際の負担を軽減することができる。
【0028】ユーザが対象とする機器を使用する環境に
より、最適な解ベクトルは変動すると考えられる。本発
明の第3の最適化調整方法と最適化調整装置は、ユーザ
の生理情報をもとに推定した心理状況をもとにユーザの
評価値を補正することによりユーザの評価におけるゆら
ぎの影響を軽減させるため、環境に左右されないでユー
ザの状況(聴力、視力等)に解ベクトルの最適な調整を
対話型遺伝的アルゴリズムにより実現することができ
る。
【0029】本発明の第4の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザが
各自にとって解ベクトルの最適な調整を行う際の調整の
履歴をもとにユーザの調整過程に関する評価モデルを推
定するものであり、ユーザのこの問題に対する嗜好の様
子を知ることができる。
【0030】本発明の第5の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複数のユ
ーザにより行われた解ベクトルの最適化の履歴を使っ
て、複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定す
るものであり、複数ユーザによる嗜好の共通因子を推定
することができる。
【0031】本発明の第6の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザに
とって最適な解ベクトルを速やかに実現するとともに、
複数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新する
ように働くため、ユーザが全ての解ベクトルによる情報
を評価する必要がなくユーザに与える負担を軽減するこ
とが可能となる。
【0032】本発明の第7の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた評価モ
デルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を行うも
のであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際に
問題とされていたユーザに与えられる負担を軽減するこ
とが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明に関する第1
の例における最適化調整装置のブロック図、図2は本発
明に関する第1の例における最適化調整装置の要部であ
る組み替え操作部のブロック図、図10は本発明に関す
る第2の例における最適化調整装置のブロック図、図1
3は本発明に関する第3の例における最適化調整装置の
ブロック図、図16は本発明に関する第4の例における
最適化調整装置のブロック図、図19は本発明に関する
第5の例における最適化調整装置のブロック図、図22
は本発明に関する第6の例における最適化調整装置のブ
ロック図、図25は本発明に関する第7の例における最
適化調整装置のブロック図、図28は本発明に関する第
8の例における最適化調整装置のブロック図、図32は
本発明の第1の実施の形態における最適化調整装置のブ
ロック図、図34は本発明の第2の実施の形態における
最適化調整装置のブロック図、図36は本発明の第3の
実施の形態における最適化調整装置のブロック図、図3
8は本発明の第4の実施の形態における最適化調整装置
のブロック図、図40は本発明の第5の実施の形態にお
ける最適化調整装置のブロック図、図43は本発明の第
6の実施の形態における最適化調整装置のブロック図、
図46は本発明の第7の実施の形態における最適化調整
装置のブロック図、図49は本発明に関連する第9の例
における最適化調整装置のブロック図、図51は本発明
に関連する第10の例における最適化調整装置のブロッ
ク図、図53は本発明に関連する第11の例における最
適化調整装置のブロック図、図55は本発明に関連する
第12の例における最適化調整装置のブロック図、図5
7は本発明に関連する第13の例における最適化調整装
置のブロック図、図59は本発明に関連する第14の例
における最適化調整装置のブロック図、図62は本発明
に関連する第15の例における最適化調整装置のブロッ
ク図、図65は本発明に関連する第16の例における最
適化調整装置のブロック図を表すものである。
【0034】また、図3は本発明に関する第1の例にお
ける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図5は本発明に関する第1の例における最適化調整
方法の要処理である組み替え操作処理の過程表すフロー
チャート図、図11は本発明に関する第2の例における
最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図
14は本発明に関する第3の例における最適化調整方法
の処理過程を表すフローチャート図、図17は本発明に
関する第4の例における最適化調整方法の処理過程を表
すフローチャート図、図20は本発明に関する第5の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図23は本発明に関する第6の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図26は
本発明に関する第7の例における最適化調整方法の全体
の処理過程を表すフローチャート図、図27は本発明に
関する第7の例における最適化調整方法の処理2の過程
を表すフローチャート図、図29は本発明に関する第8
の例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチ
ャート図、図33は本発明の第1の実施の形態における
最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図
35は本発明の第2の実施の形態における最適化調整方
法の処理過程を表すフローチャート図、図37は本発明
の第3の実施の形態における最適化調整方法の処理過程
を表すフローチャート図、図39は本発明の第4の実施
の形態における最適化調整方法の処理過程を表すフロー
チャート図、図41は本発明の第5の実施の形態におけ
る最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、
図42は本発明の第5の実施の形態における最適化調整
方法の個別調整処理過程を表すフローチャート図、図4
4は本発明の第6の実施の形態における最適化調整方法
の処理過程を表すフローチャート図、図45は本発明の
第6の実施の形態における最適化調整方法の共通モデル
更新処理の過程を表すフローチャート図、図47は本発
明の第7の実施の形態における最適化調整方法の処理過
程を表すフローチャート図、図48は本発明の第7の実
施の形態における最適化調整方法の処理過程の続きを表
すフローチャート図、図50は本発明に関連する第9の
例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャ
ート図、図52は本発明に関連する第10の例における
最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図
54は本発明に関連する第11の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図、図56は本発
明に関連する第12の例における最適化調整方法の処理
過程のフローチャート図、図58は本発明に関連する第
13の例における最適化調整方法の処理過程のフローチ
ャート図、図60は本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、
図61は本発明に関連する第14の例における最適化調
整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャート
図、図63は本発明に関連する第15の例における最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図64
は本発明に関連する第15の例における最適化調整方法
の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチャート
図、図66は本発明に関連する第16の例における最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図を表して
いるものとする。なお、ブロック図の各図において、同
一部には同じ番号を付している。
【0035】本発明に関する第1から第8の例は、遺伝
的アルゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化調整装
置に関するものであり、本発明の第1から第7の実施の
形態及び、本発明に関する第9の例から第16の例は、
ユーザの評価をもとに最適解の推定を行う対話型遺伝的
アルゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化調整装置
に関するものである。
【0036】以下に、本発明に関する第1の例における
最適化調整方法と調整装置について説明する。第1の例
は、過去の解ベクトルの更新の履歴をもとに適合度の高
い解ベクトルが分布する方向を予測し利用することによ
り効率良く最適な解ベクトルを推定するものである。
【0037】図1において、101は更新する初期の解
ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を所定の手続きまた
は外部からの指示により設定する初期解集合設定部、1
02は遺伝的組み替え操作により最適解ベクトルの推定
を実際に行う遺伝的アルゴリズム処理部、103は予め
設定された終了条件が満足された場合に最新の解ベクト
ル集合から適合度の最も高い解ベクトルを最適解ベクト
ルとして出力する最適解出力部である。遺伝的アルゴリ
ズム処理部102は、解ベクトル集合Pについての各解
ベクトルの評価値Ekの計算を予め設定された評価関数に
従い計算する評価値獲得部104と、評価値獲得部10
4で得られた評価値Ekをもとに各解ベクトルのその問題
に対する適合度fkを計算する適合度計算部105と、予
め与えられた基準適合度fthより高い適合度を持つ解ベ
クトル群P'を選び出しその重心ベクトルgl(lは繰り返し
回数)と過去の重心ベクトルより適合度の高い解ベクト
ルが分布する更新方向ベクトルが推定できるかどうかを
判断する更新方向判断部106と、更新方向判断部10
6で更新方向ベクトルが推定された場合にその方向に沿
って複数の解ベクトル更新を実行するとともに、組み替
え操作で生成される解ベクトル個数を設定する方向適用
更新部107と、更新方向判断部106または方向適用
更新部107の結果を受けて、その設定された解ベクト
ル個数分だけ元の解ベクトル集合内の解ベクトルの遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの生成を
行う組み替え操作部108により構成される。さらに更
新方向判断部106は、適合度計算部105で得られた
適合度に対して、予め与えられた基準適合度fthより高
い適合度を持つ解ベクトル群P'を選び出しその重心ベク
トルglを計算する重心推定部109と、重心推定部10
9で得られたglと過去の重心ベクトルgl-1の差分ベクト
ル△gl-1を求め、更新方向候補ベクトルv'l-1=△gl-1
して記録する更新方向候補記録部110と、更新方向候
補記録部110に保存されているv'lとv'l-1の方向の一
致度を評価し、一致していると判断された場合には更新
方向ベクトルv=v'lが得られたものとして方向適用更新
部107に処理を渡し、一致しない場合には解ベクトル
集合内の解ベクトル全体を組み替え操作の対象としてか
組み替え操作部108に処理を移す更新方向獲得部11
1より構成される。方向適用更新部107は、重心推定
部109で得られた重心ベクトルを更新方向ベクトルv
に従い基準移動距離lengthだけ移動させる重心移動部1
12と、重心移動部112で新たに得られた重心ベクト
ルの周囲に予め設定された個体数の解ベクトルを生成す
る重心周囲解ベクトル生成部113により構成される。
図2に示すように、組み替え操作部108は解ベクトル
集合Pから適合度fkを用いて解ベクトルの選択淘汰を実
行する候補選択部201、候補選択部201で得られた
解ベクトル集合に対して交叉処理を実行する交叉処理実
行部202、交叉処理実行部202で得られた解ベクト
ル集合に対して突然変異処理を実行する突然変異処理実
行部203により構成される。さらに、候補選択部20
1は、解ベクトル集合からある解ベクトルを選択する時
の選択確率hkとその選択範囲Ikを導出する選択範囲導出
部204、[0,1)内の一様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)
を発生させる乱数発生部205、乱数発生部205の結
果をもとに解ベクトル集合から選択する解ベクトルを抽
出する解ベクトル抽出部206により構成される。
【0038】以上のように構成された本発明に関する第
1の例における最適化調整装置の動作について説明す
る。その際、本例では、扱う具体的問題として、図6の
ようなm次元関数w(x1,x2,...,xm)の最大値推定問題を取
り上げる。
【0039】図6に示されるように、例えばm次元関数w
の最大値推定問題では、 《条件1》所定の手続きまたは外部からの指示により、
n個のm次元ベクトルqi(x 1 i,x2 i,...,xm i)(i=1,...,n)か
らなる集合Qを作り出す。 《条件2》各qi(i=1,...,n)における関数値w(qi)を求
め、その値をもとに関数値w(q)が最大となるm次元ベク
トルqを推定する。 《条件3》各要素xkの絶対値は| xk| ≦ckを満足する。 《条件4》また各要素xkは小数点以下a桁までの精度し
か持たないものとする。 というような手続きが取られる。このようm次元関数wの
最大値推定問題を対象として、図3、図4、図5のフロ
ーチャート図をもとに本発明に関する第1の例の動作に
ついて説明する。
【0040】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定される。この設
定方法として様々な方法が考えられる。ここでは、求め
るm次元ベクトルqiの要素xi j(j=1,...,m)は小数点以下
1桁までの精度を持つ実数値であると仮定し、その値を
図7に示すように対応付けした長さBlenのビット列コー
ドに変換する。そして、ベクトルqiの各要素xi jをビッ
ト列コードに変換したものを順番に並べる形により解ベ
クトルpk(k=1,...,n)は表現されるものとする。なお、
ここでは解ベクトルをこのように固定長ビット列コード
により表現したが、解ベクトルの表現方法はこの方法に
限定されるものではなく、直接実数値を要素に持つ形の
まま扱うことも考えられる。
【0041】上述のビット列コードを用いた表現方法に
従い、[0,1)内の一様乱数rと(数1)をもとに、固定長
ビット列コードの形に表現された解ベクトルのl番目の
ビット(l=1,..,Blen×m)を求めることにより初期解ベク
トル集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。ここで(数
1)においてulは下位からl番目のビットにおける値を
表すものとする。
【0042】
【数1】
【0043】この初期解ベクトル集合Pより最適解ベク
トル推定が開始される。それとともに、重心推定部10
9で使用する基準適合度fth、重心移動部112で使用
する基準移動距離lengthの設定を行う。
【0044】評価値獲得部104は前述のように各解ベ
クトルpk(k=1,...,n)に対する評価値Ekを求める部分で
あり、例えば(数2)のような評価関数により求める。
【0045】
【数2】
【0046】ここで、qkは、解ベクトルpkを元のm次元
空間に戻した際の座標ベクトルであり、wt minは、集合P
における各解ベクトルpkをm次元空間座標に戻したとき
の関数値w(qk)の中で、更新回数l回とするとl回目まで
に得られた解ベクトル集合全体の中で最小となる値を表
す。(数2)より明らかのように、これまで得られた解
ベクトル集合内での関数値最小値からの差を集合全体で
正規化した値を表す。本例では、この評価値を最大化す
る最大化問題として捉えることができる。
【0047】適応度計算部105では、評価値獲得部1
04で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性を
見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する関
数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=Ek
することにより評価値が高くなるほど適合度も高くな
り、最大値推定問題を取り扱うことが可能となる。
【0048】次に、更新方向判断部106の動作につい
て説明する。まず重心推定部109において、適合度計
算部105で得られた解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合
度fkと基準適合度fthが比較され、その値fthより大きな
適合度を持つ解ベクトル群P'=[pj l](j=1,..,p#num)を選
び出す。p#numはP'に属する解ベクトルの個数であり、
この時、重心ベクトルglは(数3)のように求められ
る。ここでlは遺伝的アルゴリズム部102における更
新処理の繰り返し回数を表す。
【0049】
【数3】
【0050】更新方向候補記録部110は、109で得
られたl回目における重心ベクトルg lと(l-1)回目におけ
る重心ベクトルgl-1の差分ベクトル△gl-1を求め更新方
向候補ベクトルv' l-1=△gl-1として記録する。更新方向
獲得部111では、更新方向候補記録部110で記録し
ている更新方向候補ベクトルv' lとv' l-1の方向の一致度
を評価されるが、2つのベクトルのなす角度θを求め、
その角度が予め与えられた一致判断角度θthと比較し、
その値より小さければ2つの更新方向候補ベクトルv' l
とv' l-1は同じ方向を向いていると判断される。θは
(数4)のように求めることができる。なお、cos-1
逆コサイン関数(逆予弦関数)を、(x,y)はベクトルxと
yの内積を、||x||はベクトルxのノルム(大きさ)を表
す。
【0051】
【数4】
【0052】もしv' lとv' l-1は同じ方向を向いていると
判断されれば、更新方向ベクトルvが得られたものとし
てv=v' lとなる。そしてこの場合、処理は方向適用更新
部107に処理が移る。一方、v' lとv' l-1は同じ方向で
はないと判断された場合、解ベクトル集合P内の解ベク
トルpkすべてn個は組み替え操作部108における遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの更新が
なされる。図8は以上の様子を模式的に表したものであ
る。
【0053】まず、更新方向ベクトルvが得られた場合
の処理について説明する。この場合、方向適用更新部1
07に処理が移る訳だが、その中では次の重心移動部1
12と重心周囲解ベクトル生成部113の順に処理が行
われる。重心移動部112では、更新方向ベクトルvの
指し示す方向に重心推定部109で計算した重心ベクト
ルglを移動させる処理を行う。ここでは簡単のために、
予め設定された平行移動距離lengthだけ移動させて新し
い重心ベクトルgl+1を推定する方法を取る。しかし、更
新方向ベクトルvの方向でPATAN法などの直線探索
方法を用いて評価値が最大となる点を求め、その点を改
めて重心ベクトルgl+1とする方法等も考えられる。重心
周囲解ベクトル抽出部113は、(数5)のように11
2で得られた新しい重心ベクトルgl+1を中心とした半径
a#lenの多次元空間での球内の領域に含まれる点をa#s個
任意に抽出し新しい解ベクトル集合の元とする。
【0054】
【数5】
【0055】a#s、a#lenはここでは予め設定された一定
値として考えるが、この値も動的に変化させる方法や、
この値を図7のようにビット列に変換して、解ベクトル
pkに加えて改めて解ベクトルと定義してやる方法も考え
られる。さらに、113では(n- a#s)個を次の組み替え
操作部108で行われる組み替え操作で生成する新しい
解ベクトル個数として設定する。
【0056】次に、組替え操作部108の動作について
説明するが、ここでは更新方向獲得部111または重心
周囲解ベクトル抽出部113で設定された解ベクトル個
数だけ、繰り返し回数lにおける解ベクトル集合P内の解
ベクトルの組み替え操作により新しい解ベクトルを生成
する。以下に、候補選択部201から解ベクトル抽出部
206における処理手順について説明する。まず、候補
選択部201において解ベクトルの選択淘汰が実行され
る。この場合、図9に表されるように適合度に比例する
確率で解ベクトルを選択するルーレット選択法が用いら
れる。
【0057】(ルーレット選択法) (i)集合Pに属する各解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合度f
k、全解ベクトルの適合度の総和fを求める。 (ii)pkが次世代の解ベクトルを作り出す親として選ばれ
る選択確率hkが(数6)のように求められる。
【0058】
【数6】
【0059】この確率を解ベクトルに割り当てるために
は例えば次のような方法が考えられる。 (iii)各解ベクトルの選択範囲Ikを[0,1)内の区間に(数
7)(数8)を用いて次のように割り当てる。つまり、
【0060】
【数7】
【0061】とする時、pkの選択範囲Ik
【0062】
【数8】
【0063】のように定義する。ここで、[0,1)内に一
様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)を発生させる。rj∈I
k(j,k=1,...,n)を満足するnumj=kの組Num=(num1,nu
m2,...,numn)を求めることにより、このNumに対応するn
個の解ベクトルの組が選択されることになる。
【0064】このようなルーレット選択法により、現在
の解ベクトル集団Pの中の解ベクトルpkの選択を行うの
である。まず、(数6)〜(数8)に従い選択範囲導出
部204が各解ベクトルが選択される確率hkとその選択
範囲Ikを求める。そして、乱数発生部205が0から1
の間の一様乱数rをn個発生する。乱数発生部205で得
られた乱数の組Rと選択範囲導出部204により得られ
る選択範囲Ikは、解ベクトル抽出部206へ送られrj
Ikを満足するnumj=kの組Numが求められる。それにより
解ベクトル抽出部206では、Numによって指定される
解ベクトルで構成される新しい解ベクトル集団Pを出力
するのである。この候補選択部201で得られる新しい
解ベクトル集団Pに対して、交叉処理実行部202が交
叉処理を行う。前述したように交叉処理としては様々な
方法があるが、本例では図72のような1点交叉もしく
は2点交叉処理を用いる。さらに突然変異処理部203
が、交叉処理実行部202を経て得られた新しい解ベク
トル集団に対して解ベクトルを構成する各ビットが低い
確率でビット反転を行う突然変異処理を実行するのであ
る。その際、突然変異を行う確率は、解ベクトル集団の
半分と残り半分では変動させることにより、より解ベク
トルの多様性に維持することに努めた。なお、ここで
は、求める解ベクトルはビット列コードに変換して扱っ
ているが、前述のように多次元空間における座標ベクト
ルの実数値要素をそのまま並べて解ベクトルとして扱う
ことも考えられる。この場合、交叉処理はビット列コー
ドの場合と同様な処理が施され、突然変異処理は、ある
低い確率で選ばれた遺伝子(多次元空間における座標ベ
クトルの要素)にある範囲内で与えられた乱数を付加す
ることによって実現される。
【0065】最後に遺伝的アルゴリズム部102の終了
条件について説明する。102の遺伝的組み替えによる
解ベクトル更新処理の終了条件としては様々なものが適
用される問題に応じて考えられるが、ここでは、 《終了条件1》適合度計算部105で得られた適合度fk
の最高値fmaxが収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》繰り返し回数lが終了更新繰り返し回数g
#numendを超えているかの2つの終了条件を設ける。そ
して、どちらの条件も満たさない場合にはもう一度評価
値獲得部104へ戻る。以上のような処理過程を終了条
件1または2のどちらかが満足されるまで繰り返し実行
することにより最適解ベクトルの推定を行うのである。
このように、解ベクトル集合内で適合度の高いグループ
の重心ベクトルの移動ベクトルに着目し、適合度の高い
解ベクトルが存在する分布すると思われる方向を推定し
た解ベクトル群の更新を行う。それとともに、元の解ベ
クトル集合を対象にした組み替え操作による解ベクトル
の最適化も同時に行うことにより、過去の解ベクトル更
新の履歴を利用した高速で効率的な最適解の推定を行う
ことができるのである。
【0066】以下、本発明に関する第2の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照しな
がら説明する。図10は、本発明に関する第2の例にお
ける最適化調整装置の構成を示すものである。本例は、
組み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新を行っ
た後、再度組み替え操作を用いて大域的な解ベクトルの
更新を行うことにより最適解ベクトルの推定を行うもの
である。
【0067】図10において、1001は初期解集合設
定部101で設定された初期解ベクトル集合P内の各ベ
クトルpk(k=1,...,n)の周囲に改めて初期解ベクトル群P
kを設定し、その初期解ベクトル群に属する解ベクトルp
k j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の問題に対する適合度fkjをも
とに解ベクトルの組み替え操作を予め設定された回数だ
け繰り返して適合度の高い解ベクトル群Pkを抽出する局
所更新部、1002は局所更新部1001で得られた複
数の解ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合してその集合
内の解ベクトルp* k(k=1,...,n*)の組み替え操作を行う
大域更新部である。局所更新部1001は、解ベクトル
集合P内の解ベクトルpkから局所的な解ベクトルの更新
を行う際の範囲を決定する局所更新設定部1003と、
1003で指定された範囲内で改めて初期解ベクトル群
Pkを生成するベクトル群設定部1004と、解ベクトル
pk j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の対象問題に対する評価値Ek j
を獲得する評価値獲得部104と、評価値獲得部104
で得られた評価値から各解ベクトルの適合度fk jを計算
する適合度計算部105と、適合度計算部105で得ら
れた適合度をもとに解ベクトル群内の解ベクトルの組み
替え操作を局所更新設定部1003で設定された範囲内
に含まれるように実行する局所組み替え操作部1005
と、一連の局所的な更新処理が予め与えられた繰り返し
回数を満足するかどうかの判断をする局所更新終了判断
部1006より構成される。一方、大域更新部1002
は、局所更新部1001で得られた解ベクトル群Pk(k=
1,...,n)を1つの集合P*=[p* i](i=1,...,n*)に統合する
集合統合部1007と、1007で得られた解ベクトル
集合P*を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更
新を行う大域組み替え操作部1008により構成され
る。さらに、局所組み替え操作部1005、大域組み替
え操作部1008ともに、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204と乱数
発生部205と解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0068】以上のように構成された本発明に関する第
2の例における最適化調整装置の動作を図11のフロー
チャート図をもとに説明する。ここで、扱う具体的問題
として本発明に関する第1の例と同様に多次元関数wの
最大値推定問題を取り上げる。また、多次元空間におけ
る座標ベクトルを構成する各要素も同様に図7に記され
る方法によりビット列コード表現され、このビット列が
要素の順番に従い並べられて形で遺伝的アルゴリズムで
推定する解ベクトルを表現されるものとする。
【0069】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、局所更新設定部1003で使用する局所範囲半径b#
len、局所更新終了判断部1006で使用する局所更新
終了回数c#lthが設定される。局所更新設定部1003
では、初期集合Pにおけるpkを中心として、(数9)の
ように局所範囲半径b#len内の多次元空間内の球領域が
設定される。
【0070】
【数9】
【0071】なお、このc#lthはここでは固定とした
が、動的に変化させることも可能であり、例えばその値
をビット列変換して解ベクトルpkに加えることも考えら
れる。ベクトル群初期設定部1004では、1003で
設定された範囲より複数の解ベクトルを任意に抽出して
改めて初期解ベクトル群Pkを設定する。ここでは、中心
となった解ベクトルpkも含めてnk個の解ベクトルpk j(j=
1,...,nk)を抽出する。本例ではnk=nとする。評価値獲
得部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ek j
を求め、適合度計算部105が評価値Ek jより適合度fk j
を計算する。局所組み替え操作部1005は、105に
おける適合度をもとに(数9)で表される領域内に含ま
れるように解ベクトルの組み替え操作を行う。この処理
は本発明に関する第1の例における最適化調整装置の組
み替え操作部108と同じであるため省略する。この1
005における解ベクトル群Pkの更新の後、局所更新終
了判断部1006で局所更新回数c#lが局所更新終了回
数c#lthと比較してc#l≧c#lthを満足するかどうかを判
断する。もし満足すれば局所更新処理は終了する。満足
しない場合は、c#lには1が加算され、評価値獲得部1
05から局所更新終了判断部1006の処理が繰り返さ
れる。このようにして、初めに設定された初期解ベクト
ル集合の周囲で遺伝的演算に基づく組み替え操作を行っ
てより適合性の高い解ベクトルを探索することが行われ
るのである。なお、1003におけるnkは、nk=nと設定
したが、元の解ベクトル集合P内の解ベクトルpkに対し
て可変にすることも考えれる。また、局所更新回数c#l
に対しても動的に変化させることも可能である。
【0072】次に、大域更新部1002における処理に
ついて説明する。まず1001で抽出された各解ベクト
ル群Pk(k=1,...,n)を集合統合部1007が1つの集合P
*=[p * i](i=1,...,n*)に統合する。この際、全ての解ベ
クトル群Pk内の解ベクトルを適合度の高い順番にソーテ
ィングし、高い方から順にn*個の解ベクトルを選んで統
合集合Pを生成することが考えられる。大域組み替え操
作部1008は、1007で得られた解ベクトル集合P*
を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更新を行
う。その際、この処理は本発明に関する第1の例におけ
る最適化調整装置の組み替え操作部108と同じである
ため省略する。図12は一連の様子を模式的に表す図で
ある。
【0073】最後に終了条件について説明する。終了条
件としては、本例1における最適化調整装置と同様に収
束判定適合度fendと終了更新繰り返し回数g#numendの2
つ値の比較条件が設定されている。具体的には、 《終了条件1》集合統合部1007において、各解ベク
トル群Pk内の解ベクトルpkiの持つ適合度の最高値fmax
が収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》局所更新部1001から大域更新部10
02における一連の更新の繰り返し回数lが終了更新繰
り返し回数g#numendを超えているかの2つの終了条件を
設ける。そして、どちらの条件も満たさない場合には局
所更新設定部1003へ処理が戻る。満足する場合に
は、最適解出力部103に処理が移り、最新の解ベクト
ル集合において最も適合度の高い解ベクトルが最適解ベ
クトルとして出力される。本例における第2の最適化調
整装置は以上のような処理過程を終了条件1または2の
どちらかが満足されるまで繰り返し実行することにより
最適解ベクトルの推定を行うものである。このように組
み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新を数回繰
り返し行った後に再び組み替え操作により大域的な解ベ
クトルの更新を行うことにより、遺伝的アルゴリズムの
持つ解ベクトルの大域的更新能力を損なわずに、局所的
な解ベクトルの更新能力を補強することができ、高速な
最適解の推定の実現が可能となる。
【0074】以下、本発明に関する第3の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図1
3は、本発明に関する第3の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、解ベクトル集合内の
各解ベクトルをその近傍空間よりランダムに抽出したベ
クトル群と比較して適合度の高いベクトル群を改めて更
新処理の対象となる解ベクトル集合に属する解ベクトル
として選び出して組み替え操作の対象とすることを特徴
とする。
【0075】図13において、1301は解ベクトル集
合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,n)の周囲から任意の解
ベクトルを選び出すための範囲設定を行う初期更新領域
限定部である。初期解ベクトル群抽出部1302は、初
期更新領域限定部1301で得られた範囲内に含まれる
解ベクトルを任意に抽出して解ベクトル群Pk(k=1,...,
n)を作成する。解ベクトル集合統合部1303は、各解
ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合するものであり、こ
のP*に対して組み替え操作が実行される。
【0076】以上のように構成された本発明に関する第
3の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図14のフローチャート図をもとに説明する。なお、
扱う具体的問題として本発明に関する第1、第2の例と
同様に多次元関数wの最大値推定問題を取り上げ、解ベ
クトルを構成する各要素も同様に図7に記される方法に
よりビット列コード表現され、解ベクトルとしてはこの
ビット列が多次元空間における座標ベクトルの要素の順
番に従い並べられた形で解ベクトルが表現される。
【0077】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、初期
更新領域限定部1301で使用する限定領域半径c#len
が設定される。限定領域の設定としては様々な方法があ
るが、初期更新領域限定部1301ではこのc#lenを使
い、初期解ベクトル集合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,
n)を中心にした多次元空間での球領域を設定する。次
に、初期解ベクトル群抽出部1302が各解ベクトルpk
を中心とした解ベクトル群Pkを設定する。この場合、各
球領域内から任意にnk個のベクトルを抽出して解ベクト
ル群を設定する。評価値獲得部104、適合度計算部1
05を経て、解ベクトル集合Pkにおける各解ベクトルpk
jごとに適合度fk j(j=1,...,nk)が計算される。解ベクト
ル集合統合部1303では、この適合度をもとに各解ベ
クトル群のを1つの集合P*に統合する処理を行う。図1
5はその様子を模式的に表す。その方法としては、本例
2のように、各解ベクトル群内の解ベクトルを適合度の
高い順に並べて、高い方からn*個選択する方法も考えら
れるが、この例では、組み替え操作部108における候
補選択部201で使用したルーレット選択法を用いてn*
個の解ベクトルを抽出する方法をとる。つまり、各解ベ
クトルpk jの選ばれる確率rk jとして、(数10)のよう
に各適合度fk jの総和f#tに対する比の値rk jを定義し、
その値をルーレットの占める範囲に割り当てる。そし
て、乱数により選ばれた値が止まる位置を占める解ベク
トルを抽出するという方法を用いるのである。こうする
ことにより、確率的に適合度の高いものが選ばれること
になる。
【0078】
【数10】
【0079】組み替え操作部108では本発明に関する
第1の例の場合と同様に、解ベクトル集合統合部130
3で得られた解ベクトル集合P*内の解ベクトルp* i(i=
1,...,n*)を対象として、ルーレット選択法による解ベ
クトルの選択淘汰、交叉処理、突然変異処理が候補選択
部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行部
203で実行されるのである。この方法は本発明に関す
る第2の例における最適化調整装置と比較すると、局所
的な解更新能力をできるだけ簡単な手順で実現するもの
である。
【0080】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。両方の条件を満足しない場合に
は、初期更新領域限定部1301に処理が戻る。以上の
ような処理過程をいずれか一つの終了条件を満足するま
で繰り返し実行することにより最適解推定を実行するの
である。このように、本発明に関する第3の最適化調整
装置は、解ベクトル集合内の各解ベクトルをその近傍空
間よりランダムに抽出したベクトル群と比較して適合度
の高いベクトル群を改めて更新処理の対象となる解ベク
トル集合に属する解ベクトルとして選び出す。そして、
出来上がった解ベクトル集合を組み替え操作の対象とす
ることにより、従来の遺伝的アルゴリズムでは欠如して
いた局所的更新能力の弱さを解消することができる。
【0081】以下、本発明に関する第4の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照しな
がら説明する。図16は、本発明に関する第4の例にお
ける最適化調整装置の構成を示すものである。本例は、
適合度をもとに選択された解ベクトルの近傍ベクトル群
を抽出することにより解集合全体の再設定を行い、各近
傍ベクトル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え
操作を行うことにより最適解の探索を行うものである。
【0082】図16において、1601は解ベクトル集
合全体の再設定を行う解集合再設定部、1602は解集
合再設定部1601で得られた各近傍ベクトル群内の解
ベクトルのみを対象とした組み替え操作により新しい解
ベクトル集合の生成をするグループ組み替え操作部であ
る。ここで、解集合再設定部1601は解ベクトル集合
全体から代表となる解ベクトルをいくつか選択する代表
解ベクトル選択部1603と代表解ベクトル選択部16
03で得られた各代表解ベクトルに対して、その近傍ベ
クトル群を抽出する近傍ベクトル群抽出部1604より
構成される。グループ組み替え操作部1602は候補選
択部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行
部203により構成され、候補選択部201は、選択範
囲導出部204と乱数発生部205と解ベクトル抽出部
206により構成される。
【0083】以上のように構成された本発明に関する第
4の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図17のフローチャート図をもとに説明する。ここ
で、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の
表現方法は本発明に関する第1から第3における例の場
合と同様である。
【0084】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、代表解ベクトルの数Ncと各代表解ベクトルを中心し
て抽出する近傍ベクトルの数Nsと近傍の定義を表す近傍
幅wi(i=1,...,Nc)が設定される。評価値獲得部104が
(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度
計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算する。
【0085】次に、解集合再設定部1601の動作につ
いて説明する。まず代表解ベクトル選択部1603にお
いて、解ベクトル集合から近傍ベクトル群を抽出するの
に必要とされる代表解ベクトルpi c(i=1,..,Nc)を選び出
す。この時、選択方法としては様々な手法が考えられる
が、本例ではグループ組み替え操作部1602を構成す
る候補選択部201で用いられているルーレット選択法
により確率的に適合度の高いベクトルを代表解ベクトル
として選び出すこととする。近傍ベクトル群抽出部16
04が、代表解ベクトル選択部1603で得られた代表
解ベクトルpi cに対して、各々、(数11)を満足する
近傍ベクトルpをNs個抽出することによりNc個の近傍ベ
クトル群を作成する。この(数11)は、実際の実数空
間にお
【0086】
【数11】
【0087】いて代表解ベクトルpi cを中心とした半径w
iの球内を表していおり、Ns個の近傍ベクトルを選び出
す方法としては(数11)に含まれる解ベクトルから一
様乱数を用いてランダムに選び出される。図18は以上
の様子を模式的に表現したものである。なお、本例で
は、(数11)のように近傍の判断として実際の実数空
間における解ベクトル間のユークリッド距離を用いた。
しかし、これに限定されるものではなく、ビット列コー
ドに変換表現した2つの解ベクトルx、yにおいて、右か
ら数えて下位のLbitビットを比較し、反転しているビッ
ト数をもとに近傍を定義することにより近傍を定義する
方法も考えられる。
【0088】以上のような解集合再設定部1601の処
理により、Nc個の近傍ベクトル群が抽出させる。グルー
プ組み替え操作部1602では、その各々の近傍ベクト
ル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行
う。その際、まず候補選択部201において、ルーレッ
ト選択法による解ベクトルの選択淘汰が各々の近傍ベク
トル群内を対象として行われ、候補選択部201で得ら
れた新しい近傍ベクトル群を対象とした交叉処理が交叉
処理実行部202で実行される。こうして各々の近傍ベ
クトル群独立に実行された組み替え操作により、新しい
解ベクトル集合が生成され、この解ベクトル集合に対し
て突然変異処理実行部203が突然変異処理を実行する
のである。
【0089】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。このように代表解ベクトルの近
傍からベクトル群を選び出しまとめることにより、局所
的な探索をより効率良く行うことができる。さらに各近
傍ベクトル群独立に組み替え操作を行うことにより、突
出した適合度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに
大きな影響を与えることも避けることができるのであ
る。
【0090】以下、本発明に関する第5の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明しな
がら説明する。第5の例は、解ベクトル集合内の解ベク
トル近傍を複数の領域に分割し、その中で平均適合度の
高い領域から任意に選び出す処理と並行して、元の解ベ
クトル集合内の解ベクトルの組み替え操作による解ベク
トル更新を行うように工夫したものである。図19は、
本発明に関する第5の例における最適化調整装置の構成
を示すものである。更新領域分割部1901は解ベクト
ル集合内から任意に選び出した2つの解ベクトルの近傍
空間を複数の領域に分割する処理を行い、平均適合度計
算部1902は更新領域分割部1901で分割された各
領域内で複数の解ベクトル点を抽出しその評価値、適合
度の平均を求める。さらに、適領域解ベクトル群抽出部
1903は1902で選ばれた領域から複数の解ベクト
ルを任意に選び出すものであり、解ベクトル統合部19
04は、組み替え操作により生成された解集合と近傍領
域探索により更新された解ベクトル群を1つの集合P*
統合するものである。
【0091】以上のように構成された本発明に関する第
5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の動
作を図20の処理を表すフローチャート図をもとに説明
する。なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する
各要素の表現方法は本発明に関する第1から第4におけ
る例の場合と同様である。
【0092】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解ベ
クトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価値
Ekより適合度fkを計算する。組み替え操作部108がこ
の適合度fkをもとに解ベクトル集合P内の解ベクトルpk
の遺伝的な組み替え操作を行う。その処理と並行して、
以下の処理がなされる。
【0093】まず、更新領域分割部1901では、解ベ
クトルpkとpmの間を結ぶ直線区間Lが設定できる。このL
は(数12)のように表現できる。ここでαは実数値で
ある。
【0094】
【数12】
【0095】この直線区間を次の3つの領域に分割す
る。 (1)α<0.0のpmを起点にしてpkから遠ざかる領域 (2)0.0≦α≦1.0のベクトルpkとpmの間の領域 (3)α>1.0のpkを起点にpmから遠ざかる領域 解ベクトルpkに対して、解ベクトル集合Pからランダム
にその相手となる解ベクトルpmが選択される。このよう
にして直線区間ではあるが、解ベクトルpkの近傍を分割
することができる。なお、pkを中心にした球領域を考
え、その領域を経度角度βにより分割することにより複
数領域に分ける方法も考えられる。平均適合度計算部1
902では、領域(1)(2)(3)各々よりnc個の解ベクトル
を選び出し、評価値そして適合度を計算する。そして、
各領域ごとに平均適合度fi me an(i=1,2,3)を導出するの
である。適領域解ベクトル抽出部1903は1902の
結果をもとに、最も平均適合度の高い領域を選択し、そ
こからランダムにnd個の解ベクトルを元に持つベクトル
群Pkを抽出する。図21はその様子を表しており、この
場合は領域(2)が選択されている。最新の解ベクトル集
合の中で最も適合度の高い解ベクトルが出力される。こ
の適領域解ベクトル抽出部1903で抽出された解ベク
トル群Pk(k=1,...,n)と組み替え操作部108で得られ
た新しい解ベクトル集合Pが1904の解ベクトル統合
部で1つの集合P*に統合される。この方法としては、本
例2における高い適合度の順に抽出する方法と、本例3
における適合度にルーレット選択法を適用した確率的に
適合度の高いものを選択する方法等が考えられる。
【0096】前述までの例の場合と同様に、 《終了条件1》更新繰り返し回数lが更新終了繰り返し
回数g#numendをこえたかどうか 《終了条件2》最大適合度fmaxが収束判定適合度fend
超えたかどうかという2つの終了条件が設定されてお
り、どちらも満足しない場合にはもう一度評価値獲得部
104へ処理が戻り、どちらかが満たされれば、最適解
出力部103で最も適合度が高い解ベクトルが最適解と
して出力されるのである。以上のような処理過程を終了
条件を満足するまで繰り返し実行することにより最適解
の探索を行うのである。このように、解ベクトル集合内
の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並行して、
各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処理も同時
に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが持つ効率
的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補強するこ
とができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実行するこ
とができる。
【0097】以下、本発明に関する第6の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図2
2は、本発明に関する第6の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、適合度の算術平均と
標準偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分
割し、各グループ内の解ベクトルのみを対象とした組み
替え操作を行うことにより最適解の探索を実行する。
【0098】図22において、2201は解ベクトル集
合全体を複数のグループに分割する解集合分割部であ
る。解集合分割部2201は解ベクトル集合全体を分割
する際の各領域を決定する分割領域決定部2202とそ
の結果をもとに解ベクトル集合を実際に複数のグループ
に分割する分割実行部2203より構成される。
【0099】以上のように構成された本発明に関する第
6の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図23のフローチャート図をもとに説明する。なお、
扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の表現
方法は前述までの第1から第5までの例と同様である。
【0100】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、解ベ
クトル集合分割条件として分割するグループ数Ngとその
分割に用いられる自然定数nが設定される。評価値獲得
部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求
め、適合度計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算
する。収束条件として、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは
適合度計算部105で得られた適合度fの最大値fmax
収束判定適合度f endを超えているかどうかという2つの
条件が設定されており、どちらかでも満足する場合は解
ベクトルの更新処理は終わり、最適解出力部103で最
も適合度の高い解ベクトルが出力される。
【0101】次に、解集合分割部2201の動作につい
て説明する。まず分割幅決定部2202が適合度計算部
105で求められた適合度fkの算術平均Aveとその標準
偏差σを計算する。そして、例えばNg=3の場合、図24
(a)の適合度fkに対する個体数分布を表す図のよう
に、Ave、σと初期解集合設定部101で設定された自
然定数nを用いて、 (A)fk>(Ave+σ×n)の領域 (B)(Ave-σ×n)≦fk≦(Ave+σ×n)の領域 (C)fk<(Ave-σ×n)の領域 の3つの領域を決定する。分割実行部2203が分割領
域決定部2202の結果を受けて、実際に解ベクトル集
合全体を分割する。図24(b)は実際の実数値空間に
おける分割された各グループの分布を模式的に表す図で
ある。ここで、本発明に関する第4の例の場合は、現在
の解ベクトル集合の適合度をもとに検討した分布状況に
関係なく代表解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出してい
るが、本例では、現在の解ベクトル集合の中から適合度
の分布状況に従い抽出して分割を行っている点が大きく
異なる。なお、本例では、nを一定とみなしているが、
この値も動的に変化させることも考えられる。
【0102】グループ組み替え操作部1602では本発
明に関する第4の例の場合と同様に、解集合分割部22
01で得られた複数のグループ内の解ベクトルのみを対
象として、ルーレット選択法による解ベクトルの選択淘
汰、交叉処理が候補選択部201、交叉処理実行部20
2で順番に実行される。そして、新しく生成された解ベ
クトル集合全体に対して突然変異処理実行部203が突
然変異処理を実行するのである。
【0103】以上のような解ベクトル集合の更新処理
を、前述の収束条件が満たされるまで繰り返し行うこと
により最適な解べくトルの推定を行うものであり、この
ように解ベクトル集合全体を適合度の平均と標準偏差を
もとに複数のグループに分割し、各グループ内に属する
解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を各グループ
独立に実行することにより、突出した高い適合度を持つ
解ベクトルや低い解ベクトルが別々のグループに分かれ
て組み替え操作を行われることになる。そのため、それ
らが解ベクトル集合全体にすぐに大きな影響を与えるこ
とを避けることができるし、また各グループ内の解の収
束も高速となり、効率良い最適解ベクトルの推定を行う
ことができるのである。
【0104】以下、本発明に関する第7の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明しな
がら説明する。第7の例は、適合度を計算する度に適合
度の算術平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに解
ベクトル集合を複数のグループに分割するかどうかの判
断をすることにより組み替え操作対象を選択し、得られ
た組み替え操作対象内の解ベクトルを対象とした組み替
え操作を行うことにより最適解探索を実行するものであ
る。図25は、本発明に関する第7の例における最適化
調整装置の構成を示すもので、2501は適合度の算術
平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル
集合全体を複数のグループに分割するかどうかの判断を
下す組み替え対象制御部である。
【0105】以上のように構成された本発明に関する第
7の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の動
作を図26の全体の処理を表すフローチャート図、図2
7の処理2を表すフローチャート図をもとに説明する。
なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素
の表現方法は本発明に関する第1から第6における例の
場合と同様である。
【0106】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定されるとともに、解ベクトル集合分割条件として分割
するグループ数Ngとその分割に用いられる自然定数nが
設定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解
ベクトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価
値Ekより適合度fkを計算する。収束条件として、更新繰
り返し回数lが更新終了繰り返し回数g#numendをこえて
いるかどうか、もしくは適合度計算部105で得られた
適合度fの最大値fmaxが収束判定適合度fendを超えてい
るかどうかという2つの条件が設定されており、どちら
かでも満足する場合は解ベクトルの更新処理は終わり、
最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトルが出
力される。
【0107】本例は第6の例に解ベクトル集合の分割を
行うかどうかの制御機構2501を設けることにより、
無意味な分割(解ベクトル集合内の全ての解ベクトルの
適合度が非常に近い値を持つような場合)をすることに
よる効率のロスを避けることを目的とする。組み替え対
象制御部2501は、まず適合度計算部104で得られ
る適合度fkよりその平均Aveと標準偏差σを求める。そ
して、この値と最大・最小適合度をもとに解ベクトル集
合を複数のグループに分割するかどうかの判断を下すの
である。その判断基準として様々な基準が考えられる
が、本例では(数13)で表される条件を満足する時
に、解ベクトル集合を複数のグループに分割する必要が
あると判断するように定義する。
【0108】
【数13】
【0109】ここでfmaxは最大適合度、fminは最小適合
度、cfは適合度分布判断定数を表す。この判断基準の結
果に従い、2501は次のような動作を行う。 《判定1》分割しないと判断された場合には解ベクトル
集合全体を組み替え対象として組み替え操作部108へ
進む。 《判定2》分割を行うと判断された場合には解集合分割
部2201へ進む。この時、解ベクトル集合の分割方法
として適合度の平均値Aveと標準偏差σをもとに本発明
における第6の例の場合と同様な方法を用いる。
【0110】組み替え操作部108では、組み替え対象
制御部2501で得られた組み替え対象に対してルーレ
ット選択法による解ベクトルの選択淘汰が候補選択部2
01で実行され、1点もしくは2点交叉処理が交叉処理
実行部202で実行され、突然変異処理が突然変異処理
実行部203が実行されるのである。
【0111】そして本発明における第1から第6の例の
場合と同様な収束条件により解ベクトル集合の更新を続
行するかどうかの判定を行う。以上のような処理過程を
繰り返し実行することにより最適解ベクトルの推定を行
うのである。このように、適合度の算術平均と標準偏
差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合を複数の
グループに分割するかどうかの判断をする。分割すると
判断された場合には、解集合分割部が解集合全体を複数
のグループに分割し、そう判断されない場合は解集合全
体を組み替え操作の対象とし、得られた組み替え処理対
象に対して解ベクトルの選択と組み替え操作を行うこと
により適合度分布状況をもとに突出した高い適合度を持
つ解ベクトルの有無を判断し、その影響を低減するよう
に組み替え処理対象を限定することにより、効率良い最
適解ベクトル推定を行うことができるのである。
【0112】以下、本発明に関する第8の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図2
8は、本発明に関する第8の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、更新領域設定部で用
いられる段階収束基準として段階収束適合度とその値を
満足する解ベクトル個体数を定義し、更新領域設定部に
おいて前記段階収束基準を満足するごとに更新領域を局
所的に限定するとともに段階収束適合度の精度を上げて
いくことにより最適解ベクトルの推定を実行するもので
ある。
【0113】図28において、2801は段階収束基準
として設定された段階収束評価値とその値を満足する解
ベクトル個体数を評価し、その基準を満足する場合に探
索領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の精
度を上げていく更新領域設定であり、更新領域設定部2
801は、段階収束適合度flthとその値を満足する解ベ
クトル個体数Nlthを評価する段階収束判定部2802
と、段階収束判定部2802で収束と判断された場合に
更新領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の
精度を上げる収束基準変更部2803により構成され
る。
【0114】以上のように構成された本発明に関する第
8の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
について図29のフローチャート図をもとに説明する。
その際、扱う具体的問題及び解ベクトルのコーディング
方法については第1から第7における例と同様のものを
用いるとする。
【0115】まず、これまでの例と同様に初期解集合設
定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。この初期解ベクトル集合Pより最適解ベクト
ル推定が開始されるのである。それとともに、初期解ベ
クトルの更新領域と、初期段階収束基準が設定される。
段階収束基準は段階収束適合度flthとその値を満足する
解ベクトル個体数Nlthとして定義されており、初期段階
収束適合度flth0と収束判定のための初期個体数Nlth0
flth=flth0、Nlth=Nlth0のように設定される。また、初
期更新領域としては、係数に相当する長さBlenのバイナ
リーコードにおいて最上位Clenビットのみが有効でそれ
以下では0とみなすことにより表現される領域を対象と
する。
【0116】更新領域設定部2801では、まず段階収
束判定部2802において、105で得られた適合度fk
と段階収束適合度flthが比較され、fkがflthより大きく
なる解ベクトルの個数Nlを数える。この際、段階収束判
定部2802では段階収束適合度flthが予め設定された
収束判定適合度fendを超えているかかどうかを判断する
段階収束条件を設け、次のような判定がされる。 《判定1》Nl≧Nlthかつ段階収束条件を満足する場合、
最適解出力部103へ進む。 《判定2》Nl≧Nlthだが段階収束条件を満足しない場
合、収束基準変更部2803が段階収束適合度flth
(数14)に従い変更する。ここで、flth newが新しく
設定される段階収束適合度であり、flth prvが現在の段
階収束適合度、△flが予め設定された段階収束適合度の
変分量であり、正の実定数である。なお、ここでは△fl
は一定とみなすが、この値も動的に変化するように設定
することも考えられる。
【0117】
【数14】
【0118】収束基準変更部2803では、バイナリ変
換された各係数の現在の更新領域であるClenビットは、
その係数がflth prvを満足するベクトルに含まれる場合
は、そのまま保存される。一方、満足しないベクトルに
対しては、満足する複数のベクトルの中からランダムに
選ばれたベクトルが各係数の現在の探索領域であるClen
ビットにコピーされる。その後、各係数において次の下
位のClenビットにより表現される領域を改めて更新対象
領域とするのである。その際、更新対象領域より上のビ
ットは変更せず、また更新領域より下のビットは0とす
る。ここで、Clenビットの移動が、予め設定された、各
係数に割り当てられたBlenビットを超える時は、一番下
位ビットからClenビットを更新の対象とする。以上の処
理の後、再び段階収束判定部2802における判定を繰
り返す。 《判定3》Nl≦Nlthの場合、組み替え操作部108へ進
む。
【0119】図30は判定2で行う更新ビット選択処理
を実際の係数が取り得る実数値空間における更新領域に
展開して表している。解ベクトルの要素である係数は図
7で示されるようなビット列コード表現されているた
め、上位ビットの変動は実際の実数空間における係数の
大きな変動に相当し、下位ビットの変動は現在点を中心
とした局所的な変動に相当する。そのため、図30で明
かなように判定2で行う更新ビット選択処理は、はじめ
各係数が取り得る領域をあらく大域的に更新した後、抽
出された領域をさらに細分化して局所的に更新する過程
を繰り返すというように、段階的に更新領域を限定・細
部化して更新を行う過程に相当する。
【0120】解ベクトル集合内の解ベクトル更新の終了
を判断する収束条件としては、判定1及び判定2で使用
される段階収束条件と、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうかを判断する
条件が用意されている。この2つの条件が満足されるま
で、以上のような解ベクトルの更新処理を繰り返し実行
することにより最適解の推定を行うのである。このよう
にまず大域的に荒い解ベクトルの探索を行った後徐々に
局所的探索に移行することにより、従来問題とされてい
た最適解近傍における局所的な探索能力の甘さによる影
響を低減することが可能となり、効率良くかつ高速な最
適解探索を実現することができる。
【0121】なお本発明に関する第1から第8の例の遺
伝的アルゴリズムによる最適化調整方法及び最適化調整
装置では、多次元関数の最大値推定問題を具体例として
説明したが、前記巡回セールスマン問題やある個数の品
物を容量が限定されているナップサックにできるだけ詰
め込むことを求めるというナップサック問題、与えられ
た多次元空間における複数点よりそれらをうまく近似す
る多次元関数を求める多次元関数近似問題、病院におけ
る看護婦の夜勤、深夜勤務スケジュールを適切に計画す
るためのスケジューリング問題、航空機等のパラメトリ
ック設計等への適用も考えられる。1例として次のよう
に記述できる一次元関数近似問題が挙げられる。 《条件1'》所定の手続きまたは外部からの指示によ
り、t個の2次元ベクトルqi(xi, yi)(i=1,...,t)からな
る集合Qを作り出す。 《条件2'》(数15)のような(s-1)次関数を定義す
る。 《条件3'》条件1における2次元ベクトル集合Qを最も
近似する(数15)で表される(s-1)次関数の各項にお
ける係数aj(j=0,...,s-1)を(数16)を満足する範囲
内で求める。ここで、x∋xkを独立変数と、cjは係数aj
の絶対値の探索上限とみなす。
【0122】
【数15】
【0123】
【数16】
【0124】《条件4》ただし、条件1における2次元
ベクトルデータ数tは探索する係数ajの個数sよりもはる
かに大きいものとする。図31はこれを模式的に表現し
たものである。この場合、評価値獲得部104が例えば
(数17)のように、予め与えら
【0125】
【数17】
【0126】れた2次元ベクトルデータqi(xi, yi)と得
られた近似関数より推定されるベクトルデータoi(xi, z
i)の間の2乗誤差の総和(i=1,...,t)を評価関数として
用いることにより各解ベクトルpkに対する評価値Ekを求
める方法が考えられ、この一次元関数近似問題はこの評
価値を最小化する最小化問題として捉えることができ
る。 その時、適応度計算部105では、評価値獲得部
104で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性
を見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する
関数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=V-E
kとし、VはEkより大きい正の実定数とする。こうするこ
とにより、評価値が小さい程適合度は大きな値になるよ
うに変換することができる。
【0127】以下、本発明の第1の実施の形態から第7
の実施の形態と、本発明に関する第9の例から第16の
例における最適化調整方法及び最適化調整装置について
図面を参照して説明するが、この第1から第7の実施の
形態と、第9の例から第16の例では、ユーザの評価を
もとに最適な解ベクトルを推定する対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いた最適化調整方法と最適化調整装置に関す
るものである。
【0128】本発明に関連する第1の実施の形態におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照
しながら説明する。第1の実施の形態の最適化調整方法
と最適化調整装置は各調整する解ベクトルの更新領域を
その特性や過去の調整結果をもとに限定し、その領域内
の解ベクトルを対象として対話型遺伝的アルゴリズムに
より最適な解ベクトルの調整を行うものである。実施の
形態1はその最適化調整方法と最適化調整装置を視力の
補正を行うレンズの調整に応用した実施の形態である。
【0129】図32において、3201は対象とするデ
ータを入力する対象データ入力部、3202は解ベクト
ルの取り得る領域を限定する更新領域限定部、101は
調整する初期の解ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を
所定の手続きまたは外部からの指示により設定する初期
解集合設定部、3203は遺伝的組み替え操作等により
最適解ベクトルの調整を実際に行うメイン処理部、10
3は最適な解ベクトルを出力する最適解出力部、320
4は最適解出力部により出力された最適解ベクトルに従
い対象データ入力部3201で入力されたデータを扱う
機器の調整を行う機器調整実行部である。メイン処理部
3203は、ユーザに各解ベクトルの表す情報を提示し
各解ベクトルの評価をしてもらうユーザ評価部3205
と、ユーザ評価部3205で得られた評価値Ekをもとに
各解ベクトルのその問題に対する適合度fkを計算する適
合度計算部105と、適合度計算部105で得られた各
解ベクトルの適合度をもとに解ベクトルの選択淘汰と交
叉、突然変異等の組み替え操作処理を実行する組み替え
操作部108と、組み替え操作部1081で得られた解
ベクトルの集合において、更新領域限定部3202で設
定された解ベクトルの取り得る限定領域に属さない解ベ
クトルを限定領域内の任意のベクトルと取り替えること
により解ベクトルの集合を再設定する集合再設定部32
06により構成される。ユーザ評価部3205は、各解
ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部32
07と、ユーザが情報提示部3207で提示された情報
をもとに各解ベクトルの評価値を判定するユーザ評価判
断部3208により構成される。組み替え操作部108
は図2に示されるように、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204、乱数
発生部205、解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0130】以上のように構成された本発明に関連する
第1の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整
装置の動作について図33のフローチャートをもとに説
明する。まず、図72に示されるように、対象データ入
力部3201でユーザに提示するための検定画像が入力
データとして入力される。調整する解ベクトルpkは(左
目に用いられる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右
目に用いられる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の
組により表される。ここで、レンズの度数は焦点距離
(m)の逆数Dを単位として持つ。そして近視を(-)、遠
視(+)の符号で表し、例えば焦点距離の遠点が50cmで
ある近視の場合には-2.0D(1m÷50cm)と表示され、矯
正するレンズの度数も-2.0Dが用いられる。なお、解ベ
クトルとして実数値を要素に持つ形で取り扱うこととす
るが、図7のように各実数値を対応した長さBlenのビッ
ト列コードに変換しそのビット列コードを順番に並べる
形に表現することも考えられる。更新領域限定部320
2では、図73の概念図に示されるように、例えば過去
の最適な解ベクトルが解ベクトル空間に占める領域Φ内
のみを探索するように限定するのである。初期解集合設
定部101では、この領域Φ内の解ベクトルを一様乱数
を用いてランダムに選びだして解ベクトルの初期集合P=
[pk](k=1,...,n)が設定される。そして、この初期解ベ
クトル集合Pより最適解ベクトルの調整が開始される。
情報提示部3207では、上述の解ベクトル集合Pの元
である解ベクトルpkにより表現される矯正用レンズに対
象データ入力部3201で入力される検定画像を通して
見える調整画像が提示され、これを見てユーザは各解ベ
クトルにより作成される矯正用レンズの評価値Ekをユー
ザ評価判断部3208で行う。適合度計算部105で
は、ユーザ評価判断部3208で得られた評価値から、
各解ベクトルの適合性を調べるための適合度fkを計算す
る。適合度fkを導出する関数として様々なものが提案さ
れているが、ここではfk=Ekとする。
【0131】組み替え操作部108の動作については本
発明に関する第1から第8の例の場合と同様のため省略
する。集合再設定部3206では、組み替え操作により
新しく得られた解ベクトル集合P内の解ベクトルにおい
て更新領域限定部3202で設定した限定領域Φに属さ
ない解ベクトルを取り出し、限定領域Φ内よりランダム
に選択された解ベクトルを加えることにより解ベクトル
を再設定し直すのである。 終了条件として、繰り返し
回数が許容繰り返し回数を越えていないかが判断される
が、ユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足
るものかどうかも併せて確認する。どちらも満足しない
場合にはもう一度情報提示部3207へ戻る。以上のよ
うな処理過程を繰り返し回数の終了条件かユーザの満足
度を満たすまで繰り返し実行することにより、解ベクト
ルの最適化を実現するのである。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が矯正レンズの調整を行うかまたは指示す
るようになっている。このような処理を行うことによ
り、ユーザの視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯
正のためのレンズの調整をユーザ自身が容易に調整する
ことが可能となる。そして、調整する解ベクトルの探索
領域をその特性や過去の調整結果をもとに限定しその領
域内の解ベクトルを対象とすることにより、探索する必
要がないと思われる領域での探索を削除することが可能
となり、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことが
できる。
【0132】以下、本発明に関連する第2の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図面
を参照しながら説明する。第2の実施の形態では、最適
化調整方法と最適化調整装置は記録されている過去の最
適な解ベクトル情報をもとに調整する解ベクトルの初期
集合を設定し対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な
解ベクトルの導出を行うものである。第2の実施の形態
は、本発明に関連する第1の実施の形態と同様に視力の
補正を行うレンズの調整に応用した実施の形態である。
図34は、本発明に関連する第2の実施の形態における
調整装置の構成を表す。
【0133】図34において、3401は過去の調整に
より得られた最適な解ベクトルの記録している記録媒体
部、3402は記録媒体部3401から、保存されてい
る過去の最適な解ベクトル群を読み込む記録情報読込み
部、3403は記録情報読込み部3402で読み込んだ
過去の最適な解ベクトルから解ベクトルの初期集合Pに
用いるものを選択する初期解ベクトル選択部、3404
は初期解ベクトル選択部3403で選ばれた解ベクトル
にランダムに設定された解ベクトルを加えて解ベクトル
の初期集合を設定する初期解ベクトル補充部、3405
は最適解出力部103で出力されたユーザにとって最適
な解ベクトルを記録媒体部3401に記録する最適解ベ
クトル記録部である。
【0134】以上のように構成された本発明に関連する
第2の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整
装置の動作を図35のフローチャートをもとに説明す
る。
【0135】まず、対象データ入力部3201でユーザ
に見せる検定画像データが入力される。調整する解ベク
トルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における最
適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目
に用いられる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱
レンズの度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目
に用いられる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱
レンズの度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組
により表される。記録情報読込み部3402は記録媒体
部3401に記録されている過去の調整により得られた
最適な解ベクトル群を読み込む。初期解ベクトル選択部
3403が、記録情報読込み部3402で得られた過去
の最適解ベクトル群よりns個選択し、次の初期解ベクト
ル補充部3404が(n-ns)個の一様乱数によりランダム
に設定された解ベクトルを加えて解ベクトルの初期集合
Pを作成する。もし記録媒体部3401にns個だけの情
報がない場合は、記録されているだけの解ベクトルが初
期解ベクトル選択部3403で選択され、解ベクトルの
初期集合の元の個数がn個になるように初期解ベクトル
補充部3404で設定される。情報提示部3207にお
ける矯正レンズを通した調整画像の提示とーザ評価判定
部における各解ベクトルの評価値の判定、そして適合度
計算部105における各解ベクトルの適合度の計算と組
み替え操作部108で解ベクトルの組み替え操作が行わ
れ新しい解ベクトル集合が生成される。終了条件として
は、本発明に関連する第1の実施の形態における最適化
調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、繰り返し回
数が許容繰り返し回数を越えていないかを判断すること
と、ユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足
るものかどうかを確認することが挙げられる。どちらも
満足しない場合にはもう一度情報提示部3207へ戻
る。以上のような処理過程を繰り返し回数の終了条件か
ユーザの満足度を満たすまで繰り返し実行することによ
り、解ベクトルの最適化を実現するのである。そして最
適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトルが最適
解ベクトルとして出力され、その最適解ベクトルに従っ
て機器調整実行部3204が矯正レンズの調整を行うか
または指示するようになっている。その際次の調整を行
う際の開始点となるように、最適な解ベクトルを最適解
ベクトル記録部3405が記録媒体部3401に記録し
ておくのである。このような処理を行うことにより、ユ
ーザの視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯正のた
めのレンズの調整をユーザ自身が容易に調整することが
可能となる。さらに、記録されている過去の最適な調整
情報をもとに解ベクトルの初期集合を設定してユーザに
とって好ましくない解ベクトルを排除して探索すること
により、最適な解ベクトルの調整が効率よく行うことが
でき、各解ベクトルの評価をする際のユーザ負担の軽減
につながると考えられる。
【0136】以下、本発明に関連する第3の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図面
を参照しながら説明する。第3の実施の形態の最適化調
整方法と最適化調整装置はユーザの生理情報をもとに推
定した心理状況をもとにユーザの評価値の補正を行い、
その補正評価値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムによ
り最適な解ベクトルの調整を行うものである。実施の形
態2は、本発明に関連する第1の実施の形態と同様に視
力の補正を行うレンズの調整問題を扱う。図36は、本
発明に関連する第3の実施の形態における最適化調整装
置の構成を表す。
【0137】図36において、3601は各解ベクトル
の表す情報をユーザが評価する際の生理データよりユー
ザの心理状況を推定するユーザ心理推定部、3602は
得られた心理状況をもとにユーザの判定した各評価値の
補正を行う評価値補正部である。ユーザ心理推定部36
01は、実際に各解ベクトルの表す情報をユーザが評価
する際の生理データを計測する生理データ測定部360
3と、その生理データをもとにユーザの心理状況を推定
する心理推定実行部3604より構成される。
【0138】以上のように構成された本発明に関連する
第3の実施の形態における最適化調整方法及び最適化調
整装置の動作を図37のフローチャートをもとに説明す
る。
【0139】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左
目に用いられる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右
目に用いられる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の
組により表される。初期解集合設定部101において、
解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手
続きまたは外部からの指示により設定される。情報提示
部3207において、各解ベクトルにより作られる矯正
レンズを通して見える調整画像がユーザに提示され、ユ
ーザはユーザ評価判断部3208において各解ベクトル
による調整画像の見え具合いを評価する。それととも
に、生理データ測定部3603で、各解ベクトルによる
調整画像を評価する際のユーザの生理データを測定す
る。測定する生理データとしては、様々なデータ(皮膚
電極抵抗、呼吸量、脈拍、血圧、眼球運動、脳波等)が
考えられるが、ここでは目のまばたき回数と発汗量を用
いる実施の形態について説明する。図75(a)に示さ
れるように、人間の場合、見ている対象がおもしろい
か、興味があるとか、あるいは注意を引くときにはまば
たきは抑制され、普段よりまばたきの発生頻度が低くな
る。そしてこのような状態から解放されると、今度は逆
に抑制された分をとりもどすかのように頻繁に起こり、
やがてもとに戻るといった結果が出ている。これを利用
すると、ユーザのまばたき発生頻度ne yeが予め設定され
た許容まばたき頻度neye thより大きい場合には、ユーザ
の関心が低いと判断することができる。また、図(b)
のように、緊張したり動揺したりすると発汗量が大きく
なり、皮膚電極抵抗は大きく変動する。心理推定実行部
3604ではこれらの判断を行うのである。まず、心理
推定実行部3604でユーザの関心が低いと判断された
場合には、解ベクトルpkの評価値Ek(k=1,...,n)に対し
て、平均評価値Eave、標準偏差σEを求め、次のような
補正を行う。 (i) 0.0 < Ek-Eave ≦σEを満たす場合、Ek←Ek+補正
量△Ecor 1 (ii)0.0 < Eave-Ek ≦σEを満たす場合、Ek←Ekー補正
量△Ecor 1 一般に関心が低い場合、ユーザ評価値の変動は小さくな
りやすいと考えられるが、(i)(ii)の補正により評価値E
kを広く分布させてやることができ、そのことが遺伝的
アルゴリズムによる最適な解ベクトルの調整には有効で
ある。また、動揺していると判断された場合には、 (iii) Ek-Eave ≧σEを満たす場合、Ek←Ekー補正量△E
cor 2 (iv) Eave-Ek ≧σEを満たす場合、Ek←Ek+補正量△E
cor 2 の補正を行う。これは(i)(ii)の補正とは逆に、動揺し
ている影響によりユーザ評価の変動が大きくなるやすい
ことを抑制する効果を期待している。なお、(i)から(i
v)の補正において、Ek>最大可能評価値EAmaxの時Ek=E
Amaxとし、Ek<最小可能評価値EAminの時Ek=EAminとす
る。
【0140】適合度計算部105で評価補正部3602
で得られた補正評価値をもとに適合度を計算し、組み替
え操作部108で選択的淘汰、交叉処理、突然変異処理
の解ベクトルの組み替え操作が行われる。提示情報部に
おける調整画像の提示から組み替え操作までの処理は、
繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、ユーザに
評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが作成
されるまで繰り返し実行される。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が視力矯正用のレンズの調整を行うかまた
は指示するようになっている。このように、ユーザが評
価を行っている際の生理データをもとに常にユーザの心
理状況を推定し、その推定結果をもとにユーザの評価値
を補正するため、ユーザの評価におけるゆらぎの影響を
軽減させることができ、環境に左右されないでユーザの
状況(聴力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を実現
することができる。
【0141】以下、本発明に関連する第4の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図面
を参照しながら説明する。第4の実施の形態の最適化調
整方法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを
用いてユーザが各自にとって最適な解ベクトルを探索す
る際の調整の履歴をもとにユーザの調整過程の評価モデ
ルを推定するものである。実施の形態4は、本発明に関
連する第1の実施の形態と同様に視力の補正を行うレン
ズの調整問題を扱う。図38は本発明に関連する第4の
実施の形態における調整装置の構成を表す。図38にお
いて、3801はメイン処理部3203で得られたユー
ザの調整過程に関する評価モデルを表現することのでき
るパラメータの組を出力する評価モデル出力部、380
2はユーザに各解ベクトルの表す情報を提示してユーザ
に評価してもらい、その評価値と対応する解ベクトルを
記録するといった処理を行う第2ユーザ評価部、380
3は記録されているユーザの調整の履歴が予め設定され
た評価モデル推定条件を満足するかどうかの判定を行う
評価モデル推定判定部、3804は評価モデル推定判定
部3803で評価モデル推定条件を満足すると判定され
た場合に、調整履歴記録部で記録されているユーザの調
整の履歴をもとにこのユーザの調整過程に関する評価モ
デルを推定するモデル推定実行部である。第2ユーザ評
価部は、ユーザに各解ベクトルの情報を提示する情報提
示部3207と、情報提示部3207で提示された情報
よりユーザに各解ベクトルの評価をお願いするユーザ評
価判断部3208と、ユーザ評価判断部3208で得ら
れた評価値と対応する解ベクトルを記録する調整履歴記
録部3805より構成される。
【0142】以上のように構成された本発明に関連する
第4の実施の形態における調整装置の動作を図39のフ
ローチャートをもとに説明する。
【0143】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左
目に用いられる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右
目に用いられる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円
柱レンズの度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の
組により表される。初期解集合設定部101において、
解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手
続きまたは外部からの指示により設定される。情報提示
部3207において、各解ベクトルにより作られる矯正
レンズを通して見える調整画像がユーザに提示され、ユ
ーザはユーザ評価判断部3208において各解ベクトル
による調整画像の見え具合いを評価する。調整履歴記録
部3805はユーザ評価判断部3208で得られた評価
値と対応する解ベクトルを記録する。そして、評価モデ
ル推定判定部3803が、評価モデル推定条件を満足す
るかどうかの判定を下すのである。評価モデル推定条件
としては、様々なものが考えられるが、loopを第2ユー
ザ評価部3802から組み替え操作部108まででの処
理が通して行われた場合に1回として数える繰り返し回
数、loopthを予め設定された許容繰り返し回数と定義し
た場合のloop≧loopthを評価モデル推定条件をする。こ
れは、ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定する
にはある程度以上のデータが必要であろうという仮定に
基づくものである。評価モデル推定判定部3803で、
繰り返し回数loopの評価モデル推定条件を満足しない場
合には、適合度計算部105における各解ベクトルの適
合度の計算と組み替え操作部108で解ベクトルの組み
替え操作が行われ新しい解ベクトル集合が生成され、そ
の新しい解ベクトル集合をもとに再び情報提示部320
7で、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して
見える調整画像がユーザに提示される。逆に、評価モデ
ル推定判定部3803で、繰り返し回数loopの評価モデ
ル推定条件を満足する場合には、モデル推定実行部38
04において、調整履歴記録部3805に記録されてい
るユーザの調整の履歴を用いて、このユーザの評価モデ
ルの推定が実行される。ユーザの調整過程に関する評価
モデルの推定方法にも様々な手法が考えられるが、ここ
では図76で表されるようなニューラルネットワークを
用いることとする。本実施の形態のニューラルネットワ
ークは、図のように、入力層、中間層、出力層から構成
されるフィードフォワード型のネットワークである。入
力層は6×n個のニューロンより構成される。解ベクトル
pk=(LSPH k、LCYL k、LAXIS k、RSPH k、RCYL k、RAXIS k)(k=
1,...,n)の成分の値と(n-1)個のベクトル差分pk - pl=
(LSPH k-LSPH l、LCYL k-LCYL l、LAXIS k-LAX IS l、RSPH k-R
SPH l、RCYL k-RCYL l、RAXIS k-RAXIS l)(k,l=1,...,n,l≠
k)の成分の値が入力される。出力層は、n個の元を持つ
解ベクトル集合内の順位に相当するn個のニューロンよ
り構成される。入力層の出力は中間層、出力層へと伝わ
りネットワークの出力が得られる。各ニューロンは次の
(数18)に従い、出力oiが計算される。
【0144】
【数18】
【0145】(数18)においてoiが各ニューロンiの
出力、wijが結合荷重、xjが他のニューロンからの入
力、θiがスレッシュホールドである。非線形関数fは、
(数19)に示すシグモイド関数である。
【0146】
【数19】
【0147】各ニューロンが(数18)・(数19)に
示す計算を行って結果を出力する。
【0148】モデル推定実行部3804では、ユーザの
調整過程を吸収できるように本ニューラルネットワーク
の学習を行うのである。つまり、解ベクトルpkの6個の
成分と解ベクトル集合内の他の解ベクトルplとの差分成
分6×(n-1)から、解ベクトル集合内におけるpkの順位を
判断することができるようにネットワークの結合荷重を
変化(学習)させるのである。その際、調整履歴記録部
3805に記録されている評価値より求められるその解
ベクトルの順位に対応する出力ニューロンに教師信号と
して1を与え、その他の出力ニューロンには0を教師信号
として与えることにより学習が行われ、(数20)に示
した出力信号と教師信号の誤差を小さくする方向に、
(数21)のように各ニューロンの結合荷重を変更する
バックプロパゲーション法が学習方法として用いられ
る。
【0149】
【数20】
【0150】ここで、outがネットワークの出力信号、t
argetが教師信号である。
【0151】
【数21】
【0152】ここで、Δwij(n)は結合荷重の変更度、
α、ηは適当な正の実数、nloopは学習の回数、∂Err /
∂wijは、各結合荷重の変更がネットワークの出力誤差
に与える感度を表す。(数21)において第1項が誤差
を小さくする荷重変更方向、第2項が慣性項である。こ
のようにして学習することにより得られたニューラルネ
ットワークの各結合荷重の値wijを評価モデル出力部3
801が出力するのである。以上のように、対話型遺伝
的アルゴリズムを用いてユーザが各自にとって最適な解
ベクトルの調整を行う際の調整の履歴をもとにユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定することができ、こ
の評価モデルを用いて逆に与えられた解ベクトルの評価
も推定することができる。なお、本実施の形態でのニュ
ーラルネットワークは、シグモイド関数を用いたニュー
ロンにバックプロパゲーションによる学習方法を適用し
たが、本発明はこの学習方法に限定されるものではな
い。例えば、共役勾配法、準ニュートン法等を利用した
学習方法等の適用も考えられる。また、3層のフィード
フォワード型のネットワークだけでなく、本発明に関連
する第5の実施の形態で説明する学習ベクトル量子化を
用いたネットワークの適用や、出力層から入力層へのフ
ィードバック結合をもつニューラルネットワークの適用
も考えられる。
【0153】以下、本発明に関連する第5の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図面
を参照しながら説明する。本発明に関連する第5の最適
化調整方法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズ
ムを用いて複数のユーザによる解ベクトルの最適化を行
う際の調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関す
る共通モデルを推定するものである。実施の形態5は、
本発明に関連する第1の実施の形態と同様に視力の補正
を行うレンズの調整問題を扱う。図40は本発明に関連
する第5の実施の形態における調整装置の構成を表す。
図40において、4001はメイン処理部3203で得
られた複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを表現
することのできるパラメータの組を出力する共通モデル
出力部、4002はあるユーザによる調整の終了条件を
満足するかどうかの判断を行うユーザ調整終了判断部、
4003は得られた複数ユーザの調整の履歴より調整過
程に関する共通モデルの推定を行う共通モデル推定部で
ある。共通モデル推定部4003は、調整履歴記録部3
805に記録されている複数のユーザの調整の履歴が予
め設定された共通モデル推定条件を満足するかどうかの
判定を行う共通モデル推定判定部4004と、共通モデ
ル推定条件を満足する場合に実際に複数ユーザの調整過
程に関する共通モデルの推定を行う共通モデル推定実行
部4005より構成される。
【0154】以上のように構成された本発明に関連する
第5の実施の形態における最適化調整方法及び最適化調
整装置の動作を図41、42のフローチャート図をもと
に説明する。
【0155】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,
n)が設定される。情報提示部3207において、各解ベ
クトルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画
像がユーザに提示され、ユーザはユーザ評価判断部32
08において各解ベクトルによる調整画像の見え具合い
を評価する。調整履歴記録部3805はユーザ評価判断
部3208で得られた評価値と対応する解ベクトルを記
録する。ユーザ調整終了判断部4002では、今調整を
行っているユーザの場合の繰り返し回数loopが許容繰り
返し回数loopthを越えたかという条件について判断す
る。この条件を満足しない場合には、適合度計算部10
5、組み替え操作部108における処理を経て新しい解
ベクトル集合を生成する。そして再び、第2ユーザ評価
部3802へと戻り、各解ベクトルのユーザによる評価
を行う。逆に、ユーザ調整終了判断部4002での終了
条件を満足する場合には、共通モデル推定判定部400
4において、調整履歴記録部3805で記録されている
複数ユーザの調整履歴が予め設定された共通モデル推定
条件を満足するかどうか判定する。この共通モデル推定
条件にはいろいろな条件が考えられるが、ここではでき
るだけ多くのユーザに共通な調整過程の特性をつかむと
いう目的から、調整処理が利用したユーザ数が設定され
た許容調整利用ユーザ数を越えるかどうかを共通モデル
推定条件に選んだ。ここで、もし調整が終ったユーザ数
が少ない場合には、初期解集合設定部102に戻り、別
のユーザによる視力矯正レンズの調整という作業が開始
される。もし、調整利用ユーザ数が許容調整利用ユーザ
数を越えた場合には、複数ユーザの共通モデルを推定す
ることのできるだけのデータが揃ったとして共通モデル
推定実行部4005で実際に共通モデルの推定が行われ
る。本発明に関連する第4の実施の形態における最適化
調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、共通モデル
の推定方法には多くの方法が挙げられるが、ここでもニ
ューラルネットワークを用いて共通モデルを推定するこ
ととする。図77は、本実施の形態の複数ユーザの調整
過程に関する共通モデル推定に用いるニューラルネット
ワークの概念図である。ここで、本発明に関連する第4
の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置
で用いたバックプロパゲーション法による階層型ニュー
ラルネットワークによるパターン分類に基づくモデル推
定ではなく、比較的簡単な学習アルゴリズムでサンプル
数が少なくとも高度なパターン分類ができる学習ベクト
ル量子化法によるニューラルネットワークを適用した。
しかし、本発明に関連する第4の実施の形態の場合のよ
うに、バックプロパゲーション法により階層型ニューラ
ルネットワークの適用等も考えられる。
【0156】実施の形態5におけるニューラルネットワ
ークは、図77に示すように、入力層ニューロン数6、
出力ニューロン数nの2層構造である。入力ニューロン
数6は今評価したい解ベクトルpkの成分数であり、出力
ニューロン数nはn個の元を持つ解ベクトル集合内におけ
るpkの順位に相当する。これは、つまり入力された解ベ
クトルを1からnまでの順位カテゴリに分類することを
示している。
【0157】解ベクトルp(p1,p2,...,pn)を入力ベクト
ルとし、解ベクトル集合でm番目の順位カテゴリに対応
する入力ベクトルをpm(m=1,...,n)とし、さらに結合係
数をW ij(i,j=1,2,...,n)とする。
【0158】この共通モデル推定実行部4005では、
このニューラルネットワークに複数ユーザの調整の履歴
を学習させることにより、共通モデルの推定を行う。本
実施の形態のニューラルネットワークは、結合係数Wij
を構成するn個のベクトルWi(W i1, Wi2,...,Win)を用い
て、入力ベクトルである解ベクトルpの空間をn個の領域
に分割する働きをする。このn個の結合係数ベクトルは
参照ベクトルと呼ばれ、各領域に1つの参照ベクトルが
対応させられる。そして、この参照ベクトルはその対応
した領域内に含まれるすべての解ベクトルに対する最近
接ベクトルい相当する。ここで、ベクトルWiの中で入力
ベクトルpと最も距離の近いベクトルをベクトルWcとす
ると、(数22)のようになり、また、出力層ニューロ
ンiからの出力uiは(数23)のようになる。
【0159】
【数22】
【0160】
【数23】
【0161】学習はこのベクトルWcのみを更新すること
により行われ、この更新量ΔWcは次の(数24)に従い
実行される。
【0162】
【数24】
【0163】η(nloop)は学習回数nloopに従い単調減少
する学習係数(0<η(nloop)<1)である。(数24)は、
参照ベクトルWcは、正しく分類された場合は入力ベクト
ルpmに近づき、分類されていない場合にはpmより遠ざか
ることにより領域境界面を形成することを示す。このよ
うに学習過程では、実際に分類したい解ベクトルを入力
学習ベクトルとして、その入力学習ベクトルを充分多く
与えることにより行われる(学習ベクトル量子化法)。
このように共通モデル推定実行部4005では、調整履
歴記録部3805で記録された多くのユーザによる調整
の履歴を用いて、例えば本実施の形態のニューラルネッ
トワークの学習を行い、入力された解ベクトル解ベクト
ル集合内の1からnの順位カテゴリに分類できるように処
理がされる。そして、共通モデル出力部4001では、
そのニューラルネットワークの結合係数Wijが推定され
た共通モデルを表すパラメータとして出力される。以上
のような処理により、本発明に関連する第5の最適化調
整方法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを
用いて複数のユーザにより行われた解ベクトル最適化の
履歴より調整過程に関する共通モデルを推定するもので
あり、複数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出するこ
とができる。
【0164】以下、本発明に関連する第6の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について説明
する。第6の最適化調整方法と最適化調整装置は、対話
型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザにとって最適な解
ベクトルの調整を実行するとともに、複数のユーザの調
整過程に関する共通モデルを更新するものである。実施
の形態6は、本発明に関連する第1の実施の形態と同様
に視力の補正を行うレンズの調整問題を扱う。図43は
本発明に関連する第6の実施の形態における最適化調整
装置の構成を表す。図43において、4301は以前に
得られている複数のユーザの調整過程に関する共通モデ
ルを用いて各解ベクトルの評価値を計算する共通モデル
評価計算部、4302はユーザに共通モデル評価計算部
4301で得られた評価値が適切であるかの判定をお願
いする共通モデル評価判定部、4303は調整履歴記録
部3805で記録されているユーザの調整の履歴をもと
にこれまで使用していた複数ユーザの調整過程に関する
共通モデルの更新を行う共通モデル更新部である。共通
モデル更新部4303は、調整履歴記録部3805に記
録されているユーザの調整の履歴が予め設定された共通
モデル更新条件を満足するかどうかの判定を下す共通モ
デル更新判定部4304と、共通モデル更新条件を満足
する場合に、記録されているユーザの調整の履歴を用い
て共通モデルの更新を実際に行う共通モデル更新実行部
4305より構成される。
【0165】以上のように構成された本発明に関連する
第6の実施の形態における最適化調整方法及び最適化調
整装置の動作を図44、45のフローチャート図をもと
に説明する。
【0166】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様である。
つまり、解ベクトルはpk=(LS PH k, LCYL k, LAXIS k, RSPH
k, RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定
部101において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。共通モデル評価計算部4301
において、例えば本発明に関連する第5の最適化調整方
法と最適化調整装置を用いて得られた複数ユーザの調整
過程に関する共通モデルを用いて、各解ベクトルpkの評
価値Ekを計算する。そして情報提示部3207におい
て、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して見
える調整画像がユーザに提示され、ユーザはそれをもと
に共通モデル評価計算部4301での評価値が適切かど
うかの判定を行うのが共通モデル評価判定部4302で
ある。もし適切という判断がなされた場合、次に適合度
計算部105、組み替え操作部108による解ベクトル
の組み替え操作により新たな解ベクトル集合が生成され
る。その際、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えた
か、またはユーザに評価をお願いする情報がユーザの満
足に足るものが作成されたかという終了条件を満足する
場合は、最適解出力部103、機器調整実行部3204
と経て視力矯正レンズの調整を実行するかその指示を出
すなどの処理を行い終える。この終了条件が満足されな
い場合は、再び、共通モデル評価計算部4301に戻っ
て新たな解ベクトルの評価値の計算を解しするのであ
る。一方、共通モデル評価判定部4302でユーザが共
通モデルによる評価値を適切でないと判定した場合、処
理は第2ユーザ評価部3802に移り、これまで同様に
ユーザ自身が各解ベクトルの評価とその評価値と解ベク
トルの記録を行う。共通モデル更新条件として、調整履
歴記録部3805で記録された新たにユーザにより行わ
れた調整の履歴が許容調整履歴数を越えたかどうかを考
え、その判定を共通モデル更新判定部4304が行う。
あらたに記録された調整の履歴が少ない場合、つまり共
通モデル更新条件を満たさない場合には、そのまま共通
モデルの更新は行われず、適合度導出、組み替え操作を
行い新たな解ベクトル集合を生成する。逆に、共通モデ
ル更新条件を満たす場合には、調整履歴記録部3805
に記録された調整の履歴をもとに共通モデル更新実行部
4305が以前に推定された複数ユーザの調整過程に関
する共通モデルを実際に更新する。その方法としていろ
いろな方法が挙げられるが、本発明に関連する第4、第
5の最適化調整方法と最適化調整装置の実施の形態で説
明したニューラルネットワークによるモデル推定方法も
考えられる。そこで、本実施の形態でもその方法を用い
ることとし、ニューラルネットワークの構成、学習方
法、教師信号等は省略する。
【0167】共通モデル更新実行部で得られた新たな共
通モデルは、すぐさま従来の共通モデルと取り替えら
れ、共通モデル評価計算部4301で使用される。以上
のような処理を行うことにより、本発明に関連する第6
の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置
は、ユーザにとって最適な解ベクトルの調整を実行する
とともに、複数のユーザの調整過程に関する共通モデル
を更新するように働くため、ユーザが全ての解ベクトル
による情報を評価する必要がなくユーザに与える負担を
軽減することが可能となる。
【0168】以下、本発明に関連する第7の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図を
参照しながら説明する。第7の最適化調整方法と最適化
調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた評価
モデルを用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行う
ものである。実施の形態7は、本発明に関連する第1の
実施の形態と同様の問題を扱う。図46は本発明の第7
の実施の形態における最適化調整装置の構成を表す。図
46において、4601はユーザによる評価を行うか評
価モデルによる評価を行うかの選択を行う方法選択スイ
ッチ、4602は調整履歴記録部3805で記録された
ユーザの調整の履歴よりユーザの調整過程に関する評価
モデルを推定する評価モデル推定部、4603は得られ
たユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベ
クトルの評価値を計算するモデル評価計算部である。そ
して、評価モデル推定部4602は、調整履歴記録部3
805で記録されているユーザの調整の履歴が予め設定
された評価モデル推定条件を満足するかどうかの判定を
行い、満足する場合には方法選択スイッチ4601に切
り替えを指示する方法切り替え判定部4604とモデル
推定実行部3804より構成される。
【0169】以上のように構成された本発明の第7の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図47、48のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0170】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。方法選択スイッチでは、ユーザ
による評価を行うか評価モデルによる評価を行うかの選
択が行われる。処理の開始時点で第2ユーザ評価部38
02が選択される。情報提示部3207では、各解ベク
トルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画像
がユーザに提示され、ユーザ評価判断部3208ではそ
れをもとに各解ベクトルの評価を行う。この評価値と対
応する解ベクトルは調整履歴記録部3805で記録され
る。調整履歴記録部3805に記録されている履歴が予
め設定された評価モデル推定条件を満足すると方法切替
え判定部4604で判定された時、モデル推定実行部3
804がユーザの調整過程に関する評価モデルを推定す
る。それとともに方法切り替え判定部4604では、方
法選択スイッチ4601に評価方法の切り替えを指示す
る。この指示を受けて以後はユーザによる評価を行う第
2ユーザ評価部3802に代わり、モデル評価計算部4
603において、モデル推定実行部3804で得られた
ユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベク
トルの評価が行われる。評価モデル推定条件、モデル推
定実行部3804については、本発明に関連する第4の
例における最適化調整方法と最適化調整装置と同様であ
るので省略する。モデル評価計算部4603もしくはユ
ーザ評価判断部3208で得られた各解ベクトルの評価
値をもとに適合度計算部105が各解ベクトルの適合度
を計算し、その適合度をもとに組替え操作部108が各
解ベクトルの算術的な組み替え操作を行う。以上のよう
な処理を、予め設定された、繰り返し回数が許容繰り返
し回数を越えたか、またはユーザに評価をお願いする情
報がユーザの満足に足るものが作成されたかという終了
条件を満足するまで繰り返し行うことにより、最適な解
ベクトルを求める。そして、その最適な解ベクトルは最
適解出力部103で出力されるとともに、機器調整実行
部3204で視力矯正レンズの調整を実行するかその指
示を出すなどの処理を行うのである。このような一連の
処理により、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた評価
モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を行う
ことが可能となり、対話型遺伝的アルゴリズムを実用化
する際の問題とされていたユーザに与えられる負担を軽
減し効率よくユーザの好みに最適調整された機器を実現
することができるのである。
【0171】さらに、本発明に関連する第1から第7の
実施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置に
おいて、ユーザの好みに合わせた文字のフォントを作成
する問題に適用した実施の形態も考えられる。以下、本
発明の第1から第7の最適化調整方法と最適化調整装置
をこの個人用文字フォント作成に適用した場合について
説明する。
【0172】文字フォントとして、文字の輪郭は仮想的
な座標空間上の曲線として定義され、その曲線上より選
ばれた節点si(i=1,...,m)のx,y座標データにより表現さ
れるアウトラインフォントがよく用いられる。例え
ば、"b"という文字をアウトラインフォント表現する場
合、13個の黒丸の節点siの座標により表現される。そ
してこれらに節点の座標から、輪郭の残りの線がある曲
線式により補間されているのである。その曲線式とし
て、2、3次スプライン関数や3次のベジェ曲線等が用
いられるが、ここでは(数25)の3次関数を用いて節
点間の曲線近似を行う
【0173】。
【数25】
【0174】(数25)において、(Xa,Ya)、(Xb,Yb)は
アウトラインフォント表現された文字の節点a、bの座
標を表し、(X,Y)は節点a、bの間の補間点の座標を表
す。またα、β、γ、δは任意の実数値をとる係数を表
す。(数25)におけるα、β、γの式は近似曲線が節
点a、bの両点を通るための必要条件である。これらの
ことを考慮して、文字フォントを生成するための解ベク
トルpkは予めアウトラインフォント表現により得られる
節点si(i=1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ysiと、節点siとs
i+1間の近似曲線の係数αi、βi、γi、δiを節点の順
番に並べることにより構成されている。対象データ入力
部3201には、アウトラインフォント表現された検定
文字群のデータが入力される。情報提示部3207で
は、各解ベクトルを用いてアウトラインフォントにより
表現された検定文字群より調整文字群を作成し画面上に
提示して、ユーザ評価判断部3208において各解ベク
トルの評価値を判定してもらうのである。本発明に関連
する第1の最適化調整方法と最適化調整装置の場合、各
解ベクトルの取り得る限定領域を決める更新領域限定部
3202が設けられているが、ここでは節点si(i=
1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ys iが(数26)により表現
される領域Λになるよう限定する。
【0175】
【数26】
【0176】ここで、(xi0,yi0)は最初に対象データ入
力部3201へ入力されたアウトラインフォントにより
表現された検定文字群の節点の座標データを表し、ri
各節点が取り得る円領域Λの半径を表している。これ
は、実際に解ベクトルより得られるアウトラインフォン
ト文字を画面上に表示した際に全く異なった文字もしく
は画像としか見えないような場合を排除するために、各
節点の動くことのできる領域を限定したものである。ま
た、最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力された後、その最適解ベク
トルに従って機器調整実行部3204が個人用に作成し
たアウトラインフォントを用いて文字を表示できるよう
に、文字出力手段の調整を行うかまたは指示する。本発
明に関連する第1から第7の調整装置において、残りの
構成要素は前述の実施の形態1から実施の形態7と同じ
ように動作するため、説明は省略する。しかし、本発明
に関連する第1から第7の実施の形態の最適化調整方法
と最適化調整装置をこの問題に適用した本実施の形態に
おいても、何等専門的知識がなくてもユーザの好みに基
づく文字フォントの生成が可能となるとともに、探索に
不必要な領域での探索を削除したりユーザの調整の履歴
より調整過程の評価モデルを作成しそのモデルを使って
自動的に調整を行う等のことにより、効率良く最もユー
ザが好むような文字フォントを作成することのできる最
適解ベクトルを導出することができる。その結果、従来
の技術で問題であった評価を行うユーザの負担を軽減す
ることが可能となると考えられる。
【0177】以下、本発明に関連する第9の例における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
9の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加えることにより最
適な解ベクトルの調整を行うものである。例9は伝達時
における情報欠損等により歪んだ音声の音質を改善する
問題に適用した例である。図49は本発明に関連する第
9の例における調整装置の構成を表す。
【0178】図49において、4901はユーザに各解
ベクトルの表す時系列情報を提示し、ユーザに評価して
もらう時系列評価実行部である。時系列評価実行部49
01は、ユーザに各解ベクトルの表す時系列情報を提示
する情報提示部3207と、情報提示部3207により
提示された複数の時系列情報を比較評価する際の、ユー
ザの記憶を助ける役目を持つ補助情報を提示する補助情
報提示部4902と、ユーザに実際に各解ベクトルを評
価してもらうユーザ評価判断部3208と、ユーザ評価
判断部32084で得られた評価値をもとに各時系列情
報と補助情報を提示する順番を変える情報並び替え部4
903より構成される。
【0179】以上のように構成された本発明に関連する
第9の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図50のフローチャートをもとに説明するが、こ
こでは図78に示される手順で行われる歪音声の音質改
善問題に適用した例について説明する。この問題におけ
る目的は、歪音声をユーザに聞いてもらい、各自のその
音の聞こえ具合をもとに音質を改善するような歪改善フ
ィルタの係数を調整してもらうことである。最初に、図
78に示されるように、対象データ入力部3201で、
伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が入力され
る。歪音声の音質を改善する方法としていろいろな方法
があると思われるが、本例では、図のようにFIRフィル
タ(有限区間インパルス応答フィルタ:Finite Impulse
Responseフィルタ)を歪改善フィルタとして用い歪音声
の音質を改善する方法を考える。そして、対話型遺伝的
アルゴリズムにより段数がstepであるFIRフィルタのフ
ィルタ係数ベクトルa=(a0,a1,...,astep)を調整するこ
ととする。そのため、調整する解ベクトルpkはこのフィ
ルタ係数aiを並べることにより定義される。解ベクトル
において、各フィルタ係数はこれまでの例と同様に実数
値のまま取り扱うが、aiを例えばBlenの2進数に変換し
てこの2進数を並べて扱うことも可能である。初期解集
合設定部101では、この定義に従い解ベクトルの初期
集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。情報提示部32
07では、各解ベクトルより構成される歪改善フィルタ
を用意し対象データ入力部3201で入力された歪音声
をフィルタリング処理することにより得られる歪改善音
声をユーザに提示する。しかし、そのままn個分の歪改
善音声を提示しても、各音声の違いを比較評価すること
はnの数が大きくなればなるほど困難となる。画像や図
形のような静的なデータは同時にディスプレイなどの上
に空間的に並べることができるため、比較評価しやす
い。それに対して、音声を扱う場合、2つの音声の比較
評価はできるが、それ以上の個数になると比較評価する
ことは非常に難しくなる。これは、ユーザがあまりに多
くの音声を聞いたために混乱してしまい、各音声間の違
いを聞き分けることができなくなることに起因する。そ
こで、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を
容易にするための補助情報を提示する。提示する補助情
報としてはいろいろな情報が考えられるが、本例ではフ
ィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、
位置のパラメータに変換することにより得られる顔画像
を用いる(図79)。この顔自身は、歪改善後の音声の
音質には何の関係もないが、ユーザがn個の歪改善音声
を同時に比較評価する際の記憶の手助けとなると考え
る。これらの情報をもとに、ユーザ評価判断部3208
で各解ベクトルの評価値がユーザにより判定される。さ
らに、情報並び替え部4903において、ユーザ評価判
断部3208で判定された各評価値をもとに比較する歪
改善音声とその補助情報である顔画像の並び替えが行わ
れる。これによりユーザは各歪改善音声の優劣を視覚的
に並び替えることが可能となり、ユーザの評価における
ゆらぎの影響の低減につながる。この時系列評価実行部
4901内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰
り返し行われる。こうして得られた評価値より、適合度
計算部105が各解ベクトルの適合度を計算し、組み替
え操作部108がその適合度をもとに各解ベクトルの組
み替え操作を行うのである。以上の処理は、繰り返し回
数loopが許容繰り返し回数loop thより大きくなるか、ユ
ーザが歪改善音声に満足するまで行われ、機器調整実行
部3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタ
が構成され、歪音声の音質改善を実現するのである。以
上のように、時系列信号を扱う問題において、各解ベク
トルの比較・評価する際の手助けをする情報と提示する
順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的アルゴリズム
に加えることにより最適な解ベクトルの調整を行うこと
により、これまで画像のように静的なデータにしか適用
されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データ
のような動的データへ適用することができるようにな
る。その結果、例えば補聴器の装置者の聴覚特性に応じ
た調整でも、わざわざ専門的知識を有する調整者のとこ
ろまで出向く必要はなく、ユーザである難聴者自身が容
易に調整できる。そして、従来は音量の調整しかできな
かったが、本例の調整装置を用いれば、聞こえ具合いが
変わっても、すぐ自分の聞こえ具合いに合わせて音質調
整を行うことができるようになるのである。
【0180】以下、本発明に関連する第10の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第10の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、解ベクトルの探索領域をその特性や過
去の調整結果をもとに限定し対話型遺伝的アルゴリズム
により最適な解ベクトルの調整を行うものである。例1
0では、例9の場合と同様に歪音声の音質改善をするフ
ィルタ作成問題を扱う。図51は本発明に関連する第1
0の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0181】図51を見て明らかなように、例10の最
適化調整装置は本発明の第1の実施の形態における調整
装置に、本発明に関連する第9の例における最適化調整
装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成になっ
ている。
【0182】また、本発明に関連する第10の例におけ
る最適化調整装置の動作は図52のフローチャートに従
い、本発明の第1の実施の形態における最適化調整装置
のフローチャートと比較すると、対象データ入力部32
01で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が
入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタ
の係数aiを並べることにより定義されること、情報提示
部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フ
ィルタを用意し対象データ入力部3201で入力された
歪音声をフィルタリング処理することにより得られる歪
改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部49
02より各音声の比較評価を容易にするための補助情報
としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明の第1の実
施の形態における最適化調整方法や調整装置の場合と同
様のため省略する。しかし、図52のフローチャートの
ように、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする
情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝
的アルゴリズムに加えるとともに、調整する解ベクトル
の取り得る領域を限定して不要な領域における探索処理
の手間を省くことにより、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いて時系列情報のような動的なデータの調整を効率的
に行うことができる。このように本発明に関連する第1
0の例における最適化調整方法と最適化調整装置は、第
1の実施の形態と、第9の例における最適化調整方法と
最適化調整装置の効果を組み合わせた効果を持つ。
【0183】以下、本発明に関連する第11の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第11の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を持ち、記録されている過去の調整情報をもとに解
ベクトルの初期集合を設定し対話型遺伝的アルゴリズム
を用いて解ベクトルの最適化を行うものである。例11
では、例9の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィ
ルタ作成問題を扱う。図53は本発明に関連する第11
の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0184】図53を見てわかるように、例11の最適
化調整装置は本発明の第2の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第9の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0185】また、本発明に関連する第11の例におけ
る最適化調整装置は図54のフローチャートに従って動
作を行い、本発明の第2の実施の形態における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャートと比較すると、
対象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損
等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクト
ルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義
されること、情報提示部3207では、各解ベクトルよ
り構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部
3201で入力された歪音声をフィルタリング処理する
ことにより得られる歪改善音声をユーザに提示するこ
と、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容
易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成
する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変
換することにより得られる顔画像を提示すること、情報
並び替え部4903において、ユーザ評価判断部320
8で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声と
その補助情報である顔画像の並び替えが行われること、
時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価
が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部
3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが
構成され、歪音声の音質改善を実現することが異なって
いるのみである。残りの構成要素と処理の流れについて
は、本発明の第1の実施の形態における調整装置の場合
と同様のため省略する。しかし、図54のフローチャー
トのように、解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型
遺伝的アルゴリズムに加えることにより、ユーザの評価
における負担を軽減できる。また、探索を開始する初期
集合に過去の最適な解ベクトルを複数用いて解ベクトル
の最適化を行うことにより、時系列情報のような動的な
データの調整に対しても効率よく対話型遺伝的アルゴリ
ズムを適用することができる。このように本発明に関連
する第11の例における最適化調整方法と最適化調整装
置は第2の実施の形態と第9の例における最適化調整方
法と最適化調整装置の効果を組み合わせた効果を持つも
のである。
【0186】以下、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第12の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを行う
機能を持ち、ユーザの生理情報をもとに推定した心理状
況をもとにユーザの評価値を補正し、その評価値の補正
値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な解
ベクトルの導出を行うものである。例12では、例9の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図55は本発明に関連する第12の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0187】図55を見てわかるように、例12の最適
化調整装置は本発明の第3の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第9の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0188】また、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整装置の動作は図56のフローチャートに従
い、本発明の第3の実施の形態における最適化調整装置
のフローチャートと比較すると、対象データ入力部32
01で、伝達時における情報欠損等により歪んだ音声が
入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタ
の係数aiを並べることにより定義されること、情報提示
部3207では、各解ベクトルより構成される歪改善フ
ィルタを用意し対象データ入力部3201で入力された
歪音声をフィルタリング処理することにより得られる歪
改善音声をユーザに提示すること、補助情報提示部49
02より各音声の比較評価を容易にするための補助情報
としてフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の大き
さ、角度、位置のパラメータに変換することにより得ら
れる顔画像を提示すること、情報並び替え部4903に
おいて、ユーザ評価判断部3208で判定された各評価
値をもとに比較する歪改善音声とその補助情報である顔
画像の並び替えが行われること、時系列評価実行部49
01内の処理はユーザによる評価が終了するまで繰り返
し行われること、機器調整実行部3204で得られた最
適な解ベクトルの表すフィルタが構成され、歪音声の音
質改善を実現することが異なっているのみである。残り
の構成要素と処理の流れについては、本発明の第3の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の場
合と同様のため省略する。しかし、図56のフローチャ
ートのように、解ベクトルの比較・評価する際の手助け
をする情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話
型遺伝的アルゴリズムに加えることにより、ユーザが各
解ベクトルを評価する際の負担を軽減できるとともに、
評価を行うユーザの心理状況を推定しその影響を補正し
ていることから、ユーザの心理状況(興奮、無関心等)
による評価のゆらぎをできるだけ抑えた解ベクトルの最
適化を行うことができる。このように本発明に関連する
第12の例における最適化調整方法と最適化調整装置は
第3の実施の形態と第9の例の効果を組み合わせた効果
を持つ。
【0189】以下、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第13の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して
用いることにより、ユーザの調整の履歴をもとにユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定するものである。
例13では、例9の場合と同様に歪音声の音質改善をす
るフィルタ作成問題を扱う。図57は本発明に関連する
第13の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0190】図57を見てわかるように、例13の最適
化調整装置は本発明の第4の実施の形態における調整装
置に、本発明に関連する第9の例における最適化調整装
置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成になって
いる。
【0191】また、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整装置は図58のフローチャートに従って動
作を行うものであり、本発明の第4の実施の形態におけ
る最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対象
データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等に
より歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpk
は歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義され
ること、情報提示部3207では、各解ベクトルより構
成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部32
01で入力された歪音声をフィルタリング処理すること
により得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補
助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易にす
るための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なっている
のみである。残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明の第4の実施の形態における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図
58のフローチャートのように、各解ベクトルの比較・
評価する際の手助けをする情報の提示と、評価値による
提示する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに
工夫して用いるとともに、ユーザの調整の履歴をもとに
ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定するもので
あり、これまで困難であったユーザの嗜好の様子を時系
列情報の調整においても知ることができる。このように
本発明に関連する第13の例における最適化調整方法と
最適化調整装置は、第4の実施の形態における最適化調
整装置を時系列信号問題にまで適用できるように拡張し
た機能を合わせ持っているのである。
【0192】以下、本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第14の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して
用いることにより、記録されている複数のユーザの調整
の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通モデ
ルを推定するものである。例14では、例9の場合と同
様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題を扱う。
図59は本発明に関連する第14の例における最適化調
整装置の構成を表す。
【0193】図59を見てわかるように、例14の最適
化調整装置は本発明の第5の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第9の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0194】また、本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整装置は図60、61のフローチャート図に
従って動作を行うものであり、本発明の第5の実施の形
態における最適化調整装置のフローチャート図と比較す
ると、対象データ入力部3201で、伝達時における情
報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解
ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることによ
り定義されること、情報提示部3207では、各解ベク
トルより構成される歪改善フィルタを用意し対象データ
入力部3201で入力された歪音声をフィルタリング処
理することにより得られる歪改善音声をユーザに提示す
ること、補助情報提示部4902より各音声の比較評価
を容易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を
構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータ
に変換することにより得られる顔画像を提示すること、
情報並び替え部4903において、ユーザ評価判断部3
208で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音
声とその補助情報である顔画像の並び替えが行われるこ
と、時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる
評価が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実
行部3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィル
タが構成され、歪音声の音質改善を実現することが異な
っているのみである。残りの構成要素と処理の流れにつ
いては、本発明の第5の実施の形態における最適化調整
方法と最適化調整装置の場合と同様のため省略する。し
かし、図60、61のフローチャート図のように、各解
ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報の提示
と、評価値による提示する順番の並び変えを対話型遺伝
的アルゴリズムに工夫して用い、記録されている複数の
ユーザの調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関
する共通モデルを推定することにより、従来の対話型遺
伝的アルゴリズムだけでは困難であった複数のユーザに
よる時系列信号を扱う際の嗜好の共通因子を抽出するこ
とができる。
【0195】以下、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第15の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの導出
を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する
共通モデルを更新するものである。例15では、例9の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図62は本発明に関連する第15の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0196】図62を見てわかるように、例15の最適
化調整装置は本発明の第6の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第9の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0197】また、本発明に関連する第15の例におけ
る調整装置の動作は図63、64のフローチャートに従
うものであり、本発明の第6の実施の形態における最適
化調整装置のフローチャートと比較すると、対象データ
入力部3201で、伝達時における情報欠損等により歪
んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改
善フィルタの係数aiを並べることにより定義されるこ
と、情報提示部3207では、各解ベクトルより構成さ
れる歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3201
で入力された歪音声をフィルタリング処理することによ
り得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する目、
口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換するこ
とにより得られる顔画像を提示すること、情報並び替え
部4903において、ユーザ評価判断部3208で判定
された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその補助
情報である顔画像の並び替えが行われること、時系列評
価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終了す
るまで繰り返し行われること、機器調整実行部3204
で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成さ
れ、歪音声の音質改善を実現することが異なっているの
みである。残りの構成要素と処理の流れについては、本
発明の第6の実施の形態における最適化調整方法と最適
化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図6
3、64のフローチャートのように、各解ベクトルの比
較・評価する際の手助けをする情報の提示と、評価値に
よる提示する順番の並び変えを行う機能により、対話型
遺伝的アルゴリズムを従来不向きであった時系列情報の
調整に適用するとともに、複数のユーザの調整過程に関
する共通モデルを更新するように働くことによりユーザ
の負担を軽減することができる。
【0198】以下、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第16の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系列信
号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価する
際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示する
順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデルを
推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適な解
ベクトルの調整を行うものである。例16では、例9の
場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題
を扱う。図65は本発明に関連する第16の例における
最適化調整装置の構成を表す。
【0199】図65を見てわかるように、例16の最適
化調整装置は本発明の第7の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第9の例における最適化
調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成に
なっている。
【0200】また、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整装置の動作は図48、66のフローチャー
ト図に従うものであり、本発明の第7の実施の形態にお
ける最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対
象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等
により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトル
pkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義さ
れること、情報提示部3207では、各解ベクトルより
構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3
201で入力された歪音声をフィルタリング処理するこ
とにより得られる歪改善音声をユーザに提示すること、
補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易に
するための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なってい
る。残りの構成要素と処理の流れについては、本発明の
第7の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整
装置の場合と同様のため省略する。しかし、図48、6
6のフローチャート図のように、解ベクトルの比較・評
価する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変え
を行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加えるととも
に、得られたユーザの調整の履歴を用いてユーザの調整
過程の評価モデルを生成し、ユーザによる評価の代わり
にこの評価モデルを用いて解ベクトルの最適化を自動的
に行うようにすることにより、これまで画像のように静
的なデータにしか適用されなかった対話型遺伝的アルゴ
リズムを時系列データのような動的データの調整にも効
率的に適用でき、また評価を行うユーザの負担を大きく
軽減することが可能となる。
【0201】さらに、本発明に関連する第9から第16
の例における最適化調整方法と最適化調整装置におい
て、図80のように難聴者であるユーザの聴覚特性に合
わせた補聴器の特性調整の問題に適用する例を考えるこ
とができる。以下では、本発明に関連する第9から第1
6の例の最適化調整方法と最適化調整装置をこの補聴器
の装置者の特性に合った調整に適用した場合について説
明する。
【0202】通常、補聴器の特性調整は、125Hzから800
0Hzにおける純音を聞かせた時の、周波数f(Hz)における
最小可聴値(聞こえる一番パワーの小さい音)の強さLf
(dB)と、最大可聴値(耐えることのできる一番パワーの
大きい音)の強さHf(dB)、そして通常に聞こえる音の強
さ(dB)Mfを複数周波数における値をもとに補聴器の利得
を調整することにより行われている。125Hzから8000Hz
を3つに区分して、各周波数領域でmear点ずつ上述の3
つの値を取り出すとすると、特性調整に用いられるパラ
メータは3×mearになる。これに加えて、 (i)子音はエネルギーが小さく、子音に続く母音にマス
クされてしまうので、子音部分を強調してマスクされて
もなお、子音が聞き取れるだけの大きさにする必要があ
る。 (ii)人間の耳による音声の聞こえ具合いに大きく影響し
ている低周波数成分(ホルマント成分)を強調した方
が、聞こえ易い。 の2点を考慮することにより、より自然な音声を補聴器
により実現することができる。(i)の場合、子音強調す
るときの度合の限界Plimit(dB)と、子音から母音への移
行部をどれだけ強調し続けるかを決める強調のリリース
タイムtrel(msec)により制御できる。また(ii)の場合、
低域周波数における音声のスペクトルの例(ホルマン
ト)に対して谷を抑制するPsup(dB)と、抑制を掛ける周
波数幅fwid(Hz)により制御できると考えられる。そこ
で、これらの4つのパラメータを先ほどの3×mearのパ
ラメータに加えて解ベクトルpを定義する。対象データ
入力部3201では、検定音声が入力される。情報提示
部3207では、各解ベクトルで表現された補聴器に対
象データ入力部3201で入力された検定音声を通して
得られる調整音声をユーザに提示する。特に、解ベクト
ルを構成するパラメータ間にはある関係が存在してお
り、パラメータの取り得る領域は限られていると思われ
るので、本発明に関連する第10の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の特徴である限定された領域内
での解ベクトルの調整が大きな意味を持つと考えられ
る。最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力され、その解ベクトルをも
とに補聴器の特性調整が機器調整実行部3204で行わ
れる。ここで、補助情報提示部4902は、例えば例9
の場合と同様にこれらのパラメータより得られる顔画像
を扱うものとする。以上のように設定してた本発明に関
連する第9から第16の例における最適化調整方法と最
適化調整装置を考えた場合、歪音声の音質改善フィルタ
作成問題の場合と同様に、ユーザに何等専門的知識がな
くともユーザの聴力特性に合わせた聞こえ具合いに基づ
く補聴器の作成を行うことができる。また、本発明に関
連する第13の例におけるユーザの調整過程に関する評
価モデルの最適化調整方法と最適化調整装置や第14の
例における複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの
最適化調整方法と最適化調整装置を用いれば、各パラメ
ータ間の関係を明確に記述することも可能であると思わ
れる。
【0203】なお、本発明の第1から第8の例と、第1
から第7の実施の形態と、第9から第16の例における
最適化調整方法と最適化調整装置では、解ベクトルの選
択淘汰としてルーレット選択法を使用したがこれに限定
されるものでなく、適合度の高く優秀な解ベクトルの次
に新しく作られる解ベクトル集合にそのままコピーする
エリート戦略法を組み合わせたり、適合度の値は用いず
その順位だけに目を付ける線形正規化方法等の適用も考
えられる。また、ユーザによる評価の場合にも、本発明
では最大可能評価値EAmaxから最小評価値EAminの間にお
ける値を連続値を評価値として考えたが、ユーザに同時
に提示されているn個の解ベクトルの相対評価をもとに
した段階評価値、例えばn個の解ベクトルの順位を評価
値とするようなことも考えられる。さらに、解ベクトル
がビット列コード表現されている場合に、交叉処理にお
いても本例における1点もしくは2点交叉処理のみなら
ず、図74に示されるようなシンプレックス交叉処理の
適用も考えられる。図74に示されるようにシンプレッ
クス交叉処理では、 (i)まず適合度の高い2つの解ベクトルと低い1つの解
ベクトルが選択確率部で用いた確率により選択される。 (ii)適合度の高い2つの解ベクトルを比較して、対応す
るビット列コードの値が一致する場合はその値を採用す
る。もし一致しない場合は、低い適合度の解ベクトルの
対応するビットの値の否定を採用することにより、新し
い解ベクトルが作り出される。 というような処理が実行される。シンプレックス交叉処
理により1点もしくは2点交叉処理よりも、より解ベク
トルの多様性を保持した調整ができ局所解に陥りにくい
という利点がある。以上のように本発明に関連する第1
の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル
集合内で適合度の高いグループの重心ベクトルの移動ベ
クトルに着目し、その移動ベクトルが同じ方向を指し示
す場合にはそちらの方向に適合度の高い解ベクトルが存
在すると判断しそのベクトルに沿って解ベクトル群の更
新を行う。それとともに、現在の解ベクトル集合を対象
にした組み替え操作による解ベクトルの最適化も同時に
行うことにより、大域的解更新能力に優れるという遺伝
的アルゴリズムの特徴を活かしながら、同時に過去の解
ベクトル更新の履歴を利用して高速に最適解の方向を推
定することができるという優れた効果を有する。
【0204】また、本発明に関連する第2の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトルに対して、そのベクトルを中心とした近傍で再
度初期解ベクトル群を設定し一定回数の組み替え操作を
行い限定された領域内での解ベクトル群の最適化を実行
する。そして、得られた複数の解ベクトル群を1つの大
きな集合に統合し組み替え操作により改めて解ベクトル
の最適化を行うというように、組み替え操作を用いて局
所的に解ベクトルの更新を行った後に再び組み替え操作
により大域的な解ベクトルの更新を行うことにより、局
所的な解ベクトルの更新能力を補強し高速な最適解の推
定処理をすることができる。
【0205】また、本発明に関連する第3の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトルをその近傍空間よりランダムに抽出したベクト
ル群と比較して適合度の高いベクトル群を改めて更新処
理の対象となる解ベクトル集合に属する解ベクトルとし
て選び出す。そして、出来上がった解ベクトル集合を組
み替え操作の対象とすることにより、従来の遺伝的アル
ゴリズムでは欠如していた局所的更新能力の弱さを解消
することができるという優れた効果を有する。
【0206】また、本発明に関連する第4の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度により選択された
解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出し解集合の再設定を
行い、得られた近傍ベクトル群を対象とした解ベクトル
の組み替え操作を行うことにより、局所的な更新能力を
高めるとともに突出した適合度の高い解ベクトルの影響
が解全体にすぐに大きな影響を与えることを避けること
ができる。
【0207】また、本発明に関連する第5の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトル近傍を複数の領域に分割し平均適合度が最も大
きい領域よりランダムに複数の解ベクトル群を選び出す
とともに、元の解ベクトル集合内の解ベクトルに対して
組み替え操作により新たな解ベクトル集合を生成する。
そして、これらの中から適合度の高い順に選び出して1
つの解ベクトル集合を再設定することにより、解ベクト
ル集合内の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並
行して、各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処
理も同時に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが
持つ効率的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補
強することができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実
行することができるという優れた効果を有する。
【0208】また、本発明に関連する第6の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度の算術平均と標準
偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分割す
る解集合分割部と解集合分割部により得られた各グルー
プ内を対象とした解ベクトルの組み替え操作を行うグル
ープ組み替え操作部を設けることにより、突出した適合
度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに大きな影響
を与えることを避けることができるとともに局所的な更
新能力の強化を行うことができる。
【0209】また、本発明に関連する第7の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度の算術平均と標準
偏差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合を複数
のグループに分割するかどうかの判断をする。分割する
と判断された場合には、解集合分割部が解集合全体を複
数のグループに分割し、そう判断されない場合は解集合
全体を組み替え操作の対象とし、得られた組み替え処理
対象に対して解ベクトルの選択と組み替え操作を行うこ
とにより適合度分布状況をもとに突出した高い適合度を
持つ解ベクトルの有無を判断し、その影響を低減するよ
うに組み替え処理対象を限定することにより、効率よい
最適解推定を行うことができる。
【0210】本発明に関連する第8の例の最適化調整方
法と最適化調整装置は、解ベクトルの収束を判断するた
めの段階収束基準を動的に変化させるとともに、新しい
解ベクトルの更新を行う領域を動的に変化させ段階的に
最適解推定を行うことにより、効率よい最適解推定を実
現することができる優れた効果を有する。
【0211】また、本発明に関連する第9の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題に
おいて、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けをす
る情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺
伝的アルゴリズムに加えることにより最適な解ベクトル
の調整を行うものであり、これまで画像のように静的な
データにしか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズ
ムを時系列データのような動的データへの適用も可能と
なる優れた効果を有する。
【0212】また、本発明に関連する第10の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の調
整結果をもとに限定して対話型遺伝的アルゴリズムを用
いることにより、これまで画像のように静的なデータに
しか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系
列データのような動的データを対象とした場合の最適な
解ベクトルの調整を速やかに行うことが可能になる効果
を有する。
【0213】また、本発明に関連する第11の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
記録されている過去の調整情報をもとに解ベクトルの初
期集合を設定して対話型遺伝的アルゴリズムを用いるこ
とにより、これまで画像のように静的なデータにしか適
用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列デー
タのような動的データを対象とした場合の最適な解ベク
トルの調整を速やかに行うことが可能になる効果を有す
る。
【0214】また、本発明に関連する第12の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
ユーザの生理情報をもとに推定した心理状況をもとにユ
ーザの評価値を補正することにより、ユーザの評価にお
けるゆらぎの影響を軽減させながら対話型遺伝的アルゴ
リズムによる最適解ベクトルの更新を行うことにより、
これまで画像のように静的なデータにしか適用されなか
った対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのような
動的データへの適用が可能となるとともに使用環境に影
響を受けないでユーザ自身の状況に対応する最適な解ベ
クトルの調整を行うことが可能になる効果を有する。
【0215】また、本発明に関連する第13の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、ユーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するものであり、ユーザの時系
列信号問題に対する嗜好の様子を知ることができる効果
を有する。
【0216】また、本発明に関連する第14の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、記録されている複数のユーザの調整の履歴をもと
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定する
ものであり、複数のユーザによる時系列信号を扱う際の
嗜好の共通因子を抽出することができる効果を有する。
【0217】また、本発明に関連する第15の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実
行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通
モデルを更新するように働くものであるため、ユーザが
全ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユー
ザに与える負担を軽減することが可能となる効果を有す
る。
【0218】また、本発明に関連する第16の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得ら
れた個人モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調
整を行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いる際に問題とされていたユーザに与えられる負担を
軽減して時系列信号への適用を可能にする効果を有す
る。
【0219】
【発明の効果】本発明の第1の最適化調整方法と最適化
調整装置は、各調整するパラメータの更新領域をその特
性や過去の調整結果をもとに限定しその領域内の解ベク
トルを対象として対話型遺伝的アルゴリズムを用いるこ
とにより、調整する必要がないと思われる領域での調整
を削除することが可能となり、最適な解ベクトルの調整
を速やかに行うことができる優れた効果を有する。
【0220】また、本発明の第2の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際
に、記録されている過去の調整情報をもとに解ベクトル
の初期集合を設定してユーザにとって好ましくない解ベ
クトルを排除して調整することにより、最適な解ベクト
ルへの収束が早くなるとともに各解ベクトルの評価をす
る際の負担を軽減することができる優れた効果を有す
る。
【0221】また、本発明の第3の最適化調整方法と最
適化調整装置は、ユーザの生理情報をもとに推定した心
理状況をもとにユーザの評価値を補正することによりユ
ーザの評価におけるゆらぎの影響を軽減させるため、心
理に左右されないでユーザの状況(聴力、視力等)に最
適な解ベクトルの調整を対話型遺伝的アルゴリズムによ
り実現することができる優れた効果を有する。
【0222】また、本発明の第4の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザが各自にとって最適な解ベクトルの調整を行う際に
得られる調整の履歴をもとにユーザの調整過程に関する
評価モデルを推定するものであり、ユーザのこの問題に
対する嗜好の様子を知ることができる優れた効果を有す
る。
【0223】また、本発明の第5の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複
数のユーザにより行われた解ベクトル最適化の履歴より
調整過程に関する共通モデルを推定するものであり、複
数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出することができ
る優れた効果を有する。
【0224】また、本発明の第6の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実行す
るとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通モデ
ルを更新するように働くため、ユーザが全ての解ベクト
ルによる情報を評価する必要がなくユーザに与える負担
を軽減することが可能となる優れた効果を有する。
【0225】また、本発明の第7の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた
評価モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を
行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
る際に問題とされていたユーザに与えられる負担を軽減
することが可能となる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関する第1の例における最適化調整処
理装置の構成を表すブロック図。
【図2】本発明に関する第1の例における最適化調整装
置の要部である組み替え操作部の構成を表すブロック
図。
【図3】本発明に関する第1の例における最適化調整方
法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図4】本発明に関する第1の例における最適化調整方
法の処理1における過程を表すフローチャート図。
【図5】本発明に関する第1の例における最適化調整方
法の要処理である組み替え操作処理の過程を表すフロー
チャート図。
【図6】具体例として取り扱う多次元関数最大値推定問
題の概念図。
【図7】実数値区間における値から固定長ビット列コー
ドへの変換の様子を表す図。
【図8】更新方向ベクトルに沿った解ベクトル更新を模
式的に表す図。
【図9】選択淘汰に用いられるルーレット選択方式を説
明するための図。
【図10】本発明に関する第2の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図11】本発明に関する第2の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図12】局所的更新処理と大域的更新処理を模式的に
表す図。
【図13】本発明に関する第3の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図14】本発明に関する第3の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図15】初期解ベクトル群抽出の様子を模式的に表す
図。
【図16】本発明に関する第4の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図17】本発明に関する第4の例における最適化調整
装置の処理過程を表すフローチャート図。
【図18】実数値空間における近傍ベクトル抽出処理を
模式的に表す図。
【図19】本発明に関する第5の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図20】本発明に関する第5の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図21】更新領域分割とそこからの解ベクトル抽出処
理を模式的に表す図。
【図22】本発明に関する第6の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図23】本発明に関する第6の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図24】実数値空間における解集合分割処理を模式的
に表す図。 (a)適合度fkに対する個体数分布を模式的に表す図。 (b)実数値空間における分割の様子を表す図。
【図25】本発明に関する第7の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図26】本発明に関する第7の例における最適化調整
方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図27】本発明に関する第7の例における最適化調整
方法の処理2の過程を表すフローチャート図。
【図28】本発明に関する第8の例における最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図29】本発明に関する第8の例における最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図30】実数値空間における更新領域の局所化処理を
模式的に表す図。
【図31】1次元関数近似問題の概念図。
【図32】本発明の第1の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図33】本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図34】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図35】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図36】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図37】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図38】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図39】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図40】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図41】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図42】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整方法の個別調整処理の過程を表すフローチャート図。
【図43】本発明の第6の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図44】本発明の第6の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図45】本発明の第6の実施の形態における最適化調
整方法の共通モデル更新処理の過程を表すフローチャー
ト図。
【図46】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図47】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図48】本発明の第7の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程の続きを表すフローチャート図。
【図49】本発明に関連する第9の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図50】本発明に関連する第9の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図51】本発明に関連する第10の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図
【図52】本発明に関連する第10の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図53】本発明に関連する第11の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図54】本発明に関連する第11の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図55】本発明に関連する第12の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図56】本発明に関連する第12の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図57】本発明に関連する第13の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図58】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図59】本発明に関連する第14の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図60】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図61】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャート
図。
【図62】本発明に関連する第15の例における最適化
調整調整装置の構成を表すブロック図。
【図63】本発明に関連する第15の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図64】本発明に関連する第15の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチ
ャート図。
【図65】本発明に関連する第16の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図66】本発明に関連する第16の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図67】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図68】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図69】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整装置の構成を表すブロック図。
【図70】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図71】遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の
概念の説明図。 (a)は交叉処理例を表す概念図。 (b)は突然変異処理の一例を表す概念図。
【図72】視力矯正用レンズの調整問題の概念図。
【図73】解ベクトル空間における更新領域限定の概念
図。
【図74】シンプレックス交叉の概念図。
【図75】本発明に関連する第3の実施の形態、第12
の例における最適化調整装置の心理状況推定方法の一例
を表す図。 (a)まばたきの発生頻度と注意、関心の関係 (b)発汗状況と緊張、動揺の関係
【図76】本発明に関連する第4、第7の実施の形態
と、第13,16の例における最適化調整装置における
評価モデル推定部に用いられるニューラルネットワーク
の構成図。
【図77】本発明の第5、6の実施の形態と、第14,
15の例における最適化調整装置における共通モデル推
定部に用いられるニューラルネットワークの構成図。
【図78】歪音声の音質改善するフィルタ作成問題の概
念図。
【図79】時系列信号と対応する補助情報の概念図。
【図80】難聴者のための補聴器の特性調整問題の概念
図。
【符号の説明】
101 初期解集合設定部 102 遺伝的アルゴリズム処理部 103 最適解出力部 104 評価値獲得部 105 適合度計算部 106 更新方向判断部 107 方向適用更新部 108 組み替え操作部 109 重心推定部 110 更新方向候補記録部 111 更新方向獲得部 112 重心移動部 113 重心周囲解ベクトル生成部 201 候補選択部 202 交叉処理実行部 203 突然変異処理実行部 204 選択範囲導出部 205 乱数発生部 206 解ベクトル抽出部 1001 局所更新部 1002 大域更新部 1003 局所更新設定部 1004 ベクトル群初期設定部 1005 局所組み替え操作部 1006 局所更新終了判断部 1007 集合統合部 1008 大域組み替え操作部 1301 初期更新領域限定部 1302 初期解ベクトル群抽出部 1303 解ベクトル集合統合部 1601 解集合再設定部 1602 グループ組み替え操作部 1603 代表解ベクトル選択部 1604 近傍ベクトル群抽出部 1901 更新領域分割部 1902 平均適合度計算部 1903 適領域解ベクトル抽出部 1904 解ベクトル統合部 2201 解集合分割部 2202 分割領域決定部 2203 分割実行部 2501 組み替え対象制御部 2801 更新領域設定部 2802 段階収束判定部 2803 収束基準変更部 3201 対象データ入力部 3202 更新領域限定部 3203 メイン処理部 3204 機器調整実行部 3205 ユーザ評価部 3206 集合再設定部 3207 情報提示部 3208 ユーザ評価判断部 3401 記憶媒体部 3402 記録情報読込み部 3403 初期解ベクトル選択部 3404 初期解ベクトル補充部 3405 最適解ベクトル記録部 3601 ユーザ心理推定部 3602 評価値補正部 3603 生理データ測定部 3604 心理推定実行部 3801 評価モデル出力部 3802 第2ユーザ評価部 3803 評価モデル推定判定部 3804 モデル推定実行部 3805 調整履歴記録部 4001 共通モデル出力部 4002 ユーザ調整終了判断部 4003 共通モデル推定部 4004 共通モデル推定判定部 4005 共通モデル推定実行部 4301 共通モデル評価計算部 4302 共通モデル評価判定部 4303 共通モデル更新部 4304 共通モデル更新判定部 4305 共通モデル更新実行部 4601 方法選択スイッチ 4602 評価モデル推定部 4603 モデル評価計算部 4604 方法切替え判定部 4901 時系列評価実行部 4902 補助情報提示部 4903 情報並び替え部 6701 選択淘汰実行部 6901 対話型遺伝的アルゴリズム実行部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年6月10日(2002.6.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 最適化調整方法と最適化調整装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巡回セールスマン
問題、回路設計問題をはじめとする最適解推定問題等に
用いられる従来の遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調
整方法と最適化調整装置において、欠点とされていた局
所的な解探索能力の欠如を補う工夫を加えることにより
効率良く最適解を探索することのできる最適化調整方法
と最適化調整装置に関するものである。
【0002】さらに本発明は、補聴器の特性調整、明示
的に示すことのできないコンセプトに合わせた製品やイ
ンテリアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響
や画像特性の調整をはじめとする、評価基準が観念的で
不明確なため調整結果を定量的に評価できない問題に、
ユーザの主観による評価をもとにユーザにとって最適な
解ベクトルを求めることができる対話型遺伝的アルゴリ
ズムを効率良く用いた最適化調整方法とその最適化調整
装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】遺伝的アルゴリズムは、最適解近傍への
収束が早い、局所解に陥りにくいというような利点を持
つ最適解探索ためのアルゴリズムであり、特に組み合わ
せ最適化の分野で注目を浴びている。遺伝的アルゴリズ
ムによる最適化調整方法と最適化調整装置の従来技術に
ついては、例えば「ジェネティック アルゴリズム イ
ン サーチ オプティマイゼーション アンド マシー
ン ラーニング」("Genetic Algorithms in Search, O
ptimization and Machine Learning"(David E.Goldber
g, Addison Wesley))、特開平2ー236660号公
報等の文献に記載されている。以下にその概要を説明す
る。
【0004】図68は、従来の遺伝的アルゴリズムによ
る最適解推定の原理を示すフローチャートである。 《ステップ1》m次元ベクトルpk(pk1,pk2,...,pkm)を元
とするn個の元からなる集合Pを考える。集合Pの各元で
あるm次元ベクトルpkの各要素は対象として与えられた
最適解探索問題において対応するパラメータの具体的な
解を表現しており、ベクトルpkは具体的な解ベクトルに
相当する。ベクトルpkの各要素pki(i=1,...,m)は、生物
との関連から遺伝子と呼ばれ、ベクトルpkは染色体と呼
ばれることがある。遺伝的アルゴリズムを用いる際、ま
ず最初に解ベクトルの初期集合Pを適当に作る。 《ステップ2》集合Pの各元(染色体)の解の良さを予
め設定された評価尺度に従って評価値し、その結果を評
価値として表す。ここで、予め設定された評価尺度のこ
とを評価関数(fitness関数)と呼ぶ。 《ステップ3》ステップ2で求められた評価値の大小を
もとに解の適合度を判断する。このとき、問題により、
評価値が大きいほうが適合度の良い解であるとする場合
と、小さいほうが適合度の良い解であるとする場合があ
り、前者を最大化問題、後者を最小化問題と呼ぶ。適合
度の小さい解ベクトルを現在の解集合から削除し、適合
度の大きい解ベクトルを選択的に生き残らせる。このよ
うな操作を選択淘汰と呼ぶ。選択淘汰の方法として、様
々な方法が知られているが、その詳細に付いては前記参
考文献に委ねる。 《ステップ4》前記ステップ3により選択された解ベク
トル集合について、交叉や突然変異等の遺伝的な組み替
え操作を施し、新しい解ベクトル集合を作成する。な
お、解ベクトル集合に含まれる解ベクトルの個体数は、
ここでは一定としたが、増加しても減少してもよい。図
71は遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の概念
の説明図を表し、図(a)が交叉処理を、図(b)が突
然変異処理の一例を表す。
【0005】交叉は、図(a)に示されるように有限の
シンボルで表現された解ベクトルでの一部を他の解ベク
トルの一部と置き換えることにより新しい解ベクトルを
作り出す操作である。また、突然変異は、図(b)に示
されるようにある低い確率で解ベクトル集合から選択さ
れた解ベクトルの成分の一部を他のシンボルに変更する
操作である。交叉処理は、現在の解ベクトルから大きく
離れた位置における探索のに相当し、突然変異は現在の
解ベクトル近傍における探索に相当する。この2つの処
理を経て、遺伝的アルゴリズムでは新しい解ベクトルの
集合を作り出すのである。なお、この交叉、突然変異等
の処理には様々な方法が提案されているが、その詳細に
付いては前記参考文献に委ねる。
【0006】遺伝的アルゴリズムでは以上のような処理
が繰り返され、その結果解ベクトル集合Pの各解ベクト
ルは与えられた問題の準最適解に収束するようになる。
【0007】遺伝的アルゴリズムによる最適化の応用例
として、前掲の参考文献には"巡回セールスマン問題"へ
の適応が記載されている。N個の都市の名前を各々1…N
で表す。解ベクトル集合Pの各元は1…Nの順列を成分と
するベクトルで表現することができる。また、評価尺度
はこの順列で定められた順序に従い各都市を巡回した場
合の全道程である。例えば都市にA1,A2,...,ANが割り振
られており、都市をA1->A2->…->ANの順番で巡回する
時、対応する解ベクトルベクトルは(A1,A2,...,A N)であ
る。これを例えば簡単にA1A2A3…ANと表記する。その
後、前記遺伝的アルゴリズムを繰り返すことにより、最
短経路に準ずる経路を得ることができる。
【0008】以上のような図68のフローチャートに従
い実行される、従来の遺伝的アルゴリズムによる逐次最
適化処理装置の構成図は図67のようになる。図67に
おいて、101は改善する初期の解ベクトル集合を設定
する初期解集合設定部、102は遺伝的操作により実際
に最適解ベクトルの推定を実行する遺伝的アルゴリズム
処理部、103は予め設定された終了条件が満たされた
場合に最も適合度の高い解ベクトルを出力する最適解出
力部である。遺伝的アルゴリズム処理部102は各解ベ
クトルの評価値を予め設定された評価関数より獲得する
評価値獲得部104、評価値獲得部104で得られた評
価値より各解ベクトルの適合度を計算する適合度計算部
105、適合度計算部105で計算した適合度をもとに
解ベクトル集合の選択淘汰を行う選択淘汰実行部670
1と解ベクトルの交叉処理を行う交叉処理実行部202
と解ベクトルの突然変異処理を行う突然変異処理実行部
203より構成される。このように構成された従来の遺
伝的アルゴリズムによる最適化調整装置では、図68に
示されたフローチャートに従い、評価値獲得部104と
選択淘汰実行部6701と交叉処理実行部202と突然
変異処理実行部203を繰り返し実行して解ベクトル集
合を逐次更新することにより、対象とする最適化問題の
準最適解ベクトルを推定するものであった。
【0009】また、従来の補聴器の特性調整、明示的に
示すことのできないコンセプトに合わせた製品やインテ
リアのデザイン、そして個人の嗜好に合わせた音響や画
像特性の調整の場合、評価基準が観念的で不明確であり
また個人によりその特性が大きく変わることから、調整
結果に対する評価を定量的に表現することができないと
いう問題点がある。そのためこのような問題に、ニュー
ラルネットワークのように明確な評価関数を定義してそ
の評価関数が最適になるような調整を行う手法を用いる
ことは原理的に不可能である。例えば補聴器の特性調整
は次のような手順で行われている。まず、試験音声信号
を周波数帯域に分割し各周波数帯域で試験音声の下限レ
ベルと上限レベルに相当する試験信号を作成する。その
音声の下限レベルと上限レベルの試験信号を補聴器に入
力し、補聴器のユーザである難聴者にこれらの試験信号
の補聴器からの出力試験信号を聞かせて心地よく聞くこ
とができるかどうかを確認する。もしある周波数帯域で
の音声の下限レベルの出力試験信号が小さすぎて聞きに
くい場合にはその周波数帯域での補聴器の利得が上がる
ように専門家が補聴器の利得の周波数特性を調整する。
逆に、ある周波数帯域での音声の上限レベルの出力試験
信号が大きすぎて不快である場合にはその周波数帯域で
の補聴器の利得が下がるように専門家が補聴器の利得の
周波数特性を調整する。以上のことを、ユーザが満足す
るまで繰り返し行うのである。このように難聴者である
ユーザの要望を実現するように、補聴器の調整を行う専
門家が各人のこれまでの経験をもとに補聴器の利得の周
波数特性を調整しているのが実状であり、難聴者に合う
特性を見つけるまで相当な時間と労力が必要である。ま
た、使用環境や難聴者の嗜好に従い調整対象のパラメー
タは変動し、その影響により1人の難聴者が複数の補聴
器を用意する必要があるため、繰り返し補聴器の調整を
行わなくてならないという問題があった。そして、その
度に難聴者は補聴器の特性調整を行える専門家の所まで
出向かなくてはならなかったのである。
【0010】近年、前述の遺伝的アルゴリズムの手法の
中に、ユーザ自らが決定した各解ベクトルの評価値をも
とに最適解の推定を行う対話型遺伝的アルゴリズムが提
案されている。この対話型遺伝的アルゴリズムを用いれ
ば、人間の感性・主観的評価のみに基づいて評価・判断
することが可能となるため、前述のような評価関数を明
確に記述できない問題への適用も可能である。対話型遺
伝的アルゴリズムによる最適解ベクトルの最適化調整方
法の従来技術については、例えば「トラッキング ア
クリミナル サスペクト スルー "フェイス-スペイ
ス" ウィズ アジェネティック アルゴリズム」("Tra
cking a Criminal Suspect through "Face-Space" with
a Genetic Algorithm")(Caldwell, C. and Johnsto
n, V.S.:Proc.of 4th Int'l Conf. on Genetic Algorit
hms(ICGA'91))、「エボリューショナリー アート ア
ンド コンピュータズ」("Evolutionary Art and Comp
uters")(Todd, S. and Latham, W.: Academic Press,
Harcourt, Brace, Jovanovich)等の文献に記載されて
いる。
【0011】以下に、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
た最適化調整方法の概要を説明する。
【0012】図70は、対話型遺伝的アルゴリズムによ
る解ベクトルの最適化調整原理を示すフローチャートで
ある。図70のフローチャートの場合に示されるよう
に、前述の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整方法の
《ステップ2》における予め関数表現により定義された
評価尺度の代わりに、ユーザに各解ベクトルの表す画像
・図形等の情報を提示し、各解ベクトルの良さを評価し
てもらう点が大きく異なる。
【0013】対話型遺伝的アルゴリズムによる最適ベク
トル探索の応用例として、前掲の参考文献には"犯罪の
目撃者によるモンタージュの作成"への適応が記載され
ている。顔は構成する髪、目、鼻、口、顎、耳等の部品
より構成される。各パーツ別に複数個のパターン画像を
持っており、このパーツのパターン画像を組み合わせる
ことにより顔写真が作成される。各パーツのパターン番
号を要素とするベクトルが、対話型遺伝的アルゴリズム
で探索される解ベクトルとなるのである。そして、目撃
者であるユーザが各解ベクトルより画面上に表示される
複数の顔を見て、目撃した人物との似て具合いを主観的
に判断し、対話型遺伝的アルゴリズムで最も犯人の顔を
表現していると思われるモンタージュ写真を作成してい
くのである。
【0014】以上のような図70のフローチャートに従
い実行される、従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる
最適化調整装置の構成図は図69のようになる。図69
において、初期解集合設定部102、遺伝的組み替え操
作により実際に最適ベクトル探索を実行する対話型遺伝
的アルゴリズム処理部6901、最適解出力部104よ
り構成され、対話型遺伝的アルゴリズム処理部6901
は各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する提示情報
部3207、提示情報部で提示された情報をもとにユー
ザが各解ベクトルの評価値を判断するユーザ評価判断部
3208、適合度計算部110、組み替え操作部108
より構成される。情報提示部3207が各解ベクトルの
表す情報をユーザに提示する役目を担い、ユーザ評価判
断部3208が各解ベクトルの良さを各自の評価基準に
基づき評価してもらい、その採点を入力してもらう部分
に相当する。それ以外は図67の遺伝的アルゴリズムを
用いた最適化調整装置の構成図と概ね同じであるため説
明は省略する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遺伝的
アルゴリズムは確率的でかつ集団的な探索を行うアルゴ
リズムであり、探索空間における現在点の情報(評価
値)しか利用しない。そのため上記従来の遺伝的アルゴ
リズムを用いた逐次最適化処理装置では、評価関数の曲
面の特徴を利用するニューラルネットワーク等を用いて
組み合せ最適問題の解探索を行う場合と比較すると大域
的な解探索には優れているが、局所的な情報を利用しな
いため最適解近傍での探索能力に欠けており、その近傍
では逆に解探索に時間がかかってしまうという問題があ
った。また、これまで行った多点探索の履歴情報を利用
しないため、ある程度探索空間を振動しながら最適解近
傍に収束する傾向があった。
【0016】また、一般に対話型遺伝的アルゴリズムに
よる最適化調整方法では、ユーザに各解ベクトルの表す
複数個の情報を提示し比較評価することにより、各解ベ
クトルの好ましさを評価を行う必要がある。そのため、
従来の対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化調整装
置は、文字や画像等のように空間的に同時に提示できる
静的なデータの調整には何等問題がなく適用できるが、
前述の補聴器の特性調整問題のようにユーザの評価対象
が時系列情報である場合には、各時系列情報情報をその
まま複数提示してもユーザはそれらの情報のちがいを聞
き分けることは難しく各解ベクトルの評価を行うことは
非常に困難である。それに加えて、ユーザが調整を行う
際の負担は時間が経つにつれ増大するとともにその嗜好
も大きく変化する。それにも関わらず、従来の対話型遺
伝的アルゴリズムによる調整装置では、それらの問題点
に対する対策が何等なされていないのが実状である。
【0017】本発明は上記課題を解決するものであり、
従来の遺伝的アルゴリズムの手法に局所的な探索能力を
補強する工夫を加えることで、本来遺伝的アルゴリズム
が持つ大域的探索能力を損なわずに、高速で効率的な最
適解の推定を行う最適化調整装置を提供することを目的
とする。
【0018】また、文字、画像等の調整に限らず時系列
信号の調整にも対話型遺伝的アルゴリズムを効率良く適
用できる最適化調整装置と、解ベクトルの最適化を行う
処理の効率化を図ったり、得られたユーザの調整過程の
履歴からユーザの調整過程をモデリングし、それを用い
て自動的に解ベクトルの調整を行うことにより、ユーザ
の負担の軽減を実現する対話型遺伝的アルゴリズムを用
いた機器の最適化調整方法および最適化調整装置を提供
することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、記録されている過去の最適な調整情報を選択する初
期解ベクトル選択部と最適な解ベクトルを記録する最適
解ベクトル記録部を設けることにより、常に過去の最適
な情報を対話型遺伝的アルゴリズムの調整開始点として
選択し解ベクトルの調整が速やかに行えるようにしたも
のである。
【0020】上記目的を達成するために本発明の第2の
最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いてユーザが各自にとって解ベクトルの最
適化を行う際の調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するモデル推定実行部を設け、
ユーザの嗜好のパターンを掴むことができるようにした
ものである。
【0021】上記目的を達成するために本発明の第3の
最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的アル
ゴリズムを用いて複数のユーザにより行われた解ベクト
ルの最適化の履歴より複数ユーザの調整過程に関する共
通モデルを推定する共通モデル推定部を設け、より一般
的な嗜好パターンの特徴を掴むようにしたものである。
【0022】上記目的を達成するために本発明の第4の
最適化調整方法と最適化調整装置は、複数のユーザの調
整過程に関する共通モデルを用いて自動的に各解ベクト
ルの評価を行う共通モデル評価計算部と、ユーザによる
評価をもとに共通モデルの更なる更新を行う共通モデル
更新部を設けることにより、対話型遺伝的アルゴリズム
を用いてユーザにとって解ベクトルの最適な調整を速や
かに行うとともに、複数のユーザの調整過程に関する共
通モデルを更新するように働くものである。
【0023】上記目的を達成するために、本発明の第5
の最適化調整方法と最適化調整装置は、対話型遺伝的ア
ルゴリズムを用いた調整により得られた履歴からユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定する評価モデル推
定部とその評価モデルにより各解ベクトルの評価値を計
算するモデル評価計算部を設けることにより、得られた
ユーザの調整の履歴から推定される調整過程の評価モデ
ルを用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行うよう
にしたものである。
【0024】また、ユーザが対象とする機器を使用する
環境により、最適なパラメータは変動すると考えられる
が、ある程度の領域内に存在すると考えられる。
【0025】本発明の第1の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際に、記
録されている過去の最適な調整情報をもとに解ベクトル
の初期集合を設定してユーザにとって好ましくない解ベ
クトルを排除して探索することにより、最適な解ベクト
ルへの収束が早くなるとともに各解ベクトルの評価をす
る際の負担を軽減することができる。
【0026】本発明の第2の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザが
各自にとって解ベクトルの最適な調整を行う際の調整の
履歴をもとにユーザの調整過程に関する評価モデルを推
定するものであり、ユーザのこの問題に対する嗜好の様
子を知ることができる。
【0027】本発明の第3の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複数のユ
ーザにより行われた解ベクトルの最適化の履歴を使っ
て、複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定す
るものであり、複数ユーザによる嗜好の共通因子を推定
することができる。
【0028】本発明の第4の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザに
とって最適な解ベクトルを速やかに実現するとともに、
複数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新する
ように働くため、ユーザが全ての解ベクトルによる情報
を評価する必要がなくユーザに与える負担を軽減するこ
とが可能となる。
【0029】本発明の第5の最適化調整方法と最適化調
整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた評価モ
デルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を行うも
のであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際に
問題とされていたユーザに与えられる負担を軽減するこ
とが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0031】図1は本発明に関する第1の例における最
適化調整装置のブロック図、図2は本発明に関する第1
の例における最適化調整装置の要部である組み替え操作
部のブロック図、図10は本発明に関する第2の例にお
ける最適化調整装置のブロック図、図13は本発明に関
する第3の例における最適化調整装置のブロック図、図
16は本発明に関する第4の例における最適化調整装置
のブロック図、図19は本発明に関する第5の例におけ
る最適化調整装置のブロック図、図22は本発明に関す
る第6の例における最適化調整装置のブロック図、図2
5は本発明に関する第7の例における最適化調整装置の
ブロック図、図28は本発明に関する第8の例における
最適化調整装置のブロック図、図32は本発明の第8例
における最適化調整装置のブロック図、図34は本発明
の第1の実施の形態における最適化調整装置のブロック
図、図36は本発明の第9例における最適化調整装置の
ブロック図、図38は本発明の第2の実施の形態におけ
る最適化調整装置のブロック図、図40は本発明の第3
の実施の形態における最適化調整装置のブロック図、図
43は本発明の第4の実施の形態における最適化調整装
置のブロック図、図46は本発明の第5の実施の形態に
おける最適化調整装置のブロック図、図49は本発明に
関連する第11の例における最適化調整装置のブロック
図、図51は本発明に関連する第12の例における最適
化調整装置のブロック図、図53は本発明に関連する第
13の例における最適化調整装置のブロック図、図55
は本発明に関連する第14の例における最適化調整装置
のブロック図、図57は本発明に関連する第15の例に
おける最適化調整装置のブロック図、図59は本発明に
関連する第16の例における最適化調整装置のブロック
図、図62は本発明に関連する第17の例における最適
化調整装置のブロック図、図65は本発明に関連する第
18の例における最適化調整装置のブロック図を表すも
のである。
【0032】また、図3は本発明に関する第1の例にお
ける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図5は本発明に関する第1の例における最適化調整
方法の要処理である組み替え操作処理の過程表すフロー
チャート図、図11は本発明に関する第2の例における
最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図
14は本発明に関する第3の例における最適化調整方法
の処理過程を表すフローチャート図、図17は本発明に
関する第4の例における最適化調整方法の処理過程を表
すフローチャート図、図20は本発明に関する第5の例
における最適化調整方法の処理過程を表すフローチャー
ト図、図23は本発明に関する第6の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図26は
本発明に関する第7の例における最適化調整方法の全体
の処理過程を表すフローチャート図、図27は本発明に
関する第7の例における最適化調整方法の処理2の過程
を表すフローチャート図、図29は本発明に関する第8
の例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチ
ャート図、図33は本発明に関する第9の例における最
適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図3
5は本発明の第1の実施の形態における最適化調整方法
の処理過程を表すフローチャート図、図37は本発明に
関連する第10の例における最適化調整方法の処理過程
を表すフローチャート図、図39は本発明の第2の実施
の形態における最適化調整方法の処理過程を表すフロー
チャート図、図41は本発明の第3の実施の形態におけ
る最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、
図42は本発明の第3の実施の形態における最適化調整
方法の個別調整処理過程を表すフローチャート図、図4
4は本発明の第4の実施の形態における最適化調整方法
の処理過程を表すフローチャート図、図45は本発明の
第4の実施の形態における最適化調整方法の共通モデル
更新処理の過程を表すフローチャート図、図47は本発
明の第5の実施の形態における最適化調整方法の処理過
程を表すフローチャート図、図48は本発明の第5の実
施の形態における最適化調整方法の処理過程の続きを表
すフローチャート図、図50は本発明に関連する第11
の例における最適化調整方法の処理過程を表すフローチ
ャート図、図52は本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、
図54は本発明に関連する第13の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図、図56は本
発明に関連する第14の例における最適化調整方法の処
理過程のフローチャート図、図58は本発明に関連する
第15の例における最適化調整方法の処理過程のフロー
チャート図、図60は本発明に関連する第16の例にお
ける最適化調整方法の処理過程を表すフローチャート
図、図61は本発明に関連する第16の例における最適
化調整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャー
ト図、図63は本発明に関連する第17の例における最
適化調整方法の処理過程を表すフローチャート図、図6
4は本発明に関連する第17の例における最適化調整方
法の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチャート
図、図66は本発明に関連する第18の例における最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図を表して
いるものとする。なお、ブロック図の各図において、同
一部には同じ番号を付している。
【0033】本発明に関する第1から第8の例は、遺伝
的アルゴリズムを用いた最適化調整方法と最適化調整装
置に関するものであり、本発明の第9の例、第10の
例、第1〜第5の実施の形態及び、本発明に関する第1
1の例から第18の例は、ユーザの評価をもとに最適解
の推定を行う対話型遺伝的アルゴリズムを用いた最適化
調整方法と最適化調整装置に関するものである。
【0034】以下に、本発明に関する第1の例における
最適化調整方法と調整装置について説明する。第1の例
は、過去の解ベクトルの更新の履歴をもとに適合度の高
い解ベクトルが分布する方向を予測し利用することによ
り効率良く最適な解ベクトルを推定するものである。
【0035】図1において、101は更新する初期の解
ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を所定の手続きまた
は外部からの指示により設定する初期解集合設定部、1
02は遺伝的組み替え操作により最適解ベクトルの推定
を実際に行う遺伝的アルゴリズム処理部、103は予め
設定された終了条件が満足された場合に最新の解ベクト
ル集合から適合度の最も高い解ベクトルを最適解ベクト
ルとして出力する最適解出力部である。遺伝的アルゴリ
ズム処理部102は、解ベクトル集合Pについての各解
ベクトルの評価値Ekの計算を予め設定された評価関数に
従い計算する評価値獲得部104と、評価値獲得部10
4で得られた評価値Ekをもとに各解ベクトルのその問題
に対する適合度fkを計算する適合度計算部105と、予
め与えられた基準適合度fthより高い適合度を持つ解ベ
クトル群P'を選び出しその重心ベクトルgl(lは繰り返し
回数)と過去の重心ベクトルより適合度の高い解ベクト
ルが分布する更新方向ベクトルが推定できるかどうかを
判断する更新方向判断部106と、更新方向判断部10
6で更新方向ベクトルが推定された場合にその方向に沿
って複数の解ベクトル更新を実行するとともに、組み替
え操作で生成される解ベクトル個数を設定する方向適用
更新部107と、更新方向判断部106または方向適用
更新部107の結果を受けて、その設定された解ベクト
ル個数分だけ元の解ベクトル集合内の解ベクトルの遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの生成を
行う組み替え操作部108により構成される。さらに更
新方向判断部106は、適合度計算部105で得られた
適合度に対して、予め与えられた基準適合度fthより高
い適合度を持つ解ベクトル群P'を選び出しその重心ベク
トルglを計算する重心推定部109と、重心推定部10
9で得られたglと過去の重心ベクトルgl-1の差分ベクト
ル△gl-1を求め、更新方向候補ベクトルv'l-1=△gl-1
して記録する更新方向候補記録部110と、更新方向候
補記録部110に保存されているv'lとv'l-1の方向の一
致度を評価し、一致していると判断された場合には更新
方向ベクトルv=v'lが得られたものとして方向適用更新
部107に処理を渡し、一致しない場合には解ベクトル
集合内の解ベクトル全体を組み替え操作の対象としてか
組み替え操作部108に処理を移す更新方向獲得部11
1より構成される。方向適用更新部107は、重心推定
部109で得られた重心ベクトルを更新方向ベクトルv
に従い基準移動距離lengthだけ移動させる重心移動部1
12と、重心移動部112で新たに得られた重心ベクト
ルの周囲に予め設定された個体数の解ベクトルを生成す
る重心周囲解ベクトル生成部113により構成される。
図2に示すように、組み替え操作部108は解ベクトル
集合Pから適合度fkを用いて解ベクトルの選択淘汰を実
行する候補選択部201、候補選択部201で得られた
解ベクトル集合に対して交叉処理を実行する交叉処理実
行部202、交叉処理実行部202で得られた解ベクト
ル集合に対して突然変異処理を実行する突然変異処理実
行部203により構成される。さらに、候補選択部20
1は、解ベクトル集合からある解ベクトルを選択する時
の選択確率hkとその選択範囲Ikを導出する選択範囲導出
部204、[0,1]内の一様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)
を発生させる乱数発生部205、乱数発生部205の結
果をもとに解ベクトル集合から選択する解ベクトルを抽
出する解ベクトル抽出部206により構成される。
【0036】以上のように構成された本発明に関する第
1の例における最適化調整装置の動作について説明す
る。その際、本例では、扱う具体的問題として、図6の
ようなm次元関数w(x1,x2,...,xm)の最大値推定問題を取
り上げる。
【0037】図6に示されるように、例えばm次元関数w
の最大値推定問題では、 《条件1》所定の手続きまたは外部からの指示により、
n個のm次元ベクトルqi(x 1 i,x2 i,...,xm i)(i=1,...,n)か
らなる集合Qを作り出す。 《条件2》各qi(i=1,...,n)における関数値w(qi)を求
め、その値をもとに関数値w(q)が最大となるm次元ベク
トルqを推定する。 《条件3》各要素xkの絶対値は| xk| ≦ckを満足する。 《条件4》また各要素xkは小数点以下a桁までの精度し
か持たないものとする。というような手続きが取られ
る。このようm次元関数wの最大値推定問題を対象とし
て、図3、図4、図5のフローチャート図をもとに本発
明に関する第1の例の動作について説明する。
【0038】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定される。この設
定方法として様々な方法が考えられる。ここでは、求め
るm次元ベクトルqiの要素xi j(j=1,...,m)は小数点以下
1桁までの精度を持つ実数値であると仮定し、その値を
図7に示すように対応付けした長さBlenのビット列コー
ドに変換する。そして、ベクトルqiの各要素xi jをビッ
ト列コードに変換したものを順番に並べる形により解ベ
クトルpk(k=1,...,n)は表現されるものとする。なお、
ここでは解ベクトルをこのように固定長ビット列コード
により表現したが、解ベクトルの表現方法はこの方法に
限定されるものではなく、直接実数値を要素に持つ形の
まま扱うことも考えられる。
【0039】上述のビット列コードを用いた表現方法に
従い、[0,1)内の一様乱数rと(数1)をもとに、固定長
ビット列コードの形に表現された解ベクトルのl番目の
ビット(l=1,..,Blen×m)を求めることにより初期解ベク
トル集合P=[pk](k=1,...,n)が設定される。ここで(数
1)においてulは下位からl番目のビットにおける値を
表すものとする。
【0040】
【数1】
【0041】この初期解ベクトル集合Pより最適解ベク
トル推定が開始される。それとともに、重心推定部10
9で使用する基準適合度fth、重心移動部112で使用
する基準移動距離lengthの設定を行う。
【0042】評価値獲得部104は前述のように各解ベ
クトルpk(k=1,...,n)に対する評価値Ekを求める部分で
あり、例えば(数2)のような評価関数により求める。
【0043】
【数2】
【0044】ここで、qkは、解ベクトルpkを元のm次元
空間に戻した際の座標ベクトルであり、wt minは、集合P
における各解ベクトルpkをm次元空間座標に戻したとき
の関数値w(qk)の中で、更新回数l回とするとl回目まで
に得られた解ベクトル集合全体の中で最小となる値を表
す。(数2)より明らかのように、これまで得られた解
ベクトル集合内での関数値最小値からの差を集合全体で
正規化した値を表す。本例では、この評価値を最大化す
る最大化問題として捉えることができる。
【0045】適応度計算部105では、評価値獲得部1
04で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性を
見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する関
数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=Ek
することにより評価値が高くなるほど適合度も高くな
り、最大値推定問題を取り扱うことが可能となる。
【0046】次に、更新方向判断部106の動作につい
て説明する。まず重心推定部109において、適合度計
算部105で得られた解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合
度fkと基準適合度fthが比較され、その値fthより大きな
適合度を持つ解ベクトル群P'=[pj l](j=1,..,p#num)を選
び出す。p#numはP'に属する解ベクトルの個数であり、
この時、重心ベクトルglは(数3)のように求められ
る。ここでlは遺伝的アルゴリズム部102における更
新処理の繰り返し回数を表す。
【0047】
【数3】
【0048】更新方向候補記録部110は、109で得
られたl回目における重心ベクトルg lと(l-1)回目におけ
る重心ベクトルgl-1の差分ベクトル△gl-1を求め更新方
向候補ベクトルv' l-1=△gl-1として記録する。更新方向
獲得部111では、更新方向候補記録部110で記録し
ている更新方向候補ベクトルv' lとv' l-1の方向の一致度
を評価されるが、2つのベクトルのなす角度θを求め、
その角度が予め与えられた一致判断角度θthと比較し、
その値より小さければ2つの更新方向候補ベクトルv' l
とv' l-1は同じ方向を向いていると判断される。θは
(数4)のように求めることができる。なお、cos-1
逆コサイン関数(逆予弦関数)を、(x,y)はベクトルxと
yの内積を、||x||はベクトルxのノルム(大きさ)を表
す。
【0049】
【数4】
【0050】もしv' lとv' l-1は同じ方向を向いていると
判断されれば、更新方向ベクトルvが得られたものとし
てv=v' lとなる。そしてこの場合、処理は方向適用更新
部107に処理が移る。一方、v' lとv' l-1は同じ方向で
はないと判断された場合、解ベクトル集合P内の解ベク
トルpkすべてn個は組み替え操作部108における遺伝
的演算に基づく組み替え操作により解ベクトルの更新が
なされる。図8は以上の様子を模式的に表したものであ
る。
【0051】まず、更新方向ベクトルvが得られた場合
の処理について説明する。この場合、方向適用更新部1
07に処理が移る訳だが、その中では次の重心移動部1
12と重心周囲解ベクトル生成部113の順に処理が行
われる。重心移動部112では、更新方向ベクトルvの
指し示す方向に重心推定部109で計算した重心ベクト
ルglを移動させる処理を行う。ここでは簡単のために、
予め設定された平行移動距離lengthだけ移動させて新し
い重心ベクトルgl+1を推定する方法を取る。しかし、更
新方向ベクトルvの方向でPATAN法などの直線探索
方法を用いて評価値が最大となる点を求め、その点を改
めて重心ベクトルgl+1とする方法等も考えられる。重心
周囲解ベクトル抽出部113は、(数5)のように11
2で得られた新しい重心ベクトルgl+1を中心とした半径
a#lenの多次元空間での球内の領域に含まれる点をa#s個
任意に抽出し新しい解ベクトル集合の元とする。
【0052】
【数5】
【0053】a#s、a#lenはここでは予め設定された一定
値として考えるが、この値も動的に変化させる方法や、
この値を図7のようにビット列に変換して、解ベクトル
pkに加えて改めて解ベクトルと定義してやる方法も考え
られる。さらに、113では(n- a#s)個を次の組み替え
操作部108で行われる組み替え操作で生成する新しい
解ベクトル個数として設定する。
【0054】次に、組替え操作部108の動作について
説明するが、ここでは更新方向獲得部111または重心
周囲解ベクトル抽出部113で設定された解ベクトル個
数だけ、繰り返し回数lにおける解ベクトル集合P内の解
ベクトルの組み替え操作により新しい解ベクトルを生成
する。以下に、候補選択部201から解ベクトル抽出部
206における処理手順について説明する。まず、候補
選択部201において解ベクトルの選択淘汰が実行され
る。この場合、図9に表されるように適合度に比例する
確率で解ベクトルを選択するルーレット選択法が用いら
れる。
【0055】(ルーレット選択法) (i)集合Pに属する各解ベクトルpk(k=1,...,n)の適合度f
k、全解ベクトルの適合度の総和fを求める。 (ii)pkが次世代の解ベクトルを作り出す親として選ばれ
る選択確率hkが(数6)のように求められる。
【0056】
【数6】
【0057】この確率を解ベクトルに割り当てるために
は例えば次のような方法が考えられる。 (iii)各解ベクトルの選択範囲Ikを[0,1)内の区間に(数
7)(数8)を用いて次のように割り当てる。つまり、
【0058】
【数7】
【0059】とする時、pkの選択範囲Ik
【0060】
【数8】
【0061】のように定義する。ここで、[0,1)内に一
様乱数rkの組R=(r1,r2,...,rn)を発生させる。rj∈I
k(j,k=1,...,n)を満足するnumj=kの組Num=(num1,nu
m2,...,numn)を求めることにより、このNumに対応するn
個の解ベクトルの組が選択されることになる。
【0062】このようなルーレット選択法により、現在
の解ベクトル集団Pの中の解ベクトルpkの選択を行うの
である。まず、(数6)〜(数8)に従い選択範囲導出
部204が各解ベクトルが選択される確率hkとその選択
範囲Ikを求める。そして、乱数発生部205が0から1
の間の一様乱数rをn個発生する。乱数発生部205で得
られた乱数の組Rと選択範囲導出部204により得られ
る選択範囲Ikは、解ベクトル抽出部206へ送られrj
Ikを満足するnumj=kの組Numが求められる。それにより
解ベクトル抽出部206では、Numによって指定される
解ベクトルで構成される新しい解ベクトル集団Pを出力
するのである。この候補選択部201で得られる新しい
解ベクトル集団Pに対して、交叉処理実行部202が交
叉処理を行う。前述したように交叉処理としては様々な
方法があるが、本例では図72のような1点交叉もしく
は2点交叉処理を用いる。さらに突然変異処理部203
が、交叉処理実行部202を経て得られた新しい解ベク
トル集団に対して解ベクトルを構成する各ビットが低い
確率でビット反転を行う突然変異処理を実行するのであ
る。その際、突然変異を行う確率は、解ベクトル集団の
半分と残り半分では変動させることにより、より解ベク
トルの多様性に維持することに努めた。なお、ここで
は、求める解ベクトルはビット列コードに変換して扱っ
ているが、前述のように多次元空間における座標ベクト
ルの実数値要素をそのまま並べて解ベクトルとして扱う
ことも考えられる。この場合、交叉処理はビット列コー
ドの場合と同様な処理が施され、突然変異処理は、ある
低い確率で選ばれた遺伝子(多次元空間における座標ベ
クトルの要素)にある範囲内で与えられた乱数を付加す
ることによって実現される。
【0063】最後に遺伝的アルゴリズム部102の終了
条件について説明する。102の遺伝的組み替えによる
解ベクトル更新処理の終了条件としては様々なものが適
用される問題に応じて考えられるが、ここでは、 《終了条件1》適合度計算部105で得られた適合度fk
の最高値fmaxが収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》繰り返し回数lが終了更新繰り返し回数g
#numendを超えているかの2つの終了条件を設ける。そ
して、どちらの条件も満たさない場合にはもう一度評価
値獲得部104へ戻る。以上のような処理過程を終了条
件1または2のどちらかが満足されるまで繰り返し実行
することにより最適解ベクトルの推定を行うのである。
このように、解ベクトル集合内で適合度の高いグループ
の重心ベクトルの移動ベクトルに着目し、適合度の高い
解ベクトルが存在する分布すると思われる方向を推定し
た解ベクトル群の更新を行う。それとともに、元の解ベ
クトル集合を対象にした組み替え操作による解ベクトル
の最適化も同時に行うことにより、過去の解ベクトル更
新の履歴を利用した高速で効率的な最適解の推定を行う
ことができるのである。
【0064】以下、本発明に関する第2の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照しな
がら説明する。図10は、本発明に関する第2の例にお
ける最適化調整装置の構成を示すものである。本例は、
組み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新を行っ
た後、再度組み替え操作を用いて大域的な解ベクトルの
更新を行うことにより最適解ベクトルの推定を行うもの
である。
【0065】図10において、1001は初期解集合設
定部101で設定された初期解ベクトル集合P内の各ベ
クトルpk(k=1,...,n)の周囲に改めて初期解ベクトル群P
kを設定し、その初期解ベクトル群に属する解ベクトルp
k j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の問題に対する適合度fkjをも
とに解ベクトルの組み替え操作を予め設定された回数だ
け繰り返して適合度の高い解ベクトル群Pkを抽出する局
所更新部、1002は局所更新部1001で得られた複
数の解ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合してその集合
内の解ベクトルp* k(k=1,...,n*)の組み替え操作を行う
大域更新部である。局所更新部1001は、解ベクトル
集合P内の解ベクトルpkから局所的な解ベクトルの更新
を行う際の範囲を決定する局所更新設定部1003と、
1003で指定された範囲内で改めて初期解ベクトル群
Pkを生成するベクトル群設定部1004と、解ベクトル
pk j(j=1,..,nk,k=1,..,n)の対象問題に対する評価値Ek j
を獲得する評価値獲得部104と、評価値獲得部104
で得られた評価値から各解ベクトルの適合度fk jを計算
する適合度計算部105と、適合度計算部105で得ら
れた適合度をもとに解ベクトル群内の解ベクトルの組み
替え操作を局所更新設定部1003で設定された範囲内
に含まれるように実行する局所組み替え操作部1005
と、一連の局所的な更新処理が予め与えられた繰り返し
回数を満足するかどうかの判断をする局所更新終了判断
部1006より構成される。一方、大域更新部1002
は、局所更新部1001で得られた解ベクトル群Pk(k=
1,...,n)を1つの集合P*=[p* i](i=1,...,n*)に統合する
集合統合部1007と、1007で得られた解ベクトル
集合P*を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更
新を行う大域組み替え操作部1008により構成され
る。さらに、局所組み替え操作部1005、大域組み替
え操作部1008ともに、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204と乱数
発生部205と解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0066】以上のように構成された本発明に関する第
2の例における最適化調整装置の動作を図11のフロー
チャート図をもとに説明する。ここで、扱う具体的問題
として本発明に関する第1の例と同様に多次元関数wの
最大値推定問題を取り上げる。また、多次元空間におけ
る座標ベクトルを構成する各要素も同様に図7に記され
る方法によりビット列コード表現され、このビット列が
要素の順番に従い並べられて形で遺伝的アルゴリズムで
推定する解ベクトルを表現されるものとする。
【0067】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、局所更新設定部1003で使用する局所範囲半径b#
len、局所更新終了判断部1006で使用する局所更新
終了回数c#lthが設定される。局所更新設定部1003
では、初期集合Pにおけるpkを中心として、(数9)の
ように局所範囲半径b#len内の多次元空間内の球領域が
設定される。
【0068】
【数9】
【0069】なお、このc#lthはここでは固定とした
が、動的に変化させることも可能であり、例えばその値
をビット列変換して解ベクトルpkに加えることも考えら
れる。ベクトル群初期設定部1004では、1003で
設定された範囲より複数の解ベクトルを任意に抽出して
改めて初期解ベクトル群Pkを設定する。ここでは、中心
となった解ベクトルpkも含めてnk個の解ベクトルpk j(j=
1,...,nk)を抽出する。本例ではnk=nとする。評価値獲
得部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ek j
を求め、適合度計算部105が評価値Ek jより適合度fk j
を計算する。局所組み替え操作部1005は、105に
おける適合度をもとに(数9)で表される領域内に含ま
れるように解ベクトルの組み替え操作を行う。この処理
は本発明に関する第1の例における最適化調整装置の組
み替え操作部108と同じであるため省略する。この1
005における解ベクトル群Pkの更新の後、局所更新終
了判断部1006で局所更新回数c#lが局所更新終了回
数c#lthと比較してc#l≧c#lthを満足するかどうかを判
断する。もし満足すれば局所更新処理は終了する。満足
しない場合は、c#lには1が加算され、評価値獲得部1
05から局所更新終了判断部1006の処理が繰り返さ
れる。このようにして、初めに設定された初期解ベクト
ル集合の周囲で遺伝的演算に基づく組み替え操作を行っ
てより適合性の高い解ベクトルを探索することが行われ
るのである。なお、1003におけるnkは、nk=nと設定
したが、元の解ベクトル集合P内の解ベクトルpkに対し
て可変にすることも考えれる。また、局所更新回数c#l
に対しても動的に変化させることも可能である。
【0070】次に、大域更新部1002における処理に
ついて説明する。まず1001で抽出された各解ベクト
ル群Pk(k=1,...,n)を集合統合部1007が1つの集合P
*=[p * i](i=1,...,n*)に統合する。この際、全ての解ベ
クトル群Pk内の解ベクトルを適合度の高い順番にソーテ
ィングし、高い方から順にn*個の解ベクトルを選んで統
合集合Pを生成することが考えられる。大域組み替え操
作部1008は、1007で得られた解ベクトル集合P*
を対象とした組み替え操作により解ベクトルの更新を行
う。その際、この処理は本発明に関する第1の例におけ
る最適化調整装置の組み替え操作部108と同じである
ため省略する。図12は一連の様子を模式的に表す図で
ある。
【0071】最後に終了条件について説明する。終了条
件としては、本例1における最適化調整装置と同様に収
束判定適合度fendと終了更新繰り返し回数g#numendの2
つ値の比較条件が設定されている。具体的には、 《終了条件1》集合統合部1007において、各解ベク
トル群Pk内の解ベクトルpkiの持つ適合度の最高値fmax
が収束判定適合度fendより大きいかどうか 《終了条件2》局所更新部1001から大域更新部10
02における一連の更新の繰り返し回数lが終了更新繰
り返し回数g#numendを超えているかの2つの終了条件を
設ける。そして、どちらの条件も満たさない場合には局
所更新設定部1003へ処理が戻る。満足する場合に
は、最適解出力部103に処理が移り、最新の解ベクト
ル集合において最も適合度の高い解ベクトルが最適解ベ
クトルとして出力される。本例における第2の最適化調
整装置は以上のような処理過程を終了条件1または2の
どちらかが満足されるまで繰り返し実行することにより
最適解ベクトルの推定を行うものである。このように組
み替え操作を用いて局所的に解ベクトルの更新を数回繰
り返し行った後に再び組み替え操作により大域的な解ベ
クトルの更新を行うことにより、遺伝的アルゴリズムの
持つ解ベクトルの大域的更新能力を損なわずに、局所的
な解ベクトルの更新能力を補強することができ、高速な
最適解の推定の実現が可能となる。
【0072】以下、本発明に関する第3の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図1
3は、本発明に関する第3の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、解ベクトル集合内の
各解ベクトルをその近傍空間よりランダムに抽出したベ
クトル群と比較して適合度の高いベクトル群を改めて更
新処理の対象となる解ベクトル集合に属する解ベクトル
として選び出して組み替え操作の対象とすることを特徴
とする。
【0073】図13において、1301は解ベクトル集
合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,n)の周囲から任意の解
ベクトルを選び出すための範囲設定を行う初期更新領域
限定部である。初期解ベクトル群抽出部1302は、初
期更新領域限定部1301で得られた範囲内に含まれる
解ベクトルを任意に抽出して解ベクトル群Pk(k=1,...,
n)を作成する。解ベクトル集合統合部1303は、各解
ベクトル群Pkを1つの集合P*に統合するものであり、こ
のP*に対して組み替え操作が実行される。
【0074】以上のように構成された本発明に関する第
3の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図14のフローチャート図をもとに説明する。なお、
扱う具体的問題として本発明に関する第1、第2の例と
同様に多次元関数wの最大値推定問題を取り上げ、解ベ
クトルを構成する各要素も同様に図7に記される方法に
よりビット列コード表現され、解ベクトルとしてはこの
ビット列が多次元空間における座標ベクトルの要素の順
番に従い並べられた形で解ベクトルが表現される。
【0075】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、初期
更新領域限定部1301で使用する限定領域半径c#len
が設定される。限定領域の設定としては様々な方法があ
るが、初期更新領域限定部1301ではこのc#lenを使
い、初期解ベクトル集合P内の各解ベクトルpk(k=1,...,
n)を中心にした多次元空間での球領域を設定する。次
に、初期解ベクトル群抽出部1302が各解ベクトルpk
を中心とした解ベクトル群Pkを設定する。この場合、各
球領域内から任意にnk個のベクトルを抽出して解ベクト
ル群を設定する。評価値獲得部104、適合度計算部1
05を経て、解ベクトル集合Pkにおける各解ベクトルpk
jごとに適合度fk j(j=1,...,nk)が計算される。解ベクト
ル集合統合部1303では、この適合度をもとに各解ベ
クトル群のを1つの集合P*に統合する処理を行う。図1
5はその様子を模式的に表す。その方法としては、本例
2のように、各解ベクトル群内の解ベクトルを適合度の
高い順に並べて、高い方からn*個選択する方法も考えら
れるが、この例では、組み替え操作部108における候
補選択部201で使用したルーレット選択法を用いてn*
個の解ベクトルを抽出する方法をとる。つまり、各解ベ
クトルpk jの選ばれる確率rk jとして、(数10)のよう
に各適合度fk jの総和f#tに対する比の値rk jを定義し、
その値をルーレットの占める範囲に割り当てる。そし
て、乱数により選ばれた値が止まる位置を占める解ベク
トルを抽出するという方法を用いるのである。こうする
ことにより、確率的に適合度の高いものが選ばれること
になる。
【0076】
【数10】
【0077】組み替え操作部108では本発明に関する
第1の例の場合と同様に、解ベクトル集合統合部130
3で得られた解ベクトル集合P*内の解ベクトルp* i(i=
1,...,n*)を対象として、ルーレット選択法による解ベ
クトルの選択淘汰、交叉処理、突然変異処理が候補選択
部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行部
203で実行されるのである。この方法は本発明に関す
る第2の例における最適化調整装置と比較すると、局所
的な解更新能力をできるだけ簡単な手順で実現するもの
である。
【0078】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。両方の条件を満足しない場合に
は、初期更新領域限定部1301に処理が戻る。以上の
ような処理過程をいずれか一つの終了条件を満足するま
で繰り返し実行することにより最適解推定を実行するの
である。このように、本発明に関する第3の最適化調整
装置は、解ベクトル集合内の各解ベクトルをその近傍空
間よりランダムに抽出したベクトル群と比較して適合度
の高いベクトル群を改めて更新処理の対象となる解ベク
トル集合に属する解ベクトルとして選び出す。そして、
出来上がった解ベクトル集合を組み替え操作の対象とす
ることにより、従来の遺伝的アルゴリズムでは欠如して
いた局所的更新能力の弱さを解消することができる。
【0079】以下、本発明に関する第4の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照しな
がら説明する。図16は、本発明に関する第4の例にお
ける最適化調整装置の構成を示すものである。本例は、
適合度をもとに選択された解ベクトルの近傍ベクトル群
を抽出することにより解集合全体の再設定を行い、各近
傍ベクトル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え
操作を行うことにより最適解の探索を行うものである。
【0080】図16において、1601は解ベクトル集
合全体の再設定を行う解集合再設定部、1602は解集
合再設定部1601で得られた各近傍ベクトル群内の解
ベクトルのみを対象とした組み替え操作により新しい解
ベクトル集合の生成をするグループ組み替え操作部であ
る。ここで、解集合再設定部1601は解ベクトル集合
全体から代表となる解ベクトルをいくつか選択する代表
解ベクトル選択部1603と代表解ベクトル選択部16
03で得られた各代表解ベクトルに対して、その近傍ベ
クトル群を抽出する近傍ベクトル群抽出部1604より
構成される。グループ組み替え操作部1602は候補選
択部201、交叉処理実行部202、突然変異処理実行
部203により構成され、候補選択部201は、選択範
囲導出部204と乱数発生部205と解ベクトル抽出部
206により構成される。
【0081】以上のように構成された本発明に関する第
4の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図17のフローチャート図をもとに説明する。ここ
で、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の
表現方法は本発明に関する第1から第3における例の場
合と同様である。
【0082】まず、最初に初期解集合設定部101にお
いて解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の
手続きまたは外部からの指示により設定されるととも
に、代表解ベクトルの数Ncと各代表解ベクトルを中心し
て抽出する近傍ベクトルの数Nsと近傍の定義を表す近傍
幅wi(i=1,...,Nc)が設定される。評価値獲得部104が
(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求め、適合度
計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算する。
【0083】次に、解集合再設定部1601の動作につ
いて説明する。まず代表解ベクトル選択部1603にお
いて、解ベクトル集合から近傍ベクトル群を抽出するの
に必要とされる代表解ベクトルpi c(i=1,..,Nc)を選び出
す。この時、選択方法としては様々な手法が考えられる
が、本例ではグループ組み替え操作部1602を構成す
る候補選択部201で用いられているルーレット選択法
により確率的に適合度の高いベクトルを代表解ベクトル
として選び出すこととする。近傍ベクトル群抽出部16
04が、代表解ベクトル選択部1603で得られた代表
解ベクトルpi cに対して、各々、(数11)を満足する
近傍ベクトルpをNs個抽出することによりNc個の近傍ベ
クトル群を作成する。この(数11)は、実際の実数空
間にお
【0084】
【数11】
【0085】いて代表解ベクトルpi cを中心とした半径w
iの球内を表していおり、Ns個の近傍ベクトルを選び出
す方法としては(数11)に含まれる解ベクトルから一
様乱数を用いてランダムに選び出される。図18は以上
の様子を模式的に表現したものである。なお、本例で
は、(数11)のように近傍の判断として実際の実数空
間における解ベクトル間のユークリッド距離を用いた。
しかし、これに限定されるものではなく、ビット列コー
ドに変換表現した2つの解ベクトルx、yにおいて、右か
ら数えて下位のLbitビットを比較し、反転しているビッ
ト数をもとに近傍を定義することにより近傍を定義する
方法も考えられる。
【0086】以上のような解集合再設定部1601の処
理により、Nc個の近傍ベクトル群が抽出させる。グルー
プ組み替え操作部1602では、その各々の近傍ベクト
ル群内の解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を行
う。その際、まず候補選択部201において、ルーレッ
ト選択法による解ベクトルの選択淘汰が各々の近傍ベク
トル群内を対象として行われ、候補選択部201で得ら
れた新しい近傍ベクトル群を対象とした交叉処理が交叉
処理実行部202で実行される。こうして各々の近傍ベ
クトル群独立に実行された組み替え操作により、新しい
解ベクトル集合が生成され、この解ベクトル集合に対し
て突然変異処理実行部203が突然変異処理を実行する
のである。
【0087】最後に更新繰り返し回数lが更新終了繰り
返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは適合
度計算部105で得られた適合度fの最大値fmaxが収束
判定適合度fendを超えているかどうかをもとに終了判定
が行われ、どちらかでも満足する場合は更新処理は終わ
り、最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトル
が出力されるのである。このように代表解ベクトルの近
傍からベクトル群を選び出しまとめることにより、局所
的な探索をより効率良く行うことができる。さらに各近
傍ベクトル群独立に組み替え操作を行うことにより、突
出した適合度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに
大きな影響を与えることも避けることができるのであ
る。
【0088】以下、本発明に関する第5の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明しな
がら説明する。第5の例は、解ベクトル集合内の解ベク
トル近傍を複数の領域に分割し、その中で平均適合度の
高い領域から任意に選び出す処理と並行して、元の解ベ
クトル集合内の解ベクトルの組み替え操作による解ベク
トル更新を行うように工夫したものである。図19は、
本発明に関する第5の例における最適化調整装置の構成
を示すものである。更新領域分割部1901は解ベクト
ル集合内から任意に選び出した2つの解ベクトルの近傍
空間を複数の領域に分割する処理を行い、平均適合度計
算部1902は更新領域分割部1901で分割された各
領域内で複数の解ベクトル点を抽出しその評価値、適合
度の平均を求める。さらに、適領域解ベクトル群抽出部
1903は1902で選ばれた領域から複数の解ベクト
ルを任意に選び出すものであり、解ベクトル統合部19
04は、組み替え操作により生成された解集合と近傍領
域探索により更新された解ベクトル群を1つの集合P*
統合するものである。
【0089】以上のように構成された本発明に関する第
5の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の動
作を図20の処理を表すフローチャート図をもとに説明
する。なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する
各要素の表現方法は本発明に関する第1から第4におけ
る例の場合と同様である。
【0090】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解ベ
クトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価値
Ekより適合度fkを計算する。組み替え操作部108がこ
の適合度fkをもとに解ベクトル集合P内の解ベクトルpk
の遺伝的な組み替え操作を行う。その処理と並行して、
以下の処理がなされる。
【0091】まず、更新領域分割部1901では、解ベ
クトルpkとpmの間を結ぶ直線区間Lが設定できる。このL
は(数12)のように表現できる。ここでαは実数値で
ある。
【0092】
【数12】
【0093】この直線区間を次の3つの領域に分割す
る。 (1)α<0.0のpmを起点にしてpkから遠ざかる領域 (2)0.0≦α≦1.0のベクトルpkとpmの間の領域 (3)α>1.0のpkを起点にpmから遠ざかる領域 解ベクトルpkに対して、解ベクトル集合Pからランダム
にその相手となる解ベクトルpmが選択される。このよう
にして直線区間ではあるが、解ベクトルpkの近傍を分割
することができる。なお、pkを中心にした球領域を考
え、その領域を経度角度βにより分割することにより複
数領域に分ける方法も考えられる。平均適合度計算部1
902では、領域(1)(2)(3)各々よりnc個の解ベクトル
を選び出し、評価値そして適合度を計算する。そして、
各領域ごとに平均適合度fi me an(i=1,2,3)を導出するの
である。適領域解ベクトル抽出部1903は1902の
結果をもとに、最も平均適合度の高い領域を選択し、そ
こからランダムにnd個の解ベクトルを元に持つベクトル
群Pkを抽出する。図21はその様子を表しており、この
場合は領域(2)が選択されている。最新の解ベクトル集
合の中で最も適合度の高い解ベクトルが出力される。こ
の適領域解ベクトル抽出部1903で抽出された解ベク
トル群Pk(k=1,...,n)と組み替え操作部108で得られ
た新しい解ベクトル集合Pが1904の解ベクトル統合
部で1つの集合P*に統合される。この方法としては、本
例2における高い適合度の順に抽出する方法と、本例3
における適合度にルーレット選択法を適用した確率的に
適合度の高いものを選択する方法等が考えられる。
【0094】前述までの例の場合と同様に、 《終了条件1》更新繰り返し回数lが更新終了繰り返し
回数g#numendをこえたかどうか 《終了条件2》最大適合度fmaxが収束判定適合度fend
超えたかどうかという2つの終了条件が設定されてお
り、どちらも満足しない場合にはもう一度評価値獲得部
104へ処理が戻り、どちらかが満たされれば、最適解
出力部103で最も適合度が高い解ベクトルが最適解と
して出力されるのである。以上のような処理過程を終了
条件を満足するまで繰り返し実行することにより最適解
の探索を行うのである。このように、解ベクトル集合内
の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並行して、
各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処理も同時
に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが持つ効率
的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補強するこ
とができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実行するこ
とができる。
【0095】以下、本発明に関する第6の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図2
2は、本発明に関する第6の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、適合度の算術平均と
標準偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分
割し、各グループ内の解ベクトルのみを対象とした組み
替え操作を行うことにより最適解の探索を実行する。
【0096】図22において、2201は解ベクトル集
合全体を複数のグループに分割する解集合分割部であ
る。解集合分割部2201は解ベクトル集合全体を分割
する際の各領域を決定する分割領域決定部2202とそ
の結果をもとに解ベクトル集合を実際に複数のグループ
に分割する分割実行部2203より構成される。
【0097】以上のように構成された本発明に関する第
6の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
を図23のフローチャート図をもとに説明する。なお、
扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素の表現
方法は前述までの第1から第5までの例と同様である。
【0098】最初に初期解集合設定部101において解
ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続き
または外部からの指示により設定されるとともに、解ベ
クトル集合分割条件として分割するグループ数Ngとその
分割に用いられる自然定数nが設定される。評価値獲得
部104が(数4)に従い各解ベクトルの評価値Ekを求
め、適合度計算部105が評価値Ekより適合度fkを計算
する。収束条件として、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうか、もしくは
適合度計算部105で得られた適合度fの最大値fmax
収束判定適合度f endを超えているかどうかという2つの
条件が設定されており、どちらかでも満足する場合は解
ベクトルの更新処理は終わり、最適解出力部103で最
も適合度の高い解ベクトルが出力される。
【0099】次に、解集合分割部2201の動作につい
て説明する。まず分割幅決定部2202が適合度計算部
105で求められた適合度fkの算術平均Aveとその標準
偏差σを計算する。そして、例えばNg=3の場合、図24
(a)の適合度fkに対する個体数分布を表す図のよう
に、Ave、σと初期解集合設定部101で設定された自
然定数nを用いて、 (A)fk>(Ave+σ×n)の領域 (B)(Ave-σ×n)≦fk≦(Ave+σ×n)の領域 (C)fk<(Ave-σ×n)の領域 の3つの領域を決定する。分割実行部2203が分割領
域決定部2202の結果を受けて、実際に解ベクトル集
合全体を分割する。図24(b)は実際の実数値空間に
おける分割された各グループの分布を模式的に表す図で
ある。ここで、本発明に関する第4の例の場合は、現在
の解ベクトル集合の適合度をもとに検討した分布状況に
関係なく代表解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出してい
るが、本例では、現在の解ベクトル集合の中から適合度
の分布状況に従い抽出して分割を行っている点が大きく
異なる。なお、本例では、nを一定とみなしているが、
この値も動的に変化させることも考えられる。
【0100】グループ組み替え操作部1602では本発
明に関する第4の例の場合と同様に、解集合分割部22
01で得られた複数のグループ内の解ベクトルのみを対
象として、ルーレット選択法による解ベクトルの選択淘
汰、交叉処理が候補選択部201、交叉処理実行部20
2で順番に実行される。そして、新しく生成された解ベ
クトル集合全体に対して突然変異処理実行部203が突
然変異処理を実行するのである。
【0101】以上のような解ベクトル集合の更新処理
を、前述の収束条件が満たされるまで繰り返し行うこと
により最適な解べくトルの推定を行うものであり、この
ように解ベクトル集合全体を適合度の平均と標準偏差を
もとに複数のグループに分割し、各グループ内に属する
解ベクトルのみを対象とした組み替え操作を各グループ
独立に実行することにより、突出した高い適合度を持つ
解ベクトルや低い解ベクトルが別々のグループに分かれ
て組み替え操作を行われることになる。そのため、それ
らが解ベクトル集合全体にすぐに大きな影響を与えるこ
とを避けることができるし、また各グループ内の解の収
束も高速となり、効率良い最適解ベクトルの推定を行う
ことができるのである。
【0102】以下、本発明に関する第7の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について図面を説明しな
がら説明する。第7の例は、適合度を計算する度に適合
度の算術平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに解
ベクトル集合を複数のグループに分割するかどうかの判
断をすることにより組み替え操作対象を選択し、得られ
た組み替え操作対象内の解ベクトルを対象とした組み替
え操作を行うことにより最適解探索を実行するものであ
る。図25は、本発明に関する第7の例における最適化
調整装置の構成を示すもので、2501は適合度の算術
平均と標準偏差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル
集合全体を複数のグループに分割するかどうかの判断を
下す組み替え対象制御部である。
【0103】以上のように構成された本発明に関する第
7の例における最適化調整方法及び最適化調整装置の動
作を図26の全体の処理を表すフローチャート図、図2
7の処理2を表すフローチャート図をもとに説明する。
なお、扱う具体的問題及び解ベクトルを構成する各要素
の表現方法は本発明に関する第1から第6における例の
場合と同様である。
【0104】最初にこれまでの例と同様に、初期解集合
設定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定されるとともに、解ベクトル集合分割条件として分割
するグループ数Ngとその分割に用いられる自然定数nが
設定される。評価値獲得部104が(数4)に従い各解
ベクトルの評価値Ekを求め、適合度計算部105が評価
値Ekより適合度fkを計算する。収束条件として、更新繰
り返し回数lが更新終了繰り返し回数g#numendをこえて
いるかどうか、もしくは適合度計算部105で得られた
適合度fの最大値fmaxが収束判定適合度fendを超えてい
るかどうかという2つの条件が設定されており、どちら
かでも満足する場合は解ベクトルの更新処理は終わり、
最適解出力部103で最も適合度の高い解ベクトルが出
力される。
【0105】本例は第6の例に解ベクトル集合の分割を
行うかどうかの制御機構2501を設けることにより、
無意味な分割(解ベクトル集合内の全ての解ベクトルの
適合度が非常に近い値を持つような場合)をすることに
よる効率のロスを避けることを目的とする。組み替え対
象制御部2501は、まず適合度計算部104で得られ
る適合度fkよりその平均Aveと標準偏差σを求める。そ
して、この値と最大・最小適合度をもとに解ベクトル集
合を複数のグループに分割するかどうかの判断を下すの
である。その判断基準として様々な基準が考えられる
が、本例では(数13)で表される条件を満足する時
に、解ベクトル集合を複数のグループに分割する必要が
あると判断するように定義する。
【0106】
【数13】
【0107】ここでfmaxは最大適合度、fminは最小適合
度、cfは適合度分布判断定数を表す。この判断基準の結
果に従い、2501は次のような動作を行う。 《判定1》分割しないと判断された場合には解ベクトル
集合全体を組み替え対象として組み替え操作部108へ
進む。 《判定2》分割を行うと判断された場合には解集合分割
部2201へ進む。この時、解ベクトル集合の分割方法
として適合度の平均値Aveと標準偏差σをもとに本発明
における第6の例の場合と同様な方法を用いる。
【0108】組み替え操作部108では、組み替え対象
制御部2501で得られた組み替え対象に対してルーレ
ット選択法による解ベクトルの選択淘汰が候補選択部2
01で実行され、1点もしくは2点交叉処理が交叉処理
実行部202で実行され、突然変異処理が突然変異処理
実行部203が実行されるのである。
【0109】そして本発明における第1から第6の例の
場合と同様な収束条件により解ベクトル集合の更新を続
行するかどうかの判定を行う。以上のような処理過程を
繰り返し実行することにより最適解ベクトルの推定を行
うのである。このように、適合度の算術平均と標準偏
差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合を複数の
グループに分割するかどうかの判断をする。分割すると
判断された場合には、解集合分割部が解集合全体を複数
のグループに分割し、そう判断されない場合は解集合全
体を組み替え操作の対象とし、得られた組み替え処理対
象に対して解ベクトルの選択と組み替え操作を行うこと
により適合度分布状況をもとに突出した高い適合度を持
つ解ベクトルの有無を判断し、その影響を低減するよう
に組み替え処理対象を限定することにより、効率良い最
適解ベクトル推定を行うことができるのである。
【0110】以下、本発明に関する第8の例における最
適化調整方法と最適化調整装置について説明する。図2
8は、本発明に関する第8の例における最適化調整装置
の構成を示すものである。本例は、更新領域設定部で用
いられる段階収束基準として段階収束適合度とその値を
満足する解ベクトル個体数を定義し、更新領域設定部に
おいて前記段階収束基準を満足するごとに更新領域を局
所的に限定するとともに段階収束適合度の精度を上げて
いくことにより最適解ベクトルの推定を実行するもので
ある。
【0111】図28において、2801は段階収束基準
として設定された段階収束評価値とその値を満足する解
ベクトル個体数を評価し、その基準を満足する場合に探
索領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の精
度を上げていく更新領域設定であり、更新領域設定部2
801は、段階収束適合度flthとその値を満足する解ベ
クトル個体数Nlthを評価する段階収束判定部2802
と、段階収束判定部2802で収束と判断された場合に
更新領域を局所的に限定するとともに段階収束適合度の
精度を上げる収束基準変更部2803により構成され
る。
【0112】以上のように構成された本発明に関する第
8の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動作
について図29のフローチャート図をもとに説明する。
その際、扱う具体的問題及び解ベクトルのコーディング
方法については第1から第7における例と同様のものを
用いるとする。
【0113】まず、これまでの例と同様に初期解集合設
定部101において解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が所定の手続きまたは外部からの指示により設
定される。この初期解ベクトル集合Pより最適解ベクト
ル推定が開始されるのである。それとともに、初期解ベ
クトルの更新領域と、初期段階収束基準が設定される。
段階収束基準は段階収束適合度flthとその値を満足する
解ベクトル個体数Nlthとして定義されており、初期段階
収束適合度flth0と収束判定のための初期個体数Nlth0
flth=flth0、Nlth=Nlth0のように設定される。また、初
期更新領域としては、係数に相当する長さBlenのバイナ
リーコードにおいて最上位Clenビットのみが有効でそれ
以下では0とみなすことにより表現される領域を対象と
する。
【0114】更新領域設定部2801では、まず段階収
束判定部2802において、105で得られた適合度fk
と段階収束適合度flthが比較され、fkがflthより大きく
なる解ベクトルの個数Nlを数える。この際、段階収束判
定部2802では段階収束適合度flthが予め設定された
収束判定適合度fendを超えているかかどうかを判断する
段階収束条件を設け、次のような判定がされる。 《判定1》Nl≧Nlthかつ段階収束条件を満足する場合、
最適解出力部103へ進む。 《判定2》Nl≧Nlthだが段階収束条件を満足しない場
合、収束基準変更部2803が段階収束適合度flth
(数14)に従い変更する。ここで、flth newが新しく
設定される段階収束適合度であり、flth prvが現在の段
階収束適合度、△flが予め設定された段階収束適合度の
変分量であり、正の実定数である。なお、ここでは△fl
は一定とみなすが、この値も動的に変化するように設定
することも考えられる。
【0115】
【数14】
【0116】収束基準変更部2803では、バイナリ変
換された各係数の現在の更新領域であるClenビットは、
その係数がflth prvを満足するベクトルに含まれる場合
は、そのまま保存される。一方、満足しないベクトルに
対しては、満足する複数のベクトルの中からランダムに
選ばれたベクトルが各係数の現在の探索領域であるClen
ビットにコピーされる。その後、各係数において次の下
位のClenビットにより表現される領域を改めて更新対象
領域とするのである。その際、更新対象領域より上のビ
ットは変更せず、また更新領域より下のビットは0とす
る。ここで、Clenビットの移動が、予め設定された、各
係数に割り当てられたBlenビットを超える時は、一番下
位ビットからClenビットを更新の対象とする。以上の処
理の後、再び段階収束判定部2802における判定を繰
り返す。 《判定3》Nl≦Nlthの場合、組み替え操作部108へ進
む。
【0117】図30は判定2で行う更新ビット選択処理
を実際の係数が取り得る実数値空間における更新領域に
展開して表している。解ベクトルの要素である係数は図
7で示されるようなビット列コード表現されているた
め、上位ビットの変動は実際の実数空間における係数の
大きな変動に相当し、下位ビットの変動は現在点を中心
とした局所的な変動に相当する。そのため、図30で明
かなように判定2で行う更新ビット選択処理は、はじめ
各係数が取り得る領域をあらく大域的に更新した後、抽
出された領域をさらに細分化して局所的に更新する過程
を繰り返すというように、段階的に更新領域を限定・細
部化して更新を行う過程に相当する。
【0118】解ベクトル集合内の解ベクトル更新の終了
を判断する収束条件としては、判定1及び判定2で使用
される段階収束条件と、更新繰り返し回数lが更新終了
繰り返し回数g#numendをこえているかどうかを判断する
条件が用意されている。この2つの条件が満足されるま
で、以上のような解ベクトルの更新処理を繰り返し実行
することにより最適解の推定を行うのである。このよう
にまず大域的に荒い解ベクトルの探索を行った後徐々に
局所的探索に移行することにより、従来問題とされてい
た最適解近傍における局所的な探索能力の甘さによる影
響を低減することが可能となり、効率良くかつ高速な最
適解探索を実現することができる。
【0119】なお本発明に関する第1から第8の例の遺
伝的アルゴリズムによる最適化調整方法及び最適化調整
装置では、多次元関数の最大値推定問題を具体例として
説明したが、前記巡回セールスマン問題やある個数の品
物を容量が限定されているナップサックにできるだけ詰
め込むことを求めるというナップサック問題、与えられ
た多次元空間における複数点よりそれらをうまく近似す
る多次元関数を求める多次元関数近似問題、病院におけ
る看護婦の夜勤、深夜勤務スケジュールを適切に計画す
るためのスケジューリング問題、航空機等のパラメトリ
ック設計等への適用も考えられる。1例として次のよう
に記述できる一次元関数近似問題が挙げられる。 《条件1'》所定の手続きまたは外部からの指示によ
り、t個の2次元ベクトルqi(xi, yi)(i=1,...,t)からな
る集合Qを作り出す。 《条件2'》(数15)のような(s-1)次関数を定義す
る。 《条件3'》条件1における2次元ベクトル集合Qを最も
近似する(数15)で表される(s-1)次関数の各項にお
ける係数aj(j=0,...,s-1)を(数16)を満足する範囲
内で求める。ここで、x∋xkを独立変数と、cjは係数aj
の絶対値の探索上限とみなす。
【0120】
【数15】
【0121】
【数16】
【0122】《条件4》ただし、条件1における2次元
ベクトルデータ数tは探索する係数ajの個数sよりもはる
かに大きいものとする。図31はこれを模式的に表現し
たものである。この場合、評価値獲得部104が例えば
(数17)のように、予め与えら
【0123】
【数17】
【0124】れた2次元ベクトルデータqi(xi, yi)と得
られた近似関数より推定されるベクトルデータoi(xi, z
i)の間の2乗誤差の総和(i=1,...,t)を評価関数として
用いることにより各解ベクトルpkに対する評価値Ekを求
める方法が考えられ、この一次元関数近似問題はこの評
価値を最小化する最小化問題として捉えることができ
る。 その時、適応度計算部105では、評価値獲得部
104で求められる評価値から、各解ベクトルの適合性
を見るために適合度が計算される。適合度fkを導出する
関数として様々な関数が考えられるが、ここではfk=V-E
kとし、VはEkより大きい正の実定数とする。こうするこ
とにより、評価値が小さい程適合度は大きな値になるよ
うに変換することができる。
【0125】以下、本発明の第9の例、第10の例、さ
らに第1〜第5の実施の形態と、本発明に関する第11
の例から第18の例における最適化調整方法及び最適化
調整装置について図面を参照して説明するが、この第
9、第10の例、第1から第5の実施の形態と、第11
の例から第18の例では、ユーザの評価をもとに最適な
解ベクトルを推定する対話型遺伝的アルゴリズムを用い
た最適化調整方法と最適化調整装置に関するものであ
る。
【0126】本発明に関連する第9の例における最適化
調整方法と最適化調整装置について図面を参照しながら
説明する。第9の例の最適化調整方法と最適化調整装置
は各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の
調整結果をもとに限定し、その領域内の解ベクトルを対
象として対話型遺伝的アルゴリズムにより最適な解ベク
トルの調整を行うものである。第9の例はその最適化調
整方法と最適化調整装置を視力の補正を行うレンズの調
整に応用した例である。
【0127】図32において、3201は対象とするデ
ータを入力する対象データ入力部、3202は解ベクト
ルの取り得る領域を限定する更新領域限定部、101は
調整する初期の解ベクトルの集合P=[pk](k=1,...,n)を
所定の手続きまたは外部からの指示により設定する初期
解集合設定部、3203は遺伝的組み替え操作等により
最適解ベクトルの調整を実際に行うメイン処理部、10
3は最適な解ベクトルを出力する最適解出力部、320
4は最適解出力部により出力された最適解ベクトルに従
い対象データ入力部3201で入力されたデータを扱う
機器の調整を行う機器調整実行部である。メイン処理部
3203は、ユーザに各解ベクトルの表す情報を提示し
各解ベクトルの評価をしてもらうユーザ評価部3205
と、ユーザ評価部3205で得られた評価値Ekをもとに
各解ベクトルのその問題に対する適合度fkを計算する適
合度計算部105と、適合度計算部105で得られた各
解ベクトルの適合度をもとに解ベクトルの選択淘汰と交
叉、突然変異等の組み替え操作処理を実行する組み替え
操作部108と、組み替え操作部1081で得られた解
ベクトルの集合において、更新領域限定部3202で設
定された解ベクトルの取り得る限定領域に属さない解ベ
クトルを限定領域内の任意のベクトルと取り替えること
により解ベクトルの集合を再設定する集合再設定部32
06により構成される。ユーザ評価部3205は、各解
ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部32
07と、ユーザが情報提示部3207で提示された情報
をもとに各解ベクトルの評価値を判定するユーザ評価判
断部3208により構成される。組み替え操作部108
は図2に示されるように、候補選択部201、交叉処理
実行部202、突然変異処理実行部203により構成さ
れ、候補選択部201は、選択範囲導出部204、乱数
発生部205、解ベクトル抽出部206により構成され
る。
【0128】以上のように構成された本発明に関連する
第9の例における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作について図33のフローチャートをもとに説明する。
まず、図72に示されるように、対象データ入力部32
01でユーザに提示するための検定画像が入力データと
して入力される。調整する解ベクトルpkは(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。ここで、レンズの度数は焦点距離(m)の逆数
Dを単位として持つ。そして近視を(-)、遠視(+)の
符号で表し、例えば焦点距離の遠点が50cmである近視の
場合には-2.0D(1m÷50cm)と表示され、矯正するレン
ズの度数も-2.0Dが用いられる。なお、解ベクトルとし
て実数値を要素に持つ形で取り扱うこととするが、図7
のように各実数値を対応した長さBlenのビット列コード
に変換しそのビット列コードを順番に並べる形に表現す
ることも考えられる。更新領域限定部3202では、図
73の概念図に示されるように、例えば過去の最適な解
ベクトルが解ベクトル空間に占める領域Φ内のみを探索
するように限定するのである。初期解集合設定部101
では、この領域Φ内の解ベクトルを一様乱数を用いてラ
ンダムに選びだして解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。そして、この初期解ベクトル集
合Pより最適解ベクトルの調整が開始される。情報提示
部3207では、上述の解ベクトル集合Pの元である解
ベクトルpkにより表現される矯正用レンズに対象データ
入力部3201で入力される検定画像を通して見える調
整画像が提示され、これを見てユーザは各解ベクトルに
より作成される矯正用レンズの評価値Ekをユーザ評価判
断部3208で行う。適合度計算部105では、ユーザ
評価判断部3208で得られた評価値から、各解ベクト
ルの適合性を調べるための適合度fkを計算する。適合度
fkを導出する関数として様々なものが提案されている
が、ここではfk=Ekとする。
【0129】組み替え操作部108の動作については本
発明に関する第1から第8の例の場合と同様のため省略
する。集合再設定部3206では、組み替え操作により
新しく得られた解ベクトル集合P内の解ベクトルにおい
て更新領域限定部3202で設定した限定領域Φに属さ
ない解ベクトルを取り出し、限定領域Φ内よりランダム
に選択された解ベクトルを加えることにより解ベクトル
を再設定し直すのである。 終了条件として、繰り返し
回数が許容繰り返し回数を越えていないかが判断される
が、ユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足
るものかどうかも併せて確認する。どちらも満足しない
場合にはもう一度情報提示部3207へ戻る。以上のよ
うな処理過程を繰り返し回数の終了条件かユーザの満足
度を満たすまで繰り返し実行することにより、解ベクト
ルの最適化を実現するのである。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が矯正レンズの調整を行うかまたは指示す
るようになっている。このような処理を行うことによ
り、ユーザの視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯
正のためのレンズの調整をユーザ自身が容易に調整する
ことが可能となる。そして、調整する解ベクトルの探索
領域をその特性や過去の調整結果をもとに限定しその領
域内の解ベクトルを対象とすることにより、探索する必
要がないと思われる領域での探索を削除することが可能
となり、最適な解ベクトルの調整を速やかに行うことが
できる。
【0130】以下、本発明に関連する第1の実施の形態
における最適化調整方法と最適化調整装置について図面
を参照しながら説明する。第1の実施の形態では、最適
化調整方法と最適化調整装置は記録されている過去の最
適な解ベクトル情報をもとに調整する解ベクトルの初期
集合を設定し対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適な
解ベクトルの導出を行うものである。第1の実施の形態
は、本発明に関連する第9の例と同様に視力の補正を行
うレンズの調整に応用した実施の形態である。図34
は、本発明の第1の実施の形態における調整装置の構成
を表す。
【0131】図34において、3401は過去の調整に
より得られた最適な解ベクトルの記録している記録媒体
部、3402は記録媒体部3401から、保存されてい
る過去の最適な解ベクトル群を読み込む記録情報読込み
部、3403は記録情報読込み部3402で読み込んだ
過去の最適な解ベクトルから解ベクトルの初期集合Pに
用いるものを選択する初期解ベクトル選択部、3404
は初期解ベクトル選択部3403で選ばれた解ベクトル
にランダムに設定された解ベクトルを加えて解ベクトル
の初期集合を設定する初期解ベクトル補充部、3405
は最適解出力部103で出力されたユーザにとって最適
な解ベクトルを記録媒体部3401に記録する最適解ベ
クトル記録部である。
【0132】以上のように構成された本発明の第1の実
施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置の動
作を図35のフローチャートをもとに説明する。
【0133】まず、対象データ入力部3201でユーザ
に見せる検定画像データが入力される。調整する解ベク
トルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における最
適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目
に用いられる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱
レンズの度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目
に用いられる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱
レンズの度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組
により表される。記録情報読込み部3402は記録媒体
部3401に記録されている過去の調整により得られた
最適な解ベクトル群を読み込む。初期解ベクトル選択部
3403が、記録情報読込み部3402で得られた過去
の最適解ベクトル群よりns個選択し、次の初期解ベクト
ル補充部3404が(n-ns)個の一様乱数によりランダム
に設定された解ベクトルを加えて解ベクトルの初期集合
Pを作成する。もし記録媒体部3401にns個だけの情
報がない場合は、記録されているだけの解ベクトルが初
期解ベクトル選択部3403で選択され、解ベクトルの
初期集合の元の個数がn個になるように初期解ベクトル
補充部3404で設定される。情報提示部3207にお
ける矯正レンズを通した調整画像の提示とーザ評価判定
部における各解ベクトルの評価値の判定、そして適合度
計算部105における各解ベクトルの適合度の計算と組
み替え操作部108で解ベクトルの組み替え操作が行わ
れ新しい解ベクトル集合が生成される。終了条件として
は、本発明に関連する第1の実施の形態における最適化
調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、繰り返し回
数が許容繰り返し回数を越えていないかを判断すること
と、ユーザに評価をお願いする情報がユーザの満足に足
るものかどうかを確認することが挙げられる。どちらも
満足しない場合にはもう一度情報提示部3207へ戻
る。以上のような処理過程を繰り返し回数の終了条件か
ユーザの満足度を満たすまで繰り返し実行することによ
り、解ベクトルの最適化を実現するのである。そして最
適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトルが最適
解ベクトルとして出力され、その最適解ベクトルに従っ
て機器調整実行部3204が矯正レンズの調整を行うか
または指示するようになっている。その際次の調整を行
う際の開始点となるように、最適な解ベクトルを最適解
ベクトル記録部3405が記録媒体部3401に記録し
ておくのである。このような処理を行うことにより、ユ
ーザの視力に基づく見え具合いに合わせて視力矯正のた
めのレンズの調整をユーザ自身が容易に調整することが
可能となる。さらに、記録されている過去の最適な調整
情報をもとに解ベクトルの初期集合を設定してユーザに
とって好ましくない解ベクトルを排除して探索すること
により、最適な解ベクトルの調整が効率よく行うことが
でき、各解ベクトルの評価をする際のユーザ負担の軽減
につながると考えられる。
【0134】次に、本発明に関連する第10の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照
しながら説明する。第2の実施の形態の最適化調整方法
と最適化調整装置はユーザの生理情報をもとに推定した
心理状況をもとにユーザの評価値の補正を行い、その補
正評価値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムにより最適
な解ベクトルの調整を行うものである。実施の形態1
は、本発明に関連する第9の例と同様に視力の補正を行
うレンズの調整問題を扱う。図36は、第10の例にお
ける最適化調整装置の構成を表す。
【0135】図36において、3601は各解ベクトル
の表す情報をユーザが評価する際の生理データよりユー
ザの心理状況を推定するユーザ心理推定部、3602は
得られた心理状況をもとにユーザの判定した各評価値の
補正を行う評価値補正部である。ユーザ心理推定部36
01は、実際に各解ベクトルの表す情報をユーザが評価
する際の生理データを計測する生理データ測定部360
3と、その生理データをもとにユーザの心理状況を推定
する心理推定実行部3604より構成される。
【0136】以上のように構成された本発明に関連する
第10の例における最適化調整方法及び最適化調整装置
の動作を図37のフローチャートをもとに説明する。
【0137】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第9の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用い
られる球面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数LCYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用い
られる球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズ
の度数RCYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により
表される。初期解集合設定部101において、解ベクト
ルの初期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまた
は外部からの指示により設定される。情報提示部320
7において、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを
通して見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユ
ーザ評価判断部3208において各解ベクトルによる調
整画像の見え具合いを評価する。それとともに、生理デ
ータ測定部3603で、各解ベクトルによる調整画像を
評価する際のユーザの生理データを測定する。測定する
生理データとしては、様々なデータ(皮膚電極抵抗、呼
吸量、脈拍、血圧、眼球運動、脳波等)が考えられる
が、ここでは目のまばたき回数と発汗量を用いる実施の
形態について説明する。図75(a)に示されるよう
に、人間の場合、見ている対象がおもしろいか、興味が
あるとか、あるいは注意を引くときにはまばたきは抑制
され、普段よりまばたきの発生頻度が低くなる。そして
このような状態から解放されると、今度は逆に抑制され
た分をとりもどすかのように頻繁に起こり、やがてもと
に戻るといった結果が出ている。これを利用すると、ユ
ーザのまばたき発生頻度neyeが予め設定された許容まば
たき頻度neye thより大きい場合には、ユーザの関心が低
いと判断することができる。また、図(b)のように、
緊張したり動揺したりすると発汗量が大きくなり、皮膚
電極抵抗は大きく変動する。心理推定実行部3604で
はこれらの判断を行うのである。まず、心理推定実行部
3604でユーザの関心が低いと判断された場合には、
解ベクトルpkの評価値Ek(k=1,...,n)に対して、平均評
価値Eave、標準偏差σEを求め、次のような補正を行
う。 (i) 0.0 < Ek-Eave ≦σEを満たす場合、Ek←Ek+補正
量△Ecor 1 (ii)0.0 < Eave-Ek ≦σEを満たす場合、Ek←Ekー補正
量△Ecor 1 一般に関心が低い場合、ユーザ評価値の変動は小さくな
りやすいと考えられるが、(i)(ii)の補正により評価値E
kを広く分布させてやることができ、そのことが遺伝的
アルゴリズムによる最適な解ベクトルの調整には有効で
ある。また、動揺していると判断された場合には、 (iii) Ek-Eave ≧σEを満たす場合、Ek←Ekー補正量△E
cor 2 (iv) Eave-Ek ≧σEを満たす場合、Ek←Ek+補正量△E
cor 2 の補正を行う。これは(i)(ii)の補正とは逆に、動揺し
ている影響によりユーザ評価の変動が大きくなるやすい
ことを抑制する効果を期待している。なお、(i)から(i
v)の補正において、Ek>最大可能評価値EAmaxの時Ek=E
Amaxとし、Ek<最小可能評価値EAminの時Ek=EAminとす
る。
【0138】適合度計算部105で評価補正部3602
で得られた補正評価値をもとに適合度を計算し、組み替
え操作部108で選択的淘汰、交叉処理、突然変異処理
の解ベクトルの組み替え操作が行われる。提示情報部に
おける調整画像の提示から組み替え操作までの処理は、
繰り返し回数が許容繰り返し回数を越えたか、ユーザに
評価をお願いする情報がユーザの満足に足るものが作成
されるまで繰り返し実行される。そして最適解出力部1
03で最も評価値の高い解ベクトルが最適解ベクトルと
して出力され、その最適解ベクトルに従って機器調整実
行部3204が視力矯正用のレンズの調整を行うかまた
は指示するようになっている。このように、ユーザが評
価を行っている際の生理データをもとに常にユーザの心
理状況を推定し、その推定結果をもとにユーザの評価値
を補正するため、ユーザの評価におけるゆらぎの影響を
軽減させることができ、環境に左右されないでユーザの
状況(聴力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を実現
することができる。
【0139】以下、本発明の第2の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。第2の実施の形態の最適化調整方法と
最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザが各自にとって最適な解ベクトルを探索する際の調
整の履歴をもとにユーザの調整過程の評価モデルを推定
するものである。実施の形態4は、本発明に関連する第
1の実施の形態と同様に視力の補正を行うレンズの調整
問題を扱う。図38は本発明に関連する第4の実施の形
態における調整装置の構成を表す。図38において、3
801はメイン処理部3203で得られたユーザの調整
過程に関する評価モデルを表現することのできるパラメ
ータの組を出力する評価モデル出力部、3802はユー
ザに各解ベクトルの表す情報を提示してユーザに評価し
てもらい、その評価値と対応する解ベクトルを記録する
といった処理を行う第2ユーザ評価部、3803は記録
されているユーザの調整の履歴が予め設定された評価モ
デル推定条件を満足するかどうかの判定を行う評価モデ
ル推定判定部、3804は評価モデル推定判定部380
3で評価モデル推定条件を満足すると判定された場合
に、調整履歴記録部で記録されているユーザの調整の履
歴をもとにこのユーザの調整過程に関する評価モデルを
推定するモデル推定実行部である。第2ユーザ評価部
は、ユーザに各解ベクトルの情報を提示する情報提示部
3207と、情報提示部3207で提示された情報より
ユーザに各解ベクトルの評価をお願いするユーザ評価判
断部3208と、ユーザ評価判断部3208で得られた
評価値と対応する解ベクトルを記録する調整履歴記録部
3805より構成される。
【0140】以上のように構成された本発明の第2の実
施の形態における調整装置の動作を図39のフローチャ
ートをもとに説明する。
【0141】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明の第9の例における最適化調整方法と
最適化調整装置の場合と同様に、(左目に用いられる球
面レンズの度数LSPH(D)、乱視用の円柱レンズの度数L
CYL(D)、乱視の軸の角度LAXIS(度)、右目に用いられる
球面レンズの度数RSPH(D)、乱視用の円柱レンズの度数R
CYL(D)、乱視の軸の角度RAXIS(度))の組により表され
る。初期解集合設定部101において、解ベクトルの初
期解集合P=[pk](k=1,...,n)が所定の手続きまたは外部
からの指示により設定される。情報提示部3207にお
いて、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して
見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはユーザ評
価判断部3208において各解ベクトルによる調整画像
の見え具合いを評価する。調整履歴記録部3805はユ
ーザ評価判断部3208で得られた評価値と対応する解
ベクトルを記録する。そして、評価モデル推定判定部3
803が、評価モデル推定条件を満足するかどうかの判
定を下すのである。評価モデル推定条件としては、様々
なものが考えられるが、loopを第2ユーザ評価部380
2から組み替え操作部108まででの処理が通して行わ
れた場合に1回として数える繰り返し回数、loopthを予
め設定された許容繰り返し回数と定義した場合のloop≧
loopthを評価モデル推定条件をする。これは、ユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定するにはある程度以
上のデータが必要であろうという仮定に基づくものであ
る。評価モデル推定判定部3803で、繰り返し回数lo
opの評価モデル推定条件を満足しない場合には、適合度
計算部105における各解ベクトルの適合度の計算と組
み替え操作部108で解ベクトルの組み替え操作が行わ
れ新しい解ベクトル集合が生成され、その新しい解ベク
トル集合をもとに再び情報提示部3207で、各解ベク
トルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画像
がユーザに提示される。逆に、評価モデル推定判定部3
803で、繰り返し回数loopの評価モデル推定条件を満
足する場合には、モデル推定実行部3804において、
調整履歴記録部3805に記録されているユーザの調整
の履歴を用いて、このユーザの評価モデルの推定が実行
される。ユーザの調整過程に関する評価モデルの推定方
法にも様々な手法が考えられるが、ここでは図76で表
されるようなニューラルネットワークを用いることとす
る。本実施の形態のニューラルネットワークは、図のよ
うに、入力層、中間層、出力層から構成されるフィード
フォワード型のネットワークである。入力層は6×n個の
ニューロンより構成される。解ベクトルpk=(LSPH k、L
CYL k、LAXIS k、RSPH k、RCYL k、RAXIS k)(k=1,...,n)の成
分の値と(n-1)個のベクトル差分pk - pl=(LSPH k-
LSPH l、LCYL k-LCYL l、LAXIS k-LAXIS l、RSPH k-RSPH l、R
CYL k-RCYL l、RAXIS k-RAXIS l)(k,l=1,...,n,l≠k)の成分
の値が入力される。出力層は、n個の元を持つ解ベクト
ル集合内の順位に相当するn個のニューロンより構成さ
れる。入力層の出力は中間層、出力層へと伝わりネット
ワークの出力が得られる。各ニューロンは次の(数1
8)に従い、出力oiが計算される。
【0142】
【数18】
【0143】(数18)においてoiが各ニューロンiの
出力、wijが結合荷重、xjが他のニューロンからの入
力、θiがスレッシュホールドである。非線形関数fは、
(数19)に示すシグモイド関数である。
【0144】
【数19】
【0145】各ニューロンが(数18)・(数19)に
示す計算を行って結果を出力する。
【0146】モデル推定実行部3804では、ユーザの
調整過程を吸収できるように本ニューラルネットワーク
の学習を行うのである。つまり、解ベクトルpkの6個の
成分と解ベクトル集合内の他の解ベクトルplとの差分成
分6×(n-1)から、解ベクトル集合内におけるpkの順位を
判断することができるようにネットワークの結合荷重を
変化(学習)させるのである。その際、調整履歴記録部
3805に記録されている評価値より求められるその解
ベクトルの順位に対応する出力ニューロンに教師信号と
して1を与え、その他の出力ニューロンには0を教師信号
として与えることにより学習が行われ、(数20)に示
した出力信号と教師信号の誤差を小さくする方向に、
(数21)のように各ニューロンの結合荷重を変更する
バックプロパゲーション法が学習方法として用いられ
る。
【0147】
【数20】
【0148】ここで、outがネットワークの出力信号、t
argetが教師信号である。
【0149】
【数21】
【0150】ここで、Δwij(n)は結合荷重の変更度、
α、ηは適当な正の実数、nloopは学習の回数、∂Err /
∂wijは、各結合荷重の変更がネットワークの出力誤差
に与える感度を表す。(数21)において第1項が誤差
を小さくする荷重変更方向、第2項が慣性項である。こ
のようにして学習することにより得られたニューラルネ
ットワークの各結合荷重の値wijを評価モデル出力部3
801が出力するのである。以上のように、対話型遺伝
的アルゴリズムを用いてユーザが各自にとって最適な解
ベクトルの調整を行う際の調整の履歴をもとにユーザの
調整過程に関する評価モデルを推定することができ、こ
の評価モデルを用いて逆に与えられた解ベクトルの評価
も推定することができる。なお、本実施の形態でのニュ
ーラルネットワークは、シグモイド関数を用いたニュー
ロンにバックプロパゲーションによる学習方法を適用し
たが、本発明はこの学習方法に限定されるものではな
い。例えば、共役勾配法、準ニュートン法等を利用した
学習方法等の適用も考えられる。また、3層のフィード
フォワード型のネットワークだけでなく、本発明に関連
する第5の実施の形態で説明する学習ベクトル量子化を
用いたネットワークの適用や、出力層から入力層へのフ
ィードバック結合をもつニューラルネットワークの適用
も考えられる。
【0151】以下、本発明の第3の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図面を参照し
ながら説明する。本発明の第3の実施の形態の最適化調
整方法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズムを
用いて複数のユーザによる解ベクトルの最適化を行う際
の調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共
通モデルを推定するものである。実施の形態3は、本発
明に関連する第9のと同様に視力の補正を行うレンズの
調整問題を扱う。図40は本発明の第3の実施の形態に
おける調整装置の構成を表す。
【0152】図40において、4001はメイン処理部
3203で得られた複数ユーザの調整過程に関する共通
モデルを表現することのできるパラメータの組を出力す
る共通モデル出力部、4002はあるユーザによる調整
の終了条件を満足するかどうかの判断を行うユーザ調整
終了判断部、4003は得られた複数ユーザの調整の履
歴より調整過程に関する共通モデルの推定を行う共通モ
デル推定部である。共通モデル推定部4003は、調整
履歴記録部3805に記録されている複数のユーザの調
整の履歴が予め設定された共通モデル推定条件を満足す
るかどうかの判定を行う共通モデル推定判定部4004
と、共通モデル推定条件を満足する場合に実際に複数ユ
ーザの調整過程に関する共通モデルの推定を行う共通モ
デル推定実行部4005より構成される。
【0153】以上のように構成された本発明の第3の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図41、42のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0154】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,
n)が設定される。情報提示部3207において、各解ベ
クトルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画
像がユーザに提示され、ユーザはユーザ評価判断部32
08において各解ベクトルによる調整画像の見え具合い
を評価する。調整履歴記録部3805はユーザ評価判断
部3208で得られた評価値と対応する解ベクトルを記
録する。ユーザ調整終了判断部4002では、今調整を
行っているユーザの場合の繰り返し回数loopが許容繰り
返し回数loopthを越えたかという条件について判断す
る。この条件を満足しない場合には、適合度計算部10
5、組み替え操作部108における処理を経て新しい解
ベクトル集合を生成する。そして再び、第2ユーザ評価
部3802へと戻り、各解ベクトルのユーザによる評価
を行う。逆に、ユーザ調整終了判断部4002での終了
条件を満足する場合には、共通モデル推定判定部400
4において、調整履歴記録部3805で記録されている
複数ユーザの調整履歴が予め設定された共通モデル推定
条件を満足するかどうか判定する。この共通モデル推定
条件にはいろいろな条件が考えられるが、ここではでき
るだけ多くのユーザに共通な調整過程の特性をつかむと
いう目的から、調整処理が利用したユーザ数が設定され
た許容調整利用ユーザ数を越えるかどうかを共通モデル
推定条件に選んだ。ここで、もし調整が終ったユーザ数
が少ない場合には、初期解集合設定部102に戻り、別
のユーザによる視力矯正レンズの調整という作業が開始
される。もし、調整利用ユーザ数が許容調整利用ユーザ
数を越えた場合には、複数ユーザの共通モデルを推定す
ることのできるだけのデータが揃ったとして共通モデル
推定実行部4005で実際に共通モデルの推定が行われ
る。本発明に関連する第4の実施の形態における最適化
調整方法と最適化調整装置の場合と同様に、共通モデル
の推定方法には多くの方法が挙げられるが、ここでもニ
ューラルネットワークを用いて共通モデルを推定するこ
ととする。図77は、本実施の形態の複数ユーザの調整
過程に関する共通モデル推定に用いるニューラルネット
ワークの概念図である。ここで、本発明に関連する第4
の実施の形態における最適化調整方法と最適化調整装置
で用いたバックプロパゲーション法による階層型ニュー
ラルネットワークによるパターン分類に基づくモデル推
定ではなく、比較的簡単な学習アルゴリズムでサンプル
数が少なくとも高度なパターン分類ができる学習ベクト
ル量子化法によるニューラルネットワークを適用した。
しかし、本発明の第2の実施の形態の場合のように、バ
ックプロパゲーション法により階層型ニューラルネット
ワークの適用等も考えられる。
【0155】実施の形態3におけるニューラルネットワ
ークは、図77に示すように、入力層ニューロン数6、
出力ニューロン数nの2層構造である。入力ニューロン
数6は今評価したい解ベクトルpkの成分数であり、出力
ニューロン数nはn個の元を持つ解ベクトル集合内におけ
るpkの順位に相当する。これは、つまり入力された解ベ
クトルを1からnまでの順位カテゴリに分類することを
示している。
【0156】解ベクトルp(p1,p2,...,pn)を入力ベク
トルとし、解ベクトル集合でm番目の順位カテゴリに対
応する入力ベクトルをpm(m=1,...,n)とし、さらに結合
係数をW ij(i,j=1,2,...,n)とする。
【0157】この共通モデル推定実行部4005では、
このニューラルネットワークに複数ユーザの調整の履歴
を学習させることにより、共通モデルの推定を行う。本
実施の形態のニューラルネットワークは、結合係数Wij
を構成するn個のベクトルWi(W i1, Wi2,...,Win)を用い
て、入力ベクトルである解ベクトルpの空間をn個の領域
に分割する働きをする。このn個の結合係数ベクトルは
参照ベクトルと呼ばれ、各領域に1つの参照ベクトルが
対応させられる。そして、この参照ベクトルはその対応
した領域内に含まれるすべての解ベクトルに対する最近
接ベクトルい相当する。ここで、ベクトルWiの中で入力
ベクトルpと最も距離の近いベクトルをベクトルWcとす
ると、(数22)のようになり、また、出力層ニューロ
ンiからの出力uiは(数23)のようになる。
【0158】
【数22】
【0159】
【数23】
【0160】学習はこのベクトルWcのみを更新すること
により行われ、この更新量ΔWcは次の(数24)に従い
実行される。
【0161】
【数24】
【0162】η(nloop)は学習回数nloopに従い単調減少
する学習係数(0<η(nloop)<1)である。(数24)は、
参照ベクトルWcは、正しく分された場合は入力ベクトル
pmに近づき、分類されていない場合にはpmより遠ざかる
ことにより領域境界面を形成することを示す。このよう
に学習過程では、実際に分類したい解ベクトルを入力学
習ベクトルとして、その入力学習ベクトルを充分多く与
えることにより行われる(学習ベクトル量子化法)。こ
のように共通モデル推定実行部4005では、調整履歴
記録部3805で記録された多くのユーザによる調整の
履歴を用いて、例えば本実施の形態のニューラルネット
ワークの学習を行い、入力された解ベクトル解ベクトル
集合内の1からnの順位カテゴリに分類できるように処理
がされる。そして、共通モデル出力部4001では、そ
のニューラルネットワークの結合係数Wijが推定された
共通モデルを表すパラメータとして出力される。以上の
ような処理により、本発明の第3の実施の形態の最適化
調整方法と最適化調整装置は対話型遺伝的アルゴリズム
を用いて複数のユーザにより行われた解ベクトル最適化
の履歴より調整過程に関する共通モデルを推定するもの
であり、複数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出する
ことができる。
【0163】以下、本発明の第4の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。第
4の実施の形態の最適化調整方法と最適化調整装置は、
対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザにとって最適
な解ベクトルの調整を実行するとともに、複数のユーザ
の調整過程に関する共通モデルを更新するものである。
実施の形態4は、本発明に関連する第9の例と同様に視
力の補正を行うレンズの調整問題を扱う。
【0164】図43は本発明の第4の実施の形態におけ
る最適化調整装置の構成を表す。図43において、43
01は以前に得られている複数のユーザの調整過程に関
する共通モデルを用いて各解ベクトルの評価値を計算す
る共通モデル評価計算部、4302はユーザに共通モデ
ル評価計算部4301で得られた評価値が適切であるか
の判定をお願いする共通モデル評価判定部、4303は
調整履歴記録部3805で記録されているユーザの調整
の履歴をもとにこれまで使用していた複数ユーザの調整
過程に関する共通モデルの更新を行う共通モデル更新部
である。共通モデル更新部4303は、調整履歴記録部
3805に記録されているユーザの調整の履歴が予め設
定された共通モデル更新条件を満足するかどうかの判定
を下す共通モデル更新判定部4304と、共通モデル更
新条件を満足する場合に、記録されているユーザの調整
の履歴を用いて共通モデルの更新を実際に行う共通モデ
ル更新実行部4305より構成される。
【0165】以上のように構成された本発明の第4の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図44、45のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0166】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置の場合と同様である。
つまり、解ベクトルはpk=(LS PH k, LCYL k, LAXIS k, RSPH
k, RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定
部101において、解ベクトルの初期集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。共通モデル評価計算部4301
において、例えば本発明の第3の実施の形態の最適化調
整方法と最適化調整装置を用いて得られた複数ユーザの
調整過程に関する共通モデルを用いて、各解ベクトルpk
の評価値Ekを計算する。そして情報提示部3207にお
いて、各解ベクトルにより作られる矯正レンズを通して
見える調整画像がユーザに提示され、ユーザはそれをも
とに共通モデル評価計算部4301での評価値が適切か
どうかの判定を行うのが共通モデル評価判定部4302
である。もし適切という判断がなされた場合、次に適合
度計算部105、組み替え操作部108による解ベクト
ルの組み替え操作により新たな解ベクトル集合が生成さ
れる。その際、繰り返し回数が許容繰り返し回数を越え
たか、またはユーザに評価をお願いする情報がユーザの
満足に足るものが作成されたかという終了条件を満足す
る場合は、最適解出力部103、機器調整実行部320
4と経て視力矯正レンズの調整を実行するかその指示を
出すなどの処理を行い終える。この終了条件が満足され
ない場合は、再び、共通モデル評価計算部4301に戻
って新たな解ベクトルの評価値の計算を解しするのであ
る。一方、共通モデル評価判定部4302でユーザが共
通モデルによる評価値を適切でないと判定した場合、処
理は第2ユーザ評価部3802に移り、これまで同様に
ユーザ自身が各解ベクトルの評価とその評価値と解ベク
トルの記録を行う。共通モデル更新条件として、調整履
歴記録部3805で記録された新たにユーザにより行わ
れた調整の履歴が許容調整履歴数を越えたかどうかを考
え、その判定を共通モデル更新判定部4304が行う。
あらたに記録された調整の履歴が少ない場合、つまり共
通モデル更新条件を満たさない場合には、そのまま共通
モデルの更新は行われず、適合度導出、組み替え操作を
行い新たな解ベクトル集合を生成する。逆に、共通モデ
ル更新条件を満たす場合には、調整履歴記録部3805
に記録された調整の履歴をもとに共通モデル更新実行部
4305が以前に推定された複数ユーザの調整過程に関
する共通モデルを実際に更新する。その方法としていろ
いろな方法が挙げられるが、本発明の第2、第3の実施
の形態の最適化調整方法と最適化調整装置で説明したニ
ューラルネットワークによるモデル推定方法も考えられ
る。そこで、本実施の形態でもその方法を用いることと
し、ニューラルネットワークの構成、学習方法、教師信
号等は省略する。
【0167】共通モデル更新実行部で得られた新たな共
通モデルは、すぐさま従来の共通モデルと取り替えら
れ、共通モデル評価計算部4301で使用される。以上
のような処理を行うことにより、本発明の第4の実施の
形態における最適化調整方法と最適化調整装置は、ユー
ザにとって最適な解ベクトルの調整を実行するととも
に、複数のユーザの調整過程に関する共通モデルを更新
するように働くため、ユーザが全ての解ベクトルによる
情報を評価する必要がなくユーザに与える負担を軽減す
ることが可能となる。
【0168】以下、本発明の第5の実施の形態における
最適化調整方法と最適化調整装置について図を参照しな
がら説明する。第7の最適化調整方法と最適化調整装置
は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの調整過
程に関する評価モデルを推定し、得られた評価モデルを
用いて自動的に解ベクトルの最適な調整を行うものであ
る。実施の形態5は、本発明に関連する第9の例と同様
の問題を扱う。図46は本発明の第5の実施の形態にお
ける最適化調整装置の構成を表す。図46において、4
601はユーザによる評価を行うか評価モデルによる評
価を行うかの選択を行う方法選択スイッチ、4602は
調整履歴記録部3805で記録されたユーザの調整の履
歴よりユーザの調整過程に関する評価モデルを推定する
評価モデル推定部、4603は得られたユーザの調整過
程に関する評価モデルを用いて各解ベクトルの評価値を
計算するモデル評価計算部である。そして、評価モデル
推定部4602は、調整履歴記録部3805で記録され
ているユーザの調整の履歴が予め設定された評価モデル
推定条件を満足するかどうかの判定を行い、満足する場
合には方法選択スイッチ4601に切り替えを指示する
方法切り替え判定部4604とモデル推定実行部380
4より構成される。
【0169】以上のように構成された本発明の第5の実
施の形態における最適化調整方法及び最適化調整装置の
動作を図47、48のフローチャート図をもとに説明す
る。
【0170】最初に、対象データ入力部3201でユー
ザに見せる検定画像データが入力される。調整する解ベ
クトルpkは本発明に関連する第1の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の場合と同様である。つまり、
解ベクトルはpk=(LSPH k, LCY L k, LAXIS k, RSPH k,
RCYL k, RAXIS k)のように表される。初期解集合設定部1
01において、解ベクトルの初期解集合P=[pk](k=
1,...,n)が設定される。方法選択スイッチでは、ユーザ
による評価を行うか評価モデルによる評価を行うかの選
択が行われる。処理の開始時点で第2ユーザ評価部38
02が選択される。情報提示部3207では、各解ベク
トルにより作られる矯正レンズを通して見える調整画像
がユーザに提示され、ユーザ評価判断部3208ではそ
れをもとに各解ベクトルの評価を行う。この評価値と対
応する解ベクトルは調整履歴記録部3805で記録され
る。調整履歴記録部3805に記録されている履歴が予
め設定された評価モデル推定条件を満足すると方法切替
え判定部4604で判定された時、モデル推定実行部3
804がユーザの調整過程に関する評価モデルを推定す
る。それとともに方法切り替え判定部4604では、方
法選択スイッチ4601に評価方法の切り替えを指示す
る。この指示を受けて以後はユーザによる評価を行う第
2ユーザ評価部3802に代わり、モデル評価計算部4
603において、モデル推定実行部3804で得られた
ユーザの調整過程に関する評価モデルを用いて各解ベク
トルの評価が行われる。評価モデル推定条件、モデル推
定実行部3804については、本発明に関連する第4の
例における最適化調整方法と最適化調整装置と同様であ
るので省略する。モデル評価計算部4603もしくはユ
ーザ評価判断部3208で得られた各解ベクトルの評価
値をもとに適合度計算部105が各解ベクトルの適合度
を計算し、その適合度をもとに組替え操作部108が各
解ベクトルの算術的な組み替え操作を行う。以上のよう
な処理を、予め設定された、繰り返し回数が許容繰り返
し回数を越えたか、またはユーザに評価をお願いする情
報がユーザの満足に足るものが作成されたかという終了
条件を満足するまで繰り返し行うことにより、最適な解
ベクトルを求める。そして、その最適な解ベクトルは最
適解出力部103で出力されるとともに、機器調整実行
部3204で視力矯正レンズの調整を実行するかその指
示を出すなどの処理を行うのである。このような一連の
処理により、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユーザ
の調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた評価
モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を行う
ことが可能となり、対話型遺伝的アルゴリズムを実用化
する際の問題とされていたユーザに与えられる負担を軽
減し効率よくユーザの好みに最適調整された機器を実現
することができるのである。
【0171】さらに、本発明に関連する第9、第10の
例、第1から第5の実施の形態における最適化調整方法
と最適化調整装置において、ユーザの好みに合わせた文
字のフォントを作成する問題に適用した実施の形態も考
えられる。以下、本発明の第9、第10の例、第1から
第5の実施の形態の最適化調整方法と最適化調整装置を
この個人用文字フォント作成に適用した場合について説
明する。
【0172】文字フォントとして、文字の輪郭は仮想的
な座標空間上の曲線として定義され、その曲線上より選
ばれた節点si(i=1,...,m)のx,y座標データにより表現さ
れるアウトラインフォントがよく用いられる。例え
ば、"b"という文字をアウトラインフォント表現する場
合、13個の黒丸の節点siの座標により表現される。そ
してこれらに節点の座標から、輪郭の残りの線がある曲
線式により補間されているのである。その曲線式とし
て、2、3次スプライン関数や3次のベジェ曲線等が用
いられるが、ここでは(数25)の3次関数を用いて節
点間の曲線近似を行う。
【0173】
【数25】
【0174】(数25)において、(Xa,Ya)、(Xb,Yb)は
アウトラインフォント表現された文字の節点a、bの座
標を表し、(X,Y)は節点a、bの間の補間点の座標を表
す。またα、β、γ、δは任意の実数値をとる係数を表
す。(数25)におけるα、β、γの式は近似曲線が節
点a、bの両点を通るための必要条件である。これらの
ことを考慮して、文字フォントを生成するための解ベク
トルpkは予めアウトラインフォント表現により得られる
節点si(i=1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ysiと、節点siとs
i+1間の近似曲線の係数αi、βi、γi、δiを節点の順
番に並べることにより構成されている。対象データ入力
部3201には、アウトラインフォント表現された検定
文字群のデータが入力される。情報提示部3207で
は、各解ベクトルを用いてアウトラインフォントにより
表現された検定文字群より調整文字群を作成し画面上に
提示して、ユーザ評価判断部3208において各解ベク
トルの評価値を判定してもらうのである。本発明に関連
する第1の最適化調整方法と最適化調整装置の場合、各
解ベクトルの取り得る限定領域を決める更新領域限定部
3202が設けられているが、ここでは節点si(i=
1,...,m)のx座標Xsi、y座標Ys iが(数26)により表現
される領域Λになるよう限定する。
【0175】
【数26】
【0176】ここで、(xi0,yi0)は最初に対象データ入
力部3201へ入力されたアウトラインフォントにより
表現された検定文字群の節点の座標データを表し、ri
各節点が取り得る円領域Λの半径を表している。これ
は、実際に解ベクトルより得られるアウトラインフォン
ト文字を画面上に表示した際に全く異なった文字もしく
は画像としか見えないような場合を排除するために、各
節点の動くことのできる領域を限定したものである。ま
た、最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力された後、その最適解ベク
トルに従って機器調整実行部3204が個人用に作成し
たアウトラインフォントを用いて文字を表示できるよう
に、文字出力手段の調整を行うかまたは指示する。本発
明に関連する第1から第7の調整装置において、残りの
構成要素は前述の実施の形態1から実施の形態7と同じ
ように動作するため、説明は省略する。しかし、本発明
に関連する第1から第7の実施の形態の最適化調整方法
と最適化調整装置をこの問題に適用した本実施の形態に
おいても、何等専門的知識がなくてもユーザの好みに基
づく文字フォントの生成が可能となるとともに、探索に
不必要な領域での探索を削除したりユーザの調整の履歴
より調整過程の評価モデルを作成しそのモデルを使って
自動的に調整を行う等のことにより、効率良く最もユー
ザが好むような文字フォントを作成することのできる最
適解ベクトルを導出することができる。その結果、従来
の技術で問題であった評価を行うユーザの負担を軽減す
ることが可能となると考えられる。
【0177】以下、本発明に関連する第11の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第11の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加えることによ
り最適な解ベクトルの調整を行うものである。例11は
伝達時における情報欠損等により歪んだ音声の音質を改
善する問題に適用した例である。図49は本発明に関連
する第11の例における調整装置の構成を表す。
【0178】図49において、4901はユーザに各解
ベクトルの表す時系列情報を提示し、ユーザに評価して
もらう時系列評価実行部である。時系列評価実行部49
01は、ユーザに各解ベクトルの表す時系列情報を提示
する情報提示部3207と、情報提示部3207により
提示された複数の時系列情報を比較評価する際の、ユー
ザの記憶を助ける役目を持つ補助情報を提示する補助情
報提示部4902と、ユーザに実際に各解ベクトルを評
価してもらうユーザ評価判断部3208と、ユーザ評価
判断部32084で得られた評価値をもとに各時系列情
報と補助情報を提示する順番を変える情報並び替え部4
903より構成される。
【0179】以上のように構成された本発明に関連する
第11の例における最適化調整方法及び最適化調整装置
の動作を図50のフローチャートをもとに説明するが、
ここでは図78に示される手順で行われる歪音声の音質
改善問題に適用した例について説明する。この問題にお
ける目的は、歪音声をユーザに聞いてもらい、各自のそ
の音の聞こえ具合をもとに音質を改善するような歪改善
フィルタの係数を調整してもらうことである。
【0180】最初に、図78に示されるように、対象デ
ータ入力部3201で、伝達時における情報欠損等によ
り歪んだ音声が入力される。歪音声の音質を改善する方
法としていろいろな方法があると思われるが、本例で
は、図のようにFIRフィルタ(有限区間インパルス応答
フィルタ:Finite Impulse Responseフィルタ)を歪改善
フィルタとして用い歪音声の音質を改善する方法を考え
る。そして、対話型遺伝的アルゴリズムにより段数がst
epであるFIRフィルタのフィルタ係数ベクトルa=(a0,
a1,...,astep)を調整することとする。そのため、調整
する解ベクトルpkはこのフィルタ係数aiを並べることに
より定義される。解ベクトルにおいて、各フィルタ係数
はこれまでの例と同様に実数値のまま取り扱うが、ai
例えばBlenの2進数に変換してこの2進数を並べて扱う
ことも可能である。
【0181】初期解集合設定部101では、この定義に
従い解ベクトルの初期集合P=[pk](k=1,...,n)が設定さ
れる。情報提示部3207では、各解ベクトルより構成
される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部320
1で入力された歪音声をフィルタリング処理することに
より得られる歪改善音声をユーザに提示する。しかし、
そのままn個分の歪改善音声を提示しても、各音声の違
いを比較評価することはnの数が大きくなればなるほど
困難となる。画像や図形のような静的なデータは同時に
ディスプレイなどの上に空間的に並べることができるた
め、比較評価しやすい。それに対して、音声を扱う場
合、2つの音声の比較評価はできるが、それ以上の個数
になると比較評価することは非常に難しくなる。これ
は、ユーザがあまりに多くの音声を聞いたために混乱し
てしまい、各音声間の違いを聞き分けることができなく
なることに起因する。
【0182】そこで、補助情報提示部4902より各音
声の比較評価を容易にするための補助情報を提示する。
提示する補助情報としてはいろいろな情報が考えられる
が、本例ではフィルタ係数を顔を構成する目、口、鼻の
大きさ、角度、位置のパラメータに変換することにより
得られる顔画像を用いる(図79)。この顔自身は、歪
改善後の音声の音質には何の関係もないが、ユーザがn
個の歪改善音声を同時に比較評価する際の記憶の手助け
となると考える。これらの情報をもとに、ユーザ評価判
断部3208で各解ベクトルの評価値がユーザにより判
定される。さらに、情報並び替え部4903において、
ユーザ評価判断部3208で判定された各評価値をもと
に比較する歪改善音声とその補助情報である顔画像の並
び替えが行われる。これによりユーザは各歪改善音声の
優劣を視覚的に並び替えることが可能となり、ユーザの
評価におけるゆらぎの影響の低減につながる。この時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われる。
【0183】こうして得られた評価値より、適合度計算
部105が各解ベクトルの適合度を計算し、組み替え操
作部108がその適合度をもとに各解ベクトルの組み替
え操作を行うのである。以上の処理は、繰り返し回数lo
opが許容繰り返し回数loopthより大きくなるか、ユーザ
が歪改善音声に満足するまで行われ、機器調整実行部3
204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構
成され、歪音声の音質改善を実現するのである。以上の
ように、時系列信号を扱う問題において、各解ベクトル
の比較・評価する際の手助けをする情報と提示する順番
の並び変えを行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加
えることにより最適な解ベクトルの調整を行うことによ
り、これまで画像のように静的なデータにしか適用され
なかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのよ
うな動的データへ適用することができるようになる。そ
の結果、例えば補聴器の装置者の聴覚特性に応じた調整
でも、わざわざ専門的知識を有する調整者のところまで
出向く必要はなく、ユーザである難聴者自身が容易に調
整できる。そして、従来は音量の調整しかできなかった
が、本例の調整装置を用いれば、聞こえ具合いが変わっ
ても、すぐ自分の聞こえ具合いに合わせて音質調整を行
うことができるようになるのである。
【0184】以下、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第12の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、解ベクトルの探索領域をその特性や過
去の調整結果をもとに限定し対話型遺伝的アルゴリズム
により最適な解ベクトルの調整を行うものである。例1
2では、例11の場合と同様に歪音声の音質改善をする
フィルタ作成問題を扱う。図51は本発明に関連する第
12の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0185】図51を見て明らかなように、例12の最
適化調整装置は本発明に関連する第9の例における調整
装置に、本発明に関連する第11の例における最適化調
整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成にな
っている。
【0186】また、本発明に関連する第12の例におけ
る最適化調整装置の動作は図52のフローチャートに従
い、第9の例における最適化調整装置のフローチャート
と比較すると、対象データ入力部3201で、伝達時に
おける情報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、調
整する解ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べる
ことにより定義されること、情報提示部3207では、
各解ベクトルより構成される歪改善フィルタを用意し対
象データ入力部3201で入力された歪音声をフィルタ
リング処理することにより得られる歪改善音声をユーザ
に提示すること、補助情報提示部4902より各音声の
比較評価を容易にするための補助情報としてフィルタ係
数を顔を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパ
ラメータに変換することにより得られる顔画像を提示す
ること、情報並び替え部4903において、ユーザ評価
判断部3208で判定された各評価値をもとに比較する
歪改善音声とその補助情報である顔画像の並び替えが行
われること、時系列評価実行部4901内の処理はユー
ザによる評価が終了するまで繰り返し行われること、機
器調整実行部3204で得られた最適な解ベクトルの表
すフィルタが構成され、歪音声の音質改善を実現するこ
とが異なっているのみである。
【0187】残りの構成要素と処理の流れについては、
第9の例における最適化調整方法や調整装置の場合と同
様のため省略する。しかし、図52のフローチャートの
ように、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする
情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝
的アルゴリズムに加えるとともに、調整する解ベクトル
の取り得る領域を限定して不要な領域における探索処理
の手間を省くことにより、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いて時系列情報のような動的なデータの調整を効率的
に行うことができる。このように本発明に関連する第1
2の例における最適化調整方法と最適化調整装置は、第
9の例と、第11の例における最適化調整方法と最適化
調整装置の効果を組み合わせた効果を持つ。
【0188】以下、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第13の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、記録されている過去の調整情報をもと
に解ベクトルの初期集合を設定し対話型遺伝的アルゴリ
ズムを用いて解ベクトルの最適化を行うものである。例
13では、例11の場合と同様に歪音声の音質改善をす
るフィルタ作成問題を扱う。図53は本発明に関連する
第13の例における最適化調整装置の構成を表す。
【0189】図53を見てわかるように、例13の最適
化調整装置は本発明の第1の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第11の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0190】また、本発明に関連する第13の例におけ
る最適化調整装置は図54のフローチャートに従って動
作を行い、本発明の第1の実施の形態における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャートと比較すると、
対象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損
等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクト
ルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義
されること、情報提示部3207では、各解ベクトルよ
り構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部
3201で入力された歪音声をフィルタリング処理する
ことにより得られる歪改善音声をユーザに提示するこ
と、補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容
易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成
する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変
換することにより得られる顔画像を提示すること、情報
並び替え部4903において、ユーザ評価判断部320
8で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声と
その補助情報である顔画像の並び替えが行われること、
時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価
が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部
3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが
構成され、歪音声の音質改善を実現することが異なって
いるのみである。残りの構成要素と処理の流れについて
は、第9例における調整装置の場合と同様のため省略す
る。
【0191】しかし、図54のフローチャートのよう
に、解ベクトルの比較・評価する際の手助けをする情報
と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型遺伝的ア
ルゴリズムに加えることにより、ユーザの評価における
負担を軽減できる。また、探索を開始する初期集合に過
去の最適な解ベクトルを複数用いて解ベクトルの最適化
を行うことにより、時系列情報のような動的なデータの
調整に対しても効率よく対話型遺伝的アルゴリズムを適
用することができる。このように本発明に関連する第1
3の例における最適化調整方法と最適化調整装置は第2
の実施の形態と第9の例における最適化調整方法と最適
化調整装置の効果を組み合わせた効果を持つものであ
る。
【0192】以下、本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第14の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報と提示する順番の並び変えを
行う機能を持ち、ユーザの生理情報をもとに推定した心
理状況をもとにユーザの評価値を補正し、その評価値の
補正値をもとに対話型遺伝的アルゴリズムを用いて最適
な解ベクトルの導出を行うものである。例14では、例
11の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作
成問題を扱う。図55は本発明に関連する第14の例に
おける最適化調整装置の構成を表す。
【0193】図55を見てわかるように、例14の最適
化調整装置は本発明に関連する第10の例における最適
化調整装置に、本発明に関連する第11の例における最
適化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構
成になっている。
【0194】また、本発明に関連する第14の例におけ
る最適化調整装置の動作は図56のフローチャートに従
い、第10の例における最適化調整装置のフローチャー
トと比較すると、対象データ入力部3201で、伝達時
における情報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、
調整する解ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べ
ることにより定義されること、情報提示部3207で
は、各解ベクトルより構成される歪改善フィルタを用意
し対象データ入力部3201で入力された歪音声をフィ
ルタリング処理することにより得られる歪改善音声をユ
ーザに提示すること、補助情報提示部4902より各音
声の比較評価を容易にするための補助情報としてフィル
タ係数を顔を構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置
のパラメータに変換することにより得られる顔画像を提
示すること、情報並び替え部4903において、ユーザ
評価判断部3208で判定された各評価値をもとに比較
する歪改善音声とその補助情報である顔画像の並び替え
が行われること、時系列評価実行部4901内の処理は
ユーザによる評価が終了するまで繰り返し行われるこ
と、機器調整実行部3204で得られた最適な解ベクト
ルの表すフィルタが構成され、歪音声の音質改善を実現
することが異なっているのみである。
【0195】残りの構成要素と処理の流れについては、
第10の例における最適化調整方法と最適化調整装置の
場合と同様のため省略する。しかし、図56のフローチ
ャートのように、解ベクトルの比較・評価する際の手助
けをする情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対
話型遺伝的アルゴリズムに加えることにより、ユーザが
各解ベクトルを評価する際の負担を軽減できるととも
に、評価を行うユーザの心理状況を推定しその影響を補
正していることから、ユーザの心理状況(興奮、無関心
等)による評価のゆらぎをできるだけ抑えた解ベクトル
の最適化を行うことができる。このように本発明に関連
する第14の例における最適化調整方法と最適化調整装
置は第10の例と第11の例の効果を組み合わせた効果
を持つ。
【0196】以下、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第15の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫
して用いることにより、ユーザの調整の履歴をもとにユ
ーザの調整過程に関する評価モデルを推定するものであ
る。例15では、例11の場合と同様に歪音声の音質改
善をするフィルタ作成問題を扱う。図57は本発明に関
連する第15の例における最適化調整装置の構成を表
す。
【0197】図57を見てわかるように、例15の最適
化調整装置は本発明の第2の実施の形態における調整装
置に、本発明に関連する第11の例における最適化調整
装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成になっ
ている。
【0198】また、本発明に関連する第15の例におけ
る最適化調整装置は図58のフローチャートに従って動
作を行うものであり、本発明の第2の実施の形態におけ
る最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対象
データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等に
より歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpk
は歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義され
ること、情報提示部3207では、各解ベクトルより構
成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部32
01で入力された歪音声をフィルタリング処理すること
により得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補
助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易にす
るための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なっている
のみである。
【0199】残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明の第2の実施の形態における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図
58のフローチャートのように、各解ベクトルの比較・
評価する際の手助けをする情報の提示と、評価値による
提示する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに
工夫して用いるとともに、ユーザの調整の履歴をもとに
ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定するもので
あり、これまで困難であったユーザの嗜好の様子を時系
列情報の調整においても知ることができる。
【0200】このように本発明に関連する第15の例に
おける最適化調整方法と最適化調整装置は、第2の実施
の形態における最適化調整装置を時系列信号問題にまで
適用できるように拡張した機能を合わせ持っているので
ある。
【0201】以下、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第16の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫
して用いることにより、記録されている複数のユーザの
調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通
モデルを推定するものである。例16では、例11の場
合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作成問題を
扱う。図59は本発明に関連する第16の例における最
適化調整装置の構成を表す。
【0202】図59を見てわかるように、例16の最適
化調整装置は本発明の第3の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第11の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0203】また、本発明に関連する第16の例におけ
る最適化調整装置は図60、61のフローチャート図に
従って動作を行うものであり、本発明の第3の実施の形
態における最適化調整装置のフローチャート図と比較す
ると、対象データ入力部3201で、伝達時における情
報欠損等により歪んだ音声が入力されこと、調整する解
ベクトルpkは歪改善フィルタの係数aiを並べることによ
り定義されること、情報提示部3207では、各解ベク
トルより構成される歪改善フィルタを用意し対象データ
入力部3201で入力された歪音声をフィルタリング処
理することにより得られる歪改善音声をユーザに提示す
ること、補助情報提示部4902より各音声の比較評価
を容易にするための補助情報としてフィルタ係数を顔を
構成する目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータ
に変換することにより得られる顔画像を提示すること、
情報並び替え部4903において、ユーザ評価判断部3
208で判定された各評価値をもとに比較する歪改善音
声とその補助情報である顔画像の並び替えが行われるこ
と、時系列評価実行部4901内の処理はユーザによる
評価が終了するまで繰り返し行われること、機器調整実
行部3204で得られた最適な解ベクトルの表すフィル
タが構成され、歪音声の音質改善を実現することが異な
っているのみである。
【0204】残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明の第3の実施の形態における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図
60、61のフローチャート図のように、各解ベクトル
の比較・評価する際の手助けをする情報の提示と、評価
値による提示する順番の並び変えを対話型遺伝的アルゴ
リズムに工夫して用い、記録されている複数のユーザの
調整の履歴をもとに複数ユーザの調整過程に関する共通
モデルを推定することにより、従来の対話型遺伝的アル
ゴリズムだけでは困難であった複数のユーザによる時系
列信号を扱う際の嗜好の共通因子を抽出することができ
る。
【0205】以下、本発明に関連する第17の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第17の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的ア
ルゴリズムを用いてユーザにとって最適な解ベクトルの
導出を実行するとともに、複数のユーザの調整過程に関
する共通モデルを更新するものである。例17では、例
11の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作
成問題を扱う。図62は本発明に関連する第17の例に
おける最適化調整装置の構成を表す。
【0206】図62を見てわかるように、例17の最適
化調整装置は本発明の第6の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第11の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0207】また、本発明に関連する第17の例におけ
る調整装置の動作は図63、64のフローチャートに従
うものであり、本発明の第4の実施の形態における最適
化調整装置のフローチャートと比較すると、対象データ
入力部3201で、伝達時における情報欠損等により歪
んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトルpkは歪改
善フィルタの係数aiを並べることにより定義されるこ
と、情報提示部3207では、各解ベクトルより構成さ
れる歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3201
で入力された歪音声をフィルタリング処理することによ
り得られる歪改善音声をユーザに提示すること、補助情
報提示部4902より各音声の比較評価を容易にするた
めの補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する目、
口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換するこ
とにより得られる顔画像を提示すること、情報並び替え
部4903において、ユーザ評価判断部3208で判定
された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその補助
情報である顔画像の並び替えが行われること、時系列評
価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終了す
るまで繰り返し行われること、機器調整実行部3204
で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成さ
れ、歪音声の音質改善を実現することが異なっているの
みである。
【0208】残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明の第4の実施の形態における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図
63、64のフローチャートのように、各解ベクトルの
比較・評価する際の手助けをする情報の提示と、評価値
による提示する順番の並び変えを行う機能により、対話
型遺伝的アルゴリズムを従来不向きであった時系列情報
の調整に適用するとともに、複数のユーザの調整過程に
関する共通モデルを更新するように働くことによりユー
ザの負担を軽減することができる。
【0209】以下、本発明に関連する第18の例におけ
る最適化調整方法と最適化調整装置について説明する。
第18の例の最適化調整方法と最適化調整装置は、時系
列信号を扱う問題において、各解ベクトルの比較・評価
する際の手助けをする情報の提示と、評価値による提示
する順番の並び変えを行う機能を持ち、対話型遺伝的ア
ルゴリズムを用いてユーザの調整過程に関する評価モデ
ルを推定し、得られた評価モデルを用いて自動的に最適
な解ベクトルの調整を行うものである。例18では、例
11の場合と同様に歪音声の音質改善をするフィルタ作
成問題を扱う。図65は本発明に関連する第18の例に
おける最適化調整装置の構成を表す。
【0210】図65を見てわかるように、例18の最適
化調整装置は本発明の第5の実施の形態における最適化
調整装置に、本発明に関連する第11の例における最適
化調整装置の特徴である時系列評価実行部を加えた構成
になっている。
【0211】また、本発明に関連する第18の例におけ
る最適化調整装置の動作は図48、66のフローチャー
ト図に従うものであり、本発明の第5の実施の形態にお
ける最適化調整装置のフローチャートと比較すると、対
象データ入力部3201で、伝達時における情報欠損等
により歪んだ音声が入力されこと、調整する解ベクトル
pkは歪改善フィルタの係数aiを並べることにより定義さ
れること、情報提示部3207では、各解ベクトルより
構成される歪改善フィルタを用意し対象データ入力部3
201で入力された歪音声をフィルタリング処理するこ
とにより得られる歪改善音声をユーザに提示すること、
補助情報提示部4902より各音声の比較評価を容易に
するための補助情報としてフィルタ係数を顔を構成する
目、口、鼻の大きさ、角度、位置のパラメータに変換す
ることにより得られる顔画像を提示すること、情報並び
替え部4903において、ユーザ評価判断部3208で
判定された各評価値をもとに比較する歪改善音声とその
補助情報である顔画像の並び替えが行われること、時系
列評価実行部4901内の処理はユーザによる評価が終
了するまで繰り返し行われること、機器調整実行部32
04で得られた最適な解ベクトルの表すフィルタが構成
され、歪音声の音質改善を実現することが異なってい
る。
【0212】残りの構成要素と処理の流れについては、
本発明の第5の実施の形態における最適化調整方法と最
適化調整装置の場合と同様のため省略する。しかし、図
48、66のフローチャート図のように、解ベクトルの
比較・評価する際の手助けをする情報と提示する順番の
並び変えを行う機能を対話型遺伝的アルゴリズムに加え
るとともに、得られたユーザの調整の履歴を用いてユー
ザの調整過程の評価モデルを生成し、ユーザによる評価
の代わりにこの評価モデルを用いて解ベクトルの最適化
を自動的に行うようにすることにより、これまで画像の
ように静的なデータにしか適用されなかった対話型遺伝
的アルゴリズムを時系列データのような動的データの調
整にも効率的に適用でき、また評価を行うユーザの負担
を大きく軽減することが可能となる。
【0213】さらに、本発明に関連する第11から第1
8の例における最適化調整方法と最適化調整装置におい
て、図80のように難聴者であるユーザの聴覚特性に合
わせた補聴器の特性調整の問題に適用する例を考えるこ
とができる。以下では、本発明に関連する第11から第
18の例の最適化調整方法と最適化調整装置をこの補聴
器の装置者の特性に合った調整に適用した場合について
説明する。
【0214】通常、補聴器の特性調整は、125Hzから800
0Hzにおける純音を聞かせた時の、周波数f(Hz)における
最小可聴値(聞こえる一番パワーの小さい音)の強さLf
(dB)と、最大可聴値(耐えることのできる一番パワーの
大きい音)の強さHf(dB)、そして通常に聞こえる音の強
さ(dB)Mfを複数周波数における値をもとに補聴器の利得
を調整することにより行われている。125Hzから8000Hz
を3つに区分して、各周波数領域でmear点ずつ上述の3
つの値を取り出すとすると、特性調整に用いられるパラ
メータは3×mearになる。これに加えて、 (i)子音はエネルギーが小さく、子音に続く母音にマス
クされてしまうので、子音部分を強調してマスクされて
もなお、子音が聞き取れるだけの大きさにする必要があ
る。 (ii)人間の耳による音声の聞こえ具合いに大きく影響し
ている低周波数成分(ホルマント成分)を強調した方
が、聞こえ易い。 の2点を考慮することにより、より自然な音声を補聴器
により実現することができる。(i)の場合、子音強調す
るときの度合の限界Plimit(dB)と、子音から母音への移
行部をどれだけ強調し続けるかを決める強調のリリース
タイムtrel(msec)により制御できる。また(ii)の場合、
低域周波数における音声のスペクトルの例(ホルマン
ト)に対して谷を抑制するPsup(dB)と、抑制を掛ける周
波数幅fwid(Hz)により制御できると考えられる。そこ
で、これらの4つのパラメータを先ほどの3×mearのパ
ラメータに加えて解ベクトルpを定義する。対象データ
入力部3201では、検定音声が入力される。情報提示
部3207では、各解ベクトルで表現された補聴器に対
象データ入力部3201で入力された検定音声を通して
得られる調整音声をユーザに提示する。特に、解ベクト
ルを構成するパラメータ間にはある関係が存在してお
り、パラメータの取り得る領域は限られていると思われ
るので、本発明に関連する第10の例における最適化調
整方法と最適化調整装置の特徴である限定された領域内
での解ベクトルの調整が大きな意味を持つと考えられ
る。最適解出力部103で最も評価値の高い解ベクトル
が最適解ベクトルとして出力され、その解ベクトルをも
とに補聴器の特性調整が機器調整実行部3204で行わ
れる。ここで、補助情報提示部4902は、例えば例9
の場合と同様にこれらのパラメータより得られる顔画像
を扱うものとする。
【0215】以上のように設定してた本発明に関連する
第11から第18の例における最適化調整方法と最適化
調整装置を考えた場合、歪音声の音質改善フィルタ作成
問題の場合と同様に、ユーザに何等専門的知識がなくと
もユーザの聴力特性に合わせた聞こえ具合いに基づく補
聴器の作成を行うことができる。また、本発明に関連す
る第15の例におけるユーザの調整過程に関する評価モ
デルの最適化調整方法と最適化調整装置や第16の例に
おける複数ユーザの調整過程に関する共通モデルの最適
化調整方法と最適化調整装置を用いれば、各パラメータ
間の関係を明確に記述することも可能であると思われ
る。
【0216】なお、本発明の第1から第10の例と、第
1から第5の実施の形態と、第11から第18の例にお
ける最適化調整方法と最適化調整装置では、解ベクトル
の選択淘汰としてルーレット選択法を使用したがこれに
限定されるものでなく、適合度の高く優秀な解ベクトル
の次に新しく作られる解ベクトル集合にそのままコピー
するエリート戦略法を組み合わせたり、適合度の値は用
いずその順位だけに目を付ける線形正規化方法等の適用
も考えられる。また、ユーザによる評価の場合にも、本
発明では最大可能評価値EAmaxから最小評価値EAminの間
における値を連続値を評価値として考えたが、ユーザに
同時に提示されているn個の解ベクトルの相対評価をも
とにした段階評価値、例えばn個の解ベクトルの順位を
評価値とするようなことも考えられる。さらに、解ベク
トルがビット列コード表現されている場合に、交叉処理
においても本例における1点もしくは2点交叉処理のみ
ならず、図74に示されるようなシンプレックス交叉処
理の適用も考えられる。図74に示されるようにシンプ
レックス交叉処理では、 (i)まず適合度の高い2つの解ベクトルと低い1つの解
ベクトルが選択確率部で用いた確率により選択される。 (ii)適合度の高い2つの解ベクトルを比較して、対応す
るビット列コードの値が一致する場合はその値を採用す
る。もし一致しない場合は、低い適合度の解ベクトルの
対応するビットの値の否定を採用することにより、新し
い解ベクトルが作り出される。
【0217】というような処理が実行される。シンプレ
ックス交叉処理により1点もしくは2点交叉処理より
も、より解ベクトルの多様性を保持した調整ができ局所
解に陥りにくいという利点がある。
【0218】以上のように本発明に関連する第1の例の
最適化調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内
で適合度の高いグループの重心ベクトルの移動ベクトル
に着目し、その移動ベクトルが同じ方向を指し示す場合
にはそちらの方向に適合度の高い解ベクトルが存在する
と判断しそのベクトルに沿って解ベクトル群の更新を行
う。それとともに、現在の解ベクトル集合を対象にした
組み替え操作による解ベクトルの最適化も同時に行うこ
とにより、大域的解更新能力に優れるという遺伝的アル
ゴリズムの特徴を活かしながら、同時に過去の解ベクト
ル更新の履歴を利用して高速に最適解の方向を推定する
ことができるという優れた効果を有する。
【0219】また、本発明に関連する第2の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトルに対して、そのベクトルを中心とした近傍で再
度初期解ベクトル群を設定し一定回数の組み替え操作を
行い限定された領域内での解ベクトル群の最適化を実行
する。そして、得られた複数の解ベクトル群を1つの大
きな集合に統合し組み替え操作により改めて解ベクトル
の最適化を行うというように、組み替え操作を用いて局
所的に解ベクトルの更新を行った後に再び組み替え操作
により大域的な解ベクトルの更新を行うことにより、局
所的な解ベクトルの更新能力を補強し高速な最適解の推
定処理をすることができる。
【0220】また、本発明に関連する第3の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトルをその近傍空間よりランダムに抽出したベクト
ル群と比較して適合度の高いベクトル群を改めて更新処
理の対象となる解ベクトル集合に属する解ベクトルとし
て選び出す。そして、出来上がった解ベクトル集合を組
み替え操作の対象とすることにより、従来の遺伝的アル
ゴリズムでは欠如していた局所的更新能力の弱さを解消
することができるという優れた効果を有する。
【0221】また、本発明に関連する第4の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度により選択された
解ベクトルの近傍ベクトル群を抽出し解集合の再設定を
行い、得られた近傍ベクトル群を対象とした解ベクトル
の組み替え操作を行うことにより、局所的な更新能力を
高めるとともに突出した適合度の高い解ベクトルの影響
が解全体にすぐに大きな影響を与えることを避けること
ができる。
【0222】また、本発明に関連する第5の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトル集合内の各解
ベクトル近傍を複数の領域に分割し平均適合度が最も大
きい領域よりランダムに複数の解ベクトル群を選び出す
とともに、元の解ベクトル集合内の解ベクトルに対して
組み替え操作により新たな解ベクトル集合を生成する。
そして、これらの中から適合度の高い順に選び出して1
つの解ベクトル集合を再設定することにより、解ベクト
ル集合内の組み替え操作による解ベクトルの最適化と並
行して、各解ベクトル近傍における解ベクトルの更新処
理も同時に行うこととなり、元々遺伝的アルゴリズムが
持つ効率的な大域解更新能力に局所的な解更新能力を補
強することができ、最適解ベクトルの推定を効率良く実
行することができるという優れた効果を有する。
【0223】また、本発明に関連する第6の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度の算術平均と標準
偏差をもとに解ベクトル集合を複数のグループに分割す
る解集合分割部と解集合分割部により得られた各グルー
プ内を対象とした解ベクトルの組み替え操作を行うグル
ープ組み替え操作部を設けることにより、突出した適合
度の高い解ベクトルの影響が解全体にすぐに大きな影響
を与えることを避けることができるとともに局所的な更
新能力の強化を行うことができる。
【0224】また、本発明に関連する第7の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、適合度の算術平均と標準
偏差、最大・最小適合度をもとに解ベクトル集合を複数
のグループに分割するかどうかの判断をする。分割する
と判断された場合には、解集合分割部が解集合全体を複
数のグループに分割し、そう判断されない場合は解集合
全体を組み替え操作の対象とし、得られた組み替え処理
対象に対して解ベクトルの選択と組み替え操作を行うこ
とにより適合度分布状況をもとに突出した高い適合度を
持つ解ベクトルの有無を判断し、その影響を低減するよ
うに組み替え処理対象を限定することにより、効率よい
最適解推定を行うことができる。
【0225】また、本発明に関連する第8の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、解ベクトルの収束を判断
するための段階収束基準を動的に変化させるとともに、
新しい解ベクトルの更新を行う領域を動的に変化させ段
階的に最適解推定を行うことにより、効率よい最適解推
定を実現することができる優れた効果を有する。
【0226】また、本発明に関連する第9の例の最適化
調整方法と最適化調整装置は、各調整するパラメータの
更新領域をその特性や過去の調整結果をもとに限定しそ
の領域内の解ベクトルを対象として対話型遺伝的アルゴ
リズムを用いることにより、調整する必要がないと思わ
れる領域での調整を削除することが可能となり、最適な
解ベクトルの調整を速やかに行うことができる優れた効
果を有する。
【0227】また、本発明に関連する第10の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、ユーザの生理情報をも
とに推定した心理状況をもとにユーザの評価値を補正す
ることによりユーザの評価におけるゆらぎの影響を軽減
させるため、心理に左右されないでユーザの状況(聴
力、視力等)に最適な解ベクトルの調整を対話型遺伝的
アルゴリズムにより実現することができる優れた効果を
有する。
【0228】また、本発明に関連する第11の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を対話型
遺伝的アルゴリズムに加えることにより最適な解ベクト
ルの調整を行うものであり、これまで画像のように静的
なデータにしか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリ
ズムを時系列データのような動的データへの適用も可能
となる優れた効果を有する。
【0229】また、本発明に関連する第12の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
各調整する解ベクトルの更新領域をその特性や過去の調
整結果をもとに限定して対話型遺伝的アルゴリズムを用
いることにより、これまで画像のように静的なデータに
しか適用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系
列データのような動的データを対象とした場合の最適な
解ベクトルの調整を速やかに行うことが可能になる効果
を有する。
【0230】また、本発明に関連する第13の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
記録されている過去の調整情報をもとに解ベクトルの初
期集合を設定して対話型遺伝的アルゴリズムを用いるこ
とにより、これまで画像のように静的なデータにしか適
用されなかった対話型遺伝的アルゴリズムを時系列デー
タのような動的データを対象とした場合の最適な解ベク
トルの調整を速やかに行うことが可能になる効果を有す
る。
【0231】また、本発明に関連する第14の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報と提示する順番の並び変えを行う機能を持ち、
ユーザの生理情報をもとに推定した心理状況をもとにユ
ーザの評価値を補正することにより、ユーザの評価にお
けるゆらぎの影響を軽減させながら対話型遺伝的アルゴ
リズムによる最適解ベクトルの更新を行うことにより、
これまで画像のように静的なデータにしか適用されなか
った対話型遺伝的アルゴリズムを時系列データのような
動的データへの適用が可能となるとともに使用環境に影
響を受けないでユーザ自身の状況に対応する最適な解ベ
クトルの調整を行うことが可能になる効果を有する。
【0232】また、本発明に関連する第15の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、ユーザの調整の履歴をもとにユーザの調整過程に
関する評価モデルを推定するものであり、ユーザの時系
列信号問題に対する嗜好の様子を知ることができる効果
を有する。
【0233】また、本発明に関連する第16の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを対話型遺伝的アルゴリズムに工夫して用いることに
より、記録されている複数のユーザの調整の履歴をもと
に複数ユーザの調整過程に関する共通モデルを推定する
ものであり、複数のユーザによる時系列信号を扱う際の
嗜好の共通因子を抽出することができる効果を有する。
【0234】また、本発明に関連する第17の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実
行するとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通
モデルを更新するように働くものであるため、ユーザが
全ての解ベクトルによる情報を評価する必要がなくユー
ザに与える負担を軽減することが可能となる効果を有す
る。
【0235】また、本発明に関連する第18の例の最適
化調整方法と最適化調整装置は、時系列信号を扱う問題
において、各解ベクトルの比較・評価する際の手助けを
する情報の提示と、評価値による提示する順番の並び変
えを行う機能を持ち、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
てユーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得ら
れた個人モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調
整を行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを
用いる際に問題とされていたユーザに与えられる負担を
軽減して時系列信号への適用を可能にする効果を有す
る。
【0236】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなよう
に、本発明の第1の最適化調整方法と最適化調整装置
は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いる際に、記録され
ている過去の調整情報をもとに解ベクトルの初期集合を
設定してユーザにとって好ましくない解ベクトルを排除
して調整することにより、最適な解ベクトルへの収束が
早くなるとともに各解ベクトルの評価をする際の負担を
軽減することができる優れた効果を有する。
【0237】また、本発明の第2の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザが各自にとって最適な解ベクトルの調整を行う際に
得られる調整の履歴をもとにユーザの調整過程に関する
評価モデルを推定するものであり、ユーザのこの問題に
対する嗜好の様子を知ることができる優れた効果を有す
る。
【0238】また、本発明の第3の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いて複
数のユーザにより行われた解ベクトル最適化の履歴より
調整過程に関する共通モデルを推定するものであり、複
数のユーザによる嗜好の共通因子を抽出することができ
る優れた効果を有する。
【0239】また、本発明の第4の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザにとって最適な解ベクトルの調整を速やかに実行す
るとともに、複数のユーザの調整過程に関する共通モデ
ルを更新するように働くため、ユーザが全ての解ベクト
ルによる情報を評価する必要がなくユーザに与える負担
を軽減することが可能となる優れた効果を有する。
【0240】また、本発明の第5の最適化調整方法と最
適化調整装置は、対話型遺伝的アルゴリズムを用いてユ
ーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、得られた
評価モデルを用いて自動的に最適な解ベクトルの調整を
行うものであるため、対話型遺伝的アルゴリズムを用い
る際に問題とされていたユーザに与えられる負担を軽減
することが可能となる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連する第1の例における最適化調整
処理装置の構成を表すブロック図。
【図2】本発明に関連する第1の例における最適化調整
装置の要部である組み替え操作部の構成を表すブロック
図。
【図3】本発明に関連する第1の例における最適化調整
方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図4】本発明に関連する第1の例における最適化調整
方法の処理1における過程を表すフローチャート図。
【図5】本発明に関連する第1の例における最適化調整
方法の要処理である組み替え操作処理の過程を表すフロ
ーチャート図。
【図6】具体例として取り扱う多次元関数最大値推定問
題の概念図。
【図7】実数値区間における値から固定長ビット列コー
ドへの変換の様子を表す図。
【図8】更新方向ベクトルに沿った解ベクトル更新を模
式的に表す図。
【図9】選択淘汰に用いられるルーレット選択方式を説
明するための図。
【図10】本発明に関連する第2の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図11】本発明に関連する第2の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図12】局所的更新処理と大域的更新処理を模式的に
表す図。
【図13】本発明に関連する第3の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図14】本発明に関連する第3の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図15】初期解ベクトル群抽出の様子を模式的に表す
図。
【図16】本発明に関連する第4の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図17】本発明に関連する第4の例における最適化調
整装置の処理過程を表すフローチャート図。
【図18】実数値空間における近傍ベクトル抽出処理を
模式的に表す図。
【図19】本発明に関連する第5の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図20】本発明に関連する第5の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図21】更新領域分割とそこからの解ベクトル抽出処
理を模式的に表す図。
【図22】本発明に関連する第6の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図23】本発明に関連する第6の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図24】実数値空間における解集合分割処理を模式的
に表す図。 (a)適合度fkに対する個体数分布を模式的に表す図。 (b)実数値空間における分割の様子を表す図。
【図25】本発明に関連する第7の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図26】本発明に関連する第7の例における最適化調
整方法の全体の処理過程を表すフローチャート図。
【図27】本発明に関連する第7の例における最適化調
整方法の処理2の過程を表すフローチャート図。
【図28】本発明に関連する第8の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図29】本発明に関連する第8の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図30】実数値空間における更新領域の局所化処理を
模式的に表す図。
【図31】1次元関数近似問題の概念図。
【図32】本発明に関連する第9の例における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図33】本発明に関連する第9の例における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図34】本発明の第1の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図35】本発明の第1の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図36】本発明に関連する第10の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図37】本発明に関連する第10の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図38】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図39】本発明の第2の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図40】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図41】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図42】本発明の第3の実施の形態における最適化調
整方法の個別調整処理の過程を表すフローチャート図。
【図43】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図44】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図45】本発明の第4の実施の形態における最適化調
整方法の共通モデル更新処理の過程を表すフローチャー
ト図。
【図46】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整装置の構成を表すブロック図。
【図47】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図48】本発明の第5の実施の形態における最適化調
整方法の処理過程の続きを表すフローチャート図。
【図49】本発明に関連する第11の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図50】本発明に関連する第11の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図51】本発明に関連する第12の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図
【図52】本発明に関連する第12の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図53】本発明に関連する第13の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図54】本発明に関連する第13の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図55】本発明に関連する第14の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図56】本発明に関連する第14の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図57】本発明に関連する第15の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図58】本発明に関連する第15の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図59】本発明に関連する第16の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図60】本発明に関連する第16の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図61】本発明に関連する第16の例における最適化
調整方法の個別調整処理2の過程を表すフローチャート
図。
【図62】本発明に関連する第17の例における最適化
調整調整装置の構成を表すブロック図。
【図63】本発明に関連する第17の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図64】本発明に関連する第17の例における最適化
調整方法の共通モデル更新処理2の過程を表すフローチ
ャート図。
【図65】本発明に関連する第18の例における最適化
調整装置の構成を表すブロック図。
【図66】本発明に関連する第18の例における最適化
調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図67】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
装置の構成を表すブロック図。
【図68】従来の遺伝的アルゴリズムによる最適化調整
方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図69】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整装置の構成を表すブロック図。
【図70】従来の対話型遺伝的アルゴリズムによる最適
化調整方法の処理過程を表すフローチャート図。
【図71】遺伝的アルゴリズムにおける組み替え操作の
概念の説明図。 (a)は交叉処理例を表す概念図。 (b)は突然変異処理の一例を表す概念図。
【図72】視力矯正用レンズの調整問題の概念図。
【図73】解ベクトル空間における更新領域限定の概念
図。
【図74】シンプレックス交叉の概念図。
【図75】本発明に関連する第9の例、第14の例にお
ける最適化調整装置の心理状況推定方法の一例を表す
図。 (a)まばたきの発生頻度と注意、関心の関係 (b)発汗状況と緊張、動揺の関係
【図76】本発明に関連する第2、第5の実施の形態
と、第15,18の例における最適化調整装置における
評価モデル推定部に用いられるニューラルネットワーク
の構成図。
【図77】本発明の第3、4の実施の形態と、第16,
17の例における最適化調整装置における共通モデル推
定部に用いられるニューラルネットワークの構成図。
【図78】歪音声の音質改善するフィルタ作成問題の概
念図。
【図79】時系列信号と対応する補助情報の概念図。
【図80】難聴者のための補聴器の特性調整問題の概念
図。
【符号の説明】 101 初期解集合設定部 102 遺伝的アルゴリズム処理部 103 最適解出力部 104 評価値獲得部 105 適合度計算部 106 更新方向判断部 107 方向適用更新部 108 組み替え操作部 109 重心推定部 110 更新方向候補記録部 111 更新方向獲得部 112 重心移動部 113 重心周囲解ベクトル生成部 201 候補選択部 202 交叉処理実行部 203 突然変異処理実行部 204 選択範囲導出部 205 乱数発生部 206 解ベクトル抽出部 1001 局所更新部 1002 大域更新部 1003 局所更新設定部 1004 ベクトル群初期設定部 1005 局所組み替え操作部 1006 局所更新終了判断部 1007 集合統合部 1008 大域組み替え操作部 1301 初期更新領域限定部 1302 初期解ベクトル群抽出部 1303 解ベクトル集合統合部 1601 解集合再設定部 1602 グループ組み替え操作部 1603 代表解ベクトル選択部 1604 近傍ベクトル群抽出部 1901 更新領域分割部 1902 平均適合度計算部 1903 適領域解ベクトル抽出部 1904 解ベクトル統合部 2201 解集合分割部 2202 分割領域決定部 2203 分割実行部 2501 組み替え対象制御部 2801 更新領域設定部 2802 段階収束判定部 2803 収束基準変更部 3201 対象データ入力部 3202 更新領域限定部 3203 メイン処理部 3204 機器調整実行部 3205 ユーザ評価部 3206 集合再設定部 3207 情報提示部 3208 ユーザ評価判断部 3401 記憶媒体部 3402 記録情報読込み部 3403 初期解ベクトル選択部 3404 初期解ベクトル補充部 3405 最適解ベクトル記録部 3601 ユーザ心理推定部 3602 評価値補正部 3603 生理データ測定部 3604 心理推定実行部 3801 評価モデル出力部 3802 第2ユーザ評価部 3803 評価モデル推定判定部 3804 モデル推定実行部 3805 調整履歴記録部 4001 共通モデル出力部 4002 ユーザ調整終了判断部 4003 共通モデル推定部 4004 共通モデル推定判定部 4005 共通モデル推定実行部 4301 共通モデル評価計算部 4302 共通モデル評価判定部 4303 共通モデル更新部 4304 共通モデル更新判定部 4305 共通モデル更新実行部 4601 方法選択スイッチ 4602 評価モデル推定部 4603 モデル評価計算部 4604 方法切替え判定部 4901 時系列評価実行部 4902 補助情報提示部 4903 情報並び替え部 6701 選択淘汰実行部 6901 対話型遺伝的アルゴリズム実行部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 和昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丸野 進 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H004 GA18 GA26 KC08 KC12 KD46 KD67 LA18

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 解ベクトルの取り得る更新領域を限定する第1ステップ
    と、 第1ステップで得られた更新領域内で解ベクトルの初期
    集合を設定する第2ステップと、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第3ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第4ステ
    ップと、 ユーザの評価値から各解ベクトルの適合度を求める第5
    ステップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの遺伝的組み替えに基づく算術的な組み替え操作
    を行う第6ステップと、 第6ステップで得られた集団において、設定された更新
    領域内に含まれる解ベクトルのみを用いて改めて解ベク
    トル集合を作成する第7ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第8ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第3ステップか
    ら第7のステップのように、限定された領域内において
    最適な解ベクトルの調整を繰り返すことにより、ユーザ
    にとって最適な解ベクトルを速やかに推定することを特
    徴とする最適化調整方法。
  2. 【請求項2】所定の演算装置により、ある問題に対して
    任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更新
    し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 解ベクトルの初期集合を設定する際に、記録されている
    過去の最適な解ベクトルを選択する第1ステップと、 第1ステップで選択された解ベクトルをもとに調整する
    解ベクトルの初期集合を設定する第2ステップと、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第3ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第4ステ
    ップと、 ユーザの評価値から各解ベクトルの適合度を求める第5
    ステップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの遺伝的組み替えに基づく算術的な組み替え操作
    を行い新しい解ベクトル集合を作成する第6ステップ
    と、 得られた最適な解ベクトルを記録媒体に記録した後に出
    力する第7ステップを備えており、 予め与えられた終了条件を満足するまで第3ステップか
    ら第6ステップを繰り返し、得られた最適な解ベクトル
    を第7ステップにより記録することにより、過去の調整
    で得られた最適な解ベクトル群を調整開始点として利用
    してユーザにとって最適な解ベクトルを速やかに推定す
    ることを特徴とする最適化調整方法。
  3. 【請求項3】所定の演算装置により、ある問題に対して
    任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更新
    し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップと、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第2ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第3ステ
    ップと、 ユーザが評価する際の生理データを測定する第4ステッ
    プと、 得られた生理データよりユーザの心理状況を推定する第
    5ステップと、 推定された心理状況をもとに第3ステップで得られた評
    価値の補正を行う第6ステップと、 補正された評価値から各解ベクトルの適合度を求める第
    7ステップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する第8ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第9ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで第2ステップか
    ら第8ステップを繰り返すことにより、ユーザの心理状
    況による影響を軽減させながらユーザにおいて最適な解
    ベクトルを速やかに推定することを特徴とする最適化調
    整方法。
  4. 【請求項4】所定の演算装置により、ある問題に対して
    任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更新
    し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップと、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第2ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第3ステ
    ップと、 ユーザの評価と対応する解ベクトルの履歴を記録する第
    4ステップと、 ユーザの調整の履歴が予め設定された評価モデル推定条
    件を満足するかどうかを判定する第5ステップと、 第5ステップで満足しないと判定された場合にユーザの
    評価値から各解ベクトルの適合度を求める第6ステップ
    と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する第7ステップと、 第5ステップで満足すると判定された場合にユーザによ
    る一連の調整の履歴より現在のユーザの調整過程の評価
    モデルを推定する第8ステップを備えており、 第2ステップから第7ステップを予め設定された条件を
    満たすまで繰り返すことにより得られる調整の履歴よ
    り、第8ステップにおいてユーザの調整過程に関する評
    価モデルを推定することを特徴とするユーザの調整過程
    に関する評価モデルの最適化調整方法。
  5. 【請求項5】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第2ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第3ステ
    ップと、 ユーザの評価と対応する解ベクトルの履歴を記録する第
    4ステップと、 ユーザの評価値から各解ベクトルの適合度を求める第5
    ステップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する第6ステップと、 予め設定されたユーザによる評価の終了条件を満足する
    場合に、記録されているユーザ数が予め設定された共通
    モデル推定条件を満足するかどうかを判定する第7ステ
    ップと、 第7ステップで満足すると判断された場合に、記録され
    ている複数のユーザによる調整の履歴から調整過程の共
    通モデルを推定する第8ステップを備えており、 第2ステップから第7ステップを予め設定された条件を
    満たすまで繰り返すことにより得られる調整の履歴をも
    とに、複数のユーザによる調整過程に関する共通モデル
    を推定することを特徴とする複数ユーザの調整過程に関
    する共通モデルの最適化調整方法。
  6. 【請求項6】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 以前に抽出された複数ユーザの調整過程に関する共通モ
    デルに従い各解ベクトルの評価を行う第2ステップと、 各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する第3ステッ
    プと、 ユーザによる第2ステップでの共通モデルによる評価が
    適当であるかどうかの判断を受け付ける第4ステップ
    と、 第4ステップで適当でないとの判断を受け付けた場合に
    ユーザ自身による各解ベクトルの評価を受け付ける第5
    ステップと、 第5ステップでユーザによる評価を改めて受け付けた場
    合に、各解ベクトルと対応するユーザの評価の履歴を記
    録する第6ステップと、 記録されている解ベクトル集合の更新の履歴が共通モデ
    ル更新条件を満足するかどうかの判定を行う第7ステッ
    プと、 第7ステップで共通モデルの更新を行うと判定された場
    合に記録されている履歴のデータ群より複数のユーザの
    調整過程に関する共通モデルを更新する第8ステップ
    と、 ユーザの主観評価もしくは調整過程の共通モデルより得
    られる評価値から各解ベクトルの適合度を求める第9ス
    テップと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新しい解ベクトル
    集合を作成する第10ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第11ステップを備えてお
    り、 予め与えられた終了条件を満足するまで前記第2から第
    10のステップを繰り返すことにより、ユーザにとって
    最適な解ベクトルを速やかに推定しながら、同時に複数
    ユーザの調整過程に関する共通モデルをも更新すること
    を特徴とする最適化調整方法。
  7. 【請求項7】 所定の演算装置により、ある問題に対し
    て任意に設定された解ベクトルを適合度に応じて逐次更
    新し、最適な解を推定する最適化調整方法において、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する第1ステップ
    と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    第2ステップと、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付ける第3ステ
    ップと、 ユーザの評価と対応する解ベクトルの履歴を記録する第
    4ステップと、 ユーザの調整の履歴が予め設定された評価モデル推定条
    件を満足するかどうかを判定する第5ステップと、 第5ステップで満足すると判定された場合にユーザによ
    る一連の調整の履歴より現在のユーザの調整過程に関す
    る評価モデルを推定する第6ステップと、 各評価値から各解ベクトルの適合度を求める第7ステッ
    プと、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する第8ステップと、 第6ステップでユーザの調整過程に関する評価モデルが
    推定された場合には、第3ステップに代わりこのモデル
    を使って各解ベクトルを評価する第9ステップと、 最適な解ベクトルを出力する第10ステップを備えてお
    り、 第2ステップから第8ステップを評価モデル推定条件を
    満たすまで繰り返すことにより得られる調整の履歴より
    ユーザの調整過程に関する評価モデルを推定し、以後は
    この評価モデルを用いて予め設定された終了条件を満足
    するまで第7から第9ステップを繰り返すことにより解
    ベクトルの最適化を行うことを特徴とする最適化調整方
    法。
  8. 【請求項8】 対象とする機器で扱うデータを入力する
    対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの取り得る領域を限定する更新域限
    定部と、 前記更新限定領域内で解ベクトルの初期集合を設定する
    初期集合設定部と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    情報提示部と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られた評価値から各解ベクト
    ルの適合度を求める適合度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行う組み替え操作部
    と、 前記組み替え操作部で得られた解ベクトル集合において
    限定領域内に含まれない解ベクトルを限定領域内の任意
    の解ベクトルに取り替え改めて解ベクトル集合を作成す
    る集合再設定部と、 予め与えられた終了条件を満足する場合に最適な解ベク
    トルを出力する最適解ベクトル出力部と、 前記最適解ベクトル出力部の解ベクトルに従い前記対象
    データ入力部で入力されたデータを扱う機器の調整を行
    う機器調整実行部を備えていることを特徴とする最適化
    調整装置。
  9. 【請求項9】 対象とする機器で扱うデータを入力する
    対象データ入力部と、 過去の最適な解ベクトル群が記録されている記録媒体か
    ら過去の最適な解ベクトル群を読み込む記録情報読込み
    部と、 前記記録情報読込み部で読み込まれた解ベクトル群よ
    り、今回の調整における初期解ベクトルを選択する初期
    解ベクトル選択部と、 前記初期解ベクトル選択部で選ばれた初期解ベクトルに
    加えてランダムに生成された初期解ベクトルを補充して
    解ベクトルの初期集合を設定する初期解ベクトル補充部
    と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    情報提示部と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られる評価値から各解ベクト
    ルの適合度を求める適合度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 予め与えられた終了条件を満足する場合に最適な解ベク
    トルを出力する最適解ベクトル出力部と、 前記最適な解ベクトルを記録媒体に記録する最適解ベク
    トル記録部と、 前記最適解ベクトル出力部の解ベクトルに従い前記対象
    データ入力部で入力されたデータを扱う機器の調整を行
    う機器調整実行部を備えていることを特徴とする最適化
    調整装置。
  10. 【請求項10】 対象とする機器で扱うデータを入力す
    る対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する初期集合設定
    部と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    情報提示部と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部でユーザが評価する際の生理デー
    タを測定する生理データ測定部と、 前記生理データをもとにユーザの心理状況を推定する心
    理状況推定部と、 前記心理状況推定部で推定されたユーザの心理状況をも
    とに評価値を補正する評価値補正部と、 前記評価値補正部で得られた評価値から各解ベクトルの
    適合度を求める適合度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 予め与えられた終了条件を満足する場合に最適な解ベク
    トルを出力する最適解ベクトル出力部と、 前記最適解ベクトル出力部の解ベクトルに従い前記対象
    データ入力部で入力されたデータを扱う機器の調整を行
    う機器調整実行部を備えていることを特徴とする最適化
    調整装置。
  11. 【請求項11】 対象とする機器で扱うデータを入力す
    る対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する初期集合設定
    部と、 各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部
    と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られる評価値と対応する各解
    ベクトルを記録する調整履歴記録部と、 ユーザの評価値から各解ベクトルの適合度を求める適合
    度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新しい解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 前記調整履歴記録部で記録されているユーザの調整の履
    歴が予め設定された評価モデル推定条件を満足するかど
    うかの判断をする評価モデル推定判定部と、 前記評価モデル推定条件を満足すると判定された場合
    に、一連の調整の履歴より現在のユーザの調整過程に関
    する評価モデルを推定するモデル推定実行部と、 前記モデル推定実行部で推定されたユーザの評価モデル
    を表す情報を出力する評価モデル出力部を備えているこ
    とを特徴とする最適化調整装置。
  12. 【請求項12】 対象とする機器で扱うデータを入力す
    る対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する初期集合設定
    部と、 各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部
    と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られる評価値と対応する各解
    ベクトルを記録する調整履歴記録部と、 ユーザの評価値から各解ベクトルの適合度を求める適合
    度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新しい解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 予め設定されたユーザによる調整の終了条件を満足する
    かどうかの判断をするユーザ調整終了判断部と、 前記ユーザ終了判断部を満足する場合に、記録されてい
    る複数のユーザの調整履歴が予め設定された共通モデル
    推定条件を満足するかどうかの判断をする共通モデル推
    定判定部と、 前記共通モデル推定条件を満足すると判定された場合
    に、前記調整履歴記録部に記録されている複数のユーザ
    による調整の履歴より調整過程に関する共通モデルを推
    定する共通モデル推定実行部と、 前記共通モデル推定実行部で推定された調整過程の共通
    モデルを表す情報を出力する共通モデル出力部を備えて
    いることを特徴とする最適化調整装置。
  13. 【請求項13】 対象とする機器で扱うデータを入力す
    る対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する初期集合設定
    部と、 各解ベクトルに対して複数ユーザの調整過程に関する共
    通モデルを用いて評価を行う共通モデル評価計算部と、 各解ベクトルにより表現される情報をユーザに提示する
    情報提示部と、 ユーザに前記共通モデル評価計算部で得られる評価値が
    適当であるかどうかの判定を行う共通モデル評価判定部
    と、 前記共通モデル評価判定部で適当でないと判定された場
    合に、ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユ
    ーザ評価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られた評価値と対応する各解
    ベクトルを記録する調整履歴記録部と、 ユーザの評価値もしくは調整過程の共通モデルより得ら
    れる評価値から各解ベクトルの適合度を求める適合度導
    出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新たな解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 前記調整履歴記録部に記録されているユーザの調整の履
    歴が予め設定された共通モデル更新条件を満足するかど
    うかの判定を行う共通モデル更新判定部と、 前記共通モデル更新条件を満足する場合に、記録されて
    いるユーザの調整の履歴を用いて、共通モデルを更新す
    る共通モデル更新実行部と、 予め設定された終了条件を満足する場合に最適な解ベク
    トルを出力する最適解ベクトル出力部と、 前記最適解ベクトル出力部の解ベクトルに従い前記対象
    データ入力部のデータを扱う機器の調整を行う機器調整
    実行部を備えていることを特徴とする最適化調整装置。
  14. 【請求項14】 対象とする機器で扱うデータを入力す
    る対象データ入力部と、 調整する解ベクトルの初期集合を設定する初期集合設定
    部と、 ユーザによる評価を行うか評価モデルによる評価を行う
    かの選択を行う方法選択スイッチと、 前記方法選択スイッチでユーザによる評価が選択された
    場合に、 各解ベクトルの表す情報をユーザに提示する情報提示部
    と、 ユーザによる各解ベクトルの評価を受け付けるユーザ評
    価判定部と、 前記ユーザ評価判定部で得られるユーザの評価値と対応
    する各解ベクトルを記録する調整履歴記録部と、 前記調整履歴記録部で記録されているユーザの調整の履
    歴が予め設定された評価モデル推定条件を満足するかど
    うかの判定を行い、満足する場合には方法選択スイッチ
    に切替えを指示する方法切替え判定部と、 前記方法切替え判定部で切替えが指示された場合に、一
    連の調整の履歴より現在のユーザの調整過程に関する評
    価モデルを推定するモデル推定実行部と、 前記方法選択スイッチでモデルによる評価が選択された
    場合に、評価モデルを用いて各解ベクトルの評価を行う
    モデル評価計算部と、 ユーザの主観評価もしくは評価モデルによる評価をもと
    に各解ベクトルの適合度を求める適合度導出部と、 各解ベクトルの適合度をもとに解ベクトル集合内の解ベ
    クトルの算術的な組み替え操作を行い新しい解ベクトル
    集合を作成する組み替え操作部と、 予め与えられた終了条件を満足する場合に最適な解ベク
    トルを出力する最適解ベクトル出力部と、 前記最適解ベクトル出力部の解ベクトルに従い前記対象
    データ入力部で入力されたデータを扱う機器の調整を行
    う機器調整実行部を備えていることを特徴とする最適化
    調整装置。
  15. 【請求項15】 ユーザ評価判定部が、ユーザに提示さ
    れている解ベクトル集合内における相対評価をもとにし
    た段階評価を求めることを特徴とする請求項8から14
    のいずれかに記載の最適化調整装置。
  16. 【請求項16】 モデル推定実行部がニューラルネット
    ワークにより構成されることを特徴とする請求項11ま
    たは14のいずれかに記載のユーザの調整過程の評価モ
    デルの最適化調整装置。
  17. 【請求項17】 生理データ測定部でまばたきの発生頻
    度と発汗による皮膚電気抵抗変化量を生理データとして
    測定することを特徴とする請求項43に記載の最適化調
    整装置。
  18. 【請求項18】 共通モデル推定実行部がニューラルネ
    ットワークにより構成されることを特徴とする請求項1
    2または13いずれかに記載の複数ユーザの調整過程に
    関する共通モデルの最適化調整装置。
  19. 【請求項19】 請求項8から14のいずれかに記載の
    最適化調整装置であって、調整する解ベクトルとして視
    力の補正に必要なレンズパラメータの組を扱い、対象デ
    ータ入力部がユーザに提示する検定画像を扱い、情報提
    示部は各解ベクトルにより構成される補正レンズを通し
    て見える検定画像をユーザに提示し、機器調整実行部が
    得られた最適な解ベクトルからユーザにとって最適な視
    力補正レンズの調整を行うことを特徴とする視力補正レ
    ンズ作成に使用されるパラメータの最適化調整装置。
  20. 【請求項20】 請求項8から14のいずれかに記載の
    最適化調整装置であって、調整する解ベクトルとして文
    字フォントを記述する複数のパラメータの組を扱い、対
    象データ入力部がユーザに提示する基本文字フォントデ
    ータを扱い、情報提示部は各解ベクトルにより構成され
    る基本文字フォントの変形をユーザに提示し、機器調整
    実行部が得られた最適な解ベクトルを用いてユーザの嗜
    好に最適な文字フォントを作成するための調整を行うこ
    とを特徴とする個人用文字フォント作成に使用されるパ
    ラメータの最適化調整装置。
  21. 【請求項21】 組み替え操作部は、交叉、突然変異、
    選択淘汰に代表される遺伝子レベルの組み替え操作に基
    づいた所定の演算処理を行う遺伝的アルゴリズムが用い
    られることを特徴とする請求項8から14のいずれかに
    記載の最適化調整装置。
  22. 【請求項22】 対象の機器であり、扱うデータが音声
    情報である補聴器であって、請求項8から21に記載の
    最適化調整装置で調整されることを特徴とする、補聴
    器。
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